(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】電気化学処理装置
(51)【国際特許分類】
C25F 3/02 20060101AFI20240829BHJP
C25F 7/00 20060101ALI20240829BHJP
C25F 1/04 20060101ALI20240829BHJP
C25F 3/14 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
C25F3/02 C
C25F7/00 J
C25F1/04
C25F3/14
C25F7/00 K
C25F7/00 L
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024516763
(86)(22)【出願日】2022-09-19
(85)【翻訳文提出日】2024-05-10
(86)【国際出願番号】 AU2022051126
(87)【国際公開番号】W WO2023039641
(87)【国際公開日】2023-03-23
(32)【優先日】2021-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524097676
【氏名又は名称】エンジテック アイピー プロプライエタリ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ホワイト、クライブ ステュアート
(57)【要約】
本開示は、装置ケーシングと、ケーシングから延在する第1および第2の可撓性接点であって、各々が装着手段と、装着手段から延在する可撓性アプリケータ部分とを備える、第1および第2の可撓性接点とを備え、第1および第2の可撓性接点がそれぞれ、導電性流体を受け取り、続いて導電性流体を表面に塗布するように適合され、かつ第1および第2の可撓性接点の一方が相対的に正に帯電し、他方が負に帯電している、装置に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置ケーシングと、
前記ケーシングから延在する第1および第2の可撓性接点であって、各々が装着手段と、前記装着手段から延在する可撓性アプリケータ部分とを備える、第1および第2の可撓性接点と
を備え、前記第1および第2の可撓性接点がそれぞれ、導電性流体を受け取り、続いて前記導電性流体を表面に塗布するように適合され、かつ
前記第1および第2の可撓性接点の一方が相対的に正に帯電し、他方が負に帯電している、
装置。
【請求項2】
電源から前記第1および第2の可撓性接点が受け取る電力が、
a)前記第1の可撓性接点が正に帯電することと負に帯電することとを交互に繰り返し、かつ
b)前記第2の可撓性接点が負に帯電することと正に帯電することとを交互に繰り返すように
交流(AC)電力であり、
前記第1および第2の可撓性接点の各々の前記交互に繰り返すことが、同時かつ反対方向に生じる、
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記電源が交流(AC)電源である、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記電源が直流(DC)電源であり、
前記装置が、
前記電源と前記第1および第2の可撓性接点との間のスイッチユニットであって、電圧出力端子、接地端子、ならびに前記第1および第2の可撓性接点に電気的に接続される、スイッチユニットと、
前記スイッチユニットに接続され、帯電極性周期を有するスイッチコントローラと
をさらに備え、前記スイッチユニットが、前記第1の可撓性接点が相対的に正に帯電し、および前記第2の可撓性接点が負に帯電する第1の構成と、前記第1の可撓性接点が相対的に負に帯電し、および前記第2の可撓性接点が正に帯電する第2の構成とを有し、かつ
前記スイッチコントローラが、前記帯電極性周期によって決定される速度で、前記スイッチユニットを前記第1の構成と前記第2の構成との間で周期的にトグルするように構成される、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記電源および前記スイッチユニットに電気的に接続されたDC-DCコンバータをさらに備え、
前記電圧出力端子および前記接地端子が、前記DC-DCコンバータのそれぞれの端子であり、かつ
前記DC-DCコンバータが、
(i)電源から定電圧入力を受け取り、
(ii)前記定電圧入力をパルス電圧出力に変換し、かつ
(iii)前記パルス電圧出力を、前記電圧出力端子を介して前記スイッチユニットに提供する
ように構成され、
さらに、前記パルス電圧出力が、最大電圧と最小電圧とを交互に繰り返すことによって形成され、およびパルス周期を有する繰り返しパターンを有する電圧波形を含み、かつ
前記帯電極性周期が、前記パルス周期の整数倍と実質的に等しい、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記帯電極性周期が、前記パルス周期の奇数倍に実質的に等しい、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記パルス電圧出力が、その最小電圧で漸近勾配を有し、それ以外では非漸近勾配を有する電圧波形を含み、かつ
前記スイッチコントローラが前記スイッチユニットをトグルするタイミングが、前記最小電圧と実質的に一致している、請求項5または6に記載の装置。
【請求項8】
前記電圧波形が、整流された全波正弦波形である、請求項5から7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記スイッチユニットがスイッチのアレイを備え、前記アレイが、
前記電圧出力端子と前記第1の可撓性接点との間に閉成可能な回路セグメントを形成する第1のスイッチと、
前記電圧出力端子と前記第2の可撓性接点との間に閉成可能な回路セグメントを形成する第2のスイッチと、
前記接地端子と前記第1の可撓性接点との間に閉成可能な回路セグメントを形成する第3のスイッチと、
前記接地端子と前記第2の可撓性接点との間に閉成可能な回路セグメントを形成する第4のスイッチと
を備え、さらに、前記スイッチユニットを前記第1の構成にトグルすることが、前記第1および第4のスイッチを閉じることと、前記第2および前記第3のスイッチを開くこととを含み、かつ
前記スイッチユニットを前記第2の構成にトグルすることが、前記第1および前記第4のスイッチを開くことと、前記第2および前記第3のスイッチを閉じることとを含む、請求項4から8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記帯電極性周期が所望のプロセス完了時間に等しく、
さらに、前記所望のプロセス完了時間(T
C)が、以下:
T
D,min≦T
C<T
U
のように定義され、T
D,minが、所望のプロセスが進行するのに必要な最小時間であり、かつ
T
Uが、望ましくないプロセスが進行するのに必要な時間である、請求項4から9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記電源が、直流(DC)電源であり、かつ
前記第1の可撓性接点が、前記第2の可撓性接点の接触領域よりも実質的に小さい接触領域を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記第1の可撓性接点の前記接触領域が、前記第2の可撓性接点の前記接触領域の2分の1未満(at least two times smaller than)である、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記DC電源が、バッテリ、電力セル、燃料電池、または他の自立型DC電源である、請求項4から12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記第1および第2の可撓性接点の少なくとも一方の前記可撓性アプリケータ部分が、吸収材料を含むローラ要素を備える、請求項1から13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記第1および第2の可撓性接点の少なくとも一方の前記可撓性アプリケータ部分が、前記装着手段の端部に吸収パッドを備える、請求項1から13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記第1および第2の可撓性接点の少なくとも一方の前記可撓性アプリケータ部分がブラシを備える、請求項1から13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記ブラシが導電性フィラメントを備える、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記第1または第2の可撓性接点が前記他方の可撓性接点に直接接触するのを防止するように配置された、非導電性材料で形成された仕切り要素をさらに備える、請求項1から17のいずれか一項に記載の装置。
【請求項19】
前記仕切り要素が、前記第1および第2の可撓性接点の少なくとも一方の周りに少なくとも部分的に延在するシュラウドを備える、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記電源が、前記装置ケーシング内に収容されるか、または前記装置ケーシングに装着された搭載電源である、請求項1から19のいずれか一項に記載の装置。
【請求項21】
前記搭載電源が、前記装置ケーシングに着脱可能に装着された電源ハウジング内にある、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記電源が、前記装置ケーシングから離間し、前記装置ケーシングに電気的に接続された電源ハウジング内にある、請求項1から17のいずれか一項に記載の装置。
【請求項23】
流体源から前記第1および第2の可撓性接点のそれぞれに前記導電性流体を提供するように配置された流体導管をさらに備える、請求項1から22のいずれか一項に記載の装置。
【請求項24】
前記流体源が、前記装置ケーシング内に収容されるか、または前記装置ケーシングに装着された流体リザーバである、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記流体リザーバが、前記装置ケーシングから着脱可能である、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記電源が、前記装置ケーシングに着脱可能に装着された電源ハウジング内にあり、かつ
前記流体リザーバが、電源ハウジング内に位置する、請求項24または25に記載の装置。
【請求項27】
導電性物品の溶接部を電解洗浄して不動態化するために使用される、請求項1から26のいずれか一項に記載の装置。
【請求項28】
導電性物品の表面に、設計、パターン、または他の形態のマーキングを電気化学的にエッチングするために使用される、請求項1から26のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、導電性表面を処理する分野に関し、より詳細には、導電性表面を電気化学的に処理するための装置の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
電気化学反応は、金属表面上の様々なプロセスに、例えば、組み立て後の濃淡の付いた溶接部(weld tint)を洗浄するため、表面を電解研磨するため、表面上に材料を堆積もしくはめっきするため、または表面にステンシル設計を電気化学的にエッチングするために使用される。このプロセスは、導電性流体の存在下で電気回路が完成されることを必要とし、これは、導電性表面が電源の対向する端子の両方に電気的に接続されなければならないことを意味する。これらの接続は、典型的には、一対の対向する電極を使用することによって行われ、便宜上、これらは、電極が対向する電源端子に接続されていることを示すために、以下では「作用」電極および「帰路」電極と呼ばれる。電気化学プロセスは、作用電極が導電性表面および帰路電極に対して正または負に帯電していることを必要とする。作用電極の特定の帯電は、導電性表面、所望の電気化学プロセス、および導電性流体の性質に依存する。
【0003】
導電性流体が作用電極および帰路電極の両方に存在する場合、一方が望ましく、他方が潜在的に望ましくない反対の電気化学反応が両方の電極の近位で生じることは周知である。しかしながら、これらの電気化学反応のうちの一方のみが生じることが望まれる場合、作用電極のみが導電性流体を介して電気を伝導すべきであり、帰路電極は、それが導電性表面に直接接続されているという点で、「直接帰路電極」でなければならない。
【0004】
典型的な従来技術の電気化学的洗浄/エッチング/マーキングツールは、作用電極(「ワンド」と呼ばれることもある)および導電性流体アプリケータとして機能する接触器具と、導電性表面上に直接固定されて直接帰路電極を提供する接地クランプとを備える。接触器具および接地クランプは、電源の対向する端子に接続される。接地クランプが接続されている限り、導電性流体と共に接触器具を導電性表面に接触させることにより、回路を完成させ、所望の電気化学反応を誘発することができる。
【0005】
いくつかの代替の従来技術の構成は、ワークピースへの帰路接続を維持するために、ユーザおよびばねからの圧力に依存する直接帰路電極を利用する場合があるが、他の構成は、直接帰路電極として機能し、ワークピースとの電気的接続を維持する導電性ワークベンチに依存する場合がある。
【0006】
当業者であれば、一般に、導電性表面上に材料を塗布または「めっき」するには、作用電極が導電性表面に対して正であることが必要であり、一方、材料を除去する(例えば、洗浄または研磨プロセス中に生じる)には、一般に、作用電極が導電性表面に対して負であることが必要であることを理解するであろう。しかしながら、当業者は、電気化学的原理が、ユーザがどのような効果を求めているかにかかわらず同じであり、電気回路が依然として確立されなければならず、導電性流体が依然として塗布されなければならないことを理解するであろう。
【0007】
従来技術の電気化学的洗浄/エッチング/マーキングツールは、作用電極のサイズ、形状、および構成が異なり、様々な利点または欠点を有する場合がある。しかしながら、各電気化学的洗浄/エッチング/マーキングツールは、接地クランプまたは他の形態の直接帰路電極の存在を必要とする。残念なことに、様々な従来技術の直接帰路電極設計はそれぞれ、ユーザに課される重大な制限を表す。例えば、接地クランプの使用は、ユーザの移動性を制限し、すなわち、接地クランプは、ケーブルを介して電気化学的洗浄/エッチングツールの電源に繋がれ、前記ケーブルの到達範囲を超えて移動するために、ユーザは、接地クランプを取り外して新しい場所に再度取り付けなければならない。さらに、すべての表面が、接地クランプが機能するために適切に取り付けることができる、到達しやすい突出部を提供するわけではなく、例えば、サイロまたは水槽の内側などの大きくて滑らかな金属表面には、接地クランプを受け入れるための適切な突出部がない場合がある。同様に、ばね-圧力直接帰路電極では、必要な圧力を維持するために、ユーザの絶え間ない注意を必要とする。最後に、導電性ワークベンチに依存する従来技術の電気化学的洗浄/エッチング/マーキングツールは、それらがワークベンチ上に直接載置されたプロジェクトでのみ機能し得る、すなわち、そのような従来技術のツールは本質的に完全に不動であるという点でユーザを制限する。
【0008】
したがって、その移動性および/または可搬性の改善を提供するか、または従来技術の欠点のいくつかを少なくとも克服する電気化学的洗浄/エッチング装置を提供する必要がある。特に、本発明の目的は、ユーザを特定の領域に繋ぐか、または他の方法で制限する別個の接地クランプまたは他の形態の別個の直接帰路電極を必要としない電気化学的洗浄/エッチング装置を提供することである。
【発明の概要】
【0009】
第1の態様では、本開示は、装置ケーシングと、ケーシングから延在する第1および第2の可撓性接点であって、各々が装着手段と、装着手段から延在する可撓性アプリケータ部分とを備える、第1および第2の可撓性接点とを備え、第1および第2の可撓性接点がそれぞれ、導電性流体を受け取り、続いて導電性流体を表面に塗布するように適合され、かつ第1および第2の可撓性接点の一方が相対的に正に帯電し、他方が負に帯電している、装置に関する。
【0010】
一実施形態では、電源から第1および第2の可撓性接点が受け取る電力は、第1の可撓性接点が正に帯電することと負に帯電することとを交互に繰り返し、かつ第2の可撓性接点が負に帯電することと正に帯電することとを交互に繰り返すように、交流(AC)電力であってもよく、第1および第2の可撓性接点の各々の前記交互に繰り返すことは、同時かつ反対方向に生じる。
【0011】
一実施形態では、電源は交流(AC)電源であってもよい。
【0012】
代替の実施形態では、電源は直流(DC)電源であってもよく、かつ装置は、電源と第1および第2の可撓性接点との間のスイッチユニットであって、電圧出力端子、接地端子、ならびに第1および第2の可撓性接点に電気的に接続される、スイッチユニットと、スイッチユニットに接続され、帯電極性周期を有するスイッチコントローラとをさらに備えてもよく、スイッチユニットは、第1の可撓性接点が相対的に正に帯電し、および第2の可撓性接点が負に帯電する第1の構成と、第1の可撓性接点が相対的に負に帯電し、および第2の可撓性接点が正に帯電する第2の構成とを有し、かつスイッチコントローラはトグル周期によって決定される速度で、スイッチユニットを第1の構成と第2の構成との間で周期的にトグルするように構成される。
【0013】
一実施形態では、装置は、電源およびスイッチユニットに電気的に接続されたDC-DCコンバータをさらに備えてもよく、電圧出力端子および接地端子は、DC-DCコンバータのそれぞれの端子であり、かつDC-DCコンバータは、電源から定電圧入力を受け取り、定電圧入力をパルス電圧出力に変換し、かつパルス電圧出力を、電圧出力端子を介してスイッチユニットに提供するように構成され、さらに、パルス電圧出力は、最大電圧と最小電圧とを交互に繰り返すことによって形成され、およびパルス周期を有する繰り返しパターンを有する電圧波形を含み、かつ帯電極性周期は、パルス周期の整数倍と実質的に等しい。一実施形態では、帯電極性周期は、パルス周期の奇数倍に実質的に等しくてもよい。
【0014】
一実施形態では、パルス電圧出力は、その最小電圧で漸近勾配を有し、それ以外では非漸近勾配を有する電圧波形を含んでもよく、かつスイッチコントローラがスイッチユニットをトグルするタイミングは、最小電圧と実質的に一致している。一実施形態では、電圧波形は、整流された全波正弦波形であってもよい。
【0015】
一実施形態では、スイッチユニットはスイッチのアレイを備えてもよく、アレイは、電圧出力端子と第1の可撓性接点との間に閉成可能な回路セグメントを形成する第1のスイッチと、電圧出力端子と第2の可撓性接点との間に閉成可能な回路セグメントを形成する第2のスイッチと、接地端子と第1の可撓性接点との間に閉成可能な回路セグメントを形成する第3のスイッチと、接地端子と第2の可撓性接点との間に閉成可能な回路セグメントを形成する第4のスイッチとを備え、さらに、スイッチユニットを第1の構成にトグルすることは、第1および第4のスイッチを閉じることと、第2および第3のスイッチを開くこととを含み、かつスイッチユニットを第2の構成にトグルすることは、第1および第4のスイッチを開くことと、第2および第3のスイッチを閉じることとを含む。
【0016】
代替的な実施形態では、電源は、直流(DC)電源であり、第1の可撓性接点は、第2の可撓性接点の接触領域よりも実質的に小さい接触領域を備えてもよい。一実施形態では、第1の可撓性接点の接触領域は、第2の可撓性接点の接触領域の2分の1未満(at least two times smaller than)であってもよい。
【0017】
一実施形態では、DC電源は、バッテリ(battery)、電力セル(power cell)、燃料電池(fuel cell)、または他の自立型DC電源であってもよい。
【0018】
一実施形態では、第1および第2の可撓性接点の少なくとも一方は、ローラマウントと、ローラマウントに装着された、吸収材料から形成された転動体とを有するローラを備えてもよく、転動体は、導電性流体を受け取り、続いて導電性流体を表面に塗布するように適合されている。
【0019】
一実施形態では、ローラは、第1の電極を形成するように配置された第1の転動体部分と、第2の電極を形成するように配置された第2の転動体部分とを有するスプリットローラであってもよく、スプリットローラは電源に電気的に接続され、第1および第2の転動体部分は互いに電気的に絶縁される。
【0020】
一実施形態では、第1および第2の可撓性接点の少なくとも一方は、導電性流体を受け取り、続いて導電性流体を表面に塗布するように適合された吸収パッドを備えてもよい。
【0021】
一実施形態では、第1および第2の可撓性接点の少なくとも一方は、ブラシを備えてもよい。一実施形態では、ブラシは導電性フィラメントを備えてもよい。
【0022】
一実施形態では、装置は、第1または第2の可撓性接点が他方の可撓性接点に直接接触するのを防止するように配置された、非導電性材料で形成された仕切り要素をさらに備えてもよい。一実施形態では、仕切り要素は、第1および第2の可撓性接点の少なくとも一方の周りに少なくとも部分的に延在するシュラウドを備えてもよい。
【0023】
一実施形態では、電源は、装置ケーシング内に収容されるか、または装置ケーシングに装着された搭載電源であってもよい。一実施形態では、搭載電源は、装置ケーシングに着脱可能に装着された電源ハウジング内にあってもよい。
【0024】
代替の実施形態では、電源は、装置ケーシングから離間し、装置ケーシングに電気的に接続された電源ハウジング内にあってもよい。
【0025】
一実施形態では、装置は、流体源から第1および第2の可撓性接点のそれぞれに導電性流体を提供するように配置された流体導管をさらに備えてもよい。一実施形態では、流体源は、装置ケーシング内に収容されるか、または装置ケーシングに装着された流体リザーバであってもよい。一実施形態では、流体リザーバは、装置ケーシングから着脱可能であってもよい。一実施形態では、電源は、装置ケーシングに着脱可能に装着された電源ハウジング内にあってもよく、流体リザーバは、電源ハウジング内に位置してもよい。
【0026】
装置の一実施形態は、導電性物品内の溶接部を電解洗浄および不動態化するために使用される。装置の一実施形態は、導電性物品の表面に、設計、パターン、または他の形態のマーキングを電気化学的にエッチングするために使用される。
【0027】
本発明のさらなる実施形態または変形形態は、本明細書に開示されてもよく、またはさもなければ以下の開示を通じて当業者に明らかになり得る。これらおよび他の実施形態は、本発明の範囲内にあると考えられる。
【0028】
次に、本発明の実施形態を図に関連して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図2】所望の反応および望ましくない反応を示す図である。
【
図6A】本発明の一実施形態の電圧波形グラフである。
【
図6B】本発明の一実施形態の電圧波形グラフである。
【
図6C】本発明の一実施形態の電圧波形グラフである。
【
図7】スイッチユニットを備える本発明の実施形態の回路図である。
【
図8】スイッチユニットを備える本発明の実施形態の回路図である。
【
図9A】スイッチユニットを備える本発明の実施形態の電圧波形グラフである。
【
図9B】スイッチユニットを備える本発明の実施形態の電圧波形グラフである。
【
図10A】スイッチユニットを備える本発明の実施形態の電圧波形グラフである。
【
図10B】スイッチユニットを備える本発明の実施形態の電圧波形グラフである。
【
図10C】スイッチユニットを備える本発明の実施形態の電圧波形グラフである。
【
図11A】本発明の代替の実施形態を示す図である。
【
図11B】本発明の代替の実施形態を示す図である。
【
図12】第1および/または第2の可撓性接点の様々な実施形態を示す図である。
【
図13】第1および/または第2の可撓性接点の様々な実施形態を示す図である。
【
図14】第1および/または第2の可撓性接点の様々な実施形態を示す図である。
【
図15】第1および/または第2の可撓性接点の様々な実施形態を示す図である。
【
図16】第1および/または第2の可撓性接点の様々な実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
第1の態様では、本発明は、導電性表面を洗浄、不動態化、エッチング、または他の方法で処理するために、導電性流体を導電性表面に塗布するための装置に関する。
図1Aおよび
図1Bは、本発明の一実施形態を示し、
図1Aはその視覚的描写であり、
図1Bはその回路図である。示された装置の実施形態は、装置ケーシング10と、装置ケーシングから延在する第1および第2の可撓性接点14、16とを備える。第1および第2の可撓性接点14、16は、可撓性接点の一方が相対的に正に帯電し、他方が負に帯電するように、電源12の対向する端子と電気的に連通しており(前記電気的接続は
図1Aでは一点鎖線で示されている)、そして、それぞれ導電性流体を何らかの方法で搬送することができるように構成されている。第1および第2の可撓性接点14、16は、前記可撓性接点を装置ケーシング10に固定するための装着手段と、導電性流体を搬送するように構成された可撓性アプリケータ部分とを備えてもよい。
【0031】
本明細書で使用される場合、「帯電極性」という用語は、要素が正に帯電しているかまたは負に帯電しているかを指す。本明細書で使用する場合、別段の明示的な指定がない限り、いずれかの可撓性接点14、16の帯電極性の識別は、他方の可撓性接点に対する識別として解釈されるべきである。例えば、第1の可撓性接点が正に帯電し、第2の可撓性接点が接地されている場合、第2の可撓性接点は第1の可撓性接点に対して「負に帯電」している。
【0032】
図1Bの回路図が示すように、第1および第2の可撓性接点14、16間に直接的な電気接続はない。第1および第2の可撓性接点14、16を用いて導電性表面18に導電性流体を塗布すると、電源12によって生成された電圧が導電性表面18(および存在し得る任意の導電性流体)を介して第1および第2の可撓性接点間に電流を流すように、導電性表面を介して電気回路が完成する。電源12は、十分な電圧を提供することができる任意の特定の電源であってもよい。電源12は、可搬式バッテリパックとして
図1Aに示されているが、これは例示にすぎない。
【0033】
当業者には理解されるように、溶接洗浄、表面不動態化および電気化学エッチングまたはマーキングなどの電気化学プロセスはすべて、特定の導電性流体が存在すること、および電気が流れることを可能にする回路が形成され、それによって導電性流体に溶解したイオンと導電性表面18との間の電気化学反応を駆動することを必要とする。装置は、いずれも導電性流体を搬送することができるように適合された、反対に帯電した第1および第2の可撓性接点14、16を備えるため、いずれかの可撓性接点が、所望の電気化学反応および可撓性接点の相対的な帯電に応じて、「作用電極」および「帰路電極」の両方として機能することができる。これは、接地クランプまたはばね機構を利用する従来技術の構成とは対照的であり得、接地クランプまたはばね機構は、導電性流体を搬送または塗布することができず、導電性表面18に直接接続することができないために「作用電極」として機能することができず、その近位に存在し得る任意の導電性流体を通る電流の流れを制限する。
【0034】
本発明の少なくとも一実施形態では、互いに電気的に並列に配置された複数の第1の可撓性接点14、および/または互いに電気的に並列に配置された複数の第2の可撓性接点16が存在してもよい。これらの実施形態は、本発明の範囲から逸脱するものとはみなされず、1つの第1または第2の可撓性接点14、16へのいかなる言及も、別段の指定がない限り、複数の第1または第2の可撓性接点に等しく適用可能であるとみなされるべきである。
【0035】
本発明の実施形態は、接地クランプ、接地ばね機構または導電性ワークベンチを必要とせずに、ユーザが溶接部を電解洗浄および不動態化し、物品の導電性表面上の設計、パターンまたは他の形態のマーキングを電気化学的にエッチングすることを可能にし得ると考えられる。これにより、ユーザは、接地クランプを必要とし、したがって定位置に繋がれている従来技術のツールと比較して、移動性および可撓性が大幅に改善された装置を使用することができる場合がある。ユーザはまた、接地クランプおよびケーブルがそれらの動きを塞ぐリスクなしに、はしご上、ハーネス内、または他のアクセス困難な状況もしくは動きが制限された状況で装置の実施形態を使用することができる。
【0036】
当業者は、電気化学プロセスが有用な速度で生じるために特定の電位を必要とすることを理解するであろう。少なくとも一実施形態では、電源12は、少なくとも12ボルトを提供することができる電源であってもよい。さらなる実施形態では、電源12は、少なくとも18ボルトを提供することができる。
【0037】
所望の反応および望ましくない反応
図2を参照すると、導電性表面の洗浄または研磨に使用するように配置された本発明の実施形態の一部が示されている。第1および第2の可撓性接点14、16、バルク材料18Aおよび上部の表面層18Bを含む導電性表面18、ならびに導電性流体20が示されている。いくつかの実施形態では、表面層18Bは、導電性表面18上の酸化材料、濃淡の付いた溶接部または他の堆積物であってもよく、したがってバルク材料18Aを覆ってもよい。他の実施形態(図示せず)では、表面層18Bは、下にあるバルク材料18Aを露出させるために、エッチングプロセスなどによって除去される導電性表面18の上層であってもよい。図示されていないが、当業者は、可撓性接点が互いに対して反対に帯電していること、ならびに所望の反応のための適切な帯電極性が導電性表面の性質、それに適用される特定の電気化学プロセス、および採用される導電性流体の種類に依存することを理解するであろう。説明を簡単にするために、所望の反応22を促進するために適切に帯電した可撓性接点14、16は、本明細書では「能動可撓性接点」と呼ばれる場合がある。
【0038】
第1および第2の可撓性接点14、16の両方が導電性流体と接触しているとき、反応プロセス22、24が各可撓性接点で行われる。各可撓性接点で生じる反応プロセスは、導電性表面および他方の可撓性接点に対するその帯電極性に依存し、その性質は当技術分野で周知である。導電性流体内の溶液中の正に帯電したイオンは、正に帯電した可撓性接点から導電性流体を通って、導電性表面および負に帯電した可撓性接点に向かって移動する。同様に、溶液中の負に帯電したイオンは、負に帯電した可撓性接点から離れて、正に帯電した可撓性接点および導電性表面に向かって移動する。
【0039】
一般に、これらのプロセスのうちの1つのみが所望のプロセス22であり、プロセス22は、
図2の例では、表面層18Bが導電性流体20内の溶液に入り、適切に帯電した第1の可撓性接点14に向かって移動し、最終的にその上に堆積するように示されている。帯電平衡プロセス24は、ガスまたは水の発生などの他の反応を含む場合があり、これらは有害ではないが、所望のプロセス22の逆も含む場合がある。例えば、湾曲した矢印によって示されるように、帯電平衡プロセス24はまた、表面層18Bから溶液中に引き込まれた材料を導電性表面18上に再堆積させることを含む場合があり、これは望ましくない。帯電平衡プロセス24の望ましくない形態はまた、第2の可撓性接点16上に堆積した材料の溶解、これらのイオンの導電性表面18への移動、およびその後の堆積を含む場合がある。
【0040】
当業者は、導電性表面18の性質(バルク材料18Aおよび表面層18Bの性質を含む)、導電性流体20ならびに所望のおよび望ましくないプロセス22、24が本発明の一実施形態の用途間で異なり得ることを理解するであろう。当業者は、これらの様々な性質が一般に当技術分野で周知であることをさらに理解するであろう。
【0041】
所望のプロセスの促進/望ましくないプロセスの改善
それぞれの反応部位で電気化学反応が生じるのにかかる時間は、溶液中のイオンの移動速度およびイオンが移動する必要がある経路の長さに依存する。イオン速度は、イオンの性質、溶液の濃度、温度、および印加される電位勾配に依存する。
図2をさらに参照すると、理論により本発明の範囲を限定することなく、所望のプロセス22が表面材料の溶解(例えば、エッチング、洗浄および/または研磨による)を含む場合、所望のプロセス22の「経路長」は、第1の可撓性接点14とそのすぐ近位の表面層18Bとの間の距離であると考えられる。
【0042】
逆に、(帯電平衡プロセス24において湾曲した矢印によって表される)望ましくないプロセスの一形態は、溶解イオンが最初に第1の可撓性接点14の影響から離れなければならないため、表面層18Bの溶解イオンが最初に導電性流体20を通って第2の可撓性接点16に向かって移動し、その後にのみ、導電性表面18に移動してその上に堆積し得ることを必要とする。望ましくないプロセスの代替形態(第2の可撓性接点16上にある材料の溶解およびその後の導電性表面18上への堆積)は、溶解、移動および堆積の3つのステップを必要とする。一般に、望ましくないプロセスが完了するのには、所望のプロセス22が完了するよりも長い時間がかかることが見出されている。いくつかの実施形態では、望ましくないプロセスは、所望のプロセスの少なくとも2倍の長さがかかる場合がある。
【0043】
所望のプロセス22が導電性表面上への材料の堆積またはめっきによるマーキングである構成(図示せず)では、所望のプロセス22は、導電性流体20に既に溶解しているイオンを引き込む。イオンは、適切に帯電した可撓性接点から離れ、導電性表面18ならびに反対に帯電した他の可撓性接点に向かって移動する。他方の可撓性接点上へのイオンの堆積、または導電性表面18上に堆積した材料の溶液への引き戻しは、典型的には望ましくないプロセスである。前述の例と同様に、望ましくないプロセス(例えば、第1の可撓性接点14または導電性表面18から第2の可撓性接点16へのイオンの移動およびそれに続く堆積)の完了には、所望のプロセス22よりも長い時間がかかることが想定される。
【0044】
上記に基づいて、特定の性質を有する導電性表面18に適用され、特定の導電性流体20および印加電圧を利用する特定の電気化学プロセス(すなわち、所望のプロセス22と、その関連する帯電平衡化および/または望ましくないプロセス24)は、以下の式に従う特定の所望のプロセス完了時間(TC)を有する。
TD,min≦TC<TU
ここで、TD,minは、所望のプロセス22が進行するのに必要な最小時間であり、TUは、望ましくないプロセス24が進行するのに必要な時間である。当業者は、TCがTD,minとTUとの間の時間値の範囲であることを理解するであろう。
【0045】
一実施形態では、所望の反応22の促進および帯電平衡反応24の制限は、第1および第2の可撓性接点14、16が互いに対して正または負に帯電することを交互に繰り返すように、第1および第2の可撓性接点14、16の帯電極性を迅速に切り替えることによって達成することができる場合がある。理論によって本発明の範囲を限定するものではないが、特定の帯電極性に費やされる連続した(unbroken)各期間が所望のプロセスに必要な最小時間よりも長いが、望ましくないプロセスに必要な時間よりも短いように第1および第2の可撓性接点14、16の帯電極性を切り替えることによって、所望のプロセス22を望ましくないプロセスよりも選択的に促進することができ、それによって接地クランプなどの直接帰路電極の必要性を低減、打ち消す、または少なくとも改善することが想定される。
【0046】
洗浄、エッチングまたは研磨の構成に関して、説明を容易にするために、除去される表面層が金属を含む場合など、表面層18Bが溶解して正に帯電したイオンを形成する構成に関して説明する。装置は、第1の可撓性接点14が負に帯電し、第2の可撓性接点16が正に帯電するように給電される。表面層18Bは溶液中に引き込まれ、そのイオンは第1の可撓性接点14に向かって移動し、一部は導電性流体20を横切って移動し、第1の可撓性接点14の影響を残し、続いて正に帯電した第2の可撓性接点の影響を受ける。しかしながら、これらのイオンが再堆積され得る前に第1の可撓性接点14が今度は正に帯電し、第2の可撓性接点16が負に帯電するように、電源12の帯電極性が反転される。
【0047】
マーキングまたは電気めっきの構成に関して、説明例として、装置は、第1の可撓性接点14が正に帯電し、第2の可撓性接点16が負に帯電するように給電されてもよい。導電性流体20に既に溶解している正に帯電したイオンは、正に帯電した第1の可撓性接点14によって付勢されて、導電性表面18上に堆積するとともに、第1の可撓性接点から第2の可撓性接点16に向かって移動する。しかしながら、イオンがその上にめっきすることができる前に可撓性接点14、16の帯電極性を反転させることによって、今度は正に帯電した第2の可撓性接点16上への溶解材料のめっきまたは堆積が低減、抑制、または少なくとも改善される。
【0048】
上記の例は、正に帯電したイオンが溶液に引き込まれるかまたは溶液から堆積することを参照して説明されているが、当業者は、これが例示にすぎず、負に帯電したイオンを溶液に引き込むかまたは溶液から堆積させるように装置を適合させることが本明細書に開示される本発明の範囲内であることを理解するであろう。
【0049】
さらなる実施形態では、装置は、第1の可撓性接点が正に帯電しているときの第1の可撓性接点14の電圧と、第2の可撓性接点が正に帯電しているときの第2の可撓性接点16の電圧とが、互いに大きさが実質的に同様であるように構成されてもよい。さらなる代替的な実施形態では、装置は、第1の可撓性接点が負に帯電しているときの第1の可撓性接点14の電圧と、第2の可撓性接点が負に帯電しているときの第2の可撓性接点16の電圧とが、互いに大きさが実質的に同様であるように構成されてもよい。いずれの実施形態においても、装置は、生じ得る任意の「DCバイアス」を抑制または少なくとも改善するために、可撓性接点14、16のそれぞれが正または負の帯電に実質的に同様の時間を費やすようにさらに構成されてもよい。
【0050】
特定の帯電極性に帯電するのに費やされる連続した期間は、本明細書では「帯電極性周期」(TP)と呼ばれることがあり、これはすなわち、可撓性接点14、16の帯電極性を切り替える期間である。理想的な実施形態では、帯電極性周期TPは所望のプロセス完了時間TCに等しい。
【0051】
代替の実施形態では、第1の可撓性接点14は、第2の可撓性接点16と比較して減少した接触面積を備えることによって、所望の反応22を促進するように構成されてもよい。当業者には理解されるように、所望の反応22および帯電平衡反応24の各々の全体的な反応速度は、完成した回路を流れる総電流に少なくとも部分的に依存するが、単位面積当たりの所望の反応22または帯電平衡反応24の速度は、電流密度に依存する。したがって、第1の可撓性接点14のすぐ近位の電流密度が第2の可撓性接点16のすぐ近位の電流密度に対して増加するように、第1の可撓性接点14の接触面積を第2の可撓性接点16の接触面積よりも実質的に小さくすることにより、単位面積当たりの所望の反応22の速度を増加させる。逆に、帯電平衡反応24の任意の生成物は、生成される量を増加させることなく比較的大きな表面積にわたって広がり、任意の望ましくない堆積物を徐々に薄くし、実質的に除去することを可能にする。さらなる実施形態では、第1の可撓性接点14の接触面積は、第2の可撓性接点16の接触面積の少なくとも2倍であってもよい。当業者は、第1および第2の可撓性接点14、16の接触面積間の比が、所望のおよび望ましくない反応22、24の単位面積当たりの反応速度などの様々な要因にも依存し得ることを理解するであろう。
【0052】
電源
一実施形態では、
図3を参照すると、第1および第2の可撓性接点14、16の帯電極性の切り替えは、交流(AC)電源12Aを利用することによって可能にすることができる。AC電源は、複雑な電気回路を必要とせずに、帯電極性の切り替えによって所望の反応22の促進を達成し得るという利点を提供すると考えられる。当業者には理解されるように、AC電源12Aは、関連する電力出力周波数を有し、その逆数が電力出力周期(T
出力)である。電力出力周期は、特定の可撓性接点14、16が帯電極性を完全に循環するのにかかる時間の長さ、例えば正に帯電してから負に帯電して再び戻るまでの時間に等しく、したがって電力出力周期T
出力は帯電周期T
Pの2倍である。したがって、さらなる実施形態では、AC電源12Aは、その電力出力が以下の基準に従う周波数(f)のものであるように選択または構成することができる。
【数1】
【0053】
AC電源は、特に可搬性が望まれる場合、常に実用的であるとは限らない。したがって、本発明の代替の実施形態では、
図4を参照すると、電源12は、直流(DC)電源12Bであってもよい。DC電源12Bの使用は、可搬式である装置の実施形態を提供するのに特に有益であり得ると考えられる。いくつかの実施形態では、DC電源12Bは、燃料電池、バッテリ、電力セル、または自立型DC電源の代替形態のうちの1つ以上であってもよい。
【0054】
DC電源12Bを利用する本発明の実施形態は、第1の可撓性接点14の接触面積を減少させることによって所望の反応22を促進するように構成することができる場合がある。
【0055】
DC電源を用いた帯電極性の切り替え
DC電源12Bは、そのままでは、帯電極性の切り替えによる所望の反応22の促進を可能にすることはできない。したがって、燃料電池またはバッテリパックなどのDC電源18Bによって提供される潜在的な可搬性を犠牲にすることなくこの機能を可能にするために、代替のさらなる実施形態では、
図5を参照すると、装置は、DC電源12Bと可撓性接点14、16との間のスイッチユニット26と、スイッチユニットに接続されたスイッチコントローラ28とをさらに備えることができる。スイッチユニットは、電圧出力端子30、接地端子32、ならびに第1および第2の可撓性接点14、16に電気的に接続されてもよい。そのような実施形態では、スイッチユニット26は、第1の可撓性接点14が正に帯電し、第2の可撓性接点16が負に帯電する第1の構成と、第1の可撓性接点が負に帯電し、第2の可撓性接点が正に帯電する第2の構成とを有してもよい。スイッチコントローラ28は、T
P=T
Cとなるように、帯電極性周期T
Pに従ってスイッチユニット26を第1の構成と第2の構成との間で周期的にトグルするように構成されてもよい。
【0056】
いくつかの実施形態では、スイッチコントローラ28は、単一の「トグル」信号を周期的に発することによってスイッチユニット26をトグルすることができる。そのような実施形態では、帯電極性周期は、信号パルス間の期間であるスイッチコントローラ28の「クロック周期」に等しくてもよい。いくつかの代替の実施形態では、スイッチコントローラ28は、「第1の構成から第2の構成へのトグル」信号および「第2の構成から第1の構成へのトグル」信号である2つの異なる信号を交互に発することによって、スイッチユニット26をトグルすることができる。当業者には理解されるように、そのような実施形態では、スイッチコントローラの「クロック周期」は、同じ信号の2つの連続するインスタンス間の期間(例えば、「第1の構成から第2の構成へのトグル」信号を発する2つの連続したインスタンス)であり、したがって、帯電極性周期の長さの2倍である。
【0057】
スイッチユニット26およびスイッチコントローラ28を備える本発明の一実施形態では、第1および第2の可撓性接点14、16は、装置の使用中のDC電圧バイアスの誘発を改善または他の方法で抑制するように、サイズが実質的に同様のそれぞれの接触領域を有してもよい。
図5に示す実施形態では、電圧出力端子30および接地端子32は、DC電源12Bのそれぞれの端子として示されているが、他の回路構成要素がDC電源12Bとスイッチユニット26との間に位置決めされてもよいことを当業者は理解するであろう。本明細書で使用される場合、電圧出力端子30および/または接地端子32という用語は、(他方の回路構成要素が電圧出力端子30および/または接地端子32を提供しているかどうかに応じて)スイッチユニット26のすぐ「上流」または「下流」のそれぞれの端子を指すことができる。
【0058】
図6aは、第1の可撓性接点14における電極電位を示し、一方、
図6bは、スイッチユニット26が実装される場合の第2の可撓性接点16における電極電位を、18ボルトDC電源12Bについて、損失なしと仮定して示している。最後に、
図6cは、両方の可撓性接点14、16の両端間の電圧を示す。全体的な電圧波形は、第1の可撓性接点14がデフォルトの「正」端子であるようになっているが、当業者は、これが慣例にすぎず、本発明の範囲を限定しないことを理解するであろう。当業者には理解されるように、両方の接点の両端間の「ピーク間」電圧は36ボルトであり、18ボルトのDC電源12Bの電圧の倍である。
【0059】
一実施形態では、
図7を参照すると、スイッチユニット26は、少なくとも第1のスイッチ26Aと、第2のスイッチ26Bと、第3のスイッチ26Cと、第4のスイッチ26Dとを有するスイッチのアレイを備えることができる。第1のスイッチ26Aは、電圧出力端子30と第1の可撓性接点14との間に閉成可能な回路セグメントを形成してもよく、第2のスイッチ26Bは、電圧出力端子30と第2の可撓性接点16との間に閉成可能な回路セグメントを形成してもよく、第3のスイッチ26Cは、第1の可撓性接点と接地端子32との間に閉成可能な回路セグメントを形成してもよく、そして、第4のスイッチ26Dは、第2の可撓性接点と接地端子との間に閉成可能な回路セグメントを形成してもよい。そのような実施形態では、スイッチコントローラ28は、スイッチユニット26を第1の構成にトグルすることが、第1および第4のスイッチ26A、26Dを閉じることと、第2および第3のスイッチ26B、26Cを開くこととを含み、かつスイッチユニットを第2の構成にトグルすることが、第1および第4のスイッチ26A、26Dを開くことと、第2および第3のスイッチ26B、26Cを閉じることとを含むように構成することができ、ここで、閉じたスイッチは電気を流すことを可能にし、開いたスイッチは電気の流れを抑制する。
【0060】
スイッチ26A~26Dのうちの1つ以上は、トランジスタを備えてもよい。スイッチ26A~26Dのうちの1つ以上は、並列に接続されたサイリスタおよびダイオードを備えてもよい。一実施形態では、スイッチユニット26は、フルブリッジインバータスイッチを備えてもよい。
【0061】
干渉軽減
スイッチユニット26を備える本発明の少なくとも一実施形態では、第1および第2の可撓性接点14、16のそれぞれにおける電極電位は、方形波形であってもよい。各波形の一例が
図6aおよび
図6bに示されており、スイッチコントローラ28は、スイッチユニット26を第1の構成と第2の構成との間で2ミリ秒ごとにトグルする(すなわち、T
P=2ms)。当業者は、電圧および帯電極性周期が任意に選択され、例えば目的のみのために選択されることを理解するであろう。高周波数でトグルする場合、
図6a~
図6cに示す波形の各「正方形」の縁部で生じる電圧の急激なスパイクまたは落ち込みは、近くの電気回路および他の電子機器に高レベルの電磁干渉を誘発する可能性があり、発生する電磁干渉の量は、電圧の瞬時変化率に少なくとも部分的に比例する。電磁干渉を生成する本発明の実施形態は、いくつかの状況では十分であり得るが、例えば高感度電子機器を有する領域で装置が使用されている場合には適切ではない場合がある。
【0062】
これを改善するために、装置の一実施形態は、スイッチユニット26がトグルされるときに第1および第2の可撓性接点の両端間の電圧を低減するように構成されてもよく、その結果、スイッチユニット26のトグルによって引き起こされる第1および第2の可撓性接点14、16の両端間の電圧の瞬時変化率が低減され、それにより、発生する電磁干渉の量を低減または改善する。
【0063】
一実施形態では、
図8を参照すると、装置は、DC電源12Bとスイッチユニット26との間にDC-DCコンバータ34をさらに備えることができる。少なくとも本実施形態では、スイッチユニット26と電気的に接続する電圧出力端子30および接地端子32は、DC-DCコンバータのそれぞれの端子である。少なくとも本実施形態では、DC-DCコンバータ34は、DC電源12Bから定電圧入力を受け取り、定DC電圧入力をパルスDC電圧出力に変換し、電圧出力端子30を介してパルスDC電圧出力をスイッチユニット26に提供するように構成されてもよい。当業者は、DC-DCコンバータ34がAC出力を生成していないことを理解するであろう。
【0064】
さらに好ましい実施形態では、パルス電圧出力は、最大電圧と最小電圧とを交互に繰り返すことによって形成され、パルス周期(Tパルス)を有する繰り返しパターンを有する電圧波形を含む。本明細書で使用される場合、「パルス周期」という用語は、パルス電圧出力が繰り返されるのにかかる期間、例えば、2つの連続する最大電圧、または2つの連続する最小電圧間の時間の長さを指す。
【0065】
さらに好ましい実施形態では、パルス電圧出力は、電圧波形が電圧の非最小値で実質的に湾曲するように、最小電圧で漸近勾配を有し、それ以外では非漸近勾配を有する電圧波形を含むことができる。最小電圧で漸近勾配を有し、それ以外では非漸近勾配を有する波形の一例が
図9Aに示されており、図示の波形のパルス周期T
パルスは2msである。
図9Aに示す電圧波形は0Vの最小電圧を含むが、これは例示目的のためだけに選択されている。最小電圧は、
図9Bに示すパルス電圧出力の代替の実施形態の電圧波形など、0Vを超える値として選択されてもよい。当業者であれば、
図9Aおよび
図9Bに示されている電圧およびパルス周期は、例示のみを目的としていることを理解するであろう。
【0066】
一実施形態では、スイッチコントローラ28の帯電極性周期TPは、パルス周期Tパルスの整数倍と実質的に等価であるように構成される。さらなる実施形態では、パルス周期の整数倍は奇数倍である。さらなる実施形態では、パルス周期の奇数倍は1であってもよく、すなわち、帯電極性周期TPはパルス周期Tパルスに実質的に等しくてもよい。
【0067】
一実施形態では、スイッチユニット26がスイッチコントローラ28によってトグルされるタイミングは、発生する電磁干渉のレベルを低減するために、最小電圧と実質的に一致してもよい。第1および第2の可撓性接点14、16の両端間の電圧が実質的に低下した場合、前記可撓性接点の帯電極性が反転すると、電圧の瞬時変化率が著しく低下する。さらなる実施形態では、最小電圧が0または0付近である場合、電磁干渉の発生を実質的に完全に改善する。
【0068】
図10Aおよび
図10Bは、第1の可撓性接点14および第2の可撓性接点16の電圧波形を示し、電位は、それぞれの可撓性接点14、16と導電性表面18との間の電圧として測定され、一方、
図10Cは、例示的な18ボルトのDC電源12Bの入力に基づく、可撓性接点14、16間の装置の電圧波形を示す。
図10Cでは、全体的な電圧波形は、第1の可撓性接点14がデフォルトの「正」端子であるようになっているが、当業者は、これが慣例にすぎず、本発明の範囲を限定しないことを理解するであろう。
【0069】
図6C~
図10Cとは対照的に、当業者は、電圧の瞬時変化率がトグルの各インスタンスにおいて実質的に低減され、その結果、電磁干渉の発生が実質的に改善され得ることを理解することができる。第1および第2の可撓性接点14、16の両端間の電圧が急激に変化するのではなく、移行は正弦波形状に平滑化される。これは、発生した電磁干渉の低減に加えて、第1および第2の可撓性接点14、16の帯電極性をトグルする直前に第1および第2の可撓性接点14、16の両端間の電圧を低減することによって達成されてもよい。
【0070】
当業者には理解され得るように、
図10aおよび
図10bのピーク電圧値は、(18ボルトのDC電源12Bの入力に基づく)ピーク間電圧が36ボルトであるように、DC電源12Bの電圧出力と本質的に同一である。正弦波に実質的に近づく電圧波形の場合、「有用な」電圧(RMS電圧である)は約12.6ボルト
【数2】
になる。したがって、装置の一実施形態は、依然として有用な速度で所望の電気化学反応を駆動するのに十分高い電圧および十分な電流を生成しながら、典型的な18Vの電動工具用バッテリパックと互換性があり、または使用可能であり得ると考えられる。
【0071】
電源および流体源の設計
一実施形態では、
図11Aを参照すると、電源12は搭載電源36であってもよい。そのような実施形態では、装置は完全可搬式装置であってもよい。さらなる実施形態では、搭載電源36は、第1および第2の可撓性接点14、16がそこから延在する装置のハンドル部分40から着脱可能な電源ハウジング38内にあってもよい。
【0072】
代替の実施形態では、
図11Bを参照すると、電源12は、第1および第2の可撓性接点14、16がそこから延在する装置のハンドル部分40から離間し、ハンドル部分40に電気的に接続された電源ハウジング38内にあってもよい。電源ハウジング38は、1つ以上の可撓性ケーブルによって装置のハンドル部分に電気的に接続されてもよい。そのような実施形態により、長期間にわたる装置の使用が可能になり得る。
【0073】
一実施形態では、装置は、流体源44から第1および第2の可撓性接点14、16の少なくとも一方に導電性流体を送達するように配置された流体導管42をさらに備えてもよい。これは、第1および第2の可撓性接点14、16への導電性流体の少なくとも部分的に連続した流れを可能にし、前記導電性流体の容器内に第1および第2の可撓性接点を浸漬する必要性を排除または少なくとも改善することができる。流体導管42を通る導電性流体の送達は、手動(例えば、ユーザが操作するボタンまたはスイッチによって作動される)であってもよいし、自動であってもよい。送達は、1つ以上のポンプユニットなどによって圧力駆動されてもよい。さらなる実施形態では、流体源は、装置ケーシング10内に収容されるかまたは装置ケーシング10に装着され、流体導管42と流体連通する流体リザーバ46であってもよい。装置が電源ハウジング38内に電源12も備えるさらなる実施形態(図示せず)では、流体リザーバ46は電源ハウジング内に位置してもよい。
【0074】
可撓性接点設計
一般に、
図12を参照すると、第1および第2の可撓性接点はそれぞれ、装置ケーシング10に装着され、電源12から電流を受け取るための装着手段48と、そこから延在し、導電性流体を導電性表面18に塗布するように適合された可撓性アプリケータ部分50とを備える。第1および第2の可撓性接点14、16は、電流が電源12からそれぞれの可撓性接点を通って導電性流体中に流れることができるようにさらに適合されている。いくつかの実施形態では、これは、導電性要素が可撓性アプリケータ部分50に接触するかまたは可撓性アプリケータ部分50内に突出し、したがってその中で搬送される導電性流体と接触することによって達成され得る。代替の実施形態では、可撓性アプリケータ部分50は、導電性材料から構成されてもよく、それにより、電流が、負荷された導電性流体を通って流れるのと一緒に、またはその代わりに、可撓性アプリケータ部分50に沿って流れることを可能にする。いくつかの実施形態では、装着手段48は、流体導管46を通して導電性流体を受け入れるように適合されてもよい。
【0075】
図12をさらに参照すると、一実施形態では、可撓性アプリケータ部分50は、装着手段48の端部に吸収パッド50Aを備えてもよい。実施形態はまた、導電性要素52を備えてもよい。吸収材料は、流体搬送手段として機能し、導電性流体を搬送し、その導電性表面(図示せず)への塗布を可能にする。
【0076】
一実施形態では、
図13を参照すると、第1および第2の可撓性接点14、16の少なくとも一方の可撓性アプリケータ部分50は、吸収材料を含み、装着手段48に装着されたローラ要素であってもよい。吸収パッド50Aを備える実施形態と同様に、ローラ要素50Bの吸収材料は、導電性流体を搬送するように機能する。さらなる実施形態では、
図14を参照すると、第1および第2の可撓性接点14、16のそれぞれは、第1の可撓性接点14を形成するように配置された第1の装着手段48-1および第1のローラ要素50B-1と、第2の可撓性接点16を形成するように配置された第2のローラ手段48-2および第2のローラ要素50B-2とを有するスプリットローラの形態で設けられてもよい。一実施形態では、スプリットローラは、いくらかの構造的剛性を提供するために、1つ以上の中央部分54を備えてもよい。そのような実施形態では、中央部分54は、第1および第2のローラ要素50B-1、50B-2が互いに電気的に絶縁されることを確実にするように非導電性である。
【0077】
一実施形態では、
図15を参照すると、第1および第2の可撓性接点14、16の少なくとも一方の可撓性アプリケータ部分50はブラシであってもよい。さらなる実施形態では、ブラシの可撓性アプリケータ部分50は、導電性フィラメント50Cを備えてもよい。さらなる実施形態では、ブラシは、伸長可能および/または収縮可能であってもよい。その伸長および/もしくは収縮は手動であってもよく、またはモータによって駆動されてもよい。伸長および/または収縮は、使用によってブラシが摩耗した程度を感知するために、センサの入力に基づいてスイッチコントローラによって自動化されてもよい。
【0078】
当業者には理解されるように、第1および第2の可撓性接点14、16の可撓性アプリケータ部分50は可撓性である。これは、電気回路が完成することを確実にするために必要な、接点14、16の両方による導電性表面18との十分(adequate)かつ適切(proper)な接触を促進するのに役立つ。しかしながら、第1および第2の可撓性接点14、16のサイズ、種類および構成に応じて、可撓性接点は、互いに向かって屈曲(flexing)、湾曲(bending)または他の方法で変形する危険性がある場合がある。それらが互いに直接接触する場合、回路は時期尚早に完成する場合があり、短絡につながる場合がある。一実施形態では、
図16を参照すると、装置は、第1または第2の可撓性接点14、16が他方の可撓性接点に直接接触するのを防止するように配置された、非導電性材料で形成された仕切り要素56をさらに備えてもよい。さらなる実施形態では、
図15を再び参照すると、仕切り要素56は、第1および第2の可撓性接点14、16の少なくとも一方の周りに少なくとも部分的に延在するシュラウドを備えてもよい。いくつかの実施形態では、シュラウドは、伸長可能および/または収縮可能であってもよい。
図15に示されている仕切り要素56は、切り欠きを伴って示されているが、これは説明および明確化の目的のためにすぎない。
【0079】
本発明は、上記の好ましい実施形態を参照して説明されたが、それらの実施形態に限定されず、具体的に説明されたもの以外の多くの他の形態、変形形態および修正形態で具体化され得ることが当業者には理解されよう。本発明は、すべてのそのような変形形態および修正形態を含む。本発明はまた、本明細書で言及または指示されるステップ、特徴、構成要素および/または装置のすべてを個別にまたは集合的に含み、ステップまたは特徴のありとあらゆる組み合わせまたは任意の2つ以上を含む。
【0080】
本明細書では、文脈上明確に示されない限り、「備える、含む(comprising)」という語は、「のみからなる(consisting only of)」などの語の排他的な意味を有することを意図するものではなく、「少なくとも含む(including at least)」という意味で非排他的な意味を有する。同じことが、「備える、含む(comprise)」などの単語の他の形態にも、対応する文法的変化を伴って適用される。
【0081】
本明細書で使用される選択された用語の他の定義は、本発明の詳細な説明の中に見出され、全体を通して適用され得る。他に定義されない限り、本明細書で使用される他のすべての科学用語および技術用語は、本発明が属する技術分野の当業者に一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
【0082】
本明細書で行われるいかなる約束も、本発明のいくつかの実施形態に関連すると理解されるべきであり、すべての実施形態において本発明に関して行われる約束であることを意図するものではない。本発明のすべての実施形態に適用されるとみなされる約束がある場合、出願人/特許権者は、それらを後に明細書から削除する権利を留保し、いかなる国においても特許の承諾またはその後の付与についてこれらの約束に依拠しない。
【手続補正書】
【提出日】2023-09-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置ケーシングと、
前記ケーシングから延在する第1および第2の可撓性接点であって、各々が装着手段と、前記装着手段から延在する可撓性アプリケータ部分とを備え
、各々が電源に電気的に接続されている、第1および第2の可撓性接点と
を備え、
前記第1および第2の可撓性接点がそれぞれ、導電性流体を受け取り、続いて前記導電性流体を表面に塗布するように適合され
ており、
前記第1および第2の可撓性接点が、周期的に変化する電圧を有する電力を受け取り、
前記第1の可撓性接点が、前記第2の可撓性接点に対して正に帯電することと負に帯電することとを交互に繰り返し、
前記第2の可撓性接点が、前記第1の可撓性接点に対して負に帯電することと正に帯電することとを交互に繰り返し、
前記第1および第2の可撓性接点の各々の前記交互に繰り返すことが、同時かつ反対方向に生じる、可搬ハンドヘルド型電気化学処理装置。
【請求項2】
前記電源が交流(AC)電源である、請求項
1に記載の装置。
【請求項3】
前記電源が直流(DC)電源であり、
前記装置が、
前記電源と前記第1および第2の可撓性接点との間のスイッチユニットであって、電圧出力端子、接地端子、ならびに前記第1および第2の可撓性接点に電気的に接続される、スイッチユニットと、
前記スイッチユニットに接続され、帯電極性周期を有するスイッチコントローラと
をさらに備え、前記スイッチユニットが、前記第1の可撓性接点が相対的に正に帯電し、および前記第2の可撓性接点が負に帯電する第1の構成と、前記第1の可撓性接点が相対的に負に帯電し、および前記第2の可撓性接点が正に帯電する第2の構成とを有し、かつ
前記スイッチコントローラが、前記帯電極性周期によって決定される速度で、前記スイッチユニットを前記第1の構成と前記第2の構成との間で周期的にトグルするように構成される、請求項
1に記載の装置。
【請求項4】
前記電源および前記スイッチユニットに電気的に接続されたDC-DCコンバータをさらに備え、
前記電圧出力端子および前記接地端子が、前記DC-DCコンバータのそれぞれの端子であり、かつ
前記DC-DCコンバータが、
(i)電源から定電圧入力を受け取り、
(ii)前記定電圧入力をパルス電圧出力に変換し、かつ
(iii)前記パルス電圧出力を、前記電圧出力端子を介して前記スイッチユニットに提供する
ように構成され、
さらに、前記パルス電圧出力が、最大電圧と最小電圧とを交互に繰り返すことによって形成され、およびパルス周期を有する繰り返しパターンを有する電圧波形を含み、かつ
前記帯電極性周期が、前記パルス周期の整数倍と実質的に等しい、請求項
3に記載の装置。
【請求項5】
前記帯電極性周期が、前記パルス周期の奇数倍に実質的に等しい、請求項
4に記載の装置。
【請求項6】
前記パルス電圧出力が、その最小電圧で漸近勾配を有し、それ以外では非漸近勾配を有する電圧波形を含み、かつ
前記スイッチコントローラが前記スイッチユニットをトグルするタイミングが、前記最小電圧と実質的に一致している、請求項
4または
5に記載の装置。
【請求項7】
前記電圧波形が、整流された全波正弦波形である、請求項
4から
6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記スイッチユニットがスイッチのアレイを備え、前記アレイが、
前記電圧出力端子と前記第1の可撓性接点との間に閉成可能な回路セグメントを形成する第1のスイッチと、
前記電圧出力端子と前記第2の可撓性接点との間に閉成可能な回路セグメントを形成する第2のスイッチと、
前記接地端子と前記第1の可撓性接点との間に閉成可能な回路セグメントを形成する第3のスイッチと、
前記接地端子と前記第2の可撓性接点との間に閉成可能な回路セグメントを形成する第4のスイッチと
を備え、さらに、前記スイッチユニットを前記第1の構成にトグルすることが、前記第1および第4のスイッチを閉じることと、前記第2および前記第3のスイッチを開くこととを含み、かつ
前記スイッチユニットを前記第2の構成にトグルすることが、前記第1および前記第4のスイッチを開くことと、前記第2および前記第3のスイッチを閉じることとを含む、請求項
3から
7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記帯電極性周期が所望のプロセス完了時間に等しく、
さらに、前記所望のプロセス完了時間(T
C)が、以下:
T
D,min≦T
C<T
U
のように定義され、T
D,minが、所望のプロセスが進行するのに必要な最小時間であり、かつ
T
Uが、望ましくないプロセスが進行するのに必要な時間である、請求項
3から
8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記DC電源が、バッテリ、電力セル、燃料電池、または他の自立型DC電源である、請求項
3から
9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記第1および第2の可撓性接点の少なくとも一方の前記可撓性アプリケータ部分が、吸収材料を含むローラ要素を備える、請求項1から
10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記第1および第2の可撓性接点の少なくとも一方の前記可撓性アプリケータ部分が、前記装着手段の端部に吸収パッドを備える、請求項1から
10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記第1および第2の可撓性接点の少なくとも一方の前記可撓性アプリケータ部分がブラシを備える、請求項1から
10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記ブラシが導電性フィラメントを備える、請求項
13に記載の装置。
【請求項15】
前記第1または第2の可撓性接点が前記他方の可撓性接点に直接接触するのを防止するように配置された、非導電性材料で形成された仕切り要素をさらに備える、請求項1から
14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記仕切り要素が、前記第1および第2の可撓性接点の少なくとも一方の周りに少なくとも部分的に延在するシュラウドを備える、請求項
15に記載の装置。
【請求項17】
前記電源が、前記装置ケーシング内に収容されるか、または前記装置ケーシングに装着された搭載電源である、請求項1から
16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
前記搭載電源が、前記装置ケーシングに着脱可能に装着された電源ハウジング内にある、請求項
17に記載の装置。
【請求項19】
前記電源が、前記装置ケーシングから離間し、前記
可撓性接点に電気的に接続
可能な電源ハウジング内にある、請求項1から
14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
流体源から前記第1および第2の可撓性接点のそれぞれに前記導電性流体を提供するように配置された流体導管をさらに備える、請求項1から
19のいずれか一項に記載の装置。
【請求項21】
前記流体源が、前記装置ケーシング内に収容されるか、または前記装置ケーシングに装着された流体リザーバである、請求項
20に記載の装置。
【請求項22】
前記流体リザーバが、前記装置ケーシングから着脱可能である、請求項
21に記載の装置。
【請求項23】
前記電源が、前記装置ケーシングに着脱可能に装着された電源ハウジング内にあり、かつ
前記流体リザーバが、電源ハウジング内に位置する、請求項
21または
22に記載の装置。
【請求項24】
導電性物品の溶接部を電解洗浄して不動態化するために使用される、請求項1から
23のいずれか一項に記載の装置。
【請求項25】
導電性物品の表面に、設計、パターン、または他の形態のマーキングを電気化学的にエッチングするために使用される、請求項1から
23のいずれか一項に記載の装置。
【国際調査報告】