(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】地域暖房プラントからの煙道ガスからCO2を回収するための方法
(51)【国際特許分類】
B01D 53/62 20060101AFI20240829BHJP
B01D 53/78 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
B01D53/62
B01D53/78 ZAB
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024515836
(86)(22)【出願日】2022-09-13
(85)【翻訳文提出日】2024-05-09
(86)【国際出願番号】 EP2022075447
(87)【国際公開番号】W WO2023041541
(87)【国際公開日】2023-03-23
(32)【優先日】2021-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NO
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524092707
【氏名又は名称】カプソル テクノロジーズ エイエスエイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハムリン、ステラン
【テーマコード(参考)】
4D002
【Fターム(参考)】
4D002AA09
4D002BA02
4D002BA13
4D002CA07
4D002DA31
4D002EA08
4D002FA01
4D002GA01
4D002GB01
4D002GB03
4D002GB04
4D002HA08
(57)【要約】
炭素質燃料を燃焼させる地域暖房プラントからの煙道ガスからCO2を回収するための方法であって、煙道ガスは、吸収器16に導入される前に、圧縮され、その後冷却され、煙道ガスは、吸収器16に導入された水性CO2吸収剤溶液に対して向流の流れにされてリーン煙道ガスをもたらし、リーン煙道ガスは、吸収器16から取り出され、新たに流入する圧縮煙道ガスにより再加熱され、その後、膨張されて大気に放出され、リッチ吸収剤は再生器30に導入され、ストリッピングされてCO2を放出し、リーン吸収剤を再生器30から取り出し、リーン吸収剤を吸収器16に導入し、リーン吸収剤の流れは2つに、すなわち、吸収器16内の吸収剤充填物17の頂部に導入される第1の流と、地域暖房プラントから受け取られて地域暖房プラントに戻る熱流体により冷却される第2の流れとに分割され、このようにして冷却された吸収剤は、吸収器の頂部で冷却器充填物21の頂部に導入され、それにより、リーン煙道ガスを、新たに流入する圧縮煙道ガスによって再加熱する前に、冷却及び乾燥し、その後、膨張させて環境中に放出する方法、及び当該方法を実施するためのプラントが開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素質燃料を燃焼させる地域暖房プラントからの煙道ガスからCO
2を回収するための方法であって、
前記煙道ガスは、吸収器(16)に導入される前に、圧縮され、その後冷却され、
前記煙道ガスは、前記吸収器(16)に導入された水性CO
2吸収剤溶液に対して向流の流れにされてリーン煙道ガスをもたらし、前記リーン煙道ガスは、前記吸収器(16)から取り出され、新たに流入する圧縮された煙道ガスにより再加熱され、その後、膨張されて大気中に放出され、
CO
2を吸収した前記リッチ吸収剤は、前記吸収器(16)の底部で集められ、そこから取り出され、そして再生器(30)に導入され、前記再生器(30)において、前記CO
2リッチ吸収剤は、蒸気に対する向流の流れによってCO
2を放出するようにストリッピングされて、リーン吸収剤をもたらし、前記ストリッピングされた吸収剤又はリーン吸収剤を前記再生器(30)の底部から取り出して、前記リーン吸収剤を前記吸収器(16)に導入し、また前記吸収剤からのストリッピングされたCO
2及び蒸気を前記再生器(30)から取り出して、CO
2の沈着のためにさらに処理して送出する、方法において、
リーン吸収剤の前記流れは2つに、すなわち前記吸収器(16)内の吸収剤充填物(17)の頂部に導入される第1の流れと、前記吸収器の頂部で冷却器充填物(21)の頂部に導入される第2の流れとに分割され、それにより、前記リーン煙道ガスが、新たに流入する圧縮された煙道ガスにより再加熱され、その後、膨張されて環境中に放出される前に、前記リーン煙道ガスは冷却及び乾燥され、
前記第2の吸収剤の流れが、前記地域暖房プラントから受け取った熱流体により冷却され、また
前記このように加熱された熱流体が前記地域暖房プラントに戻さるように導かれる
ことを特徴とする、方法。
【請求項2】
CO
2がさらなる処理のために取り出される前に、前記吸収剤からストリッピングされたCO2及び蒸気は、前記再生器の頂部に配置されたCO
2冷却器内で水性冷却流体に対する向流の流れによって冷却され、前記前記CO
2及び蒸気から前記水性冷却流体に伝達された熱が、直接又は間接的に前記地域暖房プラントに伝達される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記CO
2冷却器内で前記CO
2及び蒸気を冷却するために使用される前記水性冷却流体が、前記地域暖房プラントにおいて熱流体として循環している水であり、前記地域暖房プラントから受け取った水が水性冷却流体として前記CO
2冷却器の頂部に導入され、そして使用されて加熱された前記水性冷却流体が前記冷却器の下方に集められて、前記地域暖房プラントに戻される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記CO
2冷却器内で前記CO
2及び蒸気を冷却するために使用される前記水性冷却液体が、ループ内で循環し、前記水性冷却流体がCO
2冷却器熱交換器内で熱媒体によって冷却され、前記熱媒体は、前記地域暖房プラントから受け取られ、循環して前記地域暖房プラントに戻って前記地域暖房プラントに熱を伝達する、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記吸収器の頂部で前記冷却器充填物の頂部に導入されるリーン吸収剤の前記第2の流れが、前記吸収塔に導入されるリーン吸収剤の全流量の10~60%、例えば20~50%を構成する、請求項1から4までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
リーン吸収剤の前記第2の流れが、55~75℃、例えば60~70℃の温度に冷却される、請求項1から5までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
圧縮される前記流入煙道ガスが水飽和状態であり、且つ50~70℃の温度である、請求項1から7までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
炭素質燃料を燃焼させる地域暖房プラントからの煙道ガスからCO
2を回収するためのプラントであって、
モータ(7)、及び/又は蒸気タービン(7)などの他の駆動装置によって作動される煙道ガス圧縮機(6)に前記煙道ガスを導入するための煙道ガス管(1)と、
前記圧縮された煙道ガスを熱交換ユニット(11)に導入するための圧縮煙道ガス管(10)であって、前記圧縮された煙道ガスはCO
2リーン煙道ガスにより冷却される、圧縮煙道ガス管(10)と、
前記冷却された煙道ガスを取り出して、充填セクション(17)の下方で吸収塔(16)に導入するための冷却煙道ガス管(15)と、
前記充填セクション(17)の頂部でリーン吸収剤を導入するためのリーン吸収剤管(18)と、
前記圧縮された煙道ガスにより加熱されるように前記リーン煙道ガスを前記吸収塔(16)から前記熱交換ユニット(11)に導くための、前記吸収塔(16)の頂部に接続されたリーン煙道ガス管(26)と、
前記加熱されたリーン煙道ガスを前記熱交換ユニット(11)からリーン煙道ガス膨張器(8)に導くための加熱リーン煙道ガス管(26’)と、
前記リーン煙道ガスを環境中に放出するための膨張リーン煙道ガス管(27)と、
前記吸収器(16)の底部に集められたリッチ吸収剤を導いて、充填ストリッパ・セクション(31)の頂部で脱離塔(30)に導入するためのリッチ吸収剤管(19)と、
前記充填ストリッパ・セクション(31)の下方で前記脱離塔(30)に蒸気を導入するための複数の蒸気管(52’、40’、56’)と、
さらなる処理及び廃棄のために前記脱離塔(30)の頂部からCO
2を取り出すために配置されたCO
2取出管(48)と、
前記脱離塔(30)の底部に集められたリーン吸収剤を導き、前記吸収塔(16)に導入するためのリーン吸収剤管(18、49)と
を有し、
前記リーン吸収剤管(18)で前記リーン吸収剤の一部を取り出し、前記取り出した吸収剤を、熱媒体管(3)内の、前記地域暖房プラントから受け取った熱媒体により冷却するために前記冷却水熱交換器(25’)に導入するために、副取出管(18’)が配置され、このようにして加熱された前記熱媒体を前記地域暖房プラントに戻すように熱媒体戻り管(3’)が配置され、前記熱交換器(25’)からの前記冷却されたリーン吸収剤を導いて、前記冷却器充填物(21)の頂部に導入するための冷却媒体導入管(23’)を特徴とする、プラント。
【請求項9】
前記CO
2取出管(48)を通してCO
2を取り出す前に、前記脱離器(30)の頂部に配置されたCO
2冷却器(43)の頂部に冷却水を導入して、水と前記CO
2及び蒸気との向流の流れによって前記CO
2及び蒸気を冷却するようにCO
2冷却器冷却水管(44)が配置され、CO
2冷却器コレクタ・プレート(42)が、使用された前記冷却水を集めるために前記CO
2冷却器(43)の下方に配置され、CO
2冷却水取出管(45)が、前記CO
2冷却器コレクタ・プレート(42)からの使用された冷却水を取り出すように配置され、前記CO
2冷却器冷却水取出管(45)内の前記冷却水の熱を前記地域暖房プラントに供給する手段が提供されている、請求項8に記載のプラント。
【請求項10】
前記地域暖房プラントに熱を供給するための前記手段が、CO
2冷却器熱交換器(47)を有し、CO
2冷却器流入熱媒体管(4)が、前記地域暖房プラントから前記CO
2冷却器熱交換器(47)に熱媒体を供給するように配置され、CO
2冷却器熱媒体戻り管(4’)が、加熱された熱媒体を前記地域暖房プラントに戻すようにCO
2冷却器熱交換器(47)に配置され、前記CO
2冷却器戻り管(47)が、高温の冷却水を前記CO
2冷却器熱交換器(47)に供給するように配置され、前記CO
2冷却器冷却水管(44)が、前記熱交換器で冷却された冷却水をCO
2冷却器(43)の頂部に供給するように配置されている、請求項9に記載のプラント。
【請求項11】
前記CO
2冷却器流入熱媒体管(4)に受け取られる前記冷却流体が水であり、前記CO
2冷却器流入熱媒体管(4)が前記CO
2冷却器冷却水管に接続され、前記CO
2冷却器熱媒体戻り管(4’)が前記CO
2冷却器冷却水戻り管(45)に接続されている、請求項9に記載のプラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CO2を含む煙道ガスからのCO2の回収(捕捉)に関する。より詳細には、本発明は、低温の煙道ガスからのCO2の回収に関する。低温の煙道ガスの典型的な発生源は、地域暖房用プラント、又は熱と電力を生成するための熱電複合プラントである。
【背景技術】
【0002】
世界的な気候変動につながる大気中のCO2濃度の増加は大きな懸念事項であり、化石燃料の使用を止める、又は少なくとも劇的に削減すること、及び再生可能なエネルギー資源への転換を求める圧力となっている。しかしながら、世界的なエネルギー需要の急増、及び化石燃料から再生可能エネルギー源への転換には時間とコストがかかるという事実から、炭素質燃料は、今後数十年間、エネルギー源として重要であると予想されている。したがって、二酸化炭素回収・貯留(CCS:Carbon Capture and Storage)は、世界のCO2排出量を削減する上で重要になってきている。
【0003】
CO2を回収するための多くのコンセプト及びプロジェクトが提案されてきたが、そのようなプラントの高い投資コスト及び運用コスト、並びに政治的支援の不足により、アイデア又は図面から実際のプロジェクトに発展したものはほとんどない。
【0004】
CO2の回収のために提案されているプロジェクトのほとんどは、燃焼後のCO2の回収に基づいており、この場合、CO2を含む煙道ガスは吸収器に導入され、そこでCO2を含むガスはCO2吸収剤と密接に接触させられて、煙道ガスのCO2含有量を除去するか、少なくとも実質的に削減してから、煙道ガスは環境中に放出される。CO2を吸収した吸収剤は、次いで、再使用のために吸収剤を再生するためにストリッパに導入され、回収されたCO2は、固定/貯蔵のために除去される。
【0005】
最も一般的に提案されている吸収剤は、無機吸収剤、通常は炭酸カリウムの水溶液、及び有機吸収剤、通常は1つ以上の有機アミン又はアミノ酸の水溶液である。有機吸収剤は、使用中、特に酸素の存在下で分解しやすい。このようなプラントの運転から知られるアミンの分解生成物の一部は、有毒で発がん性があることが知られており、CO2が除去された煙道ガスとともに環境に放出される場合がある。大気圧よりも高い圧力で有機吸収剤を使用する回収プラントの運転では、圧縮によって酸素分圧が上昇するので、分解の問題が増大する。一方、炭酸カリウムは比較的安価で、回収プラントの運転条件では化学的に安定しており、有毒又は発がん性の分解生成物を生成しない。
【0006】
回収プラントにおけるCO2の回収のための反応速度及びシステム平衡は、吸収器内のCO2の分圧、すなわちCO2を含むガスが吸収剤と密接に接触させられる回収プラントの部分におけるCO2の分圧に大きく依存する。加えて、高い圧力を使用すると、ガス体積が減少し、プラントの大きさを大幅に縮小することができ、したがって建設コストを削減する。
【0007】
Norsk Hydroに付与された国際公開第0048709号は、主要発電プラント、より詳細には、ガスタービン・ベースの発電所からの煙道ガスからCO2を回収するための方法に関する。ガスタービン発電プラントからの膨張及び冷却された煙道ガスは、0.5~3MPa(5~30bar)、典型的には0.7~2MPa(7~20bar)の圧力に再圧縮され、冷却されてから、圧縮されたガスは吸収器に導入されてCO2回収プラントの吸収器でアミン吸収剤と接触させられる。CO2が除去された煙道ガスは、新たに流入する煙道ガスによって再加熱されてから、新たに流入する煙道ガスを圧縮するための動力を与えるためにタービンでガスの膨張が行われる。この手法の欠点は、煙道ガスの熱を完全に利用するために、蒸気タービン・プラント及び別個のHRSGが必要なことである。
【0008】
地域暖房プラントからの煙道ガスは、地域暖房システムにおいて循環する熱媒体を加熱し、回収した熱エネルギーを地域暖房用のより高温の熱媒体の生成に使用することによって、典型的には約70~50℃、プラントの実際の構成に応じて、典型的には約60℃に冷却される。地域暖房に使用される温度に熱媒体を加熱するためには、60℃より低い煙道ガス温度ではコストがかりすぎる。地域暖房は、約60℃の露点の煙道ガスを生じる廃棄物焼却に基づくことが多い。したがって、廃棄物焼却に基づく地域暖房プラントからの60℃の排ガスは実質的に水飽和状態である。他の燃料を燃焼させるプラントからの煙道ガスは、露点がこれより高い場合も低い場合もある。
【0009】
米国特許出願公開第2021/060478(A1)号には、高圧でのCO2回収のためのプラント及び方法が記載されている。流入する排ガスは、外部燃焼室を有するガスタービンに導入され、燃焼室内で天然ガスを燃焼させるための酸素含有ガスとして使用される。燃焼室を出た圧縮煙道ガスは、プラントのCO2回収部に導入されるが、その前にCO2回収部を出たCO2リーンガスと熱交換される。熱交換器で再加熱された後、CO2リーンガスは膨張され、環境中に放出される。
【0010】
韓国特許出願公開第20170132623(A)号は、ほぼ周囲圧力で動作するアミン・ベースのCO2回収プラントに関する。一実施例によれば、ストリッパを出たCO2リッチガス流は、地域暖房用の水を予熱するための熱交換器に導入され、その後、ガスはさらに冷却され、フラッシュ・タンクでフラッシュされてCO2リッチガス相から凝縮水を分離し、CO2リッチガス相はさらに乾燥及び圧縮される。
【0011】
米国特許第10227901(B2)号は、メタネーションの方法、及び発電プラントからの煙道ガス中のCO
2のCO
2メタネーションを有する発電プラントに関する。
図1は、吸収器及びストリッパの頂部にそれぞれ冷却/洗浄セクションを含む、プラントのCO
2回収部の原理図を含む。
【0012】
Capsol-EOP ASに付与された国際公開第2017042163号には、化石燃料燃焼発電プラントからの煙道ガスなどのCO2を含む煙道ガスからCO2を回収するためのプラント及び方法が記載されており、ここでは、CO2は、高圧で回収され、CO2回収のためのコストを削減するために、熱損失及び対応するエネルギー・コストを削減するための対策が実施されている。煙道ガスは、煙道ガスの湿度を下げ、それによって煙道ガス圧縮のための圧縮機の仕事を低減するため、圧縮前に、煙道ガスの典型的な温度である約70~50℃、例えば60℃から、典型的には約30℃に冷却される。流入する煙道ガスの約30℃の温度の熱と凝縮のエネルギーは、通常、廃熱と考えられ、環境中に放出される。
【0013】
CO2回収コストは高すぎると考えられることが多く、廃熱はコストの重要な部分である。本発明は、CO2回収プラントが、地域暖房用プラントなどのエネルギー・プラントに熱のエネルギーを戻して、地域暖房用の高温熱媒体の生成を増大させ、したがって、エネルギー・プラントからのエネルギー出力を増大させることを可能にすることに関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】国際公開第0048709号
【特許文献2】米国特許出願公開第2021/060478(A1)号
【特許文献3】韓国特許出願公開第20170132623(A)号
【特許文献4】米国特許第10227901(B2)号
【特許文献5】国際公開第2017042163号
【発明の概要】
【0015】
第1の態様によれば、本発明は、炭素質燃料を燃焼させる地域暖房プラントからの煙道ガスからCO2を回収するための方法に関し、ここで、煙道ガスは、吸収器に導入される前に、圧縮され、その後冷却され、煙道ガスは、吸収器に導入された水性CO2吸収剤溶液に対して向流の流れにされてリーン煙道ガスとなり、リーン煙道ガスは吸収器から取り出され、新たに流入する圧縮煙道ガスによって再加熱され、その後、膨張されて大気に放出され、CO2を吸収したリッチ吸収剤は、吸収器の底部に集められ、そこから取り出され、再生器に導入され、再生器において、CO2リッチ吸収剤はストリッピングされて、蒸気に対する向流の流れによってCO2を放出してリーン吸収剤となり、ストリッピングされた吸収材又はリーン吸収剤を再生器の底部から取り出し、リーン吸収剤を吸収器に導入し、吸収剤からストリッピングされたCO2及び蒸気を再生器から取り出して、CO2の固定のためにさらに処理して送出し、本方法は、リーン吸収剤の流れが2つに分割され、第1の流れが、吸収器内の吸収剤充填物(packing)の頂部に導入され、第2の流れが、吸収器の頂部で冷却器充填物の頂部に導入されてリーン煙道ガスを冷却及び乾燥した後、リーン煙道ガスが、新たに流入する圧縮煙道ガスによって再加熱され、その後、膨張されて環境中に放出され、第2の吸収剤の流れが、地域暖房プラントから受け取った熱流体によって冷却され、このように加熱された熱流体が地域暖房プラントに戻されることを特徴とする。
【0016】
吸収器の底部に導入され、水性炭酸カリウム吸収剤に対して向流の流れにされた煙道ガスは、CO2吸収が発熱反応であるので加熱される。このように加熱されたリーン煙道ガスは、加熱中に水と密接に接触するので、吸収器充填物を出るリーン煙道ガスは水飽和状態である。当業者であれば、吸収器を出たリーン排気ガスが典型的には約100℃の温度から冷却されると、冷却後のガス温度に応じて、飽和ガス中の水分の実質的な部分が凝縮することを理解するであろう。冷却によるエネルギー熱及び凝縮エネルギーの両方は、ガスの冷却に使用される熱媒体に伝達され、このエネルギーは地域暖房などの他の目的に使用することができる。
【0017】
第1の実施例によれば、吸収剤からストリッピングされたCO2及び蒸気は、再生器の頂部に配置されたCO2冷却器内で冷却水に対する向流の流れによって冷却された後、CO2はさらなる処理のために取り出され、CO2及び蒸気から冷却水に伝達された熱は、直接又は間接的に地域暖房プラントに伝達される。
【0018】
別の実施例によれば、CO2冷却器でCO2及び蒸気を冷却するために使用される冷却水は、地域暖房プラントにおいて熱流体として循環している水であり、地域暖房プラントから受け取った水は冷却水としてCO2冷却器の頂部に導入され、使用され、このように加熱された冷却水は冷却器の下方に集められて、地域暖房プラントに戻される。
【0019】
さらに一実施例によれば、CO2冷却器内でCO2及び蒸気を冷却するために使用される冷却水は、ループ内で循環し、冷却水は、CO2冷却器熱交換器内で、地域暖房プラントから受け取られ、循環して地域暖房プラントに戻って地域暖房プラントに熱を伝達する熱媒体によって冷却される。
【0020】
一実施例によれば、吸収器の頂部で冷却器充填物の頂部に導入されるリーン吸収剤の第2の流れは、吸収塔に導入されるリーン吸収剤の全流量の10~60%、例えば20~50%を構成する。
【0021】
リーン吸収剤の第2の流れは、55~75℃、例えば60~70℃の温度に冷却することができる。
【0022】
一実施例によれば、圧縮される流入煙道ガスは水飽和状態であり、50~70℃の温度である。
【0023】
第2の態様によれば、炭素質燃料を燃焼させる地域暖房プラントからの煙道ガスからCO2を回収するためのプラントは、モータ(7)、及び/又は蒸気タービン(7)などの別の駆動装置によって動かされる煙道ガス圧縮機(6)に煙道ガスを導入するための煙道ガス管(1)と、圧縮された煙道ガスを熱交換ユニット(11)に導入するための圧縮煙道ガス管(10)であって、圧縮された煙道ガスは、CO2リーン煙道ガスによって冷却される、圧縮煙道ガス管(10)と、冷却された煙道ガスを取り出して、充填セクション(17)の下方で吸収塔(16)に導入するための冷却煙道ガス管(15)と、充填セクション(17)の頂部でリーン吸収剤を導入するためのリーン吸収剤管(18)と、吸収塔(16)から熱交換ユニット(11)にリーン煙道ガスを導いて、圧縮された煙道ガスによって加熱されるように、吸収塔(16)の頂部に接続されたリーン煙道ガス管(26)と、熱交換ユニット(11)から加熱されたリーン煙道ガスをリーン煙道ガス膨張器(8)に導くための加熱リーン煙道ガスの管(26’)と、リーン煙道ガスを環境中に放出するための膨張リーン煙道ガス管(27)と、吸収器(16)の底部に集められたリッチ吸収剤を導いて、充填ストリッパ・セクション(31)の頂部で脱離塔(30)に導入するためのリッチ吸収剤管(19)と、充填ストリッパ・セクション(31)の下方で脱離塔(30)に蒸気を導入するための蒸気管(52’、40’、56’)と、さらなる処理及び廃棄のために脱離塔(30)の頂部からCO2を取り出すために配置されたCO2取出管(48)と、脱離塔(30)の底部に集められたリーン吸収剤を導き、吸収塔(16)に導入するためのリーン吸収剤管(18、49)とを有し、リーン吸収剤管(18)でリーン吸収剤の一部を取り出し、取り出した吸収剤を、熱媒体管(3)で地域暖房プラントから受け取った熱媒体によって冷却するための冷却水熱交換器(25’)に導入するために、副取出(side draw)管(18’)が配置され、熱媒体戻り管(3’)が、このように加熱された熱媒体を地域暖房プラントに戻すように配置され、冷却媒体導入管(23’)が、熱交換器(25’)からの冷却されたリーン吸収剤を導いて、冷却器充填物(21)の頂部に導入するように配置されていることを特徴とする。
【0024】
一実施例によれば、CO2取出管(48)を通してCO2取り出す前に、脱離器(30)の頂部に配置されたCO2冷却器(43)の頂部に冷却水を導入して、水とCO2及び蒸気との向流の流れによってCO2及び蒸気を冷却するようにCO2冷却器冷却水管(44)は配置され、CO2冷却器コレクタ・プレート(42)は、使用された冷却水を集めるためにCO2冷却器(43)の下方に 配置され、CO2冷却水取出管(45)は、CO2冷却器コレクタ・プレート(42)からの使用された冷却水を取り出すように配置され、CO2冷却器冷却水取出管(45)内の冷却水の熱を地域暖房プラントに供給する手段が提供される。
【0025】
さらに一実施例によれば、地域暖房プラントに熱を供給するための手段は、CO2冷却器熱交換器(47)を有し、CO2冷却器流入熱媒体管(4)は、地域暖房プラントからCO2冷却器熱交換器(47)に熱媒体を供給するように配置され、CO2冷却器熱媒体戻り管(4’)は、加熱された熱媒体を地域暖房プラントに戻すようにCO2冷却器熱交換器(47)に配置され、CO2冷却器戻り管(47)は、高温の冷却水をCO2冷却器熱交換器(47)に供給するように配置され、CO2冷却器冷却水管(44)は、熱交換器で冷却された冷却水をCO2冷却器(43)の頂部に供給するように配置されている。
【0026】
別の実施例によれば、CO2冷却器流入熱媒体管(4)に受け入れられる冷却流体は水であり、CO2冷却器流入熱媒体管(4)はCO2冷却器冷却水管に接続され、CO2冷却器熱媒体戻り管(4’)はCO2冷却器冷却水戻り管(45)に接続されている。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明によるプラントの実施例のフロー図である。
【
図2】本発明の別の代替の実施例のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明は、流入する煙道ガス、実質的には水飽和状態の煙道ガスからCO2を回収するために最適化されたCO2回収のための方法及びプラントに関する。煙道ガスの典型的な発生源は、地域暖房用プラント、又は電力と地域暖房用の熱の生産のための複合プラントである。本明細書及び特許請求の範囲において、「地域暖房用プラント」又は「地域暖房プラント」という表現は、地域暖房用プラント、及び電力と地域暖房用の熱の生産のための複合プラントの両方を含むものとして使用される。
【0029】
流入する煙道ガスの温度は、煙道ガス生成プラント、及び煙道ガスを生成する地域暖房用プラントの熱回収システムにより、通常は、50℃より高く、例えば55℃より高く、又は58℃より高く、70℃より低く、例えば65℃より低く、又は62℃より低く、例えば約60℃である。流入する煙道ガスは、前記温度及び周囲圧力で実質的に水飽和状態である。
【0030】
図1は、本発明の一実施例を示すフロー図である。煙道ガスは、煙道ガス管1を通って本CO
2回収プラントに導入され、任意選択で、前処理することができる前処理ユニット2に導入されてから本プラントに導入される。前処理は、粒子を除去するための水による洗浄、及び/又は流入するガスの温度を調節するための冷却を有することができる。しかしながら、煙道ガスは洗浄され、水飽和状態であり、上記のように要求される温度であるので、前処理ユニットはたびたび省略することができる。CO
2生成プラントからの煙道ガスは、通常、周囲の圧力に近い圧力であり、煙道ガス管から直接、又は前処理ユニット2から煙道ガスを導くための前処理煙道ガス管5から煙道ガス圧縮機6に導入され、典型的には、0.5~1.2MPaA(5~12bara)の圧力に圧縮される。
【0031】
煙道ガス圧縮機は、電気モータ、及び/又は蒸気タービンなどの他の駆動装置7によって動かされ、駆動装置7は、煙道ガス圧縮機6と、さらに下記で説明するCO2リーン煙道ガス膨張機8とともに共通軸9に配置されている。煙道ガス圧縮機6に導入される煙道ガスは、通常使用されるよりも温度が高く、水飽和状態であるので、圧縮機6の仕事は、30℃で導入するときに比べて増大させなければならない。
【0032】
圧縮された煙道ガスは、圧縮煙道ガス・ライン10を通って熱交換ユニット11に導かれ、圧縮された、したがって加熱された煙道ガスは、そこで、下記でさらに説明するように、CO2リーン煙道ガス、及びリボイラ57の加熱媒体との熱交換によって冷却される。
【0033】
図示の熱交換ユニットの実施例は、3つの熱交換器を有する。圧縮され高温の煙道ガスは、まず、CO2リーン煙道ガスと熱交換する第1の煙道ガス熱交換器12に導入される。第1の煙道ガス熱交換器12を出た煙道ガスは、次いで、リボイラ熱交換器13に導入され、次いで、第2の煙道ガス熱交換器14に導かれ、ここでガスはCO2のリーン煙道ガスによってさらに冷却される。
【0034】
このように冷却された圧縮煙道ガスは、次いで、熱交換ユニット11から冷却煙道ガス管15を通って吸収器16の下部に導かれる。典型的には、吸収器16に導入される冷却された圧縮煙道ガスの温度は約100~110℃である。吸収器内で、煙道ガスは、リーン吸収剤管18を通って充填吸収器セクション17の頂部に導入された液体CO2吸収剤に対して向流の流れにされて、充填セクション内を上方に流れる煙道ガスとCO2吸収剤との間での密接な接触を確実にする。当業者であれば、充填吸収器セクションは、重ねて配置されたいくつかの充填セクション、典型的には、2つ又は3つのセクションを有することができることを理解するであろう。吸収されたCO2を有する吸収剤、すなわちリッチ吸収剤は、吸収器16の底部に集められ、リッチ吸収剤管19を通して取り出され、下記でさらに説明するように再生される。典型的には、吸収器16から取り出されるリッチ吸収剤の温度は、CO2の発熱吸収反応によって加熱されるので、約105~115℃である。
【0035】
CO2が吸収される充填吸収器セクション17を出た煙道ガス(本明細書では「リーン煙道ガス」と呼ぶ)は、典型的には、約95~105℃の温度を有し、冷却器充填物21に導かれ、ここでリーン煙道ガスは、冷却器充填物の頂部に至る冷却吸収剤ライン23’を通して導入された冷却されたCO2吸収剤に対して向流に流れることによって冷却される。冷却器充填物21は、通常、吸収器16の頂部の近くに配置されるが、別個のユニットに配置されてもよい。当業者であれば、冷却器充填物は1つ以上、通常は1~3個の充填物で構成されてもよいことを理解するであろう。
【0036】
冷却器充填物の頂部に導入される冷却吸収剤は、取出ライン18’でリーン吸収剤ライン18から取り出され、流入熱媒体管3を通って導入されて熱媒体戻り管3’で家庭用暖房プラントに戻される家庭用暖房システムからの水性冷却流体によってリーン吸収剤冷却器25で冷却され、熱エネルギーをリーン煙道ガス冷却器20から家庭用暖房プラントへ伝達して、家庭用暖房の目的のためにより多くの熱を生成する。冷却されたCO2吸収剤は、リーン吸収剤冷却器25から冷却吸収剤管23’に取り出され、冷却器充填物21の頂部に導入される。冷却セクション20でCO2リーン煙道ガスを冷却することによって、リーン煙道ガス中の水分の一部が凝縮し、したがって、CO2リーン煙道ガス中の含水量が減少する。通常、吸収剤ライン18のリーン吸収剤の約10~60%が取出ライン18’から取り出され、リーン吸収剤冷却器25で、典型的には、95~105℃から約60~70℃に冷却される。
【0037】
リーン煙道ガス冷却セクションを、典型的には、60~75℃の温度で出た冷却されたCO2リーン煙道ガスは、CO2リーン煙道ガス管26を通って取り出され、まず、熱交換ユニット11に導入され、そこで、ガスはまず、第2の煙道ガス熱交換器14で、典型的には、120~130℃に加熱され、その後、第1の煙道ガス熱交換器12に導入され、そこで、CO2リーン煙道ガスは、新たに流入するCO2リッチ煙道ガスと熱交換することによって加熱される。次いで、このように加熱されたCO2リーン煙道ガスは、典型的には、約190~200℃の温度で膨張器8に導入され、リーン煙道ガスは周囲の圧力まで膨張され、それによって、典型的には約25~35℃、例えば30℃に冷却され、膨張CO2リーン煙道ガス管27、好ましくは図示していない煙突を通って環境中に放出される。
【0038】
上記のように、CO2リッチ吸収剤は、吸収器の底部からリッチ吸収剤管19に取り出され、リッチ吸収剤ポンプ28によって吸い出され、脱離塔(disorber column)30に導入される。脱離塔に導入されるリッチ吸収剤の温度は、典型的には、約105~115℃である。リッチ吸収剤制御弁29は、好ましくは、直列に配置された充填ストリッパ・セクション31の頂部で脱離塔30に導入する前にリッチ溶媒の圧力を制御/減圧するために配置される。当業者であれば、充填ストリッパ・セクションは、重ねて配置されたいくつかの充填セクション、典型的には、2つ又は3つのセクションを有することができることを理解するであろう。充填ストリッパ・セクション31では、下記で説明するように、充填ストリッパ・セクション31の下方で異なる蒸気源から導入された蒸気の向流の流れによって、液体吸収剤からCO2がストリッピングされる。
【0039】
充填脱離器セクション31を出た、吸収剤からストリッピングされたCO2及び蒸気は、典型的には、約100~120℃の温度を有し、下部脱離器コレクタ・プレート32を通って脱離塔30内を上方に流れ、充填再生冷却器セクション33に入り、そこで蒸気及びCO2は、冷却水に対する向流の流れによって冷却される。冷却水は、約90~100℃の温度で、再生冷却器水管34から充填再生冷却器セクション33の頂部に導入される。冷却水、及び充填再生冷却器セクション33で凝縮し、約95~105℃の温度を有する水は、下部脱離器コレクタ・プレート32で集められ、再生冷却器水取出管35を通して取り出され、再生冷却器フラッシュ弁36でフラッシュされ、再生冷却器フラッシュ・タンク37に導入される。
【0040】
再生冷却器フラッシュ・タンク37の底部に集められた水は、再生冷却水リサイクル管38を通して取り出され、再生冷却水ポンプ39で再生冷却水管34に吸い出され、充填再生冷却器セクションの頂部に冷却水として導入される。
【0041】
再生冷却器フラッシュ・タンク37でフラッシュすることによって形成された蒸気は、再生冷却器蒸気管40を通して取り出され、再生冷却器蒸気圧縮機41で圧縮されてから、約140~150℃の温度でストリッピング蒸気として充填ストリッパ・セクション31の下方で脱離器に導入される。
【0042】
充填再生冷却器セクション33の頂部を出た蒸気及びCO2は、CO2冷却器コレクタ・プレート42を通って脱離器30の中を上方に流れ続け、CO2冷却器充填セクション43で冷却水に対する向流の流れによって約90~100℃から約30℃の温度にさらに冷却される。冷却水は、CO2冷却器冷却水管44からCO2冷却器充填セクション43の頂部に導入される。冷却水はCO2冷却器コレクタ・プレート42上に集められ、CO2冷却器水戻り管45を通して取り出され、CO2冷却器冷却水ポンプ46によってCO2冷却器熱交換器47に吸い出されて、流入熱媒体管4で地域暖房プラントから受け取った熱媒体によって冷却される。CO2冷却器熱交換器で加熱された熱媒体は、熱媒体戻り管4’を通して取り出され、加熱された熱媒体として地域暖房プラントに戻される。CO2冷却器熱交換器47で冷却された水は、CO2冷却器冷却水管44を経てCO2冷却器に再導入される。
【0043】
当業者であれば、再生冷却器フラッシュ・タンク37内での再生冷却水のフラッシュからの蒸気生成効率は、フラッシュ・タンク37を出た水相が第2のフラッシュ弁で第2のフラッシュ・タンク内にフラッシュされる2段階のフラッシュ・プロセスによって増大させることができることを理解するであろう。このような2段階のフラッシュ・プロセスでは、第2のフラッシュ・タンクで生成された気相は、第2の再生冷却器蒸気圧縮機で、再生冷却器蒸気圧縮機41を出る気相と同じ圧力に圧縮され、追加のストリッピング蒸気として脱離塔30に導入される。
【0044】
上記のように、CO2冷却器充填セクション43のCO2及び蒸気の冷却のための冷却水は、CO2冷却器熱交換器47において、CO2冷却器流入熱媒体管4で地域暖房から約50~70℃、例えば約60℃の温度で受け取った冷却媒体によって冷却され、CO2冷却器熱媒体戻り管4’でCO2生成プラントに約80~100℃、例えば約90℃で戻されて、CO2冷却器充填セクション43からCO2生成プラントに熱エネルギーを伝達して、家庭用暖房目的の熱をより多く生成する。当業者であれば、CO2冷却器熱媒体管4内の流入熱媒体の温度は、地域暖房プラントに応じて変化する場合があり、示した温度は、そのようなプラントからの低温の熱媒体の温度の通常の範囲であることを理解するであろう。
【0045】
冷却されたCO2及び蒸気は、脱離器30の頂部からCO2取出管48で取り出され、プラントから送出される前に、回収されたCO2の乾燥、圧縮、及び冷却のために、図示していないモジュールに導入される。
【0046】
リーン吸収剤、すなわちストリッピングされてCO2を除去した吸収剤は、脱離器30の底部に集められ、そこから約110~120℃の温度で、ストリッピングされた吸収剤の管49を通して取り出され、リーン・フラッシュ弁50を通ってフラッシュされ、フラッシュ・タンク51に導入される。フラッシュ・タンク51の底部に集められた約95~105℃の温度の液体は、ポンプ54によってリーン吸収剤管18に吸い出される。リーン吸収剤ポンプ54から出たリーン吸収剤の流れを制御するために、リーン吸収剤制御弁55が配置されることが好ましい。
【0047】
蒸気はリーン・フラッシュ・タンク51からリーン・フラッシュ管52を通して取り出され、リーン・フラッシュ圧縮機53で圧縮され、ストリッピング蒸気として約150~200℃の温度で圧縮リーン・フラッシュ管52’を経て充填セクション31の下方で脱離器に導入される。
【0048】
脱離器30の底部に集められたストリッピングされた吸収剤の一部は、リボイラ管56を通して取り出され、リボイラ57に導入され、ストリッピングされた吸収剤はそこで加熱されて蒸気を生成し、この蒸気はリボイラ蒸気管56’を経て脱離器30にストリッピング蒸気として導入される。リボイラ57は、リボイラ熱交換器13からリボイラ熱管58で加熱用の高温蒸気を約128℃より高い温度で受け取り、リボイラで加熱用に使用された蒸気は、約126℃の温度でリボイラ水戻し管59によって水の形態でリボイラ熱交換器13に戻される。このリボイラ熱交換器13からリボイラ57へのこの熱伝達は、水以外の熱伝達媒体、例えば油によって行ってもよい。
【0049】
先に提案した温度よりも高い温度、例えば50℃から70℃、典型的には約60℃で水飽和煙道ガスを煙道ガス圧縮機6に導入すると、先に提案した30℃以下の温度と比較して、煙道ガス圧縮機6の仕事が増大する(例えば、国際公開第2017042163号参照)。圧縮機の仕事が増大すると、モータ7により多くの電力を入力する必要がある。しかしながら、水飽和煙道ガスを先の提案よりも比較的高い温度で圧縮し、より高い温度と圧力で煙道ガスを凝縮させることができることによって、凝縮からのエネルギーをより高い温度で得ることができる。その結果、冷却水熱交換器25及びCO2冷却水冷却器47の両方が、80℃より高い温度、好ましくは約90℃で、家庭用暖房プラントなどの他の目的に高温水を供給することができる。加えて、吸収器16及び脱離器30の両方の温度が上昇する。温度が上昇し、その結果、吸収器及び脱離器内の蒸気の流量が増加する結果、リーン・フラッシュ・タンク51及び再生冷却器フラッシュ・タンク37内のリーン吸収剤のフラッシュは、ストリッピングに必要な量の蒸気をより効率的に生成する。生成された量の蒸気は圧縮され、上記のようにストリッピング蒸気として脱離器30に戻される。
【0050】
図2は本発明の代替の実施例を示し、ここでは、CO
2は、冷却器43で地域暖房プラントからの熱流体と直接接触して冷却される。地域暖房システム内を循環する熱流体は通常水である。この実施例によれば、CO
2冷却器43は、地域暖房からの水と直接接触することによって冷却される。典型的には50~70℃、例えば約60℃の温度の低温の水が、熱媒体管4からCO
2冷却器43の頂部に導入され、CO
2冷却器43内を上方に流れるCO
2に対向して流れる。CO
2を冷却することによって加熱された水は、コレクタ・プレート42に集められ、冷却水管45を経て取り出され、冷却水ポンプ46によって熱媒体戻りライン4’に吸い出される。ライン4’に戻された水の温度は、典型的には約80~100℃、例えば約90℃である。
【0051】
当業者であれば、地域暖房用プラントが、熱生成が需要より多いときには熱エネルギーを貯蔵し、熱生成が需要よりも少ないときには熱エネルギーを供給するためのエネルギー貯蔵ユニットを有してもよいことを理解するであろう。熱は、十分に断熱された大型タンクに高温水として、又は70~100℃の融点の塩類溶液に貯蔵されてもよい。
【手続補正書】
【提出日】2023-11-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素質燃料を燃焼させる地域暖房プラントからの煙道ガスからCO
2を回収するための方法であって、
前記煙道ガスは、吸収器(16)に導入される前に、圧縮され、その後冷却され、
前記煙道ガスは、前記吸収器(16)に導入された水性CO
2吸収剤溶液に対して向流の流れにされてリーン煙道ガスをもたらし、前記リーン煙道ガスは、前記吸収器(16)から取り出され、新たに流入する圧縮された煙道ガスにより再加熱され、その後、膨張されて大気中に放出され、
CO
2を吸収した前記リッチ吸収剤は、前記吸収器(16)の底部で集められ、そこから取り出され、そして再生器(30)に導入され、前記再生器(30)において、前記CO
2リッチ吸収剤は、蒸気に対する向流の流れによってCO
2を放出するようにストリッピングされて、リーン吸収剤をもたらし、前記ストリッピングされた吸収剤又はリーン吸収剤を前記再生器(30)の底部から取り出して、前記リーン吸収剤を前記吸収器(16)に導入し、また前記吸収剤からのストリッピングされたCO
2及び蒸気を前記再生器(30)から取り出して、CO
2の沈着のためにさらに処理して送出する、方法において、
リーン吸収剤の前記流れは2つに、すなわち前記吸収器(16)内の吸収剤充填物(17)の頂部に導入される第1の流れと、前記吸収器の頂部で冷却器充填物(21)の頂部に導入される第2の流れとに分割され、それにより、前記リーン煙道ガスが、新たに流入する圧縮された煙道ガスにより再加熱され、その後、膨張されて環境中に放出される前に、前記リーン煙道ガスは冷却及び乾燥され、
前記第2の吸収剤の流れが、前記地域暖房プラントから受け取った熱流体により冷却され、また
前記このように加熱された熱流体が前記地域暖房プラントに戻さるように導かれる
ことを特徴とする、方法。
【請求項2】
CO
2がさらなる処理のために取り出される前に、前記吸収剤からストリッピングされたCO2及び蒸気は、前記再生器の頂部に配置されたCO
2冷却器内で水性冷却流体に対する向流の流れによって冷却され、前記前記CO
2及び蒸気から前記水性冷却流体に伝達された熱が、直接又は間接的に前記地域暖房プラントに伝達される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記CO
2冷却器内で前記CO
2及び蒸気を冷却するために使用される前記水性冷却流体が、前記地域暖房プラントにおいて熱流体として循環している水であり、前記地域暖房プラントから受け取った水が水性冷却流体として前記CO
2冷却器の頂部に導入され、そして使用されて加熱された前記水性冷却流体が前記冷却器の下方に集められて、前記地域暖房プラントに戻される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記CO
2冷却器内で前記CO
2及び蒸気を冷却するために使用される前記水性冷却液体が、ループ内で循環し、前記水性冷却流体がCO
2冷却器熱交換器内で熱媒体によって冷却され、前記熱媒体は、前記地域暖房プラントから受け取られ、循環して前記地域暖房プラントに戻って前記地域暖房プラントに熱を伝達する、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記吸収器の頂部で前記冷却器充填物の頂部に導入されるリーン吸収剤の前記第2の流れが、前記吸収塔に導入されるリーン吸収剤の全流量の10~60%、例えば20~50%を構成する、請求項1から4までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
リーン吸収剤の前記第2の流れが、55~75℃、例えば60~70℃の温度に冷却される、請求項1から5までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
圧縮される前記流入煙道ガスが水飽和状態であり、且つ50~70℃の温度である、請求項1から7までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
炭素質燃料を燃焼させる地域暖房プラントからの煙道ガスからCO
2を回収するためのプラントであって、
モータ(7)、及び/又は蒸気タービン(7)などの他の駆動装置によって作動される煙道ガス圧縮機(6)に前記煙道ガスを導入するための煙道ガス管(1)と、
前記圧縮された煙道ガスを熱交換ユニット(11)に導入するための圧縮煙道ガス管(10)であって、前記圧縮された煙道ガスはCO
2リーン煙道ガスにより冷却される、圧縮煙道ガス管(10)と、
前記冷却された煙道ガスを取り出して、充填セクション(17)の下方で吸収塔(16)に導入するための冷却煙道ガス管(15)と、
前記充填セクション(17)の頂部でリーン吸収剤を導入するためのリーン吸収剤管(18)と、
前記圧縮された煙道ガスにより加熱されるように前記リーン煙道ガスを前記吸収塔(16)から前記熱交換ユニット(11)に導くための、前記吸収塔(16)の頂部に接続されたリーン煙道ガス管(26)と、
前記加熱されたリーン煙道ガスを前記熱交換ユニット(11)からリーン煙道ガス膨張器(8)に導くための加熱リーン煙道ガス管(26’)と、
前記リーン煙道ガスを環境中に放出するための膨張リーン煙道ガス管(27)と、
前記吸収器(16)の底部に集められたリッチ吸収剤を導いて、充填ストリッパ・セクション(31)の頂部で脱離塔(30)に導入するためのリッチ吸収剤管(19)と、
前記充填ストリッパ・セクション(31)の下方で前記脱離塔(30)に蒸気を導入するための複数の蒸気管(52’、40’、56’)と、
さらなる処理及び廃棄のために前記脱離塔(30)の頂部からCO
2を取り出すために配置されたCO
2取出管(48)と、
前記脱離塔(30)の底部に集められたリーン吸収剤を導き、前記吸収塔(16)に導入するためのリーン吸収剤管(18、49)と
を有し、
前記リーン吸収剤管(18)で前記リーン吸収剤の一部を取り出し、前記取り出した吸収剤を、熱媒体管(3)内の、前記地域暖房プラントから受け取った熱媒体により冷却するために前記冷却水熱交換器(25’)に導入するために、副取出管(18’)が配置され、このようにして加熱された前記熱媒体を前記地域暖房プラントに戻すように熱媒体戻り管(3’)が配置され、前記熱交換器(25’)からの前記冷却されたリーン吸収剤を導いて、前記
吸収器の頂部で冷却器充填物(21)の頂部に導入するための冷却媒体導入管(23’)を特徴とする、プラント。
【請求項9】
前記CO
2取出管(48)を通してCO
2を取り出す前に、前記脱離器(30)の頂部に配置されたCO
2冷却器(43)の頂部に冷却水を導入して、水と前記CO
2及び蒸気との向流の流れによって前記CO
2及び蒸気を冷却するようにCO
2冷却器冷却水管(44)が配置され、CO
2冷却器コレクタ・プレート(42)が、使用された前記冷却水を集めるために前記CO
2冷却器(43)の下方に配置され、CO
2冷却水取出管(45)が、前記CO
2冷却器コレクタ・プレート(42)からの使用された冷却水を取り出すように配置され、前記CO
2冷却器冷却水取出管(45)内の前記冷却水の熱を前記地域暖房プラントに供給する手段が提供されている、請求項8に記載のプラント。
【請求項10】
前記地域暖房プラントに熱を供給するための前記手段が、CO
2冷却器熱交換器(47)を有し、CO
2冷却器流入熱媒体管(4)が、前記地域暖房プラントから前記CO
2冷却器熱交換器(47)に熱媒体を供給するように配置され、CO
2冷却器熱媒体戻り管(4’)が、加熱された熱媒体を前記地域暖房プラントに戻すようにCO
2冷却器熱交換器(47)に配置され、前記CO
2冷却器戻り管(47)が、高温の冷却水を前記CO
2冷却器熱交換器(47)に供給するように配置され、前記CO
2冷却器冷却水管(44)が、前記熱交換器で冷却された冷却水をCO
2冷却器(43)の頂部に供給するように配置されている、請求項9に記載のプラント。
【請求項11】
前記CO
2冷却器流入熱媒体管(4)に受け取られる前記冷却流体が水であり、前記CO
2冷却器流入熱媒体管(4)が前記CO
2冷却器冷却水管に接続され、前記CO
2冷却器熱媒体戻り管(4’)が前記CO
2冷却器冷却水戻り管(45)に接続されている、請求項9に記載のプラント。
【請求項12】
前記冷却器充填物の頂部に導入されて前記リーン煙道ガスを冷却及び乾燥させる前記第2の吸収剤の流れが、前記吸収剤充填物の頂部に導入される前記第1の流れより25~45℃低い温度を有している、請求項1から7までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
取り出されたリーン吸収剤が、前記冷却器充填物(21)の頂部に導入される前に25~45℃だけ冷却される、請求項8から11までのいずれか一項に記載のプラント。
【国際調査報告】