(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】早期分娩の減少または防止のためのデバイス
(51)【国際特許分類】
A61B 17/42 20060101AFI20240829BHJP
【FI】
A61B17/42
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024536541
(86)(22)【出願日】2022-07-19
(85)【翻訳文提出日】2024-05-20
(86)【国際出願番号】 IB2022056650
(87)【国際公開番号】W WO2023026109
(87)【国際公開日】2023-03-02
(32)【優先日】2021-08-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524072400
【氏名又は名称】ノヴォカフ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147511
【氏名又は名称】北来 亘
(72)【発明者】
【氏名】リー,ドナルド ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ディージェンコーブ,アメリア
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160HH20
(57)【要約】
不十分な子宮頸部の場合または子宮脱の場合に、患者の子宮頸部を支持するための医療デバイスである。デバイスは、膣内に配置するために構成された主たる本体と、本体の上側部分にある近位開口部と、本体の下側部分にある遠位開口部とを含む。本体の一部は、子宮頸部開口部のすぐ近くの膣壁に沿ってデバイスに係合して固定する。近位開口部における拡張可能なカフは、子宮頸部の外面に外接するように拡張可能である。カフは、子宮頸部に向かって内向きに、または子宮から離れるように下向きに、または内向きと下向きの両方に拡張可能である。カフは、互いに隣接して配置された凹部および拡大可能な部分など、複数の特徴を含むことができ、凹部は、下側子宮頸部組織への血流を可能にし得る。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
子宮頸部を受け入れるための内部通路を画定する本体であって、前記内部通路への近位開口部および遠位開口部をそれぞれ画定する上側部分および下側部分と、膣壁に係合するための外表面とを備える、本体と、
前記近位開口部で前記本体に結合され、前記子宮頸部の少なくとも一部を囲むように構成されたカフであって、凹部に隣接した拡張可能な部分を備え、前記拡張可能な部分は、前記凹部よりも前記内部通路の中にさらに選択的に広がることができる、カフと
を備える、子宮頸部支持および補強デバイス。
【請求項2】
前記本体は、半回転楕円体形状を備え、前記近位開口部は、前記遠位開口部よりも小さい面積を画定する、請求項1に記載の子宮頸部支持および補強デバイス。
【請求項3】
前記子宮頸部の外面を把持するために前記カフの内周部に沿って配設されたリッジをさらに備える、請求項1に記載の子宮頸部支持および補強デバイス。
【請求項4】
前記カフは、拡張時、前記近位開口部の軸中心に向かって実質的に半径方向内向きに拡張するように構成される、請求項1に記載の子宮頸部支持および補強デバイス。
【請求項5】
前記カフは、拡張時、前記カフが前記子宮頸部の周りで広がるときに、前記近位開口部の横断面から離れるようにおよび子宮から離れるように半径方向内向きと下向きとの両方に拡張するように構成される、請求項1に記載の子宮頸部支持および補強デバイス。
【請求項6】
前記カフは、均一でない壁厚を備える、請求項5に記載の子宮頸部支持および補強デバイス。
【請求項7】
前記カフは、互いに隣接するとともに同軸である複数の膨張可能な空気袋を備える、請求項5に記載の子宮頸部支持および補強デバイス。
【請求項8】
前記本体の前記上側部分に配設され、前記近位開口部から上向きにそこから離れるように延びるリムをさらに備え、前記リムは、前記デバイスが配置されているときに、前記子宮頸部を前記近位開口部に案内するように構成される、請求項1に記載の子宮頸部支持および補強デバイス。
【請求項9】
前記本体の外面部分、および前記遠位開口部のすぐ近くの前記本体の前記下側部分から選ばれる一方または両方に配設された拡張可能な第2のカフをさらに備え、前記第2のカフは、前記膣壁に向かってその中に拡張するように前記遠位開口部の軸中心から離れるように拡張可能であり、前記第2のカフは、ニュートラル状態から、前記ニュートラル状態にあるときのその外周部と比較して前記第2のカフの外周部が拡大される拡張状態に拡張可能である、請求項1に記載の子宮頸部支持および補強デバイス。
【請求項10】
前記カフと流体連通している流体導管と、前記カフの反対側で前記流体導管と流体連通している弁とをさらに備える、請求項1に記載の子宮頸部支持および補強デバイス。
【請求項11】
前記弁は、患者の膣から前記デバイスを取り外すことなく、前記カフを膨張させるように動作可能な膨張デバイスの一部を取り外し可能に受け入れるように動作可能である、請求項10に記載の子宮頸部支持および補強デバイス。
【請求項12】
前記本体の外面部分、および前記遠位開口部のすぐ近くの前記本体の前記下側部分から選ばれる一方または両方に配設された拡張可能な第2のカフをさらに備え、前記第2のカフは、前記膣壁に向かってその中に拡張するように前記遠位開口部の軸中心から離れるように拡張可能であり、前記第2のカフは、前記流体導管と流体連通している、請求項10に記載の子宮頸部支持および補強デバイス。
【請求項13】
前記カフは、前記凹部のうちの少なくとも2つと、前記凹部と交互に間隔をおいて配置された前記拡張可能な部分のうちの少なくとも2つとを備える、請求項1に記載の子宮頸部支持および補強デバイス。
【請求項14】
前記本体内に配設されたポンプおよび液だめをさらに備え、前記ポンプは、前記液だめと流体連通しており、前記液だめは、前記カフと流体連通しており、前記ポンプは、前記カフの膨張および収縮のために前記液だめと前記カフとの間で流体を移動させるようになされている、請求項1に記載の子宮頸部支持および補強デバイス。
【請求項15】
前記ポンプを遠隔制御するための無線制御デバイスをさらに備える、請求項14に記載の子宮頸部支持および補強デバイス。
【請求項16】
膣内に配置するための子宮頸部支持および補強デバイスにおいて、
子宮頸部を受け入れるための内部通路を画定する本体であって、前記本体は、前記内部通路への近位開口部および遠位開口部をそれぞれ画定する上側部分および下側部分と、前記子宮頸部のすぐ近くで前記デバイスを支持するように膣壁に係合するための外表面とを備える、本体と、
前記近位開口部で前記本体に結合され、前記子宮頸部の少なくとも一部を囲むように構成されたカフであって、ニュートラル状態から、前記カフが前記近位開口部の横断面から離れるようにおよび子宮から離れるように半径方向内向きと下向きの両方に広げられる拡張状態に拡張可能である、カフと
を備える、子宮頸部支持および補強デバイス。
【請求項17】
前記カフは、1つまたは複数の凹部に隣接した1つまたは複数の拡張可能な部分を備え、前記拡張可能な部分は、前記凹部よりも前記内部通路の中にさらに選択的に広がることができる、請求項16に記載の子宮頸部支持および補強デバイス。
【請求項18】
前記カフは、均一でない壁厚を備える、請求項16に記載の子宮頸部支持および補強デバイス。
【請求項19】
前記カフは、互いに隣接するとともに同軸である複数の膨張可能な空気袋を備える、請求項16に記載の子宮頸部支持および補強デバイス。
【請求項20】
前記本体の前記上側部分に配設され、前記近位開口部から上向きにそこから離れるように延びるリムをさらに備え、前記リムは、前記デバイスが配置されているときに、前記子宮頸部を前記近位開口部に案内するように構成される、請求項16に記載の子宮頸部支持および補強デバイス。
【請求項21】
前記遠位開口部のすぐ近くの前記本体の前記下側部分に配設された拡張可能な遠位カフをさらに備え、前記遠位カフは、前記膣壁または円蓋に向かってその中に拡張するように前記遠位開口部の軸中心から離れるように拡張可能である、請求項16に記載の子宮頸部支持および補強デバイス。
【請求項22】
膣内に配置するための子宮頸部支持デバイスにおいて、
子宮頸部を受け入れるための内部通路を画定する半回転楕円体であって、前記半回転楕円体は、近位開口部および遠位開口部をそれぞれ画定する上側部分および下側部分と、前記子宮頸部のすぐ近くで前記デバイスを支持するように膣壁に係合するための外表面とを備える、半回転楕円体と、
前記近位開口部で前記本体に結合され、前記子宮頸部の少なくとも一部を囲むように構成されたカフと
を備え、前記カフは、
前記近位開口部と同軸である第1の空気袋、ならびに
前記第1の空気袋および前記近位開口部と同軸である第2の空気袋
を備え、
前記第1の空気袋および前記第2の空気袋は、前記内部通路の中に選択的に膨張可能であるおよび広がることができる、子宮頸部支持デバイス。
【請求項23】
前記カフは、ニュートラル状態から拡張状態へ拡張可能であり、前記拡張状態において前記カフは、前記近位開口部の軸中心に向かって半径方向内向きと前記近位開口部の横断面から離れるとともに子宮から離れるように下向きとの両方で拡張させられる、請求項22に記載の子宮頸部支持デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生殖、妊娠、および出産前の健康に関し、詳細には、早期分娩の減少または防止のためのデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
幼児死亡の最も一般的な理由は、早期分娩による合併症である。いくつかの要因が、早期出産の一因となり、最も一般的には、医学的には「短い子宮頸部」とも呼ばれる子宮頸管無力症を含む。短い子宮頸部が、単胎妊娠(すなわち単一の胎児の妊娠)において生じるとき、一般的な介入方法は、頸管縫縮術として知られる出産を遅らせようとして子宮頸部内に縫合が配置されることを含む。概して、複数の妊娠(すなわち多胎妊娠)における子宮頸管無力症のための介入は、制限され、限られた有効性しかもたらさない可能性がある。患者内に配置されるとき、いくつかの一般的に知られているまたは市販されている子宮頸部支持デバイスは、子宮頸部の下肢への血液/体液の流れを締め付けるまたは遮断する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は、不十分な子宮頸部に起因して早期分娩により合併症にかかった患者の妊娠期間延長を促すために子宮頸部を補強および支持するデバイスを提供する。デバイスは、本明細書中で子宮頸部支持デバイスと呼ばれる。デバイスは、患者の子宮頸部に選択的に調整可能またはカスタマイズ可能な支持を提供し、不十分な子宮頸部を有する個人の単胎妊娠および多胎妊娠の両方で分娩を遅らせるのを助けることができる。いくつかの構成では、上記デバイスは、骨盤臓器脱を支持または骨盤臓器脱の影響を低減させるために利用され得る。デバイスは、所望の量の支持および/またはポジション矯正を子宮頸部に与えるように選択的に膨張可能および収縮可能である1つまたは複数の膨張可能なカフまたは空気袋を備える。カフは、独立して膨張可能であってもよく、または集合的に膨張可能であってもよい。デバイスは、子宮頸部、子宮、および/または胎児に係合してこれを支持するための上側または近位カフと、子宮頸部のすぐ近くでデバイスを支持するように患者の膣壁に係合するための外側および/または下側遠位カフとを備えることができる。近位カフは、子宮頸部を閉じられた状態で保持しようとして、子宮頸部の下側部分の外面に締め付け圧縮力を与えるために利用され得る。デバイスのカフは、所望の支持を与えるために互いに協働する1つまたは複数の個々にアクセス可能(すなわち膨張可能/収縮可能)な空気袋を含むことができる。近位カフは、子宮頸部に十分な量の圧縮圧力を与えつつ、(カフの拡張可能な部分を膨張させることなどによって)子宮頸部内の血液/流体灌流を可能にするように構成されてもよい。子宮頸部の解剖学的構造は、患者によってその公称外形寸法が異なる場合があり、不十分な子宮頸部は、妊娠が進行するにつれて収縮し続ける場合がある(また、収縮し続ける可能性が高い)。したがって、本発明の子宮頸部支持デバイスの調整可能な機能性は、ケア提供者(すなわち、医師、助産師、または看護師などの医療提供者)がカフの膨張/収縮を指示することによって特定の患者の子宮頸部に対する支持をカスタマイズすることを可能にし得る。遠位カフは、例えば、子宮頸部に対してデバイスを持ち上げるまたは子宮頸部を向け直すなど、患者の膣内のデバイスのポジションを調整するために利用され得る。任意選択で、デバイスは、遠位開口部が子宮頸部の方に面するように逆にされてもよく、それによりデバイスは、脱出(例えば、子宮脱または子宮頸部脱)の場合に、(子宮頸部の下側部分に直接接触することなく)、骨盤臓器(例えば、空気袋および子宮)に支持を与えることができる。デバイスは、前期破水(PROM:premature rupture of membranes)、および早産期前期破水(PPROM:preterm premature rupture of membranes)の場合に、感染のリスクを減少もしくは限定することおよび/または胎児の発育を延ばすことにおいても有益であり得る。
【0004】
本発明の一形態によれば、子宮頸部支持および補強デバイスは、患者の子宮頸部を支持するために設けられ、患者の膣内に配置するために寸法決めおよび形状決めされた主たる本体を含む。主たる本体は、本体の上側部分にある近位開口部、および本体の下側部分にある遠位開口部を有する内部通路を画定する。子宮頸部開口部の近くにデバイスを固定するために、膣壁に係合および押圧する、または膣壁に部分的に埋め込まれる本体の外周部の一部が設けられる。拡張可能な環状カフは、カフが近位開口部の少なくとも一部を画定するように近位開口部のすぐ近くの本体の内部の周りに設けられる。カフは、下側子宮頸部の外面部分に外接するように近位開口部の軸中心に向かって拡張可能である。カフは、ニュートラル状態から拡張状態に拡張可能であり、これにより近位開口部の面積を減少させる。言い換えれば、膨張させられるとき、カフは、子宮頸部の外面を締め付けるように内向きに拡張する。カフは、1つまたは複数の凹部または最小限で膨張可能な部分と、凹部に隣接している1つまたは複数の拡大部または拡大可能な部分とを含むことができる。拡大部は、子宮頸部を締め付けるように近位開口部の軸中心に向かって拡張可能であり、カフの凹部は、上側子宮頸部組織から下側子宮頸部組織への血流を可能にするように、概して膨張していないまたは拡張していないままである。任意選択で、子宮頸部支持デバイスは、カフが膨張させられるときに子宮頸部の周りで改善された把持を提供するように子宮頸部の外面を把持しまたはこれに係合するためにカフの内周部に沿った環状のリッジを含んでもよい。
【0005】
一態様では、デバイスの主たる本体は、半回転楕円体の上側部分にある近位開口部、および半回転楕円体の下側部分にある遠位開口部を画定する半回転楕円体形状で形成された半回転楕円体である。近位開口部は、遠位開口部よりも小さい面積を有する。遠位開口部におけるまたはその近くにおける本体の外面部分は、子宮頸部開口部のすぐ近くでデバイスを支持するために膣壁に係合するために寸法決めおよび形状決めされ得る。
【0006】
別の態様では、カフは、近位開口部の軸中心に向かって半径方向内向きに、ならびにカフが子宮頸部の周りで広がるときに、近位開口部の横断面から離れるようにおよび子宮から離れるように下向きに拡張可能である。近位カフの内向き半径方向拡張は、子宮頸部の外面部分を締め付けるように働き、一方、下向き拡張は、子宮頸部を子宮から離れるように下向きに引っ張るまたは押すように働く。
【0007】
なおも別の態様では、カフは、膨張可能な空気袋のうちの1つまたは複数が膨張すると、カフが(i)半径方向内向きにおよび/または近位開口部の横断面から離れるように下向きに拡張するように配置、形状決め、および寸法決めされる2つ以上の隣接した空気袋を含む。例えば、カフは、近位開口部と同軸である第1の膨張可能な空気袋と、第1の膨張可能な空気袋および近位開口部と同軸である第2の膨張可能な空気袋とを含み得る。好ましくは、カフは、ニュートラル状態から、カフのいくつかの部分が近位開口部の軸中心に向かって半径方向内向きと、近位開口部の横断面から離れるようにおよび子宮から離れるように下向きとの両方に拡張される拡張状態に拡張可能であり、それによって子宮頸部外面に下向きの力を加える。
【0008】
さらに別の態様では、拡張時に、均一でない壁のカフの配置により、カフを半径方向内向きと、近位開口部の横断面から離れるように下向きとの両方に拡張するようにさせるように、カフの半径方向断面(例えば、カフの拡大部)が、均一でない壁厚で形成される。
【0009】
なおも別の態様では、子宮頸部支持デバイスは、主たる本体の上側部分に環状リムを含む。環状リムは、近位開口部の横断面から離れるように上向きに広がる。患者の膣内にデバイスが配置されると、環状リムは、まず、子宮頸部の下側端部を受け入れ、次いで、子宮頸部を近位開口部に案内し、これにより、提供者が子宮頸部のすぐ近くにデバイスを適切に配置しているのを助けることができる。
【0010】
流体導管は、カフへの流体(例えば、液体または空気)の導入または除去のためにカフへの流体接続を伴って子宮頸部支持デバイスの主たる本体内に配設され得る。カフとは反対側の端部で流体導管と流体連通している弁が設けられてもよい。弁は、患者の膣からデバイスを取り除くことなくカフを膨張させるように動作可能である膨張デバイス(例えば、ポンプ)の一部を取り外し可能に受け入れることができる。弁は、流体がカフに向けられた後に流体の逆流を最小限にするために、ダックビル弁などの逆止弁を含み得る。
【0011】
さらに別の態様では、子宮頸部支持デバイスは、遠位開口部のすぐ近くなど、主たる本体の下側部分および/または外側(凸状)湾曲の近くに別のまたは第2の拡張可能な環状カフを含む。適用可能な場合、この追加のカフは、以下、「遠位カフ」と呼ばれるのに対して、先に説明されたカフは、以下、「近位カフ」と呼ばれる。遠位カフは、遠位カフが膣壁に向かって拡張して接触するように、遠位開口部の軸中心から離れるように外向きに拡張可能である。遠位カフは、ニュートラル状態から、遠位カフの外周部が(ニュートラル状態にあるときのその外周部と比較して)増大して、拡張により膣壁に接触し、デバイスを膣壁に固定する拡張状態に拡張可能である。遠位カフへ/から流体を受け取るまたは放出するために、上述したもののように、追加または遠位カフは、流体導管と流体連通していてもよい。単一の流体導管がデバイスの各カフと連通状態で設けられてもよく、または専用流体導管が、各カフ、および/またはカフのそれぞれの個々にアクセス可能な空気袋のために設けられてもよい。
【0012】
本発明の別の形態では、子宮頸部支持および補強デバイスは、患者の子宮頸部を支持するために設けられ、患者の膣内に配置するために寸法決めおよび形状決めされた主たる本体を含む。主たる本体は、近位開口部を画定する上側部分と、遠位開口部を画定する下側部分とを有する。本体の外面部分は、子宮頸部開口部のすぐ近くでデバイスを支持または固定するために、膣壁に係合するように構成されている。デバイスは、近位開口部の近くの本体の内部に拡張可能な環状カフを含み、カフは、近位開口部の少なくとも一部を画定する。カフの少なくとも一部は、ニュートラル状態から、(i)子宮頸部の外面部分を締め付けるように近位開口部の軸中心に向かって半径方向内向きと、(ii)子宮頸部の外面に下向きの力を加えるために近位開口部の横断面から離れるようにおよび子宮から離れるように下向きにとの両方でカフが拡張される拡張状態に拡張可能である。
【0013】
一態様では、カフは、互いに間隔をおいて配置された構成で1つまたは複数の凹部と、1つまたは複数の拡大部とを含む。拡大部は、近位開口部の軸中心に向かって、および近位開口部の横断面から離れるように下向きに拡張可能である。カフの凹部は、カフを通って延びる上側子宮頸部組織から下側子宮頸部組織への血流を可能にし得る。
【0014】
別の態様では、カフの半径方向断面は、均一でない壁厚の材料特性に基づいて、拡張時に、カフが半径方向内向きと近位開口部の横断面から離れるように下向きとの両方で拡張可能であるように均一でない壁厚を有する。
【0015】
なおも別の態様では、カフは、互いに隣接するとともに同軸である複数の膨張可能な空気袋を含む。複数の膨張可能な空気袋は、空気袋のうちの1つまたは複数が膨張すると、カフが近位開口部の軸中心に向かって半径方向内向きに、および/または近位開口部の横断面から離れるように下向きに拡張するように配置される。
【0016】
別の態様では、子宮頸部支持デバイスは、遠位開口部のすぐ近くの本体の下側部分に配設された拡張可能な遠位環状カフを含む。遠位カフは、遠位開口部の軸中心から離れるように外向きに拡張可能であり、膣内にデバイスをしっかりと固定するために膣壁に向かってこれに接触するように拡張する。
【発明の効果】
【0017】
したがって、本発明の子宮頸部支持および補強デバイスは、早期分娩に進行し得る不十分な子宮頸部を有する患者の子宮頸部を支持するためにカスタマイズ可能および調整可能なデバイスを提供する。デバイスは、1つまたは複数の膨張可能なカフおよび/あるいは個々にアクセス可能な膨張可能な空気袋を含み、膨張可能なカフおよび/または空気袋は、ケア提供者が患者の子宮頸部の下側部分あたりの所望の位置で圧縮力を向けることを可能にする。デバイスの調整可能な性質は、提供者が、膣を通してデバイスを除去することも、デバイスを直接的に手動操作することも全くなしに、子宮頸部に加えられる圧力の量を調整する、または子宮頸部および膣に対してのデバイスの向きを調整することを可能にする。カフは、斜め内向き下向きの力を子宮頸部に加えるために、子宮頸部に向かって半径方向内向きと、子宮から離れるように下向きとの両方でカフを拡張させるように、様々な寸法の特徴または構造的態様を含んでもよい。
【0018】
本発明のこれらおよび他の目的、利点、目標、および特徴は、図面と共に以下の明細書を検討すると明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の子宮頸部支持および補強デバイスの配置を示す、複数の妊娠を有する患者の矢状図である。
【
図2】膨張または拡張状態における上部内側カフを有する子宮頸部支持デバイスが側断面図で示されている、
図1の患者の別の矢状図である。
【
図3】上部内側カフが収縮またはニュートラル状態で示された、
図1の子宮頸部支持デバイスの上部斜視図である。
【
図4】上部内側カフが膨張状態で示された、
図1の子宮頸部支持デバイスの別の上部斜視図である。
【
図5】上部内側カフが収縮状態で示された、
図3の線V-Vに沿った側面断面図である。
【
図6】上部内側カフが膨張状態で示された、
図4の線VI-VIに沿った別の側面断面図である。
【
図7】上部内側カフが収縮またはニュートラル状態で示された、本発明による別の子宮頸部支持および補強デバイスの側面断面図である。
【
図8】上部内側カフが膨張または拡張状態で示された、
図7の子宮頸部支持デバイスの別の側面断面図である。
【
図9】子宮頸部支持デバイスのための別の拡張可能または膨張可能なカフの一部の半径方向側面断面図である。
【
図10】子宮頸部支持デバイスのための別の拡張可能または膨張可能なカフの一部の半径方向側面断面図である。
【
図11】子宮頸部支持デバイスのための別の拡張可能または膨張可能なカフの一部の半径方向側面断面図である。
【
図12】収縮またはニュートラル状態で示された子宮頸部支持デバイスのための別の拡張可能または膨張可能なカフの一部の半径方向側面断面図である。
【
図13】膨張または拡張状態で示された
図12の膨張可能なカフの一部の別の半径方向側面断面図である。
【
図14】上部内側カフが収縮またはニュートラル状態で示された本発明による別の子宮頸部支持および補強デバイスの側面断面図である。
【
図15】上部内側カフが膨張または拡張状態で示された、
図14の子宮頸部支持デバイスの別の側面断面図である。
【
図16】子宮頸部の下側部分の周りの所定の位置に示され、上部内側カフが収縮状態で示された、
図14の子宮頸部支持デバイスの別の側面断面図である。
【
図17】上部内側カフによって形成された開口部の中に延びる子宮頸部の下側部分を示す、
図16の子宮頸部支持デバイスの別の側面断面図である。
【
図18】上部内側カフが膨張状態にあり、子宮頸部の下側部分の外面に係合または衝突する状態で示された、
図17の子宮頸部支持デバイスの別の側面断面図である。
【
図19】子宮頸部支持デバイスが、収縮またはニュートラル状態における下側外側カフと共に示されている、本発明による別の子宮頸部支持および補強デバイスの側面断面図である。
【
図20】下側外側カフが膨張または拡張状態で示された、
図19の子宮頸部支持デバイスの別の側面断面図である。
【
図21】収縮またはニュートラル状態で示された一対の隣接した拡張可能または膨張可能なカフの半径方向側面断面図である。
【
図22】カフが膨張または拡張状態で示された、
図21の膨張可能なカフの別の半径方向側面断面図である。
【
図23】上部内側カフおよび下側カフがそれぞれ収縮またはニュートラル状態で示された、本発明による別の子宮頸部支持および補強デバイスの上部斜視図である。
【
図25】上部内側カフおよび下側カフがそれぞれ収縮またはニュートラル状態で示された、本発明による別の子宮頸部支持および補強デバイスの上部斜視図である。
【
図26】
図25の子宮頸部支持デバイスの分解側面斜視図である。
【
図27】
図25の線XXVII-XXVIIに沿って見た
図25の子宮頸部支持デバイスの構成要素の分解断面図である。
【
図28】上部内側カフが膨張または拡張状態で示された、
図25の子宮頸部支持デバイスの別の上部斜視図である。
【
図29】上部内側カフおよび下側カフがそれぞれ収縮状態で示された、
図25の線XXVI-XXVIに沿った側面断面図である。
【
図30】上部内側カフが膨張状態でおよび下側カフが収縮状態で示された、
図29の子宮頸部支持デバイスの別の側面断面図である。
【
図31】上部内側カフおよび下側カフがそれぞれ膨張状態で示された、
図25の線XXXI-XXXIに沿った側面断面図である。
【
図32】デバイスのカフを膨張させるための弁システムと結合された
図29の子宮頸部支持デバイスおよび四重管腔膨張デバイスの別の側面断面図である。
【
図33】患者の子宮頸部を支持するために患者の膣内にある
図25の子宮頸部支持デバイスの側断面図を含む、単一の妊娠を有する患者の矢状図である。
【
図34】
図25の子宮頸部支持デバイスの拡張可能または膨張可能なカフの半径方向側面断面図である。
【
図35】上部内側カフおよび下側カフがそれぞれ収縮またはニュートラル状態で示された、本発明による別の子宮頸部支持および補強デバイスの上部斜視図である。
【
図36】上部内側カフが収縮またはニュートラル状態で示された、本発明による別の子宮頸部支持および補強デバイスの側面斜視図である。
【
図37】
図36の線XXXVII-XXXVIIに沿った断面側面斜視図である。
【
図38】本発明による拡張可能または膨張可能なカフのための例示的なクリートまたは歯の半径方向側面断面図である。
【
図39】本発明による拡張可能または膨張可能なカフのための例示的なクリートまたは歯の半径方向側面断面図である。
【
図40】本発明による拡張可能または膨張可能なカフのための例示的なクリートまたは歯の半径方向側面断面図である。
【
図41】本発明による拡張可能または膨張可能なカフのための例示的なクリートまたは歯の半径方向側面断面図である。
【
図42】本発明による拡張可能または膨張可能なカフのための例示的なクリートまたは歯の半径方向側面断面図である。
【
図43】本発明の子宮頸部支持デバイスと共に使用するための拡張可能または膨張可能なカフのための例示的なクリートまたは歯の正面図である。
【
図44】本発明の子宮頸部支持デバイスと共に使用するための拡張可能または膨張可能なカフのための例示的なクリートまたは歯の正面図である。
【
図45】本発明の子宮頸部支持デバイスと共に使用するための拡張可能または膨張可能なカフのための例示的なクリートまたは歯の正面図である。
【
図46】本発明の子宮頸部支持デバイスと共に使用するための拡張可能または膨張可能なカフのための例示的なクリートまたは歯の正面図である。
【
図47】本発明の子宮頸部支持デバイスと共に使用するための拡張可能または膨張可能なカフのための例示的なクリートまたは歯の正面図である。
【
図48】本発明の子宮頸部支持デバイスと共に使用するための拡張可能または膨張可能なカフのための例示的なクリートまたは歯の正面図である。
【
図49】本発明の子宮頸部支持デバイスと共に使用するための拡張可能または膨張可能なカフのための例示的なクリートまたは歯の正面図である。
【
図50】本発明の子宮頸部支持デバイスと共に使用するための拡張可能または膨張可能なカフのための例示的なクリートまたは歯の正面図である。
【
図51】上部内側カフおよび下側外側カフがそれぞれ収縮またはニュートラル状態で示された、本発明による別の子宮頸部支持および補強デバイスの側面斜視図である。
【
図52】
図51の線LII-LIIに沿った断面側面斜視図である。
【
図53】上部内側カフが収縮状態でおよび下側外側カフが膨張または拡張状態で示された、
図52の子宮頸部支持デバイスの別の断面側面斜視図である。
【
図54】上部および下側カフを膨張させるためのチューブおよび弁組立体を示す、
図53の子宮頸部支持デバイスの別の断面側面斜視図である。
【
図55】上部内側カフが収縮またはニュートラル状態で示された、本発明による別の子宮頸部支持および補強デバイスの底側面斜視図である。
【
図56】デバイスの上部内側カフの軸中心の下方およびそれに直交して得た
図55の子宮頸部支持デバイスの断面底側面斜視図である。
【
図57】内部構造を示すためにデバイスの内部構成要素が完全な状態で示された、
図55の線LVII-LVIIに沿った部分断面底側面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次にそこに示された図面および例示的実施形態を参照すると、子宮頸管無力症(すなわち短くなったまたは機能不全の子宮頸部)によって引き起こされる早期分娩の減少または防止のための子宮頸部支持デバイスの様々な実施形態が与えられている。このデバイスは、子宮頸部の外面のあたりに圧縮力を加えるように調整可能であり、子宮頸部の角度を変えるように機能することができ、これにより、子宮頸管無力症にかかる患者の胎児の妊娠期間延長を促進することができる。デバイスは、拡張されたときに圧縮力を子宮頸部の外面に加える1つまたは複数の拡張可能な(例えば、膨張可能な)カフを備える。カフは、手術者または使用者(例えば、医療提供者)によって、患者の内部からデバイスを取り除くことなく調整され得る。子宮頸部が部分的に広げられ、頸管粘液プラグが脱落する点まで開かれるいくつかの実例では、またはPROMもしくはPPROMの実例では、デバイスを利用して、子宮頸部を圧縮し、それによって粘液プラグ再生を促すことができ、これにより感染が子宮頸部を登って子宮に入るのを防ぐことができる。デバイスは、好ましくは子宮頸部に対する刺激または炎症がほとんどまたは全くない状態で、子宮および胎児の重量を支持するために子宮頸部の下側あたりで支持を行うように最小侵襲のやり方で利用され得る。言い換えれば、カフは、ニュートラルまたは非膨張状態で残され得る。患者の子宮頸部が短くなったり広がったりし続け、最小侵襲的手法が十分でない場合、カフを膨張させ、またはさらに膨張させて近位開口部直径を減少させ、それにより外部子宮頸部に追加の支持を与え、子宮頸部がさらに開くまたは広がることから守ろうとして子宮頸部の外面のあたりに外部圧縮力を与えることができる。「カフ」および「空気袋」という用語は、本明細書では、例えば、「近位カフ」、「遠位カフ」、および「膨張可能な空気袋」を含む本開示の例示的実施形態の拡張する環状構成要素を指すために使用される。任意選択で、(近位または遠位どちらかの)カフは、デバイスの周囲の周りで連続的であってもよく、デバイスの周囲の周りで間隔をおいて断続的に配置されてもよく、拡張して円形でないもしくは均一でない開口部を画定してもよく、および/または横(例えば、半径)方向と斜め(例えば、非半径)方向の両方に拡張可能であってもよい。子宮頸部支持デバイスは、カフがニュートラルまたは非膨張状態であっても、子宮頸部、子宮、および胎児を支持するために利用され得ることが理解されよう。
【0021】
図1~
図6の例示的実施形態を参照すると、早期分娩の減少または防止のための子宮頸部支持および補強デバイス100が与えられる。デバイス100は、上側または近位開口部104が本体102の上側部分にあるとともに、下側または遠位開口部106が本体102の下側部分にある内部通路を有する可撓性の半回転楕円体または半球状の本体102を含む(
図5および
図6)。例示的実施形態では、近位開口部104は、遠位開口部106よりも直径が小さく、デバイスが子宮頸部の基部のすぐ近くで患者の膣103に配置されるときに、患者の子宮頸部101の下側外面部分を受け入れ、取り囲むような寸法にされている(
図1および
図2)。参照のために、
図16~
図18は、(
図1~
図6の子宮頸部支持デバイス100と同様である)子宮頸部支持デバイス400が配置されて子宮頸部と係合したときのこのデバイスと患者の子宮頸部101との間の相互作用の連続した図を与える。本体102の下側部分の外周部は、患者の内側膣壁と係合または相互作用する寸法にされる(
図1および
図2を参照)。言い換えれば、遠位開口部106における本体102の外周部は、膣壁に係合して、子宮頸部101の十分すぐ近くにデバイス100を固定または支持する。
【0022】
上側または近位カフまたは空気袋108が、近位開口部104の周囲の周りに設けられている。上側カフ108は、拡張可能であり、例えば、子宮頸部101の下側部分の外面を締め付けるまたは外接するように生理食塩水または空気などの流体を用いて膨張可能である。近位カフ108は、
図3および
図5に通常状態、ニュートラル状態、または収縮した状態で示され、
図4および
図6に拡張または膨張状態で示されており、カフ108の一部は、近位開口部104の中心に向かって拡張されている。膨張状態において、近位カフ108は、子宮頸部の外面101に侵入または衝突し、それによって子宮頸部に外力または外的圧力を加え、これにより子宮頸部開口部またはOSを十分に閉じられた状態で保持するのを助け、胎児がより長い期間にわたって子宮内に留まることを可能にすることができる。近位開口部104の面積は近位カフ108が膨張させられるときに、かなり大きく減少させられる。
図3および
図5における近位カフ108のニュートラル状態から
図4および
図6における近位カフ108の拡張状態への近位カフ108の相対的な拡張を強調するために、一対の仮想線が、連続した
図3と
図4との間、および連続した
図5と
図6との間に設けられている。例示的実施形態では、近位カフ108は、さね継ぎまたは蟻継ぎの嵌合構成の形態などで、本体102の壁の近位端に結合される。しかしながら、カフ108は、例えば、一元成形プロセスまたはオーバーモールディングプロセスなどによって本体102の壁と一体的に形成されてもよいことが理解されよう。
【0023】
図3および
図4に最もよく示されるように、近位カフ108は、近位開口部104の対向した両側にある2つの凹部110と、近位開口部104の他の対向した両側にあり凹部110間に形成された2つの拡大部112とを備える。ニュートラル状態において、近位カフ108は、概して円形の形状を画定する(
図1)。近位カフ108が拡張するとき、拡大部112は、近位開口部104の軸中心に向かって拡張し、凹部110は、実質的に静止したまま、変化しないまま、または拡張しないままである。したがって、拡張状態において、凹み110および拡大部112は、近位カフ108の円形でない内側周部を形成するように協働する(
図5)。近位カフ108が拡張状態にある場合、近位開口部104の面積は、近位カフ108がニュートラル状態にある場合のその面積と比較して減少する。凹部110は、子宮頸部の端部に血液を供給する主要な血管を含む子宮頸部101の部分を受け入れるように配置され、したがって、凹部110は、近位カフ108が拡張され、圧縮力を子宮頸部に加えつつ、近位開口部104を通って延びる子宮頸部の下部組織に血液が流れ込むことを可能にする。
【0024】
図5および
図6に連続して示されるように、近位カフ108が拡張するとき、近位カフ108は、近位開口部104の中心に向かって半径方向内向きに拡張するとともに、近位開口部104の横断面に対して下向きに拡張する。言い換えれば、デバイス100が子宮頸部101のすぐ近くで膣内に配置された状態で、近位カフ108が拡張するとき、それは、子宮頸部に下向きの(すなわち、子宮105から離れるような)力を加えつつ、子宮頸部の外面を締め付ける。拡張中にカフの体積が増加することにより変位することに起因して、または子宮頸部が経時的に短くなり続けることに起因して、近位カフ108の下向き角度の拡張が、子宮頸部101を子宮105から離れるように下向きに引っ張るまたは押すように働いて、子宮頸部がカフから滑り抜けるのを緩和するまたは防ぐことができる。言い換えれば、締め付け力が横方向にだけ加えられた場合と比較して、横方向の締め付け力と下向きの締め付け力の組合せにより、子宮頸部の外面101により有効に係合および拘束することができる。近位開口部104の横断面から離れるような近位カフ108の拡張の角度は、約0.5度(0.5°)と89.5度(89.5°)との間の範囲から選択することができる。
【0025】
近位カフ108の全体は、同じ材料(例えば、可撓性のシリコーン)で形成されてもよく、カフ108の異なる部分110および112は、異なる材料で形成されてもよく(例えば、可撓性のシリコーンの拡大部112、および医療グレードのプラスチックの凹部110)、ならびに/またはカフ108の異なる部分110および112は、異なる組成の材料で形成されてもよい(例えば、可撓性のシリコーンの拡大部112、および拡大部112のシリコーンよりも高いデュロメータを有する半剛体のシリコーンの凹部110)ことが理解されよう。
【0026】
デバイス100は、本体102の上側部分に隆起した環状リム、リッジ、またはリップ114を含み、このリム114は、近位カフ108の上方にまたは近位カフ108から盛り上がって上向きに(すなわち、デバイスが患者の膣に配置されるときに子宮105に向かって;
図5および
図6を参照)広がる。環状リム114は、デバイス100の最上または最近位縁部を画定しており、(カフのニュートラル状態で;
図5および
図6を参照))本体102の外面に向かってリム114の上部から延びる傾斜した外壁114aと、近位カフ108の内周部に向かってリム114の上部から延びる傾斜した内壁114bとを備える。傾斜した内壁114bは、膣内のデバイスの配置中に傾斜した内壁に沿って子宮頸部の端部を漏斗に通すように入れるまたはそれを案内することによって近位開口部104の中への子宮頸部101の進入を促す。傾斜した内壁114bは、子宮頸部101に何らかの案内を与えつつ、デバイス100の縦軸に対して約80度(80°)ほどで角度付けられ得る。好ましくは、傾斜した内壁114bの角度は、約5度(5°)と約60度(60°)との間である。いくつかの実施形態では、隆起したリップは、近位カフ108の上側または近位縁部の上方に約10ミリメートル(10mm)ほど広がり得る。好ましくは、リム114は、近位カフ108の上側または近位縁部の上方に約1ミリメートル(1mm)と約4ミリメートル(4mm)との間である。
【0027】
図5および
図6などに示されるように、流体導管116は、本体102の壁118を通して設けられる。導管116は、子宮頸部101に十分な支持を与えるために、必要に応じて、ケア提供者がカフ108を膨張または収縮させることを可能にするように近位カフ108と流体連通している。入口120が、本体102の外面部分に設けられており、膨張/収縮デバイスは、患者の膣からデバイス100を取り除くことなく、カフ108を膨張または収縮させるために、デバイス100に取り外し可能に結合され得る。任意選択で、弁は、導管116に出入りする流体の流れを調節するために、入口120にまたはその近くに設けられてもよい。例示的な弁システム826は、
図29および
図30に示され、(チューブ828および弁830を含む)膨張/収縮デバイス827は、
図32に示されており、これらは、以下にさらに詳細に説明される。
【0028】
例示された実施形態のいくつかでは、近位カフは下向きにまたは近位開口部の横断面から離れるように拡張するが、他の実施形態は、
図14~
図18および
図29~
図30にそれぞれ示されるとともに以下にさらに詳細に説明される同様の子宮頸部支持デバイス400および800の例示的実施形態に示されるように、近位カフが横断面に実質的に沿って拡張することが考えられていることが理解されよう。例えば、近位カフ808は、
図29および
図30のデバイス800について連続して示されるように純粋に半径方向および同心状に拡張するように構成され得る。
【0029】
次に
図7および
図8の例示的実施形態を参照すると、早期分娩の減少または防止のための別の子宮頸部支持および補強デバイス200が与えられる。デバイス200は、上述したデバイス100と同様であるが、いくつかの代替および/または追加の構成要素および機能を含む。デバイス100の構成要素と同様に、デバイス200は、主たる本体202と、近位開口部204と、遠位開口部206と、拡張可能な環状カフ208と、隆起した環状リム214と、本体壁220内の流体導管216とを備える。デバイス100と比較して、子宮頸部支持デバイス200は、近位カフ208の内周部に沿って一対の環状のリッジ、クリート、または歯222の形態で機械的アンカー要素を含む。存在している体液(例えば、排泄物および粘液)に起因して比較的低い摩擦係数をそれぞれ有する膣管内および外側子宮頸部の周りのデバイス200の使用環境により、機械的アンカー要素は、デバイス200が子宮頸部101から滑り落ちるのを妨げることができる。機械的アンカー要素は、膣壁103に係合するように設けられることも可能である。したがって、リッジ222は、子宮頸部の外面101を把持するための機械的アンカー要素(
図1および
図2の配置例を参照)を設けて細長くて閉じられた状態で子宮頸部を保持するための追加の把持を行い、子宮頸部が近位カフ208から滑り抜けるのを緩和するまたは防ぐように構成される。カフが拡張するときに、子宮頸部へ向けられた圧縮力がリッジのうちの1つまたは複数に係る縁部に実質的に集中して子宮頸部とカフとの間の十分な相互作用を確実にするように、クリートまたはリッジの複数の列が設けられ得ることが考えられる。リッジの追加の列は、カフが拡張するときに子宮頸部がカフから滑り抜けないようにするのを助けることができ、さもなければ、滑り抜けが、子宮頸部の表面の低い摩擦係数により起こり得る。
【0030】
リッジ222は、近位カフ208の内周部全体の周りで連続的であり得るまたは途切れないものであり得る。しかしながら、リッジ222は、近位カフの内周部に沿ってセグメント化されてもよく、および間隔をおいて配置されてもよいことが理解されよう(
図36~
図37および
図51~
図54のデバイス1000および1100についてのセグメント化されたクリートの例について以下を参照されたい)。セグメント化されたリッジを有する実施形態では、各リッジセグメントの端部は、快適さのために、および/またはカフからの圧縮力のより多くを子宮頸部101のより小さい面積に集めるために、面取りされてもよい。リッジの高さまたは深さは、約0.1ミリメートル(0.1mm)から10ミリメートル(10mm)の間であり得る。好ましくは、各リッジ222は、近位カフ208と同様の材料(例えば、可撓性のシリコーン)で形成され、カフ208と一体的に形成または成形され得る。しかしながら、リッジは、カフとは異なる材料、例えば、硬質ポリマー(例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、カフに使用されるものよりも高いデュロメータのシリコーン、または半可撓性金属(例えば、316Lステンレス鋼)などで形成されてもよいと考えられる。リッジをカフと共に形成することは製造および耐久性の目的のために好ましい場合があるが、リッジは、カフとは別個に形成され、次いでオーバーモールディングプロセス、接合、または機械的留め具を用いた固定などによってカフに接着されてもよい。
【0031】
本開示の様々な子宮頸部支持デバイスでは、近位カフは、以下にさらに詳細に説明されるように、近位開口部の横断面に対してカフの下向き拡張を実現するために、様々な構造的態様を利用することができる。例えば、カフは、その半径方向断面に沿って均一でない壁厚で形成され得る。拡張時、均一でない壁厚を有するカフは、壁の最も厚い部分の方向に拡張する(以下にさらに詳細に説明される
図9~
図13、特に、カフ壁の最も厚い部分におけるカフの拡張を示す連続した
図12および
図13に示された例示的なカフを参照)。円形でない近位開口部を形成するカフを有する実施形態では、例えば、拡大部は、均一でない壁厚を利用することができ、一方、凹部は、概して均一な壁厚を有し得る。
【0032】
例示的な拡張可能なカフ300の断面図が、
図9に示されており、(上述したデバイス100または200などの)子宮頸部支持デバイスの壁302の近位部分に結合されて示されている。カフ300は、上側および下側の薄い壁の部分304と、カフ300の近位部分における薄い壁の部分304間のより厚い壁または厚い壁の部分306とによって画定される主たる膨張可能な空気袋またはチャンバ303を含む。上側および下側の薄い壁の部分304は、互いに、およびカフによって形成された近位開口部の横断面と概して平行である。この構成では、可撓性のシリコーンの特性により、カフの膨張時、厚い壁の部分306は、カフ300が近位開口部の中心に向かって半径方向にかつ近位開口部の横断面から離れるように下向きに効果的に拡張するように、薄い壁の部分304よりも多く拡張する。膨張中、薄い壁の部分304は、最大の拡張にそれぞれ到達するまでまず厚い壁の部分306よりも迅速に拡張し、その点で薄い壁の部分304はもはや拡張しなくなり、カフ350の残りの拡張が、厚い壁の部分306で生じる。カフの例示的な壁厚は、約0.102ミリメートル(.004インチ)から0.508ミリメートル(.020インチ)の厚さの範囲にある薄い壁の部分304を含み、一方、厚い壁の領域306は、約0.254ミリメートル(.010インチ)から2.54ミリメートル(.100インチ)の厚さの範囲にある。異なる部分、すなわち薄い壁の部分304および厚い壁の部分306は、異なるデュロメータを有するシリコーンで形成されてもよく、これにより、所望の方向にカフ300の拡張をさらに促すことができることが理解されよう。
【0033】
別の例示的な拡張可能なカフ310が、
図10に示されており、(上述したデバイス100または200などの)子宮頸部支持デバイスの壁312の近位部分に結合されて示されている。カフ310は、例示的なカフ300と同様または実質的に同一の構造を備え、カフ300の対応する態様と実質的に同じように機能する主たる膨張可能な空気袋またはチャンバ313、薄い壁の部分314、および厚い壁の部分316を含む。
図9のカフ300と比較して、
図10に示されたカフ310は、一対のリッジ、クリート、または歯318を含み、これらは、子宮頸部支持デバイス200について上述されるとともに
図7および
図8に示されたリッジ222に構造および機能が類似する。カフ310は、それぞれの薄い壁の部分314に一対のバックル付き壁セグメント320も含む(
図10)。ニュートラルな非拡張状態において、カフ310のバックル付き壁セグメント320は、
図10に示されるように、それらのバックル付き形状を保持する。カフ310が膨張させられるとき、バックル付き壁セグメント320は、広がって平らになり、それによりカフ310の初期拡張をもたらし、カフが近位開口部の中心に向かって半径方向に拡張することを可能にする。バックル付き壁セグメント320が実質的に平らになってしまうと、カフ310の拡張の残りが、厚い壁の部分316において生じ得る。複数のバックル付き壁セグメントは、カフが所望の方向におよび/または所望の変位によって拡張することを可能にするように、カフの上側部分および/または下側部分に設けられ得ることが理解されよう。複数のバックル付き壁セグメントは、カフが弾性変形の限界に到達することなく、カフ310の広げられた拡張を可能にし得る。バックル付き壁セグメントは、カフが所望の方向におよび/または所望の変位によって拡張することを可能にするように、カフの上側部分または下側部分だけに設けられてもよいことも理解されよう。
【0034】
別の例示的な拡張可能なカフ330が、
図11に示されており、(上述したデバイス100または200などの)子宮頸部支持デバイスの壁332の近位部分に結合されて示されている。カフ330は、例示的なカフ300および310と同様または実質的に同一の構造を備え、カフ300および310の対応する態様と実質的に同じように機能する主たる膨張可能な空気袋またはチャンバ333、薄い壁の部分334、および厚い壁の部分336を含む。
図9のカフ300と比較して、カフ330は、それぞれの薄い壁の部分334に一対のバックル付き壁セグメント340aおよび340bを含む(
図11)。
図10のカフ310と比較して、
図11に示されたカフ330は、リッジ、クリート、または歯を含まない。また、カフ330は、上側の薄い壁の部分334におけるより大きいバックル付き壁セグメント340aと、下側の薄い壁の部分334におけるより小さいバックル付き壁セグメント340bとを備える。ナチュラルな非拡張状態において、カフ330のバックル付き壁セグメント340aおよび340bは、
図11に示されるように、それらのバックル付き形状を保持する。カフ330が膨張させられるとき、バックル付き壁セグメント340aおよび340bは、広がって平らになる。セグメント340aがセグメント340bよりも大きいので、それは、セグメント340bよりも大きい長さに広がることができ、したがって、カフ330が近位開口部の中心に向かって半径方向にかつ近位開口部の横断面から離れるように下向きに拡張することを可能にする。
【0035】
なおも別の例示的な拡張可能なカフ350が、
図12および
図13に示されており、(上述したデバイス100または200などの)子宮頸部支持デバイスの壁352の近位部分に結合されて示されている。カフ350は、例示的なカフ300および310と同様または実質的に同一の構造を備え、カフ300および310の対応する態様と実質的に同じようにそれぞれ機能する主たる膨張可能な空気袋またはチャンバ353、薄い壁の部分354、厚い壁の部分356、および一対のリッジ、クリート、または歯358を含む。
図10のカフ310と比較して、
図12および
図13に示されたカフ350は、バックル付き壁セグメントを含まない。
図9のカフ300と比較して、カフ350は、主たる膨張可能なチャンバ353に加えて、一対の膨張可能な空気袋またはチャンバ360および362を含む(
図12および
図13)。一対のチャンバ360および362は、互いにおよび主たるチャンバ353に隣接し、実質的に同軸である。例示的実施形態では、チャンバ360および362は、細長い側壁360aおよび362a、ならびに底壁360cおよび362cよりも長い上側壁360bおよび362bを有する細長い台形として画定される。ナチュラルな非拡張状態において、より長い上壁360bおよび362bは、近位開口部の横断面に対してカフに関する下向き拡張を促すようにまず下向きに向いている角度にカフ350を位置付ける。カフ350が膨張させられるとき、一対のチャンバ360および362は、近位開口部の軸方向中心に向かって幾分広がることができ、または実質的に変化しないもしくは膨張していないままであり得る。膨張中、主たるチャンバ353は、近位開口部の軸中心に向かって半径方向内向きに、かつ近位開口部の横断面に対して下向きに広がる。膨張させられたカフ350の相対的な半径方向および下向きの移動は、連続した
図12および
図13におよびそれらの間に設けられた仮想線を参照して見られ得る。チャンバ353、360、および362は、カフ350の任意の膨張が3つのチャンバ全てを一緒に膨張させるように互いに流体連通していてもよく、または各チャンバは、チャンバが提供者によって個々にアクセス可能(例えば、膨張可能もしくは収縮可能)であるように、個々に封止され、専用の流体導管に流体接続していてもよい。
【0036】
上述されるとともに
図12および
図13に示された拡張可能なカフ350のものと同様である同様のカフが考えられるが、
図12および
図13に示されるように追加のチャンバの長い壁がそれぞれの上側壁360bおよび362bにおいて互いに隣接して位置するのに代えて、より長い壁は、1つのチャンバが
図12および
図13に示されたものと同様の長い上側壁360bおよび短い下側壁360cを有するとともに、隣接したチャンバが短い上側壁および長い下側壁を有するようにオフセットされる。そのような実施形態では、カフのチャンバが膨張させられるとき、追加のチャンバの2つの隣接した上側壁および下側壁は、正弦波に類似するやり方で延在してもよい。これにより、ケア提供者が、子宮頸部のあたりに加えられた圧縮力の方向を調整および微調整するために、拡張されたカフの角度にわずかな調整を行うことを可能にし、または提供者がカフ内で子宮頸部を再配置することを可能にし得る。なおも別の考えられる実施形態では、追加のチャンバの1つは、上側壁および下側壁の長さが等しくてもよく、一方、第2の追加のチャンバは、第1のチャンバが近位開口部の軸中心に向かって実質的に半径方向に拡張し、第2のカフが近位開口部の軸中心に向かって半径方向内向きに、かつ近位開口部の横断面に対して下向きに拡張するように、上側壁および下側壁の均一でない長さを有する(例えば、
図12および
図13に示されるように、台形チャンバ360および362)。
【0037】
次に
図14~
図18を参照すると、早期分娩の減少または防止のための別の子宮頸部支持および補強デバイス400が与えられる。デバイス400は、上述したデバイス100および200と同様であるが、いくつかの代替および/または追加の構成要素および機能を含む。デバイス100および200の構成要素と同様に、デバイス400は、主たる本体402、近位開口部404、遠位開口部406、および拡張可能な環状カフ408を含む(
図1および
図2の配置例を参照)。近位カフ408は、カフ408が複数の膨張可能な空気袋またはチャンバ410および412を備えるという点で、上述されるとともに
図12および
図13に示されたカフ350と同様であるが、空気袋360および362のように横並びで配置される代わりに、上側の第1の空気袋410は、下側の第2の空気袋412の上方に配置される。空気袋410および412は、デバイス400の壁402の上側または近位部分の中に一体的に形成される(例えば、オーバーモールドされる)か、あるいは壁402の上側または近位部分と一元的に形成される。
図14は、両カフ空気袋410および412がニュートラルまたは収縮状態にあるデバイス400を示し、
図15は、両カフ空気袋410および412が膨張または拡張状態にあるデバイス400を示す。
【0038】
空気袋410および412は、個別にアクセス可能であり得、上側空気袋410が独立して膨張させられる場合、カフ408が概して上向きのやり方で(すなわち、子宮105に向かって)拡張し、下側空気袋412が独立して膨張させられる場合、カフが近位開口部404の軸方向中心に向かって概して半径方向内向きに拡張するように構成される。したがって、カフ408の独立した空気袋410および412は、膣内でデバイス位置を手動で調整する必要なく、および子宮頸部101または膣103に潜在的なさらなる炎症のリスクを与えずに、ケア提供者が、デバイス400の位置的態様を微調整するまたは調整することを可能にし得る。例えば、デバイス400が膣103内に配置され、デバイスの下側部分が膣壁の靱帯および筋肉と係合される場合(
図1および
図2の配置例を参照)、上側チャンバ410は、まず、膨張または拡張されて、近位開口部404の横断面に垂直である力を子宮頸部101に加え、または言い換えれば、子宮105に向かって実質的に上向きに向けられる力を子宮頸部101に加え、これは、子宮頸部組織のより多くを変位させ、それによってそれを近位開口部404へと付勢するように働くことができる。子宮頸部101が近位開口部404内に十分に埋め込まれた場合、提供者は、第2の下側チャンバ412を膨張させて、子宮頸部の周りに締め付け圧縮力を加えることができる。環状のリッジ、歯、またはクリート414(
図14および
図15)が、下側空気袋412が拡張するときに、リッジ414が子宮頸部の外面101に侵入して係合するように近位カフ408の内周部に設けられる(
図18参照)。空気袋410および412の周壁は、それぞれの空気袋ごとに所望の拡張方向を与えるまたは促すために、その中に形成された拡張要素を備えてもよいと考えられる。例えば、空気袋410および412の周辺は、(
図10および
図11にそれぞれ示されたバックル付き壁部分320ならびに340aおよび340bと同様のような)1つまたは複数のバックル付きまたは折り畳まれた壁または壁セグメントの形態で拡張要素を備えることができ、これにより、それぞれの空気袋の拡張時、それぞれの空気袋の拡張を所望の方向に(例えば、子宮105に向かって上向きに、または近位開口部404の軸中心に向かって半径方向に)向けてバイアスする。別の例として、空気袋壁の特定の部分は、それぞれの空気袋の拡張時に、それぞれの空気袋の拡張を所望の方向に向かってバイアスする打ち抜き穴を備えてもよい。
【0039】
次に
図19および
図20を参照すると、早期分娩の減少または防止のための別の子宮頸部支持および補強デバイス500が与えられる。デバイス500は、上述したデバイス100、200、および400と同様であるが、いくつかの代替および/または追加の構成要素および機能を含み、以下に説明されるより重要な差異を有する。デバイス100、200、および400の構成要素と同様に、デバイス500は、主たる本体502、近位開口部504、遠位開口部506、近位開口部のすぐ近くの拡張可能な環状カフ508、近位カフ508の凹部、近位カフ510の拡大部、および流体導管516(
図1および
図2の配置例を参照)を備える。
【0040】
別のまたは第2の拡張可能な環状のカフ518は、遠位開口部506および/またはデバイス500の外壁のすぐ近くに設けられる(
図19および
図20)。カフ518は、以下、遠位カフ518と呼ばれ、子宮頸部101に隣接した所望の位置にデバイス500を保持するために追加の把持または支持を与えるように膣103の壁の中に拡張するおよびそれに係合するために設けられる。遠位カフ518は、例えば、バックル付き壁部分320、304a、または340b(
図10および
図11)、拡張可能なカフ300、310、330、および350で示されたような均一でない壁厚(
図9~
図13)、ならびに/あるいは拡張可能なカフ350(
図12および
図13)、および拡張可能なカフ408(
図14~
図18)で示されるような2つ以上の空気袋など、上述したカフ108、208、300、310、330、350、ならびに/または408と同様の構造および機能を含むことができることが理解されよう。
図19は、近位カフ508および遠位カフ518がそれぞれニュートラルまたは非膨張状態にあるデバイス500を示し、
図20は、近位カフ508がニュートラルまたは非膨張状態にあり、遠位カフ518が膨張または拡張状態にあるデバイス500を示す。膨張中、遠位カフ518は、遠位開口部506の軸中心から離れるように、したがって、膣壁103に向かって、外向きに拡張する。遠位カフ518の外向き拡張が、連続した
図19および
図20に示されており、
図19に示されたそのニュートラル状態に対しての
図20に示された拡張状態のカフ518の相対的な動きをよりはっきりと示すために仮想線が加えられている。
【0041】
例示的な拡張可能なカフシステムまたはデバイス600が
図21および
図22に示されており、(上述したデバイス100、200、400、または500などの)子宮頸部支持および補強デバイスの壁602の遠位部分および/または外面に結合される。カフシステム600は、第1のまたは径方向の空気袋604および第2のまたは横方向の空気袋606を含む一対の膨張可能な環状の空気袋またはチャンバを備える。径方向の空気袋604は、壁602の遠位部分の外周部の周りに配置され、横方向の空気袋は、壁602の遠位端に沿って配置される。膨張時、径方向の空気袋604は、膣壁に沿って追加の把持または支持を与えるために、デバイスの遠位開口部608の軸中心から離れるように外向きに拡張する。膨張時、横方向の空気袋606は、壁602の遠位端から離れるように下向きに拡張する。言い換えれば、横方向の空気袋606は、子宮の反対の方向に拡張する。
図21のそのニュートラル状態から
図22のその拡張状態への横方向の空気袋606の相対的な拡張をよりはっきりと示すために、仮想線が、連続した
図21と
図22との間に設けられる。その拡張状態において、横方向の空気袋606は、デバイス600の全高の増加をもたらし、これにより、提供者は、壁602の上側もしくは近位端で近位カフを子宮頸部101にさらに係合させ、ならびに/または子宮頸部101および子宮105の底部に追加の支持を与えることを可能にし得る。
【0042】
径方向の空気袋604または横方向の空気袋606のいずれかまたは両方は、例えば、バックル付き壁部分320、304a、もしくは340b(
図10および
図11)、拡張可能なカフ300、310、330、および350で示されたような均一でない壁厚(
図9~
図13)、ならびに/または拡張可能なカフ350および408で示されたような2つ以上のより小さい空気袋(それぞれ、
図12~
図13および
図14~
図18)など、上述したカフ108、208、300、310、330、350、408、508、および/または518と同様の構造および機能を含むことができると理解されよう。カフシステム600は、2つの空気袋604および606を有するように示されるが、単一の空気袋またはチャンバが、十分な膣壁係合を与えるとともに、デバイス600の全高を増加させることもできることが理解されよう。例えば、拡張要素は、所望の方向性のある膨張を与えるために、単一の空気袋の特定の壁に沿って設けられてもよい。デバイス600(ならびに子宮頸部支持デバイスの前述または後述の実施形態のいずれか)は、子宮頸部および子宮105を支持するために、遠位端が子宮頸部101に向いているとともにそれと係合する逆のやり方で患者に配置され得ることが考えられる。逆向きでは、デバイスの遠位カフは、遠位カフが拡張するときに、脱出が典型的に生じる位置で遠位カフが子宮105に支持を与えることができるように、上側膣壁および円蓋領域(すなわち、膣壁と子宮頸部の下側部分の外面との間に作り出された凹みの中に延びる膣の上側部分)と接触して配置可能である。遠位カフが横方向に拡張する実施形態では、遠位カフは、(近位カフが子宮に向かう標準的な向きに向けられたデバイスに対して)膣壁に沿ってより大きい表面積に子宮105の荷重を分散させ、これにより、床擦れおよび/または壊死などによる合併症のリスクを低減させることができる。遠位カフが横方向に拡張するのと(例えば、子宮105に向かって)主たるデバイス本体から離れるように拡張するのとの両方における実施形態では、遠位カフは、子宮105の荷重をより大きい表面積に分散させつつ、子宮に上向きの支持(これは、必要に応じてカスタマイズされ得る)を与えることができる。
【0043】
図23および
図24は、上述されるとともに
図1~
図6に示された子宮頸部支持デバイス100と同様または実質的に同一である別の例示的な子宮頸部支持および補強デバイス700を示す。デバイス700は、壁718の内側部分および外面部分の中に形成された内側および外側リリーフノッチ722aおよび722bを含む。ノッチ722aおよび722bは、実質的に壁の遠位端と近位カフ708との間に延在する。ノッチ722aおよび722bは、壁718の可撓性の増加をもたらし、これによりデバイス700の畳み込みまたは折り畳みを容易にして患者の膣の中へのデバイスの挿入を助けることができる。例えば、提供者は、膣開口部を通ってより容易に突出するように、減少した断面積を有する前縁または先端をデバイスが形成するように、デバイスを折り畳むことが可能であり得る。挿入を助けることに加えて、ノッチ722aおよび722bは、また、どちらの側が患者に最初に挿入することが意図されているかの視覚的表示を与えることもできる。
【0044】
次に
図25~
図33を参照すると、早期分娩の減少または防止のための別の子宮頸部支持および補強デバイス800が与えられる。デバイス800は、上述したデバイス100、200、400、500、および700と同様であるが、いくつかの代替および/または追加の構成要素および機能を含み、以下に説明されるより重要な差異を有する。デバイス100、200、400、500、および700の構成要素と同様に、デバイス800は、例えば(
図1および
図2の配置例を参照)、主たる本体802、近位開口部804、遠位開口部806、近位開口部804のすぐ近くの拡張可能な環状カフ808、および流体導管816を備える(
図29および
図30)。デバイス500の構成要素と同様に、および
図28に最もよく示されるように、デバイス800の近位カフ808は、凹部810と、拡大部812とを備える。しかしながら、凹部と拡大部の2つのそれぞれのセットに代えて、近位カフ808は、3つの凹部810のセットと、3つの拡大部812のセットとを含み、これらは、本体802の近位部分の周りに均一に分散され、近位開口部804を画定する。また、デバイス500の構成要素と同様に、デバイス800は、遠位開口部806のすぐ近くに拡張可能な環状カフまたはカフシステム818を備え、遠位カフ818は、壁の遠位端から離れるように、および子宮105から離れるように、下向きに拡張するように動作可能である。遠位カフ818は、本体802の遠位端の周囲の周りに等間隔をおいて配置される膨張可能な空気袋818aの3つのセグメントを含む(
図25~
図31)。しかしながら、遠位カフ818は、より多くのまたはより少ない空気袋セグメントを備えてもよく、あるいは遠位カフ818は、単一の連続的な途切れない空気袋で形成されてもよいことが理解されよう。
図29は、近位カフ808および遠位カフ818がそれぞれニュートラルまたは非膨張状態にあるデバイス800を示し、
図30は、近位カフ808が膨張または拡張状態にあり、遠位カフ818がニュートラルまたは非膨張状態にあるデバイス800を示し、
図31は、近位カフ808および遠位カフ818がそれぞれ膨張または拡張状態にあるデバイス800を示す。空気袋818aの選択的膨張の一例は
図33に示されており、遠位カフ818の空気袋818aの1つは、他の2つの空気袋818aよりも多く膨張させられる。
【0045】
膨張中、近位カフ808は、近位開口部804の軸中心に向かって実質的に内向きに拡張する。近位カフ808の内向き拡張は、連続した
図29および
図30に示されており、
図29に示されたそのニュートラル状態に対しての
図30に示された拡張状態のカフ808の相対的な動きをよりはっきりと示すために仮想線が加えられている。膨張中、遠位カフ818は、遠位開口部806の軸中心に向かって部分的に内向きに拡張し、遠位開口部806の軸中心から離れるように、したがって膣壁103に向かって、部分的に外向きに拡張する。遠位カフ818の内向きおよび外向き拡張は、連続した
図30および
図31に示されており、
図30に示されたそのニュートラル状態に対しての
図31に示された拡張状態のカフ818の相対的な動きをよりはっきりと示すために仮想線が加えられている。
【0046】
(
図26、
図27、
図29、および
図30に最もよく示されるように)管腔リング822が、主たる本体802の遠位端と遠位カフ818との間に設けられ、流体導管816の入口820(
図27)と流体接続している。管腔リング822は、リングの近位側に開放チャネル824を含む。好ましくは、各チャネル824は、大気に開放している少なくとも2つの専用ポート827を含む(
図32A)。デバイス800が完全に組み立てられた場合、チャネル824は、リング822の近位側に閉じられた管腔を形成する。遠位カフは、管腔リング822の底部遠位側に嵌合され、各チャネル824の開放ポート827のうちの1つは、遠位カフの膨張可能なセグメント818aのうちの1つに開放される。任意選択で、流体入口820、チャネル824のうちの1つ、および/または開放ポート827と流体接続などで、逆止弁機構にデバイスが設けられてもよい。個々の空気袋818aは、単一の管腔にそれぞれポートされてもよく、そして、管腔の他端は、各空気袋818aの膨張および収縮を独立して制御するために逆止弁にポートされる。膨張デバイス、例えば、チューブが、逆止弁と接続または結合されてもよく、必要に応じて、流体(例えば、空気または生理食塩水)を様々な拡張可能なカフ要素に導入してカフを充填または膨張させ、それによって患者の膣103内にデバイスを適切に嵌合および固定して子宮頸部101を支持する。例えば、ダックビル逆止弁830などの一方向弁を有する多管腔チューブ828(
図32)が、カフ構成要素を膨張させるために開放ポート827に係合するように設けられてもよい。好ましくは、チューブ828の各管腔は、ケア提供者がカフ構成要素のうちの1つのみまたは選択したサブセットの膨張を一度に指示して(
図33参照)、デバイス800のポジショニングとともに、子宮頸部101の周りに加えられる締め付け力を微調整することができるように個々にアクセス可能である。空気袋808および818aの各々を取り扱う能力は、圧力を軽減し、子宮頸部101を安定化するための特定のやり方でケア提供者が子宮頸部101を向け直すまたは角度付けることを可能にし得る。例えば、提供者は、遠位カフ空気袋818aのうちの1つまたは複数を選択的に膨張させることによってデバイス800の向きを変更することができる。チューブ828内の管腔が、デバイス800に送達される物品に通路を与えることができ、例えば、ニチノールワイヤ、ばね、電気配線、または医薬品/薬剤が、チューブ828を通ってデバイス800に通されることが可能であると考えられる。チューブ828は、デバイス800に取り外し可能に結合されてもよく、これは、患者により容易な動きをもたらすことができ、またはチューブ828は、チューブが患者内部に残り、および/または膣103の外面に延びた状態でデバイスに恒久的に接合されてもよい。
【0047】
図34に最もよく示されるように、近位カフ808は、不定の壁厚を含み、上側および下側の薄い壁の部分832とより厚い壁または厚い壁の部分834とが、上側および下側の薄い壁の部分832間でカフ808の近位部分にある。近位カフ808は、壁の近位端に形成された溝838に係合する歯836を備えた本体802の壁の近位端に結合される。薄い壁の部分832および厚い壁の部分834は、
図9に示されるとともに上述されたカフ300の部分304および306と同様に機能する。
【0048】
次に
図35を参照すると、早期分娩の減少または防止のための別の子宮頸部支持および補強デバイス900が与えられる。デバイス900は、上述したデバイス100、200、400、500、700、および900と同様であるが、いくつかの代替および/または追加の構成要素および機能を含み、以下に説明されるより重要な差異を有する。デバイス100、200、400、500、700、および800の構成要素と同様に、デバイス900は、主たる本体902、近位開口部904、遠位開口部、近位開口部904のすぐ近くの拡張可能な環状カフ908、および遠位開口部のすぐ近くの拡張可能な環状カフ918を含み、例えば、2つ以上の膨張可能な空気袋918aが、遠位カフ918(
図35)を画定する(
図1および
図2の配置例を参照)。デバイス900の主たる本体902は、非対称であり、円形でないまたは球形でない。例えば、主たる本体902は、より大きい半径を有する3つの広がった部分と、広がった部分間の3つのより小さい部分とを含む。広がった部分は、膣103の内側でのデバイス900の回転を抑制、制限、または禁止するように膣壁の改善された係合を与え得る。
【0049】
次に
図36および
図37の例示的実施形態を参照すると、早期分娩の減少または防止のための別の子宮頸部支持および補強デバイス1000が与えられる。デバイス1000は、上述され、
図1~
図6および
図7~
図8に示されたデバイス100および200と同様であるが、いくつかの代替および/または追加の構成要素および機能を含む。デバイス100および200の構成要素と同様に、
図36~
図37のデバイス1000は、主たる本体1002、近位開口部1004、遠位開口部1006、凹部1010および拡大部1012を有する拡張可能な環状カフ1008、ならびに隆起した環状リム1014を含む。デバイス100および200と比較して、子宮頸部支持デバイス1000は、近位カフ1008の拡大部1012の内周部に沿って間隔をおいて配置された構成で配置された多くのリッジ、クリート、または歯1016のアレイを含む。クリート1016は、細長くて閉じられた状態で子宮頸部を保持するための追加の把持を行い、子宮頸部が近位カフ1008から滑り抜けるのを緩和するまたは防ぐように、子宮頸部の外面101(
図1および
図2の配置例を参照)を把持するために構成されている。クリート1016は、例えば、押出成形、成形、またはオーバーモールディングプロセスなどによってカフ1008の外壁と共に形成されてもよい。各クリート1016におけるまたはこれに隣接しているカフ1008の壁厚は、カフ1008がニュートラル状態にあるときと比較してカフ1008が膨張状態にあるときにクリート1016はカフ壁からより盛り上がって位置するように、クリート1016がカフ壁に対して外向きに広がることを可能にするように変更されてもよいと考えられる。
【0050】
図38~
図42は、クリート1016の半径方向プロファイルが形成され得る様々な例示的な形状を示す。参照のために、
図38~
図42の例示的なクリートプロファイル1016a~1016eの各々の傍らに与えられた仮想矢印は、子宮頸部支持デバイスの底部に向かう方向を示し、したがって、これは、カフ1008が子宮頸部を取り囲む状態でこのデバイスが配置されるとき、子宮頸部101の底部に向かう方向である。いくつかの実施形態では、クリート高さ(すなわち、クリートがカフ壁から盛り上がっている距離)は、例えば、約100マイクロメートル(100μm)から1500マイクロメートル(1500μm)の間の範囲であり得る。クリート幅(すなわち、クリートの上側から下側の長さ)は、例えば、約100マイクロメートル(100μm)から1500マイクロメートル(1500μm)の間の範囲であり得る。
図38~
図42のクリートプロファイル1016a~1016eの様々な形態は、カフ1008と同じ材料で成形もしくは形成されてもよく、またはクリートは、カフ1008のシリコーンよりも高い剛性であるシリコーンもしくはプラスチックなどの異なる材料もしくは異なる硬度の材料で形成されてもよい。製造のために、クリートがカフ1008と同じ弾性材料で形成されることがより好ましい可能性がある。クリート1016は、子宮頸部101の外面の組織との真空係合を形成するための吸引カップとして働くまたは機能するように個々に構成され得ることが考えられる。
図38~
図42に示されるように、クリートプロファイル1016a、1016b、1016c、1016d、および1016eは、中実体として示される。しかしながら、クリートは、その周囲とカフ壁との間に空隙を有して形成されてもよく、またはカフが膨張させられるときに、クリート内の空隙がクリートを拡張させるように膨張もしくは拡張され得るようにカフ1008の中に開放している空隙を有して形成されてもよいことを理解されよう。
図42に示されるように、クリート1016eは、下向き縁部/先端1017がカフ1008の外壁と鋭角を形成するように形成されてもよい。この構成は、子宮頸部組織を把持および保持するためのフックとして効果的に機能し、したがって、子宮頸部組織との改善された係合を与え得る。
【0051】
図43~
図50は、クリート1016の正面立面形状が形成され得る様々な例示的な形状を示す。参照のために、例示的なクリート形状1016f~1016mの各々に与えられた仮想矢印は、子宮頸部支持デバイスの底部に向かう方向を示し、したがって、それは、カフ1008が子宮頸部を取り囲んでデバイスが配置されるとき、子宮頸部101の底部に向かう方向である。(他の適切なクリート形状に加えて)クリート形状1016f~1016mのいずれかは、(他の適切なクリートプロファイルに加えて)クリートプロファイル1016a~1016eのいずれかと共に利用されて、子宮頸部101に係合するための所望のクリート1016を形成してもよい。
図43に示されたクリート形状1016fは、円形であり、例えば、約50マイクロメートル(50μm)から2000マイクロメートル(2000μm)の間の範囲である直径を有してもよい。
図44~
図49は、例えば、25マイクロメートル(25μm)から2500マイクロメートル(2500μm)の間の範囲である全高および幅の寸法を有し得る円形でないクリート形状1016g~1016lを示す。
図49および
図50は、カフ壁1008からそれぞれ尖った端または先端1019および1021へそれぞれ外向きに延びる追加の幾何学的クリート形状1016lおよび1016mを示す。
図49のクリート形状1016lは、概してピラミッド形状であり、例示された実施形態では、先端1019がその下側に向かってオフセットされた状態の斜めのピラミッドである。クリート形状1016mは、概して円錐形であり、図示された実施形態では、先端1019がその下側に向かってオフセットされた状態の斜円錐である。
【0052】
次に
図51~
図54の例示的実施形態を参照すると、早期分娩の減少または防止のための別の子宮頸部支持および補強デバイス1100が与えられる。デバイス1100は、上述され、
図1~
図6、
図19~
図20、および
図36~
図37に示されたデバイス100、500、および1000と同様であるが、いくつかの代替および/または追加の構成要素および機能を含む。上述したデバイス100、500、および1000の構成要素と同様に、
図51~
図54のデバイス1100は、主たる本体1102、近位開口部1104、遠位開口部1106、凹部1110および拡大部1112を有する拡張可能な環状の近位カフ1108、ならびに隆起した環状リム1114を含む。デバイス500の構成要素とのさらなる類似において、デバイス1100は、遠位開口部1106および/または本体1102の外面のすぐ近くの拡張可能な第2の環状カフ1118を含む。第2のカフ1118は、以下、「遠位カフ」1118と呼ばれる。デバイス1000の構成要素とのさらなる類似において、デバイス1100は、近位カフ1108の拡大部1112の内周部のあたりに間隔をおいて配置された構成で配置された歯1116のクリートのアレイを含む。デバイス500と比較して、子宮頸部支持デバイス1100の遠位カフ1118は、カフ518よりも比較的大きく、カフ518のものよりもデバイス1100の本体1102の壁のさらに上に広がる。カフ1118の例示的な実施形態は、例えば、本体1102の外壁の半分上に、または本体1102の外壁の実質的に全長にわたって広がり得る。サイズの増大により、カフ1118と膣壁103との間の接触面積が増加して、子宮頸部101および/または子宮105に改善された支持を与える。遠位カフ1108は、上述されるとともに
図25~
図31に示された遠位カフ818の空気袋818aと同様の単一の空気袋または2つ以上の空気袋で形成され得ることが理解されよう。さらに、デバイス1000と比較して、子宮頸部支持デバイス1100のクリート1116は、デバイス1000のクリート1016よりもかなり大きく、拡大部1112の内周部の周りには、より少ないクリート1116が設けられる。細長くて閉じられた状態で子宮頸部を保持するための追加の把持を与え、子宮頸部が近位カフ1108から滑り抜けるのを緩和しようとまたは防ごうとして、クリート1016と同様のクリート1116が、子宮頸部の外面101(
図1および
図2の配置例を参照)を把持するために構成される。クリート1116は、例えば、押出成形、成形、またはオーバーモールディングプロセスなどによってカフ1108の外壁と共に形成され得る。各クリート1116におけるまたはこれに隣接しているカフ1108の壁厚は、カフ1108がニュートラル状態にあるときと比較してカフ1108が膨張状態にあるときにクリート1116がカフ壁からより盛り上がって位置するように、クリート1116がカフ壁に対して外向きに広がることを可能にするように変更されてもよいと考えられる。
【0053】
近位カフ808の歯836および溝838の構成、ならびに上述されるとともに
図25~
図31に示されたデバイス800の本体802の壁と同様に、デバイス1100の近位カフ1108は、壁(
図52~
図54)の近位端に形成された溝1138に係合する歯1136を有する本体1102の壁の近位端に結合される。デバイス1100の遠位カフ1118は、一端で本体1102の壁の遠位端に(例えば、壁の外面の最遠位部分に)、反対端で本体1102の壁の中央外面部分に結合される。遠位カフ1118のそれぞれの端部は、本体1102の壁に形成された対応する溝1142に係合する歯1140を有する本体1102に結合される。
【0054】
デバイス1100は、近位カフ1108および遠位カフ1118とそれぞれ流体連通している流体導管1144および1146を含む(
図54)。流体導管1144および1146は、それぞれのデバイス100、200、500、および800(それぞれ
図5および
図6、
図7および
図8、
図19および
図20、ならびに
図29および
図30)の導管116、216、516、および816と同様の構造および機能である。
図54に示されるように、導管1144および1146は、対応するカフ1108および1118の専用であり、デバイス1100の本体1102から、本体1102からデバイス1100の内部に向かって延びるチューブ1148の内部に延びる。上述されるとともに
図29~
図30に示された弁システム826と機能が同様である弁システム1150が、チューブ1148の遠位端に設けられ、例えば、一方向ダックビル弁などの弁1152および1154を導管1144および1146ごとに与える。チューブ1148は、(患者の膣内に配置されたときに)デバイスから膣開口部を通って外に延びるのに十分な長さを有してもよく、それにより、ケア提供者は、患者内のデバイスを除去または再配置することなく、弁システム1150に容易にアクセスすることができる。膣開口部の外面に露出された弁を有することの利点は、ケア提供者が、圧力シールを簡単に壊して、導管1144および1146ならびにカフ1108および1118内の圧力を解放できることであり、そうでない場合、それらは一方向弁1152および1154の機能により閉じ込められる。例えば、チューブ1148に結合されたロック針または注射器先端などの一般的に知られているまたは市販のデバイスが、ケア提供者が圧力シールを容易に壊すことを可能にするために利用されてもよい。ケア提供者は、弁システム1150をチューブ1148から取り外すことによって圧力シールを壊すことができる。
【0055】
次に
図55~
図57の例示的実施形態を参照すると、早期分娩の減少または防止のための別の子宮頸部支持および補強デバイス1200が与えられる。デバイス1200は、上述され、
図51~
図54に示されたデバイス1100と同様であるが、いくつかの代替および/または追加の構成要素および機能を含む。上述したデバイス1200の構成要素と同様に、
図55~
図57のデバイス1200は、主たる本体1202、近位開口部1204、遠位開口部1206、凹部1210を有する拡張可能な環状の近位カフ1208、近位カフ1208の拡大部1212の内周部の周りに間隔をおいて配置された構成で配置されたクリートまたは歯1216のアレイ、および壁の近位端に形成された溝1238に係合する歯1236を含む(
図57)。デバイス1100とは異なり、デバイス1200は、拡張可能な環状の遠位または外部カフを含まないが、必要に応じて、遠位または外部カフがデバイス1200と共に設けられてもよいことが理解されよう。
【0056】
液だめ1240は、本体1202の壁の内部に形成され、カフ1208と流体連通している(
図56および
図57)。デバイス1200は、入口ポート1241を有する弁システムを含む(
図55)。入口ポート1241は、例えば、デバイス800および1100について前述したように一方向弁として形成され得る。デバイス1200は、液だめ1240に隣接して本体1202の壁の別の部分の内部に形成された構成要素空洞1242を含む(
図56)。構成要素空洞1242は、本体1202の壁の内部に配置され、第1の導管1246を介して液だめ1240と流体連通し、第2の導管1248を介してカフ1208と流体連通している内部流体ポンプ1244を格納するために設けられる(
図57)。ポンプ1244は、カフを膨張および/または収縮させるために、液だめ1240からカフ1208の1つまたは複数の部分に流体を移動させるように動作可能である。入口ポート1241は、ポンプ1244の動作中に形成される真空を相殺するために空気の移送を可能にする通気孔として構成され得る。
【0057】
コントローラまたはコンピュータ1250は、ポンプ1244の動作を制御するためにポンプ1244と電子的に結合されている。充電可能な電池1252の形態の電源が、ポンプ1244およびコントローラ1250と結合されている。コントローラ1250は、ケア提供者が、デバイス1200にアクセスするのに侵襲的な処置を何らすることなく、カフ1208を遠隔で膨張/収縮させることができるように無線通信/制御が可能にされてもよく、このようにして、子宮頸部支持デバイス1200を閉じられたシステムにすることを可能にし、デバイスを調整するための物理的操作を不必要にする。例えば、コントローラは、Bluetooth(登録商標)の無線通信、または他の遠隔制御デバイスを含み得る。電源を充電するための充電ケーブルが、患者の内部または外部に、バッテリ1252を充電するために設けられてもよい。圧力変換器1254が、カフ1208の膨張/収縮の状態および子宮頸部101または膣103に及ぼされる力など、デバイス1200の状態に関する情報をケア提供者に与えるためにコントローラ1250に結合されている。いくつかの実施形態では、圧力変換器1254は、(ケア提供者によって設定されるような)許容範囲内の圧力降下を検出するようになされてもよく、ポンプ1244は、所望の膨張レベルを維持するために、加圧下のカフに流体を自動的に追加するように構成されてもよい。任意選択の実施形態では、ポジション感知デバイス(例えば、固体ジャイロスコープモジュール)が、子宮頸部支持デバイス1200の向きデータを検出するために設けられてもよい(例えば、固体ジャイロスコープモジュールは、重力ベクトルに対してのデバイスの相対角度を検出することができる)。ポジションデータに基づいて、デバイスは、デバイスが(ケア提供者によって設定される)所望のポジションを超えてずれた場合に、デバイスの角度を自動的に調整するようになされてもよい。
【0058】
本明細書に説明されるとともに
図1~
図57に示された子宮頸部支持デバイスの実施形態の様々な異なる構成要素および機能は、本明細書に開示された他の実施形態のいずれかと共に使用するようになされてもよいことが理解されよう。
【0059】
したがって、上で詳述された様々な例示的実施形態の子宮頸部支持デバイスは、早産妊娠の妊娠期間延長を促すために、不十分な子宮頸部を支持するための選択的に調節可能なデバイスを提供する。子宮頸部支持デバイスは、子宮頸部が開くまたはさらに短くなるのを妨げようとして患者の子宮頸部を支持するおよび/または締め付けるための上部または近位カフを備える。近位カフは、患者の特定の必要性に基づいて子宮頸部にカスタマイズ可能な支持を与えるように、独立してアクセス可能(すなわち、膨張可能または収縮可能)であり得る複数の拡張可能な空気袋を含むことができる。好ましい実施形態では、近位カフは、子宮頸部に横方向の力および下向きの力(すなわち、子宮から離れるように)を与え、これにより、近位カフ内の子宮頸部の保持を促すことができる。下側または遠位カフが、デバイスの本体を患者の膣壁に着座させるまたは固定するために設けられてもよい。遠位カフは、デバイスにカスタマイズ可能な支持を与えるように独立してアクセス可能であり得る複数の拡張可能な空気袋を含むこともできる。好ましくは、近位カフは、近位カフを通って突出する上側子宮頸部から下側子宮頸部への血流を可能にする形状決めおよび寸法決めがされる。
【0060】
具体的に記載された実施形態における変更および修正が本発明の原理から逸脱することなく実行されてもよく、これは、均等論を含む特許法の原理に従って解釈されるとき、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されることが意図される。
【国際調査報告】