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特表2024-532385子宮出血の治療のための吸引を提供するために子宮内で作動されるデバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】子宮出血の治療のための吸引を提供するために子宮内で作動されるデバイス
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/42 20060101AFI20240829BHJP
【FI】
A61B17/42
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513229
(86)(22)【出願日】2022-08-26
(85)【翻訳文提出日】2024-04-16
(86)【国際出願番号】 US2022041636
(87)【国際公開番号】W WO2023028291
(87)【国際公開日】2023-03-02
(31)【優先権主張番号】63/237,611
(32)【優先日】2021-08-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506410062
【氏名又は名称】ストライカー・コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100169018
【弁理士】
【氏名又は名称】網屋 美湖
(72)【発明者】
【氏名】マクラクラン,ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】エサー,ロバート・エル.
(72)【発明者】
【氏名】フランク,ローラ
(72)【発明者】
【氏名】ラフレッシュ,パトリック
(72)【発明者】
【氏名】ノーランド,ライフ
(72)【発明者】
【氏名】ウェイド,ルーカス
(72)【発明者】
【氏名】ウェスト,ローレン・アール.
(72)【発明者】
【氏名】ベルネロ,ジョン・ピー.
(72)【発明者】
【氏名】セプルヴェダ,クリスティー
(72)【発明者】
【氏名】ヴァンシクル,スペンサー・ゲージ
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160HH20
(57)【要約】
子宮出血を治療するためのデバイス。アクチュエータは、子宮内でより大きい外側プロファイルをとるようにデバイスの子宮内部分を展開するために、入力を受け取るように構成される。アクチュエータは、デバイス本体に結合され、引っ張り入力、押し入力、またはひねり入力を受け取るように構成され得る。子宮内部分は、可撓性の対向部材、回転可能なタイン、セグメント化されたフック、調節可能なループ、または圧縮可能な発泡体を含み得る。子宮内部分は、内腔、および子宮内に吸引をもたらすように構成される吸引ポートを画定する。標識は、子宮内部分が子宮内に展開されている範囲を示すためにアクチュエータに設けられ得る。アクチュエータの配向は、子宮内部分の展開の方向に対応し得る。デバイスは、弁、およびデバイスが真空源から切り離された状態で吸引を提供するように構成される補助吸引源を含み得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
子宮内の出血を治療するためのデバイスであって、
吸引管に取外し可能に結合されるように構成される真空コネクタを備えるデバイス本体と、
前記デバイス本体に結合され、内腔および前記内腔と流体連通状態にある吸引ポートを画定する子宮内部分であって、身体開口部を通って導かれ前記子宮内に位置付けられるようにサイズ決定および成形される非展開形態における外側プロファイルを有する、子宮内部分と、
前記デバイス本体に結合され、前記子宮内部分の前記外側プロファイルのサイズが前記子宮内で増大する展開形態へと展開されるように入力を受け取るように構成されるアクチュエータと
を備える、デバイス。
【請求項2】
前記子宮内部分は、前記アクチュエータに結合され、前記吸引ポートを画定する、対向部材を備え、前記対向部材は、前記非展開形態において互いに隣接するように付勢され、前記アクチュエータへの前記入力に基づいて前記展開形態において互いに離れるように移動するように構成される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記対向部材は、互いに結合されて、前記展開形態においてループを形成する、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記子宮内部分は、前記対向部材が結合されるカラー、および前記カラーに結合されるバッフルをさらに備え、前記バッフルは、前記対向部材の間に位置付けられ、前記非展開形態において前記吸引ポートを閉塞するように構成される、請求項2または3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記子宮内部分は、各々が前記アクチュエータに結合され、前記吸引ポートを画定する、少なくとも2つのタインを備え、前記タインは、前記タインが前記アクチュエータへの前記入力に基づいて前記展開形態において単一の基準面の外側に広げられるように、互いに対して回転されるように構成される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
前記子宮内部分は、前記アクチュエータに結合され、前記吸引ポートを画定する、予め応力を加えた部材を備え、前記予め応力を加えた部材は、前記アクチュエータへの前記入力に基づいて前記デバイス本体から突出して前記展開形態においてフック形状をとるように構成される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項7】
前記予め応力を加えた部材は、背部により互いに結合されるセグメントを備え、前記背部は、前記吸引ポートを画定する、請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
前記子宮内部分は、調節可能なループを備え、前記調節可能なループは、前記デバイス本体に固定的に結合される第1の端、および前記調節可能なループが前記アクチュエータへの前記入力に基づいて前記展開形態において前記デバイス本体から延長されるように、前記アクチュエータに結合される第2の端を備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項9】
前記子宮内部分は、アプリケータ、圧縮可能な発泡体から形成されるヘッド、ならびに前記ヘッドおよび前記アクチュエータに結合される内管を備え、前記ヘッドは、前記アクチュエータへの前記入力に基づいて前記アプリケータから延長されるとき弾性的に拡張するように構成される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項10】
前記子宮内部分は、前記アクチュエータに結合され、前記吸引ポートを画定する、対向部材を備え、前記対向部材の各々は、リビングヒンジを備え、前記対向部材のそれぞれの遠位区域が、前記アクチュエータへの前記入力に基づいて近位区域に対して前記リビングヒンジ周りに枢動するように構成される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項11】
前記アクチュエータは、前記デバイス本体に移動可能に結合されるスライダもしくはハンドル、または前記デバイス本体に回転可能に結合されるホイールを備える、請求項1から10のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項12】
前記子宮内部分は、導管をさらに画定し、前記吸引ポートが前記導管内に配設され、任意選択的に、前記導管は、前記子宮内部分の外側に画定される、請求項1から11のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項13】
前記デバイス本体に結合される補助吸引源と、
前記補助吸引源の遠位に位置付けられる第1の弁と、
前記補助吸引源の近位に位置付けられる第2の弁と
をさらに備える、請求項1から12のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項14】
前記真空コネクタは、前記第2の弁の近位に位置付けられる、請求項13に記載のデバイス。
【請求項15】
前記補助吸引源は、入力を受け取るように構成されるバルブであり、前記バルブの弾力性が真空をもたらし、体液を収集するための貯蔵器を画定する、請求項13または14に記載のデバイス。
【請求項16】
前記アクチュエータは、前記子宮内部分が前記非展開形態にある第1の位置と、前記子宮内部分が前記展開形態にある第2の位置との間で移動されるように、および前記子宮内部分の展開の範囲を選択的に確立するために前記第1の位置と前記第2の位置との間に位置付けられるように構成される、請求項1から15のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項17】
前記アクチュエータは、前記子宮内部分の展開の前記範囲に関する情報を提供するために露出されるように構成される標識を備える、請求項16に記載のデバイス。
【請求項18】
前記子宮内部分は、前記内腔内に配設され、開口部を画定する、内管をさらに備え、前記内管は、能動的な詰まり管理を提供するために、前記内腔内で回転されて、前記開口部を全てではなく一部の前記吸引ポートと選択的に整列させるように構成される、請求項1から17のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項19】
子宮内の出血を治療するためのデバイスであって、
吸引管に取外し可能に結合されるように構成される真空コネクタを備えるデバイス本体と、
真空源と流体連通状態で配置されるように構成される内腔、および前記内腔と流体連通状態にある吸引ポートを画定する子宮内部分であって、前記子宮内部分は、展開形態においてループを形成するように構成され、非展開形態において前記吸引ポートに係合し閉塞させるように構成されるバッフルを備える、子宮内部分と、
前記デバイス本体に結合され、前記子宮内部分を、前記非展開形態から、前記子宮内部分の外側プロファイルが増大される前記展開形態へ移動させるために、ユーザからの入力を受け取るように構成されるアクチュエータと
を備える、デバイス。
【請求項20】
前記ループが結合されるカラーをさらに備え、前記バッフルは、前記カラー、および前記ループの遠位端に結合される、請求項19に記載のデバイス。
【請求項21】
前記アクチュエータは、前記バッフルに結合され、前記バッフルは、前記デバイス本体内で並進して前記ループの前記遠位端を近位に引き込むように構成される、請求項19または20に記載のデバイス。
【請求項22】
子宮内の出血を治療するためのデバイスであって、
吸引管に取外し可能に結合されるように構成される真空コネクタを備えるデバイス本体と、
真空源と流体連通状態で配置されるように構成される内腔、および前記内腔と流体連通状態にある吸引ポートを画定する子宮内部分と、
頸部を封止するように構成される頸部分と、
前記頸部分の近位に配設され、真空源に結合されている真空コネクタがない場合に真空を確立または維持するためにユーザからの手動入力を受け取るように構成される、補助吸引源と
を備える、デバイス。
【請求項23】
前記補助吸引源の遠位に位置付けられる第1の弁と、
前記補助吸引源の近位に位置付けられる第2の弁と
をさらに備え、
前記真空コネクタは、前記第2の弁の近位に結合される、請求項22に記載のデバイス。
【請求項24】
前記補助吸引源は、入力を受け取るように構成されるバルブであり、前記バルブの弾力性が真空をもたらし、体液を収集するための貯蔵器を画定する、請求項22または23に記載のデバイス。
【請求項25】
前記デバイス本体に結合され、前記第1の弁の遠位に位置付けられる、リリーフポートをさらに備える、請求項22から24のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項26】
子宮内の出血を治療するためのデバイスであって、
吸引管に取外し可能に結合されるように構成される真空コネクタを備えるデバイス本体と、
内腔、および前記内腔と流体連通状態にある吸引ポートを画定する子宮内部分であって、前記子宮内部分は、前記内腔内に配設され開口部を画定する内管をさらに備え、前記内管は、能動的な詰まり管理を提供するために、前記内腔内で回転されて、前記開口部を全てではなく一部の前記吸引ポートと選択的に整列させるように構成される、子宮内部分と
を備える、デバイス。
【請求項27】
子宮内の出血を治療するためのデバイスであって、
吸引管に取外し可能に結合されるように構成される真空コネクタを備えるデバイス本体と、
前記デバイス本体に結合され、吸引ポートを画定するヘッド、および容積部を画定するために前記ヘッドに結合されるシェルを備える子宮内部分であって、前記シェルは、血栓が前記シェルと前記ヘッドとの間の前記容積部に入らないようにする第1のバリアを提供するように構成される孔を画定する、子宮内部分と
を備える、デバイス。
【請求項28】
前記子宮内部分は、少なくとも一部の前記吸引ポートを画定するために前記ヘッドの正面部から延びる突出部をさらに備え、任意選択的に、前記突出部は、円すい形である、請求項27に記載のデバイス。
【請求項29】
前記正面部は、少なくとも一部の前記吸引ポートを画定するじょうご部を画定する、請求項27または28に記載のデバイス。
【請求項30】
前記孔は、細長であり、前記シェルに対して放射状に配置される、請求項27から29のいずれか1項に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本出願は、2021年8月27日に出願の米国仮特許出願第63/237,611号に対する優先権およびそのすべての利益を主張するものであり、この内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
出産中または出産後の過度の出血は、母体罹患の主な原因である。分娩後出血は、出産後の収縮が弱いまたは無いことにより、出血している血管に対して十分な圧力を加えることができない特に深刻な病態であり、子宮弛緩として知られる現象である。
【0003】
子宮内にデバイスを展開することによって分娩後出血を治療することが知られている。真空の適用を伴ったこれらのデバイスの使用は、過剰な血液を除去し収縮を誘発することによって子宮弛緩を和らげ得る。子宮とデバイスを挿入するために必要とされる身体開口部との相対的な寸法が理由で、最大の効果を達成するために、より直感的に子宮内に挿入されその中に展開され得る真空ベースのデバイスが当該技術分野において必要とされている。さらに、ある時には、生体内にデバイスを有する患者を輸送する必要があり得、これは、治療が少なくとも一時的に停止されるように、付き添いの医療従事者がデバイスを真空源から切り離すことを望ましくなく要求し得る。そのようなことを不要にする、または制限することが望ましい。本発明によって克服される当該技術分野におけるさらなる欠点も開示される。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、真空の適用により子宮出血を治療するためのデバイス、システム、および方法を対象とする。子宮内デバイスは、真空源と流体連通状態で配置される吸引ラインの端に結合される。本デバイスは、子宮内に位置付けられるように構成される子宮内部分を含む。子宮内部分は、子宮の解剖学的寸法と少なくとも部分的に相補的である、展開形態における形状または外側プロファイルを有し得る。子宮内部分は、身体開口部を通じて子宮内に位置付けられ得る。子宮内デバイスは、子宮内部分の形状および/またはサイズを変更するために選択的に作動され得る。
【0005】
子宮内デバイスは、子宮内部分、および子宮内部分が結合されるデバイス本体を含む。真空コネクタは、デバイス本体に結合され、吸引ラインと取外し可能に結合されるように構成される。子宮内部分は、少なくとも1つの内腔を画定する。子宮内部分は、カラーから延びる対向部材を含み得る。対向部材は、展開形態においてループを形成するために互いに結合され得る。対向部材は、デバイスに対する力がない場合、元のまたは自然な状態へ戻るように弾力性であり得る。対向部材によって形成されるループは、遠位端とカラーとの間のそれぞれの中心区域を画定する。中心区域は、非展開形態において、互いに係合するように付勢され得るか、または互いに隣接して配設され得る。ループは、初期設定では、最初「閉じて」いてもよい。非展開形態における子宮内部分の外側プロファイルは、カラーよりも幅狭であり、かつ/またはデバイス本体よりも幅狭であってもよい。
【0006】
子宮内部分は、吸引ポートを画定する。吸引ポートは、対向部材の内側面または外側面に配置され得る。吸引ポートは、対向部材によって画定される内腔と流体連通状態にある。本デバイスは、子宮内部分の外側プロファイルを拡張して子宮内でさらなる容積部を確保するために、非展開形態から展開形態へ移動されるように構成される。対向部材の中心区域は、吸引が吸引ポートを通じてもたらされるように、展開形態において互いに離間されるように構成される。アクチュエータは、子宮内部分に、およびデバイス本体に結合される。アクチュエータは、デバイス本体から延びるハブ内にスライド可能に配設されるハンドルであり得る。ハブは、子宮内部分の展開の方向に対応する径方向配向においてデバイス本体から径方向に延び得る。
【0007】
アクチュエータは、非展開形態と展開形態との間で子宮内部分を移動させるためにユーザからの入力を受け取るように構成される。アクチュエータは、ハンドルが、子宮内部分の遠位端を近位に引き込み、中心区域を外向きに屈曲させ、子宮内部分の外側プロファイルを増大させるために引っ張り入力を受け取るように成形される、手動アクチュエータであり得る。アクチュエータは、非展開形態および展開形態にそれぞれ対応する第1の位置および第2の位置の間、またはそれらの間の任意の位置で移動可能であり得る。アクチュエータは、ロック機能および標識を含み得る。ロック機能は、アクチュエータが、第1および第2の位置の間の、およびこれらを含むいくつかの位置のうちの1つにおいて、選択的にロックおよび解放されることを可能にするように構成される。標識は、展開の範囲として情報をユーザに提供し得る。代替的に、アクチュエータは、押しアクチュエータまたはひねりアクチュエータであり得る。別の変形形態において、電子スイッチがモータを動作させて子宮内部分を展開するために作動され得る電子アクチュエータが使用され得る。
【0008】
バッフルが、子宮内部分に結合され得る。バッフルは、対向部材の間に位置付けられ得、遠位端とカラーとの間に延び得る。バッフルは、吸引ポートを閉塞させるように非展開形態において対向部材に係合する。バッフルは、展開形態において、対向部材の中心区域の間に位置付けられるとともにこれらから離間され、それにより、吸引ポートが開いて子宮に対する吸引をもたらす。
【0009】
本デバイスは、頸部シールを含む。頸部シールは、拡張のために膨らませられるように構成される袋(bladder)であり得る。代替的に、頸部シールは、外包、および外包内の弾力的に圧縮可能な本体を含み得、本体は、子宮口内に位置付けるために圧迫されるように構成され、その後、封止を形成するために自然状態へ戻る。別の変形形態において、頸部シールの対向する両側の軸端は、頸部シールを外向きに広げるために互いに向かって付勢されて、子宮内部分と同様にして封止を形成し得る。アクチュエータは、頸部シールおよび子宮内部分を同時に展開するように、頸部シールに動作可能に結合され得る。
【0010】
本デバイスは、デバイス本体に結合され、内腔と流体連通状態にある、補助吸引源を含み得る。1つの例において、補助吸引源は、Jackson-Prattバルブ(bulb)またはドレーンである。第1および第2の弁は、一方向弁であり得、第1の弁が補助吸引源の遠位に位置付けられ、第2の弁が補助吸引源の近位に配設される。真空コネクタは、第2の弁の近位に配設され得る。Jackson-Prattバルブの弾力性は、手動入力の解放後に吸引をもたらし、流体が収集され得る貯蔵器をさらに提供する。リリーフポートは、デバイス本体に結合され、第1の弁の遠位に位置付けられ得る。
【0011】
特定の実装形態において、ひねりアクチュエータが、デバイス本体に結合され得る。子宮内部分は、少なくとも2つのタイン(tine)を含み得る。タインは、ループとして形成され得、タインの各々が、内腔、および内腔と流体連通状態にある吸引ポートを画定する。アクチュエータは、1つまたは複数のカラーを含み得、カラーの各々が、タインのそれぞれに結合される。アクチュエータへの入力は、カラーのうちの1つまたは複数、したがって、タインのうちの1つまたは複数の対応する回転を付与する。非展開形態において、タインが「扁平な」プロファイルをとるように、タインは、非展開形態において単一の基準面内に横たわるように配置され得る。タインは、展開形態において単一の基準面の外側に広げられ得る。
【0012】
特定の実装形態において、アクチュエータは、デバイス本体に移動可能に結合されるスライダであり得る。アクチュエータは、デバイスの穴内から子宮内部分を突出させ得る。子宮内部分は、背部(spine)をさらに画定する複数の切り込み(notch)によって形成される複数のセグメントを含み得る。背部は、内腔を画定し得、内腔と流体連通状態にある吸引ポートをさらに画定し得る。代替的に、セグメントは、互いに枢動可能に連結される別々の構成要素であり得る。子宮内部分は、穴から突出されるとき少なくとも部分的に屈曲および/またはカールするように構成される、付勢された、または予め応力を加えた(pre-stressed)部材であり得る。スライダが第1の位置にあるとき、セグメントは、直線形状の穴によって拘束される。スライダは、遠位端を超えて子宮内部分を露出するために第2の位置へと移動され、その後、セグメントは、互いに対して枢動してフックまたは他の好適な形状に至る。
【0013】
特定の実装形態において、子宮内部分は、調節可能なループである。ループは、内腔、および内腔と流体連通状態にある吸引ポートを画定する。ループは、デバイス本体に固定的に結合される第1の対向部材、およびスライド可能にデバイス本体内にある第2の対向部材を含み得る。スライダは、デバイス本体に対して並進して、ループを遠位端を超えてさらに露出させるように構成される。1つの変形形態において、第1および第2の対向部材の両方は、アクチュエータが第1および第2の対向部材に結合された状態で、スライド可能にデバイス本体内にある。代替的に、2つ以上のスライダが、第1および第2の対向部材のそれぞれに結合され得る。
【0014】
特定の実装形態において、本デバイスは、子宮内部分のヘッドを受け入れるようにサイズ決定される穴を画定するアプリケータを含む。ヘッドは、弾力的に圧縮可能な生体適合性発泡体など、多孔質媒体から形成され得る。ヘッドは、発泡体と流体連通状態にある内腔を画定する内管に結合され得る。ヘッドは、非展開形態においてアプリケータ内に完全に受け入れられるように圧縮可能である。アクチュエータは、内管に動作可能に結合され得る。アクチュエータは、第1の位置から第2の位置へ移動して、それに応じて内管を移動させ、アプリケータを遠位に超えてヘッドを露出させるために、ユーザからの入力を受け取るように構成される。発泡体の弾力性は、ヘッドの外側プロファイルを増大させ、それにより、子宮内部分を展開形態へ移動させる。発泡体は、ヘッド内へ血液を引き込むために吸収性を有する。さらに、吸引は、ヘッドを通じてもたらされ、さらなる吸引は、アプリケータを通じてもたらされ得る。
【0015】
特定の実装形態において、対向部材は各々、それぞれの遠位端において終端し得る。対向部材は、導管を画定し得、吸引ポートが導管内に配設される。対向部材は各々、カラーに結合される近位端、および、対向部材の遠位区域が近位区域に対して枢動することを可能にするために近位端と遠位端との間のリビングヒンジを含み得る。第1の変形形態において、対向部材は、完全に伸びるように形成または付勢される。アクチュエータは、遠位区域がリビングヒンジ周りに内向きに枢動して、子宮内部分のより幅狭の外側プロファイルを生じる非展開形態へデバイスを移動させるために作動される。アクチュエータへの入力は除去され得、対向部材の弾力性は、対向部材がそれらの自然状態へ戻るように遠位区域をリビングヒンジ周りに外向きに枢動させ、それにより、デバイスを展開形態へ移動させる。第2の変形形態において、対向部材は、遠位区域が内向きに折り畳まれるように付勢される。アクチュエータは、遠位区域をリビングヒンジ周りに外向きに枢動させるために作動され、それにより、デバイスを展開形態へ移動させる。第1および第2の対向部材は、独立して展開可能であり得る。
【0016】
特定の実装形態において、アクチュエータは、吸引ポートの詰まりを低減するために、1つまたは複数の吸引ポートを通じた吸引を選択的に許容または防ぐために作動され得る。子宮内部分は、吸引ポートを画定するヘッド、およびヘッド内に回転可能に配設される内管を含み得る。内管は、吸引経路と流体連通状態で配置されるように構成される内腔、および内腔と流体連通状態にある1つまたは複数の開口部を画定し得る。開口部は、全てではなく一部の吸引ポートと選択的流体連通状態で配置されるように構成される。詰まった吸引ポートを通じた吸引の中断は、血栓が外れることを結果としてもたらし得る。
【0017】
特定の実装形態において、子宮内部分は、容積部を画定するシェル、および容積部と流体連通状態にある孔を含む。ヘッドは、吸引ポートを画定する正面部を含む。シェルは、容積部を画定するためにヘッドに結合され、吸引ポートが容積部内に開口する。吸引ポートは、正面部から内向きに延びるじょうご部(funnel)、および正面部から外向きに延びる突出部によってさらに画定され得る。シェルは、より大きい血栓を捕捉するために第1のバリアを提供するように構成される。じょうご部および/または突出部は、より小さい血栓を捕捉するために第2のバリアを提供するように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】マニホールドが医療廃棄物収集システム内に取外し可能に挿入されるように構成され、吸引ラインが2つのマニホールドに取外し可能に結合されるように構成されている、医療廃棄物収集システムの斜視図である。子宮内デバイスは、吸引ラインに取外し可能に結合されるように構成される。
図2A】子宮内部分が非展開形態にある、デバイスの実装形態の斜視図である。
図2B】子宮内部分が展開形態にある、図2Aのデバイスの斜視図である。
図3A】子宮内部分が非展開形態にある、デバイスの別の実装形態の斜視図である。
図3B】子宮内部分が展開形態にある、図3Aのデバイスの斜視図である。
図4A】子宮内部分が非展開形態にある、デバイスの別の実装形態の立面図である。
図4B】子宮内部分が展開形態にある、図4Aのデバイスの立面図である。
図5A】子宮内部分が非展開形態にある、デバイスの別の実装形態の立面図である。
図5B】子宮内部分が展開形態にある、図5Aのデバイスの立面図である。
図6A】子宮内部分が部分的展開形態にある、別のデバイスの立面図である。
図6B】子宮内部分が展開形態にある、図7Aのデバイスの立面図である。
図7】子宮内部分が展開形態にある、デバイスの別の実装形態の斜視図である。
図8A】デバイスの別の実装形態の子宮内部分の斜視図である。
図8B図8Aの子宮内部分の立面図である。
図8C】内管がヘッドに対して第1の回転配向にある、図8A図8Bの子宮内部分の断面図である。
図8D】内管がヘッドに対して第2の回転配向にある、図8A図8Bの子宮内部分の断面図である。
図9】デバイスの別の実装形態の子宮内部分の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本開示は、真空源により子宮出血を治療するためのデバイス、システム、および方法を対象とする。真空源は、病院統合真空システムなど、任意の好適な手段を通じて実現され得る。別の例示的な装置は、Stryker Corporation(ミシガン州カラマズー)によるNeptuneという商標名のもと販売される医療廃棄物収集システム100であり、ここでは、廃棄物容器104および真空源106は、筐体102に支持される。医療廃棄物収集システム100は、ドッキングステーションと動作可能に結合されるべき医療廃棄物を収集および格納し、このドッキングステーションを通じて医療廃棄物が空にされる。少なくとも1つの貯蔵器108が、筐体102に支持され、少なくとも1つの吸引ライン112が取外し可能に結合されるマニホールド110を取外し可能に受け入れるようにサイズ決定され得る。医療廃棄物収集システム100のいくつかのサブシステムの好適な構造および動作は、2005年8月4日公開の共同所有の米国特許公開第2005/0171495号、2007年6月21日公開の国際公開第WO2007/070570号、2014年5月1日公開の国際公開第WO2014/066337号、および2017年6月29日公開の国際公開第WO2017/112684号に開示され、各々の内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0020】
子宮内デバイス200、300、400、500、600、700、800、900は、真空源106と流体連通状態で配置されるべきマニホールド124とは反対の吸引ライン120の端に結合される。本デバイスの実装形態は、子宮内に位置付けられるように構成される子宮内部分を含み、その後、血液および他の体液が真空源106によって提供される吸引によって子宮内から引き込まれる。さらに、子宮内部分は、吸引の効果を最大化し収縮を誘発するために、子宮の解剖学的寸法と少なくとも部分的に相補的な、展開形態における形状または外側プロファイルを有し得る。子宮内部分は、身体開口部、とりわけ、頸部または帝王切開による開口部を通じて子宮内に位置付けられ得る。前述のように、身体開口部を通じた挿入のために十分に幅狭であるが、子宮内にかなりの容積部を確保するのに十分に大きいデバイスを用いることは困難である。本開示は、子宮内部分の形状および/またはサイズを変更するために選択的に作動され得る子宮内デバイスの実装形態を用いることによって上述の課題を解決する。例えば、子宮内部分の形状およびサイズは、止血を促進するために、子宮底に係合または適合するように展開され得る。子宮内デバイスの様々な実装形態のさらなる利点も実現される。
【0021】
図2Aおよび図2Bを参照すると、子宮内デバイス200は、子宮内部分202、および子宮内部分202が結合されるデバイス本体203を含む。デバイス本体203は、内部を画定するハウジングを提供し、その内部を通じて配管およびデバイス200の他の従属部品が配設され得る。真空コネクタ236は、デバイス本体203に結合され、デバイス200と真空源106との間の流体連通を確立するために吸引ライン120と取外し可能に結合されるように構成され得る。真空コネクタ236は、デバイス本体203にしっかりと固定されてデバイス200の近位端を画定し得るか、または中間の管(図示せず)が、デバイス本体203から延び、真空コネクタ236を含み得る。ライン管理を容易にするために、真空コネクタ236の他の位置が企図される。デバイス本体203は、細長であり、後述するようにデバイス200を操作および展開するためのハンドルとして機能し得る。例えば、デバイス本体203は、形状が円筒であり、ユーザにより動作可能であるように、デバイス200の特定の特徴部が膣(および患者)の外に位置付けられるのに十分な長さを有し得る。デバイス本体203は、デバイス200のハンドリングおよび操作を容易にするために、デバイス本体203の部分に沿って配設される輪郭、幾何形状、および/またはテクスチャを含み得る。
【0022】
子宮内部分202は、少なくとも1つの内腔(特定されない)を画定し得る。より詳細には、子宮内部分202は、カラー212から延びる対向部材210a、210bを含み得、対向部材210a、210bの一方または両方が内腔を画定する。対向部材210a、210bは、それぞれの遠位端において、またはその近くで、互いに結合されて、デバイス200の遠位端211を画定し得る。そのような配置では、対向部材210a、210bは、展開形態においてループを形成する。図2Aおよび図2Bは、2つの対向部材210a、210bを示すが、3つ以上の対向部材210a、210bが企図され、その場合、対向部材210a、210bは、三角形(3つ)、十字形(4つ)、星形(5つ)、または他の配置で、径方向に展開され得る。
【0023】
対向部材210a、210bは、弾力性の生体適合性材料から形成され得る。材料は、遠位端211が組織に係合している場合に屈曲を可能にするために十分に可撓性であり得るが、デバイス200に対する力がない場合に元のまたは自然状態へ戻るために十分に弾力性であり得る。デバイス200の遠位端211は、デバイス200の挿入および展開中、組織への外傷を回避するために、鈍先を含み得る。鈍先もまた、弾力性の生体適合性材料から形成され得る。遠位端211、または子宮内部分202の別の部分は、蛍光透視法で可視化が可能であるように、放射線不透過性であり得るか、または放射線不透過性マーカを含み得る。そのような場合、子宮内のデバイス200位置は、必要な場合、視覚的に確認され、それに応じて調節され得る。
【0024】
子宮内部分202、およびより詳細には対向部材210a、210bは、頸部シール226が頸部を封止した状態で遠位端211が子宮底に隣接して位置付けられるのに十分な長さを有する。さらに、対向部材210a、210bによって形成されるループは、遠位端211とカラー212との間のそれぞれの中心区域214a、214bを画定する。中心区域214a、214bは、図2Aに示されるような非展開形態において、互いに係合するように付勢され得るか、または互いに隣接して配設され得る。言い換えると、中心区域214a、214bは、ループが初期設定では最初「閉じて」いるように形成される。結果として、デバイス200は、デバイス200に対する力がない場合、子宮内部分202が身体開口部を通じた挿入のために十分に幅狭であるように、構成され得る。非展開形態における子宮内部分202の外側プロファイルは、カラー212よりも幅狭であり、かつ/またはデバイス本体203よりも幅狭であってもよい。
【0025】
子宮内部分202は、吸引ポート206を画定する。吸引ポート206は、対向部材210a、210bの内側面に配置され得る。吸引ポート206は、図示されるように円形の孔の線形アレイであり得るが、他の形状および構成が提供され得る。吸引ポート206の他の位置が追加的または代替的に企図される(図8を参照)。吸引ポート206は、対向部材210a、210bによって画定される内腔と流体連通状態にある。結果として、デバイス200は、医療廃棄物収集システム100に収集される血液および他の体液を子宮から引き込むために、吸引ポート206、内腔、および真空コネクタ236を通る吸引経路を画定する。
【0026】
非展開形態における子宮内部分202の幅狭のプロファイルにより、子宮内部分202は、直感的に身体開口部を通じて挿入され得る。言い換えると、ユーザは、身体開口部を通じて挿入可能であるように子宮内部分202を操作する(例えば、ループを畳む)必要がない。その後、デバイス200は、子宮内部分202の外側プロファイルを拡張させて子宮内でさらなる容積部を確保し、好ましくは、可能な範囲で子宮底に接触するために、非展開形態から展開形態へ移動され得る。より詳細には、対向部材210a、210bの中心区域214a、214bは、図2Bに反映されるように、吸引が吸引ポート206を通じてもたらされるように、展開形態において互いに離間されるように構成される。この目的のため、アクチュエータ208は、子宮内部分202に、およびデバイス本体203に結合される。アクチュエータ208は、デバイス本体203から延びるハブ228内にスライド可能に配設されるハンドル218であり得る。ハブ228は、子宮内部分202の展開の方向に対応する径方向配向においてデバイス本体203から径方向に延び得る。言い換えると、ユーザは、アクチュエータ208(患者に対して外側に位置付けられる)の径方向位置を可視化し、対向部材210a、210bが子宮内で展開されるべき方向を確定し得る。例えば、図2Bは、概して、デバイス本体203の側面から横方向に延びるアクチュエータ208を示し、子宮内部分202は、それに応じて横方向に展開される。
【0027】
アクチュエータ208は、非展開形態と展開形態との間で子宮内部分202を移動させるためにユーザからの入力を受け取るように構成される。図2Aおよび図2Bは、アクチュエータ208が手動アクチュエータであることを示し、この場合、ハンドル218は、ハンドル218をハブ228内から外向きに引くために引っ張り入力を受け取るように成形される。ハンドル218は、子宮内部分202の遠位端211に動作可能に結合されるようにデバイス本体203を通って、およびカラー212を通って延びる引っ張りワイヤ(図示せず)に結合され得る。ハンドル218の運動は、子宮内部分202の遠位端211を近位に引き込む。対向部材210a、210b、特に、対向部材210a、210bの中心部分214a、214bの可撓性は、ループを開くために外向きに屈曲される。子宮内部分202の外側プロファイルは、非展開形態よりも展開形態においてよりサイズが大きい。展開形態における子宮内部分202の外側プロファイルは、カラー212の外寸、およびデバイス本体203よりもサイズが大きくてもよい。対向部材210a、210bは、中心部分214a、214bが外向きに広がって、洋ナシ形状または子宮内部分202にとっての他の好適な形状を画定するように形成され得、これにより子宮の形状をより良好に補完し得る。
【0028】
アクチュエータ208は、非展開形態および展開形態にそれぞれ対応する第1の位置および第2の位置の間、またはそれらの間の任意の位置で移動可能であり得る。言い換えると、アクチュエータ208は、子宮内部分202を所望の範囲まで選択的に展開するために作動され得る。展開の所望の範囲は、患者の状態または解剖学的寸法等に基づき得る。例えば、出産直後、子宮のサイズは比較的顕著であり得、したがって、子宮底に接触し吸引の効果を最大化するように、子宮内部分202を完全に展開することが望ましい場合がある。子宮弛緩が上手く治療されていると、子宮は収縮し始め、したがって、子宮内部分202をより小さい範囲に展開させることが望ましい。この目的のため、アクチュエータ208は、ロック機能220および標識222を含み得る。ロック機能220は、アクチュエータ208が、第1および第2の位置の間のいくつかの位置のうちの1つにおいて、選択的にロックおよび解放されることを可能にするように構成される。ロック機能220は、スイッチ、戻り止め、または子宮内部分202を展開の所望の範囲に選択的に維持するための他の好適な機構であり得る。標識222は、展開の範囲として情報をユーザに提供し得る。図2Bは、ハンドル218がハブ228に対して引っ張られると露出されるように構成されるハンドル218上の標識222および段階的なマークを示す。その上に提供される数字は、子宮内部分202の展開の範囲の幅に対応し得る。
【0029】
引っ張りアクチュエータの代替として、アクチュエータ208は、押しアクチュエータまたはひねりアクチュエータであり得る。ひねりアクチュエータは、デバイス本体203に結合される、例えば、デバイス本体203の周りに同心円状に配設されるホイールを含み得る。代替的に、ハンドル218は、ハブ228内で回転可能であり得る。引っ張りワイヤは、マンドレルまたは他の好適な機構によりホイールまたはハンドルに動作可能に結合され得る。ホイールまたはハンドルのねじりは、引っ張りワイヤに張力を発生させて、説明されるように子宮内部分202の遠位端211を近位に引き込む。代替的に、電子スイッチが作動され得る電子アクチュエータが使用され得ることが企図される。スイッチは、子宮内部分202を展開するために引っ張りワイヤをピンと張るためのモータと通信状態にあり得る。スイッチの解放は、子宮内部分202を展開の所望の範囲に電子的に維持し得る。デジタル読み出しが、子宮内部分202の展開の範囲の数値を提供するためにデバイス本体203上に配設され得る。
【0030】
バッフル224は、子宮内部分202に結合され、子宮内部分202が非展開形態にある状態で吸引ポート206を通じた吸引を調整するように構成され得る。図2Bに最もよく示されるように、バッフル224は、対向部材210a、210bの間に位置付けられ得、より詳細には、遠位端211とカラー212との間に延び得る。非展開形態において、バッフル224は、吸引ポート206を閉塞させるように対向部材210a、210bに係合する。対向部材210a、210bの内側面は、吸引が非展開形態においては吸引ポート206を通じて行われないように、バッフル224の対向側面に係合する。そのような特徴は、有利には、吸入がオンのまま(組織吸引のリスクを低減しつつ)子宮内部分202が身体開口部を通じて挿入可能および取外し可能であることをもたらし、これは、そうするためにユーザが真空源106をオフにすることを必要とするものとは対照的である。その後、子宮内部分202は、バッフル224が対向部材210a、210bの中心区域214a、214bの間に位置しこれらから離間されるように、非展開形態から展開形態へ移動され、吸引ポート206は開状態になって子宮に対する吸引をもたらす。アクチュエータ208の引っ張りワイヤがバッフル224の近位端に結合され得ることがさらに企図され、そのような場合、バッフル224は、カラー212内を並進して、対向部材210a、210bの中心区域214a、214bを外向きに屈曲させる。バッフル224は任意選択であることを理解されたい。
【0031】
展開形態における子宮内部分202の吸引ポート206を通じた吸引の最大効果を確実にするため、デバイス200は、頸部シール226を含む。頸部シール226は、子宮内部分202に結合される頸部分204の一部である。頸部分204はまた、デバイス本体203に結合され、デバイス本体203と子宮内部分202との間に位置付けられ得る。頸部分204は、子宮内部分202が子宮内に位置付けられた状態で頸部シール226が子宮口を封止するように展開されるように構成される。頸部シール226は、拡張のために膨らませられるように構成される袋(bladder)であり得る。代替的に、頸部シール226は、外包、および外包内の弾力的に圧縮可能な本体を含み得、本体は、子宮口内に位置付けるために圧迫されるように構成され、その後、自然状態へ戻ってシールを形成する。別の例において、頸部シール226の対向する軸端は、頸部シール226を外向きに広げるために互いに向かって付勢されて、子宮内部分202と同様にしてシールを形成し得る。そのような例において、頸部分204は、頸部シール226を展開するように構成される追加の従属部品(例えば、頸部シール226の近位端に隣接したスライド可能なカラー)を含み得る。アクチュエータ208は、頸部シール226および子宮内部分202を同時に展開するように、頸部シール226に動作可能に結合され得ることが企図される。
【0032】
既存のシステムは、医療施設内で患者の輸送中、付き添いの医療従事者がデバイスを真空源から切り離すことを必要とし得る。そのような事実は、望ましくなく治療を停止する。本開示のデバイス200は、患者輸送中に子宮内に少なくともいくらかの吸引を確立または維持するように構成される補助吸引源230を提供することによって、そのような欠点を克服する。言い換えると、補助吸引源230は、吸引ライン112が真空コネクタ236から切り離されるとき、子宮内部分202を通じた吸引を維持するためにユーザから別の入力を受け取り得る。補助吸引源230は、デバイス本体203に結合され、内腔と流体連通状態にあり得る。1つの例において、補助吸引源230は、Jackson-Prattバルブ(bulb)またはドレーンである。Jackson-Prattバルブは、小型、軽量、および低費用の従属部品であり、その動作はユーザによく知られているであろう。第1および第2の弁232、234は、一方向弁であり得、第1の弁232が補助吸引源230の遠位に位置付けられ、第2の弁234が補助吸引源230の近位に配設される。真空コネクタ236は、第2の弁234の近位に配設され得る。したがって、吸引管が真空コネクタ236に接続される場合、真空源106によってもたらされる吸引が、第1および第2の弁232、234を開く。吸引管が真空コネクタ236から分離され、入力が補助吸引源230に提供される(例えば、Jackson-Prattバルブが圧迫される)場合、補助吸引源230によってもたらされる吸引が、第1の弁232を開くが、第2の弁234は閉じたままである。血液および他の体液は、子宮内部分202を通って、第1の弁232を通って、補助吸引源230内へ引き込まれる。より詳細には、Jackson-Prattバルブの弾力性が、吸引をもたらし、流体が収集され得る貯蔵器をさらに提供する。Jackson-Prattバルブがその自然状態に弾性的に戻り、おそらくは、収集した流体で少なくとも部分的に充填されると、ユーザは、さらにJackson-Prattバルブへ別の入力を提供し得る。第1および第2の弁232、234の一方向の性質、ならびに補助吸引源230に対するそれらのそれぞれの位置のおかげで、Jackson-Prattバルブを圧迫することからの正圧により、第1の弁232は閉じられ、第2の弁234は開かれる。流体は、患者の輸送中、真空コネクタ236に取外し可能に結合され得る使い捨てバッグに収集されるように、第2の弁234および真空コネクタ236を通じて近位に促される。Jackson-Prattバルブから流体が空にされるだけでなく、入力は同時に、補助吸引源230に追加の吸引の準備をさせる。患者が所望の場所、医療廃棄物収集システム100に近い場所、へ輸送されると、使い捨て収集バッグは、真空コネクタ236、およびデバイス200に結合される別の吸引管から切り離され得る。真空源106は、治療における妨害をほとんど伴うことなく動作または再開始され得る。リリーフポート(特定されない)は、デバイス本体203に結合され、第1の弁232の遠位に位置付けられ得る。リリーフポートは、吸引レベルが既定のしきい値を超える場合に吸引の減少を提供するように構成される。
【0033】
これより図3Aおよび図3Bを参照すると、子宮内部分302が回転により作動されるように構成されるデバイス300の別の実装形態が示される。ひねりアクチュエータが、デバイス本体(図示せず)に結合され得るか、または代替的に、別のタイプのアクチュエータが、子宮内部分302の回転作動へと機械的もしくは電気機械的に変換され得る。子宮内部分302は、少なくとも2つのタイン310を含み得る。例示する実装形態は、3つのタイン310a、310b、310cを示すが、より多いまたは少ないものが企図される。外側のタイン310aは、内側のタイン310cよりも大きい真ん中のタイン310bよりも大きい。タイン310は、略半円の遠位区域へと外向きに広がる略直線の近位区域を各々有するループとして形成される。外側のタイン310aの少なくとも遠位端は、デバイス300の挿入および展開中に組織への外傷を回避するために、鈍端を提供するように丸くなっている。子宮の形状と相補的であるように他の形状が企図される。同様に、タイン310は、図示されるように同様の輪郭に形成され得るか、またはタイン310の各々は、異なる輪郭もしくは幾何形状を有し得る。タイン310は、デバイス300が組織に係合する場合に限られた量の屈曲を可能にするように、弾力性の生体適合性材料から形成され得る。
【0034】
タイン310の各々は、内腔、および内腔と流体連通状態にある吸引ポート306を画定する。タイン310の内腔は、単一の吸引経路を形成するために、デバイス300内、例えば、デバイス本体内で合流され得る。代替的に、内腔の各々は、流体的に別々のままであり得、タイン310の各々を通じた吸引を独立して制御するように構成される弁がデバイス300内に設けられ得る。例えば、外側のタイン310aが子宮内の組織のより近くに位置付けられるため、これを通じたより低いレベルの吸引を提供することが望ましい場合がある。対照的に、内側のタイン310cは、さらなる量の血液および体液が子宮内に蓄積し得る場合、高レベルの吸引で動作され得る。追加的または代替的に、個々のタイン310を通じた吸引は、患者の状態および他の臨床的考慮事項に基づいて、選択的に活性化または非活性化され得る。
【0035】
アクチュエータは、1つまたは複数のカラー312、313、314を含み得る。カラー312、313、314の各々は、タイン310a、310b、310cのそれぞれに結合される。カラー312、313、314は、互いに対して回転可能である。相対回転を容易にするため、デバイス本体は、各々がそれぞれのホイールに結合される1つまたは複数の同軸に配置されたハウジングを含み得る。ホイールのうちの選択した1つまたは複数の回転は、カラー312、313、314のうちの1つまたは複数、したがって、タイン310a、310b、310cのうちの1つまたは複数の対応する回転を付与する。タイン310は、反対方向の回転を防ぐラチェット様の機構により一方向に回転可能であり得るか、またはタイン310は、双方向に回転可能であり得る。より詳細には、カラー312、313、314は、子宮内部分302が非展開形態にある第1の配向(図3A参照)から、子宮内部分302が展開形態にある第2の配向(図3B参照)へ軸TX周りに回転可能である。非展開形態において、タイン310は、タイン310が扁平な形態に配置されるように、単一の基準面315内に横たわるように配置され得る。扁平な形態において、子宮内部分302は、より容易に子宮内へ挿入され、またその内側で操作され得る。展開形態において、少なくとも2つのタイン310は、単一の基準面315の外側に広げられるように配置される。タイン310が単一の基準面315の外側に広がることにより、子宮内部分302が、子宮の容積部を三次元で想定し、かつ/または三次元で子宮に接触することを容易にする。ホイールまたは別のアクチュエータは、タイン310のうち対応する1つの角度配向を維持するためにそれぞれのロック機構を含み得る。ホイールまたは他のアクチュエータはまた、生体構造内のタイン310の角度配向に対応する標識を含み得る。デバイス300は、頸部分(例えば、頸部分204、404、504、604)、およびデバイスの他の実装形態の追加の特徴部(例えば、補助吸引源230など)を含み得るということを理解されたい。
【0036】
これより図4Aおよび図4Bを参照すると、子宮内部分402が押し入力により作動されるように構成されるデバイス400の別の実装形態が示される。アクチュエータ408は、デバイス本体403に移動可能に結合されるスライダ418であり得る。アクチュエータ408は、後述するように子宮内部分402をデバイス400の穴438内から突出させるために入力を受け取るように構成される。スライダ418は、子宮内部分402が非展開形態にある第1の位置(図4A参照)から、子宮内部分402が展開形態にある第2の位置(図4B参照)へデバイス400の長手方向軸に沿って移動可能であり得る。
【0037】
子宮内部分402は、複数のセグメント409を含み得る。セグメント409は、背部(spine)413をさらに画定する複数の切り込み(notch)によって形成され得る。代替的に、セグメント409は、ヒンジ様のジョイントを通じて互いに枢動可能に連結される別々の構成要素であり得る。背部413は、内腔412を画定し得、内腔と流体連通状態にある吸引ポート406をさらに画定し得る。子宮内部分402は、穴438から突出されるとき少なくとも部分的に屈曲および/またはカールするように構成される、付勢された、または予め応力を加えた(pre-stressed)部材であり得る。付勢は、子宮内部分402を形成する材料特性により、または形状記憶材料から形成される内部スタイレットなどの従属部品を用いて、容易にされ得る。スライダ418が第1の位置にある状態で、セグメント409は、互いに対して隣接して位置付けられ、子宮内部分402は、直線形状の穴438によって拘束される。頸部分404は、非展開形態の子宮内部分402を収容するために十分な隙間を提供するように穴438をさらに画定し得るということに留意されたい。さらに、頸部シール426は、子宮内部分402の展開と連続的または同時に展開され得る。押し入力がスライダ418に提供されて、それを第1の位置から第2の位置へ移動させると、子宮内部分402は、遠位端411を超えて露出される。子宮内部分402は、セグメント409を背部413周りに互いに対して枢動させてフック形状にするように付勢され、吸引ポート406がフック形状の内側に位置付けられる。フック形状は、示されるような略円形でなくてもよく、子宮の形状に相補的な別の弓形の輪郭をとり得ることが企図される。例えば、付勢部材は、より複雑な展開形態を提供するために曲げられる複合物で形成され得る。別の例では、付勢部材は、それ自身で「逆戻り(double-back)」して任意の回転数のらせんを形成する子宮内部分402を提供するように形成され得る。
【0038】
スライダ418は、子宮内部分402が付勢されるのと同じ側に配設され得るということに留意されたい。結果として、ユーザは、スライダ418の配向を観察し、子宮内部分402が展開されるべき方向を容易に理解し得る。さらに、デバイス400は、展開形態の子宮内部分402によって達成される角度に関する数値情報を含み得る標識422を含み得る。例えば、例示される実装形態の標識422は、子宮内部分402がおよそ330度展開されることをユーザに通知し得る。スライダ418の配向と一緒に、ユーザは、子宮内での子宮内部分402の形状および位置を確定し得る。
【0039】
図5Aおよび図5Bは、子宮内部分502が押し入力により作動されるように構成されるデバイス500の別の実装形態を示す。子宮内部分502は、調節可能なループ505を含む。ループ505は、弾力性の生体適合性材料から形成され得、ループ505の遠位端は丸くされる。子宮の形状に相補的であるように他の形状が企図される。ループ505は、内腔(特定されない)、および内腔と流体連通状態にある吸引ポート506を画定する。吸引ポート506は、ループ505の内側に等間隔をあけて配置されるように示されるが、他の位置および配置が述べられるように企図される。
【0040】
ループ505は、デバイス本体503に固定的に結合される第1の対向部材510a、およびスライド可能にデバイス本体503(および頸部分504)内にある第2の対向部材510bを含み得る。アクチュエータ508は、第2の対向部材510bに動作可能に結合されるスライダ518であり得る。スライダ518は、ループ505を、遠位端511を超えてさらに露出させるために、デバイス本体503に対して並進されるように構成される。スライダ518が作動される範囲は、それに応じて、子宮内部分502の外側プロファイルが展開形態において増大する範囲を提供する。図5Bは、展開形態においてデバイス500の長手方向軸に関して概して対称のままであるループ505を示すが、ループ505の構造は、軸外(off-axis)展開を提供するように設計され得る。例えば、ループ505は、遠位端を超えて露出されるとき、所望の形状をとるように、様々な剛性の材料または区域から形成され得る。図示されるようなループ505の代替として、ループ505は、背部によって枢動可能に連結されるセグメントから形成され得る(図4Aおよび図4B参照)。
【0041】
デバイス500は、ループ505の一部分に配設され、子宮内部分502が展開形態へ展開されているとき患者に対して外側で観察可能であるように位置付けられる、標識522を含み得る。標識522に基づいて、ユーザは、子宮内での子宮内部分502の外側プロファイルのサイズを確定し得る。デバイス500は、上述のように展開される頸部分504および頸部シール526をさらに含む。2つ以上のループが設けられ得ることが企図される。そのような配置において、アクチュエータ508は、ループに動作可能に結合されて、それらを同時に、および同じ範囲まで展開し得るか、または2つ以上のアクチュエータが、ループのそれぞれに動作可能に結合されて、ループを異なる範囲まで選択的に展開し得る。
【0042】
1つの変形形態において、第1および第2の対向部材510a、510bの両方は、アクチュエータ508が第1および第2の対向部材510a、510bに結合された状態で、スライド可能にデバイス本体内503にある。代替的に、2つ以上のスライダ518が、第1および第2の対向部材510a、510bのそれぞれに結合され得る。そのような変形形態において、スライダ518の各々は、ループ505の結果として生じる形状を選択的に調整するために同じまたは異なる量だけ選択的に調節され得る。例えば、ユーザは、一方のスライダ518を押し、他方のスライダ518を引っ張り、子宮内での子宮内部分502の非対称展開を提供し得る。そのような機能性は、局限性の出血が子宮の片側において特定される臨床シナリオには特に有利であり得る。
【0043】
図6Aおよび図6Bを参照すると、子宮内部分402が押し入力により作動されるように構成されるデバイス600の別の実装形態が示される。デバイス600は、子宮内部分602のヘッド601を受け入れるようにサイズ決定される穴638を確定するアプリケータ637を含む。ヘッド601は、弾力的に圧縮可能な生体適合性発泡体など、多孔質媒体から形成され得る。ヘッド601は、発泡体と流体連通状態にある内腔を画定する内管646に結合され得る。ヘッド601は、非展開形態においてアプリケータ637内に完全に受け入れられるように圧縮可能である。アプリケータ637は、身体開口部を通じたデバイス600の挿入を支援するために十分に幅狭の外径を有する。前述のスライダなど、アクチュエータ(図示せず)は、内管646に動作可能に結合され得る。アクチュエータは、第1の位置から第2の位置へ移動して、それに応じて内管646およびヘッド601をアプリケータ637に対して遠位に移動させるために、ユーザからの入力を受け取るように構成される。ヘッド601がアプリケータ637の遠位端611を超えて露出されると、発泡体の弾力性は、ヘッド601の外側プロファイルを増大させ、それにより、子宮内部分602を展開形態へ移動させる。図6Bは、子宮の形状に対して相補的な洋ナシ形状をとるものとしてヘッド601を示すが、ヘッド601は、他の好適な形状をとるように設計され得る。特に、発泡体の圧縮性および製造可能性に起因して、高偏心性かつ不規則な形状が達成され得る。例えば、ヘッド601の遠位区域は、展開形態において近位区域よりも2倍以上幅広であってもよい。別の例では、近位区域は、頸部近くの血液プールを吸収することが示され得る臨床的事例では、展開形態において遠位区域よりも幅広であってもよい。補強要素および他の構造体が、所望の形状の展開を引き起こすように発泡体に結合され得る、またはこれに埋め込まれ得ることも企図される。
【0044】
展開形態において、発泡体は、ヘッド601内へ血液を引き込むために吸収性を有する。さらに、発泡体は、ヘッド601を通じた吸引を許容する密度で形成され得る。さらなる吸引は、アプリケータ637を通じてもたらされるように構成され得、これは、アプリケータ637の遠位端611が、血液が蓄積しやすい頸部のすぐ遠位に位置付けられるため、特に有利であり得る。デバイス600の本実装形態は、頸部分、補助吸引源、および本明細書に説明される他の実装形態の他の特徴部を含み得るということを理解されたい。
【0045】
図7は、子宮内部分702が引っ張り入力または押し入力により作動されるように構成されるデバイス700の別の実装形態を示す。子宮内部分702は、ループとは異なり、各々がそれぞれの遠位端で終端する、第1および第2の対向部材710a、710bを含み得る。第1および第2の対向部材710a、710bは、タインと見なされ得る。任意の好適な径方向配向で配置される3つ以上のタインが存在し得ることを理解されたい。例えば、タインは、カラー712に対して放射状に(radially)等角度間隔をあけて配置され得るか、または、過度の出血が発生しやすい子宮の領域に位置すると考えられるタインの局所的な集中をもたらすように、不規則に間隔をあけて配置され得る。
【0046】
第1および第2の対向部材710a、710bは各々、カラー712に結合される近位端、および近位端と遠位端との間のリビングヒンジ740a、740bを含む。リビングヒンジ740a、740bは、対向部材710の遠位区域が近位区域に対して枢動することを可能にするように構成される。言い換えると、対向部材710は、「折り畳み可能」であり得る。遠位区域は、子宮に対して少なくとも部分的に相補的である子宮内部分702の外側プロファイルを形成するために、弓形であり外向きに広がっていてもよい。
【0047】
1つの変形形態において、対向部材710は、図7に示されるように完全に伸びるように形成または付勢される。対向部材710は、弾力性の生体適合性材料から形成され得る。対向部材710の遠位区域(すなわち、リビングヒンジ740の遠位)は、例えば、引っ張りワイヤを通じてアクチュエータ(特定されない)に動作可能に結合される。アクチュエータは、遠位区域がリビングヒンジ740周りに内向きに枢動して子宮内部分702のより幅狭の外側プロファイルを生じる非展開形態へデバイス700を移動させるように、作動される。入力は、子宮内部分702が身体開口部を通って子宮内へ挿入される際、アクチュエータ上に維持され得る。所望の通りに位置付けられると、アクチュエータへの入力は除去され得、対向部材710の弾力性は、対向部材710がそれらの自然状態へ戻るように遠位区域をリビングヒンジ740周りに外向きに枢動させ、それにより、デバイス700を展開形態へ移動させる。
【0048】
別の変形形態において、対向部材710は、遠位区域が内向きに折り畳まれるように付勢される。デバイス700は、非展開形態にあり、身体開口部を通じて挿入可能である。アクチュエータは、遠位区域をリビングヒンジ740周りに外向きに枢動させるように作動され、それにより、デバイス700を展開形態へ移動させる。例えば、補強要素は、対向部材710のそれぞれを通って延びる穴内にスライド可能に位置付けられ得る。アクチュエータへの押し入力は、補強要素を穴内で遠位に促して、対向部材710を真っすぐにする。いずれかの変形形態において、第1および第2の対向部材710a、710bが独立して展開可能であり得ることが企図されることが企図される。2つ以上のアクチュエータが設けられ得、アクチュエータの各々が、第1および第2の対向部材710a、710bのそれぞれに結合される。
【0049】
対向部材710は、吸引ポート706を画定する。本実装形態において、対向部材710は、導管742を画定し、吸引ポート706は、導管内に配設される。導管742内の吸引ポート706の位置付けは、図7に示されるものなど、吸引ポート706がデバイス700の外側面にある場合に望ましい。言い換えると、対向部材710の外側面は子宮の組織に接触しやすく、したがって、さもなければ、外側面上の吸引ポート706により組織吸引されやすい。したがって、導管742は、組織吸引の事例を制限し得る間隙または隙間を提供する。追加的または代替的に、吸引ポート706は、対向部材710の内側面に配設され得る。吸引ポート706は、等間隔をあけて配置され得るか、またはより多くもしくは少ない吸引ポートが、遠位区域または近位区域に配設され得る。対向部材710は、吸引ポート706と流体連通状態にある内腔をさらに画定する。内腔は、デバイス700内で合流されて単一の吸引経路を形成し得るか、または内腔の各々は、流体的に別々のままであり得、デバイス700が対向部材710の各々を通じて吸引を独立して制御するように構成される。デバイス600の本実装形態は、頸部分、補助吸引源、および本明細書に説明される他の実装形態の他の特徴部を含み得るということをさらに理解されたい。
【0050】
分娩後出血の後遺症は、子宮内の血栓の形成を含み得る。血栓は、吸引ポートの1つまたは複数を閉塞させる、または詰まらせるのに十分なサイズのものであり得、それにより、吸引の効果を損なう可能性がある。本開示のデバイスの作動ベースの機能性は、能動的な詰まり管理のために実現され得る。アクチュエータ(特定されない)が、1つまたは複数の吸引ポート806を通じた吸引を選択的に許容する、または防ぐために作動されるデバイス800の1つの実施形態が図8A図8Dに示される。子宮内部分802は、吸引ポート806を画定するヘッド844、およびヘッド844内に回転可能に配設される内管846を含む。ヘッド844は、導管を確定するフランジ845を備え、吸引ポート806が既に説明した理由で導管内に配設される。例示される実装形態は、子宮内部分802を、概して一定の断面を有する細長として示すが、本体またはフランジ845などのヘッド844は、子宮内部分802に様々な断面プロファイルを提供するために、外向きに広がり得るか、または任意の好適な輪郭のものであり得る。同様に、吸引ポート806は、ヘッド844の表面のいずれかに、および任意の好適な配置で、位置付けられ得る。
【0051】
内管846は、吸引経路と流体連通状態で配置されるように構成される内腔を画定し得る。内管846は、内腔と流体連通状態にある1つまたは複数の開口部848を画定し得る。内管846がヘッド844内で回転可能である状態で、開口部848は、吸引ポート806と選択的に流体連通状態で配置されるように構成される。例えば、図8Cは、開口部848のうちの1つが吸引ポート806の上方のもの(列)と整列した状態で、吸引ポート806がヘッド844の対向側面で径方向にブロックされることを示す。子宮内の吸引は、この整列を通じて確立され、他の2つの吸引ポート806を通じた吸引は防がれ得る。血栓(C)は、吸引ポート806に詰まり得、医療廃棄物収集システム100上で測定されるような、吸引における測定された降下は、吸引ポート806の詰まりと解釈され得る。
【0052】
結果として、ユーザは、ヘッド844内で内管846を回転させるためにアクチュエータ(特定されない)に入力を提供し得る。図8Dに示されるように、相対回転は、開口部848を移動させて吸引ポート806の別のものとの整列に至らせる。この整列は、吸引ポート806のうちの詰まっていないものを通じた吸引を再確立し、吸引ポート806のうちの詰まったものを通じた吸引を防ぐ。子宮内で所望のレベルおよび効果の吸引を維持することに加えて、詰まった吸引ポートを通じた吸引の中断は、血栓が外れることを結果としてもたらし得る。以前に詰まった吸引ポート806は、所望の場合、後続の使用のために、再び開かれ得る。
【0053】
内管846は、2つ以上の開口部848を含み得るこということを理解されたい。例えば、内管846は、ヘッド844の対向する両側の吸引ポート806と整列するように構成される2つの開口部を対向する両側に含み得る。別の例では、内管846は、等しい数の開口部を含み得、ヘッド844上の吸引ポート806のすべてと整列されるように構成され得る。そのような例において、ヘッド844内での内管846の回転は、アクチュエータへの入力を通じてヘッド844を通じた吸引を選択的に活性化または非活性化するように構成される。本実装形態の能動的な詰まり管理は、本明細書に説明される実装形態のうちの任意の他のものにおいて実現され得ることがさらに企図されている。例えば、開口部を画定する内管は、本明細書に説明される様々な対向部材(例えば、ループ、タインなど)内に配設され、追加のアクチュエータに動作可能に結合され得る。それらのアクチュエータへの入力は、詰まっている可能性のある吸引ポートのうちの1つまたは複数を通じた吸引を選択的に防ぐために、対向部材内で内管を回転させ得る。
【0054】
詰まりを低減するための別の実装形態およびその効果は、図9に示される。子宮内部分902は、容積部を画定するシェル956、および容積部と流体連通状態にある孔958を含み得る。ヘッド905は、吸引ポート906を画定する正面部907を含む。シェル956は、容積部を画定するためにヘッド905に結合され、吸引ポート906が容積部内に開口する。吸引ポート906は、正面部から内向きに延びるじょうご部(funnel)952、および正面部907から外向きに延びる突出部954によってさらに画定され得る。
【0055】
シェル956は、第1のサイズを上回る血栓を捕捉するために第1のバリアを提供するように構成される。図9に示されるように、血栓は、シェル956の孔958のうちの1つによって捕捉される一方、残りの孔958を通じた吸引は、妨げられずにいる。言い換えると、吸引は、シェル956の周りに径方向に配設される他の孔958を通じて妨害されずにいる。孔958は、寸法が細長であり、したがって、形状が略球状であり得る血栓によって閉塞される可能性が低いということにも留意されたい。血栓が孔958のうちの1つを通って容積部内へ入るのに十分に小さい場合、じょうご部952および/または突出部954は、吸引の効果の低下を制限するために第2のバリアを提供するように構成される。例えば、じょうご部952は、血栓をじょうご部952内に少なくとも部分的に収集させ、それにより、血栓が複数の吸引ポートを詰まらせることがないようにし得る。同様に、突出部954は、血栓をじょうご部952の方へ誘導し得る。さらに、突出部954を通って、例えば、円すい台の遠位端において、画定される吸引ポート906は、血栓が円すい台の遠位端に位置する可能性が少ないようにする。図8は、能動的な詰まり管理の形態と見なされ得る一方、図9は、受動的な詰まり管理の形態であり得る。
【0056】
いくつかの構成が前述の説明において論じられている。しかしながら、本明細書で論じられる構成は、完全であること、または本発明を任意の特定の形態に限定することは意図されない。使用されている用語は、制限というよりも説明の言葉の性質を帯びていることが意図される。多くの変更形態および変形形態が、上の教示を考慮して可能であり、本発明は、具体的に説明されるものとは別の方法で実践され得る。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図9
【国際調査報告】