(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】磁気輸送ライン駆動システム、磁気輸送ライン及び磁気輸送ライン駆動方法
(51)【国際特許分類】
H02P 25/064 20160101AFI20240829BHJP
【FI】
H02P25/064
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024514357
(86)(22)【出願日】2022-07-27
(85)【翻訳文提出日】2024-03-14
(86)【国際出願番号】 CN2022108201
(87)【国際公開番号】W WO2023029825
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】202111025731.8
(32)【優先日】2021-09-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524080265
【氏名又は名称】上海捷勃特机器人有限公司
【氏名又は名称原語表記】AGILEBOT ROBOTICS CO., LTD
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】錢 進
(72)【発明者】
【氏名】李 睿 欽
(72)【発明者】
【氏名】王 啓 超
(72)【発明者】
【氏名】胡 躍 進
【テーマコード(参考)】
5H540
【Fターム(参考)】
5H540AA01
5H540BA03
5H540BB05
5H540BB08
5H540EE02
5H540EE05
5H540EE06
5H540EE08
5H540FA03
5H540FA04
5H540FC03
5H540FC07
(57)【要約】
本発明は、磁気輸送ラインのアクチュエータを指令に基づいて駆動するための磁気輸送ライン駆動システム、磁気輸送ライン及び磁気輸送ライン駆動システムの制御方法を提供し、アクチュエータは複数のモータステータと少なくとも1つのモータ移動子とを含み、磁気輸送ライン駆動システムは、指令に基づいて駆動指令を生成する運動制御ユニットと、モータステータに対応する数で、モータ移動子の数量情報及び位置情報を検出するための複数の位置感知ユニットと、駆動指令とモータ移動子の数量情報及び位置情報とに基づいて、有効軸の数量情報及びアドレス情報を算出し、指定されるモータステータを選択するためのモータステータ選択指令と、指定される駆動電流を生成するためのインバータ設定指令とを生成するモータ制御ユニットと、モータステータに対応する数で、モータステータ選択指令とインバータ設定指令とに基づいて、駆動電流を生成して対応するモータステータに供給し、モータステータが指令に基づいて移動するように、モータステータを駆動する複数のモータ駆動ユニットとを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気輸送ラインのクチュエータを指令に基づいて駆動するための磁気輸送ライン駆動システムであって、前記アクチュエータは複数のモータステータと少なくとも1つのモータ移動子とを含み、
前記指令に基づいて駆動指令を生成する運動制御ユニットと、
前記モータステータに対応する数で、前記モータ移動子の数量情報及び位置情報を検出するための複数の位置感知ユニットと、
前記駆動指令と前記モータ移動子の数量情報及び位置情報とに基づいて、有効軸の数量情報及びアドレス情報を算出し、指定される前記モータステータを選択するためのモータステータ選択指令と、指定される駆動電流を生成するためのインバータ設定指令とを生成するモータ制御ユニットと、
前記モータステータに対応する数で、前記モータステータ選択指令とインバータ設定指令とに基づいて、駆動電流を生成して対応する前記モータステータに供給する複数のモータ駆動ユニットとを備えることを特徴とする磁気輸送ライン駆動システム。
【請求項2】
前記モータ駆動ユニットは、
前記モータ駆動ユニットと外部とのデータ伝送を実現するための駆動通信モジュールと、
前記インバータ設定指令に基づいてインバータ制御波形を生成する波形発生モジュールと、
前記インバータ制御波形に基づいて、駆動電流を生成して指定される前記モータステータに供給するパワー駆動インバータモジュールとを備えることを特徴とする請求項1に記載の磁気輸送ライン駆動システム。
【請求項3】
前記モータ駆動ユニットは、
前記モータステータの各相の電流情報、電圧情報及び温度情報を収集し、前記モータ制御ユニットにフィードバックする収集モジュールをさらに備えることを特徴とする請求項2に記載の磁気輸送ライン駆動システム。
【請求項4】
前記モータ駆動ユニットは、
前記磁気輸送ラインにおける前記モータ移動子の速度情報、位置情報、及び前記モータステータの各相の電流情報に基づいて、前記磁気輸送ラインの運転に影響を与える故障が発生しているか否かを判断し、故障が発生している場合には故障信号を受信して、前記パワー駆動インバータモジュールに停止指令を出力する故障処理モジュールをさらに備えることを特徴とする請求項2に記載の磁気輸送ライン駆動システム。
【請求項5】
前記モータ制御ユニットは、
前記モータ制御ユニットと前記モータ駆動ユニットおよび/または前記位置感知ユニットとの間のデータ伝送を実現する第1の通信モジュールと、
前記モータ制御ユニットと前記運動制御ユニットとのデータ伝送を実現する第2の通信モジュールと、
前記モータ移動子の数量情報及び位置情報に基づいて、前記有効軸の数量情報及びアドレス情報を計算し、前記モータステータ選択指令を生成する有効軸管理モジュールと、
前記駆動指令と、前記モータステータ選択指令と、前記モータステータの各相の電流情報とに基づいて、前記インバータ設定指令を生成して前記モータ駆動ユニットに出力する少なくとも1つのモータ計算モジュールとを備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載の磁気輸送ライン駆動システム。
【請求項6】
前記モータ制御ユニットは、
前記モータステータ選択指令に基づいて、選定される前記モータ計算モジュールに計算を完了させるように、1つ以上の前記モータ計算モジュールを選択する計算リソーススケジューリング割当モジュールと、
計算結果を保存して、前記第1の通信モジュールに配布する保存及び配布モジュールとをさらに備えることを特徴とする請求項5に記載の磁気輸送ライン駆動システム。
【請求項7】
前記運動制御ユニットは、
指令に基づいて前記駆動指令を生成するプログラム実行モジュールと、
前記駆動指令が前記モータ移動子の衝突を引き起こすか否かを判断し、判断結果がNOである場合には前記駆動指令を前記モータ制御ユニットに出力し、判断結果がYESである場合には判断結果がNOとなるまで待機してから前記駆動指令を出力する衝突検出モジュールとを備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載の磁気輸送ライン駆動システム。
【請求項8】
前記磁気輸送ライン駆動システムは、複数の前記位置感知ユニットが直列に接続されることによって形成される複数の互いに並列に接続されるループと、複数の前記モータ駆動ユニットが直列に接続されることによって形成される複数の互いに並列に接続されるループとを有することを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載の磁気輸送ライン駆動システム。
【請求項9】
前記モータステータ選択指令に基づいて、前記モータ制御ユニットと、各ループにおける位置感知ユニットおよび/または前記モータ駆動ユニットとのデータ伝送を実現する交換制御ユニットをさらに備えることを特徴とする請求項8に記載の磁気輸送ライン駆動システム。
【請求項10】
複数のモータステータと、少なくとも1つのモータ移動子とを含むアクチュエータを備える磁気輸送ラインであって、
請求項1から10のいずれか一つに記載の磁気輸送ライン駆動システムをさらに備えることを特徴とする磁気輸送ライン。
【請求項11】
有効軸に基づいて制御し、磁気輸送ラインのアクチュエータを指令に応じて駆動するための磁気輸送ライン駆動システムの制御方法であって、前記アクチュエータは、複数のモータステータと少なくとも1つのモータ移動子とを含み、
指令に基づいて前記駆動指令を生成する駆動指令生成ステップと、
前記モータ移動子の数量情報及び位置情報を取得するモータ移動子検出ステップと、
前記モータ移動子の数量情報及び位置情報に基づいて、前記有効軸の数量情報及びアドレス情報を計算する有効軸アドレス計算ステップと、
前記有効軸のアドレス情報に基づいてモータステータ選択指令を生成するモータステータ選択ステップと、
前記モータ移動子の位置情報と、前記モータステータの各相の電流情報と、1周期前のインバータ設定指令とに基づいて、位置ループ、速度ループ、電流ループの計算をそれぞれ完成し、インバータ設定指令を生成する制御ループ計算ステップと、
前記インバータ設定指令を保存し、前記モータステータ選択指令に基づいて対応する前記モータステータを選択し、前記モータステータを駆動する駆動電流を生成する駆動電流生成ステップとを含み、
以上のステップが繰り返され、前記モータ移動子の閉ループ制御が形成されることを特徴とする磁気輸送ライン駆動システムの制御方法。
【請求項12】
前記駆動指令が前記モータ移動子の衝突を引き起こすか否かを判断し、判断結果がNOである場合には前記駆動指令を出力し、判断結果がYESである場合には判断結果がNOとなるまで待機してから前記駆動指令を出力し、駆動指令生成ステップの後にある衝突検出ステップをさらに含むことを特徴とする請求項11に記載の磁気輸送ライン駆動システムの制御方法。
【請求項13】
前記モータステータ選択指令に基づいて、前記制御ループ計算ステップに必要な計算リソースを割り当て、モータステータ選択ステップの後にある計算リソーススケジューリングステップをさらに含むことを特徴とする請求項12に記載の磁気輸送ライン駆動システムの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、自動輸送ライン分野、特に、磁気輸送ライン駆動システムに関するものであり、具体的に、磁気輸送ライン駆動システム、磁気輸送ライン及び磁気輸送ライン駆動方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
背景技術
制造技術の発展に伴い、自動輸送ライン技術は生産、包装、組立、印刷などの業界の自動化生産ラインに広く応用され、多種の異なる形式の輸送ラインも次第に形成された。その中で、ベルト式輸送ライン、ローラー輸送ライン、チェーン輸送ラインなどの伝統的な輸送ライン方案に比べて、磁気輸送ラインはその非接触の伝動モードにより、より高い輸送速度とシステムの柔軟性を提供できる。
【0003】
磁気輸送ラインは通常、アクチュエータと駆動システムを含み、アクチュエータは駆動システムの駆動で運転し、自動輸送を実現する。既存の磁気輸送ラインにおいて、採用されているアクチュエータの多くはリニアモータであり、その中で、モータ移動子はコイル(短い)で構成され、モータステータ(長い)は永久磁石が交互に配列されて構成されている。上述の技術のリニアモータにおいて、モータ移動子は電線によってコイルに電力を供給する必要があり、必ずテールケーブルをつけなければならないため、実際の応用において制限を受けることになり、そのため、業界においてもコイルステータに永久磁石移動子を加えたアクチュエータ形式が発展され、各モータステータはそれぞれUVWの三相巻線を含み、Y型で接続され、伝統的な三相サーボモータと類似し、モータ間は不連続である。
【0004】
図1に示すように、従来技術の磁気輸送ラインは、アクチュエータ100と駆動システム200とを備えている。アクチュエータ100は、通常、複数のモータステータ110と、少なくとも1つのモータ移動子120とを含む。駆動システム200は、通常、複数のモータ駆動ユニット230と、1つの運動制御ユニット210とを含む。モータ駆動ユニット230は、モータステータ110の各々に対応しており、モータ移動子120の位置に対して、モータステータ110に、モータ移動子の運動を押し進めるための適切な磁場を発生させる。モータ駆動ユニット230はサーボドライバを採用しており、従来のサーボモータの観点から見れば、モータ駆動ユニットおよび対応するモータステータは、1つの完全なモータに相当し、1つのモータ軸とも呼ばれる。運動制御ユニット210は、受信した指令に基づいて位置、速度指令をサーボモータ駆動ユニットに送信する。他の実施形態では、輸送ライン上の各移動子の位置を検出するための位置センサ(図示せず)がさらに含まれていてもよく、位置センサは通常、光学格子定規または磁気格子定規である。
【0005】
磁気輸送ラインでは、モータ軸の数は通常特に多く、モータ軸の数は限られているが、
図2に示されるように、アクチュエータ100の中の対応するモータステータ110に、モータステータ120が通過していない場合は、当該モータステータ110はモータステータ120の運動に影響を与えず、計算および通信を行う必要はなく、この場合、その対応するモータ軸は無効軸112と呼ばれ、逆に、有効軸111と呼ばれる。モータ移動子120の移動に伴って、モータステータ110の有効軸及び無効軸の状態が動的に変化する。同じタイミングで、アクチュエータにおいて、無効軸の割合が非常に高くなっている。
【0006】
これにより、既存の磁気輸送ライン方案は、実際応用における効果が理想的ではなく、主に次のような技術的問題が存在する:
1.磁気輸送ラインでは、単一のモータのサイズが極端に大きくなることはなく、距離が極端に離れていることもなく、そうでなければ精度が低下する可能性がある。実際には、既存の磁気輸送ラインは通常1メートルごとに12個以上のモータを設置する必要があり、磁気輸送ラインシステムの中のモータ移動子はいずれも単独に移動することができるようにするために、各モータはいずれも1つの独立のサーボドライバがそれを駆動する必要がある。そのため、従来の設計方案では必要なサーボ駆動ユニットの数が多く、磁気輸送ライン全体の回路が複雑であり、システムのコストが高くなっていた。
【0007】
2.サーボ駆動ユニットは適切な磁場を発生してモータ移動子が運動するようにモータ移動子を押し進めるために、モータ移動子の位置、速度、加速度などの情報を受信し、計算することによって、対応する軸を駆動して出力する必要があるため、サーボ駆動ユニットは通常に、通信、計算、波形発生、パワー駆動などの主要な機能を担う必要がある。同時に、モータ情報のリアルタイムの計算と通信はハードウェアに対する要求が高いため、システムの遅延を低減し、応答速度を向上させるために、既存の設計では高性能DSPや大容量FPGAを用いて計算を行うことが一般的であり、システムのコストをさらに高めている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明の概要
従来の技術の磁気輸送ライン駆動システムは実用上、上述の技術的課題があるので、本発明の目的は、従来の技術に存在する上述の技術的課題を解決するように、システムの遅延を減少させ、応答速度を向上させ、駆動システム配線の複雑度を低減させ、磁気輸送ライン駆動システムのハードウエアに対する要求とコストを効果的に制御するという条件で、システム構成を簡素化し、システムの作業効率と信頼性を向上させる磁気輸送ライン駆動システム及び方法を提供することである。
【0009】
本発明が提供する磁気輸送ライン駆動システムの技術は、具体的には次のものを含む:
磁気輸送ラインのクチュエータを指令に基づいて駆動するための磁気輸送ライン駆動システムであって、前記アクチュエータは複数のモータステータと少なくとも1つのモータ移動子とを含み、
前記指令に基づいて駆動指令を生成する運動制御ユニットと、
前記モータステータに対応する数で、前記モータ移動子の数量情報及び位置情報を検出するための複数の位置感知ユニットと、
前記駆動指令と前記モータ移動子の数量情報及び位置情報とに基づいて、有効軸の数量情報及びアドレス情報を算出し、指定される前記モータステータを選択するためのモータステータ選択指令と、指定される駆動電流を生成するためのインバータ設定指令とを生成するモータ制御ユニットと、
前記モータステータに対応する数で、前記モータステータ選択指令と、インバータ設定指令とに基づいて、駆動電流を生成して対応する前記モータステータに供給する複数のモータ駆動ユニットとを備える磁気輸送ライン駆動システム。
【0010】
好ましくは、前記モータ駆動ユニットは、
前記モータ駆動ユニットと外部とのデータ伝送を実現するための駆動通信モジュールと、
前記インバータ設定指令に基づいてインバータ制御波形を生成する波形発生モジュールと、
前記インバータ制御波形に基づいて、駆動電流を生成して指定される前記モータステータに供給するパワー駆動インバータモジュールとを備える。
【0011】
好ましくは、前記モータ駆動ユニットは、
前記モータステータの各相の電流情報、電圧情報及び温度情報を収集し、前記モータ制御ユニットにフィードバックする収集モジュールをさらに備える。
【0012】
好ましくは、前記モータ駆動ユニットは、
磁気輸送ラインにおけるモータ移動子の速度情報、位置情報、及びモータステータの各相の電流情報に基づいて、磁気輸送ラインの運転に影響を与える故障が発生しているか否かを判断し、故障が発生している場合にはパワー駆動インバータモジュールに停止指令を出力する故障処理モジュールをさらに備える。
【0013】
好ましくは、前記モータ制御ユニットは、
前記モータ制御ユニットと前記モータ駆動ユニットおよび/または前記位置感知ユニットとの間のデータ伝送を実現する第1の通信モジュールと、
前記モータ制御ユニットと前記運動制御ユニットとのデータ伝送を実現する第2の通信モジュールと、
前記モータ移動子の数量情報及び位置情報に基づいて、前記有効軸の数量情報及びアドレス情報を計算し、前記モータステータ選択指令を生成する有効軸管理モジュールと、
前記駆動指令と、前記モータステータ選択指令と、前記モータステータの各相の電流情報とに基づいて、前記インバータ設定指令を生成して前記モータ駆動ユニットに出力する少なくとも1つのモータ計算モジュールとを備える。
【0014】
好ましくは、前記モータ制御ユニットは、
モータステータ選択指令に基づいて、選定される前記モータ計算モジュールに計算を完了させるように、1つ以上の前記モータ計算モジュールを選択する計算リソーススケジューリング割当モジュールと、
計算結果を保存して、前記第1の通信モジュールに配布する保存及び配布モジュールとをさらに備える。
【0015】
好ましくは、前記モータ制御ユニットは、
指令に基づいて前記駆動指令を生成するプログラム実行モジュールと、
前記駆動指令が前記モータ移動子の衝突を引き起こすか否かを判断し、判断結果がNOである場合には前記駆動指令を前記モータ制御ユニットに出力し、判断結果がYESである場合には判断結果がNOとなるまで待機してから前記駆動指令を出力する衝突検出モジュールとを備える。
【0016】
好ましくは、前記磁気輸送ライン駆動システムは、複数の前記位置感知ユニットが直列に接続されることによって形成される複数の互いに並列に接続されるループと、複数の前記モータ駆動ユニットが直列に接続されることによって形成される複数の互いに並列に接続されるループとを有する。
【0017】
好ましくは、磁気輸送ライン駆動システムは、
前記モータステータ選択指令に基づいて、前記モータ制御ユニットと、各ループにおける位置感知ユニットおよび/または前記モータ駆動ユニットとのデータ伝送を実現する交換制御ユニットをさらに備える。
【0018】
また、本発明は、複数のモータステータと、少なくとも1つのモータ移動子とを含むアクチュエータを備える磁気輸送ラインであって、上記のいずれか一つに記載の磁気輸送ライン駆動システムをさらに備える磁気輸送ラインを提供する。
【0019】
また、本発明は、有効軸に基づいて制御し、前記磁気輸送ラインのアクチュエータを指令に応じて駆動するための磁気輸送ライン駆動システムの制御方法であって、前記アクチュエータは、複数のモータステータと少なくとも1つのモータ移動子とを含み、
指令に基づいて前記駆動指令を生成する駆動指令生成ステップと、
前記モータ移動子の数量情報及び位置情報を取得するモータ移動子検出ステップと、
前記モータ移動子の数量情報及び位置情報に基づいて、前記有効軸の数量情報及びアドレス情報を計算する有効軸アドレス計算ステップと、
前記有効軸のアドレス情報に基づいてモータステータ選択指令を生成するモータステータ選択ステップと、
前記モータ移動子の位置情報と、前記モータステータの各相の電流情報と、1周期前のインバータ設定指令とに基づいて、位置ループ、速度ループ、電流ループの計算をそれぞれ完成し、インバータ設定指令を生成する制御ループ計算ステップと、
前記インバータ設定指令を保存し、前記モータステータ選択指令に基づいて対応する前記モータステータを選択し、前記モータステータを駆動する駆動電流を生成する駆動電流生成ステップとを含み、
以上のステップが繰り返され、前記モータ移動子の閉ループ制御が形成される磁気輸送ライン駆動システムの制御方法を提供する。
【0020】
好ましくは、前記制御方法は、前記駆動指令が前記モータ移動子の衝突を引き起こすか否かを判断し、判断結果がNOである場合には前記駆動指令を出力し、判断結果がYESである場合には判断結果がNOとなるまで待機してから前記駆動指令を出力する衝突検出ステップをさらに含む。
【0021】
好ましくは、前記制御方法は、前記モータステータ選択指令に基づいて、前記制御ループ計算ステップに必要な計算リソースを割り当て、計算リソーススケジューリングステップをさらに含む。
【0022】
本発明で提出した磁気輸送ライン駆動システム、磁気輸送ライン及び磁気輸送ライン駆動方法を適用することにより、従来技術にある課題を根本的に解決することができ、以下の利点をもたらすことができる:
第1に、本発明が提供する磁気輸送ライン駆動システム、磁気輸送ライン及び磁気輸送ライン駆動方法では、モータ制御ユニットに計算を集中して集中計算を行うことにより、数が一番多いモータ駆動ユニットを大幅に簡素化し、大幅にコストを低減することができる。
【0023】
第2に、本発明が提供する磁気輸送ライン駆動システム、磁気輸送ライン及び磁気輸送ライン駆動方法では、モータ制御ユニットに計算を集中して集中計算を行うことにより、モータ駆動ユニットに複雑な計算を必要とせず、ユニット自体に必要なチップやその他の電子部品の数も大幅に低減し、コストを低減するとともに信頼性の向上をもたらすことができる。
【0024】
第3に、本発明が提供する磁気輸送ライン駆動システム、磁気輸送ライン及び磁気輸送ライン駆動方法では、計算リソーススケジューリング割当モジュール及び交換制御ユニットを設置することにより、モータ制御ユニットから各モータ駆動ユニットへの通信遅延が制御周期よりも小さくなると共に、複数のループをサポートすることができ、システムの遅延を回避しつつ、システムの拡張性を向上させることができる。
【0025】
当業者にとって、これらおよびその他の目的および利点は、添付図面と結合して本明細書の以下の部分を読むことにより、より明らかになる。
【0026】
図面の簡単な説明
本発明の以上の発明内容および以下の具体的な実施形態は、添付図面と結合して読むと、よりよく理解されるべきである。なお、図面は、保護を請求する発明の一例にすぎない。図面において、同一の符号は、同一又は類似の要素を表す。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図1は、従来技術の磁気輸送ライン駆動システムの構成を示す模式図である。
【
図2】
図2は磁気輸送ライン駆動システムの有効軸と無効軸を示す模式図である。
【
図3】
図3は本発明の磁気輸送ライン駆動システムの一実施形態の構成模式図である。
【
図4】
図4は本発明の磁気輸送ライン駆動システムの一実施形態のモータ駆動ユニットの構成模式図である。
【
図5】
図5は本発明の磁気輸送ライン駆動システムの一実施形態のモータ制御ユニットの構成模式図である。
【
図6】
図6は本発明の磁気輸送ライン駆動システムの一実施形態の運動制御ユニットの構成模式図である。
【
図7】
図7は本発明の磁気輸送ライン駆動システムの一実施形態の部分構成模式図である。
【
図8】
図8は本発明の磁気輸送ライン駆動システムの制御方法の一実施形態のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
発明を実施するための形態
以下では、具体的な実施形態において本発明の詳細な特徴および利点を詳細に説明するが、その内容は、当業者が本発明の技術的内容を理解し、実施するために十分であり、本発明に開示された明細書、特許請求の範囲および図面から、当業者が本発明に関連する目的および利点を容易に理解することができるようなものである。
【0029】
図3~
図6は、本発明が提供する磁気輸送ライン駆動システムの好ましい一実施形態を示している。
【0030】
ここで、
図3は、本発明の磁気輸送ライン駆動システムのモジュール模式図である。
磁気輸送ラインのアクチュエータ100を指令に基づいて駆動するための磁気輸送ライン駆動システム200であって、
指令に基づいて駆動指令を生成する運動制御ユニット210と、
モータステータ110に対応する数で、モータ移動子120の数量情報及び位置情報を検出するための複数の位置感知ユニット240と、(一実施例では、位置感知ユニットは、光学格子定規または磁気格子定規であってもよい。)
駆動指令とモータ移動子120の数量情報及び位置情報とに基づいて、有効軸の数量情報及びアドレス情報を算出し、指定されるモータステータ110を選択するためのモータステータ選択指令と、指定される駆動電流を生成するためのインバータ設定指令とを生成するモータ制御ユニット220と、
モータステータ110に対応する数で、モータステータ選択指令とインバータ設定指令とに基づいて、駆動電流を生成して対応するモータステータ110に供給する複数のモータ駆動ユニット230とを備える磁気輸送ライン駆動システム200。
【0031】
システム全体において、計算作業をモータ制御ユニットで集中的にスケジューリングして実行することにより、数が一番多いモータ駆動ユニット230の構成を大幅に簡素化し、コストを大幅に低減する。
【0032】
図4は本発明の磁気輸送ライン駆動システムの一実施形態のモータ駆動ユニット230の構成模式図である。
【0033】
駆動通信モジュール231は、モータ駆動ユニット230と外部とのデータ伝送を実現するためのものである。
【0034】
一実施例では、データ伝送は、複数のモータ駆動ユニット230間のデータ伝送と、モータ駆動ユニット230とモータ制御ユニット220との間のデータ伝送とを含む。一実施例では、データ伝送は双方向イーサネット(登録商標)通信を採用するが、光ファイバ等の他の方法を採用してもよい。
【0035】
一実施例では、複数のモータ駆動ユニット230が互いに直列連結を形成するように、駆動通信モジュール231のポートは、1つ以上のネットワークポートまたは光ポートを採用してもよい。
【0036】
駆動通信モジュール231の通信には、入力:1)インバータ設定、2)システム制御、出力:1)電流と状態フィードバックのみが含まれる。通信周期は電流ループの計算周期であり、一実施例では、50uSである。このため、モータ駆動ユニットの通信フォーマットはシンプルで間隔が短く、システムの信頼性と誤り検出特性の向上をもたらす。
【0037】
波形発生モジュール232は、インバータ設定指令に基づいてインバータ制御波形を生成する。一実施例では、インバータ制御波形はSPWM波形である。
【0038】
パワー駆動インバータモジュール233は、インバータ制御波形に基づいて、駆動電流を生成して指定されるモータステータ110に供給する。
【0039】
一実施例では、モータ駆動ユニット230は、モータステータ110の各相の電流情報、電圧情報、および温度情報を収集し、モータ制御ユニット220にフィードバックする収集モジュール234をさらに備える。
【0040】
一実施例では、モータ駆動ユニット230は、磁気輸送ラインにおけるモータ移動子の速度情報、位置情報、及びモータステータの各相の電流情報に基づいて、磁気輸送ラインの運転に影響を与える故障、例えば、許容範囲外の故障が発生したか否かを判断し、故障が発生した場合には、パワー駆動インバータモジュール233に停止指令を出力するための故障処理モジュール235をさらに備える。
【0041】
一実施例では、モータ駆動ユニット230は、モータ駆動ユニット230内部のすべての電源供給を管理し、内部モジュールおよびパワー駆動電源を含む電源管理モジュール236をさらに備える。
【0042】
一実施例では、駆動通信モジュール231、波形発生モジュール232、収集モジュール234、および故障処理モジュール235は、1つのマスターチップに統合されていてもよい。一実施例では、マスターチップは一つの小容量FPGAチップである。
【0043】
一実施例では、複数のモータ駆動ユニット230を1つのPCBボードに統合してもよく、電源管理モジュール236と駆動通信モジュール231とを併用することにより、コストおよびシステムの複雑さをさらに低減することができる。
【0044】
本発明では、複雑な計算を必要としないので、モータ駆動ユニットは従来技術の高価なDSPや大容量FPGAを採用する必要がなく、チップやその他の電子部品の数も大幅に低減され、信頼性の向上をもたらすとともに、コストの低減を図ることができる。
【0045】
図5は本発明の磁気輸送ライン駆動システムの一実施形態のモータ制御ユニット200の構成模式図であり、モータ制御ユニット200は、
モータ制御ユニット220とモータ駆動ユニット230および/または位置感知ユニット240との間のデータ伝送を実現する第1の通信モジュール221と、
モータ制御ユニット220と運動制御ユニット210とのデータ伝送を実現する第2の通信モジュール222と、
位置感知ユニット240から供給されるモータ移動子120の数量情報及び位置情報に基づいて、有効軸の数量情報及びアドレス情報を計算し、モータステータ選択指令を生成する有効軸管理モジュール223と、
駆動指令、モータステータ選択指令、及びモータ駆動ユニット230によって提供されるモータステータ110の各相の電流情報に基づいて、インバータ設定指令を生成してモータ駆動ユニット230に出力する少なくとも1つのモータ計算モジュール224と、を備える。
【0046】
一実施例では、モータ計算モジュール224は、例えば静止摩擦力、動摩擦力、コギング力などの磁気輸送ラインの干渉に対する補償計算も行ってもよい。一実施例において、モータ制御ユニット220は、
モータステータ選択指令に基づいて、1つ以上のモータ計算モジュール224を選択することによって、選定されるモータ計算モジュール224に計算を完了させる計算リソーススケジューリング割当モジュール225と、(計算リソーススケジューリング割当モジュール225を適用することにより、モータ計算モジュール224を時分割多重化することができる。たとえば、1つの制御周期で16個の有効軸の計算を完了できる。)
計算結果を保存し、第1の通信モジュール221に配布する保存及び配布モジュール226とをさらに備える。
【0047】
図6は本発明の磁気輸送ライン駆動システムの一実施形態の運動制御ユニット210の構成模式図であり、運動制御ユニット210は、
指令に基づいて駆動指令を生成するプログラム実行モジュール211と、(一実施例では、指令は、ユーザまたは他の上位装置から出力されるプログラム指令であってもよい。)
駆動指令とモータ制御ユニット220から通知されたモータ移動子120の位置情報とに基づいて、駆動指令がモータ移動子120の衝突を引き起こすか否かを判断し、判断結果がNOである場合には、モータ制御ユニット220に駆動指令を出力し、判断結果がYESである場合には、判断結果がNOとなるまで待機してから駆動指令を出力する衝突検出モジュール212と、を備える。
【0048】
一実施例では、運動制御ユニット210は、
システムのモータステータ110を管理し、外部から新規追加のモータステータが加わった場合には、プログラム実行モジュールにフィードバックしてリソース及び命令プログラムを割り当て、システム内部のモータステータが退出した場合には、プログラム実行モジュールにフィードバックしてリソース及び命令プログラムを回収して再割り当てするモータステータ管理モジュール213をさらに備える。
【0049】
一実施例では、運動制御ユニット210とモータ制御ユニット220とを1つのコントローラに統合してもよい。
【0050】
図7に本発明の磁気輸送ライン駆動システムの他の実施形態を示す。
ここで、各モータ駆動ユニット230および位置センサ240は、上位の通信ポートと下位の通信ポート(イーサネット(登録商標)または光ファイバ)を含み、ループを構成している。モータ制御ユニット220は、上位の通信ポートからエニュメレーション命令付きの通信パケットを送信して、アドレスのエニュメレーションを開始し、最初のモータ駆動ユニット230/位置センサ240のアドレスを1とし、次のモータ駆動ユニット230/位置センサ240のアドレスを2とし、このように類推する。最後のモータ駆動ユニット230/位置センサ240を通過するまでモータ制御ユニット220に戻る。
【0051】
このシステムでは、通信が比較的頻繁に行われるため、通信周期は制御周期よりも小さくなければならないが、ループに直列に接続されている場合、データパケットが一つのモータ駆動ユニットを通過するごとに一定の遅延が発生し、絶対的な遅延が過度に大きくならないために、本発明の別の実施形態によれば、モータ軸の数が非常に多い場合、例えば、80個の軸よりも多い場合、モータ駆動ユニット230および位置センサ240から各モータへの通信遅延が制御周期よりも小さくなるように、いくつかのループを新たに追加してもよい。
【0052】
一実施例では、システム中のすべてのループは、統一されたアドレッシングを必要とし、各ループのアドレスは連続しており、異なるループのアドレス範囲は異なり、各ループ、すなわちシステムの各モータ軸のアドレスは一意である。例えば、
【0053】
【0054】
ループの数が多すぎる場合、本発明の別の実施形態によれば、磁気輸送ライン駆動システムは、
モータステータ選択指令に基づいて、モータ制御ユニット220と、各ループにおける位置感知ユニット240および/またはモータ駆動ユニット230とのデータ伝送を実現する交換制御ユニット250をさらに備えてもよい。交換制御ユニット250は、データパケットヘッダのアドレス情報を認識し、データパケットを対応するループにおけるモータ駆動ユニット230及び位置センサ240に送信する。対応するループから返送されるデータパケットは、最も速い経路を通ってモータ制御ユニット220に返送されることも可能である。
【0055】
図8に本発明の磁気輸送ライン駆動システムの制御方法のフローチャート模式図を示す。
【0056】
制御方法は、下記のステップを含む。
ステップS100は、駆動指令生成ステップであって、運動制御ユニット210が、ユーザ又はその他の外部指令に基づいて駆動指令を生成する。
【0057】
一実施例において、ステップS100では、衝突検出ステップであって、運動制御ユニット210が、駆動指令がモータ移動子の衝突を引き起こすか否かを判断し、判断結果がNOである場合には駆動指令を出力し、判断結果がYESである場合には、判断結果がNOとなるまで待機してから駆動指令を出力するステップS110をさらに含む。
【0058】
ステップS200は、モータ移動子検出ステップであって、位置感知ユニット240が、モータ移動子の数量情報、位置情報を取得する。
【0059】
ステップS300は、有効軸アドレス計算ステップであって、モータ制御ユニット220が、モータ移動子の数量情報と位置情報とから、有効軸の数量情報とアドレス情報とを計算する。
【0060】
ステップS400は、モータステータ選択ステップであって、モータ制御ユニット220が、有効軸のアドレス情報に基づいて、モータステータ選択指令を生成する。
【0061】
一実施例では、ステップS400では、計算リソーススケジューリングステップであって、モータ制御ユニット220が、モータステータ選択指令に基づいて、制御ループ計算ステップのために必要な計算リソースを割り当てるステップS410をさらに含む。
【0062】
ステップS500は、制御ループ計算ステップであって、モータ制御ユニット220は、モータ移動子の位置情報と、モータステータの各相の電流情報と、前周期のインバータ設定指令とに基づいて、位置ループ、速度ループ、電流ループの計算をそれぞれ完成し、インバータ設定指令を生成する。
【0063】
一実施例では、上記の位置ループ、速度ループ、電流ループの計算において、最も外側のループは位置ループであり、位置指令、補償、および位置フィードバックを受信し、速度指令を出力し、中間のループは速度ループであり、位置ループからの速度指令、補償、速度フィードバックを受信し、電流指令を出力し、最内部のループは電流ループであり、FOC(磁場指向性制御)制御を用い、電流指令、補償、電流フィードバックを受信し、直接インバータ指令を与える。
【0064】
ステップS600は、駆動電流生成ステップであって、モータ制御ユニット220が、インバータ設定指令を保存し、モータステータ選択指令に基づいて対応するモータステータを選択し、対応するモータ駆動ユニット230によりモータステータを駆動する駆動電流を生成する。
【0065】
一実施例では、モータ駆動ユニット230は、同時にモータの実際の電流を電流ループにフィードバックし、モータの回転によって生じる角変位または直線位置を速度ループおよび位置ループにフィードバックする。
【0066】
以上のステップを繰り返し、モータ移動子の閉ループ制御が形成され、正確な位置及び速度の制御が達成される。
【0067】
本発明が提供する磁気輸送ラインの好ましい一実施形態は、
長さが5メートルで、1メートル当たり16個のモーター軸を備え、3個の移動子が磁気輸送ラインに沿って往復運動する磁気輸送ラインを含むため、この磁気輸送ラインアクチュエータは80個のモーターステータと3個のモーター移動子を備え、その中で最大有効軸は10個で、約総軸数の12.5%を占めている。
【0068】
駆動システムは、次のものを備える。
1)80個の磁気位置センサ
2)80個のモータ駆動ユニット
ここで、各モータ駆動ユニットは、駆動通信モジュール、波形発生モジュール、パワー駆動インバータモジュール、収集モジュールを備える。一つの小容量のFPGA(9K等価論理ユニット)を使用しても、関連するすべての制御機能を実行できる。
【0069】
4つずつのモータ駆動ユニットが1つのモータ駆動基板に統合されており、合計20枚のモータ駆動基板がある。
【0070】
3)1個の駆動制御一体化運動コントローラ:各運動コントローラに1つの運動制御ユニットと1つのモータ制御ユニットを統合する。
【0071】
ここで、運動制御ユニットは、プログラム実行モジュールを含む;
モータ制御ユニットは、第1の通信モジュールと、第2の通信モジュールと、有効軸管理モジュールと、モータ計算モジュールと、計算リソーススケジューリング割当モジュールと、保存及び配布モジュールとを含む。
【0072】
駆動システムの運転制御ステップは、次のような閉ループ制御を採用している。
電源投入初期化時には、システムにモータ移動子はデフォルトで存在しない。
【0073】
プログラム実行モジュールは、駆動指令を生成する。
磁気位置センサは、モータ移動子の位置を周期的に検出し、第1の通信モジュールによってモータ制御ユニットに送信する。
【0074】
収集モジュールは、周期的にモータステータの電流を検出し、第1の通信モジュールによってモータ制御ユニットに送信する。
【0075】
有効軸管理モジュールは関連情報(位置、速度、電流)を取得した後、計算して3つの移動子の有効軸アドレスを得て、モータステータ選択指令を形成する。
【0076】
計算リソーススケジューリング割当モジュールは、移動子有効軸計算を対応する計算リソースに割り当てる。
【0077】
モータ計算モジュールにより制御関連計算(位置ループ、速度ループ、電流ループを含む)を完成し、保存及び配布モジュールに結果を出力する。
【0078】
保存及び配布モジュールは、今回の結果を保存して、アドレスに基づいて順次モータ駆動ユニットに出力する。
【0079】
データパケットは、対応するアドレスのモータ駆動ユニットに順次送信され、パワー駆動インバータモジュールに入り、対応する三相電流を生成する。
【0080】
前記の過程を繰り返し、モータ移動子に閉ループ制御効果が生じる。
上述した実施例から分かるように、本発明が提出する磁気輸送ライン駆動システム、磁気輸送ライン及び磁気輸送ライン駆動システムの制御方法は、従来技術の課題を根本的に解決することができ、計算をモータ制御ユニットに集中して集中計算を行うことにより、数が一番多いモータ駆動ユニットを大幅に簡素化し、コストを大幅に低減することができ、また、モータ駆動ユニットは複雑な計算を必要としないので、ユニット自体に必要なチップやその他の電子部品の数も大幅に減少し、コストを下げると同時に信頼性の向上をもたらし、また、計算リソーススケジューリング割当モジュールおよび交換制御ユニットを設置することによって、モータ制御ユニットから各モータ駆動ユニットへの通信遅延が制御周期よりも小さくなるとともに、複数のループをサポートでき、システムの遅延発生を回避しつつ、システムの拡張性を向上させる。
【0081】
ここで使用される用語および表現は、説明のためにのみ使用されるものであり、本発明はこれらの用語および表現に限定されるべきではない。これらの用語および表現を使用することは、任意の例示および説明(またはその一部)の等価な特徴を排除することを意味するものではなく、可能性のある様々な修正も請求の範囲内に含まれることが認識されるべきである。その他の修正、変更、置換も可能です。対応して、クレームは、これらすべての等価物をカバーしているものとみなす。
【0082】
同様に、本発明は現行の具体的な実施形態を参照して説明されているが、当業者であれば、上記の実施例は本発明を説明するためにのみ使用され、本発明の精神から逸脱することなく、様々な等価な変更または置換が可能であり、したがって、本発明の実質精神の範囲内で上記の実施例の変更または変形は、すべて本出願の請求の範囲内に収まることを認識すべきであることに留意されたい。
【符号の説明】
【0083】
符号の説明
100、アクチュエータ
110、モータステータ
111、有効軸
112、無効軸
120、モータ移動子
200、駆動システム
210、運動制御ユニット
211、プログラム実行モジュール
212、衝突検出モジュール
213、モータステータ管理モジュール
220、モータ制御ユニット
221、第1の通信モジュール
222、第2の通信モジュール
223、有効軸管理モジュール
224、モータ計算モジュール
225、計算リソーススケジューリング割当モジュール
226、保存/配布モジュール
230、モータ駆動ユニット
231、駆動通信モジュール
232、波形発生モジュール
233、パワー駆動インバータモジュール
234、収集モジュール
235、故障処理モジュール
236、電源管理モジュール
240、位置感知ユニット
250、交換制御ユニット
【手続補正書】
【提出日】2024-05-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気輸送ラインの
アクチュエータを指令に基づいて駆動するための磁気輸送ライン駆動システムであって、前記アクチュエータは複数のモータステータと少なくとも1つのモータ移動子とを含み、
前記指令に基づいて駆動指令を生成する運動制御ユニットと、
前記モータステータに対応する数で、前記モータ移動子の数量情報及び位置情報を検出するための複数の位置感知ユニットと、
前記駆動指令と前記モータ移動子の数量情報及び位置情報とに基づいて、有効軸の数量情報及びアドレス情報を算出し、指定される前記モータステータを選択するためのモータステータ選択指令と、指定される駆動電流を生成するためのインバータ設定指令とを生成するモータ制御ユニットと、
前記モータステータに対応する数で、前記モータステータ選択指令とインバータ設定指令とに基づいて、駆動電流を生成して対応する前記モータステータに供給する複数のモータ駆動ユニットとを備えることを特徴とする磁気輸送ライン駆動システム。
【請求項2】
前記モータ駆動ユニットは、
前記モータ駆動ユニットと外部とのデータ伝送を実現するための駆動通信モジュールと、
前記インバータ設定指令に基づいてインバータ制御波形を生成する波形発生モジュールと、
前記インバータ制御波形に基づいて、駆動電流を生成して指定される前記モータステータに供給するパワー駆動インバータモジュールとを備えることを特徴とする請求項1に記載の磁気輸送ライン駆動システム。
【請求項3】
前記モータ駆動ユニットは、
前記モータステータの各相の電流情報、電圧情報及び温度情報を収集し、前記モータ制御ユニットにフィードバックする収集モジュールをさらに備えることを特徴とする請求項2に記載の磁気輸送ライン駆動システム。
【請求項4】
前記モータ駆動ユニットは、
前記磁気輸送ラインにおける前記モータ移動子の速度情報、位置情報、及び前記モータステータの各相の電流情報に基づいて、前記磁気輸送ラインの運転に影響を与える故障が発生しているか否かを判断し、故障が発生している場合には故障信号を受信して、前記パワー駆動インバータモジュールに停止指令を出力する故障処理モジュールをさらに備えることを特徴とする請求項2に記載の磁気輸送ライン駆動システム。
【請求項5】
前記モータ制御ユニットは、
前記モータ制御ユニットと前記モータ駆動ユニットおよび/または前記位置感知ユニッ
トとの間のデータ伝送を実現する第1の通信モジュールと、
前記モータ制御ユニットと前記運動制御ユニットとのデータ伝送を実現する第2の通信モジュールと、
前記モータ移動子の数量情報及び位置情報に基づいて、前記有効軸の数量情報及びアドレス情報を計算し、前記モータステータ選択指令を生成する有効軸管理モジュールと、
前記駆動指令と、前記モータステータ選択指令と、前記モータステータの各相の電流情報とに基づいて、前記インバータ設定指令を生成して前記モータ駆動ユニットに出力する少なくとも1つのモータ計算モジュールとを備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載の磁気輸送ライン駆動システム。
【請求項6】
前記モータ制御ユニットは、
前記モータステータ選択指令に基づいて、選定される前記モータ計算モジュールに計算を完了させるように、1つ以上の前記モータ計算モジュールを選択する計算リソーススケジューリング割当モジュールと、
計算結果を保存して、前記第1の通信モジュールに配布する保存及び配布モジュールとをさらに備えることを特徴とする請求項5に記載の磁気輸送ライン駆動システム。
【請求項7】
前記運動制御ユニットは、
指令に基づいて前記駆動指令を生成するプログラム実行モジュールと、
前記駆動指令が前記モータ移動子の衝突を引き起こすか否かを判断し、判断結果がNOである場合には前記駆動指令を前記モータ制御ユニットに出力し、判断結果がYESである場合には判断結果がNOとなるまで待機してから前記駆動指令を出力する衝突検出モジュールとを備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載の磁気輸送ライン駆動システム。
【請求項8】
前記磁気輸送ライン駆動システムは、複数の前記位置感知ユニットが直列に接続されることによって形成される複数の互いに並列に接続されるループと、複数の前記モータ駆動ユニットが直列に接続されることによって形成される複数の互いに並列に接続されるループとを有することを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載の磁気輸送ライン駆動システム。
【請求項9】
前記モータステータ選択指令に基づいて、前記モータ制御ユニットと、各ループにおける位置感知ユニットおよび/または前記モータ駆動ユニットとのデータ伝送を実現する交
換制御ユニットをさらに備えることを特徴とする請求項8に記載の磁気輸送ライン駆動システム。
【請求項10】
複数のモータステータと、少なくとも1つのモータ移動子とを含むアクチュエータを備える磁気輸送ラインであって、
請求項
1に記載の磁気輸送ライン駆動システムをさらに備えることを特徴とする磁気輸送ライン。
【請求項11】
有効軸に基づいて制御し、磁気輸送ラインのアクチュエータを指令に応じて駆動するための磁気輸送ライン駆動システムの制御方法であって、前記アクチュエータは、複数のモータステータと少なくとも1つのモータ移動子とを含み、
指令に基づいて前記駆動指令を生成する駆動指令生成ステップと、
前記モータ移動子の数量情報及び位置情報を取得するモータ移動子検出ステップと、
前記モータ移動子の数量情報及び位置情報に基づいて、前記有効軸の数量情報及びアドレス情報を計算する有効軸アドレス計算ステップと、
前記有効軸のアドレス情報に基づいてモータステータ選択指令を生成するモータステータ選択ステップと、
前記モータ移動子の位置情報と、前記モータステータの各相の電流情報と、1周期前のインバータ設定指令とに基づいて、位置ループ、速度ループ、電流ループの計算をそれぞれ完成し、インバータ設定指令を生成する制御ループ計算ステップと、
前記インバータ設定指令を保存し、前記モータステータ選択指令に基づいて対応する前記モータステータを選択し、前記モータステータを駆動する駆動電流を生成する駆動電流生成ステップとを含み、
以上のステップが繰り返され、前記モータ移動子の閉ループ制御が形成されることを特徴とする磁気輸送ライン駆動システムの制御方法。
【請求項12】
前記駆動指令が前記モータ移動子の衝突を引き起こすか否かを判断し、判断結果がNOである場合には前記駆動指令を出力し、判断結果がYESである場合には判断結果がNOとなるまで待機してから前記駆動指令を出力し、駆動指令生成ステップの後にある衝突検出ステップをさらに含むことを特徴とする請求項11に記載の磁気輸送ライン駆動システムの制御方法。
【請求項13】
前記モータステータ選択指令に基づいて、前記制御ループ計算ステップに必要な計算リソースを割り当て、モータステータ選択ステップの後にある計算リソーススケジューリングステップをさらに含むことを特徴とする請求項12に記載の磁気輸送ライン駆動システムの制御方法。
【国際調査報告】