(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】合成ガス炭素利用率及びバイオ燃料への変換の最大化
(51)【国際特許分類】
C10K 1/00 20060101AFI20240829BHJP
C10K 1/08 20060101ALI20240829BHJP
C10K 1/32 20060101ALI20240829BHJP
C08J 11/12 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
C10K1/00
C10K1/08
C10K1/32
C08J11/12 ZAB
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024513238
(86)(22)【出願日】2022-08-26
(85)【翻訳文提出日】2024-04-22
(86)【国際出願番号】 CA2022051292
(87)【国際公開番号】W WO2023023865
(87)【国際公開日】2023-03-02
(32)【優先日】2021-08-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521446495
【氏名又は名称】エネルケム インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100217179
【氏名又は名称】村上 智史
(72)【発明者】
【氏名】ジャン-ピエール クレテ
(72)【発明者】
【氏名】クセニヤ サベーリエバ
(72)【発明者】
【氏名】ジェレミー ガグノン
(72)【発明者】
【氏名】ルイ デノム
(72)【発明者】
【氏名】マクシム バンビル
(72)【発明者】
【氏名】マクシム フーコー
(72)【発明者】
【氏名】ミシェル コーネ
【テーマコード(参考)】
4F401
4H060
【Fターム(参考)】
4F401AA03
4F401AA27
4F401AC02
4F401BA01
4F401BA06
4F401CA02
4F401CA70
4F401DA02
4F401DA06
4F401DA07
4F401FA07Z
4H060AA01
4H060BB22
4H060BB23
4H060BB33
4H060BB34
4H060DD02
4H060DD12
4H060DD13
4H060DD21
4H060EE01
4H060EE03
4H060FF03
4H060FF04
4H060GG08
(57)【要約】
合成ガス変換ユニットに供給する前に、様々な洗浄済合成ガス源からの合成ガス炭素利用率及び合成ガス純度を最適化するための方法であって、洗浄済合成ガスを、少なくとも1つの吸収ユニットを備える精製ユニットに供給して、洗浄済合成ガスからCO2を除去し、清浄CO+H2+CO2合成ガス流と、CO2リッチ流とを生成するステップと、清浄CO+H2+CO2合成ガス流を水素と混合して平衡合成ガス流を生成するステップであって、平衡合成ガス流が合成ガス変換ユニットの化学量論比及び純度要件を満たす、ステップと、を含む、方法が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄済合成ガス源からの合成ガス炭素利用率、合成ガス純度、及び後続の下流合成ガス変換ユニットへの合成ガス変換を最適化するための方法であって、
a)洗浄済合成ガスを、少なくとも1つの吸収ユニットを備える精製ユニットに供給して、前記洗浄済合成ガスからCO
2を部分的に除去し、清浄合成ガス流及びCO
2リッチ流を生成するステップと、
b)前記清浄合成ガス流を水素と混合して平衡合成ガス流を生成するステップであって、前記平衡合成ガス流が前記合成ガス変換ユニットの化学量論比要件を満たす、ステップと、
c)前記平衡合成ガス流を前記合成ガス変換ユニットに供給するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの吸収ユニットが、硫黄種を更に除去し、追加の硫黄種リッチ流を生成する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記硫黄種が、H
2S、COS、CS
2、又はそれらの組み合わせである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの吸収ユニットが、窒素汚染物質種を更に除去し、追加の窒素汚染物質リッチ流を生成する、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記様々な洗浄済合成ガス源が、25~45モル%のH
2、30~65モル%のCO、及び6~40モル%のCO
2を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記清浄合成ガス流の組成が、30%~50モル%のH
2、40~68モル%のCO、及び0~25モル%のCO
2を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記CO
2リッチ流を不活性化ガスとして使用するために再循環させるステップ、前記CO
2リッチ流を炭素捕捉及び貯蔵(CCS)のために搬出するステップ、並びに/又は前記CO
2リッチ流から販売可能な商用CO
2を生成するステップを更に含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記精製ユニットが、選択的溶媒を含む酸性ガス除去ユニット(AGR)であって、
-前記選択的溶媒を使用して吸収ユニットにおいて前記洗浄済合成ガスからCO
2及び硫黄種を吸収して、負荷溶媒及び清浄合成ガス流を生成し、
-少なくとも1つの再循環ループを通して前記負荷溶媒を取り出し、
-前記負荷溶媒を中間圧力でプレフラッシングして、吸収されたH
2及びCOを回収し、H
2及びCOリッチなCO
2流と、フラッシングされた溶媒流とを生成し、
-前記フラッシングされた溶媒をより低い圧力でフラッシングしてCO
2を回収し、不燃性CO
2リッチ流と、第2のフラッシングされた溶媒とを発生させ、
-第1のストリッピングユニットにおいて前記第2のフラッシングされた溶媒をストリッピングして前記硫黄種を除去し、リッチ硫黄種流と、前記吸収ユニットに再循環される清浄溶媒とを生成するための、
選択的溶媒を含む酸性ガス除去ユニット(AGR)である、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記負荷溶媒の第1の部分が、第1の再循環ループを通して取り出され、前記負荷溶媒の第2の部分が、第2の再循環ループを通して取り出され、
-前記負荷溶媒の前記第1の部分を中間圧力でプレフラッシングして、前記負荷溶媒中に含有されている前記H
2及び前記COを回収し、H
2及びCOリッチな第1のCO
2流と、第1のフラッシングされた溶媒とを生成し、前記負荷溶媒の前記第2の部分を中間圧力でプレフラッシングして、前記負荷溶媒中に含有されているH
2及びCOを回収し、H
2及びCOリッチな第2のCO
2流と、第2のフラッシングされた溶媒とを生成し、
-前記第1のフラッシングされた溶媒をより低い圧力でフラッシングして、不燃性CO
2リッチ流と、前記吸収ユニットに再循環される清浄溶媒とを発生させ、
-H
2及びCOリッチな前記第1のCO
2流及び前記第2のCO
2流を、前記吸収ユニットの上流の洗浄済合成ガス流中に再循環させ、
-第1のストリッピングユニットにおいて前記第2の溶媒をストリッピングして硫黄種を除去し、リッチ硫黄種流と、前記吸収ユニットに再循環される清浄溶媒とを生成する、
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記精製ユニットが、選択的溶媒を含む酸性ガス除去ユニット(AGR)であって、
-前記選択的溶媒を使用して前記吸収ユニットにおいて前記洗浄済合成ガスからCO
2、硫黄種、及び窒素種を吸収して、負荷溶媒及び清浄合成ガス流を生成し、
-少なくとも1つの再循環ループを通して前記負荷溶媒を取り出し、
-前記負荷溶媒を中間圧力でプレフラッシングして、吸収されたH
2及びCOを回収し、H
2及びCOリッチなCO
2流とフラッシングされた溶媒流とを生成し、
-前記フラッシングされた溶媒をより低い圧力でフラッシングしてCO
2を回収し、不燃性CO
2リッチ流と、第2のフラッシュ溶媒とを発生させ、
-第1のストリッピングユニットにおいて前記第2のフラッシュ溶媒をストリッピングして前記硫黄種及び窒素種を除去し、リッチ硫黄及び窒素種流と、前記吸収ユニットに再循環される清浄溶媒とを生成するための、
選択的溶媒を含む酸性ガス除去ユニット(AGR)である、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記負荷溶媒の第1の部分が、第1の再循環ループを通して取り出され、負荷溶媒の第2の部分が、第2の再循環ループを通して取り出され、負荷溶媒の第3の部分が、第3の再循環ループを通して取り出され、
前記負荷溶媒の前記第1の部分を中間圧力でプレフラッシングして、前記負荷溶媒中に含有されている前記H
2及び前記COを回収し、H
2及びCOリッチな第1のCO
2流と、第1のフラッシングされた溶媒とを生成し、前記負荷溶媒の前記第2の部分を中間圧力でプレフラッシングして、前記負荷溶媒中に含有されているH
2及びCOを回収し、H
2及びCOリッチな第2のCO
2流と、第2のフラッシングされた溶媒とを生成し、任意選択で、前記負荷溶媒の前記第3の部分を中間圧力でプレフラッシングして、前記負荷溶媒中に含有されている前記H
2及び前記COを回収し、H
2及びCOリッチな第3のCO
2流と第3のフラッシングされた溶媒とを生成し、
前記第1のフラッシングされた溶媒をより低い圧力でフラッシングして、不燃性CO
2リッチ流と、前記吸収ユニットに再循環される清浄溶媒とを発生させ、
H
2及びCOリッチな前記第1のCO
2流、前記第2のCO
2流、及び任意選択の前記第3のCO
2流を、前記吸収ユニットの上流の洗浄済合成ガス流中に再循環させ、
ストリッピングユニットにおいて前記第2のフラッシングされた溶媒及び前記第3のフラッシングされた溶媒、又はフラッシングされていない溶媒をストリッピングして前記硫黄種及び窒素種を除去し、リッチ硫黄及び窒素種流と、前記吸収ユニットに再循環される清浄溶媒とを生成する、
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第3のフラッシングされた溶媒が、第2の別個のストリッピングユニットにおいてストリッピングされる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1のストリッピングユニット及び/又は前記第2のストリッピングユニットが、前記硫黄種及び/又は前記窒素種を除去して、リッチ硫黄種ガス流、及び/又はリッチ窒素種ガス流、並びに清浄溶媒を生成する熱ストリッパーであり、前記清浄溶媒が、前記少なくとも1つの吸収ユニットに再循環される、請求項8~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
ループ流量及び温度、並びに/又は前記プレフラッシングステップの圧力が、前記最終清浄合成ガス流中の目標CO
2含有量を達成するように調整される、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記硫黄種が、H
2S、COS、CS
2、又はそれらの組み合わせである、請求項4及び6~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
窒素汚染物質種が、HCN、NH
3、アミン、又はそれらの組み合わせである、請求項4及び10~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記洗浄済合成ガス源が、経時的に変動する収率、流量、及び/又は組成を有する、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記洗浄済合成ガス源の変動性が、不均一廃棄物バイオマス、廃棄物、及び/又はプラスチック廃棄物供給原料の可変的性質に起因する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記清浄溶媒が、前記少なくとも1つの吸収ユニットに再循環される前に冷却される、請求項8~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
熱ストリッパーが、リボイラー及びコンデンサーのうちの少なくとも一方を含むカラムを備える、請求項13に記載の方法。
【請求項21】
前記不燃性CO
2リッチ流が、不活性化ガスとして更に使用される、炭素捕捉及び貯蔵(CCS)のために回収される、並びに/又は販売可能な商用CO
2を生成する、請求項8~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記清浄合成ガス流を水素と混合する前又は後に、前記清浄合成ガス流を少なくとも1つの固体吸着剤床で処理するステップを更に含む、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
少なくとも1つの吸着剤床が、HCl及びハロゲン除去のためのアルミナ系吸着剤、HCl、ハロゲン、及びH
2Sの除去のためのZnO系吸着剤、COS、CS
2、及びアルシンを除去するためのCu系吸着剤、並びにカルボニル除去のための吸着剤を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記吸収ユニットが、少なくとも3つの物質移動帯セクション、代替的に少なくとも4つの物質移動帯セクションを備えるカラムである、請求項2~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記吸収ユニット物質移動帯セクションが、別々のカラムに備えられている、請求項2~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記精製ユニットにおける前記清浄合成ガス流が、100ppbv未満、10ppbv未満、又は代替的に5ppbv未満のHCN及びNH
3を達成する、請求項1~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記精製ユニットにおける前記清浄合成ガス流が、10ppmv未満、5ppmv未満、1ppmv未満、又は代替的に0.1ppmv未満の結合硫黄種を達成する、請求項1~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記固体吸着剤床における前記清浄合成ガス流が、10ppbv未満、又は代替的に5ppbv未満の硫黄種、ハロゲン種、アルシン、及び/又は金属カルボニルを達成する、請求項22又は23に記載の方法。
【請求項29】
前記ハロゲン種が、HCl、HF、HBr、又はそれらの組み合わせである、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記金属が、Ni、Fe、又はそれらの組み合わせである、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記清浄合成ガス流中のH
2S濃度が、前記下流合成ガス変換ユニットの前記要件を満たすために、特定の所望の濃度を達成するように調整される一方、低レベルのHCN及び/又はNH
3濃度を達成する、請求項1~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記清浄合成ガス流中の前記H
2S濃度が、200ppmv未満に維持される、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記清浄合成ガス流中の前記H
2S濃度が、100ppmv未満に維持される、請求項31又は32に記載の方法。
【請求項34】
前記水素が、外部供給源から取り込まれる、請求項1~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記取り込まれた水素が、再生可能な供給源及び/又は低炭素強度の供給源に由来する、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記取り込まれた水素が、再生可能電力、低炭素強度電力による水電解、バイオガス改質、蒸気改質、低炭素強度(CI)水素源、又は低CI廃棄物H
2源に由来する、請求項34又は35に記載の方法。
【請求項37】
前記精製ユニットが、溶媒として冷却メタノールを含む、請求項1~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記平衡合成ガス流が、燃料、化学物質、又はフィッシャートロプシュ生成物を生成するための前記合成ガス変換ユニットの前記化学量論比要件を満たす、請求項1~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記化学物質が、メタノール及び/又はエタノールである、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記フィッシャートロプシュ生成物が、ディーゼル、灯油、ジェット燃料、及び/又はナフサである、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
前記洗浄済合成ガスが、炭素質材料のガス化及び/又は改質からのものである、請求項1~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記洗浄済合成ガス源が、炭素質材料に由来する、請求項1~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記炭素質材料が、プラスチック、金属、無機塩、有機化合物、産業廃棄物、再循環施設廃棄物、自動車フラッフ、都市固形廃棄物、ICI廃棄物、C&D廃棄物、廃棄物由来燃料(RDF)、固形回収燃料、下水汚泥、使用済み送電柱、鉄道枕木、木材、タイヤ、合成繊維、カーペット、合成ゴム、化石燃料起源の材料、発泡ポリスチレン、ポリフィルムフロック、建築木材材料、又はそれらの任意の組み合わせを含む、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記炭素質材料が、バイオマス、バイオマスリッチ廃棄物、プラスチックリッチ廃棄物、又は廃棄物である、請求項42に記載の方法。
【請求項45】
前記炭素質材料が、プラスチック、ゴム、又はタイヤリッチ廃棄物供給原料である、請求項42に記載の方法。
【請求項46】
CO
2の外部供給源又は別のプロセス流出物から投入されたCO
2を、水素の前記外部供給源と共に前記清浄合成ガス流に混和して、所望の最終生成物の化学量論比を満たす、炭素が更に高められた平衡合成ガスを生成し、それにより前記所望の最終生成物の生成を更に増加させるステップを更に含む、請求項1~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
追加のCO
2の供給源を、CO
2回収及び精製ユニットを追加することによって前記精製ユニット内で回収して、高品質及び/又は超清浄CO
2流を生成する、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記CO
2回収及び精製ユニットが、一次及び/又は二次CO
2カラムを備え、
・中品質CO
2が、前記一次CO
2カラム中で生成される、及び/又は
・高品質CO
2が、前記二次CO
2カラム中で生成される、
請求項47に記載の方法。
【請求項49】
・前記第1の再循環ループからの前記CO
2負荷溶媒の一部又は全部が、前記一次及び/又は二次CO
2カラムにおける洗浄媒体として使用され、
・前記第2の再循環ループの前記CO
2及び硫黄種負荷溶媒が、前記一次CO
2カラムの底部に供給され、
・前記一次CO
2カラムの前記底部からのCO
2及び硫黄種負荷溶媒が、前記二次CO
2カラムに供給され、
・前記二次CO
2カラムの底部からの濃縮硫黄種負荷溶媒が、前記ストリッピングユニットに供給される、
請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記高品質CO
2を固体吸着剤で更に処理して、超高度のCO
2品質を生成する、請求項48又は49に記載の方法。
【請求項51】
前記超高度のCO
2品質が、
・水素の前記外部供給源と共に前記清浄合成ガス流に混和されて、所望の最終生成物の化学量論比を満たす、炭素が更に高められた平衡合成ガスを生成し、それにより前記所望の最終生成物の生成を更に増加させる、
・オフサイトで販売される、
・及び/又は貯蔵のために送られる、
のいずれかである、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記生成された超高度のCO
2品質が、追加の取り込まれた水素と共に、H
2及びCO
2から所望の最終副産物を生成する別個の第2の合成ガス変換ユニットに送られる、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記副産物合成ガス変換ユニットが、メタノール触媒反応器、鉄系触媒を使用するフィッシャートロプシュ反応器、又は微生物バイオ触媒を使用するエタノール反応器である、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記第1の合成ガス変換ユニットが、H
2及びCOを前記所望の最終生成物にその場で変換することができ、H
2及びCO
2を前記所望の最終生成物に変換することができない、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記合成ガス変換ユニットの前に、前記回収されたCO
2の一部を、前記取り込まれたH
2の一部と共に変換して、追加の一酸化炭素を発生させる逆水性ガスシフト(RWGS)ユニットを更に含む、請求項1~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記追加のCO生成物が、前記清浄合成ガスの一部と混合されて、高められたCO清浄合成ガスを発生させる、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記回収されたCO
2が、炭素質供給原料ガス化及び/又は改質ユニットに再循環されて、前記洗浄済合成ガスのH
2/CO比を減少させ、全CO収率及び生成を増加させ、高められたCO洗浄済合成ガス及び高められたCO清浄合成ガスを発生させる、請求項1~56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記高められたCO清浄合成ガスを水素と混合して平衡合成ガス流を生成し、前記平衡合成ガス流が前記合成ガス変換ユニットの前記化学量論比要件を満たす、請求項56又は57に記載の方法。
【請求項59】
前記精製ユニットが、少なくとも頂部及び底部物質移動帯セクションを有する分割装填ストリッパーカラムを含むストリッピングユニットを備え、窒素種負荷メタノールが前記ストリッパーカラムの頂部及び前記頂部物質移動帯の上方に供給され、前記硫黄種負荷メタノールが前記頂部物質移動帯セクションと前記底部物質移動帯セクションとの間の前記ストリッパーカラムの中央に供給される、請求項1~58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記精製ユニットが、前記清浄合成ガスにおいて99%超のH
2+CO回収率を達成することを可能にする、請求項1~59のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
合成ガス炭素利用率、合成ガス純度、及び後続の下流合成ガス変換ユニットへの合成ガス変換を最適化するための方法が提供される。
【背景技術】
【0002】
合成ガスからのメタノール生成は、周知の技術である。従来、そのような合成ガスは、石炭ガス化、天然ガス改質、又は他の化石燃料ガス化、又は触媒及び/若しくは熱改質から生成されてきた。
【0003】
合成ガスはまた、バイオマス(例えば、木材、農業残渣、又は成長の速い作物)、プラスチック、バイオマスリッチ残渣及び/又は廃棄物などのバイオ炭素質供給原料を使用して、同様のガス化及び/又は改質技術から生成されることが実証されている。合成ガス生成は、アルコール(メタノール、エタノール、及びプロパノールなど)、ドロップイン燃料(例えば、炭化水素)、及び/又は他の化学物質(例えば、酢酸、アクリル酸、又は酢酸メチル)を生成するために使用されてきた。
【0004】
いくつかの炭素質固体又は液体供給原料のガス化及び/又は改質技術は、最終的に、メタノール、アルコールの生成、及びフィッシャートロプシュのための化学量論に従って必要とされる2.0未満のH2/CO比を有する粗合成ガス流を発生させる。これらの方法から生成されるH2/CO比は、多くの場合1.5未満、更に0.7以下の低さである。
【0005】
所望の最終生成物の化学量論的反応から得られる比に従って必要とされるよりも低いH2/COを有する粗合成ガスを生成する石炭又は液体化石燃料のガス化及び/又は改質プラントにおいて、水性ガスシフト反応器は、典型的には、プラント設計に含まれ、過剰なCOの一部を追加のH2にシフトして、全体的なプラントH2/CO比を(下記の反応1に従って)再平衡化する。この水性ガスシフト反応器はまた、副生成物としてCO2を生成する。プラント全体が過剰のCO2を有するので、CO2除去のためにプロセスユニットが必要とされる。供給原料はまた、典型的には硫黄を含有し、硫黄はガス化及び/又は改質ユニットにおいて還元硫黄種(H2S、COSなど)に変換され、そのような典型的なプラントはまた、CO2及び硫黄種の両方を除去する酸性ガス除去(acid gas removal、AGR)ユニットを備える。硫黄種は、いくつかの合成ガス変換触媒にとって汚染物質又は毒であり、また、ほとんどの最終化学製品及び/又は燃料製品において望まれない。
CO+H2O⇔CO2+H2 (1)
【0006】
特定の触媒及び/又は所望の最終生成物に応じて、HCN、NH3、及び/又はアミンなどの窒素汚染物質も合成ガスから除去しなければならない。そのような窒素汚染物質はまた、他の技術と組み合わせて又は組み合わせずに、酸性ガス除去ユニットにおいて除去することができる。商業的に入手可能なコバルト系フィッシャートロプシュ触媒は、そのような窒素汚染物質の超低レベルのみを許容することができる一方、硫黄汚染物質の超低レベルを達成することも必要とする触媒の一例である。合成ガスからの窒素汚染物質の除去は、メタノール又はエタノールなどの他の合成ガス変換技術にも利益をもたらし、メタノールとNH3との反応からのトリメチルアミン(trimethylamine、TMA)形成、及びその後の、最終所望生成物からTMAを除去するための追加の精製の努力を防止することができる。
【0007】
バイオマス、バイオマスリッチ又は廃棄物のガス化及び/又は改質価値化プラントにおいて、そのようなアプローチは、一酸化炭素シフト(式1)を介して貴重な生物起源炭素を失うという悪影響を及ぼし、一酸化炭素シフトは、最終的な生物起源生成物ではなく、むしろ過剰なCO2(プラントは、これを非常に低い価値の商用CO2として価値化する、及び/又は処理後に大気に安全に放出する必要がある)をもたらし、プラントの温室効果の影響を増加させる。これはまた、プラスチックリッチ廃棄物、廃棄物(有意な非バイオ画分を含有する)、又は非バイオ化石由来廃棄物のガス化にも適用される。
【0008】
したがって、炭素の損失(大部分はCO2として)を最小限に抑え、全体的な炭素合成ガス変換を最大化することによって収率を改善し、同様に炭素供給原料の最終所望生成物への変換を改善する方法を提供する必要が依然としてある。
【発明の概要】
【0009】
洗浄済合成ガス源からの合成ガス炭素利用率、合成ガス純度、及び後続の下流合成ガス変換ユニットへの合成ガス変換を最適化するための方法であって、洗浄済合成ガスを、少なくとも1つの吸収ユニットを備える精製ユニットに供給して、当該洗浄済合成ガスからCO2を部分的に除去し、清浄合成ガス流及びCO2リッチ流を生成するステップと、清浄合成ガス流を水素と混合して平衡合成ガス流を生成するステップであって、平衡合成ガス流が合成ガス変換ユニットの化学量論比要件を満たす、ステップと、当該平衡合成ガス流を当該合成ガス変換ユニットに供給するステップと、を含む、方法が提供される。
【0010】
一実施形態では、少なくとも1つの吸収ユニットは、硫黄種を更に除去し、追加の硫黄種リッチ流を生成する。
【0011】
更なる実施形態では、硫黄種は、H2S、COS、CS2、又はそれらの組み合わせである。
【0012】
別の実施形態では、少なくとも1つの吸収ユニットは、硫黄種リッチ流と組み合わされる窒素汚染物質種を更に除去するか、又は追加の窒素汚染物質リッチ流を生成する。
【0013】
一実施形態では、様々な洗浄済合成ガス源は、25~45モル%のH2、30~65モル%のCO、及び6~40モル%のCO2を含む。
【0014】
更なる実施形態では、清浄合成ガス流組成は、30%~50モル%のH2、40~68モル%のCO、及び0~25モル%のCO2を含む。
【0015】
更なる実施形態では、最適化された炭素回収平衡合成ガス中の炭素含有量(CO2+CO)は、洗浄済合成ガス炭素の最終所望生成物への変換を65%超増加させることを可能にする。
【0016】
一実施形態では、本明細書に記載の方法は、CO2リッチ流を不活性化ガスとして使用するために精製ユニットの上流で、好ましくはガス化ユニットに再循環させるステップ、当該CO2リッチ流を炭素捕捉及び貯蔵(Carbon Capture and Storage、CCS)のために搬出するステップ、並びに/又は当該CO2リッチ流から販売可能な商用CO2を生成するステップを更に含む。
【0017】
特定の実施形態では、精製ユニットは、選択的溶媒を含む酸性ガス除去ユニット(AGR)であって、当該選択的溶媒を使用して吸収ユニットにおいて洗浄済合成ガスからCO2及び硫黄種を吸収して、負荷溶媒及び清浄合成ガス流を生成し、少なくとも1つの再循環ループを通して負荷溶媒を取り出し、当該負荷溶媒を中間圧力でプレフラッシングして、吸収されたH2及びCOを回収し、H2及びCOリッチなCO2流と、フラッシングされた溶媒蒸気とを生成し、フラッシングされた溶媒をより低い圧力でフラッシングしてCO2を回収し、不燃性CO2リッチ流と第2のフラッシングされた溶媒とを発生させ、第1のストリッピングユニットにおいて第2のフラッシングされた溶媒をストリッピングして硫黄種を除去し、リッチ硫黄種流と、吸収ユニットに再循環される清浄溶媒とを生成するための、選択的溶媒を含む酸性ガス除去ユニット(AGR)である。
【0018】
更なる実施形態では、負荷溶媒の第1の部分は、第1の再循環ループを通して取り出され、負荷溶媒の第2の部分は、第2の再循環ループを通して取り出され、負荷溶媒の第1の部分を中間圧力でプレフラッシングして、負荷溶媒中に含有されているH2及びCOを回収し、H2及びCOリッチな第1のCO2流と、第1のフラッシングされた溶媒とを生成し、負荷溶媒の第2の部分を中間圧力でプレフラッシングして、負荷溶媒中に含有されているH2及びCOを回収し、H2及びCOリッチな第2のCO2流と、第2のフラッシングされた溶媒とを生成し、第1のフラッシングされた溶媒をより低い圧力でフラッシングして、不燃性CO2リッチ流と、吸収ユニットに再循環される清浄溶媒とを発生させ、H2及びCOリッチな第1のCO2流及び第2のCO2流を、吸収ユニットの上流の洗浄済合成ガス流中に再循環させ、ストリッピングユニットにおいて第2のフラッシングされた溶媒をストリッピングして硫黄汚染物質(例えば、H2S、COSなど)を除去し、H2Sリッチ流と、吸収ユニットに再循環される清浄溶媒とを生成する。
【0019】
別の実施形態では、精製ユニットは、選択的溶媒を含む酸性ガス除去ユニット(AGR)であって、当該選択的溶媒を使用して吸収ユニットにおいて洗浄済合成ガスからCO2、硫黄種、及び窒素種を吸収して、負荷溶媒及び清浄合成ガス流を生成し、少なくとも1つの再循環ループを通して負荷溶媒を取り出し、当該負荷溶媒を中間圧力でプレフラッシングして、吸収されたH2及びCOを回収し、H2及びCOリッチなCO2流と、フラッシングされた溶媒蒸気とを生成し、フラッシングされた溶媒をより低い圧力でフラッシングしてCO2を回収し、不燃性CO2リッチ流と第2のフラッシュ溶媒とを発生させ、ストリッピングユニットにおいて第2のフラッシュ溶媒をストリッピングして硫黄種及び窒素種を除去し、リッチ硫黄及び窒素種流と、吸収ユニットに再循環される清浄溶媒とを生成するための、選択的溶媒を含む酸性ガス除去ユニット(AGR)である。
【0020】
別の実施形態では、負荷溶媒の第1の部分は、第1の再循環ループを通して取り出され、負荷溶媒の第2の部分は、第2の再循環ループを通して取り出され、負荷溶媒の第3の部分は、第3の再循環ループを通して取り出され、負荷溶媒の第1の部分を中間圧力でプレフラッシングして、負荷溶媒中に含有されているH2及びCOを回収し、H2及びCOリッチな第1のCO2流と、第1のフラッシングされた溶媒とを生成し、負荷溶媒の第2の部分を中間圧力でプレフラッシングして、負荷溶媒中に含有されているH2及びCOを回収し、H2及びCOリッチな第2のCO2流と、第2のフラッシングされた溶媒とを生成し、任意選択で、負荷溶媒の第3の部分を中間圧力でプレフラッシングして、負荷溶媒中に含有されているH2及びCOを回収し、H2及びCOリッチな第3のCO2流と、第3のフラッシングされた溶媒とを生成し、第1のフラッシングされた溶媒をより低い圧力でフラッシングして、不燃性CO2リッチ流と、吸収ユニットに再循環される清浄溶媒とを発生させ、H2及びCOリッチな第1のCO2流、第2のCO2流、及び任意選択の第3のCO2流を、吸収ユニットの上流の洗浄済合成ガス流中に再循環させ、ストリッピングユニットにおいて第2のフラッシングされた溶媒及び第3のフラッシングされた溶媒をストリッピングして硫黄種及び窒素種を除去し、リッチ硫黄及び窒素種流と、吸収ユニットに再循環される清浄溶媒とを生成する。
【0021】
更なる実施形態では、負荷溶媒の第3の部分は、第3の再循環ループを通して取り出される。負荷溶媒の第3の部分を中間圧力でプレフラッシングして、第3の負荷溶媒中に含有されているH2及びCOを回収し、H2及びCOリッチな第3のCO2流と、第3のフラッシングされた溶媒とを生成する。H2及びCOリッチな第3のCO2流は、吸収ユニットの上流の洗浄済合成ガス流中に再循環される。第2のフラッシングされた溶媒と同じストリッピングユニットにおいて第3のフラッシングされた溶媒をストリッピングしてNH3及びHCNを除去し、H2S、COS、NH3、及び/又はHCN(すなわち、合成ガス汚染物質)リッチ流と、吸収ユニットに再循環される組み合わされた清浄溶媒とを生成する。
【0022】
更なる実施形態では、第3のフラッシングされた溶媒を第2の別個のストリッピングユニットにおいてストリッピングしてNH3及び/又はHCNを除去し、NH3及び/及びHCNリッチ流を生成する。
【0023】
一実施形態では、第1のストリッピングユニット及び/又は第2のストリッピングユニットは、硫黄種及び/又は窒素種を除去して、リッチ硫黄種ガス流、及び/又はリッチ窒素種ガス流、並びに清浄溶媒を生成する熱ストリッパーであり、清浄溶媒は少なくとも1つの吸収ユニットに再循環される。
【0024】
一実施形態では、ストリッピングユニットは、硫黄汚染物質を除去して、リッチH2S及び/又は硫黄汚染物質ガス流、並びに清浄溶媒を生成する熱ストリッパーであり、清浄溶媒は少なくとも1つの吸収ユニットに再循環される。
【0025】
一実施形態では、第2のストリッピングユニットは、窒素汚染物質を除去して、リッチNH3及び/又はHCNガス流、並びに清浄溶媒を生成する熱ストリッパーであり、清浄溶媒は少なくとも1つの吸収ユニットに再循環される。
【0026】
別の実施形態では、溶媒ループ流量及び温度、並びにプレフラッシングステップの圧力は、最終清浄合成ガス流中の目標CO2含有量を達成するように調整される。
【0027】
更なる実施形態では、硫黄種は、H2S、COS、CS2、又はそれらの組み合わせである。
【0028】
補足的な実施形態では、窒素汚染物質種は、HCN、NH3、アミン、又はそれらの組み合わせである。
【0029】
一実施形態では、洗浄済合成ガス源は、経時的に変動する収率、流量、及び/又は組成を有する。
【0030】
更なる実施形態では、洗浄済合成ガス源の変動性は、不均一廃棄物バイオマス、廃棄物、及び/又はプラスチック廃棄物供給原料の可変的性質に起因する。
【0031】
一実施形態では、清浄溶媒は、少なくとも1つの吸収ユニットに再循環される前に冷却される。
【0032】
別の実施形態では、熱ストリッパーは、リボイラー及びコンデンサーを含むカラムを備える。
【0033】
一実施形態では、不燃性CO2リッチ流は、不活性化ガスとして更に使用される、炭素捕捉及び貯蔵(CCS)のために回収される、並びに/又は販売可能な商用CO2を生成する。
【0034】
補足的な実施形態では、本方法は、清浄合成ガス流を水素と混合する前又は後に、清浄合成ガス流を少なくとも1つの固体吸着剤床で処理するステップを更に含む。
【0035】
一実施形態では、少なくとも1つの吸着剤床は、HCl及びハロゲン除去のためのアルミナ系吸着剤、HCl(及びハロゲン)、及びH2Sの除去のためのZnO系吸着剤、COS、CS2、及びアルシンを除去するためのCu系吸着剤、並びにカルボニル除去のための吸着剤を含む。
【0036】
別の実施形態では、吸収ユニットは、少なくとも3つの物質移動帯セクションを備えるカラムである。
【0037】
更に別の実施形態では、吸収ユニットは、少なくとも4つの物質移動帯セクションを備えるカラムである。
【0038】
更なる実施形態では、物質移動帯セクションは、別々のカラムに備えられている。
【0039】
更なる実施形態では、水素は、外部供給源から取り込まれる。
【0040】
一実施形態では、取り込まれた水素は、再生可能な供給源及び/又は低炭素強度の供給源に由来する。
【0041】
別の実施形態では、取り込まれた水素は、再生可能電力若しくは低炭素強度電力による水電解、バイオガス改質若しくは蒸気改質、低炭素強度(carbon intensity、CI)水素源、又は低CI廃棄物H2源に由来する。
【0042】
特定の実施形態では、精製ユニット又はAGRは、溶媒を有する冷却メタノールを有する。
【0043】
一実施形態では、プレフラッシングの圧力及び温度は、最終清浄合成ガス流における目標CO2含有量及び回収率を達成するように調整される。
【0044】
更なる実施形態では、平衡合成ガス流は、燃料、化学物質、又はフィッシャートロプシュ生成物を生成するための合成ガス変換ユニットの化学量論比要件を満たす。
【0045】
別の実施形態では、化学物質又は燃料は、メタノール又はエタノールである。
【0046】
一実施形態では、フィッシャートロプシュ生成物は、ディーゼル、灯油、ジェット燃料、若しくはナフサ、又はこれらの混合物である。
【0047】
別の実施形態では、AGRにおける清浄合成ガス流は、100ppbv未満、10ppbv未満、又は代替的に5ppbv未満のHCN及びNH3を達成する。
【0048】
一実施形態では、AGRにおける清浄合成ガス流は、10ppmv未満、5ppmv未満、1ppmv未満、又は代替的に0.1ppmv未満の結合硫黄種を達成する。
【0049】
別の実施形態では、固体吸着剤床における清浄合成ガス流は、10ppbv未満、又は代替的に5ppbv未満の硫黄種、ハロゲン種、アルシン、及び/又は金属カルボニルを達成する。
【0050】
一実施形態では、ハロゲン種は、HCl、HF、HBr、又はそれらの組み合わせである。
【0051】
更なる実施形態では、金属は、Ni、Fe、又はそれらの組み合わせである。
【0052】
別の実施形態では、清浄合成ガス流中のH2S濃度は、下流合成ガス変換ユニットの要件を満たすために、特定の所望の濃度を達成するように調整される一方、低レベルのHCN及び/又はNH3濃度を達成する。
【0053】
別の実施形態では、清浄合成ガス流中のH2S濃度は、200ppmv未満に維持される。
【0054】
別の実施形態では、清浄合成ガス流中のH2S濃度は、100ppmv未満に維持される。
【0055】
別の実施形態では、本明細書に記載の方法は、合成ガス変換ユニットの前に、回収されたCO2の一部を、取り込まれたH2の一部と共に変換して、追加の一酸化炭素を発生させる逆水性ガスシフト(reverse water gas shift、RWGS)ユニットを更に含む。
【0056】
更なる実施形態では、追加のCO生成物は、清浄合成ガスの一部と混合されて、高められたCO清浄合成ガスを発生させる。
【0057】
別の実施形態では、CO2は、炭素質供給原料ガス化及び/又は改質ユニットに再循環されて、洗浄済合成ガスのH2/CO比を減少させ、全CO収率及び生成を増加させ、高められたCO洗浄済合成ガス及び高められたCO清浄合成ガスを発生させる。
【0058】
一実施形態では、高められたCO清浄合成ガスを水素と混合して平衡合成ガス流を生成し、平衡合成ガス流は合成ガス変換ユニットの化学量論比要件を満たす。
【0059】
別の実施形態では、合成ガス変換ユニットは、H2+COをその場で変換し、H2+CO2を変換しない。
【0060】
別の実施形態では、本明細書に記載の方法は、CO2の外部供給源又は別のプロセス流出物から投入されたCO2を、水素の外部供給源と共に清浄合成ガス流に混和して、所望の最終生成物の化学量論比を満たす、炭素が更に高められた平衡合成ガスを生成し、それにより所望の最終生成物の生成を更に増加させるステップを更に含む。
【0061】
一実施形態では、精製ユニットは、清浄合成ガスにおいて99%超のH2+CO回収率を達成することを可能にする。
【0062】
更なる実施形態では、洗浄済合成ガスは、炭素質材料のガス化及び/又は改質からのものである。炭素質材料は、「炭素」原子を含有する任意の気体、液体、又は固体を指す。ほとんどの場合、これらの原子は、植物若しくは動物及びそれらの誘導体、又は化石燃料及びその誘導体を起源とし得る。材料の例としては、都市固形廃棄物(Municipal Solid Waste、MSW)、産業廃棄物、商業廃棄物、及び施設廃棄物(Industrial, Commercial, and Institutional waste、IC&I)、建築廃棄物及び解体廃棄物(Construction and Demolition waste、C&D)、任意の石油製品、プラスチック、均質及び/又は非均質バイオマスが挙げられるが、これらに限定されない。
【0063】
特定の実施形態では、炭素質材料は、プラスチック、金属、無機塩、有機化合物、産業廃棄物、再循環施設廃棄物、自動車フラッフ、都市固形廃棄物、ICI廃棄物、C&D廃棄物、廃棄物由来燃料(refuse derived fuel、RDF)、固形回収燃料、下水汚泥、使用済み送電柱、鉄道枕木、木材、タイヤ、合成繊維、カーペット、合成ゴム、化石燃料起源の材料、発泡ポリスチレン、ポリフィルムフロック、建築木材材料、又はそれらの任意の組み合わせを含む。本発明による方法は、原則として、任意の炭素系材料に適用可能である。ここでは、燃料が生物起源燃料であるか非生物起源燃料であるかは重要ではない。
【0064】
更なる実施形態では、炭素質材料は、バイオマス、バイオマスリッチ廃棄物、プラスチックリッチ廃棄物、又は廃棄物である。
【0065】
別の実施形態では、炭素質材料は、廃プラスチック、廃ゴム、又はタイヤリッチ廃棄物供給原料である。
【0066】
一実施形態では、追加のCO2の供給源を、CO2回収及び精製ユニットを追加することによって精製ユニット内で回収して、高品質及び/又は超清浄CO2流を生成する。
【0067】
更なる実施形態では、CO2回収及び精製ユニットは、一次及び/又は二次CO2カラムを備え、中品質CO2は、一次CO2カラム中で生成される、及び/又は高品質CO2は、二次CO2カラム中で生成される。
【0068】
別の実施形態では、第1の再循環ループからのCO2負荷溶媒の一部又は全部は、一次及び/又は二次CO2カラムにおける洗浄媒体として使用され、第2の再循環ループからのCO2及び硫黄種負荷溶媒は、一次CO2カラムの底部に供給され、一次CO2カラムの底部からのCO2及び硫黄種負荷溶媒は、二次CO2カラムに供給され、二次CO2カラムの底部からの濃縮硫黄種負荷溶媒は、ストリッピングユニットに供給される。
【0069】
一実施形態では、高品質CO2を固体吸着剤で更に処理して、超高度のCO2品質を生成する。
【0070】
一実施形態では、超高度のCO2品質は、水素の外部供給源と共に清浄合成ガス流に混和されて、所望の最終生成物の化学量論比を満たす、炭素が更に高められた平衡合成ガスを生成し、それにより所望の最終生成物の生成を更に増加させる、オフサイトで販売される、及び/又は貯蔵のために送られる、のいずれかである。
【0071】
別の実施形態では、生成された超高度のCO2品質は、追加の取り込まれた水素と共に、H2及びCO2から所望の最終副産物を生成する別個の第2の合成ガス変換ユニットに送られる。
【0072】
更なる実施形態では、副産物合成ガス変換ユニットは、メタノール触媒反応器、鉄系触媒を使用するフィッシャートロプシュ反応器、又は微生物バイオ触媒を使用するエタノール反応器である。
【0073】
一実施形態では、第1の合成ガス変換ユニットは、H2及びCOを所望の最終生成物にその場で変換することができ、H2及びCO2を所望の最終生成物に変換することができない。
【0074】
一実施形態では、精製ユニットは、少なくとも頂部及び底部物質移動帯セクションを有する分割装填ストリッパーカラムを含むストリッピングユニットを備え、窒素種負荷メタノールがストリッパーカラムの頂部及び頂部物質移動帯の上方に供給され、硫黄種負荷メタノールが頂部物質移動帯セクションと底部物質移動帯セクションとの間のストリッパーカラムの中央に供給される。
【0075】
次に、添付図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【
図1】一実施形態による、本明細書に記載の方法のフロー図を示す。
【0077】
【
図2】精製ユニットの詳細を含む、一実施形態による、本明細書に記載の方法のフロー図を示す。
【0078】
【
図3】精製ユニットの詳細並びにHCN及び/又はNH
3の高除去効率を達成するためのオプションを含む、一実施形態による、本明細書に記載の方法のフロー図を示す。
【0079】
【
図4】精製ユニットの詳細並びに第2のストリッピングユニットを備えるHCN及び/又はNH
3の高除去効率を達成するためのオプションを含む、一実施形態による、本明細書に記載の方法のフロー図を示す。
【0080】
【
図5】CO
2回収及び精製ユニットの詳細並びにAGR内で追加の超清浄高品質CO
2を回収するためのオプションを含む、一実施形態による、本明細書に記載の方法のフロー図を示す。
図5はまた、HCN/NH
3除去のための第4の物質移動帯が別個のカラムに設置されている構成を示している。
【0081】
【
図6】分割装填窒素及び硫黄種ストリッピングユニットの詳細、並びにAGRの効率を更に改善するためのオプションを含む、一実施形態による、本明細書に記載の方法のフロー図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0082】
本開示によれば、合成ガス炭素利用率、合成ガス純度、及び後続の下流合成ガス変換ユニットへの合成ガス変換を最適化するための方法が提供される。
【0083】
水素の外部供給源、好ましくはグリーン、再生可能又は低炭素強度水素が利用可能である場合に、可変炭素質供給原料組成物のガス化及び/又は改質からの合成ガス由来生成物(例えば、メタノール)の収率を最大化するための方法が提供される。
【0084】
炭素質供給原料を使用するプラントにおいて過剰なCOをH2にシフトさせるのではなく、水素の外部供給源をプラントに導入し、プラントリッチCO合成ガスと組み合わせて、全体的なプラントH2/CO比を所望の最終生成物の化学量論的反応から得られる比に従って必要とされる比に再平衡化することができることが開示されている。
【0085】
いくつかの化学物質及び燃料は、H2とCOとの反応からだけでなく、H2とCO2との反応からも生成することができることも知られている。そのような生成物の1つはメタノールであるが、鉄系触媒を使用するフィッシャートロプシュ及び微生物バイオ触媒を使用するエタノールもある。
【0086】
ほとんどの既存の合成ガスからメタノールへのプラントにおいて、メタノールは、以下の化学反応によって触媒反応器内で生成される。
CO+2H2⇔CH3OH (2)
CO2+H2⇔CO+H2O (3)
CO2+3H2⇔CH3OH+H2O (4)
【0087】
高いメタノール生産性及びより高い乾燥基準メタノール純度(すなわち、触媒1kg当たりのメタノールkg/hr)を得るためには、メタノール反応器への合成ガス中に最小量のCO2が必要であることが理解され、必要とされる。
【0088】
典型的な現代の合成ガスからメタノールへのプラントは、メタノール反応器ループに送られる補給合成ガスを調製する。高い炭素効率(CO及びCO2のメタノールへの変換)を達成するために、補給合成ガスは平衡化されなければならない、すなわち、任意の大過剰のCO、CO2、又はH2は、不活性/希釈ガスとして作用する不可避的にいくらかの非凝縮性ガス(通常、N2、CH4など)がシステムからパージされなければならないので、反応器ループパージガス流を介して貴重な分子の損失をもたらし得る。
【0089】
完全平衡合成ガスは、2.0の化学量論比又は数(stoichiometric ratio or number、SN)を有し得、これは、理論的には、上記の3つの反応に従って、H
2、CO、及びCO
2のメタノールへの完全な変換をもたらす。典型的には、わずかに過剰のH
2が推奨され、これは、2をわずかに超えるSNをもたらす。
【数1】
【0090】
現代のメタノール反応器設計及び触媒はまた、CO2をH2とともにメタノールに変換することができるので、水素の外部供給源を含む炭素質リッチ供給原料ガス化及び/又は改質プラントは、より高いメタノール収率を達成するために炭素質供給原料由来のCO及びCO2回収率を最大化する、本明細書で提案されるような新規プラント設計から利益を得る可能性がある。
【0091】
表1は、一定の化学量論数(stoichiometric number、SN)2.04における補給ガス中のCO
2濃度の範囲を示しており、CO
2なし(式2を介してメタノールが全て存在する状態)からCOなし(最終反応4を介してメタノールが全て存在する状態)までの範囲である。したがって、メタノールは、COリッチ合成ガスからCO
2リッチ合成ガスまでにおいて、及びその間の任意の割合において生成することができる。
【表1】
【0092】
廃棄物、プラスチックリッチ廃棄物、バイオマス、及び/又はバイオマスリッチガス化及び/又は改質の課題の1つは、経時的な供給原料ガス化/改質組成の変動性(そのような供給原料の可変的性質に起因する毎週、毎月の変動)であり、これは、H2、CO、CO2収率(流量)及び生成された洗浄済合成ガス、すなわち「様々な洗浄済合成ガス源」中の汚染物質濃度に影響を与える。この場合、下流ユニット設計、特に精製ユニットは、標的汚染物質除去を達成する一方で、最大メタノール又はバイオ燃料生成のためにCO及びCO2回収率を最大化しながら、可変合成ガス組成を管理する能力を有しなければならない。
【0093】
一実施形態では、汚染物質は、硫黄種、例えばH2S、COS、及び/又はCS2、窒素種、例えばHCN、NH3、及び/又はアミン、水並びに芳香族、例えばベンゼン、トルエン、及びキシレンを含むが、これらに限定されない。窒素(N2)は、汚染物質ではない。
【0094】
更なる実施形態では、精製ユニットは、CO2、硫黄汚染物質(例えば、H2S、COS、及び/又はCS2など)、及び窒素汚染物質(例えば、HCN、NH3、及び/又はアミン)を吸収するための選択的溶媒を含む酸性ガス除去ユニット(AGR)である。
【0095】
本明細書に記載されるように、炭素質供給原料のガス化及び/又は改質からのメタノール生成のために提供される方法はまた、メタノールを中間体として並びに/又は合成ガス及び/若しくは他の中間体から直接使用する他の生成物にも適用される。
【0096】
一実施形態では、炭素質材料/供給原料は、プラスチック、金属、無機塩、有機化合物、産業廃棄物、再循環施設廃棄物、自動車フラッフ、都市固形廃棄物、ICI廃棄物、C&D廃棄物、廃棄物由来燃料(RDF)、固形回収燃料、下水汚泥、使用済み送電柱、鉄道枕木、木材、タイヤ、合成繊維、カーペット、合成ゴム、化石燃料起源の材料、発泡ポリスチレン、ポリフィルムフロック、建築木材材料、又はそれらの任意の組み合わせを含む。したがって、例えばバイオマス、バイオマスリッチ廃棄物、プラスチックリッチ廃棄物、及び/又は廃棄物などの炭素質供給原料のガス化及び/又は改質からメタノール生成するための方法が包含される。
【0097】
図1に示すように、精製ユニット11における水素、一酸化炭素、及び二酸化炭素回収率を最大化するステップを含む、本明細書に記載の方法が提供される。最初に洗浄済合成ガス10を精製ユニット11に供給して、精製ユニット11におけるCO
2回収を最適化して、精製ユニット11を出る清浄合成ガス40中のCO
2含有量を最大化する。取り込まれた水素42を清浄合成ガス40に注入して、平衡補給合成ガス44を調製して、触媒合成ガス変換ユニット60に供給して所望の最終生成物61を生成する。不燃性CO
2リッチ流32が発生し、これはプラントの上流で不活性化ガスとして使用することができる。加えて、一実施形態では、高品質CO
2流又は超清浄CO
2流(88)が発生し、任意選択で、水素の外部供給源42と共に清浄合成ガス流40に混合して、所望の最終生成物の化学量論比目標を満たす、炭素が更に高められた平衡合成ガス44を生成し、それにより所望の最終生成物の生成を更に増加させることができる(
図5参照)。更に、別の実施形態では、超清浄CO
2は、オフサイトで販売され得るか、又は貯蔵(すなわち、CCS)のために送られ得る(流れ89)。本明細書に記載の方法は、精製ユニット11において洗浄済合成ガス汚染物質29を除去することを可能にする。
【0098】
様々な洗浄済合成ガス源におけるCO2に対するH2+COの収率は経時的に変化し得るので、AGR設計及び下流合成ガス変換ユニットは、ある範囲の合成ガス組成を管理するように設計されなければならず、プラント内の生成及びH2取込能力を常に最大化しながら、そのような合成ガス収率変動に適応する能力を有しなければならない。
【0099】
合成ガス収率は、ガス化/改質ユニットに供給された炭素質供給原料の投入量当たりのガス化/改質ユニットによって生成されたH2、CO、及びCO2の量を指す。合成ガス収率変動は、全合成ガス流量及び組成、したがって個々のH2、CO、及びCO2流量が経時的に変動し得ることを意味する(このような供給原料の可変的性質に起因する毎週、毎月の変動)。
【0100】
更に、ガス化装置/改質装置の下流には、高温合成ガスの急冷、熱回収、及び洗浄媒体として水を使用する洗浄のステップがあることが多い。この場合、湿式洗浄済合成ガスは、圧縮ステップを伴って又は伴わずにAGRに供給される。COSのH2S単位への加水分解はまた、AGRの前に含まれてもよく、これはまた、典型的には、HCNのNH3への加水分解を触媒する。
【0101】
したがって、変動する洗浄済合成ガス収率を管理し、それを以下の異なるガス流に分割するように特別に設計された酸性ガス除去ユニットを通して洗浄済合成ガスをプロセス処理するための新規なAGR設計が提供される。
(i)低硫黄汚染物質濃度(H2S、COS、及び/又はCS2であるが、これらに限定されない)、及び任意選択で、低窒素汚染物質濃度(HCN及び/又はNH3であるが、これらに限定されない)を有する清浄合成ガス流、
(ii)リッチ合成ガス汚染物質負荷ガス流(硫黄種及び/又はHCN/NH3を有する)、
(iii)H2及びCOリッチな低品質CO2流(AGR吸収カラムの合成ガス入口に再循環される)、
(iv)不燃性リッチCO2流(中品質CO2)、並びに
(v)任意選択で、高品質及び/又は超清浄CO2流。
【0102】
新規なAGR設計は、H2及びCO回収率を最大化する一方で可変入口洗浄済合成ガス組成物を用いてCO2回収率を調整して、メタノール生成を最大化することを可能にする操作ハンドルを有する。
【0103】
図2に示すように、最初に洗浄済合成ガス10を、CO
2及びH
2S並びに他の硫黄種のための選択的溶媒を使用する吸収カラム12に供給する。このような溶媒は、例えば、冷却メタノールであり得るが、これに限定されない。
【0104】
吸収カラム12は、少なくとも3つの物質移動帯セクション(例えば、限定されないが、トレイ、ランダム充填物、及び/又は構造化充填物、すなわち頂部セクション18、中間セクション16、及び底部セクション14)を有する。3つの物質移動帯セクションは、3つのセクションを有する1つの単一カラム12に、又は2つ若しくは3つの別個のカラムに設置することができる。
【0105】
依然としてH2及びCOを含有する負荷溶媒は、吸収器の周りの少なくとも2つの再循環ループ、すなわち第1のループ20及び第2のループ22を通過する。第2のループ22は、吸収カラム12の底部セクション14から取得され、第1のループ20は、吸収カラム12の中間セクション16から取得される。
【0106】
吸収器セクションから溶媒を取り出す両方のループを中間圧力でプレフラッシングして(21、23)、溶媒中に吸収された貴重なH2及びCOを回収し、それにより、H2及びCOリッチな2つのCO2流を生成する。1つは第2のループ22に関するもの(26)であり、1つは第1のループ20に関するものであり、これらは次いで組み合わされ、合成ガス供給物10において吸収カラム12の上流で再循環される。回収された貴重なH2及びCOは、下流の触媒反応器ユニット(60)に送られる清浄合成ガス40の一部として吸収カラムを通過し、そこから出る別の機会を有する。このようなプレフラッシュ及び再循環は、AGRユニット全体において99%超のH2+CO回収率を可能にする(すなわち、回収率=流れ40中のH2及びCOの量を入口洗浄済合成ガス流10中のH2及びCOの量で割ったもの)。
【0107】
第2のステップとして、第1のループ溶媒20を、次いで、より低い圧力で更にフラッシングして(30)、不燃性CO2リッチ流32を発生させ、これは、プラント内で上流の不活性化ガスとして使用することができる。あるいは、このCO2リッチ流は、追加のプロセス処理を伴って又は伴わずに、炭素捕捉及び貯蔵(CCS)のために、並びに/又は販売可能な商用CO2を生成するために回収することができる。清浄溶媒は、吸収カラム12に再循環される(33)。
【0108】
第2のステップとして、プレフラッシングされた第2のループ溶媒24を、次いで、再生のために熱ストリッピングユニット25に供給して、吸収された硫黄汚染物質を除去し、それにより、リッチ硫黄汚染物質ガス流29と、吸着器12の頂部セクション18で再循環される(27)清浄な再生溶媒流とを生成する。熱ストリッピングユニット25は、リボイラー及びコンデンサーのいずれか又は両方を備えたトレイ又は充填物を有するカラムであり得る。
【0109】
図3に示すように、必要に応じて、精製ユニットに第3の再循環ループ(46)を取り付けて、NH
3及びHCN除去効率を高めることができる。第4の物質移動帯セクション45は、主吸収カラム12に追加することも(
図3)、別個のカラムに設置することも(
図5)できる。第3のループ溶媒46を中間圧力53でプレフラッシングして、溶媒中に吸収された貴重なH
2及びCOを回収し、それにより、H
2及びCOリッチなCO
2流47を生成する。これは次いで組み合わされ、合成ガス供給物10において吸収カラム12の上流で再循環される。
【0110】
プレフラッシングされた第3のループ溶媒48を、次いで、再生のために熱ストリッピングユニット25に供給して、吸収された窒素汚染物質を除去し、それにより、リッチ硫黄種、NH3、及びHCNガス流29を生成する。
【0111】
あるいは、
図4に示すように、プレフラッシングされた第3のループ溶媒48を、別個の熱ストリッピングユニット52に供給して、吸収された窒素汚染物質を除去し、それにより、リッチNH
3及びHCNガス流51と、清浄溶媒49とを生成することができる。
【0112】
あるいは、第4の物質移動帯セクション45に供給される溶媒は、
図3及び
図4に示されるように、第1の溶媒ループ20からのスリップ流54から部分的に又は完全に供給され得る。この構成では、第2の溶媒ループ22は、したがって、第3の物質移動帯14からの全部又は一部のいずれかの液体ドローであり得る。第4の物質移動帯セクション45が、
図5のように分離されたカラムに設置される場合、
・洗浄済合成ガス10は、物質移動帯セクション(53)の底部に供給される、
・第1の再循環ループ20から取得された溶媒流54は、第4の物質移動帯セクション45の頂部に供給される、及び
・第4の物質移動帯セクション45の頂部を出る前処理ガス41は、吸収器カラム12の底部(第3の物質移動14の底部)に供給される。
【0113】
洗浄済合成ガス中に低レベルの窒素種汚染物質が存在し、したがってより低い第3のループ流量を必要とする場合、プレフラッシュステップ53における回収可能なH
2+CO及びCO
2もまたより低くなると考えられる。したがって、設置ステップ53に対する余分なプロジェクトCAPEXは正当化されない可能性がある。そのような場合、第3の溶媒ループ46中の吸収されたH
2+CO及びCO
2は、ストリッパー排出流29(
図3)又は51(
図4)において失われると考えられる。
【0114】
清浄な再生溶媒49及び27は、それぞれストリッピングユニット52(
図4)及び/又はストリッピングユニット25(
図2及び
図3)から取得され、次いで吸着器12の頂部セクション18に供給される前に冷却され、それにより合成ガスから最終的な微量の硫黄及び/又は窒素汚染物質が除去され、それにより低硫黄汚染物質濃度(
図2、
図3、及び
図4)及び/又は非常に低い窒素汚染物質濃度(
図3及び
図4)を有する清浄合成ガス流40が生成される。
【0115】
必要であれば、下流の合成ガス変換触媒を保護するために、清浄合成ガス流40は、1つ以上の並列又は/及び直列容器内の単一又は複数の吸着剤床を含む固体吸着剤床36内で(H2取込追加42の前又は後に)更に処理される。吸着剤としては、HCl及びハロゲンの除去のためのアルミナ系吸着剤、HCl、ハロゲン、及びH2Sの除去のためのZnO系吸着剤、COS、CS2、及びアルシンを除去するためのCu系吸着剤、カルボニル(Fe若しくはNi、又はその他)除去のための吸着剤、並びに/又はHCN及び/若しくはNH3除去のための吸着剤を挙げることができる。
【0116】
清浄合成ガス流40を水素の外部供給源42と混合して、合成ガス変換ユニットの化学量論比要件を満たす平衡合成ガスを生成し、それにより最適化された炭素回収平衡合成ガス44を生成する。
【0117】
本開示の改善された方法は、最適化された炭素回収平衡合成ガスを生成することを可能にし、これは、全体的な炭素洗浄済合成ガス及び炭素供給原料の最終所望生成物への変換を、(過剰なCOを水性ガスシフト(water gas shift、WGS)でシフトして過剰なCO
2を除去する従来のアプローチと比較して)65%超、更に初期の洗浄済合成ガス組成に応じて140%超増加させることを可能にする(表2及び表3を参照)。
【表2】
【表3】
【0118】
メタノール生成のために、平衡合成ガスは、先に説明したように、2をわずかに上回る最適な化学量論比(SN)を有し得る。しかし、より低い又はより高い化学量論比で操作することもできる。異なる最終生成物を得るための他の合成ガス変換ユニット又は技術は、異なる目標化学量論比式及び/又は値を有し得る。
【0119】
一実施形態では、取り込まれた水素/水素の外部供給源42は、再生可能な供給源及び/又は低炭素強度の供給源に由来する。
【0120】
追加の実施形態では、取り込まれた水素の供給源42は、再生可能電力若しくは低炭素強度(CI)電力による水電解、バイオガス改質若しくは蒸気改質、低炭素強度(CI)水素源、又は低CI廃棄物H2源に由来する。
【0121】
最後に、最適化された炭素回収平衡合成ガス44を、合成ガス変換ユニット60(合成ガス変換反応システム)に供給し、それにより、所望の最終生成物(61)として最適化された炭素含有量の燃料及び/又は化学物質を生成する。
【0122】
下流合成ガス変換ユニット60が最大容量で設計されること、及び/又はH2取込42も最大供給容量を有することを考慮すると、様々な洗浄済合成ガス組成及び収率でプラント収益性を最大化するためには、設計及び操作ハンドルは、バイオ燃料生成及び収益性を常に最大化するように提供されなければならない。
【0123】
洗浄済合成ガス中のより低いH2+CO収率では、反応3ごとに、CO2からメタノールへの変換のためにより多くのH2が必要とされるので、プラントをその最大メタノール容量及び最大の取込水素の利用可能性に維持するために、より高いAGR CO2回収率が必要とされると考えられる。
【0124】
洗浄済合成ガス中のより高いH2+CO収率では、H2取込、したがって可変運転コストを最小限に抑えながらプラントをその最大メタノール容量に維持するために、より低いAGR CO2回収率が必要とされると考えられる。
【0125】
提供されるAGR設計において、AGRは、CO2回収を最適化してプラントをその最大メタノール容量及び最適水素使用量に維持するために、以下の設計及び操作ハンドルを含む。
【0126】
第1のループ20及び第2のループ22の流量及び/若しくは温度は、最終清浄合成ガス流(40)中の目標CO2含有量及び低い還元硫黄含有量を達成するように調整される、並びに/又は
【0127】
第1及び/若しくは第2のループ(それぞれ21及び23)のプレフラッシュ圧力は更に最適化され、発生したCO2流(それぞれ28及び26)は、AGRの上流で再循環されて、最終清浄合成ガス流(40)中のCO2回収率を最大化する。
【0128】
第1のループ20の低圧フラッシュ30の圧力は、CO2回収を最適化して不燃性リッチCO2流32の正確な必要量を達成するように調整することができ、したがって、AGR12を出る清浄合成ガス40中のCO2の平衡を保つことができる。
【0129】
図3又は
図4の構成で高いHCN及び/又はNH
3除去レベルが必要とされる場合、AGR設計は、CO
2回収を最適化するために以下の設計及び操作ハンドルを更に含む。
-第3の再循環ループ46の流量及び/若しくは温度は、最終清浄合成ガス流(40)中の目標CO
2含有量及び低い還元窒素種含有量を達成するように調整される、並びに/又は
-第3のループ(53)のプレフラッシュ圧力は更に最適化され、発生したCO
2流(47)は、AGRの上流で再循環されて、最終清浄合成ガス流(40)中のCO
2回収率を最大化する。
【0130】
本明細書で例示されるように、メタノール生成のための合成ガス生成は、一例として使用されている。しかしながら、それは、H2及びCOに加えてH2及びCO2から生成することができる化学物質及び燃料への任意の合成ガス変換方法、すなわち、鉄系触媒を使用するフィッシャートロプシュ及び微生物バイオ触媒を使用するエタノールなどに適用することができるが、これらに限定されない。所望のフィッシャートロプシュ生成物には、粗フィッシャートロプシュ生成物の純化又は品質向上後のディーゼル、灯油/ジェット燃料、及び/又はナフサなどの燃料が含まれるが、ワックス、基油なども含まれる。
【0131】
メタノールは中間生成物として使用することもできる。最初に生成されたとき、それは、オレフィン(プロピレン及びエチレン)、ホルムアルデヒド、ガソリン、ナフサ、灯油、航空燃料、及び/又はディーゼルに更に変換することができる。エタノールは、燃料として、又は例えば脱水によるエチレン生成のための中間生成物として使用することができる。
【0132】
加えて、合成ガスCO2回収及びバイオマスリッチ供給原料からの外部H2取込を伴う合成ガス由来生成物収率を最大化する目的はまた、収率及び生成を最大化する、並びに/又はCO2温室効果ガス(green house gas、GHG)排出を低減する目的を伴う任意の炭素質供給原料に適用可能である。例えば、ガス化方法を介したプラスチックリッチ廃棄物、廃棄物ゴム及びタイヤなどの化学的リサイクルもまた、全供給原料炭素の所望の最終生成物への変換を最大化し、したがってプラントCO2 GHG排出を最小限に抑えることによって、この新規なAGR設計の利益を得る可能性がある。より具体的には、メタノール又はエタノールからのオレフィン生成をプラスチック生成に使用することができ、したがって、プラスチックリッチ廃棄物をガス化供給原料として使用するときに循環ループを閉じることができる。
【0133】
一実施形態では、AGR吸収器の出口における清浄合成ガス流40は、100ppbv未満、10ppbv未満、又は代替的に5ppbv未満のHCN及びNH3を達成する。
【0134】
別の実施形態では、AGR吸収器の出口における清浄合成ガス流40は、10ppmv未満、5ppmv未満、1ppmv未満、又は代替的に0.1ppmv未満の結合硫黄種を達成する。
【0135】
別の実施形態では、固体吸着剤床36の出口における清浄合成ガス流は、10ppbv未満、又は代替的に5ppbv未満の硫黄種、ハロゲン種(例えば、HCl、HF、HBrなど)、アルシン、及び/又は金属(例えば、Ni及び/又はFe)カルボニルを達成する。
【0136】
別の実施形態では、AGR吸収器の出口における清浄合成ガス流40中のH2S濃度が、下流合成ガス変換ユニットの要件を満たすために、特定のより高い所望の濃度を達成するように調整され得る一方、低レベルのHCN及び/又はNH3を達成する。この機能性は、微生物活性を維持するためにいくらかのH2Sが必要とされるが、HCNが周知の毒である微生物合成ガス変換技術(60)を使用する場合に特に興味深い。このような場合、AGR吸収器の出口における清浄合成ガス流40中のH2S濃度が、200ppmv未満、代替的には100ppmv未満に維持することができる一方、低レベルのHCN及び/又はNH3を達成する。H2S除去要件を低減することは、第2の再循環ループ22の流量及び/又はストリッピングユニット(25)負荷を低減し、リッチ硫黄汚染物質ガス流29によるCO2の固有損失を低減し、したがって、清浄合成ガス40中のCO2回収率及び濃度を増加させ、所望の最終生成物(61)として更に最適化された炭素含有量の燃料及び/又は化学物質を生成することを可能にする。
【0137】
別の実施形態では、この新規なAGR設計を使用して、洗浄済合成ガス10からCO2を完全に除去して、超低CO2濃度清浄合成ガス40を生成するか、又は清浄合成ガス40中の特定のより低いCO2濃度を達成することもできる。このような目的で、再循環ループのプレフラッシュ圧力は、CO2フラッシュを低減するように最適化される(及び吸収器に再循環される)一方で、依然として目標H2及びCO回収率を達成する。再循環ループ流量は、より高いCO2除去を達成するために増加される。そのような柔軟な設計は、H2取込が利用可能でない場合のプラント設計、及び/又はCO2+H2を用いて所望の最終生成物を作製することができない合成ガス変換技術にとって特に興味深い。
【0138】
別の実施形態では、CO2の外部供給源又は別のプロセス流出物から投入されたCO2は、水素の外部供給源42と共に清浄合成ガス流40と混合されて、所望の最終生成物の化学量論比目標を満たす、炭素が更に高められた平衡合成ガス44を生成し、それにより所望の最終生成物の生成を更に増加させることができる。それに応じて、水素の外部供給源(42)の流れを増加させる必要がある。あるいは、この追加のCO2源が清浄化を必要とする場合、それをAGR入口に供給することができる。
【0139】
方法の別の部分からのそのようなCO2源は、リッチ硫黄流(29)及び/又は窒素種リッチ流(51)中に失われた未回収CO2であり得る。したがって、触媒合成のためにこの廃棄物流からCO2を回収するために、汚染物質を超低レベルまで低減するための追加の処理ユニットが必要とされ得る。このような追加の処理ユニットとしては、追加の吸収/ストリッピング技術、固体吸着剤技術などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0140】
別の実施形態では、
図5に示すように、AGR内にCO
2回収及び精製ユニット(99)を追加することによって、追加の超清浄高品質CO
2を回収することができる。
【0141】
このような構成では、CO2負荷メタノール(33)は、AGR吸収器(12)に再循環されるのではなく、一部(35)が、少なくとも1つの物質移動帯を備える一次CO2カラム(70)の頂部に送られる。加えて、CO2及び硫黄種負荷メタノール(24)は、一次CO2カラム(70)の底部に送られる。一次CO2カラムにおいて、低硫黄CO2負荷メタノール35は、硫黄種をカラムの下方に保持するための洗浄媒体として作用する一方で、両方の負荷メタノール流から第2の中品質CO2(71)を回収する。一次CO2カラムはまた、カラムの底部から追加の非凝縮性ガス(例えば、CO及びH2)を除去し、これは更に、高品質CO2(流れ80)における超低CO仕様を達成することに寄与する。
【0142】
第1の回収された中品質CO2流は、実際には、前述の流れ32である。両方の中品質CO2流(32及び71)は、組み合わされて、前述の不燃性品質基準を満たす流れ82となる。任意選択で、それらは、前述のように、プラントフロントエンド供給システムにおける不活性ガスとしての使用又は他の使用のために圧縮機(83)で圧縮される。
【0143】
底部CO2及び硫黄種負荷メタノール(72)は、二次CO2カラム(73)の2つの物質移動帯(74及び75)の間に供給される。CO2負荷メタノールの残り(34)は、そのカラムの頂部に供給され、硫黄種及び他の汚染物質を二次CO2カラム(73)の下方に保持するための洗浄媒体として作用する一方で、CO2及び硫黄種負荷メタノール(72)並びにCO2負荷メタノールの残り(34)の両方から高品質CO2流(80)を回収する。二次CO2カラム(73)の底部において、濃縮硫黄種負荷メタノール(76)は、底部の濃縮硫黄種負荷メタノール(76)からのCO2回収率を最大化するために、CO2フラッシュユニット(77)に送られる。
【0144】
CO2フラッシュユニット(77)は、フラッシュガス再圧縮による低圧フラッシュ及び/又は加熱補助加圧フラッシュの組み合わせを備える。フラッシュCO2リッチ流(78)は、二次CO2カラム(73)の底部に戻される。
【0145】
濃縮硫黄種負荷メタノール(79)は、CO2フラッシュユニット(77)から取得され、次いで、AGRストリッピングユニット(25)に送られる。窒素種負荷メタノール(48)は、AGRストリッピングユニット(25)に直接送られるか、又はCO2回収及び精製ユニット99に組み込まれて、その少量のCO2含有量を回収することができる。AGRストリッピングユニット25は、両方の負荷メタノールを希薄メタノール(27)に再生し、希薄メタノール(27)は、前述のように、AGR吸収器(12)セクション(18)の頂部に再循環される。したがって、得られたAGR硫黄及び/又は窒素種廃棄物ガス流(29)は、硫黄及び窒素種が更に濃縮されており、したがって、方法からの炭素(CO2として)の損失がより少なくなる。
【0146】
次いで、回収された高品質CO2流(80)は、必要であれば、圧縮機(81)においてより高い圧力に圧縮される。必要とされる高品質CO2目標仕様に応じて、次いで、それは、清浄合成ガスガード床(36)について前述したように、固相吸収剤ユニット(90)内で処理されて、残留汚染物質を超低ppm又はppbレベルまで除去することができる。次いで、生成された超清浄CO2流(87、88)は、水素の外部供給源42と共に清浄合成ガス流40と混合されて、所望の最終生成物の化学量論比目標を満たす、炭素が更に高められた平衡合成ガス44を生成し、それにより所望の最終生成物の生成を更に増加させることができる。前述のように、それに応じて、水素の外部供給源(42)の流れを増加させる必要がある。
【0147】
以下の表4は、追加のCO
2回収率及び収率が、AGRへのこの追加の機能性と共に増加することを示す。
【表4】
【0148】
確実に、そのような追加のCO2回収率及び所望の生成物収率の増加は、追加の取り込まれた水素(42)の利用可能性を必要とする。様々な理由で、特定のプロジェクト及びプラントの場所は、取り込まれた水素へのアクセスを制限する場合がある。したがって、本発明の重要な特徴の1つは、各プロジェクトが、プロジェクトの特定の要件を達成し、プロジェクト収益性及び/又は環境フットプリントを最小限に抑えるために、本明細書に記載の特徴の全て又は一部のみを含むことを決定できることである。
【0149】
より低い品質のCO2が必要とされる場合、フラッシュステップ30を省略することができ、したがって、第1のループ31は、流れ33ではなく2つ(34及び35)に分割されて、一次(70)及び二次(73)CO2カラムに供給され得る。その構成では、全ての中程度のCO2品質は、流れ71を介して一次CO2カラムから供給され得る。あるいは、より低いCO2品質が必要とされる場合には、一次CO2カラムを省略することができる。その構成では、CO2負荷メタノール(33)は、二次CO2カラム(73)の頂部に直接供給され、CO2及び硫黄種負荷メタノール(24)は、二次CO2カラム(73)の2つの物質移動帯(74及び75)の間に直接供給される。
【0150】
別の実施形態では、利用可能な水素供給が制限されている場合、又は所望の最終生成物合成触媒及びユニット(60)が、回収された超清浄CO2(87)を追加の所望生成物に変換することができない場合、超清浄CO2は、オフサイトで販売され得るか、又は貯蔵(すなわち、CCS)のために送られ得る(流れ89)。
【0151】
あるいは、所望の最終生成物合成触媒及びユニット(60)が、回収された超清浄CO2(87)を追加の所望生成物に変換することができない場合、超清浄CO2は、追加の取り込まれた水素と共にメタノール反応器に送られて(流れ89)、プラントにおいてメタノールを同時生成することができる。メタノール同時生成の代替法は、前述のように、CO2+H2を所望の最終生成物に変換することができる任意の技術である。
【0152】
別の実施形態では、中品質CO2(84)の任意の過剰分(85)を高品質CO2(86)と混合して、所望の最終生成物収率及び生成を更に最大化することができる。
【0153】
CO2回収及び精製ユニット(99)がAGR構成に含まれる場合、AGR設計は、可変洗浄済合成ガス源からのCO2回収を最適化するために、以下の設計及び操作ハンドルを更に含む。
・第1のループ20及び第2のループ22の流量及び/又は温度は、最終清浄合成ガス流(40)中の目標CO2含有量及び低い硫黄含有量、並びに/又は高純度CO2(87)の目標回収率を達成するように調整される。
・第1及び/又は第2のループ(それぞれ21及び23)のプレフラッシュ圧力は更に最適化され、発生したCO2流(それぞれ28及び26)は、AGRの上流で再循環されて、高純度及び/又は超清浄CO2(87)の回収率に対する最終清浄合成ガス流(40)中の所望のCO2回収率を平衡化する。
・第1のループ20及び低圧フラッシュ30の圧力は、高品質CO2(80)中のCO含有量を低減するために使用することができる。
・CO2フラッシュユニット(77)の圧力及び/又は温度は、所望の高純度CO2(87)を達成するように調整することができる。
【0154】
別の実施形態では、AGRストリッピングユニット(25)は、標準的な構成ストリッパーではなく、分割装填窒素及び硫黄種ストリッピングユニット設計であり、ここで、組み合わされた汚染物質負荷溶媒は、ストリッパーの上部に送られて、溶媒がストリッパーの底部に流下するにつれてそれらの汚染物質がストリッピングされて、ストリッパーの底部で再生溶媒を発生させる。
【0155】
AGRストリッピングユニット(25)の分割装填設計オプション(
図6)は、以下の表5に示すように、AGRユニット全体の全体的なエネルギー効率を更に改善することを可能にする。
【表5】
【0156】
分割装填設計オプションにおいて、ストリッパーカラム(100)は、少なくとも2つの物質移動帯セクション(101及び102)を有する。窒素種負荷メタノール(48)は、ストリッパーカラムの頂部及び頂部物質移動帯(102)の上方に供給される一方、硫黄種負荷メタノール(79)は、ストリッパーカラム(100)の中央の、頂部(102)及び底部(101)物質移動帯セクションの間に供給される。熱エネルギー(114)は、ストリッパーリボイラー(112)を介してストリッパーカラム(100)に供給され、ストリッパーリボイラー(112)は、カラム底部生成物(110)の一部(111)を蒸発させて蒸気ボイルアップ(113)を発生させ、これはストリッパーカラム(100)の底部に戻される。ストリッパーカラム(100)はまた、カラムオーバーヘッド蒸気(103)中のメタノール蒸気を冷却及び凝縮するコンデンサー(104)を備えている。コンデンサー(104)の出口において、流れ105は、凝縮されたメタノール及び非凝縮性排出ガスを含有し、これらは、還流ドラム(106)において、カラム操作に必要な液体還流(109)と、硫黄及び/又は窒素種排出ガス(29)とに分離される。次いで、ストリッパーカラム(100)の底部における再生溶媒(27)は、先に記載したように、吸収器カラム(12)の頂部物質移動帯セクション(18)に再循環される。
【0157】
一実施形態では、洗浄済合成ガス(10)がベンゼン及びトルエンなどの芳香族化合物をかなりの濃度で含有する場合、液体パージ(108)を還流蒸気(109)から抽出して、AGRループにおけるこれらの芳香族化合物の蓄積を最小限に抑えることができる。
【0158】
一実施形態では、この新規なAGR設計は、その内容の全体が本明細書に組み込まれる、米国特許出願第63/185,482号に記載されているように、逆水性ガスシフト(RWGS)ユニットを組み込んだ方法と統合して、回収されたCO2を、取り込まれたH2と共に変換して、合成ガス変換ユニットの前に追加の一酸化炭素を発生させることもできる。追加のCO生成物は、清浄合成ガスの残りと混合されて、高められたCO清浄合成ガスを発生する。
【0159】
別の実施形態では、米国特許出願第63/185,482号に記載されているように、この新規なAGR設計の回収されたCO2は、炭素質供給原料ガス化及び/又は改質ユニットに再循環されて、改質された合成ガスのH2/CO比を減少させ、全CO収率及び生成を増加させ、したがってAGRの出口において高められたCO洗浄済合成ガス及び高められたCO清浄合成ガスを発生させる。
【0160】
両方の場合において、高められたCO清浄合成ガスを水素と混合して平衡合成ガス流を生成し、平衡合成ガス流は、合成ガス変換ユニットの化学量論比要件を満たす。そのようなオプションは、合成ガス変換ユニットがH2+COのみを所望の生成物にその場で変換することができ、H2+CO2を所望の生成物に変換することができない場合、例えば、限定されないが、コバルト系触媒を使用するフィッシャートロプシュユニット若しくは技術、又はメタノールカルボニル化経路を使用するエタノール生成技術において有利である。
【0161】
本開示は、図示された実施形態を特に参照して説明されているが、それに対する多数の修正が当業者に明らかになるであろうことが理解されるであろう。したがって、上記の説明及び添付の図面は、例示として解釈されるべきであり、限定的な意味で解釈されるべきではない。簡略化のために、ポンプ、熱交換器、いくつかの圧縮機などのいくつかの二次的な詳細を省略した。
【0162】
本開示は、その特定の実施形態に関連して説明されているが、更なる修正が可能であり、本出願は、任意の変形、使用、又は適応を包含することを意図しており、本明細書で前述した本質的な特徴に適用され得る当技術分野で公知又は慣習的に行われるような逸脱、及び添付の特許請求の範囲に従う逸脱を含むことが理解されるであろう。
【国際調査報告】