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特表2024-532505統合されたラテラルフローバイオアッセイおよびバイオセンサ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】統合されたラテラルフローバイオアッセイおよびバイオセンサ
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/543 20060101AFI20240829BHJP
   G01N 27/327 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
G01N33/543 521
G01N27/327
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024514051
(86)(22)【出願日】2022-09-01
(85)【翻訳文提出日】2024-04-23
(86)【国際出願番号】 US2022075863
(87)【国際公開番号】W WO2023034935
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】63/240,732
(32)【優先日】2021-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521151599
【氏名又は名称】エムエックススリー・ダイアグノスティクス・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】チャトゥリカ・ダルシャニ・アベイラトネ
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・エーリックスター
(72)【発明者】
【氏名】グルシャラン・チャナ
(72)【発明者】
【氏名】エフストラティオス・スカフィダス
(57)【要約】
生体試料の分析物を定量するための方法およびシステムは、ラテラルフローアッセイ(LFA)を含む。統合されたLFA分析物測定装置は、測定された分析物の濃度に対する信号を生成する第1のセンサを含む。LFA装置はまた、第1のセンサの出力の補正、調整、または解釈を支援するための補助的尺度のための1つまたは複数の追加のセンサを含むことができる。LFA装置は、データ記憶、分析、およびアクセスのためにリモートデータベースと協働することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラテラルフローシステムを使用して生体試料の1つまたは複数の分析物の濃度を定量するためのシステムであって、
前記1つまたは複数の分析物の前記濃度に対する信号を生成する第1のセンサと、
前記第1のセンサの前記信号の解釈を支援するための1つまたは複数のそれぞれの補助的尺度のための1つまたは複数の追加のセンサと、
試験を容易にする分析用装置とを備える、システム。
【請求項2】
前記1つまたは複数の追加のセンサのうちの少なくとも1つが、前記ラテラルフローシステムに統合される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記1つまたは複数の追加のセンサのうちの少なくとも1つが、同じ前記分析用装置を使用するが、前記ラテラルフローシステムに統合されていない、請求項1~2のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項4】
前記1つまたは複数の補助的尺度の少なくとも1つがpHである、請求項1~3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記1つまたは複数の補助的尺度の少なくとも1つがイオンの濃度である、請求項1~4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記1つまたは複数の補助的尺度の少なくとも1つが、容量オスモル濃度である、請求項1~5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記1つまたは複数の補助的尺度の少なくとも1つが温度である、請求項1~6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記1つまたは複数の補助的尺度の少なくとも1つが、前記第1のセンサの前記信号を補正するために使用される、請求項1~7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記1つまたは複数の補助的尺度の少なくとも1つは、エラーにフラグを立てるために使用される、請求項1~8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記1つまたは複数の補助的尺度の少なくとも1つは、前記第1のセンサの前記信号の診断状況を提供するために使用される、請求項1~9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記1つまたは複数の補助的尺度の少なくとも1つが、二次分析用装置で収集されたデータである、請求項1~10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記1つまたは複数の補助的尺度の少なくとも1つが、前記生体試料を提供する個人によって提供される回答のセットである、請求項1~11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
前記1つまたは複数の補助的尺度のうちの少なくとも1つが、前記システムを操作する個人によって注釈付けされた観測のセットである、請求項1~12のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
前記1つまたは複数の補助的尺度の少なくとも1つは、前記第1のセンサの前記信号の診断状況を提供するために使用される、請求項1~13のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項15】
前記分析用装置が、結果および/または解釈での助言をオペレータに直接提示する、請求項1~14のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項16】
前記分析用装置が、データの提示、解釈、追跡および/または分析のために携帯電話またはタブレットと無線通信する、請求項1~15のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項17】
ラテラルフローシステムを使用して生体試料の1つまたは複数の分析物の濃度を定量するためのシステムであって、
前記1つまたは複数の分析物のそれぞれ1つの前記濃度に対する信号をそれぞれ生成する1つまたは複数のセンサと、
前記生体試料の収集および処理のための統合されたマイクロ流体および材料と、
試験を容易にする分析装置とを備える、システム。
【請求項18】
前記統合されたマイクロ流体および材料は、前記生体試料の物理的変動を制御する、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記物理的変動が、粘度または気泡含有量を含む、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記統合されたマイクロ流体および材料は、前記生体試料の化学的変動を制御する、請求項17~19のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項21】
前記化学的変動が、pHまたはイオン含有量を含む、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記分析装置が、結果および/または解釈での助言をオペレータに直接提示する、請求項17~21のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項23】
前記分析装置が、データの提示、解釈、追跡および/または分析のために携帯電話またはタブレットと無線通信する、請求項17~22のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項24】
ラテラルフローシステムを使用して生体試料の1つまたは複数の分析物の濃度を定量するためのシステムであって、
前記1つまたは複数の分析物のそれぞれ1つの前記濃度に対する信号をそれぞれ生成する1つまたは複数のセンサと、
1つまたは複数の統合された自動タイミング要素と、
試験を容易にする分析装置とを備える、システム。
【請求項25】
前記1つまたは複数のタイミング要素は、可変流速の複数の膜を含む、請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
前記1つまたは複数のタイミング要素が、前記分析装置のタイマーを始動させる流体検出電極を備える、請求項24~25のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項27】
前記1つまたは複数のタイミング要素が、測定を開始する流体検出電極を備える、請求項24~26のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項28】
前記1つまたは複数のタイミング要素が、十分な試料が収集されたことを識別するように配置された流体検出電極を備える、請求項24~27のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項29】
前記1つまたは複数のタイミング要素の出力は、エラーにフラグを立てるために使用される、請求項24~28のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項30】
前記分析装置が、結果および/または解釈での助言をオペレータに直接提示する、請求項24~29のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項31】
前記分析装置が、データの提示、解釈、追跡および/または分析のために携帯電話またはタブレットと無線通信する、請求項24~30のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項32】
ラテラルフローシステムを使用して生体試料の1つまたは複数の分析物の濃度を定量するためのシステムであって、
前記1つまたは複数の分析物のそれぞれ1つの前記濃度に対する信号をそれぞれ生成する1つまたは複数のセンサと、
化学反応を開始するのに必要な液体の統合されたパッケージングと、
試験を容易にする分析装置とを備える、システム。
【請求項33】
前記液体の統合されたパッケージングが、測定プロセスにおけるステップを開始するためにシステムオペレータによって手動で開封される、請求項32に記載のシステム。
【請求項34】
前記液体の統合されたパッケージングが、測定プロセスにおけるステップを開始するために前記分析装置によって自動的に開封される、請求項32~33のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項35】
前記分析装置が、結果および/または解釈での助言をオペレータに直接提示する、請求項32~34のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項36】
前記分析装置が、データの提示、解釈、追跡および/または分析のために携帯電話またはタブレットと無線通信する、請求項32~35のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項37】
ラテラルフローシステムを使用して生体試料の1つまたは複数の分析物の濃度を定量するためのシステムであって、
前記1つまたは複数の分析物のそれぞれ1つの前記濃度に対する信号をそれぞれ生成する1つまたは複数のセンサと、
前記ラテラルフローシステムのセグメントを分離する統合された切断要素と、
試験を容易にする分析装置とを備える、システム。
【請求項38】
前記切断要素が統合された液体パックと組み合わされる、請求項37に記載のシステム。
【請求項39】
前記分析装置が、結果および/または解釈での助言をオペレータに直接提示する、請求項37~38のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項40】
前記分析装置が、データの提示、解釈、追跡および/または分析のために携帯電話またはタブレットと無線通信する、請求項37~39のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項41】
ラテラルフローシステムを使用して生体試料の1つまたは複数の分析物の濃度を定量するためのシステムであって、
1つまたは複数の統合されたイオン選択電極と、
イオン装填リポソームと、
前記リポソームを溶解するように作用するコンジュゲート分子と、
試験を容易にする分析装置とを備える、システム。
【請求項42】
前記イオン装填リポソームが、前記1つまたは複数のイオン選択電極の近くに固定化されている、請求項41に記載のシステム。
【請求項43】
前記生体試料の標的分析物の存在が、捕捉リガンドによる前記コンジュゲート分子の捕捉を防止し、前記リポソームの溶解およびイオン濃度の増加をもたらす、請求項42に記載のシステム。
【請求項44】
前記分析装置が、結果および/または解釈での助言をオペレータに直接提示する、請求項41~43のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項45】
前記分析装置が、データの提示、解釈、追跡および/または分析のために携帯電話またはタブレットと無線通信する、請求項41~44のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項46】
ラテラルフローシステムを使用して生体試料の1つまたは複数の分析物の濃度を定量するためのシステムであって、
1つまたは複数の集積電極と、
前記1つまたは複数の分析物を標的とする1つまたは複数の分子インプリントポリマーと、
1つまたは複数の標識されたコンジュゲート分子と、
試験を容易にする分析装置とを備える、システム。
【請求項47】
前記1つまたは複数の分子インプリントポリマーのそれぞれが、前記1つまたは複数の集積電極のそれぞれ1つに配置されている、請求項46に記載のシステム。
【請求項48】
前記1つまたは複数の標識されたコンジュゲート分子の少なくとも1つが、前記1つまたは複数の分子インプリントポリマーの少なくとも1つに結合するために前記1つまたは複数の分析物の少なくとも1つと競合する、請求項46~47のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項49】
前記1つまたは複数の標識されたコンジュゲート分子の少なくとも1つが、前記1つまたは複数の分析物の少なくとも1つに結合し、得られた複合体が、前記1つまたは複数の分子インプリントポリマーの少なくとも1つに結合する、請求項46~48のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項50】
前記分析装置が、結果および/または解釈での助言をオペレータに直接提示する、請求項46~49のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項51】
前記分析装置が、データの提示、解釈、追跡および/または分析のために携帯電話またはタブレットと無線通信する、請求項46~50のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項52】
ラテラルフローシステムを使用して生体試料の1つまたは複数の分析物の濃度を定量するためのシステムであって、
1つまたは複数の集積電極と、
前記1つまたは複数の分析物を標的とする1つまたは複数のアプタマーと、
1つまたは複数の標識されたコンジュゲート分子と、
試験を容易にする分析装置とを備える、システム。
【請求項53】
前記1つまたは複数のアプタマーがそれぞれ、前記1つまたは複数の集積電極のそれぞれ1つに配置されている、請求項52に記載のシステム。
【請求項54】
前記1つまたは複数の標識されたコンジュゲート分子の少なくとも1つが、前記1つまたは複数の分析物の少なくとも1つと競合して、前記1つまたは複数のアプタマーの少なくとも1つに結合する、請求項52~53のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項55】
前記1つまたは複数の標識されたコンジュゲート分子の少なくとも1つが、前記1つまたは複数の分析物の少なくとも1つに結合し、得られた複合体が、前記1つまたは複数のアプタマーの少なくとも1つに結合する、請求項52~54のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項56】
前記分析装置が、結果および/または解釈での助言をオペレータに直接提示する、請求項52~55のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項57】
前記分析装置が、データの提示、解釈、追跡および/または分析のために携帯電話またはタブレットと無線通信する、請求項52~56のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項58】
ラテラルフローシステムを使用して生体試料の1つまたは複数の分析物の濃度を定量するためのシステムであって、
1つまたは複数の集積電極と、
1つまたは複数の温度変更要素と、
試験を容易にする分析装置とを備える、システム。
【請求項59】
前記1つまたは複数の温度変更要素は、前記ラテラルフローシステムに統合された抵抗加熱要素を含む、請求項58に記載のシステム。
【請求項60】
前記1つまたは複数の温度変更要素が、開かれると吸熱レクションをもたらし、前記ラテラルフローシステムの前記温度を低下させる液体パックを含む、請求項58~49のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項61】
前記1つまたは複数の温度変更要素のうちの少なくとも1つが、前記分析装置内に配置され、前記ラテラルフローシステムの前記温度が、熱伝導性材料を使用して変更される、請求項58~60のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項62】
前記分析装置が、所望の温度に達した後にのみ分析のために試料を適用するようにユーザを促す、請求項58~61のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項63】
ラテラルフローシステムを使用して生体試料の1つまたは複数の分析物の濃度を定量するためのシステムであって、
1つまたは複数の集積電極と、
1つまたは複数の統合された品質管理要素と、
試験を容易にする分析装置とを備える、システム。
【請求項64】
前記1つまたは複数の品質管理要素のうちの少なくとも1つが、所望の範囲から外れた温度にさらされることによって不可逆的に変更される、請求項63に記載のシステム。
【請求項65】
前記1つまたは複数の品質管理要素のうちの少なくとも1つが、所望の範囲から外れた湿度にさらされることによって不可逆的に変更される、請求項63~64のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項66】
前記1つまたは複数の品質管理要素のうちの少なくとも1つは、前記ラテラルフローシステムが使用されると不可逆的に変更される、請求項63~65のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項67】
前記分析装置は、前記1つまたは複数の品質管理要素のうちの少なくとも1つを自動的に測定し、前記少なくとも1つの品質管理要素が不適切な貯蔵または使用を示すときには分析を実行しない、請求項63~66のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項68】
ラテラルフローシステムを使用して生体試料の1つまたは複数の分析物の濃度を定量するためのシステムであって、
タイプおよび/またはバッチ追跡用の1つまたは複数の集積電極と、
試験を容易にする分析装置と、
モバイルアプリケーションとを備える、システム。
【請求項69】
タイプおよび/またはバッチ追跡が、集積電極の抵抗値を使用して達成される、請求項68に記載のシステム。
【請求項70】
タイプおよび/またはバッチ追跡が、ラテラルフロー試験が古くなっているかどうかを示すために使用される、請求項68~69のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項71】
ラテラルフローシステムを使用して生体試料の1つまたは複数の分析物の濃度を定量するためのシステムであって、
1つまたは複数の集積電極と、
試験を容易にする分析装置と、
モバイルアプリケーションとを備える、システム。
【請求項72】
前記分析装置は、インターネット接続モバイルデバイスと測定データを無線通信する、請求項71に記載のシステム。
【請求項73】
前記分析装置から測定データを受信するための集中化したデータベースをさらに備え、前記集中化したデータベースは、前記モバイルアプリケーションまたはウェブポータルを介して複数の個人によってアクセスされ得る、請求項71~72のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項74】
前記集中化したデータベースは、追加の相補的データを使用して前記測定データのさらなる分析を実行する、請求項73に記載のシステム。
【請求項75】
前記集中化したデータベースが、前記測定データに応答して、予め定義されたパラメータに基づいて第三者に警告を自動的に送信する、請求項73に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権出願の参照による組み込み
本出願は、2021年9月3日に出願された米国仮出願第63/240732号の利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。本出願と共に提出された出願データシートにおいて外国または国内の優先権主張が特定されているすべての出願は、37 CFR 1.57の下で参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願は、生化学的システムおよび方法を記載する。より具体的には、本出願は、生体試料の分析物を定量するための方法およびシステムを記載する。分析物の方法および定量化は、疾患の診断、治療および管理を支援し、および/または健康および幸福、人間のパフォーマンスを監視し、または法の執行を支援する。
【背景技術】
【0003】
生体試料の分析物の迅速な識別および定量化のための技術は、疾患の診断、治療および管理、生物学的脅威の識別、正常な健康および幸福の維持、人間のパフォーマンスの最適化、および制御された物質の識別を含む多くの用途に不可欠である。
【0004】
イムノアッセイは、生体試料を分析する1つの標準的な方法である。従来のイムノアッセイ法は、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)である。ELISA試験にはいくつかの欠点がある。これは、抗体-抗原複合体化、複数の反復洗浄ステップ、試薬の手動の添加、および高額な実験装置を用いた長い分析時間を含む複雑な多工程のプロセスである。さらに、実験室ELISA試験を実施するためには、実験室技術の著しい訓練が必要である。
【0005】
ELISA試験の代替法は、認識分子の存在下で測定可能な信号が生成されるバイオセンサである。ポイントオブケア(POC)検査の用途のために、共振、光学、熱、および電気化学測定に基づくバイオセンサが開発されている。適切に実施されると、これらのアプローチは、所与の用途に対して十分な精度、正確性、および選択性を維持しながら、試験のプロセスを単純化し、アッセイの時間を短縮する。
【0006】
バイオセンサは、概念実証に関する学術文献で広く報告されているが、現場またはPOC診断には広く使用されていない(以下に述べるように、妊娠検査などの目立った例外はほとんどない)。
【0007】
バイオセンサが広く採用されていないのは、多くの報告された設計の大量生産が複雑であるためであり得る。報告されるプロセスは、多くのステップ(抗原または抗体の固定化、ブロッキング、洗浄)、比較的高額な材料、およびクリーンルームのインフラストラクチャを必要とする場合がある。特に低中所得国および他の資源が限られた地域では、携帯可能で、手頃な価格で、迅速で、感度が高く、また特異的な診断用バイオセンサが依然として必要とされている。
【0008】
ラテラルフローアッセイ(LFA)は、比較的低いコスト、ラテラルフローイムノクロマトグラフィーアッセイのための確立された製造プロセス、および優れた貯蔵寿命を含む、他のバイオセンサプラットフォームを超えるいくつかの利点を有する。妊娠検査キットなどの定性の紙ベースのLFA検査ストリップは一般に市販されているが、バイオマーカーの濃度の定量化は、クロマトグラフィーの出力の曖昧さのために依然として課題である。これにより、試験結果は、バイナリの存在/非存在の試験結果が許容される用途に限定される。ラテラルフローストリップを定量的な要素と統合することにより、より有益なデータが記録できるようになり、新規な用途を可能にする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
定量的な要素の統合は、いくつかのさらなる課題をもたらす。第1に、血液、尿、または唾液などの生体試料は、pHおよびイオン含有量が劇的に変化し得るか、または試験のパフォーマンスに影響を及ぼし、試験結果の信頼性に影響を及ぼし得る汚染物質を含有し得る。これらの交絡因子を克服する1つの方法は、イオン含有量を正規化し、汚染物質を除去するための分析前の試料の処理または前処理である。しかしながら、この前処理は、試験手順にさらなる複雑さおよびコストをもたらす。理想的には、試験システムは、試料の分析の前に試料処理を必要としない。
【0010】
第2に、定量的な要素は、規定のインキュベーション期間を許容するために、試料の添加と、二次測定プロセスの刺激または測定の開始との間の正確なタイミングを必要とし得る。理想的には、試験システムは、自動または直感的なタイミング要素を統合して、ユーザのエラー、または測定プロセスにおける試料の粘度の変動によってもたらされるエラーの可能性を低減し、結果の精度を向上させる。
【0011】
第3に、定量的方法は、試料のインキュベーション後に試薬の正確かつ十分に方向付けられた添加を必要とし得る。理想的には、試験システムは、そのような試薬の添加を指示および制御する自動またはユーザフレンドリな要素を統合する。
【0012】
この特許に記載されている新規な定量的ラテラルフローバイオセンサは、上記の課題に対処し、高度に熟練した人員が管理することを必要としない、統合された低コストの携帯可能かつ迅速な定量的試験ツールを可能にする。
【0013】
本出願の譲受人は、唾液を試験、測定および分析し、対象の水和レベルを測定し、ならびにヒトまたは動物の対象における他の物質(例えば、汗)および/または生理学的パラメータを測定するためのシステム、方法および装置を記載する先行の特許出願を出願している。これらの先行の特許出願には、2018年11月21日に出願された米国特許出願公開第16/197,530号明細書、2018年10月11日出願の第16/598,000号明細書、2021年1月27日出願の第17/159770号明細書、および2021年1月14日出願の第17/149181号明細書が含まれる。上で参照されたこれらの特許出願はすべて、参照により本出願に組み込まれ、以下では「組み込まれた出願」と呼ぶことがある。
【0014】
本出願は、生体試料の分析物を識別または定量するためのシステムおよび方法を説明することによって、組み込まれた出願における技術に追加する。
【0015】
これらおよび他の態様および実施態様は、添付の図面に関連して、より詳細に以下に説明される。
【課題を解決するための手段】
【0016】
いくつかの態様では、本明細書に記載されている装置および技術は、ラテラルフローシステムを使用して生体試料の1つまたは複数の分析物の濃度を定量するためのシステムであって、1つまたは複数の分析物の濃度に対する信号を生成する第1のセンサと、第1のセンサの信号の解釈を支援するための1つまたは複数のそれぞれの補助的尺度のための1つまたは複数の追加のセンサと、試験を容易にする分析用装置とを備える、システムに関する。
【0017】
いくつかの態様では、追加のセンサのうちの1つがラテラルフローシステムに統合される。いくつかの態様では、追加のセンサのうちの1つは、同じ分析用装置を使用するが、ラテラルフローシステムに統合されない。いくつかの態様では、補助的尺度の1つはpHである。いくつかの態様では、補助的尺度の1つはイオンの濃度である。いくつかの態様では、補助的尺度の1つは容量オスモル濃度である。いくつかの態様では、補助的尺度の1つは温度である。
【0018】
いくつかの態様では、補助的尺度の1つが、第1のセンサの信号を補正するために使用される。いくつかの態様では、補助的尺度の1つが、エラーにフラグを立てるために使用される。いくつかの態様では、補助的尺度の1つは、第1のセンサの信号の診断状況を提供するために使用される。いくつかの態様では、補助的尺度の1つは、二次分析用装置で収集されたデータである。いくつかの態様では、補助的尺度の1つは、生体試料を提供する個人によって提供される回答のセットである。いくつかの態様では、補助的尺度のうちの1つは、システムを操作する個人によって注釈付けされた観測のセットである。いくつかの態様では、補助的尺度の1つは、第1のセンサの信号の診断状況を提供するために使用される。
【0019】
いくつかの態様では、本明細書に記載の技術は、ラテラルフローシステムを使用して生体試料の1つまたは複数の分析物の濃度を定量するためのシステムであって、1つまたは複数の分析物のそれぞれ1つの濃度に対する信号をそれぞれ生成する1つまたは複数のセンサと、生体試料の収集および処理のための統合されたマイクロ流体および材料と、試験を容易にする分析装置とを備える、システムに関する。
【0020】
いくつかの態様では、統合されたマイクロ流体および材料は、生体試料の物理的変動を制御する。いくつかの態様では、物理的変動は、粘度または気泡含有量を含む。いくつかの態様では、統合されたマイクロ流体および材料は、生体試料の化学的変動を制御する。いくつかの態様では、化学的変動は、pHまたはイオン含有量を含む。
【0021】
いくつかの態様では、本明細書に記載の技術は、ラテラルフローシステムを使用して生体試料の1つまたは複数の分析物の濃度を定量するためのシステムであって、1つまたは複数の分析物のそれぞれ1つの濃度に対する信号をそれぞれ生成する1つまたは複数のセンサと、1つまたは複数の統合された自動タイミング要素と、試験を容易にする分析装置とを備える、システムに関する。
【0022】
いくつかの態様では、タイミング要素は、可変流速の複数の膜を含む。いくつかの態様では、タイミング要素は、分析装置のタイマーを始動させる流体検出電極を含む。いくつかの態様では、タイミング要素は、測定を開始する流体検出電極を含む。いくつかの態様では、タイミング要素は、十分な試料が収集されたことを識別するように配置された流体検出電極を含む。いくつかの態様では、タイミング要素の出力は、エラーにフラグを立てるために使用される。
【0023】
いくつかの態様では、本明細書に記載の技術は、ラテラルフローシステムを使用して生体試料の1つまたは複数の分析物の濃度を定量するためのシステムであって、1つまたは複数の分析物のそれぞれ1つの濃度に対する信号をそれぞれ生成する1つまたは複数のセンサと、化学反応を開始するのに必要な液体の統合されたパッケージングと、試験を容易にする分析装置とを備える、システムに関する。
【0024】
いくつかの態様では、液体の統合されたパッケージングは、測定プロセスにおけるステップを開始するためにシステムオペレータによって手動で開封される。いくつかの態様では、液体の統合されたパッケージングは、測定プロセスのステップを開始するために分析装置によって自動的に開封される。
【0025】
いくつかの態様では、本明細書に記載の技術は、ラテラルフローシステムを使用して生体試料の1つまたは複数の分析物の濃度を定量するためのシステムであって、1つまたは複数の分析物のそれぞれ1つの濃度に対する信号をそれぞれ生成する1つまたは複数のセンサと、ラテラルフローシステムのセグメントを分離する統合された切断要素と、試験を容易にする分析装置とを備える、システムに関する。
【0026】
いくつかの態様では、切断要素は、統合された液体パックと組み合わされる。
【0027】
いくつかの態様では、本明細書に記載の技術は、ラテラルフローシステムを使用して生体試料の1つまたは複数の分析物の濃度を定量するためのシステムであって、1つまたは複数の統合されたイオン選択電極と、イオン装填リポソームと、リポソームを溶解するように作用するコンジュゲート分子と、試験を容易にする分析装置とを備える、システムに関する。いくつかの態様において、イオン装填リポソームは、1つまたは複数のイオン選択電極の近くに固定化される。いくつかの態様では、イオン装填リポソームを捕捉リガンドにタグ付けする。いくつかの態様では、生体試料の標的分析物の存在が、捕捉リガンドによるコンジュゲート分子の捕捉を防止し、リポソームの溶解およびイオン濃度の増加をもたらす。
【0028】
いくつかの態様では、本明細書に記載の技術は、ラテラルフローシステムを使用して生体試料の1つまたは複数の分析物の濃度を定量するためのシステムであって、1つまたは複数の集積電極と、1つまたは複数の分析物を標的とする1つまたは複数の分子インプリントポリマーと、1つまたは複数の標識されたコンジュゲート分子と、試験を容易にする分析装置とを備える、システムに関する。
【0029】
いくつかの態様では、1つまたは複数の分子インプリントポリマーのそれぞれは、1つまたは複数の集積電極のそれぞれ1つに配置される。いくつかの態様では、標識されたコンジュゲート分子の少なくとも1つは、分析物の少なくとも1つと競合して、分子インプリントポリマーの少なくとも1つに結合する。いくつかの態様では、標識されたコンジュゲート分子の1つは、1つまたは複数の分析物に結合し、得られた複合体は、分子インプリントポリマーの1つに結合する。
【0030】
いくつかの態様では、本明細書に記載の技術は、ラテラルフローシステムを使用して生体試料の1つまたは複数の分析物の濃度を定量するためのシステムであって、1つまたは複数の集積電極と、1つまたは複数の分析物を標的とする1つまたは複数のアプタマーと、1つまたは複数の標識されたコンジュゲート分子と、試験を容易にする分析装置とを備える、システムに関する。
【0031】
いくつかの態様では、アプタマーはそれぞれ、集積電極のそれぞれ1つに配置される。いくつかの態様では、標識されたコンジュゲート分子は、アプタマーに結合するために分析物と競合する。いくつかの態様では、標識されたコンジュゲート分子は1つまたは複数の分析物に結合し、得られた複合体はアプタマーに結合する。
【0032】
いくつかの態様では、本明細書に記載の技術は、ラテラルフローシステムを使用して生体試料の1つまたは複数の分析物の濃度を定量するためのシステムであって、1つまたは複数の集積電極と、1つまたは複数の温度変更要素と、試験を容易にする分析装置とを備える、システムに関する。
【0033】
いくつかの態様では、温度変更要素は、ラテラルフローシステムに統合された抵抗加熱要素を含む。いくつかの態様では、温度変更要素は、開かれると吸熱レクションをもたらし、ラテラルフローシステムの温度を低下させる液体パックを含む。いくつかの態様では、温度変更要素は分析装置内に配置され、ラテラルフローシステムの温度は熱伝導性材料を使用して変更される。いくつかの態様では、分析装置は、所望の温度に達した後にのみ分析のために試料を適用するようにユーザを促す。
【0034】
いくつかの態様では、本明細書に記載の技術は、ラテラルフローシステムを使用して生体試料の1つまたは複数の分析物の濃度を定量するためのシステムであって、1つまたは複数の集積電極と、1つまたは複数の統合された品質管理要素と、試験を容易にする分析装置とを備える、システムに関する。
【0035】
いくつかの態様では、品質管理要素は、所望の範囲から外れた温度にさらされることによって不可逆的に変更される。いくつかの態様では、品質管理要素は、所望の範囲から外れた湿度にさらされることによって不可逆的に変更される。いくつかの態様では、品質管理要素は、ラテラルフローシステムが使用されると不可逆的に変更される。いくつかの態様では、分析装置は、1つまたは複数の品質管理要素のうちの少なくとも1つを自動的に測定し、少なくとも1つの品質管理要素が不適切な貯蔵または使用を示すときには分析を実行しない。
【0036】
いくつかの態様では、本明細書に記載の技術は、ラテラルフローシステムを使用して生体試料の1つまたは複数の分析物の濃度を定量するためのシステムであって、タイプおよび/またはバッチ追跡用の1つまたは複数の集積電極と、試験を容易にする分析装置と、モバイルアプリケーションとを備える、システムに関する。
【0037】
いくつかの態様では、タイプおよび/またはバッチ追跡は、集積電極の抵抗値を使用して達成される。いくつかの態様では、タイプおよび/またはバッチ追跡は、ラテラルフロー試験が古くなっているかどうかを示すために使用される。
【0038】
いくつかの態様では、本明細書に記載の技術は、ラテラルフローシステムを使用して生体試料の1つまたは複数の分析物の濃度を定量するためのシステムであって、1つまたは複数の集積電極と、試験を容易にする分析装置と、モバイルアプリケーションとを備える、システムに関する。
【0039】
いくつかの態様では、分析装置は、インターネット接続モバイルデバイスと測定データを無線通信する。いくつかの態様では、システムは、分析装置から測定データを受信するための集中化したデータベースをさらに含み、集中化したデータベースは、モバイルアプリケーションまたはウェブポータルを介して複数の個人によってアクセスされ得る。いくつかの態様では、集中化したデータベースは、追加の相補的データを使用して測定データのさらなる分析を実行する。いくつかの態様では、集中化したデータベースは、測定データに応答して、予め定義されたパラメータに基づいて第三者に警告を自動的に送信する。
【0040】
態様のいずれにおいても、分析用装置は、結果および/または解釈での助言をオペレータに直接提示する。いくつかの態様では、分析用装置は、データの提示、解釈、追跡および/または分析のために携帯電話またはタブレットと無線で通信する。
【0041】
本開示を要約する目的で、特定の態様、利点、および新規な特徴が本明細書で説明される。必ずしもすべてのそのような態様、利点、または特徴が本開示の任意の特定の実施態様において具体化されるわけではなく、当業者は、本明細書の開示から、そのような態様、利点、または特徴の無数の組み合わせを認識するであろうということを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】従来のラテラルフローアッセイの構造。
図2A】様々な電極配置を有する従来の電気化学センサの代表的な構造。
図2B】様々な電極配置を有する従来の電気化学センサの代表的な構造。
図2C】様々な電極配置を有する従来の電気化学センサの代表的な構造。
図3】分析物濃度依存性信号を介した標的分析物の検出のためのイオン選択電極およびリポソームを使用したラテラルフローアッセイの実施態様。
図4】標的分析物の検出のための分子インプリントポリマーを使用したラテラルフローアッセイの実施態様。
図5】標的分析物の検出のためのアプタマーを使用したラテラルフローアッセイの実施態様。
図6A】統合型pHセンサを使用して得られる、pHが補助的尺度であるラテラルフローアッセイの実施態様。
図6B図6Aのラテラルフローアッセイを使用して測定結果を補正している。
図6C図6Aのラテラルフローアッセイを使用して測定結果を除外している。
図6D図6Aのラテラルフローアッセイを使用して測定結果の臨床解釈を改善している。
図7】Aは統合されたマイクロ流体が唾液を舌から直接収集し、次いで粒子状物質および気泡を濾過するのに機能しているラテラルフローアッセイの実施態様を示す図であり、Bは統合されたマイクロ流体が唾液を舌から直接収集し、次いでランニングバッファを収集された試料と自動的に混合するのに機能しているラテラルフローアッセイの実施態様を示す図である。
図8】Aは試料の流れの進行を確認するために流体検出電極が膜の下に配置され、測定を開始するために使用されている、ラテラルフローアッセイの実施態様を示す図であり、Bは化学反応の開始に必要な二次化合物の添加を調節するために、可変流速のいくつかの膜を配置している、ラテラルフローアッセイの実施態様を示す図である。
図9】Aは測定プロセスのステップを開始するために、予め計量された液体パックがシステムオペレータによって手動で開封されている、ラテラルフローアッセイの実施態様を示す図であり、Bは予め計量された液体パックが分析装置によって開封されるラテラルフローアッセイの実施態様を示す図である。
図10】Aは切断要素の押下が膜の領域を分離するために使用されているラテラルフローアッセイの実施態様を示す図であり、Bは切断要素の押下が膜の領域を分離し、液体の放出を引き起こすラテラルフローアッセイの実施態様を示す図である。
図11】アッセイの温度の温度を調節するために加熱または冷却要素が統合されているラテラルフローアッセイの実施態様を示す図である。
図12】温度検知要素が品質管理要素として使用されているラテラルフローアッセイの実施態様を示す図である。
図13】バッチおよび/またはタイプ追跡のために使用されるラテラルフローアッセイ集積電極の実施態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本出願は、生体試料の分析物の識別または定量のためのシステムおよび方法の様々な実施形態および特徴を記載する。これらの分析物は、抗体、タンパク質、ペプチド、ホルモン、核酸、薬物、および病原体であり得るが、これらに限定されない。以下の開示は唾液または血液の分析に焦点を当てているが、以下に説明する実施態様、またはそれらの実施態様の変形は、尿、糞便、または汗などの任意の他の生体試料の分析に使用することができる。
【0044】
従来のラテラルフローアッセイの構造
従来のラテラルフローアッセイ(LFA)100の構造を図1に示す。
【0045】
従来のLFA100では、まず生体試料が試料パッド110に添加される。いくつかの実施態様では、試料パッド110は、セルロース繊維フィルタまたは織られたメッシュを含む。試料パッド110は、主に、下流の材料への試料の流れを調節するように作用する。試料パッド110はまた、pH(例えば、試薬を試料パッド110に添加することによる)などの試料パラメータを変更するように作用し得、試料から粒子状物質を除去するためのフィルタとして作用し得、または結合特異性を改善するブロッキング溶液を含み得る。
【0046】
いくつかの実施態様では、pHまたは粘度などの試料パラメータを正規化して、より高感度の測定を促進することができる。代替的または追加的に、生体試料は、試料パッド110に配置される前に、最初にランニングバッファと混合され得る。同様の手法は、試料の後にランニングバッファを試料パッド110に追加することを含む。
【0047】
次に、試料はコンジュゲートパッド112を流れる。いくつかの実施態様では、コンジュゲートパッド112は、ガラス繊維フィルタ、セルロースフィルタ、表面処理されたポリエステルまたはポリプロピレンフィルタ、または他のフィルタを含むことができる。コンジュゲートパッド112は、標的分析物(例えば、「サンドイッチ」LFAの場合)に結合することができる1つもしくはいくつかの標識分子(コンジュゲート)、または標的分析物(例えば、「競合」LFAの場合)に類似の1つもしくはいくつかの標識分子を含み得る。試験試料は、コンジュゲートが一定の濃度で試料に存在するように、コンジュゲートパッド112内またはその上のコンジュゲートを再水和させる。
【0048】
コンジュゲート分子には、抗原、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体、相補的ヌクレオチド配列またはアプタマーが含まれるが、これらに限定されない。標識には、酵素(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ-HRP、アルカリホスフェート-AP)、電気活性成分/レドックスメディエーター(例えば、フェロセン、チオニン)、金属ナノ粒子(例えば、金)、ポリマーミクロスフェア(例えば、ラテックス)、金属錯体を有するレドックスポリマー、およびリポソームが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施態様では、蛍光、色素、酵素、レドックスメディエーター、およびイオンなどのシグナリングトレーサーをリポソームに組み込むことができる。したがって、LFAは、統合されたセンサ、例えば、統合された免疫センサ、統合された水和センサ、統合されたpHセンサなどとして実装することができる。
【0049】
次いで、試料/コンジュゲート混合物は、いくつかの捕捉試薬が結合された膜114に沿って流れる。いくつかの実施態様では、膜114は、ニトロセルロース、酢酸セルロース、ガラス繊維膜、ナイロン、ポリビニリデン、フッ化物などのうちの1つまたは複数を含むことができる。捕捉試薬は、抗原、モノクローナル抗体もしくはポリクローナル抗体、相補的ヌクレオチド配列、アプタマー、または分子インプリントポリマーなどの合成抗体であり得る。
【0050】
「試験ライン」120として呼称された位置で、捕捉リガンドが固定化されて、分析物または競合的コンジュゲート分子を捕捉する。単一のLFA100は、いくつかの試験ライン120を含むことができる。いくつかの実施態様では、LFA100は、それぞれが固定化捕捉リガンドを有する、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、またはそれより多い試験ライン120を含み得る。いくつかの実施態様では、2つ以上の固定化捕捉リガンドが同じ捕捉リガンドである。いくつかの実施態様では、2つ以上の固定化捕捉リガンドは異なる捕捉リガンドである。
【0051】
対照ライン122として呼称された位置で、リガンドがコンジュゲート分子に特異的に固定化され、コンジュゲート可溶化および試験の有効性の確認として作用する。いくつかの実施態様では、追加の対照ライン122は、追加の試料の特徴を確認するために選択された特定の固定化リガンドを含むことができる。1つまたは複数の追加の較正ライン124は、1つまたは複数の無関係な標的を標的とすることができ、試料内部の任意の固有のバックグラウンド干渉を制御するために含まれ得る。
【0052】
最後に、追加の試料が膜を横切って流れることを促進するために、吸収パッドまたはウィックパッド116が、試験ラインおよび対照ラインの後に配置される。いくつかの実施態様では、ウィックパッド116は、セルロース繊維フィルタ、綿繊維、綿/ガラス混合物、または他の適切な材料であり得る。いくつかの実施態様では、ウィックパッド116は、バックグラウンド信号を低減し、試験の感度を増加させることができる。
【0053】
ラテラルフローアッセイのフォーマット
ラテラルフローストリップに使用される2つの一般的なアッセイの形式は、サンドイッチアッセイおよび競合アッセイである。
【0054】
サンドイッチアッセイは、タンパク質などの比較的大きな分析物を検出するために使用されるが、競合アッセイは、2つの捕捉分子が同時に結合するには分析物が小さすぎる、ホルモンなどの小さな分析物のために使用される。
【0055】
サンドイッチLFAでは、分析物の1つの結合部位に対する捕捉分子が、標識にコンジュゲートされ、別の結合部位に対する第2の捕捉分子が、試験ラインに固定化される。試験ラインでの標識の存在/濃度は、標的分析物の存在/濃度を示す。
【0056】
競合的LFAのいくつかの実施態様では、特異的結合部位を標的とする捕捉分子が試験ラインに固定化される。この結合部位を含む分子は、標識にコンジュゲートされ、次いで、試験ラインでの結合について試料に存在するいずれかの分析物と競合する。試験ラインにおける標識の存在/濃度は、標的分析物の非存在/濃度反比例を示す。
【0057】
競合的LFAの別の実施態様では、標的分析物は試験ラインに固定化される。標識された捕捉分子は、試料に存在する任意の分析物に結合し、任意の残りの捕捉分子は、試験ラインに結合する。ここでも、試験ラインにおける標識の存在/濃度は、標的分析物の非存在/濃度反比例を示す。
【0058】
ラテラルフローアッセイ検出フォーマット
従来のLFAでは、試験ラインまたは対照ラインにおけるコンジュゲートの存在は、光学的または電気化学的方法を用いて判定される。
【0059】
光学的測定の場合、試験ラインの色強度はコンジュゲート濃度に対するものである。いくつかの標識では、試料が膜を通過した後に追加の試薬をLFAに添加して、色が変化する化学反応を開始させるかまたは色強度を増大する必要がある場合がある。
【0060】
測定結果は、眼で判定され得る(定性的LFA試験で典型的)。あるいは、試験ラインおよび較正ラインにおける光学信号の強度をより客観的または定量的に評価するために、外部または一体型光学リーダを使用することができる。
【0061】
電気化学的方法の場合、1つまたはいくつかのセンサがラテラルフローストリップ内に統合される。センサおよびコンジュゲートの位置は、コンジュゲートが試験ラインまたは対照ラインの近位にあるときに信号が生成されるように選択される。いくつかのコンジュゲートについては、電気化学的測定を開始するために追加の試薬を膜に添加する必要がある場合がある。
【0062】
図2A図2Cに示すように、電気化学測定のための電気化学センサ218の実施態様は、1つまたは複数の作用電極260、対電極262、および基準電極264を含むことができる。例えば、図2Aに示す電気化学センサ218は、1つの作用電極260と、1つの対電極262と、1つの基準電極264とを含み得る。図2Bに示す電気化学センサ218’は、2つの作用電極260、1つの対電極262、および1つの基準電極264を含むことができる。いくつかの実施態様では、各作用電極260はそれぞれの対電極262と対になっており、ストリップは単一の基準電極264を含む。いくつかの実施態様では、対電極262は必要ではない。例えば、図2Cに示す電気化学センサ218’’は、1つの作用電極260および1つの基準電極264を含むが、いくつかの実施態様では、複数の作用電極260を1つの基準電極264と共に使用することができる。このタイプの電気化学センサは、アンペロメトリ、インピーダンス、電位差測定、またはボルタンメトリを含む様々な測定方法のうちの1つを使用することができる統合または外部分析システムとインターフェースすることができる。
【0063】
結合したコンジュゲートは、試験ラインまたは対照ラインのコンジュゲートの相対的な濃度に依拠する信号を生成する。この信号は、分析物の濃度に比例または反比例する。
【0064】
図3に示すセンサ300などのいくつかの実施態様では、センサ300は、作用電極がイオン選択膜を有するイオン選択電極を含むことができる。いくつかの実施態様では、センサ300は、コンジュゲートパッド312、試験ライン320、および対照ライン322を含むいくつかのまたはすべての点でセンサ100に対応することができ、それらの各々は、上述したようにそれぞれのコンジュゲートパッド112、試験ライン120、および対照ライン122に概ね対応する。いくつかの実施態様では、センサ300は、イオン選択電極318の上方に固定化されたイオンまたはイオン溶液装填リポソーム342を含むことができる。溶解剤は、コンジュゲートパッド312に装填される分析物溶解コンジュゲート330として、標的分析物にコンジュゲートされ得る。いくつかの実施態様において、イオン装填リポソームは、捕捉リガンドにタグ付けされ得る。
【0065】
コンジュゲート分子330が捕捉リガンド340によって捕捉されない場合(例えば、試料に存在する分析物との競合による)、それは、リポソーム342を含有する領域に流れ続け、リポソーム二重層を破壊し、分析物依存性の相対的なイオン濃度の増加を生じさせる。イオン選択電極318は、試料の分析物濃度の指標として、イオン濃度を測定するために使用することができる。
【0066】
分子インプリントポリマーは、ラテラルフローアッセイにおける分析物の従来の抗体ベースの捕捉の代替である。抗体とは対照的に、これらのポリマーは化学的に不活性であり、極端なpHおよび温度に耐えることができ、長期安定性を有し、水およびほとんどの有機溶媒に不溶性である。
【0067】
図4に示すセンサ400などのいくつかの実施態様では、捕捉分子は、競合的LFAの一部として作用電極418の表面の分子インプリントポリマー440である。いくつかの実施態様では、センサ400は、コンジュゲートパッド412、膜414、およびウィックパッド416を含むいくつかのまたはすべての点でセンサ100に対応することができ、それらの各々は、上述したようにそれぞれのコンジュゲートパッド112、膜114、およびウィックパッド116に概ね対応する。センサ400のいくつかの実施態様では、分析物標識コンジュゲート430がコンジュゲートパッド412に存在し、ポリマーに結合する試料に存在する分析物と競合する。標識されたコンジュゲート分子430が分子インプリントポリマー440によって捕捉されると、試料の分析物濃度の指標として作用することができる信号が生成される。分析物濃度依存性信号は、電極418で測定することができる。
【0068】
いくつかの実施態様では、標識は、サンドイッチLFAの一部として分析物を標的とする抗体にコンジュゲートされる。分析物が存在する場合、それは標識される抗体によって結合され、作用電極のポリマーによって捕捉され、試料の分析物濃度の指標として作用することができる信号を生成する。
【0069】
アプタマー(標的分子に高い親和性で結合する一本鎖核酸分子)は、ラテラルフローアッセイにおける分析物の従来の抗体ベースの捕捉の代わりに、またはそれと組み合わせて使用することができる。抗体とは対照的に、アプタマーは、より高い熱安定性を有し、従来のポリヌクレオチド製造経路を介して大量生産することができる。
【0070】
図5に示すセンサ500などのいくつかの実施態様では、捕捉分子は、競合的LFAの一部として作用電極418の表面のアプタマー540であり得る。いくつかの実施態様では、センサ500は、コンジュゲートパッド512、膜514、およびウィックパッド516を含むいくつかのまたはすべての点でセンサ100に対応することができ、それらの各々は、上述したようにそれぞれのコンジュゲートパッド112、膜114、およびウィックパッド116に概ね対応する。センサ500のいくつかの実施態様では、分析物標識コンジュゲート530がコンジュゲートパッド512に存在し、アプタマー540に結合する試料に存在する分析物と競合する。標識されたコンジュゲート分子530がアプタマー540によって捕捉されると、試料の分析物濃度の指標として作用することができる信号が生成される。アプタマー540は、作用電極518、および/または試験ライン(図示せず)、および/または他の適切な位置に固定化され得る。分析物濃度依存性信号は、電極518で測定することができる。
【0071】
いくつかの実施態様では、標識は、サンドイッチLFAの一部として分析物を標的とする分析物標識コンジュゲート530の抗体にコンジュゲートされる。分析物が存在する場合、それは標識される抗体によって結合され、作用電極518のアプタマー540によって捕捉され、試料の分析物濃度の指標として作用することができる信号を生成する。
【0072】
LFAの結果を補正、除外または増強する補助的な測定の使用
LFAにおいて典型的に使用される多くの化合物および反応は、温度、pH、またはイオン濃度などの反応条件に影響されやすい。これらの感度をLFAで考慮して、より堅牢な一体型センサ、例えば堅牢な一体型免疫センサを作成することができる。
【0073】
1つのそのような化合物は、化学反応の速度を増加させる生物学的分子である酵素である。酵素は、コンジュゲート分子の一部としてLFAの中で使用することができ、それによって酵素反応は光学的または電気化学的信号を生成する。特定の酵素は、機能するのに最適なpHを有し、それ以外では酵素活性が低下または消失する。
【0074】
別のこのような化合物は、標的分子に高い親和性で結合するアプタマー、一本鎖核酸分子、または短いペプチドである。アプタマーの選択性は、適切に補正されない場合、標的結合部位のコンフォメーション、およびその後のパフォーマンスに影響を及ぼし得る溶液の状態(pHおよびイオン濃度)に影響されやすい。
【0075】
上述のように、これらの効果は、ランニングバッファまたは化学添加剤を使用して低減され得る。いくつかの状況では、これは、これらの構成要素によって導入される付加的な複雑さまたは調節パラメータの付加的な診断の値に起因して、可能な場合または望ましくない場合がある。
【0076】
いくつかの実施態様では、LFAは、1つまたは複数の追加のバイオセンサと対にされる。これらのバイオセンサは、LFA測定値の解釈を補正、排除、増強、および/または支援するための補助的尺度を実行する。
【0077】
いくつかの実施態様では、補助的尺度がpHであり、これは、図6Aに示すように、LFA600の分析物バイオセンサ604の試料の膜の下方に統合されたpHセンサ602を使用して判定することができる。このpH測定は、図6B図6Dに示すように、複数の方法のうちの1つまたは複数で使用することができる。
【0078】
いくつかの実施態様では、例えば図6Bに示すように、pHは、試験ラインへのコンジュゲートの結合または試料610の酵素反応の効率に影響を及ぼすことが知られている場合がある。LFA600および分析装置620を使用して、試料610のパラメータを収集および測定することができる。分析物センサ604から得た分析物センサ出力614は、補助センサ(例えば、pHセンサ)602から得た補助センサ出力612と共に生成される。基準データベース630は、アッセイの精度を改善するために補正された結果650を生成するために、試験ストリップ出力の補正のために、測定されたpH612および測定された分析物612と共に使用することができる。
【0079】
いくつかの実施態様では、例えば図6Cに示すように、生体試料610’のpHは範囲内にあり、この範囲外の試料は正確に測定することができない。pHは、誤った結果をより良好に識別するために、許容できるpHパラメータから外れた試料の識別に使用することができる。LFA600および分析装置620を使用して、試料610’のパラメータを収集および測定することができる。分析物センサ604から得た分析物センサ出力614は、補助センサ(例えば、pHセンサ)602から得た補助センサ出力612と共に生成される。基準データベース630’は、測定されたpH612および測定された分析物612と共に使用されて、許容範囲外であることが知られている試験ストリップの結果を除外するか、そうでなければ誤差である本発明者らの外れ値データを識別することができる。残りの結果は、分析の精度を改善するべく除外された結果650’を生成するために使用され得る。
【0080】
いくつかの実施態様では、例えば図6Dに示すように、生体試料610’’のpHは唾液の流量を示し、これは生物学的プロセスに起因する分析物濃度の解釈に影響を与える。高められたpH評価は、LFA600の結果をよりよく解釈するために使用することができる追加の診断情報を提供することができ、LFA600および分析装置620を使用して試料610’’のパラメータを収集および測定することができる。分析物センサ604から得た分析物センサ出力614は、補助センサ(例えば、pHセンサ)602から得た補助センサ出力612と共に生成される。基準データベース630’’を、測定されたpH612および測定された分析物612と共に使用して、試験ストリップの結果の状況を調整または与えることができ、使用して、改善された臨床解釈結果650’’を生成し、アッセイの精度を改善することができる。
【0081】
いくつかの実施態様では、pHを測定し、上記の機能の1つまたは複数を使用することができる。例えば、LFA600および分析装置620は、分析物センサ出力614および補助センサ出力612を収集するために使用することができ、両方の出力612、614は、複数のデータベース630、630’および630’’と共に使用されて、pH補正され、誤ったまたは無効なデータを除外し、改善された臨床解釈を含む最終的な結果を与える。
【0082】
いくつかの実施態様では、補助的尺度は、重量オスモル濃度または容量オスモル濃度であり、試料膜の下方に統合されたインピーダンスバイオセンサを使用して判定される。この測定値は、LFAの出力を補正、除外、または増強するために同様に使用され得る。
【0083】
いくつかの実施態様では、補助的尺度は温度であり、試料膜および/またはハンドヘルド測定装置の下方に統合された温度センサを使用して判定される。この測定値は、LFAの出力を補正、除外、または増強するために同様に使用され得る。
【0084】
いくつかの実施態様では、補助的な測定はLFAに統合されないが、代わりに独立したバイオセンサで実行される。この実施態様では、分析用装置は、2つ以上のバイオセンサとインターフェース接続し、各測定を統合する多成分分析を実行することができる。
【0085】
いくつかの実施態様では、補助的な測定は運動学的データであり、第2の分析用装置で収集される。この実施態様では、第2の分析用装置は、多成分分析のために第1の分析用装置でデータをコミネートすることができる。
【0086】
いくつかの実施態様では、補助的な測定は、試料を提供する個人または分析装置を操作する個人によって提供および/または注釈付けされた回答のセットおよび/または観測のセットである。この実施態様では、LFAの出力をコンテキスト化するために、回答および/または観測が使用される。
【0087】
いくつかの実施態様では、1つまたは複数の分析用装置および1つまたは複数のセンサのシステムは、複数の補助的な測定で補正または解釈された1つまたは複数のアッセイをもたらすように協働する。例えば、いくつかの実施態様では、1つの分析用装置は1つのセンサを使用することができ、そのセンサは、pHおよび温度の補助的な測定によって調整される体液分析物を測定して分析物の最終的な測定値を提供する。他の例示的な実施態様では、システムは、pHおよび試料の温度の補助的な測定によって調整される体液分析物を測定する1つのセンサを有する1つの分析用装置と、運動学的データ用の第1のセンサおよび周囲温度用の第2のセンサを有する第2の分析用装置とを含むことができ、システムは、試料のpH、試料の温度、運動学的データ、および周囲温度に対して調整された分析物の最終的な測定値を提供する。
【0088】
外的処理の必要性を排除する、LFA内部での試料収集物および処理マイクロ流体の統合
いくつかの従来のLFAでは、LFA試料パッドに適用する前に、外部の装置で試料を収集し、および/またはランニングバッファの追加などの何らかの形態の試料の処理を実行する必要がある。
【0089】
これらのプロセスは、測定前にpH、容量オスモル濃度、または粘度などの試料パラメータを正規化し、および/または下流の測定プロセスを妨害し得る血液細胞、気泡、または食物残屑などの潜在的な汚染物質を試料から除去するのに役立つ。いくつかの状況では、これらのプロセスは、導入される追加の複雑さのために望ましくない。
【0090】
いくつかの実施態様では、LFAは、LFAの中の生体試料の直接的なサンプリングおよび/または自動処理を可能にするために、統合されたサンプリングマイクロ流体と対にされる。
【0091】
図7のAに示すセンサ700などのいくつかの実施態様では、統合された試料収集物および処理マイクロ流体710は、舌702から唾液704を直接収集し、次いで試料パッドに対して計量する前に試料704から粒子状物質および気泡を濾過するのに機能する。図7のBに示すセンサ700’などのいくつかの実施態様では、統合された試料収集物および処理マイクロ流体710’は、上述の試料収集物および処理マイクロ流体710、ならびに試料混合マイクロ流体712の特徴を含む。試料収集物および処理マイクロ流体710’は、舌702から唾液704を直接収集し、次いで、試料パッドに対して計量する前に、試料混合マイクロ流体712の収集された試料とランニングバッファを自動的に混合するのに機能する。いくつかの実施態様では、バッファは、混合前にバッファリザーバ706において貯蔵され得る。いくつかの実施態様では、混合マイクロ流体712は、試料収集物および処理マイクロ流体710とは別個である。
【0092】
いくつかの実施態様では、試料は外部レセプタクルに収集され、次いでLFAでサンプリングされる。いくつかの実施態様では、統合されたマイクロ流体は、試料パッドに対して計量する前に、ランニングバッファを、収集された試料と自動的に混合するのに機能する。
【0093】
いくつかの実施態様では、試料は外部レセプタクルにおいて収集され、次いで、レセプタクルはLFAの端部と物理的にインターフェースする。統合されたマイクロ流体は、取り付けられたレセプタクルから試料を自動的に引き出し、試料パッドに対する計量の前に、ランニングバッファを収集された試料と混合するのに機能する。
【0094】
手動タイミングの必要性を排除するためのLFA内部の自動タイミング要素の統合
いくつかの従来のLFAでは、試料添加後および測定結果の取得前に追加のステップを手動で実行する必要がある。
【0095】
この例としては、化学反応を開始させるためのバッファの添加、測定装置へのLFAの挿入、または試料の流れの方向を変えるための二次構造の折り畳みが挙げられる。典型的には、これらのステップは、設定時間後、または試料が進んで膜の特定の点を超えた後に促される。
【0096】
いくつかの実施態様では、LFAは、時間に感受性のあるプロセスを自動化または促進するために使用され得る1つまたは複数の統合されるタイミング要素と対にされる。
【0097】
図8のAに示す電気化学センサ818などのいくつかの実施態様は、このタイミング要素を含むことができる。電気化学センサ818は、作用電極860、対電極862、および基準電極864を含むいくつかのまたはすべての点でセンサ218に対応することができ、それらの各々は、上述したようにそれぞれの作用電極260、対電極262、および基準電極264に概ね対応する。電気化学センサ818はまた、試料の流れの進行を確認するために膜の下に配置された流体検出電極872を含むことができる。例えば、流体870が膜の検出点またはラインを流れると、流体検出電極872は、タイマー874を開始するために分析装置によって使用される信号を生成することができる。タイマー874は、分析装置で開始されて、所定の時間、カウントダウンすることができる。タイマー874の持続時間は、0.2秒から180秒の間、例えば、0.2秒、0.5秒、1秒、2秒、5秒、10秒、15秒、20秒、30秒、45秒、60秒、90秒、120秒、150秒、180秒、またはその範囲内の他の持続時間であり得る。いくつかの実施態様では、タイマー874の持続時間は、0.5~10分、例えば0.5、1、1.5、2、3、5、8、または10分、およびその範囲内の他の持続時間であり得る。例えば、2分間タイマー874を使用して、測定開始までカウントダウンすることができる。これにより、反応が十分に進行した時点でユーザが測定を開始する必要がなくなる。タイマー874の他の持続時間は、適切な試料収集物を可能にするための遅延、上述のような追加のパラメータを収集するための遅延、通信または他の接続性を検証するための遅延など、他の機能のための休止または待機時間として使用することができる。
【0098】
いくつかの実施態様では、流体検出電極872は、試料が試験ライン120、対照ライン122、または較正ライン124を通過したことを示すためにウィックパッド110の近くに配置される。この時点での流体の検出を使用して、測定をトリガすることができる。これにより、ユーザが流れの進行を監視し、試料が膜114に沿って十分に進行すると測定を開始する必要がなくなる。
【0099】
いくつかの実施態様では、化学反応の開始に必要な二次化合物の添加を調節するために、可変流速のいくつかの膜を配置することができる。例えば、図8のBに示すLFA800は、試料パッド810、試験ライン820、ウィックパッド816、および電極818を含む、いくつかのまたはすべての点でLFA100に対応することができる試験ストリップベースを含むことができ、その各々は、上述したようにそれぞれの試料パッド110、試験ライン120、ウィックパッド116、および電極218に概ね対応する。センサ800はまた、上述のコンジュゲートパッド112、312、412、および512に対応する標識コンジュゲート812を含むことができる。センサ800はまた、速い流量を有する一次膜815を含むことができる。第2の膜878は、試験ライン820への基質溶液876の送達が一次膜815に対して遅延されるように、より遅い流速で選択され得る。これにより、第1の化合物が、第2の化合物の送達前に試験ラインに効果的に結合することが可能になる。絶縁材料874を使用して、高速で流れる一次膜815を、低速で流れる二次膜878から分離することができる。
【0100】
いくつかの実施態様では、いくつかの流体検出電極がLFAに統合され、タイミング要素からの予期しない出力(例えば、電極1での流体検出と電極2での流体検出との間で5分超が経過)が、測定誤差のフラグを立てるために使用される。
【0101】
基質溶液を添加するときのユーザのエラーを低減するためのLFA内での液体化学物質の統合されたパッケージング
いくつかの従来のLFAでは、化学物質を液相に保存しなければならず、コンジュゲートパッドで乾燥させることができない場合など、測定結果を取得する前に化学物質の添加を自動化することができない場合がある。そのような場合、これらの化学物質は、LFA材料とは別に貯蔵する必要があり得、オペレータによるこれらの化学物質の手動での添加が必要とされ得る。
【0102】
いくつかの実施態様では、LFAは、試薬を貯蔵するために使用され得る統合された液体パックと対にされる。予め計量された液体パックを開くと、設定された位置に設定された体積の試薬が添加される。液体パックの使用は、液体が堆積される体積および位置を調整することによって、ユーザのエラーのリスクを低減する。
【0103】
図9のAに示すLFA900などのいくつかの実施態様では、統合された液体パック980は、測定プロセスのステップを開始するためにシステムオペレータ982によって手動で開封される。液体パック980は、酵素コンジュゲート分子の結合後に試験ライン920の表面に堆積される酵素基質の一部であり得る。
【0104】
図9のBに示すLFA900’などのいくつかの実施態様では、統合された液体パック980’は分析装置986によって開封される。例えば、分析装置986は、LFA900’を分析器に挿入するとき、または試料が試験ライン920に到達したときに液体パック980’を開くための自動加圧アーム984を含むことができる。いくつかの実施態様では、分析装置は、LFA900’が分析器に挿入されたときに液体パック980’を開くための穿刺、切断、または挟持機構を含む。液体パック980’および/またはLFA900’は、穿孔、脆弱性、ピン、レール、または液体パック980’を整列するおよび/または開くのを容易にするための機構および/または分析器と協働する他の構成要素を含むことができる。これらの特徴は、液体パック980’が開封されるタイミングおよび位置を調整することによって、ユーザのエラーの可能性をさらに低減することができる。
【0105】
基質溶液の堆積を調節するための切断要素の統合
いくつかのLFAでは、吸収度パッドへの溶液の継続的な流れ、または試料およびコンジュゲートパッドへの逆流のために、基質の添加が乱れる場合がある。この要因の影響を低減するために、基質溶液を添加する前に試験ラインおよび対照ラインを含む膜の領域を単離することが必要な場合がある。
【0106】
いくつかの実施態様では、LFAは、ラテラルフローシステムのセグメントを隔離するために使用される統合された切断要素と対にされる。
【0107】
図10のAに示すLFA1000などのいくつかの実施態様では、切断要素1090を押し下げると、1つまたは複数のブレード1094で膜が切断される。ブレード1094は、試験ライン1020またはその近くに配置され、それらが測定に必要な電極を切断しないように配置され得る。いくつかの実施態様では、切断要素1090は、操作を容易にするためのカバー1096またはボタンを含むことができる。カバー1096はまた、圧力を複数のブレード1094にわたって均一に分散させるのに役立ち得る。いくつかの実施態様では、切断要素1090はまた、切断要素を開いた状態に保持し、圧が放出されたときにブレードを上昇位置に戻すように構成されたばね1092を含むことができる。
【0108】
図10のBに示すLFA1000’などのいくつかの実施態様では、統合された切断要素1090’は、統合された液体パック1070と組み合わせることができる。切断要素1090’は、上述のようにカバー1096、ばね1092、およびブレード1094を含む多くの点で切断要素1090に対応する。切断要素1090’が押圧されると、液体パック1070も押圧されて液体を放出する。同じ押圧の動きにより、切断要素1090’はブレード1094を下降させて、基質溶液が放出されている膜の領域を隔離する。
【0109】
LFAのパフォーマンスを向上させるための加熱または冷却要素の統合
いくつかのLFAの場合、試料の流れ、分析物の結合、信号の発生などのパフォーマンスは、LFAおよび/または試料の温度によって影響を受け得る。いくつかの状況では、温度センサを使用してこれらの影響を補償することは困難であるか、または不可能である場合があり、むしろ、LFAの温度を変更することが必要であるか、またはより好都合である。
【0110】
いくつかの実施態様では、LFAは、LFAの温度を好ましい温度に変更するために使用される加熱および/または冷却要素などの温度変更因子を組み込む。
【0111】
図11に示すLFA1100などのいくつかの実施態様では、温度変更因子1135は、例えば統合された抵抗加熱コイルとして実装された加熱要素であり得る。LFA1100は、コンジュゲートパッド1112、膜1114、およびウィックパッド1116を含む上述の他のLFA装置と同様であってもよく、それぞれ上述のコンジュゲートパッド112、膜114、およびウィックパッド116に対応する。LFA1100が分析用装置に挿入されると、統合された温度検知要素を用いてLFA1100の温度が判定される。温度が低すぎる場合、分析システムは、温度検知要素によって判定されるときに、温度変更因子1135(加熱要素)に電力を供給して、所望の温度が達成されるまで装置を加熱し、次いで、分析のために試料を適用するようにユーザを促す。
【0112】
いくつかの実施態様では、温度変更因子1135は、例えば、2つの分離された化学物質(例えば、尿素および水)を含む統合された流体パックとして実装される冷却要素であり得る。LFA、例えばLFA1100が分析用装置に挿入されると、統合された温度検知要素を用いてLFA1100の温度が判定される。温度が高すぎる場合、分析システムは温度変更因子1135を作動させて装置を冷却する。いくつかの実施態様では、温度変更因子1135は、LFA1100を冷却する吸熱反応をもたらす2つの流体を混合する。温度検知要素によって判定されたときに所望の温度が達成されると、その時、分析のために試料を適用するようにユーザに促す。いくつかの実施態様では、温度変更因子1135は、上述のようにLFAを加熱または冷却する。いくつかの実施態様では、温度変更因子1135は、温度センサによって判定されるときに、加熱と冷却の両方を行う。上述したものに加えて、空気または液体冷却などの他の温度変更機構を、ポンプ、ファンなどと共に適宜使用することができる。いくつかの実施態様では、例えば試料が暖まるまたは冷めるための所定の時間待つことによって、温度を調整するために時間が使われる。
【0113】
いくつかの実施態様では、加熱または冷却要素1135は分析システムに統合され、LFA、例えばLFA1100は、高い熱伝導率を有する統合された材料を含む。LFA1100が分析用装置に挿入されると、統合された温度検知要素を用いてLFA1100の温度が判定される(図示せず)。温度が所望の範囲から外れている場合、温度変更因子1135は、分析システム内の温度を変更するために加熱または冷却要素を作動させ、これは次に導電性要素を介してLFA1100の温度を変更する。温度検知要素によって判定されたときに所望の温度が達成されると、その時、分析システムは、分析のために試料を適用するようにユーザに促す。
【0114】
不適切なLFAの使用を防止するための品質管理要素の統合
いくつかのLFAでは、温度または湿度などの適切な貯蔵条件に影響されやすく、および/または貯蔵寿命が限られている化学成分または材料の成分が存在し得る。さらに、いくつかのLFA(光学的方法ではなく電気化学的方法を使用するものなど)については、LFAが以前に使用されたかどうかが明らかでない場合がある。
【0115】
いくつかの実施態様では、LFAは、試験ストリップが適切に貯蔵されているか、期限切れであるか、または以前に使用されたかどうかを識別するために使用することができる品質管理要素を組み込む。
【0116】
図12に示すLFA1200などのいくつかの実施態様では、品質管理要素1237は、LFA1200に統合された温度検知要素である。LFA1200は、コンジュゲートパッド1212、膜1214、およびウィックパッド1216を含む上述の他のLFA装置と同様であってもよく、それぞれ上述のコンジュゲートパッド112、膜114、およびウィックパッド116に対応する。LFA1200が閾値を超える温度にさらされた場合、品質管理要素1237(例えば、温度検知要素)の特性(例えば、色、抵抗、位相)は不可逆的に変更される。LFA1200が分析用装置に挿入されると、温度検知要素1237の特性が装置によって測定される。特性が閾値を超える温度への曝露を示す場合、LFA1200は期限切れとして識別され、分析を実行するために使用することができない。
【0117】
いくつかの実施態様では、品質管理要素1237は、LFA、例えばウィックパッド1216内のLFA1200に統合された水分検出要素である。LFA1200が試料を分析するために予め使用されている場合、品質管理要素1237(例えば、水分検出要素)は濡れており、品質管理要素1237の特性は不可逆的に変更される。LFA1200が分析用装置に挿入されると、水分検出要素1237の特性が装置によって測定される。特性が水分への曝露を示す場合、LFA1200は使用済みとマークされ、分析を実行するために使用することはできない。
【0118】
いくつかの実施態様では、上述のように、品質管理要素1237を有するLFA1200は期限切れとして識別される。いくつかの実施態様では、期限切れのLFAはそのようにマークされ得る。例えば、期限切れのLFA1200は、スタンプ、穴、ブランド、または他の可視インジケータで視覚的にマークすることができ、あるいはトレースの切断、接続の短絡などによって電気的にマークすることができる。試験ストリップの識別を支援するためのバッチ追跡要素の統合。
【0119】
複数のタイプのLFAに適合する分析システムの場合、システムがLFAのタイプを識別し、正しい測定プロセスを開始し、LFAの出力を適切に解釈することを可能にする機構を含むことが必要である。
【0120】
さらに、LFAの製造における製造業者およびバッチ間の変動のために、製造業者固有またはバッチ固有の基準または較正データを使用してLFAの出力を解釈することも必要であり得る。これを達成するためには、LFA製造業者および/またはバッチを識別することができる機構が必要である。本発明では、LFAは、LFAのタイプ、製造業者、および/またはバッチを識別するために使用することができる電極または他の構造を組み込む。
【0121】
図13に示す回路1318などのいくつかの実施態様では、特定のLFA製造バッチ用の電極配置1318は、特定の抵抗を有するように配置されサイズ決めされる。この意味で、特定の抵抗は、LFA製造業者、バッチ、および/またはタイプの識別因子として動作する。電極配置または回路1318を担持するLFAが分析用装置に挿入された後、この抵抗は分析用装置によって測定され、LFAのタイプ、製造業者、および/またはバッチを識別するために使用される。分析用装置は、基準データベースを参照して、このLFAタイプ、製造業者、およびバッチに関連する正しい測定プロセスおよび/または較正データを識別する。
【0122】
いくつかの実施態様では、符号化されたバッチおよびタイプ追跡データをさらに使用して、テストストリップが古くなっているかどうか、偽造されたものかどうか、領域ロックされているかどうか、所有権があるかどうかなどを識別することができる。いくつかの実施態様では、回路1318の抵抗ベースの識別を使用して、解析ユニットのファームウェア更新をトリガして、回路1318を担持するLFAの適切な処理を可能にすることができる。例えば、電極配置1318におけるバッチ符号化1318は、追加の分析物の測定を可能にするために、または適切な処理のために基準データベース(例えば、上述の補正または較正パラメータを有する基準データベース630)を更新するために、追加のソフトウェアまたはファームウェアをダウンロードするようにハンドヘルドデバイスに促すことができる。
【0123】
分析およびデータの使用を容易にするための中央データベースとのデータの通信
いくつかの実施態様では、分析装置は、結果および/または解釈での助言をオペレータに直接提示する。例えば、生の、補正された、較正された、調整された、除外された、および解釈された結果を含む結果は、生体流体試料を提供する個人、分析用装置を操作する人物、または遠隔ユーザなどのシステムのユーザに提示され得る。データは、例えば、データを選択、マーク、調整、ズーム、照合、あるいは表示、変更、操作、および/または注釈付けするために、ユーザインターフェースで提示され得る。測定データの有用性を改善するために、いくつかの実施態様では、LFAの結果が中央データベースに送信されることが有益であり得る。次いで、これらの結果は、行動のために、またはより複雑な分析の一部として他の個人に中継され得る。
【0124】
いくつかの実施態様では、分析システムは、LFAの結果を集中化したデータベースに中継するためにモバイル装置と通信する。いくつかの実施態様では、分析装置は、代替的または追加的に、データの提示、解釈、追跡および/または分析のために携帯電話またはタブレットと無線で通信する。
【0125】
いくつかの実施態様では、分析システムは、LFAの結果および付随する情報を、インターネット接続モバイルデバイスに無線で通信し、その後、結果を集中化したデータベースに中継する。このデータベースは、試料を提供する個人、分析システムを操作する個人、または測定結果を閲覧することを許可された他の個人を介してアクセスすることができる。いくつかの実施態様では、集中化したデータベースは、モバイルアプリケーションおよび/またはウェブポータルを介してアクセスすることができる。
【0126】
いくつかの実施態様では、LFAの結果の付加的な分析は、LFAの結果を解釈するのを助けるために、集中化したデータベースで実行され、任意選択的に結果および他のデータを統合する。
【0127】
いくつかの実施態様では、集中化したデータベースは、LFAの結果に対する応答の即時性を改善するのを助けるために、1つまたは複数の特定の基準を満たす場合、測定結果に基づいて第三者に自動的に警告する。
【0128】
その他の変形例
いくつかの実施態様はLFA装置を記載しているが、本明細書に開示されるシステム、装置、および/または方法は、スタンドアロンで、またはLFAの診断に加えて、使用可能な他の種類の治療法に適用することができる。本明細書に開示されるシステム、装置、および/または方法は、任意の医療装置、特に体液を検査する任意の診断装置に拡張することができるが、他の流体検査も適切であり得る。例えば、本明細書に開示されるシステム、装置、および/または方法は、診断に基づいて追加の診断および/または治療の1つまたは複数をもたらす装置と共に使用することができる。本明細書に開示されるシステムおよび方法は、医療装置に限定されず、任意の液体試験装置によって利用することができる。
【0129】
本明細書で説明されるデータの送信の任意の実施態様は、安全に実行することができる。例えば、暗号化、httpsプロトコル、セキュアVPN接続、エラーチェック、送達確認などのうちの1つまたは複数を利用することができる。
【0130】
本明細書で提示されている閾値、限界、持続時間などのいずれの値も、絶対的であることを意図するものではなく、そのため近似することができる。さらに、本明細書で提示されているいずれの閾値、限界、持続時間なども、自動的にまたはユーザによって固定または変更することができる。さらに、本明細書で使用されるように、基準値に関する超過、超、未満などの相対的な用語は、基準値に等しいことも包含することが意図されている。例えば、正である基準値を超過することは、基準値以上であることを包含することができる。さらに、本明細書で使用される場合、基準値に関する、超過、超、未満などの相対的な用語は、基準値に関して、以下、より小さい、より大きいなどの開示された関係の逆も包含することが意図されている。
【0131】
特定の態様、実施態様、または例に関連して説明される特徴、材料、特性、または群は、それと齟齬がない限り、本明細書に記載される任意の他の態様、実施態様、または例に適用可能であると理解されるべきである。本明細書(いかなる添付の特許請求の範囲、要約、および図面を含む)に開示された特徴のすべて、および/またはそのように開示されたいずれかの方法もしくはプロセスのステップのすべては、そのような特徴および/またはステップの少なくともいくつかが相互に排他的である組み合わせを除いて、任意の組み合わせで組み合わせることができる。保護は、いずれの前述の実施態様の詳細にも限定されない。保護は、本明細書(添付の特許請求の範囲、要約、および図面を含む)に開示された特徴の任意の新規な1つ、もしくは任意の新規な組み合わせ、またはそのように開示された任意の方法もしくはプロセスのステップの任意の新規な1つ、もしくは任意の新規な組み合わせに及ぶ。
【0132】
特定の実施態様を説明してきたが、これらの実施態様は、例としてのみ提示されており、保護の範囲を限定することを意図するものではない。実際、本明細書に記載の新規な方法およびシステムは、様々な他の形態で具体化され得る。さらに、本明細書に記載の方法およびシステムの形態の様々な省略、置換および変更を行うことができる。いくつかの実施態様では、図示および/または開示されたプロセスで行われる実際のステップは、図に示されたものとは異なり得ることが当業者には理解されよう。実施態様に応じて、上述したステップのうちのいくつかを削除することができ、他のものを追加することができる。例えば、開示されたプロセスで行われる実際のステップおよび/またはステップの順序は、図に示されたものとは異なり得る。実施態様に応じて、特定のステップは、異なる位置または構造で実装され得る。例えば、図に示されている、または本明細書に記載されている様々な構成要素は、プロセッサ、コントローラ、ASIC、FPGA、および/または専用ハードウェアのソフトウェアおよび/またはファームウェアとして実装され得る。ソフトウェアまたはファームウェアは、非一時的コンピュータ可読メモリに格納された命令を含むことができる。命令は、プロセッサ、コントローラ、ASIC、FPGA、または専用ハードウェアによって実行することができる。コントローラ、プロセッサ、ASIC、FPGAなどのハードウェア構成要素は、論理回路を含むことができる。さらに、上記で開示された特定の実施態様の特徴および属性は、追加の実施態様を形成するために異なる方法で組み合わせることができ、それらはすべて本開示の範囲内に含まれる。
【0133】
本明細書で図示および説明されるユーザディスプレイおよびインターフェース画面は、追加のおよび/または代替の構成要素を含むことができる。これらの構成要素は、メニュー、リスト、ボタン、テキストボックス、ラベル、ラジオボタン、スクロールバー、スライダ、チェックボックス、コンボボックス、ステータスバー、ダイアログボックス、ウィンドウなどを含むことができる。ユーザインターフェース画面は、付加的および/または代替的な情報を含むことができる。構成要素は、任意の適切な順序で配置、群化、および/または表示することができる。
【0134】
本明細書では、ラテラルフローアッセイ装置およびそのような装置を使用して、対象から得た流体試料のバイオマーカー、分析物、イオン濃度などを検出する方法が提供される。当業者は、そのようなラテラルフローアッセイ装置を使用して、本明細書に記載のバイオマーカーまたは付加的なバイオマーカーのいずれかを検出することができることを理解するであろう。
【0135】
「固定化された」または「埋め込まれた」という用語は、可逆的または不可逆的に固定化された分子(例えば、分析物または結合因子)を互換的に指す。いくつかの例では、可逆的に固定化された分子は、分子またはその一部(例えば、分子の少なくとも約25%、50%、60%、75%、80%またはそれより多く)が実質的な変性または凝集なしにそれらの固定化された位置から除去されることを可能にする方法で固定化される。例えば、分子を含む溶液を吸収性材料と接触させ、それによって溶液を浸漬し、分子を可逆的に固定することによって、分子を吸収性材料(例えば、吸収パッド)に可逆的に固定することができる。次いで、吸収性材料から、または吸収性材料のある領域から別の領域に溶液を吸い上げることによって、可逆的に固定化された分子を除去することができる。場合によっては、分子を含む溶液を吸収性材料に接触させてそれに関して溶液を浸漬させ、その後、溶液を含む吸収性材料を乾燥させることにより、分子を吸収性材料に可逆的に固定することができる。次いで、吸収性材料を同じまたは異なる組成の別の溶液と接触させ、それによって可逆的に固定化された分子を可溶化し、次いで吸収性材料から、または吸収性材料のある領域から別の領域に溶液を吸い上げることによって、可逆的に固定化された分子を除去することができる。
【0136】
不可逆的に固定化された分子(例えば、結合因子または分析物)は、温和な条件下(例えば、約4~9のpH、約4~65℃の温度)でこれらがその位置から除去されないか、または実質的に除去されないように、固定化される。例示的な不可逆的に固定化された分子には、標準的なブロッティング技術(例えば、エレクトロブロッティング)によってニトロセルロース、ポリフッ化ビニリデン、ナイロンまたはポリスルフィド膜に結合したタンパク質分析物または結合因子に加えて、上記のものが含まれる。他の例示的な不可逆的に固定化された分子には、ガラスまたはプラスチック(例えば、内部に結合タンパク質分析物を有するウェルを有するマイクロアレイ、マイクロ流体チップ、ガラス組織学スライドまたはプラスチックマイクロタイタープレート)に結合したタンパク質分析物または結合因子が含まれる。
【0137】
「結合因子」という用語は、分析物などの分子に特異的に結合する因子を指す。結合因子、アプタマー、イオン、結合分子、および分析物は、本明細書の多くの文脈に記載されているが、当業者は、ユーザにより好まれるように、代わりに他の結合因子を使用することができることを理解するであろう。抗体、アプタマー、アフィフサー、リポカリン(例えば、アンチカリン)、チオレドキシンA、ビリン結合タンパク質、またはアンキリンリピートを含有するタンパク質、ブドウ球菌プロテインAのZドメイン、またはフィブロネクチンIII型ドメインを含む多種多様な結合因子が、当技術分野で公知である。他の結合因子には、ビオチン/ストレプトアビジン、キレート剤、クロマトグラフィー樹脂、アフィニティタグ、または官能化ビーズ、ナノ粒子および磁性粒子が含まれるが、これらに限定されない。
【0138】
「結合する」および「効果的に結合する」という用語は、非標的化合物よりも少なくとも2倍大きい親和性、例えば少なくとも約4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、20倍、25倍、50倍、100倍、1000倍、または1000倍を超える親和性で標的に結合する分子(例えば、アプタマーなどの結合因子)を指す。
【0139】
本明細書で使用される仮定的な言い回し、とりわけ、「can(できる)」、「could(できた)」、「might(あり得た)」、「may(あり得る)」、「e.g.(など)」などは、特に明記しない限り、または使用される文脈の中で他の意味で理解されない限り、一般に、特定の実施態様は、特定の特徴、要素、および/または状態を含むが、他の実施態様は含まないということを伝えることを意図している。したがって、そのような仮定的な言い回しは、一般に、特徴、要素、および/または状態が1つまたは複数の実施態様に何らかの形で必要とされること、または1つまたは複数の実施態様が、著者の入力またはプロンプトの有無にかかわらず、これらの特徴、要素、および/または状態が任意の特定の実施態様に含まれるか、または実行されるべきかを決定するための論理を必ず含むことを意味することを意図するものではない。「備える(comprising)」、「含む(including)」、「有する(having)」などの用語は同義語であり、包括的に、オープンエンド方式で使用され、追加の要素、特徴、行為、動作などを排除しない。また、「または」という用語は、包括的な意味で(排他的な意味ではない)使用され、例えば、要素の列挙をつなげるために使用される場合、「または」という用語は、列挙された要素の1つ、いくつか、またはすべてを意味する。さらに、本明細書で使用される「各」という用語は、その通常の意味を有することに加えて、「各」という用語が適用される要素のセットの任意のサブセットを意味することができる。さらに、「本明細書」、「上記」、「下記」、および同様の意味の単語は、本出願で使用される場合、本出願全体を指し、本出願のいずれかの特定の部分を指すものではない。
【0140】
特に明記しない限り、語句「X、Y、およびZのうちの少なくとも1つ」などの接続的な言い回しは、項目、用語などがX、Y、またはZのいずれか、またはそれらの組み合わせであり得ることを伝えるために、文脈で一般に使用されると理解されるべきである。したがって、そのような接続的な言い回しは、一般に、特定の実施態様がそれぞれ存在するために、Xのうちの少なくとも1つ、Yのうちの少なくとも1つ、およびZのうちの少なくとも1つを必要とすることを意味することを意図するものではない。
【0141】
本明細書で使用される、「およそ」、「約」、「一般に」、および「実質的に」などの、本明細書で使用される程度の言い回しは、依然として所望の機能を実行するか、または所望の結果を達成する、記載された値、量、または特性に近い値、量、または特性を表す。例えば、「およそ」、「約」、「一般に」、および「実質的に」という用語は、記載された量の10%未満、5%未満、1%未満、0.1%未満、および0.01%未満の量を指すことができる。別の例として、特定の実施態様では、「ほぼ平行」および「実質的に平行」という用語は、厳密に平行な状態から15度、10度、5度、3度、1度、または0.1度以下逸脱する値、量、または特性を指す。
【0142】
特に明記しない限り、「a」または「an」などの冠詞は、一般に、1つまたは複数の記載された項目を含むと解釈されるべきである。したがって、「ように構成された装置」などの語句は、詳述された1つまたは複数の装置を含むことが意図されている。そのような1つまたは複数の詳述された装置はまた、記載された詳述を実行するように集合的に構成することができる。
【0143】
本開示は、特定の実施態様、例、および用途を含むが、本開示は、具体的に開示された実施態様を超えて、本明細書に記載された特徴および利点のすべては提供しない実施態様を含む、他の代替の実施態様および/または使用、ならびにそれらの自明な変更および均等物に及ぶことが、当業者によって理解されよう。したがって、本開示の範囲は、本明細書の好ましい実施態様または実施形態の特定の開示によって限定されることを意図するものではなく、本明細書に提示されるか、または将来提示される特許請求の範囲によって定義され得る。
【符号の説明】
【0144】
1 電極、2 電極、100 ラテラルフローアッセイ(LFA)、センサ、110 試料パッド、ウィックパッド、112 コンジュゲートパッド、114 膜、116 ウィックパッド、120 試験ライン、122 対照ライン、124 較正ライン、218 電気化学センサ、電極、218’ 電気化学センサ、218’’ 電気化学センサ、260 作用電極、262 対電極、264 基準電極、300 センサ、312 コンジュゲートパッド、318 イオン選択電極、320 試験ライン、322 対照ライン、330 コンジュゲート分子、分析物溶解コンジュゲート、340 捕捉リガンド、342 イオン溶液装填リポソーム、400 センサ、412 コンジュゲートパッド、414 膜、416 ウィックパッド、418 作用電極、430 コンジュゲート分子、分析物標識コンジュゲート、440 分子インプリントポリマー、500 センサ、512 コンジュゲートパッド、514 膜、516 ウィックパッド、518 作用電極、530 分析物標識コンジュゲート、コンジュゲート分子、540 アプタマー、602 pHセンサ、604 分析物センサ、分析物バイオセンサ、610 試料、610’ 生体試料、610’’ 生体試料、612 補助センサ出力、分析物、614 分析物センサ出力、620 分析装置、630 基準データベース、630’ 基準データベース、630’’ 基準データベース、650 補正された結果、650’ 除外された結果、650’’ 臨床解釈結果、700 センサ、700’ センサ、702 舌、704 試料、唾液、706 バッファリザーバ、710 処理マイクロ流体、710’ 処理マイクロ流体、712 試料混合マイクロ流体、800 LFA、センサ、810 試料パッド、812 標識コンジュゲート、815 一次膜、816 ウィックパッド、818 電気化学センサ、電極、820 試験ライン、860 作用電極、862 対電極、864 基準電極、870 流体、872 流体検出電極、874 絶縁材料、タイマー、876 基質溶液、878 第2の膜、二次膜、900 LFA、900’ LFA、920 試験ライン、980 液体パック、980’ 液体パック、982 システムオペレータ、984 自動加圧アーム、986 分析装置、1000 LFA、1000’ LFA、1020 試験ライン、1070 液体パック、1090 切断要素、1090’ 切断要素、1092 ばね、1094 ブレード、1096 カバー、1100 LFA、1112 コンジュゲートパッド、1114 膜、1116 ウィックパッド、1135 温度変更因子、冷却要素、1200 LFA、1212 コンジュゲートパッド、1214 膜、1216 ウィックパッド、1237 品質管理要素、温度検知要素、水分検出要素、1318 回路、電極配置、バッチ符号化
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【国際調査報告】