(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】熱安定性バリアフィルム構造
(51)【国際特許分類】
B32B 27/32 20060101AFI20240829BHJP
B32B 7/022 20190101ALI20240829BHJP
B32B 7/12 20060101ALI20240829BHJP
B32B 7/028 20190101ALI20240829BHJP
B65D 65/40 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
B32B27/32 E
B32B7/022
B32B7/12
B32B7/028
B65D65/40 D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515512
(86)(22)【出願日】2022-02-11
(85)【翻訳文提出日】2024-03-13
(86)【国際出願番号】 US2022016093
(87)【国際公開番号】W WO2023038663
(87)【国際公開日】2023-03-16
(31)【優先権主張番号】PCT/US2021/049614
(32)【優先日】2021-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522475557
【氏名又は名称】アムコア・フレキシブルズ・ノース・アメリカ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】AMCOR FLEXIBLES NORTH AMERICA,INC.
【住所又は居所原語表記】2301 Industrial Drive,Neenah,WI 54956 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ・オクレ
(72)【発明者】
【氏名】ウォルフガング・ローヴァッサー
(72)【発明者】
【氏名】ピーター・エトリッジ
(72)【発明者】
【氏名】ロイ・クリストファーソン
【テーマコード(参考)】
3E086
4F100
【Fターム(参考)】
3E086AB01
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4F100AA20B
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4F100YY00C
(57)【要約】
本開示は、10μm~100μmの範囲の厚さを有するポリオレフィン基材層と、無機コーティング層と、ポリオレフィン基材と無機コーティング層との間に位置決めされたポリマーバッファ層とを含み、ポリマーバッファ層が、無機コーティング層と直接接触し、無機コーティング層が、0.25μm~1.0μmの範囲の平均振幅と、2μm~5μmの範囲の波長とによって特徴付けられる波構造を備える、バリア包装フィルムに関連する。また、バリア包装フィルムから形成されるパッケージ(例えば、密封シールされたパッケージ)も開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バリア包装フィルムであって、
ポリオレフィン基材であって、ASTM D2732に従い、95℃で縦方向及び横方向のうちの少なくとも一方において0.5%~10%の範囲の自由収縮を含む、ポリオレフィン基材と、
0.005ミクロン~0.1ミクロンの範囲の厚さを有する無機コーティング層と、
前記ポリオレフィン基材と前記無機コーティング層との間に位置決めされ、かつそれらの各々と直接接触するポリマーバッファ層であって、0.5ミクロン~12ミクロンの範囲の厚さを含む、ポリマーバッファ層と、
ポリオレフィンシール層と、を備え、
前記ポリマーバッファ層の前記厚さと前記無機コーティング層の前記厚さとの比があり、前記比が20~500の範囲にあり、
前記ポリマーバッファ層が、付録X.4を有するASTM E2546-15に従い、95℃で収集された測定値から計算して、0.1MPa~100MPaの範囲のヤング率を含む、バリア包装フィルム。
【請求項2】
接着層を更に備え、
前記ポリオレフィン基材が、第1の外部層であり、
前記ポリオレフィンシール層が、第2の外部層であり、
前記接着層が、前記ポリオレフィンシール層と前記無機コーティング層との間に位置する、請求項1に記載のバリア包装フィルム。
【請求項3】
前記ポリオレフィンシール層と前記無機コーティング層との間に位置する印刷されたしるし層を更に備える、請求項2に記載のバリア包装フィルム。
【請求項4】
印刷されたしるし層及び接着層を更に備え、
前記印刷されたしるし層が、第1の外部層であり、
前記ポリオレフィンシール層が、第2の外部層であり、
前記接着層が、前記ポリオレフィンシール層と前記無機コーティング層との間に位置する、請求項1に記載のバリア包装フィルム。
【請求項5】
前記ポリオレフィン基材が、配向ポリプロピレンフィルムであり、前記ポリオレフィンシール層が、ポリプロピレンシール層である、請求項1に記載のバリア包装フィルム。
【請求項6】
前記配向ポリプロピレンフィルムが、ホモポリマーポリプロピレンを含む、請求項5に記載のバリア包装フィルム。
【請求項7】
前記ポリオレフィン基材が、配向ポリエチレンフィルムであり、前記ポリオレフィンシール層が、ポリエチレンシール層である、請求項1に記載のバリア包装フィルム。
【請求項8】
配向ポリオレフィン外部層及び接着層を更に備え、
前記ポリオレフィンシール層が、前記ポリオレフィン基材のサブ層であり、
前記接着層が、前記配向ポリオレフィン外部層と前記無機コーティング層との間に位置する、請求項1に記載のバリア包装フィルム。
【請求項9】
前記配向ポリオレフィン外部層と前記無機コーティング層との間に位置する印刷されたしるし層を更に備える、請求項8に記載のバリア包装フィルム。
【請求項10】
前記バリア包装フィルムが、80重量%以上のポリオレフィンを含む全組成を有する、請求項1に記載のバリア包装フィルム。
【請求項11】
前記ポリオレフィン基材が、10ミクロン~100ミクロンの範囲の厚さを含む、請求項1に記載のバリア包装フィルム。
【請求項12】
前記ポリマーバッファ層が、1μm~5μmの範囲の厚さを含む、請求項1に記載のバリア包装フィルム。
【請求項13】
前記無機コーティング層が、金属層又は酸化物コーティング層を含み、前記無機コーティング層の前記厚さが、0.005μm~0.06μmの範囲にある、請求項1に記載のバリア包装フィルム。
【請求項14】
前記ポリマーバッファ層の前記厚さと前記無機コーティング層の前記厚さとの前記比が、30~120の範囲にある、請求項1に記載のバリア包装フィルム。
【請求項15】
前記ポリオレフィン基材が、ASTM D2732に従い、95℃で1%~6%の範囲の自由収縮を含む、請求項1に記載のバリア包装フィルム。
【請求項16】
前記ポリマーバッファ層が、ビニルアルコールコポリマー、ポリプロピレン系ポリマー、ポリウレタン系ポリマー、又はポリ乳酸を含む、請求項1に記載のバリア包装フィルム。
【請求項17】
前記無機コーティング層と直接接触する第2のポリマーバッファ層を更に備える、請求項1に記載のバリア包装フィルム。
【請求項18】
バリア包装フィルムであって、
ポリオレフィン基材と、
無機コーティング層と、
前記ポリオレフィン基材と前記無機コーティング層との間に位置決めされたポリマーバッファ層であって、前記無機コーティング層と直接接触する、ポリマーバッファ層と、
ポリオレフィンシール層と、を備え、
前記無機コーティング層が、0.25μm~1.0μmの範囲の平均振幅と、2μm~5μmの範囲の波長とによって特徴付けられる波構造を備え、
前記ポリマーバッファ層が、前記波構造の前記平均振幅の1.1~20倍の範囲の厚さを含む、バリア包装フィルム。
【請求項19】
接着層を更に備え、
前記ポリオレフィン基材が、第1の外部層であり、
前記ポリオレフィンシール層が、第2の外部層であり、
前記接着層が、前記ポリオレフィンシール層と前記無機コーティング層との間に位置する、請求項18に記載のバリア包装フィルム。
【請求項20】
前記ポリオレフィンシール層と前記無機コーティング層との間に位置する印刷されたしるし層を更に備える、請求項19に記載のバリア包装フィルム。
【請求項21】
印刷されたしるし層及び接着層を更に備え、
前記印刷されたしるし層が、第1の外部層であり、
前記ポリオレフィンシール層が、第2の外部層であり、
前記接着層が、前記ポリオレフィンシール層と前記無機コーティング層との間に位置する、請求項18に記載のバリア包装フィルム。
【請求項22】
前記ポリオレフィン基材が、配向ポリプロピレンフィルムであり、前記ポリオレフィンシール層が、ポリプロピレンシール層である、請求項18に記載のバリア包装フィルム。
【請求項23】
前記配向ポリプロピレンフィルムが、ホモポリマーポリプロピレンを含む、請求項22に記載のバリア包装フィルム。
【請求項24】
前記ポリオレフィン基材が、配向ポリエチレンフィルムであり、前記ポリオレフィンシール層が、ポリエチレンシール層である、請求項18に記載のバリア包装フィルム。
【請求項25】
配向ポリオレフィン外部層及び接着層を更に備え、
前記ポリオレフィンシール層が、前記ポリオレフィン基材のサブ層であり、
前記接着層が、前記配向ポリオレフィン外部層と前記無機コーティング層との間に位置する、請求項18に記載のバリア包装フィルム。
【請求項26】
前記配向ポリオレフィン外部層と前記無機コーティング層との間に位置する印刷されたしるし層を更に備える、請求項25に記載のバリア包装フィルム。
【請求項27】
前記バリア包装フィルムが、80重量%以上のポリオレフィンを含む全組成を有する、請求項18に記載のバリア包装フィルム。
【請求項28】
前記ポリオレフィン基材が、10ミクロン~100ミクロンの範囲の厚さを含む、請求項18に記載のバリア包装フィルム。
【請求項29】
前記ポリマーバッファ層が、1~5μmの範囲の厚さを含む、請求項18に記載のバリア包装フィルム。
【請求項30】
前記無機コーティング層が、金属層又は酸化物コーティング層を含み、前記無機コーティング層の厚さが、0.005μm~0.06μmの範囲にある、請求項18に記載のバリア包装フィルム。
【請求項31】
前記ポリマーバッファ層の前記厚さと前記無機コーティング層の前記厚さとの前記比が、30~120の範囲にある、請求項18に記載のバリア包装フィルム。
【請求項32】
前記無機コーティング層の前記波構造が、前記波長と前記平均振幅との比によって特徴付けられ、前記比が、2~20の範囲にある、請求項18に記載のバリア包装フィルム。
【請求項33】
前記ポリマーバッファ層が、ビニルアルコールコポリマー、ポリプロピレン系ポリマー、ポリウレタン系ポリマー、又はポリ乳酸を含む、請求項18に記載のバリア包装フィルム。
【請求項34】
前記無機コーティング層と直接接触する第2のポリマーバッファ層を更に備える、請求項18に記載のバリア包装フィルム。
【請求項35】
請求項18に記載のバリア包装フィルムを備える、密封シールされたパッケージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱安定性多層バリアフィルム構造に関連する。本発明の実施形態は、包装用途のための可撓性多層フィルムを対象とする。
【背景技術】
【0002】
熱応力への多層バリア構造の曝露を伴う典型的な包装用途は、レトルト包装である。レトルト包装では、包装された製品は、長時間の熱及び圧力処理プロセスを受ける。同様に、包装又は包装された製品は、約80℃で低温殺菌プロセスを受け得る。更に別の用途では、多層バリア構造は、80℃以下の温度で熱収縮ラップ箔として使用され得る。
【0003】
ラッピング箔として使用するための多層熱収縮性フィルムの実施例は、米国特許文献US2006/222793及びUS6627274に開示されている。
【0004】
食品製品は、金属缶及びガラス瓶の代替として、可撓性レトルトパッケージで包装されることが増えつつある。可撓性レトルトパッケージ用の包装材料は典型的に、包埋バリア層と、バリア層の一方の側に接着され、かつパッケージの外部表面を形成する外側ポリマー層と、ガスバリア層の他方の側に接着され、かつパッケージの内部表面を形成するヒートシール可能な内側ポリマーフィルム層とを含む。この層の組み合わせは、溶融又は実質的に分解(すなわち、漏れ、剥離)することなく、レトルトプロセスに耐えることができると考えられる。概して、レトルト加工は、包装容器を100~135°Cの範囲の温度に、0.5~1.1バールの範囲の過圧で、15~100分の範囲の期間にわたって加熱することからなる。
【0005】
レトルト包装用のラミネートの実施例は、US4,310,578(A)、US4,311,742(A)、US4,308,084(A)、US4,309,466(A)、US4,402,172(A)、US4,903,841(A)、US5,273,797(A)、US5,731,090(A)、EP1466725(A1)、JPH09267868(A)、JP2002/096864(A)、JP2015/066721(A)、JP2018/053180(A)、JP2017/144648(A)、JPS62279944(A)、JPS6328642、及びJPH10244641(A)に開示されている。
【0006】
従来の可撓性レトルトパウチは、酸素、水、細菌、及び風味バリア性質を達成するために、異なる材料の層で製造される。弾性レトルト包装多層バリアフィルムを設計するための1つの典型的な選択肢は、少なくとも5μm、好ましくは12μm厚を超える厚さを有するアルミニウムバリア層の使用である。それでも、アルミニウムは高価で、高密度であり、屈曲後に厚さが低いとピンホールが生じやすく、不透明性の欠点を有する。アルミニウムはまた、電子レンジ内で、包装された食品を再加熱する際にも問題を引き起こすことが知られている。更に、金属層の存在は、概して、包装プロセス内のリサイクルの可能性及び金属検出の観点から望ましくない。
【0007】
標準レトルトパウチ用の多層バリアフィルム構造の典型的な実施例は、ポリエチレンテレフタレート外部層と、バリア層と、内側シール層とを備え、外部層は印刷層を含み、バリア層は金属箔、金属化フィルム、又は透明バリアポリマーフィルムのうちの1つ以上を含み、内側層はヒートシール性ポリオレフィン層である。包装材料はまた、ポリアミド層又はこれに類するものなどの追加的なポリマーフィルム層を包含し得る。
【0008】
リサイクルの問題に加えて、一体型アルミニウム箔の存在により、多層バリアフィルム構造を構成するポリマー層の多様性は、これらの多層バリアフィルム構造をリサイクル可能にするための追加的な課題をもたらす。
【0009】
最先端のシステムの関連する利点に対抗することなく、包装用のリサイクル可能な熱安定性多層バリアフィルム構造に対するニーズが存在し、バリア層は熱処理中に実質的に亀裂のないままであり、それによってフィルムの酸素及び水蒸気バリア性質の損失が制限される。
【発明の概要】
【0010】
本発明の実施形態は、有利には、包装用の熱弾性バリアフィルム構造を提供する。いくつかの実施形態では、熱弾性バリアフィルム構造は、例えば低温殺菌処理又はレトルト加工処理中に熱処理される。いくつかの実施形態では、熱弾性バリアフィルム構造は、熱処理中及び熱処理後に実質的に亀裂のないままである無機バリア層を備え、それによってフィルムの酸素及び水蒸気透過率の増加が制限される。
【0011】
1つ以上の実施形態では、バリアフィルム構造は、多層ラミネート内の少なくとも1つのバッファ層と接触する1つ以上の無機コーティング層を包含する。いくつかの実施形態では、バッファ層の存在により、無機コーティング層における波の形成が許容され、それによって、基材層が熱応力下で収縮するときに亀裂の形成が回避される。典型的なバリアフィルム構造における酸素及び水蒸気透過率の通常の損失は、バッファ層の存在により低減される場合があり、本明細書に記載の可撓性多層フィルムの透過率は、熱処理後であっても許容可能なままであり得る。
【0012】
本発明の追加的な実施形態は、有利には、優れた酸素透過率(低透過率、高バリア)を示すより持続可能な透明多層バリアフィルムを提供し、上記酸素透過率は、熱処理後に実質的に変化しないままであり、熱弾性バリアフィルム構造は、典型的な高バリア包装構造よりもリサイクルが比較的容易である。
【0013】
バリア包装フィルムのいくつかの実施形態は、ポリオレフィン基材であって、ASTM D2732に従って、95℃で縦方向及び横方向のうちの少なくとも一方において0.5%~10%の範囲の自由収縮を含む、ポリオレフィン基材と、0.005ミクロン~0.1ミクロンの範囲の厚さを有する無機コーティング層と、ポリオレフィン基材と無機コーティング層との間に位置決めされ、かつそれらの各々と直接接触するポリマーバッファ層であって、0.5ミクロン~12ミクロンの範囲の厚さを含む、ポリマーバッファ層と、ポリオレフィンシール層とを備える。ポリマーバッファ層の厚さと無機コーティング層の厚さとの比は、20~500の範囲にあり、ポリマーバッファ層は、付録X.4を有するASTM E2546-15に従い、95℃で収集された測定値から計算して、0.1MPa~100MPaの範囲のヤング率を含む。
【0014】
バリア包装フィルムのいくつかの実施形態は、接着層を更に備える。加えて、ポリオレフィン基材は、第1の外部層であり、ポリオレフィンシール層は、第2の外部層であり、接着層は、ポリオレフィンシール層と無機コーティング層との間に位置する。これらの実施形態は、ポリオレフィンシール層と無機コーティング層との間に位置する印刷されたしるし層を更に備え得る。
【0015】
バリア包装フィルムのいくつかの実施形態は、印刷されたしるし層及び接着層を更に備える。加えて、印刷されたしるし層は、第1の外部層であり、ポリオレフィンシール層は、第2の外部層であり、接着層は、ポリオレフィンシール層と無機コーティング層との間に位置する。
【0016】
バリア包装フィルムのいくつかの実施形態では、ポリオレフィン基材は、配向ポリプロピレンフィルムであり、ポリオレフィンシール層は、ポリプロピレンシール層である。配向ポリプロピレンフィルムは、ホモポリマーポリプロピレンを含み得る。
【0017】
バリア包装フィルムのいくつかの実施形態では、ポリオレフィン基材は、配向ポリプロピレンフィルムであり、ポリオレフィンシール層は、ポリプロピレンシール層である。
【0018】
バリア包装フィルムのいくつかの実施形態は、配向ポリオレフィン外部層及び接着層を更に備える。加えて、ポリオレフィンシール層は、ポリオレフィン基材のサブ層であり、接着層は、配向ポリオレフィン外部層と無機コーティング層との間に位置する。バリア包装フィルムはまた、配向ポリオレフィン外部層と無機コーティング層との間に位置する印刷されたしるし層を更に備え得る。
【0019】
いくつかの実施形態では、バリア包装フィルムは、80重量%以上のポリオレフィン、90重量%以上のポリオレフィン、又は95重量%以上のポリオレフィンを含む全組成を有する。
【0020】
バリア包装フィルムのいくつかの実施形態では、ポリオレフィン基材は、10ミクロン~100ミクロンの範囲の厚さを含む。
【0021】
バリア包装フィルムのいくつかの実施形態では、ポリマーバッファ層は、1μm~5μmの範囲の厚さを含む。
【0022】
バリア包装フィルムのいくつかの実施形態では、無機コーティング層は、金属層又は酸化物コーティング層を含み、無機コーティング層の厚さは、0.005μm~0.06μmの範囲にある。
【0023】
バリア包装フィルムのいくつかの実施形態では、ポリマーバッファ層の厚さと無機コーティング層の厚さとの比は、30~120の範囲にある。
【0024】
バリア包装フィルムのいくつかの実施形態では、ポリマー基材は、ASTM D2732に従い、95℃で1%~6%の範囲の自由収縮を含む。
【0025】
バリア包装フィルムのいくつかの実施形態では、ポリマーバッファ層は、ビニルアルコールコポリマー、ポリプロピレン系ポリマー、ポリウレタン系ポリマー、又はポリ乳酸を含む。
【0026】
バリア包装フィルムは、無機コーティング層と直接接触する第2のポリマーバッファ層を更に備え得る。
【0027】
バリア包装フィルムのいくつかの実施形態は、ポリオレフィン基材と、無機コーティング層と、ポリオレフィン基材と無機コーティング層との間に位置決めされたポリマーバッファ層であって、無機コーティング層と直接接触する、ポリマーバッファ層と、ポリオレフィンシール層とを備える。加えて、無機コーティング層は、0.25μm~1.0μmの範囲の平均振幅と、2μm~5μmの範囲の波長とによって特徴付けられる波構造を備え、ポリマーバッファ層は、上記波構造の平均振幅の1.1~20倍の範囲の厚さを含む。
【0028】
波構造を含むバリア包装フィルムは、接着層を更に備え得る。加えて、ポリオレフィン基材は、第1の外部層であり、ポリオレフィンシール層は、第2の外部層であり、接着層は、ポリオレフィンシール層と無機コーティング層との間に位置する。フィルムは、ポリオレフィンシール層と無機コーティング層との間に位置する印刷されたしるし層を更に備え得る。
【0029】
波構造を含むバリア包装フィルムは、印刷されたしるし層及び接着層を更に備え得る。加えて、印刷されたしるし層は、第1の外部層であり、ポリオレフィンシール層は、第2の外部層であり、接着層は、ポリオレフィンシール層と無機コーティング層との間に位置する。
【0030】
波構造を含むいくつかのバリア包装フィルムでは、ポリオレフィン基材は、配向ポリプロピレンフィルムであり、ポリオレフィンシール層は、ポリプロピレンシール層である。配向ポリプロピレンフィルムは、ホモポリマーポリプロピレンを含み得る。
【0031】
波構造を含むバリア包装フィルムのいくつかの実施形態では、ポリオレフィン基材は、配向ポリエチレンフィルムであり、ポリオレフィンシール層は、ポリエチレンシール層である。
【0032】
波構造を含むバリア包装フィルムのいくつかの実施形態は、配向ポリオレフィン外部層及び接着層を更に備える。更に、ポリオレフィンシール層は、ポリオレフィン基材のサブ層であり、接着層は、ポリオレフィン外部層と無機コーティング層との間に位置する。加えて、バリア包装フィルムは、ポリオレフィン外部層と無機コーティング層との間に位置する印刷されたしるし層を更に備え得る。
【0033】
波構造を含むバリア包装フィルムのいくつかの実施形態は、80重量%以上のポリオレフィン、90重量%以上のポリオレフィン、又は95重量%以上のポリオレフィンを含む全組成を有する。
【0034】
波構造を含むバリア包装フィルムのいくつかの実施形態では、ポリオレフィン基材は、10ミクロン~100ミクロンの範囲の厚さを含む。
【0035】
波構造を含むバリア包装フィルムのいくつかの実施形態では、ポリマーバッファ層は、1~5μmの範囲の厚さを含む。
【0036】
波構造を含むバリア包装フィルムのいくつかの実施形態では、無機コーティング層は、金属層又は酸化物コーティング層を含み、無機コーティング層の厚さは、0.005μm~0.06μmの範囲にある。
【0037】
波構造を含むバリア包装フィルムのいくつかの実施形態では、ポリマーバッファ層の厚さと無機コーティング層の厚さとの比は、30~120の範囲にある。
【0038】
波構造を含むバリア包装フィルムのいくつかの実施形態では、無機層の波構造は、波長と平均振幅との比によって特徴付けられ、比が、2~20の範囲にある。
【0039】
波構造を含むバリア包装フィルムのいくつかの実施形態では、ポリマーバッファ層は、ビニルアルコールコポリマー、ポリプロピレン系ポリマー、ポリウレタン系ポリマー、又はポリ乳酸を含む。
【0040】
波構造を含むバリア包装フィルムのいくつかの実施形態は、無機コーティング層と直接接触する第2のポリマーバッファ層を更に備える。
【0041】
また、任意の実施形態によるバリア包装フィルムを備える密封シールされたパッケージも本明細書で考察される。
【図面の簡単な説明】
【0042】
本開示は、添付図面に関連して、本開示の様々な実施形態の以下の詳細な説明を考慮してより完全に理解され得る。
【0043】
【
図1A】バリア包装フィルムの異なる実施形態の断面図である。
【
図1B】バリア包装フィルムの異なる実施形態の断面図である。
【
図2】バリア包装フィルムの異なる実施形態の断面図である。
【
図3】バリア包装フィルムの異なる実施形態の断面図である。
【
図4】バリア包装フィルムの異なる実施形態の断面図である。
【
図5A】バリア包装フィルムの異なる実施形態の断面図である。
【
図5B】バリア包装フィルムの異なる実施形態の断面図である。
【
図6】バリア包装フィルムの異なる実施形態の断面図である。
【
図7】バリア包装フィルムの異なる実施形態の断面図である。
【
図8】バリア包装フィルムの異なる実施形態の断面図である。
【
図9】バリア包装フィルムを備える密封シールされたパッケージの実施形態の斜視図である。
【
図10】バリア包装フィルムを備える密封シールされたパッケージの実施形態の斜視図である。
【
図11】バリア包装フィルムの1つ以上の実施形態で形成された波構造の拡大上面図である。
【
図12A】波を形成したフィルム(12A及び12C)、及び波を形成しない比較フィルム(12B)の上面図の拡大顕微鏡写真である。
図12A、
図12B及び
図12Cに例解した顕微鏡写真は、同じ倍率ではない。
【
図12B】波を形成したフィルム(12A及び12C)、及び波を形成しない比較フィルム(12B)の上面図の拡大顕微鏡写真である。
図12A、
図12B及び
図12Cに例解した顕微鏡写真は、同じ倍率ではない。
【
図12C】波を形成したフィルム(12A及び12C)、及び波を形成しない比較フィルム(12B)の上面図の拡大顕微鏡写真である。
図12A、
図12B及び
図12Cに例解した顕微鏡写真は、同じ倍率ではない。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図面はいくつかの実施形態を示すが、全部ではない。図面に描画する要素は例解であり、必ずしも正確な縮尺ではなく、同じ(又は類似の)参照番号は、図面全体を通して同じ(又は類似の)特徴を示す。
【0045】
本発明によるバリア包装フィルム構造は、少なくとも1つの熱収縮性ポリオレフィン基材層、少なくとも1つの無機コーティング層、及び少なくとも1つのポリマーバッファ層を含み、ポリマーバッファ層は、無機コーティング層と直接接触し、ポリオレフィン基材層と無機コーティング層との間に位置決めされる。包装フィルムを収縮させるのに十分に高い温度への曝露中、バッファ層は、収縮基材層と硬質の非収縮無機コーティング層との間の可鍛性界面であるように構成されており、少なくとも1つのポリマーバッファ層の表面において無機コーティング層内に連続波構造を形成することが許容される。いくつかの実施形態では、連続波構造の形成により、無機コーティング層内の亀裂の数が実質的に減少する。いくつかの実施形態では、連続波構造、より具体的には収縮基材層の形成により、酸素及び水蒸気バリアの損失が軽減する。
【0046】
いくつかの実施形態では、バッファ層上の無機層の波構造形成効果は、1)ポリマーバッファ層の厚さ、2)熱処理温度でのポリマーバッファ材料の弾性係数、及び3)無機層の厚さの間の微妙な平衡によって得られる。基材層が収縮し始める温度(すなわち、熱処理温度)以上で、バッファ層は形状を変化させることができるような係数を有する必要がある。形状変化は、収縮基材層に最も近いバッファ層の側面上の収縮表面積、及び無機コーティング層に隣接するバッファ層の側面上の非収縮表面積の結果である。その低い係数に起因して、基材層に隣接するバッファ層の表面は、収縮力に対して移動し、調整することができる。無機層に隣接するバッファ層は、無機コーティング層の不変の表面積に対応するように、波構造に適合する。無機コーティングの波構造は、規則的(すなわち、ストライプ)、へリンボン、及びランダム(すなわち、ラビリンス)を含むがこれらに限定されない、1つ以上のパターンで形成され得る。波構造の形成により、無機コーティング層が屈曲し、その元の表面積を保持し、亀裂を伴わず(又は亀裂を多く伴わずに)無傷のままであり、基材層の収縮によって生じ得る無機コーティング層のバリア性質の劣化を低減又は除去することが許容される。
【0047】
本発明を限定することなく、様々なシステムにおける波の理論的形成を説明するために使用されるモデルは、Huang,ZY,Hong,W,Suo Z 2005,"Nonlinear Analysis of Wrinkles in a Film Bonded to a Compliant Substrate",Journal of the Mechanics and Physics of Solids,53,2101-2118に見出すことができる。
【0048】
本発明の実施形態は、有利には、ポリオレフィン系包装構造が開発される際に、波構造の形成及びバリア性質の保持を説明する。包装業界は、使用される材料の狭いカテゴリへの合理化を含む、より持続可能な選択肢に向かって進んでいると考えられる。例えば、1つの選択肢は、フィルムをリサイクル可能に分類するために、ポリオレフィン含有量が高い包装構造を設計することである。包装構造からの非オレフィン性ポリマーを排除すると、多くの場合、包装構造の全体的な性能の欠陥が提示される。レトルト又は低温殺菌などの熱処理用途が意図された包装の場合、ポリオレフィンポリマーは、適用温度に対してより感受性が高い。具体的には、高温では、ポリオレフィン材料は、他のポリマー材料よりも収縮する可能性があり、無機コーティング層の構造的構成要素として不適切になる場合がある。本明細書に記載のバッファ層の概念を包装フィルムへ導入すると、よりリサイクル可能なポリマー材料のセットを利用することによる悪影響を低減することができる。結果として、本明細書に記載のバリア包装フィルムは、ポリオレフィン含有量が高いため、より簡単にリサイクル可能であるが、酸素及び防湿バリアなどの高性能特質を保持している。
【0049】
本明細書で使用される場合、「ポリマーバッファ層」は、無機コーティング層に直接隣接し、かつそれと接触し、無機コーティング層が比較的平坦な断面幾何学形状から波構造へと屈曲することを許容する機能を有する、バリア包装フィルム内の層である。ポリマーバッファ層は、本明細書に更に記述されるように、バリア包装フィルムが熱曝露(例えば、95℃)によってわずかに収縮する温度範囲で、材料又は材料の混合物が展性となるように配合される。ポリマーバッファ層の配合は、材料が柔軟なものとなることを許容する適切な温度範囲における弾性係数の達成に向けることができる。
【0050】
本明細書で使用される場合、互いに「直接接触する」か、若しくは互いに「直接隣接している」層又はフィルムは、それらの間に介在する材料を有していない。
【0051】
本明細書で使用される場合、「無機コーティング層」は、金属層又は酸化物コーティング層を含む層を指す。無機コーティング層は、バリア層として作用する。無機コーティング層は、バッファ層の表面上に直接真空堆積(すなわち、真空コーティング、蒸気コーティング、真空金属化)され得る。あるいは、無機コーティング層は、溶液コーティングのような湿式化学法によって堆積され得る。
【0052】
本明細書に記載の通り、ポリオレフィン基材層は、配向され得る。配向は、バリア包装フィルムの一軸配向(縦方向又は横方向)、又は二軸配向(縦方向及び横方向)の延伸の結果であり得、縦方向及び/又は横方向の寸法を増加させ、その後に材料の厚さを減少させることができる。二軸配向は、フィルムに同時に又は連続的に付与され得る。いくつかの実施形態では、フィルムは、フィルム中のポリマーの溶融温度をわずかに下回る温度で、一方又は両方の方向に延伸された。このようにして、延伸は、ポリマー鎖を「配向」させ、フィルムの物理的性質を変化させる。同時に、延伸は、フィルムを薄くする。結果として得られる配向されたフィルムはより薄く、靭性、耐熱性、剛性、引裂強度、及びバリアなどの機械的性質の著しい変化を有することができる。配向は、典型的には、二重又は三重気泡プロセスによって、テンタフレームプロセス又は加熱ロールを使用したMDOプロセスによって達成される。典型的な吹き付けフィルムプロセスは、フィルムのいくらかの延伸を付与するが、本明細書に記載されるように配向されるとみなされるには十分ではない。配向されたフィルムは、レトルトフィルムラミネートの変換中(すなわち、印刷又は積層)又はラミネートの使用中(すなわち、ヒートシール又はレトルト滅菌)に経験され得る高温条件下でフィルムが比較的寸法的に安定であるように、配向後にヒートセット(すなわち、アニール)され得る。本明細書で使用される場合、「未配向の」及び「配向されていない」という用語は、押出成形後の配向を実質的に含まない単層又は多層フィルム、シート又はウェブを指す。
【0053】
本明細書で使用されるように、「ポリオレフィン」という用語は、概ねポリプロピレン及びポリエチレンポリマーを含む。
【0054】
本出願全体を通して使用される場合、「コポリマー」という用語は、少なくとも2つのモノマー種の重合反応又は共重合によって得られるポリマー生成物を指す。「コポリマー」という用語はまた、三元重合体、四元重合体などと称される反応生成物を有する、3種、4種以上のモノマー種の重合反応も包含する。
【0055】
本出願全体を通して使用される場合、「ポリプロピレン」又は「PP」という用語は、別様に示唆がない限り、プロピレンホモポリマー又はコポリマーを指す。プロピレンのこうしたコポリマーには、プロピレンと少なくとも1種のアルファオレフィンとのコポリマー、及びプロピレンと他の単位又は基とのコポリマーが含まれる。「ポリプロピレン」又は「PP」という用語は、置換分岐基又は他の修飾剤の有無にかかわらず使用される。ポリプロピレンには、ホモポリマーポリプロピレン、ポリプロピレンインパクトコポリマー、ポリプロピレンランダムコポリマー、プロピレンエチレンコポリマー、エチレンプロピレンコポリマー、無水マレイン酸グラフトポリプロピレン、及びそれらのブレンドが含まれるが、これらに限定されるものではない。様々なポリプロピレンポリマーは、再生ポリプロピレン又は再生ポリオレフィンとしてリサイクルされ得る。
【0056】
本出願全体を通して使用される場合、「ポリエチレン」又は「PE」という用語は、別様に示唆がない限り、エチレンホモポリマー又はコポリマーを指す。エチレンのこうしたコポリマーには、エチレンと少なくとも1つのアルファオレフィンとのコポリマー、及びエチレンと酢酸ビニル、酸基、アクリレート基、又はその他など他の単位又は基とのコポリマーが含まれる。「ポリエチレン」又は「PE」という用語は、置換分岐基の有無にかかわらず使用される。ポリエチレンには、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、エチレンアルファオレフィンコポリマー、エチレンビニルアセテート、エチレン酸コポリマー、エチレンアクリレートコポリマー、イオノマーなどの中和エチレンコポリマー、無水マレイン酸グラフトポリエチレン、及びそれらのブレンドが含まれるが、これらに限定されない。様々なポリエチレンポリマーは、再生ポリエチレン又は再生ポリオレフィンとしてリサイクルされ得る。
【0057】
本出願全体を通して使用される場合、「ポリエステル」又は「PET」という用語は、モノマー単位間にエステル結合を有するホモポリマー又はコポリマーを指す。エステル結合は、一般式[O-R-OC(O)-R’-C(O)]nによって表されてもよく、式中、R及びR’は、同一又は異なるアルキル(又はアリール)基であり、ジカルボン酸及びジオールモノマーの重合から概ね形成され得る。
【0058】
本明細書で使用する場合、「ポリアミド」という用語は、分子鎖に沿って生じるアミド結合(-CONH-)nを有する高分子量ポリマーを指し、包装フィルムとしての有用性を含む多数の用途を有する周知のポリマーである「ナイロン」樹脂を含む。食品包装及び加工に使用するためのナイロンポリマー樹脂の実施例には、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン66/610、ナイロン6/66、ナイロン11、ナイロン6、ナイロン66T、ナイロン612、ナイロン12、ナイロン6/12、ナイロン6/69、ナイロン46、ナイロン6-3-T、ナイロンMXD-6、ナイロンMXDI、ナイロン12T、及びナイロン6I/6Tが含まれる。ポリアミドの実施例には、ナイロン4,6(ポリ(テトラメチレンアジパミド))、ナイロン6(ポリカプロラクタム)、ナイロン6,6(ポリ(ヘキサメチレンアジパミド))、ナイロン6,9(ポリ(ヘキサメチレンノナンジアミド))、ナイロン6,10(ポリ(ヘキサメチレンセバカミド))、ナイロン6,12(ポリ(ヘキサメチレンドデカンジアミド))、ナイロン6/12(ポリ(カプロラクタムコドデカンジアミド))、ナイロン6,6/6(ポリ(ヘキサメチレンアジパミドコカプロラクタム))、ナイロン66/610(例えば、ナイロン66塩及びナイロン610塩の混合物の縮合によって製造される)、ナイロン6/69樹脂(例えば、イプシロンカプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン及びアゼライン酸の縮合によって製造される)、ナイロン11(ポリウンデカノラクタム)、ナイロン12(ポリラウリルラクタム)などのナイロンホモポリマー及びコポリマー、並びにこれらのコポリマー又は混合物が含まれる。ポリアミドは、その独特の物理的及び化学的性質のために、食品包装及び他の用途のためのフィルムに使用される。ポリアミドは、温度耐性、耐摩耗性、穿孔強度、及び/又はフィルムのバリアを改善する材料として選択される。ポリアミド含有フィルムの性質は、コポリマーの選択、及び変換方法(例えば、共押出、配向、積層、及びコーティング)を含む、幅広い変数を選択することによって修正することができる。
【0059】
本明細書で使用される場合、ポリウレタンは、概して、ウレタンリンク(-NH-(C=O)-O-)によって結合された有機単位を有するポリマーを指す。
【0060】
本明細書で使用される場合、「ポリ乳酸」は、乳酸から作製され、〔-C(CH3)HC(=O)O-〕nの骨格を有するポリマーである。
【0061】
本出願全体を通して使用される場合、「ビニルアルコールコポリマー」という用語は、ビニルアルコール(CH2CHOH)のフィルム形成コポリマーを指す。実施例には、エチレンビニルアルコールコポリマー(EVOH)、ブテンジオールビニルアルコールコポリマー(BVOH)、及びポリビニルアルコール(PVOH)が含まれるが、これらに限定されない。
【0062】
本出願全体を通して使用される場合、「エチレンビニルアルコールコポリマー」、「EVOHコポリマー」、又は「EVOH」という用語は、エチレン及びビニルアルコールの繰り返し単位からなるコポリマーを指す。エチレンビニルアルコールコポリマーは、以下の一般式によって表され得る。[(CH2-CH2)n-(CH2-CH(OH))]n。エチレンビニルアルコールコポリマーは、鹸化又は加水分解エチレンビニルアセテートコポリマーを含み得る。EVOHは、エチレンコモノマーを有するビニルアルコールコポリマーを指し、例えば酢酸ビニルコポリマーの加水分解又はビニルアルコールとの化学反応によって調製される。エチレンビニルアルコールコポリマーは、28モルパーセント(又は未満)~48モルパーセント(又は超)のエチレンを含み得る。
【0063】
本明細書で使用される場合、「層」という用語は、単一の材料タイプの構造又は材料の均質なブレンドであるフィルムのビルディングブロックを指す。層は、単一のポリマー、単一のポリマータイプ内の材料のブレンド、又は様々なポリマーのブレンドであり得、金属材料を含有し得、添加剤を有し得る。層は、フィルムと連続的であってもよく、又は不連続的若しくはパターン化され得る。層は、長さ及び幅(x-y方向)と比較してわずかな厚さ(z方向)を有し、したがって、2つの主表面を有するように画定され、その面積は層の長さ及び幅によって画定される。外部層は、主表面のうちの1つのみにおいて別の層に接続される層である。言い換えれば、外部層の1つの主表面が、露出している。内部層は、両方の主表面において別の層に接続される層である。言い換えれば、内部層は、2つの他の層の間にある。層は、サブ層を有し得る。
【0064】
同様に、本明細書で使用される場合、「フィルム」という用語は、層及び/又はフィルムで構築されたウェブを指し、その全てが互いに直接隣接し、かつ接続される。フィルムは、フィルムの長さ及び幅と比較して、わずかな厚さを有すると説明することができる。フィルムは2つの主表面を有し、その面積はフィルムの長さ及び幅によって画定される。
【0065】
本明細書で使用される場合、「外部」という用語は、それが備えられるフィルムの主表面のうちの1つ上に位置するフィルム又は層を説明するために使用される。本明細書で使用される場合、「内部」という用語は、それが構成されるフィルムの表面上に位置しないフィルム又は層を説明するために使用される。内部フィルム又は層は、両側の別のフィルム又は層に隣接している。
【0066】
本明細書で使用される場合、「波構造」とは、無機コーティング層及び隣接するポリマーバッファ層の表面の断面幾何学形状を指す。任意の波と同様に、波構造は、x-y方向に測定可能な波長、及びz方向に測定可能な振幅を有する。
【0067】
波構造の波長は、光学顕微鏡法、レーザ走査顕微鏡法、電子顕微鏡法、又は原子間力顕微鏡法を含むがこれらに限定されない、上面顕微鏡技法を使用して判定することができる。顕微鏡の解像度は、波の山及び波の谷などの波の特徴を識別するのに十分である必要がある。代表的な上面顕微鏡の実施例を
図11に示す。この図に示すように、波は様々なパターンを取り、波が規則正しく配列された分域又はセクションに編成される。波分域は、角又は縁で交わり、不規則な折り目又は交差を形成する。波の測定は、波分域で実行することができ、その実施例は、重ねられた楕円によって示される。波測定値の変動は、交差部で発生する可能性があり、その実施例は、衝突波が規則的なパターンに干渉するため、重ねられた円によって示される。波の交差を含む領域は、波測定には使用されない。
【0068】
波長は、歪みのない波の領域(すなわち、波分域)におけるピークからピークまでの距離、又は谷から谷までの距離である。平均波長は、少なくとも5回の個別の波長測定の平均を取ることによって計算される。
【0069】
波長を判定するための他の技法が可能である。例えば、波長は、波構造の断面図を使用して測定され得る。別の選択肢は、波長を格子として使用して、光学セットアップで測定することである。フィルムを通して光る、結果として生じる光のスペクトルを使用して、波長を判定し得る。
【0070】
波構造の振幅(すなわち、谷から波のピークまでの距離)は、z方向情報感応顕微鏡を使用してフィルム上で評価することができる。例えば、顕微鏡は、レーザ走査顕微鏡又は原子間力顕微鏡であり得る。いくつかの実施形態では、z方向の解像度は、数十ナノメートルの範囲と少なくとも同じくらい小さい場合がある。
【0071】
フィルムのいくつかの実施形態では、適切な解像度及びコントラストを有する顕微鏡で切断断面(すなわち、ミクロトームで切断、エポキシ樹脂に埋め込んで研磨、又は他のルート)上で振幅を判定することができる。多くの層を包含するラミネートの収縮は、ポリオレフィン基材、ポリマーバッファ層、及び無機コーティング層のみを包含するフィルムの収縮よりも概ね小さいため、振幅は上記フィルム内でより低くあり得る。
【0072】
本明細書で使用される場合、「平均振幅」は、歪みのない領域(すなわち、波分域)におけるフィルムサンプルにわたる1つ以上の位置を使用して、少なくとも5つの個々の波の振幅を測定し、これらの5つの測定値の平均を計算することによって判定される。
【0073】
本明細書で使用される場合、「バリア」又は「バリアフィルム」又は「バリア層」又は「バリア材料」は、酸素などのガスに対する透過の低減を提供することを指す(すなわち、酸素バリア材料を含有する)。バリア材料は、水分に対する透過の低減を提供し得る(すなわち、防湿バリア材料を含む)。バリア特性は、1つ以上のバリア材料、又は複数のバリア材料のブレンドによって提供され得る。バリア層は、数か月又は更に1年を超える延長された貯蔵寿命を通して、製品をパッケージ内に保存するために必要な特定のバリアを提供し得る。
【0074】
バリアは、包装された製品の貯蔵寿命中(すなわち、パッケージが密封シールされている間)に、バリア包装フィルムを通した酸素の流入を低減し得る。バリア包装フィルムの酸素透過率(OTR)は、提供されるバリアの指標であり、1気圧、23℃及び50%RHの条件を使用して、ASTM F1927に従って測定することができる。
【0075】
本明細書で使用される場合、「バリア包装フィルム」又は「密封シールされたパッケージ」又は「レトルト安定性パッケージ」は、熱処理温度への曝露後、熱処理温度にて、又は熱処理温度を上回る曝露後に、劣化がほとんどない高酸素又は防湿バリアレベルを維持するフィルム、又はフィルムから作製されたパッケージである。パッケージは、製品で充填され、シールされ、密封シールされたままであり得、それゆえに優れたバリア性質が維持される。
【0076】
本明細書で使用される場合、「ヤング率」又は「弾性係数」又は「係数」は、引張力又は圧縮力下にあるとき、単位面積当たりの力の単位で寸法を変更する材料能力の尺度である。ヤング率が高い材料は、比較的硬い場合があり、ヤング率が低い材料は、比較的軟質で柔軟な(すなわち弾性)場合がある。ヤング率は、ナノ圧入試験手順から導出された力変位データセットから計算することができる。
【0077】
本明細書で使用される場合、「自由収縮」は、高温への曝露によってフィルム又は層が受ける非拘束の直線収縮である。収縮は、不可逆的かつ比較的急速である(すなわち、数秒又は数分以内に明らかである)。自由収縮は、元の寸法の割合として表される(すなわち、100×(収縮前寸法-収縮後寸法)/(収縮前寸法))。自由収縮は、ASTM D2732を使用して測定することができる。あるいは、ASTM D2732に記載されている試験方法を使用して、熱流体浴の代わりに熱風を加熱源として使用するように修正することによって、自由収縮を測定することができる。熱風法を使用する場合、未拘束のサンプルを、指定された温度に設定されたオーブンに少なくとも1分間置いて、オーブン内部及びサンプルが熱平衡に達するのに十分な時間を与える。
【0078】
本明細書で使用される場合、「ASTM E2546-15付録X.4」は、30nmの定義された先端半径を有するシリコンカンチレバー上に取り付けられたシリコン先端を含む装置を使用した、文書化された規格による計装化圧痕試験手順を指す。
【0079】
本明細書に記載のバリア包装フィルムは、レトルト又は低温殺菌包装フィルムとして有用であり得る。本明細書で使用される場合、「レトルト包装フィルム」又は「レトルト包装」は、典型的なレトルト滅菌プロセスに曝露された後、製品を充填され、シールされ、密封シールされたままであるフィルム、又はフィルムから作製されたパッケージである。典型的なレトルト滅菌は、約100℃~約150℃の範囲の温度、最大約70psi(483kPa)までの過圧を使用するバッチプロセスであり、数分から数時間の期間を有し得る。可撓性フィルムに包装された製品に使用される一般的なレトルトプロセスには、蒸気又は水の浸漬が含まれる。レトルト包装フィルムで包装され、レトルト殺菌された食品又は他の製品は、周囲条件で長期間(すなわち、貯蔵安定性である)保存され、滅菌性を保持することができる。レトルトプロセスは、フィルム、又はフィルムから作製されたパッケージを分解するため、非常に特殊な可撓性包装フィルムは、レトルトプロセスに耐えるように設計されている。
【0080】
驚くべきことに、フィルム構造の加熱時に無機コーティング層に波構造の形成を組み込むように、フィルム構造を開発できることが見出された。加熱しても、フィルム構造は、これらのフィルムを包装用途及び他の同様の使用に使用するために必要な性能性質を維持していた。例えば、波形成に必要な層は、隣接する層との必要な結合を含み、適切な柔軟性及び明瞭性を有し、熱曝露を越える他の環境条件(すなわち、屈曲、穿刺、湿度など)を通して耐久性を提供することができた。
【0081】
本明細書で使用される場合、「接着層」という用語は、2つの隣接する層を一緒に接合する主要な機能を有する層を指す。接着層は、多層フィルムの2つの層の間に位置決めされて、2つの層を互いに対して所定の位置に維持し、望ましくない剥離を防止し得る。別様に示されない限り、接着層は、接着層材料と接触する1つ以上の表面との所望のレベルの接着を提供する任意の好適な組成物を有することができる。
【0082】
本明細書で使用される場合、「シール層」という用語は、フィルム、シートなどのシールに関与するフィルム、シートなどの層を、それ自体及び/又は同じ又は別のフィルム、シートなどの別の層を指す。本明細書では、「ヒートシール」、「ヒートシールされた」、「ヒートシールしている」、「ヒートシール可能」などの用語は、それ自体又は他の熱可塑性フィルム層にヒートシール可能なフィルム層、及び従来の間接加熱手段による2つのポリマー表面間の融着結合の形成の両方を指す。従来の間接加熱は、フィルムの完全性を失うことなく、その間の接合界面の形成が達成されるように、連続的なフィルム接触表面への伝導のために、少なくとも1つのフィルム接触表面上に十分な熱を生成することが理解されよう。
【0083】
本明細書で使用される場合、「印刷されたしるし層」という用語は、フィルム上に印刷された層又は一連のサブ層を指す。層又はサブ層は、顔料含有材料(すなわち、色付きインク)、保護層(すなわち、オーバーラッカ)、及びインク受容プライマを含み得る。オーバーラッカは、印刷された顔料層を保護し得、フィルムの表面の外観を改善し得る。印刷されたしるし層の各々は、フィルムの他の層と独立して連続的であり得、又は独立して不連続(すなわち、パターン化)であり得る。具体的には、印刷されたしるし層は、白色顔料印刷の1つ以上の連続サブ層と、他の色を含む1つ以上のパターン化されたサブ層とを含み得、それゆえ、包装フィルムのための可視グラフィックが生成される。印刷されたしるし層の印刷は、フレキソグラビア印刷、グラビア印刷、グラビアコーティング、及びデジタル印刷法を含むが、これらに限定されない任意の既知の印刷法によって行われ得る。印刷されたしるし層内のサブ層は、同じプロセスによって、又は異なるタイプのプロセスを使用して適用され得る。
【0084】
上述のように、印刷されたしるし層は、白色顔料印刷を包含する1つ以上のサブ層を含み得る。典型的には、印刷インクの白色顔料は、二酸化チタン(TiO
2)粒子を含む。TiO
2粒子は、無機酸化物コーティングの近くに位置する場合、波構造の形成に乱れが生じる可能性がある。バリア包装フィルムの実施形態は、無機酸化物コーティング層とTiO
2粒子を含有する印刷されたしるし層との間に1つ以上の層を含み得る。TiO
2粒子を含有するサブ層と無機酸化物コーティング層との間に、他の印刷されたしるし層サブ層(例えば、非白色サブ層、プライマサブ層)があり得る。
図1B及び
図5Bに例解した実施形態など、TiO
2を含有する層と無機酸化物コーティング層との間に接着層があり得る。実施形態のいずれかでは、TiO
2粒子含有層と無機酸化物コーティングとの間の1つ以上の層は、波形成の平均振幅以上の組み合わせた厚さを有するべきである。
【0085】
次に、バリア包装フィルムの構造の実施形態の特定の詳細に移る。
図1Aは、バリア包装フィルム10の断面図を示す。バリア包装フィルム10は、ポリオレフィン基材12と、無機コーティング層13と、ポリオレフィン基材12と無機コーティング層13との間に位置決めされたポリマーバッファ層14とを含む。ポリマーバッファ層14は、無機コーティング層13と直接接触する。ポリマーバッファ層14は、
図1Aに示す通り、ポリオレフィン基材12と直接接触し得、又はポリマーバッファ層14とポリオレフィン基材12との間に1つ以上の追加的な層があり得る。いくつかの実施形態では、バリア包装フィルム10はまた、ポリオレフィンシール層11、印刷されたしるし層16及び接着層15を含む。ポリオレフィン基材12は、バリア包装フィルム10の外部層を形成し、ポリオレフィンシール層11は、バリア包装フィルム10の反対側の外部層を形成する。
【0086】
無機コーティング層に直接隣接する印刷されたしるし層を含むバリア包装フィルムの実施形態は、印刷されたしるし層内にサブ層を含み得る。プライマのサブ層は、無機コーティング層に直接隣接し得、その後に1つ以上の顔料含有サブ層が続く。サブ層を含有するプライマは、連続層であり得る。サブ層を含有するプライマは、以下で考察するように、第2のバッファ層として作用し得る。
【0087】
更なる代替的な実施形態では、
図1Bは、類似のバリア包装フィルム10の断面図を示す。ここで、印刷されたしるし層16及び接着層15の場所が、交換されている。
図1Bに例解した実施形態は、ポリオレフィン基材12/ポリマーバッファ層14/無機コーティング層13の組み合わせを印刷できるか、又は積層ステップの前にポリオレフィンシール層11を印刷できることを示す。更に別の実施形態(図示せず)では、積層の前に両方のセクションを印刷することができる。
【0088】
図2は、バリア包装フィルム20の特定の実施形態の断面図を例解する。
図2では、バリア包装フィルム20は、ポリオレフィン基材22と、無機コーティング層23と、ポリオレフィン基材22と無機コーティング層23との間に位置決めされたポリマーバッファ層24とを含む。ポリマーバッファ層24は、無機コーティング層23と直接接触する。ポリマーバッファ層24は、
図2に示す通り、ポリオレフィン基材22と直接接触し得、又はポリマーバッファ層24とポリオレフィン基材22との間に1つ以上の追加的な層があり得る。いくつかの実施形態では、バリア包装フィルム20はまた、ポリオレフィンシール層21、印刷されたしるし層26及び接着層25を含む。印刷されたしるし層26は、バリア包装フィルム20の外部層を形成し、ポリオレフィンシール層21は、バリア包装フィルム20の反対側の外部層を形成する。この場所では、印刷されたしるし層26は、顔料層を擦り傷及び熱源への曝露から保護する目的で、耐熱性オーバーラッカサブ層を含み得る。この実施形態で得られる利点は、無地の(印刷されていない)フィルム積層を大規模に生産することができ、その後、フィルムの小部分に各包装用途に対する特定のグラフィックを印刷できることである。これは、包装フィルム生産プロセス中の大量のスクラップ材料を回避することができる。
【0089】
図3は、バリア包装フィルム30の別の実施形態の断面図を例解する。この実施形態では、バリア包装フィルム30は、ポリオレフィン基材32と、無機コーティング層33と、ポリオレフィン基材32と無機コーティング層33との間に位置決めされたポリマーバッファ層34とを含む。ポリマーバッファ層34は、無機コーティング層33と直接接触する。ポリマーバッファ層34は、
図3に示す通り、ポリオレフィン基材32と直接接触し得、又はポリマーバッファ層34とポリオレフィン基材32との間に1つ以上の追加的な層があり得る。いくつかの実施形態では、バリア包装フィルム30はまた、ポリオレフィンシール層31、配向された外部層37、印刷されたしるし層36及び接着層35を含む。いくつかの実施形態では、ポリオレフィンシール層31は、ポリオレフィン基材32の一部である(すなわち、そのサブ層である)。配向された外部層37は、ポリオレフィンから形成され、バリア包装フィルム30の外部層を形成する。ポリオレフィンシール層31は、バリア包装フィルム30の反対側の外部層を形成する。
【0090】
図3によって表されるバリア包装フィルム30の実施例は、BOPP(37)/印刷されたしるし(36)/接着剤(35)/SiO
x(33)/PUバッファ(34)/多層MDOPP(32)を含み、MDOPP(32)フィルムは、ヒートシールに適したポリプロピレン材料を含む外部層(31)を包含する。
【0091】
図4は、バリア包装フィルム40の別の実施形態の断面図を例解する。
図4では、バリア包装フィルム40は、ポリオレフィン基材42と、無機コーティング層43と、ポリオレフィン基材42と無機コーティング層43との間に位置決めされたポリマーバッファ層44とを含む。ポリマーバッファ層44は、無機コーティング層43と直接接触する。いくつかの実施形態では、ポリマーバッファ層44は、
図4に示すように、ポリオレフィン基材42と直接接触し得、又はポリマーバッファ層44とポリオレフィン基材42との間に1つ以上の追加的な層があり得る。いくつかの実施形態では、バリア包装フィルム40はまた、ポリオレフィンシール層41、印刷されたしるし層46、接着層45及び第2のポリマーバッファ層48を含む。ポリオレフィン基材42は、バリア包装フィルム40の外部層を形成し、ポリオレフィンシール層41は、バリア包装フィルム40の反対側の外部層を形成する。いくつかの実施形態では、第2のポリマーバッファ層48は、第1のポリマーバッファ層44の反対側の無機コーティング層43と直接接触する。いくつかの実施形態では、第2のポリマーバッファ層48は、含有量、厚さ、及び物理的性質に関して、第1のポリマーバッファ層44と同じ性質を有する。いくつかの実施形態では、第2のポリマーバッファ層48は、第1のポリマーバッファ層44と比較して異なる性質を有する。余分なバッファ層は、ポリオレフィン基材及びポリオレフィンシール層の両方が、高温で収縮性質を呈する構造において重要である。
【0092】
いくつかの実施形態では、ポリオレフィン基材は、95℃で縦方向又は横方向のうちの少なくとも一方においてゼロよりも大きい自由収縮値を有する。95℃でのポリオレフィン基材の自由収縮、又はバリア包装フィルムが露出される別の高い加工温度は、ポリオレフィン基材の表面積の減少を引き起こす。収縮ポリオレフィン基材に隣接した、又はその近くにある任意の層は、表面積の減少に起因してx-y方向に収縮力を経験すると考えられる。
【0093】
95℃でのポリオレフィン基材の自由収縮は、0.5%~10%の範囲内、0.5%~8%の範囲内、1%~10%の範囲内、又は1%~6%の範囲内であり得る。ポリオレフィン基材の自由収縮は、ポリオレフィン基材のみ(存在し得る任意のサブ層を含む)上で測定され得る。あるいは、ポリオレフィン基材の自由収縮は、ポリオレフィン基材及びポリマーバッファ層の組み合わせ、及び任意の介在層上で一緒に測定され得る。ポリオレフィン基材の自由収縮は、ポリオレフィン基材が、ポリマーバッファ層及び任意の他の介在層を含む無機コーティング層に接続されているときに測定され得る。
【0094】
ポリオレフィン基材は、ポリエチレン、ポリプロピレン、又はこれらのポリマーのブレンドを含むが、これに限定されない任意のポリマーを含む。ポリオレフィン基材は、任意の数のサブ層を含み得る。ポリオレフィン基材のサブ層は、同じポリマークラス内のポリマーを含み得(すなわち、全ての層は様々なタイプのポリプロピレンポリマーである)、又はサブ層は、異なるポリマークラスであり得る。ポリオレフィン基材は、配向されるか、又は配向されない場合がある。ポリオレフィン基材は、比較的透明、半透明、又は不透明であり得る。ポリオレフィン基材は、その主表面のうちのいずれかの上に堆積された印刷されたしるしを有し得る。
【0095】
ポリオレフィン基材は、フィルムであり得、フィルムは任意の既知のプロセス、例えば吹き付けフィルム又はキャストフィルムによって作製され得る。ポリオレフィン基材は、一軸配向ポリプロピレンフィルム(MDOPP)、二軸配向ポリプロピレンフィルム(BOPP)、一軸配向ポリエチレンフィルム(MDOPE)、又は二軸配向ポリエチレンフィルム(BOPE)であり得る。ポリオレフィン基材は、特定のポリマーを使用して作製され得、フィルムの耐熱を最適化する特定の条件を使用して配向され得る。
【0096】
ポリオレフィン基材は、6μm~100μmの範囲の厚さ(収縮前)を有し得る。いくつかの実施形態では、ポリオレフィン基材は、10μm~50μmの範囲、又は10μm~30μmの範囲の厚さを有し得る。
【0097】
バリア包装フィルムの無機コーティング層は、化学蒸着又は物理蒸着などの真空堆積プロセスによって適用された金属又は無機酸化物であり得る。あるいは、無機コーティング層は、湿潤化学技法を使用して適用され得る。無機コーティング層は、ポリマーバッファ層の表面上に堆積される。無機コーティング層は、ポリマーバッファ層に直接隣接し、ポリマーバッファ層と直接接触する。
【0098】
無機コーティング層は、バリア包装フィルムに対する酸素バリア(OTR低減)に著しい寄与を提供する。無機コーティング層は、AlOx(すなわち、酸化アルミニウム)又はSiOx(すなわち、酸化シリコン)などの透明酸化物コーティングであり得る。酸化物コーティングは、真空堆積プロセスによって作製され得る。
【0099】
無機コーティング層は、アルミニウム又はアルミニウムと別の金属とのブレンドなどの金属層を含み得る。金属層は、真空堆積プロセスによって作製され得る。
【0100】
再び
図1A、
図1B、
図2、
図3、及び
図4を参照すると、無機コーティング層13、23、33、43は、z方向に測定される厚さ13A、23A、33A、43Aを有する。無機コーティング層13、23、33、43は、0.005μm~0.1μmの範囲、0.005μm~0.06μmの範囲、0.01μm~0.1μmの範囲、又は0.01μm~0.06μmの範囲の厚さ13A、23A、33A、43Aを有する。これらの範囲よりも大きい厚さを有する無機コーティング層は、亀裂又は別様に故障することなく、表面積の変化を収容するために波構造内に屈曲することができない層をもたらし得る。
【0101】
いくつかの実施形態では、バリア包装フィルムのポリマーバッファ層は、ポリオレフィン基材と無機コーティング層との間に位置する。いくつかの実施形態では、ポリマーバッファ層は、無機コーティング層と直接接触する。ポリマーバッファ層は、ポリオレフィン基材と直接接触し得る。ポリマーバッファ層は、ポリオレフィン基材も包含するフィルム内のサブ層であり得る。バリア包装フィルムのいくつかの実施形態では、ポリマーバッファ層とポリオレフィン基材との間に介在層が存在し得る。
【0102】
制限することなく、ポリマーバッファ層の実施形態は、ビニルアルコールコポリマー、ポリウレタン系ポリマー、ポリプロピレン系ポリマー、ポリ乳酸系ポリマー、これらのポリマーのブレンド、又はこれらの材料の他の材料とのブレンドなどのポリマーを含み得る。再び、制限することなく、ポリマーバッファ層は、コーティング、押出、共押出、又は積層によって作製され得る。バッファ層は、バリア包装フィルムの全体的なバリア性質に寄与し得る、固有のバリア性質(酸素又は防湿バリア)を有し得る。
【0103】
再び
図1A、
図1B、
図2、
図3、及び
図4を参照すると、ポリマーバッファ層14、24、34、44は、z方向に測定される厚さ14A、24A、34A、44Aを有する。ポリマーバッファ層14、24、34、44は、0.5μm~12μmの範囲内、1μm~5μmの範囲内、又は1μm~2.5μmの範囲内の厚さ14A、24A、34A、44Aを有する。
【0104】
バリア包装フィルムのポリマーバッファ層の厚さとバリア包装フィルムの無機コーティング層の厚さとの比は、20~500の範囲内、又は30~120の範囲内である。この範囲内の厚さの比は、ポリオレフィン基材の収縮時に無機コーティング層内に波構造の形成を許容する要因の組み合わせのうちの1つである。
【0105】
ポリマーバッファ層は、95℃などの高温で0.1MPa~100MPaの範囲内のヤング率を有する。ポリマーバッファ層のこの性質は、フィルム構造の詳細の中でも特にポリマーバッファ層の場所及び厚さと併せて、有利には、ポリオレフィン基材が収縮するにつれて無機コーティング層内に波構造を形成することを許容し、バリア性質の亀裂及び損失を防止する。
【0106】
ポリオレフィンシール層は、ポリオレフィン材料を含み得る。シール層は、ヒートシール開始温度を低下させて、反対側の外部層の耐熱を補完するように設計されたポリマーの配合を含み得る。シール層がかなり低い温度の軟化点を有し得ることがあっても、シール層は、パッケージが流通中及び使用中に耐え得る他の乱用に加えて、レトルト滅菌プロセスの高温に耐えるのに十分な完全性を有し得る。
【0107】
いくつかの実施形態では、バリア包装フィルムのシール層は、ヒートシールの形成を許容する組成を有し、それゆえ、密封パッケージが形成される。本明細書で使用される場合、「ヒートシール」又は「ヒートシールされた」という用語は、短期間の熱及び圧力の両方の印加によって、又は超音波エネルギーシールプロセスによって一緒に接合された2つ以上の表面を指す。ヒートシール及び超音波シールは、パッケージを作り出すための周知で一般的に使用されるプロセスであり、当業者によく知られている。
【0108】
シール層は、シールの機能を促進するために、バリア包装フィルムの表面上に必然的である。パッケージ内のバリア包装フィルムの使用中、シール層はそれ自体又は別の包装構成要素にヒートシールされ得る。ヒートシール中、シール層は軟化し、バリア包装フィルムの反対側の外部層の温度抵抗よりも低いシール温度で、ヒートシール結合の形成を許容する。シール層は、反対側の外部層の耐熱度よりも低いシール温度で軟化する。シール層は軟化し、バリア包装フィルムの外部表面上に過度の収縮又は損傷を引き起こさないシール条件(時間、温度及び圧力)でヒートシールを形成すると考えられる。
【0109】
バリア包装フィルムは、バリア包装フィルムがリサイクルプロセスに許容され得るように、多量のポリオレフィン、特にポリプロピレン又はポリエチレンを含有することが標的である。ポリオレフィンは、包装フィルム(すなわち、ポリエステル、アルミ箔、ポリアミド)に従来使用されている材料と比較して、比較的低い耐熱性を有する。より低い耐熱の結果として、パッケージは、収縮又は溶け落ちを避けるため、より低温のヒートシールプロセスを使用して形成される。本明細書に開示されるバリア包装フィルムが果たす課題は、レトルト又は低温殺菌処理及び通常の分布及び取り扱い(すなわち、落下強度及び破裂強度)の両方に耐えるために、低いヒートシール開始温度(HSIT)及び高いシール強度及びシール靭性を有するシール層を組み込むことである。いくつかの実施形態では、シール層はまた、食品安全性について政府機関によって指示されるように、レトルト条件中の食品接触について承認された材料を含有する。
【0110】
シール層は、低ヒートシール開始温度(HSIT)を有する材料を含有し得る。レトルト包装フィルムのいくつかの実施形態では、シール層は、135°C以下の溶融温度を有するポリプロピレンコポリマーを含有する。
【0111】
バリア包装フィルムは、約63.5μm~約254μm、又は約76.2μm~約152.4μmの全体的厚さを有し得る。
【0112】
バリア包装フィルム及びそこから製作された任意のパッケージの構造は、いくつかの異なる要素(シール層、ポリオレフィン基材、無機コーティング層、バッファ層など)を包含するが、フィルム又はパッケージの合計組成物は、リサイクルを促進するために高レベルの単一材料タイプ(ポリオレフィン又は特にポリプロピレン又はポリエチレン)を有するべきである。本明細書で使用される場合、「全組成」という用語は、フィルム構造又はパッケージ全体を説明するために使用される。任意の方法で互いに接続される任意の材料、層、又は構成要素は、その物品の全組成の一部である。バリア包装フィルムは、高レベルのポリオレフィン系ポリマーを有し得る。包装フィルムは、高レベルのポリプロピレン系ポリマーを有し得る。包装フィルムは、高レベルのポリエチレン系ポリマーを有し得る。本明細書に記載の包装フィルム、及びそこから作成された任意のパッケージは、物品が大量のポリプロピレン系ポリマーを含有するときに、ポリプロピレンリサイクルプロセスにおいてリサイクル可能であり得る。本明細書に記載の包装フィルム、及びそこから作成された任意のパッケージは、物品が大量のポリエチレン系ポリマーを含有するときに、ポリエチレンリサイクルプロセスにおいてリサイクル可能であり得る。混合ポリオレフィンリサイクルプロセスはまた、本明細書に記載の包装フィルム中に存在する比較的高レベルのポリオレフィン、及びそこから作成された任意のパッケージを受け入れることができる。
【0113】
本明細書に記述したバリア包装フィルムは、少なくとも80重量%、少なくとも85重量%又は少なくとも90重量%のポリオレフィン系ポリマーを含有する全組成を有し得、それが使用されるフィルム及び/又はパッケージのリサイクル性が促進される。ポリオレフィン系ポリマーではない材料は、最小化される。例えば、バリア包装フィルムの無機コーティング層は、ポリオレフィン系材料ではない材料であり、それゆえにバリアとして適切に機能するために可能な限り薄い層で提供される。フィルムはまた、接着層及び印刷されたしるし層内に位置するものなど、他の非ポリオレフィン材料も有し得る。
【0114】
バリア包装フィルムの特定の実施形態では、フィルムは、少なくとも80重量%、少なくとも85重量%、又は少なくとも90重量%のポリプロピレン系ポリマーを含有する全組成を有する。バリア包装フィルムの特定の実施形態では、フィルムは、少なくとも80重量%、少なくとも85重量%、又は少なくとも90重量%のポリエチレン系ポリマーを含有する全組成を有する。
【0115】
本明細書に記載するようにフィルム構造設計要素の組み合わせを使用して、より耐熱性の高いバリア包装フィルムを達成することができる。フィルムは、ポリオレフィン含有量が高いため、ポリオレフィン系リサイクルプロセスでリサイクルされるのに好適であり得る。フィルムは、ポリエステル、ポリアミド、塩素含有ポリマー、及びアルミニウム箔などの材料を低レベル(すなわち、≦5重量%)で含有し得るか、又は本質的に含有しない場合がある。フィルムは、接着層又はインク層で使用されるものなどの非ポリオレフィン系ポリマーを含有し得るが、非ポリオレフィン系ポリマーの量は最小化され、概して組成全体の10重量%未満又は組成全体の5重量%未満を含む。フィルムは、バリア材料などの非ポリマー材料を含有し得るが、非ポリマー材料の量は最小化され、概して、組成全体の10重量%未満、又は組成全体の5重量%未満を含む。
【0116】
本明細書で前述したように、環境温度の上昇は、ポリオレフィン基材を1つ以上の方向にわずかに収縮させ得る。温度が上昇するにつれて、ポリマー材料が軟化し、作製時に層に埋め込まれていた場合がある張力が解放される。張力の解放は、ポリマー鎖の移動及び再構成、並びに層の寸法の最終的な変化(増加又は減少)をもたらし得る。ポリオレフィン基材の温度上昇の一般的な結果は、層のx-y平面に平行な少なくとも1つの方向での基材のわずかな減少(すなわち収縮)である。
【0117】
ポリオレフィン基材が収縮すると、バリア包装フィルム内の他の層に圧縮力がかかり、隣接する層に最も大きな力がかかる。他の層も高温で収縮する傾向がある場合があり、各層の自由収縮はわずかに異なる可能性が高い。自由収縮の差が最も大きくなるのは、バリア包装フィルムの無機コーティング層と任意のポリマー層を比較した場合である可能性が高い。ほとんどの無機コーティングは、ポリオレフィン基材が収縮する温度(例えば95℃又は他の温度)では収縮しない。加えて、無機コーティングはまた、これらの高温で非常に高い係数(高い剛性)を有する。
【0118】
本明細書に記載されたバリア包装用フィルムの1つ以上の実施形態の画定された構造を使用すると、高温になると、ポリオレフィン基材、及び場合によっては構造の他の層が収縮し始める。いくつかの実施形態では、高温で低係数を有する密接して位置するポリマーバッファ層は、x-y方向の圧縮力を経験し、応力に容易に適合する。ポリオレフィン基材の表面積(x-y方向)が減少し、材料ポリマーバッファ層が圧縮されるにつれて、ポリマーバッファ層の表面はわずかに高密度になる場合があり、又はポリマーバッファ層はわずかに厚くなる(z方向)場合がある。しかしながら、無機コーティング層は、可撓性ではない(すなわち、高係数及び高剛性を有する)。収縮するポリオレフィン基材からのx-y方向の圧縮力、及び下層の(すなわち、直接隣接する)ポリマーバッファ層の低係数の結果として、無機コーティング層は、波のパターンに曲がる傾向を有し得、波の振幅は、z方向に形成される。波構造の形成は、無機コーティング層の表面積を保持し、適切なポリマーバッファ層が存在しない場合、収縮力下で通常形成され得る典型的な亀裂が防止される。
【0119】
図5Aに示す断面図は、無機コーティング層がここで波形成を行ったことを除いて、
図1Aに示すものと同一であるバリア包装フィルム50を例解する。言い換えれば、
図1Aのバリア包装フィルム10は、高温に晒されており、ポリオレフィン基材の収縮が誘発される。バリア包装フィルム50は、ポリオレフィン基材52と、無機コーティング層53と、ポリオレフィン基材52と無機コーティング層53との間に位置決めされたポリマーバッファ層54とを含む。いくつかの実施形態では、ポリマーバッファ層54は、無機コーティング層53と直接接触する。ポリマーバッファ層54は、
図5Aに示す通り、ポリオレフィン基材52と直接接触し得、又はポリマーバッファ層54とポリオレフィン基材52との間に1つ以上の追加的な層があり得る。いくつかの実施形態では、バリア包装フィルム50はまた、ポリオレフィンシール層51、印刷されたしるし層56、及び接着層55を含む。いくつかの実施形態では、ポリオレフィン基材52は、バリア包装フィルム50の外部層を形成し、ポリオレフィンシール層51は、バリア包装フィルム50の反対側の外部層を形成する。
【0120】
図5Bに示す断面図は、無機コーティング層が、ここで波形成を行ったことを除いて、
図1Bに示すものと同一であるバリア包装フィルム50を例解する。言い換えれば、
図1Bのバリア包装フィルム10は、高温に曝露されており、ポリオレフィン基材の収縮が誘発される。
図5Aと比較して、印刷されたしるし層56及び接着層55の場所が、交換されている。
【0121】
図6に示す断面図は、無機コーティング層が、ここで波形成を行ったことを除いて、
図2に示すものと同一であるバリア包装フィルム60を例解する。言い換えれば、
図2のバリア包装フィルム20は、高温に曝露されており、ポリオレフィン基材の収縮が誘発される。
図6では、バリア包装フィルム60は、ポリオレフィン基材62と、無機コーティング層63と、ポリオレフィン基材62と無機コーティング層63との間に位置決めされたポリマーバッファ層64とを含む。いくつかの実施形態では、ポリマーバッファ層64は、無機コーティング層63と直接接触する。ポリマーバッファ層64は、
図6に示す通り、ポリオレフィン基材62と直接接触し得、又はポリマーバッファ層64とポリオレフィン基材62との間に1つ以上の追加的な層があり得る。いくつかの実施形態では、バリア包装フィルム60はまた、ポリオレフィンシール層61、印刷されたしるし層66、及び接着層65を含む。いくつかの実施形態では、印刷されたしるし層66は、バリア包装フィルム60の外部層を形成し、ポリオレフィンシール層61は、バリア包装フィルム60の反対側の外部層を形成する。
【0122】
図7に示す断面図は、無機コーティング層が、ここで波形成を行ったことを除いて、
図3に示すものと同一であるバリア包装フィルム70を例解する。言い換えれば、
図3のバリア包装フィルム30は、高温に曝露されており、ポリオレフィン基材の収縮が誘発される。この実施形態では、バリア包装フィルム70は、ポリオレフィン基材72と、無機コーティング層73と、ポリオレフィン基材72と無機コーティング層73との間に位置決めされたポリマーバッファ層74とを含む。いくつかの実施形態では、ポリマーバッファ層34は、無機コーティング層73と直接接触する。ポリマーバッファ層74は、
図7に示すように、ポリオレフィン基材72と直接接触し得、又はポリマーバッファ層74とポリオレフィン基材72との間に1つ以上の追加的な層があり得る。いくつかの実施形態では、バリア包装フィルム70はまた、ポリオレフィンシール層71、配向された外部層77、印刷されたしるし層76、及び接着層75を含む。いくつかの実施形態では、ポリオレフィンシール層71は、ポリオレフィン基材72の一部である(すなわち、そのサブ層である)。いくつかの実施形態では、配向された外部層77は、ポリオレフィンから形成され、バリア包装フィルム70の外部層を形成する。いくつかの実施形態では、ポリオレフィンシール層71は、バリア包装フィルム70の反対側の外部層を形成する。
【0123】
図8に示す断面図は、無機コーティング層が、ここで波形成を行ったことを除いて、
図4に示すものと同一であるバリア包装フィルム80を例解する。言い換えれば、
図4のバリア包装フィルム40は、高温に曝露されており、ポリオレフィン基材の収縮が誘発される。
図8では、バリア包装フィルム80は、ポリオレフィン基材82と、無機コーティング層83と、ポリオレフィン基材82と無機コーティング層83との間に位置決めされたポリマーバッファ層84とを含む。いくつかの実施形態では、ポリマーバッファ層84は、無機コーティング層83と直接接触する。ポリマーバッファ層84は、
図8に示すように、ポリオレフィン基材82と直接接触し得、又はポリマーバッファ層84とポリオレフィン基材82の間に1つ以上の追加的な層があり得る。いくつかの実施形態では、バリア包装フィルム80はまた、ポリオレフィンシール層81、印刷されたしるし層86、接着層85、及び第2のポリマーバッファ層88を含む。いくつかの実施形態では、ポリオレフィン基材82は、バリア包装フィルム80の外部層を形成し、ポリオレフィンシール層81は、バリア包装フィルム80の反対側の外部層を形成する。いくつかの実施形態では、第2のポリマーバッファ層88は、第1のポリマーバッファ層84の反対側の無機コーティング層83と直接接触する。いくつかの実施形態では、第2のポリマーバッファ層88は、含有量、厚さ、及び物理的性質に関して、第1のポリマーバッファ層84と同じ性質を有する。
【0124】
図5A、
図5B、
図6、
図7及び
図8に示す波構造は、波長53C、63C、73C、83C及び振幅53B、63B、73B、83Bによって特徴付けられる。
【0125】
波構造が形成されたバリア包装フィルムのいくつかの実施形態では、波構造の平均振幅は、0.25μm~1.0μmの範囲又は0.4μm~1.0μmの範囲にあり得る。波構造の波長は、2μm~5μmの範囲にあり得る。波構造はまた、波長と平均振幅との比によって特徴付けられ得、比は、2~20の範囲、又は4~10の範囲にある。
【0126】
無機コーティング層に形成された波構造を含むバリア包装フィルムの実施形態では、ポリマーバッファ層の厚さは、波構造の平均振幅の1.1~20倍の範囲にあり得る。いくつかの実施形態では、ポリマーバッファ層の厚さは、波構造の平均振幅の1.5~5倍の範囲であり得る。
【0127】
バリア包装フィルムが無機コーティング層内に形成された波構造を含むとき、ポリマーバッファ層の厚さは、波の長さに沿って変化する。この場合、ポリマーバッファ層の厚さは、中心点(すなわち、波の頂部と波の谷部との間の波において測定される。
【0128】
いくつかの実施形態では、高温条件に曝露される前に、バリア包装フィルムは、2cm3/m2/日以下、1cm3/m2/日以下、0.5cm3/m2/日以下、又は0.1cm3/m2/日以下である平均酸素透過率(OTR)値を有し得る(1気圧、23℃及び50%RHの条件を使用してASTM F1927に従って測定される)。いくつかの実施形態では、代表的なレトルト滅菌プロセスに曝露された後、バリア包装フィルムは、2cm3/m2/日以下、1cm3/m2/日以下、0.5cm3/m2/日以下、又は0.1cm3/m2/日以下である平均OTR値を有する。平均OTR値は、試験デバイスの最小検出レベルに近いか、最小検出レベルであるか、又は最小検出レベルを下回り得る。代表的なレトルト滅菌プロセスは、包装フィルムのDIN A4サイズの部分を切断し、128℃、2.5バールの過圧で60分間蒸気滅菌プロセスに曝露し、その後水シャワー冷却することで完了する。
【0129】
波構造は、バリア包装フィルムが、95℃を超える温度に曝露されたときに形成され得る。波構造は、任意のタイプのプロセスで形成され得る。例えば、バリア包装フィルムの変換中又は変換後に、フィルムはローラ又はオーブンによって加熱され得る。ローラは、フィルムの温度を上昇させ、波の形成を引き起こす能力を有する温度に加熱されるべきである。次いで、このフィルムは、包装用途又は別の使用に使用することができる。あるいは、バリア包装フィルムは、材料がパッケージ内に形成され、製品を充填され、それを密封シールする間又は後に高温に曝露され得る。高温は、レトルトプロセス又は別のタイプの低温殺菌の一部であり得る。
【0130】
バリア包装フィルムは、他の包装構成要素の有無にかかわらず、パッケージに形成することができる。例えば、バリア包装フィルム210は、
図10に示すように、可撓性スタンドアップパウチ200に形成することができる。密封シールされたパッケージ100の別の実施形態では、バリア包装フィルム95は、
図9に示すように、熱成形されたトレー又はカップにシールされた蓋材料であり得る。
【0131】
本明細書に開示されるバリア包装フィルムは、フィルムがパッケージに形成され、充填され、密封シールされ、レトルト滅菌プロセスを経た後でさえも、優れたバリア性質及び外観を維持する。
【0132】
ここで、以下の実施例を参照して本開示は説明される。
【0133】
実施例及びデータ
以下の表1に要約するように、いくつかのフィルム構造を作製した。
【表1】
【0134】
実施例1のフィルム構造は、水性ポリウレタン(PU)分散体を18μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムの表面に適用して、分散体を乾燥させた後に1.7μmのコーティングを達成することによって用意した。酸化シリコンコーティング(SiOx)を、PUコーティングの表面に蒸着によって適用した。次いで、60μmのポリプロピレンシール層を、酸化シリコンコーティングに接着積層した。
【0135】
実施例2のフィルム構造は、水性ポリウレタン(PU)分散体を18μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムの表面に適用して、分散体を乾燥させた後に1.7μmのコーティングを達成することによって用意した。アルミニウムコーティングを、PUコーティングの表面に蒸着によって適用した。次いで、60μmのポリプロピレンシール層を、アルミニウムコーティングに接着積層した。
【0136】
実施例3及び比較例4のフィルム構造は、まず、19μmのヒートシール性二軸配向ポリプロピレン(HSを有するBOPP)のヒートシール性表面上に酸化シリコンコーティング層を堆積させることによって用意した。BOPPフィルムのヒートシール性層は、およそ0.7μmの厚さであり、バッファ層に適した材料である。次いで、60μmのポリプロピレンシール層を、酸化シリコンコーティングに接着積層した。
【0137】
実施例5のフィルム構造は、水性ポリウレタン(PU)分散体を18μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムの表面に適用して、分散体を乾燥させた後に1.7μmのコーティングを達成することによって用意した。酸化シリコンコーティング(SiOx)を、PUコーティングの表面に蒸着によって適用した。次いで、水性PU分散体の追加層を、酸化シリコンコーティングの表面に適用した。次いで、60μmのポリプロピレンシール層を、曝露されたPUバッファコーティングに接着積層した。
【0138】
実施例6のフィルム構造は、水性ポリウレタン(PU)分散体を25μmの熱安定化二軸延伸ポリプロピレンフィルムの表面に適用して、分散体を乾燥させた後に1.7μmのコーティングを達成することによって用意した。酸化シリコンコーティング(SiOx)を、PUコーティングの表面に蒸着によって適用した。次いで、60μmのポリプロピレンシール層を、酸化シリコンコーティングに接着積層した。
【0139】
表1に列挙された実施例の構造及び比較例の構造の各々について、表2は、構造のポリオレフィン基材層(又は比較例についてはその同等物)、及び95℃でのこの層の自由収縮を列挙している。加えて、表2は、95℃での構造のポリマーバッファ層(又は比較例のその同等物)、及びバッファ層材料のヤング率を列挙している。
【表2】
【0140】
表3に示すヤング率データを、Park Systems NX10 AFM上のPinPoint(商標)モードを利用した原子間力顕微鏡法(AFM)技法を使用して収集した。ポリマーバッファ層の機械的なヤング率を判定するために、ポリオレフィン基材/ポリマーバッファ層のサンプルを加熱ステージ上に取り付けられた。ステージを、適切な試験温度に加熱した。30nmの定義された先端半径(SD-R30-FM、NanoAndMore GmbHから入手可能)を有するシリコンカンチレバー上に取り付けられたシリコン先端を、力分光に使用した。ヤング率は、結果として得られた力変位曲線から計算した。
【0141】
表1に列挙される実施例の構造及び比較例の構造の各々について、表3は、ポリマーバッファ層及び無機コーティング層の層厚比を含む。
【表3】
【0142】
表4は、実施例及び比較例の構造についての波形成の概要を含む。構造を95℃を超える温度に加熱し、その後、波について検査した。
【表4】
【0143】
いくつかのフィルム構造の上面顕微鏡写真が、
図12A、
図12B、及び
図12Cにそれぞれ示されている。
図12Aに示すフィルムは、18μmのBOPP/1.7μmのPU/0.04μmのSiO
xの構造を有する。
図12Bに示すフィルムは、18μmのBOPP/1.7μmのPU/0.05μmのSiOxの構造を有する。
図12Cに示すフィルムは、60μmのPP/3.5μmの接着層/18μmのBOPP/1.7μmのPU/0.04μmのSiO
xの構造を有する。
図12Bに示す構造で使用されるポリウレタン分散体は、95℃で非常に高いヤング率(900MPa超)を有し、したがって、波形成に必要な条件を満たさない。
図12A、
図12B、及び
図12Cに例解した3つの顕微鏡写真は、同じ倍率では撮影されず、相対的な波特性を示さないことに留意されたい。むしろ、顕微鏡写真では、様々なパターンの明確な波の形成(
図12A及び
図12C)と、無機コーティング層の明確な亀裂を含む波の形成のない実施例(
図12B)とが示されている。
【0144】
フィルム構造のバリア性能に対する波形成の結果は、表5a及び表5bのデータから明らかである。フィルムの加熱及び収縮時に波形成を許容するように設計されているフィルムは、有意に少ない酸素バリア損失(OTRの増加が少ない)を有する。
【表5a】
*OTR単位は、23℃及び50%rhを使用して、ASTM 3985-2005によって測定されるcm
3/(m
2 24hバール)である。
【表5b】
**WVTR単位は、38℃及び90%rhを使用してASTM F 1249-90によって測定されるg/(m
2 24hバール)である。
【0145】
実施形態
実施形態1:バリア包装フィルムであって、ポリオレフィン基材であって、ASTM D2732に従い、95℃で縦方向及び横方向のうちの少なくとも一方において0.5%~10%の範囲の自由収縮を含む、ポリオレフィン基材と、0.005ミクロン~0.1ミクロンの範囲の厚さを有する無機コーティング層と、ポリオレフィン基材と無機コーティング層との間に位置決めされ、かつそれらの各々と直接接触するポリマーバッファ層であって、0.5ミクロン~12ミクロンの範囲の厚さを含む、ポリマーバッファ層と、ポリオレフィンシール層とを備え、ポリマーバッファ層の厚さと無機コーティング層の厚さとの比があり、比が20~500の範囲にあり、ポリマーバッファ層が、付録X.4を有するASTM E2546-15に従い、95℃で収集された測定値から計算して、0.1MPa~100MPaの範囲のヤング率を含む、バリア包装フィルム。
【0146】
実施形態2:接着層を更に備え、ポリオレフィン基材が、第1の外部層であり、ポリオレフィンシール層が、第2の外部層であり、接着層が、ポリオレフィンシール層と無機コーティング層との間に位置する、実施形態1によるバリア包装フィルム。
【0147】
実施形態3:ポリオレフィンシール層と無機コーティング層との間に位置する印刷されたしるし層を更に備える、実施形態2によるバリア包装フィルム。
【0148】
実施形態4:印刷されたしるし層及び接着層を更に備え、印刷されたしるし層が、第1の外部層であり、ポリオレフィンシール層が、第2の外部層であり、接着層が、ポリオレフィンシール層と無機コーティング層との間に位置する、実施形態1によるバリア包装フィルム。
【0149】
実施形態5:ポリオレフィン基材が、配向ポリプロピレンフィルムであり、ポリオレフィンシール層が、ポリプロピレンシール層である、先行実施形態のいずれか1つによる、バリア包装フィルム。
【0150】
実施形態6:配向ポリプロピレンフィルムが、ホモポリマーポリプロピレンを含む、実施形態5によるバリア包装フィルム。
【0151】
実施形態7:ポリオレフィン基材が、配向ポリエチレンフィルムであり、ポリオレフィンシール層が、ポリエチレンシール層である、実施形態1~4のいずれか1つによるバリア包装フィルム。
【0152】
実施形態8:配向ポリオレフィン外部層及び接着層を更に含み、ポリオレフィンシール層が、ポリオレフィン基材のサブ層であり、接着層が、配向ポリオレフィン外部層と無機コーティング層との間に位置する、実施形態1によるバリア包装フィルム。
【0153】
実施形態9:配向ポリオレフィン外部層と無機コーティング層との間に位置する印刷されたしるし層を更に備える、実施形態8によるバリア包装フィルム。
【0154】
実施形態10:バリア包装フィルムが、80重量%以上のポリオレフィンを含む全組成を有する、先行実施形態のいずれか1つによるバリア包装フィルム。
【0155】
実施形態11:ポリオレフィン基材が、10ミクロン~100ミクロンの範囲の厚さを含む、先行実施形態のいずれか1つによるバリア包装フィルム。
【0156】
実施形態12:ポリマーバッファ層が、1μm~5μmの範囲の厚さを含む、先行実施形態のいずれか1つによるバリア包装フィルム。
【0157】
実施形態13:無機コーティング層が、金属層又は酸化物コーティング層を含み、無機コーティング層の厚さが、0.005μm~0.06μmの範囲にある、先行実施形態のいずれか1つによるバリア包装フィルム。
【0158】
実施形態14:ポリマーバッファ層の厚さと無機コーティング層の厚さとの比が、30~120の範囲にある、先行実施形態のいずれか1つによるバリア包装フィルム。
【0159】
実施形態15:ポリマー基材が、ASTM D2732に従い、95℃で1%~6%の範囲の自由収縮を含む、先行実施形態のいずれか1つによるバリア包装フィルム。
【0160】
実施形態16:ポリマーバッファ層が、ビニルアルコールコポリマー、ポリプロピレン系ポリマー、ポリウレタン系ポリマー、又はポリ乳酸を含む、先行実施形態のいずれか1つによるバリア包装フィルム。
【0161】
実施形態17:無機コーティング層と直接接触する第2のポリマーバッファ層を更に備える、先行実施形態のいずれか1つによるバリア包装フィルム。
【0162】
実施形態18:バリア包装フィルムであって、ポリオレフィン基材と、無機コーティング層と、ポリオレフィン基材と無機コーティング層との間に位置決めされたポリマーバッファ層であって、無機コーティング層と直接接触する、ポリマーバッファ層と、ポリオレフィンシール層とを備え、無機コーティング層が、0.25μm~1.0μmの範囲の平均振幅と、2μm~5μmの範囲の波長とによって特徴付けられる波構造を備え、ポリマーバッファ層が、上記波構造の平均振幅の1.1~20倍の範囲の厚さを含む、バリア包装フィルム。
【0163】
実施形態19:接着層を更に備え、ポリオレフィン基材が、第1の外部層であり、ポリオレフィンシール層が、第2の外部層であり、接着層が、ポリオレフィンシール層と無機コーティング層との間に位置する、実施形態18によるバリア包装フィルム。
【0164】
実施形態20:ポリオレフィンシール層と無機コーティング層との間に位置する印刷されたしるし層を更に備える、実施形態19によるバリア包装フィルム。
【0165】
実施形態21:印刷されたしるし層及び接着層を更に備え、印刷されたしるし層が、第1の外部層であり、ポリオレフィンシール層が、第2の外部層であり、接着層が、ポリオレフィンシール層と無機コーティング層との間に位置する、実施形態18によるバリア包装フィルム。
【0166】
実施形態22:ポリオレフィン基材が、配向ポリプロピレンフィルムであり、ポリオレフィンシール層が、ポリプロピレンシール層である、実施形態18~21のいずれか1つによる、バリア包装フィルム。
【0167】
実施形態23:配向ポリプロピレンフィルムが、ホモポリマーポリプロピレンを含む、実施形態22によるバリア包装フィルム。
【0168】
実施形態24:ポリオレフィン基材が、配向ポリエチレンフィルムであり、ポリオレフィンシール層が、ポリエチレンシール層である、実施形態18~21のいずれか1つによるバリア包装フィルム。
【0169】
実施形態25:配向ポリオレフィン外部層及び接着層を更に含み、ポリオレフィンシール層が、ポリオレフィン基材のサブ層であり、接着層が、配向ポリオレフィン外部層と無機コーティング層との間に位置する、実施形態18によるバリア包装フィルム。
【0170】
実施形態26:ポリオレフィン外部層と無機コーティング層との間に位置する印刷されたしるし層を更に備える、実施形態25によるバリア包装フィルム。
【0171】
実施形態27:バリア包装フィルムが、80重量%以上のポリオレフィンを含む全組成を有する、実施形態18~26のいずれか1つによるバリア包装フィルム。
【0172】
実施形態28:ポリオレフィン基材が、10ミクロン~100ミクロンの範囲の厚さを含む、実施形態18~27のいずれか1つによるバリア包装フィルム。
【0173】
実施形態29:ポリマーバッファ層が、1~5μmの範囲の厚さを含む、実施形態18~28のいずれか1つによるバリア包装フィルム。
【0174】
実施形態30:無機コーティング層が、金属層又は酸化物コーティング層を含み、無機コーティング層の厚さが、0.005μm~0.06μmの範囲にある、実施形態18~29のいずれか1つによるバリア包装フィルム。
【0175】
実施形態31:ポリマーバッファ層の厚さと無機コーティング層の厚さとの比が、30~120の範囲にある、実施形態18~30のいずれか1つによるバリア包装フィルム。
【0176】
実施形態32:無機層の波構造が、波長と平均振幅との比によって特徴付けられ、比が、2~20の範囲にある、実施形態18~31のいずれか1つによる記載のバリア包装フィルム。
【0177】
実施形態33:ポリマーバッファ層が、ビニルアルコールコポリマー、ポリプロピレン系ポリマー、ポリウレタン系ポリマー又はポリ乳酸を含む、実施形態18~32のいずれか1つに記載のバリア包装フィルム。
【0178】
実施形態34:無機コーティング層と直接接触する第2のポリマーバッファ層を更に備える、実施形態18~33のいずれか1つによるバリア包装フィルム。
【0179】
実施形態35:実施形態1~34のいずれか1つによるバリア包装フィルムを備える、密封シールされたパッケージ。
【0180】
実施形態36:印刷されたしるし層及び波構造を含む無機コーティング層を含む、前述のバリア包装フィルムの実施形態のいずれか1つによるバリア包装フィルムであって、印刷されたしるし層が、TiO2粒子を含有するサブ層を含み、TiO2粒子を含有するサブ層と無機コーティング層との間に位置する少なくとも1つの層があり、TiO2粒子を含有するサブ層と無機コーティング層との間に位置する少なくとも1つの層が、波形成の平均振幅以上の組み合わせた厚さを有する、バリア包装フィルム。
【国際調査報告】