(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】神経成長因子突然変異体の組換えタンパク質及びその使用
(51)【国際特許分類】
C07K 14/48 20060101AFI20240829BHJP
C12N 15/18 20060101ALI20240829BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20240829BHJP
C12N 15/88 20060101ALI20240829BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20240829BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20240829BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20240829BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20240829BHJP
C12P 21/00 20060101ALI20240829BHJP
A61K 38/22 20060101ALI20240829BHJP
A61K 9/127 20060101ALI20240829BHJP
A61K 9/00 20060101ALI20240829BHJP
A61K 47/44 20170101ALI20240829BHJP
A61K 47/24 20060101ALI20240829BHJP
A61K 47/28 20060101ALI20240829BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20240829BHJP
A61K 35/12 20150101ALI20240829BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20240829BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
C07K14/48 ZNA
C12N15/18
C12N15/63 Z
C12N15/88 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12P21/00 H
A61K38/22
A61K9/127
A61K9/00
A61K47/44
A61K47/24
A61K47/28
A61K48/00
A61K35/12
A61P25/00
A61P25/28
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024536342
(86)(22)【出願日】2022-08-24
(85)【翻訳文提出日】2024-04-26
(86)【国際出願番号】 CN2022114516
(87)【国際公開番号】W WO2023025193
(87)【国際公開日】2023-03-02
(31)【優先権主張番号】202110981721.5
(32)【優先日】2021-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522179390
【氏名又は名称】上海交通大学医学院
(71)【出願人】
【識別番号】524073175
【氏名又は名称】シャンハイ アールエヌエーキュア バイオファーマ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュイ、インチエ
(72)【発明者】
【氏名】ユイ、シアン
(72)【発明者】
【氏名】シュイ、ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、ウェン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、チョン
(72)【発明者】
【氏名】チャン、ユイ
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
4C076
4C084
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG13
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4H045AA10
4H045AA20
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4H045BA40
4H045BA41
4H045CA40
4H045DA21
4H045DA75
4H045EA20
4H045FA72
4H045FA74
(57)【要約】
神経成長因子(NGF)タンパク質変異体及び前記NGFタンパク質変異体に連結された異種シグナルペプチドとを含む、組換えタンパク質を開示する。更に前記組換えタンパク質をコードするmRNA及び送達ベクターを含む組成物、並びに中毒性/遺伝性/代謝性末梢神経障害、神経再生修復及び/又は中枢神経系変性疾患の治療のための当該組成物の使用を開示する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
神経成長因子(NGF)タンパク質変異体と、前記NGFタンパク質変異体に連結された異種シグナルペプチドとを含む、組換えタンパク質であって、
野生型NGFタンパク質と比較して、前記NGFタンパク質変異体の神経栄養因子受容体p75(p75NTR)への結合は少なくとも50%減少し、
配列番号29に示されるシグナルペプチドと比較して、前記異種シグナルペプチドは、前記NGFタンパク質変異体の発現量及び/又は分泌量を少なくとも50%増加させる、
組換えタンパク質。
【請求項2】
前記野生型NGFタンパク質は、配列番号32に示されるアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の組換えタンパク質。
【請求項3】
前記NGFタンパク質変異体は、配列番号33に示されるアミノ酸配列を含む、請求項1~2のいずれか一項に記載の組換えタンパク質。
【請求項4】
前記異種シグナルペプチドは、前記NGFタンパク質変異体の発現量及び/又は分泌量を野生型NGFタンパク質の50%以上に達することを可能にする、請求項1~3のいずれか一項に記載の組換えタンパク質。
【請求項5】
前記異種シグナルペプチドは神経栄養因子由来である、請求項1~4のいずれか一項に記載の組換えタンパク質。
【請求項6】
前記異種シグナルペプチドは、脳由来神経栄養因子(BDNF)、神経栄養因子-3(NT-3)及び/又は神経栄養因子-4(NT-4)に由来する、請求項1~5のいずれか一項に記載の組換えタンパク質。
【請求項7】
前記異種シグナルペプチドは、Gp67、Gp64、ミツバチメリチン(HBM)、アルブミン(Albumin、Alb)、IL-2、アズロシジンプレプロタンパク質(Azurocidin preproprotein、APP)、マウスIgK、免疫グロブリン重鎖(Immunoglobulin heavy chain、HC)及び/又はシスタチン-S前駆体(Cystatin-S precursor、Cystatin)に由来する、請求項1~6のいずれか一項に記載の組換えタンパク質。
【請求項8】
前記異種シグナルペプチドは、IgKシグナルペプチド及び/又はBDNFシグナルペプチドである、請求項1~7のいずれか一項に記載の組換えタンパク質。
【請求項9】
前記異種シグナルペプチドは、配列番号30~31のいずれか一項に示されるアミノ酸配列を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の組換えタンパク質。
【請求項10】
更にリーダーペプチドを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の組換えタンパク質。
【請求項11】
前記リーダーペプチドは、配列番号34に示されるアミノ酸配列を含む、請求項10に記載の組換えタンパク質。
【請求項12】
前記組換えタンパク質は、N末端からC末端まで、順次に前記異種シグナルペプチド、前記リーダーペプチド及び前記NGFタンパク質変異体を含む、請求項10~11のいずれか一項に記載の組換えタンパク質。
【請求項13】
前記組換えタンパク質は、N末端からC末端まで、順次に前記IgKシグナルペプチド、前記リーダーペプチド及び前記NGFタンパク質変異体を含む、請求項10~12のいずれか一項に記載の組換えタンパク質。
【請求項14】
配列番号15~20のいずれか一項に示されるアミノ酸配列を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の組換えタンパク質。
【請求項15】
配列番号15及び19のいずれか一項に示されるアミノ酸配列を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の組換えタンパク質。
【請求項16】
更に免疫グロブリンのFc領域を含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の組換えタンパク質。
【請求項17】
前記Fc領域はヒト免疫グロブリン及び/又はマウス免疫グロブリンに由来する、請求項16に記載の組換えタンパク質。
【請求項18】
前記Fc領域はヒトIgG1のFc領域である、請求項16~17のいずれか一項に記載の組換えタンパク質。
【請求項19】
前記Fc領域はマウスIgGのFc領域である、請求項16~18のいずれか一項に記載の組換えタンパク質。
【請求項20】
前記Fc領域は配列番号56~57のいずれか一項に示されるアミノ酸配列を含む、請求項16~19のいずれか一項に記載の組換えタンパク質。
【請求項21】
前記組換えタンパク質は、N末端からC末端まで、順次に前記異種シグナルペプチド、前記リーダーペプチド、前記NGFタンパク質変異体及び前記Fc領域を含む、請求項16~20のいずれか一項に記載の組換えタンパク質。
【請求項22】
前記組換えタンパク質は、N末端からC末端まで、順次に前記IgKシグナルペプチド、前記リーダーペプチド、前記NGFタンパク質変異体及び前記Fc領域を含む、請求項16~21のいずれか一項に記載の組換えタンパク質。
【請求項23】
配列番号54~55のいずれか一項に示されるアミノ酸配列を含む、請求項1~22のいずれか一項に記載の組換えタンパク質。
【請求項24】
請求項1~23のいずれか一項に記載の組換えタンパク質をコードする、単離された核酸分子。
【請求項25】
DNA及び/又はRNAを含む、請求項24に記載の核酸分子。
【請求項26】
5’キャップ、5’非翻訳領域、オープンリーディングフレーム、3’非翻訳領域及びpoly Aテールから選択される1つ又は複数の位置に修飾を含む、請求項24~25のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項27】
少なくとも1つの修飾ヌクレオチドを含む、請求項24~26のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項28】
前記核酸分子に含まれる修飾ヌクレオチドは、N1-メチルシュードウリジン-5’-三リン酸(N1-Methylpseudo-UTP)、シュードウリジン-5’-三リン酸(pseudo-UTP)、5-メトキシウリジン-二リン酸(5-Methoxy-UDP)及び5-メチルシチジン三リン酸(5-Methyl-CTP)から選択される1つ又は複数のヌクレオチドを含む、請求項24~27のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項29】
コドン最適化されている、請求項24~28のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項30】
配列番号3~8及び配列番号46~47のいずれか一項に示されるヌクレオチド配列を含む、請求項24~29のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項31】
配列番号3及び7のいずれか一項に示されるヌクレオチド配列を含む、請求項24~30のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項32】
配列番号11~12のいずれか一項に示されるヌクレオチド配列を含む、請求項24~31のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項33】
配列番号23~28及び配列番号50~51のいずれか一項に示されるヌクレオチド配列を含む、請求項24~32のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項34】
配列番号23及び27のいずれか一項に示されるヌクレオチド配列を含む、請求項16~21のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項35】
(a)神経成長因子(NGF)タンパク質又はその変異体をコードするポリヌクレオチドを含むmRNA、及び(b)送達ベクターを含む、組成物。
【請求項36】
前記NGFタンパク質は、配列番号32に示されるアミノ酸配列を含む、請求項35に記載の組成物。
【請求項37】
配列番号32に示されるアミノ酸配列と比較して、前記NGFタンパク質変異体の神経栄養因子受容体p75(p75NTR)への結合は、少なくとも50%減少する、請求項35~36のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項38】
前記NGFタンパク質変異体は、配列番号33に示されるアミノ酸配列を含む、請求項35~37のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項39】
前記mRNAは異種シグナルペプチドをコードするポリヌクレオチドを含み、配列番号29に示されるシグナルペプチドと比較して、前記異種シグナルペプチドは、前記NGFタンパク質変異体の発現量及び/又は分泌量を少なくとも50%増加させる、請求項35~38のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項40】
前記異種シグナルペプチドは、前記NGFタンパク質変異体の発現量及び/又は分泌量を野生型NGFタンパク質の50%以上に達することを可能にする、請求項39に記載の組成物。
【請求項41】
前記異種シグナルペプチドは神経栄養因子由来である、請求項39~40のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項42】
前記異種シグナルペプチドは、脳由来神経栄養因子(BDNF)、神経栄養因子-3(NT-3)及び/又は神経栄養因子-4(NT-4)に由来する、請求項39~41のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項43】
前記異種シグナルペプチドは、Gp67、Gp64、ミツバチメリチン(HBM)、アルブミン、IL-2、アズロシジンプレプロタンパク質、マウスIgK、免疫グロブリン重鎖及び/又はシスタチン-S前駆体に由来する、請求項39~42のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項44】
前記異種シグナルペプチドは、IgKシグナルペプチド及び/又はBDNFシグナルペプチドである、請求項39~43のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項45】
前記異種シグナルペプチドは、配列番号30~31のいずれか一項に示されるアミノ酸配列を含む、請求項39~44のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項46】
前記mRNAは更にリーダーペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む、請求項35~45のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項47】
前記リーダーペプチドは、配列番号34に示されるアミノ酸配列を含む、請求項46に記載の組成物。
【請求項48】
前記mRNAは、5’末端から3’末端まで、順次に前記異種シグナルペプチドをコードするポリヌクレオチド、前記リーダーペプチドをコードするポリヌクレオチド及び前記NGFタンパク質又はその変異体をコードするポリヌクレオチドを含む、請求項46~47のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項49】
前記mRNAは、5’末端から3’末端まで、順次に前記IgKシグナルペプチドをコードするポリヌクレオチド、前記リーダーペプチドをコードするポリヌクレオチド及び前記NGFタンパク質変異体をコードするポリヌクレオチド含む、請求項46~48のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項50】
前記mRNAは、5’末端から3’末端まで、順次に前記BDNFシグナルペプチドをコードするポリヌクレオチド、前記リーダーペプチドをコードするポリヌクレオチド及び前記NGFタンパク質変異体をコードするポリヌクレオチド含む、請求項46~48のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項51】
前記mRNAは、配列番号14~20のいずれか一項に示されるアミノ酸配列をコードする、請求項35~50のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項52】
前記mRNAコードは、配列番号15及び19のいずれか一項に示されるアミノ酸配列をコードする、請求項35~50のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項53】
前記mRNAは更に免疫グロブリンのFc領域をコードするポリヌクレオチドを含む、請求項35~52のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項54】
前記Fc領域はヒト免疫グロブリン及び/又はマウス免疫グロブリンに由来する、請求項53に記載の組成物。
【請求項55】
前記Fc領域はヒトIgG1のFc領域である、請求項53~54のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項56】
前記Fc領域はマウスIgGのFc領域である、請求項53~55のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項57】
前記Fc領域は配列番号56~57のいずれか一項に示されるアミノ酸配列を含む、請求項53~56のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項58】
前記mRNAは、5’末端から3’末端まで、順次に前記異種シグナルペプチドをコードするポリヌクレオチド、前記リーダーペプチドをコードするポリヌクレオチド、前記NGFタンパク質変異体をコードするポリヌクレオチド及び前記免疫グロブリンのFc領域をコードするポリヌクレオチドを含む、請求項53~57のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項59】
前記mRNAは、5’末端から3’末端まで、順次に前記IgKシグナルペプチドをコードするポリヌクレオチド、前記リーダーペプチドをコードするポリヌクレオチド、前記NGFタンパク質変異体をコードするポリヌクレオチド及び前記免疫グロブリンのFc領域をコードするポリヌクレオチドを含む、請求項53~58のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項60】
前記mRNAは、配列番号54~55のいずれか一項に示されるアミノ酸配列をコードする、請求項35~59のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項61】
前記mRNAは、5’キャップ、5’非翻訳領域、オープンリーディングフレーム、3’非翻訳領域及びpoly Aテールから選択される1つ又は複数の位置に修飾を含む、請求項35~60のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項62】
前記mRNAは少なくとも1つの修飾ヌクレオチドを含む、請求項35~61のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項63】
前記mRNAに含まれる修飾ヌクレオチドは、N1-メチルシュードウリジン-5’-三リン酸(N1-Methylpseudo-UTP)、シュードウリジン-5’-三リン酸(pseudo-UTP)、5-メトキシウリジン-二リン酸(5-Methoxy-UDP)及び5-メチルシチジン三リン酸(5-Methyl-CTP)から選択される1つ又は複数のヌクレオチドを含む、請求項35~62のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項64】
前記mRNAはコドン最適化されている、請求項35~63のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項65】
前記mRNAは、配列番号22~28及び配列番号50~51のいずれか一項に示されるヌクレオチド配列を含む、請求項35~64のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項66】
前記mRNAは、配列番号23及び27のいずれか一項に示されるヌクレオチド配列を含む、請求項35~65のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項67】
前記送達ベクターはリポソームを含む、請求項35~66のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項68】
前記送達ベクターは脂質ナノ粒子(LNP)を含む、請求項35~67のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項69】
前記送達ベクターはカチオン性脂質を含む、請求項35~68のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項70】
前記送達ベクターにおける前記カチオン性脂質のモル比は約45%~約55%である、請求項69に記載の組成物。
【請求項71】
前記カチオン性脂質はSM102及びDLin-MC3-DMAである、請求項69~70のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項72】
前記送達ベクターは非カチオン性脂質を含む、請求項35~71のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項73】
前記非カチオン性脂質はリン脂質及び/又は脂質複合体を含む、請求項72に記載の組成物。
【請求項74】
前記送達ベクターにおける前記リン脂質のモル比は約35%~約40%である、請求項73に記載の組成物。
【請求項75】
前記リン脂質はジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)を含む、請求項73~74のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項76】
前記脂質複合体はポリエチレングリコール修飾脂質分子を含む、請求項73~75のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項77】
前記送達ベクターにおける前記脂質複合体のモル比は約1%~約2%である、請求項73~76のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項78】
前記ポリエチレングリコール修飾脂質分子はPEG2000-DMGを含む、請求項76~77のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項79】
前記送達ベクターはコレステロールを含む、請求項35~78のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項80】
前記送達ベクターにおける前記コレステロールのモル比は約8%~約12%である、請求項79に記載の組成物。
【請求項81】
前記送達ベクターは、カチオン性脂質、コレステロール、リン脂質及び脂質複合体を含み、且つ、前記カチオン性脂質、コレステロール、リン脂質及び脂質複合体の質量比は、50:10:38.5:1.5である、請求項35~80のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項82】
前記送達ベクターは、DLin-MC3-DMA、コレステロール、DSPC及びPEG2000-DMPEを含み、且つ、前記DLin-MC3-DMA、コレステロール、DSPC及びPEG2000-DMPEの質量比は、50:10:38.5:1.5である、請求項35~81のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項83】
前記送達ベクターの直径は約60nm~約500nmである、請求項35~82のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項84】
前記送達ベクターの直径は約80nm~約200nmである、請求項35~83のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項85】
前記mRNAは前記送達ベクターにカプセル化されている、請求項35~84のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項86】
請求項24~34のいずれか一項に記載の核酸分子を含む、ベクター。
【請求項87】
請求項24~34のいずれか一項に記載の核酸分子、及び/又は請求項86に記載のベクターを含むか、又は請求項1~23のいずれか一項に記載の組換えタンパク質を発現する、細胞。
【請求項88】
請求項1~23のいずれか一項に記載の組換えタンパク質を発現する条件下で請求項87に記載の細胞を培養することを含む、請求項1~23のいずれか一項に記載の組換えタンパク質の製造方法。
【請求項89】
請求項1~23のいずれか一項に記載の組換えタンパク質、請求項24~34のいずれか一項に記載の核酸分子、請求項35~85のいずれか一項に記載の組成物、請求項86に記載のベクター及び/又は請求項87に記載の細胞、及び任意選択的な薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
【請求項90】
請求項1~23のいずれか一項に記載の組換えタンパク質、請求項24~34のいずれか一項に記載の核酸分子、請求項35~85のいずれか一項に記載の組成物、請求項86に記載のベクター、請求項87に記載の細胞、及び/又は請求項89に記載の医薬組成物を含む、キット又は薬物送達装置。
【請求項91】
必要とする対象に請求項1~23のいずれか一項に記載の組換えタンパク質、請求項24~34のいずれか一項に記載の核酸分子、請求項35~85のいずれか一項に記載の組成物、請求項86に記載のベクター、請求項87に記載の細胞、及び/又は請求項89に記載の医薬組成物を投与することを含む、中枢及び/又は末梢神経系疾患の緩和、予防及び/又は治療のための方法。
【請求項92】
前記中枢及び/又は末梢神経系疾患は神経変性疾患を含む、請求項91に記載の方法。
【請求項93】
前記中枢及び/又は末梢神経系疾患は末梢神経障害を含む、請求項91に記載の方法。
【請求項94】
前記末梢神経障害は中毒性末梢神経障害、遺伝性末梢神経障害及び/又は代謝性末梢神経障害を含む、請求項93に記載の方法。
【請求項95】
前記中枢及び/又は末梢神経系疾患は、糖尿病性末梢神経障害、薬物関連末梢神経障害、遺伝性運動感覚神経障害、末梢神経の外傷後修復、外傷性視神経炎及び/又はアルツハイマー病を含む、請求項91に記載の方法。
【請求項96】
中枢及び/又は末梢神経系疾患の緩和、予防及び/又は治療のために使用される医薬の製造における、請求項1~23のいずれか一項に記載の組換えタンパク質、請求項24~34のいずれか一項に記載の核酸分子、請求項35~85のいずれか一項に記載の組成物、請求項86に記載のベクター、請求項87に記載の細胞、及び/又は請求項89に記載の医薬組成物の使用。
【請求項97】
前記中枢及び/又は末梢神経系疾患は神経変性疾患を含む、請求項96に記載の使用。
【請求項98】
前記中枢及び/又は末梢神経系疾患は末梢神経障害を含む、請求項96に記載の使用。
【請求項99】
前記末梢神経障害は中毒性末梢神経障害、遺伝性末梢神経障害及び/又は代謝性末梢神経障害を含む、請求項98に記載の使用。
【請求項100】
前記中枢及び/又は末梢神経系疾患は、糖尿病性末梢神経障害、薬物関連末梢神経障害、遺伝性運動感覚神経障害、末梢神経の外傷後修復、外傷性視神経炎及び/又はアルツハイマー病を含む、請求項96に記載の使用。
【請求項101】
請求項1~23のいずれか一項に記載の組換えタンパク質、請求項24~34のいずれか一項に記載の核酸分子、請求項35~85のいずれか一項に記載の組成物、請求項86に記載のベクター、請求項87に記載の細胞、及び/又は請求項89に記載の医薬組成物を含む、神経成長因子(NGF)タンパク質の分泌及び/又は発現を促進する方法。
【請求項102】
非治療目的の方法である、請求項101に記載の方法。
【請求項103】
in vitro及び/又は体外の方法である、請求項101に記載の方法。
【請求項104】
請求項1~23のいずれか一項に記載の組換えタンパク質、請求項24~34のいずれか一項に記載の核酸分子、請求項35~85のいずれか一項に記載の組成物、請求項86に記載のベクター、請求項87に記載の細胞、及び/又は請求項89に記載の医薬組成物を含む、神経細胞の増殖及び/又は分化を促進する方法。
【請求項105】
非治療目的の方法である、請求項104に記載の方法。
【請求項106】
in vitro及び/又は体外の方法である、請求項104に記載の方法。
【請求項107】
請求項1~23のいずれか一項に記載の組換えタンパク質、請求項24~34のいずれか一項に記載の核酸分子、請求項35~85のいずれか一項に記載の組成物、請求項86に記載のベクター、請求項87に記載の細胞、及び/又は請求項89に記載の医薬組成物を含む、損傷された神経細胞を修復する方法。
【請求項108】
非治療目的の方法である、請求項107に記載の方法。
【請求項109】
in vitro及び/又は体外の方法である、請求項107に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、生物医学分野に関し、具体的に、組換えタンパク質をコードするmRNAを含む神経成長因子突然変異体の組換えタンパク質、及び神経系疾患の治療におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
神経成長因子(Nerve growth factor、NGF)は、神経栄養機能を有する成長調節因子であり、中枢前脳基底部コリン作動性ニューロン(basal forebrain cholinergic neurons、BFCNs)及び末梢侵害受容性ニューロンの発達と機能分化の維持に重要な役割を果たし、成熟した中枢及び末梢ニューロンの正常な機能の維持、神経損傷の自己保護と修復のためにも重要である。NGFは強力な神経栄養因子として、過去20~30年間、様々な中枢及び末梢神経系疾患の薬物治療において注目を集めてきた。
【0003】
臨床研究の過程において、NGFの使用により用量依存的な疼痛副作用が引き起こされた。アルツハイマー病(Alzheimer’s disease、AD)は、認知機能障害と記憶障害を特徴とする進行性及び致死的な中枢神経系変性疾患である。臨床試験では、AD患者の治療に高用量のNGFを使用したところ、AD患者の認知能力と大脳皮質代謝は、いずれも有意に改善されたものの、疼痛と体重減少などの副作用の発生がその治療効果を相殺することが判明し、最終的に臨床試験は失敗とされた。糖尿病性神経障害及びHIV末梢神経障害の治療にNGFを使用した場合にも、同じ現象が見られた。これは、NGFが疼痛及び痛覚過敏を引き起こす重要なメディエーターの1つであるためである。TrkA及びp75NTRシグナル伝達経路は、いずれもNGFの疼痛誘発機能を媒介しており、TrkA及びp75NTRシグナル伝達経路が相互作用することが多くの研究で示されている。従って、いずれかのシグナル伝達経路(TrkA又はp75NTR)の喪失又はTrkAとp75NTRシグナル伝達経路間のバランスの崩壊は、NGFの疼痛誘発機能に影響を及ぼす。
【0004】
「痛みのない」神経成長因子の発見は、NGFの臨床使用に大きな期待をもたらした。NGFR100Wに続発する遺伝性感覚性自律神経性ニューロパチーV型(hereditary sensory and autonomous neuropathy type V、HSAN V)は、スウェーデン北部の家族で発見された成熟NGFタンパク質であり、100位のアルギニンがトリプトファンに置換され、患者は痛みと温度感覚の喪失を経験するが、知能は正常であり、これは、NGFR100Wが神経栄養機能を保持しながら、痛みを媒介する機能を選択的に失う可能性があることを示唆している。NGFR100Wの発見は、NGFの神経栄養機能及び疼痛媒介機能を研究するための重要な基礎を提供し、その生物学的特性と関連する作用機序の研究は、中毒性/遺伝性/代謝性末梢神経障害、神経再生修復及び/又は中枢神経系変性疾患などの治療におけるNGFの新たな画期的な発見が見つかる可能性がある。
【0005】
しかし、HSAN Vのノックインマウスモデルは、NGFR100W突然変異体を発現するマウスは通常、生後約2ヶ月で完全に痛覚を失い、多くの場合成体まで生存できないことを示している。さらに、全長NGFR100W突然変異タンパク質はその成熟型の切断に影響を与えるため、成熟NGFR100Wが正常に細胞外に分泌されて神経栄養機能を発揮することができなくなる。従って、現在、NGFR100W突然変異タンパク質を取得する簡単で効率的な方法はなく、神経疾患の治療におけるNGFR100W突然変異タンパク質の使用が大きく制限されている。
【発明の概要】
【0006】
本出願は、神経成長因子(NGF)タンパク質変異体及び前記NGFタンパク質変異体に連結された異種シグナルペプチドとを含む、組換えタンパク質を提供し、前記組換えタンパク質は下記の少なくとも1つの特徴を有する:(1)野生型NGFタンパク質と比較して、前記NGFタンパク質変異体の神経栄養因子受容体p75(p75NTR)への結合が減少する;(2)発現量及び/又は分泌量が少なくとも50%増加する;(3)かなりの発現量及び/又は分泌量を有し、例えば、野生型NGFタンパク質の少なくとも50%以上に達することができる;(4)痛みが軽減される;(5)半減期が延長される;及び(6)損傷した神経細胞の修復と再生を促進する。本出願はまた、前記NGFタンパク質又はNGFタンパク質変異体をコードするmRNA及び送達ベクターを含む組成物を提供する。本出願の組換えタンパク質及び組成物は、末梢神経障害及び神経変性疾患などの神経系疾患を治療し、神経の修復及び再生の促進に使用することができる。例えば、本出願の組換えタンパク質及び組成物は、中毒性/遺伝性/代謝性末梢神経障害、神経再生修復及び/又は中枢神経系変性疾患(例えば、糖尿病性末梢神経障害、薬物関連末梢神経障害、遺伝性運動感覚神経障害、末梢神経の外傷後修復、外傷性視神経炎及び/又はアルツハイマー病)の治療に使用することができる。
【0007】
一つの方面において、本出願は、神経成長因子(NGF)タンパク質変異体及び前記NGFタンパク質変異体に連結された異種シグナルペプチドとを含む、組換えタンパク質を提供し、その中で、野生型NGFタンパク質と比較して、前記NGFタンパク質変異体の神経栄養因子受容体p75(p75NTR)への結合は少なくとも約50%減少し、
【0008】
配列番号29に示されるシグナルペプチドと比較して、前記異種シグナルペプチドは、前記NGFタンパク質変異体の発現量及び/又は分泌量を少なくとも約50%増加させる。
【0009】
いくつかの実施形態において、前記野生型NGFタンパク質は、配列番号32に示されるアミノ酸配列を含む。
【0010】
いくつかの実施形態において、前記NGFタンパク質変異体は、配列番号33に示されるアミノ酸配列を含む。
【0011】
いくつかの実施形態において、前記異種シグナルペプチドは、脳由来神経栄養因子(BDNF)、神経栄養因子-3(NT-3)及び/又は神経栄養因子-4(NT-4)に由来する。
【0012】
いくつかの実施形態において、前記異種シグナルペプチドは、Gp67、Gp64、ミツバチメリチン(HBM)、アルブミン、IL-2、アズロシジンプレプロタンパク質、マウスIgK、免疫グロブリン重鎖及び/又はシスタチン-S前駆体に由来する。
【0013】
いくつかの実施形態において、前記組換えタンパク質は更にリーダーペプチドを含む。
【0014】
いくつかの実施形態において、前記組換えタンパク質は、N末端からC末端まで、順次に前記異種シグナルペプチド、前記リーダーペプチド及び前記NGFタンパク質変異体を含む。
【0015】
いくつかの実施形態において、前記組換えタンパク質は更に免疫グロブリンのFc領域を含む。
【0016】
いくつかの実施形態において、前記組換えタンパク質は、N末端からC末端まで、順次に前記異種シグナルペプチド、前記リーダーペプチド、前記NGFタンパク質変異体及び前記をFc領域含む。
【0017】
もう1つの方面において、本出願は単離された核酸分子を提供し、前記単離された核酸分子は前記組換えタンパク質をコードする。
【0018】
いくつかの実施形態において、前記単離された核酸分子はDNA及び/又はRNAを含む。いくつかの実施形態において、前記単離された核酸分子はDNAである。いくつかの実施形態において、前記単離された核酸分子はRNAである。
【0019】
いくつかの実施形態において、前記単離された核酸分子は、5’キャップ、5’非翻訳領域、オープンリーディングフレーム、3’非翻訳領域及びpoly Aテールから選択される1つ又は複数の位置に修飾を含む。
【0020】
いくつかの実施形態において、前記単離された核酸分子は、少なくとも1つの修飾ヌクレオチドを含む。
【0021】
いくつかの実施形態において、前記単離された核酸分子に含まれる修飾ヌクレオチドは、N1-メチルシュードウリジン-5’-三リン酸(N1-Methylpseudo-UTP)、シュードウリジン-5’-三リン酸(pseudo-UTP)、5-メトキシウリジン-二リン酸(5-Methoxy-UDP)及び5-メチルシチジン三リン酸(5-Methyl-CTP)から選択される1つ又は複数のヌクレオチドを含む。
【0022】
いくつかの実施形態において、前記単離された核酸分子はコドン最適化されている。
【0023】
もう1つの方面において、本出願は、(a)神経成長因子(NGF)タンパク質又はその変異体をコードするポリヌクレオチドを含むmRNA、及び(b)送達ベクターを含む組成物を提供する。
【0024】
いくつかの実施形態において、前記NGFタンパク質は、配列番号32に示されるアミノ酸配列を含む。
【0025】
いくつかの実施形態において、配列番号32に示されるアミノ酸配列と比較して、前記NGFタンパク質変異体の神経栄養因子受容体p75(p75NTR)への結合は、少なくとも約50%減少する。
【0026】
いくつかの実施形態において、前記NGFタンパク質変異体は、配列番号33に示されるアミノ酸配列を含む。
【0027】
いくつかの実施形態において、前記mRNAは異種シグナルペプチドをコードするポリヌクレオチドを含み、配列番号29に示されるシグナルペプチドと比較して、前記異種シグナルペプチドは、前記NGFタンパク質変異体の発現量及び/又は分泌量を少なくとも約50%増加させる。
【0028】
いくつかの実施形態において、前記異種シグナルペプチドは、前記NGFタンパク質変異体の発現量及び/又は分泌量を野生型NGFタンパク質の50%以上に達することを可能にする。
【0029】
いくつかの実施形態において、前記異種シグナルペプチドは、脳由来神経栄養因子(BDNF)、神経栄養因子-3(NT-3)及び/又は神経栄養因子-4(NT-4)に由来する。
【0030】
いくつかの実施形態において、前記異種シグナルペプチドは、Gp67、Gp64、ミツバチメリチン(HBM)、アルブミン、IL-2、アズロシジンプレプロタンパク質、マウスIgK、免疫グロブリン重鎖及び/又はシスタチン-S前駆体に由来する。
【0031】
いくつかの実施形態において、前記mRNAは更にリーダーペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
【0032】
いくつかの実施形態において、前記mRNAは、5’末端から3’末端まで、順次に前記異種シグナルペプチドをコードするポリヌクレオチド、前記リーダーペプチドをコードするポリヌクレオチド及び前記NGFタンパク質又はその変異体をコードするポリヌクレオチドを含む。
【0033】
いくつかの実施形態において、前記mRNAは、5’末端から3’末端まで、順次に前記IgKシグナルペプチドをコードするポリヌクレオチド、前記リーダーペプチドをコードするポリヌクレオチド及び前記NGFタンパク質変異体をコードするポリヌクレオチド含む。
【0034】
いくつかの実施形態において、前記mRNAは、5’末端から3’末端まで、順次に前記BDNFシグナルペプチドをコードするポリヌクレオチド、前記リーダーペプチドをコードするポリヌクレオチド及び前記NGFタンパク質変異体をコードするポリヌクレオチド含む。
【0035】
いくつかの実施形態において、前記mRNAは更に免疫グロブリンのFc領域をコードするポリヌクレオチドを含む。
【0036】
いくつかの実施形態において、前記mRNAは、5’末端から3’末端まで、順次に前記異種シグナルペプチドをコードするポリヌクレオチド、前記リーダーペプチドをコードするポリヌクレオチド、前記NGFタンパク質変異体をコードするポリヌクレオチド及び前記免疫グロブリンのFc領域をコードするポリヌクレオチドを含む。
【0037】
いくつかの実施形態において、前記mRNAは、5’末端から3’末端まで、順次に前記IgKシグナルペプチドをコードするポリヌクレオチド、前記リーダーペプチドをコードするポリヌクレオチド、前記NGFタンパク質変異体をコードするポリヌクレオチド及び前記免疫グロブリンのFc領域をコードするポリヌクレオチドを含む。
【0038】
いくつかの実施形態において、前記mRNAは、配列番号54~55のいずれか一項に示されるアミノ酸配列をコードする。
【0039】
いくつかの実施形態において、前記mRNAは、5’キャップ、5’非翻訳領域、オープンリーディングフレーム、3’非翻訳領域及びpoly Aテールから選択される1つ又は複数の位置に修飾を含む。
【0040】
いくつかの実施形態において、前記mRNAは、少なくとも1つの修飾ヌクレオチドを含む。
【0041】
いくつかの実施形態において、前記mRNAに含まれる修飾ヌクレオチドは、N1-メチルシュードウリジン-5’-三リン酸(N1-Methylpseudo-UTP)、シュードウリジン-5’-三リン酸(pseudo-UTP)、5-メトキシウリジン-二リン酸(5-Methoxy-UDP)及び5-メチルシチジン三リン酸(5-Methyl-CTP)から選択される1つ又は複数のヌクレオチドを含む。
【0042】
いくつかの実施形態において、前記mRNAはコドン最適化されている。
【0043】
いくつかの実施形態において、前記mRNAは、配列番号22~28及び50~51のいずれか一項に示されるヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態において、前記mRNAは、配列番号23及び27のいずれか一項に示されるヌクレオチド配列を含む。
【0044】
いくつかの実施形態において、前記送達ベクターはリポソームを含む。
【0045】
いくつかの実施形態において、前記送達ベクターは脂質ナノ粒子(LNP)を含む。
【0046】
いくつかの実施形態において、前記送達ベクターはカチオン性脂質を含む。
【0047】
いくつかの実施形態において、前記カチオン性脂質のモル比は約45%~約55%である。
【0048】
いくつかの実施形態において、前記カチオン性脂質は、SM102及びDLin-MC3-DMAである。
【0049】
いくつかの実施形態において、前記送達ベクターは非カチオン性脂質を含む。
【0050】
いくつかの実施形態において、前記非カチオン性脂質はリン脂質及び/又は脂質複合体を含む。
【0051】
いくつかの実施形態において、前記リン脂質のモル比は約35%~約40%である。
【0052】
いくつかの実施形態において、前記リン脂質はジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)を含む。
【0053】
いくつかの実施形態において、前記脂質複合体はポリエチレングリコール修飾脂質分子を含む。
【0054】
いくつかの実施形態において、前記送達ベクターの中で、前記脂質複合体のモル比は約1%~約2%である。
【0055】
いくつかの実施形態において、前記ポリエチレングリコール修飾脂質分子はPEG2000-DMGを含む。
【0056】
いくつかの実施形態において、前記送達ベクターはコレステロールを含む。
【0057】
いくつかの実施形態において、前記送達ベクターの中で、前記コレステロールのモル比は約8%~約12%である。
【0058】
いくつかの実施形態において、前記送達ベクターは、カチオン性脂質、コレステロール、リン脂質及び脂質複合体を含み、且つ、前記カチオン性脂質、コレステロール、リン脂質及び脂質複合体の質量比は、50:10:38.5:1.5である。
【0059】
いくつかの実施形態において、前記送達ベクターは、DLin-MC3-DMA、コレステロール、DSPC及びPEG2000-DMPEを含み、且つ、前記DLin-MC3-DMA、コレステロール、DSPC及びPEG2000-DMPEの質量比は、50:10:38.5:1.5である。
【0060】
いくつかの実施形態において、前記送達ベクターの直径は、約60nm~約500nmである。
【0061】
いくつかの実施形態において、前記送達ベクターの直径は、約80nm~約200nmである。
【0062】
いくつかの実施形態において、前記mRNAは、前記送達ベクターにカプセル化されている。
【0063】
もう1つの方面において、本出願は前記核酸分子を含むベクターを提供する。
【0064】
もう1つの方面において、本出願は本出願に記載の核酸分子、及び/又は前記ベクターを含むか、或いは本出願に記載の組換えタンパク質を発現する細胞を提供する。
【0065】
もう1つの方面において、本出願は前記組換えタンパク質を発現する条件下で前記細胞を培養することを含む、前記組換えタンパク質を製造する方法を提供する。
【0066】
もう1つの方面において、本出願は前記組換えタンパク質、前記核酸分子、前記組成物、前記ベクター及び/又は前記細胞、並びに任意選択的な薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物を提供する。
【0067】
もう1つの方面において、本出願は前記組換えタンパク質、前記核酸分子、前記組成物、前記ベクター、前記細胞、及び/又は前記医薬組成物を含む、キット又は薬物送達装置を提供する。
【0068】
もう1つの方面において、本出願は中枢及び/又は末梢神経系疾患の緩和、予防及び/又は治療のための医薬の製造における前記組換えタンパク質、前記核酸分子、前記組成物、前記ベクター、前記細胞、及び/又は前記医薬組成物の使用を提供する。
【0069】
当業者であれば、下記の詳細な説明から、本出願の他の方面及び利点について容易に洞察することができる。下記の詳細な説明では、本出願の例示的な実施形態を示し、説明するだけである。当業者に理解されるように、本出願の内容は当業者が、本出願に関連する発明の精神及び範囲から逸脱することなく、開示された特定の実施形態に変更を加えることを可能にする。従って、本出願の図面及び明細書の記載は、単なる例示的なものであり、限定的なものではない。
【0070】
本出願に関連する本発明の特定の特徴は、添付の特許請求の範囲に記載されている。本出願に関連する本発明の特徴及び利点は、下記に詳細に説明する例示的な実施形態及び添付の図面を参照することによって、よりよく理解することができる。図面の簡単な説明は下記に示される通りである。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【
図1A】NGF
R100W組換えタンパク質の複数の組成を示す。
【
図1B】293T細胞における異なるNGF
R100W組換えタンパク質の発現状況を示す。
【
図1C】異なるヌクレオチド修飾を含むIGK19-NGFmut mRNAの発現状況を示す。
【
図1D】PC12細胞におけるNGF及びNGF
R100W組換えタンパク質mRNAの発現、及びPC12細胞分化促進の蛍光顕微鏡観察結果を示す。
【
図1E】NGF及びNGF
R100W組換えタンパク質mRNAのPC12細胞分化促進の電子顕微鏡観察結果を示す。
【
図1F】細胞溶解液及び細胞上清液における成熟NGFタンパク質及び成熟NGF
R100Wタンパク質の含有量の検出結果を示す。
【
図1H】細胞上清液における成熟NGFタンパク質及び成熟NGF
R100Wタンパク質の含有量の検出結果を示す。
【
図1J】NGF
R100W組換えタンパク質の複数の組成を示す。
【
図2】mRNA-LNPの組み立て及び体内送達を示す。
【
図3A】NGF及びNGF
R100W組換えタンパク質mRNAのナノ粒子サイズ分布を示す。
【
図3B】293T細胞におけるNGF及びNGF
R100W組換えタンパク質mRNAの発現状況を示す。
【
図3C】IGK19-NGFmut mRNA LNPマウスの体内発現位置を示す。
【
図4A】マウス熱痛感の知覚閾値に対するNGF及びIGK19-NGFmutの発現の影響を示す。
【
図4B】マウス機械的痛覚閾値に対するNGF及びIGK19-NGFmutの発現の影響を示す。
【
図5A】マウスの末梢神経損傷修復におけるIGK19-NGFmutの発現の実験プロセスを示す。
【
図5B】マウスの熱痛及び機械的痛覚閾値に対するpaclitaxelの注射の影響を示す。
【
図5C】マウスの損傷した末梢神経におけるIGK19-NGFmutの発現の修復状況を示す。
【
図5D】末梢神経損傷を有するマウスの熱痛及び機械的痛覚閾値に対するIGK19-NGFmutの発現の影響を示す。
【発明を実施するための形態】
【0072】
以下、本発明の実施形態を特定の具体的な実施例によって説明するが、当業者は、本明細書に開示された内容から本発明の他の利点及び効果を容易に理解することができる。
【0073】
[用語の定義]
本出願において、「神経成長因子(NGF)」という用語は、一般に、様々なニューロンの成長及び生存に機能する分泌タンパク質を指す。本明細書で使用される用語NGFはヒトNGFに限定されず、ヒトNGFのすべての種のオルソログを含む。「NGF」という用語は、NGFのプロ型(pro-form)、プロNGF(proNGF)、全長NGF、及び細胞内プロセスで生成される任意の形態のNGFを含む。当該用語はまた、スプライス変異体、対立遺伝子変異体及びアイソタイプなど、天然に存在するNGF変異体を含む。
【0074】
NGFは、α-NGF、β-NGF、γ-NGFの3つのタンパク質から構成される約130kDaの複合体に存在し、このNGFはproNGF(NGF前駆体)とも称される。proNGFは未熟NGFとも称される。当該複合体のγサブユニットはセリンプロテアーゼとして機能し、βサブユニットのN末端を分解することができ、それによって当該タンパク質を活性化し、機能的なNGF、即ちβ-NGFを生成する。NGFは、p75神経栄養因子受容体(p75NTR)と膜貫通チロシンキナーゼであるTrkAの2つの受容体に結合できる。NGFは完全に検証された疼痛の標的であり、侵害受容器の感作効果を媒介することが知られている。ヒト全長NGFのアミノ酸配列は、Genbank登録番号NP_002497.2又はUniProtKB登録番号P01138を参照することができる。ヒト全長NGFは、一般的には241個のアミノ酸を含み、その中で1~18位はNGFシグナルペプチド部分(配列番号29に示されるアミノ酸配列)であり、19~121位はリーダーペプチド部分(配列番号34に示されるアミノ酸配列)であり、122~241位は成熟NGF(mature NGF、配列番号32に示されるアミノ酸配列)である。全長NGFは、剪断プロセスを通じて成熟NGFになることができる。
【0075】
本出願において、「変異体」という用語は一般に、参照配列と比較して、1つ又は複数のアミノ酸変化(例えば、1つ又は複数のアミノ酸の置換、変化、修飾、置き換え、欠失又は添加)を有するアミノ酸配列、又は、1つ又は複数のヌクレオチド変化(例えば、1つ又は複数のヌクレオチドの置換、変化、修飾、置き換え、欠失又は添加)を有する核酸配列を指す。ポリペプチドの場合、変異体には、1つ又は複数のアミノ酸の置換、欠失、又は挿入により変化したアミノ酸配列を有するポリペプチドが含まれる。変異体は、天然に存在するか、又は非天然に存在することができる。変異体は、参照配列の1つ又は複数の活性を保持することができるが、参照配列と比較して変異体の前記1つ又は複数の活性は、増強するか、減少するか又は変化せずに維持してもよい。
【0076】
本出願において、「NGF変異体」という用語は、一般に全長NGFアミノ酸配列(例えば、Genbank登録番号NP_002497.2又はUniProtKB登録番号P01138、又は配列番号13に示されるアミノ酸配列)と比較して、1つ又は複数のアミノ酸が変化(例えば、1つ又は複数のアミノ酸の置換、変化、修飾、置き換え、欠失又は添加)を有するアミノ酸配列を指す。例えば、成熟NGF部分ではアミノ酸が変化する可能性がある。野生型NGFタンパク質と比較して、前記アミノ酸の変化(例えば、突然変異)により、神経栄養因子受容体p75(p75NTR)へのNGFタンパク質変異体の結合が減少する。例えば、配列番号13に示されるアミノ酸配列を有する全長NGF配列の場合、アミノ酸突然変異は、221位のアルギニン(R)からトリプトファン(W)への突然変異であってもよく、突然変異した全長NGFタンパク質は、NGFR221W(配列番号14に示されるアミノ酸配列)と称されてもよい。例えば、配列番号32に示されるアミノ酸配列を有する成熟NGF配列の場合、アミノ酸突然変異は、100位のアルギニン(R)からトリプトファン(W)への突然変異であってもよく、突然変異した成熟NGFタンパク質は、NGFR100W(配列番号33に示されるアミノ酸配列)と称されてもよい。
【0077】
本出願において、「連結」という用語は、「融合(fused)」又は「融合(fusion)」と互換的に使用され、一般に化学的共役又は組換え手段を含む任意の手段によって2つ以上の要素又は成分を連結することを指す。ポリペプチドの場合、アミノ酸残基の2つのポリマーが互いに直接結合するか、又はポリヌクレオチドの場合、ヌクレオチドの2つのポリマーが互いに直接結合するか、又は同じポリペプチド又はポリヌクレオチド内でアミノ酸残基又はヌクレオチドの挿入によって分離される。
【0078】
本出願において、「異種」という用語は一般に、自然界では互いに同じ関係で見出されなかった2つ又は複数の配列又は部分配列を含むポリペプチド又は核酸を指す。例えば、組換えは通常、無関係な遺伝子からの2つ又は複数の配列を持ち、新しい機能的な核酸に配置される発現ボックスを生成する。「異種シグナルペプチド」という用語は、一般に自然環境においては、そのシグナルペプチドとシグナルペプチドに結合するアミノ酸配列が同じ起源に属しておらず、異なる種、異なる個体に由来する可能性があり、同じ種であるが、異なる個体に由来する可能性があり、同じ個体であるが、異なるタンパク質に由来する可能性があり、同じ種であるが、異なるタンパク質に由来する可能性があることを指す。例えば、異種シグナルペプチド及び当該異種シグナルペプチドに連結されたアミノ酸配列は、天然に無関係な遺伝子からコードされ、新たなポリペプチドに配置される。例えば、シグナルペプチドとそのシグナルペプチドに連結されたNGFタンパク質又はNGFタンパク質変異体が接続されている場合、当該シグナルペプチドと当該NGFタンパク質又はNGFタンパク質変異体は天然に無関係な遺伝子によってコードされ、即ち、当該シグナルペプチドをコードする遺伝子が、NGFタンパク質又はNGFタンパク質の変異体をコードする遺伝子と無関係である場合、又は、天然に、当該シグナルペプチドに連結されたタンパク質が、NGFタンパク質又はNGFタンパク質の変異体ではない場合、当該シグナルペプチドは異種であると言うことができる。
【0079】
本出願において、「シグナルペプチド」という用語は、一般に新たに合成されたタンパク質の分泌経路への移動を導く短いペプチド鎖を指す。シグナルペプチドの一般的な長さは5~30個のアミノ酸である。シグナルペプチドは、タンパク質前駆体のN末端又はC末端に位置する場合があるが、ほとんどの場合、タンパク質前駆体のN-末端ペプチドとして存在する。シグナルペプチドは、発現されたポリペプチドの小胞体への転座を促進するように機能する可能性がある。シグナルペプチドは通常、このプロセス中に切除される。タンパク質前駆体が切除されたシグナルペプチドは、ポリペプチドを産生するために使用される生物と異種又は同種であってもよい。例えば、本出願のシグナルペプチドは、野生型シグナルペプチドの機能的に活性なフラグメント、切断体及び/又は突然変異体を含んでもよい。例えば、本出願のシグナルペプチドは、シグナルペプチドを含む物質の細胞膜への結合を誘導する機能を有してもよい。
【0080】
本出願において、「野生型」という用語は、一般にある種又は集団(例えば、ヒト、マウス、ラット、細胞など)内で天然に存在するアミノ酸又は核酸配列を指す。
【0081】
本出願において、「神経栄養因子受容体p75」という用語は、一般に神経栄養因子に結合し、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーのメンバーである、低親和性神経成長因子受容体(LNGFR)を指し、p75NTRとも称される。例示的なヒトp75NTRのアミノ酸配列及び他の情報は、UniProtKBデータベースの登録番号P08138で見つけることができる。本明細書で使用されるp75NTRはヒトp75NTRに限定されず、ヒトp75NTRのすべての種のオルソログを含む。「p75NTR」という用語は、p75NTRの前駆体形態、p75NTR前駆体、全長p75NTR、及び細胞内プロセスで生成される任意の形態のp75NTRを含む。当該用語はまた、スプライス変異体、対立遺伝子変異体及びアイソタイプなど、天然に存在するp75NTR変異体を含む。
【0082】
本出願において、「神経栄養因子」という用語は、一般にニューロンの生存、発達及び正常な機能の実験をサポートするタンパク質を指す。それは成長因子の一種である。例示的な神経栄養因子には、神経成長因子(NGF)、脳由来神経栄養因子(BDNF)、神経栄養因子-3(NT-3)、神経栄養因子-4(NT-4)、神経栄養因子-6(NT-6)、神経栄養因子-7(NT-7)、デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)、DHEA硫酸塩(DHEA-S)、GDNFリガンドファミリー及び毛様体神経栄養因子(CNTF)及びその他の生体分子が含まれる。
【0083】
本出願において、「脳由来神経栄養因子(BDNF)」という用語は、一般に「abrineurin」としても称される神経栄養因子の1つを指す。BDNFは神経栄養因子成長因子ファミリーのメンバーであり、古典的な神経成長因子に関連している。BDNFは通常、脳及び末梢に存在する。本明細書で使用されるBDNFはヒトBDNFに限定されず、ヒトBDNFのすべての種のオルソログを含む。「BDNF」という用語は、BDNFの前駆体形態、BDNF前駆体、全長BDNF、及び細胞内プロセスで生成される任意の形態のBDNFを含む。当該用語はまた、スプライス変異体、対立遺伝子変異体、及びアイソタイプなど、天然に存在するBDNF変異体を含む。ヒトBDNFタンパク質のアミノ酸配列は、UniProtKBデータベースの登録番号P23560で見つけることができる。全長ヒトBDNFタンパク質は通常247個のアミノ酸を持ち、シグナルペプチド、前駆体部分、リーダーペプチド及び成熟BDNFを含むことができる。BDNFシグナルペプチドは、全長ヒトBDNFタンパク質の1~18位アミノ酸であってもよく、例えば、BDNFシグナルペプチドは、配列番号31に示されるアミノ酸配列を含むことができる。
【0084】
本出願において、用語「神経栄養因子3(NT-3)」は、一般に神経栄養因子のNGF(神経成長因子)ファミリーの神経栄養因子を指す。NT-3は、末梢及び中枢神経系の特定のニューロンに対して活性を示すタンパク質成長因子である。例示的なヒトNT-3のアミノ酸配列は、UniProtKBデータベースの登録番号P20783で見つけることができる。
【0085】
本出願において、用語「神経栄養因子-4(NT-4)」は、一般に神経栄養因子のNGF(神経成長因子)ファミリーの神経栄養因子を指す。NT-4は主にTrkB受容体チロシンキナーゼを介してシグナルを伝達する。NT4はNT-5とも称される。例示的なヒトNT-4のアミノ酸配列は、UniProtKBデータベースの登録番号P34130で見つけることができる。
【0086】
本出願において、「リーダーペプチド」という用語は、一般にタンパク質の成熟又は活性化中に切断される部分を指す。一旦切断されると、リーダーペプチドは通常、独立した生物学的機能を持たなくなる。リーダーペプチドはタンパク質のフォールディングと正しい発現を助けることができる。場合によっては、リーダーペプチドはシグナルペプチド又はシグナルペプチドの一部を含むことができる。場合によっては、リーダーペプチドはシグナルペプチドを含まない。
【0087】
本出願において、「送達ベクター」という用語は、一般に試薬(例えば、mRNA)を標的細胞に送達することができる輸送媒体を指す。送達ベクターは、試薬(例えば、mRNA)を特定の細胞サブタイプに送達することができる。例えば、送達ベクターの固有の特性又はベクターにカップリングした部分、その中に含まれる部分(又はベクターに連結した部分、当該部分と当該送達ベクターが一緒に維持して、送達ベクターを標的にするのに十分な部分)によって、送達ベクターが特定のタイプの細胞を標的とする。送達ベクターはまた、送達される試薬(例えば、mRNA)のin vivo半減期及び/又は送達される試薬のバイオアベイラビリティを増加させることができる。送達ベクターは、ウイルスベクター、ウイルス様粒子、ポリカチオンベクター、ペプチドベクター、リポソーム及び/又はハイブリッドベクターを含んでもよい。例えば、標的細胞が肝細胞である場合、前記送達ベクターの特性(例えば、サイズ、電荷及び/又はpH)は、前記送達ベクター及び/又はその中にカプセル化された分子(例えば、mRNA)を標的細胞に効果的に送達でき、免疫クリアランスを減少させ、及び/又は標的細胞内での滞留を促進する。
【0088】
本出願において、「脂質ナノ粒子(LNP)」という用語は、一般に、分子間力によって互いに物理的に結合(例えば、共有結合又は非共有結合)した複数の(即ち、2つ以上)脂質分子を含む粒子を指す。脂質ナノ粒子は、例えば、ミクロスフェア(リポソームなどの単層及び多層小胞を含む)、エマルジョン中の分散相、ミセル又は懸濁液中の内相であってもよい。脂質ナノ粒子は、1つ又は複数の脂質(例えば、カチオン性脂質、非カチオン性脂質及びPEG修飾脂質)を含んでもよい。
【0089】
本出願において、「リポソーム」という用語は、一般に内部空間を有し、1つ又は複数の二重層膜を介して外部媒体から隔離された小胞を指す。例えば、前記二重層は、空間的に隔離された親水性ドメイン及び疎水性ドメインを含む合成脂質又は天然脂質などの両親媒性分子から形成されてもよく、また例えば、前記二重層は両親媒性ポリマーと界面活性剤から形成されてもよい。
【0090】
本出願において、「修飾」という用語は、核酸(例えば、RNA又はDNA)に対して使用される場合、一般に、対応する野生型と比較して、その核酸が異なるヌクレオチド分子、異なるヌクレオチド配列を有し、異なる結合で構成され、及び/又はその構造内に非天然部分を組み込んでいることを指す。例えば、前記修飾には、ヌクレオチドに対する修飾が含まれてもよく、例えば、前記ヌクレオチドには、修飾された塩基、糖又はリン酸基が含まれてもよい。例えば、前記修飾は、異なるヌクレオチド配列を有するが、同じアミノ酸配列をコードするポリペプチド又はタンパク質、或いは同じ機能を有するポリペプチドまたはタンパク質を含んでもよい。前記修飾は、化学的修飾及び/又は生物学的修飾であってもよい。「化学修飾」は、野生型又は天然に存在する核酸に見られる化学物質とは異なる化学物質を導入する修飾、例えば、共有結合修飾、例えば、修飾ヌクレオチドの導入(例えば、ヌクレオチド類似体、又はこれらの核酸分子に天然には見られない側基の導入)を含むことができる。「修飾ヌクレオチド」という用語は、一般に修飾された塩基、糖又はリン酸基を含むか、或いはその構造に非天然部分を組み込んだ核酸ポリマー中の単位を指す。
【0091】
本出願において、「コドン最適化」という用語は、核酸に使用される場合、一般に親ポリペプチドをコードする核酸の1つ、少なくとも1つ、又は1つ以上のコドンを、細胞中で使用される相対的頻度が異なる同じアミノ酸残基をコードするコドンに置き換えることによって、哺乳動物細胞又は細菌細胞などの細胞中で改善された発現を有するように改変されたポリペプチドをコードする核酸を示す。
【0092】
本出願において、「ポリヌクレオチド」という用語は、一般に、DNA分子(例えば、cDNA又はゲノムDNA)、RNA分子(例えば、mRNA)、ヌクレオチド類似体(例えば、ペプチド核酸及び非天然ヌクレオチド類似体)を使用して産生されたDNA又はRNAの類似体、及びそのハイブリッドを含む。核酸分子は一本鎖であっても二本鎖であってもよい。
【0093】
本出願において、「単離された核酸分子」という用語は、一般に5’末端から3’末端まで読まれだデオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチド塩基の一本鎖又は二本鎖ポリマー又はその類似体を指し、それは、ソース細胞から全核酸を単離する際に、核酸分子とともに天然に発見されるポリペプチド、ペプチド、脂質、糖、ポリヌクレオチド又はその他の材料の少なくとも約50%から単離される。例えば、単離された核酸分子は、その使用またはその治療的、診断的、予防的又は研究的使用を妨げる可能性のある他の汚染核酸分子又は核酸の自然環境に見出される他の分子を実質的に含まない。
【0094】
本出願において、「mRNA」という用語は、一般にイントロンを除去するために処理され、ポリペプチドに翻訳されることができるRNA転写物を指す。
【0095】
本出願において、「ベクター」という用語は一般に、挿入された核酸分子を宿主細胞内及び/又は宿主細胞間で輸送する、適切な宿主内で自己複製できる核酸分子を指す。前記ベクターは、主に細胞へのDNA又はRNAの挿入に使用されるベクター、DNA又はRNAの複製に主に使用されるベクター、及びDNA又はRNAの転写及び/又は翻訳に主に使用される発現ベクターを含むことができる。前記ベクターはまた、上記の機能を有する担体も含む。前記ベクターは、適切な宿主細胞に導入されると、ポリペプチドに転写及び翻訳され得るポリヌクレオチドであってもよい。通常、前記ベクターを含む適切な宿主細胞を培養することにより、前記ベクターは所望の発現産物を産生することができる。
【0096】
本出願において、「細胞」という用語は一般に、本出願に記載の核酸分子を含むプラスミド又はベクターを含むことができるか、又はそれらをすでに含む、或いは本出願に記載の抗体又はその抗原結合フラグメントを発現することができる、個々の細胞、細胞株又は細胞培養物を指す。前記細胞は、単一の宿主細胞の親世代を含むことができる。自然、偶発的又は意図的な突然変異により、子孫細胞は形態又はゲノムにおいて元の親細胞と必ずしも同一であるとは限らないが、本出願に記載の抗体又はその抗原結合フラグメントを発現することができれば十分である。前記細胞は、本出願に記載のベクターを使用した細胞のin vitroトランスフェクションによって得ることができる。前記細胞は原核細胞であってもよく、真核細胞であってもよい。
【0097】
本出願において、「薬学的に許容される担体」という用語は、一般に薬学的に許容される担体、賦形剤又は安定剤を含み、それらが採用される用量及び濃度はそれに曝露される細胞又は哺乳動物に対して非毒性である。通常、生理学的に許容される担体は、pH緩衝水溶液である。生理学的に許容される担体の例としては、緩衝剤、抗酸化剤、低分子量(約10残基未満)ポリペプチド、タンパク質、親水性ポリマー、アミノ酸、単糖類、二糖類及びその他の炭水化物、キレート剤、糖アルコール、ナトリウムなどの塩形成性対イオン;及び/又は非イオン性界面活性剤を含むことができる。
【0098】
本出願において、「医薬組成物」という用語は、一般に活性成分(例えば、本出願のSタンパク質変異体、核酸分子)の生物学的活性を有効にする形態の製剤を指し、前記製剤が投与される対象に対して許容できない毒性を有する他の成分を含まない。これらの製剤は無菌であってもよい。
【0099】
本出願において、「キット」という用語は、一般に本出願の抗原結合タンパク質を投与することによってPD-1媒介関連疾患を治療するために使用される成分を含むパッケージ化された製品を指す。キットの構成要素は、別々のバイアルに含まれていてもよく(即ち、別々の部品を備えたキット)、又は単一のバイアルで提供されてもよい。キットは、緩衝剤、タンパク質安定化試薬、シグナル発生システム(例えば、蛍光シグナル発生システム)、抗体、対照タンパク質、及び試験容器などの試薬を含むことができる。キットは、前記方法を実施するための説明書も含むことができる。
【0100】
本出願において、「薬物送達装置」という用語には:(i)活性成分を含む医薬組成物を対象に投与するための注入モジュール;(ii)注入用医薬組成物であって、組換えタンパク質、核酸分子、mRNA、ベクター、細胞、組成物、医薬組成物又はその組み合わせから選択される活性成分を含む医薬組成物;及び(iii)任意選択の薬効モニタリングモジュールを含む。
【0101】
本出願において、「中枢及び/又は末梢神経系疾患」という用語は、一般に中枢神経系(脳又は脊髄)及び末梢神経系(脳又は脊髄外側の神経)の病変に関連する疾患を指す。例えば、中枢及び/又は末梢神経系疾患は、神経細胞の変性、希突起膠細胞の炎症又は喪失、脳の血液供給の梗塞、損傷又は腫瘍並びに細菌又はウイルス感染の1つ又は複数によって引き起こされる。中枢及び/又は末梢神経系疾患は、アルツハイマー病、ハンチントン病、パーキンソン病、多発性硬化症、脳炎又は髄膜炎、脳又は脊髄の構造的損傷及び/又は脳卒中を含んでもよい。
【0102】
本出願において、「神経変性疾患」という用語は、一般に認知障害を引き起こすニューロン機能及び構造の漸進的な喪失を指す。神経変性疾患は、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、若年性アルツハイマー病又は若年性パーキンソン病、及び/又は筋萎縮性側索硬化症を含むことができる。
【0103】
本出願において、「末梢神経障害」という用語は、一般に末梢神経系の異常によって引き起こされる疾患又は病症を指す。末梢神経系には、頭、顔、目、鼻、筋肉及び耳と脳を繋ぐ神経(脳神経)、脊髄と体の他の部分を繋ぐ神経、全身の各部に分布する神経細胞など、中枢神経系(脳と脊髄)以外のすべての神経を含む。
【0104】
本出願において、「対象」という用語は、一般に疾患の診断、予後、改善、予防及び/又は治療を必要とするヒト又は非ヒト動物(哺乳類を含む)、例えばヒト、ヒト以外の霊長類(類人猿、テナガザル、ゴリラ、チンパンジー、オランウータン、マカク)、家畜(domestic animals、犬及び猫)、家畜(farm animals、鶏及びアヒルなどの家禽、馬、牛、ヤギ、羊、豚)及び実験動物(マウス、ラット、ウサギ、モルモット)を指す。ヒト対象には、胎児、新生児、乳児、青年及び成人の対象を含む。対象は動物疾患モデルを含むことができる。
【0105】
本出願において、用語「含む」、「からなる」、「有する」、「できる」、「含有」及びその変形は、一般に追加のアクションや構造の可能性を排除しない、制限のない移行的なフレーズ、用語又は単語であることを意図している。「から構成する」という用語は、一般に他の成分(又は同様に、特徴、整数、ステップなど)が存在できないことを意味する。文脈で明確に別段の指示がない限り、英語の「a」、「an」、「the」、日本語の「1つ」、「一種」、「前記/当該」などの単数形には、一般に言及されているものの複数形が含まれる。
【0106】
本出願において、「約」という用語は、一般におよそ(approximately)、その領域内(intheregionof)、おおよそ(roughly)、又は周囲(around)を意味する。「約」という用語が値の範囲を指すために使用される場合、カットオフ値又は特定の値は、記載された値が列挙された値から最大10%変動する可能性があることを示すために使用される。従って、「約」という用語は、特定の値から±10%以下の変動、±5%以下の変動、±1%以下の変動、±0.5%以下の変動、又は±0.1%以下の変動をカバーするために使用することができる。
【0107】
発明の詳細な説明
組換えタンパク質
一つの方面において、本出願は、神経成長因子(NGF)タンパク質変異体を含む、組換えタンパク質を提供し、その中で、野生型NGFタンパク質と比較して、前記NGFタンパク質変異体の神経栄養因子受容体p75(p75NTR)への結合は少なくとも約50%減少し(例えば、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%又はそれ以上減少)、例えば、前記野生型NGFタンパク質は配列番号32に示されるアミノ酸配列を含んでもよい。
【0108】
本出願において、配列番号32に示されるアミノ酸配列と比較して、前記NGFタンパク質変異体は、1つ又は複数のアミノ酸突然変異を含んでもよい。例えば、配列番号32に示されるアミノ酸配列と比較して、前記NGFタンパク質変異体は、R100(即ち、100位アルギニン)でアミノ酸突然変異を含んでもよい。例えば、配列番号32に示されるアミノ酸配列と比較して、前記NGFタンパク質変異体の100位のアルギニンはトリプトファン(即ち、R100W)に突然変異する。例えば、前記NGFタンパク質変異体は、配列番号33に示されるアミノ酸配列を含む。
【0109】
当技術分野で知られているように、成熟NGFタンパク質がR100W突然変異を受けると、細胞外に分泌されるその能力が低下する。本出願は、天然に存在するNGFR100W変異体タンパク質と比較して発現量及び/又は分泌量が増加したNGFR100W変異体の組換えタンパク質を提供する。本出願の組換えタンパク質は、細胞外に分泌される成熟NGFR100W変異体タンパク質の量を増加させることができる。例えば、本出願の組換えタンパク質は、前記NGFタンパク質変異体のN末端に位置してもよい異種シグナルペプチドを含んでもよい。例えば、配列番号29に示されるシグナルペプチドと比較して、前記異種シグナルペプチドは、前記NGFタンパク質変異体の発現量及び/又は分泌量を少なくとも約50%増加(例えば、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%又はそれ以上を増加)させる。
【0110】
本出願に記載の異種シグナルペプチドの長さは、5~30個アミノ酸であってもよい。例えば、本出願に記載の異種シグナルペプチドの長さは、5~25個アミノ酸であってもよい。例えば、本出願に記載の異種シグナルペプチドの長さは、5~20個アミノ酸であってもよい。例えば、本出願に記載の異種シグナルペプチドの長さは、10~25個アミノ酸であってもよい。例えば、本出願に記載の異種シグナルペプチドの長さは、10~30個アミノ酸であってもよい。例えば、本出願に記載の異種シグナルペプチドの長さは、15~30個アミノ酸であってもよい。例えば、本出願に記載の異種シグナルペプチドの長さは、10~20個アミノ酸であってもよい。例えば、本出願に記載の異種シグナルペプチドの長さは、15~20個アミノ酸であってもよい。例えば、本出願に記載の異種シグナルペプチドの長さは18個アミノ酸であってもよい。例えば、本出願に記載の異種シグナルペプチドの長さは19個アミノ酸であってもよい。例えば、本出願に記載の異種シグナルペプチドの長さは20個アミノ酸であってもよい。
【0111】
本出願に記載の異種シグナルペプチドは、細菌(大腸菌、黄色ブドウ球菌、枯草菌)などの原核生物に由来してもよい。本出願に記載の異種シグナルペプチドは、真核生物、例えば酵母又は哺乳類細胞(ヒト、マウス、サルなど)に由来してもよい。
【0112】
本出願に記載の異種シグナルペプチドは、分泌タンパク質、ペリプラズムタンパク質及び/又は膜結合タンパク質、例えば、酵素に由来してもよい。例えば、シグナルペプチドは、大腸菌外膜タンパク質A OmpA、OmpF、ラムダファージ受容体LamB、熱安定性エンテロトキシンST、アルカリホスファターゼPhoA、マルトース結合タンパク質MBP、DsbA、黄色ブドウ球菌プロテインA、枯草菌プロテアーゼ、中性プロテアーゼ、バチルスマージナリスRNA酵素(Bacillus marginalis RNA enzymes)、レバナーゼに由来してもよい。例えば、シグナルペプチドは、酵母発現系における外因性タンパク質の天然シグナルペプチド、α-因子シグナルペプチド、スクラーゼ遺伝子SUCシグナルペプチド配列、酸性ホスファターゼ遺伝子PHO1及び/又は間質メタロプロテイナーゼに由来してもよく、又はヒト血清アルブミン及びウシキモシンに由来してもよい。
【0113】
本出願に記載の異種シグナルペプチドは、Gaussia、Homo sapiens、Oikopleura dioica又はMus musculusに由来してもよい。本出願に記載の異種シグナルペプチドは、Gaussiaルシフェラーゼ、ヒトトリプシノーゲン-2、Oikosin1変異体、アズロシジンプレプロタンパク質及び/又はIgκに由来するシグナルペプチドを含むことができる。いくつかの実施形態において、前記異種シグナルペプチドは、Gp67、Gp64、ミツバチメリチン(HBM)、アルブミン、IL-2、アズロシジンプレプロタンパク質、マウスIgK、免疫グロブリン重鎖及び/又はシスタチン-S前駆体に由来する。
【0114】
本出願に記載の異種シグナルペプチドは、神経栄養因子に由来するシグナルペプチドを含むことができる。例えば、前記異種シグナルペプチドは、脳由来神経栄養因子(BDNF)、神経栄養因子-3(NT-3)及び/又は神経栄養因子-4(NT-4)のシグナルペプチドであってもよい。例えば、前記異種シグナルペプチドは、配列番号30、31及び35~43のいずれか一項に記載のアミノ酸配列を含むことができる。例えば、前記異種シグナルペプチドは、IgKシグナルペプチド及び/又はBDNFシグナルペプチドである。例えば、前記異種シグナルペプチドは、配列番号30~31のいずれか一項に記載のアミノ酸配列を含む。
【0115】
例えば、前記異種シグナルペプチドは、IgKシグナルペプチドであり、また例えば、前記異種シグナルペプチドは、配列番号30に示されるアミノ酸配列を含む。
【0116】
例えば、前記異種シグナルペプチドは、BDNFシグナルペプチドであり、また例えば、前記異種シグナルペプチドは、配列番号31に示されるアミノ酸配列を含む。
【0117】
例えば、前記異種シグナルペプチドは、hIL-2シグナルペプチドであり、また例えば、前記異種シグナルペプチドは、配列番号35に示されるアミノ酸配列を含む。
【0118】
例えば、前記異種シグナルペプチドは、APPシグナルペプチドであり、また例えば、前記異種シグナルペプチドは、配列番号36に示されるアミノ酸配列を含む。
【0119】
例えば、前記異種シグナルペプチドは、HCシグナルペプチドであり、また例えば、前記異種シグナルペプチドは、配列番号37に示されるアミノ酸配列を含む。
【0120】
例えば、前記異種シグナルペプチドは、Cystatinシグナルペプチドであり、また例えば、前記異種シグナルペプチドは、配列番号38に示されるアミノ酸配列を含む。
【0121】
例えば、前記異種シグナルペプチドは、Gp67シグナルペプチドであり、また例えば、前記異種シグナルペプチドは、配列番号39に示されるアミノ酸配列を含む。
【0122】
例えば、前記異種シグナルペプチドは、HBMシグナルペプチドであり、また例えば、前記異種シグナルペプチドは、配列番号40に示されるアミノ酸配列を含む。
【0123】
例えば、前記異種シグナルペプチドは、Gp64シグナルペプチドであり、また例えば、前記異種シグナルペプチドは、配列番号41に示されるアミノ酸配列を含む。
【0124】
例えば、前記異種シグナルペプチドは、Albシグナルペプチドであり、また例えば、前記異種シグナルペプチドは、配列番号42に示されるアミノ酸配列を含む。
【0125】
例えば、前記異種シグナルペプチドは、SPシグナルペプチドであり、また例えば、前記異種シグナルペプチドは、配列番号43に示されるアミノ酸配列を含む。
【0126】
本出願において、前記組換えタンパク質は更にリーダーペプチドを含む。前記リーダーペプチドは、NGFタンパク質のリーダーペプチドであってもよく、非NGFタンパク質に由来する異種リーダーペプチドであってもよい。例えば、前記リーダーペプチドは、配列番号34に示されるアミノ酸配列を含むことができる。
【0127】
本出願において、前記組換えタンパク質は更にリーダーペプチドを含む。本出願において、前記組換えタンパク質は、N末端からC末端まで、順次に前記異種シグナルペプチド、前記リーダーペプチド及び前記NGFタンパク質変異体を含むことができる。
【0128】
本出願において、前記組換えタンパク質は更にリーダーペプチドを含む。本出願において、前記組換えタンパク質は、N末端からC末端まで、順次に前記異種シグナルペプチド、前記リーダーペプチド及び前記NGFタンパク質変異体を含むことができ、且つ前記異種シグナルペプチドは、配列番号30~31及び35~43のいずれか一項に示されるアミノ酸配列を含み、前記リーダーペプチドは、配列番号34に示されるアミノ酸配列を含み、前記NGFタンパク質変異体は、配列番号33に示されるアミノ酸配列を含む。
【0129】
例えば、前記組換えタンパク質は、N末端からC末端まで、順次に前記IgKシグナルペプチド、前記リーダーペプチド及び前記NGFタンパク質変異体を含むことができる。例えば、前記組換えタンパク質は、配列番号15に示されるアミノ酸配列を含む。
【0130】
例えば、前記組換えタンパク質は、N末端からC末端まで、順次に前記IgKシグナルペプチド及び前記NGFタンパク質変異体を含むことができる。例えば、前記組換えタンパク質は、配列番号16に示されるアミノ酸配列を含む。
【0131】
例えば、前記組換えタンパク質は、N末端からC末端まで、順次に前記BDNFシグナルペプチド、前記リーダーペプチド及び前記NGFタンパク質変異体を含むことができる。例えば、前記組換えタンパク質は、配列番号19に示されるアミノ酸配列を含む。
【0132】
例えば、前記組換えタンパク質は、N末端からC末端まで、順次に前記BDNFシグナルペプチド及び前記NGFタンパク質変異体を含むことができる。例えば、前記組換えタンパク質は、配列番号20に示されるアミノ酸配列を含む。
【0133】
例えば、前記組換えタンパク質は、N末端からC末端まで、順次に前記SPシグナルペプチド、前記リーダーペプチド及び前記NGFタンパク質変異体を含むことができる。例えば、前記組換えタンパク質は、配列番号58に示されるアミノ酸配列を含む。
【0134】
例えば、前記組換えタンパク質は、N末端からC末端まで、順次に前記hIL-2シグナルペプチド、前記リーダーペプチド及び前記NGFタンパク質変異体を含むことができる。例えば、前記組換えタンパク質は、配列番号59に示されるアミノ酸配列を含む。
【0135】
例えば、前記組換えタンパク質は、N末端からC末端まで、順次に前記Cystatinシグナルペプチド、前記リーダーペプチド及び前記NGFタンパク質変異体を含むことができる。例えば、前記組換えタンパク質は、配列番号60に示されるアミノ酸配列を含む。
【0136】
例えば、前記組換えタンパク質は、N末端からC末端まで、順次に前記APPシグナルペプチド、前記リーダーペプチド及び前記NGFタンパク質変異体を含むことができる。例えば、前記組換えタンパク質は、配列番号61に示されるアミノ酸配列を含む。
【0137】
例えば、前記組換えタンパク質は、N末端からC末端まで、順次に前記HCシグナルペプチド、前記リーダーペプチド及び前記NGFタンパク質変異体を含むことができる。例えば、前記組換えタンパク質は、配列番号62に示されるアミノ酸配列を含む。
【0138】
例えば、前記組換えタンパク質は、N末端からC末端まで、順次に前記Gp67シグナルペプチド、前記リーダーペプチド及び前記NGFタンパク質変異体を含むことができる。例えば、前記組換えタンパク質は、配列番号63に示されるアミノ酸配列を含む。
【0139】
例えば、前記組換えタンパク質は、N末端からC末端まで、順次に前記HBMシグナルペプチド、前記リーダーペプチド及び前記NGFタンパク質変異体を含むことができる。例えば、前記組換えタンパク質は、配列番号64に示されるアミノ酸配列を含む。
【0140】
例えば、前記組換えタンパク質は、N末端からC末端まで、順次に前記Gp64シグナルペプチド、前記リーダーペプチド及び前記NGFタンパク質変異体を含むことができる。例えば、前記組換えタンパク質は、配列番号65に示されるアミノ酸配列を含む。
【0141】
例えば、前記組換えタンパク質は、N末端からC末端まで、順次に前記Albシグナルペプチド、前記リーダーペプチド及び前記NGFタンパク質変異体を含むことができる。例えば、前記組換えタンパク質は、配列番号66に示されるアミノ酸配列を含む。
【0142】
いくつかの実施形態において、前記組換えタンパク質は更にタグペプチドを含む。
【0143】
例えば、前記組換えタンパク質は、N末端からC末端まで、順次に前記異種シグナルペプチド、前記リーダーペプチド、前記NGFタンパク質変異体及び前記タグペプチドを含むことができる。
【0144】
例えば、前記組換えタンパク質は、N末端からC末端まで、順次に前記異種シグナルペプチド、前記NGFタンパク質変異体及び前記タグペプチドを含むことができる。
【0145】
例えば、前記タグペプチドは、(YPYDVPDYA)nに示されるアミノ酸配列を含むことができ、その中で、nは1~5の任意の整数である。また例えば、前記タグペプチドは、YPYDVPDYA(配列番号68)又はYPYDVPDYAYPYDVPDYA(配列番号69)に示されるアミノ酸配列を含むことができる。
【0146】
例えば、前記組換えタンパク質は、N末端からC末端まで、順次に前記IgKシグナルペプチド、前記リーダーペプチド、前記NGFタンパク質変異体及び前記タグペプチドを含むことができる。例えば、前記組換えタンパク質は、配列番号70に示されるアミノ酸配列を含む。
【0147】
いくつかの実施形態において、前記組換えタンパク質は更に膜貫通アンカー領域を含む。
【0148】
例えば、前記組換えタンパク質は、N末端からC末端まで、順次に前記異種シグナルペプチド、前記リーダーペプチド、前記NGFタンパク質変異体及び前記膜貫通アンカー領域を含むことができる。
【0149】
例えば、前記組換えタンパク質は、N末端からC末端まで、順次に前記異種シグナルペプチド、前記NGFタンパク質変異体及び前記膜貫通アンカー領域を含むことができる。
【0150】
例えば、前記膜貫通アンカー領域は、血小板由来増殖因子受容体のC末端膜貫通アンカードメイン(C-terminal transmembrane anchoring domain of platelet-derived growth factor receptor、PDGFR)であってもよい。また例えば、前記膜貫通アンカー領域は、配列番号67に示されるアミノ酸配列を含むことができる。
【0151】
例えば、前記組換えタンパク質は、N末端からC末端まで、順次に前記IgKシグナルペプチド、前記リーダーペプチド、前記NGFタンパク質変異体及び前記膜貫通アンカー領域を含むことができる。例えば、前記組換えタンパク質は、配列番号17に示されるアミノ酸配列を含む。
【0152】
例えば、前記組換えタンパク質は、N末端からC末端まで、順次に前記IgKシグナルペプチド、前記NGFタンパク質変異体及び前記膜貫通アンカー領域を含むことができる。例えば、前記組換えタンパク質は、配列番号18に示されるアミノ酸配列を含む。
【0153】
いくつかの実施形態において、前記組換えタンパク質は更に半減期延長ドメインを含む。
【0154】
例えば、前記組換えタンパク質は更に免疫グロブリンのFc領域を含む。前記Fc領域は、前記組換えタンパク質の半減期を延長することができる。前記Fc領域は、前記組換えタンパク質のC末端に位置していてもよい。例えば、Fc領域を含まない組換えタンパク質と比較して、前記Fc領域を含む組換えタンパク質の半減期は、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又はそれ以上を延長することができる。
【0155】
例えば、前記Fc領域はヒト免疫グロブリン及び/又はマウス免疫グロブリンに由来することができる。
【0156】
例えば、前記Fc領域は、ヒトIgG1のFc領域であってもよい。
【0157】
例えば、前記Fc領域は、マウスIgGのFc領域であってもよい。
【0158】
例えば、前記Fc領域は、配列番号56~57のいずれか一項に示されるアミノ酸配列を含むことができる。
【0159】
例えば、前記組換えタンパク質は、N末端からC末端まで、順次に前記異種シグナルペプチド、前記リーダーペプチド、前記NGFタンパク質変異体及び前記Fc領域を含むことができる。
【0160】
また例えば、前記組換えタンパク質は、N末端からC末端まで、順次に前記IgKシグナルペプチド、前記リーダーペプチド、前記NGFタンパク質変異体及び前記Fc領域を含むことができる。
【0161】
例えば、前記Fc領域は、配列番号54~55のいずれか一項に示されるアミノ酸配列を含むことができる。
【0162】
核酸分子
もう1つの方面において、本出願は単離された核酸分子を提供し、前記単離された核酸分子は前記組換えタンパク質をコードする。例えば、前記単離された核酸分子は、配列番号15~20、54~55及び58~66のいずれか一項に示されるアミノ酸配列を含む組換えタンパク質をコードすることができる。
【0163】
例えば、前記単離された核酸分子は、配列番号15に示されるアミノ酸配列を含む組換えタンパク質をコードすることができる。例えば、前記単離された核酸分子は、配列番号19に示されるアミノ酸配列を含む組換えタンパク質をコードすることができる。
【0164】
例えば、前記単離された核酸分子はDNA及び/又はRNAを含むことができる。例えば、前記単離された核酸分子は、DNAであってもよく、且つ配列番号15又は19に示されるアミノ酸配列を含む組換えタンパク質をコードすることができる。例えば、前記単離された核酸分子は、RNAであってもよく、且つ配列番号15又は19に示されるアミノ酸配列を含む組換えタンパク質をコードすることができる。
【0165】
例えば、前記単離された核酸分子は、5’キャップ、5’非翻訳領域、オープンリーディングフレーム、3’非翻訳領域及びpoly Aテールから選択される1つ又は複数の位置に修飾を含むことができる。
【0166】
例えば、前記単離された核酸分子は、少なくとも1つの修飾ヌクレオチドを含むことができる。
【0167】
本出願において、前記核酸分子は、配列番号2~8、10~11、23~28、46~47及び50~51のいずれか一項に示されるヌクレオチド配列を含むことができる。本出願において、前記核酸分子は、配列番号2~8、10~11、23~28、46~47及び50~51のいずれか一項に示されるヌクレオチド配列と少なくとも80%(例えば、82%、85%、88%、90%、95%、98%、99%又はそれ以上)の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含むことができる。
【0168】
本出願において、前記核酸分子は、配列番号11~12のいずれか一項に示されるヌクレオチド配列を含むことができる。本出願において、前記核酸分子は、配列番号11~12のいずれか一項に示されるヌクレオチド配列と少なくとも80%(例えば、82%、85%、88%、90%、95%、98%、99%又はそれ以上)の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含むことができる。
【0169】
本出願において、前記核酸分子は、配列番号3、11及び23のいずれか一項に示されるヌクレオチド配列を含むことができる。本出願において、前記核酸分子は、配列番号3、11及び23のいずれか一項に示されるヌクレオチド配列と少なくとも80%(例えば、82%、85%、88%、90%、95%、98%、99%又はそれ以上)の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含むことができる。
【0170】
本出願において、前記核酸分子は、配列番号7、12及び27のいずれか一項に示されるヌクレオチド配列を含むことができる。本出願において、前記mRNAは、配列番号7、12及び27のいずれか一項に示されるヌクレオチド配列と少なくとも80%(例えば、82%、85%、88%、90%、95%、98%、99%又はそれ以上)の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含むことができる。
【0171】
一つの方面において、本出願は単離されたRNA、特にmRNAを提供し、前期mRNAは、神経成長因子(NGF)タンパク質又はその変異体をコードする核酸分子を含むか、又は、前記mRNAの少なくとも一部が前記NGFタンパク質変異体をコードすることができる。
【0172】
いくつかの実施形態において、前記NGFタンパク質は、配列番号32に示されるアミノ酸配列を含む。
【0173】
いくつかの実施形態において、配列番号32に示されるアミノ酸配列と比較して、前記NGFタンパク質変異体の神経栄養因子受容体p75(p75NTR)への結合は、少なくとも50%(例えば、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%又はそれ以上減少)減少する。
【0174】
いくつかの実施形態において、前記NGFタンパク質変異体は、配列番号33に示されるアミノ酸配列を含む。
【0175】
いくつかの実施形態において、前記mRNAは異種シグナルペプチドをコードするポリヌクレオチドを含み、配列番号29に示されるシグナルペプチドと比較して、前記異種シグナルペプチドは、前記NGFタンパク質変異体の発現量及び/又は分泌量を少なくとも50%(例えば、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%又はそれ以上を増加)増加させる。
【0176】
いくつかの実施形態において、前記異種シグナルペプチドは、前記NGFタンパク質変異体の発現量及び/又は分泌量を野生型NGFタンパク質の50%以上(例えば、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%又はそれ以上に達する)に達させることができる。
【0177】
いくつかの実施形態において、前記異種シグナルペプチドは、神経栄養因子に由来する。
【0178】
いくつかの実施形態において、前記異種シグナルペプチドは、脳由来神経栄養因子(BDNF)、神経栄養因子-3(NT-3)及び/又は神経栄養因子-4(NT-4)に由来する。
【0179】
いくつかの実施形態において、前記異種シグナルペプチドは、Gp67、Gp64、ミツバチメリチン(HBM)、アルブミン、IL-2、アズロシジンプレプロタンパク質、マウスIgK、免疫グロブリン重鎖及び/又はシスタチン-S前駆体に由来する。
【0180】
いくつかの実施形態において、前記異種シグナルペプチドは、IgKシグナルペプチド及び/又はBDNFシグナルペプチドである。
【0181】
いくつかの実施形態において、前記異種シグナルペプチドは、配列番号30~31及び35~43のいずれか一項に示されるアミノ酸配列を含む。
【0182】
いくつかの実施形態において、前記異種シグナルペプチドは、配列番号30~31のいずれか一項に示されるアミノ酸配列を含む。
【0183】
いくつかの実施形態において、前記mRNAは更にリーダーペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
【0184】
いくつかの実施形態において、前記リーダーペプチドは、配列番号34に示されるアミノ酸配列を含む。
【0185】
いくつかの実施形態において、前記mRNAは、5’末端から3’末端まで、順次に前記異種シグナルペプチドをコードするポリヌクレオチド、前記リーダーペプチドをコードするポリヌクレオチド及び前記NGFタンパク質又はその変異体をコードするポリヌクレオチドを含む。
【0186】
いくつかの実施形態において、前記mRNAは、5’末端から3’末端まで、順次に前記IgKシグナルペプチドをコードするポリヌクレオチド、前記リーダーペプチドをコードするポリヌクレオチド及び前記NGFタンパク質変異体をコードするポリヌクレオチド含む。
【0187】
いくつかの実施形態において、前記mRNAは、5’末端から3’末端まで、順次に前記BDNFシグナルペプチドをコードするポリヌクレオチド、前記リーダーペプチドをコードするポリヌクレオチド及び前記NGFタンパク質変異体をコードするポリヌクレオチド含む。
【0188】
いくつかの実施形態において、前記mRNAは、配列番号15~20のいずれか一項に示されるアミノ酸配列をコードする。いくつかの実施形態において、前記mRNAは、配列番号15及び19のいずれか一項に示されるアミノ酸配列をコードする。
【0189】
いくつかの実施形態において、前記組換えタンパク質は更に膜貫通アンカー領域を含む。
【0190】
例えば、前記組換えタンパク質は、N末端からC末端まで、順次に前記異種シグナルペプチド、前記リーダーペプチド、前記NGFタンパク質変異体及び前記膜貫通アンカー領域を含むことができる。
【0191】
例えば、前記組換えタンパク質は、N末端からC末端まで、順次に前記異種シグナルペプチド、前記NGFタンパク質変異体及び前記膜貫通アンカー領域を含むことができる。
【0192】
例えば、前記膜貫通アンカー領域は、PDGFR膜貫通アンカー領域であってもよい。また例えば、前記膜貫通アンカー領域は、配列番号67に示されるアミノ酸配列を含むことができる。
【0193】
例えば、前記組換えタンパク質は、N末端からC末端まで、順次に前記IgKシグナルペプチド、前記リーダーペプチド、前記NGFタンパク質変異体及び前記膜貫通アンカー領域を含むことができる。例えば、前記組換えタンパク質は、N末端からC末端まで、順次に前記IgKシグナルペプチド、前記NGFタンパク質変異体及び前記膜貫通アンカー領域を含むことができる。
【0194】
いくつかの実施形態において、前記mRNAは、配列番号17~18のいずれか一項に示されるアミノ酸配列をコードする。
【0195】
いくつかの実施形態において、前記mRNAは更に免疫グロブリンのFc領域をコードするポリヌクレオチドを含む。
【0196】
いくつかの実施形態において、前記Fc領域はヒト免疫グロブリン及び/又はマウス免疫グロブリンに由来する。
【0197】
いくつかの実施形態において、前記Fc領域は、ヒトIgG1のFc領域である。
【0198】
いくつかの実施形態において、前記Fc領域は、マウスIgGのFc領域である。
【0199】
いくつかの実施形態において、前記Fc領域は、配列番号56~57のいずれか一項に示されるアミノ酸配列を含む。
【0200】
いくつかの実施形態において、前記mRNAは、5’末端から3’末端まで、順次に前記異種シグナルペプチドをコードするポリヌクレオチド、前記リーダーペプチドをコードするポリヌクレオチド、前記NGFタンパク質変異体をコードするポリヌクレオチド及び前記免疫グロブリンのFc領域をコードするポリヌクレオチドを含む。
【0201】
いくつかの実施形態において、前記mRNAは、5’末端から3’末端まで、順次に前記IgKシグナルペプチドをコードするポリヌクレオチド、前記リーダーペプチドをコードするポリヌクレオチド、前記NGFタンパク質変異体をコードするポリヌクレオチド及び前記免疫グロブリンのFc領域をコードするポリヌクレオチドを含む。
【0202】
いくつかの実施形態において、前記mRNAは、配列番号54~55のいずれか一項に示されるアミノ酸配列をコードする。
【0203】
一つの方面において、本出願は単離されたRNA、特にmRNAを提供し、前期mRNAは、前記組換えタンパク質をコードする核酸分子を含むか、又は、前記mRNAの少なくとも一部が前記組換えタンパク質をコードすることができ、例えば、前記組換えタンパク質は、配列番号15に示されるアミノ酸配列を含むことができる。
【0204】
本出願において、前記RNAは、天然又は非天然に存在するRNAであってもよく、例えば、mRNAである。前記mRNAは、1つ又は複数の核酸塩基、ヌクレオシド又はヌクレオチドを含むことができる。本出願において、「ヌクレオシド」という用語は一般に、糖分子(例えば、ペントース又はリボース)又はその誘導体及び有機塩基(例えば、プリン又はピリミジン)又はその誘導体(本明細書では「核酸塩基」とも称される)を含む化合物を指す。本出願において、「ヌクレオチド」は、一般にリン酸基を含むヌクレオシドを指す。
【0205】
本出願において、前記mRNAは、5’非翻訳領域(5’UTR)、3’非翻訳領域(3’UTR)及び/又はコード領域(例えば、オープンリーディングフレーム)を含むことができる。
【0206】
本出願において、前記mRNAは修飾されてもよい。前記修飾は、化学的修飾又は生物学的修飾であってもよい。本出願において、前記mRNAは、1つ又は複数の修飾された核酸塩基、ヌクレオシド又はヌクレオチドを含むことができ、この場合、それは「化学的に修飾されたmRNA」と称されてもよく、本明細書では「修飾されたmRNA」とも称されることもある。修飾されていない参照配列(例えば、天然に存在する又は野生型のmRNA)と比較して、修飾されたmRNAは、例えば、安定性の向上、細胞内保持の増加、翻訳効率の向上及び/又は免疫原性の低下などの有用な特性を有することができる。従って、修飾されたmRNAを使用すると、タンパク質生産の効率が向上し、細胞内の核酸保持が改善され、免疫原性を低下させることができる。
【0207】
いくつかの実施形態において、前記mRNAは、5’キャップ、5’非翻訳領域、オープンリーディングフレーム、3’非翻訳領域及びpoly Aテールから選択される1つ又は複数の位置に修飾を含む。
【0208】
本出願において、前記mRNAは、修飾された核酸塩基を含むことができ、前記修飾された核酸塩基は修飾されたウラシルであってもよい。本出願において、前記mRNAは、修飾された核酸塩基を含むことができ、前記修飾された核酸塩基は修飾されたシトシンであってもよい。本出願において、前記mRNAは、修飾された核酸塩基を含むことができ、前記修飾された核酸塩基は修飾されたアデニンであってもよい。本出願において、前記mRNAは、修飾された核酸塩基を含むことができ、前記修飾された核酸塩基は修飾されたグアニンであってもよい。本出願において、前記mRNAは、1つ又は複数の前記修飾された核酸塩基の組み合わせ(例えば、前記修飾された核酸塩基の2、3又は4種の組み合わせ)を含むことができる。
【0209】
例えば、前記単離された核酸分子は、N1-メチルシュードウリジン-5’-三リン酸(N1-Methylpseudo-UTP)、シュードウリジン-5’-三リン酸(pseudo-UTP)、5-メトキシウリジン-二リン酸(5-Methoxy-UDP)及び5-メチルシチジン三リン酸(5-Methyl-CTP)の1つ又は複数のヌクレオチドから選択されることができる。いくつかの実施形態において、本出願の修飾されたRNAは、1つ又は複数の前記修飾された核酸塩基の組み合わせ(例えば、前記修飾された核酸塩基の2、3又は4の組み合わせ)を含むことができる。
【0210】
本出願において、前記mRNAはコドン最適化されることができ、コドンの1つ又は複数のヌクレオチドが変更された後でも、コドンは依然として同じアミノ酸をコードする。
【0211】
本出願において、前記mRNAは、配列番号23~28及び50~51のいずれか一項に示されるヌクレオチド配列を含むことができる。本出願において、前記mRNAは、配列番号23~28及び50~51のいずれか一項に示されるヌクレオチド配列と少なくとも80%(例えば、82%、85%、88%、90%、95%、98%、99%又はそれ以上)の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含むことができる。
【0212】
本出願において、前記mRNAは、配列番号23に示されるヌクレオチド配列を含むことができる。本出願において、前記mRNAは、配列番号23に示されるヌクレオチド配列と少なくとも80%(例えば、82%、85%、88%、90%、95%、98%、99%又はそれ以上)の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含むことができる。
【0213】
本出願において、前記mRNAは、配列番号23に示されるヌクレオチド配列を含むことができる。本出願において、前記mRNAは、配列番号23に示されるヌクレオチド配列と少なくとも80%(例えば、82%、85%、88%、90%、95%、98%、99%又はそれ以上)の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含むことができる。
【0214】
本出願において、前記mRNAは、配列番号27に示されるヌクレオチド配列を含むことができる。本出願において、前記mRNAは、配列番号27に示されるヌクレオチド配列と少なくとも80%(例えば、82%、85%、88%、90%、95%、98%、99%又はそれ以上)の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含むことができる。
【0215】
本出願のmRNAは、当技術分野で実行可能な任意の方法を通じて生成されることができ、in vitro転写(IVT)及び合成方法を含むがこれらに限定されない。mRNAは、酵素、固相、液相、コンビナトリアル合成方法、小ドメイン合成及びライゲーション方法を使用して製造することができる。一実施形態において、mRNAは、IVT酵素合成法を使用して製造される。従って、本出願は更に、DNA、構築物及びベクターなどの本出願におけるmRNAのin vitro転写にも使用されることができるポリヌクレオチドに関する。
【0216】
組成物
本出願において、前記組成物は更に送達ベクターを含むことができる。本出願のmRNAは、例えば、対象への送達時の分解を避けるために、ナノ粒子又は他の送達ベクター中で製造されてもよい。本出願において、前記mRNAはナノ粒子内にカプセル化されてもよい。特定の実施形態において、ナノ粒子は、少なくとも1つのサイズ(例えば、直径)が約1000nM以下、約500nM以下、約400nM以下、約300nM以下、約200nM以下又は約100nM以下の粒子を有する。特定の実施形態において、ナノ粒子は脂質を含むことができる。脂質ナノ粒子は、リポソーム及びミセルを含むことができるがこれらに限定されない。本出願において、前記脂質ナノ粒子は、カチオン性及び/又はイオン化可能脂質、アニオン性脂質、非カチオン性脂質、中性脂質、両親媒性脂質、ポリエチレングリコール化脂質及び/又は構造脂質、又は上記の組み合わせを含むことができる。特定の実施形態において、脂質ナノ粒子は、1つ又は複数の本出願に記載のmRNAを含み、例えば、mRNAであり、また例えば、標的ポリペプチド(例えば、前記組換えタンパク質又は前記NGFタンパク質変異体)をコードするmRNAである。例えば、脂質ナノ粒子は、1つ又は複数の本出願に記載の前記組換えタンパク質又は前記NGFタンパク質変異体をコードするmRNAを含む。
【0217】
本出願に記載の組成物中の送達ベクターは、脂質ナノ粒子であってもよい。前記脂質ナノ粒子は、1つ又は複数(例えば、1、2、3、4、5、6、7又は8)のカチオン性及び/又はイオン化可能脂質を含むことができる。「カチオン性脂質」とは、一般に所定のpH(例えば、生理学的pH)で任意の数の正味の正電荷を有する脂質を指す。前記カチオン性脂質は、3-(ジドデシルアミノ)-N1,N1,4-トリドデシル-1-ピペラジンエチルアミン(KL10)、N1-[2-(ジドデシルアミノ)エチル]-N1,N4,N4-トリドデシル-1,4-ピペラジンジエタンアミン(KL22)、14,25-ジトリデシル-15,18,21,24-テトラアザ-オクタトリアコンタン(KL25)、DLin-DMA、DLin-K-DMA、DLin-KC2-DMA、Octyl-CLinDMA、オクチル-CLinDMA(2S)、DODAC、DOTMA、DDAB、DOTAP、DOTAP.C1、DC-Choi、DOSPA、DOGS、DODAP、DODMA及びDMRIEを含むことができるがそれらに限定されない。更に、LIPOFECTIN(登録商標)(DOTMA及びDOPEを含む)及びLIPOFECTAMINE(登録商標)(DOSPA及びDOPEを含む)などの多くの市販のカチオン性及び/又はイオン化可能脂質を使用することができる。例えば、カチオン性脂質は、DLin-MC3-DMA又はDLin-KC2-DMAであってもよい。
【0218】
いくつかの実施形態において、脂質ナノ粒子中の前記カチオン性脂質のモル比は、約40~70%であり、例えば、約40~65%、約40~60%、約45~55%又は約48~53%である。いくつかの実施形態において、脂質ナノ粒子中の前記カチオン性脂質(例えば、DLin-MC3-DMA)のモル比は、約50%である。
【0219】
本出願において、前記脂質ナノ粒子は、1つ又は複数の(例えば、1、2、3、4、5、6、7又は8)の非カチオン性脂質を含むことができる。前記非カチオン性脂質は、アニオン性脂質を含むことができる。本出願の脂質ナノ粒子に適したアニオン性脂質は、ホスファチジルグリセロール、カルジオリピン、ジアシルホスファチジルセリン、ジアシルホスファチジン酸、N-ドデカノイルホスファチジルエタノールアミン、N-スクシニルホスファチジルエタノールアミン、N-グルタリルホスファチジルエタノールアミン、及びアニオン性基を連結した他の中性脂質を含むことができる。
【0220】
前記非カチオン性脂質は、中性脂質を含むことができる。本出願の脂質ナノ粒子に適した中性脂質は、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジオレオイルホスファチジルグリセロール(DOPG)、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、パルミトイル-オレオイルホスファチジルコリン(POPC)、パルミトイルオレオイル-ホスファチジルエタノールアミン(POPE)、ジオレオイル-ホスファチジルエタノールアミン4-(N-マレイミドメチル)-シクロヘキサン-1-カルボキシレート(DOPE-mal)、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、ジミリストイルホスホエタノールアミン(DMPE)、ジステアロイル-ホスファチジル-エタノールアミン(DSPE)、16-O-モノメチルPE、16-O-ジメチルPE、18-1-トランスPE、1-ステアロイル-2-オレオイル-ホスファチジルエタノールアミン(SOPE)などのリン脂質、又はその混合物を含むことができる。更に、飽和及び不飽和脂肪酸鎖の混合物を有する脂質を使用することができる。例えば、本出願に記載の中性脂質は、DOPE、DSPC、DPPC、POPC又は任意の関連するホスファチジルコリンから選択することができる。
【0221】
いくつかの実施形態において、脂質ナノ粒子中の前記リン脂質のモル比は、約30~45%であり、例えば、約33~42%、約35~40%又は約38~39%である。いくつかの実施形態において、脂質ナノ粒子中の前記リン脂質(例えば、DSPC)のモル比は、約38.5%である。
【0222】
本出願において、前記脂質ナノ粒子は、ポリエチレングリコール(PEG)修飾脂質及び誘導脂質などの脂質複合体を含むことができる。PEG修飾脂質は、C6~C20長のアルキル鎖を有する脂質に共有結合した長さ5kDaまでのポリエチレングリコール鎖を含むことができるがこれに限定されない。これらの成分を加えることにより、脂質の凝集を防ぎ、循環時間を延長でき、標的細胞への脂質-核酸組成物の送達を促進するか、又は核酸を迅速に放出することができる。例えば、前記ポリエチレングリコール(PEG)修飾脂質分子は、より短いアシル鎖(例えば、C14又はC18)を有するPEGセラミドであってもよい。例えば、前記脂質ナノ粒子はPEG2000-DMGを含むことができる。
【0223】
いくつかの実施形態において、前記脂質ナノ粒子中の前記ポリエチレングリコール(PEG)修飾脂質分子のモル比は、約0.5~2%であり、例えば、約1~2%、約1.2~1.8%又は約1.4~1.6%である。いくつかの実施形態において、脂質ナノ粒子中の前記ポリエチレングリコール(PEG)修飾脂質分子(例えば、PEG2000-DMG)のモル比は、約1.5%である。
【0224】
本出願において、前記脂質ナノ粒子は更にコレステロールを含むことができる。いくつかの実施形態において、脂質ナノ粒子中の前記コレステロールのモル比は、約5~15%であり、例えば、約6~14%、約7~13%、約8~12%又は約9~11%である。いくつかの実施形態において、脂質ナノ粒子中の前記コレステロールのモル比は、約10%である。
【0225】
本出願において、前記脂質ナノ粒子は、カチオン性脂質、コレステロール、リン脂質及びポリエチレングリコール修飾脂質分子を含むことができる。いくつかの実施形態において、前記カチオン性脂質、コレステロール、リン脂質及びポリエチレングリコール修飾脂質分子のモル比は、45~55:5~15:35~45:0.5~2であってもよい。いくつかの実施形態において、前記カチオン性脂質、コレステロール、リン脂質及びポリエチレングリコール修飾脂質分子のモル比は、50:10:38.5:1.5であってもよい。
【0226】
例えば、前記組成物は、前記mRNA及び前記脂質ナノ粒子を含むことができ、ここで、前記mRNAは、配列番号15に示されるアミノ酸配列をコードすることができ、前記脂質ナノ粒子は、カチオン性脂質、コレステロール、リン脂質及びポリエチレングリコール修飾脂質分子を含むことができ、且つ前記カチオン性脂質、コレステロール、リン脂質及びポリエチレングリコール修飾脂質分子のモル比は、50:10:38.5:1.5であってもよい。
【0227】
例えば、前記組成物は、前記mRNA及び前記脂質ナノ粒子を含むことができ、ここで、前記mRNAは、配列番号15に示されるアミノ酸配列をコードすることができ、前記脂質ナノ粒子は、DLin-MC3-DMA、コレステロール、DSPC及びPEG2000-DMGを含むことができ、且つ前記DLin-MC3-DMA、コレステロール、DSPC及びPEG2000-DMGのモル比は、50:10:38.5:1.5であってもよい。
【0228】
例えば、前記組成物は、前記mRNA及び前記脂質ナノ粒子を含むことができ、ここで、前記mRNAは、配列番号23に示されるヌクレオチド配列を含むことができ、前記脂質ナノ粒子は、カチオン性脂質、コレステロール、リン脂質及びポリエチレングリコール修飾脂質分子を含むことができ、且つ前記カチオン性脂質、コレステロール、リン脂質及びポリエチレングリコール修飾脂質分子のモル比は、50:10:38.5:1.5であってもよい。
【0229】
例えば、前記組成物は、前記mRNA及び前記脂質ナノ粒子を含むことができ、ここで、前記mRNAは、配列番号23に示されるアミノ酸配列を含むことができ、前記脂質ナノ粒子は、DLin-MC3-DMA、コレステロール、DSPC及びPEG2000-DMGを含むことができ、且つ前記DLin-MC3-DMA、コレステロール、DSPC及びPEG2000-DMGのモル比は、50:10:38.5:1.5であってもよい。
【0230】
製造方法
本出願は、前記組成物中の送達ベクターを製造する方法を提供する。例えば、選択された脂質を適切な容器又は容器の内壁に堆積させ、脂質を適切な溶媒に溶解させ、その後、溶媒を蒸発させて容器の内側に薄膜を残すか、又は噴霧乾燥を実行するなど既存の技術を通じて多層小胞(MLV)を製造することができる。水相を回転している容器に加えて、MLVを形成させる。次に、多層小胞の均質化、超音波処理又は押し出しによって単層小胞(ULV)を形成させる。更に、界面活性剤除去技術によって単層小胞を形成させることができる。
【0231】
本出願において、前記組成物は送達ベクター(例えば、脂質ナノ粒子)を含み、その中で、mRNAは脂質送達ベクターの表面と会合し、その中に封入されることができる。例えば、本出願の組成物を製造する時、前記カチオン性脂質の送達ベクターは、静電相互作用を通じてmRNAと会合してもよい。
【0232】
いくつかの実施形態において、前記組成物は、in vivo及びin vitroで検出可能な診断用放射性核種、蛍光物質又は他の物質を含む。
【0233】
本出願において、標的細胞又は組織のサイズ及び製造するリポソームの適用程度を考慮して、前記脂質送達ベクター(例えば、脂質ナノ粒子)の適切なサイズを選択する。いくつかの実施形態において、mRNAを特定の細胞又は組織に送達することができる。例えば、肝細胞を標的とするために、脂質送達ベクター(例えば、脂質ナノ粒子)のサイズを決定し、そのサイズが肝臓の内皮の内皮肝類洞の有窓ギャップよりも小さくなるようにして、脂質送達ベクター(例えば、脂質ナノ粒子)がこれらの内皮有窓ギャップを容易に貫通して、標的肝細胞に到達するようにする。脂質送達ベクター(例えば、脂質ナノ粒子)は、特定の細胞又は組織内での分布を制限又は有意に回避するために十分に大きな直径を有することができる。本出願において、前記脂質送達ベクター(例えば、脂質ナノ粒子)のサイズ(例えば、直径)は、約25~250nmの範囲であってもよく、例えば、約250nm、175nm、150nm、125nm、100nm、75nm、50nm、25nm又は10nm未満である。例えば、前記脂質送達ベクター(例えば、脂質ナノ粒子)のサイズ(例えば、直径)は、約25~250nmの範囲であってもよく、例えば、約50~200nm、約75~175nm、約75~150nm又は約75~125nm内である。
【0234】
ベクター、細胞及び医薬組成物
もう1つの方面において、本出願は前記核酸分子を含むベクターを提供する。例えば、前記ベクターは、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター及び/又はレンチウイルスベクターなどのウイルスベクターであってもよい。
【0235】
もう1つの方面において、本出願は前記核酸分子及び/又は前記ベクターを含む細胞を提供する。本出願において、前記細胞は原核細胞であってもよく、例えば、大腸菌である。本出願において、前記細胞は、酵母細胞、昆虫細胞、植物細胞及び動物細胞などの真核細胞であってもよい。本出願において、前記細胞は、マウス細胞、ヒト細胞などの哺乳類細胞であってもよい。本出願において、前記細胞は、293T細胞又はP12細胞であってもよい。
【0236】
もう1つの方面において、本出願は前記組換えタンパク質を発現する条件下で前記細胞を培養することを含む、前記組換えタンパク質を製造する方法を提供する。
【0237】
もう1つの方面において、本出願は前記組換えタンパク質、前記核酸分子、前記組成物、前記ベクター及び/又は前記細胞、並びに任意選択の薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物を提供する。
【0238】
もう1つの方面において、本出願は前記組換えタンパク質、前記核酸分子、前記組成物、前記ベクター、前記細胞、及び/又は前記医薬組成物を含む、キット又は薬物送達装置を提供する。それは、本出願に記載の組換えタンパク質、前記核酸分子、前記組成物、前記ベクター、前記細胞、及び/又は前記医薬組成物を単一の一般的に使用される容器に含めることができ、任意選択で1つ又は複数の治療薬と組み合わせて、任意選択で一緒にキットに製造することもできる。
【0239】
治療方法
もう1つの方面において、本出願は、必要とする対象に前記組換えタンパク質、前記核酸分子、前記組成物、前記ベクター、前記細胞、及び/又は前記医薬組成物を投与することを含む、中枢及び/又は末梢神経系疾患の緩和、予防及び/又は治療のための方法を提供する。例えば、前記中枢及び/又は末梢神経系疾患は神経変性疾患を含むことができる。例えば、前記中枢及び/又は末梢神経系疾患は末梢神経障害を含むことができる。例えば、前記末梢神経障害は毒性末梢神経障害、遺伝性末梢神経障害及び/又は代謝性末梢神経障害を含む。例えば、前記中枢及び/又は末梢神経系疾患はいくつかの実施形態に含まれることができ、前記末梢神経障害は毒性末梢神経障害、遺伝性末梢神経障害及び/又は代謝性末梢神経障害を含む。
【0240】
いくつかの実施形態において、前記中枢及び/又は末梢神経系疾患は、糖尿病性末梢神経障害、薬物関連末梢神経障害、遺伝性運動感覚神経障害、末梢神経の外傷後修復、外傷性視神経炎及び/又はアルツハイマー病を含む。
【0241】
もう1つの方面において、本出願は中枢及び/又は末梢神経系疾患の緩和、予防及び/又は治療のための医薬の製造における前記組換えタンパク質、前記核酸分子、前記組成物、前記ベクター、前記細胞、及び/又は前記医薬組成物の使用を提供する。例えば、前記中枢及び/又は末梢神経系疾患は神経変性疾患を含むことができる。例えば、前記中枢及び/又は末梢神経系疾患は末梢神経障害を含むことができる。例えば、前記末梢神経障害は毒性末梢神経障害、遺伝性末梢神経障害及び/又は代謝性末梢神経障害を含む。例えば、前記中枢及び/又は末梢神経系疾患は特定の実施形態に含まれることができ、前記末梢神経障害は毒性末梢神経障害、遺伝性末梢神経障害及び/又は代謝性末梢神経障害を含む。
【0242】
もう1つの方面において、前記組換えタンパク質、前記核酸分子、前記組成物、前記ベクター、前記細胞、及び/又は前記医薬組成物を含む、神経成長因子(NGF)タンパク質の分泌及び/又は発現を促進するための方法を提供する。例えば、前記方法は非治療目的の方法であってもよい。例えば、前記方法はin vitro及び/又は体外の方法であってもよい。
【0243】
もう1つの方面において、前記組換えタンパク質、前記核酸分子、前記組成物、前記ベクター、前記細胞、及び/又は前記医薬組成物を含む、神経細胞の増殖及び/又は分化を促進する方法を提供する。例えば、前記方法は非治療目的の方法であってもよい。例えば、前記方法はin vitro及び/又は体外の方法であってもよい。
【0244】
もう1つの方面において、前記組換えタンパク質、前記核酸分子、前記組成物、前記ベクター、前記細胞、及び/又は前記医薬組成物を含む、損傷神経細胞を修復する方法を提供する。例えば、前記方法は非治療目的の方法であってもよい。例えば、前記方法はin vitro及び/又は体外の方法であってもよい。
【0245】
いかなる理論にも制限されることなく、以下の実施例は、本出願の様々な技術的解決策を説明することのみを意図しており、本出願の範囲を限定することを意図するものではない。
【実施例】
【0246】
実施例1 NGF
R100WmRNAの設計最適化と合成
図1A又は
図1Jに示されるように、NGF内因性シグナルペプチドを外因性シグナルペプチドに置き換え、リーダーペプチドを切断し、膜貫通アンカー領域を増加させるなどの方法を通じて、NGF突然変異体を含む組換えタンパク質を構築した。ここで、NGFwt:N末端からC末端まで、順次にNGFシグナルペプチド+リーダーペプチド+成熟NGFタンパク質である、完全長の野生型NGFタンパク質;NGFmut:N末端からC末端まで、順次にNGFシグナルペプチド+リーダーペプチド+成熟NGF
R100W突然変異タンパク質である、完全長のNGF
R221W突然変異タンパク質;IGK19-NGFmut:N末端からC末端まで、順次にIGKシグナルペプチド+リーダーペプチド+成熟NGF
R100W突然変異タンパク質;IGK122-NGFmut:N末端からC末端まで、順次にIGKシグナルペプチド+成熟NGF
R100W突然変異タンパク質;IGK19-NGF-PDGFRmut:N末端からC末端まで、順次にIGKシグナルペプチド+リーダーペプチド+成熟NGF
R100W突然変異タンパク質+PDGFR膜貫通アンカー領域;IGK122-NGF-PDGFRmut:N末端からC末端まで、順次にIGKシグナルペプチド+成熟NGF
R100W突然変異タンパク質+PDGFR膜貫通アンカー領域;BDNF19NGFmut:N末端からC末端まで、順次にBDNFシグナルペプチド+リーダーペプチド+成熟NGF
R100W突然変異タンパク質;BDNF122-NGFmut:N末端からC末端まで、順次にBDNFシグナルペプチド+成熟NGF
R100W突然変異タンパク質;アミノ酸配列及びヌクレオチド配列は、下記の表1に示される通りである。
【0247】
【0248】
T7ポリメラーゼを使用し、in vitro転写によって上記コード領域のDNA配列を得、3’末端にHAタグを加え、pSG5LベクターのT7プロモーターの下流にクローニングし、in vitro転写用の線状DNAテンプレート用のユニバーサルプライマーをベクター上で取得し、in vitro転写用のDNAテンプレートをPCRによって取得した。T7 RNAポリメラーゼをin vitro転写に使用し、DNA酵素をテンプレートの消化に使用した後、大腸菌poly(A)ポリメラーゼEPAP(E.coli Poly(A)Polymerase)をpoly(A)テールの付加に使用し、最終的に、精製回収によりmRNAを得た。
【0249】
mRNAを293Tツール細胞株で発現させ、western blotを使用して発現量を検出し、結果は
図1Bに示されるように、IGK19-NGFmut及びBDNF19-NGFmutでいずれも上清液中でタンパク質の発現が検出された。また
図1Fは、野生型NGFタンパク質(WT)と比較して、異種シグナルペプチドを含まないNGF
R100Wタンパク質(Mut)の上清液への分泌量が低く、ほとんどがproNGFの形で細胞内に存在していることを示した。更に、APP(Azurocidin preproprotein)、HC(Immunoglobulin heavy chain)、SP(Signal peptide)、Cystatin(Cystatin-S precursor)HBM、Gp64、Alb(Albumin)などの他のいくつかの一般的なシグナルペプチド(
図1J)を使用し、
図1G~1Iのように、結果はいずれもNGFmutの分泌を所定程度促進できることを示した。
【0250】
実施例2 mRNA修飾タンパク質の発現量の検出
本実施例では、IGK19-NGFmut mRNAを修飾し、即ち、転写中に異なる化学修飾を有するヌクレオチドをそれぞれ加え、化学修飾を有するmRNAを得、化学修飾ヌクレオチドの導入はいずれも100%置換であった。使用した化学修飾は、それぞれN1-メチルシュードウリジン-5’-三リン酸(N1-Methylpseudo-UTP、即ちN1-UTP)、シュードウリジン-5’-三リン酸(pseudo-UTP)、5-メトキシウリジン-二リン酸(5-Methoxy-UDP、即ち5mO-UTP)及び5-メチルシチジン三リン酸(5-Methyl-CTP、5mCTP)であった。結果は
図1Cに示されるように、異なる修飾を含むIGK19-NGFmut mRNAの翻訳により得られるタンパク質発現量は同等であり、N1-UTP修飾を含むタンパク質発現量が最も高かった。その後の生化学的及び機能的研究のためのmRNAは、N1-UTPで修飾された。
【0251】
実施例3 NGF
R100Wの神経細胞分化促進機能の検出
PC12細胞株は移植可能なマウス褐色細胞腫に由来し、当該細胞はNGFに対して可逆的な神経表現型応答を示した。PC12細胞がNGFタンパク質の存在にさらされると、細胞は1週間以内に応答することができ、主に細胞分裂を停止し、神経突起が延長された。PC12細胞を5%のウシ胎児血清及び5%の馬血清を含むRPMI1640培地で培養し、細胞が対数増殖期に達した時点でNGFwt又はIGK19-NGFmut mRNAでトランスフェクションし、24時間後、細胞をDAPI及びHAで染色し、蛍光顕微鏡及び電子顕微鏡を使用して細胞形態を観察した。結果は
図1D及び1Eに示されるように、IGK19NGFmutはNGFwtと同様に、mRNAが翻訳され、NGF
R100W突然変異体タンパク質に発現され、PC12細胞の分化を促進することができる。
【0252】
実施例4 NGF mRNAを脂質でカプセル化した脂質ナノ粒子の取得
NGF mRNAと脂質の混合物を脂質ナノ粒子(LNP)反応系にカプセル化して、mRNAを送達し、そのプロセスは
図2に示される通りである。カチオン性脂質(DLin-MC3-DMA)、コレステロール、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)及びポリエチレングリコール修飾脂質分子(PEG2000-DMG)の4種類の脂質分子を使用した。4種類の脂質を50:10:38.5:1.5のモル比でエタノールに溶解させ、エタノールに溶解した脂質とin vitroで転写されたmRNAをTチューブを通して素早く混合し、セルフパッケージングによって直径約100μmの脂質ナノ粒子を得た。in vitroで転写されたNGFwt及びIGK19-NGFmutを、mRNA:カチオン性脂質=1:3(モル比)の比率に従って脂質と混合してナノ粒子LNPにパッケージングし、LNPの粒子径をMalvern Zetasizerナノ粒子サイズ電位分析装置を用いて検出した結果、
図3Aに示されるように、NGFwt及びIGK19-NGFmutのサイズは約100nmであった。
【0253】
2ugのNGF LNPを採取し、293T細胞に直接に滴下して細胞トランスフェクションを実行した結果、
図3Bに示されるように、細胞及び上清液で上清液に分泌された成熟NGFタンパク質発現が検出された。ルシフェラーゼ(luciferase)でD-ルシフェリン(D-luciferin)を酸化して蛍光を発する蛍光レポーターシステムと、生体内蛍光イメージング技術を組み合わせて、マウス体内におけるナノ粒子発現の局在と発現動態を決定した。マウスの尾静脈からルシフェラーゼmRNAをカップリングしたナノ粒子を注射した後、異なる時点でルシフェリン基質を腹腔内注射し、小動物の生体内イメージングを使用して、基質のルシフェラーゼ酸化によって生成される生物学的光の強度と局在を検出した。結果は
図3Cに示されるように、循環経路を介して投与した場合、ナノ粒子の発現効率はより高く、主に肝臓に集中していることを示した。
【0254】
実施例5 マウスにおけるIGK19-NGFmut LNPの低疼痛誘発効果の検証
8週齢のC57BL/6オスマウス8匹を、各群に4匹ずつ2つの群に分け、足底注射を使用して、2μgのIGK19-NGFmut LNPと2μgのNGFwt LNPを各マウスの後足の足裏部分に注射した。注射の8時間後にマウスの行動実験を実行し、マウスの足裏の熱痛感の知覚閾値を検出した。足底注射の8時間後、マウスを透明なフレームの上に置き、2つの群のマウスに同じ強度の赤外線熱源刺激を与え、マウスが足を上げるまでの潜伏時間を記録した。
【0255】
更に8週齢のC57BL/6オスマウス10匹を、各群に5匹ずつ2つの群に分け、同じ方法でそれぞれ2μgのIGK19-NGFmut LNP及び2μgのNGFwt LNPを注射した。足底注射の8時間後、マウスをグリッドフレーム上に置き、von freyフィラメントを使用してマウスの足裏に異なる大きさの機械的ストレスを与え、マウスが足を持ち上げる原因となったストレス値を記録した。
【0256】
結果は、
図4Aに示されるように、IGK19-NGFmut LNPを注射したマウスは、NGFwt LNPを注射した対照群のマウスと比較して、熱痛に対する感受性閾値が有意に高いことを示した。一方、
図4Bはまた、IGK19-NGFmut mRNAの発現により、NGFwtの発現と比較してマウスの機械的痛覚の反応の感受性が低下することも示しており、IGK19-NGFmut LNPのマウスの足裏における発現はNGFwt LNPよりもマウスに対してより低い疼痛誘発効果を有していることを示した。
【0257】
実施例6 末梢神経損傷マウスにおけるIGK19-NGFmut LNPの神経修復効果の検証
マウスの末梢神経損傷のモデル化は、8週齢のC57BL/6オスマウス15匹を用いて、隔日paclitaxelの腹腔内注射の方法を使用して実行した。モデリングの完了から1週間後、マウスを3つの群に分け、各群の6匹のマウスにIGK19-NGFmut LNP及びNGFwt LNPを注射し、モデリング群のマウスは3匹のみにした。足底注射を使用して、2μgのIGK19-NGFmut LNPと2μgのNGFwt LNPを各マウスの後足の足裏部分に注射し、2日おきに1回注射した。5回の注射後、マウスの足裏の熱痛感の知覚閾値と機械的痛覚閾値を検出した。マウスをグリッドフレーム上に置き、von freyフィラメントを使用してマウスの足裏に異なる大きさの機械的ストレスを与え、マウスが足を持ち上げる原因となったストレス値を記録した。機械的痛覚閾値試験を完了した後、2時間の緩衝期間を与え、その後、2つのグループのマウスを55℃のホットプレート上に置き、マウスの足を持ち上げる潜伏時間を記録した。実験プロセスは
図5Aに示される通りである。
【0258】
図5Bの熱痛及び機械痛の結果は、12mg/kgのpaclitaxel注射によって引き起こされるマウスの末梢神経損傷が、マウスの足の疼痛閾値の増加を引き起こす可能性があることを示した。
図5Cに示されるように、注射回数が増加するにつれて、IGK19-NGFmut LNPを注射したマウスは、NGFwt LNPを注射した対照群のマウスと比較して、末梢神経の連続性と密度を有意に増加したことを示した。一方、
図5Dはまた、IGK19-NGFmut mRNAの発現により、NGFwtの発現と比較してマウスの機械的痛覚及び熱痛への反応がより敏感になることも示しており、マウスの足裏におけるIGK19-NGFmut LNPの発現が、paclitaxelによって引き起こされた末梢神経損傷を修復することができることを示した。
【0259】
上記の詳細な説明は、説明及び実施例の形で提供されており、添付の特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。現時点では、本出願に列挙される実施形態における様々な変更は当業者には明らかであり、添付の特許請求の範囲及びそれらの同等の方法の範囲内に保持される。
【配列表】
【国際調査報告】