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特表2024-532480分娩後出血検出のための方法、及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】分娩後出血検出のための方法、及びシステム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/00 20060101AFI20240829BHJP
   A61B 5/308 20210101ALI20240829BHJP
   A61B 5/313 20210101ALI20240829BHJP
   A61B 5/11 20060101ALI20240829BHJP
   A61B 5/01 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
A61B5/00 102A
A61B5/308
A61B5/313
A61B5/11 200
A61B5/01 100
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513906
(86)(22)【出願日】2022-09-02
(85)【翻訳文提出日】2024-03-22
(86)【国際出願番号】 AU2022051075
(87)【国際公開番号】W WO2023028662
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】2021902850
(32)【優先日】2021-09-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521319823
【氏名又は名称】ベイマトブ ピーティーワイ エルティーディー
(74)【代理人】
【識別番号】100115808
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 真司
(74)【代理人】
【識別番号】100113549
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 守
(74)【代理人】
【識別番号】100218224
【弁理士】
【氏名又は名称】長嶺 浩之
(72)【発明者】
【氏名】マクドナルド サラ キャサリン
(72)【発明者】
【氏名】ラマクリシュナン リシ
【テーマコード(参考)】
4C038
4C117
4C127
【Fターム(参考)】
4C038VA20
4C038VB28
4C038VB32
4C038VB34
4C038VC20
4C117XA02
4C117XB04
4C117XB12
4C117XD26
4C117XE06
4C117XE17
4C117XE19
4C117XE23
4C117XE26
4C117XE52
4C127AA02
4C127AA04
4C127BB01
4C127GG16
(57)【要約】
【解決手段】 本開示は、患者の分娩後出血のリスクを判定するように構成されたモニタリングシステムである。モニタリングシステムは、患者データを収集するための電位センサと、電位センサを患者の身体に取り付けるための少なくとも1つの電極とを備える。モニタリングシステムはまた、患者データを検出コントローラに送信するための通信モジュールを備え、検出コントローラは、前記患者データに基づいて前記分娩後出血のリスクを判定するように構成されている。
【選択図】 図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の分娩後出血のリスクを判定するように構成されたモニタリングシステムであって、
患者データを収集するための電位センサと、
前記電位センサを前記患者の身体に取り付けるための少なくとも1つの電極と、
前記患者データを検出コントローラに送信するための通信モジュールと、
を備え、
前記検出コントローラは、前記患者データに基づいて前記分娩後出血のリスクを判定するように構成されている、モニタリングシステム。
【請求項2】
前記電位センサは、筋電図(EMG)センサ、肝電図(EHG)センサ、および心電図(ECG)センサからなるセンサのセットから選択されるセンサである、請求項1に記載のモニタリングシステム。
【請求項3】
運動センサを更に備える、請求項1または2に記載のモニタリングシステム。
【請求項4】
前記運動センサは、加速度計およびジャイロスコープからなるセンサのセットから選択されたセンサである、請求項3に記載のモニタリングシステム。
【請求項5】
変形センサを更に備える、請求項1から4のいずれか一項に記載のモニタリングシステム。
【請求項6】
前記変形センサは、屈曲センサおよび伸縮センサからなるセンサのセットから選択されるセンサである、請求項5に記載のモニタリングシステム。
【請求項7】
患者応答センサをさらに備える、請求項1から6のいずれか一項に記載のモニタリングシステム。
【請求項8】
前記患者応答センサは、温度センサおよび発汗センサからなるセンサのセットから選択されるセンサである、請求項7に記載のモニタリングシステム。
【請求項9】
前記検出コントローラは、機械学習モデルを前記患者データに適用して、前記分娩後出血のリスクを判定するように構成されている、請求項1から8のいずれか一項に記載のモニタリングシステム。
【請求項10】
前記機械学習モデルは、非線形モデルである、請求項9に記載のモニタリングシステム。
【請求項11】
前記検出コントローラは、前記機械学習モデルを前記患者データに適用して、前記分娩後出血の尤度を推定することにより、前記分娩後出血のリスクを判定するように構成されている、請求項9または10に記載のモニタリングシステム。
【請求項12】
推定された前記尤度を所定の閾値と比較して、分娩後出血の可能性が高いかどうかを判定する、請求項11に記載のモニタリングシステム。
【請求項13】
前記検出コントローラは、前記分娩後出血のリスクを判定するように構成された訓練された分類器を含む、請求項1から12のいずれか一項に記載のモニタリングシステム。
【請求項14】
前記電位センサ、前記少なくとも1つの電極、前記通信モジュール、および前記検出コントローラは、ハウジング内に配置されている、請求項1から13のいずれか一項に記載のモニタリングシステム。
【請求項15】
前記検出コントローラは、前記電位センサとは別に配置されている、請求項1から13のいずれか一項に記載のモニタリングシステム。
【請求項16】
前記モニタリングシステムは、少なくとも70%の陽性適中率を有する、請求項1から15のいずれか一項に記載のモニタリングシステム。
【請求項17】
前記モニタリングシステムは、少なくとも70%の陰性適中率を有する、請求項1から16のいずれか一項に記載のモニタリングシステム。
【請求項18】
前記検出コントローラは、
前記モニタリング装置から前記患者データを受信するステップと、
前記患者データを処理して、前記患者データ中のデータ点に対する複数の記述子を形成することによって、前記分娩後出血の尤度を推定するステップであって、前記複数の記述子は、前記尤度を推定するために機械学習モデルによって処理されるステップと、
推定された前記尤度を所定の閾値と比較することによって、前記患者の分娩後出血リスクを判定するステップと、
判定された前記分娩後出血リスクをオペレータに表示するステップと、
を備える方法を自動的に実行するように構成されている、請求項1から17のいずれか一項に記載のモニタリングシステム。
【請求項19】
患者における分娩後出血の高いリスクを検出する方法であって、
患者の身体に取り付けられた複数の医療用電極部材を有するモニタから患者データを収集する工程であって、前記患者データは少なくとも1つのセンサタイプから収集される工程と、
前記少なくとも1つのセンサタイプからの前記患者データを処理して、前記患者データ中のデータ点に対する複数の記述子を形成することによって、前記分娩後出血の尤度を推定する工程であって、前記複数の記述子は、前記尤度を推定するために機械学習モデルによって処理される工程と、
判定された前記分娩後出血のリスクをオペレータに表示する工程と、を含む、方法。
【請求項20】
推定された前記尤度を所定の閾値と比較することにより、前記患者の分娩後出血リスクを判定する工程を更に備える、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、分娩後出血の検出に関する。
【背景技術】
【0002】
米国内では、分娩後出血(PPH)は、妊産婦死亡の主要原因の一つであり、死亡原因の約11%を占めている。世界的にみても、分娩後出血は、妊産婦死亡の主な原因であり、全死亡の約4分の1を占めている。産科出血による妊産婦死亡の多くは予防可能であると考えられている。残念ながら、分娩後出血に関連した死亡率は過去40年間、全体的な改善は見られず、その有病率は増加傾向にある。
【0003】
現在のところ、分娩中のどの女性が分娩後出血を発症するかを事前に特定する方法はなく、診断は分娩後出血が起こってから行われる。臨床的には、分娩後出血は、出血量の観察と推定によって診断される。出血量の推定が不正確であることが、分娩後出血への対応が遅れる主な原因である。分娩第3期に予防的子宮収縮薬を使用し、適時適切な管理を行えば、多くの命が救われるため、分娩後出血による死亡のほとんどは、回避可能なものに分類されている。
【0004】
分娩後出血の影響は死亡率にとどまらない。分娩後出血に罹患し一命を取り留めた女性は、多臓器不全、多回輸血の合併症、周産期子宮摘出や骨盤内臓器の予期せぬ損傷、生殖能力の喪失、心的外傷後ストレス障害などの精神的後遺症など、取り返しのつかない衰弱状態に陥る危険性がある。これらの罹患率と関連する治療は増加の一途をたどっている。輸血を必要とする分娩後出血事象は、米国では1993年の1万分娩あたり約8件から2014年には1万分娩あたり約40件に増加している。輸血以外の処置を必要とする分娩後出血事象は、米国では2001-2002年の1,000人当たり0.9件から2011-2012年には1,000人当たり1.9件に増加している。
【0005】
先行技術に関連する1つ以上の欠点や制限に対処または改善するか、少なくとも有用な代替手段を提供することが望まれる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本概要は、詳細な説明において後述する概念の一部を簡略化して紹介するために提供される。本概要は、特許請求される主題の本質的な特徴を特定することを意図したものではなく、特許請求される主題の範囲を限定するために使用されることを意図したものでもない。
【0007】
開示されるのは、患者の分娩後出血のリスクを判定するように構成されたモニタリングシステムであって、該モニタリングシステムは、患者データを収集するための電位センサと、該電位センサを患者の身体に取り付けるための少なくとも1つの電極と、患者データを検出コントローラに送信するための通信モジュールと、を備え、検出コントローラは、患者データに基づいて分娩後出血のリスクを判定するように構成されている、モニタリングシステムである。
【0008】
電位センサは、筋電図(EMG)センサ、肝電図(EHG)センサ、および心電図(ECG)センサからなるセンサのセットから選択されるセンサを含んでもよい。
【0009】
モニタリングシステムは、運動センサをさらに含んでもよい。
【0010】
運動センサは、加速度計およびジャイロスコープからなるセンサのセットから選択されたセンサを含んでもよい。
【0011】
モニタリングシステムは、変形センサをさらに含んでもよい。
【0012】
変形センサは、屈曲センサおよび伸縮センサからなるセンサのセットから選択されるセンサを含んでもよい。
【0013】
モニタリングシステムは、患者応答センサをさらに含んでもよい。
【0014】
患者応答センサは、温度センサおよび発汗センサからなるセンサのセットから選択されるセンサを含んでもよい。
【0015】
検出コントローラは、機械学習モデルを患者データに適用して、分娩後出血のリスクを判定するように構成されてもよい。
【0016】
機械学習モデルは、非線形モデルであってもよい。
【0017】
検出コントローラは、機械学習モデルを患者データに適用して、分娩後出血の尤度を推定することにより、分娩後出血のリスクを判定するように構成されてもよい。
【0018】
推定された尤度を所定の閾値と比較して、分娩後出血の可能性が高いかどうかを判定することができる。
【0019】
検出コントローラは、分娩後出血のリスクを判定するように構成された訓練された分類器を含んでもよい。
【0020】
電位センサ、少なくとも1つの電極、通信モジュール、および検出コントローラは、ハウジング内に配置されてもよい。
【0021】
検出コントローラは、電位センサとは別に配置してもよい。
【0022】
モニタリングシステムは、少なくとも70%の陽性適中率を有する。
【0023】
モニタリングシステムは、少なくとも70%の陰性適中率を有する。
【0024】
検出コントローラは、モニタリング装置から患者データを受信するステップと、患者データを処理して、患者データ中のデータ点に対する複数の記述子を形成することによって、分娩後出血の尤度を推定するステップであって、複数の記述子は、尤度を推定するために機械学習モデルによって処理されるステップと、推定された尤度を所定の閾値と比較することによって、患者の分娩後出血リスクを判定するステップと、判定された分娩後出血リスクをオペレータに表示するステップと、を含む方法を自動的に実行するように構成されてもよい。
【0025】
開示されるのは、患者における分娩後出血の高いリスクを検出する方法であって、該方法は、患者の身体に取り付けられた複数の医療用電極部材を有するモニタから患者データを収集する工程であって、患者データは少なくとも1つのセンサタイプから収集される工程と、少なくとも1つのセンサタイプからの患者データを処理して、患者データ中のデータ点に対する複数の記述子を形成することによって、分娩後出血の尤度を推定する工程であって、複数の記述子は、尤度を推定するために機械学習モデルによって処理される工程と、判定された分娩後出血のリスクをオペレータに表示する工程と、を含む。
【0026】
上記方法はさらに、推定された尤度を所定の閾値と比較することにより、患者の分娩後出血リスクを判定する工程を含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本発明の少なくとも1つの実施形態について、添付の図を参照して例示的に説明する。
【0028】
図1図1は、特定の実施形態を具現化または実現するために利用することができる例示的な処理システムの機能ブロック図である。
【0029】
図2図2は、特定の実施形態を具現化または実現するために利用することができるネットワークインフラストラクチャーの例を示す。
【0030】
図3図3Aおよび図3Bは、分娩後出血を検出するための電極アセンブリの使用のフローチャートを示す。
【0031】
図4図4は、電極アセンブリの一例を示す。
【0032】
図5図5は、図4の電極アセンブリと共に使用可能な医療機器の例を示す。
【0033】
図6図6Aおよび図6Bは、電極アセンブリを使用する例示的な方法を示す。
【0034】
図7図7は、図5の医療機器のための機器ステーションを示す。
【0035】
図8図8は、分娩後出血検出方法のための患者データの処理を示す。
【0036】
図9図9は、分娩後出血検出方法を示す。
【0037】
図10図10は、別の分娩後出血検出方法を示す。
【0038】
図11図11は、別の分娩後出血検出方法を示す。
【0039】
図12図12は、一実施形態に係るPPHモニタリングシステムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下の態様は、例示としてのみ与えられるが、1つまたは複数の実施形態のより正確な理解を提供するために説明される。図において、同様の参照符号は、図全体を通して同様の部品を識別するために使用される。
【0041】
図12は、患者に対する分娩後出血のリスクを判定するために使用され得る、本開示の少なくとも1つの実施形態に係るPPHモニタリングシステム1200を示す。PPHモニタリングシステム1200は、1つ以上のセンサ1210を有する。センサは、電位センサ、運動センサ、変形センサ、および/または患者応答センサのうちの1つ以上であってよい。電位センサのようなセンサ1210のいくつかは、1つ以上のセンサ1210を患者の身体に取り付けるための1つ以上の電極1220に取り付けられてもよい。
【0042】
1つ以上のセンサ1210は、通信モジュール1230によってPPH検出コントローラ1240に送信され得る患者データを収集する。一例では、センサ1210、電極1220、通信モジュール1230、およびPPH検出コントローラ1240を含むPPHモニタリングシステム1200の構成要素は、ハウジング、例えば、陣痛中に使用するための防水性および耐衝撃性のハウジング内に配置されてもよい(従って、モニタリング装置を形成する)。あるいは、PPHモニタリングシステム1200のいくつかの構成要素は、ハウジングとは別に配置されてもよい。一例では、PPH検出コントローラ1240はハウジングとは別に配置されてもよい。
【0043】
通信モジュール1230は、ハウジング内の通信を制御し、センサ1210から収集された患者データを、通信バスを介してPPH検出コントローラ1240に送信することができる。あるいは、PPH検出コントローラ1240がハウジングとは別に配置されている場合、通信モジュール1230は、無線通信または有線通信を用いてPPH検出コントローラ1240と通信してもよい。PPH検出コントローラ1240は、ラップトップ、タブレットまたはスマートフォンなどのスタンドアロンコンピューティングデバイス上で実行され、および/またはスタンドアロンコンピューティングデバイスに具現化されてもよい。
【0044】
PPH検出コントローラ1240は、機械学習モデルを患者データに適用して、分娩後出血のリスクを判定するように構成される。分娩後出血のリスクは、分娩後出血の尤度を推定することによって判定され得る。
【0045】
本開示は、患者の分娩後出血のリスクを判定するように構成されたモニタリングシステムである。本モニタリングシステムは、患者データを収集するための電位センサを含む。本モニタリングシステムはまた、電位センサを患者の身体に取り付けるための少なくとも1つの電極と、患者データを検出コントローラに送信するための通信モジュールとを含む。検出コントローラは、患者データに基づいて分娩後出血のリスクを判定するように構成される。患者の分娩後出血リスクは、推定された尤度を所定の閾値と比較することによって判定され、その後、オペレータに表示される。一例において、モニタリングシステムはモニタリング装置であってもよい。
【0046】
PPHモニタリングシステムの特定の実施形態、またはその少なくとも1つ以上の構成要素は、図1にその例を示す処理システムを用いて実現することができる。特に、処理システム100は、一般に、バスまたはバス群110を介して接続された、少なくとも1つのプロセッサ102、すなわち処理ユニットまたは複数のプロセッサ、メモリ104、少なくとも1つの入力装置106、および少なくとも1つの出力装置108を含む。ある実施形態では、入力装置106と出力装置108は同じ装置であってもよい。インタフェース112が、処理システム100を1または複数の周辺機器に接続するために提供されてもよく、例えば、インタフェース112は、PCIカードまたはPCカードであってもよい。少なくとも1つのデータベース116を収容する少なくとも1つの記憶装置114が提供されてもよい。メモリ104は、例えば、揮発性または不揮発性メモリ、ソリッドステート記憶装置、磁気装置など、任意の形式の記憶装置であり得る。プロセッサ102は、例えば、処理システム100内の異なる機能を処理するために、複数の別個の処理デバイスを含み得る。
【0047】
入力装置106は、入力データ118を受信し、例えば、キーボード、ペンのような装置やマウスのようなポインタ装置、マイクのような音声制御起動のための音声受信装置、モデムや無線データアダプタのようなデータ受信装置またはアンテナ、データ取得カードなどを含み得る。入力データ118は、例えば、キーボードの指示やネットワーク経由で受信したデータなど、さまざまなソースから得ることができる。出力装置108は、出力データ120を生成し、例えば、出力データ120が視覚的であるディスプレイデバイスまたはモニタ、出力データ120が印刷されるプリンタ、例えばUSBポートなどのポート、周辺コンポーネントアダプタ、モデムまたはワイヤレスネットワークアダプタなどのデータ送信機またはアンテナなどを含み得る。出力データ120は、例えば、モニタ上の視覚的表示やネットワークに送信されるデータなど、異なる出力装置に由来する別個のものである可能性がある。ユーザは、データ出力、またはデータ出力の解釈を、例えばモニタ上で、またはプリンタを使用して見ることができる。記憶装置114は、例えば、揮発性または不揮発性メモリ、ソリッドステート記憶装置、磁気装置など、任意の形式のデータまたは情報の記憶手段とすることができる。
【0048】
使用時、処理システム100は、データまたは情報が、有線または無線通信手段を介して、少なくとも1つのデータベース116に記憶され、および/またはそこから検索されるように構成される。インタフェース112は、処理ユニット102と、特殊な目的を果たし得る周辺コンポーネントとの間の有線および/または無線通信を可能にすることができる。プロセッサ102は、入力装置106を介して入力データ118として命令を受け取り、出力装置108を利用することにより、処理された結果または他の出力をユーザに表示することができる。1つ以上の入力装置106および/または出力装置108を設けることができる。処理システム100は、端末、サーバ、専用ハードウェアなど、どのような形態であってもよいことが理解されるべきである。
【0049】
処理システム100は、図2に示すように、ネットワーク通信システム200の一部であってもよい。処理システム100は、例えばインターネットやWANなどのネットワーク202に接続することができる。入力データ118および出力データ120は、ネットワーク202を介して他の装置に通信され得る。他の端末、例えば、シン・クライアント204、更なる処理システム206および208、ノートブックコンピュータ210、メインフレームコンピュータ212、PDA214、ペンベースコンピュータまたはタブレット216、サーバ218等は、ネットワーク202に接続され得る。多種多様な他のタイプの端末または構成を利用することができる。ネットワーク202を介した情報および/またはデータの転送は、有線通信手段220または無線通信手段222を用いて達成することができる。サーバ218は、ネットワーク202と1つ以上のデータベース224との間のデータ転送を容易にすることができる。サーバ218と1つ以上のデータベース224は、情報源の一例を提供する。
【0050】
他のネットワークは、ネットワーク202と通信することができる。例えば、電気通信ネットワーク230は、無線通信手段236および受信/送信ステーション238を利用することによって、ネットワーク202と、携帯電話、セルラー電話、スマートフォン232、またはPDAタイプのデバイス234との間のデータ転送を容易にすることができる。衛星通信ネットワーク240は、衛星信号送信機246と遠隔通信している衛星244からデータ信号を受信する衛星信号受信機242と通信することができる。端末、例えば更なる処理システム248、ノートブックコンピュータ250または衛星電話252は、それによってネットワーク202と通信することができる。例えばプライベートネットワーク、LANなどであるローカルネットワーク260も、ネットワーク202に接続することができる。例えば、ネットワーク202は、端末264、データベース268へのおよび/またはデータベース268からのデータ転送を制御するサーバ266、およびプリンタ270を接続するイーサネット262と接続することができる。他の様々なタイプのネットワークを利用することもできる。
【0051】
処理システム100は、ネットワーク202との間でデータ118,120を送受信することによって、他の端末、例えば更なる処理システム206,208と通信するように構成され、それによって、ネットワーク通信システム200の他のコンポーネントとの可能な通信を容易にする。
【0052】
したがって、例えば、ネットワーク202,230,240は、インターネットの一部を形成するか、またはインターネットに接続されてもよく、その場合、端末206,212,218は、例えば、ウェブサーバ、インターネット端末などであってもよい。ネットワーク202,230,240,260は、LAN、WAN、イーサネット、トークンリング、FDDIリング、スターなどの他の通信ネットワーク、またはGSM、CDMA、4G、5Gなどのネットワークのような携帯電話ネットワークであってもよく、またはその一部を形成してもよく、特定の実装に応じて、例えば光ファイバを含む全体的または部分的な有線ネットワーク、または無線ネットワークであってもよい。
【0053】
図3Aおよび図3Bは、PPH検出法を実行することができる臨床環境ワークフロー300を示している。臨床環境ワークフロー300は、妊婦が医療機関を訪れ陣痛が疑われる患者の来院305から始まる。陣痛チェック310では、患者が活発な陣痛中であるかどうかのチェックが行われる。患者が活発な陣痛中でない場合は、後日患者の状態を再評価するために臨床医による診察315が予定される。患者が陣痛中である場合、ワークフローはPPHモニタの装着320に進み、本明細書で説明する医療機器などのPPHモニタが患者、例えば患者の腹部に適用/装着される。PPHモニタは、分娩後出血の可能性があるかどうかを判定するためにPPH検出コントローラによって分析され得る患者データを提供する。次に、患者のPPHモニタリング325が開始される。PPHモニタリング325については、PPH検出方法が説明される以下でより詳細に説明される。患者が監視されると、多くのイベントが発生し、場合によっては並行してワークフローが進行する。患者が監視されている間、臨床医はPPH検出コントローラからの出力をチェックすることにより、PPHの監視340を続ける。患者はまた、出産330をする可能性があり、その時点で臨床医が従来の方法でPPH発生チェック355を行う可能性がある。PPHが発生していない場合、患者はPPHに罹患しておらず360、治療の必要はない。PPHが発生した場合、臨床環境ワークフロー300はPPHに対する患者の治療365に移行する。
【0054】
患者が出産する330と、PPHモニタは、PPHが検出される可能性のある段階335で、患者からのデータ収集を継続することができる。PPHが検出される可能性のある段階335でPPHが検出されなかった場合、臨床環境ワークフロー300が、PPHが検出される可能性のある段階335に戻り得るPPHの監視継続段階340で、患者は臨床医によって監視され続ける。PPHモニタがPPHを検出した場合、臨床医は、PPH予防治療345を実施する、および/またはPPH段階365の治療患者に実施されるPPH治療の準備350をするなどの行動をとることができる。
【0055】
図4を参照すると、複数の医療用電極部材410,420,430,440と、複数の医療用電極部材410,420,430,440,460に取り外し可能に取り付けられた少なくとも1つの被覆シート450とを含む電極アセンブリ400(「電極シート」と称してもよい)の一例が提供されている。各医療用電極部材410,420,430,440,460は、公知の医療用電極装置と同じ構造を有していてもよい。
【0056】
この例では、医療用電極部材410は、患者の皮膚の輪郭に適合可能な可撓性シート(「電極バッキング」と称してもよい)を含む。可撓性シートは、絶縁材料、例えば、布、プラスチック、独立気泡発泡体、または電気伝導しない他の適切な絶縁材料で作られており、例えば、電極バッキング材料は、電極コネクタの周りで可撓性シートの上に接着される接着性可撓性シールを含む発泡体とプラスチックの組み合わせであり得る。
【0057】
非電極粘着パッド470は、被覆シート450の中央またはその近傍に配置される。あるいは、非電極粘着パッド470は、医療機器を支持することができる被覆シート450上の他の位置に配置されてもよい。さらに、非電極粘着パッド470は、非電極粘着パッド470を患者の身体に接着させ、装着時に医療機器を支持することができる限り、他の形状を有していてもよい。
【0058】
ここで図5を参照すると、図4に示す電極アセンブリ400と共に使用することができる医療機器500の一例が示されており、その一例は、複数の電極部材410を固定することができるОLI(登録商標)装置であり、「Apparatus for monitoring pregnancy or labor」と題するオーストラリア仮特許出願第2016905046号および/または同名のPCT出願第PCT/AU2017/051346号に記載されている。医療機器500と電極アセンブリ400とのアセンブリにより、患者に取り付けるPPHモニタが形成される。医療機器500は、典型的には、内部構成要素に電力を供給するための電池などの電源を有する。電源はまた、PPH検出コントローラと無線または有線で通信することができる医療機器500内の通信システムに電力を供給するために使用されることもある。
【0059】
医療機器500は、複数の電極接続部510,520,530,540,560を含む。電極接続部の各々は、医療用電極410,420,430,440,460のうちの対応する1つに接続されるように構成されている。したがって、電極アセンブリ400における医療用電極部材410,420,430,440,460の相対的な位置は、医療機器500上の対応する電極接続部510,520,530,540,560の相対的な位置に基づいて配置することができる。このように、医療用電極部材410,420,430,440の相対的な位置を考慮する際に、対応する電極接続部510,520,530,540,560の特徴の形状および配置を変化させることは、特許請求の範囲に記載および定義されてる本発明の範囲内であることが、当業者には理解されるであろう。
【0060】
電極部材410,420,430,440,460は、電極部材410,420,430,440の隣接するものの間の機械的および電気的干渉を緩和するために、電極アセンブリ400内で相互に間隔をあけて配置されている。電極部材410,420,430,440はまた、特定の医療処置および医療機器500に応じて、皮膚上の選択されたポイントに接続するために間隔をあけて配置されている。電極アセンブリ400の例示的な寸法は、各辺に沿った電極部材間の距離が約100ミリメートル(mm)、すなわち、100mmを超える辺を有する正方形であり得る。電極部材410、420、430、440の例示的な間隔は、中心間が50mmを超え、例えば、中心間が100mm、例えば、図4の正方形配置の各辺に沿った中心間が約100mmであり得る。
【0061】
本開示で使用される用語「患者」には、ヒトおよび動物の両方の患者および使用者が含まれる。したがって、医療機器500は、ヒト用の医療機器、健康機器、スポーツ監視機器、または動物用の獣医機器を含むことができる。
【0062】
ユーザは、図6Aに示すように、電極アセンブリ400を医療機器500に取り付けて、PPHモニタを形成することができる。これは、電極アセンブリ400と医療機器500を一緒に押圧することによって起こり得る。電極アセンブリ400は、各医療用電極部材が対応する電極接続部に固定されるように医療機器500に接続されてもよい。ユーザは、各医療用電極部材(410,420,430,440,460)の電極コネクタのファスナ(導電性材料(金属など)製で、スナップファスナ(オスまたはメス)、タブ、ワイヤ、カスタムコネクタを含むファスナタイプのもの)を、医療機器500の対応する電極接続部上の協働するファスナ(導電性材料(金属など)製で、スナップファスナ(オスまたはメス)、タブ、ワイヤ、カスタムコネクタなどのファスナタイプとそれぞれ協働するタイプのもの)に締結することができる。
【0063】
これに代えて、またはこれに加えて、ユーザは、各医療用電極部材(410,420,430,440,460)の可撓性シートを医療機器500の対応する電極接続部の平坦面に接着してもよい。さらに、ユーザは、非電極粘着パッド470を医療機器500の対応する電極接続部にさらに固定または接着してもよい。さらなる実施形態において、本方法は、複数の医療用電極部材のうちの少なくとも1つに接続されている第2の被覆シートのミシン目を入れられた部分を取り外し、電極アセンブリのうちの少なくとも1つを患者の身体または医療機器に取り付けるステップをさらに含むことができる。
【0064】
ユーザは、電極アセンブリ400から第2の被覆シートを剥離または除去して、各医療用電極部材(410,420,430,440,460)の患者側粘着層、および非電極粘着パッド470の患者側粘着層を露出させる。次に、ユーザは、複数の医療用電極部材が患者の身体に固定されるように、複数の医療用電極部材を有する医療機器500を患者の身体に装着する。例えば、医療用電極部材410,420,430,440,460および非電極粘着パッド470の患者側粘着層を有する医療機器500を、図6Bに示すように患者の身体、例えば腹部に貼付する。医療機器500は、医療用電極部材410,420,430,440,460および非電極粘着パッド470とともに、各医療用電極部材の粘着層および非電極粘着パッド470の粘着層を介して患者の身体に固定される。
【0065】
患者の身体に固定された後、医療機器500と医療用電極部材410,420,430,440,460は、図6Bに示すように、患者を監視または刺激するために使用することができる。医療機器500は、医療用電極部材410,420,430,440,460によって取り込まれた電気信号を監視し、あるいは、患者の身体を刺激するための電気信号を医療用電極部材410,420,430,440,460に出力する。PPHモニタは、EMGセンサのような電位センサ、および/または、電極部材410,420,430,440,460を介して動作する温度センサとして実装された患者応答センサのような他のセンサを使用して、患者データを収集することができる。加速度計として実装された運動センサなど、他のセンサを医療機器500に内蔵してもよい。追加の患者応答センサをPPHモニタに内蔵してもよい。使用後、医療機器500および医療用電極部材410,420,430,440,460は、患者の身体から取り外すことができる。
【0066】
次に、図7Aおよび図7Bを参照して、機器ステーション700について説明する。機器ステーション700は、医療機器500のような医療機器と電極アセンブリ400のような電極アセンブリを備えるPPHモニタのための充電場所と保管場所を提供する。機器ステーション700はまた、分娩後出血検出システムの使用者のためのユーザインタフェースと、PPHモニタを組み立てるための準備エリアとを有する。
【0067】
機器ステーション700は、PPHモニタの医療機器コンポーネントのための一体型蓄電モジュール、例えばバッテリパックを充電することが可能な得る充電ステーション710を有する。充電ステーション710はまた、1つまたは複数の医療機器が機器ステーション700との無線通信するように構成されることを可能にするデータ転送機能を含むことができる。一例では、医療機器と装置ステーション700は、医療機器が充電ステーション710に接続されたときに、ブルートゥース(登録商標)通信のためにペアリングされる。あるいは、医療機器は、IEEE 802.11規格ファミリのWi-Fiプロトコルなど、他の無線通信プロトコルを使用して通信するように構成することもできる。
【0068】
ユーザインタフェース720は、ネットワーク202を介して通信する処理システム100のようなコンピュータ上で実行されるPPH検出コントローラによって駆動することができる。分娩後出血検出システムのユーザは、マウス725のようなユーザ入力装置を介して、ユーザインタフェース720と対話することができる。ユーザインタフェース720は、PPHモニタの装置情報、例えば、医療機器の充電状態、電極アセンブリの各センサの接続及びデータ伝送状態、サービス履歴及び状態、機器識別、並びにPPHモニタ及びコンポーネントに関する他の一般的な情報を含む装置情報を表示することができる。また、ユーザインタフェース720は、分娩後出血分析の診断結果、母体の心拍数、現在の心拍数、子宮収縮情報、および現在の子宮収縮情報を含む臨床情報を表示することができる。測定値の履歴値も表示可能である。充電ステーション710とユーザインタフェース720は、電極アセンブリと医療機器を備えるPPHモニタが患者に使用するために組み立てられる組立エリア730を含むカート740上に設置される。
【0069】
ユーザインタフェース720を駆動するPPH検出コントローラは、医療機器から送信された生データを受信して保存し、機械学習および信号処理技術を使用してデータを分析することができる。分析結果はユーザインタフェース720に表示される。
【0070】
次に、患者に対するPPHデータ処理プロセス800を示す図8に関連して、PPHモニタからのデータ処理の概要を説明する。PPHデータ処理プロセス800には、3つの部分がある。最初の部分は、データ収集プロセス820が発生するPPHモニタ810上で実行される。データ収集プロセス820は、PPHモニタ810のセンサから患者データを生成する。センサは、電位センサ、運動センサ、変形センサまたは患者応答センサのうちの1つまたは複数のセンサであってよい。PPHモニタ810は、有線または無線接続を用いて患者データ825をPPH検出コントローラ830に送信する通信モジュールを有する。
【0071】
PPH検出コントローラ830は、患者データ825を入力として受け取り、プロセスデータプロセス840において患者データ825を分析する。プロセスデータプロセス840の一例では、患者データ825は、機械学習モデルまたは訓練された分類器によって分析され、尤度値が生成される。尤度値をPPH閾値と比較して、分娩後出血の可能性が高いかどうかを判定することができる。尤度値が閾値より小さければ分娩後出血の可能性は低く、尤度値が閾値より大きければ、PPHの可能性が高い。一例では、PPHの可能性が高いと判定される前に、少なくとも所定時間、尤度がPPH閾値を上回っていなければならない。PPH検出コントローラ830からの出力は、PPH検出コントローラ830に取り付けられたディスプレイ850に送信され得るPPH尤度表示845である。PPH尤度表示845は、出力プロセス860のようにディスプレイ850に表示されてもよい。一例では、出力プロセス860は、PPHの可能性があるとき、ディスプレイ850上に可視および/または可聴のアラームを提供することができる。一例では、出力プロセス860は、PPHの可能性が高いか低いかを示すバイナリ表示を提供することができる。例えば、出力プロセス860は、PPHの可能性が低い場合には緑色を、PPHの可能性が高い場合には赤色を示すステータスを生成することができる。別の例では、出力プロセス860は、テキスト表示やグラフ表示などの尤度値表示をディスプレイ850に提供することができる。グラフ表示の例としては、尤度値が時間と共にグラフ化される時間ベースのグラフがある。別の例としては、塗りつぶしや針が尤度値を表示するゲージスタイルのディスプレイがある。カラーバリエーションは、他の表示に加えて、あるいは代わりに使用することもできる。
【0072】
ディスプレイ850は、PPH検出コントローラ830に取り付けられているものとして上述したが、一例では、ディスプレイ850は、タブレット、スマートフォン、または他のコンピューティングデバイスなどの他のデバイスであってもよい。一例では、PPH検出コントローラ830は、PPHモニタ810に統合されてもよい。PPH尤度表示845は、PPH尤度が臨床医に伝達される別の機器に送信されてもよい。PPHモニタ810はまた、PPHの可能性があると判定された場合に、内蔵スピーカーからの可聴音を介して、および/またはPPHモニタ810上の統合ディスプレイを介して、アラームを提供するように構成することもできる。PPHモニタ810がアラームを提供する機能を有する場合、PPH検出コントローラ830とディスプレイ850の両方は、PPHモニタ810に、例えばそのハウジングに一体化されていてもよい。一例では、PPHモニタ810は、PPH検出コントローラ830と、スマートフォン、タブレット、または他のコンピューティングデバイスなどの1つまたは複数の追加デバイスにも送信されるPPH尤度表示845を備えたディスプレイ850とを含んでもよい。
【0073】
次に、PPH検出方法900(「PPH検出プロセス」とも称される)を図9に関連して説明する。PPH検出方法900は、ネットワーク202を介して通信する処理システム100のようなコンピュータによって実行されるPPH検出コントローラ上で実施することができる。PPH検出方法900は、PPHモニタからのセンサ入力を取り込み/受信し、臨床医などのユーザに、分娩後出血の可能性が高いか低いかの表示を提供する。通常、PPH検出方法900からの結果は、PPH検出コントローラに取り付けられたモニタに表示される。
【0074】
データ収集ステップ910において、PPH検出コントローラは、無線または有線インタフェースを使用してPPHモニタに接続され、PPHモニタセンサから患者データを受信する。センサは、電位センサ、運動センサ、変形センサ、または温度センサなどの患者応答センサのうちの1つ以上とすることができる。
【0075】
記述子形成ステップ920において、PPH検出コントローラは、機械学習モデルで使用するために、患者データから高次元の記述子を形成する。患者データは、記述子を形成するために1つ以上のステップで処理される。記述子がどのように形成されるかの例を以下に説明する。
【0076】
次に、記述子処理ステップ930として、記述子形成ステップ920からの記述子が、以前の患者データを用いて訓練された機械学習モデルによって処理される。記述子処理ステップ930の出力は、PPHの推定尤度であってもよいし、機械学習モデルによって決定された尤度に基づく分類であってもよい。機械学習モデルの例としては、サポートベクターマシン、ニューラルネットワーク、決定木、k-Nearest Neighboursなどがある。あるいは、記述子形成ステップ920と記述子処理ステップ930の両方を、同じ機械学習モデルを使用して実行することもできる。すなわち、記述子形成ステップ920および記述子処理ステップ930を組み合わせて、モデルの初期部分が記述子を生成し、モデルの後期部分が記述子を処理して尤度または尤度に基づく分類の出力を生成するモデルに患者データを渡すことができる。
【0077】
PPHの可能性決定ステップ940では、記述子処理ステップ930の出力が、患者が分娩後出血に罹患する可能性が高いか低いかを決定するために使用される。記述子処理ステップ930の出力が尤度である場合、尤度を所定の閾値と比較することができる。尤度が所定の閾値以上である場合、PPH検出方法900は、PPH可能性出力950に進み、PPH検出コントローラによって、分娩後出血の可能性が高い旨の表示がユーザに表示される。尤度が所定の閾値未満である場合、PPH検出方法900は、PPH可能性なし表示960に進み、PPH検出コントローラが、分娩後出血の可能性が低い旨の表示をユーザに表示する。
【0078】
次に、PPH検出方法1000(「PPH検出プロセス」とも称される)を図10に関連して説明する。PPH検出方法1000は、ネットワーク202を介して通信する処理システム100のようなコンピュータによって実行されるPPH検出コントローラ上で実施することができる。PPH検出方法1000は、PPHモニタから収集されたデータを入力として取り込み/受信し、患者に発生する産後出血の尤度を出力する。PPH検出方法1000が実行されると、PPHの尤度が検出され、ユーザに通知される。その後、ユーザは、PPHを治療するための措置を講じることができる。
【0079】
PPH検出方法1000は、PPHモニタからPPH検出コントローラにデータが送信されるデータ収集ステップ1010から始まる。PPH検出コントローラは、データフィルタステップ1020で医療機器からのデータを処理する。データフィルタステップ1020は、データを受け取り、いくつかの異なる処理ステップを実行する。一例では、PPHモニタセンサそれぞれから受信した異なるデータタイプに対して、同じ処理を行うことができる。あるいは、データを収集したセンサのタイプによって処理を変えてもよい。例えば、各センサからのデータに対して周波数分析を行い、周波数帯域に従ってデータを選択するためにバンドパスフィルタを適用することができる。EMGセンサからのデータのような電位データの場合、データは1Hz~20Hz、1Hz~10Hz、0.05Hz~50Hzの周波数範囲で抽出することができる。加速度計のような運動センサは、0.5Hz~1Hz、0.1Hz~2Hz、0.05Hz~1Hzの周波数範囲で同様に処理することができる。温度センサなどの患者応答センサも、0.5Hz~1Hz、0.1Hz~0.75Hz、0.05Hz~1Hzなどの周波数帯域を選択して、同様の方法で分析することができる。あるいは、0.05Hz以上の周波数を選択してもよい。屈曲センサなどの変形センサは、0.5Hz~1Hz、0.1Hz~0.75Hz、0.05Hz~1Hzなどの周波数帯域を選択して使用することができる。あるいは、0.05Hzまたは0.01Hz以上の周波数を選択することもできる。
【0080】
次に、PPH検出方法1000は、関心領域特定ステップ1030で処理されたデータを使用する。関心領域は、医療機器から受信したデータの一部であり、PPHの可能性を判定するための情報を含んでいる可能性がある。関心領域特定ステップ1030では、異なる操作が実行され得る。一例では、電位データは、5秒から20秒の間、例えば5秒、10秒、15秒、20秒などの大きさのウィンドウを使用して整流され、平滑化される。結果は電位チャネル間で合計され、さらなる処理のための信号を生成する。一例では、各電位チャネルは電位センサから収集された情報である。ノイズフロアは信号に対して計算され、常に正になるようにクリップされる。その後、信号は抑制され、抑制された信号の振幅は、有効な電位チャネル数で正規化される前に、計算されたノイズフロア以下になる。出力の値は、最終的な信号が0と1の間になるようにスケーリングされる前に、設定された閾値以下であれば抑制される。関心領域を選択するために閾値が適用される。例えば、0.7、0.8、0.9以上の最終信号を選択するために閾値が使用される。関心領域は、閾値に基づき、最終信号が3、4、5、6、7、8秒などの所定の時間ウィンドウで閾値を超える領域について選択される。
【0081】
関心領域特定ステップ1030は、電位データに関連して説明されているが、同様の処理は、患者応答、運動および変形センサデータなどの他のデータタイプに対して実行されてもよい。これについては、図11に関連して後述する。
【0082】
関心領域特定ステップ1030からの関心領域は、記述子生成ステップ1040で使用される。生成された記述子は高次元記述子であり、分娩後出血が発生する尤度を判定する非線形モデルで使用される。高次元記述子の生成については、EMGセンサなどからの電位データを例として説明する。この場合、次の3つのプロセスが発生する。このプロセスは順次行われることもあれば、並行して行われることもある。第1のプロセスでは、電位データは、1秒から20秒の間、例えば1秒、5秒、10秒、15秒、20秒のような大きさのスライディングウィンドウを使用して正規化される。各電位チャネルで周波数分析が行われ、いくつかの周波数が選択される。選択される周波数は、データフィルタステップ1020の動作で使用される周波数範囲、例えば1Hz~20Hz、1Hz~10Hz、0.05Hz~50Hzの間である。選択された各周波数の大きさは、すべての電位チャネルにわたって計算され、有効な電位チャネルの数によって正規化される。ここで、有効な電位チャネルとは、許容可能な境界内で測定値を生成しているチャネルである。結果はN×Jのサイズであり、Nは現在の関心領域におけるデータ測定数、Jは解析で選択された周波数の数である。
【0083】
第2のプロセスは、ユークリッド距離、コサイン類似度、またはカルバック・ライブラー発散などの類似性測度を使用して、類似性のスライディングウィンドウ測定を実行する。類似性測度のテンプレートは0.05Hzから5Hzで、すべての電位チャネルで実施される。類似性測度の結果は、すべての電位チャネルにわたって合計され、分析可能な結果が得られる。結果はN×Kのサイズで、Nは関心領域のデータ点数、Kは使用した周波数テンプレートの数である。第1のプロセスと第2のプロセスで使用する周波数の数は同じでも異なっていてもよいが、第1のプロセスと第2のプロセスで使用するデータ点の数は同じである。
【0084】
第3のプロセスは、電位データの各チャネルに、ティーガー・カイザー・エネルギー演算子や二乗平均平方根エネルギー演算子などのエネルギー演算子を適用する。エネルギー演算子の出力は、N×Lのサイズを有する。ここで、Nは関心領域のデータ点の数であり、Lは電位チャネルの数である。
【0085】
3つのプロセスが完了すると、統計的尺度が関心領域のそれぞれについて計算され、A×(J+K+L)の次元を持つ記述子を生成するために連結される。ここで、J、K、Lは各プロセスで上述したものであり、Aはデータに適用される統計的尺度の数である。統計的尺度の例としては、平均値、中央値、最大値、最小値、標準偏差などがある。
【0086】
記述子生成ステップ1040からの記述子は、PPHスコア生成ステップ1050で使用される。記述子は訓練された非線形モデルに渡され、確率、擬似確率、スコアなどの出力を生成し、出力はPPHの尤度を示す。
【0087】
PPH検出方法1000は、PPHスコア比較ステップ1060に進み、PPHスコア生成ステップ1050の非線形モデルの出力は、フィルタリング処理を使用して経時的に平滑化されてもよい。非線形モデルの出力は閾値と比較される。出力が所定の時間、閾値を超えた場合、PPHの可能性があると判定される。非線形モデルの平滑化出力が使用される場合、平滑化出力は所定の閾値と比較される。閾値を超えない場合、PPH検出方法1000はPPH非検出ステップ1080に進み、PPH検出方法1000に関連するユーザインタフェースがPPHの可能性が低いことを示す。閾値を超えた場合、PPH検出方法1000はPPH検出ステップ1070に進み、PPHの可能性があることを示すようにユーザインタフェースが更新される。
【0088】
PPH検出方法900は、関心領域を選択するが、1つの代替案として、関心領域を選択せずに、処理されたデータのすべてを使用することもできる。しかしながら、幾つかの例では、全ての患者データを使用することにより、PPH検出方法900の精度が変化する可能性がある。
【0089】
代替的なPPH検出方法(「PPH検出プロセス」とも称される)を、図11のPPH検出方法1100に関連して説明する。PPH検出方法1100は、上述したPPH検出方法1000と同様の方法で実行されるが、PPH検出方法1100の動作の一部は異なる。PPH検出方法1100の最初の2つの動作、データ収集ステップ1110とデータフィルタステップ1120は、データ収集ステップ1010とデータフィルタステップ1020に関連して上述したように実行される。
【0090】
活動増加検出ステップ1130は、データフィルタステップ1120の出力を受け取り、子宮活動または子宮収縮指標が増加したかどうかを判定しようとする。子宮活動または子宮収縮指標が電位データに対してどのように判定されるかの例を以下に示す。データフィルタステップ1120からの電位データは、5秒から20秒の間の大きさのウィンドウを使用して整流され、平滑化することができる。平滑化されたデータは、電位チャンルにわたって合計され、結果として信号が生成される。結果信号のノイズフロアが計算され、正になるようにクリップされる。結果信号の振幅が計算されたノイズフロアより小さくなるように信号抑制が適用される。抑制されたデータは、有効な電位チャネル数で正規化される。最終的に、所定の閾値以下の値は抑制され、所定の閾値以上の値はゼロと1の間の結果信号に対してスケーリングされる。
【0091】
あるいは、活動増加検出ステップ1130は、データプロセスステップ1135に置き換えられて実行されてもよい。データプロセスステップ1135は、非線形モデルなどの機械学習法を用いて、データフィルタステップ1120から受け取った入力が子宮活動または子宮収縮の増加を示しているかどうかを示す確率スコアを決定することができる。
【0092】
記述子生成ステップ1140は、図10の記述子生成ステップ1040に関連して上述したのと同様の方法で、電位記述子を生成することができる。加速度データのような運動センサのデータでは、X、Y、Z値から単一の加速度値にデータを削減するために、各データサンプルごとに運動データの大きさが計算される。その結果、各データ点には単一の加速度の大きさの値が存在する。加速度の大きさは、データフィルタステップ1120からフィルタリングされたデータに基づいて計算される。加速度の大きさは、不連続なデータを減らすために平滑化フィルタを適用する前に、子宮活動指標に乗算される。平滑化されたデータは、子宮活動の増加が判定される5分から10分の間のウィンドウ内の時間の割合で割られる。
【0093】
変形測定については、データフィルタステップ1120からの平滑化データに、活動増加検出ステップ1130またはデータプロセスステップ1135からの子宮活動指標を乗算する。その後、データの不連続性を減らすために平滑化フィルタが適用される。その結果得られたデータを、子宮活動の増加が判定される5分から10分の間のウィンドウ内の時間の割合で割る。
【0094】
患者応答測定値は、データフィルタステップ1120の動作からフィルタリングされたデータを使用し、このデータは、データ内の不連続性を低減するために平滑化フィルタが適用される前に、子宮活動指標によって乗算される。変形測定や電位データと同様に、患者応答測定値は、子宮活動の増加が判定される5分から10分の間のウィンドウ内の時間の割合で除算される。
【0095】
次いで、電位データ、運動データ、変形データ、および患者応答データを組み合わせて形成される高次元記述子が各データサンプルに存在するように、記述子は連結される。あるいは、電位データと運動データ、変形データと患者応答データなど、任意の2つのデータタイプを組み合わせて記述子を形成することもできる。
【0096】
次に、PPH検出方法1100はPPHスコア生成ステップ1150に移行し、図10のPPHスコア生成ステップ1050と同様の方法でPPHスコアが決定される。しかし、PPHスコア生成ステップ1150の非線形モデルは、高レベル記述子の性質が異なるため、PPHスコア生成ステップ1050の非線形モデルとは異なる構成とすることができる。PPH検出方法1100の残りのステップは、PPH検出方法1000の対応するステップと同様である。すなわち、PPHスコア比較ステップ1160はPPHスコア比較ステップ1060と同様であり、PPH非検出ステップ1180はPPH非検出ステップ1080と同様であり、PPH検出ステップ1170はPPH検出ステップ1070と同様である。
【0097】
PPH検出方法1000と同様に、PPH検出方法1100は、PPHの可能性が高いか低いかを示す、ユーザインタフェースに表示するための出力を生成する。
【0098】
PPH検出方法1100の代替において、高次元記述子の生成は、以下のように実行することができる。運動データ、変形データ、患者応答データは、記述子生成ステップ1140に関連して説明したように処理される。しかし、記述子を生成するために使用される電位データは、記述子生成ステップ1140で設定されたようには処理されない。代わりに、データフィルタステップ1120からのフィルタリングされた電位データが、運動データ、変形データおよび患者応答データと組み合わされる。各データサンプルに対して、データを使用した高次元記述子フォームが存在する。その後、記述子は非線形モデルによって処理され、その結果を所定の閾値と比較して、前述のようにPPHの可能性が高いか低いかを決定する。
(変形例)
【0099】
上述のように、PPHモニタは、1つ以上のセンサを有する。センサは、1つまたは複数の同じセンサタイプであってもよいし、各センサタイプが1回または複数回存在するセンサタイプの混合であってもよい。PPHモニタに使用できるセンサの一つは、筋電図(EMG)センサ、肝電図(EHG)センサ、または心電図(ECG)センサなどの電位センサであり、ECGは心臓や子宮の活動情報も提供する。PPHモニタはまた、少なくとも1つの変形センサを使用して、伸縮センサや屈曲センサなどのセンサを使用して決定される複数の点の変形を測定することができる。PPHモニタは、加速度計やジャイロスコープなどのセンサから決定される動きや位置に関するデータを提供するために、運動センサを使用することもできる。患者応答センサは、陣痛などのイベントに対する努力/患者の応答を判定するために使用することができる。このような情報は、温度センサや発汗の有無を測定するセンサなどの異なるセンサを使用して決定することができ、発汗の有無は、イベントに対する努力/患者の応答に相関する可能性がある。上記では、使用可能な代替センサについて説明したが、異なるセンサおよび/または追加のセンサを使用することもできる。
【0100】
PPH検出方法900、1000および1100は、経時的に分娩後出血の最新の尤度を判定するために複数回実施することができる。一例では、PPHモニタからのセンサ入力値の変化に基づいて、PPH検出方法の1つの実行がトリガーされる。別の代替案では、PPH検出方法の1つの実行は、0.5秒ごとや1秒ごとなど、一定の時間間隔でトリガーされる。
【0101】
上記の説明では、非線形モデルが使用されている。使用され得る非線形モデルの例には、サポートベクターマシン、ガウス過程、決定木、グラフィカルモデル、およびリカレントニューラルネットワーク、多層パーセプトロン、および畳み込みニューラルネットワークなどのニューラルネットワークが含まれる。非線形モデルは、既知の技術を用いてトレーニングすることができる。
【0102】
上記のPPH検出方法は、非線形モデルによる処理のために高次元記述子を形成する複数の方法を含むが、記述子はセンサデータの他の組合せを用いて形成されてもよい。一例として、変形データ、患者応答データ、運動データを用いて高次元記述子を形成することができる。あるいは、電位データと、患者応答データ、変形データ、運動データのいずれかを使用することもできる。また、他のセンサデータを組み合わせて使用することもできる。
(結果)
【0103】
分娩後出血検出法の性能を評価するために、Leave-One-Out Cross Validation(LOOCV)を使用した。LOOCV法では、ある患者のデータは検証のために除外され、他のすべての患者の残りのデータは非線形モデルを生成するためのトレーニングセットの一部として使用された。生成した非線形モデルを用いた分娩後出血検出法を、除外した被験者を用いて評価した。この作業を患者ごとに繰り返し、成績の指標を得た。
【0104】
44人の被験者に対してパイロット試験が実施され、分娩後出血検出方法とシステムは高いレベルの感度(80%)と特異度(97%)を達成し、陽性適中率は92%、陰性適中率は90%であった。分娩後出血検出方法およびシステムは、少なくとも70、80、または90%の陽性予測値、および少なくとも70、80、または90%の陰性予測値を達成した。陽性尤度比23.20は、診断検査で陽性となった後、分娩後出血を起こす尤度が大きく高まると考えられる。陰性尤度比0.21が報告された場合、分娩後出血を起こす可能性が中程度から大きく減少したとみなされる。分娩後出血検出法により、患者のうち13人がPPHの可能性が高いと判定された。
【表1】
【0105】
未検出の分娩後出血を経験した3人の被験者のうち、全員が会陰切開を伴う鉗子分娩後に発症し、生殖管の外傷が証明された。これらの症例のPPHの原因が外科的介入による外傷によるものであることを考えると、その前に分娩後出血の兆候を検出することは期待できない。PPH症例の約20%は外傷によるものであり、15例の分娩後出血症例のうち3例の外科的PPH症例があったことは一貫している。
(利点と解釈)
【0106】
記載した分娩後出血検出方法は、分娩後出血の尤度を判定するための手段を提供する。PPHモニタは使い方が簡単で、臨床医にPPH発生の尤度を効果的に予測させることができる。このような適応があれば、臨床医はPPHの効果的な治療のために適切な手段を講じることができるだろう。
【0107】
本明細書で使用される場合、用語「集合」は、既知の数学的定義に従って(例えば、An Introduction to Mathematical Reasoning: Numbers, Sets, and Functions, "Chapter 11:Properties of Finite Sets" Peter J. Eccles著、Cambridge University Press (1998)の"Chapter 11:Properties of Finite Sets"(例えば、p.140に示されているように))、数学的に少なくとも1のカーディナリティを示す要素の空でない有限組織(すなわち、本明細書で定義される集合は、単位集合、一重集合、単一要素集合、または複数要素集合に対応することができる)に対応するか、またはそのように定義される。したがって、集合には少なくとも1つの要素が含まれる。一般に、集合の要素は、検討中の集合のタイプに応じて、システム、装置、デバイス、構造、オブジェクト、プロセス、手順、物理パラメータ、または値の1つまたは複数の部分を含むか、またはそれらであることができる。
【0108】
本明細書に含まれる図は、本開示に従った非限定的な代表的実施形態の態様を示すものであり、図に示される特定の構造要素は、縮尺どおり、または互いに対する縮尺が正確に示されていない場合がある。特定の図における特定の要素の描写、考察、または特定の要素番号の使用、または対応する説明資料におけるその参照は、別の図またはそれに関連する説明資料において特定される、同一、同等、類似、範疇的に類似、または類似の要素または要素番号を包含することができる。本明細書における図または文章中の「/」は、特に断りのない限り、「および/または」を意味するものとする。すなわち、「A/B」は「A」または「B」または「AおよびB」を意味すると理解される。本明細書における特定の数値または値域の記載は、例えば±20%、±15%、±10%、±5%、±2.5%、±2%、±1%、±0.5%、±0%の範囲内など、おおよその数値または値域の記載を含むか、またはそのような記載であると理解される。「本質的にすべて」または「実質的に」という用語は、50%、60%、70%、80%、または90%、例えば92.5%、95%、97.5%、99%、または100%以上の割合を示すことができる。
【0109】
本発明の範囲を逸脱することなく、当業者には多くの改良が明らかであろう。
【0110】
本願明細書における先行刊行物(またはそれから得られる情報)または公知事実の参照については、その先行刊行物(またはそれから得られる情報)または公知事実が本願明細書に関連する努力の分野における共通の一般的な知識を形成していることのいかなる自認、承認又は示唆ともみなされず、またみなされるべきではない。
【0111】
本願明細書および続く特許請求の範囲において、文脈上他を要求されない限り、用語「comprise」、および、「comprises」または「comprising」のようなその変形は、述べられた総体若しくはステップ又は総体若しくはステップのグループを包含することを示唆するが、他の総体若しくはステップまたは総体若しくはステップのグループを除外することを示唆するものではないと理解されるであろう。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】