(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】酸性ガス捕捉用の熱伝導性ヒドロゲル
(51)【国際特許分類】
C08L 101/14 20060101AFI20240829BHJP
B01J 20/26 20060101ALI20240829BHJP
B01J 20/34 20060101ALI20240829BHJP
C08K 3/04 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
C08L101/14
B01J20/26 A
B01J20/34 H
C08K3/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513721
(86)(22)【出願日】2022-09-01
(85)【翻訳文提出日】2024-04-26
(86)【国際出願番号】 AU2022051065
(87)【国際公開番号】W WO2023028652
(87)【国際公開日】2023-03-09
(32)【優先日】2021-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590003283
【氏名又は名称】コモンウェルス サイエンティフィック アンド インダストリアル リサーチ オーガナイゼーション
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100229448
【氏名又は名称】中槇 利明
(72)【発明者】
【氏名】ウッド,コリン
(72)【発明者】
【氏名】マイヤーズ,マシュー
(72)【発明者】
【氏名】ホワイト,キャメロン
【テーマコード(参考)】
4G066
4J002
【Fターム(参考)】
4G066AA02D
4G066AA03D
4G066AA04D
4G066AB06D
4G066AB10D
4G066AB11D
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4G066AC16B
4G066AC17B
4G066AC27B
4G066AC35B
4G066BA09
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4G066BA28
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4G066CA28
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4G066DA02
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4G066GA01
4J002AA031
4J002BG011
4J002BG071
4J002BG131
4J002CD022
4J002CM011
4J002DA026
4J002FD142
4J002GT00
4J002HA09
(57)【要約】
本開示は、概して、熱伝導性ヒドロゲルに関する。具体的には、本開示は、気体流又は大気から1つ以上の酸性ガスを捕捉するために使用することができる、1つ以上の酸性ガス吸収剤を含む、熱伝導性ヒドロゲルに関する。本開示はまた、気体流又は大気から酸性ガスを捕捉するための熱伝導性ヒドロゲルを含むプロセス、方法、システム、使用、及び装置に関する。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
架橋された親水性ポリマーと、熱伝導性微粒子材料と、を含む、酸性ガスを捕捉するためのヒドロゲルであって、前記熱伝導性微粒子材料が、前記ヒドロゲル上又は前記ヒドロゲル内に散在しており、前記ヒドロゲルが、微粒子の形態にあり、1つ以上の酸性ガス吸収剤を組み込む、ヒドロゲル。
【請求項2】
前記熱伝導性微粒子材料が、25℃で約25W/(m/K)~2000W/(m/K)のバルク熱伝導率を有する、請求項1に記載のヒドロゲル。
【請求項3】
前記ヒドロゲルが、前記ヒドロゲルの総重量に基づいて、約10%w/w~約80%w/wの前記熱伝導性微粒子材料を含む、請求項1に記載のヒドロゲル。
【請求項4】
前記熱伝導性微粒子材料が、炭素系材料、伝導性ポリマー、金属、金属合金、若しくは半金属、又はそれらの塩のうちの1つ以上から選択される、請求項1に記載のヒドロゲル。
【請求項5】
前記熱伝導性微粒子材料が、グラファイト、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、又は炭素繊維からなる群から選択される炭素系材料である、請求項4に記載のヒドロゲル。
【請求項6】
前記熱伝導性微粒子材料が、グラファイトである、請求項5に記載のヒドロゲル。
【請求項7】
前記熱伝導性微粒子材料が、化学的に不活性である、請求項1に記載のヒドロゲル。
【請求項8】
前記熱伝導性微粒子材料が、約1μm~約500μmの粒径を有する、請求項1に記載のヒドロゲル。
【請求項9】
前記ヒドロゲル中の前記熱伝導性微粒子材料の密度が、約10~100個の粒子/ヒドロゲルのcm
3である、請求項1に記載のヒドロゲル。
【請求項10】
前記熱伝導性微粒子材料が、前記ヒドロゲルの総体積の約40%~約90%を構成する、請求項1に記載のヒドロゲル。
【請求項11】
少なくとも1つの酸性ガス吸収剤が、前記酸性ガスに結合するための前記架橋された親水性ポリマー上の1つ以上の反応性官能基として前記ヒドロゲル内に組み込まれる、請求項1に記載のヒドロゲル。
【請求項12】
前記親水性ポリマーが、ポリアミン、ポリアクリルアミド、ポリアクリレート、ポリアクリル酸、又はそれらのコポリマーを含む、請求項1に記載のヒドロゲル。
【請求項13】
前記ポリアミンが、ポリアルキレンイミン(polyalkylenimine)である、請求項12に記載のヒドロゲル。
【請求項14】
前記ポリアルキレンイミンが、ポリエチレンイミン、ポリプロピレンイミン、及びポリアリルアミン、又はそれらのコポリマーからなる群から選択される、請求項13に記載のヒドロゲル。
【請求項15】
前記ポリアクリルアミドが、ポリアクリルアミド、ポリ(ジメチルアクリルアミド)、ポリ(N-2-ヒドロクスエチル(hydroxethyl))アクリルアミド、ポリ(2-ヒドロキシエチルアクリルアミド)、ポリ(イソプロピルアクリルアミド)、ポリ(アクリルアミド-コ-アクリル酸)、ポリ(アクリル酸-コ-マレイン酸)、ポリ(アクリルアミド-コ-アクリル酸ナトリウム)、ポリ(アクリルアミド-コ-アクリル酸カリウム)、ポリ(アクリルアミド-コ-アクリル酸)部分カリウム塩、ポリ(アクリルアミド-コ-アクリル酸)部分ナトリウム塩、及びポリ(アクリルアミド-コ-メチレンビスアクリルアミド)からなる群から選択される、請求項12に記載のヒドロゲル。
【請求項16】
前記ポリアクリレートが、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)又はポリ(2-ヒドロキシエチルアクリレート)である、請求項15に記載のヒドロゲル。
【請求項17】
前記ヒドロゲルが、前記ヒドロゲルの総重量に基づいて、約1重量%~約20重量%の架橋剤を含む、請求項1に記載のヒドロゲル。
【請求項18】
前記ヒドロゲルが、自立型ヒドロゲルである、請求項1に記載のヒドロゲル。
【請求項19】
前記ヒドロゲルが、液体膨潤剤を含む、請求項1に記載のヒドロゲル。
【請求項20】
前記ヒドロゲルが、約20g/g~約100g/gの液体膨潤剤の膨潤能を有する、請求項19に記載のヒドロゲル。
【請求項21】
前記ヒドロゲルが、前記ヒドロゲルの総重量に基づいて、約40重量%~約99重量%の液体膨潤剤を含む、請求項1に記載のヒドロゲル。
【請求項22】
前記液体膨潤剤が、水若しくは非水性溶媒、又はそれらの組み合わせである、請求項19に記載のヒドロゲル。
【請求項23】
前記液体膨潤剤が、前記ヒドロゲル内に少なくとも1つの酸性ガス吸収剤を組み込むための酸性ガス吸収剤を含む、請求項19に記載のヒドロゲル。
【請求項24】
前記液体膨潤剤が、化学的プロセスによって前記酸性ガスに結合することが可能な1つ以上の官能基を含むか、又は物理的プロセスによって前記酸性ガスを吸収することが可能な液体である、請求項23に記載のヒドロゲル。
【請求項25】
前記液体膨潤剤が、水、アルコール、ポリオール化合物、グリコール、アルカノールアミン、アルキルアミン、アルキルオキシアミン、ピペリジン、ピペラジン、ピリジン、ピロリドン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項19に記載のヒドロゲル。
【請求項26】
前記液体膨潤剤が、アルキルアミン、アルカノールアミン、及びグリコール、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項25に記載のヒドロゲル。
【請求項27】
前記液体膨潤剤が、水、モノエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロール、2-メトキシエタノール、2-エトキシエタノール、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、及びアミノエトキシエタノール、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項19に記載のヒドロゲル。
【請求項28】
請求項1~27のいずれか一項に記載のヒドロゲルを調製するためのプロセスであって、親水性ポリマーと架橋剤とを含む溶液を、前記親水性ポリマーを架橋させて前記ヒドロゲルを形成するのに有効な条件下で混合することを含み、
前記プロセスが、熱伝導性を有する微粒子材料を前記親水性ポリマー及び架橋剤と混合すること、又は前記ヒドロゲルを微粒子材料と、前記微粒子材料を前記ヒドロゲル上若しくは前記ヒドロゲル内に散在させるのに有効な条件下で接触させることを含み、
前記プロセスが、前記ヒドロゲルを粉砕/破砕して微粒子を形成することを更に含む、プロセス。
【請求項29】
前記架橋剤の添加前に、前記熱伝導性微粒子材料が前記親水性ポリマーを含む前記溶液と混合されるか、又は親水性ポリマー溶液への添加前に、前記熱伝導性微粒子材料が前記架橋剤と混合される、請求項28に記載のプロセス。
【請求項30】
前記ヒドロゲルが、前記熱伝導性微粒子材料と接触する前に粉砕/破砕される、請求項28に記載のプロセス。
【請求項31】
前記親水性ポリマーを含む前記溶液が、液体膨潤剤を含む、請求項28に記載のプロセス。
【請求項32】
気体流又は大気から酸性ガスを除去するための方法であって、前記気体流又は大気から前記酸性ガスの少なくとも一部をヒドロゲル内に吸収するように、前記気体流又は大気を請求項1~27のいずれか一項に記載のヒドロゲルと接触させることを含む、方法。
【請求項33】
前記酸性ガスが、二酸化炭素(CO
2)、二酸化硫黄(SO
2)、硫化水素(H
2S)、及び窒素酸化物(NOx)、又はそれらの混合物からなる群から選択される、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記気体流又は大気が、燃焼煙道ガス、炭化水素ガス、ヒドロ混合物、セメント又は鉄鋼製造からの排出物、バイオガス、及び周囲空気からなる群から選択される、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記方法が、直接空気捕捉(DAC)である、請求項32に記載の方法。
【請求項36】
前記気体流又は大気を前記ヒドロゲルと前記接触させることが、前記気体流又は大気を、前記ヒドロゲルを含む床に通過させることを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項37】
前記気体流又は大気を前記ヒドロゲルと前記接触させることが、前記気体流又は大気に前記ヒドロゲルの流れを導入することを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項38】
前記方法が、前記吸収された酸性ガスを前記ヒドロゲルから脱着する再生回収方法を更に含む、請求項32に記載の方法。
【請求項39】
前記方法が、
前記ヒドロゲルを囲むチャンバを設けることと、
前記気体流又は大気の流れを前記チャンバに通過させ、前記ヒドロゲルを接触させて、前記酸性ガスの少なくとも一部を前記ヒドロゲル内に吸収することと、
任意に、前記吸収された酸性ガスを前記ヒドロゲルから脱着させるのに有効な温度まで前記ヒドロゲルを加熱することと、
任意に、脱着された酸性ガスを前記チャンバから取り除くことと、を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項40】
気体流又は大気から酸性ガスを捕捉するための請求項1~27のいずれか一項に記載のヒドロゲルを囲むチャンバを備える、酸性ガス除去装置であって、前記チャンバが、前記気体流又は大気を前記ヒドロゲルと接触させて、前記酸性ガスの少なくとも一部を前記ヒドロゲル内に吸収する、酸性ガス除去装置。
【請求項41】
前記チャンバが、前記気体流又は大気が前記ヒドロゲルに流れることができる入口と、流出気体流又は大気が前記ヒドロゲルから流れ出ることができる出口と、を備える、請求項40に記載の酸性ガス除去装置。
【請求項42】
前記チャンバが、前記ヒドロゲルの充填床又は流動床を備える、請求項40に記載の酸性ガス除去装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、熱伝導性ヒドロゲルに関する。具体的には、本開示は、気体流又は大気から1つ以上の酸性ガスを捕捉するために使用することができる、1つ以上の酸性ガス吸収剤を含む、熱伝導性ヒドロゲルに関する。本開示はまた、気体流又は大気から酸性ガスを捕捉するための熱伝導性ヒドロゲルを含むプロセス、方法、システム、使用、及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
二酸化炭素(CO2)、硫黄ガス(例えば、SO2、H2S)などの酸性ガスは、著しい環境汚染及び健康リスクを引き起こし得る。これらの汚染物質によって引き起こされる被害についての懸念が増加しており、CO2を含む汚染物質の排出を低減する必要性の増加をもたらしている。
【0003】
酸性ガス(例えば、CO2)の捕捉には、液体及び固体ベースの吸着剤の使用を含む様々なアプローチが使用されてきた。例えば、低濃度の流れからCO2を捕捉することができる水酸化物溶液を含む、用いられる液体系吸着剤は、典型的には、酸性ガスと化学反応する基を含む。しかしながら、水酸化物液体ベースの吸着剤を再生するための取り込み速度及びエネルギー要件は困難である。また、加えて、液体系吸着剤のうちの多くは、例えば、再生中に酸化に対して影響を受けやすく、長期的な安定性の点における課題を提示し、腐食性であり、腐食性によって、工業的適用性が限定される。
【0004】
これに対処するために、金属有機フレームワークなどの多孔質支持体及び多孔質材料上に担持された液体吸着剤を含む、様々な固体材料が提案されている。これらの材料は、天然の水酸化物溶液と比較して、再生エネルギーが低い反面、合成コストが高く、大規模な生産が阻害され得る。追加的に、これらの液体多孔質支持体材料のうちの多くは、酸性ガス吸収/脱着中の劣化及び/又は不良な再生に起因して、経時的な安定性の減少及びガス吸収性能の低減を示す。追加的に、そのような固体多孔質材料におけるガス吸収は、多くの場合、放熱性であり、固体材料内で顕著かつ不均一な温度上昇を生じ得る。固体多孔質材料内の放熱性ガス吸収反応に起因するそのような長時間及び/又は不均一な熱曝露は、熱分解に起因する固体多孔質材料の寿命を限定し得る。
【0005】
工業的用途のために拡張可能であり、1回以上の吸収及び脱着サイクルにわたって性能及び/又は安定性が改善された(例えば、再生が改善された)、酸性ガス捕捉に使用するための代替的な又は改善された材料が必要とされている。
【0006】
本明細書で言及される任意の先行技術刊行物は、これらの文書のいずれかが、オーストラリア又は任意の他の国における当該技術における一般的な知識の一部を形成することを認めるものではないことが理解されるであろう。
【発明の概要】
【0007】
本発明者らは、ヒドロゲルを使用して気体流から酸性ガスを除去するためのヒドロゲル及び方法に関する研究及び開発を行ってきた。ヒドロゲルは、酸性ガスの吸収及び脱着(すなわち再生)効率の制御を提供するように調整することができる。具体的には、ヒドロゲルは、酸性ガスをヒドロゲル内に吸収し、それによって、気体流から酸性ガスを除去することによって、気体流から酸性ガス(例えば、CO2又はH2S)を除去することができる。次いで、吸収された酸性ガスをヒドロゲルから回収(例えば、脱着)することができ、再生されたヒドロゲルを再利用して気体流からより多くの酸性ガスを吸収することができる(例えば、リサイクル)。
【0008】
具体的には、本発明者らは、ヒドロゲル上又はヒドロゲル内に熱伝導性材料を組み込むことによって、例えば、ヒドロゲルを効率的かつ/又は均一に加熱することによって、酸性ガス吸収効率を良好に制御し、いくつかの実施形態では、より速い再生を可能にする、ヒドロゲル熱伝導性を含む、ヒドロゲルの様々な特性を改善することができることを同定した。本明細書に記載の少なくともいくつかの実施形態又は実施例によれば、加熱のそのような改善されたかつ/又は均一な性質は、脱着のための加熱サイクルをより短くすることを可能にし、結果として熱分解を低減することによって、ヒドロゲルの寿命も改善することができる。本明細書に記載の本開示はまた、工業的用途のために拡張可能であり得、特に、天然ガス流、炭化水素源、工業流出ガス流、及び/又は低濃度流(例えば、大気又は閉鎖ループ流)からの酸性ガスの捕捉における使用を見出すことができる。本発明のヒドロゲルは、液体の利点(酸性ガスに対する高い選択性及び低コスト)と固体の利点(低い再生エネルギー及び高い取り込み速度)とを兼ね備えることができる。
【0009】
本開示のヒドロゲルは、熱伝導性材料を含む。熱伝導性材料は、熱伝導性微粒子材料であり得る。熱伝導性材料は、散在したものであるか、又はヒドロゲル内にあり得る。ヒドロゲルは、架橋された親水性ポリマーを含む。熱伝導性材料は、架橋された親水性ポリマー内に散在し得るか、又はヒドロゲルの表面上に散在し得る。ヒドロゲルは、気体流又は大気から酸性ガスを捕捉することが可能である1つ以上の酸性ガス吸収剤を組み込み得る。ヒドロゲルは、微粒子の形態にあり得る。
【0010】
一態様では、架橋された親水性ポリマーと、熱伝導性微粒子材料と、を含む、ヒドロゲルであって、熱伝導性微粒子材料が、ヒドロゲル上又はヒドロゲル内に散在している、ヒドロゲルが提供される。
【0011】
関連する態様では、架橋された親水性ポリマーと、熱伝導性微粒子材料と、を含む、酸性ガスを捕捉するためのヒドロゲルであって、熱伝導性微粒子材料が、ヒドロゲル上又はヒドロゲル内に散在しており、ヒドロゲルが、微粒子の形態にあり、1つ以上の酸性ガス吸収剤を組み込む、ヒドロゲルが提供される。
【0012】
一実施形態では、熱伝導性微粒子材料は、25℃で少なくとも25W/(m/K)、例えば、25℃で約25W/(m/K)~2000W/(m/K)のバルク熱伝導率を有する。
【0013】
一実施形態では、ヒドロゲルは、ヒドロゲルの総重量に基づいて、約10%w/w~約80%w/wの熱伝導性微粒子材料を含む。いくつかの実施形態では、熱伝導性微粒子材料は、炭素系材料、伝導性ポリマー、金属、金属合金、若しくは半金属、又はそれらの塩のうちの1つ以上から選択され、例えば、グラファイト、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、又は炭素繊維のうちの1つ以上から選択され得る。
【0014】
一実施形態では、熱伝導性微粒子材料は、化学的に不活性である。関連する実施形態では、熱伝導性微粒子材料は、ヒドロゲルの架橋された親水性ポリマーに化学的にグラフトしていない。関連する実施形態では、熱伝導性微粒子材料は、酸性ガス吸収剤に化学的にグラフトしていない。
【0015】
一実施形態では、架橋された親水性ポリマーは、ポリアミン、ポリアクリルアミド、ポリアクリレート、ポリアクリル酸、又はそれらのコポリマーから選択される親水性ポリマーを含む。
【0016】
一実施形態では、ヒドロゲルは、複数の粒子として提供される。言い換えれば、ヒドロゲルは、微粒子の形態にある。一実施形態では、ヒドロゲルは、自立型ヒドロゲルである(例えば、ヒドロゲルは、担体材料の非存在下でその形態及び吸収能力を維持することができる)。
【0017】
一実施形態では、ヒドロゲルは、液体膨潤剤を含む。一実施形態では、液体膨潤剤は、ヒドロゲル内に酸性ガス吸収剤を組み込むための少なくとも1つの酸性ガス吸収剤を含む。一実施形態では、少なくとも1つの酸性ガス吸収剤は、ヒドロゲル内に吸収される液体膨潤剤の一部としてヒドロゲル内に組み込まれる。一実施形態では、液体膨潤剤は、化学的プロセスによって酸性ガスに結合することが可能な1つ以上の官能基を含むか、又は物理的プロセスによって酸性ガスを吸収することが可能な液体である。液体膨潤剤は、水又は非水性溶媒、例えば、極性溶媒であり得る。液体膨潤剤はまた、酸性ガス、例えば、H2S及び/又はCO2を結合又は溶解させることが可能であり得る。代替的に又は追加的に、架橋された親水性ポリマーは、酸性ガス(例えば、CO2又はH2S)に結合することが可能な1つ以上の官能基、例えば、アミンを含み得る。
【0018】
一実施形態では、少なくとも1つの酸性ガス吸収剤は、酸性ガスに結合するための架橋された親水性ポリマー上の1つ以上の反応性官能基としてヒドロゲル内に組み込まれる。
【0019】
別の態様では、上記のヒドロゲルを調製するためのプロセスであって、親水性ポリマー及び架橋剤を含む溶液を、親水性ポリマーを架橋させてヒドロゲルを形成するのに有効な条件下で混合することを含み、プロセスが、熱伝導性を有する微粒子材料を親水性ポリマー及び架橋剤と混合すること、又はヒドロゲルを微粒子材料と、微粒子材料をヒドロゲル上若しくはヒドロゲル内に散在させるのに有効な条件下で接触させることを含む、プロセスが提供される。
【0020】
関連する態様では、上記のヒドロゲルを調製するためのプロセスであって、親水性ポリマー、熱伝導性を有する微粒子材料、及び架橋剤を含む溶液を、親水性ポリマーを架橋させてヒドロゲルを形成するのに有効な条件下で混合することを含み、微粒子材料が、ヒドロゲル上又はヒドロゲル内に散在している、プロセスが提供される。
【0021】
別の関連する態様では、上記のヒドロゲルを調製するためのプロセスであって、親水性ポリマー及び架橋剤を含む溶液を、親水性ポリマーを架橋させてヒドロゲルを形成するのに有効な条件下で混合することを含み、プロセスが、ヒドロゲルを微粒子材料と、微粒子材料をヒドロゲル上又はヒドロゲル内に散在させるのに有効な条件下で接触させることを含む、プロセスが提供される。
【0022】
一実施形態では、プロセスは、ヒドロゲルを粉砕/破砕して微粒子を形成することを更に含む。更なる実施形態では、ヒドロゲルは、熱伝導性微粒子材料と接触する前に粉砕/破砕される。
【0023】
別の態様では、上記のヒドロゲルを調製するためのプロセスであって、親水性ポリマー及び架橋剤を含む溶液を、親水性ポリマーを架橋させてヒドロゲルを形成するのに有効な条件下で混合することを含み、プロセスが、熱伝導性を有する微粒子材料を親水性ポリマー及び架橋剤と混合すること、又はヒドロゲルを微粒子材料と、微粒子材料をヒドロゲル上若しくはヒドロゲル内に散在させるのに有効な条件下で接触させることを含み、プロセスが、ヒドロゲルを粉砕/破砕して微粒子を形成することを更に含む、プロセスが提供される。
【0024】
別の態様では、気体流又は大気から酸性ガスを除去するための方法であって、気体流又は大気を、本明細書に記載のヒドロゲルと接触させて、気体流又は大気から酸性ガスの少なくとも一部をヒドロゲル内に吸収することを含む、方法が提供される。
【0025】
一実施形態では、気体流又は大気は、燃焼煙道ガス、炭化水素ガス混合物、セメント又は鉄鋼生産からの排出物、バイオガス、及び周囲空気からなる群から選択される。一実施形態では、酸性ガスは、二酸化炭素(CO2)又は硫化水素(H2S)である。一実施形態では、気体流又は大気は、炭化水素ガスである。一実施形態では、気体流又は大気は、低CO2濃度の気体流又は大気である。
【0026】
一実施形態では、方法は、吸収された酸性ガスをヒドロゲルから脱着する再生回収方法を更に含む含む。更なる実施形態では、再生回収方法は、ヒドロゲルを加熱して、吸収された酸性ガスをヒドロゲルから脱着させることを含む。ヒドロゲルを加熱することによって、ヒドロゲル上又はヒドロゲル内に散在する熱伝導性微粒子材料は、より効率的な再生及びより低い温度と言い換えることができる、熱伝達速度の増加が可能である。熱伝導性粒子はまた、ヒドロゲルの機械的特性を改善し、圧縮を防止するのに役立ち得る。本明細書に記載のいくつかの実施形態又は実施例によれば、熱伝導性粒子は、ヒドロゲルが1回以上の吸収及び脱着サイクル中に、より効率的に熱平衡に達することを可能にする。
【0027】
一実施形態では、方法は、ヒドロゲルを囲むチャンバを設けることと、気体流又は大気の流れをチャンバに通過させ、ヒドロゲルを接触させて、酸性ガスの少なくとも一部をヒドロゲル内に吸収することと、任意に、吸収された酸性ガスをヒドロゲルから脱着させるのに有効な温度までヒドロゲルを加熱することと、任意に、脱着された酸性ガスをチャンバから取り除くことと、を含む。
【0028】
別の態様では、本明細書に記載されるように、気体流又は大気から酸性ガスを捕捉するためのヒドロゲルを囲むチャンバを備える、酸性ガス除去装置であって、チャンバが、気体流又は大気をヒドロゲルと接触させて、酸性ガスの少なくとも一部をヒドロゲル内に吸収する、酸性ガス除去装置が提供される。
【0029】
一実施形態では、チャンバは、気体流又は大気がヒドロゲルに流れることができる入口と、流出気体流又は大気がヒドロゲルから流れ出ることができる出口と、を備える。
【0030】
ヒドロゲルについて本明細書に記載の実施形態及び実施例のうちのいずれか1つ以上は、本明細書に記載のヒドロゲルを調製するためのプロセス、気体流若しくは大気から酸性ガスを除去するための方法、及び/又は装置にも適用することができることが理解されるであろう。本明細書におけるいかなる実施形態も、別段の記載がない限り、任意の他の実施形態に準用されるものとみなされる。また、ヒドロゲル、プロセス、方法、及び/又は装置の他の態様、実施形態、及び実施例が本明細書に記載されていることも理解されるであろう。
【0031】
また、本明細書に記載のいくつかの態様、実施形態、又は実施例において同定されるヒドロゲル、プロセス、方法、及び/又は装置のいくつかの特徴は、本明細書に記載の全ての態様、実施形態、又は実施例において必要とされない場合があり、本明細書は、この文脈で閲読されることが理解されるであろう。また、様々な態様、実施形態又は実施例において、方法又はプロセスステップの順序は、重要ではない場合があり、変化し得ることも理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0032】
本開示の実施形態は、添付の図面を参照して、例示のためにのみ、次のように更に説明及び図示される。
【0033】
【
図1A】熱伝導性粒子が、破砕前の親水性ポリマーの架橋中に、又は破砕後のヒドロゲル粒子に添加された、1つ以上の実施形態による熱伝導性微粒子材料を含むヒドロゲルの製造及び構造の図。
【
図1B】ヒドロゲル上又はヒドロゲル内に散在する熱伝導性微粒子材料を含む(右側、黒)か、又は熱伝導性微粒子材料を含まない(左側、白)、ヒドロゲル粒子の写真。
【
図2】熱伝導性ヒドロゲルのDAC性能を評価するための実験設定の概略図。1.エアコンプレッサ 2.ガス圧力計 3.マスフローコントローラ 4.バブラ 5.サンプルカラム 6.同位体分析装置。
【
図3】相対的に大規模でのDAC性能を評価するための実験設定。
【
図4】グラファイトを含まない(上)、グラファイトを含む(中央)を含むPEIヒドロゲル、及びグラファイトを含む再生ヒドロゲル(下)のカラムに通して空気を流すことによる、CO
2吸着曲線。
【
図5】本開示のいくつかの実施形態による、気体流又は大気から酸性ガスを捕捉するための方法を実施するための装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本開示は、ヒドロゲルを開発するために行われる調査、及びヒドロゲルを使用して気体流から酸性ガスを除去するための方法に関する、以下の様々な非限定的な実施形態について記載する。
【0035】
用語
以下の説明では、本明細書の一部を形成し、例示としていくつかの実施形態が示されている添付の図面が参照される。他の実施形態が利用され得、本開示の範囲から逸脱することなく構造的変更が行われ得ることが理解される。
【0036】
本明細書に提供される定義に関して、別段の記載がない限り、又は文脈から暗示されない限り、定義された用語及び語句は、提供された意味を含む。明示的に別段の記載がない限り、又は文脈から明らかでない限り、以下の用語及び語句は、用語又は語句が当該技術分野の当業者によって取得された意味を排除するものではない。定義は、特定の実施形態を説明するのを助けるために提供されるのであって、本発明の範囲が特許請求の範囲によってのみ限定されるため、特許請求される発明を限定することを意図するものではない。更に、文脈上別段の要求がない限り、単数形の用語は複数形を含むものとし、複数形の用語は単数形を含むものとする。
【0037】
本明細書で考察及び/又は参照される全ての刊行物は、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0038】
本明細書に含まれる文書、行為、材料、デバイス、物品などのいかなる考察も、本開示の文脈を提供することのみを目的とする。これらの事項のいずれか若しくは全てが、本出願の各請求項の優先日以前に存在していたことから、先行技術基盤の一部を形成すること、又は本開示に関連する分野における共通の一般知識であったことを認めるものと解釈されるべきではない。
【0039】
本開示全体を通して、特に別段の明記がない限り、又は文脈が別段要求しない限り、単一のステップ、組成物(composition of matter)、ステップの群又は組成物の群への言及は、それらのステップ、組成物、ステップの群又は組成物の群のうちの1つ及び複数(すなわち1つ以上)を包含するものとみなされる。したがって、本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈上明らかに別段の指示がない限り、複数の態様を含む。例えば、「a」への言及は、単一及び2つ以上を含み、「an」への言及は、単一及び2つ以上を含み、「the」への言及は、単一及び2つ以上を含むなどである。
【0040】
当業者であれば、本明細書の開示が、具体的に記載されたもの以外の変形及び修正の余地があることを理解するであろう。本開示は、そのような全ての変形及び修正を含むことを理解されたい。本開示はまた、本明細書において個々に又は集合的に言及されるか又は示される、実施例、ステップ、特徴、方法、ヒドロゲル、プロセス、及び組成物の全て、並びに当該ステップ又は特徴のうちのいずれか及び全ての組み合わせ又は任意の2つ以上を含む。
【0041】
「及び/又は」、例えば、「X及び/又はY」という用語は、「X及びY」又は「X又はY」のいずれかを意味するものと理解され、両方の意味又はいずれかの意味に対する明示的な裏付けを提供するとみなされる。
【0042】
別段の指示がない限り、「第1の」、「第2の」などの用語は、本明細書では単にラベルとして使用され、これらの用語が指す項目に順序的、位置的、又は階層的な要件を課すことを意図するものではない。更に、「第2の」項目への言及は、下位の番号の項目(例えば、「第1の」項目)及び/又は上位の番号の項目(例えば、「第3の」項目)の存在を要求又は排除しない。
【0043】
本明細書で使用される場合、「のうちの少なくとも1つ」という語句は、項目のリストとともに使用されるとき、リストされた項目のうちの1つ以上の異なる組み合わせが使用され得、リスト内の項目のうちの1つだけが必要とされ得ることを意味する。項目は、特定の対象、物、又はカテゴリであり得る。言い換えれば、「のうちの少なくとも1つ」とは、リストから項目の任意の組み合わせ又は項目の個数が使用され得ることを意味するが、リスト内の全ての項目が必要とされ得るわけではない。例えば、「項目A、項目B、及び項目Cのうちの少なくとも1つ」とは、項目A、項目A及び項目B、項目B、項目A、項目B、及び項目C、又は項目B及び項目Cを意味し得る。場合によっては、「項目A、項目B、及び項目Cのうちの少なくとも1つ」とは、例えば、限定されないが、項目Aのうちの2つ、項目Bのうちの1つ、及び項目Cのうちの10、項目Bのうちの4つ、及び項目Cのうちの7つ、又はいくつかの他の好適な組み合わせを意味し得る。
【0044】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、別段反対の記載がない限り、典型的には、指定された値の+/-10%、例えば、+/-5%を指す。
【0045】
明確にするために、別個の実施形態に関連して本明細書に記載されるある特定の特徴も、単一の実施形態において組み合わせて提供され得ることを理解されたい。逆に、簡潔にするために、単一の実施形態に関連して記載される様々な特徴も、別個に、又は任意の下位組み合わせで提供され得る。
【0046】
本明細書全体を通して、本発明の様々な態様及び構成要素を範囲形式で提示することができる。範囲形式は便宜上含まれており、本発明の範囲を無闇に限定するものとして解釈されるべきではない。したがって、範囲の説明は、別段の具体的に示されない限り、その範囲内の個々の数値だけでなく、全ての可能な部分範囲も具体的に開示したとみなされるべきである。例えば、1~5などの範囲の説明は、別段整数が必要ではない場合、又は文脈から暗に示されない限り、1~3、1~4、1~5、2~4、2~5、3~5などの具体的に開示された部分範囲、並びに列挙された範囲内の個々の及び部分的な数値、例えば、1、2、3、4、4.5、又は5を有するとみなされるべきである。これは、開示された範囲の広さに関係なく適用される。具体的な値が必要な場合は、これらは明細書に示される。
【0047】
本明細書全体を通して、「含む(comprise)」という語、又は「含む(comprises)」若しくは「含む(comprising)」などの変化形は、記載された要素、整数若しくはステップ、又は要素、整数若しくはステップの群を含むことを意味するが、任意の他の要素、整数若しくはステップ、又は要素、整数若しくはステップの群の除外を意味しないと理解される。
【0048】
「実質的に含まない」との言及は、概して、存在する可能性のある任意の微量又は不純物を除き、ヒドロゲル、気体流又は大気中にその化合物又は成分が存在しないことを指し、例えば、これは、全ヒドロゲル、気体流又は大気中、約1%、0.1%、0.01%、0.001%、又は0.0001%未満の重量%の量であり得る。本明細書に記載されるヒドロゲル、気体流又は大気はまた、例えば、全組成物、気体流又は大気中、約5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%、0.01%、0.001%、又は0.0001%未満の重量%の量の不純物を含み得る。例えば、これは、全気体流又は大気中、約5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%、0.01%、0.001%、又は0.0001%未満の体積%の量であり得る。例えば、本明細書に記載される気体流又は大気はまた、例えば、全気体流中、約5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%、0.01%、0.001%、又は0.0001%未満の体積%の量の不純物を含み得る。そのような不純物の例は、0.0005体積%未満の量で存在する、空気中に存在し得るメタン(CH4)の量である。
【0049】
「アルキル」又は「アルキレン」という用語は、直鎖、分岐、及び環式アルキル基を含み、非置換及び置換アルキル基の両方を含む。一例では、アルキル基は直鎖及び/又は分岐であり、1~3つの環式アルキル基によって任意に中断されている。別段の指示がない限り、アルキル基は、典型的には1~30個の炭素原子を含有する。アルキル基は、例えば、1~20、1~15、1~12、1~10、又は1~8個の炭素原子を含有し得る。本明細書で使用される「アルキル」の例としては、メチル、エチル、n-プロピル。n-ブチル、n-ペンチル、イソブチル、t-ブチル、イソプロピル、n-オクチル、n-ヘプチル、エチルヘキシル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、アダマンチル、及びノルボルニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。別段の定めがない限り、アルキル基は、一価又は多価であり得る。アルキル基は、1個以上のヘテロ原子によって任意に置換及び/又は任意に中断され得る。アルキル基は、二価又は多価の連結基としての使用に関して「-アルキル-」と称され得る。
【0050】
「シクロアルキル」という用語は、約3~約30個の炭素原子の単環式、二環式、又は三環式の炭素環式環系、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、又はシクロヘプチルを表す。シクロアルキル基は、二価又は多価の連結基としての使用に関して「-シクロアルキル-」と称され得る。
【0051】
「ヘテロアルキル」という用語は、1個以上のヘテロ原子を含み、例えば、アルキル基が1個以上の(例えば、1~5個又は1~3つ個)ヘテロ原子で中断されている、上記で定義されるアルキル基を表す。ヘテロ原子は、O、N、S、又はSiを含み得ることが理解されるであろう。一例では、ヘテロ原子はOである。ヘテロアルキル基は、二価又は多価の連結基としての使用に関して「-ヘテロアルキル-」と称され得る。
【0052】
単独で使用されるか、又はアリールアルキルなどの複合語で使用されるかにかかわらず、「アリール」という用語は、(i)フェニル、ナフチル、若しくはトリフェニルなどの約6~約30個の炭素原子の任意に置換された単環式、二環式、若しくは三環式の芳香族炭素環式部分、又は(ii)アリール基とシクロアルキル基又はシクロアルケニル基とが一緒に縮合してテトラヒドロナフチル環などの環式構造を形成する、任意に置換された部分飽和二環式炭素環式芳香族環系を表す。アリール基は、二価又は多価の連結基としての使用に関して「-アリール-」と称され得る。
【0053】
「アリールアルキル」という用語は、-R-アリール基を表し、式中、R基が、アルキル基であり、アルキル基及びアリール基が、各々上記で定義されている。アリールアルキル基は、二価又は多価の連結基としての使用に関して「-アリールアルキル-」と称され得る。
【0054】
「ヘテロアリールアルキル」という用語は、-R-アリール基を表し、式中、R基が、アルキル基であり、アルキル基及びアリール基が、各々上記で定義されており、1個以上のヘテロ原子によって中断されており、本明細書に記載されるように任意に置換されている。ヘテロアリールアルキル基は、二価又は多価の連結基としての使用に関して「-ヘテロアリールアルキル-」と称され得る。
【0055】
本明細書で使用される場合、「ハロ」又は「ハロゲン」という用語は、単独で用いられるか、又はハロアルキルなどの複合語で用いられるかにかかわらず、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素を意味する。
【0056】
本明細書で使用される場合、「ハロアルキル」という用語は、少なくとも1つのハロゲン置換基を有するアルキル基を意味し、「アルキル」及び「ハロゲン」という用語は、上記で概説した意味を有すると理解される。同様に、「モノハロアルキル」という用語は、単一のハロゲン置換基を有するアルキル基を意味し、「ジハロアルキル」という用語は、2つのハロゲン置換基を有するアルキル基を意味し、「トリハロアルキル」という用語は、3つのハロゲン置換基を有するアルキル基を意味する。モノハロアルキル基の例としては、フルオロメチル基、クロロメチル基、ブロモメチル基、フルオロメチル基、フルオロプロピル基及びフルオロブチル基が挙げられ、ジハロアルキル基の例としては、ジフルオロメチル基及びジフルオロエチル基が挙げられ、トリハロアルキル基の例としては、トリフルオロメチル基及びトリフルオロエチル基が挙げられる。
【0057】
本明細書で使用される場合、「ヒドロキシル」という用語は、-OH部分を表す。
【0058】
本明細書で使用される場合、「カルボキシル」という用語は、C=O部分を表す。
【0059】
本明細書で使用される場合、「カルボン酸」という用語は、-CO2H部分を表す。
【0060】
本明細書で使用される場合、「ニトロ」という用語は、-NO2部分を表す。
【0061】
本明細書で使用される場合、「アルカノールアミン」という用語は、アルカン骨格上にヒドロキシル(-OH)及びアミノ(例えば、一級-NH2、二級-NHR、及び/又は-三級-NR2)官能基の両方を含有する化合的化合物を表す。
【0062】
本明細書で使用される場合、「ポリアミン」という用語は、2つ以上のアミン官能基(例えば、一級-NH2、二級-NHR、及び/又は三級-NR2アミン)を有する化合物を表す。
【0063】
「ポリアルキレンイミン(polyalkylenimine)」という用語は、1個以上のH原子が、アミノ(例えば、一級-NH2、二級-NHR、及び/又は三級-NR2)官能基で置換され、そのコポリマー又は誘導体を含む、アルキレン骨格を含む化合物を表す。
【0064】
「ポリアクリルアミド」という用語は、2つ以上のアクリルアミドモノマーを含むポリマーを表し、そのコポリマー又は誘導体、例えば、ポリ(アクリルアミド-アクリル酸)が挙げられる。
【0065】
「アクリルアミド」という用語は、化学式CH2=CHCNH2を有する化合物を表し、その誘導体、例えばメタクリルアミドを含む。
【0066】
「アクリル酸」という用語は、式CH2=CHCOOHを有する化合物を表し、その誘導体、例えばメタクリル酸を含む。
【0067】
「ポリアクリル酸」という用語は、2つ以上のアクリル酸モノマーを含むポリマーを表し、そのコポリマー又は誘導体、例えば、ポリ(メタクリル酸)が挙げられる。
【0068】
「アクリレート」という用語は、アクリル酸の塩、エステル、又は共役塩基を表す。アクリレートイオンは、アニオンCH2=CHCOO-である。例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸カリウム及びアクリル酸ナトリウム、並びにメタクリル酸メチルが挙げられる。
【0069】
「ポリアクリレート」という用語は、2つ以上のアクリレートモノマーを含むポリマーを表し、そのコポリマー又は誘導体、例えば、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)を含む。
【0070】
「グリコール」という用語は、2個以上のヒドロキシル(-OH)基を含む化合物のクラスを表し、ヒドロキシル基は異なる炭素原子に結合している。
【0071】
「ポリオール」という用語は、2つ以上のヒドロキシル(-OH)基を含有する化合物を表す。
【0072】
「ピペリジン」という用語は、式(CH2)5NHを有する化合物を表す。
【0073】
「任意に置換された」という用語は、官能基が任意の利用可能な位置で置換又は非置換のいずれかであることを意味する。上又は本明細書で言及される「置換された」という用語は、限定されないが、ハロゲン、ヒドロキシル、アミン、エポキシド、ニトロ、カルボキシル、カルボン酸などの基又は部分を含み得る。
【0074】
「任意に中断された」という用語は、アルキル鎖などの鎖が、例えば、ヘテロアルキル基を提供するために、鎖内の任意の位置で、アミン、エポキシド、カルボキシル、カルボン酸、及び/又はN、S、Si、又はOなどの1個以上のヘテロ原子などの1つ以上(例えば、1~3個)の官能基によって中断され得ることを意味する。一例では、「任意に中断された」とは、アルキル鎖などの鎖が、N、S、又はOなどの1個以上(例えば、1~3個)のヘテロ原子によって中断されていることを意味する。
【0075】
ヒドロゲル
いくつかの実施形態では、本開示は、架橋された親水性ポリマーと、熱伝導性微粒子材料と、を含む、酸性ガスを捕捉するためのヒドロゲルであって、熱伝導性微粒子材料が、ヒドロゲル上又はヒドロゲル内に散在しており、ヒドロゲルが、微粒子の形態にあり、1つ以上の酸性ガス吸収剤を組み込む、ヒドロゲルを提供する。一実施形態では、少なくとも1つの酸性ガス吸収剤は、酸性ガスに結合するための架橋された親水性ポリマー上の1つ以上の反応性官能基としてヒドロゲル内に組み込まれるか、又は少なくとも1つの酸性ガス吸収剤は、ヒドロゲル内に吸収された液体膨潤剤の一部としてヒドロゲル内に組み込まれる。
【0076】
「ヒドロゲル」という用語は、個々の親水性ポリマー鎖の化学的又は物理的架橋に起因して構造を維持しながら、膨潤し、大量の水及び他の液体を保持することができる、架橋された親水性ポリマーの3次元(3D)固体ネットワークを指す。ヒドロゲルは、架橋された親水性ポリマーを含む。吸収された水/液体は、絞ることによって流体を除去することができる細孔に含まれるのではなく、水素結合によりヒドロゲルの架橋された親水性高分子マトリックスに取り込まれる。ゼオライト又は金属有機構造体(MOF)などの他のより複雑な無機足場及び担体とは異なり、溶媒を除去した後、ヒドロゲルは測定可能な乾燥状態多孔性を保持しない。
【0077】
一実施形態では、ヒドロゲルは、低多孔性を有する。一実施形態では、ヒドロゲルは、測定可能な乾燥状態での多孔性を有さない。例えば、ヒドロゲルは、乾燥状態で本質的に非多孔質であり得る。液体膨潤剤で膨潤すると、ヒドロゲルは、初期の乾燥状態の細孔容積を超えて膨潤し得る。結果として、膨潤したヒドロゲルの多孔性が増加する(すなわち、ヒドロゲルは、「液体」に基づく多孔性を有する)。本明細書に記載のいくつかの実施形態又は実施例によれば、液体で膨潤すると、ヒドロゲル内に液体のマイクロチャネルが作製され、酸性ガス拡散距離の顕著な低減が生じ、吸着剤取り込み速度/効率の向上を可能にし、改善された性能を生じる。(例えば、凍結乾燥によって)ヒドロゲルから液体が除去された場合、ヒドロゲルは、測定可能な乾燥状態の多孔性を保持しない。対照的に、シリカ支持体は、液体を取り込むが、乾燥状態の細孔容積を超えて膨潤しない。
【0078】
ヒドロゲルは、弾性係数によって特徴付けられ得る。例えば、ヒドロゲルは、約0.1Pa~約12,000Paの弾性係数を有し得る。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルの弾性係数は、少なくとも約0.1、10、30、50、100、200、500、1,000、2,000、5,000、8,000、10,000、又は12,000Paであり得る。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルの弾性係数は、約12,000、10,000、8,000、5,000、2,000、1,000、500、200、100、50、30、10、又は0.1Pa未満であり得る。様々な範囲を形成するこれらの弾性係数値の組み合わせも可能であり、例えば、ヒドロゲルの弾性係数は、約100Pa~約5,000Paであり得る。ヒドロゲルは、約2,000~約5,000の弾性係数を有し得る。他の実施形態では、ヒドロゲルの弾性係数は、少なくとも約0.1、10、30、50、又は100Paであり得る。様々な実施形態では、ヒドロゲルの弾性係数は、約12,000、10,000、8000、又は6000Pa未満であり得る。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルの弾性係数は、約0.2Pa~約12000Pa、約0.2Pa~約10000Pa、約0.2Pa~約5000Pa、約1Pa~約12000Pa、又は約1Pa~約10,000Paであり得る。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルの弾性係数は、約10Pa~約12000Pa、約10Pa~約10,000Pa、又は約100Pa~約10,000Paであり得る。他の実施形態では、ヒドロゲルの弾性係数は、約0.1Pa~約10,000Pa、約0.1Pa~約5000Pa、約0.1Pa~約1000Pa、約1Pa~約12,000Pa、約1Pa~約10,000Pa、約100Pa~約12,000Pa、約500Pa~約12000Pa、又は約1000Pa~約12,000Paであり得る。他の実施形態では、ヒドロゲルの弾性係数は、約1Pa~約5000Pa、約10Pa~約5000Pa、又は約100Pa~約5000Paであり得る。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルの弾性係数は、約9,000、5,000、又は4000Pa未満である。
【0079】
弾性係数は、レオメータ、例えば、HR-3 Discovery Hybrid Rheometer(TA Instruments社製)を使用することを含む、いくつかの好適な技術によって判定され得る。レオメータを使用して、剪断応力又は剪断歪みを制御し、かつ/又は引張応力又は引張歪みを適用し、それによって、その弾性率を含むヒドロゲルの機械的特性を判定することができる。
【0080】
ヒドロゲルは、約0.1~50m2/g、約25m2/g、又は2~10m2/gの表面積を有し得る。表面積(m2/g単位)は、少なくとも約0.1、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、又は45であり得る。表面積(m2/g単位)は、約50、45、40、35、30、25、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1未満であり得る。表面積は、これらの上限値及び/又は下限値のうちのいずれか2つによって提供される範囲内であり得る。表面積は、湿った状態又は乾燥した状態でヒドロゲルに提供され得る。表面積は、粒径に依存することが理解されるであろう。表面積は、顕微鏡による窒素又は粒径分析によるガス吸着を使用して測定することができる。
【0081】
ヒドロゲルは、幅広い形態で提供され得る。好適な形態の例示的な例としては、粒子、ビーズ、シート/層、キャストブロック、シリンダ、ディスク、多孔質膜、及びモノリスが挙げられ得る。例えば、ヒドロゲルは、フィルム/コーティング層、例えば、気体流が層の上に又は層を通って流れるゲル層として提供され得る。そのような層は、圧延されたシートとして提供され得る。代替的に、ヒドロゲル層は、複数の多孔質チャネルを含むモノリスとして提供され得、そこを気体流が通って流れる。他の層又はコーティングの形態及び幾何学形状もまた、適用可能である。
【0082】
一実施形態では、ヒドロゲルは、複数の粒子を含み得る、すなわち、ヒドロゲルは、微粒子の形態にある。「粒子」又は「微粒子」という用語は、別個の固体単位の形態を指す。この単位は、フレーク、繊維、凝集体、顆粒、粉末、球、粉砕された材料など、並びにそれらの組み合わせの形態をとり得る。粒子は、立方体、棒状、多面体、球形又は半球形、円形又は半円形、角形、不規則形などを含むが、これらに限定されない任意の所望の形状を有してもよい。粒子形態は、光学顕微鏡などの任意の好適な手段によって判定され得る。一実施形態では、ヒドロゲルは、複数の球形又は実質的に球形のビーズを含み得る。
【0083】
ヒドロゲル粒子は、任意の好適なサイズ及び/又は形状及び/又は形態であり得る。球状ヒドロゲル粒子の場合、粒径は、粒子の直径である。非球状ヒドロゲル粒子の場合、粒径は、粒子の最長断面寸法である。いくつかの実施形態では、ヒドロゲル粒子は、約0.01μm~約10,000μm、例えば、約0.1μm~約5000μmの範囲の粒径を有し得る。ヒドロゲル粒子は、少なくとも約0.01、0.1、1、10、20、50、100、200、300、400、500、700、1000、1500、2000、5000、7000、又は10、000μmの粒径を有し得る。他の実施形態では、ヒドロゲル粒子は、約10,000、7000、5000、2000、1500、1000、700、500、400、300、200、100、50、20、10、1、0.1、又は0.01μm未満の粒径を有し得る。様々な範囲を形成するこれらの粒径値の組み合わせも可能であり、例えば、ヒドロゲル粒子は、約0.1μm~約10,000μm、約1μm~約2000μm、約10μm~約2000μm、約10μm~約500μm、約100μm~約400μm、例えば約200μm~約300μmの粒径を有し得る。
【0084】
ヒドロゲル粒子は、約0.01μm~約5000μmの粒径(D50)を有し得る。ヒドロゲル粒子は、少なくとも約0.01、0.1、1、10、20、50、100、200、300、400、500、700、1000、1500、2000、又は5000μmの粒径(D50)を有し得る。ヒドロゲル粒子は、約5000、2000、1500、1000、700、500、400、300、200、100、50、20、10、1、0.1、又は0.01μm未満の粒径(D50)を有し得る。様々な範囲を形成するこれらのD50粒径値の組み合わせも可能であり、例えば、ヒドロゲル粒子は、約0.1μm~約2000μm又は約10μm~約500μmの粒径(D50)を有し得る。D50粒径は、粒子の50体積%が、d50粒径未満のサイズを有する粒子中に存在するように定義される。
【0085】
粒径は、電子顕微鏡法(SEM又はTEM)、動的光散乱法、光学顕微鏡法、又はサイズ排除法(段階状のふるい分けなど)などの、当業者に既知の任意の手段によって判定することができる。ヒドロゲル粒子は、制御された粒径を有し得、例えば、気体流及び/又は湿った若しくは乾燥した環境と接触している間、異なる環境及び剪断条件の範囲でその形態を維持することができる。
【0086】
一実施形態では、ヒドロゲルは、自立型(self-supporting)であり得る。本明細書で使用される「自立型」という用語は、多孔質シリカ、ゼオライト、又は金属有機構造体(MOF)などの支持体材料(例えば、足場)の不在下でその形態を維持するヒドロゲルの能力を指す。例えば、ヒドロゲルは、複数の粒子を含み得、粒子は、骨格足場の不在下でその形態を維持する。ヒドロゲルの自立型の性質は、ある特定の利点を提供し得、例えば、流動床反応器を使用してヒドロゲルの粒子が気体流と接触することを可能にする。したがって、一実施形態では、ヒドロゲルは、別個の担体構造、例えば別個の多孔質担体構造を含まない。これは、例えば、液体膨潤剤で膨潤すると、ヒドロゲル自体が本質的に多孔質であることを妨げない。したがって、ヒドロゲルが「自立型」である場合、ヒドロゲルに外因性の支持体材料(例えば、足場)が存在しないことが理解されるであろう。
【0087】
関連する実施形態では、ヒドロゲル粒子は、流動性であり(すなわち、乾燥した粉末状の特性を呈し)、過度に粘着性又は剛性であることなく、緩い微粒子として流れること可能である。有利には、ヒドロゲル粒子は、乾燥した自由流動性粉末の形態のままである、すなわち、酸性ガスが吸収された場合でさえも、液体膨潤剤(存在する場合)が粒子の外側に実質的に逃げることがない。ヒドロゲル微粒子は、典型的には、乾燥した自由流動性粉末であるので、吸収中に大量の液相は存在しない。ヒドロゲル粒子の自由流動的な性質は、ある特定の利点を提供し得、例えば、流動床反応器を使用しながら、ヒドロゲル粒子が気体流又は大気と接触することを可能にする。
【0088】
いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、カラム内の層として提供され得、気体流又は大気は、カラムを通って流れ、ヒドロゲル層を通過する。この層は、任意の特定のヒドロゲル形態に限定されない。一例では、好適なカラムを複数のヒドロゲル粒子で充填して、隣接する粒子間に十分な間隙空間を有する充填床を形成し、そこを通るガスの流れを可能にし得る。代替的に、ヒドロゲルは、気体流とともに流れて提供され得る(例えば、流動床反応器)。
【0089】
いくつかの実施形態又は実施例では、ヒドロゲルは、基材上のコーティング組成物として提供され得る。いくつかの実施形態又は実施例では、基材は、平面状、例えば平面シートであり得る。特定の例では、基材は、可撓性シートであり得る。平面基材は、ヒドロゲルコーティング組成物を適用することができる両側要素を提供する。各基材は、対向する2つ面にヒドロゲルコーティング組成物がコーティングされ得る。平面基材は、任意の構成を有し得る。いくつかの実施形態又は実施例では、平面基材は、平坦な固体表面を含み得る。他の実施形態又は実施例では、平面基材は、基材を通り、その周囲を流れるガスの流れを補助するように設計された1つ以上の開口部を含み得る。特定の実施形態又は実施例では、基材は、メッシュ、例えば、マイクロワイヤメッシュを含み得る。メッシュの使用は、多数の開口部(例えば、マイクロサイズの開口部)を提供し、それによって、ヒドロゲルコーティング組成物を適用することができる高い表面積を提供する一方で、他の構成、例えば、充填された床と比較して(メッシュのサイズ及び構成に対して)基材を横切る適度に低い圧力降下を有する好適な流路も提供する。ヒドロゲルは、複数の粒子へと粉砕/破砕され得る。
【0090】
液体膨潤剤
ヒドロゲルは、その質量に対して大量の液体膨潤剤(水又は非水性溶媒など)を吸収し、保持することが可能である。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、流体中で自重の少なくとも5倍~流体中で自重の最大300倍を吸収することが可能である。ヒドロゲル内の表面積は、ヒドロゲルの膨潤の程度に応じて増加し得る。例えば、ヒドロゲルは、液体膨潤剤(水又はアルカノールアミンなど)を含み得、液体膨潤剤は、親水性ポリマー上及び/又は液体膨潤剤上の反応性官能基への酸性ガス(例えば、CO2又はH2S)のアクセス性を増加させることができる液体で孔が充填されているより開放的な可動構造へと、ヒドロゲルの親水性ポリマーネットワークを膨潤させる。ヒドロゲルはまた、膨潤能(時折、最大膨潤能と称される)を有し、これは本質的に、ヒドロゲルの膨潤限界を定義する。
【0091】
上に論じられるように、ヒドロゲルは、ある膨潤能を有することができる(すなわち、液体を吸収することが可能である)。膨潤能を判定するための典型的な方法は、既知の重量の乾燥ヒドロゲルを採取し、指定された期間の間(典型的には48時間)、過剰な液体中で膨潤させることによる。その後、過剰な液体を濾過によって除去し、ヒドロゲル重量を記録して膨潤率を判定する。例として、ヒドロゲルの膨潤能を判定するために、乾燥ヒドロゲルの既知の質量(g)を室温で48時間液体膨潤剤(水など)に分散させ、その後、吸収されなかった遊離液体を全て除去し、膨潤したヒドロゲルを計量する。ヒドロゲルの乾燥状態と膨潤状態との間の質量差は、吸収された液体の量に対応し、次いで、ヒドロゲル1グラム当たりの液体グラム数(g/g)として計算される。
【0092】
いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、少なくとも約1、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、150、又は200g/gの膨潤能を有し得る。他の実施形態では、ヒドロゲルは、約200、150、100、90、80、70、60、50、40、30、20、10、5、又は1g/g未満の膨潤能を有し得る。様々な範囲を形成するこれらの膨潤能値の組み合わせも可能であり、例えば、ヒドロゲルは、約20g/g~約100g/gの膨潤能を有し得る。膨潤能は、パーセンテージとして提供することもでき、例えば、0.5g/gの膨潤能は、50%に相当する(すなわち、ヒドロゲルは、50%膨潤する)。
【0093】
ヒドロゲルの膨潤能は、液体膨潤剤に応じて変化し得る。例えば、ヒドロゲルは、液体膨潤剤としてのグリセロールと比較して、液体膨潤剤としての水とは異なる膨潤能を有し得る。例えば、ヒドロゲルは、約1g/g~約200g/g、例えば、約20g/g~約200g/gの水の膨潤能を有し得る。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、少なくとも約1、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、150、又は200g/gの水の膨潤能を有し得る。他の実施形態では、ヒドロゲルは、約200、150、100、90、80、70、60、50、40、30、20、10、5、又は1g/g未満の水の膨潤能を有し得る。様々な範囲を形成するこれらの膨潤能の組み合わせも可能であり、例えば、ヒドロゲルは、約20g/g~約100g/gの水の膨潤能を有し得る。
【0094】
別の例では、ヒドロゲルは、約1g/g~約200g/g、例えば、約20g/g~約200g/gのグリセロールの膨潤能を有し得る。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、少なくとも約0.5、1、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、150、又は200g/gのグリセロールの膨潤能を有し得る。他の実施形態では、ヒドロゲルは、約200、150、100、90、80、70、60、50、40、30、20、10、5、1、又は0.5g/g未満のグリセロールの膨潤能を有し得る。様々な範囲を形成するこれらの膨潤能値の組み合わせも可能であり、例えば、ヒドロゲルは、約1g/g~約200g/g、又は約20g/g~約100g/gのグリセロールの膨潤能を有し得る。膨潤能は、パーセンテージとして提供することもでき、例えば、0.5g/gの膨潤能は、50%に相当する(すなわち、ヒドロゲルは、50%膨潤する)。
【0095】
いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、液体膨潤剤でヒドロゲル膨潤能の約60%~約99%まで膨潤する。例えば、ヒドロゲルは、ヒドロゲル膨潤能の少なくとも約60%、70%、80%、90%、95%、98%、又は99%まで膨潤し得る。ヒドロゲルは、ヒドロゲル膨潤能の約99、98、95、90、80、70、又は60%未満まで膨潤し得る。様々な範囲を形成するこれらの%値の組み合わせも可能であり、例えば、ヒドロゲルは、ヒドロゲル膨潤能の約70%~約98%、例えば、ヒドロゲル膨潤能の約80%~約95%まで膨潤し得る。
【0096】
一実施形態では、ヒドロゲル内に吸収される液体膨潤剤の量は、ヒドロゲルの膨潤能を超えない。いくつかの実施形態又は実施例によれば、ヒドロゲルの膨潤能力を超えない、及び/又はそれ以下で動作することによって、ヒドロゲルは、「乾燥」及び「粉末状」の特徴を呈し、その中に吸収された液体膨潤剤の存在下でさえも、微粒子形態の場合、流れることが可能である。吸収された液体の量、及び使用中にも吸収され得る気体流からの任意の水分が、ほぼヒドロゲル膨潤能であるが、それを超えないことを確実にすることによって、各粒子内の液体の量は、ヒドロゲルの「乾燥」及び「粉末状」の特徴を保持しながら、増加した酸性ガス吸収を可能にするために最大化させることができる。
【0097】
ヒドロゲルは、膨潤し、吸収された液体膨潤剤をヒドロゲル内に保持することが可能である。ヒドロゲルは、膨潤することが可能であり得、ヒドロゲルの総重量(例えば、ヒドロゲル及びヒドロゲル内に吸収された任意の液体膨潤剤の重量)に基づいて、約0.5重量%~約99重量%の液体膨潤剤を保持することが可能であり得る。液体膨潤剤は、ヒドロゲル内の架橋された親水性ポリマーネットワークに強く若しくは弱く結合していてもよいか、又は結合していなくてもよい。ヒドロゲル中の液体膨潤剤の量は、ヒドロゲルの膨潤又は脱水の程度に応じて変化し得る。例えば、ヒドロゲルは、ヒドロゲルの総重量に基づいて、0.5重量%~約99重量%の液体膨潤剤を含み得る。
【0098】
いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、ヒドロゲルの総重量に基づいて、少なくとも約0.5、1、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、又は99重量%の液体膨潤剤を含み得る。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、ヒドロゲルの総重量に基づいて、約99、90、80、70、60、50、40、30、20、10、5、1、又は0.5重量%未満の液体膨潤剤を含み得る。様々な範囲を形成するこれらの重量%値の組み合わせも可能であり、例えば、ヒドロゲルは、ヒドロゲルの総重量に基づいて、約30重量%~約99重量%の液体膨潤剤、例えば、約40重量%~約99重量%の液体膨潤剤を含み得る。
【0099】
いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、ヒドロゲルの総重量に基づいて、約50重量%~約99重量%の液体膨潤剤を含む。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、ヒドロゲルの総重量に基づいて、少なくとも約50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、又は99重量%の液体膨潤剤を含む。他の実施形態では、ヒドロゲルは、ヒドロゲルtの総重量に基づいて、約99、95、90、85、80、75、70、65、60、55、又は55重量%未満の液体膨潤剤を含む。様々な範囲を形成するこれらの重量%値の組み合わせも可能であり、例えば、ヒドロゲルは、ヒドロゲルの総重量に基づいて、約85重量%~約98重量%の液体膨潤剤を含む。好適な液体膨潤剤が本明細書に記載される。
【0100】
いくつかの実施形態では、吸収された液体膨潤剤対ヒドロゲルの重量比%は、少なくとも約1:5、1:4、1:3、1:2、1:1、1.5:1、2:1、2:5:1、3:1、3.5:1、4:1、4.5:1、又は5:1であり得る。いくつかの実施形態では、吸収された液体膨潤剤対ヒドロゲルの重量比%は、約5:1、4.5:1、4:1、3.5:1、3:1、2.5:1、2:1、1.5:1、1:1、1:2、1:3、1:4、又は1:5未満であり得る。吸収された液体膨潤剤対ヒドロゲルの重量比%は、これらの上限値及び/又は下限値のうちのいずれか2つによって提供される範囲、例えば、約1:1~約5:1であり得る。いくつかの実施形態又は実施例によれば、この比は、ヒドロゲルの粉末状の「乾燥」特徴を維持しながら、酸性ガスを捕捉するための反応性官能基の量を最大化すること(例えば、親水性ポリマー上及び/又は液体膨潤剤上の反応性官能基への酸性ガス(例えば、CO2又はH2S)のアクセス性を増加させることができる液体で孔が充填されているより開放的な可動構造へと、ヒドロゲルの親水性ポリマーネットワークを膨潤させること)を含む、1つ以上の利点を提供することができ、これによって、微粒子形態にある場合、例えば、流体化床反応器内で流れることを可能にする。
【0101】
代替的に、ヒドロゲルは、吸収された液体膨潤剤の一部が除去又は蒸発される乾燥した又は脱水した状態にあり得る。乾燥ヒドロゲル(脱水ヒドロゲルとしても知られる)は、ヒドロゲルの総重量に基づいて、約0.01%~約20%の液体膨潤剤、例えば、ヒドロゲルの総重量に基づいて、約0.5重量%~約10重量%の液体膨潤剤を含み得る。
【0102】
一実施形態では、液体膨潤剤は、500g/mol未満の分子量を有する非ポリマー性液体である。そのような材料は、固体又は高粘度液体のいずれかであるので、多量のポリマー性液体膨潤剤をヒドロゲル中に充填することは困難である。更に、ヒドロゲル組成物中への酸性ガスの拡散は、ポリマー性液体膨潤剤の充填量が比較的低い場合でさえも、CO2吸収能を限定する。したがって、いくつかの実施形態では、液体膨潤剤の分子量は、500g/mol未満、好ましくは200g/mol未満である。
【0103】
液体膨潤剤は、低揮発性を有し得る。例えば、液体膨潤剤は、少なくとも約100、120、140、160、200、220、240、260、280、又は300℃の沸点を有し得る。液体膨潤剤は、約300、280、260、240、220、200、160、140、120、又は100℃未満の沸点を有し得る。様々な範囲を提供するこれらの沸点の組み合わせも可能であり、例えば、液体膨潤剤は、約100℃~約300℃の沸点を有する。液体膨潤剤の沸点は、液体膨潤剤に応じて変化し得、例えば、水は、約100℃の沸点を有し、グリセロールは、約290℃の沸点を有し、モノエチレングリコール(MEG)は、約198℃の沸点を有する。本明細書に記載の少なくともいくつかの実施形態又は実施例によれば、高沸点溶媒は、液体膨潤剤として溶解したものを含むヒドロゲルを再生(例えば、蒸気で加熱)して、捕捉された酸性ガス(例えば、CO2又はH2S)を除去した場合、溶媒の蒸発損失を低くすることができ、その結果、溶媒が蒸発する前に酸性ガスの選択的な除去を生じる。
【0104】
液体膨潤剤は、水、非水性溶媒、又はそれらの組み合わせであり得る。一実施形態では、液体膨潤剤は、非水性溶媒である。非水性溶媒は、極性溶媒であり得る。一実施形態では、液体膨潤剤は、酸性ガス(例えば、CO2又はH2S)に結合することが可能な1つ以上の官能基、例えば、アミンを含み得る。代替的に又は追加的に、液体膨潤剤は、酸性ガス(例えば、CO2又はH2S)の溶解を助けることができる基、例えば、ヒドロキシル基を含み得る。
【0105】
一実施形態では、少なくとも1つの酸性ガス吸収剤は、ヒドロゲル内に吸収される液体膨潤剤の一部としてヒドロゲル内に組み込まれる。例えば、液体膨潤剤は、ヒドロゲル内に少なくとも1つの酸性ガス吸収剤を組み込むための酸性ガス吸収剤を含む。一実施形態では、液体膨潤剤は、化学的プロセスによって酸性ガスに結合することが可能な1つ以上の官能基を含むか、又は物理的プロセスによって酸性ガスを吸収することが可能な液体である。
【0106】
一実施形態では、液体膨潤剤は、化学的プロセスによって、例えば、液体膨潤剤中に存在する1つ以上の官能基(例えば、アミン)を介して酸性ガスに結合することによって、酸性ガスに結合することが可能な1つ以上の官能基を含む。「化学的プロセスによって」という用語は、例えば、液体膨潤剤中に存在する1つ以上の官能基(例えば、アミン)を介して酸性ガスに結合することによって電荷が移動する化学反応の手段による、気体流又は大気内の酸性ガスへの液体膨潤剤の優先的な吸収を意味する。化学的プロセスによって酸性ガスを吸収することが可能である好適な液体としては、本明細書に記載されるように、アルカノールアミン、アルキルアミン、アルキルオキシアミン、ピペリジン及びその誘導体、ピペラジン及びその誘導体、ピリジン及びその誘導体、並びにそれらの混合物を含むアミンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0107】
好適なアミンの例としては、モノエタノールアミン、エチレンジアミン、2-アミノ-2-メチルプロパノール、2-アミノ-2-メチル-エタノールアミン及びベンジルアミンなどの一級アミン;N-メチルエタノールアミン、ピペラジン、ピペリジン及び置換ピペリジン、2-アミノ-1-プロパノール(AP)のN-アルキル誘導体、特に2-N-メチルアミノ-1-プロパノール(MAP)、2-N-メチルアミノ-2-メチル-1-プロパノール(MAMP)、並びに2つ以上のヒドロキシル基を有する誘導体及び/又はエーテル誘導体、ジエタノールアミン、ジグリコールアミン及びジイソプロパノールアミンなどの二級アミン;並びにN-メチルジエタノールアミン、及びアミノ酸、例えばタウリン、サルコシン、アラニン、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール(AMP)、3-ピペリジンメタノール、3-ピペリジンエタノール、2-ピペリジンメタノール、2-ピペリジンエタノール、N-ピペリジンメタノール、N-ピペリジンエタノール、2-メチルアミノエタノール、N,N-ジメチルアミノエタノール及び3-キヌクリジノール、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、アミノエチルエタノールアミン、ジグリコールアミン、ピペラジン、N-アミノエチルピペラジン、N-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン及びモルホリンなどの三級アミンが挙げられる。
【0108】
液体膨潤剤は、水、アルコール、ポリオール化合物、グリコール、アミン(例えば、アルカノールアミン、アルキルアミン、アルキルオキシアミン)、ピペリジン、ピペラジン、ピリジン、ピロリドン、及びそれらの誘導体又は組み合わせからなる群から選択され得る。好適なアルカノールアミンとしては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、N-エチルモノエタノールアミン、及びアミノエトキシエタノールが挙げられ得る。好適なアルキルアミンは、エチレンアミン、例えばテトラエチルペンタミン(TEPA)を含み得る。好適なグリコールとしては、エチレングリコール、モノエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、プロパンジオール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、及びジグリムが挙げられ得る。好適なアルコールとしては、2-エトキシエタノール、2-メトキシエタノールが挙げられ得る。好適なポリオール化合物としては、グリセロールが挙げられ得る。好適なピペリジンは、ピペリジン、2-メチルピペリジン、3-メチルピペリジン、4-メチルピペリジン、2-ピペリジンエタノール(PE)、3-ピペリジンエタノール、及び4-ピペリジンエタノールを含む。液体膨潤剤は、上記液体のうちのいずれか1つ以上を含み得る。一実施形態では、液体膨潤剤は、アルキルアミン、アルカノールアミン、及びグリコール、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0109】
いくつかの実施形態では、液体膨潤剤は、水、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、N-エチルモノエタノールアミン、アミノエトキシエタノール、エチレングリコール、トリエチレングリコール、モノエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、プロパンジオール、ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロール、ジグリム、2-エトキシエタノール、2-メトキシエタノール、グリセロール、2-メチルピペリジン、3-メチルピペリジン、4-メチルピペリジン、2-ピペリジンエタノール(PE)、3-ピペリジンエタノール、及び4-ピペリジンエタノールからなる群から選択され得る。
【0110】
一実施形態では、液体膨潤剤は、物理的プロセスによって酸性ガスを吸収することが可能な液体である。「物理的プロセスによって」という用語は、化学反応の手段によってではなく、物理的特徴による気体流又は大気からの酸性ガスの吸収を意味する(例えば、液体膨潤剤は、酸性ガスに化学的に結合しないが、それを溶解させることができる)。物理的プロセスによって酸性ガス(例えば、CO2又はH2S)を吸収することが可能な(例えば、酸性ガスに化学的に結合しないが、それを溶解させることができる)好適な液体としては、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールのアルキルエステル、具体的には、ポリエチレングリコールのジメチルエーテルなどのジアルキルエーテル、N-メチルピロリドン、炭酸プロピレン、メタノール、スルホラン、イミダゾール、イオン性液体、一級アミン、二級アミン、三級アミン、立体障害アミン、及びそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。市販の物理溶媒の具体例としては、SELEXOLプロセスで使用されるポリエチレングリコール(UOPLLC;DesPlaines,IL)のジメチルエーテル(DEPG);RECTISOL(登録商標)プロセス(LurgiAG;Frankfurt,Germany)で使用されるメタノール;RECTISOL(登録商標)n-メチル-2-ピロリドン(NMP)(LurgiAG);及びFLUORSOLVENTプロセス(FluorCorp)で使用されるプロピレンカーボネート(PC)が挙げられる。
【0111】
一実施形態では、液体膨潤剤は、水、モノエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロール、2-メトキシエタノール、2-エトキシエタノール、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、及びアミノエトキシエタノール、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される。一実施形態では、液体膨潤剤は、水、グリセロール、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、2-ピペリジンエタノール、エチレングリコール、トリエチレングリコール、若しくはモノエチレングリコール(MEG)、又はそれらの組み合わせである。
【0112】
いくつかの実施形態では、液体膨潤剤は、気体流又は大気と接触したときに酸性ガス(例えば、CO2又はH2S)を吸収することが可能である。酸性ガス(例えば、CO2又はH2S)を吸収することが可能である好適な液体膨潤剤は、本明細書に記載される液体膨潤剤のうちの1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、液体膨潤剤は、化学的又は物理的プロセスによって酸性ガス(例えば、CO2又はH2S)を吸収し得る。いくつかの実施形態では、液体膨潤剤は、酸性ガス(例えば、CO2又はH2S)に結合することが可能である官能基を含む。例えば、液体膨潤剤は、一級アミン(-NH2)又は二級アミン基(-NH-)などの1つ以上のアミン基を含み得る。そのようなアミン基は、H2S及びCO2親和性であり、容易に反応し、H2S及びCO2と結合する。いくつかの実施形態では、液体膨潤剤は、アルカノールアミンなどの1つ以上のアミン基アミンを含む。別の例では、液体膨潤剤は、酸性ガス(例えば、CO2若しくはH2S)、例えば、本明細書に記載されるグリコール、ポリオール又はジメチルエーテルを物理的に溶解することが可能である2つ以上の(-OH)基を含む。
【0113】
いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、少なくとも約0.5、1、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、又は99重量%の水を含み得る。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、約99、90、80、70、60、50、40、30、20、10、5、1、又は0.5重量%未満の水を含み得る。様々な範囲を形成するこれらの重量%値の組み合わせも可能であり、例えば、ヒドロゲルは、約40重量%~約99重量%の水を含み得る。水は、ある程度の塩分濃度を有し得、例えば、ブライン又は塩水であり得る。
【0114】
いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、少なくとも約0.5、1、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、又は99重量%のグリセロールを含み得る。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、約99、90、80、70、60、50、40、30、20、10、5、1、又は0.5重量%未満のグリセロールを含み得る。様々な範囲を形成するこれらの重量%値の組み合わせも可能であり、例えば、ヒドロゲルは、約40重量%~約99重量%のグリセロールを含み得る。
【0115】
いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、少なくとも約0.5、1、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、又は99重量%のモノエチレングリコール(MEG)を含み得る。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、約99、90、80、70、60、50、40、30、20、10、5、1、又は0.5重量%未満のモノエチレングリコール(MEG)を含み得る。様々な範囲を形成するこれらの重量%値の組み合わせも可能であり、例えば、ヒドロゲルは、約40重量%~約99重量%のモノエチレングリコール(MEG)を含み得る。
【0116】
いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、少なくとも約0.5、1、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、又は99重量%のアルカノールアミンを含み得る。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、約99、90、80、70、60、50、40、30、20、10、5、1、又は0.5重量%未満のアルカノールアミンを含み得る。様々な範囲を形成するこれらの重量%値の組み合わせも可能であり、例えば、ヒドロゲルは、約40重量%~約99重量%のアルカノールアミンを含み得る。好適なアルカノールアミンが、本明細書に記載されている。
【0117】
いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、少なくとも約0.5、1、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、又は99重量%のグリコールを含み得る。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、約99、90、80、70、60、50、40、30、20、10、5、1、又は0.5重量%未満のグリコールを含み得る。様々な範囲を形成するこれらの重量%値の組み合わせも可能であり、例えば、ヒドロゲルは、約40重量%~約99重量%のグリコールを含み得る。好適なグリコールが本明細書に記載される。
【0118】
いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、少なくとも約0.5、1、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、又は99重量%のピペリジンを含み得る。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、約99、90、80、70、60、50、40、30、20、10、5、1、又は0.5重量%未満のピペリジンを含み得る。様々な範囲を形成するこれらの重量%値の組み合わせも可能であり、例えば、ヒドロゲルは、約40重量%~約99重量%のピペリジンを含み得る。好適なピペリジンが本明細書に記載される。
【0119】
液体膨潤剤は、アミノ酸塩を更に含み得る。液体膨潤剤内にアミノ酸塩を組み込むことによって、酸性ガス吸収を改善することができる。アミノ官能基の存在に起因して、CO2は、アミノ酸塩と結合することができ、したがって、CO2吸収を増加させる。アミノ酸塩は、任意の好適なアミノ酸又はその誘導体、例えば、グリシン、プロリン、サルコシン、又はタウリンを含み得る。アミノ酸塩は、アンモニウム塩、アルカリ金属塩、例えば、カリウム及びナトリウムの金属塩、アルカリ土類金属塩、例えば、カルシウム及びマグネシウムの金属塩を含む、任意の好適な塩を含み得る。アミノ酸塩は、グリシン酸カリウム、サルコシン酸カリウム、プロリンカリウム、又はグリシン酸イソプロピルであり得る。一実施形態では、アミノ酸塩は、サルコシン酸カリウムである。
【0120】
液体膨潤剤はまた、ヒドロゲルの熱伝導性を増加させることができる。ヒドロゲルの熱伝導性を増加させる1つ以上の利点が、本明細書に記載されている。
【0121】
ヒドロゲルは、キレータ(すなわち、キレート化剤)を更に含み得る。キレート剤は、親水性ポリマー内に存在し得る任意の残留金属、例えば、鉛又は銅などの1つ以上の汚染物質にキレートすることによって、ヒドロゲルの安定性を改善することができる。キレータは、リン酸塩、例えば、リン酸カリウム又はリン酸ナトリウムであり得る。一実施形態では、キレータは、リン酸ナトリウムである。他の好適なキレータとしては、EDTA、デフェロキサミンメシル酸塩、ピコリン酸クロム、ピコリン酸亜鉛及びペンテト酸が挙げられる。
【0122】
ヒドロゲルの吸収能は、架橋された親水性ポリマーの一部として及び/若しくは液体膨潤剤の一部としてのいずれか、又はヒドロゲル内に吸収される別々の水溶液として、吸湿性塩をヒドロゲル内に組み込むことによって向上することができる。吸湿性塩は、塩化リチウム、臭化リチウム若しくは塩化ナトリウムなどの一価の塩、又は塩化カルシウム、硫酸カルシウムなどの二価の塩であり得る。吸湿性塩は、その飽和度まで任意の量で架橋ポリマーネットワーク内に存在し得る。
【0123】
ヒドロゲルが非水性溶媒液体膨潤剤を含む場合、ヒドロゲルは、分散媒体として非水性溶媒を使用して調製され得る(例えば、親水性ポリマーを非水性液体膨潤剤中に分散させ、その中で架橋させてヒドロゲルを形成する)。代替的に、ヒドロゲルを、分散媒体として水を使用して調製し、その後、乾燥/脱水して、吸収された水を除去し、次いで非水性溶媒をヒドロゲルに添加し、その中に吸収させてもよい。例えば、乾燥したヒドロゲルを非水性溶媒に浸し、一定の期間放置して、非水性溶媒を注入/吸収することができる。代替的に、ヒドロゲルは、市販のヒドロゲル(例えば、Bio-Gel(登録商標)Pポリアクリルアミドビーズ)であってもよく、その後、これらを液体膨潤剤に添加して、その中に吸収させる。
【0124】
熱伝導性微粒子材料
ヒドロゲルは、熱伝導性微粒子材料を含む。熱伝導性微粒子材料は、ヒドロゲル上又はヒドロゲル内に散在し得る。例えば、熱伝導性微粒子材料は、ヒドロゲルを形成する架橋された親水性ポリマー内に散在し得る。代替的に又は追加的に、熱伝導性微粒子材料は、ヒドロゲルの表面上又は表面内に散在してもよい。
【0125】
いくつかの実施形態では、ヒドロゲル上又はヒドロゲル内に散在する熱伝導性微粒子材料は、
a)ヒドロゲル内にインターカレートされているか、散在しているか、又は埋め込まれた、
b)ヒドロゲルの表面にインターカレートされているか、散在しているか、又は埋め込まれた、熱伝導性微粒子材料、及び
c)ヒドロゲルの表面上の追加のコーティング、のうちの少なくとも1つによって提供され得る。
【0126】
いくつかの実施形態では、熱伝導性微粒子材料は、ヒドロゲルの架橋された親水性ポリマーに化学的にグラフトされない(すなわち、親水性ポリマーマトリックスと熱伝導性微粒子材料との間に化学結合がない)。
【0127】
一実施形態では、熱伝導性微粒子材料は、ヒドロゲルの架橋された親水性ポリマー上の1つ以上の反応性官能基に化学的にグラフトされない。例えば、ヒドロゲルが、架橋されたポリアミン(架橋されたポリエチレンイミンなど)を含む場合、いくつかの実施形態では、熱伝導性微粒子材料は、架橋されたポリエチレンイミン上の1つ以上のアミン基に化学的にグラフトされない。いくつかの実施形態又は実施例によれば、化学的グラフトの欠如は、熱伝導性微粒子材料が化学的に不活性であることに部分的に起因して生じ得る。例えば、グラファイトは、化学的に不活性であり、架橋された親水性ポリマー上のアミンなどの1つ以上の官能基に化学的にグラフトすることが可能な反応性基を欠いている。対照的に、アミン基と反応することが可能な反応性エポキシド及びカルボン酸基を含む、酸化グラフェン。遊離アミン基へのそのような化学的グラフトは、予想され、酸性ガス(CO2又はH2Sなど)を結合及び捕捉するために利用可能な反応性アミン基の数を低減することに起因して、ヒドロゲルの酸性ガス吸収能を低減し得る。
【0128】
関連する一実施形態では、熱伝導性微粒子材料は、アミンなどの1つ以上の官能基に化学的にグラフトすることが可能な反応性基を欠いているという点で、化学的に不活性である。別の関連する実施形態では、熱伝導性微粒子材料は、(酸性ガスに結合するための架橋された親水性ポリマー上の1つ以上の反応性官能基(例えば、アミン)として、及び/又はヒドロゲル内に吸収される液体膨潤剤の一部としてヒドロゲル内に組み込むことができる酸性ガス吸収剤に化学的にグラフトされない。本明細書に記載のいくつかの実施形態又は実施例によれば、架橋ポリマー/酸性ガス吸収剤に熱伝導性微粒子材料を化学的にグラフトしないことによって、改善された酸性ガス吸収性能を得ることができる。
【0129】
一実施形態では、熱伝導性微粒子材料は、そのままの材料(すなわち、例えば、単一の化合物を含む純粋な物質、又は外因性材料で官能化又は架橋されていない単一の要素)として提供される。別の実施形態では、熱伝導性微粒子材料は、酸化グラフェンを含まない。
【0130】
ヒドロゲル上又はヒドロゲル内の熱伝導性微粒子材料の散在は、分光法及び顕微鏡法、例えば、走査型電子顕微鏡法を含む、一定範囲の機器及び方法によって判定することができることが理解されるであろう。
【0131】
材料の熱伝導率は、熱を伝導する能力の尺度である。熱伝導率の低い材料では、熱伝導率の高い材料よりも低い速度で熱伝達が生じる。本明細書で使用される場合、「熱伝導性微粒子材料」という用語は、加熱されると、微粒子材料を含まないヒドロゲルと比較して、より速い速度でヒドロゲル全体に熱を伝導及び伝達することが可能な、熱伝導性を有する微粒子材料を指す。そのような熱伝導特性は、捕捉された酸性ガスを除去するための再生を、例えば、より低い温度で補助することができる。微粒子材料は、ヒドロゲル上又はヒドロゲル内に均質に分散され得る。例えば、微粒子材料は、架橋された親水性ポリマー全体に均一に分散され得、かつ/又はヒドロゲルの表面上に均一に分散され得る。これは、合成中(例えば、現場で)、又は架橋ポリマーを熱伝導性粒子とブレンドすることによってポリマーが形成された後に(例えば、現場外で)、熱伝導性粒子を添加することによって達成することができる(
図1)。
【0132】
微粒子材料の熱伝導率は、例えば、ASTM E1225に従って、任意の好適な技術によって測定することができる。熱伝導率を測定するために、微粒子材料を含むヒドロゲルを溶解させて微粒子材料を(例えば、遠心分離を介して)分離し、得ることができ、次いで、熱伝導率測定を受けることができる。代替的に又は追加的に、微粒子材料は、ヒドロゲルへの組み込み前に測定されたその熱伝導率を有し得る。
【0133】
熱伝導性微粒子材料は、バルク熱伝導率を有し得る。微粒子材料のバルク熱伝導率は、当業者によって理解されるように、微粒子材料の粒径とは無関係である。
【0134】
熱伝導性微粒子材料は、約20~約2000の(25℃でのW/(m/K)での)バルク熱伝導率を有し得る。微粒子材料は、少なくとも約20、25、50、100、150、200、250、300、500、700、1000、1200、1500、1700、又は2000の(25℃でのW/(m/K)での)バルク熱伝導率を有し得る。微粒子材料は、約2000、1700、1500、1200、1000、700、500、300、250、200、150、100、50、25、又は20未満の(25℃でのW/(m/K)での)バルク熱伝導率を有し得る。バルク熱伝導率は、これらの上限値及び/又は下限値のうちのいずれか2つによって提供される範囲にあり、例えば、25℃で約20~約1000、約20~約500、約100~約500、又は約100~約200W/(m/K)である。
【0135】
散在している熱伝導性微粒子材料を含むヒドロゲルはまた、ある熱伝導率(例えば、ヒドロゲル及び微粒子材料の両方を含む、ヒドロゲルの不均質な性質による見かけの熱伝導率とも称される)を有し得ることが理解されるであろう。ヒドロゲルの熱伝導率は、微粒子材料自体の熱伝導率よりも低い場合があるが、本明細書に記載のいくつかの例によれば、熱伝導性微粒子材料を含まない同じヒドロゲルの熱伝導率よりも高い。本明細書に記載の微粒子材料を含むヒドロゲルは、例えば、ASTM E1225又はASTM D5470に概説されている試験方法を使用して、その熱伝導率を判定するために測定することができる。一実施形態では、ヒドロゲルの熱伝導率は、ASTM D5470に概説されている試験方法を使用して測定される。
【0136】
いくつかの実施形態では、熱伝導性微粒子材料を含むヒドロゲルは、25℃で約0.1~2000W/(m/K)の熱伝導率を有する。一実施形態では、ヒドロゲルの熱伝導率は、ヒドロゲル上又はヒドロゲル内に熱伝導性微粒子材料を散在させた後、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、又は10倍増加させることができる。例えば、ヒドロゲル単独の熱伝導率は、約0.1W/(m/K)未満であり得る一方で、ヒドロゲル上又はヒドロゲル内に散在している熱伝導性微粒子材料を含むヒドロゲルは、0.1W(m/K)超の熱伝導率を有し得る。
【0137】
本明細書に記載の少なくともいくつかの実施形態又は実施例によれば、本発明者らは、様々な種類の炭素ベースの微粒子材料(例えば、グラファイト、カーボンブラック)をヒドロゲル内に組み込むことによって、効果的な熱伝導率を改善しながら、良好な再生を維持することができることを驚くべきことに見出した。追加的に、本明細書に記載の液体膨潤剤でヒドロゲルを膨潤させることも、ヒドロゲルの熱伝導率を改善することができる。
【0138】
熱伝導性微粒子材料は、ヒドロゲルが加熱されると、ヒドロゲル全体に熱を伝導及び伝達するのに有効な量で提供され得る。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、ヒドロゲルの総重量に基づいて、約10%w/w~約80%w/wの微粒子材料を含む。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、ヒドロゲルの総重量に基づいて、少なくとも約10、20、30、40、50、60、70、又は80%w/wの微粒子材料を含み得る。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、ヒドロゲルの総重量に基づいて、約80、70、60、50、40、30、20、又は10%w/w未満の微粒子材料を含み得る。ヒドロゲルは、これらの上限値及び/又は下限値のうちのいずれか2つによって提供される範囲の微粒子材料、例えば、ヒドロゲルの総重量に基づいて、約20%w/w~約70%w/w、又は約30%w/w/約50%w/wの微粒子材料を含み得る。
【0139】
一実施形態では、ヒドロゲルは、乾燥又は脱水ヒドロゲルであり得る。この実施形態では、乾燥又は脱水ヒドロゲルは、脱水ヒドロゲルの総重量に基づいて、約30重量%~約80重量%の微粒子材料を含み得る。乾燥又は脱水ヒドロゲルは、脱水ヒドロゲルの総重量に基づいて、少なくとも約30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、又は80重量%の微粒子材料を含み得る。乾燥又は脱水ヒドロゲルは、脱水ヒドロゲルの総重量に基づいて、約80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、又は30重量%未満の微粒子材料を含み得る。乾燥又は脱水ヒドロゲルは、これらの上限値及び/又は下限値のうちのいずれか2つによって提供される範囲で微粒子材料を含み得る。
【0140】
微粒子材料は、ヒドロゲルが加熱されると、ヒドロゲル全体に熱を伝導及び伝達するのに有効な熱伝導率を有する任意の好適な材料であり得る。いくつかの実施形態では、熱伝導性微粒子材料は、炭素系材料、伝導性ポリマー、金属、若しくは金属合金、若しくは半金属、又はそれらの塩のうちの1つ以上から選択される。
【0141】
いくつかの実施形態では、炭素系材料は、グラファイト、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、又は炭素繊維からなる群から選択され得る。一実施形態では、熱伝導性微粒子材料は、グラファイトである。任意の好適なグラファイト、例えば、結晶性、半結晶性、熱分解性、フレーク、及び/又は非晶質のグラファイトが使用され得る。一実施形態では、熱伝導性微粒子材料は、非晶質グラファイトである。グラファイトは、25℃で、約20~500、例えば、約100~約200の(W/(m/K)での)バルク熱伝導率を有し得る。
【0142】
一実施形態では、熱伝導性微粒子材料は、ヒドロゲル上又はヒドロゲル内での散在前に剥離され得る。例えば、グラファイトは、剥離され得、これによって、親水性ポリマーとグラファイトとの間の良好な接触を促進することができる。
【0143】
いくつかの実施形態では、伝導性ポリマーは、ポリフルオレン、ポリフェントレン(polyphentlene)、ポリピレン、ポリアズレン、ポリナフタレン、ポリピロール、ポリカルブゾール(polycarbzole)、ポリウンドール(polyundole)、ポリアゼピン、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリ(3,4-エチレンジアオキシチオフェン(ethylenediaoxythiophene)、ポリ(p-フェニイレン(phenyylene)スルフィド)、ポリアセチレン、又はポリ(p-フェニレンビニレン)、及びそれらのコポリマーから選択され得る。伝導性ポリマーは、従来の方法によって調製され得、いくつかの実施形態では、微粒子伝導性ポリマーを形成するために、微粉化される。一実施形態では、熱伝導性微粒子材料は、ポリアニリン、ポリチオフェン、若しくはポリピロール、又はそれらのコポリマーである。
【0144】
いくつかの実施形態では、熱伝導性微粒子材料は、銀、銅、鉄、金、アルミニウム、マグネシウム、リチウム、モリブデン、ニッケル、パラジウム、白金、ロジウム、ホウ素、カドミウム、ベリリウム、炭素、タングステン、及び亜鉛のうちの1つ以上、又は本明細書に記載の1つ以上の金属を含む金属酸化物若しくは金属合金から選択される金属であり得る。金属合金は、真鍮、鋼、又は青銅のうちの1つ以上から選択され得る。金属酸化物は、酸化亜鉛アルミナ又は酸化銅であり得る。半金属は、窒化ホウ素又は窒化アルミニウムであり得る。
【0145】
熱伝導性微粒子材料は、任意の形態であり得、例えば、フレーク、繊維、凝集体、顆粒、粉末、球、粉砕された材料など、並びにそれらの組み合わせの形態をとり得る。熱伝導性微粒子材料は、立方体、ロッド状、多面体、球形又は半球形、丸みを帯びた又は半丸みを帯びた、角状、不規則形などを含むがこれらに限定されない、任意の所望の形状を有し得る。一実施形態では、熱伝導性微粒子材料は、1.0~10.0、1.0~5.0、又は1.0~2.0のアスペクト比(すなわち、長さ及び幅が、互いに垂直に測定され、長さが、最長の直線的に測定された寸法を指す、長さ対幅の比)を有する。一実施形態では、熱伝導性微粒子材料は、約1.0~2.0、例えば、約1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、又は2.0のアスペクト比を有し得る。
【0146】
熱伝導性微粒子材料は、熱伝導性微粒子材料がヒドロゲル上又はヒドロゲル内に散在することを可能にする粒径を有し得る。例えば、熱伝導性材料の微粒子は、ヒドロゲルの調製中(例えば、架橋中)に、沈降が最小限である状態で十分に懸濁したままであることができ、熱伝導性微粒子材料がヒドロゲル中に散在している架橋されたヒドロゲルを生じる。追加的に、熱伝導性材料粒子は、大きな表面積を有し、これによって、増加した熱伝導率を生じることができる。代替的に又は追加的に、熱伝導性材料の微粒子は、予め形成されたヒドロゲルの表面に十分に埋め込まれ得る。
【0147】
粒径は、熱伝導性微粒子材料を横切る最長断面直径であるとみなされる。非球状微粒子材料では、粒径は、粒子を横切る最長断面寸法に対応する距離であるとみなされる。いくつかの実施形態では、微粒子材料は、約1μm~約500μmの粒径を有する。いくつかの実施形態では、微粒子材料は、少なくとも約1、2、5、10、25、50、100、150、200、250、300、350、400、450、又は500μmの粒径を有する。いくつかの実施形態では、微粒子材料は、約500、450、400、350、300、250、200、150、100、50、250、10、5、2、又は1μm未満の粒径を有する。これらの上限値及び/又は下限値のうちのいずれか2つによって提供される範囲、例えば、約10~約200μmである、粒径。
【0148】
微粒子材料は、微粒子の100%(D100)が、約500、450、400、350、若しくは300μm未満の粒径を有するか、又は微粒子の80%(D80)が、約400、350、300、250、若しくは200μm未満の粒径を有するか、微粒子の50%(D50)が、約300、250、200、150、若しくは100μm未満の粒径を有するか、又はハイブリッド電極微粒子の20%(D20)が、約200、150、100、若しくは50μm未満の粒径を有するか、又は微粒子の10%(D10)が、約100、50、25、若しくは10μm未満の粒径を有する、粒径分布を有し得る。いくつかの実施形態では、微粒子は、少なくとも約10、20、50、70、100、120、150、170、200、220、250、270、又は300μmの(D50)粒径を有する。いくつかの実施形態では、微粒子は、約300、270、250、220、200、170、150、120、100、70、50、20、又は10μm未満の(D50)粒径を有する。これらの上限値及び/又は下限値のうちのいずれか2つによって提供される範囲にある、D50粒径分布。
【0149】
粒径及び/又は粒径分布は、任意の標準的な方法、例えば、ヒドロゲルへの組み込み前の微粒子材料の顕微鏡法又はサイズ排除法(そのようなメッシュスクリーン、ふるい、又はフィルタ)によって測定することができる。微粒子材料のサイズを判定するための他の方法としては、微粒子材料を含むヒドロゲル、ヒドロゲル内への組み込み前の微粒子材料、及び/若しくは(例えば、溶解及び遠心分離を介して)ヒドロゲルから得られる微粒子材料のヒドロゲルの電子顕微鏡法(例えば、TEM、SEM、クライオTEM、又はクライオSEM)、又はヒドロゲル内への組み込み前の微粒子材料の動的光散乱が挙げられる。一実施形態では、粒径及び/又は粒径分布は、顕微鏡法(例えば、SEM又はTEM)、サイズ除外法(メッシュスクリーン、ふるい、又はフィルタなど)、又は業界標準ISO13320:2020によるレーザ回折、又はヒドロゲルへの組み込み前の微粒子材料を使用して測定することができる。
【0150】
いくつかの実施形態では、異なる粒径及び/又は形状を有する熱伝導性微粒子材料を組み込むことは、良好な熱伝達特性を提供し得る。
【0151】
いくつかの実施形態では、ヒドロゲル中の微粒子材料の密度は、約10~100個の粒子/ヒドロゲルのcm3である。いくつかの実施形態では、ヒドロゲル中の微粒子材料の密度は、少なくとも約10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、又は100個の粒子/ヒドロゲルのcm3である。いくつかの実施形態では、ヒドロゲル中の微粒子材料の密度は、約100、90、80、70、60、50、40、30、20、15、又は10個の粒子/ヒドロゲルのcm3未満である。これらの上限値及び/又は下限値のうちのいずれか2つによって提供される範囲にある、密度。
【0152】
いくつかの実施形態では、微粒子材料は、ヒドロゲルの総体積の約40%~約90%を構成する。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、ヒドロゲルの総重量の少なくとも約40、45、50、55、60、67、70、75、80、85、又は90%を構成する。体積%は、これらの上限値及び/又は下限値のうちの任意の2つによって提供される範囲にあり得る。
【0153】
親水性ポリマー
親水性ポリマーはまた、ヒドロゲルに好適な機械的及び化学的特性を提供するように選択され得る。例えば、いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、気体流及び/又は乾燥した環境又は湿った/湿潤環境と接触したときなど、様々な剪断及び応力環境に耐えることができる必要があり得る。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルはまた、例えば、熱再生を受けるときに、広い温度範囲に耐える必要があり得る。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルはまた、それが粒状物質の流れとして様々なガスフローラインに導入され得るように、又は粒状物質が、隣接する粒子間に十分な間隙空間を有する充填された床に提供されて、そこを通るガスの流れ(例えば、周囲空気)を可能にするように、物理的に堅牢である必要があり得る。いくつかの実施形態では、また、架橋された親水性ポリマーは、化学的に不活性である。したがって、これらの特性のうちの1つ以上は、親水性ポリマーの適切な選択によって提供され得る。
【0154】
いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、ヒドロゲルの総重量に基づいて、約0.05重量%~約50重量%の親水性ポリマーを含む。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、ヒドロゲルの総重量に基づいて、少なくとも約0.01、0.05、0.1、0.2、0.5、1、2、5、10、15、20、25、30、35、40、45、又は50重量%の親水性ポリマーを含む。他の実施形態では、ヒドロゲルは、ヒドロゲルの総重量に基づいて、約50、45、40、35、30、25、20、15、10、5、2、1、0.5、0.2、0.1、0.05、又は0.01重量%未満の親水性ポリマーを含む。様々な範囲を形成するこれらの親水性ポリマー濃度の組み合わせも可能であり、例えば、ヒドロゲルは、ヒドロゲルの総重量に基づいて、約0.01重量%~約50重量%、約0.05重量%~約50重量%、約1重量%~約50重量%、約0.05重量%~約25重量%、約10重量%~約50重量%、約10重量%~約40重量%、又は約30重量%~約50重量%の親水性ポリマーを含む。
【0155】
一実施形態では、ヒドロゲルは、乾燥又は脱水ヒドロゲルであり得る。この実施形態では、乾燥又は脱水ヒドロゲルは、脱水ヒドロゲルの総重量に基づいて、約80重量%~約99.9重量%の親水性ポリマーを含み得る。
【0156】
いくつかの実施形態では、親水性ポリマーは、約100g/モル~約500,000g/モル、例えば、約1,000g/モル~約2,500,000g/モルの範囲の重量平均分子量(Mw)を有する。いくつかの実施形態では、親水性ポリマーは、少なくとも約1,000、5,000、10,000、50,000、100,000、150,000、200,000、250,000、又は500,000g/モルの重量平均分子量(Mw)を有する。他の実施形態では、親水性ポリマーは、約500,000、250,000、200,000、150,000、100,000、50,000、10,000、5,000、又は1,000g/モル未満の重量平均分子量(Mw)を有する。様々な範囲を形成するこれらの分子量の組み合わせも可能であり、例えば、親水性ポリマーは、約1,000~約250,000g/モル、約5,000~約50,000g/モル、又は10,000~約30,000g/モルの重量平均分子量(Mw)を有する。いくつかの実施形態では、親水性ポリマーは、約25,000g/モルの重量平均分子量(Mw)を有する。これらの重量平均分子量は、架橋前に親水性ポリマーに提供されることが理解されるであろう。親水性ポリマーの重量平均分子量は、ヒドロゲルを調製するために使用される種類に応じて変化し得ることが理解されるであろう。一実施形態では、親水性ポリマーは、ホモポリマー又はコポリマーを含み得る。重量平均分子量は、当業者に既知の様々な好適な技術、例えば、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)及び光散乱を使用して判定することができる。一実施形態では、重量平均分子量は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって判定される。
【0157】
一実施形態では、Mwは、親水性ポリマーの溶液を、分子サイズ(すなわち、分子量と相関し得る流体力学的体積)に基づいて親水性ポリマーを分離する、ゲルを含む好適なカラムに通過させることによる、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を使用して判定され、より大きいサイズの分子(より大きいMw)が最初に溶出し、続いてより小さいサイズの分子(より小さいMw)が溶出する。これは、好適な有機溶媒中又は水性媒体中で行うことができる。Mwは、典型的には、一連の既知のポリマー標準に対して、又はモル質量感受性検出器を使用して判定される。親水性ポリマーの分子量を判定するための好適なプロトコルは、参照により本明細書に組み込まれる“Size-exclusion Chromatography of Polymers” Encyclopaedia of Analytical Chemistry,2000,pp8008-8034に概説されている。
【0158】
いくつかの実施形態では、親水性ポリマーは、ポリアミン、ポリアクリルアミド、ポリアクリレート、ポリアクリル酸、又はそれらのコポリマーを含む。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、架橋されたポリアミン、架橋されたポリアクリルアミド、又は架橋されたポリアクリレート、それらの誘導体若しくはコポリマーを含む。
【0159】
いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、ポリ(メタクリルアミド)、ポリ(ジメチルアクリルアミド)、ポリ(エチルアクリルアミド)、ポリ(ジエチルアクリルアミド)、ポリ(イソプロピルアクリルアミド)、ポリ(メチルメタクリルアミド)、ポリ(エチルメタクリルアミド、ポリアクリルアミド、ポリ(アクリルアミド-コ-アクリル酸)、ポリ(アクリルアミド-コ-アクリル酸ナトリウム)、ポリ(アクリルアミド-コ-アクリル酸カリウム)、ポリ(アクリルアミド-コ-アクリル酸)部分カリウム塩、ポリ(アクリルアミド-コ-アクリル酸)部分ナトリウム塩及びポリ(アクリルアミド-コ-メチレンビスアクリルアミド)、ポリエチレンイミン、ポリプロピレンイミン、ポリアリルアミン、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)、若しくはポリ(2-ヒドロキシエチルアクリレート)、又はそれらの誘導体若しくはコポリマーからなる群から選択される架橋された親水性ポリマーを含む。
【0160】
いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、ポリアミン、ポリアクリレート、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、若しくはポリアクリルアミド-コ-アクリル酸、ポリアクリルアミド-コ-アクリル酸部分ナトリウム塩、ポリアクリルアミド-コ-アクリル酸部分カリウム塩、ポリ(アクリル酸-コ-マレイン酸)、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)、ポリエチレングリコール、ポリエチレンイミン、ポリプロピレンイミン、ポリアリルアミン、及びビニルピロリドン、又はそれらの誘導体若しくはコポリマーからなる群から選択される架橋された親水性ポリマーを含む。代替的に、ヒドロゲルは、架橋された天然親水性ポリマー、例えば、多糖、キチン、ポリペプチド、アルギナート、又はセルロースを含み得る。
【0161】
他の好適な架橋された親水性ポリマー、例えば、ポリアミン、ポリアクリレート、ポリアクリル酸、又はポリアクリルアミド、それらの誘導体若しくはコポリマーが本明細書に記載されている。
【0162】
酸性ガス(例えば、CO2又はH2S)は、ヒドロゲル内に吸収されることによって気体流から除去され得る。例えば、酸性ガスは、化学的又は物理的プロセスによってヒドロゲル内に吸収され得る。いくつかの実施形態では、架橋された親水性ポリマーは、酸性ガスに結合することが可能な官能基を含む。例えば、(酸性ガス吸収剤を含んでも含まなくてもよい)液体膨潤剤で膨潤した場合のその多孔質の性質によって、ヒドロゲルと接触すると、酸性ガスを含む気体流又は大気は、ヒドロゲル内の間隙孔を通過することができ、酸性ガスは、親水性ポリマー上の官能基に反応して結合することができる。
【0163】
一実施形態では、酸性ガスに結合することが可能な架橋された親水性ポリマー上の1つ以上の官能基として、少なくとも1つの酸性ガス吸収剤がヒドロゲル内に組み込まれる。言い換えれば、親水性ポリマーは、酸性ガスに結合することが可能な1つ以上の官能基を含み得る。例えば、親水性ポリマーは、一級アミン(-NH2)又は二級アミン基(-NH-)などの1つ以上のアミン基を含み得る。そのようなアミン基は、CO2-及びH2S親和性であり、容易に反応し、CO2及びH2Sと結合する。したがって、いくつかの実施形態では、親水性ポリマーは、ポリアミンである。一実施形態では、少なくとも1つの酸性ガス吸収剤は、アミンである。一例では、ヒドロゲルは、架橋されたネットワークが、気体流と接触すると、酸性ガス(例えば、CO2又はH2S)に反応し、結合することが可能である複数の一級及び二級アミン官能基を含む、架橋されたポリエチレンイミン(PEI)ヒドロゲルであり得る。一実施形態では、酸性ガスに結合することが可能な架橋された親水性ポリマー上の1つ以上のアミン官能基として、少なくとも1つの酸性ガス吸収剤がヒドロゲル内に組み込まれる。
【0164】
ポリアミン
一実施形態では、親水性ポリマーは、ポリアミン、その誘導体又はコポリマーを含み得る。当該技術分野で理解されるように、ポリアミンは、2つ以上のアミン基(例えば、一級-NH2、二級-NHR、及び/又は三級-NR2アミン基)を有する有機化合物である。
【0165】
いくつかの実施形態では、親水性ポリマーは、直鎖、分岐、又は樹枝状ポリアミン、その誘導体若しくはコポリマーを含み得る。直鎖ポリアミンは、一級アミン、二級アミンのみ、又は一級アミンと二級アミンとの両方を含有するように定義される。例示的な例としてのみ、架橋前の1つの可能な直鎖ポリアミンの構造を、式1として以下に提供する:
【化1】
式中、nは、1~10,000であり得る。他の例では、nは、少なくとも1、10、100、200、500、又は1000であり得る。他の例では、nは、10,000、9,000、8,000、7,000、6,000、5,000、4,000、3,000、2,000、1,000、500、200、又は100未満であり得る。他の例では、nは、これらの上限値及び/又は下限値のうちの任意の2つ、例えば、1~1000、10~5,000、又は100~2000によって提供される範囲であり得る。
【0166】
式1の直鎖ポリアミンにおける二級アミンと一級アミンとの比は、約0.1~100であり得る。式1の直鎖ポリアミンにおける二級アミンと一級アミンとの比は、少なくとも約0.1、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90又は95であり得る。式1の直鎖ポリアミンにおける二級アミンと一級アミンとの比は、約100、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、又は0.5未満であり得る。比は、これらの上限値及び/又は下限値のうちの任意の2つによって提供される範囲であり得る。
【0167】
分岐ポリアミンは、任意の数の一級(-NH
2)、二級(-NH-)及び三級アミン
【化2】
を含有するものとして定義される。例示的な例としてのみ、架橋前の1つの可能な分岐ポリアミンの構造は、次のように式2として以下に提供される。
【化3】
式中、nは、1~10,000であり得る。他の例では、nは、少なくとも1、10、100、200、500、又は1000であり得る。他の例では、nは、10,000、9,000、8,000、7,000、6,000、5,000、4,000、3,000、2,000、1,000、500、200、又は100未満であり得る。他の例では、nは、これらの上限値及び/又は下限値のうちの任意の2つ、例えば、1~1000、10~5,000、又は100~2000によって提供される範囲であり得る。
【0168】
分岐ポリアミンにおける一級アミンと二級アミンと三級アミンとの比は、約10:80:10~60:10:30、約60:30:10~30:50:20、又は約45:45:10~35:45:20であり得る。当業者であれば、分岐ポリアミンの構造が、存在する三級アミン基の数に応じて大きく変化し得ることを理解するであろう。
【0169】
樹枝状ポリアミンは、一級(-NH
2)及び三級アミン
【化4】
のみを含有するように定義され、繰り返し単位の群は、ポリアミンの中心(コア)を通って少なくとも1つの平面内で必然的に対称であるように配置され、各ポリマー分岐は一級アミンによって終端され、各分岐点は三級アミンである。樹枝状ポリアミンにおける一級アミン基と三級アミン基との比は、約1~3であり得る。例示的な例としてのみ、架橋前の1つの可能な樹枝状ポリアミンの構造は、次のように式3として以下に提供される:
【化5】
【0170】
親水性ポリマーは、超分岐ポリアミン、その誘導体又はコポリマーを含み得る。超分岐ポリアミンは、樹枝状ポリアミンに似た構造を有するが、二級アミン(-NH-)の形態の欠陥(例えば、分岐ポリアミンに存在するであろう直鎖サブセクション)を含有する構造を有し、対称的な樹枝状構造の代わりにランダムな構造を提供するような形で定義される。超分岐構造では、一級アミンと二級アミンと三級アミンとの比は、約65:5:30~30:10:60であり得る。
【0171】
一実施形態では、ポリアミン、その誘導体又はコポリマーは、約10モル%~70モル%の一級アミン(-NH
2)基、例えば、少なくとも約10、20、30、40、50モル%の一級アミン基を含み得る。ポリアミン、その誘導体又はコポリマーは、約10モル%~70モル%の二級アミン(-NH-)基、例えば、少なくとも約10、20、30、40、50モル%の二級アミン基を含み得る。ポリアミン、その誘導体又はコポリマーは、約1モル%~約10モル%の三級アミン
【化6】
基、例えば、少なくとも約1、2、5モル%の三級アミン基を含み得る。ポリアミン、その誘導体又はコポリマーにおける一級アミン基と二級アミン基と三級アミン基との比は、約10:80:10~60:10:30、約60:30:10~30:50:20、又は約45:45:10~35:45:20であり得る。一実施形態では、ポリアミンは、少なくとも1つ以上の脂肪族アミン基(例えば、芳香族環基がアミンの窒素原子に直接結合していないアミン)を含み得る。
【0172】
一実施形態では、親水性ポリマーは、分岐ポリアミン、その誘導体又はコポリマーを含む。ポリアミン、その誘導体又はコポリマーは、本明細書に記載される1つ以上の架橋剤によって架橋され得る。
【0173】
一実施形態では、ポリアミン、その誘導体又はコポリマーは、ポリアルキレンイミンである。一実施形態では、ポリアミンは、ポリアルキレンイミンである。ポリアルキレンイミンは、ポリエチレンイミン、ポリプロピレンイミン、及びポリアリルアミン、それらの誘導体又はコポリマーからなる群から選択され得る。ヒドロゲルを形成するために使用され得る好適なポリアミンとしては、ポリエチレンイミン、ポリプロピレンイミン、及びポリアリルアミンが挙げられ得る。一実施形態では、親水性ポリマーは、ポリエチレンイミン又はそのコポリマーを含む。架橋されたポリアミン(ポリエチレンイミンなど)を含むヒドロゲルを使用することによって、ヒドロゲルは、酸性ガスを含む気体流又は大気と接触すると、酸性ガス(例えば、CO2又はH2S)に反応し、結合することが可能である複数の一級及び二級アミン官能基を含む。
【0174】
一実施形態では、少なくとも1つの酸性ガス吸収剤は、酸性ガスに結合するための架橋された親水性ポリマー上の1つ以上の反応性官能基としてヒドロゲル内に組み込まれる。一実施形態又は一例では、架橋されたポリアミンと、熱伝導性微粒子材料と、を含む、酸性ガスを捕捉するためのヒドロゲルであって、熱伝導性微粒子材料が、ヒドロゲル上又はヒドロゲル内に散在しており、ヒドロゲルが、微粒子の形態にあり、1つ以上の酸性ガス吸収剤を組み込む、ヒドロゲルが提供される。
【0175】
一実施形態又は一例では、ヒドロゲルは、架橋されたネットワークが、気体流と接触すると、酸性ガスに反応し、結合することが可能である複数の一級及び二級アミン官能基を含む、架橋されたポリエチレンイミン(PEI)ヒドロゲルであり得る。一実施形態又は一例では、架橋されたポリエチレンイミン(PEI)と、熱伝導性微粒子材料と、を含む、酸性ガスを捕捉するためのヒドロゲルであって、熱伝導性微粒子材料が、ヒドロゲル上又はヒドロゲル内に散在しており、ヒドロゲルが、微粒子の形態にあり、1つ以上の酸性ガス吸収剤を組み込む、ヒドロゲルが提供される。いくつかの実施形態では、架橋されたポリアミンは、本明細書に記載の1つ以上の液体膨潤剤、例えば、アルコール、ポリオール化合物、グリコール、アミン(例えば、アルカノールアミン、アルキルアミン、アルキルオキシアミン)、ピペリジン、ピペラジン、ピリジン、ピロリドン、及びそれらの誘導体又は組み合わせで膨潤される。好適なアルカノールアミンとしては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、N-エチルモノエタノールアミン、及びアミノエトキシエタノールが挙げられ得る。好適なグリコールとしては、エチレングリコール、トリエチレングリコール、モノエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、プロパンジオール、ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、及びジグリムが挙げられ得る。好適なアルコールとしては、2-エトキシエタノール、2-メトキシエタノールが挙げられ得る。好適なポリオール化合物としては、グリセロールが挙げられ得る。好適なピペリジンとしては、ピペリジン、2-メチルピペリジン、3-メチルピペリジン、4-メチルピペリジン、2-ピペリジンエタノール(PE)、3-ピペリジンエタノール、及び4-ピペリジンエタノールが挙げられる。液体膨潤剤は、上記液体のうちのいずれか1つ以上を含み得る。
【0176】
いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、ポリエチレンイミン、ポリプロピレンイミン、及びポリアリルアミン、又はそれらのコポリマーからなる群から選択される架橋ポリアルキレンイミンを含み、水、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、N-エチルモノエタノールアミン、アミノエトキシエタノール、エチレングリコール、モノエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、プロパンジオール、ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロール、ジグリム、2-エチオキシエタノール、2-メトキシエタノール、グリセロール、2-メチルピペリジン、3-メチルピペリジン、4-メチルピペリジン、2-ピペリジンエタノール(PE)、3-ピペリジンエタノノール、及び4-ピペリジンエタノール、又はそれらの混合物からなる群から選択される液体膨潤剤で膨潤する。
【0177】
ポリアクリルアミド
いくつかの実施形態又は実施例では、親水性ポリマーは、ポリアクリルアミド、その誘導体又はコポリマーを含み得る。当該技術分野で理解されるように、ポリアクリルアミド、誘導体又はコポリマーは、2つ以上のアクリルアミド単位を有する有機化合物である。いくつかの実施形態又は実施例では、ポリアクリルアミド、その誘導体又はコポリマーは、ポリアクリルアミド、その誘導体又はコポリマーを形成するために、少なくとも2つのアクリルアミド又はアクリルアミド誘導体を含む共重合性親水性モノマーを含み得る。別の実施形態又は実施例では、ポリアクリルアミドコポリマーは、ポリアクリルアミドコポリマーを形成するために、少なくとも1つのアクリルアミド又はアクリルアミド誘導体と、少なくとも1つのカルボン酸誘導体とを含む、共重合性親水性モノマーを含み得る。
【0178】
アクリルアミド誘導体は、N-アルキル、N-ヒドロキシアルキル、又はN,N-ジアルキル置換アクリルアミド若しくはメタクリルアミドから選択され得る。いくつかの実施形態又は実施例では、ポリアクリルアミド誘導体は、N-アクリルアミド、メチルアクリルアミド、N-エチルアクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド(NiPAAm)、N-オクチルアクリルアミド、N-シクロヘキシルアクリルアミド、N-メチル-N-エチルアクリルアミド、N-メチルメタクリルアミド、N-エチルメタクリルアミド、N-イソプロピルメタクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジエチルアクリルアミド、N,N-ジメチルメタクリルアミド、N,N-ジエチルメタクリルアミド、N,N-ジシクロヘキシルアクリルアミド、N-メチル-N-シクロヘキシルアクリルアクリルアミド、又はそれらの組み合わせを含む群から選択され得る。一実施形態又は一例では、アリールアミド誘導体は、メタクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド。N,N’-メチレン-ビス-アクリルアミド、N-2-ヒドロキシエチルアクリルアミド、又はそれらの組み合わせから選択され得る。
【0179】
カルボン酸誘導体は、アクリル酸、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、アクリル酸ナトリウム、アクリル酸カリウム、メタクリル酸ナトリウム、メタクリル酸カリウム、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル(HEMA)、又はそれらの組み合わせを含む群から選択され得る。
【0180】
一実施形態又は一例では、ポリアクリルアミド又はポリアクリルアミド誘導体の調製に使用されるアクリルアミド又はアクリルアミド誘導体は、同じであり得る。別の実施形態又は実施例では、ポリアクリルアミドコポリマーの調製に使用されるアクリルアミド又はアクリルアミド誘導体は、異なり得る。更に別の実施形態では、ポリアクリルアミドコポリマーの調製に、少なくとも1つのアクリルアミド又はアクリルアミド誘導体、及び少なくとも1つのカルボン酸誘導体が使用され得る。
【0181】
いくつかの実施形態又は実施例では、ポリアクリルアミド、その誘導体又はコポリマーは、ポリアクリルアミド、ポリ(メタクリルアミド)、ポリ(N-2-ヒドロキシエチル)アクリルアミド、ポリ(ジメチルアクリルアミド)、ポリ(エチルアクリルアミド)、ポリ(ジエチルアクリルアミド)、ポリ(イソプロピルアクリルアミド)、ポリ(メチルメタクリルアミド)、ポリ(エチルメタクリルアミド)、ポリ(アクリルアミド-コ-アクリル酸)、ポリ(アクリルアミド-コ-アクリル酸ナトリウム)、ポリ(アクリルアミド-コ-アクリル酸カリウム)、ポリ(アクリルアミド-コ-アクリル酸)部分カリウム塩、ポリ(アクリルアミド-コ-アクリル酸)部分ナトリウム塩、及びポリ(アクリルアミド-コ-メチレンビスアクリルアミド)を含むか又はそれらからなる群から選択され得る。
【0182】
いくつかの実施形態又は実施例では、ポリアクリルアミド、その誘導体又はコポリマーは、ポリアクリルアミド、ポリ(メタクリルアミド)、ポリ(ジメチルアクリルアミド)、ポリ(イソプロピルアクリルアミド)、ポリ(アクリルアミド-コ-アクリル酸)、ポリ(アクリル酸-コ-マレイン酸)、ポリ(アクリルアミド-コ-アクリル酸ナトリウム)、ポリ(アクリルアミド-コ-アクリル酸カリウム)、ポリ(アクリルアミド-コ-アクリル酸)部分カリウム塩、ポリ(アクリルアミド-コ-アクリル酸)部分ナトリウム塩、及びポリ(アクリルアミド-コ-メチレンビスアクリルアミド)を含むか又はそれらからなる群から選択され得る。いくつかの実施形態又は実施例では、ポリアクリルアミドコポリマーは、ポリ(アクリルアミド-コ-アクリル酸)、ポリ(アクリルアミド-コ-アクリル酸ナトリウム)、ポリ(アクリルアミド-コ-アクリル酸カリウム)、ポリ(アクリルアミド-コ-アクリル酸)部分カリウム塩、ポリ(アクリルアミド-コ-アクリル酸)部分ナトリウム塩、及びポリ(アクリルアミド-コ-メチレンビスアクリルアミド)を含むか又はそれらからなる群から選択され得る。
【0183】
いくつかの実施形態では、ポリアクリルアミド、その誘導体又はコポリマーは、以下の式4として以下に提供されるポリ(アクリルアミド-コ-アクリル酸)であり、
【化7】
式中、
各Rが、独立して、水素、ナトリウム、又はカリウムからなる群から選択され、
m及びnが、ポリマー中の比で提供され、m対nの比が、約10:1~1:10、約8:1~1:8、約6:1~1:6、約4:1~1:4、又は約2:1~約1:2である。いくつかの実施形態では、m対nの比は、約1:2~4:1、例えば、約4:1である。
【0184】
いくつかの実施形態では、ポリアクリルアミド、その誘導体又はコポリマーは、ポリ(アクリルアミド-コ-アクリル酸)、ポリ(アクリルアミド-コ-アクリル酸ナトリウム)、ポリ(アクリルアミド-コ-アクリル酸カリウム)、ポリ(アクリルアミド-コ-アクリル酸)部分カリウム塩、ポリ(アクリルアミド-コ-アクリル酸)部分ナトリウム塩、及びポリ(アクリルアミド-コ-メチレンビスアクリルアミド)である。一実施形態では、ポリアクリルアミド、その誘導体又はコポリマーは、ポリ(アクリルアミド-コ-アクリル酸)である、
【0185】
ポリアクリルアミド、その誘導体又はコポリマーは、本明細書に記載の1つ以上の架橋剤によって架橋され得、例えば、ポリアクリルアミドは、フリーラジカルによって開始されるビニル重合機構を介して、N、N-メチレンビスアクリルアミド又はジメタクリル酸エチレングリコールと架橋され得る。一実施形態では、架橋された親水性ポリマーは、ポリ(アクリルアミド-コ-メチレンビスアクリルアミド)又はポリ(アクリルアミド-コ-ジメタクリル酸エチレングリコール)である。ポリアクリルアミド、その誘導体又はコポリマーはまた、アルデヒド、例えば、ホルムアルデヒド又はグルタルアルデヒドと架橋され得る。
【0186】
いくつかの実施形態では、架橋されたポリアクリルアミド、その誘導体又はコポリマーを含むヒドロゲルは、1つ以上の金属塩を更に含み得る。好適な金属塩としては、ナトリウム塩又はカリウム塩が挙げられる。
【0187】
いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、気体流と接触すると、酸性ガス(例えば、CO2又はH2S)を反応、結合、又は溶解させることが可能である液体膨潤剤で膨潤した、架橋されたポリアクリルアミド、その誘導体又はコポリマーを含む。例えば、架橋されたポリアミンは、本明細書に記載の1つ以上の液体膨潤剤、例えば、アルコール、ポリオール化合物、グリコール、アミン(例えば、アルカノールアミン、アルキルアミン、アルキルオキシアミン)、ピペリジン、ピペラジン、ピリジン、ピロリドン、及びそれらの誘導体又は組み合わせで膨潤される。好適なアルカノールアミンとしては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、N-エチルモノエタノールアミン、及びアミノエトキシエタノールが挙げられ得る。好適なグリコールとしては、エチレングリコール、モノエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、プロパンジオール、ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、及びジグリムが挙げられ得る。好適なアルコールとしては、2-エトキシエタノール、2-メトキシエタノールが挙げられ得る。好適なポリオール化合物としては、グリセロールが挙げられ得る。好適なピペリジンは、ピペリジン、2-メチルピペリジン、3-メチルピペリジン、4-メチルピペリジン、2-ピペリジンエタノール(PE)、3-ピペリジンエタノール、及び4-ピペリジンエタノールを含む。液体膨潤剤は、上記液体のうちのいずれか1つ以上を含み得る。
【0188】
いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、水、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、N-エチルモノエタノールアミン、アミノエトキシエタノール、エチレングリコール、モノエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、プロパンジオール、ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロール、ジグリム、2-エチオキシエタノール、2-メトキシエタノール、グリセロール、2-メチルピペリジン、3-メチルピペリジン、4-メチルピペリジン、2-ピペリジンエタノール(PE)、3-ピペリジンムタノノール、及び4-ピペリジンムタノール、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される液体膨潤剤で膨潤された、架橋されたポリアクリルアミド、その誘導体又はコポリマーを含む。一実施形態では、液体膨潤剤は、水、グリセロール、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、2-ピペリジンエタノール、エチレングリコール、トリエチレングリコール、若しくはモノエチレングリコール(MEG)、又はそれらの組み合わせである。
【0189】
一実施形態では、架橋されたポリアクリルアミド、その誘導体又はコポリマーを含むヒドロゲルは、アルカノールアミン、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、N-エチルモノエタノールアミン、及びアミノエトキシエタノールのうちの1つ以上で膨潤される。一実施形態では、架橋されたポリアクリルアミド、その誘導体又はコポリマーを含むヒドロゲルは、ピペリジン、例えば、ピペリジン、2-メチルピペリジン、3-メチルピペリジン、4-メチルピペリジン、2-ピペリジンエタノール(PE)、3-ピペリジンムタノール、及び4-ピペリジンムタノールで膨潤される。一実施形態では、架橋されたポリアクリルアミド、その誘導体又はコポリマーを含むヒドロゲルは、グリコール、例えば、エチレングリコール、モノエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、プロパンジオール、ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、及びジグリムで膨潤される。一実施形態では、架橋されたポリアクリルアミド、その誘導体又はコポリマーを含むヒドロゲルは、アルカノールアミン及びグリコール、例えば、ジエタノールアミン及びエチレングリコール、又はピペリジン及びグリコール、例えば、2-ピペリジンエタノール及びエチレングリコールを含む混合物で膨潤される。
【0190】
一実施形態では、架橋されたポリアクリルアミド、その誘導体又はコポリマーを含むヒドロゲルは、アルカノールアミン及び水、例えば、ジエタノールアミン及び水、又はピペリジン及び水、例えば、2-ピペリジンエタノール水を含む混合物で膨潤される。
【0191】
一実施形態では、ヒドロゲルは、架橋されたポリアクリルアミド、その誘導体又はコポリマーを含み、ポリ(アクリルアミド-コ-アクリル酸)、ポリ(アクリルアミド-コ-アクリル酸ナトリウム)、ポリ(アクリルアミド-コ-アクリル酸カリウム)、ポリ(アクリルアミド-コ-アクリル酸)部分カリウム塩、ポリ(アクリルアミド-コ-アクリル酸)部分ナトリウム塩、及びポリ(アクリルアミド-コ-メチレンビスアクリルアミド)からなる群から選択され、水、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、N-エチルモノエタノールアミン、アミノエトキシエタノール、エチレングリコール、モノエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、プロパンジオール、ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロール、ジグリム、2-エチオキシエタノール、2-メトキシエタノール、グリセロール、2-メチルピペリジン、3-メチルピペリジン、4-メチルピペリジン、2-ピペリジンエタノール(PE)、3-ピペリジンムタノール、及び4-ピペリジンムタノール、又はそれらの混合物からなる群から選択される液体膨潤剤で膨潤される。
【0192】
ポリアクリレート
いくつかの実施形態又は実施例では、親水性ポリマーは、ポリアクリレート、その誘導体又はコポリマーを含み得る。当該技術分野で理解されるように、ポリアクリレート、誘導体又はコポリマーは、2つ以上のアクリレート単位を有する有機化合物である。いくつかの実施形態又は実施例では、ポリアクリレート、その誘導体又はコポリマーは、ポリアクリレート、その誘導体又はコポリマーを形成するために、少なくとも2つのアクリレート又はアクリレート誘導体を含む共重合性親水性モノマーを含み得る。
【0193】
アクリレート誘導体は、アクリレート、アクリル酸ナトリウム、アクリル酸カリウム、メタクリレート、メタクリル酸ナトリウム、メタクリル酸カリウム、メタクリル酸メチル、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル(HEMA)、アクリル酸2-ヒドロキシエチル(HEA)、N-イソプロピルアクリルアミド、又はそれらの組み合わせから選択され得る。
【0194】
いくつかの実施形態では、ポリアクリレート、その誘導体又はコポリマーは、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)(pHEMA)、ポリ(2-ヒドロキシエチルアクリレート)(pHEA)、又はポリ(アクリル酸ナトリウム)を含むか又はそれらからなる群から選択され得る。一実施形態では、ポリアクリレート、その誘導体又はコポリマーは、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)(pHEMA)又はポリ(2-ヒドロキシエチルアクリレート)(pHEA)を含むか又はそれらからなる群から選択され得る。一実施形態では、ポリアクリレート、その誘導体又はコポリマーは、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)(pHEMA)である。一実施形態では、ポリアクリレート、その誘導体又はコポリマーは、ポリ(2-ヒドロキシエチルアクリレート)(pHEA)である。
【0195】
いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、気体流又は大気と接触すると、酸性ガスを反応、結合、又は溶解させることが可能である液体膨潤剤で膨潤した、架橋されたポリアクリレート、その誘導体又はコポリマーを含む。例えば、架橋されたポリアクリレート誘導体又はそのコポリマーは、本明細書に記載の1つ以上の液体膨潤剤、例えば、アルコール、ポリオール化合物、グリコール、アミン(例えば、アルカノールアミン、アルキルアミン、アルキルオキシアミン)、ピペリジン、ピペラジン、ピリジン、ピロリドン、及びそれらの誘導体又は組み合わせで膨潤され得る。好適なアルカノールアミンとしては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、N-エチルモノエタノールアミン、及びアミノエトキシエタノールが挙げられ得る。好適なグリコールとしては、エチレングリコール、モノエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、プロパンジオール、ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、及びジグリムが挙げられ得る。好適なアルコールとしては、2-エトキシエタノール、2-メトキシエタノールが挙げられ得る。好適なポリオール化合物としては、グリセロールが挙げられ得る。好適なピペリジンは、ピペリジン、2-メチルピペリジン、3-メチルピペリジン、4-メチルピペリジン、2-ピペリジンエタノール(PE)、3-ピペリジンエタノール、及び4-ピペリジンエタノールを含む。液体膨潤剤は、上記液体のうちのいずれか1つ以上を含み得る。
【0196】
いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、水、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、N-エチルモノエタノールアミン、アミノエトキシエタノール、エチレングリコール、モノエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、プロパンジオール、ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロール、ジグリム、2-エチオキシエタノール、2-メトキシエタノール、グリセロール、2-メチルピペリジン、3-メチルピペリジン、4-メチルピペリジン、2-ピペリジンエタノール(PE)、3-ピペリジンムタノノール、及び4-ピペリジンムタノール、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される液体膨潤剤で膨潤された、架橋されたポリアクリレート、その誘導体又はコポリマーを含む。一実施形態では、液体膨潤剤は、水、グリセロール、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、2-ピペリジンエタノール、エチレングリコール、トリエチレングリコール、若しくはモノエチレングリコール(MEG)、又はそれらの組み合わせである。
【0197】
一実施形態では、架橋されたポリアクリレート、その誘導体又はコポリマーを含むヒドロゲルは、アルカノールアミン、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、N-エチルモノエタノールアミン、及びアミノエトキシエタノールのうちの1つ以上で膨潤される。一実施形態では、架橋されたポリアクリレート、その誘導体又はコポリマーを含むヒドロゲルは、ピペリジン、例えば、ピペリジン、2-メチルピペリジン、3-メチルピペリジン、4-メチルピペリジン、2-ピペリジンエタノール(PE)、3-ピペリジンムタノール、及び4-ピペリジンムタノールで膨潤される。一実施形態では、架橋されたポリアクリレート、その誘導体又はコポリマーを含むヒドロゲルは、グリコール、例えば、エチレングリコール、モノエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、プロパンジオール、ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、及びジグリムで膨潤される。一実施形態では、架橋されたポリアクリレート、その誘導体又はコポリマーを含むヒドロゲルは、アルカノールアミン及びグリコール、例えば、ジエタノールアミン及びエチレングリコール、又はピペリジン及びグリコール、例えば、2-ピペリジンエタノール及びエチレングリコールを含む混合物で膨潤される。
【0198】
一実施形態では、架橋されたポリアクリレート、その誘導体又はコポリマーを含むヒドロゲルは、アルカノールアミン及び水、例えば、ジエタノールアミン及び水、又はピペリジン及び水、例えば、2-ピペリジンエタノール及び水を含む混合物で膨潤される。
【0199】
ポリアクリル酸
いくつかの実施形態又は実施例では、親水性ポリマーは、ポリアクリル酸、その誘導体又はコポリマーを含み得る。当該技術分野で理解されるように、ポリアクリル酸、誘導体又はコポリマーは、2つ以上のアクリル酸単位を有する有機化合物である。いくつかの実施形態又は実施例では、ポリアクリル酸、その誘導体又はコポリマーは、ポリアクリル酸、その誘導体又はコポリマーを形成するために、少なくとも2つのアクリル酸又はアクリル酸誘導体を含む共重合性親水性モノマーを含み得る。
【0200】
アクリル酸誘導体は、アクリル酸又はメタクリル酸から選択され得る、いくつかの実施形態では、ポリアクリル酸、その誘導体又はコポリマーは、ポリ(アクリル酸)又はポリ(メタクリル酸)であり得る。
【0201】
いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、気体流又は大気と接触すると、酸性ガスを反応、結合、又は溶解させることが可能である液体膨潤剤で膨潤した、架橋されたポリアクリル酸、その誘導体又はコポリマーを含む。例えば、架橋されたポリアクリル酸誘導体又はそのコポリマーは、本明細書に記載の1つ以上の液体膨潤剤、例えば、アルコール、ポリオール化合物、グリコール、アミン(例えば、アルカノールアミン、アルキルアミン、アルキルオキシアミン)、ピペリジン、ピペラジン、ピリジン、ピロリドン、及びそれらの誘導体又は組み合わせで膨潤され得る。好適なアルカノールアミンとしては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、N-エチルモノエタノールアミン、及びアミノエトキシエタノールが挙げられ得る。好適なグリコールとしては、エチレングリコール、モノエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、プロパンジオール、ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、及びジグリムが挙げられ得る。好適なアルコールとしては、2-エトキシエタノール、2-メトキシエタノールが挙げられ得る。好適なポリオール化合物としては、グリセロールが挙げられ得る。
【0202】
好適なピペリジンは、ピペリジン、2-メチルピペリジン、3-メチルピペリジン、4-メチルピペリジン、2-ピペリジンエタノール(PE)、3-ピペリジンエタノール、及び4-ピペリジンエタノールを含む。液体膨潤剤は、上記液体のうちのいずれか1つ以上を含み得る。
【0203】
いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、水、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、N-エチルモノエタノールアミン、アミノエトキシエタノール、エチレングリコール、モノエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、プロパンジオール、ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロール、ジグリム、2-エチオキシエタノール、2-メトキシエタノール、グリセロール、2-メチルピペリジン、3-メチルピペリジン、4-メチルピペリジン、2-ピペリジンエタノール(PE)、3-ピペリジンムタノノール、及び4-ピペリジンムタノール、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される液体膨潤剤で膨潤された、架橋されたポリアクリル酸、そのコポリマーを含む。一実施形態では、液体膨潤剤は、水、グリセロール、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、2-ピペリジンエタノール、エチレングリコール、トリエチレングリコール、若しくはモノエチレングリコール(MEG)、又はそれらの組み合わせである。
【0204】
一実施形態では、架橋されたポリアクリル酸、その誘導体又はコポリマーを含むヒドロゲルは、アルカノールアミン、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、N-エチルモノエタノールアミン、及びアミノエトキシエタノールのうちの1つ以上で膨潤される。一実施形態では、架橋されたポリアクリル酸、その誘導体又はコポリマーを含むヒドロゲルは、ピペリジン、例えば、ピペリジン、2-メチルピペリジン、3-メチルピペリジン、4-メチルピペリジン、2-ピペリジンエタノール(PE)、3-ピペリジンムタノール、及び4-ピペリジンムタノールで膨潤される。一実施形態では、架橋されたポリアクリル酸、その誘導体又はコポリマーを含むヒドロゲルは、グリコール、例えば、エチレングリコール、モノエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、プロパンジオール、ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、及びジグリムで膨潤される。一実施形態では、架橋されたポリアクリル酸、その誘導体又はコポリマーを含むヒドロゲルは、アルカノールアミン及びグリコール、例えば、ジエタノールアミン及びエチレングリコール、又はピペリジン及びグリコール、例えば、2-ピペリジンエタノール及びエチレングリコールを含む混合物で膨潤される。
【0205】
一実施形態では、架橋されたポリアクリル酸、その誘導体又はコポリマーを含むヒドロゲルは、アルカノールアミン及び水、例えば、ジエタノールアミン及び水、又はピペリジン及び水、例えば、2-ピペリジンエタノール及び水を含む混合物で膨潤される。
【0206】
橋かけ剤及び架橋剤
ヒドロゲルは、架橋された親水性ポリマーを含む。ヒドロゲルを形成するために、親水性ポリマーのある程度の架橋が必要であることが理解されるであろう。ヒドロゲルの剛性及び弾性は、架橋の程度を変更することによって調整することができる。橋かけ剤は、3Dポリマーネットワークの形成を促進し、橋かけ剤を不溶性にする。不溶化架橋ポリマーネットワークは、水及び他の液体の採用及び保持を可能にする。架橋ヒドロゲルの概要は、参照により本明細書に組み込まれる、Maitra et al.,American Journal of Polymer Science,2014,4(2),25-31で考察されている。
【0207】
本明細書で使用される場合、「架橋する」、「架橋された」、又は「架橋すること」は、三次元マトリックス、すなわちヒドロゲルの形成を生じる、ヒドロゲル形成ポリマー内又はヒドロゲル形成ポリマー間の相互作用の形成を指す。例えば、ポリアミンは、架橋されたポリアミンヒドロゲルを形成するために、1,3-ブタジエンジエポキシド(BDDE)又はトリグリシジルトリメチロールプロパンエーテル(TTE又はTMPTGE)によって架橋され得る。
【0208】
一実施形態では、ヒドロゲルは、化学的に架橋された親水性ポリマーを含む。化学的に架橋されたヒドロゲルは、親水性ポリマー間の共有結合的な架橋によって形成される。そのような化学的架橋は、ヒドロゲルの形成を生じる親水性ポリマー内又は親水性ポリマー間に共有結合相互作用を形成することが可能な、本明細書に記載の架橋剤を含む架橋剤を使用することによって達成される。ポリアミンなどの親水性ポリマーを化学的に架橋することができる架橋剤の一例は、エポキシドである。これは、化学的に架橋されたヒドロゲルと反対に本質的に可逆的である(すなわち、永続的ではない)架橋の種類を指す、「物理的に架橋された」親水性ポリマーとは対照的である。物理的な架橋の例としては、ヒドロゲル形成ポリマーの分子エンタングルメント、イオン相互作用、水素結合、及び疎水性相互作用が挙げられる。
【0209】
いくつかの実施形態では、親水性ポリマーは、約0.01モル%~約50モル%の架橋剤を含む。親水性ポリマーは、少なくとも約0.01、0.1、1、2、5、10、15、20、25、30、35、40、45、又は50モル%の架橋剤を含み得る。親水性ポリマーは、約50、45、40、35、30、25、20、15、10、5、2、1、0.1、又は0.01モル%未満の架橋剤を含み得る。様々な範囲を形成するこれらのモル%値の組み合わせも可能であり、例えば、親水性ポリマーは、約0.01モル%~約50モル%、約0.01モル%~約20モル%、又は約0.01モル%~約10モル%の架橋剤を含み得る。
【0210】
いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、ヒドロゲルの総重量に基づいて、約0.1重量%~約20重量%の架橋剤を含む。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、ヒドロゲルの総重量に基づいて、少なくとも約0.1、1、2、3、4、5、6、8、10、15、又は20重量%の架橋剤を含む。他の実施形態では、ヒドロゲルは、ヒドロゲルの総重量に基づいて、約20、15、20、15、10、8、6、5、3、2、1,又は0.1重量%未満の架橋剤を含む。様々な範囲を形成するこれらの重量%値の組み合わせも可能であり、例えば、のヒドロゲルは、ヒドロゲルの総重量に基づいて、約1重量%~約20重量%、約10重量%の間、又は約1重量%~約6重量%の架橋剤を含む。本明細書に記載のいくつかの実施形態又は実施例によれば、より多量の架橋剤(例えば、1重量%以上)を含むヒドロゲルは、良好な再生特性を示した。
【0211】
したがって、いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、ヒドロゲルの総重量に基づいて、約0.05重量%~約50重量%の架橋された親水性ポリマーを含む。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、ヒドロゲルの総重量に基づいて、少なくとも約0.01、0.05、0.1、0.2、0.5、1、2、5、10、15、20、25、30、35、40、45、又は50重量%の架橋された親水性ポリマーを含む。他の実施形態では、ヒドロゲルは、ヒドロゲルの総重量に基づいて、約50、45、40、35、30、25、20、15、10、5、2、1、0.5、0.2、0.1、0.05、又は0.01重量%未満の架橋された親水性ポリマーを含む。様々な範囲を形成するこれらの架橋された親水性ポリマーの組み合わせも可能であり、例えば、ヒドロゲルは、ヒドロゲルの総重量に基づいて、約0.01重量%~約50重量%、約0.05重量%~約50重量%、約1重量%~約50重量%、約0.05重量%~約25重量%、約10重量%~約50重量%、約10重量%~約40重量%、又は約30重量%~約50重量%の架橋された親水性ポリマーを含む。
【0212】
一実施形態では、乾燥又は脱水ヒドロゲルは、脱水ヒドロゲルの総重量に基づいて、約80重量%~約99.9重量%の架橋された親水性ポリマーを含み得る。
【0213】
ヒドロゲルの膨潤する能力は、架橋された親水性ポリマーの性質、及びヒドロゲルを膨潤させる溶媒に依存する。例えば、長い親水性架橋を有するヒドロゲルは、より短い疎水性架橋を有する類似の架橋ポリマーネットワークよりも膨潤し得る。
【0214】
架橋剤は、架橋された親水性ポリマー中のアルキル橋かけ剤、ヘテロアルキル橋かけ剤、シクロアルキル橋かけ剤、アリールアルキル橋かけ剤、又はヘテロアリールアルキル橋かけ剤を提供するように選択され得、これらの各々は、本明細書に記載されるように任意に置換かつ/又は任意に中断され得る。架橋剤は、約1~30個の炭素原子を含み得、本明細書に記載されるように任意に置換され得、かつ/又は任意に中断され得る。
【0215】
いくつかの実施形態では、架橋剤は、架橋された親水性ポリマー中にアルキル橋かけ剤を提供するように選択される。アルキル橋かけ剤は、アルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシル、又はアミンから選択される1つ以上の官能基で任意に置換され得、1つ以上のO、N、Si又はSで任意に中断され得る。一例では、橋かけ剤は、1つ以上のヒドロキシル基で置換されている。橋かけ剤上の1つ以上のヒドロキシル基の存在により、少なくとも本明細書に記載されるいくつかの実施例に従って、ヒドロゲル中の酸性ガス(例えば、CO2)の結合及び吸収を更に改善することができる。
【0216】
いくつかの実施形態では、架橋剤は、架橋された親水性ポリマー中にC1~C20アルキル橋かけ剤を提供するように選択され得る。C1-20アルキル橋かけ剤は、1~20個の原子鎖を有する上記又は本明細書に記載の任意のアルキルによって提供され得ることが理解されるであろう。例えば、C1-20アルキル橋かけ剤は、少なくともアルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシル又はアミンから選択される1つ以上の官能基で任意に置換され得、1つ以上のO、N、Si又はSで任意に中断され得る。他の例では、架橋剤は、本明細書に記載される任意の例に従って、C2~C20アルキル、C5~C20アルキル、C10~C20アルキル、又はC12~C10アルキルであり得る。
【0217】
いくつかの実施形態では、架橋剤は、架橋された親水性ポリマー中にC1~C10アルキル橋かけ剤を提供するように選択され得る。C1-10アルキル橋かけ剤は、1~10個の原子鎖を有する上記又は本明細書に記載の任意のアルキルによって提供され得ることが理解されるであろう。例えば、C1-10アルキル橋かけ剤は、少なくともアルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシル又はアミンから選択される1つ以上の官能基で任意に置換され得、1つ以上のO、N、Si又はSで任意に中断され得る。他の例では、架橋剤は、本明細書に記載される任意の例に従って、C2~C10アルキル、C3~C10アルキル、C4~C10アルキル、又はC5~C10アルキルであり得る。
【0218】
架橋剤は、架橋された親水性ポリマー中にヘテロアルキル橋かけ剤を提供するように選択され得る。ヘテロアルキル基は、1個以上のヘテロ原子(例えば、1~3個)によって中断されている、本明細書に記載されるアルキル又はその任意の例によって提供され得る。ヘテロ原子は、O、N、Si、Sのうちのいずれか1個以上から選択され得る。
【0219】
架橋剤は、架橋された親水性ポリマー中にシクロアルキル橋かけ剤を提供するように選択され得る。シクロアルキル橋かけ剤は、アルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシル又はアミンから選択される1つ以上の官能基で任意に置換され得、1つ以上のO、N、Si又はSで任意に中断され得る。シクロアルキル基は、例えば、アルキルシクロアルキル基であり得る。シクロアルキル基は、一緒に連結及び/又は融合した1~3つの環式基を有し得る。
【0220】
架橋剤は、架橋された親水性ポリマー中にアリールアルキル橋かけ剤を提供するように選択され得る。アリールアルキル橋かけ剤は、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシル、カルボキシル又はアミンのうちのいずれか1つ以上から選択される1つ以上の官能基で任意に置換され得、いずれか1つ以上のO、N、Si又はSで任意に中断され得る。アリールアルキル橋かけ剤は、例えば、各々が一緒に連結及び/又は融合し得る1~3つのアリール基を有し得る。
【0221】
架橋剤は、架橋された親水性ポリマー中にヘテロアリールアルキル橋かけ剤を提供するように選択され得る。ヘテロアリールアルキルは、1個以上のヘテロ原子によって中断された任意のアリールアルキル基であり得ることが理解されるであろう。ヘテロ原子は、O、N、Si、Sのうちのいずれか1個以上から選択され得る。
【0222】
いくつかの実施形態では、架橋剤はエポキシド(すなわちエポキシド橋かけ剤)である。例えば、エポキシドは、架橋された親水性ポリマー中に二価又は多価の結合基を提供することができ、これは、エポキシド基と親水性ポリマーとの反応から生じる1つ以上のヒドロキシル基を含み得る。いくつかの実施形態では、架橋剤は、少なくとも1、2、3、4、又は5つのエポキシドを含む。いくつかの実施形態では、架橋剤は2つのエポキシドを含む。一実施形態では、架橋剤はエポキシドである。一実施形態では、エポキシドは、ジエポキシド(例えば、2つのエポキシド基、例えばBDDEを含む)である。一実施形態では、エポキシドは、トリエポキシド(例えば、3つのエポキシド基、例えばTTEを含む)である。一実施形態では、架橋剤は、1,3-ブタジエンジエポキシド(BDDE)又はトリグリシジルトリメチロールプロパンエーテル(TTE又はTMPTGE)である。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、架橋されたポリアミン又はそのコポリマーを含む。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、架橋されたポリアクリルアミド又はそのコポリマーを含む。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、架橋されたポリアミン、又は架橋されたポリアクリルアミド、又はそれらのコポリマーを含む。
【0223】
架橋剤は、トリグリシジルトリメチロールプロパンエーテル(TTE又はTMPTGE)(トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルとも称される)、ジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル(CAS番号:101-90-6)、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、1,3-ブタジエンジエポキシド、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸ジグリシジル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジル、ポリ(エチレングリコール)ジグリシジルエーテル平均(<Mn 1000)、グリセロールジグリシジルエーテル、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールAプロポキシレートジグリシジルエーテル、ビスフェノールAプロポキシレートジグリシジルエーテルPO/フェノール1、N,N-ジグリシジル-4-グリシジルオキシアニリン、N,N-ジグリシジル-4-グリシジルオキシアニリン、ポリ(ジメチルシロキサン)、ジグリシジルエーテル末端(Mn<1000)、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、2,2-ビス¥[4-(グリシジルオキシ)フェニル]プロパン、4,4’-イソプロピリデンジフェノールジグリシジルエーテル、BADGE、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、D.E.R.(商標)332、ビス¥[4-(グリシジルオキシ)フェニル]メタン、トリス(4-ヒドロキシフェニル)メタントリグリシジルエーテル、トリス(2,3-エポキシプロピル)イソシアヌレート、4,4’-メチレンビス(2-メチルシクロヘキシルアミン)からなる群から選択され得る。
【0224】
他の好適な架橋剤はまた、1つ以上のイソチオシアネート、イソシアネート、アシルアジド、NHSエステル、塩化スルホニル、アルデヒド、グリオキサール、エポキシド、オキシラン、カルボナート、ハロゲン化アリール、イミドエステル、カルボジイミド、無水物、アクリレート、アクリルアミド、ジアミン、及びフルオロフェニルエステル基を含み得る。
【0225】
架橋剤は、アルデヒド基、例えば、少なくとも1つ、2つ、又は3つのアルデヒド基を含み得る。例えば、架橋剤は、ホルムアルデヒド又はグルタルアルデヒドであり得る。一実施形態では、親水性ポリマーは、アルデヒド、例えば、ホルムアルデヒド又はグルタルアルデヒドと架橋されたポリアクリルアミド、その誘導体又はコポリマーである。
【0226】
架橋剤は、2つ以上のビニル基(-C=CH2)を含み得る。例えば、架橋剤は、N,N-メチレンビスアクリルアミド又はジメタクリル酸エチレングリコールなどのジビニル架橋剤であり得る。いくつかの実施形態では、親水性ポリマーは、例えば、共有結合によって一緒に保持されるポリ(アクリルアミド-コ-メチレンビスアクリルアミド)ヒドロゲル又はポリ(N-2-ヒドロクスエチル(hydroxethyl))アクリルアミドヒドロゲルを形成するために、フリーラジカルによって開始されるビニル重合機構を介して、N,N-メチレンビスアクリルアミドと架橋されたポリアクリルアミド、その誘導体又はコポリマーである。
【0227】
いくつかの実施形態では、ラジカル重合を開始/触媒するために、フリーラジカル開始剤及び/又は触媒が添加され得る。好適な触媒としては、N,N,N’,N’-テトラメチルジアミノメタン、N,N,N’,N’-テトラエチルメタンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチル-1,3-プロパンジアミン、又はN,N,N’,N’-テトラメチル-1,4-ブタンジアミンなどのジアミンが挙げられる。好適な開始剤としては、ペルオキシスルファート、ペルオキシホスファート、ペルオキシカルボナート、アルキルペルオキシド、アシルペルオキシド、ヒドロペルオキシド、ケトンペルオキシド、過エステル、アゾ化合物、アジドなど、例えば、ジエチルペルオキシジカルボナート、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、ペルオキシリン酸カリウム、t-ブチルペルオキシド、アセチルペルオキシド、t-ブチルヒドロペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、過シュウ酸ジメチル、アゾ-ビス(イソブチロニトリル)、ベンゼンスルホニルアジド、2-シアノ-2-プロピル-アゾ-ホルムアミド、アゾ-ビスイソブチルアミジン二塩酸塩(又は遊離塩基)、アゾビス-(N,N’-ジメチレンイソブチルアジン-ジヒドロクロリド(又は遊離塩基)、及び4,4’-アゾ-ビス(4-シアノペンタン酸)が挙げられる。
【0228】
いくつかの実施形態では、架橋剤は、ジアクリレート又はジアクリルアミドである。
【0229】
好適な架橋剤の他の例としては、ジメタクリル酸エチレングリコール、ピペラジンジアクリルアミド、PEGジアクリレート、ジメタクリル酸エチレングリコール、ジアクリル酸ジエチレングリコール、ジアクリル酸トリエチレングリコールが挙げられる。
【0230】
一実施形態では、架橋された親水性ポリマーは、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)、及びN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)、及び多官能性アミンと架橋されたポリ(アクリルアミド-コ-アクリル酸)、又はその部分ナトリウム塩若しくはカリウム塩を含む。
【0231】
親水性ポリマーは、イオン架橋(例えば、イオン相互作用(すなわち、逆帯電したイオン間の静電吸引)によって結合)され得る。例えば、イオン架橋は、親水性ポリマーと、リンカーとしての逆帯電した分子との間の電荷相互作用であり得る。この帯電した小分子は、多価カチオン又はアニオンであり得る。また、逆帯電した分子は、ポリマーであり得る。イオン架橋はまた、逆荷電の2つのヒドロゲル形成ポリマー間に存在し得る。いくつかの実施形態では、親水性ポリマーは、金属架橋剤、例えば、多価カチオンによって架橋される。「多価カチオン」という用語は、+2以上の正電荷を有するカチオンを指す。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、二価カチオン若しくは三価カチオン、又はそれらの混合物によってイオン架橋される。いくつかの実施形態では、多価カチオンは、二価カチオンである。本明細書で使用される場合、「二価カチオン」という用語は、+2価を有する正に帯電した元素、原子、又は分子を意味することを意図している。二価カチオンは、Ca2+、Mg2+、Sr2+、Ba2+、Zn2+、又はBe2+うちの1つ以上、及びこれらのカチオンの塩形態(例えば、CaCl2)から選択され得る。他の実施形態では、多価カチオンは、三価カチオンである。本明細書で使用される場合、「三価カチオン」という用語は、+3価を有する正に帯電した元素、原子、又は分子を意味することを意図している。三価カチオンは、Fe3+、Cr3+、Al3+、又はMn3+のうちの1つ以上、及びこれらのカチオンの塩形態(例えば、AlCl3)から選択され得る。いくつかの実施形態では、架橋剤は、二価及び三価カチオンの両方の混合物であり、これらの両方は、本明細書に記載のカチオンから選択され得る。
【0232】
一実施形態では、少なくとも1つの酸性ガス吸収剤は、酸性ガスに結合するための架橋された親水性ポリマー上の1つ以上の反応性官能基としてヒドロゲル内に組み込まれ、少なくとも1つの酸性ガス吸収剤は、ヒドロゲル内に吸収された液体膨潤剤の一部としてヒドロゲル内に組み込まれる。
【0233】
一実施形態では、ヒドロゲルが、酸性ガスに結合するための架橋された親水性ポリマー上の1つ以上の反応性官能基として酸性ガス吸収剤を組み込み、ヒドロゲル内に吸収される液体膨潤剤の一部として酸性ガス吸収剤を組み込む場合、酸性ガス吸収剤は、同じである(例えば、ヒドロゲルは、酸性ガスに結合することが可能な1つ以上のアミン官能基を有する架橋された親水性ポリマーを含み得、液体アミンで膨潤し、例えば、ヒドロゲルは、ジエタノールアミン液体膨潤剤で膨潤した架橋されたポリエチレンイミンを含む)。
【0234】
別の実施形態では、ヒドロゲルが、酸性ガスに結合するための架橋された親水性ポリマー上の1つ以上の反応性官能基として酸性ガス吸収剤を組み込み、ヒドロゲル内に吸収される液体膨潤剤の一部として酸性ガス吸収剤を組み込む場合、酸性ガス吸収剤は、異なる(例えば、ヒドロゲルは、酸性ガスに結合することが可能な1つ以上のアミン官能基を有する架橋された親水性ポリマーを含み、物理的プロセスによって酸性ガスを吸収することが可能な、メタノールなどの液体膨潤剤で膨潤する)。
【0235】
ヒドロゲルを調製するためのプロセス
本開示はまた、本明細書に記載されるヒドロゲルを調製するためのプロセスを提供する。
【0236】
プロセスは、親水性ポリマー及び架橋剤を含む溶液を、親水性ポリマーを架橋させてヒドロゲルを形成するのに有効な条件下で混合することを含み得、プロセスが、熱伝導性を有する微粒子材料を親水性ポリマー及び架橋剤と混合すること、又はヒドロゲルを微粒子材料と、微粒子材料をヒドロゲル上若しくはヒドロゲル内に散在させるのに有効な条件下で接触させることを含む。
【0237】
一実施形態では、プロセスは、親水性ポリマー、熱伝導性を有する微粒子材料、及び架橋剤を含む溶液を、親水性ポリマーを架橋させてヒドロゲルを形成するのに有効な条件下で混合することを含み、微粒子材料が、ヒドロゲル上又はヒドロゲル内に散在している。いくつかの実施形態では、微粒子材料は、架橋剤の添加前に、親水性ポリマー溶液を含む溶液と混合される。
【0238】
いくつかの実施形態では、微粒子材料は、親水性ポリマー溶液への添加前に、架橋剤と混合される。代替的な実施形態では、プロセスは、1)親水性ポリマーを含む溶液を調製することと、2)親水性ポリマーを含む溶液と熱伝導性材料を混合することと、3)架橋剤を含む溶液を、親水性ポリマー及び熱伝導性材料を含む混合物に、親水性ポリマーを架橋させてヒドロゲルを形成するのに有効な条件下で添加することと、を含み、熱伝導性材料が、ヒドロゲル上又はヒドロゲル内に散在している。
【0239】
一実施形態では、プロセスは、1)親水性ポリマーを含む溶液を調製することと、2)架橋剤を含む溶液と熱伝導性材料を混合することと、3)架橋剤及び熱伝導性微粒子材料を含む溶液を親水性ポリマー溶液に、親水性ポリマーを架橋させてヒドロゲルを形成するのに有効な条件下で添加することと、を含み、熱伝導性材料が、ヒドロゲル上又はヒドロゲル内に散在している。
【0240】
関連する実施形態では、ヒドロゲル上又はヒドロゲル内での熱伝導性微粒子材料の散在は、その場で(すなわち、親水性ポリマーの架橋中に)生じ得、熱伝導性微粒子材料は、架橋された親水性ポリマー内又はヒドロゲルの表面上に散在し得る。本明細書に記載のいくつかの実施形態又は実施例によれば、親水性ポリマーの架橋中の熱伝導性微粒子材料の現場での散在は、ヒドロゲル全体への微粒子材料の均一な分散を提供し得、改善された熱伝達特性を提供し得る。
【0241】
代替的に、プロセスは、親水性ポリマー及び架橋剤を含む溶液を、親水性ポリマーを架橋させてヒドロゲルを形成するのに有効な条件下で混合することを含み得、プロセスが、ヒドロゲルを微粒子材料と、微粒子材料をヒドロゲル上又はヒドロゲル内に散在させるのに有効な条件下で接触させることを含む。
【0242】
一実施形態では、プロセスは、1)親水性ポリマーを含む溶液を調製することと、2)架橋剤を含む溶液を親水性ポリマー溶液に、ヒドロゲルを形成するのに有効な条件下で添加することと、3)ヒドロゲルを熱伝導性微粒子材料と接触させることと、を含み、微粒子材料が、ヒドロゲルの表面上又は表面内に散在している。
【0243】
関連する実施形態では、ヒドロゲル上又はヒドロゲル内での熱伝導性微粒子材料の散在は、現場外で(すなわち、親水性ポリマーの架橋に対する別々のステップとして)生じ得、熱伝導性微粒子材料は、ヒドロゲルの表面上に散在し得る。
【0244】
熱伝導性微粒子材料は、例えば、ヒドロゲルの表面上の微粒子層としてヒドロゲルの表面上に散在し得る。一実施形態では、ヒドロゲルは、複数の粒子の形態にあり、粒子の少なくとも一部が、微粒子コーティング層として粒子の表面上に散在している(例えば、表面上にインターカレートされているか又は埋め込まれた)熱伝導性微粒子材料を含む。理論に束縛されることを望むものではないが、微粒子材料は、ヒドロゲルの表面に付着し、ヒドロゲルの表面に位置する1つ以上の間隙空隙に組み込まれることができるか、又は埋め込まれることができると考えられる。
【0245】
親水性ポリマーを架橋させてヒドロゲルを形成する、かつ/又はヒドロゲル上若しくはヒドロゲル内に微粒子材料を散在させるのに有効な条件は、本明細書に記載されている。(例えば、現場で又は現場外で)熱伝導性粒子をヒドロゲル上又はヒドロゲル内に散在させる方法にかかわらず、熱伝導性微粒子材料がヒドロゲル上又はヒドロゲル内に散在されることが理解されるであろう。親水性ポリマー、架橋剤、及び熱伝導性材料は、本明細書に記載されている。
【0246】
いくつかの実施形態では、熱伝導性微粒子材料は、架橋剤及び親水性ポリマーと混合する前(例えば、現場での散在)、又はヒドロゲルと接触させる前(例えば、現場外での散在)に、サイズが低減される。
【0247】
親水性ポリマー及び架橋剤は、親水性ポリマーを架橋させてヒドロゲルを形成するのに有効な好適な温度で混合され得る。一実施形態では、親水性ポリマー及び架橋剤は、親水性ポリマーを架橋させてヒドロゲルを形成するために、約10℃~約50℃の温度で混合され得る。親水性ポリマー及び架橋剤は、親水性ポリマーを架橋させてヒドロゲルを形成するために、少なくとも約10、12、15、17、20、22、25、28、30、35、40、45、又は50℃の温度で混合され得る。親水性ポリマー及び架橋剤は、親水性ポリマーを架橋させてヒドロゲルを形成するために、約50、45、40、35、30、28、25、22、20、17、15、12、又は10℃未満の温度で混合され得る。混合温度は、これらの上限値及び/又は下限値のうちのいずれか2つによって提供される範囲にあり得る。いくつかの実施形態では、親水性ポリマーを架橋させてヒドロゲルを形成するための混合温度は、約10、12、15、17、20、22、25、28、30、35、40、45、又は50℃である。
【0248】
親水性ポリマー及び架橋剤は、親水性ポリマーを架橋させてヒドロゲルを形成するのに有効な期間の間混合され得る。一実施形態では、親水性ポリマーを架橋させてヒドロゲルを形成するために、親水性ポリマー及び架橋剤は、約5分~約60分間の期間の間混合される。いくつかの実施形態では、親水性ポリマーを架橋させてヒドロゲルを形成するために、親水性ポリマー及び架橋剤は、少なくとも約5分~約60分。の約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、又は60分間の期間の間混合される。親水性ポリマーを架橋させてヒドロゲルを形成するために、親水性ポリマー及び架橋剤は、約60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、又は10分未満の期間の間混合され得る。混合時間は、これらの上限値及び/又は下限値のうちのいずれか2つによって提供される範囲にあり得る。いくつかの実施形態では、親水性ポリマーを架橋させてヒドロゲルを形成するための混合時間は、約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、又は60分間である。
【0249】
いくつかの実施形態では、例えば、本明細書に記載の開始剤及び/又は触媒を含む1つ以上の他の添加剤が、親水性ポリマー及び架橋剤に添加され得る。例えば、ヒドロゲルを形成するのに有効な条件が、フリーラジカル重合を含む場合、親水性ポリマー(例えば、PHEAAヒドロゲル)の重合及び架橋を開始/触媒するために、開始剤(例えば、過硫酸カリウム)及び/又は触媒(例えば、N,N,N’,N’-テトラメチルジアミノメタン)が添加され得ることが理解されるであろう。代替的に、他の実施形態では、親水性ポリマー(例えば、架橋されたPEIヒドロゲル)の架橋は、開始剤及び/又は触媒の存在を必要としない。
【0250】
本明細書に記載のヒドロゲル上又はヒドロゲル内の熱伝導性微粒子材料の現場での散在のための、微粒子材料をヒドロゲル上又はヒドロゲル内に散在させるのに有効な条件は、ヒドロゲルを形成するために親水性ポリマーを架橋させるのに有効な条件と同じであり得る。
【0251】
本明細書に記載のヒドロゲル上又はヒドロゲル内の熱伝導性微粒子材料の現場外での散在のために、微粒子材料は、微粒子材料をヒドロゲル上又はヒドロゲル内に散在させるのに有効な条件下でヒドロゲルと混合され得る。一実施形態では、熱伝導性微粒子材料は、微粒子材料をヒドロゲル上又はヒドロゲル内に散在させるのに有効な期間の間、ヒドロゲルと混合される。一実施形態では、微粒子材料及びヒドロゲルを、少なくとも約0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、15、20、30、60、90、120、又は180分間の間混合して、微粒子材料をヒドロゲル上又はヒドロゲル内に散在させる。一実施形態では、微粒子材料及びヒドロゲルを、少なくとも約180、120、90、60、30、20、15、12、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、又は0.5分間の間混合して、微粒子材料をヒドロゲル上又はヒドロゲル内に散在させる。範囲は、これらの上限値及び/又は下限値のうちの任意の2つによって提供され得る。混合は、任意の好適なプロセス、例えば、ブレンド、粉砕、又は破砕を含み得る。
【0252】
一実施形態では、プロセスは、ヒドロゲルを粉砕/破砕して複数のヒドロゲル粒子(すなわち、微粒子)を形成するステップを更に含む。任意の好適な技術を使用して、例えば、乳鉢及び乳棒を使用してヒドロゲルを粉砕することができる。ヒドロゲルは、本明細書に記載される粒径を有し得る。ヒドロゲルは、熱伝導性微粒子材料と接触する前に粉砕/破砕され得る。代替的に、熱伝導性微粒子材料を含むヒドロゲルが、粉砕/破砕され得る。
【0253】
本明細書に記載のヒドロゲルは、向上した表面積を提供することができる粗面化された又はテクスチャ加工された表面を有し得、これによって、ヒドロゲルの表面上又は表面内の微粒子材料の散在を容易にすることができる。いくつかの実施形態では、熱伝導性微粒子材料は、ヒドロゲル粒子の粗面化された表面上又は表面内に散在し得る(例えば、ヒドロゲル粒子の粗面化された表面にインターカレートされ得るか、散在し得る、又は埋め込まれ得る)。表面の粗さは、ヒドロゲルを粒子へと粉砕/破砕することによって提供することができ、粒子が、粗面化された表面を含む。
【0254】
いくつかの実施形態では、親水性ポリマー及び/又は架橋剤を含む溶液は、水溶液、又は液体膨潤剤、又はそれらの混合物から選択される。親水性ポリマーを含む溶液は、架橋剤を含む溶液と同じであっても異なっていてもよい。
【0255】
一実施形態では、プロセスは、ヒドロゲルを脱水して、溶液(例えば、親水性ポリマー、架橋剤、及び熱伝導性材料を混合するために使用される水溶液)を除去するステップを更に含む。更なる実施形態では、脱水ヒドロゲルは、本明細書に記載される液体膨潤剤のうちの1つ以上で膨潤し得る。代替的に、ヒドロゲルは、本明細書に記載される液体膨潤剤のうちの1つ以上を使用して調製され得る。
【0256】
気体流及び大気
本開示のヒドロゲルは、酸性ガスを含有する気体流又は大気から酸性ガスを除去することができ、炭化水素ガスからなどの燃焼前プロセスからの酸性ガスの除去、燃焼ガスからの酸性ガスの除去、製品の製造において生成される酸性ガスの低減などの種々の工業的プロセスにおける酸性ガスの吸収において使用することができるか、又は周囲空気の酸性ガス含有量の低減において使用することができる。酸性ガス(例えば、CO2又はH2S)は、ヒドロゲル内に吸収されることによって、気体流又は大気から除去され得る。例えば、酸性ガスは、化学的又は物理的プロセスによってヒドロゲル内に吸収され得る。いくつかの実施形態では、架橋された親水性ポリマーは、酸性ガスに結合することが可能な1つ以上の官能基を含む。代替的に又は追加的に、ヒドロゲルは、液体膨潤剤を含み得、液体膨潤剤が、酸性ガスを吸収する。酸性ガスは、炭化水素ガス流中の汚染物質であり得る。一実施形態では、酸性ガスは、CO2若しくはH2S、又はそれらの混合物である。一実施形態では、酸性ガスは、窒素酸化物ガス(例えばNOx)である。NOxは、典型的には、酸素を使用する燃焼プロセス中に生成される窒素酸化物のファミリー全体を示す。NOx汚染物質としては、一酸化窒素(NO)、二酸化窒素(NO2)、三酸化窒素(N2O3)などが挙げられる。一実施形態では、酸性ガスは、二酸化炭素(CO2)、二酸化硫黄(SO2)、硫化水素(H2S)、及び窒素酸化物(NOx)、又はそれらの混合物からなる群から選択される。
【0257】
酸性ガスは、酸性ガスなどの天然ガスの成分であり得、これは、かなりの量の酸性ガス、すなわち、H2S又はCO2を含有する天然ガス混合物であると理解されるものである。酸性ガスは、かなりの量のH2Sを含有する特定の種類の酸性ガスであるサワーガスであり得る。一実施形態では、酸性ガスは、炭化水素ガス中の汚染物質であり得る。「炭化水素ガス」という用語は、一般的には天然ガスを指すが、この用語は、炭層ガス、随伴ガス、非従来型ガス、埋め立て地ガス、バイオガス、及び煙道ガスに等しく適用され得ることが当業者には理解されるであろう。代替的に、酸性ガスは、周囲空気などのより低い酸性ガス濃度の気体流又は大気の成分であり得る。
【0258】
気体流又は大気は、流又は大気からの1つ以上の酸性ガスの分離が望まれる任意の流又は大気であり得る。流又は大気の例としては、例えば、石炭ガス化プラント、改質器、燃焼前ガス流、煙道ガスなどの燃焼後ガス流(インライン燃焼後ガス流を含む)、化石燃料燃焼発電所からの排気流、サワー天然ガス、燃焼後、焼却炉からの排出ガス、工業用ガス流、車両からの排気ガス、潜水艦などの密閉環境からの排気ガスなどが挙げられる。一実施形態では、気体流又は大気は、燃焼煙道ガス、炭化水素ガス混合物、セメント又は鉄鋼生産からの排出物、バイオガス、及び周囲空気からなる群から選択される。
【0259】
いくつかの実施形態では、気体流又は大気は、約200,000百万分率(ppm)未満の酸性ガス濃度を有し得る。一実施形態では、気体流又は大気は、150,000、100,000、75,000、50,000、25,000、10,000、5,000、4,000、1,000、900、800、700、600、500、400、300、200、又は100ppm未満の酸性ガス濃度を有し得る。別の実施形態では、気体流又は大気は、約100ppm~100,000ppm、約100ppm~約10,000ppm、又は約100ppm~約5,000ppmの酸性ガス濃度を有し得る。1ppmは0.0001体積%に相当することが理解されるであろう。例えば、約100,000ppm未満の酸性ガス濃度を有する気体流又は大気は、気体流中の酸性ガスの10.0体積%に相当する。
【0260】
低CO2濃度の気体流又は大気。
本開示のヒドロゲルは、低CO2濃度の気体流又は大気からCO2を除去することができる。例えば、プロセスは、低CO2濃度の気体流又は大気からCO2を除去することができる。低濃度の気体流又は大気の例としては、大気(例えば、周囲空気)、換気空気(例えば、空気調節ユニット及び建物の換気)、及び呼吸空気を再利用する部分的に閉鎖されたシステム(例えば、潜水艦又はリブリーザー)が挙げられる。いくつかの実施形態では、低CO2濃度の気体流又は大気は、約200,000百万分率(ppm)未満のCO2濃度を有し得る。一実施形態では、低CO2濃度の気体流又は大気は、150,000、100,000、75,000、50,000、25,000、10,000、5,000、4,000、1,000、900、800、700、600、500、400、300、200、又は100ppm未満のCO2濃度を有し得る。別の実施形態では、低CO2濃度の気体流又は大気は、約100ppm~100,000ppm、約100ppm~約10,000ppm、約100ppm~約5,000ppm、約100ppm~約1,000ppm、又は約100ppm~約500ppmのCO2濃度を有し得る。一実施形態では、低CO2濃度の気体流又は大気は、約200ppm~約500pm、例えば約400~450ppmのCO2濃度を有し得る。
【0261】
いくつかの実施形態では、低CO2濃度の気体流又は大気は、約20、15、10、7.5、5、2.5、1、0.5、0.1、0.09、0.08、0.07、0.06、0.05、0.04、0.03、0.02、又は0.01体積%未満のCO2濃度を有し得る。別の実施形態では、低CO2濃度の気体流又は大気は、約0.01体積%~約10体積%、約0.01体積%~約1体積%、約0.01体積%~約0.1体積%、又は0.01体積%~約0.05体積%のCO2濃度を有し得る。一実施形態では、低CO2濃度の気体流又は大気は、約0.02体積%~約0.05体積%、例えば約0.04体積%のCO2濃度を有し得る。
【0262】
一実施形態では、低CO2濃度の気体流又は大気は、周囲空気(例えば、大気)と同じCO2濃度を有し得る。したがって、一実施形態では、低CO2濃度の気体流又は大気は、世界中のほとんどの場所における周囲空気中と同様に、約400ppm~450ppmのCO2のCO2濃度、例えば、約400ppm~415ppmを有し得る。したがって、一実施形態では、プロセスは、直接空気捕捉(DAC)のためのものである。
【0263】
一実施形態又は実施例では、プロセスは、屋内密閉環境における直接空気捕捉(DACi)のためのものである。したがって、CO2濃度の気体流又は大気は、最大2,000ppmのCO2濃度を有し得る。
【0264】
一実施形態又は実施例では、プロセスは、外部発電所における直接空気捕捉(DACex)のためのものである。したがって、CO2濃度の気体流又は大気は、約3,000ppm~約150,000ppmのCO2濃度を有し得る。
【0265】
一実施形態又は実施例では、気体流又は大気は、100ppm(すなわち、0.01体積%)未満の炭化水素ガスを含み得る。一実施形態では、気体流又は大気は、10、8、5、2、1、0.5、0.1、又は0.01体積%未満の炭化水素ガスを含み得る。一実施形態では、気体流又は大気は、100ppm(すなわち、0.01体積%)未満の炭化水素ガスを含み得る。例えば、気体流又は大気は、約100、75、50、25、20、15、10、5、4、3、又は2ppm未満の炭化水素ガスを含み得る。「炭化水素ガス」という用語は、メタン、エタン、エチレン、プロパン、及び他のC3+炭化水素を含むがこれらに限定されない炭化水素化合物の気体混合物を指すと理解されるであろう。例えば、周囲空気は、少量の不純物(例えば、2ppm/0.0002体積%)としてメタンを含み、したがって、周囲空気は3ppm未満の炭化水素ガスを含み得ることが当業者によって理解されるであろう。低CO2濃度の気体流又は大気は、気体流中の主要な体積%の割合を構成する窒素を主に含み得る。例えば、低CO2濃度の気体流又は大気は、少なくとも約50体積%の窒素、例えば、少なくとも約70体積%の窒素を含み得る。一実施形態では、低CO2濃度の気体流は、約78体積%の窒素(例えば、周囲空気)を含む。
【0266】
低CO2濃度の気体流又は大気は、ある量の水を含み得る(例えば、気体流は、湿気の高い/湿った、例えば、湿潤気体流である)。例えば、低CO2濃度の気体流又は大気は、約1体積%~約10体積%の水を含み得る。代替的に、低CO2濃度の気体流又は大気は、乾燥した気体流であり得る。
【0267】
代替的な実施形態では、プロセスは、高CO2濃度の気体流又は大気からCO2を捕捉することができる。例えば、高CO2濃度の気体流又は大気は、925mbar(100体積%)のCO2濃度を有し得る。
【0268】
いくつかの実施形態では、気体流又は大気は、換気システム、例えば、建物の換気又は空調に由来する。他の実施形態では、気体流又は大気は、例えば、潜水艦、宇宙船、又は航空機において、呼吸ガスを再利用するように設計された閉鎖的な、又は少なくとも部分的に閉鎖的なシステムに由来する。本開示のヒドロゲルはまた、より高いCO2濃度を有する気体流又は大気からCO2を吸収することができ、広範囲の空気捕捉用途についてのヒドロゲルの多用途性を強調していることが理解されるであろう。一例では、それはヒドロゲルが相対的に低い濃度(例えば、400ppm)でCO2を捕捉する能力であり、本発明者らは特に驚くべきことであると考えた。
【0269】
低CO2濃度の気体流又は大気を、ヒドロゲルと接触させる。気体流又は大気は、ヒドロゲルに接触(例えば、通過)するための好適な流量を有し得る。代替的に、気体流又は大気は、任意の背圧又は流量が加えられることなく、ヒドロゲルと接触し得る(例えば、気体流は、接触すると有機的にヒドロゲル内に拡散し得る)。いくつかの実施形態では、気体流又は大気は、ヒドロゲルを取り囲む大気、例えば、低CO2濃度の大気であり得る。いくつかの実施形態では、気体流又は大気はヒドロゲルを通過する(例えば、ヒドロゲル上の第1の側面若しくは表面から入り、異なる側面若しくは表面から出る)か、又は例えばヒドロゲルが周囲空気などの大気中に配置されるときに、単にヒドロゲル内に拡散し得る。したがって、いくつかの実施形態では、例えば、ヒドロゲルが建物の換気システムに構成される場合など、これが望ましい場合もあるが、本質的にヒドロゲルを「通過」させるために気体流に背圧を加える必要はないことが理解されるであろう。一実施形態では、気体流(例えば、大気)は、ヒドロゲルと接触するとヒドロゲル内に拡散する。
【0270】
いくつかの実施形態では、気体流又は大気は、流量を有せず、例えば0m3/時間である。いくつかの実施形態又は実施例では、気体流は、約0.01m3/時間~約50,000m3/時間の流速を有する。流量は、少なくとも0.01、0.05、0.1、0.5、1、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1,000、2,000、3,000、4,000、5,000、6,000、7,000、8,000、9,000、10,000、15,000、17,000、20,000、30,000、40,000、又は50,000立方メートル毎時(m3/時間)であり得る。いくつかの実施形態では、気体流は、50,000、40,000、30,000、20,000、17,000、15,000、10,000、9,000、8,000、7,000、6,000、5,000、4,000、3,000、2,000、1,000、900、800、700、600、500、400、300、200、100、90、80、70、60、50、40、30、20、10、5、1、0.5、0.1、0.05、又は0.01m3/時間未満の流量を有する。また、これらの流量の組み合わせ、例えば、約0.01m3/時間~約1500m3/時間、約5m3/時間~約1000m3/時間、約10m3/時間~約500m3/時間、約20m3/時間~約200m3/時間、約60m3/時間~約1000m3/時間、約0.01m3/時間~約5,000m3/時間、約5,000~約40,000m3/時間、約7,000m3/時間~約30,000m3/時間、又は約10,000m3/時間~約20,000m3/時間も可能である。
【0271】
いくつかの実施形態では、気体流又は大気は、より高い流速を有する。いくつかの実施形態では、気体流は、少なくとも1、5、10、20、50、100、500、1,000、5,000、7,000、10,000、15,000、17,000、20,000、30,000、40,000、又は50,000立方メートル毎時(m3/時間)の流量を有する。いくつかの実施形態では、気体流又は大気は、50,000、40,000、30,000、20,000、17,000、15,000、10,000、7,000、5,000、1,000、500、100、50、20、10、5、又は1m3/時間未満の流量を有する。また、これらの流量の組み合わせ、例えば、約5,000m3/時間~約40,000m3/時間、約7,000m3/時間~約30,000m3/時間、又は約10,000m3/時間~約20,000m3/時間も可能である。また、上記のより低い流量を有する他の組み合わせ、例えば、約100cm3/分(0.006m3/時間)~約50,000m3/時間、又は100,000cm3/分(6m3/時間)~約20,000m3/時間も可能である。
【0272】
一実施形態では、プロセスは、ヒドロゲルに対して背圧を必要としない。
【0273】
いくつかの実施形態では、ヒドロゲルに接触するときに気体流又は大気の流速を増加させることは、ヒドロゲルにおけるCO2の吸収及び捕捉の速度を速くすることにつながる。工業規模の用途では、気体流の流量は、最大1000m3/時間であり得る。いくつかの実施形態では、気体流は、流量(例えば、周囲大気)を有しない。
【0274】
低CO2濃度の気体流又は大気を、ヒドロゲルと接触させる前に少なくとも部分的に乾燥させて、気体流中に存在する水分(H2O)の少なくとも一部を除去し得る。例えば、気体流は、10%、8%、6%、4%、若しくは2%未満の湿度、又はこれらの値のうちの任意の2つ、例えば、約1%~約10%、約1%~約5%、約1%~約3%の湿度まで乾燥され得る。気体流又は大気は、本明細書に記載されるプロトコルを介して測定される任意の従来の手段(例えば、吸湿性材料を通過するか、又は熱源と接触させる)及びその湿度によって乾燥され得る。
【0275】
いくつかの実施形態では、低CO2濃度の気体流又は大気は、ヒドロゲルに接触する前に初期CO2濃度を有し、ヒドロゲルに接触した後に最終CO2濃度を有する(本明細書において流出気体流及び/又は流出CO2濃度とも称される)。CO2が気体流からヒドロゲル内に吸収されると、流出流中のCO2の濃度は、ヒドロゲルと接触する(例えば、通過する)前の気体流又は大気の初期CO2濃度よりも低くなることが理解されるであろう。
【0276】
気体流又は大気中のCO2の濃度は、任意の好適な手段、例えば、同位体分析装置(例えば、G2201-i同位体分析装置(PICARRO)及び/又は赤外線分光計(例えば、インライン較正キャビティリングダウンIR分光計)を使用する)によって測定することができる。気体流又は大気中のCO2の濃度は、任意の好適な手段、例えば、0~100%の範囲をカバーするSprintIR(登録商標)-6S及び0~1%のCO2の範囲を有するK30周囲センサによって監視することができる。
【0277】
ヒドロゲルの酸性ガス捕捉/放出及び再生のための方法
酸性ガス(例えば、CO2)は、ヒドロゲル内に吸収されることによって気体流又は大気から除去され得る。したがって、気体流又は大気から酸性ガスを除去するための方法であって、気体流又は大気をヒドロゲルと接触させて、気体流又は大気から酸性ガスの少なくとも一部をヒドロゲル内に吸収することを含む、方法も提供される。
【0278】
ヒドロゲルは、一組の実施形態では、微粒子材料の流れとしてガスフローラインに導入され得る。隣接する粒子間に、ガスの流れを可能にする十分な間隙空間を有する充填床内に、ヒドロゲル微粒子は提供され得る。
【0279】
ヒドロゲルは、典型的には、ヒドロゲルを含有するチャンバに酸性ガスを含む気体流又は大気を通過させることによって酸性ガスを吸収するために使用される。酸性ガスは、典型的には、ある温度で気体流又は大気から吸収され、温度及び/又は圧力を変化させることによって、特に温度を上昇させることによって、ヒドロゲルから回収することができる。
【0280】
したがって、更なる一組の実施形態では、気体流又は大気から酸性ガスを捕捉するための方法であって、ヒドロゲルを囲むチャンバを設けることと、気体流又は大気をチャンバに通過させ、ヒドロゲルを接触させて、酸性ガスの少なくとも一部をヒドロゲル内に吸収することと、任意に、吸収された酸性ガスをヒドロゲルから脱着させるのに有効な温度までヒドロゲルを加熱することと、任意に、脱着された酸性ガスをチャンバから取り除くことと、を含む、方法が提供される。
【0281】
いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、ヒドロゲル(mg/g)1g当たり約10mgの酸性ガス~約300mg/gの酸性ガスを吸収することが可能である。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、少なくとも約10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、120、150、200、250、又は300mg/gの酸性ガスを吸収することが可能である。他の実施形態では、ヒドロゲルは、約300、250、200、150、120、100、90、80、70、60、50、40、30、20、又は10mg/g未満の酸性ガスを吸収することが可能である。これらの吸収値の組み合わせが可能であり、例えば、ヒドロゲルは、約10mg/g~約80mg/gの酸性ガス、約20mg/g~約70mg/gの酸性ガス、又は約100mg/g~約300mg/g、又は約200mg/g~約300mg/gを吸収することが可能である。
【0282】
いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、約1重量%~約20重量%の酸性ガスを吸収することが可能である。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、少なくとも約1、2、3、4、5、7、10、12、14、16、18、又は20重量%の酸性ガスを吸収することが可能である。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、約20、18、16、14、12、10、7、5、4、3、2、又は1重量%未満の酸性ガスを吸収することが可能である。これらの吸収値の組み合わせ、例えば、約1重量%~10重量%の酸性ガスが可能である。本発明者らは、驚くべきことに、本開示のアルカノール官能化ヒドロゲルが、アルカノールで官能化されていないヒドロゲルと比較して、より高い重量%の酸性ガスを吸収できることを確認した。これは、特に、官能化(例えば、一級アミンの二級アミンへの変換、及び二級アミンの三級アミンへの変換)の結果として、反応性アミン部位の数が減少するため、驚くべきことである。
【0283】
いくつかの実施形態では、酸性ガスの少なくとも約10%が、気体流又は大気から除去される(例えば、CO2のうちの少なくとも約10%が、気体流又は大気からヒドロゲル内に吸収される)。いくつかの実施形態では、少なくとも約10%、25%、50%、75%、90%、又は95%の酸性ガスが、気体流又は大気から除去される。
【0284】
気体流は、ヒドロゲルに接触し(例えば、ヒドロゲルを含む床を通過する)、ヒドロゲルと接触した後に流出気体流を生じる。上記のように、ヒドロゲルと接触する前に、気体流は、初期酸性ガス濃度を有する。ヒドロゲルと接触した後、流出気体流は、流出酸性ガス濃度を有する。ヒドロゲルとの接触後の流出気体流中の酸性ガスの濃度を測定して、気体流中に残っている酸性ガスの濃度を判定し得る。
【0285】
いくつかの実施形態では、時間が経つにつれて、ヒドロゲルとの接触後の流出気体流中の酸性ガスの濃度は、気体流とヒドロゲルとの接触時に酸性ガス吸収が低減されたことを示すか、又はそれ以上のガス吸収が行われていないことを示し得る(例えば、ヒドロゲルが「飽和」(例えば、使用済み)であり、ほとんど又はそれ以上の酸性ガス吸収が起こっていないことを示す)。これは、ヒドロゲルを交換及び/又は再生して酸性ガス捕捉を継続するための指標として機能することができる。流出気体流中の酸性ガスの濃度は、例えば、インライン較正されたキャビティリングダウンIR分光計を使用して、任意の好適な手段によって測定することができる。
【0286】
いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、好適なチャンバ内に囲まれ得、チャンバは、気体流がその中に囲まれたヒドロゲルに流れて接触することができる1つ以上の入口と、流出流がチャンバから流れ出すことができる1つ以上の出口と、を備える。代替的に、ヒドロゲルは、気体流が拡散して(例えば、背圧/流量を欠く)その中に囲まれたヒドロゲルと接触することができる1つ以上の開口部を備える好適なチャンバ内に囲まれ得る。気体流がヒドロゲルにアクセスできることを条件に、チャンバはいくつかの形態をとり得ることが理解されるであろう。一実施形態では、チャンバは、本明細書に記載されるような充填床カラムであり得る。
【0287】
いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、床として提供され得、気体流又は大気をヒドロゲルと接触させることが、ヒドロゲルを含む床に気体流を通過させることを含む。一実施形態では、ヒドロゲルは、充填床反応器として提供される。他の実施形態では、気体流又は大気をヒドロゲルと接触させることは、例えば、流動床反応器を使用して、ヒドロゲルの流れを気体流又は大気に導入することを含む。一実施形態では、チャンバは、ヒドロゲルの充填床又は流動床を備える。
【0288】
ヒドロゲルは、例えば、ヒドロゲルが消費され、それ以上の酸性ガス吸収が起こらなくなるまで、任意の好適な期間、気体流と接触され得る。一実施形態では、ヒドロゲルは、流出気体流中の酸性ガスの濃度がガス流の酸性ガスの初期濃度と同じになるまで、ガス流と接触される。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、少なくとも約5、10、30、60秒(1分)、10、15、20、30、45、60分(1時間)、2、5、10、24、48、又は36時間ガス流と接触する。
【0289】
いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、様々な酸性ガス吸収速度を提供する。一実施形態では、酸性ガス吸収速度は、時間の経過とともに流出気体流の酸性ガス濃度を監視することによって測定することができる。例えば、流出気体流中の酸性ガスの濃度は、ヒドロゲルと約20分間接触した後、初期酸性ガス濃度の約50%未満であり得る。いくつかの例では、流出気体流中の酸性ガスの濃度は、ヒドロゲルとの約100秒間の接触後、初期酸性ガス濃度の約5%未満であり得る(言い換えれば、100秒後に少なくとも約95%の酸性ガスが気体流から除去される)。他の酸性ガス吸収速度も可能である。
【0290】
酸性ガスは、特定の用途及び/又は気体流/大気に応じて、広範囲の温度でヒドロゲル内に吸収され得る。概して、酸性ガスの吸収は、60℃以下などの70℃以下の温度で実行される。酸性ガスは、例えば、加熱されたガス流を使用して粒子を加熱することによって、ヒドロゲルから脱着され得る。典型的には、ヒドロゲルは、80℃~110℃などの少なくとも80℃、又は80℃~95℃若しくは80℃~90℃などの80℃~100℃の温度まで加熱されるであろう。ヒドロゲルの加熱は、空気、蒸気などの加熱されたガスを使用して、又は熱放射などの他の加熱方法を使用して実行され得る。
【0291】
ヒドロゲルに吸収された後の酸性ガスは、酸性ガスとアミン基との間の結合(例えば、CO2とアミンとの間の結合)を破壊することによって放出することができる。これは、温度(加熱による)又は圧力(真空による)を使用することによって達成することができる。これは、ヒドロゲルを含有するカラムを加熱すること、又は高温のガス流(例えば、蒸気)若しくは高温の空気を通過させることを含み得る。そのような脱着は、ヒドロゲル内に吸収された酸性ガスの少なくとも一部を脱着することができるヒドロゲルと接触するか、又はそれを取り囲む、加熱された環境(例えば、温度)若しくは加圧された環境(例えば、真空による)、又はそれらの組み合わせを提供することが可能である任意の好適な環境によって提供され得る。そのような脱着環境は、「オン」又は「オフ」状態で動作することができる。例えば、ヒドロゲルとの接触後の流出気体流中の酸性ガスの濃度が、酸性ガスの吸収が低減しているか、又はそれ以上吸収されていないことを示すレベルに増加したら、脱着環境を「オン」に切り替えて、ヒドロゲルから酸性ガスを脱着することができる。
【0292】
いくつかの実施形態では、吸収された酸性ガスの少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、又は99%がヒドロゲルから脱着される。
【0293】
酸性ガス除去装置
図5は、いくつかの実施形態又は実施例による、気体流又は大気からの酸性ガスを捕捉するための方法を実施するための装置500を示す。装置500は、チャンバ511、ガス入口512、及びガス出口514を備える第1のカラム510と、チャンバ521、ガス入口522、及びガス出口524を備える第2のカラム520と、を含む。各カラムのチャンバには、例えば、充填床又は流動床としてヒドロゲル微粒子530が充填される。ヒドロゲル微粒子530は、本明細書に開示の酸性ガス吸収剤及び疎水性物質を含む粒子の乾燥した自由流動粉末である。カラム510及び520は、それらのそれぞれのガス入口を通して、ガスマニホールド544及び546を介して気体流若しくは大気540又はフラッシュガス542のいずれかを供給されるように構成される。それぞれのガス出口を介してカラムを出るガス流出物は、ガスマニホールド564及び566を介して、酸性ガス希薄ガスのための移送ライン560、又は酸性ガス濃縮ガスのための移送ライン562のいずれかに指向される。
【0294】
使用中、気体流又は大気540は、マニホールド544、546を介してカラム510に指向され、カラムでチャンバ511を通って流れ、チャンバ内でヒドロゲル微粒子530と接触する。気体流又は大気540は、例えば、捕捉される酸性ガスとしてCO2を含有し得る。酸性ガスは、ヒドロゲル微粒子に吸収される。したがって、カラム510を離れる気体流出物は、酸性ガスの少なくとも一部が激減し、更なる処理又は大気放出のために、ガスマニホールド564、566によって酸性ガス希薄ガス(処理された気体流又は大気540)を送る移送ライン560に指向される。
【0295】
一定期間後、カラム510内の酸性ガス吸収剤微粒子530の吸収能は、その最大値に近くなり、酸性ガスの許容できない破過を回避するために、材料を再生する必要がある。したがって、気体流又は大気540は、マニホールド544、546を介してカラム520に方向転換され、カラムでチャンバ521を通って流れ、チャンバ内で酸性ガス吸収剤微粒子530と接触する。したがって、カラム520を離れる気体流出物は、酸性ガスの少なくとも一部が激減し、ガスマニホールド564、566によって移送ライン560に指向される。
【0296】
気体流又は大気540が、カラム520内で処理されている間、カラム510内の組成物530は、粒子から酸性ガスを脱着させるのに十分な温度までヒドロゲル微粒子を加熱することによって再生される。次いで、脱着された酸性ガスは、カラム510のチャンバ511からフラッシュガス542で取り除かれる。ヒドロゲル微粒子は、好適に高い温度で組成物と接触させるために供給されるフラッシュガス552によって、及び/又はカラム内の微粒子を加熱する他の従来の手段によって加熱され得る。したがって、カラム510を離れるガス流出物は、酸性ガスが豊富であり、ガスマニホールド564、566によって、貯蔵又は更なる処理のために酸性ガス濃縮ガスを送る移送ライン562に指向される。このように吸収モードと脱着モードとの間でカラムを順次切り替えることによって、酸性ガス540を連続的に処理して、そこから酸性ガスの全部又は一部を捕捉することができる。
【0297】
したがって、本開示はまた、本明細書に記載の実施形態又は実施例のうちのいずれか1つに従って定義され、かつ/又は本明細書に記載の実施形態又は実施例のうちのいずれか1つに従って調製されるヒドロゲルを囲むチャンバを備える、酸性ガス除去装置であって、チャンバが、気体流又は大気をヒドロゲルと接触させて、酸性ガスの少なくとも一部をヒドロゲル内に吸収する、酸性ガス除去装置を提供する。
【0298】
一実施形態では、酸性ガス除去装置のチャンバは、ヒドロゲルの充填床又は流動床を備え得る。
【0299】
一実施形態では、チャンバは、気体流又は大気がヒドロゲルに流れることができる入口と、流出気体流がヒドロゲルから流れ出ることができる出口と、を備える。ヒドロゲルは、チャンバの入口と出口との間に配置され得る。
【0300】
いくつかの実施形態又は実施例では、装置は、気体流に平行に接続された各チャンバ内にヒドロゲルを囲む2つ以上のチャンバを備え得る。装置は、各チャンバ内のヒドロゲルを囲む少なくとも3つのチャンバを備えることができ、各チャンバは、気体流に平行に接続され得る。少なくとも3つのチャンバ内の囲まれたヒドロゲルは、吸収及び再生サイクルの異なるセクションで操作されて、流出気体流の連続的な流れを生じることができる。
【0301】
流体流は、典型的には、気体流をチャンバの入口から、囲まれたヒドロゲルを横切って、出口を通ってチャンバから移動させるために必要とされる。流体流は、装置の入口から出口への流体流を駆動する、少なくとも1つの流体流デバイスによって駆動され得る。様々な異なる流体流デバイスを使用することができる。いくつかの実施形態又は実施例では、流体流デバイスは、少なくとも1つのファン又はポンプを備える。いくつかの実施形態又は実施例では、ヒドロゲルを横切って入口を通って入る気体流の流速は、約0.01m3/時間~約50,000m3/時間であり得る。流量は、少なくとも0.01、0.05、0.1、0.5、1、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1,000、2,000、3,000、4,000、5,000、6,000、7,000、8,000、9,000、10,000、15,000、17,000、20,000、30,000、40,000、又は50,000立方メートル毎時(m3/時間)であり得る。いくつかの実施形態では、気体流は、50,000、40,000、30,000、20,000、17,000、15,000、10,000、9,000、8,000、7,000、6,000、5,000、4,000、3,000、2,000、1,000、900、800、700、600、500、400、300、200、100、90、80、70、60、50、40、30、20、10、5、1、0.5、0.1、0.05、又は0.01m3/時間未満の流量を有する。これらの流量の組み合わせもまた、例えば、約0.01m3/時間~約5,000m3/時間、約5,000~約40,000m3/時間、約7,000m3/時間~約30,000m3/時間、又は約10,000m3/時間~約20,000m3/時間で可能である。チャンバを通って及びヒドロゲルを横切る気体流の流量は、ヒドロゲルを通って又は横切って測定可能な背圧が実質的にない状態で達成され得る。代替的な実施形態又は実施例では、圧力変動又は吸引を使用して、デバイスを通る気体流の流体流を駆動することができる。工業規模の用途では、気体流の流量は、最大1000m3/時間であり得る。
【0302】
チャンバは、任意の好適な構成を有し得る。いくつかの実施形態又は実施例では、チャンバは、一方の端部に入口と、反対側の端部に出口と、を備える。一実施形態又は実施例では、本明細書に記載される基材は、その容積内の表面積を増加させるために、圧縮させてチャンバ内に配置又は他の方法で充填され得る。
【0303】
装置は、単一又は複数のチャンバを備えることができ、各チャンバは、本明細書に記載されるように、ヒドロゲルを囲むことができる。いくつかの実施形態又は実施例では、装置は、気体流に平行に接続された各チャンバ内にヒドロゲルを囲む2つ以上のチャンバを備え得る。別の実施形態又は実施例では、装置は、各チャンバ内のヒドロゲルを囲む少なくとも3つのチャンバを備えることができ、各チャンバは、気体流に平行に接続され得る。いくつかの実施形態又は実施例では、少なくとも3つのチャンバ内の囲まれたヒドロゲルは、吸収及び再生サイクルの異なるセクションで操作されて、流出気体流の連続的な流れを生じ得る。
【0304】
いくつかの実施形態又は実施例では、プロセスは、チャンバによって囲まれたヒドロゲル中の酸性ガスを吸収し、反復サイクルにおける少なくとも1つの脱着配置の動作を通じて酸性ガスを放出して、流出気体流を連続的に生成するステップである、周期的な方法であり得る。サイクル時間は、装置の構成、チャンバの構成、脱着配置の種類、ヒドロゲルの組成、破過点、飽和点、及びヒドロゲルの特徴、温度、圧力、及び他のプロセス条件に依存し得る。いくつかの実施形態又は実施例では、サイクル時間は、約10、15、20、30、45、60分(1時間)、2、5、10、24、48、又は36時間であり得る。
【0305】
いくつかの実施形態又は実施例では、脱着配置は、熱及び/又は減圧が使用されているかどうかに応じて、任意の数の形態をとることができる。いくつかの実施形態又は実施例では、装置は、圧力スイング吸収用に設計され、脱着は、ヒドロゲルを囲むチャンバの周りからガスを排出するために、例えば、真空ポンプを使用して、圧力を低減することによって達成される。他の実施形態又は実施例では、温度スイング吸収を行って、ヒドロゲルから酸性ガスを収集する。これは、直接加熱方法を使用して達成することができる。
【0306】
いくつかの実施形態又は実施例では、脱着配置は、ヒドロゲルが加熱される温度スイング吸収配置を含み得る。例えば、少なくとも1つの脱着配置を操作することにより、ヒドロゲルを約20~140℃の温度に加熱する。
【0307】
本開示は、本明細書に記載されるように、ある濃度の酸性ガスを含有する気体流がヒドロゲルとの吸収接触に供給されるプロセスを提供する。ヒドロゲルがある量の酸性ガスで負荷された後、脱着配置が活性化され、酸性ガスの少なくとも一部分がヒドロゲルから放出される。脱着されたヒドロゲルは、二次プロセスを使用して収集することができる。
【0308】
言い換えれば、出口からの流出気体流は、様々な二次プロセスに流れることができる。例えば、二酸化炭素捕捉では、本開示の装置は、ドライアイスを必要に応じて提供するために、液化器及び/又はドライアイスペレタイザと統合することができる。別の例では、本開示の装置は、二酸化炭素(CO2)をメタンに変換するための水素化装置と統合することができる。更に別の例では、本開示の装置を使用して、二酸化炭素(CO2)を吸着し、それを別の時間に使用するために保管することができる。これは、CO2が特定の時間に吸収され、異なる時間に使用される温室効果型の環境に適用可能であろう。更に別の例では、本開示の吸着装置は、密閉された空間内のCO2に特に適用可能であり得る。例えば、潜水艦、宇宙船、航空機、又はCO2を除去するために装置が使用されるであろう、部屋のような他の密閉された空間の内部、並びに連続的なサイクルでCO2を吸収及び脱着することが可能な装置。
【0309】
有利なことに、本開示の装置は、コンパクトであり、エンドユーザに非常に近い位置に配置することができ、それによって、既存の型にはまらない供給機会及びより良好な顧客価値を可能にする。
【0310】
本出願は、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、2021年9月1日出願のAU2021/902835からの優先権を主張する。
【0311】
本開示がより明確に理解され得るように、本発明の特定の実施形態は、以下の非限定的な実験材料、方法、及び実施例を参照して、以下に更に詳細に記載される。
【0312】
一般材料
全ての化学物質は商業的供給源から購入し、供給されたものをそのまま使用した。分岐PEI(Mw約800)、分岐PEI(Mw約25,000)PEI溶液(Mw約750,000、H2O中50重量%)、モノエチレングリコール(MEG)、トリグリシジルトリメチロールプロパンエーテル(TMPTGE又はTTE、橋かけ剤)、1,3-ブタジエンジエポキシド(BDDE、橋かけ剤)N-2-ヒドロキシエチル(アクリルアミド)(1000ppmのMEHQ安定剤で97%)、N,N’-メチレンビス(アクリルアミド)(99%)N,N,N’,N’-テトラメチルジアミノメタン(99%)、及び過硫酸カリウム(99%)は、Sigma-Aldrichによって供給された。分岐PEI(Mw約1,800)及び分岐PEI(Mw約10,000)をAlfa Aesar社から得た。PEI溶液の調製には、蒸留水を使用した。直接空気捕捉研究には、周囲空気を使用した。
【実施例1】
【0313】
実施例1:熱伝導性PEIヒドロゲルの製造
熱伝導性ポリエチレンイミンヒドロゲル粒子(「PEI Snow」)を製造するために、10重量%~50重量%の範囲の濃度を有する9gのPEI水溶液を、20mLのプラスチックサンプルバイアルに添加した。その後、グラファイトを溶液に添加し、撹拌した。グラファイト粒子(Sigma Aldrich、合成粉末<20μm)を、典型的には最大4.5gの量で添加した。その後、様々な濃度の1gのBDDE架橋水溶液も同じバイアルに添加して、周囲温度でPEI架橋を開始した。架橋反応は、PEIの種類及び橋かけ剤(BDDE)の量に応じて、30分以内に終了し、最終的には、架橋されたPEIヒドロゲル内に散在するグラファイト粒子を含むバルクPEIゲルを生成した。その後、ガラス撹拌棒を使用して、PEIゲルを激しく粉砕し、200~300μmの平均粒径を有する雪のような材料を得た。
【0314】
測定の大部分では、熱伝導性PEIヒドロゲルは、使用前に前処理又は乾燥させることなく、取り込み測定のために調製したままで適用した。結果として、調製されたままの熱伝導性PEIヒドロゲルは、水で膨潤している。熱伝導性PEIヒドロゲル調製の概略図を、
図1に見ることができる。
【0315】
液体膨潤剤として水を含有しない材料では、上と同じ手順に従ったが、(1)真空オーブンを使用して水性PEIを乾燥させ、標的溶媒中で再膨潤させること、又は(2)ポリマーを代替溶媒中で合成して出発物質を標的溶媒中に溶解させることによる、代替液体膨潤剤を添加した。
【0316】
乾燥した(すなわち、液体膨潤剤を含まない)熱伝導性PEIヒドロゲルは、上で調製した水性PEI snowを真空オーブンで乾燥させて、水性の液体膨潤剤を除去することによって調製した。
【実施例2】
【0317】
実施例2:熱伝導性PHEAAヒドロゲルの製造
N-2-ヒドロキシエチル(アクリルアミド)(Aldrich、1000ppmのMEHQ安定剤で97%)、N,N’-メチレンビス(アクリルアミド)(Aldrich、99%)N,N,N’,N’-テトラメチルジアミノメタン(Aldrich、99%)、及び過硫酸カリウム(Aldrich、99%)を、供給者から受け取ったままで使用した。本明細書に記載のポリアクリルアミド/アクリル酸ベースのヒドロゲルの場合、グラファイトは、フリーラジカルポリマー開始剤及び/又は触媒の添加前に激しく撹拌しながらモノマー/橋かけ剤水溶液に添加してもよい。
【0318】
N-2-ヒドロキシエチルアクリルアミド(600g、5.21モル)及びN,N’-メチレンビス(アクリルアミド)(120g、1.03モル)を水(1800ml)中に溶解させた。溶解後、最大360グラムのグラファイト粉末を添加する。激しく撹拌しながら、窒素下で、N,N,N’,N’-テトラメチルジアミノメタン(1ml、6.68mmol)、続いて過硫酸カリウム(1g、3.7mmol)を添加して重合を開始した。その後、窒素流を除去し、混合物を80℃のオーブンで24時間乾燥させ、粉末へと粉砕し、更に48時間乾燥させ、再び粉砕し、425ミクロンの金属ふるいに通してふるい分けた。
【化8】
【0319】
次いで、このPHEAA/グラファイトヒドロゲルを、例えば、アルカノールアミン(例えば、ジエタノールアミン)を含むいくつかの液体膨潤剤と合わせて、CO2捕捉吸着剤を形成することができる。グラファイト粒子を含まないヒドロゲルの熱伝導率と比較して、グラファイト充填量及びふるい分け後の吸着剤粉末サイズに応じて、3~8の熱伝導率の増加を測定することができる。
【実施例3】
【0320】
実施例3:予め形成されたヒドロゲルへのグラファイトの事後添加。
熱伝導性微粒子材料は、ヒドロゲルの表面上にインターカレートされ得るか、散在し得るか、又は埋め込まれ得る。これは、(例えば、架橋前にグラファイトを溶液に添加せずに、実施例1又は2のプロセスを使用して)予め形成されたヒドロゲル粒子、及びグラファイトを高速ブレンダ内で数分間混合することによって達成することができる。ヒドロゲル粒子単独の有効熱伝導率は、0.05~0.06W/mKであると予想されるが、その後の混合による20%の充填量のグラファイトの添加は、0.15W/mKの有効熱伝導率をもたらすことができる。
【実施例4】
【0321】
実施例4:捕捉ガスとしてCO2を使用した試験
ヒドロゲル内のアミン基(親水性ポリマーの一部及び/又は液体膨潤剤の一部である)は、CO2と反応して、カルバナート、カルバミン酸、カルボナート/ビカルボナート種の組み合わせを生成することが可能であるので、それらを固定化し、材料にその吸着剤特徴を与える。次いで、CO2は、加熱(すなわち、温度スイング)によって濃縮され得、したがって、吸着剤からのその放出を有利にする。本明細書に記載のヒドロゲルの熱伝導性を改善することによって、ヒドロゲルに必要な時間を低減することができる。そのような改善は、ヒドロゲル全体に均一な熱伝達に起因して、脱着がより均一に起こることを確実にすることなどの1つ以上の利点を提供することができ、したがって、より短い熱サイクル時間を可能にする。熱サイクル時間を改善することはまた、吸着剤のスループットを増加させること、並びに寿命(すなわち、吸着剤の寿命にわたる全体的な取り込み量)を改善することができる。
【0322】
図4を参照すると、グラフは、CO
2の出口濃度を示しており、破過が発生するまで材料を通って流れるガスがゼロまで低減されている。熱伝導性PEI(中央)のCO
2取り込みは、より迅速に飽和しており、グラファイトを含まないPEIヒドロゲル(上)と比較して、出口CO
2濃度がより迅速にベースラインに戻っている。熱伝導性ヒドロゲルを90℃のオーブン内で12時間再生し、取り込みを再測定し(下)、取り込みプロファイルは、前と同じであり、グラファイトの存在が、取り込みを実質的に変化させないことを示している。
【0323】
当業者であれば、本開示の広範な一般的な範囲から逸脱することなく、上で説明される実施形態に対して多数の変形及び/又は改変がなされ得ることを理解するであろう。したがって、本実施形態は、全ての点で例示的なものであり、限定的ではないとみなされるべきである。
【国際調査報告】