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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】二輪車用の変速機ユニット
(51)【国際特許分類】
   B62M 11/16 20060101AFI20240829BHJP
【FI】
B62M11/16 A
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024513881
(86)(22)【出願日】2022-07-05
(85)【翻訳文提出日】2024-04-12
(86)【国際出願番号】 EP2022068623
(87)【国際公開番号】W WO2023030724
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】102021122592.2
(32)【優先日】2021-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524074529
【氏名又は名称】レヴォリューテ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(74)【代理人】
【識別番号】100191938
【弁理士】
【氏名又は名称】高原 昭典
(72)【発明者】
【氏名】シュレーレト・ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン・カスパー
(72)【発明者】
【氏名】ベンデロト・マクシミリアン
(57)【要約】
【課題】二輪車に適したシフトシステム及びこのようなシフトシステムによってシフト可能な変速機ユニットを改善する。
【解決手段】シフト軸19,20と、シフト手段15,16とを備え、シフト手段15,16に対するシフト軸19,20の移動を介してシフト手段15,16のシフト位置を変更可能であり、駆動軸18がシフトシステム14の一部として構成されており、駆動軸は、第1のシフト位置では、変速機ユニット1の構成要素と相対回転不能に結合可能であり、第2のシフト位置では、変速機ユニット1の構成要素と結合解除可能である、シフトシステムにおいて、シフト手段15,16が、駆動軸18と協働して、シフト手段15,16が駆動軸18の回転と共に中心軸線10を中心として回転し、シフト軸19,20に対するシフト手段15,16の相対運動を生じさせることができるように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動に配置された少なくとも1つのシフト軸(19,20)と、少なくとも1つのシフト手段(15,16)とを備えた、変速機ユニット(1)をシフトするためのシフトシステム(14)であって、シフト手段(15,16)に対して相対的なシフト軸(19,20)の移動を介してシフト手段(15,16)のシフト位置を変更可能であり、中心軸線(10)を中心として回転可能な駆動軸(18)がシフトシステム(14)の一部として構成されており、駆動軸は、シフト手段(15,16)の第1のシフト位置では、少なくとも1つの回転方向において、変速機ユニット(1)の構成要素(5)と相対回転しないように結合可能であり、シフト手段(15)の第2のシフト位置では、各回転方向において、変速機ユニット(1)の構成要素(5)と結合解除可能である、前記シフトシステムにおいて、
シフト手段(15,16)が、駆動軸(18)と協働して、シフト手段(15,16)の少なくとも一部が駆動軸(18)の回転と共に中心軸線(10)を中心として回転し、これにより、シフト軸(19,20)に対するシフト手段(15,16)の相対運動を生じさせることができるように構成されていることを特徴とするシフトシステム。
【請求項2】
シフト手段(15,16)の少なくとも駆動軸(18)と共に回転する部分が、シフト軸(19,20)と接触されることが可能な少なくとも1つのピックアップ(27)を備えており、該ピックアップ(27)が、シフト手段(15,16)を第2のシフト位置へもたらすために、シフト軸(19,20)の移動を介して、中心軸線(10)に関して軸方向及び/又は径方向に変位可能であることを特徴とする請求項1に記載のシフトシステム(14)。
【請求項3】
シフト軸(19,20)が、少なくとも1つの傾斜部(26)を備えており、及び/又は少なくとも1つの傾斜部と作用結合されており、ピックアップ(27)が、傾斜部(26)と接触して中心軸線(10)を中心とする周囲でのその運動によって中心軸線(10)に関して軸方向及び/又は径方向に変位可能であり、シフト軸(19,20)の移動によって傾斜部(26)の変位を生じさせることが可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載のシフトシステム(14)。
【請求項4】
シフト軸(19,20)がピックアップ(27)と接触して傾斜路(26)を移動させる移動方向と、シフト手段(15,16)のピックアップ(27)の操作方向とが互いに垂直であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のシフトシステム(14)。
【請求項5】
シフト軸(19,20)又はシフト軸(19,20)に結合された部材が、シフト手段(15,16)のピックアップ(27)がシフト軸(19,20)のシフト運動を用いて駆動軸(18)の回転運動とは無関係に第1のシフト位置と第2のシフト位置の間で、特にシフト軸(19,20)あるいはシフト軸(19,20)に結合された部材における少なくとも1つの軸方向に傾斜した傾斜部(26’)を用いて移動可能であるように構成されていることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のシフトシステム(14)。
【請求項6】
シフト手段(15,16)が、爪連結部として、シフト係合部として、又はシフト係合部システムとして構成されていること、及び/又は変速機ユニット(1)が少なくとも1つの遊星歯車変速機(12,13)を備えており、駆動軸(18)と結合可能な遊星歯車変速機(12,13)の構成要素(5)が、遊星歯車変速機(12,13)の内歯車(28)、遊星キャリア(29)及び/又は太陽歯車(30)を形成していることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載のシフトシステム(14)。
【請求項7】
第2のシフト位置へのシフト手段(15,16)のシフト過程をピックアップ(27)との傾斜部(26)の接触を用いて実行可能であること、及び第1のシフト位置へのシフト過程が、ピックアップ(27)を用いて、選択的に、傾斜部(26)と非接触に行われること、及び/又はシフト手段(15,16)を第1のシフト位置へ押し込むクランプバネ(49)が設けられていることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載のシフトシステム(14)。
【請求項8】
シフト軸(19,20)が、より小さな直径を有する第1の部分(A1)と、より大きな直径を有する第2の部分(A2)とを備えており、シフト手段(15,16)のシフト位置間の変更が、第1の部分(A1)と第2の部分(A2)の間の傾斜部(26)を介したシフト手段(15,16)及び特にピックアップ(27)の接触変更によって行われることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載のシフトシステム(14)。
【請求項9】
互いに対して軸方向に可動かつ相対回転しないように互いに結合された第1のシフト軸(19)及び第2のシフト軸(20)が設けられていることを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載のシフトシステム(14)。
【請求項10】
中心軸線(10)に沿って延在し第1及び第2のシフト軸(19,20)を収容する貫通軸(11)が設けられており、第1のシフト軸(19)が第1のガイド溝(22)を備え、該第1のガイド溝では、貫通軸(11)に配置された第1のガイド要素(24)がガイドされていること、及び第2のシフト軸(20)が第2のガイド溝(23)を備えており、該第2のガイド溝では、貫通軸(11)に配置された第2のガイド要素(25)がガイドされているため、第1及び/又は第2のシフト軸(19,20)の軸方向位置が中心軸線(10)に沿って互いに独立していることを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載のシフトシステム(14)。
【請求項11】
回転アクティベータ(21)が設けられているとともにシフト軸(19,20)と作用結合されており、回転運動をシフト軸(19,20)へ導入するために、操作者によって回転アクティベータ(21)を作動可能であり、少なくとも1つのシフト軸(19,20)が相対回転不能に、かつ、軸方向に変位可能に回転アクティベータ(21)に作用結合されていることを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載のシフトシステム(14)。
【請求項12】
少なくとも1つの請求項1~11のいずれか1項に記載のシフトシステム(14)を備えた変速機ユニット(1)であって、該変速機ユニット(1)が少なくとも1つの遊星歯車変速機(12,13)を含んでおり、シフト手段(15,16)を用いて変速機ユニット(1)の少なくとも1つの回転方向において駆動軸(18)を相対回転不能に結合可能な遊星歯車変速機(12,13)の構成要素(5)が、少なくとも1つの遊星歯車変速機(12,13)の内歯車(28)として、遊星キャリア(29)として、及び/又は太陽歯車(30)として構成されていることを特徴とする変速機ユニット(1)。
【請求項13】
互いに及び/又は互いの中に入れ子にされた2つ以上の遊星歯車変速機(12,13)が設けられており、シフトシステム(14)を用いて、第1の及び/又は少なくとも1つの第2の遊星歯車変速機(12,13)の内歯車(28)、遊星キャリア(29)及び/又は太陽歯車(30)をシフト可能であることを特徴とする請求項12に記載の変速機ユニット(1)。
【請求項14】
外側に位置する第2の遊星歯車変速機(13)の内歯車(28)と変速機ユニット(1)の固定された部分(48)の間の作用結合を形成する第1のフリーホイール(35)が設けられていること、及び/又は内側に位置する第1の遊星歯車変速機(12)と固定された部分(48)の間の作用結合を形成する第2のフリーホイール(36)が設けられていること、及び/又は太陽歯車(30)と駆動軸(18)の間の作用結合を形成する第3のフリーホイール(37)が設けられていることを特徴とする請求項12又は13に記載の変速機ユニット(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可動に配置された少なくとも1つのシフト軸と、少なくとも1つのシフト手段とを備えた、変速機ユニットをシフトするためのシフトシステムであって、シフト手段に対して相対的なシフト軸の移動を介してシフト手段のシフト位置を変更可能であり、中心軸線を中心として回転可能な駆動軸がシフトシステムの一部として構成されており、駆動軸は、シフト手段の第1のシフト位置では、少なくとも1つの回転方向において、変速機ユニットの構成要素と相対回転しないように結合可能であり、シフト手段の第2のシフト位置では、各回転方向において、変速機ユニットの構成要素と結合解除可能である、前記シフトシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、自転車のフレームに設けられることが可能な、自転車の変速機をシフトさせる同種のシフトシステムが示されている。ここで、変速機ユニットはホイールハブを形成するため、自転車の駆動される車輪は、変速機ユニットを介して支持されることが可能であり、車輪のスポークは、変速機ユニットのハウジングに設けられることが可能である。
【0003】
シフトチェンジ(ギヤ段変更)は、変速機ユニットの遊星歯車変速機の個々の構成要素を例えば貫通軸、ハウジング又は変速機ユニットの動作していない貫通軸に固定し、選択的に解放するために、シフトユニットを用いて、シフト手段のシフトによって行われる。このとき、遊星歯車変速機の構成要素はフリーホイールを備えているため、シフト手段のシフトとフリーホイールの間の相互作用により、変速機ユニットの複数のギヤ段の調整が可能となる。
【0004】
シフトシステムは貫通軸として不動の中空軸を備えており、当該中空軸は二輪車のフレームに螺着され、カム軸の異なる回転位置においてシフト係合部を遊星歯車変速機の構成要素と係合及び係合解除させるために、自転車の運転者により回転アクティベータを介して段階的に(ステップ状に)回転運動され得るカム軸が中空軸にはめ込まれる。
【0005】
シフト手段を遊星歯車変速機の構成要素から係合解除させるために、駆動部からの力の流れは中断される必要がある。なぜなら、通常、回転アクティベータのシフト力を介してカム軸の回転のために十分な力が提供されないためである。この結果、変速機の出力スループットの中断が行われる必要があるという欠点があり、これは、特に自転車での登り坂走行時に不都合である。
【0006】
シフトシステムによってシフト可能な変速機ユニットの別の例が特許文献2から知られている。変速機ユニットの当該構成も自転車の駆動輪のためのホイールハブとして用いられ、このようなホイールハブ変速機は、チェーンシフトに対する代替として用いられる。変速機ユニットと関連したこのようなシフトシステムの利点はコンパクトで閉じた構造にあり、その結果、汚れの影響を受けやすくメンテナンスに手間のかかるチェーンシフトを省略することができ、自転車、更に他の種類の二輪車、例えば電動自転車、電動スクータ、電動自動二輪車(電動オートバイ)又は内燃機関を有する従来の自動二輪車に用いられることが可能である。
【0007】
このとき、公知のシステムは、シフトチェンジを行うために、基本的には出力スループット、したがって駆動軸におけるトルクが中断される必要があるように構成されている。これは、シフトチェンジのために変速機ユニットの構成要素と係合及び係合解除される必要があるシフト手段自体を通る力の流れにあり、シフト手段の運動は、操作者の操作力によって引き起こされる必要がある。特に駆動軸においてトルクが生じているときに変速機の構成要素を有する力の流れにシフト手段があり、シフトチェンジが行われるべき場合には、シフト手段の係合を大きな力で変速機の構成要素から解除する必要があり、これは、ボーデンケーブル又はこれに類するものを用いては不可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】欧州特許第0915800号明細書
【特許文献2】欧州特許第0910530号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、二輪車、好ましくは自転車に適したシフトシステム及びこのようなシフトシステムによってシフト可能な変速機ユニットを改善することにあり、変速機ユニットのシフトチェンジは、出力の中断なしに可能であるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
当該課題は、請求項1の前文によるシフトシステムを基礎として、及び請求項13の前文による変速機ユニットを基礎として、それぞれの特徴と関連して解決される。本発明の有利な発展形態は、各従属請求項に記載されている。
【0011】
上記課題を解決するために、本発明は、シフト手段が、駆動軸と協働して、シフト手段の少なくとも一部が駆動軸の回転と共に中心軸線を中心として回転し、これにより、シフト軸に対するシフト手段の相対運動を生じさせることができるように構成されていることを提案する。
【0012】
本発明の核心的な思想は、シフト手段の第1のシフト位置と第2のシフト位置の間でシフト(変更)されることができるように、シフト手段の移動をもたらすために、外部で駆動される駆動軸における駆動力あるいは駆動トルクを用いることである。特に第1のシフト位置から第2のシフト位置へのシフト手段の移動を生じさせるために、いわば駆動軸におけるより小さな駆動出力が分岐される。
【0013】
このために、本発明によれば、シフト手段の少なくとも一部、好ましくはシフト手段全体が駆動軸と共に回転するように、シフト手段が、駆動軸と協働するように構成され、したがって特に駆動軸に結合され、又は当該駆動軸に配置されていることが提案される。駆動軸と共にシフト手段が回転することで、シフト軸を用いてシフト手段の相対運動を生じさせることができるため、シフト手段を移動させるために大きな力又はトルクをシフト軸へ導入する必要なくシフト軸がシフト手段をシフトさせることが可能である。なぜなら、シフト手段の移動が駆動軸の駆動運動から分岐した力によって行われるためである。
【0014】
シフト手段は、例えば一部材のシフト手段の形態で一部材で構成されることができ、又はシフト手段は、多部材のシフト手段の少なくとも一部が駆動軸と共に回転するように多部材で構成されている。単純な場合、及び好ましい場合には、シフト手段が駆動軸内に、又は駆動軸において収容(支持)されており、したがってシフト手段が中心軸線を中心として駆動軸の回転を共に行うことで、シフト手段全体が一部材のシフト手段として駆動軸と共に回転する。
【0015】
このとき、シフト軸のみが対応する手段に結合され、当該手段を介して操作者がシフト軸を移動させることができ、シフト軸は、その機能自体のために大きなシフト力を必要としない。シフト軸は、シフト手段の一部、機能面又は機能部分と接触するに至るのみであり、本発明の基本的な思想によれば、シフト軸は、ある程度、シフト手段が第1のシフト位置と第2のシフト位置の間の、特に第1のシフト位置から第2のシフト位置への所望の移動を行うようにシフト手段の機能周囲部を変更することが可能である。
【0016】
このために、シフト軸は、シフト手段に適当に作用させ、シフト位置を変更するために、径方向又は軸方向のシフト軸の変位によって、駆動軸と共に回転するシフト手段の、少なくとも部分的に移動範囲、特に中心軸線を中心とする周回軌道に至る適当な幾何形状を提供する。
【0017】
シフトシステムの有利な一構成によれば、少なくとも、シフト手段の駆動軸と回転する部分又は一部材のシフト手段全体がシフト軸と接触した少なくとも1つのピックアップを備えている。したがって、最終的にシフト位置についてシフト手段を変更するために、特にシフト手段を第1のシフト位置から第2のシフト位置へ移行させるために、ピックアップは、シフト軸の移動を介して、好ましくは変速機ユニットの中心軸線も形成するシフトシステムの中心軸線に関して軸方向及び/又は径方向に変位することが可能である。
【0018】
特にシフト手段がシフト係合部として一部材で構成されている場合に、ピックアップは、シフト手段自体における幾何学的な構成として形成されることが可能である。ピックアップは、シフト手段をシフト軸と接触させるピックアップヘッドとして構成されることが可能である。
【0019】
シフトシステムの可能な別の一構成においては、シフト軸は、少なくとも1つの傾斜部を備えているか、又はシフト軸と相互作用する傾斜部要素が設けられている。傾斜部は、シフト軸と相互作用する個別の部材として提供されることができるか、又は傾斜部は、有利にはシフト軸自体に形成されている。一部としての、又はシフト手段における配置におけるピックアップは、傾斜部との接触に至るため、ピックアップひいてはシフト手段の一部は、シフトシステムの中心軸線に対して相対的に軸方向及び/又は径方向に変位可能であり、シフト軸の移動を用いて傾斜部の変位を生じさせることが可能である。
【0020】
有利には、ピックアップが駆動軸の回転運動を用いて中心軸線に関して径方向に移動するように、傾斜部は、周囲で作用する傾斜部として構成されている。しかし、傾斜部が軸方向に作用するように構成されること、又はピックアップが軸方向及び径方向に変位するように傾斜部が構成されていることも考えられる。この点では、本発明においては、傾斜部が各幾何学的な構成を含むことができ、当該幾何学的な構成は、シフト手段の少なくとも1つの部分又は全部の変位も行われ、その結果、当該変位によって、シフト手段が、第1のシフト位置と第2のシフト位置の間での変更されることができ、特に第1のシフト位置から第2のシフト位置へ移行されることが可能であるように、ピックアップを中心軸線に対して径方向又は軸方向に変位させるのに適している。これに関連して、呼吸するのと類似して径方向に見て直径が変化する傾斜部を提供するために、好ましくは弾性的に変形可能な部分も有する拡開スリーブ、テーパ要素、円すい要素及びこれに類するものが考えられる。さらに、径方向位置又は直径において傾斜部を一時的に変化させるために、流体、例えば圧油を用いて負荷可能な装置が考えられる。
【0021】
シフト手段及び/又はピックアップと関連したシフト軸の幾何学的な構成において本質的な態様は、シフト軸が傾斜部をピックアップと接触して移動させる移動方向と、特にシフト手段の一部としてのピックアップの操作方向とが互いに垂直に延びるようになっている。シフト軸への力は、その移動方向において傾斜部と共に操作者によってシフト軸へ導入され、その結果、シフト軸を移動させる力はむしろ小さくなる。これに対して、ピックアップひいてはシフト手段の一部又はシフト手段事態もその操作方向において大きな力で移動される必要があり、シフト軸の移動の小さな力に比して大きな力は、シフト軸における幾何形状、特に傾斜部を介して生じる。このとき、大きな力は、駆動軸の駆動力又は駆動トルクによって提供され、小さな力は、例えば回転アクティベータを用いて操作者によって導入される。
【0022】
シフトシステムは、電気的なアクチュエータによってもシフトされることができるため、シフト軸は、人によってボーデンケーブルを介して移動させるのではなく、電気的なアクチュエータを用いて移動される。このとき、電気的なアクチュエータはシフトシステムの一部であってもよく、電気的なアクチュエータは、例えば最終的に操作者によって例えばリモート原理に従い制御(作動)されることが可能である。
【0023】
静止している変速機においてもシフトチェンジを行うことができるようにシフトシステムを行うために、シフト軸又はシフト軸に結合された部材が、シフト手段のピックアップがシフト軸のシフト運動を用いて駆動軸の回転運動とは無関係に第1のシフト位置と第2のシフト位置の間で、特にシフト軸あるいはシフト軸に結合された部材における少なくとも1つの軸方向に傾斜した傾斜部を用いて移動可能であるように構成されている。軸方向-径方向、すなわち軸方向及びテーパ状又は円すい状に形成された傾斜部は、傾斜部に隣接して、又は傾斜部と一体的に構成されることができ、当該傾斜部は、異なる直径の周面間で傾斜面を形成しており、傾斜面間でピックアップがその接触について変更されることが可能である。
【0024】
周方向に延在し中心軸線に対して拡大する半径を有する傾斜部は、シフト要素が中心軸線の周囲で駆動軸と共に回転する場合にシフト要素をシフトすることが可能であり、少なくとも部分的にテーパ又は円すいを形成する軸方向-径方向傾斜部は、シフト要素が静止しておりシフト軸の周囲で回転しないが、シフト軸ひいては軸方向-径方向傾斜部がシフト手段に対して相対的に軸方向に変位する場合に、シフト要素をシフトすることが可能である。
【0025】
シフト手段は、爪連結部として、及び好ましくはシフト係合部として、又はシフト係合部システムとして構成されることが可能である。特に、シフト手段はシフト係合部を形成することができ、当該シフト係合部は変速機構成要素における係止輪郭部又は係合輪郭部に係合することができ、変速機構成要素は、特に内面に形成されているため、この点では、シフトカウンタ手段を形成する。したがって、シフト手段は、2つのシフト位置間での移動によってシフト手段が収容(支持)された構成要素と別の構成要素を少なくとも一方向において相対回転不能に結合するのに適し、構成された各部材に関連することが可能である。
【0026】
有利には、変速機ユニットは少なくとも1つの遊星歯車変速機を備えており、特に、変速機ユニットは2つの遊星歯車変速機で構成されている。本発明による駆動軸に結合可能な構成要素は、遊星歯車変速機の内歯車、遊星キャリア及び/又は太陽歯車又は遊星歯車変速機のうち少なくとも1つ若しくは両遊星歯車変速機であり得る。
【0027】
第2のシフト位置へのシフト手段のシフト過程は、傾斜部のピックアップとの接触を用いて行うことが可能であり、ピックアップは、一部材のシフト手段における単純な機能面のみを形成することが可能である。したがって、第1のシフト位置から第2のシフト位置へのシフト過程は傾斜部接触を介して行われ、第2のシフト位置から第1のシフト位置へのシフト位置の変更は、好ましくは傾斜部とのピックアップの接触なしに行われることが可能である。このために、特に、シフト手段を第1のシフト位置へ押し込むクランプバネが設けられている。
【0028】
このとき、変速機ユニットの構成要素との係合が解除された第2のシフト位置から変速機ユニットの構成要素と係合した第1のシフト位置へのシフト手段の移行時には、最小の力作用のみで行われることができる。なぜなら、シフト手段、すなわちシフト係合部、爪連結部又はこれらに類するものが、変速機ユニットによる出力スループットによって駆動軸を介して生じる力の流れにまだないためである。この点では、第2のシフト位置から第1のシフト位置へのシフト手段の移行は、例えば単純なクランプバネによって行われる。
【0029】
更に有利には、シフト軸は、より小さな直径を有する第1の部分と、より大きな直径を有する第2の部分とを備えている。これら部分は、円筒状のジャケット面、したがって全周にわたって同一の直径を有するリング部分を有する部分を形成する。このとき、シフト手段のシフト位置間の変更は、傾斜部を介した部分間でのシフト手段、特にシフト手段のピックアップの接触変更によって行われるため、傾斜部は、シフト手段のピックアップ又はシフト手段自体を第1の部分と第2の部分の間で移行させる。
【0030】
シフト軸は、特に多部材で構成されており、有利には、第1のシフト軸及び第2のシフト軸が設けられており、これらシフト軸は、互いに対して軸方向に可動であるが、相対回転不能に互いに結合されている。シフト軸を分割することで、シフト軸の両部分は異なる軸方向位置を占めることができるため、複数のシフト手段を互いに独立してシフト軸の複数の部材によってシフトさせることが可能である。
【0031】
特に、貫通軸は、中心軸線に沿って延在し、第1及び第2のシフト軸に収容(支持)された、シフトシステムの一部として、及び/又は変速機ユニットの一部として設けられており、第1のシフト軸は、貫通軸に配置された第1のガイド要素をガイドする第1のガイド溝を備えている。さらに、第2のシフト軸は第2のガイド溝を備えており、当該第2のガイド溝では、貫通軸に配置された第2のガイド要素がガイドされている。したがって、第1及び/又は第2のシフト軸の軸方向位置は、中心軸線に沿って互いに独立して変更されることが可能である。駆動軸は、同様に貫通軸の周囲で延在しているとともに、特に当該貫通軸において支持されており、駆動軸は、好ましくは、シフト軸が中へ延在する中空軸として構成されている。また、シフト軸は、好ましくは中空軸として構成されており、貫通軸は、当該中空軸内を通って延在している。
【0032】
さらに、有利には、シフトシステムは回転アクティベータを備えており、当該回転アクティベータは、シフト軸を適当に移動させる、特に回転運動させるように構成されている。この点では、回転アクティベータはシフト軸と作用結合(相互作用)されており、回転アクティベータは、操作者によって制御(作動)されることが可能である。例えば、回転アクティベータはボーデンケーブルを備えている。回転アクティベータによって、シフト軸を回転運動させることができ、回転運動はここでもシフト軸の軸方向移動へ、又はシフト軸の部分へ移行されることが可能である。したがって、回転アクティベータの作動時には、シフト軸又は軸と軸の部分は、径方向及び/又は軸方向に変位可能であり、又は中心軸線を中心として回転することが可能である。
【0033】
さらに、本発明は、上述の説明による少なくとも1つのシフトシステムを有する変速機ユニットに関するものであり、該変速機ユニットが少なくとも1つの、特に2つの遊星歯車変速機を含んでおり、シフト手段を用いて変速機ユニットの少なくとも1つの回転方向において駆動軸を相対回転不能に結合可能な遊星歯車変速機の構成要素が、少なくとも1つの遊星歯車変速機の内歯車として、遊星キャリアとして、及び/又は太陽歯車として構成されている。遊星歯車変速機の出力は、例えば遊星キャリアによって形成されており、シフトシステムを用いたシフトのための構成要素としての遊星キャリアは、第1の遊星歯車変速機の遊星キャリアであり、出力部(被駆動部)を形成するための遊星キャリアは、第2の遊星歯車変速機の遊星キャリアである。
【0034】
入れ子にされた2つ以上の遊星歯車変速機が特に互いに対して同軸に設けられているとともに、特に互いの中へ入れ子にされており、内歯車、遊星キャリア及び/又は太陽歯車は、シフトシステムを用いて、第1の及び/又は第2の遊星歯車変速機によってシフト可能であり、2つより多くの遊星歯車変速機が互いに入れ子にして構成されることも可能である。
【0035】
さらに、本発明によるシフトシステムは、フリーホイールユニットによって、シフトシステムのそれぞれシフトされる構成要素と固定された部分との間で作用するように補足されることが可能である。これに加えて、又はこれに代えて、変速機ユニットは、少なくとも1つのフリーホイールを備えている。第1のフリーホイールは、外側に位置する第2の遊星歯車変速機の内歯車と変速機ユニットの固定された部分との間の作用結合を形成するように構成されることが可能である。内側に位置する第1の遊星歯車変速機の遊星キャリアと固定された部分の間の作用結合を形成する第2のフリーホイールを設けることができ、特に、太陽歯車と駆動軸の間の作用結合を形成する第3のフリーホイールも設けることが可能である。
【0036】
以下に、本発明を改善する更なる措置を、本発明の好ましい実施例の説明と共に図面に基づいて詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】本発明によるシフトシステムを有する変速機の代替図(等価図)が示されている。
図2】変速機の斜視図である。
図3】本発明によるシフトシステムを有する変速機の断面図である。
図4】回転アクティベータと結合された2つのシフト軸を有するものの駆動軸を有さないシフトユニットの斜視図である。
図5図4による回転アクティベータと結合されたシフト軸を有するシフトユニットの斜視図であり、駆動軸が更に示されているため、別のシフト軸が隠されている。
図6】第1のシフト軸の斜視図である。
図7】シフト係合部として構成されたシフト手段の斜視図である。
図8】断面での駆動軸と結合された複数のシフト係合部の配置を有するシフトユニットの別の斜視図である。
図8a】内側の遊星歯車変速機の太陽歯車の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1には、上側の半切断部における変速機ユニット1の代替図(等価図)が示されており、本発明によるシフトシステム14が図示されている。支持される要素として、例えば二輪車のフレームに動作しないように設けられることが可能な貫通軸11が、変速機ユニット1を通って延在しているとともに、この点では回転することも不可能である。貫通軸11は、同時に両遊星歯車変速機12,13の回転軸を形成する中央軸線10に沿って延在している。遊星歯車変速機12は内側の遊星歯車変速機を形成し、遊星歯車変速機13は外側の遊星歯車変速機を形成し、これら内側及び外側の遊星歯車変速機は、特に互いに入り込むように配置されている。
【0039】
運転者又は二輪車のエンジンによって駆動され得るとともにシフトシステム14の一部を形成する駆動軸18は、少なくとも部分的に貫通軸11の周囲で延在している。駆動軸18はシフト手段15,16を収容(支持)しており、シフト手段15は遊星歯車変速機13の内歯車(リングギヤ)28と協働し、シフト手段16は内側の遊星歯車変速機12の遊星キャリア29と協働する。シフト手段17は、内側の遊星歯車変速機12の太陽歯車(サンギヤ)30と協働するとともに、変速機ユニット1の固定された部分48において収容(支持)されており、したがって、固定された部分48及びこの点では貫通軸11との内側の作用結合を作り出す。これにより、シフト手段17は、シフトシステム14の一部でもある。
【0040】
左側に図示された第1の部分歯車28a及び右側に図示された第2の部分歯車28bが得られるように、外側の遊星歯車変速機13の内歯車28は、中心軸線10の延在方向に関して2つの部分に分割されている。これにより、部分歯車28a,28bの間の軸方向の隙間が生じ、当該隙間を通して変速機ユニット1の被駆動部(出力部)がガイドされ、当該被駆動部は、詳細には示されていない形態で、第2の遊星歯車変速機13の外側の遊星キャリア33とねじり剛性をもって(相対回転しないように)結合された変速機ユニット1のハウジングによって形成されている。例えば、被駆動部は、変速機ユニットの詳細に図示されていない、部分歯車28a,28bの間の隙間によって遊星キャリア33と結合されたハウジングを形成することが可能である。
【0041】
外側の遊星歯車34は内歯車28の両部分歯車28a,28bに係合するため、部分歯車28a,28bは、外側の遊星歯車34を用いてねじり剛性をもって互いに結合されている。
【0042】
第1の遊星歯車変速機12は内側に配置されており、第2の遊星歯車変速機13は外側に配置されており、両遊星歯車変速機12,13は、互いに入り込むように配置されており、内側に位置する第1の遊星歯車変速機12の内歯車は、外側に位置する第2の遊星歯車変速機13の太陽歯車と構造上統合して形成され、したがって、太陽内歯車31を形成している。
【0043】
シフト手段17が収容(支持)されているとともに太陽歯車30と協働する固定された部分48は、貫通軸11の一部としても構成されることができ、有利には、固定された部分48は、フリーホイール35,36も結合された1つの部材又は1つの部材群を形成している一方、フリーホイール37は、太陽歯車30と駆動軸18の間に設けられている。フリーホイール35が部分歯車28bと固定された部分48との作用結合部を形成している一方、フリーホイール36は、遊星キャリア29との固定された部分48との作用結合部を形成している。
【0044】
図2には、チェーンスプロケット43を介してガイドされるチェーン42によって示された駆動部を有する変速機ユニット1の斜視図が示されており、チェーンスプロケット43は、駆動軸18に直接作用結合されている。二輪車、特に自転車のフレームにハブネジ部41によって固定されることが可能な貫通軸11が変速機ユニット1を通って延在しているため、貫通軸11は、ねじり剛性をもって、かつ、動作しないように配置される。このとき、生じるトルクを変速機ユニット1において支持するために、同様に二輪車のフレームに設けられる固定アーム40が貫通軸11における堅固な配置において位置している。
【0045】
変速機ユニット1の制御(作動)は、同様に貫通軸11に固結され機能ユニットとして示された回転アクティベータ21と協働するボーデンケーブル39を介して行われる。変速機ユニット1の出力は、ホイールスポークを収容する手段38を備えたハウジング32を介して行われる。
【0046】
図3には変速機ユニット1の上側の半部が示されており、本質的な構成部材として、ここでも、中心軸線10において延在し二輪車のフレームに堅固に配置可能な貫通軸11が示されている。
【0047】
駆動軸18の回転駆動のためのチェーンスプロケット43が収容(支持)される中空に構成された駆動軸18は、貫通軸11の周囲で部分的に延在している。駆動軸18は、転がり軸受44によって、貫通軸11に収容(支持)されて受け止められている。駆動軸18は内側で貫通軸11の外周に対して径方向の隙間を有しており、シフト軸19,20が、チェーンスプロケット43の配置とは反対側から当該隙間に部分的に入り込むように延在している。駆動軸18内では、又は駆動軸18では、シフト手段15,16が収容(支持)されているため、シフト手段15,16は、駆動軸18の回転と共に貫通軸11の周囲及びこの点ではシフト軸19,20周囲でも回転する。シフト手段17は、固定された部分48において収容(支持)されている。シフト手段15は、断面での図示の目的で回転して図示されているとともに、実際には中心軸線10の周囲においてずらされた位置にあり、全てのシフト手段15,16,17は、それぞれ対状に互いに対向する位置にある。
【0048】
内側の第1の遊星歯車変速機12及び外側の第2の遊星歯車変速機13は、その個々の構成要素とシフト手段15,16,17によって接続(シフト)されることが可能である。遊星歯車変速機12,13は、変速機ユニット1のハウジング32内に収容されており、ハウジング32が変速機ユニット1の被駆動部として用いられる一方、駆動軸18は駆動部として用いられる。
【0049】
シフトユニット14は回転アクティベータ21を備えており、当該回転アクティベータは、シフト軸19,20と作用結合されているとともに、段階的(ステップ状)に段付けされた回転運動を不連続な角度段階でシフト軸19,20へ導入するために、操作者によって作動可能である。このとき、シフト軸19,20における段階的な回転運動は、動作していない貫通軸11に対して相対的に行われるとともに、後述のように、中心軸線10に沿った軸方向運動へ変換される。
【0050】
シフト軸19,20は、二分割して構成されているとともに、第1のシフト軸19及び第2のシフト軸20を備えており、第1及び第2のシフト軸19,20は、互いに対して回転しないものの軸方向には可動に構成されている。
【0051】
遊星歯車変速機12,13の第1の構成要素は外側の第2の遊星歯車変速機13の内歯車28を形成しており、当該内歯車28は、第1の部分歯車28aと第2の部分歯車28bに分割されている。このとき、第1のシフト手段15又は一対の第1のシフト手段15は、シフト手段15の係合時に内歯車をねじり剛性をもって駆動軸18に結合するために、第1の部分歯車28aによって表される内歯車28と協働する。遊星歯車変速機12,13の別の構成要素は、内側の第1の遊星歯車変速機12の一部である遊星キャリア29によって表され、第2のシフト手段16又は一対の第2のシフト手段16は、係合時にねじり剛性をもって駆動軸18に遊星キャリアを結合するために、遊星キャリア29と協働する。
【0052】
最後に、遊星歯車変速機12,13の別の接続可能(シフト可能)な構成要素は、内側の第1の遊星歯車変速機12の太陽歯車30を用いて表され、第3のシフト手段17は、太陽歯車を係合時に変速機ユニット1の固定された部分48とねじり剛性をもって結合するために、太陽歯車30と協働する。この点では、シフト手段17は、駆動軸18ではなく固定された部分48において収容(支持)されており、当該固定された部分は、複数部材でも構成されることが可能である。
【0053】
変速機ユニット1のハウジング32は、転がり軸受44を用いて固定された部分48において支持され、さらに、駆動軸18を介して回転可能に支持されており、ハウジング32は、被駆動要素(出力要素)として用いられる。このために、ハウジング32は、外側の第2の遊星歯車変速機13の外側の遊星キャリア33に結合されている。結合は、内歯車28の部分歯車28a,28b間の軸方向の隙間によって行われるため、外側の遊星キャリア33の1つ又は複数のウェブは、周囲にわたって分配されて、少なくとも間接的に、特に外側の遊星歯車34の周囲位置間の配置における弾性的な連結要素を介してハウジング32と結合されている。
【0054】
示された第1のフリーホイール35は、外側に位置する第2の遊星歯車変速機13の内歯車28と固定された部分48の間での作用結合を形成する。第2のフリーホイール36は、内側に位置する第1の遊星歯車変速機12の遊星キャリア29と固定された部分48の間での作用結合を形成し、太陽歯車30と駆動軸18の間の作用結合を形成する第3のフリーホイール37が設けられている。
【0055】
変速機ユニット1がニュートラル(アイドリング)N0へシフトされると、全てのシフト手段15,16,17は、引っ込められ、この位置では、遊星歯車変速機12,13の構成要素とは係合しない。
【0056】
第1のギヤ段(1速)N1については、シフト手段15のみが飛び出して内歯車28と係合される一方、別のシフト手段16,17は係合していない。
【0057】
第2のギヤ段(2速)N2については、シフト手段16のみが飛び出して遊星キャリア29と係合される一方、別のシフト手段15,17は引っ込められたままである。
【0058】
第3のギヤ段(3速)N3については、シフト手段15及びシフト手段17が内歯車28あるいは太陽歯車30と係合する。
【0059】
第4のギヤ段(4速)N4については、シフト手段15が引っ込められたままである一方、シフト手段16,17は遊星キャリア29及びあるいは太陽歯車30と係合される。
【0060】
第5のギヤ段(5速)N5については、シフト手段15及びシフト手段16が飛び出される一方、シフト手段17は引っ込められたままである。
【0061】
最後に、第6のギヤ段(6速)N6については、3つ全てのシフト手段15,16,17が、飛び出されて遊星歯車変速機12,13の各構成要素と係合する。
【0062】
図4には、貫通軸11での配置におけるシフト軸19,20を有するシフトユニット14の斜視図が示されており、さらに、ボーデンケーブル39を有する回転アクティベータ21が示されている。
【0063】
シフト軸19は、ガイド要素24がガイドされるガイド溝22を備えている。ガイド要素24は、貫通軸11に堅固に配置されているとともに、当該貫通軸11を中心軸線10に対して横方向に移動する。ガイド溝22はジグザグの輪郭を有しているため、シフト軸19の回転時には、回転アクティベータ21を用いて、シフト軸19への方向転換的な軸方向移動が中心軸線10に沿って引き起こされる。
【0064】
シフト軸20は、シフト軸19に対して、ねじり剛性をもっているものの軸方向に可動であるため、回転運動は、回転アクティベータ21を用いてシフト軸19を介して同様にシフト軸20へ導入されることが可能である。シフト軸20においてもガイド溝23が設けられており、当該ガイド溝では、同様に、貫通軸11に堅固に取り付けられたガイド要素25がガイドされている。ガイド溝23も同様にジグザグの輪郭を備えているため、シフト軸19,20は、両ガイド溝22,23によって、回転アクティベータ21によって段階的に調整されるシフト軸19,20の回転位置に依存して、互いに独立した軸方向移動を行うことが可能である。このとき、シフト軸19は、シフト手段16,17と協働することができる一方、シフト軸20はシフト手段15と協働することが可能である。
【0065】
図5には、シフトシステム14の本質的な構成要素の別の斜視図が示されており、チェーンスプロケット43に関連するチェーン42によって駆動される駆動軸18が示されている。このとき、シフト軸20は、駆動軸18において内側に位置するように配置されているとともに駆動軸によって覆われているため、シフト軸19のみが視認可能である。
【0066】
駆動軸18にはシフト手段15,16が収容(支持)されており、これらシフト手段15,16は、それぞれ、飛び出しているとともに遊星歯車変速機12,13の構成要素へ入れることができるようにクランプバネ49によって付勢されている。同様のことは、同様にクランプバネ49で付勢して示されているとともに図示のシフト軸19と協働することが可能なシフト手段17についても当てはまるが、シフト手段17は、駆動軸18に収容(支持)されておらず、不図示の固定された部分48に収容(支持)されている。
【0067】
さらに、シフト軸19におけるガイド溝22はガイド要素24と共に貫通軸11において示されており、シフト軸19は、ボーデンケーブル39によって、回転位置において、及びガイド溝22の作用によって回転アクティベータ21を用いて軸方向においても調整されることが可能である。
【0068】
図6には、個別の図示においてシフト軸20が示されており、当該シフト軸は、中心軸線が貫通軸11において旋回可能に配置されているとともにガイド要素25がジグザグ状に構成されたガイド溝23において移動することによって中心軸線10に沿って変位することが可能である。したがって、中心軸線10を中心とするシフト軸20の回転により、中心軸線10に沿った貫通軸11におけるシフト軸20の往復変位がもたらされる。
【0069】
シフト軸20の外側輪郭は第1の部分A1及び第2の部分A2を備えており、第1の部分A1の直径は第2の部分A2の直径よりも小さい。図示のシフト軸20の外側輪郭において例示的に図示された部分A1,A2は、別のシフト軸19において同様に存在するため、シフト手段15,16及び場合によってはシフト手段17は、シフト軸18,20におけるそれぞれ割り当てられた部分A1,A2と協働することが可能である。ここで、部分A1,A2の作用の以下の説明は、各シフト手段に割り当てられた全ての部分について当てはまるとともに、この点では、以下では一般にシフト軸20の部分A1,A2の例において記載される。
【0070】
シフト手段15,16,17のピックアップ27(図7参照)が第1の部分A1において進行すると、シフト手段15,16,17が飛び出し、遊星歯車変速機12,13の構成要素へ入れられ、これは、各クランプバネ49によって生じる。シフト軸19が回転アクティベータ21を用いて貫通軸11を中心として旋回されることで、シフト軸20、及び同様に不図示の形態におけるシフト軸19が軸方向に変位すると、その結果生じる軸方向の変位によって、クランプバネ49の付勢力に抗して、第1の部分A1から第2の部分A2へのピックアップ27の接触の変更が生じる。
【0071】
当該移行は、傾斜部26に沿ったピックアップ27の周囲での移動により行われることができ、その結果、ピックアップ27は、より小さな直径からより大きな直径へある態様で移動することが可能である。シフト軸20が輪郭を設定し、シフト手段15,16が駆動軸18の回転によってシフト軸19,20を中心に周囲を移動することによって、シフト手段15,16の係合が解除され、これにより、負荷なしでも問題なく遊星歯車変速機12,13の構成要素からの力の流れが解除される。なぜなら、解除は、回転アクティベータ21を用いて、ひいてはボーデンケーブル39を介して引き起こされる必要はなく、解除は、駆動軸18を駆動する駆動力自体によって、すなわち駆動動力を介して行われるためである。このとき、それぞれ割り当てられた部分A1,A2とのシフト手段15,16,17の接触は、図5ではシフト手段15,16,17のそれぞれについて示されているクランプバネ49によって維持される。
【0072】
傾斜部26は、径方向周囲側の傾斜部として形成されているとともに、シフト手段が駆動軸の回転によってある程度シフト軸20の周囲を回る場合に、シフト手段のピックアップをより小さな直径の部分A1との接触から解除し、より大きな直径の部分A2との接触へ移行させることが可能である。駆動軸が静止しており、ピックアップあるいはシフト手段が固定された周囲位置を占めていれば、それにもかかわらず、部分A1との接触と部分A2との接触の間の変更を行うことが可能である。なぜなら、シフト軸20は、シフト軸20の実際の傾斜部26の近傍かつ端面側に形成された軸方向-径方向傾斜部26’を備えているためである。したがって、静止時においてもシフトチェンジ(ギヤ段変更)を行うことが可能である。このとき、軸方向-径方向傾斜部26’は、少なくとも部分的に円すいとして形成されている。
【0073】
図7を参照すると、シフト手段15,16,17をシフト位置間で移動させるにはシフト手段15,16,17を旋回軸線45を中心として単純に旋回させることで十分であり、特に、シフト手段15,16,17の端面側におけるロック部分46が、遊星歯車変速機12,13の構成要素からのシフト手段15,16,17の係合位置からの容易な解除を容易かつ最小の力で行うことができるように凸状に輪郭付けされている。
【0074】
図8には、シフト軸19と作用結合された隣接する回転アクティベータ21を有する駆動軸18をもったシフトユニット14の断面図が示されている。シフト手段16が互いに対向する二重の配置において図示されており、シフト手段16は、駆動軸18において収容(支持)されているとともに、シフト軸19の第1の部分A1にわたって移動する。断面図では不図示のシフト手段15は、同様に駆動軸18において収容(支持)されており、クランプバネ49と結合されたシフト手段17は、駆動軸18内又は駆動軸18における配置にはない。
【0075】
図8aには、シフト手段17のロック部分46を入れることが可能な内側に位置する係合ポケット47を有する、内側の第1の遊星歯車変速機12の太陽歯車30のみが示されている。
【0076】
本発明は、その構成において、上述の好ましい実施例に限定されるものではない。むしろ、基本的に異なる態様の実施においても図示の解決手段を使用する態様の数も考えられる。構造上の詳細又は空間的な配置を含む、特許請求の範囲、明細書又は図面から読み取れる全ての特徴及び/又は利点は、それ自体についても、また様々な組合せにおいても本発明にとって本質的なものであり得る。
【符号の説明】
【0077】
1 変速機ユニット
5 変速機ユニットの構成要素
10 中心軸線
11 貫通軸
12 遊星歯車変速機
13 遊星歯車変速機
14 シフトシステム
15 シフト手段
16 シフト手段
17 シフト手段
18 駆動軸
19 シフト軸
20 シフト軸
21 回転アクティベータ
22 ガイド溝
23 ガイド溝
24 ガイド要素
25 ガイド要素
26 傾斜部
26’ 傾斜部
27 ピックアップ
28 内歯車
28a 第1の部分歯車
28b 第2の部分歯車
29 遊星キャリア
30 太陽歯車
31 太陽内歯車
32 ハウジング
33 外側の遊星キャリア
34 外側の遊星歯車
35 第1のフリーホイール
36 第2のフリーホイール
37 第3のフリーホイール
38 ホイールスポークを収容する手段
39 ボーデンケーブル
40 固定アーム
41 ハブネジ部
42 チェーン
43 チェーンスプロケット
44 転がり軸受
45 旋回軸線
46 ロック部分
47 係合ポケット
48 固定された部分
49 クランプバネ
A1 第1の部分
A2 第2の部分
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図8a
【手続補正書】
【提出日】2024-05-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可動に配置された少なくとも1つのシフト軸と、少なくとも1つのシフト手段とを備えた、変速機ユニットをシフトするためのシフトシステムであって、シフト手段に対して相対的なシフト軸の移動を介してシフト手段のシフト位置を変更可能であり、中心軸線を中心として回転可能な駆動軸がシフトシステムの一部として構成されており、駆動軸は、シフト手段の第1のシフト位置では、少なくとも1つの回転方向において、変速機ユニットの構成要素と相対回転しないように結合可能であり、シフト手段の第2のシフト位置では、各回転方向において、変速機ユニットの構成要素と結合解除可能である、前記シフトシステムに関するものであり、シフト手段が、駆動軸と関連して、シフト手段の少なくとも1つの部分が中心軸線を中心とする駆動軸の回転と共に回転するように構成されている
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、自転車のフレームに設けられることが可能な、自転車の変速機をシフトさせる同種のシフトシステムが示されている。ここで、変速機ユニットはホイールハブを形成するため、自転車の駆動される車輪は、変速機ユニットを介して支持されることが可能であり、車輪のスポークは、変速機ユニットのハウジングに設けられることが可能である。
【0003】
シフトチェンジ(ギヤ段変更)は、変速機ユニットの遊星歯車変速機の個々の構成要素を例えば貫通軸、ハウジング又は変速機ユニットの動作していない貫通軸に固定し、選択的に解放するために、シフトユニットを用いて、シフト手段のシフトによって行われる。このとき、遊星歯車変速機の構成要素はフリーホイールを備えているため、シフト手段のシフトとフリーホイールの間の相互作用により、変速機ユニットの複数のギヤ段の調整が可能となる。
【0004】
シフトシステムは貫通軸として不動の中空軸を備えており、当該中空軸は二輪車のフレームに螺着され、カム軸の異なる回転位置においてシフト係合部を遊星歯車変速機の構成要素と係合及び係合解除させるために、自転車の運転者により回転アクティベータを介して段階的に(ステップ状に)回転運動され得るカム軸が中空軸にはめ込まれる。
【0005】
シフト手段を遊星歯車変速機の構成要素から係合解除させるために、駆動部からの力の流れは中断される必要がある。なぜなら、通常、回転アクティベータのシフト力を介してカム軸の回転のために十分な力が提供されないためである。この結果、変速機の出力スループットの中断が行われる必要があるという欠点があり、これは、特に自転車での登り坂走行時に不都合である。
【0006】
シフトシステムによってシフト可能な変速機ユニットの別の例が特許文献2から知られている。変速機ユニットの当該構成も自転車の駆動輪のためのホイールハブとして用いられ、このようなホイールハブ変速機は、チェーンシフトに対する代替として用いられる。変速機ユニットと関連したこのようなシフトシステムの利点はコンパクトで閉じた構造にあり、その結果、汚れの影響を受けやすくメンテナンスに手間のかかるチェーンシフトを省略することができ、自転車、更に他の種類の二輪車、例えば電動自転車、電動スクータ、電動自動二輪車(電動オートバイ)又は内燃機関を有する従来の自動二輪車に用いられることが可能である。
【0007】
別のシフトシステムが特許文献3から知られており、シフトシステムは、変速機ユニットをシフトさせるために用いられるとともに、可動に配置された少なくとも1つのシフト軸と、少なくとも1つのシフト手段を備えており、シフト手段に対して相対的なシフト軸の移動を介して、シフト手段のシフト位置を変更可能であり、中心軸線を中心として回転可能な駆動軸がシフトシステムの一部として設けられており、当該駆動軸は、シフト手段の第1のシフト位置において、少なくとも回転方向において変速機ユニットの構成要素と相対回転不能に結合可能であるとともに、シフト手段の第2のシフト位置において、各回転方向において変速機ユニットの構成要素と連結解除可能であり、シフト手段が、駆動軸と関連して、シフト手段の少なくとも1つの部分が中心軸線を中心とする駆動軸の回転と共に回転するように構成されている。シフト手段のシフト位置を変更するために、駆動軸に対するシフト軸の相対旋回が生じる必要があり、これは、操作者によって操作されるケーブル、特にボーデンケーブルを用いて行われる必要がある遊星歯車変速機を介して行われるという欠点がある。シフト手段が負荷を受けると、すなわち、トルクスループットが行われる場合に、シフト相手方におけるシフト手段のクランプ力が非常に大きくなることがあり、その結果、負荷の下でボーデンケーブル、オイルコラム、チェーン又はこれらに類するものを用いたシフト手段のシフトが不可能となる。
【0008】
ここで注目される種類の別のシフトシステムは、特許文献2、特許文献4、特許文献5又は特許文献6から知られている。
【0009】
このとき、公知のシステムは、シフトチェンジを行うために、基本的には出力スループット、したがって駆動軸におけるトルクが中断される必要があるように構成されている。これは、シフトチェンジのために変速機ユニットの構成要素と係合及び係合解除される必要があるシフト手段自体を通る力の流れにあり、シフト手段の運動は、操作者の操作力によって引き起こされる必要がある。特に駆動軸においてトルクが生じているときに変速機の構成要素を有する力の流れにシフト手段があり、シフトチェンジが行われるべき場合には、シフト手段の係合を大きな力で変速機の構成要素から解除する必要があり、これは、ボーデンケーブル又はこれに類するものを用いては不可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】欧州特許第0915800号明細書
【特許文献2】欧州特許第0910530号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第102009060484号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2011/011193号明細書
【特許文献5】欧州特許出願第2718174号明細書
【特許文献6】西独国特許出願公告第1049714号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の課題は、二輪車、好ましくは自転車に適したシフトシステム及びこのようなシフトシステムによってシフト可能な変速機ユニットを改善することにあり、変速機ユニットのシフトチェンジは、出力の中断なしに可能であるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
当該課題は、請求項1の前文によるシフトシステムを基礎として、及び請求項12の前文による変速機ユニットを基礎として、それぞれの特徴と関連して解決される。本発明の有利な発展形態は、各従属請求項に記載されている。
【0013】
上記課題を解決するために、本発明は、シフト手段の駆動軸と共に回転する部分によってシフト軸に対するシフト手段の相対移動が生じ、その結果、駆動軸の駆動運動から分岐した力によって、第1のシフト位置と第2のシフト位置の間のシフト手段の移動が行われることを提案する。
【0014】
本発明の核心的な思想は、シフト手段の第1のシフト位置と第2のシフト位置の間でシフト(変更)されることができるように、シフト手段の移動をもたらすために、外部で駆動される駆動軸における駆動力あるいは駆動トルクを用いることである。特に第1のシフト位置から第2のシフト位置へのシフト手段の移動を生じさせるために、いわば駆動軸におけるより小さな駆動出力が分岐される。
【0015】
このために、本発明によれば、シフト手段の少なくとも一部、好ましくはシフト手段全体が駆動軸と共に回転するように、シフト手段が、駆動軸と協働するように構成され、したがって特に駆動軸に結合され、又は当該駆動軸に配置されていることが提案される。駆動軸と共にシフト手段が回転することで、シフト軸を用いてシフト手段の相対運動を生じさせることができるため、シフト手段を移動させるために大きな力又はトルクをシフト軸へ導入する必要なくシフト軸がシフト手段をシフトさせることが可能である。なぜなら、シフト手段の移動が駆動軸の駆動運動から分岐した力によって行われるためである。
【0016】
シフト手段は、例えば一部材のシフト手段の形態で一部材で構成されることができ、又はシフト手段は、多部材のシフト手段の少なくとも一部が駆動軸と共に回転するように多部材で構成されている。単純な場合、及び好ましい場合には、シフト手段が駆動軸内に、又は駆動軸において収容(支持)されており、したがってシフト手段が中心軸線を中心として駆動軸の回転を共に行うことで、シフト手段全体が一部材のシフト手段として駆動軸と共に回転する。
【0017】
このとき、シフト軸のみが対応する手段に結合され、当該手段を介して操作者がシフト軸を移動させることができ、シフト軸は、その機能自体のために大きなシフト力を必要としない。シフト軸は、シフト手段の一部、機能面又は機能部分と接触するに至るのみであり、本発明の基本的な思想によれば、シフト軸は、ある程度、シフト手段が第1のシフト位置と第2のシフト位置の間の、特に第1のシフト位置から第2のシフト位置への所望の移動を行うようにシフト手段の機能周囲部を変更することが可能である。
【0018】
このために、シフト軸は、シフト手段に適当に作用させ、シフト位置を変更するために、径方向又は軸方向のシフト軸の変位によって、駆動軸と共に回転するシフト手段の、少なくとも部分的に移動範囲、特に中心軸線を中心とする周回軌道に至る適当な幾何形状を提供する。
【0019】
シフトシステムの有利な一構成によれば、少なくとも、シフト手段の駆動軸と回転する部分又は一部材のシフト手段全体がシフト軸と接触した少なくとも1つのピックアップを備えている。したがって、最終的にシフト位置についてシフト手段を変更するために、特にシフト手段を第1のシフト位置から第2のシフト位置へ移行させるために、ピックアップは、シフト軸の移動を介して、好ましくは変速機ユニットの中心軸線も形成するシフトシステムの中心軸線に関して軸方向及び/又は径方向に変位することが可能である。
【0020】
特にシフト手段がシフト係合部として一部材で構成されている場合に、ピックアップは、シフト手段自体における幾何学的な構成として形成されることが可能である。ピックアップは、シフト手段をシフト軸と接触させるピックアップヘッドとして構成されることが可能である。
【0021】
シフトシステムの可能な別の一構成においては、シフト軸は、少なくとも1つの傾斜部を備えているか、又はシフト軸と相互作用する傾斜部要素が設けられている。傾斜部は、シフト軸と相互作用する個別の部材として提供されることができるか、又は傾斜部は、有利にはシフト軸自体に形成されている。一部としての、又はシフト手段における配置におけるピックアップは、傾斜部との接触に至るため、ピックアップひいてはシフト手段の一部は、シフトシステムの中心軸線に対して相対的に軸方向及び/又は径方向に変位可能であり、シフト軸の移動を用いて傾斜部の変位を生じさせることが可能である。
【0022】
有利には、ピックアップが駆動軸の回転運動を用いて中心軸線に関して径方向に移動するように、傾斜部は、周囲で作用する傾斜部として構成されている。しかし、傾斜部が軸方向に作用するように構成されること、又はピックアップが軸方向及び径方向に変位するように傾斜部が構成されていることも考えられる。この点では、本発明においては、傾斜部が各幾何学的な構成を含むことができ、当該幾何学的な構成は、シフト手段の少なくとも1つの部分又は全部の変位も行われ、その結果、当該変位によって、シフト手段が、第1のシフト位置と第2のシフト位置の間での変更されることができ、特に第1のシフト位置から第2のシフト位置へ移行されることが可能であるように、ピックアップを中心軸線に対して径方向又は軸方向に変位させるのに適している。これに関連して、呼吸するのと類似して径方向に見て直径が変化する傾斜部を提供するために、好ましくは弾性的に変形可能な部分も有する拡開スリーブ、テーパ要素、円すい要素及びこれに類するものが考えられる。さらに、径方向位置又は直径において傾斜部を一時的に変化させるために、流体、例えば圧油を用いて負荷可能な装置が考えられる。
【0023】
シフト手段及び/又はピックアップと関連したシフト軸の幾何学的な構成において本質的な態様は、シフト軸が傾斜部をピックアップと接触して移動させる移動方向と、特にシフト手段の一部としてのピックアップの操作方向とが互いに垂直に延びるようになっている。シフト軸への力は、その移動方向において傾斜部と共に操作者によってシフト軸へ導入され、その結果、シフト軸を移動させる力はむしろ小さくなる。これに対して、ピックアップひいてはシフト手段の一部又はシフト手段事態もその操作方向において大きな力で移動される必要があり、シフト軸の移動の小さな力に比して大きな力は、シフト軸における幾何形状、特に傾斜部を介して生じる。このとき、大きな力は、駆動軸の駆動力又は駆動トルクによって提供され、小さな力は、例えば回転アクティベータを用いて操作者によって導入される。
【0024】
シフトシステムは、電気的なアクチュエータによってもシフトされることができるため、シフト軸は、人によってボーデンケーブルを介して移動させるのではなく、電気的なアクチュエータを用いて移動される。このとき、電気的なアクチュエータはシフトシステムの一部であってもよく、電気的なアクチュエータは、例えば最終的に操作者によって例えばリモート原理に従い制御(作動)されることが可能である。
【0025】
静止している変速機においてもシフトチェンジを行うことができるようにシフトシステムを行うために、シフト軸又はシフト軸に結合された部材が、シフト手段のピックアップがシフト軸のシフト運動を用いて駆動軸の回転運動とは無関係に第1のシフト位置と第2のシフト位置の間で、特にシフト軸あるいはシフト軸に結合された部材における少なくとも1つの軸方向に傾斜した傾斜部を用いて移動可能であるように構成されている。軸方向-径方向、すなわち軸方向及びテーパ状又は円すい状に形成された傾斜部は、傾斜部に隣接して、又は傾斜部と一体的に構成されることができ、当該傾斜部は、異なる直径の周面間で傾斜面を形成しており、傾斜面間でピックアップがその接触について変更されることが可能である。
【0026】
周方向に延在し中心軸線に対して拡大する半径を有する傾斜部は、シフト要素が中心軸線の周囲で駆動軸と共に回転する場合にシフト要素をシフトすることが可能であり、少なくとも部分的にテーパ又は円すいを形成する軸方向-径方向傾斜部は、シフト要素が静止しておりシフト軸の周囲で回転しないが、シフト軸ひいては軸方向-径方向傾斜部がシフト手段に対して相対的に軸方向に変位する場合に、シフト要素をシフトすることが可能である。
【0027】
シフト手段は、爪連結部として、及び好ましくはシフト係合部として、又はシフト係合部システムとして構成されることが可能である。特に、シフト手段はシフト係合部を形成することができ、当該シフト係合部は変速機構成要素における係止輪郭部又は係合輪郭部に係合することができ、変速機構成要素は、特に内面に形成されているため、この点では、シフトカウンタ手段を形成する。したがって、シフト手段は、2つのシフト位置間での移動によってシフト手段が収容(支持)された構成要素と別の構成要素を少なくとも一方向において相対回転不能に結合するのに適し、構成された各部材に関連することが可能である。
【0028】
有利には、変速機ユニットは少なくとも1つの遊星歯車変速機を備えており、特に、変速機ユニットは2つの遊星歯車変速機で構成されている。本発明による駆動軸に結合可能な構成要素は、遊星歯車変速機の内歯車、遊星キャリア及び/又は太陽歯車又は遊星歯車変速機のうち少なくとも1つ若しくは両遊星歯車変速機であり得る。
【0029】
第2のシフト位置へのシフト手段のシフト過程は、傾斜部のピックアップとの接触を用いて行うことが可能であり、ピックアップは、一部材のシフト手段における単純な機能面のみを形成することが可能である。したがって、第1のシフト位置から第2のシフト位置へのシフト過程は傾斜部接触を介して行われ、第2のシフト位置から第1のシフト位置へのシフト位置の変更は、好ましくは傾斜部とのピックアップの接触なしに行われることが可能である。このために、特に、シフト手段を第1のシフト位置へ押し込むクランプバネが設けられている。
【0030】
このとき、変速機ユニットの構成要素との係合が解除された第2のシフト位置から変速機ユニットの構成要素と係合した第1のシフト位置へのシフト手段の移行時には、最小の力作用のみで行われることができる。なぜなら、シフト手段、すなわちシフト係合部、爪連結部又はこれらに類するものが、変速機ユニットによる出力スループットによって駆動軸を介して生じる力の流れにまだないためである。この点では、第2のシフト位置から第1のシフト位置へのシフト手段の移行は、例えば単純なクランプバネによって行われる。
【0031】
更に有利には、シフト軸は、より小さな直径を有する第1の部分と、より大きな直径を有する第2の部分とを備えている。これら部分は、円筒状のジャケット面、したがって全周にわたって同一の直径を有するリング部分を有する部分を形成する。このとき、シフト手段のシフト位置間の変更は、傾斜部を介した部分間でのシフト手段、特にシフト手段のピックアップの接触変更によって行われるため、傾斜部は、シフト手段のピックアップ又はシフト手段自体を第1の部分と第2の部分の間で移行させる。
【0032】
シフト軸は、特に多部材で構成されており、有利には、第1のシフト軸及び第2のシフト軸が設けられており、これらシフト軸は、互いに対して軸方向に可動であるが、相対回転不能に互いに結合されている。シフト軸を分割することで、シフト軸の両部分は異なる軸方向位置を占めることができるため、複数のシフト手段を互いに独立してシフト軸の複数の部材によってシフトさせることが可能である。
【0033】
特に、貫通軸は、中心軸線に沿って延在し、第1及び第2のシフト軸に収容(支持)された、シフトシステムの一部として、及び/又は変速機ユニットの一部として設けられており、第1のシフト軸は、貫通軸に配置された第1のガイド要素をガイドする第1のガイド溝を備えている。さらに、第2のシフト軸は第2のガイド溝を備えており、当該第2のガイド溝では、貫通軸に配置された第2のガイド要素がガイドされている。したがって、第1及び/又は第2のシフト軸の軸方向位置は、中心軸線に沿って互いに独立して変更されることが可能である。駆動軸は、同様に貫通軸の周囲で延在しているとともに、特に当該貫通軸において支持されており、駆動軸は、好ましくは、シフト軸が中へ延在する中空軸として構成されている。また、シフト軸は、好ましくは中空軸として構成されており、貫通軸は、当該中空軸内を通って延在している。
【0034】
さらに、有利には、シフトシステムは回転アクティベータを備えており、当該回転アクティベータは、シフト軸を適当に移動させる、特に回転運動させるように構成されている。この点では、回転アクティベータはシフト軸と作用結合(相互作用)されており、回転アクティベータは、操作者によって制御(作動)されることが可能である。例えば、回転アクティベータはボーデンケーブルを備えている。回転アクティベータによって、シフト軸を回転運動させることができ、回転運動はここでもシフト軸の軸方向移動へ、又はシフト軸の部分へ移行されることが可能である。したがって、回転アクティベータの作動時には、シフト軸又は軸と軸の部分は、径方向及び/又は軸方向に変位可能であり、又は中心軸線を中心として回転することが可能である。
【0035】
さらに、本発明は、上述の説明による少なくとも1つのシフトシステムを有する変速機ユニットに関するものであり、該変速機ユニットが少なくとも1つの、特に2つの遊星歯車変速機を含んでおり、シフト手段を用いて変速機ユニットの少なくとも1つの回転方向において駆動軸を相対回転不能に結合可能な遊星歯車変速機の構成要素が、少なくとも1つの遊星歯車変速機の内歯車として、遊星キャリアとして、及び/又は太陽歯車として構成されている。遊星歯車変速機の出力は、例えば遊星キャリアによって形成されており、シフトシステムを用いたシフトのための構成要素としての遊星キャリアは、第1の遊星歯車変速機の遊星キャリアであり、出力部(被駆動部)を形成するための遊星キャリアは、第2の遊星歯車変速機の遊星キャリアである。
【0036】
入れ子にされた2つ以上の遊星歯車変速機が特に互いに対して同軸に設けられているとともに、特に互いの中へ入れ子にされており、内歯車、遊星キャリア及び/又は太陽歯車は、シフトシステムを用いて、第1の及び/又は第2の遊星歯車変速機によってシフト可能であり、2つより多くの遊星歯車変速機が互いに入れ子にして構成されることも可能である。
【0037】
さらに、本発明によるシフトシステムは、フリーホイールユニットによって、シフトシステムのそれぞれシフトされる構成要素と固定された部分との間で作用するように補足されることが可能である。これに加えて、又はこれに代えて、変速機ユニットは、少なくとも1つのフリーホイールを備えている。第1のフリーホイールは、外側に位置する第2の遊星歯車変速機の内歯車と変速機ユニットの固定された部分との間の作用結合を形成するように構成されることが可能である。内側に位置する第1の遊星歯車変速機の遊星キャリアと固定された部分の間の作用結合を形成する第2のフリーホイールを設けることができ、特に、太陽歯車と駆動軸の間の作用結合を形成する第3のフリーホイールも設けることが可能である。
【0038】
以下に、本発明を改善する更なる措置を、本発明の好ましい実施例の説明と共に図面に基づいて詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】本発明によるシフトシステムを有する変速機の代替図(等価図)が示されている。
図2】変速機の斜視図である。
図3】本発明によるシフトシステムを有する変速機の断面図である。
図4】回転アクティベータと結合された2つのシフト軸を有するものの駆動軸を有さないシフトユニットの斜視図である。
図5図4による回転アクティベータと結合されたシフト軸を有するシフトユニットの斜視図であり、駆動軸が更に示されているため、別のシフト軸が隠されている。
図6】第1のシフト軸の斜視図である。
図7】シフト係合部として構成されたシフト手段の斜視図である。
図8】断面での駆動軸と結合された複数のシフト係合部の配置を有するシフトユニットの別の斜視図である。
図8a】内側の遊星歯車変速機の太陽歯車の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1には、上側の半切断部における変速機ユニット1の代替図(等価図)が示されており、本発明によるシフトシステム14が図示されている。支持される要素として、例えば二輪車のフレームに動作しないように設けられることが可能な貫通軸11が、変速機ユニット1を通って延在しているとともに、この点では回転することも不可能である。貫通軸11は、同時に両遊星歯車変速機12,13の回転軸を形成する中央軸線10に沿って延在している。遊星歯車変速機12は内側の遊星歯車変速機を形成し、遊星歯車変速機13は外側の遊星歯車変速機を形成し、これら内側及び外側の遊星歯車変速機は、特に互いに入り込むように配置されている。
【0041】
運転者又は二輪車のエンジンによって駆動され得るとともにシフトシステム14の一部を形成する駆動軸18は、少なくとも部分的に貫通軸11の周囲で延在している。駆動軸18はシフト手段15,16を収容(支持)しており、シフト手段15は遊星歯車変速機13の内歯車(リングギヤ)28と協働し、シフト手段16は内側の遊星歯車変速機12の遊星キャリア29と協働する。シフト手段17は、内側の遊星歯車変速機12の太陽歯車(サンギヤ)30と協働するとともに、変速機ユニット1の固定された部分48において収容(支持)されており、したがって、固定された部分48及びこの点では貫通軸11との内側の作用結合を作り出す。これにより、シフト手段17は、シフトシステム14の一部でもある。
【0042】
左側に図示された第1の部分歯車28a及び右側に図示された第2の部分歯車28bが得られるように、外側の遊星歯車変速機13の内歯車28は、中心軸線10の延在方向に関して2つの部分に分割されている。これにより、部分歯車28a,28bの間の軸方向の隙間が生じ、当該隙間を通して変速機ユニット1の被駆動部(出力部)がガイドされ、当該被駆動部は、詳細には示されていない形態で、第2の遊星歯車変速機13の外側の遊星キャリア33とねじり剛性をもって(相対回転しないように)結合された変速機ユニット1のハウジングによって形成されている。例えば、被駆動部は、変速機ユニットの詳細に図示されていない、部分歯車28a,28bの間の隙間によって遊星キャリア33と結合されたハウジングを形成することが可能である。
【0043】
外側の遊星歯車34は内歯車28の両部分歯車28a,28bに係合するため、部分歯車28a,28bは、外側の遊星歯車34を用いてねじり剛性をもって互いに結合されている。
【0044】
第1の遊星歯車変速機12は内側に配置されており、第2の遊星歯車変速機13は外側に配置されており、両遊星歯車変速機12,13は、互いに入り込むように配置されており、内側に位置する第1の遊星歯車変速機12の内歯車は、外側に位置する第2の遊星歯車変速機13の太陽歯車と構造上統合して形成され、したがって、太陽内歯車31を形成している。
【0045】
シフト手段17が収容(支持)されているとともに太陽歯車30と協働する固定された部分48は、貫通軸11の一部としても構成されることができ、有利には、固定された部分48は、フリーホイール35,36も結合された1つの部材又は1つの部材群を形成している一方、フリーホイール37は、太陽歯車30と駆動軸18の間に設けられている。フリーホイール35が部分歯車28bと固定された部分48との作用結合部を形成している一方、フリーホイール36は、遊星キャリア29との固定された部分48との作用結合部を形成している。
【0046】
図2には、チェーンスプロケット43を介してガイドされるチェーン42によって示された駆動部を有する変速機ユニット1の斜視図が示されており、チェーンスプロケット43は、駆動軸18に直接作用結合されている。二輪車、特に自転車のフレームにハブネジ部41によって固定されることが可能な貫通軸11が変速機ユニット1を通って延在しているため、貫通軸11は、ねじり剛性をもって、かつ、動作しないように配置される。このとき、生じるトルクを変速機ユニット1において支持するために、同様に二輪車のフレームに設けられる固定アーム40が貫通軸11における堅固な配置において位置している。
【0047】
変速機ユニット1の制御(作動)は、同様に貫通軸11に固結され機能ユニットとして示された回転アクティベータ21と協働するボーデンケーブル39を介して行われる。変速機ユニット1の出力は、ホイールスポークを収容する手段38を備えたハウジング32を介して行われる。
【0048】
図3には変速機ユニット1の上側の半部が示されており、本質的な構成部材として、ここでも、中心軸線10において延在し二輪車のフレームに堅固に配置可能な貫通軸11が示されている。
【0049】
駆動軸18の回転駆動のためのチェーンスプロケット43が収容(支持)される中空に構成された駆動軸18は、貫通軸11の周囲で部分的に延在している。駆動軸18は、転がり軸受44によって、貫通軸11に収容(支持)されて受け止められている。駆動軸18は内側で貫通軸11の外周に対して径方向の隙間を有しており、シフト軸19,20が、チェーンスプロケット43の配置とは反対側から当該隙間に部分的に入り込むように延在している。駆動軸18内では、又は駆動軸18では、シフト手段15,16が収容(支持)されているため、シフト手段15,16は、駆動軸18の回転と共に貫通軸11の周囲及びこの点ではシフト軸19,20周囲でも回転する。シフト手段17は、固定された部分48において収容(支持)されている。シフト手段15は、断面での図示の目的で回転して図示されているとともに、実際には中心軸線10の周囲においてずらされた位置にあり、全てのシフト手段15,16,17は、それぞれ対状に互いに対向する位置にある。
【0050】
内側の第1の遊星歯車変速機12及び外側の第2の遊星歯車変速機13は、その個々の構成要素とシフト手段15,16,17によって接続(シフト)されることが可能である。遊星歯車変速機12,13は、変速機ユニット1のハウジング32内に収容されており、ハウジング32が変速機ユニット1の被駆動部として用いられる一方、駆動軸18は駆動部として用いられる。
【0051】
シフトユニット14は回転アクティベータ21を備えており、当該回転アクティベータは、シフト軸19,20と作用結合されているとともに、段階的(ステップ状)に段付けされた回転運動を不連続な角度段階でシフト軸19,20へ導入するために、操作者によって作動可能である。このとき、シフト軸19,20における段階的な回転運動は、動作していない貫通軸11に対して相対的に行われるとともに、後述のように、中心軸線10に沿った軸方向運動へ変換される。
【0052】
シフト軸19,20は、二分割して構成されているとともに、第1のシフト軸19及び第2のシフト軸20を備えており、第1及び第2のシフト軸19,20は、互いに対して回転しないものの軸方向には可動に構成されている。
【0053】
遊星歯車変速機12,13の第1の構成要素は外側の第2の遊星歯車変速機13の内歯車28を形成しており、当該内歯車28は、第1の部分歯車28aと第2の部分歯車28bに分割されている。このとき、第1のシフト手段15又は一対の第1のシフト手段15は、シフト手段15の係合時に内歯車をねじり剛性をもって駆動軸18に結合するために、第1の部分歯車28aによって表される内歯車28と協働する。遊星歯車変速機12,13の別の構成要素は、内側の第1の遊星歯車変速機12の一部である遊星キャリア29によって表され、第2のシフト手段16又は一対の第2のシフト手段16は、係合時にねじり剛性をもって駆動軸18に遊星キャリアを結合するために、遊星キャリア29と協働する。
【0054】
最後に、遊星歯車変速機12,13の別の接続可能(シフト可能)な構成要素は、内側の第1の遊星歯車変速機12の太陽歯車30を用いて表され、第3のシフト手段17は、太陽歯車を係合時に変速機ユニット1の固定された部分48とねじり剛性をもって結合するために、太陽歯車30と協働する。この点では、シフト手段17は、駆動軸18ではなく固定された部分48において収容(支持)されており、当該固定された部分は、複数部材でも構成されることが可能である。
【0055】
変速機ユニット1のハウジング32は、転がり軸受44を用いて固定された部分48において支持され、さらに、駆動軸18を介して回転可能に支持されており、ハウジング32は、被駆動要素(出力要素)として用いられる。このために、ハウジング32は、外側の第2の遊星歯車変速機13の外側の遊星キャリア33に結合されている。結合は、内歯車28の部分歯車28a,28b間の軸方向の隙間によって行われるため、外側の遊星キャリア33の1つ又は複数のウェブは、周囲にわたって分配されて、少なくとも間接的に、特に外側の遊星歯車34の周囲位置間の配置における弾性的な連結要素を介してハウジング32と結合されている。
【0056】
示された第1のフリーホイール35は、外側に位置する第2の遊星歯車変速機13の内歯車28と固定された部分48の間での作用結合を形成する。第2のフリーホイール36は、内側に位置する第1の遊星歯車変速機12の遊星キャリア29と固定された部分48の間での作用結合を形成し、太陽歯車30と駆動軸18の間の作用結合を形成する第3のフリーホイール37が設けられている。
【0057】
変速機ユニット1がニュートラル(アイドリング)N0へシフトされると、全てのシフト手段15,16,17は、引っ込められ、この位置では、遊星歯車変速機12,13の構成要素とは係合しない。
【0058】
第1のギヤ段(1速)N1については、シフト手段15のみが飛び出して内歯車28と係合される一方、別のシフト手段16,17は係合していない。
【0059】
第2のギヤ段(2速)N2については、シフト手段16のみが飛び出して遊星キャリア29と係合される一方、別のシフト手段15,17は引っ込められたままである。
【0060】
第3のギヤ段(3速)N3については、シフト手段15及びシフト手段17が内歯車28あるいは太陽歯車30と係合する。
【0061】
第4のギヤ段(4速)N4については、シフト手段15が引っ込められたままである一方、シフト手段16,17は遊星キャリア29及びあるいは太陽歯車30と係合される。
【0062】
第5のギヤ段(5速)N5については、シフト手段15及びシフト手段16が飛び出される一方、シフト手段17は引っ込められたままである。
【0063】
最後に、第6のギヤ段(6速)N6については、3つ全てのシフト手段15,16,17が、飛び出されて遊星歯車変速機12,13の各構成要素と係合する。
【0064】
図4には、貫通軸11での配置におけるシフト軸19,20を有するシフトユニット14の斜視図が示されており、さらに、ボーデンケーブル39を有する回転アクティベータ21が示されている。
【0065】
シフト軸19は、ガイド要素24がガイドされるガイド溝22を備えている。ガイド要素24は、貫通軸11に堅固に配置されているとともに、当該貫通軸11を中心軸線10に対して横方向に移動する。ガイド溝22はジグザグの輪郭を有しているため、シフト軸19の回転時には、回転アクティベータ21を用いて、シフト軸19への方向転換的な軸方向移動が中心軸線10に沿って引き起こされる。
【0066】
シフト軸20は、シフト軸19に対して、ねじり剛性をもっているものの軸方向に可動であるため、回転運動は、回転アクティベータ21を用いてシフト軸19を介して同様にシフト軸20へ導入されることが可能である。シフト軸20においてもガイド溝23が設けられており、当該ガイド溝では、同様に、貫通軸11に堅固に取り付けられたガイド要素25がガイドされている。ガイド溝23も同様にジグザグの輪郭を備えているため、シフト軸19,20は、両ガイド溝22,23によって、回転アクティベータ21によって段階的に調整されるシフト軸19,20の回転位置に依存して、互いに独立した軸方向移動を行うことが可能である。このとき、シフト軸19は、シフト手段16,17と協働することができる一方、シフト軸20はシフト手段15と協働することが可能である。
【0067】
図5には、シフトシステム14の本質的な構成要素の別の斜視図が示されており、チェーンスプロケット43に関連するチェーン42によって駆動される駆動軸18が示されている。このとき、シフト軸20は、駆動軸18において内側に位置するように配置されているとともに駆動軸によって覆われているため、シフト軸19のみが視認可能である。
【0068】
駆動軸18にはシフト手段15,16が収容(支持)されており、これらシフト手段15,16は、それぞれ、飛び出しているとともに遊星歯車変速機12,13の構成要素へ入れることができるようにクランプバネ49によって付勢されている。同様のことは、同様にクランプバネ49で付勢して示されているとともに図示のシフト軸19と協働することが可能なシフト手段17についても当てはまるが、シフト手段17は、駆動軸18に収容(支持)されておらず、不図示の固定された部分48に収容(支持)されている。
【0069】
さらに、シフト軸19におけるガイド溝22はガイド要素24と共に貫通軸11において示されており、シフト軸19は、ボーデンケーブル39によって、回転位置において、及びガイド溝22の作用によって回転アクティベータ21を用いて軸方向においても調整されることが可能である。
【0070】
図6には、個別の図示においてシフト軸20が示されており、当該シフト軸は、中心軸線が貫通軸11において旋回可能に配置されているとともにガイド要素25がジグザグ状に構成されたガイド溝23において移動することによって中心軸線10に沿って変位することが可能である。したがって、中心軸線10を中心とするシフト軸20の回転により、中心軸線10に沿った貫通軸11におけるシフト軸20の往復変位がもたらされる。
【0071】
シフト軸20の外側輪郭は第1の部分A1及び第2の部分A2を備えており、第1の部分A1の直径は第2の部分A2の直径よりも小さい。図示のシフト軸20の外側輪郭において例示的に図示された部分A1,A2は、別のシフト軸19において同様に存在するため、シフト手段15,16及び場合によってはシフト手段17は、シフト軸18,20におけるそれぞれ割り当てられた部分A1,A2と協働することが可能である。ここで、部分A1,A2の作用の以下の説明は、各シフト手段に割り当てられた全ての部分について当てはまるとともに、この点では、以下では一般にシフト軸20の部分A1,A2の例において記載される。
【0072】
シフト手段15,16,17のピックアップ27(図7参照)が第1の部分A1において進行すると、シフト手段15,16,17が飛び出し、遊星歯車変速機12,13の構成要素へ入れられ、これは、各クランプバネ49によって生じる。シフト軸19が回転アクティベータ21を用いて貫通軸11を中心として旋回されることで、シフト軸20、及び同様に不図示の形態におけるシフト軸19が軸方向に変位すると、その結果生じる軸方向の変位によって、クランプバネ49の付勢力に抗して、第1の部分A1から第2の部分A2へのピックアップ27の接触の変更が生じる。
【0073】
当該移行は、傾斜部26に沿ったピックアップ27の周囲での移動により行われることができ、その結果、ピックアップ27は、より小さな直径からより大きな直径へある態様で移動することが可能である。シフト軸20が輪郭を設定し、シフト手段15,16が駆動軸18の回転によってシフト軸19,20を中心に周囲を移動することによって、シフト手段15,16の係合が解除され、これにより、負荷なしでも問題なく遊星歯車変速機12,13の構成要素からの力の流れが解除される。なぜなら、解除は、回転アクティベータ21を用いて、ひいてはボーデンケーブル39を介して引き起こされる必要はなく、解除は、駆動軸18を駆動する駆動力自体によって、すなわち駆動動力を介して行われるためである。このとき、それぞれ割り当てられた部分A1,A2とのシフト手段15,16,17の接触は、図5ではシフト手段15,16,17のそれぞれについて示されているクランプバネ49によって維持される。
【0074】
傾斜部26は、径方向周囲側の傾斜部として形成されているとともに、シフト手段が駆動軸の回転によってある程度シフト軸20の周囲を回る場合に、シフト手段のピックアップをより小さな直径の部分A1との接触から解除し、より大きな直径の部分A2との接触へ移行させることが可能である。駆動軸が静止しており、ピックアップあるいはシフト手段が固定された周囲位置を占めていれば、それにもかかわらず、部分A1との接触と部分A2との接触の間の変更を行うことが可能である。なぜなら、シフト軸20は、シフト軸20の実際の傾斜部26の近傍かつ端面側に形成された軸方向-径方向傾斜部26’を備えているためである。したがって、静止時においてもシフトチェンジ(ギヤ段変更)を行うことが可能である。このとき、軸方向-径方向傾斜部26’は、少なくとも部分的に円すいとして形成されている。
【0075】
図7を参照すると、シフト手段15,16,17をシフト位置間で移動させるにはシフト手段15,16,17を旋回軸線45を中心として単純に旋回させることで十分であり、特に、シフト手段15,16,17の端面側におけるロック部分46が、遊星歯車変速機12,13の構成要素からのシフト手段15,16,17の係合位置からの容易な解除を容易かつ最小の力で行うことができるように凸状に輪郭付けされている。
【0076】
図8には、シフト軸19と作用結合された隣接する回転アクティベータ21を有する駆動軸18をもったシフトユニット14の断面図が示されている。シフト手段16が互いに対向する二重の配置において図示されており、シフト手段16は、駆動軸18において収容(支持)されているとともに、シフト軸19の第1の部分A1にわたって移動する。断面図では不図示のシフト手段15は、同様に駆動軸18において収容(支持)されており、クランプバネ49と結合されたシフト手段17は、駆動軸18内又は駆動軸18における配置にはない。
【0077】
図8aには、シフト手段17のロック部分46を入れることが可能な内側に位置する係合ポケット47を有する、内側の第1の遊星歯車変速機12の太陽歯車30のみが示されている。
【0078】
本発明は、その構成において、上述の好ましい実施例に限定されるものではない。むしろ、基本的に異なる態様の実施においても図示の解決手段を使用する態様の数も考えられる。構造上の詳細又は空間的な配置を含む、特許請求の範囲、明細書又は図面から読み取れる全ての特徴及び/又は利点は、それ自体についても、また様々な組合せにおいても本発明にとって本質的なものであり得る。
なお、本発明は、以下の態様も包含し得る:
1.可動に配置された少なくとも1つのシフト軸(19,20)と、少なくとも1つのシフト手段(15,16)とを備えた、変速機ユニット(1)をシフトするためのシフトシステム(14)であって、シフト手段(15,16)に対して相対的なシフト軸(19,20)の移動を介してシフト手段(15,16)のシフト位置を変更可能であり、中心軸線(10)を中心として回転可能な駆動軸(18)がシフトシステム(14)の一部として構成されており、駆動軸は、シフト手段(15,16)の第1のシフト位置では、少なくとも1つの回転方向において、変速機ユニット(1)の構成要素(5)と相対回転しないように結合可能であり、シフト手段(15)の第2のシフト位置では、各回転方向において、変速機ユニット(1)の構成要素(5)と結合解除可能である、前記シフトシステムにおいて、
シフト手段(15,16)が、駆動軸(18)と協働して、シフト手段(15,16)の少なくとも一部が駆動軸(18)の回転と共に中心軸線(10)を中心として回転し、これにより、シフト軸(19,20)に対するシフト手段(15,16)の相対運動を生じさせることができるように構成されていることを特徴とするシフトシステム。
2.シフト手段(15,16)の少なくとも駆動軸(18)と共に回転する部分が、シフト軸(19,20)と接触されることが可能な少なくとも1つのピックアップ(27)を備えており、該ピックアップ(27)が、シフト手段(15,16)を第2のシフト位置へもたらすために、シフト軸(19,20)の移動を介して、中心軸線(10)に関して軸方向及び/又は径方向に変位可能であることを特徴とする上記1.に記載のシフトシステム(14)。
3.シフト軸(19,20)が、少なくとも1つの傾斜部(26)を備えており、及び/又は少なくとも1つの傾斜部と作用結合されており、ピックアップ(27)が、傾斜部(26)と接触して中心軸線(10)を中心とする周囲でのその運動によって中心軸線(10)に関して軸方向及び/又は径方向に変位可能であり、シフト軸(19,20)の移動によって傾斜部(26)の変位を生じさせることが可能であることを特徴とする上記1.又は2.に記載のシフトシステム(14)。
4.シフト軸(19,20)がピックアップ(27)と接触して傾斜路(26)を移動させる移動方向と、シフト手段(15,16)のピックアップ(27)の操作方向とが互いに垂直であることを特徴とする上記1.~3.のいずれか1つに記載のシフトシステム(14)。
5.シフト軸(19,20)又はシフト軸(19,20)に結合された部材が、シフト手段(15,16)のピックアップ(27)がシフト軸(19,20)のシフト運動を用いて駆動軸(18)の回転運動とは無関係に第1のシフト位置と第2のシフト位置の間で、特にシフト軸(19,20)あるいはシフト軸(19,20)に結合された部材における少なくとも1つの軸方向に傾斜した傾斜部(26’)を用いて移動可能であるように構成されていることを特徴とする上記1.~4.のいずれか1つに記載のシフトシステム(14)。
6.シフト手段(15,16)が、爪連結部として、シフト係合部として、又はシフト係合部システムとして構成されていること、及び/又は変速機ユニット(1)が少なくとも1つの遊星歯車変速機(12,13)を備えており、駆動軸(18)と結合可能な遊星歯車変速機(12,13)の構成要素(5)が、遊星歯車変速機(12,13)の内歯車(28)、遊星キャリア(29)及び/又は太陽歯車(30)を形成していることを特徴とする上記1.~5.のいずれか1つに記載のシフトシステム(14)。
7.第2のシフト位置へのシフト手段(15,16)のシフト過程をピックアップ(27)との傾斜部(26)の接触を用いて実行可能であること、及び第1のシフト位置へのシフト過程が、ピックアップ(27)を用いて、選択的に、傾斜部(26)と非接触に行われること、及び/又はシフト手段(15,16)を第1のシフト位置へ押し込むクランプバネ(49)が設けられていることを特徴とする上記1.~6.のいずれか1つに記載のシフトシステム(14)。
8.シフト軸(19,20)が、より小さな直径を有する第1の部分(A1)と、より大きな直径を有する第2の部分(A2)とを備えており、シフト手段(15,16)のシフト位置間の変更が、第1の部分(A1)と第2の部分(A2)の間の傾斜部(26)を介したシフト手段(15,16)及び特にピックアップ(27)の接触変更によって行われることを特徴とする上記1.~7.のいずれか1つに記載のシフトシステム(14)。
9.互いに対して軸方向に可動かつ相対回転しないように互いに結合された第1のシフト軸(19)及び第2のシフト軸(20)が設けられていることを特徴とする上記1.~8.のいずれか1つに記載のシフトシステム(14)。
10.中心軸線(10)に沿って延在し第1及び第2のシフト軸(19,20)を収容する貫通軸(11)が設けられており、第1のシフト軸(19)が第1のガイド溝(22)を備え、該第1のガイド溝では、貫通軸(11)に配置された第1のガイド要素(24)がガイドされていること、及び第2のシフト軸(20)が第2のガイド溝(23)を備えており、該第2のガイド溝では、貫通軸(11)に配置された第2のガイド要素(25)がガイドされているため、第1及び/又は第2のシフト軸(19,20)の軸方向位置が中心軸線(10)に沿って互いに独立していることを特徴とする上記1.~9.のいずれか1つに記載のシフトシステム(14)。
11.回転アクティベータ(21)が設けられているとともにシフト軸(19,20)と作用結合されており、回転運動をシフト軸(19,20)へ導入するために、操作者によって回転アクティベータ(21)を作動可能であり、少なくとも1つのシフト軸(19,20)が相対回転不能に、かつ、軸方向に変位可能に回転アクティベータ(21)に作用結合されていることを特徴とする上記1.~10.のいずれか1つに記載のシフトシステム(14)。
12.少なくとも1つの上記1.~11.のいずれか1つに記載のシフトシステム(14)を備えた変速機ユニット(1)であって、該変速機ユニット(1)が少なくとも1つの遊星歯車変速機(12,13)を含んでおり、シフト手段(15,16)を用いて変速機ユニット(1)の少なくとも1つの回転方向において駆動軸(18)を相対回転不能に結合可能な遊星歯車変速機(12,13)の構成要素(5)が、少なくとも1つの遊星歯車変速機(12,13)の内歯車(28)として、遊星キャリア(29)として、及び/又は太陽歯車(30)として構成されていることを特徴とする変速機ユニット(1)。
13.互いに及び/又は互いの中に入れ子にされた2つ以上の遊星歯車変速機(12,13)が設けられており、シフトシステム(14)を用いて、第1の及び/又は少なくとも1つの第2の遊星歯車変速機(12,13)の内歯車(28)、遊星キャリア(29)及び/又は太陽歯車(30)をシフト可能であることを特徴とする上記12.に記載の変速機ユニット(1)。
14.外側に位置する第2の遊星歯車変速機(13)の内歯車(28)と変速機ユニット(1)の固定された部分(48)の間の作用結合を形成する第1のフリーホイール(35)が設けられていること、及び/又は内側に位置する第1の遊星歯車変速機(12)と固定された部分(48)の間の作用結合を形成する第2のフリーホイール(36)が設けられていること、及び/又は太陽歯車(30)と駆動軸(18)の間の作用結合を形成する第3のフリーホイール(37)が設けられていることを特徴とする上記12.又は13.に記載の変速機ユニット(1)。
【符号の説明】
【0079】
1 変速機ユニット
5 変速機ユニットの構成要素
10 中心軸線
11 貫通軸
12 遊星歯車変速機
13 遊星歯車変速機
14 シフトシステム
15 シフト手段
16 シフト手段
17 シフト手段
18 駆動軸
19 シフト軸
20 シフト軸
21 回転アクティベータ
22 ガイド溝
23 ガイド溝
24 ガイド要素
25 ガイド要素
26 傾斜部
26’ 傾斜部
27 ピックアップ
28 内歯車
28a 第1の部分歯車
28b 第2の部分歯車
29 遊星キャリア
30 太陽歯車
31 太陽内歯車
32 ハウジング
33 外側の遊星キャリア
34 外側の遊星歯車
35 第1のフリーホイール
36 第2のフリーホイール
37 第3のフリーホイール
38 ホイールスポークを収容する手段
39 ボーデンケーブル
40 固定アーム
41 ハブネジ部
42 チェーン
43 チェーンスプロケット
44 転がり軸受
45 旋回軸線
46 ロック部分
47 係合ポケット
48 固定された部分
49 クランプバネ
A1 第1の部分
A2 第2の部分
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動に配置された少なくとも1つのシフト軸(19,20)と、少なくとも1つのシフト手段(15,16)とを備えた、変速機ユニット(1)をシフトするためのシフトシステム(14)であって、シフト手段(15,16)に対して相対的なシフト軸(19,20)の移動を介してシフト手段(15,16)のシフト位置を変更可能であり、中心軸線(10)を中心として回転可能な駆動軸(18)がシフトシステム(14)の一部として構成されており、駆動軸は、シフト手段(15,16)の第1のシフト位置では、少なくとも1つの回転方向において、変速機ユニット(1)の構成要素(5)と相対回転しないように結合可能であり、シフト手段(15)の第2のシフト位置では、各回転方向において、変速機ユニット(1)の構成要素(5)と結合解除可能であシフト手段(15,16)が、駆動軸(18)と関連して、シフト手段(15,16)の少なくとも1つの部分が中心軸線(10)を中心とする駆動軸(18)の回転と共に回転するように構成されている前記シフトシステムにおいて、
シフト手段(15,16)の駆動軸(18)と共に回転する部分によってシフト軸(19,20)に対するシフト手段(15,16)の相対移動が生じ、その結果、駆動軸(18)の駆動運動から分岐した力によって、第1のシフト位置と第2のシフト位置の間のシフト手段(15,16)の移動が行われることを特徴とするシフトシステム。
【請求項2】
シフト手段(15,16)の少なくとも駆動軸(18)と共に回転する部分が、シフト軸(19,20)と接触されることが可能な少なくとも1つのピックアップ(27)を備えており、該ピックアップ(27)が、シフト手段(15,16)を第2のシフト位置へもたらすために、シフト軸(19,20)の移動を介して、中心軸線(10)に関して軸方向及び/又は径方向に変位可能であることを特徴とする請求項1に記載のシフトシステム(14)。
【請求項3】
シフト軸(19,20)が、少なくとも1つの傾斜部(26)を備えており、及び/又は少なくとも1つの傾斜部と作用結合されており、ピックアップ(27)が、傾斜部(26)と接触して中心軸線(10)を中心とする周囲でのその運動によって中心軸線(10)に関して軸方向及び/又は径方向に変位可能であり、シフト軸(19,20)の移動によって傾斜部(26)の変位を生じさせることが可能であることを特徴とする請求項2に記載のシフトシステム(14)。
【請求項4】
シフト軸(19,20)がピックアップ(27)と接触して傾斜路(26)を移動させる移動方向と、シフト手段(15,16)のピックアップ(27)の操作方向とが互いに垂直であることを特徴とする請求項2又は3に記載のシフトシステム(14)。
【請求項5】
シフト軸(19,20)又はシフト軸(19,20)に結合された部材が、シフト手段(15,16)のピックアップ(27)がシフト軸(19,20)のシフト運動を用いて駆動軸(18)の回転運動とは無関係に第1のシフト位置と第2のシフト位置の間で、特にシフト軸(19,20)あるいはシフト軸(19,20)に結合された部材における少なくとも1つの軸方向に傾斜した傾斜部(26’)を用いて移動可能であるように構成されていることを特徴とする請求項2又は3に記載のシフトシステム(14)。
【請求項6】
シフト手段(15,16)が、爪連結部として、シフト係合部として、又はシフト係合部システムとして構成されていることを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載のシフトシステム(14)。
【請求項7】
第2のシフト位置へのシフト手段(15,16)のシフト過程をピックアップ(27)との傾斜部(26)の接触を用いて実行可能であること、及び/又はシフト手段(15,16)を第1のシフト位置へ押し込むクランプバネ(49)が設けられていることを特徴とする請求項に記載のシフトシステム(14)。
【請求項8】
シフト軸(19,20)が、より小さな直径を有する第1の部分(A1)と、より大きな直径を有する第2の部分(A2)とを備えており、シフト手段(15,16)のシフト位置間の変更が、第1の部分(A1)と第2の部分(A2)の間の傾斜部(26)を介したシフト手段(15,16)及び特にピックアップ(27)の接触変更によって行われることを特徴とする請求項3又は7に記載のシフトシステム(14)。
【請求項9】
互いに対して軸方向に可動かつ相対回転しないように互いに結合された第1のシフト軸(19)及び第2のシフト軸(20)が設けられていることを特徴とする請求項1~3及び7のいずれか1項に記載のシフトシステム(14)。
【請求項10】
中心軸線(10)に沿って延在し第1及び第2のシフト軸(19,20)を収容する貫通軸(11)が設けられており、第1のシフト軸(19)が第1のガイド溝(22)を備え、該第1のガイド溝では、貫通軸(11)に配置された第1のガイド要素(24)がガイドされていること、及び第2のシフト軸(20)が第2のガイド溝(23)を備えており、該第2のガイド溝では、貫通軸(11)に配置された第2のガイド要素(25)がガイドされているため、第1及び第2のシフト軸(19,20)の軸方向位置が中心軸線(10)に沿って互いに独立していることを特徴とする請求項に記載のシフトシステム(14)。
【請求項11】
回転アクティベータ(21)が設けられているとともにシフト軸(19,20)と作用結合されており、回転運動をシフト軸(19,20)へ導入するために、操作者によって回転アクティベータ(21)を作動可能であり、少なくとも1つのシフト軸(19,20)が相対回転不能に、かつ、軸方向に変位可能に回転アクティベータ(21)に作用結合されていることを特徴とする請求項1~3及び7のいずれか1項に記載のシフトシステム(14)。
【請求項12】
少なくとも1つの請求項1~3及び7のいずれか1項に記載のシフトシステム(14)を備えた変速機ユニット(1)であって、該変速機ユニット(1)が少なくとも1つの遊星歯車変速機(12,13)を含んでおり、シフト手段(15,16)を用いて変速機ユニット(1)の少なくとも1つの回転方向において駆動軸(18)を相対回転不能に結合可能な遊星歯車変速機(12,13)の構成要素(5)が、少なくとも1つの遊星歯車変速機(12,13)の内歯車(28)として、遊星キャリア(29)として、及び/又は太陽歯車(30)として構成されていることを特徴とする変速機ユニット(1)。
【請求項13】
互いに及び/又は互いの中に入れ子にされた2つ以上の遊星歯車変速機(12,13)が設けられており、シフトシステム(14)を用いて、第1の及び/又は少なくとも1つの第2の遊星歯車変速機(12,13)の内歯車(28)、遊星キャリア(29)及び/又は太陽歯車(30)をシフト可能であることを特徴とする請求項12に記載の変速機ユニット(1)。
【請求項14】
外側に位置する第2の遊星歯車変速機(13)の内歯車(28)と変速機ユニット(1)の固定された部分(48)の間の作用結合を形成する第1のフリーホイール(35)が設けられていること、及び/又は内側に位置する第1の遊星歯車変速機(12)と固定された部分(48)の間の作用結合を形成する第2のフリーホイール(36)が設けられていること、及び/又は内側に位置する第1の遊星歯車変速機(12)の太陽歯車(30)と駆動軸(18)の間の作用結合を形成する第3のフリーホイール(37)が設けられていることを特徴とする請求項13に記載の変速機ユニット(1)。
【国際調査報告】