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特表2024-532512TYK2/JAK1シュードキナーゼドメイン阻害剤としての化合物ならびに合成および使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】TYK2/JAK1シュードキナーゼドメイン阻害剤としての化合物ならびに合成および使用方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 403/12 20060101AFI20240829BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240829BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240829BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20240829BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20240829BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20240829BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20240829BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20240829BHJP
   A61P 17/14 20060101ALI20240829BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20240829BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240829BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20240829BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20240829BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20240829BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20240829BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20240829BHJP
   A61K 31/501 20060101ALI20240829BHJP
   C07D 401/14 20060101ALI20240829BHJP
   A61K 31/4439 20060101ALI20240829BHJP
   C07D 413/12 20060101ALI20240829BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20240829BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
C07D403/12 CSP
A61P43/00 111
A61P29/00
A61P37/02
A61P17/06
A61P1/00
A61P19/02
A61P17/00
A61P17/14
A61P31/12
A61P35/00
A61P25/00
A61P3/10
A61P11/00
A61P1/16
A61P27/02
A61K31/501
C07D401/14
A61K31/4439
C07D413/12
A61P25/28
A61P13/12
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024514097
(86)(22)【出願日】2022-08-30
(85)【翻訳文提出日】2024-04-18
(86)【国際出願番号】 CN2022115930
(87)【国際公開番号】W WO2023030335
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】202111013061.8
(32)【優先日】2021-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524079085
【氏名又は名称】チョーチヤン ウェンダ ファーマシューティカル テクノロジー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ネンホイ
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC41
4C086BC60
4C086BC71
4C086GA07
4C086GA08
4C086GA09
4C086GA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA02
4C086ZA16
4C086ZA59
4C086ZA66
4C086ZA81
4C086ZA89
4C086ZA92
4C086ZA96
4C086ZB07
4C086ZB08
4C086ZB11
4C086ZB26
4C086ZB33
4C086ZC20
4C086ZC35
(57)【要約】
本発明は、TYK2 JAK1シュードキナーゼドメイン阻害剤としての化合物ならびに合成および使用方法を提供する。具体的には、化合物またはその薬学的に許容される塩を提供し、前記化合物は、式Aで表され、各基は、本明細書で定義されたとおりである。
【化1】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化合物またはその薬学的に許容される塩であって、
前記化合物は、式Aで表され、
【化1】

ここで、
環Arは、5員複素芳香環であり、前記5員複素芳香環は、任意選択で、ハロゲン、置換または非置換のC1-6アルキル基、置換または非置換のC1-6ヒドロキシアルキル基、置換または非置換の-C1-4アルキレン-O-C1-6アルキル基、置換または非置換の-C1-4アルキレン-S-C1-6アルキル基からなる群から選択される1、2、3または4個の置換基で置換され、
Yは、CHまたはNであり、
Xは、CHまたはNであり、
は、H、ハロゲン、置換または非置換のC1-6アルキル基、ヒドロキシ基、置換または非置換のC1-6アルコキシ基、置換または非置換のC1-6アルキルチオ基からなる群から選択され、
は、存在しないか、あるいはハロゲン、置換または非置換のC1-3アルキル基からなる群から選択される1または2個の置換基を表し、
1aおよびW1bは、それぞれ独立して、なし(null)(単結合)、-O-、-S-、-SO-、-CO-、-NR-からなる群から選択され、W1aおよびW1bのうちの少なくとも一つは、なしではなく、
2aおよびW2bは、それぞれ独立して、なし(単結合)、-O-、-S-、-SO-、-CO-、-NR-からなる群から選択され、W2aおよびW2bのうちの少なくとも一つは、なしではなく、
は、それぞれ独立して、H、置換または非置換のC1-4アルキル基からなる群から選択され、
特に明記しない限り、前記置換とは、基中の一つまたは複数の水素が、ハロゲン、C1-4アルキル基、C1-4ハロゲン化アルキル基からなる群から選択される置換基で置換されることを指すことを特徴とする
化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
化合物またはその薬学的に許容される塩であって、
前記化合物は、式Iで表され、
【化2】


ここで、
は、H、置換または非置換のC1-6アルキル基、置換または非置換のC1-6ヒドロキシアルキル基、置換または非置換のC1-4アルキレン-O-C1-6アルキル基、置換または非置換のC1-4アルキレン-S-C1-6アルキル基からなる群から選択され、
Zは、O、S、Nからなる群から選択され、
ZがOまたはSである場合、Rは、存在せず、ZがNである場合、Rは、H、置換または非置換のC1-6アルキル基からなる群から選択され、
Yは、CHまたはNであり、
Xは、CHまたはNであり、
特に明記しない限り、前記置換とは、基中の一つまたは複数の水素が、ハロゲン、C1-4アルキル基、C1-4ハロゲン化アルキル基からなる群から選択される置換基で置換されることを指すことを特徴とする
化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
ZがOまたはSである場合、Rは、存在せず、ZがNである場合、Rは、置換または非置換のC1-6アルキル基であることを特徴とする
請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
は、Hであり、Zは、Nであり、Rは、H、置換または非置換のC1-6アルキル基からなる群から選択されることを特徴とする
請求項2に記載の化合物。
【請求項5】
前記化合物は、式Iaまたは式Ibで表されることを特徴とする
請求項2に記載の化合物。
【化3】
【請求項6】
前記化合物は、表Aから選択される化合物であることを特徴とする
請求項1または2に記載の化合物。
【表1】
【請求項7】
医薬組成物であって、
(i)請求項1または2に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩、および(ii)薬学的に許容される担体または賦形剤を含むことを特徴とする
医薬組成物。
【請求項8】
(i)TYK2および/またはJAK1媒介性疾患を治療または予防するための薬物および/または(ii)TYK2/JAK1阻害剤の調製における、請求項1または2に記載の化合物または請求項6に記載の医薬組成物の使用。
【請求項9】
前記TYK2および/またはJAK1媒介性疾患は、炎症、自己免疫性疾患、またはそれらの組み合わせを含むことを特徴とする
請求項8に記載の使用。
【請求項10】
前記TYK2および/またはJAK1媒介疾患は、乾癬、エリテマトーデス、炎症性腸疾患、乾癬性関節炎、関節炎、皮膚炎、ループス腎炎、多発性硬化症およびアルツハイマー病のような神経性炎症、強直性脊椎炎、化膿性汗腺炎、呼吸器疾患、糖尿病、炎症性眼疾患、肝炎、心血管疾患、全身性硬化症、臓器移植、円形脱毛症、ニキビ、湿疹、白斑、シェーグレン症候群、ウイルス性炎症、癌またはそれらの組み合わせを含むことを特徴とする
請求項8に記載の使用。
【請求項11】
化合物の調製方法であって、
前記化合物は、請求項2に記載の化合物であり、前記調製方法は、
式IIで表される中間体を
【化4】

と反応させて、前記化合物を得るステップを含むことを特徴とする
化合物の調製方法。
【化5】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療分野に属し、具体的には、TYK2シュードキナーゼ(Pseudokinase、JH2)ドメイン阻害剤としての化合物ならびに合成方法および使用に関する。
【背景技術】
【0002】
Janusキナーゼ(JAK)は、様々なサイトカインのシグナル伝達および活性化を媒介する、細胞内の非受容体チロシンキナーゼである。JAKキナーゼファミリーは、JAK1、2、3、TYK2の四つのサブタイプに分かれ、各サブタイプは、それぞれ異なるタイプのサイトカインシグナル伝達経路を媒介し、JAK1、2、TYK2は、人体の様々な組織の細胞で発現され、JAK3は、主に様々な造血組織の細胞で発現される。
【0003】
TYK2は、IFN-a、IL-6、IL-10、IL-12およびIL-23等のサイトカインの機能を媒介する、JAKファミリーの中で最も早く発見されたサブタイプであり、研究では、TYK2欠失突然変異がアレルギー、自己免疫および炎症等の免疫性疾患の発生を効果的に阻害できることが示される。IL-23は、乾癬の発生および進行において重要な役割を果たし、最新の研究では、乾癬の発病メカニズムは、内因性の未知の抗原が抗原提示細胞APCを活性化してIL-23を分泌し、IL-23は、Thl7細胞を活性化してIL-17等のサイトカインを分泌することにより、ケラチノサイトの分化分裂およびIL-23の分泌を誘発し、さらに炎症およびケラチノサイトの増殖を刺激して乾癬を引き起こす。TYK2およびJAK2は、IL-23の下流のシグナル伝達経路を共同で媒介し、JAK2を阻害すると、貧血および他の血液関連副作用を引き起こす可能性があるため、JAK2の阻害を回避しながらTYK2を阻害することは、IL-23シグナル伝達経路を阻害するための良好な策略である。最初の経口トファシチニブ(Tofacitinib)は、非選択的JAK阻害剤に属し、JAK1、2、3、TYK2に対して顕著な阻害活性を有し、アデノシン三リン酸(ATP)部位に結合する触媒ドメイン(JH1または「JAKタンパク質の相同性1ドメイン」)を部位特異的に阻害することができ、ATPをブロッキングすることで、下流のキナーゼの触媒活性によるリン酸化、およびこれにより生じる経路シグナル伝達を防止することができる。トファシチニブは、JAK1、2、3、TYK2のような他のサブタイプの活性を阻害することで治療効果を増加させるが、感染、結核、腫瘍、貧血、肝障害およびコレステロールの増加を含む不良反応等の重篤な副作用をもたらす。JAK2活性は、赤血球の分化および脂質代謝に関連しているため、上記貧血などの不良反応の一部は、JAK2に対するトファシチニブの選択性の欠如に関連し、当該薬物の非選択的阻害によって引き起こされると考えられる。
【0004】
JAK非選択的阻害剤の良好な治療効果および様々なターゲットポイントに関連する重篤な副作用を考慮すると、この分野では、JAKキナーゼファミリー阻害剤が緊急に必要とされ、当該阻害剤は、以前のJAK阻害剤の結合触媒ドメイン(JH1)の機能と区別され、シュードキナーゼ(JH2)ドメイン(例えば、TYK2およびJAK1のJH2)に選択的に結合され、シュードキナーゼ(JH2)ドメインの機能を阻害し、JAK1、2、3、TYK2またはそれらのキナーゼドメイン(JH1)のような他のサブタイプの阻害を回避し、TYK2およびJAK1のシュードキナーゼ(JH2)阻害剤の安全性を増加させることで、乾癬、エリテマトーデス、炎症性腸疾患、乾癬性関節炎、関節炎、皮膚炎、ループス腎炎、多発性硬化症およびアルツハイマー病のような神経性炎症、強直性脊椎炎、化膿性汗腺炎、呼吸器疾患、糖尿病、炎症性眼疾患、肝炎、心血管疾患、全身性硬化症、臓器移植、円形脱毛症、ニキビ、湿疹、白斑、シェーグレン症候群、ウイルス性炎症、いくつかの癌等を含む、TYK2およびJAK1シュードキナーゼ(JH2)ドメイン機能に関連する様々な自己免疫および炎症関連疾患の治療に使用されることができ、臨床応用の可能性が非常に高い。
【0005】
従って、この分野では、新規構造、高い安全性、優れた薬効を備えたTYK2シュードキナーゼ(JH2)ドメイン阻害剤の開発が急務となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、新規構造、高い安全性、優れた薬効を備えたTYK2シュードキナーゼ(JH2)ドメイン阻害剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様は、化合物またはその薬学的に許容される塩を提供し、前記化合物は、式Aで表され、
【化1】

ここで、
環Arは、5員複素芳香環であり、前記5員複素芳香環は、任意選択で、ハロゲン、置換または非置換のC1-6アルキル基、置換または非置換のC1-6ヒドロキシアルキル基、置換または非置換のC1-4アルキレン-O-C1-6アルキル基、置換または非置換のC1-4アルキレン-S-C1-6アルキル基からなる群から選択される1、2、3または4個の置換基で置換され、
Yは、CHまたはNであり、
Xは、CHまたはNであり、
は、H、ハロゲン、置換または非置換のC1-6アルキル基、ヒドロキシ基、置換または非置換のC1-6アルコキシ基、置換または非置換のC1-6アルキルチオ基からなる群から選択され、
は、存在しないか、あるいはハロゲン、置換または非置換のC1-3アルキル基からなる群から選択される1または2個の置換基を表し、
1aおよびW1bは、それぞれ独立して、なし(null)(単結合)、-O-、-S-、-SO-、-CO-、-NR-からなる群から選択され、W1aおよびW1bのうちの少なくとも一つは、なしではなく、
2aおよびW2bは、それぞれ独立して、なし(単結合)、-O-、-S-、-SO-、-CO-、-NR-からなる群から選択され、W2aおよびW2bのうちの少なくとも一つは、なしではなく、
は、それぞれ独立して、H、置換または非置換のC1-4アルキル基からなる群から選択され、
特に明記しない限り、前記置換とは、基中の一つまたは複数(例えば、1、2または3個)の水素が、ハロゲン、C1-4アルキル基、C1-4ハロゲン化アルキル基からなる群から選択される置換基で置換されることを指す。
【0008】
別の好ましい例において、前記5員ヘテロアリール基は、O、SおよびNから選択される1、2または3個のヘテロ原子を含む環原子の5員ヘテロアリール基であり、好ましくは、前記5員ヘテロアリール基は、二つの窒素ヘテロ原子とO、SおよびNから選択される0または1個のヘテロ原子とを含む5員ヘテロアリール基である。
【0009】
別の好ましい例において、前記5員ヘテロアリール基は、
【化2】

からなる群から選択される。
【0010】
別の好ましい例において、環Aは、
【化3】

であり、ここで、Rは、H、置換または非置換のC1-6アルキル基、置換または非置換のC1-6ヒドロキシアルキル基、置換または非置換の-C1-4アルキレン-O-C1-6アルキル基、置換または非置換の-C1-4アルキレン-S-C1-6アルキル基からなる群から選択され、
Zは、O、S、Nからなる群から選択され、
ZがOまたはSである場合、Rは、存在せず、ZがNである場合、Rは、H、置換または非置換のC1-6アルキル基からなる群から選択される。
【0011】
別の好ましい例において、Rは、置換または非置換のC1-6アルコキシ基であり、好ましくは、Rは、C1-6アルコキシ基であり、好ましくは、Rは、メトキシ基である。
【0012】
別の好ましい例において、Rは、存在しない。
【0013】
別の好ましい例において、W1aおよびW1bは、それぞれ独立して、-O-、-S-、-SO-、-CO-、-NR-からなる群から選択される。
【0014】
別の好ましい例において、W1aおよびW1bのうちの多くとも1つは、-O-であり、即ち、-W1a-W1b-は、-O-O-ではない。
【0015】
別の好ましい例において、-W1a-W1b-は、-NR-CO-であり、好ましくは、-NH-CO-である。
【0016】
別の好ましい例において、W2aおよびW2bは、それぞれ独立して、-O-、-S-、-SO-、-CO-、-NR-からなる群から選択される。
【0017】
別の好ましい例において、W2aおよびW2bのうちの多くとも1つは、-O-であり、即ち、-W2a-W2b-は、-O-O-ではない。
【0018】
別の好ましい例において、-W2a-W2b-は、-NR-CO-であり、好ましくは、-NH-CO-である。
【0019】
別の好ましい例において、前記化合物は、式Aaまたは式Abで表される。
【化4】
【0020】
別の好ましい例において、前記化合物は、式Iで表され、
【化5】

ここで、
は、H、置換または非置換のC1-6アルキル基、置換または非置換のC1-6ヒドロキシアルキル基、置換または非置換のC1-4アルキレン-O-C1-6アルキル基、置換または非置換のC1-4アルキレン-S-C1-6アルキル基からなる群から選択され、
Zは、O、S、Nからなる群から選択され、
ZがOまたはSである場合、Rは、存在せず、ZがNである場合、Rは、H、置換または非置換のC1-6アルキル基からなる群から選択され、
Yは、CHまたはNであり、
Xは、CHまたはNであり、
特に明記しない限り、前記置換とは、基中の一つまたは複数(例えば、1、2または3個)の水素が、ハロゲン、C1-4アルキル基、C1-4ハロゲン化アルキル基からなる群から選択される置換基で置換されることを指す。
【0021】
別の好ましい例において、Zは、O、Nからなる群から選択される。
【0022】
別の好ましい例において、ZがOまたはSである場合、Rは、存在せず、ZがNである場合、Rは、置換または非置換のC1-6アルキル基である(好ましくは、メチル基である)。
【0023】
別の好ましい例において、Rは、置換または非置換のC1-4アルキレン-O-C1-6アルキル基であり、好ましくは、Rは、-CHOCHである。
【0024】
別の好ましい例において、Rは、Hであり、Zは、Nであり、Rは、H、置換または非置換のC1-6アルキル基からなる群から選択される(好ましくは、Rは、C1-6アルキル基、より好ましくは、Rメチル基である)。
【0025】
別の好ましい例において、Rは、置換または非置換のC1-6アルキル基、置換または非置換のC1-6ヒドロキシアルキル基、置換または非置換のC1-4アルキレン-O-C1-6アルキル基、置換または非置換のC1-4アルキレン-S-C1-6アルキル基からなる群から選択され(好ましくは、Rは、置換または非置換のC1-4アルキレン-O-C1-6アルキル基であり、より好ましくは、Rは、-CHOCHである)、Zは、O、Sからなる群から選択され(好ましくは、Zは、Oである)、Rは、存在しない。
【0026】
別の好ましい例において、Yは、CHまたはNである。
【0027】
別の好ましい例において、Xは、CHまたはNである。
【0028】
別の好ましい例において、前記化合物は、式Iaまたは式Ibで表される。
【化6】
【0029】
別の好ましい例において、前記化合物は、表Aから選択される化合物である。
【表1】
【0030】
本発明の第2の態様は、(i)第1の態様に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩、および(ii)薬学的に許容される担体または賦形剤を含む、医薬組成物を提供する。
【0031】
本発明の第3の態様は、(i)TYK2および/またはJAK1媒介性疾患を治療または予防するための薬物および/または(ii)TYK2および/またはJAK1阻害剤の調製における、第1の態様に記載の化合物または第2の態様に記載の医薬組成物の使用を提供する。
【0032】
別の好ましい例において、TYK2および/またはJAK1とは、TYK2またはJAK1または両者の組み合わせを指す。
【0033】
別の好ましい例において、TYK2および/またはJAK1媒介性疾患は、TYK2によって媒介される疾患またはJAK1によって媒介される疾患またはTYK2およびJAK1の両方によって媒介される疾患である。
【0034】
別の好ましい例において、TYK2および/またはJAK1阻害剤とは、TYK2阻害剤またはJAK1阻害剤またはTYK2およびJAK1阻害剤を指す。
【0035】
別の好ましい例において、前記TYK2および/またはJAK1媒介性疾患は、IL-23、IL-12および/またはIFNαに関連する疾患である。
【0036】
別の好ましい例において、前記化合物は、TYK2-JH2および/またはJAK-JH2を選択的阻害することによって、TYK2および/またはJAK1媒介性疾患を治療または予防する。
【0037】
別の好ましい例において、前記TYK2および/またはJAK1媒介性疾患は、炎症、自己免疫性疾患、またはそれらの組み合わせを含む。
【0038】
別の好ましい例において、前記TYK2および/またはJAK1媒介疾患は、乾癬、エリテマトーデス、炎症性腸疾患、乾癬性関節炎、関節炎、皮膚炎、ループス腎炎、多発性硬化症およびアルツハイマー病のような神経性炎症、強直性脊椎炎、化膿性汗腺炎、呼吸器疾患、糖尿病、炎症性眼疾患、肝炎、心血管疾患、全身性硬化症、臓器移植、円形脱毛症、ニキビ、湿疹、白斑、シェーグレン症候群、ウイルス性炎症、癌またはそれらの組み合わせを含む。
【0039】
別の好ましい例において、前記TYK2および/またはJAK1阻害剤は、選択的TYK2-JH2および/またはJAK1-JH2阻害剤である。
【0040】
本発明の第4の態様は、TYK2および/またはJAK1を選択的阻害する方法を提供し、前記方法は、対象を第1の態様に記載の化合物と接触させ、それによりTYK2-JH2および/またはJAK1-JH2を介して対象におけるTYK2および/またはJAK1活性を阻害することを含む。
【0041】
別の好ましい例において、前記対象は、細胞である。
【0042】
別の好ましい例において、前記対象は、TYK2キナーゼおよび/またはJAK1キナーゼである。
【0043】
別の好ましい例において、前記阻害は、TYK2-JH2および/またはJAK1-JH2に対する選択的阻害である。
【0044】
別の好ましい例において、前記方法は、インビトロで非治療的である。
【0045】
本発明の第5の態様は、必要とする人に安全有効量の第1の態様に記載の化合物または第2の態様に記載の医薬組成物を投与し、それによりTYK2および/またはJAK1媒介性疾患を治療または予防するステップを含む、TYK2および/またはJAK1媒介性疾患を治療または予防するための方法を提供する。
【0046】
別の好ましい例において、前記TYK2および/またはJAK1媒介性疾患は、IL-23、IL-12および/またはIFNαに関連する疾患である。
【0047】
別の好ましい例において、前記化合物は、TYK2-JH2および/またはJAK1-JH2を選択的阻害することによって、TYK2および/またはJAK1媒介性疾患を治療または予防する。
【0048】
別の好ましい例において、前記TYK2および/またはJAK1媒介性疾患は、炎症、自己免疫性疾患、またはそれらの組み合わせを含む。
【0049】
別の好ましい例において、前記TYK2および/またはJAK1媒介性疾患は、乾癬、エリテマトーデス、炎症性腸疾患、乾癬性関節炎、関節炎、皮膚炎、ループス腎炎、多発性硬化症およびアルツハイマー病のような神経性炎症、強直性脊椎炎、化膿性汗腺炎、呼吸器疾患、糖尿病、炎症性眼疾患、肝炎、心血管疾患、全身性硬化症、臓器移植、円形脱毛症、ニキビ、湿疹、白斑、シェーグレン症候群、癌、ウイルス性炎症またはそれらの組み合わせを含む。
【0050】
本発明の第6の態様は、化合物の調製方法を提供し、前記化合物は、第1の態様に記載の式Iに示されるような化合物であり、前記調製方法は、式IIに示されるような中間体を
【化7】

と反応させて前記化合物を得るステップを含む。
【化8】
【発明の効果】
【0051】
本発明の範囲内で、本発明の上記の各技術的特徴と以下(例えば、実施例)に具体的に説明される各技術的特徴との間を、互いに組み合わせることにより、新しいまたは好ましい技術的解決策を構成することができることに理解されたい。スペースに限りがあるため、ここでは繰り返さない。
【発明を実施するための形態】
【0052】
本発明者らは、広範囲かつ綿密な研究の結果、特定の新規構造を有する化合物、即ち、5員ヘテロアリール基(環Ar)および
【化9】

構造を有する化合物が、TYK2シュードキナーゼ(JH2)およびJAK1シュードキナーゼ(JH2)ドメインに対して優れた選択的阻害活性を有することが予想外に発見した。これに基づいて、本発明者らは、本発明を完成させた。
【0053】
用語
本明細書で説明されるように、「ハロゲン」という用語は、F、Cl、BrまたはIを指す。対応的に、「ハロゲン化」とは、基中の水素原子がF、Cl、BrまたはIで置換されることを指す。
【0054】
特に明記しない限り、「アルキル基」という用語は、それ自体または別の置換基の一部として、指定された数の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖炭化水素基(即ち、C1-6は、1~6個の炭素を表わす)を指す。アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、t-ブチル基、イソブチル基、s-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基等を含む。
【0055】
「シクロアルキル基」という用語は、指定された数の環原子を有する(例えば、C3-6シクロアルキル基は、3~6個の環原子を有する)完全に飽和した炭化水素環を指す。「シクロアルキル基」とは、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン等の二環式および多環式炭化水素環もさす。
【0056】
「アルキレン基」という用語は、それ自体または別の置換基の一部として、-CH-、-CHCH-、-CH(CH)-、-CH(CH)CH-または-CHCHCH-等のアルカンから誘導された二価の基を指す。アルキル基(またはアルキレン基)は、通常、1~4個の炭素原子を有する。類似的に、「アルケニレン基」または「アルキニレン」は、それぞれ二重結合または三重結合を有する不飽和形態の「アルキレン基」を指す。
【0057】
特に明記しない限り、本明細書において、「ヘテロ原子」という用語は、酸素(O)、窒素(N)、硫黄(S)およびケイ素(Si)を含むことを意図する。
【0058】
本明細書で提供される化合物に関しては、置換基(通常は、R基である)から環(例えば、ベンゼン、ピリジン等の芳香環)の中心への結合は、環の任意の利用可能な頂点での結合を提供する結合を指すと理解される。
【0059】
本明細書で使用されるように、「含有」、「含む」または「包括」という用語は、本発明の混合物または組成物中で様々な成分を一緒に使用できることを示す。従って、「主に…からなる」および「からなる」という用語は、「含有」という用語に含まれる。
【0060】
本明細書で使用されるように、「薬学的に許容される」成分という用語は、過度の有害な副作用(例えば、毒性、刺激およびアレルギー反応)がない、即ち、合理的な利益/リスク比を有する、ヒトおよび/または動物への使用に適した物質を指す。
【0061】
特に明記しない限り、本発明において、出現されるすべての化合物は、単一のキラル化合物、または様々な異なるキラル化合物の混合物(即ち、セラミ体)等、考えられるすべての光学異性体を含むことを意図する。本発明のすべての化合物において、各キラル炭素原子は、任意選択でR配置またはS配置、またはR配置とS配置との混合物であり得る。
【0062】
本発明の特定の化合物は、不斉炭素原子(光学中心)または二重結合を有し、ラセミ体、ジアステレオマー、幾何異性体、位置異性体および単独の異性体(例えば、分離されたエナンチオマー)は、すべて本発明の範囲内に含まれるべきである。本明細書で提供される化合物が決定された立体化学(RまたはSで表されるか、または波線または楔形結合を有する)を有する場合、当業者は、あれらの化合物が他の異性体を実質的に含まない(例えば、他の異性体を少なくとも80%、90%、95%、98%、99%および最多100%含まない)と理解される。
【0063】
本発明の化合物は、そのような化合物を構成する一つまたは複数の同位体原子において、非天然な比率の原子同位体を含むこともできる。特性の同位体の非天然な比率は、議論される原子の自然に見出された量から当該原子の100%までの量として定義される。例えば、化合物には、トリチウム(H)、ヨウ素-125(125I)または炭素-14(14C)等の放射性同位体、または重水素(H)または炭素-13(13C)等の非放射性同位体が組み込まれることができる。本出願に記載のあれらの用途に加えて、このような同位体変異体は、追加の用途を提供することができる。例えば、本発明の化合物の同位体変異体は、診断的および/または造影試薬、または細胞毒性/放射線毒性治療剤としての追加の用途を有することができるが、これらに限定されない。さらに、本発明の化合物の同位体変異体は、改変された薬物動態学的および薬力学的特徴を有することができ、それにより治療中の安全性、忍容性、治療効果の向上に有利する可能性がある。放射性であるか否かにかかわらず、本発明の化合物のすべての同位体変異体は、すべて本発明の範囲内に含まれることが意図される。
【0064】
有効成分
本明細書で使用されるように、「本発明の化合物」という用語は、式(A)または式(I)に示される化合物を指す。当該用語は、式(A)または式(I)の化合物の様々な結晶形、薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物をさらに含む。
【0065】
ここで、「薬学的に許容される塩」という用語は、薬物として使用するのに適した、本発明の化合物と酸または塩基とで形成された塩を指す。薬学的に許容される塩は、無機塩および有機塩である。好ましい塩は、本発明の化合物と酸とで形成された塩である。塩形成に適した酸は、塩酸、臭化水素酸、フッ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸(Trifluoroacetic acid)、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、ピクリン酸、安息香酸、メタンスルホン酸(Methanesulfonic acid)、エタンスルホン酸(Ethanesulfonic acid)、p-トルエンスルホン酸(p-toluenesulfonic acid)、ベンゼンスルホン酸(Benzenesulfonic acid)、ナフタレンスルホン酸(Naphthalenesulfonic acid)等の有機酸、ならびにプロリン酸、フェニルアラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸等のアミノ酸を含むが、これらに限定されない。別の好ましい塩は、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩またはカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えば、マグネシウム塩またはカルシウム塩)、例えばメチルアミン塩、エチルアミン塩、プロピルアミン塩、ジメチルアミン塩、トリメチルアミン塩、ジエチルアミン塩、トリエチルアミン塩、t-ブチルアミン塩、エチレンジアミン塩、ヒドロキシエチルアミン塩、ジヒドロキシエチルアミン塩、トリヒドロキシエチルアミン塩(Trihydroxyethylamine salt)、ならびにそれぞれモルホリン、ピペラジン、リジンで形成されるアミン塩等のアンモニウム塩(例えば、低級アルカノールアンモニウム塩(Alkanol ammonium salt)および他の薬学的に許容されるアミン塩)等の、本発明の化合物と塩基とで形成された塩である。
【0066】
「溶媒和物」という用語は、本発明の化合物が溶媒分子と配位して特定の比率の錯体を形成する。「水和物」とは、本発明の化合物が水と配位して形成された錯体を指す。
【0067】
さらに、本発明の化合物は、式(A)または式(I)に示される化合物のプロドラッグも含む。「プロドラッグ」という用語は、それ自体が生物学的に活性または不活性である、可能性のあるそれ自体を含み、適切な方法で摂取すると、人体内で代謝または化学反応を受けて、式(A)もしくは式(I)の化合物、または式(A)もしくは式(I)の化合物で形成された塩または溶液に変換される。前記プロドラッグは、前記化合物のカルボン酸エステル、炭酸エステル、リン酸エステル、硝酸エステル、硫酸エステル、スルホンエステル、スルホキシドエステル、アミノ化合物、カルバメート、アゾ化合物、ホスホルアミド、グルコシド、エーテル、アセタール等の形態を含むが、これらに限定されない。
【0068】
調製方法
本明細書の他の部分では、本発明の式(A)または式(I)の構造を有する化合物の調製方法をより具体的に説明するが、これらの具体的な方法は、本発明を何ら限定するものではない。本発明の化合物は、本明細書に記載のまたは当技術分野で公知の様々な合成方法を任意に組み合わせて便宜に調製することができ、このような組み合わせは、本発明の属する技術分野の当業者であれば容易に行うことができる。
【0069】
医薬組成物および投与方法
本発明の化合物は、TYK2シュードキナーゼドメイン(JH2)およびJAK1のシュードキナーゼドメイン(JH2)に対して優れた選択的阻害活性を有するため、本発明の化合物およびその様々な結晶形、薬学的に許容される無機もしくは有機塩、水和物または溶媒和物、ならびに本発明の化合物を主要な有効成分として含有する医薬組成物は、TYK2キナーゼまたはJAK1キナーゼまたはその両者によって媒介される疾患(即ち、TYK2および/またはJAK1媒介性疾患)を治療、予防および緩和するために使用されることができる。先行技術によれば、本発明の化合物は、乾癬、エリテマトーデス、炎症性腸疾患、乾癬性関節炎、関節炎、皮膚炎、ループス腎炎、多発性硬化症およびアルツハイマー病のような神経性炎症、強直性脊椎炎、化膿性汗腺炎、呼吸器疾患、糖尿病、炎症性眼疾患、肝炎、心血管疾患、全身性硬化症、臓器移植、円形脱毛症、ニキビ、湿疹、白斑、シェーグレン症候群、ウイルス性炎症、いくつかの癌等が含まれる様々な自己免疫および炎症関連疾患等の疾患の治療に使用されることができる。
【0070】
本明細書において、「選択的」という用語は、指定された標的(例えば、TYK2(JH2)、JAK1(JH2))に対する活性または効力(例えば、阻害活性)が、他の標的(例えば、JAK1、2、3(JH1)、および/またはTYK2(JH1))に対する活性または効力(阻害活性)よりも大きいことを指し、例えば、指定された標的(例えば、TYK2(JH2))に対する活性または効力(例えば、阻害活性)は、他の標的(例えば、JAK1、2、3(JH1)、および/またはTYK2(JH1))に対する活性または効力(例えば、阻害活性)の少なくとも50倍である。例えば、IC50値で阻害活性を定量する場合、IC50/IC50TYK2/JAK1-JH2>50、ここで、IC50TYK2/JAK1-JH2とは、TYK2-JH2(TYK2のシュードキナーゼドメイン)またはJAK1-JH2(JAK1のシュードキナーゼドメイン)に対する前記化合物の阻害活性IC50(nM)を指し、IC50とは、TYK2-JH1(TYK2のキナーゼドメイン)、JAK1-JH1(JAK1のキナーゼドメイン)、JAK2-JH1(JAK2のキナーゼドメイン)、JAK3-JH1(JAK3のキナーゼドメイン)等のキナーゼの一種または複数種に対する前記化合物の阻害活性IC50(nM)を指す。
【0071】
本発明の医薬組成物は、安全有効量の範囲内の本発明の化合物またはその薬理学的に許容される塩および薬理学的に許容される賦形剤または担体を含む。ここで、「安全有効量」とは、深刻な副作用を引き起こさずに状態を大幅に改善するのに十分な化合物の量を指す。通常、医薬組成物は、1~200mgの本発明の化合物/剤、より好ましくは、1~50mgの本発明の化合物/剤を含む。好ましくは、前記「1剤」は、一つのカプセルまたは錠剤である。
【0072】
「薬学的に許容される担体」とは、ヒトへの使用に適し、十分な純度および十分に低い毒性を有していなければならない、一つまたは複数の適合性固体または液体の充填剤またはゲル物質を指す。「適合性」とは、組成物の各成分が、本発明の化合物およびそれらの間で、化合物の効力を顕著に低下させることなく、互いにブレンドすることができることを指す。薬学的に許容される担体の一部の例としては、セルロースおよびその誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースナトリウム、酢酸セルロース等)、ゼラチン、タルク、固体潤滑剤(例えば、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム)、硫酸カルシウム、植物油(例えば、大豆油、ごま油、落花生油、オリーブ油等)、ポリオール(例えば、プロピレングリコール、グリセリン、マンニトール、ソルビトール等)、乳化剤(例えば、トゥイーン(登録商標))、湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)、着色剤、香味剤、安定剤、抗酸化剤、防腐剤、パイロジェンフリー水等を含む。
【0073】
本発明の化合物または医薬組成物の投与方式は、特に限定されず、代表的な投与方式は、経口、腫瘍内、直腸、非経口(静脈内、筋肉内または皮下)、および局所投与を含む(これらに限定されない)。
【0074】
経口投与用の固形剤形は、カプセル剤、錠剤、丸剤、粉末剤および顆粒剤を含む。これらの固形剤形において、活性化合物は、例えば、クエン酸ナトリウムまたはリン酸二カルシウム(dicalcium phosphate)等の少なくとも一つの従来の不活性賦形剤(または担体)と混合されるか、または(a)テンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトールおよびケイ酸等の充填剤または相溶化剤、(b)ヒドロキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン(polyvinylpyrrolidone)、スクロースおよびアラビアゴム等の結合剤、(c)グリセリン等の保湿剤、(d)寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモテンプンジャガイモデンプンまたはタピオカテンプンタピオカデンプン、アルギン酸、特定の複合ケイ酸塩、および炭酸ナトリウム等の崩壊剤、(e)パラフィン等のリターダー、(f)第四級アミン化合物等の吸収促進剤、(g)セチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセリル(glyceryl monostearate)等の湿潤剤、(h)カオリン等の吸着剤、ならびに(i)タルク、ステアリン酸カルシウム)、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール(solid polyethylene glycol)、ラウリル硫酸ナトリウム等の潤滑剤、またはその混合物等の成分と混合される。カプセル剤、錠剤および丸剤において、剤形は、緩衝剤も含むことができる。
【0075】
錠剤、シュガーピル、カプセル剤、丸剤および顆粒剤等の固形剤形は、腸溶性コーティングおよび当技術分野で公知の他の材料等の、コーティングおよびシェル材料を用いて調製することができる。それらは、乳白剤を含むことができ、また、このような組成物の活性化合物または化合物の放出は、消化管の特定の部分で遅延的な方式で放出することができる。使用可能な埋め込み成分の例としては、高分子物質およびワックスである。必要に応じて、活性化合物は、一つまたは複数の上記賦形剤とマイクロカプセルを形成することができる。
【0076】
経口投与用の液体剤形は、薬学的に許容される乳濁液、溶液、懸濁液、シロップまたはチンキ剤を含む。活性化合物に加えて、液体剤形は、水または他の溶媒等の当技術分野で従来から使用される不活性希釈剤、および例えば、エタノール、イソプロパノール(isopropanol)、炭酸エチル(ethyl carbonate)、酢酸エチル(Ethyl acetate)、プロピレングリコール、1,3―ブタンジオール、ジメチルホルムアミド(Dimethylformamide)および油、特に綿実油(Cottonseed oil)、落花生油、トウモロコシ胚芽油、オリーブ油、蓖麻子油およびごま油またはこれらの物質の混合物等の可溶化剤および乳化剤を含むことができる。
【0077】
これらの不活性希釈剤に加えて、組成物は、例えば、湿潤剤、乳化剤および懸濁剤、甘味剤、香味剤和香料等の補助剤も含むことができる。
【0078】
活性化合物に加えて、懸濁液は、例えば、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールおよび脱水ソルビタンエステル、微結晶性セルロース、アルミニウムメトキシドおよび寒天またはこれらの物質の混合物等の懸濁剤を含むことができる。
【0079】
非経口注射用の組成物は、生理学的に許容される滅菌含水または無水溶液、分散液、懸濁液または乳濁液、および滅菌注射可能な溶液または分散液に再構成するための滅菌粉末を含むことができる。適切な水性および非水性担体、希釈剤、溶媒または賦形剤は、水、エタノール、ポリオールおよびその適切な混合物を含む。
【0080】
局所投与に使用される本発明の化合物の剤形は、軟膏剤、粉末剤、パッチ剤、スプレー剤および吸入剤を含む。有効成分は、無菌条件下でで、生理学的に許容される担体および任意の防腐剤、緩衝剤、または必要に応じて必要となる可能性のある推進剤と一緒に混合される。
【0081】
本発明の化合物は、単独で、または他の薬学的に許容される化合物と併用して投与されることができる。
【0082】
医薬組成物が使用される場合、安全有効量の本発明の化合物が、治療を必要とする哺乳動物(例えば、ヒト)に適用され、ここで、投与時の投与量は、考慮される有効用量であり、体重60kgの人の場合、一日量は、通常1~200mg、好ましくは、1~50mgである。もちろん、具体的な投与量は、投与経路、患者の健康状況等の要因も考慮に入れる必要があり、これらは、すべて熟練した医師のスキルの範囲内である。
【0083】
本発明の主な利点は、次のとおりである。
1.本発明の化合物は、優れた選択性を有する。非選択的JAK阻害剤と比較して、本発明の化合物は、TYK2およびJAK1のシュードキナーゼドメイン(JH2)に対して優れた阻害活性を有し、同時にキナーゼ機能を有するJH1領域に対して阻害効果を示さない。従って、本発明のTYK2/JAK1シュードキナーゼドメイン(JH2)選択的阻害剤は、より優れた安全性を有する。
【0084】
2.本発明の化合物は、優れた選択性を有する同時に優れた阻害活性を有する。
【0085】
以下、本発明は、具体的実施例と併せてさらに説明される。これらの実施例は、本発明を説明するためにのみ使用され、本発明の範囲を限定するものではないことを理解されたい。以下の実施例において、具体的条件を示さない実験方法は、通常従来の条件または製造業者によって提案された条件に従う。特に明記されない限り、パーセンテージと部数とは、重量パーセンテージと重量部数とで計算される。
【0086】
調製実施例
実施例1:
【化10】
【0087】
ステップA
【化11】
【0088】
化合物1a(1.3g、6.4mmol)をジオキサン(35mL)に溶解させ、二ホウ酸ピナコール(2.44g、9.6mmol)、酢酸カリウム(1.26g、12.8mmol)および[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウムジクロリドジクロロメタン錯体(0.53g、0.64mmol)を順次に加え、窒素ガス保護下で、90℃で5時間攪拌する。LCMSによってモニタリングし、反応完了後、室温に冷却し、減圧下で濃縮して、粗生成物を得、中圧迅速分取クロマトグラフィー(溶離液:石油エーテル/酢酸エチル、2/1、v/v)によって分離して、黄色固体化合物1b(680mg、43.4%)を得る。H NMR(400MHz,DMSO-d):δ ppm 6.79-6.75.(m,3H),4.80(s,2H),3.63(s,3H),1.28(s,12H)。MS:249.9[M+H]
【0089】
ステップB
【化12】
【0090】
化合物1b(330mg、1.32mmol)をジオキサン(16mL)および水(4mL)に溶解させ、化合物1c(233mg、1.45mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(150mg、0.13mmol)および炭酸セシウム(863mg、2.65mmol)を順次に加え、窒素ガス保護下で、90℃で6時間攪拌する。LCMSによってモニタリングし、反応完了後、室温に冷却し、水(20mL)を加えて希釈し、酢酸エチル(30mL×2)で抽出し、抽出液を合わせ、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して、粗生成物を得、中圧迅速分取クロマトグラフィー(溶離液:石油エーテル/酢酸エチル、1/1、v/v)によって分離して、黄色固体化合物1d(230mg、84.5%)を得る。H NMR(400MHz,DMSO-d):δ ppm 8.47(s,1H),6.96-6.94(m,1H),6.86(t,J=8.0Hz,1H),6.75-6.73(m,1H),4.98(s,2H),3.91(s,3H),3.66(s,3H)。MS :205.2[M+H]
【0091】
ステップC
【化13】
【0092】
化合物1d(210mg、1.03mmol)および化合物1e(258mg、1.23mmol)を乾燥テトラヒドロフラン(20mL)に溶解させ、0℃でリチウムビストリメチルシリルアミド(THF中1M、3.1mL、3.1mmol)を滴下し、窒素ガス保護下で、室温で16時間攪拌する。LCMSによってモニタリングし、反応完了後、水(20mL)を加えてクエンチし、酢酸エチル(30mL×2)で抽出し、抽出液を合わせ、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して、粗生成物を得、中圧迅速分取クロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール、10/1、v/v)によって分離して、黄色固体化合物1f(340mg、87.8%)を得る。MS:377.2[M+H]
【0093】
ステップD
【化14】
【0094】
化合物1f(310mg、0.82mmol)および化合物1g(183mg、1.64mmol)をジオキサン(30mL)に溶解させ、XantPhos(142mg、0.24mmol)、炭酸セシウム(536mg、1.64mmol)およびXPhosPdG2(65mg、0.08mmol)を順次に加え、窒素ガス保護下で、110℃で16時間攪拌する。LCMSによってモニタリングし、反応完了後、水(20mL)を加えて希釈し、酢酸エチル(20mL×3)で抽出し、抽出液を合わせ、飽和食塩水(20mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮し、中圧迅速分取クロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール、10/1~5/1、v/v)によって分離して、粗生成物105mgを得る。粗生成物をSFC(Thar prep 80、カラム:CHIRALPAK AD-H 250mm×20mm×5μm、改良剤:40%メタノール(NHOH 0.2%)/60% CO、総流量:40g/min、温度:40℃)によって分離して、二つの異性体:化合物1S(40mg、Rt:8.85min、OR:203.4、24.5℃)および化合物1R(44mg、Rt:13.81min、OR:-237.6、24.5℃)を得、総収率:22.6%である。
【0095】
化合物1S:H NMR(400MHz,CDOD):δ ppm 11.10(s,1H),10.96(s,1H),9.10(s,1H),8.53(s,1H),8.14(s,1H),7.64-7.61(m,1H),7.50-7.48(m,1H),7.28-7.24(m,1H),3.91(s,3H),3.69(s,3H),2.49-2.38(m,1H),1.36-1.29(m,2H),0.87-0.69(m,4H)。MS:452.2[M+H]
【0096】
化合物1R:H NMR(400MHz,CDOD):δ ppm 11.10(s,1H),10.96(s,1H),9.10(s,1H),8.53(s,1H),8.14(s,1H),7.64-7.61(m,1H),7.50-7.48(m,1H),7.28-7.24(m,1H),3.91(s,3H),3.69(s,3H),2.49-2.38(m,1H),1.36-1.29(m,2H),0.87-0.69(m,4H)。MS:452.2[M+H]
【0097】
実施例2
【化15】
【0098】
ステップA
【化16】
【0099】
化合物2a(10g、57.82mmol)を、0℃で200mlの濃硫酸を含む三口ボトルに加え、0℃で攪拌しながら90%発煙濃硝酸(6g、86.21mmol)を加え、室温条件で20時間攪拌する。LCMSによってモニタリングし、反応完了後、反応液を300mLの氷水に注ぎ、酢酸エチル(500mL)で希釈し、それぞれ水(200mL×2)および飽和塩化ナトリウム水溶液(200mL×2)で洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮して、黄色固体化合物2b(7.8g、61.9%)を得る。H NMR(400MHz,CDOD):δ ppm:7.99-7.98(m,1H),7.93-7.92(m,1H)。MS:219.0,221.0[M+H]
【0100】
ステップB
【化17】
【0101】
化合物2b(7.8g、35.79mmol)および炭酸カリウム(9.8g、71.24mmol)を、100mLのN,N-ジメチルホルムアミドを含む250mlの丸底フラスコに順次に加え、室温条件で10分間攪拌し、ヨードメタン(10.1g、71.24mmol)を加え、30℃で20時間攪拌する。LCMSによってモニタリングし、反応完了後、ろ過し、減圧下でろ液を濃縮する。100mLの水を加え、酢酸エチル(100mL×3)で抽出し、抽出液を合わせ、無水NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮し、カラムクロマトグラフィー (溶離液:石油エーテル/酢酸エチル、20/1、v/v)によって分離して、白色固体化合物2c(4g、48.2%)を得る。H NMR(400MHz,CDCL3):δ ppm:8.09(d,J=5.2Hz,1H),7.78(d,J=5.2Hz,1H),4.04(s,3H)。MS:233.0,235.0[M+H]
【0102】
ステップC
【化18】
【0103】
化合物2c(4g、17.2mmol)および鉄粉(4.8g、86mmol)を、20mLのエタノール/20mLの酢酸/10mLの水を含む100mLの丸底フラスコに順次に加え、室温で2時間攪拌する。LCMSによってモニタリングし、反応完了後、ろ過し、減圧下でろ液を濃縮する。50mLの水を加え、2N水酸化ナトリウム溶液でpH=10に調節し、ジクロロメタン(50mL×3)で抽出し、抽出液を合わせ、無水NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮し、カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール、20/1、v/v)によって分離して、黄色固体化合物2d(3g、86.0%)を得る。H NMR(400MHz,CDCL3):δ ppm:7.60(d,J=5.2Hz,1H),6.82(d,J=5.6Hz,1H),4.99(s,2H),3.85(s,3H)。MS:203.0,205.1[M+H]
【0104】
ステップD
【化19】
【0105】
化合物2d(2g、9.9mmol)、シアン化亜鉛(1.28g、10.8mmol)、1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(1.05g、1.9mmol)および亜鉛粉末(58.5mg、0.9mmol)を、N,N-ジメチルホルムアミド(40mL)を含む100mLの丸底フラスコに加え、次いでトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0.91g、0.9mmol)を加え、窒素ガス保護下で、130℃で16時間攪拌する。LCMSによってモニタリングし、反応完了後、水(300mL)を加えて希釈し、ろ過し、ろ液を酢酸エチル(300mL×2)で抽出し、抽出液を合わせ、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮し、中圧迅速分取クロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル、1/1、v/v)によって分離して、黄色固体化合物2e(0.98g、65.9%)を得る。H NMR(400MHz,CDOD):δ ppm 7.71.(d,J=2.8Hz,1H),6.70.(d,J=2.8Hz,1H),4.01(s,3H)。MS:150.0[M+H]
【0106】
ステップE
【化20】
【0107】
化合物2e(0.5g、3.35mmol)、化合物2f(745mg、10.05mmol)およびカリウムt-ブトキシド(1.5g、13.4mmol)をキシレン(20mL)に一度に加え、窒素ガス保護下で、140℃で3時間攪拌する。LCMSによってモニタリングし、反応完了後、室温に冷却し、減圧下で濃縮して、粗生成物を得、中圧迅速分取クロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール、10/1、v/v)によって分離して、黄色固体化合物2g(60mg、8.7%)を得る。MS:205.9[M+H]
【0108】
ステップF
【化21】
【0109】
化合物2g(60mg、0.29mmol)および化合物1e(73mg、0.35mmol)を乾燥テトラヒドロフラン(20mL)に溶解させ、-78℃でリチウムビストリメチルシリルアミド(THF中1M、0.88mL、0.88mmol)を滴下し、窒素ガス保護下で、室温で16時間攪拌する。LCMSによってモニタリングし、反応完了後、水(20mL)を加えてクエンチし、酢酸エチル(30mL×2)で抽出し、抽出液を合わせ、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して、粗生成物を得、中圧迅速分取クロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール、10/1、v/v)によって分離して、黄色固体化合物2h(44mg、40.1%)を得る。MS:378.2[M+H]
【0110】
ステップG
【化22】
【0111】
化合物2h(44mg、0.11mmol)および化合物1g(38.8mg、0.35mmol)をジオキサン(10mL)に溶解させ、XantPhos(13.5mg、0.023mmol)、炭酸セシウム(75mg、0.23mmol)およびXPhos PdG2(18.1mg、0.023mmol)を順次に加え、窒素ガス保護下で、120℃で16時間攪拌する。LCMSによってモニタリングし、反応完了後、水(20mL)を加えて希釈し、酢酸エチル(20mL×3)で抽出し、抽出液を合わせ、飽和食塩水(20mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮し、中圧迅速分取クロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール、10/1~5/1、v/v)によって分離して、粗生成物65mgを得る。粗生成物をSFC(Thar prep 80、カラム:CHIRALPAK AD-H 250mm×20mm×5μm、改良剤:40%メタノール(NHOH 0.2%)/60% CO、総流量:40g/min、温度:40℃)によって分離して、二つの異性体:化合物2S(5.2mg、Rt:8.85min、OR:235.9、27.1℃)および化合物2R(5.6mg、Rt:12.64min、OR:-237.6、27.1℃)を得、総収率:21.7%である。
【0112】
化合物2S:H NMR(400MHz,CDOD):δ ppm 12.44(s,1H),11.15(s,1H),9.89(s,1H),9.24(s,1H),8.67(s,1H),8.17-8.16(m,1H),7.51-7.50(m,1H),4.00(s,3H),3.90(s,3H),2.49-2.47(m,1H),1.47-1.38(m,2H),0.92-0.80(m,4H)。LCMS:453.3[M+H]
【0113】
化合物2R:H NMR(400MHz,CDOD):δ ppm 12.44(s,1H),11.15(s,1H),9.89(s,1H),9.24(s,1H),8.67(s,1H),8.17-8.16(m,1H),7.51-7.50(m,1H),4.00(s,3H),3.90(s,3H),2.49-2.47(m,1H),1.47-1.38(m,2H),0.92-0.80(m,4H)。LCMS:453.2[M+H]
【0114】
実施例3
【化23】
【0115】
ステップA
【化24】
【0116】
化合物3a(1g、3.1mmol)をエタノール(20mL)に加え、次いでヒドロキシルアミン水溶液(0.82g、50%,12.4mmol)を加え、60℃で16時間攪拌する。LCMSによってモニタリングし、反応完了後、減圧下で濃縮し、中圧迅速分取クロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール、10/1、v/v)によって分離して、黄色固体化合物3b(0.61g、55.7%)を得る。MS:353.7[M+H]
【0117】
ステップB
【化25】
【0118】
化合物3b(300mg、0.85mmol)およびトリエチルアミン(257mg、2.55mmol)をジクロロメタン(10mL)に加え、次いで塩化メトキシアセチル(184mg、1.7mmol)を滴下し、窒素ガス保護下で、室温で3時間攪拌する。その後1Nフッ化テトラブチルアンモニウムのテトラヒドロフラン溶液(3.4mL、3.4mmol)を加える。LCMSによってモニタリングし、反応完了後、水(20mL)を加えてクエンチし、ジクロロメタン(30mL×2)で抽出し、抽出液を合わせ、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して、粗生成物を得、中圧迅速分取クロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール、10/1、v/v)によって分離して、黄色固体化合物3c(260mg、75.1%)を得る。MS:408.1[M+H]
【0119】
ステップC
【化26】
【0120】
化合物3c(260mg、0.64mmol)および2,4-ジメトキシベンジルアミン(213mg、1.28mmol)をジメチルスルホキシド(10mL)に溶解させ、フッ化カリウム(110mg、19mmol)を加え、窒素ガス保護下で、110℃で4時間攪拌する。LCMSによってモニタリングし、反応完了後、水(20mL)を加えてクエンチし、酢酸エチル(30mL×2)で抽出し、抽出液を合わせ、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して、粗生成物を得、中圧迅速分取クロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール、10/1、v/v)によって分離して、黄色固体化合物3d(220mg、64.1%)を得る。MS:539.2[M+H]
【0121】
ステップD
【化27】
【0122】
化合物3d(220mg、0.41mmol)をジクロロメタン(5mL)に溶解させ、トリフルオロ酢酸(5mL)を加え、窒素ガス保護下で、室温で4時間攪拌する。LCMSによってモニタリングし、反応完了後、減圧下で濃縮し、1N水酸化ナトリウム溶液でpH=8に調節し、酢酸エチル(30mL×2)で抽出し、抽出液を合わせ、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して、粗生成物を得、中圧迅速分取クロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール、10/1、v/v)によって分離して、黄色固体化合物3e(140mg、88.0%)を得る。MS:388.7[M+H]
【0123】
ステップE
【化28】
【0124】
化合物3e(110mg、0.28mmol)およびピリジン(67mg、0.85mmol)を1,2-ジクロロエタン(10mL)に溶解させ、次いで化合物3f(111mg、0.85mmol)を滴下し、窒素ガス保護下で、80℃で16時間攪拌する。LCMSによってモニタリングし、反応完了後、水(20mL)を加えて希釈し、酢酸エチル(20mL×3)で抽出し、抽出液を合わせ、飽和食塩水(20mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮し、中圧迅速分取クロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタン/メタノール、10/1-5/1、v/v)によって分離して、粗生成物50mgを得る。粗生成物をSFC(Thar prep 80、カラム:CHIRALPAK AD-H 250mm×20mm×5μm、改良剤:40% メタノール(NHOH 0.2%)/60% CO、総流量:40g/min、温度:40 ℃))によって分離して、二つの異性体:化合物3S(12mg、Rt:2.60min、OR:143.4、25.0℃)および化合物3R(11mg、Rt:3.03min、OR:-139.1、25.0℃)を得、総収率:17.0%である。
【0125】
化合物3S:H NMR(400MHz,DMSO-d):δ ppm 11.13(s,1H),11.04(s,1H),9.13(s,1H),8.15(s,1H),7.71-7.66(m,2H),7.40-7.36(m,1H),4.82(s,2H),3.72(s,3H),3.42(s,3H),2.41-2.39(m,1H),1.36-1.30(m,2H),0.84-0.69(m,4H)。LCMS:483.2[M+H]
【0126】
化合物3R:H NMR(400MHz,DMSO-d):δ ppm 11.18(s,1H),11.08(s,1H),9.18(s,1H),8.19(s,1H),7.73-7.70(m,2H),7.44-7.40(m,1H),4.86(s,2H),3.75(s,3H),3.45(s,3H),2.45-2.43(m,1H),1.38-1.34(m,2H),0.90-0.73(m,4H)。LCMS:483.2[M+H]
【0127】
実施例4
【化29】
【0128】
ステップA
【化30】
【0129】
化合物1d(500mg、2.45mmol)を乾燥テトラヒドロフラン(20mL)に溶解させ、-78℃でリチウムビストリメチルシリルアミド(THF中1M、7.4mL、7.4mmol)を滴下し、窒素ガス保護下で、-78℃で1時間攪拌する。次いで化合物4a(561mg、2.71mmol)を加え、室温で16時間攪拌し、LCMSによってモニタリングし、反応完了後、水(20mL)を加えてクエンチし、酢酸エチル(30mL×2)で抽出し、抽出液を合わせ、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮し、中圧迅速分取クロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール、10/1、v/v)によって分離して、黄色固体化合物4b(710mg、77.2%)を得る。H NMR(400MHz,CDCL3):δ ppm 10.63(s,1H),8.71(s,1H),8.14(s,1H),7.88(dd,J=7.6,1.6Hz,1H),7.46(s,1H),7.38(dd,J=7.8,1.6Hz,1H),7.27-7.25(m,1H),6.90(s,1H),4.02(s,3H),3.81(s,3H)。MS:375.7,377.7[M+H]
【0130】
ステップB
【化31】
【0131】
化合物4b(370mg、0.99mmol)および2,4-ジメトキシベンジルアミン(329mg、1.97mmol)、フッ化カリウム(286mg、4.93mmol)を、10mLのジメチルスルホキシドを含む丸底フラスコに順次に加え、120℃で48時間攪拌する。LCMSによってモニタリングし、反応完了後、酢酸エチル(40mL)を加えて希釈し、それぞれ水(20mL×2)および飽和食塩水(20mL×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮し、中圧迅速分取クロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール、10/1、v/v)によって分離して、黄色固体化合物4c(290mg、58.2%)を得る。MS:506.6[M+H]
【0132】
ステップC
【化32】
【0133】
化合物4c(270mg、0.53mmol)を、5mLのジクロロメタンを含む丸底フラスコに加え、トリフルオロ酢酸(1mL)を滴下し、室温で2時間攪拌する。LCMSによってモニタリングし、反応完了後、2N水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH=8に調節し、ジクロロメタン(30mL×3)で抽出し、抽出液を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮し、中圧迅速分取クロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール、10/1、v/v)によって分離して、黄色油状化合物4d(170mg、89.5%)を得る。MS:356.8[M+H]
【0134】
ステップD
【化33】
【0135】
化合物4d(50mg、0.14mmol)を乾燥テトラヒドロフラン(10mL)に溶解させ、0℃でリチウムビストリメチルシリルアミド(THF中1M、0.6mL、0.6mmol)を滴下し、窒素ガス保護下で、0℃の室温で1時間攪拌する。次いで化合物3f(37mg、0.28mmol)を加え、室温で16時間攪拌し、LCMSによってモニタリングし、反応完了後、水(20mL)を加えてクエンチし、酢酸エチル(30mL×2)で抽出し、抽出液を合わせ、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮し、中圧迅速分取クロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール、10/1、v/v)によって分離して、粗生成物20mgを得る。粗生成物をSFC(Thar prep 80、カラム:CHIRALPAK AD-H 250mm×20mm×5μm、改良剤:40%メタノール(NHOH 0.2%)/60%CO、総流量:40g/min、温度:40℃)によって分離して、二つの異性体:化合物4S(4.4mg、Rt:5.59min、OR:228.0、24.5℃)および化合物4R(4.2mg、Rt:7.07min、OR:-139.4、24.5℃)を得、総収率:13.6%である。
【0136】
化合物4S:H NMR(400MHz,CDCl3):δ ppm 10.73(s,1H),9.06(s,1H),8.47(s,1H),8.11(s,1H),8.04(s 1H),7.77-7.75(m,1H),7.55-7.52(m,1H),7.28-7.26(m,1H),7.06(s,1H),4.01(s,3H),3.81(s,3H),2.04-2.01(m,1H),1.58(t,J=4.0Hz,1H),1.47-1.44(m,1H),1.06-1.02(m,1H),0.97-0.90(m,3H)。LCMS:451.2[M+H]
【0137】
化合物4R:H NMR(400MHz,CDCl3):δ ppm 10.74(s,1H),9.06(s,1H),8.47(s,1H),8.12(s,1H),8.05(s 1H),7.77-7.75(m,1H),7.54-7.53(m,1H),7.28-7.26(m,1H),7.06(s,1H),4.01(s,3H),3.81(s,3H),2.05-2.01(m,1H),1.58(t,J=4.2Hz,1H),1.47-1.44(m,1H),1.06-1.02(m,1H),0.97-0.90(m,3H)。LCMS:451.2[M+H]
【0138】
実施例5
【化34】
【0139】
ステップA
【化35】
【0140】
化合物2e(300mg、2mmol)をエタノール中(10mL)に加え、次いで50%ヒドロキシルアミン水溶液(528mg、8mmol)を加え、40℃で16時間攪拌する。LCMSによってモニタリングし、反応完了後、減圧下で濃縮し、中圧迅速分取クロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール、10/1、v/v)によって分離して、黄色固体化合物5a(310mg、85.0%)を得る。H NMR(400MHz,DMSO-d):δ ppm 9.68(s,1H),7.62(d,J=2.4Hz,1H),6.54(d,J=2.4Hz,1H),5.95(s,2H),5.76(s,2H),3.66(s,3H)。LCMS:182.9[M+H]
【0141】
ステップB
【化36】
【0142】
化合物5a(220mg、1.2mmol)およびピリジン(202mg、2.55mmol)をジクロロメタン(10mL)に加え、次いで塩化メトキシアセチル(259mg、2.4mmol)を滴下し、窒素ガス保護下で、室温で3時間攪拌する。次いでフッ化テトラブチルアンモニウム1Nテトラヒドロフラン溶液(3mL、3mmol)を加え、室温で2時間攪拌し、LCMSによってモニタリングし、反応完了後、水(20mL)を加えてクエンチし、ジクロロメタン(30mL×2)で抽出し、抽出液を合わせ、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して、粗生成物を得、中圧迅速分取クロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール、10/1、v/v)によって分離して、黄色固体化合物5b(140mg、49.2%)を得る。LCMS:237.2[M+H]
【0143】
ステップC
【化37】
【0144】
化合物5b(140mg、0.59mmol)および化合物1e(160mg、0.77mmol)を乾燥テトラヒドロフラン(10mL)に溶解させ、0℃で水素化ナトリウム(60%,92mg、2.4mmol)を加え、窒素ガス保護下で、室温で4時間攪拌する。LCMSによってモニタリングし、反応完了後、水(20mL)を加えてクエンチし、減圧下で濃縮して、粗生成物を得、ろ過して、黄色固体化合物5c(150mg、61.0%)を得る。H NMR(400MHz,DMSO-d):δ ppm 12.67(s,1H),9.50(s,1H),9.19(s,1H),8.33(d,J=2.4Hz,1H),7.53(d,J=2.4Hz,1H),4.86(s,2H),3.90(s,3H),3.43(s,3H)。LCMS:409.1[M+H]
【0145】
ステップD
【化38】
【0146】
化合物5c(150mg、0.36mmol)および2,4-ジメトキシベンジルアミン(180mg、1.08mmol)をジメチルスルホキシド(10mL)に溶解させ、フッ化カリウム(84mg、1.44mmol)を加え、窒素ガス保護下で、110℃で4時間攪拌する。LCMSによってモニタリングし、反応完了後、水(20mL)を加えて希釈し、酢酸エチル(30mL×2)で抽出し、抽出液を合わせ、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して、粗生成物を得、中圧迅速分取クロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール、10/1、v/v)によって分離して、黄色固体化合物5d(90mg、44.1%)を得る。LCMS:539.6[M+H]
【0147】
ステップE
【化39】
【0148】
化合物5d(90mg、0.17mmol)をジクロロメタン(5mL)に溶解させ、トリフルオロ酢酸(5mL)を加え、窒素ガス保護下で、室温で4時間攪拌する。LCMSによってモニタリングし、反応完了後、減圧下で濃縮し、1N水酸化ナトリウム溶液でpH-8に調節し、酢酸エチル(30mL×2)で抽出し、抽出液を合わせ、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して、粗生成物を得、中圧迅速分取クロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール、10/1、v/v)によって分離して、黄色固体化合物5e(60mg、92.7%)を得る。LCMS:390.1[M+H]
【0149】
ステップF
【化40】
【0150】
化合物5e(50mg、0.13mmol)およびピリジン(32mg、0.4mmol)を1,2-ジクロロエタン(10mL)に溶解させ、次いで化合物3f(52mg、0.4mmol)を滴下し、窒素ガス保護下で、80℃で16時間攪拌する。LCMSによってモニタリングし、反応完了後、水(20mL)を加えて希釈し、酢酸エチル(20mL×3)で抽出し、抽出液を合わせ、飽和食塩水(20mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮し、中圧迅速分取クロマトグラフィー (ジクロロメタン/メタノール、10/1-5/1、v/v)によって分離して、化合物5(異性体混合物、5mg、7.9%)を得る。H NMR(400MHz,DMSO-d):δ ppm 12.56(s,1H),11.20(s,1H),9.90(s,1H),9.29(s,1H),8.30(d,J=2.4Hz,1H),7.49(d,J=2.4Hz,1H),4.90(s,2H),3.92(s,3H),3.46(s,3H),2.00-1.99(m,1H),1.49-1.47(m,2H),0.92-0.80(m,4H)。LCMS:483.6[M+H]
【0151】
実施例6
【化41】

【化42】
【0152】
化合物1f(310mg、0.82mmol)および化合物6a((S)-スピロ[2,2]ペンタン-1-カルボン酸、CAS#249563-58-4から調製される)(183mg、1.64mmol)をジオキサン(30mL)に溶解させ、XantPhos(142mg、0.24mmol)、炭酸セシウム(536mg、1.64mmol)およびXPhosPdG2(65mg、0.08mmol)を順次に加え、窒素ガス保護下で、110℃で16時間攪拌する。LCMSによってモニタリングし、反応完了後、水(20mL)を加えて希釈し、酢酸エチル(20mL×3)で抽出し、抽出液を合わせ、飽和食塩水(20mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮し、中圧迅速分取クロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール、10/1-5/1、v/v)によって分離して、化合物1S(105mg)を得る。
【0153】
化合物1S:H NMR(400MHz,CDOD):δ ppm 11.10(s,1H),10.96(s,1H),9.10(s,1H),8.53(s,1H),8.14(s,1H),7.64-7.61(m,1H),7.50-7.48(m,1H),7.28-7.24(m,1H),3.91(s,3H),3.69(s,3H),2.49-2.38(m,1H),1.36-1.29(m,2H),0.87-0.69(m,4H)。MS:452.2[M+H]
【0154】
実施例7
【化43】

【化44】
【0155】
化合物1f(310mg、0.82mmol)および化合物7a((R)-スピロ[2,2]ペンタン-1-カルボン酸、CAS# 249563-53-9から調製される)(183mg、1.64mmol)をジオキサン(30mL)に溶解させ、XantPhos(142mg、0.24mmol)、炭酸セシウム(536mg、1.64mmol)およびXPhosPdG2(65mg、0.08mmol)を順次に加え、窒素ガス保護下で、110℃で16時間攪拌する。LCMSによってモニタリングし、反応完了後、水(20mL)を加えて希釈し、酢酸エチル(20mL×3)で抽出し、抽出液を合わせ、飽和食塩水(20mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮し、中圧迅速分取クロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール、10/1-5/1、v/v)によって分離して、化合物1R(100mg)を得る。H NMR(400MHz,CDOD):δ ppm 11.10(s,1H),10.96(s,1H),9.10(s,1H),8.53(s,1H),8.14(s,1H),7.64-7.61(m,1H),7.50-7.48(m,1H),7.28-7.24(m,1H),3.91(s,3H),3.69(s,3H),2.49-2.38(m,1H),1.36-1.29(m,2H),0.87-0.69(m,4H)。MS:452.2[M+H]
【0156】
試験実施例
試験例1:CD+細胞におけるpSTAT5発現に対する化合物の阻害効果のFACS検出
1.実験材料および機器
【0157】
1.1.実験試薬
・DMSO、Sigma、Cat#D2650-100mL、室温で保存する。
・Perm緩衝液III、BD Biosciences、Cat#558050、4℃で保存する。
・溶解/固定緩衝液、BD Biosciences、Cat#558049、室温で保存する。
・EDTA、Invitrogen、Cat#15575-038、室温で保存する。
・PBS、Hyclone、Cat#SH0256.01、4℃で保存する。
・PEマウス抗ヒトCD、BD Biosciences、Cat#555333、4℃で保存する。
・マウス抗ヒトリン酸化STAT5(pY694)(Alexa Fluor(登録商標)647Conjugate)、BD Biosciences、Cat#562076、4℃で保存する。
・IFN-α、Biolegend、Cat#592702。
【0158】
1.2.実験消耗品
・マイクロプレート(Microplate)、96ウェル、PP、v字型ボトム、Greiner、Cat#GN651201-100EA。
・5mLポリスチレンラウンドチューブ、FALCON、Cat#04318011。
・96スクエアホールストレージプレート、Thermo、Cat#AB-0661。
・96ウェルプレート、Corning、Cat#3599。
【0159】
1.3.機器
・CO細胞インキュベーター:MCO-15AC(Thermo)。
・ピペット:0.2~10μL、20~200μL、200~1000μL(Thermo)。
・マルチチャンネルピペット:0.2~10μL、5~50μL、20~300μL(Raining)。
・遠心機:Thermo遠心機ST 40R、Thermo LEGEND Micro 21R。
・水システム:Millipore Milli-Q参照システム。
・冷凍庫:ハイアール超低温冷凍庫。
・ハイアール4℃冷蔵庫。
・ハイアール-20℃冷凍庫。
・渦電流:EARTH REQUIRED。
・製版機:QI LIN BEI ER、MH-2。
・フローサイトメーター:BD FACS Verse TMフローサイトメーター。
【0160】
2.実験方法
2.1.化合物の希釈
(1)実験当日、化合物をDMSOで10mM溶液に配合し、DMSOで1.5mMに希釈し、8勾配濃度を3倍希釈する。
(2)5μLの希釈化合物を120ulの0.1%BSA含有DPBS溶液に移す。
(3)陽性および陰性対照群を設定し、陽性対照および陰性対照群に0.2%DMSOを加える。
【0161】
2.2.実験プロセス
(1)96ウェル細胞培養プレートの各ウェルに50万個、67.5uLの体積のヒトPBMC細胞を加える。
(2)3.5ulの希釈化合物を加え、均一に混合する。
(3)37℃のインキュベーターで60分間インキュベートする。
(4)IFN-alphaを、0.1%BSA含有DPBSで600ng/mLに希釈し、PE-anti-hCD抗体を0.1%BSA含有DPBSで3倍に希釈する。上記60分間インキュベート完了後、5uLのウェルごとに希釈したPE-anti-hCD抗体を加え、4uLのウェルごとに希釈したIFN-alphaを加え、即ち、各ウェルのIFN-alphaの最終濃度は、30ng/mLである。
(5)37℃のインキュベーターで30分間インキュベートする。
(6)すべての細胞を96ウェルの深いウェルプレートに移し、1mLの37℃で予熱した熱分解/固定緩衝液を加える。
(7)37℃の暗所で10分間インキュベートする。
(8)600gで5分間遠心分離した後に上清を捨て、1mのLPBSを加えて2回洗浄し、且つ遠心分離する。
(9)細胞沈殿に1mLのPerm緩衝液IIIを加える。
(10)4の暗所で30分間インキュベートする。
(11)600gで5分間遠心分離した後に上清を捨て、1mのLPBSを加えて2回洗浄し、且つ遠心分離する。
(12)APC抗ヒトpSTAT5抗体を染色緩衝液で200倍希釈し、100uLのウェルごとを細胞ウェルに加え、均一に混合する。
(13)室温で40分間インキュベートする。
(14)染色緩衝液を加えてウェルあたり1mLで2回洗浄し、600gで5分間遠心分離する。
(15)上清を捨てた後、細胞沈殿を300uLの染色緩衝液で再懸濁する。
(16)フローサイトメーターにサンプルをロードして分析する。試験するサンプルのIC50を取得する(表1)。
【0162】
【表2】
【0163】
試験例2:
JAKファミリー選択性の比較
1.実験方法
【0164】
1.1.シュードキナーゼ(JH2)の実験手順は、次のとおりである。
1.1.1.化合物を10mMの保存濃度になるようにDMSOに溶解する。
1.1.2.化合物希釈プレートで、200倍の最終濃度の化合物濃度を配合し、27倍希釈法に従って、最高濃度点から合計四つの濃度点まで希釈し、Echoプレートに移す。
1.1.3.Echo機器を使用して、化合物をEchoプレートから384ウェル実験プレートにパルスし、化合物が11個の濃度点を有する3倍希釈マトリックスになる。
1.1.4.5ulの3X TYK2-JH2またはJAK1-JH2シュードキナーゼを384ウェル実験プレートに加える。
1.1.5.5ulの3X Tbを384ウェル実験プレートに加える。
1.1.6.5ulの3X Tracerを384ウェル実験プレートに加える。
1.1.7.30秒間遠心分離し、室温で60分間インキュベートする。
1.1.8.Envisionマイクロプレートリーダー(PerkinElmer)でシグナル値を読み取る。
【0165】
1.2.キナーゼ(JH1)実験手順は、次のとおりである。
1.2.1.化合物を10mMの保存濃度になるようにDMSOに溶解する。
1.2.2.化合物希釈プレートでは、100倍の最終濃度の化合物濃度を配合し、27倍希釈法に従って、最高濃度点から合計四つの濃度点まで希釈し、Echoプレートに移す。
1.2.3.Echo機器を使用して、化合物をEchoプレートから384実験プレートにパルスし、化合物が11個の濃度点を有する3倍希釈マトリックスになる。
1.2.4.2Xキナーゼ作動液を配合し、ウェルあたり5ulを384ウェル実験プレートに加え、化合物およびキナーゼを室温で15分間インキュベートする。
1.2.5.5ulの2X基質(ATPを含む)を384ウェルプレートに加える。
1.2.6.室温で45分間インキュベートする。
1.2.7.検出試薬の混合液を384ウェルプレートに加え、30秒間遠心分離し、室温で60分間インキュベートする。
1.2.8.Envisionマイクロプレートリーダー(PerkinElmer)でシグナル値を読み取る。
【0166】
1.3.データ分析
1.3.1.XL-Fitソフトウェアを使用してデータを分析して、化合物IC50を得、結果は、表2に示される。
【0167】
【表3】
【0168】
本発明で言及されたすべての文書は、あたかも各文書が個別に参照として引用されたかのように、本出願における参照として引用される。さらに、本発明の上記の教示内容を読んだ後、当業者は本発明に様々な変更または修正を加えることができ、これらの同等の形態も、本出願の添付の請求範囲によって定義される範囲に含まれる。
【国際調査報告】