(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】クリーンで再生可能かつ持続可能な発電のための発電機
(51)【国際特許分類】
H02N 11/00 20060101AFI20240829BHJP
H02K 7/02 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
H02N11/00 Z
H02K7/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024514392
(86)(22)【出願日】2022-08-30
(85)【翻訳文提出日】2024-04-23
(86)【国際出願番号】 MY2022050079
(87)【国際公開番号】W WO2023033643
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】PI2021005066
(32)【優先日】2021-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】MY
(31)【優先権主張番号】PI2022004076
(32)【優先日】2022-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】MY
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524080933
【氏名又は名称】エコ クアサ テクノロジー エスディーエヌ ビーエイチディー
【氏名又は名称原語表記】EKO KUASA TECHNOLOGY SDN BHD
【住所又は居所原語表記】49-2, Jalan Puteri 1/4, Bandar Puteri, Puchong, Selangor, 47100 Malaysia
(74)【代理人】
【識別番号】100176072
【氏名又は名称】小林 功
(72)【発明者】
【氏名】リー コ ヨン
(72)【発明者】
【氏名】ビン アブドゥラー ムハンマド サー ラファエル
【テーマコード(参考)】
5H607
【Fターム(参考)】
5H607BB02
5H607BB07
5H607BB14
5H607DD03
5H607EE41
(57)【要約】
【解決手段】本発明は、クリーンで再生可能かつ持続可能な発電のための発電機に関する。したがって、本発電機(500)は、a)駆動軸(300)を有する少なくとも一つの機械装置(400)と、b)駆動軸(300)に接続される少なくとも一つのフライホイール(320)と、c)少なくとも一つのステータ(520)およびロータ(540)とを含み、少なくとも一つの機械装置(400)の駆動軸(300)は、発電機(500)の少なくとも一つのロータ(540)を同期して回転させるように動作し、フライホイール(320)は、アレイまたは等間隔に設けられた磁界手段(322)の一つ以上の層を有し、磁界手段は、少なくとも一つの支持部(360)の励磁コイル(340)との磁気的相互作用により、単一方向へのフライホイール(320)の回転を誘起してロータ(540)を回転させるように適合され、発電機(500)の少なくとも一つのステータ(520)は、巻線歯(523)が突出している周囲に等間隔に設けられた複数個の巻線界磁コイル(522)を備える電機子(524)を有し、各巻線界磁コイル(522)は、集電励磁コイルまたは電磁コイルとして作用するように適合され、発電機(500)の少なくとも一つのロータ(540)は、内周面に等間隔に設けられた磁界発生手段(542)のアレイを含み、ロータ(540)は、フライホイールとして作用し、突発的負荷により生じる磁束摩擦を除去することで、ロータ(540)の回転を軽くするように適合される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クリーンで再生可能かつ持続可能な発電のための発電機であって、前記発電機(500)は、
a)駆動軸(300)を有する少なくとも一つの機械装置(400)と、
b)前記駆動軸(300)に接続される少なくとも一つのフライホイール(320)と、
c)少なくとも一つのステータ(520)およびロータ(540)とを含み、
前記少なくとも一つの機械装置(400)の前記駆動軸(300)は、前記発電機(500)の前記少なくとも一つのロータ(540)を同期して回転させるように動作し、
前記フライホイール(320)は、アレイまたは等間隔に設けられた磁界手段(322)の一つ以上の層を有し、前記磁界手段(322)は、少なくとも一つの支持部(360)の励磁コイル(340)との磁気的相互作用により、単一方向への前記フライホイール(320)の回転を誘起して前記ロータ(540)を回転させるように適合され、
前記発電機(500)の前記少なくとも一つのステータ(520)は、巻線歯(523)が突出している周囲に等間隔に設けられた複数個の巻線界磁コイル(522)を備える電機子(524)を有し、各巻線界磁コイル(522)は、集電励磁コイルまたは電磁コイルとして作用するように適合され、
前記発電機(500)の前記少なくとも一つのロータ(540)は、内周面に等間隔に設けられた磁界発生手段(542)のアレイを含み、前記ロータ(540)は、フライホイールとして作用し、突発的負荷により生じる磁束摩擦を除去することで、前記ロータ(540)の回転を軽くするように適合される、発電機。
【請求項2】
請求項1に記載の発電機であって、前記少なくとも一つの機械装置(400)は、前記機械装置(400)を静止始動して前記駆動軸(300)を回転させるように動作する少なくとも一つの電源に接続される、発電機。
【請求項3】
請求項2に記載の発電機であって、前記少なくとも一つの機械装置(400)は、動作条件に応じて、駆動モータまたは発電機として二者択一的に作用し得る回転機械である、発電機。
【請求項4】
請求項3に記載の発電機であって、前記少なくとも一つの機械装置(400)は、前記駆動軸(300)を静止始動して少なくとも一つのロータ(540)の回転速度を加速し、前記発電機(500)を十分に始動するために、前記電源からの電力供給により電動機として一時的に動作するように適合される、発電機。
【請求項5】
請求項3に記載の発電機であって、前記発電機(500)が前記機械装置(400)に電力を供給し返すように動作開始すると、前記少なくとも一つの機械装置(400)は発電機として動作するように切り替えられる、発電機。
【請求項6】
請求項1に記載の発電機であって、前記フライホイール(320)の前記アレイまたは等間隔に設けられた磁界手段(322)の層は、18~25度、より好ましくは20度のオフセット角で構成される、発電機。
【請求項7】
請求項6に記載の発電機であって、前記フライホイール(320)の前記磁界手段(322)は、同じ極性を備える、鉄心の永久磁石、または磁石を模した励磁コイル、またはこれらの組合せであり得る、発電機。
【請求項8】
請求項1に記載の発電機であって、前記少なくとも一つの支持部(360)は、18~25度、より好ましくは20度のオフセット角で構成される、等間隔に設けられた励磁コイル(340)の一つ以上の層を有する、発電機。
【請求項9】
請求項8に記載の発電機であって、電磁石として動作する、前記少なくとも一つの支持部(360)の前記励磁コイル(340)は、動作条件および使用要件に応じて、鉄心の永久磁石に置換され得る、発電機。
【請求項10】
請求項1に記載の発電機であって、前記少なくとも一つのステータ(520)の前記巻線界磁コイル(522)は、前記ロータ(540)の一回転あたり一回以上、逆起電力(EMF)により励磁されるように適合される、発電機。
【請求項11】
請求項1に記載の発電機であって、前記発電機(500)の前記少なくとも一つのロータ(540)は、フライホイールとしても作用し、前記駆動軸(300)の回転速度が上昇するたびに、定格始動速度に加速し、少なくとも一つのロータ(540)のそのような始動速度により、前記発電機(500)は自律的になって電力を生成し、前記少なくとも一つの制御器を介して前記機械装置(400)を駆動する、あるいは、他の電気装置のための電源として前記電力を送出する、発電機。
【請求項12】
請求項1に記載の発電機であって、前記少なくとも一つのロータ(540)の前記磁界発生手段(542)は、NS極を備える、鉄心の永久磁石、または帯磁体に引き付けられる手段、または電磁石、またはこれらの組合せであり得る、発電機。
【請求項13】
請求項1に記載の発電機であって、前記発電機(500)の前記少なくとも一つのロータ(540)は、通気のために、少なくとも一つの空間開口部(545)上に構成される一つ以上のクリップ羽根ファン(544)をさらに備え、前記クリップ羽根ファン(544)は、前記ロータ(540)の前記少なくとも一つの空間開口部(545)を介して空気力学的気流を与え、前記ステータ(520)の前記巻線界磁コイル(522)の温度を低下できるように適合される、発電機。
【請求項14】
請求項1に記載の発電機であって、前記発電機(500)は、少なくとも一つのステータ(520)とロータ(540)との間の交差磁界励起により、少なくとも一つのロータ(540)の回転速度を電流に変換するように適合され、前記発電機(500)は、閉ループエネルギーシステム内の前記少なくとも一つの機械装置(400)に電力を供給し返す、あるいは、他の電気装置のための電源として少なくとも一つの出力に前記電力を送るように動作する、発電機。
【請求項15】
請求項14に記載の発電機であって、前記発電機(500)の少なくとも一つのロータ(540)およびステータ(520)に設けられる列に並んだNS極を有する磁極の周期的整列および不整列の結果である交差磁界励起により、前記電流が形成される、発電機。
【請求項16】
請求項15に記載の発電機であって、前記交差磁界励起は、ロータ(540)の内周側ドラムの周りに等間隔に、または、大から小のアレイシーケンスの降順に、または、その逆順に、構成された磁界発生手段(542)または永久磁石により発生する磁界である磁気波キンク束を含む、発電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電機に関し、より特定的にはクリーンで再生可能かつ持続可能な発電のための発電機に関する。
【背景技術】
【0002】
地球温暖化は、過去10年間で極めて危機的かつ重要な問題となっている。その理由の一つとして、世界中で燃料発電機が多く使用されていたことがある。化石燃料発電機などの従来の燃料発電機は、温室効果の一因となる二酸化炭素(CO2)の大きな排出源であり、気候変動および大気汚染の主要原因であると考えられるため、未来の電気需要を満たす施設としては問題がある。人間が引き起こしたこれらの温室効果ガス排出は、地球温暖化の主要原因であろう。そのうえ、人類が燃料源の高い需要を達成するため、地殻や地球の採掘および掘削を計画すれば、深刻な大気汚染や自然および生態系の均衡崩壊が実質的に引き起こされ、環境は悪化し、脅威や課題が拡大するであろう。
【0003】
大気汚染や気候変動を軽減するために、効果的な再生可能かつ持続可能なエネルギー手段が、将来利用されるエネルギー需要を満たすのに必要とされている。これに鑑みて、世界の研究は、エネルギー消費および持続可能なエネルギー源利用に対する効率改善に徐々に向かっている。
【0004】
従来の設計パラダイムには、従来の再生可能かつ持続可能な機械発電機の運用に欠点が検出されるものがある。こうした欠点の中には、例えば、これに限られるものではないが、機械発電機の不安定性、保守に労力が必要であることによる保守の難しさ、共振の発生による実質的な振動、不安定かつ/または非効率的な電力出力が挙げられる。そのため、機械発電機の適切な運用を守るためには特別な注意が必要である。
【0005】
機械発電機の安定性および効率性を改良するために様々な取り組みがなされてきた。しかしながら、一つ以上の理由により、ほとんどの取り組みは完全に満足のいくものでなかった。例えば、機械発電機の中には、複雑な設計、構成、材料、何らかの欠陥のあると思われる部品のために、満足できるものでないため、広く用いられていないものがある。その他の取り組みでは、共振を軽減し、かつ機械発電機の適正な運用および実行有効性を確保するために、保守において過剰な監督が必要な場合があり、かなりの費用がかかることがある。さらには、機械発電機のある種の部品は小さすぎて手が届かないため、保守作業がより一層困難で時間がかかる場合がある。
【0006】
上記およびその他の欠点に鑑み、クリーンで再生可能かつ持続可能な発電のための効果的な発電機であって、上述した限界や欠点を克服可能とする発電機を提供することが望まれている。したがって、本発明は、従来の設計または先行技術に対して、上記欠点や問題の一つ以上を効率的かつ費用対効果の高い態様で克服するように適合される。本発明およびその特徴の組合せは、詳細な説明に記載され例示される。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、一般的にはクリーンで再生可能かつ持続可能な発電のための発電機に関する。したがって、本発電機は、a)駆動軸を有する少なくとも一つの機械装置と、b)駆動軸に接続される少なくとも一つのフライホイールと、c)少なくとも一つのステータおよびロータとを含み、少なくとも一つの機械装置の駆動軸は、発電機の少なくとも一つのロータを同期して回転させるように動作し、フライホイールは、アレイまたは等間隔に設けられた磁界手段の一つ以上の層を有し、磁界手段は、少なくとも一つの支持部の励磁コイルとの磁気的相互作用により、単一方向へのフライホイールの回転を誘起してロータを回転させるように適合され、発電機の少なくとも一つのステータは、巻線歯が突出している周囲に等間隔に設けられた複数個の巻線界磁コイルを備える電機子を有し、各巻線界磁コイルは、集電励磁コイルまたは電磁コイルとして作用するように適合され、発電機の少なくとも一つのロータは、内周面に等間隔に設けられた磁界発生手段のアレイを含み、ロータは、フライホイールとして作用し、突発的負荷により生じる磁束摩擦を除去することで、ロータの回転を軽くするように適合される。
【0008】
本発明の好ましい例示において、少なくとも一つの機械装置は、機械装置を静止始動して駆動軸を回転させるように動作する少なくとも一つの電源に接続される。少なくとも一つの機械装置は、動作条件に応じて、駆動モータまたは発電機として二者択一的に作用し得る回転機械であることが理解される。したがって、少なくとも一つの機械装置は、駆動軸を静止始動して少なくとも一つのロータの回転速度を加速し、発電機を十分に始動するために、電源からの電力供給により電動機として一時的に動作するように適合される。発電機が機械装置に電力を供給し返すように動作開始すると、少なくとも一つの機械装置は発電機として動作するように切り替えられる。
【0009】
一例として、これに限られるものではないが、フライホイールのアレイまたは等間隔に設けられた磁界手段の層は、18~25度、より好ましくは20度のオフセット角で構成される。任意で、フライホイールの磁界手段は、同じ極性を備える、鉄心の永久磁石、または磁石を模した励磁コイル、またはこれらの組合せであってもよい。
【0010】
本発明の好ましい例示において、少なくとも一つの支持部は、18~25度、より好ましくは20度のオフセット角で構成される、等間隔に設けられた励磁コイルの一つ以上の層を有する。電磁石として動作する、少なくとも一つの支持部の励磁コイルは、動作条件および使用要件に応じて、鉄心の永久磁石に置換されてもよいことが理解される。
【0011】
なお、少なくとも一つのステータの巻線界磁コイルは、ロータの一回転あたり一回以上、逆起電力(EMF)により励磁されるように適合される。発電機の少なくとも一つのロータは、フライホイールとしても作用し、駆動軸の回転速度が上昇するたびに、定格始動速度に加速し、少なくとも一つのロータのそのような始動速度により、発電機は自律的になって電力を生成し、少なくとも一つの制御器を介して機械装置を駆動する、あるいは、他の電気装置のための電源として電力を送出する。
【0012】
例として、これに限られるものではないが、少なくとも一つのロータの磁界発生手段は、NS極を備える、鉄心の永久磁石、または帯磁体に引き付けられる手段、または電磁石、またはこれらの組合せであってもよい。発電機の少なくとも一つのロータは、通気のために、少なくとも一つの空間開口部上に構成される一つ以上のクリップ羽根ファンをさらに備えてもよく、クリップ羽根ファンは、ロータの少なくとも一つの空間開口部を介して空気力学的気流を与え、ステータの巻線界磁コイルの温度を低下できるように適合されることが理解される。
【0013】
なお、本発明の発電機は、少なくとも一つのステータとロータとの間の交差磁界励起により、少なくとも一つのロータの回転速度を電流に変換するように適合され、発電機は、閉ループエネルギーシステム内の少なくとも一つの機械装置に電力を供給し返す、あるいは、他の電気装置のための電源として少なくとも一つの出力に電力を送るように動作する。したがって、発電機の少なくとも一つのロータおよびステータに設けられる列に並んだNS極を有する磁極の周期的整列および不整列の結果である交差磁界励起により、電流が形成される。交差磁界励起は、ロータの内周側ドラムの周りに等間隔に、または、大から小のアレイシーケンスの降順に、または、その逆順に、構成された磁界発生手段または永久磁石により発生する磁界である磁気波キンク束を含む。
【0014】
本発明は、以下に詳細に記載され添付の明細書および図面に例示されるいくつかの新規の特徴および部品の組合せからなるが、本発明の範囲から逸脱したり本発明の利益を何ら犠牲にしたりすることなく、細部の様々な変更が可能であることが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図面のいくつかは本開示の概略的表現にすぎないことが理解される。そのため、構成要素の一部は、図をわかりやすくするために実際の寸法通りではない場合がある。本発明は、以下に記載する詳細な説明および添付の図面により十分に理解されよう。これらの詳細な説明および図面は、あくまでも例示にすぎず本発明を限定するものでない。
【0016】
【
図1】
図1は、本発明の好ましい例示に従う、駆動軸を有する機械装置と、駆動軸に接続されるフライホイールと、少なくとも一つのステータおよびロータとを備える発電機の分解図である。
【0017】
【
図2】
図2は、本発明の好ましい例示に従う、アレイまたは等間隔に設けられた磁界手段の一つ以上の層を有するフライホイールの拡大図である。
【0018】
【
図3】
図3は、本発明の好ましい例示に従う、フライホイールの磁界手段と相互作用するように構成される等間隔に設けられた励磁コイルの一つ以上の層を有する支持部の拡大図である。
【0019】
【
図4】
図4は、本発明の好ましい例示に従う、巻線歯が突出している周囲に等間隔に設けられた複数個の巻線界磁コイルを備える電機子を有するステータの拡大図である。
【0020】
【
図5】
図5は、本発明の好ましい例示に従う、ステータおよび磁界発生手段のアレイを備えるロータの拡大分解斜視図である。
【0021】
【
図6a】
図6aは、本発明の好ましい例示に従う、対応するNS極の磁極を有するロータの回転時のステータの巻線界磁コイルの切断位置(cutting position)の図である。
【
図6b】
図6bは、本発明の好ましい実施形態に従う、ロータのNS極磁石/磁極および磁束線の例を示す概略図である。
【好ましい実施形態の詳細な説明】
【0022】
本発明は、発電のための発電機に関し、より特定的にはクリーンで再生可能かつ持続可能な発電のための発電機に関する。以下、本出願明細書は本発明の好ましい例示に従って発明を記載する。しかしながら、発明の好ましい例示に説明を限定することは、単に本発明の考察を容易にするためにすぎないことが理解されよう。当業者であれば、添付の請求の範囲から逸脱することなく、様々な変形および均等物を考案できることが想定される。
【0023】
添付の図面と関連付けて以下に述べる詳細な説明は、本発明の様々な例示の実施形態の記載として意図され、本発明が実施され得る実施形態のみを表すものでない。以下の説明において、説明の目的で、本発明をより完全に理解するために、具体的な構造詳細、配置および材料を述べる。しかしながら、これらの具体的な詳細なしに本発明を実施可能であることは当業者には明らかであろう。略語やその他の説明的用語は、便宜上明確性のために用いられるにすぎず、発明の範囲を限定するものでない。
【0024】
本発明は、前述の限界や欠点の一つ以上を克服するために、クリーンで環境に優しい発電機を提供することを目的とする。したがって、本発明のクリーンで再生可能かつ持続可能な発電のための発電機は、環境汚染を回避し調和のとれた環境の創出に貢献するために非エネルギー源を利用する。
【0025】
本発明の好ましい態様の発電機は、簡素かつ効果的で、構成および設置が比較的安価で、クリーンで再生可能かつ持続可能な発電を提供するように仕様変更可能である。さらに、本発明の発電機は、他の電力エネルギー生産装置に比べて温室効果ガスを排出することなく運用可能である。また、本発明の発電機は、保守が容易で、操業停止時間および保守費用を極力抑えながらも、高い運用信頼度を維持する。
【0026】
なお、本発明の発電機は、電流生成のためにロータの永久磁石磁界とステータの電磁誘導との間の交差磁界励起の原理に基づいて作動する。したがって、本発電機は、ステータとロータとの間の交差磁界励起によりロータの回転速度を電流に変換するように適合されるため、当該発電機は、少なくとも一つの機械装置に電力を供給し返す、あるいは、他の電気装置のための電源として出力に電力を供給するように動作する。
【0027】
添付の図面を参照し、
図1~
図6bを個別にまたはいずれかを組み合わせて、本発明を実施する最良の態様に従うクリーンで再生可能かつ持続可能な発電のための発電機を以下に説明する。
【0028】
図1を参照し、本発明に従うクリーンで再生可能かつ持続可能な発電のための発電機(500)は、一般に、駆動軸(300)を有する少なくとも一つの機械装置(400)と、駆動軸(300)に接続される少なくとも一つのフライホイール(320)と、少なくとも一つのステータ(520)およびロータ(540)とを含む。
【0029】
本発明の好ましい例示において、少なくとも一つの機械装置(400)は、少なくとも一つの電源(図示せず)に接続される。したがって、少なくとも一つの電源は、少なくとも一つの機械装置(400)を静止始動して駆動軸(300)を回転させるように動作する。なお、少なくとも一つの駆動軸(300)は、好ましくは、これに限られるものではないが、一つ以上のロータ(540)に接続され、ロータ(540)の同期回転を可能にする。
【0030】
例として、限定されるものでないが、少なくとも一つの電源は、エネルギー生成システム(図示せず)内の少なくとも一つの電力貯蔵部からの電力供給または補助電力供給であってもよい。したがって、電力貯蔵部(図示せず)は、一つ以上の充電可能な電池、または、静止始動のための十分な電力を供給可能な電力貯蔵の他の適用可能な形態を含んでもよい。補助電力供給(図示せず)は、直接電源端子からの電力供給、または、電力供給の他の適用可能な形態を含んでもよい。なお、電源は、例示であって、上記例に限定されるものではなく、設計または使用要件に従って変更されてもよい。そのため、本明細書に記載する電源は、いかなる態様でも限定的に解釈されるべきでない。
【0031】
なお、少なくとも一つの機械装置(400)は、動作条件に応じて、駆動モータまたは発電機として二者択一的に作用し得る回転機械であってもよい。したがって、少なくとも一つの機械装置(400)は、駆動軸(300)を静止始動して少なくとも一つのロータ(540)の回転速度を加速し、発電機(500)を十分に始動するために、電源からの電力供給により電動機として一時的に動作するように適合される。そして、発電機(500)が機械装置(400)に電力を供給し返すように動作開始すると、機械装置(400)は発電機として動作するように切り替えられてもよい。
【0032】
本発明の好ましい例示において、少なくとも一つの機械装置(400)の駆動軸(300)は、発電機(500)の少なくとも一つのロータ(540)を同期して回転させるように動作する。なお、駆動軸(300)は、少なくとも一つのフライホイール(320)をさらに備える。なお、少なくとも一つのフライホイール(320)は、界磁構造としても知られる磁石電機子(321)を有し、回転動作時に駆動軸(300)の回転により一定力の磁界を与える。したがって、少なくとも一つのフライホイール(320)は、好ましくは、駆動軸(300)に接続され、アレイまたは等間隔に設けられた磁界手段(322)の一つ以上の層を有し、磁界手段(322)は、励磁コイル(340)との磁気的相互作用により、単一方向へのフライホイール(320)の回転を誘起してロータ(540)を回転させるように適合される(
図1および
図2参照)。一例として、これに限られるものではないが、アレイ状に配置された磁界手段(322)の二つ以上の層が設けられてもよく、これらは、最適性能のために、所定の間隔でオフセットされて交互シーケンス(324)を形成する(
図2参照)。なお、フライホイール(320)のアレイまたは等間隔に設けられた磁界手段(322)の層は、18~25度、より好ましくは20度のオフセット角で構成される。例として、これに限られるものではないが、フライホイール(320)の磁界手段(322)は、同じ極性を備える、鉄心の永久磁石、または磁石を模した励磁コイル、またはこれらの組合せであってもよい。
【0033】
好ましくは、これに限られるものではないが、本発明の励磁コイル(340)は、少なくとも一つの支持部(360)により支持されてもよい(
図1および
図3参照)。したがって、少なくとも一つの支持部(360)は、フライホイール(320)の磁界手段(322)と相互作用するように構成される、等間隔に設けられた励磁コイル(340)の一つ以上の層を有する。同様に、間隔をあけられた励磁コイル(340)の二つ以上の層が、最適性能のために、所定の間隔でオフセットされ交互シーケンス(342)を形成するように設けられてもよい(
図3参照)。なお、支持部(360)における等間隔に設けられた励磁コイル(340)の層は、18~25度、より好ましくは20度のオフセット角で構成される。電磁石として動作する、支持部(360)の励磁コイル(340)は、動作条件および使用要件に応じて、任意で、鉄心の永久磁石に置換されてもよいことが理解される。
【0034】
本発明の好ましい例示において、発電機(500)の少なくとも一つのステータ(520)は、巻線歯(523)が突出している周囲に等間隔に設けられた複数個の巻線界磁コイル(522)を備える電機子(524)を有する(
図1および
図4参照)。したがって、各巻線界磁コイル(522)は、好ましくは、これに限られるものではないが、各巻線歯(523)に巻かれ、電機子(524)の周囲に等間隔に設けられる。なお、各巻線界磁コイル(522)は、集電励磁コイルまたは電磁コイルとして作用するように適合される。したがって、ステータ(520)の巻線界磁コイル(522)は、ロータ(540)の一回転あたり一回以上、逆起電力(EMF)により励磁されるように適合される。なお、ステータ(520)の巻線界磁コイル(522)は、例示であって上記例に限定されるものではなく、設計または使用要件に応じて変更されてもよい。そのため、本明細書に記載されるステータ(520)の巻線界磁コイル(522)は、いかなる態様でも限定的に解釈されるべきでない。
【0035】
ステータ(520)の各巻線歯(523)に配置される巻線界磁コイル(522)は、銅、銀、アルミニウム、または、その他の導電材料を含む、任意の材料からなってもよいが、これらに限られるものではない。ステータ(520)の巻線界磁コイル(522)の形状および断面は、円形、方形、三角形、長方形、および、適切と考えられるその他のものなど様々であってもよい。例えば、これに限られるものではないが、コイルに巻かれる巻線および層の数、ならびに得られるオーム抵抗;単層巻き、二重巻き、二重巻き同方向、二重巻き反対方向、左から右、右から左、編み込み巻き(interwoven winding)などの、各巻線歯(523)への巻き方;などの設計構成の他の変形例が、上記例が一つの巻線歯(523)に巻かれるかについて、本発明を実施する最良の態様として想定され得るが、いかなる態様でも限定的に解釈されるべきでない。
【0036】
なお、発電機(500)の少なくとも一つのロータ(540)は、その内周面の周りに等間隔に設けられた磁界発生手段(542)のアレイを含んでもよい(
図1および
図5参照)。例として、これに限られるものではないが、少なくとも一つのロータ(540)の磁界発生手段(542)は、NS極を備える、鉄心の永久磁石、または帯磁体に引き付けられる手段、または電磁石、またはこれらの組合せであってもよい。発電機(500)の少なくとも一つのロータ(540)は、通気のために、ロータ(540)の少なくとも一つの空間開口部(545)上に構成される一つ以上のクリップ羽根ファン(544)をさらに備えてもよいことが理解される。したがって、クリップ羽根ファン(544)は、ロータ(540)の少なくとも一つの空間開口部(545)を介して空気力学的気流を与え、ステータ(520)の巻線界磁コイル(522)の温度を低下できるように適合される。
【0037】
なお、発電機(500)の少なくとも一つのロータ(540)は、フライホイールとして作用し、突発的負荷により生じる磁束摩擦を除去することで、ロータ(540)の回転を軽くするように適合される。なお、ロータ(540)の磁界発生手段(542)およびクリップ羽根ファン(544)は、例示であって上記例に限定的に解釈されず、設計または使用要件に応じて変更されてもよい。そのため、上述したロータ(540)の磁界発生手段(542)およびクリップ羽根ファン(544)は、いかなる態様でも限定的に解釈されるべきでない。
【0038】
例として、限定するものではないが、少なくとも一つのステータ(520)における巻線界磁コイル(522)の数と少なくとも一つのロータにおける磁界発生手段(542)の数とは、様々な組合せで構成されてもよく、以下に限られない。
(i)ロータの3個の磁石と1~5個のステータコイルを用いてもよい。
(ii)ロータの5個の永久磁石と1~9個のステータコイルを用いてもよい。
(iii)ロータの8個の永久磁石と1~3または9個のステータコイルを用いてもよい。
(iv)出力は各組合せで異なる。
【0039】
少なくとも一つのステータ(520)からの電流出力は、単相出力でも三相出力でもよいことが理解される。本発明の好ましい例示において、8組の磁気アレイが、少なくとも一つのロータ(540)に設けられ、三相ステータの24個の歯かつ23個の巻線コイルが好ましくは使用される(
図4および
図5参照)。したがって、発電機(500)の少なくとも一つのステータ(520)は、好ましくは、一連の24個の巻線歯(523)を有し、そのうち23個に巻線界磁コイル(522)が巻かれる(
図4)。ステータ(520)は、好ましくは、これに限られるものではないが、回転電磁ドラムであるロータ(540)に囲まれている。なお、ロータ(540)の内周側ドラムは、好ましくは、内周面に等間隔に設けられた磁界発生手段(542)の8組の磁気アレイを備える(
図5)。
【0040】
ロータ(540)が回転すると、ステータ(520)の巻線界磁コイル(522)に電流が誘導される。巻線界磁コイル(522)の各々は、別個の導体であることが理解される。それぞれの巻線界磁コイル(522)に誘導される電流が組み合わさって、並んで構成される各発電機(500)から出力される約2800~3000KVAの電流を形成する。そして、電流は、電力線を介してステータ(520)の巻線界磁コイル(522)から発電システム(図示せず)の遮断器ユニットおよび電圧安定器へ転送されてから、該システム内でループバックしたり必要に応じて電力を出力したりするのに用いられる。なお、上記組合せは例示であってこれに限定されるものではなく、設計または使用要件に従って変更されてもよい。そのため、上述した組合せは、いかなる態様でも限定的に解釈されるべきでない。
【0041】
本発明の発電機(500)は、電動機の逆として効果的に機能してもよい。駆動モータまたは機械装置(400)に電気を供給する代わりに、好ましくは、出力回路への電流出力は、閉ループで用いられ、システム内の他の電気駆動装置を運転するように適合される。本発明の好ましい例示において、発電機(500)は、少なくとも一つのステータ(520)とロータ(540)との間の交差磁界励起により、少なくとも一つのロータ(540)の回転速度を電流に変換するように適合され、発電機(500)は、閉ループエネルギーシステム(図示せず)内の少なくとも一つの機械装置(400)に電力を供給し返す、あるいは、他の電気装置のための電源として少なくとも一つの出力に電力を送るように動作する。
【0042】
なお、駆動軸(300)の回転速度が上昇するたびに、フライホイールとしても作用する発電機(500)の少なくとも一つのロータ(540)は、定格始動速度に加速される。少なくとも一つのロータ(540)のそのような始動速度により、発電機(500)は、自律的になって電力を生成し、少なくとも一つの制御器(図示せず)を介して機械装置(400)を駆動する、あるいは、他の電気装置のための電源として電力を送出する。
【0043】
好ましい例示において、好ましくは、発電機(500)の少なくとも一つのロータ(540)およびステータ(520)に設けられる列に並んだNS極を有する磁極の周期的整列および不整列の結果である交差磁界励起により、電流が形成される(
図6a参照)。したがって、交差磁界励起は、磁気波キンク束(magnetic wave kink flux)を含む。磁気波キンクは、典型的には、ロータ(540)の内周側ドラムの周りに等間隔に設けられた磁界発生手段(542)または永久磁石により発生する磁界である。なお、NS極配置を備える磁極におけるステータ(520)の巻線界磁コイル(522)に供給される磁気波キンク束の方向は、同期していなければならない。すなわち、交差磁界励起のために少なくとも一つのステータ(520)の巻線界磁コイル(522)に必要とされる、少なくとも一つのロータ(540)の磁界発生手段(542)からの磁界は、ステータ(520)の巻線界磁コイル(522)の極性に対応していなければならない。したがって、生じた力が反対方向になるたびに、生じた力がゼロから最大値に変化し再びゼロに戻る期間より短い期間の間、少なくとも一つのステータ(520)の巻線界磁コイル(522)は励磁される。
【0044】
一例として、これに限られるものではないが、
図6bは、本発明の好ましい例示に従う、ロータのNS極磁石/磁極および磁束線の例を示す。等間隔に設ける代わりに、磁界発生手段(542)または永久磁石は、ロータ(540)の内周側ドラムの周りに、大から小のアレイシーケンスの降順に、またはその逆順に構成されてもよい。そのような配置により、磁界励起または主磁束は、ロータ(540)を軸方向に流れるか、あるいは、ロータ(540)内面を周方向に流れる。磁界発生手段(542)または永久磁石がロータ(540)のドラムの内面に位置することにより、強磁性体ロータコアが必要でなくなる。よって、軸方向長さが実質的に短くなるため、機械発電機の電力密度が向上する。なお、巻線間の位置にいくつかの低ガウス磁石を埋め込んで、堅牢性を増加させ、ステータ(520)のコイルに対してより良好な磁束切断を与えてもよい。500~600rpmの低速回転を用いて十分な電力を生成できるので、発電機の効率性が向上する。
【0045】
なお、本発明のクリーンで再生可能かつ持続可能な発電のための発電機(500)は、例示であって、本発明の機能を記載するにあたり本明細書で用いられる。本発明の発電機(500)は、例えば、これに限られるものではないが、意図される目的に適切とみなされる場合であれば、携帯用小規模電源モジュールシステム、中規模発電所システム、または、大規模発電所システムなどのその他の種類の発電にも適用され使用されてもよい。
【0046】
また、装置、構成要素または部品、材料、さらには上記発電機を実施するために使用される様々な要素の構成および配置は、例示にすぎず、本発明を限定するのもでない。当業者であれば、こうした装置、構成要素または部品、材料、さらには本明細書に記載される様々な要素の構成および配置は、種々の最適な効果または所望の動作特性が得られるような態様で変形され得ることを理解するであろう。そのため、以上の記載は、いかなる態様でも限定的に解釈されるべきでなく、発明を実施するために発明者が想定する最良の態様として解釈されるべきである。
【0047】
本明細書において「例示」とは、一例、事例、例証を意味するものとして使用される。「例示」として本明細書に記載されるいずれの実施形態も、他の実施形態に対して好ましいか有利であると解釈されるとは限らない。同様に、システム、装置、デバイスまたは製品の「実施形態」と言う用語は、発明のすべての実施形態が、記載された構成要素、構造、特徴、機能、工程、利点、利益、または、動作形態を含むことを要しない。
【0048】
本明細書に記載される、実質的に複数および/または単数を表す用語の使用に関しては、当業者であれば、複数から単数へ、かつ/または、単数から複数へ、文脈および/または用途に応じて適切に変換できるであろう。様々な単数/複数の入れ替えは、説明をわかりやすくするために本明細書に明示的に述べられる場合がある。
【0049】
さらに、導入されたクレーム記載の特定の数が意図される場合には、そのような意図はクレームに明示的に記載され、そのような記載がない場合にはそのような意図が存在しないことは、当業者であれば理解するであろう。例えば、理解を助けるため、以下の添付の請求の範囲は、クレーム記載を導入する「少なくとも一つの」または「一つ以上の」という導入句の使用を含む場合がある。しかしながら、たとえ、同じクレームが「一つ以上の」または「少なくとも一つの」などの導入句や、単数の不定冠詞を含む場合でも、そのような句を使用することで、単数の不定冠詞によるクレーム記載の導入が、そのような導入されたクレーム記載を含む特定のクレームを一つのみのそのような記載を含む発明に限定することを暗示すると解釈されるべきでない(例えば、単数の不定冠詞は典型的には「少なくとも一つの」または「一つ以上の」を意味すると解釈されるべきである)。これはクレーム記載を導入するために使用される定冠詞の使用にも当てはまる。さらに、導入されたクレーム記載の特定の数が明示的に記載されたとしても、そのような記載は、少なくとも記載された数を典型的には意味する(例えば、他の修飾語句なしに「二つの」とのみ記載された場合は、典型的には、少なくとも二つまたは二つ以上を意味する)と解釈すべきであることは当業者であれば理解するであろう。
【0050】
本発明を以上に記載したが、本発明は多くの態様で変形され得ることは明らかである。そのような変形は、発明の原理および範囲を逸脱するものとみなされるべきでなく、そのような変形はすべて、当業者には自明であり以下の請求の範囲内にあることが意図される。
【国際調査報告】