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特表2024-532468金属缶の空洞において被覆を形成するための乾燥デバイスおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】金属缶の空洞において被覆を形成するための乾燥デバイスおよび方法
(51)【国際特許分類】
   F26B 9/00 20060101AFI20240829BHJP
   F26B 21/08 20060101ALI20240829BHJP
   F26B 21/12 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
F26B9/00 E
F26B21/08
F26B21/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513800
(86)(22)【出願日】2022-08-24
(85)【翻訳文提出日】2024-04-15
(86)【国際出願番号】 DE2022100636
(87)【国際公開番号】W WO2023030579
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】102021122600.7
(32)【優先日】2021-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514117427
【氏名又は名称】ベルヴァック・プロダクション・マシーナリー・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BELVAC PRODUCTION MACHINERY,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ウルフ・ラインハルト
【テーマコード(参考)】
3L113
【Fターム(参考)】
3L113AA02
3L113AB02
3L113AC04
3L113AC13
3L113AC36
3L113AC48
3L113AC51
3L113BA12
3L113CA08
3L113CA10
3L113DA24
(57)【要約】
本発明は、金属缶の空洞において、少なくとも1つの定められた被覆パラメータ(102)で被覆を形成するための乾燥デバイス(1)であって、乾燥室(4)であって、缶が乾燥室(4)を通って移動させられ得る、乾燥室(4)と、2つ以上の制御可能な調整変数を有する調整手段(10、20、20'、24、26、28、34)であって、被覆の少なくとも1つの被覆パラメータ(102)を調整するように配置および適合される調整手段(10、20、20'、24、26、28、34)と、信号を送信するように調整手段(10、20、20'、24、26、28、34)に結合される制御ユニット(6)であって、被覆が少なくとも1つの定められた被覆パラメータ(102)で形成されるように、少なくとも1つの缶パラメータ(100)に基づいて、2つ以上の調整変数を制御するように設定される制御ユニット(6)とを備える乾燥デバイス(1)に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属缶(2)の空洞において、少なくとも1つの定められた被覆パラメータ(102)で被覆を形成するための乾燥デバイス(1)であって、
乾燥室(4)であって、前記缶が前記乾燥室(4)通って移動させられ得る、乾燥室(4)と、
2つ以上の制御可能な調整変数(104、106)を有する調整手段(10、20、20'、24、26、28、34)であって、前記被覆の前記少なくとも1つの被覆パラメータ(102)を調整するように配置および適合される調整手段(10、20、20'、24、26、28、34)と、
信号を送信するために前記調整手段(10、20、20'、24、26、28、34)に結合される制御ユニット(6)であって、前記被覆が前記少なくとも1つの定められた被覆パラメータ(102)で形成されるような手法で、少なくとも1つの缶パラメータ(100)の関数として、前記2つ以上の調整変数(104、106)を制御するように設定される制御ユニット(6)と
を備える、乾燥デバイス(1)。
【請求項2】
前記制御ユニット(6)に結合されるメモリユニット(8)であって、前記少なくとも1つの被覆パラメータ(102)を調整するための、少なくとも1つの定められた缶パラメータ(100)についての調整値(108、110)が、前記2つ以上の調整変数(104、106)の各々について記憶されるメモリユニット(8)
を備え、
前記制御ユニット(6)は、缶が前記少なくとも1つの定められた缶パラメータ(100)で生産されるとき、前記2つ以上の調整変数についてのそれぞれの1つの調整値を調整するように配置される、請求項1に記載の乾燥デバイス(1)。
【請求項3】
前記調整手段は、乾燥流体(12)を前記缶に適用するための流体流れデバイス(10、20、20'、24、26、28)を備え、または、乾燥流体(12)を前記缶に適用するための流体流れデバイス(10、20、20'、24、26、28)であり、
前記流体流れデバイス(10、20、20'、24、26、28)は、前記2つ以上の調整変数のうちの少なくとも1つにより制御され得る、請求項1または2に記載の乾燥デバイス(1)。
【請求項4】
前記流体流れデバイス(10、20、20'、24、26、28)は、高さ調整可能なノズルユニット(10)を備え、前記2つ以上の調整変数のうちの1つは、前記ノズルユニット(10)と前記缶との間の間隔高さが調整可能となるように、前記ノズルユニット(10)の位置である、請求項1から3のいずれか一項に記載の乾燥デバイス(1)。
【請求項5】
前記ノズルユニット(10)に結合され、前記ノズルユニット(10)の位置を調整するように配置および設計されるノズルアクチュエータ(11)
を備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の乾燥デバイス(1)。
【請求項6】
前記2つ以上の調整変数のうちの1つは、前記ノズルユニットから流出する前記乾燥流体(12)の乾燥流体速度(14)である、請求項1から5のいずれか一項に記載の乾燥デバイス(1)。
【請求項7】
前記乾燥流体速度(14)を決定するために、前記ノズルユニット(10)のノズル入口とノズル出口との間の圧力損失を決定するための少なくとも1つの圧力損失センサ(16)
を備える、請求項1から6のいずれか一項に記載の乾燥デバイス(1)。
【請求項8】
空気循環アクチュエータ(22)に結合される空気循環フラップ(20、22')により、前記乾燥流体(12)を前記乾燥室(4)において再循環させるための空気循環回路(18)
を備え、
前記2つ以上の調整変数のうちの1つは、前記空気再循環フラップ(20、22')の位置である、請求項1から7のいずれか一項に記載の乾燥デバイス(1)。
【請求項9】
前記空気循環回路(18)は、再循環をもたらすための再循環送風機(24)を有し、前記2つ以上の設定変数のうちの1つは、前記再循環送風機(24)の回転速度である、請求項1から8のいずれか一項に記載の乾燥デバイス(1)。
【請求項10】
前記流体流れデバイス(10、20、20'、24、26、28)は、前記乾燥室(4)からの排気流れをもたらすための排気送風機(26)を備え、前記2つ以上の調整変数のうちの1つは、前記排気送風機(26)の回転速度である、請求項1から9のいずれか一項に記載の乾燥デバイス(1)。
【請求項11】
前記缶を運搬速度(38)において前記乾燥室(4)を通って運搬するための運搬デバイス(34)を備え、前記2つ以上の調整変数のうちの1つは、前記運搬速度(38)である、請求項1から10のいずれか一項に記載の乾燥デバイス(1)。
【請求項12】
室温度が前記乾燥室(4)において設定されることが可能であり、前記2つ以上の調整変数のうちの1つは、前記室温度である、請求項1から11のいずれか一項に記載の乾燥デバイス(1)。
【請求項13】
前記缶は、単位時間あたりの缶の数を特徴付ける輸送密度で前記乾燥室(4)を通って運搬されることが可能であり、前記2つ以上の調整変数のうちの1つは、前記輸送密度である、請求項1から12のいずれか一項に記載の乾燥デバイス(1)。
【請求項14】
前記缶パラメータ(100)は、缶の大きさ、缶の形、および/または、前記缶の前記空洞に適用される前記被覆のラッカーの種類である、請求項1から13のいずれか一項に記載の乾燥デバイス(1)。
【請求項15】
前記少なくとも1つの被覆パラメータ(102)は、孔密度である、請求項1から14のいずれか一項に記載の乾燥デバイス(1)。
【請求項16】
特に、請求項1から15のいずれか一項に記載の乾燥デバイス(1)により、金属缶の空洞において、少なくとも1つの定められた被覆パラメータ(102)で被覆を形成するための方法であって、
乾燥流体(12)を前記缶に適用するステップと、
前記被覆が前記少なくとも1つの定められた被覆パラメータ(102)で形成されるように、調整手段の2つ以上の調整変数を、少なくとも1つの缶パラメータ(100)に依存して制御するステップと
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属缶、特に、飲料缶または食品缶の空洞において、少なくとも1つの定められた被覆パラメータで被覆を形成するための、乾燥デバイス、特に、内部乾燥機と、方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
金属缶の空洞において被覆を形成するための乾燥デバイスが一般的に知られている。このような乾燥デバイスは、内部乾燥機、または、IBOとしても知られる内部焼き付けオーブンとしても知られている。乾燥デバイスの前の処理ステップにおいて、ラッカーが、空洞を形成する内壁に適用される。このラッカーは、乾燥デバイスにおいて乾燥および/または重合させられる。これを行うために、缶は、高温空気が缶に適用される間に乾燥デバイスを通って移動させられる。
【0003】
被覆の品質は、缶の適用領域に、および、缶に保存される食品の保存可能期間に、影響を有する。具体的には、高いミネラル含有量を伴う食品が被覆を化学的に攻撃し、そのため、高い要求が被覆の品質に求められる。
【0004】
このような乾燥デバイスを動作させるとき、被覆の品質に影響する様々なパラメータが手動で調整される。この調整は、乾燥デバイスの動作の間に行われ、作業者の経験に大きく依存する。
【0005】
DE2722999A1およびEP0072638A1は、缶を乾燥させるためのデバイスおよび方法を開示しているが、実施は、このようなデバイスおよび方法が高い品質の被覆を形成するのに適していないことを示している。
【0006】
個々の作業者の経験とはできるだけ無関係に、このような乾燥機器を動作させることができることが、産業界の要求である。別の目的は、様々な種類の缶が乾燥デバイスで規則的に生産される場合であっても、缶の空洞において一貫した品質の被覆を作り出すことである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】独国特許出願公開第2722999A1号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第0072638A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そのため、上記の欠点のうちの1つまたは複数を低減または排除する、金属缶の空洞において、少なくとも1つの定められた被覆パラメータで被覆を形成するための乾燥デバイスおよび方法を提供することが、本発明の課題である。特に、金属缶の空洞において高品質な被覆を可能にする解決策を提供することが、本発明の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この問題は、独立特許請求項の特徴による乾燥デバイスおよび方法により解決される。これらの態様のさらなる有利な実施形態が、それぞれの従属特許請求項において示されている。特許請求項および本明細書において個々に列記されている特徴は、任意の技術的に意味のある方法で互いに組み合わせることができ、それによって本発明のさらなる実施形態が示される。
【0010】
第1の態様によれば、冒頭で言及された課題は、金属缶、特に、飲料または食品の缶の空洞において、少なくとも1つの定められた被覆パラメータで被覆を形成するための乾燥デバイスであって、乾燥室であって、缶が乾燥室を通って移動させられ得る、乾燥室と、2つ以上の制御可能な調整変数を伴う調整手段であって、被覆の少なくとも1つの被覆パラメータを調整するように配置および設計される調整手段と、信号を送信するように調整手段に結合される制御ユニットであって、被覆が少なくとも1つの定められた被覆パラメータで形成されるような手法で、少なくとも1つの缶パラメータの関数として、2つ以上の調整変数を制御するように設定される制御ユニットとを備える乾燥デバイス、特に内部乾燥機によって、解決される。
【0011】
本発明は、金属管の空洞における被覆の品質が、異なる種類の缶および/またはラッカーについて異なる調整変数に依存するという発見に基づかれている。例えば、背の高くて細い缶は、太くて背の低い缶とは、流体流れおよび温度などで異なる調整を必要とする可能性がある。さらに、異なる制御または調整がされる調整が被覆パラメータを調整するために必要とされる異なるラッカーが、使用される可能性がある。
【0012】
本発明者は、缶の種類または缶の缶パラメータに依存する調整変数の自動化された調整が、被覆の高い品質を可能とすることができることも発見した。したがって、例えば、缶の種類が変更された直後に調整変数の最適な調整値が調整することができるように、調整変数の調整値は、後でより詳細に説明されているように、制御ユニットまたはメモリユニットにおいて、各々の缶の種類について記憶させることができる。
【0013】
金属缶の空洞における被覆は、先のステップで適用されたラッカーを乾燥および重合によって被覆へと形成することにより、乾燥デバイスによって形成される。
【0014】
乾燥デバイスは、缶が通って移動させられ得る乾燥室を備える。乾燥室は入口側と出口側とを好ましくは備える。乾燥室は、缶が入る入口側における室入口と、缶が出る出口側における室出口とを好ましくは有する。乾燥デバイスは、後でより詳細に記載されるコンベヤデバイスを有することが好ましい。缶は、例えば、コンベヤデバイスのコンベヤベルトによって室入口と室出口との間で運搬される。コンベヤベルトは通常は流体透過性である。缶は、通常は上方から高温の乾燥流体に曝され、その乾燥流体は、次にコンベヤベルトを通過し、そこから空気循環および/または排気システムのいずれかへと送り込まれる。さらに、乾燥室は、缶が乾燥流体にできるだけ均一に曝されることを確保するために、異なる流れ媒体を有し得る。
【0015】
また、乾燥室は、好ましくは、具体的には流体流れデバイスに流体結合される1つ、2つ、またはより多くの流体供給配管を有し、これは後でより詳細に説明されている。乾燥室が、例えば室壁を用いて、乾燥室が本質的に流体密封となることも好ましい。
【0016】
さらに、乾燥デバイスは、2つ以上の制御可能な調整変数を伴う調整手段を備える。調整手段は、例えば、乾燥流体を缶へと適用するための流体流れデバイスであり得、それにより、調整変数は乾燥流体の温度および乾燥流体の流体流れであり得る。また、調整手段は、コンベヤベルトとして設計することができる、またはコンベヤベルトを備えることができ、2つ以上の制御可能な調整変数のうちの1つはコンベヤベルトのコンベヤ速度であり得る。
【0017】
調整手段は、被覆の少なくとも1つの被覆パラメータを調整するように配置および設計される。被覆の被覆パラメータは、数ある中でも、調整手段が被覆に作用することで、調整手段で調整される。これは、例えば、先に言及される乾燥流体で行うことができる。調整手段は、好ましくは、乾燥室において作用するように配置される。
【0018】
乾燥デバイスは制御ユニットも備え、制御ユニットは、信号を送信するために調整手段に結合される。制御ユニットは、被覆が少なくとも1つの定められた被覆パラメータで形成されるような手法で、少なくとも1つの缶パラメータの関数として、2つ以上の調整変数を制御するように設定される。この組み合わせで達成され得る2つ以上の調整変数と、少なくとも1つの缶パラメータと、被覆パラメータとの間の相関は、例えば試験を用いて決定することができる。
【0019】
2つ以上の調整変数が制御されるという事実は、2つ以上の調整手段が調整および/または規制されることも意味する。缶パラメータは、例えば缶の種類を記載することができる。後でより詳細に説明されているように、缶パラメータは缶容積または缶高さであり得る。
【0020】
被覆パラメータは定数であり得る。被覆パラメータは孔密度であり得る。このような缶の孔密度は、特定の時間の期間にわたる電流の流れを測定することによって、電解液を使用して被覆された缶の抵抗を測定することで、通常は決定される。
【0021】
乾燥デバイスの好ましい実施形態が、制御ユニットに結合されるメモリユニットを備え、メモリユニットでは、少なくとも1つの被覆パラメータを調整するための少なくとも1つの定められた缶パラメータについての調整値が、2つ以上の調整変数の各々について記憶され、制御ユニットは、缶が少なくとも1つの定められた缶パラメータで生産されるとき、2つ以上の調整変数についてのそれぞれの1つの調整値を調整するように配置される。
【0022】
調整値は調整範囲でもあり得る。2つ以上の調整変数についての調整値が、異なる定められた缶パラメータについて、メモリユニットに記憶されることが特に好ましい。例えば、調整変数についての調整値の第1のセットを、0.5リットルの缶のために提供することができ、2つ以上の調整変数についての調整値の他のセットを、0.33リットルの容積の缶のために提供することができる。
【0023】
メモリユニットは制御ユニットと一体化させることができる。また、メモリユニットは制御ユニットから離して配置されてもよい。離した配置は、乾燥デバイスから離間された配置であってもよい。例えば、制御ユニットは、例えばインターネットを介してなど、データ接続を用いてメモリユニットに繋げられてもよい。
【0024】
缶パラメータは、通常は制御ユニットに利用可能にさせられる。これは、例えば、乾燥デバイスの上流の生産機械によって行うことができる。また、缶パラメータを制御ユニットに供給する中央制御ユニットが提供されてもよい。
【0025】
缶が少なくとも1つの定められた缶パラメータで生産されていることが制御ユニットに案内される場合、制御ユニットは、被覆が少なくとも1つの被覆パラメータで生産されるように、2つ以上の調整変数についての調整値を迅速に調整する。
【0026】
乾燥デバイスのさらなる好ましい実施形態は、調整手段が、乾燥流体を缶に適用するための流体流れデバイスを備え、または、乾燥流体を缶に適用するための流体流れデバイスであり、流体流れデバイスは2つ以上の調整変数の少なくとも一方によって制御され得ることにおいて、特徴付けられる。
【0027】
流体流れデバイスは、乾燥流体を缶に適用するように配置および設計される乾燥デバイスのユニットうちの複数および/または全部を好ましくは備える。流体流れデバイスの一部は、例えば、排気または循環空気の送風機、空気流れフラップ、加熱ユニット、および、乾燥流体に作用する他のユニットであり得る。
【0028】
乾燥デバイスのさらなる好ましい実施形態は、流体流れデバイスが高さ調整可能なノズルユニットを有し、2つ以上の調整変数のうちの1つが、具体的にはノズル出口といったノズルユニットと、具体的には缶上縁といった缶との間の空いている高さが調整することができるように、ノズルユニットの位置であることにおいて、特徴付けられる。ノズルユニットは、特に鉛直方向において、高さ調整可能である。具体的には、ノズルユニットは、缶が乾燥室を通って移動させられるコンベヤベルトの上方に配置され、高さ調整可能である。
【0029】
ノズルユニットは2つ以上のノズルを好ましくは備える。ノズルは、ノズル入口からノズル出口へと好ましくは延びる。通常の動作において、ノズルは、本質的に鉛直に位置合わせされた通路軸を好ましくは有する。さらに、ノズル出口は、好ましくは、意図されている動作の間に缶を向く。
【0030】
ノズルユニットの高さ、特に、ノズル出口の高さは、被覆の品質への影響を有する。結果として、少なくとも1つの定められた被覆パラメータで被覆を形成するために、ノズルユニットを高さ調整可能にすることは、有利である。ノズルユニットは多数の個々のノズルを好ましくは備える。ノズルユニットは、例えばノズル板として設計され得る。ノズルユニットが、缶と、通常の動作の間に乾燥流体を分配させるための多孔板との間に配置されることも好ましい。ノズルユニットは、好ましくは、ノズルユニットから現れる乾燥流体が缶に向けて方向付けられるように配置および設計もされる。
【0031】
乾燥デバイスのさらに好ましい実施形態は、ノズルユニットに結合されるノズルアクチュエータを備え、ノズルアクチュエータは、特に鉛直方向において、ノズルユニットの位置を調整するように配置および設計される。ノズルアクチュエータは、制御ユニットによって制御することができるように、信号を送信するように制御ユニットに好ましくは結合されもする。
【0032】
乾燥デバイスのさらなる好ましい実施形態は、2つ以上の調整変数のうちの1つが、ノズルユニットから流出する乾燥流体の乾燥流体速度であることにおいて、特徴付けられる。乾燥流体速度は、例えば、以下において記載されている再循環送風機または排気送風機により制御することができる。
【0033】
特に、ノズルユニットは、乾燥流体を缶に直接的に適用するように設計される。乾燥流体速度は、缶の空洞の中での乾燥流体のこれらの流体移動が被覆の品質に作用するため、缶の被覆に影響を有する。
【0034】
乾燥デバイスのさらに好ましい実施形態は、乾燥流体速度を決定するために、ノズルユニットのノズル入口とノズル出口との間の圧力損失を決定するための少なくとも1つの圧力損失センサを備える。
【0035】
好ましくは、ノズルユニットは圧力損失センサを有する。圧力損失センサは、信号を送信するように、制御ユニットに好ましくは結合される。制御ユニットは、好ましくは、圧力損失に基づいて乾燥流体速度を決定するように設定されもする。
【0036】
乾燥デバイスのさらに好ましい実施形態は、再循環空気アクチュエータに結合される再循環空気フラップにより、乾燥室における乾燥流体を再循環させるための再循環空気回路を備え、2つ以上の調整変数のうちの1つは再循環空気フラップの位置である。
【0037】
流体流れデバイスは、空気再循環回路、空気再循環フラップ、および/または空気再循環アクチュエータを好ましくは備える。空気再循環アクチュエータは、空気再循環フラップを調整するための制御デバイスと好ましくは信号結合される。再循環フラップの位置は、例えば、0%から100%の間の開口度であり得る。空気再循環フラップの位置は、右から左へのコンベヤベルトの幅を横切る空気流れに影響を与える。
【0038】
空気循環回路が、乾燥室の第1の外側において側方に配置され、第1の側と反対の乾燥室の第2の外側において側方に配置される2つの乾燥フラップを有することは特に好ましい。生産速度が低減させられる場合、缶は、束での缶が倒れる危険性がより小さいため、コンベヤベルトの一方の側において好ましくは運搬される。これは、乾燥デバイスが完全に利用されない場合、乾燥処理を最適化するために空気循環フラップも使用することができることを意味している。
【0039】
乾燥デバイスのさらなる好ましい実施形態は、空気循環回路が、再循環をもたらすための空気循環送風機を有し、2つ以上の調整変数のうちの1つが空気循環送風機の回転速度であることにおいて、特徴付けられる。好ましくは、流体流れデバイスは再循環送風機を備える。
【0040】
再循環送風機は、再循環回路において再循環ダンパなしで提供されてもよい。空気循環送風機は、乾燥室の流体出口および流体入口に好ましくは結合される。缶に適用された乾燥流体は、次に再循環回路を通って再循環送風機へと戻ることができ、そこから乾燥室へと戻るように送り込むことができる。
【0041】
再循環送風機が、新鮮な空気を供給するために、新鮮な空気入口と流体結合されることも好ましい。
【0042】
流体流れデバイスが、乾燥室からの排気流れをもたらすための排気送風機を備え、2つ以上の調整変数のうちの1つが排気送風機の回転速度であることは、さらに好ましい。
【0043】
被覆を形成するために、被覆が高い品質および高いエネルギー効率で作り出せることができるような手法で、循環する空気流れおよび排気流れを調整することは、有利である。乾燥室からの排気流れがより多くなると、乾燥流体の温度を制御するために必要とされる加熱能力がより大きくなる。一方、過度に頻繁に循環される乾燥流体は、被覆の品質を低減させる不適切な特性を有する可能性がある。
【0044】
乾燥デバイスが、缶を運搬速度において乾燥室を通って運搬するための運搬デバイスを備え、2つ以上の調整変数のうちの1つが運搬速度であることは、さらに好ましい。
【0045】
さらに、室温度が、具体的には流体流れデバイスおよび/または加熱ユニットにより、乾燥室において調整可能であり、2つ以上の調整変数のうちの1つが室温度であることが好ましい。
【0046】
室温度は範囲として明示されてもよい。加熱ユニットは、例えば加熱コイルまたはガスバーナであり得る。2つ以上の調整変数のうちの1つが缶温度であることは、さらに好ましい。缶温度は、例えば赤外線センサを用いて決定することができる。この赤外線センサは、信号を送信するように、制御ユニットに好ましくは結合される。
【0047】
乾燥デバイスのさらなる好ましい実施形態は、缶が、単位時間あたりの缶の数を特徴付ける輸送密度で乾燥室を通って運搬されることが可能であり、2つ以上の調整変数のうちの1つが輸送密度であることにおいて、特徴付けられる。乾燥デバイスは、缶が乾燥室を通って運搬されるコンベヤベルトを好ましくは備える。
【0048】
缶パラメータが、缶の大きさ、缶の形、および/または、缶の空洞に適用される被覆の被覆種類であることも好ましい。缶の大きさは、例えば、缶の長さ、缶の直径、缶の直径に対する缶の長さの比、および/または缶の容積であり得る。さらに、少なくとも1つの被覆パラメータが孔密度であることが好ましい。
【0049】
さらなる態様によれば、初めに言及された課題は、具体的には先に記載されている実施形態のうちの1つによる乾燥デバイスで、金属缶、具体的には飲料または食品の缶の空洞において、少なくとも1つの定められた被覆パラメータで被覆を形成するための方法であって、乾燥流体を缶に適用するステップと、被覆が少なくとも1つの定められた被覆パラメータで形成されるように、調整手段の2つ以上の調整変数を、少なくとも1つの缶パラメータに依存して制御するステップとを含む方法によって解決される。
【0050】
2つ以上の調整変数を制御するステップは、調整することおよび/または規制することを意味することもできる。
【0051】
さらに、方法が、2つ以上の調整変数の各々について調整値を調整するステップであって、それによって、調整値が、定められた缶パラメータの関数として定められるステップを含むことが好ましい。また、方法は、ノズルユニットと缶との間の空いている高さを設定することができるように、ノズルユニットの位置を調整するステップを含んでもよい。
【0052】
方法およびその可能な実施形態は、乾燥デバイスおよびその実施形態における使用に特に適したものにする特徴または方法ステップを有する。
【0053】
方法および可能な実施形態のさらなる利点、実施形態の変形、および実施形態の詳細のために、乾燥デバイスの対応する特徴および実施形態の以前の記載も参照される。
【0054】
好ましい実施形態が、添付の図を参照して、例を用いて説明される。
【図面の簡単な説明】
【0055】
図1】乾燥デバイスの例示の実施形態の概略的な二次元の側面図である。
図2図1に示されている乾燥デバイスの概略的な二次元の断面図である。
図3】データ処理の概略図である。
図4】方法の例示の実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
図では、同一の要素または本質的に機能性が同一もしくは同様の要素は、同じ参照符号で示されている。
【0057】
図1は、金属缶2の空洞において、少なくとも1つの定められた被覆パラメータで被覆を形成するための乾燥デバイス1を示している。乾燥デバイス1は、缶2が通って移動および乾燥させられ得る乾燥室4を備える。図1は、幅広の矢印を用いて、乾燥デバイス1の内側および外側の流体流れも示している。
【0058】
乾燥デバイス1は、ノズルユニット10、空気循環フラップ20、20'、空気循環送風機24、排気送風機26、および運搬デバイス34など、いくつかの調整手段も備える。缶2は、運搬デバイス34によって、運搬方向36において、運搬速度38で運搬される。調整手段は調整パラメータでそれぞれ調整することができる。
【0059】
乾燥デバイス1は制御ユニット6も備え、制御ユニット6は、信号を送信するために調整手段に結合されている。制御ユニット6は、少なくとも1つの被覆パラメータを調整するための、少なくとも1つの定められた缶パラメータについての調整値が、2つ以上の調整変数の各々について記憶されるメモリユニット8も備える。
【0060】
ノズルユニット10は乾燥室4にも配置されている。ノズルユニット10は、乾燥流体12が通過することができる多数のノズルを備える。多孔板32が、ノズルユニット10の上方における乾燥流体12のより良好な分配のために、鉛直方向でノズルユニット10の上方に配置されている。缶2は、ノズルユニット10を通過する乾燥流体12が缶2に当たるように、ノズルユニット10の下で運搬される。
【0061】
ノズルユニット10はノズルアクチュエータ11に結合されている。ノズルアクチュエータ11は、鉛直方向におけるノズルユニット10の位置を調整するために使用することができる。ノズルユニット10は、歯車箱を用いてノズルアクチュエータ11に結合されている。これは、異なる缶においてより良好な被覆が達成することができることを意味している。
【0062】
乾燥流体12は、より良好なエネルギー効率が達成することができるように、数ある中でも、空気循環回路18において循環する。乾燥流体12の一部が、排気送風機26を用いて、排気ダクト44を通って乾燥室4から抜け出すことができる。
【0063】
図2に示されているように、乾燥流体12は、乾燥流体速度14においてノズルユニット10を通過する。ノズルユニット10は、乾燥流体速度14を決定するために、ノズルユニット10のノズル入口とノズル出口との間の圧力損失を決定するための圧力損失センサ16をさらに備える。
【0064】
乾燥デバイス1は、空気循環回路18において2つの空気循環フラップ20、20'を備えており、それら両方の空気循環フラップ20、20'が図2に示されている。再循環空気フラップ20、20'は、再循環空気体積が再循環空気アクチュエータ22で調整され得るように、図1に示された再循環空気アクチュエータ22に結合されている。さらに、再循環空気流れは再循環送風機24で調整される。再循環送風機24は、同じくフラップを有する新鮮空気ダクト46に流体的に結合もされる。加熱室30が、流体流れの方向において循環空気送風機24の前に配置されており、加熱室30の中で、ガスバーナ28が乾燥流体12を加熱する。
【0065】
缶2は缶入口40から乾燥室4へと運搬される。缶入口40と反対の乾燥室4の側において、缶2は乾燥室4を再び出る。
【0066】
図3は、制御ユニット6のデータ処理を示している。少なくとも1つの缶パラメータ100と、少なくとも1つの被覆パラメータ102とが、制御ユニット6のための入力変数として作用する。相関が制御ユニット6に記憶されており、制御ユニット6は、少なくとも1つの缶パラメータ100と少なくとも1つの被覆パラメータ102とに基づいて、調整変数についての調整値を決定または記憶する。被覆パラメータ102は定数でもあり得る。
【0067】
この場合、調整変数は、ノズルユニット10の位置104、および室温度106である。缶パラメータ100および被覆パラメータ102に基づいて、制御ユニット6は、ノズルユニットの位置104が第2の位置といった第1の調整値108を有し、室温度106が185℃といった第2の調整値110を有することを決定する。
【0068】
図4は概略的な過程を示している。ステップ200では、缶パラメータ100が提供される。缶パラメータ100は、例えば、0.5リットルなどの缶容積であり得る。ステップ202では、缶2が乾燥流体12に曝される。ステップ204では、被覆が少なくとも1つの定められた被覆パラメータ102で形成されるように、2つ以上の調整変数104、106が缶パラメータ100の関数として制御される。
【0069】
先に記載されている乾燥デバイス1と、対応する過程とであれば、空洞の高い品質の被覆を伴う缶2を生産することが可能である。これは、缶における飲料および食品の保存時間を増加させる。さらに、被覆がより良好な保護を提供するとき、缶の内容物の品質は増加させることができる。
【符号の説明】
【0070】
1 乾燥デバイス
2 缶
4 乾燥室
6 制御ユニット
8 メモリユニット
10 ノズルユニット
11 ノズルアクチュエータ
12 乾燥流体
14 乾燥流体速度
16 圧力損失センサ
18 空気循環回路
20、20' 空気循環フラップ
22 空気循環アクチュエータ
24 再循環送風機
26 排気送風機
28 ガスバーナ
30 加熱室
32 多孔板
34 コンベヤ
36 運搬方向
38 運搬速度
40 缶投入
42 再循環ダクト
44 排気ダクト
46 新鮮空気ダクト
100 缶パラメータ
102 被覆パラメータ
104 第1の調整変数
106 第2の調整変数
108 第1の調整値
110 第2の調整値
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】