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特表2024-532492双方向電力伝送システム、その双方向電力伝送システムを動作させる方法、及び、ワイヤレス電力システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】双方向電力伝送システム、その双方向電力伝送システムを動作させる方法、及び、ワイヤレス電力システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/12 20160101AFI20240829BHJP
【FI】
H02J50/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513978
(86)(22)【出願日】2022-08-31
(85)【翻訳文提出日】2024-04-19
(86)【国際出願番号】 CA2022051314
(87)【国際公開番号】W WO2023028704
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】63/238,829
(32)【優先日】2021-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524076671
【氏名又は名称】ソレイス パワー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】タハヴォルガー、アミール
(57)【要約】
電力を伝送するための双方向ワイヤレス電力伝送システムは、電場及び/又は磁場のための、並びに、発生させられた電場及び/又は発生させられた磁場から電力を抽出するためのトランシーバ要素に電気的に接続される電力段を備える。電力段は、入力される電力信号を逆変換するための、及び、受信される電力信号を整流するためのものである。システムは、ワイヤレス電力伝送を同期させるためのトリガ回路と、クロック信号を発生させるためのクロック発生器とをさらに備える。システムは、電力段に電気的に接続される、並びに、トリガ回路及びクロック発生器に選択的に電気的に接続されるスイッチング要素であって、以て、スイッチング要素がクロック発生器を電力段に電気的に接続するときに、トランシーバ要素が、電場及び/又は磁場を発生させることにより電力を伝送するように構成され、スイッチング要素がトリガ回路を電力段に電気的に接続するときに、トランシーバ要素が、発生させられた電場及び/又は発生させられた磁場から電力を抽出するように構成される、スイッチング要素をさらに備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力を伝送するための双方向ワイヤレス電力伝送システムであって、
電場及び/又は磁場を発生させることにより電力を伝送するための、並びに、発生させられた電場及び/又は発生させられた磁場から電力を抽出するためのトランシーバ要素と、
前記トランシーバ要素に電気的に接続される電力段であって、入力される電力信号を逆変換するための、及び、受信される電力信号を整流するための電力段と、
ワイヤレス電力伝送を同期させるためのトリガ回路と、
クロック信号を発生させるためのクロック発生器と、
前記電力段に電気的に接続される、並びに、前記トリガ回路及び前記クロック発生器に選択的に電気的に接続されるスイッチング要素であって、以て、
前記スイッチング要素が前記クロック発生器を前記電力段に電気的に接続するときに、前記トランシーバ要素が、電場及び/又は磁場を発生させることにより電力を伝送するように構成され、
前記スイッチング要素が前記トリガ回路を前記電力段に電気的に接続するときに、前記トランシーバ要素が、発生させられた電場及び/又は発生させられた磁場から電力を抽出するように構成される、スイッチング要素と
を備える、システム。
【請求項2】
前記クロック発生器は、前記電力段を制御するために前記クロック信号を発生させる、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記電力段は、増幅器を備える、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記増幅器は、E級電力増幅器である、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記電力段は、入力段を備える、請求項1から4までのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記入力段は、整合ネットワークを備える、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記整合ネットワークは、単一インピーダンス・インバータ又は二重インピーダンス・インバータを備える、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記電力段は、前記電力段を制御するためのゲート・ドライバを備える、請求項1から7までのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記クロック発生器は、発振器を備える、請求項1から8までのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記トリガ回路は、前記トランシーバ要素により受信される電力信号を同期させるように、前記電力段の動作を制御するためのものである、請求項1から9までのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記トリガ回路は、電流又は電圧をサンプリングするためのサンプリング回路を備える、請求項1から10までのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記サンプリング回路は、電流をサンプリングする、又は、電圧をサンプリングするように構成される、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
サンプリングされる前記電流は、負荷非依存である、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記電圧は、負荷非依存である、請求項12又は13に記載のシステム。
【請求項15】
電力信号の電圧を変換するためのコンバータをさらに備える、請求項1から14までのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項16】
前記コンバータは、双方向バック・ブースト・コンバータである、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
磁場及び/又は電場結合によって電力をワイヤレスで伝送するための送信機であって、
電場及び/又は磁場を発生させることにより電力を伝送するための、並びに、発生させられた電場及び/又は発生させられた磁場から電力を抽出するための第1のトランシーバ要素と、
前記第1のトランシーバ要素に電気的に接続される第1の電力段であって、順行電力流方向において、入力される電力信号を逆変換するための、及び、逆行電力流方向において、受信される電力信号を整流するための第1の電力段と、
ワイヤレス電力伝送を同期させるための第1のトリガ回路と、
クロック信号を発生させるための第1のクロック発生器と、
前記第1の電力段に電気的に接続される、並びに、前記第1のトリガ回路及び前記第1のクロック発生器に選択的に電気的に接続される第1のスイッチング要素であって、以て、
前記第1のスイッチング要素が前記第1のクロック発生器を前記第1の電力段に電気的に接続するときに、前記第1のトランシーバ要素が、電場及び/又は磁場を発生させることにより電力を伝送するように構成され、
前記第1のスイッチング要素が前記第1のトリガ回路を前記第1の電力段に電気的に接続するときに、前記第1のトランシーバ要素が、発生させられた電場及び/又は発生させられた磁場から電力を抽出するように構成される、第1のスイッチング要素と
を備える、送信機、
磁場又は電場結合によって電力をワイヤレスで抽出するための受信機であって、
電場及び/又は磁場を発生させることにより電力を伝送するための、並びに、発生させられた電場及び/又は発生させられた磁場から電力を抽出するための第2のトランシーバ要素と、
前記第2のトランシーバ要素に電気的に接続される第2の電力段であって、前記逆行電力流方向において、入力される電力信号を逆変換するための、及び、前記順行電力流方向において、受信される電力信号を整流するための第2の電力段と、
ワイヤレス電力伝送を同期させるための第2のトリガ回路と、
クロック信号を発生させるための第2のクロック発生器と、
前記第2の電力段に電気的に接続される、並びに、前記第2のトリガ回路及び前記第2のクロック発生器に選択的に電気的に接続される第2のスイッチング要素であって、以て、
前記第2のスイッチング要素が前記第2のクロック発生器を前記第2の電力段に電気的に接続するときに、前記第2のトランシーバ要素が、電場及び/又は磁場を発生させることにより、前記送信機に電力を伝送するように構成され、
前記スイッチング要素が前記第2のトリガ回路を前記第2の電力段に電気的に接続するときに、前記第2のトランシーバ要素が、前記送信機からの発生させられた電場及び/又は発生させられた磁場から電力を抽出するように構成される、第2のスイッチング要素と
を備える、受信機
を備える、ワイヤレス電力伝送システム。
【請求項18】
双方向ワイヤレス電力伝送システムを動作させる方法であって、前記システムは、
電場及び/又は磁場を発生させることにより電力を伝送するための、並びに、発生させられた電場及び/又は発生させられた磁場から電力を抽出するためのトランシーバ要素と、
前記トランシーバ要素に電気的に接続される電力段であって、入力される電力信号を逆変換するための、及び、受信される電力信号を整流するための電力段と、
ワイヤレス電力伝送を同期させるためのトリガ回路と、
クロック信号を発生させるためのクロック発生器と、
前記電力段に電気的に接続される、並びに、前記トリガ回路及び前記クロック発生器に選択的に電気的に接続されるスイッチング要素であって、以て、
前記スイッチング要素が前記クロック発生器を前記電力段に電気的に接続するときに、前記トランシーバ要素が、電場及び/又は磁場を発生させることにより電力を伝送するように構成され、
前記スイッチング要素が前記トリガ回路を前記電力段に電気的に接続するときに、前記トランシーバ要素が、発生させられた電場及び/又は発生させられた磁場から電力を抽出するように構成される、スイッチング要素と
を備え、
前記方法は、
電力を抽出するために前記電力段を前記トリガ回路に接続する、又は、
電力を伝送するために前記電力段を前記クロック発生器に接続するステップ
を含む、方法。
【請求項19】
前記電力段を前記トリガ回路又は前記クロック発生器に接続するステップは、前記スイッチング要素を動作させるステップを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記電力段を前記クロック発生器から切り離す、又は、前記電力段を前記トリガ回路から切り離すステップをさらに含む、請求項18又は19に記載の方法。
【請求項21】
前記電力段を前記トリガ回路又は前記クロック発生器から切り離すステップは、前記スイッチング要素を動作させるステップを含む、請求項20に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般的には、ワイヤレス電力伝送に、並びに特に、電力を伝送するための双方向ワイヤレス電力伝送システム、その双方向ワイヤレス電力伝送システムを動作させる方法、及び、ワイヤレス電力システムに関係する。
【背景技術】
【0002】
ワイヤレス充電器などのワイヤレス電力伝送システムが、次世代のデバイスを可能にするためのますます重要な技術になりつつある。その技術により供される潜在的な利益及び利点は、その技術に投資する製造者及び会社の増大する数により明白である。
【0003】
種々のワイヤレス電力伝送システムが知られている。典型的なワイヤレス電力伝送システムは、ワイヤレス電力送信機に電気的に接続される電力源と、負荷に電気的に接続されるワイヤレス電力受信機とを含んでいる。
【0004】
磁気誘導システムにおいて、送信機は、電気エネルギーを電力源から、ある決まったインダクタンスを伴う受信機コイルを有する受信機に伝送する、ある決まったインダクタンスを伴う送信機コイルを有する。電力伝送は、送信機及び受信機のコイル又はインダクタ同士の間の磁場の結合に起因して生起する。これらの磁気誘導システムのレンジは制限され、送信機及び受信機のコイル又はインダクタは、効率的な電力伝送のために、密接に結合され、すなわち、0.5よりも上の結合係数を有し、最適に整列していなければならない。
【0005】
さらには、電力が送信機及び受信機のコイル又はインダクタ同士の間の磁場の結合に起因して伝送される、共振磁気システムが実在する。送信機及び受信機インダクタは、緩く結合され、すなわち、0.5よりも下の結合係数を有し得る。しかしながら、共振磁気システムにおいて、インダクタは、少なくとも1つのコンデンサを使用して共振させられる。さらにまた、共振磁気システムにおいて、送信機は自己共振であり、受信機は自己共振である。共振磁気システムにおける電力伝送のレンジは、磁気誘導システムの電力伝送のレンジを超えて増大され、整列問題点が正される。電磁エネルギーが磁気誘導及び共振磁気システムにおいて生み出されるが、電力伝送の大部分は、磁場によって生起する。あるとしてもわずかな電力が、電気誘導又は共振電気誘導によって伝送される。
【0006】
電気誘導システムにおいて、送信機及び受信機は、容量性電極を有する。電力伝送は、送信機及び受信機の容量性電極同士の間の電場の結合に起因して生起する。共振磁気システムと同様に、送信機及び受信機の容量性電極が、少なくとも1つのインダクタを使用して共振にされる、共振電気システムが実在する。インダクタは、コイルであり得る。共振電気システムにおいて、送信機は自己共振であり、受信機は自己共振である。共振電気システムは、電気誘導システムの電力伝送のレンジと比較して、電力伝送の増大されるレンジを有し、整列問題点が正される。電磁エネルギーが電気誘導及び共振電気システムにおいて生み出されるが、電力伝送の大部分は、電場によって生起する。あるとしてもわずかな電力が、磁気誘導又は共振磁気誘導によって伝送される。
【0007】
いくつかのワイヤレス電力伝送システムが知られているが、改善が望まれる。それゆえに、新規のワイヤレス電力伝送送信機、受信機、システム、及び、電力をワイヤレスで伝送する方法を提供することが目途である。
【0008】
この背景技術は、単に、当業者が、後に続く発明の概要及び発明を実施するための形態をより良好に把握することを可能とするための舞台を設定する役目をするものである。それゆえに、上記の論考のどれも、必ずしも、その論考が、現況技術の一部である、又は、卑近な一般的な知識であるという自認と受け止められるべきではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国仮出願第62/899,165号
【特許文献2】米国特許第9,653,948号
【特許文献3】米国特許第9,979,206号
【特許文献4】米国特許出願第17/193,539号
【特許文献5】米国特許第10,424,942号
【特許文献6】米国特許第10,033,225号
【特許文献7】米国特許出願公開第2021/0021160号
【特許文献8】米国特許出願公開第2020/0227941号
【特許文献9】米国特許出願公開第2020/0203997号
【特許文献10】米国特許出願公開第2020/0203998号
【特許文献11】米国特許出願公開第2020/0099254号
【発明の概要】
【0010】
したがって、1つの態様において、電力を伝送するための双方向ワイヤレス電力伝送システムが提供される。
【0011】
システムは、順行(forward)電力流方向における、及び、順行電力流方向と反対である、反対の逆行(reverse)電力流方向におけるワイヤレス電力伝送を考慮し得る。
【0012】
システムは、電場及び/又は磁場を発生させることにより電力を伝送するための、並びに、発生させられた電場及び/又は発生させられた磁場から電力を抽出するためのトランシーバ要素に電気的に接続される電力段であって、入力される電力信号を逆変換する(invert)ための、及び、受信される電力信号を整流するための電力段と、ワイヤレス電力伝送を同期させるためのトリガ回路と、クロック信号を発生させるためのクロック発生器と、電力段に電気的に接続される、並びに、トリガ回路及びクロック発生器に選択的に電気的に接続されるスイッチング要素であって、以て、スイッチング要素がクロック発生器を電力段に電気的に接続するときに、トランシーバ要素が、電場及び/又は磁場を発生させることにより電力を伝送するように構成され、スイッチング要素がトリガ回路を電力段に電気的に接続するときに、トランシーバ要素が、発生させられた電場及び/又は発生させられた磁場から電力を抽出するように構成される、スイッチング要素とを備え得る。
【0013】
スイッチング要素の動作によって、トランシーバ要素が、電力を受信するために電力を抽出し、又は、電力を伝送するために場を発生させ得るような、双方向システムの制御された動作が可能となる。
【0014】
スイッチング要素は、手動で、又は自律的に動作させられ得る。スイッチング要素は、遠隔で動作させられ得る。スイッチング要素は、コントローラによって動作させられ得る。
【0015】
双方向電力伝送システムは、クロック発生器がスイッチング要素を介して電力段に電気的に接続されるときに、磁場及び/又は電場を発生させることにより電力を伝送するための送信機を形成する。双方向電力伝送システムは、トリガ回路がスイッチング要素を介して電力段に電気的に接続されるときに、発生させられた磁場及び/又は電場から電力を抽出するための受信機を形成する。
【0016】
システムは、トランシーバ要素を備え得る。
【0017】
クロック発生器は、電力段を制御するためにクロック信号を発生させ得る。クロック発生器は、発振器を備え得る。
【0018】
電力段は、増幅器を備え得る。増幅器は、E級電力増幅器であり得る。
【0019】
電力段は、負荷性能を最適化すること、電流又は負荷を調節すること、及び、高調波を低減することのうちの少なくとも1つのための入力段を備え得る。
【0020】
入力段は、整合ネットワークを備え得る。
【0021】
整合ネットワークは、単一インピーダンス・インバータ又は二重インピーダンス・インバータを備え得る。
【0022】
電力段は、電力段を制御するためのゲート・ドライバを備え得る。増幅器は、増幅器のメイン・スイッチに電気的に接続されるゲート・ドライバを備え得る。発振器によるゲート・ドライバの制御が、入力される電力信号を逆変換するために、増幅器のメイン・スイッチの動作を制御するために使用され得る。トリガ回路によるゲート・ドライバの制御が、受信される電力信号を抽出するために、増幅器のメイン・スイッチの動作を制御するために使用され得る。
【0023】
トリガ回路は、トランシーバ要素により受信される電力信号を同期させるように、電力段の動作を制御するためのものであり得る。
【0024】
トリガ回路は、電流又は電圧をサンプリングするためのサンプリング回路を備え得る。
【0025】
サンプリング回路は、電圧降下をサンプリングするように構成され得る。
【0026】
サンプリング回路は、電流をサンプリングする、又は、電圧をサンプリングするように構成され得る。
【0027】
サンプリングされる電流は、負荷非依存であり得る。負荷非依存は、電流が負荷変動に関して一定であることと定義され得る。
【0028】
サンプリングされる電圧は、負荷非依存であり得る。負荷非依存は、電圧が負荷変動に関して一定であることと定義され得る。
【0029】
システムは、電力信号の電圧を変換するためのコンバータをさらに備え得る。コンバータは、DC/DC(直流対直流(direct current to direct current))コンバータであり得る。コンバータは、バック・ブースト・コンバータであり得る。コンバータは、双方向バック・ブースト・コンバータであり得る。
【0030】
トランシーバ要素は、電力源から電力を伝送し得る。トランシーバ要素は、順行電力流方向において電力源から別のトランシーバ要素に電力を伝送し得る。別のトランシーバ要素に電力を伝送するように動作するときに、電力段は、スイッチング要素を介してクロック発生器に電気的に接続される。
【0031】
トランシーバ要素は、負荷に電力を伝送し得る。トランシーバ要素は、逆行電力流方向において別のトランシーバ要素から電力を抽出し得る。抽出された電力は、負荷に伝送され得る。別のトランシーバ要素から電力を抽出するように動作するときに、電力段は、スイッチング要素を介してトリガ回路に電気的に接続される。
【0032】
トランシーバ要素は、少なくとも1つの容量性又は誘導性要素を備え得る。
【0033】
容量性要素は、電極を備え得る。
【0034】
誘導性要素は、誘導性コイルを備え得る。
【0035】
別の態様にしたがって、磁場及び/又は電場結合によって電力をワイヤレスで伝送するための第1のトランシーバ又は送信機であって、電場及び/又は磁場を発生させることにより電力を伝送するための、並びに、発生させられた電場及び/又は発生させられた磁場から電力を抽出するための第1のトランシーバ要素と、第1のトランシーバ要素に電気的に接続される第1の電力段であって、順行電力流において、入力される電力信号を逆変換するための、及び、逆行電力流において、受信される電力信号を整流するための第1の電力段と、ワイヤレス電力伝送を同期させるための第1のトリガ回路と、クロック信号を発生させるための第1のクロック発生器と、第1の電力段に電気的に接続される、並びに、第1のトリガ回路及び第1のクロック発生器に選択的に電気的に接続される第1のスイッチング要素であって、以て、第1のスイッチング要素が第1のクロック発生器を第1の電力段に電気的に接続するときに、第1のトランシーバ要素が、電場及び/又は磁場を発生させることにより電力を伝送するように構成され、第1のスイッチング要素が第1のトリガ回路を第1の電力段に電気的に接続するときに、第1のトランシーバ要素が、発生させられた電場及び/又は発生させられた磁場から電力を抽出するように構成される、第1のスイッチング要素とを備える、送信機、磁場又は電場結合によって電力をワイヤレスで抽出するための第2のトランシーバ又は受信機であって、電場及び/又は磁場を発生させることにより電力を伝送するための、並びに、発生させられた電場及び/又は発生させられた磁場から電力を抽出するための第2のトランシーバ要素と、第2のトランシーバ要素に電気的に接続される第2の電力段であって、逆行電力流方向において、入力される電力信号を逆変換するための、及び、順行電力流方向において、受信される電力信号を整流するための第2の電力段と、ワイヤレス電力伝送を同期させるための第2のトリガ回路と、クロック信号を発生させるための第2のクロック発生器と、第2の電力段に電気的に接続される、並びに、第2のトリガ回路及び第2のクロック発生器に選択的に電気的に接続される第2のスイッチング要素であって、以て、第2のスイッチング要素が第2のクロック発生器を第2の電力段に電気的に接続するときに、第2のトランシーバ要素が、電場及び/又は磁場を発生させることにより、送信機又は第1のトランシーバに電力を伝送するように構成され、スイッチング要素が第2のトリガ回路を第2の電力段に電気的に接続するときに、第2のトランシーバ要素が、送信機又は第1のトランシーバからの発生させられた電場及び/又は発生させられた磁場から電力を抽出するように構成される、第2のスイッチング要素とを備える、受信機を備える、ワイヤレス電力伝送システムが提供される。
【0036】
第1のトランシーバ又は送信機は、順行電力流モードにおいて電力をワイヤレスで伝送するための、又は、逆行電力流モードにおいて、磁場及び/若しくは電場結合によって電力をワイヤレスで抽出するためのものであり得る。
【0037】
第2のトランシーバ又は受信機は、順行電力流モードにおいて電力をワイヤレスで抽出するための、又は、逆行電力流モードにおいて、磁場若しくは電場結合によって電力をワイヤレスで伝送するためのものであり得る。
【0038】
システムが順行電力流方向において動作しているときに、第1のトランシーバは、第2のトランシーバに電力を伝送する。順行電力流方向において動作するときに、第1のスイッチング要素は、第1のクロック発生器を第1の電力段に接続し、第2のスイッチング要素は、第2のトリガ回路を第2の電力段に接続する。
【0039】
システムが逆行電力流方向において動作しているときに、第2のトランシーバは、第1のトランシーバに電力を伝送する。逆行電力流方向において動作するときに、第1のスイッチング要素は、第1のトリガ回路を第1の電力段に接続し、第2のスイッチング要素は、第2のクロック発生器を第2の電力段に接続する。
【0040】
それぞれのスイッチング要素を動作させることは、順行電力流方向において動作することと、逆行電力流方向において動作することとの間でスイッチングすることをシステムに行わせ得る。
【0041】
送信機は、負荷及び/又は電力供給部をさらに備え得る。電力供給部は、直流(DC)電力供給部であり得る。負荷は、DC負荷であり得る。
【0042】
電力供給部は、ワイヤレス電力伝送のための入力電力信号を提供し得る。
【0043】
負荷は、ワイヤレス電力伝送によって抽出された電力信号によって給電され得る。
【0044】
受信機は、負荷及び/又は電力供給部をさらに備え得る。電力供給部は、DC電力供給部であり得る。負荷は、DC負荷であり得る。
【0045】
電力供給部は、ワイヤレス電力伝送のための入力電力信号を提供し得る。
【0046】
負荷は、ワイヤレス電力伝送によって抽出された電力信号によって給電され得る。
【0047】
システムは、双方向ワイヤレス電力伝送システムに関して説明された特徴及び/又は要素の任意のものを備え得る。
【0048】
別の態様にしたがって、双方向ワイヤレス電力伝送システムを動作させる方法であって、システムは、電場及び/又は磁場を発生させることにより電力を伝送するための、並びに、発生させられた電場及び/又は発生させられた磁場から電力を抽出するためのトランシーバ要素と、トランシーバ要素に電気的に接続される電力段であって、入力される電力信号を逆変換するための、及び、受信される電力信号を整流するための電力段と、ワイヤレス電力伝送を同期させるためのトリガ回路と、クロック信号を発生させるためのクロック発生器と、電力段に電気的に接続される、並びに、トリガ回路及びクロック発生器に選択的に電気的に接続されるスイッチング要素であって、以て、スイッチング要素がクロック発生器を電力段に電気的に接続するときに、トランシーバ要素が、電場及び/又は磁場を発生させることにより電力を伝送するように構成され、スイッチング要素がトリガ回路を電力段に電気的に接続するときに、トランシーバ要素が、発生させられた電場及び/又は発生させられた磁場から電力を抽出するように構成される、スイッチング要素とを備え、方法は、電力を抽出するために電力段をトリガ回路に接続する、又は、電力を伝送するために電力段をクロック発生器に接続するステップを含む、方法が提供される。
【0049】
反対のことが、ワイヤレス電力の伝送に関して、反する方向における動作として規定され得る。例えば、送信機は、受信機に電力を伝送し得るものであり、反対の方向において、受信機は、送信機に電力を伝送し得る。
【0050】
電力段をトリガ回路又はクロック発生器に接続するステップは、スイッチング要素を動作させるステップを含み得る。
【0051】
方法は、電力段をクロック発生器から切り離す、又は、電力段をトリガ回路から切り離すステップをさらに含み得る。
【0052】
電力段をトリガ回路又はクロック発生器から切り離すステップは、スイッチング要素を動作させるステップを含み得る。
【0053】
電力を抽出するために電力段をトリガ回路に接続する、又は、電力を伝送するために電力段をクロック発生器に接続するステップは、自動化され得る。この自動化された接続は、コントローラにより制御され得る。コントローラは、インピーダンス、抵抗、圧力、温度、その他などの検出された信号に応答して、要素を接続するように動作し得る。
【0054】
方法は、説明されたシステムに関して論考される利点の任意のものをもたらし得るものであり、逆もまたしかりである。
【0055】
別の態様において、プロセッサにより実行されるときに、説明された方法の任意のものを遂行する命令を含む、コンピュータ可読媒体が提供される。
【0056】
コンピュータ可読媒体は、非一時的であり得る。コンピュータ可読媒体は、伝搬する信号を除いた記憶媒体を含み得る。コンピュータ可読媒体は、ランダム・アクセス・メモリ(RAM:random-access memory)、スタティックRAM(SRAM:static RAM)、ダイナミックRAM(DRAM:dynamic RAM)、不揮発性RAM(NVRAM:non-volatile RAM)、読み出し専用メモリ(ROM:read-only memory)、又はフラッシュ・メモリなどの、任意の適するメモリ又は記憶デバイスを含み得る。
【0057】
プロセッサは、シリコン、ポリシリコン、高誘電率誘電体、銅、等々などの、種々の材料から組成される単一コア・プロセッサ又は複数個のコア・プロセッサを有し得る。
【0058】
1つの態様、実例、又は実施例に関係して説明される任意の特徴は、さらには、本開示の任意の他の態様、実例、又は実施例に関係して使用され得るということが理解されるべきである。本開示の他の利点が、後に続く図面と関連している、発明を実施するための形態から、当業者に明らかになり得る。
【0059】
実施例が、今から、付随する図面を参照して、より十二分に説明されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
図1】ワイヤレス電力伝送システムのブロック線図である。
図2】本開示の態様にしたがう双方向ワイヤレス電力伝送システムのブロック線図である。
図3A】本開示の態様にしたがう、順行電力流方向において動作するワイヤレス電力伝送システムのブロック線図である。
図3B】逆行電力流方向において動作する、図3Aのワイヤレス電力伝送システムのブロック線図である。
図4】本開示の態様にしたがうワイヤレス電力伝送システムのブロック線図である。
図5図4のワイヤレス電力伝送システムの一部分のブロック線図である。
図6A図4のワイヤレス電力伝送システムの一部分の等価回路線図である。
図6B図4のワイヤレス電力伝送システムの一部分の別の等価回路線図である。
図7図4のワイヤレス電力伝送システムの一部分のブロック線図である。
図8図7のワイヤレス電力伝送システムの二重インピーダンス・インバータの回路線図である。
図9図7のワイヤレス電力伝送システムの増幅器の回路線図である。
図10図7のワイヤレス電力伝送システムのトリガ回路、スイッチング要素、補助DC/DCコンバータ、及び増幅器のブロック線図である。
図11図10のトリガ回路のサンプリング回路の回路線図である。
図12図10のトリガ回路の一部分の回路線図である。
図13図10のトリガ回路の一部分、スイッチング要素、及び補助DC/DCコンバータの回路線図である。
図14図4のワイヤレス電力伝送システムの一部分のブロック線図である。
図15A図14のワイヤレス電力伝送システムの一部分の等価回路線図である。
図15B図14のワイヤレス電力伝送システムの一部分の別の等価回路線図である。
図16図4のワイヤレス電力伝送システムの一部分のブロック線図である。
図17図16のワイヤレス電力伝送システムの単一インピーダンス・インバータの回路線図である。
図18図16のワイヤレス電力伝送システムの増幅器の回路線図である。
図19図16のワイヤレス電力伝送システムのトランシーバ要素、インピーダンス・インバータ、トリガ回路、スイッチング要素、補助DC/DCコンバータ、及び増幅器のブロック線図である。
図20図19のトランシーバ要素、増幅器、インピーダンス・インバータ、及び、トリガ回路の一部分の回路線図である。
図21図19のトリガ回路の一部分の回路線図である。
図22図19のトリガ回路の一部分、スイッチング要素、及び補助DC/DCコンバータの回路線図である。
図23A】本開示の態様にしたがう双方向ワイヤレス電力伝送システムの一部分の平面視図である。
図23B】本開示の態様にしたがう別の双方向ワイヤレス電力伝送システムの一部分の平面視図である。
図24A】本開示の態様にしたがう、順行電力流方向において動作するワイヤレス電力伝送システムについての、負荷電流に関しての入力電力及び出力電力のグラフである。
図24B】本開示の態様にしたがう、順行電力流方向において動作するワイヤレス電力伝送システムについての、負荷電流に関しての電力伝送効率のグラフである。
図24C】本開示の態様にしたがう、順行電力流方向において動作するワイヤレス電力伝送システムについての、負荷電流に関しての電圧のグラフである。
図25A】本開示の態様にしたがう、順行電力流方向において動作する、無負荷(no-load)条件におけるワイヤレス電力伝送システムのスイッチ・ノード電圧のグラフである。
図25B】本開示の態様にしたがう、順行電力流方向において動作する、全負荷条件におけるワイヤレス電力伝送システムのスイッチ・ノード電圧のグラフである。
図26A】本開示の態様にしたがう、逆行電力流方向において動作するワイヤレス電力伝送システムについての、負荷電流に関しての入力電力及び出力電力のグラフである。
図26B】本開示の態様にしたがう、逆行電力流方向において動作するワイヤレス電力伝送システムについての、負荷電流に関しての電力伝送効率のグラフである。
図26C】本開示の態様にしたがう、逆行電力流方向において動作するワイヤレス電力伝送システムについての、負荷電流に関しての電圧のグラフである。
図27A】本開示の態様にしたがう、逆行電力流方向において動作する、無負荷条件におけるワイヤレス電力伝送システムのスイッチ・ノード電圧のグラフである。
図27B】本開示の態様にしたがう、逆行電力流方向において動作する、全負荷条件におけるワイヤレス電力伝送システムのスイッチ・ノード電圧のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0061】
上述の概要、及び、ある決まった実例の、後に続く発明を実施するための形態は、添付される図面と連関して読まれるときに、より良好に理解されることになる。本明細書において使用される際、単数形において紹介される、及び、単語「a」又は「an」により先導される、要素又は特徴は、要素又は特徴の複数形を必ずしも排除しないと理解されるべきである。さらに、「1つの実例」又は「1つの実施例」への言及は、さらには説明される要素又は特徴を組み込む追加的な実例又は実施例の実在を排除すると解釈されることを意図されない。その上、反するように明示的に説述されない限り、個別の特質を有する、要素若しくは特徴、又は、複数の要素若しくは特徴を、「備える・含む」又は「有する」又は「含んでいる」実例又は実施例は、その特質を有さない追加的な要素又は特徴を含んでいることもある。さらには、用語「備える・含む(三人称単数現在形)」、「有する(三人称単数現在形)」、「含んでいる(三人称単数現在形)」は、「~に制限はされないが、~を含む」を意味し、用語「備える・含む(現在分詞)」、「有する(現在分詞)」、及び「含んでいる(現在分詞)」は、同等の意味合いを有するということが把握されることになる。類する参照符号が、説明及び図面の全体を通して、類する要素を指すために使用されることになるということが、さらには把握されることになる。
【0062】
本明細書において使用される際、用語「適合させられる」及び「構成される」は、要素、構成要素、又は、他の主題が、所与の機能を遂行するように設計される、及び/又は、遂行することを意図されるということを意味する。そうして、用語「適合させられる」及び「構成される」の使用は、所与の要素、構成要素、又は、他の主題が、単純に所与の機能を遂行する「能力を秘めている」ということではなく、要素、構成要素、及び/又は、他の主題が、機能を遂行することの目的のために、特異的に選択、創出、実現、利用、及び/又は設計されるということを意味すると解されるべきである。個別の機能を遂行するように適合させられると説明される要素、構成要素、及び/又は、他の主題が、加えて、又は代わりに、その機能を遂行するように構成されると説明されることもあり、逆もまたしかりであるということは、さらには、本開示の範囲の中にあるものである。同様に、個別の機能を遂行するように構成されると説明される主題は、加えて、又は代わりに、その機能を遂行するように動作可能であると説明されることもある。
【0063】
ある要素が、別の要素「上にある」、別の要素に「取り付けられる」、別の要素に「接続される」、別の要素と「結合される」、別の要素と「接触している」、その他と言われるときに、そのある要素は、直接的に、その別の要素上にある、その別の要素に取り付けられる、その別の要素に接続される、その別の要素と結合される、若しくは、その別の要素と接触していることがあり、又は、介在する要素が、さらには存在することもあるということが理解されることになる。
【0064】
単語「例示的」の使用は、別段に説述されない限り、好まれる、又は最適な、設計又は実現形態を意味するよりもむしろ、「実例として」又は「1つの実例」を意味するということが理解されるべきである。
【0065】
今から図1に目を向けると、全体的に参照番号100により識別されるワイヤレス電力伝送システムが示される。ワイヤレス電力伝送システム100は、送信要素116に電気的に接続される電力源112を備える送信機110と、負荷128に電気的に接続される受信要素124を備える受信機120とを備える。電力は、電力源112から送信要素116に伝送される。電力は、次いで、共振又は非共振の電場又は磁場結合によって、送信要素116から受信要素124に伝送される。電力は、次いで、受信要素124から負荷128に伝送される。例示的なワイヤレス電力伝送システム100は、本出願人の米国仮出願第62/899,165号において説明されるような高周波数誘導性ワイヤレス電力伝送システム、又は、本出願人の米国特許第9,653,948号において説明されるような共振容量結合ワイヤレス電力伝送システムを含んでおり、それらの米国仮出願及び米国特許の、関連性のある一部分が、参照により本明細書に組み込まれている。
【0066】
ワイヤレス電力伝送システム100において、電力は、送信要素116から受信要素124に伝送される。各それぞれの要素に、及び、各それぞれの要素から、すなわち、受信要素124から送信要素116に電力を伝送することができることが望ましくあり得る。今から図2に目を向けると、全体的に参照番号130により識別される双方向電力システムが示される。説明されることになるように、双方向電力システム130は、順行電力流方向において電力を伝送し、順行電力流方向と反対の逆行電力流方向において電力を抽出するように構成される。双方向電力システム130は、さらには、逆行電力流方向において電力を伝送し、順行電力流方向において電力を抽出し得る。本文脈において、順行及び逆行は、説明されることになるような、システム130の構成要素を参照してのものである。
【0067】
双方向電力システム130は、ワイヤレスで電力を伝送するためのものである。システム130は、トランシーバ要素140と、電力段138と、スイッチング要素136と、トリガ回路132と、クロック発生器134とを備える。
【0068】
トランシーバ要素140は、電場及び/又は磁場を発生させることにより電力を伝送するための、並びに、発生させられた電場及び/又は発生させられた磁場から電力を抽出するためのものである。そうして、トランシーバ要素140は、本質的には、単一の構成要素において、磁場及び/又は電場を発生させることにより電力を伝送するための送信要素、並びに、発生させられた磁場及び/又は電場から電力を抽出するための受信要素を形成する。電場及び磁場の両方が説明されたが、トランシーバ要素140は、単一の場、電場又は磁場によって、電力を伝送又は抽出するように動作し得る。
【0069】
電磁エネルギーが生み出され得るが、電力伝送又は抽出の大部分は、電気誘導、すなわち電場結合によるもの、及び、磁気誘導、すなわち磁場結合のうちの単一の1つのみによって生起し得る。あるとしてもわずかな電力が、磁気誘導及び電気誘導のうちの他方の1つによって伝送される。さらに、誘導は、共振性、すなわち、共振磁気誘導又は共振電気誘導であり得る。
【0070】
トランシーバ要素140は、1つ又は複数の容量性電極及び誘導性要素、すなわちインダクタを備える。容量性電極は、横方向に間を空けられた細長の電極であり得るものであり、しかしながら、当業者は、同心、コプレーナ、円形、楕円形、円板、その他の電極を含んでいる、ただしそれらに制限されない、他の構成が可能であるということを把握することになる。他の適する電極構成が、本出願人の米国特許第9,979,206号において説明されており、その米国特許の、関連性のある一部分が、参照により本明細書に組み込まれている。誘導性要素は、1つ又は複数のコイルを備え得る。コイルは、本出願人の米国特許出願第17/193,539号において説明されるようなブースタ又はシールド・コイルを含んでいることもあり、その米国特許出願の、関連性のある一部分が、参照により本明細書に組み込まれている。
【0071】
トランシーバ要素140は、電力段138に電気的に接続される。電力段138は、説明されることになるように、入力される電力信号を逆変換するための、及び、受信される電力信号を整流するためのものである。電力段138は、電力信号を逆変換し、磁場及び/又は電場を発生させることによる電力伝送のためのトランシーバ要素140に、逆変換された電力信号を入力する。さらに、電力段138は、発生させられた磁場及び/又は電場からの抽出により、トランシーバ要素140により受信される電力信号を整流する。
【0072】
スイッチング要素136は、電力段140に電気的に接続される。スイッチング要素136は、さらには、クロック発生器134及びトリガ回路132に選択的に電気的に接続される。スイッチング要素136は単一の要素と説明されるが、当業者は、スイッチング要素136が、複数個の要素を備え得るものであり、スイッチング・ネットワークを形成し得るということを把握することになる。
【0073】
トリガ回路132は、ワイヤレス電力伝送を同期させるためのものである。トリガ回路132は、説明されることになるように、トランシーバ要素140により受信される電力信号を同期させるように、電力段138の動作を制御する。
【0074】
クロック発生器134は、クロック信号を発生させるためのものである。この実施例において、クロック発生器134は、発振器を備える。クロック発生器134は、電力段138にクロック信号を提供するためのものである。クロック信号は、入力される電力信号を逆変換するように、電力段138の動作を制御する。逆変換された電力信号は、次いで、トランシーバ要素140においてワイヤレス電力伝送によって伝送され得る。
【0075】
スイッチング要素136の動作は、電力段138を、トリガ回路132に、又は、クロック発生器134に、のいずれかで電気的に接続することを、スイッチング要素136に行わせる。
【0076】
スイッチング要素136がクロック発生器134を電力段138に電気的に接続するときに、トランシーバ要素140は、先に説明されたように、電場及び/又は磁場を発生させることにより電力を伝送するように構成される。電力段138は、入力電力信号を逆変換することを、逆変換された電力信号を受信するトランシーバ要素140が電場及び/又は磁場を発生させ得るように行うためのものである。クロック発生器134は、入力電力信号を逆変換するための電力段138にクロック信号を提供する。
【0077】
スイッチング要素136がトリガ回路132を電力段138に電気的に接続するときに、トランシーバ要素140は、先に説明されたように、発生させられた電場及び/又は磁場から電力を抽出するように構成される。電力段138は、発生させられた電場及び/又は磁場から電力を抽出することにより、トランシーバ要素により受信される電力信号を整流するためのものである。トリガ回路132は、電力段138の動作を、トランシーバ要素140により受信される電力信号と同期させるように、電力段138の動作を制御する。
【0078】
電力段138をトリガ回路132に電気的に接続することは、トランシーバ要素140を、電力を抽出するように構成する。電力段138をクロック発生器134に電気的に接続することは、トランシーバ要素140を、電力を伝送するように構成する。
【0079】
双方向電力伝送システム130は、ワイヤレス電力伝送システムの一部を形成し得る。例示的なワイヤレス電力伝送システムが、図3A及び図3Bにおいて示され、全体的に参照番号150により識別される。ワイヤレス電力伝送システム150は、第1の双方向電力伝送システム152を備える。
【0080】
第1の双方向電力伝送システム152は、図3Aにおいて示されるように、システム150が順行電力流方向において動作しているときに、磁場及び/又は電場を発生させることにより電力を伝送するための送信機を形成する。第1の双方向電力伝送システム152は、図3Bにおいて示されるように、システム150が逆行電力流方向において動作しているときに、発生させられた磁場及び/又は電場から電力を抽出するための受信機を形成する。システム150は、第2の双方向電力伝送システム154をさらに備える。
【0081】
第2の双方向電力伝送システム154は、図3Aにおいて示されるように、システム150が順行電力流方向において動作しているときに、第1の双方向電力伝送システム152(送信機)により発生させられた磁場及び/又は電場から電力を抽出するための受信機を形成する。第2の双方向電力伝送システム154は、図3Bにおいて示されるように、システム150が逆行電力流方向において動作しているときに、磁場及び/又は電場を発生させることにより、第1の双方向電力伝送システム152(受信機)に電力を伝送するための送信機を形成する。
【0082】
第1の双方向電力伝送システム152は、双方向電力伝送システム130の、先に説明された要素のすべてを備える。第2の双方向電力伝送システム154は、’が参照符号に追加された同じ要素、例えば、トランシーバ140’を備える。
【0083】
図3Aにおいて、ワイヤレス電力伝送システム150は、電力が第1の双方向ワイヤレス電力伝送システム152から第2の双方向電力伝送システム154に伝送されるように、順行電力流方向において動作するように構成される。第1の双方向ワイヤレス電力伝送システム152のスイッチング要素136は、電力段138をクロック発生器134に電気的に接続する。第2の双方向電力伝送システム154のスイッチング要素136’は、電力段138’をトリガ回路132’に電気的に接続する。これらの接続及び後続の電力伝送は、破線において輪郭を描かれる。
【0084】
図3Bにおいて、ワイヤレス電力伝送システム150は、電力が第2の双方向電力伝送システム154から第1の双方向ワイヤレス電力伝送システム152に伝送されるように、逆行電力流方向において動作するように構成される。第2の双方向電力伝送システム154のスイッチング要素136’は、電力段138’をクロック発生器134’に電気的に接続する。第1の双方向電力伝送システム152のスイッチング要素136は、電力段138をトリガ回路132に電気的に接続する。これらの接続及び後続の電力伝送は、破線において輪郭を描かれる。
【0085】
図3A及び図3Bにおいて示されないが、双方向電力伝送システム152、154は、電力を伝送するために入力電力信号を発生させるための電力源と、抽出された電力を受信するための負荷とをさらに備え得る。
【0086】
さらに、ワイヤレス電力伝送システム150は、2つの双方向電力伝送システム152、154を備えると説明されたが、当業者は、他の構成が可能であるということを把握することになる。例えば、ワイヤレス電力伝送システム150は、従来のワイヤレス電力伝送受信機に電力を伝送する、又は、従来のワイヤレス電力伝送送信機から電力を抽出する、単一の双方向電力伝送システムを備え得る。例示的な送信機及び受信機は、本出願人の米国特許第9,653,948号、第10,424,942号、及び第10,033,225号、並びに、米国特許出願公開第2021/0021160号、第2020/0227941号、第2020/0203997号、第2020/0203998号、及び第2020/0099254号において説明されており、それらの米国特許及び米国特許出願公開の、関連性のある一部分が、参照により本明細書に組み込まれている。
【0087】
今から図4に目を向けると、ワイヤレス電力伝送システムの別の実施例が、全体的に参照番号200により識別されて示される。ワイヤレス電力伝送システムは、第1の双方向電力伝送システム210と、第2の双方向電力伝送システム220とを備える。
【0088】
順行電力流方向において、第1の双方向電力伝送システム210は、第2の双方向電力伝送システム220に電力を伝送するための送信機として動作し、その第2の双方向電力伝送システム220は、送信機により発生させられた磁場及び/又は電場から電力を抽出する受信機として動作する。逆行電力流方向において、第2の双方向電力伝送システム220は、第1の双方向電力伝送システム210に電力を伝送するための送信機として動作し、その第1の双方向電力伝送システム210は、送信機により発生させられた磁場及び/又は電場から電力を抽出する受信機として動作する。
【0089】
ワイヤレス電力伝送システム200は、電力供給部212と、負荷213と、DC/DCコンバータ214と、第1の双方向電力伝送システム210とを備える。第1の双方向電力伝送システム210は、回路網216と、トランシーバ要素222とを備える。電力供給部212及び負荷213は、DC/DCコンバータ214に電気的に接続される。DC/DCコンバータ214は、回路網216に電気的に接続される。回路網216は、トランシーバ要素222に電気的に接続される。
【0090】
電力供給部212は、電力の送信のために入力電力信号を発生させるためのものである。この実施例において、入力電力信号は、DC電力信号である。この実施例において、負荷213は、DC負荷である。負荷213は、スタティック又は可変であり得る。電力供給部212及び負荷213は単一のブロックとして描写されるが、それらの電力供給部及び負荷は、2つの別個の電気構成要素を備える。
【0091】
DC/DCコンバータ214は、受信されるDC電圧信号を、望まれる電圧レベルに変換するためのものである。受信されるDC電圧は、説明されることになるように、回路網216又は電力供給部212からのものであり得る。第1の双方向電力伝送システム210はDC/DCコンバータ214を備えるが、当業者は、他の構成が可能であるということを把握することになる。別の実施例において、DC/DCコンバータは存在しない。
【0092】
回路網216は、先に説明されたクロック発生器134と、トリガ回路132と、スイッチング要素136と、電力段138とを備える。
【0093】
トランシーバ要素222は、1つ又は複数の容量性電極及び誘導性要素、すなわちインダクタを備える。容量性電極は、横方向に間を空けられた細長の電極であり得るものであり、しかしながら、当業者は、同心、コプレーナ、円形、楕円形、円板、その他の電極を含んでいる、ただしそれらに制限されない、他の構成が可能であるということを把握することになる。他の適する電極構成が、前に述べられた米国特許第9,9792,06号において説明されている。誘導性要素は、1つ又は複数のコイルを備え得る。コイルは、前に述べられた米国特許出願第17/193,539号において説明されるようなブースタ又はシールド・コイルを含んでいることもある。
【0094】
順行電力流方向において動作するときに、電力源212は、DC入力電力信号をDC/DCコンバータ214に供給し、そのDC/DCコンバータ214は、信号を、望まれる電圧レベルに変換する。回路網216は、変換されたDC電力信号を受信し、電力を伝送するために、トランシーバ要素222において磁場及び/又は電場を発生させるために、変換されたDC電力信号を逆変換することにより、インバータとして機能する。回路網216におけるスイッチング要素136は、クロック発生器134を電力段138に電気的に接続する。順行電力流方向において、第1の双方向電力伝送システム210は、送信機として働く。
【0095】
逆行電力流方向において動作するときに、トランシーバ要素222は、トランシーバ要素229により発生させられた、発生させられた磁場及び/又は電場から電力を抽出する。回路網216は、同期整流器として働き、受信される電力信号を整流する。DC/DCコンバータ214は、整流された電力信号を、負荷213により受信される、望まれる電力レベルに変換する。回路網216におけるスイッチング要素136は、トリガ回路132を電力段138に電気的に接続する。逆行電力流方向において、第1の双方向電力伝送システム210は、受信機として働く。
【0096】
ワイヤレス電力伝送システム200は、電力供給部227と、負荷228と、DC/DCコンバータ226と、第2の双方向電力伝送システム220とを備える。第2の双方向電力伝送システム220は、回路網224と、トランシーバ要素229とを備える。電力供給部228及び負荷227は、DC/DCコンバータ226に電気的に接続される。DC/DCコンバータ226は、回路網224に電気的に接続される。回路網224は、トランシーバ要素229に電気的に接続される。
【0097】
電力供給部228は、電力の送信のために入力電力信号を発生させるためのものである。この実施例において、入力電力信号は、DC電力信号である。この実施例において、負荷227は、DC負荷である。負荷227は、スタティック又は可変であり得る。電力供給部228及び負荷227は単一のブロックとして描写されるが、それらの電力供給部及び負荷は、2つの別個の電気構成要素を備える。
【0098】
DC/DCコンバータ226は、受信されるDC電圧信号を、望まれる電圧レベルに変換するためのものである。受信されるDC電圧は、説明されることになるように、回路網224又は電力供給部227からのものであり得る。第2の双方向電力伝送システム220はDC/DCコンバータ226を備えるが、当業者は、他の構成が可能であるということを把握することになる。別の実施例において、DC/DCコンバータは存在しない。
【0099】
この実施例において、DC/DCコンバータ214、226は、双方向バック・ブースト・コンバータである。バック/ブースト・コンバータは、互換的に使用され得る、DC-DCコンバータ入力及び出力を有し得る。
【0100】
回路網224は、先に説明されたクロック発生器134’と、トリガ回路132’と、スイッチング要素136’と、電力段138’とを備える。
【0101】
トランシーバ要素229は、1つ又は複数の容量性電極及び誘導性要素、すなわちインダクタを備える。容量性電極は、横方向に間を空けられた細長の電極であり得るものであり、しかしながら、当業者は、同心、コプレーナ、円形、楕円形、円板、その他の電極を含んでいる、ただしそれらに制限されない、他の構成が可能であるということを把握することになる。他の適する電極構成が、前に述べられた米国特許第9,979,206号において説明されている。誘導性要素は、1つ又は複数のコイルを備え得る。コイルは、前に述べられた米国特許出願第17/193,539号において説明されるようなブースタ又はシールド・コイルを含んでいることもある。
【0102】
双方向電力伝送システム210、220のトランシーバ要素222、229は、ワイヤレス・リンク230を形成する。トランシーバ要素222、229は、ワイヤレス・ギャップにより分離される。ワイヤレス・ギャップは、大気、すなわち空気により形成され得る。電力は、共振又は非共振の磁場及び/又は電場結合、すなわち電気又は磁気誘導によって、ワイヤレス・リンク230を渡って、一方の要素から他方に伝送される。
【0103】
順行電力流方向において動作するときに、トランシーバ要素229は、トランシーバ要素222により発生させられた磁場及び/又は電場から電力を抽出する。回路網224は、同期整流(synchronous rectifies)として働き、受信される電力信号を整流する。DC/DCコンバータ226は、整流された電力信号を、負荷228により受信される、望まれる電力レベルに変換する。回路網224におけるスイッチング要素136’は、トリガ回路132’を電力段138’に電気的に接続する。順行電力流方向において、第2の双方向電力伝送システム220は、受信機として働く。
【0104】
逆行電力流方向において動作するときに、電力源227は、DC入力電力信号をDC/DCコンバータ226に供給し、そのDC/DCコンバータ226は、信号を、望まれる電圧レベルに変換する。回路網224は、変換されたDC電力信号を受信し、電力を伝送するために、トランシーバ要素229において磁場及び/又は電場を発生させるために、変換されたDC電力信号を逆変換することにより、インバータとして機能する。回路網224におけるスイッチング要素136’は、クロック発生器134’を電力段138’に電気的に接続する。逆行電力流方向において、第2の双方向電力伝送システム220は、送信機として働く。
【0105】
今から図5に目を向けると、第1の双方向電力伝送システム210を含んでいるワイヤレス電力伝送システム200の一部分が、さらに例解される。回路網216は、破線により包囲されて示される。先に説明されたように、第1の双方向電力伝送システム210が順行電力流方向において送信機として動作しているときに、回路網216の電力段138は、入力される電力信号を逆変換するためのものである。スイッチング要素136は、電力段138をクロック発生器134に電気的に接続する。
【0106】
この実施例において、回路網216は、増幅器215と、整合ネットワーク又は回路とを備える電力段138を備える。回路網216は、スイッチング要素136と、電力段138に電気的に接続されるクロック発生器134とをさらに備える。
【0107】
この実施例において、増幅器215は、E級増幅器である。増幅器215は、ゲート・ドライバ218と、メイン・スイッチとを備える。ゲート・ドライバ218は、増幅器215のメイン・スイッチを駆動する。この実施例において、メイン・スイッチは、n型MOSFET218Aを備える。n型MOSFET218Aが例解されているが、当業者は、他のFET及びスイッチング・デバイスが使用され得るということを把握することになる。クロック発生器134は、スイッチング要素136を介してゲート・ドライバ218に電気的に接続される。クロック発生器134は、発振器を備える。当業者は、クロック発生器134が任意の制御不可能な信号発生器を備え得るということを把握することになる。
【0108】
先に説述されたように、電力段138は、整合ネットワーク又は回路を備える。様々な整合ネットワークが可能である。この実施例において、整合ネットワークは、単一段インピーダンス・インバータ219の形式をとる入力段を備える。単一段インピーダンス・インバータ219は、増幅器215に電気的に接続される。
【0109】
クロック発生器134は、(DC/DCコンバータ214を介する)電力源212からの入力される電力信号を、無線周波数(RF:radio frequency)又は交流(AC:alternating current)信号に逆変換するように、メイン・スイッチ(MOSFET218A)に接続されるゲート・ドライバ218を制御するために、クロック信号を発生させるように構成される。単一段インバータ219の出力における電流は、負荷非依存である。
【0110】
回路網216は、個別の構成を有すると説明されたが、当業者は、他の設計がさらには可能であるということを把握することになる。例えば、クロック発生器134のクロック信号において180度位相差を伴う、追加的な段が、回路網216を差動回路にするために実現されることがある。
【0111】
図6Aにおいて示されるように、電力供給部212、DC/DCコンバータ214、及び、増幅器215と単一段インピーダンス・インバータ219とを含んでいる回路網216は、電流Iを発生させる電流源302を伴うノートン等価回路としてモデリングされることがあり、インピーダンス源304は、有限インピーダンスZs1を有する。Iの値は、回路網216への入力DC電圧に依存する。トランシーバ要素222、229を含んでいるワイヤレス・リンク230は、Zインピーダンス行列306、並びに、それぞれ、第1の双方向電力伝送システム210の回路網216、及び、第2の双方向電力伝送システム220の回路網224におけるスイッチング周波数における共振を確実にする、値Z及びZを有するチューニング・インピーダンス308、310としてモデリングされ得る。
【0112】
第2の双方向電力伝送システム220の回路網224の観点から、電力供給部212、DC/DCコンバータ214、回路216、及びワイヤレス・リンク230は、さらには、図6Bにおいて示されるように、テブナン等価回路としてモデリングされ得る。この等価回路は、電圧Vocを有する依存電圧源312、及び、Z(s-r)のインピーダンスを有する源インピーダンス314、並びに、インダクタンスLを有する直列インダクタ318、及び、静電容量Cを有するコンデンサ316を含んでいる。インダクタ318及びコンデンサ316は、スイッチング周波数において共振する。Voc及びZ(s-r)の値は、下記の式1及び式2において示されるように、Is、Zs1、Z、Z、及び、ワイヤレス・リンク230のインピーダンス行列306(Z)に基づいて算出されることがある。
【数1】
【0113】
例えば、27.12MHzのスイッチング又は共振周波数において、100Ω共振器を使用する容量性(電場結合)ワイヤレス電力伝送システムは、Voc=36Vrmsの電圧源、及び、Zs-r=2.5Ωの源インピーダンスを有することになる。
【0114】
今から図7に目を向けると、第2の双方向電力伝送システム220、DC/DCコンバータ226、及び負荷228が、さらに例解される。回路網224は、破線により包囲されて示される。先に説明されたように、第2の双方向電力伝送システム220が順行電力流方向において受信機として動作しているときに、回路網224の電力段138’は、受信される電力信号を整流するためのものである。スイッチング要素136’は、電力段138’をトリガ回路132’に電気的に接続する。
【0115】
例解される配置構成において、回路網224は、増幅器240と、整合ネットワーク又は回路とを備える電力段138’を備える。回路網224は、スイッチング要素136’と、トリガ回路132’と、補助DC/DCコンバータ250とをさらに備える。増幅器240は、整合ネットワーク又は回路に電気的に接続される。
【0116】
この実施例において、増幅器240は、E級増幅器であるが、他の増幅器構成が可能である。増幅器240は、ゲート・ドライバ260と、メイン・スイッチとを備える。ゲート・ドライバ260は、増幅器240のメイン・スイッチを駆動する。この実施例において、メイン・スイッチは、n型MOSFET241を備える。n型MOSFET241が例解されているが、当業者は、他のFET及びスイッチング・デバイスが使用され得るということを把握することになる。
【0117】
さらに、E級増幅器が例解及び説明されたが、他の増幅器型が、当業者が把握することになるように可能である。
【0118】
補助DC/DCコンバータ250は、トリガ回路132’に電気的に接続される。トリガ回路132’は、スイッチ136’を介して増幅器240に電気的に接続される。トリガ回路132’は、トランシーバ229にさらに電気的に接続される。増幅器240の出力は、DC/DCコンバータ226及び補助DC/DCコンバータ250に電気的に接続される。MOSFET241のゲート端子が、ゲート・ドライバ260に電気的に接続される。
【0119】
ゲート・ドライバ260は、増幅器240が、説明されることになるように、ゲート・ドライバ260を介してトリガ回路132’により制御されるように、増幅器240のメイン・スイッチ(MOSFET241)に電気的に接続される。
【0120】
先に説述されたように、電力段138’は、整合ネットワーク又は回路を備える。様々な整合ネットワークが可能である。この実施例において、整合ネットワークは、二重段インピーダンス・インバータ231の形式をとる入力段を備える。
【0121】
一般的に、E級増幅器において、整流器の性能は、指定された出力負荷、すなわち、望まれる負荷について最適化される。動作中、出力負荷が、望まれる負荷から変動する際、増幅器DC電圧は、大幅に変動する。さらにまた、出力負荷が、望まれる負荷から変動するときに、増幅器240のメイン・スイッチ(MOSFET241)のゼロ電圧スイッチング(ZVS:zero-voltage-switching)動作が、損なわれた様態になり、その成り行きとして、動作は不安定になる。対照的に、負荷非依存E級増幅器は、無負荷条件、すなわちゼロ負荷から全負荷条件まで、増幅器240のスイッチのZVS動作を保持する。加えて、整流された電圧は、無負荷条件と全負荷条件との間で、相対的に一定である。無負荷条件から全負荷条件までのスイッチング損失は、近似的に一定であり、性能は安定したままである。
【0122】
E級増幅器設計は、入力RF電力をDCに変換するように適合させられる。増幅器240の動作又はスイッチング周波数は、例えば、6.78MHz、13.56MHz、及び27.12MHzであり得る。増幅器240による電圧出力は、Vrect-rである。二重段インピーダンス・インバータ230内へのRF電圧入力は、Vinである。この実施例において、DC電圧Vrect-rは、無調節である。増幅器240は負荷非依存増幅器を備えるので、スイッチ・ノード波形は、先に説明されたように、負荷に関して有意に変動しない。そうして、電圧は、相対的に安定している。
【0123】
補助DC/DCコンバータ250は、トリガ回路132’に給電するために、増幅器240によるVrect-r出力を、例えば5Vのレンジにおける、補助電圧レンジ、Vaux-rに変換するためのものである。補助信号Vaux-rは、トリガ回路132’に給電する。補助DC/DCコンバータ250が調節することができるまで、MOSFET241はオフであり、増幅器240は、受動(ダイオード)整流器として働く。この実施例において、補助DC/DCコンバータ250は、低電力バック・コンバータを備える。
【0124】
トリガ回路132’は、補助DC/DCコンバータ250からの信号、例えばVaux-rにより給電される。トリガ回路132’は、トランシーバ要素229により出力されたRF電力Vinをサンプリングし、適切にタイミングを図られたトリガ電圧Vtrig-rを生み出す。トリガ電圧又は信号Vtrig-rは、ゲート・ドライバ260によるゲート駆動電圧又はゲート信号Vgate-r出力が入力Vinと同位相であるように、タイミングを図られる。トリガ回路132’は、ゲート・ドライバ260によるゲート駆動電圧又はゲート信号Vgate-r出力の適正なタイミングを確実にするためのものである。説明されることになるように、トリガ回路132’は、入力信号Vinを使用してタイミングを回復するトリガ信号Vtrig-rを提供するように構成される。例解される配置構成において、トリガ信号Vtrig-rは、パルス信号を含む。
【0125】
理想的には、増幅器240のメイン・スイッチ(MOSFET241)は、入来する電流が正であるときに開いており、入来する電流が負であるときに閉じられ、そのことによって、適正な整流が結果的に生じる。完璧なチューニングを想定すると、Vgate-rは、Vinと同位相であるべきである。
【0126】
ゲート・ドライバ260は、MOSFET241をスイッチングするために信号を出力する。特に、ゲート・ドライバ260は、増幅器240の動作を制御する、例えば、増幅器240のMOSFET241のスイッチングを制御するために、ゲート駆動電圧又はゲート信号Vgate-rを出力する。
【0127】
この実施例において、ゲート駆動電圧Vgate-rは、ゲート・ドライバ260内へのトリガ電圧Vtrig-r入力の、遅延させられた、及び、より強力な複製物である。
【0128】
ゲート・ドライバ260及びトリガ回路132’は、無視できない伝搬遅延を呈する。ゲート・ドライバ260及びトリガ回路132’からの無視できない伝搬遅延の難題に対処するために、トリガ回路132’は、Vgate-rがVinと同期させられるということを確実にするために、トリガ回路132’が出力信号Vtrig-rをさらに遅延させるように設計される。
【0129】
先に説述されたように、電力供給部212、DC/DCコンバータ214、回路網216、及びワイヤレス・リンク230は、図6Bにおいて示されるように、テブナン等価回路としてモデリングされ得る。源インピーダンスZs-rは、動作周波数において、小さく、抵抗性である。
【0130】
このモデルは、トランシーバ要素222、229の両方が、良好にチューニングされ、高い負荷無(unloaded)品質係数を呈し、良好に結合され、そのことによって、ワイヤレス・リンク230を渡る、高い、すなわち90%よりも大である、電力伝送効率が結果的に生じるということを想定する。結果として、入力電圧Vinは、負荷が変化する際に相対的に一定である、すなわち、負荷非依存である、滑らかな正弦曲線である。
【0131】
第2の双方向電力伝送システム220の回路網224が負荷非依存であるためには、MOSFET241をトリガするパルスの位相は、負荷228の値に非依存である。式(1)にしたがえば、Vocの大きさは、Iを変化させて、そのことにより、回路網216上のDC電圧を変化させることにより変化する。Z(s-r)についての小さい値を想定すると、図6Bにおける電圧Vinの位相は、その位相が負荷228の値に依存していないので、MOSFET241のためのトリガ信号を発生させるために使用され得る。
【0132】
今から図8から図13に目を向けての、より良好に例解される、第2の双方向電力伝送システム220の回路網224の要素。先に説述されたように、回路網224は、この配置構成において、入力段の形式をとる、整合ネットワーク又は回路を備える。入力段は、二重インピーダンス・インバータ231を備える。二重インピーダンス・インバータ231として実現される入力段の例示的な配置構成が、図8において描写される。二重インピーダンス・インバータ231は、回路網224の最適インピーダンスを、トランシーバ要素229におけるインピーダンスに対して整合するように構成される。この実施例において、二重インピーダンス・インバータ231は、増幅器240により発生させられる高調波内容物を低減するようにさらに構成される。
【0133】
図8において示されるように、二重インピーダンス・インバータ231は、LC「T」ネットワークの2つの段として実現される。個別の2つのLC「T」ネットワークは、インダクタンスL、L+L、及びLそれぞれを有する、3つの直列接続されるインダクタ320、322、324を備える。静電容量Cを伴うコンデンサ326が、インダクタ320及び322の間に並列に接続される。静電容量Cを伴うコンデンサ328が、インダクタ322及び324の間に並列に接続される。インダクタ320及びコンデンサ326ペア、並びに、インダクタ324及びコンデンサ328ペアは、スイッチング周波数において共振する。二重インピーダンス・インバータ231から増幅器240への出力電圧は、Vin-rxである。
【0134】
増幅器240の入力インピーダンスは、Z(in-rx)であり、順行電力流方向において電力を抽出するトランシーバ要素229のインピーダンスは、Z(in-r)である。スイッチング周波数において、それらのインピーダンスは、下記に示されるような式3により関係付けられる。
【数2】
【0135】
個別のネットワーク・トポロジーが説明されたが、当業者は、「パイ」又は「L」ネットワークなどの、他の整合ネットワーク・トポロジーが可能であるということを把握することになる。
【0136】
今から図9に目を向けると、増幅器240の回路線図が示される。増幅器240は、入力段からのスイッチング周波数における入力RF信号Vin-rxを、DC及び電圧信号Vrect-rに変換する。この実施例において、増幅器240は、E級増幅器を備える。
【0137】
増幅器240は、すべてが直列に接続される、インダクタンスLf-r+La-rを有するインダクタ330と、静電容量Cf-rを有するコンデンサ332と、インダクタンスLzvs-rを有するインダクタ334とを備える。増幅器240は、D1-rと指示されるダイオード336と、静電容量Czvs-rを有するコンデンサ338と、コンデンサCrect-rを有するコンデンサ340とをさらに備える。メイン・スイッチ(MOSFET241)、コンデンサ338、及びダイオード336は、コンデンサ332とインダクタ334との間に並列に接続される。コンデンサ340は、Vrect-rと接地との間にある。
【0138】
増幅器240入力電流の追加的なフィルタリングが、さらにはスイッチング周波数において共振性である、インダクタ330における追加的なインダクタンスL(f-r)、及び、静電容量C(f-r)を有するコンデンサ332によって達成される。入力電流は、正弦又は近似的に正弦であることを想定され、以て、下記の、後に続く設計式4及び式5が、MOSFET241の50%デューティ・サイクルにおける負荷非依存及びゼロ電圧スイッチング(ZVS)を達成するために適用されることがある。
【数3】

a-r=0.2663Lzvs-r (式5)
【0139】
ここで、ωは、ラジアン・スイッチング周波数である。
【0140】
(j-r)は、ダイオード336の接合静電容量である。
【0141】
oss-rは、ドレイン端子Q1-rにおけるMOSFET241の出力静電容量である。
【0142】
及び、La-rは、適正なZVSのために要されるインダクタ330の直列インダクタンスの一部分である。
【0143】
整流されたDC電圧Vrect-rは無調節であるが、負荷非依存トポロジーの実現形態は、スイッチ・ノード波形が負荷に関して有意に変動しないということを確実にする。そうして、整流された電圧は、相対的に安定しており、増幅器240は、負荷非依存である。
【0144】
E級増幅器が描写されるが、他の増幅器が可能である。例えば、同一の段が、描写される増幅器に追加され得る。この構成において、信号Vgate-rと比較され、信号Vrect-rに接続される相補ゲート信号が、差動E級増幅器240段を作製するために追加されることがある。
【0145】
負荷は、個別の電圧を要し得るものであり、そうして、先に説明されたDC/DCコンバータ226が、望まれる出力電圧を提供するために使用され得る。DC/DCコンバータ226は、Vrect-rをVout-rに変換する。
【0146】
トリガ回路132’は、ワイヤレス電力伝送を同期させるように構成される。トリガ回路132’は、増幅器240の動作を、トランシーバ要素229により受信される電力信号と同期させるように、ゲート・ドライバ260及びそれゆえに増幅器240の動作を制御する。
【0147】
タイミング回復が、MOSFET241の適正なスイッチングを確実にするために要される。理想的には、同期MOSFET241は、入来する電流が正であるときに開位置にあり、入来する電流が負であるときに閉じられ、そのことによって、整流が結果的に生じる。入力段230が完璧にチューニングされるということを想定すると、このことは、Vgate-rがVinと完璧に同位相であるべきであるということを意味する。このことを達成するために、トリガ回路132’は、Vinをサンプリングし、ゲート・ドライバ260のために、適切にタイミングを図られたトリガ電圧Vtrig-rを生み出す。
【0148】
ゲート・ドライバ260及びトリガ回路132’の両方は、無視できない伝搬遅延を呈する。これらの無視できない伝搬遅延に対処するために、トリガ回路132’は、Vgate-rがVinと同期させられるまで、そのトリガ回路132’が信号をさらに遅延させるように設計される。
【0149】
そうして、トリガ回路132’は、「RX時間回復トリガ回路」である。トリガ回路132’は、順行電力流方向において同期整流を達成するように動作する。
【0150】
今から図10に目を向けると、トリガ回路132’、スイッチング要素136’、補助DC/DCコンバータ250、及び増幅器240のブロック線図が描写される。トリガ回路132’は、破線において輪郭を描かれ、トランシーバ要素229から入力電圧Vinにおける抽出された電力信号を受信する。トリガ回路132’は、スイッチング要素136’を介して増幅器240に、及び、補助DC/DCコンバータ250に電気的に接続される。特に、トリガ回路132’は、図7において示されるように、スイッチング要素136’を介して増幅器240のゲート・ドライバ260に電気的に接続される。増幅器240は、補助DC/DCコンバータ250に電気的に接続される。
【0151】
増幅器240のゲート・ドライバ260は、MOSFET241をオン又はオフにスイッチングするために、適切な波形を生み出す。関連付けられるゲート駆動電圧Vgate-rは、本質的には、入力トリガ電圧Vtrig-rの、遅延させられた、及び、より強力な複製物である。
【0152】
先に説述されたように、補助DC/DCコンバータ250は、トリガ回路132’に給電する。
【0153】
トリガ回路132’は、サンプリング回路272と、遅延ライン274と、比較器回路276とを備える。サンプリング回路272は、電圧サンプリング回路である。この実施例において、電圧サンプリング回路は、電圧分割器である。サンプリングされた入力電圧Vinは、電圧分割器から遅延ライン274に送り込まれる。遅延ライン274は、集中素子遅延回路を備える。比較器回路276は、遅延させられた信号Vd-rをDCレベルと比較することにより、クロック信号を発生させるために使用される。結果的に生じるトリガ電圧Vtrig-rは、増幅器240に、特に、ゲート・ドライバ260に送り込まれ、そのゲート・ドライバ260は、増幅器240のMOSFET241を駆動するために、トリガ電圧を、適する波形Vgate-rに変換する。電圧サンプリング回路272、遅延ライン274、及び比較器回路276は、Vgate-rがVinと同期させられるように構成される。
【0154】
今から図11に目を向けると、サンプリング回路272が、さらに例解される。サンプリング回路272は、電圧サンプリング回路である。サンプリング回路272は、比較器回路276に適するレンジまで電圧の振幅を低減するために、容量性電圧分割器ネットワークを使用して実現される。電圧分割器ネットワークは、静電容量Cs1-rを有するコンデンサ342と、インダクタンスLs-rを有するインダクタ344と、静電容量Cs2-rを有するコンデンサ346とを備える。コンデンサ342は、インダクタ344に直列に接続される。コンデンサ346は、コンデンサ342とインダクタ344との間に並列に接続される。
【0155】
インダクタ344は、遅延ライン274の前の、関連付けられる容量性リアクタンスを相殺するように構成される。
【0156】
今から図12に目を向けると、遅延ライン274の回路線図が示される。この実施例において、遅延ライン274は、多重段集中素子送信ライン回路として実現される。各集中素子は、LC要素を備える。例解される配置構成において、集中素子送信ライン回路は、ライン回路に沿って一様に分割されたヨン(4)個の集中素子段を備える。図12は、一様に分けられた遅延ライン274を例解するが、各段における構成要素は、同一であることを必ずしも必要とせず、段の数は、4よりも少ない、又は多いことがある。
【0157】
受動インダクタ及びコンデンサの個別の集中素子が遅延ライン274について説明されたが、当業者は、集積アナログ又はデジタル遅延回路などの、他の構成の遅延回路が可能であるということを把握することになる。
【0158】
例解される配置構成において、集中素子送信ライン回路は、直列に配置構成されるヨン(4)個のインダクタ350、352、354、356と、インダクタ350、352、354、356、及び、抵抗値Zを有する抵抗器368の間に並列に配置構成されるヨン(4)個のコンデンサ360、362、364、366とを備える。Ldr及びCdrそれぞれにより表象される、遅延ライン274と関連付けられる総合的なインダクタンス及び静電容量は、インダクタ350、352、354、356、及び、コンデンサ360、362、364、366の間で分割される(Ld-r及びCd-r構成要素)。
【0159】
遅延ライン274が整合終端されるということを想定すると、関連付けられる時間遅延は、下記の式6により与えられる。
【数4】
【0160】
遅延ライン274が無損失であるということがさらに想定されるならば、特性インピーダンスZは、下記の式7により与えられ得る。
【数5】
【0161】
結果として、Z及びτが選択されると、例えば4段の一様に分けられた遅延ラインについての、インダクタのインダクタンスLd-r、及び、コンデンサの静電容量Cd-rは、下記の式8により与えられる。
【数6】
【0162】
遅延は、Z、すなわち特性インピーダンスの値を有する抵抗368によって終端させられ、この終端の両端間の電圧は、Vd-rにより表象される、Vinのスケーリングされた、及び遅延させられたバージョンである。
【0163】
in及びVgate-rを同期させるために、厳密な遅延を達成するために、遅延ライン274において、段のうちの1つにおける遅延を低減又は増大し、4つよりも多い、又は少ない段を有することが必要であり得る。段のうちの1つ又は複数における遅延を低減又は増大することは、任意の個別の段について、異なるインダクタンス又は静電容量値を使用することを要する。しかしながら、選定されたインダクタ及びコンデンサの値は、特性インピーダンスが同じでなければならないので、式7を満足させなければならない。
【0164】
今から図13に目を向けると、トリガ回路132’の一部分、スイッチング要素136’、ゲート・ドライバ260、及び補助DC/DCコンバータ250の回路線図が示される。特に、トリガ回路132’の比較器回路276が例解される。比較器回路276は、遅延ライン274による遅延させられた信号Vd-r出力をDC信号と比較することにより、クロック信号を発生させるためのものである。図13において示されるように、比較器回路276は、補助供給電圧Vaux-rを有する補助DC/DCコンバータ250から給電される比較器277(A1-r)を備える。
【0165】
比較器277の入力は、Vaux-rのおおよそ半分にバイアスされる。正比較器入力V+rについて、このことは、Rの抵抗を各々伴う、2つの等しい値をもつ抵抗器372、376を使用して達成される。
【0166】
負比較器入力V-rは、Rの抵抗を各々伴う、2つの等しい値をもつ抵抗器370、374を使用して達成される。
【0167】
遅延ライン274による遅延させられた電圧信号Vd-r出力は、静電容量Cb-rを有するDC阻止コンデンサ371を介して、負比較器入力V-rに結合され、そうして、トリガ電圧Vtrig-rは、遅延させられた電圧信号Vd-rに相対的に反転される(180°位相を異にする)ことになる。Vgate-rがVinと同位相であるということを確実にするために要される総合的な遅延の見地において、このことは、効果的にスイッチング期間の半分の因となり、そうして、遅延ライン274への負担を低減する。結果として、総合的な遅延(τdr)は、下記の式9により与えられる。
【数7】
【0168】
ここで、Tsは、スイッチング期間であり、τcは、比較器277の伝搬遅延であり、τgは、ゲート・ドライバ260の伝搬遅延である。
【0169】
ゲート・ドライバ260の出力は、ゲート信号Vgate-rをMOSFET241に提供するために、抵抗Rg-rを有する抵抗器380に接続される。
【0170】
スタート・アップのすぐ後は、出力電圧Vout-rは、補助DC/DCコンバータ250のターン・オン電圧未満であることになり、なぜならば、増幅器240のMOSFET241はオフであり、ダイオード336は整流を遂行しているからである。出力電圧Vout-rが補助DC/DCコンバータ250のこのターン・オンしきい値電圧を上回る際、Vaux-rが、その公称値まで立ち上がることを開始することになる。コンデンサ371の存在が、比較器277への負入力V-rの立ち上がり時間を遅らせることの効果を生出することになる。同様の容量性装荷が比較器277の正入力V+rに付与されない限り、有意な時間区間であって、その間、その正入力V+rが負入力V-rを上回り、そうして、トリガ電圧Vtrig-rが高いことになる、有意な時間区間が存し得る。このことは、増幅器240を不安定化し、MOSFET241への損傷を引き起こし得る。したがって、分路コンデンサ378、静電容量Cst-rを有する分路コンデンサ378が、負入力電圧V-rがスタート・アップ中に正入力電圧V+rよりも大であるということを確実にするために、正入力V+rに追加される。分路コンデンサ378のこの静電容量Cst-rは、阻止コンデンサ371の静電容量Cb-rの少なくとも2倍であるように選定される。例示的な配置構成において、Cb-rが200nFであるならば、Cst-rは、470nFであり得る。
【0171】
先に説述されたように、順行電力流方向において動作するときに、第1の双方向電力伝送システム210は、送信機として動作する。電力供給部212は電圧を出力し、その電圧は、DC/DCコンバータ214により、必要なレベルに変換される。電力段138の増幅器215は、変換された電圧を受信する。増幅器215のゲート・ドライバ218は、入力される電力信号(変換された電圧)を逆変換するために、スイッチング要素136を介する、クロック発生器134により発生させられたクロック信号の制御のもとで、増幅器215のメイン・スイッチ(MOSFET218A)を駆動する。単一段インピーダンス・インバータ219は、負荷非依存である電流を出力するために、この信号を受信する。インピーダンス・インバータ219は、第2の双方向電力伝送システム220の第2のトランシーバ要素229に、ワイヤレス結合(電場及び/又は磁場結合)によって電力を伝送するために、第1の双方向電力伝送システム210の第1のトランシーバ要素222を駆動する。
【0172】
順行電力流方向において動作するときに、第2の双方向電力伝送システム220は、受信機として動作する。第2のトランシーバ要素229における受信される電圧Vinは、第2の双方向電力伝送システム220のトリガ回路132’及び電力段134’(回路網224)に送り込まれる。回路網224の二重段インピーダンス・インバータ231は、電圧Vinを受信し、電圧を回路網224の最適インピーダンスに対して整合する。トリガ回路132’は、スイッチング要素136’を介して、増幅器240のゲート・ドライバ260の動作を制御する。具体的には、トリガ回路132’は、入力電圧Vinをサンプリングし、ゲート・ドライバ260のために、適切にタイミングを図られたトリガ電圧Vtrig-rを生み出す。ゲート・ドライバ260は、トリガ回路132’からの受信されるトリガ電圧Vtrig-rに基づいて、増幅器240の動作を制御する、例えば、増幅器240のMOSFET241のスイッチングを制御するために、ゲート駆動電圧又はゲート信号Vgate-rを出力する。増幅器240は、次いで、DC電圧Vrect-rをDC/DCコンバータ226に出力する。DC/DCコンバータ226は、負荷228のために、DC電圧Vrect-rを、望まれるVout-rに変換する。DC電圧Vrect-rは、さらには、トリガ回路132’に給電するために、補助DC/DCコンバータ250により使用される。
【0173】
ワイヤレス電力伝送システムは、今から、逆行電力流方向において動作するときで説明されることになる。
【0174】
今から図14に目を向けると、第2の双方向電力伝送システム220を含んでいるワイヤレス電力伝送システム200の一部分が、さらに例解される。回路網224は、破線により包囲されて示される。先に説明されたように、第2の双方向電力伝送システム220が逆行電力流方向において送信機として動作しているときに、回路網224の電力段138’は、入力される電力信号を逆変換するためのものである。スイッチング要素136’は、電力段138’をクロック発生器134’に電気的に接続する。
【0175】
回路網224は、増幅器240と、整合ネットワーク又は回路とを備える電力段138’を備える。この実施例において、整合ネットワーク又は回路は、二重段インピーダンス・インバータ231の形式をとる。
【0176】
先に説明されたように、増幅器240は、E級増幅器であり、ゲート・ドライバ260と、MOSFET241の形式をとるメイン・スイッチとを備える。クロック発生器134’は、スイッチング要素136’を介してゲート・ドライバ260に接続される。クロック発生器134’は、発振器を備える。当業者は、クロック発生器134’が任意の制御不可能な信号発生器を備え得るということを把握することになる。
【0177】
クロック発生器134’は、(DC/DCコンバータ226を介する)電力源227からの入力される電力信号を、RF又はAC信号に逆変換するように、メイン・スイッチ(MOSFET241)に接続されるゲート・ドライバ260を制御するために、クロック信号を発生させるように構成される。二重段インバータ231の出力における電圧は、負荷非依存である。
【0178】
回路網224は、個別の構成を有すると説明されたが、当業者は、他の設計がさらには可能であるということを把握することになる。例えば、クロック発生器134’のクロック信号において180度位相差を伴う、追加的な段が、回路網224を差動回路にするために実現されることがある。
【0179】
電力供給部227、DC/DCコンバータ226、及び、増幅器240と二重段インピーダンス・インバータ231とを含んでいる回路網224は、図15Aにおいて示されるように、テブナン等価回路としてモデリングされることがある。回路は、電圧Vを発生させる電圧源402と、インピーダンスZs2を有するインピーダンス源404とを備える。Vの値は、回路網224への入力DC電圧に依存する。トランシーバ要素222、229を含んでいるワイヤレス・リンク230は、Zインピーダンス行列408、並びに、それぞれ、第2の双方向電力伝送システム220の回路網224、及び、第1の双方向電力伝送システム210の回路網216におけるスイッチング周波数における共振を確実にする、値Z及びZを有するチューニング・インピーダンス410、406としてモデリングされ得る。
【0180】
電力供給部227、DC/DCコンバータ226、回路網224、及びワイヤレス・リンク230は、さらには、図15Bにおいて示されるように、ノートン等価回路としてモデリングされ得る。この等価回路は、並列に接続される、電流Iscを有する依存電流源412、及び、Zs-tの有限源インピーダンスを有する源インピーダンス414、並びに、インダクタンスLを有する直列インダクタ418、及び、静電容量Cを有する直列コンデンサ416を含んでいる。インダクタ418及びコンデンサ416は、スイッチング周波数において共振する。Isc及びZs-tの値は、下記の式10及び式11において示されるように、V、Zs2、Z、Z、及び、ワイヤレス・リンク230のインピーダンス行列(Z)に基づいて算出されることがある。
【数8】
【0181】
今から図16に目を向けると、第1の双方向電力伝送システム210を含んでいるワイヤレス電力伝送システム200の一部分が、さらに例解される。回路網216は、破線により包囲されて示される。先に説明されたように、第1の双方向電力伝送システム210が逆行電力流方向において受信機として動作しているときに、回路網216の電力段138は、受信される電力信号を整流するためのものである。スイッチング要素136は、電力段138をトリガ回路132に電気的に接続する。
【0182】
先に説明されたように、回路網216は、増幅器215と、単一段インピーダンス・インバータ219の形式をとる整合ネットワーク又は回路とを備える電力段138を備える。回路網216は、スイッチング要素136を介して増幅器215のゲート・ドライバ218に電気的に接続されるトリガ回路132をさらに備える。回路網216は、トリガ回路132に電気的に接続される補助DC/DCコンバータ250’をさらに備える。
【0183】
先に説述されたように、増幅器215は、E級増幅器である。増幅器215は、ゲート・ドライバ218と、MOSFET218Aの形式をとるメイン・スイッチとを備える。
【0184】
一般的に、E級増幅器において、整流器の性能は、指定された出力負荷、すなわち、望まれる負荷について最適化される。動作中、出力負荷が、望まれる負荷から変動する際、増幅器DC電圧は、大幅に変動する。さらにまた、出力負荷が、望まれる負荷から変動するときに、増幅器215のメイン・スイッチ(MOSFET218A)のゼロ電圧スイッチング(ZVS)動作が、損なわれた様態になり、その成り行きとして、動作は不安定になる。対照的に、負荷非依存E級増幅器は、無負荷条件、すなわちゼロ負荷から全負荷条件まで、増幅器215のスイッチのZVS動作を保持する。加えて、整流された電圧は、無負荷条件と全負荷条件との間で、相対的に一定である。無負荷条件から全負荷条件までのスイッチング損失は、近似的に一定であり、性能は安定したままである。
【0185】
E級増幅器設計は、入力RF電力をDCに変換するように適合させられる。増幅器215の動作又はスイッチング周波数は、例えば、6.78MHz、13.56MHz、及び27.12MHzであり得る。増幅器215による電圧出力は、Vrect-tである。単一段インピーダンス・インバータ219内へのRF電流入力は、Iinである。この実施例において、DC電圧Vrect-tは、無調節である。増幅器215は負荷非依存増幅器を備えるので、スイッチ・ノード波形は、先に説明されたように、負荷に関して有意に変動しない。そうして、電圧は、相対的に安定している。
【0186】
補助DC/DCコンバータ250’は、トリガ回路132に給電するために、増幅器215によるVrect-t出力を、例えば5Vのレンジにおける、補助電圧レンジ、Vaux-tに変換するためのものである。補助信号Vaux-tは、トリガ回路132に給電する。補助DC/DCコンバータ250’が調節することができるまで、MOSFET218Aはオフであり、増幅器215は、受動(ダイオード)整流器として働く。この実施例において、補助DC/DCコンバータ250’は、低電力バック・コンバータを備える。
【0187】
トリガ回路132は、補助DC/DCコンバータ250’からの信号、例えばVaux-tにより給電される。トリガ回路132は、トランシーバ要素222により出力されたRF電力入力Iinをサンプリングし、適切にタイミングを図られたトリガ電圧Vtrig-tを生み出す。トリガ電圧又は信号Vtrig-tは、ゲート・ドライバ218によるゲート駆動電圧又はゲート信号Vgate-t出力が入力電流Iinと90度位相を異にするように、タイミングを図られる。トリガ回路132は、ゲート・ドライバ218によるゲート駆動電圧又はゲート信号Vgate-t出力の適正なタイミングを確実にするためのものである。説明されることになるように、トリガ回路132は、入力電流Iinを使用してタイミングを回復するトリガ信号Vtrig-tを提供するように構成される。例解される配置構成において、トリガ信号Vtrig-tは、パルス信号を含む。
【0188】
理想的には、増幅器215のメイン・スイッチ(MOSFET218A)は、入来する電流が正であるときに開いており、入来する電流が負であるときに閉じられ、そのことによって、適正な整流が結果的に生じる。完璧なチューニングを想定すると、Vgate-tは、Iinと90度位相を異にするべきである。
【0189】
ゲート・ドライバ218は、MOSFET218Aをスイッチングするために信号を出力する。特に、ゲート・ドライバ218は、増幅器215の動作を制御する、例えば、増幅器215のMOSFET218Aのスイッチングを制御するために、ゲート駆動電圧又はゲート信号Vgate-tを出力する。
【0190】
この実施例において、ゲート駆動電圧Vgate-tは、ゲート・ドライバ218内へのトリガ電圧Vtrig-t入力の、遅延させられた、及び、より強力な複製物である。
【0191】
ゲート・ドライバ218及びトリガ回路132は、無視できない伝搬遅延を呈する。ゲート・ドライバ218及びトリガ回路132からの無視できない伝搬遅延の難題に対処するために、トリガ回路132は、Vgate-tがVinと同期させられるということを確実にするために、トリガ回路132が出力信号Vtrig-tをさらに遅延させるように設計される。
【0192】
今から図17に目を向けると、単一インピーダンス・インバータ219は、LC「T」ネットワークの単一段として実現される。LC「T」ネットワークは、インダクタンスLを各々有する、2つの直列接続されるインダクタ420、422を備える。静電容量Cを伴うコンデンサ424が、インダクタ420及び422の間に並列に接続される。インダクタ420、422、及びコンデンサ424は、スイッチング周波数において共振する。単一インピーダンス・インバータ219から増幅器215への出力電圧は、Vin-txである。
【0193】
増幅器215の入力インピーダンスは、Zin-txであり、逆行電力流方向において電力を抽出するトランシーバ要素222のインピーダンスは、Zin-tである。スイッチング周波数において、それらのインピーダンスは、下記の式12により関係付けられる。
【数9】
【0194】
個別のネットワーク・トポロジーが説明されたが、当業者は、「パイ」又は「L」ネットワークなどの、他の整合ネットワーク・トポロジーが可能であるということを把握することになる。
【0195】
今から図18に目を向けると、増幅器215の回路線図が例解される。増幅器215は、入力段からのスイッチング周波数における入力RF信号Vin-txを、DC及び電圧信号Vrect-tに変換する。この実施例において、増幅器215は、E級増幅器を備える。
【0196】
増幅器215は、すべてが直列に接続される、インダクタンスLf-t+La-tを有するインダクタ430と、静電容量Cf-tを有するコンデンサ432と、インダクタンスLzvs-tを有するインダクタ434とを備える。増幅器215は、D1-tと指示されるダイオード436と、静電容量Czvs-tを有するコンデンサ438と、コンデンサCrect-tを有するコンデンサ440とをさらに備える。メイン・スイッチ(MOSFET218A)、コンデンサ438、及びダイオード436は、コンデンサ432とインダクタ434との間に並列に接続される。コンデンサ440は、Vrect-tと接地との間にある。
【0197】
増幅器215についての構成要素のサイズは、式4及び式5を参照してすでに解説された同様の式により左右される。
【0198】
順行電力流方向において動作するときのトリガ回路132’に関してのように、トリガ回路132は、逆行電力流方向において動作するときに、ワイヤレス電力伝送を、同期させて、同期させるように構成される。トリガ回路132は、増幅器215の動作を、トランシーバ要素222により受信される電力信号と同期させるように、電力段ゲート・ドライバ218及びそれゆえに増幅器215の動作を制御する。
【0199】
タイミング回復が、MOSFET218Aの適正なスイッチングを確実にするために要される。理想的には、MOSFET218Aは、入来する電流が正であるときに開位置にあり、入来する電流が負であるときに閉じられ、そのことによって、整流が結果的に生じる。入力段219すべてが完璧にチューニングされるということを想定すると、このことは、Vgate-tがIinと90度位相を異にするべきであるということを意味する。このことを達成するために、トリガ回路132は、Iinをサンプリングし、ゲート・ドライバ218のために、適切にタイミングを図られたトリガ電圧Vtrig-tを生み出す。
【0200】
ゲート・ドライバ218及びトリガ回路132の両方は、無視できない伝搬遅延を呈する。これらの無視できない伝搬遅延に対処するために、トリガ回路132は、Vgate-tがIinと同期させられるまで、そのトリガ回路132が信号をさらに遅延させるように設計される。
【0201】
そうして、トリガ回路132は、「TX時間回復トリガ回路」である。トリガ回路132は、逆行電力流方向において同期整流を達成するように動作する。
【0202】
今から図19に目を向けると、トランシーバ要素222、インピーダンス・インバータ219(インダクタ420、422と、コンデンサ424とを備える)、トリガ回路132、スイッチング要素136、補助DC/DCコンバータ250’、及び増幅器215のブロック線図が例解される。トリガ回路132は、破線において輪郭を描かれる。
【0203】
増幅器215のゲート・ドライバ218は、MOSFET218Aをオン又はオフにスイッチングするために、適切な波形を生み出す。関連付けられるゲート駆動電圧Vgate-tは、本質的には、入力トリガ電圧Vtrig-tの、遅延させられた、及び、より強力な複製物である。
【0204】
先に説述されたように、補助DC/DCコンバータ250’は、トリガ回路132に給電する。
【0205】
トリガ回路132は、サンプリング回路272’と、遅延ライン274’と、比較器回路276’とを備える。トリガ回路132は、インピーダンス・インバータ219のインダクタ420の両端間の電圧をサンプリングする。特に、サンプリング回路272’は、電圧降下サンプリング回路である。インピーダンス・インバータ219のインダクタ420の両端間の電圧降下が、サンプリング回路272’によってサンプリングされ、集中素子遅延ライン回路274’に送り込まれる。遅延ライン274’は、集中素子遅延回路を備える。比較器276’は、次いで、遅延させられた信号Vd-tをDCレベルと比較することにより、クロック信号を発生させるために使用される。結果的に生じるトリガ電圧Vtrig-tは、スイッチング要素136を介してゲート・ドライバ218に送り込まれる。ゲート・ドライバ218は、MOSFET218Aを駆動するために、トリガ電圧Vtrig-tを、適する波形Vgate-tに変換する。
【0206】
サンプリング回路272’、遅延ライン回路274’、及び比較器回路276’は、すべて、電圧Vgate-tが、インダクタ420電流Iinと90度位相を異にする、又は、インダクタ420の両端間の電圧差ΔVL3と同位相であるということを確実にするように設計される。
【0207】
今から図20に目を向けると、トランシーバ要素222、単一段インピーダンス・インバータ219(インダクタ420、422と、コンデンサ424とを備える)、サンプリング回路272’、及び増幅器215が例解される。サンプリング回路272’は、破線において示される。サンプリング回路272’は、電圧降下サンプリング回路である。
【0208】
単一段インピーダンス・インバータ219は、トランシーバ要素222と増幅器215との間に接続される。入力電流Iin(トランシーバ要素222からの出力電流)は、インピーダンス・インバータ219のインダクタ420を通って流れる。
【0209】
電流Iinは、サンプリングするのが困難であり得る。さらに、電流Iinの位相は、トリガ回路132によりトリガ信号を発生させるために源信号として使用するために追跡するのが困難であり得る。そうであるから、単一段インピーダンス・インバータ219のインダクタ420の両端間の電圧降下が使用され得る。この信号は、回路網224のMOSFET241のトリガ信号を発生させるために源信号として使用されることがある。インダクタの両端間の電圧降下と、そのインダクタを通る電流との間の関係が、下記の式13により与えられる。
=jωL×i (式13)
【0210】
インピーダンス・インバータ219におけるインダクタ420の両端間の電圧降下が、トリガ信号を発生させるために源信号として使用されるならば、発生させられたトリガは、インダクタ420の両端間の電圧降下と同位相であることになる。当業者は、電流Iinの位相をサンプリング及び追跡する他の方法が使用され得るということを認識することになる。
【0211】
サンプリング回路272’は、インダクタ420の両端間の電圧降下をスケール・ダウンする。サンプリング回路272’は、静電容量Cs1-tを各々伴うコンデンサ450、452と、静電容量Cs2-tを各々伴うコンデンサ456、458とを備える容量性分割器ネットワークを備える。コンデンサ450、452は、インダクタ240の各側に接続され、コンデンサ456、458は、コンデンサ450及び452それぞれと、本来の様態に向けて、接地との間に接続される。コンデンサ450、456は直列であり、コンデンサ452、458は直列である。インダクタンスLs-tを各々伴うインダクタ454、460が、Cs2-tを補償するように位置を定められる。各インダクタ454、460は、コンデンサ・ペア450、456及び452、458それぞれの中間に接続される。インダクタ454、460は、出力電圧Vを有するバラン462に入力を提供する。例解される配置構成において、バラン462は、不平衡-不平衡バランであり、しかしながら、バラン462は、不平衡-平衡であり得る。
【0212】
理想的には、バラン462の出力電圧Vは、インダクタ420の両端間の電圧降下と同位相である。しかしながら、前もって予測するのが困難であり得る遅延が存し得る。遅延は、PCB(プリント回路ボード(printed circuit board))配線により、又は、バラン462により引き起こされ得る。
【0213】
コンデンサ分割器ネットワーク、及び、バラン462の巻数比の比率が、Vの大きさを決定する。要素222、229の間の結合比が、さらには、静電容量Cs1-t及びCs2-tを決定するために顧慮される。
【0214】
スケール・ダウンされたサンプリングされた電圧は、図20において示されるように、遅延ライン274’に送り込まれる。遅延ライン274’は、図21において示される。遅延ライン274’は、第2の双方向電力伝送システム220の遅延ライン274と同じ様式において機能する。
【0215】
この実施例において、遅延ライン274’は、多重段集中素子送信ライン回路として実現される。各集中素子は、LC要素を備える。例解される配置構成において、集中素子送信ライン回路は、ライン回路に沿って一様に分割されたヨン(4)個の集中素子段を備える。図21は、一様に分けられた遅延ライン274’を例解するが、各段における構成要素は、同一であることを必ずしも必要とせず、段の数は、4よりも少ない、又は多いことがある。
【0216】
受動インダクタ及びコンデンサの個別の集中素子が遅延ライン274’について説明されたが、当業者は、集積アナログ又はデジタル遅延回路などの、他の構成の遅延回路が可能であるということを把握することになる。
【0217】
例解される配置構成において、集中素子送信ライン回路は、直列に配置構成されるヨン(4)個のインダクタ470、472、474、476と、インダクタ470、472、474、476、及び、抵抗値Zを有する抵抗器488の間に並列に配置構成されるヨン(4)個のコンデンサ480、482、484、486とを備える。Ldt及びCdtそれぞれにより表象される、遅延ライン274’と関連付けられる総合的なインダクタンス及び静電容量は、インダクタ470、472、474、476、及び、コンデンサ480、482、484、486の間で分割される(Ld-t及びCd-t構成要素)。
【0218】
時間遅延、並びに、遅延ライン274’のパラメータ、Ldt及びCdtは、先に論考された式6から式8により与えられる。
【0219】
遅延させられた電圧信号Vd-tは、次いで、図22において例解される比較器回路276’に送り込まれる。比較器回路276’は、遅延ライン274’による遅延させられた信号Vd-t出力をDC信号と比較することにより、クロック信号を発生させるためのものである。図22において示されるように、比較器回路276’は、補助供給電圧Vaux-tを有する補助DC/DCコンバータ250’から給電される比較器277’(A1-t)を備える。比較器回路276’は、図13において例解される比較器回路276と同じである。
【0220】
比較器277’の入力は、Vaux-tのおおよそ半分にバイアスされる。正比較器入力V+tについて、このことは、Rの抵抗を各々伴う、2つの等しい値をもつ抵抗器508、510を使用して達成される。
【0221】
負比較器入力V-t、これは、Rの抵抗を各々伴う、2つの等しい値をもつ抵抗器504、506を使用して達成される。
【0222】
遅延ライン274’による遅延させられた電圧信号Vd-t出力は、静電容量Cb-tを有するDC阻止コンデンサ502を介して、負比較器入力V-tに結合され、そうして、トリガ電圧Vtrig-tは、遅延させられた電圧信号Vd-tに相対的に反転される(180°位相を異にする)ことになる。
【0223】
ゲート・ドライバ218’の出力は、ゲート信号Vgate-tをMOSFET218Aに提供するために、抵抗Rg-tを有する抵抗器514に接続される。
【0224】
先に説述されたように、逆行電力流方向において動作するときに、第2の双方向電力伝送システム220は、送信機として動作する。電力供給部227は電圧を出力し、その電圧は、DC/DCコンバータ226により、必要なレベルに変換される。回路網224は、変換された電圧を受信する。増幅器240のゲート・ドライバ260は、入力される電力信号(変換された電圧)を逆変換するために、クロック発生器134’により発生させられたクロック信号の制御のもとで、増幅器240のメイン・スイッチ(MOSFET241)を駆動する。二重段インピーダンス・インバータ231は、負荷非依存である電圧を出力するために、この信号を受信する。インピーダンス・インバータ231は、第1の双方向電力伝送システム210の第1のトランシーバ要素222に、ワイヤレス結合(電場及び/又は磁場結合)によって電力を伝送するために、第2のトランシーバ要素229を駆動する。
【0225】
逆行電力流方向において動作するときに、第1の双方向電力伝送システム210は、受信機として動作する。本来の様態に向けて、第1の双方向電力伝送システム210のトリガ回路132及び回路網216により使用される、第1のトランシーバ要素222における受信される入力電流Iin。回路網216の単一段インピーダンス・インバータ219は、入力電流Iinを受信し、電流を回路網216の最適インピーダンスに対して整合する。トリガ回路132は、スイッチング要素136を介して、増幅器215のゲート・ドライバ218の動作を制御する。具体的には、トリガ回路132は、電圧降下をサンプリングし、ゲート・ドライバ218のために、適切にタイミングを図られたトリガ電圧Vtrig-tを生み出す。ゲート・ドライバ218は、トリガ回路132から受信されるトリガ電圧Vtrig-tに基づいて、増幅器215の動作を制御する、例えば、増幅器215のMOSFET218Aのスイッチングを制御するために、ゲート駆動電圧又はゲート信号Vgate-tを出力する。増幅器215は、次いで、DC電圧Vrect-tを出力する。DC/DCコンバータ214は、負荷213のために、DC電圧Vrect-tを、望まれるVout-tに変換する。DC電圧Vrect-tは、さらには、トリガ回路132に給電するために、補助DC/DCコンバータ250’により使用される。
【0226】
実験的なワイヤレス電力伝送システム200が、システム200の性能を試験するために生み出された。今から図23Aに目を向けると、第1の双方向電力伝送システム210の一部分を含んでいるPCB602が示される。PCB602は、区域1における増幅器215、区域2における単一段インピーダンス・インバータ219、区域3におけるサンプリング回路272’、区域4における遅延ライン274’、区域5における比較器回路276’、スイッチング要素136、ゲート・ドライバ218、区域6におけるクロック発生器134、及び、区域7における補助DC/DCコンバータ250’を形成する電気構成要素を備える。
【0227】
今から図23Bに目を向けると、第2の双方向電力伝送システム220の一部分を含んでいるPCB604が示される。PCB604は、区域1における増幅器240、区域2における二重段インピーダンス・インバータ231、区域3におけるサンプリング回路272、区域4における遅延ライン274、区域5における比較器回路276、スイッチング要素136’、及びゲート・ドライバ260、区域6におけるクロック発生器134’、並びに、区域7における補助DC/DCコンバータ250を形成する電気構成要素を備える。
【0228】
システム210、220の試験が、図23A図23Bにおいて例解されるPCBを使用して、トランシーバ要素222、229としての100Ω容量性電極によって、27.12MHzスイッチング周波数のスイッチング周波数において遂行された。ソレノイダル空芯インダクタが、トランシーバ要素222、229における共振挙動を確立するために使用された。
【0229】
回路網216、224は、順行及び逆行電力流方向それぞれにおける電子DC負荷であるDC負荷228、213に35Wを送出するために、40W電力外出のために設計された。
【0230】
システム210、220のスイッチング要素136、136’は、それぞれの電力段138、138’を、入力される電力信号を逆変換するためにクロック発生器134、134’に、又は、受信される電力信号を整流するためにトリガ回路132、132’に接続するように動作させられた。
【0231】
順行電力流方向において動作するときに、第1のシステム210のPCB602及び電力供給部212に接続されたDC/DCコンバータ214は、24DC電力供給を供給され、第2のシステム220のPCB604に接続されたDC/DCコンバータ226は、調節された24Vを電子負荷(DC負荷228)に出力した。
【0232】
今から図24Aから図24Cに目を向けると、順行電力流方向における動作を描写する様々なグラフが示される。図24Aは、実験的なワイヤレス電力伝送システムが順行電力流方向において動作させられるときの、負荷電流に関しての、電力供給部212の入力電力、及び、負荷228に送出される出力電力を描写する。図24Aにおいて示されるように、出力負荷(DC負荷228)がない様態で、おおよそ21Wが、ワイヤレス電力伝送システムに通電するために要される。36.48Wの公称出力電力が、負荷電流が1.5Aであるときに達成される。
【0233】
図24Bは、負荷電流に関しての、実験的なシステムについてのエンド・ツー・エンド電力伝送効率を描写する。電力伝送効率は、図24Aにおいて示される出力及び入力電力を除算することにより獲得される。ピーク電力伝送効率は、1.5Aにおいておおよそ55%である。
【0234】
図24Cは、実験的なシステムの電圧安定性を描写する。特に、電力供給部212における入力電圧(入力電圧)、DC/DCコンバータ226における出力電圧(Vout-r)(出力電圧)、DC/DCコンバータ214における出力電圧(TX DC電圧)、及び、負荷電流に関しての整流された電圧(Vrect-r)(RX上の整流された電圧)が描写される。
【0235】
電力供給部212における入力電圧、及び、出力電圧(Vout-r)は、近似的に24Vの電圧による電流レンジを通して全体的に安定している。DC/DCコンバータ214における入力電圧は、近似的に17.2Vである。そうして、DC/DCコンバータ214は、入力電圧を24Vから17.2Vに変換する。整流された電圧(Vrect-r)は、無負荷(0A)において近似的に23.6Vであり、1.5A負荷電流において近似的に18.3Vに減少する。この電圧は、負荷228に接続されるDC/DCコンバータ226により24Vに変換される。
【0236】
図25A及び図25Bは、無負荷条件及び全負荷条件それぞれにおける、PCB604上の増幅器240のスイッチ・ノード電圧のグラフである。
【0237】
逆行電力流方向において動作するときに、第2のシステム220のPCB604及び電力供給部227に接続されたDC/DCコンバータ226は、24DC電力供給を供給され、第1のシステム210のPCB602に接続されたDC/DCコンバータ214は、調節された24Vを電子負荷(DC負荷213)に出力した。
【0238】
今から図26Aから図26Cに目を向けると、逆行電力流方向における動作を描写する様々なグラフが示される。図26Aは、実験的なワイヤレス電力伝送システムが順行電力流方向において動作させられるときの、負荷電流に関しての、電力供給部227の入力電力、及び、負荷213に送出される出力電力を描写する。図26Aにおいて示されるように、出力負荷(DC負荷213)がない様態で、おおよそ22Wが、ワイヤレス電力伝送システムに通電するために要される。36.4Wの公称出力電力が、負荷電流が1.5Aであるときに達成される。
【0239】
図26Bは、負荷電流に関しての、実験的なシステムについてのエンド・ツー・エンド電力伝送効率を描写する。電力伝送効率は、図26Aにおいて示される出力及び入力電力を除算することにより獲得される。ピーク電力伝送効率は、1.5Aにおいておおよそ52%である。
【0240】
図26Cは、実験的なシステムの電圧安定性を描写する。特に、電力供給部227における入力電圧(入力電圧)、DC/DCコンバータにおける出力電圧(Vout-t)(出力(otput))電圧、DC/DCコンバータ226における出力電圧(RX DC電圧)、及び、負荷電流に関しての整流された電圧(Vrect-t)(TX上の整流された電圧)が描写される。
【0241】
電力供給部227における入力電圧、及び、出力電圧(Vout-t)は、近似的に24Vの電圧による電流レンジを通して全体的に安定している。DC/DCコンバータ226における出力電圧は、近似的に26.4Vである。そうして、DC/DCコンバータ226は、入力電圧を24Vから26.4Vに変換する。整流された電圧(Vrect-t)は、無負荷(0A)において近似的に14.56Vであり、1.5A負荷電流において近似的に13.2Vに減少する。この電圧は、負荷213に接続されるDC/DCコンバータ214により24Vに変換される。
【0242】
図27A及び図27Bは、無負荷条件及び全負荷条件それぞれにおける、PCB602上の増幅器215のスイッチ・ノード電圧のグラフである。
【0243】
実施例は、図を参照して上記で説明されたが、当業者は、変更及び修正が、本開示及び後に続く特許請求の範囲の、範囲から逸脱することなくなされ得るということを把握することになる。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15A
図15B
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23A
図23B
図24A
図24B
図24C
図25A
図25B
図26A
図26B
図26C
図27A
図27B
【国際調査報告】