(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】グアンファシン及びモノカルボン酸を含むグアンファシンの経皮投与のための経皮治療システム
(51)【国際特許分類】
A61K 31/165 20060101AFI20240829BHJP
A61K 9/70 20060101ALI20240829BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20240829BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20240829BHJP
A61K 47/34 20170101ALI20240829BHJP
A61K 47/14 20170101ALI20240829BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20240829BHJP
A61P 9/12 20060101ALI20240829BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20240829BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
A61K31/165
A61K9/70 401
A61K47/12
A61K47/32
A61K47/34
A61K47/14
A61K47/10
A61P9/12
A61P25/00
A61P43/00 111
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513358
(86)(22)【出願日】2022-08-29
(85)【翻訳文提出日】2024-03-08
(86)【国際出願番号】 EP2022073922
(87)【国際公開番号】W WO2023031103
(87)【国際公開日】2023-03-09
(32)【優先日】2021-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】300005035
【氏名又は名称】エルテーエス ローマン テラピー-ジステーメ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100216105
【氏名又は名称】守安 智
(72)【発明者】
【氏名】エヴァ-マリー・プリンツ
(72)【発明者】
【氏名】マルコ・エムゲンブロイフ
(72)【発明者】
【氏名】パトリック・モーア
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン・ロルシャイト
【テーマコード(参考)】
4C076
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA72
4C076AA74
4C076AA76
4C076AA94
4C076AA95
4C076BB31
4C076CC01
4C076CC11
4C076DD37
4C076DD37N
4C076DD39F
4C076DD39N
4C076DD41N
4C076DD45N
4C076DD46
4C076DD46F
4C076DD46N
4C076EE03
4C076EE04
4C076EE07E
4C076EE10
4C076EE10E
4C076EE16E
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4C076FF31
4C076FF33
4C076FF34
4C076FF43
4C206AA01
4C206AA02
4C206HA31
4C206MA02
4C206MA03
4C206MA05
4C206MA52
4C206MA83
4C206NA02
4C206NA11
4C206NA12
4C206NA13
4C206ZA18
4C206ZA42
(57)【要約】
本発明は、グアンファシン及びモノカルボン酸を含むグアンファシンの経皮投与のための経皮治療システムに関する。
【選択図】
図1.3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
グアンファシン含有層構造を含むグアンファシンの経皮投与のための経皮治療システムであって、前記グアンファシン含有層構造は、
A)バッキング層と、
B)グアンファシン及びモノカルボン酸を含むグアンファシン含有層と、
を含む、前記経皮治療システム。
【請求項2】
前記グアンファシン含有層は、
i)グアンファシン及びモノカルボン酸と、
ii)少なくとも1つのポリマーと、
を含むグアンファシン含有マトリックス層である、請求項1に記載の経皮治療システム。
【請求項3】
前記モノカルボン酸はソルビン酸である、請求項1または2に記載の経皮治療システム。
【請求項4】
前記グアンファシン含有層中の前記グアンファシン及び前記モノカルボン酸は、予混合物の形態で存在する、請求項1~3のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項5】
前記グアンファシン含有層中の前記グアンファシン及び前記モノカルボン酸は予混合物の形態で存在し、前記予混合物は、乾式粉砕法またはスラリー法により得ることができる、請求項1~4のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項6】
前記グアンファシン含有層構造は自己接着性であり、好ましくは追加の皮膚接触層を含まない、請求項1~5のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項7】
前記少なくとも1つのポリマーは、アクリルポリマー、シリコーンベースポリマー、シリコーン-アクリルハイブリッドポリマー、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1~6のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項8】
前記少なくとも1つのポリマーは、
・アクリルポリマー及び少なくとも1つのシリコーンベースポリマーの混合物、
・2つのシリコーン-アクリルハイブリッドポリマーの混合物、または
・2つのシリコーンベースポリマーの混合物、または
・アクリルポリマー、または
・-OH基を含むアクリルポリマー
である、請求項1~7のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項9】
前記シリコーンベースポリマーは、シラノール末端ブロック化ポリジメチルシロキサンのシリケート樹脂との重縮合によって得られる、請求項7または8のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項10】
前記アクリルポリマーは、酢酸ビニル、2-エチルヘキシルアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート及びグリシジルメタクリレートをベースとするコポリマー、ならびに2-エチルヘキシルアクリレート及び酢酸ビニルをベースとするコポリマーから選択される、請求項7~9のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項11】
前記シリコーン-アクリルハイブリッドポリマーはシリコーンアクリルハイブリッド感圧接着剤であり、前記シリコーンアクリルハイブリッド感圧接着剤は、
(a)アクリレートまたはメタクリレート官能基を含むシリコーン含有感圧接着剤組成物と、
(b)エチレン性不飽和モノマーと、
(c)開始剤と、
の反応生成物を含む、請求項7~10のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項12】
アクリレートまたはメタクリレート官能基を含む前記ケイ素含有感圧接着剤組成物は、
(a1)シリコーン樹脂と、
(a2)シリコーンポリマーと、
(a3)アクリレートまたはメタクリレート官能基を含むケイ素含有封止剤と、
の縮合反応生成物を含み、前記ケイ素含有封止剤は、一般式XYR’
bSiZ
3-b{式中、Xは一般式AE(Eは-O-または-NH-であり、Aはアクリル基またはメタクリル基である)の一価の基であり、Yは、1~6個の炭素原子を有する二価のアルキレン基であり、R’はメチルまたはフェニル基であり、Zは一価の加水分解性有機基またはハロゲンであり、bは0または1である}を有し、
前記シリコーン樹脂及び前記シリコーンポリマーは反応して感圧接着剤を形成し、前記ケイ素含有封止剤は、前記シリコーン樹脂及び前記シリコーンポリマーを反応させる前に、その間に、またはその後に導入されており、
前記シリコーン樹脂及び前記シリコーンポリマーが縮合反応して前記感圧接着剤を形成した後に前記ケイ素含有封止剤は前記感圧接着剤と反応するか、または前記ケイ素含有封止剤は、前記シリコーン樹脂及び前記シリコーンポリマーとその場で反応している、請求項11に記載の経皮治療システム。
【請求項13】
前記エチレン性不飽和モノマーは、脂肪族アクリレート、脂肪族メタクリレート、脂環式アクリレート、脂環式メタクリレート、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、前記化合物の各々は、アルキル基中に最大で20個の炭素原子を有し、前記エチレン性不飽和モノマーは、好ましくは2-エチルヘキシルアクリレートとメチルアクリレートとの、特に好ましくは40:60~70:30の比率での組み合わせである、請求項11または12のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項14】
前記グアンファシン含有層構造は、1~100mg/TTS、好ましくは3~72mg/TTSの量でグアンファシンを含む、請求項1~13のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項15】
前記グアンファシン含有層は、前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、1~20重量%の量で、より好ましくは3~16重量%の量でグアンファシンを含む、請求項1~14のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項16】
グアンファシン及び前記モノカルボン酸を等モル量で含む、請求項1~15のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項17】
前記グアンファシン含有層は、前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、20~99重量%、好ましくは30~97重量%、最も好ましくは35~94重量%の量で前記少なくとも1つのポリマーを含む、請求項1~16のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項18】
前記グアンファシン含有層は、分散剤、透過促進剤及び可溶化剤からなる群から選択される少なくとも1つの添加剤、好ましくは少なくとも2つの添加剤をさらに含む、請求項1~17のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項19】
前記グアンファシン含有層の面積重量は、40~250g/m
2、好ましくは、50~180g/m
2の範囲であり、及び/または放出面積は、1~100cm
2、好ましくは、2.5~50cm
2の範囲である、請求項1~18のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項20】
ヒト患者、好ましくは6~17歳のヒト患者を治療する方法に使用するための、請求項1~19のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項21】
高血圧症または注意欠陥多動性障害(ADHD)を治療する方法に使用するための、及び/またはヒト患者、好ましくは6~17歳のヒト患者における刺激性薬物療法の補助療法として使用するための、請求項1~19のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項22】
前記経皮治療システムは、前記患者の皮膚に少なくとも24時間、好ましくは少なくとも72時間、より好ましくは約84時間適用される、請求項20または21の記載に従って使用するための経皮治療システム。
【請求項23】
経皮治療システムで使用するための活性薬含有層を製造する方法であって、
1)少なくとも、成分
(i)薬学的活性剤と、
(ii)少なくとも1つのモノカルボン酸と、
を組み合わせて予混合物を得る工程と、
2)
(i)工程1)の前記予混合物と、
(ii)少なくとも1つのポリマーと、
を組み合わせてコーティング組成物を得る工程と、
3)前記コーティング組成物をバッキング層または剥離ライナー上にコーティングして、コーティングされたコーティング組成物を得る工程と、
4)前記コーティングされたコーティング組成物を乾燥させて、前記活性薬含有層を形成する工程と、
を含む前記方法。
【請求項24】
前記薬学的活性剤はグアンファシンである、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記方法の工程1)による前記予混合物は、(i)及び(ii)を乾式粉砕法及び/またはスラリー法で組み合わせる工程によって得られる、請求項23または24に記載の方法。
【請求項26】
グアンファシン含有層構造を含むグアンファシンの経皮投与のための経皮治療システムであって、前記グアンファシン含有層構造は、
A)バッキング層と、
B)グアンファシン含有層、好ましくは、グアンファシン含有マトリックス層と、
を含み、前記層は、
i)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、6~9重量%の全体量のグアンファシン及びソルビン酸と、
ii)いずれの場合にも前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、第1シリコーン-アクリルハイブリッドポリマーは60~90重量%の量で存在し、第2シリコーン-アクリルハイブリッドポリマーは1~20重量%の量で存在する、2つのシリコーン-アクリルハイブリッドポリマーの混合物と、
iii)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~6重量%の量のポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテルと、
iv)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~6重量%の量のオレイルアルコール、ラウログリコール及びオレオイルマクロゴール-6 グリセリドから選択される透過促進剤と、
を含む、前記経皮治療システム。
【請求項27】
グアンファシン含有層構造を含むグアンファシンの経皮投与のための経皮治療システムであって、前記グアンファシン含有層構造は、
A)バッキング層と、
B)グアンファシン含有層、好ましくは、グアンファシン含有マトリックス層と、
を含み、前記層は、
i)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、6~9重量%の全体量のグアンファシン及びソルビン酸と、
ii)いずれの場合にも前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、第1シリコーン-アクリルハイブリッドポリマーは60~90重量%の量で存在し、第2シリコーン-アクリルハイブリッドポリマーは1~20重量%の量で存在する、2つのシリコーン-アクリルハイブリッドポリマーの混合物と、
iii)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~6重量%の量のポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテルと、
iv)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~6重量%の量のオレイルアルコールと、
を含む、前記経皮治療システム。
【請求項28】
グアンファシン含有層構造を含むグアンファシンの経皮投与のための経皮治療システムであって、前記グアンファシン含有層構造は、
A)バッキング層と、
B)グアンファシン含有層、好ましくは、グアンファシン含有マトリックス層と、
を含み、前記層は、
i)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、6~9重量%の全体量のグアンファシン及びソルビン酸と、
ii)いずれの場合にも前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、第1シリコーン-アクリルハイブリッドポリマーは60~90重量%の量で存在し、第2シリコーン-アクリルハイブリッドポリマーは1~20重量%の量で存在する、2つのシリコーン-アクリルハイブリッドポリマーの混合物と、
iii)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~6重量%の量のポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテルと、
iv)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~6重量%の量のラウログリコールと、
を含む、前記経皮治療システム。
【請求項29】
グアンファシン含有層構造を含むグアンファシンの経皮投与のための経皮治療システムであって、前記グアンファシン含有層構造は、
A)バッキング層と、
B)グアンファシン含有層、好ましくは、グアンファシン含有マトリックス層と、
を含み、前記層は、
i)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、6~9重量%の全体量のグアンファシン及びソルビン酸と、
ii)いずれの場合にも前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、第1シリコーン-アクリルハイブリッドポリマーは60~90重量%の量で存在し、第2シリコーン-アクリルハイブリッドポリマーは1~20重量%の量で存在する、2つのシリコーン-アクリルハイブリッドポリマーの混合物と、
iii)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~6重量%の量のポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテルと、
iv)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~6重量%の量のオレオイルマクロゴール-6 グリセリドと、
を含む、前記経皮治療システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体循環へのグアンファシンの経皮投与のための経皮治療システム(TTS)、ならびにその製造方法、治療方法及び使用に関する。
【背景技術】
【0002】
活性剤グアンファシン(N-(アミノイミノメチル)-2,6-ジクロロ-ベンゼンアセトアミド、C
9H
9Cl
2N
3O,CAS登録番号29110-47-2としても知られる)は、高血圧症及び注意欠陥多動性障害(ADHD)を治療するために使用される交感神経遮断薬である。これは中枢作用性アルファ(2)-アドレナリン受容体作用薬である。これは以下の化学式を有する。
【化1】
【0003】
現在、グアンファシンは、例えば、1mgから4mgのグアンファシンを含む即時または制御放出錠剤の形態で市販されている。その錠剤は1日1回の投与に適している。
【0004】
しかしながら、活性剤の経口投与は、例えば患者コンプライアンスの観点から不利な点を有する。さらに、ひとたび徐放性錠剤が経口摂取されると、例えば過剰投薬または不耐性の兆候に照らして治療を迅速に終えることは可能でない。
【0005】
したがって、グアンファシンの経皮投与のための経皮治療システムが必要とされている。特に、1回の適用での複数日治療に適当であり、それによって患者コンプライアンスを改善するTTSが必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
したがって、グアンファシンの経皮投与のためのTTSを提供することが、本発明の目的である。特に、本発明の目的は、治療有効投与量を達成するのに十分な皮膚透過率を提供するグアンファシンの経皮投与のためのTTSを提供することである。
【0007】
本発明のさらなる目的は、少なくとも24時間、好ましくは少なくとも72時間、より好ましくは約84時間の間、治療有効量のグアンファシンを提供するグアンファシンの経皮投与のためのTTSを提供することである。特に、本発明の目的は、治療有効量が全期間にわたって提供され、ここで、TTSは皮膚に適用されて、ある特定の適用時間、例えば少なくとも24時間、好ましくは少なくとも72時間、より好ましくは約84時間の後にTTSを交換することによって24時間治療を可能にすることである。
【0008】
本発明のさらなる目的は、経口投与と比較した場合に(特に定常状態で)、グアンファシン血漿濃度の変動が低減される、グアンファシンの経皮投与のためのTTSを提供することである。
【0009】
本発明のさらなる目的は、高度な活性成分利用を伴うグアンファシンの経皮投与のためのTTSを提供することである。
【0010】
本発明の別の目的は、サイズ及び厚さの点から見て適用に便利であることという必要性に応えており、及び/または製造が容易であり費用対効果が高い、グアンファシンの経皮投与のためのTTSを提供することである。
【0011】
本発明のさらなる目的は、TTSの調製のための方法を提供することである。
【0012】
本発明は、これらの目的及びその他の目的を達成し、一態様によれば、グアンファシン含有層構造を含むグアンファシンの経皮投与のための経皮治療システムに関する。ここで、前記グアンファシン含有層構造は、
A)バッキング層と、
B)グアンファシン及びモノカルボン酸を含むグアンファシン含有層と、
を含む。
【0013】
本発明による、グアンファシン及びモノカルボン酸を含むTTSは、活性成分の利用、ならびに一定及び連続的なグアンファシン送達の観点から有利な特性を提供することが見出された。特に、本発明によるTTSは、少なくとも24時間、好ましくは少なくとも72時間、より好ましくは約84時間の期間にわたるグアンファシンの適当な透過率及び適当な透過量を提供する。特定の実施形態によれば、本発明はまた、上述のようなグアンファシンの経皮投与のための経皮治療システムに関しており、ここで、グアンファシン含有層は、
i)グアンファシン及びモノカルボン酸と、
ii)少なくとも1つのポリマーと、
を含むグアンファシン含有マトリックス層である。
【0014】
特定の好ましい実施形態では、本発明は、上述のような経皮治療システムに関するものであり、ここで、グアンファシン含有層中のグアンファシン及びモノカルボン酸は予混合物の形態で存在する。
【0015】
より好ましい実施形態では、本発明は、上述のような経皮治療システムに関するものであり、ここで、グアンファシン含有層中のグアンファシン及びモノカルボン酸は予混合物の形態で存在し、前記予混合物は、乾式粉砕法またはスラリー法により得ることができる。
【0016】
特定の好ましい実施形態では、少なくとも1つのポリマーは、
・アクリルポリマー及び少なくとも1つのシリコーンベースポリマーの混合物、
・2つのシリコーン-アクリルハイブリッドポリマーの混合物、または
・2つのシリコーンベースポリマーの混合物、または
・アクリルポリマー、または
・-OH基を含むアクリルポリマー
である。
【0017】
別の好ましい実施形態において、グアンファシン含有層は、分散剤、透過促進剤及び可溶化剤からなる群から選択される少なくとも1つの添加剤、好ましくは少なくとも2つの添加剤をさらに含む。
【0018】
1つの特定の態様によれば、本発明は、グアンファシンの経皮投与のための経皮治療システムに関しており、前記グアンファシン含有層構造は、
A)バッキング層と、
B)グアンファシン含有層、好ましくは、グアンファシン含有マトリックス層と、
を含み、前記層は、
i)グアンファシン含有層の総重量に基づいて、3~16重量%の量のグアンファシン及び1~7.2重量%の量のソルビン酸と、
ii)アクリルポリマー及び少なくとも1つのシリコーンベースポリマーの混合物であって、グアンファシン含有層の総重量に基づいて、前記アクリルポリマーは20~55重量%の量で存在し、前記少なくとも1つのシリコーンベースポリマーは20~55重量%の量で存在する、前記混合物と、
iii)グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~10個のEO単位を2~6重量%の量で有するポリエチレングリコールC8~C20-アルキルエーテルと、
iv)グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~6重量%の量のオレイルアルコールと、
を含む。
【0019】
別の特定の態様によれば、本発明は、グアンファシン含有層構造を含むグアンファシンの経皮投与のための経皮治療システムに関しており、前記グアンファシン含有層構造は、
A)バッキング層と、
B)グアンファシン含有層、好ましくは、グアンファシン含有マトリックス層と、
を含み、前記層は、
i)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、3~16重量%の量のグアンファシン及び1~7.2重量%の量のソルビン酸と、
ii)いずれの場合にもグアンファシン含有層の総重量に基づいて、第1シリコーン-アクリルハイブリッドポリマーは60~90重量%の量で存在し、第2シリコーン-アクリルハイブリッドポリマーは1~20重量%の量で存在する、2つのシリコーン-アクリルハイブリッドポリマーの混合物と、
iii)グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~10個のEO単位を2~6重量%の量で有するポリエチレングリコールC8~C20-アルキルエーテルと、
iv)グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~6重量%の量のオレイルアルコールと、
を含む。
【0020】
さらなる特定の態様によれば、本発明は、グアンファシン含有層構造を含むグアンファシンの経皮投与のための経皮治療システムに関しており、前記グアンファシン含有層構造は、
A)バッキング層と、
B)グアンファシン含有層、好ましくは、グアンファシン含有マトリックス層と、
を含み、前記層は、
i)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、3~16重量%の量のグアンファシン及び1~7.2重量%の量のソルビン酸と、
ii)グアンファシン含有層の総重量に基づいて、第1シリコーンベースポリマーは20~55重量%の量で存在し、第2シリコーンベースポリマーは20~55重量%の量で存在する、2つのシリコーンベースポリマーの混合物と、
iii)グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~10個のEO単位を2~6重量%の量で有するポリエチレングリコールC8~C20-アルキルエーテルと、iv)グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~6重量%の量のオレイルアルコールと、
を含む。
【0021】
別の特定の態様によれば、本発明は、グアンファシン含有層構造を含むグアンファシンの経皮投与のための経皮治療システムに関しており、前記グアンファシン含有層構造は、
A)バッキング層と、
B)グアンファシン含有層、好ましくは、グアンファシン含有マトリックス層と、
を含み、前記層は、
i)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、3~16重量%の量のグアンファシン及び1~7.2重量%の量のソルビン酸と、
ii)グアンファシン含有層の総重量に基づいて、65~95重量%の量のアクリルポリマーと、
iii)グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~10個のEO単位を2~6重量%の量で有するポリエチレングリコールC8~C20-アルキルエーテルと、
iv)グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~6重量%の量のオレイルアルコールと、
を含む。
【0022】
さらなる特定の態様によれば、本発明は、グアンファシン含有層構造を含むグアンファシンの経皮投与のための経皮治療システムに関しており、前記グアンファシン含有層構造は、
A)バッキング層と、
B)グアンファシン含有層、好ましくは、グアンファシン含有マトリックス層と、
を含み、前記層は、
i)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、3~16重量%の量のグアンファシン及び1~7.2重量%の量のソルビン酸と、
ii)グアンファシン含有層の総重量に基づいて、65~95重量%の量の-OH基を含むアクリルポリマーと、
iii)グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~10個のEO単位を2~6重量%の量で有するポリエチレングリコールC8~C20-アルキルエーテルと、
iv)グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~6重量%の量のオレイルアルコールと、
を含む。
【0023】
本発明の特定の実施形態によれば、本発明による経皮治療システムは、ヒト患者を治療する方法に使用するため、好ましくは6~17歳のヒト患者を治療する方法に使用するためのものである。特に、本発明による経皮治療システムは、高血圧症または注意欠陥多動性障害(ADHD)を治療する方法に使用するための、及び/またはヒト患者、好ましくは5~17歳のヒト患者における刺激性薬物療法の補助療法として使用するためのものである。これらの医学的用途に関連して、本発明によるTTSは、好ましくは少なくとも24時間、より好ましくは少なくとも72時間、最も好ましくは約84時間、患者の皮膚に適用される。
【0024】
特定の実施形態によれば、本発明はさらに、本発明による経皮治療システムを患者の皮膚に適用することによって、ヒト患者、好ましくは6~17歳のヒト患者を治療する方法に関する。特に、本発明は、本発明による経皮治療システムを患者の皮膚に適用することによって、ヒト患者、好ましくは6~17歳のヒト患者における高血圧症または注意欠陥多動性障害(ADHD)を治療する方法に関する。これらの方法に関連して、本発明によるTTSは、少なくとも24時間、より好ましくは少なくとも72時間、最も好ましくは約84時間、患者の皮膚に適用されることが好ましい。
【0025】
別の実施形態によれば、本発明は、約10~600ng*h/ml、好ましくは約20~400ng*h/mlのAUC0-24hを有する、及び/または約30~1800ng*h/ml、好ましくは約60~1200ng*h/mlのAUC0-72hを有する、及び/または約35~2100ng*h/ml、好ましくは約70~1400ng*h/mlのAUC0-84hを有する、及び/または3.5未満のCmaxのC84に対する比を有する、及び/または3.0未満のCmaxのC72に対する比を有する、及び/または2.0未満のCmaxのC24に対する比を有する、上記で定義したグアンファシンの経皮投与のための経皮治療システムに関する。
【0026】
さらなる態様によれば、本発明は、経皮治療システムに使用する活性薬含有層の製造方法に関しており、前記方法は、
1)少なくとも、成分
(i)薬学的活性剤と、
(ii)少なくとも1つのモノカルボン酸と、
を組み合わせて予混合物を得る工程と、
2)
(i)工程1)の前記予混合物と、
(ii)少なくとも1つのポリマーと、
を組み合わせてコーティング組成物を得る工程と、
3)前記コーティング組成物をバッキング層または剥離ライナー上にコーティングして、コーティングされたコーティング組成物を得る工程と、
4)前記コーティングされたコーティング組成物を乾燥させて、前記活性薬含有層を形成する工程と、
を含む。
【0027】
さらに別の態様によれば、本発明は、本発明による方法によって得られる経皮治療システムに関する。
【0028】
定義
本発明の意味の範囲内で、「経皮治療システム」(TTS)という用語は、経皮送達を介して活性剤(例えば、グアンファシン)を体循環に投与するシステムを指し、かつ存在していてもよい剥離ライナーを除去した後に患者の皮膚に適用される個々の投与単位全体を指し、この投与単位全体は、活性剤含有層構造中の治療有効量の活性剤と、活性剤含有層構造の上に追加されていてもよい接着剤オーバーレイとを含む。活性剤含有層構造は剥離ライナー(取り外し可能な保護層)上に配置されてもよく、よって、TTSは剥離ライナーをさらに含んでもよい。本発明の意味の範囲内で、「TTS」という用語は特に、例えば、イオントフォレシスまたはマイクロポレーションを介した活性物質送達を除く経皮送達を提供するシステムを指す。経皮治療システムは、経皮薬物送達システム(TDDS)または経皮送達システム(TDS)と呼ばれてもよい。
【0029】
本発明の意味の範囲内で、「活性剤含有層構造」または「グアンファシン含有層構造」という用語は、バッキング層及び活性剤含有層を含む層構造を指す。活性剤含有層構造は治療有効量の活性剤を含む。好ましくは、活性剤含有層構造は、活性剤含有の自己接着性層構造である。好ましくは、活性剤はグアンファシンである。
【0030】
本発明の意味の範囲内で、「治療有効量」という用語は、TTSによって患者に投与される場合、所望の薬理学的効果を提供するのに十分なTTS中の活性剤の量を指す。グアンファシンに関して、「治療有効量」という用語は、TTSによって患者に投与される場合、好ましくは、高血圧もしくは注意欠陥多動性障害(ADHD)を治療、予防もしくは軽減するのに十分である、またはヒト患者における刺激性薬物療法の補助療法として十分であるTTS中の活性剤の量を指す。TTSは、通常、皮膚及び体循環に実際に提供される活性物質よりも多くの活性物質をシステム中に含んでいる。この過剰量の活性剤は、通常、TTSから体循環への送達に十分な駆動力を提供するために必要である。
【0031】
本発明の意味の範囲内で、「活性物質」及び「活性剤」などの用語、ならびに「グアンファシン」という用語は、任意の薬学的に受容可能な化学的及び形態学的形態、ならびに物理的状態にあるそれぞれの活性剤を指す。好ましくは、本発明における活性剤は、「共塩(co-salt)」の形態で存在する(すなわち、活性剤(好ましくは、グアンファシン)は、少なくとも1つのモノカルボン酸と一緒に予混合物中に存在している)ことで、例えばプロトン移動または水素結合形成が可能であり、好ましくは少なくとも部分的にモノカルボン酸のグアンファシン塩が形成される。言い換えれば、活性剤(好ましくは、グアンファシン)は、少なくとも部分的にプロトン化した形態で存在し得る。さらなる形態には、プロトン化もしくは部分的にプロトン化した形態、脱プロトン化もしくは部分的に脱プロトン化した形態、塩または共結晶の活性剤が含まれるが、これらに限定されない。さらなる薬学的に受容可能な化学的及び形態学的形態ならびに物理的状態には、溶媒和物、水和物、クラスレート、複合体などのほか、粒子(微粉化された結晶質及び/または非晶質であってもよい)の形態の活性剤、及び前述の形態の任意の混合物が含まれる。活性剤は、溶媒などの媒体に含まれている場合、溶解もしくは分散していても、または一部溶解していて一部分散していてもよい。しかしながら、本発明は、活性剤(好ましくは、グアンファシン)及びモノカルボン酸に関連して、グアンファシンとモノカルボン酸との予混合物に基づいてグアンファシン含有層中に得られる任意の形態を包含することを、そして、この形態は、例えば、グアンファシン及びモノカルボン酸が化学的相互作用なしに共存する選択肢(すなわちプロトン移動または水素結合形成)及び上述のような共塩形成の選択肢を含むことを、理解するべきである。好ましくは、グアンファシン遊離塩基及びモノカルボン酸は、共塩または他の任意の種類の酸付加塩を一緒に形成する場合があり、その結果、グアンファシン含有層は、好ましくは、グアンファシン遊離塩基及びモノカルボン酸の共塩または他の任意の種類の酸付加塩を少なくとも部分的に含む。言い換えれば、グアンファシン含有層は、好ましくは、少なくとも部分的にプロトン化した形態にあるグアンファシンと、少なくとも部分的に脱プロトン化した形態にあるモノカルボン酸とを含む。
【0032】
活性剤がTTSの製造において特定の形態で使用されると言及されている場合、このことは、例えば、活性剤がモノカルボン酸との予混合物として提供されることで共塩または任意の他の種類の酸付加塩が形成される場合のような、この形態の活性剤と、活性剤含有層構造の他の成分との間の相互作用(最終TTS中に依然として存在する場合がある)を排除するものではない。これは、活性剤がプロトン化もしくは部分的にプロトン化/または脱プロトン化もしくは部分的に脱プロトン化された形態、または酸付加塩の形態で最終TTS中に存在してもよく、あるいはそれが塩の形態で含まれる場合、その一部は、最終TTS中に遊離塩基として存在してもよいことを意味する。別段の表示がない限り、特に、層構造中の活性剤の量は、TTSの製造中にTTSに含まれる活性剤の量に関連し、活性剤自体、または活性剤とモノカルボン酸との予混合物に基づいて計算されるが、その他の形態には基づいて計算されない。
【0033】
TTSの製造中にTTSに含まれる活性剤出発材料は、粒子の形態であってもよい。活性剤は、例えば、粒子の形態で活性剤含有層構造中に存在し得る、及び/または溶解し得る。
【0034】
本発明の意味の範囲内で、「粒子」という用語は、個々の粒子を含む固体の粒子状材料であり、その寸法がその材料と比較してごくわずかであるものを指す。特に、粒子は、非晶質及び結晶質材料を含む、プラスチック/変形可能な固体を含む固体である。
【0035】
本発明の意味の範囲内で、「分散する」という用語は、出発材料(例えば、グアンファシン)が完全に溶解されていない工程、または工程の組み合わせを指す。本発明の意味における分散は、出発材料の溶解度(例えば、コーティング組成物中のグアンファシンの溶解度)に応じた、出発材料の一部(例えば、グアンファシン粒子)の溶解を含む。
【0036】
活性剤送達のためのTTSには、2つの主要な種類、すなわち、マトリックス型TTS及びリザーバ型TTSがある。マトリックス型TTSにおける活性剤の放出は、主に、活性剤自体を含むマトリックスによって制御される。これに対して、リザーバ型TTSは典型的には、活性剤の放出を制御する速度制御膜を必要とする。原理的には、マトリックス型TTSも速度制御膜を含有してもよい。しかしながら、マトリックス型TTSは、リザーバ型TTSと比較して、通常、速度決定膜が不要であり、膜の破断による用量ダンピングが起こり得ない点で有利である。要約すると、マトリックス型経皮治療システム(TTS)は、製造の複雑さが少なく、患者による使用が容易で便利である。
【0037】
本発明の意味の範囲内で、「マトリックスタイプのTTS」とは、活性物質がポリマー担体、すなわち、マトリックス内に均質に溶解及び/または分散しているシステムまたは構造であり、活性剤及び任意に残存する成分とともにマトリックス層を形成するものを指す。そのようなシステムでは、マトリックス層は、TTSからの活性剤の放出を制御する。好ましくは、マトリックス層は、他の層間の封止が必要とされないように、自己支持性となるのに十分な凝集性を有する。したがって、活性剤含有層は、本発明の一実施形態では、活性剤がポリマーマトリックス内に均質に分布した活性剤含有マトリックス層であってもよい。ある特定の実施形態では、活性剤含有マトリックス層は、一緒に積層されてもよい2つの活性剤含有マトリックス層を含んでもよい。マトリックス型TTSは特に、活性物質が感圧接着剤マトリックス内に均質に溶解及び/または分散したシステムを指す「接着剤中薬物」型TTSの形態であってもよい。これに関連して、活性剤含有マトリックス層はまた、活性剤含有感圧接着剤層または活性剤含有感圧接着剤マトリックス層と称されてもよい。ポリマーゲル、例えば、ヒドロゲル内に溶解及び/または分散した活性剤を含むTTSもまた、本発明に従ってマトリックス型のものであるとみなされる。活性剤含有マトリックス層を含むTTSはまた、皮膚接触層を追加的に含み得ることを理解されるべきである。
【0038】
リザーバ型TTSは、本発明の意味の範囲内のマトリックス型TTSと理解されるべきではない。
【0039】
本発明の意味の範囲内で、「活性剤含有層」という用語は、活性剤を含有すると共に放出領域を提供する層を指す。その用語は、活性剤含有マトリックス層及び活性剤含有リザーバ層を包含する。活性剤含有層が活性剤含有マトリックス層である場合、前記層は、マトリックス型TTS内に存在する。ポリマーが感圧接着剤である場合、マトリックス層はまた、追加の皮膚接触層が存在しないように、TTSの接着剤層を表し得る。代替的に、追加の皮膚接触層が接着剤層として存在し得、及び/または接着剤オーバーレイが提供される。追加の皮膚接触層は、通常は、活性剤を含まないように製造される。しかしながら、濃度勾配のために、活性剤は、平衡状態に達するまで、時間の経過とともにマトリックス層から追加の皮膚接触層に移動する。追加の皮膚接触層は、活性剤含有マトリックス層上に存在していてもよく、または膜、好ましくは速度制御膜によって活性剤含有マトリックス層から分離していてもよい。好ましくは、活性剤含有マトリックス層は、追加の皮膚接触層が存在しないように十分な接着特性を有する。活性剤含有層が活性剤含有リザーバ層である場合、前記層は、リザーバ型TTS内に存在し、その層は、液体リザーバ中に活性剤を含む。さらに、接着特性を提供するために、皮膚接触層が存在してもよい。追加の皮膚接触層は、通常は、活性剤を含まないように製造される。皮膚接触層が活性剤を含まない場合、活性剤は、濃度勾配のため、平衡状態に達するまで、時間の経過とともにリザーバ層から皮膚接触層へ移動する。さらに、接着オーバーレイが提供されてもよい。
【0040】
本明細書で使用される場合、活性剤含有層は好ましくは、活性剤含有マトリックス層であり、それは最終固化層と呼ばれる。好ましくは、活性剤含有マトリックス層は、本明細書に記載されているように溶媒含有コーティング組成物をコーティングし、乾燥させた後に得られる。代替的に、活性剤含有マトリックス層は、溶融コーティング及び冷却の後に得られる。また、活性剤含有マトリックス層を、所望の面積重量を提供するために、同じ組成の2つまたはそれよりも多くのそのような固化層(例えば、乾燥または冷却された層)を積層することによって製造してもよい。好ましくは、マトリックス層は、感圧接着剤マトリックス層である。任意選択で、接着剤オーバーレイが存在してもよい。
【0041】
本発明の意味の範囲内で、「感圧接着剤」(「PSA」とも略される)という用語は、特に指圧で接着し、永久的に粘着性であり、強い保持力を発揮し、残留物を残すことなく滑らかな表面から除去可能であるべき材料を指す。皮膚と接触したとき、感圧接着剤層は「自己接着性」であり、言い換えれば、通常は皮膚への固定のためにさらなる補助が必要とされないように皮膚に接着力を提供する。本発明による「自己接着性」層構造は、感圧マトリックス層の形態、または追加の層すなわち感圧接着剤皮膚接触層の形態で提供され得る皮膚接触のための感圧接着剤層を含む。接着剤オーバーレイを、接着力を向上させるために依然として採用してもよい。感圧接着剤の感圧接着特性は、使用されるポリマーまたはポリマー組成物に依存する。
【0042】
本発明の意味の範囲内で、「シリコーンアクリルハイブリッドポリマー」という用語は、シリコーン亜種及びアクリレート亜種の繰り返し単位を含む重合生成物を指す。よって、シリコーンアクリルハイブリッドポリマーはシリコーン相及びアクリル相を含む。好ましくは、シリコーンアクリルハイブリッドポリマーはシリコーン相及びアクリレート相を、言い換えれば、シリコーン亜種及びアクリレート亜種を、特定の重量比、例えば、60:40~40:60で含む。「シリコーンアクリルハイブリッド」という用語は、シリコーンベースの亜種及びアクリレートベースの亜種の単純なブレンドを超えるものを意味することが意図されている。代わりに、この用語は、一緒に重合されたシリコーンベースの亜種とアクリレートベースの亜種とを含む重合ハイブリッド種を意味する。本発明で使用されるハイブリッドポリマーの文脈において、アクリレート及びアクリルという用語は概して互換的に使用されるので、シリコーンアクリルハイブリッドポリマーはまた、「シリコーンアクリレートハイブリッドポリマー」と呼ばれ得る。
【0043】
本発明の意味の範囲内で、「シリコーンアクリルハイブリッド感圧接着剤」という用語は、感圧接着剤の形態のシリコーンアクリルハイブリッドポリマーを指す。シリコーンアクリルハイブリッド感圧接着剤は、例えば、EP2599847及びWO2016/130408に記載されている。シリコーンアクリルハイブリッド感圧接着剤の例には、DuPont(商標)によってn-ヘプタンまたは酢酸エチル中で製造され、供給されるPSAシリーズ7-6100及び7-6300(7-610X及び7-630X;X=1 n-ヘプタンベース/X=2 酢酸エチルベース)が含まれる。シリコーンアクリルハイブリッドPSAが供給される溶媒に応じて、シリコーンまたはアクリルの連続的な外部相及び対応する不連続的な内部相を提供するシリコーン相及びアクリル相の配置が異なることが見出された。シリコーンアクリルハイブリッドPSAがn-ヘプタン中で供給される場合、組成物は、連続的なシリコーン外部相及び不連続的なアクリル内部相を含有する。シリコーンアクリルハイブリッドPSA組成物が酢酸エチル中で供給される場合、組成物は、連続的なアクリル外部相及び不連続的なシリコーン内部相を含有する。
【0044】
本発明の意味の範囲内で、「非ハイブリッドポリマー」という用語は、ハイブリッド種を含まないポリマーと同義で使用される。好ましくは、非ハイブリッドポリマーは、感圧接着剤(例えば、シリコーンまたはアクリレートベースの感圧接着剤)である。本発明による好ましい非ハイブリッドポリマーは「シリコーンベースポリマー」であり、本明細書で使用する場合、これはシラノール末端ブロック化ポリジメチルシロキサンのシリケート樹脂との重縮合によって得られるポリマーである。別の好ましい非ハイブリッドポリマーはアクリレートベースポリマー、すなわちアクリルポリマーであり、本明細書で使用される場合、アクリル酸、ブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、グリシジルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、t-オクチルアクリルアミド及び酢酸ビニルから選択される1つまたは複数のモノマーから得られるポリマーである。
【0045】
本明細書で使用される場合、活性剤含有マトリックス層は、少なくとも1つのポリマーに溶解または分散した活性剤を含有する、または少なくとも1つのポリマーに堆積物(特に液滴)の形態で分散した活性剤-溶媒混合物を形成するために溶媒に溶解した活性剤を含有する層である。好ましくは、少なくとも1つのポリマーは、ポリマーベースの感圧接着剤(例えば、アクリルポリマー)である。本発明の意味の範囲内で、「感圧接着剤層」という用語は、フィルム上にコーティングし、溶媒を蒸発させた後、溶媒含有接着剤コーティング組成物から得られる感圧接着剤層を指す。
【0046】
本発明の意味の範囲内で、「皮膚接触層」という用語は、投与中に患者の皮膚と直接接触する活性剤含有層構造に含まれる層を指す。TTSが皮膚接触層を含む場合、活性剤含有層構造の他の層は皮膚と接触せず、必ずしも自己接着特性を有さない。上記で概説したように、活性剤含有層に結合した追加の皮膚接触層は、時間の経過とともに活性剤の一部を吸収し得る。追加の皮膚接触層及び活性剤含有層のサイズは通常、同一の広がりを有し、放出領域に相当する。しかしながら、皮膚接触層の面積は、活性剤含有層の面積よりも大きくてもよい。そのような場合、放出領域は、依然として、活性剤含有層の領域を指す。
【0047】
本発明の意味の範囲内で、「面積重量」という用語は、g/m2で提供される、特定の層、例えば、マトリックス層の乾燥重量を指す。製造上のばらつきのために、面積重量値には±10%、好ましくは±7.5%の許容誤差が必要である。
【0048】
別段の表示がない限り、「%」は重量%(重量による%)を指す。
【0049】
本発明の意味の範囲内で、「ポリマー」という用語は、1つまたは複数のモノマーを重合することによって得られるいわゆる繰り返し単位からなる任意の物質を指し、1種類のモノマーからなるホモポリマー、及び2つまたはそれよりも多くの種類のモノマーからなるコポリマーを含む。ポリマーは、線状ポリマー、星形ポリマー、櫛形ポリマー、ブラシ形ポリマーなどの任意の構造のもの、コポリマーの場合には任意のモノマー配列のもの、例えば、交互、統計的、ブロックコポリマー、またはグラフトポリマーであり得る。最小分子量は、ポリマーの種類に応じて変化するものであり、当業者に知られている。ポリマーは、例えば、2000ダルトンを超え、好ましくは5000ダルトンを超え、より好ましくは10,000ダルトンを超える分子量を有しえる。これに対応して、2000ダルトン未満、好ましくは5000ダルトン未満、またはより好ましくは10,000ダルトン未満の分子量を有する化合物は通常、オリゴマーと称される。
【0050】
本発明の意味の範囲内で、「架橋剤」という用語は、ポリマー内に含有されている官能基を架橋することができる物質を指す。
【0051】
本発明の意味の範囲内で、「接着剤オーバーレイ」という用語は、活性剤を含まず、活性剤含有構造よりも面積が大きく、かつ皮膚に接着する追加の面積を提供するが、活性剤の放出面積を提供しない自己接着性層構造を指す。それにより、TTSの全体的な接着特性が向上する。接着剤オーバーレイは、閉鎖性または非閉鎖性の特性を提供し得る裏地層、及び接着剤層を含む。好ましくは、接着剤オーバーレイの裏地層は、非閉鎖特性を提供する。
【0052】
本発明の意味の範囲内で、「裏地層」という用語は、活性剤含有層を支持するか、または接着剤オーバーレイの裏地を形成する層を指す。TTS中の少なくとも1つの裏地層、及び通常は活性剤含有層の裏地層は、保存及び投与の期間中、層に含有されている活性剤に対して実質的に不透過性であり、よって、規制要件に従って活性損失または交差汚染を防止する。好ましくは、裏地層はまた、水及び水蒸気に対して実質的に不透過性であることを意味する閉鎖性である。裏地層のための好適な材料には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、エチレン酢酸ビニル-コポリマー(EVA)、ポリウレタン、及びそれらの混合物が含まれる。よって、好適な裏地層は、例えば、PET積層体、EVA-PET積層体及びPE-PET積層体である。織布または不織布の裏地層も好適である。
【0053】
本発明によるTTSは、インビトロ皮膚透過試験で測定されるある特定のパラメータによって特徴付けられ得る。
【0054】
概して、インビトロ透過試験は、抗菌薬剤として0.1%アジ化ナトリウムを有する0.9%塩化ナトリウム溶液を使用して、フランツ拡散セル内で実行される。
【0055】
さらに、インビトロ透過試験を、ヒトまたは動物の皮膚を用いて、好ましくは、約800μmの厚さ及び無傷の表皮を有する採皮されたゲッティンガーミニブタを用いて、かつ0.9%塩化ナトリウム溶液(0.1%アジ化生理食塩水を有する32℃)を用いて、フランツ拡散セル内で実行してもよい。
【0056】
別段の表示がない限り、インビトロ透過試験は、約800μmの厚さ及び無傷の表皮を有する採皮されたゲッティンガーミニブタ皮膚を用いて、受容体媒体として0.9%塩化ナトリウム溶液(0.1%アジ化生理食塩水を有する32℃)を用いて実行される。受容体媒体に透過した活性物質の量は、サンプル体積を採取することによってUV光度検出器を用いるHPLC法を使用して規則的な間隔で決定される。受容体媒体は、サンプル体積を採取する際に新鮮な媒体で完全にまたは部分的に置き換えられ、透過した活性物質の測定量は、最後の2つのサンプル採取時点の間に透過した量に関連し、それまでに透過した総量には関連しない。
【0057】
よって、本発明の意味の範囲内で、「透過量」というパラメータは、μg/cm2で提供され、ある特定の経過時間でのサンプル区間中に透過した活性物質の量に関連する。例えば、受容体媒体に透過した活性物質の量が、例えば、0,4,8,16,24,32,40,48,56,64,72及び88時間目で測定された上述のようなインビトロ透過試験において、活性物質の「透過量」は、例えば、8時間目から16時間目のサンプル区間で与えられることができ、16時間目における測定結果に対応し、この場合、受容体媒体は、8時間目で完全に交換されている。
【0058】
また、透過量を、ある特定の時点での透過した活性物質の累積量に相当する「累積透過量」として与えることができる。例えば、受容体媒体に透過した活性物質の量が、例えば、0,4,8,16及び24時間目で測定された上述のようなインビトロ透過試験では、16時間目での活性物質の「累積透過量」は、0時間目~4時間目、4時間目~8時間目、8時間目~16時間目での透過量の合計に相当する。
【0059】
本発明の意味の範囲内で、ある特定の経過時間でのある特定のサンプル区間での「皮膚透過率」というパラメータは、μg/(cm2*h)で提供され、上述のようなインビトロ透過試験でのμg/cm2での測定にて前記サンプル区間中の透過量を、前記サンプル区間の時間で割ることにより計算される。例えば、受容体媒体に透過した活性物質の量が、例えば、0,4,8,16及び24時間目で測定された上述のようなインビトロ透過試験における皮膚透過率では、16時間目における「皮膚透過率」は、8時間目から16時間目のサンプル区間における透過量を8時間で割ったものとして計算される。
【0060】
「累積皮膚透過率」は、累積透過量を経過時間で割ることにより、それぞれの累積透過量から計算され得る。例えば、受容体媒体に透過した活性物質の量が、例えば、0,4,8,16及び24時間目で測定された上述のようなインビトロ透過試験において、16時間目における「累積皮膚透過率」は、16時間目における累積透過量(上記を参照)を16時間で割ったものとして計算される。
【0061】
本発明の意味の範囲内で、「透過量」及び「皮膚透過率」(ならびに「累積透過量」及び「累積皮膚透過率」)という上記パラメータは、少なくとも2回のインビトロ透過試験実験から計算された平均値を指す。別段の表示がない限り、これらの平均値の標準偏差(SD)は、式:
【数1】
(式中、nは、サンプルサイズであり、
【数2】
は、観察された値であり、
【数3】
は、観察された値の平均値である)を使用して計算される、補正されたサンプル標準偏差を指す。
【0062】
本発明によるTTSはまた、インビトロ臨床研究で測定されるようなある特定のパラメータによって特徴付けられ得る。
【0063】
本発明の意味の範囲内で、「平均放出率」というパラメータは、活性剤がヒトの皮膚をとおして体循環に放出される、投与期間(例えば、1~7日)にわたるμg/h(μg/時間)またはmg/日での平均放出率を指し、臨床研究中、前記投与期間にわたって得られたAUCに基づく。
【0064】
本発明の意味の範囲内で、「長期間」という用語は、少なくとももしくは約24時間、少なくとももしくは約48時間、少なくとももしくは約84時間、少なくとももしくは約168時間、少なくとももしくは約1日間、少なくとももしくは約3.5日間、または少なくとももしくは約7日間、または約24時間~約168時間もしくは1~7日間、または約24時間~約84時間もしくは1~3.5日間の期間に関する。
【0065】
継続的な薬物治療の場合、薬物投与の頻度は、治療的に有効な血漿濃度を維持するように十分に高く保たれることが好ましい。言い換えれば、投薬間隔とも呼ばれる2つの剤形投与間の間隔を、適宜に調整する必要がある。本発明の意味の範囲内で、「投薬間隔」という用語は、2つの連続するTTS投与間の期間、すなわち、TTSが患者の皮膚に適用される2つの連続する時点の間の間隔を指す。一度適用されると、TTSは、通常、投薬間隔全体にわたって患者の皮膚上に維持され、投薬間隔の終わりにのみ除去され、その時点で新しいTTSが皮膚に適用される。例えば、投薬間隔が24時間または1日である場合、TTSは、患者の皮膚に適用され、24時間または1日維持される。24時間または1日後、TTSは皮膚から除去され、新しいTTSが適用される。よって、24時間または1日の投与間隔により、24時間体制の治療において毎日のTTS交換様式が可能となる。
【0066】
本発明の意味の範囲内で、「室温」という用語は、実験が実施される実験室内で見られる改変されていない温度を指し、通常、15~35℃、好ましくは約18~25℃の範囲内である。
【0067】
本発明の意味の範囲内で、「患者」という用語は、治療の必要性を示唆する特定の1つまたは複数の症状の臨床兆候を呈した被験者、病態に対して防止的または予防的に治療される被験者、または治療すべき病態との診断を受けた被験者を指す。
【0068】
本発明の意味の範囲内で、「薬物動態パラメータ」という用語は、例えば、健常ヒト被験者への活性剤含有TTS、例えば、グアンファシン含有TTSの単回投与、複数回投与、または定常状態投与によって、臨床研究で得られた血漿曲線、例えば、Cmax、Ct、及びAUCt1-t2を説明するパラメータを指す。個々の被験者の薬物動態パラメータは、算術平均及び幾何平均、例えば、平均Cmax、平均AUCt、及び平均AUCINF、ならびに追加の統計値、例えばそれぞれの標準偏差及び標準誤差、最小値、最大値、及び値のリストがランク付けされる場合には中間値(中央値)を使用して要約される。別段の表示がない限り、本発明の文脈では、薬物動態パラメータ、例えば、Cmax、Ct及びAUCt1-t2は、幾何平均値を指す。臨床研究である特定のTTSについて得られた絶対平均値が研究毎にある程度は異なることを排除することはできない。研究間の絶対平均値の比較を可能にするために、参照製剤、例えば、将来的には本発明に基づくいずれかの製品が内部標準として使用され得る。前の研究と後の研究におけるそれぞれの参照製品の放出面積あたりのAUCの比較を使用して、補正係数を取得して、研究毎の差を考慮に入れることができる。
【0069】
本発明による臨床研究とは、International Conference for Harmonization of Clinical Trials(ICH)ならびにすべての適用可能な地域のGood Clinical Practices(GCP)及び規制に完全に準拠して実行された研究を指す。
【0070】
本発明の意味の範囲内で、「健常ヒト被験者」という用語は、55kg~100kgの範囲の体重及び18~29.4の範囲のボディマス指数(BMI)、ならびに血圧などの正常な生理学的パラメータを有する男性または女性被験者を指す。本発明の目的のための健常ヒト被験者は、ICHの推奨に基づき、それに従う、選択基準及び除外基準に従って選択される。
【0071】
本発明の意味の範囲内で、「被験者集団」という用語は、少なくとも5名、好ましくは少なくとも10名の個々の健常ヒト被験者を指す。
【0072】
本発明の意味の範囲内で、「幾何平均」という用語は、元のスケールに逆変換された対数変換データの平均を指す。
【0073】
本発明の意味の範囲内で、「算術平均」という用語は、すべての観測値の合計を総観測数で割ったものを指す。
【0074】
本発明の意味の範囲内で、「AUC」というパラメータは、血漿濃度-時間曲線下面積に相当する。AUC値は、血液循環に吸収される活性剤の量の合計に比例し、それゆえに、バイオアベイラビリティの尺度になる。
【0075】
別段の表示がない限り、本発明の意味の範囲内で、「AUCt1-t2」というパラメータは、(ng/ml)hで提供され、t1時間目からt2時間目までの血漿濃度-時間曲線下面積に関し、線形台形法によって計算される。他の計算方法は、例えば、対数及び線形対数台形法である。
【0076】
本発明の意味の範囲内で、「Cmax」というパラメータは、(ng/ml)で提供され、活性剤の観察された最大血漿濃度に関する。
【0077】
本発明の意味の範囲内で、「Ct」というパラメータは、(ng/ml)で提供され、t時間目で観察された活性剤の血漿濃度に関する。
【0078】
本発明の意味の範囲内で、「tmax」というパラメータは、時間(hour)で提供され、Cmax値に到達する時点に関する。言い換えれば、tmaxは、観察された最大血漿濃度の時点である。
【0079】
本発明の意味の範囲内で、「平均血漿濃度」という用語は、(ng/ml)で提供され、各時点での活性剤、例えば、グアンファシンの個々の血漿濃度の平均である。
【0080】
本発明の意味の範囲内で、「コーティング組成物」という用語は、乾燥してマトリックス層を形成するためにバッキング層または剥離ライナー上にコーティングされ得る、溶媒中にマトリックス層のすべての成分を含む組成物を指す。
【0081】
本発明の意味の範囲内で、「感圧接着剤組成物」という用語は、少なくとも溶媒(例えば、n-ヘプタンまたは酢酸エチル)と混合された感圧接着剤を指す。
【0082】
本発明の意味の範囲内で、「溶解する」という用語は、裸眼で見て、透明でいかなる粒子も含有しない溶液を得る処理を指す。
【0083】
本発明の意味の範囲内で、「溶媒」という用語は、好ましくは、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、酢酸エチル、塩化メチレン、ヘキサン、n-ヘプタン、トルエン、及びそれらの混合物などの揮発性有機液体である任意の液体物質を指す。
【0084】
本発明の意味の範囲内で、「モノカルボン酸」という用語は、1つのみの-COOH基を含むカルボン酸を指す。
【0085】
本発明の意味の範囲内で、「等モル」という用語は、2つまたはそれよりも多くの成分が存在する量を指す。好ましくは、「等モル」は、成分が1:1の比で存在することを意味する。
【0086】
本発明の意味の範囲内で、「予混合物」という用語は、グアンファシン及びモノカルボン酸の混合物を指す。予混合物を、乾式粉砕法またはスラリー法などの種々の調製方法によって得ることができる。本発明の意味の範囲内で、「スラリー法」によって得られる予混合物は、グアンファシン遊離塩基とモノカルボン酸とを等モル量で秤量する処理を含む。溶媒、例えばDCMを添加し、その混合物を室温で少なくとも1日間、磁気撹拌子で撹拌する。白色固体を真空下で濾過することによって回収し、溶媒で洗浄し、真空下で40°Cで24時間乾燥させた。
【0087】
本発明の意味の範囲内で、「乾式粉砕法」により得られる予混合物とは、グアンファシン塩基、モノカルボン酸及びメタノールの混合物を酸化ジルコニウムミリングビーズ(例えば、Retsch Mixer Mill MM 500ではビーズサイズ3mm)で、35Hzで約10分間ミリングすることを含む処理によって得られるグアンファシン及びモノカルボン酸を指す。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【
図1.1】比較例1A及び1Bに従って調製されたTTSのグアンファシンの累積透過量を示す。
【
図1.2】比較例1Dに従って調製されたTTSのグアンファシンの累積透過量を示す。
【
図1.3】実施例1A~E及び比較例1Cに従って調製されたTTSのグアンファシンの累積透過量を示す。
【
図2】実施例2A~Cならびに比較例2A及び2Bに従って調製されたTTSのグアンファシンの累積透過量を示す。
【
図3】実施例3A~E及び比較例3に従って調製されたTTSのグアンファシンの累積透過量を示す。
【
図4.1】実施例4A~C及び比較例4に従って調製されたTTSのグアンファシンの累積透過量を示す。
【
図4.2】実施例4Dに従って調製されたTTSのグアンファシンの累積透過量を示す。
【
図5.1】実施例5A~Eに従って調製されたTTSのグアンファシンの累積透過量を示す。
【
図5.2】実施例5Fに従って調製されたTTSのグアンファシンの累積透過量を示す。
【
図6】実施例6及び比較例6に従って調製されたTTSのグアンファシンの累積透過量を示す。
【発明を実施するための形態】
【0089】
TTS構造
本発明は、グアンファシン含有層構造を含むグアンファシンの経皮投与のための経皮治療システムに関しており、前記グアンファシン含有層構造は、a)バッキング層と、b)グアンファシン及びモノカルボン酸を含むグアンファシン含有層を含む。このグアンファシン含有層構造は、好ましくは、グアンファシン含有自己接着性層構造であり、追加の皮膚接触層を含まないことが好ましい。好ましくは、グアンファシン含有層は、グアンファシン及びモノカルボン酸ならびに少なくとも1つのポリマーを含むグアンファシン含有マトリックス層である。特に、経皮治療システム中に存在する少なくとも1つのポリマーは、好ましくは接着特性を提供する。さらに、グアンファシン含有層構造は、グアンファシン及びモノカルボン酸を含む。好ましくは、グアンファシン、特にグアンファシン遊離塩基及びモノカルボン酸は、グアンファシン含有層への添加の前に予め混合される。
【0090】
本発明によるTTSは、マトリックス型TTSまたはリザーバ型TTSであってもよく、好ましくはマトリックス型TTSである。
本発明によるマトリックス型TTSでは、グアンファシンとモノカルボン酸との予混合物は、ポリマー担体(すなわちマトリックス)内に好ましくは均一に分散され、このポリマー担体は、グアンファシン及びモノカルボン酸、ならびに場合によっては残りの成分とともにマトリックス層を形成する。したがって、本発明の一実施形態では、グアンファシン含有層は、グアンファシン及びモノカルボン酸がポリマーマトリックス内に均一に分散されているグアンファシン含有マトリックス層であってもよい。好ましくは、ポリマーマトリックスは、少なくとも1つの、本明細書で定義されるようなポリマーを含む。よって、本発明によれば、グアンファシン含有マトリックス層が、グアンファシンと、モノカルボン酸と、TTS中に存在する少なくとも1つのポリマーとを含むことが好ましい。少なくとも1つのポリマーは、アクリルポリマー、シリコーンベースポリマー、シリコーン-アクリルハイブリッドポリマー及びそれらの混合物からなる群から選択される。より好ましくは、本発明によれば、グアンファシン含有マトリックス層は、グアンファシンと、モノカルボン酸と、少なくとも1つのポリマーとを含み、この少なくとも1つのポリマーは、アクリルポリマー及び少なくとも1つのシリコーンベースポリマーの混合物、2つのシリコーン-アクリルハイブリッドポリマーの混合物、2つのシリコーンベースポリマーの混合物、アクリルポリマー、及びOH基を含むアクリルポリマーから選択される。これに関連して、追加の皮膚接触層が存在しないように、グアンファシン含有マトリックス層が自己接着性であることも好ましい。グアンファシン含有マトリックス層が、実質的に同じ組成の2つのグアンファシン含有マトリックス層を一緒に積層することにより調製される場合、その結果として得られる二重層は1つのグアンファシン含有マトリックス層とみなされる。
【0091】
本発明の好ましい実施形態では、グアンファシン含有層はグアンファシン含有マトリックス層であり、このグアンファシン含有マトリックス層は、
i)グアンファシン及びモノカルボン酸と、
ii)少なくとも1つのポリマーと、
を含む。
【0092】
よって、一実施形態によれば、本発明は、グアンファシン含有層構造を含むグアンファシンの経皮投与のための経皮治療システムに関しており、このグアンファシン含有層構造は、
A)バッキング層と、
B)グアンファシン含有層、好ましくは、グアンファシン含有マトリックス層と、
を含み、前記層は、
i)グアンファシン及びモノカルボン酸と、
ii)少なくとも1つのポリマーと、
を含む。
【0093】
グアンファシン含有層構造は、グアンファシン含有自己接着性層構造であることが好ましい。これに関連して、グアンファシン含有層構造が追加の皮膚接触層を含まないことも好ましい。その代わりに、グアンファシン含有層(好ましくは、グアンファシン含有マトリックス層)が自己接着性であることが好ましい。よって、好ましい実施形態では、グアンファシン含有層構造は、グアンファシン含有自己接着性層構造であり、追加の皮膚接触層を含まないことが好ましい。代替的に、または追加的に、バッキング層とグアンファシン含有層との間に追加の層が存在しないように、グアンファシン含有層がバッキング層に直接結合していることが好ましい。その結果、複雑度の低い層構造が得られる。このことは、例えば製造コストの観点で有利である。
【0094】
特に、グアンファシン含有層構造は3層以下、好ましくは2層、すなわち好ましくはバッキング層とグアンファシン含有層のみを含むことが好ましい。その場合は、投与中のグアンファシン含有自己接着性層構造と患者の皮膚との間の十分な接着が、グアンファシン含有層、好ましくは、グアンファシン含有マトリックス層によって提供される。追加の皮膚接触層が、例えば、グアンファシン含有層構造の第3層として存在する場合、接着特性を追加の皮膚接触層によって提供してもよい。しかしながら、本発明によれば、追加の皮膚接触層は存在しないことが好ましい。
【0095】
好ましくは、グアンファシン含有層構造の自己接着特性は、TTS、好ましくは、グアンファシン含有層、より好ましくは、グアンファシン含有マトリックス層に存在する少なくとも1つのポリマーによって提供される。よって、本発明の好ましい実施形態では、少なくとも1つのポリマーは感圧接着剤ポリマーである。
【0096】
本発明の好ましい実施形態では、グアンファシン含有層中のグアンファシン及びモノカルボン酸は、予混合物の形態で存在する。
【0097】
本発明のより好ましい実施形態では、グアンファシン含有層中のグアンファシン及びモノカルボン酸は予混合物の形態で存在し、前記予混合物は、乾式粉砕法またはスラリー法により得ることができる。
【0098】
本発明の好ましい実施形態では、少なくとも1つのポリマーは、アクリルポリマー、シリコーンベースポリマー、シリコーン-アクリルハイブリッドポリマー及びそれらの混合物からなる群から選択される。本発明のより好ましい実施形態では、少なくとも1つのポリマーは、アクリルポリマー及び少なくとも1つのシリコーンベースポリマーの混合物、2つのシリコーン-アクリルハイブリッドポリマーの混合物、2つのシリコーンベースポリマーの混合物、アクリルポリマー、及び-OH基を含むアクリルポリマーから選択される。本発明による少なくとも1つのポリマーに関するさらなる詳細を以下でさらに提供する。
【0099】
TTS、好ましくは、グアンファシン含有層、より好ましくは、グアンファシン含有マトリックス層は少なくとも2つのポリマーを含み、この少なくとも2つのポリマーは、アクリルポリマー、シリコーンベースポリマー、シリコーン-アクリルハイブリッドポリマー、及びそれらの混合物からなる群から選択されることを理解するべきである。好ましくは、TTS、好ましくは、グアンファシン含有層、より好ましくは、グアンファシン含有マトリックス層はポリマーを含み、このポリマーは、アクリルポリマー及び少なくとも1つのシリコーンベースポリマーの混合物、2つのシリコーン-アクリルハイブリッドポリマーの混合物、2つのシリコーンベースポリマーの混合物から選択されることを理解するべきである。第1ポリマーは、例えば高流束の観点で利点を提供し得るが、第2ポリマーは、例えば、連続的かつ一定の流束を得るために流束を低減及び/または最適化するために使用され得る。さらに、TTSの粘着性を、少なくとも2つのポリマーの組み合わせを使用することによって変更することができる。具体的なポリマー及び混合物に関するさらなる詳細を以下に提供する。
【0100】
本発明によるTTSは、少なくとも治療有効量のグアンファシンを含有することを理解するべきである。よって、本発明の好ましい実施形態では、グアンファシン含有層構造は、治療有効量のグアンファシンを含有する。本発明によるグアンファシン含有層構造中のグアンファシンは、モノカルボン酸と一緒に、好ましくは上記または以下でより詳細に記載されるように共塩の形態で存在する。本発明のより好ましい実施形態では、グアンファシン及びモノカルボン酸は、好ましくは、グアンファシン含有層中に分散する。本発明によるTTS中のグアンファシン及びモノカルボン酸に関する好ましい実施形態を以下でさらに提供する。さらに、モノカルボン酸と一緒にグアンファシンが存在すると、流束が高まる及び/または最適化されることを理解するべきである。本発明の特に好ましい実施形態では、グアンファシン及びソルビン酸がグアンファシン含有層構造中に存在する。
【0101】
本発明によるTTSは、分散剤、透過促進剤及び/または可溶化剤からなる群から選択される少なくとも1つの添加剤を含んでいてもよいことを理解するべきである。添加剤については以下でさらに詳しく説明する。
【0102】
さらに、添加剤はTTS内、好ましくは、グアンファシン含有層構造内、より好ましくは、グアンファシン含有層内、特にグアンファシン含有マトリックス層内に存在することを理解するべきである。
【0103】
本発明によれば、TTSの放出面積は1~100cm2、好ましくは2.5~50cm2の範囲であることが好ましい。
【0104】
本発明の好ましい実施形態では、バッキング層は、グアンファシンとモノカルボン酸との予混合物に対して実質的に不透過性である。特に、本発明の好ましい実施形態では、バッキング層は、グアンファシン及び/またはモノカルボン酸に対して実質的に不透過性である。さらに、バッキング層は、上記で概説したように密封性であることが好ましい。
【0105】
本発明のある特定の実施形態によれば、TTSは、接着剤オーバーレイをさらに含んでもよい。この接着剤オーバーレイは、特に、グアンファシン含有層構造よりも面積が大きく、経皮治療システム全体の接着特性を向上させるためにそれに結合される。前記接着剤オーバーレイは、バッキング層と接着剤層とを含む。接着剤オーバーレイは、皮膚に接着する追加の面積を提供するが、グアンファシンの放出面積への追加はない。接着剤オーバーレイは、シリコーンアクリルハイブリッドポリマー、アクリレートポリマー、シリコーンポリマー、ポリイソブチレン、スチレン-イソプレン-スチレンコポリマー、及びそれらの混合物からなる群から選択される自己接着性ポリマーまたは自己接着性ポリマー混合物を含み、これらは、グアンファシン含有層構造に含まれる任意のポリマーまたはポリマー混合物と同一または異なってもよい。
【0106】
グアンファシン含有自己接着性層構造などの本発明によるグアンファシン含有層構造は、通常、取り外し可能な保護層(剥離ライナー)上に配置され、患者の皮膚の表面への適用の直前にこの保護層から外される。よって、TTSは、剥離ライナーをさらに含み得る。このように保護されたTTSは、通常、ブリスターパックまたはシーム封止パウチ内に保存される。この包装は、子供にとって安全なもの、及び/または高齢者に優しいものになり得る。
【0107】
グアンファシン含有層
上記でより詳細に概説したように、本発明によるTTSは、グアンファシン含有層を含むグアンファシン含有層構造を含む。好ましくは、グアンファシン含有層構造は、グアンファシン含有自己接着性層構造である。したがって、グアンファシン含有層が自己接着性グアンファシン含有層であることも好ましく、自己接着性グアンファシン含有マトリックス層であることはより好ましい。好ましい実施形態では、グアンファシン含有層は、治療有効量のグアンファシンを含む。
【0108】
本発明の一実施形態では、グアンファシン含有層はグアンファシン含有マトリックス層である。別の実施形態では、グアンファシン含有層はグアンファシン含有リザーバ層である。グアンファシン含有層はグアンファシン含有マトリックス層であることが好ましい。
【0109】
一実施形態では、グアンファシン含有層は、
i)グアンファシン及びモノカルボン酸と、
ii)少なくとも1つのポリマーと、
を含む。グアンファシン含有層に含まれる少なくとも1つのポリマーは、本発明によるTTSに含まれる少なくとも1つのポリマーであることを理解するべきである。
【0110】
好ましい実施形態では、グアンファシン含有層は、
i)グアンファシン及びモノカルボン酸と、
ii)少なくとも1つのポリマーと、
を含むグアンファシン含有マトリックス層である。グアンファシン含有層に含まれる少なくとも1つのポリマーは、本発明によるTTSに含まれる少なくとも1つのポリマーであることを理解するべきである。
【0111】
好ましい実施形態では、グアンファシン含有層は少なくとも1つのポリマーを含み、この少なくとも1つのポリマーは、アクリルポリマー、シリコーンベースポリマー、シリコーン-アクリルハイブリッドポリマー及びそれらの混合物からなる群から選択される。好ましくは、少なくとも1つのポリマーは感圧接着剤である。よって、グアンファシン含有層は、グアンファシン含有マトリックス層であることが好ましく、グアンファシン含有感圧接着剤マトリックス層であることが特に好ましい。
【0112】
本発明の一実施形態では、グアンファシン含有層は、グアンファシン、モノカルボン酸、またはグアンファシン及びモノカルボン酸から形成される塩を含む。グアンファシン及びモノカルボン酸は共塩の形態で存在することが好ましい。さらに、グアンファシン及びモノカルボン酸は、共塩が形成されるようにグアンファシン含有層への添加の前に予め混合されることを理解するべきである。
【0113】
本発明による、グアンファシン及びモノカルボン酸の予混合は、グアンファシンとモノカルボン酸との予混合物を得る種々の種類の調製方法を指す。本発明による一実施形態では、グアンファシンとモノカルボン酸との予混合物は、グアンファシン塩基、モノカルボン酸及びメタノールの混合物を酸化ジルコニウムミリングビーズ(例えば、Retsch Mixer Mill MM 500ではビーズサイズ3mm)で、35Hzで約10分間ミリングすることを含む乾式粉砕法によって調製される。この点に関して、グアンファシン塩基及びモノカルボン酸は等モル量で存在し、メタノールは触媒として作用することを理解するべきである。本発明による別の実施形態では、グアンファシン/モノカルボン酸予混合物は、グアンファシン遊離塩基及びモノカルボン酸を等モル量で秤量することを含むスラリー法によって調製される。溶媒、例えばDCMを添加し、その混合物を室温で少なくとも1日間、磁気撹拌子で撹拌する。白色固体を真空下で濾過することによって回収し、溶媒で洗浄し、真空下で40°Cで24時間乾燥させた。
【0114】
したがって、グアンファシン含有層は、グアンファシンモノカルボン酸予混合物を分散させることによって得ることができ、グアンファシン及びモノカルボン酸は予混合物中に共塩の形態で存在することが好ましい。グアンファシン-モノカルボン酸予混合物は、上述のようにグアンファシン遊離塩基とモノカルボン酸とを混合することによって得られることを理解するべきである。好ましくは、本発明におけるグアンファシンは、「共塩」の形態で存在する(すなわち、グアンファシンは、少なくとも1つのモノカルボン酸と一緒に予混合物中に存在している)ことで、プロトン移動が可能であり、好ましくは少なくとも部分的にモノカルボン酸のグアンファシン塩が形成される。言い換えれば、活性剤(好ましくは、グアンファシン)は、少なくとも部分的にプロトン化した形態で存在し得る。しかしながら、本発明は、活性剤(好ましくは、グアンファシン)及びモノカルボン酸に関連して、グアンファシンとモノカルボン酸との予混合物に基づいてグアンファシン含有層中に得られる任意の形態を包含することを、そして、この形態は、例えば、グアンファシン及びモノカルボン酸が化学的相互作用なしに共存する選択肢(すなわちプロトン移動)、及び上述のような共塩形成の選択肢を含むことを、理解するべきである。好ましくは、グアンファシン遊離塩基及びモノカルボン酸は、共塩または他の任意の種類の酸付加塩を一緒に形成する場合があり、その結果、グアンファシン含有層は、好ましくは、グアンファシン遊離塩基及びモノカルボン酸の共塩または他の任意の種類の酸付加塩を少なくとも部分的に含む。言い換えれば、グアンファシン含有層は、好ましくは、少なくとも部分的にプロトン化した形態にあるグアンファシンと、少なくとも部分的に脱プロトン化した形態にあるモノカルボン酸とを含む。
【0115】
よって、一実施形態では、グアンファシン含有層は、グアンファシン、モノカルボン酸、またはグアンファシン及びモノカルボン酸から形成される塩を含む。本発明のより好ましい実施形態では、モノカルボン酸はソルビン酸である。よって、本発明の好ましい実施形態では、グアンファシン含有層は、グアンファシン、ソルビン酸、またはグアンファシン及びソルビン酸から形成される塩を含む。上記の実施形態に関連して、グアンファシンとモノカルボン酸との、特にモノカルボン酸ソルビン酸との組み合わせが、経皮治療システムの流束及び透過を高めることは驚くべきことである。特に、驚くべきことに、本発明の発明者らは、グアンファシン含有層中にグアンファシン塩基とソルビン酸との組み合わせを含むTTSが、グアンファシン含有層中に遊離塩基の形態でグアンファシンのみを含むTTSと比較して、88時間にわたって向上した累積透過量を示すことを見出した。
【0116】
本発明の一実施形態では、本発明による経皮治療システムのグアンファシン含有層構造、好ましくは、グアンファシン含有層、より好ましくは、グアンファシン含有マトリックス層は、1~100mg/TTS、好ましくは3~72mg/TTSの量でグアンファシンを含む。好ましい実施形態では、グアンファシン含有層構造、好ましくは、グアンファシン含有層、より好ましくは、グアンファシン含有マトリックス層は、3~50mg/TTSの量でグアンファシンを含む。別の好ましい実施形態では、グアンファシン含有層構造、好ましくは、グアンファシン含有層、より好ましくは、グアンファシン含有マトリックス層は、3~30mg/TTSの量でグアンファシンを含む。言い換えれば、グアンファシン含有層構造中のグアンファシンの総量は、1~100mg/TTS、好ましくは3~72mg/TTS、より好ましくは3~50mg/TTS、なおもより好ましくは3~30mg/TTSの範囲である。この点に関して、それはTTS中のグアンファシンの量を指しており、グアンファシンとモノカルボン酸との予混合物の量を指すものではないことを理解するべきである。
【0117】
別の実施形態では、グアンファシン含有層構造中のグアンファシンの負荷量は、0.4~2mg/cm2の範囲である。別の実施形態では、グアンファシン含有層構造中のグアンファシンの負荷量は、0.4~0.85mg/cm2の範囲である。さらに、TTSの放出面積は、1~100cm2、好ましくは2.5~50cm2の範囲であることが好ましい。これはグアンファシンの負荷量を指しており、グアンファシン-モノカルボン酸予混合物の負荷量を指すものではないことを理解するべきである。
【0118】
本発明の一実施形態では、グアンファシン含有層は、グアンファシン含有層の総重量に基づいて、1~20重量%、好ましくは2~16重量%、より好ましくは4~14重量%、最も好ましくは5~13重量%の量でグアンファシンを含む。特に好ましくは、グアンファシン含有層は、所望のTTS投与強度に応じて、グアンファシン含有層の総重量に基づいて、4~8重量%、好ましくは5~7重量%、または10~14重量%、好ましくは11~13重量%の量でグアンファシンを含む。
【0119】
本発明の一実施形態では、グアンファシン含有層は、グアンファシン含有層の総重量に基づいて、1~20重量%の量で、より好ましくは2~16重量%の量でモノカルボン酸を含む。グアンファシン含有層中にグアンファシンと一緒に含まれる、特に好ましいモノカルボン酸は、ソルビン酸である。
【0120】
グアンファシン含有層構造、好ましくは、グアンファシン含有層は、少なくとも1つのポリマーを含む。上記で説明したように、少なくとも1つのポリマーは、アクリルポリマー、シリコーンベースポリマー、シリコーン-アクリルハイブリッドポリマー及びそれらの混合物からなる群から選択される。好ましくは、TTS、好ましくは、グアンファシン含有層、より好ましくは、グアンファシン含有マトリックス層はポリマーを含み、このポリマーは、アクリルポリマー及び少なくとも1つのシリコーンベースポリマーの混合物、2つのシリコーン-アクリルハイブリッドポリマーの混合物、2つのシリコーンベースポリマー、アクリルポリマー、及び-OH基を含むアクリルポリマーの混合物から選択されることを理解するべきである。
【0121】
本発明の一実施形態では、グアンファシン含有層は、グアンファシン含有層の総重量に基づいて、20~99重量%、好ましくは30~97重量%、最も好ましくは35~94重量%の量で少なくとも1つのポリマーを含む。上記に示した、少なくとも1つのポリマーの量は、1つのポリマーのみを指す場合があるが、本明細書で定義されるポリマーの組み合わせも指す場合があることを理解するべきである。
【0122】
本発明の好ましい一実施形態では、グアンファシン含有層は、アクリルポリマー及び少なくとも1つのシリコーンベースポリマーの混合物を含み、活性薬含有層の総重量に基づいてアクリルポリマーは20~55%の量で存在し、少なくとも1つのシリコーンベースポリマーは20~55重量%の量で存在する。1つよりも多いシリコーンベースポリマー、例えば、2つのシリコーンベースポリマーが存在する場合、少なくとも1つのシリコーンベースポリマーの量は、1つのみのシリコーンベースポリマーの量、または存在しているシリコーンベースポリマーの全体量を指すことを理解するべきである。アクリルポリマー及びシリコーンベースポリマーに関するさらなる詳細を以下に提供する。
【0123】
本発明の別の好ましい実施形態では、グアンファシン含有層は2つのシリコーン-アクリルハイブリッドポリマーの混合物を含み、いずれの場合にもグアンファシン含有層の総重量に基づいて、第1シリコーン-アクリルハイブリッドポリマーは60~90重量%の量で存在し、第2シリコーン-アクリルハイブリッドポリマーは1~20重量%の量で存在し、好ましくは、第1シリコーン-アクリルハイブリッドポリマー及び第2シリコーン-アクリルハイブリッドポリマーは、60:40~40:60の重量比でシリコーン相及びアクリレート相を含む。
【0124】
上記で定義したシリコーンアクリルハイブリッドポリマーは、シリコーン相及びアクリレート相を、好ましくは60:40~40:60の重量比、最も好ましくは50:50の重量比で含む。シリコーンアクリルハイブリッドポリマーは、通常、(a)アクリレートまたはメタクリレート官能基を含むシリコーン含有感圧接着剤組成物と、(b)エチレン性不飽和モノマーと、(c)開始剤との反応生成物を含む。成分(a)、(b)及び(c)に関するさらなる詳細を以下でさらに提供する。成分(a)は主にシリコーン相を形成し、成分(b)は主にシリコーンアクリルハイブリッドポリマーのアクリレート相を形成することを理解するべきである。アクリレート相は、シリコーンアクリルハイブリッドポリマーの粘着性及び粘度に影響を与える。したがって、アクリレート相を形成するエチレン性不飽和モノマーは、2-エチルヘキシルアクリレートとメチルアクリレートとの組み合わせ、好ましくは40:60~70:30の比率での組み合わせであることが好ましい。高い粘着性の観点で好ましいのは60:40の比率であるが、その場合の粘度はより低くなる。より高い粘度の観点からは、50:50の比率が好ましいが、その場合の粘着性は低下する。グアンファシン含有層中のシリコーンアクリルハイブリッドポリマーは、好ましくは、連続的なアクリル外部相及び不連続なシリコーン内部相を含む。
【0125】
本発明の一実施形態では、グアンファシン含有層は、少なくとも1つのシリコーンアクリルハイブリッドポリマーを、グアンファシン含有層の総重量に基づいて、20~99重量%、好ましくは30~97重量%、最も好ましくは35~94重量%の量で含む。好ましい実施形態では、グアンファシン含有層は、少なくとも1つのシリコーンアクリルハイブリッドポリマーを、グアンファシン含有層の総重量に基づいて、74~94重量%、好ましくは74~89重量%の量で含む。上記に示した、少なくとも1つのシリコーンアクリルハイブリッドポリマーの量は、1つのシリコーンアクリルハイブリッドポリマーを指す場合があるが、シリコーンアクリルハイブリッドポリマーの組み合わせも指す場合があることを理解するべきである。よって、所与の量は、シリコーンアクリルハイブリッドポリマーの全体量を指す。
【0126】
本発明の好ましい実施形態では、グアンファシン含有層は、1つのみのシリコーンアクリルハイブリッドポリマーを、グアンファシン含有層の総重量に基づいて、60~97重量%、好ましくは70~94重量%の量で含む。
【0127】
本発明の別の好ましい実施形態では、グアンファシン含有層は、第1シリコーンアクリルハイブリッドポリマー及び第2シリコーンアクリルハイブリッドポリマーを含み、少なくとも2つのシリコーンアクリルハイブリッドポリマーの全体量は、グアンファシン含有層の総重量に基づいて、35~94重量%、好ましくは74~94重量%である。好ましくは、グアンファシン含有層は、グアンファシン含有層の総重量に基づいて、第1シリコーンアクリルハイブリッドポリマーを60~90重量%の量で含み、第2シリコーンアクリルハイブリッドポリマーを1~20重量%の量で含む。特に好ましい一実施形態では、グアンファシン含有層は、グアンファシン含有層の総重量に基づいて、第1シリコーンアクリルハイブリッドポリマーを70~85重量%の量で、好ましくは70~78重量%の量で含み、第2シリコーンアクリルハイブリッドポリマーを1~8重量%の量で、好ましくは3~5重量%の量で含む。
【0128】
シリコーンアクリルハイブリッドポリマーに関する、特にアクリレートのシリコーン相に対する重量比に関する、シリコーンアクリルハイブリッドポリマーを得るための素となる成分に関する、シリコーンアクリルハイブリッドポリマーを形成するための素となるエチレン性不飽和モノマーに関する、ならびにアクリル外部相及びシリコーン内部相に関する上記に示した選択事項は、第1及び第2シリコーンアクリルハイブリッドポリマーの両方に適用されることを理解するべきである。特に、第1シリコーンアクリルハイブリッドポリマーにおけるシリコーン相のアクリレート相に対する重量比は55:45~45:55であること、ならびにアクリレートを形成するエチレン性不飽和モノマーは2-エチルヘキシルアクリレート及びメチルアクリレートを55:45~45:55の比率で含むことが好ましい。第1シリコーンアクリルハイブリッドポリマーにおけるシリコーン相のアクリレート相に対する重量比は50:50であること、ならびにアクリレートを形成するエチレン性不飽和モノマーは2-エチルヘキシルアクリレート及びメチルアクリレートを50:50の比率で含むことがより好ましい。他方で、第2シリコーンアクリルハイブリッドポリマーにおけるシリコーン相のアクリレート相に対する重量比は55:45~45:55であること、ならびにアクリレートを形成するエチレン性不飽和モノマーは2-エチルヘキシルアクリレート及びメチルアクリレートを65:35~55:45の比率で含むことが好ましい。第2シリコーンアクリルハイブリッドポリマーにおけるシリコーン相のアクリレート相に対する重量比は50:50であること、ならびにアクリレートを形成するエチレン性不飽和モノマーは2-エチルヘキシルアクリレート及びメチルアクリレートを60:40の比率で含むことがより好ましい。さらに、両方のシリコーンアクリルハイブリッドポリマーにとって、シリコーン相が内部相であり、アクリレート相が外部相であることが好ましい。
【0129】
本発明の別の好ましい実施形態では、グアンファシン含有層は2つのシリコーンベースポリマーの混合物を含み、グアンファシン含有層の総重量に基づいて、第1シリコーンベースポリマーは20~55重量%の量で存在し、第2シリコーンベースポリマーは20~55重量%の量で存在する。シリコーンベースポリマーに関するさらなる詳細を以下に提供する。
【0130】
本発明の一実施形態では、本発明によるTTS、特にグアンファシン含有層は、少なくとも1つの添加剤を含む。適切な添加剤は以下でさらに詳細に説明されるが、好ましくはそれぞれ、グアンファシン含有層の総重量に基づいて、0.5~10重量%の量で存在する。
【0131】
好ましい実施形態では、グアンファシン含有層は、分散剤、透過促進剤及び可溶化剤からなる群から選択される少なくとも1つの添加剤を含む。1つの好ましい実施形態では、少なくとも1つの添加剤は分散剤である。別の好ましい実施形態では、少なくとも1つの添加剤は透過促進剤である。さらに別の好ましい実施形態では、少なくとも1つの添加剤は可溶化剤である。特定の好ましい実施形態では、前述の添加剤の組み合わせも好ましい。前述の添加剤は、均一に分散されて放出可能な形態でグアンファシンを提供するのに特に有利である。分散剤は透過促進剤としても作用し得ること、またその逆も同様であることを理解するべきである。同様に、可溶化剤もまた、追加的に分散剤または透過促進剤として作用し得る。さらに、可溶化剤はTTS中でグアンファシン分散を安定化して、結晶化を回避させる場合がある。そのうえ、可溶化剤はTTSの凝集性を最適化するのに役立ち得る。特定の好ましい実施形態では、グアンファシン含有層は、少なくとも1つの分散剤及び少なくとも1つの透過促進剤、ならびに場合によっては少なくとも1つの可溶化剤も含む。
【0132】
好ましい一実施形態では、少なくとも1つの添加剤は分散剤であり、グアンファシン含有層の総重量に基づいて、1~10重量%の量で存在する。好ましくは、分散剤は、グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~6重量%、より好ましくは3~5重量%の量で存在する。
【0133】
別の好ましい実施形態では、少なくとも1つの添加剤は透過促進剤であり、グアンファシン含有層の総重量に基づいて、1~10重量%の量で存在する。好ましくは、透過促進剤は、グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~9重量%の量で存在し、より好ましくは2~6重量%、なおもより好ましくは3~5重量%の量で存在する。
【0134】
別の実施形態では、少なくとも1つの添加剤は可溶化剤であり、グアンファシン含有層の総重量に基づいて、0.5~10重量%の量で存在する。好ましくは、可溶化剤は、グアンファシン含有層の総重量に基づいて、0.5~5重量%の量で存在する。
【0135】
一実施形態では、本発明によるTTS、特にグアンファシン含有層、より詳細にはグアンファシン含有マトリックス層は、分散剤、透過促進剤及び可溶化剤からなる群から選択される少なくとも2つの添加剤を含む。
【0136】
好ましい一実施形態では、経皮治療システム、特にグアンファシン含有層、より詳細にはグアンファシン含有マトリックス層は、少なくとも2つの添加剤を含み、第1添加剤は、グアンファシン含有層の総重量に基づいて、1~10重量%の量で存在する分散剤であり、第2添加剤は、グアンファシン含有層の総重量に基づいて、1~10重量%の量で存在する透過促進剤である。好ましくは、分散剤は1~6重量%の量で存在し、透過促進剤は2~9重量%の量で存在する。より好ましくは、分散剤は2~6重量%の量で存在し、透過促進剤は2~6重量%の量で存在する。なおもより好ましくは、グアンファシン含有層の総重量に基づいて、分散剤は3~5重量%の量で存在し、透過促進剤は3~5重量%の量で存在する。
【0137】
別の好ましい実施形態では、経皮治療システム、特にグアンファシン含有層、より詳細にはグアンファシン含有マトリックス層は、少なくとも2つの添加剤を含み、第1添加剤は、グアンファシン含有層の総重量に基づいて、1~10重量%の量で存在する分散剤であり、第2添加剤は、グアンファシン含有層の総重量に基づいて、0.5~10重量%の量で存在する可溶化剤である。好ましくは、分散剤は1~6重量%の量で存在し、可溶化剤は0.5~5重量%の量で存在する。より好ましくは、分散剤は2~6重量%の量で存在し、可溶化剤は0.5~5重量%の量で存在する。なおもより好ましくは、分散剤は3~5重量%の量で存在し、可溶化剤は0.5~5重量%の量で存在する。
【0138】
別の好ましい実施形態では、経皮治療システム、特にグアンファシン含有層、より詳細にはグアンファシン含有マトリックス層は、少なくとも2つの添加剤を含み、第1添加剤は、グアンファシン含有層の総重量に基づいて、1~10重量%の量で存在する透過促進剤であり、第2添加剤は、グアンファシン含有層の総重量に基づいて、0.5~10重量%の量で存在する可溶化剤である。好ましくは、透過促進剤は2~9重量%の量で存在し、可溶化剤は0.5~5重量%の量で存在する。好ましくは、透過促進剤は2~6重量%の量で存在し、可溶化剤は0.5~5重量%の量で存在する。より好ましくは、透過促進剤は3~5重量%の量で存在し、可溶化剤は0.5~5重量%の量で存在する。
【0139】
本発明の特に好ましい実施形態では、本発明によるTTS、特にグアンファシン含有層、より好ましくは、グアンファシン含有マトリックス層は、分散剤及び透過促進剤から選択される2つの添加剤を含む。
【0140】
したがって、グアンファシン含有層、好ましくは、グアンファシン含有マトリックス層は、グアンファシン含有層の総重量に基づいて、1~10重量%の量で存在する分散剤と、グアンファシン含有層の総重量に基づいて、1~10重量%の量で存在する透過促進剤とを含む。好ましくは、分散剤は1~6重量%の量で存在し、透過促進剤は2~9重量%の量で存在する。より好ましくは、分散剤は2~6重量%の量で存在し、透過促進剤は2~6重量%の量で存在する。なおもより好ましくは、グアンファシン含有層の総重量に基づいて、分散剤は3~5重量%の量で存在し、透過促進剤は3~5重量%の量で存在する。
【0141】
本発明によるTTS、特にグアンファシン含有層、より具体的にはグアンファシン含有マトリックス層における添加剤の数及び添加剤の量に関する上記の実施形態に関連して、以下の特定の添加剤が好ましい。
【0142】
好ましい実施形態では、分散剤は、脂肪酸とポリオールとのエステル、脂肪族アルコール、300~400の数平均分子量を有するポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールアルキルエーテルからなる群から選択され、分散剤は、好ましくは、分散剤は2~10個のEO単位、好ましくは2~6個のEO単位を有するポリエチレングリコールC8~C20-アルキルエーテルである。特に好ましい分散剤は、ポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテル(C12H25(OCH2CH2)4OH)である。この分散剤は、例えば、Brij L4(登録商標)という商品名でMerckから入手可能である。
【0143】
好ましい実施形態では、透過促進剤は、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(トランスクトール)、オレイン酸、レブリン酸、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、ジイソプロピルアジパート、イソプロピルミリスタート、パルミチン酸イソプロピル、ラウリルラクタート、トリアセチン、ジメチルプロピレン尿素、オレイルアルコール、オレオイルマクロゴール-6 グリセリド(labrafil MS 1944)、及びラウログリコールからなる群から選択され、好ましくは、オレイルアルコール、ラウログリコール、またはオレオイルマクロゴール-6 グリセリド(labrafil MS 1944)である。オレイルアルコールは、例えば、Kolliream(登録商標)OAという商品名でBASFから入手可能である。
【0144】
好ましい実施形態では、可溶化剤は、アクリル酸及びメタクリル酸のエステルから誘導されるコポリマー、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン-ビニルアセタートコポリマー及びポリビニルカプロラクタム-ポリビニルアセタート-ポリエチレングリコールグラフトコポリマーからなる群から選択され、好ましくはポリビニルカプロラクタム-ポリビニルアセタート-ポリエチレングリコールグラフトコポリマーである。特に好ましい可溶化剤は、ポリビニルカプロラクタム-ポリビニルアセタート-ポリエチレングリコールグラフトコポリマーである。適切なポリビニルカプロラクタム-ポリビニルアセタート-ポリエチレングリコールグラフトコポリマーは、例えば、Soluplus(登録商標)という商品名でBASFから入手可能であり、好ましくは、以下の構造式を有し、ここで、ゲル透過クロマトグラフィーによって決定される平均分子量が90000~140000g/molの範囲にあるように、l、m及びnが選択される。
【化2】
【0145】
特定の好ましい実施形態では、グアンファシン含有層は、いずれの場合にもグアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~6重量%の量の少なくとも1つの分散剤、2~9重量%の量の少なくとも1つの透過促進剤、及び場合によっては0.5~5重量%の量の少なくとも1つの可溶化剤を含む。好ましくは、グアンファシン含有層は、いずれの場合にもグアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~6重量%の量の少なくとも1つの分散剤、2~6重量%の量の少なくとも1つの透過促進剤、及び場合によっては0.5~5重量%の量の少なくとも1つの可溶化剤を含む。より好ましくは、グアンファシン含有層は、いずれの場合にもグアンファシン含有層の総重量に基づいて、3~5重量%の量の少なくとも1つの分散剤、3~5重量%の量の少なくとも1つの透過促進剤、及び場合によっては0.5~5重量%の量の少なくとも1つの可溶化剤を含む。上記の好ましい重量%量に関連して、上記の好ましい分散剤、透過促進剤及び可溶化剤が好ましい。
【0146】
したがって、特に好ましい実施形態では、グアンファシン含有層は、いずれの場合にもグアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~10個のEO単位を有するポリエチレングリコールC8~C20-アルキルエーテルと、好ましくは2~6重量%の量のポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテルと、2~9重量%の量のオレイルアルコールと、場合によっては、好ましくは上記で具体的に述べたような0.5~5重量%の量のポリビニルカプロラクタム-ポリビニルアセタート-ポリエチレングリコールグラフトコポリマーとを含む。より特に好ましい実施形態では、グアンファシン含有層は、いずれの場合にもグアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~10個のEO単位を有するポリエチレングリコールC8~C20-アルキルエーテルと、好ましくは2~6重量%の量のポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテルと、2~6重量%の量のオレイルアルコールと、場合によっては、好ましくは上記で具体的に述べたような0.5~5重量%の量のポリビニルカプロラクタム-ポリビニルアセタート-ポリエチレングリコールグラフトコポリマーとを含む。最も好ましくは、グアンファシン含有層は、いずれの場合にもグアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~10個のEO単位を有するポリエチレングリコールC8~C20-アルキルエーテルと、好ましくは3~5重量%の量のポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテルと、3~5重量%の量のオレイルアルコールと、場合によっては、好ましくは上記で具体的に述べたような0.5~5重量%の量のポリビニルカプロラクタム-ポリビニルアセタート-ポリエチレングリコールグラフトコポリマーとを含む。
【0147】
したがって、別の特に好ましい実施形態では、グアンファシン含有層は、いずれの場合にもグアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~10個のEO単位を有するポリエチレングリコールC8~C20-アルキルエーテルと、好ましくは2~6重量%の量のポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテルと、2~9重量%の量のラウログリコールと、場合によっては、好ましくは上記で具体的に述べたような0.5~5重量%の量のポリビニルカプロラクタム-ポリビニルアセタート-ポリエチレングリコールグラフトコポリマーとを含む。別のより特に好ましい実施形態では、グアンファシン含有層は、いずれの場合にもグアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~10個のEO単位を有するポリエチレングリコールC8~C20-アルキルエーテルと、好ましくは2~6重量%の量のポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテルと、2~6重量%の量のラウログリコールと、場合によっては、好ましくは上記で具体的に述べたような0.5~5重量%の量のポリビニルカプロラクタム-ポリビニルアセタート-ポリエチレングリコールグラフトコポリマーとを含む。最も好ましくは、グアンファシン含有層は、いずれの場合にもグアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~10個のEO単位を有するポリエチレングリコールC8~C20-アルキルエーテルと、好ましくは3~5重量%の量のポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテルと、3~5重量%の量のラウログリコールと、場合によっては、好ましくは上記で具体的に述べたような0.5~5重量%の量のポリビニルカプロラクタム-ポリビニルアセタート-ポリエチレングリコールグラフトコポリマーとを含む。
【0148】
したがって、別の特に好ましい実施形態では、グアンファシン含有層は、いずれの場合にもグアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~10個のEO単位を有するポリエチレングリコールC8~C20-アルキルエーテルと、好ましくは2~6重量%の量のポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテルと、2~9重量%の量のオレオイルマクロゴール-6 グリセリド(labrafil MS 1944)と、場合によっては、好ましくは上記で具体的に述べたような0.5~5重量%の量のポリビニルカプロラクタム-ポリビニルアセタート-ポリエチレングリコールグラフトコポリマーとを含む。別のより特に好ましい実施形態では、グアンファシン含有層は、いずれの場合にもグアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~10個のEO単位を有するポリエチレングリコールC8~C20-アルキルエーテルと、好ましくは2~6重量%の量のポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテルと、2~6重量%の量のオレオイルマクロゴール-6 グリセリド(labrafil MS 1944)と、場合によっては、好ましくは上記で具体的に述べたような0.5~5重量%の量のポリビニルカプロラクタム-ポリビニルアセタート-ポリエチレングリコールグラフトコポリマーとを含む。最も好ましくは、グアンファシン含有層は、いずれの場合にもグアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~10個のEO単位を有するポリエチレングリコールC8~C20-アルキルエーテルと、好ましくは3~5重量%の量のポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテルと、3~5重量%の量のオレオイルマクロゴール-6 グリセリド(labrafil MS 1944)と、場合によっては、好ましくは上記で具体的に述べたような0.5~5重量%の量のポリビニルカプロラクタム-ポリビニルアセタート-ポリエチレングリコールグラフトコポリマーとを含む。
【0149】
本発明の一実施形態では、グアンファシン含有層の面積重量は、40~250g/m2、好ましくは50~180g/m2、より好ましくは70~180g/m2、例えば、75~150g/m2または100~150g/m2の範囲である。特定の好ましい実施形態では、面積重量は80~120g/m2、好ましくは90~100g/m2の範囲である。
【0150】
上記を考慮して、本発明は、一実施形態において、グアンファシン含有層構造を含むグアンファシンの経皮投与のための経皮治療システムに関しており、前記グアンファシン含有層構造は、
A)バッキング層と、
B)グアンファシン含有層、好ましくは、グアンファシン含有マトリックス層と、
を含み、前記層は、
i)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、3~16重量%の量のグアンファシン及び1~7.2重量%の量のソルビン酸と、
ii)アクリルポリマー及び少なくとも1つのシリコーンベースポリマーの混合物であって、前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、前記アクリルポリマーは20~55重量%の量で存在し、前記少なくとも1つのシリコーンベースポリマーは20~55重量%の量で存在する、前記混合物と、
iii)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~6重量%の量の少なくとも1つの分散剤と、
iv)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~6重量%の量の少なくとも1つの透過促進剤と、
を含む。この実施形態に関連して、グアンファシン含有層構造が追加の皮膚接触層を含まないことがさらに好ましい。よって、グアンファシン含有層、好ましくは、グアンファシン含有マトリックス層は、好ましくは皮膚接触層を表すと共に、アクリルポリマー及び少なくとも1つのシリコーンベースポリマーの混合物である少なくとも1つのポリマーによる感圧接着特性を有する。好ましい実施形態では、本発明は、一実施形態において、グアンファシン含有層構造を含むグアンファシンの経皮投与のための経皮治療システムに関しており、前記グアンファシン含有層構造は、
A)バッキング層と、
B)グアンファシン含有層、好ましくは、グアンファシン含有マトリックス層と、
を含み、前記層は、
i)グアンファシン含有層の総重量に基づいて、6~9重量%の全体量のグアンファシン及びソルビン酸と、
ii)アクリルポリマー及び少なくとも1つのシリコーンベースポリマーの混合物であって、前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、前記アクリルポリマーは20~55重量%の量で存在し、前記少なくとも1つのシリコーンベースポリマーは20~55重量%の量で存在する、前記混合物と、
iii)グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~6重量%の量のポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテルと、
iv)グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~6重量%の量のオレオイルマクロゴール-6 グリセリドと、
を含む。この実施形態に関連して、グアンファシン含有層構造が追加の皮膚接触層を含まないことがさらに好ましい。よって、グアンファシン含有層、好ましくは、グアンファシン含有マトリックス層は、好ましくは皮膚接触層を表すと共に、アクリルポリマー及び少なくとも1つのシリコーンベースポリマーの混合物である少なくとも1つのポリマーによる感圧接着特性を有する。
【0151】
好ましい実施形態では、本発明は、一実施形態において、グアンファシン含有層構造を含むグアンファシンの経皮投与のための経皮治療システムに関しており、前記グアンファシン含有層構造は、
A)バッキング層と、
B)グアンファシン含有層、好ましくは、グアンファシン含有マトリックス層と、
を含み、前記層は、
i)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、3~16重量%の量のグアンファシン及び1~7.2重量%の量のソルビン酸と、
ii)いずれの場合にもグアンファシン含有層の総重量に基づいて、第1シリコーン-アクリルハイブリッドポリマーは60~90重量%の量で存在し、第2シリコーン-アクリルハイブリッドポリマーは1~20重量%の量で存在する、2つのシリコーン-アクリルハイブリッドポリマーの混合物と、
iii)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~6重量%の量の少なくとも1つの分散剤と、
iv)グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~6重量%の量の少なくとも1つの透過促進剤と、
を含む。この実施形態に関連して、グアンファシン含有層構造が追加の皮膚接触層を含まないことがさらに好ましい。よって、グアンファシン含有層、好ましくは、グアンファシン含有マトリックス層は、好ましくは皮膚接触層を表すと共に、2つのシリコーン-アクリルハイブリッドポリマーの混合物である少なくとも1つのポリマーによる感圧接着特性を有する。
【0152】
好ましい実施形態では、本発明は、一実施形態において、グアンファシン含有層構造を含むグアンファシンの経皮投与のための経皮治療システムに関しており、前記グアンファシン含有層構造は、
A)バッキング層と、
B)グアンファシン含有層、好ましくは、グアンファシン含有マトリックス層と、
を含み、前記層は、
i)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、3~16重量%の量のグアンファシン及び1~7.2重量%の量のソルビン酸と、
ii)グアンファシン含有層の総重量に基づいて、第1シリコーンベースポリマーは20~55重量%の量で存在し、第2シリコーンベースポリマーは20~55重量%の量で存在する、2つのシリコーンベースポリマーの混合物と、
iii)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~6重量%の量の少なくとも1つの分散剤と、
iv)グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~6重量%の量の少なくとも1つの透過促進剤と、
を含む。この実施形態に関連して、グアンファシン含有層構造が追加の皮膚接触層を含まないことがさらに好ましい。よって、グアンファシン含有層、好ましくは、グアンファシン含有マトリックス層は、好ましくは皮膚接触層を表すと共に、2つのシリコーンベースポリマーの混合物である少なくとも1つのポリマーによる感圧接着特性を有する。
【0153】
好ましい実施形態では、本発明は、一実施形態において、グアンファシン含有層構造を含むグアンファシンの経皮投与のための経皮治療システムに関しており、前記グアンファシン含有層構造は、
A)バッキング層と、
B)グアンファシン含有層、好ましくは、グアンファシン含有マトリックス層と、
を含み、前記層は、
i)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、3~16重量%の量のグアンファシン及び1~7.2重量%の量のソルビン酸と、
ii)グアンファシン含有層の総重量に基づいて、65~95重量%の量のアクリルポリマーと、
iii)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~6重量%の量の少なくとも1つの分散剤と、
iv)グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~6重量%の量の少なくとも1つの透過促進剤と、
を含む。この実施形態に関連して、グアンファシン含有層構造が追加の皮膚接触層を含まないことがさらに好ましい。よって、グアンファシン含有層、好ましくは、グアンファシン含有マトリックス層は、好ましくは皮膚接触層を表すと共に、アクリルポリマーである少なくとも1つのポリマーによる感圧接着特性を有する。
【0154】
好ましい実施形態では、本発明は、一実施形態において、グアンファシン含有層構造を含むグアンファシンの経皮投与のための経皮治療システムに関しており、前記グアンファシン含有層構造は、
A)バッキング層と、
B)グアンファシン含有層、好ましくは、グアンファシン含有マトリックス層と、
を含み、前記層は、
i)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、3~16重量%の量のグアンファシン及び1~7.2重量%の量のソルビン酸と、
ii)グアンファシン含有層の総重量に基づいて、65~95重量%の量の-OH基を含むアクリルポリマーと、
iii)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~6重量%の量の少なくとも1つの分散剤と、
iv)グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~6重量%の量の少なくとも1つの透過促進剤と、
を含む。この実施形態に関連して、グアンファシン含有層構造が追加の皮膚接触層を含まないことがさらに好ましい。よって、グアンファシン含有層、好ましくは、グアンファシン含有マトリックス層は、好ましくは皮膚接触層を表すと共に、-OH基を含むアクリルポリマーである少なくとも1つのポリマーによる感圧接着特性を有する。
【0155】
より好ましい実施形態では、本発明は、一実施形態において、グアンファシン含有層構造を含むグアンファシンの経皮投与のための経皮治療システムに関しており、前記グアンファシン含有層構造は、
A)バッキング層と、
B)グアンファシン含有層、好ましくは、グアンファシン含有マトリックス層と、
を含み、前記層は、
i)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、3~16重量%の量のグアンファシン及び1~7.2重量%の量のソルビン酸と、
ii)アクリルポリマー及び少なくとも1つのシリコーンベースポリマーの混合物であって、前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、前記アクリルポリマーは20~55重量%の量で存在し、前記少なくとも1つのシリコーンベースポリマーは20~55重量%の量で存在する、前記混合物と、
iii)グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~10個のEO単位を2~6重量%の量で有するポリエチレングリコールC8~C20-アルキルエーテルと、
iv)グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~6重量%の量のオレイルアルコールと、
を含む。この実施形態に関連して、グアンファシン含有層構造が追加の皮膚接触層を含まないことがさらに好ましい。よって、グアンファシン含有層、好ましくは、グアンファシン含有マトリックス層は、好ましくは皮膚接触層を表すと共に、アクリルポリマー及び少なくとも1つのシリコーンベースポリマーの混合物である少なくとも1つのポリマーによる感圧接着特性を有する。
【0156】
別のより好ましい実施形態では、本発明は、一実施形態において、グアンファシン含有層構造を含むグアンファシンの経皮投与のための経皮治療システムに関しており、前記グアンファシン含有層構造は、
A)バッキング層と、
B)グアンファシン含有層、好ましくは、グアンファシン含有マトリックス層と、
を含み、前記層は、
i)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、3~16重量%の量のグアンファシン及び1~7.2重量%の量のソルビン酸と、
ii)いずれの場合にもグアンファシン含有層の総重量に基づいて、第1シリコーン-アクリルハイブリッドポリマーは60~90重量%の量で存在し、第2シリコーン-アクリルハイブリッドポリマーは1~20重量%の量で存在する、2つのシリコーン-アクリルハイブリッドポリマーの混合物と、
iii)グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~10個のEO単位を2~6重量%の量で有するポリエチレングリコールC8~C20-アルキルエーテルと、
iv)グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~6重量%の量のオレイルアルコールと、
を含む。この実施形態に関連して、グアンファシン含有層構造が追加の皮膚接触層を含まないことがさらに好ましい。よって、グアンファシン含有層、好ましくは、グアンファシン含有マトリックス層は、好ましくは皮膚接触層を表すと共に、2つのシリコーン-アクリルハイブリッドポリマーの混合物である少なくとも1つのポリマーによる感圧接着特性を有する。
【0157】
別のより好ましい実施形態では、本発明は、一実施形態において、グアンファシン含有層構造を含むグアンファシンの経皮投与のための経皮治療システムに関しており、前記グアンファシン含有層構造は、
A)バッキング層と、
B)グアンファシン含有層、好ましくは、グアンファシン含有マトリックス層と、
を含み、前記層は、
i)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、3~16重量%の量のグアンファシン及び1~7.2重量%の量のソルビン酸と、
ii)グアンファシン含有層の総重量に基づいて、第1シリコーンベースポリマーは20~55重量%の量で存在し、第2シリコーンベースポリマーは20~55重量%の量で存在する、2つのシリコーンベースポリマーの混合物と、
iii)グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~10個のEO単位を2~6重量%の量で有するポリエチレングリコールC8~C20-アルキルエーテルと、
iv)グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~6重量%の量のオレイルアルコールと、
を含む。この実施形態に関連して、グアンファシン含有層構造が追加の皮膚接触層を含まないことがさらに好ましい。よって、グアンファシン含有層、好ましくは、グアンファシン含有マトリックス層は、好ましくは皮膚接触層を表すと共に、2つのシリコーンベースポリマーの混合物である少なくとも1つのポリマーによる感圧接着特性を有する。なおもより好ましい実施形態では、本発明は、一実施形態において、グアンファシン含有層構造を含むグアンファシンの経皮投与のための経皮治療システムに関しており、前記グアンファシン含有層構造は、
A)バッキング層と、
B)グアンファシン含有層、好ましくは、グアンファシン含有マトリックス層と、
を含み、前記層は、
i)グアンファシン含有層の総重量に基づいて、6~9重量%の全体量のグアンファシン及びソルビン酸と、
ii)グアンファシン含有層の総重量に基づいて、第1シリコーンベースポリマーは20~55重量%の量で存在し、第2シリコーンベースポリマーは20~55重量%の量で存在する、2つのシリコーンベースポリマーの混合物と、
iii)グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~6重量%の量のポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテルと、
iv)グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~6重量%の量のオレイルアルコールと、
を含む。この実施形態に関連して、グアンファシン含有層構造が追加の皮膚接触層を含まないことがさらに好ましい。よって、グアンファシン含有層、好ましくは、グアンファシン含有マトリックス層は、好ましくは皮膚接触層を表すと共に、2つのシリコーンベースポリマーの混合物である少なくとも1つのポリマーによる感圧接着特性を有する。
【0158】
別のより好ましい実施形態では、本発明は、一実施形態において、グアンファシン含有層構造を含むグアンファシンの経皮投与のための経皮治療システムに関しており、前記グアンファシン含有層構造は、
A)バッキング層と、
B)グアンファシン含有層、好ましくは、グアンファシン含有マトリックス層と、
を含み、前記層は、
i)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、3~16重量%の量のグアンファシン及び1~7.2重量%の量のソルビン酸と、
ii)グアンファシン含有層の総重量に基づいて、65~95重量%の量のアクリルポリマーと、
iii)グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~10個のEO単位を2~6重量%の量で有するポリエチレングリコールC8~C20-アルキルエーテルと、
iv)グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~6重量%の量のオレイルアルコールと、
を含む。この実施形態に関連して、グアンファシン含有層構造が追加の皮膚接触層を含まないことがさらに好ましい。よって、グアンファシン含有層、好ましくは、グアンファシン含有マトリックス層は、好ましくは皮膚接触層を表すと共に、アクリルポリマーである少なくとも1つのポリマーによる感圧接着特性を有する。なおもより好ましい実施形態では、本発明は、一実施形態において、グアンファシン含有層構造を含むグアンファシンの経皮投与のための経皮治療システムに関しており、前記グアンファシン含有層構造は、
A)バッキング層と、
B)グアンファシン含有層、好ましくは、グアンファシン含有マトリックス層と、
を含み、前記層は、
i)グアンファシン含有層の総重量に基づいて、6~9重量%の全体量のグアンファシン及びソルビン酸と、
ii)グアンファシン含有層の総重量に基づいて、65~95重量%の量のアクリルポリマーと、
iii)グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~6重量%の量のポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテルと、
iv)グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~6重量%の量のオレイルアルコールと、
を含む。この実施形態に関連して、グアンファシン含有層構造が追加の皮膚接触層を含まないことがさらに好ましい。よって、グアンファシン含有層、好ましくは、グアンファシン含有マトリックス層は、好ましくは皮膚接触層を表すと共に、アクリルポリマーである少なくとも1つのポリマーによる感圧接着特性を有する。
【0159】
別のより好ましい実施形態では、本発明は、一実施形態において、グアンファシン含有層構造を含むグアンファシンの経皮投与のための経皮治療システムに関しており、前記グアンファシン含有層構造は、
A)バッキング層と、
B)グアンファシン含有層、好ましくは、グアンファシン含有マトリックス層と、
を含み、前記層は、
i)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、3~16重量%の量のグアンファシン及び1~7.2重量%の量のソルビン酸と、
ii)グアンファシン含有層の重量に基づいて、65~95重量%の量の-OH基を含むアクリルポリマーと、
iii)グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~10個のEO単位を2~6重量%の量で有するポリエチレングリコールC8~C20-アルキルエーテルと、
iv)グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~6重量%の量のオレイルアルコールと、
を含む。この実施形態に関連して、グアンファシン含有層構造が追加の皮膚接触層を含まないことがさらに好ましい。よって、グアンファシン含有層、好ましくは、グアンファシン含有マトリックス層は、好ましくは皮膚接触層を表すと共に、-OH基を含むアクリルポリマーである少なくとも1つのポリマーによる感圧接着特性を有する。なおもより好ましい実施形態では、本発明は、一実施形態において、グアンファシン含有層構造を含むグアンファシンの経皮投与のための経皮治療システムに関しており、前記グアンファシン含有層構造は、
A)バッキング層と、
B)グアンファシン含有層、好ましくは、グアンファシン含有マトリックス層と、
を含み、前記層は、
i)グアンファシン含有層の総重量に基づいて、6~9重量%の全体量のグアンファシン及びソルビン酸と、
ii)グアンファシン含有層の総重量に基づいて、65~95重量%の量の-OH基を含むアクリルポリマーと、
iii)グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~6重量%の量のポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテルと、
iv)グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~6重量%の量のオレイルアルコールと、
を含む。この実施形態に関連して、グアンファシン含有層構造が追加の皮膚接触層を含まないことがさらに好ましい。よって、グアンファシン含有層、好ましくは、グアンファシン含有マトリックス層は、好ましくは皮膚接触層を表すと共に、-OH基を含むアクリルポリマーである少なくとも1つのポリマーによる感圧接着特性を有する。
【0160】
特に好ましい実施形態では、本発明は、一実施形態において、グアンファシン含有層構造を含むグアンファシンの経皮投与のための経皮治療システムに関しており、前記グアンファシン含有層構造は、
A)バッキング層と、
B)グアンファシン含有層、好ましくは、グアンファシン含有マトリックス層と、
を含み、前記層は、
i)グアンファシン及びソルビン酸と、
ii)2つのシリコーン-アクリルハイブリッドポリマーの混合物と、
iii)ポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテルと、
iv)オレイルアルコール、ラウログリコール及びオレオイルマクロゴール-6 グリセリドから選択される透過促進剤と、
を含む。
【0161】
特に好ましい実施形態では、本発明は、一実施形態において、グアンファシン含有層構造を含むグアンファシンの経皮投与のための経皮治療システムに関しており、前記グアンファシン含有層構造は、
A)バッキング層と、
B)グアンファシン含有層、好ましくは、グアンファシン含有マトリックス層と、
を含み、前記層は、
i)グアンファシン及びソルビン酸と、
ii)2つのシリコーン-アクリルハイブリッドポリマーの混合物と、
iii)ポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテルと、
iv)オレイルアルコールと、
を含む。
【0162】
別の特に好ましい実施形態では、本発明は、一実施形態において、グアンファシン含有層構造を含むグアンファシンの経皮投与のための経皮治療システムに関しており、前記グアンファシン含有層構造は、
A)バッキング層と、
B)グアンファシン含有層、好ましくは、グアンファシン含有マトリックス層と、
を含み、前記層は、
i)グアンファシン及びソルビン酸と、
ii)2つのシリコーン-アクリルハイブリッドポリマーの混合物と、
iii)ポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテルと、
iv)ラウログリコールと、
を含む。
【0163】
別の特に好ましい実施形態では、本発明は、一実施形態において、グアンファシン含有層構造を含むグアンファシンの経皮投与のための経皮治療システムに関しており、前記グアンファシン含有層構造は、
A)バッキング層と、
B)グアンファシン含有層、好ましくは、グアンファシン含有マトリックス層と、
を含み、前記層は、
i)グアンファシン及びソルビン酸と、
ii)2つのシリコーン-アクリルハイブリッドポリマーの混合物と、
iii)ポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテルと、
iv)オレオイルマクロゴール-6 グリセリドと、
を含む。
【0164】
なおもより特に好ましい実施形態では、本発明は、一実施形態において、グアンファシン含有層構造を含むグアンファシンの経皮投与のための経皮治療システムに関しており、前記グアンファシン含有層構造は、
A)バッキング層と、
B)グアンファシン含有層、好ましくは、グアンファシン含有マトリックス層と、
を含み、前記層は、
i)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、3~16重量%の量のグアンファシン及び1~7.2重量%の量のソルビン酸と、
ii)いずれの場合にもグアンファシン含有層の総重量に基づいて、第1シリコーン-アクリルハイブリッドポリマーは60~90重量%の量で存在し、第2シリコーン-アクリルハイブリッドポリマーは1~20重量%の量で存在する、2つのシリコーン-アクリルハイブリッドポリマーの混合物と、
iii)グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~6重量%の量のポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテルと、
iv)グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~6重量%の量のオレイルアルコール、ラウログリコール及びオレオイルマクロゴール-6 グリセリドから選択される透過促進剤と、
を含む。
【0165】
別のなおもより特に好ましい実施形態では、本発明は、一実施形態において、グアンファシン含有層構造を含むグアンファシンの経皮投与のための経皮治療システムに関しており、前記グアンファシン含有層構造は、
A)バッキング層と、
B)グアンファシン含有層、好ましくは、グアンファシン含有マトリックス層と、
を含み、前記層は、
i)グアンファシン含有層の総重量に基づいて、6~9重量%の全体量のグアンファシン及びソルビン酸と、
ii)いずれの場合にもグアンファシン含有層の総重量に基づいて、第1シリコーン-アクリルハイブリッドポリマーは60~90重量%の量で存在し、第2シリコーン-アクリルハイブリッドポリマーは1~20重量%の量で存在する、2つのシリコーン-アクリルハイブリッドポリマーの混合物と、
iii)グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~6重量%の量のポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテルと、
iv)グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~6重量%の量のオレイルアルコール、ラウログリコール及びオレオイルマクロゴール-6 グリセリドから選択される透過促進剤と、
を含む。
【0166】
なおもより特に好ましい実施形態では、本発明は、一実施形態において、グアンファシン含有層構造を含むグアンファシンの経皮投与のための経皮治療システムに関しており、前記グアンファシン含有層構造は、
A)バッキング層と、
B)グアンファシン含有層、好ましくは、グアンファシン含有マトリックス層と、
を含み、前記層は、
i)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、3~16重量%の量のグアンファシン及び1~7.2重量%の量のソルビン酸と、
ii)いずれの場合にもグアンファシン含有層の総重量に基づいて、第1シリコーン-アクリルハイブリッドポリマーは60~90重量%の量で存在し、第2シリコーン-アクリルハイブリッドポリマーは1~20重量%の量で存在する、2つのシリコーン-アクリルハイブリッドポリマーの混合物と、
iii)グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~6重量%の量のポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテルと、
iv)グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~6重量%の量のオレイルアルコールと、
を含む。
【0167】
別のなおもより特に好ましい実施形態では、本発明は、一実施形態において、グアンファシン含有層構造を含むグアンファシンの経皮投与のための経皮治療システムに関しており、前記グアンファシン含有層構造は、
A)バッキング層と、
B)グアンファシン含有層、好ましくは、グアンファシン含有マトリックス層と、
を含み、前記層は、
i)グアンファシン含有層の総重量に基づいて、6~9重量%の全体量のグアンファシン及びソルビン酸と、
ii)いずれの場合にもグアンファシン含有層の総重量に基づいて、第1シリコーン-アクリルハイブリッドポリマーは60~90重量%の量で存在し、第2シリコーン-アクリルハイブリッドポリマーは1~20重量%の量で存在する、2つのシリコーン-アクリルハイブリッドポリマーの混合物と、
iii)グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~6重量%の量のポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテルと、
iv)グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~6重量%の量のオレイルアルコールと、
を含む。
【0168】
別のなおもより特に好ましい実施形態では、本発明は、一実施形態において、グアンファシン含有層構造を含むグアンファシンの経皮投与のための経皮治療システムに関しており、前記グアンファシン含有層構造は、
A)バッキング層と、
B)グアンファシン含有層、好ましくは、グアンファシン含有マトリックス層と、
を含み、前記層は、
i)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、3~16重量%の量のグアンファシン及び1~7.2重量%の量のソルビン酸と、
ii)いずれの場合にもグアンファシン含有層の総重量に基づいて、第1シリコーン-アクリルハイブリッドポリマーは60~90重量%の量で存在し、第2シリコーン-アクリルハイブリッドポリマーは1~20重量%の量で存在する、2つのシリコーン-アクリルハイブリッドポリマーの混合物と、
iii)グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~6重量%の量のポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテルと、
iv)グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~6重量%の量のラウログリコールと、
を含む。
【0169】
別のなおもより特に好ましい実施形態では、本発明は、一実施形態において、グアンファシン含有層構造を含むグアンファシンの経皮投与のための経皮治療システムに関しており、前記グアンファシン含有層構造は、
A)バッキング層と、
B)グアンファシン含有層、好ましくは、グアンファシン含有マトリックス層と、
を含み、前記層は、
i)グアンファシン含有層の総重量に基づいて、6~9重量%の全体量のグアンファシン及びソルビン酸と、
ii)いずれの場合にもグアンファシン含有層の総重量に基づいて、第1シリコーン-アクリルハイブリッドポリマーは60~90重量%の量で存在し、第2シリコーン-アクリルハイブリッドポリマーは1~20重量%の量で存在する、2つのシリコーン-アクリルハイブリッドポリマーの混合物と、
iii)グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~6重量%の量のポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテルと、
iv)グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~6重量%の量のラウログリコールと、
を含む。
【0170】
別のなおもより特に好ましい実施形態では、本発明は、一実施形態において、グアンファシン含有層構造を含むグアンファシンの経皮投与のための経皮治療システムに関しており、前記グアンファシン含有層構造は、
A)バッキング層と、
B)グアンファシン含有層、好ましくは、グアンファシン含有マトリックス層と、
を含み、前記層は、
i)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、3~16重量%の量のグアンファシン及び1~7.2重量%の量のソルビン酸と、
ii)いずれの場合にもグアンファシン含有層の総重量に基づいて、第1シリコーン-アクリルハイブリッドポリマーは60~90重量%の量で存在し、第2シリコーン-アクリルハイブリッドポリマーは1~20重量%の量で存在する、2つのシリコーン-アクリルハイブリッドポリマーの混合物と、
iii)グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~6重量%の量のポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテルと、
iv)グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~6重量%の量のオレオイルマクロゴール-6 グリセリドと、
を含む。
【0171】
別のなおもより特に好ましい実施形態では、本発明は、一実施形態において、グアンファシン含有層構造を含むグアンファシンの経皮投与のための経皮治療システムに関しており、前記グアンファシン含有層構造は、
A)バッキング層と、
B)グアンファシン含有層、好ましくは、グアンファシン含有マトリックス層と、
を含み、前記層は、
i)グアンファシン含有層の総重量に基づいて、6~9重量%の全体量のグアンファシン及びソルビン酸と、
ii)いずれの場合にもグアンファシン含有層の総重量に基づいて、第1シリコーン-アクリルハイブリッドポリマーは60~90重量%の量で存在し、第2シリコーン-アクリルハイブリッドポリマーは1~20重量%の量で存在する、2つのシリコーン-アクリルハイブリッドポリマーの混合物と、
iii)グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~6重量%の量のポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテルと、
iv)グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~6重量%の量のオレオイルマクロゴール-6 グリセリドと、
を含む。
【0172】
上記の好ましい実施形態及びより好ましい実施形態では、グアンファシン含有層の面積重量は50~180g/m2、好ましくは75~150g/m2、より好ましくは80~120g/m2の範囲であることがさらに好ましい。
【0173】
グアンファシン
本発明によるTTSはグアンファシン含有層構造を含み、前記グアンファシン含有層構造は、A)バッキング層と、B)グアンファシン及びモノカルボン酸を含むグアンファシン含有層とを含む。グアンファシン含有層は、好ましくは、グアンファシン含有マトリックス層であり、上記で詳細に説明されている。
【0174】
本発明の一実施形態では、グアンファシン含有層、好ましくは、グアンファシン含有マトリックス層中のグアンファシンは、モノカルボン酸との予混合物中に存在する。本発明の一実施形態では、グアンファシン含有層、好ましくは、グアンファシン含有マトリックス層は、グアンファシン及びモノカルボン酸、またはグアンファシン及びモノカルボン酸から形成される塩を含む。グアンファシン及びモノカルボン酸は共塩の形態で存在することが好ましい。さらに、グアンファシン及びモノカルボン酸は、共塩が形成されるようにグアンファシン含有層への添加の前に予め混合されることを理解するべきである。
【0175】
好ましくは、本発明におけるグアンファシンは、「共塩」の形態で存在する(すなわち、グアンファシンは、少なくとも1つのモノカルボン酸と一緒に予混合物中に存在している)ことで、プロトン移動が可能であり、好ましくは少なくとも部分的にモノカルボン酸のグアンファシン塩が形成される。言い換えれば、活性剤(好ましくは、グアンファシン)は、少なくとも部分的にプロトン化した形態で存在し得る。しかしながら、本発明は、活性剤(好ましくは、グアンファシン)及びモノカルボン酸に関連して、グアンファシンとモノカルボン酸との予混合物に基づいてグアンファシン含有層中に得られる任意の形態を包含することを、そして、この形態は、例えば、グアンファシン及びモノカルボン酸が化学的相互作用なしに共存する選択肢(すなわちプロトン移動)、及び上述のような共塩形成の選択肢を含むことを、理解するべきである。好ましくは、グアンファシン遊離塩基及びモノカルボン酸は、共塩または他の任意の種類の酸付加塩を一緒に形成する場合があり、その結果、グアンファシン含有層は、好ましくは、グアンファシン遊離塩基及びモノカルボン酸の共塩または他の任意の種類の酸付加塩を少なくとも部分的に含む。言い換えれば、グアンファシン含有層は、好ましくは、少なくとも部分的にプロトン化した形態にあるグアンファシンと、少なくとも部分的に脱プロトン化した形態にあるモノカルボン酸とを含む。
【0176】
本発明の好ましい実施形態では、上述のように、グアンファシン含有層中のグアンファシン及びモノカルボン酸は、予混合物の形態で存在する。
【0177】
本発明のより好ましい実施形態では、グアンファシン含有層中のグアンファシン及びモノカルボン酸は予混合物の形態で存在し、前記予混合物は、乾式粉砕法またはスラリー法により得ることができる。
【0178】
本発明の好ましい一実施形態では、グアンファシン及びモノカルボン酸はグアンファシン含有層中に等モル量で存在する。これに関連して、予混合物に添加されるグアンファシン遊離塩基、及び予混合物に添加されるモノカルボン酸も等モル量で存在することを理解するべきである。
【0179】
本発明の好ましい実施形態では、グアンファシン含有層は、グアンファシン含有層の総重量に基づいて、1~20重量%の量で、より好ましくは2~16重量%の量でモノカルボン酸を含む。グアンファシン含有層中にグアンファシンと一緒に含まれる、特に好ましいモノカルボン酸は、ソルビン酸である。
【0180】
上記の実施形態に関連して、グアンファシンとモノカルボン酸との、特にモノカルボン酸ソルビン酸との組み合わせが、経皮治療システムの流束及び透過を高めることは驚くべきことである。特に、驚くべきことに、本発明の発明者らは、グアンファシン含有層中にグアンファシン塩基とソルビン酸との組み合わせを含むTTSが、グアンファシン含有層中に遊離塩基の形態でグアンファシンのみを含むTTSと比較して、88時間にわたって向上した累積透過量を示すことを見出した。
【0181】
本発明の好ましい一実施形態では、グアンファシン含有層構造は、好ましくは治療有効量のグアンファシンを含有する。より好ましくは、治療有効量のグアンファシンは、グアンファシン含有層構造のグアンファシン含有層中に存在する。
【0182】
特定の実施形態では、グアンファシン含有層中のグアンファシンの量は、グアンファシン含有層の総重量に基づいて、1~20重量%、好ましくは2~16重量%、最も好ましくは5~13重量%、例えば、11~13重量%または5~7重量%の範囲である。
【0183】
本発明の一実施形態では、グアンファシン含有層は、グアンファシン-モノカルボン酸予混合物を分散させることによって得ることができる。グアンファシン含有層がグアンファシン含有マトリックス層である場合、前記層は、好ましくは、グアンファシン-モノカルボン酸予混合物をポリマー担体中に分散させることによって得ることができ、これは、特に好ましくは、アクリルポリマー、シリコーンベースポリマー、シリコーン-アクリルハイブリッドポリマー及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つのポリマーと、場合によっては、上記で定義した少なくとも1つの添加剤、特に少なくとも1つの分散剤及び少なくとも1つの透過促進剤とを含む。
【0184】
特定の実施形態では、グアンファシンは、定量的HPLCによる測定にて、少なくとも95%、好ましくは少なくとも98%、より好ましくは少なくとも99%の純度を有する。定量的HPLCを、UV検出を用いる逆相HPLCで実行してもよい。
【0185】
ポリマー
シリコーンアクリルハイブリッドポリマー
本発明によるTTSは、少なくとも1つのポリマーを含み、少なくともポリマーは、アクリルポリマー、シリコーンベースポリマー、シリコーン-アクリルハイブリッドポリマー及びそれらの混合物からなる群から選択される。ポリマーの混合物に関するさらなる詳細を以下に提供する。
【0186】
本発明の一実施形態では、本発明によるTTSはシリコーンアクリルハイブリッドポリマーを含む。シリコーンアクリルハイブリッドポリマーは、一緒に重合されたシリコーンベースの亜種とアクリレートベースの亜種とを含む重合ハイブリッド種を含む。よって、シリコーンアクリルハイブリッドポリマーはシリコーン相及びアクリル相を含む。好ましくは、シリコーンアクリルハイブリッドポリマーは、シリコーンアクリルハイブリッド感圧接着剤である。
【0187】
シリコーンアクリルハイブリッド感圧接着剤は通常、n-ヘプタン及び酢酸エチルのような溶媒中で供給され、使用される。感圧接着剤の固形分含有量は通常30%から80%の間である。当業者は、好適な量の溶媒を添加することによって固形分含有量を変更してもよいことを知っている。
【0188】
好ましくは、シリコーンアクリルハイブリッド感圧接着剤中のシリコーンのアクリレートに対する重量比は、5:95~95:5、または20:80~80:20、より好ましくは40:60~60:40であり、最も好ましくはシリコーンのアクリレートに対する比は、約50:50である。シリコーンのアクリレートに対する重量比50:50を有する好適なシリコーンアクリルハイブリッド感圧接着剤は、例えば、DuPont(商標)により酢酸エチル中で供給される市販のシリコーンアクリルハイブリッド感圧接着剤7-6102、シリコーン/アクリレート比50/50、及び7-6302、シリコーン/アクリレート比50/50である。
【0189】
本発明従った好ましいシリコーンアクリルハイブリッド感圧接着剤は、25°C及び酢酸エチル中の固形分含有量約50%での溶液粘度を特徴としており、この溶液粘度は、好ましくは、スピンドル5番を備えたBrookfield RVT粘度計を50RPMで使用する測定にて、約400cPを超える、もしくは約500cPから約3,500cP、特に約1,000cPから約3,000cP、より好ましくは約1,200cPから約1,800cP、もしくは最も好ましくは約1,500cP、または代替的により好ましくは約2,200cPから約2,800cP、もしくは最も好ましくは約2,500cPである。
【0190】
これらのシリコーンアクリルハイブリッド感圧接着剤はまた、0.1rad/sで30°Cでの複素粘度を特徴としてもよく、この複素粘度は、好ましくは、8mmプレート及び零点規定されたギャップを備えるRheometrics ARESレオメーターを使用する測定にて、約1.0e9ポアズ未満、もしくは約1.0e5ポアズから約9.0e8ポアズ、もしくはより好ましくは約9.0e5ポアズから約1.0e7ポアズ、もしくは最も好ましくは約4.0e6ポアズ、または代替的により好ましくは約2.0e6ポアズから約9.0e7ポアズであり、もしくは最も好ましくは約1.0e7ポアズである。
【0191】
Rheometrics ARESレオメーターを使用してレオロジー挙動を測定するためのサンプルを調製するために、2~3グラムの接着剤溶液をSCOTCH-PAK1022フッ素ポリマー剥離ライナー上に注ぎ、周囲条件下で60分間静置させ得る。接着剤の本質的に無溶媒のフィルムを達成するために、それらは、オーブン内に110℃+/-10℃で60分間放置され得る。オーブンから取り出した後、室温に平衡化させる。フィルムは、剥離ライナーから取り外され、折り返されて、正方形を形成し得る。気泡を除去するために、フィルムは、Carverプレスを使用して圧縮され得る。次いで、サンプルをプレートの間に載せ、30℃で1.5+/-0.1mmに圧縮することができる。余分な接着剤をトリミングし、最終的なギャップが記録される。0.01~100rad/sの周波数掃引を、以下の設定:温度=30℃;歪み=0.5~1%で実行し、データを3点/ディケードで収集することができる。
【0192】
市販されている好適なシリコーンアクリルハイブリッド感圧接着剤には、DuPont(商標)によってn-ヘプタンまたは酢酸エチル中で製造され、供給されるPSAシリーズ7-6100及び7-6300(7-610X及び7-630X;X=1 n-ヘプタンベース/X=2 酢酸エチルベース)が含まれる。例えば、シリコーン/アクリレート比50/50を有する7-6102シリコーンアクリルハイブリッドPSAは、25℃及び酢酸エチル中の固形分含有量約50%での2,500cPの溶液粘度と、0.1rad/sで30℃での1.0e7ポアズの複素粘度とを特徴とする。シリコーン/アクリレート比50/50を有する7-6302シリコーンアクリルハイブリッドPSAは、25℃及び酢酸エチル中の固形分含有量約50%での1,500cPの溶液粘度と、0.1rad/sで30℃での4.0e6ポアズの複素粘度とを特徴とする。
【0193】
シリコーンアクリルハイブリッド感圧接着剤が供給される溶媒に応じて、シリコーンまたはアクリルの連続的な外部相及び対応する不連続的な内部相を提供するシリコーン相及びアクリル相の配置が異なる。シリコーンアクリルハイブリッド感圧接着剤がn-ヘプタン中で提供される場合、組成物は、連続的なシリコーン外部相及び不連続的なアクリル内部相を含有する。シリコーンアクリルハイブリッド感圧接着剤が酢酸エチル中で提供される場合、組成物は、連続的なアクリル外部相及び不連続的なシリコーン内部相を含有する。シリコーンアクリルハイブリッド感圧接着剤が提供される溶媒を蒸発させた後、得られる感圧接着剤フィルムまたは層の相配置は、溶媒含有接着剤コーティング組成物の相配置に対応する。例えば、シリコーンアクリルハイブリッド感圧接着剤組成物中の相配置の反転を誘発し得る物質が存在しない場合、n-ヘプタン中のシリコーンアクリルハイブリッド感圧接着剤から調製された感圧接着剤層は、連続的なシリコーン外部相及び不連続的なアクリル内部相を提供し、酢酸エチル中のシリコーンアクリルハイブリッド感圧接着剤から調製された感圧接着剤層は、連続的なアクリル外部相及び不連続的なシリコーン内部相を提供する。組成物の相配置は、例えば、シリコーン化された剥離ライナーに付着したシリコーンアクリルハイブリッドPSA組成物から調製された感圧接着剤フィルムまたは層を用いた剥離力試験において決定され得る。感圧接着剤フィルムは、シリコーン化された剥離ライナーが、2つのシリコーン表面のブロッキングにより感圧接着剤フィルム(裏地フィルムに積層されている)から除去できないか、またはほとんど除去できない場合、連続的なシリコーン外部相を含有する。ブロッキングは、同様の表面エネルギーを含む2つのシリコーン層の接着から生じる。シリコーン接着剤は、シリコーン化されたライナー上で良好な広がりを示し、そのため、ライナーに対して良好な接着性を生み出し得る。シリコーン化された剥離ライナーが容易に取り除かれ得る場合、感圧接着剤フィルムは、連続したアクリル外部相を含有する。アクリル接着剤は、表面エネルギーの違いのために良好な広がりを有さず、よって、シリコーン処理されたライナーに対する接着性が低いか、またはほとんど接着しない。好ましくは、本発明によれば、シリコーンアクリルハイブリッド感圧接着剤は酢酸エチル中で提供され、組成物は連続的なアクリル外部相及び不連続的なシリコーン内部相を含有する。
【0194】
本発明の好ましい実施形態によれば、シリコーンアクリルハイブリッドポリマーは、アクリレートまたはメタクリレート官能基を含むケイ素含有感圧接着剤組成物から得ることができるシリコーンアクリルハイブリッド感圧接着剤である。アクリレートまたはメタクリレート官能基を含むケイ素含有感圧接着剤組成物は、アクリレート官能基のみ、メタクリレート官能基のみ、またはアクリレート官能基及びメタクリレート官能基の両方を含むことができることを理解するべきである。
【0195】
本発明の所定の実施形態によれば、シリコーンアクリルハイブリッド感圧接着剤は、(a)アクリレートまたはメタクリレート官能基を含むケイ素含有感圧接着剤組成物と、(b)エチレン性不飽和モノマーと、(c)開始剤との反応生成物を含む。すなわち、シリコーンアクリルハイブリッド感圧接着剤は、これらの反応物((a)、(b)、及び(c))間の化学反応の生成物である。特に、シリコーンアクリルハイブリッド感圧接着剤は、(a)アクリレートまたはメタクリレート官能基を含むケイ素含有感圧接着剤組成物と、(b)(メタ)アクリレートモノマーと、(c)開始剤(すなわち、開始剤の存在下)との反応生成物を含む。すなわち、シリコーンアクリルハイブリッド感圧接着剤は、これらの反応物((a)、(b)、及び(c))間の化学反応の生成物を含む。
【0196】
(a)アクリレートまたはメタクリレート官能基を含むケイ素含有感圧接着剤組成物と、(b)エチレン性不飽和モノマーと、(c)開始剤との反応生成物は、連続的なシリコーン外部相及び不連続的なアクリル内部相を含有し得るか、または(a)、(b)、及び(c)の反応生成物は、連続的なアクリル外部相及び不連続的なシリコーン内部相を含有し得る。
【0197】
アクリレートまたはメタクリレート官能基を含むケイ素含有感圧接着剤組成物(a)は典型的には、100重量部のハイブリッド感圧接着剤を基準として、5~95重量部、より典型的には25~75重量部の量でシリコーンアクリルハイブリッド感圧接着剤中に存在する。
【0198】
エチレン性不飽和モノマー(b)は典型的には、100重量部のハイブリッド感圧接着剤を基準として、5~95重量部、より典型的には25~75重量部の量でシリコーンアクリルハイブリッド感圧接着剤中に存在する。
【0199】
開始剤(c)は典型的には、100重量部のハイブリッド感圧接着剤を基準として、0.005~3重量部、より典型的には0.01~2重量部の量でシリコーンアクリルハイブリッド感圧接着剤中に存在する。
【0200】
本発明の所定の実施形態によれば、アクリレートまたはメタクリレート官能基を含むシリコーン含有感圧接着剤組成物(a)は、(a1)シリコーン樹脂と、(a2)シリコーンポリマーと、(a3)前記アクリレートまたはメタクリレート官能基を提供するケイ素含有封止剤との縮合反応生成物を含む。
【0201】
本発明の所定の実施形態によれば、アクリレートまたはメタクリレート官能基を含むケイ素含有感圧接着剤組成物(a)は、
(a1)シリコーン樹脂と、
(a2)シリコーンポリマーと、
(a3)前記アクリレートまたはメタクリレート官能基を提供するケイ素含有封止剤と、
の縮合反応生成物を含み、前記ケイ素含有封止剤は、一般式XYR’bSiZ3-b{式中、
Xは、一般式AE-の一価基であり、ここで、
Eは、-O-または-NH-であり、Aは、アクリル基またはメタクリル基であり、
Yは、1~6個の炭素原子を有する二価のアルキレン基であり、
R’はメチルまたはフェニル基であり、
Zは一価の加水分解性有機基またはハロゲンであり、
bは0または1である}
を有し、
シリコーン樹脂及びシリコーンポリマーは反応して感圧接着剤を形成し、ケイ素含有封止剤は、シリコーン樹脂及びシリコーンポリマーを反応させる前、その間、またはその後に導入され、
シリコーン樹脂及びシリコーンポリマーが縮合反応して感圧接着剤を形成した後にケイ素含有封止剤は感圧接着剤と反応するか、または
ケイ素含有封止剤は、シリコーン樹脂及びシリコーンポリマーとその場で反応する。
【0202】
本発明の特定の実施形態によれば、アクリレートまたはメタクリレート官能基を含むケイ素含有感圧接着剤組成物は、感圧接着剤と、前記アクリレートまたはメタクリレート官能基を提供するケイ素含有封止剤との縮合反応生成物を含む。すなわち、アクリレートまたはメタクリレート官能基を含むケイ素含有感圧接着剤組成物は本質的に、前記アクリレートまたはメタクリレート官能基を提供するケイ素含有封止剤で封止または末端ブロックされた感圧接着剤であり、その感圧接着剤は、シリコーン樹脂及びシリコーンポリマーの縮合反応生成物を含む。好ましくは、シリコーン樹脂は30~80重量部の量で反応して感圧接着剤を形成し、シリコーンポリマーは20~70重量部の量で反応して感圧接着剤を形成する。これらの重量部はいずれも、100重量部の感圧接着剤を基準とする。必須ではないが、感圧接着剤は、触媒量の縮合触媒を含み得る。多様なシリコーン樹脂及びシリコーンポリマーが感圧接着剤を構成するのに好適である。
【0203】
本発明の所定の実施形態によれば、シリコーンアクリルハイブリッド感圧接着剤は、
(a)アクリレートまたはメタクリレート官能基を含むケイ素含有感圧接着剤組成物であって、前記ケイ素含有感圧接着剤組成物は、
(a1)シリコーン樹脂と、
(a2)シリコーンポリマーと、
(a3)前記アクリレートまたはメタクリレート官能基を提供するケイ素含有封止剤と、
の縮合反応生成物を含み、前記ケイ素含有封止剤は、一般式XYR’bSiZ3-b{式中、
Xは、一般式AE-の一価基であり、ここで、
Eは、-O-または-NH-であり、Aは、アクリル基またはメタクリル基であり、
Yは、1~6個の炭素原子を有する二価のアルキレン基であり、
R’はメチルまたはフェニル基であり、
Zは一価の加水分解性有機基またはハロゲンであり、
bは0または1である}
を有し、
シリコーン樹脂及びシリコーンポリマーは反応して感圧接着剤を形成し、ケイ素含有封止剤は、シリコーン樹脂及びシリコーンポリマーを反応させる前、その間、またはその後に導入され、
シリコーン樹脂及びシリコーンポリマーが縮合反応して感圧接着剤を形成した後にケイ素含有封止剤は感圧接着剤と反応するか、または
ケイ素含有封止剤は、シリコーン樹脂及びシリコーンポリマーとその場で反応する、アクリレートまたはメタクリレート官能基を含む前記ケイ素含有感圧接着剤組成物と、
(b)エチレン性不飽和モノマーと、
(c)開始剤と、
の反応生成物である。
【0204】
本発明で使用されるシリコーンアクリルハイブリッド組成物は、
(i)アクリレートまたはメタクリレート官能基を含むケイ素含有感圧接着剤組成物を提供する工程であって、前記ケイ素含有感圧接着剤組成物は、
シリコーン樹脂と、
シリコーンポリマーと、
前記アクリレートまたはメタクリレート官能基を提供するケイ素含有封止剤と、
の縮合反応生成物を含み、前記ケイ素含有封止剤は、一般式XYR’bSiZ3-b{式中、
Xは、一般式AE-の一価基であり、ここで、
Eは、-O-または-NH-であり、Aは、アクリル基またはメタクリル基であり、
Yは、1~6個の炭素原子を有する二価のアルキレン基であり、
R’はメチルまたはフェニル基であり、
Zは一価の加水分解性有機基またはハロゲンであり、
bは0または1である}
を有し、
シリコーン樹脂及びシリコーンポリマーは反応して感圧接着剤を形成し、ケイ素含有封止剤は、シリコーン樹脂及びシリコーンポリマーを反応させる前、その間、またはその後に導入され、
シリコーン樹脂及びシリコーンポリマーが縮合反応して感圧接着剤を形成した後にケイ素含有封止剤は感圧接着剤と反応するか、または
ケイ素含有封止剤は、シリコーン樹脂及びシリコーンポリマーとその場で反応する、
提供する工程と、
(ii)任意に50℃~100℃、または65℃~90℃の温度で、エチレン性不飽和モノマー及び工程(i)のアクリレートまたはメタクリレート官能基を含むケイ素含有感圧接着剤組成物を開始剤の存在下で重合させて、シリコーンアクリルハイブリッド組成物を形成する工程と、
を含む方法によって調製されることによって記述され得る。
【0205】
エチレン性不飽和モノマー及びアクリレートまたはメタクリレート官能基を含むケイ素含有感圧接着剤組成物の重合中に、シリコーンのアクリルに対する比が所望により制御され、最適化され得る。シリコーンのアクリルに対する比は、方法内及び方法中の様々な機構によって制御され得る。1つのそのような機構の例示的な例は、アクリレートまたはメタクリレート官能基を含むケイ素含有感圧接着剤組成物への1種または複数種のエチレン性不飽和モノマーの速度制御された添加である。所定の適用では、アクリレートベースの亜種、またはアクリル含有量全体を超えるようにシリコーンベースの亜種、またはシリコーン含有量全体を有することが望ましい場合がある。他の適用では、その逆が正しいことが望ましい場合がある。最終用途とは独立して、アクリレートまたはメタクリレート官能基を含むケイ素含有感圧接着剤組成物は好ましくは、100重量部のシリコーンアクリルハイブリッド組成物を基準として、約5~約95重量部、より好ましくは約25~約75重量部、さらに好ましくは約40~約60重量部の量でシリコーンアクリルハイブリッド組成物中に存在することが既に上述したように一般に好ましい。
【0206】
本発明の所定の実施形態によれば、本発明で使用されるシリコーンアクリルハイブリッド組成物は、
(i)アクリレートまたはメタクリレート官能基を含むケイ素含有感圧接着剤組成物を提供する工程であって、前記ケイ素含有感圧接着剤組成物は、
シリコーン樹脂と、
シリコーンポリマーと、
前記アクリレートまたはメタクリレート官能基を提供するケイ素含有封止剤と、
の縮合反応生成物を含み、前記ケイ素含有封止剤は、一般式XYR’bSiZ3-b{式中、
Xは、一般式AE-の一価基であり、ここで、
Eは、-O-または-NH-であり、Aは、アクリル基またはメタクリル基であり、
Yは、1~6個の炭素原子を有する二価のアルキレン基であり、
R’はメチルまたはフェニル基であり、
Zは一価の加水分解性有機基またはハロゲンであり、bは0または1である}
を有し、
シリコーン樹脂及びシリコーンポリマーは反応して感圧接着剤を形成し、ケイ素含有封止剤は、シリコーン樹脂及びシリコーンポリマーを反応させる前、その間、またはその後に導入され、
シリコーン樹脂及びシリコーンポリマーが縮合反応して感圧接着剤を形成した後にケイ素含有封止剤は感圧接着剤と反応するか、または
ケイ素含有封止剤は、シリコーン樹脂及びシリコーンポリマーとその場で反応する、
提供する工程と、
(ii)エチレン性不飽和モノマー及び工程(i)のアクリレートまたはメタクリレート官能基を含むケイ素含有感圧接着剤組成物を50℃~100℃の温度で開始剤の存在下で第1の溶媒中で重合させて、シリコーンアクリルハイブリッド組成物を形成する工程と、
(iii)第1の溶媒を除去する工程と、
(iv)第2の溶媒を添加して、シリコーンアクリルハイブリッド組成物を形成する工程であって、シリコーンアクリルハイブリッド組成物の相配置は、第2の溶媒の選択によって選択的に制御される、形成する工程と、
を含む方法によって調製されることによって記述され得る。
【0207】
本発明で使用されるシリコーンアクリルハイブリッドPSA組成物はまた、
(i)アクリレートまたはメタクリレート官能基を含むケイ素含有感圧接着剤組成物を提供する工程であって、前記ケイ素含有感圧接着剤組成物は、
シリコーン樹脂と、
シリコーンポリマーと、
前記アクリレートまたはメタクリレート官能基を提供するケイ素含有封止剤と、
の縮合反応生成物を含み、前記ケイ素含有封止剤は、一般式XYR’bSiZ3-b{式中、
Xは、一般式AE-の一価基であり、ここで、
Eは、-O-または-NH-であり、Aは、アクリル基またはメタクリル基であり、
Yは、1~6個の炭素原子を有する二価のアルキレン基であり、
R’はメチルまたはフェニル基であり、
Zは一価の加水分解性有機基またはハロゲンであり、
bは0または1である}
を有し、
シリコーン樹脂及びシリコーンポリマーは反応して感圧接着剤を形成し、ケイ素含有封止剤は、シリコーン樹脂及びシリコーンポリマーを反応させる前、その間、またはその後に導入され、
シリコーン樹脂及びシリコーンポリマーが縮合反応して感圧接着剤を形成した後にケイ素含有封止剤は感圧接着剤と反応するか、または
ケイ素含有封止剤は、シリコーン樹脂及びシリコーンポリマーとその場で反応する、提供する工程と、
(ii)エチレン性不飽和モノマー及び工程(i)のアクリレートまたはメタクリレート官能基を含むケイ素含有感圧接着剤組成物を50℃~100℃の温度で開始剤の存在下で第1の溶媒中で重合させて、シリコーンアクリルハイブリッド組成物を形成する工程と、
(iii)処理溶媒を添加する工程であって、処理溶媒は、第1の溶媒よりも高い沸点を有する、添加する工程と、
(iv)第1の溶媒の大部分が選択的に除去されるように70℃~150℃の温度で熱を加える工程と、
(v)処理溶媒を除去する工程と、
(vi)第2の溶媒を添加して、シリコーンアクリルハイブリッド組成物を形成する工程であって、シリコーンアクリルハイブリッド組成物の相配置は、第2の溶媒の選択によって選択的に制御される、形成する工程と、
を含む方法によって調製されることによって記述され得る。
【0208】
前の段落によるシリコーン樹脂は、式RX
3SiO1/2のトリオルガノシロキシ単位、及び式SiO4/2の4官能性シロキシ単位を、各4官能性シロキシ単位に対して0.1~0.9、好ましくは約0.6~0.9のトリオルガノシロキシ単位の比で含むコポリマーを含有し得る。好ましくは、各RXは、独立して、1~6個の炭素原子を有する一価炭化水素基、ビニル、ヒドロキシルまたはフェニル基を示す。
【0209】
前の段落によるシリコーンポリマーは、少なくとも1つのポリジオルガノシロキサンを含んでもよく、ヒドロキシル基、アルコキシ基、ヒドリド基、ビニル基またはそれらの混合物からなる群から選択される官能基で末端封止され(末端ブロックされ)ていることが好ましい。ジオルガノ置換基を、ジメチル、メチルビニル、メチルフェニル、ジフェニル、メチルエチル、(3,3,3-トリフルオロプロピル)メチル及びそれらの混合物からなる群から選択してもよい。好ましくは、ジオルガノ置換基は、メチル基のみを含有する。ポリジオルガノシロキサンの分子量は通常は、約50,000~約1,000,000、好ましくは約80,000~約300,000の範囲である。好ましくは、ポリジオルガノシロキサンは、末端ブロックTRXASiO1/2単位で終端化させたARXSiO単位を含み、ポリジオルガノシロキサンは、25℃で約100センチポアズ~約30,000,000センチポアズの粘度を有し、各A基は、独立して、RXまたは1~6個の炭素原子を有するハロ炭化水素基から選択され、各T基は、独立して、RX、OH、HまたはORYからなる群から選択され、各RYは、独立して、1~4個の炭素原子を有するアルキル基である。
【0210】
一例として、好ましいシリコーン樹脂及び好ましいシリコーンポリマーの形態を使用して、ある種類の感圧接着剤を次のようにして製作する。
(i)ケイ素結合ヒドロキシル基を含み、存在する各SiO4/2単位に対してモル比0.6~0.9のRX
3SiO1/2単位でRX
3SiO1/2単位及びSiO4/2単位から本質的になる30~80(両端を含む)重量部の少なくとも1つの樹脂コポリマーと、(ii)末端ブロックTRXASiO1/2単位で終端化させたARXSiO単位を含む約20~約70重量部の少なくとも1つのポリジオルガノシロキサンであって、ポリジオルガノシロキサンは、25°Cで約100センチポアズ~約30,000,000センチポアズの粘度を有し、各RXは、1~6(両端を含む)個の炭素原子の炭化水素基からなる群から選択される一価の有機基であり、各A基は、RX、または1~6(両端を含む)個の炭素原子を有するハロ炭化水素基から独立して選択され、各T基は、RX、OH、HまたはORYからなる群から独立して選択され、各RYは、独立して、1~4(両端を含む)個の炭素原子のアルキル基である、ポリジオルガノシロキサンと、(iii)全体を通して末端ブロック剤とも呼ばれ、以下に説明されており、5,000~15,000、より典型的には8,000~13,000ppmの範囲のシラノール含有量または濃度を提供することができる十分な量の少なくとも1つのケイ素含有封止剤と、(iv)(ii)によって何も提供されない場合には、望ましい場合に追加的な触媒量の穏やかなシラノール縮合触媒と、(v)必要に応じて、(i)、(ii)、(iii)及び(iv)の混合物の粘度を低下させるために、(i)、(ii)、(iii)及び(iv)に対して不活性である有効量の有機溶媒とを混合し、(i)、(ii)、(iii)及び(iv)の混合物を、少なくとも相当量のケイ素含有封止剤(複数可)が(i)及び(ii)のケイ素結合ヒドロキシル基及びT基と反応するまで濃縮する。追加のオルガノケイ素末端ブロック剤を、本発明のケイ素含有封止剤(複数可)(iii)と併せて使用することができる。
【0211】
前の段落によるケイ素含有封止剤を、アクリレート官能性シラン、アクリレート官能性シラザン、アクリレート官能性ジシラザン、アクリレート官能性ジシロキサン、メタクリレート官能性シラン、メタクリレート官能性シラザン、メタクリレート官能性ジシラザン、メタクリレート官能性ジシロキサン、及びそれらの組み合わせの群から選択してもよく、一般式XYR′bSiZ3-bとして説明してもよく、式中、Xは一般式AE(Eは-O-または-NH-であり、Aはアクリル基またはメタクリル基である)の一価の基であり、Yは、1~6個の炭素原子を有する二価のアルキレン基であり、R’はメチルまたはフェニル基であり、Zは一価の加水分解性有機基またはハロゲンであり、bは0,1または2である。好ましくは、一価の加水分解性有機基は、一般式R”0(R”はアルキレン基である)を有する。最も好ましくは、この特定の末端ブロック剤は、3-メタクリロキシプロピルジメチルクロロシラン、3-メタクリロキシプロピルジクロロシラン、3-メタクリロキシプロピルトリクロロシラン、3-メタクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルジメチルエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、(メタクリロキシメチル)ジメチルメトキシシラン、(メタクリロキシメチル)メチルジメトキシシラン、(メタクリロキシメチル)トリメトキシシラン、(メタクリロキシメチル)ジメチルエトキシシラン、(メタクリロキシメチル)メチルジエトキシシラン、メタクリロキシメチルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリイソプロポキシシラン、3-メタクリロキシプロピルジメチルシラザン、3-アクリルオキシ-プロピルジメチルクロロシラン、3-アクリルオキシプロピルジクロロシラン、3-アクリルオキシプロピルトリクロロシラン、3-アクリルオキシプロピルジメチルメトキシシラン、3-アクリルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-アクリルオキシプロピルジメチルシラザン、及びそれらの組み合わせの群から選択される。
【0212】
先の段落によるエチレン性不飽和モノマーを、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する任意のモノマーとすることができる。好ましくは、先の段落によるエチレン性不飽和モノマーは、脂肪族アクリレート、脂肪族メタクリレート、脂環式アクリレート、脂環式メタクリレート、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される化合物であり得る。その化合物の各々、すなわち、脂肪族アクリレート、脂肪族メタクリレート、脂環式アクリレート、及び脂環式メタクリレートは、アルキル基を含むことを理解されたい。これらの化合物のアルキル基は、最大で20個の炭素原子を含み得る。エチレン性不飽和モノマーのうちの1つとして選択され得る脂肪族アクリレートは、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、n-ブチルアクリレート、イソ-ブチルアクリレート、tert-ブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、イソ-オクチルアクリレート、イソ-ノニルアクリレート、イソ-ペンチルアクリレート、トリデシルアクリレート、ステアリルアクリレート、ラウリルアクリレート、及びそれらの混合物からなる群から選択される。エチレン性不飽和モノマーのうちの1つとして選択され得る脂肪族メタクリレートは、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、イソ-ブチルメタクリレート、tert-ブチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、イソ-オクチルメタクリレート、イソ-ノニルメタクリレート、イソ-ペンチルメタクリレート、トリデシルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、及びそれらの混合物からなる群から選択される。エチレン性不飽和モノマーのうちの1つとして選択され得る脂環式アクリレートは、シクロヘキシルアクリレートであり、エチレン性不飽和モノマーのうちの1つとして選択され得る脂環式メタクリレートは、シクロヘキシルメタクリレートである。
【0213】
シリコーンアクリルハイブリッド感圧接着剤を調製するために使用されるエチレン性不飽和モノマーは、複数のエチレン性不飽和モノマーであり得ることを理解されたい。すなわち、エチレン性不飽和モノマーの組み合わせが、アクリレートまたはメタクリレート官能基を含むケイ素含有感圧接着剤組成物及び開始剤と一緒に重合され、より具体的には共重合され得る。本発明の特定の実施形態によれば、シリコーンアクリルハイブリッド感圧接着剤は、好ましくは2-エチルヘキシルアクリレート及びメチルアクリレートからなる群から選択される少なくとも2つの異なるエチレン性不飽和モノマーを、アクリルモノマーとして、より好ましくは50%の2-エチルヘキシルアクリレート及び50%のメチルアクリレートの比、または60%の2-エチルヘキシルアクリレート及び40%のメチルアクリレートの比で使用することによって調製される。
【0214】
前の段落による開始剤を、アクリレートまたはメタクリレート官能基及びエチレン性不飽和モノマーを含むケイ素含有感圧接着剤組成物の重合を開始してシリコーンアクリルハイブリッドを形成するのに適した任意の物質としてもよい。例えば、過酸化物、アゾ化合物、レドックス開始剤、及び光開始剤からなる群から選択されるフリーラジカル開始剤が使用され得る。
【0215】
先の段落に従って使用され得るさらなる好適なシリコーン樹脂、シリコーンポリマー、ケイ素含有封止剤、エチレン性不飽和モノマー、及び開始剤は、WO2007/145996、EP2599847A1、及びWO2016/130408に詳述されている。
【0216】
本発明の所定の実施形態によれば、シリコーンアクリルハイブリッドポリマーは、シリコーンポリマー、シリコーン樹脂及びアクリルポリマーの反応生成物を含み、アクリルポリマーは、共有結合で自己架橋しており、シリコーンポリマー及び/またはシリコーン樹脂に共有結合している。
【0217】
本発明の所定の他の実施形態によれば、シリコーンアクリルハイブリッドポリマーは、シリコーンポリマー、シリコーン樹脂及びアクリルポリマーの反応生成物を含み、シリコーン樹脂は、トリオルガノシロキシ単位R3SiO1/2(Rは有機基である)、及び4官能性シロキシ単位SiO4/2を、各SiO4/2に対して0.1~0.9のR3SiO1/2単位のモル比で含有する。
【0218】
アクリルポリマーは、少なくともアルコキシシリル官能性モノマー、ポリシロキサン含有モノマー、ハロシリル官能性モノマーまたはアルコキシハロシリル官能性モノマーを含み得る。好ましくは、アクリルポリマーは、トリアルコキシシリル(メタ)アクリレート、ジアルコキシアルキルシリル(メタ)アクリレート、及びそれらの混合物からなる群から選択されるアルコキシシリル官能性モノマーから調製されるか、または末端封止されたアルコキシシリル官能基を含む。アルコキシシリル官能基は好ましくは、トリメトキシシリル基、ジメトキシメチルシリル基、トリエトキシシリル、ジエトキシメチルシリル基及びそれらの混合物からなる群から選択され得る。
【0219】
アクリルポリマーはまた、ポリシロキサン含有モノマーを含む混合物、好ましくはポリジメチルシロキサンモノ(メタ)アクリレートを含む混合物から調製され得る。
【0220】
シリル官能性モノマーは、典型的には、アクリルポリマーの0.2から20重量パーセントの量で使用され、より好ましくは、シリル官能性モノマーの量は、アクリルポリマーの約1.5から約5重量パーセントの範囲である。
【0221】
ポリシロキサン含有モノマーは典型的には、アクリルポリマーの1.5~50重量パーセントの量で使用され、より好ましくは、ポリシロキサン含有モノマーの量は、アクリルポリマーの5~15重量パーセントの範囲である。
【0222】
代替的に、アクリルポリマーは、アクリル及びポリシロキサンのブロックまたはグラフトコポリマーを含む。ポリシロキサンブロックコポリマーの例は、ポリジメチルシロキサン-アクリルブロックコポリマーである。シロキサンブロックの好ましい量は、ブロックポリマー全体の10~50重量パーセントである。
【0223】
アクリルポリマーは、アルキル(メタ)アクリレートモノマーを含む。使用され得る好ましいアルキル(メタ)アクリレートは、アルキル基中に最大で約18個の炭素原子、好ましくはアルキル基中に1~約12個の炭素原子を有する。約0℃未満のホモポリマーTgを有する好ましい低ガラス転移温度(Tg)アルキルアクリレートは、アルキル基中に約4~約10個の炭素原子を有し、ブチルアクリレート、アミルアクリレート、ヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、デシルアクリレート、それらの異性体、及びそれらの組み合わせを含む。ブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート及びイソオクチルアクリレートが特に好ましい。アクリルポリマー成分はさらに、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタクリレート及びイソブチルメタクリレートなどの高Tgを有する(メタ)アクリレートモノマーを含み得る。
【0224】
アクリルポリマー成分はさらに、得られる接着剤の低温流動特性を改善するためにポリイソブチレン基を含み得る。
【0225】
アクリルポリマー成分は、窒素含有極性モノマーを含み得る。例には、N-ビニルピロリドン、N-ビニルカプロラクタム、N-第3級オクチルアクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N-第3級ブチルアクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、シアノエチルアクリレート、N-ビニルアセトアミド及びN-ビニルホルムアミドが含まれる。
【0226】
アクリルポリマー成分は、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート及び/またはヒドロキシプロピルメタクリレートなどの1種以上のヒドロキシル含有モノマーを含み得る。
【0227】
アクリルポリマー成分は、所望により、カルボン酸含有モノマーを含み得る。有用なカルボン酸は好ましくは、約3~約6個の炭素原子を含有し、とりわけ、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、β-カルボキシエチルアクリレートなどを含む。アクリル酸が特に好ましい。
【0228】
他の有用な周知のコモノマーには、酢酸ビニル、スチレン、シクロヘキシルアクリレート、アルキルジ(メタ)アクリレート、グリシジルメタクリレート及びアリルグリシジルエーテル、ならびに例えば、ポリ(スチリル)メタクリレートなどのマクロマーが含まれる。
【0229】
本発明の実施に使用することができるアクリルポリマー成分の1つは、約90~約99.5重量%のブチルアクリレート及び約0.5~約10重量%のジメトキシメチルシリルメタクリレートを含むアクリルポリマーである。
【0230】
本発明の特定の実施形態によれば、シリコーンアクリルハイブリッドポリマーを、a)シリコーンポリマーをシリコーン樹脂と反応させてその結果として得られる生成物を形成し、b)a)の結果として得られた生成物を、反応性官能基を含有するアクリルポリマーと反応させることにより調製してもよく、ここでは、これらの成分を有機溶媒中で反応させる。
【0231】
本発明の所定の実施形態によれば、シリコーンアクリルハイブリッドポリマーは、a)シリコーン樹脂を、反応性官能基を含有するアクリルポリマーと反応させて、結果生成物を形成し、b)a)の結果生成物をシリコーンポリマーと反応させることによって調製され得、この場合、これらの成分は、有機溶媒中で反応させる。
【0232】
本発明の特定の実施形態によれば、シリコーンアクリルハイブリッドポリマーを、a)シリコーンポリマーを、反応性官能基を含むアクリルポリマーと反応させてその結果として得られる生成物を形成し、b)a)の結果として得られた生成物をシリコーン樹脂と反応させることにより調製してもよく、ここでは、これらの成分を有機溶媒中で反応させる。
【0233】
シリコーンポリマー、シリコーン樹脂及びアクリルポリマーを一緒に化学的に反応させて前の段落に従ってシリコーンアクリルハイブリッドポリマーを提供するために使用することができる、さらに好適なアクリルポリマー、シリコーン樹脂、及びシリコーンポリマーは、WO2010/124187に詳述されている。
【0234】
アクリルポリマー(非ハイブリッド)
上記で示したように、本発明によるTTSは、グアンファシン含有層中に少なくとも1つのポリマーを含む。本発明によれば、少なくとも1つのポリマーは、アクリルポリマー、シリコーンベースポリマー、シリコーン-アクリルハイブリッドポリマー及びそれらの混合物からなる群から選択される。よって、本発明の一実施形態では、本発明によるTTSは、グアンファシン含有層にアクリルポリマーを含む。
【0235】
本明細書で使用される場合、アクリルポリマー及びアクリレートポリマーという用語は同義的に使用される。好ましくは、アクリルポリマーは、アクリレートをベースとする感圧接着剤である。また、アクリレートをベースとする感圧接着剤をアクリレートベース感圧接着剤、またはアクリレート感圧接着剤と呼んでもよい。
【0236】
アクリレートをベースとする感圧接着剤は、好ましくは30%から60%の間の固形分含有量を有する溶液の形態で提供され得る。
【0237】
アクリレートベース感圧接着剤は、ヒドロキシ基、カルボン酸基、中和されたカルボン酸基及びそれらの混合物などの官能基を含んでもよい、または含まなくてもよい。よって、「官能基」という用語は、特に、ヒドロキシ基及びカルボン酸基、ならびに脱プロトン化されたカルボン酸基を指す。
【0238】
対応する市販製品は、例えば、HenkelからDuro Tak(登録商標)という商品名で入手可能である。このようなアクリレートベース感圧接着剤は、アクリル酸、ブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、グリシジルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、t-オクチルアクリルアミド及び酢酸ビニルのうちの1つまたは複数から選択されるモノマーをベースとし、酢酸エチル、ヘプタン、n-ヘプタン、ヘキサン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、2,4-ペンタンジオン、トルエンもしくはキシレン、またはそれらの混合物中で提供される。
【0239】
具体的には以下のアクリレートベース感圧接着剤が利用可能である。
・Duro-Tak(商標)387-2287またはDuro-Tak(商標)87-2287(架橋剤を用いずに酢酸エチル中の溶液として提供される酢酸ビニル、2-エチルヘキシル-アクリレート、2-ヒドロキシエチル-アクリレート、及びグリシジル-メタクリレートをベースとするコポリマー)、
・Duro-Tak(商標)387-2516またはDuro-Tak(商標)87-2516(チタン架橋剤を用いて酢酸エチル、エタノール、n-ヘプタン、及びメタノール中の溶液として提供される酢酸ビニル、2-エチルヘキシル-アクリレート、2-ヒドロキシエチル-アクリレート及びグリシジル-メタクリレートをベースとするコポリマー)、
・Duro-Tak(商標)387-2051またはDuro-Tak(商標)87-2051(架橋剤を用いずに酢酸エチルまたはヘプタン中の溶液として提供されるアクリル酸、ブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート及び酢酸ビニルをベースとするコポリマー)、
・Duro-Tak(商標)387-2353またはDuro-Tak(商標)87-2353酢酸エチル及びヘキサン中の溶液として提供される、アクリル酸、2-エチルヘキシルアクリレート、グリシジルメタクリレート及びメチルアクリレートをベースとするコポリマー)、
・Duro-Tak(商標)87-4098(商標)(酢酸エチル中の溶液として提供される2-エチルヘキシル-アクリレート及び酢酸ビニルをベースとするコポリマー)、
・Duro-Tak(商標)387-2287またはDuro-Tak(商標)87-2054(架橋剤を用いて酢酸エチルまたはヘプタン中の溶液として提供されるアクリル酸、ブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート及び酢酸ビニルをベースとするコポリマー)。
【0240】
本発明による好ましいアクリレートベース感圧接着剤は、Duro-Tak(商標)387-2516またはDuro-Tak(商標)87-2516(チタン架橋剤を用いて酢酸エチル、エタノール、n-ヘプタン、及びメタノール中の溶液として提供される酢酸ビニル、2-エチルヘキシル-アクリレート、2-ヒドロキシエチル-アクリレート及びグリシジル-メタクリレートをベースとするコポリマー)、ならびにDuro-Tak(商標)87-4098(酢酸エチル中の溶液として提供される2-エチルヘキシル-アクリレート及び酢酸ビニルをベースとするコポリマー)である。
【0241】
また、凝集性及び/または接着性を向上させるために追加のポリマーを添加してもよい。
【0242】
シリコーンベースポリマー(非ハイブリッド)
上記で示したように、本発明によるTTSは、グアンファシン含有層中に少なくとも1つのポリマーを含む。本発明によれば、少なくとも1つのポリマーは、アクリルポリマー、シリコーンベースポリマー、シリコーン-アクリルハイブリッドポリマー及びそれらの混合物からなる群から選択される。よって、本発明の一実施形態では、本発明によるTTSは、グアンファシン含有層、好ましくは、グアンファシン含有マトリックス層に少なくとも1つのシリコーンベースポリマーを含む。
【0243】
本明細書で使用される場合、シリコーンベースポリマーは非ハイブリッドポリマー、すなわちハイブリッド種を含まないポリマーである。シリコーンベースポリマーはポリシロキサンをベースとする。したがって、それらをまた、ポリシロキサンをベースとするポリマーと呼んでもよい。好ましくは、シリコーンベースポリマーはシリコーンベース感圧接着剤、すなわちポリシロキサンをベースとする感圧接着剤である。
【0244】
シリコーンベースポリマーは、好ましくは非硬化性ポリマーであるので、典型的には、n-ヘプタン及び酢酸エチルなどの溶媒中で供給され、使用される。固形分含有量は通常、30%~80%である。
【0245】
適切なシリコーンベースポリマーは、BIO-PSA(pressure sensitive adhesives based on polysiloxanes、ポリシロキサンをベースとする感圧接着剤)というブランド名で市販されている。
【0246】
ポリシロキサンをベースとする感圧接着剤は、湿潤皮膚を含む様々な皮膚種類への好適な粘着及び迅速な結合、好適な接着及び粘着特性、皮膚への長続きする接着性、高い柔軟度、水分に対する透過性、ならびに多くの活性物質及びフィルム基材への適合性を提供する。十分なアミン耐性を備え、したがってアミンの存在下での安定性が向上したポリシロキサンをベースとする感圧接着剤を提供することが可能である。このような感圧接着剤は、樹脂インポリマーの概念に基づいており、シラノール末端ブロック化ポリジメチルシロキサンとシリカ樹脂(シリケート樹脂とも呼ばれる)との縮合反応により、アミンの安定性のために残留シラノール官能基が追加的にトリメチルシロキシ基で封止された、ポリシロキサンをベースとする感圧接着剤が調製される。シラノール末端ブロック化ポリジメチルシロキサン含有量は、粘弾性挙動の粘性成分に寄与し、接着剤の湿潤及び広がり特性に影響を与える。樹脂は粘着性付与剤及び補強剤として機能し、弾性成分に関与する。シラノール末端ブロック化ポリジメチルシロキサンと樹脂との間の適正なバランスは、適正な接着特性を提供する。
【0247】
上記を考慮すると、シリコーンベースポリマー、特にシリコーンベース感圧接着剤は、概して、シラノール末端ブロック化ポリジメチルシロキサンのシリケート樹脂との重縮合によって得ることができる。アミン適合性シリコーンベースポリマー、特にアミン適合性シリコーンベース感圧接着剤は、ポリマーのシラノール含有量を減らすために、シリコーンベースポリマー、特にシリコーンベース感圧接着剤をトリメチルシリル(例えばヘキサメチルジシラザン)と反応させることによって得ることができる。その結果、残留シラノール官能基は少なくとも部分的に、好ましくは大部分または完全に、トリメチルシロキシ基で封止される。
【0248】
上記で示したように、シリコーンベースポリマーの粘着性を、樹脂対ポリマー比、すなわちシラノール末端ブロック化ポリジメチルシロキサンのシリケート樹脂に対する比によって変更してもよく、好ましくは、この比は70:30~50:50、好ましくは65:35~55:45の範囲にある。粘着性は、樹脂に対してポリジメチルシロキサンの量が増加するにつれて増加する。高粘着シリコーンベースポリマーは、好ましくは55:45の樹脂対ポリマー比を有し、中粘着シリコーンベースポリマーは、好ましくは60:40の樹脂対ポリマー比を有し、低粘着シリコーンベースポリマーは、好ましくは65:35の樹脂対ポリマー比を有する。高粘着シリコーンベースポリマーは、0.01rad/s及び30°Cで約5×106ポアズの複素粘度を有することが好ましく、中粘着シリコーンベースポリマーは、0.01rad/s及び30°Cで約5×107ポアズの複素粘度を有することが好ましく、低粘着シリコーンベースポリマーは、0.01rad/s及び30°Cで約5×108ポアズの複素粘度を有することが好ましい。高粘着アミン適合シリコーンベースポリマーは、0.01rad/s及び30°Cで約5×106ポアズの複素粘度を有することが好ましく、中粘着アミン適合シリコーンベースポリマーは、0.01rad/s及び30°Cで約5×108ポアズの複素粘度を有することが好ましく、低粘着アミン適合シリコーンベースポリマーは、0.01rad/s及び30°Cで約5×109ポアズの複素粘度を有することが好ましい。
【0249】
市販されているシリコーンベースPSA組成物の例には、DuPont(商標)によって製造され、通常はn-ヘプタンまたは酢酸エチル中で供給される標準的なBIO-PSAシリーズ(7-4400、7-4500及び7-4600シリーズ)及びアミン適合性(末端封止された)BIO-PSAシリーズ(7-4100、7-4200及び7-4300シリーズ)が含まれる。例えば、BIO-PSA 7-4201は、25℃及びヘプタン中の固形分含有量約60%での450mPa・sの溶液粘度、ならびに30℃において0.01rad/sで1×108ポアズの複素粘度を特徴とする。BIO-PSA 7-4301は、25℃及びヘプタン中の固形分含有量約60%での500mPa・sの溶液粘度、ならびに30℃において0.01rad/sで5×106ポアズの複素粘度を有する。BIO-PSA 7-4202は、25°C及び酢酸エチル中の固形分含有量約60%での800mPa・sの溶液粘度、ならびに30°Cにおいて0.01rad/sで1×108ポアズの複素粘度を特徴とする。BIO-PSA 7-4302は、25℃及び酢酸エチル中の固形分含有量約60%での1200mPa・sの溶液粘度、ならびに30℃において0.01rad/sで5×106ポアズの複素粘度を有する。
【0250】
ポリシロキサンをベースとする感圧接着剤は、n-ヘプタン、酢酸エチル、またはその他の揮発性シリコーン流体などの溶媒中で供給され、使用される。溶媒中のポリシロキサンをベースとする感圧接着剤の固形分含有量は、通常60~85%、好ましくは70~80%または60~75%である。当業者は、好適な量の溶媒を添加することによって固形分含有量を変更してもよいことを知っている。
【0251】
例えば、DuPont(商標)から入手可能な、ポリシロキサンをベースとする感圧接着剤を、以下のスキームに従って得てもよい。
【化3】
そのようなポリシロキサンをベースとする感圧接着剤は、例えば、n-ヘプタン溶媒(記号「01」で示される)中で提供されるBIO-PSA 7-4401、BIO-PSA-7-4501もしくはBIO-PSA 7-4601という商品名で、または酢酸エチル溶媒(記号「02」で示される)中で提供されるBIO-PSA 7-4402、BIO-PSA 7-4502及びBIO 7-4602という商品名でDuPont(商標)から入手可能である。溶媒中の典型的な固形分含有量は、60~75%の範囲である。記号「44」は、樹脂対ポリマー比が65:35であることを示し、その結果、粘着性は低くなり、記号「45」は、樹脂対ポリマー比が60:40であることを示し、その結果、粘着性は中程度になり、記号「46」は、樹脂対ポリマー比が55:45であることを示し、その結果、粘着性は高くなる。
【0252】
例えば、DuPont(商標)から入手可能な、アミン適合性のポリシロキサンをベースとする感圧接着剤を、以下のスキームに従って得てもよい。
【化4】
そのようなアミン適合性のポリシロキサンをベースとする感圧接着剤は、例えば、n-ヘプタン溶媒(記号「01」で示される)中で提供されるBIO-PSA 7-4101、BIO-PSA-7-4201もしくはBIO-PSA 7-4301という商品名で、または酢酸エチル溶媒(記号「02」で示される)中で提供されるBIO-PSA 7-4102、BIO-PSA 7-4202及びBIO 7-4302という商品名で、DuPont(商標)から入手可能である。溶媒中の典型的な固形分含有量は、60~75%の範囲である。記号「41」は、樹脂対ポリマー比が65:35であることを示し、その結果、粘着性は低くなり、記号「42」は、樹脂対ポリマー比が60:40であることを示し、その結果、粘着性は中程度になり、記号「43」は、樹脂対ポリマー比が55:45であることを示し、その結果、粘着性は高くなる。
【0253】
本発明に従った好ましいポリシロキサンをベースとする感圧接着剤は、25°C及びn-ヘプタン中の固形分含有量60%での溶液粘度を特徴としており、この溶液粘度は、好ましくは、スピンドル5番を備えたBrookfield RVT粘度計を50rpmで使用する測定にて、約150mPa・sを超える、または約200mPa・sから約700mPa・sである。これらはまた、30℃において0.01rad/sで約1x109ポアズ未満、または約1x105~約9x108ポアズの複素粘度を特徴としてもよい。
【0254】
ポリマー混合物
本発明によるTTS、特にグアンファシン含有層は、アクリルポリマー、シリコーンベースポリマー、シリコーン-アクリルハイブリッドポリマー、及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つのポリマーを含む。本発明の一実施形態では、グアンファシン含有層は少なくとも1つのポリマーを含み、少なくとも1つのポリマーは、
・アクリルポリマー及び少なくとも1つのシリコーンベースポリマーの混合物、または
・2つのシリコーン-アクリルハイブリッドポリマーの混合物、または
・2つのシリコーンベースポリマーの混合物、または
・アクリルポリマー、または
・-OH基を含むアクリルポリマー
である。
【0255】
これに関連して、アクリルポリマー、シリコーンベースポリマー及びシリコーン-アクリルハイブリッドポリマーは上記で定義したとおりであることを理解するべきである。
【0256】
本発明の好ましい一実施形態では、少なくとも1つのポリマーは、グアンファシン含有層の総重量に基づいて、20~99重量%、好ましくは30~97重量%、最も好ましくは35~94重量%の量で存在する。
【0257】
本発明のより好ましい実施形態では、グアンファシン含有層は、アクリルポリマー及び少なくとも1つのシリコーンベースポリマーの混合物を含み、グアンファシン含有層の総重量に基づいて、アクリルポリマーは20~55重量%の量で存在し、少なくとも1つのシリコーンベースポリマーは20~55重量%の量で存在する。
【0258】
本発明の別のより好ましい実施形態では、グアンファシン含有層は、2つのシリコーン-アクリルハイブリッドポリマーの混合物を含み、いずれの場合にもグアンファシン含有層の総重量に基づいて、第1シリコーン-アクリルハイブリッドポリマーは60~90重量%の量で存在し、第2シリコーン-アクリルハイブリッドポリマーは1~20重量%の量で存在し、好ましくは、第1シリコーン-アクリルハイブリッドポリマー及び第2シリコーン-アクリルハイブリッドポリマーは、60:40~40:60の重量比でシリコーン相及びアクリレート相を含む。
【0259】
本発明のさらにより好ましい実施形態では、グアンファシン含有層は、2つのシリコーンベースポリマーの混合物を含み、グアンファシン含有層の総重量に基づいて、第1シリコーンベースポリマーは20~55重量%の量で存在し、第2シリコーンベースポリマーは20~55重量%の量で存在する。
【0260】
本発明のなおもより好ましい実施形態では、グアンファシン含有層は、アクリルポリマーであって、酢酸ビニル、2-エチルヘキシルアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート及びグリシジルメタクリレートをベースとするコポリマーである前記アクリルポリマーと、少なくとも1つのシリコーンベースポリマーとの混合物を含み、少なくとも1つのシリコーンベースポリマーは2つのシリコーンベースポリマーを指し、第1シリコーンベースポリマーはBIO-PSA 7-4202であり、第2シリコーンベースポリマーはBIO-PSA 7-4302である。上記のより好ましい実施形態に関連して、グアンファシン含有層の総重量に基づいて、アクリルポリマーは20~55重量%の量で存在し、2つのシリコーンベースポリマーは20~55重量%の全体量で存在することを理解するべきである。さらに、上記の好ましい実施形態に関連して、2つのシリコーンベースポリマーは、好ましくは、グアンファシン含有層中に1:1の比で存在することを理解するべきである。
【0261】
本発明のなおもより好ましい実施形態では、グアンファシン含有層は、アクリルポリマーであって、2-エチルヘキシルアクリレート及び酢酸ビニルをベースとするコポリマーである前記アクリルポリマーと、少なくとも1つのシリコーンベースポリマーとの混合物を含み、少なくとも1つのシリコーンベースポリマーは2つのシリコーンベースポリマーを指し、第1シリコーンベースポリマーはBIO-PSA 7-4202であり、第2シリコーンベースポリマーはBIO-PSA 7-4302である。上記のより好ましい実施形態に関連して、グアンファシン含有層の総重量に基づいて、アクリルポリマーは20~55重量%の量で存在し、2つのシリコーンベースポリマーは20~55重量%の全体量で存在することを理解するべきである。さらに、上記の好ましい実施形態に関連して、2つのシリコーンベースポリマーは、好ましくは、グアンファシン含有層中に1:1の比で存在することを理解するべきである。
【0262】
上記の実施形態に関連して、少なくとも1つのシリコーンベースポリマーの量は、グアンファシン含有層中に存在するシリコーンベースポリマーの、グアンファシン含有層の総重量に基づいた全体量を指すことを理解するべきである。特に、2つのシリコーンベースポリマーを指す場合、2つのシリコーンベースポリマーは、上記で定義した全体量で存在することを理解するべきである。
【0263】
本発明の別のなおもより好ましい実施形態では、グアンファシン含有層は、2つのシリコーン-アクリルハイブリッドポリマーの混合物を含み、いずれの場合にもグアンファシン含有層の総重量に基づいて、第1シリコーン-アクリルハイブリッドポリマーは、好ましくは、上記で定義した7-6102シリコーンアクリルハイブリッドPSAであり、60~90重量%の量で存在し、第2シリコーン-アクリルハイブリッドポリマーは、好ましくは、上記で定義した7-6302シリコーンアクリルハイブリッドPSAであり、1~20重量%の量で存在し、好ましくは、第1シリコーン-アクリルハイブリッドポリマー及び第2シリコーン-アクリルハイブリッドポリマーは、60:40~40:60の重量比でシリコーン相及びアクリレート相を含む。
【0264】
本発明のさらになおもより好ましい実施形態では、グアンファシン含有層は、2つのシリコーンベースポリマーの混合物を含み、グアンファシン含有層の総重量に基づいて、第1シリコーンベースポリマーはBIO-PSA 7-4202であり、20~55重量%の量で存在し、第2シリコーンベースポリマーはBIO-PSA 7-4302であり、20~55重量%の量で存在する。上記の好ましい実施形態に関連して、2つのシリコーンベースポリマーは、好ましくは、グアンファシン含有層中に1:1の比で存在することを理解するべきである。
【0265】
さらなる添加剤
本発明によるTTS、特にグアンファシン含有層は、少なくとも1つの添加剤または賦形剤をさらに含んでもよい。本発明による特に好ましい添加剤には、分散剤、透過促進剤、及び可溶化剤が含まれる。この点に関する詳細は上記に提供されている。しかしながら、本発明によるTTS、特にグアンファシン含有層は、さらなる添加剤または賦形剤を含んでもよい。
【0266】
概して、添加剤または賦形剤は、分散剤、可溶化剤、透過促進剤、フィルム形成剤、軟化剤/可塑剤、粘着付与剤、スキンケア用物質、pH調整剤、保存剤、安定化剤、及び充填剤からなる群から選択されることが好ましい。そのような添加剤は、グアンファシン含有層の総重量に基づいて、グアンファシン含有層中に0.001~15重量%、例えば0.5~10重量%もしくは1~10重量%、または0.01~6重量%の量で存在してもよく、重量%の量は単一の添加剤を指す。
【0267】
医薬製剤では、製剤成分がその物理化学的及び生理学的特性に従って、またその機能に従って分類されることに留意すべきである。これは、特に、製剤成分のあるカテゴリーに分類される物質または化合物が、別のカテゴリーへの分類から除外されないことを意味する。例えば、特定のポリマーはフィルム形成剤であるだけでなく、粘着付与剤にもなり得る。いくつかの物質は、例えば、典型的な軟化剤であり得ると同時に、透過促進剤として作用し得る。当業者は、一般知識に基づいて、特定の物質または化合物が製剤成分のどのカテゴリー(複数可)に属するかを決定することが可能である。以下に、賦形剤及び添加剤の詳細を提供するが、これらが排他的であると理解するべきではない。本明細書に明示的に列挙されていない他の物質を同様に本発明に従って使用してもよく、製剤成分の1つのカテゴリーとして明示的に列挙された物質及び/または化合物は、本発明の意味における別の製剤成分としての使用から除外されない。
【0268】
一実施形態では、グアンファシン含有層は上記で定義した分散剤、好ましくは、脂肪酸とポリオールとのエステル、脂肪族アルコール、300~400の数平均分子量を有するポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールアルキルエーテルからなる群から選択される分散剤を含む。上記で説明したように、分散剤は、好ましくは2~10個のEO単位を有するポリエチレングリコールC8~C20-アルキルエーテル、特にポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテルである。代替的にまたは追加的に、シリコーンポリエーテルを分散剤として使用してもよい。分散剤は、グアンファシン含有層、特にグアンファシン含有マトリックス層内にグアンファシンを均一に分散させるのに役立ち、それによってTTSの放出特性を改善する。
【0269】
一実施形態では、グアンファシン含有層は可溶化剤を含む。可溶化剤は、好ましくは、グアンファシン含有層中のグアンファシンの分散性を向上させ、グアンファシン含有層を安定化させる。さらに、可溶化剤は凝集性にプラスの影響を与える場合がある。好ましい可溶化剤には、例えば、中鎖及び/または長鎖脂肪酸のグリセロールエステル、ポリグリセロールエステル、プロピレングリコールエステル、及びポリオキシエチレンエステル、例えば、モノリノール酸グリセリル、中鎖グリセリド及び中鎖トリグリセリド、ヒマシ油とエチレンオキシドとを反応させることによって作製される非イオン性可溶化剤、ならびに脂肪酸または脂肪アルコールをさらに含有してもよいそれらの任意の混合物;セルロース及びメチルセルロース、ならびにそれらの誘導体、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース及びヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステル;様々なシクロデキストリン及びその誘導体;ポロキサマーとして知られるポリオキシエチレンの2つの親水性鎖に隣接するポリオキシプロピレンの中央疎水性鎖を有する非イオン性トリブロックコポリマー;ビタミンEの水溶性誘導体;医薬品グレードのまたは凝集した球状イソマルト;PVAc-PVCap-PEGとも略記され、Soluplus(登録商標)としても知られる、ポリエステルグリコール、ポリ酢酸ビニル、及びポリビニルカプロラクタム系グラフトコポリマー;Kollidon(登録商標)VA64などのビニルピロリドン-酢酸ビニルコポリマー;天然由来のヒマシ油の精製グレード、ポリエチレングリコール400の精製グレード、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート80など)の精製グレード、またはプロピレングリコールの精製グレードのもの;ジエチレングリコールモノエチルエーテル;グルコノ-デルタ-ラクトン;トウモロコシ及びジャガイモデンプン;ならびに下記の可溶性ポリビニルピロリドンのいずれか、それだけでなくクロスポビドンなどの不溶性の/架橋されたポリビニルピロリドンが含まれる。
【0270】
しかしながら、以下に言及する透過促進剤も可溶化剤として作用することができる。さらに、以下に記載するフィルム形成剤も可溶化剤として同時に作用する場合があり、またその逆も同様である。
【0271】
一実施形態では、グアンファシン含有層は透過促進剤を含む。この点に関する選択は上記に提供されてる。透過促進剤は、活性剤の透過性を高めるという意味で角質層のバリア特性に影響を与える物質である。浸透促進剤のいくつかの例は、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール、及びポリエチレングリコールなどの多価アルコール;オリーブオイル、スクアレン、及びラノリンなどのオイル;セチルエーテル及びオレイルエーテルなどの脂肪エーテル;ミリスチン酸イソプロピルなどの脂肪酸エステル;アラントインなどの尿素及び尿素誘導体;ジメチルデシルホスホキシド、メチルセチルスルホキシド、ジメチルアウリルアミン、ドデシルピロリドン、イソソルビトール、ジメチルアセトニド、ジメチルスルホキシド、デシルメチルスルホキシド、及びジメチルホルムアミドなどの極性溶媒;サリチル酸;アミノ酸;ニコチン酸ベンジル;ラウリル硫酸塩などの高分子量脂肪族界面活性剤である。他の薬剤には、オレイン酸及びリノール酸、アスコルビン酸、パンテノール、ブチル化ヒドロキシトルエン、トコフェロール、酢酸トコフェリル、リノール酸トコフェリル、オレイン酸プロピル、及びパルミチン酸イソプロピルが含まれる。グアンファシン含有層が透過促進剤を含む場合、透過促進剤は、好ましくは、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(トランスクトール)、オレイン酸、レブリン酸、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、ジイソプロピルアジパート、イソプロピルミリスタート、パルミチン酸イソプロピル、ラウリルラクタート、トリアセチン、ジメチルプロピレン尿素、オレイルアルコール、オレオイルマクロゴール-6 グリセリド(labrafil MS 1944)、及びラウログリコールからなる群から選択され、好ましくは、オレイルアルコール、ラウログリコール、またはオレオイルマクロゴール-6 グリセリド(labrafil MS 1944)である。
【0272】
一実施形態では、グアンファシン含有層はフィルム形成剤をさらに含む。Soluplus(登録商標)などの上述の可溶化剤は、フィルム形成剤としても作用し、凝集性を制御し得ることを理解するべきである。さらなるフィルム形成剤の適切な例には、ポリビニルピロリドン、酢酸ビニル/ビニルピロリドンコポリマー及びセルロース誘導体、好ましくはポリビニルピロリドン、より好ましくは可溶性ポリビニルピロリドンが含まれる。
【0273】
グアンファシン含有層が自己接着特性を有することが必要であり、十分な自己接着特性を提供しない/しない1つまたは複数のポリマーが選択される場合、粘着付与剤が添加される。好ましい粘着付与剤には、植物由来の長鎖不飽和偶数脂肪酸及び長鎖不飽和偶数脂肪族アルコールをベースとする液体ワックスエステルであるミグリオール、ならびにポリエチレングリコールが含まれる。特に、粘着付与剤を、ポリビニルピロリドン(水を吸収する能力によりマトリックス層の接着特性を維持することが可能であり、よって、広義の粘着付与剤とみなすことができる)、トリグリセリド、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、樹脂、樹脂エステル、テルペン及びそれらの誘導体、エチレン酢酸ビニル接着剤、ジメチルポリシロキサン、及びポリブテン、ならびに好ましくはポリビニルピロリドン、より好ましくは可溶性ポリビニルピロリドンから選択してもよい。好ましくは、粘着付与剤を、ポリビニルピロリドン、トリグリセリド、ジプロピレングリコール、樹脂、樹脂エステル、テルペン及びそれらの誘導体、エチレン酢酸ビニル接着剤、ジメチルポリシロキサン、及びポリブテン、ならびに好ましくはポリビニルピロリドン、より好ましくは可溶性ポリビニルピロリドンから選択してもよい。
【0274】
「可溶性ポリビニルピロリドン」という用語は、少なくともエタノール中に、好ましくはまた、水、ジエチレングリコール、メタノール、n-プロパノール、2-プロパノール、n-ブタノール、クロロホルム、塩化メチレン、2-ピロリドン、マクロゴール400、1,2プロピレングリコール、1,4ブタンジオール、グリセロール、トリエタノールアミン、プロピオン酸及び酢酸中に、10%を超えて可溶性であるポリビニルピロリドン(ポビドンとしても知られる)を指す。市販のポリビニルピロリドンの例には、BASFにより供給されるKollidon(登録商標)12PF、Kollidon(登録商標)17PF、Kollidon(登録商標)25、Kollidon(登録商標)30及びKollidon(登録商標)90F、またはポビドンK90Fが含まれる。Kollidon(登録商標)の異なるグレードが、ポリビニルピロリドングレードの平均分子量を反映するK値に関して定義されている。Kollidon(登録商標)12PFは、公称K値12に相当するK値範囲10.2~13.8を特徴とする。Kollidon(登録商標)17PFは、公称K値17に相当するK値範囲15.3~18.4を特徴とする。Kollidon(登録商標)25は、公称K値25に相当するK値範囲22.5~27.0を特徴とし、Kollidon(登録商標)30は、公称K値30に相当するK値範囲27.0~32.4を特徴とする。Kollidon(登録商標)90Fは、公称K値90に相当するK値範囲81.0~97.2を特徴とする。好ましいKollidon(登録商標)グレードはKollidon(登録商標)12PF、Kollidon(登録商標)30、Kollidon(登録商標)90Fである。本発明の意味の範囲内で、「K値」という用語は、欧州薬局方(Ph.Eur.)及び「ポビドン」のUSPモノグラフに従って水中のポリビニルピロリドンの相対粘度から計算された値を指す。
【0275】
一実施形態では、グアンファシン含有層はさらに軟化剤/可塑剤を含む。例示的な軟化剤/可塑剤には、6~20個の炭素原子を有する線状または分枝状の飽和または不飽和アルコール、トリグリセリド、及びポリエチレングリコールが含まれる。
【0276】
一実施形態では、グアンファシン含有層は安定化剤をさらに含む。安定化剤には、トコフェロール及びそのエステル誘導体、アスコルビン酸及びそのエステル誘導体が含まれる。さらなる安定化剤には、メタ重亜硫酸ナトリウム、パルミチン酸アスコルビルなどの脂肪酸のアスコルビルエステル、アスコルビン酸、ブチル化ヒドロキシトルエン、トコフェロール、酢酸トコフェリル、及びリノール酸トコフェリルが含まれる。
【0277】
一実施形態では、グアンファシン含有層はpH調整剤をさらに含む。好適なpH調整剤には、アミン誘導体、無機アルカリ誘導体、及び塩基性または酸性官能基を有するポリマーを含む弱酸及び弱塩基が含まれる。
【0278】
一実施形態では、グアンファシン含有層は保存剤をさらに含む。適切な保存剤には、パラベン、ホルムアルデヒド放出剤、イソチアゾリノン及びフェノキシエタノールが含まれる。
【0279】
一実施形態では、グアンファシン含有層はスキンケア用の物質をさらに含む。そのような物質を、皮膚反応スコアにより検出可能な皮膚への刺激を回避または低減するために使用してもよい。好適なスキンケア用物質には、コレステロール、デクスパンテノール、α-ビサボロール、抗ヒスタミン薬などのステロール化合物が含まれる。
【0280】
一実施形態では、グアンファシン含有層は充填剤をさらに含む。シリカゲル、二酸化チタン、及び酸化亜鉛などの充填剤をポリマーと併せて使用して、凝集性及び結合強度などの特定の物理的パラメータに所望の方法で影響を与えてもよい。
【0281】
放出特性
本発明に従ったTTSは、所定の長期間、好ましくは少なくとも24時間、より好ましくは少なくとも72時間、特に約84時間、体循環にグアンファシンを経皮投与するように設計される。
【0282】
一実施形態では、本発明によるTTSは、定常状態での経皮送達により、1~20ng/ml、好ましくは1~15ng/ml、より好ましくは1~10ng/mlのグアンファシンの平均血漿濃度を提供する。
【0283】
好ましくは、TTSは、皮膚へのTTSの適用後、8時間未満、好ましくは6時間未満、より好ましくは4時間未満の内にグアンファシンの治療有効血漿濃度を提供する。さらに、治療有効血漿濃度は、好ましくは、少なくとも24時間、好ましくは少なくとも72時間、より好ましくは約84時間の全投与期間にわたって維持される。
【0284】
一実施形態では、本発明によるTTSは、10~600ng*h/ml、好ましくは20~400ng*h/mlのAUC0-24hを提供する。別の実施形態では、本発明によるTTSは、30~1800ng*h/ml、好ましくは60~1200ng*h/mlのAUC0-72hを提供する。別の実施形態では、本発明によるTTSは、35~2100ng*h/ml、好ましくは70~1400ng*h/mlのAUC0-84hを提供する。AUC値は、好ましくは、定常状態で得られるAUC値を指すことを理解するべきである。
【0285】
一実施形態では、本発明によるTTSは、3.5未満のCmax対C84比を提供する。別の実施形態では、本発明によるTTSは、3.0未満のCmax対C72比を提供する。別の実施形態では、本発明によるTTSは、2.0未満のCmax対C24比を提供する。これらの比は、平坦な血漿曲線を示しており、患者の継続的な治療の観点から有利である。
【0286】
一実施形態では、本発明によるTTSは、採皮されたヒトの皮膚を用いたフランツ拡散セルでの測定にて以下のグアンファシンの皮膚透過率を提供する。すなわち、
最初の24時間において0.01μg/(cm2*h)~8μg/(cm2*h)、
24時間目から88時間目までは、0.05μg/(cm2*h)~10μg/(cm2*h)。
別の実施形態では、本発明によるTTSは、採皮されたヒトの皮膚を用いたフランツ拡散セルでの測定にて以下のグアンファシンの皮膚透過率を提供する。すなわち、
最初の24時間において0.01μg/(cm2*h)~8μg/(cm2*h)、
24時間目から88時間目までは、0.05μg/(cm2*h)~8μg/(cm2*h)。
【0287】
一実施形態では、本発明によるTTSは、採皮されたゲッティンガーミニブタの皮膚を用いたフランツ拡散セルでの測定にて、最初の24時間において0.01μg/(cm2*h)~8μg/(cm2*h)、24時間目から88時間目までは0.05μg/(cm2*h)~10μg/(cm2*h)の以下のグアンファシンの皮膚透過率を提供する。
【0288】
別の実施形態では、本発明によるTTSは、採皮されたゲッティンガーミニブタの皮膚を用いたフランツ拡散セルでの測定にて、88時間の期間にわたる0.01mg/cm2~0.7mg/cm2、好ましくは0.05mg/cm2~0.6mg/cm2、より好ましくは0.10mg/cm2~0.5mg/cm2のグアンファシンの累積透過量を提供する。
【0289】
上記を考慮して、本発明は、一態様において、グアンファシン含有層構造を含むグアンファシンの経皮投与のための経皮治療システムにも関しており、経皮治療システムは、経皮送達によって、以下からなる群から選択される1つまたは複数の薬物動態パラメータ(複数可)を提供する。すなわち、
AUC0-24 10~600(ng/ml)h、
AUC0-72 30~1800(ng/ml)h、
AUC0-84 35~2100(ng/ml)h、
2.0未満のCmax対C24比、
3.0未満のCmax対C72比、及び
3.5未満のCmax対C84比。
【0290】
好ましい実施形態において、本発明は、グアンファシン含有層構造を含むグアンファシンの経皮投与のための経皮治療システムに関しており、経皮治療システムは、経皮送達によって、以下からなる群から選択される1つまたは複数の薬物動態パラメータ(複数可)を提供する。すなわち、
AUC0-24 20~400(ng/ml)h、
AUC0-72 60~1200(ng/ml)h、
AUC0-84 70~1400(ng/ml)h、
1.5未満のCmax対C24比、
2.5未満のCmax対C72比、及び
3.0未満のCmax対C84比。
【0291】
特に好ましい一実施形態において、本発明は、グアンファシン含有層構造を含むグアンファシンの経皮投与のための経皮治療システムに関しており、経皮治療システムは、経皮送達によって、70~1400(ng/ml)hのAUC0-84を提供する。
【0292】
治療方法/医学的使用
本発明の一実施形態では、本発明によるTTSは、ヒト患者、好ましくは6~17歳の患者を治療する方法での使用に適している。特に、本発明によるTTSは、高血圧症または注意欠陥多動性障害(ADHD)を治療する方法での使用、及び/またはヒト患者、好ましくは6~17歳のヒト患者における刺激性薬物療法の補助療法としての使用に適している。
【0293】
上記の医学的用途に関連した好ましい実施形態では、TTSは患者の皮膚に少なくとも24時間、好ましくは少なくとも72時間、より好ましくは約84時間適用される。
【0294】
一実施形態では、本発明は、上記で定義した経皮治療システムを患者の皮膚に適用することによって、ヒト患者、好ましくは6~17歳のヒト患者を治療する方法に関する。特に、本発明は、本発明による経皮治療システムを患者の皮膚に適用することによって、ヒト患者、好ましくは6~17歳のヒト患者における高血圧症または注意欠陥多動性障害(ADHD)を治療する方法に関する。
【0295】
上記の治療方法の好ましい実施形態において、経皮治療システムは、少なくとも24時間、好ましくは少なくとも72時間、より好ましくは約84時間、患者の皮膚に適用される。
【0296】
上記を考慮して、本発明は、一態様において、グアンファシンの経皮投与によってヒト患者、好ましくは6~17歳のヒト患者を治療する方法に使用するための、グアンファシン及びモノカルボン酸を含む経皮治療システムに関しており、経皮治療システムは、患者の皮膚に少なくとも24時間、好ましくは少なくとも72時間、より好ましくは約84時間適用される。好ましい実施形態では、経皮治療システムは、高血圧症または注意欠陥多動性障害(ADHD)を治療する方法において使用、及び/またはヒト患者における刺激性薬物療法に対する補助療法として使用するためのものである。より好ましい実施形態では、経皮治療システムは、本発明による経皮治療システム、特に、以下からなる群から選択される1つまたは複数の薬物動態パラメータを提供する経皮治療システムである。すなわち、
AUC0-24 10~600(ng/ml)h、
AUC0-72 30~1800(ng/ml)h、
AUC0-84 35~2100(ng/ml)h、
2.0未満のCmax対C24比、
3.0未満のCmax対C72比、及び
3.5未満のCmax対C84比。
より好ましくは、以下からなる群から選択される。すなわち、
AUC0-24 20~400(ng/ml)h、
AUC0-72 60~1200(ng/ml)h、
AUC0-84 70~1400(ng/ml)h、
1.5未満のCmax対C24比、
2.5未満のCmax対C72比、及び
3.0未満のCmax対C84比。
【0297】
上記の使用及び治療方法に関連して、本発明によるTTSは、好ましくは、定義された投与間隔で、上腕外側、上胸部、上背部、または胸部の側部から選択される、被験者の少なくとも1つの体表面に適用される。
【0298】
本発明によるTTSの好ましい適用時間は、少なくとも24時間(1日)、好ましくは少なくとも72時間(3日)、より好ましくは約84時間(3.5日)である。この時間の後、TTSを取り外してもよく、任意選択で新しいTTSを適用して、24時間体制の治療を可能にしてもよい。
【0299】
製造方法
本発明はさらに、経皮治療システムに使用するための活性薬含有層、好ましくは活性薬含有マトリックス層の製造方法に関する。
【0300】
本発明従って、本発明による経皮治療システムで使用するための活性薬含有層を製造する方法は、
1)少なくとも、成分
(i)薬学的活性剤と、
(ii)少なくとも1つのモノカルボン酸と、
を組み合わせて予混合物を得る工程と、
2)
(i)工程1)の前記予混合物と、
(ii)少なくとも1つのポリマーと、
を組み合わせてコーティング組成物を得る工程と、
3)前記コーティング組成物をバッキング層または剥離ライナー上にコーティングして、コーティングされたコーティング組成物を得る工程と、
4)前記コーティングされたコーティング組成物を乾燥させて、前記活性薬含有層を形成する工程と、
を含む。
【0301】
本発明の一実施形態では、本方法の工程1)による予混合物は、(i)及び(ii)を乾式粉砕法及び/またはスラリー法で組み合わせることによって得られる。
【0302】
本発明の一実施形態では、上記方法のスラリー法は、
・薬学的活性剤(i)とモノカルボン酸(ii)とを等モル量で秤量する工程と、
・ジクロロメタン、メタノール及び酢酸エチルからなる群から選択される溶媒を添加する工程と、
・得られた混合物を少なくとも24時間、好ましくは24~36時間磁気撹拌子を用いて撹拌する工程と、
を含む。
【0303】
よって、製造方法の工程1)のスラリー法は、ジクロロメタン、メタノール及び酢酸エチルからなる群から選択される少なくとも1つの溶媒中で等モル量の成分(i)及び(ii)を組み合わせる工程を含む。
【0304】
工程1)のスラリー法で薬学的活性剤とモノカルボン酸との予混合物を得るために、減圧下で、上記で得られた混合物から溶媒を除去し、真空下で残留物を少なくとも24時間乾燥させる。
【0305】
上記の製造方法の工程2)では、工程1)で得られた予混合物を少なくとも1つのポリマー中に分散させて均質なコーティング組成物を得ることが好ましい。この点に関して、工程1)で得られる予混合物は、乾式粉砕法及び/またはスラリー法によって得ることができることを理解するべきである。
【0306】
工程2)において、さらなる成分、好ましくは上記で定義した少なくとも1つの添加剤も加えてもよいことを理解するべきである。
【0307】
好ましくは、溶媒は方法の工程2)で添加され、及び/または1つまたは複数のポリマーが溶液の形態で提供されるため溶媒が存在する。溶媒は好ましくは、アルコール溶媒、具体的には、メタノール、エタノール、イソプロパノール、及びそれらの混合物、ならびに非アルコール溶媒、具体的には、酢酸エチル、ヘキサン、ヘプタン、石油エーテル、トルエン、及びそれらの混合物から選択される。好ましくは、溶媒は非アルコール溶媒から選択され、最も好ましくは酢酸エチルまたはn-ヘプタンである。特に好ましい実施形態では、溶媒は酢酸エチルである。
【0308】
好ましい実施形態では、上記で定義した少なくとも1つのポリマー、特に上記で定義したポリマーの混合物は溶液として提供され、溶媒は酢酸エチルまたはn-ヘプタン、好ましくは酢酸エチルである。
【0309】
好ましい実施形態では、上記で定義した少なくとも1つのポリマーは、40~70重量%の固形分含有量を有する。
【0310】
方法の工程3)では、コーティング組成物をバッキング層または剥離ライナーに適用する。その結果、コーティングされたコーティング組成物、すなわちバッキング層または剥離ライナー上にコーティングされたコーティング組成物が得られる。
【0311】
工程4)で活性薬含有層が形成された後、方法は、こうして剥離ライナーまたはバッキング層を活性薬含有層の他方の側に適用する工程をさらに含んでもよい。
【0312】
上記の製造方法の工程4)では、乾燥は、好ましくは20~90℃、より好ましくは30~70℃の温度で実行される。
【0313】
上記の実施形態で定義した製造方法の好ましい実施形態では、活性薬含有層内の薬学的活性剤(i)はグアンファシンである。
【0314】
上記で定義した製造方法の別の好ましい実施形態では、モノカルボン酸(ii)はソルビン酸である。
【0315】
製造方法の上記の実施形態に関連して、少なくとも1つのポリマー、さらなる添加剤、及び活性薬含有層、好ましくは、グアンファシン含有層は、TTSに関して上記で定義したとおりであることを理解するべきである。
【実施例】
【0316】
これより、添付の実施例を参照して本発明をより完全に説明する。ただし、以下の説明が例証にすぎず、決して本発明を制限するものと解釈されるべきはないことが理解されるべきである。組成物中の成分の量または面積重量に関して実施例で提供される数値は、製造時のばらつきのために、わずかに変動する場合がある。
【0317】
比較例1A、1B、1C及び1D
コーティング組成物
比較例1A、1B、1C及び1Cのグアンファシン含有コーティング組成物の製剤を以下の表1.1及び表1.2に要約する。固形分%値は、重量%での量(Amt)を指す。
【0318】
【0319】
【0320】
コーティング組成物の調製
薬物質(存在する場合はソルビン酸)、及び使用した促進剤を酢酸エチル溶媒中に分散させ、任意選択で約5分間超音波処理した。次いで接着剤を添加した。これらの2つの工程は、逆の順序でも行うことができる。ディゾルバー撹拌機を用いて、混合物を2000rpmで10分間均質化した。
【0321】
比較例1Bの場合、1:1の比のグアンファシン塩基とポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテル(Brij L4)との予混合物を調製した。酸化ジルコニウムミリングビーズ(ビーズサイズ1mm、RetschミキサーミルMM500にて)を用い、35Hzで約1.5時間かけてグアンファシン塩基及びポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテルの混合物をミリングすることによる乾式粉砕法に従って予混合物を調製し、粒径約5μmを達成した。コーティング組成物を調製するために、予混合物を撹拌し、使用した促進剤及び接着剤を添加した。ディゾルバー撹拌機を用いて、混合物を2000rpmで約10分間均質化した。
【0322】
比較例1Dの場合、等モル量のグアンファシン塩基及びソルビン酸を乳鉢で15分間粉砕した。コーティング組成物を調製するために、グアンファシン塩基及びソルビン酸を乾式粉砕し、使用した促進剤を酢酸エチル溶媒に溶解し、5分間超音波処理した。次いで接着剤を添加した。ディゾルバー撹拌機を用いて、混合物を2000rpmで10分間均質化した。
【0323】
コーティング組成物のコーティング
所望のコーティング乾燥重量を考慮して、混合物の固形分含有量に従って、例えば、エリクセン社のフィルムアプリケーターを使用し、得られたグアンファシン含有コーティング組成物をポリエチレンテレフタレートフィルム(Scotchpak 9755、これは剥離ライナーとして機能し得る)上にコーティングして、約50℃で約10分間乾燥させた。標的の面積重量に応じて、対応するフィルムアプリケーターのギャップは325~350μmの間になる。
【0324】
コーティングの厚さを選択することで、溶液除去の結果としてのグアンファシン含有層の面積重量は、約95(比較例1A)g/m2、96(比較例1B)g/m2、95(比較例1C)g/m2、及び89(比較例1D)g/m2になる。次いで、乾燥したフィルムをバッキング層(PET 15μm [tsp])と積層して、グアンファシン含有自己接着性層構造を提供した。
【0325】
TTSの調製(すべての実施例に関する)
次いで、上述のようにして得られたグアンファシン含有自己接着性層構造から個々のシステム(TTS)を打ち抜いた。次いで、TTSを一次包装材料のパウチ内に密封した。
【0326】
皮膚透過性の測定
比較例1A~Dに従って調製されたTTSの透過量を、7.0mLフランツ拡散セルを用いて実施されたOECDガイドライン(2004年4月13日採択)に従って測定した。分層ゲッティンガーミニブタ皮膚(メス)を使用した。採皮刀を使用して、すべてのTTSのために無傷の表皮を有する皮膚を800μmの厚さに用意した。1.17cm2の放出面積を有するダイカットをTTSから打ち抜いた。温度32±1℃でフランツ拡散セルの受容体媒体中のグアンファシン透過量(抗菌薬剤として0.1%アジ化ナトリウムを含む0.9%塩化ナトリウム溶液)を測定し、相当する累積透過量を計算した。
【0327】
結果を、表1.3及び表1.4、ならびに
図1.1、
図1.2及び
図1.3に示す。
【0328】
【0329】
【0330】
実施例1A、1B、1C、1D及び1E
コーティング組成物
実施例1A、1B、1C、1D及び1Eのグアンファシン含有コーティング組成物の製剤を以下の表1.4、表1.5及び表1.6に要約する。固形分%値は、重量%での量(Amt)を指す。
【0331】
【0332】
【0333】
【0334】
コーティング組成物の調製
グアンファシン塩基、ソルビン酸及びメタノールの予混合物を調製した。酸化ジルコニウムミリングビーズ(ビーズサイズ3mm、RetschミキサーミルMM500にて)を用い、35Hzで約10分間かけてグアンファシン塩基、ソルビン酸、及び触媒としてのメタノールの混合物をミリングすることによる乾式粉砕法に従って予混合物を調製した。グアンファシン塩基とソルビン酸は1:1の比で存在した。コーティング組成物を調製するために、予混合物及び使用した促進剤を酢酸エチル溶媒中に分散させ、約5分間超音波処理した。次いで接着剤を添加した。これらの2つの工程は、逆の順序でも行うことができる。ディゾルバー撹拌機を用いて、混合物を2000rpmで10分間均質化した。
【0335】
コーティング組成物のコーティング
所望のコーティング乾燥重量を考慮して、混合物の固形分含有量に従って、例えば、エリクセン社のフィルムアプリケーターを使用し、得られたグアンファシン含有コーティング組成物をポリエチレンテレフタレートフィルム(Scotchpak 9755、これは剥離ライナーとして機能し得る)上にコーティングして、約50℃で約10分間乾燥させた。標的の面積重量に応じて、対応するフィルムアプリケーターのギャップは300~400μmの間になる。
【0336】
コーティングの厚さを選択することで、溶液除去の結果としてのグアンファシン含有層の面積重量は、約100(実施例1A)g/m2、94(実施例1B)g/m2、91(実施例1C)g/m2、98(実施例1D)g/m2及び81(実施例1E)g/m2であった。次いで、乾燥したフィルムをバッキング層(PET15μm[tsp]またはMN19AB I)と積層して、グアンファシン含有自己接着性層構造を提供した。
【0337】
TTSの調製
比較例1A~1Dを参照のこと。
【0338】
皮膚透過性の測定
実施例1A~Eに従って調製されたTTSの透過量を、7.0mLフランツ拡散セルを用いて実施されたOECDガイドライン(2004年4月13日採択)に従って測定した。分層ゲッティンガーミニブタ皮膚(メス)を使用した。採皮刀を使用して、すべてのTTSのために無傷の表皮を有する皮膚を800μmの厚さに用意した。1.17cm2の放出面積を有するダイカットをTTSから打ち抜いた。温度32±1℃でフランツ拡散セルの受容体媒体中のグアンファシン透過量(抗菌薬剤として0.1%アジ化ナトリウムを含む0.9%塩化ナトリウム溶液)を測定し、相当する累積透過量を計算した。
【0339】
結果を、表1.7及び表1.8、ならびに
図1.3に示す。
【0340】
【0341】
【0342】
実施例2A、2B、2C及び比較例2A、2B
コーティング組成物
実施例2A、2B及び2C、ならびに比較例2A及び2Bのグアンファシン含有コーティング組成物の製剤を以下の表2.1、表2.2及び表2.3に要約する。固形分%値は、重量%での量(Amt)を指す。
【0343】
【0344】
【0345】
【0346】
コーティング組成物の調製
グアンファシン/ソルビン酸予混合物を、スラリー法に従って、すなわち以下の概略手順に従って調製した。
グアンファシン遊離塩基及びソルビン酸を等モル量で秤量した。溶媒、例えば1mLのDCMを添加し、磁気撹拌子を用いて混合物を室温で少なくとも1日間撹拌した。白色固体を真空下で濾過により回収し、溶媒(少なくとも4mL)で洗浄し、真空下にて40℃で24時間乾燥させた。比較例2の場合、予混合物は調製されなかったが、グアンファシンは遊離塩基の形態で使用された。
【0347】
コーティング組成物を調製するために、グアンファシン/ソルビン酸予混合物またはグアンファシン遊離塩基及び使用した促進剤を酢酸エチル溶媒中に分散させ、約5分間超音波処理した。次いで接着剤を添加した。これらの2つの工程は、逆の順序でも行うことができる。ディゾルバー撹拌機を用いて、混合物を2000rpmで10分間均質化した。
【0348】
比較例2A及び2Bを調製するために、グアンファシン遊離塩基、及び存在する場合には使用した促進剤を酢酸エチル溶媒中に分散させ、必要に応じて約5分間超音波処理した。次いで接着剤を添加した。これらの2つの工程は、逆の順序でも行うことができる。ディゾルバー撹拌機を用いて、混合物を約1500rpmで15分間均質化した。
【0349】
コーティング組成物のコーティング
所望のコーティング乾燥重量を考慮して、混合物の固形分含有量に従って、例えば、エリクセン社のフィルムアプリケーターを使用し、得られたグアンファシン含有コーティング組成物をポリエチレンテレフタレートフィルム(Scotchpak 9755、これは剥離ライナーとして機能し得る)上にコーティングして、約50℃で約10分間乾燥させた。標的の面積重量に応じて、対応するフィルムアプリケーターのギャップは325~450μmの間になる。
【0350】
コーティングの厚さを選択することで、溶液除去の結果としてのグアンファシン含有層の面積重量は約137(実施例2A)g/m2、104(実施例2B)g/m2、102(実施例2C)g/m2、95(比較例2A)g/m2、及び95(比較例2B)g/m2になる。次いで、乾燥したフィルムをバッキング層(MN 19 SIL、PET RN15またはPET15μm)と積層して、グアンファシン含有自己接着性層構造を提供した。
【0351】
TTSの調製
比較例1A~1Dを参照のこと。
【0352】
皮膚透過性の測定
実施例2A~C及び比較例2A及び2Bに従って調製されたTTSの透過量を、7.0mLフランツ拡散セルを用いて実施されたOECDガイドライン(2004年4月13日採択)に従って測定した。分層ゲッティンガーミニブタ皮膚(メス)を使用した。採皮刀を使用して、すべてのTTSのために無傷の表皮を有する皮膚を800μmの厚さに用意した。1.17cm2の放出面積を有するダイカットをTTSから打ち抜いた。温度32±1℃でフランツ拡散セルの受容体媒体中のグアンファシン透過量(抗菌薬剤として0.1%アジ化ナトリウムを含む0.9%塩化ナトリウム溶液)を測定し、相当する累積透過量を計算した。
【0353】
結果を、表2.4及び表2.5、ならびに
図2に示す。
【0354】
【0355】
【0356】
実施例3A、3B、3C、3D、3E及び比較例3
コーティング組成物
実施例3A、3B、3C、3D及び3E、ならびに比較例3のグアンファシン含有コーティング組成物の製剤を以下の表3.1、表3.2、表3.3及び表3.4に要約する。固形分%値は、重量%での量(Amt)を指す。
【0357】
【0358】
【0359】
【0360】
【0361】
コーティング組成物の調製
グアンファシン/ソルビン酸予混合物を、スラリー法に従って、すなわち以下の概略手順に従って調製した。
グアンファシン遊離塩基及びソルビン酸を等モル量で秤量した。溶媒、例えば1mLのDCMを添加し、磁気撹拌子を用いて混合物を室温で少なくとも1日間撹拌した。白色固体を真空下で濾過により回収し、溶媒(少なくとも4mL)で洗浄し、真空下にて40℃で24時間乾燥させた。比較例3の場合、予混合物は調製されなかったが、グアンファシンは遊離塩基の形態で使用された。
【0362】
コーティング組成物を調製するために、グアンファシン/ソルビン酸予混合物またはグアンファシン遊離塩基及び接着剤を酢酸エチル溶媒中に分散させ、ディゾルバー撹拌機を用いて混合物を2000rpmで約10分間均質化した。実施例3Aの場合で、かつBIO-PSA 4202及びBIO-PSA 4302を一緒に使用した場合、接着剤は、グアンファシン/ソルビン酸予混合物と混合する前に一緒に混合され、均質化されるまで2000rpmで約10分間撹拌された。
【0363】
コーティング組成物のコーティング
所望のコーティング乾燥重量を考慮して、混合物の固形分含有量に従って、例えば、エリクセン社のフィルムアプリケーターを使用し、得られたグアンファシン含有コーティング組成物をポリエチレンテレフタレートフィルム(Scotchpak 9755、これは剥離ライナーとして機能し得る)上にコーティングして、約50℃で約10分間乾燥させた。標的の面積重量に応じて、対応するフィルムアプリケーターのギャップは300~400μmの間になる。
【0364】
コーティングの厚さを選択することで、溶液除去の結果としてのグアンファシン含有層の面積重量は約114(実施例3A)g/m2、87(実施例3B)g/m2、102(実施例3C)g/m2、90(実施例3D)g/m2、96(実施例3E)g/m2及び95(比較例3)g/m2になる。次いで、乾燥したフィルムをバッキング層(MN19SILまたはPET15μm)と積層して、グアンファシン含有自己接着性層構造を提供した。
【0365】
TTSの調製
比較例1A~1Dを参照のこと。
【0366】
皮膚透過性の測定
実施例3A~E及び比較例3に従って調製されたTTSの透過量を、7.0mLフランツ拡散セルを用いて実施されたOECDガイドライン(2004年4月13日採択)に従って測定した。分層ゲッティンガーミニブタ皮膚(メス)を使用した。採皮刀を使用して、すべてのTTSのために無傷の表皮を有する皮膚を800μmの厚さに用意した。1.17cm2の放出面積を有するダイカットをTTSから打ち抜いた。温度32±1℃でフランツ拡散セルの受容体媒体中のグアンファシン透過量(抗菌薬剤として0.1%アジ化ナトリウムを含む0.9%塩化ナトリウム溶液)を測定し、相当する累積透過量を計算した。
【0367】
結果を、表3.5及び表3.6、ならびに
図3に示す。
【0368】
【0369】
【0370】
実施例4A、4B、4C、4D及び比較例4
コーティング組成物
実施例4A、4B、4C及び4D、ならびに比較例4のグアンファシン含有コーティング組成物の製剤を以下の表4.1、表4.2及び表4.3に要約する。固形分%値は、重量%での量(Amt)を指す。
【0371】
【0372】
【0373】
【0374】
コーティング組成物の調製
グアンファシン/ソルビン酸予混合物を、スラリー法に従って、すなわち以下の概略手順に従って調製した。グアンファシン遊離塩基及びソルビン酸を等モル量で秤量した。溶媒、例えば1mLのDCMを添加し、磁気撹拌子を用いて混合物を室温で少なくとも1日間撹拌した。白色固体を真空下で濾過により回収し、溶媒(少なくとも4mL)で洗浄し、真空下にて40℃で24時間乾燥させた。比較例4の場合、予混合物は調製されなかったが、グアンファシンは遊離塩基の形態で使用された。
【0375】
コーティング組成物を調製するために、グアンファシン/ソルビン酸予混合物またはグアンファシン遊離塩基、使用した促進剤、及び接着剤を酢酸エチル溶媒中に分散させ、ディゾルバー撹拌機を用いて混合物を2000rpmで約10分間均質化した。接着剤SilAc6102及びSilAc6302は、一緒に使用する場合、グアンファシン/ソルビン酸予混合物と混合する前に一緒に混合され、均質化されるまで2000rpmで約10分間撹拌された。
【0376】
比較例4では、グアンファシン遊離塩基及び使用した促進剤を酢酸エチル溶媒に溶解し、接着剤を添加した。混合物を、ディゾルバー撹拌機を用いて2000rpmで約10分間均質化した。
【0377】
コーティング組成物のコーティング
所望のコーティング乾燥重量を考慮して、混合物の固形分含有量に従って、例えば、エリクセン社のフィルムアプリケーターを使用し、得られたグアンファシン含有コーティング組成物をポリエチレンテレフタレートフィルム(Scotchpak 9755、これは剥離ライナーとして機能し得る)上にコーティングして、約50℃で約10分間乾燥させた。標的の面積重量に応じて、対応するフィルムアプリケーターのギャップは325~350μmの間になる。
【0378】
コーティングの厚さを選択することで、溶液除去の結果としてのグアンファシン含有層の面積重量は約103(実施例4A)g/m2、93(実施例4B)g/m2、96(実施例4C)g/m2、100(実施例4D)g/m2及び95(比較例4)g/m2になる。次いで、乾燥したフィルムをバッキング層(PET15μm)と積層して、グアンファシン含有自己接着性層構造を提供した。
【0379】
TTSの調製
比較例1A~1Dを参照のこと。
【0380】
皮膚透過性の測定
実施例4A~D及び比較例4に従って調製されたTTSの透過量を、7.0mLフランツ拡散セルを用いて実施されたOECDガイドライン(2004年4月13日採択)に従って測定した。分層ゲッティンガーミニブタ皮膚(メス)を使用した。採皮刀を使用して、すべてのTTSのために無傷の表皮を有する皮膚を800μmの厚さに用意した。1.17cm2の放出面積を有するダイカットをTTSから打ち抜いた。温度32±1℃でフランツ拡散セルの受容体媒体中のグアンファシン透過量(抗菌薬剤として0.1%アジ化ナトリウムを含む0.9%塩化ナトリウム溶液)を測定し、相当する累積透過量を計算した。
【0381】
結果を、表4.3及び表4.4、ならびに
図4.1及び
図4.2に示す。
【0382】
【0383】
【0384】
比較例5A、5B、5C、5D、5E及び5F
コーティング組成物
比較例5A、5B、5C、5D、5E及び5Fのグアンファシン含有コーティング組成物の製剤を以下の表5.1、表5.2、表5.3及び表5.4に要約する。固形分%値は、重量%での量(Amt)を指す。
【0385】
【0386】
【0387】
【0388】
【0389】
コーティング組成物の調製
グアンファシン塩基とピメリン酸との予混合物を調製した。酸化ジルコニウムミリングビーズ(ビーズサイズ3mm、RetschミキサーミルMM500にて)を用い、35Hzで約10分間かけてグアンファシン塩基及びピメリン酸の混合物をミリングすることによる粉砕法に従って予混合物を調製した。グアンファシン塩基とピメリン酸は1:1の比で存在した。コーティング組成物を調製するために、予混合物及び使用した促進剤を酢酸エチル溶媒中に分散させ、約5分間超音波処理した。次いで接着剤を添加した。これらの2つの工程は、逆の順序でも行うことができる。ディゾルバー撹拌機を用いて、混合物を2000rpmで10分間均質化した。比較例5Fの場合、グアンファシン塩基とピメリン酸との予混合物は調製されなかった。代わりに、コーティング組成物を調製するために、グアンファシン塩基、ピメリン酸、及び使用した促進剤を直接秤量した。
【0390】
コーティング組成物のコーティング
所望のコーティング乾燥重量を考慮して、混合物の固形分含有量に従って、例えば、エリクセン社のフィルムアプリケーターを使用し、得られたグアンファシン含有コーティング組成物をポリエチレンテレフタレートフィルム(Scotchpak 9755、これは剥離ライナーとして機能し得る)上にコーティングして、約50℃で約10分間乾燥させた。標的の面積重量に応じて、対応するフィルムアプリケーターのギャップは300~525μmの間になる。
【0391】
コーティングの厚さを選択することで、溶液除去の結果としてのグアンファシン含有層の面積重量は、約90(比較例5A)g/m2、96(比較例5B)g/m2、112(比較例5C)g/m2、107(比較例5D)g/m2、99(比較例5E)g/m2、及び104(比較例5F)g/m2になる。次いで、乾燥したフィルムをバッキング層(PET MN 19 AB 1またはPET 15μm [tsp])と積層して、グアンファシン含有自己接着性層構造を提供した。
【0392】
TTSの調製
比較例1A~1Dを参照のこと。
【0393】
皮膚透過性の測定
比較例5A~Fに従って調製されたTTSの透過量を、7.0mLフランツ拡散セルを用いて実施されたOECDガイドライン(2004年4月13日採択)に従って測定した。分層ゲッティンガーミニブタ皮膚(メス)を使用した。採皮刀を使用して、すべてのTTSのために無傷の表皮を有する皮膚を800μmの厚さに用意した。1.17cm2の放出面積を有するダイカットをTTSから打ち抜いた。温度32±1℃でフランツ拡散セルの受容体媒体中のグアンファシン透過量(抗菌薬剤として0.1%アジ化ナトリウムを含む0.9%塩化ナトリウム溶液)を測定し、相当する累積透過量を計算した。
【0394】
結果を、表5.5及び表5.6、ならびに
図5.1及び
図5.2に示す。
【0395】
【0396】
【0397】
実施例6及び比較例6
コーティング組成物
実施例及び比較例6のグアンファシン含有コーティング組成物の製剤を以下の表6.1に要約する。固形分%値は、重量%での量(Amt)を指す。
【0398】
【0399】
コーティング組成物の調製
実施例6のグアンファシン/ソルビン酸予混合物及び比較例6のグアンファシン/グルタル酸予混合物を、スラリー法に従って、すなわち、以下の概略手順に従って調製した。
グアンファシン遊離塩基及びそれぞれの酸を等モル量で秤量した。溶媒、例えば1mLのDCMまたは2mLの酢酸エチルを添加し、磁気撹拌子を用いて混合物を室温で少なくとも1日間撹拌した。白色固体を真空下で濾過により回収し、溶媒(少なくとも4mL)で洗浄し、真空下にて40℃で24時間乾燥させた。
【0400】
コーティング組成物を調製するために、グアンファシン/ソルビン酸予混合物またはグアンファシン/グルタル酸予混合物、使用した促進剤、及び接着剤を酢酸エチル溶媒中に分散させ、ディゾルバー撹拌機を用いて混合物を1400rpmで約15分間均質化した。
【0401】
コーティング組成物のコーティング
所望のコーティング乾燥重量を考慮して、混合物の固形分含有量に従って、例えば、エリクセン社のフィルムアプリケーターを使用し、得られたグアンファシン含有コーティング組成物をポリエチレンテレフタレートフィルム(Scotchpak 9755、これは剥離ライナーとして機能し得る)上にコーティングして、約50℃で約15分間乾燥させた。標的の面積重量に応じて、対応するフィルムアプリケーターのギャップは275~350μmの間になる。
【0402】
コーティングの厚さを選択することで、溶液除去の結果としてのグアンファシン含有層の面積重量は、約89(実施例6)g/m2及び94(比較例6)g/m2になる。次いで、乾燥したフィルムをバッキング層(PET 15μm [tsp.])と積層して、グアンファシン含有自己接着性層構造を提供した。
【0403】
TTSの調製
比較例1A~1Dを参照のこと。
【0404】
皮膚透過性の測定
実施例6及び比較例6に従って調製されたTTSの透過量を、7.0mLフランツ拡散セルを用いて実施されたOECDガイドライン(2004年4月13日採択)に従って測定した。分層ゲッティンガーミニブタ皮膚を使用した。採皮刀を使用して、すべてのTTSのために無傷の表皮を有する皮膚を800μmの厚さに用意した。1.17cm2の放出面積を有するダイカットをTTSから打ち抜いた。温度32±1℃でフランツ拡散セルの受容体媒体中のグアンファシン透過量(抗菌薬剤として0.1%アジ化ナトリウムを含む0.9%塩化ナトリウム溶液)を測定し、相当する累積透過量を計算した。
【0405】
【0406】
【0407】
本発明は、特に以下のさらなる条項に関する
1.
グアンファシン含有層構造を含むグアンファシンの経皮投与のための経皮治療システムであって、前記グアンファシン含有層構造は、
A)バッキング層と、
B)グアンファシン及びモノカルボン酸を含むグアンファシン含有層と、
を含む、前記経皮治療システム。
【0408】
2.
前記グアンファシン含有層は、
i)グアンファシン及びモノカルボン酸と、
ii)少なくとも1つのポリマーと、
を含むグアンファシン含有マトリックス層である、条項1に記載の経皮治療システム。
【0409】
3.
前記モノカルボン酸はソルビン酸である、条項1または2に記載の経皮治療システム。
【0410】
4.
前記グアンファシン含有層構造は自己接着性であり、好ましくは追加の皮膚接触層を含まない、条項1~3のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【0411】
5.
前記少なくとも1つのポリマーは、アクリルポリマー、シリコーンベースポリマー、シリコーン-アクリルハイブリッドポリマー、及びそれらの混合物からなる群から選択される、条項1~4のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【0412】
6.
前記少なくとも1つのポリマーは、
・アクリルポリマー及び少なくとも1つのシリコーンベースポリマーの混合物、または
・2つのシリコーン-アクリルハイブリッドポリマーの混合物、または
・2つのシリコーンベースポリマーの混合物、または
・アクリルポリマー、または
・-OH基を含むアクリルポリマー
である、条項1~5のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【0413】
7.
前記シリコーンベースポリマーは、シラノール末端ブロック化ポリジメチルシロキサンのシリケート樹脂との重縮合によって得られる、条項5または6のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【0414】
8.
前記アクリルポリマーは、酢酸ビニル、2-エチルヘキシルアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート及びグリシジルメタクリレートをベースとするコポリマー、ならびに2-エチルヘキシルアクリレート及び酢酸ビニルをベースとするコポリマーから選択される、条項5~7のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【0415】
9.
前記シリコーン-アクリルハイブリッドポリマーはシリコーンアクリルハイブリッド感圧接着剤であり、前記シリコーンアクリルハイブリッド感圧接着剤は、
(a)アクリレートまたはメタクリレート官能基を含むシリコーン含有感圧接着剤組成物と、
(b)エチレン性不飽和モノマーと、
(c)開始剤と、
の反応生成物を含む、条項5~8のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【0416】
10.
アクリレートまたはメタクリレート官能基を含む前記ケイ素含有感圧接着剤組成物は、
(a1)シリコーン樹脂と、
(a2)シリコーンポリマーと、
(a3)アクリレートまたはメタクリレート官能基を含むケイ素含有封止剤と、
の縮合反応生成物を含み、前記ケイ素含有封止剤は、一般式XYR’bSiZ3-b{式中、Xは一般式AE(Eは-O-または-NH-であり、Aはアクリル基またはメタクリル基である)の一価の基であり、Yは、1~6個の炭素原子を有する二価のアルキレン基であり、R’はメチルまたはフェニル基であり、Zは一価の加水分解性有機基またはハロゲンであり、bは0または1である}を有し、
前記シリコーン樹脂及び前記シリコーンポリマーは反応して感圧接着剤を形成し、前記ケイ素含有封止剤は、前記シリコーン樹脂及び前記シリコーンポリマーを反応させる前に、その間に、またはその後に導入されており、
前記シリコーン樹脂及び前記シリコーンポリマーが縮合反応して前記感圧接着剤を形成した後に前記ケイ素含有封止剤は前記感圧接着剤と反応するか、または前記ケイ素含有封止剤は、前記シリコーン樹脂及び前記シリコーンポリマーとその場で反応している、条項9に記載の経皮治療システム。
【0417】
11.
前記エチレン性不飽和モノマーは、脂肪族アクリレート、脂肪族メタクリレート、脂環式アクリレート、脂環式メタクリレート、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、前記化合物の各々は、アルキル基中に最大で20個の炭素原子を有し、前記エチレン性不飽和モノマーは、好ましくは2-エチルヘキシルアクリレートとメチルアクリレートとの、特に好ましくは40:60~70:30の比率での組み合わせである、条項9または10のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【0418】
12.
(b1)アクリレートまたはメタクリレート官能基を含む前記ケイ素含有感圧接着剤組成物と、
(b2)前記エチレン性不飽和モノマーと、
(b3)前記開始剤と、
の前記反応生成物は、連続的なアクリル外部相及び不連続的なシリコーン内部相を含有する、条項9~11のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【0419】
13.
前記グアンファシン含有層構造は、1~100mg/TTS、好ましくは3~72mg/TTSの量でグアンファシンを含む、条項1~12のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【0420】
14.
前記グアンファシン含有層は、前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、1~20重量%の量で、より好ましくは2~16重量%の量でグアンファシンを含む、条項1~13のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【0421】
15.
前記グアンファシン含有層は、前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、1~20重量%の量で、より好ましくは2~16重量%の量で前記モノカルボン酸を含む、条項1~14のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【0422】
16.
グアンファシン及び前記モノカルボン酸を等モル量で含む、条項1~15のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【0423】
17.
前記グアンファシン含有層は、前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、20~99重量%、好ましくは30~97重量%、最も好ましくは35~94重量%の量で前記少なくとも1つのポリマーを含む、条項1~16のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【0424】
18.
前記グアンファシン含有層は、アクリルポリマー及び少なくとも1つのシリコーンベースポリマーの混合物を含み、前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、前記アクリルポリマーは20~55重量%の量で存在し、前記少なくとも1つのシリコーンベースポリマーは20~55重量%の量で存在する、条項1~17のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【0425】
19.
前記グアンファシン含有層は、2つのシリコーン-アクリルハイブリッドポリマーの混合物を含み、いずれの場合にも前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、第1シリコーン-アクリルハイブリッドポリマーは60~90重量%の量で存在し、第2シリコーン-アクリルハイブリッドポリマーは1~20重量%の量で存在し、好ましくは、前記第1シリコーン-アクリルハイブリッドポリマー及び前記第2シリコーン-アクリルハイブリッドポリマーは、60:40~40:60の重量比でシリコーン相及びアクリレート相を含む、条項1~17のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【0426】
20.
前記グアンファシン含有層は2つのシリコーンベースポリマーの混合物を含み、前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、第1シリコーンベースポリマーは20~55重量%の量で存在し、第2シリコーンベースポリマーは20~55重量%の量で存在する、条項1~17のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【0427】
21.
前記グアンファシン含有層は、分散剤、透過促進剤及び可溶化剤からなる群から選択される少なくとも1つの添加剤、好ましくは少なくとも2つの添加剤をさらに含む、条項1~20のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【0428】
22.
前記分散剤は、脂肪酸とポリオールとのエステル、脂肪族アルコール、300~400の数平均分子量を有するポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールアルキルエーテルからなる群から選択され、前記分散剤は、好ましくは、分散剤は2~10個のEO単位を有するポリエチレングリコールC8~C20-アルキルエーテルである、条項21に記載の経皮治療システム。
【0429】
23.
前記透過促進剤は、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(トランスクトール)、オレイン酸、レブリン酸、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、ジイソプロピルアジパート、イソプロピルミリスタート、パルミチン酸イソプロピル、ラウリルラクタート、トリアセチン、ジメチルプロピレン尿素、オレイルアルコール、オレオイルマクロゴール-6 グリセリド(labrafil MS 1944)、ラウログリコールからなる群から選択され、前記透過促進剤は、好ましくは、オレイルアルコール、ラウログリコール、またはオレオイルマクロゴール-6 グリセリド(labrafil MS 1944)である、条項21または22に記載の経皮治療システム。
【0430】
24.
前記可溶化剤は、アクリル酸及びメタクリル酸のエステルから誘導されるコポリマー、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン-ビニルアセタートコポリマー及びポリビニルカプロラクタム-ポリビニルアセタート-ポリエチレングリコールグラフトコポリマーからなる群から選択され、好ましくはポリビニルカプロラクタム-ポリビニルアセタート-ポリエチレングリコールグラフトコポリマーである、条項21~23のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【0431】
25.
前記グアンファシン含有層は、分散剤及び透過促進剤から選択される2つの添加剤を含む、条項21~24のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【0432】
26.
前記グアンファシン含有層の面積重量は、40~250g/m2、好ましくは、50~180g/m2の範囲であり、及び/または放出面積は、1~100cm2、好ましくは、2.5~50cm2の範囲である、条項1~25のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【0433】
27.
前記経皮治療システムのグアンファシン負荷量は、0.4~2mg/cm2、好ましくは、0.4~0.85mg/cm2の範囲である、条項1~26のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【0434】
28.
前記経皮治療システムは、定常状態での経皮送達により、1~20ng/ml、好ましくは1~15ng/mlのグアンファシンの血漿濃度を提供する、条項1~27のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【0435】
29.
約10~600ng*h/ml、好ましくは約20~400ng*h/mlのAUC0-24hを有する、及び/または約30~1800ng*h/ml、好ましくは約60~1200ng*h/mlのAUC0-72hを有する、及び/または約35~2100ng*h/ml、好ましくは約70~1400ng*h/mlのAUC0-84hを有する、及び/または3.5未満のCmaxのC84に対する比を有する、及び/または3.0未満のCmaxのC72に対する比を有する、及び/または2.0未満のCmaxのC24に対する比を有する、条項1~28のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【0436】
30.
採皮されたミニブタの皮膚を用いたフランツ拡散セルでの測定にて、最初の24時間において0.01μg/(cm2*h)~8μg/(cm2*h)、24時間目から88時間目までは0.05μg/(cm2*h)~10μg/(cm2*h)の以下のグアンファシンの皮膚透過率を提供する、条項1~29のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【0437】
31.
採皮されたミニブタの皮膚を用いたフランツ拡散セルでの測定にて、88時間の期間にわたる0.01mg/cm2~0.7mg/cm2、好ましくは0.05mg/cm2~0.6mg/cm2、より好ましくは0.10mg/cm2~0.5mg/cm2のグアンファシンの累積透過量を提供する、条項1~30のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【0438】
32.
ヒト患者、好ましくは6~17歳のヒト患者を治療する方法に使用するための、条項1~31のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【0439】
33.
高血圧症または注意欠陥多動性障害(ADHD)を治療する方法に使用するための、及び/またはヒト患者、好ましくは6~17歳のヒト患者における刺激性薬物療法の補助療法として使用するための、条項1~31のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【0440】
34.
前記経皮治療システムは、前記患者の皮膚に少なくとも24時間、好ましくは少なくとも72時間、より好ましくは約84時間適用される、条項32または33の記載に従って使用するための経皮治療システム。
【0441】
35.
グアンファシン含有層構造を含むグアンファシンの経皮投与のための経皮治療システムであって、前記グアンファシン含有層構造は、
A)バッキング層と、
B)グアンファシン含有層、好ましくは、グアンファシン含有マトリックス層と、
を含み、前記層は、
i)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、3~16重量%の量のグアンファシン及び1~7.2重量%の量のソルビン酸と、
ii)アクリルポリマー及び少なくとも1つのシリコーンベースポリマーの混合物であって、前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、前記アクリルポリマーは20~55重量%の量で存在し、前記少なくとも1つのシリコーンベースポリマーは20~55重量%の量で存在する、前記混合物と、
iii)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~6重量%の量の少なくとも1つの分散剤と、
iv)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~6重量%の量の少なくとも1つの透過促進剤と、
を含む、前記経皮治療システム。
【0442】
36.
グアンファシン含有層構造を含むグアンファシンの経皮投与のための経皮治療システムであって、前記グアンファシン含有層構造は、
A)バッキング層と、
B)グアンファシン含有層、好ましくは、グアンファシン含有マトリックス層と、
を含み、前記層は、
i)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、3~16重量%の量のグアンファシン及び1~7.2重量%の量のソルビン酸と、
ii)いずれの場合にも前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、第1シリコーン-アクリルハイブリッドポリマーは60~90重量%の量で存在し、第2シリコーン-アクリルハイブリッドポリマーは1~20重量%の量で存在する、2つのシリコーン-アクリルハイブリッドポリマーの混合物と、
iii)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~6重量%の量の少なくとも1つの分散剤と、
iv)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~6重量%の量の少なくとも1つの透過促進剤と、
を含む、前記経皮治療システム。
【0443】
37.
グアンファシン含有層構造を含むグアンファシンの経皮投与のための経皮治療システムであって、前記グアンファシン含有層構造は、
A)バッキング層と、
B)グアンファシン含有層、好ましくは、グアンファシン含有マトリックス層と、
を含み、前記層は、
i)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、3~16重量%の量のグアンファシン及び1~7.2重量%の量のソルビン酸と、
ii)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、第1シリコーンベースポリマーは20~55重量%の量で存在し、第2シリコーンベースポリマーは20~55重量%の量で存在する、2つのシリコーンベースポリマーの混合物と、
iii)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~6重量%の量の少なくとも1つの分散剤と、
iv)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~6重量%の量の少なくとも1つの透過促進剤と、
を含む、前記経皮治療システム。
【0444】
38.
グアンファシン含有層構造を含むグアンファシンの経皮投与のための経皮治療システムであって、前記グアンファシン含有層構造は、
A)バッキング層と、
B)グアンファシン含有層、好ましくは、グアンファシン含有マトリックス層と、
を含み、前記層は、
i)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、3~16重量%の量のグアンファシン及び1~7.2重量%の量のソルビン酸と、
ii)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、65~95重量%の量のアクリルポリマーと、
iii)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~6重量%の量の少なくとも1つの分散剤と、
iv)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~6重量%の量の少なくとも1つの透過促進剤と、
を含む、前記経皮治療システム。
【0445】
39.
グアンファシン含有層構造を含むグアンファシンの経皮投与のための経皮治療システムであって、前記グアンファシン含有層構造は、
A)バッキング層と、
B)グアンファシン含有層、好ましくは、グアンファシン含有マトリックス層と、
を含み、前記層は、
i)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、3~16重量%の量のグアンファシン及び1~7.2重量%の量のソルビン酸と、
ii)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、65~95重量%の量の-OH基を含むアクリルポリマーと、
iii)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~6重量%の量の少なくとも1つの分散剤と、
iv)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~6重量%の量の少なくとも1つの透過促進剤と、
を含む、前記経皮治療システム。
【0446】
40.
グアンファシン含有層構造を含む、条項35に記載の経皮治療システムであって、前記グアンファシン含有層構造は、
A)バッキング層と、
B)グアンファシン含有層、好ましくは、グアンファシン含有マトリックス層と、
を含み、前記層は、
i)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、3~16重量%の量のグアンファシン及び1~7.2重量%の量のソルビン酸と、
ii)アクリルポリマー及び少なくとも1つのシリコーンベースポリマーの混合物であって、前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、前記アクリルポリマーは20~55重量%の量で存在し、前記少なくとも1つのシリコーンベースポリマーは20~55重量%の量で存在する、前記混合物と、
iii)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~10個のEO単位を2~6重量%の量で有するポリエチレングリコールC8~C20-アルキルエーテルと、
iv)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~6重量%の量のオレイルアルコールと、
を含む、前記経皮治療システム。
【0447】
41.
グアンファシン含有層構造を含む、条項36に記載の経皮治療システムであって、前記グアンファシン含有層構造は、
A)バッキング層と、
B)グアンファシン含有層、好ましくは、グアンファシン含有マトリックス層と、
を含み、前記層は、
i)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、3~16重量%の量のグアンファシン及び1~7.2重量%の量のソルビン酸と、
ii)いずれの場合にも前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、第1シリコーン-アクリルハイブリッドポリマーは60~90重量%の量で存在し、第2シリコーン-アクリルハイブリッドポリマーは1~20重量%の量で存在する、2つのシリコーン-アクリルハイブリッドポリマーの混合物と、
iii)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~10個のEO単位を2~6重量%の量で有するポリエチレングリコールC8~C20-アルキルエーテルと、
iv)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~6重量%の量のオレイルアルコールと、
を含む、前記経皮治療システム。
【0448】
42.
グアンファシン含有層構造を含む、条項37に記載の経皮治療システムであって、前記グアンファシン含有層構造は、
A)バッキング層と、
B)グアンファシン含有層、好ましくは、グアンファシン含有マトリックス層と、
を含み、前記層は、
i)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、3~16重量%の量のグアンファシン及び1~7.2重量%の量のソルビン酸と、
ii)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、第1シリコーンベースポリマーは20~55重量%の量で存在し、第2シリコーンベースポリマーは20~55重量%の量で存在する、2つのシリコーンベースポリマーの混合物と、
iii)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~10個のEO単位を2~6重量%の量で有するポリエチレングリコールC8~C20-アルキルエーテルと、
iv)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~6重量%の量のオレイルアルコールと、
を含む、前記経皮治療システム。
【0449】
43.
グアンファシン含有層構造を含む、条項38に記載の経皮治療システムであって、前記グアンファシン含有層構造は、
A)バッキング層と、
B)グアンファシン含有層、好ましくは、グアンファシン含有マトリックス層と、
を含み、前記層は、
i)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、3~16重量%の量のグアンファシン及び1~7.2重量%の量のソルビン酸と、
ii)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、65~95重量%の量のアクリルポリマーと、
iii)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~10個のEO単位を2~6重量%の量で有するポリエチレングリコールC8~C20-アルキルエーテルと、
iv)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~6重量%の量のオレイルアルコールと、
を含む、前記経皮治療システム。
【0450】
44.
グアンファシン含有層構造を含む、条項39に記載の経皮治療システムであって、前記グアンファシン含有層構造は、
A)バッキング層と、
B)グアンファシン含有層、好ましくは、グアンファシン含有マトリックス層と、
を含み、前記層は、
i)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、3~16重量%の量のグアンファシン及び1~7.2重量%の量のソルビン酸と、
ii)前記グアンファシン含有層の重量に基づいて、65~95重量%の量の-OH基を含むアクリルポリマーと、
iii)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~10個のEO単位を2~6重量%の量で有するポリエチレングリコールC8~C20-アルキルエーテルと、
iv)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~6重量%の量のオレイルアルコールと、
を含む、前記経皮治療システム。
【0451】
45.
経皮治療システムで使用するための活性薬含有層を製造する方法であって、
1)少なくとも、成分
(i)薬学的活性剤と、
(ii)少なくとも1つのモノカルボン酸と、
を組み合わせて予混合物を得る工程と、
2)
(i)工程1)の前記予混合物と、
(ii)少なくとも1つのポリマーと、
を組み合わせてコーティング組成物を得る工程と、
3)前記コーティング組成物をバッキング層または剥離ライナー上にコーティングして、コーティングされたコーティング組成物を得る工程と、
4)前記コーティングされたコーティング組成物を乾燥させて、前記活性薬含有層を形成する工程と、
を含む前記方法。
【0452】
46.
前記方法の工程1)による前記予混合物は、(i)及び(ii)を乾式粉砕法及び/またはスラリー法で組み合わせる工程によって得られる、条項45に記載の方法。
【0453】
47.
前記スラリー法は、ジクロロメタン、メタノール及び酢酸エチルからなる群から選択される少なくとも1つの溶媒中で等モル量の成分(i)及び(ii)を組み合わせる工程を含む、条項45または46に記載の方法。
【0454】
48.
前記スラリー法は、工程1)で得られた溶液を24~36時間撹拌する工程をさらに含む、条項45~47のいずれか1項に記載の方法。
【0455】
49.
前記溶液は好ましくは24時間撹拌される、条項48に記載の方法。
【0456】
50.
前記活性薬含有層は、
i)薬学的活性剤及びモノカルボン酸と、
ii)少なくとも1つのポリマーと、
を含む活性薬含有マトリックス層である、条項45~49のいずれか1項に記載の方法。
【0457】
51.
前記少なくとも1つのモノカルボン酸はソルビン酸である、条項45~50のいずれか1項に記載の方法。
【0458】
52.
前記薬学的活性剤はグアンファシンである、条項45~51のいずれか1項に記載の方法。
【0459】
53.
前記活性薬含有層構造は自己接着性であり、好ましくは追加の皮膚接触層を含まない、条項45~52のいずれか1項に記載の方法。
【0460】
54.
前記少なくとも1つのポリマーは、アクリルポリマー、シリコーンベースポリマー、シリコーン-アクリルハイブリッドポリマー、及びそれらの混合物からなる群から選択される、条項45~53のいずれか1項に記載の方法。
【0461】
55.
前記少なくとも1つのポリマーは、
・アクリルポリマー及び少なくとも1つのシリコーンベースポリマーの混合物、または
・2つのシリコーン-アクリルハイブリッドポリマーの混合物、または
・2つのシリコーンベースポリマーの混合物、または
・アクリルポリマー、または
・-OH基を含むアクリルポリマー
である、条項45~54のいずれか1項に記載の方法。
【0462】
56.
前記シリコーンベースポリマーは、シラノール末端ブロック化ポリジメチルシロキサンのシリケート樹脂との重縮合によって得られる、条項45~55のいずれか1項に記載の方法。
【0463】
57.
前記アクリルポリマーは、酢酸ビニル、2-エチルヘキシルアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート及びグリシジルメタクリレートをベースとするコポリマー、ならびに2-エチルヘキシルアクリレート及び酢酸ビニルをベースとするコポリマーから選択される、条項45~56のいずれか1項に記載の方法。
【0464】
58.
前記シリコーン-アクリルハイブリッドポリマーはシリコーンアクリルハイブリッド感圧接着剤であり、前記シリコーンアクリルハイブリッド感圧接着剤は、
(a)アクリレートまたはメタクリレート官能基を含むシリコーン含有感圧接着剤組成物と、
(b)エチレン性不飽和モノマーと、
(c)開始剤と、
の反応生成物を含む、条項45~57のいずれか1項に記載の方法。
【0465】
59.
アクリレートまたはメタクリレート官能基を含む前記ケイ素含有感圧接着剤組成物は、
(a1)シリコーン樹脂と、
(a2)シリコーンポリマーと、
(a3)アクリレートまたはメタクリレート官能基を含むケイ素含有封止剤と、
の縮合反応生成物を含み、前記ケイ素含有封止剤は、一般式XYR’bSiZ3-b{式中、Xは一般式AE(Eは-O-または-NH-であり、Aはアクリル基またはメタクリル基である)の一価の基であり、Yは、1~6個の炭素原子を有する二価のアルキレン基であり、R’はメチルまたはフェニル基であり、Zは一価の加水分解性有機基またはハロゲンであり、bは0または1である}を有し、
前記シリコーン樹脂及び前記シリコーンポリマーは反応して感圧接着剤を形成し、前記ケイ素含有封止剤は、前記シリコーン樹脂及び前記シリコーンポリマーを反応させる前に、その間に、またはその後に導入されており、
前記シリコーン樹脂及び前記シリコーンポリマーが縮合反応して前記感圧接着剤を形成した後に前記ケイ素含有封止剤は前記感圧接着剤と反応するか、または前記ケイ素含有封止剤は、前記シリコーン樹脂及び前記シリコーンポリマーとその場で反応する、条項58に記載の方法。
【0466】
60.
前記エチレン性不飽和モノマーは、脂肪族アクリレート、脂肪族メタクリレート、脂環式アクリレート、脂環式メタクリレート、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、前記化合物の各々は、アルキル基中に最大で20個の炭素原子を有し、前記エチレン性不飽和モノマーは、好ましくは2-エチルヘキシルアクリレートとメチルアクリレートとの、特に好ましくは40:60~70:30の比率での組み合わせである、条項58または59に記載の方法。
【0467】
61.
(b1)アクリレートまたはメタクリレート官能基を含む前記ケイ素含有感圧接着剤組成物と、
(b2)前記エチレン性不飽和モノマーと、
(b3)前記開始剤と、
の前記反応生成物は、連続的なアクリル外部相及び不連続的なシリコーン内部相を含有する、条項58~60のいずれか1項に記載の方法。
【0468】
62.
前記活性薬含有層構造は、1~100mg/TTS、好ましくは3~72mg/TTSの量の前記薬学的活性剤を含む、条項45~61のいずれか1項に記載の方法。
【0469】
63.
前記活性薬含有層は、前記活性薬含有層の総重量に基づいて、1~20重量%の量、より好ましくは3~16重量%の量の前記薬学的活性剤を含む、条項45~62のいずれか1項に記載の方法。
【0470】
64.
前記薬学的活性剤と前記モノカルボン酸とを等モル量で含む、条項45~63のいずれか1項に記載の方法。
【0471】
65.
前記活性薬含有層は、前記活性薬含有層の総重量に基づいて、20~99重量%、好ましくは30~97重量%、最も好ましくは35~94重量%の量で前記少なくとも1つのポリマーを含む、条項45~64のいずれか1項に記載の方法。
【0472】
66.
前記活性薬含有層は、アクリルポリマー及び少なくとも1つのシリコーンベースポリマーの混合物を含み、前記活性薬含有層の総重量に基づいて、前記アクリルポリマーは20~55重量%の量で存在し、前記少なくとも1つのシリコーンベースポリマーは20~55重量%の量で存在する、条項45~65のいずれか1項に記載の方法。
【0473】
67.
前記活性薬含有層は、2つのシリコーン-アクリルハイブリッドポリマーの混合物を含み、いずれの場合にも前記活性薬含有層の総重量に基づいて、第1シリコーン-アクリルハイブリッドポリマーは60~90重量%の量で存在し、第2シリコーン-アクリルハイブリッドポリマーは1~20重量%の量で存在し、好ましくは、前記第1シリコーン-アクリルハイブリッドポリマー及び前記第2シリコーン-アクリルハイブリッドポリマーは、60:40~40:60の重量比でシリコーン相及びアクリレート相を含む、条項45~65のいずれか1項に記載の方法。
【0474】
68.
前記活性薬含有層は、前記活性薬含有層の総重量に基づいて、第1シリコーンベースポリマーは20~55重量%の量で存在し、第2シリコーンベースポリマーは20~55重量%の量で存在する、2つのシリコーンベースポリマーの混合物を含む、条項45~65のいずれか1項に記載の方法。
【0475】
69.
前記活性薬含有層は、分散剤、透過促進剤及び可溶化剤からなる群から選択される少なくとも1つの添加剤、好ましくは少なくとも2つの添加剤をさらに含む、条項45~68のいずれか1項に記載の方法。
【0476】
70.
前記分散剤は、脂肪酸とポリオールとのエステル、脂肪族アルコール、300~400の数平均分子量を有するポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールアルキルエーテルからなる群から選択され、前記分散剤は、好ましくは、分散剤は2~10個のEO単位を有するポリエチレングリコールC8~C20-アルキルエーテルである、条項69に記載の方法。
【0477】
71.
前記透過促進剤は、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(トランスクトール)、オレイン酸、レブリン酸、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、ジイソプロピルアジパート、イソプロピルミリスタート、パルミチン酸イソプロピル、ラウリルラクタート、トリアセチン、ジメチルプロピレン尿素、オレイルアルコール、オレオイルマクロゴール-6 グリセリド(labrafil MS 1944)、ラウログリコールからなる群から選択され、前記透過促進剤は、好ましくは、オレイルアルコール、ラウログリコール、またはオレオイルマクロゴール-6 グリセリド(labrafil MS 1944)である、条項69または70に記載の方法。
【0478】
72.
前記可溶化剤は、アクリル酸及びメタクリル酸のエステルから誘導されるコポリマー、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン-ビニルアセタートコポリマー及びポリビニルカプロラクタム-ポリビニルアセタート-ポリエチレングリコールグラフトコポリマーからなる群から選択され、好ましくはポリビニルカプロラクタム-ポリビニルアセタート-ポリエチレングリコールグラフトコポリマーである、条項69~71のいずれか1項に記載の方法。
【0479】
73.
前記活性薬含有層は、分散剤及び透過促進剤から選択される2つの添加剤を含む、条項69~72のいずれか1項に記載の方法。
【0480】
74.
条項45~73のいずれか1項に記載の方法により得られる、経皮治療システム。
【0481】
75.
グアンファシン含有層構造を含むグアンファシンの経皮投与のための経皮治療システムであって、前記グアンファシン含有層構造は、
A)バッキング層と、
B)グアンファシン含有層、好ましくは、グアンファシン含有マトリックス層と、
を含み、前記層は、
i)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、6~9重量%の全体量のグアンファシン及びソルビン酸と、
ii)いずれの場合にも前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、第1シリコーン-アクリルハイブリッドポリマーは60~90重量%の量で存在し、第2シリコーン-アクリルハイブリッドポリマーは1~20重量%の量で存在する、2つのシリコーン-アクリルハイブリッドポリマーの混合物と、
iii)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~6重量%の量のポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテルと、
iv)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~6重量%の量のオレイルアルコール、ラウログリコール及びオレオイルマクロゴール-6 グリセリドから選択される透過促進剤と、
を含む、前記経皮治療システム。
【0482】
76.
グアンファシン含有層構造を含むグアンファシンの経皮投与のための経皮治療システムであって、前記グアンファシン含有層構造は、
A)バッキング層と、
B)グアンファシン含有層、好ましくは、グアンファシン含有マトリックス層と、
を含み、前記層は、
i)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、6~9重量%の全体量のグアンファシン及びソルビン酸と、
ii)いずれの場合にも前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、第1シリコーン-アクリルハイブリッドポリマーは60~90重量%の量で存在し、第2シリコーン-アクリルハイブリッドポリマーは1~20重量%の量で存在する、2つのシリコーン-アクリルハイブリッドポリマーの混合物と、
iii)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~6重量%の量のポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテルと、
iv)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~6重量%の量のオレイルアルコールと、
を含む、前記経皮治療システム。
【0483】
77.
グアンファシン含有層構造を含むグアンファシンの経皮投与のための経皮治療システムであって、前記グアンファシン含有層構造は、
A)バッキング層と、
B)グアンファシン含有層、好ましくは、グアンファシン含有マトリックス層と、
を含み、前記層は、
i)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、6~9重量%の全体量のグアンファシン及びソルビン酸と、
ii)いずれの場合にも前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、第1シリコーン-アクリルハイブリッドポリマーは60~90重量%の量で存在し、第2シリコーン-アクリルハイブリッドポリマーは1~20重量%の量で存在する、2つのシリコーン-アクリルハイブリッドポリマーの混合物と、
iii)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~6重量%の量のポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテルと、
iv)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~6重量%の量のラウログリコールと、
を含む、前記経皮治療システム。
【0484】
78.
グアンファシン含有層構造を含むグアンファシンの経皮投与のための経皮治療システムであって、前記グアンファシン含有層構造は、
A)バッキング層と、
B)グアンファシン含有層、好ましくは、グアンファシン含有マトリックス層と、
を含み、前記層は、
i)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、6~9重量%の全体量のグアンファシン及びソルビン酸と、
ii)いずれの場合にも前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、第1シリコーン-アクリルハイブリッドポリマーは60~90重量%の量で存在し、第2シリコーン-アクリルハイブリッドポリマーは1~20重量%の量で存在する、2つのシリコーン-アクリルハイブリッドポリマーの混合物と、
iii)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~6重量%の量のポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテルと、
iv)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~6重量%の量のオレオイルマクロゴール-6 グリセリドと、
を含む、前記経皮治療システム。
【0485】
79.
グアンファシン含有層構造を含むグアンファシンの経皮投与のための経皮治療システムであって、前記グアンファシン含有層構造は、
A)バッキング層と、
B)グアンファシン含有層、好ましくは、グアンファシン含有マトリックス層と、
を含み、前記層は、
i)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、6~9重量%の全体量のグアンファシン及びソルビン酸と、
ii)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、第1シリコーンベースポリマーは20~55重量%の量で存在し、第2シリコーンベースポリマーは20~55重量%の量で存在する、2つのシリコーンベースポリマーの混合物と、
iii)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~6重量%の量のポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテルと、
iv)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~6重量%の量のオレイルアルコールと、
を含む、前記経皮治療システム。
【0486】
80.
グアンファシン含有層構造を含むグアンファシンの経皮投与のための経皮治療システムであって、前記グアンファシン含有層構造は、
A)バッキング層と、
B)グアンファシン含有層、好ましくは、グアンファシン含有マトリックス層と、
を含み、前記層は、
i)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、6~9重量%の全体量のグアンファシン及びソルビン酸と、
ii)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、65~95重量%の量のアクリルポリマーと、
iii)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~6重量%の量のポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテルと、
iv)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~6重量%の量のオレイルアルコールと、
を含む、前記経皮治療システム。
【0487】
81.
グアンファシン含有層構造を含むグアンファシンの経皮投与のための経皮治療システムであって、前記グアンファシン含有層構造は、
A)バッキング層と、
B)グアンファシン含有層、好ましくは、グアンファシン含有マトリックス層と、
を含み、前記層は、
i)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、6~9重量%の全体量のグアンファシン及びソルビン酸と、
ii)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、65~95重量%の量の-OH基を含むアクリルポリマーと、
iii)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~6重量%の量のポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテルと、
iv)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~6重量%の量のオレイルアルコールと、
を含む、前記経皮治療システム。
【0488】
82.
グアンファシン含有層構造を含むグアンファシンの経皮投与のための経皮治療システムであって、前記グアンファシン含有層構造は、
A)バッキング層と、
B)グアンファシン含有層、好ましくは、グアンファシン含有マトリックス層と、
を含み、前記層は、
i)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、6~9重量%の全体量のグアンファシン及びソルビン酸と、
ii)アクリルポリマー及び少なくとも1つのシリコーンベースポリマーの混合物であって、前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、前記アクリルポリマーは20~55重量%の量で存在し、前記少なくとも1つのシリコーンベースポリマーは20~55重量%の量で存在する、前記混合物と、
iii)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~6重量%の量のポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテルと、
iv)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~6重量%の量のオレオイルマクロゴール-6 グリセリドと、
を含む、前記経皮治療システム。
【0489】
さらに、本発明は以下の条項に関する。
1.
グアンファシン含有層構造を含むグアンファシンの経皮投与のための経皮治療システムであって、前記グアンファシン含有層構造は、
A)バッキング層と、
B)グアンファシン及びモノカルボン酸を含むグアンファシン含有層と、
を含む、前記経皮治療システム。
【0490】
2.
前記グアンファシン含有層は、
i)グアンファシン及びモノカルボン酸と、
ii)少なくとも1つのポリマーと、
を含むグアンファシン含有マトリックス層である、条項1に記載の経皮治療システム。
【0491】
3.
前記モノカルボン酸はソルビン酸である、条項1または2に記載の経皮治療システム。
【0492】
4.
前記グアンファシン含有層構造は自己接着性であり、好ましくは追加の皮膚接触層を含まない、条項1~3のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【0493】
5.
前記少なくとも1つのポリマーは、アクリルポリマー、シリコーンベースポリマー、シリコーン-アクリルハイブリッドポリマー、及びそれらの混合物からなる群から選択される、条項1~4のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【0494】
6.
前記少なくとも1つのポリマーは、
・アクリルポリマー及び少なくとも1つのシリコーンベースポリマーの混合物、
・2つのシリコーン-アクリルハイブリッドポリマーの混合物、または
・2つのシリコーンベースポリマーの混合物、または
・アクリルポリマー、または
・-OH基を含むアクリルポリマー
である、条項1~5のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【0495】
7.
前記シリコーンベースポリマーは、シラノール末端ブロック化ポリジメチルシロキサンのシリケート樹脂との重縮合によって得られる、条項5または6のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【0496】
8.
前記アクリルポリマーは、酢酸ビニル、2-エチルヘキシルアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート及びグリシジルメタクリレートをベースとするコポリマー、ならびに2-エチルヘキシルアクリレート及び酢酸ビニルをベースとするコポリマーから選択される、条項5~7のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【0497】
9.
前記シリコーン-アクリルハイブリッドポリマーはシリコーンアクリルハイブリッド感圧接着剤であり、前記シリコーンアクリルハイブリッド感圧接着剤は、
(a)アクリレートまたはメタクリレート官能基を含むシリコーン含有感圧接着剤組成物と、
(b)エチレン性不飽和モノマーと、
(c)開始剤と、
の反応生成物を含む、条項5~8のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【0498】
10.
アクリレートまたはメタクリレート官能基を含む前記ケイ素含有感圧接着剤組成物は、
(a1)シリコーン樹脂と、
(a2)シリコーンポリマーと、
(a3)アクリレートまたはメタクリレート官能基を含むケイ素含有封止剤と、
の縮合反応生成物を含み、前記ケイ素含有封止剤は、一般式XYR’bSiZ3-b{式中、Xは一般式AE(Eは-O-または-NH-であり、Aはアクリル基またはメタクリル基である)の一価の基であり、Yは、1~6個の炭素原子を有する二価のアルキレン基であり、R’はメチルまたはフェニル基であり、Zは一価の加水分解性有機基またはハロゲンであり、bは0または1である}を有し、
前記シリコーン樹脂及び前記シリコーンポリマーは反応して感圧接着剤を形成し、前記ケイ素含有封止剤は、前記シリコーン樹脂及び前記シリコーンポリマーを反応させる前に、その間に、またはその後に導入されており、
前記シリコーン樹脂及び前記シリコーンポリマーが縮合反応して前記感圧接着剤を形成した後に前記ケイ素含有封止剤は前記感圧接着剤と反応するか、または前記ケイ素含有封止剤は、前記シリコーン樹脂及び前記シリコーンポリマーとその場で反応している、条項9に記載の経皮治療システム。
【0499】
11.
前記エチレン性不飽和モノマーは、脂肪族アクリレート、脂肪族メタクリレート、脂環式アクリレート、脂環式メタクリレート、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、前記化合物の各々は、アルキル基中に最大で20個の炭素原子を有し、前記エチレン性不飽和モノマーは、好ましくは2-エチルヘキシルアクリレートとメチルアクリレートとの、特に好ましくは40:60~70:30の比率での組み合わせである、項目9または10のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【0500】
12.
前記グアンファシン含有層構造は、1~100mg/TTS、好ましくは3~72mg/TTSの量でグアンファシンを含む、条項1~11のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【0501】
13.
前記グアンファシン含有層は、前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、1~20重量%の量で、より好ましくは3~16重量%の量でグアンファシンを含む、条項1~12のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【0502】
14.
グアンファシン及び前記モノカルボン酸を等モル量で含む、条項1~13のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【0503】
15.
前記グアンファシン含有層は、前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、20~99重量%、好ましくは30~97重量%、最も好ましくは35~94重量%の量で前記少なくとも1つのポリマーを含む、条項1~14のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【0504】
16.
前記グアンファシン含有層は、分散剤、透過促進剤及び可溶化剤からなる群から選択される少なくとも1つの添加剤、好ましくは少なくとも2つの添加剤をさらに含む、条項1~15のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【0505】
17.
前記グアンファシン含有層の面積重量は、40~250g/m2、好ましくは、50~180g/m2の範囲であり、及び/または放出面積は、1~100cm2、好ましくは、2.5~50cm2の範囲である、条項1~16のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【0506】
18.
ヒト患者、好ましくは6~17歳のヒト患者を治療する方法に使用するための、条項1~17のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【0507】
19.
高血圧症または注意欠陥多動性障害(ADHD)を治療する方法に使用するための、及び/またはヒト患者、好ましくは6~17歳のヒト患者における刺激性薬物療法の補助療法として使用するための、条項1~17のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【0508】
20.
前記経皮治療システムは、前記患者の皮膚に少なくとも24時間、好ましくは少なくとも72時間、より好ましくは約84時間適用される、条項18または19の記載に従って使用するための経皮治療システム。
【0509】
21.
経皮治療システムで使用するための活性薬含有層を製造する方法であって、
1)少なくとも、成分
(i)薬学的活性剤と、
(ii)少なくとも1つのモノカルボン酸と、
を組み合わせて予混合物を得る工程と、
2)
(i)工程1)の前記予混合物と、
(ii)少なくとも1つのポリマーと、
を組み合わせてコーティング組成物を得る工程と、
3)前記コーティング組成物をバッキング層または剥離ライナー上にコーティングして、コーティングされたコーティング組成物を得る工程と、
4)前記コーティングされたコーティング組成物を乾燥させて、前記活性薬含有層を形成する工程と、
を含む前記方法。
【0510】
22.
前記薬学的活性剤はグアンファシンである、条項21に記載の方法。
【0511】
23.
前記方法の工程1)による前記予混合物は、(i)及び(ii)を乾式粉砕法及び/またはスラリー法で組み合わせる工程によって得られる、条項21または22に記載の方法。
【0512】
24.
グアンファシン含有層構造を含むグアンファシンの経皮投与のための経皮治療システムであって、前記グアンファシン含有層構造は、
A)バッキング層と、
B)グアンファシン含有層、好ましくは、グアンファシン含有マトリックス層と、
を含み、前記層は、
i)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、6~9重量%の全体量のグアンファシン及びソルビン酸と、
ii)いずれの場合にも前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、第1シリコーン-アクリルハイブリッドポリマーは60~90重量%の量で存在し、第2シリコーン-アクリルハイブリッドポリマーは1~20重量%の量で存在する、2つのシリコーン-アクリルハイブリッドポリマーの混合物と、
iii)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~6重量%の量のポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテルと、
iv)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~6重量%の量のオレイルアルコール、ラウログリコール及びマクロゴール-6 グリセリドから選択される透過促進剤と、
を含む、前記経皮治療システム。
【0513】
25.
グアンファシン含有層構造を含むグアンファシンの経皮投与のための経皮治療システムであって、前記グアンファシン含有層構造は、
A)バッキング層と、
B)グアンファシン含有層、好ましくは、グアンファシン含有マトリックス層と、
を含み、前記層は、
i)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、6~9重量%の全体量のグアンファシン及びソルビン酸と、
ii)いずれの場合にも前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、第1シリコーン-アクリルハイブリッドポリマーは60~90重量%の量で存在し、第2シリコーン-アクリルハイブリッドポリマーは1~20重量%の量で存在する、2つのシリコーン-アクリルハイブリッドポリマーの混合物と、
iii)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~6重量%の量のポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテルと、
iv)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~6重量%の量のオレイルアルコールと、
を含む、前記経皮治療システム。
【0514】
26.
グアンファシン含有層構造を含むグアンファシンの経皮投与のための経皮治療システムであって、前記グアンファシン含有層構造は、
A)バッキング層と、
B)グアンファシン含有層、好ましくは、グアンファシン含有マトリックス層と、
を含み、前記層は、
i)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、6~9重量%の全体量のグアンファシン及びソルビン酸と、
ii)いずれの場合にも前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、第1シリコーン-アクリルハイブリッドポリマーは60~90重量%の量で存在し、第2シリコーン-アクリルハイブリッドポリマーは1~20重量%の量で存在する、2つのシリコーン-アクリルハイブリッドポリマーの混合物と、
iii)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~6重量%の量のポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテルと、
iv)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~6重量%の量のラウログリコールと、
を含む、前記経皮治療システム。
【0515】
27.
グアンファシン含有層構造を含むグアンファシンの経皮投与のための経皮治療システムであって、前記グアンファシン含有層構造は、
A)バッキング層と、
B)グアンファシン含有層、好ましくは、グアンファシン含有マトリックス層と、
を含み、前記層は、
i)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、6~9重量%の全体量のグアンファシン及びソルビン酸と、
ii)いずれの場合にも前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、第1シリコーン-アクリルハイブリッドポリマーは60~90重量%の量で存在し、第2シリコーン-アクリルハイブリッドポリマーは1~20重量%の量で存在する、2つのシリコーン-アクリルハイブリッドポリマーの混合物と、
iii)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~6重量%の量のポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテルと、
iv)前記グアンファシン含有層の総重量に基づいて、2~6重量%の量のマクロゴール-6 グリセリドと、
を含む、前記経皮治療システム。
【国際調査報告】