(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】液圧式の非人力ブレーキのペダルレバーを制御する方法、および該方法を実行する制御ユニットを備える非人力ブレーキ
(51)【国際特許分類】
B60T 8/17 20060101AFI20240829BHJP
B60T 7/04 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
B60T8/17 B
B60T7/04 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024514463
(86)(22)【出願日】2022-07-08
(85)【翻訳文提出日】2024-03-04
(86)【国際出願番号】 EP2022069133
(87)【国際公開番号】W WO2023036497
(87)【国際公開日】2023-03-16
(31)【優先権主張番号】102021209950.5
(32)【優先日】2021-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100182626
【氏名又は名称】八島 剛
(72)【発明者】
【氏名】オーバージャー フランク
【テーマコード(参考)】
3D124
3D246
【Fターム(参考)】
3D124AA31
3D124BB01
3D124CC14
3D124DD09
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3D246LA57Z
3D246LA61Z
3D246LA63Z
3D246LA73Z
(57)【要約】
少なくとも部分自動化された可動型のプラットフォーム用の液圧式の非人力ブレーキのペダルレバーを制御する方法であって、ペダルレバーは、機械的に主ブレーキシリンダに作用し、かつペダルレバーは、操作アクチュエータに機械的に連結されており、ペダルレバーをパッシブポジションへ制御する第1の信号を非人力ブレーキのための制御ユニットに提供し、第1の液圧的な接続を主ブレーキシリンダと補償容積との間に形成し、かつ主ブレーキシリンダの第1の液圧的な体積を補償容積内に、ペダルレバーに作用する操作アクチュエータにより、ペダルレバーをパッシブポジションへ制御すべく、移送する、少なくとも部分自動化された可動型のプラットフォーム用の液圧式の非人力ブレーキのペダルレバーを制御する方法を提案する。
【選択図】
図1c
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも部分自動化された可動型のプラットフォーム用の液圧式の非人力ブレーキ(1000)のペダルレバーを制御する方法であって、
前記ペダルレバーは、機械的に主ブレーキシリンダ(1050)に作用し、かつ前記ペダルレバーは、操作アクチュエータ(1070)に機械的に連結されており、
前記ペダルレバーをパッシブポジションへ制御する第1の信号を前記非人力ブレーキ(1000)のための制御ユニットに提供し、
第1の液圧的な接続を前記主ブレーキシリンダ(1050)と補償容積との間に形成し、かつ
前記主ブレーキシリンダ(1050)の第1の液圧的な体積を前記補償容積内に、前記ペダルレバーに作用する前記操作アクチュエータ(1070)により、前記ペダルレバーをパッシブポジションへ制御すべく、移送する、
少なくとも部分自動化された可動型のプラットフォーム用の液圧式の非人力ブレーキのペダルレバーを制御する方法。
【請求項2】
前記補償容積は、前記非人力ブレーキ(1000)の液圧液体リザーバ(1030)であり、
前記第1の液圧的な接続を前記液圧液体リザーバ(1030)と前記主ブレーキシリンダ(1050)との間に形成すべく、前記液圧式の非人力ブレーキ(1000)の少なくとも1つの第1の液圧弁を開弁する、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記補償容積を前記液圧式の非人力ブレーキ(1000)のプランジャ(1060)のピストンの機械的な移動により提供する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記プランジャ(1060)の前記ピストンを、前記主ブレーキシリンダ(1050)の前記液圧的な体積の前記移送中、前記主ブレーキシリンダ(1050)と前記プランジャ(1030)との間の前記液圧的な接続内で、最小の正圧値が超過されないように制御する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記ペダルレバーを続けて、前記パッシブポジションからマニュアル式の操作ポジションへ制御し、このために、
前記ペダルレバーを前記操作ポジションへ制御する第2の信号を前記非人力ブレーキのための前記制御ユニットに提供し、
第2の液圧的な接続を前記主ブレーキシリンダ(1000)と前記液圧液体リザーバ(1030)との間に、前記液圧式の非人力ブレーキ(1000)の少なくとも1つの第2の液圧弁により形成し、かつ
前記主ブレーキシリンダ(1000)のための第2の液圧的な体積を、前記液圧液体リザーバ(1030)から、前記ペダルレバーに作用する前記操作アクチュエータ(1070)により、前記第2の液圧的な接続を通して、前記ペダルレバーを前記操作ポジションへ制御すべく、移送する、
請求項2に記載の方法。
【請求項6】
主ブレーキシリンダ(1050)と前記液圧液体リザーバ(1030)との間の前記第2の液圧的な接続は、チェック弁を有する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記チェック弁は、前記主ブレーキシリンダ(1050)のシールとして形成されている、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ペダルレバーを前記パッシブポジションから前記マニュアル式の操作ポジションへ制御し、このために、
前記ペダルレバーを前記操作ポジションへ制御する前記第2の信号を前記非人力ブレーキ(1000)のための前記制御ユニットに提供し、
第3の液圧的な接続を前記主ブレーキシリンダ(1050)と前記プランジャ(1060)との間に、前記液圧式の非人力ブレーキ(1000)の少なくとも1つの第3の液圧弁により開放し、
前記主ブレーキシリンダ(1050)のための前記第2の液圧的な体積を、前記液圧式の非人力ブレーキ(1000)の前記プランジャ(1060)の前記ピストンの機械的な移動により提供し、
前記第2の液圧的な体積を前記主ブレーキシリンダ(1050)へ、前記プランジャ(1060)の前記ピストンの前記機械的な移動と、前記ペダルレバーに作用する前記操作アクチュエータ(1070)とにより、前記ペダルレバーを前記パッシブポジションから前記操作ポジションへ制御すべく、移送する、
請求項3に記載の方法。
【請求項9】
前記プランジャ(1060)の前記ピストンの前記移動を、前記第2の液圧的な体積を前記主ブレーキシリンダ(1050)に提供する間、前記主ブレーキシリンダ(1050)と前記プランジャ(1060)との間の前記第3の液圧的な接続内で、最小の正圧値が超過されないように制御する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記ペダルレバーを前記パッシブポジションへ制御する前記第1の信号と、前記ペダルレバーを前記操作ポジションへ制御する前記第2の信号とを、可動型のプラットフォームの制御装置により提供する、請求項1から9までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
液圧式の非人力ブレーキ(1000)であって、
操作アクチュエータ(1070)と、
プランジャ(1060)および/または液圧リザーバ(1030)と、
制御ユニットと、
少なくとも1つの第1の液圧弁および/または第2の液圧弁と、
特に圧力センサ(1065)と、
を備え、
前記制御ユニットは、請求項1から10までに記載の方法のうちの1つを実施すべく、構成されている、
液圧式の非人力ブレーキ。
【請求項12】
請求項11に記載の液圧式の非人力ブレーキ(1000)の、可動型のプラットフォームの少なくとも1つのホイールを制動するための使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液圧式の非人力ブレーキのペダルレバーを制御する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在の車両ブレーキシステムは、例えば従来のESP/ABS機能の形態の、安定化させる機能に加え、ますます拡張された機能、例えば運転者の補助、あるいはeBKV(電気機械式のブレーキ力倍力装置)によるブレーキ作動時のブレーキペダルに対する力の印加、または運転者の能動的な関与なしに液圧的なブレーキ圧力を能動的に変調するユニット(例えばESP、eBKV、ブーストユニット等)によるアシストもしくは部分アシスト機能も包含している。
運転者アシスタンスシステムは、今日の自動車において、様々な発展段階のものが、普及しつつある。運転者アシスタンスシステムは、部分自動化または自動化されて駆動部、制御部(例えばステアリング)または車両のシグナリング装置に介入し、または好適なヒューマン・マシン・インタフェースにより、運転者に対して、危険な状況の直前または最中に警告する。典型的には、ブレーキシステムは、電子式のブレーキ力倍力装置(eBKV)とESPシステムとを有している。この組み合わせにおいて、ブレーキシステムの大半は、機能をESPシステムにより実現することができ、ブレーキ力倍力装置は、動的な圧力を形成すべく、外部の調節器として利用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この場合、ブレーキシステムは、閉じた液圧系とともに作業することができ、すなわち、ブレーキ装置の液圧液体を有するリザーバは、漏れ補償および温度補償のためだけに用いられ、ひいては、利用可能な液圧体積は、一定である。この例は、従来のブレーキ装置、例えば真空ブレーキ力倍力装置、電気機械式のブレーキ力倍力装置、例えばiBooster、またはESPシステムと組み合わされたデカップルドパワーブレーキ(DPB:Decoupled Power Brake)である。代替的には、ブレーキシステムは、開いた液圧系とともに作業してもよい(例えばIPBシステム(IPB:integrated power brake、インテグレーテッドパワーブレーキ))。この場合、液圧液体を有するリザーバは、通常の運転中、液圧体積を中間貯蔵するために使用され得る。これにより、ブレーキ装置の利用される液圧的な体積は、制動中、変化することがある。それぞれのブレーキシステムは、それぞれ異なる欠点を有しており、例えば、閉じた液圧系を有するシステムは、ESPシステムの吸い込みが、運転次第で、ブレーキ装置の関連する領域内に、すなわち、主ブレーキシリンダ以下、ホイールに設けられたブレーキシリンダに至るまで、通常運転中に存在すべきであるよりも多くの液圧的な体積を有しているという問題を有している。
【0004】
典型的には、非人力ブレーキ装置は、ブレーキペダルを有し、ブレーキペダルは、ペダルレバーにより主ブレーキシリンダに連結されている。運転者制動時、ブレーキペダルは、操作される。操作に基づき、ブレーキ液体あるいはブレーキ液圧液体は、ペダル力シミュレータ内に移動され、これにより、運転者に対して力フィードバックを提供し、これによりブレーキシステムをより良好にコントロール可能とすることができる。
【0005】
高度自動化された走行の場合、ブレーキペダルは、必要とされない。それというのも、車両コントローラが、減速を自主的に要求するからである。それゆえ、この場合、例えば運転者の足により多くの自由度を与えることを可能にすべく、運転者の邪魔にならない箇所にブレーキペダルを移そうとする尽力がなされている。1つの解決手段は、この場合、ブレーキペダルをアクチュエータにより、ブレーキペダルの終端ポジションへ、あるいは最大で操作したときのブレーキペダルのポジションへ走行させてしまうことであり得る。このポジションは、この場合、ペダルレバーのパッシブなポジションに相当する。このために必要な力は、しかし、比較的高い。それというのも、シミュレータの力に抗して作業されなければならないからである。液圧的な力フローからシミュレータを連結解除することは、この場合、ペダル運動のための力レベルを下げる一助となり得る。
【0006】
本発明の態様により、独立請求項の特徴による、液圧式の非人力ブレーキのペダルレバーを制御する方法、液圧式の非人力ブレーキ、および液圧式の非人力ブレーキの使用を提案する。
有利な構成は、従属請求項および以下の説明の対象である。
【0007】
本発明のこのすべての説明において、本方法が容易に実施可能であるように、方法ステップのシーケンスを説明する。当業者であれば、しかし、これらの方法ステップの多くが、別の順序で遂行されてもよく、同じまたは相応の結果に至ることを認識するであろう。この意味において、方法ステップの順序は、相応に変更されてもよい。幾つかの特徴には、可読性を改善するために、または割り当てをより一義的にするために、類別詞を付したが、このことは、特定の特徴の存在を含意するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様によれば、少なくとも部分自動化された可動型のプラットフォーム用の液圧式の非人力ブレーキのペダルレバーを制御する方法であって、ペダルレバーは、機械的に主ブレーキシリンダに作用し、かつペダルレバーは、操作アクチュエータに機械的に連結されている方法を提案する。1つのステップにおいて、ペダルレバーをパッシブポジションへ制御する第1の信号を特に非人力ブレーキのための制御ユニットに提供する。さらなるステップにおいて、第1の液圧的な接続を主ブレーキシリンダと補償容積との間に形成する。さらなるステップにおいて、主ブレーキシリンダの第1の液圧的な体積を補償容積内に、ペダルレバーに作用する操作アクチュエータにより、ペダルレバーをパッシブポジションへ制御すべく、移送する。
【0009】
特にペダルレバーは、制動作用のためにピストンを主ブレーキシリンダ内で移動させるべく、主ブレーキシリンダの少なくとも1つのピストンに作用し得る。
【0010】
特に操作アクチュエータは、電気式の駆動部を有していてもよい。
【0011】
特にこのような非人力ブレーキは、連結解除された電気式のブレーキ力倍力装置(英:decoupled power brake;DPB)の形態で形成されていてもよく、この連結解除された電気式のブレーキ力倍力装置の場合、運転者は、通常の運転中、ブレーキ力結合シミュレータ内にブレーキを踏み込み、本来のブレーキ圧力は、プランジャによって発生される。2つのブレーキラインを介して、このパイロット圧は、ビークルダイナミクスコントロールにさらに伝達され得る。
【0012】
このようなブレーキシステム内では、ブレーキペダルの操作とは独立して、非人力ブレーキのプランジャによりブレーキ圧力が形成され得る。その際、非人力ブレーキは、主にブレーキ圧力の必要な動的な形成を担うことができる。ビークルダイナミクスコントロールは、安定化機能と、場合によっては必要とされる非常時機能、例えばエラー時の液圧的なブレーキ圧力の形成とを提供し得る。
このようなブレーキシステムを有する車両の運転者が、この方法に気付くことはない。それというのも、非人力ブレーキの場合、ペダルあるいはペダルレバーを有する主シリンダは、ブレーキ圧力を形成すべく構成されているプランジャから連結解除され得るからである。
【0013】
非人力ブレーキの連結弁と、ビークルダイナミクスコントロールの連結弁とが、液圧的に互いに連結されるように構成されていることにより、非人力ブレーキは、ビークルダイナミクスコントロールに連結されるように構成されていることができる。非人力ブレーキとビークルダイナミクスコントロールとの間のこのような液圧的な連結は、ビークルダイナミクスコントロールの連結弁と、非人力ブレーキの連結弁とにより構成されていることができる。特に非人力ブレーキは、ビークルダイナミクスコントロールのための液圧的な体積を提供することができ、その結果、ビークルダイナミクスコントロールによる第1の動的な圧力の形成時、非人力ブレーキとビークルダイナミクスコントロールとからなるシステム内の液圧的な体積は、一定のままである。換言すれば、非人力ブレーキは、付加的な液圧的な体積が付加的なリザーバから追加されることなく、ビークルダイナミクスコントロールに十分な液圧的な体積が提供されるように、この提供される液圧的な体積をコントロールすることができる。すなわち、ビークルダイナミクスコントロールの第1の動的な圧力が再び解消されるとき、非人力ブレーキは、提供された液圧的な体積を、付加的なリザーバ内に放出する必要なく、再び吸収するように構成されていることができる。特に、非人力ブレーキとビークルダイナミクスコントロールとからなるシステムは、ビークルダイナミクスコントロール、例えばブレーキ力変調システムの作動時、非人力ブレーキに信号を伝送し、その結果、非人力ブレーキが、ビークルダイナミクスコントロールと液圧式に協働して、非人力ブレーキとビークルダイナミクスコントロールとからなるシステム内の液圧的な体積が変化することなく、第1の液圧的な圧力を形成するのに十分な液圧的な体積が、ビークルダイナミクスコントロールに提供されるように構成されていることができる。こうして、ビークルダイナミクスコントロールにより吸い込まれる液圧的な体積が、非人力ブレーキのプランジャから提供され、液圧式のリザーバからは提供されないことが保証され得る。換言すれば、このシステムは、ビークルダイナミクスコントロールが液圧的な体積を吸い込もうとしているという情報が確認され、非人力ブレーキに伝送され、この情報に基づき、非人力ブレーキのプランジャが能動的に、十分な、しかし、僅かな第2の液圧的な圧力を形成すべく、制御されるように構成されていることができ、その結果、液圧的な体積は、非人力ブレーキのプランジャが生成する第2の圧力が、液圧式のリザーバからの吸い込みを回避するのに十分に高いので、液圧式のリザーバから取り出されるのではなく、プランジャから取り出される。システムの制御のこの方法により、結果として、閉じた液圧系が、ビークルダイナミクスコントロールの第1の動的な圧力の形成時に生じる。これにより、提供され、吸い込まれた液圧的な体積を、再び液圧式のリザーバ内へ、システムの静止位置で液圧的な圧力が存在しないことを保証するために移す方策を講じる必要性は、省略される。これにより、スニッファ孔なしのプランジャが、このシステム内で使用されることもでき、これにより、とりわけシステムのための構成スペース、特に幅は、節減され得る。これにより、ブレーキの緩解後、あるいはビークルダイナミクスコントロールの運転後、圧力がブレーキシステム内に残らず、ひいてはブレーキシステムの機能性が維持されることが達成される。
【0014】
換言すれば、液圧式の非人力ブレーキのペダルレバーを制御する方法により、非人力ブレーキのペダル力シミュレータは、操作アクチュエータによる終端ポジションへのペダルの最大の操作を可能にすべく、あるいは容易にすべく、連結解除され得る。
【0015】
この場合、主シリンダからのペダル力シミュレータの液圧的な連結解除により、ペダルの操作のために必要とされる力は、大幅に減じられ、これにより、ペダル運動のための操作アクチュエータは、経済的により安価に設計され得る。さらに、ペダルの終端ポジションへのペダルの最大の操作が実現され得る。それというのも、非人力ブレーキの通常のアクティブな運転中、典型的には、半分のペダル行程しか利用されないからである。それというのも、この場合、主ブレーキシリンダの第1のピストン(MC1)しか移動されないからである。第1のピストン(MC1)により、液圧的な体積は、ブレーキ力シミュレータに作用する。アクティブな運転中、主ブレーキシリンダの第2の液圧的な体積は、閉じ込められたままであるので、主ブレーキシリンダの第2のピストンは、移動され得ない。
【0016】
一態様によれば、補償容積、特に第1の液圧的な体積を移送する補償容積が、非人力ブレーキの液圧液体リザーバであることを提案する。この場合、さらなるステップにおいて、第1の液圧的な接続を液圧液体リザーバと主ブレーキシリンダとの間に形成すべく、液圧式の非人力ブレーキの少なくとも1つの第1の液圧弁を開弁する。
代替的または付加的に、液圧液体リザーバは、非人力ブレーキに対して外部の装置であってもよい。
【0017】
有利には、本態様による方法は、簡単に実現が可能であるとともに、実現に要する手間あるいはコストが僅かで済む。
【0018】
一態様によれば、補償容積を液圧式の非人力ブレーキのプランジャのピストンの機械的な移動により提供することを提案する。
このためにプランジャのピストンは、必要とされる液圧的な体積を提供すべく、電気駆動部により開始位置から移動され得る。
有利には、本態様による方法は、直接的な液圧的な接続を主ブレーキシリンダと液圧液体リザーバとの間に含まない非人力ブレーキにおいても予定されていることができる。
【0019】
有利には、直接的な接続が、プランジャと液圧液体リザーバとの間に、例えば切り換え弁POVにより提供されていない場合、もしくは切り換え弁の切り換えが、うるさすぎたり、望ましくないバイブレーション(NVH:Noise Vibration Harshness、ノイズ・バイブレーション・ハーシュネス)に結び付いたりする場合、またはこの接続を介した、例えば切り換え弁を介した排流が、ホイールにおける意図しない制動作用に至らしめかねない動圧を引き起こす場合は、ブレーキ液体体積は、プランジャにより吸収され得る。
このためにプランジャは、予め、吸収すべきブレーキ液体の量を、相応に制御される弁、例えばPSV,CSVおよびMCを介して、液圧液体リザーバ内に移動させ得る。
【0020】
一態様によれば、プランジャのピストンを、主ブレーキシリンダの液圧的な体積の移送中、主ブレーキシリンダとプランジャとの間の液圧的な接続内で、最小の正圧値が超過されないように制御することを提案する。有利には、本方法は、本態様に応じて非人力ブレーキ内の正圧を、ペダルレバーの制御時、最大値に制限してもよい。
【0021】
一態様によれば、ペダルレバーの操作アクチュエータが、電気式の駆動部を有することを提案する。
このために、操作アクチュエータ自体が、電気モータまたはその他の電気駆動部を有していてもよい。代替的または付加的に、操作アクチュエータは、液圧式に運転されてもよい。
代替的または付加的に、ペダルレバーは、間接的に操作アクチュエータに連結されていてもよく、この場合、主ブレーキシリンダは、ペダルレバーを、フルに操作されたストッパポジションあるいは終端ポジションへ移動させるべく、操作アクチュエータが、主ブレーキシリンダを介してペダルレバーに作用するように、ペダルレバーに、特に主ブレーキシリンダの操作ロッドを介して、構成かつ/または連結されているようになっている。
【0022】
一態様によれば、ペダルレバーを、特に、ペダルレバーを制御する上述の方法のうちの1つに続けて、1つのステップにおいて、ペダルレバーを操作ポジションへ制御する第2の信号を特に非人力ブレーキのための制御ユニットに提供することにより、パッシブポジションからマニュアル式の操作ポジションへ制御することを提案する。このことは、特に、可動型のプラットフォームの制御装置により実施され得る。さらなるステップにおいて、第2の液圧的な接続を主ブレーキシリンダと液圧液体リザーバとの間に、液圧式の非人力ブレーキの少なくとも1つの第2の液圧弁により形成する。さらなるステップにおいて、主ブレーキシリンダのための第2の液圧的な体積を、液圧液体リザーバから、ペダルレバーに作用する操作アクチュエータにより、第2の液圧的な接続を通して、ペダルレバーを操作ポジションへ制御すべく、移送する。
【0023】
その際、特に第2の液圧的な接続は、第1の液圧的な接続と同じであってもよく、かつ/または第2の液圧弁は、第1の液圧弁と同じであってもよい。
特に第2の液圧的な接続は、少なくとも1つのチェック弁により実現されていてもよく、かつ/もしくはプランジャのチェック弁により実現されていてもよく、ならびに/または第2の液圧弁は、主ブレーキシリンダおよび/もしくはプランジャの、チェック弁に相当するように作用するシールの形態で形成されていてもよい。特に主ブレーキシリンダおよび/またはプランジャのこれらのシールは、リップシールであってもよく、リップシールは、液圧的な流れを一方向でのみ封止する。
【0024】
一態様によれば、主ブレーキシリンダと液圧液体リザーバとの間の第2の液圧的な接続が、チェック弁を有することを提案する。
【0025】
一態様によれば、チェック弁が、主ブレーキシリンダのシールとして形成されていることを提案する。
【0026】
一態様によれば、ペダルレバーをパッシブポジションからマニュアル式の操作ポジションへ、1つのステップにおいて、ペダルレバーを操作ポジションへ制御する第2の信号を特に非人力ブレーキのための制御ユニットに提供することにより、制御することを提案する。さらなるステップにおいて、第3の液圧的な接続を主ブレーキシリンダとプランジャとの間に、液圧式の非人力ブレーキの少なくとも1つの第3の液圧弁により形成する。さらなるステップにおいて、主ブレーキシリンダのための第2の液圧的な体積を、液圧式の非人力ブレーキのプランジャのピストンの機械的な移動により提供する。さらなるステップにおいて、第2の液圧的な体積を主ブレーキシリンダへ、プランジャのピストンの機械的な移動と、ペダルレバーに作用する操作アクチュエータとにより、ペダルレバーをパッシブポジションから操作ポジションへ制御すべく、移送する。
【0027】
有利には、本方法のこの態様は、チェック弁とリップシールとを有しない非人力ブレーキにおいて実現され得るという利点を有している。本方法のこの態様において引き続き有利には、ブレーキのブレーキライニングが目標ポジションから引き戻されてしまうことを回避すべく、液圧式の非人力ブレーキ内の負圧が制御され得る。代替的には、液圧的な圧力の制御により、パッシブポジションからマニュアル式の操作ポジションへのペダルレバーの制御は、軽い正圧により加速され得る。
主ブレーキシリンダのばねの戻し力は、常に、ペダルレバーがばねの戻し力により常にその出発位置に復帰するように設計され得る。主ブレーキシリンダのこれらのばねは、パッシブポジションからマニュアル式の操作ポジションへのペダルレバーの制御を補助し得る。
【0028】
その際、第1および/または第2および/または第3の液圧的な接続は、同一であってもよい。さらに第1および/または第2および/または第3の液圧弁は、同一であってもよい。
【0029】
一態様によれば、プランジャのピストンの移動を、第2の液圧的な体積を主ブレーキシリンダに提供する間、主ブレーキシリンダとプランジャとの間の第3の液圧的な接続内で、最小の正圧が超過されないように制御することを提案する。
このために、非人力ブレーキの制御ユニットは、操作アクチュエータとプランジャのピストンとを、液圧的な正圧が第3の液圧的な接続内に生じないように制御すべく、構成かつ設計されていてもよい。
代替的または付加的に、制御ユニットは、本方法の部分ステップにおいて所定の正圧または負圧を、主ブレーキシリンダとプランジャとの間の第3の液圧的な接続内に調整すべく、構成かつ設計されていてもよい。
圧力を特定すべく、非人力ブレーキは、主ブレーキシリンダとプランジャとの間の接続内に圧力センサを有していてもよく、この圧力センサは、目下の液圧的な圧力を制御ユニットに提供する。
【0030】
一態様によれば、ペダルレバーをパッシブポジションへ制御する第1の信号と、ペダルレバーを操作ポジションへ制御する第2の信号とを、可動型のプラットフォームの制御装置により提供することを提案する。
【0031】
第1の制御信号および/または第2の制御信号は、バイナリ信号および/またはアナログ信号であってもよい。
【0032】
液圧式の非人力ブレーキであって、操作アクチュエータと、プランジャおよび/または液圧リザーバと、制御ユニットとを備える、液圧式の非人力ブレーキを提案する。さらに、液圧式の非人力ブレーキは、少なくとも1つの第1の液圧弁および/または第2の液圧弁を備え、かつ特に圧力センサを備えていてもよい。その際、制御ユニットは、上述の方法のうちの1つを実施すべく、構成されている。
【0033】
上で説明したような液圧式の非人力ブレーキの、可動型のプラットフォームの少なくとも1つのホイールを制動するための使用を提案する。
【0034】
可動型のプラットフォームとは、可動であって、少なくとも部分的に自動化されたシステムおよび/または車両の運転者アシスタンスシステムと解し得る。一例は、少なくとも部分的に自動化された車両あるいは運転者アシスタンスシステムを有する車両であり得る。すなわち、この関連において、少なくとも部分的に自動化されたシステムは、可動型のプラットフォームを、少なくとも部分的に自動化された機能性に関して包含するが、可動型のプラットフォームは、運転者アシスタンスシステムを含む車両およびその他の可動型の機械も包含する。可動型のプラットフォームの別の例は、複数のセンサを有する運転者アシスタンスシステム、可動型のマルチセンサロボット、例えばロボット掃除機または芝刈り機、マルチセンサ監視システム、製造機械、パーソナルアシスタントまたはアクセスコントロールシステムであり得る。これらのシステムの各々は、完全にまたは部分的に自動化されたシステムであり得る。
【0035】
本発明の実施例を
図1a~dないし4a~dに関して示し、以下に詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1a】ペダルレバーを備え、ペダルレバーが操作ポジションにあるときの非人力ブレーキを示す図である。
【
図1b】ペダルレバーをパッシブポジションへ制御するための、非人力ブレーキの弁位置を示す図である。
【
図1c】パッシブポジションにおける主ブレーキシリンダの位置を示す図である。
【
図1d】パッシブポジションにおける非人力ブレーキの弁位置を示す図である。
【
図2a】ペダルレバーを備え、ペダルレバーが操作ポジションにあるときの非人力ブレーキを示す図である。
【
図2b】プランジャの変更された位置を示す図である。
【
図2c】パッシブポジションにおける主ブレーキシリンダおよびプランジャを示す図である。
【
図2d】パッシブポジションにおける非人力ブレーキの弁位置を示す図である。
【
図3a】ペダルレバーを備え、ペダルレバーがパッシブポジションにあるときの非人力ブレーキを示す図である。
【
図3b】ペダルレバーを操作ポジションへ制御するための弁位置を示す図である。
【
図3c】操作ポジションにおける主ブレーキシリンダの位置を示す図である。
【
図3d】操作ポジションにおける弁位置を有する非人力ブレーキを示す図である。
【
図4a】ペダルレバーを備え、ペダルレバーがパッシブポジションにあるときの非人力ブレーキを示す図である。
【
図4b】ペダルレバーを操作ポジションへ制御するための弁位置を示す図である。
【
図4c】操作ポジションへの主ブレーキシリンダの移行後のプランジャのポジションを示す図である。
【
図4d】操作ポジションにおける弁位置を有する非人力ブレーキを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1aは、概略的に、ビークルダイナミクスコントロール1100に連結されている非人力ブレーキ1000を、静止状態における弁位置とともに示している。非人力ブレーキ1000は、ビークルダイナミクスコントロール1100に、非人力ブレーキの第1および第2の連結弁PSV1 1021およびPSV2 1022と、ビークルダイナミクスコントロールの第1および第2の連結弁SCC 1111および1112とにより液圧的に連結されている。
この場合、非人力ブレーキ1000も、ビークルダイナミクスコントロール1100も、2系統に設計されている。
主シリンダ1050は、主シリンダ1050に機械的に結合されているペダルあるいはペダルレバーにより、マニュアル式に操作されることができ、これにより、液圧式に、第1あるいは第2の回路カット弁CSV1 1011あるいはCSV2 1012により、ビークルダイナミクスコントロール1100の、それぞれ割り当てられた回路によって、ブレーキシリンダ1101,1102あるいは1103および1104に作用することができ、これにより、非常制動作用を達成することができる。その際、主ブレーキシリンダ1050は、液圧液体用のリザーバ1030に、2つのスニッファ孔により液圧的に接続されている。
【0038】
通常運転中、ブレーキシリンダ1101,1102あるいは1103および1104における制動作用は、プランジャ1060により、このプランジャ1060が、液圧的な体積を非人力ブレーキの連結弁PSV1 1021あるいはPSV2 1022を介してビークルダイナミクスコントロールの2つの回路内に移動させることにより、引き起こされ得る。プランジャ1060は、弁POV 1061を介して液圧式のリザーバRSV1,2 1030に液圧的に連結され得る。プランジャ1060は、電気モータに連結されており、これにより、ピストンにより液圧的な体積を放出したり、吸収したりすることができる。電気モータは、電気モータ位置を特定するセンサシステムRPS 1062に連結されている制御部により、コントロールされ得る。
【0039】
主シリンダ1050の圧力は、圧力センサ1053により特定され得る。
2系統に設計される主シリンダ1050は、弁SSV 1051を介してブレーキ力シミュレータPFS 1052に液圧的に連結されることができ、これにより、ブレーキペダルを操作する運転者に対して液圧的な圧力の形成をシミュレートすることができる。この場合、液圧的な体積は、通常運転中、プランジャ1060によりビークルダイナミクスコントロール1100のために提供され、これにより、ビークルダイナミクスコントロール1100に液圧的に連結されているブレーキシリンダ1101,1102あるいは1103および1104において制動作用を達成することができる。ブレーキペダルの機械的な位置は、ブレーキペダルあるいはペダルレバーに機械的に連結されている行程ピックアップs/Uにより特定されることができ、これにより、プランジャ1060を制御することができる。
プランジャ1060により生成される第2の液圧的な圧力は、プランジャ圧力センサ1065により特定され得る。第1のチェック弁BSV1 1041あるいはBSV2 1042により、非人力ブレーキ1000とビークルダイナミクスコントロール1100とからなる液圧式のシステムに液圧液体が補給され得る。
【0040】
非人力ブレーキ1000は、非人力ブレーキの連結弁PSV1 1021あるいはPSV2 1022によりビークルダイナミクスコントロールの連結弁SCC 1111あるいは1112に液圧的に連結されており、これにより、液圧的な連結を非人力ブレーキ1000とビークルダイナミクスコントロール1100との間に形成している。
【0041】
図1aには、これにより、マニュアル運転中の非人力ブレーキ1000のペダルレバーおよび主ブレーキシリンダ1050の運転ポジションならびに相応の弁位置および液圧的な体積を示してあり、液圧的な体積を、運転者は、ペダルレバーの操作時、主シリンダ1050を移動させることができ、これにより、弁SSV 1051の開弁時、ブレーキ力シミュレータPFS 1052を操作することができる。
非人力ブレーキ1000の自動の運転への移行のために、非人力ブレーキ1000には、このマニュアル運転中に、ペダルレバーをパッシブポジションへ操作アクチュエータ1070により制御する信号が提供され得る。
【0042】
図1bは、概略的に、液圧的な体積を主ブレーキシリンダ1050から液圧液体用のリザーバ1030内に移動させるべく、変更された弁位置を示している。
このために、第1および第2の回路カット弁CSV1 1011およびCSV2 1012と、非人力ブレーキの第1および第2の連結弁PSV1 1021およびPSV2 1022と、液圧式のリザーバRSV1,2 1030とのプランジャ1060の連結弁POV 1061とは、開弁され、かつブレーキ力シミュレータPFS 1052への弁SSV 1051は、閉弁される。
このとき、ビークルダイナミクスコントロール(ESPシステム)1100は、パッシブのままである。
【0043】
図1cは、概略的に、液圧的な体積MC1,MC2を主ブレーキシリンダ1050から、第1および第2の回路カット弁CSV1 1011およびCSV2 1012と、第1および第2の連結弁PSV1 1021およびPSV2 1022と、連結弁POV 1061とを通して、液圧液体用のリザーバ1030内に移送すべく、操作アクチュエータ1070がペダルレバーをどのように操作するかを示している。これにより、操作アクチュエータ1070は、主ブレーキシリンダの戻しばねおよび摩擦を克服する力さえ、加えればよい。それというのも、主ブレーキシリンダ1050は、ブレーキ力シミュレータPFS 1052から連結解除されているからである。
【0044】
図1dは、概略的に、パッシブポジションにおける主ブレーキシリンダ1050のタペットの変更された位置と、ペダルレバーの対応する位置とを示している。非人力ブレーキ1000の弁位置は、
図1aに示したような初期状態に相当する。
パッシブポジションにおけるペダル終端位置の到達後、AD走行モードの要求が非人力ブレーキ1050に送信される。
非人力ブレーキ1050は、パッシブポジションへのペダルレバーの制御後、フルのシステムモードへ戻されるが、ブレーキ力シミュレータPFS 1052への弁SSV 1051は、高度自動化された走行のモード(AD走行モード)では、閉弁されたままである。それというのも、ブレーキ力シミュレータPFS 1052により実施され得るブレーキ力シミュレーションは、高度自動化された走行時には必要とされないからである。
【0045】
図2aは、概略的に、ペダルレバーを制御する方法に関する第2の実施例を示している。
本方法のための出発点は、
図1aとともに説明する方法に応じて、ペダルレバーおよび主ブレーキシリンダ1050の運転ポジションである。
【0046】
非人力ブレーキ1000の自動の運転への移行のために、非人力ブレーキは、このマニュアル運転中に、ペダルレバーをパッシブポジションへ制御する信号が提供され得る。
【0047】
図2bは、概略的に、液圧的な体積を主ブレーキシリンダ1050から液圧液体用のリザーバ1030内に移動させるべく、変更された弁位置を示している。
このために、第1および第2の回路カット弁CSV1 1011およびCSV2 1012と、非人力ブレーキの第1および第2の連結弁PSV1 1021およびPSV2 1022とは、開弁され、かつブレーキ力シミュレータPFS 1052への弁SSV 1051と、液圧式のリザーバRSV1,2 1030へのプランジャ1060の連結弁POV 1061とは、閉弁されるか、または閉弁されたままである。
このとき、ビークルダイナミクスコントロール(ESPシステム)1100は、パッシブなままである。準備ステップにおいて、プランジャ1060のピストンは、プランジャ1060が主ブレーキシリンダ1050の液圧的な体積を吸収することができるように移動される。プランジャ1060の、その際に発生する余剰な液圧的な体積は、第1および第2の回路カット弁CSV1 1011およびCSV2 1012と、第1および第2の連結弁PSV1 1021およびPSV2 1022と、主ブレーキシリンダ1050のそれぞれのスニッファ孔とを通して、液圧液体用のリザーバ1030内に移送される。
【0048】
図2cは、概略的に、どのように主ブレーキシリンダ1050の液圧的な体積MC1,MC2が、開弁された第1および第2の回路カット弁CSV1 1011およびCSV2 1012と、非人力ブレーキの第1および第2の連結弁PSV1 1021およびPSV2 1022とを通して、プランジャ1060内に移送されるかを示しており、このとき、プランジャ1060のピストンは、主ブレーキシリンダ1050とプランジャ1060との間の液圧的な接続内で、最小の正圧値が超過されないように制御される。
【0049】
図1dに応じて、
図2dは、概略的に、パッシブポジションにおける主ブレーキシリンダ1050のタペットの変更された位置と、ペダルレバーの対応する位置とを示している。非人力ブレーキ1000の弁位置は、
図2aに示したような初期状態に相当する。
パッシブポジションにおけるペダル終端位置の到達後、AD走行モードの要求が非人力ブレーキ1050に送信される。
非人力ブレーキ1050は、パッシブポジションへのペダルレバーの制御後、フルのシステムモードへ戻されるが、ブレーキ力シミュレータPFS 1052への弁SSV 1051は、高度自動化された走行のモード(AD走行モード)では、閉弁されたままである。それというのも、ブレーキ力シミュレータPFS 1052により実施され得るブレーキ力シミュレーションは、高度自動化された走行時には必要とされないからである。
【0050】
図3aは、概略的に、ペダルレバーを制御する方法に関する第3の実施例を示している。
本方法のための出発点は、
図1および
図2に関する上述の方法により達成され得る、非人力ブレーキ1000のペダルレバーおよび主ブレーキシリンダ1050のパッシブポジションである。非人力ブレーキ1000のマニュアル式の運転への移行のために、非人力ブレーキは、この自動の運転中に、ペダルレバーを操作ポジションへ制御する信号が提供され得る。
【0051】
図3bは、概略的に、必要とされる液圧的な体積を主ブレーキシリンダ1050内に液圧液体用のリザーバ1030から移送すべく、変更された弁位置を示している。
このために、第1および第2の回路カット弁CSV1 1011およびCSV2 1012と、非人力ブレーキの第1および第2の連結弁PSV1 1021およびPSV2 1022とは、開弁される。プランジャ1060を液圧式のリザーバRSV1,2 1030に液圧的に連結し得る連結弁POV 1061と、ブレーキ力シミュレータPFS 1052への弁SSV 1051とは、閉弁されるか、あるいは閉弁されたままである。
このとき、ビークルダイナミクスコントロール(ESPシステム)1100は、パッシブなままである。
【0052】
図3cは、概略的に、液圧的な体積MC1,MC2を主ブレーキシリンダ1050内に、第1および第2の回路カット弁CSV1 1011およびCSV2 1012と、第1および第2のチェック弁BSV1 1041およびBSV2 1042とを通して、液圧液体用のリザーバ1030内に移送すべく、操作アクチュエータ1070がペダルレバーをどのように操作するかを示している。このとき、操作アクチュエータ1070は、主ブレーキシリンダの戻しばねにより補助される。
【0053】
図3dは、概略的に、操作ポジションにおける主ブレーキシリンダ1050のタペットの変更された位置と、ペダルレバーの対応する位置とを示している。非人力ブレーキ1000の弁位置は、
図3aに示したような初期状態に相当する。
操作ポジションにおけるペダル終端位置の到達後、マニュアル式の走行モードの要求が非人力ブレーキ1050に送信される。
非人力ブレーキ1050は、操作ポジションへのペダルレバーの制御後、フルのシステムモードへ戻され、かつブレーキ力シミュレータPFS 1052への弁SSV 1051は、マニュアル式のモードでは、ブレーキペダルを操作する運転者に対して液圧的な圧力形成をシミュレートすべく、開弁され得る。
【0054】
図4aは、概略的に、ペダルレバーを制御する方法に関する第4の実施例を示している。
本方法のための出発点は、
図1および
図2に関する上述の方法により達成され得る、非人力ブレーキ1000のペダルレバーおよび主ブレーキシリンダ1050のパッシブポジションである。非人力ブレーキ1000のマニュアル式の運転への移行のために、非人力ブレーキは、この自動の運転中に、ペダルレバーを操作ポジションへ制御する信号が提供され得る。
【0055】
図4bは、概略的に、必要とされる液圧的な体積を主ブレーキシリンダ1050内に液圧液体用のリザーバ1030から移送すべく、変更された弁位置を示している。
このために、第1および第2の回路カット弁CSV1 1011およびCSV2 1012と、非人力ブレーキの第1および第2の連結弁PSV1 1021およびPSV2 1022とは、開弁される。プランジャ1060を液圧式のリザーバRSV1,2 1030に液圧的に連結し得る連結弁POV 1061と、ブレーキ力シミュレータPFS 1052への弁SSV 1051とは、閉弁されるか、あるいは閉弁されたままである。
このとき、ビークルダイナミクスコントロール(ESPシステム)1100は、パッシブなままである。
【0056】
図4cは、概略的に、主ブレーキシリンダ1050のために必要とされる液圧的な体積MC1,MC2を、第1および第2の回路カット弁CSV1 1011およびCSV2 1012と、液圧的な体積との非人力ブレーキの第1および第2の連結弁PSV1 1021およびPSV2 1022とを通して、プランジャ1060のピストンが内部で相応に走行させられるプランジャ1060の液圧的な容積から移送すべく、操作アクチュエータ1070がペダルレバーをどのように操作するかを示している。このとき、プランジャ1060のピストンは、主ブレーキシリンダ1050とプランジャ1060との間の液圧的な接続内で、最小の正圧値が超過されないように制御される。
操作アクチュエータ1070は、主ブレーキシリンダの戻しばねにより、主ブレーキシリンダ1050のそれぞれのピストンを操作ポジションへ制御すべく、補助される。プランジャ1060のピストンは、ブレーキを作動させる初期ポジションに戻し走行され、このとき、必要とされる液圧的な体積は、第1および第2の回路カット弁CSV1 1011およびCSV2 1012と、非人力ブレーキの第1および第2の連結弁PSV1 1021およびPSV2 1022と、主ブレーキシリンダ1050の、操作ポジションにおいて解放されているスニッファ孔とを通して、液圧液体用のリザーバ1030から移送される。
【0057】
図4dは、概略的に、操作ポジションにおける主ブレーキシリンダ1050のタペットの変更された位置と、ペダルレバーの対応する位置とを示している。非人力ブレーキ1000の弁位置は、
図4aに示したような初期状態に相当する。
操作ポジションにおけるペダル終端位置の到達後、マニュアル式の走行モードの要求が非人力ブレーキ1050に送信される。
非人力ブレーキ1050は、操作ポジションへのペダルレバーの制御後、フルのシステムモードへ戻され、かつブレーキ力シミュレータPFS 1052への弁SSV 1051は、マニュアル式のモードでは、ブレーキペダルを操作する運転者に対して液圧的な圧力形成をシミュレートすべく、開弁され得る。
【0058】
第1の液圧的な体積および/または第2の液圧的な体積および/または第3の液圧的な体積は、同じであってもよい。
【符号の説明】
【0059】
1000 非人力ブレーキ
1011 第1の回路カット弁CSV1
1012 第2の回路カット弁CSV2
1021 非人力ブレーキの第1の連結弁PSV1
1022 非人力ブレーキの第2の連結弁PSV2
1030 液圧液体用のリザーバ、液圧式のリザーバRSV1,2
1041,1042 第1のチェック弁BSV1,2
1050 主シリンダ、主ブレーキシリンダ
1051 弁SSV
1052 ブレーキ力シミュレータPFS
1053 圧力センサ
1060 プランジャ
1061 弁POV、連結弁
1062 電気モータ位置を特定するセンサシステムRPS
1065 プランジャ圧力センサ
1070 操作アクチュエータ
1100 ビークルダイナミクスコントロール、ESPシステム
1101,1102,1103,1104 ブレーキシリンダ
1111 ビークルダイナミクスコントロールの第1の連結弁SCC
1112 ビークルダイナミクスコントロールの第2の連結弁SCC
MC1,MC2 液圧的な体積
s/U 行程ピックアップ
【手続補正書】
【提出日】2024-03-04
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも部分自動化された可動型のプラットフォーム用の液圧式の非人力ブレーキ(1000)のペダルレバーを制御する方法であって、
前記ペダルレバーは、機械的に主ブレーキシリンダ(1050)に作用し、かつ前記ペダルレバーは、操作アクチュエータ(1070)に機械的に連結されており、
前記ペダルレバーをパッシブポジションへ制御する第1の信号を前記非人力ブレーキ(1000)のための制御ユニットに提供し、
第1の液圧的な接続を前記主ブレーキシリンダ(1050)と補償容積との間に形成し、かつ
前記主ブレーキシリンダ(1050)の第1の液圧的な体積を前記補償容積内に、前記ペダルレバーに作用する前記操作アクチュエータ(1070)により、前記ペダルレバーをパッシブポジションへ制御すべく、移送する、
少なくとも部分自動化された可動型のプラットフォーム用の液圧式の非人力ブレーキのペダルレバーを制御する方法。
【請求項2】
前記補償容積は、前記非人力ブレーキ(1000)の液圧液体リザーバ(1030)であり、
前記第1の液圧的な接続を前記液圧液体リザーバ(1030)と前記主ブレーキシリンダ(1050)との間に形成すべく、前記液圧式の非人力ブレーキ(1000)の少なくとも1つの第1の液圧弁を開弁する、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記補償容積を前記液圧式の非人力ブレーキ(1000)のプランジャ(1060)のピストンの機械的な移動により提供する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記プランジャ(1060)の前記ピストンを、前記主ブレーキシリンダ(1050)
の液圧的な体積の前記移送中、前記主ブレーキシリンダ(1050)と前記プランジャ(1030)との間
の液圧的な接続内で、最小の正圧値が超過されないように制御する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記ペダルレバーを続けて、前記パッシブポジションからマニュアル式の操作ポジションへ制御し、このために、
前記ペダルレバーを前記操作ポジションへ制御する第2の信号を前記非人力ブレーキのための前記制御ユニットに提供し、
第2の液圧的な接続を前記主ブレーキシリンダ(1000)と前記液圧液体リザーバ(1030)との間に、前記液圧式の非人力ブレーキ(1000)の少なくとも1つの第2の液圧弁により形成し、かつ
前記主ブレーキシリンダ(1000)のための第2の液圧的な体積を、前記液圧液体リザーバ(1030)から、前記ペダルレバーに作用する前記操作アクチュエータ(1070)により、前記第2の液圧的な接続を通して、前記ペダルレバーを前記操作ポジションへ制御すべく、移送する、
請求項2に記載の方法。
【請求項6】
主ブレーキシリンダ(1050)と前記液圧液体リザーバ(1030)との間の前記第2の液圧的な接続は、チェック弁を有する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記チェック弁は、前記主ブレーキシリンダ(1050)のシールとして形成されている、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ペダルレバーを前記パッシブポジションか
らマニュアル式の操作ポジションへ制御し、このために、
前記ペダルレバーを前記操作ポジションへ制御す
る第2の信号を前記非人力ブレーキ(1000)のための前記制御ユニットに提供し、
第3の液圧的な接続を前記主ブレーキシリンダ(1050)と前記プランジャ(1060)との間に、前記液圧式の非人力ブレーキ(1000)の少なくとも1つの第3の液圧弁により開放し、
前記主ブレーキシリンダ(1050)のため
の第2の液圧的な体積を、前記液圧式の非人力ブレーキ(1000)の前記プランジャ(1060)の前記ピストンの機械的な移動により提供し、
前記第2の液圧的な体積を前記主ブレーキシリンダ(1050)へ、前記プランジャ(1060)の前記ピストンの前記機械的な移動と、前記ペダルレバーに作用する前記操作アクチュエータ(1070)とにより、前記ペダルレバーを前記パッシブポジションから前記操作ポジションへ制御すべく、移送する、
請求項3に記載の方法。
【請求項9】
前記プランジャ(1060)の前記ピストンの前記移動を、前記第2の液圧的な体積を前記主ブレーキシリンダ(1050)に提供する間、前記主ブレーキシリンダ(1050)と前記プランジャ(1060)との間の前記第3の液圧的な接続内で、最小の正圧値が超過されないように制御する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記ペダルレバーを前記パッシブポジションへ制御する前記第1の信号と、前記ペダルレバーを
マニュアル式の操作ポジションへ制御す
る第2の信号とを、可動型のプラットフォームの制御装置により提供する、請求項1
または2に記載の方法。
【請求項11】
液圧式の非人力ブレーキ(1000)であって、
操作アクチュエータ(1070)と、
プランジャ(1060)および/または液圧リザーバ(1030)と、
制御ユニットと、
少なくとも1つの第1の液圧弁および/または第2の液圧弁と、
特に圧力センサ(1065)と、
を備え、
前記制御ユニットは、請求項1
または2に記載の方法を実施すべく、構成されている、
液圧式の非人力ブレーキ。
【請求項12】
請求項11に記載の液圧式の非人力ブレーキ(1000)の、可動型のプラットフォームの少なくとも1つのホイールを制動するための使用。
【国際調査報告】