(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】殺菌性の環境に優しい複合メッキ層及びその製造方法、殺菌性の環境に優しい製品
(51)【国際特許分類】
C25D 5/14 20060101AFI20240829BHJP
A01N 33/12 20060101ALI20240829BHJP
A01N 25/34 20060101ALI20240829BHJP
A01P 3/00 20060101ALI20240829BHJP
A01P 1/00 20060101ALI20240829BHJP
C25D 3/06 20060101ALI20240829BHJP
C25D 3/12 20060101ALI20240829BHJP
C25D 5/56 20060101ALI20240829BHJP
C25D 7/00 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
C25D5/14
A01N33/12 101
A01N25/34 Z
A01P3/00
A01P1/00
C25D3/06
C25D3/12
C25D5/56 B
C25D7/00 Y
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513725
(86)(22)【出願日】2022-04-14
(85)【翻訳文提出日】2024-02-29
(86)【国際出願番号】 CN2022086833
(87)【国際公開番号】W WO2023164994
(87)【国際公開日】2023-09-07
(31)【優先権主張番号】202210194639.2
(32)【優先日】2022-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517252303
【氏名又は名称】ジュム キッチン アンド バス カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】JOMOO KITCHEN&BATH CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】JOMOO Industrial Park, Economic Development Zone, Nan’anCity, Fujian Province, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リン,シャオファ
(72)【発明者】
【氏名】リン,シャオシャン
(72)【発明者】
【氏名】リウ,シャオロン
(72)【発明者】
【氏名】リン,シャオウェイ
(72)【発明者】
【氏名】ペン,ドンリアン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,インイン
【テーマコード(参考)】
4H011
4K023
4K024
【Fターム(参考)】
4H011AA02
4H011BB04
4H011DA08
4K023AA01
4K023AA04
4K023AA11
4K023AA12
4K023BA03
4K023BA06
4K023BA07
4K023CB03
4K023CB19
4K023DA06
4K023DA07
4K023DA08
4K023EA01
4K024AA02
4K024AA03
4K024AB03
4K024AB04
4K024BA09
4K024BA12
4K024BB27
4K024BB28
4K024CA01
4K024CA04
4K024CA06
4K024DA02
4K024DA04
4K024GA02
4K024GA16
(57)【要約】
殺菌性の環境に優しい複合メッキ層及びその製造方法、殺菌性の環境に優しい製品であって、前記殺菌性の環境に優しい複合メッキ層は半光沢ニッケル層、高硫黄ニッケル層及び環境に優しい白クロム複合殺菌層を含み、前記半光沢ニッケル層は殺菌需要を有する基材に位置するように設定され、前記高硫黄ニッケル層は前記半光沢ニッケル層の基材から離れる側の表面に設置され、前記環境に優しい白クロム複合殺菌層は前記高硫黄ニッケル層の基材から離れる側の表面に設置され、前記環境に優しい白クロム複合殺菌層はナノニードル構造を有し、殺菌性アンモニウム塩を含む複合原料で形成され、前記殺菌性アンモニウム塩の前記複合原料における濃度は50g/L~100g/Lである。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
殺菌性の環境に優しい複合メッキ層であって、半光沢ニッケル層、高硫黄ニッケル層及び環境に優しい白クロム複合殺菌層を含み、前記半光沢ニッケル層は殺菌需要を有する基材に位置するように設定され、前記高硫黄ニッケル層は前記半光沢ニッケル層の基材から離れる側の表面に設置され、前記環境に優しい白クロム複合殺菌層は前記高硫黄ニッケル層の基材から離れる側の表面に設置され、前記環境に優しい白クロム複合殺菌層はナノニードル構造を有し、殺菌性アンモニウム塩を含む複合原料で形成され、前記殺菌性アンモニウム塩の前記複合原料における濃度は50g/L~100g/Lである、殺菌性の環境に優しい複合メッキ層。
【請求項2】
前記殺菌性アンモニウム塩はアルキル第四級アンモニウムのヨウ素塩及びアルキル芳香族炭化水素基第四級アンモニウムのヨウ素塩のうちのいずれか1種又は複数種から選ばれる、請求項1に記載の殺菌性の環境に優しい複合メッキ層。
【請求項3】
前記アルキル第四級アンモニウムのヨウ素塩及び前記アルキル芳香族炭化水素基第四級アンモニウムのヨウ素塩におけるアルキル基の炭素鎖の長さは12~18である、請求項2に記載の殺菌性の環境に優しい複合メッキ層。
【請求項4】
前記殺菌性アンモニウム塩は、ドデシルジメチルベンジルヨウ化アンモニウム、ドデシルトリメチルヨウ化アンモニウム、テトラデシルジメチルベンジルヨウ化アンモニウム、テトラデシルトリメチルヨウ化アンモニウム、ヘキサデシルジメチルベンジルヨウ化アンモニウム、ヘキサデシルトリメチルヨウ化アンモニウム、オクタデシルジメチルベンジルヨウ化アンモニウム、及びオクタデシルトリメチルヨウ化アンモニウムのうちのいずれか1種又は複数種から選ばれる、請求項1~3のいずれか1項に記載の殺菌性の環境に優しい複合メッキ層。
【請求項5】
前記環境に優しい白クロム複合殺菌層の原料は、濃度が50g/L~100g/Lである第四級アンモニウムのヨウ素塩、濃度が10g/L~20g/Lである無水クエン酸結晶、濃度が150g/L~400g/LであるTrichrome ICE Salts、濃度が150ml/L~350ml/LであるTrichrome ICE Part 1、濃度が10ml/L~25ml/LであるTrichrome ICE Make Up、濃度が0.5ml/L~5mL/LであるTrichrome ICE WAを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の殺菌性の環境に優しい複合メッキ層。
【請求項6】
前記高硫黄ニッケル層の原料は、濃度が350g/L~450g/Lである硫酸ニッケル、濃度が50g/L~100g/Lである塩化ニッケル、濃度が40g/L~60g/Lであるホウ酸、濃度が2ml/L~4mL/Lである高硫黄ニッケルHAS 90を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の殺菌性の環境に優しい複合メッキ層。
【請求項7】
前記半光沢ニッケル層の原料は、濃度が350g/L~450g/Lである硫酸ニッケル、濃度が30g/L~50g/Lである塩化ニッケル、濃度が40g/L~60g/Lであるホウ酸、濃度が5ml/L~10mL/LであるメイクアップエージェントNIB-90、濃度が1ml/L~2mL/Lである主光沢剤NIB-90、濃度が1ml/L~5mL/Lである湿潤剤Ni-66Bを含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の殺菌性の環境に優しい複合メッキ層。
【請求項8】
前記半光沢ニッケル層の厚さは20μm~50μmであり、前記高硫黄ニッケル層の厚さは20μm~50μmであり、前記環境に優しい白クロム複合殺菌層の厚さは0.5μmよりも大きい、請求項1~7のいずれか1項に記載の殺菌性の環境に優しい複合メッキ層。
【請求項9】
殺菌性の環境に優しい複合メッキ層の製造方法であって、前記殺菌性の環境に優しい複合メッキ層は請求項1~8のいずれか1項に記載の殺菌性の環境に優しい複合メッキ層であり、前記製造方法は、
基材に対して、バニシングと洗浄処理を含む前処理を行う第1工程、
前処理された基材の表面に前記半光沢ニッケル層を電気メッキする第2工程、
前記半光沢ニッケル層の表面に前記高硫黄ニッケル層を電気メッキする第3工程、及び
前記高硫黄ニッケル層の表面に前記環境に優しい白クロム複合殺菌層を電気メッキする第4工程、を含む、殺菌性の環境に優しい複合メッキ層の製造方法。
【請求項10】
第2工程における前記半光沢ニッケル層を電気メッキする条件は、温度が50℃~60℃であり、陰極電流密度が5A/dm
2~10A/dm
2であり、電気メッキ時間が600s~2700sであることを含む、請求項9に記載の製造方法。
【請求項11】
第3工程における前記高硫黄ニッケル層を電気メッキする条件は、温度が45℃~55℃であり、電圧が5V~10Vであり、陰極電流密度が3A/dm
2~12A/dm
2であり、電気メッキ時間が600s~2700sであることを含む、請求項9又は10に記載の製造方法。
【請求項12】
第4工程における前記環境に優しい白クロム複合殺菌層を電気メッキする条件は、温度が50℃~60℃であり、陰極電流密度が5A/dm
2~10A/dm
2であり、電気メッキ時間が600s~900sであることを含む、請求項9~11のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項13】
基材及び請求項1~8のいずれか1項に記載の殺菌性の環境に優しい複合メッキ層を含む、殺菌性の環境に優しい製品。
【請求項14】
前記基材は金属基材又はプラスチック基材である、請求項13に記載の殺菌性の環境に優しい製品。
【請求項15】
前記殺菌性の環境に優しい製品は台所又はトイレ用の殺菌製品である、請求項13又は14に記載の殺菌性の環境に優しい製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は殺菌技術分野に関するがそれに限らず、特に殺菌性の環境に優しい複合メッキ層及びその製造方法、殺菌性の環境に優しい製品に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、市場での台所・トイレ用の金物製品の表面層材料は主に従来の六価クロム電気メッキ技術により製造されるが、六価クロムは電気メッキ業界での通常の重金属汚染物であり、その電気メッキ廃液は水源及び土壌を長期的に汚染し、生態環境に修復不可能な破壊をもたらす。そして、六価クロムは飲み込む毒/吸い込む猛毒であり、人体皮膚に接触する場合にアレルギーの恐れがあり、更に遺伝性遺伝子欠陥を招く恐れがあり、吸入すると癌を引き起こす恐れがある。塗料焼付とダスティングのプロセスを採用する製品もあり、即ち基材表面に塗料又は粉末を塗布して硬化し、塗料層又は粉末層を作成し、しかし、該プロセスには品質感が劣り、硬度が低く、耐摩耗性が低く、高級感が劣り、環境に優しくない問題が存在する。また、2019年12月以来に爆発した新型コロナウイルスにより、全世界は健康産業、特に台所・トイレ用の健康製品に高度に注目し始めた。
【0003】
白色は多くの消費者において人気がある台所・トイレ用製品の色である。現在では電気メッキ技術により白色の台所・トイレ用製品を製造することができる。しかし、六価クロム電気メッキ技術により白色の台所・トイレ用製品を製造する場合、上記のように、環境にも人体にも危険であり、環境に優しくなく、生産ラインの労働者の健康にも悪い影響を与える。また、電気メッキ技術のみを利用して製造した産業化の白色製品は一時的に殺菌・抗菌機能を実現できない。研究者は電気メッキクロム酸液にAg複合材料を添加するが、クロム酸銀の沈殿により、電気メッキして得られた製品は抗菌機能を有せず、一般的にその表面に一層のナノAg+含有抗菌材料をスプレーし、又はPVD技術によりAg+/Cu2+含有複合材料を製造する必要がある。しかし、Ag+/Cu2+は人体皮膚の毛穴に吸収され易く、人体の免疫系、神経系、生殖系等の器官に悪い影響を与えて損傷し、またPVD法によるAg+又はAg+/Cu2+含有抗菌材料のメッキはコストが高い。普通のアンモニウム塩は有効な抗菌材料であるが、市場に使用されるアンモニウム塩製品は基本的に液体であり、スプレー方式により物体表面に作用し、アンモニウム塩液体が乾燥した後、抗菌作用は失効し、抗菌寿命が短い。また、現在市場での台所・トイレ用製品の殺菌・抗菌効果は大部分が第三者機関の検出報告により説明され、可視化を実現し難い。
【発明の概要】
【0004】
以下は本文が詳細に説明する主題の概要である。本概要は本願の保護範囲を制限するためのものではない。
【0005】
本願は殺菌性の環境に優しい複合メッキ層を提供し、半光沢ニッケル層、高硫黄ニッケル層及び環境に優しい白クロム複合殺菌層を含み、前記半光沢ニッケル層は殺菌需要を有する基材に位置するように設定され、前記高硫黄ニッケル層は前記半光沢ニッケル層の基材から離れる側の表面に設置され、前記環境に優しい白クロム複合殺菌層は前記高硫黄ニッケル層の基材から離れる側の表面に設置され、前記環境に優しい白クロム複合殺菌層はナノニードル構造を有し、殺菌性アンモニウム塩を含む複合原料で形成され、前記殺菌性アンモニウム塩の前記複合原料における濃度は50g/L~100g/Lである。
【0006】
本願の実施例では、前記殺菌性アンモニウム塩はアルキル第四級アンモニウムのヨウ素塩及びアルキル芳香族炭化水素基第四級アンモニウムのヨウ素塩のうちのいずれか1種又は複数種から選ばれ得る。
【0007】
本願の実施例では、前記アルキル第四級アンモニウムのヨウ素塩及び前記アルキル芳香族炭化水素基第四級アンモニウムのヨウ素塩におけるアルキル基の炭素鎖の長さは12~18であってもよい。
【0008】
本願の実施例では、前記殺菌性アンモニウム塩は、ドデシルジメチルベンジルヨウ化アンモニウム、ドデシルトリメチルヨウ化アンモニウム、テトラデシルジメチルベンジルヨウ化アンモニウム、テトラデシルトリメチルヨウ化アンモニウム、ヘキサデシルジメチルベンジルヨウ化アンモニウム、ヘキサデシルトリメチルヨウ化アンモニウム、オクタデシルジメチルベンジルヨウ化アンモニウム、及びオクタデシルトリメチルヨウ化アンモニウムのうちのいずれか1種又は複数種から選ばれ得る。
【0009】
本願の実施例では、前記環境に優しい白クロム複合殺菌層の原料は、濃度が50g/L~100g/Lである第四級アンモニウムのヨウ素塩、濃度が10g/L~20g/Lである無水クエン酸結晶、濃度が150g/L~400g/LであるTrichrome ICE Salts、濃度が150ml/L~350ml/LであるTrichrome ICE Part 1、濃度が10ml/L~25ml/LであるTrichrome ICE Make Up、濃度が0.5ml/L~5mL/LであるTrichrome ICE WAを含み得る。
【0010】
本願の実施例では、前記高硫黄ニッケル層の原料は、濃度が350g/L~450g/Lである硫酸ニッケル、濃度が50g/L~100g/Lである塩化ニッケル、濃度が40g/L~60g/Lであるホウ酸、濃度が2ml/L~4mL/Lである高硫黄ニッケルHAS 90を含み得る。
【0011】
本願の実施例では、前記半光沢ニッケル層の原料は、濃度が350g/L~450g/Lである硫酸ニッケル、濃度が30g/L~50g/Lである塩化ニッケル、濃度が40g/L~60g/Lであるホウ酸、濃度が5ml/L~10mL/LであるメイクアップエージェントNIB-90、濃度が1ml/L~2mL/Lである主光沢剤NIB-90、濃度が1ml/L~5mL/Lである湿潤剤Ni-66Bを含み得る。
【0012】
本願の実施例では、前記半光沢ニッケル層の厚さは20μm~50μmであってもよく、前記高硫黄ニッケル層の厚さは20μm~50μmであってもよく、前記環境に優しい白クロム複合殺菌層の厚さは0.5μmよりも大きくてもよい。
【0013】
本願は上記のような殺菌性の環境に優しい複合メッキ層の製造方法を更に提供し、
基材に対して、バニシングと洗浄処理を含む前処理を行う第1工程、
前処理された基材の表面に前記半光沢ニッケル層を電気メッキする第2工程、
前記半光沢ニッケル層の表面に前記高硫黄ニッケル層を電気メッキする第3工程、及び
前記高硫黄ニッケル層の表面に前記環境に優しい白クロム複合殺菌層を電気メッキする第4工程、を含む。
【0014】
本願の実施例では、第2工程における前記半光沢ニッケル層を電気メッキする条件は、温度が50℃~60℃であり、陰極電流密度が5A/dm2~10A/dm2であり、電気メッキ時間が600s~2700sであることを含み得る。
【0015】
本願の実施例では、第3工程における前記高硫黄ニッケル層を電気メッキする条件は、温度が45℃~55℃であり、電圧が5V~10Vであり、陰極電流密度が3A/dm2~12A/dm2であり、電気メッキ時間が600s~2700sであることを含み得る。
【0016】
本願の実施例では、第4工程における前記環境に優しい白クロム複合殺菌層を電気メッキする条件は、温度が50℃~60℃であり、陰極電流密度が5A/dm2~10A/dm2であり、電気メッキ時間が600s~900sであることを含み得る。
【0017】
本願は殺菌性の環境に優しい製品を更に提供し、基材及び上記のような殺菌性の環境に優しい複合メッキ層を含む。
【0018】
本願の実施例では、前記基材は金属基材又はプラスチック基材であってもよい。
【0019】
本願の実施例では、前記殺菌性の環境に優しい製品は台所又はトイレ用の殺菌製品であってもよい。
【0020】
本願の他の特徴及び利点は、下記の説明書において説明され、そして、一部的に明細書から明確になり、又は本願の実施により了解される。本願の他の利点は、明細書及び図面に説明される技術案により実現されて取得される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図面は本願の技術案の理解を提供するためのものであり、明細書の一部となり、本願の実施例とともに本願の技術案を解釈することに用いられ、本願の技術案を制限するためのものではない。
【
図1】本願の実施例による殺菌性の環境に優しい複合メッキ層の正面視構造模式図である。
【
図2】本願の実施例1で製造された殺菌性の環境に優しい製品の外観図である。
【
図3】本願の実施例1による殺菌性の環境に優しい製品の環境に優しい白クロム複合殺菌層の表面形態原子間力顕微鏡(AFM)図である。
【
図4】本願の比較例1による環境に優しい製品の白クロム複合層の表面形態原子間力顕微鏡(AFM)図である。
【
図5】本願の比較例2による環境に優しい製品の白クロム複合層の表面形態原子間力顕微鏡(AFM)図である。
【
図6】本願の比較例3による環境に優しい製品の白クロム複合層の表面形態原子間力顕微鏡(AFM)図である。
【
図7】本願の比較例4による環境に優しい製品の白クロム複合層の表面形態原子間力顕微鏡(AFM)図である。
【
図8】本願の実施例1による殺菌性の環境に優しい製品のリアルタイム可視化顕微鏡図であり、左図はサンプル表面に細菌を2min静置した後にカウントを開始する時(1s目)の可視化顕微鏡図であり、右図はサンプル表面に細菌を2min静置した後にカウントを開始してから3s目の時の可視化顕微鏡図である。
【
図9】本願の比較例4による環境に優しい製品のリアルタイム可視化顕微鏡図であり、左図はサンプル表面に細菌を2min静置した後にカウントを開始する時(1s目)の可視化顕微鏡図であり、右図はサンプル表面に細菌を2min静置した後にカウントを開始してから3s目の時の可視化顕微鏡図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本願の目的、技術案及び利点をより明確にするために、以下では図面を参照しながら、本願の実施例を詳述する。なお、衝突しない限り、本願における実施例及び実施例における特徴は互いに任意に組合わせることができる。
【0023】
本願の実施例は殺菌性の環境に優しい複合メッキ層を提供し、
図1に示すように、前記殺菌性の環境に優しい複合メッキ層は半光沢ニッケル層10、高硫黄ニッケル層20及び環境に優しい白クロム複合殺菌層30を含み、前記半光沢ニッケル層10は殺菌需要を有する基材100に位置するように設定され、前記高硫黄ニッケル層20は前記半光沢ニッケル層10の基材100から離れる側の表面に設置され、前記環境に優しい白クロム複合殺菌層30は前記高硫黄ニッケル層20の基材100から離れる側の表面に設置され、前記環境に優しい白クロム複合殺菌層30はナノニードル構造31を有し、殺菌性アンモニウム塩を含む複合原料で形成され、前記殺菌性アンモニウム塩の前記複合原料における濃度は50g/L~100g/Lである。
【0024】
本願の実施例では、前記殺菌性アンモニウム塩はアルキル第四級アンモニウムのヨウ素塩及びアルキル芳香族炭化水素基第四級アンモニウムのヨウ素塩のうちのいずれか1種又は複数種から選ばれ得る。
【0025】
本願の実施例では、前記アルキル第四級アンモニウムのヨウ素塩及び前記アルキル芳香族炭化水素基第四級アンモニウムのヨウ素塩におけるアルキル基の炭素鎖の長さは12~18であってもよい。
【0026】
本願の実施例では、前記殺菌性アンモニウム塩は、ドデシルジメチルベンジルヨウ化アンモニウム、ドデシルトリメチルヨウ化アンモニウム、テトラデシルジメチルベンジルヨウ化アンモニウム、テトラデシルトリメチルヨウ化アンモニウム、ヘキサデシルジメチルベンジルヨウ化アンモニウム、ヘキサデシルトリメチルヨウ化アンモニウム、オクタデシルジメチルベンジルヨウ化アンモニウム、及びオクタデシルトリメチルヨウ化アンモニウムのうちのいずれか1種又は複数種から選ばれ得る。
【0027】
本願の実施例では、前記環境に優しい白クロム複合殺菌層の原料は、濃度が50g/L~100g/Lである第四級アンモニウムのヨウ素塩、濃度が10g/L~20g/Lである無水クエン酸結晶、濃度が150g/L~400g/LであるTrichrome ICE Salts、濃度が150ml/L~350ml/LであるTrichrome ICE Part 1、濃度が10ml/L~25ml/LであるTrichrome ICE Make Up、濃度が0.5ml/L~5mL/LであるTrichrome ICE WAを含み得る。
【0028】
本願の実施例では、前記高硫黄ニッケル層の原料は、濃度が350g/L~450g/Lである硫酸ニッケル、濃度が50g/L~100g/Lである塩化ニッケル、濃度が40g/L~60g/Lであるホウ酸、濃度が2ml/L~4mL/Lである高硫黄ニッケルHAS 90を含み得る。
【0029】
本願の実施例では、前記半光沢ニッケル層の原料は、濃度が350g/L~450g/Lである硫酸ニッケル、濃度が30g/L~50g/Lである塩化ニッケル、濃度が40g/L~60g/Lであるホウ酸、濃度が5ml/L~10mL/LであるメイクアップエージェントNIB-90、濃度が1ml/L~2mL/Lである主光沢剤NIB-90、濃度が1ml/L~5mL/Lである湿潤剤Ni-66Bを含み得る。
【0030】
本願の説明において、半光沢ニッケル層、高硫黄ニッケル層又は環境に優しい白クロム複合殺菌層を製造するある原料の濃度(g/L、mL/L)とは、該原料の半光沢ニッケル層、高硫黄ニッケル層又は環境に優しい白クロム複合殺菌層を製造する全部の原料からなる混合液における濃度を指す。
【0031】
本願の実施例では、前記半光沢ニッケル層の厚さは20μm~50μmであってもよく、前記高硫黄ニッケル層の厚さは20μm~50μmであってもよく、前記環境に優しい白クロム複合殺菌層の厚さは0.5μmよりも大きくてもよい。
【0032】
本願の実施例による殺菌性の環境に優しい複合メッキ層では、半光沢ニッケル層と高硫黄ニッケル層は耐食性複合層を構成してもよい。半光沢ニッケル層の原料は硫黄を含まないため、半光沢ニッケル層は応力が低く、平坦化性が極めて優れ、柔軟性が良好であり、高硫黄ニッケル層の原料は多くの硫黄を含み、高厚さ(例えば20μm~50μm)の半光沢ニッケル層と高厚さ(例えば20μm~50μm)の高硫黄ニッケル層(両方の硫黄含有量が異なる)の組合せは電位差を形成でき、基材の腐食される速度を効果的に低減し、耐食性能を高めることができる。環境に優しい白クロム複合殺菌層の厚さは0.5μmよりも大きくてもよく、この場合、装飾性外観層としての環境に優しい白クロム複合殺菌層は効果的な保護作用を発揮でき、耐摩耗性を有する。
【0033】
本願の実施例では、前記環境に優しい白クロム複合殺菌層は、L値が76~78であってもよく、a値が-1~+1であってもよく、b値が-1~+1であってもよい。
【0034】
本願の実施例は上記のような殺菌性の環境に優しい複合メッキ層の製造方法を更に提供し、
基材に対して、バニシングと洗浄処理を含む前処理を行う第1工程、
前処理された基材の表面に前記半光沢ニッケル層を電気メッキする第2工程、
前記半光沢ニッケル層の表面に前記高硫黄ニッケル層を電気メッキする第3工程、及び
前記高硫黄ニッケル層の表面に前記環境に優しい白クロム複合殺菌層を電気メッキする第4工程、を含む。
【0035】
本願の実施例では、第1工程に記載の前処理における洗浄処理は、脱蝋、脱油、電解、純水洗浄等の精密洗浄過程を含み得る。
【0036】
本願の実施例では、第2工程における前記半光沢ニッケル層を電気メッキする条件は、温度が50℃~60℃であり、陰極電流密度が5A/dm2~10A/dm2であり、電気メッキ時間が600s~2700sであることを含み得る。
【0037】
本願の実施例では、第3工程における前記高硫黄ニッケル層を電気メッキする条件は、温度が45℃~55℃であり、電圧が5V~10Vであり、陰極電流密度が3A/dm2~12A/dm2であり、電気メッキ時間が600s~2700sであることを含み得る。
【0038】
本願の実施例では、第4工程における前記環境に優しい白クロム複合殺菌層を電気メッキする条件は、温度が50℃~60℃であり、陰極電流密度が5A/dm2~10A/dm2であり、電気メッキ時間が600s~900sであることを含み得る。
【0039】
本願の実施例は電気メッキ法により順次に基材表面に半光沢ニッケル層、高硫黄ニッケル層及び環境に優しい白クロム複合殺菌層を製造し、基材表面において殺菌性の環境に優しい複合メッキ層を得る。製造過程が簡単であり、コストが低く、環境に優しい白クロム複合殺菌層は環境に優しい三価クロム材料の電気メッキにより形成され、従来の六価クロム電気メッキの環境への悪い影響及び生産ラインの労働者の身体健康への悪い影響を避ける。該殺菌性の環境に優しい複合メッキ層の環境に優しい白クロム複合殺菌層は白色を呈することにより、殺菌性の環境に優しい複合メッキ層は白色を示し、色沢が柔らかく、外観が美しい。また、環境に優しい白クロム複合殺菌層は殺菌性アンモニウム塩を含む複合原料で形成され、ナノニードル構造を有し、それにより殺菌性の環境に優しい複合メッキ層は良好な高速・広スペクトル殺菌効果を有し、ナノAg+、Cu2+の抗菌材料のスプレーが不要であり、殺菌効果は高解析度表示技術により直接に表示することができる。また、本願の実施例による殺菌性の環境に優しい複合メッキ層は更に耐食性に優れている。
【0040】
本願の実施例は殺菌性の環境に優しい製品を更に提供し、基材及び上記のような殺菌性の環境に優しい複合メッキ層を含む。
【0041】
本願の実施例では、前記基材は金属基材又はプラスチック基材であってもよく、前記金属基材は例えばアルミニウム合金、銅合金、亜鉛合金、マグネシウム合金、ステンレス鋼、合金鋼等であり、前記プラスチック基材は例えばABSプラスチックである。
【0042】
本願の実施例では、前記殺菌性の環境に優しい製品は台所又はトイレ用の殺菌製品、例えば、流し台、刃物、蛇口、洗面台、掛け金具、シャワー、シャワールームのハンドル、シャワールームのフレーム等であってもよい。
【0043】
以下の実施例と比較例に使用されるメイクアップエージェントNIB-90、主光沢剤NIB-90、湿潤剤Ni-66Bはアモイ華輝新材料科技技術有限公司から購入し、高硫黄ニッケルHAS 90溶液、Trichrome ICE Salts、Trichrome ICE Part 1、Trichrome ICE Make Up、Trichrome ICE WAはAtotech (China) Chemicals Ltd.から購入し、Trichrome ICE Saltsの型番は1687212であり、Trichrome ICE Part 1の型番は1687214であり、Trichrome ICE Make Upの型番は1687213であり、Trichrome ICE WAの型番は1687218であり、ヘキサデシルトリメチルヨウ化アンモニウムは金錦楽化学有限公司から購入する。
【0044】
実施例1
(1)電気メッキ前処理
銅合金基材に対してバニシング処理と精密洗浄(脱蝋、脱油、電解、純水洗浄を含む)処理を行う。
【0045】
(2)前処理された基材の表面に半光沢ニッケル層を電気メッキする。
前記半光沢ニッケル層を形成する電気メッキ液は、濃度が350g/Lである硫酸ニッケル、濃度が40g/Lである塩化ニッケル、濃度が45g/Lであるホウ酸、濃度が7mL/LであるメイクアップエージェントNIB-90、濃度が1.2mL/Lである主光沢剤NIB-90、濃度が2mL/Lである湿潤剤Ni-66Bを含む。
【0046】
電気メッキのプロセス条件は、温度が55℃であり、陰極電流密度が5A/dm2であり、電気メッキ時間が2700sであることを含む。
【0047】
(3)前記半光沢ニッケル層の表面に高硫黄ニッケル層を電気メッキする。
前記高硫黄ニッケル層を形成する電気メッキ液は、濃度が380g/Lである硫酸ニッケル、濃度が70g/Lである塩化ニッケル、濃度が45g/Lであるホウ酸、濃度が3mL/Lである高硫黄ニッケルHAS 90を含む。
【0048】
電気メッキのプロセス条件は、温度が50℃であり、電圧が8Vであり、陰極電流密度が5A/dm2であり、電気メッキ時間が2700sであることを含む。
【0049】
(4)前記高硫黄ニッケル層の表面に環境に優しい白クロム複合殺菌層を電気メッキする。
【0050】
前記環境に優しい白クロム複合殺菌層を形成する電気メッキ液は、濃度が50g/Lであるヘキサデシルトリメチルヨウ化アンモニウム、濃度が10g/Lである無水クエン酸結晶、濃度が300g/LであるTrichrome ICE Salts、濃度が250ml/LであるTrichrome ICE Part 1、濃度が18ml/LであるTrichrome ICE Make Up、濃度が1mL/LであるTrichrome ICE WAを含む。
【0051】
電気メッキのプロセス条件は、温度が55℃であり、陰極電流密度が5A/dm2であり、電気メッキ時間が900sであることを含む。
【0052】
実施例2
製造方法は実施例1とほぼ同じであり、相違点は、第4工程の環境に優しい白クロム複合殺菌層の電気メッキに使用される電気メッキ液において、ヘキサデシルトリメチルヨウ化アンモニウムの濃度が100g/Lであることだけである。
【0053】
比較例1
製造方法は実施例1とほぼ同じであり、相違点は、第4工程の環境に優しい白クロム複合殺菌層の電気メッキに使用される電気メッキ液において、ヘキサデシルトリメチルヨウ化アンモニウムの濃度が150g/Lであることだけである。
【0054】
比較例2
製造方法は実施例1とほぼ同じであり、相違点は、第4工程の環境に優しい白クロム複合殺菌層の電気メッキに使用される電気メッキ液において、無水クエン酸結晶の濃度が0g/Lであることだけである。
【0055】
比較例3
製造方法は実施例1とほぼ同じであり、相違点は、第4工程の環境に優しい白クロム複合殺菌層の電気メッキに使用される電気メッキ液において、ヘキサデシルトリメチルヨウ化アンモニウムの濃度が0g/Lであることだけである。
【0056】
比較例4
製造方法は実施例1とほぼ同じであり、相違点は、第4工程の環境に優しい白クロム複合殺菌層の電気メッキに使用される電気メッキ液において、無水クエン酸結晶の濃度が0g/Lであり、ヘキサデシルトリメチルヨウ化アンモニウムの濃度が0g/Lであることだけである。
【0057】
図2は本願の実施例1で製造された殺菌性の環境に優しい製品の外観図である(実施例2、比較例1~4で製造された製品の外観は
図2とほぼ一致する)。これから分かるように、本願の実施例による殺菌性の環境に優しい製品は色沢が柔らかい白色のメッキ層を有する。
【0058】
図3は本願の実施例1による殺菌性の環境に優しい製品の環境に優しい白クロム複合殺菌層の表面形態原子間力顕微鏡(AFM)図である。
図4は本願の比較例1による環境に優しい製品の白クロム複合層の表面形態原子間力顕微鏡(AFM)図である。
図5は本願の比較例2による環境に優しい製品の白クロム複合層の表面形態原子間力顕微鏡(AFM)図である。
図6は本願の比較例3による環境に優しい製品の白クロム複合層の表面形態原子間力顕微鏡(AFM)図である。
図7は本願の比較例4による環境に優しい製品の白クロム複合層の表面形態原子間力顕微鏡(AFM)図である。
【0059】
図3から分かるように、本願の実施例1による環境に優しい白クロム複合殺菌層は確かにナノニードル構造を形成し、ナノニードルの高さは10nm~40nmであり、また、本願の実施例2による殺菌性の環境に優しい製品の環境に優しい白クロム複合殺菌層もナノニードル構造を形成した。これに対して、比較例1~4による白クロム複合層はナノニードル構造を形成せず、これは、ナノニードル構造の形成には、適当な濃度のヘキサデシルトリメチルヨウ化アンモニウム等の第四級アンモニウム塩と無水クエン酸結晶の関与が必要であることを示す。
【0060】
中国国家標準GB/T 17934.1-1999に基づいて、実施例による殺菌性の環境に優しい製品のLab値を測定し、測定の際に1つの製品について高さの異なる3つの位置を選択して測定する。測定した結果、L値が76~78であり、a値が-1~+1であり、b値が-1~+1である。
【0061】
中国国家標準GB/T 6461-2002に基づいて、CASS塩水噴霧試験方法により、実施例と比較例による製品の耐食性を測定した。結果は表1に示される。
【0062】
中国国家標準GB/T21510-2008に基づいて、実施例と比較例による製品の抗菌性能を測定した(大腸菌を用いて測定した)。結果は表1に示される。
【0063】
中国国家標準GB/T21510-2008の付録Cに基づいて、実施例と比較例による製品の基材から離れる側の表面(実施例による製品について、環境に優しい白クロム複合殺菌層の表面)に大腸菌を置き、2min静置し、それからダブル透過型生物顕微鏡を用いてその表面の細菌の状態を観察した。
【0064】
観察した結果、実施例による殺菌製品の表面の細菌が静止して動かさず、比較例による製品の表面の細菌が泳ぎ続け、且つ泳ぐ細菌の数量がほとんど変わらないことが発見された。
図8は本願の実施例1による殺菌性の環境に優しい製品のリアルタイム可視化顕微鏡図であり、左図はサンプル表面に細菌を2min静置した後にカウントを開始する時(1s目)の可視化顕微鏡図であり、右図はサンプル表面に細菌を2min静置した後にカウントを開始してから3s目の時の可視化顕微鏡図である。カウントを開始してから3s後の顕微鏡図で観察された状態は、カウントを開始する時(1s目)の状態と同じ、いずれも細菌が静止して動かさず、これは細菌を死滅させたことを示す。
図9は本願の比較例4による環境に優しい製品のリアルタイム可視化顕微鏡図であり、左図はサンプル表面に細菌を2min静置した後にカウントを開始する時(1s目)の可視化顕微鏡図であり、右図はサンプル表面に細菌を2min静置した後にカウントを開始してから3s目の時の可視化顕微鏡図である。左図と右図には多くの細菌が泳ぎ(右上隅の丸内の細菌位置が変わったことが分かる)、且つ泳ぐ細菌の数量がほとんど変わらない。
【0065】
【0066】
実施例1、実施例2、及び比較例1から分かるように、ヘキサデシルトリメチルヨウ化アンモニウムの濃度が50g/L~100g/Lである場合、殺菌性の環境に優しい製品の環境に優しい白クロム複合殺菌層はナノニードル構造を形成可能であり、殺菌性の環境に優しい製品は良好な殺菌効果を有する。ヘキサデシルトリメチルヨウ化アンモニウムの濃度が150g/Lまでに増加する場合、環境に優しい製品の白クロム複合層はナノニードル構造を形成せず、殺菌性の環境に優しい製品の大腸菌に対する殺菌は88.1%までに低下する。
【0067】
実施例1~2と比較例1~4の比較から分かるように、ナノニードル構造を有するヘキサデシルトリメチルヨウ化アンモニウム複合メッキ層と比べて、非ナノニードル構造のヘキサデシルトリメチルヨウ化アンモニウム複合メッキ層の抗菌率は有意に低下し、これはナノニードル構造が殺菌効果にとって非常に重要であることを示す。
【0068】
上記のように、本願の実施例による殺菌性の環境に優しい複合メッキ層の殺菌効果はダブル透過型高解析度表示技術により直接に表示することができ、ナノニードル構造を含む環境に優しい白クロム複合殺菌層である環境に優しい製品の殺菌効果は、比較例によるナノニードル構造を含まない環境に優しい製品よりも明らかに優れている。
【0069】
本開示の内容は本願の実施例の原則的な例示であり、本願に対するいかなる形式的又は本質的な制限ではなく、本願は具体的な実施形態に制限されない。当業者にとって明らかなことに、本願の実施例の技術案の要素、方法及びシステム等については、上記のような本願の実施例、技術案、例えば請求項に定義された原理、趣旨及び範囲を逸らさない限り、変更、変化、修正、転換を行うことができる。これらの変更、変化、修正、転換を経た実施形態はいずれも本願の等同実施例に含まれ、これらの等同実施例はいずれも本願の請求項に規定された範囲内に含まれる。異なる形式で本願の実施例を具体化することができるが、ここで詳しく説明するのは本願の幾つかの実施形態である。また、本願の実施例はここで説明する各種の実施形態の一部又は全部の任意可能な組合せを含み、本願の請求項に規定された範囲内にも含まれる。本願又はいずれか引用された特許、引用された特許出願又は他の引用された資料におけるいずれか箇所に言及される全部の特許、特許出願及び他の引用された資料はこれに基づいて全体的に引用されて取り込まれる。
【0070】
上記開示は説明のためのものであり、網羅的なものではない。当業者にとって、本説明は多くの変化及び選択可能な形態を示唆する。これらの選択可能な形態及び変化は、すべて本請求項の範囲内に含まれ、用語の「含む」とは「含むがそれに限らない」と指す。
【0071】
本願の選択可能な実施形態の説明はこれで終わる。当業者はここで記載される実施形態の他の等価変換を理解でき、これらの等価変換も添付の請求項に含まれる。
【手続補正書】
【提出日】2024-02-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
殺菌性の環境に優しい複合メッキ層であって、半光沢ニッケル層、高硫黄ニッケル層及び環境に優しい白クロム複合殺菌層を含み、前記半光沢ニッケル層は殺菌需要を有する基材に位置するように設定され、前記高硫黄ニッケル層は前記半光沢ニッケル層の基材から離れる側の表面に設置され、前記環境に優しい白クロム複合殺菌層は前記高硫黄ニッケル層の基材から離れる側の表面に設置され、前記環境に優しい白クロム複合殺菌層はナノニードル構造を有し、殺菌性アンモニウム塩を含む複合原料で形成され、前記殺菌性アンモニウム塩の前記複合原料における濃度は50g/L~100g/Lである、殺菌性の環境に優しい複合メッキ層。
【請求項2】
前記殺菌性アンモニウム塩はアルキル第四級アンモニウムのヨウ素塩及びアルキル芳香族炭化水素基第四級アンモニウムのヨウ素塩のうちのいずれか1種又は複数種から選ばれる、請求項1に記載の殺菌性の環境に優しい複合メッキ層。
【請求項3】
前記アルキル第四級アンモニウムのヨウ素塩及び前記アルキル芳香族炭化水素基第四級アンモニウムのヨウ素塩におけるアルキル基の炭素鎖の長さは12~18である、請求項2に記載の殺菌性の環境に優しい複合メッキ層。
【請求項4】
前記殺菌性アンモニウム塩は、ドデシルジメチルベンジルヨウ化アンモニウム、ドデシルトリメチルヨウ化アンモニウム、テトラデシルジメチルベンジルヨウ化アンモニウム、テトラデシルトリメチルヨウ化アンモニウム、ヘキサデシルジメチルベンジルヨウ化アンモニウム、ヘキサデシルトリメチルヨウ化アンモニウム、オクタデシルジメチルベンジルヨウ化アンモニウム、及びオクタデシルトリメチルヨウ化アンモニウムのうちのいずれか1種又は複数種から選ばれる、請求項
1に記載の殺菌性の環境に優しい複合メッキ層。
【請求項5】
前記環境に優しい白クロム複合殺菌層の原料は、濃度が50g/L~100g/Lである第四級アンモニウムのヨウ素塩、濃度が10g/L~20g/Lである無水クエン酸結晶、濃度が150g/L~400g/LであるTrichrome ICE Salts、濃度が150ml/L~350ml/LであるTrichrome ICE Part 1、濃度が10ml/L~25ml/LであるTrichrome ICE Make Up、濃度が0.5ml/L~5mL/LであるTrichrome ICE WAを含む、請求項
1に記載の殺菌性の環境に優しい複合メッキ層。
【請求項6】
前記高硫黄ニッケル層の原料は、濃度が350g/L~450g/Lである硫酸ニッケル、濃度が50g/L~100g/Lである塩化ニッケル、濃度が40g/L~60g/Lであるホウ酸、濃度が2ml/L~4mL/Lである高硫黄ニッケルHAS 90を含む、請求項
1に記載の殺菌性の環境に優しい複合メッキ層。
【請求項7】
前記半光沢ニッケル層の原料は、濃度が350g/L~450g/Lである硫酸ニッケル、濃度が30g/L~50g/Lである塩化ニッケル、濃度が40g/L~60g/Lであるホウ酸、濃度が5ml/L~10mL/LであるメイクアップエージェントNIB-90、濃度が1ml/L~2mL/Lである主光沢剤NIB-90、濃度が1ml/L~5mL/Lである湿潤剤Ni-66Bを含む、請求項
1に記載の殺菌性の環境に優しい複合メッキ層。
【請求項8】
前記半光沢ニッケル層の厚さは20μm~50μmであり、前記高硫黄ニッケル層の厚さは20μm~50μmであり、前記環境に優しい白クロム複合殺菌層の厚さは0.5μmよりも大きい、請求項
1に記載の殺菌性の環境に優しい複合メッキ層。
【請求項9】
殺菌性の環境に優しい複合メッキ層の製造方法であって、前記殺菌性の環境に優しい複合メッキ層は請求項
1に記載の殺菌性の環境に優しい複合メッキ層であり、前記製造方法は、
基材に対して、バニシングと洗浄処理を含む前処理を行う第1工程、
前処理された基材の表面に前記半光沢ニッケル層を電気メッキする第2工程、
前記半光沢ニッケル層の表面に前記高硫黄ニッケル層を電気メッキする第3工程、及び
前記高硫黄ニッケル層の表面に前記環境に優しい白クロム複合殺菌層を電気メッキする第4工程、を含む、殺菌性の環境に優しい複合メッキ層の製造方法。
【請求項10】
第2工程における前記半光沢ニッケル層を電気メッキする条件は、温度が50℃~60℃であり、陰極電流密度が5A/dm
2~10A/dm
2であり、電気メッキ時間が600s~2700sであることを含む、請求項9に記載の製造方法。
【請求項11】
第3工程における前記高硫黄ニッケル層を電気メッキする条件は、温度が45℃~55℃であり、電圧が5V~10Vであり、陰極電流密度が3A/dm
2~12A/dm
2であり、電気メッキ時間が600s~2700sであることを含む、請求項
9に記載の製造方法。
【請求項12】
第4工程における前記環境に優しい白クロム複合殺菌層を電気メッキする条件は、温度が50℃~60℃であり、陰極電流密度が5A/dm
2~10A/dm
2であり、電気メッキ時間が600s~900sであることを含む、請求項
9に記載の製造方法。
【請求項13】
基材及び請求項
1に記載の殺菌性の環境に優しい複合メッキ層を含む、殺菌性の環境に優しい製品。
【請求項14】
前記基材は金属基材又はプラスチック基材である、請求項13に記載の殺菌性の環境に優しい製品。
【請求項15】
前記殺菌性の環境に優しい製品は台所又はトイレ用の殺菌製品である、請求項
13に記載の殺菌性の環境に優しい製品。
【国際調査報告】