(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】パーキンソン病の予防及び治療のためのBacillus amyloliquefaciensの使用
(51)【国際特許分類】
A61K 35/742 20150101AFI20240829BHJP
A61P 25/16 20060101ALI20240829BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240829BHJP
A23L 33/135 20160101ALI20240829BHJP
A23L 11/00 20210101ALI20240829BHJP
A23L 11/50 20210101ALN20240829BHJP
【FI】
A61K35/742
A61P25/16
A61K45/00
A23L33/135
A23L11/00 E
A23L11/00 F
A23L11/50
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024514642
(86)(22)【出願日】2022-09-06
(85)【翻訳文提出日】2024-03-29
(86)【国際出願番号】 IB2022058381
(87)【国際公開番号】W WO2023037246
(87)【国際公開日】2023-03-16
(32)【優先日】2021-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520479010
【氏名又は名称】アルチュジェン セラピューティクス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【氏名又は名称】松田 七重
(74)【代理人】
【識別番号】100156982
【氏名又は名称】秋澤 慈
(72)【発明者】
【氏名】アクトン スーザン エル
(72)【発明者】
【氏名】シェネル ローラン
【テーマコード(参考)】
4B018
4B020
4C084
4C087
【Fターム(参考)】
4B018LB03
4B018LB04
4B018MD12
4B018MD49
4B018MD57
4B018MD58
4B018MD82
4B018MD85
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4B018ME14
4B018MF06
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4B020LB24
4B020LC05
4B020LG01
4B020LG09
4B020LK17
4B020LP18
4C084AA19
4C084NA05
4C084ZA021
4C084ZA022
4C084ZC412
4C087BC64
4C087MA52
4C087NA05
4C087NA14
4C087ZA02
(57)【要約】
【課題】本明細書に開示されるのは、パーキンソン病を予防、改善、若しくは治療する、及び/又はパーキンソン病に関連する1つ以上のリスク因子、徴候、若しくは症状の重症度を低減するための組成物及び方法である。
【解決手段】具体的には、本開示の技術は、有効量の、ART24及びART12として同定される使用可能な群のBacillus amyloliquefaciens細菌の1つ以上の株を含む組成物を、パーキンソン病に罹患しているか、又はパーキンソン病になるリスクがある対象に投与するための方法に関する。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パーキンソン病(PD)の治療又は予防を必要とする対象におけるパーキンソン病を治療又は予防するための方法であって、前記対象に、治療有効量の、細菌株ART24(NCIMB受託番号43088)、細菌株ART12(NCIMB受託番号43087)、又はそれらの組み合わせを含む医薬組成物を投与することを含む、方法。
【請求項2】
前記細菌株が、凍結乾燥されている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記細菌株が、芽胞の形態である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記細菌株が、栄養型である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
前記細菌株が、前記芽胞の形態及び前記栄養型の前記株の混合物である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項6】
前記細菌株が、栄養補助食品として製剤化される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記細菌株が、食用製品として製剤化される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記食用製品が、担体、ビヒクル、又は賦形剤を更に含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記食用製品が、発酵食品、大豆、キノコ、緑豆、ローカスビーン(locus bean)、米、又はそれらの抽出物を更に含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記大豆が、発酵大豆又は発酵大豆ペーストである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記発酵大豆又は発酵大豆ペーストが、チョングッチャン(Cheonggukjang)、トウチ(Douchi)、ハワイジャール(Hawaijar)、ベカン(Bekang)、ペルーヤーン(Peruyaan)、トゥンリンバイ(Tungrymbai)、エオユクジャン(Eoyukjang)、キネマ(Kinema)、アーコン(Aakhone)、味噌、納豆、又はトゥアナオ(Thua-nao)である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記PDが、振戦、筋強剛、緩慢な動作、姿勢とバランスの悪さ、発話変化、微細運動技能での苦労、認知変化、便秘、早期満腹感、過度の発汗、疲労、脂漏性皮膚炎、幻覚及び妄想、起立性低血圧、嗅覚又は味覚の喪失、うつ病、不安、無関心、過敏性、不眠症、日中の過度の眠気、レム睡眠行動障害、鮮明な夢、及びレストレスレッグス症候群、視覚障害、及び体重減少のうちの1つ以上を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
治療又は予防が、線条体ドーパミンレベルの増加、線条体DOPACレベルの増加、又は線条体ホモバニリン酸レベルの増加のうちの1つ以上を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記医薬組成物が、経口投与される、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
ドーパミンデカルボキシラーゼ阻害剤、ドーパミン前駆体、ドーパミン作動薬、カテコール-o-メチルトランスフェラーゼ阻害剤、モノアミノオキシダーゼ-B阻害剤、アデノシン2A拮抗薬、及び抗コリン作動薬、又はN-メチル-D-アスパラギン酸拮抗薬からなる群から選択される1つ以上の薬剤を、別々に、逐次的に、又は同時に投与することを更に含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
パーキンソン病(PD)の治療を必要とする対象におけるパーキンソン病を治療するための医薬の調製における組成物の使用であって、前記組成物が、細菌株ART24(NCIMB受託番号43088)、細菌株ART12(NCIMB受託番号43087)、又はそれらの組み合わせを含む、使用。
【請求項17】
前記細菌株が、凍結乾燥されている、請求項16に記載の使用。
【請求項18】
前記細菌株が、芽胞の形態である、請求項16又は17に記載の使用。
【請求項19】
前記細菌株が、栄養型である、請求項16又は17に記載の使用。
【請求項20】
前記細菌株が、前記芽胞の形態及び前記栄養型の前記株の混合物である、請求項16又は17に記載の使用。
【請求項21】
前記細菌株が、栄養補助食品として製剤化される、請求項17~20のいずれか一項に記載の使用。
【請求項22】
前記細菌株が、食用製品として製剤化される、請求項17~20のいずれか一項に記載の使用。
【請求項23】
前記食用製品が、担体、ビヒクル、又は賦形剤を更に含む、請求項22に記載の使用。
【請求項24】
前記食用製品が、発酵食品、大豆、キノコ、緑豆、ローカスビーン、米、又はそれらの抽出物を更に含む、請求項22に記載の使用。
【請求項25】
前記大豆が、発酵大豆又は発酵大豆ペーストである、請求項24に記載の使用。
【請求項26】
前記発酵大豆又は発酵大豆ペーストが、チョングッチャン、トウチ、ハワイジャール、ベカン、ペルーヤーン、トゥンリンバイ、エオユクジャン、キネマ、アーコン、味噌、納豆、又はトゥアナオである、請求項25に記載の使用。
【請求項27】
前記PDが、振戦、筋強剛、緩慢な動作、姿勢とバランスの悪さ、発話変化、微細運動技能での苦労、認知変化、便秘、早期満腹感、過度の発汗、疲労、脂漏性皮膚炎、幻覚及び妄想、起立性低血圧、嗅覚又は味覚の喪失、うつ病、不安、無関心、過敏性、不眠症、日中の過度の眠気、レム睡眠行動障害、鮮明な夢、及びレストレスレッグス症候群、視覚障害、及び体重減少のうちの1つ以上を含む、請求項16~26のいずれか一項に記載の使用。
【請求項28】
治療又は予防が、線条体ドーパミンレベルの増加、線条体DOPACレベルの増加、又は線条体ホモバニリン酸レベルの増加のうちの1つ以上を含む、請求項16~27のいずれか一項に記載の使用。
【請求項29】
医薬組成物が、経口投与のために製剤化されている、請求項16~28のいずれか一項に記載の使用。
【請求項30】
ドーパミンデカルボキシラーゼ阻害剤、ドーパミン前駆体、ドーパミン作動薬、カテコール-o-メチルトランスフェラーゼ阻害剤、モノアミノオキシダーゼ-B阻害剤、アデノシン2A拮抗薬、及び抗コリン作動薬、又はN-メチル-D-アスパラギン酸拮抗薬からなる群から選択される1つ以上の薬剤を、別々に、逐次的に、又は同時に投与することを更に含む、請求項16~29のいずれか一項に記載の使用。
【請求項31】
パーキンソン病(PD)の治療を必要とする対象におけるパーキンソン病を治療するために使用される組成物であって、前記組成物が、細菌株ART24(NCIMB受託番号43088)、細菌株ART12(NCIMB受託番号43087)、又はそれらの組み合わせを含む、組成物。
【請求項32】
前記細菌株が、凍結乾燥されている、請求項31に記載の使用のための組成物。
【請求項33】
前記細菌株が、芽胞の形態である、請求項31又は32に記載の使用のための組成物。
【請求項34】
前記細菌株が、栄養型である、請求項31又は32に記載の使用のための組成物。
【請求項35】
前記細菌株が、前記芽胞の形態及び前記栄養型の前記株の混合物である、請求項31又は32に記載の使用のための組成物。
【請求項36】
前記細菌株が、栄養補助食品として製剤化される、請求項32~35のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項37】
前記細菌株が、食用製品として製剤化される、請求項32~35のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項38】
前記食用製品が、担体、ビヒクル、又は賦形剤を更に含む、請求項37に記載の使用のための組成物。
【請求項39】
前記食用製品が、発酵食品、大豆、キノコ、緑豆、ローカスビーン、米、又はそれらの抽出物を更に含む、請求項37に記載の使用のための組成物。
【請求項40】
前記大豆が、発酵大豆又は発酵大豆ペーストである、請求項39に記載の使用のための組成物。
【請求項41】
前記発酵大豆又は発酵大豆ペーストが、チョングッチャン、トウチ、ハワイジャール、ベカン、ペルーヤーン、トゥンリンバイ、エオユクジャン、キネマ、アーコン、味噌、納豆、又はトゥアナオである、請求項40に記載の使用のための組成物。
【請求項42】
前記PDが、振戦、筋強剛、緩慢な動作、姿勢とバランスの悪さ、発話変化、微細運動技能での苦労、認知変化、便秘、早期満腹感、過度の発汗、疲労、脂漏性皮膚炎、幻覚及び妄想、起立性低血圧、嗅覚又は味覚の喪失、うつ病、不安、無関心、過敏性、不眠症、日中の過度の眠気、レム睡眠行動障害、鮮明な夢、及びレストレスレッグス症候群、視覚障害、及び体重減少のうちの1つ以上を含む、請求項31~41のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項43】
治療又は予防が、線条体ドーパミンレベルの増加、線条体DOPACレベルの増加、又は線条体ホモバニリン酸レベルの増加のうちの1つ以上を含む、請求項31~42のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項44】
医薬組成物が、経口投与のために製剤化されている、請求項31~43のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項45】
ドーパミンデカルボキシラーゼ阻害剤、ドーパミン前駆体、ドーパミン作動薬、カテコール-o-メチルトランスフェラーゼ阻害剤、モノアミノオキシダーゼ-B阻害剤、アデノシン2A拮抗薬、及び抗コリン作動薬、又はN-メチル-D-アスパラギン酸拮抗薬からなる群から選択される1つ以上の薬剤を、別々に、逐次的に、又は同時に投与することを更に含む、請求項31~44のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項46】
前記細菌株が、ART24である、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法、請求項16~30のいずれか一項に記載の使用、又は請求項31~45のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項47】
前記細菌株が、ART12である、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法、請求項16~30のいずれか一項に記載の使用、又は請求項31~45のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年9月7日に出願された米国仮出願第63/241,442号の優先権を主張し、その内容は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本技術は、パーキンソン病を予防、改善、若しくは治療する、及び/又はパーキンソン病に関連する1つ以上のリスク因子、徴候、若しくは症状の重症度を低減するための方法及び組成物に関する。具体的には、本技術は、有効量の、ART24及びART12として同定される使用可能な群のBacillus amyloliquefaciens細菌の1つ以上の株を含む組成物を、パーキンソン病に罹患しているか、又はパーキンソン病になるリスクがある対象に投与することに関する。
【背景技術】
【0003】
以下の説明は、読者の理解を助けるために提供される。提供される情報又は引用される参考文献のいずれも、本明細書に開示される組成物及び方法の先行技術であるとは認められていない。
【0004】
パーキンソン病は、アルツハイマー病に次いで2番目に一般的な神経変性疾患である。パーキンソン病は神経系の進行性障害であり、主に運動に影響を及ぼすが、患者は認知機能低下、発話の問題、睡眠の問題、及び気分の問題を含むがこれらに限定されない非運動症状を経験することがある。パーキンソン病は、主に、運動を制御する中脳におけるドーパミン産生ニューロンの死滅又は障害を特徴とするが、ノルエピネフリン産生の全体的な喪失も存在する。パーキンソン病の治療法は知られていない。したがって、パーキンソン病を予防、治療、又は発症するリスクを低減するための追加の療法が必要である。
【発明の概要】
【0005】
一態様では、本技術の開示は、パーキンソン病(PD)の治療又は予防を必要とする対象におけるパーキンソン病を治療又は予防する方法を提供し、本方法は、対象に、治療有効量の、細菌株ART24(NCIMB受託番号43088)、細菌株ART12(NCIMB受託番号43087)、又はそれらの組み合わせを含む医薬組成物を投与することを含む。
【0006】
いくつかの実施形態では、細菌株は、凍結乾燥されている。いくつかの実施形態では、細菌株は、芽胞の形態である。いくつかの実施形態では、細菌株は、栄養型である。いくつかの実施形態では、細菌株は、芽胞の形態及び栄養型の株の混合物である。
【0007】
いくつかの実施形態では、細菌株は、栄養補助食品として製剤化される。いくつかの実施形態では、細菌株は、食用製品として製剤化される。いくつかの実施形態では、食用製品は、担体、ビヒクル、又は賦形剤を更に含む。いくつかの実施形態では、食用製品は、発酵食品、大豆、キノコ、緑豆、ローカスビーン(locus bean)、米、又はそれらの抽出物を更に含む。いくつかの実施形態では、大豆は、発酵大豆又は発酵大豆ペーストである。いくつかの実施形態では、発酵大豆又は発酵大豆ペーストは、チョングッチャン(Cheonggukjang)、トウチ(Douchi)、ハワイジャール(Hawaijar)、ベカン(Bekang)、ペルーヤーン(Peruyaan)、トゥンリンバイ(Tungrymbai)、エオユクジャン(Eoyukjang)、キネマ(Kinema)、アーコン(Aakhone)、味噌、納豆、又はトゥアナオ(Thua-nao)である。
【0008】
いくつかの実施形態では、PDは、振戦、筋強剛、緩慢な動作、姿勢とバランスの悪さ、発話変化、微細運動技能での苦労、認知変化、便秘、早期満腹感、過度の発汗、疲労、脂漏性皮膚炎、幻覚及び妄想、起立性低血圧、嗅覚又は味覚の喪失、うつ病、不安、無関心、過敏性、不眠症、日中の過度の眠気、レム睡眠行動障害、鮮明な夢、及びレストレスレッグス症候群、視覚障害、及び体重減少のうちの1つ以上を含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、治療又は予防は、線条体ドーパミンレベルの増加又は線条体ドーパミン代謝産物、例えば、DOPAC又はホモバニリン酸レベルの増加のうちの1つ以上を含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、経口投与される。
【0011】
いくつかの実施形態では、本方法は、ドーパミンデカルボキシラーゼ阻害剤、ドーパミン前駆体、ドーパミン作動薬、カテコール-o-メチルトランスフェラーゼ阻害剤、モノアミノオキシダーゼ-B阻害剤、アデノシン2A拮抗薬、及び抗コリン作動薬、又はN-メチル-D-アスパラギン酸拮抗薬からなる群から選択される1つ以上の薬剤を、別々に、逐次的に、又は同時に投与することを更に含む。
【0012】
別の態様では、本技術の開示は、パーキンソン病(PD)の治療を必要とする対象におけるパーキンソン病を治療するための医薬の調製における組成物の使用を提供し、組成物は、細菌株ART24(NCIMB受託番号43088)、細菌株ART12(NCIMB受託番号43087)、又はそれらの組み合わせを含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、細菌株は、凍結乾燥されている。いくつかの実施形態では、細菌株は、芽胞の形態である。いくつかの実施形態では、細菌株は、栄養型である。いくつかの実施形態では、細菌株は、芽胞の形態及び栄養型の株の混合物である。
【0014】
いくつかの実施形態では、細菌株は、栄養補助食品として製剤化される。いくつかの実施形態では、細菌株は、食用製品として製剤化される。いくつかの実施形態では、食用製品は、担体、ビヒクル、又は賦形剤を更に含む。いくつかの実施形態では、食用製品は、発酵食品、大豆、キノコ、緑豆、ローカスビーン、米、又はそれらの抽出物を更に含む。いくつかの実施形態では、大豆は、発酵大豆又は発酵大豆ペーストである。いくつかの実施形態では、発酵大豆又は発酵大豆ペーストは、チョングッチャン、トウチ、ハワイジャール、ベカン、ペルーヤーン、トゥンリンバイ、エオユクジャン、キネマ、アーコン、味噌、納豆、又はトゥアナオである。
【0015】
いくつかの実施形態では、PDは、振戦、筋強剛、緩慢な動作、姿勢とバランスの悪さ、言語変化、微細運動技能への苦闘、認知変化、便秘、早期満腹感、過度の発汗、疲労、脂漏性皮膚炎、幻覚及び妄想、起立性低血圧、嗅覚又は味覚の喪失、うつ病、不安、無関心、過敏性、不眠症、日中の過度の眠気、レム睡眠行動障害、鮮明な夢、及びレストレスレッグス症候群、視覚障害、及び体重減少のうちの1つ以上を含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、治療又は予防は、線条体ドーパミンレベルの増加又は線条体ドーパミン代謝産物、例えば、DOPAC又はホモバニリン酸レベルの増加のうちの1つ以上を含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、経口投与のために製剤化される。
【0018】
いくつかの実施形態では、使用のための組成物は、ドーパミンデカルボキシラーゼ阻害剤、ドーパミン前駆体、ドーパミン作動薬、カテコール-o-メチルトランスフェラーゼ阻害剤、モノアミノオキシダーゼ-B阻害剤、アデノシン2A拮抗薬、及び抗コリン作動薬、又はN-メチル-D-アスパラギン酸拮抗薬からなる群から選択される1つ以上の薬剤を、別々に、逐次的に、又は同時に投与することを更に含む。
【0019】
別の態様では、本開示の技術は、パーキンソン病(PD)の治療を必要とする対象におけるパーキンソン病を治療するために使用される組成物を提供し、組成物は、細菌株ART24(NCIMB受託番号43088)、細菌株ART12(NCIMB受託番号43087)、又はそれらの組み合わせを含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、細菌株は、凍結乾燥されている。いくつかの実施形態では、細菌株は、芽胞の形態である。いくつかの実施形態では、細菌株は、栄養型である。いくつかの実施形態では、細菌株は、芽胞の形態及び栄養型の株の混合物である。
【0021】
いくつかの実施形態では、細菌株は、栄養補助食品として製剤化される。いくつかの実施形態では、細菌株は、食用製品として製剤化される。いくつかの実施形態では、食用製品は、担体、ビヒクル、又は賦形剤を更に含む。いくつかの実施形態では、食用製品は、発酵食品、大豆、キノコ、緑豆、ローカスビーン、米、又はそれらの抽出物を更に含む。いくつかの実施形態では、大豆は、発酵大豆又は発酵大豆ペーストである。いくつかの実施形態では、発酵大豆又は発酵大豆ペーストは、チョングッチャン、トウチ、ハワイジャール、ベカン、ペルーヤーン、トゥンリンバイ、エオユクジャン、キネマ、アーコン、味噌、納豆、又はトゥアナオである。
【0022】
いくつかの実施形態では、PDは、振戦、筋強剛、緩慢な動作、姿勢とバランスの悪さ、言語変化、微細運動技能への苦闘、認知変化、便秘、早期満腹感、過度の発汗、疲労、脂漏性皮膚炎、幻覚及び妄想、起立性低血圧、嗅覚又は味覚の喪失、うつ病、不安、無関心、過敏性、不眠症、日中の過度の眠気、レム睡眠行動障害、鮮明な夢、及びレストレスレッグス症候群、視覚障害、及び体重減少のうちの1つ以上を含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、治療又は予防は、線条体ドーパミンレベルの増加又は線条体ドーパミン代謝産物、例えば、DOPAC又はホモバニリン酸レベルの増加のうちの1つ以上を含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、経口投与のために製剤化される。
【0025】
いくつかの実施形態では、この使用は、ドーパミンデカルボキシラーゼ阻害剤、ドーパミン前駆体、ドーパミン作動薬、カテコール-o-メチルトランスフェラーゼ阻害剤、モノアミノオキシダーゼ-B阻害剤、アデノシン2A拮抗薬、及び抗コリン作動薬、又はN-メチル-D-アスパラギン酸拮抗薬からなる群から選択される1つ以上の薬剤を、別々に、逐次的に、又は同時に投与することを更に含む。
【0026】
いくつかの実施形態において、細菌株は、ART24である。
【0027】
いくつかの実施形態において、細菌株は、ART12である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1A】ビヒクル及びMPTP及び被験物質(ART24)で処置したマウスの線条体におけるドーパミンの測定含有量(pg/mgの組織)を示すグラフである。****P<0.0001、*P<0.05、一元配置分散分析と、それに続く未補正のフィッシャーのLSD検定、生理食塩水/MPTP群との比較、n=10/群。
【
図1B】ビヒクル及びMPTP及び被験物質(ART24)で処置したマウスの線条体におけるDOPACの測定含有量(pg/mgの組織)を示すグラフである。*P<0.05、****P<0.0001、一元配置分散分析と、それに続く未補正のフィッシャーのLSD検定、生理食塩水/MPTP群との比較、n=10/群。
【
図2】ART24芽胞に対する模擬胃液(pH3)の影響を示すグラフである。
【
図3A】初代ラット胚中脳細胞(ミクログリア、星状細胞、及びニューロン)への24時間のLPS曝露後のTNF-α放出(中毒の%)を示すグラフである。*LPS中毒群と比較してp<0.05。
【
図3B】初代ラット胚中脳細胞(ミクログリア、星状細胞、及びニューロン)への24時間のLPS曝露後のIL-1β放出(中毒の%)を示すグラフである。*LPS中毒群と比較してp<0.05。
【
図3C】初代ラット胚中脳細胞(ミクログリア、星状細胞、及びニューロン)への5日間のLPS曝露後のチロシンヒドロキシラーゼ(TH)陽性ニューロン(対照の%)を示すグラフである。*LPS中毒群と比較してp<0.05。
【
図4A】MPTP及びART24による処置後のゼブラフィッシュにおける移動運動活動分析の結果を示す図であり、50分間(10分/期)の間の交互の暗期及び明期に応答した移動距離(mm)を総計として示す。エラーバーは最大値及び最小値を示し、アスタリスクは、MPTP処置と比較した、一元配置分散分析とそれに続くダネット検定後の有意性を示す。それぞれ、N=22及びN=26であるDMSO及びMPTP(単独)を除き、N=16である。「細菌」=ART24。
【
図4B】MPTP及びART24による処置後のゼブラフィッシュにおける移動運動活動分析の結果を示す図であり、50分間(10分/期)の間の交互の暗期及び明期に応答した移動距離(mm)を1分間当たりの移動距離として示す。エラーバーはSEMを示し、アスタリスクは、MPTP処置と比較した、一元配置分散分析とそれに続くダネット検定後の有意性を示す。それぞれ、N=22及びN=26であるDMSO及びMPTP(単独)を除き、N=16である。「細菌」=ART24。
【
図4C】MPTP及びART24による処置後のゼブラフィッシュにおける移動運動活動分析の結果を示す図であり、実行された3つのタップ刺激のそれぞれに応答する仔魚のパーセンテージを示すグラフである。仔魚は、タップ後のその移動が1mmを超えれば応答すると考えられる。エラーバーは最大値及び最小値を示し、アスタリスクは、MPTP処置と比較した、一元配置分散分析とそれに続くダネット検定後の有意性を示す。それぞれ、N=22及びN=26であるDMSO及びMPTP(単独)を除き、N=16である。「細菌」=ART24。
【
図5】ビヒクル、MPTP、ART12、又はART24で処置したマウスにおける線条体ホモバニリン酸(HVA)含有量(pg/mgの組織)を示すグラフである。****P<0.0001、一元配置分散分析と、それに続く未補正のフィッシャーのLSD検定、生理食塩水/MPTP群との比較、n=15/群。
【
図6A】未処置及びART24処置したアルファ-シヌクレイントランスジェニックゼブラフィッシュ仔魚の結核領域で分析された6つのクラスターを示す概略画像である。左の画像は、領域1及び2においてTH発現のない対照仔魚の代表的な画像である。右の画像は、領域1及び2においてTH発現を有するART24処置仔魚の代表的な画像である。
【
図6B】未処置及びART24処置したアルファ-シヌクレイントランスジェニックゼブラフィッシュ仔魚の結核領域におけるTH発現の正規化面積の散布図である。面積は、対照群の平均に対して正規化されている。アスタリスクは、ステューデントのt検定後の有意性を示す。*p<0.05。エラーバーは、最大値及び最小値を示す。
【
図6C】結核領域の領域1及び2のドーパミンニューロンにおけるチロシンヒドロキシラーゼの発現を有するアルファ-シヌクレイントランスジェニックゼブラフィッシュ仔魚のパーセンテージを示すグラフである。アスタリスクは、フィッシャーの正確検定後の有意性を示す。*p<0.05。対照群及び処置群は、それぞれN=82及び73。
【
図7A】ゼブラフィッシュ運動移動分析のための行動プロトコルの概略図である。陰影付きの矢印は暗期を表し、非陰影付きの矢印は明期を表す。
【
図7B】MPTP及びART12又はART24のお及び非存在下における、50分間(10分/期)の間の交互の暗期及び明期に応答したゼブラフィッシュの移動距離(mm)を総計として示すグラフである。
【
図7C】MPTP及びART12又はART24の存在下及び非存在下における、50分間(10分/期)の間の交互の暗期及び明期に応答したゼブラフィッシュの移動距離(mm)を1分間当たりの移動距離として示すグラフである。
【
図7D】実行された3つのタップ刺激のそれぞれに応答するゼブラフィッシュ仔魚のパーセンテージを示すグラフある。
図7B及び
図7Dについて、エラーバーは、最大値及び最小値を示し、
図7Cでは、SEMを示す。
図7Bのアスタリスクは、一元配置分散分析と、それに続くテューキーの多重比較検定後の有意性を示す。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001。DMSO及びMPTPのみ群ではN=24、ART12及びART24群ではN=72である。
【
図8A】ART12処置あり又は処置なしでの、マウスMPTP処置線条体におけるパーキンソン病遺伝子発現のグラフ表示である。各列は、マウスの線条体を表す(灰色ラベル(左から右への最初の15列):ART12処置、黄色ラベル(左から右への次の15列):対照)。各行は、パーキンソン病関連遺伝子を表す(京都遺伝子ゲノム百科事典[KEGG]の群)。データは正規化され、赤は平均よりも高い発現を示し、青は平均よりも低い発現を示す。遺伝子セットエンリッチメント分析(GSEA)により、ART12処置したMPTPマウスと対照MPTPマウスとの間で線条体での著しく異なるパーキンソン病遺伝子を同定した。
【
図8B】ART12処置あり(灰色の列(左から右への最初の15列))又は処置なし(黄色の列(左から右への次の15列)のマウスMPTP処置結腸におけるパーキンソン病遺伝子発現のグラフ表示である。各行は、パーキンソン病関連遺伝子を表す(京都遺伝子ゲノム百科事典[KEGG]の群)。データは正規化され、赤は平均よりも高い発現を示し、青は平均よりも低い発現を示す。遺伝子セットエンリッチメント分析(GSEA)により、ART12処置したMPTPマウスと対照MPTPマウスとの間で結腸での著しく異なるパーキンソン病遺伝子を同定した。
【
図8C】ART24処置あり(灰色の列(左から右への最初の15列))又は処置なし(黄色の列(左から右への次の15列))のマウスMPTP処置結腸におけるパーキンソン病遺伝子発現のグラフ表示である。各行は、パーキンソン病関連遺伝子を表す(京都遺伝子ゲノム百科事典[KEGG]の群)。データは正規化され、赤は平均よりも高い発現を示し、青は平均よりも低い発現を示す。遺伝子セットエンリッチメント分析(GSEA)により、ART24処置したMPTPマウスと対照MPTPマウスとの間で結腸での著しく異なるパーキンソン病遺伝子を同定した。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本技術の実質的な理解を提供するために、本技術の特定の態様、モード、実施形態、変形、及び特徴が、以下に様々なレベルで詳細に記載されることを理解されたい。本明細書で使用される特定の用語の定義は、以下に提供される。別段に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、概して、本技術が属する当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。
【0030】
I.定義
以下の用語が本明細書で使用され、その定義はガイダンスとして提供される。
【0031】
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、単数形のみを指定するように明示的に記載されない限り、単数形及び複数形の両方を指定する。
【0032】
「約」という用語及び一般的に範囲の使用は、約という用語で修飾されるか否かにかかわらず、包含される数が本明細書に記載される正確な数に限定されず、本発明の範囲から逸脱しない限り、実質的に引用された範囲内の範囲を指すことが意図されることを意味する。本明細書で使用される場合、「約」は、当業者によって理解され、使用される文脈である程度変動するであろう。用語の使用される文脈を考慮して当業者には明らかではない用語の使用が存在する場合、「約」は、特定の用語のプラス又はマイナス10%までを意味する。
【0033】
本明細書で使用される場合、対象への本技術の薬剤、薬物、その細菌株若しくは芽胞、又は組成物の「投与」は、その意図される機能を実行するために化合物を対象に導入又は送達する任意の経路を含む。投与は、経口、鼻腔内、非経口(静脈内、筋肉内、腹腔内、又は皮下)、局所、又は吸入を含む任意の好適な経路によって行うことができる。いくつかの実施形態では、本技術の組成物は、腸内投与のために製剤化される。いくつかの実施形態では、組成物は、経口、舌下又は腸内送達のために製剤化される。いくつかの実施形態では、組成物は、プロバイオティクスとして使用するために製剤化される。いくつかの実施形態では、組成物は生きている生物学的製剤(live biotherapeutic)としての使用のために製剤化される。本明細書で使用される場合、投与は、自己投与及び他者による投与を含む。
【0034】
本明細書で使用される場合、「ART24」は、NCIMB受託番号43088で寄託された細菌株若しくはその芽胞、又はその株を含む組成物を指す。ART24は、土壌伝播性B.amyloliquefaciens、並びに植物関連のBacillus siamensis及びBacillus velezensisを含む「使用可能な群のB.amyloliquefaciens」のメンバーとみなされる。
【0035】
本明細書で使用される場合、「ART12」は、NCIMB受託番号43087で寄託された細菌株若しくはその芽胞、又はその株を含む組成物を指す。ART12は、土壌伝播性B.amyloliquefaciens、並びに植物関連のBacillus siamensis及びBacillus velezensisを含む「使用可能な群のB.amyloliquefaciens」のメンバーとみなされる。
【0036】
本明細書で使用される場合、「有効量」又は「治療有効量」及び「薬学的有効量」という用語は、所望の治療及び/又は予防効果を達成するのに十分な量、例えば、疾患、状態、及び/又はその症状(複数可)の予防をもたらす量を指す。治療的又は予防的適用の文脈では、対象に投与される組成物の量は、疾患の種類及び重症度、並びに一般的な健康状態、年齢、性別、体重及び組成薬物に対する耐性などの対象の特徴に依存するであろう。疾患又は状態の程度、重症度及び種類にも依存するであろう。当業者は、これらの因子及び他の因子に応じて適切な投薬量を決定することができるであろう。いくつかの実施形態では、複数用量が投与される。追加的又は代替的に、いくつかの実施形態では、複数の治療用組成物又は化合物(例えば、細菌株を単独で、又はカルビドパ・レボドパ、アマンタジン、プラミペキソール、ロピニロール、ロチゴチン、アポモルフィン、セレギリン、ラサギリン、サフィナミド、エンタカポン、オピカポン、ベンツトロピン、トリヘキシフェニジルなどの追加の活性薬剤と組み合わせて含む医薬組成物)が投与される。本明細書に記載される方法では、本技術の細菌株(複数可)、又はその芽胞を含む組成物は、振戦、筋強剛、緩慢な動作、姿勢とバランスの悪さ、発話変化、微細運動技能での苦労、認知変化(例えば、注意力、計画性、記憶力、認知症の困難)、消化器系障害(便秘など)、早期満腹感、過度の発汗、疲労、脂漏性皮膚炎、幻覚及び妄想、起立性低血圧、嗅覚又は味覚の喪失、気分障害(うつ病、不安、無関心、及び過敏性など)、睡眠障害(不眠、日中の過度の眠気、レム睡眠行動障害、鮮明な夢、及びレストレスレッグス症候群など)、視覚障害(特にものを近くで読もうとするとき)、及び体重減少を含むがこれらに限定されない、パーキンソン病の1つ以上の徴候、症状、又はリスク因子を有する対象に投与され得る。例えば、本技術の組成物の「治療有効量」は、パーキンソン病の1つ以上の徴候、症状、又はリスク因子の存在、頻度、又は重症度が、少なくとも、改善されるレベルを含む。いくつかの実施形態では、治療有効量は、パーキンソン病の生理学的影響、及び/又はパーキンソン病のリスク因子、及び/又はパーキンソン病を発症する可能性を低減又は改善する。いくつかの実施形態では、治療有効量は、複数回の投与によって達成される。いくつかの実施形態では、治療有効量は、単回投与で達成される。
【0037】
本明細書で使用される場合、「フリーズドライされた」又は「フリーズドライ」及び「凍結乾燥された」又は「凍結乾燥」という用語は、互換的に使用され、生成物を凍結させて真空下に置いた後に生成物から水を除去するプロセス及びそれから生成される生成物を指す。
【0038】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される担体及び/又は希釈剤」又は「薬学的に許容される賦形剤」は、溶媒、分散媒、コーティング剤、抗菌剤及び抗真菌剤、等張化剤及び吸収遅延剤などを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、薬学的に許容される担体は、多糖類、ローカストビーンガム、アニオン多糖類、デンプン、タンパク質、アスコルビン酸ナトリウム、グルタチオン、トレハロース、スクロース、又はペクチンを含む。いくつかの実施形態では、多糖類は、植物、動物、藻類、又は微生物多糖類を含む。いくつかの実施形態では、多糖類は、グアーガム、イヌリン、アミロース、キトサン、コンドロイチン硫酸、アルギン酸塩、又はデキストランを含む。いくつかの実施形態では、デンプンは、米デンプンを含む。生物学的な活性物質のためのそのような媒体及び薬剤の使用は、当該技術分野において周知である。賦形剤の更なる詳細を以下に提供する。抗菌薬、例えば抗真菌剤などの補助的活性成分も組成物に組み込むことができる。
【0039】
本明細書で使用する場合、「薬学的に許容される賦形剤」は、動物又はヒトに投与される場合に、有害な、アレルギー又はその他の都合の悪い反応を生じない物質及び組成物を指す。本明細書で使用される場合、この用語は、本発明の治療物質と不適切なネガティブ様式で反応しない全ての不活性で非毒性の、液体若しくは固体の充填剤、又は希釈剤、溶媒、分散媒、コーティング剤、抗菌剤及び抗真菌剤、等張化剤及び吸収遅延剤、保存剤など、例えば、液体医薬担体、例えば、滅菌水、生理食塩水、糖溶液、Tris緩衝剤、エタノール及び/又は特定の油を含む。
【0040】
本明細書で使用される場合、「プロバイオティクス」は、対象に有益な予防及び/又は治療効果を与えるために投与される対象の一過性又は内因性細菌叢の構成要素を含む細菌を指す。プロバイオティクスは、当業者により一般に安全であることが知られている。いくつかの実施形態では、「プロバイオティクス」には、「生きている生物学的製剤製品」が含まれる。
【0041】
本明細書で使用される場合、障害又は状態を「予防」「予防する」又は「予防すること」は、統計的試料において、未治療の対照と比較して、治療対象/試料における障害若しくは状態の発生若しくは再発の低減を指すか、又は未治療の対照と比較して、障害若しくは状態の1つ以上の症状の発症を遅らせることを指す。
【0042】
本明細書で使用される場合、「対象」及び「患者」という用語は、互換的に使用される。いくつかの実施形態では、対象は、動物対象である。いくつかの実施形態では、動物対象は、哺乳動物である。いくつかの実施形態では、哺乳動物対象は、ヒトである。
【0043】
本明細書で使用される場合、「同時」投与という用語は、同じ経路で、同時に、又は実質的に同時に、少なくとも2つの薬剤を投与することを指す。
【0044】
本明細書で使用される場合、「別個の」投与という用語は、異なる経路で、同時に又は実質的に同時に少なくとも2つの薬剤を投与することを指す。
【0045】
本明細書で使用される場合、「連続」投与という用語は、異なる時間における少なくとも2つの薬剤の投与を指し、投与経路は同一であるか、又は異なる。より具体的には、連続使用とは、他の薬剤(複数可)の投与が開始される前の、ある薬剤の全投与を指す。したがって、薬剤のうちの1つを数分、数時間、又は数日間にわたって投与してから、別の薬剤を投与することが可能である。
【0046】
「相乗的治療効果」は、少なくとも2つの治療剤の組み合わせによってもたらされ、薬剤の個々の投与から得られるであろう効果を超える、相加治療効果を上回る治療効果を指す。例えば、本技術の細菌株をパーキンソン病の治療のための他の薬剤と併用することは、相加的な治療効果よりも大きな治療効果をもたらし得る。いくつかの実施形態では、相乗効果により、本技術の細菌株及び/又は他の薬剤の、それぞれが単独で使用された場合に必要とされるよりも低用量の使用が可能になり得る。
【0047】
疾患又は障害の「治療すること」、「治療する」、「治療した」、又は「治療」は、(i)疾患若しくは障害を阻害すること、すなわち、その発症を阻止すること、(ii)疾患若しくは障害を軽減すること、すなわち、その退行を引き起こすこと、(iii)障害の進行を遅らせること、及び/又は(iv)疾患若しくは障害の1つ以上の症状の進行を阻害、軽減、若しくは遅らせること、を含む。
【0048】
記載されるような医学的疾患及び状態の治療又は予防の様々な様式は、「実質的な」を意味することを意図しており、これは、全治療又は予防だけでなく、全治療又は予防に満たないものも含み、いくつかの生物学的又は医学的に関連する結果が達成されることを理解されたい。
【0049】
II.パーキンソン病
パーキンソン病は神経系の進行性疾患であり、主に運動に影響を及ぼす。動作の遅さ、振戦、こわばり、及び姿勢の不安定などの運動症状に加えて、患者はパーキンソン病に関連する他の健康上の問題を発症する可能性がある。これらの症状は多様であり、総称して非運動症状と呼ばれる。パーキンソン病は、主に、運動を制御する中脳におけるドーパミン産生ニューロンの死滅又は障害を特徴とするが、ノルエピネフリン産生の全体的な喪失も存在する。
【0050】
初期の症状には、軽度の振戦が含まれ、手足で頻繁に、手指で多くみられる。症状は通常、体の片側に現れ、その後全身に広がる。時間の経過とともに、症状が悪化する可能性があり、多くの場合、筋強剛、緩慢な動作、姿勢とバランスの悪さ、発話変化、及び微細運動技能での苦労などが含まれる。パーキンソン病患者では、多様な一連の非運動症状のうちの1つ以上が発症する場合がある。これらの非運動症状には、認知変化(例えば、注意力、計画性、記憶力、認知症の困難)、消化器系障害(便秘など)早期満腹感、過度の発汗、疲労、脂漏性皮膚炎、幻覚及び妄想、起立性低血圧、嗅覚又は味覚の喪失、気分障害(うつ病、不安、無関心、及び過敏性など)、睡眠障害(不眠症、日中の過度の眠気、レム睡眠行動障害、鮮明な夢、及びレストレスレッグス症候群など)、視力障害(特にものを近くで読もうとするとき)、及び体重減少が含まれるが、これらに限定されない。パーキンソン病の診断のための特別な検査はなく、診断は通常、疾患症状に対する神経学的検査及び身体的検査を介して行われる。MRI及び脳超音波などの他の状態の検査を、同様の症状を呈する他の状態を排除するために使用できる。軽度又は初期の症例の診断には、時間とともに症状の変化を評価できる神経科医による複数回のフォローアップの予約が必要な場合がある。あるいは、カルビドパ・レボドパなどのパーキンソン病薬による一時的な治療は、診断ツールとして使用することができ、症状の大幅な改善により、パーキンソン病の診断が確認される。
【0051】
パーキンソン病は現在の治療法では治癒できないが、薬は症状を制御するのに役立つ。多くの場合、治療はドーパミンの代替として作用するか、又は脳内のドーパミン産生を増加させる。最も効果的な治療のうちの1つであるカルビドパ・レボドパは、ドーパミンに変換される前に血液脳関門を通過するプロドラッグである。アマンタジンは、パーキンソン病の初期の軽度の症状を治療するために使用することができ、不随意運動などのカルビドパ・レボドパの副作用を抑えるためにも使用することができる。プラミペキソール、ロピニロール、ロチゴチン、及びアポモルフィンを含む、ドーパミンの効果を模倣するドーパミン作動薬もまた一般的に使用される。治療の別の種類としては、ドーパミン分解酵素を標的とする阻害剤が挙げられ、例えば、セレギリン、ラサギリン、及びサフィナミド、これらは全てモノアミンオキシダーゼBを阻害し、並びにエンタカポン及びオピカポン、これらはいずれもカテコールo-メチルトランスフェラーゼを阻害する。ベンツトロピン及びトリヘキシフェニジルなどの抗コリン作動薬は、副作用による振戦制御のために処方されることは稀であるが、依然として入手可能である。進行したパーキンソン病の場合、又は薬物反応が不安定な患者の場合、医師は、埋め込み電極を用いた深部脳刺激手術を使用して、電気パルスを介して症状を治療することができる。
【0052】
いくつかの実施形態では、本技術は、パーキンソン病に関連する1つ以上のリスク因子、徴候、又は症状の重症度を低減することを含む、パーキンソン病の治療又は予防のための方法及び組成物を提供する。いくつかの実施形態では、組成物は、株ART24及び/若しくはART12、又はそれらの芽胞を含む。
【0053】
III.ART24及びART12
本開示の技術は、パーキンソン病を治療又は予防するためのART24株及び/若しくはART12株、又はそれらの芽胞の使用に関する。ART24は、NCIMB受託番号43088によって特徴付けられる細菌株、若しくはその芽胞、又はその株を含む組成物を指す。ART12は、NCIMB受託番号43087で寄託されている細菌株、若しくはその芽胞、又はその株を含む組成物を指す。
【0054】
いくつかの実施形態では、本発明の技術の細菌株(複数可)又はその芽胞は、パーキンソン病を治療又は予防するための方法及び組成物で使用される。いくつかの実施形態では、細菌株(複数可)は、パーキンソン病を予防又は制御するためのプロバイオティクスを含む。いくつかの実施形態では、本技術の組成物は、栄養細菌細胞を含む。いくつかの実施形態では、本技術の組成物は、細菌芽胞を含む。いくつかの実施形態では、本技術の組成物は、栄養細菌細胞及び細菌芽胞の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、本技術の組成物は、物理的に破壊又は溶解されたART24及び/又はART12の細菌株を含む。いくつかの実施形態では、本技術の組成物は、溶解されたART24及び/又はART12の細菌の単離画分を含む。
【0055】
いくつかの実施形態では、本技術の細菌株(複数可)又はその芽胞は、パーキンソン病の治療又は予防を必要とする対象におけるパーキンソン病を治療又は予防するための方法及び食用製品組成物で使用される。いくつかの実施形態では、細菌株は、パーキンソン病の予防又は制御を必要とする対象におけるパーキンソン病を予防又は制御するための栄養補助食品を構成する。
【0056】
IV.治療及び予防方法
以下の考察は単に例として提示され、限定することを意図しない。
【0057】
本技術の一態様には、パーキンソン病を有すると診断された対象、パーキンソン病を有する疑いがある対象、又はパーキンソン病を有するリスクがある対象におけるパーキンソン病を治療又は予防する方法が含まれる。治療用途において、ART24及び/若しくはART12細菌株、又はそれらの芽胞を含む組成物あるいは医薬は、そのような疾患の疑いがあるか、又はそのような疾患に既に罹患している対象(例えば、パーキンソン病の1つ以上の徴候又は症状を呈する対象など)に、その疾患の合併症及びその疾患の発症における中間の病理学的表現型を含む、疾患の徴候若しくは症状を治癒するか、又は少なくとも部分的に阻止させるのに十分な量で投与される。
【0058】
パーキンソン病に罹患している対象は、当該技術分野において既知の診断又は予後アッセイのいずれか又は組み合わせによって特定され得る。例えば、パーキンソン病の典型的な症状には、振戦、筋強剛、緩慢な動作、姿勢とバランスの悪さ、発話変化、微細運動技能での苦労、認知変化(例えば、注意力、計画性、記憶力、認知症の困難)、消化器系障害(便秘など)、早期満腹感、過度の発汗、疲労、脂漏性皮膚炎、幻覚及び妄想、起立性低血圧、嗅覚又は味覚の喪失、気分障害(うつ病、不安、無関心、及び過敏性など)、睡眠障害(不眠、日中の過度の眠気、レム睡眠行動障害、鮮明な夢、及びレストレスレッグス症候群など)、視覚障害(特にものを近くで読もうとするとき)、及び体重減少が含まれるがこれらに限定されない。
【0059】
いくつかの実施形態では、本技術の細菌株(複数可)、又はそれらの芽胞で治療されたパーキンソン病の対象は、以下の症状:振戦、筋強剛、緩慢な動作、姿勢とバランスの悪さ、発話変化、微細運動技能での苦労、認知変化(例えば、注意力、計画性、記憶力、認知症の困難)、消化器系障害(便秘など)、早期満腹感、過度の発汗、疲労、脂漏性皮膚炎、幻覚及び妄想、起立性低血圧、嗅覚又は味覚の喪失、気分障害(うつ病、不安、無関心、及び過敏性など)、睡眠障害(不眠、日中の過度の眠気、レム睡眠行動障害、鮮明な夢、及びレストレスレッグス症候群など)、視覚障害(特にものを近くで読もうとするとき)、及び体重減少、のうちの1つ以上の改善又は解消を示すであろう。
【0060】
一態様では、本技術は、パーキンソン病を有するリスクのある対象におけるパーキンソン病又はパーキンソン病の症状の発症を予防又は遅延させるための方法を提供する。いくつかの実施形態では、本技術の細菌株(複数可)は、栄養補助食品として有用な、腸管内に有益な細菌を再確立するために有用なプロバイオティクスとして製剤化される。いくつかの実施形態では、本技術の細菌株(複数可)は、製薬用途に有用な生きている生物学的製剤製品として製剤化される。いくつかの実施形態では、本技術の細菌株(複数可)は、製薬用途に有用な生きている生物学的製剤食用製品として製剤化される。
【0061】
V.投与様式及び有効投薬量
パーキンソン病を予防、改善、若しくは治療する、及び/又はパーキンソン病に関連する1つ以上のリスク因子、徴候、若しくは症状の重症度を低減するのに使用するための本技術の組成物には、栄養細胞及び/又は芽胞の形態で提供される、本技術による生きているプロバイオティクスのART24及び/又はART12の細菌が含まれる。いくつかの実施形態では、細菌株(複数可)は、凍結乾燥されている。本技術の組成物は、有効量(すなわち、所望の治療効果を有する量)で対象に投与される。用量及び投与レジメンは、疾患の程度、使用されるART24株及び/又はART12株の特性、例えば、その治療指数、対象、及び対象の病歴に依存するであろう。有効量は、前臨床試験及び臨床試験中に、医師及び臨床医によく知られている方法によって決定され得る。
【0062】
本技術の組成物は、食品に添加するために製剤化されてもよく、又は栄養補助食品として直接使用されてもよい。製剤は、芽胞の発芽及び/又は細菌の増殖を促進するための他のプロバイオティクス剤又は栄養素を更に含んでもよい。
【0063】
本技術の食用製品は、食品に添加するために製剤化されてもよく、又は栄養補助食品として直接使用されてもよい。いくつかの実施形態では、食用製品は、発酵食品、大豆、キノコ、緑豆、ローカスビーン、又は米を含む。いくつかの実施形態では、大豆は、発酵大豆又は発酵大豆ペーストである。製剤は、芽胞の発芽及び/又は細菌の増殖を促進するための他のプロバイオティクス剤又は栄養素を更に含んでもよい。
【0064】
本技術の組成物の追加の構成要素は、スクロース、アスコルビン酸ナトリウム、及びグルタチオンからなる群から選択される保存剤を含み得る。いくつかの実施形態では、保存剤は、ヌクレオチド、二糖類、ポリオール、及び多糖類からなる群から選択される抗凍結剤である。いくつかの実施形態では、抗凍結剤は、イノシン-5’-一リン酸(IMP)、グアノシン-5’-一リン酸(GMP)、アデノシン-5’-一リン酸(AMP)、ウラノシン-5’-一リン酸(UMP)、シチジン-5’-一リン酸(CMP)、アデニン、グアニン、ウラシル、シトシン、グアノシン、ウリジン、シチジン、ヒポキサンチン、キサンチン、オロチジン、チミジン、イノシン、トレハロース、マルトース、ラクトース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デキストリン、イヌリン、アスコルビン酸ナトリウム、グルタチオン、スキムミルク、及び抗凍結剤18からなる群から選択される。
【0065】
本明細書に記載のART24及び/又はART12の細菌株は、投与のために単独で又は組み合わせて医薬組成物に組み込むことができ、本明細書に記載の障害を治療又は予防するために、対象に与えることができる。そのような組成物は、典型的には、活性薬剤及び薬学的に許容される担体を含む。本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される担体」という用語は、薬剤投与に適合する、生理食塩水、溶媒、分散媒、コーティング剤、抗菌剤及び抗真菌剤、等張化剤、並びに吸収遅延剤などを含む。補助的な活性化合物を組成物に組み込むこともできる。担体は、粉末形態の製剤では、固体ベースの乾燥材料であってよく、液体又はゲル形態の製剤では、液体又はゲルベースの材料であってよく、その形態は、部分的には投与経路又は投与様式に依存する。いくつかの実施形態では、薬学的に許容される担体は、多糖類、ローカストビーンガム、アニオン多糖類、デンプン、タンパク質、アスコルビン酸ナトリウム、グルタチオン、トレハロース、スクロース、又はペクチンを含む。いくつかの実施形態では、多糖類は、植物、動物、藻類、又は微生物多糖類を含む。いくつかの実施形態では、多糖類は、グアーガム、イヌリン、アミロース、キトサン、コンドロイチン硫酸、アルギン酸塩、又はデキストランを含む。いくつかの実施形態では、デンプンは、米デンプンを含む。
【0066】
医薬組成物は、典型的には、その意図される投与経路と適合するように製剤化される。投与経路の例としては、腸管(例えば、経口、舌下、直腸)投与が挙げられる。治療用組成物は、様々な方法で、例えば、液体、粉末栄養補助食品、固形食品、包装食品、ウエハース、錠剤、トローチ、又はカプセル、例えば、ゼラチンカプセルなどで、経口投与に好適であるように製剤化することができる。いくつかの実施形態では、本技術の治療用組成物は、凍結乾燥されたART24及び/又はART12を含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥されたART24及び/又はART12は、カプセル化されている。治療用組成物は、様々な方法、例えば、座薬、液体浣腸剤、又はフォームでの直腸投与に好適であるように製剤化することができる。他の製剤は、当業者には容易に明らかであろう。pHは、塩酸又は水酸化ナトリウムなどの酸又は塩基で調整することができる。
【0067】
追加的又は代替的に、食用製品では、本技術の医薬組成物は、腸内(例えば、経口、舌下)投与のための健康補助食品、栄養補給食品組成物、食品添加物、食品組成物、バルクの食品組成物、バルクの食品添加物、医療用食品、又は特別な既定食用途のための食品として製剤化されてもよい。
【0068】
任意の治療剤の投薬量、毒性及び治療有効性は、細胞培養又は実験動物における標準的な薬学的手順によって決定することができる。細胞培養アッセイ及び動物試験から得られたデータは、ヒトに使用するための投薬量の範囲を策定する際に使用できる。そのような化合物の投薬量は、毒性がほとんど又はまったくないED50を含む血中濃度の範囲内であり得る。投薬量は、用いられる剤形及び利用される投与経路に応じて、この範囲内で変化し得る。本方法で使用されるいずれの化合物についても、治療有効用量は、細胞培養アッセイから最初に推定され得る。細胞培養で決定されるIC50(すなわち、症状の最大半量阻害を達成する試験化合物の濃度)を含む循環血漿濃度範囲を達成するように、動物モデルで用量を策定することができる。そのような情報は、ヒトにおける有用な用量を正確に決定するために使用できる。
【0069】
いくつかの実施形態では、全大豆及び/又は大豆ペーストなどの「食用製品」には、少なくとも約1×102コロニー形成単位(CFU)/mL~少なくとも約1×1010CFU/mLの範囲の、又はその間の任意の値の濃度のART24及び/又はART12が接種される。例えば、いくつかの実施形態では、食用製品には、少なくとも約1×103CFU/mL~少なくとも約1×1010CFU/mLのART24及び/又はART12、少なくとも約1×104CFU/mL~少なくとも約1×1010CFU/mLのART24及び/又はART12、少なくとも約1×105CFU/mL~少なくとも約1×1010CFU/mLのART24及び/又はART12、少なくとも約1×106CFU/mL~少なくとも約1×1010CFU/mLのART24及び/又はART12、少なくとも約1×107CFU/mL~少なくとも約1×1010CFU/mLのART24及び/又はART12、少なくとも約1×108CFU/mL~少なくとも約1×1010CFU/mLのART24及び/又はART12、少なくとも約1×109CFU/mL~少なくとも約1×1010CFU/mLのART24及び/又はART12が接種される。いくつかの実施形態では、食用製品には、少なくとも約6×108CFU/mLのART24及び/又はART12が接種される。いくつかの実施形態では、食用製品には、少なくとも約6×109CFU/mLのART24及び/又はART12が接種される。いくつかの実施形態では、食用製品には、少なくとも約1×104CFU/mLのART24及び/又はART12が接種される。いくつかの実施形態では、食用製品には、少なくとも約1×104CFU/mLのART24及び/又はART12が接種される。いくつかの実施形態では、食用製品には、少なくとも約1×106CFU/mLのART24及び/又はART12が接種される。いくつかの実施形態では、食用製品には、少なくとも約1×108CFU/mLのART24及び/又はART12が接種される。いくつかの実施形態では、食用製品には、少なくとも約1×109CFU/mLのART24及び/又はART12が接種される。
【0070】
いくつかの実施形態では、本技術の組成物は、104~1012個のコロニー形成単位(CFU)のART24細菌及び/又はART12細菌(すなわち、栄養細胞)又は細菌芽胞を含有する。いくつかの実施形態では、本技術の方法は、1日当たり約104~約1012個の生菌又は芽胞の投与を伴う。いくつかの実施形態では、本技術の組成物は、経口送達のために再懸濁されるか、又はカプセルに包装される、凍結乾燥された材料又は粉末として送達される。凍結乾燥された材料及びカプセルは、より良い腸溶性安定性のためにコーティングされ得る。
【0071】
例示的な治療レジメンは、1日に1回又は週に1回の投与を伴う。治療用途では、疾患の進行が低減若しくは終了するまで、又は対象が疾患の症状の部分的若しくは完全な改善を示すまで、比較的短い間隔で比較的高い投薬量が必要とされることがある。その後、対象は予防レジームを施すことができる。いくつかの実施形態では、本技術の組成物は、一定期間、又は対象が、原疾患から治癒したとみなされるまで、原疾患の再発のリスクがないとみなされるまで、若しくはその疾患のリスクがないとみなされるまで、1日に1回、2回、又は3回以上、対象に投与される。いくつかの実施形態では、本技術の組成物は、対象の残りの生涯にわたって、対象に投与され得る。いくつかの実施形態では、投与は、カルビドパ・レボドパ、アマンタジン、プラミペキソール、ロピニロール、ロチゴチン、アポモルフィン、セレギリン、ラサギリン、サフィナミド、エンタカポン、オピカポン、ベンツトロピン、トリヘキシフェニジルなどのパーキンソン病の治療のために当技術分野で既知の薬剤への短縮された曝露と組み合わされ、その後、一定期間、又は患者が、原疾患から治癒したとみなされるか、若しくは疾患の再発のリスクがないとみなされるまで、1日1回、2回、又は3回以上投与される。いくつかの実施形態では、予防方法は、本技術の組成物を、一定期間、又は患者が、パーキンソン病のリスクがあることが知られている患者の場合には、疾患を発症するリスクがないとみなされるまで、1日1回、2回、又は3回以上投与することを含む。
【0072】
当業者であれば、疾患又は障害の重症度、以前の治療、対象の一般的な健康状態及び/又は年齢、並びに存在する他の疾患を含むが、これらに限定されないある特定の因子が、対象を有効に治療するのに必要な投薬量及びタイミングに影響を及ぼし得ることを理解するであろう。更に、本明細書に記載の治療用組成物の治療有効量での対象の治療は、単回治療又は一連の治療を含み得る。
【0073】
VI.ART24及び/又はART12との併用療法
いくつかの実施形態では、本技術のART24及び/若しくはART12株、又はその芽胞は、パーキンソン病の予防又は治療のための1つ以上の追加の療法と組み合わせてもよい。追加の治療剤としては、カルビドパ・レボドパ、アマンタジン、プラミペキソール、ロピニロール、ロチゴチン、アポモルフィン、セレギリン、ラサギリン、サフィナミド、エンタカポン、オピカポン、ベンツトロピン、トリヘキシフェニジルからなる群から選択される1つ以上の追加の治療剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0074】
いくつかの実施形態では、追加の治療剤は、相乗的な治療効果が生じるように、本技術のART24及び/若しくはART12株、又はその芽胞と併せて対象に投与される。例えば、パーキンソン病の予防又は治療のための1つ以上の追加の治療剤とともにART24及び/又はART12を投与することは、疾患の予防又は治療において相加効果よりも大きな効果をもたらすであろう。
【0075】
いずれの場合でも、複数の治療剤は、任意の順序で、又は同時に投与され得る。同時にである場合、複数の治療剤は、単一の統合された形態で、又は複数の形態(単なる例として、単一の丸剤として、又は2つの別個の丸剤として)で提供され得る。治療剤のうちの1つは、複数用量で投与されてもよく、又は両方が複数用量として投与されてもよい。更に、組み合わせ方法、組成物、及び製剤は、2つの薬剤のみの使用に限定されるべきではない。
【実施例】
【0076】
以下の実施例は、例示のみを目的として提供され、限定を目的とするものではない。当業者は、本質的に同じ又は同様の結果をもたらすように変更又は修正され得る、様々な重要でないパラメータを容易に認識するであろう。例は、添付の特許請求の範囲によって定義されるように、本技術の範囲を限定するものとして決して解釈されるべきではない。
【0077】
実施例1:ART24は、パーキンソン病を治療又は予防するための方法に有効である。
動物モデル:
この実施例は、ART24がインビボマウスモデルにおけるパーキンソン病を治療又は予防するための方法において有効であることを実証している。
【0078】
序論
MPTPは、ヒト、非ヒト霊長類、及びマウスにおける特発性パーキンソン病(PD)の神経病理学的特徴の多くを引き起こす、強力で選択的な黒質線条体ドーパミン作動性神経毒である。マウスにおいて、MPTPは、黒質線条体ドーパミン作動性変性及び移動運動機能障害を引き起こす。ドーパミン作動性機能を増加させる、又はMPTPの神経毒性をブロックする薬物はまた、MPTPに関連する移動運動機能不全を軽減させ、パーキンソン病を治療するための臨床において有用である。更に、MPTP媒介性毒性は、この疾患におけるドーパミン作動性喪失に関連するメカニズムとの関係を有し得ることから、このモデルが、黒質線条体ドーパミン作動性喪失を遅らせる又は低減する薬剤を特定することにも潜在的に有用な可能性があることが示唆される。
【0079】
この試験は、MPTP誘発性PDモデルにおけるART24及びトレハロースの効果を試験するために実施された。
【0080】
実験手順
動物の説明:
・種:マウス
・系統:C57Bl/6
・動物の供給元:Charles River Labs
・年齢又は体重:8週齢
・性別雄
・無作為化動物を無作為に処置群に割り当てた。
・試験の盲検化:群の情報は科学者には知らされなかった。
【0081】
ハウジング及び給餌:
・順応/条件付け:
o試験前にMelior動物飼育施設で7日間
・ハウジング:
oマウスを12時間の明/暗サイクル(午前7時に点灯)で飼育した
o1ケージ当たり4匹以下のマウス
o換気ケージラックシステム
・食餌:
o標準的なげっ歯類飼料及び水を自由に摂取させる
【0082】
計画:
・投与経路(複数可):MPTP(1-メチル-4-フェニル-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン塩酸塩)及びビヒクルの場合はIP、ART24及びビヒクル(トレハロース)の場合はPO
・投与量(複数可):MPTPの場合は10mL/kg、ART24の場合は0.1mL
・製剤(複数可):MPTPの場合はPBS、ART24の場合は生理食塩水ベースの製剤
・用量レベル:MPTPの場合は20mg/kg、ART24の場合は20mg/kg
・投与頻度:MPTPの場合は4回(QD)、ART24の場合は11日間BID
・試験期間:11日間
・群数:4
・1群当たりの動物の数:13
・動物の総数:52匹(57匹の動物が試験に登録された)
【表1】
【0083】
方法
MPTPモデル。MPTPをリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中に製剤化し、20mg/kg(10mL/kgとして送達される2mg/mL)の用量で4日間QDでマウスに投与した。
【0084】
IHCのための組織解剖。試験終了時に、ランダムに選択された動物(n=3/群)をイソフルランで深く麻酔した。
・脳の採取:
o動物に、pH7.4のヘパリン(30u/ml)を含む氷冷PBSを心臓に灌流した。各動物に対して50mlのPBSを灌流した。
o50mlの20%PFAを灌流した。
o脳を慎重に摘出し、20%PFA溶液に移し、48時間固定した
o48時間後、脳をPBSに移し、IHCラボによって推奨されるように処置した。
【0085】
神経伝達物質の測定(DA及びDOPAC)。各10匹のマウスを麻酔し、心穿刺によりK2EDTAチューブに血液を採取した。脳を摘出し解剖した。吻側部分を解剖し、線条体を取り出した。線条体を凍結し、その後、ドーパミン及び代謝産物のレベルについて評価した。
【0086】
線条体を0.3M過塩素酸中で均質化した。得られた上清を、逆相HPLC-ECDによってモノアミンのレベルについて分析した。
【0087】
血漿のために血液を処理した。得られた血漿を、更なる分析のために瞬間凍結した。
【0088】
データ分析。事後フィッシャーのLSD多重比較検定を用いた二元配置反復測定分散分析を使用してデータを分析した。生データも、ROUT法(Q=1%)を使用して外れ値についても分析した。GraphPad Prism9をデータ分析及び表示に使用した。
【0089】
結果
図1A及び1Bに示されるように、MPTPによる処置は、生理食塩水/ビヒクル処置動物と比較して、線条体におけるドーパミン及びDOPAC含有量の有意な枯渇を引き起こした。また、
図1A及び1Bに示されるように、ART24による処置は、生理食塩水/MPTP投与動物と比較して、ドーパミン(
図1A)及びDOPAC(
図1B)濃度に有意な(P<0.05)効果をもたらした。トレハロースによる処置は、実験エンドポイントに有意な効果をもたらさなかった(
図1A及び1B)。
【0090】
したがって、これらの結果は、ART24が、パーキンソン病の予防、パーキンソン病のリスクの低減、又はパーキンソン病の治療を必要とする対象における、パーキンソン病を予防する、パーキンソン病のリスクを低減する、又はパーキンソン病を治療するための方法において有効であることを実証している。
【0091】
ヒト対象
パーキンソン病を有すると診断された、又はパーキンソン病を有する疑いがある、現在パーキンソン病の1つ以上の症状及び/又は病状を示すヒト対象は、当該技術分野において既知であり、受け入れられている選択基準を使用して募集される。
【0092】
予防及び治療の方法
対象は、疾患の病期及び重症度に見合った投薬量及び頻度でART24を投与される。いくつかの実施形態では、ART24は、1日1回、週1回、又は月1回投与される。いくつかの実施形態では、ART24は、毎日、毎週、又は毎月複数回投与される。
【0093】
ヒトにおける予防及び治療の方法を実証するために、対象は、パーキンソン病の症状及び/又は病状の発症前又は発症後にART24を投与され、当該技術分野で既知の方法を使用して、症状/病状の好転又は予想される症状/病状の軽減について評価される。
【0094】
結果
ART24は、ヒト対象におけるパーキンソン病の症状及び/又は病状の悪化を阻害することが期待されている。これらの結果は、ART24がこのような障害の予防及び治療に有用かつ有効であることを示すであろう。
【0095】
実施例2:ART24は、パーキンソン病の動物モデルの線条体における炎症マーカーを低減させるための方法において有効である。
この実施例は、インビボ動物モデルにおけるパーキンソン病の動物モデルの線条体の炎症マーカーを低減させるための方法においてART24が有効であることを予言的に実証している。
【0096】
方法
脳の調製。マウスは、次の3つの処置条件のうちの1つに曝露される:(1)PBS及び生理食塩水の陰性対照、(2)線条体炎症に対するMPTP及び生理食塩水の陽性対照、並びに(3)線条体におけるART24の抗炎症作用をアッセイするためのMPTP及び被験物質(「TA」=ART24)条件。マウスを安楽死させ、脳を採取する。マウスの脳を、ブレインスライサーを使用して2mmの部分にスライスし、各部分を1つのブロックに埋め込み、領域(線条体)が確実に捕捉されるようにする。組織プロセッサを使用してこれらの切片を脱水し、パラフィンで浸透させ、すぐにカセットに埋め込み、ミクロトームを使用して5μmの切片を切断し、スーパーフロストプラススライドに取り付ける。
【0097】
免疫標識及び画像化。5μm厚の脳切片を60℃で1時間焼き、次いでエタノールによる段階的な勾配で再水和する。次に、切片はIba1+ミクログリア及びGFAPを標識するためにIHCを受け、最初に、0.2%PBST中の6%ロバ血清で1時間ブロックし、続いて、ヤギ抗Iba1(1:250、Abcam)及びマウス抗GFAP(1:200、Thermo Fisher)で1時間インキュベーションし、ロバ抗ヤギAF488及びロバ抗マウスAF555(1:500、Thermo Fisher)を使用する1時間の二次抗体インキュベーションを受ける。核染色にはDAPI(1:4000)を使用し、スライドを、1×PBS中の90%グリセロールでカバースリップする。スライドは、Leica Versa8スライドイメージャを使用して画像化され、2つのチャネル(405nmのDAPI及び488nmのIba1及び555nmのGFAP)にわたって40倍の倍率(0.1625μm/ピクセル)で露光される。
【0098】
細胞の計数及び定量化。脳スライスからのIba1及びGFAP蛍光の画像は、バックグラウンドから差し引かれ、セグメント化されて二値画像に変換され、手動で描かれた線条体内の細胞をカウントする。Iba1及びGFAPは、PDのMPTPモデルにおいて増加することが知られている炎症のマーカーである。各試料について、密度値は、1つの脳を表すためにそれらの切片数全体で平均化され、その後、その群の差が、他の試料間で測定される。統計分析では、群間の差の有意性を評価するために、一元配置分散分析が、事後分析のためのテューキーの多重比較検定と併せて実行される。
【0099】
結果
これらの結果は、ART24によるマウスの処置により、パーキンソン病のモデルにおいて増加することが知られているIba1及びGFAPなどの炎症のマーカーを低減させることを示すことが予測される。したがって、これらの結果は、ART24が、パーキンソン病の予防、パーキンソン病のリスクの低減、又はパーキンソン病の治療を必要とする対象における、パーキンソン病を予防する、パーキンソン病のリスクを低減する、又はパーキンソン病を治療するための方法において有効であることを示すであろう。
【0100】
実施例3:ART24は、EFSA抗生物質感受性ガイドライン内にあり、病原性因子又は病原性島を含まない
表2に示されるように、ART24は、欧州食品安全機関(EFSA)のガイドライン内にある。記載されている抗菌薬の最小阻害濃度(MIC)は、μg/mLで表される。EFSA試験推奨事項に従った追加の試験を、凍結乾燥したART24ロットCO-33-10A2及びCO-33-12A2、並びにResearch and Master Cell BanksのCO-33-ART24 BHI及びCO-33-ART24 SYDで実行し、それらの結果を表3に示す。
【表2】
N=6からの平均結果。*プレート内の最低濃度では増殖しない。
【表3】
a利用可能な場合、CLSI M45(2015)ブレークポイント基準を使用したカテゴリ解釈。カナマイシン及びストレプトマイシンのMIC解釈は、欧州食品安全機関のカットオフ値(2012)を使用した。
【0101】
簡単に説明すると、ART24の3~5コロニーの材料を選択し、4mLのMRDに懸濁して、約1×108CFU/mLの細胞濃度を得た。この懸濁液から46μLを、10%BHIブロスを含有する90%Iso-Sensitestブロス(CM0473、Oxoid)23mLに移し、最終接種濃度5×105CFU/mLで終了した。既製の96ウェルプレートのウェルを、100μLの最終懸濁液で満たした。プレートを、AeraSeal(A9224、Sigma Aldrich)シーリングフィルムでシールした(好気性バチルスの増殖を促進するため)。次いで、プレートを37℃で24時間インキュベートした。結果は、目に見える増殖を阻害する抗生物質の最低濃度として24時間後に記録される。抗生物質アンピシリン、バンコマイシン、ゲンタマイシン、カナマイシン、ストレプトマイシン、エリスロマイシン、クリンダマイシン、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、ネオマイシン、ペニシリン、キヌプリスチン・ダルホプリスチン、リネゾリド、トリメトプリム、シプロフロキサシン及びリファンピシンを含む既製パネルVetMIC Lact-1及びLact-2(SVA、Uppsala、スウェーデン)を使用した。
【0102】
本技術の菌株に抗生物質耐性が存在しないため、抗生物質耐性の水平転移のリスクが排除される。
【0103】
更に、毒素を産生する既知のバチルス種などとのKEGG、RAST SEED Viewer、IslandViewer4、及びACT比較で行われた検索では、本技術のART24株のゲノムに病原性因子又は病原性島は明らかにされなかった。したがって、これらの結果は、共生生物及び/又は病原体に対する耐性を付与する傾向がないという点で、この菌株のプロバイオティクスの安全性を実証している。
【0104】
実施例4:ART24を保存するためのフリーズドライ(凍結乾燥)
この実施例は、菌株がフリーズドライ(又は凍結乾燥)される組成物及び方法において、ART24が有用であることを実証している。
【0105】
2xSG芽胞形成培地:Difco栄養ブロス16.0g/L;KCl、2.0g/L;MgSO4.7H2O、0.5g/L。pHを7.0に調整し、オートクレーブする。オートクレーブ処理及び冷却後、1MのCa(NO3)2.4H2O、1.0ml/L;0.1MのMnCl2.4H2O、1.0ml/L;1mMのFeSO4.7H2O、1.0ml/L;50%(w/v)のグルコース、2.0ml/Lを添加する。
【0106】
芽胞の調製方法:ART24の新鮮なコロニーからの細胞を50mlのBHI(1.10493.0500、Merck)培地に接種する。200rpmで振とう(オービタルプラットフォームシェーカー)しながら、37℃で24時間フラスコ内で好気的に増殖させる。適切な容器中で1Lの2xSG培地に1/200で希釈し、200rpmで振とうしながら37℃で増殖させる。光学顕微鏡を使用して、試料の芽胞を毎日確認する。位相差顕微鏡が理想的である。2~3日後、集団の>90%が芽胞形成するはずである。可能であれば、温度を低く保ちながら、遠心分離機で20分間9000rpmで細胞をペレット化し、そうでない場合、少量の場合はベンチトップ遠心分離機で十分である。芽胞を氷冷水で2~3回洗浄して遠心分離し、残留栄養素を除去し、残りの栄養細胞を溶解する。芽胞ペレットを10mg/mlのリゾチーム溶液中に再懸濁し、37℃で1時間振とうしながらインキュベートする。芽胞を氷冷水で4~6回洗浄して遠心分離し、残留栄養素を除去し、残りの栄養細胞を溶解する。VirTis Advantage Wizard凍結乾燥機で24時間かけて3mlアリコートの芽胞をフリーズドライし、長期保存では、密封されたフリーズドライバイアル中で室温で保存する。
【0107】
模擬胃液は、37.3g/LのKCl、68g/LのKH
2PO
4、84g/LのNaHCO
3、117g/LのNaCl、30.5g/Lの(NH
4)CO
3、44.1g/LのCaCl
2、及び2mLの20,000U/mL溶液を含み、Infogest COST actionによって概説されたSGFに基づいて調製した。
図2に示すように、ART24の芽胞は、模擬胃液に曝露されても生存する。
【0108】
表4に示すように、ART24の芽胞は、凍結乾燥及び再懸濁後に100%生存率を達成する。
【0109】
細胞の堅牢性を試験するために、菌株をフリーズドライした。簡単に説明すると、ART24の一晩培養物を当技術分野で既知の方法に従って増殖させ、15%w/vトレハロース溶液中に再懸濁した。細胞計数を実行した。
【0110】
培養物を22時間フリーズドライさせ、その後、失われた水の等量に再懸濁した。細胞計数を実行した。表4は、生存率の結果を示す。
【表4】
【0111】
したがって、これらの結果は、菌株がフリーズドライ(又は凍結乾燥)される組成物及び方法において、ART24が有用であることを実証している。
【0112】
実施例5:中脳培養におけるリポ多糖類(LPS)によって誘発される損傷に対するART24の神経保護効果。
この実施例は、ART24が中脳ニューロンに対して神経保護効果を有し、パーキンソン病を治療又は予防するための方法に有用であることを実証している。
【0113】
方法
表5は、この実施例の実験計画を概説している。
【表5】
【0114】
このプロトコルは、3つの独立した培養物で実行した。各培養物について、各条件を、12日目(LPS後5日目)の測定については6連で、8日目の測定については3連で実行した。各プレートは、実験を検証するための3つのタイプの対照を含有した:ビヒクルで処置された対照条件(損傷なし)、ビヒクルで処置されたLPS条件、及び陽性対照(例えば、デキサメタゾン)で処置されたLPS条件。
【0115】
試験条件。DMSO中に再懸濁された細菌のART24抽出物:
・IPA:細菌ペレットのイソプロピルアルコール抽出物をストックの次の希釈率で抽出する:1:2500X。
【0116】
読み取り。
・LPS損傷及び化合物による処置の24時間後の読み取り値:TNF-α、IL-1β
・LPS損傷及び化合物による処置の5日後の読み取り値:チロシンヒドロキシラーゼ(TH)陽性ニューロン(ドーパミン作動性ニューロン)のパーセンテージ。
【0117】
結果
図3A、3B、及び3Cに示されるように、ART24でニューロン及びグリア細胞からなる中脳ニューロン培養物を処置すると、それぞれ、LPS単独処置群と比較して、TNF-αレベルを低減させ、IL-1βレベルを低減させ、TH陽性ニューロンを増加させた。
【0118】
これらの結果は、ART24の神経保護効果を実証している。したがって、これらの結果は、ART24がパーキンソン病を治療又は予防するための方法に有用であることを実証している。
【0119】
実施例6:ART24は、インビボゼブラフィッシュモデルにおけるパーキンソン病の治療又は予防のための方法に有効である。
この実施例は、ART24が、インビボゼブラフィッシュモデルにおけるパーキンソン病(PD)を治療又は予防するための方法に有効であることを実証している。この試験は、MPTP誘発性PDモデルにおけるART24の効果を試験するために実施された。
【0120】
方法
ゼブラフィッシュ仔魚に、水中でMPTP(250μM、受精後96~120時間)を投与する又は偽処置(DMSOのみ、n=22)した。ART24をMPTPに曝露した魚の水中に投与した(4×106CFU/mL、n=16)。移動を、10分間の暗闇/明るい光の交互からなる50分間の試験中に画像システムを用いて評価した。データを、MPTP処置と比較した一元配置分散分析とそれに続くダネット検定により分析した。
【0121】
結果
移動運動活動分析。
図4A及び4Bに示されるように、MPTP処置したゼブラフィッシュ仔魚は、総運動移動距離を有意に低減させ(偽の24%、p<0.001)、これはART24によって軽減された(偽の61%、p<0.001)。
【0122】
結論
ART24による処置により、MPTPゼブラフィッシュモデルにおける運動移動の改善をもたらした(
図4A及び4B)。したがって、これらの結果は、ART24が、パーキンソン病の予防、パーキンソン病のリスクの低減、又はパーキンソン病の治療を必要とする対象における、パーキンソン病を予防する、パーキンソン病のリスクを低減する、又はパーキンソン病を治療するための方法において有効であることを実証している。
【0123】
実施例7:ART24及びART12は、MPTP誘発性パーキンソン病のインビボマウスモデルにおけるパーキンソン病を治療又は予防するための方法に有効である。
この実施例は、ART24及びART12が、インビボマウスモデルにおけるパーキンソン病を治療又は予防するための方法に有効であることを実証している。
【0124】
実験手順
動物の説明:
・種:マウス
・系統:C57Bl/6
・動物の供給元:Charles River Labs
・年齢又は体重:8週齢
・性別雄
・無作為化動物を無作為に処置群に割り当てた。
・試験の盲検化:試験は盲検化されなかった。
【0125】
ハウジング及び給餌:
・順応/条件付け:
o5日以上
・ハウジング
oマウスを12時間の明/暗サイクル(午前7時に点灯)で飼育した
o1ケージ当たり3匹以下のマウス
o換気ケージラックシステム
・食餌:
o標準的なげっ歯類飼料及び水を自由に摂取させる
【0126】
計画:
・投与経路(複数可):MPTP(1-メチル-4-フェニル-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン塩酸塩)及びビヒクルの場合はIP、ART24及びART12、並びにビヒクル(トレハロース)の場合はPO
・投与量(複数可):MPTPの場合は10mL/kg、ART24及びART12の場合は0.1mL
・製剤化(複数可):MPTPの場合はPBS、ART24及びART12の場合は生理食塩水ベースの製剤化
・用量レベル:MPTPの場合は20mg/kg、ART24及びART12の場合は5x10
8CFU/用量
・投与頻度:MPTPの場合は4回(QD)、ART24及びART12の場合は10日間BID
・試験期間:10日間
・群数:4
・1群当たりの動物の数:15
・動物の総数:60
【表6】
【0127】
方法
MPTPモデル。MPTPをリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中に製剤化し、20mg/kg(10mL/kgとして送達される2mg/mL)の用量で4日間QDでマウスにIP投与した。
【0128】
組織解剖。各群のマウスを麻酔し、心穿刺により血液を採取した。血漿のために血液を処理した。脳を解剖した。
【0129】
脳は半切除された。頭骨部分を解剖し、線条体を取り出した(左側と右側を別々に)。左及び右の線条体の重量を量り、別々のチューブに入れて凍結した。その後、右線条体を、ドーパミン及び代謝産物のレベルについて評価した。左の線条体を別のチューブに採取し、凍結した。左線条体試料を全トランスクリプトーム分析(RNAseq)のために送った。簡単に説明すると、mRNAを単離し、cDNAライブラリーを構築して配列決定し、生成物をマウス参照ゲノムにマッピングした。遺伝子発現定量化を行い、差次的発現分析を行った。経路又は疾患状態に関連する遺伝子群を同定するために、エンリッチメント分析を実行した。盲腸内容物を別のチューブに採取し、凍結した。
【0130】
結腸を洗い流し、近位及び遠位部分に分割し、計量し、瞬間凍結した。近位試料を全トランスクリプトーム分析(RNAseq)のために送った。簡単に説明すると、mRNAを単離し、cDNAライブラリーを構築して配列決定し、生成物をマウス参照ゲノムにマッピングした。遺伝子発現定量化を行い、差次的発現分析を行った。経路又は疾患状態に関連する遺伝子群を同定するために、エンリッチメント分析を実行した。小腸を洗い流し、十二指腸と回腸の領域に分けて、計量し、瞬間凍結した。肝臓を採取し、瞬間凍結した。
【0131】
初回のMPTP投与後6日目に、全てのマウスから無菌的に糞塊を採取した。採取のために、マウスを滅菌表面(滅菌手術用パッド)に置き、滅菌器具を使用して糞便(少なくとも3個のペレット)を無菌チューブに採取した。
【0132】
ドーパミン及び代謝産物並びにHVA分析。マウスを麻酔し、心穿刺によりK2EDTAチューブに血液を採取した。脳を摘出し解剖した。吻側部分を解剖し、線条体を取り出した。左及び右線条体を別々に凍結し、その後、右線条体をドーパミン及び代謝産物のレベルについて評価した。線条体を0.3M過塩素酸中で均質化した。得られた上清を、逆相HPLC-ECDによってモノアミンのレベルについて分析した。血漿のために血液を処理した。得られた血漿を、更なる分析のために瞬間凍結した。
【0133】
データ分析。フィッシャーのLSD事後検定を用いた一元配置分散分析を使用して、データを分析した。生データも、ROUT法(Q=1%)を使用して外れ値についても分析した。GraphPad Prism9をデータ分析及び表示に使用した。
【0134】
結果
図5に示されるように、ART24及びART12の両方は、生理食塩水/MPTP投与マウスと比較して、マウスの線条体におけるドーパミン代謝産物ホモバニル酸(HVA)レベルを有意に増加させる。
図8A~8Cに示されるように、ART12によるMPTP投与マウスの処置は、線状体組織(ART12)及び結腸組織(ART12及びART24)におけるパーキンソン病遺伝子発現(KEGG分類)を増加させ、パーキンソン病に関連する経路における遺伝子発現の刺激を示した。
【0135】
したがって、これらの結果は、ART24及びART12が、パーキンソン病の予防、パーキンソン病のリスクの低減、又はパーキンソン病の治療を必要とする対象における、パーキンソン病を予防する、パーキンソン病のリスクを低減する、又はパーキンソン病を治療する方法において有効であることを実証している。
【0136】
実施例8:ゼブラフィッシュアルファ-シヌクレインパーキンソン病モデルにおけるドーパミン作動性ニューロンに対するART24の効果。
この実験の目的は、ART24の純粋な凍結乾燥培養物で処置したゼブラフィッシュ仔魚における変異SNCA遺伝子の過剰発現によって誘発される、結核領域におけるドーパミン作動性ニューロンの喪失の救済を評価することであった。この実施例は、ART24がインビボゼブラフィッシュモデルにおけるパーキンソン病を治療又は予防するための方法に有効であることを実証している。
【0137】
序論
この試験では、アルファ-シヌクレイン遺伝子(SNCA遺伝子)を過剰発現するトランスジェニックゼブラフィッシュ系統:Tg(L5c13Nestin:GFP-2A-SNCAmut)を、パーキンソン病(PD)のモデルとして、使用した。この系統は、ネスチンプロモーターを介してニューロンの前駆細胞においてヒトアルファ-シヌクレインWT-EGFPを発現する。アルファ-シヌクレイン(SNCA)は、シナプス小胞の輸送及びその後の神経伝達物質放出を調節すると考えられている神経タンパク質である。これらの神経伝達物質の1つは、ドーパミンであり、これは随意運動及び不随意運動の開始及び停止を制御するために重要である。PDに罹患しているヒトでは、最も一般的な変異の1つは、アルファ-シヌクレイン遺伝子の重複であり、これはアルファ-シヌクレインが有毒な機能獲得効果を有する可能性があることを示唆している。
【0138】
材料及び方法
材料。60X E3培地(2Lの場合:34.8g NaCl、1.6g KCl、5.8g CaCl
2・2H
2O、9.78g MgCl
2・6H
2O、pH=7.2(NaOH 1Mによる)、1xE3培地:1LのdH
2O中の60X E3ストック溶液の16.5mL)、クエン酸ナトリウム、SDS、ヤギ血清、Phusion DNAポリメラーゼ(F-530S、ThermoFisher)、PCRプライマー(IDT technologies)、PBST、Tween20(Sigma)、DIG-RNA標識キットT7(Roche)、ウシ血清アルブミン(BSA)、抗ジゴキシゲニン-AP Fab断片(Roche)、NBT(Sigma)、BCIP(Sigma)、メタノール(Merck)、プロテイナーゼK、PFA4%(Sigma)、20X SSC(Signma)、ホルムアミド(Sigma)。
【表7】
【0139】
試験システム。全ての実験は、実験モデルとしてゼブラフィッシュ(Danio rerio)胚を使用して実施した。
【0140】
ゼブラフィッシュのメンテナンス。成体Tg(L5c13Nestin:GFP-2A-SCNAmut)ゼブラフィッシュ及びその子孫を、14時間明期:10時間暗期(午前7時に点灯、午後9時に消灯)のサイクルで28~29℃に維持した。
【0141】
処置手順。最低72匹のTg(L5c13Nestin:GFP-2A-SCNAmut)ゼブラフィッシュ仔魚を72hpf~120hpfで、24時間ごとに培地交換しながら処置した。120hpfで、仔魚を4%PFAで固定し、インサイチュハイブリダイゼーションプロトコル(ISH)を進めた。
【0142】
リボプローブ合成及びインサイチュハイブリダイゼーション(ISH)。プローブのインビトロ転写は、RNA標識キット(Roche)を製造業者の指示に従い使用して行った。120hpfで脱コリオン処置した胚を、室温で1X PBS中の4%パラホルムアルデヒド中に4時間固定し、全組織標本インサイチュハイブリダイゼーションを、Thisse & Thisse.Nat Protoc.2008に記載されるように行った。
【0143】
画像化。ISH後、仔魚全体におけるチロシンヒドロキシラーゼ(TH)発現パターンを明視野立体鏡で画像化した。画像を、6つの異なるゾーン/クラスター(
図6A)において、ISHの発現についてFijiソフトウェアを用いて分析した。全体的な発現パターンを決定するために、各ゾーンの面積を計算した。各仔魚では、6つのゾーンからの全ての面積を合計し、対照群の平均面積に対して正規化した。クラスター1又は2においてTH発現を有しない仔魚には、更なる分析のために注釈を付けた。
【0144】
統計解析。対応のないT検定(ドーパミン作動性陽性ニューロンの面積)又はフィッシャーの正確検定(ニューロンクラスター1及び2が存在する仔魚のパーセンテージ)を使用して、統計分析を行った。
【0145】
結果
Tg(L5c13Nestin:GFP-2A-SNCAmut)ゼブラフィッシュ系統は、結核領域におけるドーパミン作動性ニューロンの喪失を救済しているかどうかを評価するために、4x10
6CFU/mLのART24の純粋な凍結乾燥培養物で処置した。そこで、チロシンヒドロキシラーゼのインサイチュを実行し、結核領域におけるその発現面積を測定した。結果は、4x10
6CFU/mlのART24で処置したTg(L5c13Nestin:GFP-2A-SNCAmut)ゼブラフィッシュ仔魚が、TH発現を増加させたことを示す(
図6A)。更に、処置していないTg(L5c13Nestin:GFP-2A-SNCAmut)ゼブラフィッシュ仔魚の30%に存在するニューロン群1及び2(両側の視蓋前側クラスター)の喪失も、ART24による処置によって改善される(
図6B~6C)。両側の視蓋前側クラスターの喪失は、MPTP処置されたゼブラフィッシュ仔魚においても示されている(McKinley ET,et al.,Brain Res Mol Brain Res.2005)。
【0146】
結論
結果は、ART24が、ゼブラフィッシュ仔魚における変異SNCA遺伝子の過剰発現によって誘発される結核領域におけるドーパミン作動性ニューロンの喪失を救済できることを実証している。したがって、これらの結果は、ART24が、パーキンソン病の予防、パーキンソン病のリスクの低減、又はパーキンソン病の治療を必要とする対象における、パーキンソン病を予防する、パーキンソン病のリスクを低減する、又はパーキンソン病を治療する方法において有効であることを実証している。
【0147】
実施例9:パーキンソン病のMPTPゼブラフィッシュモデルにおける運動に対するART24及びART12株の有効性。
本実験の目的は、仔魚の移動運動評価によって、ゼブラフィッシュMPTPモデルにおけるパーキンソン病を治療又は予防するための方法におけるART24及びART12の有効性を決定することであった。
【0148】
材料及び方法
材料。60X E3培地(2Lの場合:34.8g NaCl、1.6g KCl、5.8g CaCl2・2H2O、9.78g MgCl2・6H2O、pH=7.2(NaOH 1Mによる)、1xE3培地:1LのdH2O中の60×E3ストック溶液の16.5mL)、MPTP(Thermo scientific、150687)、48ウェルプレート、EthoVision XT12ソフトウェア(Noldus Information Technologies、Wageningen,The Netherlands)、DanioVision(Noldus Information Technologies、Wageningen,The Netherlands)。
【0149】
試験システム。全ての実験は、実験モデルとしてゼブラフィッシュ(Danio rerio)胚を使用して実施した。
【0150】
ゼブラフィッシュのメンテナンス。成体の野生型ゼブラフィッシュ及びその子孫を、14時間明期:10時間暗期(午前7時に点灯、午後9時に消灯)のサイクルで28~29℃に維持した。
【0151】
行動学的試験プロトコル。ゼブラフィッシュ仔魚の移動運動は、Noldus Information Technologies、Wageningen,The NetherlandsのEthoVision XT12ソフトウェアとDanioVisionデバイスによって追跡及び分析された。このクローズドシステムは、循環水を備えるチャンバーの上に設置されたカメラと、28℃に設定された温度センサーで構成されている。プレート内の仔魚はチャンバー内に配置され、ソフトウェアによって制御される様々な刺激(明暗環境、タッピング、音)を提供できる。
【0152】
行動実験の24時間前に、48ウェルマイクロプレート中の個別化された仔魚を、DMSO(陰性対照)、250μMのMPTP(陽性対照)、及び250μMのMPTPで、4×10
6CFU/mLのART12又はART24と組み合わせて処置した。その後、明/暗の交互の標準的なプロトコルを実施した。50分(合計時間)を、明刺激及び暗刺激を変化させる10分の間隔に分割した(
図7A)。実験の終了時に、タッピング刺激(2分間隔で3回タップ)を加えて、驚愕応答を測定した(
図7A)。これは、処置条件にある仔魚が、重度の運動ニューロン変化による異なる明暗刺激に応答しない可能性を排除するために追加された有用な内部実験対照である。
【0153】
統計解析.統計分析は、一元配置分散分析と、それに続くテューキーの多重比較検定を使用して行われる。
【0154】
結果
成体の野生型魚を交配し、子孫を受精後4日(dpf)まで維持した。4dpfで、仔魚を48ウェルプレートに個体別にプレーティング後、処置した。処置の24時間後(5dpf)、仔魚をDanioVisionチャンバー内に入れ、そこで所定の一連の交互の暗環境及び明環境を提示して仔魚の移動運動を評価した。結果を
図7B~7Cに要約する。
【0155】
結論
図7B~7Cに示されるように、ART24又はART12による処置は、ゼブラフィッシュパーキンソン病MPTPモデルにおける移動運動を陰性対照(DMSO)に類似するレベルまで救済する。したがって、これらの結果は、ART24及びART12が、パーキンソン病の予防、パーキンソン病のリスクの低減、又はパーキンソン病の治療を必要とする対象における、パーキンソン病を予防する、パーキンソン病のリスクを低減する、又はパーキンソン病を治療する方法において有効であることを実証する。
【0156】
生物学的寄託
出願人は、寄託された微生物のサンプルを、出願人が承認した専門家のみが利用できるようにすることを要求する。
【0157】
Bacillus amyloliquefaciens株ART24は、National Collection of Industrial Food and Marine Bacteria(NCIMB Ltd.)(国際寄託当局)、Ferguson Building、Craibstone Estate、Bucksburn、Aberdeen、AB21 9YA、スコットランドに、2018年6月21日にNCIMB受託番号43088で寄託された。
【0158】
Bacillus amyloliquefaciens株ART12は、National Collection of Industrial Food and Marine Bacteria(NCIMB Ltd.)(国際寄託当局)、Ferguson Building、Craibstone Estate、Bucksburn、Aberdeen、AB21 9YA、スコットランドに、2018年6月21日にNCIMB受託番号43087で寄託された。
【0159】
寄託は、特許手続を目的とした微生物の寄託の国際承認に関するブダペスト条約に従って行われた。
【0160】
均等物
本技術は、本出願に記載される特定の実施形態に関して限定されるものではなく、これは本技術の個々の態様の単一の例示として意図される。当業者に明白であろうように、本技術の多くの修飾及び変形は、その趣旨及び範囲から逸脱することなく行うことができる。本明細書に列挙されるものに加えて、本技術の範囲内の機能的に等価な方法及び装置は、前述の説明から当業者には明白であろう。かかる修正及び変形は、添付の特許請求の範囲内に入ることを意図する。本技術は、添付の特許請求の範囲が権利を有する均等物の全範囲とともに、その添付の特許請求の範囲の条件によってのみ限定されるべきである。本技術は、特定の方法、試薬、化合物組成物、又は生物学的システムに限定されず、これは、もちろん、変動し得ることが理解されるべきである。本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的とし、限定することが意図されないことも理解されるべきである。
【0161】
上記明細書で言及される各々の刊行物及び特許は、全ての目的のために、参照により、その全体が本明細書に組み込まれる。本技術の記載される生成物及びシステムの様々な改変例及び変形例は、本開示の範囲及び趣旨から逸脱することなく、当業者には明らかであろう。本技術を特定の実施形態に関連して説明してきたが、特許請求される技術は、そのような特定の実施形態に過度に限定されるべきではない。実際、当技術分野及びそれに関連する分野の当業者には明らかである、本技術を実施するために記載されたモードの様々な修正は、以下の特許請求の範囲内であることが意図される。
【国際調査報告】