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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】集電器及び操作方法
(51)【国際特許分類】
   B60L 5/24 20060101AFI20240829BHJP
【FI】
B60L5/24 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515695
(86)(22)【出願日】2021-09-13
(85)【翻訳文提出日】2024-04-08
(86)【国際出願番号】 EP2021075078
(87)【国際公開番号】W WO2023036443
(87)【国際公開日】2023-03-16
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514217808
【氏名又は名称】シュンク トランジット ジステムズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パハラー アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】アーノルド ドミニク パスカル
【テーマコード(参考)】
5H105
【Fターム(参考)】
5H105AA12
5H105BA02
5H105BB01
5H105CC12
5H105DD03
5H105EE02
5H105EE10
5H105EE13
5H105GG02
5H105GG14
5H105GG15
(57)【要約】
本発明は、架線のトロリー線(35)から鉄道車両に電力を伝送するために、鉄道車両(31)の屋根(34)に配置された集電器(33)を操作するための方法に関し、集電器は、その上に配置された摺動片を有する位置調整器を備え、位置調整器は、摺動片をトロリー線に対して移動させ、摺動接触位置において摺動片をトロリー線に対して、摺動接触を確立するために押圧力を用いて押し付け、押圧力は、位置調整器の駆動機構及びばね機構によって、摺動片に発生させられており、集電器は、測定器(38)を有する測定ユニット(36)を有し、測定器のセンサ装置の少なくとも2つのセンサは位置調整器及び/又は摺動片に配置され、測定値は、センサによって、いずれの場合も、摺動接触位置において記録され、測定値は、測定器の処理装置(37)によって処理され、処理装置は、測定値を互いに相関させて、集電器及び/又は架線の動作状態を記述する特性値を決定することを特徴とする。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
架線のトロリー線(16,25,35)から鉄道車両に電力を伝送するために、前記鉄道車両(31)の屋根(11,34)に配置された集電器(10,33)を操作するための方法であって、
前記集電器は、その上に配置された摺動片(14,17,27)を有する位置調整器(13、56)を備え、
前記位置調整器は、前記摺動片を前記トロリー線に対して移動させ、摺動接触位置において前記摺動片を前記トロリー線に対して、摺動接触を確立するために押圧力を用いて押し付け、
前記押圧力は、前記位置調整器の駆動機構及びばね機構によって、前記摺動片に発生させられており、
前記方法は、
前記集電器が、測定器(38,44,59)を有する測定ユニット(36,43,53,58)を有し、
前記測定器のセンサ装置(46)の少なくとも2つのセンサ(47,48)が前記位置調整器及び/又は前記摺動片に配置され、
測定値が、前記センサによって、いずれの場合も、前記摺動接触位置において記録され、
前記測定値が、前記測定器の処理装置(37,49)によって処理され、
前記処理装置は、前記測定値を互いに相関させて、前記集電器及び/又は前記架線の動作状態を記述する特性値を決定することを特徴とする、
方法。
【請求項2】
前記位置調整器(13,56)の角度位置、加速度、振動数、温度、照度、力、電流、電圧、電気抵抗、距離、質量、空気圧、音、摩耗及び/又は位置が、前記測定値として連続的又は不連続的に記録されて処理されることを特徴とする、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも1つの加速度センサが、センサ(47,48)として使用され、
前記加速度センサは、前記摺動片(14,17,27)及び/又は前記位置調整器(13,56)に配置されていることを特徴とする、
請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記摺動片(14,17,27)の中に、前記摺動片の上に、前記摺動片のマウンティングベアリング(21)の上に、又は前記摺動片を保持する前記位置調整器(13,56)のロッカーの上に配置された少なくとも1つのセンサ(47,48)が使用されていることを特徴とする、
請求項1-3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記処理装置(37,49)は、前記摺動片(14,17,27)が前記トロリー線(16,25,35)に沿って案内されている間、前記測定値の分析を実行することを特徴とする、
請求項1-4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記処理装置(37,49)は、変化が生じる時に又は連続的に、前記センサ(47,48)の前記測定値及び/又は前記特性値を、一定の間隔をあけて記録及び記憶することを特徴とする、
請求項1-5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記位置調整器(13,56)を駆動するためのアクチュエータは、前記測定器(38,44,59)の制御器(54)によって制御され、
前記位置調整器の駆動は、前記測定値及び/又は前記特性値に応じて、前記制御器の調整装置(55)によって調整されることを特徴とする、
請求項1-6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記押圧力は、前記測定値及び/又は前記特性値の関数として、前記調整装置(55)によって調整されることを特徴とする、
請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記測定器(38,44,59)は、前記測定値及び/又は前記特性値を、評価ユニット(39,45,64)に送信し、
前記測定値及び/又は前記特性値は、前記評価ユニットのデータ記憶(51,65)に記憶され、及び/又は前記評価ユニットの評価器(52)によってさらに処理されることを特徴とする、
請求項1-8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記測定器の前記測定値及び/又は前記特性値は、前記測定器(38,44,59)の送信装置(60)によって、データリンク(40,62,63,67,69,70)を介して前記評価ユニット(39,45,64)及び/又は前記制御器(54)に送信され、
前記評価ユニット及び/又は前記制御器は、前記測定ユニット(36,43,53,58)から間隔をあけて配置されている、又は前記測定ユニットに統合されていることを特徴とする、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記データリンク(40,62,63,69)は、外部データネットワーク(41,61)を介して確立されることを特徴とする、
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記評価ユニット(39,45,64)は、複数の前記集電器(10,33)の前記測定ユニット(36,43,53,58)の前記測定値及び/又は前記特性値を処理することを特徴とする、
請求項9-11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記評価ユニット(39,43,53,58)及び/又は前記測定ユニットとのデータリンク(40,62,63,67,69,70)は、ユーザユニット(68)によって確立され、
前記測定値及び/又は前記特性値は、前記ユーザユニットに送信及び出力されることを特徴とする、
請求項9-12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記処理装置(37,49)又は前記評価ユニット(39,45,64)は、摩耗に関する時間依存成分、及び/又は測定量に依存する成分を考慮しつつ、前記測定値及び/又は前記特性値の時系列を評価し、前記集電器(10,33)及び/又は前記架線の摩耗の状態を特定することを特徴とする、
請求項9-13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記摺動片(14,17,27)の振動は、前記センサ装置(46)によって記録され、
前記処理装置(37,49)又は前記評価ユニット(39,45,64)は、前記摺動片及び/又は前記架線の摩耗の状態を決定することを特徴とする、
請求項9-14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記処理装置(37,49)又は前記評価ユニット(39,45,64)は、動作状態を、前記摺動片(14,17,27)及び/又は前記トロリー線(16,25,35)におけるアーク放電、前記トロリー線のジグザグ状態、前記トロリー線の凍結、及び/又は前記トロリー線の欠陥から決定することを特徴とする、
請求項9-15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記処理装置(37,49)又は前記評価ユニット(39,45,64)は、
ある期間にわたって記憶された前記測定値及び/又は前記特性値のサンプル分析又は統計的評価を実行し、
前記サンプル分析又は前記統計的評価から、特性数を導出することを特徴とする、
請求項9-16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記処理装置(37,49)又は前記評価ユニット(39,45,64)は、
複数のセンサ(47,48)の前記測定値及び/又は前記特性値を互いに相関させ、
前記測定値及び/又は前記特性値の関数従属性を、人工知能によって導出することを特徴とする、
請求項9-17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記集電器(10,33)の位置は、前記センサ装置(46)の位置センサによって決定され、
前記位置は、前記センサ装置の他のセンサ(47,48)の前記特性値又は前記測定値に関連付けられ、
前記評価ユニット(39,45,64)は、前記架線の状態を決定することを特徴とする、
請求項9-18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記評価ユニット(39,45,64)は、前記鉄道車両(31)の軌道(26)の少なくとも1つの軌道部分に沿って、前記架線のデータモデルを生成し、
前記データモデルは、対応するように関連付けられた前記測定値及び/又は前記特性値を有する前記軌道部分の複数の異なる位置を含むことを特徴とする、
請求項9-19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記データモデルは、前記軌道部分に沿って前記鉄道車両(31)が走行する間、前記測定値及び/又は前記特性値を連続的に繰り返し記録することによって、更新されることを特徴とする、
請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記鉄道車両(31)から独立して、前記集電器(10,33)に形成された測定ユニット(36,43,53,58)が使用されていることを特徴とする、
請求項1-21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記特性値は、前記摺動片(14,17,27)が前記トロリー線(16,25,35)に接しているとき、前記鉄道車両(31)の運転中に決定され、
前記特性値は、代替として又は追加として、前記鉄道車両の停車中に決定され、
前記摺動片は、停止位置に配置される、又は前記トロリー線の上の接触位置と、前記鉄道車両の上の前記停止位置とで移動されることを特徴とする、
請求項1-22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
集電器(10,33)であって、
前記集電器は、鉄道車両(31)の屋根(11,34)に配置され、架線のトロリー線(16,25,35)から前記鉄道車両に電力を伝送するために用いられ、
前記集電器は、その上に配置された摺動片(14,17,27)を有する位置調整器(13,56)を備え、
前記位置調整器は、前記位置調整器が、前記摺動片を前記トロリー線に対して移動させ、摺動接触位置において前記摺動片を前記トロリー線に対して押圧力を用いて押し付けるように形成され、
前記位置調整器は、前記摺動片に前記押圧力を発生させる駆動機構及びばね機構を有しており、
前記集電器は、測定器(38,44,59)を有する測定ユニット(36,43,53,58)を有し、
前記測定器のセンサ装置(46)の少なくとも2つのセンサ(47,48)は前記位置調整器及び/又は前記摺動片に配置され、
測定値は、前記センサによって、いずれの場合も、前記摺動接触位置において記録され、
前記測定値は、前記測定器の処理装置(37,49)によって処理され、
前記処理装置は、前記測定値を互いに相関させて、前記集電器及び/又は前記架線の動作状態を記述する特性値を決定することを特徴とする、
集電器。
【請求項25】
少なくとも1つの請求項24に記載の集電器(10,33)をそれぞれが有する複数の前記鉄道車両(31)を有する監視システム(30)であって、
前記監視システムは、複数の前記集電器の前記測定ユニット(36,43,53,58)の前記測定値及び/又は前記特性値を処理するための評価ユニット(39,45,64)を備えることを特徴とする、
監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、架線のトロリー線から鉄道車両に電力を伝送するために、鉄道車両の屋根に配置された集電器及び集電器を操作するための方法に関し、集電器は、その上に配置された摺動片を有する位置調整器を備え、位置調整器は、トロリー線に対して摺動片を移動させ、摺動接触を確立するために押圧力を用いて、摺動接触位置においてトロリー線に対して摺動片を押し付け、押圧力は、位置調整器の駆動機構及びばね機構によって、摺動片に発生させられる。
【背景技術】
【0002】
トロリー線を介して軌道車両だけでなく非軌道車両に電力を供給するために、カーボン製の摺動片がよく使用されている。この種の摺動片は、カーボン材料の摩耗によって、常に摩耗の影響を受ける。例えば電車の機関車にこの種の摺動片を使用するとき、危険な動作状態、欠陥、又は動作不良を防ぐために、最終的な摩耗限界に達する前に摺動片を交換する必要がある。一般的に、緊急停止機能が摺動片に組み込まれており、もし摺動片が損傷したなら、例えば破損したなら、最終的な摩耗の限界に到達した時点で、又はそれ以前の時点で、緊急停止装置は摺動片を下降させるが、いったんこの種の緊急停止が起動されると、この摺動片では、電力のさらなる供給や車両のさらなる運転は、もはや不可能である。この種の状況を避けるためには、摺動片の摩耗の度合いが、一定の期間ごとに検査される。摺動片は、機関車のような車両の屋根に配置されているので、過酷な労働作業を伴うにもかかわらず、通常、これらの検査は、作業員によって実施され、トロリー線には高電圧が印加されているので、特定の安全対策が遵守されなければならない。よって、この種の検査は、車両基地で、ある期間ごとに実施される。これらの複雑な検査を回避するために、摩耗限界に達した時に信号を発出し得る、部分的に自動化された摩耗監視システムが知られている。国際公開第2014/173798号の明細書には、赤外線カメラによって検出され得る、摩耗表示マーキングを有する摺動片が開示されている。経路上に配置されたカメラを通過する時に、摺動片はカメラによって記録され得て、摩耗表示マーキングが、画像処理によって特定され得る。摩耗表示マーキングの見え方に依存して、摺動片の摩耗の度合いについての判定がなされ得る。不利な点としては、摺動片の摩耗の度合いが不変であることはあり得ず、鉄道網でそのような監視を確立するための技術的な労力は、比較的、大きく、したがってコストが高くなることが挙げられる。
【0003】
さらに、位置調整器は、ロッカーアーム又はロッカー又はピボットガイド又はパンタグラフをしばしば備え、摺動片は、これらのうちのいずれかを介して、ばね機構によってトロリー線に押し付けられ、その結果、安全な摺動接触を確立するために、要求されている押圧力が加えられる。ばね機構は、ベローズ、引張ばね及び/又は圧縮ばねによって形成され得る。ばね機構は、鉄道車両の動きと、トロリー線の変化するコースとを補償する。トロリー線に対する鉄道車両の経路の相対距離と、鉄道車両の速度とに依存して、激しく動揺する力が摺動片に作用し得て、それによって摺動片は強く変形させられる。振動が、摺動片自体及び/又は位置調整器に誘導され得る。摺動片がトロリー線から離れたとき、アーク放電が発生し得て、それによって摺動片の摩耗が、材料の電食によって増大される。これは、全体として、集電器を保守し、架線の構成に依存する摺動片を交換するための労力が増す結果になる。したがって、鉄道車両の試運転の枠組みにおいて、架線の軌道部分を試験することが知られている。この目的のために、この目的で提供された鉄道車両は、トロリー線の画像を撮影するためのカメラのような、この目的のために特に意図された測定技術が装備されなければならない。したがって、この種の検査はコストが高くつきであり、ただ単に、架線の動作状態を断片的に知ることができるに過ぎない。
【発明の概要】
【0004】
ここで発明の目的は、したがって、集電器を操作するための方法だけでなく、集電器及び集電器を有する監視システムを提案することであり、これらのうちのいずれも改良された操作が可能である。
【0005】
この目的は、請求項1の特徴を有する方法、請求項24の特徴を有する集電器、及び請求項25の特徴を有する監視システムによって達成される。
【0006】
架線のトロリー線から鉄道車両に電力を伝送するために、鉄道車両の屋根に配置された集電器を操作するための本発明に係る方法は、集電器を用いて実施され、集電器は、その上に配置された摺動片を有する位置調整器を備え、位置調整器は、摺動片をトロリー線に対して移動させ、摺動接触位置において摺動片をトロリー線に対して、摺動接触を確立するために押圧力を用いて押し付け、押圧力は、位置調整器の駆動機構及びばね機構によって、前記摺動片に発生させられており、集電器は、測定器を有する測定ユニットを有し、測定器のセンサ装置の少なくとも2つのセンサは位置調整器及び/又は摺動片に配置され、測定値は、センサによって、いずれの場合も、摺動接触位置において記録され、測定値は、測定器の処理装置によって処理され、処理装置は、測定値を互いに相関させて、集電器及び/又は架線の動作状態を記述する特性値を決定する。
【0007】
摺動片は、一般的にカーボン製の接触要素を備え、トロリー線に当接し、よってそれとの電気的接続を確立し得る。この接触要素は摺動片によって保持されており、摺動片はパンタグラフ又はロッカーアームとして知られている要素に固定されている。このパンタグラフ又はロッカーアームは、摺動片のための位置調整器を形成し、よって摺動片と併せて集電器として知られる物を形成する。集電器自体は、車両の上のトロリー線との接触を確立するために車両の屋根に配置される。
【0008】
本発明に係る方法では、測定器を有する測定ユニットを備える集電器が意図され、測定器自体は少なくとも2つのセンサを有するセンサ装置を有している。センサは、一般に集電器のどこにでも配置され得るが、位置調整器及び/又は摺動片に配置されている。センサ装置、より正確にはセンサによって、位置調整器及び/又は摺動片の異なる測定された値は、いずれの場合も、摺動接触位置において記録され得る。これらの測定値は、位置調整器、摺動片、及び架線との直接的な動作の関係を有する物理的な測定された変数であり、集電器の動作中に変化する可能性がある。処理装置によって、対応するセンサを用いて測定された測定値及び/又は測定された変数は処理されて、集電器及び/又は架線の動作状態を記述するために適した特性値が決定される。特性値を決定するために、処理装置が、センサの対応する測定値を互いに相関させることは極めて重要である。これにより、集電器及び/又は架線の動作状態でのさらなる情報を特性値の形で得ることが可能になる。したがって処理装置は、少なくとも2つのセンサからの少なくとも2つの測定値の計算を実行する。センサの種類に依存して、測定値は、同じ又は異なる性質であり得る。例えば、第1センサが、位置調整器の垂直方向の動きを測定し、第2センサが、摺動片の垂直方向の動きを測定し得る。処理装置は、これら2つの測定値を、例えば、特性値を計算する時に、平坦なトロリー線に対する軌道、又は平坦な軌道に対するトロリー線の隆起等を考慮して、両方の測定値の間の関連を得る処理装置によって相関させる。もし摺動片と位置調整器との垂直方向の動きが同じなら、この動きは、軌道によってではなくトロリー線の経路によって引き起こされている。
【0009】
特性値は、パラメータ化された値、指標、固有値、又はデータセットであり得る。この特性値は、データセットに含まれてもよい。特に、よってデジタル処理され得る特性値を得るために、処理装置によって測定値をデジタル処理することが意図される。その結果、処理装置は、センサのアナログ信号及び/又はデジタル信号を処理し得る、少なくとも1つのデジタル電子回路によって形成されている。この処理装置は、例えばプログラマブルロジックコントローラ(PLC)、集積回路(IC)又はコンピュータでもよい。
【0010】
処理装置は、集電器及び/又は架線の動作状態を記述するために適した特性値を決定するので、集電器及び/又は架線の動作状態を決定すること、それを監視すること、及び/又は集電器の動作状態に影響を与えることが可能になる。動作状態は、動作中に存在する、集電器及び架線の構造上の可変の特性である。集電器の動作状態は、軌道の構造及び/又は動作状態に大きく依存するので、特性値は、軌道の動作状態も記述し得る。全体として、集電器、架線及び軌道は、特に、一定のメンテナンス期間を保つ必要なく、又は鉄道車両の試運転を実施する必要なく整備され得る。全体として、よって集電器及び架線をより低いコストで操作することが可能になり、鉄道車両がより経済的に操作され得ることを意味する。
【0011】
結果として、位置調整器の角度位置、加速度、速さ、回転、振動数、温度、照度、力、電流、電圧、電気抵抗、距離、質量、空気圧、音、摩耗及び/又は位置が、測定値として連続的又は不連続的に記録されて処理される。加速度は、ジャイロメータを用いて容易に測定され得る。位置調整器の角度位置を用いて、鉄道車両に対して、ロッカー又はパンタグラフのたわみが、ロッカー又はパンタグラフの旋回位置において測定され得る。この目的のために、旋回位置においてロータリーポテンショメータが、又は傾斜の角度又は回転を測定するためのジャイロメータのような別の適したセンサが使用され得る。例えばトロリー線の凍結のリスクがあるかどうかが確認され得るように、温度は、位置調整器、ロッカー、パンタグラフ、又は摺動片にある温度センサを用いて測定され得る。照度は、光学センサ又はカメラを用いて測定され得て、これらはセンサを形成する。このことは、トロリー線の表面にある異常、又はアーク放電を評価することを可能にする。力は、ひずみゲージ、力センサ、圧力センサ等によって検出され得る。例えば、押圧力が、位置調整器のシリンダの空気圧に依存して測定され得る。電流及び電圧は、センサとして電流計及び電圧計を用いてそれぞれ測定され得る。抵抗は、電流と電圧から決定され、摺動片の摩耗の状態の情報を提供することができるだけでなく、接触の特性に対しての基準であり得る。例えば、摺動片とトロリー線との間の電力の伝送の特性が決定され得る。質量は、力センサによって決定されてもよい。空気圧は、押圧力を加えるために一対のベローズ又は圧力シリンダにおいて測定され得る。集電器の位置は、GPSのような衛星航法システムを介して容易に決定され得る。音はマイクロフォンを介して測定され、このことはノイズが測定値として評価され得ることを意味する。摩耗は、摺動片の高さ及び/又は厚さが測定され得るセンサを用いて測定され得る。この測定値は、連続的に記録され処理され得る。測定値を、不連続的、例えば所定の時間又は特定の場合に記録し処理することも可能である。
【0012】
もし摺動片及び/又は位置調整器に配置され得る、少なくとも1つの加速度センサがセンサとして使用されるなら、特に有利である。このセンサは、位置調整器及び/又は摺動片の動き、より正確には加速度を測定するために使用される、回転加速度センサ、直線加速度センサ、又は振動センサであり得る。例えば、摺動片の動きは、加速度センサによってトロリー線において検出され、この動きから、トロリー線及び/又は摺動片の形状についての判定がなされ得る。よって、例えば、摺動片がトロリー線から離れることの原因となり得るトロリー線の経路における引き上がりが、簡単に検出され得る。この種の動作不良を検出するための特別な試運転や現場における架線の検査が、これによりもはや必要とされない。さらに、摩耗の結果としての摺動片の変化又は摩耗は、摺動片の幾何学的な変化の原因となる。このことは、新しい摺動片と摩耗した摺動片との差異を生じる。摺動片は、一般的に鉄道車両の運転中にトロリー線と接触し、トロリー線によって擦られるので、処理装置は、摺動片の変化を、位置調整器の動きのような別の測定値と組み合わせて摺動片の動きから導出し得る。新しい摺動片及び摩耗した摺動片の動きのプロファイルが処理機器に記憶され、この処理装置が、比較を実行し、摩耗の状態及び摺動片の消費量を検出し得ることが意図されてもよい。この摩耗は、特性値として出力され得る。さらに、トロリー線の損傷だけでなく、摺動片の破損又は変形も、容易に検出され得る。
【0013】
さらに、摺動片の中に、摺動片の上に、摺動片のマウンティングベアリングの上に、又は摺動片を保持する位置調整器のロッカーの上に配置された少なくとも1つのセンサが使用され得る。結果として、このセンサは、例えば、摺動片又は摺動片の接触要素の凹部に配置され得る。さらに、このセンサは、摺動片又は摺動片の摺動片保持器に直接に取り付けられてもよい。代わりに、振動センサが、摺動片のマウンティングベアリングに配置されていてもよい。摺動片は、例えば2つのマウンティングベアリングを備え得て、摺動片は、マウンティングベアリングによって位置調整器に取り付けられる。加えて、センサも有する別の摺動片がロッカーに配置され得て、このことは摺動片が測定ユニットによって監視され得ることも意味する。一方では、より正確に特性値を決定することを可能にするために、センサ機器が、あらかじめ取付位置に配置された2つより多くのセンサを備えることが可能である。
【0014】
処理装置は、摺動片がトロリー線に沿って案内されている間、測定値を分析し得る。結果として、この処理装置は、鉄道車両の運転中にこの分析を実行する。本発明の範囲において、鉄道車両が走行していない間、例えば鉄道駅又は停留所において測定値が分析されることが意図されてもよい。特に、架線の動作状態についての特性値は、好ましくは、摺動片がトロリー線に沿って案内されている時にだけ得られる。
【0015】
処理装置は、変化が生じる時に又は連続的に、センサからの測定値、及び/又は特性値を、一定の間隔をあけて記録し得る。したがって、データの量を小さくしておくために値が変化する時にだけ、測定値及び/又は特性値が記録され記憶されることが意図され得る。代わりに、データを連続的に記録し記憶することを意図することも可能である。測定値及び/又は特性値を記憶することによって、データの処理が、データが記録された後でさえ可能になる。例えば、測定値は、鉄道車両が動いている間に記録され得て、特性値は、鉄道車両が整備されている間に、車両基地において決定され得る。例えば、鉄道車両の軌道に沿った架線の状態が、走行後に決定され得る。
【0016】
位置調整器を駆動するために、アクチュエータは測定器の制御器によって制御され得て、位置調整器の駆動は、測定値及び/又は特性値に応じて、制御器の調整装置によって調整され得る。駆動機構はアクチュエータを備え得て、摺動片がアクチュエータの直線の動きを介して摺動接触位置と格納位置との間で動かされ得るように、アクチュエータはロッカーユニット又は位置調整器のロッカーに接続され得る。このアクチュエータは、例えば直線駆動装置、空圧シリンダ、油圧シリンダ、又はベローズを介して形成され得る。押圧力がアクチュエータを介して変化させられる、又はアクチュエータが押圧力を発生させることが意図されてもよい。このアクチュエータは、ばね機構を形成するか、それと組み合わせられる。制御器は、信号を、より正確には測定値及び/又は特性値を、測定器から直ちに受け取り、それらを調整装置によって駆動機構を調整するために使用し得る。もし、例えば処理装置が摺動片の破損を検出したなら、摺動片は、アクチュエータによって鉄道車両の格納位置に旋回させられ得る。さらに、アクチュエータを介して押圧力を調整することが可能である。一般に、この種の制御器は、測定器から独立して鉄道車両の部品群として提供されてもよい。
【0017】
押圧力は、測定値及び/又は特性値の関数として、調整装置によって調整され得る。例えば、この押圧力は、位置調整器の角度位置及び動きから独立して、ほぼ一定であるように発生させられ得る。よって、隆起又は他の影響の結果としてのトロリー線からの摺動片の上昇が、概ね防止され得る。処理装置は、例えば摺動片がトロリー線から離れる向きに加速された後に、特性値を制御器に出力し得て、制御器は、摺動片の上昇を防止する反対方向の力を、調整装置及び/又はアクチュエータを介してロッカーに加え得る。それでも、増加させられた押圧力の結果として摺動片が早く摩耗しないように、押圧力を調整することも可能である。対照的に、この押圧力は、もしトロリー線との改良された電気的接続が確立されるなら、減少させられ得る。
【0018】
測定器は、測定値及び/又は特性値を評価ユニットに送信し得て、測定値及び/又は特性値は、評価ユニットのデータ記憶に記憶され、及び/又は評価ユニットの評価器によって処理され得る。この評価ユニットは、データ記憶及び評価器をその結果として備え得る。評価ユニットは、このように測定値及び/又は特性値を収集し処理するために機能し、コンピュータによって形成され得る。例えば、評価の結果は、評価器を用いてユーザに示され得るか、又は出力され得る。この評価ユニットは、処理装置の機能的な範囲を超える機能的な範囲を有し得る。しかしながら、一般に、処理装置を評価ユニットに統合すること、及び評価ユニットに処理装置を統合することも可能である。一方では、この種の評価ユニットは、集電器から独立して鉄道車両の部品群として提供され得る。
【0019】
測定器の測定値及び/又は特性値は、送信装置によって、データリンクを介して評価ユニット及び/又は制御器に送信され得て、評価ユニット及び/又は制御器は、測定ユニットから間隔をあけて配置され得るか、又は測定ユニットに統合され得る。もし制御器及び/又は評価ユニットが測定ユニットに統合されているなら、データリンクは、デジタルデータ線を介して単純に確立され得る。この場合、鉄道車両の異なる位置に、評価ユニットだけでなく処理装置及び制御器のような測定器の要素を取り付けることも可能である。測定値及び/又は特性値を送信する時に、例えばトランスミッションプロトコルに基づいて、データがやり取りされ得る。このデータリンクは、一定の間隔をあけて、又は特定の場合に、連続的に確立され得る。全体として、測定器によって収集されたデータを収集及び評価することが、このように可能である。評価ユニットのための別のオプションは、特定の状態及び場合の解析を可能にし、それによって集電器、架線及び鉄道車両の操作が最適化され得る。
【0020】
データリンクは、外部データネットワークを介して確立され得る。この目的のために、データリンクは、モバイルネットワーク、WiFi、衛星接続、インターネット又は他の無線規格を介して、これらを単独で用いて、又は互いに組み合わせて確立され得る。もし評価ユニット及び/又は制御器が測定ユニットから間隔をあけて配置されているなら、測定ユニットは、鉄道車両の外側に、鉄道車両から離されて、例えば建物の中に固定されるように配置されてもよい。特に、鉄道車両にある集電器の機能の監視及び制御は、このタスクが人によって鉄道車両自体において実施されることなく可能になる。
【0021】
評価ユニットは、複数の集電器の測定ユニットからの測定値及び/又は特性値を処理し得る。よって、評価ユニットは、個々の鉄道車両に配置された複数の集電器の測定値及び/又は特性値を処理し得る。集電器の測定値及び/又は特性値を比較することによって、測定値及び/又は特性値の精度がさらに向上される。さらに、集電器の特性値は、評価ユニットを用いて処理され得て、集電器はそれぞれの鉄道車両に配置されている。このことは、測定の精度を著しく向上させること、及び架線に対応する鉄道車両を監視することも可能にする。とりわけ、鉄道網及びその上で運転中の鉄道車両の、現在の及び常に変化する状態の画像が得られ得る。結果としての動作状態の最適化が、運用コストを著しく抑制し得る。インフラ及び鉄道車両の定期的な頻繁な検査は、もはや全く必要とされず、運行中の車両の安全性が大幅に向上させられる。特定の試運転がされなくてもよい。
【0022】
ユーザユニットによって、評価ユニット及び/又は測定ユニットへのデータリンクが確立され得て、測定値及び/又は特性値は、ユーザユニットへ送信され、出力され得る。ユーザユニットは、評価ユニット及び/又は測定ユニットから独立したコンピュータであり得る。このコンピュータは、据え置き型コンピュータ、移動無線装置等であり得て、評価ユニット及び/又は測定ユニットとデータをやり取りするための別のデータリンクは、このコンピュータによって確立され得る。このデータは、例えばインターネットのような外部データネットワークを介してやり取りされ得る。よって、評価ユニットを使用して加工されたデータ、より正確には評価器を使用して処理された測定値及び/又は特性値は、別のユーザグループが利用できるようにされる。評価ユニットは、ソフトウェアを使用するサーバを介して形成され得て、例えば、評価ユニットは、評価ユニットのデータ記憶に含まれる情報をユーザユニットに送信する。この送信は、摺動片の摩耗の現在の状態のような、選ばれた情報を有するウェブページの提供からなり得る。
【0023】
処理装置又は評価ユニットは、摩耗に関する時間依存成分、及び/又は測定量に依存する成分を考慮しつつ、測定値及び/又は特性値の時系列を評価し、集電器及び/又は架線の摩耗の状態を特定し得る。よって、摩耗の現在の状態について判定がなされ得るだけでなく、例えばどの時点で摺動片又はトロリー線が摩耗されるかがおおまかに決定され得る。このことは、摺動片及び/又は架線を検査する間隔を、例えば集電器及び/又は架線の現在の状態を適応することによって、正確に決定し時間的に最適化することを可能にする。さらに、時系列は、どの時点で特定の事象が発生したかを決定することを可能にする。もし事象が繰り返すなら、そこからパターンが導出され得る。例えば、特定の軌道部分を横断しているときに、電気的接触がより不良であること又は摩耗が増加したことが決定され得る。
【0024】
摺動片の振動がセンサ装置によって記録され得て、処理装置又は評価ユニットは、摺動片及び/又は架線の摩耗の状態を決定し得る。摺動片が摩耗されたとき、摺動片の形状、特に高さが変化させられ得て、形状におけるこの変化は、摺動片の振動の挙動も変化させ得る。例えば、摺動片及び/又は位置調整器の固有振動数及び/又は共振振動数が、センサ装置を用いて、振動として決定され得る。処理装置によって、摺動片、位置調整器、及び/又は架線の摩耗の度合いが、この振動から決定され得る。もしこの振動の挙動が、摺動片の材料、及び/又は位置調整器又はトロリー線の構成部品の摩耗が増加されるに伴って変化させられるなら、この変化から、摺動片、位置調整器及び/又はトロリー線の摩耗の度合いの判定がなされ得る。よって、例えば、摺動片が新しいか又は完全に摩耗したかを決定するだけでなく、摺動片の摩耗がどの程度かを決定することも可能である。摺動片の形状は、摺動片に生じた、接触要素のカーボン材料の摩耗によって実質的に決定される。このことから、新しい摺動片と摩耗した摺動片との間の摺動片又は接触要素の高さの差が、実質的に得られ得る。摺動片は、鉄道車両の運転中に摺動片の長さに沿って、トロリー線によって常に接触されるか擦られるので、摺動片は、摺動片の長さに関して不規則に摩耗され得る。このことは、摺動片が、摺動片の中央部においてその端部よりもより激しく摩耗され得ることを意味する。架線の状態に依存して、溝が摺動片に形成され得る。摺動片の高さは、その結果として、使用に応じて不規則に変化し得て、高さは摺動片の形状に影響を与える。さらに、トロリー線によって摺動片の長手方向に沿った接触及び摺動の間での不断の変化は、鉄道車両の走行中に記録され得て、摺動片の状態が、そこから決定され得る。
【0025】
処理機器は、その形状を有限要素法によって計算する。例えば、処理装置は、摺動片の推定される形状を、その振動の挙動から、コンピュータモデルを用いて、有限要素法に基づいて計算することが意図され得る。この場合、前述の摺動片の推定される摩耗が、特に考慮され得る。摺動片の摩耗の状態をより正確に決定することが、このように可能である。
【0026】
処理装置又は評価ユニットは、摺動片及び/又はトロリー線におけるアーク放電、トロリー線のジグザグ状態、トロリー線の凍結、及び/又はトロリー線の欠陥を、動作状態から決定する。アーク放電は、例えば、伝送された電流を摺動片において測定することによって決定され得る。さらに、照度又は光密度がトロリー線の領域において測定され得て、このことは、測定された最大値が同時に生じる時に、アーク放電が発生していることが、両方の測定値から高い確実性を持って決定され得ることを意味する。トロリー線は、一般的に軌道に沿ってジグザグ状態に配置されるので、トロリー線のジグザグ状態は、例えば、加速度センサ及び/又は誘導型センサによって決定されてもよい。よって、軌道に沿って架線のプロファイルを生成することも可能になる。この架線のプロファイルは、架線の地図の形で、及び/又はトロリー線の経路の形で評価ユニットに記憶され得る。架線及び/又はトロリー線において検出された推定される欠陥は、このように、架線の一意に特定可能な地点と正確に関連付けられ得る。複数のセンサ及び/又は測定値は、トロリー線が凍結されたかどうかを、例えばトロリー線の周辺の領域において外気温又は空気の湿度を測定することによって検出してもよい。よって、例えば水域の周辺などの、トロリー線が凍結することが多かれ少なかれあり得る領域、より正確には軌道に沿った架線の軌道部分がもたらされ得る。これらのデータは、評価ユニットに記憶されてもよい。さらに、トロリー線及び/又は架線の欠陥はセンサを用いて検出され得て、例えば、加速度センサが、摺動片に作用する衝突を、トロリー線の欠陥及び押圧力の変化の結果として、同時に圧力センサを用いて検出し得る。全体として、架線の動作状態を、同じ又は別の種類のセンサからの複数の測定値を組み合わせて判定すること、及び動作状態を記述するために適した特性値及び/又は他のデータの形でこの動作状態を記録することが可能になる。この目的のため、特にこの場合が意図された試運転は、測定値が通常の運行中に簡単かつ繰り返し記録され得るので必要とされない。
【0027】
処理装置又は評価ユニットは、ある期間にわたって記憶された測定値及び/又は特性値のサンプル分析又は統計的評価を実行し、このサンプル分析又は統計的評価から特性数を導出し得る。よって、サンプル分析を介して測定値、特性値、及びデータセットの動作の関係を、もし動作の関係が利用可能であるならば検出することが可能になる。因果関係は、動作の関係からしばしば導出され得る。この方法の最も簡単な実施形態において、サンプル分析を介して発見された相関が、因果関係を検出するために使用され得て、これらの因果関係の識別が、結果として鉄道車両の運行の最適化のために使用され得る。例えば、架線の軌道部分に生じる欠陥が、鉄道車両又は集電器の具体的な型と相関させられ得る。このことは、欠陥の原因、又は鉄道車両と欠陥との間の動作の関係の原因を検出すること、及び対象とする方法においてそれを軽減することを可能にする。もし十分な量のデータが利用可能なら、それらは、例えばその事象が偶然に検出された事象でないことを確実にするために統計的評価によって精査され得る。それにも関わらず、例えば欠陥の重み付け、又は事象の頻度及び欠陥の生じる確率を、統計的評価を介して計算することが可能である。
【0028】
処理装置又は評価ユニットは、異なるセンサの測定値及び/又は特性値を互いに相関させ、測定値及び/又は特性値の関数従属性を、人工知能によって導出し得る。サンプル分析を人工知能によって実行することが意図されてもよい。この人工知能は、例えばディープラーニング又はデータの分類の範囲で使用され得る。よって、それぞれの中でセンサの関数従属性が精査され得る。例えば、伝送された電流が温度と相関させられ得て、それによってトロリー線が凍結されたことが検出され得る。したがって、一連の他の動作状態と事象が、関数従属性の結果として、例えば、トロリー線に沿った変化及びその相対位置、その傾斜、及びその数、摺動片のトロリー線からの上昇、及び該当する場合には、スパーク又はアーク放電の形成、トロリー線上での機械的摩擦の結果としての摺動片の摩耗、及び/又は圧力、より正確には押圧力の結果としての電気の消費量、特にある範囲にわたる摩耗の平均、特に大きい又は特に小さい摩耗を有する軌道部分、加速又は停止の電流負荷のような運転スタイルに依存する摩耗の度合い、損傷及び/又は位置の架線及び/又はトロリー線からの偏差、瞬間的な過電流のような電流負荷、欠陥の場合における、短絡電流、ヒューズが飛ぶこと又はデバイスが短絡すること、ベアリング、ジョイント、構造要素のような集電器の構成部品の摩耗の状態、障害物との衝突の結果としての摺動片の破損、鉄道車両の移動の位置、速度、加速度及び方向などが、検出及び解釈され得る。これら例示的な前述の状態及び事象への適切な反応は、保守措置、鉄道車両の運転スタイルの調整、又は他の適切な措置であり得る。
【0029】
処理装置が、集電器に関連付けられていないセンサからの信号及び/又は測定値、及び/又は特性値を、例えば、接地、フランジ塗油器、地面の起伏などを考慮するセンサからの信号及び/又は測定値及び/又は特性値を介して、集電器と関連付けられたセンサからの信号及び/又は測定値、及び/又は特性値と相関させることが意図されてもよい。一般に、鉄道車両において検出できる全ての信号及び/又は測定値を、処理装置を用いて処理することも可能である。
【0030】
センサ装置の位置センサによって、集電器の位置が検出され得て、この位置はセンサ装置の別のセンサの特性値又は測定値と関連付けられ得て、評価ユニットは架線の状態を決定し得る。位置センサは、集電器、よって車両の位置を、例えば衛星航法を介して決定し得る。よって、とりわけ、センサ装置のそれぞれのセンサの特定の測定値が、軌道上のどこで記録されたのかが確立され得る。このことは、具体的な位置を事象又は測定値と関連付けることを可能にする。さらに、架線の状態を、評価ユニットによって、例えば架線にそって集電器及び/又はロッカーの振動を評価することによって、決定することが可能である。よって、もしトロリー線が激しく摩耗したなら、ロッカーは変化した振動の挙動を有し得る。トロリー線において引き上がり、妨害物及び傾斜が検出され、軌道における位置と関連付けられ得る。このことは、このように特定された軌道の軌道部分において、鉄道車両の速度に影響を与えることを可能にする。
【0031】
評価ユニットは、鉄道車両の軌道の少なくとも1つの軌道部分に沿って、架線のデータモデルを生成し得て、データモデルは、対応するように関連付けられた測定値及び/又は特性値を有する軌道部分の複数の異なる位置を含み得る。このデータモデルは、評価ユニットに記憶され、架線を記述する一連のデータ及び/又はファイルを備え得る。データモデルは、軌道に沿った架線の経路のグラフィック表現又はマッピング、又は、例えばより簡単な実施形態においては、架線の要素を含むリストであり得る。データモデルは、当該の軌道部分及び/又はデータセットに対応するような軌道の複数の異なる位置を有し得て、これは架線の構造の特性がデータモデルによって与えられることを意味する。位置又はデータセットは、いずれの場合も、測定値及び/又は特性値と関連付けられ得る。結果として、このデータモデルは、例えば、トロリー線の直線部分に対応する長さと共に、トロリー線のジグザグの経路の情報を備え得る。このジグザグの経路は、基準点と関連して、軌道の位置又は軌道長さと関連付けられ得る。もし測定値がセンサによって決定されるなら、又はもし特性値が処理装置によって決定されるなら、その位置が知られている又は当該の測定のために検出されている限り、それらは対応する軌道部分の位置に関連付けられ得る。もし、例えば検査のために必要とされるなら、架線と併せて推定される事象又は欠陥が、記録され、現場において正確に見つけられ得るが、それはこの位置が既知だからである。
【0032】
さらに、このデータモデルは、軌道部分に沿って鉄道車両が走行する時に、測定値及び/又は特性値を連続的に繰り返し記録することによって、更新され得る。よって、軌道が、本発明に係る集電器、又は1つの又は複数の鉄道車両にある複数のこれら集電器に繰り返し横断されることが意図され得る。もし測定値及び/又は特性値が、いずれの場合も、この目的のために記録されるなら、評価ユニットに記憶されたデータモデルは、これらの値を連続的に比較することによって改良され得る。例えば、1回の事象はそういうものとして認定されるので考慮されず、一方で、頻繁に繰り返される事象が、特定の位置における架線、集電器、又は鉄道車両についての特定の性質又は問題を示唆する。データモデルを連続的に更新することは、使用の度合いと相関された摩耗とを記録することも可能にし、これは、検査措置及び保守の改良された計画を可能にする。データモデルを連続的に更新することは、走行中に集電器から得られたデータと、データをデータモデルと比較することとによって、集電器の位置決めが実施されるように、その位置を決定するために使用されてもよい。
【0033】
さらに、鉄道車両から独立して、集電器に形成された測定ユニットが使用され得る。この測定ユニットは、鉄道車両とは空間的及び/又は機能的に独立して、集電器に配置又は一体化され得る。よって、測定ユニットと鉄道車両とが接続されることは必須ではない。特に、この測定ユニットは、鉄道車両の低電圧回路に接続される必要がない。測定ユニット、及び結果として集電器は、鉄道車両の製造者の具体的な保証なしに、鉄道車両の型とは無関係に使用できる。しかし、測定値及び/又は特性値を車掌に示すために、測定ユニットが鉄道車両、例えば鉄道車両の運転席に接続されることは、任意に選択できる。特に、データは、測定ユニットと鉄道車両との間で双方向にやり取りされ得る。結果として、例えば摩耗が運転席に示され得るか、又は速度のような、鉄道車両の利用可能な測定されたデータが、運転席において測定ユニットによって処理され得る。しかし、好ましくは、測定ユニットは鉄道車両とは独立して使用され得る。
【0034】
特性値は、摺動片がトロリー線に接しているとき、鉄道車両の運転中に決定され、特性値は、代替として又は追加として、鉄道車両の停車中に決定され、摺動片は、停止位置に配置され得るか、又はトロリー線の上の接触位置と、鉄道車両の上の停止位置とで移動され得る。そして、特性値は、停止位置において記録できる測定値に基づくだけで決定できる。摺動片がトロリー線から離れている時、又は摺動片が鉄道車両の上の停止位置からトロリー線に向かって移動している時に、外部の影響によって影響されることなく、振動が、実質的に振動し得る摺動片において発生させられる。これは、例えば、摩耗の状態を決定するために振動を使用することを可能にする。
【0035】
本発明に係る集電器は、鉄道車両の屋根に配置され、架線のトロリー線から鉄道車両に電力を伝送するために用いられ、集電器は、その上に配置された摺動片を有する位置調整器を備え、位置調整器は、摺動片が、位置調整器によってトロリー線に対して移動可能であり、摺動接触位置においてトロリー線に対して押圧力を用いて押し付けられるように形成され、位置調整器は、摺動片に押圧力を発生させる駆動機構及びばね機構を有しており、集電器は、測定器を有する測定ユニットを有し、測定器のセンサ装置の少なくとも2つのセンサは、位置調整器及び/又は摺動片に配置され、測定値は、センサによって、いずれの場合も、前記摺動片において記録され、測定値は、測定器の処理装置によって処理され、測定値は、処理装置によって互いに相関させられ、集電器及び/又は架線の動作状態を記述する特性値が決定できる。本発明に係る集電器の有利な点に関し、本発明に係る方法の有利な点の記述の参照がされる。
【0036】
さらに、集電器の実施形態の有利な点が、方法の請求項1を引用する従属請求項の特徴の記述から得られる。
【0037】
本発明に係る監視システムは、少なくとも1つの本発明に係る集電器をそれぞれが有する複数の鉄道車両を備え、この監視システムは、複数の集電器の測定ユニットの測定値及び/又は特性値を処理するための評価ユニットを備える。前述のように、このことは、鉄道車両の複数の集電器、又は集電器を有する複数の鉄道車両を監視すること、及び/又は1つの評価ユニットを用いて、対応する集電器を制御することを可能にする。しかし、それぞれの集電器が評価ユニットを有することが意図され得る。鉄道車両は、複数の集電器をそれぞれが有してもよい。全体として、この監視システムを用いて、集電器のデータセットを、データリンクの型とは無関係に収集し評価することが、このように可能になる。監視システムは、集電器及び/又は鉄道車両から間隔をあけて配置された評価ユニットを有してもよく、鉄道車両の外側に鉄道車両から離されて、例えば建物の中に固定されるように配置され得る。例えば、位置、記録時刻、及び該当する場合には、集電器の検出された欠陥の間の相関関係が、評価ユニットに記録されたデータを介して導出され得る。例えば、集電器又は架線における、比較的増大した摩耗又は具体的な欠陥が、季節又は軌道と関連付けられ得る。
【0038】
この監視システムは、1つ又は複数のユーザユニットを備え得て、ユーザユニットは互いに間隔をあけて配置され得る。対応するユーザユニットを持つデータリンク(郡)は、外部データネットワークを介して確立され得る。このユーザユニットは、監視システムから独立したコンピュータであり得る。このコンピュータは、据え置き型コンピュータ、移動無線装置等であり得て、監視システムとデータをやり取りするためのデータリンクが、このコンピュータを介して確立され得る。このデータは、例えばインターネットのような、外部データネットワークを介してやり取りされ得る。よって、評価ユニットを用いて生成されたデータは、出力器を介して拡張されたユーザグループが利用できるようにされ得る。この出力器は、ソフトウェアアプリケーションを用いるサーバによって形成され得て、出力器は、評価ユニットによって計算された結果と、データ記憶に含まれる情報とを対応するユーザユニットに送信する。この送信は、集電器、架線の軌道、及び鉄道車両の評価の現在の概要のような、選ばれた情報を有するウェブページを提供することによって実施され得る。この情報は、鉄道を運営する会社に、彼らのニーズに合うように提供され得る。
【0039】
さらに、監視システムの実施形態の有利な点が、方法の請求項1を引用する従属請求項の特徴の記述から得られる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
以下に、本発明は、添付された図面を参照してより詳細に記述される。
図1図1は、鉄道車両にある集電器の側面図を示す。
図2a図2aは、未使用の摺動片の正面図を示す。
図2b図2bは、摩耗した摺動片の正面図を示す。
図3図3は、トロリー線の軌道の一部の概略図を示す。
図4図4は、鉄道車両と共に監視システムの概略図を示す。
図5図5は、測定ユニットの第1実施形態の概略図を示す。
図6図6は、測定ユニットの第2実施形態の概略図を示す。
図7図7は、別の監視システムの概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1は、パンタグラフ12として形成された位置調整器13を有する鉄道車両(不図示)の屋根11にある集電器10を示す。パンタグラフ12において、2つの摺動片14は、トロリー線16と直角を成すロッカー15に配置されている。鉄道車両は、速度Vでトロリー線16に対して移動し、摺動片14は、押圧力Fを用いてトロリー線16と直角を成す及び/又は直交するように、トロリー線16に対して押し付けられる。摺動片14は、カーボン接触要素(不図示)及び摺動片保持器で形成され、トロリー線16上の摺動片14の上述の移動は、カーボン材料の摩耗の原因となる。
【0042】
図2a及び図2bは、摺動片17の、異なる摩耗の状態及びその外見を示す。摺動片17は実質的に接触要素18で形成されており、接触要素18は、カーボン、より正確にはグラファイトからなり、摺動片保持器19によって形成される。摺動片保持器19はプロファイル20を有し、プロファイル20は一般にアルミニウムで構成されており、接触要素18はプロファイル20に備えられる。マウンティングベアリング21が、プロファイル20の上に形成され、摺動片17を位置調整器(不図示)に接続するために用いられる。
【0043】
図2aは、摺動片17が新しい、すなわち未使用の状態にある時を示し、摺動片17の中央部22の領域において、摺動片17の接触要素18の高さHCN及び/又は高さHTNは変化しておらず、より正確には最大値を有することを意味する。マウンティングベアリング21及び中央部22の領域に、測定システムのセンサ機器の加速度センサ(不図示)が配置されている。
【0044】
図2bは、摺動片17が摩耗した、使用済みの状態を示し、ここで中央部22の領域において、摺動片17の接触要素18の高さHCW及び/又は高さHTWの高さが、接触要素18の表面23の摩耗により著しく減少している。この結果、摺動片17の振動の挙動が変化することになるが、それは摺動片17の抵抗トルク及び/又は質量が、変化又は減少したからである。中央部22の領域において、接触要素18の摩耗は最も顕著であるが、これは、トロリー線(不図示)がジグザグの経路を有し、鉄道車両の走行中に、接触要素18及び表面23の外側端部24の間を行き来しながら、表面23において摺動片17を擦るからである。
【0045】
図3は、軌道26及び鉄道車両の集電器(不図示)の摺動片27に対するトロリー線25の概略図を示す。この部分に示されるトロリー線25は、軌道26に対してジグザグの経路を形成する。架線(不図示)は、トロリー線が架線の取付位置28において保持されるように構成されている。トロリー線25は、取付位置28の間の実質的に直線である区画29に延びている。軌道26に沿って鉄道車両が走行する間、トロリー線25は、摺動片27の長さに沿って交互に摺動片27を擦る。集電器は、測定器と、測定器のセンサ装置の少なくとも2つのセンサとを有する測定ユニットに備え付けられている。センサによって、摺動片27の振動が記録され得て、これらの測定値は、処理され得て、測定器の処理装置を用いて互いに相関させられる。処理装置は、それらに基づいて架線の動作状態及び/又はトロリー線25のジグザグの経路を決定、及び/又は計算し得る。
【0046】
図4は、鉄道車両31と共に監視システム30の概略図を示す。鉄道車両は、軌道32を走行し、鉄道車両31の屋根34に集電器33を有しており、集電器33は、トロリー線35に接触され得る。監視システム30は、複数の測定ユニット36を集電器33に備え、それぞれの測定ユニットは、処理装置37及び測定器38を有する。監視システムは、評価ユニット39をさらに備え、評価ユニット39は、測定ユニット36からのデータセットを受け取り、記録し、処理する。評価ユニット39は、データセットを分析し、分析の結果を出力し得る。測定ユニット36は、データリンク40を介して外部データネットワーク41を経由して評価ユニット39に接続され、データセットは、データリンク40によって無線信号を介して伝送される。この場合、データセットは、双方向に伝送され得る。処理装置37は、測定ユニット36又はセンサ(不図示)からの、集電器33で測定された値を記録し、測定値を互いに相関させ、その結果、集電器33又はトロリー線35の動作状態を決定する。この結果は、前述のように、評価ユニット39に伝送される。一般に、あるデータリンクを介する、測定ユニット36と外部データネットワーク41との接続が、可能であり十分である。オプションとして、外部データネットワーク41を回避すること、つまり測定ユニット36と評価ユニット39との間で直接にデータセットをやり取りすることも可能である。処理装置37の結果及び/又は測定値が、運転席42の中の車掌に示され得るように、測定ユニット36は、鉄道車両31の運転席42に接続され得る。
【0047】
図5は、測定ユニット43の第1実施形態の概略図を示す。測定ユニット43は、測定器44で構成され、評価ユニット45をさらに備える。測定器44自体は、複数のセンサ47,48を有するセンサ装置46と、処理装置49とを備える。加えて、電源装置50が設けられ、測定器44は、電源装置50によって電力が供給される。電源装置50は、エネルギー貯蔵装置、発電機、又は例えば鉄道車両又はトロリー線を介した外部電源であり得る。評価ユニット45は、データ記憶51及び評価器52を有し、データ、より正確には測定値及び/又は特性値を処理装置49から受け取る。処理装置49は、測定された値をセンサ装置46のセンサ47,48から受け取り、これらを処理する。これらの測定された値は、図1に例示的に示されているタイプの集電器(不図示)の押圧器の動作パラメータ及び/又は物理的な測定された変数に関連する。処理装置49は、測定値を互いに相関させて、集電器及び/又は架線に対応する動作状態を記述する特性値を検出するように、測定値を処理する。それぞれの検出された特性値は、処理装置49によって、評価ユニット45に連続的に又は逐次的に伝送され、データ記憶51に記憶され、及び/又は評価装置52を用いて処理及び/又は加工される。
【0048】
図6は、別の測定ユニット53を示し、ここでは、図5の測定ユニットとは対照的に、処理装置49は、制御器54にデータを伝送する。制御器54は、調整装置55及び位置調整器56からなり、調整装置55は、伝送されたデータの関数として、位置調整器56のアクチュエータ(不図示)を調整する。その結果、摺動片の上昇が電力バスによって実質的に防止されるように、位置調整器56を備える集電器の摺動片の押圧力は、調整装置55によって調整される。
【0049】
図7は、測定ユニット58を有する監視システム57を示す。監視システム57は、複数の測定ユニット58を有し得る。測定ユニット58は、図6の測定ユニットとは対照的に、送信装置60を備える測定装置59を有する。送信装置60は、処理装置49から、データ、より正確には測定値及び/又は特性値を受け取り、これらを制御器54に伝送する。さらに、送信装置60と外部データネットワーク61との間にはデータリンク62が存在し、測定値及び/又は特性値は、データリンク62によって、無線信号を介して伝送される。別のデータリンク63を介して、データ記憶65を有する評価ユニット64は、外部データネットワーク61及び評価器66に接続されており、データ、より正確には測定値及び/又は特性値を外部データネットワーク61を介して送信装置60と、やり取りする。一般に、外部データネットワーク61を回避すること、つまり直接的なデータリンク62を介して、これらのデータを直接にやり取りすることも可能である。さらに、外部データネットワーク61を有する別のデータリンク69に接続されたユーザユニット68が設けられる。よってユーザユニット69は、評価ユニット64とデータをやり取りし得る、つまり、評価ユニット64によって加工された測定ユニット58のデータは、ユーザユニット68を介して出力及び表示され、さらなる使用のために提供され得る。ユーザユニット68は、直接的なデータリンク70を介して、評価ユニット64に直接に接続されてもよい。よって全体として、集電器(不図示)に設けられたセンサ47,48によって測定値を得ること、及び制御器54によって対応する集電器を直接的に制御及び/又は調整するためにこれらを使用することが可能である。さらに、これらのデータは、外部ネットワーク61を介して、例えばインターネットを介して、記憶及び評価のために評価ユニット64に伝送され得る。よって、データの機能的な関係が使用され、評価され、解釈され得る。これらの評価の結果は、ユーザユニット68を介してエンドユーザが利用できるようにされ得る。
図1
図2a
図2b
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】