(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】1-デセンとの1-ヘキセン/1-オクテンの選択的生成。
(51)【国際特許分類】
C07C 1/24 20060101AFI20240829BHJP
B01J 23/24 20060101ALI20240829BHJP
B01J 31/22 20060101ALI20240829BHJP
C07C 11/02 20060101ALI20240829BHJP
C07C 15/44 20060101ALI20240829BHJP
C07C 1/22 20060101ALI20240829BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20240829BHJP
【FI】
C07C1/24
B01J23/24 Z
B01J31/22 Z
C07C11/02
C07C15/44
C07C1/22
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515508
(86)(22)【出願日】2022-09-01
(85)【翻訳文提出日】2024-03-08
(86)【国際出願番号】 US2022042389
(87)【国際公開番号】W WO2023038848
(87)【国際公開日】2023-03-16
(32)【優先日】2021-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524085640
【氏名又は名称】シェブロン フィリップス ケミカル カンパニー エルピー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ビショフ、スティーブン エム.
(72)【発明者】
【氏名】ヒラー、ジェイムス
【テーマコード(参考)】
4G169
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4G169AA03
4G169AA06
4G169BA01B
4G169BA21B
4G169BA27B
4G169BA28B
4G169BB02B
4G169BC59B
4G169BC71B
4G169BD12B
4G169BE01B
4G169BE03B
4G169BE06B
4G169BE13B
4G169BE36B
4G169BE37B
4G169CC05
4H006AA02
4H006AB84
4H006AC11
4H006AC21
4H006AD11
4H006BA20
4H006BA23
4H006BA44
4H006BA45
4H006BA47
4H039CA19
4H039CG10
(57)【要約】
1-オクテン及び1-デセンを生成するプロセスは、(a)オリゴマー生成物を含有する組成物であって、該オリゴマー生成物が15~80モル%のC
6オレフィン、20~80モル%のC
8オレフィン、及び5~20モル%のC
10+オレフィンを含有する、該組成物を、C
6アルカン及び少なくとも85モル%のC
6オレフィン(例えば、1-ヘキセン)を含有する第1のオリゴマー組成物と、少なくとも85モル%のC
8オレフィン(例えば、1-オクテン)を含有する第2のオリゴマー組成物と、C
10+オレフィンを含有する重量物ストリームと、に分離することと、次に、(b)複分解触媒系を該第1のオリゴマー組成物に接触させて、C
10直鎖内部オレフィンを含む第1の組成物を形成することと、(c)該C
10直鎖内部オレフィンを、異性化ヒドロ官能基化触媒系と接触させて、官能基化アルカンを含有する第2の組成物を形成することと、(d)該官能基化アルカンをレトロヒドロ官能基化して、1-デセンを含有する第3の組成物を形成することと、(e)該第3の組成物を精製して、少なくとも90モル%の1-デセンを含有する第4の組成物を単離することと、を含む。1-ヘキセン及び1-デセンを生成するプロセスもまた記載され、かつ製造システムに関連する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセスであって、
a)オリゴマー生成物を含む組成物であって、前記オリゴマー生成物は、15~80モル%のC
6オレフィン、20~80モル%のC
8オレフィン、及び5~20モル%のC
10+オレフィンを含む、前記組成物を、
i)C
6アルカン及び少なくとも85モル%のC
6オレフィンを含む第1のオリゴマー組成物であって、前記C
6オレフィンが少なくとも80モル%の1-ヘキセンを含む、前記第1のオリゴマー組成物と、
ii)少なくとも85モル%のC
8オレフィンを含む第2のオリゴマー組成物であって、前記C
8オレフィンは、少なくとも85モル%の1-オクテンを含む、前記第2のオリゴマー組成物と、
iii)C
10+オレフィンを含む重量物ストリームと、に分離することと、
b)複分解触媒系を、前記第1のオリゴマー組成物の全部または一部に接触させて、C
10直鎖内部オレフィンを含む第1の組成物を形成することと、
c)前記C
10直鎖内部オレフィンを、異性化ヒドロ官能基化触媒系と接触させて、官能基化アルカンを含む第2の組成物を形成することと、
d)前記官能基化アルカンをレトロヒドロ官能基化させて、1-デセンを含む第3の組成物を形成することと、
e)前記第3の組成物を精製して、少なくとも90モル%の1-デセンを含む第4の組成物を単離することと、を含む、前記プロセス。
【請求項2】
前記オリゴマー生成物は、35~65モル%のC
6オレフィン、35~65モル%のC
8オレフィン、及び5~18モル%のC
10+オレフィンを含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記第1のオリゴマー組成物は、1.5~8モル%のC
6アルカン、及び少なくとも90モル%のC
6オレフィンを含み、
前記C
6オレフィンは、少なくとも90モル%の1-ヘキセン、ならびに0.5~8モル%の内部及び環式のC
6オレフィンを含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項4】
前記第2のオリゴマー組成物は、少なくとも95モル%のC
8オレフィンを含み、
前記C
8オレフィンは、少なくとも95モル%の1-オクテンを含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項5】
工程c)の前に、少なくとも90モル%のC
10直鎖内部オレフィンを含む内部オレフィン組成物を前記第1の組成物から単離する工程をさらに含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項6】
工程c)は、前記C
10直鎖内部オレフィンを、ヒドロホルミル化触媒系、一酸化炭素、及び水素と接触させて、C
11アルデヒドを含む前記第2の組成物を形成することを含み、かつ
工程d)は、前記C
11アルデヒドを、脱ヒドロホルミル化触媒系と接触させて、1-デセンを含む前記第3の組成物を形成することを含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項7】
工程d)の前に、少なくとも90モル%のC
11アルデヒドを含むアルデヒド組成物を前記第2の組成物から単離する工程をさらに含む、請求項6に記載のプロセス。
【請求項8】
前記脱ヒドロホルミル化触媒系は、i)遷移金属化合物、ホスフィン、及びヘテロ原子酸もしくはヘテロ原子酸誘導体、またはii)ホスフィン遷移金属化合物錯体、及びヘテロ原子酸もしくはヘテロ原子酸誘導体を含む、請求項6に記載のプロセス。
【請求項9】
前記複分解触媒系を前記第2のオリゴマー組成物の全部または一部に接触させて、C
14オレフィン組成物を形成する工程をさらに含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項10】
前記第4の組成物は、少なくとも95モル%の1-デセンを含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項11】
プロセスであって、
a)オリゴマー生成物を含む組成物であって、前記オリゴマー生成物は、少なくとも85モル%のC
6オレフィン及び少なくとも5モル%のC
8+オレフィンを含む、前記組成物を、
i)C
6アルカン及び少なくとも90モル%のC
6オレフィンを含む第1のオリゴマー組成物であって、前記C
6オレフィンが少なくとも90モル%の1-ヘキセンを含む、前記第1のオリゴマー組成物と、
ii)C
8+オレフィンを含む重量物ストリームと、に分離することと、
b)複分解触媒系を、前記第1のオリゴマー組成物の全部または一部に接触させて、C
10直鎖内部オレフィンを含む第1の組成物を形成することと、
c)前記C
10直鎖内部オレフィンを、異性化ヒドロ官能基化触媒系と接触させて、官能基化アルカンを含む第2の組成物を形成することと、
d)前記官能基化アルカンをレトロヒドロ官能基化させて、1-デセンを含む第3の組成物を形成することと、
e)前記第3の組成物を精製して、少なくとも90モル%の1-デセンを含む第4の組成物を単離することと、を含む、前記プロセス。
【請求項12】
前記オリゴマー生成物は、少なくとも90モル%のC
6オレフィンを含む、請求項11に記載のプロセス。
【請求項13】
前記第1のオリゴマー組成物は、少なくとも94モル%のC
6オレフィンを含み、
前記C
6オレフィンは、少なくとも96モル%の1-ヘキセンを含む、請求項11に記載のプロセス。
【請求項14】
工程c)の前に、少なくとも90モル%のC
10直鎖内部オレフィンを含む内部オレフィン組成物を前記第1の組成物から単離する工程をさらに含む、請求項11に記載のプロセス。
【請求項15】
工程c)は、前記C
10直鎖内部オレフィンを、ヒドロホルミル化触媒系、一酸化炭素、及び水素と接触させて、C
11アルデヒドを含む前記第2の組成物を形成することを含み、
工程d)は、前記C
11アルデヒドを、脱ヒドロホルミル化触媒系と接触させて、1-デセンを含む前記第3の組成物を形成することを含み、かつ
前記プロセスは、工程d)の前に、少なくとも90モル%のC
11アルデヒドを含むアルデヒド組成物を前記第2の組成物から単離する工程をさらに含む、請求項11に記載のプロセス。
【請求項16】
1-オクテン/1-デセンの製造システムであって、
1)触媒系または触媒系成分の存在下でエチレンをオリゴマー化して、オリゴマー生成物を含む組成物を形成するように構成されたエチレンオリゴマー化システムであって、前記オリゴマー生成物は、15~80モル%のC
6オレフィン、20~80モル%のC
8オレフィン、及び5~20モル%のC
10+オレフィンを含む、前記エチレンオリゴマー化システムと、
2)前記オリゴマー生成物を含む前記組成物を、
i)1-ヘキセンを含む第1のオリゴマー組成物と、
ii)1-オクテンを含む第2のオリゴマー組成物と、
iii)C
10+オレフィンを含む重量物ストリームと、に分離するように構成された分画システムと、
3)複分解触媒系を、前記第1のオリゴマー組成物の全部または一部を接触させて、C
10直鎖内部オレフィンを含む第1の組成物を形成するように構成された複分解システムと、
4)前記C
10直鎖内部オレフィンを、異性化ヒドロ官能基化触媒系と接触させて、官能基化アルカンを含む第2の組成物を形成するよう構成された異性化ヒドロ官能基化システムと、
5)前記官能基化アルカンを処理して、1-デセンを含む第3の組成物を形成するように構成されたレトロヒドロ官能基化システムと、
6)前記第3の組成物から、少なくとも90モル%の1-デセンを含む第4の組成物を単離するように構成された精製システムと、を含む、前記製造システム。
【請求項17】
前記異性化ヒドロ官能基化システムの前に、C
10直鎖内部オレフィンを含む組成物を前記第1の組成物から単離するように構成された複分解精製システムをさらに含む、請求項16に記載の製造システム。
【請求項18】
前記レトロヒドロ官能基化システムの前に、官能基化アルカンを含む組成物を前記第2の組成物から単離するように構成された異性化ヒドロ官能基化精製システムをさらに含む、請求項16に記載の製造システム。
【請求項19】
前記触媒系または前記触媒系成分は、ヘテロ原子配位子クロム化合物錯体、及びアルキルアルミニウム化合物、またはヘテロ原子配位子、クロム化合物、及びアルキルアルミニウム化合物を含む、請求項16に記載の製造システム。
【請求項20】
1-ヘキセン/1-デセンの製造システムであって、
1)触媒系または触媒系成分の存在下でエチレンをオリゴマー化して、オリゴマー生成物を含む組成物を形成するように構成されたエチレンオリゴマー化システムであって、前記オリゴマー生成物は、少なくとも85モル%のC
6オレフィン、及び少なくとも5モル%のC
8+オレフィンを含む、前記エチレンオリゴマー化システムと、
2)前記オリゴマー生成物を含む前記組成物を、1-ヘキセンを含む第1のオリゴマー組成物と、C
8+オレフィンを含む重量物ストリームと、に分離するように構成された分画システムと、
3)複分解触媒系を、前記第1のオリゴマー組成物の全部または一部を接触させて、C
10直鎖内部オレフィンを含む第1の組成物を形成するように構成された複分解システムと、
4)前記C
10直鎖内部オレフィンを、異性化ヒドロ官能基化触媒系と接触させて、官能基化アルカンを含む第2の組成物を形成するよう構成された異性化ヒドロ官能基化システムと、
5)前記官能基化アルカンを処理して、1-デセンを含む第3の組成物を形成するように構成されたレトロヒドロ官能基化システムと、
6)前記第3の組成物から、少なくとも90モル%の1-デセンを含む第4の組成物を単離するように構成された精製システムと、を含む、前記製造システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、1-ヘキセン、1-オクテンと組み合わせて、または1-ヘキセン及び1-オクテンの両方と組み合わせて、1-デセンを生成するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特定の炭素数の標準的なα-オレフィン、特に、1-ヘキセン、1-オクテン、及び1-デセンの合成は、化学工業界において非常に重要である。しかし、現在の触媒及び反応プロセスでは、オレフィン生成物の複雑な混合物ではなく、所望の炭素数のα-オレフィン画分のみを選択的に生成することは困難である。特定のC6~C10のα-オレフィンの望ましい組み合わせを生成するための新しい方法を開発することは有益であろう。したがって、本発明は、概して、これらの目的を対象としている。
【発明の概要】
【0003】
本概要は、さらに本明細書に記載される簡略化した形式で、概念の選択を紹介するために提供される。本概要は、特許請求される主題の必要なまたは本質的な特徴を特定することを意図するものではない。また、本概要は、請求される主題の範囲を限定することを意図するものではない。
【0004】
本明細書に記載の第1のプロセスを使用して、1-オクテン及び1-デセンを生成することができる。この第1のプロセスは、a)オリゴマー生成物を含む組成物であって、該オリゴマー生成物が15~80モル%のC6オレフィン、20~80モル%のC8オレフィン、及び5~20モル%のC10+オレフィンを含む、該組成物を、i)C6アルカン及び少なくとも85モル%のC6オレフィンを含む第1のオリゴマー組成物であって、該C6オレフィンが少なくとも80モル%の1-ヘキセンを含む、第1のオリゴマー組成物と、ii)少なくとも85モル%のC8オレフィンを含む第2のオリゴマー組成物であって、該C8オレフィンが少なくとも85モル%の1-オクテンを含む、第2のオリゴマー組成物と、iii)C10+オレフィンを含む重量物ストリームと、に分離することと、b)複分解触媒系を該第1のオリゴマー組成物の全部または一部と接触させてC10直鎖内部オレフィンを含む第1の組成物を形成することと、c)該C10直鎖内部オレフィン(例えば、5-デセン)を異性化ヒドロ官能基化触媒系(ヒドロホルミル化、ヒドロホウ素化、ヒドロシリル化、ヒドロアルミネーション、またはC-X末端結合を形成する類似の触媒系など)に接触させて官能基化アルカンを含む第2の組成物を形成することと、d)該官能基化アルカンをレトロヒドロ官能基化して(例えば、1-デセンを形成するために、C-X結合を切断して)1-デセンを含む第3の組成物を形成することと、e)該第3の組成物を精製して少なくとも90モル%の1-デセンを含む第4の組成物を単離することと、を含む場合がある。
【0005】
本明細書に記載の第2のプロセスを使用して、1-ヘキセン及び1-デセンを生成することができる。この第2のプロセスは、a)オリゴマー生成物を含む組成物であって、該オリゴマー生成物が少なくとも85モル%のC6オレフィン及び少なくとも5モル%のC8+オレフィンを含む、該組成物を、i)C6アルカン及び少なくとも90モル%のC6オレフィンを含む第1のオリゴマー組成物であって、該C6オレフィンが少なくとも90モル%の1-ヘキセンを含む、第1のオリゴマー組成物と、ii)C8+オレフィンを含む重量物ストリームと、に分離することと、b)複分解触媒系を該第1のオリゴマー組成物の全部または一部と接触させてC10直鎖内部オレフィンを含む第1の組成物を形成することと、c)該C10直鎖内部オレフィンを異性化ヒドロ官能基化触媒系に接触させて官能基化アルカンを含む第2の組成物を形成することと、d)該官能基化アルカンをレトロヒドロ官能基化して1-デセンを含む第3の組成物を形成することと、e)該第3の組成物を精製して少なくとも90モル%の1-デセンを含む第4の組成物を単離することと、を含む場合がある。
【0006】
関連する製造システムについても本明細書にて開示する。第1(1-オクテン及び1-デセン)の製造システムは、1)触媒系または触媒系成分の存在下でエチレンをオリゴマー化して、オリゴマー生成物を含む組成物を形成するように構成されたエチレンオリゴマー化システムであって、該オリゴマー生成物が20~80モル%のC6オレフィン、15~80モル%のC8オレフィン、及び5~20モル%のC10+オレフィンを含む、エチレンオリゴマー化システムと、2)該オリゴマー生成物を含む該組成物を、i)1-ヘキセンを含む第1のオリゴマー組成物と、ii)1-オクテンを含む第2のオリゴマー組成物と、iii)C10+オレフィンを含む重量物ストリームと、に分離するように構成された分画システムと、3)複分解触媒系を該第1のオリゴマー組成物の全部または一部と接触させてC10直鎖内部オレフィンを含む第1の組成物を形成するように構成された複分解システムと、4)該C10直鎖内部オレフィンを異性化ヒドロ官能基化触媒系と接触させて官能基化アルカンを含む第2の組成物を形成するように構成された異性化ヒドロ官能基化システムと、5)該官能基化アルカンを処理して1-デセンを含む第3の組成物を形成するように構成されたレトロヒドロ官能基化システムと、6)該第3の組成物から少なくとも90モル%の1-デセンを含む第4の組成物を単離するように構成された精製システムと、を含む場合がある。
【0007】
第2(1-ヘキセン及び1-デセン)の製造システムは、1)触媒系または触媒系成分の存在下でエチレンをオリゴマー化して、オリゴマー生成物を含む組成物を形成するように構成されたエチレンオリゴマー化システムであって、該オリゴマー生成物が少なくとも85モル%のC6オレフィン、及び少なくとも5モル%のC8+オレフィンを含む、エチレンオリゴマー化システムと、2)該オリゴマー生成物を含む該組成物を、1-ヘキセンを含む第1のオリゴマー組成物と、C8+オレフィンを含む重量物ストリームと、に分離するように構成された分画システムと、3)複分解触媒系を該第1のオリゴマー組成物の全部または一部と接触させてC10直鎖内部オレフィンを含む第1の組成物を形成するように構成された複分解システムと、4)該C10直鎖内部オレフィンを異性化ヒドロ官能基化触媒系と接触させて官能基化アルカンを含む第2の組成物を形成するように構成された異性化ヒドロ官能基化システムと、5)該官能基化アルカンを処理して1-デセンを含む第3の組成物を形成するように構成されたレトロヒドロ官能基化システムと、6)該第3の組成物から少なくとも90モル%の1-デセンを含む第4の組成物を単離するように構成された精製システムと、を含む場合がある。
【0008】
前述の概要及び以下の詳細な説明の両方は、例を提供するものであり、単なる説明である。したがって、前述の概要及び以下の詳細な説明は、限定的であるとみなされるべきではない。さらに、特徴または変形例が、本明細書に記載されるものに加えて提供される場合がある。例えば、特定の態様は、発明を実施するための形態に記載された種々の特徴の組み合わせ及び部分的組み合わせを対象とする場合がある。
【0009】
以下の図面は本明細書の一部をなし、かつ本発明の特定の態様をさらに裏付けるために含まれる。本発明は、これらの図面のうち1つ以上を詳細な説明と組み合わせて参照することによって、より深く理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の態様に一致する1-オクテン/1-デセンの製造システムを示す。
【
図2】本開示の別の態様に一致する1-オクテン/1-デセンの製造システムを示す。
【
図3】本開示のさらに別の態様に一致する1-ヘキセン/1-デセンの製造システムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書にて開示する本発明は、様々な修正及び代替形態に影響されやすいが、わずかな特定の態様のみを、例として図面に示し、以下、本明細書に記載している。これらの特定の態様の図面及び詳細な説明は、いかなる場合も本発明の概念または添付の特許請求の範囲の幅または範囲を制限することを意図していない。むしろ、図面及び詳細な説明は、本発明の概念を当業者の例示し、かつそのような当業者が本発明の概念を作り、使用できるように提供するものである。
【0012】
定義
本明細書において使用される用語をより明確に定義するために、以下の定義が提供される。別段の指示がない限り、以下の定義が本開示に適用される。ある用語が本開示において用いられるが、本明細書において具体的に定義されていない場合、この定義が、本明細書に適用される他の開示または定義のいずれかに矛盾しない限り、あるいは定義が適用されるいずれの特許請求項も不明瞭または不可能にしない限り、IUPAC Compendium of Chemical Terminology、2nd Ed(1997)の定義が適用され得る。参照により本明細書に組み込まれる任意の文書によって提供される任意の定義または使用が、本明細書において提供される定義または使用と矛盾する限りにおいて、本明細書において提供される定義または使用が優先される。
【0013】
本明細書において、主題の特徴は、特定の態様の範囲内で、異なる特徴の組み合わせが想定され得るように記載され得る。本明細書にて開示される態様及び/または特徴のそれぞれ及び全てについて、本明細書に記載される設計、組成物、プロセス、及び/または方法に悪影響を及ぼさない全ての組み合わせが、特定の組み合わせの明示的な記載の有無にかかわらず企図される。加えて、別段の明示的な記載がない限り、本明細書にて開示される任意の態様及び/または特徴は、本開示と一致する本発明の特徴を説明するために組み合わせられ得る。
【0014】
本開示では、組成物、プロセス/方法、及びシステムが、種々の物質、工程、及び成分を「含む」という観点で説明されるが、その組成物、プロセス/方法、及びシステムはまた、別段の記載がない限り、その種々の物質、工程、及び成分「から本質的になる」か、またはそれら「からなる」場合がある。
【0015】
「a」、「an」、及び「the」という用語は、別段の指定がない限り、複数の選択肢、例えば、少なくとも1つを含むことが意図される。例えば、「C8オレフィン」または「受容体」の開示は、別段の指定がない限り、それぞれ、C8オレフィンまたは受容体の1つ、または2つ以上の組み合わせを包含することを意味する。
【0016】
概して、元素の群は、Chemical and Engineering News,63(5),27,1985において公表された元素の周期表のバージョンにおいて示された付番方式を使用して示される。一部の場合では、元素の族は、族に割り当てられた一般名、例えば、1族元素についてはアルカリ金属、2族元素についてはアルカリ土類金属、3~12族元素については遷移金属、及び17族元素についてはハロゲンまたはハロゲン化物を使用して示され得る。
【0017】
本明細書中に開示される任意の特定の化合物または基について、提示される任意の名称または構造は、別段の指定がない限り、置換基の特定のセットから生じ得る全ての配座異性体、位置異性体、立体異性体、及びこれらの混合物を包含することが意図される。名称または構造はまた、別段の指定がない限り、当業者によって認識されるように、鏡像異性形態であろうとラセミ形態であろうと、全ての鏡像異性体、ジアステレオマー、及び他の光学異性体(存在する場合)、ならびに立体異性体の混合物を包含する。例えば、ヘキセン(複数可)への一般的な言及は、6個の炭素原子及び1個の炭素-炭素二重結合を有する、全ての直鎖または分枝鎖の、非環式または環式の、炭化水素化合物を含み、ペンタンへの一般的な言及は、n-ペンタン、2-メチル-ブタン、及び2,2-ジメチルプロパンを含み、かつブチル基への一般的な言及は、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソ-ブチル基、及びt-ブチル基を含む。
【0018】
「接触させる」及び「組み合わせる」という用語は、組成物、プロセス/方法、及びシステムを説明するために本明細書で使用され、この際、別段の指定がない限り、各物質が任意の順序で、任意の方式で、任意の長さの時間で一緒に接触されるか、または組み合わされる。例えば、物質は、ブレンド、混合、スラリー化、溶解、反応、処理、含浸、調合されるか、あるいは、いくつかの他の方式で、または任意の好適な方法もしくは技術によって、接触または組み合わされる場合がある。
【0019】
「触媒組成物」、「触媒混合物」、「触媒系」などの用語は、開示されるまたは請求される触媒組成物/混合物/システムの初期成分の接触または反応から生じた実際の生成物または組成物、活性触媒部位の性質、または、これらの成分を組み合わせた後の、遷移金属化合物、ホスフィン、ヘテロ原子酸もしくはヘテロ原子酸誘導体、及び受容体の最終結果に依存しない。したがって、「触媒組成物」、「触媒混合物」、「触媒系」などの用語は、組成物の初期出発成分を包含するだけでなく、いかなる生成物(複数可)が、これらの初期出発成分を接触させることによって生じ得、かつ不均質及び均質の触媒系または組成物の両方が含まれる。「触媒組成物」、「触媒混合物」、「触媒系」などの用語は、本開示を通して、同じ意味で用いられる場合がある。
【0020】
本明細書及び特許請求の範囲において用いられる場合、常に、「炭化水素」という用語は、炭素及び水素のみを含む化合物を意味する。炭化水素中の特定の基の存在を示すために他の識別子を利用することができる(例えば、ハロゲン化炭化水素は、炭化水素中の同等の数の水素原子を置換する1個以上のハロゲン原子の存在を示す)。「ヒドロカルビル基」という用語は、本明細書において、IUPACによって指定された定義に従って使用され、炭化水素から水素原子を除去することによって形成された一価の基である。同様に、「ヒドロカルビレン基」とは、1個の炭素原子から2個の水素原子、または2個の異なる炭素原子の各々から1個の水素原子のいずれかで、2個の水素原子を炭化水素から除去することによって形成された基を指す。したがって、本明細書で使用される用語法に従い、「炭化水素基」とは、炭化水素から1個以上の水素原子(特定の基のために必要に応じて)を除去することによって形成された一般化された基を指す。「ヒドロカルビル基」、「ヒドロカルビレン基」、及び「炭化水素基」は、非環式もしくは環式基であり得、及び/または直鎖または分岐鎖であり得る。「ヒドロカルビル基」、「ヒドロカルビレン基」、及び「炭化水素基」は、炭素及び水素のみを含む環、環系、芳香環、及び芳香族環系を含む場合がある。「ヒドロカルビル基」、「ヒドロカルビレン基」、及び「炭化水素基」には、例として、他の基の中でも、アリール、アリーレン、アレーン、アルキル、アルキレン、アルカン、シクロアルキル、シクロアルキレン、シクロアルカン、アラルキル、アラルキレン、及びアラルカン基が員として含まれる。
【0021】
「アルカン」という用語は、本明細書及び特許請求の範囲において使用される場合は常に、飽和炭化水素化合物を指す。アルカン中の特定の基の存在を示すために他の識別子を利用することができる(例えば、ハロゲン化アルカンは、アルカン中の同等の数の水素原子を置換する1個以上のハロゲン原子の存在を示す)。「アルキル基」という用語は、IUPACによって定められた定義に従って本明細書において使用され、アルカンから水素原子を除去することによって形成される一価の基である。同様に、「アルキレン基」とは、(1個の炭素原子から2個の水素原子、または2個の異なる炭素原子から1個の水素原子のいずれかで)2個の水素原子をアルカンから除去することによって形成された基を指す。「アルカン基」とは、アルカンから1個以上の水素原子(特定の基のために必要に応じて)を除去することによって形成された基を指す一般用語である。「アルキル基」、「アルキレン基」、及び「アルカン基」は、別段の指定がない限り、非環式もしくは環式基であり得、及び/または直鎖または分岐鎖であり得る。一級、二級及び三級アルキル基は、それぞれアルカンの一級、二級または三級炭素の原子から水素を除去することによって誘導される。n-アルキル基は、直鎖アルカンの末端炭素の原子から水素を除去することによって誘導することができる。
【0022】
「オレフィン」という用語は、本明細書及び特許請求の範囲で使用される場合はいつでも、芳香環または芳香環系の一部ではない少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する炭化水素を指す。「オレフィン」という用語は、別段の特別な記載がない限り、芳香族環または環系の一部ではない少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する、脂肪族及び芳香族、環式及び非環式、及び/または直鎖及び分岐炭化水素を含む。1つのみ、2つのみ、3つのみなどの炭素-炭素二重結合を有するオレフィンは、オレフィンの名称の中で「モノ」、「ジ」、「トリ」などの用語を使用することによって特定することができる。オレフィンは、炭素-炭素二重結合(複数可)の位置によってさらに識別され得る。
【0023】
本明細書で使用されるような「α-オレフィン」という用語は、炭素原子の最長連続鎖の最初の炭素原子と2番目の炭素原子との間に炭素-炭素二重結合を有する任意のオレフィンを指す。「α-オレフィン」という用語は、別段の明示的な記載がない限り、直鎖及び分枝鎖α-オレフィンならびに2つ以上の非芳香族炭素-炭素二重結合を有する場合があるα-オレフィンを含む。本明細書で使用されるような「標準的なα-オレフィン」という用語は、最初の炭素原子と2番目の炭素原子との間に炭素-炭素二重結合を有する直鎖脂肪族炭化水素モノオレフィンを指す。本明細書で使用されるような「直鎖内部オレフィン」という用語は、最初の炭素原子と2番目の炭素原子との間ではない、二重結合を有する直鎖脂肪族炭化水素モノオレフィンを指す。
【0024】
「芳香族化合物」とは、Huckel(4n+2)規則に従う周期的に結合された部位を含有し、かつ(4n+2)のパイ電子含有する化合物を指す(式中、nは、1から約5の整数である)。芳香族化合物は、別段の指定がない限り、単環式または多環式であり得る。芳香族化合物の非限定的な例としては、特に、ベンゼン、ナフタレン、及びトルエンが挙げられる。
【0025】
「置換された」という用語は、化合物または基を説明するために使用される場合、例えば、特定の化合物または基の置換類似体を意味する場合、その基中の水素を形式的に置換する任意の非水素部分を述べていることが意図され、非限定的であることが意図される。1つまたは複数の基はまた、本明細書において、「非置換(unsubstituted)」として、または非水素部分がその基内の水素を置換しない元の基を指す「非置換(non-substituted)」などの同等の用語によって表すこともできる。「置換された」とは、別段の指定がない限り、非限定的であることが意図され、無機置換基または有機置換基を含む。
【0026】
オリゴマーという用語は、2~20個のモノマー単位を含有する生成物を指す。「オリゴマー化生成物」及び「オリゴマー生成物」という用語は、「オリゴマー」及び「オリゴマー」ではない生成物(例えば、20個超のモノマー単位または固体ポリマーを含有する生成物)を含む「オリゴマー化」プロセスによって作られた全ての生成物を含むが、オリゴマー化反応ゾーン流出物ストリームの他の非オリゴマー成分、例えば、他の成分の中でも、未反応のエチレン、有機反応媒体、及び水素は除く。
【0027】
用語「オリゴマー化」及びその派生語は、2~20個のモノマー単位を含む少なくとも20重量%、35重量%、50重量%、または60重量%の生成物を含むオリゴマー生成物を生成するプロセスを指す。一例において、モノマーとしてエチレンを使用する「オリゴマー化」プロセスは、4~40個の炭素原子を有する少なくとも20重量%、35重量%、50重量%、または60重量%のオリゴマーを含む生成物の混合物を生成する。
【0028】
用語「反応ゾーン流出物」及びその派生語(例えば、オリゴマー化反応ゾーン流出物)は、概して、反応混合物を排出する反応ゾーン出口/排出口を通って反応ゾーンから出て行く物質の全てを指し、かつ反応ゾーン供給物(複数可)(例えば、エチレン、触媒系、または触媒系成分、及び/または溶媒)、及び/または反応生成物(例えば、オリゴマー及び非オリゴマーを含むオリゴマー生成物)を含み得る。用語「反応ゾーン流出物」及びその派生語は、追加の修飾用語の使用によって特定の部分を指すように修飾することができる。例えば、反応ゾーン流出物は、反応ゾーン出口/排出口を通って反応ゾーンを出る全ての物質を指すが、反応ゾーンオリゴマー生成物流出物は、反応ゾーン流出物内のオリゴマー生成物のみを指す。
【0029】
本明細書における生成組成物は、対応する供給原料から形成される物質を指し、例えば、複分解生成組成物は、オレフィン供給原料から生成された生成物(複分解されたオレフィン生成物及び副生成物)の全てを含有するが、供給原料オレフィン、溶媒(使用される場合)、及び触媒系または触媒系成分は除き;ヒドロホルミル化生成組成物は、オレフィン供給原料のヒドロホルミル化によって生成される生成物(アルデヒド及び副生成物)を指すが、供給原料オレフィン、溶媒(使用される場合)、及び触媒系または触媒系成分は除き;脱ヒドロホルミル化生成組成物は、アルデヒドの脱ヒドロホルミル化によって生成される生成物(オレフィン及び副生成物)を指すが、未反応のアルデヒド、溶媒(使用される場合)、及び触媒系及び/または触媒系成分は除く。生成組成物は、未反応供給原料、溶媒(使用される場合)、及び触媒系及び/または触媒系成分を含み得るより大きい組成物の一部を形成し得る。
【0030】
本明細書で使用される場合、「溶媒」という用語は、化合物を溶解できる物質、または反応の成分を希釈できる物質に適用される。したがって、「溶媒」という用語は、別段の記載がない限り、希釈剤として作用することができる物質を包含する場合がある。
【0031】
本発明において、いくつかの種類の範囲が開示される。任意の種類の範囲が開示または請求される場合、その意図は、本明細書に包含される範囲の端点、ならびに任意の部分範囲及び部分範囲の組み合わせを含む、かかる範囲が合理的に包含され得る考えられる数のそれぞれを個々に開示または請求することである。例えば、特定の数の炭素原子を有する化学的部分が開示または請求される場合、その意図は、かかる範囲が包含され、本明細書の開示と一致し得る考えられる全ての数を個々に開示または請求することである。例えば、本明細書で使用される場合に、部分がC1~C18ヒドロカルビル基、すなわち、言い換えると、1個~18個の炭素原子を有するヒドロカルビル基である本開示は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、または18個の炭素原子、ならびにこれらのうち2つの数の間の任意の範囲(例えば、C1~C8ヒドロカルビル基)を有する場合があり、かつこれらのうち2つの数の範囲の任意の組み合わせ(例えば、C2~C4及びC12~C16ヒドロカルビル基)も含む部分を指す。同様に、本明細書にて開示される全ての他の範囲も、この例と同様に解釈されるべきである。
【0032】
概して、量、サイズ、配合、パラメータ、範囲、または他の数量もしくは特徴は、そうであると明確に述べられているかどうかにかかわらず、「約」または「およそ」である。「約」または「およそ」という用語によって修飾されているかどうかにかかわらず、特許請求の範囲は、その数量または特徴の等価物を含む。
【0033】
最小値として提供される本開示内の特徴は、代替的に、本明細書に開示される特徴について列挙された任意の最小値「少なくとも」または「以上」と記載することもできる。最大値として提供される本開示内の特徴は、代替的に、本明細書に開示される特徴の任意の列挙された任意の最大値「以下」または「を下回る」と記載することもできる。
【0034】
本明細書中に記載されるものと類似または等価な任意の方法及び物質が、本発明の実施または試験において使用され得るが、代表的な方法及び物質が本明細書中に記載される。
【0035】
本明細書中で言及される全ての刊行物及び特許は、例えば、現在記載されている発明に関連して使用され得る、刊行物中に記載される構築物及び方法論を記載及び開示する目的のために、本明細書中に参考として援用される。
【発明の詳細な説明】
【0036】
1-デセンを1-ヘキセン、1-オクテンと組み合わせて、または1-ヘキセン及び1-オクテンの両方と組み合わせて生成するためのシステム及びプロセスについて、本明細書にて開示する。
【0037】
1-デセンを選択的に合成するプロセスの開発は、他に類なく困難である。1-ヘキセン及び1-オクテンを生成するために使用されるエチレンオリゴマー化プロセスは、多くの場合、1-デセン及び上記のような高級オリゴマーに対して効果的に作用しないメタラサイクルメカニズムを含む。理論に束縛されるものではないが、中間クロマサイクルが、安定ではなく、5番目のエチレンの挿入を可能にして、11員環を生成する前に、容易に分解してしまうと考えられている。したがって、1-デセンは通常、化学反応を介して、1つの特定の分子(1-デセン)に対して選択的でなく、むしろ非効率的に分離または分画する必要がある一連の物質を生成する触媒系を使用して合成される。同時に生成される他の生成物画分の全てを考慮すると、1-デセンを生成するプロセスのエチレン効率は、非常に低いものとなるであろう。
【0038】
本発明の第1の目的は、1-オクテン及び1-デセンを生成するためのシステム及びプロセスであり、ここで、1-オクテン部分が一次生成物である状態で、1-ヘキセン及び1-オクテンを含有するエチレンオリゴマー化生成物ストリームが分離されるが、その一方で、1-ヘキセン部分は通常、純度が低い(例えば、C6を基準にして、95モル%未満である)。さらに、1-ヘキセンを含有するC6画分はまた、大規模かつ複雑な蒸留塔及びプロセスなしでは、分離することが困難な内部及び環式C6物質を含有する。不純なC6ストリームを精製及び清浄する代わりに、本明細書では、複分解、異性化ヒドロ官能基化(例えば、ヒドロホルミル化、ヒドロホウ素化、ヒドロシリル化、またはヒドロアルミネーションなど)、及びレトロヒドロ官能基化を行い、最終的に1-ヘキセンの大部分を1-デセンに変換し、ゆえに、選択的オクテン/デセンプロセスがもたらされる。
【0039】
例えば、1-ヘキセンの多くの最終用途には、99モル%以上の純度(C
6を基準にして)が必要とされるが、エチレンオリゴマー化プロセスによる例示的なC
6画分に関する表Iが示しているように、1-ヘキセンの純度が約90モル%であることは珍しくなく、かつ他のC
6種が1-ヘキセンの5~15℃の範囲内の沸点を有する。表Iから、C
6種の沸点が非常に近いため、99モル%を超える純度で1-ヘキセンを単離するためには、大規模な蒸留塔を用いた複雑な分離に繋がることが明らかである。有利には、表Iの種を複分解することは、1-ヘキセンのみを5-デセンに複分解するため、はるかに簡単な分離プロセスもたらし、かつアルカン不純物(例えば、C
6アルカンは、一般的に複分解しない)または複分解されたオレフィン不純物(デセンを生じない)の分離は、表Iに示されているようなC
6成分としてそれらを分離するよりも、5-デセンから分離する方がはるかに簡単である。
【表1】
【0040】
さらに、99モル%以上の純度が必要とされる1-ヘキセンの最終用途とは対照的に、1-デセンの大部分の最終用途には、95~98モル%の範囲の純度(例えば、96.5モル%の純度)しか必要とされない。これにより、望ましい標準的なα-オレフィンの純度の必要条件が低いため、C6と比較して、C10に対する精製プロセスがさらに簡略化される。
【0041】
本発明の第2の目的は、1-ヘキセン及び1-デセンを生成するためのシステム及びプロセスであり、ここで、1-ヘキセンを含有する選択的エチレンオリゴマー化生成物ストリームが、最初に生成される。次に、1-ヘキセンストリームの一部に、本明細書では、複分解、異性化ヒドロ官能基化、及びレトロヒドロ官能基化を行い、最終的に1-ヘキセンの部分を1-デセンに変換し、ゆえに、選択的ヘキセン/デセンプロセスがもたらされる。このヘキセン/デセンシステム及びプロセスの利益は、1-ヘキセンが連続的に生成され得、同時に、1-デセンが要求または必要に応じて生成され得ることである。
【0042】
要するに、開示するシステム及びプロセスは、1-デセン及び1-ヘキセン、または1-デセン及び1-オクテンの同時生成を提供する。有利には、これらのシステム及びプロセスで生成される1-デセンの相対量は、対応する標準的なα-オレフィンの市場要求、生産能力、及び利益率(例えば、1-デセン対1-ヘキセン)に基づいて変えることができる。
【0043】
オクテン/デセンまたはヘキセン/デセンを作るためのプロセス
本発明の態様は、1-デセンを1-オクテンまたは1-ヘキセンと組み合わせて生成するためのプロセスに関する。本明細書に記載の第1のプロセスを使用して、1-オクテン及び1-デセンを生成することができ、該第1のプロセスは、a)オリゴマー生成物を含む組成物であって、該オリゴマー生成物が15~80モル%のC6オレフィン、20~80モル%のC8オレフィン、及び5~20モル%のC10+オレフィンを含む、該組成物を、i)C6アルカン及び少なくとも85モル%のC6オレフィンを含む第1のオリゴマー組成物であって、該C6オレフィンが少なくとも80モル%の1-ヘキセンを含む、第1のオリゴマー組成物と、ii)少なくとも85モル%のC8オレフィンを含む第2のオリゴマー組成物であって、該C8オレフィンが少なくとも85モル%の1-オクテンを含む、第2のオリゴマー組成物と、iii)C10+オレフィンを含む重量物ストリームと、に分離することと、b)複分解触媒系を該第1のオリゴマー組成物の全部または一部と接触させてC10直鎖内部オレフィンを含む第1の組成物を形成することと、c)該C10直鎖内部オレフィンを異性化ヒドロ官能基化触媒系(ヒドロホルミル化、ヒドロホウ素化、ヒドロシリル化、ヒドロアルミネーション、またはC-X末端結合を形成する類似の触媒系など)に接触させて官能基化アルカンを含む第2の組成物を形成することと、d)該官能基化アルカンをレトロヒドロ官能基化して(例えば、1-デセンを形成するために、C-X結合を切断して)1-デセンを含む第3の組成物を形成することと、e)該第3の組成物を精製して少なくとも90モル%の1-デセンを含む第4の組成物を単離することと、を含む(または、これらから本質的になる、もしくは、これらからなる)場合がある。
【0044】
本明細書に記載の第2のプロセスを使用して、1-ヘキセン及び1-デセンを生成することができ、該第2のプロセスは、a)オリゴマー生成物を含む組成物であって、該オリゴマー生成物が少なくとも85モル%のC6オレフィン及び少なくとも5モル%のC8+オレフィンを含む、該組成物を、i)C6アルカン及び少なくとも90モル%のC6オレフィンを含む第1のオリゴマー組成物であって、該C6オレフィンが少なくとも90モル%の1-ヘキセンを含む、第1のオリゴマー組成物と、ii)C8+オレフィンを含む重量物ストリームと、に分離することと、b)複分解触媒系を該第1のオリゴマー組成物の全部または一部と接触させてC10直鎖内部オレフィンを含む第1の組成物を形成することと、c)該C10直鎖内部オレフィンを異性化ヒドロ官能基化触媒系に接触させて官能基化アルカンを含む第2の組成物を形成することと、d)該官能基化アルカンをレトロヒドロ官能基化して1-デセンを含む第3の組成物を形成することと、e)該第3の組成物を精製して少なくとも90モル%の1-デセンを含む第4の組成物を単離することと、を含む(または、これらから本質的になる、もしくは、これらからなる)場合がある。
【0045】
概して、第1のプロセス及び第2のプロセスの特徴(例えば、他の特徴の中でも、オリゴマー生成物、第1のオリゴマー組成物、第2のオリゴマー組成物、複分解工程、異性化ヒドロ官能基化工程、レトロヒドロ官能基化工程、及び精製工程)については、個別に本明細書に記載され、かつこれらの特徴は、これらの2つのプロセスをさらに説明するために任意の組み合わせで組み合わせることができる。さらに、追加のプロセス工程は、別段の記載がない限り、これらのプロセスの工程の前、中、及び/または後に実施され得る。
【0046】
ここで、第1のプロセスを参照すると、工程a)は、オリゴマー生成物を含む組成物であって、該オリゴマー生成物は、15~80モル%のC6オレフィン、20~80モル%のC8オレフィン、及び5~20モル%のC10+オレフィンを含む、該組成物を、i)C6アルカン及び少なくとも85モル%のC6オレフィンを含む第1のオリゴマー組成物であって、該C6オレフィンが少なくとも80モル%の1-ヘキセンを含む、第1のオリゴマー組成物と、ii)少なくとも85モル%のC8オレフィンを含む第2のオリゴマー組成物であって、該C8オレフィンが少なくとも85モル%の1-オクテンを含む、第2のオリゴマー組成物と、iii)C10+オレフィンを含む重量物ストリームと、に分離(または分画)する。第1のプロセスの工程a)では、オリゴマー生成物を含有する組成物は、エチレンオリゴマー化反応器/システムからの反応ゾーン流出物であり得、かつエチレンを、反応ゾーン内で、触媒系または触媒系成分、任意選択で有機反応媒体、及び任意選択で水素に接触させることによって形成され得る。一態様では、触媒系または触媒系成分は、ヘテロ原子配位子クロム化合物錯体、及びアルキルアルミニウム化合物、またはヘテロ原子配位子、クロム化合物、及びアルキルアルミニウム化合物を含み得る。したがって、オリゴマー生成物に加えて、組成物(例えば、反応ゾーン流出物)は、触媒(活性化または不活性化)及び有機反応媒体を含有し得る。オリゴマー生成物を含有する組成物を分離(または分画)することは、第1のオリゴマー組成物、第2のオリゴマー組成物、及び重量物ストリームを形成するために、1つ以上の工程(通常、複数の工程)で行うことができる。エチレンオリゴマー化プロセス及び触媒系を対象とする代表的な特許文献としては、米国特許公開第2017/0081257号、同2017/0341998号、同2017/0341999号、同2017/0342000号、同2017/0342001号、及び2016/0375431号が挙げられる。
【0047】
第1のプロセスに関する場合、工程a)におけるオリゴマー生成物は、分離(または分画)前に、15~80モル%のC6オレフィン、20~80モル%のC8オレフィン、及び5~20モル%のC10+オレフィンを含有する。例えば、オリゴマー生成物は、一態様では25~75モル%のC6オレフィン、別の態様では30~70モル%のC6オレフィン、さらに別の態様では35~65モル%のC6オレフィン、及びいっそう別の態様では40~60モル%のC6オレフィンを含有し得る。追加的または代替的に、オリゴマー生成物は、一態様では25~75モル%のC8オレフィン、別の態様では30~70モル%のC8オレフィン、さらに別の態様では35~65モル%のC8オレフィン、及びいっそう別の態様では40~60モル%のC8オレフィンを含有し得る。追加的または代替的に、オリゴマー生成物は、5~18モル%のC10+オレフィン、代替的に、5~15モル%のC10+オレフィン、代替的に、7~20モル%のC10+オレフィン、または代替的に、7~18モル%のC10+オレフィンを含有し得る。当業者であれば容易に認識されるように、これらの及び他の成分の合計は、100モル%を超えない。
【0048】
オリゴマー生成物を含有する組成物は、i)C6アルカン及び少なくとも85モル%のC6オレフィンを含む第1のオリゴマー組成物であって、該C6オレフィンが少なくとも80モル%の1-ヘキセンを含む、第1のオリゴマー組成物と、ii)少なくとも85モル%のC8オレフィンを含む第2のオリゴマー組成物であって、該C8オレフィンが少なくとも85モル%の1-オクテンを含む、第2のオリゴマー組成物と、iii)C10+オレフィンを含む重量物ストリームと、に分離される。ここで、いくつかの態様では、少なくとも85モル%、少なくとも90モル%、少なくとも93モル%、または少なくとも95モル%のC6オレフィンを含有し得る第1のオリゴマー組成物を参照する。したがって、第1の組成物中のC6オレフィンの量の典型的な範囲には、85~99モル%、90~99.5モル%、93~98モル%、95~99モル%などが含まれ得るが、これらに限定されない。少なくとも80モル%のC6オレフィンは、1-ヘキセンであるが、より多くの場合、C6オレフィンは、少なくとも85モル%、少なくとも90モル%、または少なくとも95モル%の1-ヘキセンを含有し、したがって、典型的な範囲には、80モル%~98モル%、80モル%~95モル%、85モル%~95モル%、または90~99モル%の1-ヘキセンが含まれる。1-ヘキセンに加えて、C6オレフィンは、内部及び環式C6オレフィン(例えば、2-ヘキセン、3-ヘキセン、メチレンシクロペンタンなど)を含有し得、かつC6オレフィンは、多くの場合、合計0.1~10モル%、0.5~8モル%、0.5~6モル%、1~8モル%、または1~6モル%の内部及び環式C6オレフィンを含有し得る。C6アルカンはまた、第1の組成物中に存在し、代表的なC6アルカンは、メチルシクロペンタン及びn-ヘキサンを含む。概して、第1の組成物は、0.5~12モル%、0.5~10モル%、1~10モル%、1~8モル%、1.5~8モル%、2~8モル%、または2~6モル%のC6アルカンを含有する。
【0049】
第1プロセスでは、第2のオリゴマー組成物は、少なくとも85モル%のC8オレフィンを含み得、かつC8オレフィンは、少なくとも85モル%の1-オクテンを含有し得る。いくつかの態様では、第2のオリゴマー組成物は、少なくとも90モル%、少なくとも95モル%、少なくとも96モル%、または少なくとも97モル%のC8オレフィンを含有し得る。したがって、第2の組成物中のC8オレフィンの量の典型的な範囲には、85~99モル%、90~99.5モル%、95~99.5モル%、97~99モル%などが含まれ得るが、これらに限定されない。少なくとも85モル%のC8オレフィンは、1-オクテンであるが、より多くの場合、C8オレフィンは、少なくとも90モル%、少なくとも95モル%、または少なくとも97モル%の1-オクテンを含有し、したがって、典型的な範囲には、85モル%~98モル%、90モル%~99モル%、95モル%~98モル%、または97~99.5モル%の1-オクテンが含まれる。
【0050】
ここで、第1のプロセスの工程b)を参照すると、複分解触媒系が、第1のオリゴマー組成物の全部または一部と接触されて、C10直鎖内部オレフィンを含む第1の組成物が形成される。第1の組成物は、典型的には、第1の組成物中のC6+オレフィンを基準にして、少なくとも85モル%、少なくとも90モル%、少なくとも92モル%、または少なくとも95モル%のC10直鎖内部オレフィンを含み得る。工程b)のための好適な複分解触媒系については、以下、本明細書で開示するが、本開示及び例えば、米国特許第8,765,984号を考慮して当業者によって認識されるように、複分解工程b)のための任意の好適な条件が利用され得る。
【0051】
任意選択で、工程c)の前に、第1のプロセスは、少なくとも90モル%、少なくとも93モル%、または少なくとも96モル%のC10直鎖内部オレフィンを含む組成物を第1の組成物から単離する工程をさらに含む場合がある。抽出、濾過、蒸発、蒸留など、ならびにこれらの任意の組み合わせなどの任意の好適な技術が使用され得る。有利には、第1の組成物中のC6アルカンは、複分解しないため、これらの物質は、C10直鎖内部オレフィンから比較的容易に分離される。同様に、メチレンシクロペンタンは、複分解において非反応性であるため、この物質もまた、C10直鎖内部オレフィンから比較的容易に分離される。さらに、内部C6オレフィンは、複分解して非C10オレフィンを形成し、これもまた、C10直鎖内部オレフィンから比較的容易に分離されるようになる。
【0052】
工程c)では、C10直鎖内部オレフィン(例えば、5-デセン)は、異性化ヒドロ官能基化触媒系と接触されて、官能基化アルカンを含む第2の組成物が形成される。二重結合を末端位置までチェーンウォーキングさせ、次いで末端二重結合官能基化反応を誘導するのに適しているという条件で、任意の好適な異性化ヒドロ官能基化触媒系を使用することができる。例示的な触媒系としては、ヒドロホルミル化触媒系、ヒドロホウ素化触媒系、ヒドロシリル化触媒系、ヒドロアルミネーション触媒系などが挙げられ、C-X末端結合を有する官能基化アルカンが形成される。
【0053】
一態様では、工程c)における異性化ヒドロ官能基化触媒系は、ヒドロホルミル化触媒系であり得、官能基化アルカンは、C11アルデヒドである(C-X末端結合では、Xはホルミル基である)。したがって、工程c)では、C10直鎖内部オレフィンは、ヒドロホルミル化触媒系、一酸化炭素、及び水素と接触されて、C11アルデヒドを含む第2の組成物が形成され得る。本発明のさらなる態様と一致して、工程c)は、直鎖内部オレフィンをヒドロホルミル化触媒系及び合成ガス(syngas)(合成ガス(synthesis gas)とも呼ばれる)と接触させて、アルデヒドを形成することを含む場合がある。当業者によって認識されるように、合成ガスは、主に一酸化炭素及び水素を含有する混合物である。合成ガスはまた、より少ない量で二酸化炭素及びメタンを含有する場合がある。
【0054】
異性化ヒドロ官能基化触媒系として使用される場合、ヒドロホルミル化触媒系は、一酸化炭素及び水素と共に使用されて、C10直鎖内部オレフィンからC11アルデヒドが形成され得る。本開示を考慮して当業者によって認識されるように、工程c)において、ヒドロホルミル化の任意の好適な条件が利用され得る。任意の好適なヒドロホルミル化触媒系が、ヒドロホルミル化工程にて使用可能であり、その非限定的な例としては、ロジウム化合物、コバルト化合物、ルテニウム化合物、イリジウム化合物、白金化合物、パラジウム化合物、鉄化合物、またはこれらの任意の組み合わせを挙げることができる。例えば、ヒドロホルミル化触媒系は、ロジウム化合物;代替的に、コバルト化合物;代替的に、ルテニウム化合物;代替的に、イリジウム化合物;代替的に、白金化合物;代替的に、パラジウム化合物;または代替的に、鉄化合物を含む場合がある。
【0055】
典型的には、工程c)でヒドロホルミル化を使用することにより、直鎖及び分枝鎖C11アルデヒドの両方が生成されるが、主として直鎖アルデヒド、及びいくらかの水素添加オレフィンが生成される。例えば、C11アルデヒドは、少なくとも80モル%、少なくとも85モル%、少なくとも90モル%、または少なくとも95モル%のC11直鎖アルデヒドを含有し得る。分枝鎖アルデヒドは、後続のレトロヒドロ官能基化(例えば、脱ヒドロホルミル化)工程で内部デセンを生成する可能性があるため、典型的には最小限に抑えられる。
【0056】
任意選択で、工程d)の前に、第1のプロセスは、少なくとも90モル%、少なくとも93モル%、または少なくとも96モル%のC11アルデヒドを含む組成物を第2の組成物から単離する工程をさらに含む場合がある。前述のように、抽出、濾過、蒸発、蒸留など、ならびにこれらの任意の組み合わせなどの任意の好適な技術が使用され得る。概して、アルデヒドは、未反応または残存オレフィンから、及びヒドロホルミル化反応の副生成物である場合があるデカンから分離される。
【0057】
工程c)の他の態様では、C10直鎖内部オレフィン(例えば、5-デセン)は、異性化ヒドロ官能基化触媒系と接触されて、官能基化アルカンを含む第2の組成物が形成され、かつ異性化ヒドロ官能基化触媒系は、ヒドロホウ素化触媒系、ヒドロシリル化触媒系、またはヒドロアルミネーション触媒系である。一例として、工程c)における異性化ヒドロ官能基化触媒系は、ヒドロホウ素化触媒系であり得、官能基化アルカンは、C10アルキルホウ素である(C-X末端結合では、Xはホウ素である)。したがって、工程c)では、C10直鎖内部オレフィンは、ヒドロホウ素化触媒系と接触されて、官能基化アルカンを含有する第2の組成物が形成され得る。好適なヒドロホウ素化触媒系の代表的な例については、米国特許第9,120,826号にて開示されており、これには、直鎖内部オレフィン(例のセクションにて4-オクテンが示されている)のヒドロホウ素化を行って末端アルキルホウ素化合物を形成し、それに続いて、デヒドロホウ素化処理工程(例えば、熱処理)を行って、ホウ素-炭素結合を切断して直鎖末端オレフィンを形成することについて記載されている。
【0058】
当業者によって認識されるように、任意の好適なヒドロホウ素化、ヒドロシリル化、及びヒドロアルミネーション技術及び触媒系が、本明細書で使用可能であり、そのような主題に関する代表的参考文献としては、Chem.Eur.J.2014,20,13918-13922;J.Am.Chem.Soc.1982,104,528-531;Accounts of Chemical Research,864-874,2012,Vol.45,No.6;ACS Catal.2016,6,4105-4109;ACS Catal.2016,6,2632-2636;Science,3 February 2012,Vol.335,567-570;Chemistry Letters,1977,1117-1120;Organometallics 2009,Vol.28,No.4,968-977;及びUllmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,2012,Vol.2,Aluminum Compounds,Organic,585-605が挙げられる。
【0059】
工程d)では、官能基化アルカンが、レトロヒドロ官能基化されて(例えば、C-X結合が切断されて)、1-デセンを含む第3の組成物が形成され得る。C-X結合を切断して1-デセンを形成する熱処理などの任意の好適なレトロヒドロ官能基化技術が使用可能である(工程c)からの官能基化作用因子もまた1-デセンに加えて、形成される場合がある)。
【0060】
一態様では、ヒドロホルミル化が工程c)で使用され、結果として生じたC11アルデヒドは、工程d)で脱ヒドロホルミル化触媒系と接触される。これに限定されないが、このレトロヒドロ官能基化工程は、i)遷移金属化合物、ホスフィン、及びヘテロ原子酸もしくはヘテロ原子酸誘導体、またはii)ホスフィン遷移金属化合物錯体及びヘテロ原子酸もしくはヘテロ原子酸誘導体を含み得る触媒系(脱ヒドロホルミル化触媒系)を使用して、1-デセンを含む第3の組成物を形成する。工程d)のための好適な脱ヒドロホルミル化触媒系については、以下、本明細書で開示するが、本開示、ならびに米国特許第10,723,672号、同10,435,334号、及び同10,183,899号ならびに米国特許公開第2019/0262819号などの代表的な特許文献を考慮して当業者によって認識されるように、脱ヒドロホルミル化工程d)のための任意の好適な条件が利用され得る。さらに、他の好適なレトロヒドロ官能基化(または、脱ヒドロホルミル化)触媒系については、Kusumoto,Tatsuki,及びNozaki,Angew.Chem.Int.Ed.,2015,54,8458-8461に記載されている(例えば、Catalyst F及びEntry 7、及び8459ページのTable 1に記載の他のもの)。
【0061】
アルデヒドの量に対する脱ヒドロホルミル化触媒系の遷移金属の量は、特に限定されない。例えば、C11アルデヒドの遷移金属(遷移金属化合物またはホスフィン遷移金属化合物錯体の)に対する最小モル比は、1:1、2:1、5:1、または10:1であり得、追加的または代替的に、C11アルデヒドの遷移金属に対する最大モル比は、10,000:1、1000:1、500:1、または250:1であり得る。一態様では、C11アルデヒドの遷移金属(遷移金属化合物またはホスフィン遷移金属化合物錯体)に対するモル比は、本明細書にて開示する任意の最小モル比から本明細書にて開示する任意の最大モル比の範囲であり得る。いくつかの非限定的態様では、モル比は、1:1~10,000:1、2:1~1000:1、5:1~500:1、または10:1~250:1の範囲であり得る。当業者であれば容易に認識するように、C11アルデヒドの遷移金属に対するモル比は、脱ヒドロホルミル化反応が進行するにつれて変更することができる。したがって、モル比のこれらの範囲は、脱ヒドロホルミル化反応が進行するにつれて生じるC11アルデヒドの遷移金属に対する初期比ならびに任意のモル比を包含することを意味する。
【0062】
触媒系で使用される場合、受容体の量は、特に限定されない。例えば、0.2:1、0.5:1、0.75:1、1:1、1.5:1、または2:1の受容体のC11アルデヒドに対する最小モル比が使用可能であり、あるいは、追加的または代替的に、1000:1、500:1、100:1、50:1、25:1、10:1、または5:1の受容体のC11アルデヒドに対する最大モル比が使用可能である。一態様では、受容体のC11アルデヒドに対するモル比は、本明細書にて開示する任意の最小モル比から本明細書にて開示する任意の最大モル比の範囲であり得る。いくつかの非限定的態様では、モル比は、0.2:1~1000:1、0.5:1~500:1、0.75:1~100:1、1:1~10:1、または0.5:1~5:1の範囲であり得る。当業者であれば容易に認識するように、受容体のC11アルデヒドに対するモル比は、脱ヒドロホルミル化反応が進行するにつれて変更することができる。したがって、モル比のこれらの範囲は、脱ヒドロホルミル化反応が進行するにつれて生じる受容体のC11アルデヒドに対する初期反応物比ならびに任意のモル比を包含することを意味する。
【0063】
工程d)は、任意の好適な温度で行うことができる。例えば、工程d)は、0℃、10℃、15℃、または20℃の最低温度で行うことができ、追加的または代替的に、150℃、125℃、100℃、または75℃の最大温度で行うことができる。一態様では、工程d)は、本明細書にて開示する任意の最低温度から本明細書にて開示する任意の最高温度の範囲で行うことができる。いくつかの非限定的態様では、温度は、0℃~150℃;代替的に、0℃~100℃;代替的に、10℃~125℃;代替的に、10℃~75℃;代替的に、15℃~150℃;代替的に、15℃~100℃;代替的に、20℃~125℃;または代替的に、20℃~75℃の範囲とすることができる。これらの温度範囲はまた、単一の固定温度の代わりに、対応する温度範囲内におさまる、一連の異なる温度で工程d)が行われる状況を包含することを意味する。
【0064】
概して、工程d)は、任意の好適な圧力で行うことができ、これは、使用される特定の受容体に応じて(例えば、液相中に受容体を維持するように)変更することができる。これに限定されないが、工程d)は、0~2000psig(0~13,785kPa)、10~2000psig(69~13,785kPa)、0~1000psig(0~6,890kPa)、5~1000psig(34~6,890kPa)、5~750psig(34~5,170kPa)、5~500psig(34~3,450kPa)、5~250psig(34~1,720kPa)、5~150psig(34~1,030kPa)、または10~100psig(69~689kPa)の範囲の反応圧力で行うことができる。いくつかの態様では、工程d)は、大気圧で行うことができるが、その一方で、他の態様では、工程d)は、準大気圧で行うことができる。これらの圧力範囲はまた、単一の固定圧力の代わりに、対応する圧力範囲内におさまる、一連の異なる圧力で工程d)が行われる状況を包含することを意味する。
【0065】
工程d)は、1-デセンを形成するために、任意の好適な反応器内または容器で行うことができ、その非限定的な例としては、固定層型反応器、撹拌槽型反応器、プラグ流反応器、環状反応器、及び管型反応器を挙げることができ、これには、直列のまたは並列の2つ以上の反応器が含まれ、また反応器タイプ及び配置の任意の組み合わせが含まれる。工程d)は、いくつかの態様では、バッチプロセスであり得るが、その一方で、他の態様では、工程d)は、連続的プロセスであり得る。
【0066】
本発明の特定の態様では、アルデヒド及び触媒組成物は、溶媒の不在下で接触され得る。しかし、他の態様では、アルデヒド及び触媒組成物は、溶媒の存在下で接触され得る。典型的には、使用される場合、溶媒は、アルデヒドの重量を基準にして、最大1,000重量%の量で存在することができる。代替的に、アルデヒド及び触媒系は、750重量%まで、最大500重量%、最大250重量%、最大200重量%、最大150重量%、または最大100重量%の量の溶媒の存在下で接触され得る。溶媒が使用される場合、使用される溶媒の最小量は、アルデヒドの重量を基準にして、少なくとも5重量%、少なくとも10重量%、少なくとも25重量%、少なくとも50重量%、または少なくとも75重量%であり得る。概して、使用され得る溶媒の量は、本明細書にて開示する溶媒の任意の最小量から本明細書にて開示する溶媒の任意の最大量の範囲とすることができる。いくつかの非限定的な態様では、アルデヒド及び触媒系は、アルデヒドの重量を基準にして、5重量%~1000重量%、10重量%~750重量%、25重量%~500重量%、50重量%~250重量%、50重量%~150重量%、または75重量%~125重量%の量の溶媒の存在下で接触され得る。
【0067】
本明細書に記載のように、工程d)は、溶媒の存在下で行うことができる。一態様では、溶媒は、極性溶媒を含む、それから本質的になる、またはそれからなり得、その一方で、別の態様では、溶媒は、炭化水素、ケトン、アルコール、エーテル、またはこれらの任意の組み合わせを含む、これらから本質的になる、またはこれらからなる場合がある。したがって、溶媒の混合物及び/または組み合わせが、本明細書にて開示する標準的なα-オレフィン合成プロセスで使用され得る。
【0068】
一態様では、溶媒は、炭化水素溶媒を含む、これから本質的になる、またはこれからなる場合がある。好適な炭化水素溶媒としては、例えば、脂肪族炭化水素(例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、及びこれらの組み合わせ)、及び芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン(複数可)、エチルベンゼン、及びこれらの組み合わせ)を挙げることができる。
【0069】
一態様では、溶媒は、ケトン、エーテル、またはこれらの任意の組み合わせ;代替的に、ケトン;または代替的に、エーテルを含む、これらから本質的になる、またはこれらからなる場合がある。好適なケトンまたはエーテルは、C2~C20ケトンまたはエーテル;代替的に、C2~C10ケトンまたはエーテル;または代替的に、C2~C5ケトンまたはエーテルを含む。好適なケトン溶媒の非限定的な例としては、アセトン、エチルメチルケトン、またはこれらの任意の組み合わせを挙げることができる。好適なエーテル溶媒は、環式もしくは非環式とすることができ、その非限定的な例としては、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、ジブチルエーテル、グリコールのモノエーテルもしくはジエーテル(例えば、ジメチルグリコールエーテル)、グリム、ジグリム、テトラグリム、フラン、置換フラン、ジヒドロフラン、置換ジヒドロフラン、テトラヒドロフラン(THF)、置換テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、置換テトラヒドロピラン、1,3-ジオキサン、置換1,3-ジオキサン、1,4-ジオキサン、置換1,4-ジオキサンまたはこれらの混合物を挙げることができる。一態様では、置換フラン、置換ジヒドロフラン、置換テトラヒドロフラン、置換テトラヒドロピラン、置換1,3-ジオキサン、または置換1,4-ジオキサンの各置換基は、C1~C5アルキル基である場合がある。
【0070】
概して、工程d)における1-デセンのモル収率は、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも75%、または少なくとも90%であり得る。1-デセンのこのモル収率は、工程d)におけるC11アルデヒドの初期量を基準にしたものである。
【0071】
脱ヒドロホルミル化触媒系が受容体を含有しない場合の本発明の態様では、工程d)で形成される一酸化炭素及び水素の全部または一部は、再利用されて、工程c)で使用可能である。
【0072】
第1のプロセスの工程e)では、1-デセンを含む第3の組成物が、精製されて、少なくとも90モル%の1-デセンを含有する第4の組成物が単離され得る。1-デセンを含有する第4の組成物は、抽出、濾過、蒸発、蒸留、またはこれらの技術のうち2つ以上の任意の組み合わせなどの任意の好適な技術を使用して、第3の組成物から単離または分離することができる。第4の組成物は、少なくとも90モル%の1-デセンを含有するが、その一方で、いくつかの態様では、第4の組成物は、少なくとも92モル%、少なくとも95モル%、少なくとも97モル%、または少なくとも98モル%の1-デセンを含有し得る。したがって、第4の組成物中の1-デセンの量の典型的な範囲には、90~99モル%、92~99.5モル%、95~99モル%、98~99.5モル%などが含まれ得るが、これらに限定されない。
【0073】
任意選択で、第1のプロセスは、複分解触媒系をC8オレフィン組成物の全部または一部と接触させて、C14オレフィン組成物を形成する工程をさらに含む場合がある。また、任意選択で、第1のプロセスは、複分解触媒系をC6及びC8オレフィンを含む軽質オリゴマー組成物と接触させて、C10~C14直鎖内部オレフィンを含む組成物を形成する工程をさらに含む場合がある。軽質オリゴマー組成物は、任意の相対量で、第1のオリゴマー組成物(1-ヘキセン含有)及び第2のオリゴマー組成物(1-オクテン含有)の少なくとも一部分を組み合わせることにより形成することができる。
【0074】
ここで、第2のプロセスを参照すると、工程a)は、オリゴマー生成物を含む組成物であって、該オリゴマー生成物は、少なくとも85モル%のC6オレフィン、及び少なくとも5モル%のC8+オレフィンを含む、該組成物を、i)C6アルカン及び少なくとも90モル%のC6オレフィンを含む第1のオリゴマー組成物であって、該C6オレフィンが少なくとも90モル%の1-ヘキセンを含む、第1のオリゴマー組成物と、ii)C8+オレフィンを含む重量物ストリームと、に分離(または分画)する。第1のプロセスと同様に、第2のプロセスの工程a)では、オリゴマー生成物を含有する組成物は、エチレンオリゴマー化反応器/システムからの反応ゾーン流出物であり得る。オリゴマー生成物に加えて、組成物(例えば、反応ゾーン流出物)は、触媒(活性化または不活性化)及び有機反応媒体を含有し得る。オリゴマー生成物を含有する組成物を分離(または分画)することは、第1のオリゴマー組成物及び重量物ストリームを形成するために、1つ以上の工程(通常、複数の工程)で行うことができる。
【0075】
第2のプロセスにおけるオリゴマー生成物は、第1のプロセスにおけるオリゴマー生成物とは異なり、結果として生じる分画された組成物もまた異なることに留意することが重要である。第1のプロセスでは、オリゴマー生成物は、15~80モル%のC6オレフィン、20~80モル%のC8オレフィン、及び5~20モル%のC10+オレフィンを含むが、その一方で、第2のプロセスにおけるオリゴマー生成物は、少なくとも85モル%のC6オレフィン及び少なくとも5モル%のC8+オレフィンを含む。第1のプロセスでは、オリゴマー生成物は、第1のオリゴマー組成物(主にC6)と、第2のオリゴマー組成物(主にC8)と、C10+オレフィンを含む重量物ストリームとに分離されるが、第2のプロセスにおけるオリゴマー生成物は、第1のオリゴマー組成物(主にC6)と、C8+オレフィンを含む重量物ストリームとに分離される。第2のプロセスのオリゴマー生成物を含有する組成物は、多くの場合、1-ヘキセンプロセスによって得ることができるが、第1のプロセスのオリゴマー生成物を含有する組成物は、1-ヘキセン/1-オクテンプロセスによって得ることができる。
【0076】
第2のプロセスに関する場合、工程a)におけるオリゴマー生成物は、分離(または分画)前に、少なくとも85モル%のC6オレフィン、及び少なくとも5モル%のC8+オレフィンを含有する。例えば、オリゴマー生成物は、一態様では少なくとも87モル%のC6オレフィン、別の態様では少なくとも90モル%のC6オレフィン、さらに別の態様では少なくとも91モル%のC6オレフィン、及びいっそう別の態様では少なくとも93モル%のC6オレフィンを含有し得る。追加的または代替的に、オリゴマー生成物は、5~15モル%のC8+オレフィン;代替的に、5~12モル%のC8+オレフィン;代替的に、6~14モル%のC8+オレフィン;または代替的に、7~13モル%のC8+オレフィンを含有し得る。当業者であれば容易に認識されるように、これらの及び他の成分の合計は、100モル%を超えない。
【0077】
オリゴマー生成物を含有する組成物は、i)C6アルカン及び少なくとも90モル%のC6オレフィンを含む第1のオリゴマー組成物であって、該C6オレフィンが少なくとも90モル%の1-ヘキセンを含む、第1のオリゴマー組成物と、ii)C8+オレフィンを含む重量物ストリームとに分離される。ここで、いくつかの態様では、少なくとも92モル%、少なくとも94モル%、少なくとも96モル%、または少なくとも98モル%のC6オレフィンを含有し得る第1のオリゴマー組成物を参照する。したがって、第1の組成物中のC6オレフィンの量の典型的な範囲には、92~99モル%、94~99.9モル%、96~99.9モル%、98~99.9モル%などが含まれ得るが、これらに限定されない。少なくとも90モル%のC6オレフィンは、1-ヘキセンであるが、より多くの場合、C6オレフィンは、少なくとも94モル%、少なくとも96モル%、または少なくとも98モル%の1-ヘキセンを含有し、したがって、典型的な範囲には、90モル%~99モル%、94モル%~99.9モル%、96モル%~99.9モル%、または98~99.9モル%の1-ヘキセンが含まれる。1-ヘキセンに加えて、C6オレフィンは、多くの場合、最小量の内部及び環式C6オレフィン(例えば、2-ヘキセン、3-ヘキセン、メチレンシクロペンタンなど)を含有し得、かつC6オレフィンは、多くの場合、合計0.1モル%~3モル%、0.2モル%~2モル%、または0.25モル%~1モル%の内部及び環式C6オレフィンを含有し得る。C6アルカンはまた、多くの場合、最小量で、第1の組成物中に存在し、代表的なC6アルカンは、メチルシクロペンタン及びn-ヘキサンを含む。概して、第2のプロセスにおける第1の組成物は、0.1モル%~1.5モル%、0.15モル%~1モル%、または0.2モル%~0.75モル%のC6アルカンを含有する。
【0078】
第2のプロセスの工程b)、工程c)、工程d)、及び工程e)は、概して、第1のプロセスの対応する工程b)、工程c)、工程d)、及び工程e)について本明細書に記載されているように実施することができる。
【0079】
任意選択で、第1のプロセスと同様に、第2のプロセスは、工程c)の前に、少なくとも90モル%、少なくとも93モル%、または少なくとも96モル%のC10直鎖内部オレフィンを含む組成物を第1の組成物から単離する工程をさらに含む場合がある。抽出、濾過、蒸発、蒸留など、ならびにこれらの任意の組み合わせなどの任意の好適な技術が使用され得る。有利には、第1の組成物中のC6アルカンは、複分解しないため、これらの物質は、C10直鎖内部オレフィンから比較的容易に分離される。同様に、メチレンシクロペンタンは、複分解において非反応性であるため、この物質もまた、C10直鎖内部オレフィンから比較的容易に分離される。さらに、内部C6オレフィンは、複分解して非C10オレフィンを形成し、これもまた、C10直鎖内部オレフィンから比較的容易に分離されるようになる。
【0080】
任意選択で、第1のプロセスと同様に、第2のプロセスは、工程d)の前に、少なくとも90モル%、少なくとも93モル%、または少なくとも96モル%のC11アルデヒドを含む組成物を第2の組成物から単離する工程をさらに含む場合がある。前述のように、抽出、濾過、蒸発、蒸留など、ならびにこれらの任意の組み合わせなどの任意の好適な技術が使用され得る。概して、アルデヒドは、未反応または残存オレフィンから、及びヒドロホルミル化反応の副生成物である場合があるデカンから分離される。
【0081】
複分解触媒系
これに限定されないが、本明細書にて開示する複分解触媒系を使用して、第1のオリゴマー組成物中の1-ヘキセンを転換して、C10直鎖内部オレフィンを含有する第1の組成物を形成することができる。任意の好適な複分解触媒系が、複分解工程にて使用可能であり、その非限定的な例としては、金属酸化物ベースの複分解触媒系、金属ハロゲン化物ベースの複分解触媒系、金属カルベンベースの複分解触媒系、またはこれらの任意の組み合わせを挙げることができる。一態様では、複分解触媒系は、金属酸化物ベースの複分解触媒系または金属ハロゲン化物ベースの複分解触媒系であり得るが、その一方で、別の態様では、複分解系触媒は、金属酸化物ベースの複分解触媒系;代替的に、金属ハロゲン化物ベースの複分解触媒系;または代替的に、金属カルベンベースの複分解触媒系であり得る。
【0082】
金属酸化物ベースの複分解触媒系は、酸化コバルト、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化レニウム、またはこれらの任意の組み合わせを含む(またはこれらから本質的になる、またはこれらからなる)場合がある。例えば、金属酸化物ベースの触媒系は、酸化コバルト;代替的に、酸化モリブデン;代替的に、酸化タングステン;または代替的に、酸化レニウムを含む(またはこれらから本質的になる、またはこれらからなる)場合がある。任意選択で、金属酸化物ベースの複分解触媒系は、担体、または金属アルキル活性化剤、または担体及び金属アルキル活性化剤の両方をさらに含む場合がある。例示的な担体としては、他の固体酸化物質の中でも、アルミナ、シリカ、シリカ-アルミナ、及びアルミニウム-ホスフェートを挙げることができる。したがって、担持される金属酸化物ベースの複分解触媒系の非限定的な例としては、アルミナ担持酸化モリブデン(MoO3/Al2O3)、シリカ担持酸化タングステン(WO3/SiO2)、アルミナ担持酸化レニウム(Re2O7/Al2O3)、アルミナ担持酸化コバルト及び酸化モリブデン(CoO/MoO3/Al2O3)、ならびにテトラメチルスズで活性化されたアルミナ担持酸化レニウム(Re2O7/Al2O3/SnMe4)を挙げることができる。他の好適な金属酸化物ベースの複分解触媒系も、当業者に周知である。
【0083】
さらに、金属酸化物ベースの複分解触媒系としては、金属アルキル活性化剤が挙げることができ、これには、アルキルリチウム、アルキルマグネシウム、アルキルアルミニウム、アルキルスズ化合物、またはこれらの任意の混合物が含まれる場合がある。一態様では、金属アルキル活性化剤は、アルキルリチウム化合物であり得る。別の態様では、金属アルキル活性化剤は、アルキルマグネシウム化合物であり得る。別の態様では、金属アルキル活性化剤は、アルキルアルミニウム化合物であり得る。さらに別の態様では、金属アルキル活性化剤は、アルキルスズ化合物であり得る。アルキルアルミニウム化合物の非限定的な例としては、トリアルキルアルミニウム化合物及び/またはハロゲン化アルキルアルミニウム化合物を挙げることができる。金属アルキル活性化剤担持アルキル基には、任意のC1~C10ヒドロカルビル基、または代替的に、任意のC1~C5ヒドロカルビル基が含まれる場合がある。種々の態様では、金属アルキル活性化剤のアルキル基は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソ-プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、もしくはtert-ブチル基;代替的に、メチル基、エチル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、もしくはtert-ブチル基;代替的に、メチル基;代替的に、エチル基;代替的に、n-ブチル基;代替的に、sec-ブチル基;または代替的に、tert-ブチル基であり得る。好適なトリアルキルアルミニウム化合物の代表的な例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、及びトリイソブチルアルミニウムを挙げることができる。ハロゲン化アルキルアルミニウム化合物のハロゲン化物は、塩化物、臭化物、またはヨウ化物;代替的に、塩化物;代替的に、臭化物;または代替的に、ヨウ化物であり得る。好適なハロゲン化アルキルアルミニウム化合物の例としては、二塩化エチルアルミニウム、塩化ジエチルアルミニウム、及びセスキ塩化エチルアルミニウムを挙げることができる。アルキルスズ化合物の好適かつ非限定的な例としては、テトラメチルスズ、テトラエチルスズ、及びテトラブチルスズを挙げることができる。
【0084】
金属ハロゲン化物ベースの複分解触媒系は、タングステンのハロゲン化物、モリブデンのハロゲン化物、またはこれらの組み合わせを含む(またはこれらから本質的になる、またはこれらからなる)場合がある。例えば、金属ハロゲン化物ベースの複分解触媒系は、タングステンのハロゲン化物、または代替的に、モリブデンのハロゲン化物を含む(またはこれらから本質的になる、またはこれらからなる)場合がある。金属ハロゲン化物ベースの複分解触媒系のハロゲン化物は、塩化物、臭化物、またはヨウ化物であり得る。一態様では、ハロゲン化物は、塩化物であり得、別の態様では、ハロゲン化物は、ブロマイドであり得、さらに別の態様では、ハロゲン化物は、ヨウ化物であり得る。したがって、金属ハロゲン化物ベースの複分解触媒系は、塩化タングステン、塩化モリブデン、またはこれらの混合物;代替的に、塩化タングステン;または代替的に、塩化モリブデンを含む(またはこれらから本質的になる、またはこれらからなる)場合がある。
【0085】
任意選択で、金属ハロゲン化物ベースの複分解触媒系は、金属アルキル活性化剤(本明細書に記載のような)、酸素、アルコール、またはこれらの任意の組み合わせ;代替的に、金属アルキル活性化剤;代替的に、酸素;または代替的に、アルコールをさらに含む場合がある。金属ハロゲン化物ベースの複分解触媒系の非限定的な例としては、塩化タングステン/テトラブチルスズ(WCl6/SnMe4)、塩化タングステン/二塩化エチルアルミニウム(WCl6/EtAlCl2)、塩化タングステン/二塩化エチルアルミニウム/エチルアルコール(WCl6/EtAlCl2/EtOH)、塩化モリブデン/トリエチルアルミニウム(MoCl5/AlEt3)、及び塩化モリブデン/トリエチルアルミニウム/O2(MoCl5/AlEt3/O2)を挙げることができる。他の好適な金属ハロゲン化物ベースの複分解触媒系も、当業者に周知である。
【0086】
金属カルベンベースの複分解触媒系は、タングステン、タンタル、オスミウム、モリブデン、ルテニウム、またはこれらの任意の組み合わせを含む(またはこれらから本質的になる、またはこれらからなる)場合がある。例えば、金属カルベンベースの複分解触媒系は、タングステン;代替的に、タンタル;代替的に、オスミウム;代替的に、モリブデン;または代替的に、ルテニウムを含む(またはこれらから本質的になる、またはこれらからなる)場合がある。これらの金属カルベンベースの複分解触媒系は、安定した金属-炭素二重結合を有するか、または安定した金属-炭素単結合を有する金属前駆体から金属-炭素二重結合を原位置で形成できる化合物を含有することができる。
【0087】
一態様では、ルテニウムカルベンベースの複分解触媒系は、構造L1L2X2Ru=CHR1を有する化合物を含む場合があり、式中、L1及びL2は、有機配位子であり得、Xは、ハロゲン化物であり得、かつR1は、水素またはヒドロカルビル基であり得る。概して、構造L1L2X2Ru=CHR1を有するルテニウムカルベンベースの複分解触媒系の化合物は、本明細書に記載のL1、L2、X、またはR1の任意の組み合わせを使用して記載される場合がある。
【0088】
概して、L1及びL2は、独立して、R’3P、イミダゾリニリデン基、またはイミダゾリジニリデン基であり得る。いくつかの態様では、L1及びL2は、R’3Pであり得;代替的に、L1は、R’3Pであり、かつL2は、イミダゾリニリデン基もしくはイミダゾリジニリデン基であり得;代替的に、L1は、R’3Pであり得、かつL2は、イミダゾリニリデン基であり得;代替的に、L1は、R’3Pであり得、かつL2は、イミダゾリジニリデン基であり得;代替的に、L1及びL2は、イミダゾリニリデン基であり得、または代替的に、L1及びL2は、イミダゾリジニリデン基であり得る。本発明の態様では、R’は、ヒドロカルビル基であり得、ここで、R’3Pの各R’は、同じであり得;代替的に、R’3Pの各R’は、異なり得;または代替的に、R’3PのR’の1つは、R’基の他の2つとは異なり得る。いくつかの態様では、R’3Pの各R’は、独立して、C1~C15ヒドロカルビル基、または代替的に、C1~C10ヒドロカルビル基であり得る。他の態様では、R’3Pの各ヒドロカルビルR’は、独立して、アルキル基もしくは芳香族基;代替的に、アルキル基;または代替的に、芳香族基であり得る。一態様では、R’3Pの各アルキルR’は、独立して、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、ネオ-ペンチル基、シクロペンチル基、またはシクロヘキシル基であり得る。いくつかの態様では、R’3Pの1つ以上のR’基は、フェニル基、または代替的に、置換フェニル基であり得る。一態様では、任意の置換フェニル基の置換基は、独立して、C1~C5オルガニル基、または代替的に、C1~C5ヒドロカルビル基であり得る。いくつかの態様では、R’3Pは、トリアルキルホスフィンもしくはトリフェニルホスフィン;代替的に、トリアルキルホスフィン;または代替的に、トリフェニルホスフィンであり得る。一態様では、R’3Pは、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリ-tert-ブチルホスフィン、トリ-ネオペンチルホスフィン、トリシクロペンチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、もしくはトリフェニルホスフィン;代替的に、トリイソプロピルホスフィン、トリ-tert-ブチルホスフィン、トリ-ネオペンチルホスフィン、トリシクロペンチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィンもしくはトリフェニルホスフィン;代替的に、トリシクロペンチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、もしくはトリフェニルホスフィン;代替的に、トリシクロペンチルホスフィンもしくはトリシクロヘキシルホスフィン;代替的に、トリシクロペンチルホスフィン;代替的に、トリシクロヘキシルホスフィン;または代替的に、トリフェニルホスフィンであり得る。
【0089】
一態様では、イミダゾリニリデン基またはイミダゾリジニリデン基は、C3~C80イミダゾリニリデン基もしくはイミダゾリジニリデン基;代替的に、C3~C50イミダゾリニリデン基もしくはイミダゾリジニリデン基;または代替的に、C5~C40イミダゾリニリデン基もしくはイミダゾリジニリデン基であり得る。いくつかの態様では、イミダゾリニリデン基は、1,3-二置換イミダゾリニリデン基であり得る。いくつかの態様では、イミダゾリジニリデン基は、1,3-二置換イミダゾリジニリデン基であり得る。一態様では、1,3-二置換イミダゾリニリデン基または1,3-二置換イミダゾリジニリデン基の1,3-置換基は、独立して、任意の好適なヒドロカルビル基であり得る。一態様では、1,3-二置換イミダゾリニリデン基または1,3-二置換イミダゾリジニリデン基の1,3-置換基は、独立して、C1~C30ヒドロカルビル基であり得る。いくつかの態様では、1,3-二置換イミダゾリニリデン基または1,3-二置換イミダゾリジニリデン基の1,3-置換基は、独立して、C6~C20芳香族基、またはC1~C10アルキル基であり得る。他の態様では、1,3-二置換イミダゾリニリデン基または1,3-二置換イミダゾリジニリデン基の1,3-置換基は、独立して、C6~C20芳香族基、または代替的に、C1~C10アルキル基であり得る。一態様では、1,3-二置換イミダゾリニリデン基または1,3-二置換イミダゾリジニリデン基の各芳香族基は、独立して、置換芳香族基であり得る。いくつかの態様では、1,3-二置換イミダゾリニリデン基または1,3-二置換イミダゾリジニリデン基の置換芳香族基は、2-二置換フェニル基、2,6-二置換フェニル基、もしくは2,4,6-三置換フェニル基;代替的に、2,6-二置換フェニル基;または代替的に、2,4,6-三置換フェニル基であり得る。1,3-二置換イミダゾリニリデン基または1,3-二置換イミダゾリジニリデン基内部の任意の置換フェニル基の好適な置換基には、任意のC1~C10ヒドロカルビル基、または代替的に、任意のC1~C5ヒドロカルビル基が含まれる場合がある。いくつかの態様では、各ヒドロカルビル置換基は、独立して、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソ-プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、もしくはtert-ブチル基;代替的に、メチル基、エチル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、もしくはtert-ブチル基;代替的に、メチル基;代替的に、エチル基;代替的に、イソプロピル基;または代替的に、tert-ブチル基であり得る。いくつかの態様では、1,3-二置換イミダゾリニリデン基または1,3-二置換イミダゾリジニリデン基の各置換芳香族基は、独立して、2,6-ジイソプロピルフェニル基、または2,4,6-トリメチルフェニル基;代替的に、2,6-ジイソプロピルフェニル基;または代替的に、2,4,6-トリメチルフェニル基であり得る。
【0090】
種々の態様では、構造L1L2X2Ru=CHR1を有する化合物の各Xは、独立して、塩化物、臭化物、またはヨウ化物であり得る。一態様では、Xは、塩化物であり得る。別の態様では、Xは、臭化物であり得る。さらに別の態様では、Xは、ヨウ化物であり得る。構造L1L2X2Ru=CHR1を有する化合物のR1は、水素またはC1~C20ヒドロカルビル基であり得る。いくつかの態様では、R1は、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、フェニル基、2-メチル-2-プロペン基、または2,2-ジフェニルエテン基であり得る。他の態様では、R1は、tert-ブチル基、フェニル基、2-メチル-2-プロペン基、もしくは2,2-ジフェニルエテン基;代替的に、水素;代替的に、tert-ブチル基;代替的に、フェニル基;代替的に、tert-ブチル基;代替的に、フェニル基;代替的に、2-メチル-2-プロペン基;または代替的に、2,2-ジフェニルエテン基であり得る。
【0091】
いくつかの非限定的な態様では、ルテニウムカルベンベースの複分解触媒系は、ジクロロ(フェニルメチレン)ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム、ジクロロ(3-メチル-2-ブテニリデン)ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム、ジクロロ(3-メチル-2-ブテニリデン)ビス(トリシクロペンチルホスフィン)ルテニウム、1,3-ビス-(2,4,6-トリメチルフェニル)-2-(イミダゾリジニリデン)(フェニルメチレン)ジクロロ(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム、または1,3-ビス-(2,6-ジイソプロピルフェニル)-2-(イミダゾリジニリデン)(フェニルメチレン)ジクロロ(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムを含む場合がある。いくつかの態様では、ルテニウムカルベンベースの複分解触媒系は、ジクロロ(フェニルメチレン)ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム;代替的に、ジクロロ(3-メチル-2-ブテニリデン)ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム;代替的に、1,3-ビス-(2,4,6-トリメチルフェニル)-2-(イミダゾリジニリデン)(フェニルメチレン)ジクロロ(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム;または代替的に、1,3-ビス-(2,6-ジイソプロピルフェニル)-2-(イミダゾリジニリデン)(フェニルメチレン)ジクロロ(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムを含む場合がある。
【0092】
一態様では、モリブデンカルベンベースの複分解触媒系は、構造Mo(=CHR2)(NAr)(OR3)2を有する化合物を含む場合があり、式中、R2は、水素またはヒドロカルビル基であり、Arは、置換芳香環であり、かつR3は、ヒドロカルビル基またはハロゲン化ヒドロカルビル基である。概して、構造Mo(=CHR2)(NAr)(OR3)2を有するモリブデンカルベンベースの複分解触媒系の化合物は、本明細書に記載のR2、Ar、及びR3の任意の組み合わせを使用して記載される場合がある。
【0093】
いくつかの態様では、構造Mo(=CHR2)(NAr)(OR3)2を有する化合物のR2は、水素もしくはC1~C20ヒドロカルビル基、または代替的に、C1~C20ヒドロカルビル基であり得る。いくつかの態様では、R2は、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、フェニル基、2-メチル-2-プロペン基、または2,2-ジフェニルエテン基であり得る。他の態様では、R2は、tert-ブチル基、フェニル基、2-メチル-2-プロペン基、もしくは2,2-ジフェニルエテン基;代替的に、tert-ブチル基、もしくはフェニル基;代替的に、水素;代替的に、tert-ブチル基;代替的に、フェニル基;代替的に、2-メチル-2-プロペン基;または代替的に、2,2-ジフェニルエテン基であり得る。
【0094】
一態様では、構造Mo(=CHR2)(NAr)(OR3)2を有する化合物の置換芳香環Arは、C6~C30芳香族基、または代替的に、C6~C20芳香族基であり得る。いくつかの態様では、置換芳香環Arの各置換基は、独立して、C6~C20ヒドロカルビル基、C1~C10ヒドロカルビル基、またはC1~C5ヒドロカルビル基であり得る。いくつかの態様では、置換芳香環Arは、2-置換フェニル基、2,6-二置換フェニル基、または2,4,6-三置換フェニル基であり得る。一態様では、置換芳香環の各置換基は、独立して、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、またはネオペンチル基;代替的に、メチル基、イソプロピル基、またはtert-ブチル基;代替的に、メチル基またはイソプロピル基であり得る。いくつかの態様では、置換芳香環の各置換基は、独立して、メチル基;代替的に、イソプロピル基、または代替的に、tert-ブチル基であり得る。いくつかの非限定的な態様では、置換芳香環Arは、2-tert-ブチルフェニル基、2,6-ジメチルフェニル基、2,6-ジイソプロピルフェニル基、もしくは2,4,6-トリメチルフェニル基;代替的に、2-tert-ブチルフェニル基;代替的に、2,6-ジメチルフェニル基;代替的に、2,6-ジイソプロピルフェニル基;または代替的に、2,4,6-トリメチルフェニル基であり得る。
【0095】
一態様では、構造Mo(=CHR2)(NAr)(OR3)2を有する化合物の各R3は、独立して、C1~C10有機基、または代替的に、C1~C5有機基であり得る。いくつかの態様では、C1~C10またはC1~C5有機基は、ヒドロカルビルハリル基(水素、炭素、及びハロゲン原子からなる基);代替的に、ヒドロカルビルフルオリル基(水素、炭素、及びフッ素原子からなる基);または代替的に、ヒドロカルビル基であり得る。一態様では、ヒドロカルビルハリル基のハロゲン原子は、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、もしくはこれらの任意の組み合わせ;代替的に、フッ素;代替的に、塩素;代替的に、臭素;または代替的に、ヨウ素であり得る。いくつかの態様では、各R3は、独立して、tert-ブチル基、またはヘキサフルオロ-tert-ブチル基であり得る。他の態様では、(OR3)2が、単一の有機基を表す場合があり、ここで、酸素原子に結合した2つのR3基は、R3基内の任意の二価、三価、または四価の原子間の結合を介して結合している。さらなる態様では、(OR3)2が、単一の有機基を表す場合があり、ここで、酸素原子に結合した2つのR3基は、2つのR3基の任意の炭素原子間の炭素-炭素結合を介して結合している。
【0096】
一態様では、モリブデンカルベンベースの複分解触媒系は、Mo(=CH-C(CH3)3)(N-2,6-ジイソプロピルフェニル)(OC(CH3)3)、Mo(=CH-C(CH3)2(C6H5))(N-2,6-ジイソプロピルフェニル)(OC(CH3)3)、Mo(=CH-C(CH3)3)(N-2,6-ジイソプロピルフェニル)(OC(CH3)(CF3)2)、またはMo(=CH-C(CH3)2(C6H5))(N-2,6-ジイソプロピルフェニル)(OC(CH3)(CF3)2)を含む場合がある。他の態様では、モリブデンカルベンベースの複分解触媒系は、Mo(=CH-C(CH3)3)(N-2,6-ジイソプロピルフェニル)(OC(CH3)3);代替的に、Mo(=CH-C(CH3)2(C6H5))(N-2,6-ジイソプロピルフェニル)(OC(CH3)3);代替的にMo(=CH-C(CH3)3)(N-2,6-ジイソプロピルフェニル)(OC(CH3)(CF3)2);または代替的にMo(=CH-C(CH3)2(C6H5))(N-2,6-ジイソプロピルフェニル)(OC(CH3)(CF3)2)を含む場合がある。
【0097】
任意選択で、金属カルベンベースの複分解触媒系は、担体をさらに含む場合がある。例示的な担体としては、他の固体酸化物質の中でも、アルミナ、シリカ、シリカ-アルミナ、及びアルミニウム-ホスフェートを挙げることができる。追加的に、担体は、ポリマーを含む場合があり、金属カルベン複分解触媒化合物は、金属-炭素二重結合を含まない配位子のいずれかを介して担体に結合することができる。
【0098】
脱ヒドロホルミル化触媒系
これに限定されないが、本明細書にて開示する脱ヒドロホルミル化触媒系を、酸化的脱ヒドロホルミル化プロセスで使用して、C11アルデヒド化合物を1-デセンに転換することができる。触媒系は、事前に形成された、または事前に合成された遷移金属錯体か、または成分が一緒に添加されて錯体及び触媒をその場で生成するものを利用することができる。したがって、例えば、触媒系は、任意の好適な遷移金属化合物、任意の好適なホスフィン、及び任意の好適なヘテロ原子酸またはヘテロ原子酸誘導体を含む場合がある。概して、遷移金属化合物、ホスフィン、及びヘテロ原子酸またはヘテロ原子酸誘導体は、触媒系の独立した元素であり、かつ個別に本明細書に記載される。したがって、触媒系は、本明細書にて開示する遷移金属化合物、本明細書にて開示するホスフィン、及び本明細書にて開示するヘテロ原子酸またはヘテロ原子酸誘導体の任意の組み合わせを使用して記載される場合がある。別の態様では、触媒系は、任意の好適なホスフィン遷移金属化合物錯体、及び任意の好適なヘテロ原子酸またはヘテロ原子酸誘導体を含む場合がある。この触媒系の態様では、ホスフィン遷移金属化合物錯体、及びヘテロ原子酸またはヘテロ原子酸誘導体は、触媒系の独立した元素であり、かつ個別に本明細書に記載される。したがって、触媒系は、本明細書にて開示するホスフィン遷移金属化合物錯体、及び本明細書にて開示するヘテロ原子酸またはヘテロ原子酸誘導体の任意の組み合わせを使用して記載される場合がある。
【0099】
遷移金属化合物またはホスフィン遷移金属化合物錯体の遷移金属は、3族~10族の遷移金属、4族~11族の遷移金属、4族~9族の遷移金属、8族~10族の遷移金属、または9族の遷移金属である場合がある。例えば、遷移金属化合物またはホスフィン遷移金属化合物錯体の遷移金属は、コバルト、ロジウム、もしくはイリジウム;代替的に、コバルト;代替的に、ロジウム;または代替的に、イリジウムであり得る。したがって、本発明の一態様では、遷移金属化合物またはホスフィン遷移金属化合物錯体の遷移金属化合物は、ロジウム化合物を含む場合があり、その非限定的な例としては、オレフィンロジウムアルコキシド錯体、シクロジエンロジウムアルコキシド錯体、もしくはこれらの任意の組み合わせ;代替的に、オレフィンロジウムアルコキシド錯体;または代替的に、シクロジエンロジウムアルコキシド錯体を挙げることができる。
【0100】
一態様では、ホスフィンまたはホスフィン遷移金属化合物錯体のホスフィンは、モノホスフィンであり得る。モノホスフィンの例示的かつ非限定的な例としては、アルキルホスフィン(例えば、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリアダマンチルホスフィンなど)、アリールホスフィン(例えば、トリフェニルホスフィン、トリ-p-トリルホスフィンなど)、またはこれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0101】
別の態様では、ホスフィンまたはホスフィン遷移金属化合物錯体のホスフィンは、下記の構造を有するジホスフィンであり得る。
【化1】
【0102】
構造(I)において、L1は、任意の好適な連結基または本明細書にて開示する任意の連結基であり得、各Rは、独立して、本明細書にて開示するHまたは任意のC1~C18ヒドロカルビル基、C1~C18ヒドロカルボキシ基、またはC1~C18ヒドロカルビルアミニル基であり得る。例えば、各Rは、独立して、HもしくはC1~C12ヒドロカルビル基;代替的に、HもしくはC1~C6ヒドロカルビル基;代替的に、HもしくはC1~C18アルキル基、C2~C18アルケニル基、C6~C18アリール基、もしくはC7~C18アラルキル基、または代替的に、HもしくはC1~C5アルキル基、C2~C5アルケニル基、C6~C8アリール基、もしくはC7~C8アラルキル基であり得る。構造(I)における各Rは、特定の態様では、独立して、H、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、フェニル基、トリル基、ベンジル基、またはナフチル基であり得る。他の態様では、各Rは、独立して、H、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、もしくはデシル基;代替的に、H、エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、もしくはデセニル基;または代替的に、H、フェニル基、トリル基、ベンジル基、もしくはナフチル基であり得る。
【0103】
ヒドロカルボキシ基は、概して、例えば、アルコキシ、アリールオキシ、アラルコキシ、-(アルキレン、アリーレン、またはアラルキレン)-O-(アルキル、アリール、またはアラルキル)基、及び-O(CO)-(水素またはヒドロカルビル)基を含むように本明細書で使用され、かつこれらの基は、最大約18個の炭素原子(例えば、C1~C18、C1~C10、またはC1~C8ヒドロカルボキシ基)を含む場合がある。環式基もまた含まれる。ヒドロカルボキシ基の例示的かつ非限定的な例としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、sec-ブトキシ基、イソブトキシ基、tert-ブトキシ基、n-ペントキシ基、2-ペントキシ基、3-ペントキシ基、2-メチル-1-ブトキシ基、tert-ペントキシ基、3-メチル-1-ブトキシ基、3-メチル-2-ブトキシ基、ネオ-ペントキシ基、フェノキシ基、トロキシ基、キシルオキシ基、2,4,6-トリメチルフェノキシ基、ベンゾキシ基、アセチルアセトネート基(acac)、ギ酸基、酢酸基、ステアリン酸基、オレイン酸基、安息香酸基、テトラヒドロフラン基、1,4-ジオキサン基などを挙げることができるが、これらに限定されない。一態様では、式(I)中のRであり得るヒドロカルボキシ基は、メトキシ基;代替的に、エトキシ基;代替的に、n-プロポキシ基;代替的に、イソプロポキシ基;代替的に、n-ブトキシ基;代替的に、sec-ブトキシ基;代替的に、イソブトキシ基;代替的に、tert-ブトキシ基;代替的に、n-ペントキシ基;代替的に、2-ペントキシ基;代替的に、3-ペントキシ基;代替的に、2-メチル-1-ブトキシ基;代替的に、tert-ペントキシ基;代替的に、3-メチル-1-ブトキシ基;代替的に、3-メチル-2-ブトキシ基;代替的に、ネオ-ペントキシ基;代替的に、フェノキシ基;代替的に、トロキシ基;代替的に、キシルオキシ基;代替的に、2,4,6-トリメチルフェノキシ基;代替的に、ベンゾキシ基、;代替的に、アセチルアセトネート基;代替的に、ギ酸基;代替的に、酢酸基;代替的に、ステアリン酸基;代替的に、オレイン酸基;代替的に、安息香酸基;代替的に、テトラヒドロフラン基;または代替的に、1,4-ジオキサン基であり得る。
【0104】
用語ヒドロカルビルアミニル基は、概して、例えば、アルキルアミニル、アリールアミニル、アラルキルアミニル、ジアリールアミニル、ジアラルキルアミニル、-(アルキレン、アリーレン、またはアラルキレン)-N-(アルキル、アリール、またはアラルキル)基、ならびに環式及び芳香族アミン基(例えば、ピペリジン基、ピロール基)を一括して指すために本明細書で使用され、かつ別段の指定がない限り、ヒドロカルビルアミニル基は、最大約18個の炭素原子(例えば、C1~C18、C1~C10、またはC1~C8ヒドロカルビルアミニル基)を含む場合がある。したがって、ヒドロカルビルアミニルは、(モノ)ヒドロカルビルアミニル基及びジヒドロカルビルアミニル基の両方を包含することが意図される。いくつかの態様では、ヒドロカルビルアミニル基は、例えば、メチルアミニル基(-NHCH3)、エチルアミニル基(-NHCH2CH3)、n-プロピルアミニル基(-NHCH2CH2CH3)、イソ-プロピルアミニル基(-NHCH(CH3)2)、n-ブチルアミニル基(-NHCH2CH2CH2CH3)、t-ブチルアミニル基(-NHC(CH3)3)、n-ペンチルアミニル基(-NHCH2CH2CH2CH2CH3)、ネオ-ペンチルアミニル基(-NHCH2C(CH3)3)、フェニルアミニル基(-NHC6H5)、トリルアミニル基(-NHC6H4CH3)、またはキシリルアミニル基(-NHC6H3(CH3)2);代替的に、メチルアミニル基;代替的に、エチルアミニル基;代替的に、プロピルアミニル基;または代替的に、フェニルアミニル基であり得る。他の態様では、ヒドロカルビルアミニル基は、例えば、ジメチルアミニル基(-N(CH3)2)、ジエチルアミニル基(-N(CH2CH3)2)、ジ-n-プロピルアミニル基(-N(CH2CH2CH3)2)、ジ-イソ-プロピルアミニル基(-N(CH(CH3)2)2)、ジ-n-ブチルアミニル基(-N(CH2CH2CH2CH3)2)、ジ-t-ブチルアミニル基(-N(C(CH3)3)2)、ジ-n-ペンチルアミニル基(-N(CH2CH2CH2CH2CH3)2)、ジ-ネオ-ペンチルアミニル基(-N(CH2C(CH3)3)2)、ジ-フェニルアミニル基(-N(C6H5)2)、ジ-トリルアミニル基(-N(C6H4CH3)2)、またはジ-キシリルアミニル基(-N(C6H3(CH3)2)2);代替的に、ジメチルアミニル基;代替的に、ジ-エチルアミニル基;代替的に、ジ-n-プロピルアミニル基;または代替的に、ジ-フェニルアミニル基であり得る。
【0105】
一態様では、ホスフィンまたはホスフィン遷移金属化合物錯体のホスフィンは、1,6-ビス(ジヒドロカルビルホスフィニル)ヘキサン、置換1,6-ビス(ジヒドロカルビルホスフィニル)ヘキサン、(1,3-フェニレンジ-1,1-エタンジイル)ビス(ジヒドロカルビルホスフィン)、置換(1,3-フェニレンジ-1,1-エタンジイル)ビス(ジヒドロカルビルホスフィン)、1,8-アントラセンジイルビス(ジヒドロカルビルホスフィン)、置換1,8-アントラセンジイルビス(ジヒドロカルビルホスフィン)、1,8-テトラデカヒドロアントラセンジイルビス(ジヒドロカルビルホスフィン)、置換1,8-テトラデカヒドロアントラセンジイルビス(ジヒドロカルビルホスフィン)、(メチレンジ-2,1-フェニレン)ビス(ジヒドロカルビルホスフィン)、置換(メチレンジ-2,1-フェニレン)ビス(ジヒドロカルビルホスフィン)、9H-キサンテン-4,5-ジイルビス(ジヒドロカルビルホスフィン)、置換9H-キサンテン-4,5-ジイルビス(ジヒドロカルビルホスフィン)、を含む(またはこれらから本質的になる、またはこれらからなる)場合がある。例えば、ホスフィンまたはホスフィン遷移金属化合物錯体のホスフィンは、1,6-ビス(ジヒドロカルビルホスフィニル)ヘキサン;代替的に、置換1,6-ビス(ジヒドロカルビルホスフィニル)ヘキサン;代替的に、(1,3-フェニレンジ-1,1-エタンジイル)ビス(ジヒドロカルビルホスフィン);代替的に、置換(1,3-フェニレンジ-1,1-エタンジイル)ビス(ジヒドロカルビルホスフィン);代替的に、1,8-アントラセンジイルビス(ジヒドロカルビルホスフィン);代替的に、置換1,8-アントラセンジイルビス(ジヒドロカルビルホスフィン);代替的に、1,8-テトラデカヒドロアントラセンジイルビス(ジヒドロカルビルホスフィン);代替的に、置換1,8-テトラデカヒドロアントラセンジイルビス(ジヒドロカルビルホスフィン);代替的に、(メチレンジ-2,1-フェニレン)ビス(ジヒドロカルビルホスフィン);代替的に、置換(メチレンジ-2,1-フェニレン)ビス(ジヒドロカルビルホスフィン);代替的に、9H-キサンテン-4,5-ジイルビス(ジヒドロカルビルホスフィン);または代替的に、置換9H-キサンテン-4,5-ジイルビス(ジヒドロカルビルホスフィン)、を含む(またはこれらから本質的になる、またはこれらからなる)場合がある。各ヒドロカルビルは、独立して、本明細書にて開示する任意の好適なヒドロカルビル基、すなわち任意のC1~C18ヒドロカルビル基、C1~C12ヒドロカルビル基、またはC1~C6ヒドロカルビル基であり得る。
【0106】
別の態様では、ホスフィンまたはホスフィン遷移金属化合物錯体のホスフィンは、1,6-ビスホスフィニルヘキサン、置換1,6-ビスホスフィニルヘキサン、(1,3-フェニレンジ-1,1-エタンジイル)ビス(ホスフィン)、置換(1,3-フェニレンジ-1,1-エタンジイル)ビス(ホスフィン)、1,8-アントラセンジイルビス(ホスフィン)、置換1,8-アントラセンジイルビス(ホスフィン)、1,8-テトラデカヒドロアントラセンジイルビス(ホスフィン)、置換1,8-テトラデカヒドロアントラセンジイルビス(ホスフィン)、(メチレンジ-2,1-フェニレン)ビス(ホスフィン)、置換(メチレンジ-2,1-フェニレン)ビス(ホスフィン)、9H-キサンテン-4,5-ジイルビス(ホスフィン)、または置換9H-キサンテン-4,5-ジイルビス(ホスフィン)、を含む(またはこれらから本質的になる、またはこれらからなる)場合がある。例えば、ホスフィンまたはホスフィン遷移金属化合物錯体のホスフィンは、1,6-ビスホスフィニルヘキサン;代替的に、置換1,6-ビスホスフィニルヘキサン;代替的に、(1,3-フェニレンジ-1,1-エタンジイル)ビス(ホスフィン);代替的に、置換(1,3-フェニレンジ-1,1-エタンジイル)ビス(ホスフィン);代替的に、1,8-アントラセンジイルビス(ホスフィン);代替的に、置換1,8-アントラセンジイルビス(ホスフィン);代替的に、1,8-テトラデカヒドロアントラセンジイルビス(ホスフィン);代替的に、置換1,8-テトラデカヒドロアントラセンジイルビス(ホスフィン);代替的に、(メチレンジ-2,1-フェニレン)ビス(ホスフィン);代替的に、置換(メチレンジ-2,1-フェニレン)ビス(ホスフィン);代替的に、9H-キサンテン-4,5-ジイルビス(ホスフィン);または代替的に、置換9H-キサンテン-4,5-ジイルビス(ホスフィン)、を含む(またはこれらから本質的になる、またはこれらからなる)場合がある。
【0107】
さらに別の態様では、ホスフィンまたはホスフィン遷移金属化合物錯体のホスフィンは、(9,9-ジメチル-9H-キサンテン-4,5-ジイル)ビス(ホスフィン)もしくは置換(9,9-ジメチル-9H-キサンテン-4,5-ジイル)ビス(ホスフィン);代替的に、(9,9-ジメチル-9H-キサンテン-4,5-ジイル)ビス(ホスフィン);または代替的に、置換(9,9-ジメチル-9H-キサンテン-4,5-ジイル)ビス(ホスフィン)を含む(またはこれらから本質的になる、またはこれらからなる)場合がある。
【0108】
さらに別の態様では、ホスフィンまたは遷移金属化合物錯体のホスフィンは、以下の構造のうち任意の1つを有することができ、式中、Phは、フェニル基であり、各Rは、独立して、本明細書にて開示するHもしくは任意のC
1~C
18ヒドロカルビル基、C
1~C
18ヒドロカルボキシ基、もしくはC
1~C
18ヒドロカルビルアミニル基(例えば、H、C
1~C
12ヒドロカルビル基、C
1~C
12ヒドロカルボキシ基、もしくはC
1~C
12ヒドロカルビルアミニル基;代替的に、HもしくはC
1~C
6ヒドロカルビル基;代替的に、HもしくはC
1~C
18アルキル基、C
2~C
18アルケニル基、C
6~C
18アリール基、もしくはC
7~C
18アラルキル基、または代替的に、HもしくはC
1~C
5アルキル基、C
2~C
5アルケニル基、C
6~C
8アリール基、もしくはC
7~C
8アラルキル基)であり得る:
【化2】
【0109】
別の態様では、ホスフィンまたは遷移金属化合物錯体のホスフィンは、以下の構造のうち任意の1つを有することができ、式中、Phは、フェニル基であり、Meは、メチル基であり、Arは、C
6~C
18芳香族基(例えば、C
6~C
12芳香族基)であり、各Rは、独立して、本明細書にて開示するHもしくは任意のC
1~C
18ヒドロカルビル基、C
1~C
18ヒドロカルボキシ基、またはC
1~C
18ヒドロカルビルアミニル基であり得、Lは、本明細書にて開示する任意のC
1~C
10(例えば、任意のC
1~C
5)連結基であり得る。
【化3】
【0110】
任意の好適な連結基(上記構造/式中のLまたはL1)が使用され得る。例えば、連結基は、本明細書にて開示する任意のヒドロカルビレン基(例えば、アルキレン、シクロアルキレン、またはアリーレン)、ヒドロカルボキシ基(例えば、エーテルまたは環状エーテル)、またはヒドロカルビルアミニル基であり得る。
【0111】
触媒系で使用される特定のヘテロ原子酸またはヘテロ原子酸誘導体は、特に限定されない。いくつかの態様では、ヘテロ原子酸またはヘテロ原子酸誘導体は、カルボン酸、アルコール、鉱酸、アンモニウム塩、アミン、チオールなど、ならびにこれらの組み合わせを含む場合がある。例えば、ヘテロ原子酸またはヘテロ原子酸誘導体は、カルボン酸またはカルボン酸誘導体を含む場合がある。一態様では、カルボン酸またはカルボン酸誘導体は、脂肪族カルボン酸またはカルボン酸誘導体であり得、その一方で、別の態様では、カルボン酸またはカルボン酸誘導体は、芳香族カルボン酸またはカルボン酸誘導体であり得る。カルボン酸は、任意の好適なC1~C24カルボン酸または本明細書にて開示する任意のC1~C24カルボン酸(置換または非置換のいずれか)である場合がある。カルボン酸の非限定的な例としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ステアリン酸、アクリル酸、メタクリル酸、ケイ皮酸、安息香酸、サリチル酸、アジピン酸、クエン酸、またはこれらの任意の組み合わせを挙げることができる。
【0112】
本明細書で使用される場合、「ヘテロ原子酸誘導体」及び「カルボン酸誘導体」は、それぞれ、ヘテロ原子酸及びカルボン酸の塩及びエステルを包含することを意味する。例えば、カルボン酸誘導体は、カルボン酸塩、カルボン酸エステル、もしくはこれらの任意の組み合わせ;代替的に、カルボン酸塩;または代替的に、カルボン酸エステルであり得る。典型的なカルボン酸塩は、カルボン酸のアルカリ金属またはアルカリ土類金属塩(例えば、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム)を含む場合があり、その一方で、エステルは、カルボン酸の少なくとも1つの-OH基がアルコキシ基(例えば、ギ酸エステル、酢酸エステル、ヘキサン酸エステル、ステアリン酸エステル、アクリル酸エステル、ケイ皮酸エステル、安息香酸エステルなど)で置き換えられた化合物を指す。カルボン酸と同様に、カルボン酸誘導体は、任意の好適なC1~C24カルボン酸誘導体または本明細書にて開示する任意のC1~C24カルボン酸誘導体(置換または非置換のいずれか)である場合がある。一態様では、各置換基は、C1~C8ヒドロカルビル基、C1~C5ヒドロカルビル基、C1~C8アルキル基、またはC1~C5アルキル基であり得る。一態様では、カルボン酸エステルは、本明細書に記載の任意のカルボン酸のメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、またはブチルエステルであり得る。代表的な例として、カルボン酸またはカルボン酸誘導体は、安息香酸(または置換安息香酸)または安息香酸の塩もしくはエステル(または置換安息香酸の塩もしくはエステル)を含む場合がある。
【0113】
触媒系が遷移金属化合物、ホスフィン、及びヘテロ原子酸またはヘテロ原子酸誘導体を含む状況では、遷移金属(遷移金属化合物の)のホスフィンに対する最小モル比は、0.2:1、0.5:1、0.8:1、または0.95:1であり得、追加的または代替的に、遷移金属のホスフィンに対する最大モル比は、5:1、4:1、3:1、または2.5:1であり得る。一態様では、遷移金属(遷移金属化合物の)のホスフィン(またはジホスフィン)に対するモル比は、本明細書にて開示する遷移金属のホスフィンに対する任意の最小モル比から本明細書にて開示する遷移金属のホスフィンに対する任意の最大モル比の範囲であり得る。いくつかの非限定的な態様では、モル比は、約0.2:1~約5:1、約0.2:1~約3:1、約0.5:1~約4:1、または約0.95:1~約2.5:1の範囲であり得る。遷移金属のホスフィン(またはジホスフィン)に対する他のモル比も、本開示によって容易に明らかである。
【0114】
触媒系で使用されるヘテロ原子酸またはヘテロ原子酸誘導体の量は、特に限定されないが、概して、遷移金属(遷移金属化合物またはホスフィン遷移金属化合物錯体の)のヘテロ原子酸またはヘテロ原子酸誘導体に対する最小モル比は、0.8:1、0.85:1、0.9:1、または0.95:1であり得、追加的にまたは代替的に、遷移金属のヘテロ原子酸またはヘテロ原子酸誘導体に対する最大モル比は、5:1、3:1、2:1、または1.5:1であり得る。一態様では、遷移金属(遷移金属化合物またはホスフィン遷移金属化合物錯体の)のヘテロ原子酸またはヘテロ原子酸誘導体に対するモル比は、本明細書にて開示する遷移金属のヘテロ原子酸またはヘテロ原子酸誘導体に対する任意の最小モル比から本明細書にて開示する遷移金属のヘテロ原子酸またはヘテロ原子酸誘導体に対する任意の最大モル比の範囲であり得る。いくつかの非限定的な態様では、モル比は、約0.8:1~約5:1、約0.85:1~約3:1、約0.9:1~約2:1、または約0.95:1~約1.5:1の範囲であり得る。遷移金属(遷移金属化合物またはホスフィン遷移金属化合物錯体の)のヘテロ原子酸またはヘテロ原子酸誘導体に対する他のモル比も、本開示によって容易に明らかである。
【0115】
有利には、脱ヒドロホルミル化触媒系は、受容体オレフィンとも呼ばれる受容体をさらに含む場合があり、これにより、本明細書でさらに詳細に後述するプロセスにおいて標準的なα-オレフィンの収率を増加させることができる。概して、受容体は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する任意の好適な化合物であり得る。一態様では、受容体は、少なくとも2個の炭素原子、少なくとも3個の炭素原子、少なくとも4個の炭素原子、または少なくとも5個の炭素原子を有する場合がある。いくつかの態様では、受容体は、最大で100個の炭素原子、80個の炭素原子、60個の炭素原子、50個の炭素原子、40個の炭素原子、30個の炭素原子、25個の炭素原子、20個の炭素原子、15個の炭素原子、または10個の炭素原子、を有する場合がある。概して、受容体は、本明細書に記載の任意の最小数の炭素原子から本明細書に記載の任意の最大数の炭素原子を有し得る。例えば、いくつかの非限定的な態様では、受容体(または受容体オレフィン)は、2~100個の炭素原子、3~80個の炭素原子、4~60個の炭素原子、5~60個の炭素原子を有し得る。他の炭素原子数範囲も、本開示から容易に想定することができ、かつ本明細書に包含される。2つ以上の受容体(または受容体オレフィン)混合物または組み合わせが、本発明で使用され得る。
【0116】
一態様では、受容体(または受容体オレフィン)は、炭化水素化合物、または代替的に、ヘテロ原子化合物であり得る。いくつかの態様では、受容体は、脂肪族、または代替的に、芳香族であり得る。他の態様では、受容体は、非環式、または代替的に、環式であり得る。
【0117】
受容体は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する場合がある。一態様では、受容体は、1~10個の二重結合;代替的に、1~8個の二重結合;代替的に、3~5個の二重結合;または代替的に、2~4個の二重結合を有する。別の態様では、受容体は、1個のみの炭素-炭素二重結合;代替的に、2個のみの二重結合;代替的に、3個のみの二重結合;代替的に、4個のみの二重結合;代替的に、5個のみの二重結合、または代替的に、6個のみの二重結合を有する場合がある。
【0118】
1個のみの炭素-炭素二重結合を有する受容体(または受容体オレフィン)の代表的かつ非限定的な例は、単独または任意の組み合わせのいずれかで、エチレン、t-ブチルエチレン、プロピレン、1-ブテン、2-ブテン、3-メチル-1-ブテン、イソブチレン、1-ペンテン、2-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、2-ヘキセン、3-エチル-1-ヘキセン、1-ヘプテン、2-ヘプテン、3-ヘプテン、1-オクテン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、1-トリデセン、1-テトラデセン、1-ペンタデセン、ビニリデン、またはスチレンを含む、これらから本質的になる、またはこれらからなる場合がある。
【0119】
1個のみの炭素-炭素二重結合を有する環式受容体のオレフィン受容体の代表的かつ非限定的な例は、単独または任意の組み合わせのいずれかで、ノルボルネン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、またはシクロオクテンを含む、これらから本質的になる、またはこれらからなる場合がある。いくつかの態様では、1個のみの炭素-炭素二重結合を有する環式受容体オレフィンは、ノルボルネン;代替的に、シクロペンテン;代替的に、シクロヘキセン;代替的に、シクロヘプテン;または代替的に、シクロオクテンを含む、これらから本質的になる、またはこれらからなる場合がある。
【0120】
本明細書にて開示する触媒系及びプロセスにて利用され得る少なくとも2個の炭素-炭素二重結合を有する受容体オレフィンの例示的な例は、単独または任意の組み合わせのいずれかで、ブタジエン(1,3-ブタジエン)、イソプレン、1,5-ヘキサジエン、1,7-オクタジエン、シクロブタジエン、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロオクタジエン、ノルボルナジエン、ビニルシクロヘキセン、ビニルノルボルネン、ジビニルベンゼン、または、シクロペンタジエンダイマーを含む、これらから本質的になる、またはこれらからなる場合がある。したがって、2つ以上の受容体オレフィンの混合物または組み合わせが使用され得る。したがって、少なくとも2個の二重結合を有する受容体オレフィンは、単独または任意の組み合わせのいずれかで、ブタジエン、イソプレン、1,5-ヘキサジエン、1,7-オクタジエン、シクロブタジエン、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、もしくはシクロオクタジエン;代替的に、ノルボルナジエン、ビニルシクロヘキセン、ビニルノルボルネン、もしくはジビニルベンゼン;代替的に、ブタジエン;代替的に、イソプレン;代替的に、1,5-ヘキサジエン;代替的に、1,7-オクタジエン;代替的に、シクロブタジエン;代替的に、シクロペンタジエン;代替的に、シクロヘキサジエン;代替的に、シクロオクタジエン;代替的に、ノルボルナジエン;代替的に、ビニルシクロヘキセン;代替的に、ビニルノルボルネン;代替的に、ジビニルベンゼン;または代替的に、シクロペンタジエンダイマーを含む、これらから本質的になる、またはこれらからなる場合がある。
【0121】
一態様では、受容体オレフィンは、3個のみの炭素-炭素二重結合を有する1つ以上の化合物を含む、これらから本質的になる、またはこれらからなる場合がある。かかる化合物の例示的非限定的な例は、単独または任意の組み合わせのいずれかで、トリビニルシクロヘキサン、トリビニルベンゼン、シクロヘプタトリエン、ジメチルヘプタトリエン、オクタトリエン、シクロオクタトリエン、またはシクロドデカトリエンを含む、これらから本質的になる、またはこれらからなる場合がある。一態様では、受容体オレフィンは、トリビニルシクロヘキサンを含む、これから本質的になる、またはこれからなる場合がある。別の態様では、受容体オレフィンは、トリビニルベンゼンを含む、これから本質的になる、またはこれからなる場合がある。別の態様では、受容体オレフィンは、シクロヘプタトリエンを含む、これから本質的になる、またはこれからなる場合がある。別の態様では、受容体オレフィンは、ジジメチルヘプタトリエンを含む、これから本質的になる、またはこれからなる場合がある。別の態様では、受容体オレフィンは、オクタトリエンを含む、これから本質的になる、またはこれからなる場合がある。さらに、別の態様では、受容体オレフィンは、シクロオクタトリエンを含む、これから本質的になる、またはこれからなる場合がある。さらに別の態様では、受容体オレフィンは、シクロドデカトリエンを含む、これから本質的になる、またはこれからなる場合がある。追加的に、受容体は、ベンゼン及びその他の芳香族化合物、ならびに好適な1,n-1,x-アルキルトリエン(直鎖アルキルトリエン)を含む場合がある。
【0122】
4個以上の炭素-炭素結合を有する受容体オレフィンもまた企図される。例えば、受容体オレフィンは、シクロオクタテトラエン;代替的に、シクロドデカテトラエン;代替的に、ポリブタジエン;または代替的に、これら化合物の2つ以上の組み合わせを含む、これらから本質的になる、またはこれらからなる場合がある。
【0123】
いくつかの態様では、受容体は、不飽和トリグリセリドを含む、これから本質的になる、またはこれからなる場合があり、その一方で、他の態様では、受容体は、不飽和の天然源油を含む、これから本質的になる、またはこれからなる場合がある。一態様では、受容体は、単独または任意の組み合わせのいずれかで、大豆油、コーン油、トウゴマ油、またはキャノーラ油を含む、これから本質的になる、またはこれからなる場合がある。他の態様では、受容体は、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸のエステル(例えば、メチル、エチルエステル、プロピル、もしくはブチルエステル)、もしくはこれらの任意の組み合わせ;代替的に、不飽和カルボン酸;または代替的に、不飽和カルボン酸のエステルを含む場合がある。いくつかの態様では、アルデヒド基受容体として使用され得る不飽和カルボン酸、または不飽和カルボン酸エステルの不飽和カルボン酸部分は、ビニル酢酸、3-ペンテン酸、マレイン酸、フマル酸、ソルビン酸、カプロン酸、ラウロレイン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リシノール酸、リノール酸、リノレン酸、またはこれらの任意の組み合わせを含む、これから本質的になる、またはこれからなる場合がある。さらに別の態様では、受容体は、不飽和カルボン酸無水物(例えば、無水マレイン酸)を含む場合がある。
【0124】
受容体はまた、任意の好適なヘテロ原子オレフィン化合物を、単独または任意の組み合わせのいずれかで含み得る。かかるヘテロ原子オレフィン化合物の代表的かつ非限定的な例としては、エノン、エナミン、エノール、エナミド(例えば、アクリルアミド)など、ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0125】
製造システム
本明細書で提供される第1(1-オクテン及び1-デセン)の製造システムは、1)触媒系または触媒系成分の存在下でエチレンをオリゴマー化して、オリゴマー生成物を含む組成物を形成するように構成されたエチレンオリゴマー化システムであって、該オリゴマー生成物が20~80モル%のC6オレフィン、15~80モル%のC8オレフィン、及び5~20モル%のC10+オレフィンを含む、エチレンオリゴマー化システムと、2)該オリゴマー生成物を含む該組成物を、i)1-ヘキセンを含む第1のオリゴマー組成物と、ii)1-オクテンを含む第2のオリゴマー組成物と、iii)C10+オレフィンを含む重量物ストリームと、に分離するように構成された分画システムと、3)複分解触媒系を該第1のオリゴマー組成物の全部または一部と接触させてC10直鎖内部オレフィンを含む第1の組成物を形成するように構成された複分解システムと、4)該C10直鎖内部オレフィンを異性化ヒドロ官能基化触媒系と接触させて官能基化アルカンを含む第2の組成物を形成するように構成された異性化ヒドロ官能基化システムと、5)該官能基化アルカンを処理して1-デセンを含む第3の組成物を形成するように構成されたレトロヒドロ官能基化システムと、6)該第3の組成物から少なくとも90モル%の1-デセンを含む第4の組成物を単離するように構成された精製システムと、を含む場合がある。
【0126】
本明細書で提供される第2(1-ヘキセン及び1-デセン)の製造システムは、1)触媒系または触媒系成分の存在下でエチレンをオリゴマー化して、オリゴマー生成物を含む組成物を形成するように構成されたエチレンオリゴマー化システムであって、該オリゴマー生成物が少なくとも85モル%のC6オレフィン、及び少なくとも5モル%のC8+オレフィンを含む、エチレンオリゴマー化システムと、2)該オリゴマー生成物を含む該組成物を、1-ヘキセンを含む第1のオリゴマー組成物と、C8+オレフィンを含む重量物ストリームと、に分離するように構成された分画システムと、3)複分解触媒系を該第1のオリゴマー組成物の全部または一部と接触させてC10直鎖内部オレフィンを含む第1の組成物を形成するように構成された複分解システムと、4)該C10直鎖内部オレフィンを異性化ヒドロ官能基化触媒系と接触させて官能基化アルカンを含む第2の組成物を形成するように構成された異性化ヒドロ官能基化システムと、5)該官能基化アルカンを処理して1-デセンを含む第3の組成物を形成するように構成されたレトロヒドロ官能基化システムと、6)該第3の組成物から少なくとも90モル%の1-デセンを含む第4の組成物を単離するように構成された精製システムと、を含む場合がある。
【0127】
概して、第1の製造システム及び第2の製造システムの特徴は、対応する第1のプロセス及び第2のプロセスに関して本明細書に概ね記載したものと同じである。したがって、第1のプロセス及び第2のプロセスの任意の特徴は、対応する第1の製造システム及び第2の製造システムに適用することができる。
【0128】
任意選択で、第1の製造システム(または第2の製造システム)は、異性化ヒドロ官能基化システムの前に、C10直鎖内部オレフィンを含む組成物を第1の組成物から単離するように構成された複分解精製システムをさらに含む場合がある。また、任意選択で、第1の製造システム(または第2の製造システム)は、レトロヒドロ官能基化システムの前に、官能基化アルカンを含む組成物を第2の組成物から単離するように構成された異性化ヒドロ官能基化精製システムをさらに含む場合がある。独立して、これらの精製システムは、例えば、抽出、濾過、蒸発、蒸留など、ならびにこれらの任意の組み合わせを含む場合がある。
【0129】
ここで、本開示の態様に一致する1-オクテン/1-デセンの製造システム100を示す
図1を参照する。システム100は、エチレンオリゴマー化システム110、分画システム120、複分解システム130、異性化ヒドロ官能基化システム150、レトロヒドロ官能基化システム160、及び精製システム170を含み得る。
図1では、エチレン供給ストリーム105は、エチレンオリゴマー化システム110に入る。触媒系または触媒系成分、反応媒体(使用される場合)、及び水素(使用される場合)向けなどの、エチレンオリゴマー化システム110への他の供給ストリームは、
図1に特に示していない。エチレンオリゴマー化システムへの多くの異なる流入口が存在する場合があり、かつ本開示は、
図1を参照して説明されるか、または本明細書に開示されるそれらの選択肢のみに限定されないことを当業者は理解されよう。エチレンオリゴマー化システム110では、エチレン供給ストリーム105を介して導入されたエチレンは、触媒系(または触媒系成分)の存在下でオリゴマー化されて、オリゴマー生成物を含む組成物115が形成され、これは、エチレンオリゴマー化システム110から排出される。概して、オリゴマー生成物は、20~80モル%のC
6オレフィン、15~80モル%のC
8オレフィン、及び5~20モル%のC
10+オレフィンを含有する。
【0130】
オリゴマー生成物を含む本組成物115は、分画システム120に入り、該分画システムは、組成物115をC10+オレフィン(及び任意選択で、使用済み触媒)を含む重量物ストリーム122と、1-オクテンを含む第2のオリゴマー組成物124と、1-ヘキセンを含む第1のオリゴマー組成物125とに分離する。1-ヘキセンを含む第1のオリゴマー組成物125は、1-ヘキセン生成物ストリーム126及び1-ヘキセン供給ストリーム128に分割され得る。このように、第1のオリゴマー組成物125の全部または一部は、複分解システム130に供給され、好適な複分解触媒系を接触されて、C10直鎖内部オレフィンを含む第1の組成物135が形成され、これは複分解システム130から出る。
【0131】
図1では、C
10直鎖内部オレフィンを含む組成物135は、異性化ヒドロ官能基化システム150に入り、異性化ヒドロ官能基化システム150内の異性化ヒドロ官能基化触媒系と接触され、官能基化アルカンを含む第2の組成物155が形成される。官能基化アルカンを含む結果として生じた第2の組成物155は、異性化ヒドロ官能基化システム150から排出され、レトロヒドロ官能基化システム160に導入される。ここで、官能基化アルカンが処理されて、1-デセンを含む第3の組成物165が形成され、これはレトロヒドロ官能基化システム160から出る。所望する場合、レトロヒドロ官能基化システム160からの再利用ストリーム162により、異性化ヒドロ官能基化システム150で使用するために、一酸化炭素及び/または水素を再利用することができる。
【0132】
所望する場合、
図1のシステム100は、精製システム170を含む場合がある。1-デセンを含む第3の組成物165は、レトロヒドロ官能基化システム160から出て、精製システム170に入り、ここで、少なくとも90モル%の1-デセンを含む第4の組成物175が、生成され、かつ精製システム170から排出される。
【0133】
ここで、本開示の態様に一致する別の1-オクテン/1-デセンの製造システム200を示す
図2を参照する。システム200は、エチレンオリゴマー化システム210、分画システム220、複分解システム230、異性化ヒドロ官能基化システム250、レトロヒドロ官能基化システム260、精製システム270、エチレン供給ストリーム205、オリゴマー生成物を含む組成物215、C
10+オレフィン(及び任意選択で、使用済み触媒)を含む重量物ストリーム222、1-オクテンを含む第2のオリゴマー組成物224、1-ヘキセンを含む第1のオリゴマー組成物225(1-ヘキセン生成物ストリーム226及び1-ヘキセン供給ストリーム228に分割される)、C
11アルデヒドを含む第2の組成物255、1-デセンを含む第3の組成物265、再利用ストリーム262、及び少なくとも90モル%の1-デセンを含む第4の組成物275を含む場合があり、これらは、概して、
図1における類似の番号の構成要素について記載したものと同じである。
【0134】
図2では、C
10直鎖内部オレフィンを含む組成物235は、複分解システム230から出て、C
10直鎖内部オレフィンを含む組成物245を単離するように構成された複分解精製システム240に入り、これは、複分解精製システム240から出て、異性化ヒドロ官能基化システム250に入る。C
6オレフィンを含有する副生成物ストリーム242が、複分解精製システム240から排出され、1-ヘキセン生成物ストリーム226と混合される。
【0135】
ここで、本開示の態様に一致する1-ヘキセン/1-デセンの製造システム300を示す
図3を参照する。システム300は、複分解システム330、異性化ヒドロ官能基化システム350、レトロヒドロ官能基化システム360、精製システム370、エチレン供給ストリーム305、C
10直鎖内部オレフィンを含む第1の組成物335、C
11アルデヒドを含む第2の組成物355、1-デセンを含む第3の組成物365、再利用ストリーム362、及び少なくとも90モル%の1-デセンを含む第4の組成物375を含む場合があり、これらは、概して、
図1における類似の番号の構成要素について記載したものと同じである。
【0136】
図3では、エチレン供給ストリーム305は、エチレンオリゴマー化システム310に入る。触媒系または触媒系成分、反応媒体(使用される場合)、及び水素(使用される場合)向けなどの、エチレンオリゴマー化システム310への他の供給ストリームは、
図3に特に示していない。エチレンオリゴマー化システムへの多くの異なる流入口が存在する場合があり、かつ本開示は、
図3を参照して説明されるか、または本明細書に開示されるそれらの選択肢のみに限定されないことを当業者は理解されよう。エチレンオリゴマー化システム310では、エチレン供給ストリーム305を介して導入されたエチレンは、触媒系(または触媒系成分)の存在下でオリゴマー化されて、オリゴマー生成物を含む組成物315が形成され、これは、エチレンオリゴマー化システム310から排出される。概して、
図1~2と同様に、
図3のオリゴマー生成物は、少なくとも85モル%のC
6オレフィン及び少なくとも5モル%のC
8+オレフィンを含有する(選択的1-ヘキセン生成)。
【0137】
オリゴマー生成物を含む本組成物315は、分画システム320に入り、該分画システムは、組成物315をC8+オレフィン(及び任意選択で、使用済み触媒)を含む重量物ストリーム322と、1-ヘキセンを含む第1のオリゴマー組成物325とに分離する。1-ヘキセンを含む第1のオリゴマー組成物325は、1-ヘキセン生成物ストリーム326及び1-ヘキセン供給ストリーム328に分割され得る。このように、第1のオリゴマー組成物325の全部または一部は、複分解システム330に供給され、好適な複分解触媒系を接触されて、C10直鎖内部オレフィンを含む第1の組成物335が形成され、これは複分解システム330から出る。
【実施例】
【0138】
本発明を以下の実施例によってさらに説明するが、これらの実施例は、本発明の範囲を限定するものと決して解釈されるべきではない。本明細書の説明を読んだ後に、本発明の趣旨または添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の他の態様、改変、及びそれらの等価物が当業者に示唆され得る。
【0139】
実施例1
受容体を伴わない1-ドデカノールの反応
0.4mLのトルエン中で1-ドデカノール(0.2ミリモル)、[Rh(cod)OMe]
2(2モル%)、3-OMeBzOH(4モル%)、及びキサントホス(4モル%)を混合して、溶液を90℃まで加熱することによって、実施例1を行った(下記の反応スキームを参照)。反応を24時間継続し、その後、内部標準としてジュレンを使用してガスクロマトグラフィーによって粗反応混合物を分析して、反応混合物内に存在する1-ウンデセン、1-ウンデカン、及びウンデセン異性体の量を決定した。ガスクロマトグラフィー分析によって、1-ウンデカンのみが、反応混合物内に存在する(収率10モル%)ことを特定した。
【化4】
【0140】
実施例1A~1K
種々の受容体の存在下での1-ドデカノールの反応
実施例1A~1Kでは、実施例1について前述した一般的な実験手順を利用したが、ただし、受容体(第一級アルコールを基準にして3モル当量)を使用した。実施例1A~1Kを、単一の個々の実験として行った。各反応の結果を下記表IIに示す。驚くべきことに、受容体としてジメチルアクリルアミドを使用した実施例1Kは、C
(n-1)オレフィン生成物に関する反応の選択性に対して劇的かつ予想外の改善を示し、95%モル収率の所望の1-ウンデセン生成物、及び約3モル%のみのアルカン及び内部オレフィン副産物が生じた。さらに、実施例1H~1Jもまた、良好な選択性を示し、それぞれ、アクリル酸エチル、t-ブチルアクリレート、及びアクリルアミドをそれぞれ使用して、1-ウンデセンの収率は、30%超であった。
【表2】
【0141】
実施例2
α-オレフィンを形成するためのアルデヒド化合物の酸化的脱ヒドロホルミル化
実施例2では、本発明の実施例1K(ジメチルアクリルアミド)について前述した一般的な実験手順を利用したが、ただし、第一級アルコール化合物反応物をアルデヒド化合物4の代わりに使用し、1.5当量のジメチルアクリルアミドのみを使用し、[Rh(cod)OMe]
2(0.5モル%)、3-OMeBzOH(1モル%)、及びキサントホス(1モル%)の量を減らし、かつ反応時間を3時間のみとした。驚くべきことに、比較的少量の触媒組成物を反応に使用したにもかかわらず、わずか3時間で94%の収率でα-オレフィン生成物が形成した。
【化5】
【0142】
構築的実施例3
本明細書にて開示する第1のプロセス及び第2のプロセスによって、構築的実施例3は、以下の合成スキームに示すように、複分解(均質)、異性化ヒドロホルミル化(非配位)、及び脱ヒドロホルミル化経路を介した1-ヘキセンから1-デセンへの転化率を示す(n=3)。
【化6】
【0143】
均質複分解工程の反応スキームを下記に示す。
【化7】
【0144】
複分解工程は以下のように行うことができる。N2雰囲気下のドライボックス中で、電磁撹拌棒付き500mL丸底フラスコに、1-ヘキセン(250mL、168g、約2モル)を充填する。フラスコを、約50℃で温度制御加熱プレート上のアルミニウムブロックに置き、温度を平衡化させる。この撹拌溶液に、Grubbs 2nd Generation Catalyst(ジクロロ[1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニル)-2-イミダゾリジニリデン](ベンジリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム(II)、4.2mg、4.9μmol)を添加して反応を開始させる。反応の進行は、アリコート試料を採取し、それらをGC-FIDによって反応平衡について分析することによってモニターすることができる。これには、通常4~8時間かかる。グローブボックス内で蓋がされていないため、任意の生成したエチレンは泡立ち、フラスコから出る。反応の完了後、溶液を冷却し、濾過し、反応内容物を蒸留して、5-デセンを単離する。分別蒸留による反応収率は、約40~50%の5-デセンである。
【0145】
異性化ヒドロホルミル化(非配位)工程の反応スキームを下記に示す。
【化8】
【0146】
異性化ヒドロホルミル化工程は、以下のように行うことができる。5Lの連続撹拌オートクレーブに、3.8Lのベンゼン中の190g(1モル)の5-デセン及び4.27g(0.0125モル)の最近昇華したCo2(CO)8を充填する。デセン:コバルトのモル比を、約40:1で維持する。合成ガス混合物(CO:H2)を必要に応じて供給して、1:1混合で、オートクレーブを、3000psigで加圧し、アリコートサンプリング及びGC-FID分析によってモニターする際に、反応が40~60%の転化率に到達するまで120℃で加熱する。GC-FIDにより、反応の分析後、50%超の内部オレフィンが一次アルデヒド、1-ウンデカナールに転換することが明らかとなる。生成物の残りは、一次位置から収率が減少する様々な内部アルデヒドの混合物である。次に、生成物を、分別蒸留によって個別に単離して、90+%純粋な1-ウンデカナールを得ることができる。
【0147】
脱ヒドロホルミル化工程の反応スキームを下記に示す。
【化9】
【0148】
1-デセンを生成する脱ヒドロホルミル化工程は以下のように行うことができる。N2雰囲気下のドライボックス中で、電磁撹拌棒付き500mL丸底フラスコに、[(COD)RhOCH3]2(2.72g、5ミリモル)、キサントホス(5.79g、10ミリモル)、3-メトキシ安息香酸(1.52g、10ミリモル)、1-ウンデカナール(170g、1モル)、及び250mL(約3モル)のTHFを充填する。次に、ノルボルナジエン(111g、1.2モル)を反応混合物に最後に添加する。フラスコを、約60℃で、24時間、温度制御加熱プレート上のアルミニウムブロックに置く。反応の進行は、アリコート試料を採取し、GC-FIDを介して分析することによってモニターする。反応の完了後、反応混合物を冷却し、濾過し、反応生成物を蒸留して、分別蒸留によってデセンを単離する。生成物の収率は、GC-FIDによって測定した際に、1-デセン:2-デセンの比率が95:5の90+%デセンである。
【0149】
構築的実施例4
本明細書にて開示する第1のプロセス及び第2のプロセスによって、構築的実施例4は、以下の合成スキームに示すように、複分解(不均質)、異性化ヒドロホルミル化(配位)、及び脱ヒドロホルミル化経路を介した1-ヘキセンから1-デセンへの転化率を示す(n=3)。
【化10】
【0150】
不均質複分解工程の反応スキームを下記に示す。
【化11】
【0151】
複分解工程は以下のように行うことができる。4インチ内径、長さ5フィートのステンレス鋼管を電気的に加熱し、反応器温度及び触媒活性化/再生を制御する。この反応器は、1.5重量%のKOHで処理された1/8インチの押出物ペレットからなる、Nalco Chemical Companyの8.2kgのアルミナ担持酸化モリブデン触媒(1.3%のMo03、0.07%のSiO2)を収容する。ポリマー及び炭化水素を「燃焼させて」、大気下にて565℃で6時間、触媒を維持することによって、触媒を再生する。次に、触媒温度を下げ、雰囲気をN2に変化させる。使用前に1-ヘキセンを蒸留して、オレフィン供給容器に充填する。供給容器から、1-ヘキセンを一定速度の上昇流で触媒床を通してポンプ輸送する。反応条件は、典型的には87~110℃、20psig圧力、0.5のLHSVである。次に、生成物を、生成物維持容器に流すことができる。ここで、エチレンを、上部で気化させる。次に、粗生成物を蒸留塔のケトル底部に送り、ケトル底部の5-デセンの濃度が約80%に到達するまで蒸留する。この時点で、およそ20Lの粗ケトル生成物が得られる。およそ73kgの粗ケトル生成物を、1/4インチOctapac付きの2インチステンレス鋼蒸留塔のケトルに装填し、86~89℃及び50mmHgで最後のカットとして生じる5-デセンと共に蒸留して、以下の推定基準値を有する、およそ41kgの5-デセンを得る。
純度(重量%) 99.6
cis 5-デセン(重量%) 18.1
trans 5-デセン(重量%) 81.5
比重(20/20 ℃) 0.742
屈折率(ND
20 1.428
凍結点(℃) -75.8
沸点(℃) 169.8
【0152】
異性化ヒドロホルミル化(配位)工程の反応スキームを下記に示す。
【化12】
【0153】
異性化ヒドロホルミル化工程は、以下のように行うことができる。1Lの連続撹拌オートクレーブに、トルエン中の5-デセン(約190g、1モル)の600mLの1.68M溶液、0.2g(0.63ミリモル)の[Rh(acac)(COD)]、及び5.8g(6.4ミリモル)の3-アリールオキシ-1,3,2-ジオキサホスフィン-4-オン配位子、P-配位子を充填する。合成ガス混合物(CO:H2)を必要に応じて供給して、1:1混合で、オートクレーブを、300psigで加圧し、130℃で3時間加熱する。GC-FIDにより、反応の分析後、65%超の内部オレフィンが一次アルデヒド、1-ウンデカナールに転換することが明らかとなる。生成物の残りは、一次位置から収率が減少する様々な内部アルデヒドの混合物である。次に、生成物を、分別蒸留によって個別に単離して、90+%純粋な1-ウンデカナールを得ることができる。
【0154】
脱ヒドロホルミル化工程の反応スキームを下記に示す。
【化13】
【0155】
1-デセンを生成する脱ヒドロホルミル化工程は以下のように行うことができる。N2雰囲気下のドライボックス中で、電磁撹拌棒付き500mL丸底フラスコに、[(COD)RhOCH3]2(2.72g、5ミリモル)、キサントホス(5.79g、10ミリモル)、3-メトキシ安息香酸(1.52g、10ミリモル)、1-ウンデカナール(170g、1モル)、及び250mL(約3モル)のTHFを充填する。次に、ノルボルナジエン(111g、1.2モル)を反応混合物に最後に添加する。フラスコを、約60℃で、24時間、温度制御加熱プレート上のアルミニウムブロックに置く。反応の進行は、アリコート試料を採取し、GC-FIDを介して分析することによってモニターする。反応の完了後、反応混合物を冷却し、濾過し、反応生成物を蒸留して、分別蒸留によってデセンを単離する。生成物の収率は、GC-FIDによって測定した際に、1-デセン:2-デセンの比率が95:5の90+%デセンである。
【0156】
本発明は、多数の態様及び特定の例を参照して本明細書に記載されている。詳細な説明に照らして、多くの変形が当業者に示唆されるであろう。全てのかかる明らかな変形は、添付の特許請求の範囲の完全に意図された範囲内にある。本発明の他の態様は、以下を含み得るが、これらに限定されない(態様は、「含む(comprising)」と記載されるが、代替的に、「本質的に~からなる(consist essentially of)」または「~からなる(consist of)」ことができる)。
【0157】
態様1.プロセス(例えば、1-オクテン/1-デセンを作るための)であって、
a)オリゴマー生成物を含む組成物であって、前記オリゴマー生成物は、15~80モル%のC6オレフィン、20~80モル%のC8オレフィン、及び5~20モル%のC10+オレフィンを含む、前記組成物を、
i)C6アルカン及び少なくとも85モル%のC6オレフィンを含む第1のオリゴマー組成物であって、前記C6オレフィンが少なくとも80モル%の1-ヘキセンを含む、前記第1のオリゴマー組成物と、
ii)少なくとも85モル%のC8オレフィンを含む第2のオリゴマー組成物であって、前記C8オレフィンは、少なくとも85モル%の1-オクテンを含む、前記第2のオリゴマー組成物と、
iii)C10+オレフィンを含む重量物ストリームと、に分離することと、
b)複分解触媒系を、前記第1のオリゴマー組成物の全部または一部に接触させて、C10直鎖内部オレフィンを含む第1の組成物を形成することと、
c)前記C10直鎖内部オレフィンを、異性化ヒドロ官能基化触媒系(C-X末端結合を形成するヒドロホルミル化、ヒドロホウ素化、ヒドロシリル化、ヒドロアルミネーション、または類似の触媒系など)と接触させて、官能基化アルカンを含む第2の組成物を形成することと、
d)前記官能基化アルカンをレトロヒドロ官能基化させて(例えば、1-デセンを形成するために、前記C-X結合を切断して)、1-デセンを含む第3の組成物を形成することと、
e)前記第3の組成物を精製して、少なくとも90モル%の1-デセンを含む第4の組成物を単離することと、を含む、前記プロセス。
【0158】
態様2.前記オリゴマー生成物は、30~70モル%または35~65モル%のC6オレフィン(または任意の他の最小値、最大値、または本明細書に記載の範囲)を含む、態様1に記載のプロセス。
【0159】
態様3.前記オリゴマー生成物は、30~70モル%または35~65モル%のC8オレフィン(または任意の他の最小値、最大値、または本明細書に記載の範囲)を含む、態様1または2に記載のプロセス。
【0160】
態様4.前記オリゴマー生成物は、5~18モル%または7~20モル%のC10+オレフィン(または任意の他の最小値、最大値、または本明細書に記載の範囲)を含む、態様1~3のいずれか1項に記載のプロセス。
【0161】
態様5.前記第1のオリゴマー組成物は、少なくとも90モル%、少なくとも93モル%、または少なくとも95モル%のC6オレフィン(または任意の他の最小値、最大値、または本明細書に記載の範囲)を含む、態様1~4のいずれか1項に記載のプロセス。
【0162】
態様6.前記第1のオリゴマー組成物は、0.5~12モル%、1~10モル%、1.5~8モル%、または2~6モル%のC6アルカン(または任意の他の最小値、最大値、または本明細書に記載の範囲)を含む、態様1~5のいずれか1項に記載のプロセス。
【0163】
態様7.前記C6オレフィンは、少なくとも85モル%、少なくとも90モル%、少なくとも95モル%、80モル%~98モル%、80モル%~95モル%、または85モル%~95モル%の1-ヘキセン(または任意の他の最小値、最大値、または本明細書に記載の範囲)を含む、態様1~6のいずれか1項に記載のプロセス。
【0164】
態様8.前記C6オレフィンは、0.1~10モル%、0.5~8モル%、または1~6モル%の内部及び環式C6オレフィン(または任意の他の最小値、最大値、または本明細書に記載の範囲)を含む、態様1~7のいずれか1項に記載のプロセス。
【0165】
態様9.前記第2のオリゴマー組成物は、少なくとも90モル%、少なくとも95モル%、または少なくとも97モル%のC8オレフィン(または任意の他の最小値、最大値、または本明細書に記載の範囲)を含む、態様1~8のいずれか1項に記載のプロセス。
【0166】
態様10.前記C8オレフィンは、少なくとも90モル%、少なくとも95モル%、または少なくとも97モル%の1-オクテン(または任意の他の最小値、最大値、または本明細書に記載の範囲)を含む、態様1~9のいずれか1項に記載のプロセス。
【0167】
態様11.工程c)の前に、任意の好適な技術または本明細書にて開示する任意の技術、例えば、抽出、濾過、蒸発、蒸留、またはこれらの任意の組み合わせを介して、少なくとも90モル%、少なくとも93モル%、または少なくとも96モル%のC10直鎖内部オレフィンを含む組成物を前記第1の組成物から単離する工程をさらに含む、態様1~10のいずれか1項に記載のプロセス。
【0168】
態様12.工程d)の前に、任意の好適な技術または本明細書にて開示する任意の技術、例えば、抽出、濾過、蒸発、蒸留、またはこれらの任意の組み合わせを介して、少なくとも90モル%、少なくとも93モル%、または少なくとも96モル%のC11アルデヒドを含む組成物を前記第2の組成物から単離する工程をさらに含む、態様1~11のいずれか1項に記載のプロセス。
【0169】
態様13.前記複分解触媒系を前記C8オレフィン組成物の全部または一部と接触させて、C14オレフィン組成物を形成する工程をさらに含む、態様1~12のいずれか1項に記載のプロセス。
【0170】
態様14.前記複分解触媒系をC6及びC8オレフィンを含む軽質オリゴマー組成物と接触させて、C10~C14直鎖内部オレフィンを含む組成物を形成する工程をさらに含む、態様1~13のいずれか1項に記載のプロセス。
【0171】
態様15.プロセス(例えば、1-ヘキセン/1-デセンを作るための)であって、
a)オリゴマー生成物を含む組成物であって、前記オリゴマー生成物は、少なくとも85モル%のC6オレフィン及び少なくとも5モル%のC8+オレフィンを含む、前記組成物を、
i)C6アルカン及び少なくとも90モル%のC6オレフィンを含む第1のオリゴマー組成物であって、前記C6オレフィンが少なくとも90モル%の1-ヘキセンを含む、前記第1のオリゴマー組成物と、
ii)C8+オレフィンを含む重量物ストリームと、に分離することと、
b)複分解触媒系を、前記第1のオリゴマー組成物の全部または一部に接触させて、C10直鎖内部オレフィンを含む第1の組成物を形成することと、
c)前記C10直鎖内部オレフィンを、異性化ヒドロ官能基化触媒系と接触させて、官能基化アルカンを含む第2の組成物を形成することと、
d)前記官能基化アルカンをレトロヒドロ官能基化させて、1-デセンを含む第3の組成物を形成することと、
e)前記第3の組成物を精製して、少なくとも90モル%の1-デセンを含む第4の組成物を単離することと、を含む、前記プロセス。
【0172】
態様16.前記オリゴマー生成物は、少なくとも85モル%、少なくとも87モル%、少なくとも90モル%、少なくとも91モル%、または少なくとも93モル%のC6オレフィン(または任意の他の最小値、最大値、または本明細書に記載の範囲)を含む、態様15に記載のプロセス。
【0173】
態様17.前記オリゴマー生成物は、5~15モル%または5~12モル%のC8+オレフィン(または任意の他の最小値、最大値、または本明細書に記載の範囲)を含む、態様15または16に記載のプロセス。
【0174】
態様18.前記第1のオリゴマー組成物は、少なくとも94モル%、少なくとも96モル%、または少なくとも98モル%のC6オレフィン(または任意の他の最小値、最大値、または本明細書に記載の範囲)を含む、態様15~17のいずれか1項に記載のプロセス。
【0175】
態様19.前記第1のオリゴマー組成物は、0.1モル%~1.5モル%、0.15モル%~1モル%、または0.2モル%~0.75モル%のC6アルカン(または任意の他の最小値、最大値、または本明細書に記載の範囲)を含む、態様15~18のいずれか1項に記載のプロセス。
【0176】
態様20.前記C6オレフィンは、少なくとも94モル%、少なくとも96モル%、または少なくとも98モル%の1-ヘキセン(または任意の他の最小値、最大値、または本明細書に記載の範囲)を含む、態様15~19のいずれか1項に記載のプロセス。
【0177】
態様21.前記C6オレフィンは、0.1モル%~3モル%、0.2モル%~2モル%、または0.25モル%~1モル%の内部及び環式C6オレフィン(または任意の他の最小値、最大値、または本明細書に記載の範囲)を含む、態様15~20のいずれか1項に記載のプロセス。
【0178】
態様22.工程c)の前に、任意の好適な技術または本明細書にて開示する任意の技術、例えば、抽出、濾過、蒸発、蒸留、またはこれらの任意の組み合わせを介して、少なくとも90モル%、少なくとも93モル%、または少なくとも96モル%のC10直鎖内部オレフィンを含む組成物を前記第1の組成物から単離する工程をさらに含む、態様15~21のいずれか1項に記載のプロセス。
【0179】
態様23.工程d)の前に、任意の好適な技術または本明細書にて開示する任意の技術、例えば、抽出、濾過、蒸発、蒸留、またはこれらの任意の組み合わせを介して、少なくとも90モル%、少なくとも93モル%、または少なくとも96モル%のC11アルデヒドを含む組成物を前記第2の組成物から単離する工程をさらに含む、態様15~22のいずれか1項に記載のプロセス。
【0180】
態様24.前記第4の組成物は、少なくとも95モル%、または少なくとも98モル%の1-デセン(または任意の他の最小値、最大値、または本明細書に記載の範囲)を含む、態様1~23のいずれか1項に記載のプロセス。
【0181】
態様25.工程e)で精製することは、任意の好適な技術または本明細書にて開示する任意の技術、例えば、抽出、濾過、蒸発、蒸留、またはこれらの任意の組み合わせを含む、態様1~24のいずれか1項に記載のプロセス。
【0182】
態様26.前記複分解触媒系は、金属酸化物ベースの複分解触媒系、金属ハロゲン化物ベースの複分解触媒系、金属カルベンベースの複分解触媒系、またはこれらの任意の組み合わせである、態様1~25のいずれか1項に記載のプロセス。
【0183】
態様27.前記金属酸化物ベースの複分解触媒系は、酸化コバルト、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化レニウム、またはこれらの任意の組み合わせを含む、態様26に記載のプロセス。
【0184】
態様28.前記金属酸化物ベースの複分解触媒系は、担体及び/または金属アルキル活性化剤をさらに含む、態様27に記載のプロセス。
【0185】
態様29.前記金属ハロゲン化物ベースの複分解触媒系は、タングステンのハロゲン化物、モリブデンのハロゲン化物、またはこれらの任意の組み合わせを含む、態様26に記載のプロセス。
【0186】
態様30.前記金属ハロゲン化物ベースの複分解触媒系は、金属アルキル活性化剤及び/または酸素、またはアルコールをさらに含む、態様29に記載のプロセス。
【0187】
態様31.前記金属カルベンベースの複分解触媒系は、タングステン、タンタル、オスミウム、モリブデン、ルテニウム、またはこれらの任意の組み合わせを含む、態様26に記載のプロセス。
【0188】
態様32.前記金属カルベンベースの複分解触媒系は、担体をさらに含む、態様31に記載のプロセス。
【0189】
態様33.前記異性化ヒドロ官能基化触媒系は、ロジウム化合物、コバルト化合物、ルテニウム化合物、イリジウム化合物、白金化合物、パラジウム化合物、鉄化合物、またはこれらの任意の組み合わせを含むヒドロホルミル化触媒系である、態様1~32のいずれか1項に記載のプロセス。
【0190】
態様34.前記異性化ヒドロ官能基化触媒系は、コバルト化合物を含むヒドロホルミル化触媒系、ロジウム化合物を含むヒドロホルミル化触媒系、またはこれらの任意の組み合わせである、態様1~32のいずれか1項に記載のプロセス。
【0191】
態様35.前記レトロヒドロ官能基化することは、前記官能基化アルカンを、i)遷移金属化合物、ホスフィン、及びヘテロ原子酸もしくはヘテロ原子酸誘導体、またはii)ホスフィン遷移金属化合物錯体、及びヘテロ原子酸もしくはヘテロ原子酸誘導体を含む脱ヒドロホルミル化触媒系に接触させることを含む、態様1~34のいずれか1項に記載のプロセス。
【0192】
態様36.前記遷移金属化合物または前記ホスフィン遷移金属化合物錯体の遷移金属化合物は、ロジウム化合物またはオレフィンロジウムアルコキシド錯体を含む、態様35に記載のプロセス。
【0193】
態様37.前記遷移金属化合物または前記ホスフィン遷移金属化合物錯体の遷移金属化合物は、シクロジエンロジウムアルコキシド錯体を含む、態様35に記載のプロセス。
【0194】
態様38.前記ホスフィンまたは前記ホスフィン遷移金属化合物錯体のホスフィンは、任意の好適なアルキルホスフィン及び/またはアリールホスフィンを含む、態様35~37のいずれか1項に記載のプロセス。
【0195】
態様39.前記ホスフィンまたは前記ホスフィン遷移金属化合物錯体のホスフィンは、構造(I):
【化14】
を有するジホスフィンであり、
式中、
L
1は、連結基であり、かつ
各Rは、独立して、HまたはC
1~C
18ヒドロカルビル基、C
1~C
18ヒドロカルボキシ基、またはC
1~C
18ヒドロカルビルアミニル基である、態様35~37のいずれか1項に記載のプロセス。
【0196】
態様40.前記ホスフィンまたは前記ホスフィン遷移金属化合物錯体のホスフィンは、1,6-ビスホスフィニルヘキサン、置換1,6-ビスホスフィニルヘキサン、(1,3-フェニレンジ-1,1-エタンジイル)ビス(ホスフィン)、置換(1,3-フェニレンジ-1,1-エタンジイル)ビス(ホスフィン)、1,8-アントラセンジイルビス(ホスフィン)、置換1,8-アントラセンジイルビス(ホスフィン)、1,8-テトラデカヒドロアントラセンジイルビス(ホスフィン)、または置換1,8-テトラデカヒドロアントラセンジイルビス(ホスフィン)、(メチレンジ-2,1-フェニレン)ビス(ホスフィン)、置換(メチレンジ-2,1-フェニレン)ビス(ホスフィン)、9H-キサンテン-4,5-ジイルビス(ホスフィン)、置換9H-キサンテン-4,5-ジイルビス(ホスフィン)、またはこれらの組み合わせを含むジホスフィンである、態様35~37のいずれか1項に記載のプロセス。
【0197】
態様41.前記ホスフィンまたは前記ホスフィン遷移金属化合物錯体のホスフィンは、以下の構造の1つを有するジホスフィンであり、
【化15】
式中、
Phは、フェニル基であり、
Meは、メチル基であり、
Arは、C
6~C
18芳香族基であり、
各Rは、独立して、HまたはC
1~C
18ヒドロカルビル基、C
1~C
18ヒドロカルボキシ基、またはC
1~C
18ヒドロカルビルアミニル基であり、かつ
Lは、C
1~C
10連結基である、態様35~37のいずれか1項に記載のプロセス。
【0198】
態様42.前記ヘテロ原子酸または前記ヘテロ原子酸誘導体は、カルボン酸、アルコール、鉱酸、アンモニウム塩、アミン、チオールなど、またはこれらの任意の組み合わせである、態様35~41のいずれか1項に記載のプロセス。
【0199】
態様43.前記ヘテロ原子酸または前記ヘテロ原子酸誘導体は、安息香酸もしくは置換安息香酸、または安息香酸もしくは置換安息香酸の塩もしくはエステルを含む、態様35~41のいずれか1項に記載のプロセス。
【0200】
態様44.前記遷移金属化合物の遷移金属の前記ホスフィン(またはジホスフィン)に対するモル比は、0.2:1~5:1の範囲(または任意の他の最小値、最大値、または本明細書に記載の範囲)である、態様35~43のいずれか1項に記載のプロセス。
【0201】
態様45.前記遷移金属化合物または前記ホスフィン遷移金属化合物錯体の遷移金属の前記ヘテロ原子酸または前記ヘテロ原子酸誘導体に対するモル比は、0.8:1~5:1の範囲(または任意の他の最小値、最大値、または本明細書に記載の範囲)である、態様35~44のいずれか1項に記載のプロセス。
【0202】
態様46.前記脱ヒドロホルミル化触媒系は、受容体をさらに含む、態様35~45のいずれか1項に記載のプロセス。
【0203】
態様47.前記受容体(例えば、受容体オレフィン)は、モノオレフィン化合物(例えば、エチレン、ノルボルネン)、ジ-オレフィン化合物(例えば、シクロオクタジエン、ノルボルナジエン)、トリ-オレフィン化合物(例えば、シクロドデカトリエン)、またはこれらの任意の組み合わせを含む、態様46に記載のプロセス。
【0204】
態様48.前記受容体(例えば、受容体オレフィン)は、脂肪族炭化水素化合物である、態様46または47に記載のプロセス。
【0205】
態様49.前記受容体(例えば、受容体オレフィン)は、ヘテロ原子オレフィン化合物、例えば、エノン、エナミン、エノール、エナミド(アクリルアミド)など、またはこれらの任意の組み合わせである、態様46または47に記載のプロセス。
【0206】
態様50.前記受容体(例えば、受容体オレフィン)は、環式化合物である、態様46~49のいずれか1項に記載のプロセス。
【0207】
態様51.前記受容体は、不飽和トリグリセリドまたは不飽和の天然源油、例えば、大豆油、コーン油、トウゴマ油、キャノーラ油、またはこれらの任意の組み合わせを含む、態様46に記載のプロセス。
【0208】
態様52.前記受容体は、脂肪族モノオレフィン炭化水素、脂肪族ジ-オレフィン炭化水素、脂肪族トリ-オレフィン炭化水素、またはこれらの任意の組み合わせを含む、態様46に記載のプロセス。
【0209】
態様53.工程d)は、溶媒(例えば、トルエン、THF、ジオキサン)中で行われる、態様1~52のいずれか1項に記載のプロセス。
【0210】
態様54.工程d)は、0℃~150℃(または任意の他の最低温度、最高温度、または本明細書に記載の温度範囲)で行われる、態様1~53のいずれか1項に記載のプロセス。
【0211】
態様55.前記受容体の前記C11アルデヒドに対するモル比は、0.2:1~1000:1または0.5:1~5:1の範囲(または任意の他の最小値、最大値、または本明細書に記載の範囲)である、態様46~54のいずれか1項に記載のプロセス。
【0212】
態様56.前記C11アルデヒドの前記遷移金属化合物または前記ホスフィン遷移金属化合物錯体の遷移金属に対するモル比は、2:1~1000:1または10:1~250:1の範囲(または任意の他の最小値、最大値、または本明細書に記載の範囲)である、態様35~55のいずれか1項に記載のプロセス。
【0213】
態様57.前記1-デセンのモル収率は、前記C11直鎖アルデヒドを基準にして、少なくとも50%、少なくとも75%、または少なくとも90%(または任意の他の最小値、最大値、または本明細書に記載の範囲)である、態様1~56のいずれか1項に記載のプロセス。
【0214】
態様58.前記オリゴマー生成物を含む前記組成物は、エチレンを、触媒系または触媒系成分、任意選択で有機反応媒体、及び任意選択で水素に(例えば、反応ゾーン内で)接触させることによって形成される、態様1~57のいずれか1項に記載のプロセス。
【0215】
態様59.(1-オクテン/1-デセン)の製造システムであって、
1)触媒系または触媒系成分の存在下でエチレンをオリゴマー化して、オリゴマー生成物を含む組成物を形成するように構成されたエチレンオリゴマー化システムであって、前記オリゴマー生成物は、20~80モル%のC6オレフィン、15~80モル%のC8オレフィン、及び5~20モル%のC10+オレフィンを含む、前記エチレンオリゴマー化システムと、
2)前記オリゴマー生成物を含む前記組成物を、
i)1-ヘキセンを含む第1のオリゴマー組成物と、
ii)1-オクテンを含む第2のオリゴマー組成物と、
iii)C10+オレフィンを含む重量物ストリームと、に分離するように構成された分画システムと、
3)複分解触媒系を、前記第1のオリゴマー組成物の全部または一部を接触させて、C10直鎖内部オレフィンを含む第1の組成物を形成するように構成された複分解システムと、
4)前記C10直鎖内部オレフィンを、異性化ヒドロ官能基化触媒系と接触させて、官能基化アルカンを含む第2の組成物を形成するよう構成された異性化ヒドロ官能基化システムと、
5)前記官能基化アルカンを処理して、1-デセンを含む第3の組成物を形成するように構成されたレトロヒドロ官能基化システムと、
6)前記第3の組成物から、少なくとも90モル%の1-デセンを含む第4の組成物を単離するように構成された精製システムと、を含む、前記製造システム。
【0216】
態様60.(1-ヘキセン/1-デセン)の製造システムであって、
1)触媒系または触媒系成分の存在下でエチレンをオリゴマー化して、オリゴマー生成物を含む組成物を形成するように構成されたエチレンオリゴマー化システムであって、前記オリゴマー生成物は、少なくとも85モル%のC6オレフィン、及び少なくとも5モル%のC8+オレフィンを含む、前記エチレンオリゴマー化システムと、
2)前記オリゴマー生成物を含む前記組成物を、1-ヘキセンを含む第1のオリゴマー組成物と、C8+オレフィンを含む重量物ストリームと、に分離するように構成された分画システムと、
3)複分解触媒系を、前記第1のオリゴマー組成物の全部または一部を接触させて、C10直鎖内部オレフィンを含む第1の組成物を形成するように構成された複分解システムと、
4)前記C10直鎖内部オレフィンを、異性化ヒドロ官能基化触媒系と接触させて、官能基化アルカンを含む第2の組成物を形成するよう構成された異性化ヒドロ官能基化システムと、
5)前記官能基化アルカンを処理して、1-デセンを含む第3の組成物を形成するように構成されたレトロヒドロ官能基化システムと、
6)前記第3の組成物から、少なくとも90モル%の1-デセンを含む第4の組成物を単離するように構成された精製システムと、を含む、前記製造システム。
【0217】
態様61.前記異性化ヒドロ官能基化システムの前に、C10直鎖内部オレフィンを含む組成物を前記第1の組成物から単離するように構成された複分解精製システムをさらに含み、前記精製システムは、抽出、濾過、蒸発、蒸留、またはこれらの任意の組み合わせを含む、態様59または60に記載の製造システム。
【0218】
態様62.前記レトロヒドロ官能基化システムの前に、官能基化アルカンを含む組成物を前記第2の組成物から単離するように構成された異性化ヒドロ官能基化精製システムをさらに含み、前記精製システムは、抽出、濾過、蒸発、蒸留、またはこれらの任意の組み合わせを含む、態様59~61のいずれか1項に記載の製造システム。
【0219】
態様63. 前記触媒系または前記触媒系成分は、ヘテロ原子配位子クロム化合物錯体、及びアルキルアルミニウム化合物、またはヘテロ原子配位子、クロム化合物、及びアルキルアルミニウム化合物を含む、態様58に記載のプロセスまたは態様59~62のいずれか1項に記載の製造システム。
【国際調査報告】