(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】機械加工工具、切削インサートホルダ及び切削インサート
(51)【国際特許分類】
B23B 27/16 20060101AFI20240829BHJP
B23B 29/12 20060101ALI20240829BHJP
B23B 29/04 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
B23B27/16 B
B23B29/12 Z
B23B29/04 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024536361
(86)(22)【出願日】2022-08-31
(85)【翻訳文提出日】2024-02-28
(86)【国際出願番号】 EP2022074184
(87)【国際公開番号】W WO2023031262
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】102021122424.1
(32)【優先日】2021-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517440265
【氏名又は名称】シュナイダー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コムパニー コマンデイトゲゼルシャフト
(71)【出願人】
【識別番号】524076350
【氏名又は名称】ハートメタル ヴェルクツォイクファブリク ポール ホーン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100171675
【氏名又は名称】丹澤 一成
(72)【発明者】
【氏名】アッヘンバッハ フェルディナンド
(72)【発明者】
【氏名】ケムラー トビアス
【テーマコード(参考)】
3C046
【Fターム(参考)】
3C046EE11
3C046MM07
(57)【要約】
被加工物(102)を機械加工するための工具(10)は、切削インサート(14、14´)と;切削インサートホルダ(12)であって、内部に切削インサート(14、14´)を選択的に受け入れることができる、第1の中心軸(24)に沿って延びる第1の切削インサート受け部(20)と、第2の中心軸(26)に沿って延びる第2の切削インサート受け部(22)とを含む切削インサートホルダ(12)と;を備え、第1及び第2の中心軸(24、26)は、切削インサート(14、14´)が第1の切削インサート受け部(20)に受け入れられる場合並びに切削インサート(14、14´)が第2の切削インサート受け部(22)に受け入れられる場合に、切削インサート(14、14´)によってカバーされる領域に位置する仮想交点(40)で交差する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物(102)を機械加工するための工具(10)であって、
切削インサート(14、14´)と、
切削インサートホルダ(12)であって、内部に前記切削インサート(14、14´)を選択的に受け入れることができる、第1の中心軸(24)に沿って延びる第1の切削インサート受け部(20)と、第2の中心軸(26)に沿って延びる第2の切削インサート受け部(22)とを含む切削インサートホルダ(12)と、
備え、
前記第1及び第2の中心軸(24、26)は、前記切削インサート(14、14´)が前記第1の切削インサート受け部(20)に受け入れられる場合、並びに前記切削インサート(14、14´)が前記第2の切削インサート受け部(22)に受け入れられる場合に、前記切削インサート(14、14´)によってカバーされる領域に位置する仮想交点(40)で交差する、工具。
【請求項2】
前記切削インサート(14、14´)は、前記切削インサート受け部(20、22)の2つのうちの1つに選択的に受け入れられることによって、前記切削インサートホルダ(12)の2つの異なる位置に固定可能であり、前記位置は、詳細には前記交点(40)の周りで互いに対して枢動する、請求項1に記載の工具。
【請求項3】
前記第1の切削インサート受け部(20)は、前記切削インサート(14、14´)を前記切削インサートホルダ(12)の前側(18)から前記第1の中心軸(24)に沿って挿入可能な第1の受け入れポケットとして構成され、前記第2の切削インサート受け部(22)は、前記切削インサート(14、14´)を前記切削インサートホルダ(12)の前記前側(18)から前記第2の中心軸(26)に沿って挿入可能な第2の受け入れポケットとして構成されている、請求項1又は2に記載の工具。
【請求項4】
前記第1及び第2の切削インサート受け部(20、22)の各々は、詳細には少なくとも実質的にW字形の受け部領域(23)が形成されるように、互いに部分的に重なり合う少なくとも実質的にV字形の凹部として形成されている、請求項1又は2に記載の工具。
【請求項5】
前記切削インサート(14)は、切削プレートとして形成されている、請求項4に記載の工具。
【請求項6】
前記第1の受け入れポケット又は第1の切削インサート受け部(20)の形状は、前記第2の受け入れポケット又は第2の切削インサート受け部(22)の形状と同一である、請求項1から5のいずれか一項に記載の工具。
【請求項7】
前記第1の中心軸(24)及び前記第2の中心軸(26)は、45°未満及び/又は15°を超える鋭角(α)で互いに対して位置合わせされている、請求項1から6のいずれか一項に記載の工具。
【請求項8】
前記切削インサート(14、14´)は、前記切削インサート受け部(20、22)内に、セルフセンタリング様式で受け入れられる又は受け入れ可能である、請求項1から7のいずれか一項に記載の工具。
【請求項9】
前記切削インサート(14、14´)は、少なくとも1つの、詳細には部分的に多角形、楕円形又は円弧形の刃先(42)を有し、前記少なくとも1つの刃先(42)は、少なくとも2つの刃先セグメント(44、44´、46、46´)を有し、前記少なくとも2つの刃先セグメント(44、44´、46、46´)は、前記切削インサート(14、14´)が前記第1の切削インサート受け部(20)に受け入れられる場合、並びに前記切削インサート(14、14´)が前記第2の切削インサート受け部(22)に受け入れられる場合に、前記交点(40)から等距離に配置される、請求項1から8のいずれか一項に記載の工具。
【請求項10】
前記2つの刃先セグメント(44、44´、46、46´)の各々は、少なくとも1つの刃先(42)の全長の少なくとも10%にわたって延びている、請求項9に記載の工具。
【請求項11】
前記2つの刃先セグメント(44、46)は、前記切削インサート(14)が前記第1の切削インサート受け部(20)に受け入れられる場合、並びに前記切削インサート(14)が前記第2の切削インサート受け部(22)に受け入れられる場合に、中心が前記交点(40)と一致する円弧上にある、請求項9又は10に記載の工具。
【請求項12】
前記切削インサートホルダ(12)は、前記切削インサート(14)が前記第1の切削インサート受け部(20)に受け入れられる場合、並びに前記切削インサート(14)が前記第2の切削インサート受け部(22)に受け入れられる場合に、前記切削インサート(14、14´)を前記切削インサートホルダ(12)に固定又はクランプするように適合された固定手段(36)、詳細には正確に1つの固定手段(36)を備える、請求項1から11のいずれか一項に記載の工具。
【請求項13】
前記固定手段(36)は、前記切削インサートホルダ(12)に設けられたねじ山(38)にねじ込むことができるねじを含む、請求項12に記載の工具。
【請求項14】
高さ調整装置(48)が、前記切削インサート(14、14´)の刃先(42)の先端高さを調整するために設けられている、請求項1から13のいずれか一項に記載の工具。
【請求項15】
前記切削インサートホルダ(12)は、請求項17から23のいずれか一項に記載の切削インサートホルダ(12)である、請求項1から14のいずれか一項に記載の工具。
【請求項16】
前記切削インサート(14、14´)は、請求項24又は25に記載の切削インサート(14、14´)である、請求項1から15のいずれか一項に記載の工具。
【請求項17】
被加工物(102)を機械加工するための工具(10)のための切削インサートホルダ(12)であって、
切削インサート(14、14´)を受け入れるための、第1の中心軸(24)に沿って延びる第1の切削インサート受け部(20)と、
前記切削インサート(14、14´)を受け入れるための、第2の中心軸(26)に沿って延びる第2の切削インサート受け部(22)と、
を備え、
前記第1の中心軸(24)及び第2の中心軸(26)は、前記切削インサート(14、14´)が前記第1の切削インサート受け部(20)又は前記第2の切削インサート受け部(22)に選択的に受け入れ可能であるように、互いに対して鋭角(α)で位置合わせされると共に仮想交点(40)で交差する、切削インサートホルダ。
【請求項18】
前記第1の切削インサート受け部(20)は、前記切削インサート(14、14´)を前記切削インサートホルダ(12)の前側(18)から前記第1の中心軸(24)に沿って挿入可能な第1の受け入れポケットとして構成されると共に前記第1の中心軸(24)に沿って測定される第1の受け部深さ(t)を有し、前記第2の切削インサート受け部(22)は、前記切削インサート(14、14´)を前記切削インサートホルダ(12)の前記前側(18)から前記第2の中心軸(26)に沿って挿入可能な第2の受け入れポケットとして構成されると共に前記第2の中心軸(26)に沿って測定される第2の受け部深さ(t)を有する、請求項17に記載の切削インサートホルダ。
【請求項19】
前記切削インサートホルダ(12)の前記前側(18)からの前記仮想交点(40)の距離は、前記第1及び第2の受け部深さ(t)よりも小さい、請求項18に記載の切削インサートホルダ。
【請求項20】
前記第1及び第2の受け部深さ(t)は、同じ大きさである、請求項18又は19に記載の切削インサートホルダ。
【請求項21】
前記第1及び第2の切削インサート受け部(20、22)は、少なくとも実質的にV字形の凹部として、又は非円形、詳細には多角形の断面を有する細長い窪みとして形成されている、請求項17から20のいずれか一項に記載の切削インサートホルダ。
【請求項22】
前記切削インサートホルダ(12)は、機械に取り付ける際に前記切削インサートホルダ(12)の高さを調整するための高さ調整装置(48)を備える、請求項17から21のいずれか一項に記載の切削インサートホルダ。
【請求項23】
前記切削インサート(14、14´)は、請求項24又は25に記載の切削インサート(14、14´)である、請求項17から22のいずれか一項に記載の切削インサートホルダ。
【請求項24】
被加工物(102)を機械加工するための工具(10)のための切削インサート(14、14´)であって、前記切削インサート(14、14´)は、前記被加工物(102)を機械加工するための少なくとも1つの刃先(42)を備える、詳細にはダイヤモンド製の切削部(30)と、前記切削インサートホルダ(12)にクランプするためのクランプ部(28)とを有し、前記クランプ部(28)は棒状である、切削インサート。
【請求項25】
前記クランプ部(28)は、角柱として形成される、及び/又は非円形、詳細には多角形の断面を有する、請求項23に記載の切削インサート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被加工物を機械加工、詳細には(形状)切削加工するための工具に関する。さらに、本発明は、このような工具のための切削インサートホルダに関する。さらに、本発明は、切削インサートに関する。
【0002】
このタイプの工具は、金属、プラスチック、ガラスなどの様々な材料の被加工物の精密加工に使用することができる。典型的には、これらの工具は、CNC全自動機械で使用される。
【0003】
特に好ましくは、本発明による工具は旋削工具である。このような旋削工具は、通常、多部品構造であり、そこに交換可能に取り付けることができる切削インサートを備えた切削インサートホルダを有する。この工具は、例えば、特にプラスチック製の眼鏡レンズの製造に使用することができる。
【背景技術】
【0004】
眼鏡レンズを機械加工する場合、非常に高い精度が要求される。そのため、切削インサートに設けられた刃先は、非常に精密に製造する必要がある。このような理由から、及びガラス又はプラスチックの材料特性から、このような機械加工工具には一般的にダイヤモンド製の刃先が使用される。
【0005】
しかしながら、ダイヤモンド製の刃先は非常に高価である。加えて、ダイヤモンドの刃先はすぐに摩耗するか又は少なくとも数回の機械加工サイクルで眼鏡レンズの高精度機械加工に使用できなくなるので、ダイヤモンドの刃先を有するこのような切削インサートの寿命は比較的短い。このため、工具コストが高くなり、眼鏡レンズの製造コストも高くなる。
【0006】
独国特許第10 2009 040 075 B4号は、非脆性硬質材料で作られている光学被加工物、詳細にはプラスチックの眼鏡レンズを旋削加工するための装置に関する。この装置は、刃先を備えたキャリアを固定できるホルダを備える。機械加工のために円弧状の刃先の異なる円周部分を使用できるように、キャリアは、ホルダ上の2つの異なる位置に固定することができる。この目的のために、キャリアは鈍角に配置された2つの停止面を有し、ホルダは平坦なあわせ面を有する。2つの異なる位置は、どちらの停止面があわせ面に接触しているかによって実現される。
【0007】
上述の眼鏡レンズの製造例は、本発明による工具の多くの可能な例示的用途の1つに過ぎず、それに基づいて、根本的な問題を特に理解しやすい方法で説明できることに留意されたい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】独国特許第10 2009 040 075 B4号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、被加工物を機械加工するための改良された工具を提供することであり、この工具は、特に簡単な構造及び/又はコンパクトな構造を有し、及び/又は、コスト効率及び/又は資源効率の良い方法で製造することができ、及び/又は、切削インサートが、切削インサートホルダ上に、特に簡単な方法で、規定された方法で配置される、又は配置することができる。さらに、このような工具のための対応する切削インサートホルダを提供することも課題である。また、切削インサートホルダに特に簡単で規定された方法で取り付けることができる、及び/又はコンパクトな設計/構造を有する切削インサートを規定することも課題である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様によれば、上述の課題は、被加工物、詳細には光学被加工物、例えば眼鏡レンズを機械加工、詳細には(形状)切削加工するための工具によって解決され、この工具は、切削インサートと、第1の中心軸に沿って延在する第1の切削インサート受け部及び第2の中心軸に沿って延在する第2の切削インサート受け部を有し、この中に切削インサートを選択的に受け入れ可能である、詳細には挿入可能である切削インサートホルダとを有する。第1及び第2の中心軸は、切削インサートが第1の切削インサート受け部に受け入れられる又は挿入される場合及び切削インサートが第2の切削インサート受け部に受け入れられる又は挿入される場合の両方において、切削インサートによってカバーされる区域/領域に位置する仮想交点で交差する。この仮想交点は、好ましくは、切削インサートホルダの外側に位置する。
【0011】
本発明の第2の態様によれば、上述の課題は、このような工具のための切削インサートホルダによって解決され、この切削インサートホルダは、切削インサートを受け入れるための第1の中心軸に沿って延びる第1の切削インサート受け部と、切削インサートを受け入れるための第2の中心軸に沿って延びる第2の切削インサート受け部とを有する。第1の中心軸及び第2の中心軸は、互いに鋭角に位置合わせされると共に仮想交点で交差しており、切削インサートは、第1の切削インサート受け部又は第2の切削インサート受け部に選択的に受け入れ可能、詳細には挿入可能になっている。仮想交点は、好ましくは切削インサートホルダの外側に位置する。
【0012】
従って、本発明による工具で使用される切削インサートホルダは、二重切削インサートホルダとして設計されている。切削インサートホルダへの2つの切削インサートの同時挿入は、好ましくは、切削インサートホルダ及び/又は切削インサートの幾何形状又は設計によって防止される。その代わりに、切削インサートは、第1の切削インサート受け部又は第2の切削インサート受け部のいずれかに挿入することができる。
【0013】
2つの切削インサート受け部に2つの切削インサートを同時に挿入することは不可能であり、その理由は、2つの切削インサート受け部の中心軸が、切削インサートが第1の切削インサート受け部に受け入れられる又は挿入される場合及び切削インサートが第2の切削インサート受け部に受け入れられる場合の両方で、切削インサートによってカバーされる区域/領域に位置する仮想交点で交差するように、互いに斜めに又は所定の角度で配向されているためである。
【0014】
従って、好ましくは、切削インサートは、切削インサートホルダの2つの異なる位置に固定可能であり、詳細には、その位置は、切削インサートを2つの切削インサート受け部のうちの1つに選択的に受け入れることによって、交点の周りで互いに対して枢動する。
【0015】
実際には、2つの切削インサート受け部は、順次、すなわち1つずつ使用される。まず、切削インサートは、一方の切削インサート受け部に固定/クランプされ、この切削インサートの位置で工具が使用されて被加工物が機械加工される。切削インサートの切削部又は刃先の一部が摩耗するとすぐに、切削インサートはもう一方の切削インサート受け部に固定/クランプされる。切削インサートが位置変更/再クランプされると、2つの切削インサート受け部の互いに対する傾きに起因して、切削インサートは自動的に枢動/傾斜位置にされる。その結果、切削インサートの切削部又は刃先は、枢動/傾斜した位置になる。従って、新しい切削インサートの位置で、その後、被加工物は、切削部又は刃先の別の部分でさらに機械加工することができる。
【0016】
このようにして、切削インサートの寿命をほぼ2倍にすることができる。そのためには、切削インサートを切削インサートホルダに一度(例えば半分の時間経過後)再クランプするだけでよい。これは迅速かつ簡単に行うことができる。これによるコスト削減は計り知れない。
【0017】
好ましくは、2つの切削インサート受け部は、切削インサートを一方の切削インサート受け部から他方の切削インサート受け部に再クランプしても、先端高さは変わらないが切削インサートの位置だけが変わるように設計及び互いに対して配置される。詳細には、再クランプ又は位置変更の後、切削インサートは、第1の位置に対して枢動した第2の位置にある。
【0018】
換言すれば、切削インサートの再クランプは、好ましくは、切削インサートの切削部又は刃先の規定された点を中心とした回転のみをもたらすが、切削部又は刃先は並進しないか又は少なくともわずかに並進するだけである。しかしながら、再クランプ自体には、例えば、切削インサートを第1の切削インサート受け部から取り出して第2の切削インサート受け部に挿入するような並進運動が好ましくは必要である。
【0019】
切削インサートを再クランプした後は、切削インサートホルダのわずかな位置調整、例えば先端高さの最低限の調整だけが必要である。従って、切削インサートを再クランプした後、被加工物は、切削部又は刃先の第2の部分を用いて、非常に迅速にさらに機械加工することができる。
【0020】
例えば、第1の切削インサート位置(切削インサートが第1の切削インサート受け部にクランプされた位置)では、被加工物は、切削インサートの切削部又は刃先の第1の部分/セグメントで機械加工され、第2の切削インサート位置(切削インサートが第2の切削インサート受け部に挿入された位置)では、被加工物は、切削部又は刃先の第2の部分/セグメントで機械加工される。
【0021】
上記の2つの切削部は、1つの同じ切削部の別個の区域、すなわち別個のサブセクションとすることができる。しかしながら、少なくとも1つの切削部は、互いに別個に配置されるか又は互いに合流する複数の部分切削部を有することもできる。後者の場合、被加工物は、まず一方の部分切削部又はその刃先で機械加工され、次に他方の部分切削部又はその刃先で機械加工されることになる。ここでは様々な設計が可能である。
【0022】
切削インサートホルダに2つの切削インサート受け部を設けることは、切削インサートの位置を特に簡単に変更できるため、ここでは特に有利である。加えて、切削インサートは非常にコンパクトにすることができる。切削インサートは、摩耗部品であるため交換頻度が高く、従ってコンパクトな構造の方が、資源効率が高いため、これは特に有利である。
【0023】
さらに、切削インサートホルダ上の2つの切削インサート受け部は、切削インサートの異なる位置を非常に正確に及び特定された方法で規定することができる。詳細には、切削インサート受け部を変更した後、使用する切削部又は刃先の新しい部分/セグメントは、切削部又は刃先の以前に使用された部分/セグメントと同じ場所にできるだけ正確に位置決めするのを保証することができる。これにより、ミクロン単位の精度の高精度機械加工が可能になる。
【0024】
好ましい実施形態では、第1の切削インサート受け部は、切削インサートを切削インサートホルダの前側から第1の中心軸に沿って挿入可能な第1の受け入れポケットとして設計される。この実施形態では、第2の切削インサート受け部は、好ましくは、切削インサートを切削インサートホルダの前側から第2の中心軸に沿って挿入可能な第2の受け入れポケットとして設計される。
【0025】
これにより、切削インサートの交換が簡単になる。同時に、切削インサートホルダにおける切削インサートの機械的に安定した確実なクランプを実現することができる。
【0026】
この実施形態では、切削インサート又は少なくともその挿入部又はクランプ部、すなわち切削インサート受け部に受け入れられる又はクランプされる部分は、好ましくは細長い又は棒状である。切削インサート受け部又は受け入れポケットは、好ましくは、適宜、細長い窪み又は凹部又はボアとして形成される。これにより、特に簡単な導入又は挿入、及び安定した確実なクランプが可能になる。
【0027】
特に好ましくは、切削インサート受け部又は受け入れポケットは、その長手方向軸を横切る断面において、非円形、詳細には多角形である。切削インサート又はクランプ部は、好ましくは、対応する非円形、詳細には多角形の断面を有する、及び/又は対応する非円形、詳細には多角形の外側輪郭を有する、及び/又はこれに対応して角柱として設計される。これにより、規定された位置での特に確実で安定したクランプが可能になる。詳細には、セルフセンタリングもこのような方法で実現することができるので、クランプ中又はクランプの結果として、切削インサートは、自動的に規定された位置をとる。
【0028】
別の実施形態では、切削インサート受け部は、切削インサートホルダの上側の凹部として設計され、その各々の中に切削インサートを上方から挿入することができる。これにより、切削インサートの交換が簡単になる。
【0029】
凹部は好ましくはV字形である。切削インサートは、好ましくは、少なくとも部分的に、対応するV字形の外側輪郭を有する。V字形は、切削インサートの規定された位置決め、詳細にはセルフセンタリングを可能にする。この実施形態では、切削インサートは、好ましくは、詳細にはダイヤモンド形の切削プレートとして設計されている。
【0030】
特に好ましくは、凹部は部分的に重なり合い、詳細には、それぞれのV字形凹部によってW字形受け部領域が形成されるようになっている。これにより、切削インサートホルダのコンパクトな構造が実現される。加えて、切削インサートは、これに対応してコンパクトな構造にすることもできる。
【0031】
以下に説明するさらに好ましい実施形態/構成は、好ましくは、本発明による工具に一般的に適用され、別途指示されていない限り、受け入れポケット、V字形凹部などを有する上記の好ましい実施形態/構成に限定されない。
【0032】
2つの切削インサート受け部は、好ましくは互いに同一に成形される。
【0033】
これは、切削インサートを一方の切削インサート受け部から他方の切削インサート受け部に位置変更することに起因する機械加工特性の変化が生じないという利点を有する。切削インサートの位置決めは、切削インサート受け部の形状によって自動的に予め設定され、両方の切削インサート受け部で同じように実施される。
【0034】
第1の中心軸及び第2の中心軸は、好ましくは互いに鋭角で位置合わせされる。特に好ましくは、鋭角は60°以下である。実施形態によっては、鋭角は40°又は35°以下とすることもできる。
【0035】
切削インサートが位置変更/再クランプされた後に切削部又は刃先が枢動する角度は、切削インサート受け部の2つの中心軸の間の角度に対応する。
【0036】
さらなる実施形態/構成では、切削インサートは、少なくとも1つの刃先を有する切削部を有し、少なくとも1つの刃先は、切削インサートが第1の切削インサート受け部に受け入れられる又は挿入される場合及び切削インサートが第2の切削インサート受け部に受け入れられる又は挿入される場合の両方において交点に対して等距離に配置される、2つの刃先セグメントを有する。
【0037】
2つの切削刃セグメントは、上述したように、互いに離れること又は互いに直接合流することができる。これらは、別個の刃先として設計すること又は1つの同じ刃先の部分として設計することもできる。
【0038】
「等距離」とは、2つの刃先セグメントが、交点までの同じ距離を有することを意味する。従って、2つの刃先セグメントは、同等に使用できる。一方の刃先セグメントは、切削インサートが第1の切削インサート受け部に挿入される場合に被加工物を機械加工するために使用される。もう一方の刃先セグメントは、切削インサートが第2の切削インサート受け部に挿入される場合に使用される。従って、1つの同じ切削部又は刃先は、実質的に2回使用することができ、耐用年数も2倍になる。
【0039】
詳細には、切削インサートが第1の切削インサート受け部に受け入れられる場合、第1の刃先セグメントが機械加工位置にある。再クランプ後、又は切削インサートが第2の切削インサート受け部に受け入れられる場合、第2の刃先セグメントが機械加工位置にあり、従って、詳細には、第1の刃先セグメントによって以前に占められていた位置を正確に担う。換言すれば、切削インサートが第2の切削インサート受け部に受け入れられる場合、第2の刃先セグメントは、切削インサートが第1の切削インサート受け部に受け入れられる場合の第1の刃先セグメントと同じ位置にある。
【0040】
好ましくは、2つの刃先セグメントの各々は、少なくとも1つの刃先の全長の少なくとも10%にわたって延びる。
【0041】
従って、2つの刃先セグメントは、好ましくは、刃先上の個々の点又は刃先の非常に短い部分ではなく、肉眼でも見える刃先の実質的な部分/セグメントである。
【0042】
1つの実施形態では、2つの刃先セグメントの各々は、一直線に設計されている。この場合、2つの刃先セグメントは、好ましくは互いに横方向に、すなわち非平行に位置合わせされる。
【0043】
代替的な実施形態では、2つの刃先セグメントは、湾曲した刃先セグメントとして設計される。例えば、2つの刃先セグメントは円弧状である。この場合、2つの刃先セグメントは、互いに直接合流すること、すなわち、互いに直接接続されることも可能である。しかしながら、2つの円弧状の刃先セグメントが互いに分離されることも可能であり、例えば、直線状又は異なる形状の切削部又は刃先セグメントがそれらの間に配置されるようになっている。
【0044】
刃先は、部分的に多角形、楕円形又は円弧形とすることができる。例えば、刃先は、半台形、半楕円、又は半円の形状を有する。しかしながら、刃先セグメントは他の形状を有することができ、例えば、放物線形状の部分を有することができる。同様に、刃先は自由形状とすることができる。好ましくは、少なくとも1つの刃先は、切削インサートの長手方向軸に対して対称に設計される。
【0045】
特に好ましい実施形態では、2つの刃先セグメントは、切削インサートが第1の切削インサート受け部に受け入れられる場合及び切削インサートが第2の切削インサート受け部に受け入れられる場合の両方において、その中心が交点に一致する円弧上にある。
【0046】
この場合、切削インサートが一方の切削インサート受け部から他方の切削インサート受け部に再クランプされるとき、円弧状の刃先はその円弧の中心の周りで位置変更される。このようにして、円弧の一部を形成する2つの刃先セグメントは、最適な方法で互いに同等に使用することができる。切削インサートを位置変更したときの機械加工特性の変化を防止するためには、切削インサートの両方のクランプ位置において、刃先の先端高さが同じになるのを保証すればよい。
【0047】
上述したように、少なくとも1つの刃先が形成される切削インサートの切削部は、好ましくはダイヤモンド製である。このようなダイヤモンドは高価であるため、本発明による切削インサートの再クランプと、それに伴う切削インサートの二重使用の可能性は、この場合に特に有利である。
【0048】
さらなる実施形態では、切削インサートホルダは、切削インサートが第1の切削インサート受け部に受け入れられる場合及び切削インサートが第2の切削インサート受け部に受け入れられる場合の両方で、切削インサートホルダ内の切削インサートをクランプするように適合されたファスナ/固定手段を備える。
【0049】
従って、1つの同じ固定手段を使用して、両方の切削インサート受け部に切削インサートを固定することができる。このことは、工具部品の総数の点で有利であり、また、切削インサートを迅速に再クランプすることができる。
【0050】
ここで、固定手段は、切削インサートホルダに設けられたねじ山にねじ込むことができるねじを含むことが特に好ましく、このねじ山は、好ましくは、第1の切削インサート受け部及び第2の切削インサート受け部に対して等距離に配置されている。
【0051】
従って、切削インサートの固定/クランプのタイプは、切削インサートが一方の切削インサート受け部から他方の切削インサート受け部に位置変更/再クランプされる場合に変わらない。
【0052】
2つの切削インサート受け部における切削インサートの同等及び/又は規定されたクランプという上述の特性を可能にするために、第1の切削インサート受け部は、第1の中心軸に沿って測定される第1の受け部深さを有し、第2の切削インサート受け部は、第2の中心軸に沿って測定される第2の受け部深さを有することが好ましい。これに関連して、受け部深さは、好ましくは、切削インサートホルダの前側から始まるそれぞれの切削インサート受け部の長手方向伸長部、詳細には切削インサートホルダによって形成される切削インサートのための停止面までの伸長部であると理解される。
【0053】
従って、切削インサートは、好ましくは、受け部深さの長さにわたってのみ切削インサート受け部に挿入することができ、特に好ましくは、切削インサートのための停止部がそれぞれの切削インサート受け部に形成される。これにより、切削インサート、詳細には刃先の規定された位置決めが可能になる。詳細には、受け部深さ又は停止部は、切削インサートが切削インサート受け部に受け入れられる距離を制限する、及び/又は前面からの刃先の距離を規定する。
【0054】
好ましくは、切削インサートホルダの前側からの仮想交点の距離は、第1及び第2の受け部深さよりも短い。しかしながら、第1及び/又は第2の受け部深さは、切削インサートホルダの前側からの仮想交点の距離よりも短くすることも可能である。
【0055】
2つの受け部の深さは、好ましくは同じ大きさである。
【0056】
ここでは2つの切削インサート受け部について述べたが、本発明による工具はこれに限定されない。原理的には、切削インサートホルダに3以上の切削インサート受け部を設けることも可能であろう。例えば、3つの切削インサート受け部を備える実施形態では、切削インサートは、3つの異なる位置で使用することができる。例えば、切削インサートの刃先の3つの刃先セグメントは、従って、被加工物を機械加工するために時間的に連続して使用されることになる。従って、本開示は、切削インサートホルダが、中心軸が互いに対して斜めに配向されている限り、少なくとも2つの切削インサート受け部を有するものとして理解される。
【0057】
本発明の別の態様は、被加工物を機械加工、詳細には(形状)切削加工するための工具のための切削インサートに関する。切削インサートは、被加工物を機械加工するための刃先を備える、詳細にはダイヤモンド製の切削部と、切削インサートホルダに挿入/クランプするための棒状の挿入部/クランプ部とを有する。棒状に起因して、切削インサートは、対応する切削インサートホルダに特に簡単に挿入又は導入すること、詳細には差し込む/押し込むことができる。加えて、クランプ部の長さに沿った安定した及び確実なクランプが可能になる。
【0058】
特に好ましくは、クランプ部は角柱として設計される、及び/又は、非円形、詳細には多角形の断面、又は非円形、詳細には多角形の外側輪郭を有する。これにより、規定された位置で特に確実かつ安定したクランプが可能になる。詳細には、セルフセンタリングもこの方法で実現することができ、切削インサートは、クランプ中及び/又はクランプの結果として、自動的に規定された位置になる。
【0059】
本発明のさらなる態様は、本発明による工具を用いて、好ましくは光学被加工物を機械加工するための装置及び/又はリニア駆動装置、詳細には高速工具駆動装置に関する。これによって対応する利点を達成することができる。
【0060】
本発明のさらなる態様は、特に好ましくはリニア駆動装置又は高速工具駆動装置において、又はリニア駆動装置又は高速工具駆動装置と共に、光学被加工物、詳細にはレンズ又は眼科用/眼鏡レンズを機械加工するための本発明による工具の使用に関する。
【0061】
上述の態様及び特徴、及び以下に説明する態様及び特徴は、本開示の範囲から逸脱することなく、それぞれの場合に示される組み合わせで使用すること、他の組み合わせで使用すること、又は単独で使用することができることを理解されたい。
【0062】
本発明の例示的な実施形態は、図面に示され、以下の説明を参照してより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【
図1】第1の構成における本発明による工具の第1の例示的な実施形態の斜視図である。
【
図2】第2の構成における本発明による工具の第1の例示的な実施形態の斜視図である。
【
図6】本発明による工具の原理を説明するための上方からの上面図中の原理図である。
【
図7】
図4に示す本発明による工具の縦断面図である。
【
図8】
図5に示す本発明による工具の断面図である。
【
図9】本発明による工具の第2の例示的な実施形態の斜視図である。
【
図10】本発明による工具の第3の例示的な実施形態の上方からの上面図である。
【
図11】本発明による工具の第3の例示的な実施形態の原理を説明するための原理図である。
【
図12】本発明による工具の第4の例示的な実施形態の説明図である。
【
図13】本発明による工具を用いて被加工物を機械加工するための装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0064】
図1-8は、本発明による工具の第1の例示的な実施形態を様々な図で示す。工具は、その全体が参照番号10で示されている。
【0065】
工具10は、切削インサートホルダ12と、切削インサートホルダ12に取り付けられる/固定される/締結される切削インサート14とを有する。
【0066】
本例示的な実施形態では、切削インサートホルダ12は、受け入れカセットとして設計される、及び/又は、その背面側に(工具)機械インターフェース16を有し(
図3参照)、これにより、(工具)機械、詳細にはリニア駆動装置及び/又は高速工具駆動装置に取り付けることができる。しかしながら、本発明は、切削インサートホルダ12のこのような形状及び構成に限定されない。切削インサートホルダ12は、他の形状を有することができる。例えば、切削インサートホルダは、通常の旋削工具の場合と同様に、ビーム状とすることも可能である。
【0067】
特に好ましくは、切削インサートホルダ12は金属製、詳細にはステンレス鋼製であり、及び/又は一体的に形成又は成形されている。
【0068】
その前面/前側18において、切削インサートホルダ12は、2つの切削インサート受け部20、22を有する。本明細書では、これらを第1の切削インサート受け部20及び第2の切削インサート受け部22と呼ぶ。2つの切削インサート受け部20、22は、斜めに又は互いに傾斜して、好ましくは鋭角に配向されている。
【0069】
詳細には、前面18は、切削インサートホルダ12の被加工物に面する側、及び/又は機械加工中に機械接合部16から離れる側に面する側として理解される。取り付け状態において、工具10及び/又は切削インサートホルダ12が装置及び/又は駆動装置に使用及び/又は取り付けられると、前側18は、好ましくは、実質的に垂直方向に延びる。
【0070】
切削インサート14は、第1の切削インサート受け部20又は第2の切削インサート受け部22に選択的に挿入することができる。
図1及び4に示す構成では、切削インサート14は第1の切削インサート受け部20に挿入されている。
図2及び5に示す第2の構成では、切削インサート14は第2の切削インサート受け部22に挿入されている。
図6は、実際に実施可能な何らかの構成に対応しない原理的な表現である。
図6では、切削インサート14は、第1及び第2の切削インサート受け部20、22のそれぞれに挿入され、切削インサート14の一部の領域が重なって示されている。
【0071】
2つの切削インサートを2つの切削インサート受け部20、22に同時に挿入することは意図されていない。所与の配置及び空間条件のため、これは全く不可能であり、詳細には
図6から分かるように、一部の領域が重なっているためである。その代わりに、実際には、切削インサート14は、最初に、第1又は第2の切削インサート受け部20、22に挿入され、その後、さらなる処理ステップで、それぞれの他の切削インサート受け部20、22に挿入される。
【0072】
切削インサート受け部20、22は、好ましくは同一の設計である。これは、形状及びサイズが同一であることを意味する。これらは互いに位置及び向きのみが異なる。これは特に
図5から分かり、この図では実際には見えないはずの切削インサート受け部20、22の位置が破線で示されている。
【0073】
第1の切削インサート受け部20は、
図6に破線で示す第1の中心軸24に沿って延びている。第2の切削インサート受け部22は第2の中心軸26に沿って延びており、これも
図6に破線で示されている。2つの中心軸24、26が互いに対して位置合わせされる鋭角は、
図6では角度αとして表されている。
【0074】
切削インサート受け部20、22は、好ましくは、切削インサートホルダ12の細長い間隙、凹部又は窪みとして形成される。
【0075】
切削インサート受け部20、22は、好ましくは、前側18から切削インサートホルダ12内へ、特に前側18に対して少なくとも実質的に直交して、及び/又は、工具10又は切削インサートホルダ12の取り付け状態において少なくとも実質的に水平方向に延びる。
【0076】
好ましくは、切削インサート受け部20、22は、その全長にわたって互いに間隔をあけて配置されている、及び/又は、前側18において既に間隔をあけて配置されている。しかしながら、切削インサート受け部20、22が、特に前側18において、部分的に重なり合うか又は交差する解決策も可能である。しかしながら、いずれの場合も、切削インサート受け部20、22は、前側18とは反対側の端部において間隔をあけて配置されている。
【0077】
好ましくは、切削インサート受け部20、22の各々は、詳細には
図8に示すように、それらの長手方向伸長部に直交する、及び/又はそれぞれの中心軸24、26に直交する、丸くない又は非円形の内側輪郭及び/又は丸くない又は非円形の断面を有する。
図8は、中心軸26に直交する断面を示す。詳細には、(各々の)切削インサート受け部20、22によって形成される内面は、円形-円筒形ではない。
【0078】
この断面は、好ましくは、切削インサート受け部20、22の全長にわたって一定又は均一である。
【0079】
特に好ましくは、断面は多角形であり、図示の例では三角形であり、及び/又は切削インサート受け部20、22の各々は、角柱間隙、凹部又は窪みによって形成されている。
【0080】
非円形又は多角形の内側輪郭又は非円形又は多角形の断面は、好ましくは、直線状の側面を有するが、角部又は側面が接する部分で丸みを帯びることができる形状を意味すると理解される。三角形の輪郭又は三角形の断面を有する
図8の例では、3つの角部が適宜、丸みを帯びている。しかしながら、湾曲した側面も可能である。
【0081】
角柱間隙、凹部又は窪みは、好ましくは、多角形のベース面をもつ間隙、凹部又は窪みに対応し、この場合、縁部及び/又は角部は丸みを帯びることができる。側面は、好ましくは平坦であるが、曲率を有することもできる。
【0082】
切削インサート14は、好ましくは実質的にビーム状又は棒状の挿入部/取り付け部/クランプ部28と、切削インサート14の前端に配置された切削部30とを有する。
【0083】
クランプ部28は、好ましくは硬質金属又は(超硬)カーバイドで作られている。
【0084】
好ましくは、クランプ部28は、切削インサート受け部20、22の断面形状に適合している。
【0085】
好ましくは、クランプ部28は、詳細には
図8に示すように、丸くない又は非円形の外側輪郭及び/又はその長手方向伸長部に直交する丸くない又は非円形の断面を有する。詳細には、クランプ部28は、円形-円筒形ではない。特に好ましくは、断面は多角形であり、図示の例では三角形であり、及び/又はクランプ部28は少なくとも実質的に角柱として形成されている。
【0086】
「丸くない」、「多角形」及び「角柱」という用語に関しては、好ましくは、切削インサート受け部20、22に関する説明と同じ説明が適用される。詳細には、クランプ部28の縁部及び/又は角部は丸みを帯びることができ、及び/又はその側面は湾曲することができる。
【0087】
クランプ状態で前側18から突出する切削インサート14の一部又は部分は、切削インサート受け部20、22に位置するクランプ部28とは異なる設計とすることができるが、同じ設計であることが好ましい。特に好ましくは、切削インサート14は、詳細には硬質金属又は(超硬)カーバイドのロッド状、棒状又はビーム状、好ましくは角柱状部分、及び、詳細にはダイヤモンドの又はダイヤモンドで被覆された切削部30のみで構成される。
【0088】
切削インサート14は、好ましくは一体部品として形成され、詳細には切削部30は、切削インサート14にダイヤモンドをろう付けすることによって製造される。あるいは、ダイヤモンドで被覆することも可能である。また、切削部30が(研削又は鋭利化された)硬質金属又は(超硬)カーバイドで作られる解決策も可能である。
【0089】
特に好ましくは、
図1-8に示される、切削インサート受け部20、22は、切削インサート14を前側18からそれぞれの切削インサート受け部20、22に挿入できるように、受け部ポケットとして設計/構成されている。
【0090】
特に好ましくは、クランプ部28及びそれぞれの切削インサート受け部20、22の非対称な断面により、導入又は挿入は特定の向きでのみ可能である。
【0091】
図8に示す例では、それぞれの断面は例えば二等辺三角形であり、特に角部が丸く、その底辺はそれ以外の辺とは異なる、特に短い長さを有する。詳細には、断面は正三角形ではない。このようにして、詳細には、切削インサート14の誤った位置決めを避けることができる。
【0092】
しかしながら、切削インサート14をそれぞれの切削インサート受け部20、22に異なる向きで挿入する、及び/又はそれぞれの断面が対称である、詳細には正三角形である解決策も可能である。これは、切削部30の異なる切削部分又は異なる部分を使用することができる場合、有利な場合がある。1つの切削インサート受け部20、22から別の切削インサート受け部22、20への再クランプ/変更に加えて、切削インサート14の向きを変えることによって、特にその長手方向軸の周りで回転させることによって、異なる切削部分又は刃先セグメントを選択することができる。
【0093】
各切削インサート受け部20、22は、好ましくは、後方停止面/後方位置決め面32を有する(
図7参照)。切削インサート14及び/又はクランプ部28は、好ましくは、対応する(対抗する/接合する)接触面/当接面34を有し、この接触面/当接面は、取り付け状態において停止面32に当接する。詳細には、取り付け時、切削インサート14は、(対抗する/接合する)当接面34が停止面32に当接するまで、それぞれの切削インサート受け部20、22に挿入される、詳細には導入される、又は押し込まれる、又は摺動される。このようにして、切削部30の規定された位置決め、詳細には、好ましくは切削部30の前側18からの規定された距離が達成される。
【0094】
代わりに前側18が停止部を形成する解決策も可能である。この場合、切削インサート14上のカラーなどが、好ましくは対応する対抗する停止部を形成し、切削インサート14は、この対抗する停止部までしか挿入できないようになっている。
【0095】
切削インサート受け部20、22の深さtは、切削インサートホルダ12の前側18からその後方停止面32までで測定され、本明細書では受け部深さtとも呼ばれるが、両方の切削インサート受け部20、22に関して好ましくは同じである。このことは、ここに示され、以下により詳細に説明されるように、円形の刃先42を有する切削部30の場合に特に有利であり、その理由は、切削インサート14が受け入れられる切削インサート受け部20、22に関係なく、結果として、刃先42と前側18との間で同じ距離を保証できるからである。
【0096】
しかしながら、切削インサート受け部20、22の受け部深さtが異なる解決策も可能である。これは特に、切削部30又はその刃先42が、例えば切削部30の製造又は幾何形状によって課される制限のために、非対称に設計されている場合に考えられる。切削インサート受け部20、22の挿入深さが同じでも、このような非対称性により、前側18からの切刃42の距離が異なる可能性がある。異なる受け部の深さtは、好ましくは、非対称性を補償すること、又は前側18から非対称な刃先42又は切削部30までの距離が全ての切削インサート受け部20、22で同じになるのを保証することができる。
【0097】
切削インサート14は、好ましくは、切削インサートホルダ12に設けられた受け部、詳細には、ねじ山38に係合する、締結具/締結手段/固定手段36、詳細には、ねじによって、それぞれの切削インサート受け部20、22にクランプ又は固定される。
【0098】
好ましくは、(厳密に)1つ又は同じ固定手段36又はねじは、両方の切削インサート受け部20、22で切削インサート14をクランプ/固定するために使用される。
【0099】
特に好ましくは、固定手段36又はねじのために、唯一の受け部又は唯一のねじ山38が設けられる。従って、好ましくは、第1の切削インサート受け部20及び第2の切削インサート受け部22の両方に切削インサート14を固定する、詳細にはクランプするために、同じ位置又は受け部に同じ固定手段36を使用することが意図される。
【0100】
固定手段36/ねじ又は受け部/ねじ山38は、好ましくは、切削インサート14又はそのクランプ部28を、第1の切削インサート受け部20及び第2の切削インサート受け部22の両方で、均等に又は等しい力でクランプするように位置決めされている。
【0101】
均等な/等しいクランプが達成されるように、固定手段36/ねじ及び/又は受け部/ねじ山38の正確な位置決めは、切削インサートホルダ12の幾何形状に依存し、例えばFEMシミュレーションを用いて決定することができる。
【0102】
完全に対称な切削インサートホルダ12の場合、固定手段36/ねじ又は受け部/ねじ38は、2つの中心軸24、26の間及び/又は中心軸24、26から等距離に配置することができる。切削インサートホルダ12は、図示の例では、前側18の領域において非対称に設計されているので、そこでの配置は、第1の中心軸24の方向にわずかにオフセットしている。
【0103】
好ましくは、切削インサート14は、固定手段36又はねじを緩めることによって、再クランプ/位置変更又は交換することができるが、固定手段36を完全に取り外す又はねじをねじ山38から完全に外す必要はない。これにより、特に簡単な変更が可能になる。
【0104】
特に好ましくは、切削インサート14のセルフセンタリングは、切削インサート14がそれぞれの切削インサート受け部20、22に固定される際に行われる。これは、好ましくは、切削インサート14が、固定/クランプ中に、切削インサート受け部20、22内で、及び/又は、それぞれの中心軸24、26に対して、及び/又は、切削インサートホルダ12に対して、自動的に又は自動で規定された位置をとることを意味すると理解される。好ましくは、セルフセンタリングは、それぞれの中心軸24、26に対して直交方向に行われるが、中心軸24、26の方向における規定された位置決めは、上記で説明したように、停止面32及び(接合する/対抗する)当接面34によって行われる。
【0105】
以下、
図8を参照して切削インサート14の締結/固定の特に好ましい実施形態をより詳細に説明する。
【0106】
切削インサートホルダ12は、好ましくは、第1のセクション/部分12A及び第2のセクション/部分12Bを有する。部分12A、12Bの各々は、好ましくは、板状様式に形成される。しかしながら、上記で詳細に説明したように、切削インサートホルダ12は、好ましくは一体的に(一部品として)形成されるので、詳細には、部分12A、12Bも、切削インサートホルダ12と一体的に(一部品として)形成されている。
【0107】
第1の部分12A及び第2の部分12Bは、好ましくは、スロット又は隙間39によって互いに分離されている。隙間39は、好ましくは、切削インサートホルダ12の取り付け状態において、前側18から、詳細には前側18に対して直交方向に及び/又は少なくとも実質的に水平方向に延びている。
【0108】
隙間39は、好ましくは、切削インサート受け部20、22を貫通して延びる、及び/又はそれらを2つのセクション/部分に分割する。特に好ましくは、詳細には
図7から分かるように、隙間39は、切削インサート受け部20、22を越えて延びている。
【0109】
図8に示すように、隙間39は、好ましくは、切削インサートホルダ12を通って中心から外れて延びている、及び/又は、部分12A、12Bは、好ましくは、異なる厚さを有する、及び/又は、前側18に平行に異なる伸長部を有する。
【0110】
好ましくは、第1の部分12Aはねじ山38を有する、及び/又は、第2の部分12Bは開口部/開口又はボア37を有する。ねじは、好ましくは、第2の部分12B、詳細には開口37を貫通し、第1の部分12A、詳細にはそのねじ山38にねじ込まれる。
【0111】
好ましくは、ねじをねじ込む又は締め付けることによって、第1の部分12Aは第2の部分12Bの方に引き寄せられる、及び/又は隙間39の幅が縮小される。これにより、切削インサート14、詳細にはそのクランプ部28は、それぞれの切削インサート受け部20、22内で、及び/又は第1及び第2の部分12A、12Bの間で固定される、詳細にはクランプされる。
【0112】
特に好ましくは、この場合、第1の部分12Aのみが移動する、及び/又は、第1の部分12Aが第2の部分12B及び/又はクランプ部28に対して固定される/付勢される/張力を加える。これは、詳細には、第2の部分12Bに比べて第1の部分12Aの板厚を小さくすることによって達成することができる。これは、切削インサート14の規定された位置決めを助長する。
【0113】
切削インサート14のセルフセンタリングは、好ましくは、切削インサート14の断面及び/又はそれぞれの切削インサート受け部20、22の対応する断面、詳細には上記で説明したようなそれぞれの多角形断面によって実現される。
【0114】
図8に示す例では、切削インサート14の断面は、三角形状及び/又はくさび形状を有する。この形状は、好ましくは、切削インサート14が意図された規定位置に自動的又は自己作動的に固定/クランプされることを保証する。ここでは他の断面形状も考えられる。
【0115】
クランプ部28は、それぞれの切削インサート受け部20、22の内面に対して完全に横たわる/当接する必要はない。
図8に示す例では、(平坦な)側面のみがそこに当接しており、(丸みを帯びた)縁部は当接していない。
【0116】
好ましくは、切削インサート14は、一方の切削インサート受け部から他方の切削インサート受け部への位置変更後、枢動位置にあるのみで、何らかの並進変位は受けない。位置変更によって得られる位置は、詳細には
図6で見ることができる仮想交差点又は仮想交点40を中心に角度αだけ枢動することに相当する。仮想交点40は、2つの中心軸24、26の幾何学的な交点である。この交点40は、切削インサート14が第1の切削インサート受け部20に挿入される場合及び切削インサート14が第2の切削インサート受け部22に挿入される場合の両方で、切削インサート14によってカバーされる領域に位置する。
図6では、このことは、第1の切削インサート受け部20に挿入された位置及び第2の切削インサート受け部22に挿入された位置の両方における切削インサート14が、1つの同じ図に示されていることによって概略的に示されている。
【0117】
通常の使用位置において、及び/又は、工具10及び/又は切削インサートホルダ12が対応する装置又は機械に取り付けられる/装着される場合に、2つの切削インサート受け部20、22が位置する平面は、好ましくは少なくとも実質的に水平である。従って、再クランプ又は位置変更後、切削インサート14は、好ましくは、以前と同じ高さ及び/又は同じ水平面にある。詳細には、位置変更は、水平面内の切削インサート14の枢動位置をもたらす。
【0118】
好ましくはダイヤモンド製である切削部30は、
図1-8に示す第1の例示的な実施形態では、弓状/湾曲状/円弧状の刃先42を有する。ここに示す例では、刃先42は円弧状である。この円弧の中心は交点40と一致する。従って、切削インサート14を一方の切削インサート受け部20から他方の切削インサート受け部22に、又はその逆に、再クランプすることによって、刃先42は、結果的に、交点40を中心に単に枢動されるだけであり、刃先42の個々のセクション/部分は、1つの同じ円弧上にとどまる。
【0119】
ここで、円弧状の刃先42の一部を第1の刃先部分/セグメント44とみなし、刃先42の隣接部分を第2の刃先部分/セグメント46とみなすと、これら2つの刃先セグメント44、46は同等の方法で使用することができる。第1の刃先セグメント44は、切削インサート14が第1の切削インサート受け部20に固定/クランプされているときに使用することができる。第1の刃先セグメント44のこの使用位置又は機械加工位置は、
図6において実線で示されている。第2の刃先セグメント46は、切削インサート14が第2の切削インサート受け部22に固定/クランプされているときに使用することができる。次に、第2の刃先セグメント46は、第1の刃先セグメント44が以前に位置していた使用位置又は機械加工位置に移動する。第1の刃先セグメント44は、
図6に破線で示す使用位置又は機械加工位置から移動する。使用位置又は機械加工位置は、好ましくは中心軸24、26の間に位置する。2つの刃先セグメント44、46は、刃先42の何らかの部分とすることができ、これらは互いに隣接して配置されるか又は互いに合流することもある。
【0120】
従って、切削インサート14の固定/取り付け/クランプに応じて、被加工物を機械加工するために刃先42の異なる部分/一部を使用することが可能である。その結果、1つの同じ切削部30を2回使用することができる。ここで、2つの刃先セグメント44、46は、好ましくは、交点40に対して等距離にあり、好ましくは、切削インサート14の長手方向軸に対して対称である。
【0121】
図示の例では、切削インサートホルダ12は、高さ調整装置48を有する。ここに示す例示的な実施形態では、高さ調整装置48は、切削インサートホルダ12の後側からアクセス可能であるが(詳細には
図3参照)、ここでは他の解決策も可能である。
【0122】
高さ調整装置48によって、工具10及び/又は切削インサートホルダ12の高さは、好ましくは、切削インサートホルダ12が取り付けられる又は取り付けられることになる機械に対して調整すること、詳細には設定すること又は位置決めすることができる。
【0123】
これに関連して、「高さ調整」は、好ましくは、少なくとも基本的に垂直な位置合わせを意味すると理解されるが、調整は、機械に応じて、別の空間方向に行うこともできる。例えば、複数の調整装置を設けることによって、複数の空間方向での調整機能も想定することもできる。「先端高さ」は、好ましくは、刃先42の高さ又は垂直位置として理解される。
【0124】
詳細には高さ調整装置48によって、刃先42の先端高さの調整又は設定を行うことができる。
【0125】
高さ調整装置48によって行われる調整は、ここでは好ましくはラフな/粗い事前調整にのみ役立つ。例示的に、
図13を参照して、工具10で機械加工される又は機械加工されることになる被加工物の高さの微調整によって、どのように微調整を行うことができるかを以下にさらに説明する。
【0126】
刃先42が摩耗した場合、これは好ましくは再加工/再調整される、詳細には再研磨又は再ラッピング(relapped)される。このようにして、切削インサート14は再使用することができ、コスト及び資源を節約することができる。好ましくは、これは複数回又は可能な限り何回も、詳細には2回又は5回より多く及び/又は10回未満で行われる。しかしながら、再調整は、刃先42の先端高さを、例えば1回の再調整につき0.1mmより大きく変化させる、詳細には減少させる。新品の切削インサート14と数回再調整された切削インサート14との差は、最大0.8mm又はそれ以上変化する可能性がある。
【0127】
高さ調整装置48は、好ましくは、刃先42の再調整によって生じる先端高さの変化を少なくとも部分的に補償する役割を果たす。これは、このような大きな高さ変化を被加工物側で補償できない場合に特に有利である。従って、詳細には、例えば0.1mm以上の粗い/ラフな、つまり第1の高さ調整は、高さ調整装置48によって行われ、例えば精度0.01mm又は0.001mmの微細な、つまり第2の高さ調整は、被加工物の高さを調整することによって行われる。
【0128】
好ましくは、先端高さは、高さ調整装置48によって、合計0.8mm又は1mmより大きい、及び/又は2.5mm又は2mm未満、特に好ましくは0.1mmより大きい、及び/又は0.3mm未満の離散的増分で調整することができる。
【0129】
図示の例では、高さ調節装置48は、好ましくは、工具10が取り付けられる/装着されるキャリッジ(図示せず)上の対応する対抗停止部のための停止面を形成する。高さ調整装置48を作動、詳細には回転させることにより、停止面は、高さを変位させること、又は工具10が高さ調整されるように新たな停止面を設定することができる。
【0130】
図示の例において、詳細には
図3に示すように、高さ調節装置48は、好ましくは、回転可能な多角形の円板を有する。ここで、側面は、偏心して配置された回転軸に対して異なる距離を有し、側面の1つが停止面を形成する。回転は、回転軸からの距離が異なる別の側面に停止面を形成するようにさせる。
【0131】
しかしながら、高さ調整装置48なしで、工具10及び/又は切削インサートホルダ12を形成することも可能である。これは、
図9に例示的に示されている。
【0132】
図9は、本発明による工具10の第2の例示的な実施形態を
図3に対応する図で示す。上記の特徴及び説明は、好ましくは、繰り返しが省略されたとしても、適宜に、追加的に又は補足的に適用される。
【0133】
好ましくは、第1の例示的な実施形態と第2の例示的な実施形態との唯一の相違点は、第2の例示的な実施形態では高さ調節装置48が設けられていない点である。
【0134】
高さ調整装置48は、詳細には、工具10が、それ自体で被加工物側のより大きな高さの差を補償することができる装置において使用される場合には、省略することができる。さらに、高さ調整装置48は、例えば切削インサート14が再使用されない場合など、一般的に高さ調整又は設定が不要な場合にも省略することができる。詳細には、切削部30が安価な材料で作られている場合には、このような場合が考えられる。
【0135】
図10及び11は、本発明による工具10の第3の例示的な実施形態を示す。これまでの特徴及び説明は、好ましくは、繰り返しが省略されたとしても、適宜に、追加的に又は補足的に適用される。
【0136】
図10及び11において、切削インサートホルダ12は、好ましくは、上述同様に、すなわち第1の例示的な実施形態による切削インサートホルダ12と同様に構成される。切削インサート14´は、好ましくは、切削インサート14とは、わずかに異なる切削部30´によってのみ異なる。
【0137】
第3の例示的な実施形態では、切削部30´は、部分的に多角形である又は多角形である。刃先42´は、複数の直線的な/直線状の刃先セグメント44´、46´を有する。これらの刃先セグメント44´、46´は、交点40に対して等距離に配置されている。従って、切削インサート14´は、両方の方向、すなわち、第1の切削インサート受け部20に挿入される場合及び第2の切削インサート受け部22に挿入される場合の両方において、上述と同じ方法で使用することもできる。
図11では、第1及び第2の刃先セグメント44´、46´の位置が
図6に類似して示されている。詳細には、第1の刃先セグメント44´は、使用位置又は加工位置(実線)と、そこからオフセットされた位置(破線)の両方で示されている。
【0138】
刃先は、長円形又は楕円形であることも可能である。
【0139】
第3の例示的な実施形態による切削インサート14は、高さ調整装置48なしで、第2の例示的な実施形態による切削インサートホルダ12に使用することもできる。
【0140】
図12は、本提案による工具10の第4の例示的の実施形態を示す。以下の説明では、基本的に、これまでの例示的な実施形態との相違点のみを説明する。これまでの特徴及び説明は、好ましくは、繰り返しが省略されたとしても、適宜に、追加的に又は補足的に適用される。同一又は類似の構成要素に関して、詳細には同一又は類似の特性、利点及び効果も達成される場合には、上記と同じ参照符号が使用される。
【0141】
第4の例示的な実施形態は、切削インサート受け部20、22及び対応する切削インサート14の構成及び設計において、上記の例示的な実施形態と異なる。
【0142】
第4の例示的な実施形態では、切削インサート受け部20、22は、好ましくは、工具10及び/又は切削インサートホルダ12の上側又は上面19の上に配置又は形成されている。
【0143】
上側19は、ここでは、好ましくは、工具10及び/又は切削インサートホルダ12の側面であり、前側18に対して横方向に、詳細には直交方向に配置されている。工具10及び/又は切削インサートホルダ12が装置又は駆動装置に使用される及び/又は取り付けられる場合、上側19は、好ましくは実質的に水平方向に延在する。
【0144】
特に好ましくは、上側19は、工具10及び/又は切削インサートホルダ12が取り付け状態にある場合に、上向きに方向づけられる又は上方からアクセス可能な側面である。しかしながら、ここでは他の解決策も可能である。
【0145】
第4の例示的な実施形態では、切削インサート受け部20、22は、好ましくは、上側19に間隙、凹部、又は窪みとして形成される。詳細には、間隙、凹部又は窪みは、それぞれの中心軸24、26に沿って、前側18から又は前側18と上側19との間の縁部から延びている。
【0146】
好ましくは、切削インサート受け部20、22は、少なくとも実質的にV字形状である、及び/又は、前側18から又は前側18と上側19との間の縁部からそれぞれの中心軸24又は26の方向にテーパ付けされている。
【0147】
図示の例では、切削インサート受け部20、22は、そのテーパ付けされた端部又は後端が丸みを帯びている。しかし、ここでは他の解決策も可能である。
【0148】
また、この例示的な実施形態において、受け部の深さは、好ましくは、それぞれの切削インサート受け部20、22の伸長部、詳細には、それぞれの切削インサート受け部20、22を形成する間隙、凹部又は窪みの伸長部であると理解され、前側18から、ここでは詳細には上側19に沿って始まる。詳細には、ここでも、受け部の深さは、切削インサート14が切削インサート受け部20、22に収容される距離を制限する、及び/又は、前側18からの切削部30又は刃先42の距離を規定する。
【0149】
切削インサート受け部20、22の互いに対する位置合わせ及び/又は配置に関しては、好ましくは上記と同じ説明が適用される。詳細には、切削インサート受け部20、22は、それらの中心軸24、26が仮想交点40で交わるような方法で互いに傾斜しており、これについては、好ましくは上記と同じ説明が適用される。
図12には、中心軸24、26が互いに傾斜する(鋭角の)角度αが示されている。
【0150】
好ましくは、切削インサート受け部20、22は、連続した凹部によって形成された共通の受け部区域/領域23を形成する。換言すれば、切削インサート受け部20、22は、好ましくは部分的に重なり合う又は交差する。
【0151】
特に好ましくは、受け部領域23は、少なくとも基本的にW字形である、及び/又は、2つの部分的に重なり合う、詳細にはV字形の切削インサート受け部20、22は、少なくとも基本的にW字形の受け部領域23を形成する。
【0152】
切削インサート受け部20、22は、好ましくは、互いに同一に、及び/又は鏡面対称に形成される。切削インサート受け部20、22又は受け部領域23の対称軸又は鏡軸は、好ましくは、交点40を通過し、詳細には、これは、中心軸24、26の鏡軸を形成するようにもなっている。
【0153】
切削インサート14は、好ましくは、切削インサート受け部20、22に対応するように、詳細には、対応するV字形部分又は少なくとも部分的にV字形外側輪郭を有するように設計される。
【0154】
切削インサート14は、好ましくはプレート状であるか、又は、プレート、詳細には切削プレートとして設計される。
【0155】
特に好ましくは、切削インサート14又はその外側輪郭は、少なくとも基本的に菱形又はダイヤモンド形である。しかしながら、ここでは他の解決策も可能であり、例えば凧形四辺形の形状も可能である。
【0156】
切削インサート14は、好ましくは規格化された構成要素、詳細にはISO 1832、例えばISO 1832:2017に従った切削インサート又は割り出し可能なインサートである。
【0157】
切削インサート14は、好ましくは、少なくとも1つの切削部30を有する。切削部30は、好ましくは、第1の例示的な実施形態について説明したように又は第2の例示的な実施形態について説明したように形成される。
【0158】
切削インサート14は、例えば反対側の縁部又は角部に複数の切削部30を有することもできる。これには、異なる切削部30を使用できるように、切削インサート14を切削インサート受け部20又は22内で回すことができるという利点がある。切削部30は、詳細には、同じ又は異なる機械加工作業を可能にするために、同じ又は異なる設計とすることができる。
【0159】
好ましくは、第4の例示的な実施形態においても、それぞれの切削インサート受け部20、22は、切削インサート14のための停止部を形成し、この停止部は、切削インサート14を切削インサート受け部20、22内に受け入れることができる距離を制限する、及び/又は、前側18からの切削部30又は刃先42の規定された距離を可能にする。
【0160】
切削インサート受け部20、22のV字状設計を有する例示的な例では、各切削インサート受け部20、22又はその停止部は、好ましくは、V字形状によって形成された2つの停止面32を有する。切削インサート14は、好ましくは、2つの対応する(対抗する)当接面34を有する。特に好ましくは、2つの停止面32は、2つの(対抗する)当接面34と同じ角度を囲む。
【0161】
好ましくは、切削インサート14を締結/固定するために、固定手段36のための少なくとも1つの受け部、詳細には、ねじ山38が、切削インサートホルダ12、詳細にはその受け部領域23に設けられている。
【0162】
図示の例では、各切削インサート受け部20、22は、それ自身のねじ山38、38´を有する。詳細には、切削インサートホルダ12及び/又は受け部領域23は、2つのねじ山38、38´を有する。しかしながら、詳細には切削インサート受け部20、22の間又はそれらの重なり領域/区域(図示せず)に配置される、1つの(共通の)ねじ山38のみが設けられる解決策も可能である。
【0163】
切削インサート14は、好ましくは1つの(中央)開口又は開口部50を有し、特に好ましくは1つの(中央)開口又は開口部50のみを有する。
【0164】
固定手段36、詳細には、ねじは、切削インサート14の開口/開口部50を通って案内され、対応する受け部内に締結/固定され、詳細には、ねじ山38又は38´にねじ込まれ、切削インサート14は、切削インサートホルダ12上に、詳細には圧力嵌め及び/又は型枠嵌め(form-fitting)様式で保持されるようになっている。
【0165】
しかしながら、ここでは他の解決策も可能であり、例えば、切削インサート14は、代替的に又は追加的に、ねじ山を有することができる、又は切削インサート14及び/又は切削インサートホルダ12上のねじ山の代わりに、ロックナット等によって締結を行うことができる。
【0166】
切削インサート14を締結/固定するために、切削インサート14は、所望の切削インサート受け部20、22に、詳細には上方から挿入又は配置され、次に、固定手段36、詳細には、ねじによって、詳細には上方から、及び/又は切削インサート14が挿入/配置されたのと同じ側から締結/固定されることが好ましい。
【0167】
好ましくは、切削インサート14の締結/固定は、セルフセンタリングである。
【0168】
好ましくは、位置変更/再クランプのために、固定手段36が緩められ、詳細には取り外され、切削インサート14が切削インサート受け部20、22から取り外され、他の切削インサート受け部22、20に挿入される。その後、切削インサート14は、特に好ましくは、以前と同じ切削インサート14の開口/開口部50を介して、及び/又は以前とは別の切削インサートホルダ12の受け部又はねじ山38´を介して、固定手段36で(再度)固定される。
【0169】
再クランプの結果、切削インサート14は、好ましくは、他の例示的な実施形態に関して上記で説明したように、交点40を中心に角度αだけ枢動した位置にある。従って、上記と同じ説明及び利点がここでも適用される。
【0170】
第4の例示的な実施形態による工具10及び/又は切削インサートホルダ12は、好ましくは、
図12に示すように、高さ調整装置48を備える。しかしながら、ここでは、第2の例示的な実施形態に関連して説明したように、高さ調整装置48なしで工具10及び/又は切削インサートホルダ12を形成することも可能である。
【0171】
一般に、詳細には、第1、第2、第3及び/又は第4の例示的な実施形態(複数可)に関して、切削インサートホルダ12は、2つの切削インサート受け部20、22だけでなく、互いに斜めに方向付けられた3又は4以上の切削インサート受け部を有することも可能である。このような場合、全ての切削インサート受け部の中心軸は交点40で交差する。その結果、切削インサート14は、切削インサートホルダ12内で2回、つまり2つの異なる配置で使用できるだけでなく、切削インサート受け部の数に応じて複数回使用することができる。
【0172】
図13は、好ましくは光学被加工物102、詳細には光学表面102Aを加工/機械加工するための、提案された装置100及び/又は提案されたリニア駆動装置101を概略的に示す。光学被加工物102は、例えば、レンズ又は眼鏡/メガネレンズであり、特に好ましくはプラスチック製である。好ましくは、被加工物102又はその表面又は平坦面102Aの機械加工、詳細には(形状)切削は、旋削、詳細には表面旋削によって行われる。
【0173】
図示される好ましい例示的な実施形態において、装置100は、好ましくは、被加工物スピンドル103を有する。被加工物スピンドル103は、特に好ましくは直接駆動される、精密に取り付けられたシャフト及び/又は直接駆動装置又は他の駆動装置であり、いずれの場合も、好ましくは被加工物102のための一体化された受け部104を有する。原理上、被加工物102の直接的な受け入れ又は固定/クランプを可能にすることができるが、好ましくは、被加工物102は、ホルダ105を介して間接的に保持される。
【0174】
被加工物102及び/又はホルダ105は、好ましくは、被加工物102を規定された方法で機械加工できるように、特定の軸方向位置及び/又は回転位置に取り付けること/固定すること/クランプすることができる。この目的のために、ホルダ105は複数部品で構成することもできる。
【0175】
被加工物スピンドル103により、取り付けられた/クランプされた被加工物102は、機械加工のためにC軸の周りで回転させることができる。被加工物スピンドル103は、詳細には、被加工物102の回転駆動装置を形成する。被加工物スピンドル103は、詳細には計算された又は制御された回転軸Cを形成する。特に好ましくは、被加工物スピンドル103は、特定の回転速度で及び/又は規定された回転位置で、制御された又はフィードバック制御された方法で、被加工物102を回転させることができる。
【0176】
好ましくは、装置100は、被加工物スピンドル103を制御又はフィードバック制御するための、及び/又はリニア駆動装置101を制御又はフィードバック制御するための、及び/又は他の制御又はフィードバック制御目的のための制御装置106を含む。
【0177】
被加工物102は、好ましくは、工具10によって機械加工、詳細には(形状)切削加工される。工具10は、リニア駆動装置101によって保持され、
図13の両矢印Zによって示されるように、リニア駆動装置101によって被加工物102に対して一方向に直線移動可能である。
【0178】
好ましくは、工具10は、切削インサート受け部20、22が少なくとも実質的に水平面にあるように、リニア駆動装置101に取り付けられる/固定される/装着される。
【0179】
好ましくは、機械加工される被加工物102を備える被加工物スピンドル103は、工具10及び/又はリニア駆動装置101に対してW方向(好ましくはスピンドル軸及び/又は回転軸Cの方向)に進めること又は位置決めすることができ、及び/又は、W方向又はZ方向に対して横方向の又は垂直方向のX方向に移動又は変位することができる。さらに、被加工物102及び/又は被加工物スピンドル103は、随意的に、さらに、工具10に対してX方向及び/又はW方向又はZ方向に対して横方向の又は垂直方向のY方向に移動又は変位することができる。原理的には、他の又は追加の移動方向及び/又は移動軸も可能である。
【0180】
必要であれば、被加工物スピンドル103の旋回軸(rotational axis)又は回転軸(rotary axis)Cの軸アライメントは、W方向、X方向及び/又はY方向、もしくはW軸、X軸及び/又はY軸に対して斜めにすることもできる。
【0181】
方向又は軸W及びXは、好ましくは、少なくとも実質的に水平方向に延在する。方向又は軸Yは、好ましくは、少なくとも実質的に垂直方向に延在する。
【0182】
好ましくは、Y方向又はY軸の調整は、工具10の高さ調整装置48に関連して上述したように、微細な調整又は高さ調整のためだけに役立つ。この高さ調整は、もっぱらY軸によって、又は高さ調整装置48による(粗い/ラフな)高さ調整に加えて行うことができる。
【0183】
一方におけるZ軸の方向と、他方におけるW軸の方向及び/又は旋回軸又は回転軸Cの軸アライメントは、互いに平行とすること又は傾斜することができ、及び/又は互いに調整可能又は傾斜可能とすることができる。
【0184】
図示の例では、移動軸又は直線軸Zは、好ましくは、被加工物102の旋回軸又は回転軸Cに対して少なくとも基本的に平行に延在する。しかしながら、特に好ましくは、Z軸は、W軸及び/又はC軸に対して、詳細には3°又は5°を超えて、及び/又は15°又は10°未満、特に好ましくは約7°だけ傾斜している。これは、上述のY方向の微調整を、ゼロ点をシフトさせることによって行うことができるという利点を有する。
【0185】
Z軸がW軸及び/又はC軸に対して傾斜している場合、工具10及び/又は切削インサートホルダ12は、好ましくは、この傾斜が再び補償されるように、詳細には、切削部30及び/又は中心軸24、26が水平になるように、及び/又は被加工物102の平坦面102aに対して直交するように、リニア駆動装置101に取り付けられる。
【0186】
好ましくは、W軸は、被加工物102及び工具10の基本的な送込みのために、詳細には長い移動距離又は送込み距離/経路にわたって使用される。
【0187】
好ましくは、リニア駆動装置101は、詳細には被加工物102の回転位置の関数として、及び/又は被加工物スピンドル103の回転軸からの工具10の距離の関数として、工具10をその軸方向位置又はZ軸において前後に制御するために、及び/又は素早く/迅速に移動させるために、電気的に動作する軸駆動装置、詳細にはいわゆる高速工具駆動装置である。リニア駆動装置101は、工具10の好ましくは直線の及び/又は制御された又はフィードバック制御された移動を可能にし、従って好ましくは制御された又はフィードバック制御された直線軸Zを形成する。
【0188】
W軸とは対照的に、直線軸Zは、詳細には被加工物及び/又は被加工物スピンドル103の回転位置の関数として、好ましくは極めて動的な及び/又は高速な軸又は移動を生じる。従って、リニア駆動装置101は、詳細には、被加工物の回転位置の関数として、Z方向における工具10の非常に高速/迅速な移動のために、好ましくは、しかしながら比較的小さなストロークで機能する。
【0189】
リニア駆動装置101及び/又は工具10の最大ストローク又は移動経路は、好ましくは数mm、詳細には10mm又は12mmを超える、特に好ましくは約15mmであり、詳細には、25又は50Hzを超える移動周波数であり、及び/又は、50m/s2、又は100m/s2を超える、特に好ましくは約300m/s2又は最大400m/s2の加速度である。工具10は、被加工物102の1回転の間にZ方向に複数回前後に動くこともできる。
【0190】
リニア駆動装置101は、例えば、その開示内容が本明細書に組み込まれている国際公開第2013/117327号に示されるように構成することができる。
【0191】
機械加工中、被加工物102は、好ましくは、所望の表面機械加工、詳細には、表面及び/又は平坦面102aの機械加工を提供するように工具10に対してX方向及び/又はY方向に動かされる。
【0192】
装置100は、好ましくは、被加工物スピンドル103及びリニア駆動装置101を支持するハウジング、フレーム、又はマシンベッド107を有する。被加工物スピンドル103及びリニア駆動装置101は、好ましくは、摺動部(図示せず)などを介してマシンベッド107上に移動可能に取り付けられる又は配置される。
【0193】
特に好ましくは、工具10及び/又は切削インサートホルダ12は、切削インサートホルダ12を切り離す/取り外すことなく、切削インサート14を位置変更/再クランプ又は交換することができるように、装置100及び/又はリニア駆動装置101に取り付けられる/装着される、又は取り付け可能/装着可能である。
【0194】
切削インサート14を位置変更/再クランプ又は交換するには、好ましくは、固定手段36を緩め、対応する切削インサート受け部20、22から切削インサート14を取り外すだけでよい。その後、切削インサート14又は新しい切削インサート14をもう一方の切削インサート受け部22、20に挿入し、固定手段36によって再び固定する。切削インサートホルダ12を緩めることは、好ましくは必要ない。
【0195】
詳細には、固定手段36は、切削インサートホルダ12を取り外す/取り除くことなく、及び/又は取り付けられた切削インサートホルダ12に対して詳細には上方から、接近可能である又は解除可能である。
【0196】
新しい切削インサート14又は再生された、詳細には再ラップされた切削インサート14を使用する場合、詳細には被加工物スピンドル103のW軸、X軸及び/又はY軸によって、再アライメント又は再配置が必要になる場合がある。詳細には、従って、被加工物102の位置は、新しい又は再生された切削インサート14に適合される。
【0197】
特に好ましくは、工具10及び/又は切削インサートホルダ12は、同じ切削インサート14が再クランプされるとき、従って、1つの切削インサート受け部20、22から別の切削インサート受け部22、20に変更されるときに、再アライメント又は再配置が必要でないように、設計/構成される。好ましくは、位置決めは、もっぱら工具10の上述の設計/構成、詳細にはそれに関連するセルフセンタリングによって行われる。詳細には、使用される新しい刃先セグメントは、再クランプ後、以前に使用された刃先セグメントがあった位置と全く同じ位置にある。
【0198】
原理的には、被加工物102及び工具10を交換すること、及び/又は運動学的反転をもたらすこともできる。
【0199】
本発明の個々の態様及び特徴は、有利には独立して実施することができるが、何らかの組み合わせでも実施することができる。
【符号の説明】
【0200】
10 工具
12 切削インサートホルダ
12A 第1の部分
12B 第2の部分
14、14´ 切削インサート
16 機械インターフェース
18 前側
19 上側
20 第1の切削インサート受け部
22 第2の切削インサート受け部
23 受け部領域
24 第1の中心軸
26 第2の中心軸
28 クランプ部
30、30´ 切削部
32 後方停止面
34 対抗する当接面
36 固定手段
37 開口
38、38´ ねじ山
39 隙間
40 仮想交点
42、42´ 刃先
44、44´ 第1の刃先セグメント
46、46´ 第2の刃先セグメント
48 高さ調整装置
50 開口
100 装置
101 リニア駆動装置
102 被加工物
102A 平坦面
103 被加工物スピンドル
104 受け部
105 ホルダ
106 制御装置
107 マシンベッド
α 角度
C 直線軸
W 直線軸
X 直線軸
Y 直線軸
Z 直線軸
t 受け部深さ
【国際調査報告】