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特表2024-532555直接駆動で衝撃吸収性が改善された電磁アクチュエータ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】直接駆動で衝撃吸収性が改善された電磁アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/06 20060101AFI20240829BHJP
   H01F 7/16 20060101ALI20240829BHJP
   H01F 7/122 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
F16K31/06 305H
H01F7/16 D
H01F7/16 H
H01F7/122 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024514675
(86)(22)【出願日】2022-09-06
(85)【翻訳文提出日】2024-03-06
(86)【国際出願番号】 FR2022051684
(87)【国際公開番号】W WO2023031572
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】2109286
(32)【優先日】2021-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501377391
【氏名又は名称】ムービング マグネット テクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】フコ,アントワーヌ
【テーマコード(参考)】
3H106
5E048
【Fターム(参考)】
3H106DA07
3H106DB32
3H106DC14
3H106DD05
3H106EE20
3H106EE33
3H106GC08
5E048AA04
5E048AB01
5E048AC05
5E048AD02
5E048BA01
(57)【要約】
本発明は、不動作位置と動作位置との間で作動ヘッド(280)によって拡張される可動体(200)の移動を制御するための直接駆動電磁アクチュエータであって、当該アクチュエータが、外側ハウジング(100)を備える、直接駆動電磁アクチュエータに関する。可動体(200)は、・弾性手段と、・固定コイルと相互作用する強磁性材料と、を備える。アクチュエータは、当該可動体(200)の行程の少なくとも一部分にわたって当該ハウジング(100)に対して移動可能である衝撃吸収ブロック(220)を更に備え、当該弾性手段(210)の別の部分が、当該衝撃吸収ブロック(220)に接続された一端部(221)に接合され、当該衝撃吸収ブロック(220)の長さが、当該可動体(200)が当該動作位置にあるときに当該衝撃吸収ブロック(220)が圧縮されるように決定される。アクチュエータは、当該可動体(200)が当該動作位置にあるときに、可動体(200)の行程の少なくとも一部分にわたって移動可能であり、ハウジング(100)に固定された壁(105、235)と接触する、剛性橋台(203、256)を更に備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
不動作位置と動作位置との間で作動ヘッド(280)によって拡張される可動体(200)の移動を制御するための直接駆動電磁アクチュエータであって、前記アクチュエータが、外側ハウジング(100)を備え、
-前記可動体(200)が、
-固定体の一部分と前記作動ヘッド(280)に固定された部分との間に配設された弾性手段(210)であって、前記弾性手段(210)の一端部が、前記ハウジング(100)に固定された壁(105、235)を支持する、弾性手段(210)と、
-固定コイル(110)と相互作用して、前記弾性手段(210)が前記可動体(200)に及ぼす作用によってもたらされる力とは反対方向の力を生み出す強磁性材料であって、前記固定コイル(110)が、給電されたときに、前記可動体(200)を前記動作位置に移動させるように構成されている、強磁性材料と、を含み、
-前記アクチュエータが、前記可動体(200)の行程の少なくとも一部分にわたって、前記ハウジング(100)に対して移動可能である衝撃吸収ブロック(220)を更に備え、
-前記弾性手段(210)の別の部分が、前記衝撃吸収ブロック(220)に接続された一端部(221)に接合され、前記衝撃吸収ブロック(220)の長さが、前記可動体(200)が前記動作位置にあるときに前記衝撃吸収ブロック(220)が圧縮されるように決定され、
前記アクチュエータが、前記可動体(200)が前記動作位置にあるときに、前記可動体(200)の前記行程の少なくとも一部分にわたって移動可能であり、前記ハウジング(100)に固定された壁(105、235)と接触する、剛性橋台(203、256)を更に備えることを特徴とする、直接駆動電磁アクチュエータ。
【請求項2】
前記弾性復帰手段(210)が、前記衝撃吸収ブロック(220)の前記接続端部(221)の支持部を形成するインサート(250)によって分離された2つの隣接したばね(205、240)からなることを特徴とする、請求項1に記載の直接駆動電磁アクチュエータ。
【請求項3】
前記ばね(205、240)が、解放状態において、前記ばねのセクションよりも大きい内側セクションを有する前記可動体(200)の円筒形凹部(202)に配設されていることと、前記インサート(250)が、前記ばね(205、240)のうちの少なくとも1つを誘導するための肩部(251)と、前記衝撃吸収ブロック(220)の前記接続端部(221)の支持ゾーンと、を有することと、を特徴とする、請求項2に記載の直接駆動電磁アクチュエータ。
【請求項4】
前記衝撃吸収ブロック(220)が、前記可動体(200)の前記行程の少なくとも一部分にわたって移動可能である軸方向スタッド(255)に挿入されることを特徴とする、請求項2に記載の直接駆動電磁アクチュエータ。
【請求項5】
前記衝撃吸収ブロック(220)が、貫通孔を有し、前記動作位置が、前記軸方向スタッド(255)の前記剛性橋台(256)を管状スリーブ(230)の前記壁(235)に接触して配置することによって得られることを特徴とする、請求項4に記載の直接駆動電磁アクチュエータ。
【請求項6】
前記軸方向スタッド(255)が、前記インサート(250)の拡張部であることを特徴とする、請求項4に記載の直接駆動電磁アクチュエータ。
【請求項7】
組み立て作業中に、前記作動ヘッド(280)が、前記可動体(200)に固定された一部であることを特徴とする、請求項4に記載の直接駆動電磁アクチュエータ。
【請求項8】
前記軸方向スタッド(255)が、前記作動ヘッド(280)の拡張部であることを特徴とする、請求項7に記載の直接駆動電磁アクチュエータ。
【請求項9】
前記作動ヘッド(280)が、プラスチック材料からなることを特徴とする、請求項7又は8のいずれか一項に記載の直接駆動電磁アクチュエータ。
【請求項10】
前記剛性橋台(203、256)が、前記ハウジング(100)に固定された前記壁(105、235)に面している前記可動体(200)の端部であることを特徴とする、請求項1に記載の直接駆動電磁アクチュエータ。
【請求項11】
前記作動ヘッド(280)に最も近い前記ばね(240)の剛性が、第2の隣接したばね(205)の前記剛性よりも小さいことを特徴とする、請求項2に記載の直接駆動電磁アクチュエータ。
【請求項12】
前記衝撃吸収ブロック(220)が、前記弾性復帰手段(210)の剛性よりも大きい剛性の衝撃吸収ばねからなり、前記衝撃吸収ブロック(220)が、前記作動ヘッド(280)に最も近い前記弾性復帰手段(210)の前記端部を支持する接続端部を有する管状スリーブ(230)内に配設され、前記衝撃吸収ばねが、前記可動体が前記動作位置にあるときに、前記管状スリーブ(230)の前記壁(235)と前記可動体(200)の円筒形凹部(208)の肩部(206)との間で圧縮されることを特徴とする、請求項1に記載の直接駆動電磁アクチュエータ。
【請求項13】
前記可動体(200)が、直動することを特徴とする、請求項1に記載の直接駆動電磁アクチュエータ。
【請求項14】
前記可動体(200)が、回転することを特徴とする、請求項1に記載の直接駆動電磁アクチュエータ。
【請求項15】
前記可動体(200)が、前記コイル(110)の内側を移動することを特徴とする、請求項10に記載の直接駆動電磁アクチュエータ。
【請求項16】
前記コイル(110)と前記可動体(200)との間に環状磁石(111)が収容されていることを特徴とする、請求項11に記載の直接駆動電磁アクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、結合部材の主にオン/オフを制御するための直接駆動アクチュエータの分野に関するものであり、具体的には、流体流量を制御するために使用される、流体又はマイクロ流体用途の弁本体のダイヤフラムに関するものである。
【0002】
直接駆動アクチュエータの原理は、流体流量制御において周知であり、流体流路内のポート又は開口部は、電流によって制御されるシール、膜、又はダイヤフラムなどの閉鎖要素によって開閉しなければならない。
【0003】
かかるアクチュエータは、通常、磁束生成コイルの周りに巻回された磁気回路を備えており、磁性材料で作製されたピストンが、コイルを流れる電流の通過に応答して、磁気回路内の磁束の影響下で移動する。ピストンは、ピストンが磁気回路の内側を移動するときに流体流路内の開口部又はポートを開閉する閉鎖手段に機械的に結合されている。
【0004】
概して、弁は、電磁石の電源がオフになったときに閉じられ、電磁石の電源がオンになったときに開かれる。
【0005】
かかるアクチュエータは、アクチュエータ単独でピストンに及ぼされる力に加えて、ピストンの主軸に沿った軸方向力を提供して、開口部若しくはポートの開閉及び/又は弁の開閉位置への付勢を支援するために、1つ以上の圧縮ばねを組み込み得る。
【背景技術】
【0006】
米国特許出願公開第2018/116418号明細書は、最新技術において既知であり、ソレノイドコイルと、ソレノイドコイルによって生成された磁場に反応するように構成されコアを含むピストンと、弁ディスクと、を備え得る弁を説明している。弁ディスクは、コアの最前端部分に位置付けられ得、弁が閉じられるときの衝撃を吸収するように構成され得る。突起は、弁が開くときの衝撃を吸収するように位置付け及び構成することができる。弁は、空気ポンプとマットレスの膨張可能な空気チャンバとの間で流体連通する空気マットレスシステムにおいて使用することができる。
【0007】
また、国際公開第2016/096256号も既知であり、これは、弁システムであって、主弁(2)と、回転子によって弁システムの第1の圧力接続部を弁システムの第2の圧力接続部に接続するように作動させることができる閉鎖要素を含むパイロット弁と、を備える、弁システムについて説明している。回転子は、パイロット弁の閉鎖要素の反対側の一端部において、極性チューブ(25)と回転子(50)との間に張力が付与される回転子ばねシステム(80)の作用を受ける。この発明は、簡単な設計を有し、かつ製造が安価である弁システムを作成することを意図している。この目的のために、回転子ばねシステム(80)は、異なる程度の弾力剛性を呈する回転子の行程の少なくとも2つの部分(91、92)を表す。
【0008】
また、米国特許出願公開第2019/049037号明細書(A1)も既知であり、これは、第1のポートを第2のポートに接続する流路の流量を制御するためのソレノイド弁であって、変調器ブロックに設置された弁ハウジングと、弁ハウジングの内側に配設され、その軸方向に往復運動して作業流体の流量を調整するための電機子と、磁気コアと電機子との間に挿入されて、磁気コアの駆動力とは反対方向の弾発力を電機子に提供する、衝撃吸収部分を有する第1の弾性要素と、を備える、ソレノイド弁について説明している。
【0009】
先行技術の不利点
先行技術の解決策によって、及び特に米国特許出願公開第2018116418号明細書によってもたらされる問題は、開位置においてプランジャの位置があまり正確に定義されないことである。その位置は、橋台の摩耗、衝撃吸収器(バンパ)の弾性に依存し、これは、プランジャによって制御された弁の開口が不可能である、及びかかるアクチュエータを備えた弁の流量が一定でない、といった影響がある。これは、かかるアクチュエータによって制御される弁の流量の正確さ及び定常性の問題をもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
この欠点に対処するために、本発明は、その最も一般的な意味において、請求項1に記載される特徴部を呈するアクチュエータに関する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
他の特徴及び利点は、添付図面を参照しながら、単に例として与えられる以下の本発明の説明から明らかになるであろう。
図1】本発明によるアクチュエータの第1の種々の実施形態の断面図である。
図2】本発明によるアクチュエータの第2の種々の実施形態の断面図である。
図3a】可動体の異なる位置に関する、本発明によるアクチュエータの第3の種々の実施形態の断面図である。
図3b】可動体の異なる位置に関する、本発明によるアクチュエータの第3の種々の実施形態の他の断面図である。
図3c】可動体の異なる位置に関する、本発明によるアクチュエータの第3の種々の実施形態の他の断面図である。
図4a】可動体の異なる位置に関する、本発明によるアクチュエータの第4の種々の実施形態の断面図である。
図4b】可動体の異なる位置に関する、本発明によるアクチュエータの第4の種々の実施形態の他の断面図である。
図4c】可動体の異なる位置に関する、本発明によるアクチュエータの第4の種々の実施形態の他の断面図である。
図4d】可動体の異なる位置に関する、本発明によるアクチュエータの第4の種々の実施形態の他の断面図である。
図5】本発明によるアクチュエータの第5の種々の実施形態の断面図である。
図6図2、及び図3図4、又は図5に示される本発明によるアクチュエータの2つの種々の実施形態に関する力/位置曲線である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
第1の種々の実施形態
図1は、本発明によるリニアアクチュエータの第1の種々の実施形態を示めす。このリニアアクチュエータは、コネクタ(150)によって拡張された剛性筐体(100)からなる。コイル(110)は、2つの限度位置の間の可動体(200)の移動を制御し、当該可動体(200)は、ピン(215)を介して、制御される部材に結合することができる作動ヘッド(280)を駆動する。コイル(110)の所与のバルク及び固定供給電流に対するアクチュエータの力を増加させるために、コイル(110)と可動体(200)との間に磁石(111)が提供されている。それでもなお、当業者は、制限されない仕様の状況によっては、こうした高コストの磁石を省略することができる。可動体(200)は、相補的断面のスリーブ(120)によって誘導される。
【0013】
当該可動体(200)は、管形状と、弾性復帰手段(210)が位置付けられた円筒形凹部(202)と、を有し、可動体(200)を作動ヘッド(280)に向かって押す。したがって、不動作状態とも称される展開位置であるとき、及びコイル(100)の電源がオンではないとき、作動ヘッド(280)は、限度位置のうちの一方にあり、この場合は、不動作位置にある。コイルへの電流の印加は、コイルを流れる電流が十分である場合又は後退位置若しくは動作位置にある場合に他方の限界位置まで、弾性復帰手段(210)によって及ぼされる力に対抗することによって作動ヘッド(280)を駆動して、運動体(200)を反対方向に移動させる。コイル(110)への電力供給の遮断は、作動ヘッド(280)をその不動作位置又は展開位置へと復帰させる。
【0014】
可動体(200)の円筒形凹部(202)内には、衝撃吸収ブロック(220)も位置付けられている。この衝撃吸収ブロックは、弾性復帰手段(210)と同軸であり、また、フレア状のカラーによって形成され、作動ヘッド(280)側に位置付けられ、円筒形凹部(202)の底部を支持し、したがって、弾性復帰手段(210)の端部のうちの一方に接続された接続端部(221)を有する。衝撃吸収ブロック(220)の他端部(222)は、橋台、ここでは剛性筐体(100)に固定されたフランジの前壁(105)を支持して、同様に、ピン(215)を介して可動体(200)を誘導する役割を果たす。
【0015】
コイル(110)は、給電されたときに、弾性復帰手段(210)によって印加された力に対抗する力によって、可動体(200)を動作位置に引き寄せる。静止時にその未接続端部(222)が自由でありかつ壁(105)から離間されている衝撃吸収ブロック(220)は、当該壁(105)と接触し、次いで、行程の終了時に圧縮によって変形し、不要な音及び振動を防止する。後退した行程終了時の位置は、可動体(200)の剛性橋台(203)をカップ(106)と接触して配置することによって得られる。
【0016】
図1に示されるアクチュエータは、好ましい実施形態によれば、コイル(110)が給電されていないときに、作動ヘッド(280)が不動作位置に駆動される構成を組み込んでいる。しかしながら、当業者には、用途に応じて、作動ヘッド(280)の代わりに、又はそれに加えて、作動ヘッド(290)を、コイルが給電されていないときに後退位置を有する反対側に配置することは明らかである。
【0017】
第2の種々の実施形態
図2は、ダイヤフラム弁(300)への適用を意図したリニアアクチュエータの種々の実施形態を示めす。可動体(200)を拡張する作動ヘッド(280)は、一方では、ばねからなる弾性復帰手段(210)によって押されて、流体供給源ダクトを封止する、不動作位置と、他方では、電気コイル(110)に給電することによって制御されて、膜(図示せず)が弁(300)内の流体の流れを放出する、動作位置との間で、膜の移動を制御する。
【0018】
可動体(200)は、例えば、鋼で作製された、管状スリーブ(230)によって誘導され、また、作動ヘッド(280)の反対側の前面に開口して弾性復帰手段(210)を収容することを可能にする円筒形凹部(202)を有する。当該ばねと当該円筒形凹部(202)の外周との間の任意の摩擦を防止するために、可動体(200)の当該円筒形凹部(202)は、弾性復帰手段(210)が圧縮位置にあるときに、弾性復帰手段のセクションよりも大きいセクションを有する。作動ヘッド(280)側では、この凹部は、より小さいセクションの第2のセグメントによって拡張される。したがって、可動体(200)は、当該ばねの橋台を形成する環状肩部(206)を有する。弾性復帰手段(210)のばねの他端部は、本明細書では管状スリーブ(230)の前壁(235)に作製された、ハウジングの凹部(236)に当接する。
【0019】
第2のセクションは、作動ヘッド(280)側に第2の肩部(207)を形成する。衝撃吸収ブロック(220)は、円筒形凹部(202)のこの第2のセクションに係合して、この第2の肩部(207)に当接する。したがって、この衝撃吸収ブロックは弾性復帰手段(210)の第2の端部に接続されて、両方が可動体(200)に堅固に取り付けられており、先の図に示された接続端部は、ここでは衝撃吸収ブロック(220)の表面である、可動体(200)の肩部(207)を支持する。衝撃吸収ブロック(220)の長さは、可動体(200)が動作(又は後退)位置にあるときに圧縮されるように決定される。説明される実施例では、衝撃吸収ブロック(220)の長さは、可動体(200)が不動作(又は展開)位置にあるときに未接続端部が管状スリーブ(230)の壁(235)と接触しないように決定される。したがって、「不動作」モードを終了するために必要なエネルギーが低減され、衝撃吸収効果は、係合解除行程の終了時に生じる。係合解除行程の終了時の動作位置は、正確な橋台位置を得るように、剛性材料の協働によって、可動体(200)を管状スリーブ(230)の壁(235)に当接するように配置することによって得られる。したがって、衝撃吸収ブロック(220)の長さはまた、所望の衝撃吸収と、動作又は後退位置に到達するために必要な電流との間の妥協の結果でもある。
【0020】
記載される実施例では、カラー(140)は、ハウジング(100)内の強力な係合によって、電磁アクチュエータを形成する要素の組み立て及び整列を確実にする。ハウジング(100)の前縁部(160)は、折り曲げられて、弁本体(300)の保持及び整列を確実にする。環状接続(145、146)は、アクチュエータの封止、及び磁石(111)の整列を確実にする。
【0021】
第3の種々の実施形態
図3a、図3b、及び図3cもまた、弁への適用を意図したリニアアクチュエータの第3の種々の実施形態を示めす。この変形例によれば、弾性復帰手段(210)は、インサート(250)によって直列に結合された2つの同軸ばね(205、240)の並置からなる。管状スリーブ(230)の前壁(235)の凹部(236)において支持するばね(205)の剛性は、可動体(200)の円筒形凹部(202)の底部(207)において支持する隣接したばね(240)の剛性よりも大きい。
【0022】
このインサート(250)は、中央環状肩部(251)を有し、その断面は、長手方向の移動を可能にするように、可動体(200)の円筒形凹部(202)の内側セクションに整合する。作動ヘッド(280)の反対側に向けられた当該中央環状肩部(251)の環状面は、ばね(205)の前方端部のための支持橋台を形成し、その反対側の端部は、管状スリーブ(230)の壁(235)の凹部(236)において支持する。反対側に向けられた環状面は、第2のばね(240)の環状軸受面を形成し、その第2の端部は、可動体(200)の円筒形凹部(202)の底部に当接する。インサート(250)は、当該ばね(240)の位置決め及び誘導を確実にするために、ばね(240)の第1のコイルの内側セクションに整合する外側セクションを有する円筒形拡張部(252)を有する。
【0023】
インサート(250)は、低剛性ばね(240)の内側を軸方向に伸びる第2の円筒形拡張部(258)を有し、その断面は、当該ばね(240)の断面よりも小さい。この第2の円筒形拡張部(258)は、低剛性ばね(240)の圧縮を制限するように、円筒形凹部(202)の底部において軸方向に支持することができる。図3aは、コイルが給電されていないときに展開位置にある可動体(240)を示し、また、低剛性ばね(240)の最大圧縮行程lを示す。
【0024】
衝撃吸収ブロック(220)は、インサート(250)の中央環状肩部(251)から拡張する軸方向スタッド(255)に係合される。当該衝撃吸収ブロックは、ばね(205)の内側に同軸的に配設され、また、可動要素(200)が係合解除方向に移動し始めて動作位置で圧縮された後に、管状スリーブ(230)の壁(235)とだけ接触するように、ばね(205)の長さよりも短い長さを有する。
【0025】
図3bは、コイル(110)に給電することによる可動体の移動lに続く、アクチュエータの変形例を示す。次いで、第2の円筒形拡張部(258)が、可動体(200)の円筒形凹部(202)の底部と接触し、この位置は、低剛性ばね(240)の最大圧縮に対応し、残りの行程は、動作位置に到達するまで、可動体(200)及びインサート(250)の接続移動を有する。先の段落で述べたように、図2では、管状スリーブ(230)の壁(235)と可動体(200)の剛性橋台(203)との離間距離lが、管状スリーブ(230)の壁(235)と衝撃吸収ブロック(220)の前方端部との離間距離lよりも大きいので、管状スリーブ(230)内ではなく衝撃吸収ブロック(220)内の可動体の運動エネルギーを放散するように、行程の終了時の衝撃吸収ブロック(220)の圧縮を確実にし、したがって、振動を制限し、その結果、後退位置における作動によって生じるノイズを制限することを可能にすることに留意することができる。図3cに示される最終動作位置は、可動体(200)の剛性橋台(203)が管状スリーブ(230)の壁(235)の凹部(236)と接触したときに、又は距離lがゼロであるときに得られる。
【0026】
第4の種々の実施形態
図4a、図4b、図4c、及び図4dは、本発明によるリニアアクチュエータの第4の種々の実施形態を示めす。図4aは、コイル(110)が給電されておらず、かつばね(205、240)が完全に伸長したときの、不動作位置にあるアクチュエータの作動ヘッド(280)を示す。図4bは、コイル(110)への給電に続く可動体(200)の移動行程の中間状況を示しており、インサート(250)が可動体(220)に当接し、それにより、低剛性ばね(240)が完全に圧縮されている。図4cは、可動体(200)の移動行程の第2の中間状況を示めしており、衝撃吸収ブロック(220)が管状スリーブ(230)の壁(235)の凹部(236)と面一になっており、行程の最後の部分は、当該衝撃吸収ブロック(220)の圧縮、およびこれによる可動体(200)の運動エネルギーの段階的消散を伴う。図4cは、作動ヘッド(280)の動作又は後退位置を示しており、可動体(200)の移動行程の終了を示し、このため剛性橋台(256)が管状スリーブ(230)の壁(235)の凹部(236)と接触している。この実施形態は、作動ヘッド(280)が、肩部(281)に当接するまで前進動作によって可動体(200)に固定される指状部材の形態で示され、肩部が、その反対側の面(282)によってばね(240)の支持も提供するという点で、図3aに示される実施形態とは異なる。したがって、作動ヘッド(280)は、技術的な制約又は用途に応じた異なるニーズを満たすように、可動体(200)の材料とは異なる材料で作製することができる。例えば、作動ヘッドは、可動体に使用されるような強磁性材料に対して、衝突中のエネルギーの消散を向上させるために、プラスチック材料で作製することができる。したがって、作動ヘッド(280)の反対側の面(282)は、インサート(250)が第2の円筒形拡張部(258)と当接することを確実にするために、低剛性ばね(240)の内側に拡張する軸方向バンプを有することができる。
【0027】
この実施形態はまた、衝撃吸収ブロック(220)がインサート(250)の軸方向スタッド(255)に配置するための貫通孔を有するという点で、図3に示される先の実施形態とは異なる。軸方向スタッド(255)の長さは、衝撃吸収ブロック(220)の長さよりも僅かに短いが、衝撃吸収部分の圧縮に続いて、軸方向スタッド(255)の端部を配置することによって、行程の終了時に得られる後退位置がもたらされ、剛性橋台(256)を形成し、管状スリーブ(230)の壁(235)に接触し、それにより、当該壁(235)と可動体(200)との間に隙間を残すのに十分な長さである。したがって、強磁性材料で作製された可動体(200)による橋台が不十分である場合に、特定の仕様の制約を満たすようにインサート(250)の材料を選択することができる。例えば、インサート(250)は、橋台の後退位置における当接中のエネルギーの消散を向上させ、したがって、アクチュエータの音響及び振動挙動を向上させるために、プラスチック材料で作製することができる。
【0028】
第5の種々の実施形態
図5は、本発明によるリニアアクチュエータの第5の種々の実施形態を示めす。この実施形態は、図4a、図4b、図4c、及び図4dに示される実施形態と同様であり、図5は、図4cに示される状況、又は衝撃吸収ブロック(220)が管状スリーブ(230)の凹部(236)と面一である状況に対応する。それでもなお、この実施形態は、衝撃吸収ブロック(220)を支持する軸方向スタッド(255)が作動ヘッド(280)の拡張部であるという点で、前に示された実施形態とは異なる。このため、インサート(250)には貫通孔が提供されて、当該貫通孔を通過する当該軸方向スタッド(255)によって、当該インサートを軸方向に誘導することを可能にする。したがって、衝撃吸収ブロック(220)及びインサート(250)が軸方向スタッド(255)に隙間とともに取り付けられ、移動行程の終了時のばね(205)の解放を可能にする。
【0029】
力-移動のプロファイル
図6は、行程Sに沿って弾性復帰手段によって及ぼされる力Fの変形形態を示しており、図2に示されるように1つのばねを有する変形例、又は図3a、図4a、及び図5に示されるように直列の2つのばねを有する変形例において行われる。図6は、仕様によって定義される2つの作動点を示しており、点Aは、可動体が不動作位置にあるときに弁を封止することを確実にするのに必要な力を表し、点Bは、コイルへの給電が遮断されたときに可動体が動作位置から不動作位置へと移動するのを確実にし、必要な動力によって移動するのに必要な力を表す。衝撃吸収ブロックが拡張する非常に短い行程(l-l)は示されていないことに留意されたい。厳密に言って、点Bの周りには、更なる力の変動が観察され得る。
【0030】
図2の変形例では、剛性Kaの単一のばねを使用して、総行程l+lから分離された点A及び点Bにおいて必要な力を得ることができる。
【0031】
図3aの変形例では、高剛性Kbを有する第1のばね(205)は、点Bにおいて必要とされる力を達成して、可動体を必要な速度で行程lにわたって移動させることを意図している。低剛性Kcの第2のばね(240)は、行程lの第2の部分にわたる可動体の移動を確実にし、また、点Aにおいて必要とされる力を得るように寸法決めされている。
【0032】
この第2の変形例は、コストを低減するために、ばねを製造するための標準的な長さの許容差を維持することを可能にする。実際に、弾性復帰手段が解放される位置又は点Aでの力の変動をもたらす製造のばらつきによって、±Δlの隙間が生じ得る。正の力の変動は、その劣化につながり得る、弁への過剰な応力に関与し、一方で、負の力の変動は、封止の欠陥につながり得る。この力の変動は、隙間±Δl及び弾性復帰手段の剛性に正比例する。したがって、1つのばねを有する変形例では、力の変動±ΔF=±Δl×Kが得られ、一方で、2つのばねを有する変形例では、力の変動は、行程の第2の部分、すなわち、±ΔF=±Δl×Kを確実にする、低剛性ばねによって決定される。異なる剛性の2つのばねの妥当な使用によって、力の変動ΔF2<ΔF1が得られ、弁の性能を維持し、一方で、大量生産において一般的に得られるばらつきと両立できる。
【0033】
回転バージョン
示されていない場合であっても、この原理は、当業者によって回転バージョンのアクチュエータに極めて容易に変形することができる。例えば、限られた行程にわたって可動要素を移動させることを意図した回転アクチュエータで構成された単相電磁サーボアクチュエータを説明している、欧州特許第1897211号明細書の教示を適合させることが可能である。したがって、説明されるアクチュエータは、回転子を移動させることを意図する電気コイル、又は回転可能に作動される要素が、本明細書では作動ヘッドとも称されるピンによって接続される可動体を含む。このため当業者は、上に説明された教示に従って、弾性復帰手段と、これに機械的に接続された衝撃吸収ブロックとを一体化させることが考えられ得る。その場合、限度位置は、角度位置であり、衝撃吸収ブロックは、管形状を有することができ、また、可動部材が第2の限度位置に到達したときに、接線橋台に対して軸方向に圧縮するように、回転子に対して接線方向に配設することができる。弾性復帰手段は、好ましくは渦巻ばねであり、第1の端部において当該橋台に、及び可動体に機械的に接続することができ、その第2の端部は、直接的に又は可動体を介して衝撃吸収ブロックに機械的に接続される。
【0034】
先の段落に開示された実施可能なものは、限定的なものではなく、当業者は、記載された教示に従う回転アクチュエータの他の配置を見出すことができる。
図1
図2
図3a
図3b
図3c
図4a
図4b
図4c
図4d
図5
図6
【国際調査報告】