(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】駆動トレインのための回転軸を有するブースタクラッチ
(51)【国際特許分類】
F16D 13/52 20060101AFI20240829BHJP
【FI】
F16D13/52 D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024514539
(86)(22)【出願日】2022-09-14
(85)【翻訳文提出日】2024-03-05
(86)【国際出願番号】 DE2022100676
(87)【国際公開番号】W WO2023046233
(87)【国際公開日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】102021124323.8
(32)【優先日】2021-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515009952
【氏名又は名称】シェフラー テクノロジーズ アー・ゲー ウント コー. カー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】Schaeffler Technologies AG & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Industriestr. 1-3, 91074 Herzogenaurach, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アラン リュシュ
(72)【発明者】
【氏名】マーティン ヘスラー
(72)【発明者】
【氏名】ゼバスティアン カイザー
(72)【発明者】
【氏名】マルク フィンケンツェラー
【テーマコード(参考)】
3J056
【Fターム(参考)】
3J056AA57
3J056BE06
3J056CA04
3J056CC37
3J056GA12
(57)【要約】
本発明は、駆動トレイン(3)のための回転軸(2)を有するブースタクラッチ(1)であって、少なくとも以下の構成要素:
摩擦パック(5)を有するパイロット制御クラッチ(4)であって、摩擦パック(5)が、パイロット制御入力側(6)とパイロット制御出力側(7)とを有する、パイロット制御クラッチ(4)と、パイロット制御入力側(6)にねじり固定されたブースタ出力側(8)と、入力シャフト(9)にねじり固定することができるブースタ入力側(10)と、少なくとも1つのロッカー要素(11)と、少なくとも1つのローラ(13)と、少なくとも1つの第1のエネルギー貯蔵要素(15)と、を備える、ブースタクラッチ(1)に関する。
ブースタクラッチ(1)は、主として、ブースタクラッチ(1)がドラム(16)も備え、かつ少なくとも1つのローラ(13)がランプ対(14)上を転動することにより、ブースタ入力側(10)とブースタ出力側(8)とを介して所定のトルクが印加されると、少なくとも1つのロッカー要素(11)がドラム(16)に対して半径方向に押圧されることを特徴とする。
提案されるブースタクラッチは、押圧力が低減された状態で高レベルのトルクを伝えることができ、同時に、必要とされる軸方向の設備スペースが非常に低減される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動トレイン(3)のための回転軸(2)を有するブースタクラッチ(1)であって、少なくとも以下の構成要素:
-摩擦パック(5)を有するパイロット制御クラッチ(4)であって、前記摩擦パック(5)が、パイロット制御入力側(6)とパイロット制御出力側(7)とを備え、前記パイロット制御入力側(6)と前記パイロット制御出力側(7)との間で、押圧された状態でトルクが摩擦伝達可能である、パイロット制御クラッチ(4)と、
-前記パイロット制御入力側(6)にねじり固定されるように結合されたブースタ出力側(8)と、
-入力シャフト(9)にねじり固定されるように結合することができるブースタ入力側(10)と、
-前記ブースタ入力側(10)と前記ブースタ出力側(8)との間のトルクフローにおいてトルクを伝達するように配置されている少なくとも1つのロッカー要素(11)と、
-少なくとも1つのローラ(13)であって、前記ロッカー要素(11)のうちの対応する1つと前記ブースタ入力側(10)又は前記ブースタ出力側(8)との間にランプ対(14)を介してトルクを伝達するように配置されている、少なくとも1つのローラ(13)と、
-少なくとも第1のエネルギー貯蔵要素(15)と、を備え、
前記少なくとも1つの第1のエネルギー貯蔵要素(15)が、
-前記ロッカー要素(11)のうちの対応する1つと前記ブースタ出力側(8)又は前記ブースタ入力側(10)との間にトルクを伝達するように配置されているか、又は
-前記少なくとも1つのロッカー要素(11)に半径方向の力を伝達するように配置されており、
ドラム(16)もまた含まれており、かつ
前記少なくとも1つのローラ(13)が前記ランプ対(14)上を転動する結果として、前記ブースタ入力側(10)と前記ブースタ出力側(8)とにわたって所定のトルクが印加されると、前記少なくとも1つのロッカー要素(11)が前記ドラム(16)に対して半径方向に押圧されることを特徴とする、ブースタクラッチ(1)。
【請求項2】
前記ドラム(16)が、前記パイロット制御出力側(7)に、トルクを伝達するように結合されており、
好ましくは、パイロット制御出力構成要素(17)と一体に形成されている、請求項1に記載のブースタクラッチ(1)。
【請求項3】
前記ドラム(16)が、出力部(19)に直接結合することができ、好ましくは、前記出力部(19)と一体に形成することができる、請求項1に記載のブースタクラッチ(1)。
【請求項4】
前記少なくとも1つのロッカー要素(11)が、駆動側(20)とトラック側(21)とを有し、
前記トラック側(21)が、変速比ランプ対(14)を有する少なくとも1つの第2のローラ(13)を備え、
好ましくは、前記駆動側(20)が、前記ロッカー要素(11)の入力側に配置されており、かつ/又は
好ましくは、前記駆動側(20)が、回転の方向(22)の力を半径方向に中立に伝達するための第1のローラ(12)を備える、請求項1~3のいずれか一項に記載のブースタクラッチ(1)。
【請求項5】
前記ブースタ入力側(10)と前記ブースタ出力側(8)との間に、トルクを伝達するように配置されている少なくとも1つの第2のエネルギー貯蔵要素(23)が提供されている、請求項1~4のいずれか一項に記載のブースタクラッチ(1)。
【請求項6】
前記パイロット制御入力側(6)が、前記ブースタ出力側(8)から一体に形成されている、請求項1~5のいずれか一項に記載のブースタクラッチ(1)。
【請求項7】
第1のねじり剛性を有する前記パイロット制御出力側(7)及び第2のねじり剛性を有する前記ドラム(16)が、トルクを伝達するように出力部(19)に結合されており、
前記第1のねじり剛性が、前記第2のねじり剛性より大きい、請求項1~6のいずれか一項に記載のブースタクラッチ(1)。
【請求項8】
駆動トレイン(3)であって、少なくとも以下の構成要素:
-トルクを送達するための少なくとも1つの駆動機械(24、25)と、
-トルクを吸収する少なくとも1つの消費部(26、27)と、
-前記少なくとも1つの駆動機械(24、25)と消費部(26、27)との間でトルクを伝達するためのトランスミッション(28)と、
-請求項1~7のいずれか一項に記載のブースタクラッチ(1)と、を備え、
前記少なくとも1つの駆動機械(24、25)と前記消費部(26、27)との間で、前記ブースタクラッチ(1)によってトルクが伝達可能である、駆動トレイン(3)。
【請求項9】
自動車(29)であって、請求項8に記載の駆動トレイン(3)と、少なくとも1つの駆動輪(26、27)と、を備え、前記少なくとも1つの駆動輪(26、27)が、前記自動車(29)を推進させるために前記駆動トレイン(3)によって駆動可能である、自動車(29)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動トレインのための回転軸を有するブースタクラッチであって、少なくとも以下の構成要素:
-摩擦パックを有するパイロット制御クラッチであって、摩擦パックが、パイロット制御入力側とパイロット制御出力側とを備える、パイロット制御クラッチと、
-パイロット制御入力側にねじり固定されるように結合されたブースタ出力側と、
-入力シャフトにねじり固定されるように結合することができるブースタ入力側と、
-少なくとも1つのロッカー要素と、
-少なくとも1つのローラと、
-少なくとも第1のエネルギー貯蔵要素と、を備える、ブースタクラッチに関する。
【背景技術】
【0002】
ブースタクラッチは、主として、ブースタクラッチがドラムも含み、かつ、少なくとも1つのローラがランプ対上を転動する結果として、ブースタ入力側とブースタ出力側とにわたって所定のトルクが印加されると、少なくとも1つのロッカー要素がドラムに対して半径方向に押圧されることを特徴とする。本発明は更に、駆動トレイン及びそのような駆動トレインを有する自動車に関する。
【0003】
自己強化型クラッチ(いわゆるブースタクラッチ)が先行技術から知られており、これによって、例えば、内燃機関とトランスミッションとの間でトルク伝達を行うことができる。そのようなブースタクラッチは、(過度に)低い接触圧力、すなわち、制御圧力で大量のトルクを伝達することを可能にする。このために、伝達すべきトルクの一部が押圧力に変換される。このようなブースタクラッチは、例えば、板ばねシステム又はボールランプシステムを有しており、この場合、パイロット制御クラッチによってトルクが形成され、次いで、このトルク(の少なくとも一部)が軸方向の圧着力に変換される。ボールランプシステムでは、2つのランプディスクが、印加されたトルクの結果として互いに対して回転され、それによって、軸方向経路を生成し、これにより、軸力を生成し、この軸力は、補強押圧力として使用される。板ばねシステムでは、板ばねは、印加されたトルクの下で位置決めされ、ボールランプシステムと同じ結果をもたらす。
【0004】
既知の構成は、大きな軸方向設備スペースを有する。しかしながら、(自己補強型)クラッチは、駆動トレイン内に、例えば内燃機関とトランスミッションとの間に、例えばハイブリッドモジュール内に、設備スペースに影響されないように、かつ構造上の干渉を可能な限り少なくして、一体化できることが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこから進んで、本発明の目的は、先行技術から知られている欠点を少なくとも部分的に解消することである。本発明による特徴は、有利な実施形態が従属請求項に示されている独立請求項から生じる。特許請求の範囲の特徴は、任意の技術的に合理的であるように組み合わせることができ、本発明の追加の実施形態を含む、以下の記載における説明及び図面からの特徴もまた、この目的のために使用することができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、駆動トレインのための回転軸を有するブースタクラッチであって、少なくとも以下の構成要素:
-摩擦パックを有するパイロット制御クラッチであって、摩擦パックが、パイロット制御入力側とパイロット制御出力側とを備え、パイロット制御入力側とパイロット制御出力側との間で、押圧された状態でトルクが摩擦伝達可能である、パイロット制御クラッチと、
-パイロット制御入力側にねじり固定されるように結合されたブースタ出力側と、
-入力シャフトにねじり固定されるように結合することができるブースタ入力側と、
-ブースタ入力側とブースタ出力側との間のトルクフローにおいてトルクを伝達するように配置されている少なくとも1つのロッカー要素と、
-少なくとも1つのローラであって、ロッカー要素のうちの対応する1つとブースタ入力側又はブースタ出力側との間にランプ対を介してトルクを伝達するように配置されている、少なくとも1つのローラと、
-少なくとも第1のエネルギー貯蔵要素と、を備え、
少なくとも1つの第1のエネルギー貯蔵要素が、
-ロッカー要素のうちの対応する1つとブースタ出力側又はブースタ入力側との間にトルクを伝達するように配置されているか、又は
-少なくとも1つのロッカー要素に半径方向の力を伝達するように配置されている、ブースタクラッチに関する。
【0007】
ブースタクラッチは、主として、ブースタクラッチがドラムも含み、かつ、少なくとも1つのローラがランプ対上を転動する結果として、ブースタ入力側とブースタ出力側とにわたって所定のトルクが印加されると、少なくとも1つのロッカー要素がドラムに対して半径方向に押圧されることを特徴とする。
【0008】
以下では、特に明記されていない限り、軸方向、半径方向又は回転の方向、及び対応する用語が使用されるとき、明記された回転軸が参照される。特に明記されていない限り、前及び後の説明で使用される序数は、明確に区別する目的でのみ使用され、指定された構成要素の順序又は順位を示すものではない。1より大きい序数は、更なるそのような構成要素が存在しなければならないことを必ずしも意味しない。
【0009】
原則として知られているように、ここで提案されるブースタクラッチは、駆動トレインで使用するための回転軸の周りのトルクの強化可能な伝達のために構成されている。所定の(総)トルクを摩擦伝達するための押圧力を生成するための作動力は不十分であり、例えば所定の(総)トルクの20%~30%しか伝達することができないことに再び留意されたい。この作動力、すなわち、この制御圧は、パイロット制御クラッチのために使用される。更なる押圧力は、伝達されるべき印加された(総)トルクから導出される。制御性のために、パイロット制御クラッチは、押圧力(すなわち、作動力)を介してスリップ限界に調整することができる摩擦クラッチである。例えば、内燃機関を再始動するとき(オーバーラン)、パイロット制御クラッチ(及びドラム、下記参照)は、スリップ限界で動作される。作動力は、ここでは、スレーブシステム、例えば油圧又は空気圧システム内のスレーブピストン、又は解放リング又は係合リングから(場合によってはダイヤフラムスプリングを介して)(パイロット制御)接触プレートに伝達される駆動力を指す。押圧力は、パイロット制御クラッチの摩擦相手に直接印加される駆動力である。伝達経路にわたる押圧力の勾配は、これにより無視されるか、又は(最大)伝達可能トルクに有効な押圧力の平均が考慮される。
【0010】
それにより、ここで提案されるブースタクラッチは、摩擦パックを有するパイロット制御クラッチを含む。摩擦パックは、パイロット制御入力側とパイロット制御出力側とを含み、パイロット制御入力側とパイロット制御出力側とは、軸方向押圧力を介して制御することができるトルクですり合わせる(すなわち、滑らせる)ように同時に押圧することができ、したがって、トルクを純粋に摩擦によって伝達することができる。(現在の)最大伝達可能トルクは、(現在の)印加された押圧力と、摩擦面の平均半径と、(場合によっては可変の、すなわち、現在の)摩擦係数との積から得られる。
【0011】
一実施形態では、パイロット制御クラッチは、例えば、パイロット制御接触プレートと、パイロット制御カウンタプレートと、(パイロット制御)摩擦ディスクとを有し、これらは、軸方向に作用する押圧力によって同時に押圧することができる。別の実施形態では、複数の摩擦ディスク及び対応する数の中間プレートが提供される。代替的に又は追加的に、摩擦パックは、ディスクパックとして構成される。別の実施形態では、パイロット制御クラッチは、摩擦ドラムと少なくとも1つの接触ブロックとを有し、これにより、半径方向に作用する押圧力を有するドラムブレーキのように構成される。
【0012】
一実施形態では、パイロット制御入力側は、少なくとも1つのパイロット制御摩擦ディスク又は摩擦ドラムによって形成される。次いで、パイロット制御出力側は、パイロット制御カウンタプレート及びパイロット制御接触プレートによって、又は少なくとも1つの接触ブロックによって形成される。
【0013】
使用時に、摩擦パックのパイロット制御出力側は、例えば(プラグイン)歯部によって、出力部、例えばトランスミッション入力シャフトに(好ましくは直接的に)ねじり固定されるように結合される。代替的に又は追加的に、パイロット制御出力側は、好ましくはパイロット制御クラッチの共回転するクラッチカバーを介して、例えばハイブリッドモジュール内で、電気駆動機械のロータシャフトにねじり固定されるように結合される。
【0014】
既に上で説明したように、作動デバイスが、摩擦パックを軸方向に作動させるために、すなわち、摩擦パックに押圧力を印加するために提供され、摩擦パックは、作動力によって通常位置(通常開構成で開放している)から作動位置(通常開構成で閉鎖している)に移動可能である。十分な作動力が存在しない場合、摩擦パックは、例えば拮抗エネルギー貯蔵要素、例えば少なくとも1つの板ばねを用いて、通常位置に(受動的に)戻される。
【0015】
一実施形態では、ブースタクラッチは、湿式であるように構成される。湿式の実施形態では、導入される摩擦熱を容易に放散することができ、したがって構造容積をしばしば低減することができる。別の実施形態では、ブースタクラッチは、乾式であるように構成される。乾式の実施形態では、ブースタクラッチは、変速機ハウジングの外側に配置することができ、湿式ブースタクラッチと比較して安価に製造することができる。これは、摩擦係数(十分な冷却を伴う)が非常に狭い許容範囲内にあり、摩擦トルクが分離状態と加圧状態との間でほぼ力に比例することを意味する。
【0016】
ブースタクラッチはまた、ブースタ出力側を有しており、このブースタ出力側はパイロット制御入力側にねじり固定されるように結合されている。ブースタ出力側は、例えば、少なくとも1つのディスクセグメント状又は(好ましくは)ディスク状の構成要素によって形成されている。一実施形態では、ブースタ出力側及びパイロット制御入力側は、別個に形成され、例えばリベット結合及び/又はねじ結合によって、共通シャフト上の歯部を介して、ねじり固定されるように結合される。一実施形態では、ブースタ出力側及びパイロット制御入力側は、軸方向に互いに隣接して配置される。別の実施形態では、ブースタ出力側及びパイロット制御入力側は、軸方向に重なるように配置され、好ましくは互いに一体に形成される。
【0017】
更に、ブースタ入力側が提供されており、このブースタ入力側は、使用時に、例えば差込み歯結合、押圧結合及び/又はねじ結合によって、入力シャフトにねじり固定されるように結合されている。例えば、入力シャフトは、内燃機関の内燃機関シャフトである。
【0018】
一実施形態では、ブースタ入力側は、主状態(自動車で使用されるとき、例えばトラクショントルク伝達)でトルク入力側を形成する。一実施形態では、ブースタ出力側は、副次的状態(自動車で使用されるとき、例えばオーバーラントルク伝達)でトルク入力側を形成する。代替的に、これは逆である。
【0019】
ブースタ入力側は、少なくとも1つのディスクセグメント状又は(好ましくは)ディスク状の構成要素によって形成される。好ましい実施形態では、ブースタ入力側は、2つのディスクを備え、そのディスクのうちの少なくとも一方は、入力シャフトにねじり固定されるように結合される。次いで、2つのディスクは、例えば、例えばスペーサボルトによって、軸方向に離間され、かつねじり固定されるように結合される。好ましい実施形態では、ブースタ出力側は、ブースタ入力側の2つのディスクの間に軸方向に配置される。代替的に、これは逆である。
【0020】
ブースタクラッチは、少なくとも1つのロッカー要素、好ましくは2つ又は3つのロッカー要素を更に有し、少なくとも1つのロッカー要素は、ブースタ入力側とブースタ出力側との間のトルクフローにおいてトルクを伝達するように配置される。少なくとも1つのロッカー要素は、ブースタ入力側及びブースタ出力側の両方に対して移動可能である。
【0021】
少なくとも1つのロッカー要素は、ディスク状に又は(好ましくは)ディスクセグメント状に形成されており、少なくとも1つの(第1の)ローラ及び/又は少なくとも1つの(第1の)エネルギー貯蔵要素によって、ブースタ入力側に(上記の例によれば、ディスクの一方に、好ましくは両方のディスクに)トルクを伝達するように直接結合される。少なくとも1つのロッカー要素は更に、少なくとも1つのローラ(上述の第2のローラとは異なる)によって、及び/又は少なくとも1つのエネルギー貯蔵要素(上述の第2のエネルギー貯蔵要素とは異なる)によって、ブースタ出力側にトルクを伝達するように直接結合される。
【0022】
ロッカー要素は、少なくとも1つのエネルギー貯蔵要素、例えばアークスプリング、圧縮コイルばね(例えば、直線状のばね軸を有する)、板ばね、ガス蓄圧器などによって、それ自体で又は隣接するロッカー要素上で支持される。エネルギー貯蔵要素は、力を伝達するように、すなわちトルクを伝達するように、関連付けられたロッカー要素の対応する、好ましくは一体の結合デバイス上に支持される。
【0023】
ローラがロッカー要素の入力側及び出力側に提供される実施形態では、少なくとも1つのロッカー要素は、ブースタ入力側及びブースタ出力側において、直列に結合されたローラによって支持され、ロッカー要素は、ローラの各々のロッカートラックを有し、同じ(関連付けられた)ローラの相補的なカウンタトラックが、各々の場合において、ブースタ入力側及びブースタ出力側に形成される。相補的なカウンタトラックは、ブースタ入力側又はブースタ出力側によって、好ましくは一体に形成される。トルクは、ランプ対を形成するカウンタトラック及びロッカートラックを介して伝達される。
【0024】
ローラ(トラック側)がロッカー要素の入力側のみ又は出力側のみに提供される実施形態では、ロッカー要素がブースタ側のエネルギー貯蔵要素によって直接支持されるロッカー要素の他方の側に駆動側が形成される。好ましくは、駆動側は入力側に形成され、トラック側は出力側に形成される。トラック側は、上記で規定されるように、少なくとも1つのローラ及び対応するランプ対で構成される。
【0025】
ロッカー要素の少なくとも一方の(好ましくは単一の、特に好ましくは出力部)側で、ランプ対は、変速比対として構成される。これは、変速比ローラの強制的な回転運動が、ロッカー要素の半径方向(好ましくは内向き)の運動をもたらすことを意味する。例えば、トルクが例えばブースタ入力側から導入されると、(摩擦力を伝達するパイロット制御クラッチ、例えばそれが閉鎖されている場合に)印加されたトルクの結果として、ロッカートラック及び相補的なカウンタトラック上のローラは、休止位置からランプ状ロッカートラック上の対応する方向に転動する(上方に)。ここで、上方に転動することは、作業が行われているという事実を示すために単に例示のために使用される。より厳密には、形状の関係から、エネルギー貯蔵要素の対抗する力が勝る。下方に転動することは、エネルギー貯蔵要素から蓄積されたエネルギーが関連付けられたロッカー要素上に力の形態で分配されることを意味する。共回転座標軸でさえも、上及び下は、必ずしも1つの空間的方向に限らない。
【0026】
このトルク関連の運動で、ローラは、関連付けられたロッカー要素をブースタ入力側及びブースタ出力側に対して移動させ、それに応じて、拮抗的に作用するエネルギー貯蔵要素に張力が与えられる。
【0027】
駆動力は、対応して構成されたエネルギー貯蔵要素によって、圧縮、膨張、ねじれ、又は他のエネルギー蓄積の形態で吸収され、時間遅延を伴って、好ましくは(ほとんど)消失がない状態で、他方の側に、ここでは例えばブースタ出力側に伝えられる。ねじり振動を含む、ここでは例えばブースタ入力側であるトルク入力部は、これにより、好ましくは(ほとんど)損失なく、経時的に変化するように、ここでは例えばブースタ出力側に伝えられる。
【0028】
2つのエネルギー貯蔵要素が、好ましくは、(単一の)ロッカー要素に作用するように提供され、エネルギー貯蔵要素は、互いに対して拮抗的に配置され、好ましくは、ロッカートラック及び相補的なカウンタトラックの実施形態に従って互いにバランスがとられる。代替的な実施形態では、少なくとも1つの拘束ガイドが提供されており、この拘束ガイドによって、運動が、少なくとも1つのロッカー要素に、幾何学的に誘導されるように、例えばレール又は溝と、このレール又は溝に環状のピン又はばねが係合するように課せられる。
【0029】
少なくとも1つのエネルギー貯蔵要素は、力方向が周方向のベクトル成分を有する状態で、関連付けられたロッカー要素に作用する。周方向は、回転軸と同心の円上に規定される。一実施形態では、周方向は、一定の円上を移動するか、又は一定に配向されるか、若しくは変化する円上を移動する、関連付けられたロッカー要素の運動を介して一定に配向される。円は、少なくともロッカー要素に接触するのに十分な大きさであり、好ましくは、円が、関連するエネルギー貯蔵要素と関連付けられたロッカー要素との間で駆動力が伝達される接触点又は接触面と交差するのに十分な大きさである。1つの周方向は、回転軸を中心とした半径に対して垂直に配向される。下にある半径は、エネルギー貯蔵要素とロッカー要素との接触点又は接触面と交差する。これにより、ロッカー要素上に作用する力の方向は、周方向においてベクトル成分が大きくなり、好ましくは半径方向のベクトル成分より周方向のベクトル成分が大きくなる。これは、ロッカー要素上に対する駆動力が純粋には半径方向に向いていないが、周方向に対して専ら(接触点において)接線方向であるか、又は半径方向ベクトル構成要素及び(接触点では)接線方向ベクトル構成要素を有していることを意味する。これにより、力の方向が、例えばアークコイルばねによって(他方の側から)同じロッカー要素に、又はほぼ周方向に隣接するロッカー要素に伝えられ得る。これにより、例えば、エネルギー貯蔵要素の専ら(半径方向の)横方向の偏向(すなわち、振動)の代わりに、追加的に又は専ら周方向の偏向が可能となる。有利な実施形態では、ロッカー要素は、ローラを介して不十分に規定されるように支持され、例えば半径方向に規定されるようにだけ支持され、少なくとも1つのエネルギー貯蔵要素は、駆動力導入方向の結果として、例えば専ら周方向に運動を規定する。代替的に、ロッカー要素に対して追加のガイドが提供される。
【0030】
ロッカー要素が、駆動側、すなわち、ブースタ出力側又は(好ましくは)ブースタ入力側に対してロッカー要素の一方の側にあるエネルギー貯蔵要素、又は伝達比対の特性を有さないランプ対を有するローラと、トラック側とを有する実施形態では、伝達比対は、トラック側のランプ対によって、上記に記載のように形成される。駆動側は、トルクフロー内にある。しかしながら、これは、ロッカー要素の半径方向運動を直ちにもたらさない。むしろ、(ほぼ)純粋に回転の方向に作用する力伝達が形成される。
【0031】
一実施形態では、ロッカー要素のうちの少なくとも1つ(好ましくは全てのロッカー要素)は、軸方向にブースタ入力側の間に配置され、半径方向にブースタ入力側と重なる。代替的な実施形態では、ロッカー要素は、一対のディスクを備え、ブースタ入力側(例えば単一のディスク)は、少なくとも1つのロッカー要素の一対のディスクの間に軸方向に配置される。
【0032】
なお、ブースタ入力側とブースタ出力側とのねじり固定結合は、半径方向中央又は半径方向外側のいずれかに形成される。小さな設備スペースのために有利な実施形態では、ブースタ入力側が半径方向中央で入力シャフトに結合されていて、ブースタ出力側が半径方向外側でパイロット制御入力側にねじり固定されるように結合される。
【0033】
ここで、ブースタクラッチがドラムを有することが提案される。ドラムは、回転軸と同軸であり、好適な軸方向延長部を有するように構成される。一実施形態では、ドラムは、少なくとも1つのロッカー要素の半径方向外側に配置され、別の実施形態では、ドラムは、ロッカー要素の半径方向内側に配置される。ドラム及び少なくとも1つのロッカー要素は、軸方向に重なるように配置される。
【0034】
パイロット制御クラッチにおける摩擦トルクに起因してブースタ入力側とブースタ出力側との間に所定のトルクが印加さられると、少なくとも1つのローラは、休止位置から対応する方向で、伝達経路を形成するランプ対上で転動させられる。回転の方向に作用するこの力が伝達経路によって半径方向運動に変換されるため、少なくとも1つのロッカー要素は、ローラの転動の結果としてドラムに対して半径方向に押圧される。したがって、少なくとも1つのエネルギー貯蔵要素の拮抗力が克服され、ロッカー要素は(一実施形態ではブレーキブロックのように)ドラムに対して半径方向に押圧される。これは、少なくとも1つのロッカー要素とドラムとが、パイロット制御クラッチと並列に結合される(ドラムクラッチとしての)更なるトルク伝達クラッチを形成することを意味する。この並列結合された(ドラム)クラッチは、パイロット制御クラッチの摩擦パックが閉鎖され、ブースタ入力側及びブースタ出力側にわたって閉鎖するのに十分なトルクが存在する場合にのみ閉鎖する。後者が当てはまらない場合には、パイロット制御クラッチのみから伝達することができる(最大)トルクで十分である。所望の(最大の)伝達可能なトルクのために必要とされる、ドラムと少なくとも1つのロッカー要素との間の(半径方向の)押圧力は、伝達経路によってブースタ入力側及びブースタ出力側にわたって印加されるトルクの一部分によって提供される。ドラム及び少なくとも1つのロッカー要素は、純粋な摩擦結合、純粋な形状嵌合接続(非円形断面、例えば歯部)、又は少なくとも最初の摩擦結合及び少なくともその後の形状嵌合接続のために、例えば非円形断面(例えば丸い角を有するほぼ三角形の、例えば、いわゆるくさびクラッチから知られているような)を有するコーンによって、構成される。
【0035】
ここで提案されるブースタクラッチでは、非常に小さな構造容積が達成され得るだけでなく、ほぼヒステリシスのないトルク伝達も達成することができることに留意されたい。これは、主に、ローラ、ロッカー要素、及び対応するブースタ側の間のスリップのない力伝達(従来の摩擦クラッチと同様に、好ましくは所望の耐用年数にわたって少なくともほぼ無視できる滑り変位)、すなわち、ランプ対内のローラの純粋な転動から生じる。
【0036】
一実施形態では、2つ以上のロッカー要素が提供され、これらのロッカー要素は、好ましくは回転軸に対して回転対称になるように配置され、それにより、ブースタクラッチは、簡単な手段で平衡する。構成要素及び(伝達)経路が少数の場合、厳密に2つのロッカー要素を有する実施形態は有利である。ロッカー要素に力が印加されるときに少なくとも1つのエネルギー貯蔵要素の半径方向構成要素が小さい場合、厳密に3つのロッカー要素を有する実施形態が有利である。
【0037】
有利な実施形態では、以下の構成要素のうちの少なくとも1つ、又は以下のアセンブリ:パイロット制御カウンタプレート、パイロット制御接触プレート、ブースタ出力側、ブースタ入力側、少なくとも1つのロッカー要素、及び共回転するクラッチカバー、のうちの1つの構成要素のうちの少なくとも1つは、好ましくは打抜き及び/又は板金成形によって板金部品として製造され、したがって、特に費用効果的に大量に生産することができる。
【0038】
更に、ブースタクラッチの有利な実施形態では、トルクを伝達するように、ドラムがパイロット制御出力側に結合されることが提案され、有利にはパイロット制御出力構成要素と一体に形成される。
【0039】
この実施形態では、ドラムは、パイロット制御クラッチとは別個にブースタクラッチの出力にトルクを伝達するように結合されるのではなく、パイロット制御出力側にトルクを伝達するように間接的又は直接的に結合される。例えば、ドラムは、パイロット制御出力側とは別個に形成され、例えばプラグイン歯部、ねじ結合、又はリベット結合を介して、トルクを伝達するようにパイロット制御出力側に結合される。
【0040】
好ましい実施形態では、ドラムは、パイロット制御出力構成要素によって、例えばパイロット制御カウンタプレートによって一体に形成され、ドラムは、パイロット制御入力側の摩擦パックと軸方向に重なるように配置される。したがって、ドラムから伝達されるトルクは、パイロット制御入力側とパイロット制御出力側との間のトルクと並列に伝達される。
【0041】
更に、ブースタクラッチの有利な実施形態では、ドラムが出力部に直接結合することができ、好ましくは出力部と一体に形成されることが提案される。
【0042】
代替的な実施形態では、ドラムは出力部にねじり固定されるように直接結合されるか、又は出力部と一体に形成される。これは、互いに並列に結合されたパイロット制御クラッチ及びドラムクラッチ(ドラム及びロッカー要素)の剛性チェーンが互いに分離され、各々互いに独立して構成することができるという利点を有する。
【0043】
ブースタクラッチの有利な実施形態では、少なくとも1つのロッカー要素が駆動側及びトラック側を有し、
トラック側は、変速比ランプ対を有する少なくとも1つの第2のローラを備え、
好ましくは、駆動側は、ロッカー要素の入力側に配置されており、かつ/又は
好ましくは、駆動側は、回転の方向の力を半径方向に中立に伝達するための第1のローラを備える、ことが更に提案される。
【0044】
上述したように、自己補強クラッチの以前から知られている構成は、制御するのが困難であることが多いため、閉鎖動作及び開放動作に遅延があり、望ましくない振動も駆動トレインに発生する。
【0045】
ここで、冒頭で既に説明したように、ロッカー要素の一方の側が駆動側であることが提案される。このような駆動側は、ロッカー要素の(半径方向の)位置とは無関係に、ロッカー要素とその対応するブースタ側との間で駆動力を伝達する役割を有する。
【0046】
例えば、半径方向に配向された細長い穴又は半径方向に配向されたトラックが、駆動側の(第1の)ローラとともに、ブースタ側(例えばディスク)に、及びロッカー要素上に形成される。これは、伝達経路として作用する(第2の)ローラのランプ対の結果として課されるロッカー要素の半径方向相対位置に関係なく、回転の方向の力を駆動側ブースタ側に伝達することができることを意味する。一実施形態では、半径方向に中立の力伝達が達成されるが、同時に、回転の方向を強化するランプ対が維持され、ブースタ入力側とブースタ出力側との間の相対的なねじれ角に加えて、対応するブースタ側とロッカー要素との間の相対的なねじれ角も重ね合わされるように生成される。この重ね合わされたねじれ角は、伝達比ランプ対(トラック側)上の第2のローラの転動の結果としての、ブースタ側に対するロッカー要素の相対的な半径方向変位の大きさに依存する。
【0047】
代替的に又は付加的に、(第1の)エネルギー貯蔵要素が提供され、このエネルギー貯蔵要素は、例えば半径方向に変位することができるか、又はブースタクラッチの回転軸に対して平行な軸を中心にして傾倒することができ、これにより、関連するブースタ側とロッカー要素の駆動側との間の半径方向で中立の力伝達が確保される。
【0048】
有利な実施形態では、駆動側は、ロッカー要素とブースタ入力側との間、すなわち入力側に形成される。これは、起こり得るジャミングが、更なる手段なしに、単純な手段を使用して回避することができることを意味する。これは、ほぼヒステリシスのないトルク伝達を達成することを可能にするだけでなく、トルク伝達の方向が変化するとき(例えば、自動車において使用されるとき、トラクショントルクとオーバーラントルクとの間の変化)、無視できる遅延のみが生成される。これはまた、最大伝達可能トルクが一定にかつあらゆる状態で制御することができることを意味する。パイロット制御クラッチは、開放状態と閉鎖状態との間で無段階に制御可能であるので、ランプ対と少なくとも1つのロッカー要素とから生じるドラムへの押圧力も無段階に制御される。しかしながら、従来知られている概念では、パイロット制御クラッチの下流に結合された補強クラッチは、大きな反対トルクで再び開放されるだけである。したがって、補強クラッチの無段階可変制御性はない。
【0049】
更に、ブースタクラッチの有利な構成では、少なくとも1つの第2のエネルギー貯蔵要素が提供され、この第2のエネルギー貯蔵要素が、ブースタ入力側とブースタ出力側との間にトルクを伝達するように配置されることが提案される。
【0050】
この場合、少なくとも第2のエネルギー貯蔵要素、例えば湾曲ばね、圧縮コイルばね(例えば真っ直ぐなばね軸を有する)、板ばね、ガス蓄圧器などが提供され、ブースタ入力側とブースタ出力側との間にトルクを伝達するように配置される。ここでの利点は、例えば内燃機関から発生するねじり振動が、少なくとも1つの第2のエネルギー貯蔵要素によって低減することができることである。好ましい実施形態では、少なくとも2つの第2のエネルギー貯蔵要素が提供され、好ましくは真っ直ぐなばね軸を有する少なくとも1つの圧縮コイルばねを有する実施形態では、特に好ましくは3つ以上の第2のエネルギー貯蔵要素が提供される。多くの用途では、2つ以上の圧縮コイルばねを半径方向で互いに内外に配置し、これらの圧縮コイルばねがともに第2のエネルギー貯蔵要素を形成することが有利である。
【0051】
少なくとも1つのエネルギー貯蔵要素を支持するために、ブースタ入力側及びブースタ出力側は、好ましくは、対応する、好ましくは一体の結合デバイス、例えば接触面及び/又はリベット点を有する。例えばねじり振動の場合のように、印加されたトルクの変化及びそれに伴う速度差がブースタ入力側とブースタ出力側との間に生じる場合、圧縮、膨張、ねじれ、又は他のエネルギー貯蔵の形態の駆動力を、対応して構成された第2のエネルギー貯蔵要素によって吸収することができ、時間遅延を伴って、好ましくは(ほとんど)消失がない状態で、ブースタ出力側に伝えることができる。これは、ローラが永久的に予張力下にあり、ガタつきが低減又は防止されることを意味する。更に、休止位置又は公称位置が確保又は再確立される。更に、ブースタ入力側とブースタ出力側との間の最大相対回転に対して、停止部(好ましくは構成されたトルクピークに対して衝撃がない)を形成することができる。
【0052】
更に、ブースタクラッチの有利な実施形態では、パイロット制御入力側がブースタ出力側から一体に形成されることが提案される。
【0053】
この目的のために、ブースタ出力側は、パイロット制御カウンタプレートとパイロット制御接触プレートとの間に軸方向に配置され、この場合、ブースタ出力側は、この実施形態では(パイロット制御)摩擦ディスクとして構成される。次いで、例えば、摩擦ライニング、好ましくは軸方向両側の2つの摩擦ライニングが、ブースタ出力側に印加され、パイロット制御カウンタプレート及び軸方向に対向するパイロット制御接触プレートと摩擦接触する。
【0054】
有利な実施形態では、少なくとも1つのロッカー要素及びブースタ出力側は、ブースタ入力側の間の共通の軸方向設備スペース内に配置され、ブースタ入力側は、例えばスペーサボルトを用いて、ねじり固定されるように互いに結合された2つのディスクを備える。少なくとも1つの第1のエネルギー貯蔵要素は、有利には、少なくとも1つのロッカー要素の間に配置されており、任意選択の第2のエネルギー貯蔵要素は、ブースタ出力側とブースタ入力側との間で、第1のエネルギー貯蔵要素及び少なくとも1つのロッカー要素の半径方向外側に配置される。少なくとも1つの第2のローラは、少なくとも1つのロッカー要素の半径方向外側に、好ましくは(少なくともほぼ)同じ円周円上に配置される。この円周円は、ばね軸が接線方向に配向され、第2のローラ軸が平均的に位置する円である。少なくとも1つの摩擦ライニングは、少なくとも1つのロッカー要素及び少なくとも1つの第2のローラの半径方向外側に配置される。
【0055】
ブースタクラッチの有利な構成では、第1のねじり剛性を有するパイロット制御出力側と、第2のねじり剛性を有するドラムとが、トルクを伝達するように出力部に結合されており、第1のねじり剛性は、第2のねじり剛性より大きい、ことが更に提案される。
【0056】
一実施形態では、負荷時に少なくとも1つのロッカー要素とドラムとの間の摩擦接触において滑り段階が生じ、それにより、ランプ機構は、伝達比ランプ対まで移動することができる。負荷が軽減されると、システムは、システム内の張力を解放するために、反対方向に現在作用している摩擦トルクに対抗して、移動した距離だけ後退しなければならない。この運動のセルフロックは、最大摩擦トルクがローラランプ接触における法線力の水平成分より大きい場合、すなわち、ランプ対の傾斜角の余弦と垂直力と摩擦係数との積が、法線力とランプ対の傾斜角の正弦との積より大きい場合に生じる。これは、摩擦係数(分子)とランプ対の傾斜角の正接(分母)との(摩擦角)比が1より大きい場合である。
【0057】
これは、駆動力伝達のために係数2より大きい利得が達成される場合である。利得係数は、ドラムクラッチの最大伝達可能トルク(分子)と、パイロット制御クラッチの最大伝達可能パイロット制御トルク(分母)との比である。
【0058】
しかしながら、パイロット制御クラッチの最大伝達可能なパイロット制御トルクが、垂直力とランプ対の傾斜角の正弦との積より小さい量、又はドラムクラッチの解放前に最後に蓄積された押圧力とランプ対の傾斜角の正接との積より小さい量に制限される場合、システム内の張力はいつでも解放することができる。セルフロックを回避するために、第2のねじり剛性(ドラムと出力との間の)は、第1のねじり剛性(パイロット制御出力側と出力部との間の)より小さくなければならないということである。同時に、2つのねじり剛性の比は、ドラムクラッチのドラムトルクがパイロット制御クラッチのパイロット制御トルクを介して確実に制御され得るように、摩擦角比より小さくなければならない。
【0059】
更なる態様によれば、駆動トレインが提案され、駆動トレインは、少なくとも以下の構成要素:
-トルクを出力するための少なくとも1つの駆動機械と、
-トルクを受けるための少なくとも1つの消費部と、
-少なくとも1つの駆動機械と消費部との間でトルクを伝達するためのトランスミッションと、
-上記記載による実施形態によるブースタクラッチと、を有し、
ブースタクラッチによって、少なくとも1つの駆動機械と消費部との間でトルクを伝達することができる。
【0060】
ここで提案される駆動トレインは、第1の駆動機械、例えば内燃機関シャフトを有する内燃機関と、内燃機関シャフトと消費部、例えば自動車の駆動輪との間でトルクを伝達するためのトランスミッションとを備える。上記記載による実施形態に従って構成されたブースタクラッチによって、ブースタクラッチを作動させるために使用しなければならない非常に小さい(外部)力又は圧力で、内燃機関と消費部との間でトルク伝達を行うことができる。したがって、作動デバイスは、小さい設備スペース要件で、及び/又は費用効果的に実装することができる。消費部と内燃機関シャフトとの間のトルク伝達は、好ましくは両方向で可能であり、例えば自動車では、自動車を加速するために(トラクションモード)、及び反対方向では(オーバーランモード)、例えば自動車を減速するようにエンジンブレーキを使用するために可能である。
【0061】
駆動トレインの好ましい実施形態では、ロータシャフトを有する電気駆動機械もまた、ブースタクラッチの出力側及び消費部の上流でトルクフローに結合される。例えば、ブースタクラッチが開放されているとき、消費部は純粋に電気的に動作することができる。一実施形態では、電気駆動機械及びブースタクラッチはともに、いわゆるハイブリッドモジュールを形成し、ハイブリッドモジュールは、構造ユニットとして駆動トレインに容易に一体化することができる。
【0062】
ここで提案される、上記に記載されるブースタクラッチを含む駆動トレインでは、内燃機関とトランスミッションとの間で、低減された押圧力で高いトルクを伝達することができ、同時に、軸方向の設備スペースをほとんど必要としない。
【0063】
更なる態様によれば、上記記載による実施形態による駆動トレインと、少なくとも1つの駆動輪とを備える自動車が提案され、少なくとも1つの駆動輪は、自動車を推進させるために駆動トレインによって駆動することができる。
【0064】
自動車では、構成要素の数が増加するため、設備スペースが特に小さく、したがって、小型の駆動トレインを使用することが特に有利である。駆動機械の所望のいわゆるダウンサイジングと同時の動作速度の低減とにより、妨害的なねじり振動の強度が増大する。類似の問題は、電気駆動機械がますます頻繁に使用されるか、又はトルクの主供給源を形成し、可能な限り小さい内燃機関が使用されることになるが、より頻繁に駆動トレインに結合され、再び駆動トレインから結合解除されなければならない、いわゆるハイブリッド化にも生じる。したがって、回転ぶれの十分な平準化及び十分な作動力を、同時に低い部品コスト及びわずかな利用可能な設備スペースで提供することが課題である。
【0065】
この問題は、欧州分類による小型車カテゴリーの乗用車の場合に悪化する。小型車カテゴリーの乗用車において使用されるアセンブリは、大型車カテゴリーの乗用車と比較してサイズが大幅に減少することはない。それにもかかわらず、小型車の利用可能な設備スペースはかなり小さい。
【0066】
ここで提案される自動車では、その駆動トレインが上記に記載されるブースタクラッチを含み、低減された押圧力で内燃機関とトランスミッションとの間で高いトルクを伝達することができ、同時に、非常に小さい軸方向設備スペースしか必要とされない。
【0067】
乗用車は、例えば、サイズ、価格、重量、及び性能に応じて車両カテゴリーに割り当てられ、この定義は、市場のニーズに基づいて絶えず変更される。米国市場では、小型車及びマイクロカーのカテゴリーの車両は、欧州分類に従ってサブコンパクトカーのカテゴリーに割り当てられるが、英国市場では、それぞれ、スーパーミニカー及びシティカーのカテゴリーに対応している。マイクロカーカテゴリーの例は、Volkswagen up!又はRenault Twingoである。小型車クラスの例は、Audi A1、Volkswagen Polo、Opel Corsa又はRenault Clioである。既知のハイブリッド車両は、BMW 330e又はToyota Yaris Hybridがある。既知のマイルドハイブリッドは、例えば、Audi A6 50 TFSI e又はBMW X2 xDrive25eがある。
【0068】
上記に記載される発明は、好ましい実施形態を示す関連付けられた図面を参照して、関連する技術的背景に対して以下に詳細に説明される。本発明は、純粋に概略的な図面を用いて決して制限されないが、図面は、寸法的に正確ではなく、比率を定義するには好適ではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【
図1】非補強状態のブースタクラッチの回路図を示す。
【
図3】ドラムからブースタ出力側へのブースタクラッチの詳細を示す。
【発明を実施するための形態】
【0070】
図1は、有利な実施形態におけるブースタクラッチ1の回路図を示している。回路図は、並進置換モデルである。(直線の)水平矢印は、実際の実装形態(例えば、
図3又は
図4に示されるような)における回転の方向22に対応する。実際の実装形態では、垂直矢印は半径方向に対応する。入力トルク30は、ブースタ入力側10に印加され、(総)ねじれ角31をもたらし、最初に、入力側ねじれ角32が、ここでは、相対的な垂直(すなわち、半径方向)位置とは無関係に、第1のローラ12を有する純粋な駆動側20として(純粋に任意選択的に)構成されたロッカー要素11の入力側に作用する。パイロット制御クラッチ4が開放している場合、ロッカー要素11は、図示のように単に右に回転される。パイロット制御クラッチ4が(十分に強く)閉鎖されている場合、すなわち摩擦パック5が押圧されている場合にのみ、パイロット制御入力側6がパイロット制御出力側7に固定され、これによりブースタ出力側8が固定される。パイロット制御出力側7は、出力部19に結合されており、この出力部には、入力トルク30に拮抗する出力トルク33が印加され、パイロット制御出力側7にパイロット制御トルク34が生じる。ロッカー要素11は、半径方向支持部35に対して取り付けられている。この半径方向支持部35は、例えば、ブースタ入力側10、ブースタ出力側8又は出力部19によって形成される。代替的に又は追加的に、ロッカー要素11は、それ自体又は隣接する更なるロッカー要素11によって支持される(
図3参照)。
【0071】
図2には、
図1による回路図が補強状態で示されている。
【0072】
ここでも、ブースタ入力側10に入力トルク30があり、(全)ねじれ角31をもたらす。ここで、パイロット制御クラッチ4が(十分に強く)閉鎖される、すなわち、摩擦パック5が押圧される。したがって、パイロット制御入力側6はパイロット制御出力側7に固定され、これによりブースタ出力側8も固定される。したがって、第2のローラ13の転動は、(ロッカー側の)ロッカートラック36と(パイロット制御側の)カウンタトラック37とのランプ対14によって、(ここでは純粋に任意選択的に唯一の)トラック側21上に構成されたロッカー要素11の出力側で行われ、その運動は、ロッカー要素11の垂直(すなわち半径方向)運動をもたらす。これにより、ロッカー要素11とブースタ出力側8、すなわちパイロット制御入力側6との間に相対ねじれ角38が生じる。ロッカー要素11は、ロッカー側の十分に大きいねじれ角38のために、(第1の)ばね力40に抗して、ロッカー要素11がドラム16に対して垂直に(半径方向に)押圧され、これにより出力部19にトルクを伝達するように結合されるような、大きいドラム係合距離39(垂直移動、すなわち半径方向運動)をカバーする。これにより、ロッカー要素11とドラム16との間に押圧力41が生じ、これにより摩擦ブースタトルク42が生じる(図示のように左側に)。ロッカー要素11の駆動側20では、第1のローラ12の変位のみが存在する。駆動力(すなわち、入力トルク30)及び経路(すなわち、入力側ねじれ角32)は、伝達比なしで伝達される。
【0073】
したがって、ブースタクラッチ1は、パイロット制御クラッチ4を介して、入力トルク30の一部によって閉鎖される、より具体的には、パイロット制御クラッチ4によって(又は、トルク方向が反転される場合には、出力トルク33によって)制御される。最大伝達可能トルクが増加する。(最大)伝達可能トルクは、パイロット制御クラッチ4を使用してあらゆる状態で制御可能なままである。
【0074】
図3では、パイロット制御クラッチ4のブースタ入力側10からブースタ出力側8までが、概略断面正面図で示されており、回転軸2は、画像平面に対して垂直に配向されている。ブースタ出力側8は、リングディスクによって半径方向外側に形成されている。ドラム16は、切断されたリングとして半径方向内側に示されている。この実施形態では、ブースタ入力側10の(例えば、第2の)ディスク43が、更に半径方向内側から、ブースタ出力側8のリングディスクとの(純粋に任意選択的に)半径方向の重なりまで、背景に(やはり純粋に任意選択的に)見ることができる。ロッカー要素11(ここでは任意選択的に3つの)は、ブースタ出力側8のリングディスクとドラム16との間に半径方向に配置され、図示された(開放された)状態では、ドラム16に対して規定された半径方向ギャップを半径方向内側に維持する。この実施形態では、第1のローラ12(純粋に任意選択的にのみ)(ここでは、明確にするために、図中の上部のローラのみが全体に代わるものとしての部分としてラベル付けされている)を有する入力側の駆動側20と、第2のローラ13(純粋に任意選択的に2つの)(ここでは、明確にするために、図中の左側のローラのみが全体にかわるものとしての部分としてラベル付けされている)を有する出力側のトラック側21とが、各々ロッカー要素11上に形成されている。
【0075】
ブースタ入力側10とブースタ出力側8との間には、第2のエネルギー貯蔵要素23(純粋に任意選択的に3つの)が、トルクを伝達するように支持され、両側の間の最大ねじれ角のための停止部を形成している。第2のエネルギー貯蔵要素23は、ブースタクラッチ1の所望のブースタ特性のために十分に軟質である。ロッカー要素11は、対応する数の第1のエネルギー貯蔵要素15によって互いに対して(純粋に任意選択的に)支持される。これらの第1のエネルギー貯蔵要素15は、半径方向駆動力構成要素も、回転の方向22の駆動力構成要素も有しているので、摩擦結合のためにロッカー要素11を半径方向内側に向かってドラム16に押圧するためには、第1のエネルギー貯蔵要素の(拮抗する)力を克服しなければならない。一実施形態では、これは、ブースタクラッチ1が開放状態に保持されているときの望ましくない滑りに対する純粋な保護である。別の実施形態では、トルクがパイロット制御クラッチ4のみから伝達される所定のトルク範囲も提供される(
図4参照)。
【0076】
ブースタ入力側10及びブースタ出力側8にわたってトルクが存在する場合、これはパイロット制御クラッチ4(
図4参照)が押圧された場合のみであるが、ブースタ入力側10は、ブースタ出力側8に対して回転する。ロッカー要素11は各々、第1のローラ12(駆動側20)によって巻きかけられる。ブースタ出力側8に対するロッカー要素11の相対回転は、次に、第2のローラ13をロッカートラック36及び関連するランプ対14の相補的なカウンタトラック37上で転動させる。純粋な回転の方向22からずれた傾斜角(ここでは明確には見ることができない)により、第1のエネルギー貯蔵要素15の蓄積された駆動力に抗して、ロッカー要素11の半径方向内側への運動が強制される。結果として、(半径方向のギャップが克服された後に)ロッカー要素11は、再びドラム16に押圧され、したがってドラムクラッチは閉鎖される。
【0077】
第1のローラ12の場合には、回転の方向22に印加されたトルク(の一部)から生じる駆動力が伝達され続け、(例えば)ブースタ入力側10に対するロッカー要素11の変化する相対的な半径方向位置が、転動によって平衡される。この目的のために、第1のローラ12は、ロッカートラック36及び関連するランプ対14の相補的なカウンタトラック37(ここでは隠れており、したがって破線で示されている)上を走行する。このランプ対14は、好ましくは変速比なしで、しかし中立に形成されている。ローラ12、13は、ここでは中立位置(トルクが印加されていない)で示されている。トルク方向の逆転は、反対の回転をもたらし、これは、不可避のゼロ交差に起因してヒステリシスは無視可能であり、トルク伝達中は目立たず、ドラムクラッチは静かに閉鎖されるために音も聞こえない。
【0078】
図4は、ブースタクラッチ1を断面図で示しており、回転軸2が図の底部に示されている。図の左側には、入力シャフト9、例えば内燃機関シャフト44又は対応する結合部があり、ブースタ入力側10の第2のディスク43にねじり固定されるように結合される。第2のディスク43は、第1のディスク45にねじり固定されるように結合されている(断面では見えない)。ブースタ入力側10は、断面が、第1のローラ12を介してロッカー要素11にトルクを伝達するように結合されている。ロッカー要素11は、この断面では見えない第2のローラ13を介してブースタ出力側8にトルクを伝達するように結合されている。ブースタ入力側10のディスク45、43はまた、第2のエネルギー貯蔵要素23を介してブースタ出力側8に結合されている。ドラム16は、ロッカー要素11内に、規定された半径方向ギャップを有する距離で半径方向に配置され、この場合、ドラム16は、パイロット制御カウンタプレート17と一体に(純粋に任意選択的に)形成されている。ドラム16のブースタ出力側8までの構成要素は、少なくとも原則として、
図3で説明したようなトルクを伝達するように互いに結合されている。
【0079】
この実施形態では、パイロット制御摩擦ディスク46は、ディスク状のブースタ出力側8(すなわち、ドラムクラッチ全体)によって形成されており、摩擦ライニング47がブースタ出力側8の2つの側の各々に取り付けられている。摩擦ライニング47は、(軸方向に剛性の)パイロット制御カウンタプレート17と(軸方向に移動可能な)パイロット制御接触プレート18との間で押圧することができる。パイロット制御カウンタプレート17は、共回転するクラッチカバー48を介して、出力部19(例えばトランスミッション入力シャフト)にねじり固定されるように結合されている。パイロット制御接触プレート18は、共回転するクラッチカバー48にねじり方向に固定されかつ軸方向に移動可能なように結合されており、これにより第3のエネルギー貯蔵要素49(ここでは板ばねアセンブリ)を介して出力部19に結合されている。パイロット制御接触プレート18は、(純粋に任意選択的に油圧式の)スレーブピストン50によって作動させることができる。パイロット制御カウンタプレート17、パイロット制御摩擦ディスク46、及びパイロット制御接触プレート18の摩擦パック5は、ここでは、通常開放であるように構成されており、摩擦パック5は、第3のエネルギー貯蔵要素49によって(受動的に)開放に保持され、スレーブピストン50の作動力によって(能動的かつ制御可能に)閉鎖可能である。図示された実施形態では、ここでは更に特定されないねじり振動ダンパー51もまた、出力部19に(純粋に任意選択的に)提供されている。共回転するクラッチカバー48は、好ましくは電気駆動機械25のロータ磁石を直接収容するための、ロータシャフト52のための(純粋に任意選択的の)結合部である。図示されたブースタクラッチ1は、好ましくはハイブリッドモジュールに一体化される。
【0080】
図5は、駆動トレイン3を有する自動車29を上面図で純粋に概略的に示しており、第1の駆動機械24、例えば内燃機関24を有し、その内燃機関シャフト44と対応するモータ軸53と電気駆動機械25とを有し、電気駆動機械25のロータシャフト52は、モータ軸53と同軸であり、並びに自動車29の長手方向軸54に対して横方向、かつ横方向前方配置で配設された自動車29の運転席の前方にあり、駆動トレイン3に含まれている。
【0081】
更に、駆動トレイン3は、内燃機関シャフト44と2つの消費部26、27、この例示的な実施形態では、左駆動輪26及び右駆動輪27との間でトルクを伝達するためのトランスミッション28を備える。トランスミッション28内のブースタクラッチ1を使用して、内燃機関24と消費部26、27との間でトルク伝達を行うことができ、ブースタクラッチ1を作動させるために非常に低い(外部)駆動力又は圧力を使用するだけでよい。
【0082】
ここで提案されるブースタクラッチでは、低減された押圧力で高いトルクを伝達することができ、同時に、非常に小さい軸方向の設備スペースしか必要とされない。
【符号の説明】
【0083】
1 ブースタクラッチ
2 回転軸
3 駆動トレイン
4 パイロット制御クラッチ
5 摩擦パック
6 パイロット制御入力側
7 パイロット制御出力側
8 ブースタ出力側
9 入力シャフト
10 ブースタ入力側
11 ロッカー要素
12 第1のローラ(入力)
13 第2のローラ(ランプ)
14 ランプ対
15 第1のエネルギー貯蔵要素
16 ドラム
17 パイロット制御カウンタプレート
18 パイロット制御接触プレート
19 出力部(トランスミッション入力シャフト)
20 駆動側
21 トラック側
22 回転の方向
23 第2のエネルギー貯蔵要素
24 内燃機関
25 電気駆動機械
26 左駆動輪
27 右駆動輪
28 トランスミッション
29 自動車
30 入力トルク
31 全ねじれ角
32 入力側ねじれ角
33 出力トルク
34 パイロット制御トルク
35 半径方向支持部
36 ロッカートラック
37 カウンタトラック
38 ロッカー側ねじれ角
39 ドラム係合距離
40 第1のばね力
41 押圧力
42 ブースタトルク
43 第2のディスク
44 内燃機関シャフト
45 第1のディスク
46 パイロット制御摩擦ディスク
47 摩擦ライニング
48 クラッチカバー
49 第3のエネルギー貯蔵要素(板ばね)
50 スレーブピストン
51 ねじり振動ダンパー
52 ロータシャフト
53 モータ軸
54 長手方向軸
【手続補正書】
【提出日】2024-03-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動トレイン(3)のための回転軸(2)を有するブースタクラッチ(1)であって、少なくとも以下の構成要素:
-摩擦パック(5)を有するパイロット制御クラッチ(4)であって、前記摩擦パック(5)が、パイロット制御入力側(6)とパイロット制御出力側(7)とを備え、前記パイロット制御入力側(6)と前記パイロット制御出力側(7)との間で、押圧された状態でトルクが摩擦伝達可能である、パイロット制御クラッチ(4)と、
-前記パイロット制御入力側(6)にねじり固定されるように結合されたブースタ出力側(8)と、
-入力シャフト(9)にねじり固定されるように結合することができるブースタ入力側(10)と、
-前記ブースタ入力側(10)と前記ブースタ出力側(8)との間のトルクフローにおいてトルクを伝達するように配置されている少なくとも1つのロッカー要素(11)と、
-少なくとも1つのローラ(13)であって、前記ロッカー要素(11)のうちの対応する1つと前記ブースタ入力側(10)又は前記ブースタ出力側(8)との間にランプ対(14)を介してトルクを伝達するように配置されている、少なくとも1つのローラ(13)と、
-少なくとも第1のエネルギー貯蔵要素(15)と、を備え、
前記少なくとも1つの第1のエネルギー貯蔵要素(15)が、
-前記ロッカー要素(11)のうちの対応する1つと前記ブースタ出力側(8)又は前記ブースタ入力側(10)との間にトルクを伝達するように配置されているか、又は
-前記少なくとも1つのロッカー要素(11)に半径方向の力を伝達するように配置されており、
ドラム(16)もまた含まれており、かつ
前記少なくとも1つのローラ(13)が前記ランプ対(14)上を転動する結果として、前記ブースタ入力側(10)と前記ブースタ出力側(8)とにわたって所定のトルクが印加されると、前記少なくとも1つのロッカー要素(11)が前記ドラム(16)に対して半径方向に押圧されることを特徴とする、ブースタクラッチ(1)。
【請求項2】
前記ドラム(16)が、前記パイロット制御出力側(7)に、トルクを伝達するように結合されており、
好ましくは、パイロット制御出力構成要素(17)と一体に形成されている、請求項1に記載のブースタクラッチ(1)。
【請求項3】
前記ドラム(16)が、出力部(19)に直接結合することができ、好ましくは、前記出力部(19)と一体に形成することができる、請求項1に記載のブースタクラッチ(1)。
【請求項4】
前記少なくとも1つのロッカー要素(11)が、駆動側(20)とトラック側(21)とを有し、
前記トラック側(21)が、変速比ランプ対(14)を有する少なくとも1つの第2のローラ(13)を備え、
好ましくは、前記駆動側(20)が、前記ロッカー要素(11)の入力側に配置されており、かつ/又は
好ましくは、前記駆動側(20)が、回転の方向(22)の力を半径方向に中立に伝達するための第1のローラ(12)を備える、請求項1~3のいずれか一項に記載のブースタクラッチ(1)。
【請求項5】
前記ブースタ入力側(10)と前記ブースタ出力側(8)との間に、トルクを伝達するように配置されている少なくとも1つの第2のエネルギー貯蔵要素(23)が提供されている、請求項
1に記載のブースタクラッチ(1)。
【請求項6】
前記パイロット制御入力側(6)が、前記ブースタ出力側(8)から一体に形成されている、請求項
1に記載のブースタクラッチ(1)。
【請求項7】
第1のねじり剛性を有する前記パイロット制御出力側(7)及び第2のねじり剛性を有する前記ドラム(16)が、トルクを伝達するように出力部(19)に結合されており、
前記第1のねじり剛性が、前記第2のねじり剛性より大きい、請求項
1に記載のブースタクラッチ(1)。
【請求項8】
駆動トレイン(3)であって、少なくとも以下の構成要素:
-トルクを送達するための少なくとも1つの駆動機械(24、25)と、
-トルクを吸収する少なくとも1つの消費部(26、27)と、
-前記少なくとも1つの駆動機械(24、25)と消費部(26、27)との間でトルクを伝達するためのトランスミッション(28)と、
-請求項
1に記載のブースタクラッチ(1)と、を備え、
前記少なくとも1つの駆動機械(24、25)と前記消費部(26、27)との間で、前記ブースタクラッチ(1)によってトルクが伝達可能である、駆動トレイン(3)。
【請求項9】
自動車(29)であって、請求項8に記載の駆動トレイン(3)と、少なくとも1つの駆動輪(26、27)と、を備え、前記少なくとも1つの駆動輪(26、27)が、前記自動車(29)を推進させるために前記駆動トレイン(3)によって駆動可能である、自動車(29)。
【国際調査報告】