(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】媒体合流装置および複数の燃料電池システム内の燃料含有量を検出する方法
(51)【国際特許分類】
H01M 8/04 20160101AFI20240829BHJP
B60L 50/70 20190101ALI20240829BHJP
H01M 8/0444 20160101ALN20240829BHJP
【FI】
H01M8/04 N
B60L50/70
H01M8/0444
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513280
(86)(22)【出願日】2022-08-02
(85)【翻訳文提出日】2024-02-27
(86)【国際出願番号】 EP2022071636
(87)【国際公開番号】W WO2023036517
(87)【国際公開日】2023-03-16
(31)【優先権主張番号】102021209946.7
(32)【優先日】2021-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100182626
【氏名又は名称】八島 剛
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン,ヨッヘン
【テーマコード(参考)】
5H125
5H127
【Fターム(参考)】
5H125AA01
5H125AC07
5H125EE39
5H125FF09
5H127AB04
5H127AB17
5H127AC02
5H127AC09
5H127BA02
5H127BA22
5H127BA39
5H127BA59
5H127BB02
5H127DB14
(57)【要約】
本発明は、複数の燃料電池システム(101,102,103)のための、特に1つだけの、好ましくは共通の媒体合流装置(M)に関し、媒体流を混合および/または検査するための容器(MB)を有し、前記容器に以下の構成要素が配置され、すなわち-該当する燃料電池システム(101,102,103)から排出空気を排出するための各空気排出管(12)のためのそれぞれ1つの管接続部(M1)と、-該当する燃料電池システム(101,102,103)のアノードシステムの対応するパージおよび/またはドレーンシステム(Q1)の各パージおよび/またはドレーン管(L1)のためのそれぞれ1つの管接続部(MQ1)と、-前記容器(MB)から媒体流を排出するための、特に1つだけの管排出口(M2)と、-前記容器(MB)内の燃料含有量を検知するための少なくとも1つの燃料センサ(S)とが配置されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の燃料電池システム(101,102,103)のための媒体合流装置(M)において、
媒体流を混合および/または検査するための容器(MB)を有し、前記容器に以下の構成要素が配置され、すなわち
-該当する燃料電池システム(101,102,103)から排出空気を排出するための各空気排出管(12)のためのそれぞれ1つの管接続部(M1)と、
-該当する燃料電池システム(101,102,103)のアノードシステムの対応するパージおよび/またはドレーンシステム(Q1)の各パージおよび/またはドレーン管(L1)のためのそれぞれ1つの管接続部(MQ1)と、
-前記容器(MB)から媒体流を排出するための、特に1つだけの管排出口(M2)と、
-前記容器(MB)内の燃料含有量を検知するための少なくとも1つの燃料センサ(S)と、
が配置されている媒体合流装置(M)。
【請求項2】
前記容器(MB)に2つの燃料センサ(S)が配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の媒体合流装置(M)。
【請求項3】
前記容器(MB)に、水を排出するための排水部(MW)が配置されていること、
および/または、前記容器(MB)の使用位置で、前記容器(MB)の最も深い個所に1つの/前記排水部(MW)が配置されていること、
および/または、前記容器(MB)の使用位置で、前記容器(MB)から媒体流を排出するための前記管排出口(M2)よりも深く1つの/前記排水部(MW)が配置されていること、
および/または、前記容器(MB)から媒体流を排出するための前記管排出口(M2)がオーバーフロー機能を備えるように実施されていること、
および/または、前記排水部(MW)が前記管排出口(M2)内に統合されていること、
を特徴とする、請求項2に記載の媒体合流装置(M)。
【請求項4】
前記容器(MB)に以下の構成要素の少なくとも1つが配置され、すなわち
-スタック・換気システム(Q2)のスタック・脱気管(L2)のための管接続部(MQ2)、
-タンク・換気システム(Q3)のタンク・脱気管(L3)のための管接続部(MQ3)、および/または、
-更なる換気システム(Q4)の脱気管(L4)のための管接続部(MQ4)、
が配置され、
たとえば車内の外気ファン(IN)を用いて、および/または、別個の換気ファン(BG)を用いて、および/または、カソード経路の空気圧縮システムから供給することを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の媒体合流装置(M)。
【請求項5】
前記容器(MB)が少なくとも1つの排出面(MA)を有し、
特に前記容器(MB)の使用位置で前記排出面(MA)が傾斜して位置決めされ、
好ましくは前記排出面(MA)が接続部および/もしくは排出部から自由であること、
ならびに/または、前記容器(MB)が氷圧に耐えるようにおよび/もしくは凍結しないように実施されていること、
を特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の媒体合流装置(M)。
【請求項6】
前記管接続部(M1,MQ1,MQ2,MQ3,MQ4)と前記管排出口(M2)とは、前記媒体流を混合するための少なくとも1つの効果、すなわち
-転向、
-乱流、
-渦流、
-熱伝導、および/もしくは、
-冷却
が生じるように前記容器(MB)に配分され、および/もしくは、そのような直径を有していること、
ならびに/または、前記容器(MB)に設けた、前記燃料電池システム(101,102,103)内で使用されない前記管接続部(M1,MQ1,MQ2,MQ3,MQ4)が、それぞれ1つのブラインドプラグによって閉鎖されていること、
を特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の媒体合流装置(M)。
【請求項7】
複数の燃料電池システム(101,102,103)と、
請求項1~6のいずれか一項に記載の、特に1つだけの、好ましくは共通の媒体合流装置(M)と
を有し、
前記媒体合流装置(M)が、該当する燃料電池システム(101,102,103)の対応するカソードシステム(10)のそれぞれの空気排出管(12)に下流側で接続されているユニット(100)。
【請求項8】
請求項1~6のいずれか一項に記載の媒体合流装置(M)を、請求項7に記載のユニット(100)において、燃料含有量を検出するための、燃料漏れを診断するための、燃料漏れの発生源を検出するための、燃料質量流をチェックするための、および/または、燃料質量流を希薄化させるための方法で使用する使用方法。
【請求項9】
請求項1~6のいずれか一項に記載の媒体合流装置(M)を、周辺への排水のため、ならびに/または、機能システムおよび/もしくは請求項7に記載のユニット(100)の貯留システムへの排水のために使用する使用方法。
【請求項10】
請求項1~6のいずれか一項に記載の媒体合流装置(M)を、燃料センサ(S)を校正および/もしくはチェックするため、ならびに/または、複数の燃料センサ(S)をマッチングするために使用する使用方法。
【請求項11】
請求項7に記載のユニット(100)内で、燃料含有量を検出するための、燃料漏れを診断するための、燃料漏れの発生源を検出するための、燃料質量流をチェックするための、および/または、燃料質量流を希薄化させるための方法において、
前記方法を、正常作動中に、および/または、前記ユニット(100)の複数の燃料電池システム(101,102,103)のうちの少なくとも1つの検査作動中に、実施する方法。
【請求項12】
前記ユニット(100)の前記正常作動中に、前記ユニット(100)のすべての源からの燃料含有量を監視すること、
ならびに/または、前記ユニット(100)の前記検査作動中に、前記ユニット(100)の個々の燃料電池システム(101,102,103)からの燃料含有量を、および/もしくは、該当する1つの燃料電池システム(101,102,103)の個々の機能システムからの燃料含有量をチェックすること、
を特徴とする、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置に関する独立請求項に記載の、複数の燃料電池システムのための媒体合流装置、特にただ1つの、好ましくは共通の媒体合流装置、および、たとえば車両用の複数の燃料電池システムと、装置に関する並列の独立請求項に記載の、対応する媒体合流装置とを備えた該当するユニットに関するものである。さらに、本発明は、使用方法に関する独立請求項に記載の、対応する媒体合流装置の有利な使用方法、および、方法に関する独立請求項に記載の、複数の燃料電池システムと1つの対応する媒体合流装置とを備えた該当するユニット内で、燃料含有量を検出するための、燃料漏れを診断するための、燃料漏れの発生源を検出するための、燃料質量流をチェックするための、および/または、燃料質量流を希薄化させるための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池システムは基本的には公知であり、車両におけるエネルギー供給手段としても知られている。燃料電池システム内では、通常、酸化剤としての周囲空気からの酸素と、還元剤または燃料としての水素とを利用することで、システムの燃料電池スタック内で反応させて水(または水蒸気)を形成させ、したがって電気化学的変換により電力を提供する。周囲空気は、ほとんどの場合、空気圧縮システムを備えたカソードシステムを用いて燃料電池スタックに提供される。水素は、通常、高圧タンク(たとえば700バール)内に貯留されて、管および弁を介して燃料電池スタックに供給され、アノードシステムのループ状のアノード経路内で再循環される。増大する窒素含有量(拡散によりダイヤフラムを介して)と、アノード内で蓄積する水とを低下させるには、アノードループを作動中に周期的に洗浄(“purge”)および脱水(“drain”)しなければならない。その際、パージガスの一部は水素でもあり、それ故パージガスをエアシステム・排ガス通路内へ誘導し、そこで爆発性混合物が発生しえない範囲で空気質量流によって希薄化させる。
【0003】
燃料電池スタックは、ほとんどの場合複数の燃料電池を含んでおり、これらの燃料電池は多数のパッキンを用いて相互に密封される。しかしながら、これらのパッキンは温度変化、圧力変化などの支配下にあり、対応的に老朽化する。このため、燃料電池スタックは絶対的な意味で密になっていないのも通例である。他方、水素を貯留するための高圧タンク或いはそのアーマチュア、アクチュエータ、センサおよび/または配管系は非密封状態になることがある。
【0004】
水素は非常に揮発性があり、特に限られた空間または閉じた空間で空気とともに爆発性の混合物を形成しうるので、場合によっては起こりうる水素漏れを確実に検知することが安全上重要である。水素漏れ検知のため、通常複数の水素センサが組み込まれる。これらのセンサは、著しいコストと結びついている。車両で使用する際には、ほとんどの場合、異なる個所に複数の水素センサが必要になる。さらに、限られた空間内で水素漏れを阻止できなければ、換気システムを投入することで、十分に高度な換気を保証して、爆発性の混合物になり得る水素堆積を回避するのが通例である。
【0005】
燃料電池システムに内在するシステム上の更なる特性は、生産水(水素と、空気からの酸素とから成る反応生産物)の発生である。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、第1の観点によれば、装置に関する独立請求項の構成を備えた、複数の燃料電池システムのための、特にただ1つの、好ましくは共通の媒体合流装置を提供し、および、第2の観点によれば、たとえば車両用の複数の燃料電池システムと、装置に関する並列の独立請求項の構成を備えた対応する媒体合流装置とを備えた該当するユニットを提供する。さらに、本発明は第3、第4、第5の観点によれば、使用方法に関する独立請求項の構成を備えた対応する媒体合流装置の有利な使用方法、および、第6の観点によれば、方法に関する独立請求項の構成を備えた、複数の燃料電池システムと1つの対応する媒体合流装置とを備えた該当するユニット内で、燃料含有量を検出するための、燃料漏れを診断するための、燃料漏れの発生源を検出するための、燃料質量流をチェックするための、および/または、燃料質量流を希薄化させるための方法を提供する。本発明の更なる利点、構成要件、詳細は従属請求項、以下の説明および図面から明らかである。なお、本発明による個々の観点との関連で説明されている構成要件および詳細は、もちろん本発明による他の観点との関連でも適用され、またその逆も然りであり、その結果発明の個々の観点に対する開示事項に関しては、常に相互に関連性があり、或いは、関連付けることができる。
【0007】
本発明は、第1の観点によれば、複数の燃料電池システムのための媒体合流装置において、
媒体流を混合および/または検査するための容器を有し、前記容器に以下の構成要素が配置され、すなわち
-該当する燃料電池システムから排出空気を排出するための各空気排出管のためのそれぞれ1つの管接続部と、
-該当する燃料電池システムのアノードシステムの対応するパージおよび/またはドレーンシステムの各パージおよび/またはドレーン管のためのそれぞれ1つの管接続部と、
-前記容器から媒体流を排出するための、特に1つだけの管排出口と、
-前記容器内の燃料含有量を検知するための少なくとも1つの燃料センサと、
が配置されている。
【0008】
複数の燃料電池システムは、有利な態様では、1つのユニットを形成してよい。複数の燃料電池システムは、たとえば自動車のようなモバイル適用のために使用でき、或いは、たとえば発電機設備のようなインモバイル適用のために使用できる。
【0009】
その際、複数の燃料電池システムの各燃料電池システムは、少なくとも1つの燃料電池スタック(または短縮してスタック)を有していてよい。各燃料電池スタックは、有利な態様では、スタックの周辺近傍域または周辺直近域を換気するためのスタック・換気システムを備えるように実施されていてよい。
【0010】
さらに、複数の燃料電池システムの各燃料電池システムは、酸素を含む反応物を少なくとも1つの燃料電池スタックへ提供するためにそれぞれ1つのカソードシステムを有していてよい。各カソードシステムは、供給空気を少なくとも1つの燃料電池スタックへ提供するための空気供給管と、少なくとも1つの燃料電池スタックから排出空気を排出するための排出管とを有していてよい。
【0011】
さらに、複数の燃料電池システムの各燃料電池システムは、燃料を含む反応物を少なくとも1つの燃料電池スタックへ提供するためにアノードシステムを有していてよい。
【0012】
アノードシステムは、アノード経路を洗浄するために、および/または、アノード経路から生産水を排出するために、パージおよび/またはドレーンシステムを有していてよい。しかもパージおよび/またはドレーンシステムは、少なくとも1つの組み合わせ型パージおよび/もしくはドレーン管(パージおよび/もしくはドレーン排出管とも呼ぶことができる)、または、それぞれ1つの別個のパージ管およびドレーン管を有していてよい。換言すれば、パージシステムとドレーンシステムは、まとめられていてよく(弁と管)、或いは、別々に移設されていてよい(パージ管を備えたパージ弁と、ドレーン管を備えたドレーン弁)。
【0013】
さらに、燃料電池システムは、1つの共通の、好ましくはモジュラー構成の、1つの燃料電池システムにつき1つまたは複数のフランジを備えたタンクシステムを有していてよい。タンクシステムは、タンクシステムの周辺近傍域または周辺直近域を換気するためのタンク・換気システムを備えて実施されていてよい。
【0014】
スタック・換気システムは、スタックの周辺近傍域または周辺直近域を換気するために使用したガスまたはガス混合物をスタック周辺から排出するために、スタック・脱気管を有していてよい。それぞれのスタックは、換気のために、補助的なハウジング内に配置されていてよく、または、少なくとも部分的に補助的なハウジング内に配置されていてよい。
【0015】
タンク・換気システムは、タンクシステムの周辺近傍域または周辺直近域を換気するために使用したガスまたはガス混合物をタンクシステム周辺から排出するために、タンク・脱気管(この中にも、1つのタンクエンクロージャーにつき1つまたは複数のタンク・脱気管を開口させることができる)を有していてよい。タンクシステムは、換気のために、補助的なハウジング内に配置されていてよく、または、少なくとも部分的に補助的なハウジング内に配置されていてよい。
【0016】
このように、本発明による媒体合流装置を用いれば、複数の燃料電池システムに対し、そして特に車両全体に対し、1つまたは2つの燃料電池センサをたとえば水素センサの形態で用意すればよい。
【0017】
媒体合流装置は、有利には、該当する燃料電池システムの対応するカソードシステムのそれぞれの空気排出管に下流側で接続されていてよい。換言すれば、複数の燃料電池システムのすべてのカソードシステムのすべての空気排出管は、下流側で媒体合流装置に、特に流動的に接続されていてよく、および/または、媒体合流装置に開口していてよく、および/または、媒体合流装置内で合流していてよい。
【0018】
空気排出管に「下流側で」とは、ほぼ空気排出管の端部においてを意味していてよく、この場合複数の燃料電池システムに対し、そして特に車両全体に対し特に1つのみの燃料センサを備えた本発明による媒体合流装置の後には、ただ1つの消音器のみが排出管内に配置されていればよい。
【0019】
さらに、複数の燃料電池システムのすべてのアノードシステムのすべてのパージおよび/もしくはドレーン管、すべてのスタック・脱気管、ならびに/または、すべてのタンク・脱気管が、本発明による媒体合流装置に、特に流動的に接続されていてよい。
【0020】
しかも、燃料の、特に水素の望ましいおよび/または望ましくない発生源でありうるすべての管を媒体合流装置内で合流させることができる。
【0021】
媒体合流装置の容器は、すべてのスタックの排出空気、パージおよび/またはドレーンガス、そして好ましくは燃料電池システムからの他の媒体流を受容し、複数の媒体を混合させ、複数の媒体を冷却し、複数の媒体を検査し、好ましくは媒体が周辺へ排出される前に、複数の媒体を希薄にさせる。したがって、複数の媒体流は特にただ1つの管排出口を通じて容器から排出される。
【0022】
このように、本発明は、以下で詳細に立ち入ることになる改善された検出方法を含み、ユニット全体の中で最少個数の燃料センサを備え、好ましくは1つまたは2つの燃料センサしか備えていない、複数の燃料電池システムを備える最適化されたユニットを提示する。
【0023】
その際、本発明の本質は、すべての燃料電池システムに対し、そして特に車両全体に対して、1つまたは2つの燃料センサだけを使用すればよいことにある。
【0024】
有利には、燃料センサは媒体合流装置の側部または内部に組み込まれていてよい。
【0025】
燃料の発生源として挙げられるのは、少なくとも、アノードシステムの少なくとも1つのパージおよび/またはドレーン管(燃料質量流の望ましい発生源)、スタック・カソード経路またはスタック・カソード経路の空気排出管、場合によってはスタック・脱気管(燃料漏れの望ましくない発生源)、オプションでタンク・脱気管であり、この場合他の換気システムおよび/または可能な燃料漏れおよび燃料質量流の発生源は、上記の脱気管に対応して、媒体合流装置に流動的に接続されていてよい。
【0026】
その際、本発明の利点は、燃料含有量の検出、燃料漏れの診断、燃料漏れの発生源の検出、燃料質量流のチェック、および/または、燃料質量流の希薄化を1か所で、すなわち媒体合流装置内の1か所で行うことができることにある。
【0027】
有利には、燃料蓄積は、少なくとも、スタック・カソード経路のバイパス空気および/または1つもしくは複数のカソードシステムの排出空気および/または換気システムの空気によって希薄化させることができる。
【0028】
本発明による媒体合流装置を用いると、診断方法および/または監視方法もピンポイントで実施でき、すなわちどの燃料電池システムに、しかもどの発生源に、水素漏れまたは水素質量流が由来しているかの検出を行うことができる。タンクシステムのための換気システムおよび/またはスタックのための換気システムを媒体合流装置に結合させると、それぞれのシステム内に蓄積した燃料を確実に検知、希薄化、排出させるために有益である。
【0029】
本発明の更なる利点は、媒体合流装置を、周辺への排水、または、燃料電池システムの他の機能システムおよび/もしくは更なる利用のための容器への排水に用いることができることにある。
【0030】
さらに、1つまたは複数のカソードシステムのバイパス空気を使用して、少なくとも1つの燃料センサを簡単にゼロ値へ校正することができるという利点がある。2つのセンサを使用する場合には、これらをマッチングさせることができ、および/または、相互の監視のために使用することができる。加えて、合目的に調整したパージおよび/またはドレーン質量流を用いて、少なくとも1つの燃料センサを以後の複数の作動点で校正することができることも考えられる。
【0031】
さらに、二次空気質量流を用いた、たとえば車内の外気ファンおよび/または別個の換気ファンを用いた、ドレーンおよび/もしくはパージガス、ならびに/または、流体混合物の希薄化を実施でき、この希薄化をたとえばスタックおよび/またはタンクシステムの換気のために導入することができるのが有利でありうる。このようにして、それぞれのカソードシステムにおいてエアコンプレッサ作動からの切り離しおよび/またはエアコンプレッサ作動に対する冗長性を確立することができる。しかし、タンクシステムおよび/またはスタックの換気システムに対しても、カソードシステムからの切り離しおよび/または冗長性を確立することができる。本発明を用いると、車両内の二次エアシステムも、たとえば車内のエアシステム、タンクシステムのエアシステム、トランクルームシステムのエアシステムなどのような車両内の二次エアシステムも別個の燃料センサを必要としないので有利である。
【0032】
容器に2つの燃料センサを配置すれば、これによって、安全性の理由から冗長性を確立でき、および/または、これら燃料センサを相互チェックのために使用できるという可能性を確立できる。
【0033】
さらに、媒体合流装置においては、容器に、水を排出するための排水部が配置されていることが企図されていてよい。このようにして、媒体合流装置を、このために特別に実施されている排水部を備えた水分離装置として利用できる。しかし、基本的には、媒体合流装置が別個の排水部なしで実施されうることも考えられる。後者の事例では、水は排出管を通じて燃料電池システムから排出させることができる。
【0034】
さらに、媒体合流装置においては、容器の使用位置で、容器の最も深い個所に排水部が配置されていることが企図されていてよい。したがって、水の分離を促進させることができる。
【0035】
さらに、媒体合流装置においては、容器の使用位置で、容器から媒体流を排出するための管排出口よりも深く排水部が配置されていることが企図されていてよい。したがって、燃料電池システムの排出空気からの水の分離を促進させることができる。このようにして、容器から媒体流を排出するための管排出口に、有利なオーバーフロー機能を備えさせることができる。
【0036】
すでに上述したように、容器には追加的に以下の構成要素の少なくとも1つが配置されていてよく、すなわち
-スタック・換気システムのスタック・脱気管のための管接続部、
-タンク・換気システムのタンク・脱気管のための管接続部、および/または、
-更なる換気システムの脱気管のための管接続部、
が配置されていてよく、たとえば車内の外気ファンを用いて、および/または、別個の換気ファンを用いて、および/または、カソード経路の空気圧縮システムから供給する。
【0037】
前記更なる換気システムは、もしたとえば管、弁などのようなH2案内要素が設けられていれば、水素蓄積に対する危険ポテンシャルを持った更なる領域を換気することができる。したがって、燃料電池システム内および/または対応する車両内での他の可能な換気システムの場合でも、たとえば漏れの診断、ピンポインティング、水分離、排水および/または水の供給のような本発明による利点を展開するために、拡張機能を備えた媒体合流装置を提供できる。
【0038】
有利には、容器は少なくとも1つの排出面を有していてよい。排出面により、容器からの水の排流を促進させることができる。その際、容器の使用位置で排出面が傾斜していることが考えられる。加えて、排出面が接続部および/または排出部から自由であることが考えられる。このようにして、排出面が分離させた水を設けられた排水部または管排出口へ案内することができる。
【0039】
さらに、容器が氷圧に耐えるようにおよび/または凍結しないように実施されていれば、有利でありうる。このようにして、好ましくない天候状況であっても、たとえば燃料電池システムの凍結始動または冷態始動の場合も、媒体合流装置を利用することができる。
【0040】
さらに、容器は防爆性があるように実施されていれば、有利でありうる。このようにして、燃料電池システム内での爆発の危険性をかなり低減させることができ、しかも爆発の危険性を容器に局限して、そこでの機能を停止させることができるので合目的である。
【0041】
媒体合流装置においては、さらに、管接続部と管排出口とは、媒体流を混合するための少なくとも1つの効果、すなわち
-転向、
-乱流、
-渦流、
-熱伝導、および/または、
-冷却
が生じるように容器に配分され、および/または、そのような直径を有している。
【0042】
このようにして、場合によっては水素を含んでいるかもしれない媒体流の混合を、容器の内部で促進させることができる。
【0043】
容器に設けた、使用されない管接続部も、簡単のためにそれぞれ1つのブラインドプラグによって閉鎖されていてよい。したがって、本発明により、構成が異なる燃料電池システムの異なるトポロジーに対し、規格化された媒体合流装置を提供することができる。
【0044】
第2の観点によれば、本発明は、複数の燃料電池システムと、上述したように実施されていてよい、特に1つだけの、好ましくは共通の媒体合流装置とを有するユニットを提供し、この場合媒体合流装置は、該当する燃料電池システムの対応するカソードシステムのそれぞれの空気排出管に下流側で接続されている。本発明の意味でのユニットを用いると、複数の燃料電池システムの有利なモバイル式使用とインモバイル式使用とを提供できる。さらに、本発明によるユニットを用いると、本発明による媒体合流装置との関連で上述した利点と同じ利点を達成できる。これらの利点をここでは明示的に引用しておく。
【0045】
本発明は、第3の観点によれば、上述したように実施されていてよい媒体合流装置を、複数の燃料電池システムを備えるユニットにおいて、燃料含有量を検出するための、燃料漏れを診断するための、燃料漏れの発生源を検出するための、燃料質量流をチェックするための、および/または、燃料質量流を希薄化させるための方法で使用する使用方法を提供する。
【0046】
本発明は、第4の観点によれば、上述したように実施されていてよい媒体合流装置を、周辺への排水のため、ならびに/または、機能システムおよび/もしくはユニットの貯留システムへの排水のために使用する使用方法を提供する。
【0047】
本発明は、第5の観点によれば、上述したように実施されていてよい媒体合流装置を、燃料センサを校正および/もしくはチェックするため、ならびに/または、複数の燃料センサをマッチングするために使用する使用方法を提供する。
【0048】
本発明は、第6の観点によれば、上述したように実施されていてよいユニット内で、燃料含有量を検出するための、燃料漏れを診断するための、燃料漏れの発生源を検出するための、燃料質量流をチェックするための、および/または、燃料質量流を希薄化させるための方法を提供し、この場合この方法を、正常作動中に、および/または、(望ましくない燃料漏れに対する疑わしい事例があれば)ユニットの複数の燃料電池システムのうちの少なくとも1つの検査作動中に実施する。
【0049】
有利には、ユニットの正常作動中に、ユニットの複数の経路であって媒体合流装置内へ誘導されているそれぞれ作動中の前記複数の経路のすべての源からの燃料含有量を監視してよい。その際、すべての燃料電池システムを作動変更なしに作動させることができる。このため、越えてはならない少なくとも1つの閾値を特定してよい。有利には、この閾値は作動点または状態に依存している。閾値を越えた場合には、望ましくない燃料漏れに対する疑わしい事例と認定してよい。場合によっては、閾値を越えた後の特定のデバウンシング時間を待つことで、燃料含有量が閾値を越えたままであるかどうかをチェックすることができる。その後に検査作動を導入することができる。
【0050】
検査作動の場合、更なる、場合によってはより詳細な方法を導入してよい。その際、ユニットの個々の燃料電池システムからの燃料含有量を、および/または、該当する1つの燃料電池システムの個々の機能システムからの燃料含有量をチェックすることができる。したがって、すべての燃料電池システムを順次チェックできるので有利である。燃料電池システムの内部では、それぞれの機能システムを同様に順次チェックすることができる。検査作動の際、燃料電池システムを作動変化させてよく、たとえばスタンバイモードに置き換えてよい。たとえば、それぞれのスタックのカソード室のためのそれぞれの遮断弁を閉じて、それぞれのカソードシステムをスタック・カソード経路のバイパス作動で作動させてよい。
【0051】
複数の燃料電池システムと上述したように実施されていてよい媒体合流装置とを備えたユニットを有している車両も、同様に本発明の観点を具現することができるので有利である。
【0052】
次に、本発明と、その更なる構成と、その利点とを、図面を用いてより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【
図1】本発明の意味での媒体合流装置の概要図である。
【
図2】本発明の意味での媒体合流装置の概要図である。
【
図3】本発明の意味での媒体合流装置の概要図である。
【
図4】本発明の意味での方法のスケジュールの概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
異なる図において、本発明の同じ部品には常に同じ参照符号が付されており、それ故通常は、これら参照符号は1回のみ説明する。
【0055】
図1ないし
図3は、複数の燃料電池システム101,102,103のための媒体合流装置Mを示し、媒体合流装置は、
媒体流を混合および/または検査するための容器MBを有し、容器には以下の構成要素が配置されている:
-該当する燃料電池システム101,102,103から排出空気を排出するための各空気排出管12のためのそれぞれ1つの管接続部M1、
-該当する燃料電池システム101,102,103のアノードシステムの対応するパージおよび/またはドレーンシステムQ1の各パージおよび/またはドレーン管L1のためのそれぞれ1つの管接続部MQ1、
-容器MBから媒体流を排出するための、特に1つだけの管排出口M2、
-容器MB内の燃料含有量を検知するための少なくとも1つの燃料センサS。
【0056】
図では3つの燃料電池システム101,102,103が設けられているが、2つまたは3つを超える燃料電池システム101,102,103が設けられていてもよく、これらの燃料電池システムのためにただ1つの媒体合流装置Mが設けられている。
【0057】
図1ないし
図3が示唆しているように、複数の燃料電池システム101,102,103は1つのユニット100を形成しており、このユニットも同様に本発明の1つの観点を表している。ユニット100または複数の燃料電池システム101,102,103は、たとえば自動車のようなモバイル適用のために使用でき、或いは、たとえば発電機設備のようなインモバイル適用のために使用できる。
【0058】
その際、各燃料電池システム101,102,103は、図を簡潔にするために図示していない少なくとも1つの燃料電池スタック(または短縮してスタック)を有していてよい。各燃料電池スタックは、有利な態様では、スタックの周辺近傍域または周辺直近域を換気するためにスタック・換気システムQ2を有していてよい。
【0059】
スタック・換気システムQ2は、スタックの周辺近傍域または周辺直近域を換気するために使用したガスまたはガス混合物をスタック周辺から排出するために、スタック・脱気管L2を有していてよい。それぞれのスタックは、換気のために、補助的なハウジング内、または、少なくとも部分的に補助的なハウジング内に配置されていてよい。
【0060】
さらに、各燃料電池システム101,102,103は、酸素を含んでいる反応物を少なくとも1つの燃料電池スタックへ供給するためにそれぞれ1つのカソードシステム10を有していてよい。各カソードシステム10は、少なくとも1つの燃料電池スタックに供給空気を提供するための空気供給管と、少なくとも1つの燃料電池スタックから排出空気を排出するための空気排出管12とを有していてよい。
【0061】
さらに、複数の燃料電池システムのそれぞれの燃料電池システム101,102,103は、図を簡潔にするために図示していない、少なくとも1つの燃料電池スタックに燃料を含んだ反応物を供給するためのアノードシステムを有していてよい。
【0062】
その際、アノードシステムは、アノード経路を洗浄するため、および/または、生産水をアノード経路から排出するため、パージおよび/またはドレーンシステムQ1を有していてよい。また、パージおよび/またはドレーンシステムQ1は、少なくとも1つの組み合わせ型パージおよび/もしくはドレーン管L1(パージおよび/もしくはドレーン排出管と呼ぶこともできる)、または、それぞれ別個のパージ管およびドレーン管を有していてよい。
【0063】
さらに、燃料電池システム101,102,103は、1つの共通の、好ましくはモジュラー構成の、1つの燃料電池システムにつき1つまたは複数のフランジを備えたタンクシステムを有していてよい。タンクシステムは、タンクシステムの周辺近傍域または周辺直近域を換気するためのタンク・換気システムQ3を有していてよい。
【0064】
タンク・換気システムQ3は、タンクシステムの周辺近傍域または周辺直近域を換気するために使用したガスまたはガス混合物をタンクシステム周辺から排出するために、タンク・脱気管L3(この中にも、1つのタンクエンクロージャーにつき1つまたは複数のタンク・脱気管を開口させることができる)有していてよい。タンクシステムは、換気のために、補助的なハウジング内に配置されていてよく、または、少なくとも部分的に補助的なハウジング内に配置されていてよい。
【0065】
図1ないし
図3が明らかにしているように、本発明による媒体合流装置Mを用いると、複数の燃料電池システム101,102,103に対し、そして特に車両全体に対し、1つの(
図1および
図2を参照)または2つの(
図3を参照)燃料センサSを、たとえば水素センサの形態で用意すればよい。
【0066】
図1ないし
図3がさらに明らかにしているように、媒体合流装置Mは、有利には、該当する燃料電池システム101,102,103の対応するカソードシステム10のそれぞれの空気排出管12に下流側で接続されていてよい。換言すれば、複数の燃料電池システム101,102,103のすべてのカソードシステム10のすべての空気排出管12は、媒体合流装置Mに、特に流動的に、下流側で接続されていてよく、および/または、媒体合流装置Mに開口していてよく、および/または、媒体合流装置M内で合流していてよい。
【0067】
「空気排出管12に下流側で」とは、空気排出管12の端部においてと理解してよく、その結果媒体合流装置Mは空気排出管12の端部に配置されており、この場合本発明による媒体合流装置Mの後には、周辺Uへの1つの排出管14のみが、場合によっては消音器を備えて配置されていてよい。
【0068】
図1ないし
図3がさらに明らかにしているように、複数の燃料電池システム101,102,103のすべてのアノードシステムのすべてのパージおよび/もしくはドレーン管L1(燃料質量流の望ましい発生源Q1)、すべてのスタック・カソード経路もしくはスタック・カソード経路の空気排出管、すべてのスタック・脱気管L2(燃料漏れの望ましくない発生源Q2)、ならびに/または、すべてのタンク・脱気管L3(燃料漏れの望ましくない発生源Q3)は、本発明による媒体合流装置Mに、特に流動的に接続されていてよい。
【0069】
換言すれば、燃料の、特に水素の望ましいおよび/または望ましくない発生源Q1,Q2,Q3,Q4,10でありうるすべての管L1,L2,L3,L4,12を媒体合流装置M内で合流させることができる。
【0070】
媒体合流装置Mの容器MBは、すべてのスタックの排出空気、パージおよび/またはドレーンガス、好ましくは燃料電池システム101,102,103からの他の媒体流を受容し、複数の媒体流を混合させ、それらを冷却し、複数の媒体を検査し、好ましくは媒体流が、特にただ1つの管排出口M2と、特にただ1つの排出管14とを介して周辺Uへ排出される前に、複数の媒体流を希薄にさせる。したがって、複数の媒体流はただ1つの管排出口M2を通じて容器MBから排出される。
【0071】
このようにして、複数の燃料電池システム101,102,103を備えた最適化されたユニット100には、ユニット100全体の中にただ1つの、または2つの燃料センサを用意すればよい。
【0072】
なお、燃料センサSは媒体合流装置Mの側部または内部に組み込まれていてよい。
【0073】
有利には、燃料含有量の検出、燃料漏れの診断、燃料漏れの発生源の検出、燃料質量流のチェック、および/または、燃料質量流の希薄化は、媒体合流装置M内の1か所で行うことができる。
【0074】
有利には、燃料蓄積は、少なくとも、スタック・カソードバイパスのバイパス空気および/または1つもしくは複数のカソードシステム10の排出空気および/または換気システムの空気によって希薄化させることができる。
【0075】
本発明による媒体合流装置を用いると、診断方法および/または監視方法もピンポイントで実施でき、すなわちどの燃料電池システム101,102,103に、および、どの発生源Q1,Q2,Q3,Q4,10に、水素漏れまたは水素質量流が由来しているかの検出を行うことができる。
【0076】
加えて、媒体合流装置Mは、周辺Uへの排水、または、燃料電池システム101,102,103の他の機能システムおよび/もしくは更なる利用のための特別な容器への排水に用いることができる。
【0077】
さらに、媒体合流装置Mを用いて少なくとも1つの燃料センサSの校正を行うことができ、たとえば1つまたは複数のカソードシステム10のスタック・カソードバイパスのバイパス空気を使用してゼロ値へ校正することができる。2つのセンサSを使用する場合には、センサ値を補償することができ、および/または、相互の監視のために使用することができる。加えて、合目的に調整したパージおよび/またはドレーン質量流の少なくとも1つの燃料センサSを以後の複数の作動点で校正できることが考えられる。
【0078】
さらに、二次空気質量流を用いた、たとえば車内の外気ファンおよび/または別個の換気ファンを用いた、ドレーンおよび/もしくはパージガス、ならびに/または、流体混合物の希薄化を実施でき、この希薄化はたとえばスタックおよび/またはタンクシステムの換気のために導入することができる。このようにして、それぞれのカソードシステム10においてエアコンプレッサ作動からの切り離しおよび/またはエアコンプレッサ作動に対する冗長性を確立することができる。しかし、タンクシステムおよび/またはスタックの換気システムに対しても、カソードシステム10からの切り離しおよび/または冗長性を確立することができる。本発明を用いると、車両内の二次エアシステムも、たとえば車内のエアシステム、タンクシステムのエアシステム、トランクルームシステムのエアシステムなどのような車両内の二次エアシステムも、別個の燃料センサSを必要としないので有利である。
【0079】
図2および
図3がさらに示しているように、容器MBには、水H2Oを排出するための排水部MWが配置されていてよい。
【0080】
図1が示すように、容器MBの使用位置において、排水部MWは管排出口M2内に統合されていてよく、その結果管排出口M2と排出管14とを用いて水を周辺に排出することができる(別個の利水部はない)。
【0081】
図2が示すように、燃料電池システム101,102,103の排出空気からの水の分離を促進させて水を集めるため、容器MBの使用位置で、媒体流を容器MBから排出するための管排出口M2よりも深く排水部MWを配置してよい。このようにして、媒体流を容器MBから排出するための管排出口M2にオーバーフロー機能を備えさせることができる。
【0082】
すでに上述したように、容器MBには追加的に以下の構成要素の少なくとも1つが配置されていてよく、すなわち
-スタック・換気システムQ2のスタック・脱気管L2のための管接続部MQ2、
-タンク・換気システムQ3のタンク・脱気管L3のための管接続部MQ3、および/または、
-更なる換気システムQ4の脱気管L4のための管接続部MQ4、
が配置されていてよく、たとえば、車内の外気ファンを用いて、および/または、別個の換気ファンを用いて、および/または、カソード経路の空気圧縮システムから、供給する。
【0083】
図1および
図2に示したように、容器MBからの水H2Oの排流を促進させるため、容器MBは少なくとも1つの排出面MAを有していてよい。容器MBの使用位置では、排出面は傾斜して位置決めされている。排出面MAを介して、分離された水は設けられた排水部MWへ(
図2を参照)、または、管排出口M2へ(
図1を参照)ダイレクトに案内される。
図1の実施形態では、排水部MWが使用されなければ、排水部MWはブラインドプラグによって閉鎖してよい。
【0084】
さらに、容器MBが氷圧に耐えるように、および/または、凍結しないように実施されていてよいことが企図されうる。また、容器MBは防爆性があるように実施されていてよいことが企図されうる。
【0085】
管接続部M1,MQ1,MQ2,MQ3,MQ4と管排出口M2とは、好ましくは、媒体流を混合させる少なくとも1つの効果を生じさせることができるように容器MBに配分されていてよく、および/または、そのような直径を有していてよい:
-転向、
-乱流、
-渦流、
-熱伝導、および/または、
-冷却。
【0086】
容器に設けた、使用されない管接続部M1,MQ1,MQ2,MQ3,MQ4と管排出口M2とは、簡単のためにブラインドプラグによって閉鎖させることができる。
【0087】
図4は、本発明の意味での方法、すなわち複数の燃料電池システム101,102,103と上述のように実施されていてよい媒体合流装置とを有していてよいユニット100内で燃料含有量を検出するための、燃料漏れを診断するための、燃料漏れの発生源を検出するための、燃料質量流をチェックするための、および/または、燃料質量流を希薄化させるための方法の1つの可能なスケジュールを説明するために用いる。
【0088】
本方法は、まず、正常作動201ないし205中および検査作動206中に疑わしい事例を検知した場合に、ユニット100の複数の燃料電池システム101,102,103のうちの少なくとも1つによって実施することができる。
【0089】
まず、ステップ200で、少なくとも1つの燃料センサSを校正することができ、および/または、2つの燃料センサSがあれば、これらをマッチングさせることができる。
【0090】
ステップ201で、ユニット100の正常作動201ないし205中に本方法を規則的な時間間隔で、好ましくは規則的に導入でき、または、監視のために連続的に実施することができる。
【0091】
ステップ202で、ユニット100の発生源101,102,103,Q1,Q2,Q3,Q4,10全体から燃料含有量を監視することができる。
【0092】
センサ値SW>閾値S1?
【0093】
その際、すべての燃料電池システム101,102,103を作動変更なしに作動させることができる。
【0094】
閾値S1は物質データ、経験値、履歴、モデル、推定を用いて、作動点に依存しておよび/または状態に依存して特定することができる。
【0095】
閾値S1を越えれば、ステップ203で、望ましくない燃料漏れに対する疑わしい事例と認定することができる。
【0096】
ステップ205で、閾値S1を越えた後の特定のデバウンシング時間を待つことで、適用時間の間に燃料含有量が閾値S1を越えたままであるかどうか、或いは、図において205から201への接続が示唆しているように、燃料含有量が正常な状態に回復しているかどうかをチェックすることができる。
【0097】
センサ値SWがデバウンシング時間後も閾値S1を越えていれば、ステップ206で検査作動を導入することができる。
【0098】
加えて、ステップ206での検査作動の迅速な導入を要求する、閾値S1よりも高く選定できる更なる閾値S2を決定することができる。
【0099】
センサ値SW>閾値S2?
【0100】
検査作動では、燃料含有量を検出するための、燃料漏れを診断するための、燃料漏れの発生源を検出するための、燃料質量流をチェックするための、および/または、燃料質量流を希薄化させるための、場合によってはより詳細な更なる方法を導入してよい。
【0101】
検査作動では、ユニットの個々の燃料電池システム101,102,103から、および/または、該当する燃料電池システム(100)の個々の機能システムから、燃料含有量をチェックすることができる。
【0102】
簡単のために、すべての燃料電池システム101,102,103を順次チェックしてよい。
【0103】
燃料電池システム101,102,103の内部では、それぞれの機能システムを同様に順次チェックしてよく、この場合その順番を要望に応じておよび/または必要に応じて変化させてよい:
-カソードシステム10、
-パージおよび/またはドレーンシステムQ1、
-スタック・換気システムQ2、
-タンク・換気システムQ3、
-場合によっては更なる換気システムQ4など。
【0104】
検査作動では、燃料電池システム101,102,103を作動変化させてよく、たとえばスタンバイモードに置き換えてよい。スタンバイモードは、バイパス作動モードであってよい。たとえば、それぞれのスタックのカソード室のためのそれぞれの遮断弁を閉じて、それぞれのカソードシステム10をバイパス作動で作動させてよい。
【0105】
カソードシステム10の空気排出管12内で下流側に本発明による媒体合流装置Mが設けられているような、対応する燃料電池システム101,102,103を備えた車両1も、同様に本発明の観点を具現することができる。
【0106】
図の上記の説明は、本発明をもっぱら実施形態の枠内で説明しているにすぎない。もちろん、技術的に有意義であれば、本発明の範囲を逸脱することなく、これら実施形態の個々の構成要件を自由に互いに組み合わせてよい。
【符号の説明】
【0107】
10 カソードシステム
12 空気排出管
100 ユニット
101,102,103 燃料電池システム
BG 別個の換気ファン
IN 車内の外気ファン
L1 パージおよび/またはドレーン管
L2 スタック・脱気管
L3 タンク・脱気管
L4 更なる換気システムの脱気管
M 媒体合流装置
M1 空気排出管のための管接続部
M2 媒体流を排出するための管排出口
MA 排出面
MB 容器
MQ1 パージおよび/またはドレーン管のための管接続部
MQ2 スタック・脱気管のための管接続部
MQ3 タンク・脱気管のための管接続部
MQ4 更なる換気システムの脱気管のための管接続部
MW 排水部
Q1 パージおよび/またはドレーンシステム
Q2 スタック・換気システム
Q3 タンク・換気システム
Q4 更なる換気システム
S 燃料センサ
【手続補正書】
【提出日】2024-02-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の燃料電池システム(101,102,103)のための媒体合流装置(M)において、
媒体流を混合および/または検査するための容器(MB)を有し、前記容器に以下の構成要素が配置され、すなわち
-該当する燃料電池システム(101,102,103)から排出空気を排出するための各空気排出管(12)のためのそれぞれ1つの管接続部(M1)と、
-該当する燃料電池システム(101,102,103)のアノードシステムの対応するパージおよび/またはドレーンシステム(Q1)の各パージおよび/またはドレーン管(L1)のためのそれぞれ1つの管接続部(MQ1)と、
-前記容器(MB)から媒体流を排出するための、特に1つだけの管排出口(M2)と、
-前記容器(MB)内の燃料含有量を検知するための少なくとも1つの燃料センサ(S)と、
が配置されている媒体合流装置(M)。
【請求項2】
前記容器(MB)に2つの燃料センサ(S)が配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の媒体合流装置(M)。
【請求項3】
前記容器(MB)に、水を排出するための排水部(MW)が配置されていること、
および/または、前記容器(MB)の使用位置で、前記容器(MB)の最も深い個所に1つの/前記排水部(MW)が配置されていること、
および/または、前記容器(MB)の使用位置で、前記容器(MB)から媒体流を排出するための前記管排出口(M2)よりも深く1つの/前記排水部(MW)が配置されていること、
および/または、前記容器(MB)から媒体流を排出するための前記管排出口(M2)がオーバーフロー機能を備えるように実施されていること、
および/または、前記排水部(MW)が前記管排出口(M2)内に統合されていること、
を特徴とする、請求項2に記載の媒体合流装置(M)。
【請求項4】
前記容器(MB)に以下の構成要素の少なくとも1つが配置され、すなわち
-スタック・換気システム(Q2)のスタック・脱気管(L2)のための管接続部(MQ2)、
-タンク・換気システム(Q3)のタンク・脱気管(L3)のための管接続部(MQ3)、および/または、
-更なる換気システム(Q4)の脱気管(L4)のための管接続部(MQ4)、
が配置され、
たとえば車内の外気ファン(IN)を用いて、および/または、別個の換気ファン(BG)を用いて、および/または、カソード経路の空気圧縮システムから供給することを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の媒体合流装置(M)。
【請求項5】
前記容器(MB)が少なくとも1つの排出面(MA)を有し、
特に前記容器(MB)の使用位置で前記排出面(MA)が傾斜して位置決めされ、
好ましくは前記排出面(MA)が接続部および/もしくは排出部から自由であること、
ならびに/または、前記容器(MB)が氷圧に耐えるようにおよび/もしくは凍結しないように実施されていること、
を特徴とする、請求項1~
3のいずれか一項に記載の媒体合流装置(M)。
【請求項6】
前記管接続部(M1,MQ1,MQ2,MQ3,MQ4)と前記管排出口(M2)とは、前記媒体流を混合するための少なくとも1つの効果、すなわち
-転向、
-乱流、
-渦流、
-熱伝導、および/もしくは、
-冷却
が生じるように前記容器(MB)に配分され、および/もしくは、そのような直径を有していること、
ならびに/または、前記容器(MB)に設けた、前記燃料電池システム(101,102,103)内で使用されない前記管接続部(M1,MQ1,MQ2,MQ3,MQ4)が、それぞれ1つのブラインドプラグによって閉鎖されていること、
を特徴とする、請求項1~
3のいずれか一項に記載の媒体合流装置(M)。
【請求項7】
複数の燃料電池システム(101,102,103)と、
請求項
1に記載の、特に1つだけの、好ましくは共通の媒体合流装置(M)と
を有し、
前記媒体合流装置(M)が、該当する燃料電池システム(101,102,103)の対応するカソードシステム(10)のそれぞれの空気排出管(12)に下流側で接続されているユニット(100)。
【請求項8】
請求項
1に記載の媒体合流装置(M)を、請求項7に記載のユニット(100)において、燃料含有量を検出するための、燃料漏れを診断するための、燃料漏れの発生源を検出するための、燃料質量流をチェックするための、および/または、燃料質量流を希薄化させるための方法で使用する使用方法。
【請求項9】
請求項
1に記載の媒体合流装置(M)を、周辺への排水のため、ならびに/または、機能システムおよび/もしくは請求項7に記載のユニット(100)の貯留システムへの排水のために使用する使用方法。
【請求項10】
請求項1~
3のいずれか一項に記載の媒体合流装置(M)を、燃料センサ(S)を校正および/もしくはチェックするため、ならびに/または、複数の燃料センサ(S)をマッチングするために使用する使用方法。
【請求項11】
請求項7に記載のユニット(100)内で、燃料含有量を検出するための、燃料漏れを診断するための、燃料漏れの発生源を検出するための、燃料質量流をチェックするための、および/または、燃料質量流を希薄化させるための方法において、
前記方法を、正常作動中に、および/または、前記ユニット(100)の複数の燃料電池システム(101,102,103)のうちの少なくとも1つの検査作動中に、実施する方法。
【請求項12】
前記ユニット(100)の前記正常作動中に、前記ユニット(100)のすべての源からの燃料含有量を監視すること、
ならびに/または、前記ユニット(100)の前記検査作動中に、前記ユニット(100)の個々の燃料電池システム(101,102,103)からの燃料含有量を、および/もしくは、該当する1つの燃料電池システム(101,102,103)の個々の機能システムからの燃料含有量をチェックすること、
を特徴とする、請求項11に記載の方法。
【国際調査報告】