(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】外科手術用カッティング工具のためのアダプタ組立体
(51)【国際特許分類】
A61B 17/14 20060101AFI20240829BHJP
B23D 57/00 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
A61B17/14
B23D57/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515344
(86)(22)【出願日】2022-09-09
(85)【翻訳文提出日】2024-04-23
(86)【国際出願番号】 IB2022058513
(87)【国際公開番号】W WO2023037308
(87)【国際公開日】2023-03-16
(32)【優先日】2021-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】597117606
【氏名又は名称】アースレックス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100123630
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】クレヴェット ジェームズ タイラー
【テーマコード(参考)】
3C040
4C160
【Fターム(参考)】
3C040AA19
3C040DD07
3C040JJ00
4C160LL01
4C160NN23
(57)【要約】
ケーブルソー又は同様のカッティング器具のためのアダプタ装置は、動力工具の取付けハブに取り外し可能に係合するハブアダプタを含む。一対の横方向アームは、ハブアダプタの反対側でケーブルソーの結合境界部まで外向きに延びる。結合境界部は、ケーブルソーの反対側にあるワイヤー端部に係合し、動力工具の振動動作に応答したカッティング動作を可能にする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブルソーのためのアダプタ装置であって、
振動動力工具の取付けハブに取り外し可能に係合するハブアダプタと、
前記ハブアダプタの反対側で前記ケーブルソーの結合境界部まで横方向外向きに延びる一対の横方向アームと、
を備え、
前記結合境界部は、スパンにわたって前記取付けハブから横方向にオフセットされる、ケーブルソーのためのアダプタ装置。
【請求項2】
前記取付けハブは、前記振動動力工具の駆動軸の回転軸を画定し、前記回転軸は、組立構成において、前記ハブアダプタを通って中心として延びる、請求項1に記載のアダプタ装置。
【請求項3】
前記ハブアダプタは、前記取付けハブの取付け組立体に係合する取付けパターンを形成する複数の開口を含む、請求項1から2のいずれかに記載のアダプタ装置。
【請求項4】
前記取付けハブは、延長部分を形成するために近位端部分から遠位端部分まで延びる、請求項1から3のいずれかに記載のアダプタ装置。
【請求項5】
前記横方向アームは、前記ハブアダプタの近位端部分から前記延長部分の遠位端部分に延びる中間軸を横切って鏡映された横方向ウイングを形成する、請求項4に記載のアダプタ装置。
【請求項6】
前記横方向アームの各々は、前記延長部分から横方向端部まで延びる、請求項5に記載のアダプタ装置。
【請求項7】
前記横方向アームは、第1のアームと、第1のアームの反対側の第2のアームとを備え、前記延長部分は、前記ハブアダプタから前記アダプタ装置の中間軸に沿って延長距離まで延びる、請求項6に記載のアダプタ装置。
【請求項8】
前記第1のアーム及び前記第2のアームは、前記延長部分の前記遠位端部分から横方向外向きに延び、前記延長部分から前記スパンまで前記ハブアダプタの外周を部分的に巻き込む、請求項7に記載のアダプタ装置。
【請求項9】
ケーブルソーのためのアダプタ装置であって、
動力工具の取付けハブに取り外し可能に係合するハブアダプタと、
前記ハブアダプタと関連する延長部分であって、前記ハブアダプタは、前記アダプタ装置の近位端部分を形成すると共に前記延長部分によって形成された遠位端部分まで外向きに延びる、延長部分と、
反対側で前記延長部分から第1の横方向端部及び第2の横方向端部まで延びる、第1の横方向アーム及び第2の横方向アームと、
第1の結合特徴部と、スパンにわたって横方向にオフセットする第2の結合特徴部とを含む結合境界部と、
を備え、
前記第1の結合特徴部は、前記第1の横方向端部に形成され、前記第2の結合特徴部は、前記第2の横方向端部に形成され、前記結合境界部は、前記ケーブルソーのカッティングワイヤのワイヤー端部に結合される、ケーブルソーのためのアダプタ装置。
【請求項10】
前記延長部分は、前記ハブアダプタから前記中間軸に沿って外向きに延びる前記アダプタ装置の中間遠位範囲を形成する、請求項9に記載のアダプタ装置。
【請求項11】
前記結合境界部の前記第1の結合特徴部及び前記第2の結合特徴部は、前記ハブアダプタの回転軸と横方向に一致する、請求項9から10のいずれかに記載のアダプタ装置。
【請求項12】
前記取付けハブは、前記動力工具の駆動ヘッドと関連し、前記動力工具は、前記回転軸の周りで前記アダプタ装置を回転させる円弧状ストロークを規定する振動運動を生成する、請求項11に記載のアダプタ装置。
【請求項13】
前記結合境界部から、前記ケーブルソーのカッティングセグメントに近接する遠位ガイド範囲まで、前記ケーブルソーのケーブルの周りに延びる支持ガイドをさらに備える、請求項11から12のいずれかに記載のアダプタ装置。
【請求項14】
前記支持ガイドは、前記回転軸に垂直なガイド平面に沿って前記結合境界部から延びる、請求項13に記載のアダプタ組立体。
【請求項15】
前記円弧状ストロークの振動運動は、前記ガイド平面に沿ったカッティングセグメントの円周位置を調整する、請求項14に記載のアダプタ装置。
【請求項16】
前記第1の横方向アーム及び前記第2の横方向アームの振動経路に沿って前記遠位端部分から延びる横方向支持部をさらに備える、請求項9から15のいずれかに記載のアダプタ装置。
【請求項17】
前記横方向支持部は、第1の厚さを形成し、前記ハブアダプタは、第2の厚さを形成し、前記第2の厚さは、第1の厚さよりも小さい、請求項16に記載のアダプタ装置。
【請求項18】
ケーブルソーのためのアダプタ装置であって、
動力工具の取付けハブに取り外し可能に係合し、近位端部分から遠位端部分まで延びるハブアダプタであって、前記ハブアダプタは、前記ハブアダプタから前記遠位端部分まで中間軸に沿って延長距離にわたって外向きに延びる、ハブアダプタと、
第1の横方向アーム及び前記第1の横方向アームの反対側の第2の横方向アームであって、前記第1の横方向アーム及び前記第2の横方向アームは、前記ハブアダプタの反対側から横方向端部まで横方向外向きに延びる、第1の横方向アーム及び第2の横方向アームと、
前記第1の横方向アーム及び第2の横方向アームの各々の前記横方向端部に関連する前記ケーブルソーの結合境界部であって、前記結合境界部は、前記第1の横方向アームの前記横方向端部と前記第2の横方向アームの前記横方向端部との間のスパンにわたって横方向にオフセットする、結合境界部と、
を備える、ケーブルソーのためのアダプタ装置。
【請求項19】
前記結合境界部は、前記第1の横方向アームの第1の横方向端部上に配置された第1の結合特徴部と、前記第2の横方向アームの第2の横方向端部上に配置された第2の結合特徴部とを備える、請求項18に記載のアダプタ装置。
【請求項20】
前記第1の結合特徴部及び前記第2の結合特徴部のうちの少なくとも一方は、前記第1の横方向端部又は前記第2の横方向端部に形成された受入れ開口部を備える、請求項19に記載のアダプタ装置。
【請求項21】
前記ケーブルソーは、カッティングワイヤのワイヤー端部と結合する少なくとも1つの取付けピンを備え、前記取付けピンは、前記受入れ開口部に係合し、前記受入れ開口部内で自由に回転する、請求項20に記載のアダプタ装置。
【請求項22】
前記受入れ開口部は、内径を画定する内壁を形成し、溝が、前記受入れ開口部の内壁に形成され、保持ばねが、前記溝内に配置される、請求項20に記載のアダプタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、外科用カッティング工具のためのアダプタに関し、より詳細には、カッティングワイヤを振動動力工具に取り付けるワイヤーソー又はケーブルソーのためのアダプタに関する。
【背景技術】
【0002】
動力工具は、組織を選択的に除去するために又は医療処置用の様々な有益な有用物を提供するために、様々な外科的用途において実施することができる。各タイプの作業の特定のニーズに適合するために、一部の動力工具は、工具を様々な用途で利用するために交換することができる交換可能なヘッド組立体又はカッティング刃を組み込むことができる。本開示のアダプタ装置は、動力工具に関するケーブルソー又はワイヤーソーの様々な利用を可能にすることができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
様々な実施形態において、本開示は、カッティングワイヤを実装するケーブルソー又は同様のカッティング工具のためのアダプタ装置を提供する。アダプタ装置は、振動鋸刃(例えば、矢状鋸刃)に関連して交互に作動させることができる振動動力工具で実装することができる。アダプタ装置は、様々な形態で実装することができ、一般に、ケーブルソーを振動動力工具の取付けハブに選択的に取り付けることを可能にすることができる。一般的に、ケーブルソーは、反対側でアダプタ装置に結合される可撓性のカッティングライン、カッティングコード、又はカッティングワイヤを組み込む様々なカッティング工具に対応することができる。従って、アダプタ装置は、カッティングワイヤの長さに沿った素早い交互の並進運動を引き起こすためにカッティングワイヤの反対側にあるワイヤー端部に交互の張力を加えることができる。この素早い交互運動は、ワイヤーが骨又は組織と係合する場所で物質を効果的にカッティング及び除去するための摩擦を生成することができる。
【0004】
アダプタ装置は、ケーブルソーの結合を可能にするために、動力工具の取付けハブに取り外し可能に係合するハブアダプタを含むことができる。この構成において、ケーブルソーアダプタは、様々なカッティング刃又は器具のために取り替える又は交換することができる。一般に、アダプタ装置は、ハブアダプタの反対側で外向きに延びる横方向アームを含むことができる。ハブアダプタの両側の横方向アームの横方向延長部は、ケーブルソーのカッティングワイヤの反対側にある端部の間のスパンにわたって分離された結合境界部を可能にすることができる。このように、アダプタ装置は、振動動力工具の駆動軸の角度振動を変換して、アダプタのアームの横方向端部において並進シーソー運動を生成するようになっている。作動中、アームの並進運動は、ケーブルソーのカッティングワイヤの反対側にある端部に交互に張力を加え、これは、骨、組織、又は様々な物質をカッティングするために、カッティングワイヤを引き寄せかつ引き出し、カッティング長さにわたって摩擦を生成するようになっている。
【0005】
様々な実施構成において、アダプタ装置は、以下の特徴部のうちの1又は2以上を含むことができる。
・取付けハブは、振動動力工具の駆動軸の回転軸を画定し、回転軸は、組立構成において、ハブアダプタを通って中心として延びる;
・ハブアダプタは、取付けハブの取付け組立体に係合する取付けパターンを形成する複数の開口を備える;
・横方向アームは、ハブアダプタの近位端部分から延長部分の遠位端部分に延びる中間軸を横切って鏡映された横方向ウイングを形成する;
・取付けハブは、延長部分を形成するために近位端部分から遠位端部分まで延びる;
・横方向アームの各々は、延長部分から横方向端部まで延び、結合境界部は、スパンにわたって横方向にオフセットする;
・横方向アームは、第1のアームと、第1のアームの反対側の第2のアームとを備え、延長部分は、ハブアダプタからアダプタ装置の中間軸に沿って延長距離まで延びる;
・第1のアーム及び第2のアームは、延長部分の遠位端部分から横方向外向きに延び、延長部分からスパンまでハブアダプタの外周を部分的に巻き込む。
【0006】
いくつかの実施構成において、ケーブルソーのためのアダプタ装置は、動力工具の取付けハブに取り外し可能に係合するハブアダプタを含むことができる。延長部分は、ハブアダプタと関連し、アダプタ装置の近位端部分を形成する。延長部分は、ハブアダプタから、第1の横方向アーム及び第2の横方向アームと関連する遠位端部分に向かって外向きに延びる。第1の横方向アーム及び第2の横方向アームは、反対側で延長部分から、それぞれ、第1の横方向端部及び第2の横方向端部まで横方向外向きに延びる。結合境界部は、スパンにわたって横方向にオフセットする第1の結合特徴部及び第2の結合特徴部を含む。第1の結合特徴部は、第1の横方向アームの第1の横方向端部に形成され、第2の結合特徴部は、第2の横方向アームの第2の横方向端部に形成される。結合境界部は、ケーブルソーのカッティングワイヤのワイヤー端部に結合する。
【0007】
様々な実施構成において、アダプタ装置は、以下の特徴のうちの1又は2以上を含むことができる。
・結合境界部の第1の結合特徴部及び第2の結合特徴部は、ハブアダプタの回転軸から横方向にオフセットする又はハブアダプタの回転軸と横方向に一致する;
・取付けハブは、カッティング工具の駆動ヘッドと関連し、カッティング工具は、回転軸の周りでアダプタ装置を回転させる円弧状ストローク長を規定する振動運動を生成する;
・延長部分は、ハブアダプタから中間軸に沿って外向きに延びるアダプタ装置の中間遠位範囲を形成する;
・支持ガイドが、結合境界部からケーブルソーのカッティングセグメントに近接する遠位ガイド範囲まで、ケーブルソーのケーブルの周りに延びる;
・支持ガイドは、回転軸に垂直なガイド面に沿って結合境界部から延び、これに沿って、ケーブルソーの振動がケーブルの円周位置を調整する;
・円弧状ストロークの振動運動は、ガイド平面に沿ってカッティングセグメントの円周位置を調整する;
・横方向支持部が、第1の横方向アーム及び第2の横方向アームの振動経路に沿って遠位端部分から延びる;
・横方向支持部は、第1の厚さを形成し、ハブアダプタは、第2の厚さを形成し、第2の厚さは、第1の厚さよりも小さい。
【0008】
いくつかの実施構成において、動力工具の取付けハブに取り外し可能に係合するハブアダプタを備えるケーブルソーのためのアダプタ装置が開示される。ハブアダプタは、延長部分を形成する近位端部分から遠位端部分まで延びる。ハブアダプタは、ハブアダプタから遠位端部分まで中間軸に沿って延長距離にわたって外向きに延びる。第1の横方向アーム及び第2の横方向アームは、ハブアダプタの反対側で、延長部分から横方向端部まで外向きに延びる。ケーブルソーの結合境界部は、第1の横方向アーム及び第2の横方向アームの各々の横方向端部に関連する。この構成において、結合境界部は、第1の横方向アームの横方向端部と第2の横方向アームの横方向端部との間のスパンにわたって横方向にオフセットする。
【0009】
様々な実施構成において、アダプタ装置は、以下の特徴のうちの1又は2以上を含むことができる。
・結合境界部は、第1のアームの第1の横方向端部に配置された第1の結合特徴部と、第2のアームの第2の横方向端部に配置された第2の結合特徴部とを備える;
・第1の結合特徴部及び第2の結合特徴部のうちの少なくとも一方は、第1の横方向端部又は第2の横方向端部に形成された受入れ開口部を備える;
・受入れ開口部は、内径を画定する内壁を形成し、溝が、受入れ開口部の内壁に形成され、保持ばねが、溝内に配置される;
・ケーブルソーは、カッティングワイヤのワイヤー端部と結合する少なくとも1つの取付けピンを備え、取付けピンは、受入れ開口部に係合し、受入れ開口部内で自由に回転する;
・保持ばねは、受入れ開口部の第1の溝に適合する環状の保持ばねである;
・第1の結合特徴部及び第2の結合特徴部の各々は、受入れ開口部を備え、ケーブルソーは、カッティングワイヤのワイヤー端部に結合する取付けピンを備え、取付けピンは、受入れ開口部に係合する;
・取付けピンは、保持ばねと一致する第2の環状溝を備え、第1の環状溝は、組立構成において、取付けピンを受入れ開口部内に保持する。
【0010】
上記及び他の特徴、目的及び利点は、添付図面を参照しながら以下の説明を読むと明らかになるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】ケーブルソーのためのアダプタ装置を示す外科用カッティング工具の投影図である。
【
図2A】ケーブルソーのためのアダプタ装置の上部投影図である。
【
図2B】ケーブルソーのためのアダプタ装置の底部投影図である。
【
図3】結合境界部の詳細図を詳細Aで示すケーブルソーのためのアダプタ装置の上部正投影図である。
【
図4A】
図3に示す断面線B-Bに沿った詳細断面図であり、ケーブルソーアダプタの結合境界部を示す。
【
図4B】
図3に示す断面線B-Bに沿った詳細断面図であり、ケーブルソーアダプタの結合境界部を示す。
【
図5】本開示によるケーブルソーのためのアダプタ装置の上部正投影図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示は、一般に、ケーブルソー又はワイヤーカッティング機能を提供するために振動カッティング工具を改変するために実装することができるケーブルソーのためのアダプタ装置を提供する。動力工具は、様々なカッティング用有用物に結合するように構成された取付けハブを含む外科用動力工具に対応することができる。動力工具は、様々な作業を完了するために、様々な交換可能な駆動ヘッドを利用することができる。例えば、駆動ヘッドは、穿孔、リーミング、鋸引き、ワイヤー/ピン駆動、バリ取り等を含むことができる様々な作業を可能にすることができる。場合によっては、動力工具は、鋸刃又はカッティング刃(例えば、矢状鋸刃)に関連して適用することができる素早い振動運動の生成を可能にすることができる。アダプタ装置は、他の振動アタッチメント又はカッティング工具と互換的に、動力工具の鋸引き又は振動駆動ヘッドと共に利用することができるケーブルソー又はワイヤーカッティング装置の利用を可能にすることができる。
【0013】
図1を参照すると、振動駆動ヘッド12を備えた動力工具10の例示的な実施構成が示されている。動力工具10は、グリップ又はハンドルを形成し、さらに電源18に結合されるハウジング16内に収容される(disclosed)モータ14を含むことができる。動力工具10の動作は、トリガー組立体20の押し下げに応答して作動させることができ、このトリガー組立体20は、振動駆動ヘッド12が作動するように、電源18からモータ14に電力を供給することができる。振動駆動ヘッド12の作動は、取付けハブ24に配置された駆動軸22を、角度範囲αにわたって交互の時計回り及び反時計回りの運動で素早く振動させることができる。様々な実施構成において、角度範囲は、制限することができ(例えば、約1°から8°、3°から5°など)、交互の時計回り及び反時計回りの運動は、結果的に、動力工具10の作業アタッチメント28の遠位範囲26における並進運動の振動運動となる。
【0014】
図1-5に示すように、作業アタッチメント28の例示的な実施形態は、ケーブルソー32のためのアダプタ装置30に対応することができる。様々な実施構成において、アダプタ装置30は、ハブアダプタ34を介した動力工具10の取付けハブ24へのケーブルソー32の結合を可能にすることができる。ハブアダプタ34は、複数の取付け開口部38を備える取付けパターン36を含むことができる半円形又は円形の取付け境界部に対応することができる。ハブアダプタ34は、動力工具10のクランプ機構40を介して取付けハブ24に固定することができる。取付けハブ24に結合されると、駆動軸22の回転軸42は、ハブアダプタ34の中心軸44と一致することができる。このように、動力工具10の駆動軸22の角度回転は、アダプタ装置30を角度範囲αにわたって素早く振動させることができる。
【0015】
アダプタ装置30は、結合境界部48を介してケーブルソー32の反対側にあるワイヤー端部46に結合することができる。結合境界部48は、第1のワイヤー端部46a及び第2のワイヤー端部46bにそれぞれ結合する第1の結合特徴部48a及び第2の結合特徴部48bを備えることができる。特定の例示的な結合特徴部48a、48bを参照して説明されるが、ワイヤー端部46a、46bは、結合境界部48を介して反対側にある横方向アーム50に関連して、恒久的に固定される(例えば、溶接、はんだ付け、圧着など)、結合される、又は、概して保持される場合がある。結合特徴部48a、48bの各々は、ハブアダプタ34の反対側にある側面(例えば、第1の側面52a、第2の側面52b)に結合する横方向アーム50に配置すること又はそこに結合することができる。より具体的には、一部の実施構成において、ハブアダプタ34は、ハブアダプタ34の中間軸56に沿って遠位端部分54bまで延びる近位端部分54aを形成することができる。遠位端部分54bは、振動駆動ヘッド12との組立構成において、取付けハブ24から離れて中間軸56に沿って外向きに延びる延長部分58に対応することができる。様々な実施構成において、横方向アーム50は、第1の横方向アーム50a及び第2の横方向アーム50bを含むことができ、これらは、それぞれ、ハブアダプタ34の延長部分58から第1の横方向端部60a及び第2の横方向端部60bまで、垂直方向又は横方向外向きに延びる。第1の結合特徴部48aは、第1の横方向端部60aに結合するか又はそこに配置することができ、第2の結合特徴部48bは、同様に、第2の横方向端部60bに結合するか又はそこに配置することができる。この構成において、スパンSは、ハブアダプタ34の結合境界部48を形成する結合特徴部48a、48bの間に広がることができる。
【0016】
作動時、スパンSにわたる横方向アーム50の各々の横方向延長部は、ハブアダプタ34の反対側にある側面52上の横方向端部60及び結合特徴部48a、48bの各々に引き起こされる並進運動のシーソー運動に変換されることになる、動力工具10の振動駆動ヘッド12によって生成される振動の角度範囲αを可能にすることができる。ケーブルソー32の反対側にあるワイヤー端部46に関連して、並進運動の振動シーソー運動は、結合特徴部48a、48bを介して反対側にあるワイヤー端部46に加えられることになる、数字62によって示される交互の張力を引き起こすことができる。従って、角度範囲αにわたる駆動ヘッド12の素早い交互の角度振動は、結果的に、交互の張力62を生成するために横方向アーム50の横方向端部60に引き起こされる交互のシーソー運動をもたらすことができる。交互の張力62は、反対側にあるワイヤー端部46に加えられると、結果的に、ケーブルソー32のカッティングワイヤ64の素早い往復運動をもたらすことができ、この素早い往復運動は、ケーブルソー32によって形成されたカッティングループ66内に拘束された物質をカットするために利用することができる。このようにして、アダプタ装置30は、動力工具10の振動駆動ヘッド12の結合のための作業アタッチメント28としてのケーブルソー32の適用を可能にすることができる。
【0017】
ここで
図1-3を参照すると、様々な実施構成において、横方向アーム50は、延長部分58に関連し、アダプタ装置30の中間軸56を横切って鏡映された反対側にある横方向ウイングを形成することができる。
図3に示されるように、延長部分58は、ハブアダプタ34の中心軸44から、到達距離又は延長距離dにわたって外向きに延びることができる。この構成において、横方向アーム50は、遠位端部分54bに近接して延長部分58から外向きに垂直方向に延びることができ、遠位端部分54bは、延長距離dで終端することができる。従って、ハブアダプタ34が取付けハブ24によって係合される組立構成において、横方向アーム50は、取付けハブ24の開口部68を越えて又はその外側で、中間軸56から外向きに反対側にある側面52に延びることができる。横方向アーム50の横方向への延びに加えて又はそれと同時に、第1のアーム50a及び第2のアーム50bは、ハブアダプタ34の外周70の周囲に配置され、遠位端部分54bから近位端部分54aに向かって後方に延びることができる。例えば、横方向アーム50は、中間軸56から垂直方向外向きに延び、遠位端部分54bから近位端部分54aに向かって湾曲して戻ることができる。この構成において、横方向端部60a、60bは、概して中間軸56に対して垂直方向に延びて中心軸44を通る横方向ハブ軸72から横方向にオフセットするか又は横方向ハブ軸72と一致することができる。このように、結合特徴部48a、48bは、反対側にある側面52上に結合境界面48を形成し、横方向ハブ軸72と一致することができる。
【0018】
図1、2A、及び2Bを参照すると、アダプタ装置30の延長部分58から延びる横方向アーム50は、横方向支持部80、支持リブ、又は横方向補強特徴部を含むことができる。横方向支持部は、特に、角度範囲αにわたる素早い角度振動及び横方向端部60a、60bに加えられる対応する交互の張力62に応えて、横方向アーム50の剛性を向上させることができる。横方向支持部80は、遠位端部分54bから横方向端部60a、60bまで延びる滑らかな曲率半径84によって画定することができる振動経路82に沿って、遠位端部分54bから延びることができる。例えば、振動経路82は、遠位端部分54bと中間軸56との間の交差点から、横方向ハブ軸72のもとに延びる凸状経路に沿って、結合特徴部48a、48bの各々まで延びることができる。この構成において、横方向支持部80は、ハブアダプタ34の延長部分58と結合するか又はこれを形成することができる。ハブアダプタ34は、第1の厚さT
1を形成し、横方向支持部80は、第1の厚さT
1よりも大きい又は厚い第2の厚さT
2を形成することができる。この構成において、横方向支持部80又は支持リブは、横方向端部60a、60bに片持ち荷重が加えられる場合に、横方向アーム50の高い安定性を可能にすることができ、ケーブルソー32の反対側にあるワイヤー端部46によって加えられる交互の張力62に対抗するようになっている。
【0019】
図2Bを参照すると、第1の厚さT
1は、ハブアダプタ34から延長部分58に向かって広がり、横方向アーム50の中間横方向範囲86まで外向きに広がることができる。さらに、横方向支持部80の第2の厚さT
2は、振動経路82に沿ってアダプタ装置30の遠位外周88に沿って広がることができる。横方向支持部80の第2の厚さT
2は、遠位外周88から横方向アーム50の反対側にある側面52を形成する横方向端部60まで続き、特徴部48a、48bを結合する横方向端部60a、60bの外周60cを少なくとも部分的に囲むことができる。この構成において、横方向支持部80によってもたらされる改善された強度及び剛性は、延長部分58の中間軸56から外向きに向かって、スパンSにわたって横方向端部60まで広がることができ、ケーブルソー32のカッティングワイヤ64によってアダプタ装置30に加えられる素早い振動及び交互の張力62の結果として発生する場合がある様々な力への支持を可能にするようになっている。加えて、第1の厚さT
1は、横方向アーム50の底面92の近位部分に沿って広がり、中間軸56からアーム50の近位端部分90に沿って中間横方向範囲86まで広がる凹部94を形成することができる。
【0020】
図1-3を参照すると、アダプタ装置30は、剛性又は半剛性の管状又はパイプ状の支持構造体に対応することができる、1又は2以上の支持ガイド100をさらに含むことができる。支持ガイド100は、結合境界部48から延び、支持ガイド100によって形成された内部ガイド通路102内にカッティングワイヤ64の反対側にあるワイヤー端部46を受け入れることができる。
図2A及び3に示すように、支持ガイド100は、結合特徴部48a、48bから反対側にあるワイヤー端部46に沿って延びることができ、ケーブルソー32のカッティング平面104と合致することができる。この構成において、カッティング平面104は、駆動ヘッド12の回転軸42に対して垂直に配向され、ハブアダプタ34に対して高さ方向に合致することができる。振動駆動ヘッド12の取付けハブ24を介してハブアダプタ34に加えられた力は、カッティング平面104と合致した内部ガイド通路を通って支持ガイド100に沿って伝達することができる。反対側にあるワイヤー端部46に加えられた結果としての交互の張力62は、カッティング平面104と合致して維持することができる。従って、支持ガイド100又は管状支持部は、カッティング結果及び一貫性の改善のために、カッティング平面104とカッティングワイヤ64の方向的な位置調整を維持することによって、ケーブルソー32の改善された動作を可能にすることができる。
【0021】
ここで
図3、4A、及び4Bを参照すると、上述したように、結合境界部48は、第1の横方向端部60aに配置された又はそこに結合された第1の結合特徴部48a、及び第2の横方向端部60bに配置された又はそこに結合された第2の結合特徴部48bを備えることができる。いくつかに実施構成において、結合境界部48を形成する結合特徴部48a、48bのうちの1又は2以上は、横方向アーム50の横方向端部60に形成された受入れ開口部106を含むことができる。説明されるように、結合特徴部48の各々は、横方向端部60を通って延びる円形又は円筒形の内壁108によって形成することができる受入れ開口部106を含むことができる。受入れ溝110は、受入れ開口部106の内壁108に形成することができ、これは保持ばね112を受け入れるように構成することができる。保持ばね112は、受入れ溝110に適合する円形又は環状形状の保持ばねに対応することができ、保持ばね112の一部は、円筒状内壁108内の凹部に配置されるようになっている。
【0022】
ケーブルソー32の反対側にあるワイヤー端部46を受入れ開口部106に嵌め合わせるために、取付けピン114は、圧着具、締結具、又は他の適切な手段を介して反対側にあるワイヤー端部46の各々に固定することができる。様々な実施形態において、取付けピン114は、すきま嵌め構成で受入れ開口部106に係合するように構成された円筒形嵌合突起部116を形成することができる。円筒形嵌合突起部116の各々は、円筒形嵌合突起部116が受入れ開口部106に嵌め込まれる場合に受入れ溝110と一致する、相補的係合溝118をさらに含むことができる。この構成において、受入れ開口部106内の円筒形嵌合突起部116の挿入及び嵌め込みは、受入れ溝110を相補的係合溝118に一致させることができ、保持ばね112は、溝110、118の各々に係合して受入れ開口部106内に取付けピン114を保持するようになっている。このように、取付けピン114は、結合境界部48を形成する受入れ開口部106に関連して反対側にあるワイヤー端部46を取り外し可能に保持することができる。
【0023】
図3の詳細Aに示すように、取付けピン114の受入れ開口部106との係合は、取付けピン114が受入れ開口部106内で回転することを可能にすることができる。受入れ開口部内での取付けピン114の回転は、支持ガイド100が、取付けピン114と受入れ開口部106との間に形成された結合境界部48の周囲で揺動又は枢動することを可能にすることができる。揺動又は枢動に対応するために、隙間開口120又は隙間溝は、支持ガイド100が結合境界部48に係合する場所で、ケーブルソー32のカッティングワイヤ64の反対側に関して、横方向端部60に形成することができる。従って、アダプタ装置30の交互のシーソー運動から結果的に生じるケーブルソー32及び支持ガイド100のスイーピング経路は、隙間開口120に広がる。このように、ケーブルソー32及び支持ガイド100の揺動回転は、アダプタ装置30の横方向端部60からの干渉なしで、隙間開口120内で自由に振動する。
【0024】
ここで
図5を参照すると、ハブアダプタ34の遠位端部分54bから横方向ハブ軸72に沿って外向きに延びる横方向アーム50を明示するアダプタ装置30の例示的な実施形態が示されている。例えば、横方向アーム50は、
図1-4で説明したように、延長部分58に沿って外向きに延びるのではなく、遠位端部分54b近傍のハブアダプタ34の中間部分130から外向きに延びることができる。このような実施形態において、アダプタ装置30の遠位範囲26は、ハブアダプタ34から延びる丸みを帯びた突出部132を形成することができる。この構成において、ハブアダプタ34は、組立構成において振動駆動ヘッド12の取付けハブ24の開口部68に挿入することができ、横方向アームは、遠位端部分54bに沿って開口部68から外向きに延びることができる。従って、アダプタ装置30は、第1の結合特徴部48a及び第2の結合特徴部48bを横方向ハブ軸72に沿って中心軸44に一致させるために、ハブアダプタ34から横方向ハブ軸72に沿って外向きに延びる横方向アーム50を組み込むことができる。
【0025】
図5に示すように、アダプタ装置30の上部正射投影図は、
図1-4に示す実施構成と同様に、可変の厚さ(例えば、第1の厚さT
1及び第2の厚さT
2)で実行することができる、又は、代替的に、ハブアダプタ34から横方向アーム50に沿って外向きに延びる均一の厚さを含むことができる。様々な実施構成において、結合境界部48は、結合特徴部48a、48bが横方向アーム50の横方向端部60a、60bの間のスパンSに沿って横方向外向きに配置されるのを可能にすることができる。この構成において、ケーブルソー32の反対側にあるワイヤー端部46は、ハブアダプタ34に結合し、中間軸56を横切って鏡映され、スパンSにわたって分離することができる。
【0026】
いくつかの実施形態において、横方向アーム50の各々は、ハブアダプタ34から外向きに延び、近位端部分54aから横方向ハブ軸72に向かって、横方向アーム50に沿って反対側にある横方向端部60a、60bまで外向きに延びる切欠部134を組み込むことができる。切欠部134は、横方向アーム50と取付けハブ24との間の干渉を回避するために、ハブアダプタ34が、取付けハブ24の開口部68内に受け入れられるのを可能にすることができる。最後に、ケーブルソー32との結合境界部48を形成する結合特徴部48a、48bは、受入れ開口部106から横方向アーム50の各々の遠位外周88まで外向きに延びる取付け開口部138を有する受入れ開口部106に対応することができる。この構成において、取付け開口部138は、ケーブルソー32の取付けピン114を受け入れるために、受入れ開口部106が曲がるのを可能にすることができる。アダプタ装置30の具体的な特徴部及び特性は、
図1-4及び
図5の実施形態を参照して個別に説明されるが、特徴部の各々は、本開示の精神から逸脱することなく、様々な組み合わせで組み込むことができる。
【0027】
何らかの説明されるプロセス又は説明されるプロセス内のステップは、本装置の範囲内の構造を形成するために、他の開示されるプロセス又はステップと組み合わせることができることを理解されたい。本明細書に開示される例示的な構造及びプロセスは、例示を目的としており、限定するものとして解釈されない。
【0028】
また、本装置の概念から逸脱することなく、上述の構造及び方法の変形及び変更を行うことができることを理解することができ、さらに、これらの特許請求の範囲の文言に明示的に別段の定めがない限り、このような概念は、以下の特許請求の範囲によって包含されることが意図されることを理解されたい。
【0029】
以上の説明は、単に示された実施形態の説明と見なされる。本装置の変更は、当業者及び本装置を製造者又は使用者に想定されることになる。従って、図面に示して上述した実施形態は、単に例示を目的とするものであり、特許法の原則に従って解釈される以下の特許請求の範囲によって定義される装置の範囲を限定することを意図するものではないことを理解されたい。
【符号の説明】
【0030】
10 振動動力工具
24 取付けハブ
30 アダプタ装置
32 ケーブルソー
34 ハブアダプタ
48 結合境界部
50 横方向アーム
【国際調査報告】