(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】フラッシュメモリセルならびにその製造方法、書き込み方法、及び消去方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/336 20060101AFI20240829BHJP
H10B 41/30 20230101ALI20240829BHJP
H10B 43/30 20230101ALI20240829BHJP
G11C 16/04 20060101ALI20240829BHJP
G11C 16/14 20060101ALI20240829BHJP
G11C 16/10 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
H01L29/78 371
H10B41/30
H10B43/30
G11C16/04 170
G11C16/04 100
G11C16/14 100
G11C16/10 140
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024536346
(86)(22)【出願日】2022-08-25
(85)【翻訳文提出日】2024-02-22
(86)【国際出願番号】 CN2022114958
(87)【国際公開番号】W WO2023025260
(87)【国際公開日】2023-03-02
(31)【優先権主張番号】202110987914.1
(32)【優先日】2021-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202110988483.0
(32)【優先日】2021-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202110987922.6
(32)【優先日】2021-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524071850
【氏名又は名称】北京磐芯微電子科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】BEIJING PANXIN MICROELECTRONICS TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Room 1509 B, Quantum Ginza, No. 23, Zhichun Road, Haidian District Beijing 100191, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】蒋 家勇
(72)【発明者】
【氏名】石 振東
【テーマコード(参考)】
5B225
5F083
5F101
【Fターム(参考)】
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(57)【要約】
フラッシュメモリセル(100)とその製造方法及び該フラッシュメモリセル(100)の書き込み方法と消去方法。フラッシュメモリセル(100)は、深ウェル領域(103)及び深ウェル領域(103)上に設置されたウェル領域(102)を含む基板(101)と、ウェル領域(102)上に設置され、第1データ及び第2データをそれぞれ記憶する第1記憶トランジスタ(110)及び第2記憶トランジスタ(130)と、ウェル領域(102)上において水平方向に沿って第1記憶トランジスタ(110)と第2記憶トランジスタ(130)との間に設置され、第1記憶トランジスタ(110)と第2記憶トランジスタ(130)を隔離し、且つ第1記憶トランジスタ(110)と第2記憶トランジスタ(130)に対してゲーティング操作を実行するように配置されたゲーティングトランジスタ(120)と、を含む。第1記憶トランジスタ(110)、ゲーティングトランジスタ(120)、及び第2記憶トランジスタ(130)は順に直列接続される。第1記憶トランジスタ(110)のソース領域は、フラッシュメモリセル(100)の第1電極に設置され、第2記憶トランジスタ(130)のドレイン領域は、フラッシュメモリセル(100)の第2電極に設置され、第1記憶トランジスタ(110)及び第2記憶トランジスタ(130)は、垂直方向に沿って順に設置されたチャンネル領域(111)、ゲート誘電体スタック(112)、ゲート電極(116)及びハードマスク遮断部(117)を含むゲート構造を有する。フラッシュメモリセル(100)は、電力消費が低く、サイズが小さく、容量が大きいという技術的利点を有する。フラッシュメモリセル(100)は、より優れたプロセスサイズスケーラビリティ及びより高いアレイ集積密度を実現することができ、従来技術よりも低いコストを有する。フラッシュメモリセル(100)の書き込み方法は、操作電力消費が低く、プログラミング速度が速いという利点を有し、並行して書き込むフラッシュメモリセル(100)の数を増加することによって、メモリ全体の書き込みスループットを高めることができる。フラッシュメモリセル(100)の消去方法は、FNトンネリングメカニズムとバンド間トンネリングホットキャリア注入メカニズムを組み合わせて、操作電力消費が低く、消去速度が速いという利点を有し、フラッシュメモリセル(100)の消去操作の閾値電圧ウィンドウを改善し記憶信頼性を向上させることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フラッシュメモリセルであって、
深ウェル領域、及び深ウェル領域上に設置されたウェル領域を含む基板と、
前記ウェル領域上に設置され、第1データを記憶するように配置された第1記憶トランジスタと、
前記ウェル領域上に設置され、第2データを記憶するように配置された第2記憶トランジスタと、
前記ウェル領域上において水平方向に沿って前記第1記憶トランジスタと前記第2記憶トランジスタとの間に設置され、前記第1記憶トランジスタと前記第2記憶トランジスタを離隔し、且つ前記第1記憶トランジスタと前記第2記憶トランジスタに対してゲーティング操作を実行するように配置されたゲーティングトランジスタと、を含み、
前記第1記憶トランジスタ、前記ゲーティングトランジスタ、及び前記第2記憶トランジスタは順に直列接続され、
前記第1記憶トランジスタのソース領域は前記フラッシュメモリセルの第1電極に接続され、前記第2記憶トランジスタのドレイン領域は前記フラッシュメモリセルの第2電極に接続され、
前記第1記憶トランジスタと前記第2記憶トランジスタは、垂直方向に沿って順に設置されたチャンネル領域、ゲート誘電体スタック、ゲート電極、及びハードマスク遮断部を含むゲート構造を有し、
前記ゲート誘電体スタックは、垂直方向に沿って順に積層された第1酸化物層、記憶媒体層、及び第2酸化物層を有する、ことを特徴とするフラッシュメモリセル。
【請求項2】
前記ゲーティングトランジスタのゲート電極は、水平方向に沿って前記第1記憶トランジスタのゲート電極及び前記第2記憶トランジスタのゲート電極の上方まで延びる庇部を有し、
前記庇部は、前記ハードマスク遮断部によって、前記第1記憶トランジスタのゲート電極及び前記第2記憶トランジスタのゲート電極から隔離される、ことを特徴とする請求項1に記載のフラッシュメモリセル。
【請求項3】
前記記憶媒体層は、一層又は多層の記憶媒体を含む、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のフラッシュメモリセル。
【請求項4】
前記記憶媒体は、一元又は多元酸化物、一元又は多元窒化物、一元又は多元窒素酸化物、多結晶シリコン及びナノ結晶材料のうちの少なくとも1つを含む、ことを特徴とする請求項3に記載のフラッシュメモリセル。
【請求項5】
水平方向に沿って前記第1記憶トランジスタと前記ゲーティングトランジスタとの間に設置され、前記第1記憶トランジスタのゲート電極と前記ゲーティングトランジスタのゲート電極を隔離するように配置された第1隔離部と、
水平方向に沿って前記ゲーティングトランジスタと前記第2記憶トランジスタとの間に設置され、前記ゲーティングトランジスタのゲート電極と前記第2記憶トランジスタのゲート電極を隔離するように配置された第2隔離部と、を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のフラッシュメモリセル。
【請求項6】
前記第1記憶トランジスタ、前記第2記憶トランジスタ、及び前記ゲーティングトランジスタのチャンネル領域は、第1ドープ型を有し、
前記第1記憶トランジスタと前記第2記憶トランジスタのチャンネル領域のドープ濃度は、前記ゲーティングトランジスタのチャンネル領域のドープ濃度よりも低い、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のフラッシュメモリセル。
【請求項7】
前記第1記憶トランジスタと前記第2記憶トランジスタのチャンネル領域は第2ドープ型を有するか、又は非ドーピング真性チャネル領域であり、
前記ゲーティングトランジスタのチャンネル領域は、前記第2ドープ型とは異なる第1ドープ型を有する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のフラッシュメモリセル。
【請求項8】
前記第1ドープ型はP型であり、前記第2ドープ型はN型である、ことを特徴とする請求項6に記載のフラッシュメモリセル。
【請求項9】
前記第1ドープ型はP型であり、前記第2ドープ型はN型である、ことを特徴とする請求項7に記載のフラッシュメモリセル。
【請求項10】
前記第1記憶トランジスタと前記第2記憶トランジスタのゲート電極の長さは、前記第1記憶トランジスタと前記第2記憶トランジスタのゲート電極上に設置された前記ハードマスク遮断部の長さによって限定される、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のフラッシュメモリセル。
【請求項11】
フラッシュメモリセルの製造方法であって、前記フラッシュメモリセルは、順に直列接続された第1記憶トランジスタ、ゲーティングトランジスタ及び第2記憶トランジスタを含み、
前記製造方法は、
基板に第2ドープ型の深ウェル領域を形成し、前記深ウェル領域上に第1ドープ型のウェル領域を形成し、前記ウェル領域内に第1チャネル層を形成し、前記第1チャネル層が、前記第1記憶トランジスタ及び前記第2記憶トランジスタのチャンネル領域を形成するために使用されるステップと、
垂直方向に沿って順に積層された第1酸化物層、記憶媒体層及び第2酸化物層を有するゲート誘電体スタックを、前記ウェル領域上に形成し、前記ゲート誘電体スタック上に第1ゲート電極層及びハードマスク層を順に形成し、前記第1ゲート電極層が、前記第1記憶トランジスタ及び前記第2記憶トランジスタのゲート電極を形成するために使用されるステップと、
前記ハードマスク層、前記第1ゲート電極層及び前記ゲート誘電体スタックをエッチングして前記第1チャネル層の第1部分を露出させ、前記第1チャネル層の第1部分をドーピングして、前記ゲーティングトランジスタのチャンネル領域を形成するステップと、
前記ゲーティングトランジスタのチャンネル領域上に前記ゲーティングトランジスタのゲート誘電体層及びゲート電極を形成するステップと、
前記ゲーティングトランジスタの対向する側で前記ハードマスク層をエッチングして、ハードマスク遮断部を形成し、前記ハードマスク遮断部をマスクとして使用し、前記第1ゲート電極層及び前記ゲート誘電体スタックを自己位置合わせしてエッチングして、前記第1チャネル層の第2部分を露出させ、前記第1チャネル層の第2部分をドーピングして、前記第1記憶トランジスタのソース領域及び前記第2記憶トランジスタのドレイン領域を形成するステップと、
前記第1記憶トランジスタのソース領域に接続される前記フラッシュメモリセルの第1電極、及び前記第2記憶トランジスタのドレイン領域に接続される前記フラッシュメモリセルの第2電極を形成するステップと、を含む
ことを特徴とするフラッシュメモリセルの製造方法。
【請求項12】
フラッシュメモリセルの製造方法であって、前記フラッシュメモリセルは、順に直列接続された第1記憶トランジスタ、ゲーティングトランジスタ及び第2記憶トランジスタを含み、
前記製造方法は、
基板に第2ドープ型の深ウェル領域を形成し、前記深ウェル領域上に第1ドープ型のウェル領域を形成し、前記ウェル領域内に第1チャネル層を形成し、前記第1チャネル層が、前記第1記憶トランジスタ及び前記第2記憶トランジスタのチャンネル領域を形成するために使用されるステップと、
垂直方向に沿って順に積層された第1酸化物層、記憶媒体層及び第2酸化物層を有するゲート誘電体スタックを、前記ウェル領域上に形成し、前記ゲート誘電体スタック上に第1ゲート電極層及びハードマスク層を順に形成し、前記第1ゲート電極層が、前記第1記憶トランジスタ及び前記第2記憶トランジスタのゲート電極を形成するために使用されるステップと、
前記ハードマスク層をエッチングして第1ハードマスク遮断部を形成し、前記第1ハードマスク遮断部をマスクとして使用し、前記第1ゲート電極層及び前記ゲート誘電体スタックを自己位置合わせしてエッチングして、前記第1チャネル層の第1部分を露出させ、前記第1チャネル層の第1部分をドーピングして、前記ゲーティングトランジスタのチャンネル領域を形成するステップと、
前記ゲーティングトランジスタのチャンネル領域上に前記ゲーティングトランジスタのゲート誘電体層及びゲート電極を形成し、前記ゲーティングトランジスタのゲート電極が、水平方向に沿って前記第1記憶トランジスタのゲート電極及び前記第2記憶トランジスタのゲート電極の上方まで延びる庇部を有するステップと、
前記ゲーティングトランジスタの対向する側で前記ハードマスク層をエッチングして、第2ハードマスク遮断部を形成し、前記第2ハードマスク遮断部をマスクとして使用し、前記第1ゲート電極層及び前記ゲート誘電体スタックを自己位置合わせしてエッチングして、前記第1チャネル層の第2部分を露出させ、前記第1チャネル層の第2部分をドーピングして、前記第1記憶トランジスタのソース領域及び前記第2記憶トランジスタのドレイン領域を形成するステップと、
前記第1記憶トランジスタのソース領域に接続される前記フラッシュメモリセルの第1電極、及び前記第2記憶トランジスタのドレイン領域に接続される前記フラッシュメモリセルの第2電極を形成するステップと、を含む
ことを特徴とするフラッシュメモリセルの製造方法。
【請求項13】
フラッシュメモリセルの書き込み方法であって、前記フラッシュメモリセルは、
深ウェル領域、及び深ウェル領域上に設置されたウェル領域を含む基板と、
前記ウェル領域上に設置され、第1データを記憶するように配置された第1記憶トランジスタと、
前記ウェル領域上に設置され、第2データを記憶するように配置された第2記憶トランジスタと、
前記ウェル領域上において水平方向に沿って前記第1記憶トランジスタと前記第2記憶トランジスタとの間に設置され、前記第1記憶トランジスタと前記第2記憶トランジスタを離隔し、且つ前記第1記憶トランジスタと前記第2記憶トランジスタに対してゲーティング操作を実行するように配置されたゲーティングトランジスタと、を含み、
前記第1記憶トランジスタ、前記ゲーティングトランジスタ、及び前記第2記憶トランジスタは順に直列接続され、
前記第1記憶トランジスタのソース領域は前記フラッシュメモリセルの第1電極に接続され、前記第2記憶トランジスタのドレイン領域は前記フラッシュメモリセルの第2電極に接続され、
前記書き込み方法は、
第1書き込み電圧を前記第1電極に印加し、第2書き込み電圧を前記第2電極に印加し、第3書き込み電圧を前記第1記憶トランジスタのゲート電極に印加し、第4書き込み電圧を前記ゲーティングトランジスタのゲート電極に印加し、第5書き込み電圧を前記第2記憶トランジスタのゲート電極に印加することによって、前記第1記憶トランジスタに対して書き込み操作を実行するステップと、
前記第2書き込み電圧を前記第1電極に印加し、前記第1書き込み電圧を前記第2電極に印加し、前記第5書き込み電圧を前記第1記憶トランジスタのゲート電極に印加し、前記第4書き込み電圧を前記ゲーティングトランジスタのゲート電極に印加し、前記第3書き込み電圧を前記第2記憶トランジスタのゲート電極に印加することによって、前記第2記憶トランジスタに対して書き込み操作を実行するステップと、を含み、
前記第4書き込み電圧は第1電源電圧以下であり、前記第2書き込み電圧は第2電源電圧以上であり、前記第1書き込み電圧は予め設定された電圧よりも高く、前記第3書き込み電圧は前記第1書き込み電圧よりも高く、
前記第1電源電圧は前記第2電源電圧よりも高く、
前記予め設定された電圧は、前記基板と、前記第1記憶トランジスタ及び前記第2記憶トランジスタのゲート誘電体スタックとの間の界面でのキャリアー障壁高さに基づいて予め設定されたものであり、
前記第1書き込み電圧、前記第4書き込み電圧及び前記第5書き込み電圧は、前記第2書き込み電圧よりも高く、
前記第2書き込み電圧は、定電流負荷により前記第2電源電圧に接続され、
前記フラッシュメモリセルの書き込み操作中、前記第1書き込み電圧、前記第2書き込み電圧、前記第3書き込み電圧、前記第4書き込み電圧及び前記第5書き込み電圧により、前記第1記憶トランジスタ、前記第2記憶トランジスタ及び前記ゲーティングトランジスタがすべて導通する、ことを特徴とするフラッシュメモリセルの書き込み方法。
【請求項14】
前記第1電源電圧は0.8V~5Vの範囲内であり、
前記第2電源電圧は接地電圧であり、
前記第1書き込み電圧は3V~6Vの範囲内であり、
前記第3書き込み電圧は4V~12Vの範囲内であり、
前記第5書き込み電圧は3V~8Vの範囲内である、ことを特徴とする請求項13に記載の書き込み方法。
【請求項15】
前記フラッシュメモリセルの書き込み操作中、前記定電流負荷の電流を制御することによって、前記フラッシュメモリセルの第1電極と第2電極との間に流れる電流を制御する、ことを特徴とする請求項13又は14に記載の書き込み方法。
【請求項16】
前記フラッシュメモリセルの書き込み操作中、チャネルホットキャリア注入メカニズムにより、前記第1記憶トランジスタ又は前記第2記憶トランジスタに対して書き込み操作を実行する、ことを特徴とする請求項13又は14に記載の書き込み方法。
【請求項17】
前記第1データ及び前記第2データは1ビットのデータである、ことを特徴とする請求項13又は14に記載の書き込み方法。
【請求項18】
前記第1データ及び前記第2データは、2ビット以上のデータである、ことを特徴とする請求項13又は14に記載の書き込み方法。
【請求項19】
前記フラッシュメモリセルの書き込み操作中、前記定電流負荷の電流の大きさを調整することによって、異なるデータ値を前記第1記憶トランジスタ又は前記第2記憶トランジスタに書き込む、ことを特徴とする請求項18に記載の書き込み方法。
【請求項20】
前記フラッシュメモリセルの書き込み操作中、前記第1書き込み電圧の印加時間を調整することによって、異なるデータ値を前記第1記憶トランジスタ又は前記第2記憶トランジスタに書き込む、ことを特徴とする請求項18に記載の書き込み方法。
【請求項21】
前記フラッシュメモリセルの書き込み操作中、前記第1書き込み電圧の大きさを調整することによって、異なるデータ値を前記第1記憶トランジスタ又は前記第2記憶トランジスタに書き込む、ことを特徴とする請求項18に記載の書き込み方法。
【請求項22】
フラッシュメモリセルの消去方法であって、前記フラッシュメモリセルは、
深ウェル領域、及び深ウェル領域上に設置されたウェル領域を含む基板と、
前記ウェル領域上に設置され、第1データを記憶するように配置された第1記憶トランジスタと、
前記ウェル領域上に設置され、第2データを記憶するように配置された第2記憶トランジスタと、
前記ウェル領域上において水平方向に沿って前記第1記憶トランジスタと前記第2記憶トランジスタとの間に設置され、前記第1記憶トランジスタと前記第2記憶トランジスタを離隔し、且つ前記第1記憶トランジスタと前記第2記憶トランジスタに対してゲーティング操作を実行するように配置されたゲーティングトランジスタと、を含み、
前記第1記憶トランジスタ、前記ゲーティングトランジスタ、及び前記第2記憶トランジスタは順に直列接続され、
前記第1記憶トランジスタのソース領域は前記フラッシュメモリセルの第1電極に接続され、前記第2記憶トランジスタのドレイン領域は前記フラッシュメモリセルの第2電極に接続され、
前記消去方法は第1消去ステップを含み、前記第1消去ステップは、
第2電源電圧を前記ウェル領域に印加し、第1消去電圧を前記第1電極に印加し、第2電源電圧を前記第2電極に印加するか又は前記第2電極を浮遊させ、第2消去電圧を前記第1記憶トランジスタのゲート電極に印加し、第3消去電圧を前記ゲーティングトランジスタのゲート電極に印加し、前記第2電源電圧を前記第2記憶トランジスタのゲート電極に印加するか又は前記第2記憶トランジスタのゲート電極を浮遊させることによって、前記第1記憶トランジスタに対して消去操作を実行するステップと、
第2電源電圧を前記ウェル領域に印加し、前記第2電源電圧を前記第1電極に印加するか又は前記第1電極を浮遊させ、前記第1消去電圧を前記第2電極に印加し、前記第2電源電圧を前記第1記憶トランジスタのゲート電極に印加するか又は前記第1記憶トランジスタのゲート電極を浮遊させ、前記第3消去電圧を前記ゲーティングトランジスタのゲート電極に印加し、前記第2消去電圧を前記第2記憶トランジスタのゲート電極に印加することによって、前記第2記憶トランジスタに対して消去操作を実行するステップと、を含み、
前記第1消去電圧は予め設定された電圧よりも高く、前記第2消去電圧は前記第2電源電圧以下であり、前記第3消去電圧は前記第2電源電圧以下であり、
前記予め設定された電圧は、前記基板と、前記第1記憶トランジスタ及び前記第2記憶トランジスタのゲート誘電体スタックとの間の界面でのキャリアー障壁高さに基づいて予め設定されたものである、ことを特徴とする消去方法。
【請求項23】
前記第2電源電圧は接地電圧であり、
前記第1消去電圧は3V~8Vの範囲内であり、
前記第2消去電圧は-8V~0Vの範囲内である、ことを特徴とする請求項22に記載の消去方法。
【請求項24】
第2消去ステップをさらに含み、前記第2消去ステップは、
第2電源電圧を前記ウェル領域に印加し、前記第1消去電圧を前記第1電極及び前記第2電極に印加し、前記第3消去電圧を前記ゲーティングトランジスタのゲート電極に印加し、前記第2消去電圧を前記第1記憶トランジスタ及び前記第2記憶トランジスタのゲート電極に印加することによって、同時に前記第1記憶トランジスタ及び前記第2記憶トランジスタに対して消去操作を実行するステップを含む、ことを特徴とする請求項22に記載の消去方法。
【請求項25】
前記フラッシュメモリセルの消去操作中、バンド間トンネリングホットキャリア注入メカニズムにより、前記第1記憶トランジスタ又は前記第2記憶トランジスタに対して消去操作を実行する、ことを特徴とする請求項24に記載の消去方法。
【請求項26】
第3消去ステップをさらに含み、前記第3消去ステップは、
第4消去電圧を前記ウェル領域及び前記第1電極に印加し、前記第4消去電圧を前記第2電極に印加するか又は前記第2電極を浮遊させ、第5消去電圧を前記第1記憶トランジスタのゲート電極に印加し、前記第2電源電圧を前記ゲーティングトランジスタのゲート電極に印加し、前記第2電源電圧を前記第2記憶トランジスタのゲート電極に印加するか又は前記第2記憶トランジスタのゲート電極を浮遊させることによって、前記第1記憶トランジスタに対して消去操作を実行するステップと、
前記第4消去電圧を前記第1電極に印加するか又は前記第1電極を浮遊させ、前記第4消去電圧を前記ウェル領域及び前記第2電極に印加し、前記第2電源電圧を前記第1記憶トランジスタのゲート電極に印加するか又は前記第1記憶トランジスタのゲート電極を浮遊させ、前記第2電源電圧を前記ゲーティングトランジスタのゲート電極に印加し、前記第5消去電圧を前記第2記憶トランジスタのゲート電極に印加することによって、前記第2記憶トランジスタに対して消去操作を実行するステップと、を含み、
前記第2電源電圧は接地電圧であり、前記第4消去電圧は0V~20Vの範囲内であり、前記第5消去電圧は-10V~0Vの範囲内である、ことを特徴とする請求項24に記載の消去方法。
【請求項27】
第4消去ステップをさらに含み、前記第4消去ステップは、
前記第4消去電圧を前記ウェル領域、前記第1電極及び前記第2電極に印加し、前記第2電源電圧を前記ゲーティングトランジスタのゲート電極に印加し、前記第5消去電圧を前記第1記憶トランジスタ及び前記第2記憶トランジスタのゲート電極に印加することによって、同時に前記第1記憶トランジスタ及び前記第2記憶トランジスタに対して消去操作を実行するステップを含む、ことを特徴とする請求項26に記載の消去方法。
【請求項28】
前記フラッシュメモリセルの消去操作中、FNトンネリングメカニズムにより、前記第1記憶トランジスタ又は前記第2記憶トランジスタに対して消去操作を実行する、ことを特徴とする請求項27に記載の消去方法。
【請求項29】
まず前記第3消去ステップ又は前記第4消去ステップを通じて前記フラッシュメモリセルに対して消去操作を実行し、その後前記第1消去ステップ又は前記第2消去ステップを通じて前記フラッシュメモリセルに対して消去操作を実行するステップをさらに含む、ことを特徴とする請求項28に記載の消去方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体技術の分野に関し、具体的には、本開示は、フラッシュメモリセルとその製造方法、及び該フラッシュメモリセルの書き込み方法と消去方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電源を切っても記憶されたデータが失われない不揮発性メモリの一種で、特に移動通信やコンピュータのストレージコンポーネントなどの分野に適している。また、一部のフラッシュメモリは高密度記憶能力も備えており、大容量のモバイル記憶媒体などの用途に適している。
【0003】
従来のフラッシュメモリは浮遊ゲート型セル構造を採用している。浮遊ゲート型の不揮発性メモリは、1967年にD.KahngとS.Szeが提案されたMIMIS (Metal-Insulator -Metal-Insulator-Semiconductor:金属-絶縁体-金属-絶縁体-半導体)構造に由来する。該構造は、従来のMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor:金属酸化物半導体電界効果トランジスタ)に基づいて、金属浮遊ゲートと超薄トンネリング酸化物層を追加し、それによって金属浮遊ゲートを使用して電荷を蓄積する。これを踏まえ、Masuokaらは、1984年に、セクタ(sector)単位での消去とビット単位での書き込みにより高速消去機能を実現し、EEPROM(Erasable Programmable Read Only Memory:消去可能なプログラマブル読み出し専用メモリ)に必要な選択トランジスタを不要にして記憶セルのサイズを小さくしたフラッシュメモリ(Flash Memory)の概念を初めて提案した。フラッシュメモリは、書き込み速度の速さ、集積度の高さ、優れた性能により、登場以来急速に発展してきた。Intel社は1988年にETOX構造のフラッシュメモリセル(ETOX:Electron Tunneling Oxide device:電子トンネリング酸化物デバイス) を提案し、これが現在までのほとんどの浮遊ゲート型フラッシュメモリセル構造の開発の基礎となっている。
【0004】
しかしながら、浮遊ゲート型フラッシュメモリは次の欠点がある。プロセスが比較的複雑である。フラッシュメモリセル中の浮遊ゲート構造の存在により、ゲート構造の縦方向の高さが増加されるため、プロセスサイズとセル面積をスケールダウンすることに不利である。同時に、浮遊ゲートの導電性により、蓄積された電荷が浮遊ゲート内において自由に移動できるため、メモリの信頼性の向上に不利である。浮遊ゲート型フラッシュメモリの複雑なプロセス、低い信頼性などの問題を解決するために、研究者らは、窒化シリコン誘電体を使用して電荷を蓄積するチャージトラッピングメモリ(CTM:Charge-Trapping-Memory)を提案し、これは、SONOS型(Silicon-Oxide-Nitride-Oxide-Silicon:リコン-酸化物-窒化物-酸化物-シリコン)フラッシュメモリとも呼ばれる。これに基づいて、B.Eitanらは2000年に2ビットの記憶セル構造NROM(Nitride-Read-Only-Memory:窒化シリコン読み出し専用メモリ)を提案した。このセル構造は、絶縁性窒化シリコン記憶媒体の非導電特性を利用して、1つの記憶トランジスタのソース端とドレイン端にそれぞれ2つの記憶ビットを実装する。しかしながら、このセル構造には、2つの記憶ビット間の干渉があり、デバイスサイズを縮小できないなどの欠点がある。
【0005】
一方、既存の浮遊ゲート型ETOXフラッシュメモリとSONOS型NROMフラッシュメモリはすべて、プロセスサイズを縮小できず、セル面積が大きく、書き込み消費電力が大きく、アレイ面積のオーバーヘッドが大きいという問題があり、ギガビット(Gb)容量以上の高密度集積を実現することができない。
【0006】
モバイル知能端末、ウェアラブルデバイス、知能センサーネットワークなどの応用の急速な発展に伴い、フラッシュメモリの電力消費、記憶容量、コストに対してより高い要求を提出する。そのため、電力消費が低く、セル面積が小さく、プロセスサイズが縮小でき、アレイ集積密度が高く、容量が大きいなどの利点を有するフラッシュメモリ技術が必要である。
【発明の概要】
【0007】
この背景技術のセクションで開示された上記の情報は、本発明のアイデアの背景を理解することのみを目的としており、したがって、先行技術を構成しない情報を含む可能性がある。
【0008】
従来技術における上記の問題を解決するために、本開示は、フラッシュメモリセルとその製造方法、及び該フラッシュメモリセルの書き込み方法と消去方法を提出する。
【0009】
本開示の一態様によれば、フラッシュメモリセルが提供される。このフラッシュメモリセルは、深ウェル領域及び深ウェル領域上に設置されたウェル領域を含む基板と、ウェル領域上に設置され、第1データを記憶するように配置された第1記憶トランジスタと、ウェル領域上に設置され、第2データを記憶するように配置された第2記憶トランジスタと、ウェル領域上において水平方向に沿って第1記憶トランジスタと第2記憶トランジスタとの間に設置され、第1記憶トランジスタと第2記憶トランジスタを離隔し、且つ第1記憶トランジスタと第2記憶トランジスタに対してゲーティング操作を実行するように配置されたゲーティングトランジスタと、を含む。第1記憶トランジスタ、ゲーティングトランジスタ、及び第2記憶トランジスタは順に直列接続される。第1記憶トランジスタのソース領域はフラッシュメモリセルの第1電極に接続され、第2記憶トランジスタのドレイン領域はフラッシュメモリセルの第2電極に接続される。第1記憶トランジスタ及び第2記憶トランジスタは、垂直方向に沿って順に設置されたチャンネル領域、ゲート誘電体スタック、ゲート電極及びハードマスク遮断部を含むゲート構造を有し、ゲート誘電体スタックは、垂直方向に沿って順に積層された第1酸化物層、記憶媒体層及び第2酸化物層を有する。
【0010】
本開示の別の態様によれば、フラッシュメモリセルの製造方法を提供する。該フラッシュメモリセルは、順に直列接続された第1記憶トランジスタ、ゲーティングトランジスタ及び第2記憶トランジスタを含む。該製造方法は、基板に第2ドープ型の深ウェル領域を形成し、深ウェル領域上に第1ドープ型のウェル領域を形成し、ウェル領域内に第1チャネル層を形成し、第1チャネル層が第1記憶トランジスタ及び第2記憶トランジスタのチャンネル領域を形成するために使用されるステップと、垂直方向に沿って順に積層された第1酸化物層、記憶媒体層及び第2酸化物層を有するゲート誘電体スタックを、前記ウェル領域上に形成し、ゲート誘電体スタック上に第1ゲート電極層及びハードマスク層を順に形成し、第1ゲート電極層が第1記憶トランジスタ及び第2記憶トランジスタのゲート電極を形成するために使用されるステップと、ハードマスク層、第1ゲート電極層及びゲート誘電体スタックをエッチングして第1チャネル層の第1部分を露出させ、第1チャネル層の第1部分をドーピングして、ゲーティングトランジスタのチャンネル領域を形成するステップと、ゲーティングトランジスタのチャンネル領域上にゲーティングトランジスタのゲート誘電体層及びゲート電極を形成するステップと、ゲーティングトランジスタの対向する側でハードマスク層をエッチングして、ハードマスク遮断部を形成し、ハードマスク遮断部をマスクとして使用し、第1ゲート電極層及びゲート誘電体スタックを自己位置合わせしてエッチングして、第1チャネル層の第2部分を露出させ、第1チャネル層の第2部分をドーピングして、第1記憶トランジスタのソース領域及び第2記憶トランジスタのドレイン領域を形成するステップと、第1記憶トランジスタのソース領域に接続されるフラッシュメモリセルの第1電極、及び第2記憶トランジスタのドレイン領域に接続されるフラッシュメモリセルの第2電極を形成するステップと、を含む。
【0011】
本開示のまた別の態様によれば、フラッシュメモリセルの製造方法を提供する。該フラッシュメモリセルは、順に直列接続された第1記憶トランジスタ、ゲーティングトランジスタ及び第2記憶トランジスタを含む。該製造方法は、基板に第2ドープ型の深ウェル領域を形成し、深ウェル領域上に第1ドープ型のウェル領域を形成し、ウェル領域内に第1チャネル層を形成し、第1チャネル層が第1記憶トランジスタ及び第2記憶トランジスタのチャンネル領域を形成するために使用されるステップと、垂直方向に沿って順に積層された第1酸化物層、記憶媒体層及び第2酸化物層を有するゲート誘電体スタックを、前記ウェル領域上に形成し、ゲート誘電体スタック上に第1ゲート電極層及びハードマスク層を順に形成し、第1ゲート電極層が第1記憶トランジスタ及び第2記憶トランジスタのゲート電極を形成するために使用されるステップと、ハードマスク層をエッチングして第1ハードマスク遮断部を形成し、第1ハードマスク遮断部をマスクとして使用し、第1ゲート電極層及びゲート誘電体スタックを自己位置合わせしてエッチングして、第1チャネル層の第1部分を露出させ、第1チャネル層の第1部分をドーピングして、ゲーティングトランジスタのチャンネル領域を形成するステップと、ゲーティングトランジスタのチャンネル領域上にゲーティングトランジスタのゲート誘電体層及びゲート電極を形成し、ゲーティングトランジスタのゲート電極が、水平方向に沿って第1記憶トランジスタのゲート電極及び第2記憶トランジスタのゲート電極の上方まで延びる庇部を有するステップと、ゲーティングトランジスタの対向する側でハードマスク層をエッチングして、第2ハードマスク遮断部を形成し、第2ハードマスク遮断部をマスクとして使用し、第1ゲート電極層及びゲート誘電体スタックを自己位置合わせしてエッチングして、第1チャネル層の第2部分を露出させ、第1チャネル層の第2部分をドーピングして、第1記憶トランジスタのソース領域及び第2記憶トランジスタのドレイン領域を形成するステップと、第1記憶トランジスタのソース領域に接続されるフラッシュメモリセルの第1電極、及び第2記憶トランジスタのドレイン領域に接続されるフラッシュメモリセルの第2電極を形成するステップと、を含む。
【0012】
本開示によるフラッシュメモリセルは、電力消費が低く、サイズが小さく、容量が大きいという技術的利点を有する。本開示によるフラッシュメモリセルは、より優れたプロセスサイズスケーラビリティ及びより高いアレイ集積密度を実現することができ、従来技術よりも低いコストを有する。
【0013】
本開示の一態様によれば、フラッシュメモリセルの書き込み方法を提供する。該フラッシュメモリセルは、深ウェル領域及び深ウェル領域上に設置されたウェル領域を含む基板と、ウェル領域上に設置され、第1データを記憶するように配置された第1記憶トランジスタと、ウェル領域上に設置され、第2データを記憶するように配置された第2記憶トランジスタと、ウェル領域上において水平方向に沿って第1記憶トランジスタと第2記憶トランジスタとの間に設置され、第1記憶トランジスタと第2記憶トランジスタを離隔し、且つ第1記憶トランジスタと第2記憶トランジスタに対してゲーティング操作を実行するように配置されたゲーティングトランジスタと、を含む。第1記憶トランジスタのソース領域は、フラッシュメモリセルの第1電極に接続され、第2記憶トランジスタのドレイン領域は、フラッシュメモリセルの第2電極に接続される。該書き込み方法は、第1書き込み電圧を第1電極に印加し、第2書き込み電圧を第2電極に印加し、第3書き込み電圧を第1記憶トランジスタのゲート電極に印加し、第4書き込み電圧をゲーティングトランジスタのゲート電極に印加し、第5書き込み電圧を第2記憶トランジスタのゲート電極に印加することによって、第1記憶トランジスタに対して書き込み操作を実行するステップと、第2書き込み電圧を第1電極に印加し、第1書き込み電圧を第2電極に印加し、第5書き込み電圧を第1記憶トランジスタのゲート電極に印加し、第4書き込み電圧をゲーティングトランジスタのゲート電極に印加し、第3書き込み電圧を第2記憶トランジスタのゲート電極に印加することによって、第2記憶トランジスタに対して書き込み操作を実行するステップと、を含む。ここで、第4書き込み電圧は第1電源電圧以下であり、第2書き込み電圧は第2電源電圧以上であり、第1書き込み電圧は予め設定された電圧よりも高く、第3書き込み電圧は第1書き込み電圧よりも高い。第1電源電圧は第2電源電圧よりも高い。予め設定された電圧は、基板と、第1記憶トランジスタ及び第2記憶トランジスタのゲート誘電体スタックとの間の界面でのキャリアー障壁高さに基づいて予め設定されたものである。第1書き込み電圧、第4書き込み電圧及び第5書き込み電圧は、第2書き込み電圧よりも高い。第2書き込み電圧は、定電流負荷により第2電源電圧に接続される。フラッシュメモリセルの書き込み操作中、第1書き込み電圧、第2書き込み電圧、第3書き込み電圧、第4書き込み電圧及び第5書き込み電圧により、第1記憶トランジスタ、第2記憶トランジスタ及びゲーティングトランジスタはすべて導通する。
【0014】
本開示によるフラッシュメモリセルの書き込み方法は、低いゲート電圧のチャネルホットキャリア注入メカニズムを採用しており、既存の書き込み方法と比較して、操作電力消費が低く、プログラミング速度が速いという利点を有し、並行に書き込むフラッシュメモリセルの数を増加することによって、メモリ全体のデータ書き込みスループットを高めることができる。
【0015】
本開示の一態様によれば、フラッシュメモリセルの消去方法を提供する。該フラッシュメモリセルは、深ウェル領域及び深ウェル領域上に設置されたウェル領域を含む基板と、ウェル領域上に設置され、第1データを記憶するように配置された第1記憶トランジスタと、ウェル領域上に設置され、第2データを記憶するように配置された第2記憶トランジスタと、ウェル領域上において水平方向に沿って第1記憶トランジスタと第2記憶トランジスタとの間に設置され、第1記憶トランジスタと第2記憶トランジスタを離隔し、且つ第1記憶トランジスタと第2記憶トランジスタに対してゲーティング操作を実行するように配置されたゲーティングトランジスタと、を含む。第1記憶トランジスタ、ゲーティングトランジスタ、及第2記憶トランジスタは順に直列接続される。第1記憶トランジスタのソース領域はフラッシュメモリセルの第1電極に接続され、第2記憶トランジスタのドレイン領域はフラッシュメモリセルの第2電極に接続される。この消去方法は第1消去ステップを含む。該第1消去ステップは、第2電源電圧を前記ウェル領域に印加し、第1消去電圧を第1電極に印加し、第2電源電圧を第2電極に印加するか又は第2電極を浮遊させ、第2消去電圧を第1記憶トランジスタのゲート電極に印加し、第3消去電圧をゲーティングトランジスタのゲート電極に印加し、第2電源電圧を第2記憶トランジスタのゲート電極に印加するか又は第2記憶トランジスタのゲート電極を浮遊させることによって、第1記憶トランジスタに対して消去操作を実行するステップと、第2電源電圧をウェル領域に印加し、第2電源電圧を第1電極に印加するか又は第1電極を浮遊させ、第1消去電圧を第2電極に印加し、第2電源電圧を第1記憶トランジスタのゲート電極に印加するか又は第1記憶トランジスタのゲート電極を浮遊させ、第3消去電圧をゲーティングトランジスタのゲート電極に印加し、第2消去電圧を第2記憶トランジスタのゲート電極に印加することによって、第2記憶トランジスタに対して消去操作を実行するステップと、を含む。ここで、第1消去電圧は予め設定された電圧よりも高く、第2消去電圧は第2電源電圧以下であり、第3消去電圧は第2電源電圧以下である。予め設定された電圧は、基板と、第1記憶トランジスタ及び第2記憶トランジスタのゲート誘電体スタックとの間の界面でのキャリアー障壁高さに基づいて予め設定されたものである。
【0016】
本開示によるフラッシュメモリセルの消去方法により、フラッシュメモリセルの消去操作速度を向上させることができ、フラッシュメモリセルの消去及び書き込み操作の閾値電圧ウィンドウ及び記憶信頼性を向上させることができる。
【0017】
しかしながら、本開示の効果は上記の効果に限定されるものではなく、本開示の精神及び範囲から逸脱することなく様々な展開が可能であり、前述の一般的な説明と以下の詳細な説明は両方とも例示的かつ説明的なものであり、特許請求の範囲に記載された本発明のさらなる説明を提供することを意図していることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本発明のさらなる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれてその一部を構成する添付図面は、本発明の例示的な実施形態を示し、明細書とともに本発明のアイデアを説明するのに役立つ。
【
図1】本開示の第1実施形態によるフラッシュメモリセルの断面図を示す。
【
図2】本開示の第2実施形態によるフラッシュメモリセルの断面図を示す。
【
図3】本開示の第1実施形態によるフラッシュメモリセルを製造するための方法のフローチャートを示す。
【
図4】
図3に示す方法の各ステップにおけるフラッシュメモリセルの断面図を示す。
【
図5】本開示の第2実施形態によるフラッシュメモリセルを製造するための方法のフローチャートを示す。
【
図6】
図5に示す方法の各ステップにおけるフラッシュメモリセルの断面図を示す。
【
図7】本開示の実施形態によるフラッシュメモリセルの等価回路図を示す。
【
図8】本開示の実施形態による第1記憶トランジスタに対して書き込み操作を実行する模式図を示す。
【
図9】本開示の実施形態による第2記憶トランジスタに対して書き込み操作を実行する模式図を示す。
【
図10】従来技術のチャネルホット電子書き込み操作中の浮遊ゲート注入電流と浮遊ゲート電圧との間の関係のグラフを示す。
【
図11】本開示の実施形態による第1記憶トランジスタに対して書き込み操作を実行する等価回路図を示す。
【
図12】本開示の一実施形態による第1記憶トランジスタの多値プログラミング操作の模式回路図を示す。
【
図13】本開示の別の実施形態による第1記憶トランジスタの多値プログラミング操作の模式回路図を示す。
【
図14】本開示のまた一実施形態による第1記憶トランジスタの多値プログラミング操作の模式回路図を示す。
【
図15】本開示の実施形態による第1記憶トランジスタの多値プログラミング操作の閾値電圧の模式図を示す。
【
図16】本開示の実施形態による第2記憶トランジスタの多値プログラミング操作の閾値電圧の模式図を示す。
【
図17】本開示の実施形態による、異なる定電流負荷の書き込み電流条件下でのプログラミング閾値電圧のプログラミング時間経過に伴う変化特性のグラフを示す。
【
図18】本開示の実施形態による、第1消去ステップを通じて第1記憶トランジスタに対して消去操作を実行する模式図を示す。
【
図19】本開示の実施形態による、第1消去ステップを通じて第2記憶トランジスタに対して消去操作を実行する模式図を示す。
【
図20】本開示の実施形態による、第2消去ステップを通じてフラッシュメモリセルに対して消去操作を実行する模式図を示す。
【
図21】本開示の実施形態による、第3消去ステップを通じて第1記憶トランジスタに対して消去操作を実行する模式図を示す。
【
図22】本開示の実施形態による、第3消去ステップを通じて第2記憶トランジスタに対して消去操作を実行する模式図を示す。
【
図23】本開示の実施形態による、第4消去ステップを通じてフラッシュメモリセルに対して消去操作を実行する模式図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下の説明では、説明の目的で、本発明の様々な例示的な実施形態又は実装案の完全な理解を提供するために、多数の特定の詳細が記載される。本明細書で使用される「実施形態」及び「実現案」は交換可能な用語であり、本明細書に開示される発明のアイデアの1つ又は複数を使用する装置又は方法の非限定的な例である。しかしながら、これらの特定の詳細なしで、又は1つ以上の同等の構成を有する場合に、例示的な実施形態を実施することができることは明らかである。他の例では、様々な例示的な実施形態を不必要に混乱させないように、周知の構造及び装置がブロック図の形態で示される。また、それぞれの例示的な実施形態は異なってもよいが、必ずしも排他的ではない。例えば、例示的実施形態の特定の形状、配置、及び特性は、本発明のアイデアから逸脱することなく、他の例示的実施形態で使用又は実現されてもよい。
【0020】
別段の記載がない限り、説明される例示的な実施形態は、本発明のアイデアを実際に実現できるいくつかの方式の変化の詳細を提供する例示的な特徴として理解されるべきである。従って、別段の記載がない限り、本発明のアイデアから逸脱することなく、様々な実施形態の特徴、部材、モジュール、層、膜、パネル、領域及び/又は態様(以下、個別に又は集合的に「要素」と呼ぶ)は、追加的に組み合わせたり、分離したり、交換したり、及び/又は再配置したりすることができる。
【0021】
図面におけるクロスハッチ及び/又はシャドーの使用は、通常、隣接する要素間の境界を明確にするために提供される。このように、別段の記載がない限り、クロスハッチ又はシャドーの有無にかかわらず、特定の材料、材料特性、サイズ、比例、示される要素間の共通性及び/又は要素の任意の他の特性、属性、形状などに対する任意の好み又は要求を伝達又は指示することはできない。また、図面では、明確かつ/又は説明の目的のために、要素のサイズ及び相対的なサイズを誇張することがある。例示的な実施形態を異なるように実現できる場合、特定の処理順序は、説明された順序とは異なるように実行することができる。例えば、連続して説明された2つのプロセスは、実質的に同時に実行されてもよいし、説明された順序とは逆の順序で実行されてもよい。同様に、同じ参照番号は同じ要素を表す。
【0022】
層などの要素が別の要素又は層の「上に位置する」、別の要素又は層に「接続される」又は「結合される」と呼ばれる場合、それは別の要素又は層の上に直接位置するか、別の要素又は層に直接接続又は結合されてもよいし、介在する要素又は層が存在してもよい。当然のことながら、要素又は層が別の要素又は層の「上に直接位置する」、別の要素又は層に「直接接続される」又は「直接結合される」と呼ばれる場合、介在する要素又は層がない。このため、「接続」という用語は、介在する要素の有無にかかわらず、物理的、電気的、及び/又は流体的な接続を指す場合がある。また、D1軸線、D2軸線及びD3軸線は、直角座標系のx、y及びz軸線のような3つの軸に限定されず、より広義に解釈してもよい。例えば、D1軸線、D2軸線及びD3軸線は、互いに垂直であってもよく、又は互いに垂直でない異なる方向を示してもよい。本開示の目的のために、「X、Y及びZのうちの少なくとも1つ」及び「X、Y及びZからなる群から選択される少なくとも1つ」は、Xのみ、Yのみ、Zのみ、ならびにX、Y及びZのうちの2つ以上の任意の組み合わせ、例えばXYZ、XYY、YZ及びZZとして解釈され得る。本明細書で使用される場合、「及び/又は」という用語は、関連するリストされた項目の1つ又は複数の任意及びすべての組み合わせを含む。
【0023】
本明細書では、「第1」、「第2」などの用語が様々なタイプの要素を説明するために使用される場合があるが、これらの要素はこれらの用語によって限定されるべきではない。これらの用語は、ある要素を別の要素から区別するために使用される。従って、以下に説明する第1要素は、本開示の教示から逸脱することなく、第2要素と呼ぶことができる。
【0024】
「の下」、「下方」、「下面」、「下」、「上方」、「上」、「更高」及び「側面」(例えば、「側壁」)などの空間関係用語は、本明細書では、図に示すように、ある要素と他の要素との関係を説明する目的で使用される場合がある。空間関係用語は、図面に示される配向以外の装置の使用、操作及び/又は製造における異なる配向を包含することを意図する。例えば、図面の装置が反転された場合、他の要素又は特徴「下方」又は「の下」として記載された要素は、他の要素又は特徴「上方」に配向される。そのため、例示的な用語「下方」は、上方と下方の両方の配向を包含し得る。また、装置は、他の方式で配向(例えば、90度回転又は他の配向)であってもよく、したがって、本明細書で使用される空間関係の説明は、それに応じて解釈される。
【0025】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明するためのものであり、限定することを意図したものではない。本明細書で使用される場合、単数形「一」、「一個」、及び「該」は、文脈上明らかに別段の指示がない限り、複数形も含むものとする。また、本明細書で使用される場合、「含む」及び/又は「包含する」という用語は、記載された特徴、整数、ステップ、操作、要素、部材及び/又はそれらのグループの存在を示すが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、操作、要素、部材及び/又はそれらのグループの存在を排除するものではない。また、本明細書で使用される「実質的に」、「約」、及び他の同様の用語は、程度の用語ではなく近似の用語として使用され、したがって、当業者によって認識される測定、計算及び/又は提供された値における固有の偏差を考慮するために使用される。
【0026】
いくつかの例示的な実施形態が、当技術分野の慣例に従って、機能ブロック、ユニット、及び/又はモジュールの観点から図面に記載され、示されている。当業者であれば、これらのブロック、ユニット、及び/又はモジュールは、論理回路、ディスクリートコンポーネント、マイクロプロセッサ、ハードウェア回路、メモリ素子、配線接続などの電子(又は光学)回路によって物理的に実現されることができ、半導体に基づく製造技術又は他の製造技術を使用して形成することができるマイクロプロセッサ又は他の同様のハードウェアによってブロック、ユニット、及び/又はモジュールを実現する場合、本明細書で説明される様々な機能を実行するようにソフトウェア(例えば、マイクロコード)を使用してそれらに対して書き込み及び制御を行ってもよく、オプションでファームウェア及び/又はソフトウェアによって駆動してもよい。各ブロック、ユニット、及び/又はモジュールは、専用のハードウェアによって実現されてもよく、又は幾つかの機能を実行する専用のハードウェア及び他の操作を実行するプロセッサ(例えば、1つ以上の書き込まれたマイクロプロセッサ及び関連する回路)の組み合わせとして実現されてもよいことが考慮される。また、本発明のアイデアの範囲から逸脱することなく、幾つかの例示的な実施形態の各ブロック、ユニット、及び/又はモジュールは、2つ以上の対話型で離散的なブロック、ユニット、及び/又はモジュールに物理的に分割することができる。また、本発明のアイデアの範囲から逸脱することなく、幾つかの例示的な実施形態のブロック、ユニット、及び/又はモジュールは、より複雑なブロック、ユニット、及び/又はモジュールに物理的に組み合わせることができる。
【0027】
ここで、断面図及び/又は分解図を参照して各実施形態を説明する。前記断面図及び/又は分解図は理想化された実施形態及び/又は中間構造の模式図である。これにより、例えば製造技術及び/又は公差による図示形状の変化が期待できる。従って、本明細書に開示される実施形態は、必ずしも、領域の特定の図示された形状に限定されると解釈される必要はなく、例えば、製造に起因する形状のばらつきを含む。このように、図面に示される領域は、本質的に模式的なものであってもよく、これらの領域の形状は、装置の領域の実際の形状を反映していなくてもよく、したがって、これは必ずしも制限を意図するものではない。
【0028】
特に限定されない限り、本明細書で使用される全ての用語(技術用語及び科学用語を含む)は、本開示が属する分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。一般に使用される辞書で定義されているような用語は、関連分野の文脈における意味と一致する意味を持つものと解釈されるものとし、本明細書で明示的に限定されない限り、理想化された意味又は過度に形式的な意味で解釈されないものとする。
【0029】
図1は、本開示の第1実施形態によるフラッシュメモリセルMC 100の断面図を示す。
【0030】
図1に示すように、本開示の第1実施形態によるフラッシュメモリセルMC 100は基板101を含んでもよく、基板101は、第2ドープ型の深ウェル領域DNW 103と、深ウェル領域DNW 103上に設置された第1ドープ型のウェル領域PW 102とを含む。
【0031】
図1では例として、第1ドープ型をP型として限定し、第2ドープ型をN型として限定するが、当業者であれば理解されるように、本開示はこれに限定されず、第1ドープ型はN型であってもよく、このとき第2ドープ型はP型であってもよい。
【0032】
本開示の実施形態によれば、基板101は例えばシリコン(Si)基板であってもよい。
【0033】
また、フラッシュメモリセルMC 100は、順に直列接続された第1記憶トランジスタMS 110、ゲーティングトランジスタMG 120及び第2記憶トランジスタMD 130を含む。第1記憶トランジスタMS 110は、ウェル領域PW 102上に設置され、第1データDATA1を記憶することができる。第2記憶トランジスタMD 130は、ウェル領域PW 102上に設置され、第2データDATA2を記憶することができる。ゲーティングトランジスタMG 120は、ウェル領域PW 102上において水平方向DR1に沿って第1記憶トランジスタMS 110と第2記憶トランジスタMD 130との間に設置され、第1記憶トランジスタMS 110と第2記憶トランジスタMD 130を隔離し、且つ第1記憶トランジスタMS 110及び第2記憶トランジスタMD 130に対してゲーティング操作を実行するために使用される。
【0034】
本開示の実施形態によれば、フラッシュメモリセルMC 100は2つの記憶トランジスタMS 110とMD 130を含むため、フラッシュメモリセルMC 100は2ビット記憶の機能を実現する、即ち、第1データDATA1及び第2データDATA2を同時に記憶することができる。
【0035】
また、
図1に示すように、第1記憶トランジスタMS 110のソース領域は、フラッシュメモリセルMC 100のソースSとも呼ばれてもよいフラッシュメモリセルMC 100の第1電極Sに接続され、第2記憶トランジスタMD 130のドレイン領域は、フラッシュメモリセルMC 100的ドレインDとも呼ばれてもよいフラッシュメモリセルMC 100の第2電極Dに接続される。
【0036】
当業者であれば、説明を容易にするために、本明細書ではフラッシュメモリセルのソース及びドレインが限定されるが、フラッシュメモリセルのソース及びドレインの限定は相対的であり、用語 「ソース」及び 「ドレイン」 は、異なる動作条件下で互換的に使用できることを認識するであろう。
【0037】
また、
図1に示すように、第1記憶トランジスタMS 110は、垂直方向DR2に沿って順に設置されたチャンネル領域111、ゲート誘電体スタック112、ゲート電極116及びハードマスク遮断部117を含むゲート構造を有する。ゲート誘電体スタック112は、垂直方向に沿って順に積層された第1酸化物層113、記憶媒体層114及び第2酸化物層115を有する。また、第2記憶トランジスタMD 130は、垂直方向DR2に沿って順に設置されたチャンネル領域131、ゲート誘電体スタック132、ゲート電極136及びハードマスク遮断部137を含むゲート構造を有する。ゲート誘電体スタック132は、垂直方向に沿って順に積層された第1酸化物層133、記憶媒体層134及び第2酸化物層135を有する。
【0038】
本開示の実施形態によれば、フラッシュメモリセルMC 100は、2つの記憶トランジスタMS 110とMD 130を含むため、2ビット記憶の機能を実現することができる。
【0039】
本開示の実施形態によれば、
図1に示すように、2ビット記憶のためのフラッシュメモリセルMC 100は、フラッシュメモリセルMC 100の中間に位置するゲーティングトランジスタMG 120、フラッシュメモリセルMC 100の第1端に位置する第1記憶トランジスタMS 110、及びフラッシュメモリセルMC 100の第2端に位置する第2記憶トランジスタMD 130である3つの密に配置されたトランジスタから構成されてもよい。
【0040】
図1に示すように、フラッシュメモリセルMC 100は、半導体基板101内のウェル領域PW 102上に形成されてもよい。また、ウェル領域PW 102と基板101を隔離して特定の動作条件下でウェル領域PW 102に電圧を印加するために、
図1に示すように、ウェル領域PW 102は深ウェル領域DNW 103内に形成されてもよい。
【0041】
図1に示すように、フラッシュメモリセルMC 100の第1端には、N型ドーピングにより形成されたソース領域140が設置され、また、フラッシュメモリセルMC 100の第2端には、N型ドーピングにより形成されたドレイン領域150が設置される。ソース領域140は、接触孔141を介して、上層に位置する金属ソース142、即ち、第1電極Sに接続され、ドレイン領域150は、接触孔151を介して、上層に位置する金属ドレイン152、即ち、第2電極Dに接続される。
【0042】
本開示の実施形態によれば、第1電極S及び第2電極Dは、金属又は高濃度にドーピングされた多結晶シリコンを含んでもよい。第1電極S及び第2電極Dが金属で形成された場合、それは、アルミニウム、チタン、窒化チタン、銅、タングステン、コバルト、及びマンガンのうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0043】
上述したように、
図1に示すように、第1記憶トランジスタMS 110のゲート構造は、チャンネル領域111、ゲート誘電体スタック112、ゲート電極116、及び側壁自己位置合わせ用のハードマスク遮断部117を下から上に順に有してもよい。本開示の実施形態によれば、ゲート電極116は、例えば多結晶シリコン、金属ゲート、金属珪化物材料、又は上記材料の組み合わせを含んでもよい。本開示の実施形態によれば、ハードマスク遮断部117は、例えば酸化シリコン、窒化シリコン、シリカガラス材料、又は上述材料の組み合わせを含んでもよい。
【0044】
また、
図1に示すように、ゲート誘電体スタック112は、垂直方向に沿って順に積層された第1酸化物層(トンネリング酸化物層)113、記憶媒体層(電荷蓄積層)114及び第2酸化物層(障壁酸化物層)115を有する。本開示の実施形態によれば、第1酸化物層113及び第2酸化物層115は例えば酸化シリコン又は酸化アルミニウムなどを含んでもよい。
【0045】
本開示の実施形態によれば、記憶媒体層114は、一層又は多層の記憶媒体を含んでもよい。また、本開示の実施形態によれば、記憶媒体層114を形成する記憶媒体は、酸化ハフニウム、酸化タンタル、酸化チタン、酸化ジルコニウム、ハフニウムアルミニウム酸化物などの一元又は多元酸化物、窒化シリコンなどの一元又は多元窒化物、シリコンオキシナイトライドなどの一元又は多元窒素酸化物、多結晶シリコン又はナノ結晶材料、あるいは、上記材料の組み合わせを含んでもよい。
【0046】
本開示の実施形態によれば、記憶媒体層114が例えば窒化シリコン材料から形成された場合、第1酸化物層113、記憶媒体層114及び第2酸化物層115は、ONO(酸化物-窒化物-酸化物)複合記憶媒体のゲート誘電体スタック112として形成されてもよい。この場合、第1記憶トランジスタMS 110はSONOS型記憶トランジスタであってもよい。
【0047】
また、本開示の実施形態によれば、第1記憶トランジスタMS 110は、SONOS型記憶トランジスタと類似の操作メカニズムを有する他のトラップ電荷捕獲型記憶トランジスタであってもよい。この型の記憶トランジスタは、記憶媒体層114としてSONOSメモリにおける窒化シリコン材料の代わりに、例えばシリコンオキシナイトライド、酸化ハフニウム、酸化タンタル、酸化チタン、酸化ジルコニウム、ハフニウムアルミニウム酸化物などの電荷トラップが豊富なHigh-K材料を使用する。
【0048】
また、本開示の実施形態によれば、第1記憶トランジスタMS 110は浮遊ゲート型記憶トランジスタであってもよい。この型の記憶トランジスタは、SONOSメモリにおける窒化シリコン材料の代わりに多結晶シリコン材料を使用して、記憶媒体層114として電荷を蓄積するための浮遊ゲートを形成する。
【0049】
また、本開示の実施形態によれば、第1記憶トランジスタMS 110はナノ結晶記憶トランジスタ(nano-crystal memory)であってもよい。この型の記憶トランジスタは、SONOSメモリにおける窒化シリコン材料の代わりに、量子ドット(quantum dot)を有するナノ結晶材料を記憶媒体層114として使用する。
【0050】
本開示の実施形態によれば、第1記憶トランジスタMS 110のゲート電極116の長さは、自己位置合わせプロセスにより、ゲート電極116上に設置されたハードマスク遮断部117の長さによって限定されてもよい。当業者であれば、本明細書で言及される「長さ」は、説明される対象の第1方向DR1におけるサイズを意味することに留意されたい。
【0051】
本開示の実施形態によれば、ゲーティングトランジスタMG 120の反対側に設置されることを除いて、第2記憶トランジスタMD 130は、第1記憶トランジスタMS 110と同じ構造を有し、第1記憶トランジスタMS 110と同じプロセスで製造することができるため、簡略化のために、第2記憶トランジスタMD 130の構造の詳細な説明は省略される。
【0052】
ゲーティングトランジスタMG 120のゲート構造は、チャンネル領域121、ゲート誘電体層122及びゲート電極123を下から上に順に含んでもよい。本開示の実施形態によれば、ゲーティングトランジスタMG 120のゲート電極123はワード線に接続され、そのゲート電極123の長さはフォトリソグラフィプロセスのプロセスサイズによって限定される。本開示の実施形態によれば、ゲート誘電体層122は、例えば酸化シリコン、シリコンオキシナイトライド、酸化ハフニウムなどの材料を含んでもよい。また、本開示の実施形態によれば、ゲート電極123は、例えば多結晶シリコン、金属ゲート、金属珪化物材料、又は上記材料の組み合わせを含んでもよい。
【0053】
本開示の実施形態によれば、第1記憶トランジスタMS 110、第2記憶トランジスタMD 130及びゲーティングトランジスタMG 120のチャンネル領域111、131及び121はいずれも第1ドープ型を有してもよく、且つ第1記憶トランジスタMS 110及び第2記憶トランジスタMD 130のチャンネル領域111及び131のドープ濃度は、ゲーティングトランジスタMG 120のチャンネル領域121のドープ濃度よりも低くてもよい。
【0054】
また、本開示の実施形態によれば、第1記憶トランジスタMS 110及び第2記憶トランジスタMD 130のチャンネル領域111及び131は、第2ドープ型を有するか又は非ドーピング真性チャネル領域であってもよく、ゲーティングトランジスタMG 120のチャンネル領域121は、前記第2ドープ型とは異なる第1ドープ型を有してもよい。
【0055】
例えば、
図1に示すように、第1ドープ型がP型であり、第2ドープ型がN型である場合、第1記憶トランジスタMS 110及び第2記憶トランジスタMD 130のP型チャネル111及び131のドープ濃度は、ゲーティングトランジスタMG 120のP型チャネル121のドープ濃度よりも低い。また、本開示の実施形態によれば、チャンネル領域111及び131は、非ドーピング真性チャネル又は是N型ドーピングチャンネル領域であってもよい。
【0056】
本開示の実施形態によれば、フラッシュメモリセルMC 100は、第1隔離部124と第2隔離部125をさらに含む。第1隔離部124は、水平方向DR1に沿って第1記憶トランジスタMS 110とゲーティングトランジスタMG 120との間に設置され、隔離第1記憶トランジスタMS 110のゲート電極116とゲーティングトランジスタMG 120のゲート電極123を隔離するために使用される。第2隔離部125は、水平方向DR1に沿ってゲーティングトランジスタMG 120と第2記憶トランジスタMD 130との間に設置され、ゲーティングトランジスタMG 120のゲート電極123と第2記憶トランジスタMD 130のゲート電極136を隔離するために使用される。
【0057】
具体的には、
図1に示すように、ゲーティングトランジスタMG 120のゲート電極123の両側に側壁形式の第1隔離部124及び第2隔離部125が設けられ、それらはそれぞれ特定の隔離隙間の長さで第1記憶トランジスタMS 110のゲート電極116及び第2記憶トランジスタMD 130のゲート電極136と電気的に隔離するために使用される。本開示の実施形態によれば、第1隔離部124及び第2隔離部125は、ゲート誘電体層122と同じ材料を含んでもよい。
【0058】
本開示の実施形態によるフラッシュメモリセルは、1つのフラッシュメモリセルにおいて2つの記憶トランジスタを実現することができるため、各記憶ビットの等価面積を大幅に低減することができ、それによって、より低いコスト及びより高い集積密度を得ることができる。
【0059】
また、本開示の実施形態によるフラッシュメモリセルにおける記憶トランジスタは、構造が簡単なSONOS型デバイス構造を採用することができ、プロセスが簡単で、ゲート電極の操作電圧が低く、データ保持信頼性が良好であるという利点を有する。
【0060】
また、本開示の実施形態によるフラッシュメモリセルでは、ゲーティングトランジスタにより2つの記憶ビットの相互影響を隔離し、蓄積電荷の分布幅及び横方向への拡散を抑制するため、窒化シリコン記憶層でより高い蓄積電荷密度を得ることができ、2ビット記憶を採用する既存のNROM記憶セルに存在する電荷分布が広く、相互干渉が大きく、ゲート長さが短縮できないなどの問題を回避し、記憶ウィンドウとデータ信頼性を著しく改善する。
【0061】
特に、本開示の実施形態によるフラッシュメモリセルの等価チャネル長さは、第1記憶トランジスタ、ゲーティングトランジスタ及び第2記憶トランジスタのゲート電極の長さの合計である。上述したように、ゲーティングトランジスタのゲート電極長さは、フォトリソグラフィプロセスのプロセスフィーチャサイズによって限定され、通常、フォトリソグラフィプロセスの臨界フィーチャサイズ(Critical Feature Size)とほぼ等しいか、わずかに大きくなり、通常はF(又はCF)として表される。また、第1記憶トランジスタ及び第2記憶トランジスタのゲート電極長さはそれぞれ、自己位置合わせ側壁ハードマスクストップの長さによって限定されるため、それらのサイズはFより小さくてもよい。従って、本開示の実施形態によれば、同じプロセスフィーチャサイズでフラッシュメモリセルのより短いチャネル長さを得ることができ、それによってフラッシュメモリセルの面積及び製造コストを削減するという目的が達成される。
【0062】
また、本開示の実施形態によるフラッシュメモリセルから構成されるフラッシュメモリセルアレイにおいて、操作するために選択されていないフラッシュメモリセルについて、ゲーティングトランジスタ及び第1と第2記憶トランジスタのゲート電極はいずれも接地される。その結果、フラッシュメモリセルの直列チャネル全体が完全にオフになり、等価チャネル長が拡大する。そのため、高い操作電圧下でのフラッシュメモリセルのソース・ドレインパンチスルーを、より小さなプロセスフィーチャサイズで回避することができ、これにより、既存のフラッシュメモリセルのゲート電極長さをプロセスフィーチャサイズの縮小に伴って縮小できないという問題が克服される。従って、本開示の実施形態によるフラッシュメモリセルは、より良好なプロセススケーラビリティを有し、それによって、プロセスフィーチャサイズを縮小することによって、より小さな単位面積及び製造コストを得ることができる。
【0063】
また、本開示の実施形態によるフラッシュメモリセルでは、第1記憶トランジスタ及び第2記憶トランジスタのP型チャンネル領域のドープ濃度を下げるか、又はそれらをN型ドーピングチャンネル領域として設計することによって、記憶トランジスタの閾値電圧及び消去と書き込み操作時のゲート電極操作電圧を下げることができ、それによって記憶トランジスタの信頼性を向上させることができる。同時に、ゲーティングトランジスタのP型チャンネル領域のドープ濃度を高めることにより、フラッシュメモリセルの耐パンチスルー電圧を向上させ、選択されていないフラッシュメモリセルのソースとドレインとの間の漏れ電流を低減することができる。
【0064】
図2は、本開示の第2実施形態によるフラッシュメモリセルMC 200の断面図を示す。ハードマスク遮断部とゲーティングトランジスタのゲート電極の設置を除いて、本開示の第2実施形態によるフラッシュメモリセルMC 200の構造は、本開示の第1実施形態によるフラッシュメモリセルMC 100の構造と基本的に同じであるため、フラッシュメモリセルMC 200におけるフラッシュメモリセルMC 100の部材と同じ部材は同じ符号で示され、その詳細な説明は省略される。
【0065】
図2に示すように、本開示の実施形態によれば、ゲーティングトランジスタMG 120のゲート電極123は、水平方向DR1に沿って第1記憶トランジスタMS 110のゲート電極116及び第2記憶トランジスタMD 130のゲート電極136上方まで延びる庇部を有してもよい。庇部は、側壁自己位置合わせ用の第1記憶トランジスタMS 110の第1ハードマスク遮断部117及び第2記憶トランジスタMD 130の第1ハードマスク遮断部137により、第1記憶トランジスタMS 110のゲート電極116及び第2記憶トランジスタMD 130のゲート電極136とそれぞれ隔離されてもよい。
【0066】
また、本開示の第2実施形態によるフラッシュメモリセルMC 200は、第1記憶トランジスタMS 110のゲート電極116上に設置された、第1ハードマスク遮断部117に隣接する側壁自己位置合わせ用の第2ハードマスク遮断部118と、第2記憶トランジスタMD 130のゲート電極136上に設置された、第1ハードマスク遮断部137に隣接する側壁自己位置合わせ用の第2ハードマスク遮断部138とをさらに含む。この場合、第1記憶トランジスタMS 110のゲート電極116の長さは、自己位置合わせプロセスにより、ゲート電極116上に設置された第1ハードマスク遮断部117及び第2ハードマスク遮断部118の長さの合計によって限定されてもよい。これに応じて、第2記憶トランジスタMD 130のゲート電極136の長さは、自己位置合わせプロセスにより、ゲート電極136上に設置された由第1ハードマスク遮断部137及び第2ハードマスク遮断部138の長さの合計によって限定されてもよい。
【0067】
即ち、本開示の第2実施形態によるフラッシュメモリセルの第1記憶トランジスタ及び第2記憶トランジスタのゲート電極上のハードマスク遮断部は、第1ハードマスク遮断部及び第2ハードマスク遮断部から構成される。それによって、本開示の第1実施形態によるフラッシュメモリセルと比較して、本開示の第2実施形態によるフラッシュメモリセルにおける第1記憶トランジスタ及び第2記憶トランジスタのゲート電極の位置は、それらの中間のゲーティングトランジスタに向かって移動してフラッシュメモリセルのサイズをさらに縮小することができる。従って、本開示の実施形態によれば、同じプロセスフィーチャサイズでフラッシュメモリセルのより短いチャネル長さを得ることができ、それによってフラッシュメモリセルの面積及び製造コストを削減するという目的が達成される。
【0068】
次に、
図3及び
図4を参照しながら、本開示の第1実施形態によるフラッシュメモリセルMC 100を製造するための方法300について説明する。
図3は、本開示の第1実施形態によるフラッシュメモリセルMC 100を製造するための方法300のフローチャートを示す。
図4は、
図3に示す方法300の各ステップにおけるフラッシュメモリセルMC 100の断面図を示す。
【0069】
図3に示すステップS301では、
図4中的(a)に示すように、シリコン(Si)基板などの半導体基板において、基板表面の第1方向に沿って、例えばエッチングにより、複数列の繰り返し配列された浅溝隔離(STI)構造を形成し、STI構造を形成していない部分において、例えばイオン注入プロセスにより第2ドープ型の深ウェル領域(図示せず)を形成し、その後深ウェル領域の上部に第1ドープ型のウェル領域PWを形成する。
【0070】
なお、
図4に示す第2方向は、基板表面に沿って第1方向と直交する方向である。
【0071】
本開示の実施形態によれば、第1ドープ型はP型として限定されてもよく、第2ドープ型はN型として限定されてもよいが、当業者であれば、本開示がそれに限らず、第1ドープ型はN型であってもよく、その場合、第2ドープ型はP型であってもよいことを理解されたい。
【0072】
また、ステップS301では、
図4の(a)に示すように、ウェル領域PWの上面に、例えばイオン注入プロセスにより第1チャネル層を形成することができる。後述するように、第1チャネル層の第1部分において、第1注入によりゲーティングトランジスタのチャンネル領域を形成し、第1チャネル層の第2部分において、第2注入により第1記憶トランジスタのソース領域及び第2記憶トランジスタのドレイン領域を形成する。第1チャネル層の第1部分及び第2部分を除く残りの部分は、第1記憶トランジスタ及び第2記憶トランジスタのチャンネル領域を形成するために使用される。
【0073】
その後、
図3に示すステップS302では、
図4(b)に示すように、例えば堆積プロセスによって第1チャネル層上にゲート誘電体スタックONOを形成することができる。このゲート誘電体スタックONOは、垂直方向に沿って順に積層された第1酸化物層、記憶媒体層及び第2酸化物層を有する。
図3に示すステップS302では、
図4の(b)に示すように、例えば堆積プロセスによりゲート誘電体スタックONO上に例えば多結晶シリコンの第1ゲート電極層Poly1及びハードマスク層HMを順に形成してもよい。第1ゲート電極層Poly1は、第1記憶トランジスタ及び第2記憶トランジスタのゲート電極を形成するために使用される。
【0074】
その後、
図3に示すステップS303では、
図4の(c)に示すように、ハードマスク層HM、第1ゲート電極層Poly1及びゲート誘電体スタックONOをエッチングプロセスにより順にエッチングして、第1チャネル層の第1部分を露出させ、第1注入(例えばイオン注入プロセス)により第1チャネル層の第1部分をドーピングして、ゲーティングトランジスタのチャンネル領域を形成することができる。
【0075】
その後、
図3に示すステップS304では、
図4(d)に示すように、例えば堆積プロセス、自己位置合わせエッチングプロセス、及び化学的機械研削研磨プロセスを通じて、ゲーティングトランジスタのチャンネル領域上にゲーティングトランジスタの側壁隔離(即ち、第1隔離部及び第2隔離部)、ゲーティングトランジスタのゲート誘電体層Gox、及びゲーティングトランジスタのゲート電極を形成するための例えば多結晶シリコンの第2ゲート電極層Poly2を形成することができる。
【0076】
その後、
図3に示すステップS305では、
図4の(e)に示すように、ゲーティングトランジスタの対向する側でハードマスク層HMをエッチングして、ハードマスク遮断部を形成することができる。例えば、ゲーティングトランジスタの対向する側で、エッチングによって元のハードマスク層を除去してから、ハードマスク層を再作製し、該ハードマスク層を等方エッチングしてハードマスク遮断部を形成する。その後、ハードマスク遮断部を自己位置合わせ側壁ハードマスクとして使用し、第1ゲート電極層Poly1及びゲート誘電体スタックONOを順に自己位置合わせし、エッチングして、第1チャネル層の第2部分を露出させ、第2注入(例えばイオン注入プロセス)によって第1チャネル層の第2部分をドーピングして、第1記憶トランジスタのソース領域及び第2記憶トランジスタのドレイン領域(即ち、フラッシュメモリセルのソース及びドレイン)を形成する。
【0077】
その後、
図3に示すステップS306では、
図4の(f)に示すように、接触孔を形成することによって、第1記憶トランジスタのソース領域に接続されるフラッシュメモリセルの第1電極と、第2記憶トランジスタのドレイン領域に接続されるフラッシュメモリセルの第2電極を形成することができる。また、ステップS306では、
図4の(f)に示すように、例えば貫通孔V1と金属線M1、M2を形成することによって、フラッシュメモリセルの外部接続を実現することもできる。
【0078】
当業者であれば、
図3及び
図4では、フラッシュメモリセルの外部接続を実現するために2つの層の金属M1及びM2を作製することを示しているが、本開示がそれに限定されないことを理解するであろう。当業者は、本開示の教示に基づいて、より多くの又はより少ない層の金属を使用して、フラッシュメモリセルの外部接続を実現することができる。
【0079】
次に、
図5及び
図6を参照しながら、本開示の第2実施形態によるフラッシュメモリセルMC 200を製造するための方法500について説明する。
図5は、本開示の第2実施形態によるフラッシュメモリセルMC 200を製造するための方法500のフローチャートを示す。
図6は、
図5に示す方法500の各ステップにおけるフラッシュメモリセルMC 200の断面図を示す。
【0080】
図5に示すステップS501では、
図6中的(a)に示すように、シリコン(Si)基板などの半導体基板において、基板表面の第1方向に沿って、例えばエッチングにより、複数列の繰り返し配列された浅溝隔離(STI)構造を形成し、STI構造を形成していない部分において、例えばイオン注入プロセスにより第2ドープ型の深ウェル領域(図示せず)を形成し、その後深ウェル領域の上部に第1ドープ型のウェル領域PWを形成する。
【0081】
なお、
図6に示す第2方向は、基板表面に沿って第1方向と直交する方向である。
【0082】
本開示の実施形態によれば、第1ドープ型はP型として限定されてもよく、第2ドープ型はN型として限定されてもよいが、当業者であれば、本開示がそれに限らず、第1ドープ型はN型であってもよく、その場合、第2ドープ型はP型であってもよいことを理解されたい。
【0083】
また、ステップS501では、
図6の(a)に示すように、ウェル領域PWの上面に、例えばイオン注入プロセスにより第1チャネル層を形成してもよい。後述するように、第1チャネル層の第1部分において、第1注入によりゲーティングトランジスタのチャンネル領域を形成し、第1チャネル層の第2部分において、第2注入により第1記憶トランジスタのソース領域及び第2記憶トランジスタのドレイン領域を形成する。第1チャネル層の第1部分及び第2部分を除く残りの部分は、第1記憶トランジスタ及び第2記憶トランジスタのチャンネル領域を形成するために使用される。
【0084】
その後、
図5に示すステップS502では、
図6(b)に示すように、例えば堆積プロセスによって第1チャネル層上にゲート誘電体スタックONOを形成してもよい。このゲート誘電体スタックONOは、垂直方向に沿って順に積層された第1酸化物層、記憶媒体層及び第2酸化物層を有する。
図5に示すステップS502では、
図6の(b)に示すように、例えば堆積プロセスによりゲート誘電体スタックONO上に例えば多結晶シリコンの第1ゲート電極層Poly1及びハードマスク層HMを順に形成してもよい。第1ゲート電極層Poly1は、第1記憶トランジスタ及び第2記憶トランジスタのゲート電極を形成するために使用される。
【0085】
その後、
図5に示すステップS503では、
図6の(c)に示すように、ハードマスク層HM、第1ゲート電極層Poly1及びゲート誘電体スタックONOをフォトリソグラフィプロセスにより順にエッチングして、第1チャネル層の第1部分を露出させ、第1注入(例えばイオン注入プロセス)により第1チャネル層の第1部分をドーピングして、ゲーティングトランジスタのチャンネル領域を形成することができる。
【0086】
ここで、
図4の(c)とはことなり、
図6の(c)に示すように、
図5に示すステップS503では、ハードマスク層HMをエッチングして第1ゲート電極層Poly1上において、ゲーティングトランジスタと第1記憶トランジスタ及び第2記憶トランジスタとを隔離するための第1ハードマスク遮断部(即ち、
図6の(c)に示す第1自己位置合わせ側壁ハードマスク)を形成することもできることに留意されたい。例えば、第1ゲート電極層Poly1に対してパターニングを行ってハードマスク層HMをエッチングし、続いて別のハードマスク層を堆積し、ハードマスク層を等方エッチングして、ゲーティングトランジスタと第1記憶トランジスタ及び第2記憶トランジスタとを隔離するための第1ハードマスク遮断部を第1ゲート電極層Poly1上に形成することができる。その後、第1ハードマスク遮断部を第1自己位置合わせ側壁ハードマスクとして、第1ゲート電極層Poly1及びゲート誘電体スタックONOを順に自己位置合わせし、エッチングして、第1チャネル層の第1部分を露出させる。その後、第1注入(例えばイオン注入プロセス)によって第1チャネル層の第1部分をドーピングして、ゲーティングトランジスタのチャンネル領域を形成する。
【0087】
その後、
図5に示すステップS504では、
図6(d)に示すように、例えば堆積プロセス、自己位置合わせエッチングプロセス、及び化学的機械研削研磨プロセスを通じて、ゲーティングトランジスタのチャンネル領域上にゲーティングトランジスタの側壁隔離(即ち、第1隔離部及び第2隔離部)、ゲーティングトランジスタのゲート誘電体層Gox、及びゲーティングトランジスタのゲート電極を形成するための例えば多結晶シリコンの第2ゲート電極層Poly2を形成することができる。
【0088】
ここで、
図4の(d)とは異なり、
図6の(d)に示すように、
図5に示すステップS504では、第1ハードマスク遮断部を利用して、庇部を有するゲーティングトランジスタのゲート電極を形成することもできることに留意されたい。
【0089】
その後、
図5に示すステップS505では、
図6の(e)に示すように、ゲーティングトランジスタの対向する側でハードマスク層HMを自己位置合わせして、第2ハードマスク遮断部を形成することができる。ステップS505は、
図3及び
図4に示すステップS305と同じであってもよいため、その詳細についてさらに説明しない。その後、第2ハードマスク遮断部を第2自己位置合わせ側壁ハードマスクとして使用し、第1ゲート電極層Poly1及びゲート誘電体スタックONOを順に自己位置合わせし、エッチングして、第1チャネル層の第2部分を露出させ、第2注入(例えばイオン注入プロセス)によって第1チャネル層の第2部分をドーピングして、第1記憶トランジスタのソース領域及び第2記憶トランジスタのドレイン領域(即ち、フラッシュメモリセルのソース及びドレイン)を形成する。
【0090】
その後、
図5に示すステップS506では、
図6の(f)に示すように、接触孔を形成することによって、第1記憶トランジスタのソース領域に接続されるフラッシュメモリセルの第1電極と、第2記憶トランジスタのドレイン領域に接続されるフラッシュメモリセルの第2電極を形成することができる。また、ステップS506では、
図6の(f)に示すように、例えば貫通孔V1と金属線M1、M2を形成することによって、フラッシュメモリセルの外部接続を実現することもできる。
【0091】
当業者であれば、
図5及び
図6では、フラッシュメモリセルの外部接続を実現するために2つの層の金属M1及びM2を作製することを示しているが、本開示がそれに限定されないことを理解するであろう。当業者は、本開示の教示に基づいて、より多くの又はより少ない層の金属を使用して、フラッシュメモリセルの外部接続を実現することができる。
【0092】
本開示によるフラッシュメモリセルは、電力消費が低く、サイズが小さく、容量が大きいという技術的利点を有する。本開示によるフラッシュメモリセルは、より優れたプロセスサイズスケーラビリティ及びより高いアレイ集積密度を実現することができ、従来技術よりも低いコストを有する。
【0093】
図7は、本開示の実施形態によるフラッシュメモリセルMC 100の等価回路図を示す。
図8は、本開示の実施形態による第1記憶トランジスタMS 110に対して書き込み操作を実行する模式図を示す。
図9は、本開示の実施形態による第2記憶トランジスタMD 130に対して書き込み操作を実行する模式図を示す。
【0094】
具体的には、
図7に示すように、フラッシュメモリセルMC 100は、順に直列接続された第1記憶トランジスタMS 110、ゲーティングトランジスタMG 120及び第2記憶トランジスタMD 130を含む。ゲーティングトランジスタMG 120は、第1記憶トランジスタMS 110と第2記憶トランジスタMD 130を隔離し、且つ第1記憶トランジスタMS 110及び第2記憶トランジスタMD 130に対してゲーティング操作を実行することができる。
図7に示すように、第1記憶トランジスタMS 110のソース領域(即ち、第1電極S)、第1記憶トランジスタMS 110のゲート電極116、ゲーティングトランジスタMG 120のゲート電極123、第2記憶トランジスタMD 130のゲート電極136及び第2記憶トランジスタMD 130のドレイン領域(即ち、第2電極D)に印加する電圧を制御することによって、第1記憶トランジスタMS 110又は第2記憶トランジスタMD 130に対する書き込み操作をそれぞれ実現することができる。
【0095】
本開示の実施形態によれば、フラッシュメモリセルMC 100に対して書き込み操作を実行するとき、フラッシュメモリセルMC 100のPウェル102を接地してもよい。
【0096】
具体的には、本開示の実施形態によれば、
図8に示すように、フラッシュメモリセルMC 100の第1記憶トランジスタMS 110に対して書き込み操作を実行するとき、第1書き込み電圧VW1を第1電極Sに印加し、第2書き込み電圧VW2を第2電極Dに印加し、第3書き込み電圧VW3を第1記憶トランジスタMS 110のゲート電極116に印加し、第4書き込み電圧VW4をゲーティングトランジスタMG 120のゲート電極123に印加し、第5書き込み電圧VW5を第2記憶トランジスタMD 130のゲート電極136に印加する。
【0097】
本開示の実施形態によれば、第1書き込み電圧VW1は予め設定された電圧よりも高く、該予め設定された電圧は、基板と第1記憶トランジスタMS 110のゲート誘電体スタック112との間の界面でのキャリアー障壁高さに基づいて予め設定されたものである。例えば、
図1に示すフラッシュメモリセルMC 100では、予め設定された電圧により、電子はP型チャンネル領域111と、ゲート誘電体スタック112における下部の第1酸化物層(トンネリング酸化物)113との間の界面での電子障壁を越えることができる。例えば、P型チャンネル領域111がシリコンを含み、第1酸化物層113が二酸化シリコンを含む場合、該障壁高さは3.2電子ボルト(eV)である。この場合、第1書き込み電圧VW1は、通常、3ボルト(V)よりも大きい。例えば、第1書き込み電圧VW1は、3V~6Vの範囲内であってもよい。本開示の実施形態によれば、第1書き込み電圧VW1は、外部の定電圧源によって供給されてもよい。
【0098】
本開示の実施形態によれば、第2書き込み電圧VW2は第2電源電圧VSS以上であり、第2電源電圧VSSは接地電圧GNDであってもよい。また、本開示の実施形態によれば、第2書き込み電圧VW2は、定電流負荷により第2電源電圧VSSに接続される。
【0099】
本開示の実施形態によれば、第3書き込み電圧VW3は第1書き込み電圧VW1よりも高い。例えば、第3書き込み電圧VW3は、4V~12Vの範囲内であってもよい。
【0100】
本開示の実施形態によれば、第4書き込み電圧VW4は第1電源電圧VDD以下であり、第1電源電圧VDDは第2電源電圧VSSよりも高く、且つ0.8V~5Vの範囲内であってもよい。
【0101】
本開示の実施形態によれば、第1書き込み電圧VW1、第4書き込み電圧VW4及び第5書き込み電圧VW5は、第2書き込み電圧VW2よりも高い。例えば、第5書き込み電圧VW5は、3V~8Vの範囲内であってもよい。
【0102】
また、本開示の実施形態によれば、フラッシュメモリセルMC 100の書き込み操作中、第1~第5書き込み電圧VW1~VW5により、第1記憶トランジスタMS 110、第2記憶トランジスタMD 130及びゲーティングトランジスタMG 120はいずれも導通する。
【0103】
同様に、本開示の実施形態によれば、
図9に示すように、フラッシュメモリセルMC 100の第2記憶トランジスタMD 130に対して書き込み操作を実行するとき、第2書き込み電圧VW2を第1電極Sに印加し、第1書き込み電圧VW1を第2電極Dに印加し、第5書き込み電圧VW5を第1記憶トランジスタMS 110のゲート電極116に印加し、第4書き込み電圧VW4をゲーティングトランジスタMG 120のゲート電極123に印加し、第3書き込み電圧VW3を第2記憶トランジスタMD 130のゲート電極136に印加する。
【0104】
このことからわかるように、フラッシュメモリセルMC 100の対称構造により、第1記憶トランジスタMS 110及び第2記憶トランジスタMD 130の書き込み操作中に印加される各書き込み電圧VW1~VW5の間にも対称関係がある。従って、簡潔にするために、第2記憶トランジスタMD 130の書き込み操作中に印加される書き込み電圧については、ここでは繰り返し説明しない。
【0105】
本開示の実施形態によれば、上述した第1記憶トランジスタMS 110及び第2記憶トランジスタMD 130に対する書き込み操作は、低いゲート電圧のチャネルホット電子注入メカニズムを採用する。
【0106】
具体的には、第1記憶トランジスタMS 110を例にとると、第1記憶トランジスタMS 110に対して書き込み操作を実行するとき、ゲーティングトランジスタMG 120のゲート電極123は、その閾値電圧よりも若干高い第4書き込み電圧VW4が印加されるため、弱いオン導通状態にあり、フラッシュメモリセルMC 100の導通電流(一般にマイクロアンペアレベル)が抑制され、ゲーティングトランジスタMG 120及び第2記憶トランジスタMD 130の直列チャネル(121と131)の電圧差を大幅に低減することができる。従って、フラッシュメモリセルMC 110の第1電極Sと第2電極Dとの間の電圧差VW1-VW2の大部分は、第1記憶トランジスタMS 110の導通チャンネル領域111に印加されるため、チャネルホット電子物理効果が発生し、そして、第1記憶トランジスタMS 110のゲート電極116に印加された第3書き込み電圧VW3の吸引によって、電子が記憶媒体層114に注入され、第1記憶トランジスタMS 110の閾値電圧が上昇する。
【0107】
特に、第1記憶トランジスタMS 110のゲート電極長さは、フラッシュメモリセルMC 100の等価チャネル長さよりもはるかに短いため、第1記憶トランジスタMS 110の導通チャネルの横電場及びチャネルホット電子注入効率を大幅に増加することができる。
【0108】
従って、本開示の実施形態による書き込み方法は、既存のチャネルホット電子注入書き込み方法と比較して、操作電力消費が低く、書き込み速度が速いという利点を有し、並行に書き込むセルの数を増加させることでメモリデータの書き込みスループット(Write Through-Put)を向上させることができる。
【0109】
対照的には、従来技術のNOR型フラッシュメモリセルがチャネルホット電子注入メカニズムを採用して書き込み操作を実行する場合、ソース(本願の第1電極Sに相当)が接地され、ドレイン(本願の第2電極Dに相当)には約4Vのドレイン電圧VDが印加され、制御ゲート電極には6V~10Vの高電圧が印加される。このとき、フラッシュメモリセルは、飽和導通状態にあり、百マイクロアンペアレベルのソース・ドレイン導通電流(IDS)を有するため、書き込み電力消費が大きくなる。同時に、チャネルホット電子注入メカニズにより浮遊ゲートに浮遊ゲート電流(IFG)が注入されるため、記憶トランジスタの閾値電圧が上昇する。チャネルホット電子効果のラッキー電子モデルによれば、浮遊ゲート注入電流IFG=IDS×PINJ、ここで、PINJはドレイン端電場の影響を受ける注入確率である。書き込みが進むにつれて、浮遊ゲートに注入される電子電荷が多くなり、閾値電圧が上昇し、それによって浮遊ゲートの等価電位(VFG)が低下する。浮遊ゲート電位が低下すると、ソース・ドレイン導通電流(IDS)が減少し、ホット電子注入メカニズムの作用が低下する。しかしながら、低下した浮遊ゲート電位により、ドレイン飽和ピンチオフ電圧(VD,Sat)も低下し、それによってピンチオフ領域の電場ESAT=(VD-VD,SAT)/LSAT(ここで、LSATは飽和ピンチオフ領域の長さ)が増加し、ホット電子注入メカニズムの作用が強くなる。
【0110】
図10は、従来技術のチャネルホット電子書き込み操作中の浮遊ゲート注入電流IFGと浮遊ゲート電圧VGとの間の関係のグラフを示す。
図10に示すように、従来技術のフラッシュメモリセルの浮遊ゲート注入電流IFGは、上記の2つの要因によって同時に影響を受け、最初に増加し、その後減少する傾向を示す。チャネルホット電子注入の非単調な変化傾向により、記憶セルの閾値変化は、書き込み時間に応じて離散的な変化を示すため、ドレイン及び制御ゲート電極の電圧又は書き込み時間を調整することによって書き込み閾値電圧を正確に制御することができず、その結果、フラッシュメモリセルアレイの書き込み閾値電圧が広範囲に分布する。
【0111】
従来技術における問題に対して、本開示の実施形態によれば、フラッシュメモリセルMC 100の書き込み操作中、定電流負荷IWRの電流を制御することによって、フラッシュメモリセルMC 100の第1電極Sと第2電極Dとの間で流れる電流IDSを制御することができる。
【0112】
図11は、本開示の実施形態による第1記憶トランジスタMS 110に対して書き込み操作を実行する等価回路図を示す。
【0113】
図11に示すように、本開示によるフラッシュメモリセルの書き込み方法は、外部に接続された定電流負荷の定電流IWRを調整することによって、書き込み時のフラッシュメモリセルの導通電流IDS(即ち、フラッシュメモリセルMC 100の第1電極Sと第2電極Dとの間で流れる電流)を正確に制御することができ、それによって、プログラミング閾値電圧を調整して、フラッシュメモリセルアレイの書き込み(プログラミング)閾値電圧の分布精度を高めるという目的を達成することができる。
【0114】
本開示の実施形態によれば、定電流負荷は電流ミラー回路によって実現できる。
【0115】
具体的には、第1記憶トランジスタMS 110に対する書き込み操作を例にとると、
図11に示すように、第1電極Sに例えば約4Vの定電圧VWR(即ち、第1書き込み電圧VW1)を印加し、プルダウン機能を有する定電流負荷(定電流IWRを有する)を第2電極Dに接続して、第2電極Dでの電圧(即ち、第2書き込み電圧VW2)を0V~1Vの間、例えば約0.3Vにプルダウンする。また、第1記憶トランジスタMS 110のゲート電極116に例えば6Vの第3書き込み電圧VW3を印加し、ゲーティングトランジスタMG 120のゲート電極123に例えば1.2Vの第4書き込み電圧VW4を印加し、第2記憶トランジスタMD 130のゲート電極136に例えば5Vの第5書き込み電圧VW5を印加することによって、フラッシュメモリセルMC 100の第1記憶トランジスタMS 110、第2記憶トランジスタMD 130及びゲーティングトランジスタMG 120をいずれも導通させる。
【0116】
また、ゲーティングトランジスタMG 120のゲート電圧VW4は低電圧であるため、ゲーティングトランジスタMG 120は低いゲート電圧飽和導通状態となるので、ゲーティングトランジスタMG 120の導通電流は、フラッシュメモリセルMC 100全体の導通電流IDSを決定する。フラッシュメモリセルMC 100の導通電流IDSが定電流負荷の定電流IWRよりも大きい場合、フラッシュメモリセルMC 100の第2電極Dを充電してその電圧VW2を上昇させることによって、ゲーティングトランジスタMG 120のゲート導通電圧(VGS=VW4-VW2)を低下させて、導通電流IDSを低下させ、定電流負荷の定電流IWRに自己適応的に変化させることができる。逆に、フラッシュメモリセルMC 100の導通電流IDSが定電流負荷の定電流IWRよりも小さい場合、フラッシュメモリセルMC 100の第2電極Dが放電されてその電圧VW2が低下することで、ゲーティングトランジスタMG 120のゲート導通電圧(VGS=VW4-VW2)が上昇して、導通電流IDSが上昇し、定電流負荷の定電流IWRに自己適応的に変化する。
【0117】
この自己適応効果により、フラッシュメモリセルMC 100のプログラミング中、導通電流IDSは常に定電流負荷の定電流IWRに等しく、フラッシュメモリセルMC 100の閾値電圧、プロセス偏差などの要因の影響を受けない。また、チャネルホット電子注入メカニズムのラッキー電子モデルによれば、本開示によるフラッシュメモリセルMC 100の書き込み操作中の導通電流IDSは一定であり、正確に制御可能であるため、ゲートプログラミング(書き込み)電流は、導通電流IDS(恒等于定電流IWR)に注入確率係数PINJを乗じたものとなり、即ち、定数として扱うことができ、それによってプログラミング閾値電圧の精度を大幅に向上させることができる。
【0118】
また、本開示の実施形態によるフラッシュメモリセルMC 100の書き込み方法は、導通電流IDSを正確に制御することができ、プログラミング(書き込み)の閾値電圧を正確に制御することができるため、第1記憶トランジスタMS 110又は第2記憶トランジスタMD 130の多値プログラミング(書き込み)操作を実現することができる。
【0119】
本開示の実施形態によれば、フラッシュメモリセルMC 100の書き込み操作中、定電流負荷の電流IWRの大きさを調整することによって、異なるデータ値を第1記憶トランジスタMS 110又は第2記憶トランジスタMD 130に書き込むことができる。
【0120】
また、フラッシュメモリセルMC 100の書き込み操作中、第1書き込み電圧VW1の大きさ又は印加時間を調整することによって、異なるデータ値を第1記憶トランジスタMS 110又は第2記憶トランジスタMD 130に書き込むことができる。
【0121】
この点において、本開示による多値プログラミング操作の書き込みデータの論理値は、データのビット数によって決定される。例えば、書き込みデータのビット数が1である場合、書き込みデータは2つの論理値、即ち、0又は1を有し得、対応する記憶トランジスタは1つのプログラミング閾値電圧状態を有する。また、例えば、書き込みデータのビット数が2である場合、書き込みデータは4つの論理値、即ち、0、1、2、3を有し得、対応する記憶トランジスタは3つのプログラミング閾値電圧状態を有する必要がある。また、例えば、書き込みデータのビット数が3である場合、書き込みデータは8つの論理値、即ち、0~7を有し得、対応する記憶トランジスタは7つのプログラミング閾値電圧状態を有する必要がある。
【0122】
本開示の実施形態によれば、第1記憶トランジスタMS 110及び第2記憶トランジスタMD 130の異なる閾値電圧状態を設定することにより、第1記憶トランジスタMS 110及び第2記憶トランジスタMD 130に異なる論理値を記憶することができ、それによって多値プログラミングの機能を実現する。
【0123】
図12は、本開示の一実施形態による第1記憶トランジスタMS 110の多値プログラミング操作の模式回路図を示す。
【0124】
図12に示すように、本開示の一実施形態によれば、定電流負荷は、異なる書き込みデータの論理値に応じて異なる電流IWR(i)を印加して、異なるフラッシュメモリセルMC 100の導通電流IDS(i)をもたらすことができる。これにより、第1記憶トランジスタMS 110は異なるプログラミング閾値電圧状態を有する。ここで、0≦i≦N、Nは、書き込みデータの論理値の数を表す。
【0125】
また、
図13は、本開示の別の実施形態による第1記憶トランジスタMS 110の多値プログラミング操作の模式回路図を示す。
【0126】
図13に示すように、本開示の別の実施形態によれば、外部の定電圧源は、第1記憶トランジスタMS 110が異なるプログラミング閾値電圧状態を有するように、異なる書き込みデータの論理値に応じてその定電圧VWR(i)(即ち、第1書き込み電圧VW1)の大きさを調整することができる。ここで、0≦i≦N、Nは、書き込みデータの論理値の数を表す。この配置条件下で、ソース・ドレイン導通電流(IDS)は一定のままであり、異なる電圧の大きさを印加することによってドレイン端電場を調整することができるため、異なる注入確率PINJ及び異なるプログラミング電流が得られ、そして異なるプログラミング閾値電圧状態が得られる。
【0127】
また、
図14は、本開示のまた別の実施形態による第1記憶トランジスタMS 110の多値プログラミング操作の模式回路図を示す。
【0128】
図14に示すように、本開示の別の実施形態によれば、外部の定電圧源は、第1記憶トランジスタMS 110が異なるプログラミング閾値電圧状態を有するように、異なる書き込みデータの論理値に応じてその定電圧VWR(Ti)(即ち、第1書き込み電圧VW1)の印加時間(即ち、電圧パルス幅)を調整することができる。ここで、0≦i≦N、Nは、書き込みデータの論理値の数を表し、Tiは、異なる電圧パルス幅を表す。この配置条件下で、プログラミング電流は一定のままであり、異なる電圧パルス幅を印加することにより、第1記憶トランジスタMS 110の蓄積電荷層に異なる電荷量を注入することができ、それによって異なるプログラミング閾値電圧状態を得ることができる。
【0129】
図15は、本開示の実施形態による第1記憶トランジスタMS 110の多値プログラミング操作の模式図を示す。
図12に示すように、第1記憶トランジスタMS 110の3つの異なる閾値電圧VTSW1、VTSW2及びVTSW3を設定することによって、第1記憶トランジスタMS 110に4つの論理値、即ち、0、1、2、3を記憶することができる。即ち、上記のNの値は4となる。ここで、VTGは、ゲーティングトランジスタMG 120の閾値電圧を表し、VTSE及びVTDEはそれぞれ第1記憶トランジスタMS 110及び第2記憶トランジスタMD 130の消去状態下の閾値電圧を表す。
【0130】
同様に、
図16は、本開示の実施形態による第2記憶トランジスタMD 130の多値プログラミング操作の模式図を示す。
図13に示すように、第2記憶トランジスタMD 130の3つの異なる閾値電圧VTDW1、VTDW2及びVTDW3を設定することによって、第2記憶トランジスタMD 130に4つの論理値、即ち、0、1、2、3を記憶することができる。ここで、VTGは、ゲーティングトランジスタMG 120の閾値電圧を表し、VTSE及びVTDEはそれぞれ第1記憶トランジスタMS 110及び第2記憶トランジスタMD 130の消去状態下の閾値電圧を表す。
【0131】
なお、
図8及び
図15に示す第1記憶トランジスタMS 110の書き込み操作又は多値プログラミング操作中、第2記憶トランジスタMD 130は、消去状態に予め設定された。しかしながら、本開示の実施形態の原理によれば、第5書き込み電圧VW5で第2記憶トランジスタMD 130を完全導通状態にすることにより、第1記憶トランジスタMS 110の書き込み操作又は多値プログラミング操作は、第2記憶トランジスタMD 130の閾値電圧の影響を受けない、即ち、第1記憶トランジスタMS 110に対して書き込み操作又は多値プログラミング操作を実行するとき、第2記憶トランジスタMD 130も書き込み状態になる可能性がある。同様に、
図9及び
図16に示す第2記憶トランジスタMD 130の書き込み操作又は多値プログラミング操作中、第1記憶トランジスタMS 110は、書き込み又は消去状態になる可能性がある。同様に、第1記憶トランジスタMS 110及び第2記憶トランジスタMD 130の書き込み操作又は多値プログラミング操作は、互いに順序制限されない。
【0132】
本開示の実施形態によれば、フラッシュメモリセルMC 100の第1記憶トランジスタMS 110及び第2記憶トランジスタMD 130に、複数の論理値を有するデータを記憶することによって、記憶密度を向上させることができる。また、
図15及び
図16に示すように、フラッシュメモリセルMC 100のゲーティングトランジスタMG 120は、第1記憶トランジスタMS 110と第2記憶トランジスタMD 130を隔離して、それらの間の相互影響を回避するため、より大きな記憶ウィンドウを取得することができ、ひいては、本開示による多値プログラミング操作は良好なデータ信頼性を有する。
【0133】
本開示の実施形態によれば、第1記憶トランジスタMS 110及び第2記憶トランジスタMD 130のプログラミング(書き込み)操作は別々に行われるため、それらに記憶される論理値の数は異なる場合がある。例えば、第1記憶トランジスタMS 110には1ビットのデータが記憶されてもよく、第2記憶トランジスタMD 130には少なくとも2ビットのデータが記憶されてもよい。
【0134】
本開示による多値プログラミング方法は、外部に接続された定電流負荷の定電流を調整することによって、より正確なプログラミング閾値電圧を得ることができ、それによって多値プログラミング操作の閾値分布特性及び信頼性が大幅に向上する。また、本開示による多値プログラミング方法は、異なる定電流負荷を使用して、異なるデータ論理値を同時に書き込むことができるため、記憶トランジスタのゲート書き込みパルス電圧の大きさ及びパルス数を増加させる既存のISPP(Incremental Step Pulse Programming)多値プログラミング方法と比較して、より高い多値プログラミング操作速度を実現することができる。
【0135】
図17は、本開示の実施形態による、異なる定電流負荷の書き込み電流条件下でのプログラミング閾値電圧のプログラミング時間経過に伴う変化特性のグラフを示す。
【0136】
図17において、横座標は、ナノ秒(ns)単位の時間(Time)を表し、縦座標は、ボルト(V)単位の第1記憶トランジスタMS 110の閾値電圧の変化量ΔVT,MSを表す。
図17に示すように、本開示の実施形態によれば、各論理値00、01、10及び11のための各プログラミング閾値電圧は、定電流負荷の書き込み電流ISに実質的に比例するため、同じプログラミング時間で、比例したプログラミング閾値電圧状態を得ることができる。
【0137】
具体的には、本開示の実施形態によるフラッシュメモリセルMC 100の多値書き込み方法は、以下の形式で実行されてもよい。フラッシュメモリセルMC 100の第1記憶トランジスタMS 110に対して書き込み操作を実行するとき、第1書き込み電圧VW1を第1電極Sに印加し、第2書き込み電圧VW2を第2電極Dに印加し、第3書き込み電圧VW3を第1記憶トランジスタMS 110のゲート電極116に印加し、第4書き込み電圧VW4をゲーティングトランジスタMG 120のゲート電極123に印加し、第5書き込み電圧VW5を第2記憶トランジスタMD 130のゲート電極136に印加する。また、第1記憶トランジスタMS 110に書き込まれるデータの論理値に応じて、定電流負荷の電流IWRの大きさを設定して、対応するデータを第1記憶トランジスタMS 110に書き込む。フラッシュメモリセルMC 100の第2記憶トランジスタMD 130の多値書き込み方法は、上述したフラッシュメモリセルMC 100の第1記憶トランジスタMS 110の多値書き込み方法と同様であるため、簡潔にするために、本明細ではそれ以上詳しく説明しない。
【0138】
また、本開示の実施形態によるフラッシュメモリセルMC 100の多値書き込み方法は、以下の形式で実行されてもよい。フラッシュメモリセルMC 100の第1記憶トランジスタMS 110に対して書き込み操作を実行するとき、第1書き込み電圧VW1を第1電極Sに印加し、第2書き込み電圧VW2を第2電極Dに印加し、第3書き込み電圧VW3を第1記憶トランジスタMS 110のゲート電極116に印加し、第4書き込み電圧VW4をゲーティングトランジスタMG 120のゲート電極123に印加し、第5書き込み電圧VW5を第2記憶トランジスタMD 130のゲート電極136に印加する。また、第1記憶トランジスタMS 110に書き込まれるデータの論理値に応じて、第1書き込み電圧VW1の印加時間を設定して、対応するデータを第1記憶トランジスタMS 110に書き込む。フラッシュメモリセルMC 100の第2記憶トランジスタMD 130の多値書き込み方法は、上述したフラッシュメモリセルMC 100の第1記憶トランジスタMS 110の多値書き込み方法と同様であるため、簡潔にするために、本明細ではそれ以上詳しく説明しない。
【0139】
従来技術では、通常、ISPP方法を使用して多値プログラミング操作を実現する、即ち、記憶トランジスタのゲート電圧及びパルス数を徐々に増加させて、記憶トランジスタの異なる閾値電圧状態を設定することに留意されたい。しかしながら、このISPP多値プログラミング操作方法は、FN(Fowler-Nordheim)トンネリング効果に基づいて書き込み操作を実行するNAND型フラッシュメモリセルにのみ適用でき、本明細書で説明された、チャネルホットキャリア注入メカニズムに基づくNOR型フラッシュメモリセルに応用できない。対照的に、上述したように、外部に接続された定電流負荷の定電流又は定電圧源の電圧印加時間を調整することによって、記憶トランジスタの異なる閾値電圧状態を正確に設定して、記憶トランジスタの多値書き込み操作を実現することができる。
【0140】
従って、当業者であれば、本開示のフラッシュメモリセルの書き込み方法(多値書き込み方法を含む)を
図1に示すフラッシュメモリセルMC 100に関連して上で説明したが、本開示のフラッシュメモリセルの書き込み方法は、
図1に示すフラッシュメモリセルMC 100に限定されないことを理解するはずである。当業者は、本開示の教示に基づいて、本開示のフラッシュメモリセルの書き込み方法を、例えば1つの記憶トランジスタのみを含むフラッシュメモリセル、又は1つの記憶トランジスタを使用して2ビットデータを記憶するフラッシュメモリセルなどの他のタイプのフラッシュメモリセルに適用することを想定することができ、これらの変形のすべては、本開示の範囲内に含まれるものとする。
【0141】
図7は、本開示の実施形態によるフラッシュメモリセルMC 100の等価回路図を示す。
図18は、本開示の実施形態による、第1消去ステップを通じて第1記憶トランジスタMS 110に対して消去操作を実行する模式図を示す。
図19は、本開示の実施形態による、第1消去ステップを通じて第2記憶トランジスタMD 130に対して消去操作を実行する模式図を示す。
【0142】
具体的には、
図7に示すように、フラッシュメモリセルMC 100は、順に直列接続された第1記憶トランジスタMS 110、ゲーティングトランジスタMG 120及び第2記憶トランジスタMD 130を含む。ゲーティングトランジスタMG 120は、第1記憶トランジスタMS 110と第2記憶トランジスタMD 130を隔離し、且つ第1記憶トランジスタMS 110及び第2記憶トランジスタMD 130に対してゲーティング操作を実行することができる。
図7に示すように、第1記憶トランジスタMS 110のソース領域(即ち、第1電極S)、第1記憶トランジスタMS 110のゲート電極116、ゲーティングトランジスタMG 120のゲート電極123、第2記憶トランジスタMD 130のゲート電極136及び第2記憶トランジスタMD 130のドレイン領域(即ち、第2電極D)に印加される電圧を制御することによって、第1記憶トランジスタMS 110又は第2記憶トランジスタMD 130に対する消去操作をそれぞれ実現することができる。
【0143】
本開示の実施形態によれば、フラッシュメモリセルMC 100に対して消去操作を実行するとき、フラッシュメモリセルMC 100のウェル領域PW 102を接地してもよい。
【0144】
具体的には、本開示の実施形態によれば、
図18に示すように、第1消去ステップを通じてフラッシュメモリセルMC 100の第1記憶トランジスタMS 110に対して消去操作を実行するとき、本開示による消去方法の第1消去ステップは、第2電源電圧VSSをウェル領域PW 102に印加し、第1消去電圧VE1を第1電極Sに印加し、第2電源電圧VSSを第2電極Dに印加するか又は第2電極Dを浮遊させ(FLT)、第2消去電圧VE2を第1記憶トランジスタMS 110のゲート電極116に印加し、第3消去電圧VE3をゲーティングトランジスタMG 120のゲート電極123に印加し、第2電源電圧VSSを第2記憶トランジスタMD 130のゲート電極136に印加するか又は第2記憶トランジスタMD 130のゲート電極136を浮遊させることを含む。例えば、第2電源電圧VSSは接地電圧、例えば0Vであってもよい。
【0145】
本開示の実施形態によれば、第1消去電圧VE1は予め設定された電圧VPよりも高く、予め設定された電圧VPは、基板と第1記憶トランジスタMS 110のゲート誘電体スタック112との間の界面でのキャリアー障壁高さに基づいて予め設定されたものである。例えば、
図1に示すフラッシュメモリセルMC 100では、予め設定された電圧VPにより、正孔はP型チャンネル領域111と、ゲート誘電体スタック112における下部の第1酸化物層(トンネリング酸化物)113との間の界面での正孔障壁を越えることができる。例えば、P型チャンネル領域111がシリコンを含み、第1酸化物層113が二酸化シリコンを含む場合、該障壁高さは4.8電子ボルト(eV)である。この場合、第1消去電圧VE1は、通常、4ボルト(V)よりも大きい。例えば、第1消去電圧VE1は、3V~8Vの範囲内であってもよい。例えば、第1消去電圧VE1は4Vであってもよい。
【0146】
本開示の実施形態によれば、第2消去電圧VE2は第2電源電圧VSS以下であり、第2電源電圧VSSは接地電圧GNDであってもよい。また、本開示の実施形態によれば、第2消去電圧VE2は、-8V~0Vの範囲内であってもよい。例えば、第2消去電圧は-6Vであってもよい。
【0147】
本開示の実施形態によれば、第3消去電圧VE3は第2電源電圧VSS以下であってもよい。
【0148】
同様に、本開示の実施形態によれば、
図19に示すように、第1消去ステップを通じてフラッシュメモリセルMC 100の第2記憶トランジスタMD 130に対して消去操作を実行するとき、本開示による消去方法の第1消去ステップは、第2電源電圧VSSを第1電極Sに印加するか又は第1電極Sを浮遊させ、第1消去電圧VE1を第2電極Dに印加し、第2電源電圧VSSを第1記憶トランジスタMS 110のゲート電極116に印加するか又は第1記憶トランジスタMS 110のゲート電極116を浮遊させ、第3消去電圧VE3をゲーティングトランジスタMG 120のゲート電極123に印加し、第2消去電圧VE2を第2記憶トランジスタMD 130のゲート電極136に印加することを含む。
【0149】
このことからわかるように、フラッシュメモリセルMC 100の対称構造により、第1消去ステップで第1記憶トランジスタMS 110及び第2記憶トランジスタMD 130を消去する際に印加される各消去電圧VE1~VW3の間にも対称関係がある。従って、簡潔にするために、第2記憶トランジスタMD 130の消去操作中に印加される消去電圧については、ここでは繰り返し説明しない。
【0150】
また、本開示の実施形態によれば、第2消去ステップを通じてフラッシュメモリセルMC 100の第1記憶トランジスタMS 110及び第2記憶トランジスタMD 130に対して同時に消去操作を実行することもできる。
【0151】
図20は、本開示の実施形態による、第2消去ステップを通じてフラッシュメモリセルに対して消去操作を実行する模式図を示す。
【0152】
本開示の実施形態によれば、
図20に示すように、同時に第2消去ステップを通じて第1記憶トランジスタMS 110及び第2記憶トランジスタMD 130に対して消去操作を実行するとき、本開示による消去方法の第2消去ステップは、第2電源電圧VSSをウェル領域PW 102に印加し、第1消去電圧VE1を第1電極S及び第2電極Dに印加し、第3消去電圧VE3をゲーティングトランジスタMG 120のゲート電極123に印加し、前記第2消去電圧VE2を第1記憶トランジスタMS 110のゲート電極116及び第2記憶トランジスタMD 130のゲート電極136に印加することを含む。
【0153】
本開示の実施形態によれば、上述した第1消去ステップ及び第2消去ステップを通じて第1記憶トランジスタMS 110及び第2記憶トランジスタMD 130に対して実行する消去操作は、バンド間トンネリングホットキャリア注入メカニズムを採用する。第1記憶トランジスタMS 110に対して消去操作を実行することを例にとると、フラッシュメモリセルMC 100の第1電極Sでの接合は、高電圧逆バイアス状態にあるため、ゲート電極116に印加される第2消去電圧VE2(負のゲート電圧)の作用下で、該接合の空乏領域にバンド間トンネリングの物理的メカニズムが発生する。バンド間トンネリングによって生成されたホット正孔は、例えば窒化シリコンの記憶媒体層114に注入される。該ホット正孔は、フラッシュメモリセルMC 100の書き込み(プログラミング)操作中に蓄積された電子を中和することができ、第1記憶トランジスタMS 110の閾値電圧を低下させる。また、このときのフラッシュメモリセルMC 100はオフ状態にあるため、該消去操作によって導通電流は生じないので、本開示によるフラッシュメモリセルの該消去方法は、電力消費が低いという利点を有する。
【0154】
本開示の実施形態によれば、本開示によるフラッシュメモリセルの消去方法の第3消去ステップを通じて、フラッシュメモリセルMC 100に対して消去操作を実行することもできる。
図21は、本開示の実施形態による、第3消去ステップを通じて第1記憶トランジスタMS 110に対して消去操作を実行する模式図を示す。
図22は、本開示の実施形態による、第3消去ステップを通じて第2記憶トランジスタMD 130に対して消去操作を実行する模式図を示す。
【0155】
具体的には、本開示の実施形態によれば、
図21に示すように、第3消去ステップを通じてフラッシュメモリセルMC 100の第1記憶トランジスタMS 110に対して消去操作を実行するとき、本開示による消去方法の第3消去ステップは、第4消去電圧VE4をウェル領域PW 102及び第1電極Sに印加し、第4消去電圧VE4を第2電極Dに印加するか又は第2電極Dを浮遊させ、第5消去電圧VE5を第1記憶トランジスタMS 110のゲート電極116に印加し、第2電源電圧VSSをゲーティングトランジスタMG 120のゲート電極123に印加し、第2電源電圧VSSを第2記憶トランジスタMD 130のゲート電極136に印加するか又は第2記憶トランジスタMD 130のゲート電極136を浮遊させることを含む。
【0156】
本開示の実施形態によれば、第4消去電圧VE4は、第2電源電圧VSS以上であってもよく、且つ0 V~20 Vの範囲内である。例えば、第4消去電圧VE4は6Vであってもよい。また、本開示の実施形態によれば、第5消去電圧VE5は、第2電源電圧VSS以下であってもよく、且つ-10 V~0 Vの範囲内である。例えば、第5消去電圧VE5は-6Vであってもよい。
【0157】
また、本開示の実施形態によれば、
図22に示すように、第3消去ステップを通じてフラッシュメモリセルMC 100の第2記憶トランジスタMD 130に対して消去操作を実行するとき、本開示による消去方法の第3消去ステップは、第4消去電圧VE4を第1電極Sに印加するか又は第1電極Sを浮遊させ、第4消去電圧VE4をウェル領域PW 102及び第2電極Dに印加し、第2電源電圧VSSを第1記憶トランジスタMS 110のゲート電極116に印加するか又は第1記憶トランジスタMS 110のゲート電極116を浮遊させ、第2電源電圧VSSをゲーティングトランジスタMG 120のゲート電極123に印加し、第5消去電圧VE5を第2記憶トランジスタMD 130のゲート電極136に印加することを含む。
【0158】
このことからわかるように、フラッシュメモリセルMC 100の対称構造により、第1消去ステップで第1記憶トランジスタMS 110及び第2記憶トランジスタMD 130を消去する際に印加される各消去電圧VE5とVW4の間にも対称関係がある。従って、簡潔にするために、第2記憶トランジスタMD 130の消去操作中に印加される消去電圧については、ここでは繰り返し説明しない。
【0159】
また、本開示の実施形態によれば、第4消去ステップを通じてフラッシュメモリセルMC 100の第1記憶トランジスタMS 110及び第2記憶トランジスタMD 130に対して同時に消去操作を実行することもできる。本開示の実施形態によれば、同時に第1記憶トランジスタMS 110及び第2記憶トランジスタMD 130に対して消去操作を実行するとき、本開示による消去方法の第4消去ステップは、第4消去電圧VE4をウェル領域PW 102、第1電極S及び第2電極Dに印加し、第2電源電圧VSSをゲーティングトランジスタMG 120のゲート電極123に印加し、第2消去電圧VE2を第1記憶トランジスタMS 110のゲート電極116及び第2記憶トランジスタMD 130のゲート電極136に印加することを含む。
【0160】
本開示の実施形態によれば、上述した第3消去ステップ及び第4消去ステップを通じて第1記憶トランジスタMS 110及び第2記憶トランジスタMD 130に対して実行する消去操作は、FN(Fowler-Nordheim)トンネリングメカニズムを採用する。第1記憶トランジスタMS 110に対して消去操作を実行することを例にとると、比較的高い電圧の第4消去電圧VE4をフラッシュメモリセルMC 100の第1電極S及びウェル領域PW 102(基板)に印加し、負電圧又は接地電圧の第5消去電圧VE5を第1記憶トランジスタMS 110のゲート電極116(制御ゲート)に印加し、ゲート逆電場の作用下で、記憶媒体層114に蓄積された書き込まれた電子電荷は、FNトンネリングメカニズムで基板によって引き出され、それによって第1記憶トランジスタMS 110の閾値電圧が低下する。また、このときのフラッシュメモリセルMC 100はオフ状態にあり、その第1電極Sと第2電極Dとの間に電圧差がないため、該消去操作によって導通電流は生じないので、本開示によるフラッシュメモリセルの該消去方法は、電力消費が低いという利点を有する。
【0161】
なお、本開示によるFNトンネリングメカニズムに基づく第3消去ステップ及び第4消去ステップの消去操作は、バンド間トンネリングホット正孔注入メカニズムに基づく消去操作と比較して、操作電流がより低いため、消去操作を同時に実行するようにより多くの行のフラッシュメモリセルに適用できるので、より大きい容量のフラッシュメモリセルアレイの消去操作をサポートすることができる。しかしながら、書き込まれた(プログラミングされた)電子電荷の、例えば窒化シリコンの記憶媒体層におけるトラップ捕獲メカニズムにより、トラップ電子は縦方向の逆電場によって励起されて電子トラップから離れて基板にトンネリング注入されることが困難である。このように、FNトンネリングメカニズムに基づく第3消去ステップ及び第4消去ステップの消去操作は、バンド間トンネリングホットキャリア注入メカニズムに基づく第1消去ステップ及び第2消去ステップの消去操作と比較して、消去電圧がより高く、操作速度がより遅く、消去ウィンドウがより小さい。
【0162】
バンド間トンネリングホットキャリア注入メカニズムに基づく第1消去ステップ及び第2消去ステップの消去操作、及びFNトンネリングメカニズムに基づく第3消去ステップ及び第4消去ステップの消去操作の性質を考慮すると、本開示の実施形態によれば、フラッシュメモリセルの消去方法は、まず前記第3消去ステップ又は前記第4消去ステップを通じて前記フラッシュメモリセルに対して消去操作を実行し、その後前記第1消去ステップ又は前記第2消去ステップを通じて前記フラッシュメモリセルに対して消去操作を実行することを含んでもよい。
【0163】
好ましくは、
図23に示すように、まず、FNトンネリングメカニズムに基づく第4消去ステップを用いて、フラッシュメモリセルに対して消去操作を実行することで、FNトンネリングメカニズムの操作電流が小さいという特点を利用し、同時に比較的多いフラッシュメモリセルを選択して消去操作を実行して、選択された消去されるフラッシュメモリセル(記憶トランジスタ)の閾値電圧を比較的低い状態に消去する。次に、
図20に示すように、バンド間トンネリングホットキャリア注入メカニズムに基づく第2消去ステップを用いて、フラッシュメモリセルに対して消去操作を実行することで、注入された正孔の中和作用を利用して、選択された消去されるフラッシュメモリセル(記憶トランジスタ)をさらに低い閾値電圧状態に消去する。
【0164】
本開示の実施形態による複数のステップを組み合わせた消去方法によれば、第1消去ステップ又は第2消去ステップと、第3消去ステップ又は第4消去ステップとを組み合わせて、消去電圧を低下させ消去時間を短縮するとともに、より低い消去閾値電圧を得ることができ、それによって消去操作速度が向上し、フラッシュメモリセルの消去操作の閾値電圧ウィンドウ及び記憶の信頼性が向上する。
【0165】
当業者であれば、本開示のフラッシュメモリセルの消去方法を
図1に示すフラッシュメモリセルMC 100に関連して上で説明したが、本開示のフラッシュメモリセルの消去方法は、
図1に示すフラッシュメモリセルMC 100に限定されないことを理解するはずである。当業者は、本開示の教示に基づいて、本開示のフラッシュメモリセルの消去方法を、例えば1つの記憶トランジスタのみを含むフラッシュメモリセル、又は1つの記憶トランジスタを使用して2ビットデータを記憶するフラッシュメモリセルなどの他のタイプのフラッシュメモリセルに適用することを想定することができ、これらの変形のすべては、本開示の範囲内に含まれるものとする。
【0166】
本開示は、以下の案を含んでもよいが、これらの案に限定されない。
【0167】
案1. フラッシュメモリセルの消去方法であって、第1消去ステップ及び第2消去ステップを順に実行することを含む。
前記第1消去ステップは、FNトンネリングメカニズムによって、前記フラッシュメモリセルに対して消去操作を実行する。
前記第2消去ステップは、バンド間トンネリングホットキャリア注入メカニズムによって、前記フラッシュメモリセルに対して消去操作を実行する。
【0168】
案2. 案1に記載の消去方法によれば、前記フラッシュメモリセルは、
深ウェル領域、及び深ウェル領域上に設置されたウェル領域を含む基板と、
前記ウェル領域上に設置され、第1データを記憶するように配置された第1記憶トランジスタと、
前記ウェル領域上に設置され、第2データを記憶するように配置された第2記憶トランジスタと、
前記ウェル領域上において水平方向に沿って前記第1記憶トランジスタと前記第2記憶トランジスタとの間に設置され、前記第1記憶トランジスタと前記第2記憶トランジスタを離隔し、且つ前記第1記憶トランジスタと前記第2記憶トランジスタに対してゲーティング操作を実行するように配置されたゲーティングトランジスタと、を含み、
前記第1記憶トランジスタ、前記ゲーティングトランジスタ、及び前記第2記憶トランジスタは順に直列接続され、
前記第1記憶トランジスタのソース領域は前記フラッシュメモリセルの第1電極に接続され、前記第2記憶トランジスタのドレイン領域は前記フラッシュメモリセルの第2電極に接続される。
【0169】
案3. 案1に記載の消去方法によれば、
前記第2消去ステップは、
第2電源電圧を前記ウェル領域に印加し、第1消去電圧を前記第1電極に印加し、第2電源電圧を前記第2電極に印加するか又は前記第2電極を浮遊させ、第2消去電圧を前記第1記憶トランジスタのゲート電極に印加し、第3消去電圧を前記ゲーティングトランジスタのゲート電極に印加し、前記第2電源電圧を前記第2記憶トランジスタのゲート電極に印加するか又は前記第2記憶トランジスタのゲート電極を浮遊させることによって、前記第1記憶トランジスタに対して消去操作を実行するステップと、
第2電源電圧を前記ウェル領域に印加し、前記第2電源電圧を前記第1電極に印加するか又は前記第1電極を浮遊させ、前記第1消去電圧を前記第2電極に印加し、前記第2電源電圧を前記第1記憶トランジスタのゲート電極に印加するか又は前記第1記憶トランジスタのゲート電極を浮遊させ、前記第3消去電圧を前記ゲーティングトランジスタのゲート電極に印加し、前記第2消去電圧を前記第2記憶トランジスタのゲート電極に印加することによって、前記第2記憶トランジスタに対して消去操作を実行するステップと、を含み、
前記第1消去電圧は予め設定された電圧よりも高く、前記第2消去電圧は前記第2電源電圧以下であり、前記第3消去電圧は前記第2電源電圧以下であり、
前記予め設定された電圧は、前記基板と、前記第1記憶トランジスタ及び前記第2記憶トランジスタのゲート誘電体スタックとの間の界面でのキャリアー障壁高さに基づいて予め設定されたものである。
【0170】
案4. 案1に記載の消去方法によれば、
前記第2消去ステップは、第2電源電圧を前記ウェル領域に印加し、第1消去電圧を前記第1電極及び前記第2電極に印加し、第3消去電圧を前記ゲーティングトランジスタのゲート電極に印加し、第2消去電圧を前記第1記憶トランジスタ及び前記第2記憶トランジスタのゲート電極に印加することによって、同時に前記第1記憶トランジスタ及び前記第2記憶トランジスタに対して消去操作を実行するステップを含む。
前記第1消去電圧は予め設定された電圧よりも高く、前記第2消去電圧は前記第2電源電圧以下であり、前記第3消去電圧は前記第2電源電圧以下であり、
前記予め設定された電圧は、前記基板と、前記第1記憶トランジスタ及び前記第2記憶トランジスタのゲート誘電体スタックとの間の界面でのキャリアー障壁高さに基づいて予め設定されたものである。
【0171】
案5.案3又は4に記載の消去方法によれば、
前記第2電源電圧は接地電圧であり、
前記第1消去電圧は3V~8Vの範囲内であり、
前記第2消去電圧は-8V~0Vの範囲内である。
【0172】
案6. 案1に記載の消去方法によれば、
前記第1消去ステップは、
第4消去電圧を前記ウェル領域及び前記第1電極に印加し、前記第4消去電圧を前記第2電極に印加するか又は前記第2電極を浮遊させ、第5消去電圧を前記第1記憶トランジスタのゲート電極に印加し、第2電源電圧を前記ゲーティングトランジスタのゲート電極に印加し、前記第2電源電圧を前記第2記憶トランジスタのゲート電極に印加するか又は前記第2記憶トランジスタのゲート電極を浮遊させることによって、前記第1記憶トランジスタに対して消去操作を実行するステップと、
前記第4消去電圧を前記第1電極に印加するか又は前記第1電極を浮遊させ、前記第4消去電圧を前記ウェル領域及び前記第2電極に印加し、前記第2電源電圧を前記第1記憶トランジスタのゲート電極に印加するか又は前記第1記憶トランジスタのゲート電極を浮遊させ、前記第2電源電圧を前記ゲーティングトランジスタのゲート電極に印加し、前記第5消去電圧を前記第2記憶トランジスタのゲート電極に印加することによって、前記第2記憶トランジスタに対して消去操作を実行するステップと、を含み、
前記第2電源電圧は接地電圧であり、前記第4消去電圧は0V~20Vの範囲内であり、前記第5消去電圧は-10V~0Vの範囲内である。
【0173】
案7. 案1に記載の消去方法によれば、
前記第1消去ステップは、前記第4消去電圧を前記ウェル領域、前記第1電極及び前記第2電極に印加し、前記第2電源電圧を前記ゲーティングトランジスタのゲート電極に印加し、前記第5消去電圧を前記第1記憶トランジスタ及び前記第2記憶トランジスタのゲート電極に印加することによって、同時に前記第1記憶トランジスタ及び前記第2記憶トランジスタに対して消去操作を実行するステップを含み、
前記第2電源電圧は接地電圧であり、前記第4消去電圧は0V~20Vの範囲内であり、前記第5消去電圧は-10V~0Vの範囲内である。
【0174】
本開示は、本開示の実施形態を参照して説明されてきたが、当業者は、添付の特許請求の範囲に記載された本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、様々な修正及び変更が可能であることを理解するであろう。
【国際調査報告】