(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】パワーエレクトロニクスを冷却するための流体が貫流可能なクーラーの冷却フィン配列
(51)【国際特許分類】
H01L 23/36 20060101AFI20240829BHJP
【FI】
H01L23/36 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513399
(86)(22)【出願日】2022-07-29
(85)【翻訳文提出日】2024-04-08
(86)【国際出願番号】 EP2022071349
(87)【国際公開番号】W WO2023030790
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】102021209504.6
(32)【優先日】2021-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(72)【発明者】
【氏名】ローレンツ,マルコ
(72)【発明者】
【氏名】ペーリッシュ,マイク
(72)【発明者】
【氏名】ベック,マックス・フロリアン
【テーマコード(参考)】
5F136
【Fターム(参考)】
5F136BA07
5F136BA14
5F136CB06
5F136DA27
5F136FA02
5F136FA03
(57)【要約】
本発明は、パワーエレクトロニクス(200)を冷却するための流体が貫流可能なクーラーの冷却フィン配列(1)に関する。該冷却フィン配列(1)は、繰り返し方向(501)に一定周期で波形断面輪郭形状が繰り返されるコルゲート状の異形材から形成されている少なくとも一つの冷却フィン(10)を含み、繰り返し方向(501)は貫流方向(500)に対して垂直である。本発明はさらに、そのような冷却フィン配列(1)を備える、パワーエレクトロニクス(200)を冷却するための流体が貫流可能なクーラー(100)、かつ一つのパワーエレクトロニクス(200)と一つのそのような流体が貫流可能なクーラー(100)とを含むパワーエレクトロニクス配列(1000)に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
繰り返し方向(501)に一定周期で波形断面輪郭形状が繰り返されるコルゲート状の異形材から形成されている少なくとも一つの冷却フィン(10)を含む、パワーエレクトロニクス(200)を冷却するための流体が貫流可能なクーラーの冷却フィン配列(1)であって、前記繰り返し方向(501)が貫流方向(500)に対して垂直である、冷却フィン配列(1)。
【請求項2】
前記波形断面輪郭形状が、整数回または非整数回繰り返される、請求項1に記載の冷却フィン配列(1)。
【請求項3】
前記少なくとも一つの冷却フィン(10)の断面が、一種のメアンダー形状を有する、請求項1または2に記載の冷却フィン配列(1)。
【請求項4】
前記少なくとも一つの冷却フィン(10)が、複数の冷却フィン(10)を含み、前記複数の冷却フィン(10)が、同じ一つの繰り返し方向(500)に、一定周期で、特に同一の周期で波形断面輪郭形状が繰り返されるコルゲート状の異形材から形成され、かつ平行に相並んで配設されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の冷却フィン配列(1)。
【請求項5】
少なくとも一つの冷却フィン(10)、好ましくはそれぞれの冷却フィン(10)の前記繰り返し方向(501)における波形断面輪郭形状が繰り返されるコルゲート状の異形材が、隣接する一つの冷却フィン(10)の波形断面輪郭形状が繰り返されるコルゲート状の異形材からオフセットされて配設されており、
好適には、
前記冷却フィン(10)の波形断面輪郭形状が繰り返されるコルゲート状の異形材が、前記繰り返し方向(501)の第1の位置と前記繰り返し方向(501)の第2の位置とを交互に有し、および/または、
前記繰り返し方向(501)における隣接する冷却フィン(10)の波形断面輪郭形状が繰り返されるコルゲート状の異形材の間のオフセット(600)が、0.8×t/4から1.2×t/4の間であり、tは前記冷却フィン(10)のピッチ(601)である、
請求項4に記載の冷却フィン配列(1)。
【請求項6】
少なくとも一つの冷却フィン(10)、好ましくはそれぞれの冷却フィン(10)の波形断面輪郭形状が繰り返されるコルゲート状の異形材の一つの領域が、前記繰り返し方向(501)に対して垂直な向き(502)に対して、ある一つの角度(602、603)、好適には同じ一つの角度に設定されている、請求項4または5に記載の冷却フィン配列(1)。
【請求項7】
前記繰り返し方向(501)に対して垂直な向き(502)に対して、少なくとも一つの冷却フィン(10)の波形断面輪郭形状が繰り返されるコルゲート状の異形材の一つの領域が第1の角度(602)に、かつ少なくとも一つの冷却フィン(10)の波形断面輪郭形状が繰り返されるコルゲート状の異形材の一つの領域が第2の角度(603)に設定されており、特に前記冷却フィン(10)の波形断面輪郭形状が繰り返されるコルゲート状の異形材の一つの領域が、前記繰り返し方向(501)に対して垂直な向き(502)に対して、第1の角度(602)と第2の角度(603)とに交互に設定されており、前記第1の角度(602)が正値を、また前記第2の角度(603)が負値をとり、好適には、
前記第1の角度(602)と前記第2の角度(603)が同じ絶対値を有し、および/または、前記第1の角度(602)の絶対値および/または前記第2の角度(603)の絶対値が、5度から25度の間、好ましくは9度から21度の間に位置する、
請求項4または5に記載の冷却フィン配列(1)。
【請求項8】
少なくとも一つの冷却フィン(10)の、特にそれぞれの冷却フィン(10)の高さ(604)が、2.5mmから3.5mmの間、好適には2.9mmから3.1mmの間であり、および/または、
少なくとも一つの冷却フィン(10)、特にそれぞれの冷却フィン(10)のピッチ(601)が、4mmから5mmの間、好適には4.3mmから4.7mmの間であり、および/または、
少なくとも一つの冷却フィン(10)、特にそれぞれの冷却フィン(10)の繰り返し方向(501)に対して垂直な向き(502)の寸法(607)が、1.5mmから2.1mmの間、好適には1.7mmから1.9mmの間であり、および/または、
少なくとも一つの冷却フィン(10)、特にそれぞれの冷却フィン(10)の異形材の板厚(605)が、0.2mmから0.45mmの間、好適には0.3mmであり、および/または、
少なくとも一つの冷却フィン(10)、特にそれぞれの冷却フィン(10)のテーパ角(606)が、3度から8度の間である、
請求項7に記載の冷却フィン配列(1)。
【請求項9】
前記冷却フィン配列(1)の前記複数の冷却フィン(10)が、第1のパワーエレクトロニクス・モジュール(210)を冷却するための少なくとも一つの第1の冷却フィン・グループ(11)と、第2のパワーエレクトロニクス・モジュール(211)を冷却するための第2の冷却フィン・グループ(12)とを含み、好適には、前記第1の冷却フィン・グループ(11)に割り当てられた前記パワーエレクトロニクス・モジュール(210)の少なくとも一つのパワー半導体(201)の温度が、前記第2の冷却フィン・グループ(12)に割り当てられた前記パワーエレクトロニクス・モジュール(211)の少なくとも一つのパワー半導体(201)の温度と等しくなるように、前記第1の冷却フィン・グループ(11)および前記第2の冷却フィン・グループ(12)が構成されている、請求項7または8に記載の冷却フィン配列(1)。
【請求項10】
該冷却フィン配列(1)の前記複数の冷却フィン(10)が、さらにもう一つの第3の冷却フィン・グループ(13)を含み、前記貫流方向(500)における第1の冷却フィン・グループ(11)ついては、前記第1の角度(602)の絶対値および/または前記第2の角度(603)の絶対値が好適には10度に達し、前記貫流方向(500)における第2の冷却フィン・グループ(12)については、前記第1の角度(602)の絶対値および/または前記第2の角度(603)の絶対値が好適には15度に達し、前記貫流方向(500)における三番目の冷却フィン・グループ(13)については、前記第1の角度(602)の絶対値および/または前記第2の角度(603)の絶対値が好適には20度に達する、請求項9に記載の冷却フィン配列(1)。
【請求項11】
少なくとも一つの冷却フィン(10)、好適にはそれぞれの冷却フィン(10)が、前記繰り返し方向(501)に対して垂直に延び、
好適には、
少なくとも一つの冷却フィン(10)、特にそれぞれの冷却フィン(10)の高さ(604)が、2.5mmから3.5mmの間、好適には3mmから3.2mmの間であり、および/または、
少なくとも一つの冷却フィン(10)、特にそれぞれの冷却フィン(10)のピッチ(601)が、2mmから4mmの間、好適には2.5mmから3.5mmの間であり、および/または、
少なくとも一つの冷却フィン(10)、特にそれぞれの冷却フィン(10)の繰り返し方向(501)に対して垂直な向き(502)の寸法(607)が、3.1mmから4.1mmの間、好適には3.5mmから3.7mmの間であり、および/または、
少なくとも一つの冷却フィン(10)、特にそれぞれの冷却フィン(10)の異形材の板厚(605)が、0.2mmから0.45mmの間、好適には0.3mmであり、および/または、
少なくとも一つの冷却フィン(10)、特にそれぞれの冷却フィン(10)のテーパ角(606)が、3度から8度の間である、
請求項4または5に記載の冷却フィン配列(1)。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の冷却フィン配列(1)を内蔵している、パワーエレクトロニクス(200)を冷却するための流体が貫流可能なクーラー(100)。
【請求項13】
前記冷却フィン配列(1)の前記複数の冷却フィン(10)が、第1のパワーエレクトロニクス・モジュール(210)を冷却するための少なくとも一つの第1の冷却フィン・グループ(11)と、第2のパワーエレクトロニクス・モジュール(211)を冷却するための第2の冷却フィン・グループ(12)とを含み、好適には、前記第1の冷却フィン・グループ(11)に割り当てられた前記パワーエレクトロニクス・モジュール(210)の少なくとも一つのパワー半導体(201)の温度が、前記第2の冷却フィン・グループ(12)に割り当てられた前記パワーエレクトロニクス・モジュール(211)の少なくとも一つのパワー半導体(201)の温度と等しくなるように、前記第1の冷却フィン・グループ(11)および前記第2の冷却フィン・グループ(12)が構成されている、請求項12に記載の流体が貫流可能なクーラー(100)。
【請求項14】
前記冷却フィン配列(1)の全ての冷却フィン(10)が、同じ一つの部材だけから成形加工されている、請求項13に記載の流体が貫流可能なクーラー(100)。
【請求項15】
請求項12~14のいずれか一項に記載の一つの流体が貫流可能なクーラー(100)と、一つのパワーエレクトロニクス(200)とを含むパワーエレクトロニクス配列(1000)であって、前記パワーエレクトロニクス(200)が、前記流体が貫流可能なクーラー(100)に配設されている、特に固定されている、パワーエレクトロニクス配列(1000)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パワーエレクトロニクスを冷却するための流体が貫流可能なクーラーの冷却フィン配列に関する。本発明は特に、パワーエレクトロニクスの最適冷却を可能にする冷却フィン配列に関する。本発明はさらに、少なくとも一つのそのような冷却フィン配列を備えた流体が貫流可能なクーラー、かつ一つのパワーエレクトロニクスと一つのそのようなクーラーとを含む配列にも関する。
【背景技術】
【0002】
パワーエレクトロニクス内のパワー半導体には、高電流を扱う能力がある。その結果生じる導通損失は、スイッチング損失とともに、高い熱出力損失の原因となるが、これについては、非常に小さな面積で放出することが要求される。半導体の最高許容温度は、それを超えると機能不全に陥るというクリティカルな温度であるために、半導体とクーラント間の熱抵抗の最小限化は中心的な意味を持つ。効率的な冷却のために、流体が貫流可能なクーラーの表面にはパワー基板が施される。これらのクーラーは、アルミニウム合金製、AlSiC合金製、または銅合金製である。クーラーの内部には、熱伝導表面積を拡大して熱伝導を強化するために、複数のピンまたはフィンが配設される。パワー基板、特にAMB/DBCパワー基板(絶縁放熱回路基板、AMB:Active Metal Braze(活性金属ろう付け)、DBC:Direct Copper Bonding(直接銅接合))とクーラー間の熱抵抗を抑制する目的で、このパワー基板は、はんだ付けプロセスを利用して、選択によってはほかにも焼結プロセスを利用して、クーラーの表面に接合されるようになっている。そのためにこれらのクーラーには、場合によっては、はんだ付けプロセスまたは焼結プロセスに適した材料を用いて、表面被覆が施されるようになっている。自動車技術においては、特にろう付けプロセスにより接合される複数の構成部品からなる、アルミニウムクーラーをはじめAlSiCクーラーや銅クーラーが公知である。
【0003】
流体が貫流可能なクーラーの内部では、往々にして、フィン形状がシート材の打ち抜き加工品から実現されるようになっている。既存のフィン・ジオメトリーは、パワーエレクトロニクスを冷却するための流体が貫流可能なクーラーに対する様々な要件を充足していない。熱性能を実質的に決めるのは、流体とフィン表面間の熱伝導、フィン表面積、およびフィン効率である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によるパワーエレクトロニクスを冷却するための流体が貫流可能なクーラーの冷却フィン配列は、パワーエレクトロニクスの最適冷却を可能にするという長所を有している。特にこの冷却フィン配列により、冷却フィン配列の熱性能とそれに起因するクーラー内の圧力損失との間の良好な関係を達成することができる。したがって本発明による冷却フィン配列は特に、ハイパワーエレクトロニクス用途向けの流体が貫流可能なクーラーへの導入に適したものとなっている。これは、パワーエレクトロニクスを冷却するための流体が貫流可能なクーラーの冷却フィン配列が、繰り返し方向に一定周期で波形断面輪郭形状が繰り返されるコルゲート状の異形材から形成されている少なくとも一つの冷却フィンを含み、この繰り返し方向が貫流方向に対して垂直であることによって、達成される。この貫流方向は特に、クーラントとして使用されるクーラントが、この少なくとも一つの冷却フィンを貫くように形成された複数の貫通開口部を通り流れるときの主流方向に相当する。ここでこの主流方向とは特に、この流体が主に流れる向き、すなわち、その向きに沿った流体の速度成分の方が、繰り返し方向と平行な向きに沿った流体の速度成分よりも大きくなる、という向きのことである。この主流方向は、好適には貫流可能なクーラーの内部に流体が導入される向きに相当する。繰り返し方向は特に、クーラーの幅方向に相当する。なお、「波形断面輪郭形状」という用語は、断面が波形の形状である、ありとあらゆる断面輪郭形状を指すものであって、またこの波形は、最高点を有する領域と、最低点を有する領域とが含まれる限り、どのような任意の形状でもよい。換言すると、特に、この波形は必ずしも曲線として構成される必要はなく、それよりもむしろ、直線部分だけ含んでも、湾曲部分と直線部分との組み合わせを含んでもよい。さらに、「異形材」という用語は、特に本発明の枠内においては、ある一つの要素、特に、断面がその全長にわたり一定不変であるシート状の要素のことを指す。この異形材の長さ方向が、異形材の縦方向または延伸方向と呼ばれるものである。換言すると、本発明の枠内においては、少なくとも一つの冷却フィンのコルゲート状の異形材の波形断面輪郭形状は、繰り返し方向に繰り返されて延伸方向に延びる。一定周期で波形断面輪郭形状が繰り返されるコルゲート状の異形材から冷却フィンを構成することによって、この少なくとも一つの冷却フィンは、そのような冷却フィンとして、前述の繰り返される波形断面輪郭形状の一つ一つの断面形状が一つながりになった断面形状を有するコルゲート状の異形材として形成されると理解されたい。したがって、この少なくとも一つの冷却フィンは、本発明の枠内においては、その冷却フィンが、ユニットとして、コルゲート状の異形材として構成されていることを示唆するためにも、特にコルゲートフィン(Kuehlrippenn-Wellenprofil:断面輪郭形状がコルゲート状の冷却フィン)と呼ぶことができる。少なくとも一つの冷却フィンを、波形断面輪郭形状が繰り返される異形材として構成することによって、この冷却フィンは、表面積を拡大する、流れを導いて熱伝導を向上する構造体として利用されることになり、それにより放熱量の増大とともに、ひいてはパワーエレクトロニクスの冷却性の向上も達成できるようになる。最大フィン効率で表面積を理想的な形で利用するために、この少なくとも一つの冷却フィンは、好適には、打ち抜きプロセスおよび/またはロール成形プロセスで作製され得る。
【0006】
それぞれの引用形式請求項には、本発明の様々な好ましい展開構成例が提示される。
好適には、波形断面輪郭形状は、整数回または非整数回繰り返される。換言すると、波形断面輪郭形状の繰り返し回数が整数である場合は、冷却フィンが、一定周期で整数倍の個数の波形断面輪郭形状が繰り返されるコルゲート状の異形材に相当する。他方、非整数回は、冷却フィンのコルゲート状の異形材の一定周期で繰り返される波形断面輪郭形状の個数が整数倍ではないことを意味している。波形断面輪郭形状が何回繰り返されるかは、有利には、その冷却フィン配列を内蔵するクーラーにより冷却されることになるパワーエレクトロニクス、特にパワーエレクトロニクス・モジュールの幅に依存する。
【0007】
好適には、少なくとも一つの冷却ファンの断面が、一種のメアンダー形状を有する。メアンダー形状とは、本発明の枠内においては特に、互いに直交する、または実質的に直交する、複数の直線状または実質的に直線状の部分を含む波形のことである。言い換えると、これらの部分は、隣接する、もしくは直接相互接続される部分間に、垂直曲げ部または実質的に垂直の曲げ部が構成されるように、配設されている。「実質的に垂直の」という表現は特に、垂直位置からの偏差が最大10度、好ましくは最大8度であることを意味する。
【0008】
好適には、少なくとも一つの冷却フィンは、熱伝導係数が200W/mKを上回る材料から構成されている、および/または、熱伝導係数が200W/mKを上回る材料で被覆されている。
【0009】
有利には、少なくとも一つの冷却フィンは、アルミニウムから構成されていてもよく、またはアルミニウムで被覆されていてもよい。
本発明の有利な一実施形態によれば、この少なくとも一つの冷却フィンは、複数の冷却フィンを含んでもよい。言い換えると、本発明のこの有利な代替実施形態によれば、冷却フィン配列は、複数の冷却フィンを有し得る。複数の冷却フィンが、同じ一つの繰り返し方向に一定周期で、特に同一の周期で波形断面輪郭形状が繰り返されるコルゲート状の異形材から形成され、かつ平行に相並べて配設されている。したがって、いずれも一定周期で波形断面輪郭形状が繰り返されるコルゲート状の異形材から形成されている複数の冷却フィンの多列構造が定義されることになる。輪郭形状は、同一周期で繰り返されると好適である。このように複数の冷却フィンが平行に相並んだ配設方式は特に、これらの冷却フィンが、互いに対して平行に、貫流方向に並んでいることを意味している。複数の冷却フィンを備えて冷却フィン配列を構成することには、特に適用事例に応じて、放熱量を増大可能であるように、および/または、クーラントとして使用される流体の冷却フィンに起因する圧力損失を低減可能であるように、それぞれの冷却フィンを、個別に構成可能である、および/または、互いに対して配設可能である、という長所がある。それにより特に、これらの冷却フィンを利用して達成される放熱量の、それに起因する圧力損失に対する比を最適化することができる。なお、直接相並べて配設される冷却フィンのことを、本発明の枠内においては隣接する冷却フィンと呼ぶ。
【0010】
そこでは、繰り返し方向に対して垂直な向きにおける各冷却フィンの寸法の合計が、クーラーの冷却通路の当該寸法、および/または、パワーエレクトロニクス・モジュールの当該寸法に相当する。言い換えると、そこでは、繰り返し方向に対して垂直な向きにおける各冷却フィンの合計が、クーラー冷却通路および/またはパワーエレクトロニクス・モジュールの当該寸法に合わせられるようになっている。
【0011】
少なくとも一つの冷却フィン、好ましくは全てのそれぞれのフィンの、波形断面輪郭形状が繰り返されるコルゲート状の異形材は、隣接する冷却フィンの波形断面輪郭形状が繰り返されるコルゲート状の異形材から、繰り返し方向にオフセットして配設されると好適である。換言すると、それぞれの冷却フィンは、互いに対して繰り返し方向にオフセットされている。それによって、冷却フィンを通過するクーラントとして使用される流体の流れを、一段と高い熱伝導が行われるように調整できるようにしている。各冷却フィンの互いに対する相対的な配設方式は、特に、流体移動距離の延長が達成されるように、および/または、流体の乱流が引き起こされるように、選定され得る。熱伝導のみにより熱が伝わる層流とは異なり、乱流は、伝導によっても、また対流によっても熱を輸送するが、それにより冷却効率は格段と向上される。
【0012】
繰り返し方向における隣接する冷却フィンの波形断面輪郭形状が繰り返されるコルゲート状の異形材の間のオフセットが、0.8×t/4から1.2×t/4の間であると好適である。ここで、「t」は、冷却フィンのピッチに相当する。冷却フィンのこのピッチは、そこでは、冷却フィンを形成するために一定周期で繰り返される冷却フィンの波形断面輪郭形状の繰り返し周期に相当する。この「繰り返し方向に」という表現は、オフセットに関するものであって、隣接する冷却フィンに関するものではないと理解されたい。このピッチは、長さの尺度で表示される。
【0013】
好ましくは、冷却フィンの波形断面輪郭形状が繰り返されるコルゲート状の異形材が、繰り返し方向の第1の位置と繰り返し方向の第2の位置とを交互に有する。この第1の位置は、全ての当該冷却フィンにとって定常であり、そこではこの第2の位置もまた、全ての当該冷却フィンにとって定常であると理解されたい。さらに、この第1の位置と第2の位置は、繰り返し方向に互いに対してオフセットされていると理解されたい。この第1の位置と第2の位置間のオフセットは、ここでは、隣接する冷却フィンの波形断面輪郭形状が繰り返されるコルゲート状の異形材間の、上述の繰り返し方向のオフセットに相当する。
【0014】
本発明の第1の有利な実施形態によると、少なくとも一つの冷却フィン、好ましくはそれぞれの冷却フィンの波形断面輪郭形状が繰り返されるコルゲート状の異形材の一つの領域は、繰り返し方向に対して垂直な向きに対して、ある一つの角度、好適には同じ一つの角度に設定されている。少なくとも一つの冷却フィン、好ましくはそれぞれの冷却フィンの波形断面輪郭形状が繰り返されるコルゲート状の異形材のこの領域には、有利には、波形断面輪郭形状の少なくとも一つの側辺部、特に二つの側辺部が含まれる。換言すると、波形断面輪郭形状の少なくとも一つ/二つの側辺部、特にその/それらの面は、繰り返し方向に対して垂直な向きに対して一定の角度をなす。
【0015】
なお、「一定の角度に設定される」、「一定の角度をなす」等の表現は、本発明の枠内においては、当該角度がゼロではあり得ないことを意味するものである。
発明の第2の有利な実施形態によると、繰り返し方向に対して垂直な向きに対して、少なくとも一つの冷却フィンの波形断面輪郭形状が繰り返されるコルゲート状の異形材の一つの領域が第1の角度に、かつ少なくとも一つの冷却フィンの波形断面輪郭形状が繰り返されるコルゲート状の異形材の一つの領域が第2の角度に設定されている。非常に好ましくは、冷却フィン(複数の冷却フィン)の波形断面輪郭形状が繰り返されるコルゲート状の異形材の一つの領域が、繰り返し方向に対して垂直な向きに対して、第1の角度と第2の角度とに交互に設定されている。
【0016】
その場合は、第1の角度が正値を、第2の値が負値をとると有利である。繰り返し方向に対して垂直な向きに対して正値をとる角度とは、繰り返し方向に対して垂直な向きに伸びる直線から反時計回り方向に測った角度に相当する角度である。相応に、繰り返し方向に対して垂直な向きに対する負値をとる角度とは、繰り返し方向に対して垂直な向きに伸びる直線から時計回り方向に測った角度に相当する角度である。
【0017】
本発明のこの第2の有利な実施形態においては、この第1の角度と第2の角度は、好適には同じ絶対値を有し得る。
本発明のこの第2の有利な実施形態においては、この第1の角度および/または第2の角度の絶対値は、5度から25度の間、好ましくは9度から21度の間に位置すると好適である。
【0018】
本発明のこの第2の有利な実施形態においては、少なくとも一つの冷却フィン、特にそれぞれの冷却フィンの高さは、2.5mmから3.5mmの間、好適には2.9mmから3.1mmの間であることが好ましい。
【0019】
本発明のこの第2の有利な実施形態においては、少なくとも一つの冷却フィン、特にそれぞれの冷却フィンのピッチは、4mmから5mmの間、好適には4.3mmから4.7mmの間であることが好ましい。
【0020】
本発明のこの第2の有利な実施形態においては、少なくとも一つの冷却フィン、特にそれぞれの冷却フィンの繰り返し方向に対して垂直な向きの寸法は、1.5mmから2.1mmの間、好適には1.7mmから1.9mmの間であることが好ましい。
【0021】
本発明のこの第2の有利な実施形態においては、少なくとも一つの冷却フィン、特にそれぞれの冷却フィンの異形材の板厚は、0.2mmから0.45mmの間、好適には0.3mmであることが好ましい。
【0022】
本発明のこの第2の有利な実施形態においては、少なくとも一つの冷却フィン、特にそれぞれの冷却フィンのテーパ角は、3度から8度の間であることが好ましい。
本発明の第3の有利な実施形態によると、少なくとも一つの冷却フィン、好適にはそれぞれの冷却フィンは、繰り返し方向に対して垂直に延びる。換言すると、特に、繰り返される波形断面輪郭形状の一つの領域が、繰り返し方向に対して垂直な向きと平行に延びている。
【0023】
この場合は、少なくとも一つの冷却フィン、特にそれぞれの冷却フィンの高さは、好ましくは2.5mmから3.5mmの間、好適には3mmから3.2mmの間であり得る。
本発明のこの第3の有利な実施形態においては、少なくとも一つの冷却フィン、特にそれぞれの冷却フィンのピッチが、好ましくは2mmから4mmの間、好適には2.5mmから3.5mmの間であり得る。
【0024】
本発明のこの第3の有利な実施形態においては、少なくとも一つの冷却フィン、特にそれぞれの冷却フィンの繰り返し方向に対して垂直な向きの寸法は、好ましくは3.1mmから4.1mmの間、好適には3.5mmから3.7mmの間であり得る。
【0025】
本発明のこの第3の有利な実施形態においては、少なくとも一つの冷却フィン、特にそれぞれの冷却フィンの異形材の板厚は、好ましくは0.2mmから0.45mmの間、好適には0.3mmであり得る。
【0026】
本発明のこの第3の有利な実施形態においては、少なくとも一つの冷却フィン、特にそれぞれの冷却フィンのテーパ角は、好ましくは3度から8度の間であり得る。
本発明は、さらにその上に、以上で説明した冷却フィン配列を内蔵している、パワーエレクトロニスを冷却するための流体が貫流可能なクーラーにも関する。
【0027】
この流体が貫流可能なクーラーには、一つのハウジングが含まれると好適である。このハウジングは、好適には、互いに接続されて一つの冷却通路を定義する、少なくとも二つの金属部材、特にアルミニウム部材から構成され得る。その場合は、ハウジングの内部空間が、この冷却通路に相当する。
【0028】
有利には、冷却フィン配列は、流体が貫流可能なクーラーのこの冷却通路の内部に配設されている。
それ以外にもこのハウジングには、クーラントとして使用される流体のための一つの入口と一つの出口が直接配設されることが好ましい。
【0029】
冷却フィン配列は、好ましくは少なくとも一つの第1グループの冷却フィンと一つの第2グループの冷却フィンとを含み得る。すなわち換言すると、複数の冷却フィンが、一つの第1の冷却フィン・グループと一つの第2の冷却フィン・グループとに分割される。そのような冷却フィン配列を備えたクーラーは、有利には、二つのパワーエレクトロニクス・モジュールを内蔵しているパワーエレクトロニクスを冷却するために使用することができる。その場合は、第1の冷却フィン・グループが第1のパワーエレクトロニクス・モジュールに対して、第2の冷却フィン・グループが第2のパワーエレクトロニクス・モジュールに対して、割り当てられると有利である。したがって、第1の冷却フィン・グループは、第1のパワーエレクトロニクス・モジュールを冷却するために利用され、第2の冷却フィン・グループは、第2のパワーエレクトロニクス・モジュールを冷却するために利用される。この第1のパワーエレクトロニクス・モジュールと第2のパワーエレクトロニクス・モジュールは、別個のパワーエレクトロニクス・モジュールであると理解されたい。
【0030】
さらに好ましくは、冷却フィン配列は、追加として一つの第3グループの冷却フィンを有し得る。換言すると、複数の冷却フィンは、第1の冷却フィン・グループと、第2の冷却フィン・グループと、第3の冷却フィン・グループとに分割される。そのような冷却フィン配列を備えたクーラーは、有利には、三つのパワーエレクトロニクス・モジュールを内蔵しているパワーエレクトロニクスを冷却するために使用することができる。その場合は、第1の冷却フィン・グループが第1のパワーエレクトロニクス・モジュールに対して、第2の冷却フィン・グループが第2のパワーエレクトロニクス・モジュールに対して、第3の冷却フィン・グループが第3のパワーエレクトロニクス・モジュールに対して、割り当てられると有利である。したがって、第1の冷却フィン・グループは、第1のパワーエレクトロニクス・モジュールを冷却するために利用され、第2の冷却フィン・グループは、第2のパワーエレクトロニクス・モジュールを冷却するために利用され、第3の冷却フィン・グループは、第3のパワーエレクトロニクス・モジュールを冷却するために利用される。第1のパワーエレクトロニクス・モジュール、第2のパワーエレクトロニクス・モジュール、および第3のパワーエレクトロニクス・モジュールは、別個のパワーエレクトロニクス・モジュールであると理解されたい。
【0031】
第1の冷却フィン・グループと組み合わされるパワーエレクトロニクス・モジュールの少なくとも一つのパワー半導体の温度が、第2の冷却フィン・グループと組み合わされるパワーエレクトロニクス・モジュールの少なくとも一つのパワー半導体の温度と等しくなるように、第1の冷却フィン・グループおよび第2の冷却フィン・グループが構成されることが好ましい。
【0032】
相応に、三つの冷却フィン・グループを内蔵している冷却フィン配列が備えられたクーラーの場合は、第1の冷却フィン・グループ、第2の冷却フィン・グループ、および第3の冷却フィン・グループとそれぞれ組み合わせたパワーエレクトロニクス・モジュールの当該パワー半導体の内部温度が等しくなるように、これらの冷却フィン・グループが構成されると好適である。その際、有利には、定常熱損失時のジャンクション温度を、それぞれのパワー半導体の温度として理解することができる。
【0033】
そのために、第1の冷却フィン・グループ、第2の冷却フィン・グループ、および、もしくは、第3の冷却フィン・グループの冷却フィンは、それぞれのコルゲート状の異形材の断面の形状、および/または、冷却フィンの個数、および/または、隣接する冷却フィン間のオフセット、および/または、冷却フィンの高さ、および/または、冷却フィンの異形材の板厚、および/または、冷却フィンのテーパ角、および/または、冷却フィンの繰り返し方向に対して垂直な向きの寸法、および/または、一定周期で繰り返される断面輪郭形状の上述の領域の、繰り返し方向に対して垂直な向きを基準としたときの配向、および/または、一定周期で繰り返される波形断面輪郭形状のピッチにより、互いから相違していると好適である。
【0034】
好適には、それぞれの冷却フィンが、上述の第2の有利な実施形態にしたがい、それぞれの冷却フィン・グループの、一定周期で繰り返される断面輪郭形状の、繰り返し方向に対して垂直な向きを基準としたときの角度もしくは配向が、いずれも等しい絶対値をとり、また、第1のクーラント・グループの角度は、好ましくは10度、第2のクーラント・グループの角度は、15度、および存在する場合には、第3のクーラント・グループの角度は、20度である。
【0035】
第1の冷却フィン・グループは、クーラントとして使用される流体の主流方向で第2の冷却フィン・グループの上流側に配設されると好適である。冷却フィン配列が、第1および第2の冷却フィン・グループと、さらに第3の冷却フィン・グループとからもなるクーラーの場合は、この第3の冷却フィン・グループは、クーラントとして使用される流体の主流方向で第2の冷却フィン・グループの下流側に配設されることが好ましい。換言すると、この流体は、最初に第1の冷却フィン・グループを通り、続いて第2の冷却フィン・グループを通り、最後に第3の冷却フィン・グループを通って導かれる。
【0036】
好適には、冷却フィン配列は、一体式に製造される。有利には、冷却フィン配列の全ての冷却フィンが、同じ一つの部材(シート材)だけから成形加工される。
本発明はさらに、以上で説明した流体が貫流可能な一つのクーラーと一つのパワーエレクトロニクスとを内蔵したパワーエレクトロニクス配列にも関する。そこではこのパワーエレクトロニクスが、このクーラーの表面に沿って配設されている。それにより、このクーラーを利用してパワーエレクトロニクスを冷却することができる。特にこのパワーエレクトロニクスは、クーラーに固定されている。
【0037】
好適には、このパワーエレクトロニクスに、一つのパワーエレクトロニクス・モジュールまたは複数のパワーエレクトロニクス・モジュールが内蔵され得る。これらのパワーエレクトロニクス・モジュールは、流体が貫流可能なクーラーもしくはそのハウジングの片側または両側に配設され得る。言い換えると、流体が貫流可能なクーラーの片側または両側に、複数のパワーエレクトロニクス・モジュールが実装され得る。
【0038】
このパワーエレクトロニクスには、好適には少なくとも一つの第1のパワーエレクトロニクス・モジュールと一つの第2のパワーエレクトロニクス・モジュールとが内蔵され得る。第1のパワーエレクトロニクス・モジュールは、クーラントとして使用される流体の主流方向で第2のパワーエレクトロニクス・モジュールの上流側に配設されると好適である。さらに好ましくは、このパワーエレクトロニクスに一つの第3のパワーエレクトロニクス・モジュールが内蔵され得る。その場合はこの第3のパワーエレクトロニクス・モジュールが、流体の主流方向で第2のパワーエレクトロニクス・モジュールの下流側に配設されると好適である。
【0039】
パワーエレクトロニクス・モジュールは、本発明の枠内においては、パワーモジュールと呼ぶこともできる。このパワーエレクトロニクス・モジュールには、一つのプリント基板、および/または複数の導体パターン、および/または一つのまたは複数のパワー半導体が内蔵されると好適である。
【0040】
以下では、添付図面を参照しながら本発明を詳細に説明するが、図中、同一構成部品または同じ機能を果たす構成部品には、同じ符号が付されている。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】本発明の第1実施例にしたがって、一つのパワーエレクトロニクスと、一つの冷却フィン配列を有する一つの流体が貫流可能なクーラーとが備えられた、本発明によるパワーエレクトロニクス配列を簡略化した模式的断面図である。
【
図2】
図1に示される流体が貫流可能なクーラーの一部の領域の模式的上面図である。
【
図3】
図2に示される流体が貫流可能なクーラーの領域の下側領域の模式的透視図である。
【
図4】
図2に示される流体が貫流可能なクーラーの領域の断面を模式的断面図である。
【
図5】
図2に示される流体が貫流可能なクーラーの領域の下側領域のさらにもう一つの模式的断面図である。
【
図6】本発明の第2実施例にしたがった冷却フィン配列の模式的透視図である。
【
図7】本発明の第3実施例にしたがったパワーエレクトロニクス配列を簡略化した模式的断面図である。
【
図8】本発明の第4実施例にしたがったパワーエレクトロニクス配列を簡略化した模式的断面図である。
【
図9】本発明の第5実施例にしたがったパワーエレクトロニクス配列を簡略化した模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下では、
図1から5を参照しながら、本発明の第1実施例にしたがって、一つのパワーエレクトロニクス200と一つのクーラー100とが備えられた、本発明によるパワーエレクトロニクス配列1000について説明する。
【0043】
図1から明らかであるように、パワーエレクトロニクス200は、パワーモジュールと呼ぶこともできる一つのパワーエレクトロニクス・モジュール210を内蔵している。このパワーエレクトロニクス・モジュール210は、一つのプリント基板204、複数の導体パターン203、205、および複数のパワー半導体201を有する。導体パターン203、205は、特に銅導体パターンとして構成されるが、プリント基板204は、好適にはセラミックスから構成される。
【0044】
パワー半導体201は、一つの皮膜層202を利用して導体パターン203の表面に施されている。この皮膜層202は、特にろう接層または焼結層として構成されている。
導体パターン203、205は、プリント基板204とともに一つのパワー基板を形成する。このパワー基板は、はんだ付けプロセスまたは焼結プロセスにより作製される、またそれ故に相応にはんだ層(軟ろう層)または焼結層であるところの一つの皮膜層206を利用して、クーラー100の表面、特にクーラー100の一つのハウジング110の一つの第1の金属部材101の表面に接合されている。
【0045】
クーラー100のこのハウジング110には、ほかにもさらに一つの第2の金属部材102が含まれるが、これは、特に硬ろう層として構成された一つの皮膜層103を利用して、第1の金属部材101に接続されている。第1の金属部材101も、また第2の金属部材102も、アルミニウム部材であると好適である。
【0046】
図1からはさらに、第1の金属部材101がハウジング110の上側部材であり、第2の金属部材102がその下側部材であることが分かる。第1の金属部材101はパワーエレクトロニクス・モジュール210と対向しているが、第2の金属部材102がパワーエレクトロニクス・モジュール210とは反対側を向いている。さらにその上に、この実施例においては第1の金属部材101が板状に構成されるが、第2の金属部材102が、一つの板状の領域と、断面が台形である一つの領域とを有している。しかし第1の金属部材101および第2の金属部材102に、それとは別の形状を持たせることも可能である。第2の金属部材102は、有利には一回の深絞りプロセスにより製造され得る。
【0047】
皮膜層206とクーラー100、特に第1の金属部材101との間には、有利には一つの仲介層107が位置しているが、これは、第1の金属部材101に固定して接続されるとともに、皮膜層206のある程度の湿潤を許容するようになっている。この仲介層107は、自由選択に委ねられるパワーエレクトロニクス配列1000の特徴であって、これは特に別個の部材である、またはクーラー100のハウジング110の部材であると見なすことができる。
【0048】
接合状態においてはクーラー100のハウジング110を形成するこの第1の金属部材101と第2の金属部材102とによって、一つの内部空間が定義され、これがクーラー100の冷却通路111として利用されるようになっている。
【0049】
この冷却通路111の内部には、クーラントとして使用される流体のための、表面積を拡大する、流れを導いて熱伝導を向上する構造体として利用される、一つの冷却フィン配列1が配設されている。そのために冷却フィン配列1は、複数の冷却フィン10を有する。これらの冷却フィン10は、有利には皮膜層103を利用して、第1の金属部材101および第2の金属部材102に接合されている。
【0050】
図1から5から判明するように、それぞれの冷却フィン10は、繰り返し方向501に一定周期で波形断面輪郭形状が繰り返される一つのコルゲート状の異形材から形成されている。冷却フィン10のコルゲート状の異形材の波形断面輪郭形状が繰り返される周期は、全ての冷却フィン10に関して等しい。この繰り返し方向501は、貫流方向500に対して垂直であり、特にクーラー100の幅方向に相当する。この貫流方向500は、クーラントとして使用される流体が、冷却通路111を通り、特に冷却フィン10により形成される貫通開口部14(
図1および3)を通るときの主流方向に相当する。
【0051】
冷却フィン10の断面輪郭形状が繰り返される異形材は全て、一種のメアンダー状の断面形状を有する。換言すると、これらの冷却フィン10は、メアンダー状に構成されている。
【0052】
冷却フィン10はいずれも、複数の側辺部15、第1の接続ウェブ16、および第2の接続ウェブ17を有する。第1の接続ウェブ16は、隣接する二つの側辺部15を、側辺部15の上側領域で互いに接続しており、第2の接続ウェブ17は、隣接する二つの側辺部15を、側辺部15の下側領域のところで互いに接続している。第1の接続ウェブ16は、第2の接続ウェブ17よりもパワーエレクトロニクス200に近接している。
【0053】
隣接する二つの側辺部15は、第1の角R部608(内径部および外径部)により当該する第1の接続ウェブ16へと移行し、第2の角R部609(内径部および外径部)により当該する第2の接続ウェブ17へと移行する(
図3)。有利には、第2の角R部609の曲率半径は、第1の角R部608よりも大きく、特に第1の角R部608の曲率半径の二倍となっている。
【0054】
図1には、作図上の理由から、冷却フィン配列1の冷却フィン10が一つだけ、模式的に示されている。
図2から5においては、冷却フィン10のより詳細な構成とならび、互いに対する相対的な配設が分かりやすく示されている。
図4は、
図2に破線で表示される領域の、
図2に示される矢印B-Bの向きに記録した断面図である。
図5は、
図2に破線で表示される領域の、
図2に示される矢印A-Aの向きに記録した断面図である。
【0055】
図2および3からは、冷却フィン10が平行に相並べて配設されていることが分かる。特にこれらの冷却フィン10は、貫流方向500に互いに対して平行に並んで多列構造を形成している。さらにその上にそれぞれの冷却フィン10は、繰り返し方向501に互いに対してオフセットして配設されている。言い換えると、それぞれの冷却フィン10の波形断面輪郭形状が繰り返されるコルゲート状の異形材は、隣接する冷却フィン10の波形断面輪郭形状が繰り返されるコルゲート状の異形材からオフセットして配設されている。
【0056】
特にそれぞれの冷却フィン10、もしくはそれぞれの冷却フィン10の波形断面輪郭形状が繰り返されるコルゲート状の異形材は、繰り返し方向501の第1の位置と第2の位置とを交互にとるようになっている。この第1の位置は、全ての当該冷却フィン10にとって等しい位置であると理解されたい。相応にこの第2の位置も、全ての当該冷却フィン10にとって等しい位置である。
【0057】
図2から4に描かれている、隣接する冷却フィン10間、もしくは隣接する冷却フィン10の波形断面輪郭形状が繰り返されるコルゲート状の異形材間のオフセット600は、0.8×t/4から1.2×t/4の間である。式中、パラメータ「t」は冷却フィンのピッチ601に相当するが、これは
図3および4に記入されている。このピッチ601は、冷却フィン10の波形断面輪郭形状が繰り返される周期に相当し、4mmから5mmの間、好適には4.3mmから4.7mmの間である。なお、このオフセット600は、冷却フィン10もしくはそれを形成している波形断面輪郭形状が繰り返されるコルゲート状の異形材の、第1の位置と第2の位置間のオフセットに相当する。
【0058】
さらにその上に、冷却フィン10の波形断面輪郭形状が繰り返されるコルゲート状の異形材の側辺部15は、繰り返し方向501に対して垂直な向き502に対して、第1の角度602と第2の角度603とに交互に設定されている。繰り返し方向501に対して垂直なこの向き502は、貫流方向500に対して平行である。したがってこの第1の角度602は第1の斜行角度に、第2の角度603は第2の斜行角度に相当する。
図3には、これらの角度602、603が両方とも記入されている。
【0059】
そこでは第1の角度602が正値を、第2の角度603が負値をとる。その結果、一種の逆行性の斜行角度を生じている。しかしながら、全ての冷却フィン10が、繰り返し方向501に対して垂直な向き502に対して同じ一つの角度に設定されていることも可能である。
【0060】
第1の角度602および第2の角度603は同じ絶対値を有し、その値は5度から25度の間、好ましくは9度から21度の間に位置する。もちろん、第1の角度602および第2の角度603が異なる絶対値をとるようにすることも可能である。
【0061】
それ以外にも、それぞれの冷却フィン10の高さ604は、2.5mmから3.5mmの間、好適には2.9mmから3.1mmの間である。高さ604は、
図3、4および5に記入されている。
【0062】
それぞれの冷却フィン10の材料厚さとも呼ばれる異形材の板厚605は、0.2mmから0.45mmの間、好適には0.3mmであり、それぞれの冷却フィンの一つのテーパ角606が、3度から8度の間である。この異形材の板厚605は
図3、4および5に記入され、このテーパ角606は
図3および4に記入されている。
【0063】
それぞれの冷却フィン10の繰り返し方向501に対して垂直な向き502の寸法607は、3.1mmから4.1mmの間、好適には3.5mmから3.7mmの間である。この寸法607は、
図2および3に記入されている。
【0064】
さらに第1の角R部608の曲率半径の大きさは、冷却フィン10の異形部の板厚605と等しく、第2の角R部609の曲率半径は、その2倍の大きさである。
有利には、これらの冷却フィン10は、交互に同一に構成されている。
【0065】
パワーエレクトロニクス・モジュールの210をクーラー100の表面に沿って配設するとともに、冷却フィン配列1、特にそれぞれの冷却フィン10を、上記で説明したように構成して相対的に配設することによって、パワーエレクトロニクス・モジュール210の動作の間に発生する熱を、効率的な方法で、パワーエレクトロニクス・モジュール210から、まず第1の金属部材101に伝導し、続いてそこからそれぞれの冷却フィン10を貫流する流体に伝導して放出することができる。冷却フィン10のそのような互いに対する相対的な配設の結果として、有利には、クーラー100の冷却通路111の内部には、転向領域を有する貫通通路が複数形成されることになる。
図2には、そのような貫通通路が二つ、破線の矢印112により例示的に描かれている。その当然の帰結として、クーラントとして使用される流体は、長い距離を移動することが要求され、冷却フィン10の側辺部15との接触状態が長時間にわたり維持され、それにより放熱量の増大がもたらされる。特にこれらの冷却フィン10により一種の乱流が引き起こされ、それにより再度クーラー100の冷却効率の向上が達成される。さらに、熱性能と圧力損失との間の関係を最適なものとすることも可能である。
【0066】
良好な熱伝導を達成すると同時に、簡単な製造を可能にするために、冷却フィン10はアルミニウムから構成されると有利である。あるいは、冷却フィン10にアルミニウム皮膜が施されるようにしてもよい。また、冷却フィン10および/またはその皮膜層のために、それ以外の熱伝導材料が利用されてもよい。
【0067】
クーラー100は、さらに好ましくは複数のクーラントポートを有していてもよく、これらも同様に両方の金属部材101、102を接続する製造ステップにおいて、硬ろうを利用して互いに接合することができる。
【0068】
図6は、本発明の第2実施例にしたがったパワーエレクトロニクス配列1000に関するものである。
この第2実施例にしたがったパワーエレクトロニクス配列1000は、冷却フィン配列1の冷却フィン10の構成により、第1実施例のものとは相違している。
【0069】
図6から分かるように、それぞれの冷却フィン10は、繰り返し方向501に対して垂直に延びる。換言すると、特にそれぞれの冷却フィン10の繰り返される波形断面輪郭形状の側辺部15は、向き502に対して平行に延びている。それとは対照的に、第1実施例にしたがった冷却フィン配列1の場合は、冷却フィン10の繰り返される波形断面輪郭形状の側辺部15が、この向き502に対して、第1の角度602をなす向きか、または第2の角度603をなす向きに延びている。
【0070】
さらにもう一つの相違点は、冷却フィン10の寸法諸元にある。
第2実施例にしたがった冷却フィン配列1においては、それぞれの冷却フィン10の高さ604が、2.5mmから3.5mmの間、好適には3mmから3.2mmの間、それぞれの冷却フィン10のピッチ601が、2mmから4mmの間、好適には2.5mmから3.5mmの間、さらにそれぞれの冷却フィン10の繰り返し方向501に対して垂直な向き502の寸法607が、3.1mmから4.1mmの間、好適には3.5mmから3.7mmの間である。
【0071】
他方では、この実施例におけるそれぞれの冷却フィン10の異形部の板厚605およびテーパ角606は、本発明の第1実施例における冷却フィン配列1について提示したのと同じ数値の範囲内に位置している。オフセット600についても同じことが言える。
【0072】
図7は、本発明の第3実施例にしたがったパワーエレクトロニクス配列1000に関するものである。
この第3実施例にしたがったパワーエレクトロニクス配列1000は、上側部材である、またそれ故にパワーエレクトロニクス・モジュール210と対向している第1の金属部材101が、一つの板状の領域と、一つの断面形状が台形である領域とを有しており、下側部材である、またそれ故にパワーエレクトロニクス・モジュール210と対向している第2の金属部材102が板状に構成されることにより、第1実施例にしたがったものとは相違している。
【0073】
ハウジング110のこのような構成は、パワーエレクトロニクス・モジュール210まわりに直近のスペースが不足する場合には、有利となり得るものである。
なお、この第3実施例にしたがったクーラー100のハウジング110には、第2実施例にしたがった冷却フィン配列1を組み合わせることも可能である。
【0074】
図8は、本発明の第4実施例にしたがったパワーエレクトロニクス配列1000に関するものである。
第3実施例にしたがったパワーエレクトロニクス配列1000と同様に、このパワーエレクトロニクス配列1000は、クーラー100のハウジング110の構成により、第1実施例にしたがったものとは相違している。
【0075】
図8から明らかなように、第1の金属部材101および第2の金属部材102以外にも、第3の金属部材104が備えられ、第1の金属部材101および第2の金属部材102とともにクーラー100のハウジング110を形成している。この第3の金属部材104は、これもまた特にアルミニウム部材として構成されており、第1の金属部材101と第2の金属部材102との間に配設されている。第1の金属部材101は、一つの第1の皮膜層105を利用して第3の金属部材104に接合され、この第3の金属部材104は一つの第2の皮膜層106を利用して第2の金属部材102に接続されている。この第1の皮膜層105および/または第2の皮膜層106は、いずれも硬ろう層として構成されると好適である。
【0076】
冷却通路111は、第1の金属部材101、第2の金属部材102、および第3の金属部材104により定義されるものと解釈されたい。
ハウジング110のこのような構成により、非常に簡単に製造可能であるという長所がもたらされ得る。
【0077】
なお、この第4実施例にしたがったクーラー100のハウジング110には、第2実施例にしたがった冷却フィン配列1を組み合わせることも可能である。
図9は、本発明の第5実施例にしたがったパワーエレクトロニクス配列1000に関するものである。
【0078】
この第5実施例にしたがったパワーエレクトロニクス配列1000のパワーエレクトロニクス200は、第1のパワーエレクトロニクス・モジュール210と、第2のパワーエレクトロニクス・モジュール211と、第3のパワーエレクトロニクス・モジュール212とを内蔵している。これらのパワーエレクトロニクス・モジュール210、211、212はいずれも、複数のパワー半導体201を有しており、有利には、
図1に示されるパワーエレクトロニクス・モジュール210のように構成され得る。
【0079】
第1のパワーエレクトロニクス・モジュール210は、クーラントとして使用される流体の貫流方向500もしくは主流方向で、第2のパワーエレクトロニクス・モジュール211の上流側に配設され、またこの第2のパワーエレクトロニクス・モジュール211も、貫流方向500で第3のパワーエレクトロニクス・モジュール212の上流側に配設されている。この貫流方向500は、有利にはクーラー100の一つの入口108から1つの出口109へと向かう向きに相当する。
【0080】
クーラー100の冷却フィン配列1は、第1の冷却フィン・グループ11と、第2の冷却フィン・グループ12と、第3の冷却フィン・グループ13とを有する。この第1の冷却フィン・グループ11は、第1のパワーエレクトロニクス210に対して、第2の冷却フィン・グループ12は、第2のパワーエレクトロニクス211に対して、第3の冷却フィン・グループ13は、第3のパワーエレクトロニクス213に対して割り当てられている。
【0081】
この冷却フィン配列1の冷却フィン10は全て、同じ一つの部材(シート材)だけから成形加工されると有利である。言い換えると、この冷却フィン配列1は一体式に製造されたものとなっている。そこでは、冷却フィン・グループ11から13が、別個のアッセンブリではなく、この冷却フィン配列1の領域を形成するものであると理解されたい。
【0082】
好ましくは、冷却フィン・グループ11、12、13は、第1の冷却フィン・グループ11、第2の冷却フィン・グループ11、および第3の冷却フィン・グループ13が同じ冷却性能を示すとともに、特にそれぞれのパワー半導体201の内部の温度も等しくなるように、構成されている。それによって、流体が、冷却通路111を通り貫流する間に加熱されて、それにともない温度が第1のパワーエレクトロニクス・モジュール210から第3のパワーエレクトロニクス・モジュール212へと向かって上昇すると予想されるにもかかわらず、第2のパワーエレクトロニクス・モジュール211も、また第3のパワーエレクトロニクス・モジュール212も、第1のパワーエレクトロニクス・モジュール210と同等に冷却されることが保証できる。
【0083】
そのために冷却フィン・グループ11、12、13の冷却フィン10は、互いから異なるように構成されている。なお、クーラーフィン・グループ11、12、13のいずれか一つについては、その冷却フィン10が、以上で説明したクーラー配列1の冷却フィン10と同様に構成されたものであってもよい。さらに、この実施例においてはクーラー100もまた、これまでの実施例にしたがったクーラーと同様に構成されたものであってもよい。
【0084】
冷却フィン・グループ11、12、13の冷却フィン10が、第1実施例にしたがって構成される場合は、第1の角度602の絶対値および/または第2の角度603の絶対値が、貫流方向500における第1の冷却フィン・グループ11については、好適には10度に達し、貫流方向500における第2の冷却フィン・グループ12については、好適には15度に達し、貫流方向500における三番目の冷却フィン・グループ13については、好適には20度に達する。冷却フィン・グループ11、12、13の冷却フィン10は、好適には、この第1の角度602および/または第2の角度603を除いて同一に構成されていてもよい。
【手続補正書】
【提出日】2024-04-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
繰り返し方向(501)に一定周期で波形断面輪郭形状が繰り返されるコルゲート状の異形材から形成されている少なくとも一つの冷却フィン(10)を含む、パワーエレクトロニクス(200)を冷却するための流体が貫流可能なクーラーの冷却フィン配列(1)であって、前記繰り返し方向(501)が貫流方向(500)に対して垂直である、冷却フィン配列(1)。
【請求項2】
前記波形断面輪郭形状が、整数回または非整数回繰り返される、請求項1に記載の冷却フィン配列(1)。
【請求項3】
前記少なくとも一つの冷却フィン(10)の断面が、一種のメアンダー形状を有する、請求項1に記載の冷却フィン配列(1)。
【請求項4】
前記少なくとも一つの冷却フィン(10)が、複数の冷却フィン(10)を含み、前記複数の冷却フィン(10)が、同じ一つの繰り返し方向(500)に、一定周期で、特に同一の周期で波形断面輪郭形状が繰り返されるコルゲート状の異形材から形成され、かつ平行に相並んで配設されている、請求項1に記載の冷却フィン配列(1)。
【請求項5】
少なくとも一つの冷却フィン(10)、好ましくはそれぞれの冷却フィン(10)の前記繰り返し方向(501)における波形断面輪郭形状が繰り返されるコルゲート状の異形材が、隣接する一つの冷却フィン(10)の波形断面輪郭形状が繰り返されるコルゲート状の異形材からオフセットされて配設されており、
好適には、
前記冷却フィン(10)の波形断面輪郭形状が繰り返されるコルゲート状の異形材が、前記繰り返し方向(501)の第1の位置と前記繰り返し方向(501)の第2の位置とを交互に有し、および/または、
前記繰り返し方向(501)における隣接する冷却フィン(10)の波形断面輪郭形状が繰り返されるコルゲート状の異形材の間のオフセット(600)が、0.8×t/4から1.2×t/4の間であり、tは前記冷却フィン(10)のピッチ(601)である、
請求項4に記載の冷却フィン配列(1)。
【請求項6】
少なくとも一つの冷却フィン(10)、好ましくはそれぞれの冷却フィン(10)の波形断面輪郭形状が繰り返されるコルゲート状の異形材の一つの領域が、前記繰り返し方向(501)に対して垂直な向き(502)に対して、ある一つの角度(602、603)、好適には同じ一つの角度に設定されている、請求項4に記載の冷却フィン配列(1)。
【請求項7】
前記繰り返し方向(501)に対して垂直な向き(502)に対して、少なくとも一つの冷却フィン(10)の波形断面輪郭形状が繰り返されるコルゲート状の異形材の一つの領域が第1の角度(602)に、かつ少なくとも一つの冷却フィン(10)の波形断面輪郭形状が繰り返されるコルゲート状の異形材の一つの領域が第2の角度(603)に設定されており、特に前記冷却フィン(10)の波形断面輪郭形状が繰り返されるコルゲート状の異形材の一つの領域が、前記繰り返し方向(501)に対して垂直な向き(502)に対して、第1の角度(602)と第2の角度(603)とに交互に設定されており、前記第1の角度(602)が正値を、また前記第2の角度(603)が負値をとり、好適には、
前記第1の角度(602)と前記第2の角度(603)が同じ絶対値を有し、および/または、前記第1の角度(602)の絶対値および/または前記第2の角度(603)の絶対値が、5度から25度の間、好ましくは9度から21度の間に位置する、
請求項4に記載の冷却フィン配列(1)。
【請求項8】
少なくとも一つの冷却フィン(10)の、特にそれぞれの冷却フィン(10)の高さ(604)が、2.5mmから3.5mmの間、好適には2.9mmから3.1mmの間であり、および/または、
少なくとも一つの冷却フィン(10)、特にそれぞれの冷却フィン(10)のピッチ(601)が、4mmから5mmの間、好適には4.3mmから4.7mmの間であり、および/または、
少なくとも一つの冷却フィン(10)、特にそれぞれの冷却フィン(10)の繰り返し方向(501)に対して垂直な向き(502)の寸法(607)が、1.5mmから2.1mmの間、好適には1.7mmから1.9mmの間であり、および/または、
少なくとも一つの冷却フィン(10)、特にそれぞれの冷却フィン(10)の異形材の板厚(605)が、0.2mmから0.45mmの間、好適には0.3mmであり、および/または、
少なくとも一つの冷却フィン(10)、特にそれぞれの冷却フィン(10)のテーパ角(606)が、3度から8度の間である、
請求項7に記載の冷却フィン配列(1)。
【請求項9】
前記冷却フィン配列(1)の前記複数の冷却フィン(10)が、第1のパワーエレクトロニクス・モジュール(210)を冷却するための少なくとも一つの第1の冷却フィン・グループ(11)と、第2のパワーエレクトロニクス・モジュール(211)を冷却するための第2の冷却フィン・グループ(12)とを含み、好適には、前記第1の冷却フィン・グループ(11)に割り当てられた前記パワーエレクトロニクス・モジュール(210)の少なくとも一つのパワー半導体(201)の温度が、前記第2の冷却フィン・グループ(12)に割り当てられた前記パワーエレクトロニクス・モジュール(211)の少なくとも一つのパワー半導体(201)の温度と等しくなるように、前記第1の冷却フィン・グループ(11)および前記第2の冷却フィン・グループ(12)が構成されている、請求項7に記載の冷却フィン配列(1)。
【請求項10】
該冷却フィン配列(1)の前記複数の冷却フィン(10)が、さらにもう一つの第3の冷却フィン・グループ(13)を含み、前記貫流方向(500)における第1の冷却フィン・グループ(11)ついては、前記第1の角度(602)の絶対値および/または前記第2の角度(603)の絶対値が好適には10度に達し、前記貫流方向(500)における第2の冷却フィン・グループ(12)については、前記第1の角度(602)の絶対値および/または前記第2の角度(603)の絶対値が好適には15度に達し、前記貫流方向(500)における三番目の冷却フィン・グループ(13)については、前記第1の角度(602)の絶対値および/または前記第2の角度(603)の絶対値が好適には20度に達する、請求項9に記載の冷却フィン配列(1)。
【請求項11】
少なくとも一つの冷却フィン(10)、好適にはそれぞれの冷却フィン(10)が、前記繰り返し方向(501)に対して垂直に延び、
好適には、
少なくとも一つの冷却フィン(10)、特にそれぞれの冷却フィン(10)の高さ(604)が、2.5mmから3.5mmの間、好適には3mmから3.2mmの間であり、および/または、
少なくとも一つの冷却フィン(10)、特にそれぞれの冷却フィン(10)のピッチ(601)が、2mmから4mmの間、好適には2.5mmから3.5mmの間であり、および/または、
少なくとも一つの冷却フィン(10)、特にそれぞれの冷却フィン(10)の繰り返し方向(501)に対して垂直な向き(502)の寸法(607)が、3.1mmから4.1mmの間、好適には3.5mmから3.7mmの間であり、および/または、
少なくとも一つの冷却フィン(10)、特にそれぞれの冷却フィン(10)の異形材の板厚(605)が、0.2mmから0.45mmの間、好適には0.3mmであり、および/または、
少なくとも一つの冷却フィン(10)、特にそれぞれの冷却フィン(10)のテーパ角(606)が、3度から8度の間である、
請求項4に記載の冷却フィン配列(1)。
【請求項12】
請求項1に記載の冷却フィン配列(1)を内蔵している、パワーエレクトロニクス(200)を冷却するための流体が貫流可能なクーラー(100)。
【請求項13】
前記冷却フィン配列(1)の前記複数の冷却フィン(10)が、第1のパワーエレクトロニクス・モジュール(210)を冷却するための少なくとも一つの第1の冷却フィン・グループ(11)と、第2のパワーエレクトロニクス・モジュール(211)を冷却するための第2の冷却フィン・グループ(12)とを含み、好適には、前記第1の冷却フィン・グループ(11)に割り当てられた前記パワーエレクトロニクス・モジュール(210)の少なくとも一つのパワー半導体(201)の温度が、前記第2の冷却フィン・グループ(12)に割り当てられた前記パワーエレクトロニクス・モジュール(211)の少なくとも一つのパワー半導体(201)の温度と等しくなるように、前記第1の冷却フィン・グループ(11)および前記第2の冷却フィン・グループ(12)が構成されている、請求項12に記載の流体が貫流可能なクーラー(100)。
【請求項14】
前記冷却フィン配列(1)の全ての冷却フィン(10)が、同じ一つの部材だけから成形加工されている、請求項13に記載の流体が貫流可能なクーラー(100)。
【請求項15】
請求項12に記載の一つの流体が貫流可能なクーラー(100)と、一つのパワーエレクトロニクス(200)とを含むパワーエレクトロニクス配列(1000)であって、前記パワーエレクトロニクス(200)が、前記流体が貫流可能なクーラー(100)に配設されている、特に固定されている、パワーエレクトロニクス配列(1000)。
【国際調査報告】