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特表2024-532417電子デバイスのリサイクル可能な設計
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】電子デバイスのリサイクル可能な設計
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/28 20060101AFI20240829BHJP
   H01L 23/14 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
H01L23/28 Z
H01L23/14 R
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513353
(86)(22)【出願日】2022-08-29
(85)【翻訳文提出日】2024-04-26
(86)【国際出願番号】 NL2022050492
(87)【国際公開番号】W WO2022220688
(87)【国際公開日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】21193837.8
(32)【優先日】2021-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522394225
【氏名又は名称】ネザーランズ オーガニサイト フォー トゥーホパスト ナチュルヴェンテンスハッペリク オーダーズック ティエヌオー
【氏名又は名称原語表記】NEDERLANDSE ORGANISATIE VOOR TOEGEPAST-NATUURWETENSCHAPPELIJK ONDERZOEK TNO
【住所又は居所原語表記】Anna van Buerenplein 1, 2595 DA ’s-Gravenhage, The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハーケマ ステファン
(72)【発明者】
【氏名】トゥニッセン ジャン-ピエール
(72)【発明者】
【氏名】レントロップ コルネリス ヘルマナス アーノルドゥス
(72)【発明者】
【氏名】デ コック マルガレータ マリア
【テーマコード(参考)】
4M109
【Fターム(参考)】
4M109AA01
4M109BA03
4M109CA10
4M109DB20
4M109EA01
4M109GA10
(57)【要約】
電子デバイス100は、使用期間中の有用性を維持しつつその寿命が尽きた際に、より簡単にリサイクルされるように設計される。電子デバイスは、第一の基板11、封入層19、およびその間に配置された一組の電子機器15を含む。一つ以上の剥離層12、18は、一組の電子機器15を第一の基板11および封入層19の少なくとも一方、好ましくは両方から分離するように、一組の電子機器15の少なくとも一方、好ましくは両側を覆う。一つ以上の剥離層12、18に覆われた一組の電子機器15は、封入層19と第一の基板11との間に封入される。剥離層12、18の少なくとも一つは、封入層19の材料で満たされた一組の通路12p、18pを含み、一組の通路は、封入層19と第一の基板11との間に一組の相互接続部19pを形成する。
【選択図】図1C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リサイクル可能な電子デバイス(100)を製造するための方法であって、
スタック(10)を提供することであって、当該スタック(10)が、当該スタック(10)の第1の側(S1)に配置された第1の基板(11)と、
電子部品(15c)を有する回路を含む一組の電子機器(15)と、
前記一組の電子機器(15)の少なくとも一方の側を覆う一つ以上の剥離層(12、18)と、
を含む、前記スタック(10)を提供することと、
配置される封入層(19)と前記第1の基板(11)との間に、前記一つ以上の剥離層(12、18)を封入するために、前記第1の側(S1)とは反対側の前記スタック(10)の第2の側(S2)に、前記封入層(19)を配置することと、
を含み、
前記一つ以上の剥離層(12、18)は、前記電子部品(15c)を前記第1の基板(11)および/または前記封入層(19)から分離させるように構成されており、
前記一つ以上の剥離層(12、18)の少なくとも一つが、前記一つ以上の剥離層(12、18)を通る一組の通路(12p、18p)を含み、
前記封入層(19)が、少なくとも部分的に液化した形態で配置され、少なくとも部分的に液化した前記封入層(19)の第1部分(19p)が、前記第1の基板(11)に直接接続するために一組の通路(12p、18p)を貫通し、
前記一組の通路(12p、18p)内の前記第1部分(19p)を含む前記封入層(19)が固化され、前記一組の通路(12p、18p)内の前記封入層(19)の前記固化した第1部分(19p)が、少なくとも一つの剥離層(12、18)を通して前記封入層(19)の第2部分(19q)と前記第1の基板(11)との間に一組の接続部を形成する、方法。
【請求項2】
前記剥離層(12、18)は、
前記第1の基板(11)と前記一組の電子機器(15)との間に配置された第1の剥離層(12)と、
第2の剥離層(18)と、を含み、
前記スタック(10)の前記第2の側(S2)に前記封入層(19)を配置する際に、前記剥離層(12、18)が、前記配置された封入層(19)と前記第1の基板(11)との間に封入され、前記一組の電子機器(15)が、前記電子部品(15c)を前記第1の基板(11)と前記封入層(19)の両方から分離するために前記剥離層(12、18)の間に埋め込まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記一つ以上の剥離層(12、18)は、互いにおよび/または前記第1の基板(11)および/または前記封入層(19)に対する表面積当たりの接着力が、前記剥離層が存在しない場合の前記第1の基板(11)と前記封入層(19)との間の接着力と比べて、相対的に弱い、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記剥離層(12、18)のそれぞれが、互いに重なりあう対応する一組の通路(12p、18p)を含み、
前記少なくとも部分的に液化した封入層(19)の前記部分(19p)が、前記第1の基板(11)に接続するために前記重なりあう組の通路(12p、18p)を貫通し、
前記第1および第2の組の通路(12p、18p)内の前記封入層(19)の前記固化した部分(19p)が、拡張された剥離面(E12、E18)のそれぞれを通って前記封入層(19)と前記第1の基板(11)との間で一組の接続部を形成する、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記一つ以上の剥離層(12、18)の少なくとも第1の剥離層(12)が、前記スタック(10)にプリントされ、一組の回路線が前記第1の剥離層(12)上にプリントされ、前記一組の電子機器(15)が前記回路線と電気的に接続される、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記一組の電子機器(15)が、前記剥離層(12、18)の間に埋め込まれた別個の電子基板上に形成される、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記第1の基板(11)が前記電子デバイス(100)の前面を形成し、前記一組の電子機器における一つ以上の照明デバイスのための窓部(11w)を残して、少なくともいくつかの前記電子部品の前側の視界を覆うグラフィックス層(11g)を含む、請求項1から6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記一つ以上の剥離層が、前記一組の電子機器(15)と前記第1の基板(11)との間に配置された第1の剥離層(12)と、前記一組の電子機器(15)と前記封入層(19)との間に配置された第2の剥離層(18)とを含み、前記第1の剥離層(12)の表面(A12)が前記第2の剥離層(18′)の表面(A18′)よりも大きく、より大きな前記第1の剥離層(12)の外周が、より小さな前記第2の剥離層(18′)の外周を包囲し、各剥離層(12、18、18′)の外周が、前記一組の電子機器(15)の外周を包囲する、請求項1から7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記第1の基板(11)の表面(A11)が、各々の前記一つ以上の剥離層(12、18、18′)の表面(A12、A12、A18′)よりも大きく、前記第1の基板(11)および前記封入層(19)の両方の外周が、各々の前記一つ以上の剥離層(12、18、18′)の対応する外周を包囲する、請求項1から8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記スタック(10)の少なくとも一部が初めは平面であり、熱成形プロセスにより非平面形状(10′)に変形される、請求項1から9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記スタック(10)は、前記スタック(10)上に前記一組の電子機器(15)の少なくとも一部を配置した後、かつ前記封入層(19)を配置する前に、変形される、請求項1から10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
請求項1から11のいずれかに記載の方法により製造された、リサイクル可能な電子デバイス(100)であって、
第一の基板(11)と、
封入層(19)と、
前記第一の基板(11)と前記封入層(19)との間に配置された電子部品(15c)を有する回路を含む一組の電子機器(15)と、
前記第一の基板(11)および前記封入層(19)の少なくとも一つ、好ましくは両方から前記一組の電子機器(15)を分離するために、前記一組の電子機器(15)の少なくとも一方、好ましくは両側を覆う、一つ以上の剥離層(12、18)と、
を含み、
前記一つ以上の剥離層(12、18)に覆われた前記一組の電子機器(15)は、前記封入層(19)と前記第一の基板(11)の間に封入されており、
前記一つ以上の剥離層(12、18)の少なくとも一つが、前記封入層(19)の材料で満たされた一組の通路(12p、18p)であって、前記一つ以上の剥離層(12、18)を通って、前記封入層(19)と前記第一の基板(11)との間に一組の相互接続部(19p)を形成する一組の通路(12p、18p)を含む、リサイクル可能な電子デバイス(100)。
【請求項13】
前記一つ以上の剥離層は水に溶解する、請求項12に記載のリサイクル可能な電子デバイス(100)。
【請求項14】
前記封入層(19)は、前記封入層(19)の外部から前記第一の基板(11)と前記封入層(19)の内面間の前記デバイス内部の前記一つ以上の剥離層(12、18)まで延びる開放通路によって形成される流体入口(19r)を含む、請求項12または13に記載のリサイクル可能な電子デバイス(100)。
【請求項15】
電子デバイス(100)をリサイクルするための方法であって、
請求項14に記載のリサイクル可能な電子デバイス(100)を提供することと、
前記第一の基板(11)と前記封入層(19)の間の前記一つ以上の剥離層(12、18)に向けて前記封入層(19)を通して流体(Sr)を前記流体入口(19r)に注入することと、
を含み、
前記注入された流体(Sr)は、前記注入された流体の圧力により前記第一の基板(11)と前記封入層(19)とを分離させ、および/または前記注入された流体(Sr)は、前記一つ以上の剥離層(12、18)を溶解または分解させ、
前記封入層(19)と前記第一の基板(11)の間の前記一組の相互接続部が切断され、前記一組の電子機器(15)が前記注入された流体(Sr)に露出され、前記一組の電子機器(15)は、前記電子部品(15c)のうちの一つ以上をリサイクルするために、前記第一の基板(11)および前記封入層(19)の少なくとも一つ、好ましくは両方から外される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子デバイスおよび電子デバイスの製造およびリサイクル方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(例えば自動車における)電子デバイスのリサイクルは、プリンテッド・エレクトロニクス(PE)コミュニティにとって課題である。PE技術はプリント回路基板(Printed Circuit Board、PCB)の代替品よりもはるかに環境に優しいと予想されているが、高度な統合により、元の製品から電子デバイスを解体することが非常に困難であり、現在のリサイクル循環を乱す。例えば、現在の電子デバイスのリサイクルは、PCBを囲むパッケージが容易に取り外せるため、PCBレベルで行われている。将来的には、電子デバイスは完全な製品(例えば、構造電子デバイスや3Dプリント電子デバイス)の一部となるだろう。現在、PCBボードは、適切にリサイクルされて再利用される代わりに、粉砕されている。したがって、PEにおける薄片ベースの代替品はすでに大きな前進である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、製造可能性と有用性への影響を最小限に抑えつつ、電子デバイスのリサイクル性を改善するためのさらなる改善が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示のいくつかの側面は、例えば、寿命の終了時に部品に分解されるようなより簡単にリサイクル可能な電子デバイスを製造するための製造方法に関する。典型的には、電子デバイスは、層間に配置され、および/または層の一つを形成するような一組の電子機器を含む層のスタックを含んでよい。分離を容易にするために、一つ以上の剥離層を、電子機器の少なくとも一方、好ましくは両側を覆うようにスタックの一部として設けることができる。例えば、少なくとも一つの剥離層の上に封入層を配置して、電子機器とその間の一つ以上の剥離層の両方を封入することができる。この配置では、一つ以上の剥離層は、封入層からおよび/またはスタックの他の層、例えば、封入層に対して電子機器の反対側面にある(第一の)基板から、電子部品を分離させて保持してよい。
【0005】
剥離とは、材料または物体、この場合はスタック、を層に分離できるプロセスである。これは、デボンディングと呼ばれてもよい。理解されるように、一つ以上の剥離層を電子機器の一方または両側に配置することにより、後のリサイクルプロセス中(デバイスの使用終了後)に、電子部品を基板および/または封入層から比較的容易に分離可能としてよい。したがって、部品および/または回路部品は、基板または封入層に(くっついて)覆われることなく、一組の電子機器からより容易に分離することができる。これにより、デバイスのリサイクル性が改善しうる。電子機器の両側面をそれぞれ剥離層で覆うことにより、部品は基板と封入層の両方から容易に分離とされてよい。したがって、部品は後のリサイクルプロセス中に完全に分離することができる。
【0006】
剥離層を通る選択的な通路を設けることにより、通常の使用中に基板の意図しない剥離を防ぐために限定的な一組の接続部が確立されることができる。例えば、通路内の固化材料は、基板と封入層を相互に接続する一組の柱を形成してよく、これは剥離層によって分離された周囲の領域と比較して相対的に強い接続を提供することができる。それにもかかわらず、これらの限定的な接続部、例えば相互接続柱は、後のリサイクルプロセス中において分離できる程度に弱くてよい。これにより、デバイスのリサイクル性を維持しながら、有用性をさらに向上させることができる。
【0007】
また、少なくとも一つの剥離層の領域を(電子機器の外周を超えて)さらに拡大することにより、封入層の包囲部分と基板を互いに分離することができる。したがって、基板と封入層の材料も、後のリサイクルプロセスにおいて、互いに分離することができる。これにより、デバイスのリサイクル性がさらに向上しうる。剥離面のそれぞれを通る重なり合う通路の組を提供することにより、基板と封入層は、後のリサイクルプロセス中に(小さな接続部の切断による)剥離を可能としつつ、使用中に意図しない剥離を防ぐためにそれぞれの点で相互接続されてよい。これにより、デバイスのリサイクル可能性を維持しながら、有用性をさらに向上させてよい。
【0008】
基板と剥離層の間においても一つの剥離層で相対的に大きな領域を覆い、一方で(可能な限り小さなマージンで)一組の電子機器のみを覆うように別の剥離層の領域を相対的に小さく保つことにより、一組の電子機器の外周を超えて不必要な二重剥離層の無駄を防いで、一組の電子機器、および基板と封入層の完全な分離が可能とされてよい。相対的に大きな剥離層上に一組の電子機器を配置し、相対的に小さな剥離層で一組の電子機器を覆うことにより、製造を簡素化し、および/または少なくとも初期のスタック製造時に突出した層の曲がりを防ぐことができる。例えば、相対的に小さな剥離層はグローブトップとして機能することができる。
【0009】
基板を(最大面積の)剥離層の面積よりも大きな総表面積とすることにより、基板の外縁は封入層に直接接触しないままとしてよい。このように、剥離層は基板と封入層の間において端部で完全に封入されてよい。これにより、端部における意図しない剥離を防ぎ、デバイスの有用性を改善することができる。基板の端部を、最大の剥離層の端部を大きく超えて延ばさないことにより、後のリサイクルプロセス中に基板から封入層を比較的容易に分離することも可能となりうる。各剥離層の総表面積を、一組の電子機器の端部をわずかに超えて拡張することにより、不必要に材料を無駄にすることなく電子機器は十分に封入され、他の層から分離可能とされてよい。
【0010】
他のまたはさらなる側面は、例えば、ここで説明される製造方法を使用して製造されたリサイクル可能な電子機器に関連する。デバイスは、基板、封入層、および電子部品を含む一組の電子機器を含む。第一の剥離層は、一組の電子機器と基板との間に配置され、および/または第二の剥離層は、一組の電子機器と封入層との間に配置される。したがって、一組の電子機器は、第一および第二の剥離層の間に封入されうる。同様に、剥離層を含む封入パッケージ自体が、基板および封入層によって封入されることができる。好ましくは、一つまたは両方の剥離層は、例えば封入層の材料で満たされ、封入層と基板との間に一組の相互接続部を形成する小さな貫通孔などの一組の通路を含む。
【0011】
他のまたはさらなる側面は、例えば、本明細書で説明されているような電子デバイスのリサイクル方法に関連する。いくつかの実施形態では、流体、例えば、(熱い)液体溶媒が、(基板と封入層の間の)一つ以上の剥離層に向けて封入層を通して流体入口に注入される。他のまたはさらなる実施形態では、基板および/または封入層の端部が切り取られ、または穴が開けられて剥離層が露出し、その露出した端部を介して基板と封入層の間に流体が注入される。注入された流体は、注入された流体の圧力により基板と封入層を分離させることができ、および/または注入された流体が第1および/または第2の剥離層を溶解または分解する。したがって、封入層と基板との間の相互接続部を切断することができる。このようにして、電子部品の一つまたは複数をリサイクルするために一組の電子機器が基板および封入層の少なくとも一方、好ましくは両方から外されてよい。さらに、基板と封入層は、個別にリサイクルするために互いに分離されてよい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本開示の装置、システム、および方法の特徴および他の特徴、側面、および利点は、以下の説明、添付の請求項、および添付の図面からよりよく理解されるだろう。
図1A】電子デバイスの製造を示す。
図1B】電子デバイスの製造を示す。
図1C】電子デバイスの製造を示す。
図2A】非平面のデバイスの製造を示す。
図2B】非平面のデバイスの製造を示す。
図2C】非平面のデバイスの製造を示す。
図3A】リサイクル可能なデバイスを示す。
図3B】デバイスのリサイクルを示す。
図3C】デバイスのリサイクルを示す。
図4A】各電子デバイスのさらなる側面を示す。
図4B】各電子デバイスのさらなる側面を示す。
図5A】一つの剥離層を有する電子デバイスの製造を示す。
図5B】一つの剥離層を有する電子デバイスの製造を示す。
図5C】一つの剥離層を有する電子デバイスの製造を示す。
図6A】2つのステップにおける封入層の配置を示す。
図6B】2つのステップにおける封入層の配置を示す。
図6C】2つのステップにおける封入層の配置を示す。
図7A】さらなる層の配置を示す。
図7B】さらなる層の配置を示す。
図7C】さらなる層の配置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
特定の実施形態を説明するのに使用される用語は、本発明を限定することを意図するものではない。本明細書で使用される場合、単数形の「一つ(a、an)」及び「前記(the)」は、文脈が明らかにそうでないことを示さない限り、複数形も含むことを意図している。「および/または(and/or)」という用語は、関連して列挙される項目のうちの一つ以上のありとあらゆる組合せを含む。「含む(comprises)」および/または「含む(comprising)」という用語は、記載された特徴の存在を特定するが、一つ以上の他の特徴の存在又は追加を排除するものではないことが理解されよう。方法の特定のステップが別のステップの後に続くと言及される場合、特に指定されない限り、それは前記他のステップに直接続くことができ、又は特定のステップを実行する前に一つ以上の中間ステップが実行されてよいことがさらに理解されよう。同様に、構造又は構成要素間の接続が記載されている場合、この接続は、特に指定されない限り、直接又は中間の構造又は構成要素を介して確立してよいことが理解されよう。
【0014】
典型的には、従来の射出成形構造エレクトロニクス(Injection Molded Structural Electronics、IMSE)部品では、プラスチック基板が、裏側において射出成型される前に、グラフィックインク、導電性インク、および表面実装機器(Surface Mounted Devices、SMD)部品で覆われる。したがって、電子部品はプラスチックに埋め込まれ、寿命が尽きる際にこれらを再び分離する機会がない。本開示の側面は、電子回路構成と部品を配置できる、犠牲的かつリサイクル可能な層(ここでは剥離層と呼ばれる)の使用を示す。寿命が尽きる際、これらは製品のより大きなプラスチック体積(前面基板および/または射出成形された裏側)から簡単に剥がすことができる。
【0015】
本発明は、本発明の実施形態を示す添付の図面を参照して以下で詳しく説明される。図面では、システム、部品、層、および領域の絶対的および相対的な寸法は、明確性の点から誇張されている場合がある。実施形態は、本発明の可能な限り理想化された実施形態および中間構造の概略図および/または断面図を参照して説明される場合がある。説明および図面では、同様の番号は全体を通じて同様の構成要素を指す。相対的な用語およびその派生語は、そのとき説明されているか、または言及されている図面に示す方向を指すように解釈されるべきである。これらの相対的な用語は説明の便宜のためであり、特に指定されない限り、システムが特定の方向で構築または操作されることを必要としない。
【0016】
図1A-1Cは、リサイクル可能なデバイス100の製造を示している。いくつかの実施形態では、例えば図1Aおよび1Bに示されているように、機器のスタック10は、スタック10の第1の側S1に配置された第1基板11を含む。他のまたはさらなる実施形態では、スタック10は一組の電子機器15を含む。好ましくは、スタックは、少なくとも一つの剥離層12、18または18′を含む。他のまたはさらなる実施形態では、例えば図1Cに示されているように、封入層19が、第1の側S1とは反対側のスタック10の第2の側S2に配置される。典型的には、一組の電子機器15と少なくとも一つの剥離層12または18は、配置された封入層19と第1基板11との間に埋め込まれる。好ましくは、後のリサイクルプロセスにおいて、第1基板11および一組の電子機器15の少なくとも一つから一組の電子機器15を分離するために、少なくとも一つの剥離層12または18が、一組の電子機器15の少なくとも一つの側を覆う。単一の剥離層12または18の代わりに、好ましくは、リサイクルプロセスにおいて、一組の電子機器15を第1基板11および一組の電子機器15の両方からより簡単に分離するために、スタック10は、一組の電子機器15の両側を覆う少なくとも2つの剥離層12および18を含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、第1基板11は、前面基板を形成し、したがって第1の側S1は後に得られるデバイスの前側を形成することができる。例えば、封入層19は、得られるデバイスのバッキング層を形成することができる。あるいは、第1基板11は背面基板を形成し、および/またはバッキング封入層19は得られるデバイスの前側で第2の側S2であってよい。もちろん、デバイスの前または背側の指定は、例えば、照明、ディスプレイ、ボタン、ユーザーアクセスポイントなどが含まれうる、ユーザーインターフェースの一部を形成する、一組の電子機器の用途および/または向きに依存してよいことが理解される。また、デバイスの両側がユーザーインターフェースを含むことも考えられ、したがって2つの前側を形成することもある。または、デバイスのどちらの側もユーザーインターフェースとして意図されていない(例えば、内部部品または内部デバイスを形成する)場合、前側の指定は任意であってよい。
【0018】
典型的には、一組の電子機器15は、例えば1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の電子部品15c(例えばSMD)とともに回路線を含む電気回路によって形成される。いくつかの実施形態では、例えば示されているように、一組の電子機器15は、少なくとも一つの別個のエレクトロニクス基板上に形成される。一つの実施形態では、少なくとも一つの別個のエレクトロニクス基板は、剥離層12、18の間に埋め込まれる(または少なくとも一つの剥離層12、18によって覆われる)。例えば、一つ以上の電子部品15cを有する回路が、剥離層12、18の間に埋め込まれる(可撓性)基板の一方または両側に形成される。一つの実施形態では、別個のエレクトロニクス基板はOLEDデバイスを含む。また、他のまたはさらなる電子部品15cがエレクトロニクス基板上に配置されることもある。例えば、タッチ感度のあるディスプレイなどのセンサーである。これにより、部品を備えた少なくとも部分的に事前に製造された基板が、後のリサイクルプロセスでの分離を可能としつつ、スタックに配置されうる。
【0019】
一つの実施形態では、別個のエレクトロニクス基板は剥離層12、18と同じ材料で作られている。したがって、効果的に、中間に別個のエレクトロニクス基板を含む少なくとも3層の剥離材料のスタックが形成されてよい。これにより、中間層の剥離および/または分解並びに電子部品の分離がさらに容易になる可能性がある。他のまたはさらなる実施形態では、別個のエレクトロニクス基板は、例えば、PET、PEN、または他の(好ましくは可撓性の)材料のような、剥離層12、18とは異なる材料で作られている。
【0020】
いくつかの実施形態では、得られるデバイスは可撓性の機器であってもよく、または可撓性の領域を含んでもよい。例えば、封入層は相対的に薄い層を含むことができ、好ましくは可撓性のホットメルト層および/または固化後も可撓性を保つ他の材料を含むことができる。他のまたはさらなる実施形態では、得られるデバイスは剛性のデバイスであってもよく、または剛性の領域を含んでもよい。例えば、封入層は相対的に厚い層を含むことができ、または、例えば、射出成形材料などの熱硬化材料を含むことができる。また、スタックの他のまたはさらなる層は可撓性または剛性であってよい。
【0021】
いくつかの実施形態では、電子部品(例えば、回路線、SMDなど)の一部または全部が直接スタックに配置され、例えば、第1の基板11および/または第1の剥離層12に配置されることがあり、この剥離層は第1の基板11を覆うことがある。一つの実施形態では、一組の回路線および/または電気電子部品15cがスタックに、例えば、第1の基板11および/または第1の剥離層12にプリントされる。別のまたはさらなる実施形態では、一組の電子機器15が(プリントされた)回路線に電気的に接続される。別のまたはさらなる実施形態では、一組の電子機器15の一つ以上が、光誘起前方転写(Light Induced Forward Transfer、LIFT)またはピックアンドプレースなどの他の技術によって配置されることができる。
【0022】
いくつかの実施形態では、第1の基板11はグラフィックス層11gを含む。一つの実施形態では、不透明なグラフィックス層11gが少なくともいくつかの電子部品の第1の側の視界を覆う。別のまたはさらなる実施形態では、グラフィックス層11g内の透明または半透明の窓部11wが、一組の電子機器の中の、例えば、ディスプレイまたは他の照明などの一つ以上の照明デバイスからの光を通過させることができる。一つの実施形態では、グラフィックス層11gは第1の基板11の第2の側にある。したがって、第1の剥離層12および/または一組の電子機器15が第1の基板11のグラフィックス層11g上に配置されることがある。代わりに、または追加で、グラフィックス層11gは第1の側にも配置されることができる、または、グラフィックス層11gは第1の基板11に埋め込むことができる。
【0023】
いくつかの実施形態では、剥離層12、18の一方または両方が、例えばスクリーン印刷を使用してスタックにプリントされる。または、剥離層の一つ以上が、予め形成された層を重ね合わせることにより配置されることができる。また、例えば(スプレー)コーティングなどの他の方法も使用できる。好ましくは、剥離層12、18の一方または両方が、それぞれ通路12p、18pを含み、これにより封入層19の材料M19が第1の基板11に接続することが可能となる。好ましくは、通路は、例えば対応パターンを印刷または積層するなど剥離層の成膜により、直接生成される。また、例えば(スプレー)コーティングにより塗布される場合など、剥離層の一部を選択的に除去することも考えられる。
【0024】
いくつかの実施形態、実施形態では、少なくとも一つの剥離層12または18が、一組の電子機器15の外周P15を超えて延びる拡張された剥離面E12、E18を有する。好ましくは、拡張された剥離面E12、E18は、第1の基板11と封入層19の包囲部分E11、E19も分離し、これらの包囲部分E11、E19は一組の電子機器15が間にない状態で外周P15を超えて延びる。好ましい実施形態では、少なくとも一つの剥離層12または18の拡張された剥離面E12、E18は、貫通する一組の通路12pを含む。代替的に、あるいは追加で、通路は一組の電子機器15を貫通するよう設けることができる(ここでは示されていない)。例えば、別の電子基板が使用される場合、基板はまた、前側および背側の剥離層12、18における通路と重なりあう一組の通路を含むことができる。
【0025】
いくつかの実施形態では、封入層19の少なくとも一部が、少なくとも部分的に液化した形態で配置される。一つの実施形態では、少なくとも部分的に液化した封入層19の部分19pが、第1の基板11に直接接続するように一組の通路12pを貫通する。別のまたはさらなる実施形態では、封入層19(一組の通路12p内の部分19pを含む)が固化する。したがって、一組の通路12p内の封入層19の固化部分19pが、少なくとも一つの剥離層12または18を通して封入層19と第1の基板11との間に一組の接続部を形成することができる。
【0026】
好ましい実施形態では、スタック10は、一組の電子機器15の両側を覆う少なくとも二つの剥離層12および18を含む。いくつかの実施形態では、剥離層12、18のそれぞれが、それぞれ重なりあう一組の通路12p、18pを含む。別のまたはさらなる実施形態では、少なくとも部分的に液化した封入層19の部分19pが、重なりあう一組の通路12p、18pを貫通して第1の基板11に接続する。したがって、第1および第2の一組の通路12p、18pにおける封入層19の固化部分19pは、拡張された剥離面E12、E18の各々を通って封入層19と第1の基板11との間で一組の接続部を形成することができる。一つの実施形態では、少なくとも二つの剥離層12および18のそれぞれが、一組の電子機器15の外周P15を超えて延びる拡張された剥離面E12、E18を有する。したがって、少なくとも一部の重なりあう通路は、拡張された剥離面E12、E18を通って形成することができる。
【0027】
実質的に同じ面積(A12≒A18)を有する前面および第2の側の剥離層12および18に代わって、これらの層は実質的に異なる面積を有することができる。例えば、これは、図1Bで示され、そこに描かれている相対的に大きな面積の剥離層18の代わりに使用できる相対的に小さな面積の剥離層18′がある。いくつかの実施形態では、第1の剥離層12が、一組の電子機器15の外周P15、例えば別個の電子基板の基板周囲または電子部品15cの端部を超えて第1の距離D12だけ延びる第1の拡張剥離面E12を有する。他のまたはさらなる実施形態では、第2の剥離層18′が、外周P15を超えて第2の距離D18′だけ延びる第2の拡張剥離面E18′を有する。好ましくは、第2の距離D18′は第1の距離D12よりも小さい。例えば、一組の電子機器15の周囲の第1の剥離層12の第1の距離D12(マージン)は、第2の剥離層18′の第2の距離D18′(マージン)よりも少なくとも2倍、3倍、5倍、10倍、またはそれ以上大きい。言い換えれば、第1の拡張剥離面E12は、拡張剥離面E12、E18よりも大きな面積を有することができ、例えば少なくとも2倍、3倍、5倍、10倍、またはそれ以上大きい。これはまた、例えば図4Aで示されている。
【0028】
いくつかの実施形態では、例えば図1Aおよび4Aに示されているように、第1の剥離層12は第1の総表面積A12を有す。また示されているように、第2の剥離層18′は第2の総表面積A18′を有する。好ましくは、第1の総表面積A12は第2の総表面積A18′よりも大きく、例えば少なくとも1.1倍、1.2倍、1.5倍、2倍、3倍、またはそれ以上大きい。最も好ましくは、前述の(大きな)第1の剥離層12は一組の電子機器15の前側S1で、一組の電子機器15を第1の基板11から分離し、第2の剥離層18′は第2の側S2で一組の電子機器15を封入層19から分離する。
【0029】
いくつかの実施形態では、例えば図1Aまたは4Aに示されているように、第1の基板11は第3の総表面積A11を有する。好ましくは、第3の総表面積A11は、第1の剥離層12の第1の総表面積A12よりも大きい、例えば、少なくとも1パーセント、少なくとも2パーセント、少なくとも5パーセント、少なくとも10パーセント、またはそれ以上大きい。例えば、第1の剥離層12の総表面積は、剥離層の周囲によって囲まれる総表面積を含むことができ、各通路の総表面積が差し引かれてよい。好ましくは、各剥離層12または18を通る通路の総表面積は比較的小さく、例えば、剥離層の周囲を囲む総表面積の10パーセント未満、好ましくは5パーセント未満、または1パーセント未満である。例えば、図4Aおよび4Bで示すように、通路は比較的小さな柱および/または薄い壁セグメントを含む。他のまたはさらなる実施形態では、第3の総表面積A11は、第1の剥離層12の第1の総表面積A12よりも1.2倍(20パーセント)未満、好ましくは1.1倍(10パーセント)未満、さらに好ましくは1.05倍(5パーセント)未満だけ大きい。別のまたはさらなる実施形態では、第1の基板11の端が最大の剥離層12または18を超えて延びるマージンまたは距離D11は、一方で使用中の十分な封入を可能とし、一方でリサイクルプロセス中の分離を可能とする範囲で設定されてよい。例えば、マージンD11は、0.5cm以上10cm以下の範囲で設定され、好ましくは1cm以上5cm以下の範囲で設定される。
【0030】
いくつかの実施形態では、例えば図1Aまたは4Aに示されているように、一組の電子機器15は第4の総表面積A15を有する。好ましくは、第1の総面積A12および第2の総表面積A18′のそれぞれは、第4の総表面積A15よりも大きい、例えば、少なくとも1パーセント、少なくとも2パーセント、少なくとも5パーセント、少なくとも10パーセント、またはそれ以上大きい。一つの実施形態では、剥離層12および18または18′のそれぞれの周囲の端は、一組の電子機器15の周囲の端を超えて延びる。別のまたはさらなる実施形態では、最小の剥離層18の端が一組の電子機器15の端を超えて延びるマージンまたは距離D18′は、一方で一組の電子機器の十分な封入を可能とし、一方で不必要な材料の浪費を防ぐ範囲で設定されることができる。例えば、マージンD18′は、0.5cm以上10cm以下の範囲で設定され、好ましくは1cm以上5cm以下の範囲で設定され、または、より大きな剥離層内の一組の通路12pまで、またはより大きな剥離層内の一組の通路12pを含まない範囲で設定される。
【0031】
図1Bに示されている配置の代わりに、第1および背面の剥離基板12および18′の役割も逆にすることができ、例えば、より小さな背面の剥離基板18′が第1の側S1で一組の電子機器15を第1の基板11から分離し、より大きな前面の剥離基板12が第2の側S2で一組の電子機器15を封入層19から分離することができる。したがって、ここで述べられている表面積A12およびA18′および相対的なサイズ、並びに(相対的または絶対的な)距離D12およびD18′は、逆にすることもできる。
【0032】
示されている層の代わりに、または示されている層に加えて、他のまたはさらなる層も提供することができる。いくつかの実施形態では、一つ以上の(着色された)インク層が、第1の基板11と封入層19の間に設けられる。例えば、反射(例えば白)コーティング、吸収(例えば黒)コーティング、第1の基板11と一組の電子機器15の間の光ガイドなど、美観および/または機能的なコーティングが設けられることができる。他のまたはさらなる実施形態では、スタックにはロゴまたは他のパターンが含まれる。例えば、スタックには、バーコード、QRコード(登録商標)、またはデバイスがどのようにリサイクルできるかについて通知または指示する他の表示など、人間および/または機械が読み取れるパターンが含まれる。一つの実施形態では、そのようなパターンは、例えば、図4Aに示されているように、第1の剥離層12に作成される。
【0033】
いくつかの実施形態では、第1の基板11は、第1の基板材料M11を含むか、または本質的に第1の基板材料M11からなる。例えば、第1の基板材料M11は、ポリマーおよび/またはプラスチック材料、好ましくは熱可塑性材料を含むか、または本質的にそれ(ら)からなる。適切な材料には、例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、(PVB)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリカーボネート(PC)、(熱成形可能な)ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド(PI)および/またはポリエチレンナフタレート(PEN)が含まれうる。また、リサイクル可能および/またはバイオベースの材料、例えば、ポリ乳酸(PLA)、ポリエチレンフラノエート(PEF)、セルロースモノ/ジ/トリアセテート(CA、CDA、CTA)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシヘキサノエート)(PHBH)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)が、ここで説明される基板および/または他の層および部品に使用されてもよい。
【0034】
いくつかの実施形態では、一組の電子機器15は、別個の電子基板上に形成され、別個の電子基板は、一つ以上の電子部品15cを有する回路が配置された材料M15の基板またはフィルムを含むか、または本質的にそれ(ら)からなる。好ましくは、電子基板は可撓性の基板であり、例えば、破損しないでまたは本質的な機能を失わないで、半径1メートルほどで曲げることができる。例えば、可撓性は、可撓性材料の選択および/または基板の相対的な厚さに依存してよい。代わりに、または追加で、電子基板は、第1の基板11(典型的には剛性であるが、可撓性であってもよい)と同じ材料で(大部分が)形成されてよい。また、類似または異なる材料を使用することができる。一組の電子機器15は、典型的には、基板の一方または両側に電子部品15cを含む。例えば、電子部品15cは、銀インクなどの(プリントされた)回路部品を含み、および/またはOLED、ディスプレイ、照明、センサーなどの表面実装デバイス(SMD)および/または薄膜部品を含むことができる。一部の部品、例えばSMD、は相対的に剛性であってよい。選択的に、追加の、例えば局所的な、グラフィック層、バッファ層、および/または接着層が、SMDまたは他の部品を覆い、および/またはより良く接着するために配置されることがある。
【0035】
いくつかの実施形態において、封入層19は、封入層材料M19を含み、または本質的に封入層材料M19からなる。一つの実施形態において、封入層19は、例えば、型の前部分としてスタックを使用して、射出成形により配置される。別のまたはさらなる実施形態において、封入層材料M19は、樹脂を含むか、または本質的に樹脂からなり、好ましくは射出成形可能な樹脂、例えば熱硬化性ポリマーが挙げられる。また、他の種類のポリマーおよび/またはプラスチックも使用できる。また、例えば真空成形などの他の成形技術も封入層19を配置するために使用できる。いくつかの実施形態において、第1の基板11と同じ材料が使用される。これにより、封入層19と第1の基板11との間の結合が改善されうる。適切な材料として、例えば、ポリカーボネート(PC)および/またはポリエチレンナフタレート(PEN)が含まれてもよい。また、他のまたはさらなる材料も使用でき、例えばアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PE)、および/またはポリスチレン(PC)などが挙げられる。例えば、真空成形、好ましくはエポキシ樹脂が使用される。また、バイオベースの材料も使用できる。封入層19は、例えば、ホットメルト接着剤または層および/または基板などのホットメルト材料としても配置されてよい。成形材料と同様に、ホットメルト材料は(例えば、高温および/または高圧により)(一時的に)液化されて、封入層の一方または両方を通って一組の通路12、18に入ることができる。例えば、これにより、リサイクルプロセス中の剥離を可能としながら、封入層19と第1の基板11との間の接続部を強化することができる。
【0036】
いくつかの実施形態において、少なくとも一つ(または各)剥離層12および/または18は、剥離層材料M12、M18を含み、または本質的に剥離層材料M12、M18からなる。剥離層材料M12、M18は、同じまたは異なる材料であってもよい。好ましくは、剥離層材料は、例えば、(スクリーン)印刷、コーティング、および/または(熱/UV)硬化などによって塗布されるインクから形成される。一組の通路12pは、例えば印刷中など、第1の基板材料M11を配置している間に形成してよく、または後から選択的に材料を除去することによって、または前もって(例えば、剥離層が予め形成された基板またはフィルムとして配置される場合)形成してもよい。
【0037】
いくつかの実施形態において、一組の電子機器15は、剥離層材料M12、M18が溶剤、特に無毒性の溶剤により溶解および/または分解可能であることにより、第1の基板11および/または封入層19から分離可能である。好ましくは、溶解度は溶剤100ミリリットルあたり0.1グラム以上、より好ましくは≧1g/100mL、≧10g/100mL、≧100g/100mL、または無制限(完全混和性)である。溶解度が高いほど、剥離層材料を溶解することが容易になる。一つの実施形態において、剥離層材料M12、M18は水に溶解する。例えば、剥離層材料は水性ポリマーを基にしている。例えば、剥離層は、各層間にラッカーを形成するように構成されている。
【0038】
いくつかの実施形態において、例えば水などの各溶媒における剥離層材料M12、M18の溶解度は、各溶媒における第1の基板材料M11および/または封入層材料M19の溶解度よりも高く、例えば、少なくとも10倍、50倍、100倍、またはそれ以上高い。最も好ましくは、第1の基板材料M11および/または封入層材料M19は、対応する溶媒に対して本質的に不溶であり、例えば水に溶けない。第1の基板材料M11および/または封入層材料M19が不溶であるほど、通常の使用中に構造的統合性がよりよく維持される。
【0039】
他のまたはさらなる実施形態において、剥離層材料M12、M18が、第1の基板材料M11および/または封入層材料M19に比べて相対的に低い、融点、液化/軟化温度および/またはガラス転移温度を有し、例えば、これらは少なくとも摂氏10度、20度、50度、または100度相対的に低く、および/または絶対な意味では好ましくは200℃未満、またはさらに150℃未満であり、このため一組の電子機器15は、第1の基板11および/または封入層19から分離可能である。例えば、第1の基板材料M11は、通常の使用中に軟化しないように、相対的に高い融点、液化/軟化温度および/またはガラス転移温度を有することができ、例えば、少なくとも摂氏100度まで固体のままであり、好ましくは少なくとも200℃または250℃まで固体のままである。
【0040】
他のまたはさらなる実施形態において、剥離層12、18および/またはその材料M12、M18が、少なくとも第1の基板11と封入層19との間の相対的に強い接着力(剥離層が間にない)と比較して、互いにおよび/または第1の基板11および/または封入層19および/またはオプションの電子基板の基板材料M15に対して相対的に弱い表面当たりの接着力を有し、例えば、少なくとも2倍、3倍、5倍、10倍、さらにそれ以上相対的に低く(ニュートン毎平方メートル)、このため一組の電子機器15は、第1の基板11および/または封入層19から分離可能である。また、他の種類の分離も考えられる。
【0041】
一つの実施形態において、剥離層に対する前述のいずれかの層の相対的に弱い接着力は、10ニュートン毎平方センチメートル未満、好ましくは1ニュートン毎平方センチメートル未満、より好ましくは0.5N/cm未満、最も好ましくは0.1N/cm未満である。別のまたはさらなる実施形態において、前述の剥離層が間にない層間の相対的に強い接着力は、1ニュートン毎平方センチメートルより大きく、好ましくは10N/cm以上、またはさらに≧100N/cmである。特に、相対的に強い接着力は、材料/層の構造的統合性を超えてよく、例えば、層を分離しようとすると層が引き裂かれる可能性がある。理解されるように、少なくとも一つの剥離層を通る通路のサイズおよび/または数および/または配置は、剥離層の相対的に弱い接着力と、剥離層が存在しない場所の相対的に強い力との間の有効な接着力を調整するように適合させることができる。
【0042】
図2A-2Cは、非平面デバイス100の製造を示している。いくつかの実施形態では、スタック10の少なくとも一部が最初に平面であり、非平面形状10′に変形される。例えば、第1の基板11、(第1の側または底面の)第1の剥離層12、一組の電子機器15、および(第2の側または上面の)第2の剥離層18′のうちの一つ以上(好ましくはすべて)が、最初に平面(フラット)構造で積み重ねられる。代わりに、スタックは非平面形状で直接構築されることもある。例えば、事前に形成された非平面の第1の基板11を提供し、後続の(可撓性および/またはプリントされる)層12、15、18を非平面の第1の基板11に配置する。また、組み合わせも可能であり、例えば、(スクリーン)印刷またはその他の方法により、例えば、第1の基板11、第1の剥離層12、および一組の電子機器15を含むスタックの一部を変形させながら、第2の剥離層18′(または18)を変形したスタックに配置する。
【0043】
好ましい実施形態では、スタック10は、封入層19を配置する前に変形される。これにより、例えば、電子部品を接続するための第2の側へのアクセスが容易になりうる。同様の理由で、第2の剥離層18′も変形後に配置することができる(ただし、封入層を適用する前に)。例えば、封入層は、図2Cに示すように非平面スタック10′に接続された背面型に樹脂として配置することができる。代わりに、または追加で、スタック10を変形する前又は後に配置される他の種類の封入層も考えられる。
【0044】
いくつかの実施形態では、スタック10は熱成形プロセスによって変形される。例えば、これには、スタックを高温に加熱することおよび/または図2Bに示すようにスタックを型に圧入することを含んでよい。また、他のまたはさらなる変形プロセスも使用でき、例えば、真空成形が使用できる。有利には、剥離層12は、変形プロセス中に第1の基板11と一組の電子機器15との間の熱的および/または機械的なバッファ層として追加的に機能することができる。これにより、例えば、OLEDのような電子部品を変形および/または加熱中に保護するのに役立つ可能性がある。
【0045】
一つの実施形態では、熱成形プロセスは、スタック10に熱を加えて、少なくとも第1の基板11およびバッファ層(剥離層12)の温度を、それぞれの材料が柔軟になるそれぞれの処理温度まで上昇させることを含む。例えば、第1の基板11および/または剥離層12は、熱可塑性材料を含む。別のまたはさらなる実施形態では、スタック10は、熱可塑性材料が柔軟である間に熱成形されて、非平面(湾曲)デバイス100を形成する。
【0046】
好ましくは、(熱可塑性)バッファ層材料(例えば、剥離材料)は、それぞれの処理温度で第1の基板材料よりも低い剛性を有する。言い換えれば、バッファ層材料は、少なくとも熱成形プロセスの間において、第1の基板材料よりも可撓性又は柔軟であり、すなわち、より容易に変形する。このような特性は、例えば、一組の電子機器15に伝わる熱的および/または機械的応力を軽減するのに役立ち、したがって、電子部品15cの少なくとも一部、好ましくは全部を、変形プロセス中にすでにスタックに有利に含めることを可能にする。代替的に、または追加で、電子部品(特により繊細な部品)の一部または全部が、変形プロセス後に配置および/または接続されてもよい。
【0047】
いくつかの実施形態では、バッファ層材料は、同じまたは類似の処理温度において、第1の基板材料よりも低い弾性係数および/または塑性係数を有する。代替的に、または追加で、バッファ層の温度は、熱成形中に第1の基板11の温度よりも低く保たれることができる。例えば、バッファ層材料は、第1の基板材料よりも低いガラス転移温度および/または融点を有し、例えば、少なくとも5度または10度低く、より好ましくはそれ以上低い。このように、熱を加える場合、エネルギーはまず、相対的に低い温度でバッファ層12の実質的な相変化を引き起こすために使用され、一方、第1の基板11は、実質的な相変化が発生する前に、より高い温度に達しうる。いくつかの実施形態では、バッファ層材料は、第1の基板材料があまり軟化せず、少なくとも溶融しない状態で、軟化または(部分的に)溶融することができる。したがって、スタックが変形する間、バッファ層材料の流れは、第1の基板11と電子部品、例えば、OLEDディスプレイなどとの間の機械的な応力を実質的に緩和することができ、一方、溶融または他の相転移もまた、熱エネルギーの実質的な部分を占めうる。
【0048】
図3Aは、リサイクル可能なデバイス100を示す。いくつかの実施形態では、デバイス100は、デバイス100の第1の側S1に第1の基板11と、デバイス100の第2の側S2に封入層19と、一組の電子機器15cを備えた一組の電子機器15とを含む。いくつかの実施形態では、第1の剥離層12が一組の電子機器15と第1の基板11との間に配置される。他のまたはさらなる実施形態では、第2の剥離層が一組の電子機器15と封入層19との間に配置される。好ましくは、一組の電子機器15は、第1および第2の剥離層12、18によって封入される。より好ましくは、第1および第2の剥離層12、18自体が、第1の基板11および封入層19によって封入される。いくつかの実施形態では、一つ以上の剥離層12、18は、封入層19の材料で満たされた一組の通路19pを含み、封入層19と第1の基板11との間に一組の相互接続部を形成する。好ましい実施形態では、一つ以上の剥離層は溶解可能であり、例えば、水または他の(好ましくは無毒の)溶媒で溶解する。最も好ましくは、第1の基板11および封入層19は、通常の使用中に溶解または腐食することに耐性を持っている。例えば、第1の基板11および封入層19は、通常の使用中に、例えば水などの可能性のある溶媒から埋め込まれた剥離層を保護する。
【0049】
いくつかの実施形態では、封入層19は、封入層19の外部から第1の基板11と封入層19の内面間のデバイスの内部の一つ以上の剥離層12、18まで延びる開放通路によって形成される流体入口19rを含む。一つの実施形態では、流体入口19rは、一つ以上の剥離層12、18が外部環境に露出するのを防ぐために、デバイスの使用中に封止される。例えば、流体入口19rは、封止材料または物体によって封止され、リサイクルプロセスを実施するために封止が取り外せるようになっている。
【0050】
図3Bおよび3Cは、例えばここで説明した又は他の製造方法に従って製造されたデバイス100をリサイクルするためのリサイクル方法を示している。
【0051】
いくつかの実施形態では、流体Sr、例えば液体溶媒、が第1の基板11および封入層19の間の一つ以上の剥離層12、18に向けて封入層19を通して流体入口19rに注入される。他のまたはさらなる実施形態(図示せず)では、一つ以上の剥離層12、18を露出させるために、第1の基板11および封入層19の端部を切断し、および/または第1の基板11および/または封入層19に穴を開けることが含まれてもよい。例えば、流体Srは、露出した端部または穴を介して第1の基板11および封入層19の間に注入することができる。一つの実施形態では、注入された流体Srは、例えば注入された流体の圧力により第1の基板11および封入層19を分離させる。別のまたはさらなる実施形態では、注入された流体Srは、一つ以上の剥離層12、18を溶解または分解する。したがって、封入層19と第1の基板11との間の一組の相互接続部が切断され、一組の電子機器15が、電子部品15cのうちの一つ以上をリサイクルするために、第1の基板11および封入層19の少なくとも一つ、好ましくは両方から外されることができる。好ましくは、流体は、剥離層の溶解、溶融および/または他の分解をさらに促進するために加熱される。例えば、注入された流体は、50℃以上、またはさらに100℃以上の温度を有する。例えば、熱水および/または蒸気が注入されることができる。また、他の液体および/または気体が注入されることもできる。
【0052】
他のまたはさらなる実施形態(図示せず)では、デバイス100をリサイクルするためのリサイクル方法は、デバイスの照射および/または加熱を含む。例えば、照射および/または加熱は、一つ以上の剥離層12、18の溶融または分解を引き起こし、一組の電子機器15を第1の基板11および/または封入層19から分離するのを容易にする。例えば、一つ以上の剥離層12、18は、可逆的な接着剤、ホットメルト材料、および/または低Tg材料の少なくとも一つを含む。例えば、一つ以上の剥離層12、18は、マイクロ波、紫外線、可視光、またはIR照射の影響下で分解する材料を含む。また、他の種類の剥離のきっかけも考えられる。例えば、一つ以上の剥離層12、18に、光酸発生材料および/またはガス発生材料を埋め込むことなどである。例えば、例えば(UV)光および/または化学的なトリガー(例えば、注入された液体Srと反応するなど)によって生じる剥離層で生成されるガスは、第1の基板11と封入層19の間で膨張を引き起こし、リサイクルプロセス中の剥離を促進する可能性がある。
【0053】
現在の図では、一組の電子機器15が第1の基板11および封入層19から完全に分離していることを示しているが、一組の電子機器15が第1の基板11および封入層19のうちの一方からのみ分離することも考えられる。例えば、剥離層12または18は、電子部品の一方の側面にのみ設けられることがある。しかしながら、ここで述べられているすくなくともいくつかの利点は、少なくとも一方の側面から一組の電子機器15を露出させることによって達成されうる。さらに、現在の図では、第1の基板11が封入層19から完全に分離していることを示しているが、これは一組の電子機器をその間から取り除くために必要ではないかもしれない。例えば、電子部品やその他の回路部品の一部または全部が、例えば流体入口19rおよび/または流体出口(図示せず)を介して、デバイスから流れ出るかもしれない。
【0054】
図4Aおよび4Bは、それぞれのデバイス100のさらなる側面を示す。いくつかの実施形態では、流体入口19rが、第1の基板11と封入層19との間のデバイスの面に沿うチャネル19cに接続され、注入された流体Srを一つ以上の剥離層12、18の異なる部分へと導く。一つの実施形態では、チャネルは異なる通路に分岐する。別のまたはさらなる実施形態(図示せず)では、一つ以上の剥離層12、18の異なる部分にアクセスするために複数の流体入口が設けられている。
【0055】
いくつかの実施形態では、一つ以上の剥離層12、18に回路構造12cが設けられている。例えば、剥離層上の回路構造は、別個の基板上の一組の電子機器15に接続されるか、または電子部品15cが直接一つ以上の剥離層12、18上に配置されることができる。回路部品は、ここで説明する他のまたはさらなる層上にも設けることができる。一つの実施形態では、回路線が、一つ以上の層、例えば選択的に、別個のエレクトロニクス基板、一つ以上の剥離層12、18、第1の基板11、および/または封入層19にプリントされる。エレクトロニクス基板上の電子部品に加えてまたは代わりに、電子部品が他のまたはさらなる層上に配置することができる。例えば、各回路線は各層にプリントまたは他の方法で配置され、および/または各部品は各層および/または回路線をそれぞれ製膜した後に配置される。また、異なる層上の回路構造を相互接続するために電気的なビアまたは貫通孔を設けることができる。
【0056】
いくつかの実施形態では、ロゴLおよび/またはコンピュータ可読の命令、例えば、QRコードがデバイス100に埋め込まれている。有利には、各パターンは、一つ以上の剥離層12、18をプリントする際に生成することができる。当該パターンは、一つまたは一組の通路として同時に機能し、すなわち、剥離層を通る各接続部を形成することができる。
【0057】
いくつかの実施形態では、各接続19pは、一つ以上の剥離層12、18を通るのみならず、一組の電子機器15の間にも形成される。例えば、一組の電子機器15および/または別個のエレクトロニクス基板には、一つ以上の剥離層12、18の通路と位置合わせされた一組の通路が設けられる。接続部は、封入層19から第1の基板11までのスタック全体を貫通してよく、または部分的に、例えば、封入層19を電子部品または基板の一部と相互接続してよく、および/または電子部品または基板の一部を第1の基板11と相互接続してよい。
【0058】
いくつかの実施形態では、各通路に形成された一組の接続部19pは、一つ以上の柱を含み、これは例えば、相対的に小さな直径D19、例えば、0.01mm以上5mm以下、好ましくは0.05mm以上1mm以下の直径を有する丸い構造である。柱を相対的に小さく保つことで、それらがデバイスを通して非常に目立つのを防ぐことができる。他のまたはさらなる実施形態では、例えば図4Bに示すように、各通路に形成された一組の接続19pは、一つ以上の壁セグメントを含む。例えば、壁セグメントは流体を導くために流体入口19rの周囲に配置される。一つの実施形態では、壁セグメントの厚さは、各壁セグメントの破断までに十分な圧力の蓄積および/または剥離層の膨張を可能とするよう相対的に大きい。例えば、壁セグメントは、0.1mm以上10mm以下の範囲、好ましくは0.5mm以上5mm以下の範囲の直径D19′を有する。隣接する接続部19p(柱、壁、または他の構造)の間の距離は変動しうる。この距離は、意図しない剥離を防ぐために小さくしてもよく、またはリサイクル中の分離を容易にするために大きくしてもよく。例えば、接続部間の(最大の距離)は、0.5cm以上50cm以下の範囲、好ましくは1cm以上10cm以下の範囲で選択することができる。
【0059】
図5A-5Cは、基板11上に配置された一組の電子機器15を覆う剥離層18を有するリサイクル可能な電子デバイス100を製造する方法を示している。一つの実施形態では、例えば図5Aに示すように、一組の電子機器15が剥離層を介さずに第1の基板11上に直接設けられる。例えば、一組の回路線が第1の基板11上にプリントまたは他の方法で配置され、一組の電子機器15が回路線に電気的に接続される。代替的に、または追加的に、別のエレクトロニクス基板を設けることもできる。別のまたはさらなる実施形態では、例えば図5Bに示すように、剥離層18が第1の基板11上の一組の電子機器15を覆うように設けられる。例えば、前述の実施形態と比較して、第1の剥離層12は省略されることがある。有利には、残りの剥離層18は、(デバイスの使用終了後の)後のリサイクルプロセス中に、第1の基板11上の電子部品15を封入層19から比較的容易に分離することを可能にすることができる。したがって、電子部品15は、第1の基板11からの取り外しのために容易に露出されることができる。図では、一組の電子機器15が別個の基板上に製造され、その基板が直接第1の基板11上に設けられていることが示されているが、一組の電子機器15は、別の基板を必要とせずに直接第1の基板11上に製造することもできる。例えば、一組の電子機器15は、第1の基板11の一部として一体的に形成してよい。
【0060】
第1の剥離層12を省略する代わりに、現在の図5A-5Cに示されているように、第2の剥離層18が省略され、一組の電子機器15と第1の基板11との間に第1の剥離層12が設けられることが想定される。この場合、剥離層12は、(別個のエレクトロニクス基板上または剥離層12上に製造された)電子部品15を第1の基板11から比較的容易に分離しうる。したがって、電子部品15は、例えば封入層19からの取り外しを容易にするために、露出されうる。いずれの場合でも、先行する図面を参照して説明された特徴(例えば熱成形等)は、分離容易および/または一組の電子機器15の少なくとも部分的な露出という利点の少なくとも一部を達成するために、剥離層12、18のいずれか一方を省略して必要な変更を加えて適用してもよく、これにより、より効率的なリサイクルプロセスが可能となることが理解されるだろう。
【0061】
一つの実施形態では、例えば図5Bに示されているように、一組の電子機器15を覆う剥離層18には、その中を通る一組の通路18pが設けられている。別のまたはさらなる実施形態では、例えば図5Cに示されているように、封入層19は少なくとも部分的に液化した形態で配置され、その少なくとも部分的に液化した封入層19の第1部分19pは第1基板11に直接接続するために一組の通路18pを貫通する。別のまたはさらなる実施形態では、一組の通路18p内の第1部分19pを含む封入層19が固化され、一組の通路12p、18p内の封入層19の固化した第1部分19pが、剥離層18を通して封入層19の第2部分19qと第1基板11との間に一組の接続部を形成する。もちろん、第1の剥離層12(ここでは図示せず)が維持され、一方で第2の剥離層18が省略される場合、一組の通路は第1の剥離層12を通って設けられ、少なくとも部分的に液化した封入層で満たされることが理解される。現在の図では、封入層19が射出成形を使用して適用されていることが示されている。
【0062】
図6A-6Cは、封入層19が複数のステップで配置される方法を示している。一つの実施形態では、例えば図6Aに示されているように、封入層19の第1部分19pが少なくとも部分的に液化した形態で提供され、少なくとも一つの剥離層18の一組の通路18pを貫通して第1基板11および/または第1基板11上に配置された一組の電子機器15に直接接続する。現在の図では、単一の剥離層18が示されているが、上述のように、一組の電子機器15と第1基板11との間にさらなる剥離層(12、ここでは図示せず)が設けられてもよい。
【0063】
いくつかの実施形態では、例えば図6Bに示されているように、少なくとも部分的に液化した第1部分19pが少なくとも一つの剥離層18の一組の通路18p内で固化される。他のまたはさらなる実施形態では、例えば図6Cに示されているように、封入層19の第2部分19qが、一組の通路19p内の封入層19の第1部分19pに直接接続するように提供される。一つの実施形態では、封入層19の第2部分19qは、一組の通路18p内で第1部分19pが部分的または完全に固化した後に提供される。
【0064】
いくつかの実施形態では、第2部分19qは少なくとも部分的に液化した形態で提供され、その後、通路内において第1部分19pと接触した状態で固化される。一つの実施形態では、一組の通路18p内の封入層19の固化した第1の部分19pが、少なくとも一つの剥離層18を通って、封入層19の第2の部分と第1の基板11との間に一組の接続部を形成するように、封入層の少なくとも部分的に液化した第2の部分が、一組の通路18p内の封入層19の固化した第1の部分19pと接触しながら固化される。好ましくは、封入層19の第1の部分19pは、第2の部分19pと同じまたは類似の材料M19を含む、または(実質的に)第2の部分19pと同じまたは類似の材料M19からなり、このため、一体的な接続部が形成されうる。代替的に、異なる材料を使用することもできる。
【0065】
封入層を別々のステップで適用することにより、配置方法を異ならせてよく、最も適したプロセスを選択することができる。一つの実施形態では、封入層19の第2の部分は、射出成形プロセスによって配置される。別のまたはさらなる実施形態では、封入層19の第1の部分19pは、スプレーコーティング、ディップコーティング、および/またはスピンコーティングなどの別のプロセスによって塗布される。いくつかの実施形態では、一組の通路18pおよび/または18p′の一つまたはそれ以上が、それぞれの電子部品15cの周囲に形成される。他のまたはさらなる実施形態では、電子部品15cがグローブトップ化される。別のまたはさらなる実施形態では、グローブトッピングが封入層の一部を形成しうる。したがって、グローブトッピングが、一組の通路12p、18p内の封入層19の固化した第1の部分19pの少なくとも一部の役割を果たし、またはそれに相当しうることが理解される。例えば、グローブトッピングは、封入層19の第2の部分19qを配置するために使用される同じ材料または類似の材料を含むか、または(実質的に)封入層19の第2の部分19qを配置するために使用される同じ材料または類似の材料からなる。代わりに、または追加で、グローブトッピングの一部または全部が、剥離層12および/または18の材料(M12、M18)と同じまたは類似の材料を含むか、または(実質的に)離層12および/または18の材料(M12、M18)と同じまたは類似の材料からなる。例えば、これにより、後に電子部品を外すことを促しうる。また、剥離を促進する他のまたはさらなる材料も、ここで説明されているように使用することができ、例えば、水溶性材料および/または(スタック内の他の材料が分解する前の温度において)熱による流動性および/または相変化を有する材料などが挙げられる。代わりに、または追加で、一つ以上の電子部品に固有の剥離材料および/または層を提供することができ、これにより後に適用されるグローブトッピング材料、例えば封入層19の第2の部分19qを配置するために使用される同じまたは類似の材料の剥離を容易にすることができる。また、組み合わせも可能であり、例えば、剥離層を通じた接続を確保するためにバッキング層の材料を通路(例えば18p)の少なくとも一部に配置して、(例えば通路18p′で)一つ以上の電子部品15cのグローブトッピングとして剥離材料を配置することができる。いずれの場合でも、グローブトッピングは、例えば、後の射出成形プロセスおよび/または熱成形プロセスから電子部品15cを保護するのに役立ちうる。射出成形プロセスに代えて、封入層19の第2の部分は、少なくとも一つの剥離層を封入するホットメルト接着剤としても配置することができ、例えば、少なくとも一つの剥離層を通じてグローブトッピングおよび/または一組の通路内の他の材料への接続を形成する。
【0066】
図7A-7Cは、さらに考えられる層の配置を示している。一つの実施形態では、例えば図7Aに示されているように、スタック10が提供される。例えば、スタック10は、図1A-1Cを参照して説明される方法で得られるデバイス100と同じまたは類似のものでありうる。いくつかの実施形態では、例えば図7Bに示されているように、第2の基板11fがスタック10の第2の側S2に配置される。他のまたはさらなる実施形態では、第2の基板11fと剥離層18との間に封入層19が設けられる。一つの実施形態では、例えば示されているように、第2の基板11fは、例えば図1Cに示されたように封入層19が形成された後、配置される。別の実施形態(図示せず)では、封入層19は、第2の基板11fとスタックの残りの部分との間に形成される。例えば、第2の基板11fは、射出成形プロセスを使用して封入層19が配置される間に存在し、または境界を形成してもよい。
【0067】
いくつかの実施形態では、第2の基板11fはグラフィックス層11gを含んでいる。グラフィックス層11gは、デバイスの機能に応じて窓部11wまたは他のパターンを形成しうる。例えば、窓部11wは、一組の電子機器15からの光を通過させることができる。この場合、第2の側S2はデバイスの前側を形成しうる。もちろん、方向性は逆にされてもよく、図1A-1Cに示されているような第1の基板11にグラフィックス層を設けることができる。グラフィックス層は、第1および第2の基板の両方に設けることもできる。例えば、裏面のグラフィックス層は、デバイス全体を覆ってもよい。
【0068】
いくつかの実施形態では、補強層19bがスタックに配置される。例えば、これはデバイスの(さらなる)補強として機能しうる。好ましくは、補強層19bは、封入層19を形成する材料M19と同じまたは類似の材料M19bを含み、または(実質的に)封入層19を形成する材料M19と同じまたは類似の材料M19bからなる。他の材料も使用することができる。デバイスの向きによっては、補強19bはデバイスのバッキング層またはデバイスの前側を形成しうる。一つの実施形態では、補強層19bは射出成形によって配置される。別のまたはさらなる実施形態では、補強層19bは、熱成形プロセス後および/または熱成形プロセス中に配置される。例えば、補強層19bは、図2A-2Cに示されている封入層19と同様の方法で配置されてよい。本図では、補強層19bが第2の基板11fの後に配置されることを示しているが、この順序は逆にすることも可能であり、また第2の基板11fを省略してもよい。
【0069】
付属の請求項を解釈する際には、「含む(comprising)」という用語が、特定の請求項に記載されている要素や行為以外の要素や行為の存在を排除しないことを理解すべきである。また、要素の前にある「一つの(a、an)」という単語が、そのような要素の複数の存在を排除しないこと、請求項中のいかなる参照記号もその範囲を制限しないこと、いくつかの「手段(means)」が同一または異なる事項、または実装された構造または機能によって表されてもよいこと、開示されているいかなるデバイスまたはその部分が、特に別途指定されていない限り、組み合わせ、又はさらに部分に分けられてよいこと、が理解されるべきである。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
【手続補正書】
【提出日】2024-07-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リサイクル可能な電子デバイス(100)を製造するための方法であって、
スタック(10)を提供することであって、当該スタック(10)が、当該スタック(10)の第1の側(S1)に配置された第1の基板(11)と、
電子部品(15c)を有する回路を含む一組の電子機器(15)と、
前記一組の電子機器(15)の少なくとも一方の側を覆う一つ以上の剥離層(12、18)と、
を含む、前記スタック(10)を提供することと、
配置される封入層(19)と前記第1の基板(11)との間に、前記一つ以上の剥離層(12、18)を封入するために、前記第1の側(S1)とは反対側の前記スタック(10)の第2の側(S2)に、前記封入層(19)を配置することと、
を含み、
前記一つ以上の剥離層(12、18)は、前記電子部品(15c)を前記第1の基板(11)および/または前記封入層(19)から分離させるように構成されており、
前記一つ以上の剥離層(12、18)の少なくとも一つが、前記一つ以上の剥離層(12、18)を通る一組の通路(12p、18p)を含み、
前記封入層(19)が、少なくとも部分的に液化した形態で配置され、少なくとも部分的に液化した前記封入層(19)の第1部分(19p)が、前記第1の基板(11)に直接接続するために一組の通路(12p、18p)を貫通し、
前記一組の通路(12p、18p)内の前記第1部分(19p)を含む前記封入層(19)が固化され、前記一組の通路(12p、18p)内の前記封入層(19)の前記固化した第1部分(19p)が、少なくとも一つの剥離層(12、18)を通して前記封入層(19)の第2部分(19q)と前記第1の基板(11)との間に一組の接続部を形成する、方法。
【請求項2】
前記剥離層(12、18)は、
前記第1の基板(11)と前記一組の電子機器(15)との間に配置された第1の剥離層(12)と、
第2の剥離層(18)と、を含み、
前記スタック(10)の前記第2の側(S2)に前記封入層(19)を配置する際に、前記剥離層(12、18)が、前記配置された封入層(19)と前記第1の基板(11)との間に封入され、前記一組の電子機器(15)が、前記電子部品(15c)を前記第1の基板(11)と前記封入層(19)の両方から分離するために前記剥離層(12、18)の間に埋め込まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記一つ以上の剥離層(12、18)は、互いにおよび/または前記第1の基板(11)および/または前記封入層(19)に対する表面積当たりの接着力が、前記剥離層が存在しない場合の前記第1の基板(11)と前記封入層(19)との間の接着力と比べて、相対的に弱い、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記剥離層(12、18)のそれぞれが、互いに重なりあう対応する一組の通路(12p、18p)を含み、
前記少なくとも部分的に液化した封入層(19)の前記部分(19p)が、前記第1の基板(11)に接続するために前記重なりあう組の通路(12p、18p)を貫通し、
前記第1および第2の組の通路(12p、18p)内の前記封入層(19)の前記固化した部分(19p)が、拡張された剥離面(E12、E18)のそれぞれを通って前記封入層(19)と前記第1の基板(11)との間で一組の接続部を形成する、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記一つ以上の剥離層(12、18)の少なくとも第1の剥離層(12)が、前記スタック(10)にプリントされ、一組の回路線が前記第1の剥離層(12)上にプリントされ、前記一組の電子機器(15)が前記回路線と電気的に接続される、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記一組の電子機器(15)が、前記剥離層(12、18)の間に埋め込まれた別個の電子基板上に形成される、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記第1の基板(11)が前記電子デバイス(100)の前面を形成し、前記一組の電子機器における一つ以上の照明デバイスのための窓部(11w)を残して、少なくともいくつかの前記電子部品の前側の視界を覆うグラフィックス層(11g)を含む、請求項1から6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記一つ以上の剥離層が、前記一組の電子機器(15)と前記第1の基板(11)との間に配置された第1の剥離層(12)と、前記一組の電子機器(15)と前記封入層(19)との間に配置された第2の剥離層(18)とを含み、前記第1の剥離層(12)の表面(A12)が前記第2の剥離層(18′)の表面(A18′)よりも大きく、より大きな前記第1の剥離層(12)の外周が、より小さな前記第2の剥離層(18′)の外周を包囲し、各剥離層(12、18、18′)の外周が、前記一組の電子機器(15)の外周を包囲する、請求項1から7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記第1の基板(11)の表面(A11)が、各々の前記一つ以上の剥離層(12、18、18′)の表面(A12、A12、A18′)よりも大きく、前記第1の基板(11)および前記封入層(19)の両方の外周が、各々の前記一つ以上の剥離層(12、18、18′)の対応する外周を包囲する、請求項1から8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記スタック(10)の少なくとも一部が初めは平面であり、熱成形プロセスにより非平面形状(10′)に変形される、請求項1から9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記スタック(10)は、前記スタック(10)上に前記一組の電子機器(15)の少なくとも一部を配置した後、かつ前記封入層(19)を配置する前に、変形される、請求項1から10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記一つ以上の剥離層(12、18)は、剥離層材料を含み、前記第1の基板(11)の第1の基板材料(M11)と前記封入層(19)の封入層材料(M19)のいずれか一つ、または両方と比較して、前記剥離層材料(M12、M18)は、
無毒溶媒に対して相対的に高い溶解度、
相対的に低い融点、相対的に低い液化温度または軟化温度、または相対的に低いガラス転移温度、および、
隣接層に対する表面積当たりの相対的に弱い接着力、の少なくとも一つを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
請求項1から12のいずれかに記載の方法により製造された、リサイクル可能な電子デバイス(100)であって、
第一の基板(11)と、
封入層(19)と、
前記第一の基板(11)と前記封入層(19)との間に配置された電子部品(15c)を有する回路を含む一組の電子機器(15)と、
前記第一の基板(11)および前記封入層(19)の少なくとも一つ、好ましくは両方から前記一組の電子機器(15)を分離するために、前記一組の電子機器(15)の少なくとも一方、好ましくは両側を覆う、一つ以上の剥離層(12、18)と、
を含み、
前記一つ以上の剥離層(12、18)に覆われた前記一組の電子機器(15)は、前記封入層(19)と前記第一の基板(11)の間に封入されており、
前記一つ以上の剥離層(12、18)の少なくとも一つが、前記封入層(19)の材料で満たされた一組の通路(12p、18p)であって、前記一つ以上の剥離層(12、18)を通って、前記封入層(19)と前記第一の基板(11)との間に一組の相互接続部(19p)を形成する一組の通路(12p、18p)を含む、リサイクル可能な電子デバイス(100)。
【請求項14】
前記一つ以上の剥離層は水に溶解する、請求項13に記載のリサイクル可能な電子デバイス(100)。
【請求項15】
前記封入層(19)は、前記封入層(19)の外部から前記第一の基板(11)と前記封入層(19)の内面間の前記デバイス内部の前記一つ以上の剥離層(12、18)まで延びる開放通路によって形成される流体入口(19r)を含む、請求項13または14に記載のリサイクル可能な電子デバイス(100)。
【請求項16】
前記一つ以上の剥離層(12、18)は、剥離層材料を含み、前記第1の基板(11)の第1の基板材料(M11)と前記封入層(19)の封入層材料(M19)のいずれか一つ、または両方と比較して、前記剥離層材料(M12、M18)は、
無毒溶媒に対して相対的に高い溶解度、
相対的に低い融点、相対的に低い液化温度または軟化温度、または相対的に低いガラス転移温度、および、
隣接層に対する表面積当たりの相対的に弱い接着力、の少なくとも一つを有する、請求項13に記載のリサイクル可能な電子デバイス(100)。
【請求項17】
電子デバイス(100)をリサイクルするための方法であって、
請求項15に記載のリサイクル可能な電子デバイス(100)を提供することと、
前記第一の基板(11)と前記封入層(19)の間の前記一つ以上の剥離層(12、18)に向けて前記封入層(19)を通して流体(Sr)を前記流体入口(19r)に注入することと、
を含み、
前記注入された流体(Sr)は、前記注入された流体の圧力により前記第一の基板(11)と前記封入層(19)とを分離させ、および/または前記注入された流体(Sr)は、前記一つ以上の剥離層(12、18)を溶解または分解させ、
前記封入層(19)と前記第一の基板(11)の間の前記一組の相互接続部が切断され、前記一組の電子機器(15)が前記注入された流体(Sr)に露出され、前記一組の電子機器(15)は、前記電子部品(15c)のうちの一つ以上をリサイクルするために、前記第一の基板(11)および前記封入層(19)の少なくとも一つ、好ましくは両方から外される、方法。
【請求項18】
前記一つ以上の剥離層(12、18)は、剥離層材料を含み、前記第1の基板(11)の第1の基板材料(M11)と前記封入層(19)の封入層材料(M19)のいずれか一つ、または両方と比較して、前記剥離層材料(M12、M18)は、
無毒溶媒に対して相対的に高い溶解度、
相対的に低い融点、相対的に低い液化温度または軟化温度、または相対的に低いガラス転移温度、および、
隣接層に対する表面積当たりの相対的に弱い接着力、の少なくとも一つを有する、請求項17に記載の方法。


【国際調査報告】