IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オキシジェン バイオテック エルエルシーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】COVID-19の治療
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/55 20060101AFI20240829BHJP
   A61P 19/10 20060101ALI20240829BHJP
   A61P 13/00 20060101ALI20240829BHJP
   A61P 1/18 20060101ALI20240829BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240829BHJP
   A61P 31/14 20060101ALI20240829BHJP
   A61K 9/72 20060101ALI20240829BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20240829BHJP
   A61K 47/40 20060101ALI20240829BHJP
   A61K 47/69 20170101ALI20240829BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
A61K31/55
A61P19/10
A61P13/00
A61P1/18
A61P35/00
A61P31/14
A61K9/72
A61K9/08
A61K47/40
A61K47/69
A61P31/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513296
(86)(22)【出願日】2022-08-22
(85)【翻訳文提出日】2024-04-19
(86)【国際出願番号】 US2022041079
(87)【国際公開番号】W WO2023028003
(87)【国際公開日】2023-03-02
(31)【優先権主張番号】63/235,906
(32)【優先日】2021-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524069466
【氏名又は名称】オキシジェン バイオテック エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブラベック,ジャン
(72)【発明者】
【氏名】パカク,トマス
(72)【発明者】
【氏名】ジャックベク,ミラン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA11
4C076AA24
4C076AA93
4C076BB01
4C076BB13
4C076BB24
4C076BB25
4C076CC09
4C076CC16
4C076CC17
4C076CC27
4C076CC35
4C076CC41
4C076CC47
4C076EE39
4C076FF15
4C076FF33
4C076FF34
4C076FF68
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC31
4C086GA07
4C086GA12
4C086MA02
4C086MA05
4C086MA13
4C086MA16
4C086MA52
4C086MA58
4C086MA59
4C086MA66
4C086NA02
4C086NA10
4C086ZA66
4C086ZA81
4C086ZA97
4C086ZB26
4C086ZB33
(57)【要約】
【解決手段】COVID-19の治療に有用な組成物を本明細書において提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バゼドキシフェンまたはその薬学的に許容可能な塩と、スルホブチルエーテルベータ-シクロデキストリンとの組成物。
【請求項2】
バゼドキシフェンまたはその薬学的に許容可能な塩と、スルホブチルエーテルベータ-シクロデキストリンとを含み、かつ少なくとも1つの薬学的に許容可能な溶剤をさらに含む液体医薬製剤。
【請求項3】
バゼドキシフェンまたはその薬学的に許容可能な塩と、スルホブチルエーテルベータ-シクロデキストリンとを含み、かつ少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤をさらに含む固体医薬製剤。
【請求項4】
バゼドキシフェンまたはその薬学的に許容可能な塩と、スルホブチルエーテルベータ-シクロデキストリンとを含み、かつ少なくとも1つの薬学的に許容可能な溶剤と、少なくとも1つの薬学的に許容可能な噴霧剤および/またはエアロゾル形成ガスとをさらに含む吸入可能な医薬製剤。
【請求項5】
前記バゼドキシフェンと前記スルホブチルエーテルベータ-シクロデキストリンとのモル比が、少なくとも約1:1である、請求項2~4のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項6】
前記バゼドキシフェンと前記スルホブチルエーテルベータ-シクロデキストリンとのモル比が、少なくとも約1:5である、請求項5に記載の医薬製剤。
【請求項7】
コロナウイルスにより引き起こされるウイルス感染症の治療の方法であって、ウイルス感染症の治療を必要とする対象に、請求項1に記載の組成物、または請求項2~6に記載の医薬製剤もしくはその薬学的に許容可能な塩と、スルホブチルエーテルベータ-シクロデキストリンとを(治療有効用量で)投与する工程を含む方法。
【請求項8】
前記組成物が、吸入で、鼻腔内に、経口で、または眼内に投与される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記組成物が、ネブライザー、鼻腔スプレー、経口製剤、または点眼剤により投与される、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
前記組成物が、静脈内投与される、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
SARS-CoV-2ウイルスにより引き起こされる感染症の治療の方法であって、感染症の治療を必要とする対象に、請求項1に記載の組成物、または請求項2~6に記載の医薬製剤を投与する工程を含む方法。
【請求項12】
前記組成物が、吸入で、鼻腔内に、経口で、または眼内に投与される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記組成物が、ネブライザー、鼻腔スプレー、経口製剤、または点眼剤により投与される、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
前記組成物が、静脈内投与される、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
がんの治療の方法であって、がんの治療を必要とする対象に、(治療有効用量の)請求項2~6に記載の医薬製剤を投与する工程を含む方法。
【請求項16】
前記医薬製剤が、吸入で、鼻腔内に、経口で、または眼内に投与される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記医薬製剤が、ネブライザー、鼻腔スプレー、液体製剤、または点眼剤により投与される、請求項15または16に記載の方法。
【請求項18】
前記医薬製剤が、静脈内投与される、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記がんが、乳がん、または膵臓がんである、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
骨粗鬆症の治療の方法であって、骨粗鬆症の治療を必要とする対象に、(治療有効用量の)請求項2~6に記載の医薬組成物を投与する工程を含む方法。
【請求項21】
前記骨粗鬆症が、閉経後の骨粗鬆症である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
スルホブチルエーテルベータ-シクロデキストリンを有するバゼドキシフェンの塩。
【請求項23】
薬物としての使用のための、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項24】
コロナウイルスにより引き起こされるウイルス感染症、SARS-CoV-2感染症、がん、および骨粗鬆症から選択される疾患の治療における使用のための、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、2021年8月23日提出の米国仮出願第63/235,906号の利益を主張するものであり、上記出願は、参照により全体として本明細書中に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
COVID-19は、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)により引き起こされる感染症である。COVID-19の症状としては、発熱、咳、倦怠感、呼吸困難、および嗅覚または味覚の消失が挙げられる。中には、呼吸困難、呼吸不全、ショック、および多臓器機能不全といった重篤な症状を呈する患者もあり、これにより死に至ることもある。COVID-19患者に対するさらなる治療法が必要とされている。
【発明の概要】
【0003】
特定の態様において、バゼドキシフェンまたはその薬学的に許容可能な塩と、スルホブチルエーテルベータ-シクロデキストリンとの組成物を本明細書中に開示する。特定の態様において、バゼドキシフェンまたはその薬学的に許容可能な塩と、スルホブチルエーテルベータ-シクロデキストリンとを含み、かつ少なくとも1つの薬学的に許容可能な溶剤をさらに含む液体医薬製剤を本明細書中に開示する。特定の態様において、バゼドキシフェンまたはその薬学的に許容可能な塩と、スルホブチルエーテルベータ-シクロデキストリンとを含み、かつ少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤をさらに含む固体医薬製剤を本明細書中に開示する。特定の態様において、バゼドキシフェンまたはその薬学的に許容可能な塩と、スルホブチルエーテルベータ-シクロデキストリンとを含み、かつ少なくとも1つの薬学的に許容可能な溶剤と、少なくとも1つの薬学的に許容可能な噴霧剤および/またはエアロゾル形成ガスとをさらに含む吸入可能な医薬製剤を本明細書中に開示する。いくつかの実施形態において、バゼドキシフェンとスルホブチルエーテルベータ-シクロデキストリンとのモル比は、少なくとも約1:1である。いくつかの実施形態において、バゼドキシフェンとスルホブチルエーテルベータ-シクロデキストリンとのモル比は、少なくとも約1:5である。
【0004】
特定の態様において、コロナウイルスにより引き起こされるウイルス感染症の治療の方法であって、ウイルス感染症の治療を必要とする対象に、本明細書中に開示する上記組成物、または上記医薬製剤もしくはその薬学的に許容可能な塩と、スルホブチルエーテルベータ-シクロデキストリンとを(治療有効用量で)投与する工程を含む方法を本明細書中に開示する。いくつかの実施形態において、上記組成物は、吸入で、鼻腔内に、経口で、または眼内に投与される。いくつかの実施形態において、上記組成物は、ネブライザー、鼻腔スプレー、経口製剤、または点眼剤により投与される。いくつかの実施形態において、上記組成物は、静脈内投与される。
【0005】
特定の態様において、SARS-CoV-2ウイルスにより引き起こされる感染症の治療の方法であって、感染症の治療を必要とする対象に、本明細書中に開示する上記組成物、または上記医薬製剤を投与する工程を含む方法を本明細書中に開示する。いくつかの実施形態において、上記組成物は、吸入で、鼻腔内に、経口で、または眼内に投与される。いくつかの実施形態において、上記組成物は、ネブライザー、鼻腔スプレー、経口製剤、または点眼剤により投与される。いくつかの実施形態において、上記組成物は、静脈内投与される。
【0006】
特定の態様において、がんの治療の方法であって、がんの治療を必要とする対象に、(治療有効用量の)本明細書中に開示する上記医薬製剤を投与する工程を含む方法を本明細書中に開示する。いくつかの実施形態において、上記医薬製剤は、吸入で、鼻腔内に、経口で、または眼内に投与される。いくつかの実施形態において、上記医薬製剤は、ネブライザー、鼻腔スプレー、液体製剤、または点眼剤により投与される。いくつかの実施形態において、上記医薬製剤は、静脈内投与される。いくつかの実施形態において、上記がんは、乳がん、または膵臓がんである。
【0007】
特定の態様において、骨粗鬆症の治療の方法であって、骨粗鬆症の治療を必要とする対象に、(治療有効用量の)本明細書中に開示する上記医薬組成物を投与する工程を含む方法を本明細書中に開示する。いくつかの実施形態において、上記骨粗鬆症は、閉経後の骨粗鬆症である。
【0008】
特定の態様において、スルホブチルエーテルベータ-シクロデキストリンを有するバゼドキシフェンの塩を本明細書中に開示する。
【0009】
特定の態様において、薬物としての使用のための組成物を本明細書中に開示する。特定の態様において、コロナウイルスにより引き起こされるウイルス感染症、SARS-CoV-2感染症、がん、および骨粗鬆症から選択される疾患の治療における使用のための組成物を本明細書中に開示する。
【0010】
参照による組み込み
本明細書において記載される公報、特許および特許出願はすべて、個々の公報、特許または特許出願のそれぞれが、参照により組み込まれると具体的かつ個別に示された場合と同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明の新規な特徴は、添付の請求項において特定して記載されている。例示的な実施形態を記載する以下の詳細な説明を参照することにより、本発明の特徴および利点がよりよく理解されるであろう。当該実施形態では、本発明の原理が利用されており、付随する図面は以下の通りである。
図1】選択されたシクロデキストリンを有するバゼドキシフェン酢酸塩に対する溶解度等温線を表し、補間フィッティングされた線を示す図である。
図2】選択されたシクロデキストリンを有するバゼドキシフェン酢酸塩に対する溶解度等温線を表し、補間フィッティングされた直線を示す図である。
図3】選択されたシクロデキストリンを有するバゼドキシフェン酢酸塩に対する溶解度等温線を表し、多項式補間フィッティングされた線を示す図である。
図4】生理食塩水中のバゼドキシフェン酢酸塩の凝集を示す、UV-Visスペクトルを表した図である。
図5】1000倍に希釈したバゼドキシフェン酢酸塩のHPBCD被包のUV-Visスペクトルを表した図である。
図6】1000倍に希釈したバゼドキシフェン酢酸塩のガンマ-CD被包のUV-Visスペクトルを表した図である。
図7】1000倍に希釈したバゼドキシフェン酢酸塩のSBECD被包のUV-Visスペクトルを表した図である。
図8】1000倍に希釈したバゼドキシフェン酢酸塩のベータ-CD被包のUV-Visスペクトルを表した図である。
図9】BAZ(上段)、SBECD(中段)およびBAZ:SBECD錯体(下段)の粉末X線回折パターンを表した図である。
図10】BAZ(中段)、SBECD(上段)およびBAZ:SBECD錯体(下段)の示差走査熱量測定サーモグラムを表した図である。
図11】NMRスペクトルの評価に用いられるBAZの構造および原子の番号付けを表した図である。
図12】積分値および完全な帰属を伴うBAZのH NMRスペクトル(600MHz、298K、MeOD:DO 3:4(v/v))を表した図である。
図13】完全な帰属を伴うBAZのDEPTおよびHSQCスペクトルを表した図である。
図14】NMRスペクトルの評価に用いられるSBECDの構造および原子の番号付けを表した図である。
図15】完全な帰属を伴うBAZ:SBECD錯体のH NMRスペクトル(600MHz、298K、DO)を表した図である。
図16】完全な帰属を伴うBAZ:SBECD錯体のDEPTおよびHSQCスペクトル(600MHz、298K、DO)を表した図である。
図17】NMR試験に基づく、BAZ:SBECD錯体の構造を表した図である。
図18】BAZ(上段)、BAZ:GCD錯体(中段)およびGCD(下段)の粉末X線回折パターンを表した図である。
図19】BAZ(上段)、GCD(中段)およびBAZ:GCD錯体(下段)の示差走査熱量測定サーモグラムを表した図である。
図20】GCDの構造および原子の番号付けを表した図である。
図21】部分的帰属を伴うBAZ:GCD 1:1のH NMRスペクトル(600MHz、298K、DO)を表した図である。
図22】A)BAZの芳香族領域およびB)GCDのコア領域を示すBAZ:GCD 1:1の拡張Hスペクトルを表した図である。
図23】BAZ:GCD 1:1の構造を表した図である。
図24】部分的帰属を伴うBAZ:GCD錯体のH NMRスペクトル(600MHz、298、DO:DMSO-d 6:1(v/v))を表した図である。
図25】ピークの帰属を伴うA)BAZの芳香族領域およびB)GCDのコア領域を示すBAZ:GCD錯体の拡張Hスペクトル(600MHz、298、DO:DMSO-d 6:1(v/v))を表した図である。
図26】コホートBの平均血漿中濃度時間プロファイル(均等目盛)を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
バゼドキシフェンは、選択的エストロゲン受容体調節薬(SERM)として指定されている一群の医薬品に属する。バゼドキシフェンは、エストロゲン受容体に親和力を示すが、組織選択的エストロゲン様作用を呈し、閉経後女性における骨粗鬆症の予防用および更年期に関連する中等度以上の血管運動反応症状(例えば、ホットフラッシュ、発汗)の治療用に用いられる。バゼドキシフェンは、骨および心血管系に対してはエストロゲンアゴニスト作用を有するが、乳房および子宮の組織に対してはエストロゲンアンタゴニスト作用を有する。再吸収を低減し、かつ転換点を得る際に骨に対するエストロゲンの有益作用を得るためだけでなく、乳房および子宮組織のエストロゲン誘導刺激の潜在的に有害な作用を排除するためにも、この異なる活性が非常に重要である。例えば、バゼドキシフェンは、乳がん、結腸がん、膵臓がん、胃がんおよび子宮内膜がんなどの腫瘍学的疾患の治療目的で研究されてきた。
【0013】
医薬品の水性系への溶解度の低さ(0.000564mg/mL、drugbank.ca)、およびその結果としての生物活性の低さなどの、バゼドキシフェンの活用を妨げるいくつかの深刻な困難が存在する。肺および脳への標的化された送達によるCOVID-19疾患の治療におけるバゼドキシフェンならびにその誘導体および類似体の使用を可能とするための医薬製剤中で使用可能なバゼドキシフェンならびにその誘導体および類似体に対する可溶化システムの開発が依然として必要である。
【0014】
化合物
特定の態様において、バゼドキシフェンの化合物またはその薬学的に許容可能な塩と比較して著しく溶解度が高く、かつ生物学的効率が向上したバゼドキシフェンの化合物またはその薬学的に許容可能な塩の医薬組成物を本明細書中で説明する。
【0015】
【化1】
【0016】
本発明の第1の態様において、一般的なバゼドキシフェンの化合物と、スルホブチルエーテルベータ-シクロデキストリンとの医薬組成物を提供する。
【0017】
医薬組成物
理論に束縛されることなしに、特定の態様において、バゼドキシフェンまたはその薬学的に許容可能な塩とシクロデキストリンとの相互作用は、シクロデキストリンの種類により著しく異なる。バゼドキシフェンまたはその塩を溶解するためのヒドロキシプロピル-ベータ-シクロデキストリンとの相互作用は、生物学的効率を低下させ、その結果医薬品における品質の再現性が低減すると知られている生物学的利用能の低い凝集体の形成により、医薬用途にはふさわしくないと示されてきた。ベータ-シクロデキストリンは、バゼドキシフェンの化合物またはその薬学的に許容可能な塩と錯体を形成するが、不安定である。アルファ-シクロデキストリンの有する空洞は、バゼドキシフェンの化合物またはその薬学的に許容可能な塩を包接するには小さすぎる。置換ガンマ-シクロデキストリンの使用により、バゼドキシフェンの化合物またはその薬学的に許容可能な塩の溶解度は十分には上昇しなかった。したがって、バゼドキシフェンの化合物またはその薬学的に許容可能な塩の溶解度を向上させるためにシクロデキストリンを使用しても、医薬用途のための所望の特性を有する組成物には繋がらないようであった。スルホブチルエーテルベータ-シクロデキストリン(SBECD)は、医薬製剤における実用的用途に対して、凝集体の不要な形成により生物学的活性が低下することなく著しく上昇した溶解度を含み得る所望の特性を示した。
【0018】
いくつかの実施形態において、スルホブチルエーテルベータ-シクロデキストリンは、バゼドキシフェンと安定な塩を形成する。いくつかの実施形態において、スルホブチルエーテルベータ-シクロデキストリンのスルホ基は、バゼドキシフェンのOH基およびO基と塩を形成する。
【0019】
いくつかの実施形態において、本明細書中で説明される組成物は、スルホブチルエーテルベータ-シクロデキストリンとともにバゼドキシフェンまたはその塩に対して被包/塩を形成する。
【0020】
いくつかの実施形態において、医薬製剤におけるバゼドキシフェンまたはその塩とスルホブチルエーテルベータ-シクロデキストリンとのモル比は、1:1~1:20、1:1~1:15、1:1~1:10、1:1~1:9、1:1~1:8、1:1~1:7、1:1~1:6、1:1~1:5、1:1~1:4、1:1~1:3、または1:1~1:2の範囲内である。いくつかの実施形態において、バゼドキシフェンまたはその塩とスルホブチルエーテルベータ-シクロデキストリンとのモル比は、約1:1、約1:2、約1:3、約1:4、約1:5、約1:6、約1:7、約1:8、約1:9、約1:10、約1:11、約1:12、約1:13、約1:14、約1:15、約1:16、約1:17、約1:18、約1:19または約1:20である。
【0021】
いくつかの実施形態において、バゼドキシフェンまたはその塩の濃度は、少なくとも約1mg/mL、約2mg/mL、約3mg/mL、約4mg/mL、約5mg/mL、約6mg/mL、約7mg/mL、約8mg/mL、約9mg/mL、約10mg/mL、約12.5mg/mL、約15mg/mL、約17.5mg/mL、約20mg/mL、または約20mg/mLを超える。いくつかの実施形態において、バゼドキシフェンまたはその塩の濃度は、約1mg/mL、約2mg/mL、約3mg/mL、約4mg/mL、約5mg/mL、約6mg/mL、約7mg/mL、約8mg/mL、約9mg/mL、約10mg/mL、約12.5mg/mL、約15mg/mL、約17.5mg/mL、約20mg/mL以下、または約20mg/mLである。
【0022】
バゼドキシフェンの薬学的に許容可能な塩は、薬学的に許容可能な酸との塩である。薬学的に許容可能な塩は、塩酸塩、塩化物、臭化水素酸塩、臭化物、ヨウ化水素酸塩、ヨウ化物、硝酸塩、リン酸塩、リン酸一水素塩、リン酸二水素塩、ホスホン酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、亜硫酸塩、酢酸塩、フェニル酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、アクリル酸塩、アスコルビン酸塩、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、アセトキシ安息香酸塩、ナフタレン-2-安息香酸塩、イソ酪酸塩、フェニル酪酸塩、ヒドロキシ酪酸塩、ブチン-1,4-ジオアート(butyn-1,4-dioate)、ヘキシン-1,6-ジオアート(hexyn-1,6-dioate)、カプリン酸塩、カプリル酸塩、桂皮酸塩、クエン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グリコール酸塩、ヘプタン酸塩、馬尿酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、ヒドロキシマレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、ニコチン酸塩、イソニコチン酸塩、シュウ酸塩、フタル酸塩、テレフタル酸塩、プロピオン酸塩、フェニルプロピオン酸塩、サリチル酸塩、セバシン酸塩、スベリン酸塩、スルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-ブロモフェニルスルホン酸塩、クロロベンゼンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、2-ヒドロキシエタンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ナフタレン-1-スルホン酸塩、ナフタレン-2-スルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、酒石酸塩を含んでもよい。
【0023】
いくつかの実施形態において、バゼドキシフェンの薬学的に許容可能な塩は、バゼドキシフェン酢酸塩である。
【0024】
いくつかの実施形態において、スルホブチルエーテルベータ-シクロデキストリンは、6~7(好ましくは6.5)個のスルホブチルエーテル基で置換されたベータ-シクロデキストリンであることが好ましい。いくつかの実施形態において、スルホブチルエーテルベータ-シクロデキストリンは、約1、2、3、4、5、6、7個またはそれ以上のスルホブチルエーテル基で置換されたベータ-シクロデキストリンであってもよい。いくつかの実施形態において、スルホブチルエーテル基は、ベータ-シクロデキストリンコアのいずれかの位置に付加されていてもよい。いくつかの実施形態において、スルホ基の対カチオンは、アルカリ金属である。いくつかの実施形態において、スルホ基の対カチオンは、ナトリウムもしくはカリウム、またはアンモニウムカチオンである。
【0025】
いくつかの実施形態において、本発明の医薬組成物は、対応するシクロデキストリンの溶液と、バゼドキシフェンまたはその薬学的に許容可能な塩の溶液または懸濁液を混ぜ合わせることにより調製される。
【0026】
いくつかの実施形態において、本発明の医薬組成物は、対応するシクロデキストリンの溶液と、固形のバゼドキシフェンまたはその薬学的に許容可能な塩を混ぜ合わせることにより調製される。いくつかの実施形態において、バゼドキシフェンおよびその塩の溶解を加速および完了するために、超音波処理を適用する。
【0027】
いくつかの実施形態において、本発明の医薬組成物は、固形のバゼドキシフェンまたはその薬学的に許容可能な塩と固形の対応するシクロデキストリンの混合物の機械的処理(機械加工)により調製される。いくつかの実施形態において、機械的処理は、混合物の摩砕または粉砕を含む。いくつかの実施形態において、機械的処理は、少なくとも600rpmでの摩砕または粉砕を含む。いくつかの実施形態において、機械的処理は、少なくとも10分間の摩砕を含む。
【0028】
いくつかの実施形態において、本発明の医薬組成物は、固形または液体の医薬製剤に製剤化されてもよい。
【0029】
液体の医薬製剤は、例えば、溶液、注射用溶液、点滴用溶液、吸入用溶液、および噴霧可能な溶液を含んでもよい。液体の医薬製剤は、バゼドキシフェンおよびスルホブチルエーテルベータ-シクロデキストリン、ならびに少なくとも1つの薬学的に許容可能な溶媒、また任意選択で少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含有する医薬組成物を含む。
【0030】
薬学的に許容可能な溶媒は、好ましくは、水、生理食塩水、リン酸緩衝食塩水、および薬学的に許容可能な緩衝液を含んでもよい。
【0031】
固形の医薬製剤は、例えば、錠剤、糖衣錠、硬カプセル、軟カプセル、移植可能製剤、軟膏、ゲル、座薬などを含んでもよい。固形の医薬製剤は、バゼドキシフェンまたはその塩およびスルホブチルエーテルベータ-シクロデキストリン、ならびに少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む医薬組成物を含む。
【0032】
薬学的に許容可能な賦形剤は、付着防止剤、結合剤、コーティング剤、着色剤、崩壊剤、フィラー、矯味剤、滑剤、滑沢剤、防腐剤、吸着剤、甘味剤、ビヒクルを含む。適切な賦形剤は、当業者に知られており、かつ特定の製剤および使用目的に基づいて当業者により選択可能である。適切な賦形剤のリストは、薬局方、およびhttps://www.accessdata.fda.gov/scripts/cder/iig/index.cfmなどのデータベースにおいて入手可能である。
【0033】
いくつかの実施形態において、医薬製剤は、吸入用または鼻腔内投与用の製剤である。
【0034】
医薬エアロゾルにおいて一般に用いられる薬学的に許容可能な噴霧剤ガスは、クロロフルオロカーボン、フルオロカーボン(例えば、トリクロロモノフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン)、炭化水素(例えば、プロパン、ブタン、イソブタン)、ハイドロクロロフルオロカーボンおよびハイドロフルオロカーボン、不活性ガス(例えば、窒素、NO、CO)、空気、ならびに酸素を含む。いくつかの実施形態において、噴霧剤ガスは、大気圧より高い圧力下で投薬装置中に保持される。
【0035】
いくつかの実施形態において、薬学的に許容可能なエアロゾル形成ガスは、空気または窒素などの不活性ガスを含む。
【0036】
いくつかの実施形態において、本明細書中で説明される組成物は、ネブライザーにより投与される。霧状にされた溶液は、エアロゾルを形成するために空気中に分散されたものであり、ネブライザーは、肺内への吸入に適した非常に細かい液滴を発生させる。ネブライザーは、典型的に、圧縮空気、超音波、または振動メッシュを用いて液滴のミストを作り出し、また、衝突によりミストからより大きな液滴を除去するためのバッフルを有していてもよい。本目的のために、超音波ネブライザー、ジェットネブライザーおよび呼吸作動式ネブライザーなどのさまざまなネブライザーが利用可能である。使用にあたって、典型的には、霧状にされた溶液の送達を助けるために、マウスピースまたはマスクが患者に取り付けられる。
【0037】
いくつかの実施形態において、本明細書中で説明される組成物は、鼻腔内に送達される。化合物の鼻腔内投与は、血液脳関門(BBB)を越える投与のための従来の外科的、静脈内または経口ルートに勝るいくつかの利点をもたらす。嗅部への鼻腔内投与により、肝酵素による薬剤の破壊などの胃腸の破壊および肝臓の初回通過代謝を回避でき、これにより、より多くの薬剤が、経口投与の場合と比して費用効果が高く、迅速かつ予測可能に生物学的利用能を有することとなる。鼻腔内投与は、容易性、利便性および安全性を提供可能である。鼻腔内薬剤投与は、(痛みとは患者により異なる主観的尺度であり得ることを考慮して)概して無痛であり、かつ、無菌操作、静脈内カテーテルまたはその他の侵襲的装置を必要とせずに、すべての患者にとって概して即座にかつ容易に利用可能である。鼻腔内投与は、治療上の脳および脊髄への薬剤の濃縮を迅速に達成することができる。
【0038】
いくつかの実施形態において、本明細書中で説明される組成物は、静脈内で送達される。
【0039】
いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、生物学的利用能の向上した液体または経口製剤の開発を可能とし、これにより、活性成分の必要用量を低減でき、かつ活性成分とともに摂取すべきバラスト物質の量を低減できる。
【0040】
治療方法
いくつかの実施形態において、バゼドキシフェンまたはその薬学的に許容可能な塩と、スルホブチルエーテルベータ-シクロデキストリンとを含む組成物は、治療上または予防的使用に適している。いくつかの実施形態において、本明細書中で説明される組成物は、ウイルス性疾患の治療における使用に適している。いくつかの実施形態において、本明細書中で説明される組成物は、コロナウイルスにより引き起こされる疾患の治療における使用に適している。いくつかの実施形態において、本明細書中で説明される組成物は、SARS-CoV-19ウイルスまたはこれに由来するウイルス株により引き起こされる感染症の治療、すなわち、COVID-19疾患の治療における使用に適している。
【0041】
いくつかの実施形態において、バゼドキシフェンおよびその類似体は、COVID-19疾患でよく起こる合併症であるサイトカインストームを予防する。いくつかの実施形態において、バゼドキシフェンおよびその類似体は、COVID-19に関連するARDSを予防する。いくつかの実施形態において、当該効果は、その抗炎症活性および抗IL6シグナル伝達に起因する。いくつかの実施形態において、バゼドキシフェンは、SARS-CoV-2に対して直接的な抗ウイルス活性を呈する。
【0042】
いくつかの実施形態において、本明細書中で説明される医薬組成物の吸入または鼻腔内投与は、感染組織(非常に典型的には、肺または脳および中枢神経系)に活性成分を直接送達可能とするので、COVID-19の治療に適している。いくつかの実施形態において、本明細書中で説明される医薬組成物の静脈内投与は、COVID-19の治療に適している。
【0043】
いくつかの実施形態において、本明細書中で説明される組成物は、バゼドキシフェンの公知の治療活性に沿って、がんまたは骨粗鬆症の治療に有用である。いくつかの実施形態において、本明細書中で説明される組成物は、乳がんおよび膵臓がんの治療に有用である。いくつかの実施形態において、本明細書中で説明される組成物は、骨粗鬆症の治療に有用である。いくつかの実施形態において、組成物は、眼内に送達される製剤である。いくつかの実施形態において、組成物は、点眼剤として送達される。
【0044】
定義
他に定義されない限り、本明細書中で用いられるすべての技術用語、表記およびその他の科学技術用語または術語は、請求されている主題が属する分野における当業者により一般に理解されているのと同じ意味を有すると意図されている。いくつかの場合、一般に理解されている意味を有する用語は、明確性のためおよび/またはすぐに参照できるように本明細書中で定義されており、本明細書中にそのような定義を含めることは、当該技術において一般的に理解されていることとの実質的な相違を表すと必ずしも理解されるべきでない。
【0045】
本願全体を通して、さまざまな実施形態が範囲形式で示されることがある。なお、範囲形式での記載は、便宜および簡潔さのために過ぎず、本開示の範囲に対する確固たる限定とは解釈されるべきでない。よって、範囲の記載は、あり得るすべての部分範囲、および、その範囲内の個々の数値を特定して開示したものと考えられねばならない。例えば、1~6といった範囲の記載は、1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6などの部分範囲、ならびにその範囲内の、例えば、1、2、3、4、5、および6のような個々の数値を特定して開示したものと考えられねばならない。これは、範囲の広さに関わらず該当する。
【0046】
本明細書および請求項中で使用されるとき、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈上明らかに別の意味に解されるのでない限り、複数の参照対象を含む。例えば、「a sample(試料)」という用語は、その混合物を含む複数の試料を含む。
【0047】
「判定する(determining)」、「測定する(measuring)」、「評価する(evaluating)」、「査定する(assessing)」、「分析する(assaying)」、および「解析する(analyzing)」という用語は、測定の形態に言及するために本明細書中でしばしば交換可能に用いられる。上記用語は、ある要素が存在するか否かを判定すること(例えば、検出)を含む。これらの語は、定量的判定、定性的判定、または定量的かつ定性的判定を含み得る。査定は、相対的または絶対的であり得る。「の存在を検出すること」は、文脈次第で、あるものが存在するか存在しないかを判定することに加えて、存在しているものの量を判定することを含み得る。
【0048】
「対象」、「個体」、または「患者」という用語は、本明細書中でしばしば交換可能に用いられる。「対象」は、発現した遺伝物質を含む生物学的実体であり得る。生物学的実体は、例えば、細菌、ウイルス、菌、および原生動物を含む、植物、動物、または微生物であり得る。対象は、in vivoで得られた、またはin vitroで培養された生物学的実体の組織、細胞およびその子孫であり得る。対象は、哺乳類であり得る。哺乳類は、ヒトであり得る。対象は、ある疾患と診断されているか、またはそのリスクが高い疑いがある場合がある。いくつかの場合、対象は必ずしも、該疾患と診断されているか、またはそのリスクが高い疑いがなくともよい。
【0049】
「in vitro」という用語は、材料が得られる生物源とは分離されるように実験用試薬を保持するための容器に収容されて起こる事象の説明用に用いられる。In vitroアッセイは、生きている細胞または死んだ細胞が使用される細胞ベースアッセイを包含し得る。In vitroアッセイはまた、無傷細胞が使用されない無細胞アッセイをも包含し得る。
【0050】
本明細書中で使用されるとき、「約(about)」という用語とある数値は、その数値プラスマイナス10%の数値を指す。「約」という用語とある範囲は、その下限値マイナス10%から上限値プラス10%までの範囲を指す。
【0051】
本明細書中で使用されるとき、「治療(treatment)」または「治療する(treating)」という用語は、受け手において有益または所望の結果を得るための医薬またはその他の介入レジメンに関連して用いられる。有益または所望の結果は、治療上の利益および/または予防的利益を含むが、これらに限定されない。治療上の利益は、症状もしくは治療中の基礎疾患の根絶または軽快を指してもよい。また、治療上の利益は、対象は依然として基礎疾患に苦しんでいるかもしれないものの、対象において改善が観察されるような、基礎疾患に関連する生理的症状の1つ以上の根絶または軽快により達成可能である。予防効果としては、疾患または病態の出現を遅延、防止または除去すること、疾患または病態の症状の徴候を遅延または除去すること、疾患または病態の進行を減速、停止または反転させること、そのいずれかの組合せが挙げられる。予防的利益のために、ある特定の疾患のリスクのある対象、またはある疾患の生理的症状のうちの1つ以上を訴えている対象は、その疾患の診断が下されておらずとも治療を受けてもよい。
【0052】
本明細書中で用いられる項目の表題は、整理目的に過ぎず、説明される主題を限定するものとして解釈されるべきでない。
【実施例
【0053】
以下の実施例は、例示目的のみで含まれており、本発明の範囲を限定する意図はない。
【0054】
実施例1:材料および方法
相溶解度試験:室温で精製水中でHiguchi-Connorsにしたがって等温線溶解度アッセイを行った。ここで、個別の濃度のCD溶液を秤量し、過量のバゼドキシフェン酢酸塩を添加した(Advances in Analytical Chemistry and Instrumentation ed. C.N.Reilly、Whiley、New York、1965、vol.4、pp.117~212も参照のこと)。(500rpmでマグネチックスターラを用いて)25±3℃で24時間の平衡化時間の後、0.45μmの公称孔径のポリエチレンスルホン膜を有するシリンジフィルタを通したろ過後に、溶解したバゼドキシフェン濃度をHPLCにより判定した。
【0055】
X線粉末回折:Cu K-α放射およびNi金属フィルタを用いたX’pert Pro MDP(PANalytical B.v.、オランダ国)X線回折計により、粉末X線回折パターンを記録した。
【0056】
示差走査熱量測定:変調DSC2920装置(TAインスツルメント社、デラウェア州、米国)を用いて測定を行った。10K/分の加熱速度で密封されたAlパン中の試料(1~5mg)を測定した。DSC機器の温度およびエンタルピー較正のため、純In金属標準を適用した。
【0057】
NMR:Hおよび2D NMR実験はすべて、5mmの逆検出勾配(IDPFG)プローブを備えた600MHzのVarian DDR NMR分光計により298Kで行った。VnmrJ 4.1において利用可能な標準的なパルスシーケンスおよび処理ルーチンを用いた。H化学シフト値(δ)は、DOに存在する残留HODピーク(δ=4.7900ppm)を基準とした(were referenced to)。2sの緩和遅延を適用した16回のスキャンからHスペクトルを記録した。
【0058】
2sの緩和遅延および512の増分を用いたスキャン8回/増分から2D回転枠オーバーハウザー増強分光法(ROESY)スペクトルを記録し、スピンロック時間は300msに設定した。
【0059】
256の増分および1sの緩和遅延を用いたスキャン4回/増分から分極移動による無歪み増強で編集した異種核一量子コヒーレンス(DEPTおよびHSQC)スペクトルを記録した。
【0060】
実施例2:相溶解度試験
さまざまなシクロデキストリンとともにバゼドキシフェン酢酸塩の組成物の溶解度を調べた。図1は、ベータ-シクロデキストリン(BCD)、ガンマ-シクロデキストリン(GCD)、ヒドロキシプロピル-ベータ-シクロデキストリン(HPBCD)およびスルホブチルエーテルベータ-シクロデキストリン(SBECD)を有する組成物について得られた最も関連性の高い結果を、フィッティングされた補間ラインにより示している。図2は、同じデータを直線状の補間フィッティングにより示している。直線補間フィッティングされたデータを表1にまとめる。図3は、同じデータを多項式補間フィッティングにより示しており、多項式補間フィッティングされたデータを表2にまとめる。BAZは、バゼドキシフェン酢酸塩の略称である。
【0061】
【表1】
【0062】
【表2】
【0063】
シクロデキストリンの試験結果は、水性媒体への溶解度の低さに起因して十分なBCD濃度が達成されなかったことを示していた。HPBCDは、溶解度等温線が4次多項式に相当する組成物をもたらし、このことは、バゼドキシフェン酢酸塩、または形成された可能性のあるそのシクロデキストリン錯体のいずれかの可溶化および分散と負の干渉を起こす不要な凝集体の形成を示していた。GCDおよびSBECDを用いて得られた溶解度等温線により、直線に近いフィッティングが可能となり、このことは、たとえあったとしても最小限の凝集体形成であったことを示していた。
【0064】
HPBCDのみの凝集作用は、ある著者らにより学術文献、例えば、Sa Couto AR,Ryzhakov A,Loftsson T.Materials(Basel).2018;11(10):1971,doi:10.3390/ma11101971において観察された。観察されたHPBCDの凝集体は、80~800nmの大きさの範囲と測定された。
【0065】
HPBCD被包の不要な凝集作用は、シクロデキストリン濃度が上昇し、薬剤と錯体を形成したりこれを溶解させたりしないシクロデキストリン単位の比率もまた上昇したかもしれないことに伴い、すでに形成されていたシクロデキストリン-薬剤錯体の凝集にさらなるシクロデキストリン単位が加わっていた可能性があることを暗示していた。この現象により示されたのは、HPBCDを用いてある剤形を製剤することにより、著しく異なる薬物動態特性を有する種々の凝集体の混合物が形成および放出される結果となるかもしれないということである。
【0066】
さらなる実験を行って、バゼドキシフェン-シクロデキストリン組成物の作用を調べた。
【0067】
水性媒体におけるバゼドキシフェンの溶解度の低さに起因して、DMSOをその原液を調製するために生物学的研究における標準的手順の一部として用いた。上記を鑑みて、バゼドキシフェン酢酸塩薬剤原液(4.8mg/mL)を調製し、比例部分を生理食塩水(11.2μL~1000μL)により希釈した。薬剤濃度は、10mmol/mLであった。試料を室温にて4時間放置した。(0.22μmのディスクフィルタを使用した)ろ過の前後で、溶液のUV-可視吸光度スペクトルを測定した。ろ過後、薬剤に対応する吸光度の特徴が急激に低下し(図4)、このことは、ろ過により除去された不要な凝集体の形成を示唆している。これは、医療用途において観察される本薬剤の限定的な効能が、その強力な凝集に起因する可能性があることを示唆している。
【0068】
HPBCDおよびバゼドキシフェンの組成物が凝集の増大を呈した一方、バゼドキシフェンを有するGCDまたはSBECDの組成物はこの不要な凝集作用を示さなかったという仮説を検証するために、バゼドキシフェンシクロデキストリン被包の溶解度および凝集を調べた。バゼドキシフェン酢酸塩80mgおよび(BCD、HPBCD、GCDおよびSBECDから選択された)シクロデキストリン600mgを、15mLの試験管に量り取り、蒸留水5.4mLを添加した。製剤を高温(40℃)の超音波浴中に6時間配置した。室温まで冷却後、未ろ過溶液および0.22μmのディスクフィルタによるろ過後の溶液についてUV-Visスペクトルを測定した。
【0069】
HPBCDを有するバゼドキシフェン酢酸塩被包(図5)が、GCDを有するBAZ被包(図6)およびSBECDを有するBAZ被包(図7)で観察されたものより、用いられたフィルタを介したスループットが低いことが観察された。BCDの場合、未ろ過溶液がスラリーを形成したので、ろ過された溶液からのUV-可視吸光度データのみを測定した(図8)。
【0070】
結合等温線を用いたバゼドキシフェン酢酸塩の溶解度試験は、バゼドキシフェンのGCD組成物が、HPBCD組成物より低い溶解度を有していたことを示したが、生体系におけるバゼドキシフェンのHPBCD錯体の極めて不要な凝集をも明らかにした。これらの凝集体は、細胞により吸収される可能性のある薬剤の量の低下、またはことによるとマクロファージによる遮断前の血液中でのその寿命(in vivo薬物動態および細胞間相互作用に対するナノ粒子サイズの効果(Hoshyar N,Gray S,Han H,Bao G.The effect of nanoparticle size on in vivo pharmacokinetics and cellular interaction).Nanomedicine(Lond).2016;11(6):673-692.DOI:10.2217/nnm.16.5)により、薬剤の効果が著しく低減する程度に十分大きい場合がある。対照的に、適切に選択されたシクロデキストリン製剤は、著しく小さい粒径を有するため、著しく増大した効能を有していた可能性がある。したがって、HPBCDを有するバゼドキシフェン組成物の生物学的効能は、GCDまたはSBECDを有する組成物の生物学的効能より著しく低い可能性があると結論付けることができよう。
【0071】
実施例3:水中のガンマ-シクロデキストリンへのバゼドキシフェン酢酸塩の溶解度
バゼドキシフェン酢酸塩11.9mgを1.5mLのマイクロチューブに量り取った。40mg/mLのGCDの蒸留水溶液1.2mLをマイクロチューブに添加した。溶液を40℃で6時間超音波処理した。バゼドキシフェン酢酸塩の溶解後、溶液のアリコートを40mg/mLのGCDを含む蒸留水溶液により1:10および1:100の比率で希釈した。よって、結果として得られた3溶液は、9.9mg/mL、0.99mg/mLおよび0.099mg/mLのバゼドキシフェン濃度を有した。GCD濃度は、すべての溶液において不変であり、具体的には40mg/mLであった。
【0072】
溶液のアリコートを0.22μmのディスクフィルタを通してろ過した。300nm(バゼドキシフェンに対する特徴的な最大吸光度波長)における吸光度測定により未ろ過溶液およびろ過済み溶液を比較すると、バゼドキシフェン酢酸塩の97%が溶解していたことがわかった。
【0073】
実施例4:生理食塩水中のガンマ-シクロデキストリンへのバゼドキシフェン酢酸塩の溶解度
バゼドキシフェン酢酸塩6mgを1.5mLのマイクロチューブに量り取った。40mg/mLのガンマ-シクロデキストリンの生理食塩水溶液1.5mLをマイクロチューブに添加した。溶液を40℃で6時間超音波処理した。バゼドキシフェン酢酸塩の溶解後、溶液のアリコートを40mg/mLのGCDの生理食塩水溶液により1:10および1:100の比率で希釈した。よって、結果として得られた3溶液は、4mg/mL、0.4mg/mLおよび0.04mg/mLのバゼドキシフェン濃度を有した。ガンマ-シクロデキストリン濃度は、すべての溶液において不変であり、具体的には40mg/mLであった。
【0074】
溶液のアリコートを0.22μmのディスクフィルタを通してろ過した。300nmにおける吸光度測定により未ろ過溶液およびろ過済み溶液を比較すると、バゼドキシフェン酢酸塩の92%が溶解していたことがわかった。
【0075】
実施例5:緩衝溶液中のガンマ-シクロデキストリンへのバゼドキシフェン酢酸塩の溶解度
バゼドキシフェン酢酸塩3.2mgを1.5mLのマイクロチューブに量り取った。40mg/mLのGCDのリン酸緩衝食塩水溶液1.2mLをマイクロチューブに添加した。溶液を40℃で6時間超音波処理した。バゼドキシフェン酢酸塩の溶解後、溶液のアリコートを40mg/mLのGCDのリン酸緩衝食塩水溶液により1:10および1:100の比率で希釈した。よって、結果として得られた3溶液は、9.9mg/mL、0.99mg/mLおよび0.099mg/mLのバゼドキシフェン濃度を有した。GCD濃度は、すべての溶液において不変であり、具体的には40mg/mLであった。
【0076】
溶液のアリコートを0.22μmのディスクフィルタを通してろ過した。300nmにおける吸光度測定により未ろ過溶液およびろ過済み溶液を比較すると、バゼドキシフェン酢酸塩の95%が溶解していたことがわかった。
【0077】
実施例6:粉砕により製造されたガンマ-シクロデキストリン中のバゼドキシフェン酢酸塩の水への溶解度
バゼドキシフェン酢酸塩50mg、GCD250mgおよび粉砕ボール10gを100mLのスチール製粉砕容器に量り取った。結果とした得られた混合物を設定粉砕速度1000rpmおよび粉砕温度37℃で20分間粉砕した。
【0078】
粉砕された混合物20mgをマイクロチューブに量り取り、蒸留水0.5mLと配合した。次いで、試料を45℃で5分間超音波処理した。
【0079】
超音波処理された溶液のアリコートを0.22μmのディスクフィルタを通してろ過した。300nmにおける吸光度測定により未ろ過溶液およびろ過済み溶液を比較すると、出発バゼドキシフェンの99%が溶解していたことがわかった。
【0080】
実施例7:バゼドキシフェン酢酸塩とシクロデキストリン(CDs)との間の相互作用の検討
NMR実験を用いて、溶解度、およびバゼドキシフェン酢酸塩(BAZ)とシクロデキストリン(CD)との間の相互作用を調べた。2D NMRおよび13C NMR実験を用いることにより、BAZの帰属を行った。重水素化溶剤700μLにBAZ5mgを溶解することにより、試料の調製を行った。調製された溶液の組成を表3に挙げる。BAZ:SBECDが1:1の場合、混合物は、NMR管への移送前にろ過した。標準的な5mmのガラス製NMR試料管を用いて、すべての試料を測定した。
【0081】
バゼドキシフェン酢酸塩(BAZ)の被包用に広範に(特に経口で)利用可能なシクロデキストリンの適合性について実行可能性研究を行った。BAZの可溶化のために最良のシクロデキストリンとして、スルホブチルエーテルベータ-シクロデキストリン(SBECD)およびガンマ-シクロデキストリン(GCD)を選択した。
【0082】
BAZ:SBECD錯体は、以下のように調製した。乾燥状態換算で、SBECD11.0g(6.5w%の水分により実際の秤量11.76gに相当)をミリポアSynergy精製水44mLに溶解した。BAZ0.90gを媒体に溶解した。本SBECD/BAZ比率により、平衡比と比較しておよそ30%の過剰SBECDが確保された。この平衡比とは、産業上利用可能な範囲内にあり、かつシクロデキストリンと他の活性医薬品との組成物を開発する従前の経験において利用可能とされたものである。(500rpmでのマグネチックスターラによる)室温での通常の2時間の撹拌の代わりに、混合物は、一晩撹拌された後初めて透明溶液となった。というのも、用いられたBAZは、微細化形態ではなかったからである。公称孔径0.45μmのPESメンブレンを通した清澄化ろ過の後、溶液を凍結し、凍結乾燥し、次いで微粉末状に粉砕した。
【0083】
表3において特定した重水素化溶剤または溶剤混合物中で等モル量の固体バゼドキシフェン酢酸塩と固体SBECDとを配合することにより、BAZ:SBECDが1:1(mol/mol)の組成物を調製した。結果として得られた溶液は、NMR管への移送前にろ過した。標準的な5mmのガラス製NMR試料管を用いて、すべての試料を測定した。
【0084】
【表3】
【0085】
BAZ:GCD錯体は、以下のように調製した。乾燥状態換算で、GCD19.2g(10.0w%の水分により実際の秤量21.3gに相当)およびBAZ0.78gを磁製乳鉢に量り取った。粉末混合物を乾燥状態で均質化し、次いで、精製水10mLで濡らした。物質の粘度によりさらなる混練ができなくなる(硬化が観察された)まで、得られたペーストを15分間混練した(この間、混練を可能とするために追加の精製水を1.0mLずつ2回添加した)。利用されたGCD:BAZ比率により、平衡比と比較しておよそ30%の過剰GCDが確保された。この平衡比とは、産業上利用される量の範囲内にあり、かつシクロデキストリンと他の活性医薬品との組成物を開発する従前の経験において利用可能とされたものである。濡れたペーストを真空中で48時間にわたりP上で乾燥させ、次いで、微粉末状に粉砕した。
【0086】
表4において特定した重水素化溶剤混合物中で等モル量の固体バゼドキシフェン酢酸塩と固体GCDとを配合することにより、BAZ:GCDが1:1(mol/mol)の組成物を調製した。溶解した混合物は、NMR管への移送前にろ過した。標準的な5mmのガラス製NMR試料管を用いて、すべての試料を測定した。
【0087】
【表4】
【0088】
実施例8:BAZ:SBCD計装分析
BAZ:SBECDのX線粉末回折
出発物質および結果として得られる二成分系BAZ:SBECD組成物の粉末X線回折(PXRD)パターンを記録し、図9に示している。PXRDデータは、出発物質である薬剤物質BAZは結晶性の物質であるのに対し、SBECDは非晶質であることを示していた。BAZ:SBECD組成物のPXRDプロファイルもまた非晶質構造を示しており、このことは、BAZがシクロデキストリンマトリクス内で分子的に分散した状態であったこと、および2つの構成物質間に錯体が形成されていたことを示唆していた。
【0089】
BAZ:SBECDの示差走査熱量測定
示差走査熱量測定(DSC):出発物質および結果として得られる二成分系BAZ:SBECD組成物のDSCサーモグラムを記録した(図10)。熱分析により、結晶性BAZの融解エンタルピーのピークは180.4℃であることが示された。非晶質SBECDは、試験された温度範囲においてそのような特徴的な相転移は有さず、水分の損失による広範な吸熱作用が観察されたにすぎなかった。BAZ:SBECD組成物のDSCプロファイルもまた非晶質構造を示しており、このことは、PXRD分析の結果と同様に、試料中に結晶性のBAZが不在であったことを示唆していた。これらの結果は、2つの構成物質間に錯体が形成されていたというさらなる証拠をもたらした。
【0090】
BAZ:SBECDの核磁気共鳴(NMR)試験
2D NMRおよび13C NMR実験と併用したH NMR分光法を使用することにより、BAZのNMRスペクトル帰属を行った。本明細書中で言及するBAZの構造および原子の番号付け体系を図11に示す。図12は、積分値および完全な帰属を伴うBAZのH NMRスペクトルを示す。図13は、完全に帰属されたBAZのDEPTおよびHSQCスペクトルを示す。BAZの分子内相互作用をマッピングするために、錯体の研究に用いたのと同じパラメータのセットを用いて2D ROESY実験を行った。その結果、観察された交差ピークは、ホスト-ゲストタイプの相互作用によるものとは容易に区別可能であった。
【0091】
SBECDは、単一の異性化合物ではなく、むしろBCDのランダムに置換された誘導体であったので、種々の置換度(DS)および置換パターンを有する異性体の複合混合物(complex mixture)が存在していた。したがって、SBECDを含む試料から収集されたNMRスペクトルの帰属は、重複するシグナルの存在により困難な可能性がある。SBECDの場合、この異性体の不均質性(isomeric heterogeneity)は、スルホブチル側鎖のある部分のプロトンNMR共鳴が、CD単位の(アノメリックプロトンに加えてグルコピラノース単位のシグナルを含む)コア領域に対応するものと同じ周波数で共鳴したということによりさらに複雑化していた。その結果、使用される材料とともに通常のNMR分光法を用いて原子レベルでの相互作用の部位を判定することは、不可能であった。本明細書中で言及するSBECDの構造および原子の番号付け体系を図14に示す。
【0092】
図15は、完全に帰属されたBAZ:SBECD錯体のH NMRスペクトルを示す。スペクトルの高周波数領域(δ1H=6.5~7.5ppm)において、BAZの芳香族プロトン(7、8、13、14、17、18、20)が見られた。これらのシグナルが純粋なBAZのスペクトルにおいて観察されるものと比較して顕著に広がっていたことは容易に認識され、このことは、溶液中のSBECDとのいくらかの相互作用を示していた。δ1H=5.0~5.5ppmの間で、CD単位のアノメリックプロトンが概して観察された。ランダムに置換されたCD誘導体の場合、2種類のアノマーに対応するNMRシグナルは分離され、少なくとも1つの位置に側鎖を持つグルコピラノース単位に対応する置換タイプ(1’s)と、側鎖を持たないグルコピラノース単位を表す非置換タイプ(1’us)とになる。このシグナルの複製は、グルコース単位のシグナルの残りに対しても特徴的に観察され得る(図16において表されるDEPTおよびHSQCスペクトルにおいて見られ得る)。CDのコア領域に対応するシグナルは、δ1H=3.5~4.3ppmの間で常に観察され、これに、アノメリック部位(1および1’)におけるものを除くグルコース単位(2’、3’、4’、5’、および6’)のすべてのプロトンが含まれていた。CD空洞(α)に最も近いSBECDの側鎖プロトンに対応するシグナルもまた、同じ領域において観察された。側鎖(βおよびγ)の中間のメチレン単位に対応するシグナルが、BAZのアゼパン部分(1および2)のシグナルと完全に重複するδ1H=1.5~2.0ppmの間で観察された一方、スルホ基(δ)に隣接する末端側鎖メチレンプロトンは、分離された領域においてδ1H=3.0ppm付近で共鳴した。BAZのさらに分離された共鳴シグナル(5、3および23)は、それぞれδ1H=4.4、δ1H=3.3およびδ1H=2.4において同定され得る。δ1H=4.79ppmにおけるピークは、溶剤からのHDOシグナルであった。
【0093】
完全に帰属された、Hスペクトルをx軸上に有するBAZ:SBECD錯体のDEPTおよびHSQCスペクトルを図16に示す。
【0094】
BAZのDEPTおよびHSQCスペクトルと比較して、BAZ:SBECDのスペクトルにおける区別可能なシグナルの数は、明らかに減少していた。注目すべきは、BAZのみの場合は、7つの化学的に非等価な芳香族プロトンのセット(7、8、13、14、17、18、および20)に対応するシグナルが分離した一方、BAZ:SBECD錯体の場合は、スペクトルの同じ領域内の分離した5つの交差ピークしか同定できなかったことである。13Cの化学シフト値に基づいて、シグナルのうちの2つ(13および20)しか確信を持って帰属できなかった。というのも、顕著な13C化学シフト変化が、錯体化または溶剤変化により概して起こらなかったからである。対照的に、より高いδ13C(おそらく8)を有するBAZの芳香族プロトンは、高磁場へ(低周波数へ)シフトし、かつ他のピークと重複していたことが分かった。(また、強調すべきことは、試料の溶剤組成における差異は、観察される共鳴に本質的に影響することである)。
【0095】
上に挙げた知見をまとめると、BAZは、SBECDとホスト-ゲスト錯体を形成可能であったことが結論付けられるだろう。この錯体の妥当な構造は、2D ROESY分析に基づき、図17に示すように作られた。
【0096】
実施例9:BAZ:GCD計装分析
BAZ:GCDのX線粉末回折
出発物質および結果として得られる二成分系BAZ:GCD組成物の粉末X線回折(PXRD)パターンを記録し、図18に示している。PXRDデータは、出発物質である薬剤物質BAZおよびGCDが、いずれも結晶性の物質であることを示している。BAZ:GCD組成物のプロファイルもまた結晶性であるが、PXRDプロファイルは、いずれの出発物質のものと比較しても著しく異なっており、このことは、2つの構成物質間に錯体が形成されていたことを示唆している。
【0097】
BAZ:GCDの示差走査熱量測定
出発物質および結果として得られる二成分系BAZ:GCD組成物の示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを記録した(図19)。熱分析により、結晶性BAZの融解エンタルピーのピークは180.4℃であることが示された。GCDは、試験された温度範囲においてそのような特徴的な相転移は有さず、100℃前後で水分の損失による広範な吸熱作用が観察され、熱分解を示唆する特徴が約250℃を上回る温度で観察される。BAZ:GCD組成物のDSCプロファイルは、試料中に結晶性のBAZが観察されないことから、BAZがGCDマトリクス内で分子的に分散した状態であることを示唆している。決定的に、結晶性のBAZが二成分性組成物中に存在しないという観察結果は、2つの構成物質間に錯体が形成されていたというさらなる証拠をもたらしている。
【0098】
BAZ:GCDの核磁気共鳴(NMR)試験
2D NMRおよび13C NMR実験と併用したH NMR分光法を使用することにより、BAZのNMRスペクトル帰属を行った。本明細書中で言及するBAZの構造および原子の番号付け体系を図11に示す。図12および図13は、完全に帰属されたBAZのH-ならびにDEPTおよびHSQCスペクトルを示す。本明細書中で言及するGCDの構造および番号付け体系を図20に示す。
【0099】
本実験において、等モル量のBAZおよびGCDをともに量り、DOに溶解した。図21は、部分的に帰属されたBAZ:GCD 1:1のH NMRスペクトルを示す。
【0100】
天然CDのコア領域に対応するシグナルは、δ1H=3.5~4.0ppmの間で一般に現れ、アノメリック位置にあるものに加えてグルコピラノース環のすべてのプロトンを含む。アノメリック炭素原子に結合しているプロトンに対応するシグナルは、スペクトルの分離された領域において、δ1H=5.0~5.2ppmの間で観察された。H NMRスペクトルの高周波領域における別のよく分離されたシグナルセットは、BAZの芳香族領域と対応していた。上記2つのシグナルセットの帰属は、図22に示すように判定された。
【0101】
これらの知見によると、BAZは、2D ROESYデータ分析から得られるように、GCDの空洞を貫通して、図23/Aに表す構造案を有する包接錯体を形成することができた。
【0102】
3’と13/14との間の、および6’と13/14との間のROESY交差ピークが同時に存在することは、BAZ:GCD錯体の第2のタイプが、図23/Bに表す構造案で形成されており、ここで、BAZのB環がGCDの空洞をことによると第1環を通って貫通していた可能性があることを示唆していた。これらの包接錯体の構造案のより現実的な図を作成するために、PubChemデータベース(https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/compound/Bazedoxifene)をソースとしたBAZの3Dモデルを用いて当該錯体を表した。図23を参照のこと。
【0103】
調製された錯体におけるBAZおよびGCDの相互作用の検討
本実験において、前もって調製されたBAZ:GCD錯体を重水素化溶剤に溶解し、モデル錯体の場合と同じ方法でNMR分光法を使用することにより、包接の証拠を検討した。
【0104】
調製されたBAZ:GCD錯体のH NMRスペクトルを、部分的に帰属された図24に示すように収集した。BAZの芳香族領域およびGCDのコア領域の拡大された区分は、ピークの帰属が決まっている状態で、それぞれ図25Aおよび図25Bに示すように観察された。
【0105】
BAZのメチルプロトン(23)とGCDの内部プロトン(3’、5’および6’)との間の以前に観察された相互作用に加えて、BAZの芳香族間メチレン単位(10)とGCDの内部プロトンとの間の明らかな交差ピークが、図23Aに表したものと類似の構造の存在を裏付けていた。さらに、BAZのこのメチレン単位(10)とGCDの外部プロトン(2’および4’)との相互作用が検出された。これはまた、そのような相互作用に付随するBAZの他の部分は観察されなかったものの、外部錯体の形成をも示唆していた。
【0106】
これらの知見をまとめると、調製されたBAZ:GCD錯体のNMR分光法試験により、図23に表した構造案を有するホスト-ゲスト錯体が裏付けられた。
【0107】
実施例9:抗ウイルス試験-細胞毒性および平均ウイルス力価
細胞毒性
Vero-E6細胞(ATCC CRL-1586)の培養物において、被験物質の毒性を測定した。96ウェルマイクロタイタープレート(1ウェル当たり細胞2×10個)において37℃かつ5%のCOで細胞を24時間培養した。その後、細胞に0~15.2μg/μLの濃度範囲で被験物質を添加し、次いで、このように処理された細胞をさらに48時間インキュベートした。その後、製造業者の指示に厳密に従い、Cell Counting Kit-8キット(Dojindo Molecular Technologies社、ミュンヘン、ドイツ国)を用いて細胞の生存率を判定した。
【0108】
平均ウイルス力価
Vero-E6細胞(ATCC CRL-1586)のコンフルエントな培養物を用いて、抗ウイルス活性を試験した。96ウェルマイクロタイタープレート(1ウェル当たり細胞2×10個)において37℃かつ5%のCOで細胞を24時間培養した。その後、培地を吸引し、0~3.8μg/μLの濃度範囲で被験物質を含む新鮮な培地と交換した。同時に、細胞を感染多重度0.1でSARS-CoV-2ウイルス(SARS-CoV-2株/ヒト/チェコ共和国/951/2020)に感染させた。このように処理し、かつ感染させた細胞を37℃かつ5%のCO2で48時間インキュベートした。その後、培養ウェルから培地を吸引し、プラーク滴定(Stefanikら,Microorganisms 2021,9(3),471)によりウイルス力価を判定した。
【0109】
【表5】
【0110】
実施例10:バゼドキシフェン試料の調製
凍結乾燥製品
バゼドキシフェン酢酸塩0.6gおよびSBECD7gを蒸留水80~120gに溶解した。加熱したマグネチックスターラで44~60℃に加熱しながら、化合物の混合物を500rpmで120分間撹拌した。混合後、溶液を凍結乾燥して、2~10%の水分を有する乾燥製品を得た。本凍結乾燥製品をDSC、質量分析法(MS)およびNMR分光法により分析した。
【0111】
ネブライザー溶液濃縮製剤
バゼドキシフェン酢酸塩0.6gおよびSBECD7gを蒸留水100gに溶解した。加熱したマグネチックスターラで44~60℃に加熱しつつ、化合物の混合物を500rpmで120分間撹拌した。製品中のバゼドキシフェンの最終濃度は、5mg/mLである。製品は、監視温度下(2~8℃、データロガー)の冷蔵庫内の紙箱に収容されたガラスバイアル内に保存される。
【0112】
実施例11:ラットへのバゼドキシフェン投与
試験の目的は、ラットへの単回静脈内(i.v.)および単回鼻腔内(i.n.)投与後の試験製剤であるSBECDを有するバゼドキシフェン酢酸塩の安全性を評価することであった。
【0113】
52匹のラット(オス26匹およびメス26匹)に対して試験を行った。2つの投与群(G1およびG2)ならびに2つの対照群(C1およびC2)に動物を分けた。
【0114】
G1の投与群は、オス10匹およびメス10匹を含んでいた。各ラットは、SBECD中のバゼドキシフェン酢酸塩0.5mg/kgの単回静脈内投与を受けた。G2の投与群は、オス10匹およびメス10匹を含んでいた。各ラットは、SBECD中のバゼドキシフェン酢酸塩0.5mg/kgの単回鼻腔内投与を受けた。C1の対照群は、オス3匹およびメス3匹を含んでいた。各ラットは、生理食塩水(NaCl0.9%)の単回静脈内投与を受けた。C2の対照群は、オス3匹およびメス3匹を含んでいた。各ラットは、生理食塩水(NaCl0.9%)の単回鼻腔内投与を受けた。
【0115】
順化および試験期間中、動物には標準的なペレット食Altromin(ドイツ国)を任意に与えた。飼料の品質を監視し、これに対応する証明書は、試験施設IPHYS CASのアーカイブにおいて入手可能であった。
【0116】
動物は、従来の研究室条件下で(Building HII、部屋番号022)収容された。室温は20~24℃であり、空気の相対湿度は30~70%であった。部屋は、監視および換気されていた。照明状況は、明期12時間および暗期12時間であった。飼料および水の容器は、少なくとも週に2回交換および消毒した。Safe(ドイツ国)を床敷として用い、少なくとも週に2回交換した。
【0117】
用いた試験条件下での用量0.5mg/kgのバゼドキシフェンの単回静脈内および鼻腔内投与後、両投与群の動物において毒性の臨床的兆候は観察されなかった。用量0.5mg/kgのバゼドキシフェンの単回静脈内投与も鼻腔内投与も、ラットの肺および気管において病理学的病変を引き起こさなかった。
【0118】
本試験で用いられた条件下で生理食塩水により静脈内および鼻腔内処置された2つの対照群の動物において、毒性の臨床的兆候は観察されなかった。
【0119】
全動物は、投与後7日(8日目)の予定剖検(イソフルラン(Isoflurin)麻酔)まで生存し、肉眼的剖検を受けた。肉眼的な病理学的変化はすべて記録した。肺組織(LおよびR後葉)ならびに気管をさらなる病理組織学的検査のために保持した。
【0120】
実施例12:バゼドキシフェンについての第I相臨床試験
バゼドキシフェン酢酸塩(BAZE-X1)の新規な吸入形態の安全性、忍容性および薬物動態を、健常志願者におけるBAZE-X1の第1相無作為化二重盲検プラセボ対照単回投与試験において評価した。濃縮製剤の調製のために、注射用水(WFI)中のSBECD(スルホブチルエーテルベータシクロデキストリン)を有するバゼドキシフェン酢酸塩の無菌溶液を用いた。上記濃縮製剤を表6に示す。
【0121】
【表6】
【0122】
(2021年9月に完了した)第1のコホートにおいて、8人の健常志願者(1.13mgの用量レベルでのバゼドキシフェン酢酸塩の噴霧製剤に6人、およびプラセボに2人)が登録され、試験を完了した。これら8人の対象のうち、1人の男性のみが登録され、BAZE-X1による処置を受けた。BAZE-X1による処置を受けた群では平均年齢が32.2歳、プラセボを受けた群では平均年齢が33.5歳であった。
【0123】
8人の対象の本コホートデータの分析後、安全性の問題は見られなかった。行われた安全性評価はすべて、いかなる安全性の懸念も示さなかった。試験の期間中、有害事象は起こらなかった。
【0124】
薬物動態データの分析により、定量限界付近の大多数において、観察された血漿レベル(pg/mL)およびバゼドキシフェンのAUC値(h.pg/mL)が非常に低かったことが示された。第1の測定(10分後)では、最高血漿濃度までの時間を観察した。最初の10~30分間におけるAUC曲線は急降下し、このことは、健常志願者において薬剤が肺組織に保持されず、血漿に非常に急速に吸収されていることを予測している。排出半減期はより短く(平均=21時間)、CL/Fの値は経口および静脈内データと比較してわずかに高かった。このことは、吸入による投与後により急速に排出されたことを示していた。経時血漿濃度および薬物動態パラメータを図26ならびに表7および表8に示す。
【0125】
【表7】
【0126】
【表8】
【0127】
実施例13:バゼドキシフェンおよびBECDの安全性および効能についての第II相臨床試験
本試験は、中等症から重症のCOVID-19肺炎により入院中の患者において噴霧用バゼドキシフェン濃縮溶液(BAZE-X1)の安全性および忍容性を評価するための第2相試験である。本試験は、パートA(非盲検、非無作為化)とパートB(無作為化、二重盲検)の2部構成とする。
【0128】
試験の両方のパート(AおよびB)における処置期間は、検査者の自由裁量で入院期間および患者の病態によって最短3日(投与9回と考えられる)および最長5日(投与15回と考えられる)である。(パートBのみに適用される)ブースター投与は、バゼドキシフェン酢酸塩またはプラセボの1.13mgの投与3回分に相当すると考えられる。
【0129】
パートA(非盲検、非無作為化)
パートAは合計10人の患者を登録することとし、検査対象のIMPはBAZE-X1とする。10人の患者はすべて、項目1.8.1.1に説明した投与計画に従いバゼドキシフェン酢酸塩1.13mgの1用量レベル(バゼドキシフェン1mgに相当)を1日3回投与されることとする。
【0130】
パートB(無作為化、二重盲検)
パートBは、コホート1で開始し、8人の患者を登録することとする。各コホート内の患者は、積極的治療(6人の患者)とプラセボ(2人の患者)の間で無作為化されることとする。
【0131】
コホート1において、1日3回投与されるバゼドキシフェン酢酸塩1.13mgの1用量レベル(バゼドキシフェン1mgに相当)またはプラセボを検査することとする。1日目にバゼドキシフェン酢酸塩またはプラセボの1.13mgを3回投与できない場合は、パートBに登録された患者に1日目にバゼドキシフェン酢酸塩またはプラセボの3.39mgの単回ブースター投与を行ってもよい。ブースター投与を受けた患者は、2日目に、標準処置スケジュール(バゼドキシフェン酢酸塩またはプラセボ1.13mgを1日3回投与)を継続することとする。項目1.8.1.2に説明した投与計画に従いIMPを投与することとする。
【0132】
コホート1の完了後、確立されたDSMBにより安全性データが評価されることとなる。本試験において、それぞれ用量漸増させたさらなるコホートが含まれる予定である。DSMBは、コホート1の結果の暫定的な分析に基づいて次のコホートのために漸増させる用量の規定に加わることとなる。追加のコホートは、RAおよびECからの承認を受けた後、実質的な修正を介した試験プロトコルにおいて実施されることとなる。
【0133】
第1エンドポイント
第1エンドポイントは、全有害事象の発生およびスペクトルにより測定されるCOVID-19肺炎患者に1日3回投与されるBAZE-X1の単回用量レベルの安全性および忍容性となる。
【0134】
第2エンドポイント
第2エンドポイントは、ベースライン(D1)と比較してEoTにおけるCRP、D/ダイマー、フェリチンおよびIL-6の白血球、リンパ球、好中球数および血漿濃度の変化により測定されるサイトカインストームの予防についてのBAZE-X1の効能、ベースライン(D1)と比較してEoTにおける血中のN(ヌクレオカプシド)抗原濃度の変化により測定されるBAZE-X1の抗ウイルス効果の効能、ベースライン(D1)から退院または最終フォローアップ(D28)までで計算された試験期間後28日以内の呼吸(侵襲的/非侵襲的機械換気)および心血管(いずれかの用量での昇圧薬/変力物質の点滴)支援のない日数により測定されるCOVID-19肺炎患者におけるBAZE-X1の効能、ベースライン(D1)から退院または最終フォローアップ(D28)までで計算された試験期間後28日以内の補助酸素療法(15L/分以下のフェイスマスク)中の日数により測定されるBAZE-X1の効能、ベースライン(D1)から退院または最終フォローアップ(D28)までで計算された試験期間後28日以内のHFNC(高流量鼻カニューレ装置)中の日数により測定されるBAZE-X1の効能、ベースライン(D1)から退院または最終フォローアップ(D28)までで計算された試験期間後28日以内の病院退院時間により測定されたBAZE-X1のベースライン(D1)効能と比較してEoTおよびD28における酸素流量(L/分)の変化により測定されるベースライン(D1)での酸素投与された(補助酸素療法またはHFNC)患者におけるBAZE-X1の効能、D28における院内死亡率、ならびにベースライン(D1)、EoTおよびD28時点で(7ポイントの順序尺度を用いた)患者の臨床状態の変化により測定された効能(1-死亡;2-侵襲的機械換気またはECMO下の入院;3-非侵襲的換気または高流量酸素装置下の入院;4-補充酸素を要する入院;5-補充酸素不要の/(COVID-19関連またはその他の)継続医療を要する入院;6-補充酸素不要の/継続医療がもはや不要の入院;7-入院していない)を含む。
【0135】
本明細書中で本発明の好適な実施形態を示し、説明したが、そのような実施形態がほんの一例として与えられていることは、当業者であれば自明のことであろう。本発明から逸脱することなく、数多くの変形、変更、および置換えがここで当業者に想定されるであろう。本明細書中で説明した本発明の実施形態のさまざまな代案は、本発明を実施するにあたり使用されてもよいことを理解されたい。以下の特許請求の範囲が本発明の範囲を規定することと、これら特許請求の範囲内の方法および構成ならびにそれらの均等物が請求項の範囲に包含されることが、意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
【国際調査報告】