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特表2024-532542車両の周辺環境の地図表示をセマンティック道路地図内で位置決めするための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】車両の周辺環境の地図表示をセマンティック道路地図内で位置決めするための方法
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/30 20060101AFI20240829BHJP
【FI】
G01C21/30
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024514538
(86)(22)【出願日】2022-08-02
(85)【翻訳文提出日】2024-03-05
(86)【国際出願番号】 EP2022071629
(87)【国際公開番号】W WO2023030802
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】102021209786.3
(32)【優先日】2021-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(72)【発明者】
【氏名】バーグナー,アンドレ
【テーマコード(参考)】
2F129
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129BB15
2F129BB33
2F129BB49
2F129BB66
2F129EE70
2F129EE78
2F129GG17
2F129GG18
(57)【要約】
本発明は、車両(500)の周辺環境(501)の地図表示(200)をセマンティック道路地図(300)内で位置決めするための方法(100)であって、 - 車両(500)の少なくとも1つの周辺環境センサ(503)の周辺環境センサデータ(505)を受信するステップ(101)と、 - 車両(500)の周辺環境センサデータ(505)に基づいて、車両(500)の周辺環境(501)の地図表示(200)を作成するステップ(103)と、 - 地図表示(200)内の特性要素(201)および周辺環境(501)を描写しているセマンティック道路地図(300)内の特性要素(301)を確定するステップ(105)と、 - 地図表示(200)の特性要素(201)とセマンティック道路地図(300)の特性要素(301)とを比較するステップ(107)と、 - セマンティック道路地図(300)の区域(303)を確定するステップ(109)であり、区域(303)に関しては、セマンティック道路地図(300)の区域(303)の少なくとも1つの特性要素(301)が、地図表示(200)の少なくとも1つの特性要素(201)と一致しており、かつ地図表示(200)およびセマンティック道路地図(300)が、車両(500)の周辺環境(501)の同一領域を描写しているステップ(109)と、 - セマンティック道路地図(300)内の区域(303)の位置(P)を、セマンティック道路地図(300)内での地図表示(200)の位置として同定するステップ(111)とを含む方法(100)に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(500)の周辺環境(501)の地図表示(200)をセマンティック道路地図(300)内で位置決めするための方法(100)であって、
- 車両(500)の少なくとも1つの周辺環境センサ(503)の周辺環境センサデータ(505)を受信するステップ(101)と、
- 前記車両(500)の前記周辺環境センサデータ(505)に基づいて、前記車両(500)の周辺環境(501)の地図表示(200)を作成するステップ(103)と、
- 前記地図表示(200)内の特性要素(201)および前記周辺環境(501)を描写しているセマンティック道路地図(300)内の特性要素(301)を確定するステップ(105)と、
- 前記地図表示(200)の前記特性要素(201)と前記セマンティック道路地図(300)の前記特性要素(301)とを比較するステップ(107)と、
- 前記セマンティック道路地図(300)の区域(303)を確定するステップ(109)であり、前記区域(303)に関しては、前記セマンティック道路地図(300)の前記区域(303)の少なくとも1つの特性要素(301)が、前記地図表示(200)の少なくとも1つの特性要素(201)と一致しており、かつ前記地図表示(200)および前記セマンティック道路地図(300)が、前記車両(500)の前記周辺環境(501)の同一領域を描写しているステップ(109)と、
- 前記セマンティック道路地図(300)内の前記区域(303)の位置(P)を、前記セマンティック道路地図(300)内での前記地図表示(200)の位置として同定するステップ(111)と、
を含む方法(100)。
【請求項2】
前記特性要素(201、301)を比較するステップ(107)が、
- 前記セマンティック道路地図(300)の各特性要素(301)のキーポイントに関する記述子(400)および前記地図表示(200)の各特性要素(201)のキーポイントに関する記述子(400)を確定するステップ(113)と、
- 前記セマンティック道路地図(300)の前記特性要素(301)の前記キーポイントの前記記述子(400)と、前記地図表示(200)の前記特性要素(201)の前記キーポイントの前記記述子(400)とを比較するステップ(115)とを含み、これに関し特性要素(201、301)は、それぞれの前記要素(201、301)の前記キーポイントの前記記述子(400)が一致する場合に一致している、
請求項1に記載の方法(100)。
【請求項3】
特性要素(201、301)の記述子(400)を確定するステップ(113)が、
- 前記地図表示(200)または前記セマンティック道路地図(300)内のそれぞれの前記特性要素(201、301)の前記キーポイントの位置での前記記述子(400)の幾何格子構造(401)を決定し、前記幾何格子構造(401)が、多数の互いに隣り合う空間領域(403)を含んでいるステップ(117)と、
- 前記格子構造(401)の各空間領域(403)に対し、それぞれの前記特性要素(201、301)の性質を確定するステップ(119)と、
- 1つの空間領域(403)内の前記性質の値と、前記幾何構造(401)の前記空間領域(403)に直接隣り合う空間領域(404)に関する前記性質の値とを比較するステップ(121)と、
- 前記格子構造(401)の空間領域(403)に、それぞれの前記空間領域(403)内の前記性質の値が直接隣り合う空間領域(404)内の前記性質の値より大きい場合には数値1を割り当て、かつ空間領域(403)に、前記空間領域(403)内の前記性質の値が前記直接隣り合う空間領域(404)内の前記性質の値より大きくない場合には数値0を割り当てるステップ(123)とを含む、
請求項2に記載の方法(100)。
【請求項4】
前記記述子(400)を比較するステップ(121)が、
- k次元木での前記記述子(400)の最近傍探索を実行するステップ(125)を含む、
請求項2または3に記載の方法(100)。
【請求項5】
様々なセマンティッククラスの特性要素(201、301)に関する記述子(400)が決定され、同じセマンティッククラスの特性要素(201、301)の記述子(400)だけが相互に比較される、請求項2~4のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項6】
前記特性要素(201、301)の前記セマンティッククラスが、路面標示(207、307)、車道境界線(205、305)、街灯(209、309)、信号機(311)、交通標識を含む、請求項5に記載の方法(100)。
【請求項7】
前記性質が、以下のリスト、すなわち、前記空間領域(403、404)内の点の点密度、前記空間領域(403、404)内の線として表示された特性要素(201、301)の長さ(L)、前記空間領域(403、404)内の面として表示された特性要素(201、301)の面積、前記空間領域(403、404)内の体積として表示された特性要素(201、301)の体積からの1つである、請求項3~6のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項8】
前記区域(303)を確定するステップ(109)が、
- 前記セマンティック道路地図(300)内での前記地図表示(200)の有り得る位置(P)の多数の位置仮説(313)を立てるステップ(127)を含み、前記位置仮説を立てるステップ(127)が、
- その記述子(400)が前記地図表示(200)の特性要素(201)の記述子(400)と一致する前記セマンティック道路地図(300)内の前記特性要素(301)の前記キーポイントを、前記セマンティック道路地図(300)内で、前記地図表示(200)のそれぞれ対応する前記特性要素(201)の前記地図表示(200)内での前記地図表示(200)の中心点に対する距離に相当する距離だけ、位置並進させることを実行するステップ(129)と、
- クラスタの位置を前記地図表示(200)の位置仮説(313)として同定するステップ(131)と、
- 前記位置仮説(313)を前記区域(303)の位置(P)として検証するステップ(133)とを含み、前記検証するステップが、
- 前記クラスタ(312)のセンターに変位したキーポイントの数を確定し、前記クラスタ(312)のセンターに変位したキーポイントが最多数のクラスタ(312)を、前記地図表示(200)との最大一致を有する前記区域(305)の位置仮説(315)として同定するステップ(135)、または
- 前記位置仮説(313)に基づいて前記セマンティック道路地図(300)内に前記地図表示(200)を描写し、前記位置仮説(313)の位置にある前記特性要素(301)と、前記位置仮説(313)の位置に描写された前記地図表示(200)の前記特性要素(201)とを比較し、一致する特性要素(201、301)が最多数の前記位置仮説(315)を同定するステップ(137)を含む、
請求項2~7のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項9】
前記位置仮説(313)の位置にある前記特性要素(301)と、前記位置仮説(313)の位置に描写された前記地図表示(200)の前記特性要素(201)との前記比較が、RANSACアルゴリズムの実行を含む、請求項8に記載の方法(100)。
【請求項10】
さらに、
- 前記地図表示(200)によって表示された前記車両(500)の前記周辺環境(501)の地理的位置に基づいて、前記セマンティック道路地図(300)に対する前記地図表示(200)の予備位置決めを実行するステップ(139)と、
- 前記確定された地理的位置に基づいて、前記セマンティック道路地図(300)の部分区域(317)を確定するステップ(141)とを含み、この場合には、前記部分区域(317)内の前記セマンティック道路地図(300)の前記特性要素(301)が決定される、
請求項1~9のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項11】
さらに、
- それぞれの前記記述子(400)のそれぞれ1つの一致が存在する前記セマンティック道路地図(300)の特性要素(301)の特徴と前記地図表示(200)の特性要素(201)の特徴との間で、特徴関連付けを形成するステップ(143)を含む、
請求項1~10のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項12】
セマンティック道路地図(300)を車両(500)の周辺環境(501)の地図表示(200)の情報で補足するための方法(600)であって、
- 請求項1~11のいずれか一項に記載の車両(500)の周辺環境(501)の地図表示(200)をセマンティック道路地図(300)内で位置決めするための方法(100)を実行するステップ(601)と、
- 前記セマンティック道路地図(300)の前記確定された区域(303)に前記地図表示(200)の情報を組み込むステップ(603)と、
を含む方法(600)。
【請求項13】
請求項1~11のいずれか一項に記載の車両(500)の周辺環境(501)の地図表示(200)をセマンティック道路地図(300)内で位置決めするための方法(100)および/または請求項12に記載のセマンティック道路地図(300)を車両(500)の周辺環境(501)の地図表示(200)の情報で補足するための方法(600)を実行するよう適応された計算ユニット(505)。
【請求項14】
データ処理ユニットによるプログラムの実行時に前記データ処理ユニットに請求項1~11のいずれか一項に記載の車両(500)の周辺環境(501)の地図表示(200)をセマンティック道路地図(300)内で位置決めするための方法(100)および/または請求項12に記載のセマンティック道路地図(300)を車両(500)の周辺環境(501)の地図表示(200)の情報で補足するための方法(600)を実行させる命令を含むコンピュータプログラム製品(700)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の周辺環境の地図表示をセマンティック道路地図内で位置決めするための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両、とりわけ自律走行車両を正確に制御するには、制御すべき車両の周辺環境の詳細な地図表示が必要とされる。これに関し、車両の走行中または車両のこのために設計されたテスト走行中に周辺環境のデータが記録されて、このデータに基づいた、周辺環境に関するセマンティック情報を有するセマンティック道路地図が作成され得る。ただしこのような道路地図は、一貫して最新の状態で保たれなければならず、かつ追加的な詳細が供給されなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって本発明の課題は、車両の周辺環境の地図表示をセマンティック道路地図内で位置決めするための改善された方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題は、独立形式請求項1の車両の周辺環境の地図表示をセマンティック道路地図内で位置決めするための方法によって解決される。有利な形態は従属請求項の対象である。
【0005】
本発明の一態様に基づいて、車両の周辺環境の地図表示をセマンティック道路地図内で位置決めするための方法であって、
車両の少なくとも1つの周辺環境センサの周辺環境センサデータを受信するステップと、
車両の周辺環境センサデータに基づいて、車両の周辺環境の地図表示を作成するステップと、
地図表示内の特性要素および周辺環境を描写しているセマンティック道路地図内の特性要素を確定するステップと、
地図表示の特性要素とセマンティック道路地図の特性要素とを比較するステップと、
セマンティック道路地図の区域を確定するステップであり、この区域に関しては、セマンティック道路地図のこの区域の多数の特性要素が、地図表示の多数の特性要素と一致しており、かつ地図表示およびセマンティック道路地図が、車両の周辺環境の同一領域を描写しているステップと、
セマンティック道路地図内のこの区域の位置を、セマンティック道路地図内での地図表示の位置として同定するステップとを含む方法が提供される。
【0006】
これにより、車両の周辺環境の地図表示をセマンティック道路地図内で位置決めするための改善された方法が提供され得るという技術的利点が達成され得る。これに関し、車両の少なくとも1つの周辺環境センサの周辺環境センサデータに基づいて、周辺環境センサデータによって描写された車両の周辺環境の地図表示が作成される。地図表示はこの場合、車両の直近の周辺環境に限定されていてよく、かつ周辺環境内に配置されたオブジェクトを表示している。これに続いて、地図表示を位置決めするため、地図表示内の特性要素およびセマンティック道路地図内の特性要素が確定される。特性要素は、例えば、周辺環境内に配置された、周辺環境の特性描写を可能にするオブジェクトであり得る。特性要素は、例えば、周辺環境内の路面標示または道路標識によって構成され得る。セマンティック道路地図内では、このようなオブジェクトが、特性要素としてセマンティック記述込みで格納されている。
【0007】
位置を確定するために、地図表示の特性要素が道路地図の特性要素と比較され、そしてセマンティック道路地図内の区域が確定され、この区域に関しては、セマンティック道路地図のこの区域の少なくとも1つの特性要素が、地図表示の少なくとも1つの特性要素と一致している。さらに、セマンティック道路地図内のこの区域の位置が、セマンティック道路地図内での地図表示の位置決めとして同定される。この区域はこの場合、地図表示の広さに相当する広さを有し得る。
【0008】
セマンティック道路地図は、本出願の意味においては、道路地図によって表示されたオブジェクトに関するセマンティック情報を有するデジタル化された道路地図である。
一実施形態によれば、特性要素を比較するステップは、
セマンティック道路地図の各特性要素のキーポイントに関する記述子および地図表示の各特性要素のキーポイントに関する記述子を確定するステップと、
セマンティック道路地図の特性要素のキーポイントの記述子と、地図表示の特性要素のキーポイントの記述子とを比較するステップとを含み、これに関し特性要素は、それぞれの要素のキーポイントの記述子が一致する場合に一致している。
【0009】
これにより、特性要素の記述子と、様々な特性要素の記述子の比較とにより、セマンティック道路地図と地図表示との様々な特性要素間の正確な比較が可能にされるという技術的利点が達成され得る。
【0010】
本出願の意味において、地図表示内の特性要素がセマンティック道路地図内の特性要素と一致するのは、それぞれの地図内の特性要素が、同じセマンティッククラスに由来しており、かつそれぞれの地図内で同等の箇所に位置決めされている場合である。
【0011】
一実施形態によれば、特性要素の記述子を決定するステップは、
地図表示またはセマンティック道路地図内のそれぞれの特性要素のキーポイントの位置での記述子の幾何格子構造を決定し、この幾何格子構造が、多数の互いに隣り合う空間領域を含んでいるステップと、
格子構造の各空間領域に対し、それぞれの特性要素の性質を確定するステップと、
1つの空間領域内の性質の値と、幾何構造のこの空間領域に直接隣り合う空間領域に関する性質の値とを比較するステップと、
格子構造の空間領域に、それぞれの空間領域内の性質の値が直接隣り合う空間領域内の性質の値より大きい場合には数値1を割り当て、かつ空間領域に、この空間領域内の性質の値が直接隣り合う空間領域内の性質の値より大きくない場合には数値0を割り当てるステップとを含む。
【0012】
これにより、詳細で一義的な記述子が提供され得るという技術的利点が達成され得る。これに関し、記述子はネイバー・バイナリ・ランドマーク記述子として形成されている。このように形成された記述子は、地図表示の様々な特性要素の一義的な記述も、セマンティック道路地図の様々な特性要素の一義的な記述も可能にする。
【0013】
その代わりに近傍比較なしでの記述子も使用でき、この記述子内では隣接する空間領域の比較は実施されない。
一実施形態によれば、記述子を比較するステップは、
k次元木での記述子の最近傍探索を実施するステップを含む。
【0014】
これにより、セマンティック道路地図と地図表示の様々な記述子の正確な比較が可能にされるという技術的利点が達成され得る。
一実施形態によれば、様々なセマンティッククラスの特性要素に関する記述子が決定され、同じセマンティッククラスの特性要素の記述子だけが相互に比較される。
【0015】
これにより、様々な特性要素の記述子の比較がさらに正確になり得るという技術的利点が達成され得る。特性要素に関するセマンティック情報を付加することにより、特性要素の比較を、それに伴ってセマンティック道路地図内での地図表示の位置決めをさらに正確にすることが達成され得る。
【0016】
一実施形態によれば、特性要素のセマンティッククラスは、路面標示、車道境界線、街灯、信号機、交通標識を含む。
これにより、車両の周辺環境内に普通にある様々なオブジェクトが、セマンティック道路地図内での地図表示の位置決めのために考慮され得るという技術的利点が達成され得る。これにより位置決めがさらに正確になり得る。考慮される路面標示は、白または黄色の実線または破線を含み得る。
【0017】
一実施形態によれば、性質は、以下のリスト、すなわち、空間領域内の点の点密度、空間領域内の線として表示された特性要素の長さ、空間領域内の面として表示された特性要素の面積、空間領域内の体積として表示された特性要素の体積からの1つである。
【0018】
これにより、特性要素の幾何的性質に依存して、記述子内の相応の性質が考慮されるという技術的利点が達成され得る。これにより、様々な幾何的に形成された特性要素を記述子によって考慮でき、それにより比較のために使える特性要素の数が増えることで、セマンティック道路地図に対する地図表示の位置決めがさらに正確になり得る。記述子を計算するために、地図表示またはセマンティック道路地図のうちの特性要素を含む相応の部分が、路面標示の平均方向に依拠して、記述子を計算すべきそれぞれのキーポイントを中心として回転され得る。この部分は、例えば円形に形成され得る。回転は、地図表示とセマンティック道路地図との一致が達成されるまで実施され得る。つまりこの回転により、互いに回転した地図が相互に比較され得る。これにより本方法の回転不変性が達成され得る。
【0019】
一実施形態によれば、区域を確定するステップは、
セマンティック道路地図内での地図表示の有り得る位置の多数の位置仮説を立てるステップを含み、この位置仮説を立てるステップは、
その記述子が地図表示の特性要素の記述子と一致するセマンティック道路地図内の特性要素のキーポイントを、セマンティック道路地図内で、地図表示のそれぞれ対応する特性要素の地図表示内での地図表示の中心点に対する距離に相当する距離だけ、位置並進させることを実行するステップと、
クラスタの位置を地図表示の位置仮説として同定するステップと、
位置仮説を区域の位置として検証するステップとを含み、この検証するステップは、
クラスタのセンターに変位したキーポイントの数を確定し、クラスタのセンターに変位したキーポイントが最多数のクラスタを、地図表示との最大一致を有する区域の位置仮説として同定するステップ、または
位置仮説に基づいてセマンティック道路地図内に地図表示を描写し、位置仮説の位置にある特性要素と、位置仮説の位置に描写された地図表示の特性要素とを比較し、一致する特性要素が最多数の位置仮説を同定するステップを含む。
【0020】
これにより、セマンティック道路地図に対する地図表示の位置決めのために複数の位置仮説が立てられ得るという技術的利点が達成され得る。多数の位置仮説により、地図表示の実際の位置決めがさらに正確になり得る。つまり、選択プロセスにおいて、セマンティック道路地図に対する地図表示の正しい位置を最大確率で表示する位置仮説が選択される。この場合、選択された位置仮説は、地図表示の特性要素と一致する特性要素を最も多く有するセマンティック道路地図内の区域に対応している。
【0021】
本出願の意味においては、特性要素の記述子は、これらの記述子が類似性を有する場合に一致している。
一実施形態によれば、位置仮説の位置にある特性要素と、位置仮説の位置に描写された地図表示の特性要素との比較が、RANSACアルゴリズムの実行を含む。
【0022】
これにより、RANSACアルゴリズムの実行によって、特性要素のとりわけセマンティック道路地図内での位置決めに関する外れ値を除去して、比較の際に考慮しないままにできることで、特性要素の正確な比較および最大一致の正確な決定が達成され得るという技術的利点が達成され得る。
【0023】
一実施形態によれば、本方法はさらに、
地図表示によって表示された車両の周辺環境の地理的位置に基づいて、セマンティック道路地図に対する地図表示の予備位置決めを実行するステップと、
確定された地理的位置に基づいて、セマンティック道路地図の部分区域を確定するステップとを含み、この場合には、この部分区域内のセマンティック道路地図の特性要素が決定される。
【0024】
これにより、セマンティック道路地図に対する地図表示の位置決めの簡略化が可能にされるという技術的利点が達成され得る。車両の周辺環境センサの周辺環境センサデータによって表示された周辺環境の地理的位置に基づいた予備位置決めにより、特性要素を比較するためのセマンティック道路地図が、車両の周辺環境の地理的位置を含む部分区域に縮小され得る。これにより、この地理的位置の周りに配置された部分区域内に配置されているセマンティック道路地図の特性要素しか考慮されないことで、地図表示の特性要素とセマンティック道路地図の特性要素との比較プロセスが簡略化され得る。
【0025】
一実施形態によれば、本方法はさらに、
それぞれの記述子のそれぞれ1つの一致が存在するセマンティック道路地図の特性要素の特徴と地図表示の特性要素の特徴との間で、特徴関連付けを形成するステップを含む。
【0026】
これにより、セマンティック道路地図内での地図表示の位置決めが、セマンティック道路地図と地図表示との特性要素の特徴の特徴関連付けを考慮することによってさらに正確になり得るという技術的利点が達成され得る。
【0027】
第2の態様に基づいて、セマンティック道路地図を車両の周辺環境の地図表示の情報で補足するための方法であって、
上記の実施形態の一つに基づく車両の周辺環境の地図表示をセマンティック道路地図内で位置決めするための方法を実行するステップと、
セマンティック道路地図の確定された区域に地図表示の情報を組み込むステップとを含む方法が提供される。
【0028】
これにより、上で挙げた技術的利点を有する車両の周辺環境の地図表示をセマンティック道路地図内で位置決めするための改善された方法を含んだ、セマンティック道路地図を車両の周辺環境の地図表示の情報で補足するための改善された方法が提供されるという技術的利点が達成され得る。
【0029】
本発明の第3の態様に基づいて、上記の実施形態の1つに基づく車両の周辺環境の地図表示をセマンティック道路地図内で位置決めするための方法および/またはセマンティック道路地図を車両の周辺環境の地図表示の情報で補足するための方法を実行するよう適応された計算ユニットが提供される。
【0030】
本発明の第4の態様に基づいて、データ処理ユニットによるプログラムの実行時にデータ処理ユニットに上記の実施形態の1つに基づく車両の周辺環境の地図表示をセマンティック道路地図内で位置決めするための方法および/またはセマンティック道路地図を車両の周辺環境の地図表示の情報で補足するための方法を実行させる命令を含むコンピュータプログラム製品が提供される。
【0031】
本発明の例示的実施形態を以下の図面に基づいて解説する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】車両の周辺環境の地図表示をセマンティック道路地図内で位置決めするための方法を実行するための計算ユニットを備えた車両の概略図である。
図2】車両の周辺環境のセマンティック道路地図および地図表示の概略図である。
図3】記述子の概略図である。
図4】セマンティック道路地図または地図表示に適用された記述子の概略図である。
図5】車両の周辺環境の地図表示をセマンティック道路地図内で位置決めするための方法のフロー図である。
図6】セマンティック道路地図を車両の周辺環境の地図表示の情報で補足するための方法のフロー図である。
図7】コンピュータプログラム製品の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1は、車両500の周辺環境501の地図表示200をセマンティック道路地図300内で位置決めするための方法100を実行するための計算ユニット505を備えた車両500の概略図を示している。
【0034】
図1では、車道境界線509および路面標示511を有する車道507上の車両500を示している。車両500は、少なくとも1つの周辺環境センサ503および計算ユニット505を含んでいる。車両500は、周辺環境センサ503により、車両500を取り囲む周辺環境501の周辺環境センサデータを記録することができる。計算ユニット505は、車両の周辺環境の地図表示をセマンティック道路地図内で位置決めするための本発明による方法を実施するよう適応されている。計算ユニット505はさらに、セマンティック道路地図を車両の周辺環境の地図表示の情報で補足するための本発明による方法を実行するよう適応され得る。このためにセマンティック道路地図は、計算ユニット505内で、例えば相応のメモリ装置内で保存され得る。
【0035】
図2は、車両500の周辺環境501のセマンティック道路地図300および地図表示200の概略図を示している。
図2は、車両の周辺環境の地図表示200を、図1に示した車両500に倣って示している。地図表示200は、車両500の周辺環境センサ503の周辺環境センサデータに基づいており、この周辺環境センサデータは、車両500の走行中に、その時々に車両500を取り囲んでいる周辺環境501から記録された。示した実施形態では、地図表示200が、車道境界線205および路面標示207を有する車道203を捕捉している。地図表示200はさらに、車道203の縁に配置された街灯209を示している。
【0036】
図2はさらにセマンティック道路地図300を示している。このセマンティック道路地図も、車道境界線305および路面標示307を有する車道304を示している。セマンティック道路地図300は、地図表示200に比べて周辺環境の大きな部分を示している。よってセマンティック道路地図は、車道304に沿って配置された多数の様々なオブジェクト、例えば街灯309または信号機311を示している。
【0037】
本発明による方法に基づいて地図表示200をセマンティック道路地図300内で位置決めするために、最初に、地図表示200内で特性要素201が決定される。特性要素201は、例えば車道境界線205、路面標示207、または街灯209によってもたらされ得る。さらに、セマンティック道路地図300内で対応する特性要素301が決定される。特性要素301も、車道境界線305、路面標示307、街灯309、または信号機311によってもたらされ得る。
【0038】
これに続いて、地図表示200の確定された特性要素201が、セマンティック道路地図の確定された特性要素301と比較される。地図表示200の特性要素201とセマンティック道路地図300の特性要素301との比較により、セマンティック道路地図300内で区域303が確定される。確定された区域303は、確定された区域303内に配置された特性要素301が少なくとも部分的に地図表示200の特性要素201と一致することを特徴とする。したがって、このように確定された区域303は、地図表示200の特性要素201と一致する少なくとも1つの特性要素301を含んでいる。この場合、特性要素の一致は、それぞれの特性要素が同じセマンティッククラスからのものであり、かつ地図表示200およびセマンティック道路地図300内で同等の位置に配置されていることによってもたらされ得る。
【0039】
それに続いて、セマンティック道路地図300内での地図表示200の位置を決定するために、セマンティック道路地図300内の区域303の位置Pが、セマンティック道路地図300内での地図表示200の位置決めとして同定される。したがって、このように確定されたセマンティック道路地図300内での地図表示200の位置Pは、特性要素201、203の比較によって確定された区域303が、地図表示200によって表示された車両500の周辺環境501を描写していると解釈され得る。
【0040】
地図表示200の特性要素201とセマンティック道路地図300の特性要素301とを比較するために、セマンティック道路地図300の各特性要素301のキーポイントに関し、および地図表示200の各特性要素201のキーポイントに関し、記述子が確定されて相互に比較され得る。これに関し、記述子はネイバー・バイナリ・ランドマーク記述子として形成され得る。このために各キーポイントに対し、複数の空間領域を有する格子構造が確定され、格子構造の各空間領域に対し、それぞれ考慮された特性要素の性質の値が確定される。記述子を作成するため、格子構造内の多数の空間領域に対し、性質のそれぞれ確定された値が相互に比較され、かつ格子構造のうち、それぞれ特性要素の性質が直接隣り合う空間領域より大きな値を有する空間領域に、数値1が割り当てられ、その一方でそうではない空間領域には相応に数値0が割り当てられる。これを基に生じるベクトルが、地図表示200またはセマンティック道路地図300の任意の特性要素に関して相互に比較され得る。
【0041】
比較のために、とりわけ、1つのセマンティッククラスの特性要素に関する記述子の平均化が実施され得る。平均化は、例えば、1つのセマンティッククラスの多数の特性要素の多数の記述子の加重平均値を出すことによってもたらされ得る。
【0042】
様々な記述子を比較するために、k次元木での記述子の最近傍探索が実行され得る。
様々な特性要素201、301の記述子を比較するために、特性要素201、301をそのセマンティッククラスに関して考慮することができ、これにより、その特性要素が同じセマンティッククラスに割り当てられている記述子の特性要素201、301の記述子だけが比較される。その代わりに、上述のように1つのセマンティッククラスの多数の特性要素のために1つの平均化された記述子を使用することができ、したがって同じクラスの各要素に同じ平均化された記述子が使用される。この場合、セマンティッククラスは、上述のオブジェクト、例えば車道境界線305、路面標示307、街灯309、または信号機311によってもたらされ得る。記述子の計算が実施されるキーポイントは、地図表示200またはセマンティック道路地図300内の1つの特性要素の各点であり得る。
【0043】
特性要素201、301またはそれぞれの記述子を比較するために、セマンティック道路地図300に対する地図表示200の回転が行われ得る。この回転により、地図表示とセマンティック道路地図300を同一の向きにすることができ、これにより、比較すべき特性要素201、301のキーポイントの記述子の正確な比較が、したがってセマンティック道路地図300内での地図表示200の正確な位置決めが行われる。
【0044】
セマンティック道路地図300に対する地図表示200の回転は、地図表示200およびセマンティック道路地図300の主軸または平均的な線方向に基づいて、相応の位置仮説313のクラスタ312のセンターを中心として実施され得る。
【0045】
道路境界線もしくは路面標示に関連するまたは道路照明マストもしくは信号機の配置に関連する道路の延び具合の高い周期性に基づいて、地図表示200によって表示された道路区域に応じて、セマンティック道路地図300内での、地図表示200によって表示された道路区域の有り得る位置の数が増大し得る。これにより、地図表示200の特性要素201に依存して、セマンティック道路地図300内での地図表示200によって表示された道路区域の正しい位置を異なる確率で表示する多数の有り得る位置仮説が立てられ得る。
【0046】
セマンティック道路地図300内での地図表示200の位置を決定するために、複数の位置仮説が作成される。これに関し、地図表示200の特性要素201の記述子との記述子の一致が確定されたセマンティック道路地図300の特性要素301に対し、キーポイントの位置変位が、地図表示200の特性要素201のそれぞれのキーポイントの地図表示200の中心点に対する距離に相当する変位距離で行われ得る。これによって形成されたセマンティック道路地図300内の変位されたキーポイントのクラスタ312が、これ以降、位置仮説313と解釈され得る。これに関し、位置仮説の幾何検証がRANSACアルゴリズムの実行によって行われ得る。作成された位置仮説313に基づいて、セマンティック道路地図300内での地図表示200の実際の位置を決定するため、変位されたキーポイントの個々のクラスタ312の点密度に基づいて、最高点密度をもつ点クラスタ312に基づく位置仮説315が確定される。この場合、それぞれのクラスタ312の点密度は、地図表示200の特性要素201とそれぞれ一致する特性要素301の変位されたキーポイントの数に相当する。したがって、最高点密度をもつ点クラスタ312およびそれに基づく位置仮説315は、地図表示200の特性要素201と一致する最多数の特性要素301が配置されているセマンティック道路地図内の区域303に対応している。したがって、このように確定された位置仮説315は、セマンティック道路地図300内での地図表示の最大確率で正しい位置を表示している。
【0047】
その代わりに、セマンティック道路地図300内での地図表示200の実際の位置を、多数の位置仮説313に基づいて確定することができ、このために、各位置仮説に対し、地図表示200の、セマンティック道路地図300への変換が行われ、このように変換された地図表示200と、セマンティック道路地図300の位置仮説313のそれぞれの区域303との一致の検査が行われる。
【0048】
セマンティック道路地図300内での地図表示200の位置決定のために、地図表示200のすべての特性要素201およびセマンティック道路地図のすべての特性要素301が考慮され得る。セマンティック道路地図300内の考慮すべき特性要素301の数を絞るため、セマンティック道路地図300内での地図表示200の予備位置決めが行われ得る。これに関し、車両500の周辺環境センサデータによって表示されて地図表示300内に描写された周辺環境501の地理的位置に基づいて、周辺環境501の地理的位置を含むセマンティック道路地図300の部分区域317が確定され得る。地理的位置は、例えば、それに基づいて地図表示200が生成される周辺環境センサデータが受信された時点の車両501の地理的位置を示す衛星測位システムGNSSのデータに基づいて決定され得る。地理的位置の考慮により、セマンティック道路地図300内での地図表示200の位置が、約50メートルの精度へと予備位置決めされ得る。つまり、特性要素201、301の比較によって道路地図300内での地図表示200の位置を厳密に決定するために、セマンティック道路地図300に関し、予備位置決めによって決定されたセマンティック道路地図300の部分区域317内に配置されている特性要素301だけが考慮される。
【0049】
図3は、記述子400の概略図を示している。
示した記述子400は、ネイバー・バイナリ・ランドマーク記述子として形成されており、多数の空間領域403を有する格子構造401を含んでいる。格子構造401は、示した実施形態では底面がまん丸の円筒形に形成されている。空間領域403は、円筒形の格子構造401の、径方向および方位方向にも縦方向にも配列されている。記述子400の3次元形成により、3次元の地図表示200または3次元のセマンティック道路地図300の特性要素201、301の3次元の考慮が可能にされている。
【0050】
図4は、セマンティック道路地図300または地図表示200に適用された記述子400の概略図を示している。
示した平面図では、相応の車道境界線205、305および路面標示207、307を有する車道203、304上で位置決めされた、図3での実施形態に基づく記述子400を表示している。記述子400を計算するために、格子構造401の各空間領域403に対し、考慮される特性要素201、301の性質の値が計算される。示した実施形態では、特性要素201、301として、車道境界線205、305および路面標示207、307が考慮されている。これらの特性要素201、301がそれぞれ線形状を有しているので、それぞれ考慮すべき特性要素201、301の性質としては、それぞれの特性要素201、301が、それぞれ考察すべき空間領域403、404内でとっている長さLが考慮される。
【0051】
上で挙げたように、記述子は、特性要素201、301の様々なセマンティッククラスのために別々に計算され得る。つまり示した事例では、路面標示207、307だけに関し、または車道境界線205、305だけに関し、記述子400が計算され得る。記述子400の計算において特性要素201、301のセマンティッククラスを考慮することは、様々な空間領域403、404の異なるハッチングによって表示している。記述子400を計算するために、空間領域403、404が相互に比較され、とりわけ空間領域403、404内で考慮される特性要素201、301の性質がとっている値が相互に比較される。特性要素201、301の考慮される性質の、それぞれの空間領域404に直接隣り合う空間領域403の値より大きい値を有する空間領域404には、数値1が付与される。これに対し、特性要素201、301の性質の、それぞれ直接隣り合う空間領域403の値より大きくない値を有するそれぞれ別の空間領域403には、数値0が付与される。したがって、このように決定された記述子400はバイナリベクトル表示で表示され得る。
【0052】
図5は、車両500の周辺環境501の地図表示200をセマンティック道路地図300内で位置決めするための方法100のフロー図を示している。
車両500の周辺環境501の地図表示200をセマンティック道路地図300内で位置決めするために、最初にプロセスステップ101で、車両500の少なくとも1つの周辺環境センサ503の周辺環境センサデータが記録される。この場合、周辺環境センサデータは車両500の周辺環境501を描写している。周辺環境センサデータは、例えばカメラデータ、ライダデータ、またはレーダデータを含み得る。
【0053】
さらなるプロセスステップ103では、受信した周辺環境センサデータに基づいて、車両500の周辺環境501の地図表示200が作成される。地図表示200はこの場合、車両500の周辺環境501のデジタル3次元地図として形成することができ、少なくとも1つの周辺環境センサ503の到達範囲内の車両500の周辺環境501を描写し得る。
【0054】
さらなるプロセスステップ139では、セマンティック道路地図300に対する地図表示200の予備位置決めが行われる。予備位置決めはこの場合、地図表示200によって表示された車両500の周辺環境501の地理的位置に基づいて行われる。地理的位置は、地図表示200の基礎となっている周辺環境センサデータが受信された時点で受信された衛星測位システムGNSSのデータに基づき得る。
【0055】
さらなるプロセスステップ141では、セマンティック道路地図300内での地図表示200の予備位置決めに基づいて、部分区域317が確定される。部分区域317は、地図表示200の地理的位置を含んでいる。
【0056】
さらなるプロセスステップ105では、地図表示200内およびセマンティック道路地図300内で、それぞれ特性要素201、301が確定される。特性要素201、301は、地図表示200またはセマンティック道路地図300内で描写されている周辺環境501内のオブジェクトによってもたらされ得る。特性要素201、301は、例えば車道境界線205、305、路面標示207、307、街灯209、309、または信号機311によってもたらされ得る。
【0057】
さらなるプロセスステップ107では、地図表示200の特性要素201が、セマンティック道路地図300の特性要素301と比較される。
このためにさらなるプロセスステップ113で、地図表示200の各特性要素201のノードに対し、およびセマンティック道路地図300の部分区域317内の各特性要素301のノードに対し、記述子400が確定される。
【0058】
このためにプロセスステップ117で、各ノードに対し、多数の空間領域403を有する格子構造401が確定される。
さらなるプロセスステップ119では、格子構造401の各空間領域403に対し、それぞれ考察される特性要素201、301の性質の値が確定される。考慮される特性要素201、301の性質は、例えば点状の特性要素201、301の点密度、線状の特性要素201、301の長さ、面状の特性要素の面積、または3次元の特性要素201、301の体積であり得る。
【0059】
さらなるプロセスステップ121では、記述子400の格子構造401の個々の空間領域403の特性要素201、301の性質の値が、記述子400の格子構造401の直接隣り合う空間領域403内のそれぞれの性質がとる値と比較される。
【0060】
それに基づいてさらなるプロセスステップ123では、それぞれ考察される性質が、直接隣り合う空間領域403、404内の性質の値より大きい値をとる各空間領域403、404に、数値1が割り当てられ、その一方で、性質が、直接隣り合う空間領域内の性質の値より大きくない値を有する空間領域403、404に、数値0が割り当てられる。したがって記述子400はバイナリベクトル表示で表示され得る。
【0061】
さらなるプロセスステップ115では、様々な特性要素201、203のこのように確定された記述子400が相互に比較される。この場合、様々な特性要素201、301の記述子400の比較は、同じセマンティッククラスに割り当てられた特性要素201、301の記述子だけが比較されるように実行され得る。したがって例えば、車道境界線205、305の記述子400だけが相互に比較され得る。上述のように、セマンティッククラスごとに、そのセマンティッククラスのすべての特性要素のために、1つの共通の平均化された記述子が使用され得る。
【0062】
多数の特性要素201、301の記述子400を比較するために、さらなるプロセスステップ125では、k次元木での記述子400の最近傍探索が実施される。
さらなるプロセスステップ109では、セマンティック道路地図300の部分区域317内で区域303が確定され、区域303内には、地図表示200の少なくとも1つの特性要素201と一致する少なくとも1つの特性要素301が配置されている。
【0063】
区域303を決定するために、さらなるプロセスステップ127で、セマンティック道路地図300内での地図表示200の有り得る位置としての位置仮説313が立てられる。
【0064】
このためにプロセスステップ129で、その記述子400が地図表示200の特性要素201の記述子400と一致するセマンティック道路地図300の特性要素301のキーポイントを、セマンティック道路地図300内で、地図表示200のそれぞれの特性要素201を地図表示のセンターから遠ざけている距離に相当する距離だけ変位させる。このセマンティック道路地図300の特性要素301のキーポイントの変位により、セマンティック道路地図300の部分区域317内で、特性要素301のノードのクラスタ312が形成される。
【0065】
さらなるプロセスステップ131では、このように形成されたクラスタ312が、セマンティック道路地図300内での地図表示200の位置仮説313として同定される。
さらなるプロセスステップ133では、クラスタ312内のキーポイントの点密度が最高である変位されたキーポイントのクラスタ312が確定され、このそれぞれのクラスタ312が、セマンティック道路地図300内での地図表示200の実際の位置の最大確率を有する位置仮説313として同定される。
【0066】
さらなるプロセスステップ135では、位置仮説313が、RANSACアルゴリズムの実行によって幾何検証される。
さらなるプロセスステップ137では、最多のインライア値を有する位置仮説315が、地図表示200の位置Pとして同定され、この場合、位置仮説315のインライア値は、位置仮説315によって定義された区域303内の、地図表示200の特性要素201に対応する特性要素301の数に相当する。
【0067】
これに続いてさらなるプロセスステップ111では、セマンティック道路地図300内の、特性要素301の最多一致を有する位置仮説315に対応している区域303の位置Pが、セマンティック道路地図300内での地図表示200の位置として同定される。
【0068】
さらなるプロセスステップ143ではさらに、セマンティック道路地図300の特性要素301の特徴と、それぞれセマンティック道路地図300の特性要素301と一致する地図表示200の特性要素201の特徴との間で、特徴関連付けが形成される。
【0069】
図6は、セマンティック道路地図300を車両500の周辺環境501の地図表示200の情報で補足するための方法600のフロー図を示している。
セマンティック道路地図300を車両500の周辺環境501の地図表示200の情報で補足するために、最初にプロセスステップ601で、上述の実施形態に基づく車両500の周辺環境501の地図表示200をセマンティック道路地図300内で位置決めするための本発明による方法100が実行される。
【0070】
それに続きプロセスステップ603では、セマンティック道路地図300の確定された区域303に地図表示200の情報が組み込まれる。
図7は、計算ユニットによるプログラムの実行時にプログラムに車両500の周辺環境501の地図表示200をセマンティック道路地図300内で位置決めするための方法100および/またはセマンティック道路地図300を車両500の周辺環境501の地図表示200の情報で補足するための方法600を実行させる命令を含むコンピュータプログラム製品700の概略図を示している。
【0071】
コンピュータプログラム製品700は、示した実施形態ではメモリ媒体701上で保存されている。メモリ媒体701はこの場合、現況技術から知られている任意のメモリ媒体であり得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2024-03-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(500)の周辺環境(501)の地図表示(200)をセマンティック道路地図(300)内で位置決めするための方法(100)であって、
- 車両(500)の少なくとも1つの周辺環境センサ(503)の周辺環境センサデータ(505)を受信するステップ(101)と、
- 前記車両(500)の前記周辺環境センサデータ(505)に基づいて、前記車両(500)の周辺環境(501)の地図表示(200)を作成するステップ(103)と、
- 前記地図表示(200)内の特性要素(201)および前記周辺環境(501)を描写しているセマンティック道路地図(300)内の特性要素(301)を確定するステップ(105)と、
- 前記地図表示(200)の前記特性要素(201)と前記セマンティック道路地図(300)の前記特性要素(301)とを比較するステップ(107)と、
- 前記セマンティック道路地図(300)の区域(303)を確定するステップ(109)であり、前記区域(303)に関しては、前記セマンティック道路地図(300)の前記区域(303)の少なくとも1つの特性要素(301)が、前記地図表示(200)の少なくとも1つの特性要素(201)と一致しており、かつ前記地図表示(200)および前記セマンティック道路地図(300)が、前記車両(500)の前記周辺環境(501)の同一領域を描写しているステップ(109)と、
- 前記セマンティック道路地図(300)内の前記区域(303)の位置(P)を、前記セマンティック道路地図(300)内での前記地図表示(200)の位置として同定するステップ(111)と、
を含む方法(100)。
【請求項2】
前記特性要素(201、301)を比較するステップ(107)が、
- 前記セマンティック道路地図(300)の各特性要素(301)のキーポイントに関する記述子(400)および前記地図表示(200)の各特性要素(201)のキーポイントに関する記述子(400)を確定するステップ(113)と、
- 前記セマンティック道路地図(300)の前記特性要素(301)の前記キーポイントの前記記述子(400)と、前記地図表示(200)の前記特性要素(201)の前記キーポイントの前記記述子(400)とを比較するステップ(115)とを含み、これに関し特性要素(201、301)は、それぞれの前記要素(201、301)の前記キーポイントの前記記述子(400)が一致する場合に一致している、
請求項1に記載の方法(100)。
【請求項3】
特性要素(201、301)の記述子(400)を確定するステップ(113)が、
- 前記地図表示(200)または前記セマンティック道路地図(300)内のそれぞれの前記特性要素(201、301)の前記キーポイントの位置での前記記述子(400)の幾何格子構造(401)を決定し、前記幾何格子構造(401)が、多数の互いに隣り合う空間領域(403)を含んでいるステップ(117)と、
- 前記格子構造(401)の各空間領域(403)に対し、それぞれの前記特性要素(201、301)の性質を確定するステップ(119)と、
- 1つの空間領域(403)内の前記性質の値と、前記幾何構造(401)の前記空間領域(403)に直接隣り合う空間領域(404)に関する前記性質の値とを比較するステップ(121)と、
- 前記格子構造(401)の空間領域(403)に、それぞれの前記空間領域(403)内の前記性質の値が直接隣り合う空間領域(404)内の前記性質の値より大きい場合には数値1を割り当て、かつ空間領域(403)に、前記空間領域(403)内の前記性質の値が前記直接隣り合う空間領域(404)内の前記性質の値より大きくない場合には数値0を割り当てるステップ(123)とを含む、
請求項2に記載の方法(100)。
【請求項4】
前記記述子(400)を比較するステップ(121)が、
- k次元木での前記記述子(400)の最近傍探索を実行するステップ(125)を含む、
請求項2に記載の方法(100)。
【請求項5】
様々なセマンティッククラスの特性要素(201、301)に関する記述子(400)が決定され、同じセマンティッククラスの特性要素(201、301)の記述子(400)だけが相互に比較される、請求項2に記載の方法(100)。
【請求項6】
前記特性要素(201、301)の前記セマンティッククラスが、路面標示(207、307)、車道境界線(205、305)、街灯(209、309)、信号機(311)、交通標識を含む、請求項5に記載の方法(100)。
【請求項7】
前記性質が、以下のリスト、すなわち、前記空間領域(403、404)内の点の点密度、前記空間領域(403、404)内の線として表示された特性要素(201、301)の長さ(L)、前記空間領域(403、404)内の面として表示された特性要素(201、301)の面積、前記空間領域(403、404)内の体積として表示された特性要素(201、301)の体積からの1つである、請求項3に記載の方法(100)。
【請求項8】
前記区域(303)を確定するステップ(109)が、
- 前記セマンティック道路地図(300)内での前記地図表示(200)の有り得る位置(P)の多数の位置仮説(313)を立てるステップ(127)を含み、前記位置仮説を立てるステップ(127)が、
- その記述子(400)が前記地図表示(200)の特性要素(201)の記述子(400)と一致する前記セマンティック道路地図(300)内の前記特性要素(301)の前記キーポイントを、前記セマンティック道路地図(300)内で、前記地図表示(200)のそれぞれ対応する前記特性要素(201)の前記地図表示(200)内での前記地図表示(200)の中心点に対する距離に相当する距離だけ、位置並進させることを実行するステップ(129)と、
- クラスタの位置を前記地図表示(200)の位置仮説(313)として同定するステップ(131)と、
- 前記位置仮説(313)を前記区域(303)の位置(P)として検証するステップ(133)とを含み、前記検証するステップが、
- 前記クラスタ(312)のセンターに変位したキーポイントの数を確定し、前記クラスタ(312)のセンターに変位したキーポイントが最多数のクラスタ(312)を、前記地図表示(200)との最大一致を有する前記区域(305)の位置仮説(315)として同定するステップ(135)、または
- 前記位置仮説(313)に基づいて前記セマンティック道路地図(300)内に前記地図表示(200)を描写し、前記位置仮説(313)の位置にある前記特性要素(301)と、前記位置仮説(313)の位置に描写された前記地図表示(200)の前記特性要素(201)とを比較し、一致する特性要素(201、301)が最多数の前記位置仮説(315)を同定するステップ(137)を含む、
請求項2に記載の方法(100)。
【請求項9】
前記位置仮説(313)の位置にある前記特性要素(301)と、前記位置仮説(313)の位置に描写された前記地図表示(200)の前記特性要素(201)との前記比較が、RANSACアルゴリズムの実行を含む、請求項8に記載の方法(100)。
【請求項10】
さらに、
- 前記地図表示(200)によって表示された前記車両(500)の前記周辺環境(501)の地理的位置に基づいて、前記セマンティック道路地図(300)に対する前記地図表示(200)の予備位置決めを実行するステップ(139)と、
- 前記確定された地理的位置に基づいて、前記セマンティック道路地図(300)の部分区域(317)を確定するステップ(141)とを含み、この場合には、前記部分区域(317)内の前記セマンティック道路地図(300)の前記特性要素(301)が決定される、
請求項1に記載の方法(100)。
【請求項11】
さらに、
- それぞれの前記記述子(400)のそれぞれ1つの一致が存在する前記セマンティック道路地図(300)の特性要素(301)の特徴と前記地図表示(200)の特性要素(201)の特徴との間で、特徴関連付けを形成するステップ(143)を含む、
請求項1に記載の方法(100)。
【請求項12】
セマンティック道路地図(300)を車両(500)の周辺環境(501)の地図表示(200)の情報で補足するための方法(600)であって、
- 請求項1に記載の車両(500)の周辺環境(501)の地図表示(200)をセマンティック道路地図(300)内で位置決めするための方法(100)を実行するステップ(601)と、
- 前記セマンティック道路地図(300)の前記確定された区域(303)に前記地図表示(200)の情報を組み込むステップ(603)と、
を含む方法(600)。
【請求項13】
請求項1に記載の車両(500)の周辺環境(501)の地図表示(200)をセマンティック道路地図(300)内で位置決めするための方法(100)および/または請求項12に記載のセマンティック道路地図(300)を車両(500)の周辺環境(501)の地図表示(200)の情報で補足するための方法(600)を実行するよう適応された計算ユニット(505)。
【請求項14】
データ処理ユニットによるプログラムの実行時に前記データ処理ユニットに請求項1に記載の車両(500)の周辺環境(501)の地図表示(200)をセマンティック道路地図(300)内で位置決めするための方法(100)および/または請求項12に記載のセマンティック道路地図(300)を車両(500)の周辺環境(501)の地図表示(200)の情報で補足するための方法(600)を実行させる命令を含むコンピュータプログラム製品(700)。
【国際調査報告】