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特表2024-532510海水無淡水化の原位置直接電解による水素製造方法、装置及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】海水無淡水化の原位置直接電解による水素製造方法、装置及びシステム
(51)【国際特許分類】
   C25B 15/08 20060101AFI20240829BHJP
   C25B 1/04 20210101ALI20240829BHJP
   C25B 9/00 20210101ALI20240829BHJP
   C25B 13/04 20210101ALI20240829BHJP
   C25B 13/08 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
C25B15/08 302
C25B1/04
C25B9/00 A
C25B13/04 301
C25B13/08 301
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024514077
(86)(22)【出願日】2022-10-28
(85)【翻訳文提出日】2024-04-30
(86)【国際出願番号】 CN2022128225
(87)【国際公開番号】W WO2023030551
(87)【国際公開日】2023-03-09
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524078527
【氏名又は名称】深せん大学
【氏名又は名称原語表記】Shenzhen University
【住所又は居所原語表記】No.3688,Nanhai Avenue,Nanshan District Shenzhen,Guangdong 518051,CHINA
(71)【出願人】
【識別番号】524078538
【氏名又は名称】東方電気(福建)創新研究院有限公司
【氏名又は名称原語表記】DONGFANG ELECTRIC (FUJIAN) INNOVATION INSTITUTE CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.12 Liyuanzhou Road, Fuzhou High Tech Zone Fuzhou, Fujian 350100,CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】謝 和平
(72)【発明者】
【氏名】劉 濤
(72)【発明者】
【氏名】趙 治宇
(72)【発明者】
【氏名】呉 一凡
【テーマコード(参考)】
4K021
【Fターム(参考)】
4K021AA01
4K021BA02
4K021BC01
4K021DB40
(57)【要約】
本発明は海水無淡水化の原位置直接電解による水素製造方法、装置及びシステムを開示する。海水無淡水化の原位置直接電解による水素製造装置を海水に直接浸漬することにより、海水と自己駆動電解質との界面圧力差の推進で、海水は溶液物質移動層を介して絶えず海水無淡水化の原位置直接電解による水素製造装置に入り、装置内の自己駆動電解質に誘起されて電解液に入り、同時に溶液物質移動層の疎水作用は溶液中の非水不純物を効果的に遮断する。電解する時、自己駆動電解質中の水が消費されて水素と酸素を製造し、且つ電解質の再生を誘起し、界面圧力差を維持し、余分なエネルギー消費のない自己循環励起駆動を実現する。自己駆動電解質が誘起して入る水溶液と、電気分解による水素生産に必要な水の量とが等しい場合、動的に安定し、余分なエネルギー消費がない海水無淡水化の原位置直接電解による水素製造方法及びシステムを形成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
海水無淡水化の原位置直接電解による水素製造方法であって、該水素製造方法は、
溶液物質移動層によって海水と不純物イオンを遮断し、水蒸気の選択的通過を実現し、自己駆動型電解質は、界面蒸気圧作用又は浸透圧差によって水蒸気の相変化を誘起し液化して不純物イオンのない水分を取得することと、
水素生成電解において陰極側で自己駆動型電解質内の水分を水素析出反応させて水素とOH-を生成し、OH-をイオンによって水素生成電解における陽極側に伝達し且つ陽極側において酸素析出反応を行って酸素を生成することと、を含み、
ここで、水素生成電解工程において、自己駆動型電解質中の水分が継続的に電気分解されて消費されることにより、自己駆動型電解質の再生が誘起され、余分なエネルギー消費のない自己循環励起駆動型水素製造が可能となる、ことを特徴とする海水無淡水化の原位置直接電解による水素製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の海水無淡水化の原位置直接電解による水素製造方法を応用する、海水無淡水化の原位置直接電解による水素製造装置であって、
該水素製造装置は、自己捕獲容器と、触媒電解モジュールとを含み、
前記自己捕獲容器によって不純物のない水分を自発的に取得し、
前記自己捕獲容器内に設けられた前記触媒電解モジュールよって前記自己捕獲容器を陽極電解室と陰極電解室に分割し、且つ少なくとも陽極電解室又は陰極電解室内に自己駆動電解質を形成し、自己駆動電解質はまず陰極電解室で水素とOH-を電解調製し、且つOH-は触媒電解モジュールを経て陽極室に入り且つ酸素を電解調製する、ことを特徴とする海水無淡水化の原位置直接電解による水素製造装置。
【請求項3】
前記自己捕獲容器は、多孔質絶縁網溝と、溶液物質移動層と、を含み、
前記多孔質絶縁網溝内に収容室が設けられ、該収容室内に前記触媒電解モジュールが内蔵され、
前記多孔質絶縁網溝の外部に被覆された前記溶液物質移動層によって海水における不純物を遮断する、ことを特徴とする請求項2に記載の海水無淡水化の原位置直接電解による水素製造装置。
【請求項4】
前記触媒電解モジュールは、イオン伝達層と、陽極触媒電極及び陰極触媒電極と、を含み、
前記イオン伝達層は、陽極電解室と陰極電解室との間でOH-イオンを伝達し、陽極側で発生したO2と陰極側で発生したH2との混合を遮断し、
前記陽極触媒電極と前記陰極触媒電極は、前記イオン伝達層の両側に対称に配置されており、前記陽極触媒電極と陰極触媒電極の側面にそれぞれ陽極極板と陰極極板が付けられ、且つ陽極極板と陰極極板はそれぞれ、自己捕獲容器と、前記陽極電解室及び前記陰極電解室を形成し、
ここで、前記イオン伝達層、前記陽極触媒電極、前記陰極触媒電極、前記陽極極板及び前記陰極極板はいずれも自己捕獲容器の内部キャビティに嵌め込まれる、ことを特徴とする請求項3に記載の海水無淡水化の原位置直接電解による水素製造装置。
【請求項5】
前記自己捕獲容器は、溶液物質移動層、及び陽極極板と陰極極板を含み、
前記溶液物質移動層内に収容室が設けられ、該収容室内に前記触媒電解モジュールが内蔵され、
陽極極板と陰極極板は、触媒電解モジュール両側にそれぞれ密着されており、前記陽極極板と前記収容室との間に陽極多孔質絶縁網溝が密着され、前記陰極極板と前記収容室との間に陰極多孔質絶縁網溝が密着され、
ここで、前記陽極極板と前記陰極極板にそれぞれ前記陽極電解室と前記陰極電解室が開設される、ことを特徴とする請求項2に記載の海水無淡水化の原位置直接電解による水素製造装置。
【請求項6】
前記触媒電解モジュールは、イオン伝達層、及び陽極触媒電極と陰極触媒電極を含み、
前記イオン伝達層は陽極電解室と陰極電解室との間でOH-イオンを伝達し、
陽極触媒電極と陰極触媒電極は前記イオン伝達層の両側に対称に配置されており、前記陽極触媒電極に陽極極板が密着され、前記陰極触媒電極に陰極極板が密着される、ことを特徴とする請求項5に記載の海水無淡水化の原位置直接電解による水素製造装置。
【請求項7】
請求項1に記載の海水無淡水化の原位置直接電解による水素製造方法を応用する、海水無淡水化の原位置直接電解による水素製造装置であって、
該水素製造装置は、収容室と、収容室内に設けられた自己駆動電解質層と、収容室内に設けられた触媒電解モジュールと、を含み、
自己駆動電解質層は、前記収容室と収容室内に設けられており、自己駆動電解質層によって収容室を陽極電解室と陰極電解室に分割し、且つ陽極電解室と陰極電解室に海水物質移動を促進するための溶液物質移動層がそれぞれ設けられ、
触媒電解モジュールは前記収容室内に設けられており、陰極電解室内に触媒電解モジュールによって自己駆動電解質層内の水分を電解して水素とOH-を製造し、且つOH-は自己駆動電解質層を介して陽極電解室内に入り且つ電解によって酸素を製造する、ことを特徴とする海水無淡水化の原位置直接電解による水素製造装置。
【請求項8】
前記触媒電解モジュールは、
自己駆動電解質層の両側に密着された陽極触媒電極と陰極触媒電極であって、前記陽極触媒電極と前記陰極触媒電極の側面にそれぞれ陽極極板と陰極極板が密着され、
前記陽極極板と前記陰極極板にそれぞれ排気溝が開設され、且つ陽極極板と陰極極板の側面にそれぞれ前記溶液物質移動層が貼り付けられるように構成される、ことを特徴とする請求項7に記載の海水無淡水化の原位置直接電解による水素製造装置。
【請求項9】
前記溶液物質移動層は、孔径が0.1~100umの孔径のTPU膜、PDMS膜、PTFE膜のいずれかを用い、
又は前記溶液物質移動層は、グラフェン、PVDF粒子、PTFE粒子でスプレー、スクリーン印刷、静電吸着によって製造される、ことを特徴とする請求項3、5又は7に記載の海水無淡水化の原位置直接電解による水素製造装置。
【請求項10】
さらに、エネルギー供給モジュールを含み、前記エネルギー供給モジュールはそれぞれ陽極極板と陰極極板に電気的に接続され、それぞれ陽極極板と陰極極板に給電する、ことを特徴とする請求項2に記載の海水無淡水化の原位置直接電解による水素製造装置。
【請求項11】
少なくとも請求項2~10のいずれか一項に記載の海水無淡水化の原位置直接電解による水素製造装置を含む、海水無淡水化の原位置直接電解による水素製造システムであって、
該水素製造システムは、少なくとも一つの酸素収集ユニットと少なくとも一つの水素収集ユニットを含み、
各前記酸素収集ユニットと前記水素収集ユニットはそれぞれ陽極電解室と陰極電解室に連通する、ことを特徴とする海水無淡水化の原位置直接電解による水素製造システム。
【請求項12】
前記酸素収集ユニットは、
陽極電解室に連通する酸素洗浄器であって、酸素洗浄器に酸素乾燥器が接続され、酸素乾燥器に酸素収集ボトルが接続されるように構成され、
前記水素収集ユニットは、
陰極電解室に連通する水素洗浄器であって、水素洗浄器に水素乾燥器が接続され、水素乾燥器に水素収集ボトルが接続されるように構成される、ことを特徴とする請求項11に記載の海水無淡水化の原位置直接電解による水素製造システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電気化学の技術分野に属し、具体的には、海水無淡水化の原位置直接電解で水素製造方法、装置及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
水素エネルギーは由来が広く、貯蔵でき、用途が多く、ゼロ炭素ゼロ汚染及びエネルギー密度が大きい等の利点を有し、将来のエネルギー分野の重要な構成部分である。現在電解水で水素エネルギーを取得する方法は二種類があり、一方では、自然界の海水、河川水又は湖水等の非純水溶液を直接利用することである。海水電解で水素を製造することを例とし、以下の問題が存在する:(1)海水成分が複雑であり、且つ成分は季節、気候、温度、地域及び人為的活動等の要因によって変化し、そのため、異なる領域の海水から直接水素を製造する電解装置は直接互換できない。(2)海水におけるCl-の含有量が最も高く、電解反応において、Cl-は酸素析出反応において酸化され、有毒であり、環境に有害で、腐食性のあるClO-及びCl2が発生する。(3)海水で水素を直接製造する時にH+とOH-イオン濃度が微小であり、又は緩衝分子は陰極と陽極のOH-とH+をそれぞれ輸送できず、電解効率が低くなり、そのため添加剤を追加し又はイオン交換膜を使用する必要があり、それによりコストを大幅に増加させ、同時に交換膜は不純物に対する感度が高く、失活又はメンテナンスコストが存在する可能性がある。(4)電解時の局所的なpH差によりカルシウム・マグネシウムイオン等が沈殿する可能性があり、酸を用いて沈殿処理を行う必要があり、余分なコストが発生する。他方では、各種の非純水溶液を精製処理し、純水を調製し且つ電解槽に用いる。依然として海水を例とし、海水淡水化プロセスにより、該方法は海岸で海水淡水化工場を建設する必要があり、建設、運営、人力、メンテナンス等の面から大幅にコストを増加させる。そして海上風力発電の結合を大規模に利用して原位置一体化海洋グリーン水素生産システムを形成しにくく、再生可能エネルギーの安定的な貯蔵、多能相補エネルギーシステム及び海上エネルギー生態浮遊島の建設を実現しにくい。
【発明の概要】
【0003】
これに鑑み、自然界に存在する比較的複雑な成分と広範囲に分布する海水、河川水、湖水等の非純水資源を、二次浄化処理を経ることなく直接利用して水素を電解製造することが困難であるという技術的課題を解決するために、本発明の目的は海水無淡水化の原位置直接電解で水素製造方法、装置及びシステムを提供することであり、自然界海水におけるイオン成分が複雑でイオン交換膜が失効し、触媒が失活し、転化効率が低く、アルカリ沈殿と有毒ガス等の、水素を電解製造する問題を根本的に解決する。同時に、将来の水素エネルギー変換が時空制限を受けないことに寄与し、海水、河川水、湖水等の自然水資源、ひいては生活廃水、産業廃水、汚泥等の一連の非純水の原位置直接電解による水素製造を実現する。
【0004】
本発明の採用する技術的解決手段は以下のとおりである。海水無淡水化の原位置直接電解による水素製造方法であって、該水素製造方法は以下を含む:
溶液物質移動層によって海水(非純水溶液)と不純物イオンを遮断し、水蒸気の選択的通過を実現し、自己駆動型電解質は、界面圧力差作用又は浸透圧差によって水溶液の相変化を誘起して不純物イオンのない水分を取得する。
水素生成電解における陰極側で自己駆動型電解質内の水分を水素析出反応させて水素とOH-を生成し、イオンからOH-を水素生成電解における陽極側に移動させて陽極側で酸素析出反応させて酸素を生成する。
ここで、水素生成電解工程において、自己駆動型電解質中の水分が継続的に電気分解されて消費されることにより、自己駆動型電解質の再生が誘起され、界面圧力差が維持され、余分なエネルギー消費のない自己循環型励起駆動型水素製造が可能となる。
【0005】
本発明においてさらに海水無淡水化の原位置直接電解による水素製造装置を提供し、該水素製造装置は以下を含む。
自己捕獲容器であって、該自己捕獲容器によって不純物のない水分を自発的に取得する。自己捕獲容器は海水(非純水溶液)と自己駆動電解質界面の圧力差又は浸透圧差の作用下で、外部溶液中の水分が溶液物質移動層を通過することを誘起・駆動し、且つ自己駆動電解質によって相変化を誘起される。
該自己捕獲容器内に設けられた触媒電解モジュールであって、該触媒電解モジュールによって自己捕獲容器を陽極電解室と陰極電解室に分割し、且つ少なくとも陽極電解室又は陰極電解室内に自己駆動電解質を形成し、自己駆動電解質はまず陰極電解室で水素とOH-を電解調製し、且つOH-は触媒電解モジュールを経て陽極室に入り且つ酸素を電解調製する。
そのうち、触媒電解モジュールは触媒電解の化学原理によって酸素と水素を製造し、複数の技術を結合し、完備した海水無淡水化の原位置直接電解による水素製造プロセスシステムを形成する。そのうち、利用可能な自己駆動電解質は、K2CO3、KOH、NAOH、CA(OH)2、NA2CO3等を含むがそれらに限定されない。
【0006】
さらに、前記自己捕獲容器は以下を含む。
多孔質絶縁網溝であって、前記多孔質絶縁網溝内に収容室が設けられ、該収容室内に前記触媒電解モジュールが内蔵される。
多孔質絶縁網溝の外部に被覆された溶液物質移動層であって、該溶液物質移動層によって海水(非純水溶液)における不純物を遮断する。
触媒電解モジュールは多孔質絶縁網溝の収容室内に嵌め込まれ且つ収容室を陽極電解室と陰極電解室に分割し、溶液物質移動層の疎水作用によって不純物溶液を系外に遮断し、自己駆動電解質によって海水(非純水溶液)における不純物がない水分を誘起・捕獲し、陽極電解室と陰極電解室内に電解液を形成する。
【0007】
さらに、前記触媒電解モジュールは以下を含む。イオン伝達層であって、前記イオン伝達層は、陽極電解室と陰極電解室との間でOH-イオンを伝達し、陽極側で発生したO2と陰極側で発生したH2との混合を遮断する、ここで、イオン伝達層はポリエステル隔膜、ナイロン隔膜、セラミック多孔質隔膜、アニオン交換膜又はPVA等のポリマーフィルムを含むがこれらに限定されない。
イオン伝達層の両側に対称に配置された陽極触媒電極と陰極触媒電極であって、前記陽極触媒電極と陰極触媒電極の表面にそれぞれ陽極極板と陰極極板が付けられ、且つ陽極極板と陰極極板はそれぞれ自己捕獲容器と前記陽極電解室と前記陰極電解室を形成する。
ここで、前記イオン伝達層、前記陽極触媒電極、前記陰極触媒電極、前記陽極極板及び前記陰極極板は、いずれも自己捕獲容器の内キャビティに嵌め込まれる。
陰極電解室、陽極電解室内にいずれも自己駆動電解質を格納し、装置を海水(非純水溶液)系に浸漬した後、界面圧力差の作用下で、海水(非純水溶液)蒸気の自発物質移動は溶液物質移動層を介し、自己駆動電解質に誘起されて相変化して液体水を形成し、それにより触媒電解モジュールを多孔質絶縁網溝における自己駆動電解質環境に浸漬させる。電解を開始した後、まず陰極触媒電極は還元反応が発生して水素を生成し、生成されたOH-はイオン伝達層の作用下で、陽極へ伝達し且つ陽極触媒電極に酸素析出反応が発生する。そのうち、陽極触媒電極は、ニッケルモリブデン、イリジウムタンタル、ルテニウムイリジウム、NiFe-LDH、NiFeCu合金触媒に担持されたチタンメッシュ、発泡ニッケル等を含むがそれらに限定されない。使用可能な陰極触媒電極は、白金メッシュ、ニッケルメッキ白金メッシュ、FexCoyNiz型触媒に担持された発泡ニッケル及びチタンフェルト等を含むがそれらに限定されない。
【0008】
さらに、前記自己捕獲容器は、溶液物質移動層、及び陽極極板と陰極極板を含む。
溶液物質移動層であって、前記溶液物質移動層内に収容室が設けられ、該収容室内に前記触媒電解モジュールが内蔵される。
触媒電解モジュール両側にそれぞれ密着されている陽極極板と陰極極板であって、前記陽極極板と収容室との間に陽極多孔質絶縁網溝が密着され、陰極極板と収容室との間に陰極多孔質絶縁網溝が密着される。
ここで、前記陽極極板と前記陰極極板にそれぞれ前記陽極電解室と陰極電解室が開設される。
【0009】
さらに、前記触媒電解モジュールは、イオン伝達層、及び陽極触媒電極と陰極触媒電極を含む。
陽極電解室と陰極電解室との間でOH-イオンを伝達するためのイオン伝達層は、ポリエステル隔膜、ナイロン隔膜、セラミック多孔質隔膜、陰イオン交換膜又はPVA等のポリマーフィルムを含むがこれらに限定されない。
イオン伝達層の両側に対称に配置された陽極触媒電極と陰極触媒電極であって、前記陽極触媒電極に陽極極板が密着され、前記陰極触媒電極に陰極極板が密着される。
【0010】
本発明においてさらに、海水無淡水化の原位置直接電解による水素製造装置を開示し、水素製造装置は以下のように構成される。
収容室と収容室内に設けられた自己駆動電解質層であって、自己駆動電解質層によって収容室を陽極電解室と陰極電解室に分割し、且つ陽極電解室と陰極電解室にそれぞれ不純物のない水分物質移動を誘起・駆動するための溶液物質移動層が設けられる。
収容室内に設けられた触媒電解モジュールであって、陰極電解室内に触媒電解モジュールによって自己駆動電解質層内の水分を電解して水素とOH-を製造し、且つOH-は自己駆動電解質層を介して陽極電解室内に入り且つ電解によって酸素を製造する。
【0011】
さらに、前記触媒電解モジュールは以下のように構成される。
自己駆動電解質層の両側に密着された陽極触媒電極と陰極触媒電極であって、前記陽極触媒電極と前記陰極触媒電極の側面にそれぞれ陽極極板と陰極極板が密着される。
前記陽極極板と前記陰極極板にそれぞれ排気溝が開設され、且つ陽極極板と陰極極板の側面にそれぞれ前記溶液物質移動層が貼り付けられる。
【0012】
さらに、前記溶液物質移動層は孔径が0.1~100umのTPU膜、PTFE膜、PDMS膜のいずれかを用いる。溶液物質移動層の疎水作用によって不純物溶液を系外に遮断し、同時に水溶液物質移動を駆動し、自己駆動電解質と合わせて水溶液の相変化を誘起して不純物のない液体水を形成する。
【0013】
或いは、前記溶液物質移動層はグラフェン、PVDF粒子、PTFE粒子がスプレー、スクリーン印刷、静電吸着によって調製された多孔質溶液物質移動層である。
溶液物質移動層の疎水作用によって不純物溶液を系外に遮断し、同時に水溶液物質移動を駆動して電解質に入る。海水無淡水化の原位置直接電解による水素製造システムはさらに、エネルギー供給モジュールを含み、前記エネルギー供給モジュールはそれぞれ陽極極板と陰極極板に電気的に接続され、それぞれ陽極極板と陰極極板に給電する。
エネルギー供給モジュールは火力発電、水力発電などを直接利用することもでき、さらに、風力発電、太陽光、原子力などの再生可能なエネルギーを結合することもでき、グリーン水素生産を実現し、それにより非安定再生可能なエネルギーのエネルギー変換を実現し、形成された水素エネルギーは安定的に貯蔵することに有利である。
【0014】
本発明はさらに海水無淡水化の原位置直接電解による水素製造システムを提供し、該水素製造システムは少なくとも一つの前記海水無淡水化の原位置直接電解による水素製造装置を含み、該水素製造システムはさらに以下を含む。
少なくとも一つの酸素収集ユニットと少なくとも一つの水素収集ユニットであって、各前記酸素収集ユニットと水素収集ユニットはそれぞれ陽極電解室と陰極電解室に連通する。
【0015】
該システムを応用する時に、水素発生量の需要に応じて適応性設計を行うことができる。
【0016】
さらに、前記酸素収集ユニットは以下のように構成される。陽極電解室に連通する酸素洗浄器であって、酸素洗浄器に酸素乾燥器が接続され、酸素乾燥器に酸素収集ボトルが接続され、酸素収集ボトルによって酸素を貯蔵し且つ次のステップで利用する。
【0017】
前記水素収集ユニットは以下のように構成される。陰極電解室に連通する水素洗浄器であって、水素洗浄器に水素乾燥器が接続され、水素乾燥器に水素収集ボトルが接続され、水素収集ボトルによって水素を貯蔵し且つ次のステップで利用する。
【0018】
本発明の有益な効果は以下のとおりである。
1、本発明の提供する海水無淡水化の原位置直接電解による水素製造方法、装置及びシステムを採用し、溶液と自己駆動電解質との間の界面圧力差作用により、自己駆動電解質は水溶液の相変化を自発的に誘起して不純物のない水分を形成し、且つ原位置触媒電解による水素を製造する。システムにおける自己駆動電解質の水分を消費し、且つ電解質の循環再生を誘起し、界面圧力差を維持し、システムの余分なエネルギー消費なしの自己循環励起駆動を実現し、淡水化なしの連続安定水素製造過程を実現し、同時にシステムの総エネルギー消費は淡水電解で水素製造のエネルギー消費に相当する。
2、本発明の提供する海水無淡水化の原位置直接電解による水素製造方法、装置及びシステムを採用し、アルカリ性物質を利用して自己駆動電解質とし、海水(非純水溶液)において海水(非純水溶液)の相変化を自発的に誘起した後にアルカリ性電解液を形成し且つ電解液を電解して水素と酸素を生成する。溶液の導電率を大幅に向上させ、海水(非純水溶液)水素製造におけるH+とOH-濃度が小さくて陰陽極における伝送効率が低いという問題を回避する。
3、本発明の提供する海水無淡水化の原位置直接電解による水素製造方法、装置及びシステムを採用し、応用する時、自己駆動電解質が相変化を誘起するのはいずれも不純物がない水分であり、そのため海水(非純水溶液)で水素を直接製造することは成分が時間、気候、人間活動等の要因で制約されるボトルネックを突破する。従来の海水(非純水溶液)淡水化電解で水素を製造するボトルネックを突破する。淡水化工場を大規模に建設する必要がなく、建設、運営、人力、メンテナンス等の方面のコストを大幅に縮小し、同時に汚泥、沼沢、河川等のいずれかの非純水溶液環境中又は直接大気中の電解で水素を製造でき、水素エネルギーの由来範囲を大幅に広げ、同時に時空制限を受けない。
4、本発明の提供する海水無淡水化の原位置直接電解による水素製造方法、装置及びシステムを採用し、応用する時に自発的に捕獲するのはいずれも不純物がない水分であり、海水(非純水溶液)で直接水素製造における塩素イオンが酸化されてCl2又はClO-等の腐食及び有毒物質を生成するボトルネックを突破する。本技術はグリーン、無毒、環境に優しいプロセス体系であり、同時に、溶液体系にカルシウムイオン、マグネシウムイオン等の不純物イオンを含まず、長時間の運転ではカルシウムとマグネシウムの沈殿がなく、後続のメンテナンスコストを削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の提供する海水無淡水化の原位置直接電解による水素製造装置の実施例1における全体原理図である。
図2】本発明の提供する海水無淡水化の原位置直接電解による水素製造装置の実施例2における全体原理図である。
図3】本発明の提供する海水無淡水化の原位置直接電解による水素製造装置の実施例3における全体原理図である。
図4】本発明の提供する海水無淡水化の原位置直接電解による水素製造装置の実施例1におけるlsvのグラフである。
図5】本発明の提供する海水無淡水化の原位置直接電解による水素製造装置の実施例1における安定運転効果図である。
図6】本発明の提供する海水無淡水化の原位置直接電解による水素製造装置の実施例3における安定運転効果図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施例の目的、技術的解決手段及び利点をより明確にするために、以下は本発明の実施例における図面を参照し、本発明の実施例における技術的解決手段を明確、完全に説明し、明らかに、説明された実施例は本発明の一部の実施例であり、全ての実施例ではない。本発明の実施例の構成要素は、本明細書の添付図面に一般的に説明及び図示され、様々な異なる構成で配置及び設計されてもよい。
【0021】
したがって、以下の図面で提供される本発明の実施例の詳細な説明は、請求項に係る本発明の範囲を限定することを意図するものではなく、単に本発明の選択された実施例を示すものである。発明の実施例に基づいて、当業者が創作的な労働を行わないことを前提として取得した他のすべての実施形態は、発明の保護の範囲に属する。
【0022】
なお、本発明の実施例及び実施例における特徴は、矛盾することなく互いに組み合わされてもよい。
【0023】
以下の図面では、類似の符号及び文字が類似の項目を示しているので、ある項目が一度図面で定義された後に、それを後の図面でさらに定義して説明する必要はないことに留意すべきである。
【0024】
なお、本発明の実施例の説明では、指示する方位又は位置関係は、図面に基づいて示される方位又は位置関係、または、本発明の製品の使用時に通常配置される方位又は位置関係、または、当業者が理解する方位又は位置関係、または、本発明の製品の使用時に通常配置される方位又は位置関係である。本発明の説明を容易にし、説明を簡略化するためだけであって、装置又は要素が特定の方位を有し、特定の方位で構成されて動作しなければならないことを示し又は示唆するものではないため、本発明を限定するものとして理解することはできない。また、用語「第1」、「第2」は、区別して説明するためにのみ使用され、相対的重要性を示す又は示唆するものとしては理解されない。
【0025】
本発明の実施形態の説明では、特に明示的な規定及び限定がない限り、用語「設定」、「接続」は一般的に理解されるべきであり、例えば、固定的な接続、取り外し可能な接続、又は一体的な接続であってもよい。直接接続してもよいし、中間媒体を介して間接的に接続してもよい。本発明における上記用語の特定の意味は、当業者にとっては、状況に応じて理解することができる。実施例中の図面は、本発明の実施例中の技術的態様を明確かつ完全に説明するために使用され、説明された実施例が本発明の一部の実施例であり、全ての実施例ではないことは明らかである。本発明の実施例の構成要素は、本明細書の添付図面に一般的に説明及び図示され、様々な異なる構成で配置及び設計されてもよい。
【0026】
実施例1
具体的には、本実施例では、海水、汚泥、沼等の各種の非純水溶液に浸漬して、非純水系と自己駆動型電解質との界面圧力差による推進作用により、自己駆動電解質が海水(非純水溶液)の相変化を自発的に誘起することを促進し、電解反応により水素を製造することができる海水無淡水化の原位置直接電解による水素製造装置を提供する。
【0027】
図1に示すように、本発明の水素製造装置は、自己捕獲容器と、この自己捕獲容器内に設置されたA触媒電解モジュール17とを備えており、この自己捕獲容器は、不純物のない水分を自発的に取得し、このA触媒電解モジュール17により、自己捕獲容器をA陽極電解室7とA陰極電解室8とに区画しており、A陽極電解室7とA陰極電解室8には、配置された自己駆動型電解質がそれぞれ酸素と水素を調製している。この場合、使用可能な自己駆動型電解質は、K2CO3、NaOH、KOH、Ca(OH)2、Na2CO3等の固体又はその溶液を含むが、これらに限定されない。また、自己駆動電解質を他の吸湿媒体、例えばグリセリン、ポリエチレングリコール、アクリル酸ナトリウム、硫酸等に置き換えてもよい。
【0028】
(1)自己捕獲器
該自己捕獲容器は、多孔質絶縁網溝9及び多孔質絶縁網溝9の外部に被覆されたA溶液物質移動層10を含み、前記多孔質絶縁網槽9内に収容室が設けられ、該収容室内に前記A触媒電解モジュール17が内蔵され、該A溶液物質移動層10によって海水(非純水溶液)における不純物を遮断する。実際に応用する時、A溶液物質移動層10は孔径が0.1~100umのTPU膜、PDMS膜、PTFE膜のいずれかを用いる。当然のことながら上記方式に加え、A溶液物質移動層10はグラフェン、PVDF粒子、PTFE粒子がスプレー、スクリーン印刷、静電吸着によって調製された多孔質溶液物質移動層であってもよい。
A溶液物質移動層10は多孔質絶縁網溝9全体の外部に被覆され、システム全体が海水(非純水溶液)に入ると、A溶液物質移動層10は海水(非純水溶液)を分離し、且つ水溶液物質移動を駆動し、自己駆動電解質が海水(非純水溶液)を誘起して相変化させて不純物のない液体水を形成する。
【0029】
(2)触媒電解モジュール
該A触媒電解モジュール17は、Aイオン伝達層4、Aイオン伝達層4の両側に対称に配置されたA陽極触媒電極3及びA陰極触媒電極5を含み、前記Aイオン伝達層4はポリエステル隔膜、ナイロン隔膜、セラミック多孔質隔膜、アニオン交換膜又はPVA等のポリマーフィルムを含むがこれらに限定されない。
A陽極触媒電極3とA陰極触媒電極5の表面にそれぞれA陽極極板2とA陰極極板6が付けられ、且つA陽極極板2とA陰極極板6はそれぞれA陽極電解室7とA陰極電解室8内に位置する。そのうち、前記Aイオン伝達層4、A陽極触媒電極3、A陰極触媒電極5、A陽極極板2及びA陰極極板6はいずれも自己捕獲容器の内キャビティ底部に嵌め込まれ、さらに多孔絶縁網溝9によりA陽極電解室7とA陰極電解室8とに隔離し、自己駆動電解質を格納するために用いられる。
海水(非純水溶液)はA陽極電解室7とA陰極電解室8に入り且つA陽極電解室7とA陰極電解室8内に格納された自己駆動電解質によって相変化を誘起し、且つA陰極触媒電極5の表面に還元水素析出反応が発生して水素を生成し、反応式は以下のとおりである:
発生したOH-はAイオン伝達層4(ポリエステル隔膜、ナイロン隔膜、セラミック多孔質隔膜、アニオン交換膜又はPVA等のポリマー薄膜)を介してA陽極触媒電極3に伝達され、酸化反応を発生して酸素を発生し、反応式は以下のとおりである:
上記において、使用可能なA陽極触媒電極3は、発泡ニッケルモリブデン、イリジウムタンタル、ルテニウムイリジウム、NiFe-LDH、NiFeCu合金、NixFeyz触媒が担持するチタンメッシュを含むがそれらに限定されない。使用可能なA陰極触媒電極5は、白金メッシュ、ニッケル白金メッキメッシュ、FexCoyNiz型触媒を含むがそれらに限定されない。
【0030】
(3)エネルギー供給モジュール
Aエネルギー供給モジュール1を介してそれぞれA陽極極板2及びA陰極極板6に接続され、且つA陽極極板2及びA陰極極板6に給電する。例えば、Aエネルギー供給モジュール1のエネルギー源は太陽エネルギー、風力エネルギー等の再生可能なエネルギーを電気エネルギーに変換することができ、太陽エネルギー、風力エネルギー等の再生可能なエネルギーによる電力又は火力発電はAエネルギー供給モジュール1に記憶され、且つAエネルギー供給モジュール1はそれぞれA陽極極板2及びA陰極極板6に接続され、水素製造反応に電気エネルギーを供給するために用いられる。A触媒電解モジュール17にAエネルギー供給モジュール1を介して電力を供給し、海水(非純水溶液)中に不純物のない水分を直接自発的に取り込み、A触媒電解モジュール17で電解触媒による水素を製造し、海水(非純水溶液)全体の無淡水化の原位置直接電解による水素製造が実現される。このほか、Aエネルギー供給モジュール1は火力発電、水力発電などを直接利用することもでき、さらに、風力発電、太陽光発電、原子力などの再生可能エネルギーを結合してグリーン水素生産を実現することもでき、これにより非安定再生可能エネルギーのエネルギー転化を実現し、形成された水素エネルギーは安定貯蔵に有利である。
【0031】
上記提供された海水無淡水化の原位置直接電解による水素製造装置に基づき、その動作原理は以下のとおりである:
まず、Aエネルギー供給モジュール1はA触媒電解モジュール17に電力を供給する。
次に、海水無淡水化の原位置直接電解による水素製造システムを水中に直接浸漬し、海水(非純水溶液)と自己駆動電解質界面の圧力差又は浸透圧の正方向推進作用下で、海水(非純水溶液)はA溶液物質移動層10を介して自己捕獲容器に入り低蒸気圧の自己駆動電解質に誘起され相変化し且つ電解液を形成し、同時にA溶液物質移動層10の疎水作用は海水(非純水溶液)に溶解する不純物を系外に遮断する。
最終的に、触媒水素製造モジュールによって、自己駆動型電解質により誘起されて相変化した純水を触媒システムの下で電気分解して水素を製造する。自己駆動電解質における水が絶えず電解消費され、且つ自己駆動電解質の再生を誘起し、界面圧力差を維持し、システムが余分なエネルギー消費のない自己循環励起駆動水素製造を実現し、総エネルギー消費は淡水電解で水素製造のエネルギー消費に相当する。
【0032】
該海水無淡水化の原位置直接電解による水素製造装置は、Aエネルギー供給モジュール1を介して電気エネルギーを供給し、自己駆動電解質の誘起相変化によって純粋な液体水を取得し、続いて触媒電解原理を利用して水素を製造する。一方、あらゆる海水(非純水溶液)環境において時空間差のない自己捕獲水素製造の動的連続過程を実現することができる。他方、非安定的な再生可能なエネルギーに対してエネルギー変換及び安定的な貯蔵を実現することができ、将来のエネルギー体系の構築に技術的手段を提供する。
【0033】
該海水無淡水化の原位置直接電解による水素製造装置は実際に応用する時、その組立方式は規則的な形状に適用するだけでなく、また異形に置き換えることができ、これにより異なる地域環境に適応する。
【0034】
その実施効果は以下のとおりである。陰陽極電解室に自己駆動電解質を置き、水溶液相変化の誘起によって電解液を形成する。体系は2vの電圧下で電流密度が200mA/cm2に達し、図4に示すように、効率的な電流密度を有する。該システムは室温環境、2v、200mA/cm2の高電流密度で60時間以上安定的に運転することができ、高電流密度での良好な安定性を有し、図5に示す。
【0035】
実施例2
図2に示すように、本実施例では海水無淡水化の原位置直接電解による水素製造装置を提供し、太陽エネルギー、風力エネルギー等の再生可能なエネルギーによる電力又は火力発電をBエネルギー供給モジュール18に貯蔵し、Bエネルギー供給モジュール18を該原位置自己捕獲水素製造装置におけるB陽極極板20及びB陰極極板25に接続し、水素製造反応に電気エネルギーを提供するために用いられる。
【0036】
図2に示すように、B触媒電解モジュール35はB陽極触媒電極22、Bイオン伝達層23、B陰極触媒電極24で構成される。B触媒電解モジュール35の両側はそれぞれB陽極極板20と陽極多孔質絶縁網溝19、B陰極極板25と陰極多孔質絶縁網溝27に密着する。且つB陽極極板20とB陰極極板25にそれぞれB陽極電解室21とB陰極電解室26が開設されていずれも自己駆動電解質を貯蔵するために用いられる。システム全体を海水(非純水溶液)に浸漬し、B溶液物質移動層28を介して物質を自発的に移動し、不純物成分が外部に隔離される。自己駆動電解質は相変化を誘起してB陽極電解室21とB陰極電解室26に液体水を形成し、且つB陰極触媒電極24の表面に還元水素析出反応が発生し、反応式は以下のとおりである:
生成されたOH-はBイオン伝達層23(陰イオン交換膜)を介してB陽極触媒電極22に伝達され、酸化反応が発生して酸素を生成し、反応式は以下のとおりである:
【0037】
上記提供される海水無淡水化の原位置直接電解による水素製造装置は、動作原理は以下のとおりである。
まず、システムにおけるB陽極電解室21のみに自己駆動電解質K2CO3固体又はK2CO3濃溶液(実際には、陽極側又は陰極側に自己駆動電解質を置き、電解液を形成した後、いずれも他方側に浸透する)を置き、B陰極電解室26は空き、且つBエネルギー供給モジュール18を介してB触媒電解モジュール35に電力を供給し、Bエネルギー供給モジュール18の具体的な説明は実施例1を参照し、ここで説明を省略する。
【0038】
次に、海水無淡水化の原位置直接電解による水素製造装置を海水(非純水溶液)に直接浸漬し、海水(非純水溶液)界面と自己駆動電解質界面の圧力差により、B溶液物質移動層28を介してB陽極電解室21に入って低蒸気圧K2CO3自己駆動電解質に誘起されて相変化して液体水を形成し、同時にB溶液物質移動層28の疎水作用は非純水に溶解された不純物を系外に遮断する。B陽極電解室21内のK2CO3溶液中の水分はB陰極触媒電極24表面に浸潤し、水は陰極側で水素とOH-に還元され、OH-はアニオン交換膜を介して陽極側に伝達され酸化されて酸素が発生する。
【0039】
最終的に、触媒水素製造モジュールによって触媒系でK2CO3潮解物に捕獲された純水に対して電解水素製造を行い、K2CO3自己駆動電解質中の水が絶えず電解消費され、電解質の再生を誘起し、界面圧力差を維持し、それにより連続的で安定的な電解水素製造過程を形成する。
【0040】
該海水無淡水化の原位置直接電解による水素製造装置はBエネルギー供給モジュール18によって電気エネルギーを供給し、自己駆動電解質によって相変化を誘起して純粋な液体水を形成し、続いて触媒電解原理を利用して水素を製造する。一方、いずれかの非純水環境において時空間差がない自然捕獲水素製造の動的連続過程を実現することができる。一方、非安定的な再生可能なエネルギーに対してエネルギー変換及び安定的な貯蔵を実現することができ、将来のエネルギー体系の構築に技術的手段を提供する。
【0041】
該海水無淡水化の原位置直接電解による水素製造装置は、実際に応用する時、その組立方式は規則的な形状に適用するだけでなく、また異なる形に置き換えることができ、これにより異なる地域環境に適応する。
【0042】
実施例3
本実施例では海水無淡水化の原位置直接電解による水素製造装置を提供し、太陽エネルギー、風力エネルギー等の再生可能なエネルギーによる電力又は火力による電力をCエネルギー供給モジュール36に貯蔵し、Cエネルギー供給モジュール36を該原位置自己捕獲水素製造装置におけるC陽極電極38とC陰極電極42に接続し、水素製造反応に電気エネルギーを提供するために用いられる。
【0043】
図3に示すように、C陽極極板38とC陰極極板42によって共同で容器の外枠を形成し、C陽極極板38とC陰極極板42との間にC陽極触媒電極39、Cイオン交換層40、C陰極触媒電極41が設けられ、C陽極極板38とC陰極極板42の外側面に陽極溶液物質移動層37と陰極溶液物質移動層43が密着され、不純物のない水を自動的に容器内に捕獲する。ここで、C陽極触媒電極39とC陰極触媒電極41はそれぞれ対応するC陽極極板38とC陰極極板42の表面に付着される。
【0044】
C触媒電解モジュール50はC陽極極板38、C陽極触媒電極39、Cイオン交換層40、C陰極触媒電極41、及びC陰極極板42で構成され、C触媒電解モジュール50の両側にそれぞれ陽極溶液物質移動層37及び陰極溶液物質移動層43が密着される。C陽極極板38及びC陰極極板42には、それぞれ電解により発生した酸素及び水素を排出できるように、それぞれ排気溝が開設されている。
【0045】
体系全体を海水(非純水溶液)に浸漬し、陽極溶液物質移動層37と陰極溶液物質移動層43は液体水を分離し、自発物質移動を駆動し、自己駆動電解質は相変化を誘起する。前記Cイオン交換層40は自己駆動電解質層を採用し、自己駆動電解質層は相変化誘起作用、イオン導通能力を備え、C陰極触媒電極41の表面に還元水素析出反応が発生し、反応式は以下のとおりである:
【0046】
生成された水素はC水素洗浄器47及びC水素乾燥器48を通過し、水素に付帯するものを除去し、配管によって収集されてC水素収集ボトル49に入り、貯蔵及び次の利用を行う。生成されたOH-はCイオン交換層40(Cイオン交換層40はKOHがPVAゲルに複合されて形成された自己駆動電解質層である)を介してC陽極触媒電極39に伝達され、酸化反応が発生して酸素を生成し、反応式は以下のとおりである:
【0047】
酸素析出反応により発生した酸素は、配管を介してC酸素洗浄器44及びC酸素乾燥機45を経てC酸素回収ボトル46に収集される。
【0048】
上記提供された海水無淡水化の原位置直接電解による水素製造装置に基づき、その動作原理は以下のとおりである。
まず、Cエネルギー供給モジュール36はC触媒電解モジュール50に電力を供給する。
【0049】
次に、海水無淡水化の原位置直接電解による水素製造システムを海水(非純水溶液)に直接浸漬し、海水(非純水溶液)界面と自己駆動電解質界面の圧力差の推進作用により、陽極溶液物質移動層37と陰極無エネルギー消費溶液物質移動層43を介して自己捕集容器に入って、自己駆動電解質層(塩基性ポリマー材料、例えばPAA-KOH複合膜、PVA-KOH複合膜、PVA-K2CO3複合膜)によって誘起されて相変化して自己駆動電解質になる。同時に、陽極溶液物質移動層37と陰極溶液物質移動層43の疎水作用は海水(非純水溶液)に溶解する不純物を系外に遮断する。自己駆動型電解質の内部の水分は酸素と水素に酸化還元されるとともに、その過程で発生したOH-は自己駆動型電解質によって移動される。
【0050】
最終的に、触媒水素製造モジュールによって触媒体系で自己駆動電解質による相変化を誘起する純水に対して電解水素製造を行い、自己駆動電解質における水が絶えず電解消費され、自己駆動電解質の再生を誘起し、界面圧力差の安定を維持し、それにより連続的で安定的な海水(非純水溶液)無淡水化の原位置直接電解による水素製造過程を形成する。
【0051】
該海水無淡水化の原位置直接電解による水素製造装置は、Cエネルギー供給モジュール36によって電力を供給し、自己駆動電解質によって水溶液の相変化を誘起し、続いて触媒電解原理を利用して水素を製造する。一方、いずれかの非純水環境において時空間差がない自然捕獲水素製造の動的連続過程を実現することができる。一方、非安定的な再生可能なエネルギーに対してエネルギー変換及び安定的な貯蔵を実現することができ、将来のエネルギー体系の構築に技術的手段を提供する。
【0052】
該海水無淡水化の原位置直接電解による水素製造装置は実際に応用する時、その組立方式は規則的な形状に適用するだけでなく、また異なる形に置き換えることができ、これにより異なる地域環境に適応する。
【0053】
その実施効果は以下のとおりである。自己駆動電解質をイオン交換層とし、水溶液の相変化を自発的に誘起し、またイオンを伝導する。該システムは室温で、100mA/cm2の電流密度で電圧が2.65v程度で50時間以上安定的に運転することができ、高い電流密度での良好な安定性を有し、図6に示す。
【0054】
実施例4
本実施例ではさらに海水無淡水化の原位置直接電解による水素製造システムを提供し、該水素製造システムは上記実施例1に記載の海水無淡水化の原位置直接電解による水素製造装置を含み、該水素製造システムはさらに一つの酸素収集ユニット及び一つの水素収集ユニットを含む。
各前記酸素収集ユニット及び前記水素収集ユニットは、それぞれA陽極電解室7及びA陰極電解室8に連通し、それによりそれぞれ製造された酸素及び水素に対して乾燥、収集処理を行う。
酸素収集ユニットは以下を含む。A陽極電解室7に連通するA酸素洗浄器11は、A酸素乾燥器12に接続され、A酸素乾燥器12にはA酸素収集ボトル13が接続されており、A陽極電解室7内での酸素析出反応により発生した酸素は、管路を介してA酸素洗浄器11及びA酸素乾燥器12により洗浄・乾燥され、A酸素収集ボトル13に収集されて貯蔵され、次に利用される。水素収集ユニットは以下を含む。A陰極電解室8に連通するA水素洗浄器14にA水素乾燥器15が接続され、A水素乾燥器15にA水素収集ボトル16が接続され、A陰極電解室8で還元水素析出反応により生成された水素はA水素洗浄器14及びA水素乾燥器15により洗浄・乾燥を行い、水素に挟まれたものを脱出し、管路により収集されてA水素収集ボトル16に入り、貯蔵及び次の利用を行う。
【0055】
同様に、該水素製造システムは上記実施例2に記載の海水無淡水化の原位置直接電解による水素製造装置を含み、該水素製造システムはさらに一つの酸素収集ユニット及び一つの水素収集ユニットを含む。
各前記酸素収集ユニット及び前記水素収集ユニットは、それぞれB陽極電解室21及びB陰極電解室26に連通し、それによりそれぞれ製造された酸素及び水素に対して乾燥、収集処理を行う。
酸素収集ユニットは以下を含む。B陽極電解室21に連通するB酸素洗浄器29は、B酸素乾燥器30に接続され、B酸素乾燥器30にはB酸素収集ボトル31が接続されており、B陽極電解室21内での酸素析出反応により発生した酸素は、管路を介してB酸素洗浄器29及びB酸素乾燥器30により洗浄・乾燥され、B酸素収集ボトル31に収集されて貯蔵され、次に利用される。水素収集ユニットは以下を含む。B陰極電解室26に連通するB水素洗浄器32にB水素乾燥器33が接続され、B水素乾燥器33にB水素収集ボトル34が接続され、B陰極電解室26で還元水素析出反応により生成された水素はB水素洗浄器32及びB水素乾燥器33により洗浄・乾燥を行い、水素に挟まれたものを除去し、管路により収集されてB水素収集ボトル34に入り、貯蔵及び次の利用を行う。
【0056】
同様に、該水素製造システムは上記実施例3に記載の海水無淡水化の原位置直接電解による水素製造装置を含み、該水素製造システムはさらに一つの酸素収集ユニット及び一つの水素収集ユニットを含む。
各前記酸素収集ユニット及び前記水素収集ユニットは、それぞれC陽極電解室及びC陰極電解室に連通し、それによりそれぞれ製造された酸素及び水素に対して乾燥、収集処理を行う。
酸素収集ユニットは以下を含む。C陽極電解室に連通するC酸素洗浄器44は、C酸素乾燥器45に接続され、C酸素乾燥器45にはC酸素収集ボトル46が接続されており、C陽極電解室内での酸素析出反応により発生した酸素は、管路を介してC酸素洗浄器44及びC酸素乾燥器45により洗浄・乾燥され、C酸素収集ボトル46に収集されて貯蔵され、次に利用される。水素収集ユニットは以下を含む。C陰極電解室に連通するC水素洗浄器47にC水素乾燥器48が接続され、C水素乾燥器48にC水素収集ボトル49が接続され、C陰極電解室で還元水素析出反応により生成された水素はC水素洗浄器47及びC水素乾燥器48により洗浄・乾燥を行い、水素に挟まれたものを除去し、管路により収集されてC水素収集ボトル49に入り、貯蔵及び次の利用を行う。
【0057】
システム全体は水素生成量の需要に応じて携帯しやすく又は大規模に製造する集積システムに設計することができ、汚泥、沼沢、河川、湖沼、産業廃水のいずれかの非純水を含む体系環境で使用することができ、且つ時間、空間の制限を受けずに連続的な原位置水素生成動作を行う。
【0058】
実施例5
本実施例ではさらに海水無淡水化の原位置直接電解による水素製造方法を提供し、該水素製造方法は上記実施例1又は実施例2又は実施例3に記載の海水無淡水化の原位置直接電解による水素製造装置を応用し、該水素製造方法は以下を含む。
海水無淡水化の原位置直接電解による水素製造装置を非純水に浸漬し、非純水中の浸漬式電解水素製造を実現する。又は海水無淡水化の原位置直接電解による水素製造装置を大気に置き、大気中の水分を捕集して水素を製造する。
エネルギー供給モジュールを起動して海水無淡水化の原位置直接電解による水素製造装置における触媒電解モジュールに給電動作を行い、分解によって生成された酸素と水素は、それぞれ浄化、乾燥等の後処理を行った後に収集し、さらに利用する。
【0059】
自己捕獲水素製造装置を水又は大気に直接浸漬し、界面圧力差の推進作用下で、溶液物質移動層によって海水(非純水溶液)に入って無淡水化の原位置直接電解による水素製造は、自己駆動電解質に誘起されて相変化して電解液自己駆動電解質を形成する。同時に溶液物質移動層の疎水作用は非純水に溶解された不純物を系外に遮断し、触媒系で自己駆動電解質に誘起されて相変化する自己駆動電解質純水に対して電解水素製造を行い、且つ自己駆動電解質を再生させ、界面圧力差を維持し、システムが余分なエネルギー消費のない自己循環励起駆動を実現し、総エネルギー消費は淡水電解で水素製造のエネルギー消費に相当する。
【0060】
本発明は上記選択可能な実施形態に限定されるものではなく、任意の人は本発明の示唆で他の様々な形式の製品を得ることができるが、その形状又は構造にいかなる変更を加えても、本発明の請求項に定義された範囲内の技術的解決手段であれば、いずれも本発明の保護範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0061】
1-Aエネルギー供給モジュール、2-A陽極極板、3-A陽極触媒電極、4-Aイオン伝達層、5-A陰極触媒電極、6-A陰極極板、7-A陽極電解室、8-A陰極電解室、9-多孔質絶縁網溝、10-A溶液物質移動層、11-A酸素洗浄器、12-A酸素乾燥器、13-A酸素収集ボトル、14-A水素洗浄器、15-A水素乾燥器、16-A水素収集ボトル、17-A触媒電解モジュール
18-Bエネルギー供給モジュール、19-陽極多孔質絶縁網溝、20-B陽極極板、21-B陽極電解室、22-B陽極触媒電極、23-Bイオン伝達層、24-B陰極触媒電極、25-B陰極極板、26-B陰極電解室、27-陰極多孔質絶縁網溝、28-B溶液物質移動層、29-B酸素洗浄器、30-B酸素乾燥器、31-B酸素収集ボトル、32-B水素洗浄器、33-B水素乾燥器、34-B水素収集ボトル、35-B触媒電解モジュール、
36-Cエネルギー供給モジュール、37-陽極溶液物質移動層、38-C陽極極板、39-C陽極触媒電極、40-Cイオン伝達層、41-C陰極触媒電極、42-C陰極極板、43-陰極溶液物質移動層、44-C酸素洗浄器、45-C酸素乾燥器、46-C酸素収集ボトル、47-C水素洗浄器、48-C水素乾燥器、49-C水素収集ボトル、50-C触媒電解モジュール。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2024-06-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
海水無淡水化の原位置直接電解による水素製造方法であって、該水素製造方法は、
溶液物質移動層によって海水と不純物イオンを遮断し、水蒸気の選択的通過を実現し、自己駆動型電解質は、界面蒸気圧作用又は浸透圧差によって水蒸気の相変化を誘起し液化して不純物イオンのない水分を取得することと、
水素生成電解において陰極側で自己駆動型電解質内の水分を水素析出反応させて水素とOH-を生成し、OH-をイオンによって水素生成電解における陽極側に伝達し且つ陽極側において酸素析出反応を行って酸素を生成することと、を含み、
ここで、水素生成電解工程において、自己駆動型電解質中の水分が継続的に電気分解されて消費されることにより、自己駆動型電解質の再生が誘起され、余分なエネルギー消費のない自己循環励起駆動型水素製造が可能となる、ことを特徴とする海水無淡水化の原位置直接電解による水素製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の海水無淡水化の原位置直接電解による水素製造方法を応用する、海水無淡水化の原位置直接電解による水素製造装置であって、
該水素製造装置は、自己捕獲容器と、触媒電解モジュールとを含み、
前記自己捕獲容器によって不純物のない水分を自発的に取得し、
前記自己捕獲容器内に設けられた前記触媒電解モジュールよって前記自己捕獲容器を陽極電解室と陰極電解室に分割し、且つ少なくとも陽極電解室又は陰極電解室内に自己駆動電解質を形成し、自己駆動電解質はまず陰極電解室で水素とOH-を電解調製し、且つOH-は触媒電解モジュールを経て陽極室に入り且つ酸素を電解調製する、ことを特徴とする海水無淡水化の原位置直接電解による水素製造装置。
【請求項3】
前記自己捕獲容器は、多孔質絶縁網溝と、溶液物質移動層と、を含み、
前記多孔質絶縁網溝内に収容室が設けられ、該収容室内に前記触媒電解モジュールが内蔵され、
前記多孔質絶縁網溝の外部に被覆された前記溶液物質移動層によって海水における不純物を遮断する、ことを特徴とする請求項2に記載の海水無淡水化の原位置直接電解による水素製造装置。
【請求項4】
前記触媒電解モジュールは、イオン伝達層と、陽極触媒電極及び陰極触媒電極と、を含み、
前記イオン伝達層は、陽極電解室と陰極電解室との間でOH-イオンを伝達し、陽極側で発生したO2と陰極側で発生したH2との混合を遮断し、
前記陽極触媒電極と前記陰極触媒電極は、前記イオン伝達層の両側に対称に配置されており、前記陽極触媒電極と陰極触媒電極の側面にそれぞれ陽極極板と陰極極板が付けられ、且つ陽極極板と陰極極板はそれぞれ、自己捕獲容器と、前記陽極電解室及び前記陰極電解室を形成し、
ここで、前記イオン伝達層、前記陽極触媒電極、前記陰極触媒電極、前記陽極極板及び前記陰極極板はいずれも自己捕獲容器の内部キャビティに嵌め込まれる、ことを特徴とする請求項3に記載の海水無淡水化の原位置直接電解による水素製造装置。
【請求項5】
前記自己捕獲容器は、溶液物質移動層、及び陽極極板と陰極極板を含み、
前記溶液物質移動層内に収容室が設けられ、該収容室内に前記触媒電解モジュールが内蔵され、
陽極極板と陰極極板は、触媒電解モジュール両側にそれぞれ密着されており、前記陽極極板と前記収容室との間に陽極多孔質絶縁網溝が密着され、前記陰極極板と前記収容室との間に陰極多孔質絶縁網溝が密着され、
ここで、前記陽極極板と前記陰極極板にそれぞれ前記陽極電解室と前記陰極電解室が開設される、ことを特徴とする請求項2に記載の海水無淡水化の原位置直接電解による水素製造装置。
【請求項6】
前記触媒電解モジュールは、イオン伝達層、及び陽極触媒電極と陰極触媒電極を含み、
前記イオン伝達層は陽極電解室と陰極電解室との間でOH-イオンを伝達し、
陽極触媒電極と陰極触媒電極は前記イオン伝達層の両側に対称に配置されており、前記陽極触媒電極に陽極極板が密着され、前記陰極触媒電極に陰極極板が密着される、ことを特徴とする請求項5に記載の海水無淡水化の原位置直接電解による水素製造装置。
【請求項7】
請求項1に記載の海水無淡水化の原位置直接電解による水素製造方法を応用する、海水無淡水化の原位置直接電解による水素製造装置であって、
該水素製造装置は、収容室と、収容室内に設けられた自己駆動電解質層と、収容室内に設けられた触媒電解モジュールと、を含み、
自己駆動電解質層は、前記収容室と収容室内に設けられており、自己駆動電解質層によって収容室を陽極電解室と陰極電解室に分割し、且つ陽極電解室と陰極電解室に海水物質移動を促進するための溶液物質移動層がそれぞれ設けられ、
触媒電解モジュールは前記収容室内に設けられており、陰極電解室内に触媒電解モジュールによって自己駆動電解質層内の水分を電解して水素とOH-を製造し、且つOH-は自己駆動電解質層を介して陽極電解室内に入り且つ電解によって酸素を製造する、ことを特徴とする海水無淡水化の原位置直接電解による水素製造装置。
【請求項8】
前記触媒電解モジュールは、
自己駆動電解質層の両側に密着された陽極触媒電極と陰極触媒電極であって、前記陽極触媒電極と前記陰極触媒電極の側面にそれぞれ陽極極板と陰極極板が密着され、
前記陽極極板と前記陰極極板にそれぞれ排気溝が開設され、且つ陽極極板と陰極極板の側面にそれぞれ前記溶液物質移動層が貼り付けられるように構成される、ことを特徴とする請求項7に記載の海水無淡水化の原位置直接電解による水素製造装置。
【請求項9】
前記溶液物質移動層は、孔径が0.1~100umの孔径のTPU膜、PDMS膜、PTFE膜のいずれかを用い、
又は前記溶液物質移動層は、グラフェン、PVDF粒子、PTFE粒子でスプレー、スクリーン印刷、静電吸着によって製造される、ことを特徴とする請求項3、5又は7に記載の海水無淡水化の原位置直接電解による水素製造装置。
【請求項10】
さらに、エネルギー供給モジュールを含み、前記エネルギー供給モジュールはそれぞれ陽極極板と陰極極板に電気的に接続され、それぞれ陽極極板と陰極極板に給電する、ことを特徴とする請求項2に記載の海水無淡水化の原位置直接電解による水素製造装置。
【請求項11】
少なくとも請求項2~8及び10のいずれか一項に記載の海水無淡水化の原位置直接電解による水素製造装置を含む、海水無淡水化の原位置直接電解による水素製造システムであって、
該水素製造システムは、少なくとも一つの酸素収集ユニットと少なくとも一つの水素収集ユニットを含み、
各前記酸素収集ユニットと前記水素収集ユニットはそれぞれ陽極電解室と陰極電解室に連通する、ことを特徴とする海水無淡水化の原位置直接電解による水素製造システム。
【請求項12】
少なくとも請求項9に記載の海水無淡水化の原位置直接電解による水素製造装置を含む、海水無淡水化の原位置直接電解による水素製造システムであって、
該水素製造システムは、少なくとも一つの酸素収集ユニットと少なくとも一つの水素収集ユニットを含み、
各前記酸素収集ユニットと前記水素収集ユニットはそれぞれ陽極電解室と陰極電解室に連通する、ことを特徴とする海水無淡水化の原位置直接電解による水素製造システム。
【請求項13】
前記酸素収集ユニットは、
陽極電解室に連通する酸素洗浄器であって、酸素洗浄器に酸素乾燥器が接続され、酸素乾燥器に酸素収集ボトルが接続されるように構成され、
前記水素収集ユニットは、
陰極電解室に連通する水素洗浄器であって、水素洗浄器に水素乾燥器が接続され、水素乾燥器に水素収集ボトルが接続されるように構成される、ことを特徴とする請求項11に記載の海水無淡水化の原位置直接電解による水素製造システム。
【請求項14】
前記酸素収集ユニットは、
陽極電解室に連通する酸素洗浄器であって、酸素洗浄器に酸素乾燥器が接続され、酸素乾燥器に酸素収集ボトルが接続されるように構成され、
前記水素収集ユニットは、
陰極電解室に連通する水素洗浄器であって、水素洗浄器に水素乾燥器が接続され、水素乾燥器に水素収集ボトルが接続されるように構成される、ことを特徴とする請求項12に記載の海水無淡水化の原位置直接電解による水素製造システム。
【国際調査報告】