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特表2024-532578炭化ケイ素表面の化学機械複合加工方法
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  • 特表-炭化ケイ素表面の化学機械複合加工方法 図1
  • 特表-炭化ケイ素表面の化学機械複合加工方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】炭化ケイ素表面の化学機械複合加工方法
(51)【国際特許分類】
   B24B 7/22 20060101AFI20240829BHJP
   B24B 1/00 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
B24B7/22 A
B24B1/00 A
B24B1/00 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515837
(86)(22)【出願日】2022-11-03
(85)【翻訳文提出日】2024-03-11
(86)【国際出願番号】 CN2022129543
(87)【国際公開番号】W WO2023142579
(87)【国際公開日】2023-08-03
(31)【優先権主張番号】202210086357.0
(32)【優先日】2022-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524092671
【氏名又は名称】華僑大學
【氏名又は名称原語表記】HUAQIAO UNIVERSITY
【住所又は居所原語表記】HUANG Hui,No.269 Chenghua North Rd.,Quanzhou,Fujian 362000,China
(74)【代理人】
【識別番号】100088904
【弁理士】
【氏名又は名称】庄司 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100124453
【弁理士】
【氏名又は名称】資延 由利子
(74)【代理人】
【識別番号】100135208
【弁理士】
【氏名又は名称】大杉 卓也
(74)【代理人】
【識別番号】100183656
【弁理士】
【氏名又は名称】庄司 晃
(74)【代理人】
【識別番号】100224786
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 卓之
(74)【代理人】
【識別番号】100225015
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 彩夏
(74)【代理人】
【識別番号】100231647
【弁理士】
【氏名又は名称】千種 美也子
(72)【発明者】
【氏名】黄輝
(72)【発明者】
【氏名】武民
(72)【発明者】
【氏名】張博楠
【テーマコード(参考)】
3C043
3C049
【Fターム(参考)】
3C043CC04
3C043DD04
3C049AA04
3C049AA12
3C049CA05
(57)【要約】
まず、複合してなる活性金属と砥粒とを含む研削・研磨工具(1)及び炭化ケイ素(2)をそれぞれ研削・研磨機器の機台に取り付けてから、外力の作用で炭化ケイ素(2)を研削・研磨工具(1)の表面に押し付け、最後に高速で回動する研削・研磨工具(1)と炭化ケイ素(2)とを相対運動させ、さらに高速摩擦を発生させ、活性金属と炭化ケイ素(2)との化学反応を起こし、さらに砥粒と炭化ケイ素(2)との機械的作用で反応層を除去することにより、化学-機械的複合サイクルの加工形態を形成し、炭化ケイ素(2)の表面の研削や研磨を実現する炭化ケイ素表面の化学機械複合加工方法である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
まず、複合してなる活性金属と砥粒とを含む研削・研磨工具及び炭化ケイ素をそれぞれ研削・研磨機器の機台に取り付けてから、外力の作用で炭化ケイ素を研削・研磨工具の表面に押し付け、最後に高速で回動する研削・研磨工具と炭化ケイ素とを相対運動させ、さらに高速摩擦を発生させ、活性金属と炭化ケイ素との化学反応を起こし、さらに機械的作用で反応層を除去することにより、化学-機械的複合サイクルの加工形態を形成し、炭化ケイ素の表面の研削や研磨を実現するステップを含み、前記化学-機械的複合サイクルの過程は、研削・研磨工具における活性金属と炭化ケイ素の表面が摩擦誘導により化学反応を起こし、化学反応層を生成し、その後、砥粒の機械的作用で化学反応層を掻き取り、新しい炭化ケイ素の表面を露出させ、再び化学反応を起こし、化学反応層を生成し、さらに砥粒により再び機械的に掻き取られるということであり、このようなサイクル作用により、前記化学-機械的複合サイクルの加工形態を形成し、前記研削・研磨工具は、活性金属と砥粒とを7:1~1:1の体積比でホットプレス焼結してなり、前記活性金属は、炭化ケイ素のC面又は炭化ケイ素のSi面と化学反応する金属であることを特徴とする炭化ケイ素表面の化学機械複合加工方法。
【請求項2】
炭化ケイ素のC面と化学反応する前記活性金属は、鉄、コバルト、ニッケル、マンガン、クロム、チタン、バナジウム、ジルコニウム、モリブデン、タングステン、アルミニウム及びニオブのうちの一又は複数を含むことを特徴とする請求項1に記載の炭化ケイ素表面の化学機械複合加工方法。
【請求項3】
炭化ケイ素のSi面と化学反応する前記活性金属は、コバルト、ニッケル、マンガン、クロム、チタン、バナジウム、ジルコニウム、モリブデン、タングステン、アルミニウム及びニオブのうちの一又は複数を含むことを特徴とする請求項1に記載の炭化ケイ素表面の化学機械複合加工方法。
【請求項4】
前記活性金属は、金属単体及び金属合金のうちの一又は複数の組み合わせであることを特徴とする請求項1に記載の炭化ケイ素表面の化学機械複合加工方法。
【請求項5】
前記砥粒は、酸化アルミニウム、立方晶窒化ホウ素、ダイヤモンド、窒化ケイ素及び炭化ケイ素のうちの一又は複数の組み合わせを含むことを特徴とする請求項1に記載の炭化ケイ素表面の化学機械複合加工方法。
【請求項6】
前記高速摩擦は、乾燥摩擦又は湿潤摩擦であり、前記高速摩擦のガス雰囲気は、空気雰囲気、リーン雰囲気及び不活性ガス雰囲気のうちの少なくとも1つであり、前記高速摩擦の温度は、室温又は高温であり、前記高速摩擦の速度は、1~50m/sであり、前記高速摩擦の圧力は、0.1~1Mpaであることを特徴とする請求項1に記載の炭化ケイ素表面の化学機械複合加工方法。
【請求項7】
前記研削・研磨機器は、スピンドルが回動機構により駆動回動される高速定盤と、伝動機構により駆動昇降される直動ステージとを含み、前記研削・研磨工具は、前記高速定盤のスピンドルに取り付けられ、前記炭化ケイ素は、前記直動ステージの治具に取り付けられることを特徴とする請求項1に記載の炭化ケイ素表面の化学機械複合加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超精密加工の技術分野に関し、特に炭化ケイ素表面の化学機械複合加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
第3世代の半導体材料として、炭化ケイ素(SiC)は、禁制帯幅が広く、熱伝導率が高く、熱安定性がよく、飽和ドリフト度が高いなどの優れた物理学的性能を有し、高周波、高温、放射線、光電子などの分野に広く応用されている。炭化ケイ素の工業応用は、その表面品質に対する要求が非常に高く、同時に、炭化ケイ素の硬度が非常に高く、化学的に不活性であるため、加工されにくく、これらの特徴は、工業分野での幅広い応用を阻害する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】中国特許第101966689号明細書
【特許文献2】中国特許第109702639号明細書
【特許文献3】中国特許第108949036号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在、単結晶SiCの加工工程は、主にワイヤーソー切断、研削及び化学機械研磨である。化学機械研磨は、炭化ケイ素加工の最後の工程であり、適切な圧力の作用で、研磨液を加え、研磨パッドにより炭化ケイ素ウェハの表面を研磨するが、加工中の研磨液は、環境に汚染しやすく、同時に除去率が低く、多くの工程と大量の加工時間を必要とするという問題がある。
【0005】
特許文献1(特許公開番号CN101966689B)には、大径4H-SiCウェハのカーボン面の表面研磨方法が開示されており、該特許で提供される酸性の研磨液は、単結晶ウェハの表面研磨効果を向上させるが、研磨効率が低く、研磨時間が長すぎ、研磨液が汚染を起こしやすいという問題がある。
【0006】
特許文献2(特許公開番号CN109702639B)には、SiC単結晶ウェハの研磨方法が開示されており、該特許は、水性研削液及び研磨液を用いてSiC単結晶ウェハを研削・研磨するが、依然として除去効率が低く、加工時間が長いという問題があり、使用する研削液及び研磨液も環境に汚染しやすい。
【0007】
特許文献3(特許公開番号CN108949036B)には、炭化ケイ素結晶体の研磨方法が開示されており、該特許は、研磨速度及び効果をある程度向上させたが、向上効果は、限定的であり、依然として研磨効率が低く、研磨時間が長すぎ、研磨液が汚染を起こしやすいという問題がある。
【0008】
本発明は、炭化ケイ素の加工効率が低く、炭化ケイ素表面及びサブ表面の損傷が大きく、研磨液の環境汚染などの従来問題を解決した炭化ケイ素表面の化学機械複合加工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の解決手段は、上記目的を達成するために、まず、複合してなる活性金属と砥粒とを含む研削・研磨工具及び炭化ケイ素をそれぞれ研削・研磨機器の機台に取り付けてから、外力の作用で炭化ケイ素を研削・研磨工具の表面に押し付け、最後に高速で回動する研削・研磨工具と炭化ケイ素とを相対運動させ、さらに高速摩擦を発生させることにより、化学-機械的複合サイクルの加工形態を形成し、炭化ケイ素の表面の研削や研磨を実現するステップを含み、前記化学-機械的複合サイクルの過程は、研削・研磨工具における活性金属と炭化ケイ素の表面が摩擦誘導により化学反応を起こし、化学反応層を生成し、その後砥粒の機械的作用で化学反応層を掻き取り、新しい炭化ケイ素の表面を露出させ、再び化学反応を起こし、化学反応層を生成し、さらに砥粒により再び機械的に掻き取られるということであり、このようなサイクル作用により、前記化学-機械的複合サイクルの加工形態を形成する炭化ケイ素表面の化学機械複合加工方法である。
【0010】
前記研削・研磨工具は、活性金属と砥粒とを7:1~1:1の体積比でホットプレス焼結してなる。
【0011】
前記活性金属は、炭化ケイ素のC面又は炭化ケイ素のSi面と化学反応する金属である。
【0012】
炭化ケイ素のC面と化学反応する前記活性金属は、鉄、コバルト、ニッケル、マンガン、クロム、チタン、バナジウム、ジルコニウム、モリブデン、タングステン、アルミニウム及びニオブのうちの一又は複数を含み、生成された化学反応層は、金属シリサイド、金属炭化物、Si及びCのうちの少なくとも1つを含む。
【0013】
炭化ケイ素のSi面と化学反応する前記活性金属は、コバルト、ニッケル、マンガン、クロム、チタン、バナジウム、ジルコニウム、モリブデン、タングステン、アルミニウム及びニオブのうちの一又は複数を含み、生成された化学反応層は、金属シリサイド、金属炭化物、Si及びCのうちの少なくとも1つを含む。
【0014】
前記活性金属は、金属単体及び金属合金のうちの一又は複数の組み合わせである。
【0015】
前記砥粒は、酸化アルミニウム、立方晶窒化ホウ素、ダイヤモンド、窒化ケイ素及び炭化ケイ素のうちの一又は複数の組み合わせを含む。
【0016】
前記高速摩擦は、乾燥摩擦又は湿潤摩擦であり、前記高速摩擦のガス雰囲気は、空気雰囲気、リーン雰囲気及び不活性ガス雰囲気のうちの少なくとも1つであり、前記高速摩擦の温度は、室温又は高温であり、前記高速摩擦の速度は、1~50m/sであり、前記高速摩擦の圧力は、0.1~1Mpaである。
【0017】
前記研削・研磨機器は、スピンドルが回動機構により駆動回動される高速定盤と、伝動機構により駆動昇降される直動ステージとを含み、前記研削・研磨工具は、前記高速定盤のスピンドルに取り付けられ、前記炭化ケイ素は、前記直動ステージの治具に取り付けられる。
【0018】
本発明に係る炭化ケイ素表面の化学機械複合加工方法は、金属摩擦誘導化学反応と機械的掻き取り作用とを組み合わせて炭化ケイ素を除去する方法を採用し、活性金属が高速摩擦の条件下で炭化ケイ素と化学反応することにより、軟質の化学反応層(金属シリサイド、金属炭化物、Si及びCなど)を生成し、さらに、生成された化学反応層を砥粒の機械的掻き取り作用により掻き取り、炭化ケイ素の高品質かつ高効率な除去を実現する。
【発明の効果】
【0019】
本発明の炭化ケイ素表面の化学機械複合加工方法は、1、化学反応と機械的除去を組み合わせることにより、損傷のない炭化ケイ素の表面を得ることができ、損傷の程度が研削より遥かに小さく、2、本発明の炭化ケイ素の除去効率が化学機械的研磨より遥かに高く、3、本発明は、研削、研磨工程における廃液汚染の問題を効果的に回避したという有益な効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、本発明の研削・研磨機器の構造模式図である。図中の矢印aは、下向きの圧力を示し、矢印bは、相対運動方向を示す。
図2図2は、本発明の炭化ケイ素表面の化学機械複合加工方法の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の技術案をさらに説明するために、具体的な実施例により本発明を詳細に説明する。
【0022】
炭化ケイ素表面の化学機械複合加工方法であって、図1に示すように、まず、複合してなる活性金属と砥粒とを含む研削・研磨工具1及び炭化ケイ素2をそれぞれ研削・研磨機器の機台に取り付けてから、外力の作用で炭化ケイ素2を研削・研磨工具1の表面に押し付け、最後に高速で回動する研削・研磨工具1と炭化ケイ素2とを相対運動させ、さらに高速摩擦を発生させることにより、化学-機械的複合サイクルの加工形態を形成し、炭化ケイ素の表面の研削や研磨を実現するステップを含み、化学-機械的複合サイクルの過程は、研削・研磨工具1における活性金属と炭化ケイ素2の表面が摩擦誘導により化学反応を起こし、化学反応層3を生成し、その後砥粒の機械的作用で化学反応層3を掻き取り、新しい炭化ケイ素2の表面を露出させ、再び化学反応を起こし、化学反応層3を生成し、さらに砥粒により再び機械的に掻き取られるということであり、このようなサイクル作用により、化学-機械的複合サイクルの加工形態を形成する。
【0023】
研削・研磨工具1は、活性金属と砥粒とを7:1~1:1の体積比でホットプレス焼結してなる。
【0024】
活性金属は、炭化ケイ素2のC面又は炭化ケイ素2のSi面と化学反応する金属である。
【0025】
炭化ケイ素2のC面と化学反応する活性金属は、鉄、コバルト、ニッケル、マンガン、クロム、チタン、バナジウム、ジルコニウム、モリブデン、タングステン、アルミニウム及びニオブのうちの一又は複数を含み、高速摩擦のガス雰囲気が不活性ガス雰囲気であると、生成された化学反応層は、金属シリサイドとCを含み、又は金属炭化物とSiを含み、又は金属炭化物と金属シリサイドを含み、高速摩擦のガス雰囲気が酸素ガスを含むと、生成された化学反応層は、さらに二酸化ケイ素を含む。
【0026】
炭化ケイ素2のSi面と化学反応する活性金属は、コバルト、ニッケル、マンガン、クロム、チタン、バナジウム、ジルコニウム、モリブデン、タングステン、アルミニウム及びニオブのうちの一又は複数を含み、高速摩擦のガス雰囲気が不活性ガス雰囲気であると、生成された化学反応層は、金属シリサイドとCを含み、又は金属炭化物とSiを含み、又は金属炭化物と金属シリサイドを含み、高速摩擦のガス雰囲気が酸素ガスを含むと、生成された化学反応層は、さらに二酸化ケイ素を含む。
【0027】
活性金属は、金属単体及び金属合金のうちの一又は複数の組み合わせである。
【0028】
砥粒は、酸化アルミニウム、立方晶窒化ホウ素、ダイヤモンド、窒化ケイ素及び炭化ケイ素のうちの一又は複数の組み合わせを含む。
【0029】
高速摩擦は、乾燥摩擦又は湿潤摩擦であり、高速摩擦のガス雰囲気は、空気雰囲気、リーン雰囲気及び不活性ガス雰囲気のうちの少なくとも1つであり、高速摩擦の温度は、室温又は高温であり、高速摩擦の速度は、1~50m/sであり、高速摩擦の圧力は、0.1~1Mpaである。
【0030】
図2に示すように、研削・研磨機器は、スピンドル101が回動機構により駆動回動される高速定盤と、高速定盤の上方に取り付けられ、伝動機構により駆動昇降される直動ステージとを含み、研削・研磨工具1は、高速定盤のスピンドル101に取り付けられ、炭化ケイ素2は、直動ステージの治具102に取り付けられる。研削・研磨機器は、当業界で公知の装置である。
【0031】
実施例1において、炭化ケイ素表面の化学機械複合加工方法であって、まず、鉄粉とブラウンコランダム(主成分は、アルミナである)を3:2の体積比で均一に混合してから100メッシュのふるいにかけてから、得られた混合物をホットプレス焼結して、真空ホットプレス焼結機において3℃/minの昇温速度で300℃まで昇温させ、次に5℃/minの昇温速度で900℃まで昇温させ、次に30min保温し、最後に室温まで炉冷し、焼結成形して研削・研磨工具を得る、研削・研磨工具を準備するステップ1と、研削・研磨工具を取り付けてから、研削・研磨工具を研削・研磨機器の高速定盤のスピンドルに取り付け、研削・研磨する炭化ケイ素を直動ステージの治具に取り付けるステップ2と、最後に直動ステージの駆動により、炭化ケイ素を研削・研磨工具の表面に押し付け、高速回動する研削・研磨工具と炭化ケイ素とを相対運動させ、さらに高速摩擦を発生させることにより、化学-機械的複合サイクルの加工形態を形成し、炭化ケイ素の表面の研削や研磨を実現する研削・研磨過程であるステップ3と、を含む。
【0032】
本実施例において、高速摩擦は、室温、大気雰囲気で行われる乾燥摩擦であり、高速摩擦の速度は、10m/s、圧力は、0.2Mpa、時間は、10minである。
【0033】
本実施例において、化学-機械的複合サイクルの過程は、研削・研磨工具における鉄粉と炭化ケイ素のC面とが摩擦誘導により化学反応を起こし、FeSi、C及びSiO2を含む化学反応層を生成し、次に砥粒ブラウンコランダムの機械的作用で化学反応層を掻き取り、新しい炭化ケイ素の表面を露出させ、再び化学反応を起こし、化学反応層を生成し、さらに砥粒により再び機械的に掻き取られるということであり、このようなサイクル作用により、化学-機械的複合サイクルの加工形態を形成する。
【0034】
実施例2において、炭化ケイ素表面の化学機械複合加工方法であって、まず、ニッケル粉末とホワイトアランダム(主成分は、アルミナである)とを3:1の体積比で均一に混合してから100メッシュのふるいにかけてから、得られた混合物をホットプレス焼結して、真空ホットプレス焼結機において3℃/minの昇温速度で300℃まで昇温させ、次に5℃/minの昇温速度で900℃まで昇温させ、次に30min保温し、最後に室温まで炉冷し、焼結成形して研削・研磨工具を得る、研削・研磨工具を準備するステップ1と、研削・研磨工具を取り付けてから、研削・研磨工具を研削・研磨機器の高速定盤のスピンドルに取り付け、研削・研磨する炭化ケイ素を直動ステージの治具に取り付けるステップ2と、最後に直動ステージの駆動により、炭化ケイ素を研削・研磨工具の表面に押し付け、高速回動する研削・研磨工具と炭化ケイ素とを相対運動させ、さらに高速摩擦を発生させることにより、化学-機械的複合サイクルの加工形態を形成し、炭化ケイ素の表面の研削や研磨を実現する研削・研磨過程であるステップ3と、を含む。
【0035】
本実施例において、高速摩擦は、室温、大気雰囲気で行われる乾燥摩擦であり、高速摩擦の速度は、2m/s、圧力は、0.4Mpa、時間は、25minである。
【0036】
本実施例において、化学-機械的複合サイクルの過程は、研削・研磨工具におけるニッケル粉末と炭化ケイ素のC面及びSi面とが摩擦誘導により化学反応を起こし、Ni2Si、C及びSiO2を含む化学反応層を生成し、次に砥粒ホワイトアランダムの機械的作用で化学反応層を掻き取り、新しい炭化ケイ素の表面を露出させ、再び化学反応を起こし、化学反応層を生成し、さらに砥粒により再び機械的に掻き取られるというであり、このようなサイクル作用により、化学-機械的複合サイクルの加工形態を形成する。
【0037】
本発明の炭化ケイ素表面の化学機械複合加工方法は、1、化学反応と機械的除去を組み合わせることにより、損傷のない炭化ケイ素の表面を得ることができ、損傷の程度が研削より遥かに小さく、2、本発明の炭化ケイ素の除去効率が化学機械的研磨より遥かに高く、3、本発明は、研削、研磨工程における廃液汚染の問題を効果的に回避したという有益な効果がある。
【0038】
上記実施例及び図面は、本発明の製品形態及び仕様を限定するものではなく、当業者であれば、本発明の特許請求の範囲から逸脱することなく、適宜変更又は修正することができる。
【符号の説明】
【0039】
1 研削・研磨工具、2 炭化ケイ素、3 化学反応層、101 スピンドル、102 治具
図1
図2
【国際調査報告】