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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】可撓性小型内視鏡
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/008 20060101AFI20240829BHJP
【FI】
A61B1/008 512
A61B1/008 511
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515479
(86)(22)【出願日】2022-09-09
(85)【翻訳文提出日】2024-05-08
(86)【国際出願番号】 US2022043047
(87)【国際公開番号】W WO2023039157
(87)【国際公開日】2023-03-16
(31)【優先権主張番号】63/242,523
(32)【優先日】2021-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501012517
【氏名又は名称】アイピージー フォトニクス コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー・マイケル・トリーン
(72)【発明者】
【氏名】オリヴィエ・トレクサー
(72)【発明者】
【氏名】アイザック・オストロフスキー
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・バレンボイム
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー・アルトゥシュラー
(72)【発明者】
【氏名】イリヤ・ヤロスラフスキー
(72)【発明者】
【氏名】ドミトリ・ボウトウソフ
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161AA15
4C161CC06
4C161DD03
4C161FF43
4C161FF46
4C161HH42
4C161HH56
4C161LL01
(57)【要約】
縮小された断面および順応性が強化されたステアリングセクションを有する内視鏡装置。この装置は、プルワイヤおよびねじりスリーブの必要性を排除することによってより小さな断面を画定する。ステアリングに単一の光ファイバを用いることにより断面スペースが広がって共通のカテーテルシャフト内で灌注および吸引チャネルの両方が拡張される。単一の光ファイバは、ステアリングセクションを「引く」および/または「押す」ために利用され、これによって単一のファイバまたはファイバ束で一方向または双方向のステアリングを提供することができる。遠位ステアリングセクションが、単一の光ファイバによって加えられる力に応答して順応性を強化するように構成されている。順応性が強化されることにより、光ファイバの要求される頑丈さが低減され、単一の光ファイバのサイズを縮小することが可能になり、これによってカテーテルの断面を他の用途に解放する。順応性が強化されることにより、より緊密でより予測可能な関節的動作も可能になり、ステアリングの機敏性がより良好になる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸に沿って連続的に配置された複数のセグメントを含むステアリングセクションであって、前記複数のセグメントは、前記ステアリングセクションの第1の側面で分離されて前記複数のセグメントの間に複数のギャップを画定する、ステアリングセクションと、
前記ステアリングセクションの遠位端部分まで延在する光ファイバと、
を含み、
前記光ファイバに張力を加えることにより前記ステアリングセクションが第1の横方向に偏向する、
内視鏡装置。
【請求項2】
前記光ファイバは、前記ステアリングセクションの前記遠位端部分に近接して固定されている、請求項1に記載の内視鏡装置。
【請求項3】
前記複数のセグメントは、前記ステアリングセクションの第2の側面で接合されている、請求項1に記載の内視鏡装置。
【請求項4】
前記光ファイバは照明光ファイバである、請求項1に記載の内視鏡装置。
【請求項5】
前記遠位端部分に取り付けられた遠位ヘッド部分を含む、請求項1に記載の内視鏡装置。
【請求項6】
前記遠位ヘッド部分は、ベースおよび透明キャップを含む、請求項5に記載の内視鏡装置。
【請求項7】
前記光ファイバは、前記遠位ヘッド部分の前記ベースに固定されている、請求項6に記載の内視鏡装置。
【請求項8】
前記ステアリングセクションは、前記第1の側面に近接してガイド通路を画定し、前記光ファイバは、前記ガイド通路に配置されている、請求項1に記載の内視鏡装置。
【請求項9】
前記複数のセグメントのそれぞれが、前記ガイド通路を画定するためにガイド通路セグメントを画定し、前記ガイド通路セグメントは、ガイド軸を中心として同心であり、前記光ファイバは、前記ガイド軸に沿って前記ガイド通路セグメントを通過する、請求項8に記載の内視鏡装置。
【請求項10】
前記光ファイバは、前記ガイド通路セグメントを通過する単一の光ファイバである、請求項9に記載の内視鏡装置。
【請求項11】
前記単一の光ファイバは、長円断面を画定する、請求項10に記載の内視鏡装置。
【請求項12】
前記ステアリング部分は、第1の作業チャネルおよび第2の作業チャネルを画定し、前記第1の作業チャネルは、前記複数のギャップを画定するように突破されている、請求項1に記載の内視鏡装置。
【請求項13】
前記第2の作業チャネルは、前記第2の側面に隣接している、請求項12に記載の内視鏡装置。
【請求項14】
前記第2の作業チャネルは、前記ステアリングセクションを通って連続している、請求項12に記載の内視鏡装置。
【請求項15】
前記複数のセグメントは、可撓性スリーブによって取り囲まれている、請求項1に記載の内視鏡装置。
【請求項16】
前記可撓性スリーブは、前記ヘッド部分の前記ベースに固定されている、請求項15に記載の内視鏡装置。
【請求項17】
前記可撓性スリーブは、前記ステアリングセクションの近位部分に固定されている、請求項15に記載の内視鏡装置。
【請求項18】
前記光ファイバを圧縮状態に置くことにより前記ステアリングセクションが第2の横方向に偏向する、請求項1から17のいずれか一項に記載の内視鏡装置。
【請求項19】
前記第1の横方向は、前記第2の横方向とは反対である、請求項18に記載の内視鏡装置。
【請求項20】
前記第1の側面は、前記中心軸から前記第1の横方向にあり、
前記第2の側面は、前記中心軸から前記第2の横方向にある、
請求項19に記載の内視鏡装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2021年9月10日に出願された米国仮出願第63/242,523号の利益を主張するものであり、その開示を、参照によりその全体を本明細書に組み込む。
【0002】
本願は概して内視鏡装置および方法を対象としている。より具体的には、本願は、人間および動物における結石および組織のレーザ治療用の可撓性、半剛性、および剛性のレーザ内視鏡を対象としている。
【背景技術】
【0003】
腎臓結石は毎年500人に1人のアメリカ人に影響を及ぼし、かなりの痛みおよび医療費を引き起こす。症候性腎臓結石の患者に対する外科的選択肢は、体外衝撃波砕石術(ESWL)、尿管鏡検査、および経皮的腎切石術(PCNL)を含む。人の腎臓の解剖学的構造、結石の組成、および体の習慣がすべて、転帰および治療方法を決定する上で主要な役割を果たす。
【0004】
可撓性カテーテルシャフトの径の縮小、強化されたステアリングおよび偏向能力、ビデオイメージングの向上、バスケットおよび器具の小型化、ならびにホルミウム(Ho)およびツリウム(Tm)レーザの出現による砕石術(石の破壊)の進歩により、過去10年間にわたって尿管鏡検査の役割が増大してきた。米国におけるすべての腎臓結石手術の45%以上が現在、小型尿管鏡技術およびレーザを用いて行われている。
【0005】
尿管鏡検査は、臓結石を直接観察および治療するために、尿管鏡と呼ばれる小さな可撓性または剛性の装置を用いることを伴う。ビデオ画像を提供し、小さな「作業」チャネルを有する尿管鏡装置を、膀胱内へ挿入し、腎臓結石に遭遇するまで尿管を上らせる。腎臓結石を次いで、光ファイバ(レーザファイバ)を介して標的部位に伝達されるレーザエネルギーで破壊し、かつ/または小さなバスケットを用いて抽出することができる。このタイプの手術の利点は、体の開口部がアクセスに用いられ、切開が要求されないことである。
【0006】
尿管鏡検査はしばしば、尿管または腎臓における小さな腎臓結石に対する良好な選択肢である。より小さな腎臓結石を取り除くための尿管鏡検査についての成功率は一般に、衝撃波砕石術についてのものより高い。レーザ尿管鏡検査では、目的に合わせて最適化されたレーザ設定を用いて、最大寸法が1ミリメートル未満またはさらには0.25ミリメートル未満の小さな粒子に腎臓結石を破壊することができる。この場合、アブレーションの産物を灌注流で、または手術後に腎臓から膀胱への自然な流出により除去して、結石のない治療結果を提供することができる。
【0007】
しかしながら、尿管鏡検査は、非常に大きな腎臓結石(たとえば、20ミリメートルより大きな寸法の)では常にうまくいくとは限らず、これは、サイズが大きいと長い治療時間が必要になり、このような石の断片を除去する際に困難を引き起こす可能性があるためである。さらに、中サイズの石または断片(たとえば、最大寸法が1ミリメートルから5ミリメートルの)は、接触技術を用いるレーザで治療するのが難しい可能性がある。たとえば、接触モードで動作する尿管鏡は強い反発効果を受ける可能性があり、これによって非接触モードでの動作(たとえば、「ポップコーニング」)が要求されるが、これは時間がかかり、結石のない結果が保証されない。結果として、尿管鏡検査は、非常に大きな腎臓結石では常にうまくいくとは限らず、これは、サイズが大きいと長い治療時間が必要になり、このような石の断片を除去する際に困難を引き起こす可能性があるためである。このような場合、経皮的方法が最善の利用可能な選択肢となることがある。
【0008】
尿管鏡検査のこれらの欠点を軽減または解決する装置および付随する技術が歓迎されるであろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第2020/150713号
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Budynas、「Advanced Strength and Applied Stress Analysis」、92~96ページ、McGraw-Hill(c)1977
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本開示のさまざまな実施形態は、従来の尿管鏡に対して縮小された断面、ならびに開示された装置をより機敏にする強化されたステアリング能力を有する小型内視鏡を提供することによって、従来の尿管鏡検査のいくつかの欠点を軽減する内視鏡手術器具および方法を提示する。断面が縮小されることにより、たとえばより大きな腎臓結石を除去するとき、時間の延長が要求される治療中の不快感が減る。機敏性が増加することにより、治療中に結石をたどるまたは「追跡する」ことがより容易になり、これによって治療時間が減少し、結石のない結果の確率が高くなる。
【0012】
本開示は、Altshulerらの特許文献1(「Altshuler」)に基づいており、その開示をここで、そこに含まれる明示的な定義および特許請求項を除き、参照によりその全体を本明細書に組み込む。Altshulerは、大きな腎臓結石を除去するためのレーザアブレーション尿管鏡検査の欠点のいくつかに対処している。本開示はAltshulerのいくつかの実施形態に対する改良を表す。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本開示のさまざまな実施形態は、プルワイヤおよびねじりスリーブの必要性を排除することによって従来の内視鏡よりコンパクトな径方向輪郭を有するカテーテル断面を提示する。ステアリング機能を実行するために光ファイバ、特に単一の光ファイバを用いることにより、スコープに、具体的にはカテーテルのヘッド部分に断面スペースが広がって、共通のカテーテルシャフト内で灌注および吸引チャネルの両方を用いることが可能になる。いくつかの実施形態において、単一の照明ファイバで双方向ステアリングを強化するためにカテーテルヘッドを「引くこと」および「押すこと」の両方が促進される単一の光ファイバが利用される。これにより、約2ミリメートルの範囲にある断面寸法内でカテーテルのすべての機能、すなわち照明、結像、灌注、吸引、およびアブレーション、が可能になる。この範囲内の断面寸法で、患者に全身麻酔をかけることなく尿管鏡検査による体内結石の除去を可能にすることができる。
【0014】
ステアリングのための単一の光ファイバの使用を容易にするため、本開示のさまざまな実施形態は遠位端ステアリングセクションを含み、これは、単一の光ファイバを押すこと/引くことによって加えられる力に応答してステアリングセクションの抵抗を低減する(すなわち、順応性を強化する)。順応性が強化されることにより、特に押し込み中の圧縮時、単一の光ファイバの座屈が考慮される場合、光ファイバの要求される頑丈さが低減される。頑丈さの要件が低減されることにより、順応性の少ないステアリングセクションに要求されるであろうより小さな断面の単一の光ファイバでステアリング動作を完了することが可能になる。また、順応性が強化されることにより、より緊密でより予測可能な関節的動作のためにカテーテルの曲がりがステアリングセクションに集中し、これによってより少ない要求される力でステアリング動作の機敏性が強化される。
【0015】
いくつかの実施形態において、断面を通過するさまざまな構成要素の弾性が遠位端ステアリングセクションに十分な横方向付勢を加えて遠位端ステアリングセクションを中立配向に受動的に戻す。このような構成要素は、単独でまたは組み合わせて、別個の光ファイバ(たとえば、レーザ光ファイバ)、ステアリングセクションを取り囲むスリーブ、遠位端ステアリングセクションの背骨、およびステアリング光ファイバ自体を含むことができる。いくつかの実施形態において、補助付勢要素を、たとえば遠位端ステアリングセクションの背骨に埋め込むか、そうでなければ背骨と一体化して実装して、横方向の付勢を強化することができる。遠位ステアリングセクションを中立配向に受動的に戻すことにより、遠位端ステアリングセクションを中立配向に能動的に押す必要性なく、一方向のステアリングが可能になる。
【0016】
構造的に、中心軸に沿って連続的に配置された複数のセグメントを含むステアリングセクションを含む内視鏡装置が開示され、複数のセグメントは、ステアリングセクションの第1の側面で分離されて複数のセグメントの間に複数のギャップを画定する。光ファイバがステアリングセクションの遠位端部分まで延在する。光ファイバに張力を加えることによりステアリングセクションが第1の横方向に偏向する。複数のセグメントはステアリングセクションの第2の側面で接合することができる。いくつかの実施形態において、光ファイバはステアリングセクションの遠位端部分に近接して固定されており、照明光ファイバとすることができる。
【0017】
いくつかの実施形態において、内視鏡装置は、遠位端部分に取り付けられた遠位ヘッド部分を含む。遠位ヘッド部分はベースおよび透明キャップを含むことができる。いくつかの実施形態において、光ファイバは遠位ヘッド部分のベースに固定されている。ステアリングセクションは第1の側面に近接してガイド通路を画定することができ、光ファイバはガイド通路に配置されている。いくつかの実施形態において、複数のセグメントのそれぞれが、ガイド通路を画定するガイド通路セグメントを画定し、ガイド通路セグメントはガイド軸を中心として同心であり、光ファイバはガイド軸に沿ってガイド通路セグメントを通過する。光ファイバは、ガイド通路セグメントを通過する単一の光ファイバとすることができる。いくつかの実施形態において、単一の光ファイバは長円断面を画定する。
【0018】
いくつかの実施形態において、ステアリング部分は第1の作業チャネルおよび第2の作業チャネルを画定し、第1の作業チャネルは、複数のギャップを画定するように突破されている。第2の作業チャネルは第2の側面に隣接していてもよい。いくつかの実施形態において、第2の作業チャネルはステアリングセクションを通って連続している。複数のセグメントは可撓性スリーブによって取り囲まれてもよく、可撓性スリーブはヘッド部分のベースに固定されても、かつ/またはステアリングセクションの近位部分に固定されてもよい。
【0019】
本開示のさまざまな実施形態では、光ファイバを圧縮状態に置くことによりステアリングセクションが第2の横方向に偏向する。第1の横方向は第2の横方向とは反対であってもよい。いくつかの実施形態において、第1の側面は中心軸から第1の横方向にあり、第2の側面は中心軸から第2の横方向にある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本開示の一実施形態によるレーザ砕石術用の内視鏡システムの概略図である。
図2】本開示の一実施形態によるステアリングセクションを有するカテーテルの遠位部分の部分分解斜視図である。
図3】本開示の一実施形態による組み立てられた図2のカテーテルの遠位部分の端面図である。
図3A】本開示の一実施形態による組み立てられた図2のカテーテルについての代替の遠位部分の端面図である。
図4】本開示の一実施形態による図3の平面IV-IVでのカテーテルの遠位部分の部分断面図である。
図4A】本開示の一実施形態による図3Aの平面IVA-IVAでのカテーテルの遠位部分の部分断面図である。
図5】本開示の一実施形態による中立配向における図2のカテーテルの遠位部分の立面図である。
図6】本開示の一実施形態による完全折り畳み構成における図5の遠位部分の立面図である。
図7】本開示の一実施形態による完全拡張構成における図5の遠位部分の立面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1を参照すると、本開示の一実施形態によるレーザ砕石術用の内視鏡システムが概略的に示されている。内視鏡システム30は、ハンドル38に結合された近端36と、遠位ヘッド部分34およびステアリングセクション37を含む遠位部分35と、を有するカテーテル32を含む。カテーテル32は、可撓性(図示)であり得るカテーテルシャフト33を含む。ハンドル38は、遠位ヘッド部分34に結合されているステアリング機構39を収容することができる。ハンドル38は、制御してカテーテル32を介して遠位ヘッド部分34に送達するためのさまざまな外部構成要素またはシステム40を統合する。外部システム40は、灌注システム42、吸引または吸入システム44、アブレーションレーザシステム46、照明システム52、および視覚化システム54を含むことができる。内視鏡システム30の構成要素のいくつかは、ハンドル38、カテーテル32、または遠位ヘッド部分34に部分的または完全に統合することができる。ハンドル38は、たとえば、灌注システム42および吸引システム44の制御機構、およびレーザファイバの遠位端の位置を調整するための機構、ならびに他の構成要素を含むことができる。ファイバ配置の機構は、レーザファイバの遠位先端が所望の位置にあると係合することができるクランプ(図示せず)を含むことができる。レーザファイバをクランプすることにより、通常0.05ミリメートルから0.1ミリメートルの範囲の精度で、遠位先端の位置が固定される。カテーテルシャフト33から遠位ヘッド部分34への中心軸110に沿った方向を本明細書では遠位方向50と呼ぶ。遠位方向50と反対の方向を本明細書では近位方向51と呼ぶ。
【0022】
機能的には、ステアリング機構39により、患者の体内血管を通って標的ゾーン56へ送り、遠位ヘッド部分34の位置を合わせて標的ゾーン56内の個々の体内結石58に焦点を合わせるため、カテーテル32の遠位部分35でのステアリングセクション37の関節的動作が可能になる。ステアリングセクション37により、カテーテル32の遠位部分35が過度の応力および歪みならびにねじれなく関節的動作をすることが可能になる。照明システム52は、体内結石58および周囲の組織、たとえば腎臓、尿管または膀胱内の結石を照らすために標的ゾーン56へ送達される可視光を生成する。アブレーションレーザシステム46は、たとえば、体内結石58をアブレーションおよび破壊するために標的ゾーン56にレーザエネルギーを送達するための、ツリウムまたはホルミウムファイバまたは固体レーザを含む。レーザエネルギーの送達は、レーザファイバ、たとえば、シリカまたは他の光ファイバ材料を用いて達成することができる。灌注システム42は、標的ゾーン56を冷却して標的ゾーン56内で体内結石58の断片を移動させるための加圧灌注流体を提供する。吸引システム44は、媒体に懸濁している可能性がある体内結石58からの粒子を含め、液体媒体を標的ゾーン56から引き出す。いくつかの実施形態において、吸引システム44は、吸引圧力を監視する圧力センサ48を含む。圧力センサを利用して灌注圧力を監視することもできる。
【0023】
本明細書において、「体内結石(body stone)」は、腎臓結石および尿管結石、ならびにカルシウム結石、尿酸結石、ストルバイト結石、およびシステイン結石を含むそれらの種を含む、人体によって産生されるあらゆる石を包含する。「体内結石」は、体の他の器官において見られる、またはこれらによって形成される石、たとえば、膀胱結石、胆嚢結石、前立腺結石、膵臓結石、唾液腺結石、および腹部結石も含むことができる。本開示では、腎臓および尿管結石を破壊するためのシステムおよび技術を説明するが、全般的にこれらに限定されない。この開示を考慮して、体内結石療法における当業者は、腎臓および尿管結石以外の体内結石の修復、ならびに硬組織および軟組織の治療のために、本明細書に開示されるさまざまな態様を適用することを認識するであろう。
【0024】
図2図3、および図4を参照すると、本開示の一実施形態による、カテーテル32の遠位部分35でのステアリングセクション37が示されている。いくつかの実施形態において、ステアリングセクション37は、ステアリングセクション37の近位部分303から遠位端部分305まで画定および延在する複数のセグメント304を含む。本明細書において、ステアリングセクション37の近位部分303は、以下に説明する、複数のギャップ312の最近位に隣接して近位にあるカテーテル32の領域である。
【0025】
複数のセグメント304はカテーテルシャフト33の第1の側面306で分離され、第2の側面308で互いに接合され得る。複数のセグメント304の分離により複数のセグメント304間に複数のギャップ312が画定され、複数のギャップ312のそれぞれにより第1の側面306上の最大ギャップ寸法314が画定される。複数のセグメント304が接合されている第2の側面308はステアリングセクション37の背骨316として特徴付けることができる。いくつかの実施形態において、背骨316は、ギャップ312の最大ギャップ寸法314と正反対に対向している(図示)。いくつかの実施形態において、ステアリングセクション37は作業チャネル102および124を画定する。作業チャネル124は、分割を提供するように複数のギャップ312を画定するように突破され得る。複数のセグメント304は、ステアリングセクション37を通る連続通路として作業チャネル102の完全性を維持するため、作業チャネル102の周りに形成され得るがこれを破ることはない。
【0026】
いくつかの実施形態において、複数のセグメント304はそれぞれ、カテーテルシャフト33の第1の側面306に近接する複数のガイド通路セグメント322(複数のセグメント304のそれぞれについて1つのガイド通路セグメント)を画定する。複数のガイド通路322はガイド軸324を画定し、ガイド軸324を中心として同心であり得る。断面133を画定する照明光ファイバ132が複数のガイド通路322を通過して照明光ファイバポート134に入る。照明光ファイバポート134は遠位ヘッド部分34のベース96で画定することができる(図示)。あるいは、照明光ファイバポートはステアリングセクション37の遠位端部分305で画定することができる。
【0027】
図示の実施形態において、ガイド通路322は、長円断面の光ファイバ132または光ファイバ束を収容するために長円の形状である。他の幾何学的形状(たとえば、円形)のガイド通路および光ファイバ断面も利用することができる。照明光ファイバ132および複数のガイド通路322のそれぞれは互いに対して緊密な滑り嵌めが行われるように寸法決めすることができる。本明細書において、「緊密な滑り嵌め」は、顕著な遊びなく構成要素間を滑らせることが可能である嵌め合いとして理解される。
【0028】
いくつかの実施形態において、ステアリングセクション37は、ステアリングセクション37の外部表面328上を延在するスリーブ326(図2に仮想線で示す)によって取り囲まれている。スリーブ326は遠位ヘッド部分34の遠位ベース96に固定することができ、ステアリングセクション37の近位部分303にも固定することができる。スリーブ326の固定により、スリーブ326とステアリングセクションの外部表面328との間に液体が浸入することを防止する封止領域334を提供することができる。いくつかの実施形態において、カテーテルシャフト33は、ステアリングセクション37の近位部分303からカテーテル32の近端36を通って延在するガイド管腔336を画定する。ガイド管腔336はガイド軸324と実質的に位置合わせすることができる。
【0029】
スリーブ326は高弾性膜材料から製造することができ、スリーブ326が曲げられたときにステアリングセクション37の弓形形状に適合することが可能になっている。例にはPEBAX(登録商標)のような熱可塑性エラストマーが含まれ、これはおよそ0.145ギガパスカルの弾性率を有する。いくつかの実施形態において、スリーブ326の厚さは、両端を含む50μmから100μmまでの範囲にある。組み立てにおいて、スリーブ326は所定の長さに切断され、ステアリングセクション37上を滑り、所定の温度(たとえば、80℃から120℃)まで加熱される。
【0030】
遠位ヘッド部分34はベース96を含むことができる。ベース96はステアリングセクション37の遠位先端または終端として特徴付けることもできる。いくつかの実施形態において、図2および図4に示すように、ベース96はカテーテルシャフト33から分離して形成されてカテーテルシャフト33に固定されている。他の実施形態において、ベース96はカテーテルシャフト33と一体である(図示せず)。いくつかの実施形態において、透明キャップ部分100がベース96の遠位面98に固定されている。透明キャップ部分100は近位面104および遠位面106を含む。透明キャップ部分100は、可視光を透過するのに適切な材料から製造され、アブレーションレーザシステム46の動作波長で低い吸収率および高い損傷閾値を含むことができる。透明キャップ100についての非限定的な例の材料は、サファイア、石英、光学セラミック、およびミネラルまたは有機ガラスを含む。いくつかの実施形態において、透明キャップ100の屈折率は、液体媒体(実質的に水)の屈折率とほぼ一致するように、約1.31から1.35である。いくつかの実施形態において、ベース96は透明キャップ100と同じ透明材料から製造することができる。
【0031】
いくつかの実施形態において、遠位ヘッド部分34は照明器130を含む。照明器130は、可視スペクトルにおける光を透過するための照明または点灯光ファイバ132(図示)もしくは光ファイバ束(図示せず)の遠位端とすることができる。照明器130はハンドル38で照明システム52に動作可能に結合されている。本明細書において、照明器130は単一の光ファイバ132によって表されるが、単一の光ファイバ132の代わりに単一の光ファイバ束を用いることができるということが理解される。照明光ファイバ132は、遠位ヘッド部分34のベース96に形成された照明光ファイバポート134を通過して透明キャップ100内へ延在することができる。照明光ファイバ132は光導波路として作用する。
【0032】
いくつかの実施形態において、照明光ファイバ132は、遠位ヘッド部分34に(たとえば、接着剤で)、たとえば、照明光ファイバポート134または透明キャップ100もしくは両方に機械的に固定されている。遠位ヘッド部分34はこれによって照明光ファイバ132を介してハンドル38のステアリング機構39に結合されている。このように配置された照明光ファイバ132の結合および経路設定により、照明光ファイバ132を遠位ヘッド部分34のステアリングのためのプルリンケージまたはプッシュプルリンケージとしても機能させることが可能になり、これによって別個のプルワイヤおよびこれらを遠位ヘッド部分34に結合することに関連するコネクタの必要性が否定される。
【0033】
遠位ヘッド部分34は、遠位ヘッド部分34のベース96を、そして透明キャップ部分100の近位面104および遠位面106を通過する作業チャネル102を画定する。作業チャネル102は遠位面106で開口部108を画定し、開口部108は作業ポート軸111を中心として同心である。本明細書において、「作業チャネル」は、灌注チャネル、吸引チャネル、または両方として機能することができる。本明細書で用いられるような作業チャネルは任意選択で、レーザファイバおよびバスケットのような作業物体を収容するように構成することができる。作業ポート103の内径は、0.05ミリメートルのコアのレーザファイバを利用する可撓性カテーテルでは、両端を含む0.5ミリメートルから1.5ミリメートルまでの範囲とすることができる。一例において、作業チャネル102は吸引ポートとして機能し、その場合、開口部108および作業チャネルは吸引入口を画定する。作業チャネル102はカテーテル32を通って延在し、たとえば、ハンドル38で吸引システム44に結合することができる。作業チャネル102は、遠位ヘッド部分34に形成されて遠位ヘッド部分34を通過して開口部108を画定する作業ポート103を含む。
【0034】
いくつかの実施形態において、遠位ヘッド部分34は、長軸171および短軸169ならびに対応する外寸OD1およびOD2を有する長円断面167(図示)を画定する。本明細書において、「長円」断面は、互いに垂直であり、中心軸110で交差する長寸法(OD1)および短寸法(OD2)を有する。長寸法OD1は、中心軸110を通過する長円断面167の最大寸法である。短寸法OD2は、中心軸110で長寸法OD1に垂直であり、長寸法OD1より小さい寸法である。短寸法OD2は、断面167の最小寸法であってもよいが、必ずしもそうではない。いくつかの実施形態において、長円断面167の外寸OD1は、両端を含む1.7ミリメートルから3.2ミリメートルの範囲にあり、いくつかの実施形態において、外寸OD1は、両端を含む1.7ミリメートルから2.6ミリメートルの範囲にあり、いくつかの実施形態において、外寸OD1は、両端を含む2.2ミリメートルから2.5ミリメートルの範囲にある。いくつかの実施形態において、断面167の外寸OD2は、両端を含む1.7ミリメートルから2.5ミリメートルの範囲にあり、いくつかの実施形態において、外寸OD2は1.7ミリメートルから2.0ミリメートルの範囲にある。
【0035】
いくつかの実施形態において、遠位ヘッド部分34は、中心軸110を画定し、中心軸110を中心として同心の円形断面(図示せず)を含み、円形断面は約2ミリメートルの直径を有する。いくつかの実施形態において、最大直径は、両端を含む1.5ミリメートルから3ミリメートルの範囲にあり、いくつかの実施形態において、最大直径は、両端を含む1.8ミリメートルから2.5ミリメートルの範囲にあり、いくつかの実施形態において、最大直径は、両端を含む2ミリメートルから2.5ミリメートルの範囲にある。
【0036】
アブレーションレーザエネルギーを伝達するためのレーザ光ファイバ112が作業チャネル102に配置され、レーザ光ファイバ112の遠位端114が透明キャップ部分100の遠位面106に近接して配置され、レーザ光ファイバ112の近位端がハンドル38を介してアブレーションレーザシステム46に結合されている。レーザ光ファイバ112のコア直径は、可撓性シャフトを有するカテーテルについては0.05ミリメートルから0.4ミリメートルの範囲とすることができる。いくつかの実施形態において、レーザ光ファイバ112の遠位端114の位置は、たとえば、透明キャップ部分100の遠位面106に対して、両端を含む+/-5ミリメートルの範囲内で制御することができ、「+」および「-」はそれぞれ作業ポート軸111に沿った遠位および近位方向を指す。
【0037】
いくつかの実施形態において、遠位ヘッド部分34は結像受信機142を含み、結像受信機142は、内視鏡システム30の視野を画定する画像形成光学系を含むことができる。結像受信機142は、相補型金属酸化物半導体(CMOS)センサ(半導体チップ、結像光学系、およびサポート電子機器を含む)または電荷結合素子(CCD)カメラセンサのような、結像装置144(図示)とすることができる。いくつかの実施形態において、結像受信機142の結像面は、0.5ミリメートル×0.5ミリメートルから1.5ミリメートル×1.5ミリメートルまでである。記載のCMOSイメージセンサの一例は、スイス、アールガウのAWAIBA CMOS Image Sensorsによって提供されるNANEYE 2Dである。https://ams.com/naneyeを参照、2020年1月16日に最後に訪問。
【0038】
結像装置144は、カテーテル32を通って延在するケーブル146を含むことができ、ハンドル38において視覚化システム54に結合され得る。ケーブル146は、遠位ヘッド部分34のベース96によって画定されるケーブルポート145を通して経路設定することができる。いくつかの実施形態において、結像装置144はベース96の遠位面98での窪み147に配置されている。結像装置144は、法線の±45度である視野角を画定することができる。任意選択で、結像受信機142は、カテーテル32を通って延在してハンドル38で視覚化システム54に結合される光学システムおよび結像光ファイバ(図示せず)の遠位端である。透明キャップ100の遠位面106は平坦でも、丸くても(図示)、あるいは、結像受信機142上へ結像するためのレンズ(図示せず)として成形されてもよい。
【0039】
図3Aおよび図4Aを参照すると、本開示の一実施形態による、代替の遠位ヘッド部分34aおよび代替のステアリングセクション37aを有するカテーテル32aが示されている。カテーテル32aは、カテーテル32と同じ構成要素および属性のいくつかまたはすべてを含むことができ、これらは同じ符号が付されて図3Aおよび図4Aに示されている。ステアリングセクション37aは、作業ポート軸111と実質的に平行に作業ポート103に沿って延在する弾性背骨部材152を含む。いくつかの実施形態において、弾性背骨部材152はステアリングセクション37aの背骨316に埋め込まれている。代わりに、または加えて、弾性背骨部材152の遠位端154を、カテーテル32のベース96上に含まれるマウント156で終端させることができる。いくつかの実施形態において、マウント156は、弾性背骨部材152を受け入れるための管腔またはソケット156を画定する。弾性背骨部材152は、たとえば接着剤で、遠位ヘッド部分34のベース96に固定することができる。いくつかの実施形態において、弾性背骨部材152は、遠位ヘッド部分34のベース96から、またはそうでなければ遠位端部分305に近接して、ステアリングセクション37aの近位部分303まで延在する。
【0040】
図5から図7を参照すると、本開示の一実施形態によるステアリングセクション37の動作が示されている。いくつかの実施形態において、ステアリングセクション37は両側に偏向させることができる。本明細書において、「両側(bilateral)」およびその派生語は、図5から図7に示すように、中心軸110に対する2つの異なる横方向362および364における偏向を指す。これらの図は、中立配向366(図5)、完全折り畳み配向368(図6)、および完全拡張配向370(図7)にあるステアリングセクション37を示す。「中立」配向は、ハンドル38によってステアリング機構39を介してステアリングセクション37に力が加えられていないときのカテーテル32の状態を指す。「完全折り畳み」配向368は、複数のセグメント304間の複数のギャップ312が、たとえばステアリング機構39の引っ張りストローク限界によって、または複数のセグメント304を互いに着座接触に引き込むことによって、最大限まで一緒に引き寄せられるときにもたらされる。「完全拡張」配向370は、複数のセグメント304間の複数のギャップ312が、たとえばステアリング機構39の押しストローク限界によって最大限に分離されるときにもたらされる。横方向362および364は反対であり得る(図示)。いくつかの実施形態において、ステアリングセクション37は、中心軸110を中立配向366から横方向362、364のいずれかに90度も偏向させ、完全折り畳み配向368から完全拡張配向370までの合計角度偏向範囲は最大180度である。いくつかの実施形態において、合計角度偏向範囲は最大270度である。
【0041】
機能的には、カテーテルシャフト33のステアリングセクション37は、単一の照明光ファイバ132を用いて、中立配向366に対して両側の偏向を可能にすることができる。任意選択で、単一の光ファイバ132の代わりに、単一の光ファイバ束(図示せず)を実装することができる。単一の照明光ファイバ132に張力がかかる(すなわち、カテーテルシャフト33を通して「引っ張られる」)と、単一の照明光ファイバ132が固定されている遠位ヘッド部分34は、ステアリングセクション37の近位部分303に向かって近位方向に引っ張られる。第1の側面306に沿ったステアリングセクション37の複数のセグメント304は互いに引き寄せられて、中立配向366の最大ギャップ寸法314に対して縮小される複数のギャップ312の最大ギャップ寸法314’(図6)を画定する。一方、ステアリングセクション37の背骨316を画定する複数のセグメント304の部分は実質的に同じ寸法を維持する。この効果は、ステアリングセクション37を中立配向366に対して第1の横方向362に弧を描くようにすることである。単一の照明光ファイバ132が圧縮状態に置かれる(すなわち、カテーテルシャフト33を通して「押される」)と、遠位ヘッド部分34はステアリングセクション37の近位部分303から遠位方向に押され、第1の側面306に沿ったステアリングセクション37の複数のセグメント304がさらに分離されて、中立配向366の最大ギャップ寸法314に対して増加する複数のギャップ312の最大ギャップ寸法314’’(図7)を画定する。一方、ステアリングセクション37の背骨316を画定する複数のセグメント304の部分は再び実質的に同じ寸法を維持する。この効果は、ステアリングセクション37を中立配向366に対して第2の横方向364に弧を描くようにすることである。引っ張りおよび押し込み動作中、単一の照明光ファイバ132と複数のガイド通路322との間の緊密な滑り嵌めにより、複数のセグメント304が中心軸110に沿って再配向されるにつれて、セグメント304を単一の照明光ファイバ132に沿って再配置することが可能になる。
【0042】
複数のセグメント304を通して単一の照明光ファイバ132を経路設定することにより、図7の押し込み動作中に遭遇する圧縮力による単一の照明光ファイバ132の支柱座屈も防止される。押し込み動作中、単一の照明光ファイバ132にかかる圧縮力は、たとえば、スリーブ326の伸張、背骨316の屈曲、および患者の体腔に対する滑りまたは摩擦抵抗によって引き起こされる。支柱座屈を引き起こすために要求されるいわゆる「臨界力」は、支柱の長さに反比例するとともに、柱の断面慣性モーメントおよび弾性率に比例する。たとえば、非特許文献1を参照、その開示をここで、そこに含まれる明示的な定義を除き、参照により本明細書に組み込む。ステアリングセクション37および照明光ファイバ132では、支柱の長さは、複数のセグメント304の隣接するセグメント間の単一の照明光ファイバ132の最大非支持長さ372によって近似することができる(図7)。支柱座屈に要求される臨界力は、非支持長さが最大の時に最小になるため、支柱座屈を防止するための目的の構成は完全拡張配向370であり、非支持長さ372は最長である。最大非支持長さ372は完全拡張配向370における最大ギャップ寸法314’’にほぼ対応し得る。したがって、ステアリングセクション37は、完全拡張配向370において単一の照明光ファイバ132の支柱座屈を防止するように設計することができる。
【0043】
いくつかの実施形態において、ステアリングセクション37のさまざまな構成要素の弾性は、ステアリングセクション37を中立配向366に受動的に戻すために遠位端ステアリングセクション37を横方向に付勢するのに十分な弾性を提供する。このような構成要素は、単独で、または組み合わせて、レーザ光ファイバ112、遠位端ステアリングセクション37を取り囲むスリーブ326、遠位端ステアリングセクション37の背骨316、および/または照明光ファイバ132自体を含むことができる。補助付勢部材152を実装する実施形態では、遠位端ステアリングセクション37aの中立配向366への受動的復帰は追加の横方向付勢によって強化される。このような実施形態において、中立配向366に戻るには、中立配向366をもたらすために光ファイバ132で押すことがほとんどまたは全く要求されない可能性がある。
【0044】
遠位端ステアリングセクション37、37aの受動的またはほぼ受動的復帰により、カテーテル32、32aの一方向ステアリングが可能になる。一方向ステアリングは、中立配向366(図5)および完全折り畳み配向368(図6)ならびにこれらの間で定義される配向によって特徴付けられる。中立配向366への復帰は、光ファイバ132での遠位端ステアリングセクション37の押し込みに依存しないため、光ファイバ132の座屈に関する懸念が軽減され、光ファイバ132の断面133を縮小させることができる。断面133の縮小により遠位ヘッド部分34の断面167内の空間が解放され、したがって他の構成要素(たとえば、より大きな灌注チャネル122)のための、または断面167の全体面積の縮小のためのより多くの余地が提供される。
【0045】
図2から図7の実施形態において、照明光ファイバ132は、ステアリングセクション37の両側の偏向を駆動するものとして図示および説明されている。また、図2から図7の実施形態は、作業チャネル102(たとえば、吸引を提供する)の完全性を維持するものとして図示および説明されている一方、作業チャネル124(たとえば、灌注を提供する)は複数のギャップ312によって突破されてスリーブ326と流体連通している。これらの機能は内視鏡システム30の他の構成要素で実行することができる。たとえば、レーザ光ファイバ管腔266およびレーザ光ファイバ112はベース96の外表面に近接した作業チャネル102内に配置される(すなわち、中心軸110からの距離が増加する)ことが企図される。このような配置において、レーザ光ファイバ112および単一の照明光ファイバ132は、カテーテル32をステアリングするプッシュプルリンケージとして動作することができる。また、複数のセグメント304が灌注チャネル122の完全性を維持するように構成され、作業チャネル102がスリーブ326によって突破および収容される構成が企図される。このような修正は、この開示に提示された原理に基づいて当業者の理解の範囲内にある。
【0046】
本明細書に開示の追加の図および方法のそれぞれは、別個に、または他の特徴および方法と併せて用いて、同じものを作製および使用するための改善された装置および方法を提供することができる。したがって、本明細書に開示の特徴および方法の組み合わせは、その最も広い意味において本開示を実施するために必要というわけではなく、代わりに単に代表的で好ましい実施形態を特に説明するために開示されている。
【0047】
実施形態に対するさまざまな修正は、本開示を読むと当業者には明らかであり得る。たとえば、関連技術における当業者は、異なる実施形態について説明されたさまざまな特徴が、単独で、または異なる組み合わせで、他の特徴と適切に組み合わせられ、組み合わせられず、そして再度組み合わせられ得ることを認識するであろう。同様に、上述のさまざまな特徴はすべて、本開示の範囲または精神に対する限定というよりむしろ、例の実施形態として見なされるべきである。
【0048】
関連技術における当業者は、さまざまな実施形態が、上述の任意の個々の実施形態に例示されたより少ない特徴を含むことができるということを認識するであろう。本明細書に記載の実施形態は、さまざまな特徴を組み合わせることができる方法の網羅的な提示を意味するものではない。したがって、実施形態は特徴の相互に排他的な組み合わせではない。むしろ、請求項は、当業者によって理解されるように、異なる個々の実施形態から選択される異なる個々の特徴の組み合わせを含むことができる。
【0049】
上記の文献の参照によるいかなる組み込みも、本明細書の明示的な開示に反する主題が組み込まれないように限定される。上記の文献の参照によるいかなる組み込みも、その文献に含まれるいかなる請求項も参照によって本明細書に組み込まれないようにさらに限定される。上記の文献の参照によるいかなる組み込みも、その文献において提供されるいかなる定義も本明細書に明示的に含まれない限り参照によって本明細書に組み込まれないようにさらに限定される。
【0050】
他に指示しない限り、本明細書に含まれる「実施形態」、「開示」、「本開示」、「開示の実施形態」、「開示された実施形態」などへの言及は、自認先行技術ではない本特許出願の明細書(請求項を含む本文、および図面)に言及している。
【0051】
請求項を解釈する目的のため、具体的な用語「means for(のための手段)」または「step for(のためのステップ)」がそれぞれの請求項に記載されていない限り、米国特許法第112条(f)項の規定が適用されるべきではないということが明示的に意図されている。
【符号の説明】
【0052】
30 内視鏡システム
32 カテーテル
32a カテーテル
33 カテーテルシャフト
34 遠位ヘッド部分
34a 代替の遠位ヘッド部分
35 遠位部分
36 近端
37 ステアリングセクション
37a 代替のステアリングセクション
38 ハンドル
39 ステアリング機構
40 外部システム
42 灌注システム
44 吸引システム
46 アブレーションレーザシステム
48 圧力センサ
50 遠位方向
51 近位方向
52 照明システム
54 視覚化システム
56 標的ゾーン
58 体内結石
96 ベース
98 遠位面
100 透明キャップ部分
102 作業チャネル
103 作業ポート
104 近位面
106 遠位面
108 開口部
110 中心軸
111 作業ポート軸
112 レーザ光ファイバ
114 遠位端
122 灌注チャネル
124 作業チャネル
130 照明器
132 照明光ファイバ、照明または点灯光ファイバ、光ファイバ、単一の光ファイバ
133 断面
134 照明光ファイバポート
142 結像受信機
144 結像装置
145 ケーブルポート
146 ケーブル
147 窪み
152 弾性背骨部材
154 遠位端
156 マウント
167 長円断面、断面
169 短軸
171 長軸
266 レーザ光ファイバ管腔
303 近位部分
304 複数のセグメント
305 遠位端部分
306 第1の側面
308 第2の側面
312 複数のギャップ
314 最大ギャップ寸法
314’ 最大ギャップ寸法
314’’ 最大ギャップ寸法
316 背骨
322 ガイド通路
324 ガイド軸
326 スリーブ
328 外部表面
334 封止領域
336 ガイド管腔
362 横方向
364 横方向
366 中立配向
368 完全折り畳み配向
370 完全拡張配向
372 非支持長さ
図1
図2
図3
図3A
図4
図4A
図5-7】
【国際調査報告】