(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】近視リスクを予測するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
G16H 50/30 20180101AFI20240829BHJP
【FI】
G16H50/30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513974
(86)(22)【出願日】2022-08-30
(85)【翻訳文提出日】2024-04-26
(86)【国際出願番号】 IB2022058132
(87)【国際公開番号】W WO2023031800
(87)【国際公開日】2023-03-09
(32)【優先日】2021-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510294139
【氏名又は名称】ジョンソン・アンド・ジョンソン・ビジョン・ケア・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Johnson & Johnson Vision Care, Inc.
【住所又は居所原語表記】7500 Centurion Parkway, Jacksonville, FL 32256, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ブレナン・ノエル
(72)【発明者】
【氏名】ブリモア・マーク
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA15
(57)【要約】
システム及び方法であって、インターフェースを介して、対象に関連付けられた人口統計情報及び行動情報を受信することと、所定の発生式に従って、人口統計情報及び行動情報を重み付けすることによって、対象の発生因子を決定することであって、所定の発生式及び重み付けが、ある集団に関連付けられた発生データから導出される、決定することと、所定の進行式に従って、人口統計情報及び行動情報を重み付けすることによって、対象の進行因子を決定することであって、所定の進行式及び重み付けが、ある集団に関連付けられた進行データから導出され、所定の進行式が、発生因子の関数である、決定することと、発生因子及び進行因子に基づいて、対象が近視を呈するリスクを示す近視リスク基準を予測し、計算することと、数値成分として近視リスク基準を出力することと、を含む、システム及び方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータ実装方法であって、
インターフェースを介して、対象の年齢、前記対象の性別、前記対象の民族性、及び前記対象の近視の親の数を示す人口統計情報を受信することと、
前記インターフェースを介して、前記対象が毎日屋外で過ごす時間及び前記対象が毎日精密作業をして過ごす時間を示す行動情報を受信することと、
所定の発生式に従って、前記人口統計情報及び前記行動情報を重み付けすることによって、前記対象の発生係数を決定することであって、前記所定の発生式及び重み付けが、ある集団に関連付けられた発生データから導出される、決定することと、
所定の進行式に従って、前記人口統計情報及び前記行動情報を重み付けすることによって、前記対象の進行係数を決定することであって、前記所定の進行式及び重み付けが、ある集団に関連付けられた進行データから導出され、前記所定の進行式が、前記発生係数の関数である、決定することと、
プロセッサによって、前記発生係数及び前記進行係数に基づいて、前記対象が近視を呈するリスクを示す近視リスク基準を予測し、計算することと、
定量的数値成分を含む前記近視リスク基準の出力を行うことと、を含む、コンピュータ実装方法。
【請求項2】
前記発生係数が、以下の
発生係数=BI×G×α×E×β
MP
の公式の関係に少なくとも基づき、
ここで、BIが、ベースライン発生係数であり、Gが、性別重み付け係数であり、Eが、民族性重み付け係数であり、MPが、前記対象の近視の親の数であり、α及びβが、証拠に基づく重み付け係数である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記発生係数が、以下の
発生係数=BI×(1+G×0.15)×E×1.6
MP-1
の式に少なくとも基づき、
ここで、BIが、ベースライン発生係数であり、Gが、性別重み付け係数であり、Eが、民族性重み付け係数であり、MPが、前記対象の近視の親の数である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
BIが0.04である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
Gが、女性については1であり、男性については0である、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
Eが、アジア人では2.5、ヒスパニックでは2、その他では1である、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記発生係数が、以下の
発生係数=BI×(1+G×0.15)×E×1.6
MP-1×0.5
OT-1×1.1
NT-1
の式に少なくとも基づき、
ここで、BIが、ベースライン発生係数であり、Gが、性別重み付け係数であり、Eが、民族性重み付け係数であり、MPが、前記対象の近視の親の数であり、OTが、前記対象が毎日屋外で過ごす時間(時間)であり、NTが、前記対象が毎日精密作業をして過ごす時間(時間)である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
BIが0.04である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
Gが、女性については1であり、男性については0である、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
Eが、アジア人では2.5、ヒスパニックでは2、その他では1である、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記進行係数が、前記対象が強度近視を呈する確率を示し、強度近視が、少なくとも-4D又は少なくとも-6Dのうちの1つである、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
アジア人の民族性を有する対象についての前記進行係数が、以下の
進行係数=発生係数×10
2.1-0.293×A×(0.9+0.1×MP
1.5)×(0.98+0.02×G)
の式に少なくとも基づき、
ここで、Aが、前記対象の年齢であり、Gが、性別重み付け係数であり、MPが、前記対象の近視の親の数である、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
Gが、女性については1であり、男性については0である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
非アジア人の民族性を有する対象についての前記進行係数が、以下の
進行係数=発生係数×10
1.37-0.293×A×(0.9+0.1×MP
1.5)×(0.98+0.02×G)
の式に少なくとも基づき、
ここで、Aが、前記対象の年齢であり、Gが、性別重み付け係数であり、MPが、前記対象の近視の親の数である、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
Gが、女性については1であり、男性については0である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記対象に関連付けられた屈折異常又は前記対象が近視ではないことを示す前記対象の眼の軸長のうちの1つ以上を示す診断情報を受信することを更に含み、前記発生係数又は前記進行係数のうちの1つ以上が、少なくとも前記診断情報に基づいて決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記リスク基準が、重症度基準を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記重症度基準が、近視の推定レベルを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記定量的数値成分が、パーセンテージである、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
請求項1に記載の方法を実装するように構成されたデバイス。
【請求項21】
請求項1に記載の方法を実装するように構成されたシステム。
【請求項22】
コンピュータ実装方法であって、
インターフェースを介して、対象の人口統計情報を受信することと、
前記インターフェースを介して、前記対象の行動情報を受信することと、
前記人口統計情報及び前記行動情報、又は第2の情報のうちの1つ以上に基づいて、所定の発生式に従って、前記人口統計情報及び前記行動情報を重み付けすることによって、前記対象の発生係数を決定することであって、前記所定の発生式及び重み付けが、ある集団に関連付けられた発生データから導出される、決定することと、
前記人口統計情報又は前記行動情報のうちの1つ以上に基づいて、所定の進行式に従って、前記人口統計情報及び前記行動情報を重み付けすることによって、前記対象の進行係数を決定することであって、前記所定の進行式及び重み付けが、ある集団に関連付けられた進行データから導出され、前記所定の進行式が、前記発生係数の関数である、決定することと、
プロセッサによって、前記発生係数及び前記進行係数に基づいて、前記対象が近視を呈するリスクを示す近視リスク基準、又は近視のレベルを示す重症度基準のうちの1つ以上を予測し、計算することと、
前記近視リスク基準又は前記重症度基準のうちの前記1つ以上の出力を行うことであって、前記近視リスク基準及び前記重症度基準の各々が、定量的数値成分を含む、出力を行うことと、を含む、コンピュータ実装方法。
【請求項23】
第1の情報が、前記対象の年齢を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
第1の情報が、前記対象の性別を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
第1の情報が、前記対象の民族性を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
第1の情報が、前記対象の近視の親の数を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項27】
前記第2の情報が、前記対象が毎日屋外で過ごす時間を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項28】
前記第2の情報が、前記対象が毎日精密作業をして過ごす時間を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項29】
前記インターフェースを介して、前記対象に関連付けられた屈折異常又は前記対象の眼の軸長のうちの1つ以上を示す測定可能な診断情報を受信することを更に含み、前記対象が近視を呈するリスクを示す近視リスク基準を予測し、計算することが、第3の情報に少なくとも基づく、請求項22に記載の方法。
【請求項30】
前記発生係数が、以下の
発生係数=BI×G×α×E×β
MP
の公式の関係に少なくとも基づき、
ここで、BIが、ベースライン発生係数であり、Gが、性別重み付け係数であり、Eが、民族性重み付け係数であり、MPが、前記対象の近視の親の数であり、α及びβが、証拠に基づく重み付け係数である、請求項22に記載の方法。
【請求項31】
前記発生係数が、以下の
発生係数=BI×(1+G×0.15)×E×1.6
MP-1
の式に少なくとも基づき、
ここで、BIが、ベースライン発生係数であり、Gが、性別重み付け係数であり、Eが、民族性重み付け係数であり、MPが、前記対象の近視の親の数である、請求項22に記載の方法。
【請求項32】
BIが0.04である、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
Gが、女性については1であり、男性については0である、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
Eが、アジア人では2.5、ヒスパニックでは2、その他では1である、請求項31に記載の方法。
【請求項35】
前記発生係数が、以下の
発生係数=BI×(1+G×0.15)×E×1.6
MP-1×0.5
OT-1×1.1
NT-1
の式に少なくとも基づき、
ここで、BIが、ベースライン発生係数であり、Gが、性別重み付け係数であり、Eが、民族性重み付け係数であり、MPが、前記対象の近視の親の数であり、OTが、前記対象が毎日屋外で過ごす時間(時間)であり、NTが、前記対象が毎日精密作業をして過ごす時間(時間)である、請求項22に記載の方法。
【請求項36】
BIが0.04である、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
Gが、女性については1であり、男性については0である、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
Eが、アジア人では2.5、ヒスパニックでは2、その他では1である、請求項35に記載の方法。
【請求項39】
前記進行係数が、前記対象の18歳の年齢までに前記対象が強度近視(少なくとも-6D)を呈する確率を示す、請求項22に記載の方法。
【請求項40】
アジア人の民族性を有する対象についての前記進行係数が、以下の
進行係数=発生係数×10
2.1-0.293×A×(0.9+0.1×MP
1.5)×(0.98+0.02×G)
の式に少なくとも基づき、
ここで、Aが、前記対象の年齢であり、Gが、性別重み付け係数であり、MPが、前記対象の近視の親の数である、請求項22に記載の方法。
【請求項41】
Gが、女性については1であり、男性については0である、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
非アジア人の民族性を有する対象についての前記進行係数が、以下の
進行係数=発生係数×10
1.37-0.293×A×(0.9+0.1×MP
1.5)×(0.98+0.02×G)
の式に少なくとも基づき、
ここで、Aが、前記対象の年齢であり、Gが、性別重み付け係数であり、MPが、前記対象の近視の親の数である、請求項22に記載の方法。
【請求項43】
Gが、女性については1であり、男性については0である、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記近視重症度基準が、近視の推定レベルを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項45】
前記リスク基準が、重症度基準を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項46】
前記近視重症度基準が、近視の推定レベルを含む、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記定量的数値成分が、パーセンテージである、請求項22に記載の方法。
【請求項48】
請求項22に記載の方法を実装するように構成されたデバイス。
【請求項49】
請求項22に記載の方法を実装するように構成されたシステム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
視力低下に至る一般的な状態としては、近視及び遠視が挙げられ、近視及び遠視については、眼鏡、又はハード若しくはソフトコンタクトレンズの形態の矯正レンズが処方される。これらの状態は、一般的に、眼の長さと眼の光学構成要素の焦点との間の不均衡であると説明される。近視眼は、網膜平面の前で焦点を結び、遠視眼は、網膜平面の後で焦点を結ぶ。近視は、典型的には、眼の軸長が、眼の光学構成要素の焦点距離よりも長くなるため、即ち、眼が長くなりすぎるゆえに発症する。遠視は、典型的には、眼の軸長が、眼の光学構成要素の焦点距離と比較して短すぎるため、即ち、眼が、十分な長さにならないために発症する。
【0002】
近視は、世界の多くの地域で高い有病率を有する。この状態に関して最も懸念されるのが、例えば、5又は6ジオプターを超える高度近視への進行の可能性であり、高度近視は、視覚補助具なしで機能する能力に劇的に影響を与える。また、高度近視は、網膜疾患、白内障、緑内障、及び近視性黄斑変性(myopic macular degeneration、MMD;近視性網膜症としても知られている)のリスク増加と関連があり、世界中で永続的な失明の主な原因となり得る。例えば、MMDは、病理学的近視と生理学的近視との間に明確な区別がない状態にする程度まで、かつ近視の「安全」レベルが存在しないような屈折異常(refractive error、RE)に関連している。
【0003】
矯正レンズは、それぞれ、近視を矯正するために網膜面の前から、又は遠視を矯正するために網膜面の後ろから焦点を移すことによって、よりはっきりした像を網膜面に描くように眼の総焦点(gross focus)を変えるために使用される。しかしながら、上記状態の矯正アプローチは、上記状態の原因に対応するのではなく、単に補綴であり、つまり、症状に対応することを目的とする。
【0004】
近視のリスクに関する一般的なガイダンスを提供するために、いくつかのアプリケーション及びウェブサイトが開発されている。例えば、https://www.mykidsvision.org/en-USは、アンケート及び一般的なカテゴリフィードバック(例えば、低リスク、中リスク、高リスク)を提供する。別の例として、https://coopervision.com/eye-health-and-vision/childhood-short-sightedness/assessment-toolはまた、アンケート及び一般的なカテゴリフィードバック(例えば、低リスク、中リスク、高リスク)を提供する。更なる例として、Myappia(https://play.google.com/store/apps/details?id=com.myappia.myappia&hl=es_EC)は、経時的な近視又は近眼の予想される進行を視覚化するためのソフトウェアツールである。Myappiaは、患者の年齢及び初期処方の入力を可能にし、次いで、いくつかの縦断的研究に基づいて、標準的な眼鏡及びコンタクトレンズなどの比較治療曲線に基づいて、並びに二焦点眼鏡、累進多焦点、「フラットオプティカルプロファイル(flat optical profile)」コンタクトレンズ、低用量アトロピン、二焦点コンタクトレンズ、角膜矯正術及びカスタム近眼制御コンタクトレンズのあなたの選択を用いて、その後の10年にわたる起こり得る近視の進行を計算する。利用可能な研究の平均からの各治療選択に関連する特定の仮定が存在し、これらの減少率は、予測された進行曲線を修正するために使用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特に、現在提供されているより一般的な定性的予測出力とは対照的に、例えばパーセンテージなどの将来の近視リスクのより正確な定量的指標に関して、従来技術のツールを超える改善が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
システム及びコンピュータ実装システムであって、インターフェースを介して、対象の年齢、対象の性別、対象の民族性、及び対象の近視の親の数を示す人口統計情報を受信する工程と、インターフェースを介して、対象が毎日屋外で過ごす時間及び対象が毎日精密作業をして過ごす時間を示す行動情報を受信する工程と、所定の発生式に従って、人口統計情報及び行動情報を重み付けすることによって、対象の発生因子を決定する工程であって、所定の発生式及び重み付けが、ある集団に関連付けられた発生データから導出される、決定する工程と、所定の進行式に従って、人口統計情報及び行動情報を重み付けすることによって、対象の進行因子を決定する工程であって、所定の進行式及び重み付けが、ある集団に関連付けられた進行データから導出され、所定の進行式が、発生因子の関数である、決定する工程と、プロセッサによって、発生因子及び進行因子に基づいて、対象が近視を呈するリスクを示す近視リスク基準を予測し、計算する工程と、定量的数値成分(パーセンテージであってもよい)を含む近視リスク基準を出力させる工程と、を含む、システム及びコンピュータ実装システムが提供される。
【0007】
一実施形態によれば、発生因子は、発生因子=BI×G×α×E×βMPの公式の関係に少なくとも基づき、ここで、BIが、ベースライン発生因子であり、Gが、性別重み付け因子であり、Eが、民族性重み付け因子であり、MPが、対象の近視の親の数であり、α及びβが、証拠に基づく重み付け因子である。
【0008】
別の実施形態によれば、発生因子は、発生因子=BI×(1+G×0.15)×E×1.6MP-1の公式の関係に少なくとも基づき、ここで、BIが、ベースライン発生因子であり、Gが、性別重み付け因子であり、Eが、民族性重み付け因子であり、MPが、対象の近視の親の数である。
【0009】
様々な実施形態によれば、BIは、0.04であってもよく、Gは、女性については1であり、男性については0であってもよく、及び/又はEは、アジア人では2.5、ヒスパニックでは2、その他では1であってもよい。
【0010】
なお別の実施形態では、発生因子は、以下の式:発生因子=BI×(1+G×0.15)×E×1.6MP-1×0.5OT-1×1.1NT-1に少なくとも基づき、ここで、BIが、ベースライン発生因子であり、Gが、性別重み付け因子であり、Eが、民族性重み付け因子であり、MPが、対象の近視の親の数であり、OTが、対象が毎日屋外で過ごす時間(時間)であり、NTが、対象が毎日精密作業をして過ごす時間(時間)である。
【0011】
BIは、0.04であってもよく、Gは、女性については1であり、男性については0であってもよく、及び/又はEは、アジア人では2.5、ヒスパニックでは2、その他では1であってもよい。
【0012】
一実施形態では、進行因子は、対象が強度近視を呈する確率を示し、強度近視は、少なくとも-4Dである。
【0013】
別の実施形態では、アジア人の民族性を有する対象の進行因子は、以下の式:進行因子=発生因子×102.1-0.293×A×(0.9+0.1×MP1.5)×(0.98+0.02×G)に少なくとも基づき、ここで、Aが、対象の年齢であり、Gが、性別重み付け因子であり、MPが、対象の近視の親の数である。Gは、女性については1であり、男性については0であってもよい。
【0014】
更に別の実施形態では、非アジア人の民族性を有する対象の進行因子は、以下の式:進行因子=発生因子×101.37-0.293×A×(0.9+0.1×MP1.5)×(0.98+0.02×G)に少なくとも基づき、ここで、Aが、対象の年齢であり、Gが、性別重み付け因子であり、MPが、対象の近視の親の数である。Gは、女性については1であり、男性については0であってもよい。
【0015】
別の実施形態によれば、本方法は、対象に関連付けられた屈折異常又は対象が近視ではないことを示す対象の眼の軸長のうちの1つ以上を示す診断情報を受信することを更に含み、発生因子又は進行因子のうちの1つ以上が、少なくとも診断情報に基づいて決定される。
【0016】
様々な実施形態によれば、リスク基準は、重症度基準であってもよく、重症度基準は、近視の推定レベルであってもよい。
【0017】
デバイス及びシステムは、本方法を実装するように構成され得る。
【0018】
また、コンピュータ実装方法であって、インターフェースを介して、対象の人口統計情報及び行動情報を受信する工程と、この情報に基づいて、所定の発生式に従って、人口統計情報及び行動情報を重み付けすることによって、対象の発生因子を決定する工程であって、所定の発生式及び重み付けが、ある集団に関連付けられた発生データから導出される、決定する工程と、人口統計情報又は行動情報のうちの1つ以上に基づいて、所定の進行式に従って、人口統計情報及び行動情報を重み付けすることによって、対象の進行因子を決定する工程であって、所定の進行式及び重み付けが、ある集団に関連付けられた進行データから導出され、所定の進行式が、発生因子の関数である、決定する工程と、プロセッサによって、発生因子及び進行因子に基づいて、対象が近視を呈するリスクを示す近視リスク基準、又は近視のレベルを示す重症度基準のうちの1つ以上を予測し、計算する工程と、近視リスク基準又は重症度基準のうちの1つ以上の出力を行う工程であって、近視リスク基準及び重症度基準の各々が、定量的数値成分(パーセンテージであってもよい)を含む、出力を行う工程と、を含む、方法が提供される。
【0019】
人口統計情報は、対象の年齢、対象の性別、対象の民族性、及び/又は対象の近視の親の数を示す人口統計情報であってもよい。
【0020】
行動情報は、対象が毎日屋外で過ごす時間及び/又は対象が毎日精密作業をして過ごす時間であってもよい。
【0021】
別の実施形態によれば、本方法は、インターフェースを介して、対象に関連付けられた屈折異常又は対象の眼の軸長のうちの1つ以上を示す測定可能な診断情報を受信する工程を更に含み、予測し、計算する工程が、測定可能な診断情報に少なくとも部分的に基づく。
【0022】
発生因子は、発生因子=BI×G×α×E×βMPの公式の関係に少なくとも基づいていてもよく、ここで、BIが、ベースライン発生因子であり、Gが、性別重み付け因子であり、Eが、民族性重み付け因子であり、MPが、対象の近視の親の数であり、α及びβが、証拠に基づく重み付け因子である。
【0023】
あるいは、発生因子は、以下の式:発生因子=BI×(1+G×0.15)×E×1.6MP-1に少なくとも基づいていてもよく、ここで、BIが、ベースライン発生因子であり、Gが、性別重み付け因子であり、Eが、民族性重み付け因子であり、MPが、対象の近視の親の数である。
【0024】
BIは、0.04であってもよく、Gは、女性については1であり、男性については0であってもよく、及び/又はEは、アジア人では2.5、ヒスパニックでは2、その他では1であってもよい。
【0025】
なお別の代替的な実施形態では、発生因子は、以下の式:発生因子=BI×(1+G×0.15)×E×1.6MP-1×0.5OT-1×1.1NT-1に少なくとも基づいていてもよく、ここで、BIが、ベースライン発生因子であり、Gが、性別重み付け因子であり、Eが、民族性重み付け因子であり、MPが、対象の近視の親の数であり、OTが、対象が毎日屋外で過ごす時間(時間)であり、NTが、対象が毎日精密作業をして過ごす時間(時間)である。
【0026】
BIは、0.04であってもよく、Gは、女性については1であり、男性については0であってもよく、及び/又はEは、アジア人では2.5、ヒスパニックでは2、その他では0であってもよい。
【0027】
進行因子は、対象の18歳の年齢までに対象が強度近視(少なくとも-5D)を呈する確率を示してもよい。
【0028】
一実施形態では、アジア人の民族性を有する対象の進行因子は、以下の式:進行因子=発生因子×102.1-0.293×A×(0.9+0.1×MP1.5)×(0.98+0.02×G)に少なくとも基づき、ここで、Aが、対象の年齢であり、Gが、性別重み付け因子であり、MPが、対象の近視の親の数である。Gは、女性については1であり、男性については0であってもよい。
【0029】
別の実施形態では、非アジア人の民族性を有する対象の進行因子は、以下の式:進行因子=発生因子×101.37-0.293×A×(0.9+0.1×MP1.5)×(0.98+0.02×G)に少なくとも基づき、ここで、Aが、対象の年齢であり、Gが、性別重み付け因子であり、MPが、対象の近視の親の数である。Gは、女性については1であり、男性については0であってもよい。
【0030】
近視重症度基準は、近視の推定レベルであってもよい。
【0031】
リスク基準は、重症度基準であってもよく、近視重症度基準は、近視の推定レベルであってもよい。
【0032】
本明細書では、本明細書で説明される方法を実装するように構成されたデバイス及び/又はシステムも提供される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
以下の図面は、例として、ただし限定としてではなく、本開示で検討される様々な実施例を一般的に示したものである。図面のうち:
【
図1】個人の近視リスクを評価するためのコンピュータ実装システムを示す。
【
図2】一実施形態による近視リスクを評価する方法を示す。
【
図3】本発明の少なくとも1つの実施形態を実施するための代表的なハードウェア環境を示す。
【
図4】近視が観察された最も若い年齢に関する従来技術の例示的なデータを示す。
【
図5】毛様体筋麻痺を伴わない屈折に基づく、小学生及び中学生コホートにおける近視及び強度近視の年間発生率の従来技術の例示的データを示す。
【
図6】発生率が年齢と共に比較的一定であることを示す、近視の年齢特異的発生率の従来技術の例示的なプロットを示す。
【
図7】他の変数について調整されたAUCモデルからの全ての有意な変数の包含の結果を示す、従来技術のロジスティックモデルを示す。
【
図9】近視の発症についてモデル化されたハザード比に関する従来技術のデータを示す。
【
図10】屋外での活動に関する従来技術のデータプロットを示す。
【
図11】屋外での活動及び精密作業に関する従来技術のデータプロットを示す。
【
図12】リスク群の関数として、近視の親がいない、1人、及び2人の生存確率曲線を示す。
【
図13】近視発生率のハザード比(hazard ratio、HR)を示す。
【
図14】従来技術の研究において提示されたデータの抜粋を示す。
【
図15】ベースラインの屈折異常と近視の発生率との関係を示すデータを示す。
【
図16】近視発症時の性別及び年齢によって層別化された、成人における強度近視のリスクに関する先行技術のデータを示す。
【
図17A】年齢の関数として強度近視を発症するリスクを示す従来技術のデータを示す。
【
図17B】年齢の関数として強度近視を発症するリスクを示す従来技術のデータを示す。
【
図17C】年齢の関数として強度近視を発症するリスクを示す従来技術のデータを示す。
【
図18】アジア人及びヨーロッパ人の近視者における発症年齢の関数としての強度近視のリスクの比較を示す。
【
図19】ヨーロッパ人の近視者における発症年齢の関数としての25歳及び18歳での強度近視のリスクの比較を示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
近視リスクを評価するための、コンピュータ実装方法などのシステム及び方法が本明細書に開示される。本開示のシステム及び方法は、「低」、「中」、及び「高」などのいくつかの大きな一般的カテゴリのリスクとは対照的に、数値である出力としての定量的近視リスク基準を提供する。近視リスク基準は、対象の固定因子、行動因子、及び任意選択的に測定可能な診断因子に基づいており、これらの因子は、以下で更に詳細に説明するように、母集団データを活用する独自の方法で評価される。測定可能な診断因子は、本システム及び方法が、異なる設定及び異なる標的ユーザに適用可能性を有し、有用であるため、任意選択的であると考えられる。第1の設定は、診断測定値が利用可能でない、及び/又は以前に得られていないときに、親が子供の近視リスク評価を獲得することに関心がある自宅設定であってもよい。第2の設定は、診断測定値を得ることができるか、又は過去の測定値を容易にアクセスできるように記憶若しくは保持することができる、眼科医の診療所などであり得る。
【0035】
本発明のシステム及び方法は、本明細書において、まず、入力データとして提供され得る様々な対象固有の情報と共に実装され得るコンピューティングシステムに関して一般的に説明され、その後、活用される集団データと、その集団データに適用されてその対象の近視リスクを示す定量的な数値を生成する式及び重み付けとに関して説明される。
【0036】
上述したように、本明細書に記載のシステム及び方法は、対象に固有の情報を入力として提供することができるコンピュータシステム上で実装することができる。対象によって提供される入力は、人口統計情報又は固定変数入力情報、行動入力情報、及び任意選択的に測定可能な診断入力情報を含む。人口統計情報又は固定変数情報は、年齢、性別、民族性、及び対象の近視の親の数など、集団にわたって変動し得るが、所与の個人に対して固定されている因子を指す。行動変数情報は、所与の対象に対して固定されているのではなく、必要に応じて修正される。そのような行動情報は、対象が毎日屋外で過ごす時間及び対象が毎日精密作業をして過ごす時間を含んでもよい。測定可能な診断情報は、特定の対象の測定可能な特性であり、対象に関連する屈折異常又は対象の眼の軸長を含んでもよい。
【0037】
人口統計情報、行動情報、及び任意選択的な測定可能な診断情報は、より正確な近視リスク基準を計算するために、集団データと合わせて使用することができる。以下で更に説明するように、発生因子は、所定の発生式に従って、対象によって入力された人口統計情報、行動情報及び任意選択的な測定可能な診断情報を重み付けすることによって、対象について決定され、重み付け及び所定の発生式が、ある集団に関連付けられた発生データから導出される。対象の進行因子もまた、人口統計情報、行動情報及び任意選択的な測定可能な診断情報から決定され、重み付け及び所定の進行式が、ある集団に関連付けられた進行データから導出され、進行式が、発生因子の関数である。次に、発生因子及び進行因子を使用して、数値などの定量的近視リスク基準を生成する。近視リスク基準は、予測される近視重症度のレベル(例えば、-2D、-4D、-6D、-7D、-8Dなど)を示し得る重症度基準を含み得る。
【0038】
図1は、近視リスク(例えば、近視発生率、近視進行など)を予測するための例示的なコンピュータ実装システム100を示し、入力データを受信するために、上述の方法工程のうちの1つ以上などのデータ分析を行うために、また、データを出力するために、パーソナルコンピュータ、ラップトップ、タブレット、スマートデバイス、スマートフォン、サーバ、又は任意の他の同様のコンピューティングデバイス(又はそれらの組み合わせ)など、任意の周知のタイプのコンピューティングデバイスを含んでいてもよい。入力データ及び出力データは少なくとも1つのデータベース130に記憶又は保存され得る。入力及び/又は出力データは、コンピュータ100にインストールされたソフトウェアアプリケーション170(例えばアイケア医(Eye Care Practitioner、ECP)の診療所内のコンピュータ、又は個人若しくは対象の自宅で)によって、スマートデバイス121にダウンロード可能なソフトウェアアプリケーション(アプリ)によって、又はネットワーク99を介して、コンピュータによってアクセス可能なセキュアウェブサイト125若しくはウェブリンクによって、アクセスされ得る。入力及び/又は出力データは、コンピュータ又はスマートデバイスのグラフィックユーザインターフェース上に表示され得る。
【0039】
特に、コンピューティングシステム100は、1つ以上のハードウェアプロセッサ152A、152B、例えば、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラム命令を記憶するためのメモリ154、ネットワークインターフェース156、ディスプレイデバイス158、入力デバイス159、及び他の任意のコンピューティングデバイスに共通の機能を含む。コンピューティングシステム100は、パブリック又はプライベート通信ネットワーク99を介してウェブサイト125又はウェブ若しくはクラウドベースのサーバ120と通信するように構成されていてもよい。更に、システム100の一部として示されるように、臨床医の測定値から取り込まれた、個人の屈折変化に関し、関連する近視制御治療を含む病歴データは、取り付けられた又はリモートのメモリ記憶デバイス、例えば、データベース130内に、取得され、記憶される。
【0040】
図1に示された実施形態では、プロセッサ152A、152Bとして、例えば、マイクロコントローラ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array、FPGA)、又は他の操作を実施するように構成された任意のプロセッサを挙げることができ、以下に記載するような命令を実行するように構成され得る。これらの命令は、例えば、メモリ記憶デバイス154内にプログラムされたモジュールとして記憶され得る。
【0041】
メモリ154として、例えば、ランダムアクセスメモリ(random access memory、RAM)及び/若しくはキャッシュメモリ又はその他のものなど揮発性メモリ、又は他のリムーバブル/非リムーバブル、揮発性/非揮発性記憶媒体の形態の非一時的コンピュータ読み取り可能媒体を挙げることができる。非限定的な例としてのみ、メモリ154としては、ポータブルコンピュータディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(read-only memory、ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリーメモリ(erasable programmable read-only memory、EPROM、若しくはフラッシュメモリ)、ポータブルコンパクトディスクリードオンリーメモリ(portable compact disc read-only memory、CD-ROM)、光学記憶デバイス、磁気記憶デバイス、又はこれらの任意の好適な組み合わせを挙げることができる。
【0042】
ネットワークインターフェース156は、ウェブサイトサーバ120との間で、例えば、有線又は無線接続を介して、データ又は情報を送受信するように構成されている。例えば、ネットワークインターフェース156は、Bluetooth(登録商標)、WIFI(例えば、802.11a/b/g/n)、セルラーネットワーク(例えば、CDMA、GSM、M2M、及び3G/4G/4G LTE)、近距離無線通信システム、衛星通信、ローカルエリアネットワーク(local area network、LAN)経由、ワイドエリアネットワーク(wide area network、WAN)経由、又はコンピューティングデバイス100がサーバ120に情報を送信する若しくはそのサーバから情報を受信するのを可能にする他の任意の通信形態などの、無線技術及び通信プロトコルを利用し得る。
【0043】
ディスプレイ158として、例えば、コンピュータモニタ、テレビ、多機能テレビ、例えば、ラップトップ、スマートフォン、スマートウォッチ、仮想現実ヘッドセット、スマートウェアラブルデバイスなどのパーソナルコンピューティングデバイスに組み込まれたディスプレイ画面、又はユーザ情報を表示する他の任意の機構を挙げることができる。いくつかの態様では、ディスプレイ158として、液晶ディスプレイ(liquid crystal display、LCD)、電子ペーパー/電子インクディスプレイ、有機LED(organic LED、OLED)ディスプレイ、又はその他の同様のディスプレイ技術を挙げることができ、タッチセンサ式であってもよく、入力デバイスとしても機能してもよい。
【0044】
入力デバイス159として、例えば、キーボード、マウス、タッチセンサ式ディスプレイ、キーパッド、マイクロフォン、又はコンピュータシステム100と相互作用する能力をユーザにもたらすように、単独で若しくは一緒に使用され得るその他の同様の入力デバイス若しくはその他の任意の入力デバイスを挙げることができる。
【0045】
近視リスク基準を計算するためのコンピュータシステム100の能力に関して、システム100は、現在の個人の過去の屈折変化/異常に関するデータ、例えば、一定期間(例えば、過去1年間)にわたって臨床医から受信したデータを任意選択的に含み得るデータを記憶するように構成されたメモリ160を含む。一実施形態では、このデータは、ローカルメモリ160(即ち、コンピュータ又はモバイルデバイスシステム100に固有である)に記憶されてもよく、又は別の方法でリモートサーバ120からネットワークを介して検索されてもよい。現在の個人の過去の屈折変化に関するデータは、システム100のローカル接続されたメモリ記憶デバイス160に対する入力のためにリモートネットワーク接続を介してアクセスされ得る。
【0046】
一実施形態では、コンピューティングシステム100は、近視リスクを予測する(近視リスク基準、例えば、数値成分を含む近視リスク基準を計算する)能力をシステムに提供するために、プロセッサ152A、152Bを介して実行され得る、デバイスメモリ154に記憶されたプログラムされた処理モジュールを採用する技術プラットフォームを提供する。
【0047】
一実施形態では、メモリ154に記憶されたプログラムモジュールは、オペレーティングシステムソフトウェア170、及び様々なソフトウェアモジュールがどのように相互作用するか、近視リスクの予測を行うために使用される操作を制御するために使用されるウェブサイトなどを指定するためのAPI(アプリケーションプログラミングインターフェース)などの関連する機構を含み得る本発明の方法を実行するためのソフトウェアアプリケーションモジュール175を含み得る。デバイスメモリ154に記憶された1つのプログラムモジュール180は、現在の個人の過去の期間、例えば1年間における屈折変化を表している値(「RECIPY」)を決定する「RECIPY」カリキュレータ190を含んでもよい。個人のこのRECIPY屈折率の変化値から、デバイスメモリ154に記憶された更なるプログラムモジュール190は、様々なデータ及びその個人の軸長値の変化(「ΔAL」)を予測するためにプロセッサによって実行されるアルゴリズムの処理命令を提供するプログラムコードを含んでもよい。その個人の軸長の予測された変化(「ΔAL」)値に基づいて、更なるモジュール195を呼び出して、臨床医、個人、又は任意のユーザに、数値成分を含む近視リスク基準などの近視リスク基準を出力することができる。
【0048】
図2は、
図1のシステム100を介して実装され得る一実施形態による近視リスクを評価するために使用される方法を示す。200において、第1の情報は、インターフェース(即ち、
図3の22、17又は24)を介して受信され得る。第1の情報は、例えば、対象の年齢、対象の性別、対象の民族性、及び対象の近視の親の数を示す固定情報又は人口統計情報(本明細書では互換的に使用される)であってもよい。
【0049】
202において、第2の情報は、インターフェースを介して受信され得る。第2の情報は、対象が毎日屋外で過ごす時間及び対象が毎日精密作業をして過ごす時間などの行動情報を含み得る。
【0050】
204において、任意選択的に、第3の情報は、インターフェースを介して受信され得る。第3の情報は、対象に関連する屈折異常、又は対象の眼の軸長などの測定可能な診断情報を含み得る。
【0051】
206において、所定の発生式に従って、工程200、202、及び任意選択的に204で受信された情報を重み付けすることによって、対象の発生因子を決定する。所定の発生式及び重み付けは、ある集団に関連付けられた進行データから導出される。
【0052】
一例では、発生因子は、以下の発生式:発生因子=BI×(1+G×0.15)×E×1.6MP-1に少なくとも基づいており、ここで、BIが、ベースライン発生因子であり、Gが、性別重み付け因子であり、Eが、民族性重み付け因子であり、MPが、対象の近視の親の数である。BIは、0.04であってもよい。Gは、女性については1であり、男性については0であってもよい。Eは、アジア人では2.5、ヒスパニックでは2、その他では1であってもよい。他の重み(値)が導出され、使用されてもよい。
【0053】
別の例では、発生因子は、以下の発生式:発生因子=BI×(1+G×0.15)×E×1.6MP-1×0.5OT-1×1.1NT-1に少なくとも基づき、ここで、BIが、ベースライン発生因子であり、Gが、性別重み付け因子であり、Eが、民族性重み付け因子であり、MPが、対象の近視の親の数であり、OTが、対象が毎日屋外で過ごす時間(時間)であり、NTが、対象が毎日精密作業をして過ごす時間(時間)である。BIは、0.04であってもよい。Gは、女性については1であり、男性については0であってもよい。Eは、アジア人では2.5、ヒスパニックでは2、その他では1であってもよい。他の重み(値)が導出され、使用されてもよい。
【0054】
208において、所定の進行式並びに工程200、202及び任意選択的に204で受信された情報に従って重み付けすることによって、対象の進行因子を決定する。進行因子は、対象の18歳の年齢までに対象が強度近視(少なくとも-5D)を呈する確率を示してもよい。
【0055】
アジア人の民族性を有する対象の進行因子は、以下の式:進行因子=発生因子×102.1--0.293×A×(0.9+0.1×MP1.5)×(0.98+0.02×G)に少なくとも基づいていてもよく、ここで、Aが、対象の年齢であり、Gが、性別重み付け因子であり、MPが、対象の近視の親の数である。Gは、女性については1であり、男性については0であってもよい。他の重み(値)が導出され、使用されてもよい。
【0056】
非アジア人の民族性を有する対象の進行因子は、以下の式:進行因子=発生因子×101.37-0.293×A×(0.9+0.1×MP1.5)×(0.98+0.02×G)に少なくとも基づいていてもよく、ここで、Aが、対象の年齢であり、Gが、性別重み付け因子であり、MPが、対象の近視の親の数である。Gは、女性については1であり、男性については0であってもよい。他の重み(値)が導出され、使用されてもよい。
【0057】
210において、対象が近視を呈するリスクを示す近視リスク基準が、プロセッサによって、発生因子及び進行因子に基づいて予測され、計算される。
【0058】
212において、数値成分としての近視リスク基準が出力として提供される。
【0059】
デバイス及び/又はシステムは、
図2に示される方法を実装するように構成され得る。
【0060】
次いで
図3を参照すると、本発明の少なくとも1つの実施形態を実施するための代表的なハードウェア環境が示されている。この概略図は、本発明の少なくとも1つの実施形態による情報処理/コンピュータシステムのハードウェア構成を示している。システムは、少なくとも1つのプロセッサ又中央処理ユニット(central processing unit、CPU)10を備えている。CPU10は、ランダムアクセスメモリ(RAM)14、リードオンリーメモリ(ROM)16、及び入力/出力(I/O)アダプタ18などの様々なデバイスにシステムバス12により相互接続されている。I/Oアダプタ18は、ディスクユニット11及びテープドライブ13、又はシステムによって可読である他のプログラム記憶デバイスなどの周辺デバイスに接続することができる。システムはプログラム記憶デバイス上の本発明による命令を読み取り、これらの命令に従って本発明の少なくとも1つの方法論を実行することができる。システムは更に、キーボード15、マウス17、スピーカ24、マイクロフォン22、及び/又はタッチスクリーンデバイス(図示せず)などの他のユーザインターフェースデバイスをバス12に接続してユーザ入力を収集するユーザインターフェースアダプタ19を含んでいる。加えて、通信アダプタ20はバス12をデータ処理ネットワーク25に接続し、ディスプレイアダプタ21はバス12を、例えばモニタ、プリンタ、又は送信機などの出力デバイスとして具現化し得るディスプレイデバイス23に接続する。
【0061】
集団データ
上述のシステム及び方法では、リスクモデルの1つの構成要素は、以下で更に詳細に説明する集団データの統合である。本開示は、より正確な定性的近視リスク基準を提供するために、そのような集団データを活用するモデルを提供する。
【0062】
固定変数
前述のように、固定変数は、ある集団にわたって変動し得るが、所与の対象に対して固定されている変数である。本開示の1つ以上のモデル(例えば、式)は、18歳未満の子供などの対象における近視の発生率及び/又は進行に影響を及ぼし得る固定変数に基づいていてもよい。そのような固定リスク係数は、年齢、民族性、及び近視の親の数を含み得る。
【0063】
年齢
本開示のモデルは、年齢の関数としての近視の年間発生率のベースライン推定値に基づいてもよい。例示的な例として、良好なサイズの集団及び民族多様性を含む米国ベースの研究である、Collaborative Longitudinal Evaluation of Ethnicity and Refractive Error(CLEERE)研究からのデータ。
【0064】
1989年から2009年の間に、合計4927人の5歳から16歳の小児が、CLEERE研究に参加した。試料の合計61.1%が、最後の試験来院時に少なくとも13歳であった。近視ではなかった、この研究に参加した4,927名の小児のうちの4,290名の中で、1,006名(22%)が、少なくとも-0.50Dの等価球面度数に基づき、近視になった。
図4は、近視が観察された最も若い年齢に関する従来技術の例示的なデータを示す。約15%の症例が、毎年9~13歳の間に生じる。データを使用して、4,290名の対象に基づき、近視の年間発生率を計算した。発生率は、9~13歳の間に約3.5~4%である。この範囲外のデータは、研究開始時の平均年齢が8.5歳であり、研究終了時の平均年齢が12.6歳であったため、注意して取り扱うべきである。更に、637名の小児が、研究開始時に少なくとも-0.50Dの近視であり、このことは、1年当たり約150名の小児が、6歳~8歳の間に近視になる可能性があることを示唆している。
【0065】
表1は、年齢に基づく発生率を示す。
【0066】
【0067】
全体的な印象は、毎年かなり一定数の小児が近視になり、この数は4%に近いということである。
【0068】
近視発症の年齢依存性は、アジアからの研究によって知ることができる。Singapore Cohort Study of the Risk Factors for Myopia(SCORM)では、7~9歳の981名の小児を3年間にわたって追跡調査した。これらのうち、ベースライン時に近視でなかった569名は、3年間の追跡調査データを有していた。3年累積発生率は、7歳では47.7%(95%CI:42.2~53.3)、8歳では38.4%(95%CI:31.4~45.4)、9歳では32.4%(95%CI:21.8-43.1)であった。差は有意ではなかった(p=0.057)。
【0069】
広州(中国)のより大きなコホート研究には、第1学年(平均年齢=7.3歳)又は第7学年(平均年齢=13.2歳)のいずれかの4741人の小児が登録された。より若い小学生コホートを5年間追跡調査し、より年齢が上の中学生コホートを追跡調査した。
図5は、毛様体筋麻痺を伴わない屈折に基づく、小学生及び中学生コホートにおける近視及び強度近視の年間発生率の従来技術の例示的データを示す。研究開始時に、より若いコホートのうちの1607名は、近視ではなかった。5年後に、1,172名(72.9%)が近視を発症した。近視の発生率は、両方のコホートを通して毎年20%~30%であった。これらの発生率推定値は、前年から残っている非近視に基づいているため、発生率は年齢と共に減少し、第1列の分子を観察することに留意されたい。
【0070】
5~15歳のインドの学生10,000名のコホートを募集し、1年後に再検査した。追跡調査を完了した9616名の小児(97.3%)のうち、近視の発生率は3.4%であった。
図6は、発生率が年齢と共に比較的一定であることを示す、近視の年齢特異的発生率の従来技術の例示的なプロットを示す。
【0071】
The Sydney Adolescent Vascular and Eye Studyは、6.7歳の平均年齢で最初の検査の6年後に863名の小児を検査した。1,196名のより年齢が上の小児の群を、12.7歳の平均年齢で最初の検査の4.5年後に検査した。近視の年間発生率は、より若いコホートにおいて2.2%であり、より年が上の小児において4.1%であった。
【0072】
民族性
本開示のモデルは、民族性の関数としての近視の年間発生率のベースライン推定値に基づいてもよい。一例として、システマティックレビューは、システマティックレビューは、42カ国及び374,349名の対象を表す小児期近視有病率の推定値を有する143名の集団に基づく調査を特定した。東アジア人が最も高い有病率を示し、15歳で69%に達した(中華系シンガポール人のなかで86%)。アフリカ系の黒人は最も有病率が低かった。15年で5.5%。過去10年間にわたる近視有病率の時間的傾向は、白人では小さく、東アジア人では23%増加しており、南アジア人では、より弱い増加であった。
【0073】
異なる国からの上記データは、オーストラリア及びインドにおける2~4%からシンガポール及び中国における10~30%への年間発生率の劇的な変動を示す。これらは、生活様式及び教育的差異に部分的に起因し得るので、前述のCLEERE研究を再検討することが有用である。
【0074】
近視ではなかった、この研究に参加した4,290名の小児のうち、1,006名(22%)が、少なくとも-0.50Dの等価球面度数に基づき、近視になった。新たな近視の症例は、アジア人の35%、ヒスパニックの30%、先住アメリカ人の21%、アフリカ系アメリカ人の22%、及び白人の17%で生じた。表2は、累積発生率及び年間発生率の年数を加えた、再構築されたロジスティックモデルデータを示す。年間発生率は、アジアの小児において最も高いが、東アジアで行われた研究における値よりも依然として十分に低い。ヒスパニックにおける発生率も、白人よりも高い。表中のデータの興味深い特徴は、年間発生率が論文の他の発表の年間発生率よりも高いことである。
【0075】
【0076】
複数民族集団における近視発生率の研究はまれであるが、Sydneyの研究では、東アジア民族の小児は、ヨーロッパ系の小児(より若い1.3%、より年が上2.9%)よりも高い年間近視発生率(より若い6.9%、より年が上7.3%)を有していた。近視発生率の研究は、上述したように非常に高い値を示す。
【0077】
親の病歴
本開示のモデルは、親の病歴などの遺伝学の関数としての近視の年間発生率のベースライン推定値に基づき得る。親の近視の病歴が、小児が近視になるリスクを増加させることは明白である。機構が遺伝的であるのか、共有された環境に起因するのか、又は組み合わせであるのかは不明である。
図7~9は、親の病歴に関する従来技術のデータを示す。
【0078】
The Orinda Longitudinal Study of Myopiaは、514名の近視ではない第3学年の小児(平均年齢8.6歳)からのデータを分析して、第8学年までの近視を予測した。これらのうち、111名(21.6%)が近視になった。親の近視の病歴は、単変量モデル及び多変量モデルにおける重要な予測因子であった。両方の多変量モデルでは、1人の近視の親は、近視を発症するオッズの2倍の増加と関連付けられ、2人の近視の親は、5倍の増加と関連付けられた。
【0079】
その後の論文では、CLEERE研究からのより大きくより多様なコホートを使用して、小児の第1学年の屈折異常及び親の近視の病歴の有用性を、第2学年と第8学年との間の近視発症の予測因子として決定した。1854名の近視ではない第1学年の者のうち、334名は、第8学年までに近視になった。1人の近視の親を有していた対象を、1人も有していない対象と比較したハザード比(HR)は、1.48(95%CI、1.09~1.99、p=0.01)であった。2人の近視の親の子供は、近視の親を有していない子供と比較して、最終的な近視のハザード比が増加した(HR、2.38、95%CI、1.66~3.41、P<0.0001)。この論文における比は、以前の研究における比よりも低く、同じデータセットに対する後続の論文において大部分が再現されていることに留意されたい。全体として、近視発症時の年齢は、近視の親の数にわたって非常に類似していたが、近視の親を有していないアジア人の小児は、少なくとも1人の近視の親を有する子供よりも遅く近視を発症する。
【0080】
北アイルランドの661名の12~13歳の白人小児の横断的研究は、親の近眼のより強い影響を見出した。近視の親を有していない小児と比較して、1人又は2人の近視の親を有する小児は、近視を有する可能性がそれぞれ2.91倍(95%CI、1.54~5.52)及び7.79倍(95%CI、2.93~20.67)であった。親の近視の影響は、他の因子に対する調整後も残っていた。親の近視の影響は、著者らのその後の縦断的研究において調査されなかった。
【0081】
別の横断的研究は、北京において、4,677名の無作為に選択された学生(平均年齢16.9歳、範囲:16~18歳)からのデータを分析した。近視(悪い方の眼で-1.00D以下)の有病率は、80.7%であった。多重ロジスティック回帰分析では、近視のより高い有病率は、1人の近視の親と関連付けられ(OR=2.28、95%CI:1.80~2.87)、2人の近視の親と関連付けられた(OR=4.02、95%CI:2.42~6.66)。
【0082】
修正可能なリスク因子
本開示の1つ以上のモデル(例えば、式)は、18歳未満の子供などの対象における近視の発生率及び/又は進行に影響を及ぼし得る修正可能なリスク因子(例えば、行動リスク因子)に基づき得る。そのような固定リスク因子は、例えば、1日当たりの屋外での活動の時間及び1日当たりの精密作業の時間を含み得る。
【0083】
屋外での活動
本開示のモデルは、対象が屋外での活動で過ごす時間の関数として近視の年間発生率のベースライン推定値に基づき得る。米国、オーストラリア、シンガポール、UK及び台湾における多くの研究は、屋外での活動と近視との間の強固な関係を報告している。
図10~
図11は、修正可能なリスク因子に関する従来技術のデータを示す。
【0084】
The Orinda Longitudinal Study of Myopiaは、514名の近視ではない第3学年の小児(平均年齢8.6歳)からのデータを分析して、第8学年までの近視を予測した。これらのうち、111名(21.6%)が近視になった。両方の多変数モデルでは、より多い量の屋外での活動(1週間当たりの時間)は、近視を発症するオッズの減少に関連していた。効果は、近視の親の数に関係なく存在する。各週1時間当たり0.91のオッズ比は、各週1時間当たり約0.5に対応する。言い換えれば、屋外での活動が1時間追加されるごとに、近視発症のリスクが半減する。ロジスティックモデルにおける有意な相互作用は、小児の近視の親の数に基づいて、1週間当たりのスポーツ及び屋外での活動の時間の差示的効果を示した。
【0085】
同様の知見が、無作為にサンプリングされたシドニーの学生(1965名の6歳及び2,367名の12歳)の横断的研究から報告された。より高いレベルの屋外での活動は、12歳の学生において、より多くの遠視性屈折及びより低い近視有病率と関連していた。この研究は、近視の存在に対する屋外での活動の影響を示しているが、精密作業の影響は、あまり明らかではない。
【0086】
Sydney Adolescent Vascular and Eye Studyの追跡調査では、最初の検査の6年後に863名の幼い小児(平均年齢6.7歳)を検査した。1196名のより年上の小児(平均年齢12.7歳)の群を、最初の試験の4.5年後に検査した。近視になった小児は、近視でないままであった小児と比較して、屋外で過ごす時間が少なかった(より若いコホート、それぞれ16.3時間対21.0時間、P<0.0001、より年上のコホート、それぞれ17.2時間対19.6時間、P.0.001)。より若いコホートでは、屋外での活動が1週間当たり16時間未満の小児は、屋外で1週間当たり23時間より長く過ごした小児よりも近視を発症する可能性が高かった(オッズ比2.84、95%CI 1.56~5.17)。同様に、より年上のコホートでは、屋外での活動が1週間当たり13.5時間未満の小児は、屋外で1週間当たり22.5時間より長く過ごした小児よりも近視を発症する可能性が高かった(オッズ比2.35、95%CI 1.30~4.27)。
【0087】
屋外での活動と近視との間の関係は、1,249名の10代のシンガポール人の小児の横断的研究において確認された。年齢、性別、民族性、学校の種類、1週間当たりに読んだ本、身長、親の近視、親の教育及び知能指数について調整した後、1日当たりの時間単位での屋外での全活動は、近視と有意に関連していた(オッズ比0.90、95%CI 0.84~0.96)。全スポーツも、近視と有意に負に関連していたが(p=0.008)、屋内のスポーツとは関連していなかった(p=0.16)。
【0088】
The Avon Longitudinal Study of Parents and Children(ALSPAC)は、7、10、11、12、及び15歳の参加者を評価した(N=4,837~7,747)。11歳での身体活動を、1週間着用した加速度計を使用して客観的に測定した。屋外で過ごした時間は、小児が8~9歳であったときに、「(週末の日)/(学校のある週の日)に、あなたの子供が平均で(夏)/(冬)に毎日屋外でどの程度長い時間過ごすか」を尋ねる親へのアンケートを行うことによって評価した。著者らは、目的の結果と最も強い関連を示した変数を選択した。これは、夏に週末の日に屋外で過ごす時間であり、「多い」量は、1日に3時間以上であり、低い量は、3時間未満であった。屋外で過ごした時間及び身体活動の両方が、近視の発生と関連付けられ、屋外での時間が、より大きな影響を有していた。11歳の近視ではない小児の場合、近視の発生のハザード比は、屋外で過ごした時間が低い量の場合に対する多い量の場合について、0.66(95%CI 0.47~0.93)であった。
【0089】
最後に、Myopia Investigation Study in Taipeiは、11,590名の第2学年の学生(約8歳)を登録した都市規模の人口に基づくコホート研究であった。ベースラインの近視ではない参加者のうち、6,794名が、1年目の追跡調査中に検査され、そのうちの1,856名(25.2%)が近視を発症したことが特定された。保護因子としては、郊外居住地域(HR:0.91、95%CI:0.83~1.00)が挙げられ、平日ごとに学校の後に屋外で少なくとも30分間過ごすことは、近視に対して保護的であった(HR:0.90、95%CI:0.82~0.99)。
【0090】
過去10年間に、近視の発生率に対する追加の屋外での活動の効果を評価するための多くの無作為化臨床試験が行われてきた。最初のそのような試験は、7~11歳の台湾人の小児を、休憩中に屋外での活動のために外に出ることを推奨された介入(n=333)、又は休憩中にそのようなプログラムがない対照(n=238)に無作為化した。1年後に、近視の発生率は、対照群よりも介入群の方が有意に低かった(8.4%対17.6%、P<0.001)。1日の総休憩時間は、80分間(午前と午後の両方で10分間、20分間、及び10分間)であり、1週間の総休憩時間は、およそ6.7時間であり、1日当たり平均約1時間であった。
【0091】
同じグループは、介入群が週に11時間まで屋外に出ることを推奨された第2の臨床試験を報告した。16箇所の学校の合計693名の学生が、介入群に267名、対照群に426名の全部で1年間のプログラムを完了した。ベースラインで近視ではない620名の小児のうち、介入群における近視の発生率は、対照群における発生率よりも低かった(14.47%対17.40%、オッズ比0.65、95%CI、0.42~1.01)。より小さい影響は、いくつかの因子によって説明され得る。最初の無作為化の後、16箇所の無作為に選択された学校の半分が、プログラムから離脱した。また、台湾は、介入よりも多く、屋外で1日当たり2時間を目標とする全国的な近視予防プログラムを学校に導入した。それはまた、週に150分間の学校での運動を目標とするプログラムを有する。
【0092】
第1学年の小児(平均年齢6.6歳)の同様の無作為化臨床治験が中国の広州で行われた。6箇所の介入学校(n=952)では、追加の40分の屋外での活動が各学校日に追加され、親は、学校時間の後に子供を屋外での活動に参加させるように奨励された。6箇所の対照学校の小児(n=951)は、通常の活動パターンを継続した。近視の3年発生率は、介入群において30.4%(853名の近視ではない参加者のうちの259名)であり、対照群において39.5%(726名の参加者のうちの287名)であった(差=-9.1%、95%CI、-14.1%~-4.1%)。
【0093】
測定可能なリスク因子
本開示の1つ以上のモデル(例えば、式)は、18歳未満の子供などの対象における近視の発生率及び/又は進行に影響を及ぼし得る測定可能なリスク因子に基づき得る。そのような測定可能なリスク因子は、例えば、対象の眼の屈折異常又は軸長を含み得る。
【0094】
屈折異常
CLEERE研究は、小児の第1学年の屈折異常及び親の近視の病歴の有用性を、第2学年と第8学年との間の近視発症の予測因子として決定した。以前の研究に基づいて、小児を高リスク近視群及び低リスク近視群に分類した。近視ではない小児の間の近視の高いリスクは、第1学年のより遠視の径線における+0.75D以下と定義された。1854名の近視ではない第1学年の者のうち、334名は、第8学年までに近視になった。全体として、第1学年の者の21.3%が高リスク群に含まれた。
図12は、リスク群の関数として、近視の親がいない、1人、及び2人の生存確率曲線を示す。
図9は、近視発生率のハザード比(HR)を示す。高リスクカテゴリを与えられた近視の発生率についてのハザード比は、7.56(95%CI、5.94~9.63)であった。これは、2人の近視の親を有することに関連するリスクよりも実質的に高いことに留意されたい。アジア人及び白人についてのモデル推定値は、その全体において群についてのモデル推定値と類似していた。
【0095】
その後の論文は、第1~8学年(ベースライン、6~11歳)の4512名の民族的に多様な近視ではない小児のより大きなサンプルを分析した。
図13は、近視を発症するリスク因子の単変量分析を示す。多変量分析も行った。合計414名の小児が、第2~8学年(年齢7~13歳)で近視になった。評価した13個の因子のうち、10個は、近視発症のリスクと関連しており(P<.05)、8個は、ベースライン時の等価球面屈折異常、親の近視、軸長、角膜屈折力、水晶体屈折力、調節に対する調節性輻湊の比(AC/A比)、水平/垂直乱視の大きさ、及び視覚活動といった多変量モデルにおけるそれらの関連性を保持していた。より低い遠視/より高度の近視のベースライン屈折異常は、多変数モデルにおける近視発症のリスクと一貫して関連していた(0.02~0.13のオッズ比、P<.001)が、精密作業、屋外での時間、及び近視の親を有することは、関連していなかった。著者らは、将来の近視が、屈折異常の単純で単一の測定を使用して、近視ではない小児において予測することができると結論付けている。近視の予防のための将来の試験は、リスクのある小児として、低い遠視を有する小児を標的とすべきである。
【0096】
中国における研究は、遠視緩衝剤の重要性を裏付けている。中国の広州のコホート研究は、第1学年(平均年齢7.2歳)の1,975名の学生及び第7学年(平均年齢13.2歳)の2,670名の学生を募集した。より若いコホートを5年間追跡調査し、より年上のコホートを2年間追跡調査した。近視のベースライン有病率は、第1学年の学生において12.0%(1969名のうちn=237)であり、第7学年の学生において67.4%(2663名のうちn=1795)であった。近視の年間発生率は、両方のコホートにおいて20%~30%であった。この研究で提示されたデータの抜粋が
図14に示されており、ベースラインでの遠視のレベルの増加の保護効果を示している。
【0097】
上海における同様のコホート研究は、第1~3学年の1,856名の学生を募集した(平均年齢7.1、8.1、及び9.2歳、そのうち1,567名が、ベースライン時に近視ではなく、1,385名が、2年後に再検査された)。精密作業の時間、精密作業、屋外での活動時間、又は付き添い指導のクラスではなく、親の近視のみが、近視の発生と関連していた。ベースラインの屈折異常と近視の発生率との関係を
図15に示す。近視の2年発生率の最良の予測因子は、85%の感度及び71%の特異度を有する、+0.50D以下の等価球面度数であった。特異度が80%以上に設定された場合、+0.37D以下の等価球面度数が、75%の感度を有する最良の予測因子であった。
【0098】
強度近視のリスク
1つ以上のモデル(例えば、式)を使用して、近視リスク因子を提供してもよい。一例として、高度近視(少なくとも-5D)の確率は、各年齢(例えば、18歳より前)での発症について予測され得る。本開示のモデルは、発症年齢及び民族性などのリスク因子に基づき得る。8歳未満の近視発症はあまり一般的ではないが、小児が強度近視に進行するリスクは、より大きい。近視を発症した443名の中国人小児の研究は、7歳又は8歳での近視発症について、54%が成人期までに高度近視を発症したことを見出した。対照的に、10歳で発症した小児の19%のみが、強度近視を発症した。
図16は、強度近視のリスクのデータを示す。11歳までの対象のみを研究したシンガポール人の小児の初期の研究では、強度近視を発症した対象の87%が、7歳以下で発症した。
【0099】
The Drentse Refractive Error and Myopia(DREAM)研究は、オランダの眼鏡技師の部門からの後ろ向きデータを使用して、2,555名の近視者に関する進行データを報告した。少なくとも1年の間隔で処方された対象を分析に含めた。10歳前に最初に処方された対象は、-4.48Dのメジアン等価球面度数(IQR:-5.37~-3.42D)で、最も速い進行を示した。
図17A~17Cは、年齢の関数として強度近視を発症するリスクを示す。10歳で少なくとも-3Dであった全ての小児は、成人として強度近視(少なくとも-6D)であった。10歳で-1.50~-3.00Dの小児は、46.0%の高度近視のリスクを有しており、-0.50~-1.50Dの小児は、32.6%のリスクを有していた。これらの値は、25歳についてのものである。18歳での強度近視についての対応するパーセンテージは、71.7%、21.4%及び5.5%である。
【0100】
図18は、アジア人及びヨーロッパ人の近視者における発症年齢の関数としての強度近視のリスクの比較を示す。強度近視のリスクは、アジア人の眼における更に高い年間進行に起因して、非常に異なっている。ヨーロッパ人の近視者のデータは、約2.5年左にシフトしているように見える。
【0101】
図19は、ヨーロッパ人の近視者における発症年齢の関数としての25歳及び18歳での強度近視のリスクの比較を示す。10歳より前に近視が発症する場合、近視のリスクは、18歳から25歳の間で約30%増加する。
【0102】
近視リスクカリキュレータの例示的なモデルが本明細書で説明される。一例として、年間発生率を計算することができ、これは子供の現在の年齢+1歳から18歳まで一定であると考えられる。例えば、
年間発生率=ベースライン発生率×(1+性別×0.15)×民族性×1.6近視の親の数-1
式中、
ベースライン発生率=0.04又は4%
性別=女性について1、男性について0
民族性=アジア人では2.5、ヒスパニックでは2、その他では1
注記:年齢を超えた年数について計算する
精密作業の時間及び屋外での活動に関するデータが利用可能である場合、
年間発生率=ベースライン発生率×(1+性別×0.15)×民族性×1.6近視の親の数-1×0.5屋外-1×1.1精密作業-1。
式中、
屋外=1日当たりの屋外で過ごした時間数(=不明であれば1)
精密作業=1日当たりの精密作業をして過ごした時間数(=不明であれば1)
累積発生率を計算することができ、これは小児の現在の年齢から18歳まで一定であると考えられる。
【0103】
累積発生率は、以下に等しくてもよい。前年累積発生率+年間発生率×(1-前年累積発生率)
高度近視(少なくとも-6D)の確率は、各年齢での発症について予測することができる。
民族性=アジア人の場合
高度近視の確率=年間発生率×102.1-0.293×年齢×(0.9+0.1×近視の親の数1.5)×(0.98+0.02×性別)
民族性≠アジア人の場合
高度近視の確率=年間発生率×101.37-0.293×年齢×(0.9+0.1×近視の親の数1.5)×(0.98+0.02×性別)
両方とも、強度近視の確率は、年間発生率を超えることができない。
強度近視の確率>年間発生率の場合、強度近視の確率>年間発生率である。
強度近視(少なくとも-5D)の累積確率を決定することができる。一例として、強度近視の全確率=各年齢における上記確率の合計
>0.99の場合、=0.99である。
少なくとも-5Dの近視の累積確率を決定することができる。
【0104】
少なくとも-5Dの全確率=強度近視の全確率×1.4
>0.99の場合、=0.99である。
【0105】
〔実施の態様〕
(1) コンピュータ実装方法であって、
インターフェースを介して、対象の年齢、前記対象の性別、前記対象の民族性、及び前記対象の近視の親の数を示す人口統計情報を受信することと、
前記インターフェースを介して、前記対象が毎日屋外で過ごす時間及び前記対象が毎日精密作業をして過ごす時間を示す行動情報を受信することと、
所定の発生式に従って、前記人口統計情報及び前記行動情報を重み付けすることによって、前記対象の発生係数を決定することであって、前記所定の発生式及び重み付けが、ある集団に関連付けられた発生データから導出される、決定することと、
所定の進行式に従って、前記人口統計情報及び前記行動情報を重み付けすることによって、前記対象の進行係数を決定することであって、前記所定の進行式及び重み付けが、ある集団に関連付けられた進行データから導出され、前記所定の進行式が、前記発生係数の関数である、決定することと、
プロセッサによって、前記発生係数及び前記進行係数に基づいて、前記対象が近視を呈するリスクを示す近視リスク基準を予測し、計算することと、
定量的数値成分を含む前記近視リスク基準の出力を行うことと、を含む、コンピュータ実装方法。
(2) 前記発生係数が、以下の
発生係数=BI×G×α×E×βMP
の公式の関係に少なくとも基づき、
ここで、BIが、ベースライン発生係数であり、Gが、性別重み付け係数であり、Eが、民族性重み付け係数であり、MPが、前記対象の近視の親の数であり、α及びβが、証拠に基づく重み付け係数である、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記発生係数が、以下の
発生係数=BI×(1+G×0.15)×E×1.6MP-1
の式に少なくとも基づき、
ここで、BIが、ベースライン発生係数であり、Gが、性別重み付け係数であり、Eが、民族性重み付け係数であり、MPが、前記対象の近視の親の数である、実施態様1に記載の方法。
(4) BIが0.04である、実施態様3に記載の方法。
(5) Gが、女性については1であり、男性については0である、実施態様3に記載の方法。
【0106】
(6) Eが、アジア人では2.5、ヒスパニックでは2、その他では1である、実施態様3に記載の方法。
(7) 前記発生係数が、以下の
発生係数=BI×(1+G×0.15)×E×1.6MP-1×0.5OT-1×1.1NT-1
の式に少なくとも基づき、
ここで、BIが、ベースライン発生係数であり、Gが、性別重み付け係数であり、Eが、民族性重み付け係数であり、MPが、前記対象の近視の親の数であり、OTが、前記対象が毎日屋外で過ごす時間(時間(hours))であり、NTが、前記対象が毎日精密作業をして過ごす時間(時間)である、実施態様1に記載の方法。
(8) BIが0.04である、実施態様7に記載の方法。
(9) Gが、女性については1であり、男性については0である、実施態様7に記載の方法。
(10) Eが、アジア人では2.5、ヒスパニックでは2、その他では1である、実施態様7に記載の方法。
【0107】
(11) 前記進行係数が、前記対象が強度近視を呈する確率を示し、強度近視が、少なくとも-4D又は少なくとも-6Dのうちの1つである、実施態様1に記載の方法。
(12) アジア人の民族性を有する対象についての前記進行係数が、以下の
進行係数=発生係数×102.1-0.293×A×(0.9+0.1×MP1.5)×(0.98+0.02×G)
の式に少なくとも基づき、
ここで、Aが、前記対象の年齢であり、Gが、性別重み付け係数であり、MPが、前記対象の近視の親の数である、実施態様1に記載の方法。
(13) Gが、女性については1であり、男性については0である、実施態様12に記載の方法。
(14) 非アジア人の民族性を有する対象についての前記進行係数が、以下の
進行係数=発生係数×101.37-0.293×A×(0.9+0.1×MP1.5)×(0.98+0.02×G)
の式に少なくとも基づき、
ここで、Aが、前記対象の年齢であり、Gが、性別重み付け係数であり、MPが、前記対象の近視の親の数である、実施態様1に記載の方法。
(15) Gが、女性については1であり、男性については0である、実施態様14に記載の方法。
【0108】
(16) 前記対象に関連付けられた屈折異常又は前記対象が近視ではないことを示す前記対象の眼の軸長のうちの1つ以上を示す診断情報を受信することを更に含み、前記発生係数又は前記進行係数のうちの1つ以上が、少なくとも前記診断情報に基づいて決定される、実施態様1に記載の方法。
(17) 前記リスク基準が、重症度基準を含む、実施態様1に記載の方法。
(18) 前記重症度基準が、近視の推定レベルを含む、実施態様17に記載の方法。
(19) 前記定量的数値成分が、パーセンテージである、実施態様1に記載の方法。
(20) 実施態様1に記載の方法を実装するように構成されたデバイス。
【0109】
(21) 実施態様1に記載の方法を実装するように構成されたシステム。
(22) コンピュータ実装方法であって、
インターフェースを介して、対象の人口統計情報を受信することと、
前記インターフェースを介して、前記対象の行動情報を受信することと、
前記人口統計情報及び前記行動情報、又は第2の情報のうちの1つ以上に基づいて、所定の発生式に従って、前記人口統計情報及び前記行動情報を重み付けすることによって、前記対象の発生係数を決定することであって、前記所定の発生式及び重み付けが、ある集団に関連付けられた発生データから導出される、決定することと、
前記人口統計情報又は前記行動情報のうちの1つ以上に基づいて、所定の進行式に従って、前記人口統計情報及び前記行動情報を重み付けすることによって、前記対象の進行係数を決定することであって、前記所定の進行式及び重み付けが、ある集団に関連付けられた進行データから導出され、前記所定の進行式が、前記発生係数の関数である、決定することと、
プロセッサによって、前記発生係数及び前記進行係数に基づいて、前記対象が近視を呈するリスクを示す近視リスク基準、又は近視のレベルを示す重症度基準のうちの1つ以上を予測し、計算することと、
前記近視リスク基準又は前記重症度基準のうちの前記1つ以上の出力を行うことであって、前記近視リスク基準及び前記重症度基準の各々が、定量的数値成分を含む、出力を行うことと、を含む、コンピュータ実装方法。
(23) 第1の情報が、前記対象の年齢を含む、実施態様22に記載の方法。
(24) 第1の情報が、前記対象の性別を含む、実施態様22に記載の方法。
(25) 第1の情報が、前記対象の民族性を含む、実施態様22に記載の方法。
【0110】
(26) 第1の情報が、前記対象の近視の親の数を含む、実施態様22に記載の方法。
(27) 前記第2の情報が、前記対象が毎日屋外で過ごす時間を含む、実施態様22に記載の方法。
(28) 前記第2の情報が、前記対象が毎日精密作業をして過ごす時間を含む、実施態様22に記載の方法。
(29) 前記インターフェースを介して、前記対象に関連付けられた屈折異常又は前記対象の眼の軸長のうちの1つ以上を示す測定可能な診断情報を受信することを更に含み、前記対象が近視を呈するリスクを示す近視リスク基準を予測し、計算することが、第3の情報に少なくとも基づく、実施態様22に記載の方法。
(30) 前記発生係数が、以下の
発生係数=BI×G×α×E×βMP
の公式の関係に少なくとも基づき、
ここで、BIが、ベースライン発生係数であり、Gが、性別重み付け係数であり、Eが、民族性重み付け係数であり、MPが、前記対象の近視の親の数であり、α及びβが、証拠に基づく重み付け係数である、実施態様22に記載の方法。
【0111】
(31) 前記発生係数が、以下の
発生係数=BI×(1+G×0.15)×E×1.6MP-1
の式に少なくとも基づき、
ここで、BIが、ベースライン発生係数であり、Gが、性別重み付け係数であり、Eが、民族性重み付け係数であり、MPが、前記対象の近視の親の数である、実施態様22に記載の方法。
(32) BIが0.04である、実施態様31に記載の方法。
(33) Gが、女性については1であり、男性については0である、実施態様31に記載の方法。
(34) Eが、アジア人では2.5、ヒスパニックでは2、その他では1である、実施態様31に記載の方法。
(35) 前記発生係数が、以下の
発生係数=BI×(1+G×0.15)×E×1.6MP-1×0.5OT-1×1.1NT-1
の式に少なくとも基づき、
ここで、BIが、ベースライン発生係数であり、Gが、性別重み付け係数であり、Eが、民族性重み付け係数であり、MPが、前記対象の近視の親の数であり、OTが、前記対象が毎日屋外で過ごす時間(時間)であり、NTが、前記対象が毎日精密作業をして過ごす時間(時間)である、実施態様22に記載の方法。
【0112】
(36) BIが0.04である、実施態様35に記載の方法。
(37) Gが、女性については1であり、男性については0である、実施態様35に記載の方法。
(38) Eが、アジア人では2.5、ヒスパニックでは2、その他では1である、実施態様35に記載の方法。
(39) 前記進行係数が、前記対象の18歳の年齢までに前記対象が強度近視(少なくとも-6D)を呈する確率を示す、実施態様22に記載の方法。
(40) アジア人の民族性を有する対象についての前記進行係数が、以下の
進行係数=発生係数×102.1-0.293×A×(0.9+0.1×MP1.5)×(0.98+0.02×G)
の式に少なくとも基づき、
ここで、Aが、前記対象の年齢であり、Gが、性別重み付け係数であり、MPが、前記対象の近視の親の数である、実施態様22に記載の方法。
【0113】
(41) Gが、女性については1であり、男性については0である、実施態様40に記載の方法。
(42) 非アジア人の民族性を有する対象についての前記進行係数が、以下の
進行係数=発生係数×101.37-0.293×A×(0.9+0.1×MP1.5)×(0.98+0.02×G)
の式に少なくとも基づき、
ここで、Aが、前記対象の年齢であり、Gが、性別重み付け係数であり、MPが、前記対象の近視の親の数である、実施態様22に記載の方法。
(43) Gが、女性については1であり、男性については0である、実施態様42に記載の方法。
(44) 前記近視重症度基準が、近視の推定レベルを含む、実施態様22に記載の方法。
(45) 前記リスク基準が、重症度基準を含む、実施態様22に記載の方法。
【0114】
(46) 前記近視重症度基準が、近視の推定レベルを含む、実施態様45に記載の方法。
(47) 前記定量的数値成分が、パーセンテージである、実施態様22に記載の方法。
(48) 実施態様22に記載の方法を実装するように構成されたデバイス。
(49) 実施態様22に記載の方法を実装するように構成されたシステム。
【国際調査報告】