(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】治療フィードバックを伴う脳神経刺激装置
(51)【国際特許分類】
A61N 1/36 20060101AFI20240829BHJP
【FI】
A61N1/36
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513316
(86)(22)【出願日】2022-08-23
(85)【翻訳文提出日】2024-03-27
(86)【国際出願番号】 US2022041244
(87)【国際公開番号】W WO2023028069
(87)【国際公開日】2023-03-02
(32)【優先日】2021-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524069710
【氏名又は名称】アビボメッド インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】AVIVOMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】マッソン ジュニア、スティーブン シー.
(72)【発明者】
【氏名】エリオット、リン
(72)【発明者】
【氏名】マザネツ、ポール リチャード
【テーマコード(参考)】
4C053
【Fターム(参考)】
4C053JJ01
4C053JJ03
4C053JJ06
4C053JJ13
4C053JJ21
4C053JJ27
(57)【要約】
植込み型神経調節システムは、患者の舌下神経の第1枝に又はその近くに配置されるように構成され、患者の睡眠障害又は呼吸障害を治療するために第1電気刺激療法を提供するように構成されている電極を含むことができる。システムは、第1電気刺激療法に対する患者の応答に関する情報を含むセンサ信号を提供するように構成されているセンサを含むことができる。患者の応答は、患者の気道の音響プロファイルと、患者の舌の位置の変化と、舌下神経の一部の誘発複合活動電位(ECAP)に関する情報とのうちの1つ以上を含むことができる。一例では、プロセッサ回路は、センサ信号からの情報を使用して、患者の睡眠障害又は呼吸障害を治療するための後続の電気刺激療法を選択することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植込み型神経調節システムであって、
患者の前頸部領域に植え込まれるように構成されている第1ハウジングと、
前記第1ハウジングに連結され、顎下領域に配置されるように構成されている第1電極リード線であって、前記第1電極リード線上の1つ以上の電極は、前記患者の舌下神経の第1枝に又は前記患者の前記舌下神経の前記第1枝の近くに配置されるように構成されている、第1電極リード線と、
前記1つ以上の電極を使用して前記患者に提供される第1電気刺激療法に対する患者の応答に関する情報を含むセンサ信号を提供するように構成されている第1センサであって、前記第1電気刺激療法は、前記患者の睡眠障害又は呼吸障害を治療するように構成されている、第1センサと、
前記第1ハウジングに配置されたプロセッサ回路であって、前記センサ信号に基づいて電気刺激療法パラメータを更新するように、且つ、前記患者の前記睡眠障害又は前記呼吸障害を治療するように構成されている後続の電気刺激療法において、更新された前記電気刺激療法パラメータを使用するように構成されているプロセッサ回路と、を備える、植込み型神経調節システム。
【請求項2】
前記センサ信号は、前記第1電気刺激療法に対する神経応答に関する情報を含む、請求項1に記載の植込み型神経調節システム。
【請求項3】
前記第1電気刺激療法に対する前記神経応答に関する前記情報は、誘発複合活動電位(ECAP)に関する情報を含む、請求項2に記載の植込み型神経調節システム。
【請求項4】
前記ECAPに関する前記情報は、ECAP信号のピークの大きさ特性に関する情報を含み、前記第1電気刺激療法及び前記後続の電気刺激療法は、異なるECAP信号のピークの大きさ特性を誘発するように構成されている、請求項2に記載の植込み型神経調節システム。
【請求項5】
前記第1センサは、前記第1電極リード線上に、又は前記患者の前記舌下神経に若しくは前記患者の前記舌下神経の近くに配置された別のリード線上に1つ又は複数の電極を含む、請求項2に記載の植込み型神経調節システム。
【請求項6】
前記第1センサは、前記第1ハウジング内に配置された又は前記第1ハウジングに結合された加速度計を含む、請求項1に記載の植込み型神経調節システム。
【請求項7】
前記センサ信号は、前記患者の舌の運動又は位置に関する情報を含む、請求項6に記載の植込み型神経調節システム。
【請求項8】
前記センサ信号は、気道の開放を示す音響情報を含む、請求項6に記載の植込み型神経調節システム。
【請求項9】
前記音響情報は、前記患者がいびきをかいているか否かを示す、請求項8に記載の植込み型神経調節システム。
【請求項10】
前記プロセッサ回路は、舌の位置を変化させるか又は前記舌の運動を誘導するように前記電気刺激療法パラメータを更新するように構成されている、請求項1に記載の植込み型神経調節システム。
【請求項11】
前記プロセッサ回路は、患者の姿勢状態に基づいて前記電気刺激療法パラメータを更新するように構成されている、請求項1に記載の植込み型神経調節システム。
【請求項12】
前記プロセッサ回路は、前記センサ信号からの情報を使用して前記患者の姿勢状態を決定するように構成されている、請求項11に記載の植込み型神経調節システム。
【請求項13】
前記プロセッサ回路は、前記患者に対する目標治療シグネチャを確立するように構成されており、前記プロセッサ回路は、前記センサ信号からの情報に基づいて、前記目標治療シグネチャを達成するように前記電気刺激療法パラメータを変更するように構成されている、請求項1に記載の植込み型神経調節システム。
【請求項14】
前記目標治療シグネチャは、誘発複合活動電位(ECAP)信号の大きさを含む、請求項13に記載の植込み型神経調節システム。
【請求項15】
前記目標治療シグネチャは、指定された舌の変位又は指定された舌の位置を含む、請求項14に記載の植込み型神経調節システム。
【請求項16】
前記目標治療シグネチャは、閉塞していない気道を示す音響プロファイルを含む、請求項14に記載の植込み型神経調節システム。
【請求項17】
前記目標治療シグネチャは、前記患者の閉塞していない気道に対応する、請求項13に記載の植込み型神経調節システム。
【請求項18】
前記プロセッサ回路は、前記後続の電気刺激療法に使用されるパルス幅、パルス振幅、波形形状、刺激周波数、バーストパターン及び電極構成のうちの1つ又は複数を変更することにより、前記電気刺激療法を更新するように構成されている、請求項1に記載の植込み型神経調節システム。
【請求項19】
前記プロセッサ回路は、前記後続の電気刺激療法に対するECAP信号応答の大きさが、前記第1電気刺激療法に対するECAP信号応答の大きさと相違するか否かを判定するように構成されており、前記プロセッサ回路は、ECAP信号応答の前記相違に関する情報を使用して、さらなる後続の電気刺激療法で使用されるパラメータを選択するように構成されている、請求項1に記載の植込み型神経調節システム。
【請求項20】
前記プロセッサ回路は、前記後続の電気刺激療法に対する舌の移動又は変位応答が、前記第1電気刺激療法に対する舌の移動又は変位応答と相違するか否かを判定するように構成されており、前記プロセッサ回路は、舌の移動又は変位の前記相違に関する情報を使用して、さらなる後続の電気刺激療法で使用されるパラメータを選択するように構成されている、請求項1に記載の植込み型神経調節システム。
【請求項21】
前記プロセッサ回路は、前記第1電気刺激療法に続く音響応答が、前記後続の電気刺激療法に続く音響応答と相違するか否かを判定するように構成されており、前記音響応答は、前記患者の気道閉塞の異なるレベルを示し、前記プロセッサ回路は、音響応答の前記相違に関する情報を使用して、さらなる後続の電気刺激療法で使用されるパラメータを選択するように構成されている、請求項1に記載の植込み型神経調節システム。
【請求項22】
前記第1センサは、前記患者の気道の虚脱の同心性に関する情報を含む前記センサ信号を提供するように構成されている、請求項1に記載の植込み型神経調節システム。
【請求項23】
前記プロセッサ回路は、刺激モードを片側刺激構成から両側刺激構成に変更することにより、前記電気刺激療法パラメータを更新するように構成されている、請求項1に記載の植込み型神経調節システム。
【請求項24】
前記片側刺激構成及び前記両側刺激構成は、同じ神経組織の少なくとも一部を刺激するように構成されている、請求項23に記載の植込み型神経調節システム。
【請求項25】
前記第1センサは、気道閉塞の偏り方向に関する情報を含む前記センサ信号を提供するように構成されており、更新された前記電気刺激療法パラメータは両側電気刺激療法パラメータを含む、請求項1に記載の植込み型神経調節システム。
【請求項26】
前記第1電気刺激療法は両側電気刺激療法を含む、請求項25に記載の植込み型神経調節システム。
【請求項27】
前記第1ハウジングは、前記患者の前記前頸部領域のオトガイ下三角に植え込まれるように構成されている、請求項1に記載の植込み型神経調節システム。
【請求項28】
患者の睡眠障害又は呼吸障害を治療する方法であって、
目標治療シグネチャを確立する目標治療シグネチャ確立工程と、
患者の前頸部領域に植込み型神経調節デバイスを提供する工程であって、前記デバイスは、前記デバイスの信号発生回路に連結された第1電極リード線を備え、前記第1電極リード線は、前記患者の第1脳神経標的に又は前記第1脳神経標的の近くに配置される、工程と、
前記信号発生回路からの第1電気信号を使用し、且つ前記第1電極リード線の電極を使用して、第1神経調節療法を前記第1脳神経標的に適用する第1神経調節療法適用工程と、それに応答して、第1治療シグネチャを検出する第1治療シグネチャ検出工程と、
前記第1治療シグネチャと前記目標治療シグネチャとの相違を決定する相違決定工程と、
前記信号発生回路からの第2電気信号を使用し、且つ前記第1電極リード線の前記電極を使用して、第2神経調節療法を前記第1脳神経標的に適用する第2神経調節療法適用工程であって、前記第2電気信号の特性は、前記第1治療シグネチャと前記目標治療シグネチャとの決定された前記相違に基づいて選択される、工程と、を備える、方法。
【請求項29】
前記目標治療シグネチャは、前記患者の舌の目標位置又は目標変位に関する情報を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記目標治療シグネチャは、舌下神経標的についての誘発複合活動電位に関する情報を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記目標治療シグネチャは、前記患者の気道閉塞又は気道開放を示す音響プロファイルに関する情報を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
前記目標治療シグネチャ確立工程は、前記第1脳神経標的に試験神経調節療法を提供する工程と、前記試験神経調節療法に応答して、前記第1脳神経標的における又は前記第1脳神経標的の近くにおける誘発複合活動電位(ECAP)の大きさと、前記患者の気道の開放を示す音響プロファイルと、前記患者の舌の運動とを監視する工程と、を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項33】
前記目標治療シグネチャ確立工程は、前記患者に植え込まれたか又は前記患者に連結された加速度計からの情報を使用する工程を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項34】
前記第1治療シグネチャ検出工程は、加速度計からの音響信号又は物理的変位情報を使用する工程を含み、前記目標治療シグネチャ確立工程は、同じ加速度計からの情報を使用する工程を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項35】
前記第2神経調節療法適用工程は、前記第1神経調節療法に対する、パルス幅、パルス振幅、波形形状、刺激周波数、バーストパターン及び電極構成のうちの1つ又は複数を変更することを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項36】
前記第1神経調節療法適用工程は、閉塞性睡眠時無呼吸を治療するために前記第1神経調節療法を前記患者の舌下神経に適用する工程を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項37】
前記目標治療シグネチャ確立工程は、患者の姿勢に関する情報を使用する工程を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項38】
前記第1神経調節療法適用工程は、片側電気刺激療法を使用する工程を含み、前記第2神経調節療法適用工程は、両側電気刺激療法を使用する工程を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項39】
前記相違決定工程は、前記患者の特定の側への舌の位置の偏りを特定する工程を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項40】
前記第2電気信号は、前記患者の正中線の少なくとも一部にわたって提供される両側電気刺激療法を含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記第2電気信号は、前記患者の正中線の両側のそれぞれの神経標的に提供される一対の電気刺激療法信号を含む、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
植込み型神経調節システムであって、
電気刺激信号発生回路に連結された第1電極リード線であって、患者の舌下神経の第1枝に又は前記患者の前記舌下神経の前記第1枝の近くに配置されるように構成され、且つ前記患者の睡眠障害又は呼吸障害を治療するために第1電気刺激療法を提供するように構成されている第1電極を備える第1電極リード線と、
前記第1電気刺激療法に対する患者の応答に関する情報を含むセンサ信号を提供するように構成されている第1センサであって、前記患者の応答は、前記患者の気道の音響プロファイルと、前記患者の舌の位置の変化と、前記舌下神経の一部の誘発複合活動電位(ECAP)に関する情報とのうちの1つ以上を含む、第1センサと、
患者の姿勢に関する情報を含む姿勢信号を提供するように構成されている姿勢センサと、
前記センサ信号及び前記姿勢信号の各々からの情報を使用して、前記患者の前記睡眠障害又は呼吸障害を治療するための後続の電気刺激療法を選択するように構成されているプロセッサ回路と、を備える、植込み型神経調節システム。
【請求項43】
前記患者の前頸部領域に植え込まれるように構成されている第1ハウジングをさらに備え、前記第1電極リード線、前記第1センサ、前記姿勢センサ及び前記プロセッサ回路は、前記第1ハウジングに連結されている、請求項42に記載の植込み型神経調節システム。
【請求項44】
前記第1センサは、前記舌の位置に関する情報、又は前記患者の前記気道の開放を示す音響情報を提供するように構成されている加速度計を含む、請求項42に記載の植込み型神経調節システム。
【請求項45】
前記第1センサは、前記舌下神経の前記第1枝に又は前記舌下神経の前記第1枝の近くに配置され、前記誘発複合活動電位(ECAP)を検知するように構成されている、1つ又は複数の電極を含む、請求項42に記載の植込み型神経調節システム。
【請求項46】
前記姿勢信号は、直立姿勢、伏臥姿勢、仰臥姿勢、右横臥姿勢又は左横臥姿勢の特定の姿勢タイプを示し、前記プロセッサ回路は、前記特定の姿勢タイプに基づいて、他の複数の療法の中から前記後続の電気刺激療法を選択するように構成されており、
前記後続の電気刺激療法は、電気刺激パルス幅、パルス振幅、波形形状、刺激周波数、バーストパターン及び電極構成のうちの1つ以上が、前記他の複数の療法と異なる、請求項42に記載の植込み型神経調節システム。
【請求項47】
前記第1電気刺激療法は、片側電気刺激療法及び両側電気刺激療法のうちの一方を含み、前記後続の電気刺激療法は、前記片側電気刺激療法及び前記両側電気刺激療法のうちの他方を含む、請求項42に記載の植込み型神経調節システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、治療フィードバックを伴う脳神経刺激装置に関する。
【背景技術】
【0002】
神経機能は、例えば、心血管障害、運動障害及び振戦、てんかん、うつ病、呼吸器疾患(例えば、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、胸水)、睡眠障害(例えば、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA))、肥満、口腔乾燥症、並びに顔面痛障害等、さまざまな障害に影響を及ぼす可能性がある。これらの障害は、何百万人もの患者に影響を及ぼし、患者の生活の質及び寿命に影響を及ぼす。例えば、閉塞性睡眠時無呼吸は、一般的な睡眠障害である。OSAを患っている人は、睡眠中、呼吸パターンの中断が起こっている。慢性の重度の睡眠時無呼吸は、睡眠不足及び他の睡眠関連の合併症を予防するために、治療が必要になる場合がある。閉塞性睡眠時無呼吸は、心血管疾患のある患者によく見られ、高血圧の原因であり、脳卒中、心不全、心房細動及び冠状動脈性心疾患の発症率の増加に関連している。重度のOSAは、全死因死亡率及び心血管死亡率の増加と関連している。
【発明の概要】
【0003】
一例では、例えば、睡眠時無呼吸の治療に役立つように、又は無呼吸事象及び低呼吸事象を阻止するように、気道内又は気道の近くの組織構造を興奮させるために、外部又は植込み型の筋肉刺激デバイス又は神経刺激デバイスを提供することができる。
【0004】
一例では、神経刺激は、OSA以外の種々の障害の治療するために使用することができる。例えば、神経刺激は、てんかん、うつ病、心不全、肥満、疼痛、片頭痛、COPD又は他の障害を治療するために使用することができる。
【0005】
任意の特定の要素又は動作の考察を容易に特定するため、参照番号の1つ又は複数の最上位桁は、その要素が最初に導入される図番号を指す。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】概して、ヒトの前頸部領域の正面図の第1解剖学的例を示す図。
【
図2】概して、前頸三角の一部を含む第2解剖学的例を示す図。
【
図3】概して、前頸三角の部分側面図を含む第3解剖学的例を示す図。
【
図4】概して、前頸三角の部分側面図を含む第4解剖学的例を示す図。
【
図5】概して、患者の顎下三角に植え込まれた第1植込み型デバイスを示す図。
【
図6】概して、神経調節療法を提供するように構成することができるシステムの一例を示す図。
【
図8】概して、電気刺激療法を提供し、神経刺激療法に対する患者の応答を検知するように構成されている植込み型システムの一部の一例を示す図。
【
図9】1つの実施形態による、治療をタイトレーションする(titrate)方法の一例を示す図。
【
図10】1つの実施形態による、患者の睡眠障害又は呼吸障害を治療する方法の一例を示す図。
【
図11】概して、神経調節療法をタイトレーションするために、患者の姿勢、舌の変位、誘発複合活動電位(ECAP)に関する情報を含むか又は使用することができる方法の一例を示す図。
【
図12】概して、神経調節療法の治療パラメータを選択するための呼吸障害評価システムの一部の一例を示す図。
【
図13】概して、一実施形態例による、コンピュータシステムの形態の機械の一例を示す図。コンピュータシステム内では、機械に、本明細書で考察する方法のうちの任意の1つ又は複数を実行させるための命令のセットを実行することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本明細書で考察するシステム、デバイス、及び方法は、脳神経の電気刺激のために構成することができる。本明細書で考察する例は、1つ又は複数の標的脳神経に神経調節療法を送達するために、又は疾患状態を監視するか、又は神経調節療法若しくは他の療法を制御するように、患者に関する生理学的情報を検知するために、神経調節システムを植え込む方法、又は植え込まれたシステムを使用する方法を含むことができる。一例では、本明細書で考察するシステム又はデバイスの特徴は、脳神経組織上又はその近くでのデバイス、リード線、センサ、電気刺激ハードウェア又は他の治療手段の植込みを容易にすることができる。一例では、本主題は、(例えば、内側面(medial aspect)に位置する)頸部の前三角内の下顎骨の下縁(すなわち、下顎骨又は顎骨(jaw bone)の下顎体又は下顎枝)の近く又は下方に、又は(例えば、外側面(lateral aspect)に位置する)頸部の後三角内に、又は頸部の複数の領域において、神経調節デバイスを植え込むシステム及び方法を含む。
【0008】
本発明者らは、解決すべき問題に、患者の頸部領域内又はその近くの神経標的に信号を提供することができる低侵襲神経調節療法又は治療システムを提供することが含まれ得ることを認識した。この問題には、とりわけ、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)、心不全、高血圧、てんかん、うつ病、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)、頭蓋顔面痛症候群、顔面神経麻痺、片頭痛、口腔乾燥症、心房細動、脳卒中、自閉症、炎症性腸疾患、慢性炎症、慢性疼痛、耳鳴り、関節リウマチ又は線維筋痛症を治療することが含まれ得る。この問題には、無呼吸治療の有効性を高めるために、舌の運動又は位置を検出して応答することができる植込み型システムを提供することが含まれ得る。
【0009】
本発明者らは、特に、上述した問題に対する解決法は、患者の下顎骨又はその下等に、患者の前頸部領域に植え込むことができる神経調節システムを含むことができることを認識した。一例では、このシステムは、他の場所もあるがとりわけ、顎二腹筋若しくは腱組織に、顎舌骨筋組織に、舌骨に、又は下顎骨に等、前三角内又はその近くの組織に結合することができるハウジングを含むことができる。本発明者らは、解決法が、システムと植え込まれ、舌の運動、動き、力、圧力、電気的活動、生体インピーダンス、又は、舌筋の挙動、上気道の流れ、若しくはシステムによって提供される刺激療法に対する応答を示すことができる他の情報に関する情報を検知するように構成されている、加速度計等のセンサを、含むか又は使用することができることを認識した。
【0010】
本発明者らは、本明細書で考察する神経調節システム及び方法が、他の障害又は疾患もあるがとりわけOSAを治療するために使用することができることを認識した。一例では、OSA治療は、オトガイ下三角及び顎下三角のうちの1つ又は複数に植え込まれる神経調節デバイスと、舌下神経、迷走神経、舌咽神経、又は三叉神経における(例えば、三叉神経の下顎枝における)1つ又は複数の標的に又はその近くに配置されるように構成されている電極を有する電極リード線とを使用することができる。一例では、この解決法は、複数の電極又は電極リード線を使用して、1つ又は複数の脳神経標的に協調刺激療法を送達することを含むことができる。例えば、この療法は、対応するさまざまな電極構成を使用して、舌下神経の枝の両側刺激、又は複数の異なる神経の刺激を含むことができる。この療法は、患者の舌筋、顎舌骨筋、茎突舌骨筋、顎二腹筋及び茎突咽頭筋のうちの1つ又は複数の活動に影響を及ぼす神経経路を選択的に刺激又は遮断し、それによってOSAを治療するように構成することができる。
【0011】
以下の説明は、本主題の実施形態例を示すシステム、方法、技法、命令シーケンス及びコンピューティングマシンプログラム製品について説明する。以下の説明では、説明の目的で、本主題のさまざまな実施形態が理解されるために、多数の具体例及び態様を示す。しかしながら、当業者には、本主題の実施形態をさまざまな組合せで実施してもよいことが明らかとなる。明示的に別段の記載がない限り、構造(例えば、モジュール又は機能ブロック等の構造コンポーネント)は、任意選択的であり、組み合わせるか又は細分化してもよく、(例えば、手順、アルゴリズム、処置、治療又は他の機能における)動作は、順序を変えることができ、又は組み合わせるか若しくは分割することができる。
【0012】
一例では、本明細書で考察する植込み型神経調節システム及びデバイスは、電力及び/又はデータを共有するように通信可能に結合することができる1つ又は複数のハウジング内に配置することができるような、制御システム、信号若しくはパルス発生器、又は他の治療信号発生器を備えることができる。ハウジングは、その内部にある回路又は他のコンポーネントを保護するために1つ又は複数の密閉筐体を含むことができる。一例では、ハウジングは、1つ又は複数のヘッダを含むことができ、例えば、ハウジング、又はハウジングの内部の回路若しくはコンポーネントを、リード線、又はハウジングの外部の他のデバイス若しくはコンポーネントと接続するための、堅牢な又は柔軟なインタフェースを備えることができる。一例では、ヘッダを使用して、ハウジングの内部の信号発生回路をハウジングの外部の電極又はセンサと連結することができる。いくつかの例では、ヘッダは1つ又は複数のセンサを収容することができる。一例では、ヘッダを使用して、ハウジングの内部の回路を、テレメトリアンテナ、ワイヤレス電力伝送及び通信デバイス(例えば、データ用及び/又は電力伝送用等、近距離無線通信用に構成されているコイル)、又はヘッダ内に収容するか又はフレキシブル基板若しくはフレキシブル回路の上に配置することができ、又はフレキシブル基板若しくはフレキシブル回路を備えることができるような他のデバイスと連結することができる。このシステム構成により、ハウジング、リード線及びフレキシブル回路を、患者の頸部又は頸部領域等、異なる解剖学的位置に植え込むことができる。一例では、頸部領域の解剖学的三角領域又は腔の1つ又は複数に、さまざまなシステムコンポーネントを植え込むことができ、さまざまな脳神経標的における等、他の場所まで、回路ハウジングの外部にあるリード線又は他のデバイスをトンネル状に通すことができる。したがって、標的脳神経上又はその近くにさまざまな治療用要素を植え込むことができ、同じか若しくは他の脳神経上若しくはその近くに、又は同じか若しくは異なる場所の他の解剖学的構造に、検知要素を植え込むことができる。いくつかのコンポーネントは、ハウジングが占有する領域とは異なる頸部領域等、異なる解剖学的位置に配置することができる。例えば、テレメトリアンテナ又はコイルは、皮膚の表面又はその近くに設けることができ、一方、神経調節療法又は電力信号管理を調整する回路を備えたハウジングは、頸部の前三角腔のうちの1つ内のより深部等、別の場所に植え込むことができる。
【0013】
図1は、概して、ヒトの前頸部領域の正面図の第1解剖学的例100を示す。この領域は、概して、鎖骨108と下顎骨116の間に広がり、さまざまな追加の領域又は小領域に分割することができる。一例では、前頸部領域は、矢状正中線102の両側に一対の前三角を含み、例えば、図示するような前三角104を含む。本明細書で用いる場合の「正中線」という用語は、人の頸部又は頸部領域における左右相称の線又は面を指す。一例では、正中線は、矢状面に対応し、すなわち身体の前後(AP:anteroposterior)面である。
【0014】
前三角104は、正中線102、下顎骨116の基部、及び胸鎖乳突筋すなわちSCM106によって境界が定められている領域を含むことができる。舌骨110が、正中線102を横切って前三角の対の間に延びることができる。前三角104は、とりわけ、顎二腹筋112(例えば、顎二腹筋112の前部及び後部を含む)、顎舌骨筋114、並びにさまざまな他の筋肉、骨、神経及び他の身体組織を含むことができる。
【0015】
図2は、概して、
図1の例からの前三角104の一部を含む第2解剖学的例200を示す。
図2は、例えば、前三角104を、顎下三角206及びオトガイ下三角202を含むさまざまな領域に分割することができることを示す。一例では、前三角104は、
図3の例で後述するように、頸動脈三角をさらに含むことができる。頸部の後三角(図示せず)は、後頭三角及び肩甲鎖骨三角を含むさまざまな領域に分割することができる。
【0016】
オトガイ下三角202は、一般に、正中線102、舌骨110及び顎二腹筋前腹204によって境界が定められている領域を含むと理解されている。顎下三角206は、一般に、顎二腹筋前腹204、顎二腹筋後腹208、及び下顎骨116の底部によって境界が定められている領域を含むと理解されている。
【0017】
図3は、概して、前三角104の部分側面図を含む第3解剖学的例300を示す。
図3の例は、さらに、例えば顎二腹筋前腹204及び下顎骨116との関連で、顎下三角206の位置を示す。
図3の例は、頸部領域における前三角104の一部を含むことができるような、頸動脈三角302を示す。頸動脈三角302は、一般に、SCM106、肩甲舌骨筋306及び顎二腹筋後腹208によって境界が定められている領域を含むと理解される。
【0018】
一例では、植込み型神経調節デバイスは、本明細書で考察するシステム及び方法を使用する等して、前三角104又は後三角に植え込むことができる。さらなる例では、植込み型神経調節デバイスは、オトガイ下三角202及び顎下三角206のうちの1つ又は複数に植え込むことができる。植込み型神経調節デバイスは、前三角104若しくは後三角内若しくはその近くにあり得るような1つ又は複数の神経標的に、又は、前三角104若しくは後三角内に配置されたハウジングから延在するトンネル状に通されたリード線を介してアクセスすることができる神経標的に、刺激療法を提供するように構成することができる。言い換えれば、前頸三角及び後頸三角内のさまざまな領域は、とりわけ、舌下神経(CN XII)、副神経(CN XI)、迷走神経(CN X)、舌咽神経(CN IX)、顔面神経(CN VII)及び三叉神経(CN V)を含む、さまざまな脳神経の本体への、又はその枝若しくは神経節へのアクセスを可能にすることができる。
【0019】
本発明者らは、前頸三角及び後頸三角が、神経調節システム又はそのコンポーネントの植込みに好適な解剖学的位置であることに気付いた。本発明者らはさらに、そうした位置が、神経調節システム又はそのコンポーネントを結合し、したがって安定化させるのに好適なさまざまな解剖学的構造を含むことに気付いた。例えば、本発明者らは、そうした結合構造には、舌骨110、舌骨110の線維性滑車(connective tissue sling)、下顎骨116、二腹筋腱、顎二腹筋112の前部若しくは後部、茎突舌骨筋304、顎舌骨筋114、肩甲舌骨筋又はSCM106が含まれ得ることを認識した。
【0020】
図4は、概して、前三角104を含む部分側面図を含む第4解剖学的例400を示す。第4解剖学的例400は、前三角104の上部と、側頭骨424又はその下方等の上頸部の一部とを示す。さらなる背景及び参照のために、舌406及び頸静脈404の一部の表現を含む。
【0021】
第4解剖学的例400は、さまざまな神経及び血管を示す。図示する神経は、本明細書で考察する神経調節システム、デバイス及び方法を使用して標的とすることができる脳神経の、すべてではないが一部を含む。例えば、第4解剖学的例400における神経標的は、とりわけ、顔面神経402、頸静脈404、舌咽神経412、迷走神経414の咽頭枝、迷走神経416、舌下神経418、及び三叉神経428の下顎枝を含む。
【0022】
図4の例は、植込み型治療デバイス426の一例を含む。植込み型治療デバイス426は、患者の頸部領域の前三角104の上部において、患者に植え込むことができる。例えば、植込み型治療デバイス426は、オトガイ下三角202及び顎下三角206のうちの1つ又は複数に植え込むことができる。
図4の例では、植込み型治療デバイス426は、茎突舌骨筋410、舌骨408、又は上頸部内の他の腱若しくは構造等のさまざまな解剖学的構造に結合することができる。
【0023】
図4の例は、植込み型治療デバイス426に連結された複数のリード線を含む。例えば、植込み型治療デバイス426は、下部電極リード線420、前部電極リード線422及び上部電極リード線430に連結することができる。下部電極リード線420は、迷走神経416上の、例えば、頸動脈三角302内又それに隣接する神経標的又はその近くに植え込むことができる。一例では、下部電極リード線420は、SCM106、又は迷走神経416若しくはその近くの他の構造に結合することができる。上部電極リード線430は、とりわけ、顔面神経402、三叉神経428の下顎枝、又は舌咽神経412又はその近くに植え込むことができる。一例では、前部電極リード線422は、舌下神経418の神経標的又はその近く植え込むことができる。植込み型治療デバイス426及びその関連するリード線のさまざまな詳細については、
図6の例を含み、本明細書で考察する。
【0024】
一例では、本明細書で考察するさまざまな植込み型デバイス及びそのコンポーネントは、デバイス又はコンポーネントを特定の位置で安定化させるか又は維持し、患者が自身の日常活動を行う際のデバイスの動き又は移動を阻止するように、患者の体内のさまざまな解剖学的構造又は組織に結合することができる。一例では、デバイス又はコンポーネントを組織に結合することは、結合機構を使用してデバイス又はコンポーネントを組織に繋止すること、貼付すること、取り付けること、又は他の方法で固定することを含むことができる。結合機構は、限定されないが、組織(例えば、筋肉、腱、軟骨、骨又は他の組織)に縫合するため等のフラップ又はフランジを含むことができる。
【0025】
一例では、結合機構は、組織又は骨に打ち込むか又は取り付けることができるねじ又はらせん状部材等のさまざまなハードウェアを含むことができる。一例では、結合機構は、カフ、スリーブ、接着剤又は他のコンポーネントを含むことができる。一例では、同じ神経調節システムの異なる部分に、1つ又は複数の異なる結合機構を使用することができる。例えば、縫合糸を使用して、デバイスハウジングを組織部位に結合することができ、ハウジングに連結されるようなリード線は、神経標的又はその近くでリード線を固定するための先端カフを含むことができる。
【0026】
図5は、概して、患者の顎下三角206に植え込まれた第1植込み型デバイス508を含む第1例500を示す。第1例500では、第1植込み型デバイス508は、縫合糸、アンカ又は他の固定手段を用いる等して、顎下三角206内の解剖学的構造に結合することができる。一例では、第1植込み型デバイス508は、下顎骨116、顎二腹筋前腹204、顎二腹筋後腹208、顎舌骨筋114、二腹筋腱502、又は顎下三角206内の若しくはそれに隣接する他の骨、腱、筋肉及び他の構造のうちの1つ又は複数に結合することができる。
図5の例では、第1植込み型デバイス508は、患者の顎下腺504の近くに、ただしそこから離隔して、設けることができる。
【0027】
図5の例では、第1植込み型デバイス508は、第1ヘッダ510を含む。第1ヘッダ510を使用して、1つ又は複数の電極リード線、センサリード線又は他のデバイスを、第1植込み型デバイス508に連結することができる。例えば、第1ヘッダ510を使用して、第1植込み型デバイス508を第1電極リード線506に連結することができ、第1電極リード線506は、脳神経標的までトンネル状に通すことができる。神経標的に電気刺激信号を送達するように構成されている電極は、標的に又は標的に隣接して位置することができる。一例では、第1電極リード線506は、患者の前頸部領域内又はその近くの舌下神経までトンネル状に通すことができる。
【0028】
図5の例では、第1植込み型デバイス508は、1つのヘッダを有するように示す。第1植込み型デバイス508は、第1植込み型デバイス508を、電極リード線、センサリード線等の1つ若しくは複数の他のリード線、通信コイル又は他のデバイス等とインタフェースするために、任意選択的に、複数のヘッダを含むことができる。再び
図3を参照すると、例えば、植込み型治療デバイス426は、植込み型治療デバイス426の本体の両側から延在するそれぞれの異なるリード線に連結されるような、複数のヘッダを含むことができる。
【0029】
図6は、概して、神経調節療法を提供又は制御するように構成することができるシステム600の一例を示す。システム600は、植込み型システム602及び外部システム620を含むことができる。植込み型システム602及び外部システム620は、無線連結628を使用して通信可能に連結することができる。一例では、無線連結628は、(例えば、外部システム620から植込み型システム602に一方向に)電力信号通信を可能にすることができ、又は(例えば、植込み型システム602と外部システム620との間で双方向に)データ信号通信を可能にすることができる。一例では、植込み型システム602又は外部システム620は、同じ患者の体内にあるような、他の植込み型又は植え込まれたデバイスを含む1つ又は複数の他のデバイスとの電力又はデータ通信のために、無線連結することができる。
【0030】
図6の例では、植込み型システム602は、他のコンポーネント又はモジュールもあるがとりわけ、アンテナ604と、1つ又は複数の生理学的センサを含むようなセンサ606と、刺激リード線608と、プロセッサ回路610と、超音波トランスデューサ612と、電力貯蔵回路614と、刺激信号発生回路616と、メモリ回路618とを含むことができる。
【0031】
一例では、アンテナ604は、植込み型システム602と外部システム620との間のデータ通信のために構成されるようなテレメトリアンテナを含むことができる。一例では、アンテナ604は、植込み型システム602と外部システム620又は他の外部電源との間の無線電力通信のために構成されているコイル等のアンテナを含むことができる。
【0032】
プロセッサ回路610は、汎用又は専用プロセッサを含むことができる。メモリ回路618は、治療、又はシステム600のための生理学的監視活動を実施するためにプロセッサ回路610によって実行可能な命令を含むことができるような、長期又は短期メモリ回路を含むことができる。一例では、植込み型システム602のプロセッサ回路610は、アンテナ604又は他の通信回路を使用する等して、外部システム620とのテレメトリ又はデータ信号通信を管理するように構成されている。
【0033】
一例では、刺激信号発生回路616は、発振器、パルス発生器、又は、患者の身体に電気刺激信号を与えることができる電気信号を発生させるように、若しくは(例えば、センサ606を含む)さまざまなセンサ、若しくは(例えば、超音波トランスデューサ612を含む)トランスデューサに電力を供給するように構成されている他の回路を含む。一例では、刺激信号発生回路616は、複数の神経標的に多極電気刺激療法を提供するために、複数の電気信号を、同時に又は時分割多重方式等で発生させるように構成することができる。刺激信号発生回路616は、異なるパルス振幅、パルス持続時間、波形、刺激周波数又はバーストパターン特性を有することができるように、異なる神経刺激信号を使用又は提供するように構成することができる。
【0034】
刺激信号発生回路616を使用して、複数の異なる標的に対する治療信号を同時に発生させることができる。例えば、刺激信号発生回路616からの信号を使用して、遠心性効果に対して1つの脳神経標的を刺激し、別の神経又は枝を刺激して求心性応答を引き出すことができる。別の例では、1つの脳神経を遮断する一方、別の神経を刺激することができる。他の組合せも同様に使用することができる。
【0035】
一例では、刺激リード線608は、植込み型システム602のハウジング又はヘッダに連結されるか又は一体化されている1つ又は複数のリード線を含むことができる。刺激リード線608は、交換又は修理を容易にするためにハウジングから取り外し可能であり得る。
【0036】
一例では、刺激リード線608は、カフ電極、平面電極、経皮電極、又は神経若しくは神経本体若しくは神経枝の電気刺激に好適な他の構成を含む、さまざまな構成を有する電極等の電気刺激ハードウェアを含むことができる。一例では、刺激リード線608は、さらに又は別法として、神経活動を調節するように構成することができるような、超音波トランスデューサ612、薬物送達手段又は機械的アクチュエータ等の他の神経調節療法ハードウェアを備えることができる。刺激リード線608は、患者の身体からの電気活動を検知するように構成されている1つ又は複数の電極を含むことができる。例えば、電極のうちの1つ又は複数は、患者の身体の神経組織又は筋肉組織からの電気的応答を監視するように構成することができる。一例では、刺激リード線608の1つ又は複数の電極は、刺激に応答して活性化される神経線維のタイプ又は量を示すことができるような、誘発複合活動電位、すなわちECAPに関する情報を受信するために使用することができる。いくつかの例では、刺激は、刺激リード線608内の、ECAP情報を受信するために使用されるものと同じ電極のうちの1つ又は複数を使用して提供することができ、又は刺激は、他の電極を使用して提供することができる。プロセッサ回路610は、ECAPに関する情報を受信、神経調節療法の有効性を評価するために使用することができるような誘発応答の特性を特定するように構成することができる。
【0037】
本明細書で考察するリード線及び/又は電極は、1つ又は複数の神経標的における配置及びその刺激を容易にすることができるさまざまな特徴を有することができる。リード線は、神経刺激、神経遮断又は神経検知に使用することができる1つ又は複数の電極を有することができる。電極は、特定の機能に対して最適化するために、さまざまな表面積及び間隔(例えば、他の電極、センサ、標的等からの間隔)を有することができる。一例では、電極は、植込み型システムで使用される低酸化金属又は金属合金(例えば、白金、白金イリジウム等)を含むさまざまな材料を含むことができる。一例では、電極は、治癒を促進するか又は組織への電荷伝達を強化するように、別の材料で処理又はコーティングすることができる。
【0038】
一例では、電極リード線は、同じか又は異なる電極特性を有することができるように、1つ又は複数の電極を含むことができる。リード線は、例えば、スパイラル電極又はカフ電極を含むことができる。こうした例では、リード線本体の一部を含むことができるように、湾曲した又はらせん状のカフアセンブリの内面で、1つ又は複数の導電面を露出させることができる。一例では、らせん状のカフアセンブリ(したがって、電極)は、神経本体の周囲に円周方向に隙間なく巻き付くように設計することができ、自動的にサイズ調整することができる。一例では、カフ電極は、特定の標的を取り囲んで、例えば隣接する組織から電極を絶縁しながら、複数の異なる方向から同時に刺激エネルギーを標的に向けるように構成することができる。
【0039】
一例では、表面電極又は電極アレイを使用することができる。この例では、1つ又は複数の電極をリード線本体の平坦な又は丸い部分の一方の側で露出させることができる。神経調節療法の送達を空間的に制御するために、さまざまな形状、サイズ又は他の特性を有する電極のアレイを設けることができる。一例では、電極表面は、1つの電極又は複数の電極によって提供される電界を集中させるように、標的神経又は他の構造の方に向けることができる。表面電極リード線は、標的解剖学的構造を露出させることによって外科的に配置することができ、又は、例えば、先端の外科的アクセス点からカテーテルベースの送達システムを使用して、操縦することができる。
【0040】
一例では、経皮的技法を使用して血管(又は神経標的の近傍の他の伝導組織)内に挿入されるリード線上で露出した1つ又は複数の電極を含む等、経皮的電極を使用することができる。経皮リード線は、臨床医が、血管系内で又は血管系を通して、血管系に近接している標的神経又は神経構造に向かって、進めることができる。一例では、経皮リード線の電極は、リード線本体に直接あり得るか、又はステント状のフレーム若しくは足場等の経皮構造を含むことができ、それによって、標的に向けて血管内の血液から離れるように電極を向けることができる。
【0041】
一例では、分岐リード線を使用して、ヘッダへの単一の接続を使用しながら、複数の異なる離隔した解剖学的標的に電極を提供することができる。一例では、患者の解剖学的構造又は標的構造に適応するようにリード線を伸長させるか又は調整するように、モジュール式リード線を使用することができる。
【0042】
一例では、刺激リード線608は、ハウジングから離隔しているように、リード線の先端部に設けるか又はともにまとめることができる、1つ又は複数の電極を含むことができ、又は電極は、リード線の長さに沿って分散配置することができる。一例では、リード線は、リード線の長さに沿って異なる位置に設けられた1つ又は複数の電極の複数の異なる電極群を含むことができる。さらに、本明細書で考察するさまざまなデバイスのハウジングは、電気刺激送達に使用されるように構成されている1つ又は複数の電極を含むことができる。植込み型システム602内の又はそれに連結された電極の各々は、1つ又は複数の標的に協調治療を送達するために、又は1つ又は複数の神経組織領域における応答(例えば、ECAP応答)を検知するために、神経調節療法制御回路又は協調回路によって別個にアドレス指定可能であり得る。
【0043】
本明細書で考察する電極又はリード線のタイプのうちの任意のものとともに、さまざまな刺激構成を使用することができる。一例では、異なる構成を使用して、刺激電界を提供又は変更し、それにより神経興奮の程度及び態様に影響を及ぼすことができる。構成は、例えば、単極、双極、及び多極構成のさまざまな組合せを含むことができる。双極又は多極構成では、興奮の誘導又は神経活動の抑制に役立つように、ガード電極を使用することができる。一例では、電極構成は、例えば特定の療法の過程を通して、例えばプログラミングの変更を通して、又は特定の療法を達成する動作中、動的に変更することができる。
【0044】
一例では、センサ606は、とりわけ、心電図(ECG)、インピーダンス、選択された筋肉の筋電図(EMG)、及び/又は標的脳神経及び枝の神経電図(ENG)を使用する等して、電気活動を検知するための電極を含むことができる。センサ606は、圧力センサ、光電容積脈波測定(PPG)センサ、化学センサ(例えば、pH、乳酸、グルコース等)、又は心臓、呼吸、又は他の生理活動を生理学的に検知するのに使用することができる他のセンサを含むことができる。一例では、センサ606は、患者又はデバイスの動き、振動、位置、姿勢又は他の向き情報を測定するように構成することができるような、加速度計、ジャイロスコープ又は地磁気センサを含むことができる。センサ606の他の例については、本明細書の別の場所で、例えば、バイオメトリックコンポーネント1332、モーションコンポーネント1334及び環境コンポーネント1336を含むような、機械1300及びさまざまなI/Oコンポーネント1342の考察において、考察する。一例では、センサ606からの情報は、プロセッサ回路610が受信し、神経調節療法を更新又はタイトレーションするために使用することができる。一例では、センサ606からの情報は、プロセッサ回路610が受信し、植込み型システム602の機能又は状態を制御するために使用することができる。一例では、センサ606は、温度センサ、電圧若しくは電流センサ、インピーダンスセンサ、又は植込み型システム602若しくはそのコンポーネントの属性を監視するように構成されている他のセンサを含むことができる。例えば、温度センサは、ハウジング又はハウジング内のバッテリの温度を測定するように構成することができる。プロセッサ回路は、こうしたシステムセンサからの情報を使用して、例えば、デバイス温度が指定された閾値温度を超えた場合に、充電又は刺激を中断することができる。
【0045】
一例では、植込み型システム602は、少なくとも一部、患者に関する生理学的状態情報(例えば、呼吸、心拍数、血圧、神経若しくは筋肉の活性化、又は他の情報)に基づく、閉ループ神経調節療法を提供する際に使用することができるような、1つ又は複数のセンサ606を含むことができる。一例では、センサ606を使用して、診断情報を受信するか、又は患者の動き若しくは体位若しくは姿勢に関する情報を受信することができる。
【0046】
一例では、OSAを治療するため等の舌下神経刺激は、呼吸に関する圧力センサからの情報等とともに、患者の呼吸、患者の活動、及び体の向き又は体位を決定するために、少なくとも一部、加速度センサ又はジャイロスコープからの情報に基づいて、制御することができる。言い換えれば、加速度計及び圧力センサを含むセンサ606からの情報を使用して、植込み型システム602は、呼吸周期内の特定の時間中の刺激を含むことができる等、舌下神経に提供される神経調節療法を制御することができ、例えば、患者の睡眠中に、体位情報を使用して自動的に治療を有効にすることができる。
【0047】
一例では、生理学的状態情報を照合又は検証するか、又はセンサデータのノイズ若しくは他の異常からの耐性を向上させるのに役立つように、複数の異なるセンサからの情報を併せて使用することができる。いくつかの例では、一次センサ及び二次センサを併せて使用することができ、一次センサが故障したか又は使用不能となった場合に、二次センサからの情報を使用することができる。
【0048】
一例では、プロセッサ回路610又は外部システム620は、療法に関する情報を使用してセンサ606からのデータを受信又は解釈するように構成することができる。例えば、一部のセンサ情報は、植込み型システム602によって提供される電気刺激療法によって、又は、同じか若しくは他の植込み型若しくは外部デバイスによって提供される別の療法若しくは事象によって、破損するか若しくは他の方法で影響を受ける可能性がある。いくつかの例では、センサ情報は、刺激療法送達事象時又は事象中に「無効にする」か又は無視することができる。
【0049】
図6の例では、外部システム620は、一体型の外部デバイスとして併せて設けることができるさまざまなコンポーネントを含むことができ、又は、協働して、患者の治療を管理し、植込み型システム602等のデバイスを管理し、又は植込み型システム602に関連する他の機能を実行するように構成されている、複数のデバイスを含むことができる。外部システム620は、他のコンポーネント又はモジュールもあるがとりわけ、アンテナ622、プロセッサ回路624及びインタフェース626を含むことができる。
【0050】
アンテナ622は、例えば、植込み型システム602のアンテナ604、異なる植込み型デバイス若しくはシステム、又は他の外部デバイスとの近距離無線又は遠距離無線通信のために構成することができるような、1つ又は複数のアンテナを含むことができる。一例では、アンテナ622及びアンテナ604を使用して、植込み型システム602と外部システム620との間で電力又はデータを交換することができる。例えば、処方された療法に関する情報を外部システム620から植込み型システム602にアップロードすることができ、又は、センサ606によって測定されるような生理学的状態に関する情報を植込み型システム602から外部システム620にダウンロードすることができる。
【0051】
プロセッサ回路624は、外部システム620で、又は植込み型システム602と協調して、さまざまな活動を実行するように構成されている汎用又は専用プロセッサを含むことができる。一例では、外部システム620のプロセッサ回路624は、アンテナ622又は他の通信回路を使用する等して、植込み型システム602とのテレメトリ又はデータ信号通信を管理するように構成されている。
【0052】
インタフェース626は、デバイス情報を報告するように、又は植込み型システム602が実施する指示又は治療パラメータを受け取るように、患者又は臨床医インタフェースを含むことができる。一例では、インタフェース626は、602又は外部システム620と患者管理システム又は他の医療記録システムとの間の通信を容易にするインタフェース又はゲートウェイを含むことができる。さまざまな神経調節療法を施すのに役立つように、システム600に、植込み型システム602及び外部システム620の他の特徴、モジュール及びコンポーネントを含めることができる。
【0053】
一例では、少なくともシステム600の植込み型システム602及び外部システム620を含む、本明細書で考察するシステム、デバイス及びコンポーネントを使用して、1つ又は複数の障害又は疾患を治療するように、患者の体内の神経標的に神経調節療法を提供することができる。一例では、システム600又はそのコンポーネントは、複数の神経標的に神経調節療法を協調して、例えば同時に、又は時分割多重シーケンスで提供するように構成することができる。一例では、神経調節療法は、神経刺激及び遮断信号の1つ若しくは複数又はそれらの組合せを含むことができ、例えば、異なる応答をトリガするために求心性又は遠心性神経構造又は標的に向けることができる。この療法は、任意選択的に、特定の神経又は神経領域を標的とするベクトルベースの刺激構成を使用することを含むことができ、又は、より比較的標的化された又は分離された神経線維を含むことができる。一例では、協調神経調節療法は、第2の神経標的を刺激しながら第1の神経標的で遮断すること、又は複数の異なる神経標的を同時に(又は時系列で)刺激することを含むことができる。
【0054】
一例では、特定の患者の障害又は疾患によって、神経調節療法で調節する特定の神経標的が決まる可能性がある。例えば、システム600を使用して閉塞性睡眠時無呼吸を治療するために、三叉神経(例えば、三叉神経428のV3下顎枝)、舌下神経418(例えば、その1つ又は複数の枝を含む)、舌咽神経412、迷走神経416、又は顔面神経402(例えば、そのさまざまな頭蓋外枝を含む)を含むように、さまざまな脳神経を個々に又はともに標的化することができる。
【0055】
一例では、システム600を使用して、三叉神経428の下顎枝及び舌下神経418に又はそれらを含めて、神経調節療法を提供することによって、OSAを治療することができる。この例では、三叉神経428の下顎枝の神経調節は、顎舌骨筋114又は顎二腹筋前腹204の運動制御に影響を及ぼすことができ、舌下神経418の神経調節は、舌406の筋肉の運動制御に影響を及ぼすことができる。
【0056】
一例では、システム600を使用して、顔面神経402に又はそれを含めて、及び舌下神経418に、神経調節療法を提供することによって、OSAを治療することができる。この例では、顔面神経402の神経調節は、茎突舌骨筋304又は顎二腹筋後腹208の運動制御に影響を及ぼすことができ、舌下神経418の神経調節は、舌406の筋肉の運動制御に影響を及ぼすことができる。
【0057】
一例では、システム600を使用して、舌咽神経412及び舌下神経418に又はそれらを含めて神経調節療法を提供することによって、OSAを治療することができる。この例では、舌咽神経412の神経調節は、茎突咽頭筋の運動制御に影響を及ぼすことができ、舌下神経418の神経調節は、舌406の筋肉の運動制御に影響を及ぼすことができる。
【0058】
一例では、システム600を使用して、患者の正中線102の両側にある枝を標的とするために、又は患者の正中線102上若しくは正中線102を横切る協調刺激を使用して中心枝を標的とするために、(例えば、患者の正中線の両側に配置された電極を含む電極構成を使用する)両側構成を含むか又は使用して、前枝、後枝、又は同時に複数の枝を含む、舌下神経418のさまざまな枝に又はそれらを含めて、神経調節療法を提供することによって、OSAを治療することができる。舌下神経418の神経調節は、舌406のさまざまな筋肉の運動制御に影響を及ぼすことができる。一例では、舌下神経418を刺激又は遮断することを含む神経調節療法は、とりわけ、三叉神経428の下顎枝(例えば、特に、舌骨筋114又は顎二腹筋前腹204の運動制御に影響を及ぼすため)、顔面神経402(例えば、茎突舌骨筋304又は顎二腹筋後腹208の運動制御に影響を及ぼすため)、及び舌咽神経412(例えば、茎突咽頭筋の運動制御に影響を及ぼすため)のうちの1つ又は複数を標的とする療法と組み合わせることができる。
【0059】
舌下神経418の任意の1つ又は複数の枝は、植込み型システム602から神経調節療法を受けることができる。例えば、髄膜枝(B1)、血管枝(B2)、頸神経ワナ(ansa cervacalis)の上根とも称される下行枝(B3)、甲状舌骨筋枝(B4)又はオトガイ舌骨筋枝(B5)等の舌下神経鞘から分かれた「枝」を含む、舌下神経418の後枝のうちの任意の1つ又は複数が、神経調節を受けることができる。例えば、筋枝(B6)とも称される、舌下神経418の本幹が舌の筋肉に分岐する場所を含む、又は筋枝自体を含む、舌下神経418の前枝のうちの任意の1つ又は複数が、神経調節を受けることができる。筋枝は、舌の所定の筋肉を神経支配する小枝又は神経線維を含むことができる。
【0060】
一例では、システム600を使用して、迷走神経416に又はそれを含めて神経調節療法を提供すること等により、OSA、又は、とりわけ、心不全、高血圧、心房細動、てんかん、うつ病、脳卒中、自閉症、炎症性腸疾患、慢性炎症、(例えば、頸部領域、腰部、又は他の場所における)慢性疼痛、耳鳴り若しくは関節リウマチ等の他の障害若しくは疾患を治療することができる。迷走神経416の神経調節は、副交感神経緊張に影響を及ぼし、それにより、とりわけ言及したさまざまな疾患又は障害に関連する症状を治療又は緩和することができる。一例では、迷走神経416の刺激を含む療法は、舌下神経418の1つ又は複数の枝、三叉神経428の下顎枝、顔面神経402又は舌咽神経412に提供される療法を含むことができる。一例では、迷走神経416の一部を刺激又は遮断することを含む神経調節療法を、舌咽神経412(例えば、副交感神経緊張にさらに影響を及ぼすため)、頸動脈洞(例えば、圧受容体反応を刺激するため)、及び上頸神経節又はその枝(例えば、交感神経緊張に影響を及ぼすため)のうちの1つ又は複数を標的とする療法と組み合わせることができる。
【0061】
一例では、心不全、高血圧及び/又は心房細動の治療のための神経調節療法は、舌咽神経412(例えば、迷走神経416への伝達を介する等して副交感神経緊張に影響を及ぼすため)、上頸神経節(例えば、交感神経緊張に影響を及ぼすため)、及び頸動脈洞(例えば、圧受容体反応を刺激するため)のうちの1つ又は複数に又はそれらを含めて提供される療法を含むことができる。
【0062】
一例では、システム600は、舌咽神経412に又はそれを含めて神経調節療法を提供することにより、心不全、高血圧、片頭痛、口腔乾燥症、又は他の疾患若しくは障害を治療するように構成することができる。舌咽神経412を刺激又は遮断することは、例えば、副交感神経緊張に影響を及ぼすことができ、又は、茎突咽頭筋の運動活動に影響を及ぼすことができる。
【0063】
一例では、システム600は、三叉神経428の下顎枝に又はそれを含めて神経調節療法を提供すること等により、他の疾患及び障害もあるがとりわけ、薬物難治性てんかん、うつ病、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、片頭痛、注意欠陥多動性障害(ADHD)、頭蓋顔面痛症候群を治療するように構成することができる。
【0064】
一例では、システム600は、顔面神経402に又はそれを含めて、例えばそのさまざまな頭蓋外枝又は根を含めて、神経調節療法を提供すること等により、とりわけ、頭蓋顔面痛症候群又は顔面麻痺を治療するように構成することができる。一例では、システム600は、線維筋痛症の潜在的なトリガポイントであると理解されている僧帽筋を標的にするように、脊髄副神経に又はそれを含めて神経調節療法を提供すること等により、線維筋痛症を治療するように構成することができる。一例では、システム600は、患者の頸部領域に植え込まれた電極を使用してアクセスすることができるような大後頭神経に又はそれを含めて神経調節療法を提供すること等により、片頭痛又は耳鳴りを治療するように構成することができる。
【0065】
したがって、システム600を使用して又はそのコンポーネントを使用して種々の異なる疾患又は障害を治療する、神経調節療法を提供することができる。治療は、(とりわけ)本明細書で言及した場所のうちの1つにおける(例えば、電気パルス、超音波信号又は他のエネルギーを使用する)標的化された単一場所の刺激又は遮断療法を含むことができ、又は、複数の異なる場所にわたるか又はそれらを使用する協調刺激又は遮断を含むことができる。以下の考察では、異なる植込み位置及び神経標的のいくつかの例を示すが、上記で具体的に述べたものを含む他の位置も同様に使用することができる。
【0066】
一例では、植込み型システム602は、
図7に示すように、平坦化又は圧縮された半カプセル(又はカプセルの他の部分)構造を含む植込み型ハウジング(「缶」と称する場合もある)又は本体部分を備える。ハウジングは、長手方向軸に沿って延在することができ、丸みを帯びた端部又はキャップを含む。一例では、ハウジングは、電気刺激送達又は電気応答検知において使用される基準電極として構成することができる導電性ハウジング702である。
【0067】
植込み型本体は、1本又は複数本のリード線とインタフェースするためのヘッダ706を含むことができる。
図7の例では、植込み型本体は、電極アレイ710を含む先端カフ708を有する単一のリード線704に連結することができる。カフ708は、舌下神経の内側枝又は他の神経組織の上又はその周囲に配置されるように構成することができる。リード線704は、任意選択的に、その先端部に若しくは先端部の近くに、その基端部(ヘッダ端部)に若しくは基端部の近くに、又はその中央部分に、縫合糸アンカを含むことができる。
【0068】
一例では、植込み型システム602は、1つ又は複数のハウジング及び1つ又は複数の刺激リード線を有する脳神経刺激装置を含み、前頸部領域において、1つ又は複数の脳神経に又はその近くに植え込まれるように構成されている。植込み型システム602のセンサ606のうちの1つ又は複数は、本明細書においてフィードバック信号と称する場合もある生理学的信号を検知するように構成することができる。こうした生理学的信号又はその中の情報は、治療又は診断効果を示すことができる。センサ606は、刺激装置ハウジングの内側若しくは外側に設けることができ、又はリード線704に設けることができる。センサ606のいくつかの例としては、加速度計712、モーションセンサ、音響トランスデューサ、圧力センサ、光学センサ、光電容積脈波センサ、化学センサ、ECAP信号、若しくは神経若しくは筋肉構造の他の電気的活動を検知するための(例えば、刺激リード線608上の)電極、及び治療若しくは診断効果を測定する1つ又は複数の他のセンサのうちの1つ又は複数が挙げられる。
【0069】
一例では、治療又は診断効果を示す生理学的応答は、動き、音、頭部若しくは頸部の姿勢、活動レベル、力、圧力、血管の変化、胸腔の変化、電気的活動、生体インピーダンスの変化及び他の情報のうちの1つ又は複数の関数であり得るか、又はそれらによって示すことができる。例えば、検知された応答の特性は、センサ信号特性から、例えば、時間領域からのセンサ信号情報(信号振幅、持続時間、立上り又は立下り時間、傾き、周期、積分、微分又は他のタイミング特性等)、又は周波数領域からのセンサ信号情報(例えば、信号スペクトル成分)を使用して、決定することができる。
【0070】
一例では、生理学的フィードバックは、センサ信号の変化に関する情報を含むことができる。フィードバックは、治療効果又は診断値に基づいて分類又は類別することができる。いくつかの例では、治療効果又は診断値は、これらの機能に専用のセンサによって、又は他の生理学的情報も検知するセンサによって、検知することができる。センサ情報又はフィードバックを用いて、神経刺激装置システム(例えば、
図6の例のシステム600、又はその一部)を使用して、自動的に療法を調節又はタイトレーションすることができ、又は遠隔若しくは診療所ベースのフォローアップを介して臨床医にセンサ情報を伝達することができる。その後、臨床医は、プログラム可能なパラメータの変更により、療法を更新又はタイトレーションすることができる。
【0071】
一例では、システム600の植込み型システム602は、閉塞性睡眠時無呼吸を治療するように構成されている舌下神経(HGN)刺激装置を含む。植込み型システム602は、頸部のオトガイ下三角及び/又は顎下三角のうちの1つ又は複数に植え込むことができる。植込み型システム602は、患者の舌下神経に配置された1つ又は複数の刺激リード線を含むか又は使用することができ、電気刺激療法を使用して、上気道開存性に関連する筋肉、例えば舌を制御するように構成することができる。例えば、植込み型システム602は、上気道閉塞を緩和するように、舌の位置の変化を誘導するか、又は他の方法で舌の運動に影響を及ぼす治療を送達するように構成されている1つ又は複数の電極を含むことができる。いくつかの例では、植込み型システム602の植込みに続いて、臨床医は、気道からの舌の移動(excursion)等の所望の舌の動きを達成するために、神経刺激パラメータを調節又は調整する。
【0072】
電気刺激に応じる等の舌の運動は、頸部のさまざまな領域における動き、力、圧力、電気的活動(筋電図シグネチャ等)、生体インピーダンスの変化又は他の効果として現れる可能性がある。さらに、結果として生じる任意の上気道の変化又は閉塞の緩和は、頸部又はその近くで検出することができる音響、圧力又は生体インピーダンスの変化として現れる可能性がある。
【0073】
一例では、センサ606及び/又はプロセッサ回路610は、無呼吸又は低呼吸事象の回数、いびき又は他の発声の不在、存在又は他の特性、並びに(患者固有又は集団固有の基準又はベースラインに対する等、姿勢又は活動レベルによって示される可能性があるような)患者の全体的な状態に関する情報を含むことができるような、診断情報を検知又は決定するように構成することができる。センサ606及び/又はプロセッサ回路610からの他の情報を使用して、舌の運動の影響を測定し、上気道の状態を検出するか、又は検知された情報を使用して所望の又は目標の治療シグネチャ又はパターンを展開することができる。次いで、植込み型システム602は、所望のシグネチャ又はパターンに基づいて療法を調節又はタイトレーションするように構成することができる。代替的又はさらに、植込み型システム602は、目標の治療シグネチャ又はパターン情報を格納し、臨床医が治療を更新することができるように、遠隔又は院内フォローアップを介してそうした情報を提供するように構成することができる。一例では、履歴的なセンサ情報を使用して他のシグネチャ又はパターンを作成することができ、例えば、より最近のセンサ情報とともに使用して、吸気タイミング又は呼吸中断のような将来の生理学的事象の予測に役立てることができる。
【0074】
一例では、植込み型システム602は、舌の運動及び位置を測定するように構成されている加速度計又は他のセンサを含むことができる。加速度計又は他のセンサは、無呼吸若しくは低呼吸事象の存在を監視するか、又はいびき若しくは他の音響情報を検出するように、患者の上気道からの気管音又は振動を同時に検知するように構成することができる。加速度計又は他のセンサは、さらに、頭部、頸部、又は他の身体部分の向き又は姿勢を検出するように、又は睡眠状態を検出するように構成することができる。これらの属性のうちの任意の1つ又は複数に関する情報を使用して、HGN刺激装置は、適切な療法を決定するか、又は特定の治療結果を達成するために適用すべき刺激パラメータのセットを決定するように、種々の状態における所望の生理学的応答のシグネチャを展開することができる。
【0075】
一例では、HGN刺激装置は、刺激信号の送達と同時又はそれに続いて加速度計信号を監視し、それにより、舌の動き又は他の生理学的応答情報を観察することができる。一例では、所望の舌の動きは、頭部又は頸部に位置決めされた加速度計によって検出されるように、急速に上昇するか又は変化する加速度信号によって、少なくとも一部、識別することができる。一例では、舌の運動が少ないことは、加速度計の信号振幅が小さくなることに対応することができ、舌の運動が多いことは、信号振幅が相対的に大きくなることに対応することができる。基準信号振幅を、目標又は所望の舌の運動と関連付けることができる。HGN刺激装置は、目標又は所望の舌の運動を達成又は維持するために、刺激特性(例えば、振幅、パルス持続時間、パルスレート、デューティサイクル、電極構成又は他の刺激パラメータ)を自動的に調整するように構成することができる。一例では、HGN刺激装置は、加速度計からの情報を使用して、目標又は所望の舌の運動を達成することができるか否かを決定することができ、臨床介入及び療法のタイトレーションのための遠隔モニタリング等を介して、臨床医にそうした情報を伝達することができる。
【0076】
一例では、上気道閉塞の上方に、前方に、又は前上方に、閉塞又は閉塞の緩和に関連する気流の変化を検出するために、センサ606のうちの1つ又は複数を設けることができる。閉塞の近くに又は閉塞を越えて(例えば、肺から離れる方向に)センサを配置することは、肺の近くで、したがって上気道閉塞の前で、胸部又は胸部体幹から情報を検知することを含む可能性がある従来の方法とは対照的である。本発明者らは、頭部又は頸部におけるいくつかの信号(音、圧力、電気等)は、他の(例えば、心臓)信号の干渉を受けにくい可能性があり、例えば肺音よりも、気流との相関が良好である可能性があることを認識した。本発明者らはさらに、頭部又は頸部の気管又はその近くの領域から生じる可能性があるか、又はその気管又はその近くの領域で又はその近くで測定することができるような、いくつかの音響信号は、肺又はそれに隣接して受信される音響信号よりも、高い振幅及び広い周波数スペクトル又は成分を有する可能性があることを認識した。音響信号は、例えば加速度計712又は他のトランスデューサを使用して、測定することができる。プロセッサ回路610は、音響信号を受信し、信号からの周波数及び大きさの情報に基づいて、患者の気道が閉塞しているか若しくは部分的に閉塞しているか否かを判定することができる。すなわち、プロセッサ回路610は、音響情報を使用して、患者の気道の開放を示すことができる。一例では、プロセッサ回路610は、音響情報を使用して、患者がいびきをかいているか否かを判定するように構成することができ、これは、部分的な気道閉塞の兆候であり得る。
【0077】
1つ又は複数の他のセンサ606は、気道の一部の部分的な又は完全な虚脱、又は気道の他の閉塞を検出するように構成することができる。例えば、加速度計、インピーダンスセンサ、容積脈波センサ又は他のセンサを使用して、気道の一部の開放又は閉鎖を判定することができる。一例では、センサ情報を使用して、舌の位置又は他の気道の特徴を特徴付けることができる。一例では、センサ情報を使用して、気道閉塞又は気道虚脱の同心性を特徴付けることができ、この情報を使用して、気道を開放するのに役立つ適切な療法を選択することができる。一例では、舌又は気道虚脱は、例えば患者が横臥位にあるとき、特定の方向への組織の偏りを示すことができる。一例では、治療は、片側電気刺激療法を含むことができるが、気道を確保又は開放するために異なるか又はより統一された生理学的応答を促進するのに役立つように、片側電気刺激療法を両側電気刺激療法に変更することができる。一例では、片側療法及び両側療法は、同じ神経組織又は異なる神経組織を標的とすることができる。一例では、両側療法は、複数の電気刺激発生デバイスを協調して使用して送達することができ、又は共通の電気刺激信号発生デバイスに連結された複数のリード線を使用して送達することができる。
【0078】
一例では、頭部又は頸部の姿勢情報等の患者の姿勢情報に基づいて、療法を調節又は更新することができる。頭部又は頸部の姿勢は、例えば胸部又は体幹の姿勢よりも、患者の無呼吸低呼吸指数(AHI)により大きい影響を及ぼす可能性がある。姿勢又は位置に基づいて療法を調節することに加えて、舌の動きに関する情報又はECAPに関する情報を調節するか、又は解釈するのに役立つように、姿勢情報を使用することができる。例えば、頭部仰臥位から受け取られた舌の動きの情報は、頭部側臥位から受け取られた舌の動きの情報とは異なるように解釈又は処理することができる。同様に、検出された姿勢又は位置に応じて、使用するために、異なる治療パラメータを選択又は指示することができる。すなわち、異なる電気刺激パラメータを使用して、患者が頭部仰臥位にあるときに、特定の舌の動きに影響を及ぼすか又はそうした動きを達成することができ、一方で、他の電気刺激パラメータを使用して、患者が頭部側臥位にあるときに、同じ舌の動きに影響を及ぼすか又はそうした動きを達成することができる。
【0079】
一例では、HGN刺激装置は、頭部又は頸部の姿勢情報等に応じて、目標の舌の運動を達成し、目標のECAP応答特性(例えば、振幅又はタイミング特性)を達成し、又は(例えば、睡眠中に)妨げられない気管音を達成するように治療パラメータのセットを調整することにより、自動神経調節を提供するように構成することができる。療法は、任意選択的に、頭部又は頸部の位置又は姿勢に応じて、センサ情報を特定の患者における所定の無呼吸/低呼吸緩和シグネチャと等しくすることができる、タイトレーション睡眠試験において決定することができる。
【0080】
図8は、概して、神経刺激療法を提供し、神経刺激療法に対する患者の応答を検知するように構成されている、植込み型システム602等の植込み型システムの一部の一例を示す。一例では、刺激信号発生回路616は、刺激リード線608に連結され、刺激リード線608は、複数の別個にアドレス指定可能な電極E1、E2及びE3を含む。追加の又はより少ない電極を同様に使用することができる。一例では、
図8に示す電極は、
図7の例からの電極アレイ710の電極に対応する。いくつかの例では、刺激信号発生回路616に連結された電極のうちの1つ以上は、植込み型デバイスの導電性ハウジングである。
【0081】
図8の例では、電極アレイ710の電極は、神経標的802に又は神経標的802に隣接して配置される。神経標的802は、例えば、電極によって送達される治療信号を使用して刺激されると、睡眠時無呼吸等の呼吸障害を治療するように、患者の舌の運動又は変位を引き起こす、舌下神経の枝を含むことができる。一例では、電極アレイ710の同じか若しくは他の電極、又は異なるリード線若しくはアレイの電極を使用して、患者の身体からの電気的応答を検知することができる。例えば、電極は、神経組織が治療信号に応答して活性化されたか否か、又はどの程度活性化されたかを示す電気信号を、神経標的802で又はその近くで受信することができる。一例では、電極は、神経組織の応答を示す誘発複合活動電位に関する電気信号、すなわちECAP信号806を受信することができる。
【0082】
ECAPは、指定された遅延時間の後等、神経刺激信号の送達後に検知され、さまざまな信号のピーク及び谷を含む。ECAP信号806のタイミング及び大きさ(又は振幅)特性は、特定の神経標的又は神経線維の活性化を示すことができる。ECAP信号806は、間隔が空けられた一対の電極を使用して検知されるため、ECAP信号806は、多数の神経線維を含む組織領域又は体積からの応答に関する情報を含む。
図8の例では、ECAP信号806は、第1の正のピーク808(P1と称する場合がある)、第1の負のピーク810(N1と称する場合がある)、第2の正のピーク812(P2)、第2の負のピーク814(N2)等を含む。一例では、異なるピーク及び谷のタイミング及び大きさに関する情報を(例えば、プロセッサ回路610が)使用して、特定の神経経路を活性化する際の治療信号の有効性を決定することができる。例えば、脳神経から測定されたピークECAP特性(例えば、ECAP応答の正又は負のピークのタイミング又は大きさ特性)を、舌の位置又は気道の開放若しくは閉塞を示す代用として使用することができる。
【0083】
図9は、概して、神経療法を提供するシステム600を含むか又は使用することができる第1ルーチン900の一例を示す。第1ルーチン900は、患者の生理学的状態を決定するために、植込み型システム602のセンサ606のうちの1つ又は複数から等、さまざまなデータを収集することを含むことができる。このデータを使用して、植込み型システム602を使用して患者に提供される療法に影響を及ぼすか又はそれを更新することができる。
【0084】
例えば、ブロック902において、第1ルーチン900は、センサ606のうちの1つ又は複数から患者に関する呼吸情報を受信することを含むことができる。一例では、ブロック902は、加速度計又は他のセンサから呼吸情報、すなわち呼吸を示す信号を受信することを含むことができる。ブロック904において、第1ルーチン900は、植込み型システム602又は外部システム620内のプロセッサを使用する等して、ブロック902で受信した呼吸情報を分析することを含むことができる。例えば、ブロック904は、センサ606から加速度信号を受信し、HGN療法のタイトレーションに役立つように使用することができる対応する呼吸信号を提供する、プロセッサ回路610を含むか又は使用することができる。
【0085】
ブロック910において、第1ルーチン900は、センサ606のうちの1つ又は複数から患者に関する上気道状態情報を受信することを含むことができる。一例では、ブロック910は、姿勢センサ、気流センサ、舌若しくは他の筋活動センサ、音響センサ(例えば、加速度計若しくは他のトランスデューサ)又は他のセンサから、上気道状態情報を受信することを含むことができる。ブロック912において、第1ルーチン900は、植込み型システム602又は外部システム620内のプロセッサを使用する等して、ブロック910で受信した上気道状態情報を分析することを含むことができる。例えば、ブロック912は、センサ606から気流情報(すなわち患者の気流を示す情報)を受信し、HGN療法のタイトレーションに役立つように使用することができる対応する気道状態信号を提供する、プロセッサ回路610を含むか又は使用することができる。一例では、ブロック912において上気道状態情報を分析することは、患者の気道に特徴的な開放又は閉塞の大きさを決定することを含む。一例では、ブロック912において上気道状態情報を分析することは、患者がいびきをかいているか否かを判定することを含むことができる。
【0086】
ブロック914において、第1ルーチン900は、センサ606のうちの1つ又は複数から患者に関する体位情報を受信することを含み得る。一例では、ブロック914は、頭部、頸部、胴部又は他の姿勢センサから体位情報を受信することを含むことができる。ブロック902、ブロック910及びブロック914のうちの任意の1つ又は複数は、測定された生理学的状態の代用として特定のセンサ情報を含むか又は使用することができる。一例では、ブロック914で受信した姿勢情報は、他の姿勢タイプもあるがとりわけ、直立姿勢、伏臥姿勢、仰臥姿勢、右横臥姿勢又は左横臥姿勢等の特定の姿勢の標示を含むことができる。
【0087】
ブロック906において、第1ルーチン900は、タイトレーションアルゴリズムを使用してHGN療法を適用することを含むことができる。タイトレーションアルゴリズムを使用して、指定された治療目標を達成するか、又は特定の生理学的応答シグネチャを達成することができる。第1ルーチン900の例では、タイトレーションアルゴリズムは、アルゴリズムへの入力として、ブロック904からの呼吸情報、ブロック912からの上気道状態情報、及びブロック914からの姿勢情報のうちの任意の1つ又は複数を使用することができる。現治療に関する情報(例えば、使用される電極構成、電気刺激信号特性等)を含む1つ又は複数の他の入力を使用することができる。アルゴリズムの出力は、HGNにおける等、1つの神経標的又は複数の標的に電気刺激療法を提供するように構成されている電気刺激回路のための治療制御信号を含むことができる。アルゴリズムの出力を使用して、治療の1つ又は複数の特性を更新、調整、調節、又は他の方法で変更することができる。ブロック908において、第1ルーチン900は、治療制御信号に応答して、植込み型システム602を使用する等して、HGN療法を提供することを含むことができる。
【0088】
ブロック906又はブロック908におけるHGN療法の提供時、提供中又は提供後に、第1ルーチン900は、治療に対する患者の生理学的応答を連続的に又は断続的に監視することと、治療をさらに更新又は調整することとを含むことができる。例えば、生理学的応答の監視は、ブロック902、ブロック910及びブロック914のうちの任意のものを含むか又は使用することができ、これらのブロック902、ブロック910又はブロック914は、治療タイトレーションアルゴリズムを使用してさらに処理するためにブロック906に情報を与えることができる。例えば、生理学的応答の監視は、治療の神経標的又はその近くからのECAPに関する情報を使用すること、又は舌の動き又は舌の変位に関する情報を使用すること、又は音響信号の変化に関する情報を使用することを含むことができる。
【0089】
一例では、呼吸の直接測定の代用として、加速度計からの加速度情報を使用することができる。本発明者らは、加速度計からの情報を使用して、無呼吸事象を検出することができ、無呼吸事象の特性を決定することができることを認識した。加速度計からの加速度信号を使用して特定された無呼吸事象に応答して、呼吸周期と協調する等して、HGN刺激を提供することができる。例えば、加速度情報を使用して、吸気の開始等を用いて、治療送達のタイミングを計ることができる。いくつかの例では、加速度情報を使用して、刺激療法バーストの送達と同時に等、治療に対する運動又は応答を検知することができる。加速度計以外のセンサから等の1つ又は複数の他のセンサ信号をさらに又は別法として使用して、呼吸を検知し、無呼吸事象の特性を検知し、又は治療送達のタイミングを計ることができる。
【0090】
図10は、概して、睡眠障害又は呼吸障害を治療するための第2ルーチン1000の例を一般的に示す。ブロック1002において、第2ルーチン1000は、目標治療シグネチャを確立することを含むことができる。目標治療シグネチャは、患者の生理学的状態又は応答に関する、センサ606のうちの1つ若しくは複数、又は別の植込み型若しくは外部センサから等のセンサ情報に基づくことができる。一例では、目標治療シグネチャを確立することは、第1神経標的に試験神経調節療法を提供することと、試験神経調節療法に応答して、第1神経標的又はその近くにおける誘発複合活動電位(ECAP)の大きさ、患者の気道の開放を示す音響プロファイル、及び/又は患者の舌の運動を監視することとを含むことができる。
【0091】
ブロック1004において、第2ルーチン1000は、患者の前頸部領域に植込み型神経調節デバイス(例えば、植込み型システム602)を提供することを含むことができ、このデバイスは、患者の第1脳神経標的又はその近くに、デバイス内の信号発生回路に連結された第1電極リード線を含む。
【0092】
ブロック1006において、第2ルーチン1000は、信号発生器回路からの第1電気信号を使用し、且つ第1電極リード線の電極を使用して、第1神経調節療法を第1脳神経標的に適用することを含むことができる。一例では、ブロック1006は、第1神経調節療法に応答して、治療応答又は第1治療シグネチャを受信又は検出することを含むことができる。治療応答又はシグネチャ情報は、センサ606のうちの任意の1つ又は複数を使用して、又は植込み型システム602の外部のセンサを使用して受信することができる。
【0093】
ブロック1008において、第2ルーチン1000は、(例えば、ブロック1006において受信した)第1治療シグネチャと(例えば、ブロック1002において確立した)目標治療シグネチャとの相違を決定することを含むことができる。一例では、相違は、植込み型システム602内の処理回路を使用して自動的に決定することができ、又は、植込み型システム602の外部で、手動で又は自動的に決定することができる。一例では、治療シグネチャの相違を決定することは、目標治療シグネチャに関連する1つ又は複数の特性(例えば、ECAP、音響、運動、姿勢又は他の特性)と、第1治療シグネチャに関連する1つ又は複数の対応する特性との相違を定性化又は測定することを含む。
【0094】
ブロック1010において、第2ルーチン1000は、信号発生器回路からの第2電気信号を使用し、且つ第1電極リード線の電極を使用して、第2神経調節療法を第1脳神経標的に適用することを含むことができる。一例では、第2電気信号の1つ以上の特性は、(例えばブロック1008からの)第1治療シグネチャと目標治療シグネチャとの決定された相違に基づいて選択又は変更することができる。第2ルーチン1000は、任意選択的に、目標治療シグネチャを確立又は更新し、後続の神経調節療法を提供し、患者の応答を監視する、さらなる反復を継続することができる。
【0095】
図11は、概して、神経調節療法をタイトレーションするために患者の姿勢、舌の変位及びECAP応答に関する情報を含むか又は使用することができる第3ルーチン1100の一例を示す。ブロック1102において、第3ルーチン1100は、第1治療パラメータを使用して第1神経調節療法を送達することを含む。第1神経調節療法は、患者の呼吸障害を治療するために脳神経標的に提供することができる。第1治療パラメータは、他のパラメータもあるがとりわけ、電気刺激パルス幅、パルス振幅、波形形状、刺激周波数、バーストパターン及び電極構成のうちの1つ又は複数等、治療の態様を定義することができる。
【0096】
ブロック1102における第1神経調節療法の送達に応答して、又はそれと同時に、第3ルーチン1100は、患者の生理学的状態に関する情報を監視することを含むことができる。例えば、ブロック1104において、第3ルーチン1100は、患者の姿勢に関する姿勢情報を受信することを含むことができる。ブロック1106において、第3ルーチン1100は、基準の舌の位置に対する等の舌の位置、運動又は変位等を示す情報を、加速度計等から受信することを含むことができる。一例では、ブロック1106において受信した情報は、舌の位置の標示又は舌の位置の代用として使用することができる音響情報を含むことができる。ブロック1108において、第3ルーチン1100は、第1神経調節療法に対する神経組織の応答に関するECAP情報を受信することを含むことができる。ブロック1110において、第3ルーチン1100は、ブロック1104、ブロック1106及び/又はブロック1108において受信した情報の特性を決定することを含むことができる。例えば、ブロック1110は、姿勢、舌の位置及びECAP情報を、合わせて処理及び解釈することができるように定量化する、植込み型システム602からのプロセッサ回路610等のプロセッサ回路を含むか又は使用することができる。一例では、姿勢、舌の位置及びECAP情報を組み合わせ、任意選択的に異なる重み付けをして、患者に対する治療シグネチャを提供することができる。
【0097】
ブロック1112において、第3ルーチン1100は、姿勢、舌の位置及びECAP情報の決定された特性を使用して、患者に対する後続の神経調節療法を選択することを含むことができる。一例では、後続の療法は、第1神経調節療法で使用したパラメータとは異なる治療パラメータを有することができる。例えば、第1神経調節療法に対する患者の応答が不十分である場合(例えば、気道閉塞を緩和するのに十分な舌の運動をもたらすことができない場合)、より好結果の応答を達成するように、治療の1つ又は複数のパラメータを更新することができる。一方、第1神経調節療法が適切である場合、刺激に対する患者の慣れを回避するのに役立つように、治療の1つ又は複数のパラメータを維持することができ、又は周期的に若しくは断続的に更新することができる。別の例では、第1神経調節療法が適切である場合、例えば、植え込まれたデバイスのバッテリ寿命を節約するように、又は患者の快適性を高めるように、治療の1つ又は複数のパラメータを変更することができる。第3ルーチン1100は、任意選択的に、ブロック1112からの選択された神経調節療法を使用して後続の治療を送達し、(例えば、姿勢、ECAP、加速度計又は他のセンサデータを使用して)患者の応答を監視し、患者の治療をさらに精緻化する。
【0098】
図12は、概して、呼吸障害を治療するため等の神経調節療法のための治療パラメータを選択する呼吸障害評価システム1200の一部の一例を示す。この例は、最初の治療に対する患者の生理学的状態又は患者の応答に関する情報を受け取り、その情報を処理して結果を決定し、その結果に基づいて、後続の治療で使用される1つ又は複数の治療パラメータを選択するように構成されている、プロセッサ回路1212を含む。後続の治療のパラメータは、患者の応答を最適化するか又は変化させるように選択することができる。一例では、プロセッサ回路1212は、植込み型システム602のプロセッサ回路610を含むか、又は別のプロセッサ回路を含む。
【0099】
一例では、プロセッサ回路1212は、1つ又は複数の生理学的状態情報の入力を受け取り、その情報を合わせて処理し、1つ又は複数の後続の治療パラメータ1210を決定又は選択することができる結果を提供することができる、治療タイトレーション又は学習アルゴリズムを実行するように構成されている。情報を合わせて処理することは、例えば、後続の治療で使用される特定の治療パラメータを更新又は変更する指示をもたらすことができるコスト関数を使用して、入力情報に異なる重み付けを行うことを含むことができる。一例では、重みは、特定の患者の生理学的状態、患者集団の生理学的状態、患者デバイスの状態、又は患者の、植込み型システム602の、若しくは他の要素の他の特性に基づいて、決定するか又は割り当てることができる。
【0100】
一例では、プロセッサ回路1212への入力は、舌の変位情報1202、姿勢状態情報1204、ECAP特性情報1206、及び現治療パラメータ1208に関する情報のうちの1つ又は複数を含む。現治療パラメータ1208に関する情報は、例えば、治療が片側療法であるか両側療法であるかに関する情報を含むことができる。プロセッサ回路1212は、さまざまな入力を使用して治療に対する患者の応答を監視することができる。一例では、プロセッサ回路1212は、入力を連続的に監視することができ、又は治療の送達と協調して入力を監視することができる。
【0101】
プロセッサ回路1212は、異なる入力からの情報に異なる重み付けを行うように構成することができ、又は、さまざまなゲーティング条件が満たされた場合に特定の入力を無視するように構成することができる。例えば、限定なしに、姿勢状態情報1204が、患者が伏臥姿勢であることを示す場合、プロセッサ回路1212は、他の入力からの情報を無視するように構成することができ、患者が姿勢を変えない限り、又は患者が姿勢を変えるまで、神経刺激療法の送達を阻止することができる。別の例では、ECAP特性情報1206は、特定の療法又は治療パラメータの有効性の標示として、例えば舌の変位情報1202よりも重く重み付けすることができる。
【0102】
一例では、プロセッサ回路1212は、患者の応答情報を治療パラメータとともに記録するように構成することができる。記録された情報は、特に望ましいか又は望ましくない患者の応答に対応する治療パラメータを特定するように確認又は処理することができる。プロセッサ回路1212は、経時的にパラメータ及び応答情報を監視し、患者の応答を示す特定の入力状態に応答して、後続の治療パラメータ1210の選択を精緻化する、機械学習アルゴリズムを含むか又は使用することができる。
【0103】
図13は、機械1300の概略表現であり、その中で、機械1300に、本明細書で考察する方法のうちの任意の1つ又は複数を実行させる命令1308(例えば、ソフトウェア、プログラム、アプリケーション、アプレット、アプリ又は他の実行可能コード)を実行することができる。機械1300は、任意選択的に、植込み型システム602、外部システム620、又はそれらのコンポーネント若しくは部分、又は植込み型システム602及び外部システム620のうちの少なくとも一方に連結することができるコンポーネント若しくはデバイスを備えることができる。
【0104】
一例では、命令1308は、機械1300に、本明細書に記載する方法、制御、治療アルゴリズム、信号生成ルーチン及び他のプロセスのうちの任意の1つ又は複数を実行させることができる。命令1308は、一般的な、プログラムされていない機械1300を、説明し図示した機能を記載したように実行するようにプログラムされた特定の機械1300に変える。機械1300は、スタンドアロンデバイスとして動作してもよく、又は、他の機械に連結(例えば、ネットワーク化)してもよい。ネットワーク化された展開では、機械1300は、サーバ-クライアントネットワーク環境においてサーバマシン又はクライアントマシンの能力で動作してもよく、又はピアツーピア(又は分散)ネットワーク環境においてピアマシンとして動作してもよい。機械1300は、限定されないが、植込み型システム602又は外部システム620と通信することができるさまざまなシステム又はデバイスを備えることができ、例えば、サーバコンピュータ、クライアントコンピュータ、パーソナルコンピュータ(PC)、タブレットコンピュータ、ラップトップコンピュータ、ネットブック、セットトップボックス(STB)、PDA、エンターテイメントメディアシステム、携帯電話、スマートフォン、モバイルデバイス、ウェアラブルデバイス(例えば、スマートウォッチ、スマートウォッチ)、スマートホームデバイス(例えば、スマート家電)、他のスマートデバイス、ウェブアプライアンス、ネットワークルータ、ネットワークスイッチ、ネットワークブリッジ、又は機械1300によって実行されるべき動作を指定する命令1308を逐次又はその他の方法で実行することができる任意の機械を含むことができる。さらに、単一の機械1300のみを示すが、「機械」という用語は、本明細書で考察する方法のうちの任意の1つ又は複数を実施するために命令1308を個別に又は共同で実行する機械の集合体を含むようにも解釈されるものとする。
【0105】
機械1300は、バス1344を介して互いに通信するように構成することができる、プロセッサ1302、メモリ1304及びI/Oコンポーネント1342を含むことができる。実施形態例では、プロセッサ1302(例えば、中央処理装置(CPU)、縮小命令セットコンピューティング(RISC)プロセッサ、複合命令セットコンピューティング(CISC)プロセッサ、画像処理装置(GPU)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、ASIC、無線周波数集積回路(RFIC)、別のプロセッサ、又はそれらの任意の適切な組合せ)は、例えば、命令1308を実行するプロセッサ1306及びプロセッサ1310を含むことができる。「プロセッサ」という用語は、任意選択的に、命令を同時に実行することができる2つ以上の独立したプロセッサ(「コア」と称する場合がある)を含むことができるマルチコアプロセッサを含むように意図される。
図13は、複数のプロセッサ1302を示すが、機械1300は、単一のコアを有する単一のプロセッサ、複数のコアを有する単一のプロセッサ(例えば、マルチコアプロセッサ)、単一のコアを有する複数のプロセッサ、複数のコアを有する複数のプロセッサ、又はそれらの任意の組合せを含むことができる。
【0106】
メモリ1304は、バス1344を介してプロセッサ1302にアクセス可能な、メインメモリ1312、スタティックメモリ1314及び記憶装置1316を含む。メインメモリ1304、スタティックメモリ1314及び記憶装置1316は、本明細書に記載する方法及び機能のうちの任意の1つ又は複数を具現化する命令1308を格納する。命令1308はまた、機械1300によるその実行中に、完全に又は部分的に、メインメモリ1312内に、スタティックメモリ1314内に、記憶装置1316内の機械可読媒体1318内に、プロセッサ1302のうちの1つ以上内(例えば、プロセッサのキャッシュメモリ内)に、又はそれらの任意の好適な組合せに存在することができる。
【0107】
I/Oコンポーネント1342は、入力を受け取り、出力を提供し、出力を生成し、情報を送信し、情報を交換し、測定値を取り込む等のさまざまなコンポーネントを含むことができる。特定の機械に含まれる所定のI/Oコンポーネント1342は、機械のタイプによって決まる。例えば、デバイスプログラマ又は携帯電話等のポータブル機は、タッチ入力デバイス又は他のそうした入力機構を含む場合があるが、ヘッドレスサーバマシンは、そうしたタッチ入力デバイスを含まない可能性が高い。I/Oコンポーネント1342は、
図13に示さない他のコンポーネントを含んでもよいことが理解されよう。さまざまな実施形態例において、I/Oコンポーネント1342は、出力コンポーネント1328及び入力コンポーネント1330を含むことができる。出力コンポーネント1328は、視覚コンポーネント(例えば、プラズマディスプレイパネル(PDP)、発光ダイオード(LED)ディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、プロジェクタ又は陰極線管(CRT)等のディスプレイ)、音響コンポーネント(例えば、スピーカ)、ハプティックコンポーネント(例えば、振動モータ、抵抗機構)、他の信号発生器等を含むことができる。入力コンポーネント1330は、英数字入力コンポーネント(例えば、キーボード、英数字入力を受け取るように構成されているタッチスクリーン、フォト-オプティカルキーボード、又は他の英数字入力コンポーネント)、ポイントベース入力コンポーネント(例えば、マウス、タッチパッド、トラックボール、ジョイスティック、モーションセンサ又は他のポインティング機器)、触覚入力コンポーネント(物理的ボタン、タッチ若しくはタッチジェスチャの位置及び/又は力を提供するタッチスクリーン、又は他の触覚入力コンポーネント等)、音声入力コンポーネント(例えば、マイクロフォン)、生理学的センサコンポーネント等を含むことができる。
【0108】
さらなる実施形態例では、I/Oコンポーネント1342は、とりわけ、バイオメトリックコンポーネント1332、モーションコンポーネント1334、環境コンポーネント1336又は位置コンポーネント1338を含んでもよい。例えば、バイオメトリックコンポーネント1332は、表情(例えば、手の表情、顔の表情、声の表情、身振り又は視線追跡)を検出するコンポーネント、生体信号(例えば、血圧、心拍数、体温、発汗又は脳波)を測定するコンポーネント、人を識別するコンポーネント(例えば、音声識別、網膜識別、顔識別、指紋識別、又は脳波図ベース識別)等を含むことができる。モーションコンポーネント1334は、加速度センサ(例えば、加速度計)、重力センサコンポーネント、回転センサコンポーネント(例えば、ジャイロスコープ)等を含むことができる。環境コンポーネント1336は、例えば、照明センサコンポーネント(例えば、光度計)、温度センサコンポーネント(例えば、周囲温度を検出する1つ又は複数の温度計)、湿度センサコンポーネント、圧力センサコンポーネント(例えば、気圧計)、音響センサコンポーネント(例えば、背景雑音を検出する1つ又は複数のマイクロフォン)、近接センサコンポーネント(例えば、近くの物体を検出する赤外線センサ)、ガスセンサ(例えば、安全のために危険ガスの濃度を検出するか、又は大気中の汚染物質を測定するガス検出センサ)、又は周囲の物理的環境に対応する標示、測定値又は信号を提供することができる他のコンポーネントを含むことができる。位置コンポーネント1338は、位置センサコンポーネント(例えば、GPS受信機コンポーネント)、高度センサコンポーネント(例えば、高度を導出することができる気圧を検出する高度計又は気圧計)、方位センサコンポーネント(例えば、磁力計)等を含むことができる。
【0109】
通信は、多種多様な技術を使用して実装することができる。I/Oコンポーネント1342は、それぞれ連結1324及び連結1326を介して、機械1300をネットワーク1320又は他のデバイス1322に連結するように動作可能な通信コンポーネント1340をさらに含む。例えば、通信コンポーネント1340は、ネットワークインタフェースコンポーネント又はネットワーク1320とインタフェースする他の好適なデバイスを含んでもよい。さらなる例では、通信コンポーネント1340は、有線通信コンポーネント、無線通信コンポーネント、セルラ通信コンポーネント、近距離若しくは遠距離無線通信コンポーネント、Bluetooth(登録商標)コンポーネント又はWi-Fiコンポーネント等を含むことができる。デバイス1322は、別の機械、又は他の植込み型若しくは外部デバイスを含むことができるような多種多様な周辺デバイスのうちの任意のものであってもよい。
【0110】
さまざまなメモリ(例えば、メモリ1304、メインメモリ1312、スタティックメモリ1314、及び/又はプロセッサ1302のメモリ)及び/又は記憶装置1316は、本明細書に記載する方法又は機能のうちの任意の1つ又は複数を具現化するか又はそれによって使用される命令及びデータ構造(例えば、ソフトウェア)の1つ又は複数のセットを格納することができる。これらの命令(例えば、命令1308)は、プロセッサ1302によって実行されると、さまざまな神経調節若しくは神経刺激療法又はそれを支援する機能を含む、開示する実施形態を実施するようにさまざまな動作を引き起こす。
【0111】
患者の睡眠障害又は呼吸障害を治療するための電気刺激療法を最適化するために使用することができるような、本明細書に記載するシステム及び方法をよりよく説明するために、非限定的な実施形態例のセットを、数値で特定される例として以下に示す。
【0112】
例1は、患者の前頸部領域に植え込まれるように構成されている第1ハウジングと、第1ハウジングに連結され、顎下領域に配置されるように構成されている第1電極リード線であって、第1電極リード線上の1つ以上の電極は、患者の舌下神経の第1枝に又はその近くに配置されるように構成されている、第1電極リード線と、1つ以上の電極を使用して患者に提供される第1電気刺激療法に対する患者の応答に関する情報を含むセンサ信号を提供するように構成されている第1センサであって、第1電気刺激療法は、患者の睡眠障害又は呼吸障害を治療するように構成されている、第1センサと、を備える植込み型神経調節システムである。植込み型神経調節システムは、第1ハウジングに配置されたプロセッサ回路を備えることができ、プロセッサ回路は、センサ信号に基づいて電気刺激療法パラメータを更新するように、且つ、患者の睡眠障害又は呼吸障害を治療するように構成されている後続の電気刺激療法において、更新された電気刺激療法パラメータを使用するように構成されている。
【0113】
例2では、例1の主題は、任意選択的に、第1電気刺激療法に対する神経応答に関する情報を含むセンサ信号を含むか又は使用することができる。
例3では、例2の主題は、任意選択的に、誘発複合活動電位(ECAP)に関する情報を含む、第1電気刺激療法に対する神経応答に関する情報を含むか又は使用することができる。
【0114】
例4では、例2~3の主題は、任意選択的に、ECAP信号のピークの大きさ特性に関する情報を含む、ECAPに関する情報を含むか又は使用することができ、第1電気刺激療法及び後続の電気刺激療法は、異なるECAP信号のピークの大きさ特性を誘発するように構成することができる。
【0115】
例5では、例2~4の主題は、任意選択的に、第1電極リード線上に、又は患者の舌下神経に若しくはその近くに配置された別のリード線上に1つ又は複数の電極を含む、第1センサを含むか又は使用することができる。
【0116】
例6では、例1~5の主題は、任意選択的に、第1ハウジング内に配置された又は第1ハウジングに結合された加速度計を含む、第1センサを含むか又は使用することができる。
【0117】
例7では、例6の主題は、任意選択的に、患者の舌の運動又は位置に関する情報を含む、センサ信号を含むか又は使用することができる。
例8では、例6~7の主題は、任意選択的に、気道の開放を示す音響情報を含む、センサ信号を含むか又は使用することができる。
【0118】
例9では、例8の主題は、任意選択的に、患者がいびきをかいているか否かを示す音響情報を含むか又は使用することができる。
例10では、例1~9の主題は、任意選択的に、舌の位置を変化させるか又は舌の運動を誘導するように電気刺激療法パラメータを更新するように構成されている、プロセッサ回路を含むか又は使用することができる。
【0119】
例11では、例1~10の主題は、任意選択的に、患者の姿勢状態に基づいて電気刺激療法パラメータを更新するように構成されている、プロセッサ回路を含むか又は使用することができる。
【0120】
例12では、例11の主題は、任意選択的に、センサ信号からの情報を使用して患者の姿勢状態を決定するように構成されている、プロセッサ回路を含むか又は使用することができる。
【0121】
例13では、例1~12の主題は、任意選択的に、患者に対する目標治療シグネチャを確立するように構成されている、プロセッサ回路を含むか又は使用することができ、プロセッサ回路は、センサ信号からの情報に基づいて、目標治療シグネチャを達成するように電気刺激療法パラメータを変更するように構成することができる。
【0122】
例14では、例13の主題は、任意選択的に、誘発複合活動電位(ECAP)信号の大きさを含む、目標治療シグネチャを含むか又は使用することができる。
例15では、例14の主題は、任意選択的に、指定された舌の変位又は指定された舌の位置を含む、目標治療シグネチャを含むか又は使用することができる。
【0123】
例16では、例14~15の主題は、任意選択的に、閉塞していない気道を示す音響プロファイルを含む、目標治療シグネチャを含むか又は使用することができる。
例17では、例13~16の主題は、任意選択的に、患者の閉塞していない気道に対応する、目標治療シグネチャを含むか又は使用することができる。
【0124】
例18では、例1~17の主題は、任意選択的に、後続の電気刺激療法に使用されるパルス幅、パルス振幅、波形形状、刺激周波数、バーストパターン及び電極構成のうちの1つ又は複数を変更することにより、電気刺激療法を更新するように構成されている、プロセッサ回路を含むか又は使用することができる。
【0125】
例19では、例1~18の主題は、任意選択的に、後続の電気刺激療法に対するECAP信号応答の大きさが、第1電気刺激療法に対するECAP信号応答の大きさと相違するか否かを判定するように構成されている、プロセッサ回路を含むか又は使用することができ、プロセッサ回路は、ECAP信号応答の相違に関する情報を使用して、さらなる後続の電気刺激療法で使用されるパラメータを選択するように構成することができる。
【0126】
例20では、例1~19の主題は、任意選択的に、後続の電気刺激療法に対する舌の移動又は変位応答が、第1電気刺激療法に対する舌の移動又は変位応答と相違するか否かを判定するように構成されている、プロセッサ回路を含むか又は使用することができ、プロセッサ回路は、舌の移動又は変位の相違に関する情報を使用して、さらなる後続の電気刺激療法で使用されるパラメータを選択するように構成することができる。
【0127】
例21では、例1~20の主題は、任意選択的に、第1電気刺激療法に続く音響応答が、後続の電気刺激療法に続く音響応答と相違するか否かを判定するように構成されている、プロセッサ回路を含むか又は使用することができ、音響応答は、患者の気道閉塞の異なるレベルを示し、プロセッサ回路は、音響応答の相違に関する情報を使用して、さらなる後続の電気刺激療法で使用されるパラメータを選択するように構成することができる。
【0128】
例22では、例1~21の主題は、任意選択的に、患者気道の虚脱の同心性に関する情報を含むセンサ信号を提供するように構成されている、第1センサを含むか又は使用することができる。
【0129】
例23では、例1~22の主題は、任意選択的に、刺激モードを片側刺激構成から両側刺激構成に変更することにより、電気刺激療法パラメータを更新するように構成されている、プロセッサ回路を含むか又は使用することができる。
【0130】
例24では、例23の主題は、任意選択的に、同じ神経組織の少なくとも一部を刺激するように構成されている、片側刺激構成及び両側刺激構成を含むか又は使用することができる。
【0131】
例25では、例1~24の主題は、任意選択的に、気道閉塞の偏り方向に関する情報を含むセンサ信号を提供するように構成されている、第1センサを含むか又は使用することができ、更新された電気刺激療法パラメータは両側電気刺激療法パラメータを含むことができる。
【0132】
例26では、例25の主題は、任意選択的に、両側電気刺激療法として第1電気刺激療法を含むか又は使用することができる。
例27では、例1~26の主題は、任意選択的に、患者の前頸部領域のオトガイ下三角に植え込まれるように構成されている、第1ハウジングを含むか又は使用することができる。
【0133】
例28は、患者の睡眠障害又は呼吸障害を治療する方法であって、本方法は、目標治療シグネチャを確立する工程と、患者の前頸部領域に植込み型神経調節デバイスを提供する工程であって、デバイスが、デバイス内の信号発生回路に連結された第1電極リード線を含み、第1電極リード線が、患者の第1脳神経標的に又はその近くに配置される、工程と、信号発生回路からの第1電気信号を使用し、且つ第1電極リード線の電極を使用して、第1神経調節療法を第1脳神経標的に適用し、それに応答して、第1治療シグネチャを検出する工程と、第1治療シグネチャと目標治療シグネチャとの相違を決定する工程と、信号発生回路からの第2電気信号を使用し、且つ第1電極リード線の電極を使用して、第2神経調節療法を第1脳神経標的に適用する工程であって、第2電気信号の特性が、第1治療シグネチャと目標治療シグネチャとの決定された相違に基づいて選択される、工程とを含む。
【0134】
例29では、例28の主題は、任意選択的に、患者の舌の目標位置又は目標変位に関する情報を含む、目標治療シグネチャを含むか又は使用することができる。
例30では、例28~29の主題は、任意選択的に、舌下神経標的についての誘発複合活動電位に関する情報を含む、目標治療シグネチャを含むか又は使用することができる。
【0135】
例31では、例28~30の主題は、任意選択的に、患者の気道閉塞又は気道開放を示す音響プロファイルに関する情報を含む、目標治療シグネチャを含むか又は使用することができる。
【0136】
例32では、例28~31の主題は、任意選択的に、第1脳神経標的に試験神経調節療法を提供することと、試験神経調節療法に応答して、第1脳神経標的における又はその近くにおける誘発複合活動電位(ECAP)の大きさと、患者の気道の開放を示す音響プロファイルと、患者の舌の運動とを監視することとを含む、目標治療シグネチャを確立する工程を含むか又は使用することができる。
【0137】
例33では、例28~32の主題は、任意選択的に、患者に植え込まれたか又は患者に連結された加速度計からの情報を使用することを含む、目標治療シグネチャを確立する工程を含むか又は使用することができる。
【0138】
例34では、例28~33の主題は、任意選択的に、加速度計からの音響信号又は物理的変位情報を使用することを含む、第1治療シグネチャを検出する工程を含むか又は使用することができ、目標治療シグネチャを確立する工程は、同じ加速度計からの情報を使用することを含むことができる。
【0139】
例35では、例28~34の主題は、任意選択的に、第1神経調節療法に対する、パルス幅、パルス振幅、波形形状、刺激周波数、バーストパターン及び電極構成のうちの1つ又は複数を変更することを含む、第2神経調節療法を適用する工程を含むか又は使用することができる。
【0140】
例36では、例28~35の主題は、任意選択的に、閉塞性睡眠時無呼吸を治療するために第1神経調節療法を患者の舌下神経に適用することを含む、第1神経調節療法を第1脳神経標的に適用する工程を含むか又は使用することができる。
【0141】
例37では、例28~36の主題は、任意選択的に、患者の姿勢に関する情報を使用することを含む、目標治療シグネチャを確立する工程を含むか又は使用することができる。
例38では、例28~37の主題は、任意選択的に、片側電気刺激療法を使用することを含む、第1神経調節療法を適用する工程を含むか又は使用することができ、第2神経調節療法を適用する工程は、両側電気刺激療法を使用することを含むことができる。
【0142】
例39では、例28~38の主題は、任意選択的に、患者の特定の側への舌組織の位置の偏り又は方向を特定することを含む、第1治療シグネチャと目標治療シグネチャとの相違を決定する工程を含むか又は使用することができる。
【0143】
例40では、例39の主題は、任意選択的に、患者の正中線の少なくとも一部にわたって提供される両側電気刺激療法を含む、第2電気信号を含むか又は使用することができる。
【0144】
例41では、例39~40の主題は、任意選択的に、患者の正中線の両側のそれぞれの神経標的に提供される一対の電気刺激療法信号を含む、第2電気信号を含むか又は使用することができる。
【0145】
例42は、電気刺激信号発生回路に連結された第1電極リード線であって、患者の舌下神経の第1枝に又はその近くに配置されるように構成されるとともに、患者の睡眠障害又は呼吸障害を治療するために第1電気刺激療法を提供するように構成されている第1電極を備える第1電極リード線と、第1電気刺激療法に対する患者の応答に関する情報を含むセンサ信号を提供するように構成されている第1センサであって、患者の応答が、患者の気道の音響プロファイルと、患者の舌の位置の変化と、舌下神経の一部の誘発複合活動電位(ECAP)に関する情報とのうちの1つ以上を含む、第1センサと、患者の姿勢に関する情報を含む姿勢信号を提供するように構成されている姿勢センサと、センサ信号及び姿勢信号の各々からの情報を使用して、患者の睡眠障害又は呼吸障害を治療するための後続の電気刺激療法を選択するように構成されているプロセッサ回路とを備える植込み型神経調節システムである。
【0146】
例43では、例42の主題は、任意選択的に、患者の前頸部に植え込まれるように構成されている第1ハウジングを含むか又は使用することができ、第1電極リード線、第1センサ、姿勢センサ及びプロセッサ回路は、第1ハウジングに連結されている。
【0147】
例44では、例42~43の主題は、任意選択的に、舌の位置に関する情報、又は患者の気道の開放を示す音響情報を提供するように構成されている加速度計を含む、第1センサを含むか又は使用することができる。
【0148】
例45では、例42~44の主題は、任意選択的に、舌下神経の第1枝に又はその近くに配置され、誘発複合活動電位(ECAP)を検知するように構成されている、1つ又は複数の電極を含む、第1センサを含むか又は使用することができる。
【0149】
例46では、例42~45の主題は、任意選択的に、直立姿勢、伏臥姿勢、仰臥姿勢、右横臥姿勢又は左横臥姿勢の特定の姿勢タイプを示す、姿勢信号を含むか又は使用することができ、プロセッサ回路は、特定の姿勢タイプに基づいて、他の複数の療法の中から後続の電気刺激療法を選択するように構成することができる。例46では、後続の電気刺激療法は、電気刺激パルス幅、パルス振幅、波形形状、刺激周波数、バーストパターン及び電極構成のうちの1つ以上について、他の複数の療法と異なり得る。
【0150】
例47では、例42~46の主題は、任意選択的に、片側電気刺激療法及び両側電気刺激療法のうちの一方を含む、第1電気刺激療法を含むか又は使用することができ、後続の電気刺激療法は、片側電気刺激療法及び両側電気刺激療法のうちの他方を含む。
【0151】
例48は、処理回路によって実行されると、処理回路に、例1~47のうちの任意のものを実施するための動作を実行させる命令を含む、1つ以上の機械可読媒体である。
例49は、例1~47のうちの任意のものを実施する手段を備える装置である。
【0152】
例50は、例1~47のうちの任意のものを実施するシステムである。
例51は、例1~47のうちの任意のものを実施する方法である。
これらの非限定的な例の各々は、独立することができ、又は他の例のうちの1つ又は複数とさまざまな入替え又は組合せで組み合わせることができる。
【0153】
上記の説明は、詳細な説明の一部を形成する添付図面への参照を含む。図面は、例示として、本発明を実施することができる具体的な実施形態を示す。これらの実施形態は、本明細書では「例」も称する。こうした例は、図示又は記載したものに加えて、要素を含むことができる。しかしながら、本発明者らは、図示又は記載した要素のみが提供される例も企図する。さらに、本発明者らは、特定の例(又はその1つ若しくは複数の態様)に関して、又は本明細書に図示又は記載した他の例(又はその1つ若しくは複数の態様)に関して、図示又は記載したそれらの要素の任意の組合せ又は入替えを使用する例(又はその1つ若しくは複数の態様)も企図する。
【0154】
本文書において、「1つの(a)」又は「1つの(an)」という用語は、特許文献で一般的であるように、「1つ以上の」又は「1つ又は複数」の他の任意の例又は用法とは無関係に、1つ又は2つ以上を含むように使用されている。本文書では、「又は(若しくは)」という用語は、非排他的な「又は(若しくは)」を述べるために使用されており、「A又はB」は、別段の指示がない限り、「AではあるがBではない」、「BではあるがAではない」、及び「A及びB」を含む。本文書において、「含む(including)」及び「そこでは(in which)」という用語は、「備える(comprising)」及び「そこでは(wherein)」というそれぞれの用語の平易な英語の等価物として使用されている。また、以下の特許請求の範囲において、「含む(including)」及び「備える、含む(comprising)」という用語は、非限定的(open-ended)であり、すなわち、ある請求項においてそうした用語の前に記載する要素に加えて要素を含む、システム、デバイス、成形品、物品、組成物、配合物又はプロセスは、依然としてその請求項の範囲内にあるとみなされる。さらに、以下の特許請求の範囲において、「第1」、「第2」及び「第3」等の用語は、単にラベルとして使用されており、それらの対象に数値的な要件を課すようには意図されていない。
【0155】
本明細書に記載した方法例は、植込み型システム602、外部システム620、機械1300を使用するか、又は本明細書で考察した他のシステム、デバイス若しくはコンポーネントを使用する等して、少なくとも一部、機械又はコンピュータで実装することができる。いくつかの例は、1つ又は複数の疾患又は障害を治療するように、上記の例で説明したような神経調節療法制御方法等の方法を実行するように電子デバイスを構成するように動作可能な命令をコード化した、コンピュータ可読媒体又は機械可読媒体を含むことができる。一例では、命令は、1つ又は複数の生理学的センサからセンサデータを受信し、センサデータに基づいて、療法をタイトレーションする命令を含むことができる。こうした方法の実施態様は、マイクロコード、アセンブリ言語コード、高水準言語コード等のコードを含むことができる。こうしたコードは、さまざまな方法を実行するためのコンピュータ可読命令を含むことができる。コードは、コンピュータプログラム製品の一部を形成することができる。さらに、一例では、コードは、実行中又は他の時点等に、1つ又は複数の揮発性の非一時的、又は不揮発性の有形のコンピュータ可読媒体に有形的に格納することができる。これらの有形コンピュータ可読媒体の例としては、限定されないが、ハードディスク、リムーバブル磁気ディスク、リムーバブル光ディスク(例えば、コンパクトディスク及びデジタルビデオディスク)、磁気カセット、メモリカード又はメモリスティック、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)等を挙げることができる。
【0156】
上記の説明は、限定的なものではなく、例示的であるように意図されている。例えば、上述した例(又はその1つ若しくは複数の態様)は、互いに組み合わせて使用してもよい。例えば、当業者であれば上記の説明を検討した上で、他の実施形態を使用することができる。要約書は、読者が技術的な開示の性質を迅速に確認することができるようにするために提供される。これは、請求項の範囲又は意味を解釈又は制限するために使用されるものではないということを理解した上で提出される。また、上記の詳細な説明では、開示を合理化するために、さまざまな特徴をまとめて記載している場合がある。これは、請求していないが開示している特徴がいかなる請求項にも不可欠であることを意図していると解釈されるべきではない。むしろ、発明の主題は、特定の開示した実施形態のすべての特徴にあるとは限らない場合がある。したがって、以下の特許請求の範囲は、例又は実施形態として詳細な説明に組み込まれ、各請求項は、別個の実施形態として独立しており、そうした実施形態は、さまざまな組合せ又は入替えで互いに組み合わせることができることが企図される。本発明の範囲は、添付の請求項と、そうした請求項に権利が与えられる均等物の全範囲とを参照して決定される。
【手続補正書】
【提出日】2024-05-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植込み型神経調節システムであって、
患者の前頸部領域に植え込まれるように構成されている第1ハウジングと、
前記第1ハウジングに連結され、顎下領域に配置されるように構成されている第1電極リード線であって、前記第1電極リード線上の1つ以上の電極は、前記患者の舌下神経の第1枝に又は前記患者の前記舌下神経の前記第1枝の近くに配置されるように構成されている、第1電極リード線と、
前記1つ以上の電極を使用して前記患者に提供される第1電気刺激療法に対する患者の応答に関する情報を含むセンサ信号を提供するように構成されている第1センサであって、前記第1電気刺激療法は、前記患者の睡眠障害又は呼吸障害を治療するように構成されている、第1センサと、
前記第1ハウジングに配置されたプロセッサ回路であって、前記センサ信号に基づいて電気刺激療法パラメータを更新するように、且つ、前記患者の前記睡眠障害又は前記呼吸障害を治療するように構成されている後続の電気刺激療法において、更新された前記電気刺激療法パラメータを使用するように構成されているプロセッサ回路と、を備える、植込み型神経調節システム。
【請求項2】
前記センサ信号は、前記第1電気刺激療法に対する神経応答に関する情報を含む、請求項1に記載の植込み型神経調節システム。
【請求項3】
前記第1電気刺激療法に対する前記神経応答に関する前記情報は、誘発複合活動電位(ECAP)に関する情報を含む、請求項2に記載の植込み型神経調節システム。
【請求項4】
前記ECAPに関する前記情報は、ECAP信号のピークの大きさ特性に関する情報を含み、前記第1電気刺激療法及び前記後続の電気刺激療法は、異なるECAP信号のピークの大きさ特性を誘発するように構成されている、請求項2に記載の植込み型神経調節システム。
【請求項5】
前記第1センサは、前記第1電極リード線上に、又は前記患者の前記舌下神経に若しくは前記患者の前記舌下神経の近くに配置された別のリード線上に1つ又は複数の電極を含む、請求項2に記載の植込み型神経調節システム。
【請求項6】
前記第1センサは、前記第1ハウジング内に配置された又は前記第1ハウジングに結合された加速度計を含む、請求項1に記載の植込み型神経調節システム。
【請求項7】
前記センサ信号は、前記患者の舌の運動又は位置に関する情報を含む、請求項6に記載の植込み型神経調節システム。
【請求項8】
前記センサ信号は、気道の開放を示す音響情報を含む、請求項6に記載の植込み型神経調節システム。
【請求項9】
前記音響情報は、前記患者がいびきをかいているか否かを示す、請求項8に記載の植込み型神経調節システム。
【請求項10】
前記プロセッサ回路は、舌の位置を変化させるか又は前記舌の運動を誘導するように前記電気刺激療法パラメータを更新するように構成されている、請求項1に記載の植込み型神経調節システム。
【請求項11】
前記プロセッサ回路は、患者の姿勢状態に基づいて前記電気刺激療法パラメータを更新するように構成されている、請求項1に記載の植込み型神経調節システム。
【請求項12】
前記プロセッサ回路は、前記センサ信号からの情報を使用して前記患者の姿勢状態を決定するように構成されている、請求項11に記載の植込み型神経調節システム。
【請求項13】
前記プロセッサ回路は、前記患者に対する目標治療シグネチャを確立するように構成されており、前記プロセッサ回路は、前記センサ信号からの情報に基づいて、前記目標治療シグネチャを達成するように前記電気刺激療法パラメータを変更するように構成されている、請求項1に記載の植込み型神経調節システム。
【請求項14】
前記目標治療シグネチャは、誘発複合活動電位(ECAP)信号の大きさを含む、請求項13に記載の植込み型神経調節システム。
【請求項15】
前記目標治療シグネチャは、指定された舌の変位又は指定された舌の位置を含む、請求項14に記載の植込み型神経調節システム。
【請求項16】
前記目標治療シグネチャは、閉塞していない気道を示す音響プロファイルを含む、請求項14に記載の植込み型神経調節システム。
【請求項17】
前記目標治療シグネチャは、前記患者の閉塞していない気道に対応する、請求項13に記載の植込み型神経調節システム。
【請求項18】
前記プロセッサ回路は、前記後続の電気刺激療法に使用されるパルス幅、パルス振幅、波形形状、刺激周波数、バーストパターン及び電極構成のうちの1つ又は複数を変更することにより、前記電気刺激療法を更新するように構成されている、請求項1に記載の植込み型神経調節システム。
【請求項19】
前記プロセッサ回路は、前記後続の電気刺激療法に対するECAP信号応答の大きさが、前記第1電気刺激療法に対するECAP信号応答の大きさと相違するか否かを判定するように構成されており、前記プロセッサ回路は、ECAP信号応答の前記相違に関する情報を使用して、さらなる後続の電気刺激療法で使用されるパラメータを選択するように構成されている、請求項1に記載の植込み型神経調節システム。
【請求項20】
前記プロセッサ回路は、前記後続の電気刺激療法に対する舌の移動又は変位応答が、前記第1電気刺激療法に対する舌の移動又は変位応答と相違するか否かを判定するように構成されており、前記プロセッサ回路は、舌の移動又は変位の前記相違に関する情報を使用して、さらなる後続の電気刺激療法で使用されるパラメータを選択するように構成されている、請求項1に記載の植込み型神経調節システム。
【請求項21】
前記プロセッサ回路は、前記第1電気刺激療法に続く音響応答が、前記後続の電気刺激療法に続く音響応答と相違するか否かを判定するように構成されており、前記音響応答は、前記患者の気道閉塞の異なるレベルを示し、前記プロセッサ回路は、音響応答の前記相違に関する情報を使用して、さらなる後続の電気刺激療法で使用されるパラメータを選択するように構成されている、請求項1に記載の植込み型神経調節システム。
【請求項22】
前記第1センサは、前記患者の気道の虚脱の同心性に関する情報を含む前記センサ信号を提供するように構成されている、請求項1に記載の植込み型神経調節システム。
【請求項23】
前記プロセッサ回路は、刺激モードを片側刺激構成から両側刺激構成に変更することにより、前記電気刺激療法パラメータを更新するように構成されている、請求項1に記載の植込み型神経調節システム。
【請求項24】
前記片側刺激構成及び前記両側刺激構成は、同じ神経組織の少なくとも一部を刺激するように構成されている、請求項23に記載の植込み型神経調節システム。
【請求項25】
前記第1センサは、気道閉塞の偏り方向に関する情報を含む前記センサ信号を提供するように構成されており、更新された前記電気刺激療法パラメータは両側電気刺激療法パラメータを含む、請求項1に記載の植込み型神経調節システム。
【請求項26】
前記第1電気刺激療法は両側電気刺激療法を含む、請求項25に記載の植込み型神経調節システム。
【請求項27】
前記第1ハウジングは、前記患者の前記前頸部領域のオトガイ下三角に植え込まれるように構成されている、請求項1に記載の植込み型神経調節システム。
【請求項28】
植込み型神経調節デバイスの作動方法であって、
前記植込み型神経調節デバイスは、前記植込み型神経調節デバイスの信号発生回路に連結された第1電極リード線を備え、前記第1電極リード線は、患者の第1脳神経標的に又は前記第1脳神経標的の近くに配置されるように構成されており、前記作動方法は、
目標治療シグネチャを確立する目標治療シグネチャ確立工程と、
前記第1電極リード線の電極を使用し
て前記第1脳神経標的に適用
される第1神経調節療法用の第1電気信号を発生する前記信号発生回路が作動する、第1
電気信号発生回路作動工程と、
前記第1電気信号発生回路作動工程に応答して、第1治療シグネチャを検出する第1治療シグネチャ検出工程と、
前記第1治療シグネチャと前記目標治療シグネチャとの相違を決定する相違決定工程と、
前記第1電極リード線の前記電極を使用し
て前記第1脳神経標的に適用
される第2神経調節療法用の第2電気信号を発生する前記信号発生回路が作動する、第2
電気信号発生回路作動工程であって、前記第2電気信号の特性は、前記第1治療シグネチャと前記目標治療シグネチャとの決定された前記相違に基づいて選択される、工程と、を備える、
植込み型神経調節デバイスの作動方法。
【請求項29】
前記目標治療シグネチャは、前記患者の舌の目標位置又は目標変位に関する情報を含む、請求項28に記載の
植込み型神経調節デバイスの作動方法。
【請求項30】
前記目標治療シグネチャは、舌下神経標的についての誘発複合活動電位に関する情報を含む、請求項28に記載の
植込み型神経調節デバイスの作動方法。
【請求項31】
前記目標治療シグネチャは、前記患者の気道閉塞又は気道開放を示す音響プロファイルに関する情報を含む、請求項28に記載の
植込み型神経調節デバイスの作動方法。
【請求項32】
前記目標治療シグネチャ確立工程は、前記第1脳神経標的に
適用される試験神経調節療法
用の信号を
発生する前記信号発生回路が作動する、試験電気信号発生回路作動工程と、
前記試験電気信号発生回路作動工程に応答して、前記第1脳神経標的における又は前記第1脳神経標的の近くにおける誘発複合活動電位(ECAP)の大きさと、前記患者の気道の開放を示す音響プロファイルと、前記患者の舌の運動とを監視する工程と、を含む、請求項28に記載の
植込み型神経調節デバイスの作動方法。
【請求項33】
前記目標治療シグネチャ確立工程は、前記患者に植え込まれ
るように又は前記患者に連結
されるように構成されている加速度計からの情報を使用する工程を含む、請求項28に記載の
植込み型神経調節デバイスの作動方法。
【請求項34】
前記第1治療シグネチャ検出工程は、加速度計からの音響信号又は物理的変位情報を使用する工程を含み、前記目標治療シグネチャ確立工程は、同じ加速度計からの情報を使用する工程を含む、請求項28に記載の
植込み型神経調節デバイスの作動方法。
【請求項35】
前記第2電気信号の発生用のパルス幅、パルス振幅、波形形状、周波数、バーストパターン及び電極構成のうちの1つ又は複数は、前記第1電気信号に対して変更される、請求項28に記載の
植込み型神経調節デバイスの作動方法。
【請求項36】
前記第1
電気信号発生回路作動工程は、閉塞性睡眠時無呼吸を治療するため
に前記患者の舌下神経に適用
される前記第1神経調節療法用の第1電気信号を発生する前記信号発生回路が作動する工程を含む、請求項28に記載の
植込み型神経調節デバイスの作動方法。
【請求項37】
前記目標治療シグネチャ確立工程は、患者の姿勢に関する情報を使用する工程を含む、請求項28に記載の
植込み型神経調節デバイスの作動方法。
【請求項38】
前記第1電気信号は、片側電気刺激療法用の電気信号を含み、
前記第2電気信号は、両側電気刺激療法用の電気信号を含む、請求項28に記載の
植込み型神経調節デバイスの作動方法。
【請求項39】
前記相違決定工程は、前記患者の特定の側への舌の位置の偏りを特定する工程を含む、請求項28に記載の
植込み型神経調節デバイスの作動方法。
【請求項40】
前記第2電気信号は、前記患者の正中線の少なくとも一部にわたって提供される両側電気刺激療法
信号を含む、請求項39に記載の
植込み型神経調節デバイスの作動方法。
【請求項41】
前記第2電気信号は、前記患者の正中線の両側のそれぞれの神経標的に提供される一対の電気刺激療法信号を含む、請求項39に記載の
植込み型神経調節デバイスの作動方法。
【請求項42】
植込み型神経調節システムであって、
電気刺激信号発生回路に連結された第1電極リード線であって、患者の舌下神経の第1枝に又は前記患者の前記舌下神経の前記第1枝の近くに配置されるように構成され、且つ前記患者の睡眠障害又は呼吸障害を治療するために第1電気刺激療法を提供するように構成されている第1電極を備える第1電極リード線と、
前記第1電気刺激療法に対する患者の応答に関する情報を含むセンサ信号を提供するように構成されている第1センサであって、前記患者の応答は、前記患者の気道の音響プロファイルと、前記患者の舌の位置の変化と、前記舌下神経の一部の誘発複合活動電位(ECAP)に関する情報とのうちの1つ以上を含む、第1センサと、
患者の姿勢に関する情報を含む姿勢信号を提供するように構成されている姿勢センサと、
前記センサ信号及び前記姿勢信号の各々からの情報を使用して、前記患者の前記睡眠障害又は呼吸障害を治療するための後続の電気刺激療法を選択するように構成されているプロセッサ回路と、を備える、植込み型神経調節システム。
【請求項43】
前記患者の前頸部領域に植え込まれるように構成されている第1ハウジングをさらに備え、前記第1電極リード線、前記第1センサ、前記姿勢センサ及び前記プロセッサ回路は、前記第1ハウジングに連結されている、請求項42に記載の植込み型神経調節システム。
【請求項44】
前記第1センサは、前記舌の位置に関する情報、又は前記患者の前記気道の開放を示す音響情報を提供するように構成されている加速度計を含む、請求項42に記載の植込み型神経調節システム。
【請求項45】
前記第1センサは、前記舌下神経の前記第1枝に又は前記舌下神経の前記第1枝の近くに配置され、前記誘発複合活動電位(ECAP)を検知するように構成されている、1つ又は複数の電極を含む、請求項42に記載の植込み型神経調節システム。
【請求項46】
前記姿勢信号は、直立姿勢、伏臥姿勢、仰臥姿勢、右横臥姿勢又は左横臥姿勢の特定の姿勢タイプを示し、前記プロセッサ回路は、前記特定の姿勢タイプに基づいて、他の複数の療法の中から前記後続の電気刺激療法を選択するように構成されており、
前記後続の電気刺激療法は、電気刺激パルス幅、パルス振幅、波形形状、刺激周波数、バーストパターン及び電極構成のうちの1つ以上が、前記他の複数の療法と異なる、請求項42に記載の植込み型神経調節システム。
【請求項47】
前記第1電気刺激療法は、片側電気刺激療法及び両側電気刺激療法のうちの一方を含み、前記後続の電気刺激療法は、前記片側電気刺激療法及び前記両側電気刺激療法のうちの他方を含む、請求項42に記載の植込み型神経調節システム。
【国際調査報告】