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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】空気圧式圧着工具
(51)【国際特許分類】
   H01R 43/048 20060101AFI20240829BHJP
【FI】
H01R43/048 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024514659
(86)(22)【出願日】2022-09-06
(85)【翻訳文提出日】2024-04-26
(86)【国際出願番号】 EP2022074766
(87)【国際公開番号】W WO2023036785
(87)【国際公開日】2023-03-16
(31)【優先権主張番号】102021123085.3
(32)【優先日】2021-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520054666
【氏名又は名称】ツォラー ウント フレーリッヒ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】ZOLLER & FROEHLICH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】シュトルップ、フロリアン
(72)【発明者】
【氏名】フレーリッヒ、クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】ハーティンガー、シュテフェン
【テーマコード(参考)】
5E063
【Fターム(参考)】
5E063CC04
5E063CD02
5E063CD15
(57)【要約】
圧着軸を有する空気圧式圧着工具を開示しており、圧着軸に沿ってコンタクトおよびケーブル端部を圧着開口部に導入することができ、複数のパンチを圧着軸に対して半径方向に圧着開口部に導入することができる。圧着軸を取り囲む調整ホイールが設けられており、半径方向の圧着深さは、調整ホイールを回転させることによって調整可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気圧式圧着工具であって、
圧着開口部(1)を有しており、圧着開口部(1)を圧着軸(28)が貫通しており、圧着軸(28)に沿ってコンタクトおよびケーブル端部が圧着開口部(1)に挿入可能であり、圧着のための少なくとも2つのパンチ(10)が、圧着軸(28)に対して半径方向に加えられる圧着力で圧着開口部(1)内に移動可能である、空気圧式圧着工具において、
圧着軸(28)を取り囲む調整ホイール(3)を備えており、調整ホイール(3)を回転させることによって圧着深さが調整可能であることを特徴とする、空気圧式圧着工具。
【請求項2】
前記調整ホイール(3)の前面には、圧着深さを示す目盛(24)が付いていることを特徴とする、請求項1に記載の空気圧式圧着工具。
【請求項3】
前記調整ホイール(3)が、雄ねじを介して圧着軸(28)に沿って位置決め可能であるとともに、圧着深さを制限するための停止部(3a)を有しており、前記雄ねじが、少なくとも部分的に円筒形のハウジング(30)または前記ハウジングに固定された外輪(14)の雌ねじに係合することを特徴とする、請求項1または2に記載の空気圧式圧着工具。
【請求項4】
前記外輪(3)の外周には、圧着深さを示すための追加の目盛(4)が付いていることを特徴とする、請求項3に記載の空気圧式圧着工具。
【請求項5】
圧着軸(28)に沿って前記停止部(3a)まで移動可能なリング状の圧着コーン(13)を備えており、前記パンチ(10)が、圧着コーン(13)の円錐形の内周面を介して前記圧着開口部(1)内に移動可能であることを特徴とする、請求項3または4に記載の空気圧式圧着工具。
【請求項6】
前記圧着コーン(13)が、前記圧着パンチ(10)のローラ(38)用の走行面(40)、好ましくは平坦で鋭角に傾斜した走行面(40)を有することを特徴とする、請求項5に記載の空気圧式圧着工具。
【請求項7】
前記圧着コーン(13)が、前記外輪(14)または前記少なくとも部分的に円筒形のハウジング(30)内に案内されることを特徴とする、請求項5または6に記載の空気圧式圧着工具。
【請求項8】
複動式空気圧シリンダ(12)を有することを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の空気圧式圧着工具。
【請求項9】
前記外輪(14)が、少なくとも2つのテンションロッド(19)を介して前記空気圧シリンダ(12)に直接または間接的に取り付けられていることを特徴とする、請求項3~7のいずれか一項に記載の空気圧式圧着工具。
【請求項10】
交換可能なコンタクト停止部(2)を有することを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の空気圧式圧着工具。
【請求項11】
前記交換可能なコンタクト停止部(2)の収容部を覆うための、ばね付勢された保護フラップ(8)を有することを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の空気圧式圧着工具。
【請求項12】
前記パンチ(10)が交換可能であるか、またはパンチガイド(11)が前記パンチ(10)と交換可能であることを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の空気圧式圧着工具。
【請求項13】
前記調整ホイール(3)の内側に少なくとも部分的に配置されるとともに、少なくとも1つの磁石(15)によって圧着軸(28)の方向において半径方向に固定される2つの保持ジョー(5)を有することを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の空気圧式圧着工具。
【請求項14】
前記保持ジョー(5)が、それぞれのガイドピボット(5a)を介して、好ましくは半径方向に、軸方向に、および外側輪郭を介して案内されることを特徴とする、請求項13に記載の空気圧式圧着工具。
【請求項15】
少なくとも部分的に前記調整ホイール(3)の内側に配置されるとともに、それぞれのコンタクトを受け入れるための、圧着軸(28)に平行に整列された通路凹部を含むコンタクトマガジン(6)を有することを特徴とする、請求項1~14のいずれか一項に記載の空気圧式圧着工具。
【請求項16】
前記通路凹部が、圧着軸(28)に対して垂直に延在する直線状の列に整列されており、前記コンタクトマガジン(6)が、案内されるように前記列に沿って手動で移動可能であることを特徴とする、請求項15に記載の空気圧式圧着工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部分に記載の空気式圧着装置または空気式圧着工具に関する。
【背景技術】
【0002】
圧着装置またはクリンパは、機械的および電気的接続を確立するために、剥離された電気ケーブルの端部にコンタクト要素(以下、コンタクトと呼ぶ)を取り付けるために使用される。この目的のために、剥離されたケーブル端部またはワイヤストランドは、いわゆる圧着軸に沿ってコンタクトのソケット状部分の開口部に挿入され、その後、ソケット状部分は、半径方向に一緒に押圧されて圧着軸を形成し、それによって再成形される。これにより、開口部が小さくなり、ワイヤストランドが圧着される。
【0003】
本明細書では、「ソケット状部分」という用語は、例えば長手方向に溝があるような、周方向に完全に閉じていないソケット状の部分も指す。これは、圧着工程で減少したり、完全に閉じられたりすることもある。
【0004】
完全に手動で操作されるクリンパが知られている。例えば、(特許文献1)は、圧着軸に対して半径方向内向きにコンタクトに向かって移動する4つのパンチを備えた手動圧着プライヤを示している。圧着深さ、すなわちパンチの半径方向経路を調整するために使用することができる調整ホイールが示されている。調整ホイールの回転軸は、圧着軸に対して接線方向に配置される。
【0005】
空気圧式圧着工具は従来から知られており、手持ち式装置としても構成されている。つまり、空気圧式圧着工具を片方の手で持ち、もう片方の手で、コンタクトが緩く取り付けられた圧着すべきケーブル端部を個別に送る。
【0006】
本明細書では、「空気圧式圧着工具」という用語は、コンタクトのソケット状部分を形成するためのエネルギー供給が、加圧流体(通常は安価な圧縮空気)用の少なくとも1つの端子のみを介して提供される半自動圧着装置を指す。このような空気圧式圧着工具には電気駆動装置がない。
【0007】
また、装置技術的にさらに複雑な、足部またはフレームを備えた空気圧式圧着工具が知られており、圧着工程中に作業者が両手を自由に使えるように、テーブルまたは作業台の上に置くことができる。そのような空気圧式圧着工具は、例えば、インターネット上の(非特許文献1)、(非特許文献2)および(非特許文献3)に示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】独国特許出願公開第10060165号明細書
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】https://www.dmctools.com/oscar/catalogue/wa23_3606
【非特許文献2】https://www.rennsteig.us/products/crimping-tools/multi-indent-pneumatic-crimping-tools
【非特許文献3】https://www.buydeutsch.com/collections/crimpers/products/hdp-400
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述した従来技術の空気圧式圧着工具の欠点は、圧着深さ、すなわちパンチの半径方向の送り動作の調整が困難であるか、または調整ができないことである。
これを考慮して、本発明の目的は、圧着深さの調整が容易な空気圧式圧着工具を開発することである。
【0011】
この目的は、請求項1の特徴を有する空気圧式圧着工具によって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のさらなる有利な実施形態は、従属請求項に記載されている。
請求項に記載の空気圧式圧着工具は、圧着開口部を有しており、圧着開口部を通って圧着軸が延在しており、圧着軸に沿ってコンタクトと剥離されたケーブル端部が圧着開口部に挿入される。次に、圧着工程が行われ、この工程では、圧着用の少なくとも2つのパンチ、好ましくは4つのパンチを、圧着軸に対して半径方向に加えられた圧着力で圧着開口部に移動させる。本発明によれば、圧着軸を取り囲む調整ホイールが設けられており、調整ホイールを回転させることによって圧着深さを調整することができる。
【0013】
本発明による空気圧式圧着工具は、調整ホイールが圧着軸を同心状に取り囲むと、圧着軸の周りで調整ホイールを回転させることによって圧着深さを調整することができるため、装置技術的に単純であるとともに視覚的に好ましい。
【0014】
調整ホイールの前面に圧着深さを示す回転目盛が付いていると特に読み取りやすい。
本発明による空気圧式圧着工具は、中心軸が圧着軸である少なくとも部分的に円筒形のハウジングを有する場合、装置技術的に単純であるとともに視覚的に好ましい。
【0015】
調整ホイールは、好ましくは、雄ねじを介して圧着軸に沿って位置決め可能であり、圧着深さを制限するための停止部を有しており、これは間接的にパンチの半径方向経路を制限する。雄ねじは、少なくとも部分的に円筒形のハウジングまたはハウジングに固定された外輪の雌ねじに係合する。
【0016】
調整ホイールを位置決め後に固定するために、調整ホイールの円周上にローレットねじ(例えば3つ)が配置されると特に好ましい。
外輪の外周には、圧着深さを表示するための追加の固定目盛を取り付けることができる。
【0017】
好ましくは、調整ホイールを固定するために、係止用シートが外輪またはハウジングに取り付けられる。これにより、調整ホイールのねじが完全に外れて調整ホイールが脱落するのを防ぐことができる。
【0018】
特に好ましいさらなる発展形態では、リング状の圧着コーンが設けられ、この圧着コーンは、圧着工程の間、調整ホイールに形成された停止部まで圧着軸に沿って空気圧で移動可能である。パンチは、好ましくは圧着パンチのローラ用の平坦で鋭角の走行面を有する圧着コーンの円錐形の内周面を介して、圧着軸に対して半径方向に圧着開口部に移動させられる。圧着コーンの内周面の勾配が小さいほど、圧着コーンにかかる所与の力に対するパンチの圧着力は高くなる。
【0019】
本発明の1つの変形例では、圧着コーンは内周面に沿って突き合わされており、好ましくはパンチ上に形成されたローラは、摩擦が最適化された案内および調整が保証されるように、コーン角度に従って傾斜した好ましくは平坦な走行面上で案内される。
【0020】
装置技術的には、圧着コーンが外輪または少なくとも部分的に円筒形のハウジングに案内されていれば簡単である。
好ましくは、本発明による空気圧式圧着工具は、複動式空気圧シリンダを有する。これが差動シリンダである場合、そのピストンクラウン室はパンチの閉鎖方向に、その環状室はパンチの開放方向に、好ましくは圧着コーンに作用することができる。
【0021】
空気圧シリンダと圧着コーンの軸方向および角度オフセットのために、空気圧シリンダのピストンは、好ましくは補償要素を介して圧着コーンに接続される。
調整ホイールが外輪にねじ込まれているとき、外輪は、少なくとも2つの、好ましくは3つのテンションロッドを介して空気圧シリンダに直接または間接的に取り付けられることが好ましい。外輪は、圧着工程で圧着コーンが調整ホイールの停止部に達したときに、調整ホイールを支持する。
【0022】
本発明による空気圧式圧着工具が交換可能なコンタクト停止部を有する場合は特に好ましい。これにより、圧着位置を調整することができる。
好ましくは、コンタクト停止部は、圧着工程中のコンタクトの線膨張を補償するために、圧着軸に沿ってばねにより挿入方向に対して付勢される。
【0023】
コンタクト停止部が設けられていない場合には、ばね付勢された保護フラップによってパンチへの接近を阻止することができる。
パンチが交換可能であるか、パンチガイドがパンチと交換可能であることが特に好ましい。これにより、圧着形状を適合させることができる。
【0024】
任意の実施形態では、少なくとも部分的に調整ホイールの内側に配置されるとともに、少なくとも1つの磁石を介して圧着軸の方向に半径方向に、したがって互いに内側に圧着される2つの保持ジョーが設けられる。これにより、コンタクトとワイヤストランドとを相互に関連して中央に配置することが可能になる。
【0025】
好ましくは、保持ジョーは、少なくとも1つの磁石の力に抗して再び開くことができるように、挿入方向に対して向けられた突出部または肩、例えばハンドルエッジを有する。
好ましくは、保持ジョーはそれぞれの案内ピボットを介して半径方向に案内される。案内ピボットは、保持ジョーが半径方向、軸方向および/または外側輪郭を介して案内ピボットの円周方向にも案内されるように構成することができる。保持ジョーの任意選択の構成では、案内ピボットは、例えばそれぞれのホルダとねじを介して、取り外し可能に固定される。
【0026】
別の任意選択の実施形態では、少なくとも部分的に調整ホイールの内側に配置されるとともに、それぞれのコンタクトを受け入れるための圧着軸に平行に整列された通路凹部を有するコンタクトマガジンが設けられる。これにより、取り扱いが向上し、本発明による空気圧式圧着工具の生産性を高めることができる。
【0027】
好ましくは、通路凹部は、圧着軸に対して垂直に延びる直線状の列に配置され、コンタクトマガジンは、列に沿って手動で移動可能である。これは、取扱いをさらに向上させることができ、本発明による空気圧式圧着工具の生産性を高めることができる。
【0028】
コンタクトマガジンは、通路凹部からの距離に対応する段付きラッチ装置が設けられていると、個々の圧着工程間で特に迅速かつ正確に移動させることができる。段付きラッチ装置は、ボール圧力ねじおよびコンタクトマガジン上の対応する輪郭によって形成することができる。
【0029】
本発明による空気圧式圧着工具の好ましい実施形態では、前述の2つの選択肢、すなわち保持ジョーおよびコンタクトマガジンは、互いに交互に取り付けることができる。
目盛の付いた調整ホイールと外輪とハウジングとが、圧着開口部および圧着軸と同心であることが、装置技術上および視覚上の理由から特に好ましい。さらに、パンチガイドと空気圧シリンダと圧着コーンと補償要素も、圧着開口部および圧着軸と同心であってもよい。
【0030】
ローレットねじが調整ホイールの円周上に均等に配置されていることが、装置技術上および視覚上の理由から特に好ましい。
テンションロッドが調整ホイールと空気圧シリンダの円周上に均等に配置されていることが、装置技術上の理由から特に好ましい。
【0031】
請求項に記載の空気圧式圧着工具は、卓上装置として構成されるため、好ましくは足部を有する。足部に対する圧着軸の傾斜は、調整装置を介して調整可能である。調整装置は、好ましくは調整ねじであり、この調整ねじを介して、下側ハウジング部分と足部との間の距離を変更することができる。
【0032】
本発明による空気圧式圧着工具の構成例を図面に示す。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明による空気圧式圧着工具の構成例の一部を正面図で示す。
図2図1の空気圧式圧着工具の側面図を示す。
図3】ハウジングのない図1の空気圧式圧着工具の側面図を示す。
図4図1の空気圧式圧着工具の長手方向断面図を示す。
図5a】第1の選択肢を備えた空気圧式圧着工具の正面図を示す。
図5b図5aの第1の選択肢を備えた空気圧式圧着工具の一部を斜視図で示す。
図6】第2の選択肢を備えた空気圧式圧着工具の一部を斜視図で示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1は、本発明による空気圧式圧着工具の構成例の一部を正面図で示す。空気圧式圧着工具は、圧着形態「4インデント」および「4/8インデント」に従って、予め剥離されたケーブル端部に、緩く曲げられたコンタクト(断面0.08mm~2.5mm)を圧着する。(コンタクトおよびケーブル端部は図示されていない。)
コンタクトは、いわゆる圧着軸(例えば、図2に示す)に沿って圧着開口部1に個々に供給され、圧着軸は図1の描画平面に垂直な方向に向いている。コンタクトは、交換可能なコンタクト停止部2によって半径方向および長手方向において中央に配置される。より正確には、個々のコンタクトは半径方向の中央にあり、コンタクト停止部2は、描画平面内への挿入方向においてコンタクトの停止部を形成している。剥離されたケーブル端部は、コンタクトのソケット状部分の開口部内に押し込まれ、次いで、圧着工程が空気圧スイッチ(この様式ではフットスイッチ、図示せず)によって開始される。圧着工程の後、圧着されたケーブル端部は取り除かれる。
【0035】
(半径方向の)圧着深さは、圧着開口部1と同心の調整ホイール3を使用して、0.001mmに手動で調整することができる。調整ホイール3は、ねじを介してハウジングに固定された外輪14に案内され、描画平面に対して垂直に位置決めされるか、または調整される。調整後、調整ホイールは3つのローレットねじ18で締め付けられる。圧着深さを調整するために、調整ホイール3には、円周方向に0~100(回転角度)の目盛24が表示されている。(外輪14に取り付けられた対応する読取マーカ26が図5aに示されている)。
【0036】
交換可能なコンタクト停止部2は、各コンタクト形状に対して設けられており、その内径と長さによって、コンタクトを半径方向および軸方向において中央に配置する。
ばね付勢された保護フラップ8は、コンタクト停止部2が取り付けられていない場合に圧着開口部に移動可能な半径方向パンチへの接近を防止する。
【0037】
図2は、図1の空気圧式圧着工具全体の側面図を示す。空気圧式圧着工具の高さおよびその圧着軸28の傾斜は、ヒンジを介して調整ねじ7によって調整可能である。調整ねじ7は、圧着軸28と同心の円筒形ハウジング30を空気圧式圧着工具の足部32に結合する。
【0038】
さらに、閉鎖方向に作用する空気圧接続部34および開放方向に作用する空気圧接続部36が、ハウジング30の凹部に配置される。
図3は、ハウジング30を除いた図2の空気圧式圧着工具の側面図を示す。2つの空気圧接続部34、36が空気圧シリンダ12上に配置されていることが分かる。空気圧シリンダ12は、空気圧シリンダ12の軸方向および角度オフセットのための補償要素21を介して圧着コーン13に結合されており、圧着コーン13は、ハウジングに固定された外輪14に対して圧着軸28に沿って移動することができる。
【0039】
圧着品質を最適化するために、パンチガイド(図4に示す)は、ねじ付きピン16を介して位置決め可能であり、ねじ付きピン16のうちの1つのみが図3および以下で説明する図5bに示されている。
【0040】
図4は、図1の空気圧式圧着工具を、足部32を除いた長手方向断面で示す。
パンチガイド11には、4つのパンチ10が案内されている。空気圧スイッチの作動により圧着工程が開始されると、空気圧シリンダ12のピストンが圧着コーン13を前方に(図2の左へ)押す。圧着コーン13の形状は、空気圧シリンダ12の圧着力の増大と、90度の方向転換(軸方向から半径方向内側へ)とをもたらす。これは、圧着コーン13の円錐形の内周面で起こる。パンチ10は、圧着開口部1内のコンタクトの周りを一緒に移動する。圧着コーン13は、外輪14内で案内される。テンションロッド19は、空気圧シリンダ12の圧着力を吸収する。
【0041】
図示の構成例では、走行面40a,40bに沿ってそれぞれ転動するローラ38a,38bが、図4のパンチ10の上端部および下端部に配置されている。これらの走行面40a、40bは、圧着コーン13の突き合わされた内周面42に沿って形成され、したがって、コーン角に従って角度が付けられる。
【0042】
空気圧スイッチが解除されると、空気圧シリンダ12は逆方向に作用し、パンチ10はそれぞれの半径方向ばねによって開かれる。
圧着深さは、調整ホイール3の停止部3aで圧着コーン13の送りを制限することで、調整ホイール3によって設定される。
【0043】
パンチ10を交換することにより、圧着形状を調整することができる。
コンタクト停止部2は、半径方向および長手方向においてコンタクトを中央に配置する。コンタクト停止部2は、圧着工程中のコンタクトの線形膨張を補償するために、ばね2aによって予め付勢されている。
【0044】
図5aは、回転可能な調整ホイール3の既に説明した目盛24を、固定された外輪14の読取マーカ26と共に示す。さらに、係止シート9を示しており、係止シート9は調整ホイール3のねじが完全に外れるのを防止する。
【0045】
図5aおよび5bは、圧着品質を向上させるための任意選択の保持ジョー5を示しており、保持ジョー5は、コンタクトとケーブル端部のワイヤストランドとを相互に関連して中央に配置する。
【0046】
図5bは、保持ジョー5が磁石15によって閉じられ、ハンドルエッジ17によって手動で開かれることを示している。保持ジョー5は、それぞれの固定円筒ピン5aによって案内される。
【0047】
図6を参照すると、外輪14の外周には、調整ホイール3の全回転数を8段階(図示の構成例ではA~Hの文字)で示す目盛4が軸方向に設けられている。(最初の3段階のみが図6に示されている)。
【0048】
図6は、取り扱いを向上させるための任意のコンタクトマガジン6を示している。コンタクトマガジン6は、各通路凹部に複数のコンタクトを保持し、圧着工程ごとに1回ずつ横方向に段階的に移動する。各コンタクトは、それぞれのケーブル端部を用いて圧着開口部1内に押し込まれる。コンタクトマガジン6が空の場合、再装填され、逆方向に段階的に移動する。この目的のために、コンタクトマガジン6には2つの側面を有する溝状のガイド20が設けられている。
【0049】
コンタクトマガジン6は、ガイド20の側面の一方に設けられたボール圧力ねじ22と、コンタクトマガジン6に設けられた係合用の対応する輪郭とを介して、段階的に移動することができる。
【0050】
コンタクト用の通路凹部の形状は、コンタクトのそれぞれの形状に適合しており、コンタクトマガジン6が交換可能であるのはそのためである。
開示された空気圧式圧着工具には電気部品はない。空気圧式圧着工具は圧着軸を有しており、圧着軸に沿ってコンタクトとケーブル端部が圧着開口部に挿入可能であり、複数のパンチが圧着軸に対して半径方向に圧着開口部に移動可能である。圧着軸を好ましくは同心状に取り囲む調整ホイールを備えており、半径方向の圧着深さは、調整ホイールを回転させることによって調整可能である。好ましくは、この目的のために調節ホイールに停止部が形成され、パンチの後退移動を間接的に制限する。
【符号の説明】
【0051】
1…圧着機、2…コンタクト停止部、2a…ばね、3…調整ホイール、3a…停止部、4…固定目盛、5…保持ジョー、5a…円筒ピン、6…コンタクトマガジン、7…調整ネジ、8…保護フラップ、9…係止シート、10…パンチ、11…パンチガイド、12…空気圧シリンダ、13…圧着コーン、14…外輪、15…磁石、16…ねじ付きピン、17…ハンドルエッジ、18…ローレットねじ、19…テンションロッド、20…ガイド、21…補償要素、22…ボール圧力ねじ、24…回転目盛、26…読取マーカ、28…圧着軸、30…ハウジング、32…足部、34…空気圧接続部、36…空気圧接続部、38…ローラ、40…走行面、42…内周面。
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図6
【手続補正書】
【提出日】2024-05-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気圧式圧着工具であって、
圧着開口部を有しており、圧着開口部を圧着軸が貫通しており、圧着軸に沿ってコンタクトおよびケーブル端部が圧着開口部に挿入可能であり、圧着のための少なくとも2つのパンチが、圧着軸に対して半径方向に加えられる圧着力で圧着開口部内に移動可能である、空気圧式圧着工具において、
圧着軸を取り囲む調整ホイールを備えており、調整ホイールを回転させることによって圧着深さが調整可能であることを特徴とする、空気圧式圧着工具。
【請求項2】
前記調整ホイールの前面には、圧着深さを示す目盛が付いていることを特徴とする、請求項1に記載の空気圧式圧着工具。
【請求項3】
前記調整ホイールが、雄ねじを介して圧着軸に沿って位置決め可能であるとともに、圧着深さを制限するための停止部を有しており、前記雄ねじが、少なくとも部分的に円筒形のハウジングまたは前記ハウジングに固定された外輪の雌ねじに係合することを特徴とする、請求項1に記載の空気圧式圧着工具。
【請求項4】
前記外輪の外周には、圧着深さを示すための追加の目盛が付いていることを特徴とする、請求項3に記載の空気圧式圧着工具。
【請求項5】
圧着軸に沿って前記停止部まで移動可能なリング状の圧着コーンを備えており、前記パンチが、圧着コーンの円錐形の内周面を介して前記圧着開口部内に移動可能であることを特徴とする、請求項3に記載の空気圧式圧着工具。
【請求項6】
前記圧着コーンが、前記パチのローラ用の走行面を有することを特徴とする、請求項5に記載の空気圧式圧着工具。
【請求項7】
前記圧着コーンが、前記外輪または前記少なくとも部分的に円筒形のハウジング内に案内されることを特徴とする、請求項5に記載の空気圧式圧着工具。
【請求項8】
複動式空気圧シリンダを有することを特徴とする、請求項~7のいずれか一項に記載の空気圧式圧着工具。
【請求項9】
前記外輪が、少なくとも2つのテンションロッドを介して前記空気圧シリンダに直接または間接的に取り付けられていることを特徴とする、請求項8に記載の空気圧式圧着工具。
【請求項10】
交換可能なコンタクト停止部を有することを特徴とする、請求項1に記載の空気圧式圧着工具。
【請求項11】
前記交換可能なコンタクト停止部の収容部を覆うための、ばね付勢された保護フラップを有することを特徴とする、請求項10に記載の空気圧式圧着工具。
【請求項12】
前記パンチが交換可能であるか、またはパンチガイドが前記パンチと交換可能であることを特徴とする、請求項1に記載の空気圧式圧着工具。
【請求項13】
前記調整ホイールの内側に少なくとも部分的に配置されるとともに、少なくとも1つの磁石によって圧着軸の方向において半径方向に固定される2つの保持ジョーを有することを特徴とする、請求項1に記載の空気圧式圧着工具。
【請求項14】
前記保持ジョーが、それぞれのガイドピボットを介して案内されることを特徴とする、請求項13に記載の空気圧式圧着工具。
【請求項15】
少なくとも部分的に前記調整ホイールの内側に配置されるとともに、それぞれのコンタクトを受け入れるための、圧着軸に平行に整列された通路凹部を含むコンタクトマガジンを有することを特徴とする、請求項1に記載の空気圧式圧着工具。
【請求項16】
前記通路凹部が、圧着軸に対して垂直に延在する直線状の列に整列されており、前記コンタクトマガジンが、案内されるように前記列に沿って手動で移動可能であることを特徴とする、請求項15に記載の空気圧式圧着工具。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部分に記載の空気式圧着装置または空気式圧着工具に関する。
【国際調査報告】