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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】MOG結合タンパク質及びその使用
(51)【国際特許分類】
   C07K 16/18 20060101AFI20240829BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20240829BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20240829BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20240829BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20240829BHJP
   A61K 35/17 20150101ALI20240829BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
C07K16/18
C07K19/00 ZNA
C12N15/13
C12N15/63 Z
C12N5/10
A61K35/17
A61P25/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024514335
(86)(22)【出願日】2022-09-02
(85)【翻訳文提出日】2024-03-01
(86)【国際出願番号】 US2022075956
(87)【国際公開番号】W WO2023035002
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】63/240,626
(32)【優先日】2021-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523443180
【氏名又は名称】サンガモ セラピューティクス,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】アベル,トビアス
(72)【発明者】
【氏名】デ ラ ロサ,マウルス
(72)【発明者】
【氏名】デュモン,セリーヌ
(72)【発明者】
【氏名】フェナルド,デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】フリケシュ,ジハネ
【テーマコード(参考)】
4B065
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
4B065AA90Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA44
4C087AA01
4C087AA02
4C087AA03
4C087BB37
4C087CA04
4C087CA12
4C087NA14
4C087ZA01
4C087ZA02
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045CA40
4H045DA75
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、MOGに結合することができる新規のタンパク質(例えば、抗体またはその断片)の開発、及び制御性免疫細胞の細胞表面に発現されるキメラ抗原受容体(CAR)への当該タンパク質の抗原結合部分の包含に関する。これらは、脱髄を低減または予防するため、再髄鞘化を誘導するため、及び多発性硬化症などの炎症性CNS疾患/障害を治療するための貴重な治療ツールを提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)結合タンパク質であって、
(i)それぞれ、配列番号3~5を含む相補性決定領域(HCDR)1~3を含む重鎖可変ドメイン(VH)、または配列番号3~5のうちの1つと少なくとも約90%の同一性を共有するアミノ酸配列を有する任意のHCDRと、
(ii)それぞれ、配列番号6~8を含むLCDR1~3を含む軽鎖可変ドメイン(VL)、または配列番号6~8のうちの1つと少なくとも約90%の同一性を共有するアミノ酸配列を有する任意のLCDRと、を含む、前記ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)結合タンパク質。
【請求項2】
ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)結合タンパク質であって、
(i)それぞれ、配列番号3~5を有する相補性決定領域(HCDR)1~3を含む重鎖可変ドメイン(VH)と、
(ii)それぞれ、配列番号6~8を有するLCDR1~3を含む軽鎖可変ドメイン(VL)と、を含む、前記ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)結合タンパク質。
【請求項3】
前記VHが、配列番号11またはそれと少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含み、
前記VLが、配列番号9またはそれと少なくとも約90%同一である任意のアミノ酸配列を含む、請求項1または2に記載のMOG結合タンパク質。
【請求項4】
前記VHが、配列番号11を含み、
前記VLが、配列番号9を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載のMOG結合タンパク質。
【請求項5】
前記タンパク質が、一本鎖可変断片(抗MOG scFv)である、請求項1~4のいずれか1項に記載のMOG結合タンパク質。
【請求項6】
前記タンパク質が、配列番号12を含む一本鎖可変断片(抗MOG scFv)またはそれと少なくとも約95%同一である任意のアミノ酸配列である、請求項5に記載のMOG結合タンパク質。
【請求項7】
前記タンパク質が、配列番号12を含む一本鎖可変断片(抗MOG scFv)である、請求項5または6に記載のMOG結合タンパク質。
【請求項8】
前記タンパク質が、配列番号51を含む一本鎖可変断片(抗MOG scFv)またはそれと少なくとも約95%同一である任意のアミノ酸配列である、請求項5に記載のMOG結合タンパク質。
【請求項9】
前記タンパク質が、配列番号51を含む一本鎖可変断片(抗MOG scFv)である、請求項5または8に記載のMOG結合タンパク質。
【請求項10】
前記タンパク質が、マウス、カニクイザル、及びヒトMOGと結合することができる、先行請求項のいずれか1項に記載のMOG結合タンパク質。
【請求項11】
キメラ抗原受容体(CAR)であって、
(i)請求項1~10のいずれか1項に記載のMOG結合タンパク質を含む細胞外ドメインと、
(ii)膜貫通ドメインと、
(iii)細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞質ドメインと、を含む、前記キメラ抗原受容体(CAR)。
【請求項12】
前記細胞内シグナル伝達ドメインが、
任意選択で配列番号15もしくはそれと少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含むヒトCD28共刺激シグナル伝達ドメイン、及び/または
任意選択で配列番号16もしくはそれと少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含むヒトCD3ゼータドメインを含む、請求項11に記載のCAR。
【請求項13】
前記膜貫通ドメインが、任意選択で配列番号14またはそれと少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含むヒトCD8に由来する、請求項11または12に記載のCAR。
【請求項14】
キメラ抗原受容体(CAR)であって、
(i)請求項5~10のいずれか1項に定義される抗MOG scFvと、
(ii)任意選択で配列番号13を含む、ヒトCD8に由来するヒンジドメインと、
(iii)任意選択で配列番号14を含む、ヒトCD8に由来する膜貫通ドメインと、
(iv)任意選択で配列番号15を含むヒトCD28共刺激シグナル伝達ドメイン、及び任意選択で配列番号16を含むヒトCD3ゼータドメインを含む、細胞内シグナル伝達ドメインと、
(v)任意選択で、配列番号2を任意選択で含むタグと、
(vi)任意選択で、配列番号1を任意選択で含むリーダー配列と、を含む、前記キメラ抗原受容体(CAR)。
【請求項15】
キメラ抗原受容体(CAR)であって、
(i)任意選択で配列番号12含む、抗MOG scFvを含む細胞外ドメインと、
(ii)任意選択で配列番号13を含む、ヒトCD8に由来するヒンジドメインと、
(iii)任意選択で配列番号14を含む、ヒトCD8に由来する膜貫通ドメインと、
(iv)任意選択で配列番号15を含むヒトCD28共刺激シグナル伝達ドメイン、及び任意選択で配列番号16を含むヒトCD3ゼータドメインを含む細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞質ドメインと、
(v)任意選択で、配列番号2を任意選択で含むタグと、
(vi)任意選択で、配列番号1を任意選択で含むリーダー配列と、を含む、前記キメラ抗原受容体(CAR)。
【請求項16】
キメラ抗原受容体(CAR)であって、
(i)任意選択で配列番号51含む、抗MOG scFvを含む細胞外ドメインと、
(ii)任意選択で配列番号13を含む、ヒトCD8に由来するヒンジドメインと、
(iii)任意選択で配列番号14を含む、ヒトCD8に由来する膜貫通ドメインと、
(iv)任意選択で配列番号15を含むヒトCD28共刺激シグナル伝達ドメイン、及び任意選択で配列番号16を含むヒトCD3ゼータドメインを含む細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞質ドメインと、
(v)任意選択で、配列番号2を任意選択で含むタグと、
(vi)任意選択で、配列番号1を任意選択で含むリーダー配列と、を含む、前記キメラ抗原受容体(CAR)。
【請求項17】
前記細胞外ドメインまたは抗MOG scFvが、配列番号12の配列を含む、請求項11~15のいずれか1項に記載のCAR。
【請求項18】
前記細胞外ドメインまたは抗MOG scFvが、配列番号51の配列を含む、請求項11~14及び16のいずれか1項に記載のCAR。
【請求項19】
請求項1~10のいずれか1項に記載のMOG結合タンパク質、または請求項11~18のいずれか1項に記載のCARをコードする、核酸分子。
【請求項20】
請求項19に記載の核酸分子を含むベクター。
【請求項21】
請求項11~18のいずれか1項に記載のCARを発現するか、または請求項19に記載の核酸分子もしくは請求項20に記載のベクターを含む、制御性免疫細胞。
【請求項22】
前記制御性免疫細胞が、制御性T細胞である、請求項21に記載の制御性免疫細胞。
【請求項23】
単離されたヒトT細胞であって、前記T細胞が、請求項19に記載の核酸分子または請求項20に記載のベクターを含む、前記単離されたヒトT細胞。
【請求項24】
制御性免疫細胞の集団であって、前記集団が、請求項21または22に定義される複数の細胞を含む、前記制御性免疫細胞の集団。
【請求項25】
請求項21もしくは22に記載の制御性免疫細胞または請求項24に記載の制御性免疫細胞の集団を含む、組成物。
【請求項26】
薬剤として使用するための、請求項21もしくは22に記載の制御性免疫細胞、請求項24に記載の制御性免疫細胞の集団、または請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
脱髄疾患/障害、特に自己抗体または自己反応性免疫細胞の存在に関連するものを治療する際に使用するための、請求項21もしくは22に記載の制御性免疫細胞、請求項24に記載の制御性免疫細胞の集団、または請求項25に記載の組成物。
【請求項28】
MOG関連疾患/障害(MOGAD)、特にMOG関連炎症性疾患/障害、より具体的には自己抗体または自己反応性免疫細胞の存在に関連するものを治療する際に使用するための、請求項21もしくは22に記載の制御性免疫細胞、請求項24に記載の制御性免疫細胞の集団、または請求項25に記載の組成物。
【請求項29】
炎症性CNS疾患/障害を治療する際に使用するためのものであり、好ましくは、前記炎症性CNS疾患/障害が、多発性硬化症であり、より好ましくは、前記多発性硬化症が、
(i)再発寛解型MS(RRMS)、
(ii)一次進行型MS(PPMS)、または
(iii)二次進行型MS(SPMS)である、請求項21もしくは22に記載の制御性免疫細胞、請求項24に記載の制御性免疫細胞の集団、または請求項25に記載の組成物。
【請求項30】
自己抗原及び/または自己抗体によって引き起こされるか、または悪化する脱髄障害を治療する際に使用するための、請求項21もしくは22に記載の制御性免疫細胞、請求項24に記載の制御性免疫細胞の集団、または請求項25に記載の組成物。
【請求項31】
CNSの脱髄を含む炎症及び/または損傷を低減または予防する際に使用するための、請求項21もしくは22に記載の制御性免疫細胞、請求項24に記載の制御性免疫細胞の集団、または請求項25に記載の組成物。
【請求項32】
障害または疾患を治療することを必要とする対象においてそれを行う方法であって、請求項21もしくは22に記載の制御性免疫細胞、請求項24に記載の制御性免疫細胞の集団、または請求項25に記載の組成物を前記患者に投与することを含む、前記方法。
【請求項33】
前記疾患または障害が、MOG関連疾患/障害(MOGAD)、特に、MOG関連炎症性疾患/障害、より具体的には自己抗体または自己反応性免疫細胞の存在に関連するものである、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記疾患または障害が、自己抗原及び/または自己抗体によって引き起こされるか、または悪化する脱髄障害である、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記方法が、CNSの脱髄を含む炎症及び/または損傷を低減または予防するためのものである、請求項32に記載の方法。
【請求項36】
前記方法が、炎症性CNS疾患/障害を治療するためのものであり、好ましくは、前記炎症性CNS疾患/障害が、多発性硬化症であり、より好ましくは、前記多発性硬化症が、
(i)再発寛解型MS(RRMS)、
(ii)一次進行型MS(PPMS)、または
(iii)二次進行型MS(SPMS)である、請求項32に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年9月3日に出願された米国特許出願第63/240,626号の優先権を主張するものである。本優先権出願の開示は、参照により、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
配列表
本出願は、ASCIIフォーマットで電子的に提出され、かつ参照によりその全体が本明細書に組み込まれる配列表を含む。2022年9月2日に作成された当該ASCIIコピーは、025297_WO040_SL.xmlという名前で、サイズは96,546バイトである。
【背景技術】
【0003】
ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)は、主に中枢神経系(CNS)に見出される糖タンパク質である。MOGは、ミエリン形成オリゴデンドロサイトの表面に見出され、ミエリン鞘の構成要素であり、脳、視神経、及び脊髄の神経線維を囲む保護被覆である。
【0004】
脱髄疾患は、ミエリン鞘に損傷または破壊(脱髄)をもたらす任意の状態である。ミエリン鞘が損傷すると、神経インパルスが遅くなるか、または停止し、神経学的症状を引き起こす。そのような症状は、単離された場合、臨床的に孤立した症候群(CIS)として定義される。CISを経験する個体は、多発性硬化症(MS)を発症する場合もあれば、しない場合もある。
【0005】
MSは、中枢神経系の最も一般的な脱髄疾患であり、炎症、脱髄、及び神経変性の複数の領域によって特徴付けられる。MSには、再発寛解型MS(RRMS)、一次進行型MS(PPMS)、及び二次進行型MS(SPMS)の3つの主なタイプがある。MSの初期段階では、神経損傷は、ミエリンエピトープを認識し、かつミエリン鞘を攻撃し、ミエリン発現細胞の破壊をもたらす身体の免疫系の自己反応性T細胞に起因して生じると考えられる。患者の大部分は、最初は比較的良性の再発寛解型疾患経過(RRMS)を呈する。一部は最終的に二次進行型(SPMS)に変換される。より少ない割合の患者は、一次進行(PPMS)を発症し、発症からいかなる寛解の回復段階もなく疾患進行においてゆっくりと悪化する。
【0006】
T制御性細胞(Treg)は、免疫寛容を確立及び維持し、かつ炎症後の様々な免疫応答を抑制することにおいて積極的な役割を果たす。Tregの枯渇は、免疫応答誘発性疾患からの自然回復を阻害することができ、これらの細胞の移行は、疾患の重症度を低減することができる。ヒトTregは、免疫ホメオスタシスの維持において重要な役割を果たし、したがって、多様な臨床状態において治療手段として使用され得る。これらはまた、治療的状況において抗原特異的免疫調節を付与するために利用することができる強力な免疫抑制特性を有する。
【0007】
マウスMOGを標的とするキメラ抗原受容体(CAR)を発現した操作されたCNS標的化制御性T細胞は、Fransson et al.,Journal of Neuroinflammation,2012,9:112でインビトロ及びEAEマウスにおいて評価された。
【0008】
中枢神経系の炎症性疾患/障害、特にMSなどの自己抗原及び/または抗抗体によって引き起こされるか、または悪化する脱髄障害に対する効果的な治療が必要とされているままである。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、炎症部位におけるMOGの結合に基づいて、炎症部位における制御性免疫細胞を活性化する新規のツールの開発に関する。より具体的には、本発明者らは、MOGに結合することができる新規のタンパク質(例えば、抗体またはその断片)を本明細書に開示する。制御性免疫細胞の細胞表面に発現されるキメラ抗原受容体(CAR)に、当該タンパク質(例えば、scFv)の抗原結合部分を含めることにより、MOGへの結合時に、CNSにおけるこれらの操作された細胞の活性化が可能になる。したがって、これらの操作された制御性免疫細胞は、脱髄を低減または予防するため、再髄鞘化を誘導するため、及びMSなどの炎症性CNS疾患/障害を治療するための貴重な治療ツールとなる。
【0010】
したがって、本発明は、予期しない特性と有利な特性との組み合わせを有する新しいタンパク質(例えば、抗体またはその断片)に関する。したがって、本発明は、予期しない特性と有利な特性との組み合わせを有する、MOGを標的とする新しいキメラ抗原受容体(CAR)(本明細書では「抗MOG CAR」と称される)に更に関する。更に、MOGを標的とする新しいキメラ抗原受容体(CAR)を発現する新しいTreg(本明細書では「CAR-MOG Treg」と称される)が提供される。本発明は、脱髄を低減または予防するため、再髄鞘化を誘導するため、及びMSなどの炎症性CNS疾患/障害の治療のための治療剤及び方法を更に提供する。
【0011】
第1の態様では、本発明は、それぞれ、配列番号3~5を含む相補性決定領域(HCDR)1~3を含む重鎖可変ドメイン(VH)、または配列番号3~5のうちの1つと少なくとも約90%の同一性を共有するアミノ酸配列を有する任意のHCDRと、それぞれ、配列番号6~8を含むLCDR1~3を含む軽鎖可変ドメイン(VL)、または配列番号6~8のうちの1つと少なくとも約90%の同一性を共有するアミノ酸配列を有する任意のLCDRと、を含むMOG結合タンパク質を提供する。
【0012】
一実施形態では、MOG結合タンパク質は、それぞれ、配列番号3~5を有する相補性決定領域(HCDR)1~3を含む重鎖可変ドメイン(VH)と、それぞれ、配列番号6~8を有するLCDR1~3を含む軽鎖可変ドメイン(VL)と、を含む。一実施形態では、VHは、配列番号11またはそれと少なくとも約90%同一である任意のアミノ酸配列を含み、VLは、配列番号9またはそれと少なくとも約90%同一である任意のアミノ酸配列を含む。好ましくは、VHは、配列番号11を含み、VLは、配列番号9を含む。
【0013】
更なる実施形態では、MOG結合タンパク質は、一本鎖可変断片(抗MOG scFv)である。より好ましくは、MOG結合タンパク質は、配列番号12またはそれと少なくとも約95%同一である任意のアミノ酸配列を含む一本鎖可変断片(抗MOG scFv)である。より好ましくは、MOG結合タンパク質は、配列番号12を含む一本鎖可変断片(抗MOG scFv)である。より好ましくは、MOG結合タンパク質は、配列番号12のアミノ酸配列を有する一本鎖可変断片(抗MOG scFv)である。より好ましくは、MOG結合タンパク質は、配列番号51またはそれと少なくとも約95%同一である任意のアミノ酸配列を含む一本鎖可変断片(抗MOG scFv)である。より好ましくは、MOG結合タンパク質は、配列番号51を含む一本鎖可変断片(抗MOG scFv)である。より好ましくは、MOG結合タンパク質は、配列番号51のアミノ酸配列を有する一本鎖可変断片(抗MOG scFv)である。
【0014】
一実施形態では、MOG結合タンパク質は、マウス及びヒトミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)と結合することができる。好ましくは、MOG結合タンパク質は、カニクイザルミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)と結合することもできる。
【0015】
第2の態様では、本発明は、本明細書に記載の抗MOG抗体のMOG scFvまたは抗原結合断片を含む細胞外ドメインと、膜貫通ドメインと、細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞質ドメインと、を含むキメラ抗原受容体(CAR)を提供する。
【0016】
一実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、任意選択で配列番号15もしくはそれと少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含むヒトCD28共刺激シグナル伝達ドメイン、及び/または任意選択で配列番号16もしくはそれと少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含むヒトCD3ゼータドメインを含む。好ましくは、膜貫通ドメインは、任意選択で配列番号14またはそれと少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含むヒトCD8に由来する。
【0017】
好ましい実施形態では、CARは、本発明による抗MOG scFvと、任意選択で配列番号13を含む、ヒトCD8に由来するヒンジドメインと、任意選択で配列番号14を含む、ヒトCD8に由来する膜貫通ドメインと、任意選択で配列番号15を含むヒトCD28共刺激シグナル伝達ドメイン及び任意選択で配列番号16を含むヒトCD3ゼータドメインを含む細胞内シグナル伝達ドメインと、任意選択でタグ及び/またはリーダー配列と、を含む。
【0018】
好ましい実施形態では、CARは、任意選択で配列番号12を含む、本発明による抗MOG scFvを含む細胞外ドメインと、任意選択で配列番号13を含む、ヒトCD8に由来するヒンジドメインと、任意選択で配列番号14を含む、ヒトCD8に由来する膜貫通ドメインと、任意選択で配列番号15を含むヒトCD28共刺激シグナル伝達ドメイン、任意選択で配列番号16を含むヒトCD3ゼータドメインを含む細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞質ドメインと、任意選択で、配列番号2を任意選択で含むタグと、任意選択で、配列番号1を任意選択で含むリーダー配列と、を含む。
【0019】
好ましい実施形態では、CARは、任意選択で配列番号51を含む、本発明による抗MOG scFvを含む細胞外ドメインと、任意選択で配列番号13を含む、ヒトCD8に由来するヒンジドメインと、任意選択で配列番号14を含む、ヒトCD8に由来する膜貫通ドメインと、任意選択で配列番号15を含むヒトCD28共刺激シグナル伝達ドメイン、任意選択で配列番号16を含むヒトCD3ゼータドメインを含む細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞質ドメインと、任意選択で、配列番号2を任意選択で含むタグと、任意選択で、配列番号1を任意選択で含むリーダー配列と、を含む。
【0020】
第3の態様では、本発明は、本発明によるMOG結合タンパク質、または本発明によるCARをコードする、核酸分子を提供する。
【0021】
第4の態様では、本発明は、本発明による核酸分子を含むベクターを提供する。
【0022】
第5の態様では、本発明は、本発明によるCARを発現するか、または本発明による核酸分子を含む、制御性免疫細胞を提供する。一実施形態では、制御性免疫細胞は、制御性T細胞である。
【0023】
本発明はまた、単離されたヒトT細胞を提供し、T細胞は、本発明による核酸分子を含む。
【0024】
本発明は更に、制御性免疫細胞の集団を提供し、集団は、本明細書で定義される複数の細胞を含む。
【0025】
第6の態様では、本発明は、本発明による制御性免疫細胞または本発明による制御性免疫細胞の集団を含む、組成物を提供する。
【0026】
第7の態様では、本発明は、薬剤として使用するための、本発明による制御性免疫細胞または本発明による制御性免疫細胞の集団を提供する。
【0027】
本発明はまた、脱髄疾患/障害、特に自己抗体または自己反応性免疫細胞の存在に関連するものを治療する際に使用するための、本発明による制御性免疫細胞、本発明による制御性免疫細胞の集団、または本発明による組成物を提供する。
【0028】
本発明は、MOG関連疾患/障害(MOGAD)、特にMOG関連炎症性疾患/障害、より具体的には自己抗体または自己反応性免疫細胞の存在に関連するものを治療する際に使用するための、本発明による制御性免疫細胞、本発明による制御性免疫細胞の集団、または本発明による組成物を更に提供する。
【0029】
本発明は、炎症性CNS疾患/障害を治療する際に使用するための、本発明による制御性免疫細胞、本発明による制御性免疫細胞の集団、または本発明による組成物を更に提供する。一実施形態では、炎症性CNS疾患/障害は、多発性硬化症である。一実施形態では、多発性硬化症は、再発寛解型MS(RRMS)である。別の実施形態では、多発性硬化症は、一次進行型MS(PPMS)である。別の実施形態では、多発性硬化症は、二次進行型MS(SPMS)である。
【0030】
本発明は、自己抗原及び/または自己抗体によって引き起こされるか、または悪化する脱髄障害を治療する際に使用するための、本発明による制御性免疫細胞、本発明による制御性免疫細胞の集団、または本発明による組成物を更に提供する。
【0031】
本発明は、CNSの脱髄を含む炎症及び/または損傷を低減または予防する際に使用するための、本発明による制御性免疫細胞、本発明による制御性免疫細胞の集団、または本発明による組成物を更に提供する。
【0032】
本発明は、障害または疾患を治療することを必要とする対象においてそれを行う方法を提供し、方法は、本明細書に記載の制御性免疫細胞、本明細書に記載の制御性免疫細胞の集団、または本明細書に記載の制御性免疫細胞もしくは制御性免疫細胞の集団を含む組成物を当該患者に投与することを含む。いくつかの実施形態では、疾患または障害は、MOG関連疾患/障害(MOGAD)、特に、MOG関連炎症性疾患/障害、より具体的には自己抗体または自己反応性免疫細胞の存在に関連するものである。いくつかの実施形態では、疾患または障害は、自己抗原及び/または自己抗体によって引き起こされるか、または悪化する脱髄障害である。いくつかの実施形態では、方法は、CNSの脱髄を含む炎症及び/または損傷を低減または予防するためのものである。いくつかの実施形態では、方法は、炎症性CNS疾患/障害を治療するためのものであり、好ましくは、炎症性CNS疾患/障害は、多発性硬化症であり、より好ましくは、多発性硬化症は、再発寛解型MS(RRMS)、一次進行型MS(PPMS)、または二次進行型MS(SPMS)である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】ヒト抗MOGキメラ抗原受容体(CAR)構築物(「CAR 1」)の概略図を表す。図1の抗MOG CAR構築物は、ヒト/マウスMOGに対して指向されるscFv、CD8ヒンジ(CD8リンカー)、ヒトCD28(CD28 TM)に由来する膜貫通ドメイン、及びCD3ゼータ(CD3Z)を含む。
図2】マウス抗MOGキメラ抗原受容体(CAR)構築物の概略図を表す。図2の抗MOG CAR構築物は、ヒト/マウスMOGに対して指向されるscFv、CD8ヒンジ(CD8リンカー)、マウスCD28(CD28 TM)に由来する膜貫通ドメイン、及びCD3ゼータ(CD3Z)を含む。
図3】GFP発現によって評価される形質導入効率及びタンパク質Lによって評価されるヒト細胞表面におけるCAR発現を示すフローサイトメトリーのドットプロットである。
図4】第1の拡大サイクルの終わりに本発明のCAR-MOGを用いて、形質導入されたかまたはされていない(非形質導入のためのNT)をモニタリングするグラフである。Treg細胞を、ヒトCD4、CD25、CD127、及びCTLA-4に対して指向される抗体で標識した。FOXP3及びHelios転写因子の検出のために、核内標識を行った(A)。エラーバーは、合計10個のTregドナーを含む4つの独立した実験からの平均±SEMを表す。
図5】合計8個のTregドナーを含む3つの独立した実験からの、培地のみでの活性化の不在下(NoAct)、またはCAR(MOGコーティングされたビーズの添加を介して)もしくはTCR(抗CD3及び抗CD28でコーティングされたビーズを介して;3/28)による24時間刺激後のいずれかでのヒトTreg活性化状態(CD69発現によって測定され、GFP発現上でゲーティングされた)を示すグラフである。MOGビーズ上での結合は、CAR媒介性活性化を示す。CD3/CD28との結合は、TCR媒介性活性化を示す。対照細胞はCARを有さず、代わりにGFPを発現する。対照細胞は、MOGの存在下で結合及び活性化を示さない。CD3-CD28対照は、細胞がそれらのTCRにより活性化され得ることを確実にするために実行される。
図6】本発明のCAR-MOGを発現するTreg細胞が効率的なCAR媒介性抑制活性を呈することを示すグラフの組み合わせである。対照細胞はCARを有さず、代わりにGFPを発現する。任意の活性化の不在下(灰色の曲線)、またはMOG誘発性CAR活性化後(赤色の曲線)、またはTCR誘発性活性化後(青色の曲線)でCAR-MOGによって媒介される接触依存性抑制を、フローサイトメトリーを使用して従来のT細胞(Tconv)の増殖を測定することによって評価した。エラーバーは、合計7個のTregドナーを含む4つの独立した実験からの平均±SEMを表す。
図7】マウス細胞表面におけるNGFR発現によって評価される形質導入効率を示すフローサイトメトリーのドットプロットである。
図8】7日間の拡大後のNT細胞と比較した、マウスCAR Treg細胞の表現型CD25+FoxP3+を示すフローサイトメトリーのドットプロットである。
図9】4つの独立した実験からの、培地のみでの活性化の不在下(No Act)、またはTCR(抗CD3及び抗CD28でコーティングされたビーズ)を介した、もしくはCAR(MOGコーティングされたビーズの添加を介して)による24時間刺激後のいずれかでのマウスTreg細胞活性化状態(CD69発現によって測定され、NGFR陽性細胞上でゲートされた)を示すグラフである。MOGビーズ上での結合は、CAR媒介性活性化を示す。CD3/CD28との結合は、TCR媒介性活性化を示す。CAR対照細胞は、結合のための抗MOG scFvを含む切断CARを有するが、細胞内シグナル伝達ドメインを有さない。CAR対照細胞は、MOGの存在下で活性化を示さない。CD3-CD28対照は、細胞がそれらのTCRにより活性化され得ることを確実にするために実行される。
図10】Aは、CAR対照細胞と比較した、CNSにおけるマウスCAR Tregの活性化(CD69の%)及び増殖(Ki67の%)を示すグラフの組み合わせである。CAR MOGを有する細胞は、NGFR+細胞であり、対照は、NGFR-細胞である。Bは、脾臓細胞と比較した、CNSにおけるマウスCAR Tregの活性化(CD69の%)及び増殖(Ki67の%)を示すグラフの組み合わせである。
図11】Aは、本発明による抗MOG CARである「CAR 1」を含む、いくつかの抗MOG CARのTreg細胞活性化状態(CD69発現によって測定され、NGFR陽性細胞上でゲートされる)を示すグラフである。Bは、切断された対照CAR(MOG scFv及び非シグナル伝達エンドドメイン)で形質導入されたCAR Tregの活性化レベルに対する、5日後にMOG CARを注射された動物のCNS(「ショートEAEモデル」)における活性化マーカーCD69、CD71、LAP、及び増殖マーカーKi67のインビボでの増加倍率を示す。
図12】異なる用量のヒト(黒色の線)またはマウス(灰色の点線)でコーティングされたMOGに応答する、ヒトMOG CAR Tregのインビトロでの活性化レベルを示す。活性化は、早期活性化マーカーCD69の発現レベルを見ることによるフローサイトメトリーによって測定される。
図13】フローサイトメトリーを使用した細胞ベースの結合アッセイによって評価される、異なる種(ヒト、マウス、及びカニクイザル)からのMOGタンパク質に対する反応性を示す。MOG-CAR発現酵母細胞を、scFV発現を検出するために蛍光標識抗myc抗体とともに、それぞれのビオチン化MOGタンパク質の示される濃度で共インキュベートした(左)。scFV/MOG二重陽性細胞を測定することによって結合を定量化した(右)。
図14】A及びBは、本開示のCAR MOG Tregを、EAEが病原性細胞によって誘導されたマウスに投与する例示的な研究を示す。
図15】本開示のMOG CARで処置したEAEマウスに由来する細胞のMOGペプチド刺激後に、IFN-ガンマ陽性細胞が決定される例示的な研究を示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
定義
本開示において、以下の用語は、以下の意味を有する。
量、一時的な持続時間などの測定可能な値を指すときの「約」は、そのような変動が開示される方法を実行するのに適切であるため、特定の値から±20%またはいくつかの例では±10%、またはいくつかの例では±5%、またはいくつかの例では±1%、またはいくつかの例では±0.1%の変動を包含することを意味する。好ましくは、本明細書で使用される場合、目的の1つ以上の値に適用される「およそ」または「約」という用語は、記載された基準値に類似する値を指す。ある特定の実施形態では、用語は、別途明記されない限り、または別途文脈から明らかでない限り、記載された基準値のいずれかの方向(上回るまたは下回る)において、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、またはそれ以下に収まる値の範囲を指す。
【0035】
「親和性」は、タンパク質(例えば、抗体)-抗原複合体の強度を定義するために使用される。親和性は、エピトープとタンパク質(例えば、抗体)上の抗原結合部位との間の相互作用の強度を測定する。それは、親和性定数Kによって、または解離定数Kによって表され得る。タンパク質(例えば、抗体)は、Kが≦1μM、好ましくは、≦100nMまたは≦10nMであるとき、抗原に特異的に結合すると言われている。Kは、例えば、IBIS TechnologiesのIBIS MX96 SPRシステム、Bio-RadのProteOn(商標)XPR36 SPRシステム、またはForteBioのOctet(商標)システムを使用して、表面プラズモン共鳴(SPR)(BIAcore(商標))またはバイオレイヤー干渉法によって測定することができる。
【0036】
「抗体」または「免疫グロブリン」は、本明細書に使用される場合、ジスルフィド結合によって相互接続された2つの重鎖及び2つの軽鎖を含む四量体を指す。各軽鎖は、軽鎖可変ドメイン(VL)及び軽鎖定常領域(CL)から構成され、カッパ(κ)軽鎖またはラムダ(λ)軽鎖であり得る。各重鎖は、重鎖可変ドメイン(VH)及び重鎖定常領域(CH)からなる。CHのアミノ酸配列に基づいて、抗体は、異なるアイソタイプ:IgA、IgD、IgE、IgG、またはIgMに割り当てることができる。IgG及びIgAアイソタイプは、サブクラス:IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、及びIgA2に更に分けられる。VHとVLとの対合は、単一の抗原結合部位を形成する。一実施形態では、本発明の抗MOG抗体は、IgG1、IgG2、またはIgG4抗体などのIgG抗体であり得る。
【0037】
「抗原結合断片」は、本明細書で使用される場合、抗体全体よりも少ないアミノ酸残基を含むが、抗体全体の抗原(例えば、MOG)に依然として結合することができるままである抗体の部分もしくは領域、または誘導体を指す。抗原結合断片は、一切限定されないが、一本鎖抗体、Fv(例えば、scFv)、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab)’、Fd、脱フコシル化抗体、ダイアボディ、トリアボディ、及びテトラボディを包含する。
【0038】
「キメラ抗原受容体」または「CAR」は、免疫細胞(例えば、制御性免疫細胞)で発現されたときに、標的リガンドに対する特異性及び細胞内シグナル生成を細胞に提供するタンパク質を指す。いくつかの実施形態では、CARは、二量体化分子の存在時に、ポリペプチドを互いに結合することができ、例えば、リガンド結合ドメインを細胞内シグナル伝達ドメインに結合することができる、二量体化スイッチを含む一連のポリペプチドを含む。一実施形態では、CARは、N末端に任意選択のリーダー配列を含み、リーダー配列は、細胞処理及びキメラ抗原受容体の細胞膜への局在化中に切断される。
【0039】
相補性決定領域」または「CDR」は、重鎖可変ドメイン(VH)及び軽鎖可変ドメイン(VL)内に見出される非連続抗原結合部位を意味する。所与のCDRの正確なアミノ酸配列境界は、Kabat et al.,“Sequences of Proteins of Immunological Interest,”5th Ed.(1991)Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD(「Kabatナンバリングスキーム」)、Al-Lazikani et al.,JMB(1997)273:927-948(「Chothiaナンバリングスキーム」)、またはそれらの組み合わせによって記載されるものを含む、いくつかの周知のスキームのうちのいずれかを使用して決定され得る。より最近では、ユニバーサルナンバリングシステムが開発されており、ImMunoGeneTics(IMGT)Information System(登録商標)(Lefranc et al.,Nucleic Acids Res.(1999)27:209-212)を広く採用している。一実施形態では、本明細書におけるCDR境界は、Kabat et al.(1991)に従って定義されている。VHドメインのCDRは、本明細書において、HCDRドメインとして標識され得る。VLドメインのCDRは、LCDRドメインとして標識され得る。VHドメインのCDR1~3は、それぞれ、CDR1-VH、CDR2-VH、及びCDR3-VHとして、またはそれぞれ、HCDR1、HCDR2、及びHCDR3として標識され得る。VLドメインのCDR1~3は、それぞれ、CDR1-VL、CDR2-VL、及びCDR3-VLとして、またはそれぞれ、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3として標識され得る。
【0040】
「共刺激分子」は、共刺激リガンドと特異的に結合し、それによって、これらに限定されないが、増殖などのT細胞による共刺激応答を媒介する、T細胞上の同族結合パートナーを指す。共刺激分子は、効率的な免疫応答に寄与する抗原受容体またはそれらのリガンド以外の細胞表面分子である。共刺激シグナル伝達ドメインは、共刺激分子の細胞内部分であり得る。共刺激分子は、以下のタンパク質ファミリーで表すことができる:TNF受容体タンパク質、免疫グロブリン様タンパク質、サイトカイン受容体、インテグリン、シグナル伝達リンパ球活性化分子(SLAMタンパク質)、及び活性化NK細胞受容体。
【0041】
「エピトープ」は、抗体またはその抗原結合断片が結合するタンパク質上に位置するアミノ酸の特定の配置を指す。エピトープは、しばしば、アミノ酸または糖側鎖などの分子の化学的に活性な表面群からなり、特定の三次元構造特性及び特定の電荷特性を有する。エピトープは、線形(または連続)または立体構造であり得、すなわち、必ずしも連続していなくてもよい抗原の様々な領域におけるアミノ酸の2つ以上の配列を含む。
【0042】
「発現ベクター」は、発現されるヌクレオチド配列に作動可能に連結された発現制御配列を含む組換えポリヌクレオチドを含むベクターを指す。発現ベクターは、発現のための十分なシス作用性エレメントを含み、発現のための他のエレメントは、宿主細胞によって、またはインビトロ発現系において供給され得る。発現ベクターは、組換えポリヌクレオチドを組み込むコスミド、プラスミド(例えば、裸またはリポソームに含まれる)、及びウイルス(例えば、レンチウイルス、レトロウイルス、アデノウイルス、及びアデノ随伴ウイルス)を含む、当該技術分野で既知の全てのものを含む。
【0043】
「Fcドメイン」、「Fc部分」、及び「Fc領域」は、抗体重鎖のC末端断片、例えば、他のタイプの抗体重鎖(例えば、ヒト抗体の場合はα、δ、ε、及びμ)におけるヒトガンマ重鎖もしくはその対応する配列の約アミノ酸(aa)230~約aa450、またはその天然発生型アロタイプを指す。
【0044】
「Fv」は、完全な抗原認識及び結合部位を含む最小抗体断片である。この断片は、タイトな非共有結合の1つの重鎖及び1つの軽鎖可変ドメインの二量体からなる。これらの2つのドメインの折り畳みから、抗原結合のためのアミノ酸残基に寄与し、かつ抗体に抗原結合特異性を付与する、6つの超可変ループ(H鎖及びL鎖から各々3つのループ)を発する。しかしながら、単一の可変ドメイン(または抗原に特異的な3つのCDRのみを含むFvの半分)でさえ、抗原を認識及び結合する能力を有するが、結合部位全体よりも低い親和性である。
【0045】
「同一性」または「同一である」は、2つ以上のアミノ酸配列間、または2つ以上の核酸配列間の関係を説明するために本明細書で使用される場合、比較される配列間の配列関連性の程度を指す。「同一性」は、特定の数学モデルまたはコンピュータプログラム(すなわち、「アルゴリズム」)によってアドレス指定されたギャップアライメント(存在する場合)を有する2つ以上の配列のうちのより小さいものの間の同一の一致の割合を測定する。関連するアミノ酸配列または核酸配列の同一性は、既知の方法によって容易に計算することができる。そのような方法としては、これらに限定されないが、Lesk A.M.(1988).Computational molecular biology:Sources and methods for sequence analysis.New York,NY:Oxford University Press、Smith D.W.(1993).Biocomputing:Informatics and genome projects.San Diego,CA:Academic Press、Griffin A.M.&Griffin H.G.(1994).Computer analysis of sequence data,Part 1.Totowa,NJ:Humana Press、von Heijne G.(1987).Sequence analysis in molecular biology:treasure trove or trivial pursuit.San Diego,CA:Academic press、Gribskov M.R.&Devereux J.(1991).Sequence analysis primer.New York,NY:Stockton Press、Carrillo et al.,SIAM J Appl Math.(1988)48(5):1073-82に記載されているものが挙げられる。同一性を決定するための好ましい方法は、試験された配列間で最大の一致を与えるように設計される。同一性を決定する方法は、公的に利用可能なコンピュータプログラムに記載されている。2つの配列間の同一性を決定するための好ましいコンピュータプログラム方法としては、GAP(Genetics Computer Group,University of Wisconsin,Madison,WI、Devereux et al.,Nucleic Acids Res.(1984)12(1 Pt 1):387-95)、BLASTP、BLASTN、及びFASTA(Altschul et al.,J Mol Biol.(1990)215(3):403-10)を含む、GCGプログラムパッケージが挙げられる。BLASTXプログラムは、National Center for Biotechnology Information(NCBI)及び他のソース(BLAST Manual,Altschul et al.NCB/NLM/NIH Bethesda,Md.20894)から公的に利用可能である。周知のSmith Watermanアルゴリズムもまた、同一性を決定するために使用され得る。
【0046】
「細胞内シグナル伝達ドメイン」は、本明細書で使用される場合、分子の細胞内部分を指す。細胞内シグナル伝達ドメインは、キメラ受容体含有細胞の免疫エフェクター機能を促進するシグナルを生成する。キメラ受容体T細胞における免疫エフェクター機能の例としては、サイトカインの分泌を含む、細胞溶解活性、抑制活性、制御活性、及びヘルパー活性が挙げられ得る。
【0047】
「単離された抗体」は、本明細書で使用される場合、異なる抗原特異性を有する他の抗体を実質的に含まない抗体を指すことが意図される(例えば、MOGと特異的に結合する単離された抗体は、MOG以外の抗原と特異的に結合する抗体を実質的に含まない)。しかしながら、MOGと特異的に結合する単離された抗体は、他の種由来のMOG分子などの他の抗原に対して交差反応性を有し得る。更に、単離された抗体は、他の細胞物質及び/または化学物質、特に、限定されないが、酵素、ホルモン、及び他のタンパク質性または非タンパク質性成分を含む、抗体の治療的使用を妨げるものを実質的に含まない場合がある。本明細書における単離された抗体は、IgG1、IgG2、またはIgG4抗体などのIgG抗体であり得る。
【0048】
「単離された核酸」は、本明細書で使用される場合、他のゲノムDNA配列、ならびに天然配列に自然に付随するリボソーム及びポリメラーゼなどのタンパク質または複合体から実質的に分離された核酸を指すことが意図される。この用語は、その天然発生型の環境から除去された核酸配列を包含し、組換えまたはクローンDNA単離物と、化学的に合成された類似体または異種系によって生物学的に合成された類似体とを含む。実質的に純粋な核酸は、核酸の単離された形態を含む。
【0049】
これは、元々単離された核酸を指し、後に人の手によって単離された核酸に追加された遺伝子または配列を排除しない。
【0050】
「対象」は、免疫応答が誘発され得る生物(例えば、哺乳動物、ヒト)を含むことが意図される。一実施形態では、対象は、医療の受け入れを待っているか、または医療を受けているか、または医療処置の対象であった/である/であろう、または例えば、炎症性もしくは自己免疫状態などの標的化された疾患または状態の発症についてモニタリングされる、「患者」、すなわち、温血動物、より好ましくはヒトであり得る。一実施形態では、対象は、成人(例えば、18歳を超える対象)である。別の実施形態では、対象は、子供(例えば、18歳未満の対象)である。一実施形態では、対象は、男性である。別の実施形態では、対象は、女性である。一実施形態では、対象は、自己免疫及び/または炎症性疾患または障害に罹患し、好ましくは診断される。一実施形態では、対象は、自己免疫及び/または炎症性疾患または障害を発症するリスクがある。リスク因子の例としては、これらに限定されないが、自己免疫及び/または炎症性疾患または障害の遺伝的素因、または家族歴が挙げられる。
【0051】
「sFv」または「scFv」とも略される「一本鎖Fv」は、抗体軽鎖(VL)の可変ドメイン及び抗体重鎖(VH)の可変ドメインを含むタンパク質を指し、軽鎖及び重鎖可変ドメインは、例えば、合成リンカー、例えば、短い可撓性ポリペプチドリンカーを介して連続して連結され、一本鎖ポリペプチドとして発現することができ、scFvは、それが由来する無傷の抗体の特異性を保持する。指定されない限り、本明細書で使用される場合、scFvは、例えば、ポリペプチドのN末端及びC末端に関して、いずれかの順序でVL及びVH可変ドメインを有してもよく、scFvは、VL-リンカー-VHを含んでもよいか、またはVH-リンカー-VLを含んでもよい。一実施形態では、本抗原結合断片は、一本鎖Fv(scFv)である。
【0052】
「治療有効量」とは、標的に著しい陰性または有害な副作用を引き起こすことなく、(1)疾患、障害、もしくは状態の発症を遅延もしくは予防すること、(2)疾患、障害、もしくは状態のうちの1つ以上の症状の進行、悪化、または悪化を遅延もしくは停止すること、(3)疾患、障害、もしくは状態の症状の改善をもたらすこと、(4)疾患、障害、もしくは状態の重症度または発生率を低減すること、または(5)疾患、障害、もしくは状態を治癒することを目的とする、本明細書に記載の抗体のレベルまたは量を指す。治療有効量は、予防的(prophylactic)または予防的(preventive)作用のために、疾患、障害、または状態の発症前に投与されてもよい。代替的にまたは追加的に、治療有効量は、治療的作用のために、疾患、障害、または状態の発症後に投与されてもよい。
【0053】
「治療すること」または「治療」または「緩和」は、治療的処置及び予防的(prophylactic)または予防的(preventative)措置の両方を指し、目的は、標的とされる病理学的状態または障害を予防または減速(軽減)することである。治療を必要とする人には、既に障害を有する人、及び障害を有する傾向がある人、または障害が予防されることになる人が含まれる。一実施形態では、本開示による治療量の抗体または細胞を受けた後、対象が、以下:病原性細胞の数または割合の低減、治療される疾患または障害に関連する症状のうちの1つ以上のある程度の緩和、罹患率及び死亡率の低下、ならびに生活の質の問題の改善のうちの少なくとも1つを示す場合、対象は、疾患または障害に対して成功裏に「治療」される。疾患の成功した治療及び改善を評価するための上記のパラメータは、医師によく知られている日常的な手順によって容易に測定可能である。
【0054】
「ゼータ」または代替的に「ゼータ鎖」、「CD3-ゼータ」または「TCR-ゼータ」は、GenBankアクセッション番号BAG36664.1として提供されるタンパク質、または非ヒト種、例えば、マウス、げっ歯類、サル、類人猿などからの等価残基として定義され、「ゼータ刺激ドメイン」または代替的に「CD3-ゼータ刺激ドメイン」または「TCR-ゼータ刺激ドメイン」は、T細胞活性化に必要な初期シグナルを機能的に伝達するのに十分である、ゼータ鎖の細胞質ドメインからのアミノ酸残基、またはその機能的誘導体として定義される。一実施形態では、ゼータの細胞質ドメインは、GenBankアクセッション番号BAG36664.1の残基52~164またはその機能的オルソログである非ヒト種、例えば、マウス、げっ歯類、サル、類人猿などからの等価残基を含む。
【0055】
I.抗原結合タンパク質
本発明のMOG結合タンパク質は、MOGに結合することができる抗原結合タンパク質(以下、MOG結合タンパク質と称される)である。本発明のMOG結合タンパク質は、抗体またはその抗原結合断片、特にscFvであってもよい。
【0056】
一実施形態では、本発明は、
-相補的決定領域(HCDR)CDR1-VH、CDR2-VH、及びCDR3-VHを含む重鎖可変ドメイン(VH)と、
-相補的決定領域(LCDR)CDR1-VL、CDR2-VL、及びCDR3-VLを含む軽鎖可変ドメイン(VL)と、を含むMOG結合タンパク質(例えば、scFv)を提供し、
ここで、重鎖可変ドメインは、以下の重鎖HCDRのうちの少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ、より好ましくは3つ全てを含む:
CDR1-VH:SSYAFS(配列番号3)
CDR2-VH:RIVPVVGTPNYAQKFQG(配列番号4)
CDR3-VH:RERLYAGYY(配列番号5)。
【0057】
一実施形態では、本発明は、相補的決定領域(HCDR)CDR1-VH、CDR2-VH、及びCDR3-VHを含む重鎖可変ドメイン(VH)を含むMOG結合タンパク質(例えば、scFv)を提供し、重鎖可変ドメインは、以下の重鎖HCDRのうちの少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ、より好ましくは3つ全てを含む:
CDR1-VH:SSYAFS(配列番号3)
CDR2-VH:RIVPVVGTPNYAQKFQG(配列番号4)
CDR3-VH:RERLYAGYY(配列番号5)。
【0058】
一実施形態では、本発明は、相補的決定領域(HCDR)CDR1-VH、CDR2-VH、及びCDR3-VHを含む重鎖可変ドメイン(VH)を含むMOG結合タンパク質(例えば、scFv)を提供し、重鎖可変ドメインは、以下の重鎖HCDRの3つ全てを含む:
CDR1-VH:SSYAFS(配列番号3)
CDR2-VH:RIVPVVGTPNYAQKFQG(配列番号4)
CDR3-VH:RERLYAGYY(配列番号5)。
【0059】
一実施形態では、本発明は、
-相補的決定領域(HCDR)CDR1-VH、CDR2-VH、及びCDR3-VHを含む重鎖可変ドメイン(VH)と、
-相補的決定領域(LCDR)CDR1-VL、CDR2-VL、及びCDR3-VLを含む軽鎖可変ドメイン(VL)と、を含むMOG結合タンパク質(例えば、scFv)を提供し、
ここで、軽鎖可変ドメインは、以下の軽鎖LCDRのうちの少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ、より好ましくは3つ全てを含む:
CDR1-VL:RASQSVSSNYLA(配列番号6)
CDR2-VL:GASSRAT(配列番号7)
CDR3-VL:QQYGTSPGLT(配列番号8)。
【0060】
一実施形態では、本発明は、
-相補的決定領域(HCDR)CDR1-VH、CDR2-VH、及びCDR3-VHを含む重鎖可変ドメイン(VH)と、
-相補的決定領域(LCDR)CDR1-VL、CDR2-VL、及びCDR3-VLを含む軽鎖可変ドメイン(VL)と、を含むMOG結合タンパク質(例えば、scFv)を提供し、
ここで、重鎖可変ドメインは、以下の重鎖HCDRのうちの少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ、より好ましくは3つ全てを含み、
CDR1-VH:SSYAFS(配列番号3)
CDR2-VH:RIVPVVGTPNYAQKFQG(配列番号4)
CDR3-VH:RERLYAGYY(配列番号5)
ここで、軽鎖可変ドメインは、以下の軽鎖LCDRのうちの少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ、より好ましくは3つ全てを含む:
CDR1-VL:RASQSVSSNYLA(配列番号6)
CDR2-VL:GASSRAT(配列番号7)
CDR3-VL:QQYGTSPGLT(配列番号8)。
【0061】
一実施形態では、本発明は、
-相補的決定領域(HCDR)CDR1-VH、CDR2-VH、及びCDR3-VHを含む重鎖可変ドメイン(VH)と、
-相補的決定領域(LCDR)CDR1-VL、CDR2-VL、及びCDR3-VLを含む軽鎖可変ドメイン(VL)と、を含むMOG結合タンパク質(例えば、scFv)を提供し、
ここで、
CDR3-VHは、アミノ酸配列RERLYAGYY(配列番号5)を含む。
【0062】
一実施形態では、本発明は、
-相補的決定領域(HCDR)CDR1-VH、CDR2-VH、及びCDR3-VHを含む重鎖可変ドメイン(VH)と、
-相補的決定領域(LCDR)CDR1-VL、CDR2-VL、及びCDR3-VLを含む軽鎖可変ドメイン(VL)と、を含むMOG結合タンパク質(例えば、scFv)を提供し、
ここで、CDR3-VHは、アミノ酸配列RERLYAGYY(配列番号5)を有する。
【0063】
一実施形態では、本発明は、
-相補的決定領域(HCDR)CDR1-VH、CDR2-VH、及びCDR3-VHを含む重鎖可変ドメイン(VH)と、
-相補的決定領域(LCDR)CDR1-VL、CDR2-VL、及びCDR3-VLを含む軽鎖可変ドメイン(VL)と、を含むMOG結合タンパク質(例えば、scFv)を提供し、
ここで、
CDR1-VHは、アミノ酸配列SSYAFS(配列番号3)を含み、
CDR2-VHは、アミノ酸配列RIVPVVGTPNYAQKFQG(配列番号4)を含み、
CDR3-VHは、アミノ酸配列RERLYAGYY(配列番号5)を含み、
CDR1-VLは、アミノ酸配列RASQSVSSNYLA(配列番号6を含み、
CDR2-VLは、アミノ酸配列GASSRAT(配列番号7)を含み、
CDR3-VLは、アミノ酸配列QQYGTSPGLT(配列番号8)を含む。
【0064】
一実施形態では、本発明は、
-相補的決定領域(HCDR)CDR1-VH、CDR2-VH、及びCDR3-VHを含む重鎖可変ドメイン(VH)と、
-相補的決定領域(LCDR)CDR1-VL、CDR2-VL、及びCDR3-VLを含む軽鎖可変ドメイン(VL)と、を含むMOG結合タンパク質(例えば、scFv)を提供し、
ここで、
CDR1-VHは、アミノ酸配列SSYAFS(配列番号3)を有し、
CDR2-VHは、アミノ酸配列RIVPVVGTPNYAQKFQG(配列番号4)を有し、
CDR3-VHは、アミノ酸配列RERLYAGYY(配列番号5)を有し、
CDR1-VLは、アミノ酸配列RASQSVSSNYLA(配列番号6を有し、
CDR2-VLは、アミノ酸配列GASSRAT(配列番号7)を有し、
CDR3-VLは、アミノ酸配列QQYGTSPGLT(配列番号8)を有する。
【0065】
一実施形態では、本発明は、
-相補的決定領域(HCDR)CDR1-VH、CDR2-VH、及びCDR3-VHを含む重鎖可変ドメイン(VH)と、
-相補的決定領域(LCDR)CDR1-VL、CDR2-VL、及びCDR3-VLを含む軽鎖可変ドメイン(VL)と、を含むMOG結合タンパク質(例えば、scFv)を提供し、
ここで、
CDR1-VHは、アミノ酸配列SSYAFS(配列番号3)またはそれと少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
CDR2-VHは、アミノ酸配列RIVPVVGTPNYAQKFQG(配列番号4)またはそれと少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
CDR3-VHは、アミノ酸配列RERLYAGYY(配列番号5)またはそれと少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
CDR1-VLは、アミノ酸配列RASQSVSSNYLA(配列番号6)またはそれと少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
CDR2-VLは、アミノ酸配列GASSRAT(配列番号7)またはそれと少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
CDR3-VLは、アミノ酸配列QQYGTSPGLT(配列番号8)またはそれと少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0066】
一実施形態では、本発明は、
-相補的決定領域(HCDR)CDR1-VH、CDR2-VH、及びCDR3-VHを含む重鎖可変ドメイン(VH)と、
-相補的決定領域(LCDR)CDR1-VL、CDR2-VL、及びCDR3-VLを含む軽鎖可変ドメイン(VL)と、を含むMOG結合タンパク質(例えば、scFv)を提供し、
ここで、
CDR1-VHは、アミノ酸配列SSYAFS(配列番号3)またはそれと少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を有し、
CDR2-VHは、アミノ酸配列RIVPVVGTPNYAQKFQG(配列番号4)またはそれと少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を有し、
CDR3-VHは、アミノ酸配列RERLYAGYY(配列番号5)またはそれと少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を有し、
CDR1-VLは、アミノ酸配列RASQSVSSNYLA(配列番号6)またはそれと少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を有し、
CDR2-VLは、アミノ酸配列GASSRAT(配列番号7)またはそれと少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を有し、
CDR3-VLは、アミノ酸配列QQYGTSPGLT(配列番号8)またはそれと少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を有する。
【0067】
一実施形態では、本発明は、
-相補的決定領域(HCDR)CDR1-VH、CDR2-VH、及びCDR3-VHを含む重鎖可変ドメイン(VH)と、
-相補的決定領域(LCDR)CDR1-VL、CDR2-VL、及びCDR3-VLを含む軽鎖可変ドメイン(VL)と、を含むMOG結合タンパク質(例えば、scFv)を提供し、
ここで、
CDR1-VHは、アミノ酸配列SSYAFS(配列番号3)を有し、
CDR2-VHは、アミノ酸配列RIVPVVGTPNYAQKFQG(配列番号4)を有し、
CDR3-VHは、アミノ酸配列RERLYAGYY(配列番号5)を有し、
CDR1-VLは、アミノ酸配列RASQSVSSNYLA(配列番号6を有し、
CDR2-VLは、アミノ酸配列GASSRAT(配列番号7)を有し、
CDR3-VLは、アミノ酸配列QQYGTSPGLT(配列番号8)を有し、
ここで、VHは、配列番号11またはそれと少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、VLは、配列番号9またはそれと少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0068】
一実施形態では、本発明は、
-相補的決定領域(HCDR)CDR1-VH、CDR2-VH、及びCDR3-VHを含む重鎖可変ドメイン(VH)と、
-相補的決定領域(LCDR)CDR1-VL、CDR2-VL、及びCDR3-VLを含む軽鎖可変ドメイン(VL)と、を含むMOG結合タンパク質(例えば、scFv)を提供し、
ここで、VHは、配列番号11を含み、VLは、配列番号9を含む。
【0069】
一実施形態では、本発明は、
-相補的決定領域(HCDR)CDR1-VH、CDR2-VH、及びCDR3-VHを含む重鎖可変ドメイン(VH)と、
-相補的決定領域(LCDR)CDR1-VL、CDR2-VL、及びCDR3-VLを含む軽鎖可変ドメイン(VL)と、を含むMOG結合タンパク質(例えば、scFv)を提供し、
ここで、VHは、配列番号11のアミノ酸配列を有し、VLは、配列番号9のアミノ酸配列を有する。
【0070】
一実施形態では、MOG結合タンパク質は、scFv、sdAb、またはDARPinである。
【0071】
一実施形態では、MOG結合タンパク質は、抗MOG抗体またはその抗原結合断片、特に一本鎖可変断片(scFv)である。
【0072】
一実施形態では、MOG結合タンパク質は、重鎖可変ドメイン(VH)及び軽鎖可変ドメイン(VL)を有する一本鎖可変断片(scFv)であり、VHは、配列番号11またはそれと少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、VLは、配列番号9またはそれと少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0073】
一実施形態では、MOG結合タンパク質は、重鎖可変ドメイン(VH)及び軽鎖可変ドメイン(VL)を有する一本鎖可変断片(scFv)であり、VHは、配列番号11を含み、VLは、配列番号9を含む。
【0074】
一実施形態では、MOG結合タンパク質は、配列番号12またはそれと少なくとも約90%同一である任意のアミノ酸配列を含む一本鎖可変断片(scFv)である。
【0075】
一実施形態では、MOG結合タンパク質は、配列番号12を含む一本鎖可変断片(scFv)である。
【0076】
一実施形態では、MOG結合タンパク質は、配列番号51またはそれと少なくとも約90%同一である任意のアミノ酸配列を含む一本鎖可変断片(scFv)である。
【0077】
一実施形態では、MOG結合タンパク質は、配列番号51を含む一本鎖可変断片(scFv)である。
【0078】
抗体またはその抗原結合断片(例えば、scFv)は、それ自体が、本明細書に記載の別のタンパク質に融合され得、それによって融合タンパク質を形成する。
【0079】
本発明は、本明細書の任意の箇所に記載される本発明のタンパク質(例えば、抗体またはその抗原結合断片、特にscFv)と同じMOG上のエピトープに結合するMOG結合タンパク質を更に提供する。
【0080】
本発明は、本明細書の任意の箇所に記載される本発明のMOG結合タンパク質(例えば、抗体またはその抗原結合断片、特にscFv)との競合結合アッセイにおいて、MOGへの結合について競合するMOG結合タンパク質を更に提供する。
【0081】
本明細書の任意の箇所に記載される本発明のタンパク質、例えば、本発明のscFvは、CAR、具体的には本明細書に記載のCARの細胞外結合ドメインに含まれ得る。
【0082】
A.MOG結合タンパク質機能:抗原結合特異性及び親和性
本発明のMOG結合タンパク質は、細胞表面に発現されるMOGに結合することができる。本発明のMOG結合タンパク質はまた、可溶性MOGに結合することができる(すなわち、膜結合しない)。
【0083】
有利には、本発明のMOG結合タンパク質は、ヒト及びマウスMOGの両方に結合することができることが見出されている。本発明のMOG結合タンパク質はまた、カニクイザルMOGに結合することができる。この交差反応性は、マウス及びカニクイザルにおける前臨床研究の結果の外挿、ならびに薬物承認プロセスのためのヒト臨床研究に有益である。特に、本発明のMOG結合タンパク質は、ヒト及びマウスMOGの両方に結合することができることが見出されている。
【0084】
本発明のMOG結合タンパク質は、ヒトMOGを認識し、それに結合する。ヒトMOGは、8個のエクソン(UniProtKB識別子Q16653及びGenbankアクセッション番号:NM_002544.5)を含む1775bp長のmRNAによってコードされたタンパク質である。
【0085】
一実施形態では、本タンパク質は、ヒトMOGのバリアントなどのMOGバリアントを認識し、それに結合することができる。MOGのバリアントは、修飾MOGを指し、元の(野生型)MOGと比較して、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、または以上のアミノ酸が欠失、付加、または置換される。
【0086】
ヒトMOGのスプライスバリアントは、以前に特定されている。特に、MOGの13の異なるアイソフォームが記載されている:アイソフォーム1(アルファ1としても知られる)(UniProtKB識別子Q16653-1を有するmRNAによってコードされる)、アイソフォーム2(アルファ2としても知られる)(UniProtKB識別子Q16653-2を有するmRNAによってコードされる)、アイソフォーム3(アルファ3としても知られる)(UniProtKB識別子Q16653-3を有するmRNAによってコードされる)、アイソフォーム4(アルファ4としても知られる)(UniProtKB識別子Q16653-4を有するmRNAによってコードされる)、アイソフォーム5(ベータ1としても知られる)(UniProtKB番号Q16653-5を有するmRNAによってコードされる)、アイソフォーム6(ベータ2としても知られる)(UniProtKB識別子Q16653-6を有するmRNAによってコードされる)、アイソフォーム7(ベータ3としても知られる)(UniProtKB識別子Q16653-7を有するmRNAによってコードされる)、アイソフォーム8(ベータ4としても知られる)(UniProtKB識別子Q16653-8を有するmRNAによってコードされる)、アイソフォーム9(UniProtKB識別子Q16653-9を有するmRNAによってコードされる)、アイソフォーム10(UniProtKB識別子Q16653-10を有するmRNAによってコードされる)、アイソフォーム11(UniProtKB識別子Q16653-11を有するmRNAによってコードされる)、アイソフォーム12(UniProtKB識別子Q16653-12を有するmRNAによってコードされる)、及びアイソフォーム13(UniProtKB識別子Q16653-13を有するmRNAによってコードされる)。
【0087】
したがって、一実施形態では、本タンパク質は、アイソフォーム1、アイソフォーム2、アイソフォーム3、アイソフォーム4、アイソフォーム5、アイソフォーム6、アイソフォーム7、アイソフォーム8、アイソフォーム9、アイソフォーム10、アイソフォーム11、アイソフォーム12、及びアイソフォーム13を含む群から選択されるヒトMOGの1つ以上のスプライスバリアントを認識し、それに結合することができる。
【0088】
一実施形態では、本発明のタンパク質、例えば、本発明のscFvは、マウス及びヒトミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)の両方に結合することができる。したがって、scFvとマウス及びヒトMOGとの交差反応性は、有利な特徴である。
【0089】
したがって、一実施形態では、タンパク質はまた、マウスMOG(UniProtKB識別子Q61885)を認識し、それに結合する。
【0090】
一実施形態では、本タンパク質は、マウスMOGのバリアントなどのMOGバリアントを認識し、それに結合することができる。MOGのバリアントは、修飾MOGを指し、元の(野生型)MOGと比較して、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、または以上のアミノ酸が欠失、付加、または置換される。
【0091】
有利には、本タンパク質は、ヒトMOG(すなわち、ヒトMOGまたはヒトMOGバリアント)及びマウスMOG(すなわち、マウスMOGまたはマウスMOGバリアント)を認識し、それに結合することができる。一実施形態では、本タンパク質は、ヒトMOG及びマウスMOGバリアントを認識し、それに結合することができる。一実施形態では、本タンパク質は、ヒトMOGバリアント及びマウスMOGを認識し、それに結合することができる。一実施形態では、本発明のタンパク質は、ヒトMOGバリアント及びマウスMOGバリアントを認識し、それに結合することができる。
【0092】
一実施形態では、本発明のタンパク質、例えば、本発明のscFvはまた、カニクイザルミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)に結合することができる。したがって、scFvとマウス、カニクイザル、及びヒトMOGとの交差反応性は、有利な特徴である。
【0093】
したがって、一実施形態では、タンパク質はまた、カニクイザルMOG(UniProtKB識別子Q9BGS7)を認識し、それに結合する。
【0094】
一実施形態では、本タンパク質は、カニクイザルMOGのバリアントなどのカニクイザルバリアントを認識し、それに結合することができる。MOGのバリアントは、修飾MOGを指し、元の(野生型)MOGと比較して、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、または以上のアミノ酸が欠失、付加、または置換される。
【0095】
有利には、本タンパク質は、ヒトMOG(すなわち、ヒトMOGまたはヒトMOGバリアント)、マウスMOG(すなわち、マウスMOGまたはマウスMOGバリアント)、及びカニクイザルMOG(すなわち、マウスMOGまたはマウスMOGバリアント)を認識し、それに結合することができる。
【0096】
B.タンパク質配列
1.CDR配列
一実施形態では、本発明のMOG結合タンパク質(例えば、抗体またはその抗原結合断片、特にscFv)は、各々が相補性決定領域(CDR)を含む重鎖可変ドメイン(VH)及び軽鎖可変ドメイン(VL)を含む。CDRは、Kabat CDR定義システムに従って決定される。
【0097】
一実施形態では、本タンパク質の重鎖は、以下の重鎖CDR(HCDR)のうちの少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ、より好ましくは3つ全てを含む:
CDR1-VH:SSYAFS(配列番号3)
CDR2-VH:RIVPVVGTPNYAQKFQG(配列番号4)
CDR3-VH:RERLYAGYY(配列番号5)
【0098】
好ましい実施形態では、本発明のMOG結合タンパク質は、配列番号3~5の全てを含む。一実施形態では、CDR-VH1、CDR2-VH、及び/またはCDR3-VHのうちのいずれかは、それぞれ、配列番号3~5と比較して、1個、2個、3個、またはそれ以上のアミノ酸修飾(例えば、置換)を含み得る。一実施形態では、CDR1-VH、CDR2-VH、及び/またはCDR3-VHのうちのいずれかは、それぞれ、配列番号3~5と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上の同一性を共有するアミノ酸配列を有する。
【0099】
一実施形態では、本発明のMOG結合タンパク質の軽鎖は、以下の軽鎖CDR(LCDR)のうちの少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ、より好ましくは3つ全てを含む:
CDR1-VL:RASQSVSSNYLA(配列番号6)
CDR2-VL:GASSRAT(配列番号7)
CDR3-VL:QQYGTSPGLT(配列番号8)
【0100】
好ましい実施形態では、本発明のMOG結合タンパク質は、配列番号6~8の全てを含む。一実施形態では、CDR1-VL、CDR2-VL、及び/またはCDR3-VLのうちのいずれかは、それぞれ、配列番号6~8と比較して、1個、2個、3個、4個、5個、またはそれ以上のアミノ酸修飾(例えば、置換)を含み得る。一実施形態では、CDR1-VL、CDR2-VL、及び/またはCDR3-VLのうちのいずれかは、それぞれ、配列番号6~8と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上の同一性を共有するアミノ酸配列を有する。
【0101】
本発明のタンパク質の一実施形態では、その重鎖HCDR1~3のうちの少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ、より好ましくは3つ全ては、それぞれ、配列番号3~5を含み、その軽鎖LCDR1~3のうちの少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ、より好ましくは3つ全ては、それぞれ、配列番号6~8を含む。
【0102】
好ましい実施形態では、本発明のMOG結合タンパク質は、それぞれ、配列番号3~8の配列を有する重鎖HCDR1~3及び軽鎖LCDR1~3を含む。
【0103】
本発明のタンパク質の一実施形態では、CDR1-VH、CDR2-VH、及び/またはCDR3-VHのうちのいずれかは、それぞれ、配列番号3~5と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上の同一性を共有するアミノ酸配列を有し、CDR1-VL、CDR2-VL、及び/またはCDR3-VLのうちのいずれかは、それぞれ、配列番号6~8と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上の同一性を共有するアミノ酸配列を有する。
【0104】
2.VH及びVL配列
一実施形態では、本発明のMOG結合タンパク質(例えば、抗体またはその抗原結合断片、特にscFv)は、重鎖及び軽鎖を含む。
【0105】
一実施形態では、本発明のMOG結合タンパク質は、配列番号11を含むVHアミノ酸配列を有する。
【0106】
一実施形態では、本発明のMOG結合タンパク質は、配列番号11からなるVHアミノ酸配列を有する。
【0107】
一実施形態では、VHアミノ酸配列は、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、またはそれ以上のアミノ酸修飾(例えば、置換)を有する配列番号11を含む。
【0108】
一実施形態では、VHアミノ酸配列は、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、またはそれ以上のアミノ酸修飾(例えば、置換)を有する配列番号11からなる。
【0109】
一実施形態では、VHアミノ酸配列は、上に記載の重鎖HCDR(例えば、配列番号3~5)を含み、配列番号11と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上の同一性を共有する。
【0110】
一実施形態では、本発明のMOG結合タンパク質は、配列番号9を含むVLアミノ酸配列を有する。
【0111】
一実施形態では、本発明のMOG結合タンパク質は、配列番号9からなるVLアミノ酸配列を有する。
【0112】
一実施形態では、VLアミノ酸配列は、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、またはそれ以上のアミノ酸修飾(例えば、置換)を有する配列番号9を含む。
【0113】
一実施形態では、VLアミノ酸配列は、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、またはそれ以上のアミノ酸修飾(例えば、置換)を有する配列番号9からなる。
【0114】
一実施形態では、VLアミノ酸配列は、上に記載の軽鎖LCDR(例えば、配列番号6~8)を含み、配列番号9と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上の同一性を共有する。
【0115】
本発明は、本明細書に記載のVHのうちのいずれかと本明細書に記載のVLのうちのいずれかとの組み合わせを明示的に想定する。
【0116】
一実施形態では、VHは、配列番号11を含み、VLは、配列番号9を含み、各々は、任意選択で、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、またはそれ以上のアミノ酸修飾(例えば、置換)を有する。
【0117】
一実施形態では、アミノ酸修飾は、挿入、欠失、または置換であり得る。一実施形態では、アミノ酸修飾は、修飾を含む抗体またはその抗原結合断片の結合特性に著しく影響を及ぼさない。特定の可変ドメイン及びCDR配列は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、またはそれ以上のアミノ酸挿入、欠失、及び/または置換を含み得る。
【0118】
一実施形態では、アミノ酸修飾は、好ましくは保存的アミノ酸で作製される置換である。保存的アミノ酸は、元のアミノ酸と同様の物理化学的特性を有する側鎖を有するアミノ酸である。同様の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当該技術分野において定義されている。これらのファミリーは、塩基性側鎖(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン、トリプトファン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン)、β分岐側鎖(例えば、トレオニン、バリン、イソロイシン)、及び芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を有するアミノ酸を含む。したがって、本抗体または抗原結合断片のCDR及び/または可変ドメイン内の1つ以上のアミノ酸残基は、同じ側鎖ファミリーからの他のアミノ酸残基で置き換えることができ、修飾された抗体または抗原結合断片は、本明細書に記載のアッセイを使用して、保持された機能(例えば、MOGへの結合)について試験することができる。別の実施形態では、本抗体または抗原結合断片のCDR及び/または可変ドメイン内のアミノ酸のストリングは、側鎖ファミリーメンバーの順序及び/または組成が異なる構造的に同様のストリングで置き換えることができる。
【0119】
一実施形態では、VHは、本明細書に定義され、かつ配列番号11またはそれと少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれ以上の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる少なくとも1つ(好ましくは3つ)の重鎖HCDRを含み、VLは、本明細書に定義され、かつ配列番号9またはそれと少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれ以上の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる少なくとも1つ(好ましくは3つ)の軽鎖LCDRを含む。
【0120】
一実施形態では、VH及びVLは、上に記載のCDR(例えば、配列番号3~8)を含み、それぞれ、配列番号11及び9と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上の同一性を共有する。
【0121】
一実施形態では、VHは、配列番号11を含み、VLは、配列番号9を含む。
【0122】
一実施形態では、VHは、配列番号11からなり、VLは、配列番号9からなる。
【0123】
一実施形態では、VHは、配列番号11からなり、VLは、配列番号9を含む。
【0124】
一実施形態では、VHは、配列番号11を含み、VLは、配列番号9からなる。
【0125】
3.リンカー
一実施形態では、本発明のMOG結合タンパク質(例えば、抗体またはその抗原結合断片、特にscFv)は、そのVH及びVLを連結するリンカー(本明細書ではVH-VLリンカーと称される)を含む。
【0126】
一実施形態では、本発明のMOG結合タンパク質は、N末端からC末端に、VL、VH-VLリンカー、及びVHを含む。別の実施形態では、本発明のMOG結合タンパク質は、N末端からC末端に、VH、VH-VLリンカー、及びVLを含む。
【0127】
一実施形態では、VH-VLリンカーは、例えば、2~20または2~15個のアミノ酸の範囲の長さを有するペプチドリンカーである。
【0128】
例えば、グリシン-セリン二重鎖は、特に好適なリンカー(GSリンカー)を提供する。一実施形態では、VH-VLリンカーは、GSリンカーである。GSリンカーの例としては、これらに限定されないが、GSリンカー、GSリンカー(例えば、GGS及び(GGS))、GSリンカー、及びGSリンカーが挙げられる。
【0129】
Sリンカーは、アミノ酸配列(Gly-Gly-Gly-Ser)または(GGGS)を含み、式中、nは、1以上の正の整数(例えば、n=1、n=2、n=3、n=4、n=5、n=6、n=7、n=8、n=9、またはn=10など)である。GSリンカーの例としては、これらに限定されないが、n=1の場合、(GGGS)に対応するGGGS(配列番号71)、及び(GGGS)に対応するGGGSGGGSGGGSGGGS(配列番号72)が挙げられる。
【0130】
Sリンカーの例としては、これらに限定されないが、GGGGS(配列番号73)に対応する(Gly-Ser)、GGGGSGGGGS(配列番号74)に対応する(Gly-Ser)、GGGGSGGGGSGGGGS(配列番号10)に対応する(Gly-Ser)、及びGGGGSGGGGSGGGGSGGGGS(配列番号75)に対応する(Gly-Ser)が挙げられる。一実施形態では、リンカーは、配列番号10である。
【0131】
本発明は、本明細書に記載の任意のVH-VLリンカーと、本明細書に記載の任意のVH及びVLドメインとの組み合わせを明示的に想定する。
【0132】
4.タンパク質の種類
本発明のMOG結合タンパク質は、抗体またはその抗原結合断片であってもよい。本発明のMOG結合タンパク質は、ヒト化抗体またはその抗原結合断片であってもよい。
【0133】
一実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、例えば、一本鎖抗体、Fv(例えば、scFv)、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab)’、Fd、脱フコシル化抗体、ダイアボディ、トリアボディ、またはテトラボディなどの抗体の抗原結合断片である。
【0134】
好ましい実施形態では、本発明のMOG結合タンパク質は、scFvである。
【0135】
5.scFv配列
本発明のscFvは、有利には、マウス及びヒトミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)と結合することができる。
【0136】
一実施形態では、本発明のscFvは、
-本明細書に定義され、かつ配列番号11またはそれと少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれ以上の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる少なくとも1つ(好ましくは3つ)の重鎖CDR(HCDR)を含む重鎖可変ドメイン(VH)と、
-本明細書に定義され、かつ配列番号9またはそれと少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれ以上の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる少なくとも1つ(好ましくは3つ)の軽鎖CDR(HCDR)を含む軽鎖可変ドメイン(VL)と、を含む。
【0137】
好ましくは、本発明のscFvは、
-それぞれ、配列番号3~5を含む相補性決定領域(HCDR)1~3を含む重鎖可変ドメイン(VH)、または配列番号3~5のうちの1つと少なくとも約90%の同一性を共有するアミノ酸配列を有する任意のCDRと、
-それぞれ、配列番号6~8を含むLCDR1~3を含む軽鎖可変ドメイン(VL)、または配列番号6~8のうちの1つと少なくとも約90%の同一性を共有するアミノ酸配列を有する任意のCDRと、を含む。
【0138】
一実施形態では、本発明のscFvは、配列番号11またはそれと少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含むVHと、配列番号9またはそれと少なくとも約90%同一である任意のアミノ酸配列を含むVLと、を含む。好ましくは、本発明のscFvは、配列番号11を含むVHと、配列番号9を含むVLと、を含む。より好ましくは、本発明のscFvは、配列番号11からなるVHと、配列番号9からなるVLと、を含む。
【0139】
一実施形態では、本発明のscFvは、本明細書に定義されるCDRを含み、配列番号12またはそれと少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれ以上の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる。好ましくは、本発明のscFvは、配列番号12またはそれと少なくとも約95%同一である任意のアミノ酸配列を含む。より好ましくは、本発明のscFvは、配列番号12を含む。より好ましくは、本発明のscFvは、配列番号12からなる。
【0140】
一実施形態では、本発明のscFvは、本明細書に定義されるCDRを含み、配列番号51またはそれと少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれ以上の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる。好ましくは、本発明のscFvは、配列番号51またはそれと少なくとも約95%同一である任意のアミノ酸配列を含む。より好ましくは、本発明のscFvは、配列番号51を含む。より好ましくは、本発明のscFvは、配列番号51からなる。
【0141】
一実施形態では、本発明のscFvは、配列番号23、または配列番号23と少なくとも約95%(例えば、約96%、97%、98%、または99%)の同一性を有するヌクレオチド配列によってコードされる。
【0142】
一実施形態では、本発明のscFvは、配列番号23によってコードされる。
【0143】
一実施形態では、本発明のscFvは、VH及びVLを連結する本明細書に定義されるVH-VLリンカーを更に含む。好ましくは、リンカーは、配列番号10である。
【0144】
一実施形態では、本発明のscFvは、配列番号76、または配列番号76と少なくとも約95%(例えば、約96%、97%、98%、または99%)の同一性を有するヌクレオチド配列によってコードされる。
【0145】
一実施形態では、本発明のscFvは、配列番号76によってコードされる。
【0146】
C.核酸
本発明のタンパク質をコードする単離された核酸を以下に開示する。
【0147】
一実施形態では、核酸は、本発明のMOG結合タンパク質の少なくともVHまたはVLをコードする。一実施形態では、核酸は、本発明のMOG結合タンパク質の軽鎖の可変ドメイン(VL)及び定常領域をコードする。一実施形態では、核酸は、本発明のMOG結合タンパク質の重鎖の可変ドメイン(VH)及び定常領域をコードする。一実施形態では、核酸は、本発明のMOG結合タンパク質の重鎖及び軽鎖の両方をコードする。
【0148】
一実施形態では、本明細書の核酸は、本発明のタンパク質のVHをコードするヌクレオチド配列を含むか、またはそれからなり、当該ヌクレオチド配列は、配列番号22、またはそれと少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれ以上の同一性を有するヌクレオチド配列である。
【0149】
一実施形態では、本明細書の核酸は、本発明のMOG結合タンパク質のVLをコードする配列を含むか、またはそれからなり、当該ヌクレオチド配列は、配列番号20またはそれと少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれ以上の同一性を有するヌクレオチド配列である。
【0150】
一実施形態では、本明細書の核酸は、本発明のMOG結合タンパク質のVH及びVLをコードするヌクレオチド配列を含む。更なる実施形態では、本明細書の核酸は、配列番号22及び20を含む。
【0151】
一実施形態では、本明細書の核酸は、VLコード配列とVHコード配列との間のリンカーヌクレオチド配列を更に含む。更なる実施形態では、リンカーヌクレオチド配列は、配列番号21を含むか、またはそれからなる。
【0152】
一実施形態では、本明細書の核酸は、配列番号23またはそれと少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれ以上の同一性を有するヌクレオチド配列を含むか、またはそれからなる。
【0153】
一実施形態では、本明細書の核酸は、配列番号76またはそれと少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれ以上の同一性を有するヌクレオチド配列を含むか、またはそれからなる。
【0154】
D.本発明のタンパク質の産生
本発明はまた、本発明のMOG結合タンパク質を発現するためのベクター及びベクターを使用してタンパク質を産生する方法を提供する。
【0155】
一般に、好適なベクターは、少なくとも1つの宿主生物において機能する複製起源、プロモーター配列、便利な制限エンドヌクレアーゼ部位、1つ以上の選択可能なマーカー、及び任意選択でエンハンサーを含む。
【0156】
哺乳動物細胞の発現ベクターに使用されるプロモーター及びエンハンサーの例としては、これらに限定されないが、SV40の初期プロモーターとエンハンサー、LTRプロモーター、及びモロニーマウス白血病ウイルスのエンハンサー、ならびに免疫グロブリンH鎖のプロモーター及びエンハンサーが挙げられる。転写調節配列の追加の例については、以下も参照されたい。
【0157】
本発明は、本明細書に記載の本発明のMOG結合タンパク質を産生及び精製する方法を更に提供する。一実施形態では、方法は、
-インビボまたはエクスビボで、タンパク質の発現カセットを含む発現ベクターをコンピテント宿主細胞(例えば、CHO細胞及びNS0細胞などの哺乳動物細胞)に導入することと、
-インビトロまたはエクスビボで、形質転換された宿主細胞を、タンパク質の発現に好適な条件下で培養することと、
-任意選択で、当該タンパク質を発現及び/または分泌する細胞を選択することと、
-細胞培養物から発現されたタンパク質を回収することと、
-任意選択で、回収されたタンパク質を精製することと、を含む。
【0158】
タンパク質、特に抗体または抗原結合断片(例えば、scFv)を精製する方法は、当該技術分野で周知であり、限定されないが、タンパク質A-セファロース、ゲル電気泳動、及びクロマトグラフィー(例えば、タンパク質Lアガロース上のアフィニティークロマトグラフィーなどのアフィニティークロマトグラフィー)を含む。
【0159】
II.キメラ抗原受容体(CAR)
特定の目的の本発明のタンパク質は、CARでの使用に好適である。制御性免疫細胞によって発現されるCARで使用される場合、本発明のタンパク質は、細胞表面で発現される。
【0160】
したがって、本発明は、本発明のタンパク質を含むCARに更に関する。CARは、本明細書の任意の箇所に記載される本発明のMOG結合タンパク質、例えば、本明細書に記載の抗MOG scFv、sdAb、またはDARPinを含む細胞外結合ドメインを含む。
【0161】
本発明のCARでの使用に好適な本発明のタンパク質は、それぞれ、配列番号3~5を含む重鎖の相補的決定領域(HCDR)1~3、または配列番号3~5のうちの1つと少なくとも約90%の同一性を共有するアミノ酸配列を有する任意のCDRを含む。好ましくは、本発明のCARで使用するための本発明のタンパク質は、それぞれ、配列番号6~8を含む軽鎖の相補的決定領域(LCDR)1~3、または配列番号6~8のうちの1つと少なくとも約90%の同一性を共有するアミノ酸配列を有する任意のCDRを更に含む。
【0162】
一実施形態では、本発明は、本発明のCARで使用するためのMOG結合タンパク質(例えば、scFv)を提供し、タンパク質は、相補的決定領域(HCDR)CDR1-VH、CDR2-VH、及びCDR3-VHを含む重鎖可変ドメイン(VH)を含み、ここで、重鎖可変ドメインは、以下の重鎖CDRのうちの少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ、より好ましくは3つ全てを含む:
CDR1-VH:SSYAFS(配列番号3)
CDR2-VH:RIVPVVGTPNYAQKFQG(配列番号4)
CDR3-VH:RERLYAGYY(配列番号5)。
【0163】
一実施形態では、本発明は、本発明のCARで使用するためのMOG結合タンパク質(例えば、scFv)を提供し、タンパク質は、相補的決定領域(HCDR)CDR1-VH、CDR2-VH、及びCDR3-VHを含む重鎖可変ドメイン(VH)を含み、ここで、重鎖可変ドメインは、以下の重鎖CDRの3つ全てを含む:
CDR1-VH:SSYAFS(配列番号3)
CDR2-VH:RIVPVVGTPNYAQKFQG(配列番号4)
CDR3-VH:RERLYAGYY(配列番号5)。
【0164】
一実施形態では、本発明のCARの細胞外結合ドメインは、scFv、sdAb、またはDARPinなどの抗原結合ドメインを含む標的結合ドメインを含む。
【0165】
A.重要なことに、本発明のCARでの使用に好適な本発明のタンパク質は、安定しており、低い免疫原性を有する。好ましくは、本発明のCARでの使用に好適な本発明のタンパク質は、いかなる意図しない二次効果も有さない。CAR
本発明の一態様では、MOGに特異的なCARが提供される。CARは、(i)本明細書の任意の箇所に記載される本発明のMOG結合タンパク質、例えば、本明細書に記載のscFvを含む細胞外結合ドメイン、(ii)任意選択で、細胞外ヒンジドメイン、(iii)膜貫通ドメイン、(iv)細胞内シグナル伝達ドメイン、ならびに(v)任意選択で、タグ及び/またはリーダー配列を含み得る。一実施形態では、CARは、例えば、2つのポリペプチドなどの1つ以上のポリペプチドを含む。
【0166】
本発明は、本明細書に開示される(i)細胞外結合ドメイン、(ii)膜貫通ドメイン、及び(iii)細胞内シグナル伝達ドメインのうちのいずれか及び全ての組み合わせを明示的に想定する。
【0167】
本発明は、本明細書に開示される(i)細胞外結合ドメイン、(ii)細胞外ヒンジドメイン、(iii)膜貫通ドメイン、(iv)細胞内シグナル伝達ドメイン、ならびに(v)タグ及び/またはリーダー配列のうちのいずれか及び全ての組み合わせを明示的に想定する。
【0168】
1.細胞外結合ドメイン
一実施形態では、CARの細胞外結合ドメインは、本明細書の任意の箇所に記載される本発明のMOG結合タンパク質、例えば、本発明のscFv、sdAb、またはDARPinを含む。一実施形態では、CARの細胞外結合ドメインは、本明細書の任意の箇所に記載される本発明のMOG結合scFvを含む。
【0169】
一実施形態では、CARの細胞外結合ドメインは、本明細書の任意の箇所に記載される本発明のMOG結合タンパク質、例えば、本発明のscFv、sdAb、またはDARPinからなる。一実施形態では、CARの細胞外結合ドメインは、本明細書の任意の箇所に記載される本発明のMOG結合scFvからなる。
【0170】
一実施形態では、CARの細胞外結合ドメインは、重鎖可変ドメイン(VH)及び軽鎖可変ドメイン(VL)を含み、各々は、3つの相補性決定領域(LCDR)を含み、ここで、重鎖HCDR1~3のうちの少なくとも1つは、それぞれ、配列番号3~5を有し、及び/または軽鎖LCDR1~3のうちの少なくとも1つは、それぞれ、配列番号6~8を有する。
【0171】
更なる実施形態では、CARの細胞外結合ドメインは、それぞれ、配列番号3~8の配列を有する重鎖HCDR1~3及び軽鎖LCDR1~3を含む。一実施形態では、CARの細胞外結合ドメインは、配列番号11の配列、または配列番号11と少なくとも約70%、好ましくは少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、もしくはそれ以上の同一性を有する配列を有するVHと、配列番号9の配列、または配列番号9と少なくとも約70%、好ましくは少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、もしくはそれ以上の同一性を有する配列を有するVLと、を含む。
【0172】
一実施形態では、CARの細胞外結合ドメインは、VHとVLとの間にペプチドリンカーを有する抗MOG scFvを含み、ペプチドリンカーは、配列番号10またはそれと少なくとも約90%、95%、もしくはそれ以上の同一性を有する配列を含む。
【0173】
一実施形態では、CARの細胞外結合ドメインは、VHとVLとの間にペプチドリンカーを有する抗MOG scFvからなり、ペプチドリンカーは、配列番号10またはそれと少なくとも約90%、95%、もしくはそれ以上の同一性を有する配列を含む。
【0174】
一実施形態では、CARの細胞外結合ドメインは、配列番号12、またはそれと少なくとも約90%、95%、もしくはそれ以上の同一性を有する配列を含む抗MOG scFvを含む。
【0175】
一実施形態では、CARの細胞外結合ドメインは、配列番号12、またはそれと少なくとも約90%、95%、もしくはそれ以上の同一性を有する配列を含む抗MOG scFvからなる。
【0176】
一実施形態では、CARの細胞外結合ドメインは、配列番号51、またはそれと少なくとも約90%、95%、もしくはそれ以上の同一性を有する配列を含む抗MOG scFvを含む。
【0177】
一実施形態では、CARの細胞外結合ドメインは、配列番号51、またはそれと少なくとも約90%、95%、もしくはそれ以上の同一性を有する配列を含む抗MOG scFvからなる。
【0178】
2.ヒンジドメイン
一実施形態では、細胞外MOG結合ドメインは、ヒンジドメインによって膜貫通ドメインに接続される。
【0179】
一実施形態では、ヒンジドメインは、約2~約100個のアミノ酸の長さを有するペプチドである。
【0180】
一実施形態では、ヒンジドメインは、約2~約75個のアミノ酸の範囲の長さを有するペプチドである。
【0181】
一実施形態では、ヒンジドメインは、約2~約20個のアミノ酸の範囲の長さを有するペプチドである。
【0182】
一実施形態では、ヒンジドメインは、約2~約15個のアミノ酸の範囲の長さを有するペプチドである。
【0183】
一実施形態では、ヒンジドメインは、CD8ヒンジ(例えば、配列番号13)に由来するアミノ酸配列、または配列番号13と少なくとも約95%(例えば、約96%、97%、98%、または99%)の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0184】
一実施形態では、ヒンジドメインは、CD8ヒンジ(例えば、配列番号13)に由来するアミノ酸配列、または配列番号13と少なくとも約95%(例えば、約96%、97%、98%、または99%)の同一性を有するアミノ酸配列からなる。
【0185】
一実施形態では、ヒンジドメインは、配列番号13を有するアミノ酸配列を含む。
【0186】
一実施形態では、ヒンジドメインは、配列番号13を有するアミノ酸配列からなる。
【0187】
一実施形態では、ヒンジドメインは、配列番号24、または配列番号24と少なくとも約95%(例えば、約96%、97%、98%、または99%)の同一性を有するヌクレオチド配列によってコードされるCD8ヒンジである。
【0188】
本発明は、本明細書の任意の箇所に記載されるヒンジドメインと、本明細書の任意の箇所に記載される細胞外結合ドメインとの任意の及び全ての組み合わせを明示的に想定する。
【0189】
3.膜貫通ドメイン
本CARで使用され得る膜貫通ドメインの例としては、これらに限定されないが、T細胞受領体(TCR)のアルファもしくはベータ鎖の膜貫通ドメイン、またはCD28、CD3ガンマ、CD3デルタ、CD3エプシロン、CD3ゼータ、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、CD154、KIRDS2、OX40、CD2、CD27、LFA-1(CDl la、CD18)、ICOS(CD278)、4-1BB(CD137)、GITR、CD40、BAFFR、HVEM(LIGHTR)、SLAMF7、NKp80(KLRFl)、CD160、CD19、IL2Rベータ、IL2Rガンマ、IL7Ra、ITGA1、VLA1、CD49a、ITGA4、IA4、CD49D、ITGA6、VLA-6、CD49f、ITGAD、CD11d、ITGAE、CD103、ITGAL、CD11a、LFA-1、ITGAM、CD11b、PD1、ITGAX、CDl1c、ITGB1、CD29、ITGB2、CD18、LFA-1、ITGB7、TNFR2、DNAM1(CD226)、SLAMF4(CD244、2B4)、CD84、CD96(Tactile)、CEACAM1、CRT AM、Ly9(CD229)、CD160(BY55)、PSGL1、CDIOO(SEMA4D)、SLAMF6(NTB-A、Lyl08)、SLAM(SLAMF1、CD150、IPO-3)、BLAME(SLAMF8)、SELPLG(CD162)、LTBR、PAG/Cbp、NKp44、NKp30、NKp46、NKG2D、及びNKG2Cの膜貫通ドメインが挙げられる。
【0190】
一実施形態では、膜貫通ドメインは、CD8膜貫通ドメイン(例えば、配列番号14)に由来するアミノ酸配列、または配列番号14と少なくとも約95%(例えば、約96%、97%、98%、または99%)の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0191】
一実施形態では、膜貫通ドメインは、CD8膜貫通ドメイン(例えば、配列番号14)に由来するアミノ酸配列、または配列番号14と少なくとも約95%(例えば、約96%、97%、98%、または99%)の同一性を有するアミノ酸配列からなる。
【0192】
一実施形態では、膜貫通ドメインは、配列番号14を有するアミノ酸配列を含む。
【0193】
一実施形態では、膜貫通ドメインは、配列番号14を有するアミノ酸配列からなる。
【0194】
一実施形態では、タグは、配列番号25、または配列番号25と少なくとも約95%(例えば、約96%、97%、98%、または99%)の同一性を有するヌクレオチド配列によってコードされるCD8膜貫通ドメインである。
【0195】
別の実施形態では、膜貫通ドメインは、CD28膜貫通ドメイン(例えば、配列番号29)に由来するアミノ酸配列、または配列番号29と少なくとも約95%(例えば、約96%、97%、98%、または99%)の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる。一実施形態では、タグは、配列番号30、または配列番号30と少なくとも約95%(例えば、約96%、97%、98%、または99%)の同一性を有するヌクレオチド配列によってコードされるCD28膜貫通ドメインである。
【0196】
別の実施形態では、膜貫通ドメインは、4-1BB(CD137)膜貫通ドメイン(例えば、配列番号31)に由来するアミノ酸配列、または配列番号31と少なくとも約95%(例えば、約96%、97%、98%、または99%)の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる。一実施形態では、タグは、配列番号32、または配列番号32と少なくとも約95(例えば、96%、97%、98%、または99%)の同一性を有するヌクレオチド配列によってコードされる4-1BB膜貫通ドメインである。
【0197】
別の実施形態では、膜貫通ドメインは、TNFR2膜貫通ドメイン(例えば、配列番号33)に由来するアミノ酸配列、または配列番号33と少なくとも約95%(例えば、約96%、97%、98%、または99%)の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる。一実施形態では、タグは、配列番号34、または配列番号34と少なくとも約95%(例えば、約96%、97%、98%、または99%)の同一性を有するヌクレオチド配列によってコードされるTNFR2膜貫通ドメインである。
【0198】
一実施形態では、膜貫通ドメインは、完全に人工的であってもよく、例えば、バリン及びロイシンなどの主に疎水性アミノ酸を含み得る。
【0199】
本発明は、本明細書の任意の箇所に記載される膜貫通ドメインと、本明細書の任意の箇所に記載される細胞外結合ドメインとの任意の及び全ての組み合わせを明示的に想定する。
【0200】
4.細胞内シグナル伝達ドメイン
一実施形態では、本CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、それが由来する分子の細胞内部分全体、もしくは天然の細胞内シグナル伝達ドメイン全体、またはその機能的断片もしくは誘導体を含み得る。
【0201】
一実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、T細胞一次シグナル伝達ドメインを含む。
【0202】
一実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、1つ以上のT細胞共刺激ドメインを含む。
【0203】
一実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、少なくとも1つのT細胞共刺激ドメイン及びT細胞一次シグナル伝達ドメインを含む。
【0204】
一実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、少なくとも1つのT細胞共刺激ドメイン及びT細胞一次シグナル伝達ドメインからなる。
【0205】
別の実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、2つのT細胞共刺激ドメイン及びT細胞一次シグナル伝達ドメインを含む。
【0206】
別の実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、2つのT細胞共刺激ドメイン及びT細胞一次シグナル伝達ドメインからなる。
【0207】
一実施形態では、T細胞一次シグナル伝達ドメインは、CD3ゼータの機能的シグナル伝達ドメインを含む。
【0208】
一実施形態では、T細胞一次シグナル伝達ドメインは、配列番号16のCD3ゼータ細胞内ドメインのアミノ酸配列、または配列番号16と少なくとも約95%(例えば、96%、97%、98%、または99%)の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0209】
一実施形態では、T細胞一次シグナル伝達ドメインは、配列番号16のCD3ゼータ細胞内ドメインのアミノ酸配列、または配列番号16と少なくとも約95%(例えば、96%、97%、98%、または99%)の同一性を有するアミノ酸配列からなる。
【0210】
一実施形態では、T細胞一次シグナル伝達ドメインは、配列番号16のCD3ゼータ細胞内ドメインのアミノ酸配列を含む。
【0211】
一実施形態では、T細胞一次シグナル伝達ドメインは、配列番号16のCD3ゼータ細胞内ドメインのアミノ酸配列からなる。
【0212】
一実施形態では、CD3ゼータ一次シグナル伝達ドメインは、配列番号16の少なくとも1個、2個、または3個の修飾であるが、20個、10個、または5個以下の修飾を有するアミノ酸配列を含む。
【0213】
一実施形態では、CD3ゼータ一次シグナル伝達ドメインは、配列番号16の少なくとも1個、2個、または3個の修飾であるが、20個、10個、または5個以下の修飾を有するアミノ酸配列からなる。
【0214】
一実施形態では、CD3ゼータ一次シグナル伝達ドメインは、配列番号27、または配列番号27と少なくとも約95(例えば、約96%、97%、98%、または99%)の同一性を有するヌクレオチド配列によってコードされる。
【0215】
刺激的様式で作用するT細胞一次シグナル伝達ドメインは、免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフ(ITAMS)として知られるシグナル伝達モチーフを含み得る。一実施形態では、T細胞一次シグナル伝達ドメインは、修飾ITAMドメイン、例えば、天然ITAMドメインと比較して改変された(例えば、増加または減少した)活性を有する変異ITAMドメインを含む。一実施形態では、一次シグナル伝達ドメインは、修飾ITAM含有一次細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、最適化及び/または切断ITAM含有一次細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一実施形態では、一次シグナル伝達ドメインは、1つ、2つ、3つ、4つ、またはそれ以上のITAMモチーフを含む。
【0216】
一実施形態では、本CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、1つ以上の共刺激シグナル伝達ドメインと組み合わされたT細胞一次シグナル伝達ドメイン(例えば、CD3ゼータシグナル伝達ドメイン)を含む。
【0217】
共刺激シグナル伝達ドメインは、T細胞共刺激分子または免疫細胞上に発現される他の細胞表面分子の細胞内ドメインに由来し得る。共刺激シグナルドメインの例は、CD28、CD27、4-1BB(CD137)、MHCクラスI分子、BTLA、Tollリガンド受容体、OX40、CD30、CD40、PD-1、ICOS(CD278)、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7-H3、CD83と特異的に結合するリガンド、CDS、ICAM-1、GITR、ARHR、BAFFR、HVEM(LIGHTR)、SLAMF7、NKp80(KLRF1)、NKp44、NKp30、NKp46、CD160(BY55)、CD19、CD19a、CD4、CD8アルファ、CD8ベータ、IL2ra、IL6Ra、IL2Rベータ、IL2Rガンマ、IL7Rアルファ、IL-13RA1/RA2、IL-33R(IL1RL1)、IL-10RA/RB、IL-4R、IL-5R(CSF2RB)、IL-21R、ITGA4、VLA1、CD49a、ITGA4、IA4、CD49D、ITGA6、VLA-6、CD49f、ITGAD、CD11d、ITGAE、CD103、ITGAL、CD11a/CD18、ITGAM、CD11b、ITGAX、CD11c、ITGB1、CD29、ITGB2、CD18、ITGB7、NKG2D、NKG2C、CTLA-4(CD152)、CD95、TNFR1(CD120a/TNFRSF1A)、TNFR2(CD120b/TNFRSF1B)、TGFbR1/2/3、TRANCE/RANKL、DNAM1(CD226)、SLAMF4(CD244、2B4)、CD84、CD96(Tactile)、CEACAM1、CRTAM、Ly9(CD229)、PSGL1、CD100(SEMA4D)、CD69、SLAMF6(NTB-A、Lyl08)、SLAM(SLAMF1、CD150、IPO-3)、BLAME(SLAMF8)、SELPLG(CD162)、LTBR、LAT、GADS、SLP-76、PAG/Cbp、共通ガンマ鎖、CD83と特異的に結合するリガンド、NKp44、NKp30、NKp46、NKG2D、及びそれらの任意の組み合わせの細胞内ドメインに由来するものであり得る。
【0218】
本発明の一実施形態では、本CARは、CD28、TNFR2、4-1BB、ICOS、CD27、OX40、CTLA4、及びPD-1を含む群から選択されるT細胞共刺激分子の少なくとも1つの細胞内ドメインを含む。
【0219】
一実施形態では、T細胞共刺激シグナル伝達ドメインは、CD28細胞内ドメイン(例えば、配列番号15)に由来するアミノ酸配列、または配列番号15と少なくとも約95%(例えば、約96%、97%、98%、または99%)の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0220】
一実施形態では、T細胞共刺激シグナル伝達ドメインは、CD28細胞内ドメインに(例えば、配列番号15)由来するアミノ酸配列、または配列番号15と少なくとも約95%(例えば、約96%、97%、98%、または99%)の同一性を有するアミノ酸配列からなる。
【0221】
一実施形態では、T細胞共刺激シグナル伝達ドメインは、配列番号15のアミノ酸配列の少なくとも1個、2個、または3個の修飾であるが、20個、10個、または5個以下の修飾を有するアミノ酸配列を含む。
【0222】
一実施形態では、T細胞共刺激シグナル伝達ドメインは、配列番号15のアミノ酸配列の少なくとも1個、2個、または3個の修飾であるが、20個、10個、または5個以下の修飾を有するアミノ酸配列からなる。
【0223】
一実施形態では、T細胞共刺激シグナル伝達ドメインは、配列番号15を有するアミノ酸を含む。
【0224】
一実施形態では、T細胞共刺激シグナル伝達ドメインは、配列番号15を有するアミノ酸からなる。
【0225】
一実施形態では、T細胞共刺激シグナル伝達ドメインは、配列番号26、または配列番号26と少なくとも約95%(例えば、約96%、97%、98%、または99%)の同一性を有するヌクレオチド配列によってコードされる。
【0226】
一実施形態では、T細胞共刺激シグナル伝達ドメインは、4-1BB細胞内ドメイン(例えば、配列番号35)に由来するアミノ酸配列、または配列番号35と少なくとも約95%(例えば、約96%、97%、98%、または99%)の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる。一実施形態では、T細胞共刺激シグナル伝達ドメインは、配列番号35のアミノ酸配列の少なくとも1個、2個、または3個の修飾であるが、20個、10個、または5個以下の修飾を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる。一実施形態では、T細胞共刺激シグナル伝達ドメインは、配列番号36、または配列番号36と少なくとも約95%(例えば、約96%、97%、98%、または99%)の同一性を有するヌクレオチド配列によってコードされる。
【0227】
一実施形態では、T細胞共刺激シグナル伝達ドメインは、CD27細胞内ドメイン(例えば、配列番号37)に由来するアミノ酸配列、または配列番号37と少なくとも約95%(例えば、約96%、97%、98%、または99%)の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる。一実施形態では、T細胞共刺激シグナル伝達ドメインは、配列番号37のアミノ酸配列の少なくとも1個、2個、または3個の修飾であるが、20個、10個、または5個以下の修飾を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる。一実施形態では、T細胞共刺激シグナル伝達ドメインは、配列番号38、または配列番号38と少なくとも約95%(例えば、約96%、97%、98%、または99%)の同一性を有するヌクレオチド配列によってコードされる。
【0228】
一実施形態では、T細胞共刺激シグナル伝達ドメインは、TNFR2細胞内ドメイン(例えば、配列番号39)に由来するアミノ酸配列、または配列番号39と少なくとも約95%(例えば、約96%、97%、98%、または99%)の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる。一実施形態では、T細胞共刺激シグナル伝達ドメインは、配列番号39のアミノ酸配列の少なくとも1個、2個、または3個の修飾であるが、20個、10個、または5個以下の修飾を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる。一実施形態では、T細胞共刺激シグナル伝達ドメインは、配列番号40、または配列番号40と少なくとも約95%(例えば、約96%、97%、98%、または99%)の同一性を有するヌクレオチド配列によってコードされる。
【0229】
一実施形態では、本CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、
-配列番号15のCD28細胞内ドメインのアミノ酸配列、または配列番号15と少なくとも約95%(例えば、約96%、97%、98%、または99%)の同一性を有するアミノ酸配と、
-配列番号16のCD3ゼータ細胞内ドメインのアミノ酸配列、または配列番号16と少なくとも約95%(例えば、約96%、97%、98%、または99%)の同一性を有するアミノ酸配列と、を含む。
【0230】
一実施形態では、本CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、互いにランダムな順序または指定された順序で連結され得る少なくとも2つの異なるドメイン(例えば、T細胞共刺激分子の一次シグナル伝達ドメイン及び少なくとも1つの細胞内ドメイン)を含む。
【0231】
任意選択で、ペプチドリンカーは、異なるシグナル伝達ドメインを接続するために使用され得る。一実施形態では、グリシン-セリン二重鎖(GS)は、好適なリンカーとして使用される。一実施形態では、単一のアミノ酸、例えば、アラニン(A)またはグリシン(G)は、リンカーとして使用される。ペプチドリンカーの他の例は、上記のセクションIに記載されている。
【0232】
一実施形態では、本CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、2つ以上(例えば、2、3、4、5、またはそれ以上)の共刺激シグナル伝達ドメインを含む。一実施形態では、2つ以上の共刺激シグナル伝達ドメインは、本明細書に記載されるものなどのペプチドリンカーによって分離される。
【0233】
一実施形態では、本CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ゼータの一次シグナル伝達ドメイン(例えば、配列番号16)及びCD28の共刺激シグナル伝達ドメイン(例えば、配列番号15)を含む。
【0234】
本発明は、本明細書の任意の箇所に記載される細胞内シグナル伝達ドメインと、本明細書の任意の箇所に記載される細胞外結合ドメインとの任意の及び全ての組み合わせを明示的に想定する。
【0235】
5.リーダー配列
一実施形態では、本発明のCARは、MOG特異的細胞外結合ドメインに対してN末端に位置するリーダー配列を更に含む。リーダー配列は、タンパク質がゴルジ複合体から分泌された後にCARタンパク質の細胞表面発現を可能にし得る。リーダー配列の非限定的な例は、配列番号1を含み得るか、またはそれからなり得るCD8のリーダー配列である。好ましくは、リーダー配列は、配列番号1からなるCD8のリーダー配列である。
【0236】
一実施形態では、リーダー配列をコードするヌクレオチド配列は、CD8リーダー配列(例えば、配列番号18)をコードするヌクレオチド配列、または配列番号18と少なくとも約95%(例えば、約96%、97%、98%、または99%)の同一性を有するヌクレオチド配列を含むか、またはそれからなる。
【0237】
本発明は、本明細書の任意の箇所に記載されるリーダー配列と、本明細書の任意の箇所に記載される細胞外結合ドメインとの任意の及び全ての組み合わせを明示的に想定する。
【0238】
6.タグ
一実施形態では、CARは、例えば、インビボでの品質管理、改良、及び追跡のためのタグを更に含む。当該タグは、CARのN末端またはC末端に局在化してもよいか、またはCARポリペプチド内に内部的に局在してもよい。タグの例としては、これらに限定されないが、ヘマグルチニンタグ、ポリアルギニンタグ、ポリヒスチジンタグ、Mycタグ、Strepタグ、S-Tag、HATタグ、3xフラグタグ、カルモジュリン結合ペプチドタグ、SBPタグ、キチン結合ドメインタグ、GSTタグ、マルトース結合タンパク質タグ、蛍光タンパク質タグ、T7タグ、V5タグ、及びXpressタグが挙げられる。
【0239】
一実施形態では、本発明のCARは、HAタグ(配列番号2)を含む。一実施形態では、タグは、配列番号19、または配列番号19と少なくとも約95%(例えば、約96%、97%、98%、または99%)の同一性を有するヌクレオチド配列によってコードされる。
【0240】
本発明は、本明細書の任意の箇所に記載されるタグと、本明細書の任意の箇所に記載される細胞外結合ドメインとの任意の及び全ての組み合わせを明示的に想定する。
【0241】
7.例示的なCAR
本発明は、本発明によるMOG結合タンパク質(例えば、本発明によるscFv)を含む細胞外ドメインと、膜貫通ドメインと、細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞質ドメインと、を含むCARを提供する。
【0242】
一態様では、本発明は、MOG結合ドメイン(例えば、配列番号12を含むか、またはそれからなるドメイン)と、任意選択で、細胞外ヒンジドメインと、膜貫通ドメインと、T細胞共刺激分子の単一の細胞内ドメインと、T細胞一次シグナル伝達ドメインと、を含むCARを提供する。
【0243】
一実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、任意選択で配列番号15もしくはそれと少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含むヒトCD28共刺激シグナル伝達ドメイン、及び/または任意選択で配列番号16もしくはそれと少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含むヒトCD3ゼータドメインを含む。
【0244】
一実施形態では、膜貫通ドメインは、任意選択で配列番号14またはそれと少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含むヒトCD8に由来する。
【0245】
一実施形態では、本発明のCARは、MOG結合ドメイン(例えば、配列番号12)、CD8の膜貫通ドメイン(例えば、配列番号14)、CD28の細胞内ドメイン(例えば、配列番号15)、及びCD3ゼータ一次シグナル伝達ドメイン(例えば、配列番号16)を含む。
【0246】
一実施形態では、本発明のCARは、MOG結合ドメイン(例えば、配列番号12)、CD8のヒンジドメイン(例えば、配列番号13)、CD8の膜貫通ドメイン(例えば、配列番号14)、CD28の細胞内ドメイン(例えば、配列番号15)、及びCD3ゼータ一次シグナル伝達ドメイン(例えば、配列番号16)を含む。
【0247】
一実施形態では、本発明のCARは、抗MOG scFv(例えば、配列番号12を含むか、またはそれからなるscFv)、CD8のヒンジ領域、ヒトCD8の膜貫通ドメイン、ヒトCD28の細胞内ドメイン、及びヒトCD3ゼータの細胞内ドメインを含む。一実施形態では、当該CARは、配列番号56、または配列番号56と少なくとも約95%(例えば、約96%、97%、98%、または99%)の同一性を有するアミノ酸配列を含む。好ましくは、当該CARは、配列番号56を含む。
【0248】
一実施形態では、本発明のCARは、抗MOG scFv(例えば、配列番号12を含むか、またはそれからなるscFv)、CD8のヒンジ領域、ヒトCD8の膜貫通ドメイン、ヒトCD28の細胞内ドメイン、及びヒトCD3ゼータの細胞内ドメインを含む。一実施形態では、当該CARは、配列番号56、または配列番号56と少なくとも約95%(例えば、約96%、97%、98%、または99%)の同一性を有するアミノ酸配列からなる。好ましくは、当該CARは、配列番号56からなる。
【0249】
一実施形態では、本発明のCARは、抗MOG scFv(例えば、配列番号12を含むか、またはそれからなるscFv)、CD8のヒンジ領域、ヒトCD8の膜貫通ドメイン、ヒトCD28の細胞内ドメイン、及びヒトCD3ゼータの細胞内ドメインを含む。一実施形態では、当該CARは、配列番号57、または配列番号57と少なくとも約95%(例えば、約96%、97%、98%、または99%)の同一性を有するアミノ酸配列を含む。好ましくは、当該CARは、配列番号57を含む。
【0250】
一実施形態では、本発明のCARは、抗MOG scFv(例えば、配列番号12を含むか、またはそれからなるscFv)、CD8のヒンジ領域、ヒトCD8の膜貫通ドメイン、ヒトCD28の細胞内ドメイン、及びヒトCD3ゼータの細胞内ドメインを含む。一実施形態では、当該CARは、配列番号57、または配列番号57と少なくとも約95%(例えば、約96%、97%、98%、または99%)の同一性を有するアミノ酸配列からなる。好ましくは、当該CARは、配列番号57からなる。
【0251】
一実施形態では、本発明のCARは、抗MOG scFv(例えば、配列番号12を含むか、またはそれからなるscFv)、CD8のヒンジ領域、ヒトCD8の膜貫通ドメイン、ヒトCD28の細胞内ドメイン、及びヒトCD3ゼータの細胞内ドメインを含む。一実施形態では、当該CARは、配列番号58、または配列番号58と少なくとも約95%(例えば、約96%、97%、98%、または99%)の同一性を有するアミノ酸配列を含む。好ましくは、当該CARは、配列番号58を含む。
【0252】
一実施形態では、本発明のCARは、抗MOG scFv(例えば、配列番号12を含むか、またはそれからなるscFv)、CD8のヒンジ領域、ヒトCD8の膜貫通ドメイン、ヒトCD28の細胞内ドメイン、及びヒトCD3ゼータの細胞内ドメインを含む。一実施形態では、当該CARは、配列番号58、または配列番号58と少なくとも約95%(例えば、約96%、97%、98%、または99%)の同一性を有するアミノ酸配列からなる。好ましくは、当該CARは、配列番号58からなる。
【0253】
一実施形態では、本発明のCARは、抗MOG scFv(例えば、配列番号12を含むか、またはそれからなるscFv)、CD8のヒンジ領域、ヒトCD8の膜貫通ドメイン、ヒトCD28の細胞内ドメイン、及びヒトCD3ゼータの細胞内ドメインを含む。一実施形態では、当該CARは、配列番号59、または配列番号59と少なくとも約95%(例えば、約96%、97%、98%、または99%)の同一性を有するアミノ酸配列を含む。好ましくは、当該CARは、配列番号59を含む。
【0254】
一実施形態では、本発明のCARは、抗MOG scFv(例えば、配列番号12を含むか、またはそれからなるscFv)、CD8のヒンジ領域、ヒトCD8の膜貫通ドメイン、ヒトCD28の細胞内ドメイン、及びヒトCD3ゼータの細胞内ドメインを含む。一実施形態では、当該CARは、配列番号59、または配列番号59と少なくとも約95%(例えば、約96%、97%、98%、または99%)の同一性を有するアミノ酸配列からなる。好ましくは、当該CARは、配列番号59からなる。
【0255】
一実施形態では、本発明のCARは、抗MOG scFv(例えば、配列番号12を含むか、またはそれからなるscFv)、CD8のヒンジ領域、ヒトCD8の膜貫通ドメイン、ヒトCD28の細胞内ドメイン、及びヒトCD3ゼータの細胞内ドメインを含む。一実施形態では、当該CARは、配列番号60、または配列番号60と少なくとも約95%(例えば、約96%、97%、98%、または99%)の同一性を有するアミノ酸配列を含む。好ましくは、当該CARは、配列番号60を含む。
【0256】
一実施形態では、本発明のCARは、抗MOG scFv(例えば、配列番号12を含むか、またはそれからなるscFv)、CD8のヒンジ領域、ヒトCD8の膜貫通ドメイン、ヒトCD28の細胞内ドメイン、及びヒトCD3ゼータの細胞内ドメインを含む。一実施形態では、当該CARは、配列番号60、または配列番号60と少なくとも約95%(例えば、約96%、97%、98%、または99%)の同一性を有するアミノ酸配列からなる。好ましくは、当該CARは、配列番号60からなる。
【0257】
一実施形態では、CARは、
(i)任意選択で配列番号12含む、抗MOG scFvと、
(ii)任意選択で配列番号13を含む、ヒトCD8に由来するヒンジドメインと、
(iii)任意選択で配列番号14を含む、ヒトCD8に由来する膜貫通ドメインと、
(iv)任意選択で配列番号15を含むヒトCD28共刺激シグナル伝達ドメイン、及び任意選択で配列番号16を含むヒトCD3ゼータドメインを含む、細胞内シグナル伝達ドメインと、
(v)任意選択で、タグ及び/またはリーダー配列と、を含む。
【0258】
別の態様では、本発明は、MOG結合ドメイン(例えば、配列番号51を含むか、またはそれからなるドメイン)と、任意選択で、細胞外ヒンジドメインと、膜貫通ドメインと、T細胞共刺激分子の単一の細胞内ドメインと、T細胞一次シグナル伝達ドメインと、を含むCARを提供する。
【0259】
一実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、任意選択で配列番号15もしくはそれと少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含むヒトCD28共刺激シグナル伝達ドメイン、及び/または任意選択で配列番号16もしくはそれと少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含むヒトCD3ゼータドメインを含む。
【0260】
一実施形態では、膜貫通ドメインは、任意選択で配列番号14またはそれと少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含むヒトCD8に由来する。
【0261】
一実施形態では、本発明のCARは、MOG結合ドメイン(例えば、配列番号51)、CD8の膜貫通ドメイン(例えば、配列番号14)、CD28の細胞内ドメイン(例えば、配列番号15)、及びCD3ゼータ一次シグナル伝達ドメイン(例えば、配列番号16)を含む。
【0262】
一実施形態では、本発明のCARは、MOG結合ドメイン(例えば、配列番号51)、CD8のヒンジドメイン(例えば、配列番号13)、CD8の膜貫通ドメイン(例えば、配列番号14)、CD28の細胞内ドメイン(例えば、配列番号15)、及びCD3ゼータ一次シグナル伝達ドメイン(例えば、配列番号16)を含む。
【0263】
一実施形態では、本発明のCARは、抗MOG scFv(例えば、配列番号51を含むか、またはそれからなるscFv)、CD8のヒンジ領域、ヒトCD8の膜貫通ドメイン、ヒトCD28の細胞内ドメイン、及びヒトCD3ゼータの細胞内ドメインを含む。一実施形態では、当該CARは、配列番号17、または配列番号17と少なくとも約95%(例えば、約96%、97%、98%、または99%)の同一性を有するアミノ酸配列を含む。好ましくは、当該CARは、配列番号17を含む。
【0264】
一実施形態では、本発明のCARは、抗MOG scFv(例えば、配列番号51を含むか、またはそれからなるscFv)、CD8のヒンジ領域、ヒトCD8の膜貫通ドメイン、ヒトCD28の細胞内ドメイン、及びヒトCD3ゼータの細胞内ドメインを含む。一実施形態では、当該CARは、配列番号17、または配列番号17と少なくとも約95%(例えば、約96%、97%、98%、または99%)の同一性を有するアミノ酸配列からなる。好ましくは、当該CARは、配列番号17からなる。
【0265】
一実施形態では、本発明のCARは、抗MOG scFv(例えば、配列番号51を含むか、またはそれからなるscFv)、CD8のヒンジ領域、ヒトCD8の膜貫通ドメイン、ヒトCD28の細胞内ドメイン、及びヒトCD3ゼータの細胞内ドメインを含む。一実施形態では、当該CARは、配列番号52、または配列番号52と少なくとも約95%(例えば、約96%、97%、98%、または99%)の同一性を有するアミノ酸配列を含む。好ましくは、当該CARは、配列番号52を含む。
【0266】
一実施形態では、本発明のCARは、抗MOG scFv(例えば、配列番号51を含むか、またはそれからなるscFv)、CD8のヒンジ領域、ヒトCD8の膜貫通ドメイン、ヒトCD28の細胞内ドメイン、及びヒトCD3ゼータの細胞内ドメインを含む。一実施形態では、当該CARは、配列番号52、または配列番号52と少なくとも約95%(例えば、約96%、97%、98%、または99%)の同一性を有するアミノ酸配列からなる。好ましくは、当該CARは、配列番号52からなる。
【0267】
一実施形態では、本発明のCARは、抗MOG scFv(例えば、配列番号51を含むか、またはそれからなるscFv)、CD8のヒンジ領域、ヒトCD8の膜貫通ドメイン、ヒトCD28の細胞内ドメイン、及びヒトCD3ゼータの細胞内ドメインを含む。一実施形態では、当該CARは、配列番号53、または配列番号53と少なくとも約95%(例えば、約96%、97%、98%、または99%)の同一性を有するアミノ酸配列を含む。好ましくは、当該CARは、配列番号53を含む。
【0268】
一実施形態では、本発明のCARは、抗MOG scFv(例えば、配列番号51を含むか、またはそれからなるscFv)、CD8のヒンジ領域、ヒトCD8の膜貫通ドメイン、ヒトCD28の細胞内ドメイン、及びヒトCD3ゼータの細胞内ドメインを含む。一実施形態では、当該CARは、配列番号53、または配列番号53と少なくとも約95%(例えば、約96%、97%、98%、または99%)の同一性を有するアミノ酸配列からなる。好ましくは、当該CARは、配列番号53からなる。
【0269】
一実施形態では、本発明のCARは、抗MOG scFv(例えば、配列番号51を含むか、またはそれからなるscFv)、CD8のヒンジ領域、ヒトCD8の膜貫通ドメイン、ヒトCD28の細胞内ドメイン、及びヒトCD3ゼータの細胞内ドメインを含む。一実施形態では、当該CARは、配列番号54、または配列番号54と少なくとも約95%(例えば、約96%、97%、98%、または99%)の同一性を有するアミノ酸配列を含む。好ましくは、当該CARは、配列番号54を含む。
【0270】
一実施形態では、本発明のCARは、抗MOG scFv(例えば、配列番号51を含むか、またはそれからなるscFv)、CD8のヒンジ領域、ヒトCD8の膜貫通ドメイン、ヒトCD28の細胞内ドメイン、及びヒトCD3ゼータの細胞内ドメインを含む。一実施形態では、当該CARは、配列番号54、または配列番号54と少なくとも約95%(例えば、約96%、97%、98%、または99%)の同一性を有するアミノ酸配列からなる。好ましくは、当該CARは、配列番号54からなる。
【0271】
一実施形態では、本発明のCARは、抗MOG scFv(例えば、配列番号51を含むか、またはそれからなるscFv)、CD8のヒンジ領域、ヒトCD8の膜貫通ドメイン、ヒトCD28の細胞内ドメイン、及びヒトCD3ゼータの細胞内ドメインを含む。一実施形態では、当該CARは、配列番号55、または配列番号55と少なくとも約95%(例えば、約96%、97%、98%、または99%)の同一性を有するアミノ酸配列を含む。好ましくは、当該CARは、配列番号55を含む。
【0272】
一実施形態では、本発明のCARは、抗MOG scFv(例えば、配列番号51を含むか、またはそれからなるscFv)、CD8のヒンジ領域、ヒトCD8の膜貫通ドメイン、ヒトCD28の細胞内ドメイン、及びヒトCD3ゼータの細胞内ドメインを含む。一実施形態では、当該CARは、配列番号55、または配列番号55と少なくとも約95%(例えば、約96%、97%、98%、または99%)の同一性を有するアミノ酸配列からなる。好ましくは、当該CARは、配列番号55からなる。
【0273】
一実施形態では、CARは、
(i)任意選択で配列番号51含む、抗MOG scFvと、
(ii)任意選択で配列番号13を含む、ヒトCD8に由来するヒンジドメインと、
(iii)任意選択で配列番号14を含む、ヒトCD8に由来する膜貫通ドメインと、
(iv)任意選択で配列番号15を含むヒトCD28共刺激シグナル伝達ドメイン、及び任意選択で配列番号16を含むヒトCD3ゼータドメインを含む、細胞内シグナル伝達ドメインと、
(v)任意選択で、タグ及び/またはリーダー配列と、を含む。
【0274】
8.マウスCAR
一態様では、本発明は、MOG結合ドメイン(例えば、配列番号12を含むか、またはそれからなるドメイン)と、任意選択で、細胞外ヒンジドメインと、膜貫通ドメインと、T細胞共刺激分子の単一の細胞内ドメインと、T細胞一次シグナル伝達ドメインと、を含むマウスCARを提供する。
【0275】
一実施形態では、本発明のマウスCARは、MOG結合ドメイン(例えば、配列番号12)、マウスCD8の膜貫通ドメイン(例えば、配列番号42)、マウスCD28の細胞内ドメイン(例えば、配列番号43)、及びマウスCD3ゼータ一次シグナル伝達ドメイン(例えば、配列番号44)を含む。ある特定の実施形態では、マウスCARはまた、マウスCD8のヒンジドメイン(例えば、配列番号41)を含み得る。上のドメインの任意の組み合わせを有するマウスCARが企図される。
【0276】
一実施形態では、本発明のマウスCARは、抗MOG scFv(例えば、配列番号12を含むか、またはそれからなるscFv)、CD8のヒンジ領域、マウスCD8の膜貫通ドメイン、マウスCD28の細胞内ドメイン、及びマウスCD3ゼータの細胞内ドメインを含む。一実施形態では、当該CARは、配列番号65、または配列番号65と少なくとも約95%(例えば、約96%、97%、98%、または99%)の同一性を有するアミノ酸配列を含む。好ましくは、当該CARは、配列番号65を含む。
【0277】
一実施形態では、当該CARは、配列番号65、または配列番号65と少なくとも約95%(例えば、約96%、97%、98%、または99%)の同一性を有するアミノ酸配列からなる。好ましくは、当該CARは、配列番号65からなる。
【0278】
一実施形態では、本発明のマウスCARは、抗MOG scFv(例えば、配列番号12を含むか、またはそれからなるscFv)、CD8のヒンジ領域、マウスCD8の膜貫通ドメイン、マウスCD28の細胞内ドメイン、及びマウスCD3ゼータの細胞内ドメインを含む。一実施形態では、当該CARは、配列番号66、または配列番号66と少なくとも約95%(例えば、約96%、97%、98%、または99%)の同一性を有するアミノ酸配列を含む。好ましくは、当該CARは、配列番号66を含む。
【0279】
一実施形態では、当該CARは、配列番号66、または配列番号66と少なくとも約95%(例えば、約96%、97%、98%、または99%)の同一性を有するアミノ酸配列からなる。好ましくは、当該CARは、配列番号66からなる。
【0280】
一実施形態では、本発明のマウスCARは、抗MOG scFv(例えば、配列番号12を含むか、またはそれからなるscFv)、CD8のヒンジ領域、マウスCD8の膜貫通ドメイン、マウスCD28の細胞内ドメイン、及びマウスCD3ゼータの細胞内ドメインを含む。一実施形態では、当該CARは、配列番号67、または配列番号67と少なくとも約95%(例えば、約96%、97%、98%、または99%)の同一性を有するアミノ酸配列を含む。好ましくは、当該CARは、配列番号67を含む。
【0281】
一実施形態では、当該CARは、配列番号67、または配列番号67と少なくとも約95%(例えば、約96%、97%、98%、または99%)の同一性を有するアミノ酸配列からなる。好ましくは、当該CARは、配列番号67からなる。
【0282】
一実施形態では、本発明のマウスCARは、抗MOG scFv(例えば、配列番号12を含むか、またはそれからなるscFv)、CD8のヒンジ領域、マウスCD8の膜貫通ドメイン、マウスCD28の細胞内ドメイン、及びマウスCD3ゼータの細胞内ドメインを含む。一実施形態では、当該CARは、配列番号68、または配列番号68と少なくとも約95%(例えば、約96%、97%、98%、または99%)の同一性を有するアミノ酸配列を含む。好ましくは、当該CARは、配列番号68を含む。
【0283】
一実施形態では、当該CARは、配列番号68、または配列番号68と少なくとも約95%(例えば、約96%、97%、98%、または99%)の同一性を有するアミノ酸配列からなる。好ましくは、当該CARは、配列番号68からなる。
【0284】
一実施形態では、本発明のマウスCARは、抗MOG scFv(例えば、配列番号12を含むか、またはそれからなるscFv)、CD8のヒンジ領域、マウスCD8の膜貫通ドメイン、マウスCD28の細胞内ドメイン、及びマウスCD3ゼータの細胞内ドメインを含む。一実施形態では、当該CARは、配列番号69、または配列番号69と少なくとも約95%(例えば、約96%、97%、98%、または99%)の同一性を有するアミノ酸配列を含む。好ましくは、当該CARは、配列番号69を含む。
【0285】
一実施形態では、当該CARは、配列番号69、または配列番号69と少なくとも約95%(例えば、約96%、97%、98%、または99%)の同一性を有するアミノ酸配列からなる。好ましくは、当該CARは、配列番号69からなる。
【0286】
別の態様では、本発明は、MOG結合ドメイン(例えば、配列番号51を含むか、またはそれからなるドメイン)と、任意選択で、細胞外ヒンジドメインと、膜貫通ドメインと、T細胞共刺激分子の単一の細胞内ドメインと、T細胞一次シグナル伝達ドメインと、を含むマウスCARを提供する。
【0287】
一実施形態では、本発明のマウスCARは、MOG結合ドメイン(例えば、配列番号51)、マウスCD8の膜貫通ドメイン(例えば、配列番号42)、マウスCD28の細胞内ドメイン(例えば、配列番号43)、及びマウスCD3ゼータ一次シグナル伝達ドメイン(例えば、配列番号44)を含む。ある特定の実施形態では、マウスCARはまた、マウスCD8のヒンジドメイン(例えば、配列番号41)を含み得る。上のドメインの任意の組み合わせを有するマウスCARが企図される。
【0288】
一実施形態では、本発明のマウスCARは、抗MOG scFv(例えば、配列番号51を含むか、またはそれからなるscFv)、CD8のヒンジ領域、マウスCD8の膜貫通ドメイン、マウスCD28の細胞内ドメイン、及びマウスCD3ゼータの細胞内ドメインを含む。一実施形態では、当該CARは、配列番号45、または配列番号45と少なくとも約95%(例えば、約96%、97%、98%、または99%)の同一性を有するアミノ酸配列を含む。好ましくは、当該CARは、配列番号45を含む。
【0289】
一実施形態では、当該CARは、配列番号45、または配列番号45と少なくとも約95%(例えば、約96%、97%、98%、または99%)の同一性を有するアミノ酸配列からなる。好ましくは、当該CARは、配列番号45からなる。
【0290】
一実施形態では、本発明のマウスCARは、抗MOG scFv(例えば、配列番号51を含むか、またはそれからなるscFv)、CD8のヒンジ領域、マウスCD8の膜貫通ドメイン、マウスCD28の細胞内ドメイン、及びマウスCD3ゼータの細胞内ドメインを含む。一実施形態では、当該CARは、配列番号61、または配列番号61と少なくとも約95%(例えば、約96%、97%、98%、または99%)の同一性を有するアミノ酸配列を含む。好ましくは、当該CARは、配列番号61を含む。
【0291】
一実施形態では、当該CARは、配列番号61、または配列番号61と少なくとも約95%(例えば、約96%、97%、98%、または99%)の同一性を有するアミノ酸配列からなる。好ましくは、当該CARは、配列番号61からなる。
【0292】
一実施形態では、本発明のマウスCARは、抗MOG scFv(例えば、配列番号51を含むか、またはそれからなるscFv)、CD8のヒンジ領域、マウスCD8の膜貫通ドメイン、マウスCD28の細胞内ドメイン、及びマウスCD3ゼータの細胞内ドメインを含む。一実施形態では、当該CARは、配列番号62、または配列番号62と少なくとも約95%(例えば、約96%、97%、98%、または99%)の同一性を有するアミノ酸配列を含む。好ましくは、当該CARは、配列番号62を含む。
【0293】
一実施形態では、当該CARは、配列番号62、または配列番号62と少なくとも約95%(例えば、約96%、97%、98%、または99%)の同一性を有するアミノ酸配列からなる。好ましくは、当該CARは、配列番号62からなる。
【0294】
一実施形態では、本発明のマウスCARは、抗MOG scFv(例えば、配列番号51を含むか、またはそれからなるscFv)、CD8のヒンジ領域、マウスCD8の膜貫通ドメイン、マウスCD28の細胞内ドメイン、及びマウスCD3ゼータの細胞内ドメインを含む。一実施形態では、当該CARは、配列番号63、または配列番号63と少なくとも約95%(例えば、約96%、97%、98%、または99%)の同一性を有するアミノ酸配列を含む。好ましくは、当該CARは、配列番号63を含む。
【0295】
一実施形態では、当該CARは、配列番号63、または配列番号63と少なくとも約95%(例えば、約96%、97%、98%、または99%)の同一性を有するアミノ酸配列からなる。好ましくは、当該CARは、配列番号63からなる。
【0296】
一実施形態では、本発明のマウスCARは、抗MOG scFv(例えば、配列番号51を含むか、またはそれからなるscFv)、CD8のヒンジ領域、マウスCD8の膜貫通ドメイン、マウスCD28の細胞内ドメイン、及びマウスCD3ゼータの細胞内ドメインを含む。一実施形態では、当該CARは、配列番号64、または配列番号64と少なくとも約95%(例えば、約96%、97%、98%、または99%)の同一性を有するアミノ酸配列を含む。好ましくは、当該CARは、配列番号64を含む。
【0297】
一実施形態では、当該CARは、配列番号64、または配列番号64と少なくとも約95%(例えば、約96%、97%、98%、または99%)の同一性を有するアミノ酸配列からなる。好ましくは、当該CARは、配列番号64からなる。
【0298】
B.CARをコードする核酸
本発明はまた、本明細書に記載のCARをコードする核酸配列に関する。かかる核酸配列の例は、配列番号28、またはその縮重もしくはコドン最適化バージョンである。
【0299】
一実施形態では、本発明のヒトCARは、配列番号28またはその縮重もしくはコドン最適化バージョンによってコードされる。一実施形態では、本発明のヒトCARは、配列番号28、または配列番号28と少なくとも約95%(例えば、約96%、97%、98%、または99%)の同一性を有するヌクレオチド配列によってコードされる。
【0300】
一実施形態では、本発明のヒトCARは、配列番号77またはその縮重もしくはコドン最適化バージョンによってコードされる。一実施形態では、本発明のヒトCARは、配列番号77、または配列番号77と少なくとも約95%(例えば、約96%、97%、98%、または99%)の同一性を有するヌクレオチド配列によってコードされる。
【0301】
一実施形態では、本発明のヒトCARは、配列番号78またはその縮重もしくはコドン最適化バージョンによってコードされる。一実施形態では、本発明のヒトCARは、配列番号78、または配列番号78と少なくとも約95%(例えば、約96%、97%、98%、または99%)の同一性を有するヌクレオチド配列によってコードされる。
【0302】
一実施形態では、本発明のヒトCARは、配列番号79またはその縮重もしくはコドン最適化バージョンによってコードされる。一実施形態では、本発明のヒトCARは、配列番号79、または配列番号79と少なくとも約95%(例えば、約96%、97%、98%、または99%)の同一性を有するヌクレオチド配列によってコードされる。
【0303】
一実施形態では、本発明のヒトCARは、配列番号80またはその縮重もしくはコドン最適化バージョンによってコードされる。一実施形態では、本発明のヒトCARは、配列番号80、または配列番号80と少なくとも約95%(例えば、約96%、97%、98%、または99%)の同一性を有するヌクレオチド配列によってコードされる。
【0304】
一実施形態では、本発明のヒトCARは、配列番号81またはその縮重もしくはコドン最適化バージョンによってコードされる。一実施形態では、本発明のヒトCARは、配列番号81、または配列番号81と少なくとも約95%(例えば、約96%、97%、98%、または99%)の同一性を有するヌクレオチド配列によってコードされる。
【0305】
一実施形態では、本発明のマウスCARは、配列番号50またはその縮重もしくはコドン最適化バージョンによってコードされる。一実施形態では、本発明のマウスCARは、配列番号50、または配列番号50と少なくとも約95%(例えば、約96%、97%、98%、または99%)の同一性を有するヌクレオチド配列によってコードされる。
【0306】
C.CARを発現するためのベクター
本発明は、本明細書のCARをコードする核酸を含む発現ベクターを更に提供する。
【0307】
一実施形態では、CARをコードする核酸は、DNAである。一実施形態では、CARをコードする核酸は、RNAである。本発明で使用され得るベクターの例としては、これらに限定されないが、DNAベクター、RNAベクター、プラスミド、エピソーム、ウイルスベクター(例えば、動物ウイルス)が挙げられる。
【0308】
一実施形態では、発現ベクターは、プロモーター、エンハンサー、及び転写ターミネーターなどの制御エレメントを含んで、宿主細胞における導入遺伝子(例えば、CAR)の発現を引き起こすか、またはその上に直接発現させることができる。ベクターはまた、1つ以上の選択可能なマーカーを含み得る。
【0309】
動物細胞の発現ベクターに使用されるプロモーター及びエンハンサーの例としては、これらに限定されないが、SV40の初期プロモーターとエンハンサー、LTRプロモーター、及びモロニーマウス白血病ウイルスのエンハンサー、ならびに免疫グロブリンH鎖のプロモーター及びエンハンサーなどが挙げられる。好適な構成的プロモーターの他の例としては、これらに限定されないが、即時初期サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター配列、伸長因子lα(EF-lα)プロモーター、ホスホグリセラートキナーゼ(PGK)プロモーター、FOXP3由来プロモーター、シミアンウイルス40(SV40)初期プロモーター、マウス乳腺腫瘍ウイルス(MMTV)プロモーター、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)長末端反復(LTR)プロモーター、MoMuLVプロモーター、トリ白血病ウイルスプロモーター、エプスタイン-バーウイルス即時初期プロモーター、ラウス肉腫ウイルスプロモーター、ならびにアクチンプロモーター、ミオシンプロモーター、ヘモグロビンプロモーター、及びクレアチンキナーゼプロモーターなどのヒト遺伝子プロモーターが挙げられる。
【0310】
好適な誘導性プロモーターの例としては、これらに限定されないが、メタロチオニンプロモーター、グルココルチコイドプロモーター、プロゲステロンプロモーター、クメート(cumate)プロモーター、及びテトラサイクリンプロモーターが挙げられる。
【0311】
好適な双方向プロモーターの例としては、これらに限定されないが、i)サイトメガロウイルス(CMV)またはマウス乳腺腫瘍ウイルス(MMTV)ゲノムに由来する第1の最小プロモーター配列、及びii)動物遺伝子に由来する完全有効プロモーター配列を含む双方向プロモーターが開示されている、参照により本明細書に組み込まれるLuigi Naldiniの米国特許第8,501,464号によって記載されるプロモーターが挙げられる。
【0312】
好適なベクターの例としては、これらに限定されないが、pAGE107、pAGE103、pHSG274、pKCR、pSG1ベータd2-4などが挙げられる。
【0313】
プラスミドの例としては、これらに限定されないが、複製起源を含む複製プラスミド、またはpUC、pcDNA、pBRなどの統合プラスミドが挙げられる。
【0314】
哺乳動物細胞への遺伝子導入のために、いくつかのウイルスベースのシステムが開発されている。ウイルスベクターの例としては、これらに限定されないが、アデノウイルスベクター、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、ヘルペスウイルスベクター、及びアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターが挙げられる。
【0315】
レトロウイルスは、遺伝子送達系のための便利なプラットフォームを提供し得る。選択された遺伝子をベクターに挿入し、当該技術分野で既知の技術を使用してレトロウイルス粒子にパッケージングすることができる。次いで、組換えウイルスを単離し、インビボまたはエクスビボのいずれかで対象の細胞に送達することができる。いくつかのレトロウイルス系は、当該技術分野で既知である。
【0316】
いくつかの実施形態では、アデノウイルスベクターが使用される。いくつかのアデノウイルスベクターは、当該技術分野で既知である。
【0317】
一実施形態では、レンチウイルスベクターが使用される。
【0318】
一実施形態では、AAVベクターが使用される。本明細書で使用される場合、「AAV」という用語は、天然発生型形態及び操作された形態の両方の全ての血清型及びバリアントを包含する。例えば、この用語は、AAV1型(AAV-1)、AAV2型(AAV-2)、AAV3型(AAV-3)、AAV4型(AAV-4)、AAV5型(AAV-5)、AAV6型(AAV-6)、AAV7型(AAV-7)、及びAAV8型(AAV-8)、ならびにAAV9型(AAV-9)を包含する。一実施形態では、ベクターは、AAV6ベクターである。一実施形態では、AAVは、AAV6カプシドを有するAAV及び別のAAV血清型に由来する組換えゲノム(例えば、AAV2に由来するITRを有する)など擬似型AAVである。
【0319】
組換えウイルスは、パッケージング細胞をトランスフェクトすることによって、またはヘルパープラスミドもしくはウイルスを用いた一過性トランスフェクションによって、当該技術分野で既知の技術によって産生され得る。ウイルスパッケージング細胞の典型的な例には、PA317細胞、PsiCRIP細胞、GPenv+細胞、293細胞、293T細胞などが含まれる。かかる複製欠陥のある組換えウイルスを産生するための詳細なプロトコルは、当該技術分野で見出され得る。昆虫細胞はまた、組換えAAVなどの組換えウイルスを産生するために使用され得る。
【0320】
III.CARを発現する細胞
A.制御性免疫細胞
本発明は、本明細書に記載のCARを細胞表面上に発現するように操作された制御性免疫細胞及び制御性免疫細胞集団に更に関する。
【0321】
本発明は、本発明によるCARを発現するか、または本発明による核酸分子もしくは本発明によるベクターを含む、制御性免疫細胞を提供する。
【0322】
一実施形態では、制御性免疫細胞は、T細胞、例えば、制御性T細胞(Treg)、CD8T細胞、CD4T細胞、またはNK T細胞である。一実施形態では、制御性免疫細胞は、CD4CD25CD127Tregである。Foxp3及びHeliosは、Treg細胞によって発現される転写因子であり、細胞の所望の表現型の維持を示す。したがって、好ましくは、Tregは、高レベルのFoxp3及び/またはHeliosを発現する(例えば、図4を参照されたい)。一実施形態では、Tregは、高レベルのFoxp3を発現する。一実施形態では、Tregは、高レベルのHeliosを発現する。
【0323】
本発明はまた、単離されたヒトT細胞を提供し、T細胞は、本発明による核酸分子または本発明のベクターを含む。一実施形態では、制御性免疫細胞は、T細胞、例えば、制御性T細胞(Treg)、CD8T細胞、CD4T細胞、またはNK T細胞である。一実施形態では、単離されたヒトT細胞は、CD4CD25CD127Tregである。好ましくは、Tregは、高レベルのFoxp3及び/またはHeliosを発現する。一実施形態では、Tregは、高レベルのFoxp3を発現する。一実施形態では、Tregは、高レベルのHeliosを発現する。
【0324】
本発明はまた、本明細書に記載のCARを細胞表面上に発現するように操作された制御性免疫細胞を含むか、またはそれからなる、単離された及び/または実質的に精製された制御性免疫細胞集団、好ましくはT細胞集団に関する。
【0325】
本発明のCARを発現する制御性免疫細胞は、それらの表面上にMOGを発現する中枢神経系の細胞を対象とする。制御性免疫細胞は、CARを介してMOGに局在化及び結合し、次いで、活性化される。このプロセスは、免疫細胞が自己免疫活性及び脱髄を引き起こす炎症を抑制し、それによって、自己免疫または炎症性疾患を治療することを可能にする。この意味で、制御性免疫細胞は、免疫攻撃に対するMOG発現細胞に対する保護シールドを提供するとみなされ得る。制御性免疫細胞はまた、神経病変の再髄鞘化を改善することができる。
【0326】
有利には、良好な活性化(高いシグナル対バックグラウンド比)及び良好な抑制活性を示すことに加えて、本発明のCARを発現する制御性免疫細胞は、低いトニックシグナル伝達を有することが見出されている。本明細書で使用される「トニックシグナル伝達」という用語は、抗原非依存性の活性化バックグラウンドを指す。トニックシグナル伝達を測定するための方法は、当業者に周知であり、限定されないが、CAR発現細胞の代謝活性を測定することと、受容体によって認識される抗原による刺激の不在下での細胞活性化の1つ以上の指標を測定することと、細胞老化(aging)または細胞老化(senescence)に関連する1つ以上の表現型変化を測定することと、抗原刺激の不在下での細胞周期の進行を決定することと、未修飾細胞のサイズと比較して、受容体を発現する細胞のサイズを測定することと、を含む。
【0327】
CAR Treg細胞による、形質導入されていないTreg細胞と比較したCD69の自発的発現のモニタリングは、トニックシグナル伝達強度の決定を可能にする。
【0328】
本明細書に示されるように、本発明の当該CAR構築物を発現する操作されたT細胞及び操作されたTreg細胞は、低トニックシグナル伝達を提示し、CAR関与後、操作されたTreg細胞は、Tエフェクター細胞増殖に対する非常に効率的な抑制活性を示し、それによって、細胞療法に対するこれらのTreg細胞の利点を示す。
【0329】
一実施形態では、制御性免疫細胞集団、好ましくは、T細胞集団は、Treg細胞、CD8T細胞、CD4T細胞、及び/またはNK T細胞を含む。
【0330】
一実施形態では、制御性免疫細胞集団、好ましくは、T細胞集団は、Treg細胞、CD8T細胞、CD4T細胞、及び/またはNK T細胞からなる。
【0331】
一実施形態では、本発明のT細胞は、Treg細胞である。
【0332】
一実施形態では、本発明の細胞集団におけるTreg細胞は全て、本明細書に記載のCARを発現し、したがって、CAR単一特異性(すなわち、全てのTreg細胞が同じ抗原(MOG)を認識する)として定義され得る。一実施形態では、Treg細胞集団は、TCR単一特異性(すなわち、全てのTreg細胞は、それらのTCRと同じ抗原を認識する)である。別の実施形態では、Treg細胞集団は、TCR多特異性(すなわち、Treg細胞は、それらのTCRと異なる抗原を認識し得る)である。
【0333】
一実施形態では、本発明のCARは、T(例えば、Treg)細胞によって発現されるとき、T細胞に、それらの細胞表面上にMOGを発現する細胞に結合し、かつMOGに結合することによって活性化される能力を付与する。
【0334】
MOGは、主に、CNSにおけるオリゴデンドロサイトによって発現される。
【0335】
したがって、本発明の制御性免疫細胞集団(例えば、本発明のT細胞(例えば、Treg)集団)は、再指向された制御性免疫細胞集団として定義され得る。本明細書で使用される場合、「再指向された」という用語は、本明細書に記載のCARを担持する制御性免疫細胞を指し、これは、制御性免疫細胞に、制御性免疫細胞が特異的であったであろうリガンドまたはそれによって活性されるリガンドとは異なるリガンドに結合し、それによって活性化される能力を付与する。
【0336】
一実施形態では、本発明のTreg細胞は、細胞傷害性ではない。
【0337】
一実施形態では、本発明のTreg細胞は、細胞傷害性である。
【0338】
一実施形態では、本発明のTreg細胞は、CD4CD25CD127FOXP3 Treg細胞、CD4CD25FOXP3 Treg細胞、Tr1細胞、TGF-β分泌性Th3細胞、制御性NK T細胞、制御性γδ T細胞、制御性CD8T細胞、及び二重陰性制御性T細胞を含む群から選択され得る。
【0339】
一実施形態では、制御性免疫細胞は、CD4 Treg細胞である。一実施形態では、Tregは、胸腺由来Tregまたは適応性もしくは誘導性Tregである。一実施形態では、Treg細胞は、CD4FOXP3 Treg細胞、またはCD4FOXP3制御性T細胞(Tr1細胞)である。
【0340】
一実施形態では、制御性免疫細胞は、CD8 Treg細胞である。一実施形態では、CD8 Treg細胞は、CD8CD28 Treg細胞、CD8CD103 Treg細胞、CD8FOXP3 Treg細胞、CD8CD122 Treg細胞、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。一実施形態では、制御性細胞は、INFγIL10IL34CD8CD45RCTreg細胞である。
【0341】
一実施形態では、本発明の制御性免疫細胞は、ヒトTreg細胞である。
【0342】
一実施形態では、制御性免疫細胞(例えば、T細胞またはTreg細胞)は、人工多能性幹細胞(iPSC)などの幹細胞に由来する。
【0343】
本明細書で使用される場合、「人工多能性幹細胞」または「iPSC」という用語は、脱分化またはリプログラミングによって非多能性細胞(例えば、成人体細胞)に由来する多能性幹細胞を指す。特に、iPSCは、特定の多能性関連遺伝子のセット(リプログラミング因子)を細胞に導入することによって得ることができる。リプログラミング因子は、例えば、転写因子Oct4(Pou5f1)、Sox2、c-Myc、及びKlf4であり得る。
【0344】
一実施形態では、Treg細胞は、以下の表現型を有する:CD4CD25、例えば、CD4CD25CD127及びCD4CD25CD127CD45RA。一実施形態では、Treg細胞は、以下の表現型を有する:CD4CD25、例えば、CD4CD25CD127及びCD4CD25CD127CD45RA。一実施形態では、Treg細胞は、以下の表現型を有する:CD4CD25、例えば、CD4CD25CD127低/-及びCD4CD25CD127低/-CD45RA。一実施形態では、Treg細胞は、以下の表現型を有する:FOXP3CD4CD25、例えば、FOXP3CD4CD25CD127及びFOXP3CD4CD25CD127CD45RA。一実施形態では、Treg細胞は、以下の表現型を有する:FOXP3CD4CD25、例えば、FOXP3CD4CD25CD127及びFOXP3CD4CD25CD127CD45RA。一実施形態では、Treg細胞は、以下の表現型を有する:FOXP3CD4CD25、例えば、FOXP3CD4CD25CD127低/-及びFOXP3CD4CD25CD127低/-CD45RA
【0345】
一実施形態では、Treg細胞は、以下の表現型を有する:CD4CD25、例えば、CD4CD25CD127及びCD4CD25CD127CD45RA。一実施形態では、Treg細胞は、以下の表現型を有する:CD4CD25、例えば、CD4CD25CD127及びCD4CD25CD127CD45RA。一実施形態では、Treg細胞は、以下の表現型を有する:CD4CD25、例えば、CD4CD25CD127低/-及びCD4CD25CD127低/-CD45RA。一実施形態では、Treg細胞は、以下の表現型を有する:FOXP3CD4CD25、例えば、FOXP3CD4CD25CD127及びFOXP3CD4CD25CD127CD45RA。一実施形態では、Treg細胞は、以下の表現型を有する:FOXP3CD4CD25、例えば、FOXP3CD4CD25CD127及びFOXP3CD4CD25CD127CD45RA。一実施形態では、Treg細胞は、以下の表現型を有する:FOXP3CD4CD25、例えば、FOXP3CD4CD25CD127低/-及びFOXP3CD4CD25CD127低/-CD45RA
【0346】
一実施形態では、制御性免疫細胞(例えば、TまたはTreg細胞)は、自己細胞である。自己療法は、各患者のための「カスタム」製品である。別の実施形態では、制御性免疫細胞(例えば、T細胞またはTreg細胞)は、同種異系細胞である。同種異系細胞は、多くの患者を治療するために使用される「既製の」製品を提供するために、同種異系療法で使用され得る。そのような事例では、細胞は、細胞に対する宿主拒絶反応(移植片拒絶反応)及び/または宿主に対する細胞の潜在的な攻撃(移植片対宿主病)を低減するように操作され得る。例として、細胞は、以下:(i)T細胞受容体(TCRアルファ鎖またはベータ鎖)、(ii)多型主要組織適合性複合体(MHC)クラスIまたはII分子(例えば、HLA-A、HLA-B、もしくはHLA-C;HLA-DP、HLA-DM、HLA-DOA、HLA-DOB、HLA-DQ、もしくはHLA-DR;またはβ2-ミクログロブリン(B2M))、(iii)抗原プロセシングに関連するトランスポーター(例えば、TAP-1またはTAP-2)、(iv)クラスII MHCトランスアクティベーター(CIITA)、(v)マイナー組織適合抗原(MiHA;例えば、HA-1/A2、HA-2、HA-3、HA-8、HB-1H、またはHB-1Y)、及び(vi)それらの任意の組み合わせのうちの1つ以上についてヌル遺伝子型を有するように操作され得る。
【0347】
分子の発現レベルは、フローサイトメトリー、免疫蛍光、または画像分析によって決定され得る。細胞内タンパク質を検出するために、フローサイトメトリー分析の前に、細胞を固定し、透過させてもよい。
【0348】
一実施形態では、細胞集団における分子の発現レベルは、分子を発現する細胞集団のパーセンテージによって示される(すなわち、分子の細胞「+」)。分子を発現する細胞のパーセンテージは、FACSによって測定され得る。目的の細胞マーカーの発現レベルは、このマーカーに特異的な蛍光標識抗体で染色された細胞集団からの細胞の中央蛍光強度(MFI)と、無関係な特異性を有するが、同じアイソタイプ、同じ蛍光プローブであり、かつ同じ種に由来する蛍光標識抗体で染色された同じ細胞集団からの細胞(アイソタイプ対照と称される)の蛍光強度(FI)とを比較することによって決定され得る。このマーカーに特異的な蛍光標識抗体で染色し、かつアイソタイプ対照で染色した細胞よりも同等のMFIまたは低いMFIを示す集団からの細胞は、このマーカーを発現しておらず、次いで、(-)または陰性と指定される。このマーカーに特異的な蛍光標識抗体で染色し、かつアイソタイプ対照で染色した細胞よりも優れたMFI値を示す集団からの細胞は、このマーカーを発現しており、次いで、(+)または陽性と指定される。
【0349】
「発現している」(すなわち、「陽性」または「+」)及び「発現していない」(すなわち、「陰性」または「-」)という用語は、目的の細胞マーカーの発現レベルを指し、その中で、「+」に対応する細胞マーカーの発現レベルは高いか、または中間であり、「+/-」とも称され、「-」に対応する細胞マーカーの発現レベルがヌルである。「低い」または「低」または「低/-」という用語は、目的の細胞マーカーの発現レベルを指し、その中で、細胞マーカーの発現レベルは、全体として分析されている細胞集団におけるその細胞マーカーの発現レベルと比較して低い。より具体的には、「低」という用語は、1つ以上の他の異なる細胞集団よりも低いレベルで細胞マーカーを発現する異なる細胞集団を指す。「高い」または「高」または「高/-」という用語は、目的の細胞マーカーの発現レベルを指し、その中で、細胞マーカーの発現レベルは、全体として分析されている細胞集団におけるその細胞マーカーの発現レベルと比較して高い。一般に、染色強度の上位2、3、4、または5%の細胞は「高」と指定され、それらは集団の上位半分に属し、「+」として分類される。蛍光強度の50%未満に低下するそれらの細胞は、「低」細胞として指定され、5%未満は「-」細胞として指定される。
【0350】
一実施形態では、本発明のCARは、Treg細胞によって発現されるとき、MOGに指向された他のCAR構築物と比較して、当該Treg細胞の活性化バックグラウンドの低減を可能にする。
【0351】
B.制御性免疫細胞の活性化
重要なことに、CARがその標的に結合すると、制御性免疫細胞、好ましくは、T細胞、より好ましくは、Treg細胞、例えば、CD4CD25CD127Treg細胞の活性化が、細胞がサイトカイン(例えば、IL-10、TGF-B)及びエフェクターT細胞(Teff細胞)の活性を抑制し、かつ末梢耐性を確立する他の可溶性メディエーターを放出するように、更に必要とされる。細胞はまた、例えば、CTLA4-CD80/86及びLAG3を介した細胞接触によって作用する。活性化が生理学的様式で起こるためには、細胞内のシグナル伝達が必要である。そのようなシグナル伝達を得ることは、CARがその標的にどのように(例えば、どの位置または配置で)結合するかに依存するため、困難である。言い換えれば、MOG+オリゴデンドロサイトへの単なる結合は、機能的な制御性免疫細胞及びCNSにおけるその保持を誘導するのに十分ではない。
【0352】
本発明者らは、本発明のCARを発現する調節免疫細胞、特にTreg細胞、例えば、CD4CD25CD127Treg細胞が、MOG提示細胞と結合することができるそれらの表面上にMOG結合CARを提示することを示した。
【0353】
本発明のCARは、活性化なしの低CD69発現(低トニック/バックグラウンド活性化)及び良好なCAR媒介活性化(高シグナル対バックグラウンド比)、例えば、活性化が少なくとも2倍増加することを含む、実施例に示されるような有利な特性の組み合わせを有する新しいCARである。図11を参照されたい。
【0354】
本発明のCARは、マウス及びヒトMOGタンパク質に結合することができる、新しい交差反応性CARである。図12を参照されたい。
【0355】
Treg細胞のCAR特異的活性化及びTreg細胞の低い活性化バックグラウンドを図5及び9に示す。本発明のCAR-MOGを発現するTreg細胞は、図6に示されるように、効率的なCAR媒介性抑制活性を呈する。重要なことに、CARの活性化及び増殖は、CNSにおいて生じることが示され、図10A及び10Bを参照されたい。
【0356】
IV.組成物、薬学的組成物、薬剤
一態様では、本発明はまた、本明細書に記載の本発明のMOG結合タンパク質(例えば、抗体またはその断片、特に、scFv)を含む(本質的にそれからなること、及びそれからなることを含む)組成物を提供する。
【0357】
一態様では、本発明はまた、本発明のタンパク質をコードする核酸またはベクターを含む(本質的にそれからなること、及びそれからなることを含む)組成物を提供する。
【0358】
別の態様では、本発明は、本発明によるCARを含む制御性免疫細胞または制御性免疫細胞集団を含む(本質的にそれからなること、及びそれからなることを含む)組成物を提供する。一実施形態では、組成物は、本発明による制御性免疫細胞または本発明の制御性免疫細胞の集団を含む。
【0359】
一実施形態では、当該組成物は、薬学的組成物であり、薬学的に許容される賦形剤を更に含む。
【0360】
したがって、本発明は、本発明によるCARを含む制御性免疫細胞または制御性免疫細胞集団と、薬学的に許容される賦形剤とを含む薬学的組成物に更に関する。一実施形態では、薬学的組成物は、本発明によるCARを含む制御性免疫細胞または制御性免疫細胞集団と、薬学的に許容される賦形剤からなる。
【0361】
一実施形態では、本発明のMOG結合タンパク質(例えば、抗体またはその断片、特にscFv)、核酸もしくは発現ベクター、または制御性免疫細胞もしくは制御性免疫細胞集団は、当該組成物内で生物学的活性を有する唯一の治療剤または薬剤である。
【0362】
「薬学的に許容される賦形剤」という用語は、溶媒、分散媒体、コーティング、抗菌剤及び抗真菌剤、緩衝剤、等張剤、安定化剤、防腐剤、吸収遅延剤などを指す。当該賦形剤は、ヒトなどの対象に投与された場合、有害反応、アレルギー反応、または他の不都合な反応を生じさせない。
【0363】
本発明の組成物に使用され得る薬学的に許容される賦形剤の例としては、これらに限定されないが、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク質(例えば、ヒト血清アルブミン)、緩衝剤(例えば、リン酸塩)、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩、または電解質(例えば、塩化ナトリウム、プロタミン硫酸塩、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、及び亜鉛塩)、及びポリエチレングリコールが挙げられる。
【0364】
一実施形態では、本発明による医薬組成物は、注射に薬学的に好適なビヒクルを含む。これらは、例えば、(例えば、リン酸一ナトリウムもしくはリン酸二ナトリウム;ナトリウム、カリウム、カルシウム、もしくは塩化マグネシウム;またはそのような塩の混合物を含む)等張性の滅菌生理食塩水、または滅菌水もしくは生理学的生理食塩水などの好適な担体を添加すると、注射可能な溶液の構成を可能にする乾燥(例えば、凍結乾燥)組成物であり得る。
【0365】
別の態様では、本発明は、本発明のMOG結合タンパク質を含む(本質的にそれからからなること、及びそれからなることを含む)薬剤を提供する。
【0366】
本発明は、本発明のCARを発現する制御性免疫細胞の集団を含む(本質的にそれからなること、及びそれからなることを含む)薬剤を更に提供する。
【0367】
本発明は、本発明のMOG結合タンパク質をコードする核酸を含む薬剤を更に提供する。
【0368】
本発明は、本発明のベクターを含む薬剤を更に提供する。
【0369】
V.投与経路
例示的な投与形態としては、非経口、吸入スプレーによるもの、直腸、鼻、または埋め込まれたリザーバーを介するものが挙げられる。
【0370】
例示的な投与形態としては、限定されないが、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、滑膜内、胸骨内、髄腔内、腹腔内、肝臓内、病変内及び頭蓋内の注射または注入技術を含む注射、好ましくは、静脈内、髄腔内、または腹腔内注射、より好ましくは、静脈内注射が挙げられる。
【0371】
注射に適合される例示的な形態としては、これらに限定されないが、例えば、無菌水溶液、ゲル、分散液、エマルション、懸濁液、使用前に液体を添加する際に溶液または懸濁液を調製するために使用するのに好適な固体形態、例えば、粉末、リポソーム形態などが挙げられる。
【0372】
VI.投与量
しかしながら、治療上有効な量及び投与頻度は、健全な医学的判断の範囲内で担当医師によって決定されることが理解されるであろう。任意の特定の患者に対する特定の治療上有効な用量レベルは、治療されている疾患及び疾患の重症度;用いられる単離されたMOG結合タンパク質、核酸、発現ベクター、または制御性免疫細胞の活性;対象の年齢、体重、一般健康、性別、及び食事;用いられる特定の治療剤の投与時間、投与経路、及び排泄速度;治療の持続時間;用いられる特定の治療剤と併用してまたは同時に使用される薬物;ならびに医術において周知の同様の因子を含む様々な因子に依存する。例えば、所望の治療効果を達成するために必要とされるレベルよりも低いレベルで化合物の用量を開始し、所望の効果が達成されるまで投与量を徐々に増加させることは、十分に当該技術分野の範囲内である。各治療に必要な総用量は、複数回用量または単回用量で投与され得る。
【0373】
一実施形態では、対象(例えば、ヒト)は、本発明の治療剤(例えば、制御性免疫細胞または制御性免疫細胞集団)の単回投与を受ける。
【0374】
一実施形態では、対象(例えば、ヒト)は、本発明の治療剤(例えば、制御性免疫細胞または制御性免疫細胞集団)の少なくとも2回の投与を受ける。
【0375】
一実施形態では、本発明の治療剤(例えば、制御性免疫細胞または制御性免疫細胞集団)は、対象に週1回、月1回、または年1回投与される。
【0376】
一実施形態では、対象に投与される制御性免疫細胞の数は、約10~約10、約10~約10、約10~約10、または約10~約10の範囲である。
【0377】
一実施形態では、本発明の治療剤(例えば、制御性免疫細胞または制御性免疫細胞集団)は、それを必要とする対象に、別の活性剤と組み合わせて投与される。一実施形態では、当該他の活性剤は、炎症性CNS疾患/障害、例えば、多発性硬化症の治療に使用され得る薬剤である。他の活性剤の例としては、これらに限定されないが、グルココルチコイド(限定されないが、デキサメタゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、ベタメタゾン、ベドメタゾン、チキソコルトール、トリアムシノロン、ヒドロコルチゾン、ブデソニド、またはフルドロコルチゾン)、ヒトサイトカインの抗体またはアンタゴニスト、分子(例えば、オファツムマブ、オクレリズマブ、リツキシマブ、トシツモマブ、オビヌツズマブなどの抗CD20;アレムツズマブなどの抗CD52;ナタリズマブなどの抗α4β1インテグリン;ダクリズマブなどの抗CD25;オピシヌマブなどの抗LINGO-1など)、インターフェロン-ベータ-1a、ペグインターフェロン-ベータ-1a、インターフェロン-ベータ-1b、グラチラマー酢酸塩、ミトキサントロン、イブジラスト、シンバスタチン、ビオチン、ラキニモド、オザニモド、フィンゴリモド、シポニモド、ポネシモド、エボブルチニブテリフルノミド、フマル酸モノメチル、フマル酸ジメチル、フマル酸ジロキシメル、免疫調節剤(例えば、タクロリムス、シクロスポリン、メトトレキサート、サリドマイド、レフルノミド、及びクラドリビン、アザチオプリン、6-メルカプトプリンなどのプリンの類似体など)、及び血漿交換が挙げられる。
【0378】
一実施形態では、本発明の治療剤(例えば、制御性免疫細胞または制御性免疫細胞集団)の投与は、対象によって受けられる当該他の活性剤の量の低減を可能にする。
【0379】
一実施形態によれば、本発明の治療剤(例えば、制御性免疫細胞または制御性免疫細胞集団)は、他の活性剤の投与の前、それと同時に、またはその後に投与される。
【0380】
VII.治療上の使用
本発明は、薬剤として使用するための、本明細書の任意の箇所に記載のCARを発現する細胞(例えば、本明細書に記載のTreg細胞などの本明細書に記載の制御性免疫細胞)に更に関する。
【0381】
本発明は、MSなどの炎症性CNS疾患/障害において使用するための、本明細書の任意の箇所に記載のCARを発現する細胞(例えば、本明細書に記載のTreg細胞などの本明細書に記載の制御性免疫細胞)に更に関する。
【0382】
本発明は、脱髄疾患/障害、特に自己抗体または自己反応性免疫細胞の存在に関連するものを治療する際に使用するための、本明細書の任意の箇所に記載のCARを発現する細胞(例えば、本明細書に記載のTreg細胞などの本明細書に記載の制御性免疫細胞)に更に関する。
【0383】
本発明は、MOG関連疾患/障害(MOGAD)、特にMOG関連炎症性疾患/障害、より具体的には自己抗体または自己反応性免疫細胞の存在に関連するものを治療する際に使用するための、本明細書の任意の箇所に記載のCARを発現する細胞(例えば、本明細書に記載のTreg細胞などの本明細書に記載の制御性免疫細胞)に更に関する。
【0384】
本発明は、CNSの炎症を低減または予防するための、本明細書の任意の箇所に記載されるような、本明細書の任意の箇所に記載のCARを発現する細胞(例えば、本明細書に記載のTreg細胞などの本明細書に記載の制御性免疫細胞)に更に関する。本発明はまた、CNSの脱髄を含む損傷を低減または予防するための、本明細書に記載のCARを発現する細胞(例えば、本明細書に記載のTreg細胞などの本明細書に記載の制御性免疫細胞)に関する。本発明はまた、CNSの神経病変の再髄鞘化を誘導するための、本明細書に記載のCARを発現する細胞(例えば、本明細書に記載のTreg細胞などの、本明細書に記載の制御性免疫細胞)に関する。
【0385】
本発明は、本発明による制御性免疫細胞または薬剤として使用するための本明細書の任意の箇所に記載の本発明の制御性免疫細胞の集団を含む組成物に更に関する。
【0386】
本発明は、MSなどの炎症性CNS疾患/障害を治療する際に使用するための、本発明による制御性免疫細胞または本明細書の任意の箇所に記載の本発明の制御性免疫細胞の集団を含む組成物に更に関する。
【0387】
本発明は、脱髄疾患/障害、特に自己抗体または自己反応性免疫細胞の存在に関連するものを治療する際に使用するための、本発明による制御性免疫細胞または本明細書の任意の箇所に記載の本発明の制御性免疫細胞の集団を含む組成物に更に関する。
【0388】
本発明は、MOG関連疾患/障害(MOGAD)、特にMOG関連炎症性疾患/障害、より具体的には自己抗体または自己反応性免疫細胞の存在に関連するものを治療する際に使用するための、本発明による制御性免疫細胞または本明細書の任意の箇所に記載の本発明の制御性免疫細胞の集団を含む組成物に更に関する。
【0389】
本発明は、CNSの脱髄を含む炎症及び/または損傷を低減または予防するための、本発明による制御性免疫細胞または本明細書の任意の箇所に記載の本発明の制御性免疫細胞の集団を含む組成物に更に関する。
【0390】
本発明は、疾患、障害、または疾患もしくは障害の症状を治療することを必要とする対象においてそれを行う方法に更に関し、方法は、本明細書の任意の箇所に記載のCARを発現する細胞集団(例えば、本明細書に記載のTreg細胞などの本明細書に記載の制御性免疫細胞)を対象に投与することを含む。一実施形態では、方法は、炎症性CNS疾患/障害を治療するための方法である。一実施形態では、方法は、脱髄疾患/障害、特に自己抗体または自己反応性免疫細胞の存在に関連するものを治療するための方法である。一実施形態では、方法は、MOG関連疾患/障害(MOGAD)、特にMOG関連炎症性疾患/障害、より具体的には自己抗体または自己反応性免疫細胞の存在に関連するものを治療するための方法である。
【0391】
本発明は、疾患、障害、または疾患もしくは障害の症状を治療することを必要とする対象においてそれを行う方法に更に関し、方法は、本発明による制御性免疫細胞または本明細書の任意の箇所に記載の本発明の制御性免疫細胞の集団を含む組成物を対象に投与することを含む。一実施形態では、方法は、炎症性CNS疾患/障害を治療するための方法である。一実施形態では、方法は、脱髄疾患/障害、特に自己抗体または自己反応性免疫細胞の存在に関連するものを治療するための方法である。一実施形態では、方法は、MOG関連疾患/障害(MOGAD)、特にMOG関連炎症性疾患/障害、より具体的には自己抗体または自己反応性免疫細胞の存在に関連するものを治療するための方法である。
【0392】
本発明は、CNSの脱髄を含む炎症及び/または損傷を低減または予防することを必要とする対象においてそれを行うための方法に更に関する。
【0393】
本発明は、炎症性CNS疾患/障害、例えば、多発性硬化症を治療することを必要とする対象においてそれを行うための細胞療法方法に更に関し、当該方法は、本明細書に記載の制御性免疫細胞、例えば、本明細書に記載のTreg細胞を対象に投与することを含む。
【0394】
一実施形態では、投与される制御性免疫細胞は、自己細胞であり、言い換えれば、細胞療法は、自己細胞療法である。本明細書で使用される場合、「自己」という用語は、後で再導入される同じ個体に由来する任意の材料を指す。
【0395】
一実施形態では、細胞療法は異種細胞療法である。本明細書で使用される場合、「異種」という用語は、治療される対象に由来しないが、外部源、例えば、人工多能性幹細胞(iPSC)または死体起源の細胞に由来する任意の材料を指す。
【0396】
一実施形態では、細胞療法は、異種である。本明細書で使用される場合、「異種」という用語は、材料が導入される対象と異なる種の対象に由来する任意の材料を指す。
【0397】
別の実施形態では、投与される制御性免疫細胞は同種異系細胞であり、言い換えれば、細胞療法は、同種異系細胞療法である。本明細書で使用される場合、「同種異系」という用語は、材料が導入される対象と同じ種の異なる対象に由来する任意の材料を指す。1つ以上の遺伝子座における遺伝子が同一でない場合、2つ以上の対象は、互いに同種異系であると言われる。更なる実施形態では、制御性免疫細胞は、健康なヒトドナーに由来する。
【0398】
炎症性CNS疾患/障害の例としては、これらに限定されないが、進行性核上性麻痺(PSP)、アルツハイマー病(AD)、パーキンソン病(PD)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、自閉症スペクトラム障害、ラスムッセン脳炎、慢性外傷性脳症(CTE)が挙げられる。
【0399】
好ましい炎症性CNS疾患/障害は、多発性硬化症(MS)、臨床的に孤立した症候群(CIS)、視神経脊髄炎(NMO)、視神経炎、急性散在性脳脊髄炎、横断性脊髄炎、副腎白質ジストロフィー、白質消失病、及び風疹(Rubella)誘発性精神遅滞などの自己抗原及び/または自己抗体によって引き起こされるか、または悪化する脱髄障害である。より好ましい脱髄障害は、多発性硬化症(MS)及び視神経脊髄炎(NMO)である。ある特定の実施形態では、当該MSは、再発寛解型MS(RRMS)、二次進行型MS(SPMS)、一次進行型MS(PPMS)、急性劇症多発性硬化症、及びMSが疑われる放射線学的に孤立した症候群(RIS)から選択される。
【0400】
一実施形態では、炎症性CNS疾患/障害は、臨床的に孤立した症候群(CIS)である。
【0401】
一実施形態では、炎症性CNS疾患/障害は、多発性硬化症(MS)である。
【0402】
一実施形態では、多発性硬化症は、再発寛解型MS(RRMS)である。
【0403】
一実施形態では、多発性硬化症は、一次進行型MS(PPMS)である。
【0404】
一実施形態では、多発性硬化症は、二次進行型MS(SPMS)である。
【0405】
VIII.製造物品
本発明はまた、本発明による炎症性CNS疾患/障害、例えば、多発性硬化症の治療に有用な材料を含む製造物品に関する。
【0406】
製造物品は、容器と、容器上のまたは容器に関連付けられたラベルまたは添付文書とを含み得る。好適な容器としては、例えば、バッグ、ボトル、バイアル、シリンジ、パウチなどが挙げられる。容器は、ガラスまたはプラスチックなどの様々な材料から形成され得る。
【0407】
製造物品、ラベル、または添付文書は、本発明のTreg細胞集団を患者に投与するための指示材料を更に含み得る。
【0408】
本発明は、本発明の制御性免疫細胞集団を含むキットを提供する。「キット」とは、本発明のTreg細胞集団を含む任意の製造物品(例えば、パッケージまたは容器)を意味することが意図されている。キットはまた、使用説明書を含んでもよい。
【0409】
本明細書で別途定義されない限り、本開示に関連して使用される科学用語及び技術用語は、当業者によって一般的に理解される意味を有するものとする。本明細書に記載の方法及び材料に類似またはそれらと同等の方法及び材料もまた、本開示の実践または試験に使用することができるが、例示的な方法及び材料を以下に記載する。矛盾する場合には、本明細書が、定義を含めて優先される。一般に、本明細書に記載の医薬、医学、及び製薬化学、細胞生物学、分子と関連して使用される専門用語は、当該技術分野で周知であり、かつ一般的に使用されているものである。更に、文脈によって別段に必要とされない限り、単数形の用語は複数形を含み、複数形の用語は単数形を含むものとする。本明細書及び実施形態全体を通して、「有する(have)」及び「含む(comprise)」という語句、または「有する(has)」、「有する(having)」、「含む(comprises)」、もしくは「含むこと(comprising)」などの変化形は、述べられている整数または整数の群を包含することを暗示するが、任意の他の整数または整数の群の除外を暗示ではないことが理解されるであろう。
【0410】
本開示がよりよく理解され得るように、以下の実施例が示される。これらの実施例は、例示の目的のためだけであり、いかなる方法でも本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【実施例
【0411】
本発明は、以下の実施例によって更に例示される。
【0412】
材料及び方法
異なるMOGバリアントへのMOG結合の決定
本発明のMOG-CARを発現する酵母細胞を、ビオチン化ヒトMOG-His(Uniprot Q16653)、マウスMOG-His(Uniprot Q61885)(両方ともRND Systems)、または示された濃度で発現されたカニクイザルMOG-FCタンパク質(Q9BGS7)哺乳動物細胞とともにインキュベートした。次いで、scFV発現酵母細胞に結合したMOGタンパク質を、フルオロフォアタグ付きストレプトアビジンを使用してフローサイトメトリーによって検出し、一方で、scFV発現を、遺伝子的にコードされたN末端融合MYCタグの染色によって検出した。図13を参照されたい。
【0413】
A.ヒト細胞による経験
1.ヒトPBMC単離
健康なドナーの血液は、Etablissement Francais du Sang(EFS)によって収集される。採血の翌日、末梢血単核細胞(PBMC)をFicoll勾配遠心分離によってバッフィーコートから単離し、これにより、顆粒球、血小板、及び残っている赤血球混入物質などの血液生成物の不要な画分の除去が可能になる。次いで、目的の細胞集団を以下のように単離した。
【0414】
2.FoxP3 Treg及びCD4CD25の従来のヒトT細胞単離
CD4CD25CD127Tregを、製造業者の指示に従って、ヒトCD4CD127CD25制御性T細胞単離キット(#18063;StemCell)を使用して単離した。簡潔には、CD25細胞を、EasySep(商標)Releasable RapidSpheres(商標)を使用して、カラムフリーの免疫磁気陽性選択により、400~500×10個のPBMCから最初に単離した。次いで、結合した磁性粒子をEasySep(商標)単離CD25細胞から除去し、不要な非Tregを枯渇のために標的化した。最終的な単離された画分は、高度に精製されたCD4CD127CD25細胞を含み、それらは高レベルのFoxp3を発現し、すぐに下流用途に使用された。CD4CD25の従来のT細胞は、Tregと並行して機能研究で使用するために、キット#18063(幹細胞)からCD4CD25レスポンダーT細胞を単離するための任意選択のプロトコルを選択することによって単離した。
【0415】
3.単離されたヒトTregの活性化及び培養
単離されたTreg細胞を活性化し、9日間培養した。簡潔には、0日目に、Treg細胞(0.5×10個)を、ヒトトランスフェリン(OZYME)を含むXvivo15無血清培地を用いて24ウェルプレート(Costar)に培養し、1000U/mLのIL-2(Euromedex)+100nMのラパマイシン(Sigma-Aldrich)を補充した。次いで、CD3/CD28活性化を、Life TechnologyのDynabeads(1ウェル当たり0.5×10個のビーズ)で行った。2、4、及び7日目に、1000U/mLのIL-2を補充した新鮮な培養培地を細胞に供給した。最後に、9日目に、細胞を回収し、計数し、再活性化した。
【0416】
4.レンチウイルスベクターの産生及び滴定
CAR発現レンチウイルスベクター(LV)を、古典的な4プラスミドレンチウイルスシステムを使用して産生した。簡潔には、HEK293T細胞(Lenti-X、Ozyme)を、CAR発現移行ベクター、HIV-1 Gag/pol(pMDLg/pRRE)を発現するプラスミド、HIV-1 Rev(pRSV.Rev)、及びウイルスエンベロープについては、ヒトTregの形質導入のためのVSV-G糖タンパク質(pMD2.G)(Didier Trono、EPFL、Switzerland)、及びマウスTregの形質導入のためのエコトロピックMLVエンベロープ糖タンパク質(pCMV-Eco、Cell Biolabs Inc.)でトランスフェクトした。トランスフェクションから24時間後、ウイルス上清を採取し、遠心分離によって濃縮し、アリコートし、長期保存のために-80℃で凍結した。ウイルス上清の連続希釈を用いて、Jurkat T細胞株(VSV-G擬似型の場合)またはNIH-3T3(EcoMLV擬似型の場合)の形質導入後に、1ミリリットル当たりの形質導入単位(TU/mL)で発現した感染力価を取得し、GFP発現をモニタリングすることによって、4日後に形質導入効率を評価した。
【0417】
5.ヒトTreg形質導入プロトコル
Tregを、キメラ受容体による活性化の2日後に形質導入した(以下を参照されたい)。簡潔には、形質導入を、1mL当たり2~5×10個の形質導入単位(TU)を各ウェルに充填することによって実施した。37℃で6時間後、ウイルス粒子をウォッシュアウトによって除去した。次いで、プレートを5%CO2で、37℃でインキュベートした。形質導入の5日後、形質導入効率を分析した:遺伝子導入有効性は、フローサイトメトリーにおけるGFP陽性細胞のパーセンテージの分析によって測定された。
【0418】
6.形質導入に使用されるヒトCAR構築物。
CD8膜貫通(TM)及びCD28の細胞内ドメインからなるMOG CARを、CD3ζと並行して、MOGに対して指向されたscFvと関連付けて設計する。本研究で使用される構築物を図1に列挙し、説明する。
【0419】
7.形質導入されたヒトTregの表現型分析
培養の9日目に、表1に列挙されるマーカーを使用して、フローサイトメトリーでTreg表現型を分析した。
【表1】
【0420】
8.ヒトCARの活性化アッセイ
活性化アッセイを、培養の9日目に行った。簡潔には、0.05×10個のTregを、96Uボトムプレートに単独でもしくは抗CD28/抗CD3コーティングビーズの存在下で(1対1のTreg対ビーズ比で)、またはMOGコーティングビーズ中に(1対1のTreg対ビーズ比で)、200μlの最終体積で播種した。37℃、5%CO2で24時間後、細胞をCD4及びCD69について染色し、次いで、フローサイトメトリーを使用して分析した。形質導入されていないTreg細胞と比較したCAR Treg細胞におけるCD69の自発的発現のモニタリングは、トニックシグナル伝達強度の決定を可能にする。
【0421】
9.ヒトT細胞増殖の抑制アッセイ
抑制アッセイを、培養の9日目に行った。簡潔には、Tregを回収し、計数し、抗CD28/抗CD3コーティングビーズ(1対1のTreg対ビーズ比)を使用してTCRを通して、またはMOGコーティングビーズ(1対1のTreg対ビーズ比)を使用してCARを通してのいずれかで活性化したか、または活性化せずに維持して、それらの自発的抑制活性を評価した。並行して、同種異系Tconvを解凍し、Cell Trace Violet(CTV)で染色し、(3対1のTconv対ビーズ比で)抗CD28/抗CD3コーティングビーズで活性化した。翌日、ビーズをTconvから除去した後、非活性化または活性化Treg(非形質導入または形質導入)との共培養を行った。3日目に、細胞を採取し、CTV希釈の決定を通じて、フローサイトメトリーによってTconvの増殖を評価した。Tconv増殖の阻害のパーセンテージを以下のように計算した。
【数1】
【0422】
B.マウス細胞による経験
1.マウスTregの単離
C57/Bl6から脾臓を採取し、細胞ストレーナーを通してマッシュアップして、単一の細胞懸濁液を得る。CD4+CD25+ Tregを、製造業者の指示に従ってEasySep(商標)マウスCD4+CD25+制御性T細胞単離キットII(#18783;StemCell)を使用して単離した。簡潔には、CD4+細胞を最初に、カラムフリーの免疫磁気陰性選択によって脾臓細胞から事前濃縮した。次いで、磁性粒子に結合するCD25を認識する抗体を含むCD25陽性選択カクテルを使用して、CD25+を選択する。単離された細胞は、細胞培養のために直ちに利用可能である。
【0423】
2.単離されたマウスTregの活性化及び培養
単離されたTreg細胞を活性化し、最大8日間培養した。簡潔には、0日目に、Treg細胞(0,5.10個)を、10%FBS、2mMのL-グルタミン、1mMのピルビン酸ナトリウム、0.1mMの非必須アミノ酸、1%のペニシリン-ストレプトアビジン、及び1000U/mLのRec huIL2及び50nMのラパマイシンを補充した5μMの2-ベータメルカプト-エタノール(RPMI10)を含むRPMIを含む24ウェルプレート(Costar)に培養した。次いで、CD3/CD28活性化を、Life TechnologiesのDynabeadsマウスT活性化剤(2:1、ビーズ:細胞比)を用いて行った。2、4、及び6日目に、細胞を計数し、1000U/mLのIL-2及びRapaを補充した新鮮な培養培地を供給した(4日目にのみ)。
【0424】
3.マウスTreg形質導入プロトコル
Tregを、キメラ受容体による活性化の2日後に形質導入した。簡潔には、形質導入を、CARベクター1mL当たり2×10個の形質導入単位(TU)を各ウェルに、及び15μg/mLのプロトランスデューシンB(PTDB)を充填することによって実施した。PTDB及びベクターを37℃で5分間混合した後、Tregに添加する。スピノキュレーションは、32℃、1000gで90分行う。37℃で4時間後、ウイルス粒子及びPTDBをウォッシュアウトによって除去し、IL-2(1000U/ml)を含む新鮮な培地を添加する。次いで、プレートを5%CO2で、37℃でインキュベートした。形質導入の4~5日後、形質導入効率を分析した:遺伝子導入有効性は、フローサイトメトリーにおけるNGFR陽性細胞のパーセンテージの分析によって測定された。
【0425】
4.形質導入に使用されるマウスCAR構築物
CD8膜貫通(TM)及びCD28の細胞内ドメインからなるMOG CARを、CD3ζと並行して、MOGに対して指向されたscFvと関連付けて設計する。本研究で使用される構築物を図2に列挙し、説明する。
【0426】
5.形質導入されたマウスTregの表現型分析
培養の6~7日目に、表2に列挙されるマーカーを使用して、フローサイトメトリーでTreg表現型を分析した。
【表2】
【0427】
6.マウスCARの活性化アッセイ
活性化アッセイを、培養の7日目に行った。簡潔には、0.05×10個のTregを、96Uボトムプレートに単独でもしくは抗CD28/抗CD3コーティングビーズの存在下で(1対1のTreg対ビーズ比で)、またはMOGコーティングビーズ中に(1対1のTreg対ビーズ比で)、200μlの最終体積で播種した。37℃、5%CO2で24時間後、細胞をCD4及びCD69について染色し、次いで、フローサイトメトリーを使用して分析した。対照Treg細胞と比較したCAR Treg細胞におけるCD69の自発的発現のモニタリングは、トニックシグナル伝達強度の決定を可能にする。
【0428】
7.マウスCARのインビボ活性化アッセイ:ショートモデル
MOG CARが標的器官(中枢神経系:CNS)に入り、そこで活性化及び増殖することができるかどうかを判定するために、EAEを使用したショートモデルを開発した。簡潔には、雌マウスを、MOGペプチド+CFAを含むエマルションで免疫化して、疾患を誘発した。Pertusis毒素(PTX)の腹腔内注射を0日目及び2日目に行い、血液脳関門(BBB)の開放を助けた。疾患の発症時(免疫化から9~11日後)に、MOG CAR及びCAR対照Tregを静脈内注射した。5日後、マウスを犠牲にし、流入領域リンパ節(dLN)及びCNSを採取し、フローサイトメトリーによって分析して、細胞の活性化(CD69、LAP、及びCD71)、及び増殖(Ki67)を評価した。
【0429】
8.マウスEAEモデルにおけるマウスCARのインビボ有効性アッセイ
ドナーマウスを、標準的なプロトコルを使用してCFA/MOGエマルションで免疫化した。各マウスを、MOGペプチド及びMycobacterium tuberculosis(H37Ra)を含む合計100μlのCFAエマルションで尾の基部及び脇腹に皮下で免疫化した。14日後、マウスを犠牲にし、脾臓及びLNを採取し、次いで、粉砕した。脾臓細胞を分極カクテルで培養して、MOG特異的病原性細胞を増強した。3日後、これらの細胞を採取し、雌CD45.1 C57BL/6マウスに注射して、EAE(25×10個の細胞/マウス)を誘発した。本開示のマウスCAR MOG Treg、CAR対照Treg、または生理食塩水を、病原性細胞の24時間後に静脈内注射した。疾患の進行は、以下の基準を使用してEAEスコアリングに基づいて評価した:0(正常)、1(部分的に四肢の尾)、2(麻痺した尾)、3(後肢の衰弱または協調運動障害)、4(後肢の麻痺)、4.5(前肢の衰弱を伴う後肢の麻痺)、及び5(瀕死または死亡)。臨床スコア及び体重(BW)は、6日目から15日目まで隔日で測定する。偏った結果を回避するために、二重盲検試験の一部としてEAEスコアリングを行った。
【0430】
15日後、マウスを犠牲にし、CNS細胞を採取し、粉砕した。コラゲナーゼ消化を37℃で30分間行い、続いて、Percoll勾配を用いて、CNSに浸潤した免疫細胞を単離した。これらの細胞を、MOGペプチド(10μg/mL)を含む完全なRPMI培地中で一晩インキュベートして、MOG特異的細胞を刺激した。16時間後、上清を回収し、ブレフェルジンAを培地に添加して、サイトカイン分泌を停止する。次いで、細胞を細胞染色緩衝液ですすぎ、Attune NxTで取得する前に細胞内サイトカインについて染色する。
【0431】
結果
A.ヒト細胞による経験
1.細胞表面における形質導入効率及びCAR発現
形質導入効率は、GFP陽性細胞発現のパーセンテージによって評価し、CAR発現は、免疫グロブリンカッパ軽鎖結合タンパク質である組換えタンパク質Lを使用してモニタリングした。生データの一例として、形質導入されていない細胞(NT)と比較した、形質導入効率のパーセンテージ及び細胞表面でCARを発現した形質導入された細胞のパーセンテージの結果を図3に示す。
【0432】
2.新しいscFvは、良好なTreg表現型安定性を強調した。
一般に、操作されたT細胞の主な問題は、特にCARの高い発現が望ましくない抗原非依存性CAR活性化に関連付けられていることが示されているため、所望の表現型の維持を確実にすることである(Frigault,2015)。Treg同一性に関連するマーカーのパネルを分析して、Treg表現型が、拡大及びCAR関与中に変化するかどうかを確認した。ここで、Helios及びFoxP3の発現ならびにTreg表現型に関連する他のマーカーの維持を、FoxP3 Tregで確認した(図4)。MOG CAR-Tregは、9日目に、拡大後にFOXP3及びHeliosの高い発現を維持した。
【0433】
3.新しいscFv由来のCARは、CAR特異的活性化を維持する
活性化の低いバックグラウンドは、両方の構築物で観察され、本発明のCAR-MOGは、MOGビーズによって特異的に活性化される(図5)。
【0434】
4.新しいscFVを含むMOG CARは、効率的なCAR媒介性抑制活性を呈する。
新しいscFVを有するCAR-MOG構築物について、CAR対照と比較した抑制活性のCAR特異的トリガーが観察された(図6)。
【0435】
5.MOG CAR Tregは、マウスまたはヒトMOGに応答して活性化を示す。
ヒト及びマウスMOGによる活性化後のMOG CAR-TregにおけるCD69発現のレベルを分析することによって、本発明のscFvの交差反応性が示された。ヒト及びマウスMOG標的の両方に応答して同じ活性化曲線が観察された(図12)。
【0436】
B.マウス細胞による経験
1.形質導入効率
形質導入効率を、NGFR陽性細胞発現のパーセンテージによって評価した。生データの一例として、非形質導入細胞(NT)と比較した形質導入効率のパーセンテージの結果を図7に示す。
【0437】
2.新しいscFvは、良好なTreg表現型を強調した
Treg同一性に関連するマーカーのパネル(表2)を分析して、Treg表現型が、拡大及びCAR関与中に変化するかどうかを確認した。ここで、単離後7日目のFoxP3の維持をTregで確認した(図8)。MOG CAR-Tregsは、拡大後にFOXP3の高い発現を維持し、細胞の60~70%がCD25+FoxP3+である。
【0438】
3.新しいscFv由来のCARは、CAR特異的活性化を維持する
活性化の低いバックグラウンドは、構築物の両方で観察され、MOG CARは、MOGビーズによって特異的に活性化された(図9)。
【0439】
図11Aは、フローサイトメトリーによる早期活性化マーカーCD69の発現レベルによって測定された場合の、MOGコーティングビーズ(黒色のバー)対対照ビーズ(白色のバー)による、いくつかの異なるMOG-CAR(NGFR+細胞)で形質導入されたマウスTregのインビトロでの活性化レベルを示す。CAR 1は、図9で使用されるのと同じMOG CAR構築物であり、本発明の例示的な構築物である。CAR2~6は、比較MOG CAR構築物である。
【0440】
点線は、非活性化基準MOG-CAR(トニックシグナル伝達)のCD69発現の閾値を表す。箱は、標的抗原MOG(最良のシグナル対ノイズ比)による低レベルのトニックシグナル伝達及び高レベルの活性化を示す2つの最良の候補を強調表示する。図11Aの表は、活性化後のMOG CAR Treg上のCD69発現の増加倍率を示す。HLA-A2 CARを、アッセイにおいて陽性対照として使用した。
【0441】
図11Bは、切断された対照CAR(MOG scFv及び非シグナル伝達エンドドメイン)で形質導入されたCAR Tregの活性化レベルに対する、5日後にMOG CARを注射された動物のCNS(「ショートEAEモデル」)における活性化マーカーCD69、CD71、LAP、及び増殖マーカーKi67のインビボでの増加倍率を示す。
【0442】
4.マウスCARのインビボ活性化アッセイ:ショートモデル-MOG CAR TregがCNSに入り、そこで活性化及び増殖する。
マウスMOG CAR Tregの静脈内注射の6日後、NGFR+及びNGFR-Tregの活性化及び増殖を、CNS及び脾臓におけるフローサイトメトリーによって分析した(図10A及び10B)。CAR-MOG Treg(NGFR+細胞)は、対照Treg(NGFR-細胞)と比較してCNSにおいてより活性化され、CNSにおける増殖に関して、CAR-MOG Tregは、対照Tregと比較してKi67のより高い発現を示していた(図10A)。CNSにおけるCAR-MOG Tregの活性化及び増殖を脾臓と比較して見たところ、CAR-MOG Tregは、CNSにおいて、脾臓においてよりも高いレベルのCD69(活性化)及びKi67(増殖)を示した(図10B)。
【0443】
5.マウスEAEモデルにおける本開示のMOG CAR Tregの例示的なインビボ有効性
本開示の本発明のCAR MOG Treg細胞の機能的インビボ有効性を示すためのこの例示的な研究では、C57Bl6マウスにおいて養子移植EAEを使用した。MOGにより誘導を指向するための代替として、EAEは、これらの抗原で免疫化されたマウスからのインビトロCNS抗原活性化リンパ球の養子移入によって、C57BL/6マウスにおいても誘導され得る。図14A及び14Bに示されるように、病原性細胞を注射したマウスは、重度の麻痺の兆候を示している。病原性細胞注射の24時間後に本開示のCAR MOG Tregで処置したマウスは、生理食塩水またはCAR対照(Ctrl)群と比較して、より低い臨床スコア(図14A)及び疾患発生の遅延(図14B)を示している。
【0444】
図15に示されるように、本開示のMOG CAR、対照CAR、または生理食塩水で処理したマウス由来のIFNg陽性CNS細胞のパーセンテージを、MOGペプチドによるエクスビボ刺激後に測定した。マウスの犠牲後、CNS由来の細胞をMOGペプチド(10μg/mL)とともに一晩インキュベートした。16時間後、BFAを培地に添加し、細胞内染色を行った。エラーバーは、15匹のマウス/群を含む2つの独立した実験からの平均±SEMを表す。この例示的な研究では、本開示のMOG CARで処理されたマウス由来のCNS細胞は、生理食塩水またはCAR対照で処理されたマウス由来の細胞と比較して、MOGペプチドインキュベーション後のIFN-ガンマ陽性細胞のより低いパーセンテージを示した。
【0445】
配列表

【表3】
【表4】

【表5】

【表6】

【表7】
【表8】
【表9】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【配列表】
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【国際調査報告】