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特表2024-532428マイクロ波プラズマのリアルタイム最適化のための方法および装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】マイクロ波プラズマのリアルタイム最適化のための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   H05H 1/30 20060101AFI20240829BHJP
【FI】
H05H1/30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513395
(86)(22)【出願日】2022-08-17
(85)【翻訳文提出日】2024-04-25
(86)【国際出願番号】 US2022075081
(87)【国際公開番号】W WO2023034688
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】63/238,339
(32)【優先日】2021-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515084719
【氏名又は名称】シックスケー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コズラウスキー,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】シャン,ゾングレン
【テーマコード(参考)】
2G084
【Fターム(参考)】
2G084CC14
2G084DD56
2G084GG02
2G084GG08
2G084GG16
2G084GG22
2G084GG26
2G084HH02
2G084HH05
2G084HH20
2G084HH28
2G084HH45
2G084HH52
(57)【要約】
マイクロ波プラズマのリアルタイム最適化の方法は、マイクロ波プラズマのスワールガスフローの噴射角、マイクロ波プラズマのスワールガスフローの大きさ、またはマイクロ波プラズマに適用されるマイクロ波電力をリアルタイムで調整することを含む。最適化方式は、特定のプロセス要件のために、またはシステムにおける時間変動するドリフトに対処するように、作り出されることが可能である。例えば、システムが定常状態での動作に到達する際にトーチの出力温度がドリフトするため、チューニングアルゴリズムは、所望の出力温度を再取得するために、入力を調整することが可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロ波プラズマのリアルタイム最適化の方法であって、
マイクロ波プラズマのスワールガスフローの噴射角とマイクロ波プラズマのスワールガスフローの大きさの少なくとも一方をリアルタイムで調整することを含む、方法。
【請求項2】
コアガスフローおよびスワールガスフローを利用しマイクロ波プラズマを生成することと、
少なくとも1つの可動なガスジェットノズルを調整することによって、スワールガスフローの噴射角を調整することと、
複数のチューナー位置を有する調整可能な導波管チューナーと調整可能な導波管スライド式短絡器の少なくとも一方を用いて、マイクロ波プラズマから測定される反射マイクロ波電力を最適化することと
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
マイクロ波プラズマに関する関心のある場所に熱電対を位置決めすることと、
マイクロ波プラズマの温度プロファイルを評価することと、
所望の温度プロファイルをリアルタイムで達成するために、少なくとも1つの可動なガスジェットノズルを調整することによって、スワールガスの噴射角を調整することと
を更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
マイクロ波プラズマに関する関心のある場所に熱電対を位置決めすることと、
マイクロ波プラズマの温度プロファイルを評価することと、
所望の温度プロファイルをリアルタイムで達成するために、複数のチューナー位置を有する調整可能な導波管チューナーと調整可能な導波管スライド式短絡器の少なくとも一方を用いて、マイクロ波プラズマからの反射マイクロ波電力を最適化することと
を更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも1つの可動なガスジェットノズルを円筒型ハウジングのボアの内部に固定し、少なくとも1つの可動なガスジェットノズルがボアの内部において異なる角度で旋回することを可能にするために、少なくとも1つの可動なガスジェットノズルが、少なくとも1つの可動なガスジェットノズルの一部分から広がるピボットジョイント突出部を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
少なくとも1つの可動なガスジェットノズルを調整することが、少なくとも1つの可動なガスジェットノズルと接触している調整リングを移動させて、少なくとも1つの可動なガスジェットノズルの方位角を調整することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
マイクロ波プラズマ内部での混合を増加させマイクロ波プラズマ内部での温度プロファイルを均質化するためにスワールガスフローの大きさを上昇させること、または、
コアガスフローを真っすぐにするためにスワールガスフローの大きさを低減させること
を更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
リアルタイムプラズマ最適化システムであって、
少なくとも1つのコアガスフローポート、および少なくとも1つの可動なスワールガスフローポートを有するプラズマトーチハウジングと、
複数のチューナー位置を有する調整可能な導波管チューナーと、
調整可能な導波管スライド式短絡器と
を備える、システム。
【請求項9】
調整可能な導波管チューナーおよび調整可能な導波管スライド式短絡器が、マイクロ波プラズマから測定される反射マイクロ波電力をリアルタイムで制御する、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
少なくとも1つの可動なスワールガスフローポートが、スワールガスの噴射角を調整する、請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
少なくとも1つの可動なガスジェットノズルをプラズマトーチハウジングのボアの内部に固定し、少なくとも1つの可動なガスジェットノズルが異なる角度でボアの内部において旋回することを可能にするために、少なくとも1つの可動なガスジェットノズルが、少なくとも1つの可動なガスジェットノズルの一部分から広がるピボットジョイント突出部を含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項12】
少なくとも1つの可動なガスジェットノズルの方位角を調整するために、少なくとも1つの可動なガスジェットノズルと接触している調整リングを更に備える、請求項8に記載のシステム。
【請求項13】
プラズマトーチハウジングが、プラズマトーチライナの注入口の周囲に配設された複数のボアを画定し、複数のボアのそれぞれが、1つの可動なガスジェットノズルを含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項14】
調整可能なガス注入口デバイスであって、ガス注入口が、
外側表面および内側表面を有する円筒型ハウジングであって、外側表面は内側表面よりも大きな外周を有し、円筒型ハウジングは外側表面から円筒型ハウジングを通って内側表面まで通過する少なくとも1つのボアを画定する、円筒型ハウジングと、
少なくとも1つのボアの内部に配設された少なくとも1つの可動なガスジェットノズルであって、円筒型ハウジングの外側表面の近くにあるガス注入口ポート、および円筒型ハウジングの内側表面の近くにあるガス排出口ポートを含み、外側表面の外部から内側表面の内部への流体連通を提供する、少なくとも1つの可動なガスジェットノズルと、
少なくとも1つの可動なガスジェットノズルを少なくとも1つのボアの内部に固定し、少なくとも1つの可動なガスジェットノズルが少なくとも1つのボアの内部において異なる角度で旋回することを可能にする、少なくとも1つの可動なガスジェットノズルの一部分から伸長しており、少なくとも1つのボアの内部で円筒型ハウジングと接触しているピボットジョイント突出部と
を備える、デバイス。
【請求項15】
円筒型ハウジングが、円筒型ハウジングの周囲に配設された複数のボアを画定する、請求項14に記載のデバイス。
【請求項16】
円筒型ハウジングが、外側表面内の環状の溝を更に画定する、請求項15に記載のデバイス。
【請求項17】
円筒型ハウジングを通り外側表面から内側表面に通過する少なくとも1つのボアが、円筒型ハウジングの中心から外側表面に広がる半径方向の線に対してある角度で向けられている、請求項14に記載のデバイス。
【請求項18】
ピボットジョイント突出部が、丸みを帯びた形状を有し、少なくとも1つのボアの内部のソケットの内部に適合する、請求項14に記載のデバイス。
【請求項19】
少なくとも1つの可動なガスジェットノズルの方位角を調整するために、少なくとも1つの可動なガスジェットノズルと接触している調整リングを更に備える、請求項14に記載のデバイス。
【請求項20】
円筒型ハウジングが、プラズマトーチハウジングの内部に位置決めされており、少なくとも1つの可動なガスジェットノズルを通りプラズマチャンバに至る角度付きガスフローを提供する、請求項14に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年8月30日に出願され、「Method and Apparatus for Real Time Optimization of a Microwave Plasma(マイクロ波プラズマのリアルタイム最適化のための方法および装置)」との名称を有する米国仮特許出願第63/238,339号に基づく利益および優先権を主張する。米国出願番号第63/238,339号の内容の全体が、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
本技術は、概して、マイクロ波プラズマのリアルタイムでの最適化のためのデバイス、システム、および方法に関する。特に、本技術は、マイクロ波プラズマのスワールガスフローの噴射角(injection angle)を、またはマイクロ波プラズマに適用される反射マイクロ波電力を、リアルタイムで調整するための方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
プラズマトーチは、様々な目的のために、高温プラズマを提供する。一般には、誘導プラズマトーチとマイクロ波プラズマトーチとを含めて、いくつかのタイプのプラズマトーチが存在する。他のタイプのプラズマトーチは、陰極と陽極との間のアーク放電を伴う直流(DC)プラズマを含み得る。これらの高温プラズマは、そのプラズマに露出される、またはそのプラズマの中に供給される様々な物質の処理を可能にし得る。そのようなプラズマによって引き起こされる条件と温度プロファイルとを調整しようと試みるときには、多数の明白ではない課題が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第10,477,665号明細書
【特許文献2】米国特許第8,748,785号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書では、マイクロ波プラズマをリアルタイムで最適化するためのデバイスと方法とが提供される。本開示の一態様によると、マイクロ波プラズマのリアルタイム最適化の方法が開示される。この方法は、マイクロ波プラズマのスワールガスフローの噴射角をリアルタイムで調整すること、またはマイクロ波プラズマから測定される反射マイクロ波電力を最適化することを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、また、コアガスフローおよびスワールガスフローを利用しマイクロ波プラズマを生成することと;少なくとも1つの可動なガスジェットノズルを調整することによって、スワールガスフローの噴射角を調整することと;複数のチューナー位置を有する調整可能な導波管チューナーまたは調整可能な導波管スライド式短絡器(waveguide sliding short)を用いて、マイクロ波プラズマから測定される反射マイクロ波電力を最適化することとを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、また、マイクロ波プラズマに関する関心のある場所に熱電対を位置決めすることと;マイクロ波プラズマの温度プロファイルを評価することと;所望の温度プロファイルをリアルタイムで達成するために、可動なガスジェットノズルを調整することによって、スワールガスの噴射角を調整することとを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、また、マイクロ波プラズマに関する関心のある場所に熱電対を位置決めすることと;マイクロ波プラズマの温度プロファイルを評価することと;所望の温度プロファイルをリアルタイムで達成するために、いくつかのチューナー位置を有する調整可能な導波管チューナー、または調整可能な導波管スライド式短絡器を用いて、マイクロ波プラズマから測定される反射マイクロ波電力を最適化することとを含む。いくつかの実施形態では、可動なガスジェットノズルは、そのノズルを円筒型ハウジングのボアの内部に固定し、そのノズルがボアの内部において異なる角度で旋回することを可能にするために、そのノズルの一部分から広がるピボットジョイント突出部を含む。いくつかの実施形態では、可動なガスジェットノズルを調整することは、そのノズルと接触している調整リングを移動させて、そのノズルの方位角を調整することを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、また、マイクロ波プラズマ内部での混合を増加させマイクロ波プラズマ内部での温度プロファイルを均質化するためにスワールガスフローの大きさを上昇させること、またはコアガスフローを真っすぐにするためにスワールガスフローの大きさを低減させることを含む。
【0006】
本開示の他の態様によると、リアルタイムプラズマ最適化システムが、開示されている。このシステムは、少なくとも1つのコアガスフローポート、および少なくとも1つの可動なスワールガスフローポートを有するプラズマトーチハウジングと;いくつかのチューナー位置を有する調整可能な導波管チューナーと;調整可能な導波管スライド式短絡器とを備えている。いくつかの実施形態では、調整可能な導波管チューナーおよび調整可能な導波管スライド式短絡器が、マイクロ波プラズマから測定される反射マイクロ波電力をリアルタイムで制御する。いくつかの実施形態では、可動なスワールガスフローポートが、スワールガスの噴射角を調整する。いくつかの実施形態では、可動なガスジェットノズルは、そのノズルをプラズマトーチハウジングのボアの内部に固定し、そのノズルが異なる角度でボアの内部において旋回することを可能にするために、可動なガスジェットノズルの一部分から広がるピボットジョイント突出部を含む。いくつかの実施形態では、このシステムは、また、可動なガスジェットノズルの方位角を調整するために、可動なガスジェットノズルと接触している調整リングを含む。いくつかの実施形態では、プラズマトーチハウジングは、プラズマトーチライナの注入口の周囲に配設されたいくつかのボアを画定し、それらのボアのそれぞれは、1つの可動なガスジェットノズルを含む。
【0007】
本開示の他の態様によると、調整可能なガス注入口デバイスが開示される。このデバイスは、外側表面および内側表面を有する円筒型ハウジングを含む。外側表面は内側表面よりも大きな外周を有し、円筒型ハウジングは、外側表面からこの円筒型ハウジングを通って内側表面まで通過する少なくとも1つのボアを画定する。この調整可能なガス注入口デバイスは、また、ボアの内部に配設された可動なガスジェットノズルを含む。この可動なガスジェットノズルは、円筒型ハウジングの外側表面に近いガス注入口ポート、および円筒型ハウジングの内側表面に近いガス排出口ポートを含み、外側表面の外部から内側表面の内部への流体連通を提供する。この調整可能なガス注入口デバイスは、また、可動なガスジェットノズルをボアの内部に固定し、この可動なガスジェットノズルがボアの内部において異なる角度で旋回することを可能にするために、可動なガスジェットノズルの一部分から伸長しており、ボアの内部で円筒型ハウジングと接触しているピボットジョイント突出部を含む。いくつかの実施形態では、円筒型ハウジングは、円筒型ハウジングの周囲に配設されたいくつかのボアを画定する。いくつかの実施形態では、円筒型ハウジングは、また、外側表面内の環状の溝を画定する。いくつかの実施形態では、円筒型ハウジングを通り外側表面から内側表面に通過するボアは、円筒型ハウジングの中心から外側表面に広がる半径方向の線に対してある角度に向けられている。いくつかの実施形態では、ピボットジョイント突出部は、丸みを帯びた形状を有し、ボアの内部のソケットの内部に適合する。いくつかの実施形態では、このデバイスは、また、可動なガスジェットノズルの方位角を調整するために、可動なガスジェットノズルと接触している調整リングを備えている。いくつかの実施形態では、円筒型ハウジングは、プラズマトーチハウジングの内部に位置決めされており、可動なガスジェットノズルを通りプラズマチャンバに至る角度付きガスフローを提供する。
【0008】
本発明は、添付の図面と共に以下の詳細な説明を読めば、より完全に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の一実施形態による、調整可能なスライド式短絡器とチューナーとを有する例示的なマイクロ波プラズマトーチの断面図である。
図2】本開示の一実施形態による調整可能なガス注入口デバイスの展開図である。
図3】本開示の一実施形態による図2の調整可能なガス注入口デバイスの選択的な側面図である。
図4】本開示の一実施形態による図2の調整可能なガス注入口デバイスの断面図である。
図5】本開示の一実施形態に従ってマイクロ波プラズマをリアルタイムで最適化する方法を図解する流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書に開示されているデバイスと方法との構造、機能、製造、および使用の原理に関する全体的な理解を提供するために、ここで、特定の例示的な実施形態が説明されることになる。これらの実施形態の1つ以上の例が、添付の図面に図解されている。当業者は、本明細書において具体的に説明され添付の図面に図解されているデバイスおよび方法が、非限定的な例示的な実施形態であることを、そして本発明の範囲が特許請求の範囲によってのみ定義されることを、理解するであろう。1つの例示的な実施形態との関連で図解される、または説明されている特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わされてもかまわない。そのような修正および変形は、本技術の範囲内に含まれることが意図されている。
【0011】
本明細書に開示されている実施形態は、以下の長所の中の1つ以上を提供することができる。いくつかの実施形態では、マイクロ波プラズマの様々なパラメータは、リアルタイムで調整されることが可能である。本明細書に開示されている技術は、スワールフローの注入口角度のリアルタイムでの調整およびカスタム化を可能にする。これにより、それぞれの調整の間でプラズマを消沈させ、再点火することを必要とせずに、プラズマの内部における温度プロファイルのリアルタイムでのカスタム化が可能になる。
【0012】
いくつかの実施形態では、最適化方式は、特定のプロセス要件のために、またはシステムにおける時間変動するドリフトに対処するように、作り出されることが可能である。例えば、システムが定常状態での動作に到達する際にトーチの出力温度がドリフトするため、チューニングアルゴリズムは、所望の出力温度を再取得するために、入力を調整することが可能である。他の例では、スワールの大きさは、混合を増加させ温度出力プロファイルを均質化するように上昇させること、またはより直線的なプロセスガスフローを達成するように低減させることが可能である。ある点の場所において、またはある定義された体積にわたって、特定の出力電力、温度、および/または速度を達成するように、様々な入力が修正されることが可能である。
【0013】
マイクロ波プラズマをチューニングするための例示的な技術は、トーチ出口より低く所定の温度より高い均質な温度プロファイルを達成するように入力パラメータを調整することを含み得る。そのような方法は、熱電対アレイを、関心のある場所に設置することを含み得る。第1の電力設定点で開始して、この方法は、温度プロファイルを評価するために、様々なトーチガスおよび噴射角を通してスイープすることが可能である。均質性を最大化する設定に対して、平均温度は所望の温度に到達するか? 到達する場合には、反射電力は、チューニングスタブとスライド式短絡器とを用いて最適化されることが可能である。到達しない場合には、電力を増加させることが可能である。
【0014】
いくつかの実施形態では、プロセスを自動化することで、変数空間全体が、ハードウェアの変更も手動での介入もなしに、リアルタイムで評価されることが可能である。本明細書に開示されている技術は、最適な定常状態稼働条件を見つけるために、またはドリフトしているプロセスを範囲に戻すために、適用されることが可能である。
【0015】
図1は、本開示の一実施形態による、調整可能なスライド式短絡器107とチューナー109とを備えた例示的なマイクロ波プラズマトーチの断面図である。この実施形態では、調整可能なプラズマシステムは、トーチハウジング103と、トーチライナ101と、アプリケータ105と、調整可能なスライド式短絡器107と、チューナー109とを含む。トーチハウジング103は、コアガスフローQcとスワールガスフローQsとをトーチハウジング103を経由してトーチライナ101の内部に提供するために、トーチライナ101に固定される、またはトーチライナ101の一部分の周囲に固定されることが可能である。いくつかの実施形態では、コアガスフローQcとスワールガスフローQsとは、プラズマライナ101の内部またはライナの一部分の内部においてプラズマを安定化させ維持するために、合体して、所与の量の角運動量Lを有する渦巻パターンを作り出す。いくつかの実施形態では、スワールガスフローQsの噴射角は、1つ以上の可動なガスジェットノズルを用いて、調整されることが可能である。フローの調整に加えて、プラズマの安定性とプロセス効率とは、スライド式短絡器107の位置Xsおよび/またはチューナー109の位置を調整することによって、最適化されることが可能である。いくつかの実施形態では、チューナー109は、いくつかのチューナースタブ位置S,S,・・・,Sのうちのいずれか1つに設定され得る。スライド式短絡器107またはチューナー109になされるリアルタイムでの調整により、反射マイクロ波電力Mrをリアルタイムで最適化することが可能である。
【0016】
いくつかの実施形態では、供給物質が、プラズマトーチの中に供給され、マイクロ波により生成されるプラズマと接触するように配置され得る。異なる供給物質または処理方法が、異なる処理時間または温度プロファイルを要求することがあり、本明細書で説明されている技術により、プラズマ内部での温度プロファイルのリアルタイムでの調整と、プラズマに適用されるマイクロ波電力のリアルタイムでの調整とが可能になる。
【0017】
いくつかの実施形態では、マイクロ波により生成されるプラズマおよびトーチのいくつかの要素は、米国特許第10,477,665号および/または米国特許第8,748,785号に説明されているものと類似し得るが、これらの米国特許のそれぞれは、その全体を参照により本明細書に組み込まれる。
【0018】
図2は、本開示の一実施形態による、調整可能なガス注入口デバイスの展開図である。この実施形態では、いくつかの可動なガスジェットノズル205が、円筒型ハウジング203の内部に形成されているボア207の内部に配設されている。いくつかの実施形態では、円筒型ハウジングは、その内側表面よりも大きな外周を有する外側表面を有しており、それぞれのボア207は、円筒型ハウジングを通じて、外側表面から内側表面に通過することがあり得る。
【0019】
一実施形態では、それぞれの可動なガスジェットノズル205は、円筒型ハウジング203のボア207の内部に位置決めされることが可能であり、実質的に管状の形状を有し得る。この可動なガスジェットノズルは、外部からの流体を円筒型ハウジングの内部に提供するために、円筒型ハウジングの外側表面の近くのガス注入口ポート、および円筒型ハウジングの内側表面の近くのガス排出口ポートを含み得る。トーチハウジング201の内部に位置決めされるときには、可動なガスジェットノズル205のうちの少なくとも1つの注入口ポートは、トーチハウジング201のガス注入口213と整列することが可能である。
【0020】
この実施形態では、可動なガスジェットノズル205は、また、ノズルの一部分から広がるピボットジョイント209を含むことがあり得る。このピボットジョイント209は、可動なガスジェットノズル205をボア207の内部に固定し、それがボア207の内部において異なる角度で旋回することを可能にするために、ボア207の内部において円筒型ハウジング203と接触することができる。いくつかの実施形態では、ピボットジョイント209は丸みを帯びた形状を有しており、ボア207は、可動なガスジェットノズル205のピボットジョイント209と嵌合するための、リッジやソケットなど、機械的な特徴を有する。それぞれのボア207の内部には、可動なガスジェットノズル205が3次元的に大きな角度範囲でボア207の内部でピボット運動または旋回することを可能にするために、十分な空間が存在し得る。いくつかの実施形態では、可動なガスジェットノズル205は、垂直方向に旋回し、円筒型ハウジング203の中心軸に対して様々な角度を形成することができる。いくつかの実施形態では、可動なガスジェットノズル205は、また、水平方向に旋回し、円筒型ハウジング203の半径に対して様々な角度を形成することも可能である。
【0021】
一実施形態では、調整リング215が、可動なガスジェットノズル205の位置または角度を調整するのに用いられることが可能である。調整可能なリング215は、円筒型ハウジング203の周囲に、少なくとも部分的に適合し、円筒型ハウジング203と別個に回転することが可能である。いくつかの実施形態では、調整リング215は、調整リング215における突出部または開口など、可動なガスジェットノズル205の一部分と接触することが可能な1つ以上の接点217を含むことがあり得る。調整リング215を回転させるまたは移動させることによって、可動なガスジェットノズル205は、ボア207の内部で旋回またはピボット運動することが可能であって、ノズルを通過して流れるいかなるガスのエントリの角度(angle of entry)でも変更することができる。
【0022】
いくつかの実施形態では、円筒型ハウジング203は、この円筒型ハウジング203の周囲に対称的に配設されているいくつかのボア207を含み得る。円筒型ハウジング203は、また、その外側表面内に、環状の溝211も含み得る。いくつかの実施形態では、環状の溝211は、ボア207を、相互に接続することができる。
【0023】
いくつかの実施形態では、本明細書で説明されている技術が、角運動量(すなわち、スワールの量)と全体的なトーチガスフローとを独立に変化させるために、スワール噴射の迎え角のリアルタイムでの調整を可能にする。いくつかの実施形態では、角運動量を、プラズマが稼働している間、リアルタイムで変化させることが可能であり、したがって、追加的なインサイチュ(in-situ)のプロセス変数を追加する。
【0024】
図3は、本開示の一実施形態による、図2の調整可能なガス注入口デバイスの選択的な側方図である。この実施形態では、円筒型ハウジングの内部にある可動なガスジェットノズル205が、トーチハウジング201の部分透明図の内部で、可視的である。ピボットジョイント209もまた、可動なガスジェットノズル205上で見られ得るのであって、調整リング215の輪郭も、円筒型ハウジングの周囲に示されている。この特定の実施形態では、調整リング215と円筒型ハウジングとは、それぞれが、トーチハウジング201の内部に適合するようなサイズおよび形状になっている。
【0025】
図4は、本開示の一実施形態による、図2の調整可能なガス注入口デバイスの断面図である。この実施形態では、円筒型ハウジング203は、トーチハウジング201の内部に位置決めされている状態で、見られることができる。円筒型ハウジングは、いくつかのボア207を含んでおり、それらのボアの内部には、上述されたように、可動なガスジェットノズルが位置している。ボア207のそれぞれは、この実施形態では、円筒型ハウジング203を通過し、円筒型ハウジング203の中心から広がる半径方向の線Rに対して、ある角度に向けられている。
【0026】
図4に示されている実施形態では、トーチハウジング201は、また、可動なガスジェットノズルのうちの少なくとも1つを通過してプラズマチャンバにガスフローを提供するために、円筒型ハウジング203におけるボア207のうちの少なくとも1つと整列可能なガス注入口213を含む。
【0027】
図5は、本開示の一実施形態に従い、マイクロ波プラズマをリアルタイムで最適化する方法を図解している流れ図である。動作501では、1つ以上の熱電対、または熱電対アレイが、マイクロ波プラズマに関する関心のある場所に、位置決めされる。
【0028】
動作503では、マイクロ波プラズマが、コアガスフローおよびスワールガスフローを利用し、生成される。上で、そして参照により組み入れられる文献において論じられているように、マイクロ波プラズマは、導波管を用いてマイクロ波電力を送信することによって、生成されることが可能である。いくつかの実施形態では、プラズマは、動作中の時間経過に伴い、そしてスワールガスフローの傾斜角やプラズマに適用されるマイクロ波電力などの特定の入力パラメータに応じて変化し得る、3次元の形状を有する。プラズマは、また、許容可能な範囲内に属し、本明細書に開示されている技術を用いてリアルタイムで調整または制御されることも可能な、所望の長さ、幅、深さ、形状、および外周を有し得る。
【0029】
動作505では、マイクロ波プラズマの温度プロファイルが、評価される。動作507では、プラズマの所望の温度プロファイルが達成されているかどうかが、決定される。達成されている場合には、この方法は、終了する。達成されていない場合には、この方法は、スワールガスフローの噴射角またはマイクロ波プラズマに適用されるマイクロ波電力をリアルタイムで調整することを継続する。
【0030】
動作509では、スワールガスフローが調整される。いくつかの実施形態では、スワールガスフローを調整することは、少なくとも1つの可動なガスジェットノズルを調整することによってスワールガスの噴射角を調整することを含む。上で論じられたように、可動なガスジェットノズルを用いてスワールガスフローの傾斜角を調整することによって、このシステムは、マイクロ波プラズマ内部の温度プロファイルをリアルタイムで制御することが可能である。いくつかの実施形態では、スワールガスフローの噴射角を調整することが、所望の温度プロファイルを達成するのに十分であり得るのであって、この方法は、動作509の後で終了し得る。しかしながら、プラズマの温度プロファイルまたはプラズマのいずれかの他のパラメータへの追加的な調整が必要とされる場合には、この方法は、動作511を継続し得る。
【0031】
代替的な実施形態によると、スワールガスフローを調整することは、スワールガスフローの大きさを上昇させる、または低減させることを含み得る。そのような実施形態では、スワールガスフローの大きさを上昇させることは、マイクロ波プラズマの内部における混合を増加させ、マイクロ波プラズマの内部における温度プロファイルを均質化し得る。しかしながら、スワールガスフローの大きさを低減させることは、コアガスフローを真っすぐにし得る。
【0032】
動作511では、マイクロ波プラズマに適用された反射マイクロ波電力は、いくつかのチューナー位置を有する調整可能な導波管チューナー、調整可能な導波管スライド式短絡器、またはそれらの両方を用いて、最適化される。当業者であれば、マイクロ波電力を調整することがプラズマの所望の温度プロファイルを達成するのに十分である場合には、動作511は、動作509の前に、または動作509の代わりに行われることが可能であることを理解するだろう。
【0033】
スワールガスフロー、反射マイクロ波電力、またはそれらの両方が、いったん調整または最適化されると、この方法は、動作505に戻り、調整されたパラメータにおいて温度プロファイルを評価することができる。このような方法によると、マイクロ波プラズマは、入力変数を制御し、プラズマの出力を記録することによって、リアルタイムで調整されることが可能である。
【0034】
以上の明細書では、本発明が、その特定の実施形態を参照して、説明されてきた。しかしながら、本発明のより広い趣旨および範囲から逸脱することなく、これらに対して、様々な修正および変更が行われることが可能である。したがって、本明細書および図面は、限定的意味ではなく、例示的なものと見なされるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】