(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】改変カッパ軽鎖結合ポリペプチド
(51)【国際特許分類】
C07K 14/195 20060101AFI20240829BHJP
C12N 15/09 20060101ALI20240829BHJP
C12N 15/31 20060101ALI20240829BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20240829BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20240829BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20240829BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20240829BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20240829BHJP
C07K 1/22 20060101ALI20240829BHJP
C07K 17/02 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
C07K14/195 ZNA
C12N15/09 Z
C12N15/31
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C07K1/22
C07K17/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513448
(86)(22)【出願日】2022-08-24
(85)【翻訳文提出日】2024-04-26
(86)【国際出願番号】 EP2022073599
(87)【国際公開番号】W WO2023030995
(87)【国際公開日】2023-03-09
(32)【優先日】2021-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516105833
【氏名又は名称】サイティバ・バイオプロセス・アールアンドディ・アクチボラグ
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【氏名又は名称】崔 允辰
(74)【代理人】
【識別番号】100207158
【氏名又は名称】田中 研二
(72)【発明者】
【氏名】マッツ・アンデル
(72)【発明者】
【氏名】ヨアキム・ガーリ
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス・エル・ヨンソン
(72)【発明者】
【氏名】グスタフ・ロドリーゴ
【テーマコード(参考)】
4B065
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA01X
4B065AA57X
4B065AA72X
4B065AA87X
4B065AB01
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA60
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA20
4H045CA11
4H045EA60
4H045FA72
4H045FA74
4H045GA26
(57)【要約】
本文書は、免疫グロブリン又はその断片に結合するポリペプチドに関する。更に具体的には、高い結合親和性を有し、アルカリ安定性が改善されたカッパ軽鎖結合ポリペプチドに関する。1つのカッパ軽鎖結合は、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17又は配列番号18のアミノ酸配列のいずれか1つに由来するペプトストレプトコッカスタンパク質Lの変異導入された結合ドメインを含み、前記アミノ酸配列は、N6H、N41H及びN56Y又はN56Q変異を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペプトストレプトコッカスタンパク質Lの少なくとも1つの変異導入された結合ドメインからなる、本質的にそれからなる又はそれを含むカッパ軽鎖結合ポリペプチドであって、
そのドメインが、ギャップオープンペナルティ12、ギャップ伸長ペナルティ3を用いてBLOSUM行列75によって決定して、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17又は配列番号18のアミノ酸配列のいずれか1つに、少なくとも90%、95%若しくは98%配列同一性又は77,5%配列類似性を有し、
ポリペプチドは、配列番号10~18のいずれか1つと比較して、6位及び41位それぞれのアスパラギンがヒスチジンに変異導入されており、56位のアスパラギンがチロシン又はグルタミンに変異導入されている、
カッパ軽鎖結合ポリペプチド。
【請求項2】
ペプトストレプトコッカスタンパク質Lの結合ドメインが、ギャップオープンペナルティ12、ギャップ伸長ペナルティ3を用いてBLOSUM行列75によって決定して、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7又は配列番号8のアミノ酸配列のいずれか1つに、少なくとも90%、95%若しくは98%配列同一性又は77,5%配列類似性を有し、ポリペプチドは、配列番号1~4及び6~9と比較して、10位及び45位それぞれのアスパラギンがヒスチジンに変異導入されており、60位のアスパラギンがチロシン若しくはグルタミンに変異導入されている;或いは
ペプトストレプトコッカスタンパク質Lの結合ドメインが、ギャップオープンペナルティ12、ギャップ伸長ペナルティ3を用いてBLOSUM行列75によって決定して、配列番号9に少なくとも90%、95%若しくは98%配列同一性又は77,5%配列類似性を有し、ポリペプチドは、配列番号5と比較して、9位及び44位それぞれのアスパラギンがヒスチジンに変異導入されており、59位のアスパラギンがチロシン若しくはグルタミンに変異導入されている、
請求項1に記載のカッパ軽鎖結合ポリペプチド。
【請求項3】
ペプトストレプトコッカスタンパク質Lの結合ドメインが、B2ドメイン、B3ドメイン、B4ドメイン、C2ドメイン、C3ドメイン、C4ドメイン及びD1ドメインを含む群から選択される、請求項1又は2に記載のカッパ軽鎖結合ポリペプチド。
【請求項4】
ペプトストレプトコッカスタンパク質Lの結合ドメインが、B3ドメイン、C2ドメイン、C3ドメイン及びDドメインを含む群から選択される、請求項3に記載のカッパ軽鎖結合ポリペプチド。
【請求項5】
ドメインが、ギャップオープンペナルティ12、ギャップ伸長ペナルティ3を用いてBLOSUM行列75によって決定して、配列番号3、配列番号6又は配列番号7の配列のいずれか1つに、90%、95%若しくは98%配列同一性又は77,5%配列類似性を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載のカッパ軽鎖結合ポリペプチド。
【請求項6】
C2ドメインが、追加的に、57位のアスパラギンがチロシン又はグルタミン、例えばチロシン(Y)に変異導入されたドメインである、請求項3から5のいずれか一項に記載のカッパ軽鎖結合ポリペプチド。
【請求項7】
ドメインが、ギャップオープンペナルティ12、ギャップ伸長ペナルティ3を用いてBLOSUM行列75によって決定して、配列番号31又は配列番号32に90%、95%若しくは98%配列同一性又は77,5%配列類似性を有する、請求項1から6のいずれか一項に記載のカッパ軽鎖結合ポリペプチド。
【請求項8】
C3ドメインが、追加的に、57位のアスパラギンがチロシン又はグルタミン、例えばチロシンに変異導入され、39位のアスパラギンがアスパラギン酸に変異導入されたドメインである、請求項3から5のいずれか一項に記載のカッパ軽鎖結合ポリペプチド。
【請求項9】
ドメインが、ギャップオープンペナルティ12、ギャップ伸長ペナルティ3を用いてBLOSUM行列75によって決定して、配列番号33又は配列番号34に90%、95%若しくは98%配列同一性又は77,5%配列類似性を有する、請求項1から5又は8のいずれか一項に記載のカッパ軽鎖結合ポリペプチド。
【請求項10】
ポリペプチドが、ギャップオープンペナルティ12、ギャップ伸長ペナルティ3を用いてBLOSUM行列75によって決定して、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46、配列番号47、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号41、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号56、配列番号57、配列番号58、配列番号59又は配列番号60の配列のいずれか1つに、90%、95%若しくは98%配列同一性又は77,5%配列類似性を有する、請求項1から9のいずれか一項に記載のカッパ軽鎖結合ポリペプチド。
【請求項11】
ポリペプチドが、ギャップオープンペナルティ12、ギャップ伸長ペナルティ3を用いてBLOSUM行列75によって決定して、配列番号21、配列番号22、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号47、配列番号48、配列番号53、配列番号54、配列番号55又は配列番号56の配列のいずれか1つに、90%、95%若しくは98%配列同一性又は77,5%配列類似性を有する、請求項10に記載のカッパ軽鎖結合ポリペプチド。
【請求項12】
ポリペプチドが、ギャップオープンペナルティ12、ギャップ伸長ペナルティ3を用いてBLOSUM行列75によって決定して、配列番号21、配列番号22、配列番号47又は配列番号48の配列のいずれか1つに、90%、95%若しくは98%配列同一性又は77,5%配列類似性を有する、請求項10又は11に記載のカッパ軽鎖結合ポリペプチド。
【請求項13】
明示のアミノ酸配列のN末端若しくはC末端にスペーサー若しくはリンカーを、及び/又は明示のアミノ酸配列のN末端若しくはC末端に追加的アミノ酸を更に含む、請求項1から12のいずれか一項に記載のカッパ軽鎖結合ポリペプチド。
【請求項14】
クローニング工程に由来する又はシグナル伝達配列の切断由来の残基を構成する複数のアミノ酸残基をN末端に更に含み、追加的アミノ酸残基の数が15個以下、例えば10個以下又は5個以下である、請求項1から13のいずれか一項に記載のカッパ軽鎖結合ポリペプチド。
【請求項15】
κ1、κ3及びκ4に結合する、請求項1から14のいずれか一項に記載のカッパ軽鎖結合ポリペプチド。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか一項に記載のポリペプチドのうちの少なくとも2つ、例えば2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ又は9つのポリペプチドを含む、多量体。
【請求項17】
リンカー、スペーサー又は追加的アミノ酸を更に含む、請求項16に記載の多量体。
【請求項18】
請求項1から15のいずれか一項に記載のポリペプチド又は請求項16若しくは17に記載の多量体をコードする、核酸。
【請求項19】
請求項18に記載の核酸を含み、任意選択で、シグナルペプチド、エンハンサー、プロモーター、同定タグ、同定マーカー、選択マーカー及び/又は精製タグの1つ又は複数を更に含む、ベクター。
【請求項20】
請求項18に記載の核酸又は請求項19に記載のベクターを含む、発現系。
【請求項21】
固体支持体にカップリングされた、請求項1から15のいずれか一項に記載のポリペプチドの少なくとも1つ又は請求項16若しくは17に記載の多量体の少なくとも1つを含む、分離マトリクス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本文書は、免疫グロブリン又はその断片に結合するポリペプチドに関する。更に具体的には、高い結合親和性を有し、アルカリ安定性が改善されたカッパ軽鎖結合ポリペプチドに関する。
【背景技術】
【0002】
免疫グロブリン及び免疫グロブリン断片は、世界的に製造又は開発のいずれでも最も普及したバイオ医薬製品を代表している。この特定の治療剤市場の高い商業的需要及びそれによる価値は、関連費用を管理する一方で、製薬会社がそれらそれぞれの製造工程の生産性を最大化することを重要視するようにさせる。
【0003】
親和性クロマトグラフィーは、典型的にはブドウ球菌プロテインA又はそのバリアントを含むマトリクス上において、インタクトな免疫グロブリン分子の精製における重要なステップの1つとして通常使用される。免疫グロブリンのFc鎖へのプロテインAの高度に選択的な結合は、不純物及び混入物の非常に高いクリアランスを有する包括的ステップを提供する。
【0004】
例えば、Fab、1本鎖可変断片(scFv)、二特異的T細胞エンゲージャー(BiTE)、ドメイン抗体等の、Fc鎖を欠いているがカッパ軽鎖サブクラス1、3又は4を有する抗体断片について、ペプトストレプトコッカス・マグヌス(Peptostreptococcus magnus)由来のタンパク質Lを含むマトリクス(B Akerstrom, L Bjorck: J. Biol. Chem. 264, 19740~19746, 1989; W Kasternら、: J. Biol. Chem. 267, 12820~12825, 1992; B HK Nilsonら、: J. Biol. Chem. 267, 2234~2239, 1992及び30米国特許第6,822,075号)は、必要とされる高い選択性を提供する精製プラットフォームとして使用される。
【0005】
タンパク質Lマトリクスは、例えば、Cytiva(商標)社からCapto(商標) Lとして市販で入手でき、インタクトな抗体、Fab断片、scFv断片、ドメイン抗体等のカッパ軽鎖含有タンパク質の分離のために使用され得る。健常者によって産生される抗体の約75%はカッパ軽鎖を有し、治療用モノクローナル抗体及び抗体断片の約90%はカッパ軽鎖を含有する(Carter, P., Lazar, G. Next generation antibody drugs: pursuit of the 'high-hanging fruit '. Nat Rev Drug Discov 17, 197~223 (2018). https://doi.org/10.1038/nrd.2017.227)。
【0006】
タンパク質Lは、それが単離された細菌株に応じて4個又は5個の高度に相同性の連続した細胞外Ig結合ドメインを含有する76~106kDaタンパク質である。ペプトストレプトコッカス・マグヌス312株におけるタンパク質Lについての遺伝子は、18AAのシグナル配列、90AAのアミノ末端領域に続く5個の相同性抗体結合ドメインを含むいくつかの要素を含有する。Capto(商標)L製品では、リガンドは、機能性ドメインB1~B4(WO 00/15803 A1)からなる。更に、ペプトストレプトコッカス・マグヌス3316株は、C1~C4と名付けられた4個のIgG結合ドメインからなる相同性タンパク質Lを産生する。更なる相同性タンパク質は、GenBankデータベースにおいて見出され、「仮想タンパク質」と見なされ、本明細書においてDドメインと称される。
【0007】
すべてのバイオプロセスクロマトグラフィー適用は、混入物の除去を明確にするために網羅的な注意を必要とする。例えばそのような混入物は、例えばタンパク質、炭水化物、脂質、細菌及びウイルスが挙げられる望ましくない生体分子又は微生物等の、クロマトグラフィー手順において固定相又はマトリクスに吸着した非溶出分子である場合がある。マトリクスからのそのような混入物の除去は、続く使用の前にマトリクスを再生するために所望の産生物の最初の溶出後に通常実施される。そのような除去は、定置洗浄(CIP)として周知の手順を通常含み、固定相から混入物を溶出することができる薬剤が使用される。クロマトグラフィー媒体にしばしば使用されるそのような種類の薬剤の1つはマトリクスを通過するアルカリ溶液である。現在最も広範に使用される洗浄剤及び殺菌剤はNaOHであり、混入の程度及び性質に応じて0.05から例えば1Mまでの範囲の濃度で使用されることは望ましい。しかし、タンパク質Lは、例えば、プロテインAと比較してかなりアルカリ感受性のタンパク質であり、90%残存結合能力を有する15分間の接触を使用する80サイクルに関しては、15mM NaOHを許容しただけである。レジンの能力減少のために、追加的なあまり望ましくない洗浄溶液、例えば、尿素又はグアニジン塩も十分な洗浄を保証するために使用される場合がある。
【0008】
それにより、アルカリ洗浄手順に対する安定性が改善された、タンパク質L由来リガンドを含有する分離マトリクスを得ることが当分野において必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第6,822,075号
【特許文献2】WO 00/15803 A1
【特許文献3】US 6,162,903
【特許文献4】WO 2016/096644
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】B Akerstrom, L Bjorck: J. Biol. Chem. 264, 19740~19746, 1989
【非特許文献2】W Kasternら、: J. Biol. Chem. 267, 12820~12825, 1992
【非特許文献3】B HK Nilsonら、: J. Biol. Chem. 267, 2234~2239, 1992
【非特許文献4】Carter, P., Lazar, G. Next generation antibody drugs: pursuit of the 'high-hanging fruit '. Nat Rev Drug Discov 17, 197~223 (2018). https://doi.org/10.1038/nrd.2017.227
【非特許文献5】J.P. Murphyら、(Mol. Microbiol. (1994) 12, 911~920)
【非特許文献6】Graille, M.ら、 Structure 2001 (9), 679~687頁
【非特許文献7】Altshulら、(1990) J. Mol. Biol., 215: 403~410
【非特許文献8】http://blast.ncbi.nlm.nih.gov/Blast.cgi?PROGRAM=blastp&PAGE_TYPE=BlastSearch&LINK_LOC=blasthome
【非特許文献9】https://www.geneious.com/
【非特許文献10】https://eu.idtdna.com
【非特許文献11】Biacore Sensor Surface Handbook、https://cdn.cytivalifesciences.com/dmm3bwsv3/AssetStream.aspx?mediaformatid=10061&destinationid=10016&assetid=16475
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
高いアルカリ安定性を有するタンパク質Lリガンドを提供することが本発明者らの目的である。更に、親和性及び選択性を少なくとも維持しているタンパク質Lリガンドを提供することが本発明者らの目的である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
目的は、ペプトストレプトコッカスタンパク質Lの少なくとも1つの変異導入された結合ドメインからなる、本質的にそれからなる又はそれを含むカッパ軽鎖結合ポリペプチドであって、そのドメインが、ギャップオープンペナルティ(gap open penalty)12、ギャップ伸長ペナルティ(gap extension penalty)3を用いてBLOSUM行列75によって決定して、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17又は配列番号18のアミノ酸配列のいずれか1つに、少なくとも90%、95%若しくは98%配列同一性又は77,5%配列類似性を有し、ポリペプチドが、配列番号10~18のいずれか1つと比較して、6位及び41位それぞれのアスパラギンがヒスチジンに変異導入されており、56位のアスパラギンがチロシン若しくはグルタミンに変異導入されている、カッパ軽鎖結合ポリペプチドを提供することによって達成された。
【0013】
ペプトストレプトコッカスタンパク質Lの結合ドメインは、ギャップオープンペナルティ12、ギャップ伸長ペナルティ3を用いてBLOSUM行列75によって決定して、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7又は配列番号8のアミノ酸配列のいずれか1つに、少なくとも90%、95%若しくは98%配列同一性又は77,5%配列類似性を有してよく、ポリペプチドは、配列番号1~4及び6~9と比較して、10位及び45位それぞれのアスパラギンがヒスチジンに変異導入されており、60位のアスパラギンがチロシン若しくはグルタミンに変異導入されている;或いは、
ギャップオープンペナルティ12、ギャップ伸長ペナルティ3を用いてBLOSUM行列75によって決定して、配列番号9に少なくとも90%、95%若しくは98%配列同一性又は77,5%配列類似性を有し、ポリペプチドは、配列番号5と比較して、9位及び44位それぞれのアスパラギンがヒスチジンに変異導入されており、59位のアスパラギンがチロシン若しくはグルタミンに変異導入されている。
【0014】
ペプトストレプトコッカスタンパク質Lの結合ドメインは、B2ドメイン、B3ドメイン、B4ドメイン、C2ドメイン、C3ドメイン、C4ドメイン及びD1ドメイン含む群から選択され得る。好ましくは、ペプトストレプトコッカスタンパク質Lの結合ドメインは、B3ドメイン、C2ドメイン、C3ドメイン及びDドメインを含む群から選択される。
【0015】
ドメインは、ギャップオープンペナルティ12、ギャップ伸長ペナルティ3を用いてBLOSUM行列75によって決定して、配列番号3、配列番号6又は配列番号7の配列のいずれか1つに、90%、95%若しくは98%配列同一性又は77,5%配列類似性を有し得る。
【0016】
C2ドメインは、追加的に、57位のアスパラギンがチロシン又はグルタミン、例えばチロシンに変異導入されたドメインであり得る。ドメインは、ギャップオープンペナルティ12、ギャップ伸長ペナルティ3を用いてBLOSUM行列75によって決定して、配列番号31又は配列番号32に90%、95%若しくは98%配列同一性又は77,5%配列類似性を有し得る。
【0017】
C3ドメインは、追加的に、57位のアスパラギンがチロシン又はグルタミン、例えばチロシンに変異導入され、39位のアスパラギンがアスパラギン酸に変異導入されたドメインであり得る。ドメインは、ギャップオープンペナルティ12、ギャップ伸長ペナルティ3を用いてBLOSUM行列75によって決定して、配列番号33又は配列番号34に90%、95%若しくは98%配列同一性又は77,5%配列類似性を有し得る。
【0018】
ポリペプチドは、ギャップオープンペナルティ12、ギャップ伸長ペナルティ3を用いてBLOSUM行列75によって決定して、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46、配列番号47、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号41、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号56、配列番号57、配列番号58、配列番号59又は配列番号60の配列のいずれか1つに、90%、95%若しくは98%配列同一性又は77,5%配列類似性を有し得る。
【0019】
好ましくは、ポリペプチドは、ギャップオープンペナルティ12、ギャップ伸長ペナルティ3を用いてBLOSUM行列75によって決定して、配列番号21、配列番号22、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号47、配列番号48、配列番号53、配列番号54、配列番号55又は配列番号56の配列のいずれか1つ、例えば、配列番号21、配列番号22、配列番号47又は配列番号48の配列のいずれか1つに、90%、95%若しくは98%配列同一性又は77,5%配列類似性を有する。
【0020】
カッパ軽鎖結合ポリペプチドは、明示のアミノ酸配列のN末端若しくはC末端にスペーサー若しくはリンカーを、及び/又は明示のアミノ酸配列のN末端若しくはC末端に追加的アミノ酸を更に含み得る。カッパ軽鎖結合ポリペプチドは、クローニング工程に由来する又はシグナル伝達配列の切断由来の残基を構成する複数のアミノ酸残基をN末端に更に含んでよく、追加的アミノ酸残基の数は15個以下、例えば10個以下又は5個以下である。
【0021】
カッパ軽鎖結合ポリペプチドは、κ1、κ3及びκ4に好ましくは結合する。
【0022】
同様に、請求項1~15のいずれか一項に記載のポリペプチドのうちの少なくとも2つ、例えば2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ又は9つのポリペプチドを含む多量体が本明細書で提供される。多量体は、リンカー、スペーサー又は追加的アミノ酸を更に含み得る。
【0023】
上に記載のポリペプチド又は多量体をコードする核酸が本明細書で更に提供される。
【0024】
追加的に、任意選択で、シグナルペプチド、エンハンサー、プロモーター、同定タグ、同定マーカー、選択マーカー及び/又は精製タグの1つ又は複数を更に含む、上に記載の核酸を含むベクターが提供される。
【0025】
本開示は、上に記載の核酸又はベクターを含む発現系も提供する。
【0026】
追加的に、本開示は、固体支持体にカップリングされた、上に記載の少なくとも1つのポリペプチド、又は少なくとも1つの多量体を含む、分離マトリクスを提供する。
【0027】
本開示の好ましい態様は、詳細な記載において及び従属項において以下に記載される。
【0028】
定義
用語「抗体」及び「免疫グロブリン」は、本明細書において互換的に用いられ、抗体の断片、抗体又は抗体断片を含む融合タンパク質、及び抗体又は抗体断片を含むコンジュゲートも含むと理解される。
【0029】
本明細書において、用語「カッパ軽鎖結合ポリペプチド」及び「カッパ軽鎖結合タンパク質」は、抗体のサブクラス1、3又は4カッパ軽鎖(VκI、VκIII及びVκIVとも称される、B HK Nilsonら、: J. Biol. Chem. 267, 2234~2239, 1992においてのとおり)に結合することができるポリペプチド又はタンパク質をそれぞれ意味し、例えば、タンパク質L及び前記結合特性を維持しているその任意のバリアント、断片又は融合タンパク質を含む。
【0030】
用語「カッパ軽鎖含有タンパク質」は、「免疫グロブリンカッパ軽鎖含有タンパク質」と同義語として使用され、本明細書において、抗体由来のサブクラス1、3又は4カッパ軽鎖(VκI、VκIII及びVκIVとも称される、B HK Nilsonら、: J. Biol. Chem. 267, 10 2234~2239, 1992においてのとおり)を含むタンパク質を意味し、サブクラス1、3若しくは4カッパ軽鎖を含有する任意のインタクトな抗体、抗体断片、融合タンパク質、コンジュゲート又は組換えタンパク質を含む。
【0031】
本明細書において、用語「リンカー」は、多量体において2つのポリペプチド単位、モノマー又はドメインを互いに連結する要素を意味する。
【0032】
本明細書において、用語「スペーサー」は、ポリペプチド又はポリペプチド多量体を支持体に繋ぐ要素を意味する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】タンパク質Lカッパ軽鎖結合ドメイン、全長及び短縮型のアライメントを示す図である。
【
図2】タンパク質Lリガンド、B3ドメインのNaOH安定性を示す図である。
【
図3】タンパク質Lリガンド、B3ドメインの溶出プロファイルを示す図である。リガンド結合の正規化された値。
【
図4】0.1M NaOH、100サイクルにわたるドメインB2、B3、B4、C2b、C3b、C4及びD1のNaOH安定性を示す図である。
【
図5】B2、B3、B4、C2、C2b、C3b、C4及びD1の溶出プロファイルを示す図である。HHQバリアントは白色の印で示し、HHYバリアントは黒色の印で示す。
【
図6A】Blosum75分析を示す図である。A)配列のアライメント。
【
図6B】Blosum75分析を示す図である。B)距離類似性(distances similarity)についての表。
【発明を実施するための形態】
【0034】
市販されているタンパク質L分離マトリクスはあるが、さらなる改善の必要がある。特に、そのアルカリ安定性を改善する必要がある。したがって、アルカリ条件下で優れた安定性を有するマトリクスに対する必要性がある。既存のタンパク質Lリガンドと比較して高いアルカリ安定性を有し、κ1、κ3及びκ4軽鎖に対する親和性を少なくとも維持しているタンパク質Lリガンドを産生することが、本発明者らの目的である。
【0035】
目的のタンパク質Lのカッパ軽鎖結合ドメインは、野生型(wt)骨格配列、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8及び配列番号9を有する。
配列番号1(wt B1)
SEEEVTIKANLIFANGSTQTAEFKGTFEKATSEAYAYADTLKKDNGEYTVDVADKGYTLNIKFAGKEKTPEE
配列番号2(wt B2)
PKEEVTIKANLIYADGKTQTAEFKGTFEEAAAEAYRYADALKKDNGEYTVDVADKGYTLNIKFAGKEKTPEE
配列番号3(wt B3)
PKEEVTIKANLIYADGKTQTAEFKGTFEEATAEAYRYADLLAKENGKYTVDVADKGYTLNIKFAGKEKTPEE
配列番号4(wt B4)
PKEEVTIKANLIYADGKTQTAEFKGTFAEATAEAYRYADLLAKENGKYTADLEDGGYTINIRFAGKKVDEKPEE
配列番号5(wt C2)
PKEEVTIKVNLIFADGKTQTAEFKGTFEEATAKAYAYADLLAKENGEYTADLEDGGNTINIKFAGKETPETPEE
配列番号6(wt C3)
PKEEVTIKVNLIFADGKIQTAEFKGTFEEATAKAYAYANLLAKENGEYTADLEDGGNTINIKFAGKETPETPEE
配列番号7(wt C4)
PKEEVTIKVNLIFADGKTQTAEFKGTFEEATAEAYRYADLLAKVNGEYTADLEDGGYTINIKFAGKEQPGENPG
配列番号8(D1) PKEEVTIKANLIFADGKTQTAEFKGTFEEATAEAYRYADLLAKVNGEYTADLEDGGYTINIKFAGKEQPGEN
【0036】
本開示において使用されるB5ドメインは、H45N変異を有し、それにより配列番号9による骨格配列を有する。このことは、試験したすべての骨格配列において少なくとも3個のアスパラギンがあることを確実にした。
配列番号9 (B5)
KEQVTIKENIYFEDGTVQTATFKGTFAEATAEAYRYADLLSKENGKYTADLEDGGYTINIRFAGKEEPEE
【0037】
B1~B4及びC2~C4は、例えば、US 6,162,903、WO 00/15803 A1及びJ.P. Murphyら、(Mol. Microbiol. (1994) 12, 911~920)において以前公開されており、H45N変異を含まないB5も同様である。D1は、NCBIデータベースにおいてWP_094225182.1として以前公開された配列アミノ酸548~619についての本発明者らの命名である。
【0038】
タンパク質Lの三次元構造は、N末端から始めて2つのベータシート、1つのアルファヘリックス及び2つの追加的ベータシートを含む(例えば、Graille, M.ら、 Structure 2001 (9), 679~687頁を参照されたい)。1~4位は、5位から始まる第1のベータシートに先行する。第4のベータシートは、65位で終わり、それにより66位及び任意の続くアミノ酸位置は、上に述べられた三次元構造の部分を形成しない。
【0039】
これにより、配列番号1~9の配列は、1~4位のアミノ酸が省略され、65位より後の任意のアミノ酸も省略された短縮配列として代替的に記載され得る。これにより、開示される配列、配列番号1~9についての代替的な語は、タンパク質Lのカッパ軽鎖結合ドメインが、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18によるアミノ酸配列であることである。
配列番号10(wt B1_trunc)
----VTIKANLIFANGSTQTAEFKGTFEKATSEAYAYADTLKKDNGEYTVDVADKGYTLNIKFAG-------
配列番号11(wt B2_trunc)
----VTIKANLIYADGKTQTAEFKGTFEEAAAEAYRYADALKKDNGEYTVDVADKGYTLNIKFAG-------
配列番号12(wt B3_trunc)
----VTIKANLIYADGKTQTAEFKGTFEEATAEAYRYADLLAKENGKYTVDVADKGYTLNIKFAG-------
配列番号13(wt B4_trunc)
----VTIKANLIYADGKTQTAEFKGTFAEATAEAYRYADLLAKENGKYTADLEDGGYTINIRFAG---------
配列番号14(B5_trunc)
----VTIKENIYFEDGTVQTATFKGTFAEATAEAYRYADLLSKENGKYTADLEDGGYTINIRFAG------
配列番号15(wt C2_trunc)
----VTIKVNLIFADGKTQTAEFKGTFEEATAKAYAYADLLAKENGEYTADLEDGGNTINIKFAG---------
配列番号16(wt C3_trunc)
----VTIKVNLIFADGKIQTAEFKGTFEEATAKAYAYANLLAKENGEYTADLEDGGNTINIKFAG---------
配列番号17(wt C4_trunc)
----VTIKVNLIFADGKTQTAEFKGTFEEATAEAYRYADLLAKVNGEYTADLEDGGYTINIKFAG---------
配列番号18(D1_trunc)
----VTIKANLIFADGKTQTAEFKGTFEEATAEAYRYADLLAKVNGEYTADLEDGGYTINIKFAG-------
【0040】
本発明者らは、タンパク質Lリガンドに対する結合親和性を維持する一方でアルカリ安定性を改善するためのタンパク質Lドメインにおける重要な位置及び変異を新たに決定した。それにより、上に述べた目的は、ペプトストレプトコッカスタンパク質Lの少なくとも1つの変異導入されたカッパ軽鎖結合ドメインからなる、本質的にそれからなる又はそれを含むカッパ軽鎖結合ポリペプチドであって、
ギャップオープンペナルティ12、ギャップ伸長ペナルティ3を用いてBLOSUM行列75によって決定して、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7又は配列番号8のアミノ酸配列のいずれか1つに、少なくとも90%、95%若しくは98%配列同一性又は77,5%配列類似性を有し、ポリペプチドは、配列番号1~8と比較して、10位及び45位それぞれのアスパラギン(N)がヒスチジン(H)に変異導入されており、60位のアスパラギン(N)がチロシン(Y)若しくはグルタミン(Q)に変異導入されている;或いは、
ギャップオープンペナルティ12、ギャップ伸長ペナルティ3を用いてBLOSUM行列75によって決定して、配列番号9に少なくとも90%、95%若しくは98%配列同一性又は77,5%配列類似性を有し、ポリペプチドは、配列番号5と比較して、9位及び44位それぞれのアスパラギン(N)がヒスチジン(H)に変異導入されており、59位のアスパラギン(N)がチロシン(Y)若しくはグルタミン(Q)に変異導入されている、カッパ軽鎖結合ポリペプチドを開発することによって達成された。
【0041】
代替的な語では、本発明は、ペプトストレプトコッカスタンパク質Lの少なくとも1つの変異導入された結合ドメインからなる、本質的にそれからなる又はそれを含むカッパ軽鎖結合ポリペプチドであって、
ギャップオープンペナルティ12、ギャップ伸長ペナルティ3を用いてBLOSUM行列75によって決定して、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17又は配列番号18のアミノ酸配列のいずれか1つに、少なくとも90%、95%若しくは98%配列同一性又は77,5%配列類似性を有し、
ポリペプチドは、配列番号10~18のいずれか1つと比較して、6位及び41位それぞれのアスパラギン(N)がヒスチジン(H)に変異導入されており、56位のアスパラギン(N)がチロシン(Y)若しくはグルタミン(Q)に変異導入されている、カッパ軽鎖結合ポリペプチドに関する。
【0042】
以前開示された1つの追加的タンパク質Lドメインである、ドメインC1(配列番号19)がある。しかし、このドメインは、実験結果から本範囲に含まれない。
【0043】
簡潔さのために、記載が10、45及び60位を述べる場合、アラインされた配列1~9についての位置に関する。それにより、任意の短縮配列における対応する位置も包含する。例えば、B5(配列番号9)は、配列番号1~8において欠失された1位に対応する位置を有する。それにより、配列番号1~8における10、45及び60位は、アライメントでは、配列番号9におけるそれぞれ9、44及び59位に対応することは明らかである。逆に短縮配列、配列番号10~18については、配列番号1~8における10、45及び60位は、アライメントでは、配列番号10~18におけるそれぞれ6、41及び56位に対応する。全長配列及び短縮配列のアライメントは、
図1に示される。明確に開示される任意の特定のアミノ酸配列は、特定の配列ごとに明示された変異を有する。しかし、下に述べられる文章及び実験パートでは、10、45及び60位だけが言及される。
【0044】
配列同一性又は配列類似性の参照は、上で明示された10、45及び60位に明示の変異を組み込む前の、同定された配列への同一性又は類似性を指す。したがって、10、45及び60位における明示の変異は、本発明によるポリペプチドに常に存在するはずである。同一性又は類似性の範囲内に収まる任意の変化について、変化はこれらの特定の10、45及び60位には適用され得ない。
【0045】
アミノ酸配列の比較に関して用語「同一性%」は、例えば、Altshulら、(1990) J. Mol. Biol., 215: 403~410に記載されたBasic Local Alignment Tool (BLAST(商標))等の標準的アライメントアルゴリズムにより決定される。これについてのウェブベースのソフトウェアは、http://blast.ncbi.nlm.nih.gov/Blast.cgi?PROGRAM=blastp&PAGE_TYPE=BlastSearch&LINK_LOC=blasthomeでthe US National Library of Medicineから無料公開されている。本明細書では、アルゴリズム「blastp(タンパク質-タンパク質BLAST)」は、問い合わせ配列と対象配列とのアライメント、及びとりわけ同一性の%を決定するために使用される。
【0046】
アミノ酸配列の比較に関して用語「類似性」は、例えば、Geneious Prime software (https://www.geneious.com/から入手可能)等の標準的アライメントアルゴリズムによって決定される。本明細書において、Geneious Alignment toolは、ギャップオープンペナルティ12、ギャップ伸長ペナルティ3及び改良反復(refinement iterations)2を用いてBLOSUM 75行列を使用して、フリーエンドギャップ(free end gap)を用いる全体的なアライメントで10個のタンパク質L配列、配列番号1~9及び配列番号19について検索するために使用された。アライメントは
図6aに示される。距離類似性の結果は、
図6bに示される。
【0047】
ポリペプチドは、4個等の3~5個のアミノ酸を上に述べた短縮配列、配列番号10~18のN末端に更に含み得る。ポリペプチドは、5~10個の、例えば6個、7個、8個又は9個のアミノ酸を、上に述べた短縮配列、配列番号10~18のC末端に更に含み得る。これらの追加的アミノ酸は、配列番号1~9のアミノ酸配列のいずれかにおける対応する位置に存在するものと異なってよい。
【0048】
ポリペプチドは、クローニング工程に由来する又はシグナル伝達配列の切断由来の残基を構成する複数のアミノ酸残基をN末端に更に含み得る。追加的アミノ酸残基の数は15個以下、例えば10個以下又は5個以下であり得る。
【0049】
ポリペプチドは、明示のアミノ酸配列のN末端若しくはC末端にスペーサー若しくはリンカーを、及び/又は明示のアミノ酸配列のN末端若しくはC末端に追加的アミノ酸を更に含み得る。前記スペーサー、リンカー及び/又は追加的アミノ酸は、カッパ軽鎖結合機能に一般に関与しない。
【0050】
以前開示されたタンパク質Lリガンド(WO 2016/096644)は、配列番号20に対応する。
配列番号20
PKEEVTIKAQLIYADGKTQTAEFKGTFEEATAEAYRYADLLAKEAGKYTVDVADKGYTLQIKFAGKEKTPEE
【0051】
上記の以前開示された配列(配列番号20)は、wtB3ドメイン(配列番号3)と同様に下に開示される実験において評価基準配列として使用された。
【0052】
一実施形態により、カッパ軽鎖結合ポリペプチドは、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29及び配列番号30のいずれか1つによって定義される配列を含む群から選択されるアミノ酸配列を有する。
配列番号21(B3:N10H、N45H、N60Y変異)
PKEEVTIKAH LIYADGKTQT AEFKGTFEEA TAEAYRYADL LAKEHGKYTV DVADKGYTLY IKFAGKEKTP EE
配列番号22(B3:N10H、N45H、N60Q変異)
PKEEVTIKAH LIYADGKTQT AEFKGTFEEA TAEAYRYADL LAKEHGKYTV DVADKGYTLQ IKFAGKEKTP EE
配列番号23(B1:N10H、N45H、N60Y変異)
SEEEVTIKAHLIFANGSTQTAEFKGTFEKATSEAYAYADTLKKDHGEYTVDVADKGYTLYIKFAGKEKTPEE
配列番号24(B1:N10H、N45H、N60Q変異)
SEEEVTIKAHLIFANGSTQTAEFKGTFEKATSEAYAYADTLKKDHGEYTVDVADKGYTLQIKFAGKEKTPEE
配列番号25(B2:N10H、N45H、N60Y変異)
PKEEVTIKAHLIYADGKTQTAEFKGTFEEAAAEAYRYADALKKDHGEYTVDVADKGYTLYIKFAGKEKTPEE
配列番号26(B2:N10H、N45H、N60Q変異)
PKEEVTIKAHLIYADGKTQTAEFKGTFEEAAAEAYRYADALKKDHGEYTVDVADKGYTLQIKFAGKEKTPEE
配列番号27(B4:N10H、N45H、N60Y変異)
PKEEVTIKAHLIYADGKTQTAEFKGTFAEATAEAYRYADLLAKEHGKYTADLEDGGYTIYIRFAGKKVDEKPEE
配列番号28(B4:N10H、N45H、N60Q変異)
PKEEVTIKAHLIYADGKTQTAEFKGTFAEATAEAYRYADLLAKEHGKYTADLEDGGYTIQIRFAGKKVDEKPEE
配列番号29(B5:N9H、N44H、N59Y変異)
KEQVTIKEH IYFEDGTVQTATFKGTFAEATAEAYRYADLLSKEHGKYTADLEDGGYTIQIRFAGKEEPEE
配列番号30(B5:N9H、N44H、N59Q変異)
KEQVTIKEHIYFEDGTVQTATFKGTFAEATAEAYRYADLLSKEHGKYTADLEDGGYTIQIRFAGKEEPEE
【0053】
C2ドメインについて、wt骨格(配列番号5)が十分でないアルカリ安定性を有することが見出された。したがって、C2骨格は、57位におけるアスパラギンがチロシン(Y)に変異導入されたC2bドメインである配列番号31に変異導入された。
配列番号31(C2b) (C2、N57Y)
PKEEVTIKVNLIFADGKTQTAEFKGTFEEATAKAYAYADLLAKENGEYTADLEDGGYTINIKFAGKETPETPEE
【0054】
同じ変異は、上記配列番号31とのアライメントにおいて対応する位置で任意の短縮バージョンに作製されるべきである。そのような短縮配列の例は、配列番号32である。
配列番号32 (C2b_trunc)
----VTIKVNLIFADGKTQTAEFKGTFEEATAKAYAYADLLAKENGEYTADLEDGGYTINIKFAG---------
【0055】
したがって、一実施形態により、ペプトストレプトコッカスタンパク質Lの変異導入されたカッパ軽鎖結合ドメインは、ギャップオープンペナルティ12、ギャップ伸長ペナルティ3を用いてBLOSUM行列75によって決定して、配列番号31のアミノ酸配列に少なくとも90%、95%若しくは98%配列同一性又は77,5%配列類似性を有し、ポリペプチドは、配列番号31と比較して、10位及び45位それぞれのアスパラギン(N)がヒスチジン(H)に変異導入されており、60位のアスパラギン(N)がチロシン(Y)若しくはグルタミン(Q)に変異導入されている。
【0056】
代替的に、一実施形態により、ペプトストレプトコッカスタンパク質Lのカッパ軽鎖結合ドメインは、ギャップオープンペナルティ12、ギャップ伸長ペナルティ3を用いてBLOSUM行列75によって決定して、配列番号32のアミノ酸配列に少なくとも90%、95%若しくは98%配列同一性又は77,5%配列類似性を有し、ポリペプチドは、配列番号32と比較して、6位及び41位それぞれのアスパラギン(N)がヒスチジン(H)に変異導入されており、56位のアスパラギン(N)がチロシン(Y)若しくはグルタミン(Q)に変異導入されている。
【0057】
同様にC3ドメインについて、wt骨格(配列番号7)が十分でないアルカリ安定性を有することが見出された。したがって、C3骨格は、57位におけるアスパラギン(N)がチロシン(Y)に変異導入され、39位におけるアスパラギン(N)がアスパラギン酸(D)に変異導入されたC3bドメインである配列番号33に変異導入された。
配列番号33 (C3b) (C3、N39D、N57Y)
PKEEVTIKVNLIFADGKIQTAEFKGTFEEATAKAYAYADLLAKENGEYTADLEDGGYTINIKFAGKETPETPEE
【0058】
同じ変異は、上の配列番号33を用いたアライメントでの対応する位置で、いずれの短縮バージョンにも作製されるべきである。そのような短縮配列の例は、配列番号34である。
配列番号34 (C3b_trunc)
----VTIKVNLIFADGKIQTAEFKGTFEEATAKAYAYADLLAKENGEYTADLEDGGYTINIKFAG---------
【0059】
したがって、一実施形態により、ペプトストレプトコッカスタンパク質Lのカッパ軽鎖結合ドメインは、ギャップオープンペナルティ12、ギャップ伸長ペナルティ3を用いてBLOSUM行列75によって決定して、配列番号33のアミノ酸配列に少なくとも90%、95%若しくは98%配列同一性又は77,5%配列類似性を有し、ポリペプチドは、配列番号1~4及び6~9と比較して、10位及び45位それぞれのアスパラギン(N)がヒスチジン(H)に変異導入されており、60位のアスパラギン(N)がチロシン(Y)若しくはグルタミン(Q)に変異導入されている。
【0060】
代替的に、一実施形態により、ペプトストレプトコッカスタンパク質Lのカッパ軽鎖結合ドメインは、ギャップオープンペナルティ12、ギャップ伸長ペナルティ3を用いてBLOSUM行列75によって決定して、配列番号34のアミノ酸配列に少なくとも90%、95%若しくは98%配列同一性又は77,5%配列類似性を有し、ポリペプチドは、配列番号34のいずれか1つと比較して、6位及び41位それぞれのアスパラギン(N)がヒスチジン(H)に変異導入されており、56位のアスパラギン(N)がチロシン(Y)若しくはグルタミン(Q)に変異導入されている。
【0061】
したがって、一実施形態により、カッパ軽鎖結合ポリペプチドは、配列番号35、配列番号36、配列番号37及び配列番号38のいずれか1つによって定義される配列を含む群から選択されるアミノ酸配列を有する。
配列番号35(C2b:N10H、N45H、N60Y変異)
PKEEVTIKVHLIFADGKTQTAEFKGTFEEATAKAYAYADLLAKEHGEYTADLEDGGYTIYIKFAGKETPETPEE
配列番号36(C2b:N10H、N45H、N60Q変異)
PKEEVTIKVHLIFADGKTQTAEFKGTFEEATAKAYAYADLLAKEHGEYTADLEDGGYTIQIKFAGKETPETPEE
配列番号37(C3b:N10H、N45H、N60Y変異)
PKEEVTIKVHLIFADGKIQTAEFKGTFEEATAKAYAYADLLAKEHGEYTADLEDGGYTIYIKFAGKETPETPEE
配列番号38(C3b:N10H、N45H、N60Q変異)
PKEEVTIKVHLIFADGKIQTAEFKGTFEEATAKAYAYADLLAKEHGEYTADLEDGGYTIQIKFAGKETPETPEE
【0062】
追加的に、C2bドメイン及びC3bドメインにおけるN57Y変異は、N60Q変異との組合せで良好な安定性及び良好な親和性をもたらしたことが見出された。
【0063】
さらなる実施形態により、カッパ軽鎖結合ポリペプチドは、配列番号39、配列番号40、配列番号41及び配列番号42のいずれか1つによって定義される配列を含む群から選択されるアミノ酸配列を有する。
配列番号39(C4:N10H、N45H、N60Y変異)
PKEEVTIKVHLIFADGKTQTAEFKGTFEEATAEAYRYADLLAKVHGEYTADLEDGGYTIYIKFAGKEQPGENPG
配列番号40(C4:N10H、N45H、N60Q変異)
PKEEVTIKVHLIFADGKTQTAEFKGTFEEATAEAYRYADLLAKVHGEYTADLEDGGYTIQIKFAGKEQPGENPG
配列番号41(D1:N10H、N45H、N60Y変異)
PKEEVTIKAHLIFADGKTQTAEFKGTFEEATAEAYRYADLLAKVHGEYTADLEDGGYTIYIKFAGKEQPGEN
配列番号42(D1:N10H、N45H、N60Q変異)
PKEEVTIKAHLIFADGKTQTAEFKGTFEEATAEAYRYADLLAKVHGEYTADLEDGGYTIQIKFAGKEQPGEN
【0064】
さらなる実施形態により、短縮バージョン配列番号10~18、配列番号32及び配列番号34に基づいて、カッパ軽鎖結合ポリペプチドは、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46、配列番号47、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号56、配列番号57、配列番号58、配列番号59又は配列番号60のいずれか1つによって定義される配列を含む群から選択されるアミノ酸配列を有する。
配列番号43(B1_trunc、N6H、N41H、N56Y変異)
VTIKAHLIFANGSTQTAEFKGTFEKATSEAYAYADTLKKDHGEYTVDVADKGYTLYIKFAG
配列番号44(B1_trunc、N6H、N41H、N56Q変異)
VTIKAHLIFANGSTQTAEFKGTFEKATSEAYAYADTLKKDHGEYTVDVADKGYTLQIKFAG
配列番号45(B2_trunc、N6H、N41H、N56Y変異)
VTIKAHLIYADGKTQTAEFKGTFEEAAAEAYRYADALKKDHGEYTVDVADKGYTLYIKFAG
配列番号46(B2_trunc、N6H、N41H、N56Q変異)
VTIKAHLIYADGKTQTAEFKGTFEEAAAEAYRYADALKKDHGEYTVDVADKGYTLQIKFAG
配列番号47(B3_trunc、N6H、N41H、N56Y変異)
VTIKAHLIYADGKTQTAEFKGTFEEATAEAYRYADLLAKEHGKYTVDVADKGYTLYIKFAG
配列番号48(B3_trunc、N6H、N41H、N56Q変異)
VTIKAHLIYADGKTQTAEFKGTFEEATAEAYRYADLLAKEHGKYTVDVADKGYTLQIKFAG
配列番号49(B4_trunc、N6H、N41H、N56Y変異)
VTIKAHLIYADGKTQTAEFKGTFAEATAEAYRYADLLAKEHGKYTADLEDGGYTIYIRFAG
配列番号50(B4_trunc、N6H、N41H、N56Q変異)
VTIKAHLIYADGKTQTAEFKGTFAEATAEAYRYADLLAKEHGKYTADLEDGGYTIQIRFAG
配列番号51(B5_trunc、N6H、N41H、N56Y変異)
VTIKEHIYFEDGTVQTATFKGTFAEATAEAYRYADLLSKEHGKYTADLEDGGYTIYIRFAG
配列番号52(B5_trunc、N6H、N41H、N56Q変異)
VTIKEHIYFEDGTVQTATFKGTFAEATAEAYRYADLLSKEHGKYTADLEDGGYTIQIRFAG
配列番号53(C2b_trunc、N6H、N41H、N56Y変異)
VTIKVHLIFADGKTQTAEFKGTFEEATAKAYAYADLLAKEHGEYTADLEDGGYTIYIKFAG
配列番号54(C2b_trunc、N6H、N41H、N56Q変異)
VTIKVHLIFADGKTQTAEFKGTFEEATAKAYAYADLLAKEHGEYTADLEDGGYTIQIKFAG
配列番号55(C3b_trunc、N6H、N41H、N56Y変異)
VTIKVHLIFADGKIQTAEFKGTFEEATAKAYAYADLLAKEHGEYTADLEDGGYTIYIKFAG
配列番号56(C3b_trunc、N6H、N41H、N56Q変異)
VTIKVHLIFADGKIQTAEFKGTFEEATAKAYAYADLLAKEHGEYTADLEDGGYTIQIKFAG
配列番号57(C4_trunc、N6H、N41H、N56Y変異)
VTIKVHLIFADGKTQTAEFKGTFEEATAEAYRYADLLAKVHGEYTADLEDGGYTIYIKFAG
配列番号58(C4_trunc、N6H、N41H、N56Q変異)
VTIKVHLIFADGKTQTAEFKGTFEEATAEAYRYADLLAKVHGEYTADLEDGGYTIQIKFAG
配列番号59(D1_trunc、N6H、N41H、N56Y変異)
VTIKAHLIFADGKTQTAEFKGTFEEATAEAYRYADLLAKVHGEYTADLEDGGYTIYIKFAG
配列番号60(D1_trunc、N6H、N41H、N56Q変異)
VTIKAHLIFADGKTQTAEFKGTFEEATAEAYRYADLLAKVHGEYTADLEDGGYTIQIKFAG
【0065】
これにより、本発明者らは、変異N10H、N45H及びN60Y又はN60Qが、上で明示したタンパク質Lドメインのアルカリ安定性に好影響を有することを示した。
図4から、これらの変異が、wtB3 (pAM114)と比較してアルカリ安定性を大きく改善することが明らかに示される。
図2に示すとおり、N60Y/Q変異も本明細書においてpAM 128(配列番号20)によって示される参照タンパク質Lリガンドとの比較でアルカリ安定性の改善に寄与している。
図4において更に見られるとおり、アルカリ安定性は、ドメイン依存性である。
【0066】
更に別の実施形態により、上に開示されるカッパ軽鎖結合ポリペプチドのいずれか1つを含む多量体が提供される。多量体は、少なくとも2つのポリペプチドを含み、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ又は9つのポリペプチドを含み得る。それにより、多量体は、例えば、二量体、三量体、四量体、五量体、六量体、七量体、八量体又は九量体であり得る。多量体中のすべてのポリペプチドが同一であるホモ多量体であってよく、又は少なくとも1つのポリペプチドが他と異なるヘテロ多量体であってよい。有利には、多量体中のすべてのポリペプチドは、上に開示される変異を含むことによってなどアルカリ安定である。ポリペプチドは、ポリペプチドのC末端とN末端との間のペプチド結合によって互いに直接連結され得る。代替的に、多量体中の2つ以上の単位は、1~5個、1~10個又は5~10個のアミノ酸等の15個又は30個までのアミノ酸を含むエレメント等のオリゴマー種又はポリマー種を含むリンカーによって連結され得る。したがって、そのような多量体は、カッパ軽鎖結合機能に関与しないリンカー、スペーサー又は追加的アミノ酸を追加的に含み得る。そのようなリンカー、スペーサー又は追加的アミノ酸は、多量体の2つのポリペプチドの間、及び/又はN末端若しくはC末端のいずれかに位置付けられてよい。
【0067】
更に別の実施形態により、上に開示されるカッパ軽鎖結合ポリペプチド又は上に開示される多量体のいずれか1つをコードする核酸が提供される。更に一実施形態により、上に述べた核酸を含むベクターが提供される。前記ベクターは、シグナルペプチド、エンハンサー、プロモーター、同定タグ、同定若しくは選択マーカー及び/又は精製タグ等のエレメントを更に含み得る。プロモーターの非限定的例は、T5プロモーターである。シグナルペプチドの非限定的例は、OmpAペリプラズムシグナルペプチドである。更に別の実施形態は、上に開示されるポリペプチド又は多量体を発現するために発現系を提供する。当業者は、クローニング戦略、発現戦略等に応じて、上に開示された等の特定のさらなるエレメントを選択する知識を有する。発現系は、細胞培養物中にあってよく、又は無細胞発現系であってよい。
【0068】
本明細書で開示されるカッパ軽鎖結合ポリペプチドは、サブクラス1、3又は4カッパ軽鎖を含む任意の抗体又は抗体断片の分離の目的のために、固体支持体にカップリングされた分離マトリクスにおける使用のために好適である。
【0069】
本発明のポリペプチドは、以下の非限定的例においてより詳細に開示される。
【実施例】
【0070】
タンパク質の変異誘発及び発現
モノマー構築物を次のとおり設計した。タンパク質Lドメイン出発配列は、配列番号1~9及び配列番号19であった。
【0071】
実験において使用されたタンパク質L挿入物は、IDT、Integrated DNA Technologies社(https://eu.idtdna.com)からの注文であった。挿入物をSalI及びBamHIを用いて切断した。pAM113ベクターをSalI及びBamHIを用いて切り、脱リン酸した。その後、タンパク質L挿入物をpAM113ベクターにライゲーションした。プラスミドを、標準的条件を使用してTop10ケミカルコンピテント(chemo-competent)大腸菌(E. coli)に形質転換した。形質転換のための標準的手順は、典型的には、2μl 5 x KCM (5 x KCM = 0.5M KCl、0.15M CaCl2、0.25M MgCl2) + 8μlライゲーション混合物を混合することであった。10μlケミカルコンピテント大腸菌を加え、氷上、20分間インキュベートし、RT、10分間のインキュベーションが続いた。180μl SOC培地(Invitrogen社から、Ref. 15544-034)を加え、1時間、37℃、200rpmでインキュベートした。200μlを100μg/mlカルベニシリンを補充したアガープレート上に蒔き、一晩(o/n)、37℃でのインキュベーションが続いた。
【0072】
コロニーを播種し、一晩培養し、配列を確認するためにMWG Eurofins GATCでの配列決定が続いた。その後、タンパク質LバリアントをK12-017大腸菌に再形質転換した。200μlを100μg/mlカルベニシリンを補充したアガープレート上に蒔き、一晩インキュベートした。
【0073】
各タンパク質Lバリアントのコロニーを14mlファルコンチューブ中、200μg/mlカルベニシリンを補充した4ml LB (MilliQ 1リットルあたり2.5% (w/v) Miller's LB Broth Base、Invitrogen社; Ref. 12795027、pH7、LBブロスベース)に播種し、37℃、一晩、200rpmでインキュベートした。500μlの一晩培養物を100μg/mlカルベニシリンを補充した250ml振とうフラスコ中の50ml Terrific Broth (TB) (ブロス:2L: 24gペプトン+48gイーストエクストラクト+8mlグリセリン(85%);リン酸カリウム緩衝液: 11,55g KH2PO4 (MW 136,08) + 82,15g K2HPO4*3H2O (MW 288,23);ブロス及びリン酸カリウム溶液は別々に調製し、オートクレーブした、その後100mlリン酸カリウム緩衝液を900mlブロスに加えた)に播種し、開始OD600nm = 0.05を得た。フラスコを37℃、130rpm、2時間45分間、OD600nm = 0.7までインキュベートした。保存濃度1Mの25μlイソプロピルβ-d-1-チオガラクトピラノシド(IPTG)を各フラスコに加え、最終IPTG濃度、0.5mMを得て、フラスコを一晩、27℃、130rpmでインキュベートした。
【0074】
細胞を8000 x g、5分間、RTで遠心分離した。上清を廃棄し、沈殿物を10ml GraviTrap結合緩衝液(125ml 8x PBS + 10ml 2Mイミダゾール+ 865ml StAq (合計体積:1000ml))に再懸濁し、15mlファルコンチューブに移した。チューブを水浴中、80~85℃で10分間加熱し、8000 x g、15分間の遠心分離が続いた。サンプルを0.2μM滅菌フィルターを用いてろ過し、4℃で保存した。
【0075】
タンパク質L分子をCytiva社からのGraviTrapをプロトコールに従って使用して精製した。カラム保存液を捨てた。各カラムを10ml結合緩衝液(125ml 8 x PBS + 10ml 2Mイミダゾール + 865 ml StAq、合計体積1000ml)を用いて平衡化し、10mL試料の添加が続いた。ロード後に各カラムを2 x 10ml結合緩衝液を用いて洗浄した。各試料を3ml溶出緩衝液(12,5ml 8 x PBS + 25ml 2Mイミダゾール + 62,5ml StAq、合計体積100ml)を使用して溶出した。溶出物体積の500μlを各試料について保存した。
【0076】
次に、PD10脱塩カラムをCytiva社推奨プロトコールに従って使用して、精製された各タンパク質L分子を緩衝液交換した。カラム保存液を捨て、各カラムを5x5ml PBSを用いて平衡化し、2.5ml試料を添加し、500μl PBSを添加し、通過画分を廃棄し、3ml PBSを添加し、溶出された分子を回収し、4℃で保存した。タンパク質L分子のタンパク質濃度を280nmでの吸光度を用いてNanodropを使用して測定した。
【0077】
実験パートI
(実施例1)
B3ドメインに対する親和性試験
タンパク質L分子をBiacore 8K+において見かけの親和性について調査した。親和性を試験するために使用した分析物は、ポリクローナルIgG (Gammanorm、Octapharma社、Sweden)であった。
【0078】
アミンカップリングを使用して、タンパク質LバリアントをCM5チップ(Cytiva社、Sweden)に固定した(Biacore Sensor Surface Handbook、https://cdn.cytivalifesciences.com/dmm3bwsv3/AssetStream.aspx?mediaformatid=10061&destinationid=10016&assetid=16475を参照)。
EDC/NHSは、420秒間、流速10μl/分で両方のフローセルについてCM5表面を活性化し、エタノールアミンを用いたシステム(センサー表面ではない)の洗浄が続いた。固定緩衝液中のバリアントをフローセル2に注入し、活性化CM5表面に固定した。エタノールアミンを表面を不活性化するために両方のフローセルに420秒間、流速10μl/分で注入した。
【0079】
溶液:
EDC 水中、0.4 M 1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)-カルボジイミド
NHS 水中、0.1M N-ヒドロキシサクシニミド
エタノールアミン 1Mエタノールアミン-HCl pH8.5
リガンド 典型的には固定化緩衝液中、10から50μg/mL
注入手順: 流速 接触時間
1.EDC/NHS(表面を活性化) 10μL/分 7分間
2.エタノールアミン(表面を通過しない) 洗浄 -
3.リガンド 10μL/分 7分間4.
エタノールアミン(過剰な反応基を不活性化) 10μL/分 7分間
【0080】
その後、タンパク質Lバリアントを、IgG (Gammanorm)に対するそれらの結合及び見かけの親和性について評価した。以下のアッセイ条件を使用した:
分析物: Gammanorm、HBS-EP+ (汎用性ランニング緩衝液; 0.1M HEPES、1.5 M NaCl、0.03M EDTA及び0.5% v/v Surfactant P20;Cytiva社から)中に希釈
分析物濃度: 0.026、0.053、0.106、0.2125、0.425、0.85、1.7、3.4μM
再生: 10mMグリシンpH1.5
アッセイ: 10分間会合→10分間解離→2x再生;流速: 10μl/分
【0081】
B3ドメインに対する見かけの親和性を2つのモデルを使用して概算した: 1:1動態及び定常状態。評価をBiacore Insight Evaluation Softwareにおいて実施した。定常状態親和性及び1:1動態についてのKDをソフトウェアから読みだした。親和性試験の結果をTable 1(表1)に示す。
【0082】
【0083】
変異は、見かけの親和性全体にあまり影響を与えない。60位における変異は、親和性にわずかに負の影響を有する。45位におけるヒスチジン(H)は60位におけるチロシン(Y)と共に、見かけの親和性の低下及び「粘着性の」相互作用を生じて、良い組合せではない。pAM114 (NNN)とpAM140 (YHY)との比較は、YHYがより速いオフ速度を有する更に非特異的な相互作用を生じることを示している。
【0084】
選択性(データ未記載)に関して、B3のさまざまなバリアントにおける変異は、選択性に大きな影響を有しなかったが、45位のヒスチジンはカッパ4への結合をわずかに弱め、60位のチロシンはカッパ3への結合をわずかに弱めた。一般に、選択性はすべての変異導入されたバリアントについて維持されている。
【0085】
(実施例2)
B3ドメインについてのNaOH安定性試験
固定されたタンパク質LリガンドをBiacore 8K+でNaOH安定性について評価した。次のアッセイ条件を使用した:
分析物: Gammanorm HBSEP+ (ランニング緩衝液)中に希釈
分析物濃度: 512μg/ml (3.4μM)
再生: 10mMグリシンpH1.5
NaOH濃度: 100mM
アッセイ(1サイクル、合計100サイクル): 10分間、分析物会合→1分間、分析物解離→10分間、NaOH注入→1分間、NaOH解離→1分間、待機→2x再生→1分間待機。流速:10μl/分
【0086】
アッセイステップを100サイクル反復した。サイクル1は、サイクル1とサイクル2との間でのRU(応答)における急減のために排除する。したがってサイクル2~100を使用した。結果を下のTable 2(表2)に示す。
【0087】
【0088】
上の結果(
*で印を付けた)の選択を
図2に示す。見かけの親和性とは対照的に、60位は、アルカリ安定性のために最も重要であり、チロシン(Y)が最良のアミノ酸である。45位ではアラニン(A)及びヒスチジン(H)は、同等に良好であり、アスパラギン(N)よりも良好である。10位は、他の位置ほど重要ではなく、チロシン(Y)はグルタミン(Q)より良好である。したがって、見かけの親和性の順位とNaOH安定性とはミラーイメージである、すなわち低い親和性は高いアルカリ安定性をもたらし、逆も同様である。
【0089】
(実施例3)
B3ドメインについての溶出プロファイル
固定したタンパク質Lリガンドを更に穏やかな溶出条件を使用する可能性について評価した。以下のアッセイ条件を使用した:
分析物: Gammanorm、HBS-EP+ (汎用性ランニング緩衝液; 0.1M HEPES、1.5M NaCl、0.03M EDTA及び0.5% v/v Surfactant P20; Cytiva社から)中に希釈
分析物濃度: 512μg/ml (3.4μM)
再生: 50mMクエン酸緩衝液pH2、2.5、3及び3.5
アッセイ: 10分間、分析物会合→1分間、分析物解離→1分間、pH3.5注入→1分間、pH3.5解離→1分間、pH3注入→1分間、pH3解離→1分間、pH2.5注入→1分間、pH2.5解離→1分間、pH2注入→1分間、pH2解離;流速: 10μl/分
【0090】
バリアントの選択についての結果を
図3に示す。溶出アッセイは、さまざまなB3バリアントの間で溶出プロファイルに大きな差異はないことを明らかにしたが、おそらく疎水性相互作用からの高いオフ速度のために、45位におけるヒスチジンはより早い溶出をもたらした。
【0091】
(実施例4)
ドメインB1、B2、B4、B5、C1~C4及びD1
見かけの親和性及びNaOH安定性に関して実施例1~2において実施した残りのドメインについてのBiacore結果をTable 3~8(表3~8)にまとめる。
【0092】
【0093】
Table 3(表3)に示すとおり、ドメインB1、B2、B4及びB5は、YHY組合せが親和性に負の影響を有するB3と同様の特徴を示す。15位等のB1における追加的アスパラギンの変異は、親和性を低下させる(データ未記載)。
【0094】
【0095】
Table 4(表4)に見られるとおり、YHY組合せは安定性を増加させる。15位等のB1における追加的なアスパラギンの変異は、安定性を増加させる(データ未記載)。
【0096】
【0097】
Table 5(表5)に見られるとおり、C1及びC4ドメインは、YHY組合せが親和性に負の影響を有するB3ドメインと同様の特徴を示す。Table 5(表5)に見られるのと同様に、C3における39位のアスパラギン並びにC2及びC3の両方における57位のアスパラギンの追加的変異は、親和性を増加させる。
【0098】
【0099】
Table 6(表6)に見られるとおり、C1及びC4ドメインは、YHY組合せが安定性を増加させるB3と同様の特徴を示す。しかし、C2及びC3ドメインでは、57位におけるチロシン(Y)は、60位におけるYよりもNaOH安定性に大きな影響を有する。57位におけるチロシンは、Q60との組合せで良好な親和性及び安定性を有する(pAM162及び164を参照されたい)。20位等のドメインC1及びC3における追加的アスパラギンの変異は、親和性を改善し、安定性を増加させ得る(データ未記載)。
【0100】
【0101】
【0102】
Table 7及び8(表7及び8)において見られるとおり、D1ドメインはB3と同様の特徴を示す。
【0103】
実験パートI概要
上記のこれらの実験は、大部分のドメインについて、60位におけるYがNaOH安定性のために最も重要であることを示す。ドメインC2及びC3については、57位におけるYもNaOH安定性のために重要である。
【0104】
親和性測定からの結果は、親和性がNaOH安定性及び「粘着性」と逆相関である、すなわち高い親和性が低い安定性及び低い「粘着性」と関連することを示す。ここでの例外は、pAM162(C2)及びpAM164 (C3)であり、この両方は良好な親和性及び安定性を有する。
【0105】
ドメインを親和性及びNaOH安定性に関して互いに比較する場合、ドメインB3、C2及びC3が「良好な」ドメインと見なし得る一方で、B1及びC1は「あまり良好でない」ドメインと見なし得る。ドメインC2及びC3について、57位における追加的変異は安定性及び親和性の両方に関して改善をもたらす。
【0106】
2つの個別のバリアントpAM162及びpAM164は、最良の「オールラウンダー」と見なすことができる、すなわち良好な親和性及び良好な安定性を示す。
【0107】
実験パートIの結果に基づいて、本発明者らは、すべてのタンパク質Lドメインにおいて最も有望な変異を更に調査することが興味深いことを見出した。
【0108】
実験パートII
(実施例5)
すべてのタンパク質Lドメインについての発現ベクターN10H、N45H、N60Q/N60Hの構築
上記及びタンパク質Lリガンドの分野での以前の研究を考慮して、上で試験したすべてのドメインでの明示の変異N10H、N45H及びN60Y/N60Qの影響に次に注目した。Table 9(表9)におけるタンパク質L-バリアントは、上に開示のとおりIDT社からの注文であり、上に開示のとおり発現させた。
【0109】
このセットには、上のTable 5及び6 (表5及び6)における結果を考慮して、C2bドメイン及びC3bドメインが含まれる。C2bドメインは、追加的N57Y変異を含む。C3bドメインは、追加的N39D及びN57Y変異を含む。
【0110】
【0111】
(実施例6)
分析物Gammanormに対する見かけの親和性測定
固定したタンパク質LリガンドをIgG (Gammanorm)に対するそれらの結合及び見かけの親和性について評価した。以下のアッセイ条件を使用した:
→ 分析物: Gammanorm、HBS-EP+ (汎用性ランニング緩衝液; 0.1M HEPES、1.5M NaCl、0.03M EDTA及び0.5% v/v Surfactant P20; Cytiva社から)中に希釈
→ 分析物濃度: 0.026、0.053、0.106、0.2125、0.425、0.85、1.7、3.4μM
→ 再生: 10mMグリシンpH1.5
→ アッセイ: 10分間、会合→10分間解離→2 x 再生。流速: 10μl/分
【0112】
評価を、センサーグラムへの動態及び親和性フィッティング(図示せず)を実施したBiacore Insight Evaluation Softwareで実施する。定常状態親和性及び1:1動態についてのKDをソフトウェアから読みだした。センサーグラムの曲率に基づいて相互作用を「粘着性」又は「良好」であると評価した。
【0113】
【0114】
結果は、タンパク質LドメインB1、C1、C2及びC3が粘着性相互作用を有し、粘着性相互作用と低い親和性との間に関連があることを示す。親和性は、ドメイン依存性であると考えられ、ドメインのHHQバージョンとHHYバージョンとの間に大きな差異は見られない。
【0115】
(実施例7)
NaOH安定性評価
固定タンパク質LリガンドをNaOH安定性について評価した。以下のアッセイ条件を使用した:
→ 分析物: Gammanorm、HBS-EP+ (汎用性ランニング緩衝液; 0.1M HEPES、1.5M NaCl、0.03M EDTA及び0.5% v/v Surfactant P20; Cytiva(商標)社から)中に希釈
→ 分析物濃度: 3.4μM
→ 再生: 10mMグリシンpH1.5
→ NaOH濃度: 100mM
→ アッセイ: 10分間、分析物会合→1分間、分析物解離→10分間、NaOH注入→1分間、NaOH解離→1分間、待機→2 x再生→1分間、待機→反復100サイクル。流速: 10μl/分
【0116】
評価をBiacore Insight Evaluationソフトウェアにおいて実施し、報告点の「結合率(Binding late)」での応答を回収した。サイクル1 (開始)及びサイクル2 (分析の最初のサイクル)は評価から除外した。最初の評価サイクル(サイクル3)での応答を100%に設定し、続く99サイクルでの応答を最初のサイクルからの応答の百分率とした。
【0117】
バリアント間のNaOH安定性の比較を簡略化するために、NaOH安定性をサイクル数の増加と比較する安定性の減少の直線図として視覚化する、
図4を参照されたい。Table 11(表11)では、各バリアントについて100サイクル後の能力の最終的な百分率を列挙し、最も高い能力を最初にして並べる。
【0118】
【0119】
【0120】
結果は、pAM240とは異なりすべてのバリアントは、pAM114 (wt B2ドメイン)と比較して更に良好なNaOH安定性を有することを示す。HHYバリアントは、HHQと比較してわずかに良好なNaOH安定性を有すると考えられる。しかし、一般に両バリアントは、十分機能することが示されている。NaOH安定性は、主にドメイン依存性であり、ここでB5、C1、C2及びC3は最も低いアルカリ安定性を示す。バリアントHHY及びHHQの両方についてC3b、B3、C2b、B2、B4、C4及びD1は、すべて非常に良好なアルカリ安定性を示す。
【0121】
(実施例8)
pH2~3.5における溶出の評価
固定したタンパク質Lリガンドを更に穏やかな溶出条件を使用する可能性について評価した。以下のアッセイ条件を使用した:
→ 分析物: Gammanorm、HBS-EP+ (汎用性ランニング緩衝液; 0.1M HEPES、1.5M NaCl、0.03M EDTA及び0.5% v/v Surfactant P20;Cytiva社から)中に希釈
→ 分析物濃度: 3.4μM
→ 再生: 50mMクエン酸緩衝液pH2、2.5、3及び3.5
→ アッセイ: 10分間、分析物会合→1分間、分析物解離→1分間pH3.5注入→1分間、pH3.5解離→1分間、pH3注入→1分間、pH3解離→1分間、pH2.5注入→1分間、pH2.5解離→1分間、pH2注入→1分間、pH2解離→2x再生。流速: 10μl/分
【0122】
結果の評価をBiacore Insight Evaluationソフトウェアで実施し、エクセルで編集した。報告点の「安定率(Stability late)」での応答を6個の異なる測定点について回収した; 1:分析物注入後、2: pH=3.5、3: pH=3.0、4: pH=2.5、5: pH=2.0及び6: pH=1.5での再生。分析物注入後の応答を100%に設定し、続く測定点での続く応答を百分率として決めた。
【0123】
結果を
図5に示し、B2ドメイン、B3ドメイン、B4ドメイン、C2bドメイン、C3bドメイン、C4ドメイン及びD1ドメインのHHYバリアント及びHHQバリアントの両方は、参照C2より容易に溶出し、「粘着性」相互作用に対応する。wtB3 (pAM114)は、点線を用いて表す。HHQバリアントは、HHYバリアントと比較してわずかに容易に溶出すると考えられる。
【0124】
概要及び結論
下のTable 12~14 (表12~14)において、親和性及びアルカリ安定性に関する上に開示された実験の結果を、ドメインごとに要約し、wtB3ドメインと比較する。
【0125】
上に開示された実験及び下記のその概要から、変異N10H、N45H及びN60Y又はN60Qがタンパク質LのNaOH安定性において正の効果を有し、親和性が維持されることは明らかである。加えて、カッパ軽鎖κ1、κ3及びκ4への選択性は維持される(データ未記載)。効果が、広範なタンパク質Lドメインについて示されることは注目される。効果は、特に、B2ドメイン、B3ドメイン、B4ドメイン、C2bドメイン、C3bドメイン、C4ドメイン及びD1ドメインについて示される。
【0126】
【0127】
【0128】
【0129】
本記載は、任意のデバイス又はシステムを作製すること及び使用すること、並びに任意の組み込まれた方法を実施することを含んで、当業者が本発明を実施できるようにするために最良の態様を含んで本発明を開示するために例を使用する。本発明の特許性のある範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者が想到する他の例も含み得る。そのような他の例は、それらが特許請求の範囲の文字通りの用語と異ならない構造要素を有する場合、又はそれらが特許請求の範囲の文字通りの用語から実質的でない差異を有する均等の構造要素を含む場合に、特許請求の範囲の範囲内であることが意図される。明細書において述べられたすべての特許及び特許出願は、それらが個々に組み込まれたのと同様にその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【配列表】
【国際調査報告】