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特表2024-532431磁気センサデバイス、システム及び方法、並びに力センサ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】磁気センサデバイス、システム及び方法、並びに力センサ
(51)【国際特許分類】
   G01L 1/00 20060101AFI20240829BHJP
【FI】
G01L1/00 F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513418
(86)(22)【出願日】2022-09-08
(85)【翻訳文提出日】2024-02-28
(86)【国際出願番号】 EP2022075044
(87)【国際公開番号】W WO2023036900
(87)【国際公開日】2023-03-16
(31)【優先権主張番号】21195827.7
(32)【優先日】2021-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】21208061.8
(32)【優先日】2021-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516186407
【氏名又は名称】メレクシス・テクノロジーズ・ソシエテ・アノニム
【氏名又は名称原語表記】MELEXIS TECHNOLOGIES SA
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100135703
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 英隆
(72)【発明者】
【氏名】クローズ,ガエル
(72)【発明者】
【氏名】デュプレ,ニコラ
(72)【発明者】
【氏名】ル シニョール,テオ
(57)【要約】
磁気センサシステムは、半導体基板を備える集積回路であって、半導体基板が、第1の方向(X)に配向された少なくとも2つの第1の磁場成分(Bx1,Bx2)を測定するように、かつ第2の方向(Y;Z)に配向された少なくとも2つの第2の磁場成分(Bz1,Bz2)を測定するように構成されている、複数の磁気センサを備える、集積回路と、集積回路に対して移動可能であり、磁場を生成するように構成されている、永久磁石と、測定された第1の磁場成分及び第2の磁場成分(Bx1,Bx2;Bz1,Bz2)、又は、入力として、それらから導出された値に基づいており、かつ、機械学習を使用して判定された複数の少なくとも8つの定数を使用する、事前定義されたアルゴリズムを使用して、磁石の位置に関連する少なくとも2つの物理量(Fx,Fy,Fz)を判定するように構成されている、処理回路と、を備える、力センサシステム、ジョイスティック又はサムスティックシステム、方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気センサシステムであって、
半導体基板を備える集積回路であって、前記半導体基板が、第1の方向(X)に配向された少なくとも2つの第1の磁場成分(Bx1,Bx2)を測定するように、かつ第2の方向(Y;Z)に配向された少なくとも2つの第2の磁場成分(Bz1,Bz2)を測定するように構成されている、複数の磁気センサを備える、集積回路と、
前記集積回路に対して移動可能であり、磁場を生成するように構成されている、永久磁石と、
前記測定された第1の磁場成分及び第2の磁場成分(Bx1,Bx2;Bz1,Bz2)、又は、入力として、それらから導出された値に基づいており、かつ、機械学習を使用して判定される複数の少なくとも8つの定数を使用する、事前定義されたアルゴリズムを使用して、磁石の位置に関連する少なくとも2つの物理量を判定するように構成されている、処理回路と、を備える、磁気センサシステム。
【請求項2】
前記処理回路が、前記少なくとも2つの第1の磁場成分及び前記少なくとも2つの第2の磁場成分から導出された、少なくとも3つ又は少なくとも4つの磁場差を入力として使用し、かつ前記複数の少なくとも8つの定数を使用する、事前定義されたアルゴリズムを使用して、前記少なくとも2つの物理量を判定するように構成されている、請求項1に記載の磁気センサシステム。
【請求項3】
前記半導体基板が、前記半導体基板の温度を測定するための温度センサを更に備え、
前記半導体基板が、前記測定された温度に基づいて、前記測定された第1の磁場成分及び第2の磁場成分を補正するように構成されているか、あるいは、前記事前定義されたアルゴリズムが、前記測定された温度を追加入力として考慮に入れるか、あるいは、前記測定された温度が、後処理ステップで使用される、先行請求項のいずれか一項に記載の磁気センサシステム。
【請求項4】
前記第1の方向(X)及び前記第2の方向(Y)の各々が、前記半導体基板に平行であるか、
あるいは、前記第1の方向(X)が、前記半導体基板に平行であり、前記第2の方向(Z)が、前記半導体基板に垂直である、先行請求項のいずれか一項に記載の磁気センサシステム。
【請求項5】
前記複数のセンサが、集積磁気コンセントレータディスクを備える少なくとも1つのセンサと、前記ディスクの周囲近傍に配置された3対の水平ホール素子であって、前記ホール素子が、120°の倍数によって角度方向に離間されている、水平ホール素子と、を備えるか、
あるいは、前記複数のセンサが、集積磁気コンセントレータディスクを備える少なくとも1つのセンサと、前記ディスクの周囲近傍に配置された4対の水平ホール素子であって、45°の倍数によって角度方向に離間されている、水平ホール素子と、を備えるか、
あるいは、前記半導体基板が、2×2グリッドの交差部、又は3×3グリッドの交差部、又は4×4グリッドの交差部に位置する、複数の磁気センサを備えるか、
あるいは、前記半導体基板が、不規則なパターンで、例えば、擬似ランダムな場所において配置されている、複数の磁気センサを備えるか、
あるいは、前記磁気センサのうちの少なくとも3つが、仮想円上に位置する、先行請求項のいずれか一項に記載の磁気センサシステム。
【請求項6】
前記磁石が、2極磁石であり、
かつ/あるいは、前記磁石が、軸方向に磁化したリング又はディスク磁石である、先行請求項のいずれか一項に記載の磁気センサシステム。
【請求項7】
前記事前定義されたアルゴリズムが、前記少なくとも2つの第1の磁場成分から少なくとも2つの第1の差分値を導出するように、かつ前記少なくとも2つの第2の磁場成分から少なくとも2つの第2の差分値を導出するように、
かつ、前記少なくとも2つの第1の差分値及び前記少なくとも2つの第2の差分値に基づいて、前記少なくとも2つの物理値を計算するように構成されている、先行請求項のいずれか一項に記載の磁気センサシステム。
【請求項8】
前記少なくとも3つの第1の差分値の各々が、2つの第1の磁場成分間の対差分として判定され、かつ前記少なくとも3つの第2の差分値の各々が、2つの第2の磁場成分間の対差分として判定されるか、
あるいは、前記少なくとも3つの第1の差分値の各々が、第1の磁場成分と第1の共通値との間の差分として判定され、かつ前記少なくとも3つの第2の差分値の各々が、第2の磁場成分と第2の共通値との間の差分として判定される、請求項7に記載の磁気センサシステム。
【請求項9】
前記事前定義されたアルゴリズムが、前記物理値の各々を少なくとも12個の項の合計として計算するように構成され、
これらの少なくとも12の項の各々が、前記差分のうちの1つ以上の関数であり、
任意選択的に、前記合計の各々が、機械学習によって判定される定数値を含む、請求項7又は8に記載の磁気センサシステム。
【請求項10】
前記事前定義されたアルゴリズムが、前記物理値の各々を少なくとも12個の項の合計として計算するように構成され、
少なくとも2つの項が、前記差分のうちの1つのみの線形式を含み、
少なくとも2つの項が、前記差分のうちの1つ以上の非線形式を含む、請求項9に記載の磁気センサシステム。
【請求項11】
少なくとも2つの項又は各合計が、前記差分のうちの1つのみの二次式又は二次多項式であるか、又はそれを含み、
かつ/あるいは、各合計が、2つ差分の積である少なくとも1つの項を含み、
かつ/あるいは、各合計が、2つ差分の除算である少なくとも1つの項を含む、請求項9又は10に記載の磁気センサシステム。
【請求項12】
前記事前定義されたアルゴリズムが、訓練されたニューラルネットワークによって実行され、
前記少なくとも3つの第1の磁場成分(Bx1,Bx2,Bx3)及び前記少なくとも3つの第2の磁場成分(Bz1,Bz2,Bz3)を入力信号として使用し、
前記少なくとも2つ又は少なくとも3つの物理値を出力値として提供する、請求項1~8のいずれか一項に記載の磁気センサシステム。
【請求項13】
前記磁石が、可撓性材料によって、前記集積回路に対して可撓的に装着されている、先行請求項のいずれか一項に記載の磁気センサシステム。
【請求項14】
前記可撓性材料が、エラストマーである、請求項13に記載の磁気センサシステム。
【請求項15】
前記事前定義されたアルゴリズムが、前記可撓性材料の温度が測定又は推定され、前記判定された物理量が、温度依存性材料特性を低減するように補正される、後処理ステップを更に含む、請求項13又は14に記載の磁気センサシステム。
【請求項16】
力センサシステムであって、
請求項13~15のいずれか一項に記載の磁気センサシステムを備え、
判定される前記少なくとも2つ又は3つの物理量が、前記可撓性材料の接触表面に与える機械力の2つ又は3つの力成分(Fx,Fy,Fz)である、力センサシステム。
【請求項17】
スティックの2D又は3D位置を判定するためのスティックシステムであって、前記スティックシステムが、
請求項1~16のいずれか一項に記載の磁気センサシステムと、
少なくとも2つの自由度で前記集積回路に対して移動可能である、スティックと、を備え、
前記スティックが、ジョイスティック又はサムスティックであり、
前記磁石が、前記スティックに固定的に接続されている、スティックシステム。
【請求項18】
前記集積回路に対して移動可能であり、磁場を生成するように構成されている、永久磁石の位置に関連する少なくとも2つの物理量を測定する方法であって、前記方法が、
a)第1の方向(X)に配向された少なくとも2つの第1の磁場成分(Bx1,Bx2;Bx1,Bx2,Bx3)を測定するステップと、
b)前記第1の方向(X)に垂直な第2の方向(Y;Z)に配向された少なくとも2つの第2の磁場成分(Bz1,Bz2;Bz1,Bz2,Bz3)を測定するステップと、
c)前記測定された第1の磁場成分及び第2の磁場成分(Bx1,Bx2,Bx3;Bz1,Bz2,Bz3)を入力として使用し、機械学習を使用して判定される複数の少なくとも8つの定数を使用する、事前定義されたアルゴリズムを使用して、前記少なくとも2つの物理量を判定するステップと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、磁気センサデバイス、システム及び方法の分野に関し、より具体的には、半導体基板に対する磁石の位置が、例えば、力成分、又はジョイスティックの傾斜角度、又はサムスティックの横方向位置などの、少なくとも2つの物理量を示す、磁気センサデバイス、システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気センサ、例えば、電流センサ、近接センサ、位置センサなどは、当技術分野で公知である。これらは、1つ又は複数のセンサ場所における磁場特性を測定することに基づいている。用途に応じて、測定された磁場特性を使用して、例えば、電流強度、いわゆる標的の近接性、センサデバイスの磁石に対する相対位置などの別の量を差し引くことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】欧州特許出願公開第4113085号公報
【特許文献2】欧州特許出願公開第3885779号公報
【特許文献3】欧州特許出願公開第3885778号公報
【特許文献4】米国特許出願公開第2022/099709号の明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
磁気センサデバイス、システム及び方法の多くの変形が存在し、以下の要件のうちの1つ以上に対処する:単純又は安価な磁気構造を使用すること、単純又は安価なセンサデバイスを使用すること、相対的に大きい範囲にわたって測定することができること、非常に正確に測定することができること、単純な算術のみを必要とすること、高速で測定することができること、位置決め誤差に対して堅牢性が高いこと、外乱場に対して堅牢性が高いこと、冗長性を提供すること、誤差を検出することができること、誤差を検出及び補正することができること、良好な信号対雑音比(SNR)を有することなど。これらの要件のうちの2つ以上が互いに相反することが多いため、トレードオフを行う必要がある。
【0005】
本発明は、半導体基板に対して可撓的に又は弾性的に装着された、永久磁石を備える、ある種類の磁気センサシステムに関し、磁石の位置は、表面に与える力によって引き起こされるか、又はジョイスティック若しくはサムスティックなどの動きによって引き起こされる、力ベクトル又は変位ベクトルなどの2D又は3D物理量を示す。
【0006】
改善又は代替のための余地が常にある。
【0007】
本発明の実施形態の目的は、半導体回路に対して移動可能な永久磁石の位置に関する少なくとも2つの物理量を判定するための磁気センサシステム及び方法を提供することである。
【0008】
本発明の実施形態の目的は、外部の外乱場に対して感受性が低い、かつ/あるいは温度変動に対して感受性が低い、かつ/あるいは磁石の減磁に対して感受性が低い、かつ好ましくはこれらのうちの2つ、又はこれらの全てであるようなシステム及び方法を提供することである。
【0009】
本発明の実施形態の目的は、明示的な分析公式若しくは分析式又は数学公式若しくは数式を必要としないアルゴリズムを使用するようなシステム及び方法を提供することである。
【0010】
本発明の実施形態の目的では、磁石は、半導体回路の上方又は上部のエラストマーに埋設されている。
【0011】
本発明の実施形態の目的は、2D磁気センサのみ若しくは3D磁気センサのみを使用する、又は2D及び3D磁気センサの組み合わせを使用するような磁気センサシステムを提供することである。
【0012】
本発明の実施形態の目的は、少なくとも4つのセンサ場所又は少なくとも5つのセンサ場所で磁場が測定されるような磁気センサシステム及び方法を提供することである。
【0013】
本発明の実施形態の目的は、磁石が、軸方向に磁化した2極磁石であるような磁気センサシステム及び方法を提供することである。
【0014】
本発明の実施形態の目的は、物理量が集積回路によって計算されるような磁気センサシステム及び方法を提供することである。
【0015】
本発明の実施形態の目的は、該少なくとも2つの物理量を判定するために必要な時間が、50ms以下、又は40ms以下、又は30ms以下、又は20ms以下、又は10ms以下であるような磁気センサシステム及び方法を提供することである。
【0016】
本発明の実施形態の目的はまた、磁場を測定するための少なくとも複数のセンサを備え、任意選択的に、該少なくとも2つの物理量を判定するための処理回路もまた備える半導体デバイス(すなわち、単一チップ)を提供することでもある。
【0017】
本発明の実施形態の目的はまた、力センサシステムを提供することでもある。
【0018】
本発明の特定の実施形態の目的は、そのような磁気センサシステムを使用して、2つ又は3つの力成分(すなわち、2D又は3D力ベクトル)を測定することができる力センサシステムを提供することである。
【0019】
本発明の実施形態の目的はまた、少なくとも1つの力センサシステムを備えるロボット指、及び少なくとも1つのロボット指を備えるロボットアームを提供することでもある。
【0020】
本発明の実施形態の目的はまた、2つの自由度(例えば、2つの傾斜運動)を有する、又は3つの自由度(2つの傾斜運動及び下降運動)を有するジョイスティックシステムを提供することでもある。
【0021】
本発明の実施形態の目的はまた、2つの自由度(例えば、2つの横運動)を有する、又は3つの自由度(2つの横運動及び下降運動)を有するサムスティックシステムを提供することでもある。
【課題を解決するための手段】
【0022】
これら及び他の目的は、本発明の実施形態によって達成される。
【0023】
第1の態様によれば、本発明は磁気センサシステムを提供し、磁気センサシステムは、半導体基板を備える集積回路であって、半導体基板は、第1の方向(X)に配向された少なくとも2つ(又は少なくとも3つ、又は少なくとも4つ)の第1の磁場成分(Bx1,Bx2)を測定するように、かつ、例えば、第1の方向(X)に垂直な第2の方向(Y;Z)に配向された少なくとも2つ(又は少なくとも3つ、又は少なくとも4つ)の第2の磁場成分(Bz1,Bz2)を測定するように構成されている、複数の磁気センサを備える、集積回路と、集積回路に対して移動可能であり、磁場を生成するように構成されている、永久磁石と、(集積回路の内部又は外部の)処理回路であって、測定された第1の磁場成分及び第2の磁場成分(Bx1,Bx2;Bz1,Bz2)、又は、入力として、それらから導出された値に基づいており、かつ、機械学習を使用して判定された複数の少なくとも8つの(又は少なくとも12個、又は少なくとも18個の)定数(又は係数又はパラメータ)を使用する、事前定義されたアルゴリズムを使用して、磁石の位置に関連する少なくとも2つの物理量(例えば、2D又は3D力ベクトル、2D又は3D変位ベクトル、ジョイスティックの2D又は3D位置、サムスティックの2D又は3D位置)を判定するように構成されている、処理回路と、を備える。
【0024】
「磁気センサシステム」は、例えば、力センサシステム、又はジョイスティック、又はサムスティックであり得る。
【0025】
発明者らは、例えば、非線形応力-ひずみ曲線を有するエラストマーを使用する、例えば、特定の機械的装着配置に起因して、磁石が高度に非線形な様式で移動する場合であっても、物理量と磁石の動きとの間の関係を表現するために、明示的な分析式、又は最小数の変数を有する数学モデルを見つける必要がないことを発見した。
【0026】
機械学習(ML)によって判定された、いくつかの定数(又はパラメータ)を使用する事前定義されたアルゴリズムを実行することによって、極めて正確に物理量を判定することが可能であることが発見された。このアプローチは、管理可能な方法で所望の物理量を判定又は近似することを可能にすることを見出した。
【0027】
当業者は、本開示の恩恵を受けて、本発明の教示を適用するだけで、当業者のニーズを満たす好適なアルゴリズムを容易に見つけることができる。
【0028】
そのような磁気センサシステムは、絶対精度の小さい誤差が、システムが使用される用途に有害でない用途に特に好適であり得る。
【0029】
実施形態では、処理回路は、該少なくとも2つの第1の磁場成分及び該少なくとも2つの第2の磁場成分から導出された、少なくとも3つ又は少なくとも4つの磁場差を入力として使用し、かつ該複数の少なくとも8つの(又は少なくとも12個、又は少なくとも18個の)定数を使用する、事前定義されたアルゴリズムを使用して、該少なくとも2つの物理量を判定するように構成されている。
【0030】
更に説明するように、磁場差は、磁場勾配として計算され得るか、又は元の磁場成分と同じ方向に配向された平均磁場成分を減算することによって計算され得る。
【0031】
実施形態では、集積回路は、該アルゴリズムの少なくとも一部分を実行するように構成されている、該処理回路の一部としての第1のプログラマブルプロセッサを備える。
【0032】
処理回路は、磁気センサを含むものと同じ半導体ダイ上に実装され得るか、又は第1の半導体ダイに接続され、同じパッケージにも埋設された第2の半導体ダイ上に実装され得る。
【0033】
この集積回路は、アナログ処理回路を備え得るか、又はMAC(積和演算)命令を有するプログラマブルDSP(デジタル信号プロセッサ)コアを使用するデジタル処理回路を備え得る。
【0034】
この実施形態では、集積回路は、好ましくは、少なくとも2つ又は3つの物理値(例えば、力値、角度値など)を提供するように構成された出力を備える。
【0035】
実施形態では、磁気センサシステムは、集積回路に通信可能に接続されているが、その外側に位置する該処理回路の一部としての第2のプログラマブルプロセッサを更に備え、集積回路は、該少なくとも3つの第1及び第2の磁場成分(例えば、Bx1,Bx2,Bx3;Bz1,Bz2,Bz3)、又はそれらから導出された値を、該第2のプログラマブルプロセッサに提供するように構成されている。
【0036】
実施形態では、集積回路はプラスチック成形パッケージを含み、エラストマーは、成形パッケージの上部に配置され、かつ成形パッケージと直接接触している。いくつかの実施形態では、エラストマーは、パッケージを越えて横方向に延在しない(すなわち、パッケージによってのみ支持される)。他の実施形態では、エラストマーは、パッケージを越えて横方向に延在し得、例えば、パッケージ化されたデバイスが装着及び/又ははんだ付けされているプリント回路基板と接触し得る。
【0037】
実施形態では、定数(「係数」とも称される)の数は、12~100の範囲、又は12~80の範囲、又は18~64の範囲、又は25~45の範囲の値である。
【0038】
経験から言って、係数の数が多いほど、所与の測定範囲の精度が高くなるが、(ハードウェアに実装されている場合)回路が大きくなるか、又は(ソフトウェアに実装されている場合)計算回数が多くなる。しかしながら、発明者らは、定数の数は、計算量及び精度に影響を及ぼすだけでなく、アルゴリズムで使用される関数の種類にも影響を及ぼすことを発見した。
【0039】
実施形態では、半導体基板は、半導体基板の温度を測定するための温度センサを更に備え、半導体基板は、測定された温度に基づいて、測定された第1の磁場成分及び第2の磁場成分を補正するように構成されている。
【0040】
実施形態では、半導体基板は、半導体基板の温度を測定するための温度センサを更に備え、事前定義されたアルゴリズムは、測定された温度を追加入力として考慮に入れる。
【0041】
実施形態では、半導体基板は、半導体基板の温度を測定するための温度センサを更に備え、測定された温度は、後処理ステップで使用される。
【0042】
例えば、いくつかの実施形態では、測定された温度は、センサ素子の感度を補正するために使用される。いくつかの実施形態では、温度は、(例えば、ニューラルネットワークの)追加入力として考慮されている。いくつかの実施形態では、例えば、エラストマーが使用される場合、測定された温度は、例えば、温度依存性材料特性(例えば、より低い又はより高い剛性)を補償するために、後処理ステップで使用することができる。
【0043】
実施形態では、複数のセンサは、磁場成分(例えば、上述の第1の磁場成分及び第2の磁場成分)を2つの直交方向のみで測定するように構成される。(例えば、該第1の方向及び該第2の方向)。
【0044】
実施形態では、第1の方向(例えば、X)及び第2の方向(例えば、Y)の各々は、半導体基板に平行である。
【0045】
この実施形態では、センサは、いわゆる「面内」磁場成分(例えば、Bx及びBy)を測定する(又は測定するだけである)ように構成されている。これは、垂直ホール素子、MR素子、水平ホール素子+IMC、又はこれらの組み合わせを使用して実装され得る。
【0046】
実施形態では、第1の方向(例えば、X)が、半導体基板に平行であり、第2の方向(例えば、Z)が、半導体基板に垂直である。
【0047】
この実施形態では、センサは、いわゆる「面内」磁場成分(例えば、Bx又はBy)、及びいわゆる「面外」磁場成分(例えば、Bz)を測定する(又は測定するだけで)ように構成されている。これは、水平ホール素子及び垂直ホール素子の組み合わせを使用して、又はMR素子及び水平ホール素子の組み合わせを使用して、又は水平ホール素子及び集積磁束コンセントレータ(IMC)を使用して実装され得る。
【0048】
実施形態では、複数の磁気センサは、第1の方向に垂直であり、かつ第2の方向に垂直な第3の方向に配向された少なくとも3つの第3の磁場成分を測定するように更に構成されている。
【0049】
この実施形態では、センサは、2つの「面内」磁場成分(例えば、Bx及びBy)及び1つの「面外」磁場成分(例えば、Bz)を測定するように構成され得る。これは、水平ホール素子及び垂直ホール素子の組み合わせを使用して、又はMR素子及び水平ホール素子の組み合わせを使用して、又は水平ホール素子及びIMCを使用して実装され得る。
【0050】
実施形態では、複数のセンサは、集積磁気コンセントレータディスクを備える少なくとも1つのセンサ(好ましくは、少なくとも2つ、少なくとも3つ、又は少なくとも4つのセンサ)と、ディスクの周囲近傍に配置された3対の水平ホール素子であって、ホール素子が、120°の倍数によって角度方向に離間されている、水平ホール素子と、を備える。
【0051】
実施形態では、複数のセンサは、集積磁気コンセントレータディスクを備える少なくとも1つのセンサ(好ましくは、少なくとも2つ、又は少なくとも3つ、又は少なくとも4つのセンサ)と、ディスクの周囲近傍に配置された4対の水平ホール素子であって、45°の倍数によって角度方向に離間されている、水平ホール素子と、を備える。そのようなセンサの例を、図20及び図21に示される。
【0052】
実施形態では、半導体基板は、2×2グリッドの交差部(すなわち、仮想正方形の四隅)、又は3×3グリッドの交差部、又は4×4グリッドの交差部に位置する、複数の磁気センサを備える。好ましくは、グリッドの列及び行は、等間隔に配置されている。
【0053】
実施形態では、半導体基板は、不規則なパターンで、例えば、擬似ランダムな場所において配置されている、複数の磁気センサを備える。
【0054】
実施形態では、磁気センサのうちの少なくとも3つが、仮想円上に位置する。
【0055】
仮想円は、1.0mm~3.0mmの範囲、又は1.5mm~2.5mmの範囲、又は1.7~2.3mmの範囲の直径、例えば、約1.8mmに等しい、又は約2.0mmに等しい、又は約2.2mmに等しい直径を有し得る。
【0056】
実施形態では、半導体基板は、該仮想円上に位置し、かつ120°の倍数によって角度方向に離間された3つの磁気センサを備える。
【0057】
実施形態では、半導体基板は、該仮想円上に位置し、かつ90°の倍数によって角度方向に離間された4つの磁気センサを備える。
【0058】
実施形態では、半導体基板は、該仮想円上に位置し、かつ72°の倍数によって角度方向に離間された5つの磁気センサを備える。
【0059】
実施形態では、半導体基板は、該仮想円上に位置し、かつ60°の倍数によって角度方向に離間された6つの磁気センサを備える。
【0060】
実施形態では、半導体基板は、該仮想円の中心に位置する1つの磁気センサを更に備える。
【0061】
実施形態では、磁石は、2極磁石、例えば、2極棒磁石、又は直径方向に磁化したリング又はディスク磁石である。磁石の磁化方向は、半導体基板に略垂直に、又は半導体基板に略平行に配向され得る。
【0062】
実施形態では、磁石は、軸方向に磁化した磁石、例えば、軸方向に磁化したリング又はディスク磁石である。磁石の磁化方向は、半導体基板に略垂直に、又は半導体基板に略平行に配向され得る。
【0063】
実施形態では、センサシステムは、1つの磁石のみを備える。
【0064】
実施形態では、センサシステムは、半導体基板の上方の仮想円上に配置され、角度方向に120°離間された3つの磁石を備える。
【0065】
実施形態では、センサシステムは、半導体基板の上方の仮想円上に配置され、角度方向に90°離間された4つの磁石を備える。
【0066】
実施形態では、センサシステムは、半導体基板の上方の仮想円上に配置され、角度方向に60°離間された6つの磁石を備える。
【0067】
実施形態では、磁石は、(a)各々が、磁気センサのうちの少なくとも3つが位置する上述の仮想円の直径よりも小さい外径又は最大対角線を有する、2極ディスク磁石である。
【0068】
実施形態では、磁石は、(a)磁気センサのうちの少なくとも3つが位置する上述の仮想円の直径に実質的に等しい(±20%以内)外径又は最大対角線を有する、2極ディスク磁石である。
【0069】
実施形態では、磁石は、(a)磁気センサのうちの少なくとも3つが位置する上述の仮想円の直径よりも大きい外径又は最大対角線を有する、2極ディスク磁石である。
【0070】
実施形態では、磁石は、磁気センサの中心位置で半導体基板と交差する中心軸を有する(「軸上配置」)。
【0071】
実施形態では、磁石は、磁気センサの中心位置からオフセットされた位置で半導体基板と交差する中心軸を有する(「軸外配置」)。センサがN×Nグリッド上に配置されている場合、オフセットは、隣接する2つのグリッド線間の距離の半分であり得る。
【0072】
実施形態では、磁石は、軸方向に磁化した2極リング又はディスク磁石である。
【0073】
そのような磁石によって生成された磁場は回転不変であり、その軸周りの磁石の回転に依存しないことを意味するため、そのような磁石を使用することは有利である。よって、この磁気センサシステムは、半導体基板に垂直な軸の周りのトルクに対して感受性が低い。
【0074】
実施形態では、事前定義されたアルゴリズムは、該少なくとも2つ(又は少なくとも3つ、又は少なくとも4つ)の第1の磁場成分から、少なくとも2つ(又は少なくとも3つ、又は少なくとも4つ)の第1の差分値を導出するように、かつ、該少なくとも2つ(又は少なくとも3つ、又は少なくとも4つ)の第2の磁場成分から、少なくとも2つ(又は少なくとも3つ、又は少なくとも4つ)の第2の差分値を導出するように、かつ、該少なくとも2つ(又は少なくとも3つ、又は4つ)の第1の差分値及び該少なくとも2つ(又は少なくとも3つ、又は4つ)の第2の差分値に基づいて、該少なくとも2つ(又は少なくとも3つ、又は4つ)の物理値(例えば、力成分、又は角度、又は変位)を計算するように構成されている。
【0075】
アルゴリズムのこの部分は、磁気センサを含む集積回路の内部に実装され得、又は磁気センサを含む集積回路の外部(例えば、センサデバイスに接続された電子制御ユニット内)に実装され得、又は(例えば、いくつかの差分値のために)センサデバイスの内部に部分的に実装され得、及び(例えば、いくつかの他の差分値のために)センサデバイスの外部に部分的に実装され得ることが明確に指摘されている。
【0076】
結果が外乱場に非常に反応しにくいことは、差分値を使用することの大きな利点である。発明者らの知る限りにおいて、漂遊磁界の影響を受けない力センサは、先行技術に存在しない。
【0077】
実施形態では、事前定義されたアルゴリズムは、少なくとも1つの第1の磁場成分、又は少なくとも1つの第2の磁場成分を更に考慮に入れる。この実施形態は、理論上は、漂遊磁界の影響を受けないことが100%ではないが、それでも相対的に広範囲の漂遊磁界の排除を有し得る。
【0078】
実施形態では、少なくとも3つの第1の差分値の各々が、2つの第1の磁場成分間の対差分として判定され、少なくとも3つの第2の差分値の各々が、2つの第2の磁場成分間のペアワイズ差分対差分として判定される。
これは、「磁場勾配」と称され得、例えば、dx1=Bx1-Bx2;dx2=Bx1-Bx3,dx3=Bx2-Bx3、及びdz1=Bz1-Bz2;dz2=Bz1-Bz3,dz3=Bz2-Bz3として数学用語で記述され得る。
【0079】
実施形態では、少なくとも3つの第1の差分値の各々が、第1の磁場成分と第1の共通値との間の差分として判定され、少なくとも3つの第2の差分値の各々が、第2の磁場成分と第2の共通値との間の差分として判定される。
【0080】
第1の共通値は、第4のセンサ場所(好ましくは、中央センサの場所)で測定された第1の磁場成分であり得るか、又は少なくとも3つの第1の磁場成分の平均であり得る。これは、「平均除去」と称され得、例えば、以下のように数学用語で記述され得る(半導体基板が、各々Bx及びBzを測定する3つの2Dセンサのみを有すると仮定する):Bx_avg=(Bx1+Bx2+Bx3),Bz_avg=(Bz1+Bz2+Bz3);dx1=Bx1-Bx_avg,dx2=Bx2-Bx_avg,dx3=Bx3-Bx_avg,dz1=Bz1-Bz_avg,dz2=Bz2-Bz_avg,dz3=Bz3-Bz_avg。
【0081】
実施形態では、事前定義されたアルゴリズムは、物理値の各々を少なくとも12個の項の合計として計算するように構成されており、これらの少なくとも12個の項の各々は、該差分のうちの1つ以上の関数である。
【0082】
実施形態では、合計の各々は、機械学習によって判定される定数値を含む。
【0083】
機械学習は、典型的には、個々の製品ベースではなく、バッチベースで適用される。
【0084】
実施形態では、事前定義されたアルゴリズムは、物理値の各々を少なくとも12個の項の合計として計算するように構成されており、少なくとも2つの項は、該差分のうちの1つのみの線形式を含み、少なくとも2つの項は、該差分のうちの1つ以上の非線形式を含む。
【0085】
したがって、項のうちの少なくとも2つは、該差分のうちの1つのみの拡大縮小版、例えば、(K1*dx1)又は(K2*dx1+K3)であり、式中、定数K1、K2、K3は、機械学習によって判定される。
【0086】
実施形態では、項の各々は、該差分のうちの1つ以上の定数又は代数関数である。
【0087】
「代数関数」は、以下を含む、ある種類の関数である:「多項式関数」(例えば、定数、一次関数、二次関数、三乗関数)、及び「有理関数」(すなわち、2つの多項式関数の比率)。代数関数にはまた、絶対値関数、床関数、天井関数、符号関数などの「区分関数」も含まれる。代数関数は、指数、累乗根の指数、対数比又は三角比として独立変数が現れる関数の群である、いわゆる「超越関数」を含まない。
【0088】
言い換えると、この実施形態では、項のいずれも、指数関数、対数関数、又は三角関数(例えば、正弦、余弦、正接、余割、正割、余接)、又は逆三角関数(例えば、逆正接)ではないか、又は含まない。
【0089】
代数関数は、処理能力又は処理時間の点でより安価であり、組み込みプロセッサに実装され得るため、代数関数「のみ」を使用し、超越関数を除外することは有利である。
【0090】
実施形態では、少なくとも2つの項又は各合計が、該差分のうちの1つのみの二次式又は二次多項式であるか、又はそれを含む。
【0091】
例えば、K1*sqr(dx1)、又はK2*sqr(dx1-K3)、又はK4+(K5*dx1)+K6*(dx1)2であり、式中、K1~K6は、定数である。
【0092】
実施形態では、項のうちのいくつかは、三次多項式又は四次多項式である。
【0093】
好ましい実施形態では、項のいずれも、四次多項式を超える多項式ではない。四次以下、又は三次以下、又は二次以下の多項式を使用することは、必要な処理時間及び処理能力がより少なくてすむため、有利である。
【0094】
実施形態では、各合計は、2つの差分の積(例えば、K7*dx1*dz1)である、少なくとも1つの項を含む。
【0095】
差分信号の積を使用することは、結果の精度を向上させるのに非常に役立つことが発見された。発明者らは、いかなる理論にも拘束されることを望まないが、人間の観察者にとっては、相関関係が一目瞭然ではないが、差分の特定の積は、磁石の物理的な動きと良好な相関関係を有するようである。
【0096】
実施形態では、各合計は、2つの差分の除算(例えば、K8*dx1/dz1)である少なくとも1つの項を含む。
【0097】
2つの磁場値(例えば、差分)の比率を使用することは、そのような比率は、温度変動及び消磁効果に対して堅牢性が高いため、有利である。
【0098】
実施形態では、事前定義されたアルゴリズムは、少なくとも3つの第1の磁場成分(例えば、Bx1、Bx2、Bx3)及び少なくとも3つの第2の磁場成分(例えば、Bz1、Bz2、Bz3)を入力信号として使用し、少なくとも2つ(又は少なくとも3つ)の物理値を出力値として提供する、訓練されたニューラルネットワークによって実行される。
【0099】
事前定義されたアルゴリズムは、複数の層を有するニューラルネットワークを含み得、各層は、複数のノードを含む。
【0100】
実施形態では、ニューラルネットワークは、12~100個のノードを有する1つの層のみを含む。
【0101】
実施形態では、ニューラルネットワークは、各々が10~100個のノードを有するか、又は20~60個のノードを有する、2つの層のみを含む。
【0102】
実施形態では、ニューラルネットワークは、各々が10~100個のノードを有するか、又は各々が5~50個のノードを有する、3つの層のみを含む。
【0103】
実施形態では、ニューラルネットワークは、リカレントニューラルネットワーク(RNN)である。
【0104】
実施形態では、ニューラルネットワークは、人工ニューラルネットワーク(ANN)である。
【0105】
実施形態では、ニューラルネットワークは、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)である。
【0106】
実施形態では、事前定義されたアルゴリズムは、後処理ステップを更に含み、後処理ステップは、個々の較正試験によって判定されるオフセット値を加算又は減算することによって、判定された(例えば、上述の独自のアルゴリズムで判定された、又はニューラルネットワークで判定された)物理量を調整するように構成されている。
【0107】
「個々の較正試験」とは、個別に実行されるのではなく、典型的には、バッチベースごとに実行される機械学習とは対照的に、この試験が磁気センサシステムごとに個別に実行されることを意味する。
【0108】
この「個々の較正試験」は、好ましくは、EOL試験(最終工程試験)として実行されるか、又はOEM顧客によって実行され得る。
【0109】
力センサシステム又は力センサデバイス又はジョイスティックなどの場合、この較正試験は、以下を含み得る:(i)ゼロ力を加えながら、機械学習によって判定された複数の定数又はパラメータ(典型的には、バッチベースで判定される)を使用する事前定義されたアルゴリズムを使用して力測定を実行し、典型的には、ゼロからわずかにオフセットされた2つ又は3つの力値又は位置値をもたらすこと、及び(ii)これらの値をシステムの不揮発性メモリ、例えば、集積回路の不揮発性メモリに格納すること。
【0110】
センサデバイスの通常の使用中、まず、事前定義されたアルゴリズムを使用して、機械学習によって判定されたパラメータに基づいて2つ以上の測定値を提供し、次に、前述した較正ステップ中に測定された値を減算することによって、補正が適用される。
【0111】
両方の一番良いところを組み合わせること、すなわち、機械学習によってバッチベースで判定された複数の定数で、事前定義されたアルゴリズムを使用して測定される物理値の極めて良好な近似であるが、その後、ジョイスティックなどの「ゼロ力」又は「中立位置」が個々の製品ごとにオフセット補正されるように補正されることは、この実施形態の大きな利点である。
【0112】
実施形態では、磁石は、可撓性材料によって、集積回路に対して可撓的に装着されている。
【0113】
可撓性材料は、空隙又は中空領域のない、等方性材料からなる単層であり得る。この材料及び磁石は、磁石が3つの方向X、Y、Zに移動することができるが、その中心周りを大きく回転しない(例えば、力センサシステムの測定範囲にわたって±10°未満、又は±5°未満の回転しかしない)ように成形及びサイズ設定され得る。
【0114】
実施形態では、可撓性材料は、ポリマーである。
【0115】
実施形態では、可撓性材料は、エラストマーである。
【0116】
エラストマーは、集積回路の上方又は上部に配置され得る。好ましい実施形態では、エラストマーは、集積回路のパッケージに直接接触し得る。
【0117】
実施形態では、エラストマーは、シリコン、例えば、シリコーンゴム、例えば、天然ゴムであるか、又はそれを含む。
【0118】
実施形態では、可撓性材料は、非線形応力-ひずみ特性を有し、磁気センサシステムの測定範囲に対応する非線形応力-ひずみ特性の一部分の線形回帰係数は、0.90未満、又は0.85未満、又は0.80未満、又は0.75未満、又は0.70未満である。
【0119】
言い換えると、これらの実施形態では、この材料の応力の関数としてのひずみを示す曲線は、高度に非線形な関数である。
【0120】
実施形態では、事前定義されたアルゴリズムは、可撓性材料の温度が測定又は推定され、判定された物理量が、温度依存性材料特性を低減するように補正される、後処理ステップを更に含む。
【0121】
補正は、判定された物理量の各々に対して事前定義された補正関数を個別に使用し得る。
【0122】
補償関数は、例えば、温度依存性スケーリングであり得る。関数f(.)は、ルックアップテーブルの形態で、又は区分線形近似として、又は解析関数として、例えば多項式式として格納され得る。
【0123】
温度センサは、集積回路の内部に統合され得、この温度センサの温度は、エラストマーの推定値として使用され得る。
【0124】
実施形態では、事前定義されたアルゴリズムは、後処理ステップを更に備え、又は既に存在する場合、後処理ステップは、較正手順中に不揮発性メモリに格納された事前定義された値を減算することによって、出力値の各々についてのオフセット補正を更に備える。
【0125】
本発明はまた、第1の態様による、磁気センサシステムを備える力センサシステムを提供し、判定される少なくとも2つ又は3つの物理量は、該可撓性材料の接触表面に与える機械力の2つ又は3つの力成分(Fx,Fy,Fz)である。
【0126】
この磁気センサシステムは、「力センサシステム」と称され得、集積回路は、「力センサデバイス」と称され得る。
【0127】
力成分Fx及びFyは、典型的には、剪断力又は横力と称される。力成分Fzは、典型的には、下押し圧力と称される。
【0128】
実施形態では、可撓性材料は、例えば、パッケージ上に堆積された層として、集積回路の上方又は上部に位置し、磁石は、該可撓性材料の内部に少なくとも部分的に又は完全に埋設されている。
【0129】
複数の定数(又はパラメータ又は係数)は、Fx成分のみを有する複数の既知の力が印加される一連の試験を適用し、続いて、Fy成分のみを有する複数の既知の力が印加される別の一連の試験を適用し、続いて、Fz成分のみを有する複数の既知の力が印加される別の一連の試験を適用することによって、判定され得る。各一連の試験では、それぞれの成分値は、それぞれの事前定義された測定範囲内の値をとる。
【0130】
代替的に、複数の定数(又はパラメータ又は係数)は、三次元力が印加され、それぞれの測定範囲内にFx、Fy、Fz成分を有する一連の試験を適用することによって、判定され得る。
【0131】
実施形態では、複数の定数は、一連の既知の力を印加することによって判定され、Fx値、Fy値、及びFz値の各々は、例えば、5ステップごとに、すなわち、5×5×5=125個の異なる組み合わせで、又は6ステップごとに、すなわち、6×6×6=216個の異なる組み合わせで、又は7ステップごとに、すなわち、343個の組み合わせで、又は8ステップごとに、すなわち、512個の組み合わせで、又は9ステップごとに、すなわち、729個の組み合わせで、又は10ステップごとに、すなわち、1000個の異なる組み合わせで、それぞれの測定範囲「掃引」する。
【0132】
実施形態では、これらのステップの間、外乱場は印加されない。外乱場の影響が、意図的に(勾配、又は平均補正値を考慮することによって)実質的に排除されるということが大きな利点であることは言うまでもない。
【0133】
別の実施形態では、これらのステップの間、外乱場は印加される。外乱場は、各ステップごとに擬似ランダム値をとり得る。
【0134】
本発明はまた、少なくとも1つの力センサシステムを備えるロボット指も提供する。
【0135】
本発明はまた、少なくとも2つのロボット指を備えるロボットハンドも提供する。
【0136】
本発明はまた、ジョイスティックの2D又は3D位置を判定するためのジョイスティックシステム又はジョイスティックアセンブリも提供し、ジョイスティックシステム又はジョイスティックアセンブリは、第1の態様による磁気センサシステムと、少なくとも2つの自由度で集積回路に対して移動可能であるジョイスティックと、を備え、磁石は、ジョイスティックに固定的に接続されている。
【0137】
例えば、ジョイスティックシステムは、例えば、図25に示されるように、ジョイスティックの位置を示すための2つの角度値を判定し得る。ジョイスティックは、旋回点の周りを回転可能であり得る。旋回点は、磁石の上方に位置し得る。言い換えると、磁石は、旋回点と半導体基板との間に位置し得る。
【0138】
ジョイスティックは、家電用途(例えば、ゲーム用)で、又は農業用車両用に使用され得る。
【0139】
ジョイスティックの例示的な実施形態は、ベアリングを含み、それによって、操作レバーは、ハウジングに対して少なくとも2つの自由度で移動するように装着されている。操作レバーは、長手方向にベアリングの異なる側面上で互いに対向している、ユーザによって移動可能な部分と、内側部分と、を有する。磁石は、操作レバー上に配置されている。複数の磁気センサを有する半導体基板は、ハウジングに対して固定された場所に配置されている。
【0140】
本発明はまた、サムスティックの2D又は3D位置を判定するためのサムスティックシステム又はサムスティックアセンブリも提供し、サムスティックシステム又はアセンブリは、第1の態様による磁気センサシステムと、2つ又は3つの自由度で集積回路に対して移動可能であるサムスティックと、を備え、磁石は、サムスティックに固定的に接続されている。
【0141】
サムスティックシステムは、ジョイスティックの位置を示すために、例えば、2つの横変位値を判定し得、また、任意選択的に、ドラムスティックが押された(又は押し下げられた)かどうかを示し得る。
【0142】
別の態様によれば、本発明はまた、集積回路に対して移動可能であり、磁場を生成するように構成された永久磁石の位置に関連する少なくとも2つの物理量(例えば、2D又は3D力ベクトル、2D又は3D変位ベクトル、ジョイスティックの2D又は3D位置、サムスティックの2D又は3D位置)を測定する方法であって、本方法は、a)第1の方向(例えば、X)に配向された少なくとも2つ(又は少なくとも3つ)の第1の磁場成分(例えば、Bx1,Bx2;Bx1,Bx2,Bx3)を測定するステップと、b)第1の方向(例えば、X)に垂直な第2の方向(例えば、Y又はZ)に配向された少なくとも2つ(又は少なくとも3つ)の第2の磁場成分(例えば、Bz1,Bz2;Bz1,Bz2,Bz3)を測定するステップと、c)測定された第1の磁場成分及び第2の磁場成分(例えば、Bx1,Bx2,Bx3;Bz1,Bz2,Bz3)を入力として使用し、機械学習を使用して判定された複数の少なくとも8つ(又は少なくとも12個、又は少なくとも16個)の定数(又は係数又はパラメータ)を使用する事前定義されたアルゴリズムを使用して、該少なくとも2つの物理量を判定するステップと、を含む。
【0143】
実施形態では、方法は、上述の特徴のうちの1つ以上を有する。
【0144】
別の態様によれば、本発明はまた、複数のセンサであって、図3(a)~図21のいずれかに示されるようなトポロジ、又は[発明を実施するための形態]に記載のそれらの変形を有する、複数のセンサを備え、ブロック2222(感度補正)と、図22(a)及び図22(b)に示されるブロック2224(平均除去)及び2232(勾配計算)の一方又は両方と、を有し、例えば、I2C又はSPI又はSENTプロトコルを使用する、例えば、シリアルバスを介して、ブロック2223又は2232によって提供された値を出力するように構成されている、集積半導体デバイスも提供する。
【0145】
別の態様によれば、本発明はまた、半導体基板を備える集積回路であって、半導体基板は、第1の方向(例えば、X)に配向された少なくとも2つ(又は少なくとも3つ、又は少なくとも4つ)の第1の磁場成分(例えば、Bx1、Bx2)を測定するように、かつ、第1の方向(例えば、X)に、例えば、垂直な第2の方向(例えば、Y又はZ)に配向された少なくとも2つ(又は少なくとも3つ、又は少なくとも4つ)の第2の磁場成分(例えば、Bz1、Bz2)を測定するように構成されている、複数の磁気センサを備える、集積回路と、集積回路に対して移動可能であり、磁場を生成するように構成されている、永久磁石と、(集積回路の内部又は外部の)処理回路であって、該磁場成分から導出された少なくとも2つの磁場勾配(例えば、dBx/dx、dBz/dx)を判定するように、かつ、該少なくとも2つの磁場勾配に基づいて1つ又は2つ又は3つの力成分(例えば、Fx、Fy、Fz)を判定するように構成された処理回路と、を備える、力センサデバイス又はシステムも提供する。
【0146】
別の態様によれば、本発明はまた、半導体基板を備える集積回路であって、半導体基板は、第1の方向に配向された少なくとも3つ又は少なくとも4つの磁場成分を測定するように構成され、又は、第1の方向に配向された少なくとも第1の磁場成分及び第2の磁場成分を測定するように構成され、及び、第2の方向に配向された少なくとも第3の磁場成分及び第4の磁場成分を測定するように構成されている、複数の磁気センサを備える、集積回路と、永久磁石であって、可撓性材料によって、集積回路に可撓的に装着され、磁場を生成する、永久磁石と、該磁場成分の少なくとも2つ又は少なくとも3つの対差分に基づいて、センサデバイスに対する磁石の位置に関連する、又は可撓性材料に与える力又は圧力に関連する、少なくとも1つの物理量又は少なくとも2つの物理量を判定するために構成された処理回路と、を備える、力センサデバイスも提供する。
【0147】
実施形態では、処理回路は、磁気センサと同じ半導体基板上に実装される。別の実施形態では、処理回路は、第1の半導体基板(例えば、CMOS基板)上に実装され、磁気センサは、第1の半導体基板の隣に、又は第1の半導体基板の上部に、又は第1の半導体基板の下方に装着された1つ以上のセンサ基板(例えば、CMOS、Ga-As、Ga-In、又はIn-Sb)上に実装される。
【0148】
実施形態では、第2の方向は、第1の方向と同じである。別の実施形態では、第2の方向は、第1の方向とは異なり、例えば、第1の方向に直交する。
【0149】
力センサデバイスは、1つ以上の事前定義された関数を使用して該物理量を判定するように構成され得る。この関数又はこれらの関数は、処理回路の不揮発性メモリに、例えば、数式の形態で、例えば、複数の係数を有する(例えば、3~30個の係数を有する、例えば、少なくとも3つ又は少なくとも4つ又は少なくとも6つ又は少なくとも8つ又は少なくとも12個の係数を有する)多項式として、又は、3~15個の項を有する(例えば、少なくとも3つの項、又は少なくとも4つの項、又は少なくとも6つの項、又は少なくとも8つの項、又は少なくとも10個の項、又は少なくとも12個の項を有する)合計の形態で、又は、ルックアップテーブルの形態で、格納され得る。いくつかの項は、磁場差の二乗であり得るか、又は同じ方向に離間されたセンサ対から得られた2つの磁場差の外積であり得るか、又は、異なる方向に離間されたセンサ対から得られた2つの磁場差の外積であり得る。
【0150】
係数又はパラメータは、機械学習を使用して判定され得る。代替的に、係数又はパラメータは、例えば、曲線適合技法、線形回帰技法若しくは非線形回帰技法、又は線形モデル若しくは非線形モデルを使用するなど、古典的技法を使用して判定される。
【0151】
力センサデバイスは、3つの1Dピクセル、又は4つの1Dピクセル、又は3つの2Dピクセル、又は4つの2Dピクセル、又は5つの2Dピクセル、又は6つの2Dピクセル、又は7つの2Dピクセル、又は8つの2Dピクセル、又は9つの2Dピクセル、又は4つの2Dピクセル及び1つの3Dピクセル、又は4つの3Dピクセル、又は5つの3Dピクセル、又は9つの3Dピクセルを有し得る。
【0152】
実施形態では、少なくとも2つの対差分が判定されるか、又は少なくとも3つの対差分が判定されるか、又は少なくとも4つの対差分、又は少なくとも6つの対差分、又は少なくとも8つの対差分が判定され、出力値は、これらの対差分に基づいて判定される。
【0153】
本発明の特定の及び好ましい態様は、添付の独立請求項及び従属請求項に記載されている。従属請求項からの特徴は、必要に応じて独立請求項の特徴及び他の従属請求項の特徴と組み合わせることができ、単に特許請求の範囲に明示的に記載されるものだけではない。
【0154】
本発明のこれら及び他の態様は、以下に説明される実施形態から明らかであり、それらを参照して解明されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0155】
図1】当技術分野で公知のセンサ回路の概略的なブロック図である。
図2】当技術分野で公知のセンサ回路の概略的なブロック図である。
図3(a)】半導体基板に対して移動可能な永久磁石を備える、磁気センサシステムの例示的な実施例の概略図である。
図3(b)】並んで配置された2つの半導体基板に対して移動可能な永久磁石を備える、磁気センサシステムの別の例示的な実施例の概略図である。
図4】本発明の実施形態で使用することができるようなセンサ回路の概略的なブロック図である。
図5】本発明の実施形態で使用することができるようなセンサ回路の概略的なブロック図である。
図6】本発明の実施形態で使用することができるようなセンサ回路の概略的なブロック図である。
図7(a)】本発明の実施形態で使用することができるようなセンサ回路の概略的なブロック図である。
図7(b)】本発明の実施形態で使用することができるようなセンサ回路の概略的なブロック図である。
図8】本発明の実施形態で使用することができるようなセンサ回路の概略的なブロック図である。
図9】本発明の実施形態で使用することができるようなセンサ回路の概略的なブロック図である。
図10】本発明の実施形態で使用することができるようなセンサ回路の概略的なブロック図である。
図11(a)】本発明の実施形態で使用することができるようなセンサ回路の概略的なブロック図である。
図11(b)】本発明の実施形態で使用することができるようなセンサ回路の概略的なブロック図である。
図11(c)】本発明の実施形態で使用することができるようなセンサ回路の概略的なブロック図である。
図11(d)】本発明の実施形態で使用することができるようなセンサ回路の概略的なブロック図である。
図12】本発明の実施形態で使用することができるようなセンサ回路の概略的なブロック図である。
図13】本発明の実施形態で使用することができるようなセンサ回路の概略的なブロック図である。
図14(a)】本発明の実施形態で使用することができるようなセンサ回路の概略的なブロック図である。
図14(b)】本発明の実施形態で使用することができるようなセンサ回路の概略的なブロック図である。
図15(a)】本発明の実施形態で使用することができるようなセンサ回路の概略的なブロック図である。
図15(b)】本発明の実施形態で使用することができるようなセンサ回路の概略的なブロック図である。
図16】本発明の実施形態で使用することができるようなセンサ回路の概略的なブロック図である。
図17(a)】本発明の実施形態で使用することができるようなセンサ回路の概略的なブロック図である。
図17(b)】本発明の実施形態で使用することができるようなセンサ回路の概略的なブロック図である。
図18】本発明の実施形態で使用することができるようなセンサ回路の概略的なブロック図である。
図19(a)】本発明の実施形態で使用することができるようなセンサ回路の概略的なブロック図である。
図19(b)】本発明の実施形態で使用することができるようなセンサ回路の概略的なブロック図である。
図20】本発明の実施形態で使用することができるようなセンサ回路の概略的なブロック図である。
図21】本発明の実施形態で使用することができるようなセンサ回路の概略的なブロック図である。
図22(a)】本発明によって提案された磁気センサシステムの概略的なブロック図を示す。
図22(b)】本発明によって提案された別の磁気センサシステムの概略的なブロック図を示す。
図23(a)】本発明の実施形態で使用され得る機械的装置又はセンサアセンブリの実施例を示す。
図23(b)】本発明の実施形態で使用され得る機械的装置又はセンサアセンブリの実施例を示す。
図23(c)】本発明の実施形態で使用され得る機械的装置又はセンサアセンブリの実施例を示す。
図23(d)】本発明の実施形態で使用され得る機械的装置又はセンサアセンブリの実施例を示す。
図23(e)】本発明の実施形態で使用され得る機械的装置又はセンサアセンブリの実施例を示す。
図24(a)】力センサシステムの試作品の画像を示す。
図24(b)】力センサシステムの試作品の画像を示す。
図24(c)】既知の力を印加するために使用される機械的設定の画像を示す。
図25(a)】半導体基板に垂直な方向に配向された力Fzを印加したときの、Bx及びBzの測定値の結果を示す。
図25(b)】半導体基板に垂直な方向に配向された力Fzを印加したときの、Bx及びBzの測定値の結果を示す。
図26】エラストマーを含む本発明の実施形態をシミュレートするために使用することができる、機械的装置のコンピュータモデルを示す。
図27(a)】較正設定によって測定された力と、力センサアルゴリズムによって予測された力との対応状況を示す。
図27(b)】較正設定によって測定された力と、力センサアルゴリズムによって予測された力との対応状況を示す。
図27(c)】「力誤差ヒストグラム」を示す。
図27(d)】「力誤差ヒストグラム」を示す。
図28】平均除去ブロックを使用する場合及び使用しない場合の、X方向に印加された外乱場の関数としての測定剪断力Fxの誤差を例示するグラフである。
図29】磁石の変位に対して半導体基板に向かう方向に配向された力Fzの大きさを例示するグラフを示す。
図30】本発明の実施形態で使用することができるようなセンサデバイス3010の概略的なブロック図である。
図31】本発明の原理を使用して、ジョイスティックアセンブリの傾斜角度φ及びψを判定することもできることを示すために使用される。
図32】本発明によって提案された、永久磁石の位置に関連する少なくとも2つの物理量を測定する方法3200のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0156】
図面は、概略のみであり、非限定的である。図面では、素子のいくつかのサイズは、説明の目的のために誇張されている場合があり、縮尺どおりに描かれていない場合がある。特許請求の範囲におけるいずれの参照符号も、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。異なる図面では、同じ参照符号は、同じ又は類同の素子を指す。
【0157】
本発明は、特定の実施形態に関して、及び特定の図面を参照して説明されるが、本発明はそれに限定されるものではなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【0158】
本明細書及び特許請求の範囲における第1の、第2のなどの用語は、類似の要素を区別するために使用され、時間的、空間的、順位付け、又は任意の他の様式で、必ずしも順序を記述するために使用されるものではない。そのように使用される用語は、適切な状況下で交換可能であり、本明細書に記載の本発明の実施形態は、本明細書に記載又は図示される以外の順序で動作可能であることを理解されたい。
【0159】
本明細書及び特許請求の範囲における上、下などの用語は、説明の目的のために使用され、必ずしも相対位置を説明するために使用されるものではない。そのように使用される用語は、適切な状況下で交換可能であり、本明細書に記載の本発明の実施形態は、本明細書に記載又は図示される以外の方向で動作可能であることを理解されたい。
【0160】
特許請求の範囲において使用される「備える(comprising)」という用語は、その後に列挙される手段に限定されるものと解釈されるべきではなく、他の要素又はステップを除外しないことに留意されたい。したがって、言及される場合、述べられた特徴、要素、ステップ又は構成要素の存在を指定するものと解釈すべきであるが、1つ以上の他の特徴、要素、ステップ、構成要素、若しくはそれらの集合の存在又は追加を排除するものではない。したがって、「手段A及び手段Bを備えるデバイス」という表現の範囲は、構成要素A及び構成要素Bのみからなるデバイスに限定されるべきではない。これは、本発明に関して、デバイスのただ関連する構成要素がA及びBであることを意味する。
【0161】
本明細書全体を通して「一実施形態」又は「実施形態」への言及は、実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造又は特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通して様々な個所における「一実施形態では」又は「実施形態では」という句の出現は、必ずしも全てが同じ実施形態を指しているものではないが、そうである場合もある。更に、特定の特徴、構造、又は特性は、本開示から当業者に明らかであるように、1つ以上の実施形態において任意の好適な様式で組み合わせることができる。
【0162】
同様に、本発明の例示的な実施形態の説明において、本発明の様々な特徴が、本開示を合理化し、様々な発明の態様のうちの1つ以上の理解を助ける目的で、単一の実施形態、図面、又はその説明にまとめられることがあることを理解されたい。しかしながら、この開示方法は、特許請求される発明が、各特許請求項に明示的に列挙されるよりも多くの特徴を必要とするという意図を反映していると解釈されるべきではない。むしろ、以下の特許請求の範囲が反映するように、発明の態様は、前述の開示された単一の実施形態の全ての特徴よりも少ない。したがって、[発明を実施するための形態]に続く特許請求の範囲は、この[発明を実施するための形態]に明示的に組み込まれ、各請求項は、本発明の別個の実施形態として独立している。
【0163】
更に、本明細書に記載のいくつかの実施形態は、他の実施形態に含まれるいくつかではあるが他ではない特徴を含むが、当業者によって理解されるように、異なる実施形態の特徴の組み合わせは、本発明の範囲内であることを意味し、異なる実施形態を形成する。例えば、以下の特許請求の範囲では、特許請求される実施形態のいずれも、任意の組み合わせで使用することができる。
【0164】
本明細書に提供される説明では、多数の具体的な詳細が記載されている。しかしながら、本発明の実施形態は、これらの具体的な詳細なしに実施され得ることが理解される。他の例では、周知の方法、構造、及び技法は、この説明の理解を不明瞭にしないために詳細に示されていない。
【0165】
この文書では、特に明示的に言及されない限り、「磁気センサデバイス」又は「センサデバイス」という用語は、好ましくは、半導体基板に集積された少なくとも2つの磁気センサ素子を備えるデバイスを指す。センサデバイスは、「チップ」とも呼ばれるパッケージに含まれ得るが、それは絶対的に必要ではない。
【0166】
この文書では、「センサ素子」又は「磁気センサ素子」という用語は、単一の垂直ホール素子又は単一の水平ホール素子又は単一の磁気抵抗素子(例えば、GMR素子又はXMR素子)を指す。
【0167】
この文書では、「磁気センサ」又は「磁気センサ構造」という用語は、例えば、少なくとも2つの磁気センサ素子のグループ、又は4つのMR素子を含むホイートストーンブリッジなどの、磁気量を測定することができる構成要素のグループ又はサブ回路又は構造を指し得る。
【0168】
本発明の特定の実施形態では、「磁気センサ」又は「磁気センサ構造」という用語は、集積磁束コンセントレータとしても知られる1つ以上の集積磁気コンセントレータ(IMC)と、IMCの周囲近傍に配置された2つ又は4つ又は8つの水平ホール素子と、を備える構成を指し得る。
【0169】
この文書では、「磁場ベクトルの面内成分」及び「センサ面内の磁場ベクトルの正射影」という表現は、同じことを意味する。センサデバイスが半導体基板であるか、又は半導体基板を含む場合、これはまた、「半導体基板に平行な磁場成分」も意味する。
【0170】
この文書では、「ベクトルの面外成分」及び「ベクトルのZ成分」及び「センサ面に垂直な軸上のベクトルの正射影」という表現は、同じことを意味する。
【0171】
本発明の実施形態は、典型的には、センサデバイスに固定され、X軸及びY軸が基板に平行であり、Z軸が基板に垂直である3つの軸X、Y、Zを有する、直交座標系を使用して説明される。
【0172】
この文書では、「空間微分」又は「導関数」又は「空間的勾配」又は「勾配」という表現は、同義語として使用される。本発明の文脈では、勾配は、典型的には、1.0mm~3.0mmの範囲の距離だけ離間され得る2つの異なる場所で測定された2つの値の差分として判定される。理論上は、勾配は、センサ場所間の距離「dx」で割った2つの値の差分として計算されるが、実際には、いずれにせよ測定信号を拡大縮小する必要があるため、「dx」による除算は省略されることが多い。
【0173】
この文書では、水平ホールプレートは、典型的には、H1、H2などで称され、これらの水平ホールプレートからの信号は、典型的には、h1、h2などで称され、垂直ホールプレートは、典型的には、V1、V2などで称され、これらの垂直ホールプレートからの信号は、典型的には、v1、v2などで称される。
【0174】
この文書では、機械学習又は深層学習を指すとき、「複数の係数」、又は「複数のパラメータ」、又は「複数の定数」という用語は、これらの値が行列内の係数として、又はオフセット値として、又は倍率として使用されるかどうかに関わらず、同じことを意味する。
【0175】
本発明は、概して、磁気センサデバイス、システム及び方法の分野に関し、より具体的には、半導体基板に対する磁石の位置が、例えば、力成分、又はジョイスティックの傾斜角度、又はサムスティックの横方向位置などの、少なくとも2つの物理量を示す、磁気センサデバイス、システム及び方法に関する。
【0176】
図面を参照する。
図1は、当技術分野で公知のセンサ回路の概略的なブロック図である。センサ回路は、第1のセンサ場所X1にある第1のセンサ(又はセンサ構造)と、X軸に沿った第2のセンサ場所X2にある第2のセンサ(又はセンサ構造)とを備え、各センサ構造は、集積磁気コンセントレータ(IMC)と、本明細書では「2D磁気ピクセル」とも称される、IMCの両側に配置された2つの水平ホール素子と、を備える。これらの2D磁気ピクセルの各々は、IMCディスクの中心でBx磁場成分及びBz磁場成分を測定することができる。2つの2Dピクセルを有する図1のセンサ回路を使用して、X軸に沿った2つの磁場勾配dBx/dx及びdBz/dxを判定することができる。
【0177】
図2は、図1の変形である、当技術分野で公知のセンサ回路の概略的なブロック図である。このセンサ回路は、第1のセンサ場所X1にある第1のセンサ構造と、X軸に沿った第2のセンサ場所X2にある第2のセンサ構造とを備え、各センサ構造は、集積磁気コンセントレータ(IMC)と、本明細書では「3D磁気ピクセル」とも称される、IMCの周囲に配置された4つの水平ホール素子と、を備える。4つの水平ホール素子のうちの2つは、X軸上に位置し、4つの水平素子のうちの他の2つは、X軸に垂直なY軸上に位置する。2つの3Dピクセルを有する図2のセンサ回路を使用して、X軸に沿った3つの磁場勾配dBx/dx、dBy/dx及びdBz/dxを判定することができる。
【0178】
図3(a)は、半導体基板に対して移動可能な永久磁石を備える、磁気センサシステムの例示的な実施例の概略図である。半導体基板は、複数の磁気センサを備える。図3(a)には明示的に示されていないが、半導体基板は、パッケージ化されたデバイスに埋設され得、磁石は、パッケージ化されたデバイスの上方又は上部に位置するエラストマーに埋設され得る。磁石は、軸方向に磁化した2極ディスク磁石であり得る。
【0179】
図3(b)は、並んで配置された、各々が複数の磁気センサを備える2つの半導体基板に対して移動可能な永久磁石を備える、磁気センサシステムの別の例示的な実施例の概略図である。図3(b)には明示的に示されていないが、半導体基板は、単一のパッケージ化されたデバイスに埋設され得、磁石は、パッケージ化されたデバイスの上方又は上部に位置するエラストマーに埋設され得る。磁石は、軸方向に磁化した2極ディスク磁石であり得る。
【0180】
図4は、本発明の実施形態で使用することができるようなセンサ回路の概略的なブロック図である。センサ回路は、仮想円上に位置する3つの2D磁気ピクセルを備える。図示例では、3つのセンサは、120°の倍数によって角度方向に離間されている。各センサは、半導体表面に平行なBx磁場成分(「面内磁場成分」とも称される)と、半導体表面に垂直なBz磁場成分(「面外磁場成分」とも称される)と、を測定することができる。このセンサ回路は、本明細書では、第1のセンサ場所で(Bx1,Bz1)、第2のセンサ場所で(Bx2,Bz2)、及び第3のセンサ場所で(Bx3,Bz3)と称され得る、磁石によって生成された磁場の6つの磁場成分を測定することができる。このセンサ回路が、図3(a)又は図3(b)の磁気センサシステム又はその変形で使用される場合、磁石は、好ましくは、仮想円の中心の上方に実質的に位置する。
【0181】
図5は、本発明の実施形態で使用することができるようなセンサ回路の概略的なブロック図である。このセンサ回路は、4つの2D磁気ピクセルを備え、そのうちの3つは仮想円上に位置し、そのうちの1つは仮想円の中心に位置する。図5のセンサ回路は、中心に追加の2D磁気ピクセルロケータを有する図4のセンサ回路の変形とみなすことができる。このセンサ回路は、本明細書では、第1のセンサ場所で(Bx1,Bz1)、第2のセンサ場所で(Bx2,Bz2)、第3のセンサ場所で(Bx3,Bz3)、及び第4のセンサ場所で(Bx4,Bz4)と称され得る、磁石によって生成された磁場の8つの磁場成分を測定することができる。このセンサ回路が、図3(a)又は図3(b)の磁気センサシステム又はその変形で使用される場合、磁石は、好ましくは、仮想円の中心の上方に実質的に位置する。
【0182】
図5の変形(図示せず)では、中心に位置するセンサは、2D磁気ピクセルの代わりに3D磁気ピクセルであり(例えば、図13及び図15のように)、第4のセンサ場所で3つの直交磁場成分Bx4、By4、Bz4を測定するように構成されている。
【0183】
図6は、本発明の実施形態で使用することができるようなセンサ回路の概略的なブロック図である。このセンサ回路は、4つの1D磁気ピクセルを備え、そのうちの3つは仮想円上に位置し、そのうちの1つは仮想円の中心に位置する。図示例では、各センサは、水平ホール素子である。このセンサ回路は、本明細書では、第1のセンサ場所で(Bz1)、第2のセンサ場所で(Bz2)、第3のセンサ場所で(Bz3)、及び第4のセンサ場所で(Bz4)と称され得る、磁石によって生成された磁場の4つの磁場成分を測定することができる。このセンサ回路が、図3(a)又は図3(b)の磁気センサシステム又はその変形で使用される場合、磁石は、好ましくは、仮想円の中心の上方に実質的に位置する。
【0184】
発明者らは、少なくとも理論上は、これらの4つのセンサ信号は、磁気外乱場の存在下でさえ、Bz_extのみが未知であるため(この場合、Bx_ext及びBy_extは重要でない)、半導体基板に対する磁石の3D位置、又は該位置に関連する物理量を一意に判定するのに十分なはずであるという驚くべき洞察に達した。
【0185】
図6の変形(図示せず)では、センサ回路は、5つの水平ホール素子を含み、そのうちの4つは、仮想円上に位置し、90°の倍数によって角度方向に離間され、そのうちの1つは、仮想円の中心に位置する。このセンサ回路は、Bz1~Bz5を測定することができる。
【0186】
図6の変形例(図示せず)では、センサ回路は、各々が、半導体基板に平行な単一の方向、例えばX方向に配向された最大感度の軸を有する、4つの垂直ホール素子を含む。このセンサ回路は、Bx1~Bx4を測定することができる。更なる変形例では、センサ回路は、仮想円の中心に位置する第5の垂直ホール素子を含む。
【0187】
図6の変形例(図示せず)では、センサ回路は、各々が、半導体基板に平行な単一の方向、例えばX方向に配向された最大感度の軸を有する、4つの磁気抵抗(MR)素子を含む。このセンサ回路は、Bx1~Bx4を測定することができる。更なる変形例では、センサ回路は、仮想円の中心に位置する第5のMR素子を含む。
【0188】
図6の変形例(図示せず)では、センサ回路は、各々が、半導体基板に垂直な方向にBzを測定するように構成されている、水平ホール素子(IMCなし)のアレイを含み、半導体基板は、例えば、N×Mグリッド上に位置し、N及びMは、2~5の範囲の整数値であり、例えば、2×4グリッド、3×3グリッド、3×4グリッド、3×5グリッド、4×4グリッドなどである。グリッド線は、垂直であり得るが、それは絶対的に必要ではない。平行なグリッド線間の距離は一定であり得るが、それもまた絶対的に必要ではない。アレイの全ての場所が、ホール素子によって占有される必要はない。
【0189】
図6の別の変形例(図示せず)では、センサ回路は、複数の少なくとも4つの磁気センサを含み、ランダム又は擬似ランダムな場所に位置し、例えば、円、又は正方形又はグリッド上に位置せず、及び/又は互いに等間隔に離間されておらず、各々が、半導体基板に垂直な方向にBzを測定するように構成されている、水平ホール素子(IMCなし)のみである。
図7(a)は、本発明の実施形態で使用することができるようなセンサ回路の概略的なブロック図である。このセンサ回路は、仮想円上に位置し、90°の倍数によって角度方向に離間された、4つの2D磁気ピクセルを備える。このセンサ回路は、本明細書では、第1のセンサ場所で(Bx1,Bz1)、第2のセンサ場所で(Bx2,Bz2)、第3のセンサ場所で(Bx3,Bz3)、及び第4のセンサ場所で(Bx4,Bz4)と称され得る、磁石によって生成された磁場の8つの磁場成分を測定することができる。このセンサ回路が、図3(a)又は図3(b)の磁気センサシステム又はその変形で使用される場合、磁石は、好ましくは、仮想円の中心の上方に実質的に位置する。
【0190】
図7(b)は、全ての2Dピクセルが45°回転する、図7(a)の変形を示す。
【0191】
図8は、本発明の実施形態で使用することができるようなセンサ回路の概略的なブロック図である。このセンサ回路は、5つの2D磁気ピクセルを備え、そのうちの4つは仮想円上に位置し、90°の倍数によって角度方向に離間され、そのうちの1つは仮想円の中心に位置する。図8のセンサ回路は、中心に追加の2D磁気ピクセルロケータを有する図7のセンサ回路の変形とみなすことができる。このセンサ回路は、本明細書では、第1のセンサ場所で(Bx1,Bz1)、第2のセンサ場所で(Bx2,Bz2)、第3のセンサ場所で(Bx3,Bz3)、第4のセンサ場所で(Bx4,Bz4)、及び第5のセンサ場所で(Bx5,Bz5)と称され得る、磁石によって生成された磁場の10個の磁場成分を測定することができる。このセンサ回路が、図3(a)又は図3(b)の磁気センサシステム又はその変形で使用される場合、磁石は、好ましくは、仮想円の中心の上方に実質的に位置する。
【0192】
図8の変形(図示せず)では、中心に位置するセンサS5は、2D磁気ピクセルの代わりに3D磁気ピクセルであり(例えば、図13及び図15のように)、第5のセンサ場所で3つの直交磁場成分Bx5、By5、Bz5を測定するように構成されている。
【0193】
図9は、本発明の実施形態で使用することができるようなセンサ回路の概略的なブロック図である。このセンサ回路は、3つの行及び3つの列を有するグリッド上に位置する、3×3=9つの2D磁気ピクセルのアレイを含む。このセンサ回路は、各々2つの磁場成分(Bx,Bz)からなる9つのセット、したがって、合計で2×9=18個の磁場成分を測定することができる。X方向は、行の方向に平行であり、列の方向に直交している。このセンサ回路が、図3(a)又は図3(b)の磁気センサシステム又はその変形で使用される場合、磁石は、好ましくは、中央センサの場所の上方(その初期位置)に実質的に位置する。
【0194】
図10は、本発明の実施形態で使用することができるようなセンサ回路の概略的なブロック図である。このセンサ回路は、3つの行及び3つの列を有するグリッド上に位置する、3×3=9つの2D磁気ピクセルのアレイを含む。このセンサ回路は、各々2つの磁場成分(Bu,Bz)からなる9つのセット、したがって、合計で2×9=18個の磁場成分を測定することができる。X方向が行の方向に平行に選択され、Y方向が列の方向に平行に選択される場合、U方向は、X方向と45°の角度を形成する。図10のセンサ回路は、センサの各々が、Z軸の周りを45°回転する、図9のセンサ回路の変形とみなすことができる。このセンサ回路が図3(a)又は図3(b)の磁気センサシステム又はその変形で使用されるとき、磁石は(その初期位置にある場合)、好ましくは、中央センサの場所の上方に実質的に位置する。
【0195】
図11は、本発明の実施形態で使用することができるようなセンサ回路の概略的なブロック図である。このセンサ回路は、3つの行及び3つの列を有するグリッド上に位置する、8つの2D磁気ピクセルを含む。このセンサ回路は、中央センサが省略され、各センサの2つのホール素子が、中心位置を通過する仮想線上に位置する、図9のセンサ回路の変形とみなすことができる。
【0196】
図11の変形例(図示せず)では、センサ回路は、図11(b)に描写されるように、行及び列の方向に平行な仮想線上に位置する4つの水平ホール素子のみを有する3D磁気ピクセルを更に備える。
【0197】
図11の変形例(図示せず)では、センサ回路は、図11(c)に描写されるように、行及び列の方向に対して45°の角度を形成する仮想線上に位置する4つの水平ホール素子のみを有する3D磁気ピクセルを更に備える。
【0198】
図11の変形例(図示せず)では、センサ回路は、図11(d)に描写されるように、45°の倍数によって離間された8つの水平ホール素子を有する3D磁気ピクセルを更に備え、そのうちの2つは行に位置し、そのうちの2つは列に位置する。
【0199】
図12は、本発明の実施形態で使用することができるようなセンサ回路の概略的なブロック図である。このセンサ回路は、仮想円上に位置する4つの2D磁気ピクセルを備える。各センサの2つのホール素子は、半径方向に配向されたセグメント上に位置する。このセンサ構造は、第1のセンサ場所で(Bx1,Bz1)を測定することができ、第2のセンサ場所で(Bx2,Bz2)を測定することができ、第3のセンサ場所で(By3,Bz3)を測定することができ、第4のセンサ場所で(By4,Bz4)を測定することができ、したがって、合計で8つの磁場成分を測定することができる。
【0200】
図13は、本発明の実施形態で使用することができるようなセンサ回路の概略的なブロック図である。このセンサ回路は、仮想円の中心に3D磁気ピクセルを更に備える、図12のセンサ回路の変形とみなすことができる。このセンサ回路は、(4×2)+(1×3)=8+3=11個の磁場成分を測定することができる。
【0201】
図14(a)は、本発明の実施形態で使用することができるようなセンサ回路の概略的なブロック図である。このセンサ回路は、仮想円上に位置し、90°の倍数によって離間された、4つの3D磁気ピクセルを備える。この例では、各センサは、4つの水平ホール素子を有するIMCディスクを備え、そのうちの2つは、X方向に平行な仮想線上に位置し、そのうちの2つは、Y方向に平行な仮想線上に位置する。このセンサ回路は、4つのセンサ場所で2つの面内磁場成分(Bx,By)を測定することができ、4つのセンサ場所で面外磁場成分Bzを測定することができ、したがって、合計で16個の磁場成分を測定することができる。言い換えれば、このセンサ回路は、仮想円に正接する4つの磁場成分と、仮想円に対して半径方向に配向された4つの磁場成分と、軸方向に配向された4つの磁場成分と、を測定することができる。
【0202】
図14(b)は、本発明の実施形態で使用することができるようなセンサ回路の概略的なブロック図である。このセンサ回路は、各センサが、半導体基板に垂直なZ軸に対して45°回転する、図14(a)のセンサ回路の変形とみなすことができる。
【0203】
図15(a)は、本発明の実施形態で使用することができるようなセンサ回路の概略的なブロック図である。このセンサ回路は、仮想円の中心に位置する3D磁気ピクセルを更に備える、図14(a)のセンサ回路の変形とみなすことができる。このセンサ回路は、(5×3)=15個の磁場成分を測定することができる。
【0204】
図15(b)は、本発明の実施形態で使用することができるようなセンサ回路の概略的なブロック図である。このセンサ回路は、各センサが、半導体基板に垂直なZ軸に対して45°回転する、図15(a)のセンサ回路の変形とみなすことができる。
【0205】
図16は、本発明の実施形態で使用することができるようなセンサ回路の概略的なブロック図である。このセンサ回路は、3つの行及び3つの列を有するグリッド上に位置する、3×3=9つの3D磁気ピクセルのアレイを含む。このセンサ回路は、各々3つの直交磁場成分(Bx,By,Bz)からなる9つのセット、したがって、合計で3×9=27個の磁場成分を測定することができる。このセンサ回路は、各2D磁気ピクセルが3D磁気ピクセルで置き換えられた、図9のセンサ回路の変形とみなすことができる。
【0206】
図16の変形例(図示せず)では、各センサは、半導体基板に垂直なZ軸の周りを45°回転する。このセンサは、3つの直交磁場成分(Bu,Bv,Bz)からなる9つのセットと、U方向に配向された9つの成分と、V方向に配向された9つの成分と、Z方向に配向された9つの成分と、を測定することができる。
【0207】
図17(a)は、本発明の実施形態で使用することができるようなセンサ回路の概略的なブロック図である。このセンサ回路は、図12のセンサ回路の変形とみなすことができ、各センサは、面外磁場成分Bzを測定するように構成された水平ホール素子(IMCなし)を備え、半径方向に配向された最大感度の軸を有する1つの(又は少なくとも1つの)垂直ホール素子を備える。
【0208】
図17の変形例(図示せず)では、各センサは、同じ方向に配向されているが、半径方向に離間された2つの垂直ホール素子を有し、例えば、水平ホール素子のどちらの側にも1つの垂直ホールがあり、1つはより大きい虚円にあり、1つはより小さい虚円にある。2つの対応する垂直ホール素子からの信号は、追加又は平均化され得る。
【0209】
図17(b)は、全ての2Dピクセルが45°回転する、図17(a)の変形を示す。
【0210】
図18は、本発明の実施形態で使用することができるようなセンサ回路の概略的なブロック図である。このセンサ回路は、図7のセンサ回路の変形とみなすことができ、各センサは、面外磁場成分Bzを測定するように構成された水平ホール素子(IMCなし)を備え、X方向に配向された最大感度の軸を有する1つの(又は少なくとも1つの)垂直ホール素子を備える。
【0211】
図18の変形例(図示せず)では、センサ回路は、仮想円の中心に位置し、また、Bz成分を測定するためのIMCのない水平ホール素子と、仮想円の中心にBx成分を測定するための少なくとも1つの垂直ホール素子と、を有する、第5のセンサを更に備える。
【0212】
図19(a)は、本発明の実施形態で使用することができるようなセンサ回路の概略的なブロック図である。このセンサ回路は、図14(a)のセンサ回路の変形例とみなすことができ、各センサは、面外磁場成分Bzを測定するように構成された水平ホール素子(IMCなし)を備え、X方向に配向された最大感度の軸を有し、水平ホール素子の両側に位置する2つの垂直ホール素子を備え、Y方向に配向された最大感度の軸を有し、水平ホール素子の両側に位置する2つの垂直ホール素子を備える。言い換えると、水平ホール素子は、正方形の辺に位置する4つの垂直ホール素子によって取り囲まれている。これらのセンサの各々は、3つの直交磁場成分(Bx,By,Bz)を測定することができる3D磁気ピクセルを形成する。
【0213】
図19(a)の変形例(図示せず)では、センサ回路は、仮想円の中心に位置する第5の3D磁気ピクセルを更に備える。このセンサ回路は、3つの直交磁場成分(Bx,By,Bz)からなる5つのセット、よって、合計で5×3=15個の磁場成分を測定することができる。
【0214】
図19(b)は、本発明の実施形態で使用することができるようなセンサ回路の概略的なブロック図である。このセンサ回路は、各センサが、半導体基板に垂直なZ軸の周りを45°回転する、図19(a)のセンサ回路の変形とみなすことができる。このセンサ回路は、各々が、半導体基板に垂直なZ方向に配向された面外磁場成分Bzを測定することができ、更に、各々が、U方向及びV方向に配向された2つの面内磁場成分(Bu,Bv)を測定することができる、4つの3D磁気ピクセルを備える。
【0215】
図19(b)の変形例(図示せず)では、センサ回路は、仮想円の中心に位置する第5の3D磁気ピクセルを更に備える。このセンサ回路は、3つの直交磁場成分(Bu,Bv,Bz)からなる5つのセット、よって、合計で5×3=15個の磁場成分を測定することができる。
【0216】
図20は、本発明の実施形態で使用することができるようなセンサ回路の概略的なブロック図である。このセンサ回路は、図14(a)又は図14(b)のセンサ回路の変形とみなすことができ、集積磁気コンセントレータディスクIMCと、IMCディスクの周囲近傍に位置し、45°の倍数によって角度方向に離間された8つの水平ホール素子と、をそれぞれ備える、4つのセンサを備える。これらのセンサの各々は、4つの面内磁場成分Bx、By、Bu、Bv、及び1つの面外磁場成分Bzを測定することができる。このセンサ回路は、4×5=20個の磁場成分を測定することができる。
【0217】
図21は、本発明の実施形態で使用することができるようなセンサ回路の概略的なブロック図である。このセンサ回路は、仮想円の中心に位置する第5の3D磁気ピクセルを更に備える、図20のセンサ回路の変形とみなすことができる。このセンサ回路は、5つの磁場成分(Bx,By,Bu,Bv,Bz)からなる5つのセット、よって、合計で5×5=25個の磁場成分を測定することができる。
【0218】
1つ以上の集積磁気コンセントレータIMCが使用される上述の全ての実施形態(図1図21)では、IMCは、好ましくは、高さがおおよそ17~23μm、及び直径がおおよそ170~230μmのディスク形状を有する。
【0219】
磁気センサ(本明細書では2D磁気ピクセル又は3D磁気ピクセルとも称される)が仮想円上に位置する上述の全ての実施形態では、この仮想円の直径は、好ましくは、1.7~2.3mmであり、例えば、約1.9mmに等しいか、又は約2.0mmに等しいか、又は約2.1mmに等しい。センサが3×3グリッド上に位置する実施形態では、グリッド線間の距離は、好ましくは、約0.7mm~約1.5mmのオーダー、又は約0.9mm~約1.3mmのオーダーである。
【0220】
水平ホールプレートは、典型的には、面積が15μm×15μm~25μm×25μm、例えば、約20μm×20μmに等しい正方形形状を有する。
【0221】
図22(a)は、例えば、センサシステムに印加される力ベクトルの3つの直交成分などの、永久磁石の位置に関連する1つ又は2つ又は3つの物理量を測定するために使用することができる、本発明によって提案された磁気センサシステム2200の概略的なブロック図を示す。システムは、外乱場(漂遊磁界とも呼ばれる)、及び変化する温度に更にさらされ得る。
【0222】
センサシステム2200は、複数の磁気センサ2210を備える1つ以上の半導体基板を備える。1つ以上の半導体基板は、好ましくは、半導体パッケージ(センサチップとしても知られている)に組み込まれている(例えば、図23(d)を参照のこと)。好ましい実施形態では、複数の磁気センサは、3.0×3.0cmよりも小さい、好ましくは、2.5×2.5mmよりも小さい単一の半導体基板に組み込まれている。
【0223】
センサシステムは、例えば、弾性材料によって、半導体基板に対して可撓的に又は弾性的に装着されている、永久磁石を更に備える。
【0224】
永久磁石390、2390は、好ましくは、約1.2mm~約1.8mm、例えば、約1.5mmに等しい外径を有し、約0.3~約0.7mm、又は0.4~0.6mm、例えば、約0.5mmに等しい(軸方向の)高さを有する、単一の軸方向に磁化したリング又はディスク磁石である。好ましい実施形態では、永久磁石は、センサ素子が位置する仮想円の直径よりも小さい外径を有する。
【0225】
永久磁石は、典型的には、ジョイスティックの場合のように、レバー及びベアリングなどによって装着され得るか、又は1つ以上のばねによって装着され得るか、又は、例えば、図3(a)及び図3(b)に示唆されるように、又は図23(a)~図23(e)に示されるように、又は図24(a)及び図24(b)の試作品に示されるように、又は図25に示されるシミュレーションモデルに示されるように、又は同じ出願人によって2021年6月28日に出願された「Force sensor with target on semiconductor package」という名称を有する同時係属の特許文献1(文献は、その全体が参照により本明細書に含まれ、具体的には、エラストマーを有する力センサのアセンブリを示し説明する図1図5及び対応する説明に含まれる)に記載されるように、又は任意の他の好適な方法で、可撓性材料、例えばエラストマーに埋設され得る。エラストマーは、高度に非線形な応力対ひずみ特性を有し得、よって、磁気センサから得られた信号に基づいて、磁石に与える機械力の成分を判定するための明示的な解析式を見つけることが極めて困難又はほぼ不可能になる。発明者らが遭遇する更なる問題は、弾性材料の機械特性がまた温度にも依存し得ることである。例えば、想定温度範囲では、温度が低下するにつれて弾性材料がより硬くなり得る。永久磁石、及び磁石の機械的装着は、印加された機械力に依存する磁場を生成するブロック2204によって概略的に表されるが、永久磁石によって生成された磁場が、機械力によって「変調される」とも言える。
【0226】
(未知の)外乱場からの影響は、典型的には、磁石によって生成された磁場に加えられる。
【0227】
図22(a)の例では、機械力2202が磁石に与えられ、測定される物理量は、X方向、Y方向、及びZ方向の力成分であり、本発明は、主に力センサシステムについて説明され、説明を相対的に単純にしているが、本発明はそれに限定されず、例えば、ジョイスティックの位置(例えば、2つの傾斜角度)を判定するためか、又は位置(例えば、2つの横変位及び/又はサムスティックの下方変位)などを判定するためなどの、他の物理量を判定するためにも機能する。
【0228】
測定される機械力は、磁石に直接的又は間接的に、例えば、永久磁石を封止するエラストマーの接触表面に印加され得る。後者は、例えば、スリップを回避するために、好ましくあり得る。永久磁石によって生成された磁場は、例えば、図3(a)~図21に示されるセンサ回路のいずれかを使用する、複数の磁気センサ2210を備えるセンサ回路によって測定することができ、例えば、4×4グリッド上に位置するか、又は擬似ランダムな場所に位置する複数のセンサ素子を有するセンサ回路もまた機能するため、本発明はそれに限定されない。実際には、磁気センサは、典型的には、電流又は電圧源でバイアスされ、センサ素子によって提供される信号は、典型的には、いわゆる「バイアス及び読み出し回路」で増幅及びデジタル化される(そのような回路は、当技術分野で非常によく知られており、本発明の焦点ではなく、したがって、ここでより詳細に説明する必要はないため、図22に明示的に示されていない)。「回転電流」、チョッピングなどの技法もまた使用され得ると言える。
【0229】
信号の処理については、製作、並びに評価及びシミュレーションを行った、図3(b)及び図7(b)に示される試作品を主に参照して説明する。しかし、当然ながら、本発明は、この例に限定されず、同じ原理を使用する他のシステムについても機能する。
【0230】
図7(b)のセンサ回路は、8つの磁場成分信号:Bx1、Bz1、Bx2、Bz2、Bx3、Bz3、Bx4、Bz4を提供し、したがって、試作品の例では、ブロック2210がこれらの8つの信号を提供する。
【0231】
ブロック2222では、これらの8つの磁場成分信号は、好ましくは、既知の様式で、例えば、温度の関数として、増幅され、オフセット補正され、感度補正される。この目的のために、センサ回路は、好ましくは、温度センサ2208を更に備える。完全性のために、このブロックは、温度変化を補正し得るだけでなく、既知の様式で、例えば、同時係属の特許文献2に記載されるように、及び/又は同時係属の特許文献3に記載されるように(どちらの文献も、全体が参照により本明細書に組み込まれる)、又は任意の他の好適な方法で、シリコン基板に与えられる機械的応力も補正し得ることに留意すべきである。ブロック2222はまた、明示的に示されていない、1つ以上のアナログ-デジタルコンバータADCを使用して、信号をデジタル化し得る。
【0232】
図22(a)の例では、4つの感度補正されたBx信号がブロック2224に入力され、これら4つの感度補正されたBx信号の平均が計算され、その平均は、次いで、感度補正されたBx信号の各々から減算される。同様に、4つの感度補正されたBz信号がブロック2224に入力され、これら4つの感度補正されたBz信号の平均が計算され、その平均は、次いで、感度補正されたBz信号の各々から減算される。このようにして実装される場合、ブロック2224は、4つの「平均補正された」Bx関連信号、及び4つの「平均補正された」Bz関連信号、したがって、合計で8つの信号を出力する。また、アナログ領域で「平均除去」を実行し、平均補正されたBx値及び平均補正されたBz値をデジタル化することも可能である。
【0233】
図22(a)の例では、処理回路は、4つの平均補正されたBx値及び4つの平均補正されたBz値を受信するように構成され、2つの値の合計、2つの値の差分、2つの値の積、2つの値の比率、値の二乗、値の二乗を乗算した値の符号、値の三乗、値の絶対値、(「ノルム」に関連する)2つの(例えば、直交)値の2乗の合計、(「ノルム」に関連する)3つの(直交)値の二乗の合計のうちの1つ以上を計算するように構成され、かつ(元の)平均補正されたBx値及びBz値、並びに追加的に生成された値を出力信号として出力するように構成されている、「特徴増大及び多項式増大」ブロック2226を更に備える。好ましい実施形態では、ブロック2226によって提供される値の総数「Ntot」は、12~100の範囲の値、又は12~80の範囲の値、又は16~64の値である。
【0234】
「特徴増大」と「多項式増大」との違いは少し恣意的であり、本発明とは無関係であることに留意すべきである。重要なのは、ブロック2226が特定数の入力値を取得し、そこから導出された、いくつかの(例えば、同じ数、又は好ましくは、より多くの)出力値の数を生成することである。驚くべきことに、値の数を増大させることによって、最終出力(例えば、力成分)の精度が大幅に向上したことを見出した。これらの値は、「新しい情報」を追加しないため、直観に反している。具体的には、入力値の二乗の形態で、及び/又は同様の入力値の積の形態で(例えば、Bx1*Bx2)、及び/又は異なる入力値の形態で(例えば、Bx1*Bz1)追加値を加えることは、非常に有利であることを見出した。
【0235】
ブロック2230では、判定される物理量は、これらの値の関数として、より具体的には、各々がオフセットでバイアスされたこれらの値の加重合計として計算される。
【0236】
例えば、ブロック2226が値v1、v2、...、v64を出力する場合、ブロック2230は、以下の式に従って、力ベクトルの成分(Fx,Fy,Fy)のうちの1つ以上を計算し得る:
Fx=A1*(v1-B1)+A2*(v2-B2)+...+A64*(v64-B64)[1]
Fy=C1*(v1-D1)+C2*(v2-D2)+...+C64*(v64-D64)[2]
Fz=E1*(v1-F1)+E2*(v2-F2)+...+E64*(v64-F64)[3]
式中、値A1~A64、B1~B64、C1~C64、D1~D64、E1~D64、F1~F64は、機械学習又は深層学習によって判定される定数である。
【0237】
「訓練」又は「学習」は、三次元力値の相対的に広い範囲にわたって行われ、すなわち、可能性の3D空間を表すのに十分な数の3D力成分の様々な組み合わせを選択したことに留意すべきである。言い換えると、力(Fx,Fy,Fz)の多くの組み合わせを使用して、係数(例えば、判定されるパラメータの数よりも少なくとも2倍、又は少なくとも5倍、例えば、約10倍多くの測定値)を訓練した。
【0238】
図29を考察するときに更に説明されるように、任意選択の「温度補正ブロック」2225がある。温度が、(特徴増大及び/若しくは多項式増大ブロック、又はニューラルネットワークを表す)ブロック2226の追加のものとして使用される場合、「訓練」又は「学習」は、(T,Fx,Fy,Fz)の様々な組み合わせを使用して実行されるべきである。
【0239】
図22(b)は、例えば、センサシステムに印加される力ベクトルの3つの直交成分などの、永久磁石の位置に関連する1つ又は2つ又は3つの物理量を測定するために使用することができる、本発明によって提案された別の磁気センサシステム2250の概略的なブロック図を示す。このシステムは、平均除去ブロック2224が勾配計算機ブロック2232で置き換えられた、図22(a)のシステムの変形とみなすことができる。
【0240】
センサ回路2210が、図7(b)に描写されるように、複数のセンサを含む場合、勾配計算機ブロックは、以下のBx関連勾配信号のうちの1つ以上を計算してよく、
g1=(Bx1-Bx3),g2=(Bx1-Bx4),g3=(Bx1-Bx2),
g4=(Bx3-Bx4),g5=(Bx3-Bx2),g6=(Bx4-Bx2)
かつ、以下のBz関連勾配信号のうちの1つ以上を計算してよい。
g7=(Bz1-Bz3),g8=(Bz1-Bz4),g9=(Bz1-Bz2)
g10=(Bz3-Bz4),g11=(Bz3-Bz2),g12=(Bz4-Bz2)
また、図22(a)のシステムについての上述の他の全ては、ここでも適用可能である。
【0241】
解析式が使用される多くの先行技術の磁気センサシステムとは対照的に、本発明では、ブロック2226に入る信号が、判定される物理量の正弦及び余弦関数のように振る舞う必要はないことに留意すべきである。
【0242】
実施形態(図示せず)では、事前定義されたアルゴリズムは、少なくとも3つの第1の磁場成分(例えば、Bx1、Bx2、Bx3)及び少なくとも3つの第2の磁場成分(例えば、Bz1、Bz2、Bz3)を入力信号として使用し、少なくとも2つ(又は少なくとも3つ)の物理値を出力値として提供する、訓練されたニューラルネットワークによって実行される。
【0243】
ニューラルネットワークは、図22(a)及び図22(b)のブロック2226及び2230を置き換え得る。任意選択的に、ブロック2224(平均除去)及びブロック2232(勾配計算機)は、この場合、省略され得る。
【0244】
事前定義されたアルゴリズムは、複数の層を有するニューラルネットワークを含み得、各層は、複数のノードを含む。実施形態では、ニューラルネットワークは、12~100個のノードを有する1つの層のみを含む。実施形態では、ニューラルネットワークは、各々が10~100個のノードを有するか、又は20~60個のノードを有する、2つの層のみを含む。実施形態では、ニューラルネットワークは、各々が10~100個のノードを有するか、又は各々が5~50個のノードを有する、3つの層のみを含む。実施形態では、ニューラルネットワークは、リカレントニューラルネットワーク(RNN)である。実施形態では、ニューラルネットワークは、人工ニューラルネットワーク(ANN)である。実施形態では、ニューラルネットワークは、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)である。
【0245】
図23(a)~図23(e)は、センサデバイス2392、例えば、成形材料に封止された半導体基板を備える、パッケージ化されたチップと、センサデバイス2392の上方又は上部にあるエラストマー2391と、エラストマーに埋設され、センサデバイスから距離「d」(典型的には、「エアギャップ」と称される)に位置する、磁石2390と、を備える、センサデバイス又はセンサアセンブリ2300を備える、機械的装置の実施例を示す。センサデバイスは、プリント回路基板(PCB)2393に装着され得る。エラストマー2391は、例えば、図23(c)~図23(e)に図示されるように、半導体デバイスによってのみ支持され得る。代替的に、エラストマーの一部分は、例えば、図23(a)及び図23(b)に示されるように、プリント回路基板によって支持され得る。任意選択的に、例えば、図23(d)に示されるように、センサチップ2392とエラストマー2391との間に、中間層、例えば、接着層があり得る。
【0246】
磁石2390は、好ましくは、軸方向に磁化したリング又はディスク磁石である。磁石の外径は、センサデバイスのものに相当する寸法、例えば、磁気センサが位置する仮想円の直径に等しいか、又はそれよりも大きいか、又はそれよりも小さい寸法を有し得る。しかしながら、好ましくは、磁石2390の外径は、磁気センサ素子間の最大距離よりも小さい。
【0247】
図23(a)の例では、磁石は、(半導体基板に垂直な垂直方向で)約8mmの高さ、及び(半導体基板に平行な)約12mmの直径を有し得る。
【0248】
図23(b)及び図23(c)に示されるセンサアセンブリでは、磁石は、5mm~10mmの範囲の直径、及び約3.5mmの高さを有し得る。
【0249】
図23(d)に示されるセンサアセンブリでは、磁石は、2.5mmよりも小さいか、又は2.0mmよりも小さい、例えば、約1.5mmに等しい直径を有し得、約0.5mm~約1.0mmの高さを有し得る。エラストマー2391は、2.0mm~5.0mmの範囲、又は2.5mm~4.0mmの範囲、例えば、約3.0mmに等しい厚さを有し得る。
【0250】
本開示の利益を有する当業者は、以下の経験則を考慮して、好適な寸法を容易に見つけることができる:磁石が大きいほど、及び/又は磁石が半導体基板に近づくほど、並びにエラストマー材料が柔らかいほど、磁気センサ素子から得られる信号が大きくなる。
【0251】
図24(a)及び図24(b)は、図22(a)及び図22(b)に記載のアルゴリズムを開発及び評価するために使用された、本明細書に記載されるような力センサシステムの試作品の画像を示す。
【0252】
図24(c)は、力センサアセンブリに既知の力(Fx,Fy,Fz)を印加するために使用された機械的設定の画像を示す。様々な力値で一連の試験を応用し、対応する磁場成分を測定することによって、機械学習(ML)を使用して、パラメータ(例えば、A1~F64)を判定した。
【0253】
図25(a)は、力Fzを印加したときの、半導体基板に垂直な方向に配向され、0.0ニュートン~12.5ニュートンの範囲の大きさを有する、Bx1~Bx4の測定値の結果を示し、図25(b)は、Bz1~Bz4の測定値の結果を示す。図に示すように、曲線間にはある程度の値幅があり、曲線は完全には線形ではない。
【0254】
発明者らは、驚くべきことに、Bx1~Bx4の値が、印加された力と非常に良好な相関関係を示し、したがって、それぞれ(約5~15mTのオーダーで)相対的に小さい値にも関わらず、力成分Fzを非常に良好に示していることを発見した。本発明者はまた、驚くべきことに、値Bz1~Bz4が、それらの信号が、典型的には、Bx1~Bx4の信号よりも約2倍大きいという事実にも関わらず、これらの値間の値幅が非常に大きいことも発見した。これは、予想されていなかった。個々の信号Bx1~Bx4及びBz1~Bz4のいずれかに解析式を適用することは、印加された力成分Fzの信頼性の高い測定値にはおそらくつながらないことを実証するが、更に実証されるように、これらの信号の組み合わせ、より具体的には、これらの信号の多項式の組み合わせ(例えば、二次多項式)、及びこれらの信号と十分な数のパラメータの代数的組み合わせ(例えば、積又は比率)は、良好な結果をもたらすことができる。
【0255】
図26は、垂直力成分Fz、及び/又は剪断力成分Fx、Fyで力を印加したとき、エラストマーがどのように変形するか、及び磁石がどのように移動するかをシミュレートするために使用できる、機械的装置のコンピュータモデルを示す。このコンピュータモデルは、例えば、「Comsol」として知られる市販のツールを使用してシミュレートすることができる。
【0256】
機械学習によって判定された所与のパラメータのセット(例えば、A1~F64)について、図24に示される機械的設定を使用して、図25のコンピュータモデルは、その後、これらのパラメータで図22(a)又は図22(b)のアルゴリズムを検証するために使用され得る。
【0257】
図27(a)及び図27(b)は、試作品の実装の較正設定(図24(c)を参照のこと)によって測定された力、及び力センサアルゴリズム(図22(a)を参照のこと)によって予測された力の機能状況を示す。図27(a)は、半導体基板に垂直な負のZ方向に配向された「下方に」向けられた力に関する。図27(b)は、剪断力に関する。図に示すように、これらの値の間には非常に良好な線形適合がある。
【0258】
副成分が測定されないという事実にも関わらず、Y方向に印加された力を測定することが実際に可能であることは驚くべきことである。
【0259】
これらの結果は、最も最適な方向に配向されない場合がある、4つの2D磁気ピクセルのみを有する図7(b)のセンサ回路を使用して得られることに留意すべきである。
【0260】
2Dピクセルが異なる方向に配向されている、及び/又は4つを超える磁気ピクセルを有する、及び/又は3D磁気ピクセルを有する、及び/又はより多くのパラメータを有するアルゴリズムを使用する、センサ回路は、より正確な結果を提供し得ることが企図される。しかしながら、一定の精度を達成するために必要なセンサの数及び/又はパラメータの数を予測すること、又は一定の精度を達成するために最も費用対効果の高い解決策が何であるかを予測することは容易ではない。それでも、本発明は、実際的な、更には非常に良好な結果をもたらす多くの解決策を、それらが完璧ではないにも関わらず、開示する。
【0261】
図27(c)は、図22(a)のセンサシステムを使用して、負のZ方向(Fzとして示される)に配向された力を測定する(又は判定する)ときの「力誤差ヒストグラム」を示す。理解することができるように、測定値の大部分(>97%)は、最大誤差±0.25N(約±25グラムの重量の誤差に対応する)内で正確であり、これは、ロボット指を備えたロボットアームが対象物を損傷することなくそっとつかむ必要がある多くのロボット用途を含む、多くの用途に十分良好である。
【0262】
図27(d)は、剪断力(すなわち、半導体基板に平行に配向された)を測定するときの「力誤差ヒストグラム」を示す。理解することができるように、測定値の大部分(>97%)は、約±15グラムの重量の誤差に対応する、最大誤差±0.15N内で正確である。
【0263】
図28は、図22(a)の平均除去ブロック2224を使用する場合及び使用しない場合の、X方向に印加された外乱場の関数としてのFxの誤差を示すグラフである。グラフは、「平均除去」が、漂遊磁界の影響を除去する非常に効果的な方法であることを明らかに示している。図22(b)の勾配計算ブロック2232を使用する場合、同様の結果が予想される。
【0264】
図29は、磁石の変位(任意の単位)に対して半導体基板に向かう方向に配向された「垂直力」Fzの大きさ(任意の単位)を示すグラフを示す。図に示すように、おそらく、エラストマーに更なる圧力を与えるにつれて、エラストマーの剛性が、典型的には、増加するという事実により、挙動は完全に線形ではない。
【0265】
図29には明示的に示されていないが、発明者らはまた、エラストマーの剛性も温度に依存することを見出した。試験は、この効果が、Fx、Fy、Fzの値が、例えば、以下の式に従って、温度の関数として補正される、後処理ステップによって考慮され得ることを示し、
Fx_corr=Fx(式[1]を使用)*[1+K(Tchip-35)][4]
Fy_corr=Fy(式[2]を使用)*[1+K(Tchip-35)][5]
Fz_corr=Fz(式[3]を使用)*[1+K(Tchip-35)][6]
式中、Tchipは、摂氏度で表される、オンチップ温度センサによって測定された温度であり、Kは、較正ステップ中に判定することができる定数である。
【0266】
この効果はまた、例えば、以下の式に従って、任意選択の「温度補正」ブロック2225においても考慮され得、
Scorr=Sraw.[1+α(Tchip-35)]+β(Tchip-35)[7]
式中、Tchipは、摂氏度で表される、オンチップ温度センサによって測定された温度であり、Srawは、先行ブロック2226又は2232から得られた生信号値(例えば、平均補正値又は勾配値)であり、Scorrは、温度補正信号値であり、α及びβは、シミュレーションによって、又は較正ステップで判定され得る2つの定数である。
【0267】
図30は、本発明の実施形態で使用することができるようなセンサデバイス3010の概略的なブロック図である。このブロック図は、単に完全性のために提供されているにすぎない。
【0268】
センサデバイス3010は、複数の磁気センサを備える半導体基板を備え、そのうちの5つだけが、M1~M5(例えば、図4図21に示される回路のうちのいずれか)として示される。
【0269】
センサデバイスは、例えば、磁気センサから信号m1、m2などを受信するように構成されている、処理回路3030の一部として、バイアス及び読み出し回路を更に備える。信号は、典型的には、増幅され、オフセット補正される。好ましくは、センサデバイスは、温度センサを更に備え、センサ素子の磁気感度は、好ましくは、ベース温度に基づいて(アナログ又はデジタル領域で)補正される。処理回路は、アナログ信号をデジタル信号に変換するための少なくとも1つのアナログ-デジタルコンバータ(ADC)を更に備え得る。
【0270】
実装に応じて、処理回路3030は、上述のブロック2224(平均除去)、2232(勾配計算)、2226(特徴増大及び多項式増大)、2230(加重及びバイアス)の機能のうちの1つ以上を実行するように更に構成され得る(図22(a)及び図22(b)を参照のこと)。この場合、センサデバイス3010は、力成分値Fx、Fy、Fzを出力し得る。適正に高いレートで(例えば、少なくとも20Hzの周波数で、又は少なくとも25Hzの周波数で、又は少なくとも30Hzの周波数で、又は少なくとも40Hzの周波数で)印加された力を測定することができるように、増大値の数は制限され得、(多項式)増大ブロック2226で使用される関数の複雑さは、代数関数(例えば、二乗関数及び積を含むが、除算を除く)に制限され得、ブロック2230に追加される項の数は、50項以下、又は40項以下、又は36項以下に制限され得る。そのようなアルゴリズムは、プログラマブル信号プロセッサ(DSP)によって実行され得、複数の定数は、不揮発性メモリ3031に格納され得る。明示的に示されていないが、アナログ処理回路、例えば、アナログ又はデジタルアクセラレータ、又はアナログ又はデジタルコプロセッサを使用することも可能である。
【0271】
しかしながら、他の実施形態では、処理回路は、磁場値を測定し(ブロック2210)、感度補正を実装し(ブロック2222)、任意選択的に、平均除去(2224)又は勾配計算(2232)を実装し得るが、特徴増大は実装せず(ブロック2226)、加重合計は計算しない(ブロック2230)。この場合、センサデバイス3010は、ブロック2222、又は2224又は2232の値を、好ましくは、デジタル値として出力し得、これらの値を外部プロセッサに提供し得る。次いで、外部プロセッサは、特徴及び又は多項式増大を実行し(ブロック2226)、加重合計を計算する(ブロック2230)。外部プロセッサ3040がはるかに強力であり得、例えば、1.0GHzよりも高いクロック周波数を有し得、及び/又は複数のプロセッサコアを有し得、及び/又ははるかに多くのランダムアクセスメモリ(RAM)、例えば、少なくとも1GバイトのRAMを有し得ることは、この実装の利点である。
【0272】
外部プロセッサが後処理補正を実行して、エラストマーの剛性の温度依存性を考慮に入れることを可能にするために、センサデバイス3010はまた、測定された温度Tを外部プロセッサに出力し得る。
【0273】
図31は、完全性のために提供され、本発明の原理はまた、ジョイスティックアセンブリの傾斜角度φ及びψを判定するために使用され得、磁石は、ハンドル又はレバー3102によって旋回点3101の周りを回転可能であることを示す。
【0274】
明示的な式が傾斜角度を判定する必要がなく、解決策が外乱場に非常に反応しにくいことが、本発明の実施形態の大きな利点である。この場合、エラストマー材料は必要ではないが、代わりに、機械的アセンブリは、通常、磁石を保持し、磁石の動きを可能にするために使用されることに留意すべきである。当業者は、図3(a)~図21に示されるセンサ回路、並びに図22(a)及び図22(b)に上述したアルゴリズムを使用して、ジョイスティックアセンブリのハンドルの傾斜角度(磁石の位置に関連する物理量)を判定することもできることを理解するであろう。
【0275】
明示的に示されていないが、本発明の原理を使用して、サムスティックの位置を判定することもできる。この場合、磁石は、半導体基板に平行な平面内でサムスティックを移動させることによって、半導体基板に平行な平面内で移動可能である。任意選択的に、1つ以上のばねが関与し得る。当業者は、図3(a)~図21に示されるセンサ回路、並びに図22(a)及び図22(b)に上述したアルゴリズムを使用して、サムスティックアセンブリのサムスティックの少なくとも横変位、及び、任意選択的に、下方押圧変位(すなわち、磁石の位置に関連する物理量)を判定することもできることを理解するであろう。
【0276】
例えば、家電用途向けのゲーム機の一部としての、サムスティックアセンブリの外乱信号に対する精度及び堅牢性の点からの要件が、ロボット用途の要件とは全く異なることは言うまでもない。言い換えると、限られた数の項及び定数を有し、かつ限定された精度を有するにも関わらず、図22(a)及び図22(b)に示される信号処理ステップの全てを実行する集積センサデバイスを構築することは、非常にうまく実行可能である。
【0277】
図32は、集積回路に対して移動可能であり、磁場を生成するように構成されている永久磁石の位置に関連する少なくとも2つの物理量(例えば、2D又は3D力ベクトル、2D又は3D変位ベクトル、ジョイスティックの2D又は3D位置、サムスティックの2D又は3D位置)を測定する方法3200のフローチャートを示す。方法3200は、以下のステップを含む。
a)第1の方向(例えば、X)に配向された少なくとも2つ(又は少なくとも3つ、又は少なくとも4つ)の第1の磁場成分(Bx1,Bx2;Bx1,Bx2,Bx3;Bx1~Bx4)を測定するステップ3201。第1の方向は、半導体基板に平行であり得る(「面内」)。
【0278】
b)任意選択的に、該第1の磁場成分の第1の勾配(例えば、dBx/dx)又は第1の平均補正値を判定するステップ3202。
c)第1の方向(X)に垂直な第2の方向(例えば、Y又はZ)に配向された少なくとも2つ(又は少なくとも3つ、又は少なくとも4つ)の第2の磁場成分(Bz1,Bz2;Bz1,Bz2,Bz3;Bz1~Bz4)を測定するステップ3203。第2の方向は、半導体基板に平行であり得るか(「面内」)、又は半導体基板に垂直であり得る(「面外」)。
【0279】
d)任意選択的に、該第2の磁場成分の第2の勾配(例えば、dBz/dx)又は第2の平均補正値を判定するステップ3204。
e)測定された磁場成分及び/又は勾配及び/又は平均補正値を入力として使用し、かつ、機械学習(ML)又は深層学習を使用して判定される複数の少なくとも8つ(又は少なくとも12個、又は少なくとも16個)の定数(又は係数又はパラメータ)を使用する、事前定義されたアルゴリズムを使用して、該少なくとも2つの物理量(例えば、Fx、Fy、Fz)を判定するステップ。
【0280】
当然ながら、この方法は、上述と同じ方法で更に改良することができる。
【0281】
例えば、実施形態では、該少なくとも2つの物理量は、該少なくとも2つの第1の磁場成分及び該少なくとも2つの第2の磁場成分から導出された、少なくとも3つ又は少なくとも4つの磁場差を入力として使用し、かつ該複数の少なくとも8つの定数を使用する、事前定義されたアルゴリズムを使用して、判定され得る。
【0282】
別の又は更なる実施形態では、方法は、半導体基板の温度を測定することと、測定された温度に基づいて測定された第1の磁場成分及び第2の磁場成分を補正すること、又は測定された温度を、事前定義されたアルゴリズムの追加入力として考慮に入れること、又は後処理ステップで温度を処理することを行うことと、を更に含み得る。
【0283】
その他
完全性のために、ブロック2226(平均除去)及び2232(勾配の計算)は省略され得、漂遊磁界は依然として、ニューラルネットワークであり得るブロック2226及び2230によって打ち消されることに留意すべきである。
【0284】
別の態様によれば、本発明はまた、複数の磁気センサを備える集積回路と、可撓性材料(例えば、エラストマー)によって集積回路に可撓的に装着された永久磁石と、処理回路と、を備える、力センサデバイスも提供する。処理回路は、磁気センサと同じ半導体基板上に実装され得るが、それは、絶対的に必要ではなく、処理回路は、第1の半導体基板(例えば、CMOS基板)上に実装され得、磁気センサは、例えば、特許文献4(全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるのと同様の様式で、第1の半導体基板の隣に、又は上部に、又はその下方に装着された1つ以上のセンサ基板(例えば、CMOS、又はGa-As、又はGa-In又はIn-Sb)上に実装され得る。
【0285】
複数の磁気センサは、第1の方向に配向された少なくとも3つ又は少なくとも4つの磁場成分を測定するように構成され得るか、又は第1の方向に配向された少なくとも第1の磁場成分及び第2の磁場成分を測定するように、かつ第2の方向に配向された少なくとも第3の磁場成分及び第4の磁場成分を測定するように構成され得る。第2の方向は、第1の方向と同じであり得るか、又は第1の方向とは異なり得る、例えば、それに直交し得る。
【0286】
永久磁石は、磁場を生成するように構成されている。
【0287】
処理回路は、該磁場成分の対間の少なくとも1つの対差分、又は少なくとも2つの対差分、又は少なくとも3つの対差分を判定するように、かつ、例えば、該1つ以上の対差分の関数に基づいて、センサデバイスに対する磁石の位置に関連する、又は可撓性材料に与えられる力又は圧力に関連する、少なくとも1つの値、又は少なくとも2つの値、又は少なくとも3つの値を判定及び出力するように構成されている。
【0288】
力センサデバイスは、1つ以上の事前定義された関数を使用して該少なくとも1つ又は該少なくとも2つの物理量を判定するように構成され得る。この関数又はこれらの関数は、処理回路の不揮発性メモリに、例えば、数式の形態で、例えば、複数の係数を有する(例えば、3~30個の係数を有する、例えば、少なくとも3つ又は少なくとも4つ又は少なくとも6つ又は少なくとも8つ又は少なくとも12個の係数を有する)多項式として、又は、3~15個の項を有する(例えば、少なくとも3つの項、又は少なくとも4つの項、又は少なくとも6つの項、又は少なくとも8つの項、又は少なくとも10個の項、又は少なくとも12個の項を有する)合計の形態で、又は、ルックアップテーブルの形態で、格納され得る。いくつかの項は、磁場差の二乗であり得るか、又は同じ方向に離間されたセンサ対から得られた2つの磁場差の外積であり得るか、又は、異なる方向に離間されたセンサ対から得られた2つの磁場差の外積であり得る。
【0289】
係数又はパラメータは、機械学習を使用して判定され得る。代替的に、係数又はパラメータは、例えば、曲線適合技法、線形回帰技法若しくは非線形回帰技法、又は線形モデル若しくは非線形モデルを使用するなど、古典的技法を使用して判定される。「機械学習」又は「深層学習」は、典型的には、「隠れ層」を有する「ニューラルネットワーク」に使用され、典型的には、古典的な曲線適合技法よりもはるかに多くの計算を必要とすることに留意すべきである。
【0290】
図22(a)及び図22(b)のものと同様のブロック図が適用可能であり得、ブロック2226(「特徴増大及び多項式増大」)及び2230(「加重及びバイアス」)は、該事前定義された関数、例えば、該多項式、又は該ルックアップテーブルによって置き換えられる。
【0291】
力センサデバイスは、図23(a)~図23(e)に示すような外観を有し得るが、当然ながら、本発明は、これに限定されない。
【0292】
力センサデバイスは、例えば、3つの1Dピクセル、又は(例えば、図6に示すような)4つの1Dピクセル、又は(例えば、図4に示すような)3つの2Dピクセル、又は(例えば、図5又は図7(a)又は図7(b)又は図12又は図17(a)又は図17(b)又は図18に示すような)4つの2Dピクセル、又は(例えば、図8に示すような)5つの2Dピクセル、又は(例えば、図9又は図10に示すような)9つの2Dピクセル、又は(例えば、図11(a)に示すような)8つの2Dピクセル、又は(例えば、図13に示すような)4つの2Dピクセル及び1つの3Dピクセル、又は(例えば、図14(a)又は図14(b)又は図19(a)又は図19(b)に示すような)4つの3Dピクセル、又は(例えば、図15(a)又は図15(b)に示すような)5つの3Dピクセル、又は(例えば、図16に示すような)9つの3Dピクセルを有し得る。
【0293】
好ましい実施形態では、少なくとも2つの対差分が判定されるか、又は少なくとも3つの対差分が判定されるか、又は少なくとも4つの対差分、又は少なくとも6つの対差分、又は少なくとも8つの対差分が判定され、出力値は、これらの対差分に基づいて判定される。
【0294】
上記に記載されたものと同様に、この力センサデバイスの多くの変形が想定される。例えば、力センサデバイスは、温度センサを更に備え得、温度は計算に考慮され得、及び/又はエラストマーの温度依存性材料特性を補正するために使用され得る。
図1
図2
図3(a)】
図3(b)】
図4
図5
図6
図7(a)】
図7(b)】
図8
図9
図10
図11(a)】
図11(b)】
図11(c)】
図11(d)】
図12
図13
図14(a)】
図14(b)】
図15(a)】
図15(b)】
図16
図17(a)】
図17(b)】
図18
図19(a)】
図19(b)】
図20
図21
図22(a)】
図22(b)】
図23(a)】
図23(b)】
図23(c)】
図23(d)】
図23(e)】
図24(a)】
図24(b)】
図24(c)】
図25(a)】
図25(b)】
図26
図27(a)】
図27(b)】
図27(c)】
図27(d)】
図28
図29
図30
図31
図32
【国際調査報告】