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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】サイクロン粒子分離器
(51)【国際特許分類】
   B04C 3/06 20060101AFI20240829BHJP
   F01D 9/02 20060101ALI20240829BHJP
   F02C 7/18 20060101ALI20240829BHJP
   F01D 25/00 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
B04C3/06
F01D9/02 102
F02C7/18 A
F01D25/00 Q
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024513273
(86)(22)【出願日】2021-09-09
(85)【翻訳文提出日】2024-04-25
(86)【国際出願番号】 US2021049555
(87)【国際公開番号】W WO2023038622
(87)【国際公開日】2023-03-16
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515322297
【氏名又は名称】ゼネラル エレクトリック テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】General Electric Technology GmbH
【住所又は居所原語表記】Brown Boveri Strasse 8, 5400 Baden, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(72)【発明者】
【氏名】ヴァンタッセル、ブラッド、ウィルソン
(72)【発明者】
【氏名】スナイダー、ザカリー、ジョン
【テーマコード(参考)】
3G202
4D053
【Fターム(参考)】
3G202GA08
3G202GB01
3G202JJ33
4D053AA03
4D053AB01
4D053BA01
4D053BA04
4D053BC01
4D053BD02
4D053CA04
4D053CA06
4D053CB04
4D053CB05
4D053CB13
4D053CC01
4D053CD13
(57)【要約】
【解決方法】サイクロン粒子分離器
【解決手段】
サイクロン粒子分離器は、複数の流入口を有する円筒形側壁を含むハウジングを含む。カバー部材は、円筒形側壁の第1の端部を塞ぎ、流出開口が画成された取付部材が円筒形側壁の第2の端部にある。1以上の粒子出口通路がハウジング内に画成される。複数の流入口の各々は、ハウジングの上流からのガス流を円筒形側壁に対して接線方向にハウジングに進入させるように方向付け、サイクロン渦を生じさせる角度の付いた流れ案内面を含む。サイクロン渦は、ガス流から粒子を分離するように作用する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サイクロン粒子分離器であって、当該サイクロン粒子分離器が、
ハウジングであって、複数の流入口が画成された円筒形側壁と、前記円筒形側壁の第1の端部を塞ぐカバー部材と、前記円筒形側壁の第2の端部の取付部材であって、流出開口が画成された取付部材とを含むハウジングと、
前記ハウジング内に画成された1以上の粒子出口通路と
を備えており、前記複数の流入口の各々が、前記ハウジングの上流からのガス流を前記円筒形側壁に対して接線方向に前記ハウジングに進入させ、前記ハウジング内にサイクロン渦を生じさせる角度のついた流れ案内面を含んでいる、サイクロン粒子分離器。
【請求項2】
前記円筒形側壁内に配置された環状体をさらに備えており、前記環状体が、前記円筒形側壁の内側と前記環状体との間にサイクロン分離チャンバを画成する、請求項1に記載のサイクロン粒子分離器。
【請求項3】
前記環状体が、前記カバー部材に近い小径端及び前記取付部材に近い大径端を有する、請求項2に記載のサイクロン粒子分離器。
【請求項4】
前記環状体が、前記カバー部材に近い小径端及び前記取付部材に近い大径端を有する配向した円錐台形状を有する、請求項3に記載のサイクロン粒子分離器。
【請求項5】
前記流出開口と前記環状体の大径端及び前記円筒形側壁の一方との間に延在する壁をさらに備えており、前記壁が、前記円筒形側壁と共に環状粒子トラップを画成しており、前記1以上の粒子出口通路が、前記環状粒子トラップと流体連通した第1の粒子出口通路を含んでいる、請求項3に記載のサイクロン粒子分離器。
【請求項6】
前記環状粒子トラップがトーラス形状を有する、請求項5に記載のサイクロン粒子分離器。
【請求項7】
前記1以上の粒子出口通路が、前記カバー部材に隣接して前記ハウジングの円筒形側壁に画成された第1の粒子出口通路と、前記取付部材に隣接して前記ハウジングの円筒形側壁に画成された第2の粒子出口通路とを含む、請求項1に記載のサイクロン粒子分離器。
【請求項8】
前記1以上の粒子出口通路が、前記取付部材に隣接した単一の粒子出口通路を含む、請求項1に記載のサイクロン粒子分離器。
【請求項9】
前記ハウジングが、前記取付部材によってタービン静翼の内側端壁及び外側端壁の一方に動作可能に取り付けられており、前記流出開口が、前記取付部材の壁に画成され、前記ハウジングの下流の前記タービン静翼の翼形部内部の冷却回路と流体連通している、請求項1に記載のサイクロン粒子分離器。
【請求項10】
タービン静翼であって、当該タービン静翼が、
内側端壁と、
外側端壁と、
前記内側端壁と前記外側端壁とを連結する翼形部と、
サイクロン粒子分離器と
を備えており、前記サイクロン粒子分離器が、
ハウジングであって、複数の流入口が画成された円筒形側壁と、前記円筒形側壁の第1の端部を塞ぐカバー部材と、前記ハウジングを前記内側端壁及び前記外側端壁の一方に結合するように構成された前記円筒形側壁の第2の端部の取付部材であって、前記ハウジングの下流の前記翼形部内部の冷却回路と流体連通する流出開口が画成された取付部材とを含むハウジングと、
前記ハウジング内に画成された1以上の粒子出口通路と
を備えており、前記複数の流入口の各々が、前記ハウジングの上流からのガス流を前記円筒形側壁に対して接線方向に前記ハウジングに進入させ、前記ハウジング内にサイクロン渦を生じさせる角度のついた流れ案内面を含んでいる、タービン静翼。
【請求項11】
前記円筒形側壁内に配置された環状体をさらに備えており、前記環状体が、前記円筒形側壁の内側と前記環状体との間にサイクロン分離チャンバを画成する、請求項10に記載のタービン静翼。
【請求項12】
前記環状体が、前記カバー部材に近い小径端及び前記取付部材に近い大径端を有する、請求項11に記載のタービン静翼。
【請求項13】
前記環状体が、前記カバー部材に近い小径端及び前記取付部材に近い大径端を有する配向した円錐台形状を有する、請求項12に記載のタービン静翼。
【請求項14】
前記流出開口と前記環状体の大径端及び前記円筒形側壁の一方との間に延在する環状壁をさらに備えており、前記環状壁が環状粒子トラップを画成しており、前記1以上の粒子出口通路が、前記環状粒子トラップと流体連通した第1の粒子出口通路を含む、請求項12に記載のタービン静翼。
【請求項15】
前記環状粒子トラップがトーラス形状を有する、請求項14に記載のタービン静翼。
【請求項16】
前記1以上の粒子出口通路が、前記カバー部材に隣接して前記円筒形側壁に画成された第1の粒子出口通路と、前記取付部材に隣接して前記円筒形側壁に画成された第2の粒子出口通路とを含む、請求項10に記載のタービン静翼。
【請求項17】
タービンシステムであって、当該タービンシステムが、
圧縮機と燃焼器とタービンとが互いに動作可能に結合されたエンジンコアであって、前記タービンが、複数の静翼を有するタービン段を含んでおり、前記タービン段の各静翼が、内側端壁と、外側端壁と、前記内側端壁と前記外側端壁とを連結する翼形部とを含んでいる、エンジンゴアと、
各静翼の内側端壁及び外側端壁の一方に取り付けられたサイクロン粒子分離器と
を備えており、前記サイクロン粒子分離器が、
ハウジングであって、複数の流入口が画成された円筒形側壁と、前記円筒形側壁の第1の端部を塞ぐカバー部材と、前記ハウジングを前記内側端壁及び前記外側端壁の一方に結合するように構成された前記円筒形側壁の第2の端部の取付部材であって、前記ハウジングの下流の前記翼形部内部の冷却回路と流体連通する流出開口が画成された取付部材とを含むハウジングと、
前記ハウジング内に画成された1以上の粒子出口通路と
を備えている、タービンシステム。
【請求項18】
前記サイクロン粒子分離器の円筒形側壁内に配置された環状体をさらに備えており、前記環状体が、前記円筒形側壁の内側と前記環状体との間にサイクロン分離チャンバを画成する、請求項17に記載のタービンシステム。
【請求項19】
前記環状体が、前記カバー部材に近い小径端及び前記取付部材に近い大径端を有する、請求項18に記載のタービンシステム。
【請求項20】
前記環状体が、前記カバー部材に近い小径端及び前記取付部材に近い大径端を有する配向した円錐台形状を有する、請求項19に記載のタービンシステム。
【請求項21】
前記流出開口と前記環状体の大径端及び前記円筒形側壁の一方との間に延在する環状壁をさらに備えており、前記環状壁が環状粒子トラップを画成し、前記1以上の粒子出口通路が、前記環状粒子トラップと流体連通した第1の粒子出口通路を含む、請求項19に記載のタービンシステム。
【請求項22】
前記1以上の粒子出口通路が、前記カバー部材に隣接して前記円筒形側壁に画成された第1の粒子出口通路と、前記取付部材に隣接して前記円筒形側壁に画成された第2の粒子出口通路とを含む、請求項17に記載のタービンシステム。
【請求項23】
前記1以上の粒子出口通路を前記タービンの高温ガス経路に流体結合する導管をさらに備える、請求項17に記載のタービンシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、広義には粒子分離器に関し、さらに具体的には、複数の流入口が画成された円筒形の側壁を有するハウジングを含むサイクロン粒子分離器に関する。関連するタービン静翼及びタービンシステムも提供する。
【背景技術】
【0002】
広範な産業機械で、塵、埃、煤などの粒子を取り除く必要がある空気流が用いられている。浄化された空気流が用いられる産業機械として、ガスタービン(GT)システムのようなタービンシステムが挙げられる。GTシステムでは、圧縮機からの空気流を燃焼目的及び冷却目的に用いる。例えば、空気流をGTシステムのタービン静翼又は動翼の翼形部の冷却回路に送って、静翼又は動翼を通過する高温燃焼ガスによる翼形部の過熱を防ぐことがある。冷却回路は、通例、翼形部内で複雑な経路を辿る非常に小さな冷却通路を多数含む。粒子は、冷却回路に入る前に除去しておかないと、冷却通路を詰まらせてしまうおそれがある。現在のアプローチでは、タービン静翼又は動翼の一体部分である様々な粒子分離器又はコレクタが用いられている。そのため、これらの分離器又はコレクタは、旧式のタービン静翼又は動翼に後付けすることができず、特定の静翼又は動翼用にカスタマイズすることもできない。
【0003】
遠心分離機又はサイクロン分離器は、従来から空気流の浄化に用いられている。これらの分離器は、GTシステムのような繊細な産業機械での使用には、大きすぎ、また生じる圧力損失が大きすぎるので、適していない。流れを冷却に使用する場合、圧力損失が大きいため、分離器の下流での流れの冷却効果が制限される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2020/066294号
【発明の概要】
【0005】
以下に挙げるすべての態様、具体例及び特徴は、技術的に可能な方法で組合せることができる。
【0006】
本開示の一態様は、サイクロン粒子分離器を提供し、当該サイクロン粒子分離器は、ハウジングであって、複数の流入口が画成された円筒形側壁と、円筒形側壁の第1の端部を塞ぐカバー部材と、円筒形側壁の第2の端部の取付部材であって、流出開口が画成された取付部材とを含むハウジングと、ハウジング内に画成された1以上の粒子出口通路とを備えており、複数の流入口の各々は、ハウジングの上流からのガス流を円筒形側壁に対して接線方向にハウジングに進入させるように方向付け、サイクロン渦を生じさせる角度の付いた流れ案内面を含んでいる。
【0007】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、円筒形側壁内に配置された環状体をさらに含んでおり、環状体は、円筒形側壁の内側と環状体との間にサイクロン分離チャンバを画成する。
【0008】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、環状体は、カバー部材に近い小径端及び取付部材に近い大径端を有する。
【0009】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、環状体は、カバー部材に近い小径端及び取付部材に近い大径端を有する円錐台形状を有する。
【0010】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、流出開口と環状体の大径端及び円筒形側壁の一方との間に延在する壁をさらに含んでおり、壁は、円筒形側壁と共に環状粒子トラップを画成し、1以上の粒子出口通路は、環状粒子トラップと流体連通した第1の粒子出口通路を含む。
【0011】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、環状粒子トラップはトーラス形状を有する。
【0012】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、1以上の粒子出口通路は、カバー部材に隣接してハウジングの円筒形側壁に画成された第1の粒子出口通路と、取付部材に隣接してハウジングの円筒形側壁に画成された第2の粒子出口通路とを含む。
【0013】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、1以上の粒子出口通路は、取付部材に隣接した単一の粒子出口通路を含む。
【0014】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、ハウジングは、取付部材によってタービン静翼の内側端壁及び外側端壁の一方に動作可能に取り付けられ、流出開口は、取付部材の壁に画成され、ハウジングの下流のタービン静翼の翼形部内部の冷却回路と流体連通している。
【0015】
本開示の一態様は、タービン静翼に関し、当該タービン静翼は、内側端壁と、外側端壁と、内側端壁と外側端壁とを連結する翼形部と、サイクロン粒子分離器とを備えており、サイクロン粒子分離器は、ハウジングであって、複数の流入口が画成された円筒形側壁と、円筒形側壁の第1の端部を塞ぐカバー部材と、ハウジングを内側端壁及び外側端壁の一方に結合するように構成された円筒形側壁の第2の端部の取付部材であって、ハウジングの下流の翼形部内部の冷却回路と流体連通する流出開口が画成された取付部材とを含むハウジングと、ハウジング内に画成された1以上の粒子出口通路とを含んでおり、複数の流入口の各々は、ハウジングの上流からのガス流を円筒形側壁に対して接線方向にハウジングに進入させるように方向付け、サイクロン渦を生じさせる角度の付いた流れ案内面を含んでいる。
【0016】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、円筒形側壁内に配置された環状体をさらに含んでおり、環状体は、円筒形側壁の内側と環状体との間にサイクロン分離チャンバを画成する。
【0017】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、環状体は、カバー部材に近い小径端及び取付部材に近い大径端を有する。
【0018】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、環状体は、カバー部材に近い小径端及び取付部材に近い大径端を有する円錐台形状を有する。
【0019】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、流出開口と環状体の大径端及び円筒形側壁の一方との間に延在する壁をさらに含んでおり、環状壁は、環状粒子トラップを画成し、1以上の粒子出口通路は、環状粒子トラップと流体連通した第1の粒子出口通路を含む。
【0020】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、環状粒子トラップはトーラス形状を有する。
【0021】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、1以上の粒子出口通路は、カバー部材で塞がれた第1の端部に隣接した円筒形側壁に画成された第1の粒子出口通路と、取付部材に隣接して円筒形側壁に画成された第2の粒子出口通路とを含む。
【0022】
本開示の一態様は、タービンシステムを包含し、当該タービンシステムは、圧縮機と燃焼器とタービンとが互いに動作可能に結合されたエンジンコアであって、タービンが、一つのタービン段に複数の静翼を含んでおり、各静翼が、内側端壁と、外側端壁と、内側端壁と外側端壁とを連結する翼形部とを含む、エンジンコアと、各静翼の内側端壁及び外側端壁の一方に取り付けられたサイクロン粒子分離器であって、サイクロン粒子分離器が、ハウジングであって、複数の流入口が画成された円筒形側壁と、円筒形側壁の第1の端部を塞ぐカバー部材と、ハウジングを内側端壁及び外側端壁の一方に結合するように構成された円筒形側壁の第2の端部の取付部材であって、ハウジングの下流の翼形部内部の冷却回路と流体連通する流出開口が画成された取付部材とを含むハウジングと、ハウジング内に画成された1以上の粒子出口通路とを備える、サイクロン粒子分離器とを備える。
【0023】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、サイクロン粒子分離器の円筒形側壁内に配置された環状体をさらに含んでおり、環状体は、円筒形側壁の内側と環状体との間にサイクロン分離チャンバを画成する。
【0024】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、環状体は、カバー部材に近い小径端及び取付部材に近い大径端を有する。
【0025】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、環状体は、カバー部材に近い小径端及び取付部材に近い大径端を有する円錐台形状を有する。
【0026】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、流出開口と環状体の大径端及び円筒形側壁の一方との間に延在する環状壁をさらに含んでおり、環状壁は、環状粒子トラップを画成し、1以上の粒子出口通路は、環状粒子トラップと流体連通した第1の粒子出口通路を含む。
【0027】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、1以上の粒子出口通路は、カバー部材に隣接して円筒形側壁に画成された第1の粒子出口通路と、取付部材に隣接して円筒形側壁に画成された第2の粒子出口通路とを含む。
【0028】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、1以上の粒子出口通路をタービンの高温ガス経路に流体結合する導管をさらに含む。
【0029】
本開示の一態様は、サイクロン粒子分離器を包含し、当該サイクロン粒子分離器は、ハウジングであって、複数の流入口が画成されかつ第1の直径を有する円筒形側壁と、円筒形側壁の第1の端部を塞ぐカバー部材と、円筒形側壁の第2の端部の取付部材であって、第2の直径を有する流出開口が画成された取付部材とを含むハウジングと、ハウジング内に画成された1以上の粒子出口通路とを備えており、第1の直径と第2の直径との差は12.5mmを超える。
【0030】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、円筒形側壁に画成された1以上の粒子出口通路は0.76mm以上の直径を有する。
【0031】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、1以上の粒子出口通路は、円筒形側壁に対して接線方向に延在する。
【0032】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、1以上の粒子出口通路は、ハウジングよりも圧力の低い位置まで延在する。
【0033】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、円筒形側壁の内環部の面積は、複数の流入口の面積の合計の少なくとも1.5倍である。
【0034】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、円筒形側壁内に配置された環状体をさらに含み、環状体は、円筒形側壁の内側と環状体との間に環状サイクロン分離チャンバを画成し、環状体の半径方向外端と円筒形側壁の内側との間の環状面積は、複数の流入口の面積の合計と少なくとも同じ大きさである。
【0035】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、環状体に画成された中央開口の面積は、複数の流入口の面積の合計と少なくとも同じ大きさである。
【0036】
本開示の一態様は、タービン静翼を包含し、当該タービン静翼は、内側端壁と、外側端壁と、内側端壁と外側端壁とを連結する翼形部と、内側端壁及び外側端壁の一方に取り付けられたサイクロン粒子分離器とを備えており、サイクロン粒子分離器は、ハウジングであって、複数の流入口が画成されかつ第1の直径を有する円筒形側壁と、円筒形側壁の第1の端部を塞ぐカバー部材と、ハウジングを内側端壁及び外側端壁の一方に結合するように構成された円筒形側壁の第2の端部の取付部材であって、ハウジングの下流の翼形部内部の冷却回路と流体連通する流出開口であって第2の直径を有する流出開口が画成された取付部材とを含むハウジングと、ハウジング内に画成された1以上の粒子出口通路とを備えており、第1の直径と第2の直径との差は12.5mmを超える。
【0037】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、円筒形側壁に画成された1以上の粒子出口通路は0.76mm以上の直径を有する。
【0038】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、1以上の粒子出口通路は、円筒形側壁に対して接線方向に延在する。
【0039】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、1以上の粒子出口通路は、取付部材を貫通する。
【0040】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、円筒形側壁の内環部の面積は、複数の流入口の面積の合計の少なくとも1.5倍である。
【0041】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、円筒形側壁内に配置された環状体をさらに含み、環状体は、円筒形側壁の内側と環状体との間に環状サイクロン分離チャンバを画成し、環状体の半径方向外端と円筒形側壁の内側との間の環状面積は、複数の流入口の面積の合計と少なくとも同じ大きさである。
【0042】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、環状体に画成された中央開口の面積は、複数の流入口の面積の合計と少なくとも同じ大きさである。
【0043】
本開示の一態様は、ガスタービンシステムに関し、当該ガスタービンシステムは、圧縮機と燃焼器とタービンとが互いに動作可能に結合されたエンジンコアであって、タービンが、一つのタービン段に複数の静翼を含んでおり、タービン段の各静翼が、内側端壁と、外側端壁と、内側端壁と外側端壁とを連結する翼形部とを含む、エンジンコアと、各静翼の内側端壁及び外側端壁の一方に取り付けられたサイクロン粒子分離器であって、サイクロン粒子分離器が、ハウジングであって、複数の流入口が画成されかつ第1の直径を有する円筒形側壁と、円筒形側壁の第1の端部を塞ぐカバー部材と、ハウジングを内側端壁及び外側端壁の一方に結合するように構成された円筒形側壁の第2の端部の取付部材であって、ハウジングの下流の翼形部内部の冷却回路と流体連通する流出開口であって第2の直径を有する流出開口が画成された取付部材とを含むハウジングと、ハウジング内に画成された1以上の粒子出口通路とを備えているサイクロン粒子分離器とを備えており、第1の直径と第2の直径との差は12.5mmを超える。
【0044】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、円筒形側壁の内環部の面積は、複数の流入口の面積の合計の少なくとも1.5倍である。
【0045】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、サイクロン粒子分離器の円筒形側壁内に配置された環状体をさらに含んでおり、環状体は、円筒形側壁の内側と環状体との間に環状サイクロン分離チャンバを画成し、環状体の半径方向外端と円筒形側壁の内側との間の環状面積は、複数の流入口の面積の合計と少なくとも同じ大きさである。
【0046】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、環状体に画成された中央開口の面積は、複数の流入口の面積の合計と少なくとも同じ大きさである。
【0047】
この発明の概要の欄に記載した態様も含めて、本開示に記載した2以上の態様を組合せて、本明細書に具体的に記載されていない実施態様としてもよい。
【0048】
1以上の実施態様の詳細を、添付の図面及び以下の説明に記載する。その他の特徴、目的及び利点は、発明の詳細な説明、図面並びに特許請求の範囲から明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0049】
本開示の上記その他の特徴については、本開示の様々な実施形態について記載する添付図面と併せて以下の詳細な説明を参照することによって理解を深めることができよう。
図1】本開示の実施形態を用いることができる例示的なタービンシステムの概略図。
図2図1のタービンシステムで使用し得る3タービン段を有する例示的なタービンアセンブリの断面図。
図3】本開示の実施形態に従って、図2のタービンアセンブリで使用し得るサイクロン粒子分離器を含むタービン静翼の斜視図。
図4】本開示の実施形態に係る図3のサイクロン粒子分離器及びタービン静翼の断面図。
図5】本開示の実施形態に係る図3のサイクロン粒子分離器の部分断面図。
図6図4のサイクロン粒子分離器の6-6矢視断面図。
図7】多数の代替的特徴を含む、サイクロン粒子分離器のハウジングの断面図。
図8】本開示の他の実施形態に係るサイクロン粒子分離器及びタービン静翼の断面図。
図9】本開示の実施形態に係る環状粒子トラップの拡大断面図。
図10】本開示の他の実施形態に係る環状粒子トラップの拡大断面図。
図11】本開示の他の実施形態に係るサイクロン粒子分離器及びタービン静翼の断面図。
図12】本開示の追加の実施形態に係る2つのサイクロン粒子分離器及びタービン静翼の断面図。
図13】説明のため複数の寸法を強調した分離器の拡大断面図。
図14】本開示の他の実施形態に係るサイクロン粒子分離器の斜視図。
【0050】
なお、本開示の図面は必ずしも縮尺通りではない。図面は、本開示の典型的な態様を例示するものにすぎず、本開示の技術的範囲を限定するものではない。図面において、同様の符号は複数の図面間で同様の構成要素を表す。
【発明を実施するための形態】
【0051】
まず、本開示の主題を明確に説明するため、タービンシステムのようにサイクロン分離器を用いる産業機械内の関連する機械部品について言及及び説明する際に、用語を選択する必要がある。できるだけ、当技術分野で一般的な用語を、その通常の意味と一致するように用いる。別途記載されていない限り、かかる用語は、本願の文脈及び添付の特許請求の範囲に則して広義に解釈すべきである。ある部品について幾つかの異なる又は重複する用語を用いて言及することが多々あることは当業者には明らかであろう。本明細書において、単一の部材として記載したものであっても、別の文脈では複数の部品からなるものとして記載することもある。或いは、本明細書のある箇所で複数の部品を含むものとして記載したものであっても、別の箇所では単一の部材として記載することもある。
【0052】
さらに、本明細書では幾つかの記述的用語を繰返し用いるが、本欄の冒頭でこれらの用語を定義しておくと有用であろう。これらの用語及びその定義は、別途明記しない限り、以下の通りである。本明細書で用いる「下流」及び「上流」という用語は、流体の流れ(例えばタービンを通る作動流体の流れ、或いは燃焼器を通る空気又はタービンの部品系の1つを通る冷却剤の流れなど)に関する方向を示す用語である。「下流」という用語は流体が流れていく方向に対応し、「上流」という用語は流れと反対の方向(すなわち、流れて来る方向)をいう。「前方」及び「後方」という用語は、それ以上は特定されない方向をいい、「前方」はエンジンの前方又は圧縮機端を示し、「後方」はターボ機械の後方セクションを示す。
【0053】
中心軸に対して異なる半径方向位置に配置された部品について説明する必要が多々ある。「半径方向」という用語は、軸に垂直な運動又は位置をいう。例えば、第1の部品が第2の部品よりも軸に近い場合、本明細書では第1の部品は第2の部品の「半径方向内側」又は「中心軸近位側」と記載される。一方、第1の部品が第2の部品よりも軸から遠く位置する場合、本明細書では第1の部品は第2の部品の「半径方向外側」又は「中心軸遠位側」と記載される。「軸方向」という用語は、軸に平行な運動又は位置をいう。最後に、「周方向」という用語は、軸を中心とした運動又は位置をいう。自明であろうが、かかる用語は、ガスタービンの中心軸との関係で適用される。
【0054】
さらに、本明細書では、以下に記載する通り、幾つかの記述的用語を繰返し用いる。「第1」、「第2」及び「第3」という用語は、ある部品を他の部品と区別するために互換的に用いられ、個々の部品の位置又は重要性を示すものではない。
【0055】
本明細書で用いる用語は、特定の実施形態を説明するためのものにすぎず、開示内容を限定するものではない。本明細書において、単数形で記載したものであっても、前後関係から別途明らかでない限り、複数の場合も含めて意味する。本明細書において、「備える」及び/又は「含む」という用語は、記載した特徴、整数、ステップ、操作、構成要素及び/又は部品が存在することを示し、他の1以上の特徴、整数、ステップ、操作、構成要素、部品及び/又はこれらの群の存在又は追加を除外するものではない。「任意」又は「適宜」という用語は、その用語に続いて記載された事象又は状況が起きても起きなくてもよいこと或いはその用語に続いて記載された部品又は構成要素が存在しても存在しなくてもよいことを意味しており、かかる記載はその事象又は状況が起こる場合と起こらない場合並びにその部品が存在する場合と存在しない場合とを包含する。
【0056】
ある構成要素又は層が別の構成要素又は層「の上」、「に係合」、「に接続」又は「に結合」しているという場合、その別の構成要素又は層の上に直接位置していても、その別の構成要素又は層に直接係合、接続又は結合していてもよいし、或いは介在する構成要素又は層が存在していてもよい。対照的に、ある構成要素が別の構成要素又は層「の直接上」、「に直接係合」、「に直接接続」又は「に直接結合」しているという場合、介在する構成要素又は層は存在しない。構成要素間の関係について説明するために用いられる他の用語(例えば、「~の間」と「直接~の間」、「隣接」と「直接隣接」など)も同様に解釈される。本明細書で用いる「及び/又は」という用語は、記載されたものの1以上のあらゆるすべての組合せを包含する。
【0057】
上述の通り、本開示は、サイクロン粒子分離器を提供する。サイクロン粒子分離器は、複数の流入口が画成された円筒形側壁を含むハウジングを含む。ハウジングは、円筒形側壁の第1の端部を塞ぐカバー部材、及び円筒形側壁の第2の端部の取付部材も含む。取付部材には、流出開口が画成される。1以上の粒子出口通路がハウジング内に画成される。複数の流入口の各々は、ハウジングの上流からのガス流を円筒形側壁に対して接線方向にハウジングに進入させるように方向付け、サイクロン渦を生じさせる角度の付いた流れ案内面を含む。サイクロン渦は、ガス流から粒子を分離するように作用する。
【0058】
ある実施形態では、円筒形側壁は第1の直径を有し、流出開口は第2の直径を有し、第1の直径と第2の直径との差は12.5mm(約0.5インチ)を超える。サイクロン粒子分離器は、清浄なガス流が必要とされるほぼあらゆる産業機械に用いることができるが、本願ではタービンシステムのタービン静翼に応用されるものについて説明する。サイクロン粒子分離器は、タービン静翼の端壁のような小さな領域に適用するための小さいプロファイルを与える。本明細書に記載の他の構造の中でも、特に円筒形側壁の流入口は、圧縮ガス流の後段での(例えば分離器の下流のタービン静翼の冷却回路での冷却のための)使用に悪影響を与えるような著しい圧力損失を伴わずに、粒子分離を可能にする。
【0059】
図1は、ガスタービン(GT)システムの形態の例示的なタービンシステム100の概略図である。タービンシステム100は、圧縮機102と燃焼器104とタービン108とが互いに動作可能に結合されたエンジンコア101を含む。燃焼器104は、燃焼領域105及び燃料ノズルアセンブリ106を含む。タービンシステム100は、共通の圧縮機/タービンシャフト110(「ロータ110」ともいう。)も含んでいる。一実施形態では、タービンシステム100は、General Electric社(米国サウスカロライナ州グリーンビル)から市販の7HA.03エンジンである。本開示は、いかなる特定のGTシステムに限定されるものではなく、例えば、General Electric社の他のHA、F、B、LM、GT、TM及びEクラスエンジンモデル、並びに他社のエンジンモデルを含始めとする、他のタービンエンジンに関しても使用し得る。上述の通り、本願に記載のサイクロン粒子分離器は、タービンシステム以外の様々な産業機械にも使用できる。タービンシステムでは、サイクロン粒子分離器で浄化されるガスは空気であるが、他の産業機械ではガスは空気以外のものであってもよい。
【0060】
図2は、図1のタービンシステム100で使用し得る3段の動翼及びノズルを備える例示的なタービン108の断面図である。タービン108に含まれる段の数は、図に示すものよりも多くても少なくてもよい。タービン108は、一つのタービン段に(頁面の内側及び外側に)配置された複数の静翼112を含む。各静翼112は、(半径方向)外側端壁114と、(半径方向)内側端壁116と、外側端壁114と内側端壁116とを連結する翼形部120とを含む。静翼112は、外側端壁114によってタービン108のケーシング122内に保持される。自明であろうが、圧縮ガス(空気)流124は、圧縮機102(図1)からケーシング122を通って、静翼112内の冷却回路(図2には図示せず)に入り、静翼を冷却する。タービン108は、(頁面の内側及び外側に)複数の動翼123も含んでおり、動翼123は、隣接する上流の静翼112と共に一つのタービン段を画成する。各動翼123は、ロータ110に結合される基部125と、基部125から延在する翼形部127とを含む。自明であろうが、圧縮空気流129は、圧縮機102(図1)から基部125を通って、動翼123内の冷却回路(図2には図示せず)に入り、動翼を冷却する。
【0061】
図1及び図2を参照すると、運転中、空気が圧縮機102を流れ、圧縮空気が燃焼器104に供給される。具体的には、圧縮空気は、燃焼器104に内蔵された燃料ノズルアセンブリ106に供給される。燃料ノズルアセンブリ106は燃焼領域105と流体連通している。燃料ノズルアセンブリ106は燃料源(図1には図示せず)とも流体連通しており、燃料及び空気を燃焼領域105に導く。燃焼器104は、燃料を着火して燃焼させ、燃焼ガスを生成する。燃焼器104はタービン108と流体連通しており、ガス流の熱エネルギーはタービン108の高温ガス経路180を通って機械的回転エネルギーへと変換される。タービン108は、ロータ110に回転可能に結合しており、ロータ110を駆動する。静翼112によって導かれる燃焼ガスは、動翼123及びロータ110を回転させる。圧縮機102も、シャフト110と回転可能に結合していてもよい。例示した実施形態では、複数の燃焼器104及び燃料ノズルアセンブリ106が存在する。
【0062】
図3は、その外端壁114にサイクロン粒子分離器126(以下「分離器126」という)を含む1個の例示的な静翼112の斜視図を示す。ある実施形態では、分離器126は、タービンシステム100の1以上の静翼112の内側端壁116(図11参照)及び外側端壁114(図3)の一方に取り付けることができる。図12に示す別の実施形態では、分離器126は、タービンシステム100の1以上の静翼112の内側端壁116及び外側端壁114の両方に取り付けることができる。説明のため、図4は、タービン静翼112の外側端壁114上の分離器126の断面図を示す。図5は、外側端壁114上の分離器126の部分断面図を示す。
【0063】
分離器126は、ハウジング130を含む。図4及び図5に最も明瞭に示されているように、ハウジング130は、複数の流入口134が画成された円筒形側壁132を含む。ガス流124(例えば、図2参照)は、円筒形ハウジング132の外側から(例えばケーシング122(図2)の内側から)流入口134を通って円筒形ハウジング132の内部に流れる。ハウジング130は、円筒形側壁132の第1の端部138を塞ぐカバー部材136を含む。ハウジング130は、円筒形側壁132の第2の端部142に取付部材140も含んでいる。
【0064】
ハウジング130は、使用環境に耐えることができる材料で作ることができる。円筒形側壁132は、真円筒形からの僅かなずれを有していてもよいが、複数の流入口134(単に「流入口134」ともいう)を通って入るガス流124のサイクロン渦170(図6)を生じさせるのに十分な湾曲を有する。流入口134は様々に配置し得る。図4では、1列の流入口134が円筒壁132の高さHの大半に延在している。図13に示す別の例では、流入口134は、半径方向に離間した一対の列230A,230Bに配置されている。流入口134の種々異なる配置も可能である。
【0065】
カバー部材136は、円筒形側壁132の第1の端部138を流体閉塞することができるいかなる構造部材であってもよい。図に示す例では、カバー部材136は、円筒形側壁132の第1の端部に結合した平板である。しかし、他の実施形態では、カバー部材136は、粒子分離及び/又は圧力損失を改善するため、円筒形側壁132内で形成されたサイクロン渦170(図6)に好影響を与えるように構成された内面(図示せず)を有していてもよい。
【0066】
取付部材140は、ハウジング130を出る浄化されたガス流144(図4)(例えば空気)が後段での用途(例えばタービン静翼112の翼形部120内の冷却回路148(図4)など)と流体連通するように、ハウジング130を例えば外側端壁114に流体結合することができる構造を含むことができる。図示した非限定的な例では、取付部材140は、壁150(例えば、プレート要素)と、外側端壁114と結合してマニホールド154を形成するための任意の数の連結壁152(図5)とを含む。取付部材140は、分離器126が結合される構造に応じて多種多様な形態を取り得る。いずれにせよ、取付部材140は、取付部材(例えば取付部材140の壁150,152)を貫通して画成された流出開口160を含む。流出開口160は、マニホールド154を介して、例えば翼形部120(及び場合によっては外側端壁114)内の1以上の開口156と流体連通しており、流出開口160を通過する浄化ガス流144(空気)が少なくとも翼形部120内の冷却回路148に入る。翼形部120及び/又は外側端壁114内の冷却回路148は、現在公知の又は将来開発される任意の形態を取り得るが、典型的には、マニホールド154と流体連通した外側端壁114内の1以上の開口156を含んでいて、浄化ガス流144は開口156に入ることができる。
【0067】
図6は、分離器126の断面図、特に図4のハウジング130の6-6矢視図を示す。図6は、複数の流入口134の各々が、ハウジング130の上流からのガス流124(矢印)を円筒形側壁132に対して接線方向にハウジング130に進入させるように方向付け、サイクロン渦170を生じさせる角度の付いた流れ案内面166を含んでいることを示す。タービンシステム100(図1)の用途では、ガス流124は、圧縮機102(図1)からの圧縮空気を含んいるが、他の用途では他のガスを含んでいてもよい。以下で説明する通り、分離器126の特徴は、最小限の圧力損失でガス流124から粒子を効率的に分離するため、サイクロン渦170の効率及び他の作動態様を最適化するために選択することができる。
【0068】
図4及び図5に最も明瞭に示されているように、分離器126は、ハウジング130内に画成された1以上の粒子出口通路176も含んでおり、ガス流124からサイクロン渦170によって分離された粒子は粒子出口通路176を通してハウジング130から排出される。こうして、1以上の出口通路176は、浄化されたガス流144(図4)の使用に先立って、ハウジング130から粒子が離れるための経路を提供する。1以上の粒子出口通路176は、サイクロン渦170からの粒子運動量が妨げられないように、円筒形側壁132に対して接線方向に延在する。任意の数の出口通路176を用いることができる。図4及び図5では、単一の出口通路176が示してあり、この出口通路176は、必須ではないものの、好ましくは取付部材140に隣接して配置される。
【0069】
図7は、多数の代替的特徴を含むハウジング130の断面図を示す。例えば、他の実施形態では、図7に示すように、ハウジング130は、カバー部材136に隣接してハウジング130の円筒形側壁132に画成された第1の粒子出口通路176A(破線で示す)、取付部材140に隣接してハウジング130の円筒形側壁132に画成された第2の粒子出口通路176B(部分的に破線で示す)を含んでいてもよい。1以上の出口通路176は、ガス流124(図4)から粒子を除去するため、ハウジング130よりも圧力の低い所望の位置に粒子を案内し得る。例えば実施形態では、図5に示すように、1以上の粒子出口通路176は、タービン108(図1)の高温ガス経路180(図2図5)に粒子を案内し得る。この場合、1以上の出口通路176は、取付部材140(例えば取付部材140の壁150)を貫通し、例えば外側端壁114を通って高温ガス経路180へとつながる経路を形成し得る。こうして、粒子はガス流124から除去され、高温ガス経路180を介して除去される。他の実施形態では、1以上の出口通路176は、粒子を捕集キャビティ(図示せず)に案内し得る。
【0070】
図8は、本開示の他の実施形態に係る分離器126及びタービン静翼112の断面図である。ある実施形態では、図7及び図8に示すように、1以上の分離器126は、円筒形側壁132内に位置する環状体190を含んでいてもよい。換言すると、環状体190は、タービンシステム100(図1)の複数の分離器126の1以上の分離器の円筒形側壁132内に位置し得る。環状体190は、円筒形側壁132の内側194と環状体190の外側196との間にサイクロン分離チャンバ192を画成する。環状体190は、環状体190の内径197と取付部材140との間にサイクロン分離チャンバ195も画成する。環状体190は、略円形であるが、真円からの僅かなずれを有していてもよく、例えば楕円形であってもよい。
【0071】
環状体190は、多くの方法で配置し得る。一例では、環状体190は、円筒形側壁132の第2の端部142の近傍で円筒形側壁132に結合され、それらは互いに結合されるか或いは一体部材として形成される。ただし、他の位置構成も可能である。例えば、別の配置(図示せず)では、環状体190は、取付部材140及び/又はカバー部材136と結合又は一体に形成し得る。環状体190は、カスタマイズされたサイクロン分離チャンバ192及び/又はサイクロン分離チャンバ195が得られる寸法及び形状とすることができ、その寸法及び形状は、各々、著しい圧力損失を伴わずに粒子の除去が効率的に改善されるように働く。環状体190は、タービンシステム100(図1)の特定の分離器126の円筒形側壁132内に配置し得る。ある非限定的な例では、分離器126は、タービン108(図1)の下半分にあるタービン静翼112に設けることができる。ただし、環状体190は、いかなる所望の分離器126に用いてもよい。
【0072】
一実施形態では、環状体190は、カバー部材136に近接した小径端200と取付部材140に近接した大径端202とを有する。分離器126を外側端壁114に結合した場合、小径端200はロータ110(図2)に対して半径方向外側であり、大径端202は半径方向内側である。環状体190は、小径端200に中央開口206を画成する。ある実施形態では、中央開口206は、流出開口160の直径Dcool図13)よりも僅かに大きい直径Dcone図13)を有する。ただし、これはすべての事例で必須というわけではない。一実施形態では、例えば図8に示すように、環状体190は、カバー部材136に近い小径端200及び取付部材140に近い大径端202を有する円錐台形状を有する。ここでは、環状体190は概して大径端202から小径端200まで断面が直線的な壁(すなわち、一定の傾斜を有する壁)を有する。対照的に、図7に示すように、環状体190は、断面が湾曲した壁を有する(すなわち火山状の形状を生じる)略円錐台形状を有していてもよく、カバー部材136に近接した小径端200上の点と、取付部材140に近接した大径端202上の対応点との間に画成される線は、凸曲線を画成する。換言すると、環状体190の断面直径は、第1の傾きを有する部分と、第1の傾きとは異なる第2の傾きを有する部分とがつながっている。環状体190は、流れを半径方向外側に送り、次いで壁を越えて半径方向内側に送る任意の形状、例えばL字形を有することができる。
【0073】
図7を続けて参照すると、ある実施形態では、分離器126は、流出開口160と環状体190の大径端202及びハウジング130の円筒形側壁132の一方との間に延在する環状壁210を含んでいてもよい。環状壁210は、略円形であるが、真円からの僅かなずれを有していて(例えば楕円形であって)もよく、ある程度の不連続性を有していてもよい。壁210は、円筒形側壁132又は環状体190の大径端202と共に環状粒子トラップ212を画成する。図9及び図10は、ハウジング130及び壁210の拡大断面図を示す。図7及び図9では、壁210は、流出開口160とハウジング130の円筒形側壁132との間に延在している。この場合、環状体190の大径端202は、壁210の上方にあり、流出開口160と円筒形側壁132との間に介在していない。サイクロン分離チャンバ192は、環状粒子トラップ212の上方(半径方向外側)にある。或いは、図10に示すように、壁210は、流出開口160と環状体190の大径端202との間に延在していてもよく、円筒形側壁132は壁210のすぐ隣りにはない。本実施形態では、サイクロン分離チャンバ192は環状粒子トラップ212に隣接している。いずれにせよ、壁210は、円筒形側壁132又は環状体190の大径端202と共に環状粒子トラップ212を画成する。環状粒子トラップ212は、サイクロン流から粒子を捕集し、それらを粒子出口通路176へと導くように作用する。
【0074】
1以上の粒子出口通路176は、環状粒子トラップ212と流体連通していてもよい。図9は、単一の粒子出口通路176(環状粒子トラップ212内の破線)を示す。ある実施形態では、図7に示すように、1以上の粒子出口通路176Bは環状粒子トラップ212と流体連通していてもよく、1以上の他の粒子出口通路176Aは、ハウジング130の円筒形側壁132にカバー部材136に隣接して画成し得る。
【0075】
壁210は、所望の形状の環状粒子トラップ212を生じる任意の形状を有し得る。一例では、図7及び図10に示すように、壁210は外側に湾曲した面214を有しており、環状体190の大径端202又は円筒形側壁132の合わせ面216と共に、トーラス形状の粒子トラップ212を生じる。他の形状の環状粒子トラップ212も可能であり、例えば三角形又は矩形断面のトーラスであってもよい。
【0076】
上述の通り、一実施形態では、分離器126のハウジング130は、取付部材140によってタービン静翼112の外側端壁114に動作可能に取り付けることができる。図11に示すように、別の実施形態では、分離器126のハウジング130は、取付部材140によってタービン静翼112の内側端壁116に動作可能に取り付けることができる。流出開口160は、取付部材140の壁150及び/又は152に画成され、円筒形側壁132の下流のタービン静翼112の翼形部120内部の冷却回路148と流体連通している。図12に示すように、別の実施形態では、分離器126のハウジング130は、それぞれの取付部材140によってタービン静翼112の外側端壁114及び内側端壁116の各々に動作可能に取り付けることができる。各分離器126の流出開口160は、その取付部材140の壁150及び/又は152に画成され、円筒形側壁132の下流のタービン静翼112の翼形部120内部の冷却回路148と流体連通している。清浄なガス流144が、タービン静翼112の翼形部120の両端に供給される。
【0077】
運転中、圧縮機102(図1)からの空気のような圧縮ガス流124が、分離器126の円筒形側壁132内の流入口134に入る。ガス流124は、例えばタービン静翼112の冷却回路148での効率的使用には大きすぎる粒子及び除去すべき粒子を含んでいる。流入口134の流れ案内面166は、ガス流124を円筒形側壁132に対して接線方向に方向付けて、環状体190(設けられる場合)の中央開口206及び流出開口160に導き、サイクロン渦170を発生させる。ガス流124に含まれる粒子は、円筒形側壁132の内側194に向かう遠心力によって外側に押し出され、粒子は、1以上の粒子出口通路176を通して排出される。浄化されたガス流144は、円筒形側壁132の第2の端部142で内側に移動し、流出開口160から排出されて例えばタービン静翼112の翼形部120内の冷却回路148に送られる。環状体190が設けられる場合、環状体190は、円筒形側壁132内部で、流れを半径方向外側にかつ環状体190を超えて移動させる中空流れ偏向特徴として作用する。環状体190は、このように、粒子が移動する流路を延長させ、流入口134から流出開口160までの視線を制限し、空力的抗力によって粒子を周方向に加速させて、流れからの粒子の分離をもたらす遠心慣性力を増大させる。サイクロン流は、環状体190の第1の半径方向外端200を越えて、半径方向外端200の中央開口206を通り、次いで円筒形側壁132の第2の端部142に向かって外側に進む。粒子は、このようにして、円筒形側壁132の第2の端部142の近傍で円筒形側壁132の外側に遠心分離される。1以上の粒子出口通路176は、例えば流れを妨げないように接線方向の、粒子の除去を可能にする。浄化ガス流144は、流出開口160を通って出る。
【0078】
図13は、分離器126の拡大断面図を示し、説明のため分離器126の多数の寸法が強調されている。上述の通り、分離器126は、複数の流入口134が画成された円筒形側壁132と、円筒形側壁132の第1の端部138を塞ぐカバー部材136と、円筒形側壁132の第2の端部142の取付部材140とを含むハウジング130を含む。流出開口160は、取付部材140(例えばその壁150)に画成し得る。1以上の粒子出口通路176がハウジング130内に画成される。分離器126の特定の寸法を制御することは、粒子分離効率の至適化及び圧力損失の抑制に関して利点をもたらすことができる。
【0079】
図13に示すように、円筒形側壁132は直径Dsepを有し、流出開口160は直径Dcoolを有する。低い圧力損失で効率的な粒子分離をもたらすため、分離器126の1次元態様は、直径Dsepと直径Dcoolとの差が12.5mm(約0.5インチ)を超えるように制御することである。一実施形態では、その差は25mm(約1.0インチ)超とすることができる。別の実施形態では、その差は、37.5mm(約1.5インチ)超とすることができる。一般に、直径Dsepと直径Dcoolの差が大きいほど、サイクロン渦170内で粒子が加速され、円筒形側壁132及び出口通路176に向かって半径方向に外側に移動する時間が増える。流出開口160の直径Dcoolは、冷却回路148に必要とされる浄化ガス流144の量及び許容圧力損失に基づいて決定することができる。様々な実施形態では、円筒形側壁132の直径Dsepは、流出開口160の直径Dcoolよりも格段に大きく、2倍を超える大きさである。
【0080】
分離器126の直径Dsep及びDcool及び高さHを許容設計範囲内で最大にすることも有利である。直径Dsep及び高さHは、流入口134の面積を含めた円筒形側壁132の内側194(内面)の面積(すなわち円筒面積)である内環部面積Aannの成分である。換言すると、内環部面積Aannが大きいほど、サイクロン渦170の周方向速度成分はサイクロン渦170の半径方向速度成分に比較して大きくなり、粒子分離効率が高まる。したがって、内環部面積Aannが大きいと、圧力損失を最小限に抑制しながら、分離効率に有益な影響を与える。一例では、粒子の75%以上が除去され、例えば、翼形部120及び他の構造における冷却回路148の耐久性が4倍増加する。
【0081】
複数の流入口134の面積の合計(Avent)を制御することも、粒子分離効率に有益な影響を与えることができる。一実施形態では、内環部面積Aannは、流入口134の面積Aventの合計の少なくとも1.5倍である。一実施形態では、内環部面積Aannは、流入口134の面積Aventの合計の少なくとも2.0倍である。流入口134の高さHventも理想的には許容ハウジング高さH内で最大化され、環状体190(設けられる場合)、1以上の出口通路176及び必要とされる相互接続構造(例えば取付部材140の壁152(図5))のための空間をもたらす。流入口134の数、個々の高さHport、幅W及び偏心オフセット(流れ案内面166(図6)の角度)は、用途に固有の必要な流れ面積に基づくことができる。さらに、図6に示すように、これらのパラメータは、好ましくは、円筒形側壁132に対して接線方向の流れを生じさせ、かつ強い円周速度成分を有するサイクロン渦170を生じさせるために、流出開口160に対するガス流124の視線を軽減するように制御することができる。
【0082】
1以上の粒子出口通路176の寸法及び配向を制御することも、効率的な粒子分離に役立ち得る。これに関して、一実施形態では、円筒形側壁132に画成される1以上の粒子出口通路は、各々0.76mm(約0.030インチ)以上の直径Dexitを有する。ある非限定的な例では、円筒形側壁132に画成される1以上の粒子出口通路176は、各々5.59mm(約0.22インチ)以上の直径Dexitを有する。
【0083】
環状体190が円筒形側壁132内に配置されて、円筒形側壁132の内側194と環状体190の外側196との間に環状サイクロン分離チャンバ192を画成する実施形態では、分離器126の特定の寸法を、分離器126を通しての圧力損失がさらに抑制されるように設計することができる。例えば、一実施形態では、環状体190の半径方向外端200と円筒形側壁132の内側194との間の環状面積Aは、流入口134の面積Aventの合計と少なくとも同じ大きさにすることができる。ある非限定的な例では、環状面積Aは、流入口134の面積Aventの合計の4倍とすることができる。環状面積Aは、サイクロン分離チャンバ192のサイズを制御し、それによって生じる圧力損失を制御する。別の例として、ある実施形態では、環状体190の半径方向外端200とカバー部材136の内側232との間の半径方向面積A(円筒面積)は、流入口134の面積Aventの合計と少なくとも同じ大きさにすることができる。ある非限定的な例では、半径方向面積Aは、流入口134の面積Aventの合計の4~6倍とすることができる。半径方向面積Aは、サイクロン分離チャンバ192の半径方向範囲を制御するので、この面積の制御は、サイクロン渦170が半径方向に延在できる範囲と、この空間による許容圧力損失を制御する。別の例として、ある実施形態では、環状体190(すなわち半径方向外端200に)に画成される中央開口206の面積Aは、流入口134の面積Aventの合計と少なくとも同じ大きさである。ある非限定的な例では、面積Aは、流入口134の面積Aventの合計の4倍とすることができる。面積Aは、環状体190の中央開口206の寸法であり、分離器126において中央開口206によって生じる圧力損失を制御する。
【0084】
図14は、本開示の他の実施形態に係る分離器126の斜視図である。本例では、分離器126は、図4図13に示すものよりも外側端壁114の半径方向外側に大きく延在している。取付部材140は、流出開口(図示せず、内壁150)からの延長導管240を含む。壁150は外側端壁114のすぐ隣にはないので、粒子出口通路176は、外側端壁114に届く専用導管242を有する。上述の通り、取付部材140は、様々な配置及び用途での分離器126の使用に対応するために様々な形態を取り得る。
【0085】
分離器126は、現在公知の又は将来開発される任意の技術を用いて製造し得る。好適には、分離器126は、例えば直接金属レーザー溶融(DMLM)技術を用いて、積層造形することができる。
【0086】
本開示の実施形態は、夾雑物を最小限に抑制し、例えばタービン静翼112(図3)又はタービン動翼123(図14)のメンテナンスコストを低減し、寿命を延ばし、信頼性及び耐久性を高めることができるサイクロン粒子分離器126を提供する。分離器126は、好適には、旧式の静翼及び動翼にも簡単に後付けしてその寿命を延ばすことができる。分離器126のサイズは、限定されるものではないが、ガスタービンシステム100のような多くの産業機械におけるタイトな間隔に収まるようなものである。
【0087】
本明細書及び特許請求の範囲で用いる近似表現は、数量の修飾語であって、その数量が関係する基本機能に変化をもたらさない許容範囲内で変動し得る数量を表すために適用される。したがって、「約」、「略」及び「実質的に」のような用語で修飾された値はその厳密な数値に限定されない。場合によっては、近似表現は、その値を測定する機器の精度に対応する。本明細書及び特許請求の範囲において、数値限定の範囲は互いに結合及び/又は交換可能であり、かかる範囲は、前後関係等から別途明らかでない限り、その範囲に含まれるあらゆる部分範囲を特定しかつ包含する。範囲の特定の値に用いられる「約」は、上下限に適用され、その値を測定する機器の精度に依存する場合を除いて、記載された数値の±10%を示すことがある。
【0088】
以下の特許請求の範囲において機能的記載によって特定された構成要素の対応する構造、材料、行為及び均等物は、特許請求の範囲に具体的に記載された他の構成要素と組合せて機能を発揮するあらゆる構造、材料又は行為を包含する。本開示の記載は、例示及び説明を目的としたものであり、網羅的なものでもなければ、開示された形態に限定するものでもない。本開示の技術的範囲及び技術的思想から逸脱せずに、数多くの修正及び変形が当業者には明らかであろう。本開示の実施形態は、本開示の原理及び実用的用途の説明として最も適しかつ当業者が様々な実施形態に関する開示内容及び特定の用途に適した様々な修正について理解できるように、選択して記載したものである。
【符号の説明】
【0089】
100 タービンシステム
101 エンジンコア
102 圧縮機
104 燃焼器
108 タービン
112 静翼
114 外側端壁
116 内側端壁
120 翼形部
123 動翼
124 ガス流
126 サイクロン粒子分離器
130 ハウジング
132 円筒形側壁
134 流入口
136 カバー部材
140 取付部材
144 浄化ガス流
148 冷却回路
154 マニホールド
160 流出開口
166 流れ案内面
170 サイクロン渦
176 粒子出口通路
190 環状体
192 サイクロン分離チャンバ
195 サイクロン分離チャンバ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【手続補正書】
【提出日】2024-06-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タービンシステム(100)のタービン静翼(112)のためのサイクロン粒子分離器(126)であって、当該サイクロン粒子分離器(126)が、
ハウジング(130)であって、複数の流入口(134)が画成された円筒形側壁(132)と、前記円筒形側壁(132)の第1の端部を塞ぐカバー部材(136)と、前記ハウジング(130)を前記タービン静翼(112)の内側端壁(116)及び外側端壁(114)の一方に結合するように構成された前記円筒形側壁(132)の第2の端部の取付部材(140)であって、流出開口(160)が画成された取付部材(140)とを含むハウジング(130)と、
前記ハウジング(130)内に画成された1以上の粒子出口通路(176)
を備えており、前記複数の流入口(134)の各々が、前記ハウジング(130)の上流からのガス流を前記円筒形側壁(132)に対して接線方向に前記ハウジング(130)に進入させ、前記ハウジング(130)内にサイクロン渦(170)を生じさせる角度のついた流れ案内面(166)を含んでいる、サイクロン粒子分離器(126)
【請求項2】
タービン静翼(112)であって、当該タービン静翼(112)が、
内側端壁(116)と、
外側端壁(114)と、
前記内側端壁(116)と前記外側端壁(114)とを連結する翼形部(120)と、
前記内側端壁(116)及び前記外側端壁(114)の一方に結合したサイクロン粒子分離器(126)
を備えており、前記サイクロン粒子分離器(126)が、
ハウジング(130)であって、複数の流入口(134)が画成された円筒形側壁(132)と、前記円筒形側壁(132)の第1の端部を塞ぐカバー部材(136)と、前記ハウジング(130)を前記内側端壁(116)及び前記外側端壁(114)の一方に結合するように構成された前記円筒形側壁(132)の第2の端部の取付部材(140)であって、前記ハウジング(130)の下流の前記翼形部(120)内部の冷却回路と流体連通する流出開口(160)が画成された取付部材(140)とを含むハウジング(130)と、
前記ハウジング(130)内に画成された1以上の粒子出口通路(176)
を備えており、前記複数の流入口(134)の各々が、前記ハウジング(130)の上流からのガス流を前記円筒形側壁(132)に対して接線方向に前記ハウジング(130)に進入させ、前記ハウジング(130)内にサイクロン渦(170)を生じさせる角度のついた流れ案内面(166)を含んでいる、タービン静翼(112)
【請求項3】
前記流出開口(160)が、前記取付部材(140)の壁(150,152)に画成されていて、かつ前記ハウジング(130)の下流の当該タービン静翼(112)の翼形部の内部の冷却回路(148)と流体連通している、請求項2に記載のタービン静翼(112)。
【請求項4】
前記サイクロン粒子分離器(126)が、前記円筒形側壁(132)内に配置された環状体(190)をさらに備えており、前記環状体(190)が、前記円筒形側壁(132)の内側(194)と前記環状体(190)との間にサイクロン分離チャンバ(192)を画成する、請求項に記載のタービン静翼(112)
【請求項5】
前記環状体(190)が、前記カバー部材(136)に近い小径端(200)及び前記取付部材(140)に近い大径端(202)を有する配向した円錐台形状を有する、請求項に記載のタービン静翼(112)
【請求項6】
前記流出開口(160)と前記環状体(190)の大径端(202)及び前記円筒形側壁(132)の一方との間に延在する環状壁(210)をさらに備えており、前記環状壁(210)が環状粒子トラップ(212)を画成しており、前記1以上の粒子出口通路(176)が、前記環状粒子トラップ(212)と流体連通した第1の粒子出口通路を含む、請求項に記載のタービン静翼(112)
【請求項7】
前記環状粒子トラップ(212)がトーラス形状を有する、請求項14に記載のタービン静翼(112)
【請求項8】
前記1以上の粒子出口通路(176)が、前記取付部材(140)に隣接した単一の粒子出口通路を含む、請求項2に記載のタービン静翼(112)。
【請求項9】
前記1以上の粒子出口通路(176)が、前記カバー部材(136)に隣接して前記ハウジング(130)の前記円筒形側壁(132)に画成された第1の粒子出口通路(176A)と、前記取付部材(140)に隣接して前記ハウジング(130)前記円筒形側壁(132)に画成された第2の粒子出口通路(176B)とを含む、請求項に記載のタービン静翼(112)
【請求項10】
タービンシステム(100)であって、当該タービンシステム(100)が、
圧縮機(102)と燃焼器(104)とタービン(108)とが互いに動作可能に結合されたエンジンコア(101)であって、前記タービン(108)が、複数の静翼を有するタービン段を含んでいる、エンジン(101)
を備えており、前記タービン段の複数の静翼の少なくとも1つの静翼が、請求項2乃至請求項9のいずれか1項に記載のタービン静翼(112)である、タービンシステム(100)
【請求項11】
前記サイクロン粒子分離器(126)の1以上の粒子出口通路(176)を前記タービン(108)の高温ガス経路(180)に流体結合する導管(242)をさらに備える、請求項10に記載のタービンシステム(100)
【国際調査報告】