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  • 特表-研磨用組成物およびその使用方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】研磨用組成物およびその使用方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20240829BHJP
   C09K 3/14 20060101ALI20240829BHJP
   B24B 37/00 20120101ALI20240829BHJP
【FI】
H01L21/304 621D
C09K3/14 550D
C09K3/14 550Z
B24B37/00 H
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024514115
(86)(22)【出願日】2022-08-26
(85)【翻訳文提出日】2024-04-24
(86)【国際出願番号】 US2022041628
(87)【国際公開番号】W WO2023034131
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】63/239,657
(32)【優先日】2021-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】305037086
【氏名又は名称】フジフィルム・エレクトロニック・マテリアルズ・ユーエスエイ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】FujiFilm Electronic Materials USA, Inc.
【住所又は居所原語表記】80 Circuit Drive, North Kingstown, Rhode Island 02852, USA
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】マクドノー、ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】フー、ビン
(72)【発明者】
【氏名】チェン、チンミン
【テーマコード(参考)】
3C158
5F057
【Fターム(参考)】
3C158AA07
3C158CA01
3C158CB01
3C158CB10
3C158DA02
3C158DA12
3C158DA17
3C158EA11
3C158EB01
3C158ED08
3C158ED10
3C158ED11
3C158ED12
3C158ED21
3C158ED26
5F057AA17
5F057BA22
5F057BB23
5F057BB31
5F057CA12
5F057DA03
5F057EA01
5F057EA21
5F057EA29
(57)【要約】
本開示は、少なくとも1つの第1アミン、少なくとも1つの第2アミン、およびアゾールなどの他の成分を含む研磨用組成物を提供する。該第1アミンは低分子量、例えば120g/mol以下である。該第2アミンは高分子量、例えば125g/mol以上である。該組成物は、銅およびモリブデンまたはそれぞれの合金を含む基板を、モリブデンに対する銅の高い選択性で研磨することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの研磨剤と、
少なくとも1つのアゾール化合物と、
多くとも120g/molの分子量を有するアミノ酸を含む少なくとも1つの第1アミン化合物と、
少なくとも125g/molの分子量を有する少なくとも1つの第2アミン化合物と、
水性溶媒と、
を含む研磨用組成物。
【請求項2】
前記少なくとも1つの研磨剤が、アルミナ、シリカ、チタニア、セリア、ジルコニア、およびこれらアルミナ、シリカ、チタニア、セリア、またはジルコニアの共形成物、被覆研磨剤、表面改質研磨剤、ならびにそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の研磨用組成物。
【請求項3】
前記少なくとも1つの研磨剤が、前記組成物の約0.01重量%から約50重量%の量で存在する、請求項1または2に記載の研磨用組成物。
【請求項4】
前記アゾールが、複素環式アゾール、置換または非置換トリアゾール、置換または非置換テトラゾール、置換または非置換ジアゾール、および置換または非置換ベンゾチアゾールからなる群から選択される、請求項1~3のいずれか1項に記載の研磨用組成物。
【請求項5】
前記アゾールが、テトラゾール、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、メチルベンゾトリアゾール、エチルベンゾトリアゾール、プロピルベンゾトリアゾール、ブチルベンゾトリアゾール、ペンチルベンゾトリアゾール、ヘキシルベンゾトリアゾール、5,6-ジメチルベンゾトリアゾール、クロロベンゾトリアゾール、5,6-ジクロロベンゾトリアゾール、1-(クロロメチル)-1-H-ベンゾトリアゾール、クロロエチルベンゾトリアゾール、フェニルベンゾトリアゾール、ベンジルベンゾトリアゾール、アミノトリアゾール、アミノベンズイミダゾール、ピラゾール、イミダゾール、アミノテトラゾール、アデニン、ベンズイミダゾール、チアベンダゾール、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、2-メチルベンゾチアゾール、2-アミノベンズイミダゾール、2-アミノ-5-エチル-1,3,4-チアジアゾール、3,5-ジアミノ-1,2,4-トリアゾール、3-アミノ-5-メチルピラゾール、4-アミノ-4H-1,2,4-トリアゾールからなる群から選択される、請求項1~4のいずれか1項に記載の研磨用組成物。
【請求項6】
前記少なくとも1つのアゾールが、約0.001重量%~約10重量%の量で前記組成物に存在する、請求項1~5のいずれか1項に記載の研磨用組成物。
【請求項7】
前記少なくとも1つの第1アミン化合物が、プロリン、グリシン、セリン、アラニン、またはそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1~6のいずれか1項に記載の研磨用組成物。
【請求項8】
前記少なくとも1つの第1アミン化合物が、約0.001重量%~約18重量%の量で前記組成物に存在する、請求項1~7のいずれか1項に記載の研磨用組成物。
【請求項9】
前記少なくとも1つの第2アミン化合物がアミノ酸である、請求項1~8のいずれか1項に記載の研磨用組成物。
【請求項10】
前記少なくとも1つの第2アミン化合物がアルキルアミンである、請求項1~8のいずれか1項に記載の研磨用組成物。
【請求項11】
前記少なくとも1つの第2アミン化合物が、ヒスチジン、フェニルアラニン、グルタミン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、チロシン、カルノシン、(3-アミノプロピル)ジエタノールアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、アデニン、キサンチン、チミン、グアニン、イソグアニン、ヒポキサンチン、またはそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1~8のいずれか1項に記載の研磨用組成物。
【請求項12】
前記少なくとも1つの第2アミン化合物が、約0.001重量%~約18重量%の量で前記組成物に存在する、請求項1~11のいずれか1項に記載の研磨用組成物。
【請求項13】
前記組成物が約2~約10の範囲のpHを有する、請求項1~12のいずれか1項に記載の研磨用組成物。
【請求項14】
前記組成物が、物理蒸着法により堆積された膜に対して少なくとも10:1のCu:Mo研磨選択比を示す、請求項1~13のいずれか1項に記載の研磨用組成物。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか1項に記載の研磨用組成物を、銅、モリブデン、銅の合金、モリブデンの合金、およびそれらの任意の組み合わせのうちの少なくとも1つを含む基板の表面に塗布する工程と、
パッドを前記基板の表面に接触させて該パッドを該基板に対して動かす工程と、
を含む方法。
【請求項16】
前記基板から半導体デバイスを形成することをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記基板の表面が、物理蒸着によって堆積された銅およびモリブデンを含み、これら銅とモリブデンが少なくとも10:1の選択比で研磨される、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本開示は、半導体産業用の化学機械研磨用組成物に関する。特に、本開示は、銅およびモリブデン、ならびにそれらの合金を含む基板の研磨に特に有益な組成物に関する。
【技術分野】
【0002】
半導体産業は、プロセスおよび集積の革新によるデバイスのさらなる小型化によるチップ性能の向上に向けて絶えず努力が続けられている。化学機械研磨/平坦化(CMP)は、トランジスタレベルでの多くの複雑な集積スキームを可能にし、それによってチップの高密度化が促進されるので強力な技術である。
【0003】
CMPは、表面ベースの化学反応と同時に摩耗ベースの物理的プロセスを使用して材料を除去することにより、ウエハ表面を平坦化/フラットにするために使用されるプロセスである。一般に、CMPプロセスは、ウエハ表面を研磨パッドに接触させ、ウエハに対して研磨パッドを動かしながら、CMP研磨用組成物(例えば、水性化学組成物)をウエハ表面に塗布することを含む。研磨用組成物は、一般的には研磨成分および溶解した化学成分を含み、これらはCMPプロセス中に研磨用組成物および研磨パッドと相互作用するウエハ上に存在する材料(例えば、金属、金属酸化物、金属窒化物、酸化ケイ素および窒化ケイ素などの誘電体材料など)に応じて大きく変わり得る。
【0004】
モリブデンは、極めて低い化学反応性、高硬度、高導電性、高耐摩耗性、及び高耐食性を有する遷移金属である。モリブデンは、他の元素とヘテロポリ化合物や合金化合物を形成することもできる。マイクロエレクトロニクス産業での使用に関しては、モリブデンおよびその合金は、相互接続、拡散バリア、フォトマスク、プラグ充填材料として使用される。しかしながら、モリブデンは、その硬度、アルカリ性pHでの腐食のしやすさ、耐薬品性のため、高い研磨レート(removal rate)と低い欠陥率で研磨することが困難であり、CMPにとってモリブデン含有基板は課題になっている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明の概要は、以下の発明を実施するための形態においてさらに説明される概念の一部を紹介するために提供される。この発明の概要は、特許請求の範囲に記載される主題の重要な特徴または本質的な特徴を特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に記載される主題の範囲を限定する際の補助として使用することを意図するものでもない。
【0006】
本開示は、特定の研磨用組成物が、優れた耐食性を有するうえ、制御された方法におけるCMPプロセスの際に、半導体基板中の銅(Cu)および/またはその合金を他の材料(例えば、モリブデン)に対して選択的に除去できるという予期せぬ発見に基づいている。
【0007】
一態様において、本開示は、少なくとも1つの研磨剤と、少なくとも1つのアゾール化合物と、多くとも120g/molの分子量を有するアミノ酸を含む少なくとも1つの第1アミン化合物と、少なくとも125g/molの分子量を有する少なくとも1つの第2アミン化合物と、水性溶媒と、を含む研磨用組成物を特徴とする。本開示はまた、銅、銅の合金、モリブデン、およびモリブデンの合金のうちの少なくとも1つを含む基板を研磨する方法を提供する。
【0008】
さらに別の態様において、本開示は、先に論じた研磨用組成物を、銅、モリブデン、銅の合金、モリブデンの合金、およびそれらの任意の組み合わせのうちの少なくとも1つを含む基板の表面に塗布することと、パッドを前記基板の前記表面に接触させ、前記パッドを前記基板に対して動かすこととを含む方法を特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の組成物によって研磨され得る基板の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示は、研磨用組成物およびそれを用いた半導体基板の研磨方法に関する。いくつかの実施形態において、本開示は、基板を研磨するために使用される研磨用組成物に関し、該基板は、銅(Cu)を含む少なくとも一部分、およびモリブデン(Mo)金属を含む少なくとも一部分を有している。該基板は、更にまたは代替的に、銅の合金および/またはモリブデンの合金を含んでもよい。銅は長い間、半導体基板の導電性部分として広く使用されてきたが、モリブデンは比較的新しく、半導体製造ではあまり利用されていない材料である。モリブデンが半導体デバイスで生産的に使用される可能性がある一分野に、銅を誘電体材料から効果的に分離できるライナー材料がある。しかしながら、銅に使用されている従来の研磨用組成物は、モリブデンと相性が悪いことが分かっている。例えば、従来の研磨用組成物は高いMo研磨レートや、ガルバニック腐食を含む腐食を引き起こす。
【0011】
本開示は、より高い分子量(例えば125g/molより大きい)を有するものと、低分子量(例えば120g/molより低い)のアミノ酸であるものとからなる2つのアミン化合物の組み合わせが、銅とモリブデンの両方を含む基板を研磨する場合に相乗的であることを予想外に発見した。理論に拘束されるものではないが、低分子量のアミノ酸は銅の研磨レート向上剤として働き、高分子量のアミン化合物はモリブデンの除去および腐食を抑制するためによく働くと考えられる。銅とモリブデンの研磨レート比における選択性は、これらアミン化合物が個々にどのように作用するかからは予測できなかった。
【0012】
本開示の組成物によって研磨できる基板の非限定的な一例を図1に模式的に示す。基板1は、トレンチ20を備えた非導電性材料10(例えば、誘電体材料)の層を有する。銅層すなわち材料30がトレンチ20内にある。ある用途ではトレンチ20にライナー40を入れることが望ましく、これにより銅層30は非導電性材料から隔離する。ライナー40は、銅の電子が銅層30から非導電性材料10へ移動するのを防ぐのに役立つ。モリブデンはライナー40の材料としてますます注目されている。基板1を製造する際、トレンチ20の適切な充填を確実にするため、銅の過装入(overburden)が適用されることがある。従って、研磨の際、ライナー40の材料の例えばモリブデンが研磨プロセス中に露出するようになってその材料を除去し始める前は、組成物は主に銅を最初に除去することになる。
【0013】
1つ以上の実施形態において、本明細書に記載の研磨用組成物は、少なくとも1つの研磨剤と、少なくとも1つのアゾール化合物と、多くとも120g/molの分子量を有するアミノ酸を含む少なくとも1つの第1アミン化合物と、少なくとも125g/molの分子量を有する少なくとも1つの第2アミン化合物と、水性溶媒とを含み得る。1つ以上の実施形態において、本開示による研磨用組成物は、約0.01重量%~約50重量%の少なくとも1つの研磨剤、約0.001重量%~約10重量%の少なくとも1つのアゾール化合物、約0.001重量%~約18重量%の少なくとも1つの第1アミン化合物、約0.001重量%~約18重量%の少なくとも1つの第2アミン化合物、および残りの重量%(例えば、約10重量%~約99.99重量%)の水性溶媒(例えば、脱イオン水)を含むことができる。
【0014】
1つ以上の実施形態において、本開示は濃縮された研磨用組成物を提供し、これは使用前に水で最大2倍、または最大4倍、または最大6倍、または最大8倍、または最大10倍、または最大15倍、または最大20倍に希釈され得る。他の実施形態において、本開示は、上述の研磨用組成物、水、および任意選択の酸化剤を含む、ポイントオブユース(POU)研磨用組成物を提供する。
【0015】
1つ以上の実施形態において、POU研磨用組成物は、約0.01重量%~約25重量%の少なくとも1つの研磨剤、約0.001重量%~約1重量%の少なくとも1つのアゾール化合物、約0.001重量%~約8重量%の少なくとも1つの第1アミン化合物、約0.001重量%~約8重量%の少なくとも1つの第2アミン化合物、および残りの重量%(例えば、約59重量%~約99.99重量%)の水性溶媒(例えば、脱イオン水)を含むことができる。
【0016】
1つまたは複数の実施形態において、濃縮された研磨用組成物は、0.02重量%~約50重量%の少なくとも1つの研磨剤、約0.01重量%~約10重量%の少なくとも1つのアゾール化合物、約0.01重量%~約18重量%の少なくとも1つの第1アミン化合物、約0.01重量%~約18重量%の少なくとも1つの第2アミン化合物、および残りの重量%(例えば、約4重量%~約99.98重量%)の水性溶媒(例えば、脱イオン水)を含むことができる。
【0017】
1つ以上の実施形態において、本明細書に記載の研磨用組成物は、少なくとも1つ(例えば、2つまたは3つ)の研磨剤を含むことができる。一つ以上の実施形態において、該少なくとも1つの研磨剤は、カチオン性研磨剤、実質的に中性な研磨剤、およびアニオン性研磨剤からなる群から選択される。1つまたは複数の実施形態において、該少なくとも1つの研磨剤は、アルミナ、シリカ、チタニア、セリア、ジルコニア、それらの共形成物(co-formed products)(すなわち、アルミナ、シリカ、チタニア、セリア、またはジルコニアの共形成物)、被覆研磨剤、表面改質研磨剤、およびそれらの混合物からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの研磨剤はセリアを含まない。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの研磨剤は高純度であり、約100ppm未満のアルコール、約100ppm未満のアンモニア、および約100ppb未満のナトリウムカチオンなどのアルカリカチオンを有することができる。該研磨剤は、POU研磨用組成物の総重量に基づいて、約0.01%~約12%(例えば、約0.5%~約10%)の量、またはその任意の内側の範囲で存在し得る。
【0018】
1つ以上の実施形態において、該研磨剤は、例えばコロイダルシリカ、ヒュームドシリカ、およびそれらの混合物からなる群から選択されるシリカベースの研磨剤である。1つ以上の実施形態において、該研磨剤は、有機基および/または非ケイ素無機基で表面修飾することができる。例えば、カチオン研磨剤は、下記の式(I)の末端基を含むことができる。
-O-X-(CH-Y(I)
ここで、mは1~3の整数であり、nは1~10の整数であり、XはAl、Si、Ti、Ce、またはZrであり、そしてYはカチオン性アミノ基またはチオール基である。別の例として、アニオン性研磨剤は、下記の式(I)の末端基を含むことができる。
-O-X-(CH-Y(I)
ここで、mは1~3の整数であり、nは1~10の整数であり、XはAl、Si、Ti、Ce、またはZrであり、そしてYは酸基である。
【0019】
1つ以上の実施形態において、本明細書に記載の研磨剤は、少なくとも約1nm(例えば、少なくとも約5nm、少なくとも約10nm、少なくとも約20nm、少なくとも約40nm、少なくとも約50nm、少なくとも約60nm、少なくとも約80nm、または少なくとも約100nm)から、多くとも約1000nm(例えば、多くとも約800nm、多くとも約600nm、多くとも約500nm、多くとも約400nm、多くとも約200nm、または多くとも約150nm)の平均粒径を有することができる。本明細書で使用される場合、この平均粒径(MPS)は、動的光散乱技術によって測定される。1つ以上の実施形態において、該研磨剤は、単一の化学種の粒子(例えば、シリカ粒子)であることができ、該研磨用組成物は、2つ以上の材料の複合体(例えば、セラミックマトリックスに埋め込まれたシリカ粒子)である研磨剤を含まないことができる。
【0020】
1つ以上の実施形態において、本明細書に記載の研磨用組成物に含まれる該少なくとも1つの研磨剤の量は、少なくとも約0.01重量%(例えば、少なくとも約0.05重量%、少なくとも約0.1重量%、少なくとも約0.2重量%、少なくとも約0.4重量%、少なくとも約0.5重量%、少なくとも約0.6重量%、少なくとも約0.8重量%、少なくとも約1重量%、少なくとも約1.2重量%、少なくとも約1.5重量%、少なくとも約1.8重量%、または少なくとも約2重量%)から、多くとも約50重量%(例えば、多くとも約45重量%、多くとも約40重量%、多くとも約35重量%、多くとも約30重量%、多くとも約25重量%、多くとも約20重量%、多くとも約15重量%、多くとも約12重量%、多くとも約10重量%、多くとも約5重量%、多くとも約4重量%、多くとも約3重量%、多くとも約2重量%、多くとも約1重量%)である。
【0021】
1つまたは複数の実施形態において、本明細書に記載の研磨用組成物は、少なくとも1つ(例えば、2つまたは3つ)のアゾール化合物を含む。アゾール化合物は、特に限定されないが、その具体例としては、複素環アゾール、置換または非置換トリアゾール(例えば、ベンゾトリアゾール)、置換または非置換テトラゾール、置換または非置換ジアゾール(例えば、イミダゾール、ベンズイミダゾール、チアジアゾール、ピラゾール)、および置換または非置換ベンゾチアゾールが挙げられる。ここで、置換ジアゾール、トリアゾール、またはテトラゾールとは、ジアゾール、トリアゾール、またはテトラゾール中の1個または2個以上の水素原子を、例えば、カルボキシル基、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、またはヘキシル基)、ハロゲン基(例えば、F、Cl、Br、またはI)、アミノ基、またはヒドロキシル基で置換することによって得られる生成物を指す。1つ以上の実施形態において、該アゾールは、テトラゾール、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、メチルベンゾトリアゾール(例えば、1-メチルベンゾトリアゾール、4-メチルベンゾトリアゾール、および5-メチルベンゾトリアゾール)、エチルベンゾトリアゾール(例えば、1-エチルベンゾトリアゾール)、プロピルベンゾトリアゾール(例えば、1-プロピルベンゾトリアゾール)、ブチルベンゾトリアゾール(例えば1-ブチルベンゾトリアゾール、および5-ブチルベンゾトリアゾール)、ペンチルベンゾトリアゾール(例えば、1-ペンチルベンゾトリアゾール)、ヘキシルベンゾトリアゾール(例えば、1-ヘキシルベンゾトリアゾール、および5-ヘキシルベンゾトリアゾール)、5,6-ジメチルベンゾトリアゾール、クロロベンゾトリアゾール(例えば、5-クロロベンゾトリアゾール)、5,6-ジクロロベンゾトリアゾール、1-(クロロメチル)-1-H-ベンゾトリアゾール、クロロエチルベンゾトリアゾール、フェニルベンゾトリアゾール、ベンジルベンゾトリアゾール、アミノトリアゾール、アミノベンゾイミダゾール、ピラゾール、イミダゾール、アミノテトラゾール、アデニン、ベンズイミダゾール、チアベンダゾール、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、2-メチルベンゾチアゾール、2-アミノベンズイミダゾール、2-アミノ-5-エチル-1,3,4-チアジアゾール、3,5-ジアミノ-1,2,4-トリアゾール、3-アミノ-5-メチルピラゾール、4-アミノ-4H-1,2,4-トリアゾール、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される。理論に拘束されることを望むものではないが、該アゾール化合物(上記のものなど)は、本明細書に記載の研磨用組成物中の有効な銅腐食抑制剤として使用することができると考えられ、これにより半導体基板中の銅および/またはその合金の耐食性が改善される。
【0022】
1つまたは複数の実施形態において、本明細書に記載の研磨用組成物に含まれる該少なくとも1つのアゾール化合物の量は、少なくとも約0.001重量%(例えば、少なくとも約0.003重量%、少なくとも約0.005重量%、少なくとも約0.01重量%、少なくとも約0.03重量%、少なくとも約0.05重量%、少なくとも約0.1重量%、少なくとも約0.3重量%、少なくとも約0.5重量%、少なくとも約1重量%、少なくとも約1.3重量%、または少なくとも約1.5重量%)から、多くとも約10重量%(例えば、多くとも約9重量%、多くとも約8重量%、多くとも約7重量%、多くとも約6重量%、多くとも約5重量%、多くとも約4重量%、多くとも約3重量%、多くとも約2.5重量%、多くとも約2.2重量%、多くとも約2重量%、多くとも約1.7重量%、多くとも約1.5重量%、多くとも約1.2重量%、多くとも約1重量%、多くとも約0.7重量%、多くとも約0.5重量%、多くとも約0.2重量%、多くとも約0.15重量%、多くとも約0.1重量%、多くとも約0.07重量%、または多くとも約0.05重量%)である。1つよりも多くのアゾール化合物が該研磨用組成物中に含まれる実施形態では、上記の範囲は、該研磨用組成物中の各アゾール化合物に独立して適用してもよいし、またはこれらアゾール化合物の合計量に適用してもよい。
【0023】
1つ以上の実施形態において、本明細書に記載の研磨用組成物は、少なくとも1つ(例えば、2つまたは3つ)の第1アミン化合物を含む。1つ以上の実施形態において、第1アミン化合物は、多くとも120g/mol(例えば、多くとも115g/mol、多くとも110g/mol、多くとも105g/mol、多くとも100g/mol、多くとも95g/mol、または多くとも90g/mol)の分子量を有するアミノ酸を含む。1つ以上の実施形態において、少なくとも1つの第1アミン化合物は、プロリン、グリシン、セリン、アラニン、またはそれらの混合物からなる群から選択される。理論に拘束されることを望むものではないが、第1アミン化合物が銅の研磨レート向上剤として機能し得ることは驚くべきことである。
【0024】
1つ以上の実施形態において、本明細書に記載の研磨用組成物に含まれる該少なくとも1つの第1アミン化合物の量は、少なくとも約0.001重量%(例えば、少なくとも約0.003重量%、少なくとも約0.005重量%、少なくとも約0.01重量%、少なくとも約0.03重量%、少なくとも約0.05重量%、少なくとも約0.1重量%、少なくとも約0.3重量%、少なくとも約0.5重量%、少なくとも約1重量%、少なくとも約1.5重量%、少なくとも約2重量%、少なくとも約2.5重量%、少なくとも約3重量%、少なくとも約3.5重量%、少なくとも約4重量%、少なくとも約4.5重量%、または少なくとも約5重量%)から、多くとも約18重量%(例えば、多くとも約16.5重量%、多くとも約15重量%、多くとも約12.5重量%、多くとも約10重量%、多くとも約8重量%、多くとも約6重量%、多くとも約5重量%、多くとも約4.5重量%、多くとも約4重量%、多くとも約3.5重量%、多くとも約3重量%、多くとも約2.5重量%、多くとも約2重量%、多くとも約1.5重量%、多くとも約1重量%、多くとも約0.8重量%、多くとも約0.6重量%、多くとも約0.5重量%、多くとも約0.4重量%、多くとも約0.2重量%、多くとも約0.1重量%、多くとも約0.08重量%、多くとも約0.05重量%、多くとも約0.02重量%、多くとも約0.01重量%、多くとも約0.0075重量%、または多くとも約0.005重量%)である。
【0025】
1つ以上の実施形態において、本明細書に記載の研磨用組成物は、該第1アミン化合物とは異なる少なくとも1つ(例えば、2つまたは3つ)の第2アミン化合物を含む。1つ以上の実施形態において、該第2アミン化合物は、少なくとも125g/mol(例えば、少なくとも130g/mol、少なくとも135g/mol、少なくとも140g/mol、少なくとも145g/mol、少なくとも150g/mol、少なくとも155g/mol、少なくとも160g/mol、少なくとも165g/mol、または少なくとも170g/mol)の分子量を有する。1つ以上の実施形態において、該第2アミン化合物はアミノ酸である。1つ以上の実施形態において、該第2アミン化合物はアルキルアミンである。1つ以上の実施形態において、該第2アミン化合物は、ヒスチジン、フェニルアラニン、グルタミン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、チロシン、(3-アミノプロピル)ジエタノールアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、アデニン、キサンチン、チミン、グアニン、イソグアニン、ヒポキサンチン、またはこれらの混合物からなる群より選択される。
【0026】
1つ以上の実施形態において、本明細書に記載の研磨用組成物に含まれる該少なくとも1つの第2アミン化合物の量は、少なくとも約0.001重量%(例えば、少なくとも約0.003重量%、少なくとも約0.005重量%、少なくとも約0.01重量%、少なくとも約0.03重量%、少なくとも約0.05重量%、少なくとも約0.1重量%、少なくとも約0.3重量%、少なくとも約0.5重量%、少なくとも約1重量%、少なくとも約1.5重量%、少なくとも約2重量%、少なくとも約2.5重量%、少なくとも約3重量%、少なくとも約3.5重量%、少なくとも約4重量%、少なくとも約4.5重量%、または少なくとも約5重量%)から、多くとも約18重量%(例えば、多くとも約16.5重量%、多くとも約15重量%、多くとも約12.5重量%、多くとも約10重量%、多くとも約8重量%、多くとも約6重量%、多くとも約5重量%、多くとも約4.5重量%、多くとも約4重量%、多くとも約3.5重量%、多くとも約3重量%、多くとも約2.5重量%、多くとも約2重量%、多くとも約1.5重量%、多くとも約1重量%、多くとも約0.8重量%、多くとも約0.6重量%、多くとも約0.5重量%、多くとも約0.4重量%、多くとも約0.2重量%、多くとも約0.1重量%、多くとも約0.08重量%、多くとも約0.05重量%、多くとも約0.02重量%、多くとも約0.01重量%、多くとも約0.0075重量%、または多くとも約0.005重量%)である。理論に拘束されることを望むものではないが、上述の第2アミン化合物が、モリブデン腐食を有意に減少させ(例えば、Mo静的エッチング速度を低下させ)、また基板上の銅とモリブデンの界面におけるガルバニック腐食の可能性を減少させることができることは驚くべきことである。
【0027】
1つ以上の実施形態において、本明細書に記載の研磨用組成物は、必要に応じて、少なくとも1つ(例えば、2つまたは3つ)のpH調整剤を含むことができ、これによりpHが所望の値に調整される。いくつかの実施形態において、該少なくとも1つのpH調整剤は、酸(例えば、有機酸または無機酸)または塩基(例えば、有機塩基または無機塩基)であり得る。例えば、pH調整剤は、硝酸、塩酸、硫酸、プロピオン酸、クエン酸、マロン酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、過塩素酸、アンモニア、水酸化アンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、メチルエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、エチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ジエチルジメチルアンモニウムヒドロキシド、ジメチルジプロピルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、トリス(2-ヒドロキシエチル)メチルアンモニウムヒドロキシド、コリンヒドロキシド、およびこれらの組み合わせからなる群より選択され得る。
【0028】
1つ以上の実施形態において、本明細書に記載の研磨用組成物に含まれる該少なくとも1つのpH調整剤の量は、少なくとも約0.001重量%(例えば、少なくとも約0.005重量%、少なくとも約0.01重量%、少なくとも約0.05重量%、少なくとも約0.1重量%、少なくとも約0.2重量%、少なくとも約0.4重量%、少なくとも約0.5重量%、少なくとも約1重量%、または少なくとも約1.5重量%)から、多くとも約2.5重量%(例えば、多くとも約2重量%、多くとも約1.5重量%、多くとも約1重量%、多くとも約0.5重量%、多くとも約0.1重量%、または多くとも約0.5重量%)である。
【0029】
1つ以上の実施形態において、本明細書に記載の研磨用組成物は、酸性または塩基性のいずれかであり得る。いくつかの実施形態において、該研磨用組成物は、少なくとも約2~多くとも約11の範囲のpHを有し得る。例えば、pHは、少なくとも約2(例えば、少なくとも約2.5、少なくとも約3、少なくとも約3.5、少なくとも約4、少なくとも約4.5、または少なくとも約5)から、多くとも約11(例えば、多くとも約10.5、多くとも約10、多くとも約9.5、多くとも約9、多くとも約8.5、多くとも約8、多くとも約7.5、多くとも約7、多くとも約6.5、多くとも約6、多くとも約5.5、多くとも約5、多くとも約4.5、または多くとも約4)の範囲であり得る。該研磨用組成物が酸性である場合、pHは、少なくとも約3(例えば、少なくとも約3.5、少なくとも約4、少なくとも約4.5、少なくとも約5、少なくとも約5.5、少なくとも約6、または少なくとも約6.5)から、多くとも約7(例えば、多くとも約6.5、多くとも約6、多くとも約5.5、多くとも約5、多くとも約4.5、多くとも約4、または多くとも約3.5)の範囲であり得る。該研磨用組成物が塩基性である場合、pHは、少なくとも約7.5(例えば、少なくとも約8、または少なくとも約8.5)から、多くとも約11(例えば、多くとも約10.5、多くとも約10、または多くとも約9.5)であり得る。
【0030】
1つ以上の実施形態において、本明細書に記載される研磨用組成物は、水性溶媒(例えば、水または水および有機溶媒を含む溶媒)などの溶媒(例えば、第1溶媒)を含み得る。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の研磨用組成物に含まれる該溶媒(例えば、水)の量は、少なくとも約10重量%(例えば、少なくとも約15重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約25重量%、少なくとも約30重量%、少なくとも約35重量%、少なくとも約40重量%、少なくとも約45重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも約55重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約65重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約75重量%、少なくとも約80重量%、少なくとも約85重量%、少なくとも約90重量%、少なくとも約92重量%、少なくとも約94重量%、少なくとも約95重量%、または少なくとも約97重量%)から、多くとも約99重量%(例えば、多くとも約98重量%、多くとも約96重量%、多くとも約94重量%、多くとも約92重量%、多くとも約90重量%、多くとも約85重量%、多くとも約80重量%、多くとも約75重量%、多くとも約70重量%、または多くとも約65重量%)である。
【0031】
1つ以上の実施形態において、任意選択の第2溶媒(例えば、有機溶媒)を本開示の研磨用組成物(例えば、POUまたは濃縮された研磨用組成物)に使用することができ、これは、成分(例えば、アゾール含有腐食防止剤)の溶解を助けることができる。1つ以上の実施形態において、該第2溶媒は、1つ以上のアルコール、アルキレングリコール、またはアルキレングリコールエーテルであり得る。1つ以上の実施形態において、該2次溶媒は、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、n-ブタノール、プロピレングリコール、2-メトキシエタノール、2-エトキシエタノール、プロピレングリコールプロピルエーテル、およびエチレングリコールからなる群より選択される1つ以上の溶媒からなる。
【0032】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の研磨用組成物に含まれる該第2溶媒の量は、少なくとも約0.005重量%(例えば、少なくとも約0.01重量%、少なくとも約0.02重量%、少なくとも約0.05重量%、少なくとも約0.1重量%、少なくとも約0.2重量%、少なくとも約0.4重量%、少なくとも約0.5重量%、少なくとも約0.6重量%、少なくとも約0.8重量%、少なくとも約1重量%、少なくとも約3重量%、少なくとも約5重量%、または少なくとも約10重量%)から、多くとも約15重量%(例えば、多くとも約12重量%、多くとも約10重量%、多くとも約5重量%、多くとも約3重量%、多くとも約2重量%、多くとも約1重量%、多くとも約0.8重量%、多くとも約0.6重量%、多くとも約0.5重量%、または多くとも約0.1重量%)である。
【0033】
1つまたは複数の実施形態において、本明細書に記載の研磨用組成物は、酸化剤、キレート剤、界面活性剤、腐食防止剤、および水溶性ポリマーからなる群から選択される少なくとも1つの任意の添加剤をさらに含み得る。
【0034】
上記の酸化剤としては特に限定されないが、その具体例としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過酸化水素、硝酸第二鉄、硝酸セリウム二アンモニウム、硫酸鉄、次亜塩素酸、オゾン、過ヨウ素酸カリウム、過酢酸などが挙げられる。理論に拘束されることを望むものではないが、該酸化剤は研磨工程中の材料の除去を促進することができると考えられている。
【0035】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の研磨用組成物に含まれる該酸化剤の量は、少なくとも約0.05重量%(例えば、少なくとも約0.1重量%、少なくとも約0.2重量%、少なくとも約0.3重量%、少なくとも約0.4重量%、少なくとも約0.5重量%、少なくとも約0.6重量%、少なくとも約0.7重量%、少なくとも約0.8重量%、少なくとも約0.9重量%、少なくとも約1重量%、少なくとも約1.5重量%、または少なくとも約2重量%)から、多くとも約10重量%(例えば、多くとも約9重量%、多くとも約8重量%、多くとも約7重量%、多くとも約6重量%、多くとも約5重量%、多くとも約4重量%、多くとも約3重量%、多くとも約2重量%、または多くとも約1重量%)である。
【0036】
1つ以上の実施形態において、該キレート剤は、グルコン酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、グリコール酸、マロン酸、ギ酸、シュウ酸、酢酸、プロピオン酸、過酢酸、コハク酸、乳酸、アミノ酢酸、フェノキシ酢酸、ビシン、ジグリコール酸、グリセリン酸、トリシン、アラニン、ヒスチジン、バリン、フェニルアラニン、プロリン、グルタミン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、リジン、チロシン、安息香酸、アンモニア、1,2-エタンジスルホン酸、4-アミノ-3-ヒドロキシ-1-ナフタレンスルホン酸、8-ヒドロキシキノリン-5-スルホン酸、アミノメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ヒドロキシルアミンO-スルホン酸、メタンスルホン酸、m-キシレン-4-スルホン酸、ポリ(4-スチレンスルホン酸)、ポリアネトールスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、ニトリロ三酢酸、アセチルアセトン、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、1-ヒドロキシエチリデン(1,1-ジホスホン酸)、2-ホスホノ-1,2,4-ブタントリカルボン酸、ヘキサメチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、それらの塩、およびそれらの混合物からなる群から選択され得る。理論に拘束されることを望むものではないが、該キレート剤は、基板上の特定の物質の除去を促進するための研磨レート向上剤として機能し得ると考えられる。
【0037】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の研磨用組成物に含まれる該キレート化剤の量は、少なくとも約0.001重量%(例えば、少なくとも約0.002重量%、少なくとも約0.003重量%、少なくとも約0.004重量%、少なくとも約0.005重量%、少なくとも約0.006重量%、少なくとも約0.007重量%、少なくとも約0.008重量%、少なくとも約0.009重量%、または少なくとも約0.01重量%)から、多くとも約10重量%(例えば、多くとも約8重量%、多くとも約6重量%、多くとも約5重量%、多くとも約4重量%、多くとも約2重量%、多くとも約1重量%、多くとも約0.8重量%、多くとも約0.6重量%、または多くとも約0.5重量%)である。
【0038】
1つ以上の実施形態において、本明細書に記載される研磨用組成物は、また、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、およびそれらの混合物からなる群から選択される1つ以上の界面活性剤を含み得る。
【0039】
上記のカチオン性界面活性剤としては、特に限定されないが、その具体例としては、脂肪族アミン塩、脂肪族アンモニウム塩等が挙げられる。
【0040】
上記の非イオン性界面活性剤としては、特に限定されないが、その具体例としては、エーテル型界面活性剤、エーテルエステル型界面活性剤、エステル型界面活性剤、アセチレン系界面活性剤等が挙げられる。該エーテル型界面活性剤としては、特に限定されないが、その具体例としては、ポリエチレングリコールモノ-4-ノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールモノオレイルエーテル、トリエチレングリコールモノドデシルエーテル等が挙げられる。該エーテルエステル型界面活性剤としては、特に限定されないが、その具体例としては、グリセリンエステルのポリオキシエチレンエーテルが挙げられる。該エステル型界面活性剤としては、特に限定されないが、その具体例としては、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、グリセリンエステル、ソルビタンエステル等が挙げられる。該アセチレン系界面活性剤としては、特に限定されないが、その具体例としては、アセチレンアルコールのエチレンオキサイド付加物、アセチレングリコール、アセチレンジオール等が挙げられる。
【0041】
上記の両性界面活性剤としては、特に限定されないが、その具体例としては、ベタイン系界面活性剤が挙げられる。
【0042】
上記のアニオン性界面活性剤としては、特に限定されないが、その具体例としては、カルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸エステル塩、リン酸エステル塩等が挙げられる。該カルボン酸塩としては、特に限定されないが、その具体例としては、脂肪酸塩(石鹸など)、アルキルエーテルカルボン酸塩などが挙げられる。該スルホン酸塩の具体例としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩等が挙げられる。該硫酸エステル塩としては、特に限定されないが、その具体例としては、高級アルコール硫酸エステル塩、アルキル硫酸エステル塩等が挙げられる。該リン酸エステル塩としては、特に限定されないが、その具体例としては、アルキルリン酸エステル塩、アルキルエステルリン酸エステル塩等が挙げられる。
【0043】
上記の腐食抑制剤としては、特に限定されないが、その具体例としては、水酸化コリン、アミノアルコール(例えば、モノエタノールアミン、3-アミノ-4-オクタノール)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)およびこれらの混合物等が挙げられる。
【0044】
上記の水溶性ポリマーは特に限定されないが、その具体例としては、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ヒドロキシエチルセルロース、および先に列挙したポリマーを含むコポリマーが挙げられる。理論に拘束されることを望むものではないが、該水溶性ポリマーは、研磨プロセス中に、除去されることを意図しないかまたは低い研磨レートで除去されるべき基板上の特定の露出した材料の研磨レートを低下させるための研磨レート抑制剤として機能することができると考えられる。
【0045】
1つ以上の実施形態において、本明細書に記載の研磨用組成物に含まれる水溶性ポリマーの量は、少なくとも約0.01重量%(例えば、少なくとも約0.02重量%、少なくとも約0.03重量%、少なくとも約0.04重量%、少なくとも約0.05重量%、少なくとも約0.06重量%、少なくとも約0.07重量%、少なくとも約0.08重量%、少なくとも約0.09重量%、または少なくとも約0.1重量%)から、多くとも約1重量%(例えば、多くとも約0.8重量%、多くとも約0.6重量%、多くとも約0.5重量%、多くとも約0.4重量%、多くとも約0.2重量%、多くとも約0.1重量%、多くとも約0.08重量%、多くとも約0.06重量%、または多くとも約0.05重量%)であり得る。
【0046】
1つ以上の実施形態において、本明細書に記載される研磨用組成物は、有機溶媒、pH調整剤、第四級アンモニウム化合物(例えば、テトラアルキルアンモニウム塩などの塩およびテトラメチルアンモニウムヒドロキシドなどのヒドロキシド)、アルカリ塩基(アルカリヒドロキシドなど)、フッ素含有化合物(例えば、フッ素化合物またはフッ素化化合物(フッ素化ポリマー/界面活性剤など))、シラン(アルコキシシランなど)などのケイ素含有化合物、窒素含有化合物(例えばアミノ酸、アミン、またはイミン(例えば、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン(DBU)および1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノン-5-エン(DBN)などのアミジン))、塩(例えば、ハロゲン化物塩または金属塩)、ポリマー(例えば、非イオン性ポリマー、カチオン性ポリマー、またはアニオン性ポリマー)、無機酸(例えば、塩酸、硫酸、リン酸、または硝酸)、界面活性剤(例えば、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、または非イオン性界面活性剤)、可塑剤、酸化剤(例えば、過酸化水素および過ヨウ素酸)、腐食防止剤(例えば、アゾールまたは非アゾール腐食防止剤)、電解質(例えば、高分子電解質)、および/または特定の研磨剤(例えば、セリア研磨剤、非イオン性研磨剤、表面改質研磨剤、負/正電荷研磨剤、またはセラミック研磨剤複合体)などの1つ以上の特定の成分を実質的に含まないことができる。研磨用組成物から除外され得るハロゲン化物塩としては、アルカリ金属ハロゲン化物(例えば、ハロゲン化ナトリウムまたはハロゲン化カリウム)またはハロゲン化アンモニウム(例えば、塩化アンモニウム)が挙げられ、フッ化物、塩化物、臭化物、またはヨウ化物であり得る。本明細書で使用される場合、研磨用組成物に「実質的に含まない」成分とは、研磨用組成物中に意図的に添加されない成分を指す。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される研磨用組成物は、該研磨用組成物に実質的に含まない1つ以上の上記成分を、多くとも約1000ppm(例えば、多くとも約500ppm、多くとも約250ppm、多くとも約100ppm、多くとも約50ppm、多くとも約10ppm、または多くとも約1ppm)を含み得る。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される研磨用組成物は、上記の1つ以上の成分を完全に含まないことができる。
【0047】
1つ以上の実施形態において、本明細書に記載の研磨用組成物は、銅および/またはその合金に対する研磨レートと、モリブデンおよび/またはその合金に対する研磨レートとの比(すなわち、研磨レート比または選択性)が、少なくとも約10:1(例えば、少なくとも約15:1、少なくとも約20:1、少なくとも約25:1、少なくとも約30:1、少なくとも約35:1、少なくとも約40:1、少なくとも約45:1、少なくとも約50:1、少なくとも約55:1、少なくとも約60:1、少なくとも約65:1、または少なくとも約70:1)から、多くとも約1000:1(例えば、多くとも約500:1)であり得る。1つまたは複数の実施形態において、ブランケットウエハまたはパターン化されたウエハ(例えば、導電層、バリア層、および/または誘電体層を含むウエハ)が、物理蒸着(PVD)、原子層蒸着(ALD)、または(CVD)を介して堆積された銅およびモリブデン材料を有する場合に、これらブランケットウエハまたはパターン化ウエハのいずれかを研磨するための研磨レートを測定するときに、上述の比は適用可能である。しかしながら、銅やモリブデン材料の堆積方法は、その研磨レート、ひいては達成される選択比に影響を及ぼす可能性があることを理解されたい。例えば、PVD膜は、膜内の空孔が多くて不均一性が高いため、ALD膜やCVD膜に比べて除去しやすいことが知られている。
【0048】
1つまたは複数の実施形態において、本明細書に記載の研磨用組成物は、約1.5psiの下向きの力で研磨する場合に、約1000Å/分、または約1250Å/分、または約1500Å/分、または約1750Å/分、または約2000Å/分、または約2250Å/分、または約2500Å/分の最小銅研磨レート(ブランケットウエハ上またはパターン化ウエハ上のいずれにおいても)を有することができる。1つまたは複数の実施形態において、本明細書に記載の研磨用組成物は、約1.5psiの下向きの力で研磨する場合に、約1000Å/分、または約750Å/分、または約500Å/分、または約250Å/分、または約100Å/分、または約50Å/分、または約35Å/分の最大モリブデン研磨レート(ブランケットウエハ上またはパターン化ウエハ上のいずれにおいても)を有することができる。上述した銅およびモリブデンの研磨レートは、物理蒸着(PVD)、原子層蒸着(ALD)、または化学蒸着(CVD)のいずれの堆積膜についても適用し得る。
【0049】
1つまたは複数の実施形態において、本開示は、本開示による研磨用組成物を基板(例えば、ウエハ)に塗布すること、およびパッド(例えば、研磨パッド)を該基板の表面に接触させ、該パッドを該基板に対して動かすことを含み得る研磨方法であることを特徴としている。1つまたは複数の実施形態において、該基板は、シリコン酸化物(例えば、テトラエチルオルソシリケート(TEOS)、高密度プラズマ酸化物(HDP)、高アスペクト比プロセス酸化物(HARP)、またはボロホスホシリケートガラス(BPSG))、スピンオン膜(例えば、無機粒子に基づく膜または架橋可能な炭素ポリマーに基づく膜)、窒化シリコン、炭化シリコン、高K誘電体(例えば、ハフニウム、アルミニウム、またはジルコニウムの金属酸化物)、シリコン(例えば、ポリシリコン、単結晶シリコン、またはアモルファスシリコン)、炭素、金属(例えば、タングステン、銅、コバルト、ルテニウム、モリブデン、チタン、タンタル、またはアルミニウム)、またはそれらの合金、金属窒化物(例えば、窒化チタンまたは窒化タンタル)、およびそれらの混合物または組み合わせの少なくとも1つを含むことができる。1つまたは複数の実施形態において、該研磨方法は、銅およびモリブデンおよび/またはその合金を含む基板(例えば、ウエハ)の表面に、本明細書に記載の研磨用組成物を塗布することを含み得る。
【0050】
1つまたは複数の実施形態において、本明細書に記載の研磨用組成物を使用する方法は、1または複数の工程を経て、研磨用組成物によって処理された基板から半導体デバイスを製造することをさらに含み得る。例えばフォトリソグラフィ、イオン注入、ドライ/ウェットエッチング、プラズマエッチング、堆積(例えば、PVD、CVD、ALD、ECD)、ウエハ実装、ダイカッティング、パッケージング、および試験を使用することができ、これにより、本明細書に記載の研磨用組成物によって処理された基板から半導体デバイスが製造される。
【0051】
以下の具体例は単に例示として解釈されるべきであり、本開示の残りの部分を何ら限定するものではない。これ以上詳しく説明しなくても、当業者であれば、本明細書の説明に基づいて、本発明を最大限に利用できると考えられる。
【0052】
(実施例)
これらの実施例において、研磨は、ソフトパッドを備えたAMAT Reflexion LK CMPポリッシャーを用いて、約200~500mL/分の間の研磨用組成物流速において300mmウエハ上で行なった。あるいは、Mirraポリッシャー、Fujibo H800またはH804パッドを用いて、約200~500mL/分の間の流速で、200mmウエハ上で行なった。
【0053】
実施例で使用した一般的な組成を下記表1に示す。試験した組成物の違いに関する具体的な詳細は、それぞれの実施例について説明する際にさらに詳しく説明する。
【0054】
【表1】
【0055】
以下の実施例において、第1アミン化合物は、プロリン、グリシン、セリン、アラニン、またはそれらの混合物からなる群から選択される。以下の実施例において、第2アミンは、ヒスチジン、フェニルアラニン、グルタミン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、チロシン、カルノシン、(3-アミノプロピル)ジエタノールアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、アデニン、キサンチン、チミン、グアニン、イソグアニン、ヒポキサンチン、またはそれらの混合物からなる群から選択される。
【0056】
(実施例1)
モリブデンの静的エッチング速度(SER)は、モリブデンの試験片を組成物1~4に45℃で1分間懸濁させることにより測定し、モリブデン/銅研磨レート(RR)は、組成物1~4を用いてブランケットウエハを研磨することにより測定した。Cuブランケット膜は電気めっきにより、Moブランケット膜はPVDにより成膜した。(1)組成物1は対照であり、第1アミン化合物を含むが、上記表1に記載の第2アミン化合物を含まず、(2)組成物2~4は第2アミン化合物を含み、組成物2~4で使用される第2アミン化合物は互いに異なることを除いて、組成物1~4は同一であった。組成物2~3は、第2アミン化合物としてアミノ酸を含み、組成物4は、第2アミン化合物としてアルキルアミン化合物を含む。組成物2~4は、組成物1と同じ量および種類の第1アミン化合物を含む。試験結果を下記表2に要約する。
【0057】
【表2】
【0058】
この結果から、第2アミン化合物の添加により、モリブデンの静的エッチング速度とモリブデンの研磨レートが効果的に低下し、銅の研磨レートがわずかに上昇したことが分かる。これら特徴の組み合わせにより、組成物2-4のCu/Mo研磨レートの比が著しく増加した。これらの結果は、本開示で定義する第2アミン化合物が、CMPプロセス中のMoの腐食抑制剤として使用できることを示唆している。
【0059】
(実施例2)
組成物5~6を用いてブランケットウエハを研磨することにより、モリブデンおよび銅の研磨レート(RR)を測定した。銅ブランケット膜は電着させ、モリブデンブランケット膜はALDによって堆積させた。組成物5が対照であり、第1アミン化合物を含むが、上記表1に記載された第2アミン化合物を含まず、組成物6が第1および第2アミン化合物の両方を含むことを除いて、組成物5~6は同一であった。組成物6に使用した第2アミン化合物はアミノ酸である。試験結果を下記表3に要約する。
【0060】
【表3】
【0061】
この結果から、実施例1と同様に、第2アミン化合物を含有させることにより、モリブデンの研磨レートが低下し、それによりCu/Mo研磨レートの比が向上することが分かった。
【0062】
(実施例3)
ターフェルプロット電流交点は、2つの金属の接合部(例えば、Cu/Mo交点)で研磨中に発生するガルバニック腐食の可能性の良い指標となり得る。ターフェルスキャンを、組成物7~10において、開回路電圧に対して±0.25Vの範囲で1mV/sの速度で低電圧から高電圧までスキャンしながら電流を測定することにより実施した。ターゲット金属(例えば、CuまたはMo)を作用電極として、グラファイトを対極として、飽和カロメル電極(SCE)を参照電極として使用する。(1)組成物7が対照であり、第1アミン化合物を含むが、上記表1に記載の第2アミン化合物を含まず、(2)組成物8~10は第2アミン化合物を含み、組成物8~10で使用される第2アミン化合物は互いに異なることを除いて、組成物7~10は同一であった。組成物8~9は、第2アミン化合物としてアミノ酸を含み、組成物10は、第2アミン化合物としてアルキルアミン化合物を含む。また、組成物8~10は、組成物7と同じ量および種類の第1アミン化合物を含んでいた。ターフェルプロットからの電流交点を下記表4に示す。
【0063】
【表4】
【0064】
この結果は、第2アミン化合物を含む組成物8~10は、第2アミン化合物を含まない組成物7と比較して電流交点が低いことを示している。これは、研磨用組成物が本開示に記載されるような第2アミン化合物を含む場合、ガルバニック腐食の傾向がより低いことを示している。
【0065】
(実施例4)
組成物11~16を用いてブランケットウエハを研磨することにより、モリブデンおよび銅の研磨レート(RR)を測定した。Cuブランケット膜は電気めっきし、Moブランケット膜はPVDによって堆積した。下記表5に示す相違点を除き、組成は同じであった。組成物11は、単一の第1アミン化合物のみを含み、第2アミン化合物を含まない。組成物13~16は、単一の第2アミン化合物のみを含む。組成物13および15は、第2アミン化合物として同じアルキルアミンを含む。組成物14および16は、第2アミン化合物として同じアミノ酸を含み、これは組成物13および15で使用したものとは異なる第2アミン化合物である。組成物12は、組成物13~16で使用した第2アミン化合物の両方を含む(すなわち、一方がアミノ酸であり、他方がアルキルアミンである2つの異なる第2アミン化合物)。同じ第1アミン化合物を、組成物11~12および15~16において使用した。
【0066】
【表5】
【0067】
この結果は、銅とモリブデンを含む基板の研磨用組成物において、本開示に記載されているような第1アミン化合物と第2アミン化合物の両方を使用することにより、独特の相乗効果が得られることを示している。具体的には、第2アミン化合物を使用しない場合(組成物11)、Mo研磨レートは非常に高くなり、Cu/Mo研磨レート比が低くなる。逆に、第1アミン化合物なしでは(組成物13-14)、Cu研磨レートは許容できないレベルまで急落するが、Mo研磨レートは依然として高いままであるため、Cu/Mo研磨レート比が低くなる。重要なことは、第1および第2アミン化合物の両方を含む組成物は(組成物12および15-16)、高いCu研磨レートを維持し、低いMo研磨レートを達成し、これは非常に望ましい高いCu/Mo研磨レート比をもたらす。組成物15は、第1アミン化合物の存在が主にCu研磨レートを高めるために使用されるにもかかわらず、組成物13と比較すると、驚くべきことにMo研磨レートを著しく低下させた。
【0068】
本開示は、全体を通して「特に限定されない」という用語を数回使用している。これは、ある化学的分類(例えばアゾール)における多数の記載されたメンバーが特定の用途に適している可能性があることを示すが、その化学的分類の任意の特定のメンバーが特に有利になり得なかったり、または好ましくなり得なかったりすることを意味するものではない。
【0069】
本開示は、本明細書に記載の実施例に関して記載されているが、添付の特許請求の範囲に定義される本開示の精神および範囲から逸脱することなく他の改変および変形が可能であることが認められている。
【0070】
(付記)
(付記1)
少なくとも1つの研磨剤と、
少なくとも1つのアゾール化合物と、
多くとも120g/molの分子量を有するアミノ酸を含む少なくとも1つの第1アミン化合物と、
少なくとも125g/molの分子量を有する少なくとも1つの第2アミン化合物と、 水性溶媒と、
を含む研磨用組成物。
【0071】
(付記2)
前記少なくとも1つの研磨剤が、アルミナ、シリカ、チタニア、セリア、ジルコニア、およびこれらアルミナ、シリカ、チタニア、セリア、またはジルコニアの共形成物、被覆研磨剤、表面改質研磨剤、ならびにそれらの混合物からなる群から選択される、付記1に記載の研磨用組成物。
【0072】
(付記3)
前記少なくとも1つの研磨剤が、前記組成物の約0.01重量%から約50重量%の量で存在する、付記1または2に記載の研磨用組成物。
【0073】
(付記4)
前記アゾールが、複素環式アゾール、置換または非置換トリアゾール、置換または非置換テトラゾール、置換または非置換ジアゾール、および置換または非置換ベンゾチアゾールからなる群から選択される、付記1~3のいずれか1つに記載の研磨用組成物。
【0074】
(付記5)
前記アゾールが、テトラゾール、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、メチルベンゾトリアゾール、エチルベンゾトリアゾール、プロピルベンゾトリアゾール、ブチルベンゾトリアゾール、ペンチルベンゾトリアゾール、ヘキシルベンゾトリアゾール、5,6-ジメチルベンゾトリアゾール、クロロベンゾトリアゾール、5,6-ジクロロベンゾトリアゾール、1-(クロロメチル)-1-H-ベンゾトリアゾール、クロロエチルベンゾトリアゾール、フェニルベンゾトリアゾール、ベンジルベンゾトリアゾール、アミノトリアゾール、アミノベンズイミダゾール、ピラゾール、イミダゾール、アミノテトラゾール、アデニン、ベンズイミダゾール、チアベンダゾール、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、2-メチルベンゾチアゾール、2-アミノベンズイミダゾール、2-アミノ-5-エチル-1,3,4-チアジアゾール、3,5-ジアミノ-1,2,4-トリアゾール、3-アミノ-5-メチルピラゾール、4-アミノ-4H-1,2,4-トリアゾールからなる群から選択される、付記1~4のいずれか1つに記載の研磨用組成物。
【0075】
(付記6)
前記少なくとも1つのアゾールが、約0.001重量%~約10重量%の量で前記組成物に存在する、付記1~5のいずれか1つに記載の研磨用組成物。
【0076】
(付記7)
前記少なくとも1つの第1アミン化合物が、プロリン、グリシン、セリン、アラニン、またはそれらの混合物からなる群から選択される、付記1~6のいずれか1つに記載の研磨用組成物。
【0077】
(付記8)
前記少なくとも1つの第1アミン化合物が、約0.001重量%~約18重量%の量で前記組成物に存在する、付記1~7のいずれか1つに記載の研磨用組成物。
【0078】
(付記9)
前記少なくとも1つの第2アミン化合物がアミノ酸である、付記1~8のいずれか1つに記載の研磨用組成物。
【0079】
(付記10)
前記少なくとも1つの第2アミン化合物がアルキルアミンである、付記1~8のいずれか1つに記載の研磨用組成物。
【0080】
(付記11)
前記少なくとも1つの第2アミン化合物が、ヒスチジン、フェニルアラニン、グルタミン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、チロシン、カルノシン、(3-アミノプロピル)ジエタノールアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、アデニン、キサンチン、チミン、グアニン、イソグアニン、ヒポキサンチン、またはそれらの混合物からなる群から選択される、付記1~8のいずれか1つに記載の研磨用組成物。
【0081】
(付記12)
前記少なくとも1つの第2アミン化合物が、約0.001重量%~約18重量%の量で前記組成物に存在する、付記1~11のいずれか1つに記載の研磨用組成物。
【0082】
(付記13)
前記組成物が約2~約10の範囲のpHを有する、付記1~12のいずれか1つに記載の研磨用組成物。
【0083】
(付記14)
前記組成物が、物理蒸着法により堆積された膜に対して少なくとも10:1のCu:Mo研磨選択比を示す、付記1~13のいずれか1つに記載の研磨用組成物。
【0084】
(付記15)
付記1~14のいずれか1つに記載の研磨用組成物を、銅、モリブデン、銅の合金、モリブデンの合金、およびそれらの任意の組み合わせのうちの少なくとも1つを含む基板の表面に塗布する工程と、
パッドを前記基板の表面に接触させて該パッドを該基板に対して動かす工程と、
を含む方法。
【0085】
(付記16)
前記基板から半導体デバイスを形成することをさらに含む、付記15に記載の方法。
【0086】
(付記17)
前記基板の表面が、物理蒸着によって堆積された銅およびモリブデンを含み、これら銅とモリブデンが少なくとも10:1の選択比で研磨される、付記16に記載の方法。
図1
【国際調査報告】