(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】加圧ガスタンクを充填するための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
F17C 5/06 20060101AFI20240829BHJP
【FI】
F17C5/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024514336
(86)(22)【出願日】2022-09-01
(85)【翻訳文提出日】2024-03-02
(86)【国際出願番号】 EP2022074338
(87)【国際公開番号】W WO2023031336
(87)【国際公開日】2023-03-09
(32)【優先日】2021-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591036572
【氏名又は名称】レール・リキード-ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルラン,エチエン
(72)【発明者】
【氏名】ヴェンペール,デイビッド
【テーマコード(参考)】
3E172
【Fターム(参考)】
3E172AA02
3E172AA05
3E172AB01
3E172BA01
3E172BB13
3E172BB17
3E172BD03
3E172EA02
3E172EA33
3E172EA35
3E172GA17
3E172JA09
(57)【要約】
【解決手段】 本発明は、流体源(4)から加圧ガスをタンク(3)に供給するように意図された分配器(2)を備える加圧ガスタンクを充填するための装置及び方法に関し、前記装置(1)は、分配器(2)内のガスの流れを冷却するための冷凍システムを備え、冷凍システムは、ブラインなどの冷媒流体の回路(6)と、熱伝達流体と分配器(2)内のガスの流れとの間の熱の交換のための熱交換器(5)とを備え、熱伝達流体の回路(6)は、ループ内に直列に、熱伝達流体の貯蔵部(7)と、熱伝達流体を回路(6)内で循環させるための部材(8)と、熱伝達流体及び低温源(10)の間の熱交換を保証する少なくとも1つの蒸発器(9)とを備え、前記装置(1)は、回路が、熱伝達流体の全部又は一部が分配器(2)の熱交換器(5)を通過するのを回避し、それにより、分配器(2)における低温エネルギーの必要性とは無関係に、貯蔵部(7)内の熱伝達流体を冷却し、そこに低温エネルギーを蓄積することを可能にするバイパス部分(11)とバイパス弁のセット(12)とを備えることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体源(4)から加圧ガスをタンク(3)に供給するように意図された分配器(2)を備える加圧ガスタンクを充填するための装置であって、前記装置(1)は、前記分配器(2)内のガスの流れを冷却するための冷凍システムを備え、前記冷凍システムは、ブラインなどの冷媒流体の回路(6)と、熱伝達流体と前記分配器(2)内のガスの流れとの間の熱の交換を保証する熱交換器(5)とを備え、熱伝達流体の前記回路(6)は、ループ内に直列に配置された、熱伝達流体の貯蔵部(7)と、前記熱伝達流体を前記回路(6)内で循環させるための部材(8)と、前記熱伝達流体及び低温源(10)の間の熱交換を保証する少なくとも1つの蒸発器(9)とを備える装置において、前記回路が、前記熱伝達流体の全部又は一部が前記分配器(2)の前記熱交換器(5)を通過するのを回避し、それにより、前記分配器(2)における低温エネルギーの必要性とは無関係に、前記貯蔵部(7)内の前記熱伝達流体を冷却し、そこに低温エネルギーを蓄積することを可能にするバイパス部分(11)と1つ又は複数のバイパス弁のセット(12)とを備えることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記熱伝達流体の回路(6)内の前記熱伝達流体の循環の方向に応じて、前記少なくとも1つの蒸発器(9)が、前記貯蔵部(7)と前記分配器(5)の前記熱交換器(5)との間に、前記流体循環部材(8)の下流側及び前記分配器(2)の前記熱交換器(5)の上流側に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記熱伝達流体の回路(6)内の前記熱伝達流体の循環の方向に応じて、前記少なくとも1つの蒸発器(9)が、前記分配器(2)の前記熱交換器(5)と前記貯蔵部(7)との間に、すなわち前記分配器(5)の前記熱交換器(5)の下流側及び前記貯蔵部(7)の上流側に配置されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記熱伝達流体の回路(6)が、前記貯蔵部(7)の上流側と下流側にそれぞれ配置された2つの蒸発器(9)を備え、第1の蒸発器(9)は前記貯蔵部(7)と前記分配器(2)の前記熱交換器(5)との間に配置され、第2の蒸発器(9)は前記分配器(2)の前記熱交換器(5)と前記貯蔵部(7)との間に配置されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記熱伝達流体の回路(6)が、前記分配器(2)の前記熱交換器(5)が前記貯蔵部(7)から直接供給されることを可能にするために、前記少なくとも1つの蒸発器(9)のバイパスと、1つ又は複数の弁のセットとを備えることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
別々のタンク(3)に供給するように意図された複数の分配器(2)であって、それぞれが熱交換器(5)を備える複数の分配器(2)を備え、前記熱伝達流体の回路(6)は、前記複数の分配器(2)に共通であり、前記様々な熱交換器(5)をそれぞれ通過する平行な分岐路のセットと、前記1つ又は複数の熱交換器(5)への熱伝達流体の流れを制御するための1つ又は複数の分配弁のセット(13)とを備え、前記装置(1)は、前記熱交換器(5)の全部又は一部のためのバイパス部分(11)と1つ又は複数の弁のセット(12)とを備えることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の装置を用いて加圧ガスタンクを充填する方法であって、ガスの流れが前記分配器(2)内及び前記熱交換器(5)を通って流され、熱伝達流体の流れが前記熱伝達流体の回路(6)内で同じく循環され、前記分配器(2)の前記熱交換器(5)を通過する方法。
【請求項8】
前記貯蔵部(7)内の前記熱伝達流体を冷却するため及び/又は前記熱交換器(5)に提供される低温性能を低下させるために、前記分配器(2)の前記熱交換器(5)を通過することなく前記バイパス部分(11)において前記熱伝達流体の少なくとも一部を循環させるステップを含むことを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加圧ガスタンクを充填するための装置及び方法に関する。
【0002】
本発明は、特に、流体源から加圧ガスをタンクに供給するように意図された分配器を備える加圧ガスタンクを充填するための装置に関し、この装置は、分配器内のガスの流れを冷却するための冷凍システムを備え、この冷凍システムは、ブラインなどの冷媒流体の回路と、熱伝達流体と分配器内のガスの流れとの間の熱交換を保証する熱交換器とを備え、熱伝達流体の回路は、ループ内に直列に配置された、熱伝達流体の貯蔵部と、熱伝達流体を回路内で循環させるための部材と、熱伝達流体と低温源との間の熱交換を保証する少なくとも1つの蒸発器とを備える。
【背景技術】
【0003】
充填ステーションの分配器内又は分配器の上流で水素を冷却する第1の方式は、熱交換器に不凍熱伝達流体、典型的にはブラインを供給することである。この熱伝達(又は冷媒)流体は、それ自体、冷凍ユニットの蒸発器内で冷却される(例えば、特開2015-092108号公報参照)。
【0004】
第2の実施形態において、ブラインタンクを起点とし、冷凍ユニットの蒸発器及び分配器の交換器を連続的に通過する単一のループが存在する(例えば、欧州特許出願公開第3457019A1号明細書参照)。
【0005】
この第2の実施形態は、一般により効率的である。所与のブライン温度において、蒸発器がブラインタンクと分配器の交換器との間に介在することで追加の冷却を提供するため、分配器の交換器により低い温度で供給できるからである。また、所与の水素冷却目標に対して、蒸発器により温かいブラインが供給されるため、冷媒の蒸発温度がより高くなり得、したがって冷凍ユニットの性能係数が高められる。さらに、冷凍ユニットの所与の圧縮機サイズに対して、第2の実施形態は、水素をより低い温度まで冷却することを可能にし、及び/又は、より高い冷却能力を提供する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の1つの目的は、上述した従来技術の欠点の全て又は一部を克服することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的のために、本発明による装置は、それ以外の点では上記の前提部に与えられた一般的な定義に従うが、本質的に、回路が、熱伝達流体の全部又は一部が分配器の熱交換器を通過するのを回避し、それにより、分配器における低温エネルギーの必要性とは無関係に、貯蔵部内の熱伝達流体を冷却し、そこに低温エネルギーを蓄積することを可能にするバイパス部分と1つ又は複数のバイパス弁のセットとを備えることを特徴とする。
【0008】
さらに、本発明の実施形態は、以下の特徴のうちの1つ又は複数を含み得る:
- 熱伝達流体の回路内の熱伝達流体の循環の方向に応じて、少なくとも1つの蒸発器が、貯蔵部と分配器の熱交換器との間に、流体循環部材の下流側及び分配器の熱交換器の上流側に配置される、
- 熱伝達流体の回路内の熱伝達流体の循環の方向に応じて、少なくとも1つの蒸発器が、分配器の熱交換器と貯蔵部との間に、すなわち分配器の熱交換器の下流側及び貯蔵部の上流側に配置される、
- 熱伝達流体の回路が、貯蔵部の上流と下流にそれぞれ配置された2つの蒸発器を備え、第1の蒸発器は貯蔵部と分配器の熱交換器との間に配置され、第2の蒸発器は分配器の熱交換器と貯蔵部との間に配置される、
- 熱伝達流体の回路が、分配器の熱交換器が貯蔵部から直接供給されることを可能にするために、少なくとも1つの蒸発器のバイパスと、1つ又は複数の弁のセットとを備える、
- この装置は、別々のタンクに供給するように意図された複数の分配器であって、それぞれが熱交換器を備える複数の分配器を備え、熱伝達流体の回路は、複数の分配器に共通であり、様々な熱交換器をそれぞれ通過する平行な分岐路のセットと、1つ又は複数の熱交換器への熱伝達流体の流れを制御するための1つ又は複数の分配弁のセットとを備え、この装置は、熱交換器の全部又は一部のためのバイパス部分と1つ又は複数の弁のセットとを備える。
【0009】
本発明はまた、上記又は下記の特徴のいずれか1つによる装置を用いて加圧ガスタンクを充填する方法であって、ガスの流れが分配器内及び熱交換器を通って流され、熱伝達流体の流れが熱伝達流体の回路内で同じく循環され、分配器の熱交換器(5)を通過する方法に関する。
【0010】
可能な特定の特徴によれば、本方法は、貯蔵部内の熱伝達流体を冷却するため及び/又は分配器の熱交換器に提供される低温性能を低下させるために、分配器の熱交換器を通過することなくバイパス部分において熱伝達流体の少なくとも一部を循環させるステップを含む。
【0011】
また本発明は、特許請求の範囲内の上記又は下記の特徴の任意の組合せを含む任意の代替装置又は方法にも関し得る。
【0012】
他の特定の特徴及び利点は、図を参照して提供される以下の記載を読むことにより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、第1の実施形態による本発明の構造及び動作の1つの可能な例を示す概略的な部分図を示す。
【
図2】
図2は、第2の実施形態による本発明の構造及び動作の1つの可能な例を示す概略的な部分図を示す。
【
図3】
図3は、第3の実施形態による本発明の構造及び動作の1つの可能な例を示す概略的な部分図を示す。
【
図4】
図4は、第4の実施形態による本発明の構造及び動作の1つの可能な例を示す概略的な部分図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
示される加圧ガスタンクを充填するための装置1は、例えば、加圧水素タンクを充填するためのステーションである。この装置1は、流体源4(1つ又は複数の貯蔵ユニット及び/又は1つ又は複数のコンプレッサ及び/又はそれらに類するもの)から加圧ガスをタンク3に供給するように作られた分配器2(例えば、ノズルが取り付けられたホース)を備える。
【0015】
装置1は、分配器2内のガスの流れを冷却するための冷凍システムを備える。この冷凍システムは、ブラインなどの熱伝達流体のための回路6と、熱伝達流体の流れと分配器2内のガスの流れとの間の熱交換を保証する熱交換器5とを備える。熱交換器5は、熱伝達流体によって予冷され、冷却の熱慣性を増加させる(必要であれば、熱伝達流体の同時通過のない状態でさえ冷却をもたらす)伝導性質量を備え得る。
【0016】
熱伝達流体の回路6は、例えば閉ループであり、ループ内に直列に配置された熱伝達流体の貯蔵部7(例えばブライン貯蔵部)と、回路6内で熱伝達流体を循環させるための部材8(例えばポンプ)と、熱伝達流体と低温源10との間の熱交換を保証する蒸発器9(例えば熱交換器)とを備える。
【0017】
回路は、熱伝達流体の全部又は一部が分配器2の熱交換器5を通過するのを回避することを可能にするバイパス部分11と1つ又は複数のバイパス弁のセット12とを備える。熱交換器5を通過しないこの流れのバイパスにより、分配器2内の低温エネルギーの必要性とは無関係に、貯蔵部7内の熱伝達流体を冷却し、そこに低温エネルギーを蓄積することが可能になる。すなわち、熱交換器5を通過しない回路内の熱伝達流体の循環により、この熱伝達流体を冷却することが可能になる。また、このバイパスにより、熱交換器5において水素に供給する低温の量を調節することが可能となる。すなわち、このバイパスにより、熱交換器5に提供される低温性能を制御(低下)することが可能となる。
【0018】
[
図1]に点線で概略的に示すように、分配器2の熱交換器5に貯蔵部7から直接供給されるように蒸発器9のバイパス14と1つ又は複数の弁15のセットを想定することも可能であることに留意されたい。長時間の停止後に蒸発器9が温まった場合、これは冷凍ユニット10が起動している間に熱伝達流体が加熱されないことを可能にし得る。
【0019】
[
図1]に示す実施形態において、蒸発器9は、貯蔵部7と分配器5の熱交換器5との間に、流体循環部材8の下流側及び分配器の熱交換器5の上流側(熱伝達流体の回路6内の熱伝達流体の循環の方向に応じて)に配置されている。
【0020】
[
図2]に示す実施形態において、蒸発器9は、分配器5の熱交換器5と貯蔵部7との間に、分配器5の熱交換器5の下流側及び貯蔵部7の上流側(熱伝達流体の回路6内の熱伝達流体の循環の方向に応じて)に配置されている。
【0021】
[
図3]の実施形態に示されるように、熱伝達流体の回路6は、2つの蒸発器9であって、貯蔵部7の下流及び熱交換器5の上流、例えば流体循環部材8と分配器5の熱交換器5との間に位置する第1の蒸発器9と、分配器2の熱交換器5と貯蔵部7との間に位置する第2の蒸発器9とからなる2つの蒸発器9を備え得る。
【0022】
[
図4]の実施形態に示されているように、装置は、別個のタンク3に例えば同時に又は別々に供給するように意図され、それぞれ熱交換器5を備える複数の分配器2を備え得る。熱伝達流体の回路6は複数の分配器2に共通であり、異なる熱交換器5をそれぞれ通過する平行な分岐路のセットと、1つ又は複数の熱交換器5への熱伝達流体の流れを制御するための1つ又は複数の分配弁のセット13とを備える。示されているように、装置1は、熱交換器5ごとに、上述したようなバイパス部分11と1つ又は複数の弁のセット12とを備え得る。
【0023】
[
図4]は、低温源10の非限定的な例をもう少し詳細に示していることに留意されたい。この例において、低温源は、ポンプ16と、蒸発器17と、冷媒の貯蔵部18と、次いで熱伝達流体の回路6内を循環するブラインを冷却する蒸発器9内の通路とを備える冷媒のループの形態の回路を備える。この種の低温源は、他の実施形態で使用することもできる。
【国際調査報告】