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特表2024-532501肺塞栓症患者を識別するための画像処理システム及び方法
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  • 特表-肺塞栓症患者を識別するための画像処理システム及び方法 図1
  • 特表-肺塞栓症患者を識別するための画像処理システム及び方法 図2
  • 特表-肺塞栓症患者を識別するための画像処理システム及び方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】肺塞栓症患者を識別するための画像処理システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20240829BHJP
   A61B 6/03 20060101ALI20240829BHJP
   A61B 6/50 20240101ALI20240829BHJP
【FI】
G06T7/00 616
G06T7/00 350C
A61B6/03 570Z
A61B6/03 560J
A61B6/50 500C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024514037
(86)(22)【出願日】2022-09-02
(85)【翻訳文提出日】2024-03-01
(86)【国際出願番号】 US2022042456
(87)【国際公開番号】W WO2023034570
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】63/240,453
(32)【優先日】2021-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596047609
【氏名又は名称】ウィリアム・ボーモント・ホスピタル
【氏名又は名称原語表記】WILLIAM BEAUMONT HOSPITAL
【住所又は居所原語表記】3601 WEST THIRTEEN MILE ROAD, ROYAL OAK, MICHIGAN 48072,UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】カスティロ エドワード
(72)【発明者】
【氏名】ナイール ギリシュ ビー
【テーマコード(参考)】
4C093
5L096
【Fターム(参考)】
4C093AA22
4C093CA18
4C093DA03
4C093FD03
4C093FD08
4C093FF16
4C093FF23
4C093FF24
4C093FF37
4C093FG18
5L096AA13
5L096DA02
5L096GA59
(57)【要約】
肺の画像を処理する方法は、肺の肺分節化を定めるステップと、換気量推定操作を実施して換気量推定値を算定するステップと、灌流量推定操作を実施して灌流量推定値を算定するステップと、換気量推定値を灌流量推定値と比較するステップと、換気量推定値と灌流量推定値の比較に基づいて肺塞栓危険スコアを求めるステップとを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
肺の画像を処理する方法であって、前記方法は、
データ処理ハードウェアにより、前記肺の肺分節化を定めるステップと、
データ処理ハードウェアにより、非剛体画像レジストレーションを前記分節化肺に対して実行するステップと、
前記データ処理ハードウェアにより、換気量推定操作を実施して換気量推定値を算定するステップと、
前記データ処理ハードウェアにより、灌流量推定操作を実施して灌流量推定値を算定するステップと、
前記データ処理ハードウェアにより、前記換気量推定値を前記灌流量推定値と比較するステップと、
前記データ処理ハードウェアにより、前記換気量推定値と前記灌流量推定値の前記比較に基づいて肺塞栓危険スコアを求めるステップとを含む、方法。
【請求項2】
前記肺の前記画像は、非造影剤4次元コンピュータ断層撮影法を用いて得られる、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記データ処理ハードウェアにより、前記肺の前記画像を受け取るステップをさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記肺は、5つの領域に分節化される、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記肺塞栓危険スコアは、換気量/灌流量不一致のある肺領域の数に基づいて、0から5までのスケールで表される、請求項4記載の方法。
【請求項6】
換気量/灌流量不一致は、
によって定められる、請求項5記載の方法。
【請求項7】
最適しきい値は、
によって算定される、請求項1記載の方法。
【請求項8】
請求項7記載の方程式から得られる最適解は、
*=[0.12 0.15 0.15 0.11 0.12]、
*=[0.03 0.10 0.07 0.01 0.13]
である、請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記肺塞栓危険スコアは、人工知能、機械学習、及びニューラルネットワークのうちの1つ以上を用いて求められる、請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記肺塞栓危険スコアは、
によって算定される、請求項1記載の方法。
【請求項11】
システムであって、
データ処理ハードウェアと、
前記データ処理ハードウェアと通信状態にあるメモリハードウェアとを含み、前記メモリハードウェアは、前記データ処理ハードウェア上での実行時に、前記データ処理ハードウェアに、
前記肺の肺分節化を定める操作、
非剛体画像レジストレーションを前記分節化肺に対して実行する操作、
換気量推定操作を実施して換気量推定値を算定する操作、
灌流量推定操作を実施して灌流量推定値を算定する操作、
前記換気量推定値を前記灌流量推定値と比較する操作、及び
前記換気量推定値と前記灌流量推定値の前記比較に基づいて肺塞栓危険スコアを求める操作から成る操作を実施させる命令を記憶している、システム。
【請求項12】
前記肺の前記画像は、非造影剤4次元コンピュータ断層撮影法を用いて得られる、請求項11記載のシステム。
【請求項13】
前記肺の前記画像を受け取るステップをさらに含む、請求項11記載のシステム。
【請求項14】
前記肺は、5つの領域に分節化される、請求項11記載のシステム。
【請求項15】
前記肺塞栓危険スコアは、換気量/灌流量不一致のある肺領域の数に基づいて、0から5までのスケールで表される、請求項14記載のシステム。
【請求項16】
換気量/灌流量不一致は、
によって定められる、請求項15記載のシステム。
【請求項17】
最適しきい値は、
によって算定される、請求項11記載のシステム。
【請求項18】
請求項17記載の方程式から得られる最適解は、
*=[0.12 0.15 0.15 0.11 0.12]、
*=[0.03 0.10 0.07 0.01 0.13]
である、請求項17記載のシステム。
【請求項19】
前記肺塞栓危険スコアは、人工知能、機械学習、及びニューラルネットワークのうちの1つ以上を用いて求められる、請求項11記載のシステム。
【請求項20】
前記肺塞栓危険スコアは、
によって算定される、請求項11記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示(本発明)は、画像処理を利用した肺塞栓検出システム及び方法に関する。
【0002】
〔関連出願の引照〕
本願は、2021年9月3日に出願された米国特許仮出願第63/240,453号の優先権及び権益主張出願であり、この米国特許仮出願を参照により引用し、その記載内容全体を本明細書の一部とする。
【背景技術】
【0003】
肺塞栓(PE)は、米国において主要な健康上の問題である。急性PEの死亡率は、未治療のままである場合には10~30%であるが、すぐに治療をすると、死亡率を2~8%まで減少させることができる。したがって、適時かつ正確なPE診断は、患者の命を助けるのに決定的に有用である。
【0004】
コンピュータ断層血管撮影法(CTA)は、現時点において、高い臨床上の確率(ウェルズ(Wells)かジュネーブ(Geneva)スコアかのいずれかによって指示される)の患者についてはPEの積極的な適応又は臨床的確率の低い患者についてはPEの消極的な適応を示すために現在単独で又はCT静脈相画像化との組み合わせで用いられている。しかしながら、例えばヨード造影剤アレルギー又は腎不全のような禁忌に起因して、患者のうち10~30%は、CTAには適さない。
【0005】
核医学画像化は、PEを診断するために現在用いられているもう1つの方法であるが、患者を核医学クリニックに移送する必要があり、かかる核医学クリニックは、夜間や週末では利用できない場合がある。核医学画像化は、長期間スキャン取得時間(すなわち、1時間~2時間)を必要とし、スキャンは、再現するのが困難な場合がある。したがって、核医学画像化は、PEを診断するための時間的制約のある要件を満たすことができない。
【発明の概要】
【0006】
本発明の1つの観点は、肺の画像を処理する方法であって、データ処理ハードウェアにより、肺の肺分節化を定めるステップと、データ処理ハードウェアにより、非剛体画像レジストレーションを分節化肺に対して実行するステップと、データ処理ハードウェアにより、換気量推定操作を実施して換気量推定値を算定するステップと、データ処理ハードウェアにより、灌流量推定操作を実施して灌流量推定値を算定するステップと、データ処理ハードウェアにより、換気量推定値を灌流量推定値と比較するステップと、データ処理ハードウェアにより、換気量推定値と灌流量推定値の比較に基づいて肺塞栓危険スコアを求めるステップとを含むことを特徴とする方法を提供する。
【0007】
本発明の具体化例は、以下の観点のうちの1つ以上を含む。幾つかの具体化例では、肺の画像は、非造影剤4次元コンピュータ断層撮影法を用いて得られる。
【0008】
本方法は、データ処理ハードウェアにより、肺の画像を受け取るステップをさらに含むのがよい。
【0009】
肺は、5つの領域に分節化されるのがよい。肺塞栓危険スコアは、換気量/灌流量不一致のある肺領域の数に基づいて、0から5までのスケールで表されるのがよい。換気量/灌流量不一致は、
によって定められるのがよい。
【0010】
最適しきい値は、
によって算定されるのがよい。
【0011】
上記方程式から得られる最適解は、
*=[0.12 0.15 0.15 0.11 0.12]、
*=[0.03 0.10 0.07 0.01 0.13]
であるのがよい。
【0012】
肺塞栓危険スコアは、人工知能、機械学習、及びニューラルネットワークのうちの1つ以上を用いて求められるのがよい。
【0013】
肺塞栓危険スコアは、
によって算定されるのがよい。
【0014】
本発明のもう1つの観点は、システムであって、データ処理ハードウェアと、データ処理ハードウェアと通信状態にあるメモリハードウェアとを含み、メモリハードウェアは、データ処理ハードウェア上での実行時に、データ処理ハードウェアに、データ処理ハードウェアにより、肺の肺分節化を定める操作、データ処理ハードウェアにより、非剛体画像レジストレーションを分節化肺に対して実行する操作、換気量推定操作を実施して換気量推定値を算定する操作、灌流量推定操作を実施して灌流量推定値を算定する操作、換気量推定値を灌流量推定値と比較する操作、及び換気量推定値と灌流量推定値の比較に基づいて肺塞栓危険スコアを求める操作から成る操作を実施させる命令を記憶していることを特徴とするシステムを提供する。
【0015】
本発明の具体化例は、以下の観点のうちの1つ以上を含む。幾つかの具体化例では、肺の画像は、非造影剤4次元コンピュータ断層撮影法を用いて得られる。
【0016】
操作は、肺の画像を受け取る操作を含むのがよい。
【0017】
肺は、5つの領域に分節化されるのがよい。肺塞栓危険スコアは、換気量/灌流量不一致のある肺領域の数に基づいて、0から5までのスケールで表されるのがよい。換気量/灌流量不一致は、

によって定められるのがよい。
【0018】
最適しきい値は、
によって算定されるのがよい。
【0019】
上記方程式から得られる最適解は、
*=[0.12 0.15 0.15 0.11 0.12]、
*=[0.03 0.10 0.07 0.01 0.13]
あるのがよい。
【0020】
肺塞栓危険スコアは、人工知能、機械学習、及びニューラルネットワークのうちの1つ以上を用いて求められるのがよい。
【0021】
肺塞栓危険スコアは、
によって算定されるのがよい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】肺の画像を処理するための略図である。
図2】肺の画像を処理する方法を示す流れ図である。
図3】本明細書において説明するシステム及び方法を具体化するために使用できる例示のコンピューティングデバイスの略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
種々の図の同一の参照記号は、同一の要素を示している。
【0024】
次に、添付の図面を参照して例示の構成例につき詳細に説明する。例示の構成例は、本開示が徹底的なものであり、しかも本発明の範囲を当業者に完全に知らせるよう提供されている。本発明の構成の完全な理解を提供するために、特定の細部、例えば特定のコンポーネント、器具又はデバイス、及び方法の実施例が説明されている。当業者には明らかなように、特定の細部の採用は必要ではなく、例示の構成例は、多くの種々の形態で具体化でき、特定の細部及び例示の構成例は、本発明の範囲を限定するものと解されてはならない。
【0025】
図1図3を参照すると、肺の画像を処理するシステム及び方法が全体として示されている。システム及び方法は、非造影剤MRI換気量(MR-vent)画像及びCT換気量(CT-vent)画像をそれぞれ生じさせるよう磁気共鳴画像法(MRI)又はコンピュータ断層撮影法(CT)に由来する換気量画像化及び画像処理方法と関連した幾つかの要素を含むのがよい。幾つかの具体化例では、本明細書において説明するシステム及び方法は、第三者個人又はエンティティから又は任意適当な源から画像を受け取り又は得ることができる。他の具体化例では、システム及び方法は、時間分解した4次元(4D)MRIシーケンス又は4DCTシーケンス、例えば第4の次元である時間を横切る3次元(3D)画像から、かつ/あるいは2019年12月6日に出願された米国特許出願第16/705,844号明細書に記載されたシステム及び方法のうちの任意のものを用いて、息こらえ吸気位置及び呼気位置にある肺からの画像を生じさせることができ、この米国特許出願を参照により引用し、その開示内容全体を本明細書の一部とする。
【0026】
図1を参照すると、画像処理を用いてPEを診断する例示のシステム100の全体が示されている。図1に示すモジュールは、説明目的のために提供されており、理解されるべきこととして、追加の、これよりも少ない、又は異なるモジュールは、適当なものとして提供できる。加うるに、理解されるべきこととして、各モジュールの説明は、当該説明を別個のモジュールに限定するものではなく、ある特定の機能又は操作は、モジュールの組み合わせ又は任意適当な仕方で実施できる。
【0027】
システム100は、CT由来関数画像化(CTFI)、例えば4DCTを用いて得られる肺の画像を得、又は受け取るよう構成された画像モジュール102を含む。上述したように、画像は、米国特許出願第16/705,844号明細書に記載されたシステム及び方法のうちの任意のものを用いることを含めて任意適当な仕方で得ることができ又は作ることができる。幾つかの具体化例では、本明細書において説明するシステム及び方法は、患者のための再構成4DCT吸気/呼気画像からCTFI画像を生じさせるステップを含む。
【0028】
システム100は、肺分節化モジュール104を含む。幾つかの具体化例では、肺分節化モジュール104は、公に入手できるデータ又は任意他の適当なデータに対して訓練されたDenseNet畳込みニューラルネットワークを用いて自動的に肺分節化マスクを生じさせる。肺分節化モジュール104は、肺を肺の5つの葉に対応した5つの領域に分割し又は分節化するのがよい。具体的には、肺分節化モジュール104は、右の肺を上葉、中間葉、及び下葉に分節化するとともに左の肺を上葉及び下葉に分節化するのがよい。幾つかの具体化例では、肺分節化モジュール104は、5つの葉の近似値を求めることができ、すなわち、肺分節化モジュール104は、各葉の全容積を求めることができ、そしてまた、右の肺を右肺の全容積に基づいて等しい1/3に分割することができ、肺分節化モジュール104は、左肺の上葉を左肺の全容積の2/3であるよう近似させるとともに下葉を左肺の全容積の1/3であるように近似させることができる。
【0029】
他の具体化例では、肺分節化モジュール104は、肺の外層を識別するとともに葉の各々を互いに連結する裂を識別することによって葉を分節化するのがよい。この識別を実施するため、肺分節化モジュール104は、人工知能及び/又は機械学習(教師あり又は教師なし)、又はニューラルネットワークを具体化するのがよい。
【0030】
システム100は、非剛体画像レジストレーション(Deformable Image Registration:DIR)操作を肺分節化画像に対して実行するよう構成されたDIRモジュール106を含む。DIRモジュール106は、2次ペナルティDIR法を用いてDIRをコンピュータ計算することができる。DIRモジュール106は、DIRコンピュータ計算空間変換Φ:R3→R3をコンピュータ計算し、この空間変換は、呼気肺幾何学的形状を吸気肺幾何学的形状上にマップする。DIRモジュール106は、肺容積部をΩ1,Ω2,…Ω5で示された5つのゾーンに分割し、これらゾーンは、5つの肺葉を近似するよう設計されており、Ω1は、右肺の頂部であり、Ω2は、右肺の中間部であり、Ω3は、右肺の底部であり、Ω4は、左肺の頂部であり、Ω5は、左肺の底部である。
【0031】
システム100は、画像に応じてCTFI換気量及び灌流量推定を実施するよう構成された推定モジュール108を含む。推定モジュール108は、質量が変化しているときに肺容積が吸気灌流量と呼気灌流量との間で変化するときに換気量を定量化する。
【0032】
推定モジュール108は、方程式1について容積をコンピュータ計算するためにインテグレーテッド・ヤコビアン・フォーミュレーション(integrated Jacobian Formulation )又は任意他の適当な方法を用いることができる。推定モジュール108は、CTハウンズフィールドユニットに基づいて肺内の材料密度を近似し、かくしてこの関係式を用いて方程式2をコンピュータ計算するよう構成されている。
【0033】
推定モジュール108は、機能肺ゾーンと非機能肺ゾーンとの差をしきい値パラメータでモデル化するよう構成されている。特に、各ゾーンΩ1は、
低灌流量:Perf(Ωi)<pi (3)
高灌流量:Perf(Ωi)≧pi
しかも、同様に、
低換気量:Vent(Ωi)<vi (4)
高換気量:Vent(Ωi)≧vi
であるように灌流量しきい値pi及び換気量しきい値viを有する。
【0034】
推定モジュール108は、指標関数B(Ωi;p,v)に対する換気量/灌流量機能不一致を特定するよう構成され、この指標関数は、次のよういにしきい値によってパラメータ化される。
上式において、p=(p1,p2,p3,p4,p5)及びv=(v1,v2,v3,v4,v5)である。PEは、機能不一致の存在において特徴づけられるが、呼吸労作変動性、4DCT再構成アーチファクト、及び分節化エラーを含む要因は、CTFI精度に影響に悪影響を及ぼす場合があり、その結果、潜在的に特徴づけが間違った機能又は不確定な失敗が生じる。加うるに、少量の換気量/灌流量不一致は、健常な患者ではよくあることであると言える。
【0035】
したがって、推定モジュール108は、PE危険スコアモジュール110と協働してPE危険スコアを生じさせてこれを換気量/灌流量不一致の量に基づいて患者に次のように割り当てるよう構成されている。
上式において、スコアは、次の通りである。
【0036】
PE危険スコアモジュール110によって割り当てられたPE危険スコアは、PE診断に対応しており、すなわち、3以上のPE危険スコアは、陽性のPE診断に対応し、2に等しいPE危険スコアは、不確定なPE診断に対応し、1以下のPE危険スコアは、陰性のPE診断に対応している。PE危険スコアモジュール110は、換気量推定値と灌流量推定値を比較して不一致量を求めるよう構成されているのがよい。PE危険スコアモジュール110は、PE危険スコアを生じさせ、そしてこのPE危険スコアを、任意適当な仕方で、例えば、コンピューティングデバイスのディスプレイ上に、プリントアウト上などに表示するよう構成されているのがよい。
【0037】
推定モジュール108及びPE危険スコアモジュール110は、次のように最適しきい値を求めるよう構成されており、
上式において、
かつ
である。
【0038】
j番目の患者の5つの肺領域は、Ωij,i=1,2,3,4,5として示され、方程式7のスコアは、
として示されている。陽性及び陰性の患者の指標セットは、それぞれ、Ipos及びInegとして示されている。
【0039】
幾つかの具体化例では、方程式8により求められる最適解は、
*=[0.12 0.15 0.15 0.11 0.12] (11)
*=[0.03 0.10 0.07 0.01 0.13]
に等しいのがよい。
【0040】
幾つかの具体化例では、推定モジュール108及びPE危険スコアモジュール110は、人工知能及び/又は機械学習(教師あり又は教師なし)、又はニューラルネットワークを具体化することによってPE危険スコア及び/又は最適しきい値を求めるよう構成されている。
【0041】
図2を参照すると、システム100を実行する方法200の全体的が示されている。ステップ202では、方法200は、肺の1つ以上の画像を得る。例えば、肺は、第三者によって提供されたものであってもよく、あるいは、システム100によって任意適当な仕方で得られてもよい。ステップ204では、方法200は、肺分節化を定めるステップを含む。例えば、肺の画像を肺の5つの葉に基づいて5つの領域に分節化するのがよい。ステップ206では、方法200は、非剛体画像レジストレーション操作を実行するステップを含む。ステップ208では、方法200は、CTFI‐換気量及び灌流量推定を実施するステップを含む。ステップ210では、方法200は、PE危険スコアを換気量及び灌流量推定値に基づいて生じさせるステップを含む。例えば、PE危険スコアは、0~5のスケールで表されるのがよく、PE危険スコアは、患者にとってのPE診断に対応するのがよい。
【0042】
図3は、本明細書において説明したシステム及び方法を具体化するために使用できる例示のコンピューティングデバイス300の略図である。コンピューティングデバイス300は、デジタルコンピュータの種々の形態、例えばラップトップ、デスクトップ、ワークステーション、パーソナルデジタルアシスタント、サーバ、ブレードサーバ、メインフレーム、及び他の適当なコンピュータを表すようになっている。ここに示しているコンポーネント、これらの接続及び構成上の関係、ならびにこれらの機能は、例示であるに過ぎないことを意味しており、本明細書において説明するとともに/あるいはクレーム請求される本発明の具体化例を限定するものではない。
【0043】
コンピューティングデバイス300は、プロセッサ310、メモリ320、記憶装置330、メモリ320及び高速拡張ポート350に結合している高速インターフェース/コントローラ340、及び低速バス370及び記憶装置330に結合した低速インターフェース/コントローラ360を有する。コンポーネント310,320,330,340,350、360の各々は、種々のバスを用いて相互に接続されており、当該コンポーネントは、共通のマザーボード上に又は該当する場合には他の仕方で実装されるのがよい。プロセッサ310は、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)のためのグラフィカル情報を外部入力/出力装置、例えば高速インターフェース340に結合されたディスプレイ380上に表示するようコンピューティングデバイス300内で実行可能な命令を処理することができ、かかる命令としては、メモリ320内に又は記憶装置330上に記憶された命令が挙げられる。他の具体化例では、多数のプロセッサ及び/又は多数のバスを多数のメモリ及び多くの形式のメモリと一緒に適宜使用することができる。また、多数のコンピューティングデバイス300が互いに接続されるのがよく、各コンピューティングデバイスは、必要な操作の部分を提供する(例えば、サーババンクとして、グループをなすブレードサーバとして、又はマルチプロセッサシステムとして)。
【0044】
メモリ320は、情報をコンピューティングデバイス300内に非一時的に記憶する。メモリ320は、コンピュータ可読媒体、揮発性メモリユニット、又は不揮発性メモリユニットであるのがよい。非一時的メモリ320は、プログラム(例えば、命令のシーケンス)又はデータ(例えば、プログラム状態情報)をコンピューティングデバイス300によって使用可能に一時的又は永続的な方式で記憶するために用いられる物理的デバイスであるのがよい。不揮発性メモリの例としては、フラッシュメモリやリードオンリーメモリ(ROM)/プログラマブルリードオンリーメモリ(PROM)/消去可能なプログラマブルリードオンリーメモリ(EPROM)/電子的に消去可能なプログラマブルリードオンリーメモリ(EEPROM)(例えば、典型的には、ファームウェア用に用いられ、例えば、ブートプログラム)が挙げられるがこれらには限定されない。揮発性メモリの例としては、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、相変化メモリ(PCM)ならびにディスク又はテープが挙げられるが、これらには限定されない。
【0045】
記憶装置330は、コンピューティングデバイス300のための大容量記憶を行うことができる。幾つかの具体化例では、記憶装置330は、コンピュータ可読媒体である。種々の異なる具体化例では、記憶装置330は、フロッピーディスクデバイス、ハードディスクデバイス、光ディスクデバイス、又はテープデバイス、フラッシュメモリもしくは他の類似のソリッドステートメモリデバイス、又は記憶ストレージエリアネットワーク又は他のコンフィグレーション中のデバイスを含むデバイスのアレイであるのがよい。追加の具体化例では、コンピュータプログラム製品は、情報キャリヤ内で有形的に具体化される。コンピュータプログラム製品は、実行時に、例えば上述した1つ以上の方法を実行する命令を含む。情報キャリヤは、コンピュータ可読媒体又は機械可読媒体、例えばメモリ320、記憶装置330、又はプロセッサ上のメモリ310である。
【0046】
高速コントローラ340は、コンピューティングデバイス300の帯域幅集約型操作を管理し、他方、低速コントローラ360は、これよりも少ない帯域幅集約型操作を管理する。デューティのかかる割り当ては、例示であるに過ぎない。幾つかの具体化例では、高速コントローラ340は、メモリ320、ディスプレイ380(例えば、グラフィックスプロセッサ又はアクセラレータ)、及び高速拡張ポート350に結合され、この高速拡張ポートは、種々の拡張カード(図示せず)を受け取ることができる。幾つかの具体化例では、低速コントローラ360は、記憶装置330及び低速拡張ポート390に結合される。低速拡張ポート390は、種々の通信ポート(例えば、USB、Bluetooth(登録商標)、Ethernet(登録商標)、ワイヤレスEthernet)を含むのがよく、かかる低速拡張ポートは、1つ以上の入力/出力デバイス、例えばキーボード、ポインティングデバイス、スキャナ、又はネットワーキングデバイス、例えばスイッチもしくはルータに例えばネットワークアダプタ経由で結合されるのがよい。
【0047】
コンピューティングデバイス300は、図示のように、多種多様な形態で具体化できる。例えば、コンピューティングデバイスは、標準サーバ300a又はかかるサーバ300aの複数(数倍)のサーバから成るグループとして、ラップトップコンピュータ300bとして、又はラックサーバシステム300cの一部として具体化できる。
【0048】
ソフトウェアアプリケーション(すなわち、ソフトウェアリソース)は、コンピューティングデバイスに仕事を行わせるようにするコンピュータソフトウェアを意味する場合がある。幾つかの実施例では、ソフトウェアアプリケーションは、「アプリケーション」、「アプリ」、又は「プログラム」と呼ばれる場合がある。例示のアプリケーションとしては、システム診断アプリケーション、システム管理アプリケーション、システムメンテナンスアプリケーション、ワードプロセッシングアプリケーション、スプレッドシートアプリケーション、メッセージングアプリケーション、メディアストリーミングアプリケーション、ソーシャルネットワーキングアプリケーション、及びゲーミングアプリケーションが挙げられるが、これらには限定されない。
【0049】
非一時的メモリは、プログラム(例えば、命令のシーケンス)又はデータ(例えば、プログラム状態情報)をコンピューティングデバイスによって使用可能に一時的又は永続的な方式で記憶するために用いられる物理的デバイスであるのがよい。非一時的メモリは、揮発性及び/又は不揮発性アドレス指定可能半導体メモリであるのがよい。不揮発性メモリの例としては、フラッシュメモリやリードオンリーメモリ(ROM)/プログラマブルリードオンリーメモリ(PROM)/消去可能なプログラマブルリードオンリーメモリ(EPROM)/電子的に消去可能なプログラマブルリードオンリーメモリ(EEPROM)(例えば、典型的には、ファームウェア用に用いられ、例えば、ブートプログラム)が挙げられるがこれらには限定されない。揮発性メモリの例としては、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、相変化メモリ(PCM)ならびにディスク又はテープが挙げられるが、これらには限定されない。
【0050】
本明細書において説明したシステム及び技術の種々の具体化例は、デジタル電子及び/又は光回路、集積回路、特別に設計されたASIC(特定用途向け集積回路)、コンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、及び/又はこれらの組み合わせの状態で実現できる。これら種々の具体化例は、少なくとも1つのプログラマブルプロセッサを含むプログラマブルシステム上で実行可能であるとともに/あるいは解釈可能である1つ以上のコンピュータプログラムの具体化例を含むことができ、プログラマブルシステムは、特殊用途又は専用又は汎用であってよく、かかるプログラマブルシステムは、記憶システム、少なくとも1つの入力デバイス、及び少なくとも1つの出力デバイスからデータ及び命令を受け取ったりデータ及び命令を記憶システム、少なくとも1つの入力デバイス、及び少なくとも1つの出力装置に送ったりするよう結合されている。
【0051】
これらコンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション又はコードとも呼ばれる)は、プログラマブルプロセッサ向きの機械命令を含み、かかるコンピュータプログラムは、高水準手続き型及び/又はオブジェクト指向プログラミング言語、及び/又はアセンブリ/機械言語で具体化できる。本明細書で用いる「機械可読媒体」という用語及び「コンピュータ可読媒体」という用語は、機械命令及び/又はデータをプログラマブルプロセッサに提供するために用いられる任意のコンピュータプログラム製品、非一時的コンピュータ可読媒体、装置及び/又はデバイス(例えば、磁気ディスク、光ディスク、メモリ、プログラマブルロジックデバイス(PLD))を意味し、プログラマブルプロセッサは、機械命令を機械可読信号として受け取る機械可読媒体を含む。「機械可読信号」という用語は、機械命令及び/又はデータをプログラマブルプロセッサに提供するために用いられる任意の信号を意味している。
【0052】
本明細書において説明するプロセス及びロジックフローは、入力データ上で演算し、出力を生じさせることによって機能を実行するために1つ以上のコンピュータプログラムを実行する1つ以上のプログラマブルプロセッサ(データ処理ハードウェアとも呼ばれている)によって実施できる。プロセス及びロジックフローはまた、特殊用途論理回路、例えばFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)又はASIC(特定用途向け集積回路)によっても実施できる。コンピュータプログラムの実行に適したプロセッサとしては、例示として、汎用マイクロプロセッサと特殊用途マイクロプロセッサの両方、及び任意の種類のデジタルコンピュータの任意の1つ以上のプロセッサが挙げられる。一般的に言って、プロセッサは、命令及びデータをリードオンリーメモリもしくはランダムアクセスメモリ又はこれら両方から受け取る。コンピュータの必須の要素は、命令を実行するプロセッサ及び命令及びデータを記憶する1つ以上のメモリデバイスである。一般的に言って、コンピュータは、データを記憶する1つ以上の大量記憶装置、例えば磁気ディスク、光磁気ディスク、又は光ディスクを含み又はこれら1つ以上の大量記憶装置からデータを受け取ったりデータを1つ以上の大量記憶装置に送ったりするよう作動的に結合される。しかしながら、コンピュータは、かかるデバイスを有する必要はない。コンピュータプログラム命令及びデータを記憶するのに適したコンピュータ可読媒体として、あらゆる形式の不揮発性メモリ、メディア及びメモリデバイスが挙げられ、かかるデバイスは、例示として、半導体メモリデバイス、例えばEPROM、EEPROM、及びフラッシュメモリデバイス、磁気ディスク、例えば内蔵型ハードディスク又はリムーバブルディスク、光磁気ディスク、CD‐ROM、DVD‐ROMディスクを含む。プロセッサ及びメモリは、特殊用途論理回路で補完されるのがよく又は特殊用途論理回路に含まれるのがよい。
【0053】
ユーザとの相互作用を可能にするため、本発明の1つ以上の観点は、情報をユーザに表示することができるディスプレイ装置、例えばCRT(陰極線管)、LCD(液晶ディスプレイ)モニタ、又はタッチスクリーン、及びオプションとしてユーザがコンピュータ入力を提供することができる手段としてのキーボード及びポインティングデバイス、例えばマウス又はトラックボールを有するコンピュータ上で具体化できる。他の種類のデバイスもまたユーザとの相互作用を提供するよう使用でき、例えば、ユーザに提供される任意の形態のフィードバックは、感覚フィードバック、例えば視覚フィードバック、音声フィードバック、又は触覚フィードバックであるのがよく、ユーザからの入力は、音声、スピーチ、又は触覚入力を含む任意の形態で受け取り可能である。加うるに、コンピュータは、例えば、ウェブブラウザから受け取ったリクエストに応答してウェブページをユーザのクライアントデバイス上のウェブブラウザに送ることによって、文章をユーザによって使用されるデバイスに送ったり文章をこのデバイスから受け取ったりすることによってユーザと相互に作用することができる。
【0054】
多くの具体化例を説明した。それにもかかわらず、種々の改造が本発明の精神及び範囲から逸脱することなく実施できることは理解されよう。したがって、他の具体化例は、以下の特許請求の範囲に記載された本発明の範囲に含まれる。
図1
図2
図3
【国際調査報告】