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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】採血システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/154 20060101AFI20240829BHJP
【FI】
A61B5/154
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024514567
(86)(22)【出願日】2022-09-06
(85)【翻訳文提出日】2024-04-16
(86)【国際出願番号】 EP2022074672
(87)【国際公開番号】W WO2023036750
(87)【国際公開日】2023-03-16
(31)【優先権主張番号】63/241,352
(32)【優先日】2021-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513165469
【氏名又は名称】ビーディー キエストラ ベスローテン フェンノートシャップ
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100169018
【弁理士】
【氏名又は名称】網屋 美湖
(72)【発明者】
【氏名】ロバートソン,ダニエル・ジェームス
(72)【発明者】
【氏名】ファン・バーレン,リック
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038TA04
4C038UG01
4C038UG04
(57)【要約】
本明細書においては、採取容器中の血液の正確な目標充填体積を決定する血液計量装置が開示される。血液計量装置は、入口及び出口を有するハウジングと、ハウジング中に画定された血液流導管であって、入口から出口までの連続的な導管を提供する、血液流導管と、血液流導管中に配置された弁とを備える。弁を開位置から閉位置に動かすための弁アクチュエータによって弁動作が制御される。弁アクチュエータは、ハウジングの出口と流体連通している採取容器中の測定されたガス圧に応答し、測定されたガス圧が目標ガス圧にほぼ等しいときに、弁が閉位置に動かされる。また、本明細書においては、採取容器中の血液の正確な目標充填体積を決定する方法が開示される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
採取容器中の血液の正確な目標充填体積を決定する方法であって、 入口及び出口を含むハウジング、並びに
前記ハウジング中に配置され、前記入口から前記出口までの連続的な導管を提供する、血液流導管、
を含む血液計量装置を設けることと、
前記血液計量装置が前記採取容器と流体連通するように、前記血液計量装置を前記採取容器に接続することと、
前記目標充填体積を前記血液計量装置に入力することと、
前記採取容器中の目標ガス圧を決定することと、
静脈穿刺によって患者から血液試料を採取し、それによって血液が前記血液計量装置を通って前記採取容器に流れるようにすることと、
血液が前記採取容器に流入する際に、前記採取容器中のガス圧を繰り返し測定することと、
前記測定されたガス圧を前記目標ガス圧と繰り返し比較することと、
前記測定されたガス圧が前記目標ガス圧に等しいとき、前記血液が前記採取容器に流入することを停止することと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記目標ガス圧は、前記目標充填体積の血液が前記採取容器に入ったことを示す、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記採取容器中の目標ガス圧を決定する前に、前記採取容器中の初期ガス圧及び前記採取容器中の初期ガス体積を決定することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記初期ガス圧は、前記患者から前記血液試料を採取する前の前記採取容器中の圧力である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記初期ガス体積は、前記患者から前記血液試料を採取する前の前記採取容器中のガス体積である、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記目標ガス圧は、前記目標充填体積、前記初期ガス圧、及び前記初期ガス体積に基づいて決定される、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記目標充填体積は、前記採取容器内に充填されるべき所望の血液量である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記測定されたガス圧は、前記血液が前記採取容器に流入するにつれて減少する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
採取容器中の血液の正確な目標充填体積を決定する血液計量装置であって、
入口及び出口を含むハウジングと、
前記ハウジング中に画定され、前記入口から前記出口までの連続的な導管を提供する、血液流導管と、
前記血液流導管中に配置された弁であって、前記弁を開位置から閉位置に動かすための弁アクチュエータによって弁動作が制御され、前記弁アクチュエータは、前記ハウジングの前記出口と流体連通している採取容器中の測定されたガス圧に応答し、前記測定されたガス圧が目標ガス圧にほぼ等しいときに、前記弁が前記閉位置に動かされる、弁と、
を備える、血液計量装置。
【請求項10】
前記採取容器中の前記目標ガス圧は、前記目標充填体積の血液が前記採取容器に入ったことを示す、請求項9に記載の血液計量装置。
【請求項11】
前記目標ガス圧は、前記目標充填体積、初期ガス圧、及び初期ガス体積に基づいて決定される、請求項9に記載の血液計量装置。
【請求項12】
前記目標充填体積、前記初期ガス圧、及び前記初期ガス体積はそれぞれ、前記採取容器内に充填されるべき所望の血液量、患者から血液試料を採取する前の前記採取容器中の圧力、及び前記患者から前記血液試料を採取する前の前記採取容器中のガス体積である、請求項11に記載の血液計量装置。
【請求項13】
前記血液流導管は、第1の内径を有する第1の部分と、第2の内径を有する第2の部分と、前記第1の内径から前記第2の内径への移行部分とを備える、請求項9に記載の血液計量装置。
【請求項14】
前記第1の内径は、前記第2の内径よりも大きい、請求項13に記載の血液計量装置。
【請求項15】
前記弁は、封止部分と、前記開位置から前記閉位置まで動作可能なロッド部分とを備える、請求項13に記載の血液計量装置。
【請求項16】
前記弁は、前記封止部分を前記移行部分に引き込むことによって、前記閉位置において、前記血液流導管中の血液の流れを遮り、それによって前記第1の部分を前記第2の部分から封止する、請求項15に記載の血液計量装置。
【請求項17】
前記移行部分は、錐台形状であり、一方の端部において前記第1の部分を接続し、他方の端部において前記第2の部分を接続する、請求項13に記載の血液計量装置。
【請求項18】
前記ロッド部分は、前記弁と前記弁アクチュエータとを接続し、前記血液流導管の前記第2の部分上に画定された穴を通って延在する、請求項15に記載の血液計量装置。
【請求項19】
前記採取容器中に血液を充填するための第1の針と、前記採取容器中のガス圧を測定するための第2の針とを更に備える、請求項9に記載の血液計量装置。
【請求項20】
前記採取容器中に血液を充填し、前記採取容器中のガス圧を測定するための二重内腔針を更に備える、請求項9に記載の血液計量装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、採血システムに関し、より詳細には、患者から血液を抜き取り、正確な所定量の血液を培養瓶に充填するように構成された採血システムに関する。
【0002】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2021年9月7日に出願され、その全体が本明細書の一部をなすものとする、米国仮出願第63/241,352号の優先権及び利益を主張するものである。
【背景技術】
【0003】
病院又は他の環境における、患者からの血液培養のための採血の間、血液培養瓶に目標量の血液を供給して、抜き取られた体積が過度に大きくもなく過度に小さくもないことを確実にすることが重要であるが、これは、小さすぎる試料又は大きすぎる試料を血液培養物に接種することは、血液培養分析の結果の精度に悪影響を与え得るからである。現時点においては、(典型的に)患者から血液を抜き取る医療従事者に対する唯一のフィードバックは、血液の抜き取りの間に血液培養瓶中の流体レベルを目視で監視し、充填体積に到達したと決定されたときに採取を中止することである。
【0004】
現在、医療従事者は、この決定を目視で行っている。血液培養瓶は、瓶又は瓶のラベル上に体積の尺度の目盛りを有している。多くの場合、医療従事者は、瓶の側面上に血液についての目標充填体積をマークすることを要求される。実際には、この方法はエラーを起こしやすい。医療従事者が血液培養瓶へと血液を抜き取る際、医療従事者が瓶を正確に鉛直な向きに保持していない場合があり、採取された血液の実際の体積を決定することを困難にするか又は不可能にさえし、目標体積の血液が得られない見込みを高くする。抜き取られる血液の体積の正確さに影響を与え得るもう一つの問題は、血液培養瓶に目標量の血液を適切に接種する方法についての、統一された指示の欠如である。また、患者(血液の抜き取りを正確に監視することから医療従事者の注意をそらし得るような、血液の抜き取りの間の困難さを有する患者)のニーズが、医療従事者によって抜き取られる血液の体積の正確さに悪影響を与え得る。
【0005】
患者に感染した細菌を成功裏に培養及び検出することは、患者から取られた血液試料中の細菌を採取することに大きく依存する。血液試料中に細菌を有する確率は、採取される血液の体積が増大するにつれて、増大する。それゆえ、BACTEC(登録商標)培養瓶がその一例である血液培養瓶中で求められる目標体積を正確に採取することが、非常に重要である。
【0006】
以上に述べたように、現在、血液試料を採取する医療従事者は、血液培養瓶の過充填を避けるために、いつ正しい体積の血液が抜き取られ培養瓶中に採取されたかを目視で決定し、その時点で正確に採取を停止しなければならない。それゆえ、目標体積の血液が正確に採取されることを確実にすることができる、血液を採取するための方法及び機器が、継続して求められている。
【発明の概要】
【0007】
本明細書においては、採取容器中の血液の正確な目標充填体積を決定する血液計量装置が記載される。血液計量装置は、入口及び出口を有するハウジングと、ハウジング中に画定された血液流導管であって、入口から出口までの連続的な導管を提供する、血液流導管と、血液流導管中に配置された弁とを備える。弁を開位置から閉位置に動かすための弁アクチュエータによって弁動作が制御される。弁アクチュエータは、ハウジングの出口と流体連通している採取容器中の測定されたガス圧に応答し、測定されたガス圧が目標ガス圧にほぼ等しいときに、弁が閉位置に動かされる。
【0008】
また、本明細書においては、上記の血液計量装置を用いて採取容器中の血液の正確な目標充填体積を決定する方法も記載される。本方法は、血液計量装置が採取容器と流体連通するように、血液計量装置を採取容器に接続することと、目標充填体積を血液計量装置に入力することと、採取容器中の目標ガス圧を決定することと、静脈穿刺によって患者から血液試料を採取し、それによって血液が血液計量装置を通って採取容器に流れるようにすることと、血液が採取容器に流入する際に、採取容器中のガス圧を繰り返し測定することと、測定されたガス圧を目標ガス圧と繰り返し比較することと、測定されたガス圧が目標ガス圧に等しいとき、血液が採取容器に流入することを停止することと、を含む。
【0009】
本発明のこれらの及び他の態様は、図面及び以下の詳細な説明を参照して、よりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態による、採血システムの斜視図である。
図2図1の採血システムの血液計量装置の斜視図である。
図3図1の採血システムの血液計量装置の透過斜視図である。
図4図1の採血システムの血液計量装置の分解斜視図である。
図5】弁が閉位置にある、図1の採血システムの血液計量装置の底部分の斜視図である。
図6】弁が開位置にある、図1の採血システムの血液計量装置の底部分の斜視図である。
図7】開位置にある、血液計量装置の血液流導管内に配置された弁の側面図である。
図8図1の採血システムの血液計量装置を通る血液流経路である。
図9】本発明の一実施形態による、採血容器中の正確な血液充填体積を決定する方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
同様の参照符号が類似する又は同一の要素を識別する図面を参照しながら、本開示の実施形態が詳細に説明される。開示される実施形態は、様々な形で具現することができる本開示の単なる例であることは、理解されるべきである。既知の機能又は構造は、不必要な詳細で本開示を不明瞭にすることを避けるため、詳細には説明されない。それゆえ、本明細書で開示される特定の構造的及び機能的な詳細は、限定するものとして解釈されるべきものではなく、単に特許請求の範囲の基礎として、及び実質的に任意の適切な詳細な構造で本開示を様々に採用することを当業者に教示するための代表的な基礎として、解釈されるべきものである。
【0012】
本明細書で説明される血液計量装置は、患者から血液を採取し、装置が取り付けられる採血容器又は採取瓶を正確な体積の血液で充填する。採取瓶は、血液試料を受容するための任意の適切な容器である。1つの例は、BD Vacutainer(登録商標)チューブ等の採血チューブである。BD Vacutainerは、Becton, Dickinson and Company社の登録商標である。別の例は、以上に説明されたBACTEC瓶等の血液培養瓶である。血液計量装置は、(1)目標体積の血液が装置を通過して採取瓶に入ったときの表示、又は(2)目標体積の血液が装置を通過して採取瓶に入ったときの自動的な遮断のうちの、少なくとも一方を提供する。
【0013】
図1は、本技術による血液計量装置12を備える、採血システム10を示す。採血システム10は、翼状針14と、チューブ16と、チューブ16を介して翼状針14に接続された血液計量装置12とを備える。具体的には、翼状針14は、チューブ16の第1の端部18に接続され、血液計量装置12は、チューブコネクタ22を介してチューブ16の第2の端部20に接続される。
【0014】
上部、底部、上方、下方等の方向の用語は、平坦な面の上に置かれた採取容器(図示せず)に血液計量装置12が接続されるときの向きを指す。しかしながら、本発明はそれによって、特定の向きでの使用に限定されるものではない。
【0015】
患者から血液試料を採取するプロセスの間、翼状針14は、患者の静脈又は動脈を穿刺するために使用される。採取容器によって生成される真空圧によって駆動されて、患者からの血液がチューブ16を通して採取容器へと向けられる。血液の流れは、採取容器に集められる。その途中で、血液は血液計量装置12を通過する。
【0016】
図2図5を参照すると、血液計量装置12は、患者からの血液が通って流れるための血液流導管26が配置されたハウジング24と、採取容器の中への血液流を制御するための弁28と、弁28を支援するための弁アクチュエータ30と、血液計量装置12中の様々な構成要素を制御するためのプリント回路基板(「PCB」)32と、PCB32に接続された圧力センサ(図示せず)と、バッテリ(図示せず)とを備える。
【0017】
PCB32は、プロセッサ及びメモリを内部に有するマイクロコントローラと、血液計量装置12の様々な構成要素を支援するのに必要な他の電子部品とを備える。例えば、プロセッサは、弁アクチュエータ30を作動させて、弁28を開き採血プロセスを開始することができ、所定の充填体積(又は目標充填体積)が採取容器中に充填されると弁28を閉じることができる。メモリは、血液計量装置12の動作を制御する情報を中に記憶する。かかる情報の限定するものではない例は、血液計量装置12を通過する総血液体積(すなわち所定の充填体積)、血液の抜き取りの最長継続時間(この時間を過ぎると血液計量装置12は患者からの血液の更なる採取を終了する)、及び静脈虚脱を示す患者からの血液流量の変化を含む。これに加えて、マイクロコントローラは、血液計量装置12上に設置されたLED(図示せず)を介して、ユーザに採血プロセス情報を提供する。例えば、LEDは、血液計量装置12を通過して所定の充填体積に達した血液体積の表示を提供する。所定の充填体積が採取容器によって受容されたことを示す他のインジケータは、振動アラート等の感覚的アラートを含む。
【0018】
特に図4を参照すると、ハウジング24は、下側ケーシング36、下側シャーシ38、上側シャーシ40、及び上側ケーシング42を備える。これらは、複数の締結具(例えば図示されるようなナット及びボルト)44を介して一緒に結合されて血液計量装置12の外側ハウジングを形成するように構成された、血液計量装置12のハウジング構成要素である。例えば、図示された実施形態においては、ハウジング24は、ハウジング構成要素36、38、40、42のそれぞれを積み重ねることによって組み付けられる。具体的には、下側シャーシ38は、下側ケーシング36上に画定された複数の接続ポール46を、下側シャーシ38上に画定された複数の接続開口48に位置合わせして挿入することによって、下側ケーシング36上へと装着される。複数の接続ポール46のそれぞれは、内部に締結具44を受容して収容するために、貫通して延在する接続穴50を含む。上側シャーシ40及び上側ケーシング42は、同様の態様で、それぞれ下側シャーシ38及び上側シャーシ40上に配設される。当業者は、接着剤、スナップフィット等の、他の締結機構も想定するであろう。図に示された締結機構は、単に説明の目的のためのものである。
【0019】
ハウジング構成要素36、38、40、42の全てが組み付けられると、複数の締結具44のそれぞれは、ハウジング構成要素を結合し血液計量装置12の外側ハウジングを形成するために、それぞれの接続ポール46の接続穴50に挿入される。図示された実施形態における血液計量装置12は、4つのハウジング構成要素(上側ケーシング、上側シャーシ、下側シャーシ、及び下側ケーシング)を有するが、ハウジング24は、例えば下側ケーシング36及び上側ケーシング42の2つのハウジング構成要素のような、異なる数のハウジング構成要素を有する他の構成を有することもできる。
【0020】
下側シャーシ38及び上側シャーシ40は、血液計量装置12のための構造骨格を提供する。下側シャーシ38は、血液計量装置12の様々な内部構成要素のための離散的なセクション/流路を提供するための様々な区画を画定するための、複数の仕切り(又は壁)52を備える。例えば、第1の区画54は、その上に血液流導管26を着座させるために下側シャーシ38内に画定され、第2の区画56は、弁アクチュエータ30を該区画内に受容するように構成される。
【0021】
下側シャーシ38の上部セクション及び上側シャーシ40の底部セクションの輪郭は、係合され組み付けられたときに、第1の区画54及び第2の区画56がそれぞれ血液流導管26及び弁アクチュエータ30を受容するために完全に形成されるように、構成され寸法決めされる。これに加えて、上側シャーシ40の上部セクション及び上側ケーシング42の底部セクションの輪郭は、係合され組み付けられたときに、これらの間にPCB32及び圧力センサを配置し固定することができるように、構成され寸法決めされる。
【0022】
ハウジング構成要素36、38、40、42が完全に組み付けられると、図2及び図3に示されるように、血液計量装置12の入口58及び血液計量装置12の出口60が、それぞれ血液計量装置12の第1の端部62及び第2の端部64において形成される。入口58は、患者から抜き取られた血液が血液計量装置12に入ることを可能にし、一方、出口60は、血液が血液計量装置12から出ることを可能にする。これに加えて、圧力センサ穴66が、血液計量装置12の第2の端部において形成される。
【0023】
図5及び図6を参照すると、血液流導管26は、その第1の開放端68と第2の開放端70との間に延在している。血液流導管26は、血液計量装置12の入口58において、チューブコネクタ22を介してチューブ16に接続され、チューブ16と流体連通している。血液流導管26は、抜き取られた血液が通って採取容器まで移動するための通路を、該導管内に画定する。血液流導管26の通路は、血液流導管26の第1の開放端68(又は血液計量装置12の入口58)と、血液流導管26の第2の開放端70との間に延在している。
【0024】
血液流導管26は、第1の部分72、第2の部分74、及び第1の部分72と第2の部分74とを接続する移行部分76を備える。血液流導管26の第1の部分72は、第2の部分74の第2の内径よりも大きい第1の内径を有し、それにより、第1の部分72の通路は、第2の部分74の通路よりも広い。
【0025】
図7を参照すると、移行部分76は錐台形状であり、一方の端部において第1の部分72を接続し、他方の端部において第2の部分74を接続する。この構成は、弁28の輪郭によって、以下に更に詳細に説明されるように、弁28が、移行部分76と係合すること、及び、血液が血液流導管26の第2の部分74を通って流れることを可能にする開位置と、血液流が血液流導管26の第2の部分74に流入することを阻止する閉位置との間で移行することを可能にする。
【0026】
図5図7に戻って参照すると、弁28は、血液流導管26の第1の部分72内に配置され、封止部分及びロッド部分を備える。封止部分は、ドーム形状の上部セクション78及び円錐形状の底部セクション80を有する。以上に言及されたように、弁28は、開位置と閉位置との間を移行して血液流を制御する。弁28は、ロッド部82を介して弁アクチュエータ30に接続されている。ロッド部82は、その第1の端部84と第2の端部86との間に延在し、血液流導管26の第2の部分74上に画定された穴88を通って延在している。ロッド部82は、第1の端部84において弁28に接続し、第2の端部86において弁アクチュエータ30に接続している。かくして、弁アクチュエータ30は、血液流導管26の第1の部分72内での弁28の軸方向の動きを支援し、弁28を開位置と閉位置との間で移行させる。
【0027】
弁28の上流側セクション78の直径は、血液流導管26の第1の部分72の第1の内径よりも小さく、それにより、図7に示されるように、弁28が開位置にあるときに、弁28の上流側セクション78と血液流導管26の内面90との間に隙間が存在する。隙間は、血液が、血液流導管26の第1の部分72から血液流導管26の第2の部分74へと、更には採取容器へと、流れ続けることを可能にする。
【0028】
図示された実施形態においては、弁アクチュエータ30は、患者からの血液の抜き取りが開始されたときに弁28を閉じた状態に維持することによって、患者から採取された血液の流れを制御する。血液の抜き取りが開始された後、弁アクチュエータ30は、血液の流れが始まったことを示す信号をマイクロコントローラから受信する。かかる信号に応答して、弁アクチュエータ30は弁28を徐々に開かせる。具体的には、弁アクチュエータ30は、弁28を軸方向上流側へ動かし、それによって弁28の封止部分を血液流導管26の移行部分76と係合解除する。かくして、血液は、弁28の周りを流れ、隙間を通って、血液流導管26の第2の部分74へと流れることができる。これに加えて、弁アクチュエータ30は、マイクロコントローラを介して、血液流導管26を通って流れる血液の溶血を緩和する態様で、弁28を開くようにプログラムされる。
【0029】
所定の充填体積の血液が採取容器中に充填されると、マイクロコントローラはまた、所定の充填体積に到達したことを示す信号を弁アクチュエータ30に送信する。かかる信号に応答して、弁アクチュエータ30は弁28を閉じさせ、血液計量装置12を自動的に遮断する。具体的には、弁アクチュエータ30は、弁28を軸方向下流側へ動かし、それによって弁28の封止部分を血液流導管26の移行部分76に係合させる。弁28の円錐形状の底部セクション80の上側セクションは、移行部分76内に完全に配置されて、血液流導管26の第2の部分74への開口を閉じる。
【0030】
適切な弁アクチュエータは当業者に既知であり、本明細書では詳細には説明されない。かかるアクチュエータは、信号に応答して弁を開閉させる、可動磁石アクチュエータ、マイクロアクチュエータ、ソレノイド、対とされた磁石等を含む。
【0031】
血液計量装置に適した他の弁は、遮断弁、ピンチチューブ弁、ボール弁、膜弁、スライド弁、逆止弁、放出弁等を含む。
【0032】
代替の実施形態においては、血液計量装置12は、弁及び弁アクチュエータなしで動作するように構成される。以上に言及されたように、マイクロコントローラは、血液計量装置12上に設置されたインジケータ(例えばLED、振動アラート等)を介して、採血プロセス情報をユーザに提供する。例えば、インジケータは、血液計量装置12を通過し所定の充填体積(又は目標充填体積)に達した血液体積の表示を提供する。所定の充填体積に到達したことを血液計量装置12が示すと、ユーザは、血液計量装置12を手動で遮断することによって、血液が採血容器に流入することを阻止することができる。
【0033】
図2図4に戻って参照すると、血液計量装置12は、採取容器中に血液を充填するための第1の針92と、採取容器中のガスの圧力を測定するための第2の針94とを更に備える。血液計量装置12の第1の針92は、血液が採取容器に流入して採取容器を充填するようにするために、血液流導管26の第2の開放端70に接続され、血液計量装置12の出口60を通って延在する。
【0034】
第2の針94は、採取容器中のガスの圧力を測定するために、圧力センサに接続され、血液計量装置12の圧力センサ穴66を通って延在する。第1の針92及び第2の針94は、血液計量装置12を採取容器に接続するために、採取容器のキャップ(図示せず)を貫通するものとすることもできる。
【0035】
代替として、血液計量装置12は、採取容器中に血液を充填し、採取容器中のガスの圧力を測定するための、二重内腔針を備えることができる。
【0036】
血液計量装置12は、強度、重量、剛性等を含む、所望の用途に適した特性を有する、1つ以上の材料で作られる。血液計量装置12のハウジング24にはプラスチック(例えばポリプロピレン、ポリエチレン等)が好ましく、血液流導管26にはシリコーンチューブが好ましい。
【0037】
血液計量装置12を通る血液流経路が、図3及び図8に示されている。血液は、チューブ16を介して、入口58を通って血液計量装置12に入る。血液流経路は、血液流導管26の第1の開放端68から血液流導管26の通路に入り、弁28が開いているとき該通路を通って移動して、血液流導管26の第2の開放端70から通路を出る。血液流導管26を出た後、血液は、第1の針92を介して採取容器へと流れ続ける。
【0038】
以上に言及されたように、本技術による血液計量装置12は、圧力センサを使用して採取容器中のガス圧を測定することによって、採取容器の充填レベル(例えば採取容器中の血液の体積)を測定するように構成されている。具体的には、血液が採取容器内を充填するにつれて採取容器中のガス圧が低下するが、このことは採取容器への血液の追加によって引き起こされる。かくして、採血システム10は、採血の前及び採血の間に真空度を測定して、特定の時間における採取容器に追加された血液の量を推定する。採取容器に追加された血液の量のこの推定値は、所与の量のガスの圧力がその体積に反比例して変化することを述べているボイルの法則を使用して、算出することができる。採取容器の総体積及び採取容器中のガスの総量は変化しないので、ボイルの法則を使用して推定値を決定することができる。
【0039】
ボイルの法則の式は、次の通りである:
*V=P*V=K (1)
ここで、Pは初期圧力であり、Pは時間tにおける圧力であり、Vはガスの初期体積であり、Vはtにおけるガスの体積であり、Kは定数である。請求される本発明においては、Pは血液充填の開始時間(t)における採取容器中のガスの圧力(すなわち患者から血液試料を採取する前の採取容器中の圧力)であり、Pは血液充填の終了時間(t)における採取容器中のガスの圧力であり、Vはtにおける採取容器のヘッドスペース中のガスの体積(すなわち患者から血液試料を採取する前の採取容器中のガスの体積)であり、Vはtにおける採取容器のヘッドスペース中のガスの体積である。ヘッドスペースは、採取容器の総体積から採取容器内に入ったブロス(broth)の総体積を引いたものに等しい。このとき、定数(K)は、以下の式によって決定される:
K=V*P (2)
におけるガスの体積(V)は、以下によって算出される:
=V-V (3)
ここで、Vは採取容器内に充填されるべき所望の血液量(又は所定の(目標)充填体積)である(例えば8mL、10mL等)。ここで、tにおける圧力(P)は、以下の式によって決定される:
=K/V=V*P/(V-V) (4)
かくして、Vは、採取容器のガス圧がPであるときに、採取容器中で到達される。
【0040】
図9は、本技術による採血システム10を使用して採血容器中の正確な血液充填体積を決定する方法100を示す。ステップ102において、ユーザにより目標(又は所定の)充填体積(V)を血液計量装置12に入力(又は選択)することによって、採血プロセスが開始される。ステップ103において、計量装置12が、採取容器中の初期ガス圧(P)及び初期ガス体積(V)を決定する。ステップ104において、ボイルの法則に基づいて、以上に説明された圧力センサ充填アルゴリズムを使用することによって、血液計量装置12のマイクロコントローラが、V、P及びVに基づいて、目標充填体積の終了時における採取容器中のガスの目標圧力(P)を決定する。ステップ106において、患者から抜き取られた血液が血液計量装置12を通って流れることを可能とするために、弁28を開くように弁アクチュエータ30に信号が送信される。ステップ108において、圧力センサが、採取容器中に配設された第2の針94を介して採取容器中のガス圧を繰り返し測定し、現在の圧力データを血液計量装置12のマイクロコントローラに供給する。ステップ110において、血液計量装置12が、受信されたガス圧データ(例えば採取容器中の現在のガス圧)を目標ガス圧(P)と繰り返し比較する。ステップ112において、血液計量装置12が、採取容器中の現在のガス圧がP以上であると決定した場合、(ステップ114において)弁28を閉じて血液流を止めるための信号が弁アクチュエータ30に送信され、血液計量装置12が自動的にオフになる。しかしながら、ステップ112において、血液計量装置12が、採取容器中の現在のガス圧がP未満であると決定した場合、弁28は開いたままとされて、血液が血液計量装置12を通って採取容器まで移動し続けることを可能とする。
【0041】
以上から、及び様々な図面を参照して、当業者は、本開示の範囲から逸脱することなく、本開示に或る特定の変更がなされ得ることを、理解するであろう。本開示のいくつかの実施形態が図面に示されたが、本開示がそれらに限定されることは意図されておらず、本開示は本分野が許す限り広範なものであること、及び本明細書も同様に読まれることが意図されている。それゆえ、以上の説明は、限定するものとして解釈されるべきではなく、単に特定の実施形態の例示として解釈されるべきである。当業者は、本明細書に添付された請求項の範囲及び精神内で、他の変更を想定するであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】