(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】フラッシュメモリアレイならびにその書き込み方法及び消去方法
(51)【国際特許分類】
H10B 41/30 20230101AFI20240829BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20240829BHJP
G11C 16/04 20060101ALI20240829BHJP
G11C 16/10 20060101ALI20240829BHJP
G11C 16/14 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
H10B41/30
H01L29/78 371
G11C16/04 140
G11C16/10 140
G11C16/14 100
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024536347
(86)(22)【出願日】2022-08-25
(85)【翻訳文提出日】2024-02-22
(86)【国際出願番号】 CN2022114959
(87)【国際公開番号】W WO2023025261
(87)【国際公開日】2023-03-02
(31)【優先権主張番号】202110989487.0
(32)【優先日】2021-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202110988661.X
(32)【優先日】2021-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202110987921.1
(32)【優先日】2021-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524071850
【氏名又は名称】北京磐芯微電子科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】BEIJING PANXIN MICROELECTRONICS TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Room 1509 B, Quantum Ginza, No. 23, Zhichun Road, Haidian District Beijing 100191, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】蒋 家勇
(72)【発明者】
【氏名】石 振東
【テーマコード(参考)】
5B225
5F083
5F101
【Fターム(参考)】
5B225DB22
5B225DC02
5B225DC12
5B225EB02
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5F083MA16
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5F101BA02
5F101BB03
5F101BC02
5F101BD22
5F101BD33
5F101BE07
(57)【要約】
本開示は、フラッシュメモリアレイならびにその書き込み方法及び消去方法を提供する。本開示によるフラッシュメモリアレイは、行方向及び行方向と直交する列方向に沿って配列された複数のフラッシュメモリセルと、行方向に沿って延びる複数のワード線セットと、列方向に沿って延びる複数のビット線セットと、を含む。ワード線セットとビット線セットとの交点には、フラッシュメモリセルペアが設けられる。前記フラッシュメモリセルペアは、行方向に隣接し同一のビット線セットを共有する第1フラッシュメモリセル及び第2フラッシュメモリセルを含む。本開示によるフラッシュメモリアレイは、アレイのサイズを増大させることなく、ビット線の配置密度を高めることができ、ビット線寄生抵抗を低減することができる。また、従来技術のフラッシュメモリアレイと比較して、本開示によるフラッシュメモリアレイは、より優れたプロセス互換性及び微縮特性も有する。本開示のフラッシュメモリアレイの書き込み方法は、操作電力消費が低く、プログラミング速度が速いという利点を有し、並列書き込みのフラッシュメモリセルの数を増やすのに役立ち、それによってメモリデータ書き込みスループット率が増加する。本開示のフラッシュメモリアレイの消去方法は、閾値電圧ウィンドウを改善し、記憶の信頼性を向上させることができるとともに、操作電力消費が低く、消去速度が速いという利点を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フラッシュメモリアレイであって、
行方向及び前記行方向と直交する列方向に沿って配列された複数のフラッシュメモリセルと、
前記行方向に沿って延びる複数のワード線セットと、
前記列方向に沿って延びる複数のビット線セットと、を含み、
前記ワード線セットと前記ビット線セットとの交点には、フラッシュメモリセルペアが設けられ、前記フラッシュメモリセルペアは、前記行方向に隣接し同一のビット線セットを共有する第1フラッシュメモリセル及び第2フラッシュメモリセルを含む、ことを特徴とするフラッシュメモリアレイ。
【請求項2】
前記第1フラッシュメモリセル及び前記第2フラッシュメモリセルのそれぞれは、前記列方向に順に直列接続された第1記憶トランジスタ、ゲーティングトランジスタ及び第2記憶トランジスタを含み、
前記第1フラッシュメモリセル及び前記第2フラッシュメモリセルのそれぞれにおいて、前記第1記憶トランジスタのソース領域は該フラッシュメモリセルの第1電極に接続され、前記第2記憶トランジスタのドレイン領域は該フラッシュメモリセルの第2電極に接続される、ことを特徴とする請求項1に記載のフラッシュメモリアレイ。
【請求項3】
各ビット線セットは、第1ビット線、中間ビット線及び第2ビット線を含み、前記第1ビット線は、前記フラッシュメモリセルペアの第1フラッシュメモリセルの第1電極に接続され、前記第2ビット線は、前記フラッシュメモリセルペアの第2フラッシュメモリセルの第2電極に接続され、前記中間ビット線は、前記第1フラッシュメモリセルの第2電極及び前記第2フラッシュメモリセルの第1電極に接続される、ことを特徴とする請求項2に記載のフラッシュメモリアレイ。
【請求項4】
各ビット線セットは、第1ビット線、中間ビット線及び第2ビット線を含み、前記第1ビット線は、前記フラッシュメモリセルペアの第1フラッシュメモリセルの第2電極に接続され、前記第2ビット線は、前記フラッシュメモリセルペアの第2フラッシュメモリセルの第2電極に接続され、前記中間ビット線は、前記第1フラッシュメモリセルの第1電極及び前記第2フラッシュメモリセルの第1電極に接続される、ことを特徴とする請求項2に記載のフラッシュメモリアレイ。
【請求項5】
各ワード線セットは、前記行方向に沿って延びる第1制御線、ワード線及び第2制御線を含み、前記第1制御線は、前記第1記憶トランジスタのゲート電極に接続され、前記ワード線は、前記ゲーティングトランジスタのゲート電極に接続され、前記第2制御線は、前記第2記憶トランジスタのゲート電極に接続される、ことを特徴とする請求項3又は4に記載のフラッシュメモリアレイ。
【請求項6】
前記列方向に隣接する2つの第1制御線は、第1共通制御線を介して互いに接続され、
前記列方向に隣接する2つの第2制御線は、第2共通制御線を介して互いに接続される、ことを特徴とする請求項5に記載のフラッシュメモリアレイ。
【請求項7】
前記第1制御線、前記ワード線及び前記第2制御線は、多結晶シリコン、珪化物、金属ゲートのうちの少なくとも1つで形成される、ことを特徴とする請求項5に記載のフラッシュメモリアレイ。
【請求項8】
前記第1共通制御線及び前記第2共通制御線は金属層で形成される、ことを特徴とする請求項6に記載のフラッシュメモリアレイ。
【請求項9】
前記中間ビット線は第1金属層で形成され、
前記第1ビット線及び前記第2ビット線は、前記第1金属層とは異なる第2金属層で形成される、ことを特徴とする請求項3又は4に記載のフラッシュメモリアレイ。
【請求項10】
前記中間ビット線は、前記列方向に延びる第1部分と、前記行方向に延びる第2部分を含み、
前記第1ビット線及び前記第2ビット線は、前記列方向に延びる、ことを特徴とする請求項9に記載のフラッシュメモリアレイ。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載のフラッシュメモリアレイの書き込み方法であって、
第1書き込み電圧を前記第1ビット線に印加し、第2書き込み電圧を前記中間ビット線及び前記第2ビット線に印加し、第3書き込み電圧を前記第1制御線に印加し、第4書き込み電圧を前記ワード線に印加し、第5書き込み電圧を前記第2制御線に印加することによって、前記第1フラッシュメモリセルの第1記憶トランジスタに対して書き込み操作を実行するステップと、
前記第2書き込み電圧を前記第1ビット線に印加し、前記第1書き込み電圧を前記中間ビット線及び前記第2ビット線に印加し、前記第5書き込み電圧を前記第1制御線に印加し、前記第4書き込み電圧を前記ワード線に印加し、前記第3書き込み電圧を前記第2制御線に印加することによって、前記第1フラッシュメモリセルの第2記憶トランジスタに対して書き込み操作を実行するステップと、
第1書き込み電圧を前記第1ビット線及び前記中間ビット線に印加し、第2書き込み電圧を前記第2ビット線に印加し、第3書き込み電圧を前記第1制御線に印加し、第4書き込み電圧を前記ワード線に印加し、第5書き込み電圧を前記第2制御線に印加することによって、前記第2フラッシュメモリセルの第1記憶トランジスタに対して書き込み操作を実行するステップと、
前記第2書き込み電圧を前記第1ビット線及び前記中間ビット線に印加し、前記第1書き込み電圧を前記第2ビット線に印加し、前記第5書き込み電圧を前記第1制御線に印加し、前記第4書き込み電圧を前記ワード線に印加し、前記第3書き込み電圧を前記第2制御線に印加することによって、前記第2フラッシュメモリセルの第2記憶トランジスタに対して書き込み操作を実行するステップと、を含み、
前記第4書き込み電圧は第1電源電圧以下であり、前記第2書き込み電圧は第2電源電圧以上であり、前記第1書き込み電圧は予め設定された電圧よりも高く、前記第3書き込み電圧は前記第1書き込み電圧よりも高く、
前記第1電源電圧は前記第2電源電圧よりも高く、
前記予め設定された電圧は、基板と、前記第1記憶トランジスタ及び前記第2記憶トランジスタのゲート誘電体スタックとの間の界面でのキャリアー障壁高さに基づいて予め設定されたものであり、
前記第1書き込み電圧、前記第4書き込み電圧及び前記第5書き込み電圧は、前記第2書き込み電圧よりも高く、
前記第2書き込み電圧は、定電流負荷により前記第2電源電圧に接続され、
フラッシュメモリセルの書き込み操作中、前記第1書き込み電圧、前記第2書き込み電圧、前記第3書き込み電圧、前記第4書き込み電圧及び前記第5書き込み電圧により、前記フラッシュメモリセルの第1記憶トランジスタ、第2記憶トランジスタ及びゲーティングトランジスタがすべて導通する、ことを特徴とする書き込み方法。
【請求項12】
前記第1電源電圧は0.8V~5Vの範囲内であり、
前記第2電源電圧は接地電圧であり、
前記第1書き込み電圧は3V~6Vの範囲内であり、
前記第3書き込み電圧は4V~12Vの範囲内であり、
前記第5書き込み電圧は3V~8Vの範囲内である、ことを特徴とする請求項11に記載の書き込み方法。
【請求項13】
前記フラッシュメモリセルの書き込み操作中、前記定電流負荷の電流を制御することによって、前記フラッシュメモリセルの第1電極と第2電極との間に流れる電流を制御する、ことを特徴とする請求項11又は12に記載の書き込み方法。
【請求項14】
フラッシュメモリセルの書き込み操作中、チャネルホットキャリア注入メカニズムにより、前記フラッシュメモリセルの第1記憶トランジスタ又は第2記憶トランジスタに対して書き込み操作を実行する、ことを特徴とする請求項11又は12に記載の書き込み方法。
【請求項15】
請求項1~10のいずれか一項に記載のフラッシュメモリアレイの消去方法であって、第1消去ステップを含み、前記第1消去ステップでは、
第1消去電圧を前記第1ビット線、前記中間ビット線及び前記第2ビット線に印加し、第2消去電圧を前記第1制御線に印加し、第2電源電圧を前記ワード線及び前記第2制御線に印加するか又は前記ワード線及び前記第2制御線を浮遊させることによって、前記第1フラッシュメモリセル及び前記第2フラッシュメモリセルの第1記憶トランジスタに対して消去操作を実行し、
前記第1消去電圧を前記第1ビット線、前記中間ビット線及び前記第2ビット線に印加し、前記第2電源電圧を前記ワード線及び前記第1制御線に印加するか又は前記ワード線及び前記第1制御線を浮遊させ、前記第2消去電圧を前記第2制御線に印加することによって、前記第1フラッシュメモリセル及び前記第2フラッシュメモリセルの第2記憶トランジスタに対して消去操作を実行し、
前記第1消去電圧は予め設定された電圧よりも高く、前記第2消去電圧は前記第2電源電圧以下であり、
前記予め設定された電圧は、基板と、前記第1記憶トランジスタ及び前記第2記憶トランジスタのゲート誘電体スタックとの間の界面でのキャリアー障壁高さに基づいて予め設定されたものである、ことを特徴とする消去方法。
【請求項16】
前記第2電源電圧は接地電圧であり、
前記第1消去電圧は3V~6Vの範囲内であり、
前記第2消去電圧は-8V~0Vの範囲内である、ことを特徴とする請求項15に記載の消去方法。
【請求項17】
第2消去ステップをさらに含み、前記第2消去ステップでは、
前記第1消去電圧を前記第1ビット線、前記中間ビット線及び前記第2ビット線に印加し、前記第2消去電圧を前記第1制御線及び前記第2制御線に印加し、前記第2電源電圧を前記ワード線に印加するか又は前記ワード線を浮遊させることによって、前記第1フラッシュメモリセル及び前記第2フラッシュメモリセルに対して同時に消去操作を実行する、ことを特徴とする請求項15に記載の消去方法。
【請求項18】
前記フラッシュメモリセルの消去操作中、バンド間トンネリングホットキャリア注入メカニズムにより、前記第1記憶トランジスタ又は前記第2記憶トランジスタに対して消去操作を実行する、ことを特徴とする請求項15又は17に記載の消去方法。
【請求項19】
第3消去ステップをさらに含み、前記第3消去ステップでは、
第3消去電圧を前記フラッシュメモリアレイの基板、前記第1ビット線、前記中間ビット線及び前記第2ビット線に印加し、第4消去電圧を前記第1制御線及び前記第2制御線に印加し、前記第2電源電圧を前記ワード線に印加するか前記ワード線を浮遊させることによって、前記第1フラッシュメモリセル及び前記第2フラッシュメモリセルに対して同時に消去操作を実行し、
前記第3消去電圧は0V~20Vの範囲内であり、前記第4消去電圧は-10V~0Vの範囲内である、ことを特徴とする請求項15に記載の消去方法。
【請求項20】
前記フラッシュメモリセルの消去操作中、Fowler-Nordheimトンネリングメカニズムにより、前記第1記憶トランジスタ又は前記第2記憶トランジスタに対して消去操作を実行する、ことを特徴とする請求項19に記載の消去方法。
【請求項21】
まず前記第3消去ステップを通じて前記フラッシュメモリアレイ全体に対して消去操作を実行し、その後前記第1消去ステップ又は前記第2消去ステップを通じて前記フラッシュメモリアレイの一部のフラッシュメモリセルに対して消去操作を実行するステップをさらに含む、ことを特徴とする請求項19に記載の消去方法。
【請求項22】
前記第3消去電圧は、前記第1消去電圧と同じか又は異なり、
前記第4消去電圧は、前記第2消去電圧と同じか又は異なる、ことを特徴とする請求項19に記載の消去方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体技術の分野に関し、具体的には、本開示は、フラッシュメモリアレイならびにそのフラッシュメモリアレイの書き込み方法及び消去方法に関する。
【背景技術】
【0002】
【0003】
従来のフラッシュメモリは浮遊ゲート型セル構造を採用している。浮遊ゲート型の不揮発性メモリは、1967年にD.KahngとS.Szeが提案されたMIMIS(Metal-Insulator -Metal-Insulator-Semiconductor:金属-絶縁体-金属-絶縁体-半導体)構造に由来する。該構造は、従来のMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor:金属酸化物半導体電界効果トランジスタ)に基づいて、金属浮遊ゲートと超薄トンネリング酸化物層を追加し、それによって金属浮遊ゲートを使用して電荷を蓄積する。これを踏まえ、Masuokaらは、1984年に、セクタ(sector)単位での消去とビット単位での書き込みにより高速消去機能を実現し、EEPROM(Erasable Programmable Read Only Memory:消去可能なプログラマブル読み出し専用メモリ)に必要な選択トランジスタを不要にして記憶セルのサイズを小さくしたフラッシュメモリ(Flash Memory)の概念を初めて提案した。フラッシュメモリは、書き込み速度の速さ、集積度の高さ、優れた性能により、登場以来急速に発展してきた。Intel社は1988年にETOX構造のフラッシュメモリセル(ETOX:Electron Tunneling Oxide device:電子トンネリング酸化物デバイス)を提案し、これが現在までのほとんどの浮遊ゲート型フラッシュメモリセル構造の開発の基礎となっている。
【0004】
しかしながら、浮遊ゲート型フラッシュメモリは次の欠点がある。プロセスが比較的複雑である。フラッシュメモリセル中の浮遊ゲート構造の存在により、ゲート構造の縦方向の高さが増加されるため、プロセスサイズとセル面積をスケールダウンすることに不利である。同時に、浮遊ゲートの導電性により、蓄積された電荷が浮遊ゲート内において自由に移動できるため、メモリの信頼性の向上に不利である。浮遊ゲート型フラッシュメモリの複雑なプロセス、低い信頼性などの問題を解決するために、研究者らは、窒化シリコン誘電体を使用して電荷を蓄積するチャージトラッピングメモリ(CTM:Charge-Trapping-Memory)を提案し、これは、SONOS型(Silicon-Oxide-Nitride-Oxide-Silicon:リコン-酸化物-窒化物-酸化物-シリコン)フラッシュメモリとも呼ばれる。これに基づいて、B.Eitanらは2000年に2ビットの記憶セル構造NROM(Nitride-Read-Only-Memory:窒化シリコン読み出し専用メモリ)を提案した。このセル構造は、絶縁性窒化シリコン記憶媒体の非導電特性を利用して、1つの記憶トランジスタのソース端とドレイン端にそれぞれ2つの記憶ビットを実装する。しかしながら、このセル構造には、2つの記憶ビット間の干渉があり、デバイスサイズを縮小できないなどの欠点がある。
【0005】
一方、既存の浮遊ゲート型ETOXフラッシュメモリとSONOS型NROMフラッシュメモリはすべて、プロセスサイズを縮小できず、セル面積が大きく、書き込み消費電力が大きく、アレイ面積のオーバーヘッドが大きいという問題があり、ギガビット(Gb)容量以上の高密度集積を実現することができない。
【0006】
さらに、既存のフラッシュメモリアレイでは、フラッシュメモリセルの選択と操作を実現するためにビット線、ワード線及びソース線を設定する必要がある。しかしながら、既存のフラッシュアレイのソース線はアクティブ領域に形成され、アクティブ領域のスクウェア抵抗は金属よりはるかに高い。従って、ソース線の直列抵抗を低減するためには、アクティブ領域のソース線を金属の共通ソース線により行方向又は列方向に数行毎又は列毎に短絡する必要があり、その結果、フラッシュアレイの面積オーバーヘッドが増加する。
【0007】
モバイル知能端末、ウェアラブルデバイス、知能センサーネットワークなどの応用の急速な発展に伴い、フラッシュメモリの電力消費、記憶容量、コストに対してより高い要求を提出する。そのため、電力消費が低く、セル面積が小さく、プロセスサイズが縮小でき、アレイ集積密度が高く、容量が大きいなどの利点を有するフラッシュメモリ技術が必要である。
【発明の概要】
【0008】
この背景技術のセクションで開示された上記の情報は、本発明のアイデアの背景を理解することのみを目的としており、したがって、先行技術を構成しない情報を含む可能性がある。
【0009】
従来技術における上記の問題を解決するために、本開示は、フラッシュメモリアレイならびにその書き込み方法及び消去方法を提出する。
【0010】
本開示の一態様によれば、フラッシュメモリアレイを提供する。このフラッシュメモリアレイは、行方向及び行方向と直交する列方向に沿って配列された複数のフラッシュメモリセルと、行方向に沿って延びる複数のワード線セットと、列方向に沿って延びる複数のビット線セットと、を含む。ワード線セットとビット線セットとの交点には、フラッシュメモリセルペアが設けられる。フラッシュメモリセルペアは、行方向に隣接し同一のビット線セットを共有する第1フラッシュメモリセル及び第2フラッシュメモリセルを含む。
【0011】
本開示によるフラッシュメモリアレイは、アレイのサイズを増大させることなく、ビット線の配置密度を高めることができ、ビット線寄生抵抗を低減することができる。また、従来技術のフラッシュメモリアレイと比較して、本開示によるフラッシュメモリアレイは、より優れたプロセス互換性及び微縮特性も有する。
【0012】
本開示の一態様によれば、本開示の上記態様によるフラッシュメモリアレイの書き込み方法を提供する。この書き込み方法は、第1書き込み電圧を第1ビット線に印加し、第2書き込み電圧を中間ビット線及び第2ビット線に印加し、第3書き込み電圧を第1制御線に印加し、第4書き込み電圧をワード線に印加し、第5書き込み電圧を第2制御線に印加することによって、第1フラッシュメモリセルの第1記憶トランジスタに対して書き込み操作を実行するステップと、第2書き込み電圧を第1ビット線に印加し、第1書き込み電圧を中間ビット線及び第2ビット線に印加し、第5書き込み電圧を第1制御線に印加し、第4書き込み電圧をワード線に印加し、第3書き込み電圧を第2制御線に印加することによって、第1フラッシュメモリセルの第2記憶トランジスタに対して書き込み操作を実行するステップと、第1書き込み電圧を第1ビット線及び中間ビット線に印加し、第2書き込み電圧を第2ビット線に印加し、第3書き込み電圧を第1制御線に印加し、第4書き込み電圧をワード線に印加し、第5書き込み電圧を第2制御線に印加することによって、第2フラッシュメモリセルの第1記憶トランジスタに対して書き込み操作を実行するステップと、第2書き込み電圧を第1ビット線及び中間ビット線に印加し、第1書き込み電圧を第2ビット線に印加し、第5書き込み電圧を第1制御線に印加し、第4書き込み電圧をワード線に印加し、第3書き込み電圧を第2制御線に印加することによって、第2フラッシュメモリセルの第2記憶トランジスタに対して書き込み操作を実行するステップと、を含む。第4書き込み電圧は第1電源電圧以下であり、第2書き込み電圧は第2電源電圧以上であり、第1書き込み電圧は予め設定された電圧よりも高く、第3書き込み電圧は第1書き込み電圧よりも高い。第1電源電圧は第2電源電圧よりも高い。予め設定された電圧は、基板と、第1記憶トランジスタ及び第2記憶トランジスタのゲート誘電体スタックとの間の界面でのキャリアー障壁高さに基づいて予め設定されたものである。第1書き込み電圧、第4書き込み電圧及び第5書き込み電圧は、第2書き込み電圧よりも高い。第2書き込み電圧は、定電流負荷により前記第2電源電圧に接続される。フラッシュメモリセルの書き込み操作中、第1書き込み電圧、第2書き込み電圧、第3書き込み電圧、第4書き込み電圧及び第5書き込み電圧により、フラッシュメモリセルの第1記憶トランジスタ、第2記憶トランジスタ及びゲーティングトランジスタがすべて導通する。
【0013】
このことからわかるように、本開示によるフラッシュメモリアレイの書き込み方法では、選択されたフラッシュメモリセルの列において、最大でも2つのビット線だけを高い書き込み電圧に充電する必要があり、それにより、ビット線寄生容量の充電による消費電力が大幅に削減されるため、既存のフラッシュメモリアレイの書き込み方法と比較して、消費電力が低いという利点がある。さらに、本開示のフラッシュメモリアレイの書き込み方法の低消費電力の利点は、並列書き込みのフラッシュメモリセルの数を増やすのに役立ち、それによってフラッシュメモリアレイのデータ書き込みスループット率が向上し、既存のNOR型フラッシュメモリのデータ書き込みが遅いという欠点が克服される。
【0014】
本開示のまた一態様によれば、本開示の上記態様によるフラッシュメモリアレイの消去方法を提供する。該消去方法は、次のような第1消去ステップを含む。第1消去ステップでは、第1消去電圧を第1ビット線、中間ビット線及び第2ビット線に印加し、第2消去電圧を第1制御線に印加し、第2電源電圧をワード線及び第2制御線に印加するか又はワード線及び第2制御線を浮遊させることによって、第1フラッシュメモリセル及び第2フラッシュメモリセルの第1記憶トランジスタに対して消去操作を実行しており、第1消去電圧を第1ビット線、中間ビット線及び第2ビット線に印加し、第2電源電圧をワード線及び第1制御線に印加するか又はワード線及び第1制御線を浮遊させ、第2消去電圧を第2制御線に印加することによって、第1フラッシュメモリセル及び第2フラッシュメモリセルの第2記憶トランジスタに対して消去操作を実行する。第1消去電圧は予め設定された電圧よりも高く、第2消去電圧は第2電源電圧以下である。予め設定された電圧は、基板と、第1記憶トランジスタ及び第2記憶トランジスタのゲート誘電体スタックとの間の界面でのキャリアー障壁高さに基づいて予め設定されたものである。
【0015】
開示によるフラッシュメモリアレイの消去方法は、消去操作の閾値電圧ウィンドウを改善し、記憶の信頼性を向上させることができるとともに、操作電力消費が低く、消去速度が早いという利点を有する。
【0016】
しかしながら、本開示の効果は上記の効果に限定されるものではなく、本開示の精神及び範囲から逸脱することなく様々な展開が可能であり、前述の一般的な説明と以下の詳細な説明は両方とも例示的かつ説明的なものであり、特許請求の範囲に記載された本発明のさらなる説明を提供することを意図していることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本発明のさらなる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれてその一部を構成する添付図面は、本発明の例示的な実施形態を示し、明細書とともに本発明のアイデアを説明するのに役立つ。
【
図1】本開示の実施形態によるフラッシュメモリセルの断面図を示す。
【
図2】本開示の実施形態によるフラッシュメモリセルの等価回路図を示す。
【
図3】本開示の第1実施形態によるフラッシュメモリセルペアの回路模式図を示す。
【
図4】本開示の第1実施形態によるフラッシュメモリアレイの回路模式図を示す。
【
図5】本開示の第1実施形態によるビット線セットのレイアウト例の模式図を示す。
【
図6】本開示の第1実施形態によるビット線セットの別のレイアウト例の模式図を示す。
【
図7】本開示の第2実施形態によるフラッシュメモリセルペアの回路模式図を示す。
【
図8】本開示の第2実施形態によるフラッシュメモリアレイの回路模式図を示す。
【
図9】本開示の第2実施形態によるビット線セットのレイアウト例の模式図を示す。
【
図10】本開示の実施形態によるフラッシュメモリアレイの制御線のレイアウト例の模式図を示す。
【
図11】本開示の実施形態による、フラッシュメモリセルにおける第1記憶トランジスタに対して書き込み操作を実行する等価回路図を示す。
【
図12】本開示の実施形態による、第1フラッシュメモリセルの第1記憶トランジスタに対して書き込み操作を実行する模式図を示す。
【
図13】本開示の実施形態による、第1フラッシュメモリセルの第2記憶トランジスタに対して書き込み操作を実行する模式図を示す。
【
図14】本開示の実施形態による、第2フラッシュメモリセルの第1記憶トランジスタに対して書き込み操作を実行する模式図を示す。
【
図15】本開示の実施形態による、第2フラッシュメモリセルの第2記憶トランジスタに対して書き込み操作を実行する模式図を示す。
【
図16】本開示の実施形態による、第1消去ステップを通じて第1記憶トランジスタに対して消去操作を実行する原理模式図を示す。
【
図17】本開示の実施形態による、第2消去ステップを通じて第1記憶トランジスタ及び第2記憶トランジスタに対して同時に消去操作を実行する原理模式図を示す。
【
図18】本開示の実施形態による、第3消去ステップを通じて第1記憶トランジスタ及び第2記憶トランジスタに対して同時に消去操作を実行する原理模式図を示す。
【
図19】本開示の実施形態による、第1消去ステップを通じて第1フラッシュメモリセル及び第2フラッシュメモリセルの第1記憶トランジスタに対して消去操作を実行する模式図を示す。
【
図20】本開示の実施形態による、第1消去ステップを通じて第1フラッシュメモリセル及び第2フラッシュメモリセルの第2記憶トランジスタに対して消去操作を実行する模式図を示す。
【
図21】本開示の実施形態による、第2消去ステップを通じて第1フラッシュメモリセル及び第2フラッシュメモリセルに対して消去操作を実行する模式図を示す。
【
図22】本開示の実施形態による、第3消去ステップを通じて第1フラッシュメモリセル及び第2フラッシュメモリセルに対して消去操作を実行する模式図を示す。
【
図23】本開示の実施形態によるフラッシュメモリアレイの消去方法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下の説明では、説明の目的で、本発明の様々な例示的な実施形態又は実装案の完全な理解を提供するために、多数の特定の詳細が記載される。本明細書で使用される「実施形態」及び「実現案」は交換可能な用語であり、本明細書に開示される発明のアイデアの1つ又は複数を使用する装置又は方法の非限定的な例である。しかしながら、これらの特定の詳細なしで、又は1つ以上の同等の構成を有する場合に、例示的な実施形態を実施することができることは明らかである。他の例では、様々な例示的な実施形態を不必要に混乱させないように、周知の構造及び装置がブロック図の形態で示される。また、それぞれの例示的な実施形態は異なってもよいが、必ずしも排他的ではない。例えば、例示的実施形態の特定の形状、配置、及び特性は、本発明のアイデアから逸脱することなく、他の例示的実施形態で使用又は実現されてもよい。
【0019】
別段の記載がない限り、説明される例示的な実施形態は、本発明のアイデアを実際に実現できるいくつかの方式の変化の詳細を提供する例示的な特徴として理解されるべきである。従って、別段の記載がない限り、本発明のアイデアから逸脱することなく、様々な実施形態の特徴、部材、モジュール、層、膜、パネル、領域及び/又は態様(以下、個別に又は集合的に「要素」と呼ぶ)は、追加的に組み合わせたり、分離したり、交換したり、及び/又は再配置したりすることができる。
【0020】
図面におけるクロスハッチ及び/又はシャドーの使用は、通常、隣接する要素間の境界を明確にするために提供される。このように、別段の記載がない限り、クロスハッチ又はシャドーの有無にかかわらず、特定の材料、材料特性、サイズ、比例、示される要素間の共通性及び/又は要素の任意の他の特性、属性、形状などに対する任意の好み又は要求を伝達又は指示することはできない。また、図面では、明確かつ/又は説明の目的のために、要素のサイズ及び相対的なサイズを誇張することがある。例示的な実施形態を異なるように実現できる場合、特定の処理順序は、説明された順序とは異なるように実行することができる。例えば、連続して説明された2つのプロセスは、実質的に同時に実行されてもよいし、説明された順序とは逆の順序で実行されてもよい。同様に、同じ参照番号は同じ要素を表す。
【0021】
層などの要素が別の要素又は層の「上に位置する」、別の要素又は層に「接続される」又は「結合される」と呼ばれる場合、それは別の要素又は層の上に直接位置するか、別の要素又は層に直接接続又は結合されてもよいし、介在する要素又は層が存在してもよい。当然のことながら、要素又は層が別の要素又は層の「上に直接位置する」、別の要素又は層に「直接接続される」又は「直接結合される」と呼ばれる場合、介在する要素又は層がない。このため、「接続」という用語は、介在する要素の有無にかかわらず、物理的、電気的、及び/又は流体的な接続を指す場合がある。また、D1軸線、D2軸線及びD3軸線は、直角座標系のx、y及びz軸線のような3つの軸に限定されず、より広義に解釈してもよい。例えば、D1軸線、D2軸線及びD3軸線は、互いに垂直であってもよく、又は互いに垂直でない異なる方向を示してもよい。本開示の目的のために、「X、Y及びZのうちの少なくとも1つ」及び「X、Y及びZからなる群から選択される少なくとも1つ」は、Xのみ、Yのみ、Zのみ、ならびにX、Y及びZのうちの2つ以上の任意の組み合わせ、例えばXYZ、XYY、YZ及びZZとして解釈され得る。本明細書で使用される場合、「及び/又は」という用語は、関連するリストされた項目の1つ又は複数の任意及びすべての組み合わせを含む。
【0022】
本明細書では、「第1」、「第2」などの用語が様々なタイプの要素を説明するために使用される場合があるが、これらの要素はこれらの用語によって限定されるべきではない。これらの用語は、ある要素を別の要素から区別するために使用される。従って、以下に説明する第1要素は、本開示の教示から逸脱することなく、第2要素と呼ぶことができる。
【0023】
「の下」、「下方」、「下面」、「下」、「上方」、「上」、「更高」及び「側面」(例えば、「側壁」)などの空間関係用語は、本明細書では、図に示すように、ある要素と他の要素との関係を説明する目的で使用される場合がある。空間関係用語は、図面に示される配向以外の装置の使用、操作及び/又は製造における異なる配向を包含することを意図する。例えば、図面の装置が反転された場合、他の要素又は特徴「下方」又は「の下」として記載された要素は、他の要素又は特徴「上方」に配向される。そのため、例示的な用語「下方」は、上方と下方の両方の配向を包含し得る。また、装置は、他の方式で配向(例えば、90度回転又は他の配向)であってもよく、したがって、本明細書で使用される空間関係の説明は、それに応じて解釈される。
【0024】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明するためのものであり、限定することを意図したものではない。本明細書で使用される場合、単数形「一」、「一個」、及び「該」は、文脈上明らかに別段の指示がない限り、複数形も含むものとする。また、本明細書で使用される場合、「含む」及び/又は「包含する」という用語は、記載された特徴、整数、ステップ、操作、要素、部材及び/又はそれらのグループの存在を示すが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、操作、要素、部材及び/又はそれらのグループの存在を排除するものではない。また、本明細書で使用される「実質的に」、「約」、及び他の同様の用語は、程度の用語ではなく近似の用語として使用され、したがって、当業者によって認識される測定、計算及び/又は提供された値における固有の偏差を考慮するために使用される。
【0025】
いくつかの例示的な実施形態が、当技術分野の慣例に従って、機能ブロック、ユニット、及び/又はモジュールの観点から図面に記載され、示されている。当業者であれば、これらのブロック、ユニット、及び/又はモジュールは、論理回路、ディスクリートコンポーネント、マイクロプロセッサ、ハードウェア回路、メモリ素子、配線接続などの電子(又は光学)回路によって物理的に実現されることができ、半導体に基づく製造技術又は他の製造技術を使用して形成することができるマイクロプロセッサ又は他の同様のハードウェアによってブロック、ユニット、及び/又はモジュールを実現する場合、本明細書で説明される様々な機能を実行するようにソフトウェア(例えば、マイクロコード)を使用してそれらに対して書き込み及び制御を行ってもよく、オプションでファームウェア及び/又はソフトウェアによって駆動してもよい。各ブロック、ユニット、及び/又はモジュールは、専用のハードウェアによって実現されてもよく、又は幾つかの機能を実行する専用のハードウェア及び他の操作を実行するプロセッサ(例えば、1つ以上の書き込まれたマイクロプロセッサ及び関連する回路)の組み合わせとして実現されてもよいことが考慮される。また、本発明のアイデアの範囲から逸脱することなく、幾つかの例示的な実施形態の各ブロック、ユニット、及び/又はモジュールは、2つ以上の対話型で離散的なブロック、ユニット、及び/又はモジュールに物理的に分割することができる。また、本発明のアイデアの範囲から逸脱することなく、幾つかの例示的な実施形態のブロック、ユニット、及び/又はモジュールは、より複雑なブロック、ユニット、及び/又はモジュールに物理的に組み合わせることができる。
【0026】
ここで、断面図及び/又は分解図を参照して各実施形態を説明する。前記断面図及び/又は分解図は理想化された実施形態及び/又は中間構造の模式図である。これにより、例えば製造技術及び/又は公差による図示形状の変化が期待できる。従って、本明細書に開示される実施形態は、必ずしも、領域の特定の図示された形状に限定されると解釈される必要はなく、例えば、製造に起因する形状のばらつきを含む。このように、図面に示される領域は、本質的に模式的なものであってもよく、これらの領域の形状は、装置の領域の実際の形状を反映していなくてもよく、したがって、これは必ずしも制限を意図するものではない。
【0027】
特に限定されない限り、本明細書で使用される全ての用語(技術用語及び科学用語を含む)は、本開示が属する分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。一般に使用される辞書で定義されているような用語は、関連分野の文脈における意味と一致する意味を持つものと解釈されるものとし、本明細書で明示的に限定されない限り、理想化された意味又は過度に形式的な意味で解釈されないものとする。
【0028】
図1は、本開示の実施形態によるフラッシュメモリセルMC 100の断面図を示す。
【0029】
図1に示すように、本開示の実施形態によるフラッシュメモリセルMC 100は基板101を含んでもよく、基板101は、第2ドープ型の深ウェル領域DNW 103と、深ウェル領域DNW 103上に設置された第1ドープ型のウェル領域PW 102とを含む。
【0030】
図1では例として、第1ドープ型をP型として限定し、第2ドープ型をN型として限定するが、当業者であれば理解されるように、本開示はこれに限定されず、第1ドープ型はN型であってもよく、このとき第2ドープ型はP型であってもよい。
【0031】
本開示の実施形態によれば、基板101は例えばシリコン(Si)基板であってもよい。
【0032】
また、フラッシュメモリセルMC 100は、順に直列接続された第1記憶トランジスタMS 110、ゲーティングトランジスタMG 120及び第2記憶トランジスタMD 130を含む。第1記憶トランジスタMS 110は、ウェル領域PW 102上に設置され、第1データDATA1を記憶することができる。第2記憶トランジスタMD 130は、ウェル領域PW 102上に設置され、第2データDATA2を記憶することができる。ゲーティングトランジスタMG 120は、ウェル領域PW 102上において水平方向DR1に沿って第1記憶トランジスタMS 110と第2記憶トランジスタMD 130との間に設置され、第1記憶トランジスタMS 110と第2記憶トランジスタMD 130を隔離し、且つ第1記憶トランジスタMS 110及び第2記憶トランジスタMD 130に対してゲーティング操作を実行するために使用される。
【0033】
本開示の実施形態によれば、フラッシュメモリセルMC 100は2つの記憶トランジスタMS 110とMD 130を含むため、フラッシュメモリセルMC 100は2ビット記憶の機能を実現する、即ち、第1データDATA1及び第2データDATA2を同時に記憶することができる。
【0034】
また、
図1に示すように、第1記憶トランジスタMS 110のソース領域は、フラッシュメモリセルMC 100のソースSとも呼ばれてもよいフラッシュメモリセルMC 100の第1電極Sに接続され、第2記憶トランジスタMD 130のドレイン領域は、フラッシュメモリセルMC 100のドレインDとも呼ばれてもよいフラッシュメモリセルMC 100の第2電極Dに接続される。
【0035】
当業者であれば、説明を容易にするために、本明細書ではフラッシュメモリセルのソース及びドレインが限定されるが、フラッシュメモリセルのソース及びドレインの限定は相対的であり、用語 「ソース」及び 「ドレイン」 は、異なる動作条件下で互換的に使用できることを認識するであろう。
【0036】
また、
図1に示すように、第1記憶トランジスタMS 110は、垂直方向DR2に沿って順に設置されたチャンネル領域111、ゲート誘電体スタック112、ゲート電極116及びハードマスクロック部117を含むゲート構造を有する。ゲート誘電体スタック112は、垂直方向に沿って順に積層された第1酸化物層113、記憶媒体層114及び第2酸化物層115を有する。また、第2記憶トランジスタMD 130は、垂直方向DR2に沿って順に設置されたチャンネル領域131、ゲート誘電体スタック132、ゲート電極136及びハードマスクロック部137を含むゲート構造を有する。ゲート誘電体スタック132は、垂直方向に沿って順に積層された第1酸化物層133、記憶媒体層134及び第2酸化物層135を有する。
【0037】
本開示の実施形態によれば、フラッシュメモリセルMC 100は、2つの記憶トランジスタMS 110とMD 130を含むため、2ビット記憶の機能を実現することができる。
【0038】
本開示の実施形態によれば、
図1に示すように、2ビット記憶のためのフラッシュメモリセルMC 100は、フラッシュメモリセルMC 100の中間に位置するゲーティングトランジスタMG 120、フラッシュメモリセルMC 100の第1端に位置する第1記憶トランジスタMS 110、及びフラッシュメモリセルMC 100の第2端に位置する第2記憶トランジスタMD 130である3つの密に配置されたトランジスタから構成されてもよい。
【0039】
図1に示すように、フラッシュメモリセルMC 100は、半導体基板101内のウェル領域PW 102上に形成されてもよい。また、ウェル領域PW 102と基板101を隔離して特定の動作条件下でウェル領域PW 102に電圧を印加するために、
図1に示すように、ウェル領域PW 102は深ウェル領域DNW 103内に形成されてもよい。
【0040】
図1に示すように、フラッシュメモリセルMC 100の第1端には、N型ドーピングにより形成されたソース領域140が設置され、また、フラッシュメモリセルMC 100の第2端には、N型ドーピングにより形成されたドレイン領域150が設置される。ソース領域140は、接触孔141を介して、上層に位置する金属ソース142、即ち、第1電極Sに接続され、ドレイン領域150は、接触孔151を介して、上層に位置する金属ドレイン152、即ち、第2電極Dに接続される。
【0041】
本開示の実施形態によれば、第1電極S及び第2電極Dは、金属又は高濃度にドーピングされた多結晶シリコンを含んでもよい。第1電極S及び第2電極Dが金属で形成された場合、それは、アルミニウム、チタン、窒化チタン、銅、タングステン、コバルト、及びマンガンのうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0042】
上述したように、
図1に示すように、第1記憶トランジスタMS 110のゲート構造は、チャンネル領域111、ゲート誘電体スタック112、ゲート電極116、及び側壁自己位置合わせ用のハードマスクロック部117を下から上に順に有してもよい。本開示の実施形態によれば、ゲート電極116は、例えば多結晶シリコン、金属ゲート、金属珪化物材料、又は上記材料の組み合わせを含んでもよい。本開示の実施形態によれば、ハードマスクロック部117は、例えば酸化シリコン、窒化シリコン、シリカガラス材料、又は上述材料の組み合わせを含んでもよい。
【0043】
また、
図1に示すように、ゲート誘電体スタック112は、垂直方向に沿って順に積層された第1酸化物層(トンネリング酸化物層)113、記憶媒体層(電荷蓄積層)114及び第2酸化物層(障壁酸化物層)115を有する。本開示の実施形態によれば、第1酸化物層113及び第2酸化物層115は例えば酸化シリコン又は酸化アルミニウムなどを含んでもよい。
【0044】
本開示の実施形態によれば、記憶媒体層114は、一層又は多層の記憶媒体を含んでもよい。また、本開示の実施形態によれば、記憶媒体層114を形成する記憶媒体は、酸化ハフニウム、酸化タンタル、酸化チタン、酸化ジルコニウム、ハフニウムアルミニウム酸化物などの一元又は多元酸化物、窒化シリコンなどの一元又は多元窒化物、シリコンオキシナイトライドなどの一元又は多元窒素酸化物、多結晶シリコン又はナノ結晶材料、あるいは、上記材料の組み合わせを含んでもよい。
【0045】
本開示の実施形態によれば、記憶媒体層114が例えば窒化シリコン材料から形成された場合、第1酸化物層113、記憶媒体層114及び第2酸化物層115は、ONO(酸化物-窒化物-酸化物)複合記憶媒体のゲート誘電体スタック112として形成されてもよい。この場合、第1記憶トランジスタMS 110はSONOS型記憶トランジスタであってもよい。
【0046】
また、本開示の実施形態によれば、第1記憶トランジスタMS 110は、SONOS型記憶トランジスタと類似の操作メカニズムを有する他のトラップ電荷捕獲型記憶トランジスタであってもよい。この型の記憶トランジスタは、記憶媒体層114としてSONOSメモリにおける窒化シリコン材料の代わりに、例えばシリコンオキシナイトライド、酸化ハフニウム、酸化タンタル、酸化チタン、酸化ジルコニウム、ハフニウムアルミニウム酸化物などの電荷トラップが豊富なHigh-K材料を使用する。
【0047】
また、本開示の実施形態によれば、第1記憶トランジスタMS 110は浮遊ゲート型記憶トランジスタであってもよい。この型の記憶トランジスタは、SONOSメモリにおける窒化シリコン材料の代わりに多結晶シリコン材料を使用して、記憶媒体層114として電荷を蓄積するための浮遊ゲートを形成する。
【0048】
また、本開示の実施形態によれば、第1記憶トランジスタMS 110はナノ結晶記憶トランジスタ(nano-crystal memory)であってもよい。この型の記憶トランジスタは、SONOSメモリにおける窒化シリコン材料の代わりに、量子ドット(quantum dot)を有するナノ結晶材料を記憶媒体層114として使用する。
【0049】
本開示の実施形態によれば、第1記憶トランジスタMS 110のゲート電極116の長さは、自己位置合わせプロセスにより、ゲート電極116上に設置されたハードマスクロック部117の長さによって限定されてもよい。当業者であれば、本明細書で言及される「長さ」は、説明される対象の水平方向DR1におけるサイズを意味することに留意されたい。
【0050】
本開示の実施形態によれば、ゲーティングトランジスタMG 120の反対側に設置されることを除いて、第2記憶トランジスタMD 130は、第1記憶トランジスタMS 110と同じ構造を有し、第1記憶トランジスタMS 110と同じプロセスで製造することができるため、簡略化のために、第2記憶トランジスタMD 130の構造の詳細な説明は省略される。
【0051】
ゲーティングトランジスタMG 120のゲート構造は、チャンネル領域121、ゲート誘電体層122及びゲート電極123を下から上に順に含んでもよい。本開示の実施形態によれば、ゲーティングトランジスタMG 120のゲート電極123はワード線に接続され、そのゲート電極123の長さはフォトリソグラフィプロセスのプロセスサイズによって限定される。本開示の実施形態によれば、ゲート誘電体層122は、例えば酸化シリコン、シリコンオキシナイトライド、酸化ハフニウムなどの材料を含んでもよい。また、本開示の実施形態によれば、ゲート電極123は、例えば多結晶シリコン、金属ゲート、金属珪化物材料、又は上記材料の組み合わせを含んでもよい。
【0052】
本開示の実施形態によれば、第1記憶トランジスタMS 110、第2記憶トランジスタMD 130及びゲーティングトランジスタMG 120のチャンネル領域111、131及び121はいずれも第1ドープ型を有してもよく、且つ第1記憶トランジスタMS 110及び第2記憶トランジスタMD 130のチャンネル領域111及び131のドープ濃度は、ゲーティングトランジスタMG 120のチャンネル領域121のドープ濃度よりも低くてもよい。
【0053】
また、本開示の実施形態によれば、第1記憶トランジスタMS 110及び第2記憶トランジスタMD 130のチャンネル領域111及び131は、第2ドープ型を有するか又は非ドーピング真性チャネル領域であってもよく、ゲーティングトランジスタMG 120のチャンネル領域121は、前記第2ドープ型とは異なる第1ドープ型を有してもよい。
【0054】
例えば、
図1に示すように、第1ドープ型がP型であり、第2ドープ型がN型である場合、第1記憶トランジスタMS 110及び第2記憶トランジスタMD 130のP型チャネル111及び131のドープ濃度は、ゲーティングトランジスタMG 120のP型チャネル121のドープ濃度よりも低い。また、本開示の実施形態によれば、チャンネル領域111及び131は、非ドーピング真性チャネル又は是N型ドーピングチャンネル領域であってもよい。
【0055】
本開示の実施形態によれば、フラッシュメモリセルMC 100は、第1隔離部124と第2隔離部125をさらに含む。第1隔離部124は、水平方向DR1に沿って第1記憶トランジスタMS 110とゲーティングトランジスタMG 120との間に設置され、隔離第1記憶トランジスタMS 110のゲート電極116とゲーティングトランジスタMG 120のゲート電極123を隔離するために使用される。第2隔離部125は、水平方向DR1に沿ってゲーティングトランジスタMG 120と第2記憶トランジスタMD 130との間に設置され、ゲーティングトランジスタMG 120のゲート電極123と第2記憶トランジスタMD 130のゲート電極136を隔離するために使用される。
【0056】
具体的には、
図1に示すように、ゲーティングトランジスタMG 120のゲート電極123の両側に側壁形式の第1隔離部124及び第2隔離部125が設けられ、それらはそれぞれ特定の隔離隙間の長さで第1記憶トランジスタMS 110のゲート電極116及び第2記憶トランジスタMD 130のゲート電極136と電気的に隔離するために使用される。本開示の実施形態によれば、第1隔離部124及び第2隔離部125は、ゲート誘電体層122と同じ材料を含んでもよい。
【0057】
本開示の実施形態によるフラッシュメモリセルは、1つのフラッシュメモリセルにおいて2つの記憶トランジスタを実現することができるため、各記憶ビットの等価面積を大幅に低減することができ、それによって、より低いコスト及びより高い集積密度を得ることができる。
【0058】
また、本開示の実施形態によるフラッシュメモリセルにおける記憶トランジスタは、構造が簡単なSONOS型デバイス構造を採用することができ、プロセスが簡単で、ゲート電極の操作電圧が低く、データ保持信頼性が良好であるという利点を有する。
【0059】
また、本開示の実施形態によるフラッシュメモリセルでは、ゲーティングトランジスタにより2つの記憶ビットの相互影響を隔離し、蓄積電荷の分布幅及び横方向への拡散を抑制するため、窒化シリコン記憶層でより高い蓄積電荷密度を得ることができ、2ビット記憶を採用する既存のNROM記憶セルに存在する電荷分布が広く、相互干渉が大きく、ゲート長さが短縮できないなどの問題を回避し、記憶ウィンドウとデータ信頼性を著しく改善する。
【0060】
特に、本開示の実施形態によるフラッシュメモリセルの等価チャネル長さは、第1記憶トランジスタ、ゲーティングトランジスタ及び第2記憶トランジスタのゲート電極の長さの合計である。上述したように、ゲーティングトランジスタのゲート電極長さは、フォトリソグラフィプロセスのプロセスフィーチャサイズによって限定され、通常、フォトリソグラフィプロセスの臨界フィーチャサイズ(Critical Feature Size)とほぼ等しいか、わずかに大きくなり、通常はF(又はCF)として表される。また、第1記憶トランジスタ及び第2記憶トランジスタのゲート電極長さはそれぞれ、自己位置合わせ側壁ハードマスクストップの長さによって限定されるため、それらのサイズはFより小さくてもよい。従って、本開示の実施形態によれば、同じプロセスフィーチャサイズでフラッシュメモリセルのより短いチャネル長さを得ることができ、それによってフラッシュメモリセルの面積及び製造コストを削減するという目的が達成される。
【0061】
また、本開示の実施形態によるフラッシュメモリセルから構成されるフラッシュメモリアレイにおいて、操作するために選択されていないフラッシュメモリセルについて、ゲーティングトランジスタ及び第1と第2記憶トランジスタのゲート電極はいずれも接地される。その結果、フラッシュメモリセルの直列チャネル全体が完全にオフになり、等価チャネル長が拡大する。そのため、高い操作電圧下でのフラッシュメモリセルのソース・ドレインパンチスルーを、より小さなプロセスフィーチャサイズで回避することができ、これにより、既存のフラッシュメモリセルのゲート電極長さをプロセスフィーチャサイズの縮小に伴って縮小できないという問題が克服される。従って、本開示の実施形態によるフラッシュメモリセルは、より良好なプロセス微細化能力を有し、それによって、プロセスフィーチャサイズを縮小することによって、より小さな単位面積及び製造コストを得ることができる。
【0062】
また、本開示の実施形態によるフラッシュメモリセルでは、第1記憶トランジスタ及び第2記憶トランジスタのP型チャンネル領域のドープ濃度を下げるか、又はそれらをN型ドーピングチャンネル領域として設計することによって、記憶トランジスタの閾値電圧及び消去と書き込み操作時のゲート電極操作電圧を下げることができ、それによって記憶トランジスタの信頼性を向上させることができる。同時に、ゲーティングトランジスタのP型チャンネル領域のドープ濃度を高めることにより、フラッシュメモリセルの耐パンチスルー電圧を向上させ、選択されていないフラッシュメモリセルのソース領域とドレイン領域との間の漏れ電流を低減することができる。
【0063】
図2は、本開示の実施形態によるフラッシュメモリセルMC 100の等価回路図を示す。
【0064】
具体的には、
図2に示すように、フラッシュメモリセルMC 100は、順に直列接続された第1記憶トランジスタMS 110、ゲーティングトランジスタMG 120及び第2記憶トランジスタMD 130を含む。ゲーティングトランジスタMG 120は、第1記憶トランジスタMS 110と第2記憶トランジスタMD 130を隔離し、且つ第1記憶トランジスタMS 110及び第2記憶トランジスタMD 130に対してゲーティング操作を実行することができる。
【0065】
図3は、本開示の第1実施形態によるフラッシュメモリセルペア200の回路模式図を示す。
図4は、本開示の第1実施形態によるフラッシュメモリアレイの回路模式図を示す。
【0066】
本開示の実施形態によれば、フラッシュメモリアレイは、行方向及び行方向と直交する列方向に沿って配列された複数のフラッシュメモリセルと、行方向に沿って延びる複数のワード線セットと、列方向に沿って延びる複数のビット線セットと、を含んでもよい。ワード線セットとビット線セットとの交点には、フラッシュメモリセルペアが設けられる。フラッシュメモリセルペアは、行方向に隣接し同一のビット線セットを共有する第1フラッシュメモリセル及び第2フラッシュメモリセルを含む。
【0067】
図3及び
図4に示すように、本開示の実施形態によれば、フラッシュメモリアレイは、複数の
図2に示すようなフラッシュメモリセルを含んでもよい。これらのフラッシュメモリセルは、行方向及び行方向に直交する列方向に沿ってm×2nで配列されたアレイ、ここで、mとnは1より大きい自然数である。したがって、複数のフラッシュメモリセルは、m行×2n列のフラッシュメモリアレイを形成する。
【0068】
図3に示すように、本開示の実施形態によれば、行方向に隣接する2つのフラッシュメモリセルは、第1フラッシュメモリセル210及び第2フラッシュメモリセル220を含む1つのフラッシュメモリセルペア200を形成し得る。例えば、第1フラッシュメモリセル210は、フラッシュメモリアレイの第0行第0列に位置するフラッシュメモリセルであってもよく、第2フラッシュメモリセル220は、フラッシュメモリアレイの第0行第1列に位置するフラッシュメモリセルであってもよい。したがって、本開示の実施形態によれば、フラッシュメモリアレイは、m行×n列で配列されたフラッシュメモリセルペアを含んでもよい。
【0069】
第1フラッシュメモリセル210は、列方向に順に直列接続された第1記憶トランジスタ211、ゲーティングトランジスタ212及び第2記憶トランジスタ213を含む。第2フラッシュメモリセル220は、列方向に順に直列接続された第1記憶トランジスタ221、ゲーティングトランジスタ222及び第2記憶トランジスタ223を含む。
【0070】
本開示の実施形態によれば、第1フラッシュメモリセル210において、第1記憶トランジスタ211のソース領域は、第1フラッシュメモリセル210の第1電極S1に接続され、第2記憶トランジスタ213のドレイン領域は、第1フラッシュメモリセル210の第2電極D1に接続される。
【0071】
また、本開示の実施形態によれば、第2フラッシュメモリセル220において、第1記憶トランジスタ221のソース領域は、第2フラッシュメモリセル220の第1電極S2に接続され、第2記憶トランジスタ223のドレイン領域は、第2フラッシュメモリセル220の第2電極D2に接続される。
【0072】
また、本開示の実施形態によれば、フラッシュメモリセルペア200、即ち、第1フラッシュメモリセル210と第2フラッシュメモリセル220のペアは、列方向に沿って延びるビット線セットを共有する。このビット線セットは、第1ビット線BSL0、中間ビット線BLM0及び第2ビット線BLD0を含む。本開示の第1実施形態によれば、第1ビット線BSL0は第1フラッシュメモリセル210の第1電極S1に接続されてもよく、第2ビット線BLD0は第2フラッシュメモリセル220の第2電極D2に接続されてもよく、中間ビット線BLM0は、第1フラッシュメモリセル210の第2電極D1と第2フラッシュメモリセル220の第1電極S2に接続されてもよい。
【0073】
上述したように、本開示の実施形態によれば、行方向に隣接する第1フラッシュメモリセル210及び第2フラッシュメモリセル220は、同じ第1ビット線BSL0、中間ビット線BLM0及び第2ビット線BLD0に接続される。つまり、本開示の実施形態によれば、フラッシュメモリアレイにおいて、フラッシュメモリセルペアは、同一のビット線セットを共有する。例えば、第0列のフラッシュメモリセル及び第1列のフラッシュメモリセルは、第1ビット線BLS0、中間ビット線BLM0及び第2ビット線BLD0を含むビット線セットを共有し、第2列のフラッシュメモリセル及び第3列のフラッシュメモリセルは、第1ビット線BLS1、中間ビット線BLM1及び第2ビット線BLD1を含むビット線セットを共有し、このようにして第2n-2列のフラッシュメモリセル及び第2n-1列のフラッシュメモリセルは、第1ビット線BLS<n-1>、中間ビット線BLM<n-1>及び第2ビット線BLD<n-1>を含むビット線セットを共有するまでに至る。
【0074】
また、本開示の実施形態によれば、フラッシュメモリアレイは、行方向に沿って延びる複数のワード線セットをさらに含む。各ワード線セットは、第1制御線、ワード線及び第2制御線を含む。ここで、第1制御線は、フラッシュメモリセルペアの第1記憶トランジスタのゲート電極に接続され、ワード線は、フラッシュメモリセルペアのゲーティングトランジスタのゲート電極に接続され、第2制御線は、フラッシュメモリセルペアの第2記憶トランジスタのゲート電極に接続される。
【0075】
本開示の実施形態によれば、フラッシュメモリアレイにおいて、同一行のフラッシュメモリセル(ペア)は、同じワード線セット、即ち第1制御線、ワード線及び第2制御線を共有する。
【0076】
図3及び
図4に示すように、フラッシュメモリセルペア200を例にとると、フラッシュメモリセルペア200、即ち第1フラッシュメモリセル210及び第2フラッシュメモリセル220は、第0行に位置し、第0行における他のフラッシュメモリセル(ペア)と同じワード線セット、即ち第1制御線MS0、ワード線WL0及び第2制御線MD0を共有する。第1制御線MS0は、第1フラッシュメモリセル210及び第2フラッシュメモリセル220の第1記憶トランジスタ211及び221のゲート電極に接続され、ワード線WL0は、第1フラッシュメモリセル210及び第2フラッシュメモリセル220のゲーティングトランジスタ212及び222のゲート電極に接続され、第2制御線MD0は、第1フラッシュメモリセル210及び第2フラッシュメモリセル220の第2記憶トランジスタ213及び223のゲート電極に接続される。
【0077】
同様に、第1行のフラッシュメモリセル(ペア)における第1記憶トランジスタのゲート電極は共に第1制御線MS1に接続され、第1行のフラッシュメモリセルにおけるゲーティングトランジスタのゲート電極は共にワード線WL1に接続され、且つ第1行のフラッシュメモリセルにおける第2記憶トランジスタのゲート電極は共に第2制御線MD1に接続される。同様に、第m-2行のフラッシュメモリセルにおける第1記憶トランジスタのゲート電極は共に第1制御線MS<m-2>に接続され、第m-2行のフラッシュメモリセルにおけるゲーティングトランジスタのゲート電極は共にワード線WL<m-2>に接続され、且つ第m-2行のフラッシュメモリセルにおける第2記憶トランジスタのゲート電極は共に第2制御線MD<m-2>に接続される。同様に、第m-1行のフラッシュメモリセルにおける第1記憶トランジスタのゲート電極は共に第1制御線MS<m-1>に接続され、第m-1行のフラッシュメモリセルにおけるゲーティングトランジスタのゲート電極は共にワード線WL<m-1>に接続され、且つ第m-1行のフラッシュメモリセルにおける第2記憶トランジスタのゲート電極は共に第2制御線MD<m-1>に接続される。
【0078】
当業者であれば、次のことを理解するはずである。本開示の実施形態によるフラッシュメモリセルは対称構造を有するため、上述した第1制御線、ワード線、第2制御線、第1ビット線、中間ビット線及び第2ビット線の接続関係に基づいて、列方向に隣接するフラッシュメモリセルは対向して配置され、即ち、現在の行のフラッシュメモリセルの第1記憶トランジスタは、前の行のフラッシュメモリセルの第1記憶トランジスタと列方向に隣接し、且つ、現在の行のフラッシュメモリセルの第2記憶トランジスタは、次の行のフラッシュメモリセルの第2記憶トランジスタと列方向に隣接する。あるいは、現在の行のフラッシュメモリセルの第2記憶トランジスタは、前の行のフラッシュメモリセルの第2記憶トランジスタと列方向に隣接し、且つ、現在の行のフラッシュメモリセルの第1記憶トランジスタは、次の行のフラッシュメモリセルの第1記憶トランジスタと列方向に隣接する。
【0079】
図5は、本開示の第1実施形態によるビット線セットのレイアウト例の模式図を示す。
【0080】
本開示の実施形態によれば、第1制御線、ワード線及び第2制御線は、多結晶シリコン、珪化物、金属ゲートのうちの少なくとも1つで形成されてもよい。此外、本開示の実施形態によれば、中間ビット線は第1金属層で形成されてもよく、第1ビット線及び第2ビット線は、第1金属層と異なる第2金属層で形成されてもよい。言い換えれば、中間ビット線を形成するために使用される金属層は、第1ビット線及び第2ビット線を形成するために使用される金属層とは異なる。また、第1ビット線及び第2ビット線は、同じ金属層で形成されてもよい。
【0081】
本開示の実施形態によれば、第1金属層及び第2金属層は、アルミニウム、チタン、窒化チタン、銅、タングステン、コバルト、及びマンガンのうちの少なくとも1つを含んでもよい。
【0082】
本開示の実施形態によれば、中間ビット線は、列方向に延びる第1部分と行方向に延びる第2部分を含んでもよく、第1ビット線と第2ビット線は列方向に延びる。
【0083】
図5の(a)に示すように、フラッシュメモリセルペア200を例にとると、第1フラッシュメモリセル210及び第2フラッシュメモリセル220の第1電極S1とS2及び第2電極D1とD2は、例えば多結晶シリコンの第1制御線MS0、ワード線WL0及び第2制御線MD0の上方に配置された第1金属層M1で形成されてもよい。
図5に示すように、第1制御線MS0、ワード線WL0及び第2制御線MD0は、行方向に互いに平行に延びる。
【0084】
また、
図5の(a)に示すように、中間ビット線BLM0は、第1金属層M1によって列方向において、連続した「Z」字形で形成されており、列方向に延びる第1部分P1と、行方向に延びる第2部分P2とを含む。本開示の実施形態によれば、中間ビット線BLM0の第2部分P2は、その下方のワード線WL0と重なることができる。
【0085】
また、
図5の(b)に示すように、第1ビット線BLS0及び第2ビット線BLD0は、第2金属層M2によって列方向に形成され、中間ビット線BLM0の第1部分P1と重なることができる。
【0086】
本開示の実施形態によれば、第1ビット線BLS0と第1フラッシュメモリセル210の第1電極S1との間の電気的接続は、第1金属層M1と第2金属層M2との間の貫通孔V1を介して実現することができ、第2ビット線BLD0と第2フラッシュメモリセル220の第2電極D2との間の電気的接続は、第1金属層M1と第2金属層M2との間の貫通孔V1を介して実現することができる。
【0087】
本開示の実施形態によれば、中間ビット線の第1部分P1は第1ビット線及び第2ビット線と重なることができ、中間ビット線の第2部分P2は行方向の多結晶シリコンのワード線と重なることができるため、中間ビット線を設けるための追加面積をなくすことができ、よりコンパクトなフラッシュメモリアレイを得ることができる。また、第1ビット線と第2ビット線の両方は金属で形成されるため、従来技術における共通のソース線を設ける必要がなくなり、それによってフラッシュメモリアレイの面積がさらに減少する。
【0088】
図5に示す実施形態では、2つの金属層を使用して第1ビット線、中間ビット線及び第2ビット線の配置を実現する。しかしながら、本開示はこれに限定されない。本開示の実施形態によれば、フラッシュメモリアレイの適用場面に応じて、より多くの金属層を使用して第1ビット線、中間ビット線及び第2ビット線の配置を実現することができる。
【0089】
図6は、本開示の第1実施形態によるビット線セットの別のレイアウト例の模式図を示す。
【0090】
具体的には、
図6の(a)に示すように、フラッシュメモリセルの第1電極及び第2電極は、例えば多結晶シリコンの第1制御線、ワード線及び第2制御線の上方に配置された第1金属層M1で形成されてもよい。
図5とは異なり、
図6の(c)に示すように、中間ビット線は、第3金属層M3によって列方向において、連続した「Z」字形で形成されてもよい。つまり、中間ビット線は、列方向に延びる第1部分P1と、行方向に延びる第2部分P2とを含む。
【0091】
また、
図6の(d)に示すように、第1ビット線及び第2ビット線は、第4金属層M4により列方向に形成され、中間ビット線の列方向に沿った第1部分P1と重なる。
図6の(b)に示すように、中間ビット線と第1電極及び第2電極との電気的接続は、第1金属層M1と第3金属層M3との間の第2金属層M2、及び各金属層M1からM3の間の貫通孔V1とV2を介して実現することができる。また、
図6の(b)と(c)に示すように、第1ビット線と第1電極との間の電気的接続は、第1金属層M1と第4金属層M4との間の第2金属層M2及び第3金属層M3、ならびに各金属層M1からM4の間の貫通孔V1~V3を介して実現することができる。また、
図6の(b)と(c)に示すように、第2ビット線と第2電極との間の電気的接続は、同様に、第1金属層M1と第4金属層M4との間の第2金属層M2及び第3金属層M3、ならびに各金属層M1からM4の間の貫通孔V1~V3を介して実現することができる。
【0092】
図5に示す2つの金属層のビット線レイアウトと比較して、
図6に示す4つの金属層のビット線レイアウトは、第1ビット線、中間ビット線及び第2ビット線のレイアウトの自由度を高めることができる。
【0093】
また、当業者であれば、本開示によるフラッシュメモリアレイのビット線配置は、少なくとも2つの金属層を必要とするため、
図6では、4つの金属層を使用して、本開示によるフラッシュメモリアレイのビット線設置を実現する実施形態を示しているが、本開示はこれに限定されないことを理解するはずである。当業者は、本開示の教示に基づいて、3つの金属層又は5つ以上の金属層を使用して、本開示によるフラッシュメモリアレイのビット線設置を実現することができる。
【0094】
図7は、本開示の第2実施形態によるフラッシュメモリセルペア300の回路模式図を示す。
図8は、本開示の第2実施形態によるフラッシュメモリアレイの回路模式図を示す。
【0095】
図7に示すように、本開示の実施形態によれば、行方向に隣接する2つのフラッシュメモリセルは、第1フラッシュメモリセル310及び第2フラッシュメモリセル320を含む1つのフラッシュメモリセルペア300を形成し得る。例えば、第1フラッシュメモリセル310は、フラッシュメモリアレイの第0行第0列に位置するフラッシュメモリセルであってもよく、第2フラッシュメモリセル320は、フラッシュメモリアレイの第0行第1列に位置するフラッシュメモリセルであってもよい。したがって、本開示の実施形態によれば、フラッシュメモリアレイは、m行×n列で配列されたフラッシュメモリセルペアを含んでもよい。
【0096】
第1フラッシュメモリセル310は、列方向に順に直列接続された第1記憶トランジスタ311、ゲーティングトランジスタ312及び第2記憶トランジスタ313を含む。第2フラッシュメモリセル320は、列方向に順に直列接続された第1記憶トランジスタ321、ゲーティングトランジスタ322及び第2記憶トランジスタ323を含む。
【0097】
本開示の実施形態によれば、第1フラッシュメモリセル310において、第1記憶トランジスタ311のソース領域は、第1フラッシュメモリセル310の第1電極S1に接続され、第2記憶トランジスタ313のドレイン領域は、第1フラッシュメモリセル310の第2電極D1に接続される。
【0098】
また、本開示の実施形態によれば、第2フラッシュメモリセル320において、第1記憶トランジスタ321のソース領域は、第2フラッシュメモリセル320の第1電極S2に接続され、第2記憶トランジスタ323のドレイン領域は、第2フラッシュメモリセル320の第2電極D2に接続される。
【0099】
図7及び
図8に示す本開示の第2実施形態のフラッシュメモリセルペア及びフラッシュメモリアレイは、フラッシュメモリセルペアのビット線セットの接続方式が異なる点を除いて、
図3及び
図4の本開示の第1実施形態のフラッシュメモリセルペア及びフラッシュメモリアレイと基本的に同じである。
【0100】
具体的には、
図7及び
図8に示すように、本開示の第2実施形態によれば、第1ビット線BSL0は、第1フラッシュメモリセル310の第2電極D1に接続されてもよく、第2ビット線BLD0は、第2フラッシュメモリセル320の第2電極D2に接続されてもよく、中間ビット線BLM0は、第1フラッシュメモリセル310の第1電極S1及び第2フラッシュメモリセル320の第1電極S2に接続されてもよい。
【0101】
図9は、本開示の第2実施形態によるビット線セットのレイアウト例の模式図を示す。
【0102】
具体的には、
図9の(a)に示すように、フラッシュメモリセルの第1電極及び第2電極は、例えば多結晶シリコンの第1制御線、ワード線及び第2制御線の上方に配置された第1金属層M1で形成されてもよい。
図9の(c)に示すように、中間ビット線は、第3金属層M3によって列方向において、連続した「Z」字形で形成されてもよい。つまり、中間ビット線は、列方向に延びる第1部分P1と、行方向に延びる第2部分P2とを含む。
【0103】
また、
図9の(d)に示すように、第1ビット線及び第2ビット線は、第4金属層M4により列方向に形成され、中間ビット線の列方向に沿った第1部分P1と重なる。
図9の(b)に示すように、中間ビット線と第1電極との電気的接続は、第1金属層M1と第3金属層M3との間の第2金属層M2、及び各金属層M1~M3の間の貫通孔V1とV2を介して実現することができる。また、
図9の(b)と(c)に示すように、第1ビット線と第2電極との間の電気的接続は、第1金属層M1と第4金属層M4との間の第2金属層M2及び第3金属層M3、ならびに各金属層M1からM4の間の貫通孔V1~V3を介して実現することができる。また、
図9の(b)と(c)に示すように、第2ビット線と第2電極との間の電気的接続は、同様に、第1金属層M1と第4金属層M4との間の第2金属層M2及び第3金属層M3、ならびに各金属層M1からM4の間の貫通孔V1~V3を介して実現することができる。
【0104】
本開示の上記実施形態によるフラッシュメモリアレイは、アレイのサイズを増大させることなく、ビット線の配置密度を高めることができ、ビット線寄生抵抗を低減することができる。また、従来技術のフラッシュメモリアレイと比較して、本開示によるフラッシュメモリアレイは、より優れたプロセス互換性及び微縮特性も有する。
【0105】
また、本開示の実施形態によれば、列方向に隣接する第1制御線又は第2制御線は、金属層を介して互いに接続されてもよい。
図10は、本開示の実施形態によるフラッシュメモリアレイの制御線のレイアウト例の模式図を示す。
【0106】
図10に示すように、例えば、
図4に示すフラッシュメモリアレイに基づいて、金属層により形成された第1金属制御線MCS<0:m/2-1>を使用して、隣接する第1制御線を列方向に一緒に接続することができる。また、該金属層により形成された第2金属制御線MCD<1:m/2>を使用して、列方向に隣接する第2制御線を一緒に接続することができる。
【0107】
本開示の実施形態によれば、第1金属制御線MCS<0:m/2-1>及び第2金属制御線MCD<1:m/2>を形成するために使用される金属層は、ビット線(第1ビット線、中間ビット線及び第2ビット線を含む)を形成するために使用される金属層とは異なってもよい。本開示の実施形態によれば、第1金属制御線MCS<0:m/2-1>及び第2金属制御線MCD<1:m/2>を形成するために使用される金属層は、ビット線(第1ビット線、中間ビット線及び第2ビット線を含む)を形成するために使用される金属層の上方に配置されてもよい。
【0108】
本開示の実施形態によれば、列方向に隣接する2つのフラッシュメモリセルは、金属制御線(第1金属制御線又は第2金属制御線)を介して、制御線(第1制御線又は第2制御線)を共有することができる。第1金属制御線及び第2金属制御線を使用して、第1制御線と第2制御線を接続することにより、例えば多結晶シリコンの第1制御線及び第2制御線の寄生抵抗を効果的に低減することができ、それによってフラッシュメモリアレイの操作速度を効果的に向上させることができる。また、第1金属制御線及び第2金属制御線を使用して、第1制御線と第2制御線を接続することによって、金属制御線の配線密度とプロセスの複雑さを低減することができる。また、制御線を共有するこのようなフラッシュメモリアレイは、制御線を制御するためのフラッシュメモリアレイの周辺回路の数を低減することもでき、それによって周辺回路の面積オーバーヘッドとメモリチップの製造コストを削減することができる。
【0109】
当業者であれば、本開示のフラッシュメモリアレイを
図1に示すフラッシュメモリセルMC 100に関連して上で説明したが、本開示のフラッシュメモリアレイは、
図1に示すフラッシュメモリセルMC 100に限定されないことを理解するはずである。当業者は、本開示の教示に基づいて、本開示のフラッシュメモリアレイを、例えば1つの記憶トランジスタのみを含むフラッシュメモリセル、又は1つの記憶トランジスタを使用して2ビットデータを記憶するフラッシュメモリセルなどの他のタイプのフラッシュメモリセルに適用することを想定することができ、これらの変形のすべては、本開示の範囲内に含まれるものとする。
【0110】
図11は、本開示の実施形態による、フラッシュメモリセルにおける第1記憶トランジスタに対して書き込み操作を実行する等価回路図を示す。
【0111】
図11に示すように、
図11に示すように、第1記憶トランジスタMS 110のソース領域(即ち、第1電極S)、第1記憶トランジスタMS 110のゲート電極116、ゲーティングトランジスタMG 120のゲート電極123、第2記憶トランジスタMD 130のゲート電極136、及び第2記憶トランジスタMD 130のドレイン領域(即ち、第2電極D)に印加される電圧を制御することによって、第1記憶トランジスタMS 110に対する書き込み操作を実現することができる。
【0112】
本開示の実施形態によれば、フラッシュメモリセルMC 100に対して書き込み操作を実行するとき、フラッシュメモリセルMC 100のウェル領域PW 102を接地してもよい。
【0113】
具体的には、本開示の実施形態によれば、
図11に示すように、フラッシュメモリセルMC 100の第1記憶トランジスタMS 110に対して書き込み操作を実行するとき、第1書き込み電圧VW1を第1電極Sに印加し、第2書き込み電圧VW2を第2電極Dに印加し、第3書き込み電圧VW3を第1記憶トランジスタMS 110のゲート電極116に印加し、第4書き込み電圧VW4をゲーティングトランジスタMG 120のゲート電極123に印加し、第5書き込み電圧VW5を第2記憶トランジスタMD 130のゲート電極136に印加する。
【0114】
本開示の実施形態によれば、第1書き込み電圧VW1は予め設定された電圧よりも高く、該予め設定された電圧は、基板と第1記憶トランジスタMS 100のゲート誘電体スタック112との間の界面でのキャリアー障壁高さに基づいて予め設定されたものである。例えば、
図11に示すフラッシュメモリセルMC 100では、予め設定された電圧により、電子はP型チャンネル領域111と、ゲート誘電体スタック112における下部の第1酸化物層(トンネリング酸化物)113との間の界面での電子障壁を越えることができる。例えば、P型チャンネル領域111がシリコンを含み、第1酸化物層113が二酸化シリコンを含む場合、該障壁高さは3.2電子ボルト(eV)である。この場合、第1書き込み電圧VW1は、通常、3ボルト(V)よりも大きい。例えば、第1書き込み電圧VW1は、3V~6Vの範囲内であってもよい。本開示の実施形態によれば、第1書き込み電圧VW1は、外部の定電圧源によって供給されてもよい。
【0115】
本開示の実施形態によれば、第2書き込み電圧VW2は第2電源電圧VSS以上であり、第2電源電圧VSSは接接地電圧GNDであってもよい。また、本開示の実施形態によれば、第2書き込み電圧VW2は、定電流負荷により第2電源電圧VSSに接続される。本開示の実施形態によれば、第2電源電圧VSSは接地電圧であってもよい。
【0116】
本開示の実施形態によれば、第3書き込み電圧VW3は第1書き込み電圧VW1よりも高い。例えば、第3書き込み電圧VW3は、4V~12Vの範囲内であってもよい。
【0117】
本開示の実施形態によれば、第4書き込み電圧VW4は第1電源電圧VDD以下であり、第1電源電圧VDDは第2電源電圧VSSよりも高く、且つ0.8V~5Vの範囲内であってもよい。
【0118】
本開示の実施形態によれば、第1書き込み電圧VW1、第4書き込み電圧VW4及び第5書き込み電圧VW5は、第2書き込み電圧VW2よりも高い。例えば、第5書き込み電圧VW5は、3V~8Vの範囲内であってもよい。
【0119】
また、本開示の実施形態によれば、フラッシュメモリセルMC 100の書き込み操作中、第1~第5書き込み電圧VW1~VW5により、第1記憶トランジスタMS 110、第2記憶トランジスタMD 130及びゲーティングトランジスタMG 120はいずれも導通する。
【0120】
フラッシュメモリセルMC 100の対称構造により、第1記憶トランジスタMS 110及び第2記憶トランジスタMD 130の書き込み操作中に印加される各書き込み電圧VW1~VW5の間にも対称関係がある。従って、簡潔にするために、第2記憶トランジスタMD 130の書き込み操作中に印加される書き込み電圧については、ここでは繰り返し説明しない。
【0121】
図11に示すように、外部に接続された定電流負荷の定電流IWRを調整することによって、書き込み時のフラッシュメモリセルの導通電流IDS(即ち、フラッシュメモリセルMC 100の第1電極Sと第2電極Dとの間で流れる電流)を正確に制御することができ、それによって、プログラミング閾値電圧を調整して、フラッシュメモリアレイの書き込み(プログラミング)閾値電圧の分布精度を高めるという目的を達成することができる。
【0122】
本開示の実施形態によれば、上述した第1記憶トランジスタMS 110及び第2記憶トランジスタMD 130に対する書き込み操作は、低いゲート電圧のチャネルホット電子注入メカニズムを採用する。
【0123】
本開示の実施形態によれば、定電流負荷は電流ミラー回路によって実現できる。
【0124】
具体的には、
図11に示すように、第1電極Sに例えば約4Vの定電圧VWR(即ち、第1書き込み電圧VW1)を印加し、プルダウン機能を有する定電流負荷(定電流IWRを有する)を第2電極Dに接続して、第2電極Dでの電圧(即ち、第2書き込み電圧VW2)を0V~1Vの間、例えば約0.3Vにプルダウンする。また、第1記憶トランジスタMS 110のゲート電極116に例えば6Vの第3書き込み電圧VW3を印加し、ゲーティングトランジスタMG 120のゲート電極123に例えば1.2Vの第4書き込み電圧VW4を印加し、第2記憶トランジスタMD 130のゲート電極136に例えば5Vの第5書き込み電圧VW5を印加することによって、フラッシュメモリセルMC 100の第1記憶トランジスタMS 110、第2記憶トランジスタMD 130及びゲーティングトランジスタMG 120をいずれも導通させる。
【0125】
また、ゲーティングトランジスタMG 120のゲート電圧VW4は低電圧であるため、ゲーティングトランジスタMG 120は低いゲート電圧飽和導通状態となるので、ゲーティングトランジスタMG 120の導通電流は、フラッシュメモリセルMC 100全体の導通電流IDSを決定する。フラッシュメモリセルMC 100の導通電流IDSが定電流負荷の定電流IWRよりも大きい場合、フラッシュメモリセルMC 100の第2電極Dを充電してその電圧VW2を上昇させることによって、ゲーティングトランジスタMG 120のゲート導通電圧(VGS=VW4-VW2)を低下させて、導通電流IDSを低下させ、定電流負荷の定電流IWRに自己適応的に変化させることができる。逆に、フラッシュメモリセルMC 100の導通電流IDSが定電流負荷の定電流IWRよりも小さい場合、フラッシュメモリセルMC 100の第2電極Dが放電されてその電圧VW2が低下することで、ゲーティングトランジスタMG 120のゲート導通電圧(VGS=VW4-VW2)が上昇して、導通電流IDSが上昇し、定電流負荷の定電流IWRに自己適応的に変化する。
【0126】
この自己適応効果により、フラッシュメモリセルMC 100のプログラミング中、導通電流IDSは常に定電流負荷の定電流IWRに等しく、フラッシュメモリセルMC 100の閾値電圧、プロセス偏差などの要因の影響を受けない。また、チャネルホット電子注入メカニズムのラッキー電子モデルによれば、本開示によるフラッシュメモリセルMC 100の書き込み操作中の導通電流IDSは一定であり、正確に制御可能であるため、ゲートプログラミング(書き込み)電流は、導通電流IDS(定電流IWRと等しい)に注入確率係数PINJを乗じたものとなり、即ち、定数として扱うことができ、それによってプログラミング閾値電圧の精度を大幅に向上させることができる。
【0127】
図12は、本開示の実施形態による、第1フラッシュメモリセル210の第1記憶トランジスタ211に対して書き込み操作を実行する模式図を示す。
【0128】
本開示の実施形態によれば、
図12に示すように、第1フラッシュメモリセル210の第1記憶トランジスタ211に対して書き込み操作を実行するとき、例えば4Vの第1書き込み電圧VW1を第1ビット線BLS0に印加し、例えば0.2Vの第2書き込み電圧VW2を中間ビット線BLM0及び第2ビット線BLD0に印加し、例えば6Vの第3書き込み電圧VW3を第1記憶トランジスタ211のゲート電極に接続された第1制御線MS0に印加し、例えば1.2Vの第4書き込み電圧VW4をゲーティングトランジスタ212のゲート電極に接続されたワード線WL0に印加し、例えば5Vの第5書き込み電圧VW5を第2記憶トランジスタ213のゲート電極に接続された第2制御線MD0に印加する。
【0129】
図13は、本開示の実施形態による、第1フラッシュメモリセル210の第2記憶トランジスタ213に対して書き込み操作を実行する模式図を示す。
【0130】
本開示の実施形態によれば、
図13に示すように、第1フラッシュメモリセル210の第2記憶トランジスタ213に対して書き込み操作を実行するとき、例えば0.2Vの第2書き込み電圧VW2を第1ビット線BLS0に印加し、例えば4Vの第1書き込み電圧VW1を中間ビット線BLM0及び第2ビット線BLD0に印加し、例えば5Vの第5書き込み電圧VW5を第1記憶トランジスタ211のゲート電極に接続された第1制御線MS0に印加し、例えば1.2Vの第4書き込み電圧VW4をゲーティングトランジスタ212のゲート電極に接続されたワード線WL0に印加し、例えば6Vの第3書き込み電圧VW3を第2記憶トランジスタ213のゲート電極に接続された第2制御線MD0に印加する。
【0131】
図14は、本開示の実施形態による、第2フラッシュメモリセル220の第1記憶トランジスタ221に対して書き込み操作を実行する模式図を示す。
【0132】
本開示の実施形態によれば、
図14に示すように、第2フラッシュメモリセル220の第1記憶トランジスタ221に対して書き込み操作を実行するとき、例えば4Vの第1書き込み電圧VW1を第1ビット線BLS0及び中間ビット線BLM0に印加し、例えば0.2Vの第2書き込み電圧VW2を第2ビット線BLD0に印加し、例えば6Vの第3書き込み電圧VW3を第1記憶トランジスタ221のゲート電極に接続された第1制御線MS0に印加し、例えば1.2Vの第4書き込み電圧VW4をゲーティングトランジスタ222のゲート電極に接続されたワード線WL0に印加し、例えば5Vの第5書き込み電圧VW5を第2記憶トランジスタ223のゲート電極に接続された第2制御線MD0に印加する。
【0133】
図15は、本開示の実施形態による、第2フラッシュメモリセル220の第2記憶トランジスタ223に対して書き込み操作を実行する模式図を示す。
【0134】
本開示の実施形態によれば、
図15に示すように、第2フラッシュメモリセル210の第2記憶トランジスタ223に対して書き込み操作を実行するとき、例えば0.2Vの第2書き込み電圧VW2を第1ビット線BLS0及び中間ビット線BLM0に印加し、例えば4Vの第1書き込み電圧VW1を第2ビット線BLD0に印加し、例えば5Vの第5書き込み電圧VW5を第1記憶トランジスタ221のゲート電極に接続された第1制御線MS0に印加し、例えば1.2Vの第4書き込み電圧VW4をゲーティングトランジスタ222のゲート電極に接続されたワード線WL0に印加し、例えば6Vの第3書き込み電圧VW3を第2記憶トランジスタ223のゲート電極に接続された第2制御線MD0に印加する。
【0135】
本開示の実施形態によれば、
図12~
図15に示すように、本開示によるフラッシュメモリアレイの書き込み方法では、フラッシュメモリセルペア200に対して書き込み操作を実行するとき、フラッシュメモリセルペア200に接続されたビット線セットBLS0、BLM0及びBLD0ならびにワード線セットMS0、WL0及びMD0に加えて、他のワード線セット及びビット線セットは、例えば0Vなどの接地電圧に接続されてもよい。
【0136】
このことからわかるように、本開示によるフラッシュメモリアレイの書き込み方法では、選択されたフラッシュメモリセルペアの列に接続されたビット線セットにおいて、最大でも2つのビット線だけを高い書き込み電圧に充電する必要があり、それにより、ビット線寄生容量の充電による消費電力が大幅に削減されるため、既存のフラッシュメモリアレイの書き込み方法と比較して、消費電力が低いという利点がある。さらに、本開示のフラッシュメモリアレイの書き込み方法の低消費電力の利点は、並列書き込みのフラッシュメモリセルの数を増やすのに役立ち、それによってフラッシュメモリアレイのデータ書き込みスループットが向上し、既存のNOR型フラッシュメモリのデータ書き込みが遅いという欠点が克服される。
【0137】
当業者であれば、本開示のフラッシュメモリアレイの書き込み方法を
図1に示すフラッシュメモリセルMC 100に関連して上で説明したが、本開示のフラッシュメモリアレイの書き込み方法は、
図1に示すフラッシュメモリセルMC 100に限定されないことを理解するはずである。当業者は、本開示の教示に基づいて、本開示のフラッシュメモリアレイの書き込み方法を、例えば1つの記憶トランジスタのみを含むフラッシュメモリセル、又は1つの記憶トランジスタを使用して2ビットデータを記憶するフラッシュメモリセルなどの他のタイプのフラッシュメモリセルに適用することを想定することができ、これらの変形のすべては、本開示の範囲内に含まれるものとする。
【0138】
図16は、本開示の実施形態による、第1消去ステップを通じて第1記憶トランジスタに対して消去操作を実行する原理模式図を示す。
【0139】
本開示の実施形態によれば、フラッシュメモリセルMC 100に対して消去操作を実行するとき、フラッシュメモリセルMC 100のウェル領域PW 102を接地してもよい。
【0140】
具体的には、本開示の実施形態によれば、
図16に示すように、第1消去ステップを通じてフラッシュメモリセルMC 100の第1記憶トランジスタMS 110に対して消去操作を実行するとき、第2電源電圧VSSをウェル領域PW 102に印加し、第1消去電圧VE1を第1電極S及び第2電極Dに印加し、第2電源電圧VSSをゲーティングトランジスタMG 120のゲート電極123及び第2記憶トランジスタMD 130のゲート電極136に印加するか又はゲーティングトランジスタMG 120のゲート電極123及び第2記憶トランジスタMD 130のゲート電極136を浮遊させ(図では、FLTで浮遊を表す)、第2消去電圧VE2を第1記憶トランジスタMS 110のゲート電極116に印加する。例えば、第2電源電圧VSSは接地電圧、例えば0Vであってもよい。
【0141】
本開示の実施形態によれば、第1消去電圧VE1は予め設定された電圧VPよりも高く、予め設定された電圧VPは、基板と第1記憶トランジスタMS 100のゲート誘電体スタック112との間の界面でのキャリアー障壁高さに基づいて予め設定されたものである。例えば、
図16に示すフラッシュメモリセルMC 100では、予め設定された電圧VPにより、正孔はP型チャンネル領域111と、ゲート誘電体スタック112における下部の第1酸化物層(トンネリング酸化物)113との間の界面での正孔障壁を越えることができる。例えば、P型チャンネル領域111がシリコンを含み、第1酸化物層113が二酸化シリコンを含む場合、該障壁高さは4.8電子ボルト(eV)である。この場合、第1消去電圧VE1は、通常、4ボルト(V)よりも大きい。例えば、第1消去電圧VE1は、3V~6Vの範囲内であってもよい。例えば、第1消去電圧VE1は4Vであってもよい。
【0142】
本開示の実施形態によれば、第2消去電圧VE2は第2電源電圧VSS以下であり、第2電源電圧VSSは接地電圧GNDであってもよい。また、本開示の実施形態によれば、第2消去電圧VE2は、-8V~0Vの範囲内であってもよい。例えば、第2消去電圧VE2は-6Vであってもよい。
【0143】
同様に、本開示の実施形態によれば、第1消去ステップを通じてフラッシュメモリセルMC 100の第2記憶トランジスタMD 130に対して消去操作を実行するとき、第1消去電圧VE1を第1電極S及び第2電極Dに印加し、第2電源電圧VSSをゲーティングトランジスタMG 120のゲート電極123及び第1記憶トランジスタMS 110のゲート電極116に印加するか又はゲーティングトランジスタMG 120のゲート電極123及び第1記憶トランジスタMS 110のゲート電極116を浮遊させ、第2消去電圧VE2を第2記憶トランジスタMD 130のゲート電極116に印加する。
【0144】
このことからわかるように、フラッシュメモリセルMC 100の対称構造により、第1消去ステップで第1記憶トランジスタMS 110及び第2記憶トランジスタMD 130を消去する際に印加される各消去電圧VE1とVE2の間にも対称関係がある。従って、簡潔にするために、第2記憶トランジスタMD 130の消去操作中に印加される消去電圧については、ここでは繰り返し説明しない。
【0145】
また、本開示の実施形態によれば、第2消去ステップを通じてフラッシュメモリセルMC 100の第1記憶トランジスタMS 110及び第2記憶トランジスタMD 130に対して同時に消去操作を実行することもできる。
図17は、本開示の実施形態による、第2消去ステップを通じて第1記憶トランジスタ及び第2記憶トランジスタに対して同時に消去操作を実行する原理模式図を示す。
【0146】
本開示の実施形態によれば、
図17に示すように、第2消去ステップを通じて第1記憶トランジスタMS 110及び第2記憶トランジスタMD 130に対して同時に消去操作を実行するとき、第1消去電圧VE1を第1電極S及び第2電極Dに印加し、第2電源電圧VSSをゲーティングトランジスタMG 120のゲート電極123に印加するか又はゲーティングトランジスタMG 120のゲート電極123を浮遊させ、第2消去電圧VE2を第1記憶トランジスタMS 110のゲート電極116及び第2記憶トランジスタMD 130のゲート電極136に印加する。
【0147】
本開示の実施形態によれば、上述した第1消去ステップ及び第2消去ステップを通じて第1記憶トランジスタMS 110及び第2記憶トランジスタMD 130に対して実行する消去操作は、バンド間トンネリングホットキャリア注入メカニズムを採用する。第1記憶トランジスタMS 110に対して消去操作を実行することを例にとると、フラッシュメモリセルMC 100の第1電極Sでの接合は、高電圧逆バイアス状態にあるため、ゲート電極116に印加される第2消去電圧VE2(負のゲート電圧)の作用下で、該接合の空乏領域にバンド間トンネリングの物理的効果が発生する。バンド間トンネリングによって生成されたホット正孔は、例えば窒化シリコンの記憶媒体層114に注入される。該ホット正孔は、フラッシュメモリセルMC 100の書き込み(プログラミング)操作中に蓄積された電子を中和することができ、第1記憶トランジスタMS 110の閾値電圧を低下させる。また、このときのフラッシュメモリセルMC 100はオフ状態にあるため、該消去操作によって導通電流は生じないので、電力消費が低いという利点を有する。
【0148】
図18は、本開示の実施形態による、第3消去ステップを通じて第1記憶トランジスタ及び第2記憶トランジスタに対して同時に消去操作を実行する原理模式図を示す。
【0149】
本開示の実施形態によれば、第4消去ステップを通じてフラッシュメモリセルMC 100の第1記憶トランジスタMS 110及び第2記憶トランジスタMD 130に対して同時に消去操作を実行することもできる。本開示の実施形態によれば、同時に第1記憶トランジスタMS 110及び第2記憶トランジスタMD 130に対して消去操作を実行するとき、第3消去電圧VE3をウェル領域PW 102、第1電極S及び第2電極Dに印加し、第2電源電圧VSSをゲーティングトランジスタMG 120のゲート電極123に印加し、第4消去電圧VE4を第1記憶トランジスタMS 110のゲート電極116及び第2記憶トランジスタMD 130のゲート電極136に印加する。
【0150】
本開示の実施形態によれば、第3消去電圧VE3は、0V~20Vの範囲内であってもよい。例えば、第3消去電圧VE3は6Vであってもよい。本開示の実施形態によれば、第4消去電圧VE4は、-10V~0Vの範囲内であってもよい。例えば、第4消去電圧VE4は-6Vであってもよい。
【0151】
また、本開示の実施形態によれば、第3消去ステップで使用される第3消去電圧VE3は、上記の第1消去ステップ及び第2消去ステップで使用される第1消去電圧VE1と同じでも異なってもよく、第3消去ステップで使用される第4消去電圧VE4は、上記の第1消去ステップ及び第2消去ステップで使用される第2消去電圧VE2と同じでも異なってもよい。
【0152】
本開示の実施形態によれば、上述した第3消去ステップを通じて第1記憶トランジスタMS 110及び第2記憶トランジスタMD 130に対して実行する消去操作は、FN(Fowler-Nordheim)トンネリングメカニズムを採用する。第1記憶トランジスタMS 110に対して消去操作を実行することを例にとると、比較的高い電圧の第3消去電圧VE3をフラッシュメモリセルMC 100の第1電極S及びウェル領域PW 102(基板)に印加し、負電圧又は接地電圧の第4消去電圧VE4を第1記憶トランジスタMS 110のゲート電極116(制御ゲート)に印加し、ゲート逆電場の作用下で、記憶媒体層114に蓄積されて書き込まれた(プログラミングされた)電子電荷は、FNトンネリングメカニズムで基板によって引き出され、それによって第1記憶トランジスタMS 110の閾値電圧が低下する。また、このときのフラッシュメモリセルMC 100はオフ状態にあり、その第1電極Sと第2電極Dとの間に電圧差がないため、該消去操作によって導通電流は生じないので、本開示によるフラッシュメモリセルの該消去方法は、電力消費が低いという利点を有する。
【0153】
なお、本開示によるFNトンネリングメカニズムに基づく第3消去ステップの消去操作は、バンド間トンネリングホット正孔注入メカニズムに基づく第1消去ステップ及び第2消去ステップと比較して、操作電流がより低いため、消去操作を同時に実行するようにより多くの行のフラッシュメモリセルに適用できるので、より大きい容量のフラッシュメモリアレイの消去操作をサポートすることができる。しかしながら、書き込まれた(プログラミングされた)電子電荷の、例えば窒化シリコンの記憶媒体層におけるトラップ捕獲効果により、トラップ電子は縦方向の逆電場によって励起されて電子トラップから離れて基板にトンネリング注入されることが困難である。このように、FNトンネリングメカニズムに基づく第3消去ステップの消去操作は、バンド間トンネリングホットキャリア注入メカニズムに基づく第1消去ステップ及び第2消去ステップの消去操作と比較して、消去電圧がより高く、操作速度がより遅く、消去ウィンドウがより小さい。
【0154】
図19は、本開示の実施形態による、第1消去ステップを通じて第1フラッシュメモリセル210及び第2フラッシュメモリセル220の第1記憶トランジスタ211及び221に対して消去操作を実行する模式図を示す。
【0155】
本開示の実施形態によれば、
図19に示すように、第1フラッシュメモリセル210及び第2フラッシュメモリセル220の第1記憶トランジスタ211及び221に対して消去操作を実行するとき、例えば4Vの第1消去電圧VE1を第1ビット線BLS0、中間ビット線BLM0及び第2ビット線BLD0に印加し、例えば-6Vの第2消去電圧VE2を第1記憶トランジスタ211及び221のゲート電極に接続された第1制御線MS0に印加し、第2電源電圧VSSをゲーティングトランジスタ212及び222のゲート電極に接続されたワード線WL0と第2記憶トランジスタ213及び223のゲート電極に接続された第2制御線MD0に印加するか、又はワード線WL0及び第2制御線MD0を浮遊させる。
【0156】
図20は、本開示の実施形態による、第1消去ステップを通じて第1フラッシュメモリセル210及び第2フラッシュメモリセル220の第2記憶トランジスタ213及び223に対して消去操作を実行する模式図を示す。
【0157】
本開示の実施形態によれば、
図20に示すように、第1消去ステップを通じて第1フラッシュメモリセル210及び第2フラッシュメモリセル220の第2記憶トランジスタ213及び223に対して消去操作を実行するとき、例えば4Vの第1消去電圧VE1を第1ビット線BLS0、中間ビット線BLM0及び第2ビット線BLD0に印加し、例えば-6Vの第2消去電圧VE2を第2記憶トランジスタ213及び223のゲート電極に接続された第2制御線MD0に印加し、第2電源電圧VSSをゲーティングトランジスタ212及び222のゲート電極に接続されたワード線WL0と、第1記憶トランジスタ211及び221のゲート電極に接続された第1制御線MS0に印加するか、又はワード線WL0及び第1制御線MS0を浮遊させる。
【0158】
本開示の実施形態によれば、
図19及び
図20に示すように、第1消去ステップを用いて、1つ以上の行のフラッシュメモリセルにおける第1記憶トランジスタ又は第2記憶トランジスタを同時に消去することができる。また、本開示の実施形態によれば、第1消去ステップを通じて消去操作を実行するとき、フラッシュメモリアレイのすべてのビット線セットを第1消去電圧VE1に接続してもよい。消去操作を実行していないフラッシュメモリセルの行については、それらのワード線セットを第2電源電圧VSSに接続するか、又は浮遊させてもよい。
【0159】
図21は、本開示の実施形態による、第2消去ステップを通じて第1フラッシュメモリセル210及び第2フラッシュメモリセル220に対して消去操作を実行する模式図を示す。
【0160】
本開示の実施形態によれば、
図21に示すように、第2消去ステップを通じて、第1フラッシュメモリセル210及び第2フラッシュメモリセル220の第1記憶トランジスタ211及び221ならびに第2記憶トランジスタ213及び223に対して同時に消去操作を実行するとき、例えば4Vの第1消去電圧VE1を第1ビット線BLS0、中間ビット線BLM0及び第2ビット線BLD0に印加し、例えば-6Vの第2消去電圧VE2を第1記憶トランジスタ211及び221のゲート電極に接続された第1制御線MS0と、第2記憶トランジスタ213及び223のゲート電極に接続された第2制御線MD0に印加し、且つ、第2電源電圧VSSをゲーティングトランジスタ212及び222のゲート電極に接続されたワード線WL0に印加するか又はワード線WL0を浮遊させる。
【0161】
本開示の実施形態によれば、
図21に示すように、第2消去ステップを用いて、1つ以上の行のフラッシュメモリセルにおける第1記憶トランジスタ及び第2記憶トランジスタを消去することができる。また、本開示の実施形態によれば、第2消去ステップを通じて消去操作を実行するとき、フラッシュメモリアレイのすべてのビット線セットを第1消去電圧VE1に接続してもよい。消去操作を実行していないフラッシュメモリセルの行については、そのワード線セットを第2電源電圧VSSに接続するか、又は浮遊させてもよい。
【0162】
本開示の実施形態によれば、
図19~
図21に示すように、第1消去ステップ又は第2消去ステップを通じて、選択された1つ以上の行のメモリセルに対して、又は選択された行のフラッシュメモリセルにおける第1記憶トランジスタ又は第2記憶トランジスタに対して同時に消去操作を実行することができる。
【0163】
本開示の実施形態によれば、
図19~
図21に示すように、第1消去ステップ又は第2消去ステップを通じてフラッシュメモリアレイの消去操作を実行するとき、第1消去電圧VE1を、フラッシュメモリアレイの第1ビット線BLS<0:n-1>、中間ビット線BLM<0:n-1>及び第2ビット線BLD<0:n-1>に印加する。
【0164】
本開示の実施形態によれば、
図19~
図21に示すように、消去操作を実行していないフラッシュメモリセルについては、その第1制御線、ワード線及び第2制御線に第2電源電圧VSSを印加するか、又はその第1制御線、ワード線及び第2制御線を浮遊させる。
【0165】
図22は、本開示の実施形態による、第3消去ステップを通じて第1フラッシュメモリセル及び第2フラッシュメモリセルに対して消去操作を実行する模式図を示す。
【0166】
本開示の実施形態によれば、
図22に示すように、第3消去ステップを通じて、第1フラッシュメモリセル210及び第2フラッシュメモリセル220の第1記憶トランジスタ211及び221ならびに第2記憶トランジスタ213及び223に対して同時に消去操作を実行するとき、例えば6Vの第3消去電圧VE3をフラッシュメモリアレイのウェル領域PW 102、第1ビット線BLS0、中間ビット線BLM0及び第2ビット線BLD0に印加し、例えば-6Vの第4消去電圧VE4を第1記憶トランジスタ211及び221のゲート電極に接続された第1制御線MS0と、第2記憶トランジスタ213及び223のゲート電極に接続された第2制御線MD0に印加し、且つ、第2電源電圧VSSをゲーティングトランジスタ212及び222のゲート電極に接続されたワード線WL0に印加するか、又はワード線WL0を浮遊させる。
【0167】
本開示の実施形態によれば、
図22に示すように、第3消去ステップを通じて、フラッシュメモリアレイ全体に対して同時に消去操作を実行することができる。
【0168】
また、上述したように、本開示の実施形態によれば、第3消去ステップで使用される第3消去電圧VE3は、上記の第1消去ステップ及び第2消去ステップで使用される第1消去電圧VE1と同じでも異なってもよく、第3消去ステップで使用される第4消去電圧VE4は、上記の第1消去ステップ及び第2消去ステップで使用される第2消去電圧VE2と同じでも異なってもよい。
【0169】
本開示の実施形態によれば、
図22に示すように、フラッシュメモリアレイ全体に対して消去操作を実行するとき、第3消去電圧VE3をフラッシュメモリアレイのウェル領域PW 102、第1ビット線BLS<0:n-1>、中間ビット線BLM<0:n-1>及び第2ビット線BLD<0:n-1>に印加し、第4消去電圧VE4を第1制御線MS<0:m-1>及び第2制御線MD<0:m-1>に印加し、第2電源電圧VSSをワード線WL<0:m-1>に印加するか又はワード線WL<0:m-1>を浮遊させる。
【0170】
上述したように、FNトンネリングメカニズムに基づく第3消去ステップの消去操作は、バンド間トンネリングホットキャリア注入メカニズムに基づく第1消去ステップ及び第2消去ステップの消去操作と比較して、より多くの行、又はフラッシュメモリアレイ全体に対して消去操作を同時に実行するのに適しているが、消去電圧がより高く、操作速度がより遅く、消去ウィンドウがより小さい。従って、本開示の実施形態によれば、第1(第2)消去ステップと第3消去ステップを組み合わせて使用すると、消去速度と消去効果の最適なトレードオフを実現することができる。具体的には、まず、FNトンネリングメカニズムに基づく第3消去ステップを用いて、フラッシュメモリセル全体又は比較的多い行のフラッシュメモリセルに対して消去操作を実行することによって、FNトンネリング効果の操作電流が小さいという特点を利用して、同時に比較的多い行のフラッシュメモリセルを選択して消去操作を実行して、選択された消去されるフラッシュメモリセルの閾値電圧を比較低い状態に消去することができる。その後、バンド間トンネリングホットキャリア注入メカニズムに基づく第1消去ステップ又は第2消去ステップを用いて、1行又は比較的少ない行のフラッシュメモリセルに対して消去操作を実行することによって、注入された正孔の中和作用を利用して、選択された消去されるフラッシュメモリセルをさらに低い閾値電圧状態に消去することができる。
【0171】
図23は、本開示の実施形態によるフラッシュメモリアレイの消去方法のフローチャートを示す。
【0172】
消去方法1200はステップS1201から開始する。続いて、ステップS1202において、第3消去ステップを通じてフラッシュメモリアレイのすべての行に対して消去操作を実行する。その後、ステップS2103において、フラッシュメモリアレイの1つ以上の行のフラッシュメモリセルを選択し、第1消去ステップ又は第2消去ステップを通じて、選択された行のフラッシュメモリセルに対して消去操作を実行する。また、ステップS1203において、第1消去ステップ又は第2消去ステップが実行されたフラッシュメモリセル行の行アドレスを記憶してもよい。その後、ステップS1204において、フラッシュメモリアレイのすべての行に対して第1消去ステップ又は第2消去ステップを実行したか否かを判定する。「はい」の場合、消去方法1200はステップS1205で終了する。そうでない場合、消去方法1200は、ステップS1203に戻り、以前に記憶された行アドレスに従って、第1消去ステップ及び第2消去ステップが実行されていない行のフラッシュメモリセルに対して消去操作を実行する。
【0173】
本開示の実施形態によるフラッシュメモリアレイの複数のステップを組み合わせた消去方法によれば、第1消去ステップ及び/又は第2消去ステップと、第3消去ステップとを組み合わせて、消去電圧を低下させ消去時間を短縮するとともに、より低い消去閾値電圧を得ることができ、それによって消去操作速度が向上し、フラッシュメモリセルの消去操作の閾値電圧ウィンドウ及び記憶の信頼性が向上する。
【0174】
当業者であれば、本開示のフラッシュメモリアレイの消去方法を
図1に示すフラッシュメモリセルMC 100に関連して上で説明したが、本開示のフラッシュメモリアレイの消去方法は、
図1に示すフラッシュメモリセルMC 100に限定されないことを理解するはずである。当業者は、本開示の教示に基づいて、本開示のフラッシュメモリアレイの消去方法を、例えば1つの記憶トランジスタのみを含むフラッシュメモリセル、又は1つの記憶トランジスタを使用して2ビットデータを記憶するフラッシュメモリセルなどの他のタイプのフラッシュメモリセルに適用することを想定することができ、これらの変形のすべては、本開示の範囲内に含まれるものとする。
【0175】
本開示は、本開示の実施形態を参照して説明されてきたが、当業者は、添付の特許請求の範囲に記載された本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、様々な修正及び変更が可能であることを理解するであろう。
【手続補正書】
【提出日】2024-02-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フラッシュメモリアレイであって、
行方向及び前記行方向と直交する列方向に沿って配列された複数のフラッシュメモリセルと、
前記行方向に沿って延びる複数のワード線セットと、
前記列方向に沿って延びる複数のビット線セットと、を含み、
前記ワード線セットと前記ビット線セットとの交点には、フラッシュメモリセルペアが設けられ、前記フラッシュメモリセルペアは、前記行方向に隣接し同一のビット線セットを共有する第1フラッシュメモリセル及び第2フラッシュメモリセルを含む、ことを特徴とするフラッシュメモリアレイ。
【請求項2】
前記第1フラッシュメモリセル及び前記第2フラッシュメモリセルのそれぞれは、前記列方向に順に直列接続された第1記憶トランジスタ、ゲーティングトランジスタ及び第2記憶トランジスタを含み、
前記第1フラッシュメモリセル及び前記第2フラッシュメモリセルのそれぞれにおいて、前記第1記憶トランジスタのソース領域は該フラッシュメモリセルの第1電極に接続され、前記第2記憶トランジスタのドレイン領域は該フラッシュメモリセルの第2電極に接続される、ことを特徴とする請求項1に記載のフラッシュメモリアレイ。
【請求項3】
各ビット線セットは、第1ビット線、中間ビット線及び第2ビット線を含み、前記第1ビット線は、前記フラッシュメモリセルペアの第1フラッシュメモリセルの第1電極に接続され、前記第2ビット線は、前記フラッシュメモリセルペアの第2フラッシュメモリセルの第2電極に接続され、前記中間ビット線は、前記第1フラッシュメモリセルの第2電極及び前記第2フラッシュメモリセルの第1電極に接続される、ことを特徴とする請求項2に記載のフラッシュメモリアレイ。
【請求項4】
各ビット線セットは、第1ビット線、中間ビット線及び第2ビット線を含み、前記第1ビット線は、前記フラッシュメモリセルペアの第1フラッシュメモリセルの第2電極に接続され、前記第2ビット線は、前記フラッシュメモリセルペアの第2フラッシュメモリセルの第2電極に接続され、前記中間ビット線は、前記第1フラッシュメモリセルの第1電極及び前記第2フラッシュメモリセルの第1電極に接続される、ことを特徴とする請求項2に記載のフラッシュメモリアレイ。
【請求項5】
各ワード線セットは、前記行方向に沿って延びる第1制御線、ワード線及び第2制御線を含み、前記第1制御線は、前記第1記憶トランジスタのゲート電極に接続され、前記ワード線は、前記ゲーティングトランジスタのゲート電極に接続され、前記第2制御線は、前記第2記憶トランジスタのゲート電極に接続される、ことを特徴とする請求項
3に記載のフラッシュメモリアレイ。
【請求項6】
前記列方向に隣接する2つの第1制御線は、第1共通制御線を介して互いに接続され、
前記列方向に隣接する2つの第2制御線は、第2共通制御線を介して互いに接続される、ことを特徴とする請求項5に記載のフラッシュメモリアレイ。
【請求項7】
前記第1制御線、前記ワード線及び前記第2制御線は、多結晶シリコン、珪化物、金属ゲートのうちの少なくとも1つで形成される、ことを特徴とする請求項5に記載のフラッシュメモリアレイ。
【請求項8】
前記第1共通制御線及び前記第2共通制御線は金属層で形成される、ことを特徴とする請求項6に記載のフラッシュメモリアレイ。
【請求項9】
前記中間ビット線は第1金属層で形成され、
前記第1ビット線及び前記第2ビット線は、前記第1金属層とは異なる第2金属層で形成される、ことを特徴とする請求項
3に記載のフラッシュメモリアレイ。
【請求項10】
前記中間ビット線は、前記列方向に延びる第1部分と、前記行方向に延びる第2部分を含み、
前記第1ビット線及び前記第2ビット線は、前記列方向に延びる、ことを特徴とする請求項9に記載のフラッシュメモリアレイ。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載のフラッシュメモリアレイの書き込み方法であって、
第1書き込み電圧を前記第1ビット線に印加し、第2書き込み電圧を前記中間ビット線及び前記第2ビット線に印加し、第3書き込み電圧を前記第1制御線に印加し、第4書き込み電圧を前記ワード線に印加し、第5書き込み電圧を前記第2制御線に印加することによって、前記第1フラッシュメモリセルの第1記憶トランジスタに対して書き込み操作を実行するステップと、
前記第2書き込み電圧を前記第1ビット線に印加し、前記第1書き込み電圧を前記中間ビット線及び前記第2ビット線に印加し、前記第5書き込み電圧を前記第1制御線に印加し、前記第4書き込み電圧を前記ワード線に印加し、前記第3書き込み電圧を前記第2制御線に印加することによって、前記第1フラッシュメモリセルの第2記憶トランジスタに対して書き込み操作を実行するステップと、
第1書き込み電圧を前記第1ビット線及び前記中間ビット線に印加し、第2書き込み電圧を前記第2ビット線に印加し、第3書き込み電圧を前記第1制御線に印加し、第4書き込み電圧を前記ワード線に印加し、第5書き込み電圧を前記第2制御線に印加することによって、前記第2フラッシュメモリセルの第1記憶トランジスタに対して書き込み操作を実行するステップと、
前記第2書き込み電圧を前記第1ビット線及び前記中間ビット線に印加し、前記第1書き込み電圧を前記第2ビット線に印加し、前記第5書き込み電圧を前記第1制御線に印加し、前記第4書き込み電圧を前記ワード線に印加し、前記第3書き込み電圧を前記第2制御線に印加することによって、前記第2フラッシュメモリセルの第2記憶トランジスタに対して書き込み操作を実行するステップと、を含み、
前記第4書き込み電圧は第1電源電圧以下であり、前記第2書き込み電圧は第2電源電圧以上であり、前記第1書き込み電圧は予め設定された電圧よりも高く、前記第3書き込み電圧は前記第1書き込み電圧よりも高く、
前記第1電源電圧は前記第2電源電圧よりも高く、
前記予め設定された電圧は、基板と、前記第1記憶トランジスタ及び前記第2記憶トランジスタのゲート誘電体スタックとの間の界面でのキャリアー障壁高さに基づいて予め設定されたものであり、
前記第1書き込み電圧、前記第4書き込み電圧及び前記第5書き込み電圧は、前記第2書き込み電圧よりも高く、
前記第2書き込み電圧は、定電流負荷により前記第2電源電圧に接続され、
フラッシュメモリセルの書き込み操作中、前記第1書き込み電圧、前記第2書き込み電圧、前記第3書き込み電圧、前記第4書き込み電圧及び前記第5書き込み電圧により、前記フラッシュメモリセルの第1記憶トランジスタ、第2記憶トランジスタ及びゲーティングトランジスタがすべて導通する、ことを特徴とする書き込み方法。
【請求項12】
前記第1電源電圧は0.8V~5Vの範囲内であり、
前記第2電源電圧は接地電圧であり、
前記第1書き込み電圧は3V~6Vの範囲内であり、
前記第3書き込み電圧は4V~12Vの範囲内であり、
前記第5書き込み電圧は3V~8Vの範囲内である、ことを特徴とする請求項11に記載の書き込み方法。
【請求項13】
前記フラッシュメモリセルの書き込み操作中、前記定電流負荷の電流を制御することによって、前記フラッシュメモリセルの第1電極と第2電極との間に流れる電流を制御する、ことを特徴とする請求項
11に記載の書き込み方法。
【請求項14】
フラッシュメモリセルの書き込み操作中、チャネルホットキャリア注入メカニズムにより、前記フラッシュメモリセルの第1記憶トランジスタ又は第2記憶トランジスタに対して書き込み操作を実行する、ことを特徴とする請求項
11に記載の書き込み方法。
【請求項15】
請求項1~10のいずれか一項に記載のフラッシュメモリアレイの消去方法であって、第1消去ステップを含み、前記第1消去ステップでは、
第1消去電圧を前記第1ビット線、前記中間ビット線及び前記第2ビット線に印加し、第2消去電圧を前記第1制御線に印加し、第2電源電圧を前記ワード線及び前記第2制御線に印加するか又は前記ワード線及び前記第2制御線を浮遊させることによって、前記第1フラッシュメモリセル及び前記第2フラッシュメモリセルの第1記憶トランジスタに対して消去操作を実行し、
前記第1消去電圧を前記第1ビット線、前記中間ビット線及び前記第2ビット線に印加し、前記第2電源電圧を前記ワード線及び前記第1制御線に印加するか又は前記ワード線及び前記第1制御線を浮遊させ、前記第2消去電圧を前記第2制御線に印加することによって、前記第1フラッシュメモリセル及び前記第2フラッシュメモリセルの第2記憶トランジスタに対して消去操作を実行し、
前記第1消去電圧は予め設定された電圧よりも高く、前記第2消去電圧は前記第2電源電圧以下であり、
前記予め設定された電圧は、基板と、前記第1記憶トランジスタ及び前記第2記憶トランジスタのゲート誘電体スタックとの間の界面でのキャリアー障壁高さに基づいて予め設定されたものである、ことを特徴とする消去方法。
【請求項16】
前記第2電源電圧は接地電圧であり、
前記第1消去電圧は3V~6Vの範囲内であり、
前記第2消去電圧は-8V~0Vの範囲内である、ことを特徴とする請求項15に記載の消去方法。
【請求項17】
第2消去ステップをさらに含み、前記第2消去ステップでは、
前記第1消去電圧を前記第1ビット線、前記中間ビット線及び前記第2ビット線に印加し、前記第2消去電圧を前記第1制御線及び前記第2制御線に印加し、前記第2電源電圧を前記ワード線に印加するか又は前記ワード線を浮遊させることによって、前記第1フラッシュメモリセル及び前記第2フラッシュメモリセルに対して同時に消去操作を実行する、ことを特徴とする請求項15に記載の消去方法。
【請求項18】
前記フラッシュメモリセルの消去操作中、バンド間トンネリングホットキャリア注入メカニズムにより、前記第1記憶トランジスタ又は前記第2記憶トランジスタに対して消去操作を実行する、ことを特徴とする請求項
15に記載の消去方法。
【請求項19】
第3消去ステップをさらに含み、前記第3消去ステップでは、
第3消去電圧を前記フラッシュメモリアレイの基板、前記第1ビット線、前記中間ビット線及び前記第2ビット線に印加し、第4消去電圧を前記第1制御線及び前記第2制御線に印加し、前記第2電源電圧を前記ワード線に印加するか前記ワード線を浮遊させることによって、前記第1フラッシュメモリセル及び前記第2フラッシュメモリセルに対して同時に消去操作を実行し、
前記第3消去電圧は0V~20Vの範囲内であり、前記第4消去電圧は-10V~0Vの範囲内である、ことを特徴とする請求項15に記載の消去方法。
【請求項20】
前記フラッシュメモリセルの消去操作中、Fowler-Nordheimトンネリングメカニズムにより、前記第1記憶トランジスタ又は前記第2記憶トランジスタに対して消去操作を実行する、ことを特徴とする請求項19に記載の消去方法。
【請求項21】
まず前記第3消去ステップを通じて前記フラッシュメモリアレイ全体に対して消去操作を実行し、その後前記第1消去ステップ又は前記第2消去ステップを通じて前記フラッシュメモリアレイの一部のフラッシュメモリセルに対して消去操作を実行するステップをさらに含む、ことを特徴とする請求項19に記載の消去方法。
【請求項22】
前記第3消去電圧は、前記第1消去電圧と同じか又は異なり、
前記第4消去電圧は、前記第2消去電圧と同じか又は異なる、ことを特徴とする請求項19に記載の消去方法。
【国際調査報告】