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特表2024-532441伝送電力を制御するための方法および通信デバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】伝送電力を制御するための方法および通信デバイス
(51)【国際特許分類】
   H04W 52/18 20090101AFI20240829BHJP
   H04W 52/42 20090101ALI20240829BHJP
【FI】
H04W52/18
H04W52/42
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513455
(86)(22)【出願日】2022-05-25
(85)【翻訳文提出日】2024-04-10
(86)【国際出願番号】 CN2022094956
(87)【国際公開番号】W WO2023029608
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】202111016801.3
(32)【優先日】2021-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503433420
【氏名又は名称】華為技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Huawei Administration Building, Bantian, Longgang District, Shenzhen, Guangdong 518129, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133569
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 進
(72)【発明者】
【氏名】王 淳
(72)【発明者】
【氏名】朱 世浩
(72)【発明者】
【氏名】王 燕春
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067EE02
5K067EE10
5K067GG08
(57)【要約】
本出願は、伝送電力を制御するための方法および通信デバイスを提供する。本方法は、第1の時間期間の無線周波数デバイスの温度および無線周波数デバイスの動作温度閾値に基づいて、第1の時間期間の無線周波数デバイスの伝送電力閾値を取得することと、第1の時間期間の伝送電力閾値以下になるように第1の時間期間の無線周波数デバイスの伝送電力を制御することとを含む。本方法によれば、ベースバンドユニット装置は、無線周波数デバイスの温度によって伝送電力閾値を決定し得、無線周波数デバイスの伝送電力閾値は、無線周波数デバイスのリアルタイム温度変化とともに動的に変化することを許容される。したがって、無線周波数デバイスのハードウェア能力に対する伝送電力閾値の制限が低減され得る。これは、無線周波数デバイスの伝送電力を改善し、無線周波数デバイスの過熱を回避するのに役立ち、これにより、無線周波数構成要素の温度と伝送電力との両方の要件が考えられ、通信デバイスの性能が改善される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝送電力を制御するための方法であって、前記方法は、
第1の時間期間の無線周波数デバイスの温度および前記無線周波数デバイスの動作温度閾値に基づいて、前記第1の時間期間の前記無線周波数デバイスの伝送電力閾値を取得するステップと、
前記第1の時間期間の前記伝送電力閾値以下になるように前記第1の時間期間の前記無線周波数デバイスの伝送電力を制御するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
第1の時間期間の無線周波数デバイスの温度および前記無線周波数デバイスの動作温度閾値に基づいて、前記第1の時間期間の前記無線周波数デバイスの伝送電力閾値を取得する前記ステップは、
前記第1の時間期間の開始時点における前記無線周波数デバイスの温度および前記無線周波数デバイスの前記動作温度閾値に基づいて、前記第1の時間期間に許容される最大定常状態温度を取得するステップと、
前記第1の時間期間に許容される最大定常状態温度、および前記無線周波数デバイスの温度と前記無線周波数デバイスの伝送電力との対応関係に基づいて、前記第1の時間期間の前記無線周波数デバイスの前記伝送電力閾値を取得するステップと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の時間期間の前記伝送電力閾値は、前記第1の時間期間の平均伝送電力閾値であり、前記第1の時間期間は、複数のスケジューリング時間ユニットを含み、前記第1の時間期間の前記伝送電力閾値以下になるように前記第1の時間期間の前記無線周波数デバイスの伝送電力を制御する前記ステップは、
前記第1の時間期間の前記平均伝送電力閾値以下になるように前記第1の時間期間の前記複数のスケジューリング時間ユニットの前記無線周波数デバイスの伝送電力の平均値を制御するステップ
を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の時間期間は、第1のスケジューリング時間ユニットおよび第2のスケジューリング時間ユニットを含み、前記第2のスケジューリング時間ユニットは、前記第1のスケジューリング時間ユニットの前に位置し、前記第1の時間期間の前記平均伝送電力閾値以下になるように前記第1の時間期間の前記複数のスケジューリング時間ユニットの前記無線周波数デバイスの伝送電力の平均値を制御する前記ステップは、
前記第1の時間期間の前記平均伝送電力閾値と前記第2のスケジューリング時間ユニットの前記無線周波数デバイスの伝送電力とに基づいて、前記第1のスケジューリング時間ユニットの伝送電力閾値を決定するステップであって、前記第1のスケジューリング時間ユニットの前記伝送電力閾値は、前記第2のスケジューリング時間ユニットの前記伝送電力の値と負の相関がある、ステップと、
前記第1のスケジューリング時間ユニットの前記伝送電力閾値以下になるように前記第1のスケジューリング時間ユニットの前記無線周波数デバイスの伝送電力を制御するステップと
を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のスケジューリング時間ユニットの前記伝送電力閾値が前記第2のスケジューリング時間ユニットの前記伝送電力の値と負の相関があることは、
前記第2のスケジューリング時間ユニットの前記無線周波数デバイスの前記伝送電力が前記平均伝送電力閾値より小さいとき、前記第1のスケジューリング時間ユニットの前記無線周波数デバイスの前記伝送電力が、前記第1の時間期間の前記平均伝送電力閾値より大きいこと、または
前記第2のスケジューリング時間ユニットの前記無線周波数デバイスの前記伝送電力が前記第1の時間期間の前記平均伝送電力閾値より大きいとき、前記第1のスケジューリング時間ユニットの前記無線周波数デバイスの前記伝送電力が、前記第1の時間期間の前記平均伝送電力閾値より小さいこと
を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の時間期間は、第1のスケジューリング時間ユニット、第2のスケジューリング時間ユニット、および第3のスケジューリング時間ユニットを含み、前記第2のスケジューリング時間ユニットおよび前記第3のスケジューリング時間ユニットは、前記第1のスケジューリング時間ユニットの前に位置し、前記第1の時間期間の前記平均伝送電力閾値以下になるように前記第1の時間期間の前記複数のスケジューリング時間ユニットの前記無線周波数デバイスの伝送電力の平均値を制御する前記ステップは、
前記第2のスケジューリング時間ユニットおよび前記第3のスケジューリング時間ユニットの前記無線周波数デバイスの伝送電力の合計を取得するステップと、
前記第1の時間期間の前記平均伝送電力閾値および前記伝送電力の前記合計に基づいて、前記第1のスケジューリング時間ユニットの伝送電力閾値を決定するステップであって、前記第1のスケジューリング時間ユニットの前記伝送電力閾値は、前記伝送電力の前記合計の値と負の相関がある、ステップと、
前記第1のスケジューリング時間ユニットの前記伝送電力閾値以下になるように前記第1のスケジューリング時間ユニットの前記無線周波数デバイスの伝送電力を制御するステップと
を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の時間期間の前記伝送電力閾値以下になるように前記第1の時間期間の前記無線周波数デバイスの伝送電力を制御する前記ステップは、
データチャネルで前記無線周波数デバイスによって送信されるデータによって占有される帯域幅を調整することによって、前記第1の時間期間の前記伝送電力閾値以下になるように前記第1の時間期間の前記無線周波数デバイスの前記伝送電力を制御するステップ、または
前記無線周波数デバイスの電力スペクトル密度を調整することによって、前記第1の時間期間の前記伝送電力閾値以下になるように前記第1の時間期間の前記無線周波数デバイスの前記伝送電力を制御するステップ
を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記方法は、
前記第1の時間期間の前記無線周波数デバイスの前記温度を取得するステップ
をさらに含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の時間期間の前記無線周波数デバイスの前記温度を取得する前記ステップは、
前記第1の時間期間の前記無線周波数デバイスの負荷および温度モデルに基づいて、前記第1の時間期間の前記無線周波数デバイスの前記温度を予測するステップ、
または
前記第1の時間期間の前記無線周波数デバイスの負荷および前記温度モデルに基づいて、前記第1の時間期間の前記無線周波数デバイスの温度変化量を予測するステップ、および
前記第1の時間期間の前記開始時点における前記無線周波数デバイスの前記温度および前記温度変化量に基づいて、前記第1の時間期間の前記無線周波数デバイスの前記温度を決定するステップ
を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記温度モデルは環境補償量を含み、前記環境補償量は、前記無線周波数デバイスが位置する環境によって生じる、前記無線周波数デバイスの前記温度への影響を補償するために使用される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記方法は、ベースバンドユニットBBUによって実行される、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の時間期間の後、前記無線周波数デバイスの温度は前記動作温度閾値以下である、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
通信デバイスであって、前記通信デバイスは、
第1の時間期間の無線周波数デバイスの温度および前記無線周波数デバイスの動作温度閾値に基づいて、前記第1の時間期間の前記無線周波数デバイスの伝送電力閾値を取得するように構成された取得ユニットと、
前記第1の時間期間の前記伝送電力閾値以下になるように前記第1の時間期間の前記無線周波数デバイスの伝送電力を制御するように構成された制御ユニットと
を備える、通信デバイス。
【請求項14】
前記取得ユニットは、具体的には、前記第1の時間期間の開始時点における前記無線周波数デバイスの温度および前記無線周波数デバイスの前記動作温度閾値に基づいて、前記第1の時間期間に許容される最大定常状態温度を取得し、前記第1の時間期間に許容される最大定常状態温度、および前記無線周波数デバイスの温度と前記無線周波数デバイスの伝送電力との対応関係に基づいて、前記第1の時間期間の前記無線周波数デバイスの前記伝送電力閾値を取得するように構成される、請求項13に記載の通信デバイス。
【請求項15】
前記第1の時間期間の前記伝送電力閾値は、前記第1の時間期間の平均伝送電力閾値であり、前記第1の時間期間は、複数のスケジューリング時間ユニットを含み、前記制御ユニットは、具体的には、前記第1の時間期間の前記平均伝送電力閾値以下になるように前記第1の時間期間の前記複数のスケジューリング時間ユニットの前記無線周波数デバイスの伝送電力の平均値を制御するように構成される、請求項13または14に記載の通信デバイス。
【請求項16】
前記第1の時間期間は、第1のスケジューリング時間ユニットおよび第2のスケジューリング時間ユニットを含み、前記第2のスケジューリング時間ユニットは、前記第1のスケジューリング時間ユニットの前に位置し、前記制御ユニットは、具体的には、前記第1の時間期間の前記平均伝送電力閾値と前記第2のスケジューリング時間ユニットの前記無線周波数デバイスの伝送電力とに基づいて、前記第1のスケジューリング時間ユニットの伝送電力閾値を決定し、前記第1のスケジューリング時間ユニットの前記伝送電力閾値は、前記第2のスケジューリング時間ユニットの前記伝送電力の値と負の相関があり、前記第1のスケジューリング時間ユニットの前記伝送電力閾値以下になるように前記第1のスケジューリング時間ユニットの前記無線周波数デバイスの伝送電力を制御するように構成される、請求項15に記載の通信デバイス。
【請求項17】
前記第1のスケジューリング時間ユニットの前記伝送電力閾値が前記第2のスケジューリング時間ユニットの前記伝送電力の値と負の相関があることは、
前記第2のスケジューリング時間ユニットの前記無線周波数デバイスの前記伝送電力が前記平均伝送電力閾値より小さいとき、前記第1のスケジューリング時間ユニットの前記無線周波数デバイスの前記伝送電力が、前記第1の時間期間の前記平均伝送電力閾値より大きいこと、または
前記第2のスケジューリング時間ユニットの前記無線周波数デバイスの前記伝送電力が前記第1の時間期間の前記平均伝送電力閾値より大きいとき、前記第1のスケジューリング時間ユニットの前記無線周波数デバイスの前記伝送電力が、前記第1の時間期間の前記平均伝送電力閾値より小さいこと
を含む、請求項16に記載の通信デバイス。
【請求項18】
前記第1の時間期間は、第1のスケジューリング時間ユニット、第2のスケジューリング時間ユニット、および第3のスケジューリング時間ユニットを含み、前記第2のスケジューリング時間ユニットおよび前記第3のスケジューリング時間ユニットは、前記第1のスケジューリング時間ユニットの前に位置し、前記制御ユニットは、具体的には、前記第2のスケジューリング時間ユニットおよび前記第3のスケジューリング時間ユニットの前記無線周波数デバイスの伝送電力の合計を取得し、前記第1の時間期間の前記平均伝送電力閾値および前記伝送電力の前記合計に基づいて、前記第1のスケジューリング時間ユニットの伝送電力閾値を決定し、前記第1のスケジューリング時間ユニットの前記伝送電力閾値は、前記伝送電力の前記合計の値と負の相関があり、前記第1のスケジューリング時間ユニットの前記伝送電力閾値以下になるように前記第1のスケジューリング時間ユニットの前記無線周波数デバイスの伝送電力を制御するように構成される、請求項15に記載の通信デバイス。
【請求項19】
前記制御ユニットは、具体的には、データチャネルで前記無線周波数デバイスによって送信されるデータによって占有される帯域幅を調整することによって、前記第1の時間期間の前記伝送電力閾値以下になるように前記第1の時間期間の前記無線周波数デバイスの前記伝送電力を制御し、または
前記無線周波数デバイスの電力スペクトル密度を調整することによって、前記第1の時間期間の前記伝送電力閾値以下になるように前記第1の時間期間の前記無線周波数デバイスの前記伝送電力を制御するように構成される、
請求項15から18のいずれか一項に記載の通信デバイス。
【請求項20】
前記取得ユニットは、具体的には、前記第1の時間期間の前記無線周波数デバイスの前記温度を取得するようにさらに構成される、請求項15から19のいずれか一項に記載の通信デバイス。
【請求項21】
前記取得ユニットは、具体的には、
前記第1の時間期間の前記無線周波数デバイスの負荷および温度モデルに基づいて、前記第1の時間期間の前記無線周波数デバイスの前記温度を予測し、または
前記第1の時間期間の前記無線周波数デバイスの負荷および前記温度モデルに基づいて、前記第1の時間期間の前記無線周波数デバイスの温度変化量を予測し、
前記第1の時間期間の前記開始時点における前記無線周波数デバイスの前記温度および前記温度変化量に基づいて、前記第1の時間期間の前記無線周波数デバイスの前記温度を決定する
ように構成される、請求項20に記載の通信デバイス。
【請求項22】
前記温度モデルは環境補償量を含み、前記環境補償量は、前記無線周波数デバイスが位置する環境によって生じる、前記無線周波数デバイスの前記温度への影響を補償するために使用される、請求項21に記載の通信デバイス。
【請求項23】
通信デバイスであって、前記通信デバイスはプロセッサを備え、前記プロセッサはメモリに結合され、前記メモリは、コンピュータプログラム命令を記憶するように構成され、前記プロセッサは、前記通信デバイスが請求項1から12のいずれか一項に記載の方法を実行することを可能にするために、前記メモリ内の前記コンピュータプログラム命令を実行するように構成される、通信デバイス。
【請求項24】
ネットワークシステムであって、前記ネットワークシステムは、ベースバンドユニットおよび無線周波数デバイスを備え、前記ベースバンドユニットは、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法を実行するように構成される、ネットワークシステム。
【請求項25】
コンピュータ可読記憶媒体であって、前記記憶媒体は、少なくとも1つのコンピュータプログラム命令を記憶し、前記コンピュータプログラム命令がコンピュータ上で実行されるとき、前記コンピュータは、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法を実行することを可能にされる、コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項26】
コンピュータプログラム製品であって、前記コンピュータプログラム製品は、1つ以上のコンピュータプログラム命令を含み、前記コンピュータプログラム命令が、コンピュータによってロードされて実行されるとき、前記コンピュータは、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法を実行することを可能にされる、コンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年8月31日に出願された、「伝送電力を制御するための方法および通信デバイス」と題された中国特許出願第202111016801.3号の優先権を主張し、その全体は参照によりここに組み込まれる。
【0002】
本出願は、通信技術の分野に関し、特に、伝送電力を制御するための方法および通信デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
無線周波数デバイスは、通信デバイスにおいてワイヤレス通信を実施するための重要なデバイスである。無線周波数デバイスは、動作プロセスにおいて大量の熱を発生させ、無線周波数デバイスの温度上昇を引き起こす。無線周波数デバイスが過度に高い温度に起因して故障するのを防ぐために、無線周波数デバイスの伝送電力は、無線周波数デバイスが安定して動作できることを保証するために制限される必要がある。
【0004】
従来技術では、無線周波数デバイスの電力閾値は、無線周波数デバイスの最高周囲温度および最大動作負荷に基づいて事前に設定される。通信デバイスの動作プロセスでは、無線周波数デバイスの伝送電力は、指定された固定電力閾値に制限される。
【0005】
前述の方法は、通信デバイスの性能を厳しく制限する。したがって、通信デバイスの性能を改善するために伝送電力を制御する方法は緊急に解決されるべき問題となっている。
【発明の概要】
【0006】
本出願の実施形態は、伝送電力を制御するための方法および通信デバイスを提供する。本方法は、通信デバイスの性能を改善するために使用される。技術的解決策は以下の通りである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様によれば、本出願は、伝送電力を制御するための方法を提供する。本方法は、任意選択で、以下の装置、すなわち、ベースバンドユニット(baseband unit、BBU)、基地局、BBU内のチップ、およびアクセスポイント(access point、AP)などによって実行されるが、これらの装置に制限されない。本方法は、第1の時間期間の無線周波数デバイスの温度および無線周波数デバイスの動作温度閾値に基づいて、第1の時間期間の無線周波数デバイスの伝送電力閾値を取得することと、第1の時間期間の伝送電力閾値以下になるように第1の時間期間の無線周波数デバイスの伝送電力を制御することとを含む。第1の態様で提供される方法によれば、ベースバンドユニットが例として使用される。ベースバンドユニットは、無線周波数デバイスの温度に基づいて伝送電力閾値を決定し、無線周波数デバイスの伝送電力閾値は、無線周波数デバイスのリアルタイム温度変化とともに動的に変化することを許容される。したがって、無線周波数デバイスのハードウェア能力に対する伝送電力閾値の制限が低減される。これは、無線周波数デバイスの伝送電力をさらに改善し、無線周波数デバイスの過熱を回避するのに役立ち、通信デバイスの性能を改善する。
【0008】
例えば、第1の時間期間は、任意選択で、電力制御の1つの時間周期である。例えば、第1の時間期間は1秒(second、s)である。
【0009】
無線周波数デバイスは、電力増幅器(power amplifier、PA)、トランシーバ、または別の無線周波数モジュールの動作プロセスで熱を発生させるデバイスを含むが、これらに制限されない。
【0010】
任意選択で、第1の時間期間の無線周波数デバイスの温度は、第1の時間期間の開始時点における無線周波数デバイスの温度である。あるいは、第1の時間期間の無線周波数デバイスの温度は、第1の時間期間のすべての時点における無線周波数デバイスの温度の平均値である。
【0011】
動作温度閾値は、無線周波数デバイスの最高動作温度を指す。無線周波数デバイスの温度は、温度が動作温度閾値を超えたときに無線周波数デバイスのハードウェアが損なわれるのを防ぐために、動作温度閾値内に制限される必要がある。例えば、無線周波数デバイスの動作温度の値範囲は、-40°~100°であり、動作温度閾値は、例えば、100°または100°に近い1つの温度値である。
【0012】
第1の時間期間の伝送電力閾値は、第1の時間期間に無線周波数デバイスによって使用されることを許容される最大伝送電力である。第1の時間期間の伝送電力閾値は、第1の時間期間の無線周波数デバイスの温度に関連する。例えば、第1の時間期間の無線周波数デバイスの温度が高いほど、第1の時間期間の伝送電力閾値は小さくなり、第1の時間期間の無線周波数デバイスの温度が低いほど、第1の時間期間の伝送電力閾値は大きくなる。一部の実施形態では、伝送電力閾値と温度との相関は、具体的には、伝送電力閾値が温度と動作温度閾値との温度差に関連することを意味する。例えば、第1の時間期間の無線周波数デバイスの温度が動作温度閾値に近いほど、第1の時間期間の伝送電力閾値は小さくなる。第1の時間期間の無線周波数デバイスの温度と動作温度閾値との温度差が大きいほど、第1の時間期間の伝送電力閾値は大きくなる。
【0013】
任意選択で、伝送電力閾値は、具体的には、平均伝送電力閾値である。第1の時間期間の平均伝送電力は、第1の時間期間の複数の時点における瞬時伝送電力の平均値である。伝送電力閾値が平均伝送電力閾値であるとき、伝送電力を制御する前述のプロセスは、第1の時間期間の伝送電力閾値以下になるように第1の時間期間の無線周波数デバイスの平均伝送電力を制御することを含む。言い換えれば、制御の目的は、第1の時間期間の複数の時点における無線周波数デバイスの瞬時伝送電力の平均値が伝送電力閾値を超えないことを保証し、任意選択で、第1の時間期間の一部の時点における無線周波数デバイスの瞬時伝送電力が伝送電力閾値より大きくなることを許容することである。
【0014】
あるいは、伝送電力閾値は、具体的には、瞬時伝送電力閾値である。第1の時間期間の瞬時伝送電力閾値は、無線周波数デバイスが第1の時間期間の各時点で使用されることを許容される最大瞬時伝送電力である。伝送電力閾値が瞬時伝送電力閾値であるとき、伝送電力を制御する前述のプロセスは、第1の時間期間の伝送電力閾値以下になるように第1の時間期間の各時点における瞬時伝送電力を制御することを含む。言い換えれば、制御の目的は、第1の時間期間のすべての時点における無線周波数デバイスの瞬時伝送電力が伝送電力閾値を超えないことを保証することである。
【0015】
一部の実施形態では、伝送電力閾値を取得するプロセスは、具体的には、第1の時間期間の開始時点における無線周波数デバイスの温度および無線周波数デバイスの動作温度閾値に基づいて、第1の時間期間に許容される最大定常状態温度を取得することと、第1の時間期間に許容される最大定常状態温度、および無線周波数デバイスの温度と無線周波数デバイスの伝送電力との対応関係に基づいて、第1の時間期間の無線周波数デバイスの伝送電力閾値を取得することとを含む。
【0016】
一部の実施形態では、最大定常状態温度は、開始時点における温度と動作温度閾値との温度差に関連する。例えば、第1の時間期間の開始時点における無線周波数デバイスの温度が動作温度閾値に近い場合、具体的には、開始時点における温度と動作温度閾値との温度差がより小さい場合、第1の時間期間に許容される最大定常状態温度はより小さい。
【0017】
一部の実施形態では、温度と伝送電力との対応関係の形態は、1つの関数または関数のグループである。伝送電力閾値を取得する具体的なプロセスは、最大定常状態温度を関数の入力パラメータとして使用することと、関数によって出力される伝送電力を取得するために関数によって演算を実行することと、伝送電力を伝送電力閾値として使用することとを含む。あるいは、温度と伝送電力との対応関係の形態はテーブルである。テーブルには、温度および伝送電力の複数のグループが記憶される。伝送電力閾値を取得する具体的なプロセスは、テーブル内の最大定常状態温度に対応する伝送電力を取得するために、最大定常状態温度をインデックスとして使用してテーブルを照会することを含む。
【0018】
ベースバンドユニットが例として使用される。ベースバンドユニットは、前述の方法で伝送電力閾値を決定する。これは、ベースバンドユニットによって伝送電力閾値を決定する精度を改善するのに役立つ。
【0019】
一部の実施形態では、伝送電力閾値が平均伝送電力閾値であるとき、電力制御の具体的な方法は、第1の時間期間の平均伝送電力閾値以下になるように第1の時間期間の複数のスケジューリング時間ユニットの無線周波数デバイスの伝送電力の平均値を制御することを含む。言い換えれば、制御の目的は、第1の時間期間の複数のスケジューリング時間ユニットの伝送電力の平均値が伝送電力閾値を超えないことを保証することであり、任意選択で、第1の時間期間のスケジューリング時間ユニットの一部の伝送電力は、伝送電力閾値より大きくなることを許容される。
【0020】
スケジューリング時間ユニットは、伝送電力を制御するための最小時間ユニットである。任意選択で、スケジューリング時間ユニットの持続時間は1つのTTIの持続時間と同じである。言い換えれば、1つのスケジューリング時間ユニットは、1つの伝送時間間隔(transmission time interval、TTI)であってもよい。あるいは、1つのスケジューリング時間ユニットの持続時間は1つのTTIより大きい。例えば、1つのスケジューリング時間ユニットは複数のTTIを含む。例えば、1つのスケジューリング時間ユニットは10個のTTIを含む。
【0021】
複数のスケジューリング時間ユニットの伝送電力の平均値の平均は、複数のスケジューリング時間ユニットに関連し、任意選択で、複数のスケジューリング時間ユニットの伝送電力の平均値は、スケジューリング時間ユニットの伝送電力の合計をスケジューリング時間ユニットの数で割ったものに等しい。例えば、第1の時間期間は、それぞれスケジューリング時間ユニット1、スケジューリング時間ユニット2、…、およびスケジューリング時間ユニットnであるn個のスケジューリング時間ユニットを含む。n個のスケジューリング時間ユニットの伝送電力の平均値は、スケジューリング時間ユニット1の無線周波数デバイスの伝送電力、スケジューリング時間ユニット2の無線周波数デバイスの伝送電力、…、およびスケジューリング時間ユニットnの無線周波数デバイスの伝送電力などのn個の伝送電力の平均値である。
【0022】
可能な実施態様では、平均伝送電力を制御する実施態様は、第1の時間期間の平均伝送電力に基づいて、第1の時間期間の各スケジューリング時間ユニットの伝送電力閾値を決定することを含む。第1の時間期間の各スケジューリング時間ユニットにおいて、第1の時間期間の複数のスケジューリング時間ユニットの伝送電力の平均値が第1の時間期間の平均伝送電力閾値以下になるように、スケジューリング時間ユニットに対応する伝送電力閾値に基づいて無線周波数デバイスの伝送電力が制御される。例えば、第1の時間期間の各スケジューリング時間ユニットの伝送電力閾値は、以下の制約条件、すなわち、Pmax_tti-1+Pmax_tti-2…+Pmax_tti-n≦Pavg_max*nを満たす。Pmax_tti-1は、第1の時間期間の第1のスケジューリング時間ユニットの伝送電力閾値を表し、Pmax_tti-2は、第1の時間期間の第2のスケジューリング時間ユニットの伝送電力閾値を表し、…は、第1の時間期間に含まれるが示されていないスケジューリング時間ユニットの伝送電力閾値を表し、Pmax_tti-nは、第1の時間期間の第nのスケジューリング時間ユニットの伝送電力閾値を表し、Pavg_maxは、第1の時間期間の平均伝送電力閾値を表し、nは、第1の時間期間のスケジューリング時間ユニットの数を表し、nは正の整数である。
【0023】
一部の実施形態では、第1の時間期間の平均伝送電力閾値は、以下の方法で決定され、計算は、第1の時間期間に許容される最大定常状態温度を取得するために、第1の時間期間の開始時点における温度および無線周波数デバイスの動作温度閾値に基づいて、式TLk=Tr-Ta+τ/p*(Tmax-Tr)を使用して実行される。TLkに対応する負荷Lkは、第1の時間期間に許容される最大定常状態温度および式TLn=fn(L1,L2,…,Ln)に基づいて決定され、第1の時間期間の平均伝送電力閾値は、式PTmax=Lkに基づいて決定される。
【0024】
TLkは、k番目の周期(すなわち、第1の時間期間)において許容される最大定常状態温度を表す。Trは、k番目の周期の開始時点における無線周波数デバイスのリアルタイム温度を表す。Taは環境補償量を表す。τは時定数を表す。pは、第1の時間期間の時間長を表す。Tmaxは、無線周波数デバイスの最大許容動作温度(すなわち、動作温度閾値)を表す。L1、L2、…、Lnは、n個の無線周波数デバイスの各々の負荷をそれぞれ表す。PTmaxは、無線周波数デバイスの最高動作温度に基づいて許容される最大伝送電力(すなわち、平均伝送電力閾値)を表し、nとkとの両方は正の整数である。
【0025】
ベースバンドユニットが例として使用される。ベースバンドユニットは、各スケジューリング時間ユニットで使用されることを許容される最大伝送電力を過度に制限することを回避するために、この実施態様において電力を制御する。これは、無線周波数デバイスのハードウェア能力の利用を改善し、ダウンリンクユーザスループットレートを改善する。
【0026】
第1の時間期間の第1のスケジューリング時間ユニットが例として使用され、第1のスケジューリング時間ユニットの電力閾値は、任意選択で、第1のスケジューリング時間ユニットの前の1つ以上のスケジューリング時間ユニットで無線周波数デバイスによって伝送された電力に基づいて決定される。第1の時間期間が第1のスケジューリング時間ユニットおよび第2のスケジューリング時間ユニットを含む例が使用される。任意選択で、第1のスケジューリング時間ユニットの伝送電力閾値を取得する方法は、第1の時間期間の平均伝送電力閾値および第2のスケジューリング時間ユニットの無線周波数デバイスの伝送電力に基づいて、第1のスケジューリング時間ユニットの伝送電力閾値を決定することと、第1のスケジューリング時間ユニットの伝送電力閾値以下になるように第1のスケジューリング時間ユニットの無線周波数デバイスの伝送電力を制御することとを含む。
【0027】
第1のスケジューリング時間ユニットは、第1の時間期間の1つのスケジューリング時間ユニットである。任意選択で、第1のスケジューリング時間ユニットは、現在の時点が位置するスケジューリング時間ユニットである。任意選択で、第1のスケジューリング時間ユニットに加えて、第1の時間期間は、1つ以上の別のスケジューリング時間ユニットをさらに含む。任意選択で、別のスケジューリング時間ユニットの電力制御方法は、第1のスケジューリング時間ユニットの電力制御方法と同じである。言い換えれば、電力制御は、第1のスケジューリング時間ユニットの方法と同様の方法で、第1の時間期間の各スケジューリング時間ユニットに対して実行される。
【0028】
第2のスケジューリング時間ユニットは、第1のスケジューリング時間ユニットの前に位置する。言い換えれば、第1のスケジューリング時間ユニットと比較して、第2のスケジューリング時間ユニットは1つの過去のスケジューリング時間ユニットである。第2のスケジューリング時間ユニットと第1のスケジューリング時間ユニットとの間の具体的な時間関係は、複数の可能な場合を含む。以下は、例を使用して、第2のスケジューリング時間ユニットおよび第1のスケジューリング時間ユニットの様々な可能な場合について説明する。
【0029】
任意選択で、第2のスケジューリング時間ユニットは第1のスケジューリング時間ユニットに隣接する。言い換えれば、第2のスケジューリング時間ユニットの終了時点は、第1のスケジューリング時間ユニットの開始時点である。あるいは、第2のスケジューリング時間ユニットは第1のスケジューリング時間ユニットに隣接せず、第2のスケジューリング時間ユニットの終了時点と第1のスケジューリング時間ユニットの開始時点との間に特定のスロットがある。例えば、第1のスケジューリング時間ユニットおよび第2の時間ユニットはそれぞれ、2つの1msであり、第1のスケジューリング時間ユニットおよび第2の時間ユニットは、任意選択で、1マイクロ秒(μs)などのスロットによって分けられる。
【0030】
任意選択で、第2のスケジューリング時間ユニットは、第1の時間期間における第1のスケジューリング時間ユニットの前のスケジューリング時間ユニットである。あるいは、第2のスケジューリング時間ユニットおよび第1のスケジューリング時間ユニットは、1つ以上のスケジューリング時間ユニットによって分けられる。例えば、第2のスケジューリング時間ユニットはTTI1であり、第1のスケジューリング時間ユニットはTTI3であり、1つのスケジューリング時間ユニットの持続時間は1つのTTIである。
【0031】
任意選択で、第2のスケジューリング時間ユニットのすべての時点は、第1のスケジューリング時間ユニットの前に位置する。言い換えれば、時間軸上で、第2のスケジューリング時間ユニットは第1のスケジューリング時間ユニットと重複しない。あるいは、第2のスケジューリング時間ユニットの時点の一部は第1のスケジューリング時間ユニットの前に位置し、第2のスケジューリング時間ユニットの時点の他の部分は第1のスケジューリング時間ユニット内にある。言い換えれば、時間軸上で、第2のスケジューリング時間ユニットは第1のスケジューリング時間ユニットと重複する。例えば、第2のスケジューリング時間ユニットはTTI1からTTI3であり、第1のスケジューリング時間ユニットはTTI2からTTI4であり、1つのスケジューリング時間ユニットの持続時間は3つのTTIである。
【0032】
一部の実施形態では、第1のスケジューリング時間ユニットの伝送電力閾値は、第2のスケジューリング時間ユニットの伝送電力の値と負の相関がある。
【0033】
例えば、負の相関は、反比例関係を指す。言い換えれば、第2のスケジューリング時間ユニットの伝送電力の値は、第1のスケジューリング時間ユニットの伝送電力閾値に影響を及ぼす。第2のスケジューリング時間ユニットの伝送電力の値が大きいほど、第1のスケジューリング時間ユニットの伝送電力閾値は小さくなる。例えば、第2のスケジューリング時間ユニットの伝送電力の値および第1のスケジューリング時間ユニットの伝送電力閾値は、以下の制約条件、すなわち、Pmax_last_tti+Pmax_tti≦Pavg_max*nを満たす。Pmax_last_ttiは、第2のスケジューリング時間ユニットの無線周波数デバイスの伝送電力の値を表し、Pmax_ttiは、第1のスケジューリング時間ユニットの無線周波数デバイスの伝送電力閾値を表し、Pavg_maxは、平均伝送電力閾値を表し、nは、第1の時間期間のスケジューリング時間ユニットの数を表し、nは正の整数である。
【0034】
この実施態様では、平均伝送電力が閾値を超えず、伝送電力閾値がサービス要件とともに変化することが保証される。これは、無線周波数デバイスの伝送電力を増加させる。
【0035】
一部の実施形態では、第1のスケジューリング時間ユニットの伝送電力閾値が第2のスケジューリング時間ユニットの伝送電力の値と負の相関があること、これは、具体的には、第2のスケジューリング時間ユニットの無線周波数デバイスの伝送電力が平均伝送電力閾値より小さいとき、第1のスケジューリング時間ユニットの無線周波数デバイスの伝送電力が、第1の時間期間の平均伝送電力閾値より大きいこと、または第2のスケジューリング時間ユニットの無線周波数デバイスの伝送電力が第1の時間期間の平均伝送電力閾値より大きいとき、第1のスケジューリング時間ユニットの無線周波数デバイスの伝送電力が、第1の時間期間の平均伝送電力閾値より小さいこととして表される。
【0036】
前述の実施態様では、無線周波数デバイスのハードウェア能力の利用およびダウンリンクユーザスループットレートが改善される。
【0037】
一部の実施形態では、第1のスケジューリング時間ユニットの伝送電力は、設定されたベース電力に関連する。ベース電力は、1つのスケジューリング時間ユニットで無線周波数デバイスによって使用されることを許容される最小伝送電力である。ベース電力が導入されるとき、第1のスケジューリング時間ユニットの伝送電力は、任意選択で、以下の制約条件を満たす。
Pbase≦Pmax_tti-i≦Pavg_max*n-Pbase*(n-i)-(Pmax_tti-1+Pmax_tti-2…+Pmax_tti-i-1
【0038】
Pbaseはベース電力を表し、Pmax_tti-iは、第1のスケジューリング時間ユニットの伝送電力閾値を表し、Pavg_maxは平均伝送電力閾値を表し、nは、第1の時間期間のスケジューリング時間ユニットの数を表し、(n-i)は、第1の時間期間における第1のスケジューリング時間ユニットの後のスケジューリング時間ユニットの数を表し、(Pmax_tti-1+Pmax_tti-2…+Pmax_tti-i-1)は、第1の時間期間における第1のスケジューリング時間ユニットの前のすべてのスケジューリング時間ユニットの伝送電力の合計を表し、nおよびiは正の整数であり、iはn以下である。
【0039】
例えば、第1の時間期間の持続時間は1sである。1つのスケジューリング時間ユニットの持続時間は1msであり、具体的には、第1の時間期間は合計1000個のスケジューリング時間ユニットを含む。第1の時間期間の平均伝送電力閾値は80ワット(watt、W、略してワット)である。ベース電力は20Wである。第1のスケジューリング時間ユニットが1sのうちの700番目のmsである例。第1の時間期間には第1のスケジューリング時間ユニットの後に残された300msがある。具体的には、第1の時間期間における第1のスケジューリング時間ユニットの後のスケジューリング時間ユニットの数は300であり、第1のスケジューリング時間ユニットの前のすべてのスケジューリング時間ユニットは、1sのうちの700番目のmsの前の699msである。合計20000Wが699msで伝送された場合、前述の制約条件における伝送電力の合計は20000Wであり、第1のスケジューリング時間ユニットの伝送電力が満たす制約条件は、具体的には、以下の通りであり、すなわち、20≦第1のスケジューリング時間ユニットの伝送電力閾値≦80*1000-20*300-20000である。
【0040】
ベースバンドユニットが前述の実施態様を実施する例が使用される。ベースバンドユニットは、後続のスケジューリング時間ユニットの電力閾値が少なくともベース電力を取得し得るように、ベース電力および平均伝送電力閾値に基づいて各スケジューリング時間ユニットの伝送電力閾値を制限する。これは、無線周波数デバイスが前のスケジューリング時間ユニットで過剰な電力を使用し、その結果、後続のスケジューリング時間ユニットにおける無線周波数デバイスが伝送電力を有しないことを回避する。このようにして、電力割当てはより均一になり、最小電力が実施される。
【0041】
第1のスケジューリング時間ユニットの前の複数のスケジューリング時間ユニットで伝送された電力に基づいて第1のスケジューリング時間ユニットの電力閾値を決定するための複数の方法がある。第1のスケジューリング時間ユニットの前に第2のスケジューリング時間ユニットおよび第3のスケジューリング時間ユニットが存在する例が使用される。電力制御のプロセスは、第2のスケジューリング時間ユニットおよび第3のスケジューリング時間ユニットの無線周波数デバイスの伝送電力の合計を取得することと、第1の時間期間の平均伝送電力閾値および伝送電力の合計に基づいて第1のスケジューリング時間ユニットの伝送電力閾値を決定することであって、第1のスケジューリング時間ユニットの伝送電力閾値は、伝送電力の合計の値と負の相関がある、ことと、第1のスケジューリング時間ユニットの伝送電力閾値以下になるように第1のスケジューリング時間ユニットの無線周波数デバイスの伝送電力を制御することとを含む。
【0042】
第1のスケジューリング時間ユニット、第2のスケジューリング時間ユニット、および第3のスケジューリング時間ユニットは、第1の時間期間に含まれる3つのスケジューリング時間ユニットである。第2のスケジューリング時間ユニットおよび第3のスケジューリング時間ユニットは、第1のスケジューリング時間ユニットの前に位置する。
【0043】
第2のスケジューリング時間ユニットおよび第3のスケジューリング時間ユニットの伝送電力の合計は、第2のスケジューリング時間ユニットおよび第3のスケジューリング時間ユニットで無線周波数デバイスによって使用された電力の総計を表す。伝送電力の合計は、第2のスケジューリング時間ユニットの無線周波数デバイスの伝送電力および第3のスケジューリング時間ユニットの無線周波数デバイスの伝送電力などの伝送電力の合計である。
【0044】
第1のスケジューリング時間ユニットの伝送電力閾値は、第2のスケジューリング時間ユニットおよび第3のスケジューリング時間ユニットの伝送電力の合計の値と負の相関がある。言い換えれば、第2のスケジューリング時間ユニットおよび第3のスケジューリング時間ユニットによって合計で使用される電力が大きいほど、第1のスケジューリング時間ユニットの伝送電力閾値は小さくなる。例えば、第2のスケジューリング時間ユニットおよび第3のスケジューリング時間ユニットの伝送電力の合計と、第1のスケジューリング時間ユニットの伝送電力閾値とは、以下の制約条件、すなわち、Pmax_last_last_tti+Pmax_last_tti+Pmax_tti≦Pavg_max*nを満たす。Pmax_last_last_ttiは、第3のスケジューリング時間ユニットの無線周波数デバイスの伝送電力を表し、Pmax_last_ttiは、第2のスケジューリング時間ユニットの無線周波数デバイスの伝送電力を表し、Pmax_last_last_tti+Pmax_last_ttiは、第2のスケジューリング時間ユニットおよび第3のスケジューリング時間ユニットの無線周波数デバイスの伝送電力の合計を表し、Pavg_maxは、第1の時間期間の平均伝送電力閾値を表し、nは、第1の時間期間のスケジューリング時間ユニットの数を表し、nは正の整数である。
【0045】
第1のスケジューリング時間ユニットの前に2つのスケジューリング時間ユニットがある場合は例にすぎない。任意選択で、第1の時間期間において第1のスケジューリング時間ユニットの前には2つより多くのスケジューリング時間ユニットがある。例えば、第1のスケジューリング時間ユニットの前には、第2のスケジューリング時間ユニットおよび第3のスケジューリング時間ユニットだけでなく、第4のスケジューリング時間ユニット、第5のスケジューリング時間ユニット、またはより多くのスケジューリング時間ユニットがある。任意選択で、通信デバイスは、より多くのスケジューリング時間ユニットの伝送電力の合計に基づいて、第1のスケジューリング時間ユニットの伝送電力閾値を決定する。例えば、通信デバイスは、第1の時間期間の平均伝送電力閾値と、第1の時間期間における第1のスケジューリング時間ユニットの前のすべてのスケジューリング時間ユニットの伝送電力の合計とに基づいて、第1のスケジューリング時間ユニットの伝送電力を決定する。一部の実施形態では、通信デバイスは、第1の時間期間に使用されたすべてのスケジューリング時間ユニットの伝送電力の合計を累積する。例えば、1つのスケジューリング時間ユニットを通過するたびに、通信デバイスは、スケジューリング時間ユニットで無線周波数デバイスによって伝送された電力を累積結果に加算し、次に、更新された累積結果に基づいて次のスケジューリング時間ユニットの伝送電力閾値を決定する。
【0046】
ベースバンドユニットが例として使用される。ベースバンドユニットは、複数の前のスケジューリング時間ユニットの合計伝送電力に基づいて、現在のスケジューリング時間ユニットの電力閾値を決定する。これは、1つの周期の平均伝送電力が閾値を超えないという目的を達成するのに役立ち、各スケジューリング時間ユニットの電力閾値に対する過度の制限を回避する。これは、電力制御プロセスがダウンリンク負荷のランダムなピーク谷間の変化に適合するのを助け、ダウンリンクユーザスループットレートを改善し、スケジューリング効果を改善する。
【0047】
伝送電力の制御は、複数の実施態様を含む。以下は、例を使用して2つの制御方法について説明する。詳細については、以下の制御方法1および制御方法2を参照されたい。
【0048】
制御方法1:データチャネルで無線周波数デバイスによって送信されるデータによって占有される帯域幅を調整することによって、第1の時間期間の無線周波数デバイスの伝送電力は、第1の時間期間の伝送電力閾値以下になるように制御される。
【0049】
伝送電力の値は占有帯域幅の値に関連するため、通信デバイスが占有帯域幅の値を調整した後、伝送電力の値はそれに応じて変化する。したがって、伝送電力は、帯域幅を調整することによって調整され得る。具体的には、通信デバイスは、データチャネルでデータによって占有される帯域幅を増加させることによって無線周波数デバイスの伝送電力を増加させ得る。通信デバイスは、データチャネルでデータによって占有される帯域幅を低減することによって無線周波数デバイスの伝送電力を低減し得る。
【0050】
データチャネルは、ユーザのサービスデータを搬送するために使用されるチャネルである。データチャネルは、例えば、物理ダウンリンク共有チャネル(physical downlink shared channel、PDSCH)である。
【0051】
制御方法2:無線周波数デバイスの電力スペクトル密度を調整することによって、第1の時間期間の無線周波数デバイスの伝送電力は、第1の時間期間の伝送電力閾値以下になるように制御される。
【0052】
伝送電力の値は電力スペクトル密度に関連するため、通信デバイスが電力スペクトル密度の値を調整した後、伝送電力の値はそれに応じて変化する。したがって、伝送電力は、電力スペクトル密度を調整することによって調整され得る。具体的には、通信デバイスは、無線周波数デバイスの電力スペクトル密度を増加させることによって無線周波数デバイスの伝送電力を増加させ得る。通信デバイスは、無線周波数デバイスの電力スペクトル密度を低減することによって無線周波数デバイスの伝送電力を低減し得る。
【0053】
前述の制御方法1および制御方法2を使用することによって、要件を満たすように伝送電力が制御され得るという目的が達成され、伝送電力を制御する遅延が低減され得る。これは適時性を改善する。
【0054】
一部の実施形態では、本方法は、第1の時間期間の無線周波数デバイスの温度を取得することをさらに含む。
【0055】
一部の実施形態では、第1の時間期間の無線周波数デバイスの温度は、温度モデルによって取得される。具体的には、温度モデルによって温度を取得する複数の方法がある。可能な実施態様では、温度モデルは、無線周波数デバイスの負荷に基づいて無線周波数デバイスの温度を予測するために使用される。これに対応して、温度を取得するプロセスは、第1の時間期間の無線周波数デバイスの負荷および温度モデルに基づいて、第1の時間期間の無線周波数デバイスの温度を予測することを含む。別の可能な実施態様では、温度モデルは、無線周波数デバイスの負荷に基づいて無線周波数デバイスの温度を予測するために使用される。これに対応して、温度を取得するプロセスは、第1の時間期間の無線周波数デバイスの負荷および温度モデルに基づいて、第1の時間期間の無線周波数デバイスの温度変化量を予測することと、第1の時間期間の開始時点における無線周波数デバイスの温度および温度変化量に基づいて、第1の時間期間の無線周波数デバイスの温度を決定することとを含む。
【0056】
ベースバンドユニットが例として使用される。前述の実施態様では、ベースバンドユニットは、温度モデルを使用して温度を決定する。これは、無線周波数デバイスのリアルタイム温度の連続的な追跡を実施するために、各時点における無線周波数デバイスのリアルタイム温度を正確に取得するのに役立つ。この場合、正確なリアルタイム温度を使用して実行される電力制御は、正確な熱管理を実施するのに役立ち、各時点における無線周波数デバイスのリアルタイム温度が閾値を超えないことを保証する。
【0057】
一部の実施形態では、温度モデルは環境補償量を含み、環境補償量は、無線周波数デバイスが位置する環境によって生じる、無線周波数デバイスの温度への影響を補償するために使用される。
【0058】
前述の実施態様では、環境補償量が温度モデルに導入されるため、環境によって生じる影響は、環境補償量によって補償され得る。これは、環境によって生じる誤差を低減し、温度モデルを使用して温度を予測する精度を改善する。
【0059】
一部の実施形態では、第1の時間期間の無線周波数デバイスの温度は、温度センサによる検出によって取得される。可能な実施態様では、無線周波数デバイスが配置されるリモート無線ユニット(remote radio unit、RRU)またはアクティブアンテナ処理ユニット(active antenna unit、AAU)は、温度センサを含む。RRUまたはAAUは、温度センサによって第1の時間期間の無線周波数デバイスの温度を検出する。RRUまたはAAUは、検出された温度をBBUに送信する。BBUは、第1の時間期間の無線周波数デバイスの温度を取得するために、RRUまたはAAUによって送信された温度を受信する。
【0060】
一部の実施形態では、前述の方法はBBUによって実行される。
【0061】
一部の実施形態では、第1の時間期間の後、無線周波数デバイスの温度は動作温度閾値以下である。
【0062】
前述の方法で、温度が閾値を超えた後に無線周波数デバイスが損なわれるリスクが回避される。これは、無線周波数デバイスの安定した動作を保証するのに役立ち、信頼性を改善する。
【0063】
一部の実施形態では、温度モデルは、以下の式、すなわち、
Tn=Tn-1+(TLn+T-Tn-1)*qn/τ
に基づいて確立され、ただし、Tnは、第1の時間期間におけるスケジューリング時間ユニットnの後の無線周波数デバイスの温度を表し、Tn-1は、第1の時間期間におけるスケジューリング時間ユニット(n-1)の後の無線周波数デバイスの温度を表し、Lnは、第1の時間期間におけるn番目のスケジューリング時間ユニットの無線周波数デバイスの負荷を表し、TLnは、負荷がLnであるときに無線周波数デバイスによって達される定常状態温度を表し、Tは、環境補償量を表し、τは、時定数であり、qnは、スケジューリング時間ユニットnの持続時間を表す。nはスケジューリング時間ユニットのシーケンス番号を表し、nは正の整数であり、nの最大値は、第1の時間期間に含まれるスケジューリング時間ユニットの数である。最初のスケジューリング時間ユニットはスケジューリング時間ユニット1であり、最後のスケジューリング時間ユニットはスケジューリング時間ユニットnである。nの値が1であるとき、n-1は、第1の時間期間の開始時点を表す。例えば、T0は、第1の時間期間の開始時点における無線周波数デバイスの温度を表す。1つのスケジューリング時間ユニットは1つ以上のTTIを含む。
【0064】
温度モデルは、前述の式によって確立される。1つの時間周期の終わりの温度(Tn)は、各スケジューリング時間ユニットの伝送電力を使用して計算されるため、温度はより正確に決定され得、誤差が低減される。
【0065】
第2の態様によれば、通信デバイスが提供される。通信デバイスは、第1の態様または第1の態様のいずれかの任意選択の方法を実施する機能を有する。通信デバイスは少なくとも1つのユニットを含み、少なくとも1つのユニットは、第1の態様または第1の態様のいずれかの任意選択の方法で提供される方法を実施するように構成される。
【0066】
一部の実施形態では、通信デバイス内のユニットはソフトウェアによって実施され、通信デバイス内のユニットはプログラムモジュールである。一部の他の実施形態では、通信デバイス内のユニットは、ハードウェアまたはファームウェアによって実施される。第2の態様で提供される通信デバイスの具体的な詳細については、第1の態様または第1の態様のいずれかの任意選択の方法を参照されたい。ここでは詳細は再び説明されない。
【0067】
第3の態様によれば、通信デバイスが提供される。任意選択で、通信デバイスは、BBU、基地局、BBU内のチップ、またはAPなどである。通信デバイスはプロセッサを含み、プロセッサはメモリに結合され、メモリは、コンピュータプログラム命令を記憶するように構成され、プロセッサは、通信デバイスが第1の態様または第1の態様のいずれかの任意選択の方法で提供される方法を実行することを可能にするために、メモリ内のコンピュータプログラム命令を実行するように構成される。
【0068】
第4の態様によれば、ネットワークシステムが提供される。ネットワークシステムは、ベースバンドユニットBBUおよび無線周波数デバイスを含み、BBUは、第1の態様または第1の態様のいずれかの任意選択の方法による方法を実行するように構成される。
【0069】
第5の態様によれば、コンピュータ可読記憶媒体が提供される。記憶媒体は、少なくとも1つの命令を記憶する。命令がコンピュータ上で実行されるとき、コンピュータは、第1の態様または第1の態様のいずれかの任意選択の方法による方法を実行することを可能にされる。
【0070】
第6の態様によれば、コンピュータプログラム製品が提供される。コンピュータプログラム製品は、1つ以上のコンピュータプログラム命令を含む。コンピュータプログラム命令が、コンピュータによってロードされて実行されるとき、コンピュータは、第1の態様または第1の態様のいずれかの任意選択の方法による方法を実行することを可能にされる。
【0071】
第7の態様によれば、メモリおよびプロセッサを含むチップが提供される。メモリは、コンピュータ命令を記憶するように構成され、プロセッサは、第1の態様および第1の態様のいずれかの可能な実施態様における方法を実行するために、メモリからコンピュータ命令を呼び出し、コンピュータ命令を実行するように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0072】
図1】本出願の一実施形態による適用シナリオの概略図である。
図2】本出願の一実施形態による論理機能アーキテクチャの概略図である。
図3】本出願の一実施形態による、伝送電力を制御するための方法のフローチャートである。
図4A】本出願の一実施形態による、伝送電力を制御するための方法のフローチャートである。
図4B】本出願の一実施形態による、伝送電力を制御するための方法のフローチャートである。
図5】本出願の一実施形態による、1つのスケジューリング周期における各TTIの概略図である。
図6】本出願の一実施形態による、時間の期間の各スケジューリング時間ユニットの伝送電力の概略図である。
図7】本出願の一実施形態による通信デバイスの構造の概略図である。
図8】本出願の一実施形態による通信デバイス800の構造の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0073】
本出願の目的、技術的解決策、および利点をより明確にするために、以下は、添付の図面を参照して本出願の実施態様について詳細にさらに説明する。
【0074】
以下は、本出願の実施形態におけるいくつかの用語および概念について解説および説明する。
【0075】
(1)伝送時間間隔(transmission time interval、TTI)
TTIは、無線リソース管理およびスケジューリングのための最小時間ユニットである。任意選択で、1つのTTIの持続時間は1msまたは0.5msである。
【0076】
ダウンリンクスケジューリング時、ベースバンドユニット(baseband unit、BBU)は、1つのTTIを通過した後に適切な数のエアインターフェースリソースを介してダウンリンクバッファ内の伝送されるべきデータを伝送する。伝送されるべきデータが多いほど、TTIで使用されるエアインターフェースリソースは多くなり、対応する無線周波数伝送電力は大きくなる。TTIは送信時間間隔とも呼ばれる。
【0077】
(2)物理ダウンリンク共有チャネル(physical downlink shared channel、PDSCH)
PDSCHは、第4世代(fourth generation、4G)および第5世代(fifth generation、5G)の移動通信規格におけるダウンリンクチャネルであり、PDSCHは、ユーザデータを伝送するために使用される。
【0078】
(3)時間周波数リソースブロック(リソースブロック、RB)
RBは、ワイヤレスネットワークにおけるデータチャネルのためにスケジュールされ得る物理リソースユニットである。データ送信時に占有されるRBの数が多いほど、占有帯域幅は大きくなる。
【0079】
(4)電力スペクトル密度
電力スペクトル密度は、単位帯域幅当たりの伝送電力を示す。例えば、電力スペクトル密度は、1つのRBでどのくらいの電力が伝送されるかを表す。
【0080】
(5)定常状態温度
定常状態は、比較的安定した状態である。定常状態温度は、時間とともに変化しない温度を指す。本出願の一部の実施形態では、定常状態温度は、具体的には、特定の負荷および特定の環境条件下で無線周波数デバイスによって達される基本的に変化しない温度である。一般に、無線周波数デバイスが負荷および環境条件下で動作を開始したとき、無線周波数デバイスの温度は、負荷および環境条件に対応する定常状態温度に即座には達せず、負荷および環境条件に対応する定常状態温度に達する前に特定の時間の期間待つ必要がある。例えば、無線周波数デバイスは最初は30%の負荷下で動作し、定常状態温度は摂氏m度(℃)である。次に、無線周波数デバイスは80%の負荷下で動作する。負荷が増加するため、無線周波数デバイスの温度は徐々に上昇する。一定の時間の期間(この期間、無線周波数デバイスの負荷は80%のままである)の後、無線周波数デバイスの温度はm℃からn℃に上昇し、次に、無線周波数デバイスの温度はn℃のままであり、無線周波数デバイスの温度は上昇しない。この例では、80%の負荷に対応する定常状態温度はn℃と呼ばれ得る。
【0081】
(6)電力増幅器(power amplifier、PA)
電力増幅器は、無線周波数デバイスであり、電力増幅器は、無線周波数信号の電力を増幅するように構成される。電力増幅器は、リモート無線ユニット(remote radio unit、RRU)で発生する熱の主な原因の1つである。
【0082】
(7)スケジューリング時間ユニット
スケジューリング時間ユニットは、伝送電力を制御するための最小時間ユニットである。任意選択で、スケジューリング時間ユニットの持続時間は1つのTTIの持続時間と同じである。言い換えれば、1つのスケジューリング時間ユニットは1つのTTIである。あるいは、1つのスケジューリング時間ユニットの持続時間は1つのTTIより大きい。例えば、1つのスケジューリング時間ユニットは複数のTTIを含む。例えば、1つのスケジューリング時間ユニットは10個のTTIを含む。
【0083】
任意選択で、1つのスケジューリング時間ユニットの持続時間は、スケジューリング精度の要件および計算量に基づいて決定される。例えば、スケジューリング精度に対する要件が高いほど、スケジューリング制御精度を改善し、誤差を低減するために、1つの時間周期を分割することによって取得されるスケジューリング時間ユニットの数は多くなり、スケジューリング時間ユニットの持続時間は短くなる。計算量を低減するための要件がより高いとき、計算量および実施複雑度を低減するために、1つの時間周期を分割することによって取得されるスケジューリング時間ユニットの数はより少なく、スケジューリング時間ユニットの持続時間はより長い。1つのスケジューリング時間ユニットの具体的な持続時間は、この実施形態では制限されない。
【0084】
セルラー移動通信規格は、2G、3G、4Gから5Gに発展した。規格がどのように発展しても、基地局は、セルラー移動通信ネットワークの最も重要な構成要素の1つである。2G技術では、基地局は、通常、基地トランシーバ局(base transceiver station、BTS)または基地局コントローラ(base station controller、BSC)と呼ばれる。3G技術では、基地局は、通常、通信システムにおいてノードB(NodeB)または無線ネットワークコントローラ(radio network controller、RNC)と呼ばれる。4G技術では、基地局は、通常、発展型ノードB(evolved NodeB、eNB)と呼ばれる。5G技術では、基地局は、通常、次世代ノードB(next generation NodeB、gNB)と呼ばれる。
【0085】
基地局は、BBU、RRU、およびアンテナを含む。BBUは、主に、アップリンクおよびダウンリンクベースバンド信号を処理し、基地局とコアネットワークとの間、および基地局とコントローラとの間の伝送信号を処理し、基地局全体を管理および監視する。RRUによってダウンリンク信号を処理するプロセスは、主に、ベースバンド信号と無線周波数信号との間の変換、ダウンリンク信号の変調、アップコンバート、電力増幅、およびフィルタリングを遂行することを含む。アンテナは、基地局と端末との間のワイヤレス通信を実施するために、増幅された無線周波数信号を伝送するように構成される。RRUは、ダウンリンク信号を処理するのとは逆の順序でアップリンク信号を処理する。RRUは、アンテナと統合されてもよい。RRUとアンテナとを統合した装置は、アクティブアンテナ処理ユニット(active antenna unit、AAU)と呼ばれる。AAUは、最大32、64、またはより多くのトランシーバチャネルをサポートし得る。これは、ビームフォーミング機能を実施するのに役立ち、カバレッジ距離、アップリンクおよびダウンリンク容量、ならびに基地局の端末ユーザ体験を改善する。一般に、RRUおよびAAUは、まとめて無線周波数モジュールと呼ばれる。
【0086】
屋外環境では、1つの基地局によってサービスされる端末とアンテナとの間の距離は数百メートルから数千メートルに達し得、高い経路損失が生じる。端末と通信するために、基地局は、ダウンリンク方向に高電力無線周波数信号を伝送する必要がある。無線周波数信号を増幅するように構成された電力増幅器(略して電力増幅器)は、動作プロセスにおいて大量の熱を発生させ、電力増幅器によって発生する熱は、数百ワット(watt、W、略してワット)に達し得る。電力増幅器に加えて、無線周波数モジュール内の他の無線周波数デバイスも動作時に特定の熱を発生させる。無線周波数モジュールによって発生する熱はすべて、無線周波数モジュール内のデバイスの温度を上昇させる。無線周波数デバイスの温度が、無線周波数デバイスの通常動作に許容される温度範囲を超える場合、無線周波数デバイスは故障し得、基地局の性能は低下し得、または基地局と端末との間の通信さえも中断され得る。無線周波数デバイスの動作プロセスで発生した熱を適時に周囲の空間に放出し、無線周波数モジュール内のデバイスの温度が過度に高くならないことを保証するために、対応する放熱技術が無線周波数モジュールで使用される。放熱技術は、放熱面積を増加させ、空間への放熱を促進するために無線周波数モジュールの表面にヒートシンクフィンを設計することを含み、無線周波数モジュール内部の熱伝導パッドおよび熱伝導接着剤を使用することによってデバイスとヒートシンクフィンとの間の熱伝導効果を改善する。最後に、無線周波数モジュールが特定の動作条件下で長時間安定して動作し得ることを保証するために、無線周波数モジュールによって発生する熱と放熱能力とはバランスされる。
【0087】
移動通信業界は、ユーザにより高いデータ伝送レートを提供し、より多様なサービス体験をサポートするために、規格を絶えず発展させ、より高度な変調符号化方式およびより大きな帯域幅を追求している。移動通信業界は、2G規格のガウス最小シフトキーイング(gaussian minimum shift keying、GMSK)および8位相シフトキーイング(8 phase shift keying、8PSK)変調から4G規格の16直交振幅変調(quadrature amplitude modulation、QAM)、64QAM、および256QAM変調に発展している。キャリア帯域幅は、2G規格の200kHz(kHz)から3G規格の3.84メガヘルツ(Mega Hertz、MHz)、LTE規格の20MHzに発展している。5Gは、100MHzの帯域幅を有するキャリアをさらにサポートしている。しかしながら、高次変調符号化および広い帯域幅における無線周波数信号の高いピーク対平均比および誤差ベクトル振幅(error vector magnitude、EVM)は、電力増幅器の高い線形性を必要とする。これらの要件下では、電力増幅器の効率を改善することはかなり困難である。電力増幅器の効率は、電源によって電力増幅器に提供される電力に対する電力増幅器の出力電力(すなわち、伝送電力)の比を指す。現在、電力増幅器の効率を50%まで高めることは既に困難であり、将来的に電力増幅器の効率を大幅に改善することは困難である。電力増幅器の制限された効率に起因して、電力増幅器によって発生する熱は、特定の伝送電力下では大幅に低減されることができない。多くのシナリオでは、基地局は、高電力無線周波数信号を伝送する必要がある。伝送電力が増加すると、無線周波数モジュールもより多くの熱を発生させる。無線周波数モジュールの別の継続的な発展の傾向は、より多くの周波数帯域およびより多くのキャリアを単一のモジュールに統合することである。2G時代には、1つの無線周波数モジュールは、900MHzまたは1800MHzの周波数帯域の1つの200kHzキャリアをサポートしている。3G時代には、1つの無線周波数モジュールは、2.1GHz周波数帯域の1つの3.84MHzキャリアをサポートしている。4G時代には、単一の無線周波数モジュールは、1800MHzおよび2100MHzの2つの周波数帯域をサポートしている。各周波数帯域は、20MHzキャリアの1つから2つの積をサポートする。より多くの周波数帯域およびキャリアは、単一の無線周波数モジュールのより高い伝送電力を意味する。
【0088】
前述の要因に起因して、無線周波数モジュールの電力消費が増加し、動作プロセスで無線周波数モジュールによって発生する熱が増加する。無線周波数モジュールのヒートシンクフィンを増加させ、放熱面積を増加させることによって熱増加の問題は解決され得るが、この方法は、無線周波数モジュールのサイズ、重量、およびコストを増加させ、モバイルオペレータの技術的展開に役立たない。主流の基地局製品ベンダは、放熱要件を満たしながら、無線周波数モジュールのサイズおよび重量を可能な限り低減しようとしている。
【0089】
広帯域幅、高電力、高性能、および低コストの要件により、無線周波数モジュールの熱管理技術は、基地局製品の性能および市場競争を改善するための主要な技術の1つになっている。同じ帯域幅および伝送電力では、より小さいサイズおよびより低い重量を有する基地局製品がオペレータの間でより人気がある。同じサイズおよび重量では、より広い帯域幅およびより高い伝送電力をサポートする基地局製品がより有利である。
【0090】
しかしながら、本出願の実施形態は、無線基地局の無線周波数モジュールの伝送電力を改善するのに役立つ方法を提供する。無線周波数モジュールのリアルタイム温度を追跡することによって、使用されることを許容される最大伝送電力は、無線周波数モジュールの温度および無線周波数モジュールの最大動作温度を限界として使用して決定され、伝送電力は、温度が最大動作温度より低く、負荷が100%の負荷より小さいときに、無線周波数モジュールの伝送電力を増加させ、無線周波数モジュールのハードウェア能力の利用を改善するために、最大伝送電力を超えることなくスケジュールされる。このようにして、温度が最大動作温度より低く、負荷が100%の負荷より小さいとき、基地局の性能はより高くなる。加えて、無線周波数モジュールの温度が温度閾値に近いとき、無線周波数モジュールの温度が温度閾値を超えることを回避し、性能への影響を低減するために、正確な伝送電力制御が実行され得る。この実施形態で提供される方法は、熱管理を実施するために使用される。無線周波数モジュールのサイズ、重量、および放熱能力が不変のままであるとき、より高い伝送電力およびより広い帯域幅がサポートされる。これは性能を改善する。同じ伝送電力および帯域幅下では、無線周波数モジュールのサイズおよび重量が低減され得る。これはコストを低減する。
【0091】
本出願の実施形態は、ワイヤレスネットワークに適用される。任意選択で、本出願の実施形態は、セルラー移動通信ネットワークに適用される。本出願の実施形態が適用されるセルラー移動通信ネットワークは、4Gネットワーク、例えばロングタームエボリューション(long term evolution、LTE)ネットワーク、5Gネットワーク、例えば新無線(new radio、NR)ネットワーク、第3世代(third generation、3G)ネットワーク、例えばユニバーサル移動体通信システム(universal mobile telecommunications system、UMTS)ネットワーク、または複数のワイヤレス技術をサポートするワイヤレスネットワーク、例えばLTE技術およびNR技術をサポートするワイヤレスネットワークを含むが、これらに制限されない。任意選択で、本出願の実施形態は、ワイヤレスローカルエリアネットワーク(wireless local area network、WLAN)に適用される。
【0092】
以下は、例を使用して本出願の実施形態の適用シナリオについて説明する。
【0093】
図1は、本出願の一実施形態による適用シナリオの概略図である。図1に示されているシナリオは、通信デバイス11、端末12、および端末13を含む。
【0094】
通信デバイス11は、複数の製品形態を有する。以下は、通信デバイス11の一部の可能な形態について説明する。
【0095】
任意選択で、通信デバイス11は基地局である。例えば、通信デバイス11は、2Gアクセス技術通信システムにおける基地トランシーバ局(base transceiver station、BTS)および基地局コントローラ(base station controller、BSC)、3Gアクセス技術通信システムにおけるノードB(NodeB)および無線ネットワークコントローラ(radio network controller、RNC)、4Gアクセス技術通信システムにおける発展型ノードB(evolved NodeB、eNB)、および5Gアクセス技術通信システムにおける次世代ノードB(next generation NodeB、gNB)などを含むが、これらに制限されない。
【0096】
任意選択で、通信デバイス11は、ワイヤレスローカルエリアネットワーク(wireless local area network、WLAN)内のアクセスポイント(access point、AP)であり、通信デバイス11は、電気電子技術者協会(institute of electrical and electronics engineer、IEEE)802.11シリーズ、例えば802.11axまたは802.11be規格を使用してワイヤレスの方法で端末12および端末13と通信する。
【0097】
任意選択で、通信デバイス11は、BBUまたはBBU内のチップである。
【0098】
端末12および端末13は、ユーザに音声またはデータ接続性を提供するデバイスである。端末は、ユーザ機器(user equipment、UE)、移動局(mobile station)、加入者ユニット(subscriber unit)、局(station)、および端末機器(terminal equipment、TE)などとも呼ばれる。端末は、セルラー電話(cellular phone)、携帯情報端末(personal digital assistant、PDA)、ワイヤレスモデム(modem)、ハンドヘルド(handheld)デバイス、ラップトップコンピュータ(laptop computer)、コードレス電話(cordless phone)、ワイヤレスローカルループ(wireless local loop、WLL)、およびタブレットコンピュータ(pad)などを含むが、これらに制限されない。ワイヤレス通信技術の発展に伴い、通信システムにアクセスし、通信システムのネットワーク側と通信し、または通信システムを介して別のオブジェクトと通信することができるデバイスは、本出願の実施形態における端末であり得る。例えば、端末はまた、インテリジェント輸送における端末および自動車、スマートホームにおける家庭用デバイス、スマートグリッドにおける電力検針機器、電圧監視機器、環境監視機器、インテリジェントセキュリティネットワークにおけるビデオ監視機器、またはレジなどであってもよい。
【0099】
図1に示されている通信デバイスが2つの端末と通信するシナリオは例にすぎない。任意選択で、通信デバイスと通信する端末の数はより多いまたはより少ない。例えば、1つの端末のみがある。別の例では、数十の端末、数百の端末、またはより多くの端末がある。この実施形態では、端末の数は制限されない。
【0100】
図2は、本出願の一実施形態による論理機能アーキテクチャの概略図である。図2に示されている機能アーキテクチャは、図1に示されている方法の通信デバイス11に適用され得る。例えば、通信デバイス11は、図2に示されているBBU31、無線周波数モジュール32、およびアンテナ33を含む。
【0101】
図2に示されている機能アーキテクチャは、BBU31、無線周波数モジュール32、およびアンテナ33を含む。
【0102】
BBU31は、温度追跡モジュール311およびスケジューラ312を含む。
【0103】
温度追跡モジュール311は、温度モデルによって無線周波数デバイス322のリアルタイム温度を追跡するように構成される。スケジューラ312は、無線周波数デバイス322の温度が最大動作温度を超えないように、無線周波数デバイス322のリアルタイム温度に基づいて伝送電力に対して適応スケジューリングを実行するように構成される。
【0104】
無線周波数モジュール32は、温度検出モジュール321および1つ以上の無線周波数デバイス322を含む。無線周波数モジュール32は、例えば、RRU、またはAAU内の、無線周波数機能を実施するように構成された部分である。温度検出モジュール321は、無線周波数デバイス322の温度を検出するように構成される。温度検出モジュール321は、例えば、1つ以上の温度センサを含む。無線周波数デバイス322は、無線周波数信号を伝送するように構成される。無線周波数デバイス322は、電力増幅器または別のデバイスを含むが、これらに制限されない。
【0105】
図2は、温度追跡モジュール311によって最大平均電力が計算される例を使用して説明される。図2に示されているように、温度追跡モジュール311は、最大平均電力を計算する。次に、温度追跡モジュール311は、最大平均電力をスケジューラ312に送信し、スケジューラ312は、温度追跡モジュール311によって送信された最大平均電力に基づいて電力スケジューリングを実行する。一部の他の実施形態では、スケジューラ312は、最大平均電力を計算する役割を担う。温度追跡モジュール311は、無線周波数デバイス322のリアルタイム温度をスケジューラ312に送信する。スケジューラ312は、温度追跡モジュール311によって送信された温度に基づいて最大平均電力を計算し、計算された最大平均電力に基づいてスケジューリングを実行する。
【0106】
以下は、例を使用して本出願の実施形態における方法手順について説明する。
【0107】
一部の実施形態では、無線周波数デバイスの最大伝送電力は動的パラメータであり、無線周波数デバイスの最大伝送電力は異なる時間期間で異なり得る。例えば、時点が時間の期間の開始時点に達するたびに、通信デバイスは、その時間の期間の無線周波数デバイスの予測温度に基づいてその時間の期間の無線周波数デバイスの最大伝送電力を決定し、決定された最大伝送電力に基づいてその時間の期間のスケジューリング制御を実行する。読者による理解を容易にするために、以下は、通信デバイスが第1の時間期間の伝送電力を制御する例を説明のために使用する。別の時間期間における通信デバイスの処理手順については、第1の時間期間の処理手順を参照されたい。
【0108】
図3は、本出願の一実施形態による、伝送電力を制御するための方法のフローチャートである。図3に示されている方法は、以下のステップS201およびステップS202を含む。
【0109】
図3に示されている方法が基づくネットワーク展開シナリオは、任意選択で、図1に示される。例えば、図1を参照すると、図3に示されている方法における通信デバイスは図1の通信デバイス11であり、図3に示されている方法における無線周波数デバイスは、通信デバイス11のRRUまたはAAUに配され、図3に示されている方法は、図1の通信デバイス11がダウンリンク無線周波数信号を端末12および端末13に伝送するときの伝送電力を制御するために使用される。図3に示されている方法の実施は、通信デバイス11の伝送電力を改善するのに役立つ。これは、通信デバイス11が端末12および端末13とワイヤレス通信を実行するときのダウンリンクスループットレートを改善する。
【0110】
図3に示されている方法は、任意選択で、図2に示されている論理機能アーキテクチャに適用される。例えば、図3に示されている方法における無線周波数デバイスは、図2の無線周波数デバイス322である。図3に示されている方法におけるステップS201およびステップS202は、BBU31内のスケジューラ312によって実行される。
【0111】
ステップS201:通信デバイスは、第1の時間期間の無線周波数デバイスの温度および無線周波数デバイスの動作温度閾値に基づいて、第1の時間期間の無線周波数デバイスの伝送電力閾値を取得する。
【0112】
第1の時間期間は1つの時間期間である。任意選択で、第1の時間期間は任意の時間期間である。あるいは、第1の時間期間は、ユーザによって事前設定された時間期間である。
【0113】
任意選択で、第1の時間期間の無線周波数デバイスの温度は、具体的には、第1の時間期間の開始時点における無線周波数デバイスの温度である。あるいは、第1の時間期間の無線周波数デバイスの温度は、第1の時間期間のすべての時点における無線周波数デバイスの温度の平均値である。言い換えれば、第1の時間期間の温度は、第1の時間期間の平均温度であってもよい。
【0114】
動作温度閾値は、無線周波数デバイスの最高動作温度を指す。通信デバイスが動作するとき、無線周波数デバイスの温度は、温度が動作温度閾値を超えたときに無線周波数デバイスのハードウェアが損なわれるのを防ぐために、動作温度閾値内に制限される。一部の実施形態では、通信デバイスは動作温度閾値を事前に記憶する。例えば、通信デバイスは製品仕様ファイルを記憶し、製品仕様ファイルは動作温度閾値を含む。任意選択で、動作温度閾値は定数である。任意選択で、動作温度閾値は、無線周波数デバイスの設計および製造時に決定されるパラメータである。例えば、RRU内の無線周波数デバイスの動作温度の値範囲は、-40°~100°であり、動作温度閾値は、例えば、100°または100°に近い1つの温度値である。
【0115】
第1の時間期間の伝送電力閾値は、第1の時間期間に無線周波数デバイスによって使用されることを許容される最大伝送電力である。第1の時間期間の伝送電力閾値は、第1の時間期間の無線周波数デバイスの温度に関連する。例えば、第1の時間期間の無線周波数デバイスの温度が高いほど、第1の時間期間の伝送電力閾値は小さくなり、第1の時間期間の無線周波数デバイスの温度が低いほど、第1の時間期間の伝送電力閾値は大きくなる。一部の実施形態では、伝送電力閾値と温度との相関は、具体的には、伝送電力閾値が温度と動作温度閾値との温度差に関連することを意味する。例えば、第1の時間期間の無線周波数デバイスの温度が動作温度閾値に近いほど、第1の時間期間の伝送電力閾値は小さくなる。第1の時間期間の無線周波数デバイスの温度と動作温度閾値との温度差が大きいほど、第1の時間期間の伝送電力閾値は大きくなる。
【0116】
任意選択で、伝送電力閾値は、具体的には、平均伝送電力閾値である。第1の時間期間の平均伝送電力は、第1の時間期間の複数の時点における瞬時伝送電力の平均値である。第1の時間期間の平均伝送電力閾値は、第1の時間期間に無線周波数デバイスによって使用されることを許容される最大平均伝送電力である。あるいは、伝送電力閾値は、具体的には、瞬時伝送電力閾値である。第1の時間期間の瞬時伝送電力閾値は、第1の時間期間に無線周波数デバイスによって許容される最大瞬時伝送電力である。
【0117】
一部の実施形態では、ステップS201は、具体的には、以下のステップS2011およびステップS2012を含む。
【0118】
ステップS2011:通信デバイスは、第1の時間期間の開始時点における無線周波数デバイスの温度および無線周波数デバイスの動作温度閾値に基づいて、第1の時間期間に許容される最大定常状態温度を取得する。
【0119】
定常状態温度の概念については、前述の用語導入の(5)を参照されたい。
【0120】
一部の実施形態では、最大定常状態温度は、開始時点における温度と動作温度閾値との温度差に関連する。例えば、第1の時間期間の開始時点における無線周波数デバイスの温度が動作温度閾値に近い場合、具体的には、開始時点における温度と動作温度閾値との温度差がより小さい場合、第1の時間期間に許容される最大定常状態温度はより小さい。
【0121】
一部の実施形態では、第1の時間期間に許容される最大定常状態温度は、無線周波数デバイスが定常状態温度に達するのに必要な持続時間にさらに関連する。
【0122】
一部の実施形態では、第1の時間期間に許容される最大定常状態温度は、第1の時間期間の持続時間にさらに関連する。
【0123】
一部の実施形態では、第1の時間期間に許容される最大定常状態温度は、以下の式(1)によって決定される。
TLk=Tr-Ta+τ/p*(Tmax-Tr) 式(1)
【0124】
前述の式(1)において、TLkは、第1の時間期間に許容される最大定常状態温度を表す。Trは、第1の時間期間の開始時点における無線周波数デバイスの温度を表す。Taは、環境補償量を表す。τは時定数である。τは、無線周波数デバイスが定常状態温度に達するのに必要な持続時間に関連する。任意選択で、τと定常状態温度との間の具体的な数値関係は以下の通りであり、無線周波数デバイスの定常状態温度の値がT1からT2に変化するとき、持続時間τの後、無線周波数デバイスのリアルタイム温度の値はT1からT1+K*(T2-T1)に変化する。pは第1の時間期間の時間長を表し、Tmaxは無線周波数デバイスの動作温度閾値を表し、Kは事前設定された定数である。例えば、Kの値は0.632であってもよい。
【0125】
ステップS2012:通信デバイスは、第1の時間期間に許容される最大定常状態温度、および無線周波数デバイスの温度と無線周波数デバイスの伝送電力との対応関係に基づいて、第1の時間期間の無線周波数デバイスの伝送電力閾値を取得する。
【0126】
温度と伝送電力との対応関係における温度は、任意選択で、無線周波数デバイスの定常状態温度である。
【0127】
温度と伝送電力との対応関係の複数の可能な形態がある。任意選択で、温度と伝送電力との対応関係の形態は、1つの関数または関数のグループである。ステップS2012を実行するとき、通信デバイスは、関数によって出力される伝送電力を取得するために、関数の入力パラメータとして最大定常状態温度を使用し、関数によって演算を実行する。あるいは、温度と伝送電力との対応関係の形態は、テーブルの形態で提示されてもよい。例えば、テーブルには、温度および温度に対応する伝送電力の複数のグループが記憶される。例えば、ステップS2012を実行するとき、通信デバイスは、テーブル内の最大定常状態温度に対応する伝送電力を取得するために、最大定常状態温度をインデックスとして使用してテーブルを照会する。
【0128】
温度と伝送電力との対応関係を取得するための複数の方法がある。任意選択で、可能な実施態様では、実験室環境で無線周波数デバイスが特定の伝送電力に達するときに無線周波数デバイスによって達され得る定常状態温度が事前に試験され、試験結果に基づいて温度と伝送電力との対応関係が設定され、温度と伝送電力との対応関係が通信デバイスに記憶される。
【0129】
前述は、伝送電力閾値を決定する方法について説明している。伝送電力閾値はこのようにして決定され、これは伝送電力閾値の精度を改善するのに役立つ。
【0130】
ステップS202:通信デバイスは、第1の時間期間の伝送電力閾値以下になるように第1の時間期間の無線周波数デバイスの伝送電力を制御する。
【0131】
伝送電力閾値が平均伝送電力閾値であるとき、ステップS202は、具体的には、第1の時間期間の伝送電力閾値以下になるように第1の時間期間の無線周波数デバイスの平均伝送電力を制御することを指す。言い換えれば、このステップの制御の目的は、第1の時間期間の複数の時点における無線周波数デバイスの瞬時伝送電力の平均値が伝送電力閾値を超えないことを保証し、任意選択で、第1の時間期間の一部の時点における無線周波数デバイスの瞬時伝送電力が伝送電力閾値より大きくなることを許容することである。
【0132】
伝送電力閾値が瞬時伝送電力閾値であるとき、ステップS202は、具体的には、第1の時間期間の伝送電力閾値以下になるように第1の時間期間の各時点における無線周波数デバイスの瞬時伝送電力を制御することを指す。
【0133】
例えば、第1の時間期間はn個の時点を含み、これらはそれぞれ時点t1、時点t2、…、および時点tnである。第1の時間期間の平均伝送電力は、時点t1における無線周波数デバイスの瞬時伝送電力、時点t2における無線周波数デバイスの瞬時伝送電力、…、および時点tnにおける無線周波数デバイスの瞬時伝送電力などのn個の瞬時伝送電力の平均値である。伝送電力閾値が平均伝送電力閾値であるとき、n個の瞬時伝送電力の平均値が伝送電力閾値以下である場合、n個の時点の一部の時点で無線周波数デバイスの瞬時伝送電力が伝送電力閾値より大きいかどうかにかかわらず、無線周波数デバイスは、ステップS202で説明された「第1の時間期間の無線周波数デバイスの伝送電力は、第1の時間期間の伝送電力閾値以下である」を実施したと考えられ得る。伝送電力閾値が瞬時伝送電力閾値であるとき、n個の瞬時伝送電力内の無線周波数デバイスの各瞬時伝送電力が伝送電力閾値以下である場合、無線周波数デバイスは、ステップS202で説明された「第1の時間期間の無線周波数デバイスの伝送電力は、第1の時間期間の伝送電力閾値以下である」を実施すると考えられ得る。
【0134】
ステップS202は、2つのタイプの伝送電力閾値を参照して上記で説明されている。この実施形態では、制御電力が具体的には、時間の期間の無線周波数デバイスの平均伝送電力を制御することを指すか、それとも各時点における無線周波数デバイスの瞬時伝送電力を制御することを指すかは制限されない。任意選択で、通信デバイスは、時間の期間の無線周波数デバイスの平均伝送電力を制御する方法でステップS202を固定的に実施するか、または時間の期間の各時点における無線周波数デバイスの瞬時伝送電力を制御する方法でステップS202を固定的に実施する。あるいは、時間の期間の無線周波数デバイスの平均伝送電力を制御するアクションと、各時点における無線周波数デバイスの瞬時伝送電力を制御するアクションとの2つのアクションが、2つの動作モードとして設定され、使用されるべき動作モードが、管理者の構成に基づいて決定されるか、またはユーザによって指定される。例えば、性能に対する要件が高い場合、時間の期間の無線周波数デバイスの平均伝送電力を制御するための動作モードが選択される。無線周波数ハードウェアが温度に弱いか、またはハードウェアセキュリティに対する厳しい要件を有する場合、各時点における無線周波数デバイスの瞬時伝送電力を制御するための動作モードが選択される。
【0135】
ステップS202が実行され、これにより、第1の時間期間の後、無線周波数デバイスの温度は動作温度閾値以下である。これは、温度が動作温度閾値を超えたときに無線周波数デバイスが損なわれるリスクを回避し、無線周波数デバイスの安定した動作を保証するのに役立ち、信頼性を改善する。
【0136】
一部の実施形態では、時間の期間の無線周波数デバイスの伝送電力を制御するとき、通信デバイスはさらに、その時間の期間を複数のスケジューリング時間ユニットに分割し、その時間の期間の無線周波数デバイスの伝送電力閾値を、その時間の期間の無線周波数デバイスの各スケジューリング時間ユニットの伝送電力閾値に変換する。各スケジューリング時間ユニットにおいて、通信デバイスは、現在のスケジューリング時間ユニットに対応する伝送電力閾値に基づいて無線周波数デバイスの伝送電力を制御する。このようにして、無線周波数デバイスの伝送電力がその時間の期間の閾値を超えないことが保証され、電力制御がより洗練される。これは、無線周波数デバイスの伝送電力をさらに改善する。
【0137】
第1の時間期間の無線周波数デバイスの伝送電力が制御される例が使用される。伝送電力閾値が平均伝送電力閾値であるとき、通信デバイスは、第1の時間期間の平均伝送電力閾値以下になるように第1の時間期間の複数のスケジューリング時間ユニットの無線周波数デバイスの伝送電力の平均値を制御する。例えば、通信デバイスは、第1の時間期間の平均伝送電力に基づいて、第1の時間期間の各スケジューリング時間ユニットの伝送電力閾値を決定する。第1の時間期間の各スケジューリング時間ユニットにおいて、通信デバイスは、第1の時間期間の複数のスケジューリング時間ユニットの伝送電力の平均値が第1の時間期間の平均伝送電力閾値以下になるように、スケジューリング時間ユニットに対応する伝送電力閾値に基づいて無線周波数デバイスの伝送電力を制御する。例えば、第1の時間期間の各スケジューリング時間ユニットの伝送電力閾値は、以下の制約条件、すなわち、Pmax_tti-1+Pmax_tti-2…+Pmax_tti-n≦Pavg_max*nを満たす。Pmax_tti-1は、第1の時間期間の第1のスケジューリング時間ユニットの伝送電力閾値を表し、Pmax_tti-2は、第1の時間期間の第2のスケジューリング時間ユニットの伝送電力閾値を表し、…は、第1の時間期間に含まれるが示されていないスケジューリング時間ユニットの伝送電力閾値を表し、Pmax_tti-nは、第1の時間期間の第nのスケジューリング時間ユニットの伝送電力閾値を表し、Pavg_maxは、第1の時間期間の平均伝送電力閾値を表し、nは、第1の時間期間のスケジューリング時間ユニットの数を表し、nは正の整数である。
【0138】
平均値は複数のスケジューリング時間ユニットに関連し、任意選択で、複数のスケジューリング時間ユニットの無線周波数デバイスの伝送電力の平均値は、スケジューリング時間ユニットの伝送電力の合計をスケジューリング時間ユニットの数で割ったものに等しい。第1の時間期間の平均伝送電力閾値を計算するための方法については、以下の例1のステップS402の説明を参照されたい。
【0139】
第1の時間期間は複数のスケジューリング時間ユニットを含むため、読者による理解を容易にし、簡潔にするために、以下は、詳細な説明のための例として、第1の時間期間の第1のスケジューリング時間ユニットの電力制御方法を使用する。第1のスケジューリング時間ユニットは、第1の時間期間の1つのスケジューリング時間ユニットである。任意選択で、第1のスケジューリング時間ユニットは、現在の時点が位置するスケジューリング時間ユニットである。無線周波数デバイスによる第1の時間期間の第1のスケジューリング時間ユニット以外の別のスケジューリング時間ユニットの電力制御方法については、第1のスケジューリング時間ユニットの説明を参照されたい。一部の実施形態では、電力制御は、第1のスケジューリング時間ユニットの方法と同様の方法で、第1の時間期間の各スケジューリング時間ユニットに対して実行される。
【0140】
第1のスケジューリング時間ユニットの電力制御プロセスは、通信デバイスが、第1の時間期間の伝送電力閾値に基づいて第1のスケジューリング時間ユニットの伝送電力閾値を取得し、通信デバイスが、第1のスケジューリング時間ユニットの伝送電力閾値以下になるように第1のスケジューリング時間ユニットの無線周波数デバイスの伝送電力を制御することを含む。
【0141】
伝送電力閾値が平均伝送電力閾値であるとき、例えば、第1のスケジューリング時間ユニットの伝送電力閾値を取得する方法は、通信デバイスが、第1の時間期間の無線周波数デバイスの平均伝送電力閾値と、第1の時間期間の第1のスケジューリング時間ユニットの前にある無線周波数デバイスの1つ以上のスケジューリング時間ユニットの伝送電力とに基づいて、第1のスケジューリング時間ユニットの伝送電力閾値を取得することを含む。具体的には、第1のスケジューリング時間ユニットの前の1つ以上のスケジューリング時間ユニットの無線周波数デバイスの伝送電力がより大きい場合、具体的には、過去の時点で無線周波数デバイスによって伝送された伝送電力がより大きい場合、第1のスケジューリング時間ユニットの伝送電力閾値はより小さい。
【0142】
第1の時間期間において第1のスケジューリング時間ユニットの前に位置するスケジューリング時間ユニットが第2のスケジューリング時間ユニットを含む例が使用される。任意選択で、第1のスケジューリング時間ユニットの伝送電力閾値を取得する方法は、通信デバイスが、第1の時間期間の平均伝送電力閾値および第2のスケジューリング時間ユニットの無線周波数デバイスの伝送電力に基づいて、第1のスケジューリング時間ユニットの無線周波数デバイスの伝送電力閾値を決定することを含む。
【0143】
第2のスケジューリング時間ユニットと第1のスケジューリング時間ユニットとの間の具体的な時間関係は、複数の可能な場合を含む。以下は、例を使用して、第2のスケジューリング時間ユニットおよび第1のスケジューリング時間ユニットの様々な可能な場合について説明する。
【0144】
任意選択で、第2のスケジューリング時間ユニットは第1のスケジューリング時間ユニットに隣接する。言い換えれば、第2のスケジューリング時間ユニットの終了時点は、第1のスケジューリング時間ユニットの開始時点である。あるいは、第2のスケジューリング時間ユニットは第1のスケジューリング時間ユニットに隣接せず、第2のスケジューリング時間ユニットの終了時点と第1のスケジューリング時間ユニットの開始時点との間に特定のスロットがある。
【0145】
任意選択で、第2のスケジューリング時間ユニットは、第1の時間期間における第1のスケジューリング時間ユニットの前のスケジューリング時間ユニットである。あるいは、第2のスケジューリング時間ユニットおよび第1のスケジューリング時間ユニットは、1つ以上のスケジューリング時間ユニットによって分けられる。例えば、第2のスケジューリング時間ユニットはTTI1であり、第1のスケジューリング時間ユニットはTTI3であり、1つのスケジューリング時間ユニットの持続時間は1つのTTIである。
【0146】
任意選択で、第2のスケジューリング時間ユニットのすべての時点は、第1のスケジューリング時間ユニットの前に位置する。言い換えれば、時間軸上で、第2のスケジューリング時間ユニットは第1のスケジューリング時間ユニットと重複しない。あるいは、第2のスケジューリング時間ユニットの時点の一部は第1のスケジューリング時間ユニットの前に位置し、第2のスケジューリング時間ユニットの時点の他の部分は第1のスケジューリング時間ユニット内にある。言い換えれば、時間軸上で、第2のスケジューリング時間ユニットは第1のスケジューリング時間ユニットと重複する。例えば、第2のスケジューリング時間ユニットはTTI1からTTI3であり、第1のスケジューリング時間ユニットはTTI2からTTI4であり、1つのスケジューリング時間ユニットの持続時間は3つのTTIである。
【0147】
第2のスケジューリング時間ユニットと第1のスケジューリング時間ユニットとの間の具体的な時間関係は、要件に基づいて設計され得る。これは、この実施形態では制限されない。
【0148】
第1のスケジューリング時間ユニットの伝送電力閾値は、第2のスケジューリング時間ユニットの無線周波数デバイスの伝送電力の値と負の相関がある。負の相関は、反比例関係を指す。言い換えれば、第2のスケジューリング時間ユニットの無線周波数デバイスの伝送電力の値は、第1のスケジューリング時間ユニットの伝送電力閾値に影響を及ぼす。第2のスケジューリング時間ユニットの無線周波数デバイスの伝送電力の値が大きいほど、第1のスケジューリング時間ユニットの伝送電力閾値は小さくなる。
【0149】
例えば、第2のスケジューリング時間ユニットの無線周波数デバイスの伝送電力の値および第1のスケジューリング時間ユニットの伝送電力閾値は、以下の制約条件、すなわち、Pmax_last_tti+Pmax_tti≦Pavg_max*nを満たす。Pmax_last_ttiは、第2のスケジューリング時間ユニットの無線周波数デバイスの伝送電力の値を表し、Pmax_ttiは、第1のスケジューリング時間ユニットの伝送電力閾値を表し、Pavg_maxは、平均伝送電力閾値を表し、nは、第1の時間期間のスケジューリング時間ユニットの数を表し、nは正の整数である。この実施態様では、平均伝送電力が閾値を超えないことが保証され、スケジューリング時間ユニットの具体的な伝送電力閾値は、使用された伝送電力に応じて浮動することを許容される。これは、サービス要件に応じた伝送電力閾値の変更に役立ち、無線周波数デバイスの伝送電力を改善するのにさらに役立つ。
【0150】
例えば、第2のスケジューリング時間ユニットの無線周波数デバイスの伝送電力が第1の時間期間の平均伝送電力閾値より大きいとき、第1のスケジューリング時間ユニットの無線周波数デバイスの伝送電力は、任意選択で、第1の時間期間の平均伝送電力閾値より小さい。第2のスケジューリング時間ユニットの無線周波数デバイスの伝送電力が平均伝送電力閾値より小さいとき、第1のスケジューリング時間ユニットの無線周波数デバイスの伝送電力は、任意選択で、第1の時間期間の平均伝送電力閾値より大きい。
【0151】
第1のスケジューリング時間ユニットおよび第2のスケジューリング時間ユニットの前述の説明された関連する特徴は、前のスケジューリング時間ユニットの無線周波数デバイスの実際の伝送電力(第2のスケジューリング時間ユニットの無線周波数デバイスの伝送電力)に基づいて、現在のスケジューリング時間ユニットによって許容される最大電力(第1のスケジューリング時間ユニットの無線周波数デバイスの伝送電力閾値)を決定する方法を実施するために使用され得る。一部の他の実施形態では、通信デバイスは、複数の前のスケジューリング時間ユニットの無線周波数デバイスの実際の伝送電力に基づいて、現在のスケジューリング時間ユニットで許容される最大伝送電力を決定する。以下は、説明のために例を使用する。
【0152】
以下は、第2のスケジューリング時間ユニットおよび第3のスケジューリング時間ユニットが第1のスケジューリング時間ユニットの前に存在する例を使用して説明を提供する。第1のスケジューリング時間ユニット、第2のスケジューリング時間ユニット、および第3のスケジューリング時間ユニットはすべて、第1の時間期間に属する。
【0153】
例えば、第1のスケジューリング時間ユニットの伝送電力閾値を取得する方法は、通信デバイスが、第2のスケジューリング時間ユニットおよび第3のスケジューリング時間ユニットの無線周波数デバイスの伝送電力の合計を取得し、通信デバイスが、第1の時間期間の平均伝送電力閾値および伝送電力の合計に基づいて、第1のスケジューリング時間ユニットの伝送電力閾値を決定することを含む。
【0154】
第2のスケジューリング時間ユニットおよび第3のスケジューリング時間ユニットの無線周波数デバイスの伝送電力の合計は、第2のスケジューリング時間ユニットおよび第3のスケジューリング時間ユニットで無線周波数デバイスによって送信された電力の総計を表す。伝送電力の合計は、第2のスケジューリング時間ユニットの無線周波数デバイスの伝送電力および第3のスケジューリング時間ユニットの無線周波数デバイスの伝送電力などの伝送電力の合計である。
【0155】
第1のスケジューリング時間ユニットの伝送電力閾値は、伝送電力の合計の値と負の相関がある。言い換えれば、第2のスケジューリング時間ユニットおよび第3のスケジューリング時間ユニットで無線周波数デバイスによって伝送された電力が合計で大きいほど、第1のスケジューリング時間ユニットの伝送電力閾値は小さくなる。例えば、第2のスケジューリング時間ユニットおよび第3のスケジューリング時間ユニットの無線周波数デバイスの伝送電力の合計と、第1のスケジューリング時間ユニットの伝送電力閾値とは、以下の制約条件、すなわち、Pmax_last_last_tti+Pmax_last_tti+Pmax_tti≦Pavg_max*nを満たす。Pmax_last_last_ttiは、第3のスケジューリング時間ユニットの無線周波数デバイスの伝送電力を表し、Pmax_last_ttiは、第2のスケジューリング時間ユニットの無線周波数デバイスの伝送電力を表し、Pmax_last_last_tti+Pmax_last_ttiは、第2のスケジューリング時間ユニットおよび第3のスケジューリング時間ユニットの無線周波数デバイスの伝送電力の合計を表し、Pavg_maxは、第1の時間期間の平均伝送電力閾値を表し、nは、第1の時間期間のスケジューリング時間ユニットの数を表し、nは正の整数である。
【0156】
前述は、例として、2つのスケジューリング時間ユニット、すなわち、第2のスケジューリング時間ユニットおよび第3のスケジューリング時間ユニットを使用して、前の2つのスケジューリング時間ユニットの無線周波数デバイスの伝送電力に基づいて、第1のスケジューリング時間ユニットの無線周波数デバイスの伝送電力閾値を決定する方法について説明している。第1のスケジューリング時間ユニットの前に2つのスケジューリング時間ユニットがある場合は例にすぎない。任意選択で、第1の時間期間において第1のスケジューリング時間ユニットの前には2つより多くのスケジューリング時間ユニットがある。例えば、第1のスケジューリング時間ユニットの前には、第2のスケジューリング時間ユニットおよび第3のスケジューリング時間ユニットだけでなく、第4のスケジューリング時間ユニット、第5のスケジューリング時間ユニット、またはより多くのスケジューリング時間ユニットがある。任意選択で、通信デバイスは、より多くのスケジューリング時間ユニットの無線周波数デバイスの伝送電力の合計に基づいて、第1のスケジューリング時間ユニットの無線周波数デバイスの伝送電力閾値を決定する。例えば、通信デバイスは、第1の時間期間の無線周波数デバイスの平均伝送電力閾値と、第1の時間期間における第1のスケジューリング時間ユニットの前のすべてのスケジューリング時間ユニットの無線周波数デバイスの伝送電力の合計とに基づいて、第1のスケジューリング時間ユニットの無線周波数デバイスの伝送電力を決定する。一部の実施形態では、通信デバイスは、第1の時間期間に使用されたすべてのスケジューリング時間ユニットの伝送電力の合計を累積する。例えば、1つのスケジューリング時間ユニットの終了時点に達するたびに、通信デバイスは、そのスケジューリング時間ユニットの無線周波数デバイスの伝送電力を過去の累積結果に加算し、これにより、累積結果は、そのスケジューリング時間ユニットの無線周波数デバイスの伝送電力およびそのスケジューリング時間ユニットの前の過去の時点における無線周波数デバイスの伝送電力を含む。次に、通信デバイスは、更新された累積結果に基づいて、次のスケジューリング時間ユニットの伝送電力閾値を決定する。
【0157】
一部の実施形態では、最小電力の機能が、ベース電力を設定することによって実施される。以下は、説明のための例としてベース電力を使用する。
【0158】
ベース電力は、1つのスケジューリング時間ユニットで無線周波数デバイスによって伝送されることを許容される最小電力である。ベース電力は、最小電力とも呼ばれ得る。ベース電力は0以上である。ベース電力の値は、平均電力閾値より小さい。ベース電力の具体的な値は、実験、経験、または要件に基づいて設定されてもよい。この実施形態では、ベース電力の値は制限されない。
【0159】
ベース電力が導入されるとき、第1のスケジューリング時間ユニットの無線周波数デバイスの伝送電力は、例えば、以下の制約条件、すなわち、Pbase≦Pmax_tti-i≦Pavg_max*n-Pbase*(n-i)-(Pmax_tti-1+Pmax_tti-2…+Pmax_tti-i-1)を満たす。
【0160】
Pbaseはベース電力を表し、Pmax_tti-iは、第1のスケジューリング時間ユニットの無線周波数デバイスの伝送電力閾値を表し、Pavg_maxは平均伝送電力閾値を表し、nは、第1の時間期間のスケジューリング時間ユニットの数を表し、(n-i)は、第1の時間期間における第1のスケジューリング時間ユニットの後のスケジューリング時間ユニットの数を表し、(Pmax_tti-1+Pmax_tti-2…+Pmax_tti-i-1)は、第1の時間期間における第1のスケジューリング時間ユニットの前のすべてのスケジューリング時間ユニットの無線周波数デバイスの伝送電力の合計を表し、nおよびiは正の整数であり、iはn以下である。
【0161】
例えば、第1の時間期間の持続時間は1sである。1つのスケジューリング時間ユニットの持続時間は1msであり、具体的には、第1の時間期間は合計1000個のスケジューリング時間ユニットを含む。第1の時間期間の平均伝送電力閾値は80Wである。ベース電力は20Wである。第1のスケジューリング時間ユニットが1sのうちの700番目のmsである例。第1の時間期間には第1のスケジューリング時間ユニットの後に残された300msがある。具体的には、第1の時間期間における第1のスケジューリング時間ユニットの後のスケジューリング時間ユニットの数は300であり、第1のスケジューリング時間ユニットの前のすべてのスケジューリング時間ユニットは、1sのうちの700番目のmsの前の699msである。合計20000Wが699msで無線周波数デバイスによって伝送された場合、前述の制約条件における伝送電力の合計は20000Wであり、第1のスケジューリング時間ユニットの無線周波数デバイスの伝送電力が満たす制約条件は、具体的には、以下の通りであり、すなわち、20≦Pmax_tti-i≦80*1000-20*300-20000であり、ただし、Pmax_tti-iは、第1のスケジューリング時間ユニットの伝送電力閾値を表す。
【0162】
任意選択で、第1の時間期間の各スケジューリング時間ユニットは、ベース電力に関連する前述の制約条件を満たす。あるいは、第1の時間期間のスケジューリング時間ユニットの一部は、ベース電力に関連する前述の制約条件を満たす。
【0163】
以下は、ベース電力を使用して最小電力の機能を実施する原理について分析および説明する。
【0164】
ベース電力が導入されないとき、無線周波数デバイスが前のスケジューリング時間ユニットで非常に多くの電力を伝送したため、後続のスケジューリング時間ユニットの無線周波数デバイスの伝送電力閾値は、平均伝送電力が閾値を超えないことを保証するために、0のみであり得る。しかしながら、後続のスケジューリング時間ユニットの無線周波数デバイスの伝送電力閾値が0であることは、無線周波数デバイスが、後続のスケジューリング時間ユニットで電力を送信することをもはや許容されないことを意味する。したがって、無線周波数デバイスが後続のスケジューリング時間ユニットで優先度の高いサービスデータを送信する必要があるとき、サービスが著しく損なわれ得る。優先度の高いサービスデータは、直ちにスケジュールされる必要があるサービスデータを指す。例えば、優先度の高いサービスデータは、制御シグナリングである。しかしながら、前述の実施態様では、ベース電力が、電力閾値を決定するプロセスに導入され、通信デバイスは、ベース電力および平均伝送電力閾値を使用して各スケジューリング時間ユニットの無線周波数デバイスの伝送電力閾値を制限する。したがって、各スケジューリング時間ユニットの無線周波数デバイスの電力閾値が決定されるとき、後続のスケジューリング時間ユニットの無線周波数デバイスの電力閾値対してマージンが確保され、これにより、無線周波数デバイスは、後続のスケジューリング時間ユニットの電力閾値において少なくともベース電力を取得し得る。このようにして、前のスケジューリング時間ユニットで無線周波数デバイスによって伝送された過度の電力に起因して無線周波数デバイスが後続のスケジューリング時間ユニットで伝送電力を有しない場合が回避され、これにより、電力割当てがより均一になり、最小電力が実施される。
【0165】
伝送電力の制御は、複数の実施態様を含む。以下は、例を使用して2つの制御方法について説明する。詳細については、以下の制御方法1および制御方法2を参照されたい。
【0166】
制御方法1:通信デバイスは、データチャネルで無線周波数デバイスによって送信されるデータによって占有される帯域幅を調整する。
【0167】
伝送電力の値は占有帯域幅の値に関連するため、通信デバイスが占有帯域幅の値を調整した後、伝送電力の値はそれに応じて変化する。したがって、伝送電力は、帯域幅を調整することによって調整され得る。具体的には、通信デバイスは、データチャネルでデータによって占有される帯域幅を増加させることによって無線周波数デバイスの伝送電力を増加させ得る。通信デバイスは、データチャネルでデータによって占有される帯域幅を低減することによって無線周波数デバイスの伝送電力を低減し得る。
【0168】
データチャネルは、ユーザのサービスデータを搬送するために使用されるチャネルである。データチャネルは、例えばPDSCHである。任意選択で、伝送電力を制御するプロセスにおいて、通信デバイスは、データチャネルでサービスデータによって占有される帯域幅を調整し、制御チャネルで制御データによって占有される帯域幅を変更せずに保持する。
【0169】
一部の実施形態では、制御方法1の具体的な実施プロセスは、通信デバイスが、最初に無線周波数デバイスのターゲット伝送電力を決定し、次に、ターゲット伝送電力およびデータチャネルの利用可能な帯域幅に基づいてターゲット帯域幅を決定し、次に、ターゲット帯域幅に基づいてデータチャネルでデータを送信し、これにより、無線周波数デバイスの伝送電力がターゲット伝送電力になることを含む。
【0170】
データチャネルの利用可能な帯域幅は、データチャネルで占有されることを許容される帯域幅の最大値である。任意選択で、データチャネルの利用可能な帯域幅は事前設定された構成パラメータである。例えば、利用可能な帯域幅が20MHzである場合に、データを端末に送信するとき、通信デバイスは、データチャネルで最大20MHzの帯域幅を占有する。
【0171】
ターゲット帯域幅は、データチャネルの利用可能な帯域幅以下である。任意選択で、ターゲット帯域幅は、電力スペクトル密度に対するターゲット伝送電力の比である。ターゲット帯域幅の値は、使用されるRBの数によって表され得る。具体的には、通信デバイスがデータを送信するときに使用されるRBの数が多いほど、データチャネルでデータによって占有される帯域幅は大きくなる。通信デバイスによる帯域幅調整は、具体的には、使用されるRBの数を調整することによって実施される。
【0172】
一部の実施形態では、制御方法1の具体的な実施プロセスは、通信デバイスが、最初に無線周波数デバイスのターゲット伝送電力を決定し、次に、ターゲット伝送電力に基づいて、使用されるべきRBの数を決定し、RBの数を使用してデータを送信し、これにより、データチャネルでデータによって占有される帯域幅がターゲット帯域幅になり、無線周波数デバイスの伝送電力がターゲット伝送電力になる。
【0173】
RBの数は、ターゲット伝送電力および電力スペクトル密度に関連する。例えば、RBの数は、電力スペクトル密度に対するターゲット伝送電力の比である。例えば、LTEセルでは、利用可能な帯域幅は20MHzであり、20MHzの帯域幅は100個のRBを含む。言い換えれば、通信デバイスは、最大100個のRBを使用してデータを送信し得る。電力スペクトル密度が1つのRBで伝送される1Wの電力である例が使用される。ターゲット伝送電力が80Wである場合、通信デバイスは、RBの数が80W/1(W/RB)=80個のRBであると決定し、通信デバイスは80個のRBを使用してデータを送信する。ターゲット伝送電力が50Wである場合、通信デバイスは、RBの数が50/1=50であると決定し、通信デバイスは、50個のRBを使用してデータを送信する。
【0174】
制御方法2:通信デバイスは、無線周波数デバイスの電力スペクトル密度を調整する。
【0175】
伝送電力の値は電力スペクトル密度に関連するため、通信デバイスが電力スペクトル密度の値を調整した後、伝送電力の値はそれに応じて変化する。したがって、伝送電力は、電力スペクトル密度を調整することによって調整され得る。具体的には、通信デバイスは、無線周波数デバイスの電力スペクトル密度を増加させることによって無線周波数デバイスの伝送電力を増加させ得る。通信デバイスは、無線周波数デバイスの電力スペクトル密度を低減することによって無線周波数デバイスの伝送電力を低減し得る。
【0176】
一部の実施形態では、制御方法2の具体的な実施プロセスは、通信デバイスが、最初に無線周波数デバイスのターゲット伝送電力を決定し、次に、ターゲット伝送電力に基づいてターゲット電力スペクトル密度を決定し、次に、ターゲット電力スペクトル密度に基づいてデータを送信し、これにより、無線周波数デバイスの伝送電力がターゲット伝送電力になり、無線周波数デバイスの伝送電力がターゲット伝送電力になることを含む。
【0177】
ターゲット電力スペクトル密度は、ターゲット伝送電力およびデータチャネルで占有される帯域幅に関連する。例えば、ターゲット電力スペクトル密度は、帯域幅に対するターゲット伝送電力の比である。例えば、通信デバイスは、データチャネルで20MHzの帯域幅を占有し、具体的には、100個のRBを使用してデータを送信する。ターゲット伝送電力が50Wである場合、通信デバイスは、ターゲット電力スペクトル密度の値が50/100=0.5であると決定する。言い換えれば、通信デバイスは、各RBで0.5Wの電力を伝送する。
【0178】
前述は、伝送電力の2つの制御方法について説明している。2つの制御方法では、要件を満たすように伝送電力が制御され得るという目的が実施され得、伝送電力は短い時間の期間で急速に変化し得、適時性が良好である。2つの制御方法のうちの1つが任意選択で使用のために選択されるか、または2つの制御方法は使用のために組み合わされる。あるいは、伝送電力を制御するために、例えば、無線周波数デバイスの利得を低減することによって、伝送チャネルの一部またはサブキャリアの一部を無効化することによって、またはユーザを別のRRUに移行させることによって伝送電力を制御するために、2つの制御方法以外の他の手段が使用される。この実施形態は、伝送電力を具体的に制御する方法を制限しない。
【0179】
一部の実施形態では、通信デバイスは、無線周波数デバイスの伝送電力を周期的に制御する。1つの時間周期の開始時点に達するたびに、通信デバイスは、無線周波数デバイスの現在の温度に基づいて現在の時間周期の伝送電力閾値を取得し、次に、現在の時間周期において、現在の時間周期の無線周波数デバイスの伝送電力閾値以下になるように無線周波数デバイスの伝送電力を制御する。
【0180】
周期的制御は、ウィンドウホッピングフィルタリング方法およびスライディングウィンドウフィルタリング方法を含むが、これらに制限されない。ウィンドウは1つの時間周期であり、1つの時間ウィンドウとも呼ばれる。ウィンドウホッピングフィルタリング方法では、2つの隣接する時間周期の開始時点間の時間差は、1つの時間周期の持続時間に等しい。例えば、1つの時間周期の持続時間は1sであり、第1の時間周期は1sであり、第2の時間周期は2sであり、第3の時間周期は3sであり、残りは類推によって推定される。スライディングウィンドウフィルタリング方法では、2つの隣接する時間周期の開始時点間の時間差は、1つ以上のスケジューリング時間ユニットの持続時間である。例えば、1つの時間周期の持続時間は1sであり、1つのスケジューリング時間ユニットの持続時間は1msであり、第1の時間周期は1sであり、第2の時間周期は1.001sであり、第3の時間周期は1.002sであり、残りは類推によって推定される。
【0181】
周期的制御方法が使用されるとき、図3に示されている方法における第1の時間周期は、例えば、1つの時間周期であり、第1の時間周期の持続時間は、例えば、1つの時間周期の持続時間に等しい。時点が第1の時間期間の次の時間周期に達したとき、通信デバイスは、同様の方法で無線周波数デバイスの伝送電力を制御する。
【0182】
第1の時間期間の次の時間周期が第2の時間期間である例が使用される。図3に示されている方法は、通信デバイスが、第2の時間期間の無線周波数デバイスの温度および無線周波数デバイスの動作温度閾値に基づいて、第2の時間期間の無線周波数デバイスの伝送電力閾値を取得し、第2の時間期間の伝送電力閾値以下になるように第2の時間期間の無線周波数デバイスの伝送電力を制御することをさらに含む。
【0183】
第2の時間期間は、第1の時間期間の後である。例えば、ウィンドウホッピングフィルタリング方法が使用されるとき、第2の時間期間の開始時点と第1の時間期間の開始時点との間に1つの時間周期の長さがある。スライディングウィンドウフィルタリング方法が使用されるとき、第2の時間期間の開始時点と第1の時間期間の開始時点との間に1つ以上のスケジューリング時間ユニットの持続時間がある。
【0184】
ウィンドウホッピングフィルタリング方法またはスライディングウィンドウフィルタリング方法のいずれが具体的に使用されるかは、必要に応じて設定され得、これは、この実施形態では制限されない。
【0185】
この実施形態で提供される方法によれば、ベースバンドユニットが例として使用される。ベースバンドユニットは、無線周波数デバイスの温度に基づいて伝送電力閾値を決定し、無線周波数デバイスの伝送電力閾値は、無線周波数デバイスのリアルタイム温度とともに動的に変化することを許容される。したがって、無線周波数デバイスのハードウェア能力に対する伝送電力閾値の制限が低減される。これは、無線周波数デバイスの伝送電力をさらに改善し、無線周波数デバイスの過熱を回避するのに役立ち、通信デバイスの性能を改善する。
【0186】
一部の実施形態では、ステップS201の前に、図3に示されている方法は、以下のステップS200をさらに含む。ステップS200は任意選択のステップであり、ステップS200は実行されなくてもよい。任意選択で、ステップS200は、図2のBBU31内の温度追跡モジュール311および無線周波数モジュール32内の温度検出モジュール321によって協働して実行される。
【0187】
ステップS200:通信デバイスは、第1の時間期間の無線周波数デバイスの温度を取得する。
【0188】
無線周波数デバイスの温度を取得するための複数の実施態様がある。以下は、説明のための例として実施態様Aおよび実施態様Bを使用する。実施態様Aおよび実施態様Bは2つの同目的の方法であり、通信デバイスは、無線周波数デバイスの温度を取得するために2つの方法のうちの1つを選択し得る。
【0189】
実施態様A:通信デバイスは、温度モデルによって無線周波数デバイスの温度を予測する。
【0190】
任意選択で、温度モデルは、無線周波数デバイスの負荷に基づいて無線周波数デバイスの温度を予測するために、具体的には、無線周波数デバイスが負荷下で動作するときに無線周波数デバイスの温度が達する度を予測するために使用される。温度モデルの入力パラメータは、無線周波数デバイスの負荷を含む。温度モデルの出力パラメータは、温度を含む。ステップS200を実行するとき、通信デバイスは、第1の時間期間の無線周波数デバイスの負荷および温度モデルに基づいて、第1の時間期間の無線周波数デバイスの温度を予測する。具体的には、温度モデルの形態は、例えば、1つの関数または関数のグループである。通信デバイスは、第1の時間期間の負荷を温度モデルに入力し、温度モデルによって演算を実行して、温度モデルによって出力された温度を取得する。
【0191】
あるいは、温度モデルは、無線周波数デバイスの負荷に基づいて無線周波数デバイスの温度変化量を予測するために使用される。言い換えれば、無線周波数デバイスが負荷下で動作するとき、無線周波数デバイスの温度は、ある程度上昇するか、またはある程度低下する。温度モデルの入力パラメータは、無線周波数デバイスの負荷を含む。温度モデルの出力パラメータは、温度変化量を含む。ステップS200を実行するとき、通信デバイスは、第1の時間期間の無線周波数デバイスの負荷および温度モデルに基づいて、第1の時間期間の無線周波数デバイスの温度変化量を予測し、第1の時間期間の開始時点における無線周波数デバイスの温度および温度変化量に基づいて、第1の時間期間の無線周波数デバイスの温度を決定する。
【0192】
一部の実施形態では、温度を予測する際に使用される負荷は、伝送電力によって記述される。任意選択で、負荷の値は、平均伝送電力閾値に対する無線周波数デバイスの伝送電力の比である。任意選択で、負荷の形態は1パーセントである。例えば、平均伝送電力閾値が100Wであり、TTIに無線周波数デバイスによって実際に伝送される平均電力が50Wである場合、電力予測時に使用される負荷は50W/100 W=50%である。
【0193】
実施態様B:通信デバイスは、温度センサによって無線周波数デバイスの温度を検出する。
【0194】
具体的には、無線周波数デバイスが配置されたRRUまたはAAUは、温度センサを含む。RRUまたはAAUは、温度センサによって無線周波数デバイスの温度を検出し、RRUまたはAAUは、検出された温度をBBUに送信し、BBUは、RRUまたはAAUによって送信された温度を受信する。
【0195】
一部の実施形態では、前述の実施態様Aにおける温度モデルは、環境補償量を含む。以下は、環境補償量の機能、環境補償量を取得する実施態様、および環境補償量を適用する方法について説明する。
【0196】
環境補償量は、無線周波数デバイスが配置された環境によって生じる、無線周波数デバイスの温度への影響を補償するために使用される。具体的には、温度モデルで使用されるいくつかのデータ(例えば、温度とダウンリンク負荷との間の数関係)は、通常、実験室環境での試験によって取得される。無線周波数デバイスが使用のためにライブネットワーク上の通信デバイス(例えば、基地局サイト)に設置されるとき、無線周波数デバイスが配置される環境は、通常、実験室環境とは異なる。例えば、無線周波数デバイスが配置される環境の温度、湿度、風向、風速、および太陽光放射強度などの多くのパラメータが、実験室環境のものとは異なり得る。したがって、同じダウンリンク負荷下では、無線周波数モジュールの実際の温度は、通常、実験室で試験された温度から逸脱する。例えば、同じ伝送電力下では、高温環境における無線周波数デバイスの温度は、一般に、低温環境における無線周波数デバイスの温度より高い。しかしながら、この実施形態では、環境によって生じる影響が環境補償量によって補償され得るように環境補償量が温度モデルに導入される。これは、環境によって生じる誤差を低減し、温度モデルを使用して温度を予測する精度を改善する。
【0197】
環境補償量を取得するための複数の実施態様がある。任意選択で、無線周波数デバイスを含むRRUまたはAAUは、温度センサによって無線周波数デバイスの温度を検出し、通信デバイスは、RRUまたはAAUによって検出された温度および温度モデルによって予測された温度に基づいて環境補償量を取得する。例えば、温度モデルは、ある時点における無線周波数デバイスの温度が25°であると予測し、RRUまたはAAUは、その時点における無線周波数デバイスの温度が30°であることを検出し、BBUに30°を報告する。この場合、BBUは、25°と30°との間の5°の温度差を使用して温度補償量を決定する。
【0198】
一部の実施形態では、環境補償量は、RRUまたはAAUによって検出された温度と温度モデルによって予測された温度との温度差と正の相関がある。言い換えれば、温度モデルによって予測された温度と、RRUまたはAAUによって検出された温度との偏差が大きいほど、環境補償量は大きくなる。
【0199】
一部の実施形態では、環境補償量は、具体的には、以下の式(2)によって決定される。
Ta=(TPA0-Tn)*τ/I 式(2)
【0200】
前述の式(2)において、Taは環境補償量を表し、TPA0は、第1の時間期間の終了時点でRRUまたはAAUによって検出された無線周波数デバイスの温度を表し、Tnは、温度モデルによって予測された、第1の時間期間の終了時点における無線周波数デバイスの温度を表し、τは時定数であり、τは、無線周波数デバイスが定常状態温度に達するのに必要な持続時間に関連する。τと定常状態温度との間の数値関係については、式(1)の前述の説明を参照されたい。Iは、第1の時間期間の時間長を表す。
【0201】
あるいは、通信デバイスには、複数のセンサ、例えば、周囲温度を検出するためのセンサ、風速および風向を検出するためのセンサ、ならびに湿度を検出するためのセンサなどが配される。通信デバイスは、複数のセンサによって、無線周波数デバイスが配置された環境のパラメータを収集し、収集された環境パラメータに基づいて環境補償量を決定する。あるいは、通信デバイスは、気象サーバによって提供されるインターフェースを呼び出し、気象サーバは、環境パラメータを通信デバイスに送信し、通信デバイスは、気象サーバによって提供される環境パラメータに基づいて環境補償量を決定する。
【0202】
環境補償量を取得する前述の実施態様はすべて、説明のための例である。この実施形態では、環境補償量を取得する方法は制限されない。
【0203】
環境補償量は、例えば、温度モデルを補正するために使用される。具体的には、前述の方法のいずれか1つで環境補償量を取得した後、通信デバイスは、更新された温度モデルによって予測された温度が無線周波数デバイスの現在の実際の温度と一致するように、温度モデル内の環境補償量を取得された環境補償量に更新する。このようにして、温度モデルの精度に対する環境の影響が補償され、温度モデルが補正される。
【0204】
任意選択で、環境補償量を使用して温度モデルを補正するプロセスは周期的に実行される。具体的には、通信デバイスは、設定された時間周期に基づいて環境補償量を取得し、温度モデル内の環境補償量を取得された環境補償量に更新する。あるいは、設定されたトリガ条件が満たされたときに温度モデルの補正が実行される。例えば、通信デバイスは、コントローラまたは管理者の命令を受信したときに温度モデルを補正し、別の例では、通信デバイスは、電源が投入され初期化されたときに温度モデルを補正し、または別の例では、通信デバイスは、展開位置が変化したことを検出したときに温度モデルを補正する。この実施形態では、温度モデルを補正するための機会は制限されない。
【0205】
一部の実施形態では、温度モデルは、以下の式(3)に基づいて確立される。
Tn=Tn-1+(TLn+T-Tn-1)*qn/τ 式(3)
【0206】
式(3)において、Tnは、第1の時間期間におけるスケジューリング時間ユニットnの後の無線周波数デバイスの温度を表し、Tn-1は、第1の時間期間におけるスケジューリング時間ユニット(n-1)の後の無線周波数デバイスの温度を表し、Lnは、第1の時間期間のn番目のスケジューリング時間ユニットの無線周波数デバイスの負荷を表し、TLnは、負荷がLnであるときに無線周波数デバイスによって達される定常状態温度を表し、Tは環境補償量を表し、τは時定数である。τと定常状態温度との間の数値関係については、式(1)の前述の説明を参照されたい。qnは、スケジューリング時間ユニットnの持続時間を表す。nはスケジューリング時間ユニットのシーケンス番号を表し、nは正の整数であり、nの最大値は、第1の時間期間に含まれるスケジューリング時間ユニットの数である。最初のスケジューリング時間ユニットはスケジューリング時間ユニット1であり、最後のスケジューリング時間ユニットはスケジューリング時間ユニットnである。nの値が1であるとき、n-1は、第1の時間期間の開始時点を表す。例えば、T0は、第1の時間期間の開始時点における無線周波数デバイスの温度を表す。1つのスケジューリング時間ユニットは1つ以上のTTIを含む。
【0207】
以下は、例を参照して、図2に示されているアーキテクチャに基づく方法手順について説明する。以下の例1は、図3に示されている方法の例である。
【0208】
例1
最初に、図3に示されている方法における特徴と例1との関係が説明される。
【0209】
以下の例1における電力増幅器(PA)は、図3に示されている方法における無線周波数デバイスの例示的な説明である。以下の例1における周期Iは、図3に示されている方法における第1の時間期間の例示的な説明である。以下の例1におけるTTI(1ms)は、図3に示されている方法におけるスケジューリング時間ユニットの例示的な説明である。以下の例1における電力増幅器のリアルタイム温度は、図3に示されている方法における第1の時間期間の無線周波数デバイスの温度の例示的な説明である。以下の例1における電力増幅器の最大許容動作温度は、図3に示されている方法における無線周波数デバイスの動作温度閾値の例示的な説明である。以下の例1における最大平均電力は、図3に示されている方法における第1の時間期間の無線周波数デバイスの伝送電力閾値の例示的な説明である。以下の例1では、前のTTIで電力増幅器によって使用された伝送電力は、図3に示されている方法における第2のスケジューリング時間ユニットの無線周波数デバイスの伝送電力の例示的な説明である。以下の例1では、現在のTTIで電力増幅器によって使用されることを許容される最大電力は、図3に示されている方法における第1のスケジューリング時間ユニットの無線周波数デバイスの伝送電力閾値の例示的な説明である。以下の例1における周期の開始時点における電力増幅器の温度は、図3に示されている方法における第1の時間期間の開始時点における無線周波数デバイスの温度の例示的な説明である。以下の例1における最大定常状態温度は、図3に示されている方法における第1の時間期間に許容される最大定常状態温度の例示的な説明である。
【0210】
例1のパラメータの添字において、maxは最大値を示し、avgは平均値(average)を示し、Lkは、k番目の周期における負荷を示し、baseは基礎を示す。
【0211】
以下は、例1の全体的なプロセスについて簡単に説明する。
【0212】
無線周波数モジュール32内の温度検出モジュール321は、無線周波数デバイス322の温度を検出する。温度検出モジュール321は、設定された時間周期の間隔で、検出された温度をBBU31に報告する。BBU31内の温度追跡モジュール311は、無線周波数モジュール32によって報告された温度を使用して温度モデルを補正する。温度追跡モジュール311は、温度モデルによって予測された温度に基づいて、温度追跡モジュール311によって許容される最大動作温度を限界として使用して、電力増幅器によって伝送されることを許容される最大平均電力Pavg_maxを計算し、最大平均電力Pavg_maxをスケジューラ312に通知する。スケジューラ312は、ダウンリンクユーザのスケジューリングを遂行し、最大平均電力Pavg_maxが超えられないことを前提として、高スループットレートを達成するようにダウンリンクユーザのデータまたは信号の伝送電力をスケジュールする。スケジューラ312によって遂行されたダウンリンクユーザのスケジューリングデータまたは信号は、RRUに送信され、RRUは、スケジューリングデータまたは信号を高電力無線周波数信号に変換し、アンテナ33から無線周波数信号を伝送する。
【0213】
具体的には、図4Aおよび図4Bは、例1のフローチャートである。例1は、ステップS401からステップS403を含む。
【0214】
ステップS401:BBUは、温度モデルによって無線周波数モジュールのリアルタイム温度を追跡し、温度モデルを補正する。ステップS401については、図3のステップS200の説明を参照されたい。
【0215】
BBUによって確立された時間周期I(例えば、1分)において、無線周波数デバイスの温度と各TTIでスケジュールされる伝送電力との関係は、以下の式(4)に示されている。以下の式(4)は、上記で説明された式(3)の具体的な形態である。…は、式(4)が示されていないT2およびT3からTn-1の式を含み、これらを省略していることを表す。
T1=T0+(TL1+T-T0)*q1/τ

Tn=Tn-1+(TLn+T-Tn-1)*qn/τ 式(4)
【0216】
式(4)におけるパラメータの意味は以下の通りである。
【0217】
T0は、周期の開始時点における無線周波数デバイスの温度を表す。
【0218】
T1は、最初のTTI後の無線周波数デバイスの温度を表し、q1は、スケジューリング時間ユニット1の持続時間を表す。
【0219】
Tnは、n番目のTTI後の無線周波数モジュールの温度を表し、qnは、スケジューリング時間ユニットnの持続時間を表す。
【0220】
TLnは、n番目のTTIのダウンリンク負荷がLnであるときに無線周波数デバイスが負荷Ln下で達する定常状態温度を表す。
【0221】
Taは環境補償量を表す。Taは、周期全体において不変のままである。
【0222】
τは、無線周波数モジュールの時定数を表す。τと定常状態温度との間の数値関係については、式(1)の前述の説明を参照されたい。特定のタイプの無線周波数モジュールの場合、τの値は固定される。
【0223】
T0の初期値は、無線周波数モジュールによって報告される。RRUまたはAAUが動作を開始し、BBUの温度を報告しないとき、T0は値を有しない。RRUまたはAAUがデバイス温度をBBUに初めて報告したとき、T0の値は、RRUまたはAAUによって報告された値である。
【0224】
L1は、第1のTTIで実際にスケジュールされたダウンリンク負荷である。負荷は1パーセントである。値は、以下の式、すなわち、L1=実際の平均ダウンリンク伝送電力/無線周波数モジュールによって許容される最大平均伝送電力、を使用して取得される。例えば、RRUによって伝送されることを許容される最大平均電力は100Wであるが、TTIでRRUによって実際に伝送される平均電力は50Wである。L1=50W/100W=50%。TL1は、無線周波数モジュールがダウンリンク負荷をL1に維持するときの無線周波数モジュールの内部デバイスの定常状態温度である。無線周波数モジュールの内部デバイスが特定の負荷下で定常状態温度に達するには、(1つのTTIの持続時間と比較して)長い時間の期間を要する。持続時間は時定数τで表される。
【0225】
Taは補償量である。
【0226】
以下は、無線周波数モジュールがRRUであり、無線周波数モジュール内部の無線周波数デバイスが電力増幅器である例を使用して、ステップS401における温度追跡および補正の具体的なプロセスについて説明する。電力増幅器を除く他の無線周波数デバイスによって実行されるステップは同様である。ステップS401は、具体的には、以下のステップS4011からステップS4016を含む。
【0227】
ステップS4011:RRUの電源が投入され、RRUは動作を開始する。
【0228】
ステップS4012:RRUは、電力増幅器の温度TPA0をBBUに初めて報告する。
【0229】
ステップS4013:BBUは、周期Iの開始時点における温度T0をTPA0に設定し、環境補償量Taを0に設定する。
【0230】
ステップS4014:BBUは、実験室試験を通じてRRUのモデルによって事前に取得された負荷と定常状態温度との対応関係、時定数τを使用して、式(4)に基づいて、周期Iの最初のTTIからn番目のTTIにおける電力増幅器の温度、すなわちT1、T2、…、Tnを順次計算する。
【0231】
RRUの負荷と定常状態温度との関係は、実験室で事前に取得される。定常状態温度TLと負荷Lとの関係は関数関係であり、すなわち、TL=f(L)である。
【0232】
ステップS4015:時点が周期Iの終了時点に達したとき、RRUは、電力増幅器の温度TPA0をBBUに再び報告する。BBUは、RRUによって再び報告された電力増幅器の温度TPA0と、関係式Ta=(TPA0-n)*τ/Iとに基づいて環境補償量Taを計算する。BBUは、計算されたTaに基づいて、温度モデルのTaを更新する。
【0233】
ベースバンドユニット内のスケジューラによる実行を例として使用すると、スケジューラは、無線周波数モジュールの外部環境条件(温度、湿度、風速、および光を含む)の変化に対する周期的補償を実行するために、周期的に環境補償量Taを計算し、温度モデルの環境補償量Taを更新する。これは、環境条件の影響を回避する。環境条件の影響が補償された後、温度モデルは、ミリ秒ごとのダウンリンクスケジューリングおよび伝送電力を温度変化に変換し、無線周波数モジュールの温度変化をリアルタイムで追跡する。
【0234】
ステップS4016:周期Iの次の周期から開始して、BBUは、次の周期で各TTIが終了したときに取得される温度の計算を開始するためにステップS4014を再実行する。
【0235】
異なるタイプのRRUに関して、定常状態温度TLと負荷Lとの間の関数関係は異なり得る。例えば、一部のRRUでは、すべての電力増幅器の伝送電力は各時点で同じである。このようにして、1つの負荷変数Lはすべての電力増幅器の負荷を表し得、TL=f(L)である。しかしながら、一部のRRUにおける異なる電力増幅器の負荷は異なり得る。この場合、定常状態温度TLと負荷Lとの間の関数関係は、複数の異なる負荷変数によって記述される必要があり、すなわち、TL=f(L1,L2,…,Ln)である。L1、L2、…、Lnは、n個の電力増幅器の異なる負荷を表す。さらに、RRU内の異なる電力増幅器の温度も異なり得、異なる関数によって記述される必要がある。したがって、n個の電力増幅器の温度と負荷との間の完全な関数関係は、以下のように記述される。
TL1=f1(L1,L2,…,Ln) 式(5)
TL2=f2(L1,L2,…,Ln) 式(6)

TLn=fn(L1,L2,…,Ln) 式(7)
【0236】
要約すると、ステップS401では、RRUとBBUとの協調およびBBU内部の温度モデルによって、RRU内部の主要なデバイス(典型的には電力増幅器)のリアルタイム温度の連続的な追跡が実施される。リアルタイム温度の追跡によって、BBUは、温度の上限を超えることなく各制御周期において無線周波数デバイス(電力増幅器など)によって許容される最大平均伝送電力を計算によって取得するために、各時点でRRUのリアルタイム温度を正確に取得し得、後続の温度変化と負荷との関係を正確に予測し得る。
【0237】
ステップS402:BBUは、電力増幅器の最大平均電力Pavg_maxを計算する。
【0238】
ステップS402については、図3のステップS201の説明を参照されたい。
【0239】
電力増幅器の最大平均電力Pavg_maxは、1つの時間周期において現在の温度で電力増幅器によって許容される最大平均電力を表す。電力増幅器の最大平均電力Pavg_maxは、以下の2つの要因、すなわち、(1)電力増幅器ハードウェアによってサポートされている最大伝送電力Pmax、および(2)無線周波数デバイスの最大動作温度に基づいて許容される最大伝送電力PTmaxによって制限される。PmaxおよびPTmaxに基づいて、最大平均電力Pavg_maxは、以下の式(8)を使用して計算される。
Pavg_max=min(Pmax,PTmax) 式(8)
【0240】
式(8)において、Pmaxは、電力増幅器の設計および製造時に決定される指標であり、Pmaxは既知である。PTmaxは、負荷および環境によって変化する。この実施形態では、PTmaxは、具体的な周期(周期の持続時間p)に基づいて各周期においてリアルタイムで計算される。
【0241】
k番目の周期のPTmaxを計算するステップは、以下のステップS4021からステップS4023を含む。
【0242】
ステップS4021:BBUは、計算のための入力パラメータを取得する。PTmaxを計算するとき、BBUは、周期の開始時点における電力増幅器のリアルタイム温度Trおよび電力増幅器の最大許容動作温度Tmaxを入力する。リアルタイム温度Trは、式(4)に基づいて計算される温度T1、T2、…、Tnである。
【0243】
ステップS4022:BBUは、k番目の周期において許容される最大定常状態温度TLkを計算する。BBUの数を計算するための式は、TLk=Tr-Ta+τ/p*(Tmax-Tr)である。
【0244】
ステップS4023:BBUは、式(7)を使用して、TLkに対応する負荷Lkを計算し、PTmax=Lkである。
【0245】
前述は、1つの電力増幅器の最大平均電力を計算する方法について説明している。RRUに複数の電力増幅器が存在するとき、任意選択で、最大平均電力は、前述の式(7)およびステップS4021からステップS4023に基づいて電力増幅器ごとに計算される。加えて、電力増幅器を除く他の主要な無線周波数デバイスに関して、同じ方法で最大平均電力が計算される。
【0246】
要約すると、ステップS402では、無線周波数モジュールのリアルタイム温度は、最大平均伝送電力Pavg_maxを使用して電力スケジューリングを実行するために、現在の周期において電力増幅器によって許容される最大平均伝送電力Pavg_maxを決定するために使用される。一般に、現在の周期においてスケジューラによってスケジュールされる電力増幅器の平均伝送電力が最大平均伝送電力Pavg_maxを超えない場合、RRUが過熱しないことが保証される。
【0247】
ステップS403:BBUは、伝送電力に対して適応スケジューリングを実行する。ステップS403については、図3のステップS202の説明を参照されたい。
【0248】
ステップS402に基づいて、最大ダウンリンクスループットを取得するために、k番目の周期において電力増幅器によって許容される最大平均伝送電力Pavg_maxが計算され、水注入方法によってスケジューリング制御が実行される。
【0249】
理解を容易にするために、以下は、最初に水注入方法におけるいくつかの概念について解説する。
【0250】
水は電力を表す。水は、時間の期間の量子化された伝送電力を表す。例えば、10s以内の平均伝送電力が10Wであり、10s以内に合計10000個のTTIがある場合、水量は10000*10Wであり、または10s以内の伝送電力は10000*10Wである。
【0251】
バケットは、メモリ空間(buffer)を表す。メモリ空間は、水量(すなわち、伝送電力の値)を記憶するために使用される。バケットの容量(すなわち、メモリ空間に記憶される伝送電力の最大値)は、電力増幅器ハードウェアによってサポートされている最大伝送電力によって決定される。例えば、電力増幅器ハードウェアによってサポートされている最大伝送電力が20Wであり、1つのスケジューリング時間周期が10sである場合、10s以内の電力増幅器の伝送電力の最大値は10000*20Wである。この場合、バケットの容量は10000*20W以上の値である。
【0252】
バケットに水を注入することは、各TTIで、メモリ空間(バケット)に記憶された伝送電力値に特定の電力値が加算されることを意味する。例えば、10sの1つのスケジューリング時間周期において、最大平均伝送電力は10Wであり、最小電力に使用されるベース電力は5Wである。時間周期が開始されたとき、10000*5Wの電力値が、メモリ空間(バケット)に記憶された伝送電力値に加算される。次に、時間周期の各TTIで、メモリ空間(バケット)に記憶された伝送電力値に5Wの電力値が加算される。時間周期が終了したとき、10000*10Wの電力値が、メモリ空間(バケット)に記憶された伝送電力値に加算される。
【0253】
バケットから水を排出することは、無線周波数デバイスが現在のTTIで特定の電力を伝送したことを表す。バケットから水を排出することは、メモリ空間(バケット)に記憶された伝送電力値から現在のTTIにおける無線周波数デバイスの伝送電力値を減算することを指す。例えば、無線周波数デバイスが現在のTTIで15Wの電力を伝送した場合、メモリ空間(バケット)に記憶された伝送電力値から15Wが減算される。
【0254】
バケット内の残りの水は、現在の周期の残りの時間に無線周波数デバイスによって伝送されることを許容された総電力を表す。
【0255】
水注入方法におけるいくつかの概念は、上記で説明されている。以下は、水注入方法に基づいて適応スケジューリングを実施する原理について説明する。
【0256】
水注入方法の基本概念は、時間の期間にバケットから使用される水の総量がバケットに注入される水の量を超えないことを保証するために、時間の期間にバケットから使用される水の総量を制限することである。加えて、時間の期間の各時点でバケットから使用される水の具体的な量は制限されず、バケット内のすべての残りの水であっても、ある時点で使用されることを許容される。
【0257】
しかしながら、この実施形態では、適応スケジューリングは主に3つの目的を含む。第1の目的は、閾値を超える平均電力によって生じる無線周波数デバイスの過熱を回避するために、閾値を超えないように時間の期間の無線周波数デバイスの平均電力を制御することである。第2の目的は、時間の期間において、各TTIで無線周波数デバイスによって使用される電力を制限しないでおくようにすることである。TTIがピークトラフィック負荷にあるとき、無線周波数デバイスは、TTIで可能な限り多くの電力を伝送することを許容される。これは、ダウンリンクスループットレートを改善する。第3の目的は、各TTIで無線周波数デバイスによって伝送され得る電力が、少なくとも最小電力に使用されるベース電力であることである。
【0258】
適応スケジューリングの目的は、水注入方法の適用シナリオと正確に一致し、第1の目的は、水注入方法で時間の期間にバケットから使用される水の総量を制限する手段を使用して達成され得、第2の目的は、水注入方法で時間の期間の各時点でバケットから使用される水の特定の量を制限しない手段を使用して達成され得ることが知られ得る。
【0259】
以下は、水注入方法に基づいて適応スケジューリングを実施する具体的なプロセスについて説明する。以下の手順では、最小スケジューリング時間ユニットが1つのTTIである例が説明のために使用される。
【0260】
1つのスケジューリング制御周期Tにはn個のTTIがあり、n個のTTIは、それぞれTTI1からTTInと表される。スケジューラは、周期Tの無線周波数デバイスの伝送電力が、使用されることを許容される最大平均伝送電力以下になるように、TTI1からTTInで以下の手順を実行する。TTI間の関係については、図5を参照されたい。
【0261】
以下は、1つの周期の各TTIにおけるスケジューラのアクションについて説明する。
【0262】
時点t0(具体的には、スケジューリングが開始される前の時点)で実行されるステップは、1つの「バケット」を初期化するステップであり、具体的には、メモリ空間が、伝送電力の値を記憶するために使用される。例えば、変数bufが、メモリ空間に記憶された伝送電力(または水量)を表すために使用される。buf=(Pavg_max-Pbase)*nの「水」がバケットに注入され、具体的には、(Pavg_max-Pbase)*nがメモリ空間に書き込まれる。「バケット」の容量は、Pmax*nより大きい必要がある。Pmaxは、無線周波数デバイスハードウェアによって許容される最大伝送電力である。Pavg_maxは、ステップS402で計算された対応する周期において許容される最大平均伝送電力である。PbaseはPavg_maxより小さく、Pbaseは0より大きい。Pbaseのサイズは、異なるシナリオに基づいて決定される。
【0263】
TTI1で、スケジューラは、以下のステップS40311からステップS40313を実行する。
【0264】
ステップS40311:スケジューラは、メモリ空間に記憶された伝送電力値が時点t0のbufからbuf+Pbaseに更新されるように、メモリ空間に記憶された伝送電力の値をベース電力Pbaseだけ増加させる。
【0265】
ステップS40312:スケジューラは、現在のTTIで許容される最大電力Pmax_ttiを決定する。Pmax_tti=min(Pmax,buf)である。Pmaxは、電力増幅器ハードウェアによってサポートされている最大伝送電力であり、bufは無線周波数デバイスの非伝送電力である。加えて、スケジューラに通知された電力Pmax_ttiが、メモリ空間に記憶された伝送電力値がbuf=buf-Pmax_ttiになるように、メモリ空間に記憶された伝送電力値から減算される。
【0266】
ステップS40313:スケジューラは、現在のTTIにおける伝送電力が最大電力Pmax_ttiを超えないことを保証するために、現在のTTIで許容される最大電力Pmax_ttiに基づいてスケジューリングを実行する。
【0267】
TTI2からTTInの各TTIで、スケジューラは、以下のステップS40321からステップS40324を実行する。
【0268】
ステップS40321:スケジューラは、メモリ空間に記憶された伝送電力値が前のTTIのbufからbuf+Pbaseに更新されるように、メモリ空間に記憶された伝送電力値をPbaseだけ増加させる。
【0269】
ステップS40322:スケジューラは、過去のTTIにおける伝送電力および過去のTTIにおける最大伝送電力値に基づいて、過去のTTIで無線周波数デバイスによって伝送されていない電力を決定し、過去のTTIで伝送されていない電力をメモリ空間に記憶された伝送電力値に加算する。
【0270】
過去のTTIは、現在の周期においてスケジュールされていたTTI、または現在のTTIの前のTTIを指す。現在のTTIが周期TにおけるTTIiである例が使用される。TTIiに関して、過去のTTIは、例えば、周期TにおけるTTI1からTTIi-1までのTTIの一部または全部である。
【0271】
任意選択で、スケジューラは、前のTTIで伝送された電力Preal_last_ttiおよび前のTTIで伝送された最大伝送電力Pmax_last_ttiに基づいて、前のTTIで信号が伝送されてない電力がPmax_last_tti-Preal_last_ttiであると決定する。スケジューラは、メモリ空間に記憶された伝送電力値が前のTTIのbufからbuf+Pbase+(Pmax_last_tti-Preal_last_tti)に更新されるように、メモリ空間に記憶された伝送電力をPmax_last_tti-Preal_last_ttiだけ増加させる。この方法は、図3の方法に含まれる、第2のスケジューリング時間ユニットの伝送電力に基づいて第1のスケジューリング時間ユニットの伝送電力閾値を決定するステップを実施するために使用され得る。第2のスケジューリング時間ユニットの伝送電力はPreal_last_ttiであり、第1のスケジューリング時間ユニットの伝送電力閾値はbuf+Pbase+(Pmax_last_tti-Preal_last_tti)である。
【0272】
ステップS40323:スケジューラは、現在のTTIで許容される最大電力Pmax_ttiを決定する。Pmax_tti=min(Pmax,buf)である。現在のTTIで許容される最大電力は、メモリ空間に記憶された伝送電力から減算される。言い換えれば、buf=buf-Pmax_ttiである。
【0273】
ステップS40324:スケジューラは、最大電力Pmax_ttiを超えないように伝送電力を制御するために、最大電力Pmax_ttiに基づいて、データチャネルで占有される帯域幅の値を制限するか、またはデータがデータチャネルで送信されるときに使用される電力スペクトル密度を制限する。
【0274】
任意選択で、スケジューラは、異なるチャネルで目的の電力割当てを実行し、具体的には、データチャネル(例えば、PDSCH)で帯域幅または電力スペクトル密度の制限が実行され、データが共通チャネルで送信されるときに占有される帯域幅および電力スペクトル密度は制限されない。言い換えれば、電力は、基地局の無線周波数信号のカバレッジが縮小するのを防ぐために共通チャネルによって固定的に割り当てられ、データチャネルの電力は、閾値に基づいてスケジュールおよび制御され、平均電力とともに適応的に変化する。
【0275】
上記で説明されたスケジューリング手順では、1つのスケジューリング時間ユニットの持続時間から1つのTTIを選択することは任意選択の方法である。あるいは、1つのスケジューリング時間ユニットは複数のTTIを含む。1つのスケジューリング時間ユニットが複数のTTIを含むとき、ステップS40322の「前のTTI」は「前のスケジューリング時間ユニットの各TTI」に置き換えられ得る。具体的な実施態様の詳細は、ステップS40321からステップS40324と同様であり、ここでは詳細は再び説明されない。
【0276】
例1のステップS403を実行することによって、1つの周期の平均伝送電力が閾値を超えないことを目的として電力制御が実行されるため、1つの周期の平均電力が制御プロセスで制限され、周期の各時点における瞬時電力は、電力増幅器ハードウェアの最大能力に対して解放されることを許容され、これにより、電力制御プロセスは、ダウンリンク負荷のピーク谷間のランダム変化に適合する。これは、実際のサービスが抑制される確率を大幅に低減するのに役立ち、ダウンリンクユーザスループットを改善し、スケジューリング効果を改善する。具体的には、無線周波数モジュールの熱容量が大きいため、温度を緩やかに変化させるプロセスで蓄熱および放熱が反映される。特定の時間の期間の負荷変動は、急激な温度の変化を引き起こさない。したがって、特定の時間の期間の無線周波数デバイスの平均電力が電力閾値を超えないことが保証され、無線周波数デバイスの温度が温度閾値をある程度超えないことが保証され得る。加えて、実際のシナリオでは負荷はランダムに変化する。負荷は、ビジー時には高く、オフピーク時には低い。加えて、ミリ秒レベルで変化が速い。したがって、特定の時間の期間(例えば、1sまたは10s)の無線周波数デバイスの平均電力が電力閾値を超えないことが保証されるとき、スケジューリングは、ミリ秒当たりの具体的な電力閾値をほとんど制限せずに実行され、これにより、ミリ秒当たりの電力閾値はサービス要件とともに変化する。
【0277】
前述の例1で提供される方法によれば、BBUとRRUとは、RRUのリアルタイム温度追跡を実行するために互いに協働し、無線周波数デバイスの伝送電力は、無線周波数モジュールの過熱を回避するときにダウンリンクユーザスループットレートを改善し、基地局の性能を改善するために、適応スケジューリング技術によって増加される。
【0278】
図6は、周期Iの各TTIにおける無線周波数デバイスの伝送電力の概略図である。図6に含まれる100Wおよび80Wなどの数は例にすぎず、この実施形態では、伝送電力の具体的な値は制限されない。
【0279】
図6の(a)は、無線周波数デバイスの最高周囲温度および最大動作負荷に基づいて無線周波数デバイスの電力閾値が事前に設定される解決策における各TTIの無線周波数デバイスの伝送電力を示す。図6の(a)に示されているように、RRUの電力増幅器ハードウェアによってサポートされている最大伝送電力は100Wである。しかしながら、RRUの放熱が制限されているため、この実施形態で提供される方法が使用される前、電力増幅器によって伝送されることを許容される最大電力は80Wである。実際のセル負荷はランダムに変化し、基地局の周囲温度も変化するため、電力増幅器によって伝送されることを許容される最大電力は80Wに制限される。周囲温度が最高周囲温度(典型的には、日射+50℃)に達し、セル負荷が100%に達したとき、最大伝送電力は、最高周囲温度および100%の負荷に基づいて80Wに設定される。この場合、電力増幅器は、全温度範囲で、設定された80Wの最大伝送電力に基づいて動作し、その結果、電力増幅器の伝送電力は、ハードウェアによってサポートされている100Wの最大伝送電力より常に低い。電力増幅器の伝送電力が大きく制限されることが知られ得る。
【0280】
しかしながら、前述の実施形態では、各周期Iにおいて許容される最大平均伝送電力Pavg_maxは、正確なリアルタイム温度追跡によって現在の温度に基づいて計算され、対応する周期のスケジューリングは、最大平均伝送電力Pavg_maxに基づいて制御される。この場合、周期Iの無線周波数デバイスの最終平均伝送電力がPavg_maxを超えない限り、周期の任意のTTIで無線周波数デバイスによって伝送されることを許容される最大電力は、Pavg_maxを超え、電力増幅器によってサポートされている最大伝送電力Pmax(RRUに関して、Pmaxは100Wである)に達してもよい。したがって、この実施形態では、平均電力が80Wの最大平均伝送電力を超えないとき、電力増幅器の伝送電力は100Wに達するようにサポートされ得、最大伝送電力を増加させることによってより高いダウンリンクユーザスループットがもたらされ得る。
【0281】
例えば、図6の(b)を参照されたい。図6の(b)は、この実施形態における各TTIの無線周波数デバイスの伝送電力を示す。周期Iの無線周波数デバイスの平均伝送電力閾値は80Wであり、無線周波数デバイスハードウェアによってサポートされている最大伝送電力は100Wである。図6の(b)から、周期IのすべてのTTIにおける無線周波数デバイスの伝送電力の平均値は制限されているが、周期Iの無線周波数デバイスの平均伝送電力は80Wを超えていないことが知られ得る。周期Iの各TTIにおける無線周波数デバイスの具体的な伝送電力は変動する。周期Iの多くのTTIにおいて、無線周波数デバイスの伝送電力は、80Wの平均伝送電力閾値を超え、ハードウェアによってサポートされている100Wの最大伝送電力に達している。例えば、TTI1における無線周波数デバイスの伝送電力は80Wより小さい。TTI2における無線周波数デバイスの伝送電力は80Wより大きく、100Wの最大伝送電力に達している。TTI3における無線周波数デバイスの伝送電力は80Wより小さい。TTI4における無線周波数デバイスの伝送電力は80Wより大きく、100Wの最大伝送電力に達している。
【0282】
80Wは、最大平均伝送電力の例である。周囲温度が+50℃より低いとき、最大平均伝送電力は80Wを超えてもよく、最大平均伝送電力は、具体的には、前述の実施形態の解決策に従って計算され取得される。
【0283】
加えて、温度が、RRU製品仕様で定義された最高周囲温度に近いとき、この実施形態では、RRUの温度は、常に許容最大動作温度より低く保たれ、その温度で許容される最大電力を伝送し得る。常温での制御方法と同様に、高温環境での制御方法は、平均伝送電力を制限することによって実施される。実際のサービス負荷が必要とされるTTIに関して、電力増幅器は、依然として100Wを伝送することを許容され、これは、サービス性能への影響を低減する。
【0284】
図7は、本出願の一実施形態による通信デバイス700の構造の概略図である。通信デバイス700は基地局に配置されてもよく、または通信デバイス700は基地局である。通信デバイス700は、取得ユニット701および制御ユニット702を含む。
【0285】
任意選択で、図1に示されている適用シナリオを参照すると、図7に示されている通信デバイス700は、図1の通信デバイス11である。
【0286】
任意選択で、図2を参照すると、図7に示されている通信デバイス700は図2のBBU31に配され、取得ユニット701は図2の温度追跡モジュール311であり、制御ユニット702は図2のスケジューラ312である。
【0287】
任意選択で、図3を参照すると、図7に示されている通信デバイス700は、図3に示されている方法手順における通信デバイスである。取得ユニット701は、S201を実行する際に通信デバイス700をサポートするように構成される。制御ユニット702は、S202を実行する際に通信デバイス700をサポートするように構成される。
【0288】
任意選択で、図4Aおよび図4Bを参照すると、図7に示されている通信デバイス700は、図4Aおよび図4Bに示されている方法手順を実行するように構成される。取得ユニット701は、図4Aおよび図4BのS401およびS402を実行する際に通信デバイス700をサポートするように構成される。制御ユニット702は、図4Aおよび図4BのS403を実行する際に通信デバイス700をサポートするように構成される。
【0289】
図7に説明されている装置実施形態は例にすぎない。例えば、ユニット分割は論理的な機能の分割にすぎず、他の実施態様では他の分割方法があってもよい。例えば、複数のユニットまたは構成要素は、別のシステムに組み合わされてもよく、もしくは統合されてもよく、または一部の特徴は省略されてもよい、もしくは実行されなくてもよい。本出願の実施形態における機能ユニットは、1つの処理ユニットに統合されてもよいし、またはユニットの各々は物理的に単独で存在してもよいし、または2つ以上のユニットが1つのユニットに統合される。
【0290】
通信デバイス700内のユニットの全部または一部は、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、またはこれらの任意の組合せによって実施される。
【0291】
実施のためにソフトウェアが使用されるとき、例えば、取得ユニット701および制御ユニット702は、図8の少なくとも1つのプロセッサ801がメモリ802に記憶されたプログラムコードを読み出した後に生成されるソフトウェア機能ユニットによって実施される。
【0292】
実施のためにハードウェアが使用されるとき、例えば、図7の前述のユニットは、通信デバイス内の異なるハードウェアによって別々に実施される。例えば、取得ユニット701は、図8の少なくとも1つのプロセッサ801内の処理リソースの一部(例えば、マルチコアプロセッサ内の1つまたは2つのコア)によって実施され、制御ユニット702は、図8の少なくとも1つのプロセッサ801内の処理リソースの一部(例えば、マルチコアプロセッサ内の別のコア)、またはフィールドプログラマブルゲートアレイ(field-programmable gate array、FPGA)、またはコプロセッサなどのプログラマブルデバイスによって実施される。
【0293】
ソフトウェアとハードウェアとの組合せが実施のために使用されるとき、例えば、取得ユニット701は、ハードウェアプログラマブルデバイスによって実施され、制御ユニット702は、CPUがメモリに記憶されたプログラムコードを読み出した後に生成されるソフトウェア機能ユニットである。
【0294】
図8は、本出願の一実施形態による通信デバイス800の構造の概略図である。
【0295】
任意選択で、図1に示されている適用シナリオを参照すると、図8に示されている通信デバイス800は、図1の通信デバイス11である。
【0296】
任意選択で、図2を参照すると、図8に示されている通信デバイス800は、図2のBBU31、無線周波数モジュール32、およびアンテナ33を含む。図8のプロセッサ801は図2のBBU31に配され、図8のトランシーバ803は図2の無線周波数モジュール32を含み、図8のアンテナ805は図2のアンテナ33である。
【0297】
任意選択で、図3を参照すると、図8に示されている通信デバイス800は、図3に示されている方法手順における通信デバイスである。図8のプロセッサ801は、S201およびS202を実行する際に通信デバイス800をサポートするように構成される。
【0298】
任意選択で、図4Aおよび図4Bを参照すると、図8に示されている通信デバイス800は、図4Aおよび図4Bに示されている方法手順を実行するように構成される。プロセッサ801は、図4Aおよび図4BのS401、S402、およびS403を実行する際に通信デバイス800をサポートするように構成される。
【0299】
通信デバイス800は、少なくとも1つのプロセッサ801と、少なくとも1つのメモリ802と、少なくとも1つのトランシーバ803と、少なくとも1つのネットワークインターフェース804と、1つ以上のアンテナ805とを含む。プロセッサ801、メモリ802、トランシーバ803、およびネットワークインターフェース804は、例えばバスを介して接続される。アンテナ805は、トランシーバ803に接続される。ネットワークインターフェース804は、通信デバイス800が通信リンクを介して別の通信デバイス800に接続されることを可能にするように構成される。例えば、通信デバイス800は、S1インターフェースを介してコアネットワーク要素に接続される。本出願の実施形態では、接続は、様々なタイプのインターフェース、伝送線、またはバスなどを含み得る。これは、この実施形態では制限されない。
【0300】
本出願の実施形態におけるプロセッサ、例えば、プロセッサ801は、任意選択で、以下のタイプ、すなわち、汎用中央処理装置(central processing unit、CPU)、デジタル信号プロセッサ(digital signal processor、DSP)、マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(application-specific integrated circuit、ASIC)、マイクロコントローラユニット(microcontroller unit、MCU)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(field programmable gate array、FPGA)、または論理演算を実施するように構成された集積回路のうちの少なくとも1つを含む。例えば、プロセッサ801は、シングルCPU(single-CPU)プロセッサまたはマルチCPU(multi-CPU)プロセッサであってもよい。少なくとも1つのプロセッサ801は、1つのチップに統合されてもよいし、または複数の異なるチップに配置されてもよい。
【0301】
本出願の実施形態におけるメモリ、例えば、メモリ802は、任意選択で、以下のタイプ、すなわち、読出し専用メモリ(read-only memory、ROM)もしくは静的情報および命令を記憶することができる別のタイプの静的記憶デバイス、ランダムアクセスメモリ(random access memory、RAM)もしくは情報および命令を記憶することができる別のタイプの動的記憶デバイスのうちの少なくとも1つを含み、または電気的消去可能プログラマブル読出し専用メモリ(electrically erasable programmable read-only memory、EEPROM)であってもよい。一部のシナリオでは、メモリは、あるいは、コンパクトディスク読出し専用メモリ(compact disc read-only memory、CD-ROM)もしくは別のコンパクトディスクストレージ、光ディスクストレージ(コンパクト光ディスク、レーザディスク、光ディスク、デジタル多用途ディスク、またはブルーレイディスクなどを含む)、磁気ディスク記憶媒体もしくは別の磁気記憶デバイス、または命令もしくはデータ構造の形態のしかるべきプログラムコードを保持もしくは記憶するために使用されることができる、コンピュータによってアクセスされることができる任意の他の媒体であってもよい。しかしながら、メモリは、これらに制限されない。
【0302】
メモリ802は、任意選択で独立して存在し、プロセッサ801に接続される。あるいは、メモリ802およびプロセッサ801は、任意選択で一緒に統合され、例えばチップに統合される。メモリ802は、本出願の実施形態における技術的解決策を実行するためのプログラムコードを記憶することができ、プロセッサ801は、プログラムコードの実行を制御する。様々なタイプの実行されるコンピュータプログラムコードは、プロセッサ801のドライバとも考えられ得る。例えば、プロセッサ801は、本出願の実施形態における技術的解決策を実施するために、メモリ802に記憶されたコンピュータプログラムコードを実行するように構成される。
【0303】
トランシーバ803は、1つ以上の無線周波数デバイスを含む。トランシーバ803は、通信デバイス800と端末との間の無線周波数信号の受信または送信をサポートするように構成され、トランシーバ803はアンテナ805に接続される。具体的には、1つ以上のアンテナ805は無線周波数信号を受信し得る。トランシーバ803は、アンテナから無線周波数信号を受信し、無線周波数信号をデジタルベースバンド信号またはデジタル中間周波数信号に変換し、デジタルベースバンド信号またはデジタル中間周波数信号をプロセッサ801に提供し、これにより、プロセッサ801は、デジタルベースバンド信号またはデジタル中間周波数信号をさらに処理する、例えば、復調処理および復号処理を実行する、ように構成され得る。加えて、トランシーバ803は、プロセッサ801から変調されたデジタルベースバンド信号または変調されたデジタル中間周波数信号を受信し、変調されたデジタルベースバンド信号またはデジタル中間周波数信号を無線周波数信号に変換し、1つ以上のアンテナ805を介して無線周波数信号を送信するように構成され得る。具体的には、トランシーバ803は、デジタルベースバンド信号またはデジタル中間周波数信号を取得するために、無線周波数信号に対して1つ以上のレベルの周波数ダウンミキシング処理およびアナログデジタル変換処理を選択的に実行し得る。周波数ダウンミキシング処理およびアナログデジタル変換処理のシーケンスは調整可能である。トランシーバ803は、無線周波数信号を取得するために、変調されたデジタルベースバンド信号または変調されたデジタル中間周波数信号に対して1つ以上のレベルの周波数アップミキシング処理およびデジタルアナログ変換処理を選択的に実行し得る。周波数アップミキシング処理およびデジタルアナログ変換処理のシーケンスは調整可能である。デジタルベースバンド信号およびデジタル中間周波数信号は、まとめてデジタル信号と呼ばれ得る。
【0304】
トランシーバは、トランシーバ回路、トランシーバユニット、トランシーバ構成要素、送信回路、送信ユニット、または送信構成要素などと呼ばれ得る。
【0305】
任意選択で、図8において、プロセッサ801およびメモリ802はBBUに配置され、トランシーバ803はRRUまたはAAUに配置される。通信デバイス80011は、BBUおよびRRUを含み、AAUまたはアンテナの少なくとも一方をさらに含む。
【0306】
一部の実施形態では、ネットワークシステムがさらに提供される。ネットワークシステムは、BBUおよび無線周波数デバイスを含む。BBUは、図3または図4Aおよび図4Bで提供される方法を実行するように構成される。
【0307】
一部の実施形態では、コンピュータ可読記憶媒体がさらに提供される。記憶媒体は、少なくとも1つの命令を記憶し、命令がコンピュータ上で実行されるとき、コンピュータは、図3または図4Aおよび図4Bで提供される方法を実行することを可能にされる。
【0308】
一部の実施形態では、コンピュータプログラム製品がさらに提供される。コンピュータプログラム製品は、1つ以上のコンピュータプログラム命令を含む。コンピュータプログラム命令がコンピュータによってロードされて実行されるとき、コンピュータは、図3または図4Aおよび図4Bで提供される方法を実行することを可能にされる。
【0309】
一部の実施形態では、メモリおよびプロセッサを含むチップがさらに提供される。メモリは、コンピュータ命令を記憶するように構成され、プロセッサは、図3または図4Aおよび図4Bで提供される方法を実行するために、メモリからコンピュータ命令を呼び出し、コンピュータ命令を実行するように構成される。
【0310】
本明細書の実施形態はすべて、段階的に説明されており、実施形態の同じまたは同様の部分に関しては、これらの実施形態への参照がなされ得、各実施形態は、他の実施形態との違いに焦点を当てている。
【0311】
AはBを指す、これは、AがBと同じであるか、またはAがBの単純な変形であることを意味する。
【0312】
本出願の実施形態の明細書および特許請求の範囲における「第1の」および「第2の」という用語は、異なる対象を区別することを意図されているが、対象の特定の順序を示すものではなく、または相対的な重要性の指示または暗示として理解されることはできない。例えば、第1のスケジューリング時間ユニットおよび第2のスケジューリング時間ユニットは、異なるスケジューリング時間ユニットを区別するために使用されるが、スケジューリング時間ユニットの特定のシーケンスを説明するためには使用されない。第1のスケジューリング時間ユニットが第2のスケジューリング時間ユニットより重要であることは理解されることができない。
【0313】
本出願の実施形態では、別段に指定されない限り、「少なくとも1つ」は1つ以上を意味し、「複数の」は2つ以上を意味する。例えば、複数のスケジューリング時間ユニットは、2つ以上のスケジューリング時間ユニットである。
【0314】
前述の実施形態の全部または一部は、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、またはこれらの任意の組合せを使用して実施されてもよい。ソフトウェアが、実施形態を実施するために使用されるとき、実施形態の全部または一部は、コンピュータプログラム製品の形態で実施されてもよい。コンピュータプログラム製品は、1つ以上のコンピュータ命令を含む。コンピュータプログラム命令がコンピュータ上でロードされて実行されるとき、本出願の実施形態で説明された手順または機能の全部または一部が生成される。コンピュータは、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、コンピュータネットワーク、または他のプログラマブル装置であってもよい。コンピュータ命令は、コンピュータ可読記憶媒体に記憶されてもよいし、またはあるコンピュータ可読記憶媒体から別のコンピュータ可読記憶媒体に伝送されてもよい。例えば、コンピュータ命令は、有線(例えば、同軸ケーブル、光ファイバ、もしくはデジタル加入者回線(DSL))またはワイヤレス(例えば、赤外線、無線、もしくはマイクロ波)の方法で、あるウェブサイト、コンピュータ、サーバ、またはデータセンタから別のウェブサイト、コンピュータ、サーバ、またはデータセンタに伝送されてもよい。コンピュータ可読記憶媒体は、コンピュータによってアクセス可能な任意の使用可能な媒体であってもよいし、または1つ以上の使用可能な媒体を組み込んだデータ記憶デバイス、例えばサーバもしくはデータセンタであってもよい。使用可能な媒体は、磁気媒体(例えば、フロッピーディスク、ハードディスク、もしくは磁気テープ)、光学媒体(例えば、DVD)、または半導体媒体(例えば、ソリッドステートディスクSolid-State Disk(SSD))などであってもよい。
【0315】
前述の実施形態は、本出願の技術的解決策を説明することを意図されているにすぎず、本出願を制限することを意図されていない。本出願は、前述の実施形態を参照して詳細に説明されているが、当業者は、本出願の実施形態の技術的解決策の範囲から逸脱することなく、前述の実施形態で説明された技術的解決策に修正をさらに加え得る、またはその一部の技術的特徴の同等の置換を行い得ることを理解するはずである。
【符号の説明】
【0316】
11 通信デバイス
12 端末
13 端末
31 BBU
32 無線周波数モジュール
33 アンテナ
311 温度追跡モジュール
312 スケジューラ
321 温度検出モジュール
322 無線周波数デバイス
700 通信デバイス
701 取得ユニット
702 制御ユニット
800 通信デバイス
801 プロセッサ
802 メモリ
803 トランシーバ
804 ネットワークインターフェース
805 アンテナ
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2024-04-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝送電力を制御するための方法であって、前記方法は、
第1の時間期間の無線周波数デバイスの温度および前記無線周波数デバイスの動作温度閾値に基づいて、前記第1の時間期間の前記無線周波数デバイスの伝送電力閾値を取得するステップと、
前記第1の時間期間の前記伝送電力閾値以下になるように前記第1の時間期間の前記無線周波数デバイスの伝送電力を制御するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
第1の時間期間の無線周波数デバイスの温度および前記無線周波数デバイスの動作温度閾値に基づいて、前記第1の時間期間の前記無線周波数デバイスの伝送電力閾値を取得する前記ステップは、
前記第1の時間期間の開始時点における前記無線周波数デバイスの温度および前記無線周波数デバイスの前記動作温度閾値に基づいて、前記第1の時間期間に許容される最大定常状態温度を取得するステップと、
前記第1の時間期間に許容される最大定常状態温度、および前記無線周波数デバイスの温度と前記無線周波数デバイスの伝送電力との対応関係に基づいて、前記第1の時間期間の前記無線周波数デバイスの前記伝送電力閾値を取得するステップと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の時間期間の前記伝送電力閾値は、前記第1の時間期間の平均伝送電力閾値であり、前記第1の時間期間は、複数のスケジューリング時間ユニットを含み、前記第1の時間期間の前記伝送電力閾値以下になるように前記第1の時間期間の前記無線周波数デバイスの伝送電力を制御する前記ステップは、
前記第1の時間期間の前記平均伝送電力閾値以下になるように前記第1の時間期間の前記複数のスケジューリング時間ユニットの前記無線周波数デバイスの伝送電力の平均値を制御するステップ
を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の時間期間は、第1のスケジューリング時間ユニットおよび第2のスケジューリング時間ユニットを含み、前記第2のスケジューリング時間ユニットは、前記第1のスケジューリング時間ユニットの前に位置し、前記第1の時間期間の前記平均伝送電力閾値以下になるように前記第1の時間期間の前記複数のスケジューリング時間ユニットの前記無線周波数デバイスの伝送電力の平均値を制御する前記ステップは、
前記第1の時間期間の前記平均伝送電力閾値と前記第2のスケジューリング時間ユニットの前記無線周波数デバイスの伝送電力とに基づいて、前記第1のスケジューリング時間ユニットの伝送電力閾値を決定するステップであって、前記第1のスケジューリング時間ユニットの前記伝送電力閾値は、前記第2のスケジューリング時間ユニットの前記伝送電力の値と負の相関がある、ステップと、
前記第1のスケジューリング時間ユニットの前記伝送電力閾値以下になるように前記第1のスケジューリング時間ユニットの前記無線周波数デバイスの伝送電力を制御するステップと
を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のスケジューリング時間ユニットの前記伝送電力閾値が前記第2のスケジューリング時間ユニットの前記伝送電力の値と負の相関があることは、
前記第2のスケジューリング時間ユニットの前記無線周波数デバイスの前記伝送電力が前記平均伝送電力閾値より小さいとき、前記第1のスケジューリング時間ユニットの前記無線周波数デバイスの前記伝送電力が、前記第1の時間期間の前記平均伝送電力閾値より大きいこと、または
前記第2のスケジューリング時間ユニットの前記無線周波数デバイスの前記伝送電力が前記第1の時間期間の前記平均伝送電力閾値より大きいとき、前記第1のスケジューリング時間ユニットの前記無線周波数デバイスの前記伝送電力が、前記第1の時間期間の前記平均伝送電力閾値より小さいこと
を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の時間期間は、第1のスケジューリング時間ユニット、第2のスケジューリング時間ユニット、および第3のスケジューリング時間ユニットを含み、前記第2のスケジューリング時間ユニットおよび前記第3のスケジューリング時間ユニットは、前記第1のスケジューリング時間ユニットの前に位置し、前記第1の時間期間の前記平均伝送電力閾値以下になるように前記第1の時間期間の前記複数のスケジューリング時間ユニットの前記無線周波数デバイスの伝送電力の平均値を制御する前記ステップは、
前記第2のスケジューリング時間ユニットおよび前記第3のスケジューリング時間ユニットの前記無線周波数デバイスの伝送電力の合計を取得するステップと、
前記第1の時間期間の前記平均伝送電力閾値および前記伝送電力の前記合計に基づいて、前記第1のスケジューリング時間ユニットの伝送電力閾値を決定するステップであって、前記第1のスケジューリング時間ユニットの前記伝送電力閾値は、前記伝送電力の前記合計の値と負の相関がある、ステップと、
前記第1のスケジューリング時間ユニットの前記伝送電力閾値以下になるように前記第1のスケジューリング時間ユニットの前記無線周波数デバイスの伝送電力を制御するステップと
を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の時間期間の前記伝送電力閾値以下になるように前記第1の時間期間の前記無線周波数デバイスの伝送電力を制御する前記ステップは、
データチャネルで前記無線周波数デバイスによって送信されるデータによって占有される帯域幅を調整することによって、前記第1の時間期間の前記伝送電力閾値以下になるように前記第1の時間期間の前記無線周波数デバイスの前記伝送電力を制御するステップ、または
前記無線周波数デバイスの電力スペクトル密度を調整することによって、前記第1の時間期間の前記伝送電力閾値以下になるように前記第1の時間期間の前記無線周波数デバイスの前記伝送電力を制御するステップ
を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項8】
前記方法は、
前記第1の時間期間の前記無線周波数デバイスの前記温度を取得するステップ
をさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の時間期間の前記無線周波数デバイスの前記温度を取得する前記ステップは、
前記第1の時間期間の前記無線周波数デバイスの負荷および温度モデルに基づいて、前記第1の時間期間の前記無線周波数デバイスの前記温度を予測するステップ、
または
前記第1の時間期間の前記無線周波数デバイスの負荷および前記温度モデルに基づいて、前記第1の時間期間の前記無線周波数デバイスの温度変化量を予測するステップ、および
前記第1の時間期間の前記開始時点における前記無線周波数デバイスの前記温度および前記温度変化量に基づいて、前記第1の時間期間の前記無線周波数デバイスの前記温度を決定するステップ
を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記温度モデルは環境補償量を含み、前記環境補償量は、前記無線周波数デバイスが位置する環境によって生じる、前記無線周波数デバイスの前記温度への影響を補償するために使用される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記方法は、ベースバンドユニットBBUによって実行される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の時間期間の後、前記無線周波数デバイスの温度は前記動作温度閾値以下である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項13】
装置であって、前記装置は、
第1の時間期間の無線周波数デバイスの温度および前記無線周波数デバイスの動作温度閾値に基づいて、前記第1の時間期間の前記無線周波数デバイスの伝送電力閾値を取得するように構成された取得ユニットと、
前記第1の時間期間の前記伝送電力閾値以下になるように前記第1の時間期間の前記無線周波数デバイスの伝送電力を制御するように構成された制御ユニットと
を備える、装置
【請求項14】
前記取得ユニットは、前記第1の時間期間の開始時点における前記無線周波数デバイスの温度および前記無線周波数デバイスの前記動作温度閾値に基づいて、前記第1の時間期間に許容される最大定常状態温度を取得し、前記第1の時間期間に許容される最大定常状態温度、および前記無線周波数デバイスの温度と前記無線周波数デバイスの伝送電力との対応関係に基づいて、前記第1の時間期間の前記無線周波数デバイスの前記伝送電力閾値を取得するように構成される、請求項13に記載の装置
【請求項15】
前記第1の時間期間の前記伝送電力閾値は、前記第1の時間期間の平均伝送電力閾値であり、前記第1の時間期間は、複数のスケジューリング時間ユニットを含み、前記制御ユニットは、前記第1の時間期間の前記平均伝送電力閾値以下になるように前記第1の時間期間の前記複数のスケジューリング時間ユニットの前記無線周波数デバイスの伝送電力の平均値を制御するように構成される、請求項13または14に記載の装置
【請求項16】
前記第1の時間期間は、第1のスケジューリング時間ユニットおよび第2のスケジューリング時間ユニットを含み、前記第2のスケジューリング時間ユニットは、前記第1のスケジューリング時間ユニットの前に位置し、前記制御ユニットは、前記第1の時間期間の前記平均伝送電力閾値と前記第2のスケジューリング時間ユニットの前記無線周波数デバイスの伝送電力とに基づいて、前記第1のスケジューリング時間ユニットの伝送電力閾値を決定し、前記第1のスケジューリング時間ユニットの前記伝送電力閾値は、前記第2のスケジューリング時間ユニットの前記伝送電力の値と負の相関があり、前記第1のスケジューリング時間ユニットの前記伝送電力閾値以下になるように前記第1のスケジューリング時間ユニットの前記無線周波数デバイスの伝送電力を制御するように構成される、請求項15に記載の装置
【請求項17】
前記第1のスケジューリング時間ユニットの前記伝送電力閾値が前記第2のスケジューリング時間ユニットの前記伝送電力の値と負の相関があることは、
前記第2のスケジューリング時間ユニットの前記無線周波数デバイスの前記伝送電力が前記平均伝送電力閾値より小さいとき、前記第1のスケジューリング時間ユニットの前記無線周波数デバイスの前記伝送電力が、前記第1の時間期間の前記平均伝送電力閾値より大きいこと、または
前記第2のスケジューリング時間ユニットの前記無線周波数デバイスの前記伝送電力が前記第1の時間期間の前記平均伝送電力閾値より大きいとき、前記第1のスケジューリング時間ユニットの前記無線周波数デバイスの前記伝送電力が、前記第1の時間期間の前記平均伝送電力閾値より小さいこと
を含む、請求項16に記載の装置
【請求項18】
前記第1の時間期間は、第1のスケジューリング時間ユニット、第2のスケジューリング時間ユニット、および第3のスケジューリング時間ユニットを含み、前記第2のスケジューリング時間ユニットおよび前記第3のスケジューリング時間ユニットは、前記第1のスケジューリング時間ユニットの前に位置し、前記制御ユニットは、前記第2のスケジューリング時間ユニットおよび前記第3のスケジューリング時間ユニットの前記無線周波数デバイスの伝送電力の合計を取得し、前記第1の時間期間の前記平均伝送電力閾値および前記伝送電力の前記合計に基づいて、前記第1のスケジューリング時間ユニットの伝送電力閾値を決定し、前記第1のスケジューリング時間ユニットの前記伝送電力閾値は、前記伝送電力の前記合計の値と負の相関があり、前記第1のスケジューリング時間ユニットの前記伝送電力閾値以下になるように前記第1のスケジューリング時間ユニットの前記無線周波数デバイスの伝送電力を制御するように構成される、請求項15に記載の装置
【請求項19】
前記制御ユニットは、データチャネルで前記無線周波数デバイスによって送信されるデータによって占有される帯域幅を調整することによって、前記第1の時間期間の前記伝送電力閾値以下になるように前記第1の時間期間の前記無線周波数デバイスの前記伝送電力を制御し、または
前記無線周波数デバイスの電力スペクトル密度を調整することによって、前記第1の時間期間の前記伝送電力閾値以下になるように前記第1の時間期間の前記無線周波数デバイスの前記伝送電力を制御するように構成される、
請求項15に記載の装置
【請求項20】
前記取得ユニットは、前記第1の時間期間の前記無線周波数デバイスの前記温度を取得するようにさらに構成される、請求項15に記載の装置
【請求項21】
前記取得ユニットは
前記第1の時間期間の前記無線周波数デバイスの負荷および温度モデルに基づいて、前記第1の時間期間の前記無線周波数デバイスの前記温度を予測し、または
前記第1の時間期間の前記無線周波数デバイスの負荷および前記温度モデルに基づいて、前記第1の時間期間の前記無線周波数デバイスの温度変化量を予測し、
前記第1の時間期間の前記開始時点における前記無線周波数デバイスの前記温度および前記温度変化量に基づいて、前記第1の時間期間の前記無線周波数デバイスの前記温度を決定する
ように構成される、請求項20に記載の装置
【請求項22】
前記温度モデルは環境補償量を含み、前記環境補償量は、前記無線周波数デバイスが位置する環境によって生じる、前記無線周波数デバイスの前記温度への影響を補償するために使用される、請求項21に記載の装置
【請求項23】
装置であって、前記装置はプロセッサを備え、前記プロセッサはメモリに結合され、前記メモリは、コンピュータプログラム命令を記憶するように構成され、前記プロセッサは、前記装置が請求項1に記載の方法を実行することを可能にするために、前記メモリ内の前記コンピュータプログラム命令を実行するように構成される、装置
【請求項24】
ネットワークシステムであって、前記ネットワークシステムは、ベースバンドユニットおよび無線周波数デバイスを備え、前記ベースバンドユニットは、請求項1に記載の方法を実行するように構成される、ネットワークシステム。
【請求項25】
コンピュータ可読記憶媒体であって、前記記憶媒体は、少なくとも1つのコンピュータプログラム命令を記憶し、前記コンピュータプログラム命令がコンピュータ上で実行されるとき、前記コンピュータは、請求項1に記載の方法を実行することを可能にされる、コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項26】
コンピュータプログラムであって、前記コンピュータプログラムは、1つ以上のコンピュータプログラム命令を含み、前記コンピュータプログラム命令が、コンピュータによってロードされて実行されるとき、前記コンピュータは、請求項1に記載の方法を実行することを可能にされる、コンピュータプログラム。
【国際調査報告】