(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】分散ユニット
(51)【国際特許分類】
B01F 23/53 20220101AFI20240829BHJP
B01F 27/1151 20220101ALI20240829BHJP
B01F 27/1152 20220101ALI20240829BHJP
B01F 27/93 20220101ALI20240829BHJP
B01F 27/171 20220101ALI20240829BHJP
【FI】
B01F23/53
B01F27/1151
B01F27/1152
B01F27/93
B01F27/171
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513468
(86)(22)【出願日】2022-08-16
(85)【翻訳文提出日】2024-04-16
(86)【国際出願番号】 DE2022100600
(87)【国際公開番号】W WO2023030575
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】102021122325.3
(32)【優先日】2021-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508277243
【氏名又は名称】ネッツシュ-ファインマールテヒニック ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100173794
【氏名又は名称】色部 暁義
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルフガング シュタードルバウアー
【テーマコード(参考)】
4G035
4G078
【Fターム(参考)】
4G035AB46
4G035AE01
4G078AA03
4G078BA05
4G078DA23
4G078DC01
(57)【要約】
本発明は、供給材料を分散剤中に分散させるための分散ユニット(1)に関し、分散ユニット(1)は、静止した分散バスケット(2)を備え、分散バスケット(2)は、その側面に出口開口(3)を有し、分散バスケット(2)の一端は、好適には少なくとも部分的に閉鎖され、分散バスケット(2)内に、駆動シャフト(4)のシャフトスタブが突入し、シャフトスタブは、分散バスケット(2)内において、分散ディスク(5)を保持し、分散ディスク(5)は、動作中に回転して分散ディスクと分散バスケット(2)の閉鎖端部との間の領域に供給材料含有分散剤を吸引すると共に、分散バスケット(2)における側面の出口開口(3)を介して、供給材料含有分散剤の大部分を上記領域から外方に再び搬送する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給材料を分散剤中に分散させるための分散ユニット(1)であって、
前記分散ユニット(1)が、静止した分散バスケット(2)を備え、
前記分散バスケット(2)が、そのジャケット表面に出口開口(3)を有し、前記分散バスケット(2)の前側が、好適には少なくとも部分的に閉鎖され、前記分散バスケット(2)内に、駆動シャフト(4)のシャフトスタブが突入し、
前記シャフトスタブが、前記分散バスケット(2)内において、分散ディスク(5)を支持し、前記分散ディスク(5)が、動作中に回転して前記分散ディスクと前記分散バスケット(2)の前記閉じた前側との間の領域に供給材料含有分散剤を吸引すると共に、前記分散バスケット(2)における前記ジャケット表面の前記出口開口(3)を介して、前記供給材料含有分散剤の大部分を前記領域から外方に再び搬送する、分散ユニットにおいて、
前記分散バスケット(2)が、前記駆動シャフト(4)から離れた端面において開放され、
前記分散ディスク(5)の外周と前記分散バスケット(2)の内周面との間の半径方向距離が、ギャップが形成されるほど大きく、該ギャップを介して、前記分散バスケット(2)内に搬送された前記分散剤の無視できない程度の量が前記分散バスケット(2)から再び流出可能であることを特徴とする、分散ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の分散ユニット(1)であって、該分散ユニット(1)が、前記駆動シャフト(4)が内部で回転可能な浸漬管(6)を備え、該浸漬管(6)が、前記分散バスケット(2)を支持していることを特徴とする、分散ユニット。
【請求項3】
供給材料を分散剤中に分散させるための分散ユニット(1)であって、
前記分散ユニット(1)が、内部でモータ駆動される駆動シャフト(4)が回転可能な浸漬管(6)を備え、
前記浸漬管(6)が、静止した分散バスケット(2)を支持し、
前記分散バスケット(2)が、そのジャケット表面に出口開口(3)を有し、
前記浸漬管(6)に面する前記分散バスケット(2)の前側が、閉鎖され、前記分散バスケット(2)内に、前記駆動シャフト(4)のシャフトスタブが突入し、
前記シャフトスタブが、分散ディスク(5)を支持している、分散ユニットにおいて、
前記分散バスケット(2)が、前記浸漬管(6)から離れた端面において開放され、
高さ(H)が、前記分散ディスク(5)の高さ(h)よりも大幅に大きく、
前記分散ディスク(5)が、その外周に歯(8)を支持するホイール本体(7)で構成されていることを特徴とする、分散ユニット。
【請求項4】
請求項1~3の何れか一項に記載の分散ユニット(1)であって、ホイール本体(7)が、歯(8)が取り付けられた半径方向外端部領域において、スポーク(9)を好適には3本有することを特徴とする、分散ユニット。
【請求項5】
請求項1~3の何れか一項に記載の分散ユニット(1)であって、ホイール本体(7)が、供給材料含有分散剤の通過を可能にするノッチを有するプレート状のホイールディスクを含むことを特徴とする、分散ユニット。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の分散ユニット(1)であって、前記スポーク(9)又はノッチが、好適には、駆動シャフトの長手方向軸線(L)の垂線に対して27°~33°の角度でブレード状に配置されていることにより、前記分散剤が前記駆動シャフトの長手方向軸線(L)に向けて実質的に又は少なくとも大部分が圧送されることを特徴とする、分散ユニット。
【請求項7】
任意的に請求項6に関連する請求項4に記載の分散ユニット(1)であって、分散ディスク(5)の最大外径(GAD)と、前記スポーク(9)の回転する露出端部を表す最大外径(GAS)との間の比が、GAD/GAS=1.48~1.55の関係を満たしていることを特徴とする、分散ユニット。
【請求項8】
請求項1~7の何れか一項に記載の分散ユニット(1)であって、前記出口開口(3)の連続的な内幅高さ(HA)が、前記分散ディスク(5)の高さ(h)よりも無視できない程度に大きく、理想的には少なくとも2.2倍、好適には少なくとも4倍、最適には少なくとも6倍大きいことを特徴とする、分散ユニット。
【請求項9】
請求項3~8の何れか一項に記載の分散ユニット(1)であって、分散ホイール(5)の外周と前記分散バスケット(2)の内周との間の半径方向距離が、ギャップが形成されるほど大きく、該ギャップを介して、前記分散バスケット(2)内に搬送された前記分散剤の無視できない程度の量が前記分散バスケット(2)から再び流出可能であり、好適には少なくとも15%、より好適には少なくとも25%流出可能であることを特徴とする、分散ユニット。
【請求項10】
請求項1~9の何れか一項に記載の分散ユニット(1)であって、前記分散バスケット(2)の閉じた前側が、円錐形又は放物形の反射体によって閉じられていることを特徴とする、分散ユニット。
【請求項11】
請求項1~10の何れか一項に記載の分散ユニット(1)であって、歯(8)が、リムリング(10)によって支持され、前記歯(8)が、前記リムリング(10)と一緒に、前記分散ディスク(5)のスポーク(9)に、破壊されることなく交換可能に接続された歯付きリング(11)を形成していることを特徴とする、分散ユニット。
【請求項12】
請求項11に記載の分散ユニット(1)を備える分散システムであって、該分散システムが、代替的に取り付け可能な少なくとも1個の第2歯付きリング(11)を備え、該第2歯付きリングの歯(8)が、第1歯付きリング(11)の前記歯とは異なる歯形状を有することを特徴とする、分散システム。
【請求項13】
請求項1~11の何れか一項に記載の分散ユニット(1)を備える分散装置であって、該分散装置が、分散ディスク(5)がその外周領域において18 m/sを超える速度、理想的には25 m/sまでの速度で回転することを可能にする高速駆動装置を備えることを特徴とする、分散装置。
【請求項14】
請求項13に記載の分散装置、又は請求項1~11の何れか一項に記載の分散ユニット(1)を備える分散装置であって、該分散装置が、分散容器を備え、該分散容器内に、分散剤及び供給材料が保持されると共に、動作中に分散バスケット(2)が完全に浸されている分散装置において、
前記分散バスケット(2)の外径が、前記分散容器の内径の0.5倍~0.6倍であることを特徴とする、分散装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念部分に係る供給材料を分散させるための分散ユニット、請求項3の上位概念部分に係る分散ユニット、並びに請求項13の上位概念部分に係る分散装置に関する。
【背景技術】
【0002】
分散装置は、分散物、即ち互いに溶解できないか又は完全に溶解できない少なくとも2種の材料より成る異種混合物を作製するために使用される。
【0003】
この場合に分散ユニットは、材料を動かすことにより、第1材料が第2材料中に可及的均一に分散され、かつ分散されるべき材料の凝集体を砕くよう機能する。他方の材料に分散される材料は、以下において供給材料と称する。供給材料が分散される材料は、以下において分散剤と称する。
【0004】
供給材料のみならず分散剤は、一般的に3つの凝集状態の全てをとることができる。両方が気体である場合にのみ、分散物ではない。工業用途で最も頻繁に使用される分散物は、エマルション(液体/液体)及びサスペンション(固体/液体)である。
【0005】
サスペンションの場合、固体供給材料は、典型的には微細かつ粉末状である。殆どの場合、粒径は、1 mm未満であり、1/10 mm未満のことすらある。
【0006】
最後に、液体分散剤及び実質的に固体の供給材料から分散物を作製する場合、分散剤は、供給材料と一緒に容器内に充填される。容器内において、供給材料及び分散剤が動かされることにより、供給材料が分散剤中に均一に分散される。
【0007】
従来の分散ユニットは、典型的には、駆動シャフトによって駆動されるディスクで構成され、このディスクは、その外周に歯状の流れ要素を有すると共に、分散されるべき塊(マス)内をバスケットなしで自由に回転する。流れ要素は、多くの場合、残りのディスクから直角又はほぼ直角に突出しており、回転ディスク領域に位置する流体の乱流を生じさせる。分散剤及び供給材料が充填された容器内でのディスクの回転により、容器の内容物全体が動かされる。これにより、供給材料が分散剤中に分散される。しかしながらこの場合、混合の程度は、回転ディスクからの距離が増加するにつれて減少する。特に容器のエッジに位置する供給材料粒子の凝集体は、分離されないか又は限定的にしか分離されない。従って、分散剤中で供給材料を可及的に微細に分布させるためには、比較的長い混合時間が必要である。更に、バスケットを備えない従来におけるこのタイプの分散ユニットでは、ディスクの回転により、継続的な分散に必要なせん断力を分散されるべき塊に導入できるよう、分散されるべき塊が低過ぎない一定の粘度を有することが必要である。
【0008】
ただし、分散されるべき塊の粘度が高い場合であっても、バスケットなしで回転ディスクだけで動作する分散ユニットのせん断力は、粉末状の供給製品の代わりに、粒状、粗粒状、又は断片化された供給製品も粉砕するにはもはや十分ではない。
【0009】
従って、ロータがケージ状バスケット内で回転する分散ユニットも既知である。この場合にロータは、典型的には、バスケットの外側の分散剤を、供給材料と一緒にバスケット内に搬送するよう設計されている。供給材料と一緒にバスケット内に搬送された分散剤は、供給材料と一緒にバスケットの開口を通るよう押される。この場合、ケージの開口において供給材料の粒子が粉砕される。このタイプの分散ユニットでは、ロータとバスケットとの間に、2 mm未満、多くの場合0.5~1 mmの範囲の狭いシールギャップを形成することが重要であると一般的に考えられている。これは、この領域における貫流を小さく抑えるためである。更に、ケージ上の穿孔された表面を大部分にわたって又は完全に覆うロータが設置されることが多い。このタイプの分散ユニットは、バスケット方向に比較的強い流れを作り、従って最初に容器のエッジに位置する可能性のある供給材料凝集体が吸引されて粉砕されるという利点があるが、凝集体は、ケージにおける開口の大きさに応じてある程度までしか分離できない。より小さい開口は、一般的により微細な分離につながるが、同時に流れ抵抗がより大きくなり、従って吸引効果がより低下する。更に、ケージ開口が小さ過ぎると、供給材料の粒子が蓄積し、最終的にケージが詰まる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述した点を考慮し、本発明の課題は、高い吸引効果を実現でき、同時に、供給材料の凝集体を高度に分離することができる分散ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、この課題は、分散ユニットに関する主請求項の特徴部分によって解決される。
【0012】
従って、上記の課題は、供給材料を分散剤中に分散させるための分散ユニットによって解決される。分散ユニットは、動作中でも静止した分散バスケットを備え、その分散バスケットは、ジャケット表面に出口開口を有する。幾つかの用途において、分散バスケットの上部前側は、開口又はスリットを有し、また分散バスケットの上部前側は、場合によっては完全に開放されていてもよい。ただし、分散バスケットの前側は、大部分が、又は実質的に、又は完全に閉じられているのが好適である。駆動シャフトのシャフトスタブは、分散バスケット内に突入している。この場合、シャフトスタブは、分散バスケット内で分散ディスクを支持している。分散ディスクは、動作中に回転して分散ディスクと分散バスケットの閉じた前側との間の領域に供給材料含有分散剤を吸引する。分散ディスクは、分散バスケットにおけるジャケット表面の出口開口を介して、吸引した分散剤の大部分を上記領域から再び外方に搬送する。
【0013】
分散ユニットは、好適には、駆動シャフトから離れた側に面する分散バスケットの端面が完全に開放され、そうでなければ少なくとも実質的に又は大部分が開放されていることを特徴とする。
【0014】
分散ユニットは更に、分散ディスクの最大外周又は好適にはそのリムリングと分散バスケットの内周面との間の半径方向距離が、ギャップが形成されるほど大きく、そのギャップを介して、分散バスケット内に搬送された分散剤の無視できない程度の量、少なくとも15%、好適には少なくとも25%が分散バスケットから再び流出可能であることを特徴とする。この場合、分散ディスクは、分散バスケット内に搬送された媒体が実質的に分散ディスク又はその中央領域を通って流れることができるよう構成されている。従って、分散バスケット内に流入する分散剤と、分散ディスクにおける軸線方向の外周上で分散ディスクを通過して分散バスケットから流出する分散剤とは互いに妨害することがない。分散ディスクに向かう軸線方向の流れには、分散バスケット上に蓄積する可能性のある供給材料粒子が連行されるという利点がある。これにより、ケージの出口開口の詰まりが防止される。蓄積した粒子も、この流れによって連行することができる。
【0015】
更に、分散ディスクと分散バスケットの内側ジャケット表面との間のギャップにおいて、分散ディスクの周方向における環状流が生じる。この環状流により、分散剤と一緒にギャップに到達した供給材料の一部は、遠心力に起因して分散バスケットの内側ジャケット表面方向に加速される。その後、供給材料凝集体は、分散バスケットの内側ジャケット表面又は分散バスケットのジャケット表面における開口の枠面に衝突し、これにより分離されるか又は実質的に粉砕される。
【0016】
このような事情にもかかわらず、分散ディスクは、好適には、分散バスケットの穿孔された表面を覆わないか或いは通過しないか、又は少なくとも僅かにのみ覆うか又は通過する。
【0017】
本発明に係る流動比に起因し、分散バスケットにおけるジャケット表面の枠面及び開口だけでなく、分散ディスクの歯又は他の衝突要素に対しても、粉砕効果を有する衝突の回数が増加する。
【0018】
このため、本発明に係る分散ユニットにより、より粗く、従って粒状か又は断片化された供給製品の場合、即ち分散されるべき塊の粘度が比較的低い場合であっても、良好な分散結果が得られる。
【0019】
「供給材料含有」という用語は、供給材料が既に分散剤中に含まれているが、供給材料がまだ分散又は粉砕されていない状態を表す。
【0020】
「供給材料凝集体」という用語は、必ずしも固体材料だけを表すものではなく、液体材料の蓄積又は主に液体材料の蓄積を表す場合もある。
【0021】
本発明の有効性又は使用性が更に向上するよう設計するための多くの選択肢が存在する。
【0022】
特に好適には、分散ユニットは、駆動シャフトが内部で回転可能な浸漬管を備え。この場合、浸漬管は、分散バスケットを支持している。
【0023】
浸漬管は、静止していると共に、回転する駆動シャフトがケージの外側に分散剤を連行し、分散剤を効率的に攪拌せず、半径方向に遠心分離するか又は噴霧することを防止する。その結果、分散ユニットの効率が高まる。
【0024】
好適な更なる実施形態において、ホイール本体は、スポーク及び好適にはリムリングを有する。理想的には、ホイール本体は、4本のスポークを有し、スポーク領域におけるキャビテーションのリスクを低減するために好適には3本のスポークのみを有する。スポークの半径方向外端部には、歯が取り付けられている。
【0025】
この場合、分散ディスクを構成するホイール本体は、ハブとして具現化されており、取り付け状態では、分散バスケット内に突入する駆動シャフトに固定されている。ホイール本体がリムリングを有する場合、歯は、リムリングの半径方向外側の外周面領域に取り付けられている。スポークは、供給材料含有分散剤が、分散ディスクを通過して分散ディスクの軸線方向の中央領域において分散バスケット内に流れることを可能にする。
【0026】
歯は、供給材料凝集体の更なる粉砕をもたらす。粉砕は、一方では、凝集体が分散ディスクと共に回転する歯に衝突するときに生じる。歯は更に、分散ディスクと分散バスケットとの間のギャップ近傍に位置する供給材料含有分散剤の乱流をもたらす。これにより、供給材料凝集体は、互いに対してのみならず、分散バスケットの内側ジャケット表面又はその開口の枠に対してぶつけられて分離される。対応する流れを生じさせるために、歯の少なくとも一部の領域は、理想的には、分散ディスクの長手方向軸線に対して平行又はほぼ平行に延在している。この場合に歯は、好適には、分散ディスクから交互かつ反対方向に突出している。歯が異なる形状又は異なる大きさを有することも想定可能である。
【0027】
ホイール本体は、理想的には、ノッチを有するプレート状のホイールディスクを含む。これらノッチは、供給材料含有分散剤の通過を可能にする。
【0028】
ノッチは、分散ディスクの回転運動が供給材料含有分散剤を所望の領域へ搬送するよう設計するのが特に有利である。
【0029】
好適な更なる実施形態において、スポーク又はノッチは、ブレード状に配置されている。これらスポーク又はノッチは、駆動シャフトの長手方向軸線の垂線に対して27°~33°の角度で配置されていることにより、分散剤が駆動シャフトの長手方向軸線に向けて分散バスケット内に実質的に又は少なくとも大部分が圧送される。
【0030】
流路の好適な対応寸法が実現されると、ブレード状に設計されたスポークは、分散バスケットにおけるジャケットの出口開口を通って外側に放出できるよりも多くの分散剤をその中に含まれる供給材料と一緒に、分散バスケットの閉じた前側と分散ディスクとの間の領域内に圧送する。
【0031】
その結果、分散剤の大部分は、分散バスケットにおけるジャケット表面のウィンドウを通って分散バスケットから押し出されるのではなく、分散ディスクの外周と分散バスケットの内周との間のギャップを通って押し出される。
【0032】
原則的に、吸引した材料の全ては、可能であれば、バスケットのウィンドウを通過するのが好適である。
【0033】
これにより、供給材料凝集体が分散ディスクにおける歯の作用領域により一層搬送される。この場合、粉砕は、歯自体によって生じるか、又は固体材料が歯と接触し或いは歯の間接的な作用によって出口開口の枠に対して衝突することによって生じる。
【0034】
好適には外周領域においてリムリングで終端する分散ディスクの最大外径GADと、スポークの回転する露出端部を表す最大外径GASとの間の比は、好適には、GAD/GAS=1.48~1.55の関係を満たす。
【0035】
このような比の場合、分散ディスクによって分散バスケット内に搬送される分散剤を基準として、分散ディスクに関して良好な搬送能力が保証される。好適な更なる実施形態において、出口開口の連続的な内幅高さHA、又は周方向に延在する幾つかの出口開口の列として分散ディスクを包囲する少なくともそのような出口開口は、分散ディスクの高さhよりも無視できない程度に大きい。理想的には、高さHAは、分散ディスクの高さhよりも少なくとも2.2倍大きい。好適には、高さHAは、高さhよりも少なくとも4倍大きく、最適には少なくとも6倍大きい。
【0036】
好適な更なる実施形態において、分散ディスクの最大外周と分散バスケットの内周との間の半径方向距離は、ギャップが形成されるほど大きく、このギャップを介して、大きな粒子又は凝集体も分散バスケット内に進入する。
【0037】
一般的に、分散バスケット及び分散ホイールのパラメータは、分散バスケットにおける貫流が、可能であれば、分散剤及びその中に含まれる供給材料が少なくとも1つの自由な端面を介して分散バスケット内に入り、前側表面を介する代わりに、実質的に分散バスケットの穿孔された円周ジャケット表面を介して分散バスケットから再び出るよう選択される。
【0038】
この場合、分散ホイールの外周と分散バスケットの内周ジャケット表面との間の半径方向距離は、好適には少なくとも10 mm、より好適には少なくとも20 mm、理想的には最大35 mm又は30 mmである。
【0039】
想定可能な更なる実施形態において、分散バスケットの閉じた前側は、円錐形又は放物形の反射体によって閉じられている。
【0040】
上側の境界部は、孔の有無にかかわらず、平坦なディスクとすることができ、又はバスケットは開放されていてもよい。
【0041】
反射体は、分散ディスクによって軸線方向に搬送される体積流を、分散ディスクと反射体によって閉じられた分散バスケットとの間のスペースに、好適にはその中央方向に偏向させる。これにより、特に激しい乱流が生じ、従って分散剤中における供給材料のより微細な分布がもたらされる。
【0042】
好適な更なる実施形態において、歯は、リムリングによって支持され、歯がリムリングと一緒に歯付きリングを形成している。この歯付きリングは、好適には、分散ディスクのスポークに交換可能に、多くの場合は破壊されることなく交換可能に接続されている。
【0043】
従って、用途に応じて、異なる歯形状又は異なる材質の歯付きリングを分散ディスクに取り付けることができる。更に、摩耗の兆候があれば、分散ディスク全体を交換せずに歯付きリングを交換することができる。
【0044】
分散装置は、好適には、分散容器を備える。分散容器は、最も単純な場合には適切に調整されたバケットであり、分散剤及び供給材料を保持する。分散バスケットは、動作中に、分散容器内に完全に浸されている。分散装置は、分散バスケットの外径が、分散容器の内径に対して、正確に、実質的に、又は少なくとも約0.5倍~0.6倍であることを特徴とする。
【0045】
分散容器が非円形の場合、分散バスケットの外径はその中心外径を指し、分散容器の内径はその中心外径を指す。
【0046】
浸漬管を備えると共に、供給材料を分散剤中に分散させるための分散ユニットに関しても保護が請求される。この浸漬管内には、モータ駆動される駆動シャフトが回転することができる。この場合、浸漬管は、動作中であっても静止した分散バスケットを支持している。分散バスケットのジャケット表面は、出口開口を有する。浸漬管に面する分散バスケットの前側は、大部分が、又は実質的に、又は完全に閉じられている。更に、駆動シャフトのシャフトスタブが分散バスケット内に突入している。この場合、シャフトスタブは、分散ディスクを支持している。分散ユニットは、分散バスケットが、浸漬管から離れた側に面する端面において、完全に、又は少なくとも実質的に開放されていることを特徴とする。駆動シャフトの長手方向軸線Lに沿う分散バスケットの延びを測定する高さHは、分散ディスクの最大高さhよりも大幅に大きく、従って少なくとも2.5倍又は好適には少なくとも4~6倍大きい。分散ディスクは、外周に歯を有するホイール本体で構成されている。
【0047】
浸漬管は、回転する駆動シャフトがケージの外側に分散剤を連行し、分散剤を効率的に攪拌せず、半径方向に遠心分離するか又は噴霧することを防止する。これにより、供給材料含有分散剤の半径方向への加速は、分散ディスクの歯領域においてのみ生じるか又は少なくとも大部分が生じることが保証される。その結果、分散剤とこの分散剤に連行された供給材料凝集体との間の速度差が大きくなり、従って高い衝撃効果又は凝集体のより良好な分離が得られる。
【0048】
更に、請求項11に記載の分散ユニットを備える分散システムに関して保護が請求される。分散システムは、代替的に取り付け可能な少なくとも1個の第2歯付きリングを備えることを特徴とする。少なくとも1個の第2歯付きリングの歯は、第1歯付きリングの歯とは異なる歯形状を有する。
【0049】
更に、既に確立された請求項の何れか一項に記載の分散ユニットを備える分散装置に関して保護が請求される。この分散装置は、高速駆動装置を備えることを特徴とする。この高速駆動装置は、分散ディスクがその外周領域において18 m/sを超える速度、理想的には20 m/sまでの速度で回転することを可能にし、場合によっては、限られた範囲でのみ最適であるが、25 m/sまでの回転を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【
図1】例示的な第1実施形態に係る分散ユニットの全体構造を示す説明図である。
【
図2】例示的な第1実施形態に係る分散ユニットの全体構造を示す説明図である。
【
図3】例示的な全ての実施形態を代表する例示的な第1実施形態による分散バスケットと組み合わせた分散ディスクの動作モードを示す説明図である。
【
図4】例示的な全ての実施形態を代表する例示的な第1実施形態による分散バスケットと組み合わせた分散ディスクの動作モードを示す説明図である。
【
図5】例示的な全ての実施形態を代表する例示的な第1実施形態による分散バスケット及び浸漬管の構造を示す説明図である。
【
図6】例示的な全ての実施形態を代表する例示的な第1実施形態による分散バスケット及び浸漬管の構造を示す説明図である。
【
図7】例示的な全ての実施形態を代表する例示的な第1実施形態による分散バスケット及び浸漬管の構造を示す説明図である。
【
図8】例示的な全ての実施形態を代表する例示的な第1実施形態による分散バスケット及び浸漬管の構造を示す説明図である。
【
図9】例示的な全ての実施形態を代表する例示的な第1実施形態による分散バスケット及び浸漬管の構造を示す説明図である。
【
図10】例示的な全ての実施形態を代表する例示的な第1実施形態による分散ディスクの構造を示す説明図である。
【
図11】例示的な全ての実施形態を代表する例示的な第1実施形態による分散ディスクの構造を示す説明図である。
【
図12】例示的な全ての実施形態を代表する例示的な第1実施形態による分散ディスクの構造を示す説明図である。
【
図13】位置が調整可能な分散バスケットと、その任意的な外側遠心ディスクによって特徴付けられる例示的な第2実施形態を示す説明図である。
【
図14】位置が調整可能な分散バスケットと、その任意的な外側遠心ディスクによって特徴付けられる例示的な第2実施形態を示す説明図である。
【
図15】バスケットの内側における付加的な遠心ディスクによって特徴付けられる例示的な第3実施形態を示す説明図である。
【
図16】分散バスケットの穿孔された前側カバーによって特徴付けられる例示的な第4実施形態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
<例示的な第1実施形態>
本発明に係る分散ユニットの動作モードは、
図1~
図12に基づく例示的な第1実施形態によって説明する。
【0052】
分散ユニット1の基本的な構造は、
図1及び
図2によって説明することができる。この場合、明瞭性を高める見地から、全ての要素に参照符号が付されているわけではない。
【0053】
動作中、分散ユニット1は、分散されるべき材料が入った容器内に位置しており、その中に配置された分散バスケット2は、分散ディスク5と一緒に、分散剤内に完全に浸漬される。全体として見ると、このようにして、分散ユニットと称することができるアンサンブルが得られ、そのアンサンブルについては本明細書の最後でもう一度簡単に説明する。
【0054】
分散バスケット2に接続された任意的な浸漬管6は、フランジ26と共にハウジング部分33に固定され、ハウジング部分33は、一般的に、動作中に分散剤と接触することはない。浸漬管は、一般的に、分散バスケットのためのトルクサポートを形成すると共に、液体の回転噴出時の負荷下においても分散バスケットを相対回転不可能に保持する。浸漬管6の内部には、図示されていないが破線で示唆された駆動シャフト4が延在している。この駆動シャフトは、分散バスケット2に面する浸漬管6の端部において、浸漬管から突出して分散体2内に突入している。分散ディスク5は、分散バスケット2内に突入する駆動シャフト4の部分に取り付けられている。この場合、分散バスケット2の高さH(
図8参照)は、分散ディスク5の最大高さh(
図11参照)よりも大幅に大きい。これにより、取り付け状態において、分散ディスク5が分散バスケット2内に完全に位置することが保証される。
【0055】
動作中、駆動シャフト4の回転運動は分散ディスク5に伝達される。この場合、浸漬管6から離れた側に面する分散バスケット2の端面領域に位置する供給材料含有分散剤(供給材料を含む分散剤)は、スポーク9を介して分散ディスク5を通り、分散ディスク5と浸漬管6に面する分散バスケット2の閉じた前側との間の領域に搬送される。この対応する搬送効果を得るために、スポーク9は、ブレード状に形成されている。分散バスケット2内に搬送された供給材料包含分散剤の大部分は、出口開口3を介して分散バスケット2から出る。出口開口3の内幅高さHA(
図8参照)は、分散ディスク5の最大高さhよりも大幅に大きい。この場合、分散剤に含まれる供給材料凝集体の一部は、分散バスケット2における出口開口3間のウェブに衝突する。この衝突によって凝集体が分離する。
【0056】
分離の程度を高めるために、出口開口3の内幅を変えることができる。この目的のために、出口開口3が設けられた分散バスケット2の円筒ジャケット表面には、バスケット壁補強部12が設けられている。バスケット壁補強部12にも同様に出口開口3が設けられ、その形状は、分散バスケット2の出口開口と一致している。出口開口3の内幅を変えるために、バスケット壁補強部12は、駆動シャフト4の長手方向軸線L周りで回転させることができる。バスケット壁補強部12が所望の位置にある場合、バスケット壁補強部12と相対回転不可能に接続された保持ディスク13は、クランプねじ15により、更なる回転ができないよう固定される。バスケット壁補強部12が駆動シャフト4の長手方向軸線L周りで回転可能な最大回転角度は、湾曲した細長孔14の長さによって決まる。
【0057】
分散バスケット2と組み合わせた分散ディスク5の動作モードは、
図3及び
図4によって説明することができる。
【0058】
上述したように、分散ディスク5によって分散バスケット2内に搬送された分散剤の大部分は、出口開口3を介して分散バスケット2から出る。ただし、分散ディスク5の最大外周GADと分散バスケット2の内周面との間にはギャップが位置しており、このギャップを介して、無視できない程度の供給材料含有分散剤の量が分散バスケット2から出る。このギャップは、
図4及び
図5において明瞭に確認できる。
【0059】
分散ディスク5及び分散バスケット2の形状は、互いに適合されており、これにより分散ディスク5は、分散バスケット2から出口開口3を通って出ることができるよりも多くの供給材料含有分散剤を、浸漬管6に面する分散バスケット2の閉じた前側と分散ディスク5との間の領域に搬送する。その結果、出口開口3を介して分散バスケット2から出ない供給材料含有分散剤の量は、分散ディスク5と分散バスケット2の内側ジャケット表面との間のギャップ領域内に押し込まれる。
【0060】
この場合、駆動シャフト4の長手方向軸線Lと平行な方向に流れが生じ、供給材料又は供給材料凝集体が分散ディスク5における歯8の作用領域内に徐々に搬送される。この作用は、分散バスケット2における出口開口3の内幅に関して上述した可変性によって更に強化される。分散ディスク5と共に回転する歯8は、供給材料凝集体と衝突するか、又は乱流を生じさせて凝集体を出口開口3間の枠又はウェブの方向に搬送する。何れの場合も、凝集体の粉砕が生じる。
【0061】
分散ディスクは、保持ディスク17と組み合わせて、固定ねじ16によって駆動シャフト4に固定される。駆動シャフト4上における分散ディスク5の回転に対する保護は、フェザーキー接続によって行われる。
【0062】
分散剤が浸漬管6の内部に到達するのを防ぐために、浸漬管6は、任意的に、半径方向シャフトシールリング18又はギャップシールによってシールされる。更なるシールの選択肢については、変形例の一部として後述する。半径方向シャフトシールリング18の取り付けは、位置決めリング19を介して行われる。これら位置決めリング19は、固定ねじ20によって分散バスケット2に固定されている。半径方向シャフトシールリング18におけるシールリップの走行面22は、スリーブ21によって提供される。スリーブ21は、駆動シャフト4上に押し付けられ、ねじ孔24にねじ込まれるねじによって固定されている。スリーブ21と駆動シャフト4との間のギャップをシールするために、スリーブ21には2つの溝23が設けられ、それぞれにОリングが挿入可能である。
【0063】
図5~
図9は、(バスケット壁補強部12が取り付けられていない状態の)分散バスケット2の構造と、浸漬管6への分散バスケット2の接続とを示す。
図5において、出口開口3及び孔25には、参照符号が例示的にのみ付されている。
【0064】
浸漬管6は、円周溶接シームを介して、分散バスケット2及びフランジ26に接続されている。フランジ26には、フランジ26を分散装置のハウジング部分33に固定するための3つの貫通孔28が設けられている。浸漬管6に面する分散バスケット2の閉じた前側は、分散バスケット2の残部と溶接されている。ただし、その残部を接着するか、又は(例えばねじ接続を介して)解放可能に接続するか、又は分散バスケットを一体的に製造することも想定可能である。更に、浸漬管6に面する分散バスケット2の閉じた前側には、クランプねじ15用の4つのねじ孔27と、固定ねじ20用の6つの貫通孔25とが設けられている。
【0065】
分散ディスク5の構造は、
図10~
図12によって明瞭に示されている。分散ディスク5は、ホイール本体7、その上に隣接するリムリング10、並びにリムリング10に取り付けられると共に、歯8が設けられた歯付きリング11を有する。この場合、歯付きリング11は、歯8が直接的に固定されるリムリング10から形成されることも想定可能である。分散ディスク5のホイール本体7は、ハブ32及びスポーク9から形成されている。分散ディスク5は中央にハブ32を有し、ハブ32は、その孔30と共に駆動シャフト4上に配置される。駆動シャフト4の回転運動を分散ディスク5に伝達するために、ハブ32にはキー溝29が設けられ、このキー溝29は、取り付け状態において対応するキーと係合している。分散ディスク5における中央のハブ32を出発点として、3本のスポーク9が半径方向外方に延在している。これらスポークは、ブレード状に設計されており、これにより分散ディスク5の下方に位置する分散剤が分散ディスク5の上方領域に搬送される。分散ディスク5の歯付きリング11は、保持ねじ31を介してリムリング10に接続されている。
【0066】
<例示的な第2実施形態>
図13~
図16は、特定の技術的側面において修正された例示的な第2実施形態を示す。
【0067】
ただし、例示的な第1実施形態に関して上述した説明は、以下の説明において特に明記しない限り、例示的な第2実施形態にも同様に適用される。
【0068】
この例示的な実施形態は、分散バスケット2の浸漬深さを、特定の容器エッジから測定して変化させられることを特徴とする。
【0069】
この目的のために、不動に固定可能なフランジカラー34が設けられている。このフランジカラーは、多面カンチレバー、図示の実施形態では三角形カンチレバーを支持している。カンチレバー又は三角形カンチレバーには、保持ロッド36が固定されている。これら保持ロッドの他端は、それぞれ分散バスケット2に固定されている。
【0070】
保持ロッド36は、典型的には、取り外し可能又は伸縮式に構成されている。図示の例示的な実施形態において、各保持ロッドは、第1セクション36a及び第2セクション36aで構成されている。有利には、各保持ロッド又は各セクション36a,36bは、その第1端部においてボルトねじ山を有し、第2端部においてナットねじ山を有する。これにより、所望の長さの保持ロッド36への連結を問題なく行うことができる。分散バスケット2をより浅く浸漬させたい場合、第2セクション36bは省略されるか又はねじが外され、分散バスケット2が第1セクション36aの端部に直接的に固定される。
【0071】
同時に、駆動シャフト4は同様に長さを変更することができ、例えば伸縮可能に構成されている。従って、駆動シャフトは、押し寄せることによって対応の長さに短縮することができる。対応の長さに伸縮される駆動シャフトを固定するためのクランプ機構37は、
図13~
図17に概略的に示されている。
【0072】
保持ロッド36が所定の長さ、例えば第1セクション36a及び第2セクション36bを用いる長い形態で使用される場合であっても、伸縮によって設定できるのが特に有利である。なぜならこの場合、例えば具体的なケースで想定される最大粒子又は集合体の大きさ及び扱われ方に応じて、分散ディスク5が分散バスケット2内で所望の高さをとるよう設定可能だからである。
【0073】
これらの図により、更なる選択肢があることが良く分かる。駆動シャフト4は、遠心ディスク38を有することができ、この遠心ディスク38は、分散バスケット2の真上かつ外側で駆動シャフト上に配置されている。この遠心ディスク38は、分散バスケット2の閉じられた前側又は大部分が閉じられた前側に起因して分散バスケット2の上側において、流れないか又は弱くしか流れない「死水」が生じないようにすることを保証する。このような死水は、分散されるべき固体材料が分散バスケットの上側に蓄積し、従って分散されないという不所望な結果をもたらす。
【0074】
<例示的な第3実施形態>
図17~
図20は、特定の技術的側面において修正された例示的な第3実施形態を示す。
【0075】
ただし、例示的な第1実施形態に関してのみならず、任意的には例示的な第2実施形態に関しても上述した説明は、以下の説明において特に明記しない限り、この例示的な実施形態にも同様に適用される。
【0076】
この例示的な実施形態は、典型的には、分散ディスク5の上方に、内側の更なる遠心ディスク39、即ち、第1遠心ディスクとは独立して構成されると共に、分散バスケット2内に配置された更なる又は第2の遠心ディスクが設けられることを特徴とする。この内側の遠心ディスクは、分散バスケット2内における分散製品のねじれを更に大きくすることに寄与する。これにより、粒子又は凝集体と上述した分散バスケットのジャケットとの間の衝突が強化され、分散効果が強化される。
【0077】
内側遠心ディスク39は、同時に、駆動シャフト4が通過する分散バスケットの上部前側の開口をシールするためか又はサージ流出から保護するために使用してもよい。
【0078】
<例示的な第4実施形態>
図21~
図24は、異なる技術的側面において修正された例示的な第4実施形態を示す。
【0079】
ただし、例示的な第1実施形態に関してのみならず、任意的には例示的な第2実施形態及び/又は例示的な第3実施形態に関しても上述した説明は、以下の説明において特に明記しない限り、この例示的な実施形態にも同様に適用される。
【0080】
この例示的な実施形態は、駆動シャフトが係合する分散バスケットの前側カバーが、同様に、駆動シャフトを通過させる開口に加えて、多数の開口を有することを特徴とする。この場合に設けられた開口は、必ずしも粒子又は凝集体の粉砕に直接的に寄与するものではない。その主な効果は、間接的なものである。これら開口により、「死水」を形成する傾向のある分散バスケットの上方領域からも分散製品が吸引されると共に、分散バスケット内に搬送されることが保証され、従ってもはや粉砕を回避できなくなる。これら開口は、個々に、環状断面形状を有するのが好適である。理想的には、これら開口は、1つ又は複数の円形経路上において、主に駆動シャフト4に対して同心円状に、かつ周方向に順次に配置されている。
【0081】
<その他>
完全を期すために、必要に応じて、本発明に係る分散ユニットを備えると共に、(分散されるべき媒体を保持する容器を備える)分散システムの保護が、上述した意味で請求されることに言及しておくことも重要である。
【符号の説明】
【0082】
1 分散ユニット
2 分散バスケット
3 出口開口
4 (示唆された)駆動シャフト
5 分散ディスク
6 浸漬管
7 ホイール本体
8 歯
9 スポーク
10 リムリング
11 歯付きリング
12 バスケット壁補強部
13 バスケット壁補強部用の保持ディスク
14 湾曲した細長孔
15 クランプねじ
16 固定ねじ
17 保持ディスク
18 半径方向シャフトシールリング
19 位置決めリング
20 固定ねじ
21 スリーブ
22 半径方向シャフトシールリング用の走行面
23 Оリング溝
24 ねじ孔
25 孔
26 浸漬管フランジ
27 孔
28 孔
29 フェザーキー溝
30 駆動シャフト孔
31 保持ねじ
32 ホイール本体のハブ
33 分散装置のハウジング部分
34 フランジカラー
35 三角形カンチレバー
36 保持ロッド
36a 保持ロッドの第1セクション
36b (基本的により短い)保持ロッドの第2セクション
37 クランプ機構
38 遠心ディスク
39 内側又はバスケット内側の遠心ディスク
H 分散バスケットの高さ
h 分散ディスクの高さ
L 駆動シャフトの長手方向軸線
GAD 分散ディスクの最大外径
GAS スポークの最大外径
HA 出口開口の内幅高さ
【手続補正書】
【提出日】2024-04-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給材料を分散剤中に分散させるための分散ユニット(1)であって、
前記分散ユニット(1)が、静止した分散バスケット(2)を備え、
前記分散バスケット(2)が、そのジャケット表面に出口開口(3)を有し、前記分散バスケット(2)の前側が、好適には少なくとも部分的に閉鎖され、前記分散バスケット(2)内に、駆動シャフト(4)のシャフトスタブが突入し、
前記シャフトスタブが、前記分散バスケット(2)内において、分散ディスク(5)を支持し、前記分散ディスク(5)が、動作中に回転して前記分散ディスクと前記分散バスケット(2)の前記閉じた前側との間の領域に供給材料含有分散剤を吸引すると共に、前記分散バスケット(2)における前記ジャケット表面の前記出口開口(3)を介して、前記供給材料含有分散剤の大部分を前記領域から外方に再び搬送する、分散ユニットにおいて、
前記分散バスケット(2)が、前記駆動シャフト(4)から離れた端面において開放され、
前記分散ディスク(5)の外周と前記分散バスケット(2)の内周面との間の半径方向距離が、ギャップが形成されるほど大きく、該ギャップを介して、前記分散バスケット(2)内に搬送された前記分散剤の無視できない程度の量が前記分散バスケット(2)から再び流出可能であることを特徴とする、分散ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の分散ユニット(1)であって、該分散ユニット(1)が、前記駆動シャフト(4)が内部で回転可能な浸漬管(6)を備え、該浸漬管(6)が、前記分散バスケット(2)を支持していることを特徴とする、分散ユニット。
【請求項3】
供給材料を分散剤中に分散させるための分散ユニット(1)であって、
前記分散ユニット(1)が、内部でモータ駆動される駆動シャフト(4)が回転可能な浸漬管(6)を備え、
前記浸漬管(6)が、静止した分散バスケット(2)を支持し、
前記分散バスケット(2)が、そのジャケット表面に出口開口(3)を有し、
前記浸漬管(6)に面する前記分散バスケット(2)の前側が、閉鎖され、前記分散バスケット(2)内に、前記駆動シャフト(4)のシャフトスタブが突入し、
前記シャフトスタブが、分散ディスク(5)を支持している、分散ユニットにおいて、
前記分散バスケット(2)が、前記浸漬管(6)から離れた端面において開放され、
高さ(H)が、前記分散ディスク(5)の高さ(h)よりも大幅に大きく、
前記分散ディスク(5)が、その外周に歯(8)を支持するホイール本体(7)で構成されていることを特徴とする、分散ユニット。
【請求項4】
請求項1
又は2に記載の分散ユニット(1)であって、ホイール本体(7)が、歯(8)が取り付けられた半径方向外端部領域において、スポーク(9)を好適には3本有することを特徴とする、分散ユニット。
【請求項5】
請求項1
又は2に記載の分散ユニット(1)であって、ホイール本体(7)が、供給材料含有分散剤の通過を可能にするノッチを有するプレート状のホイールディスクを含むことを特徴とする、分散ユニット。
【請求項6】
請求項
4に記載の分散ユニット(1)であって、前記スポーク(9)又はノッチが、好適には、駆動シャフトの長手方向軸線(L)の垂線に対して27°~33°の角度でブレード状に配置されていることにより、前記分散剤が前記駆動シャフトの長手方向軸線(L)に向けて実質的に又は少なくとも大部分が圧送されることを特徴とする、分散ユニット。
【請求項7】
請求項4に記載の分散ユニット(1)であって、分散ディスク(5)の最大外径(GAD)と、前記スポーク(9)の回転する露出端部を表す最大外径(GAS)との間の比が、GAD/GAS=1.48~1.55の関係を満たしていることを特徴とする、分散ユニット。
【請求項8】
請求項1
又は2に記載の分散ユニット(1)であって、前記出口開口(3)の連続的な内幅高さ(HA)が、前記分散ディスク(5)の高さ(h)よりも無視できない程度に大きく、理想的には少なくとも2.2倍、好適には少なくとも4倍、最適には少なくとも6倍大きいことを特徴とする、分散ユニット。
【請求項9】
請求項
3に記載の分散ユニット(1)であって、分散ホイール(5)の外周と前記分散バスケット(2)の内周との間の半径方向距離が、ギャップが形成されるほど大きく、該ギャップを介して、前記分散バスケット(2)内に搬送された前記分散剤の無視できない程度の量が前記分散バスケット(2)から再び流出可能であり、好適には少なくとも15%、より好適には少なくとも25%流出可能であることを特徴とする、分散ユニット。
【請求項10】
請求項1
又は2に記載の分散ユニット(1)であって、前記分散バスケット(2)の閉じた前側が、円錐形又は放物形の反射体によって閉じられていることを特徴とする、分散ユニット。
【請求項11】
請求項1
又は2に記載の分散ユニット(1)であって、歯(8)が、リムリング(10)によって支持され、前記歯(8)が、前記リムリング(10)と一緒に、前記分散ディスク(5)のスポーク(9)に、破壊されることなく交換可能に接続された歯付きリング(11)を形成していることを特徴とする、分散ユニット。
【請求項12】
請求項11に記載の分散ユニット(1)を備える分散システムであって、該分散システムが、代替的に取り付け可能な少なくとも1個の第2歯付きリング(11)を備え、該第2歯付きリングの歯(8)が、第1歯付きリング(11)の前記歯とは異なる歯形状を有することを特徴とする、分散システム。
【請求項13】
請求項1
又は2に記載の分散ユニット(1)を備える分散装置であって、該分散装置が、分散ディスク(5)がその外周領域において18 m/sを超える速度、理想的には25 m/sまでの速度で回転することを可能にする高速駆動装置を備えることを特徴とする、分散装置。
【請求項14】
請求項13に記載の分散装
置を備える分散装置であって、該分散装置が、分散容器を備え、該分散容器内に、分散剤及び供給材料が保持されると共に、動作中に分散バスケット(2)が完全に浸されている分散装置において、
前記分散バスケット(2)の外径が、前記分散容器の内径の0.5倍~0.6倍であることを特徴とする、分散装置。
【国際調査報告】